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国と地方 の 協議 の 場

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国と地方 の 協議 の 場
特集
•• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •
衆議院議員●逢坂誠二
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スタートから1年を経た
『 国と地方の協議の場 』
[寄稿1]
協議
の場は国と地方の関係を変えたか
••••••••••••••••••
ジャーナリスト●中西晴史
•• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •
東京大学 公共政策大学院教授●金井利之
[ 寄稿2]
国政
「国と地方の協議の場」
の機能と展望
における
•• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •
[寄稿3]
協議
の場の成果と問われる今後
■市長フォーラム2012
貴
•• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •
復興推進委員会委員長代理、東京大学先端科学技術研究センター客員教授●御厨
東日本大震災の復興への歩みと •
都市自治体に期待すること
■とっておき! 美しい都市の景観
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次全国市長会代表市長中国訪問団団長 長岡市長●森
民夫
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「白水溜池堰堤」 竹田市(大分県)
■海外交流
第
中国の視察を振り返って
■食から考える カ・ラ・ダ いきいきライフ(服部幸應 監修)
動き
久喜市長●田中暄二
•• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •
富士市長●鈴木 尚
■
〔東北復興応援企画〕美味しい‼ 楽しい‼ 美しい‼… …………………60
ほのかに甘いおからと新鮮イワシの旨みが溶け合う イワシのおかべずし
•• • • • • • •
紘
時事総研客員研究員●金重
■世界の動き /主役2人の関係がカギ│ミャンマー民主化
•• • • • • • •
•• • • • • • •
ジャーナリスト●松本克夫
東京大学大学院教授、総合研究開発機構理事長●伊藤元重
■経済の動き /何が社会を変えるのか?
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■自治の動き /政権交代は無意味だったのか ■マイ・プライベート タ
・ イム
地 域に生まれ 、地 域とともに歩む
■世界市民の目線から見た都市行政
作家●デュラン・れい子
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地下鉄で健康診断から住民票発行、就職相談まで ■わが市を語る
◆ 屯田
の開拓精神が受け継がれた人と大地が躍動する すこやかなまち 士別市長●牧野勇司
◆「安
全・安心を実感しながら安定した生活ができるまち」を目指して 茅
ヶ崎市長●服部信明
瑞浪市長●水野光二
上天草市長●川端祐樹
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◆「安心・快適 私たちが創るみずなみのまち」を目指して 上天草市 ◆人と海のふれあうまち、
■地域活性化伝道師が語る観光活性化への道
二つの自治体の観光関連組織を統合して
ブランド訴求力を高める
作家●童門冬二
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ニセコ・アドベンチャー・センター代表取締役、アドベンチャー・インストラクター●ロス・フィンドレー
■歴史に見る リーダーと、それを支えた人たち
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理不尽なパワハラへの怒り ─ 安国寺 恵瓊(十)─
■編集後記
■市政ギャラリー 都市の素顔
「犬山日本ライン」(愛知県)
■全国市長会の動き─ Mayors' Action… …………………58
富士市(静岡県)
人・産業・情報が活発に交流─
自らの努力で生み出す新たなにぎわい
●中邨 章
本文イラスト:細田雅亮
市政ルポ…………………………………34
表紙イラスト:山本 陽
■都市のリスクマネジメント………………………………………44
自治体の災害支援活動-方法と実績
(財)地方公務員安全衛生推進協会理事長
明治大学名誉教授、明治大学危機管理研究センター・研究代表、
10
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
11
8
vol.61
CITY GOVERNMENT
13
14
17
20
23
3
28
4
32 30
40
42
46
54
56
61 60
12
August
8
2012
CHINA
年 に 初 の 本 会 代 表 日 中 友 好 訪 問 団 を 派 遣 し た。
全 国 市 長 会 は、 中 日 友 好 協 会 を 通 じ て 日 中 両 国 都
市 間 の 友 好 親 善 を 図 り、 相 互 理 解 を 深 め る た め、 昭
和
以 来、 同 協 会 と と も に 日 中 両 国 市 長 の 相 互 交 流 を 推
進している。
日中国交正常化 周年記念事業の一環として派遣さ
れた第 次全国市長会代表市長中国訪問団は、団長に
40
編成し、平成
年4月
日から
23
名で
12
日までの6日間の日
28
に、日中友好の促進を図った。
久保田農業機械蘇州株式会社を視察
蘇州市副市長を表敬訪問(蘇州市呉宮泛太平洋酒店)
境保護企業、日系企業などをそれぞれ視察するととも
特に、武漢、蘇州の各都市では、地震局、環境省、環
市 の 防 災 対 策 や 環 境 対 策 に つ い て 意 見 交 換 を 行 っ た。
‌ ‌常務副会長をそれぞれ表敬するとともに、各都
‌ ‌副市長、上海市では上海市人民対外友好協会の
北京市では、中日友好協会の王秀雲副会長を表敬し
た。公式訪問の武漢市では、
‌副市長、蘇州市では、
で熱烈な歓迎を受けた。
程で北京、武漢、蘇州、上海の各都市を訪問し、各地
24
事務局から芳山事務総長ほか職員等3名の総勢
紀の川市長、西岡・備前市長、新貝・中津市長および
須坂市長、大豆生田・足利市長、神谷・安城市長、中村・
会 長 の 森・ 長 岡 市 長、 団 員 に 高 橋・ 留 萌 市 長、 三 木・
12
4
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
5
55
湖北省地震局の概要について説明を受ける訪問団(湖北省地震局)
光大ごみ発電株式会社
(蘇州市)を視察
中国国家地震緊急救援センター(北京市)を視察
武漢市副市長を表敬訪問
(武漢市人民政府)
上海
蘇州
武漢
海 外
交 流
第12次全国市長会
代表市長中国訪問団
北京
第12次全国市長会代表市長中国訪問団一行
(虹橋迎賓館)
海外交流
第12次全国市長会代表市長中国訪問団
第
験できます。
激 し く 揺 れる 座 席、水 しぶきにより リアルに 体
ながおか
も り
た
み お
次全国市長会代表市長中国訪問団団長 長岡市長 森 民夫
震 災 時の応 急 対 応 能 力 や 救 助 技 術 能 力の強 化 を
震緊急救援センターを視察しました。ここでは、
午 前 中 は、日 中 共 同で設 置 し、東 京 消 防 庁 な
ど か ら 優 秀 な 人 材 が 長 期 派 遣 さ れ ている 国 家 地
現れました。
ていた 風 景 が、色 鮮 や か な 風 景 として目の 前 に
中国の視察を振り返って
はじめに
名で
第 次 全国市長 会代 表 市長中国訪問団は、私
を は じ め 各 ブ ロッ ク の 代 表 8 名 の 市 長 さ ん と 全
国 市 長 会 事 務 局 職 員 等4名からなる総 勢
す。センター 内の地 震 体 験 施 設 は 市 民に も 開 放
図 る ため、厳 しい救 助 訓 練 が 日々行 われていま
北京市を訪問するといつも感じることですが、
自 動 車、バイク、電 動 機 付 自 転 車の 多 さには圧
日の 朝、羽 田 空 港 か ら 北 京へ
倒 され ま す。市 内の車の 種 類 が 圧 倒 的にフォル
しており、誰もが地震や津波の怖さを3D映像、
ク スワ ー ゲ ン を 代 表 と す る 日 本 車 以 外 の 自 動 車
で、我々の次にも視察者が列をなしていました。
施設の整備費や運営費は中国が負担し、人員と
資機材は日本が負担しているそうですが、日中共
ているものでした。
午後は、自治体国際化協会(CLAIR/クレ
ア)
北京事務所を訪問し、日中の姉妹都市の締結状
同プロジェクトの中でも大成功を収めている一つ
この日の午 後 は、中 国や日 本 をはじめとし た
外 国 か ら 進 出 し た ギ ャラ リ ー が 多 く 立 地 し てい
況や交流の実態などについて説明を受けた後、現
かに、日 本 車 が 中 国 進 出に 出 遅 れたか を 物 語っ
る798 芸 術 区 を 視 察 し、丹 羽 宇一郎 中 華 人 民
名店と言われる那家小館で美味しくいただきまし
地職員と意見を交わしました。夕食は北京でも有
派な会場で昼間から大変な歓迎を受けました。
午 後 は、湖 北 省 地 震 局、環 境 省 と 表 敬 し、そ
れぞれの取 り 組 み をお 聞 き す るとともに、意 見
交換を行いました。当日はハードな日程であった
ため、視 察 団の疲 労 度 も 色 濃 く、夜 に予 定 して
いた 楚 河 漢 街 の 視 察 は 車 窓 か らの ものに 変 更 し
いる との 報 告 も あ り ま し た。この 事 業 は、ま さ
窓から視察し
浦東新区を車
群 が 立 ち 並ぶ
電 飾 夜 景 を 観 覧 す ることができ、その感 激 した
に 壮 大 な 国 土 の な か で 十 分 な ス ケ ー ルメ リット
ました。
ま し た。し か し 団 員 の 皆 さ ま と、運 河 に 沿った
を 最 大 限に 活 用 している 成 功 事 例 と言 え、さ ら
府 主 催 歓 迎 会 会 場に 向 かいました。大 円 卓の立
なる事業拡大の可能性を感じました。
け、大変な人
午後は上海
の豫 園 に 出 か
曇 り 空でし たが、北 京 市 とは 違った、落 ち 着
き と重 厚 さ を 感 じる 街 並みの中、武 漢 市 人 民 政
定していないとのことでした。
その後 引 き 続 き 地 震 施 設 を視 察 して、意 見 交
換 を 行いました。基 本 的に中 国 は巨 大 地 震 を 想
4月 日 北 京 市 内は 朝 からあいにくの雨で
した。しかし、雨によって草木たちや大気が洗わ
思いを 共 有 す ることがで き ま し た。ここはいず
れ、新しい観光スポットになるでしょう。
蘇州市について
4月 日 晴 天に 恵 まれ、武 漢 空 港から上海
(虹橋)
空港へ向いました。
な建築物を見
たが、伝統的
4月 日 この日も晴天に恵まれ、午前中、日
本でも“ 除夜の鐘 ”で有名な 蘇州の「寒山寺」を
ました。
しました。
の時 間 を 過 ご
物 す る な ど、
ごみの中でし
変 強 く、この度の訪 中の中で 最 高 に 盛 り 上が り
夜は、蘇州市人民政府(副市長)と会見し、引
き 続 き 歓 迎 会に移 り ました。副 市 長はお酒が 大
に向かいました。
視 察 し ました。引 き 続 き、田 植 え 機 を 主 力 製 品
夜は、この
度の視察を締
保)
ベルギーから 技 術 導 入 した「 ごみ 処 理 発 電 施
設」のプラントを視察しました。施設の整備計画
とする農機具メーカーの蘇州市クボタ工場を視察
とりながら、蘇州市の環境保護企業(光大
地到 着 時 刻が1時 間ほど遅れたため、昼 食
現
きゅうきょ
は急遽、バス車中のサンドイッチに変更。食事を
は3期計画になっており、現在は2500t/日
し、その規模の大きさに圧倒させられました。
上海市について
上 海の興 味 深い交 通 事 情 を 聞 く ことがで き ま し
その 後、蘇 州 での 視 察 を 終 え、バスにて 上 海
に 向 か い ま し た。 そ の 移 動 中、 協 会 職 員 か ら、
団式を行いました。
団 員 全 員 参 加で 久 しぶりの日 本 酒で乾 杯 し、解
居酒屋で今回の訪中が無事終わったことを祝い、
交流を深めました。その後、ホテルに近い日本の
め く く る 上 海 市 人 民 政 府 主 催 歓 迎 会 に 参 加 し、
団 員 思い思い
全体では、4000t/日のごみが発生している
のごみ処理が可能となっているそうです。蘇州市
ため、今 年 中 には3550t/ 日の処 理 量 を 目
指し整備するとのことでした。中国では、ごみは
焼 却 せ ず に その ま ま 埋 め 立て 処 理 す るの が 現 状
広 大 な 敷 地を 確 保できる中
及 ぶとのことでし た。つま り、 自 動 車 本 体 価 格
す るに は、オ ークションに 参 加 し な く て は な ら
かれて帰路につきました。
上 海 か ら 羽 田 空 港 への 組 と 関 西 空 港 への 組 に 分
4月 日 視 察 最 終 日 も 晴 天に 恵 まれ、6日
間 に わ た り お 世 話 に な っ た 中 国 に 別 れ を 告 げ、
おわりに
ました。
に さ ら に 10 0 万 円 を 上 乗 せ し ないと 自 分 の 車
た。それは、上海で車のナンバープレートを取得
プラントの1t 当 た り の
ごみ 発 電 量 は383KWh
に 乗 れ ないという 事 実で、そ れ だけの規 制 を し
発 電 量 は921MWに も な
か し 1 日 3 班 制 でフル 稼 働
取 得 し た 車 な の で 乗 ら な け れ ば 損 を す る とい う
り ま し た。し か し 皮 肉 な ことに、大 金 を 使って
な け れ ば な ら な い とい う 交 通 渋 滞 の 深 刻 さ を 知
中国は確かに目覚しい発展を遂げていますが、
今 後 も 億 人の 国 民 を 抱 え る 国 家 として 発 展 し
28
し ている こ と か ら、1 日 の
ず、その 価 格 は、今 や 日 本 円 で100 万 円 に も
は 及 ば ない と ころで す。 し
の た め、その 技 術 は 日 本 に
その 事 業 規 模 に は 驚 か さ れ
上海市人民対外友好協会常務副会長を表敬訪問
れたようで、昨日の黄色のフィルターにかけられ
4 月 日 早 朝 起 床。 空 路、武 漢 市へ向 かい
ました。
武漢市について
た。この店は遅くまで順番待ちが続いていました。
共 和 国 駐 在 特 命 全 権 大 使 を 表 敬 訪 問 し ま し た。
北京市について
程を消化しました。
催の歓 迎 会に 招 かれ、到 着 初日から 充 実 した日
大 変 充 実 していました。夜には中 日 友 好 協 会 主
日 本 大 使 館 は 最 近 新 し く な り、セキュリティも
で占められているということにも驚きました。い
と出発しました。
2012 年 4月
12
国ならではの新事業であり、
で す が、 こ の プ ラ ン ト は、
27
とを感じました。そのような中であっても、日本
続 け るためには、克 服 すべき 課 題 も 多 く あるこ
上海に入ると、森ビルをはじめとする高層ビル
思ったしだいです。
し ての 関 係 を 築 いてい く こ と が 重 要 だ と 改 め て
意 識 が ドラ イバーに 強 く 働 き、渋 滞 解 消 にはつ
18
%は 国 に 売 電 して
82
ともできました。
る そ う で す。 ち な み に、 総
% に 過 ぎ ず、
と中国は、世界の中で互いに大切なパートナーと
残 りの
の消費量は
ながっていないという交通政策の難しさを知るこ
13
発 電 量の う ち、自 社 工 場 で
蘇州市副市長を表敬訪問
6
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
7
25
武漢市副市長
(中央)
を表敬訪問
23
12
12
24
26
特集
スタートから1年を経た
『国と地方の協議の場』
昨年4月に法制化され、6月から協議が開始された「国と地方の協議の場」。地方自治に影響を及ぼ
す国の政策の企画・立案・実施について、国と地方が重ねた協議は、今年の4月下旬の段階で9回、社会
保障・税一体改革分科会は4回(実務者会合を含めるとさらに多数)にのぼります。
特集では、協議の場の開催から1年が過ぎた中で、これまでの協議内容、成果を振りかえるとともに、
今後の有効活用の方策等を探ります。
寄稿 1
寄稿 2
協議の場は国と地方の関係を変えたか
衆議院議員 逢坂誠二
国政における
「国と地方の協議の場」の機能と展望
東京大学 公共政策大学院教授 金井利之
寄稿 3
13
市政 AUGUST 2012
協議の場の成果と問われる今後
ジャーナリスト 中西晴史
平成
年4月
月
月中旬から「社会保
協議の対象となる事項は、協議の場法第3
条の規定により、次に掲げる事項のうち重要
回
「社会保障・税一体改革」
という、
昨年度は、
大きな政策課題を協議するために分科会も設
当な苦労があったものと推測している。
回数をこなすだけでも、日程調整をはじめ相
の長などであることを考えると、この程度の
かどうかを、簡単に判断することはできない。
過、子どもに対する手当)
日
(子ど
もに対する手当)
置して議論した。単年度に分科会も含め
はんさ
の協議が行われたことは、相当に煩瑣なこと
三 経済 財 政 政 策、 社 会 保 障 に 関 す る 政 策、
教育に関する政策、社会資本整備に関す
る政策その他の国の政策に関する事項の
うち、地方自治に影響を及ぼすと考えら
れるもの
「予算概
昨 年 度、 協 議 さ れ た 案 件 の う ち、
算要求」や「地方財政対策」は、毎年度必ず扱
昨年の協議案件を見ると、この方向感は達
成されているものと思う。
うにしたいとの思いがあった。
る。法律案を協議する過程の中で、協議対象
例 的 な 広い分 野 に 及 ぶことまで 議 論 してい
「災害廃棄物の広域処理」といった
昨年は、
個別具体の案件から、
「予算概算要求」など定
この規定は、地方自治に影響を及ぼす案件で
あれば、幅広く議論ができる内容となっている。
難しくなってしまう。子ども手当の実施を政
の内容を決めなければ、子ども手当の実施が
訳などを決め兼ねていた。しかし、早急にそ
「子ども手当」は、経費の国と地方の負担割
合について、さまざまな議論があり、その内
ける傾向の漂う案件だった。
必要度が高く、国から自治体に協議を持ちか
理」
などは、どちらかと言えば国の側に協議の
「 子 ども 手 当 」
「東
昨年の協議案件のうち、
日本大震災復興対策」
「 災 害 廃 棄 物の広 域 処
留意が必要だ。
協議の場法施行後も、定例的ではない、そ
れぞれの時期の必要に応じた案件については
能だったと思う。
これに疑問を持った山田知事会長から次の
ような発言がある。
ついての具体性が表明されない。
す」との発言があったが、取り返すプロセスに
の で、 そ れ を 取 り 返 す プ ロ セ ス を こ れ か ら
一部入っていないという話はよく聞きました
田総理から「これまでのプロセスで地方の声が
協議する姿勢が消極的に見えた。引き続き野
いきます」と述べ、地方の意見は聞くものの、
総務省を通じて、地方団体の御意見も伺って
しかし、与謝野社会保障・税一体改革担当
大臣は、
「事務的な精査、誠実な精査をして、
があった。
保障・税一体改革の議論を行うべきとの主張
われる課題であり、協議対象として扱うこと
権公約に掲げた政府としては、子ども手当は
「 忌 憚 の ない 意 見 交 換 を さ せてい た だ く こ
とが必要だと思います。そうしたことが分科
協議対象の選定などについて
事項は、なるべく広く多くのものを扱えるよ
に、国も地方側もさほどの異論はないものと
是が非でも実現したいものだ。つまり国の側
これ と 雰 囲 気 を 全 く 異 に す るのが、
「社会
保障・税一体改革」
だった。
ルがなく、その時々の判断で、話し合いの方
皆さんとどう協議するかについて明確なルー
協議の場法施行以前であれば、それぞれの
時期の必要に応じた案件について、自治体の
改革に反映させるかだ。
聴取し、どのような手順で社会保障・税一体
げられた。論点は、地方の意見をどのように
税の一体改革について、激しい議論が繰り広
場を収めたい国と、意見交換、つまり協議を強
した。地方から意見を聞くことだけで何とか
は、国と地方がまさに真正面から本音で議論
詳細は、ホームページに公開されている議事
録で確 認いただくとするが、初回の協 議の場
ております」
との結論を述べた。
ころの具体的な詰めを進めていきたいと思っ
最終的には、枝野官房長官がそれまでの議
論を引き取るかたちで「分科会等で細かいと
きたん
ずっとやっていかなければいけないと思いま
思 う。 この 2 点 について は、 今 後 と も 毎 年、
会を通じて行われれば、必ず良い方向に行く
定例的に協議されるだろう。
他方、
「子ども手当」「社会保障・税一体改革」
「 東日本 大 震 災 復 興 対 策 」
「災害廃棄物の広域
処理」「補正予算」「地方自治法改正」
の件は、毎
年度協議すべきものではなく、当該それぞれ
昨年、6月 日の法制化後、第一回目の国
と地方の協議の場では、冒頭から社会保障と
式や内容を決めていた。そのような場合、地
く求める地方とのぶつかり合いだったが、激し
方が協議を望んでも、国の意向によって話し
合いを避けることもできたであろうし、協議
いやり取りの後に、分科会の設置が決まった。
18
地方からは、地方意見に対する国の姿勢へ
の不満が述べられ、国と地方が協力して社会
の時期の必要に応じて協議した案件である。
処理」
もそうした傾向の強い案件だろう。
から地方に対し、積極的に協議を呼びかける
ではなく、単なる意見聴取で済ますことも可
二 地方行政、地方財政、地方税制その他の
地方自治に関する事項
なものとなっている。
協議対象について
議を行うことも可能ではないかと考えている。
の熱意があれば、年間に相当程度の回数の協
協議事項の重要性が高く、協議構成メンバー
ものだと感心する。この集中開催を考えると、
これほど集中して会議を進めることができた
たが、大きな成果だった。短期間に、よくも
障・税一体改革」について9回の会議が開かれ
であったはずだ。特に
衆議院議員 逢坂誠二
日(社会 保 障・ 税 一 体 改 革、
災 害 廃 棄 物 の 広 域 処 理、
地方自治法の改正)
日
月8日
月
ると定められている。協議の場法に基づく開
年度は通算で8回開催さ
11
協議すべき案件によっては、もっと数多くの
れた。この開催回数が十分なものであったの
催初年度となった
おおさか せ い じ
協議の場は国と地方の関係を変えたか
開催回数について
年
月
日 日 ■社会保障・税一体改革分科会 開催状況
平成
12 12
「国と地方の協議の場に関する法律」
( 以下
「協議の場法」と呼ぶ)が成立して 年余りが
日までの間に、分科会も含め
回 開 催 さ れ た。
16
12 17
国 と 地 方 の 協 議 の 場 は、 そ の 運 営 規 則 に
よって、臨時開催のほか「毎年度4回開催」す
26
経過した。この間、昨年6月の第一回会合以
降、本年4月
協 議 の 場 が、 次 の と お り
(カッコ内は、協議事項)
年6月
日
(社会 保 障・ 税 一 体 改 革、
東日本大震災復興対策)
■国と地方の協議の場 開催状況
平成
月
月
12 11
日
(社会 保 障・ 税 一 体 改 革 分
科会、子ども手当)
8月
(子ど
もに対する手当)
月 日
月 日
(地方 財 政 対 策、 社 会 保 障
税一体改革分科会議論経
23
日
(社会
保障・税一体改革)
日
(社会
保障・税一体改革)
12
24
と思います」
月
29 26 20
必要のある案件であった。「災害廃棄物の広域
24
23
1
会議が必要との見方もあるだろう。ただし出
13
月
12
一 国と地方公共団体との役割分担に関する
事項
20
席者が極めて多忙を極める大臣や地方六団体
15 29
日
( 年度予算概算要求、 年
度3次補正予算案)
10
14
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
15
12 11
12 12 12
23
13
16
23
1
寄稿
特集 スタートから1年を経た『国と地方の協議の場』
ん事務方同士で、事前にすり合わせを行って
プンな議論はできなかったものと思う。たぶ
もし国と地方の協議の場の法制化がなけれ
ば、こうした話し合いのルールに関するオー
地方の真の自立を促すことになる」
が、国と地方、両者のお任せ体質を打ち破り、
い非常にタフな場になる。しかし、このこと
実際は、数多くの交渉を行わなければならな
ときは、内閣総理大臣に対し、協議すべき具
事項について協議する必要があると思料する
法第4条第3項の「議員は、前条に規定する
今後の大きな鍵だ。そのためには、協議の場
その一方で、国と地方の協議の場は、地方
にとってその対応は実にタフなものであるこ
議の開催を積極的に働きかける必要がある。
体的事項を示して、協議の場の招集を求める
話し合いの方式を決めることになったと思う。
ことができる」
という規定を活用しながら、会
日に、画期的なことが決められた。消費
社会保障・税一体改革については、分科会
と協議の場の本体会議議論によって、昨年
子を間近で見ていた
昨年度の初回の協議の様
ほうが
私は、地方の真の自立の萌芽を感じ取っていた。
そして実際の内容協議の場では、あらかじめ
水面下で打ち合わせた内容に沿って、形式的
なやり取りが行われるだけに終わる可能性が
月
協議の場が法制化されたことによって、地
方からの単なる意見聴取ではない、分科会を
しないばかりか、そもそも地方に配分する額
当初、国の側には、地方への配分割合を明示
合 を 1・
化して行くだろう。
方の関係は対等で健全なものへと、さらに深
要だ。地方の側にこの覚悟があれば、国と地
と は 述 べ た と お り だ。 地 方 の 側 に は、 常 に、
含めた国と地方が対等の立場での協議の土俵
はないかのような素ぶりも垣間見えた。しか
このタフで大変な状況に立ち向かう覚悟が必
の設置を可能にしたのだ。
し、社会保障政策で地方が果たす役割とその
必要財源を粘り強く説明し議論した結果、最
議を避けたい傾向と同調し、極力、協議の場
は間違いなく、国と地方の協議の場が法制化
終的に1・
治の場における政府
けは避けねばならない。
この国と地方の協議の場を活用し、各種議
論を行う際に、地方の側は、国家主権の観点
貴 重 な 機 会 で あ り、
は、国と協議できる
の協議の場の法制化
象になる。国と地方
合うのかから交渉対
昨年の第一回協議に見られるように、国に
は、地方との真正面からの協議を避ける傾向
と考えている。
は言い切れないが、変わる兆しは十分にある
た。結論から申し上げると、まだ変わったと
本紙編集部から、私に「協議の場は国と地
方の関係を変えたのか」とのお題をいただい
点から節度ある協議となるよう留意が必要だ。
方の関係は変化しつつあるが、国家主権の観
ある。国と地方の協議の場によって、国と地
果的に国民にマイナスになってしまうことが
ければ国家全体のバランスを失いかねず、結
優先に考えて、国家全体を俯瞰する視点がな
地方が対等だとはいえ、地域のことだけを最
おわりに
されたことによる成果であろう。
だ。どの課題を、ど
んな手法で、どれだ
一見、地方には有り
が あ る。この 国 の 姿 勢 を ど う 打 ち 破 る か が、
からの節度を忘れてはならない。確かに国と
難 い 場 に 見 え る が、
けの期間、どう話し
を減らす両者もたれ合いの構造になることだ
%という割合が決まった。これ
54
54
間関係のようなもの
(出典)
総理官邸HP
% と す る こ と が 合 意 さ れ たの だ。
私は、法案化の作業の中で、この国と地方
の協議の場のことを次のように考えていた。
「国と地方が対等であるということは、その
協議の場は、国際政
仮に地方の側に、協議の場はタフで結構つ
らいとの認識が広がり、国の側のなるべく協
否定できない。
12
税率を5%引き上げた場合、地方への配分割
29
〜国と地方の協議の場の法制化〜
はじめに
究を取りまとめていた 。
きょうとうほ
加への橋頭堡が制度化された 。本稿では、制
度化された「国と地方の協議の場」の国政にお
た。そのような動向を
「新々中央集権」と批判
体に対する厳しい締め付けが展開されてい
今から約 年前の1983年、第二次臨時
行政調査会による行政改革が指向され、自治
れた第三者機関である地方分権推進委員会の
方分権推進法に基づき、国の総理府に設置さ
まる第1次分権改革も、国会制定法である地
創設されることはなかった。1995年に始
う方式を想定している。従って、一国の国政
「国と地方の協議の場」は、国政において政
策決定する際に、自治体との協議を行うとい
ける機能と今後の展望を検討してみたい。
した研究者たち、
「政府間関係」研究集団(代
勧告を基軸に展開される「上からの分権改革」
の政策決定の在り方全体にかかわるものであ
る。こうした国政の政策決定の全体的な在り
戦後日本の政体と自治体
〜恩顧主義と個別に陳情する自治体〜
表:西尾勝)
は、「地方の時代の発展のために」
であったのである。2007年の地方分権改
革推進法に基づく改革も同様である。
つの項目が、
「地方政府の国政参加の
治体は国政に働きかける際に、こうした政体
国政監査請求権などがイメージされていた。
ついての協議、地方政府による立法請求権・
画策定過程への参加、地方交付税算定方式に
意方式、行政立法手続への参加、地方財政計
の参加、ナショナルプロジェクトに対する同
までに全体会は都合9回、分科会は都合4回
1回会合が開催され、現時点
(2012年7月)
が制定されたのである。2011年6月に第
年4月に、
「国と地方の協議の場に関する法律」
権の「地域主権改革」の一環として、2011
の法制化」を打ち出した。こうして、民主党政
第2は恩顧主義(クライエンテリズム)であ
り、下位者が上位者の配慮を求めていろいろ
イメージしている。
協力をしながら政策決定をする。アメリカを
ム)であり、多くの利益団体が相互に競争・
民主主義国家の政体は、いくつかの代表的
な型がある。第1は多元主義(プルーラリズ
方を「政体(ポリティ)」と呼ぶのであれば、自
しかし、同法に基づく地方分権改革推進委
員会は、2009年9月の政権交代を受けた
と無関係ではいられない。
また、それに先立って、神奈川県自治総合研
が持たれ、曲がりなりにも、自治体の国政参
仕組みの創設」
であり、そのために「地方六団
体の改組」が必要としている。「地方政府の国
同年 月の第3次勧告で「国と地方の協議の場
1)
政参加」とは、具体的には、計画策定過程へ
ちの
という共同提案を公表した 。その提言のう
ては、国と自治体が対等に協議をする機会が
このような先駆的提言はあったものの、長
らく集権融合体制が継続した戦後日本におい
2)
東京大学 公共政策大学院教授 金井利之
か な い としゆき
国政における
「国と地方の協議の場」
の
機能と展望
国と地方の協議の場
究センター・国政参加研究会も、同趣旨の研
10
1
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市政 AUGUST 2012
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3)
2
寄稿
特集 スタートから1年を経た『国と地方の協議の場』
特集 スタートから1年を経た『国と地方の協議の場』
と貢献をし、上位者は下位者に庇護を行うと
野ごとに「政官業」の「鉄の三角形」を形成した
や業界に利益を還元してもらう。縦割政策分
勢力」
)
と経済界
(日本経団連など)
を対置して、
泉内閣は、2つの頂上団体である与党(
「抵抗
レベル協同主義を実践した。具体的には、小
ご
い う 関 係 性 の 中 で 政 策 決 定 を す る。 南 ヨ ー
意味では中間レベル協同主義でもある。恩顧
経 済 財 政 諮 問 会 議 を 舞 台 に 協 同 決 定 を 行っ
ひ
ロッパ諸国をイメージしたものである。
主義では団体間が政権党や官僚制の庇護を求
ではなく、すべての政策分野の決定を行う場
た。経済財政諮問会議は、経済財政政策だけ
や各官庁間・官僚間で競争する意味で、多元
であり、「労働なき協同主義」
である 。そして、
めて競争する意味で、また、政権党政治家間
という)の協同決定によって政策決定をする。
主義的な外観を呈することもあるが、最終的
第3は協同主義(コーポラティズム)であ
り、少数の強力な全国中央団体(「頂上団体」
中北ヨーロッパ大陸諸国をイメージしてい
団 体 の 代 表 は 経 済 界 と 労 働 界 で あ る。 経 済
る。中北ヨーロッパ大陸諸国の場合には頂上
によるもので、多元主義ではない 。恩顧主
な政体は、政権党と官僚制の組織的スクラム
て、
「三位一体の改革」においては、自治体も
このような全体レベル協同主義政体を反映し
6)
なく、すべての政策分野の政策決定に重要な
界・労働界は、経済政策・社会政策だけでは
しながら、陳情活動にいそしんでいた。
する重要主体として、自治体相互間では競争
義政体の中で、個別自治体は地元利益を要求
個々の自治体の陳情活動に反応する、かつて
事実上の
「国と地方の協議の場」
が開催された。
地方六団体という頂上団体を通じて参画する
の恩顧主義政体ではなかったからである。
つであるとか、複数であっても同じ方向で利
にくい。しかし、政策分野別の頂上団体が1
に特徴があり、そこでは恩顧庇護関係は生じ
する労使が政府を介して協同決定するところ
全体レベル協同主義は、本来的に利害の対立
は、 中 間 レ ベ ル 協 同 主 義 と 呼 ば れ る。 ま た、
合 も あ り、 こ う し た 政 策 分 野 別 の 協 同 主 義
うに、頂上団体は政策分野ごとに分立する場
て執政の辣腕を振るう「選挙独裁」ともいわ
利した内閣が、与党・議会を一元的に支配し
かし、ウェストミンスター政体は、選挙で勝
れ、イギリスをイメージしたものである。し
い う 政 体 は、 ウ ェ ス ト ミ ン ス タ ー 型 と 呼 ば
政党制と強力な内閣(官邸)による政治主導と
た。小選挙区制に基づく政権交代可能な二大
くなっていた恩顧主義政体を改革しようとし
改革の二十年」は、
1990年代に始まるし「
っこく
地元利益・業界利益の桎梏で身動きが取れな
と地方の協議の場」は自治体側にとって苦い
告を受ける場、に留まった。その意味で、
「国
財政諮問会議や政府与党で決着した内容の通
から政権が意見を聴取する場、および、経済
「国と地方の協議の場」はあくまで地方六団体
す る 構 造 改 革 = 緊 縮 財 政 路 線 が 貫 徹 さ れ た。
伴ったのであり、最終的には経済界を中心と
は 達 成 し た も の の、 大 幅 な 地 方 財 源 圧 縮 を
は地方六団体の成果は乏しかった。税源移譲
ル協同主義政体であり、「三位一体の改革」で
1990年代以降の改革と自治体
役割を果たすのが、協同主義の純粋なイメー
ジであり、全体レベルのものである。
害を共有しつつ競争する場合には、政府と頂
れ、地方分権とは合致しない。自治体の言う
経験でもあった 。
しかし、全体としての小泉政権は、頂上団
体である経済界が圧倒的に優位する全体レベ
上 団 体 の 間 で も 恩 顧 庇 護 関 係 に な り や す く、
ことに配慮していては、官邸主導の政策決定
ただ、農業政策では農業団体、医療政策で
は医師団体、教育政策では教育団体というよ
中間レベル協同主義は恩顧主義的にもなる。
も集権体制の国の一つといわれている。
主 権 戦 略 会 議 は、 し ば ら く 開 店 休 業 状 態 で
革とは容易に両立せず、政権が設置した地域
権に着いた。しかし、政治主導と地域主権改
に対して票・資金を提供する見返りに、地元
消費税導入はこのように進められた
(1989
する庇護によってしか、政策決定はできない。
した(1987年)
。そこで、地方に多く配分
する。実際、売上税はこのような経緯で挫折
官邸主導のウェストミンスター型と理解さ
れることが多い小泉内閣は、実際には、全体
の政策論争に参加する必要がある。地方六団
策 分 野 に 対 し て 積 極 的 に 理 論 武 装 し て、 国 政
自治体側は経済政策・社会政策そのほか全政
と っ て は 重 要 な 課 題 と な る。 そ の た め に は、
の 舞 台 に ま で 強 化 す る こ と が、 自 治 体 側 に
民主党政権は、政権に政策決定を一元化す
る 政 治 主 導 と、 地 域 主 権 改 革 と を 掲 げ て、 政
新たな全体レベル協同主義?
あった。ところが、内閣・政務三役に政策決
年、消費税・消費譲与税合計の ・2%分)
。
はできないからである。実際、イギリスは最
らつわん
戦 後 日 本 の 政 体 は、 基 本 的 に は 一 党 優 位
制・各省割拠官僚制の下での恩顧主義であっ
定を集中するという政治主導は実質的には挫
た 。いわゆる利益誘導政治である。自民党
7)
いない 。そのため、幸か不幸か、ウェスト
折し、ウェストミンスター型政体は実現して
さらに地方側配分を多くした(消費税・地方
さらに、消費税の5%への引き上げに際して、
るであろう。
ま っ て い て は、 い つ ま で も 煮 え 湯 を 飲 ま さ れ
体は、単なる「自治業界」の頂上団体にとど
治体の意向によって進まなかった。その意味
地辺野古移設、オスプレイ配備などは地元自
いない。例えば、八ツ場ダム中止、普天間基
え込みを図っている
(消費税・地方消費税合計
頂上団体である地方六団体を包摂して、押さ
税増税の目的は達成できない。そこで国側は、
し、地方側への配分が多過ぎては今次の消費
税増税路線である「税・社会保障の一体改革」
り、自治体側が参加しても益は乏しい。しか
自治体側が「国と地方の協議の場」を活用す
るのは難しい。国側の狙いは上記の通りであ
にも、上記の地方配分さえ得られないかもし
このような情勢の中で、法制化された「国と
体が参画できていないからである。
これは、全体レベル協同主義の本丸に地方団
義 で は、 経 済 界 に 対 抗 す る の は 労 働 界 で あ
注1)
「政 府間関係」研究集団「新々中央集権と自治体
の選択」
『世界』1983年 月号(451号)
。
なお、同集団のメンバーは、西尾のほかには、
今 村 都 南 雄、 大 森 彌、 加 藤 芳 太 郎、 君 村 昌、
新藤宗幸である。敬称略。
注2)神奈 川 県 自 治 総 合 研 究 セ ン タ ー・ 国 政 参 加 研
究会『
「国政参加」制度の構想︱新たな国・自治
体間関係求めて』1983年2月。
注3) h
ttp://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouginoba/
2012年 月 日アクセス。
注4)小林正弥『政治的恩顧主義』東京大学出版会、
2000年。
注5)村松
岐夫『政官スクラム型リーダーシップの崩
壊』
東洋経済新報社、2010年。
注6)T.
ペンペル=恒川恵市「労働なきコーポラ
J.
ティズムか」シュミッター・レーンブルッフ『現
代コーポラティズム論Ⅰ』
木鐸社、1984年。
注7)金井利之「「国と地方の協議の場」の成立と蹉
跌」森田朗・田口一博・金井利之(編)
『分権改
革の動態 政治空間の変容と政策革新3』東京
大学出版会、2008年。
注8)御厨 貴
( 編 )『
「 政 治 主 導 」 の 教 訓 』 勁 草 書 房、
2012年。
注9)なお、福井県・おおい町という地元(=所在)
自 治 体 の 同 意 も 得 て い る。 但 し、 被 害 地 元 で
あ る 福 島 県・ 京 都 府・ 滋 賀 県・ 大 阪 府 市 な ど
の意向は反映していない。
注 )頂上
団体の意向を受けた政策決定であり、一般
市民の「大きな声」
(野田首相)には耳を傾けな
い政体である。
消費税合計の ・6%分)(1994年)
。しか
で、
「地域主権」
的な萌芽は見られる。
の ・2%分へ)
。
に転換した。また、経済界の強い意向に従っ
し、協議に参加しなければ、消費税増税の暁
全体レベル協同主義政体によって政策決定
れない。自治体は大きなジレンマに直面する。
地方の協議の場」が、頂上団体としての地方
国側が地方六団体の国政参加を求める理由
は簡単で、各自治体が勝手に「増税反対」の
る。しかし、日本では労働界はもともと弱体
六団体の参画の場として再浮上した。
烽 火 を 上 げ るこ と を 抑 止 し たいか らで あ る。
である。業界利益・地元利益の恩顧主義政体
資本主義国家において経済界は強力であ
る。中北ヨーロッパ諸国の全体レベル協同主
恩顧主義のもとの自治体は、地元利益に資さ
か ら 全 体 レ ベ ル 協 同 主 義 に 転 換 す る な ら ば、
のろし
ないと判断すれば陳情に邁進し、政権党政治
経 済 利 益 に 対 抗 し 得 る の は 地 方 利 益 で あ る。
まいしん
家を動かす可能性がある。政権党が陳情攻勢
「国と地方の協議の場」を全体レベル協同主義
7
9
6
ミンスター型政体が内包する集権化は進んで
政治主導が崩壊する中で、民主党政権は頂
上団 体である経 済 界 と財 務 省に依 拠 する消 費
て、大飯原子力発電所の再起動を実行した 。
37
(
「決断できる政治」
)
を進めようとしている 。
9)
10)
を収拾できないときには、政策決定を先送り
10
43
8)
18
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19
5)
39
4)
協議の場の成果と問われる今後
なかにしはるふみ
方政府の代表が政策の企画段
中央政かん府かんとがく地
がく
階から侃侃諤諤議論して、合意点を探り、政
少ない消費税の地方への配分増の悲願も
れという形にするのか」と迫った。偏在性の
国は国で勝手にやり、地方は地方で勝手にや
い う 考 え に 立 つ の か、 国 と 地 方 が 対 立 し て、
「社会保障を国と地方が協力して実施すると
6月の第1回会合。森民夫全国市長会会長が
勢に地方政府側が反発したのだ。(その後も小
方政府で勝手にどうぞ」と言わんばかりの姿
主権の拡大を求める内容。「地方単独事業は地
財源が確保できるよう、地方自治体の課税自
サービス(地方単独事業)に関しては、独自に
ず、 地 方 政 府 が 住 民 合 意 の も と に 提 供 す る
上 げ に あ た っ て、 地 方 政 府 の 配 分 増 は 明 示 せ
ジャーナリスト 中西晴史
策決定に反映させていく。法律に基づく「国
「真っ向から否定されたのではないか」と疑念
宮山洋子厚労相の子どもに対する手当をめぐ
地方の主張がある程度
と地方の協議の場」がスタートして1年余が
を表明。「裏切られた気がする」と切り捨てた。
取り入れられた「第一ラウンド」
経過した。報道関係者は冒頭の首相と全国知
論争も展開された。)
ない点がある。地方消費税を含む消費税率引
果は上々といってよいが、胸にストンと落ち
以上のように協議の場第一ラウンドは地方
政府側の主張が相当程度取り入れられて、成
なった。
地方政府の懸念もある程度、配慮した内容に
模地方政府との格差是正を求めてきた小規模
月1日に消費税率を国
という現在の地方消費税率の比率も引き上げ
結局、消費税問題は地方政府側の主張が概
ね認められて決着した。国の4分の1( %)
府が勝手に減らすことはできない。
の施策として定着している中、特定の地方政
おり、財政的に苦しいからといって、横並び
負の議事録は読み応えがある。
して明確に主張しなければならない。真剣勝
らの批判の矢面に立つからだ。反対は反対と
1760余の都道府県・市町村の地方政府か
れ ば、 代 表 す る そ れ ぞ れ の 背 後 に 控 え る
地方側も陳情口調は使えない。変な妥協をす
は 公 開 さ れ、 国 会 に も 報 告 さ れ る と あ っ て、
は(地方)消費税の増税に大賛成で、国政政党
一方、地方政府の首長や議員で地方消費税
増税を支持した人は次の自らの選挙では「私
思いが及ぶ人は少ない。
の 社 会 保 障 の 単 独 事 業 と ど う 関 係 す る の か、
が地方消費税にどのようにかかわり、岩手県
例で定める地方税でないのだから消費税増税
反対する知事への賛否の評価はできても、条
「ねじれ」も生じる。岩手県民は消費税増税に
県には地方消費税増額分が還元されるという
税を地方消費税を含めて負担し、そして岩手
税増税に反対を表明しても、岩手県民は消費
小沢一郎氏が率いる新党「国民の生活が第
一」に参加した岩手県の達増拓也知事が消費
ことなど知らない。
が消費税引き上げに賛成し、後押ししていた
住民の多くは地方政府の首長、議員の相当数
で 候 補 者 の 主 張 を 見 分 け る こ と が で き る が、
議員にのみ突き刺さる。国民は次の国政選挙
ない。有権者の増税批判の矢は賛成した国会
次の選挙で増税批判票も覚悟しての主張では
し、条例で引き上げるわけではない。自らの
た め に 大 汗 か い て 住 民 の 理 解 を 求 め、 説 得
だ。地方政府や地方議会が増税の理解を得る
正 に よ る も の で、 議 論 し 決 定 す る の は 国 会
中央政府(当時の与謝野馨社会保障・税一
体改革相)が示した案は今後の消費税率引き
してきた。
減、など様々な役割を担い、おカネの負担も
乳幼児や妊婦健診、乳幼児医療費、保育料軽
地 方 は 単 独 事 業 と し て が ん な ど の 予 防 検 診、
地 方 消 費 税 に は そ う し た 縛 り が な い も の の、
が基礎年金、老人医療、介護と決まっている。
乗せして支払っている。国税の消費税は使途
民・住民は商品価格に合計5%の消費税を上
大 半 だ。 い や、 そ の 大 阪 府 市 だ っ て、 東 京
方交付税なしでは生きられない地方政府が
長のように、地方交付税圧縮論もあるが、地
の 東 京 都 と、 税 源 が 乏 し い 市 町 村 政 府 の 中
に つ い て も、 税 源 が 豊 富 で 地 方 交 付 税 ゼ ロ
向が一本化しない局面が出てくるだろう。税
が あ ま り に も 大 き く、 今 後、 地 方 政 府 の 意
今後の「協議の場」を考えるにあたっても、
課 題 は 多 い。 1 7 6 0 余 の 地 方 政 府 の 格 差
自治、分権の前進とは程遠い。
いうだけでは、自己決定、自己責任に基づく
ネの配分を巡る分捕り合戦で成果をあげたと
ザ メ 扱 い さ れ て し ま う。 中 央 政 府 に 入 る お カ
し、地方政府の首長、議員は後ろにかくれて、
ば、最後に泥をかぶる役は国会議員にお任せ
宣言ぐらい出す迫力もほしい。そうでなけれ
税 を 支 持 す る 議 会 会 派 は 決 議 し、 首 長 も 支 持
うはなっていないのだから、せめて消費税増
条例で決着させるのが筋だ。現行制度ではそ
う。地方消費税の増額は法律ではなく、本来
りとりで決めていくというのが王道であろ
長、議員がリスクをとりあって丁々発止のや
担 も 明 確 に な る。 国 会 議 員 と 地 方 政 府 の 首
の意義、中央政府と地方政府の役割と責任分
は な く、 遍 く 多 く の 地 方 政 府 に 広 が っ て き て
あったため不満が爆発した。地方単独事業と
員 の 増 加 も 認 め な い よ う に も 読 め る 内 容 で、
師ら、現場の人手が必要なのに、人件費や人
た。特に地方政府が担う仕事は看護師、介護
たなくなるという危機感が地方政府側に募っ
と、補助事業の超過負担も加わり財政的にも
地方単独事業の経費は今後さらに増えてい
く 見 通 し で あ り、 財 源 で 足 か せ を は め ら れ る
る地方への負担を求める突然の提案をめぐる
事会長のあいさつが終わって以降はシャット
消費税率(国税)は4%、地方消費税は国税
の %(つまり税率は1%)と法定され、国
き上げにあたって、地方政府側は住民の支持
にも要求しました。社会保障の維持、充実に
都 と は 異 な り、 交 付 税 に 依 存 す る 政 府 で あ
アウトされるものの、議事録としてやりとり
確かに全国知事会は数年前から地方消費税
を 含 む 消 費 税 率 引 き 上 げ を 求 め る 決 議( と
不可欠です」と堂々と胸を張って主張するの
り、 大 阪 市 に 特 別 区 制 度 を 導 入 す る こ と で、
年
%から
年
おおむ
%
%とする
から政府原案への不満が噴出した。平成
ら れ た。( 平 成
7・8%、地方消費税2・2%の計
ことから、地方消費税は現在の
年度消費税率換算1・
%
にアップ)
。 一 方、 地 方 交 付 税 に も 国 の 消 費
税が算入(平成
%からアップ)され、大規
役割分担も明確になる
真剣勝負の協議があってこそ
を得ていたのかという疑問だ。
で、現行の1・
52
で は 当 然 意 見 が 食 い 違 う。 橋 下 徹・ 大 阪 市
消費税引き上げの一部をピンはねするコバン
あまね
いっても、特定の地方政府が取り組む仕事で
いっても反対の知事もおり、条件つきのあい
だろうか。そうしたことが実行されて、初め
本当に地方交付税を圧縮できる体制を構築
最初の主要なテーマは社会保障と税の一体
改革に伴う消費税増税分の奪い合いで、地方
まいな表現ではあった)をしてきた。しかし、
て政治家同士の真剣勝負の「協議の場」の設置
25
地方消費税引き上げといっても地方税法の改
23
25
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市政 AUGUST 2012
21
25
10
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18 28
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寄稿
特集 スタートから1年を経た『国と地方の協議の場』
ぶち上げ、周辺都市を飲み込んだ大都市を想
いたが、その後、
「尾張名古屋共和国」構想を
を打ち出し、大阪維新の会に近いとみられて
う。河村たかし名古屋市長は当初中京都構想
増えるようなことがあっては批判も出るだろ
奈川県の税収が減って神奈川県への交付税が
うまったく逆の方向を目指す。これまた、神
崎市は神奈川県からの独立(特別自治市)とい
の権限集中という案なのに対し、横浜市や川
橋下氏は大阪市の解体、特別区制導入、府へ
の状況だ。例えば、政令指定都市のあり方論。
く、自治制度の改革も、百花斉放・百家争鳴
容 易 で は な い。 財 政 制 度 論 は 言 う ま で も な
が「協議の場」で統一した見解を打ち出すのは
町村といった大小格差が生じる中で地方政府
都 道 府 県 と 市 町 村、 市 の 中 の 政 令 指 定 都
市、中核市、特例市、一般市町村、小規模市
られるだろう。
かの地方政府からはブーイングが投げつけ
置などで、地方交付税が増えれば、当然、ほ
で き る の か、 厳 し く 問 わ れ る。 区 議 会 の 設
州制によらない県単位での受け皿の方法も考
会議ではほとんど話題にもならなかった。道
通常国会までの法制化を求めたものの、知事
7月 日に開いた全国知事会では開幕前に
道州制推進派知事たちが会合を開き、来年の
国の市町村政府は道州制には反対だ。
県の合意はなく、ましてや、規模の小さい全
連合を結成した近畿ですら道州制となると府
めぐっても論議は進むか。奈良県を除く広域
出先機関の廃止を進めるための受け皿とし
ての広域連合や道州制など地方制度の改革を
方政府は少なからずある。
り、国交省関係の出先機関廃止に抵抗する地
る。地域によってのインフラ整備に格差があ
る。もちろん、地方政府への分断工作も進め
会議員も含めてあらゆる手段を使って妨害す
進しない。組織防衛のためには中央省庁は国
が原則全廃の方針を閣議決定しても一歩も前
手放せないという姿勢が鮮明だ。民主党政権
な利権の巣を抱える中央省庁にとっては絶対
分の2を抱え、かつ外郭団体を含めての巨大
「協議の場」のテーマになる。国家公務員の3
省庁の出先機関の原則廃止の実現も今後の
府側からの制度設計の提案が不可欠だ。中央
くるだろう。中央政府任せではなく、地方政
調査会と「協議の場」との調整も課題になって
央政府と対等の立場で、そして自らも責任を
役 と し て の 地 方 政 府 の 役 割 も 重 か つ 大 だ。 中
批判勢力が乏しくなってくる時こそ、歯止め
を叫んでも、遠吠えの感は否めない。しかし、
政府に頼る姿勢が強い。地方分権や地域主権
危機、そして東日本大震災と続く一種の「非
後の長期低迷、リーマンショック、欧州金融
は幸いにも戦時ではないものの、バブル崩壊
1 9 4 0 年 体 制 論 を 持 ち 出 す ま で も な く、
戦争と恐慌は中央集権の友である。今、日本
紙 出 身 の 筆 者 と し て も、 一 色 の 空 気 に 染 め 上
う。全国紙はこんなことも主張しない。全国
散で信を問うのが憲政の常道というものだろ
更するのだから、政権を野党に譲るか衆院解
判は消えていない。マニフェストの根幹を変
いた野田佳彦首相の言行不一致への国民の批
「シロアリ退治を」と3年前の総選挙で訴えて
約違反、特に消費税増税の前に税金を食べる
自公の密室談合による決定方式や民主党の公
税賛成が反対を上回る世論調査は少ない。民
紙がいくらキャンペーンを張っても消費税増
は前のめりになって支持した。しかし、全国
民、公明の消費税増税合意に対しても全国紙
だし、決める政治過程の透明さだ。民主、自
に蔓延している。しかし、問題は決める中身
今後、求められるのは
地方からの制度設計の提案
一国多制度もよいのだが、バラバラの改革
案に対応しての税制や地方交付税制度などを
引き受ける覚悟をもって「協議の場」でしっか
常時」の中、国民の多くは地方政府より中央
げる風潮に忸怩たる思いだ。
じくじ
定した動きを示している。盟友、愛知県の大
える時期にきている。
り主張してもらいたいものだ。
村秀章知事との足並みも乱れがちだ。
決 め ら れ な い 政 治 か ら 決 め る 政 治 へ。 こ ん
なキャッチフレーズがメディア、特に全国紙
含む制度設計はできるのだろうか。地方制度
20
22
AUGUST 2012 市政
市 長 フ ォ ー ラ ム 2012
東日本大震災の復興への歩みと
都市自治体に期待すること
全国市長会は 月 日、全国都市会館にお
いて「市長フォーラム2012〜東日本大震
さらに、講演の後には、出席市長との活発
な意見交換も行われました。
約700名の参加者が耳を傾けました。
期待などについて講演。市長をはじめとした
況、さらには地方分権の新たなステージへの
で進められる復興の動向や委員会での作業状
別講演が行われました。御厨氏は被災自治体
員長代理を務められている御厨貴氏による特
待すること」と題して、復興推進委員会の委
日本大震災の復興への歩みと都市自治体に期
フ ォ ー ラ ム で は、 ま ず 全 国 市 長 会 会 長 の
森・長岡市長が開会あいさつを行った後、「東
と〜」を開催しました。
災の復興への歩みと都市自治体に期待するこ
5
ここでは、その特別講演の模様をお届けし
ます。
市政 AUGUST 2012
23
6
とめるのも大変でしたが、もしかしたらそれより
会議の「復興への提言〜悲惨のなかの希望〜」をま
あらゆる項目を満遍なく取り入れて作文するよ
うな、従来型の報告書を作成することもできるで
も出てきます。
絞って議論していくのか、などを考えていく必要
テーマをどのようにすり合わせていくのか、的を
力 を 期 待 で き ま せ ん。 各 委 員 が 着 目 す る 個 々 の
たかし
しょう。しかし、私としては、そのような形式の
みくりや
御厨 貴
復興推進委員会委員長代理、東京大学先端科学技術研究センター客員教授
東日本大震災の復興への歩みと
都市自治体に期待すること
復興の進み具合を報告書にまとめる作業
も厳しい作業になるかもしれません。
委員会は復興庁が廃止されるまで活動すること
になっていますが、9月に「中間報告」
、そして翌
報告書は、ふさわしいとは思いません。自分たち
さんあります。そこに震災が発生し、大きな損害
復興構想会議は、震災から間もない時期に立ち
上げられ、3カ月という凝縮された時間の中で提
年3月に「年次報告」を取りまとめることが、私た
つまり、希望がある元気で、前向きな地域やその
を被ったために、大変な困難に見舞われています
今年の2月から、復興庁の発足に併せて設置さ
れた
「復興推進委員会」
の委員長代理を務めていま
ちに課せられた当面の仕事です。「この地域は復興
事例にも光を当てるべきではないかと思います。
震災後の実態に合わせながら、新しいまちづくり
言をまとめあげました。構成員も全員、どこか熱
が進んでいる」
「あそこの地域は復興が進んでいな
被災地の状況をつぶさに見ていくと、高台移転
についても、苦戦している自治体が多い中で、
「A
に挑戦する。そうした逆境をプラスに変えて、前
す。委員長が
「東日本大震災復興構想会議」の議長
い」という点を、どのように整理して、全体像を
という方式と、Bという方式を組み合わせたら、
進させようとする自治体があります。
に浮かされたような興奮状態で議論をし、事が決
描きながら中間報告、あるいは年次報告をとりま
ことのほか前進した」というような、成果を上げ
を務められた五百旗頭真さん、議長代理だった私
とめるのか。そこが大きな課題だと考えています。
ている地域もある。あるいは、まだ成果は上がっ
職員たちと言葉を交わしても、「2年後にはこ
うなります」
「5年後にはこうなります」と図を示
まっていったという経緯があります。内容の良し
恐らく簡単な仕事ではないでしょう。復興構想
ていないけれども「うまくいきそうだ」と思わせる
しながら活発に説明してくださる。私たちも「こ
が委員長代理であることからも分かるように、「東
の視点を大事に、一番重視されるべき事柄は何な
地域もある。そうした事例を数多くすくい上げる
の地域だったらうまくいくだろうな」と一種の
悪しは別として、まとめられた提言はその後の議
のか、優先順位をしっかり付けた上で、復興の進
方が、解決策を見つけられずに、苦労している地
安堵感を持つことができます。
日本大震災復興構想会議」を引き継ぐ形でスター
み具合をまとめていかなければいけないのではな
域の参考にもなるのではないでしょうか。
こういう話をすると、それは規模が大きく、職
員数が多い自治体に限った話ではないかと思われ
論の一つの基準になったという点で、意義も大き
現在、各委員は、おのおの被災地に入って、被
災地の状況把握に努めています。私自身も何度か
被 災 地 を 訪 れ る と、 外 部 と 積 極 的 に 連 携 せ ず
に、幾分、内に閉じこもったような地域が少なく
るかもしれませんが、そんなことはありません。
トした組織です。委員会の役割である、被災自治
ゲリラ的に被災地を視察し、その惨状や復興状況
ないことに気づきます。地域内で結束力があるの
小規模自治体を訪問しても、新しい計画やまちの
かったと思います。
を目の当たりにしています。
は よ い こ と で す が、 分 か り 合 え る 人 た ち で 固 ま
今後の展望を、生き生きと話してくれます。規模
体の復興の進展状況の調査を通じて、何とか復興
確かに、瓦礫の処理に関しても、遅れている地
域がある。高台移転についても、進んでいない地
り、 分 か り 合 え る 言 葉 で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を
の大きな自治体に比べれば、よりコンパクトで小
を一歩でも前に進めたいと考えています。
域がある。しかし、あまり「遅れている」
「進んで
取っているだけでは、なかなか新しい発展のきっ
回りの利いた、ささやかなプランであることが多
ところが、私たちがこれから取り掛かる委員会
で の 報 告 書 作 成 は、 そ う し た 熱 気 を 伴 っ た 推 進
いない」ことにばかり注目し、そのことを声高に
かけをつかめないことも事実です。
もうかがえます。こうした自治体は、恐らく復興
前向きな地域や事例に光を当てたい
がれき
ほかにも、私が注視しているのは、各自治体の
「人材」の活用策です。復興構想会議の提言でも
けんいん
いのですが、しかし言葉の端々から、工夫の様子
あんど
が、その一方で、これをきっかけに従来の計画を
指摘するよりも、復興構想会議が提言のタイトル
こういう地域こそ、これまでの「了解事項」から
離れて、他地域の事例に触れることは大事だと思
の牽引車になっていくだろうと思います。
いかと考えています。
として掲げた「悲惨のなかの希望」という考え方、
います。そうすることで、風通しがよくなり、閉
じた世界をもう一度開く契機になるからです。
「人と人をつなぐ人材」の重要性に着目しました
このように、私が視察した範囲でも、さまざま
な分 野で新しい取 り 組みが始 まりつつあ り ます。
い人材の導入例も各地で生まれています。
長期間にわたり職員を派遣してもらうなど、新し
極的に活用したり、あるいは都市間が連携して、
が、国の職員を副市長に招いたり、住民たちを積
逆境をプラスに変える自治体が
復興の牽引車に
私が特に注目しているのは、震災を推進力に変
えて、まちづくりに取り組んでいる自治体です。
震災前に整備計画を立案し、しかし、なかなかコ
ンセンサスが得られずに苦労していた地域はたく
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AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
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別 演
特 講
市 長 フ ォ ー ラ ム 2012
市 長 フ ォ ー ラ ム 2012
このような事例をとりまとめ、被災地全体の復興
に役立たせたいというのが、私の切なる思いです。
今や復興は消費されているのか?
年ほど、1年生を対象にしたゼミ
震災から1年以上が経過して、若者たちはこの
震 災、 復 興 に つ い て、 ど の よ う に 感 じ て い る の
か。私はこの
を持っているのですが、今年の入学生に「3・
から今日までの復興について、何でもいいから思
うところを書くように」
と課題を出しました。
ら終わりですよと、シニカルに結んでいました。
でしかないと指摘し、さらにその番組も飽きられた
さらに、文字媒体の保存に限らず、これからは日
には無理だとしても、原則3カ月以内には議事録
そうした混乱時に議事録の作成がいかに困難で
あるかは私にも理解できます。しかし、その最中
ちこちで怒声が飛び交っていたようです。
あえて面と向かっては口にしにくい話題ではあ
りますが、この学生が発した感想は、現在の復興
本が特に遅れている電子媒体での保存も積極的に
さらに彼は、こうしたメディア情報をもはや本当
の復興からかけ離れた、消費財としての復興番組
を取り巻く問題点の一つを具体的に突いた鋭い指
考えていかなければいけないのではないかと思い
や議事概要などは作成すべきだと考えています。
摘だったと感じています。
ます。
各 地 域 で も、 大 震 災 の 記 憶 を 記 録 に と ど め、
アーカイブしていくことはとても大切なことで
のかがよく分かりました。「卒業式がなかったこと
り若者が震災や復興について、いかに考えている
を保存していくことの重要性です。
さて、ここで一つ、申し上げておかなければい
けないことがあります。それは震災の記憶や記録
の記録が、神社の境内に大きな石碑に刻まれてい
震災の記憶を
世代を超えて共有することの重要性
す。復興構想会議が取りまとめた「復興への提言」
がショックだった」といった、自分を取り巻く身
日本は、各国に比べて情報の収集・保存に関す
る意識が低いことはかねてから指摘されていま
る。それを見に行ったわけですが、ほとんどが土
でも、相当の紙幅を費やして、その重要性を強調
近な状況についての感想が多かったのですが、特
す。関係部署の職員数も、韓国は約500人、ア
の中に埋まってしまっていて、内容を読むことす
実際に書いたペーパーを交換しながら、ディス
カッションする機会も設けたのですが、これによ
に私の目を引いたのは、
「今や復興は完全に消費
メリカは1000人以上を擁していますが、日本
私は去年の暮にある地域を訪れました。明治以
来、3度の津波に襲われた地域ですが、その被災
しています。
されている」
と書いた男子学生の感想でした。
らできませんでした。
ん」と締めくくられる。まったく解のない情報が
して、最後に「これは何とかしなければなりませ
話になって、国の責任がことさら強調される。そ
上げられた挙句、これは一体誰が悪いんだという
かなか実現しないね」といったことばかりが取り
ターンはすべて一緒である。「困ったね」「復興はな
て把握できない。しかし、そこに流されているパ
た。皆が情報把握に血眼になり、首相官邸でもあ
政府がいかに混乱していたのか、よく分かりまし
ども進めてきたのですが、その中で、震災直後の
私は内閣府公文書管理委員会委員長も務めてい
る関係で、これまで当事者からの聞き取り調査な
のは、皆さまのご記憶にも新しいところでしょう。
会議の議事録が未作成だったことが問題とされた
今回の震災でも、その弱点が浮き彫りになりま
した。政 府 内で 新 設 された 多 くの組 織 において、
だと思います。もしかしたら、これまでになかっ
しかし、何も手を施さなければ、恐らく今は誰
の継承どころではないかもしれません。
目の前には喫緊の課題が差し迫っています。記憶
ています。確かに、被災地では瓦礫の処理など、
大事なことは、記録を保存し、記憶にとどめる
ための不断の努力の積み重ねでしょう。しかし、
人に満たず、かつさら
に定員が削られようとしています。
垂れ流されているというわけです。
地を回ると、「あの合併はよかったのだろうか」と
た新しい発想で、分権をさらに前に進めることが
の国立公文書館の職員は
内容を詳しく読んでみると、メディアの流す復
興報道についての鋭い批判が書き連ねられていま
もが鮮明に覚えている震災の記憶も、数十年後に
の声をよく聞きます。現実に被災をすると、以前
できるかもしれません。
わざわざ碑を建てて、記憶を継承しようとして
も、 そ こ か ら 情 報 を 読 み 取 る こ と が で き な け れ
は忘れ去られてしまうでしょう。今回の震災から
の行政区域間で、仲違いが発生している地域が数
した。自分たちはテレビや新聞でしか復興につい
多くの教訓を残し、世代を超えてそれを共有する
多くあります。ただし、最近は合併により市域が
違いなことを申し上げるかもしれませんが、近年
えています。私はこの分野は門外漢なので、見当
加えて、私はこの震災は、地方分権(地域主権)
の進展においても、大きな意味を持つだろうと考
だろうと思います。
しかし、人間は忘れやすい動物です。震災から
1年がたつと、今やそうした考えはわきに追いや
います。
ないと考えた人は、私のほかにも数多くいたと思
い世の中に変わるだろうと、期待を込めて書いた
広くなったことで、より広域に地域の実情を見る
の分権論議は、かなり堂々巡りをしていたような
ら れ、 世 の 中 全 体 が 震 災 前 に 回 帰 し つ つ あ り ま
代が始まる」と原稿に書きました。「災後」とは震災
印 象を持っています。しかし、本当に大事なこと
す。災害に対する危機感も震災直後は高まりまし
ことができるようになった。地域全体を眺めなが
は、大 災 害、復 興 な どの問 題 が 発 生し た 際で も、
たが、今やそれも低下していますよね。災害は来
後という意味の私の造語ですが、つまり、すべて
基礎自治体がしっかりとそれに対応できる力を持
ないにこしたことはない、忘れたいといった、気
ら、きめ細かく都市の整備や復興策を考えられる
つことにあるのではないでしょう か。さらにいえ
分に満ち溢れてしまっています。
の人間がひとしなみに同じ扱いを受け、この国で
ば、そうした問題に対して、果断な決断を下す基
ようになったとの声も聞かれるようになりまし
礎自治体の首長さん、つまり皆さま方のリーダー
そうした中でも、やはり、市民の命を預かる皆
さま方は、危機感を持ち続けることが大切です。
暮らしていく、戦後のそうした共同幻想が終わり
シップこそが大切ではないでしょうか。東日本大震
各地域で震災対応、そして分権の組み立て直しに
た。被災から時がたち、より冷静に地域の振興を
災の発生は、私にそのことを強く認識させました。
も、復興推進委員会での活動を通じて、復興の中
を告げた。震災後は個人が懸命に努力し、その努
いつ、どこで災害が発生するか、誰も予想でき
ません。だからこそ、こうした大震災が発生した
における基礎自治体の在り方を眺め続けていきた
考えられるようになってきたのかもしれません。
とき、基礎自治体にはどのような機能や権限が必
いと考えております。本日は、ご清聴、ありがと
力に対して自治体や政府がサポートをする、新し
要なのか、あらかじめとらえ直しをし、その中で
うございました。
ご 尽 力 い た だ き た い と 心 か ら 願 っ て い ま す。 私
のです。震災をそのための契機にしなければなら
もう一度地方分権の在り方についても議論すべき
こうした前向きな声は大事にしなければいけない
被災地では、残念ながらそれが、おろそかになっ
ば、その教訓は共有されません。
ためにも、地域で取り組みを進めていかなければ
一つは、平成の大合併に対する評価です。被災
最後にこれからの地方自治について、震災との
関連でお話ししたいと思います。
災害を前提とした地方自治のとらえ直し
いけないと強く思います。
私は大震災が発生し、各地に多大な被害が起き
た後、「これで戦後が終わる。これから災後の時
50
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AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
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11
10
㎞コース(半周=STY=スタート
カ国計2029人(UTMF852
で規格外の大イベントといえるが、日本を含
を自力で走りきるレースだ。いろいろな意味
地点は富士市でゴール地点は富士河口湖町)
よび約
人・産業・情報が活発に交流│
自らの努力で生み出す新たなにぎわい
富士山を巡る
世界規模のウルトラトレイル
め世界
回 ウ ル ト ラ ト レ イ ル・ マ ウ ン ト フ ジ( 以 下、
世界一の大会ウルトラ・トレイル・デュ・モ
トレイル(山岳)コースを使った100マイ
ル(160㎞)レースはモンブランを1周する
人、STY1177人)もの選手が参加した。
UTMF)
」が開催された。イベントの模様は
の 効 果 も さ る こ と な が ら、
「 そ れ 以 上 に、 富
れが観光振興などに及ぼす新たなインパクト
長はさらに、イベントそのものの成功や、そ
ト & フ ィ ニ ッ シ ュ 地 点 は 富 士 河 口 湖 町 )、 お
コース(富士山ろく1周=UTMF=スター
林道などの山岳地帯をつなぐ全長約156㎞
裾野市・富士市・富士宮市)の登山道や歩道、
忍野村・山中湖村・鳴沢村・小山町・御殿場市・
UTMFは日本の象徴・富士山ろくに位置
す る 各 自 治 体( 富 士 河 口 湖 町・ 富 士 吉 田 市・
れる。
放映されたのでご覧になった方も多いと思わ
に及ぶ迫真のドキュメンタリー特集として
を囲むすべての市町村にもいえるこ
見 え る 方 向 こ そ 違 え、 そ れ は 富 士 山
山 が 常 に 大 き く 目 の 前 に 屹 立 す る。
だ 天 候 の い い 日 の 富 士 市 で は、 富 士
が1年延期されていた。そうした事情もあり、
年3月に発生した東日本大震災の影響で開催
ば昨年同時期に開催されるはずだったが、昨
トはこれまでほとんどなかった。本来であれ
する全自治体が、同じ目的で開催するイベン
また富士山ろくを舞台に行われるイベント
は数多いものの、静岡県側と山梨県側に位置
アジアではUTMFが初めての試みだった。
る ) な ど、 欧 米 で は 盛 ん に 行 わ れ て い る が、
スイス、イタリア、フランス
そう語るのは鈴木尚・富士市長だ。鈴木市
ころホッとしました」
完 走 す る な ど 大 い に 盛 り 上 が っ て、 正 直 な と
ト地点となったSTYでは8割以上の人々が
M F で は 参 加 者 の 7 割 以 上、 富 士 市 が ス タ ー
「 幸 い 天 候 に も 恵 ま れ、 各 市 町 村 の 特 色 を
生かした、おもてなしの効果も絶大で、UT
関係各方面から大きな注目を集めていた。
UTMFの開催は国内外および
N H K の B S 1 ス ペ シ ャ ル で も、 1 時 間
士山を囲む静岡県・山梨県の市町村が結束し、
と で、 日 本 の 象 徴 で あ る 以 前 に、 環
カ国にまたが
UTMFの成功という一つの大きな目標を目
富士山地域では皆「富士山はわがまち
市役所から見た富士山
ぜんぼう
も さ ま ざ ま な 形 で、 全 国 各 地 に 及 ん で い る。
UTMFの開催が東日本大震災の影響で1
年間の延期となったように、震災の影響は今
新たな都市活力の再生に向けて
言葉を弾ませる。
け積極的に連携を図っていきたい」と
え て、 関 係 各 自 治 体 同 士 で 何 か に つ
長 い 継 続 開 催 に 向 け、 今 後 は 県 を 超
ていた」。それだけに「UTMFの末
を、鈴木市長は「かねがね残念に思っ
かなかそういう機会がなかったこと
をまたいだ山梨県側の自治体とはな
る 体 制 が 近 年 で き て い る の だ が、 県
静岡県側の5市町は富士山ネット
ワ ー ク 会 議 を 結 成 し、 常 に 連 携 を と
う経験はほとんどなかった。
す周辺市町村同士が共同で事業を行
その同じ象徴を朝な夕なに眺め暮ら
きつりつ
3
工業地帯を常に形成してきた。現在では製紙
工業を中心に、自動車関連産業や各種機械製
造などの各業種が集まり、製造品出荷額は常
に県内上位に位置している。
し か し、 特 に 中 心 的 産 業 で あ る 製 紙 業 に つ
いて見ても、 年代前半のバブル景気崩壊や
基盤が大きく揺らぐ事態が明らかに生じた。
が、少なくとも富士市においては、市の経済
国内の業界そのものが縮小に伴う再編を繰り
安 価 な 外 国 製 洋 紙 の 輸 入 拡 大 な ど に よ っ て、
影響の全貌はいまだ明確にはなっていない
富士市はご承知のように明治以降、近年に
至るまで、製紙(洋紙)のまちとして近代的な
指して共に歩み始めたことが嬉しい」という。
す ず き ひさし
の象徴」なのだ。しかし、これまでは、
鈴木 尚
富士市長
写真を見てお分かりのように、空気が澄ん
49
町村を舞台に、画期的な国際イベント「第1
82
15
ンブラン(UTMFの姉妹レース。コースは
今年5月 日〜 日の3日間、富士市をは
じめ「静岡県・山梨県の環富士山地域」の 市
10
分
20
34
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
35
90
ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)の半周コース(STY)は富士市がスタート地点に選ばれた
18
富士市
ポ
ル
政
市
じ
ふ
(静岡県)
わけです」
一つには製紙業そのものが、その間
は比較的、業績低迷気味ながらも安定
していたという事情がある。同時に富
士市自身も、企業立地促進奨励金制度
などの各種助成制度を整え、民間の工
業団地と連携して積極的な企業誘致を
行うなど懸命の努力を重ねた。
だがそうしたことも含めて、製紙業
界の動向がダイレクトに市の経済基盤
に影響する構造的な体質は、民間出身
の鈴木市長の目には常に「危うい均衡」
と 映 っ て い た と い う。 実 際、 出 荷 額 に
大きな変動がないような状況の中で
も、富士市に拠点を置く大手企業が生
産拠点を少しずつ海外に移すなどの動
きは止まらなかった。
被害を受けたために、同社は石巻工場の復旧・
富士市に基幹工場の一つを置く日本製紙の
石巻工場(同じく基幹工場の一つ)が壊滅的な
うな事態を迎えるに至った。
改めて根底から問い直さなければならないよ
紙 の ま ち と し て の 富 士 市 の 今 後 の 在 り 方 を、
伸びていく「力」を醸成する必要性を改めて痛
維持しながらも、それとは別に自らの努力で
市内に立地する既存企業をより大事にする
姿勢や、外部からの企業誘致への積極姿勢は
るチャンス」ととらえた。
転 換 す る と と も に、 新 し い 成 長 戦 略 を 構 築 す
のまち=富士という従来の固定化した発想を
そこへ追い打ちをかけるように発生
し た 東 日 本 大 震 災 に よ り、 つ い に、 製
復 興 に 最 優 先 で 取 り 組 む こ と に な り、 結 果 と
感したのだ。
返し行ってきた経緯がある。さらにリーマン
して富士工場での生産はさらに縮小へと向か
たわけですが、リーマンショックのころも含
ていました。その時点で既に緊急事態であっ
円 だっ た 製 造 品 出 荷 額 は 5 0 0 0 億 円 も 落 ち
「私が市長に就任した平成 年1月の段階で
も、平成3年のピーク時に約1兆8000億
体に大きな影を落とした。
ショック以降の世界同時不況の荒波が業界全
うことになった。製紙のまちとして生きてき
る「都市活力再生本部」を設置。同時に「喫緊
というような意味合いである。
フレキシブルな発想による成長戦略
度途中であっても補正予算を組んで実行する
べ き 案 件 が あ れ ば、 そ の 都 度 市 民 に 発 信 し、
には、フレキシブルな発想力と、発想を実行
小のスケジュールや雇用状況への影響、市の
特に緊急に対応が必要とされる課題、例え
ば大手企業の生産縮小による影響の把握(縮
議会にも働きかけていくつもりだという。
につなげる果敢な行動力
(腕力)
が求められる。
はさほどの緊急事とはとらえら
れなかったようだ」と鈴木市長は
苦笑する。
「都市活力再生本部の当面の目
標 を、 そ の 設 計 図 と も い う べ き
『都市活力再生ビジョン』の策定
に置くと発表したものですから、
ビジョン策定予定の本年度末(本
部設置の時点では翌年度末)まで
は、 何 事 も 動 か な い だ ろ う と 思
われたらしいのです」(鈴木市長)
税収に関連する影響など)や、その影響に関
する対策(関連倒産の防止、雇用の確保など)、
合いもあったようだが、しかし、
は、 一 種 の シ ョ ッ ク 療 法 の 意 味
年度途中の昨年9月にこのよ
うなチームを立ち上げた背景に
木市長)
は逆にそれが必要なのです」(鈴
( 笑 )、 だ か ら こ そ 今、 富 士 市 に
「 従 来 の 市 役 所 と い う 組 織 体 に は、 最 も 苦
手な部類のミッションだとは思いますが
ご承知のように「活力の再生」という、とも
すれば抽象的になりがちな命題を具現化する
度 予 算 に 間 に 合 わ せ る べ き 案 件、 あ る い は 年
しかし鈴木市長はむしろこの状況を「製紙
めて、出荷額はその後、1兆3000億円台
代の中堅
するに「特別任務を帯びた臨時(戦略)チーム」
そ れ を 実 現 す る べ く、 富 士 市 で は 昨 年 9 月
に市長を本部長とし、幹部職員を本部員とす
何 と か そ れ 以 上 の 大 幅 な 落 ち 込 み は な かった
の課題を解決しつつ、国際的な都市間競争の
中で存在感を発揮し、活力と魅力にあふれる
持続可能な都市づくりを目指す」とのスロー
ガンを設定した。
加えて事務局であり、実行部隊ともなる「都
市活力再生室」を企画課内に設置。室員の専
代
任職員3名のほか、企画課職員が2名、さら
にさまざまな課から選抜した
名のプロジェクトチー
クフォース」とした。タスクフォースとは要
ム(内・女性2名)を構成し、その名も「タス
職員6名を加えた計
40
しかし、実際は違う。ビジョン策定の完成
は今年度末だが、そのプロセスにおいて来年
た富士市にとって、まさに危機的状況だ。
名産のお茶畑もまた、富士市の典型的風景
か ら 1 兆 5 0 0 0 億 円 台 の 範 囲 内 を 推 移 し、
14
30
36
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
37
「ほとんどの職員や議会関係者に
老若男女の市民がさまざまな学習や活動を行うまちづくりセンター
11
存続が危ぶまれるもマニアの人気が高い岳南鉄道
豊富な水資源も富士山ろくのまちならではの魅力
ポ
ル
政
市
富士市 (静岡県)
まさに新食感の味わいが楽し
い
「富士つけナポリタン」
発信力強化など)」「アーバンデザイン推進戦
略(公共交通の充実や魅力的な市街地活性化
などの都市機能強化戦略)」「セーフティ確保
戦略(安心・安全な都市を実現するための各
種戦略)」の簡潔な説明がなされている。
産業・人・モノ・情報が交流するまち
市役所による、こうした都市活力再生に向
けた情報発信と呼応するかのように、富士市
に お け る 市 民 力 も 力 強 い。 か つ て 東 海 道
五十三次の宿場町として栄えた吉原商店街は
ご 多 分 に 漏 れ ず、 郊 外 に 立 地 す る 大 規 模
ショッピングセンターに押され気味である
が、老舗喫茶店が発案したご当地グルメ「富
士つけナポリタン(トマトをベースとしたダ
ブルスープのつけ汁に、パスタなどの麺をつ
け麺のようにひたして食べる)」が全国的に知
要、このように書かれている。
多くの人たちが周辺各地から集まってくるよ
られるようになり、週末や連休などになると
か分からない。
富士市産の米を使用した紙のようにひらひら
サイトにおける内容紹介、タスクフォースの
士市都市活力再生懇話会」での議論のウェブ
市民への情報提供についても、広報紙での
内容説明や、有識者を中心に設置された「富
ない。これは民間企業なら当然の動きである。
ても、速やかに計上されていかなければなら
シ ョ ン 強 化 戦 略( 人・ モ ノ・ 情 報 が 国 際 的・
事業の創出、異分野との協働など)」「プロモー
て、「イノベーション活性化戦略(新産業・新
そして富士市における都市活力再生という
ビジョンを実現するための4つの戦略とし
われることなく位置付ける予定です」
り組むべき事業については、目標年次にとら
ボーレッドなど各種)といった果実類も豊富
か、イチゴやキウイフルーツ(新品種レイン
産のお茶や魚介(特にシラスは有名)などのほ
もともと田子の浦から富士山9合目に至る
実 に 変 化 に 富 ん だ 地 形 を 有 す る 富 士 市 は、 名
館司書の配置を打ち出し、実行している。さ
らに、地域に開かれた市立高校づくりを目指
(取材・文 遠藤隆)
くり」
の実現の日が、今から待ち遠しい。
た富士市による
「しあわせを実感できるまちづ
終わったように、成長戦略の舵を大きく切っ
当初は実現困難とされたUTMFの運営が、
富 士山を囲む多 くの自 治 体の協 力で大 成功に
らの力でつかみとってこその
「しあわせ」
だ。
実感できるまち」
と表現する。それはまさに自
る多角的魅力に満ちた都市像を「しあわせを
富 士 市 で は 官 民 の 力 を 結 集 し て 取 り 組 む、
こうした産業・人・モノ・情報などが交流す
大学も、市民の熱気に満ち溢れていると聞く。
の大学と提携し、多彩な講座を実現した市民
士市立高校の試みも今後が注目される。市内
3科で構 成される総 合 的 な 高 校に再 編した富
探究科・ビジネス探究科・スポーツ探究科」の
のだ。
ちらは富士市商工会の女性部の考案によるも
とした帯状の麺「富士山ひらら」も好評で、こ
メンバーによるブログやツイッターによる即
多面的に交流する都市を実現するための情報
に影響される形で、これらもとからの名産品
にも、今後新たな2次製品化、3次製品化の
波が訪れるかもしれない。
「 私 は 市 長 に 就 任 す る 以 前 か ら 市 民 に 軸 足
を置いた市政の必要性を訴え、就任後もこと
あ る ご と に 強 調 し て ま い り ま し た。 し か し、
好 況 の 時 代 に 大 企 業 が 次 々 と 市 内 に 立 地 し、
その恩恵をさまざまな形で受けてきた歴史を
持つ富士市では、市民も市の職員もいつしか、
時代の流れに対して受け身になっていた傾向
があるように思います。その後ろ盾が以前の
ように盤石ではなくなりつつある半面、まだ
大きな存在感を発揮してくれている今のうち
若者たちの夢をはぐくむ3科が揃う富士市立高校
の ヒ ン ト を つ か み と ら な け れ ば な ら な い と、
心から思うのです」(鈴木市長)
そういう意味で、都市活力再生本部の今後
の展開とともに注目したいのが、富士市にお
ける多彩な人材育成策だ。
─B i z
商工会などとの連携で推進する商店街の個
店魅力アップ作戦および新規出店希望者の育
成 事 業、 富 士 市 産 業 支 援 セ ン タ ー
「富士市教育振興基
また平成 年3月策定の
本計画」では、市内すべての小中学校への図書
業相談などはその一例だ。
(エフビズ)との連携で実施している懇切な起
f
に産出してきた。新たなご当地グルメの登場
時的な情報提供などが実行されている。
う に な っ た。 同 様 の ご 当 地 グ ル メ と し て は、
「 ビ ジ ョ ン は 平 成 年 度 内 に 策 定 し ま す。
目標年次は 年度としますが、中長期的に取
例えば今年6月 日付けの広報紙には、策
定中の「都市活力再生ビジョン」について、大
商工会議所の「つけナポリタン推進スタッフ」が情報発信するインフォメーションセン
ター
(吉原商店街)
そのための対策や各種の措置に必要な予算
は、議会対応の順番が多少入れ替わったとし
の各種調整などは、待ったなしでいつ起こる
およびそのために必要な市役所内関連部署と
雪のようにきれいな麺「富士
山ひらら」
に、私たちは自らの努力で新たな成長の形へ
新幹線が停車する新富士駅前のコンベンション施設「ふじさんめっせ」
38
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
39
20
24
し、平成 年4月から旧吉原商業高校を「総合
田子の浦港で水揚げされる生しらすは鮮度が抜群
27
23
23
ポ
ル
政
市
富士市 (静岡県)
地域に生まれ、
地域とともに歩む
生い立ち
革、東 日 本 大 震 災 等 さ ま ざ ま な 困 難 な 時
分 権 時 代、 リ ーマン ショッ ク、 行 財 政 改
リーマン時代から、オイルショック、地方
の 県 内 有 数 の 産 地 と なってい ま す。 自 宅
然 豊 か な 田 園 地 帯 も 広 が り、 梨 や イ チ ゴ
雇用の確保につながっています。一方で自
の造成が進められていて、安定した税収、
ていて、この 素 晴 ら しい 景 観 を 必 ず や 後
世 に 残 し ていか な け れ ば な ら ない と 思い
ます。
東日本大震災
東 日 本 大 震 災 では、南 栗 橋 地 区 を 中 心
に液状化という甚大な被害がありました。
ました。
す。地 方 自 治に
在 に 至 って い ま
市 長に就 任し現
新久喜市初代
鷲 宮 町 合 併 後の
菖蒲町・栗橋町・
に は、 久 喜 市・
まざまな年代の人々が一堂に会します。最
日 は、 普 段 顔 を 合 わ せ る 機 会 の 少 ないさ
が 聞 こ え て く る よ う に な り ま す。 祭 り 当
近 年 で は この 立 地 を 活 用 す べ く 工 業 団 地
ていて、公共交通網の充実した地域です。
タ ー チェン ジ、 さ ら に 国 道 は 3 本 通 過 し
久 喜 白 岡 ジャンク ション、 白 岡 菖 蒲 イ ン
自 動 車 道 久 喜 イ ンタ ー チェン ジ、 圏 央 道
新 久 喜 市 は J R、東 武 鉄 道 が 通 過 して
いて 5つの 駅 を 有 し てい ま す。 ま た 東 北
しています。
議 員 および市 民の皆 さ ま 方に 心から 感 謝
認 めていた だいた 当 時 の1 市 3 町 の 議 会
す。また、合併後の新市名を『久喜市』と
士 の 固 い 信 頼 関 係 が あった こ と に 尽 き ま
で き たのは た だひ と え に4 市 町の 首 長 同
念 式 典 で は、 感 涙 に む せ び ま し た。 合 併
ま し た。 県 知 事 を 迎 え ての 新 市 誕 生の 記
万7000人、面積 ・4㎢)が誕生し
鷲宮町が合併し新久喜市(合併時 人口約
た 」
という達成感と感激に包まれます。
終了後の大きな拍手、皆との一体感。「やっ
ニフ ォ ー ム を 着 て 緊 張 し て の 舞 台。 本 番
女 約 2 0 0 人。 ち ょっ と お め か し し て ユ
当たり前のことを改めて強く感じました。
との信頼に基づいて可能になる」といった
大 変 お 世 話 に な り ま し た。「 仕 事 は 人 と 人
皆 さ ま に は 言 葉 で は 言い尽 く せ ないほ ど
また同 様の被 害 を 受 け た 自 治 体の首 長の
今 回の 支 援 策 を 実 現 す る一連の 運 動 展
開 の 中 で、 古 く か ら の 友 人 や 県 の 職 員、
久喜市独自の支援を行っています。
援が届かない被災者の方がいることから、
が で き ま し た。 し か し、 そ れ で も 国 の 支
れ た 支 援 の 基 準 を 見 直 し てい た だ く こ と
国 に 対 し て 働 き か け を 行い、 困 難 と 思 わ
治 体 の 首 長 の 皆 さ ま と 連 携 し、 埼 玉 県 や
私 は 納 得 で き ず、同 様 の 被 害 を 受 け た 自
で き ま せ ん で し た が、この よ う な こ と に
かな 被 害 状 況の差で支 援 を 受 けることが
は、 南 栗 橋 地 区 の 被 災 者 の 方 は ご く わ ず
当 時の国の支 援にかかわる認 定の基 準で
振 り 返 れ ば、
高度成長期右
そ の 後、 平 成 3 年 に 埼 玉 県 議 会 議 員、
平 成9年に久 喜
ることができました。
肩 上が りのサラ
近 は 女 性 の 参 加 も 多 く な り ま し た。この
22
年。選
26
結びに
市 民、 合 併 時 激 論 を 交 わ し た 方 々、 多 く
民間会社勤務時代の経験を生かしつつ、
夏祭り
(天王様)
やコーラスなどの友人、東
とも
の市民の皆さまと交流をしていく中で「後
念頭に置きながら、
「至誠通天」の精神で
音楽の素晴らしさ
す。これ か ら も 久 喜 市の 大 切 な 伝 統 行 事
ちょうちん
500個の提燈を山車の四面に灯します。
山 車の運 行 に 伴い提 燈のろ う そ く が 揺 れ
私 は 子 ど ものころ か ら 歌 う こと が 大 好
き で す。 特 に 男 声 合 唱の あの 地 を 這 う よ
これ か ら も 市 長 職 に 全 力で 取 り 組 んで ま
世代に何を残せるか」というテーマを常に
の 祭 り は 提 燈 をつけ た 山 車 を 急 接 近 さ せ
うなハーモニーにひかれて、大学時代はグ
いります。
る 様 は 幻 想 的 に さ え 見 え ま す。 ま た、こ
たり、回転させたりすることから「喧嘩ま
リ ー ク ラ ブ に 所 属 し、 春・ 夏 の 休 み に は
市に戻ってきて祭りに参加する
懐かしく思い出し、時には久喜
た市民はまずこの「提燈祭り」を
無いため、ふるさとを遠く離れ
これといった大きな河川や山が
に 回程度。市長職たるもの土日とはいえ
をしています。練習日は土日の夜間を中心
が 開 催 さ れて お り、私 も 喜 んで 毎 年 参 加
近 年 では、久 喜 総 合 文 化 会 館で 市 民 に
よるベートーベン作曲交響曲第九の演奏会
全国を演奏旅行で飛び回っていました。
けんか
つり」とも言われています。久喜地区には
こともあるようです。近年、同
じ久喜地区の上清久の山車も加
休みはありませんので、夜間の練習日には
人が出ないように安全点検を入
持 ち を 鼓 舞 して 練 習 会 場 に 行 き ま す。 午
見たいな〜」と思うこともありますが、気
ビール片手にプロ野球のナイター中継でも
公務を終えると、正直「疲れたから自宅で
わり、山車は全部で
ま し た。 運 行 は 毎 年 7 月
日、
台になり
20
後 時ごろに自宅に帰ると「やっぱり練習
日の2日間です。山車はけが
12
10
暇がかかります。また、祭りが
や終了後の撤収にも相当の手間
す。これがコーラスの魔力でしょうか?
に参加してよかった」と思うから不思議で
お は や し
演 奏 会 当 日 はコーラス 部 門 だ け で も 男
10
近くなると御囃子を練習する声
旧知の友人となったベートーベン
(筆者は中央)
昼 間 は 神 話 な ど か ら 題 材 を とっ た 人 物 の
82
日 本 大 震 災 で 液 状 化 な どの 被 害 を 受 け た
15
として発展することを願っています。
挙 は8回 経 験 し
携わり
年
久 喜 市( 久 喜 地 区 ) に は 天 明 3 年
(1783年)から始まったと伝えられて
よ う な 伝 統 行 事 が、 失 わ れつつあ る 地 域
市 長、平 成
いる 夏 祭 り の天 王 様 が あ り ま す。 私 自 身
のコミュニティーを支える大きな力となっ
平成22年11月 感激の合併記念式典での筆者
(左端)
人 形 を 山 車 に 飾 り 付 け、 夜 は一転 し て 約
ろか ら 約
‼
夏祭り(天王様)
も 地 域 の 伝 統 の 祭 り と し て、 子 ど も の こ
23
ているのは大変嬉しく、ありがたいことで
22
か ら 少 し 歩 く と 緑 の 美 し い 風 景 が 広 がっ
代の波を経験してきています。
新久喜市の誕生
い 経 験 が あ り ま す。 し か し 私 は ど う して
市 町 村 合 併 について は、 当 地 域 で は 平
成 年 9 月 に一度 住 民 投 票 で 失 敗 し た 苦
きました。
し ま し た。さ ま ざ ま な 経 過 は あ り ま し た
年3月 日に久喜市・菖蒲町・栗橋町・
も 諦 め き れ ず、 勇 気 を 奮 い 再 チャレン ジ
そのころ 久 喜 駅 前 再 開 発 事 業 の 計 画 が
持 ち あ が り、 商 店 会 や 地 域の 方 々か ら 私
年 の 市 議 会 議 員 選 挙 で、トップ 当 選 す
が、 幸いに も 合 併 特 例 法 の 期 限 内 の 平 成
ま れ、 順 調 に 事 業 の 拡 大 を す る こ と が で
急 遽 家業を継ぎました。先輩や仲間に恵
きゅうきょ
社に入社したものの、父が早逝したため、
そうせい
年に早 稲田大学を卒 業 後三菱石油株 式 会
私 は 久 喜 市 内で明 治 年 創 業の卸 小 売
業 の4 代 目 と して 生 ま れ ま し た。 昭 和
44
を 市 議 会 議 員 に との 話 をいた だ き、昭 和
16
23
年この祭りに関わっています。
62
40
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
41
60
18
念に行うなど、動くまでの準備
220年余の歴史・伝統を誇る天王様
た な か け ん じ
久喜市長
(埼玉県)
田中暄二
く き
Kenji Tanaka
自治体の災害支援活動│方法と実績
支 援 の 中 身 に つ い て は、 従 来、 職 員 派 遣、
消防支援、それに生活物資援助の3つの案件
中邨 章
明治大学名誉教授、明治大学危機管理研究センター・研究代表
(財)地方公務員安全衛生推進協会理事長 自治体支援のきっかけ
件(
・3%)に達した。ほ
にほぼ限定されてきた。今回、救援物資を送
付した自治体が
ぼ、すべての自治体が被災地に物質支援をし
・8%)に
件)、被災地での保健福祉活動(
件)や救護医療活動( 件)などを担当した事
の運営(
上ったことが目を引く。その他では、避難所
件(
・8%)に上った。
自治体間の災害支援協定
件(
支援した自治体に、複数回答でそのきっか
け を 尋 ね た。 回 答 で は、 広 域 連 携 組 織 か ら
の要請が一番多く
・0%)
け入れを行った自治体が
たことになる。支援活動では、避難住民の受
件(
・7%)が続いた。危機管理の協定に基づ
これに全国市長会からの要請と答えた
(
いて支援を実施したところも
に及んでいる。ただ、事例として最も多いの
・0%)である。こ
接、要望があったなどの回答が含まれた。
の中には、県からの要請の他、被災地から直
は「その他」の276件(
91
件
明 治 大 学 危 機 管 理 研 究 セ ン タ ー で は、
2 0 1 1 年 9 月 〜 月 に か け、 基 礎 自 治
体を対象に危機管理に関するアンケート
団 体、 中 核 市
団 体、 そ れ に 特 別 区
調 査 を 実 施 し た。 政 令 市
団 体、 特 例 市
団体の合わせて123団体が対象になっ
団体から返答が寄せられ、
・0%である。
た。調査には
回収率は
今回の震災では、各地の自治体が被災地へ
さまざまな支援活動を行った。中には、支援
協定に基づいて活動を始めたところもあっ
件
た。 調 査 で は、 隣 接 し な い 県 外 の 自 治 体 と
遠地支援協定を締結しているところが
( ・5%)
と、多数に上った。隣接しないが
県内の団体と協定を結んでいるところは、
73
例が比較的、多数になっている。
自治体支援の4つのパターン
震災で実施された自治体間の支援活動を整
理すると、おおむね4つの形に分類すること
ができる。一つ目は、国と全国知事会や全国
日に「東北
市長会など地方六団体が関わるスキームであ
る。総務省は、2011年3月
地方太平洋沖地震に係わる被災地方公共団体
に対する 人的支援」と題する 文書を、知事、
政令市市長、それに地方六団体に送付してい
た総務省は、全国市長会や全国町村会に職員
に伝達するという手続きを取る。それを受け
から集まる要望を取りまとめ、結果を総務省
請することが基本になる。被災県は、自治体
必要とする職員数を調べ、それを被災県に要
市が実施した 試みがある。ここで は、
されている。これに似た事例に東京都多摩地
を吸収する点で、大きな役割を担ったと評価
現地事務所を開設した。これが被災地の要望
に、気仙沼市、南三陸町、石巻市にそれぞれ
城県庁内部に現地支援本部を設置すると同時
所を置いた。宮城県を支援したチームは、宮
相馬市の支援をはじめるが、それにあわせ杉
定を結んできた。これに基づいて、同区は南
る。杉並区はもともと南相馬市と災害援助協
体を支援する「スクラム支援」という形をと
最後は、東京都杉並区がはじめた方法であ
る。これは、複数の自治体が一つの被災自治
1000名近い職員名が登録されている。
からスタッフを派遣する仕組みである。現在、
る。この仕組みでは、被災した自治体自身が
派遣を促すという方法である。
関西広域連合とほぼ同じように支援相手先を
並 区 は、 姉 妹 都 市 提 携 を 結 ぶ 新 潟 県 小 千 谷
区の
こ の 方 法 に は、 2 つ 問 題 が あ る。 一 つ は、
被災自治体が必要な職員数を調べ、それを県
5つのグループに分け、それぞれに複数の自
提携に結びついた、珍しい事例になった。
ことを呼びかけた。災害支援協定が姉妹都市
かけ、スクラムを組んで南相馬市を支援する
に要望するという形式である。被 災団体は、
単独型(北九州市)と
スクラム型(杉並区)
今回出てきた自治体間の支援活動は、この
先 も さ ら に 新 し い 方 法 を 生 む 可 能 性 が あ る。
いずれの方式を採るにせよ、狙いは被災地の
可能性が高い。
3 つ 目 は、 北 九 州 市 が 展 開 し た 方 法 で あ
る。北九州市は、ほとんど関係のなかった釜
危機管理システム』などがある。
一日も早い復旧と復興であることには間違い
関連の著書に『危機発生後の72時間』
『 行政の
石市を積極的に支援した。両市が鉄鋼産業と
理学会会長、自治大学校特任教授。危機管理
2つ目は、関西広域連合など広域連携組織
による支援である。今回、関西広域連合が実
現在、国際行政学会副会長、日本自治体危機管
がない。
ためである。そこで北九州市は自発的に支援
講師などを経て、明治大学名誉教授。
いう共通項をもつからであるが、当初、北九
域連合の委員である知事が集まり、支援する
活動を開始することにした。8月1日には釜
博士(Ph.D.)
。カリフォルニア州立大学講師、ブ
施した被災地支援が迅速であったことや、支
被災地を確定し現地に連絡事務所を設置する
石市役所内に、
「北九州市・釜石デスク」が設
ルッキングス研究所研究員、カナダ・ビクトリア大学
( 本 稿 の 資 料 整 理 に は、 明 治 大 学 助 手・ 飯 塚 智 規 君
の協力を得ている)
ことなどを決めた。大阪府と和歌山県が岩手
置され、北九州市の職員は現地で避難所運営
ア大学大学院政治学部博士課程卒業。政治学
州市は釜石市との連絡に困った。被災地は北
県を支援する一方、兵庫県と鳥取県、それに
や戸籍・住民票の交付、それに選挙事務を担
校政治学部卒業(B.A.)
。1973年南カリフォルニ
援活動の効果が優れていたことなどに高い評
徳島県は宮城県を支援する。また、滋賀県と
当した。その後、区画整理や廃棄物処理、そ
学部卒業。1966年カリフォルニア大学バークレー
九州市からの連絡に答える余裕すらなかった
京都府は福島県をカバーするというように、
れに 保 険 健 康 な どのサービスを 補 助 してい
中邨 章(なかむらあきら)
価が出ている。発災直後の3月
カウンターパートを明確にしたことが、広域
る。北九州市では「支援職員登録」と呼ばれる
制度を実施している。8000人の職員に支
連合の支援活動が成功した秘訣と考えられ
る。
援活動ができる人材を登録させ、このリスト
1940年大阪生まれ。1963年関西学院大学法
日に関西広
がるが、その間に別の支援活動が展開される
こから総務省を経て、知事会や市長会につな
仕組みでは時間がかかる。自治体から県、そ
市、北海道名寄市、群馬県東吾妻町にも働き
12(2.0%)
治体が割り当てられた。救援活動を集中して
・3%)とやや
文化・観光面での交流
既 に 人 手 不 足 で あ る。 職 員 の 不 足 数 を 把 握
例
(
・5%)
に及んだ。反対に、隣接するが県
事例
例
( ・5%)
である。一方、隣接した同じ県
内 の 近 地 自 治 体 間 で の 支 援 協 定 は、
(
外の近地域外提携は、
90
63
15
46
59
15
90(15.0%)
9
(1.5%)
39
95
行うのが、その意図である。
少なめになっている。
94(15.7%)
78
22
58
94
15(2.5%)
姉妹都市協定
首長間の個人的なつながり
9
(1.5%)
協定に基づく支援
商工会、農協、
漁協からの要請
74
70
全国市長会の要請
276
(46.0%)
23
19
31
し、それを報告する余裕はない。また、この
25
95(15.8%)
その他(県からの要請、
被災自治体からの要請等)
10
40
80
15
大震災における自治体支援のきっかけ
65
35
第29回
72
44
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
45
広域連携組織の要請
26
リスクマネジメント
Risk Management
41
92
87
その上、関西広域連合では現地に連絡事務
筆者プロフィール
13
都市の
し
べ
つ
士別市(北海道)
ま
き
の
ゆ
う
士別市長 牧野勇司
じ
フォーク」が、群れながら黙々と草
を 食 ん で お り、 私 た ち の 心 を 癒 や
そ の 開 拓 の 歴 史 は 明 治 年、 最
北で最後の屯田兵が入植したこと
産業として発展してきました。
紀 を 超 え て 展 開 さ れ て お り、「 サ
ま た、 サ フ ォ ー ク 羊 を ま ち づ く
り の 顔 と し た 市 民 運 動 が、 四 半 世
農業にも取り組んでいます。
毛工芸品をつくることができます。
ジナルの帽子やマフラーなどの羊
にある「めん羊工芸館」では、オリ
丘 の 中 腹 に は、 世 界 各 国 種 類
の珍しいめん羊を展示する日本一
し、和ませてくれます。
年 に は、
フォークランド士別」として総合的
はじめに
士 別 町・ 上 士 別 村・ 多 寄 村・ 温 根
な取り組みを進めているほか、「合
日 町 と の 合 併 に よ り、 新 生「 士 別
さ ら に 平 成 年 9 月 1 日、 開 拓
当時から深いつながりのあった朝
施行されました。
います。
里」を柱としたまちづくりを進めて
「 生 涯 学 習 の ま ち 」「 水 と み ど り の
宿の里」「自動車等試験研究のまち」
す ぐ 隣 の め ん 羊 牧 場 で は、 牧 羊
犬が羊を思い通りに誘導するシー
きるレストランがあります。
には新鮮な羊肉料理などが満喫で
産 品 の 展 示 販 売 を し て お り、 2 階
の「世界のめん羊館」があり、館内
30
サフォークランド
に よ っ て 始 ま り、 昭 和
は じ め と す る 山 々 に 囲 ま れ、 全 国
別村の1町3村が合併して市制が
さくほく
ひよく
「天塩川」の豊かな水、そして肥沃
な 緑 の 大 地 に 恵 ま れ、 農 業 を 基 幹
ブ ル に 並 ぶ な ど、 高 級 羊 肉 と し て
全国に出荷されています。
農場内にあるおしゃれな建物
「ファームイン・ラムダ」には宿泊
す る こ と も で き、 1 階 の レ ス ト ラ
ン「ミュー」では、士別の絶景を眺
め な が ら、 こ こ で し か 味 わ う こ と
のできない数々のサフォーク料理
が楽しめます。
市」が誕生し、観光・スポーツ・文
を目的として水田の再編整備事業
ど 幅 広 く 営 ま れ、 現 在、 集 落 営 農
士別市の基幹産業である農業は、
稲 作 を 中 心 に 畑 作 や 野 菜、 酪 農 な
んでいます。
市 街 地 の 街 並 み や、 遠 く は 大 雪
連 峰 を 望 む こ と の で き る 丘 で は、
香りが漂います。
笛 が 聞 こ え て き そ う な、 牧 歌 的 な
の 入 口 で、 ま る で、 ヨ ー デ ル や 角
市街地の中心部から車で西に向
か う と、 少 し ず つ 小 高 く な る 丘 が
ディッシュや横浜APECのテー
こ こ で 育 っ た 羊 の 肉 は、 全 日 空
国際線ファーストクラスのメイン
があります。
の農場「かわにしの丘しずお農場」
ま た、 ま ち の 東 側 に 向 か う と、
美しい川西の丘の一角に200
化 な ど、 さ ま ざ ま な 面 で 大 き な 可
に も 着 手 し て お り、 整 備 済 み の 1
白 い 毛 に 真 っ 黒 な 顔 を 持 つ 羊「 サ
ら、 ま ち づ く り を 進 め て き ま し た
の 大 型 圃 場 で は、
ます。
毛ニット製品、米、麦、馬鈴薯、豆類、
甜菜、玉葱、南瓜、ブロッコリー
ジ ャ ン プ 朝 日 大 会、 全 日 本 ス ノ ー モ
ビル選手権士別大会、朝日ノルディッ
クスキー大会、士別天塩川まつり
〔イベント〕サフォークランド士別
ハ ー フ マ ラ ソ ン 大 会、 全 日 本 サ マ ー
〔観光〕羊飼いの家、世界のめん羊館、
めん羊工芸館「くるるん」
、岩尾内湖、
天塩岳、かわにしの丘しずお農場
ばれいしょ
に、 果 敢 に チ ャ レ ン ジ し て ま い り
造 に 向 け て、 市 民 の 皆 さ ま と と も
「市民が笑顔で暮らせるまち」の創
が、 今 後 も 先 人 た ち の 歩 ん だ 開 拓
ショーも楽しめます。
プドッグショーや羊の毛刈り
GPSを使った田植えなどのIT
れます。
の 歴 史 と 気 概 に 思 い を は せ つ つ、
能性を拡げながら新たな歴史を刻
ホール」という2つの文化ホールを
ま た、 天 塩 川 の 清 流 を 満 々 と た
た え た 岩 尾 内 湖 畔 に は、 オ ー ト
新たな発想の下、「対話・調和・市
広がります。そこが「羊と雲の丘」
拠 点 に、 豊 か な 市 民 文 化 や 芸 術 の
キ ャ ン プ 場 な ど が 整 備 さ れ、 7 月
民の輪」を基本に、柔軟かつスピー
ほじょう
創造を主眼に「文化・芸術の里」づ
には「岩尾内湖水まつり」が開催さ
ドと実行力をもって「元気なまち」
区 画 最 大 6・9
くりにも取り組んでいます。
れ好評を博しています。
むすびに
自動車等試験研究のまち
本 市 は、 夏 と 冬 の 寒 暖 の 差 が
度にもなります。
こ の よ う に、 本 市 は 地 域 の 特 性
を 生 か し、 そ の 個 性 を 伸 ば し な が
◆ 面積 1119・ ㎢
◆ 人口
2万1564人
世帯数 9897世帯
〔市町村合併〕平成 年9月1日、旧
士別市と旧朝日町とが合併
〔まちの特徴〕天塩岳をはじめとする
山 々 に 囲 ま れ、 天 塩 川 の 源 流 域 に あ
る水と緑豊かな田園都市
〔将来都市像〕天塩の流れとともに
人と大地が躍動する すこやかなまち
◆
プロフィール
こ の 自 然 環 境 を 利 用 し て、 世 界
有数の規模を誇るトヨタ自動車の
じ め と し た 優 良・ 有 力 企 業 の 試 験
試 験 場 を 筆 頭 に、 ヤ マ ハ 発 動 機、
夏の冷涼でさわやかな気候や冬
の雪と寒さなどの豊かな自然環境
研 究 施 設 が 立 地 し、 自 動 車 あ る い
ダ イ ハ ツ 工 業、 ブ リ ヂ ス ト ン を は
の 下、 ス ポ ー ツ や 文 化 活 動 な ど、
はタイヤなどの研究開発が行われ、
士別発のさまざまな製品が全国で
毎年延べ約2万人を超える合宿者
が 訪 れ ま す。 特 に ス ポ ー ツ 合 宿 に
活用されています。
など本市には恵まれた自然があふ
道立自然公園に指定されている
天 塩 岳 は じ め、 岩 尾 内 湖、 天 塩 川
水とみどりの里
ついては、日本陸連や実業団連合、
全日本スキー連盟などの強化合宿
地 と し て 利 用 さ れ る と と も に、 そ
のほかの競技の選手も多数訪れる
など、今や日本一の「合宿の里」と
しての評価をいただいています。
29
〔特産品〕ジンギスカン、ラム肉、羊
牧野勇司
れています。
標 高 1 5 5 7・6 m の 天 塩 岳 は、
大雪山国立公園の旭岳の真北に位
士別市長
合宿選手と市民との交流も行わ
れ て お り、 本 市 で 汗 を 流 し た わ が
国を代表する数多くのトップアス
置 す る 北 見 山 地 の 最 高 峰 の 山 で、
道内でも有数の高山植物の植生地
と し て 知 ら れ、 時 に は ナ キ ウ サ ギ
などの珍しい動物たちに出合うこ
と も あ り、 毎 年 多 く の 登 山 客 が 訪
札幌市
17
合宿の里
32
29
リートが、世界で活躍することは、
市民の誇りにもなっています。
ま た、 芸 術・ 文 化 活 動 な ど の 合
宿も盛んに行われており、
「市民文
化センター」や「あさひサンライズ
士別市
60
士 別 市 は、 北 海 道 北 部 の 中 央 に
位置し、道立自然公園「天塩岳」を
で4番目の長さを誇る朔北の大河
頂上には、「羊飼いの家」があり、
1階では羊毛セーターや士別の特
屯田の開拓精神が受け継がれた
人と大地が躍動する すこやかなまち
1
広大な“羊と雲の丘”にある「羊飼いの家」
46
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
47
17
ha
ha
※面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」に、
人口・世帯数は「住民基本台帳」による。
を語る
わが 市
を語る
ち
が
さ
き
茅ヶ崎市(神奈川県)
2
はじめに
昭 和 に 入 っ て か ら は、 映 画 監 督 の
校舎棟と屋内運動場の耐震補強工
を 実 施 し、 補 強 が 必 要 な す べ て の
士、 箱 根 の 山 々 を 望 み、 南 に 伊 豆
置 し、 東 に 湘 南 江 の 島、 西 に は 富
動を通して各界に多大な功績を残
の 著 名 人 が 移 り 住 む な ど、 そ の 活
士の土井隆雄や野口聡一など多く
三 郎 や 開 高 健、 最 近 で は 宇 宙 飛 行
編計画」における中長期的な展望の
3月に策定した「公共施設整備・再
そのほかの耐震性に課題のある
公 共 建 築 物 に つ い て は、 平 成 年
ます。
年度までにすべての
は っ と り の ぶ あ き
茅ヶ崎市長 服部信明
小 津 安 二 郎、 ミ ュ ー ジ シ ャ ン の 加
事を平成
年度までに完了してい
山 雄 三 や 桑 田 佳 祐、 小 説 家 の 城 山
大 島、 北 に は 相 模 台 地 へ と 連 な る
すとともに現在の茅ヶ崎市にとっ
茅 ヶ 崎 市 は、 東 京 都 心 か ら 南 西
へ お よ そ ㎞、 相 模 湾 の 中 央 に 位
丘 陵 地 帯 が あ る、 海 と 里 山 の 豊 か
中 で、 平 成
公共施設の耐震化の取り組み
て大きな財産となっています。
す が、 さ ま ざ ま な 自 然 の 恵 み を 受
日に発生した兵庫県南部地震
橋に耐震補強
定 で す。 ま た、 市 内 の 橋 り ょ う に
公共建築物の耐震化を完了する予
の 地 震 が 想 定 さ れ て お り ま す。 こ
国府津︱松田断層帯地震など7つ
る 東 海 地 震、 南 関 東 地 震、 神 縄・
了 し、
つ い て も、 主 要 な
工 事 を 実 施 す る こ と と し、
の想定を検証するとともにその対
れらの地震によるさまざまな被害
本 市 で は、 昭 和 年 に 東 海 地 震
にかかる地震防災対策強化地域に
末までに5橋の耐震補強工事を完
けながら独自の歴史文化がはぐく
指定されていることや平成7年1
ま れ て き ま し た。 温 暖 な 気 候、 青
策の見直しに迅速に取り組んでい
月
ているところです。
年 度 に は、 本 市 の 都 市 構
平成
ぜいじゃく
造 の 脆 弱 性 を 把 握 し、 よ り 効 果 的
るところです。
年度の整備完了を目指し
年度
32
近代演劇俳優の川上音次郎や日本
安全・安心な教育環境整備として、
特 に、 次 世 代 を 担 う 子 ど も た ち の
項目については、「安全・
本 市 に お い て は、 大 き な 被 害 を
もたらす地震として考えられてい
地 域 と 行 政 が し っ か り と 連 携 し、
倒 壊 危 険 度、 火 災 危 険 度、 道 路 閉
な 防 災・ 減 災 対 策 を 進 め る こ と を
の 女 優 第 一 号 の 川 上 貞 奴、 数 多 く
学校施設や公立保育園の耐震診断
欠な課題
の 力 を さ ら に 強 化 す る と と も に、
に、 地 域 住 民 の 皆 さ ま に よ る 新 た
の取り組み」で議論した内容を基
で、 グ ル ー プ ご と に 討 議 を 行 い、
こ の 調 査 結 果 を 受 け て、 公 助 の
みならず、自助
(個人)
・共助
(地域) 「今後、地域でできる具体的な防災
握 し ま し た。 そ れ ら を 踏 ま え た 上
進めているところです。
と 連 携 を 図 り な が ら、 取 り 組 み を
し て ま と め、 地 域、 市 民 の 皆 さ ま
域と協力して行う主な取り組み」と
安心のまちづくり推進に向けて地
き、 次 世 代 に し っ か り バ ト ン タ ッ
今 後 も、 こ の 茅 ヶ 崎 で、 市 民 の
皆 さ ま が 安 全・ 安 心 を 実 感 し な が
ていく鍵になると考えています。
そ れ が、 災 害 に 強 い ま ち を つ く っ
防災の課題に取り組んでいくこと、
目的に、地域危険度測定調査(建物
の名曲を残した作曲家の山田耕筰、
ろ」「地域の資源となるところ」を把
「地域住民主体の防災都市づくり」
防 災 は、 自 助、 共 助、 公 助 と い
わ れ ま す が、 そ れ ぞ れ は 別 個 に あ
チ し て い け る 持 続 性 の 高 い、 魅 力
度から
年 度 ま で、 市 内 に モ デ ル
項目につきまし
項 目、 対 応 準 備
◆ 面積
・ ㎢
◆ 人口
万6177人
◆ 世帯数 9万5133世帯
〔将来都市像〕海と太陽とみどりの中
で ひとが輝き まちが輝く 湘南・
茅ヶ崎
〔まちの特徴〕相模湾に面した湘南の
中 央 に 位 置 す る 特 例 市 で、 約 6 ㎞ の
海岸線には、通年、多くのサーファー
の 姿 が あ り、 北 部 に は 緑 豊 か な 里 山
が広がる自然に恵まれた温暖な気候
のまち
〔イベント〕大岡越前祭、湘南祭、浜
降 祭、 サ ザ ン ビ ー チ ち が さ き 花 火 大
会、 茅 ヶ 崎 ジ ャ ン ボ リ ー、 え ぼ し 岩
周遊船、初摘み・生わかめまつり
〔観光〕えぼし岩、サザンビーチちが
さき、茅ヶ崎サザンC、サザン神社、
神 奈 川 県 立 茅 ケ 崎 里 山 公 園、 茅 ヶ 崎
市開高健記念館
〔 特 産 品 〕 生 し ら す、 釜 揚 げ し ら す、
た た み い わ し、 生 わ か め、 サ ザ ン コ
ロッケ、湘南ビール、ちがさき牛
ら、 安 定 し た 生 活 を 送 る こ と が で
な防災活動が実施されています。
る も の で は あ り ま せ ん。 市 民 の 皆
年
このような「防災」
「減災」に向け
た 取 り 組 み を 進 め て い く 中 で、 平
的なまちづくりを進めていきます。
を よ り 推 進 す る 目 的 で、 平 成
地 区 を 選 定 し、 住 民 の 皆 さ ま と 協
さ ま の ご 協 力 を い た だ き な が ら、
沖地震(東日本大震災)を踏まえて、
年3月
プ」
を実施してきました。
504項目からなる「茅ヶ崎市防災
年6月に策
本市における防災の重要課題
各 地 区 の ワ ー ク シ ョ ッ プ で は、
「まちあるき」(地域点検)を実施し、
対策強化実行計画」を
地域の危険なところと資源を探す「まちあるき」
プロフィール
日の東北地方太平洋
21
災 害 時 に「 地 域 で 危 険 と な る と こ
定 し、 2 カ 年 で の 完 了 を 目 指 し て
取り組みを進めているところです。
この 年間の取り組みとしては、
対 応 済 み の 項 目 と、 既 に 対 応 を 済
ませた上で引き続き事業を継続し
て い る 項 目 は、 全 課 題 5 0 4 項 目
中441項目で全体の ・5%に当
た り ま す。 残 る
て は、 対 応 中 が
項目となっています。
こ れ ら の 取 り 組 み の 中 に は、 当
然 の こ と な が ら、 行 政 だ け で は 対
中が
87
応 で き な い 課 題 も あ り ま す。 情 報
横浜市
23
伝達手段の確立や自主防災組織の
茅ヶ崎市
37 63
体 制 強 化、 要 援 護 者 情 報 の 共 有 な
服部信明
11
ど、 市 民 の 皆 さ ま と の 連 携 が 不 可
茅ヶ崎市長
1
23 35
23
26
76
成
16
働で「防災都市づくりワークショッ
公表しました。
塞確率、地区内通過確率)を行い、
「減災」に向けた取り 組み
感 を 持 っ て 取 り 組 ん で き ま し た。
(防災都市づくり )
公共施設の耐震化事業にスピード
( 阪 神・ 淡 路 大 震 災 ) を 踏 ま え て、
い 海、 緑 の 松 並 木 な ど 本 市 の 魅 力
は、 多 く の 人 々 を 引 き 付 け、 明 治
年に歌舞伎俳優の9代目市川團
20
23
14
面 積 は ・ ㎢ で、 東 西・ 南 北
とも約6㎞のコンパクトなまちで
な自然に恵まれた地域です。
19
27
53
76
十郎が別荘を構えたのを皮切りに、
17
35
23
48
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
49
30
「えぼし岩周遊船」から見た「えぼし岩」と「富士山」
※面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」に、
人口・世帯数は「住民基本台帳」による。
20
60
「安全・安心を実感しながら安定し
た生活ができるまち」を目指して
わが 市
を語る
はじめに
瑞 浪 市 は、 日 本 の ほ ぼ 中 央 に 位
置 し、 美 し い 山 並 み が 周 囲 を 囲 む
み ず な み
瑞浪市(岐阜県)
み
ず
の
こ
う
瑞浪市長 水野光二
じ
が、 今 後 の 展 開 と し て、 食 育 や 介
護食などの知識の習得を目的とす
る直売所販売促進人材育成事業
出土し「化石のまち」としても知ら
し て、 市、 商 工 会 議 所、 J A な ど
た。 そ の た め の 母 体 と な る 組 織 と
立たせることが必要と考えまし
を予定しています。
工品製造機器の導入に対する支援
業 と し て、 パ イ プ ハ ウ ス お よ び 加
育 成 を 行 う ほ か、 生 産 農 家 育 成 事
や、 地 産 地 消 を 普 及 で き る 人 材 の
れています。
が 出 資 し て「 み ず な み ア グ リ 株 式
し、国際的にも高い評価を得てい
焼」として世界中の見本市に出品
り上げ、独自ブランド「みずなみ
ザイン性の優れた陶磁器食器を創
高品質で「和と洋」が融合したデ
と 受 け 継 が れ て お り、 現 在 で は、
持つ窯業の技術は、この地で脈々
展してきました。この古い伝統を
持つといわれる美濃焼とともに発
中山道を中心に栄えた長い歴史
を持ち、1300年有余の歴史を
性を生かした地産地消の農産物の
適 応 し て い ま す。 市 で は、 こ の 特
量の農産物を生産出荷することに
本 市 の 生 産 農 家 は 兼 業・ 小 規 模
農 家 が ほ と ん ど で あ り、 多 品 種 少
ます。
豊かな田園風景が失われつつあり
と と も に 農 地 の 荒 廃 が 進 み、 自 然
し、 高 齢 化 の 進 展、 後 継 者 の 不 足
の 重 要 な 産 業 と い え ま す。 し か
で も 上 位 を 争 う な ど、 農 業 は 本 市
じめとする畜産物の産出額は県内
本 市 は、 市 域 の 約 % を 森 林 や
農 用 地 が 占 め、 鶏 卵、 肉 用 牛 を は
あります。
業化を図ろうとするもので
事 業 展 開 し、 農 業 の 6 次 産
連携の下、「農」から「食」へ
を コ ン セ プ ト と し、 農 商 工
「きなぁた瑞浪」は、周辺
に広がる農地と施設を一体
いたしました。
「きなぁた瑞浪」がオープン
なる瑞浪市農産物等直売所
ま し た。 そ し て、 平 成
農家の組織づくりに取り組んでき
農業の6次産業化
会 社 」 を 設 立 す る と と も に、 出 荷
ます。
生 産 直 売 と、 そ の 農 産 物 の 手 づ く
豊かな自然に包まれたまちです。
※「き
なぁた」は「よく来てくださ
いました」という意味の方言。
ま た、 緑 豊 か な 自 然 に 包 ま れ た
こ の 地 も、 太 古 の 昔 は 海 の 底 で し
り加工に取り組む農業者を育成
現 在、 市 内 外 の 多 く の 方
にご利用いただいています
日、 そ の 活 動 拠 点 と
20
というゴルフの魅力を十分活用し
り ま す が、 本 市 に お い て も 災 害 へ
東 日 本 大 震 災 以 降、 各 自 治 体 で
は広域的な災害に備える動きがあ
て「 夢 づ く り 地 域 活 動 支 援 職 員 制
を 創 設 し、 併 せ て 人 的 な 支 援 と し
として「夢づくり地域交付金制度」
う し た 活 動 に 対 し、 財 政 的 な 支 援
り 組 み を 行 っ て い ま す。 市 は、 そ
区の課題解消に向けた主体的な取
の 協 議 会 で は、 防 災 を は じ め 各 地
できる瑞浪市づくりを進めていき
よ り、 安 心・ 快 適 に 暮 ら す こ と が
まちづくり推進協議会を中心と
した市民の皆さんと市との協働に
今後の課題であると考えています。
の確立と強化を図っていくことが、
このまちづくり推進協議会と連
携 し て、 市 民 主 体 の 災 害 協 力 体 制
れ 合 い、 仲 間 づ く り、 健 康 づ く り
安全で安心なまちづくり
した。
「ゴルフの町みずなみ」として、市
の 対 応 を 見 直 し、 大 規 模 な 地 震 災
度」を設けています。
市内に カ所のゴルフ場がある
の も 魅 力 の 一 つ で す。 自 然 と の 触
と ゴ ル フ 場 が 連 携 し、 ゴ ル フ を 起
害でも同時には被災しない位置に
実 効 性 の あ る も の と す る た め、 広
◆ 面積 175・ ㎢
◆ 人口
3万9213人
◆ 世帯数 1万4891世帯
〔将来都市像〕安心・快適 私たちが
創るみずなみのまち
〔まちの特徴〕1300年の歴史を持
つ美濃焼を中心に発展してきた商工
業 都 市。 中 山 道 の 宿 場 や 一 里 塚、 信
長ゆかりの城跡や由緒ある寺院が残
る歴史のまち
〔観光〕瑞浪市農産物等直売所「きなぁ
た瑞浪」
、 中 山 道 大 湫 宿・ 細 久 手 宿、
小 里 城 跡、 鬼 岩 公 園、 瑞 浪 市 化 石 博
物 館、 岐 阜 県 先 端 技 術 体 験 セ ン タ ー
「サイエンスワールド」、ゴルフ場(市
内に カ所)
〔イベント〕瑞浪美濃源氏七夕まつり、
バサラカーニバル、鬼岩福鬼まつり、
半原操り人形浄瑠璃や美濃歌舞伎の
各種公演
13
ます。
点 と し た 観 光 振 興、 地 域 振 興 に 取
あると考えられる埼玉県朝霞市と
て の ゴ ル フ 場 を 舞 台 に 開 催 し、 市
く 市 民 の 協 力 を 得 て、 市 民 レ ベ ル
災害時の相互応援協定を締結しま
外からの参加者も多く交流人口の
での支援体制が確立できないかと
プ ン ゴ ル フ 大 会 」 は、
拡大に大きく寄与しています。
考えました。
本 市 で は、 市 内 8 地 区 す べ て に
継続的にまちづくり活動を行う
ま た、 こ の 連 携 が も と と な り、
災害時にクラブハウスなどを市民
の皆さんのための緊急避難所とし
「まちづくり推進協議会」が組織と
00
〔 特 産 品 〕 み ず な み 焼( 陶 磁 器 )
、マ
コモタケ、みずなみボーノポーク(豚
肉)
、鶏卵
水野光二
瑞浪市
岐阜市
プロフィール
り 組 ん で い ま す。 特 に、 一 大 イ ベ
し た。 そ し て、 協 定 の 締 結 を よ り
とした「農家の庭先モール」
※
年
た。 市 の あ ち こ ち か ら、 お よ そ
し、農業を「なりわい」として成り
し て 立 ち 上 が っ て お り、 そ れ ぞ れ
6月
2 0 0 0 万 年 前、 新 生 代 の 化 石 が
の間で災害時応援協定を締結しま
75
ン ト「 ゴ ル フ の 町 み ず な み オ ー
カ所すべ
ゴルフの町みずなみ
24
瑞浪市長
13
て 活 用 す る な ど、 市 と ゴ ル フ 場 と
まちづくり推進協議会開催の防災運動会
13
50
AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
51
農家の庭先モールをコンセプトとした瑞浪市農産物等直売所「きなぁた瑞浪」
※面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」に、
人口・世帯数は「住民基本台帳」による。
3
「安心
・快適 私たちが創る みずなみのまち」を目指して
わが 市
か み あ ま く さ
上天草市(熊本県)
か わ ば た ゆ う
上天草市長 川端祐樹
き
体 で、 合 併 当 初 は 財 政 再 建 を 重 点
%
的 に 取 り 組 ん で き ま し た。 合 併 当
時から比較すると職員数も約
天
上 天 草 市 は、ほ ぼ 全 域 が 雲め仙
いび
草 国 立公 園に 含 まれる風 光 明 媚 な
は四季折々の花で彩られています。
道百選」に選ばれており、その沿線
草パールラインとも呼ばれ「日本の
州 本 土 と天 草 を 結 ぶ天 草 五 橋 は天
選」にも選ばれています。また、九
内ばかりでなく韓国からの旅行者
で 初 め て 選 ば れ ま し た。 現 在、 国
ング「オルレ」の認定コースに国内
ス は、 本 年 2 月 に 韓 国 版 ト レ ッ キ
市の維和島にあるハイキングコー
済振興を重点的に取り組んでいる
6次産業化の推進を中心とした経
草市の飛躍」に向けて、観光振興と
危機的状況を回避し、現在、「上天
おいて行政改革を進めてきた結果、
削 減 し、 そ の ほ か あ ら ゆ る 分 野 に
地域です。千巌山、高舞登山、龍ヶ
ところです。
年を通して楽しめるイルカ
も徐々に増えてきています。また、
財
「名勝」
に指定されており、高舞登
山 か ら 見 る 夕 陽 は「 日 本 の 夕 陽 百
産 で は、 地 鶏 の 天 草 大 王、 天 草 黒
か ん き つ 類 の 栽 培 も 盛 ん で す。 畜
利 用 し た パ ー ル 柑、 ポ ン カ ン な ど
も あ り ま す。 ま た、 温 暖 な 気 候 を
ガ ニ、 海 草 類 な ど 海 産 物 の 宝 庫 で
ク ル マ エ ビ や タ イ、 ハ モ、 ワ タ リ
て み て く だ さ い。 き っ と ご 満 足 い
「美・食・癒・遊」を存分に経験し
観 光、 グ ル メ、 温 泉、 自 然 体 験
と地域資源に恵まれた上天草市で
に出合えます。
する野生のミナミバンドウイルカ
ウ ォ ッ チ ン グ で は、 有 明 海 に 生 息
た。本市では、A列車の「A」に併
すみ線)において運行を開始しまし
JR三角線(愛称:JRあまくさみ
平 成 年 月 に、 J R 九 州 が 観
光列車「特急 A列車で行こう」を
牛、梅肉ポークが知られています。
せ て、 J R 三 角 駅 か ら 本 市 に 接 続
温 泉 も 豊 富 で、 特 に 松 島 温 泉 は
美人湯として人気があります。
フ ァ ン が 訪 れ て い ま す。 中 で も 本
た く さ ん あ り、 多 く の ア ウ ト ド ア
州自然歩道)やハイキングコースが
た。 4 町 と も 財 政 的 に 脆 弱 な 自 治
岳町の4町が合併して誕生しまし
本 市 は、 平 成 年 3 月 日 に、
大 矢 野 町、 松 島 町、 姫 戸 町、 龍 ヶ
天草市財政強化計画 を
」本年7月に
グルメフェア」の開催や、大人の空
本市の豊富な食材を生かした「A級
旅」としてPRしています。また、
た予算を市民所得の向上に資する
事業の選択と集中により捻出され
めて精査し、廃止・縮小するなど、
整備など)をしながら、地域再生の
市民所得の向上に必要なインフラ
人口の拡大など)、投資(人材育成、
用 の 創 出、 移 住 定 住 の 促 進、 交 流
こ れ か ら の 上 天 草 市 は、 民 間 の
商社と同様に利益を上げ(産業・雇
策定しました。
ズを「上質な大人(Adult)の
クルートからノウハウやネット
こ の こ と か ら、 こ れ ま で 実 施 し
てきた財政改革による徹底したム
施策に重点的に投下することで税
モデルとなるよう上天草市の飛躍
ねんしゅつ
上天 草 市 は 市 制 施 行 年 を2 年
後 に 迎 え ま す が、 普 通 交 付 税 も 合
収 を 向 上 さ せ、 財 政 規 模 の V 字 回
地域再生のモデルに
併算定替えから一本算定への移行に
に向けて取り組んでまいります。
年 度には歳入 総 額
プロフィール
復を図ることを基本理念とする 上
「
伴い、 平 成
額 さ れ、 平 成
◆ 面積 126・ ㎢
◆ 人口
3万1042人
◆
世帯数 1万2258世帯
〔将来都市像〕人と海のふれあうまち
〔まちの特徴〕天草の玄関口に位置す
る風光明媚なまち
〔市町村合併〕平成 年3月 日、大
矢 野 町、 松 島 町、 姫 戸 町、 龍 ヶ 岳 町
による対等合併
〔 特 産 品 〕 ク ル マ エ ビ、 タ イ、 ハ モ、
ワ タ リ ガ ニ、 パ ー ル 柑、 ポ ン カ ン、
サ ン ラ イ ズ ウ ォ ー ク、 菜 の 花 ウ ォ ー
キング
〔イベント〕天草五橋祭、天草パール
ラ イ ン マ ラ ソ ン 大 会、 キ ラ ラ 祭 天 草
〔観光〕天草五橋周辺の景観、九州オ
ルレ維和島コース、九州自然歩道(観
海アルプス)、上天草市交流センター
「スパ・タラソ天草」
天草大王、天草黒牛、梅肉ポーク
年 度から段階的に減
ぜいじゃく
ワークを有する人材を市役所の職
ダ の 削 減 は 引 き 続 き 行 い、 こ れ ま
そ し て、 本 市 は 豊 富 な 農 水 産 資
源 に 恵 ま れ て お り ま す が、 農 漁 業
者の所得減少や担い手不足などに
よ り、 衰 退 の 一 途 を た ど っ て い ま
し た。 そ こ で 本 市 で は、 農 水 産 物
の 生 産 か ら 加 工・ 流 通 ま で を 一 体
的に取り組む「6次産業化」を強力
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が大きく減少することとなります。
『ファンタジック!
「楽園上天草」』をデザインコンセプトにした3連ポスター
に推進しています。
平成 年3月には「上天草市農林
水産物加工品開発研究センター」を
建 設 し、 併 せ て 農 林 水 産 課 内 に 設
置した「ブランド推進室」による体
制 の 下、 生 産 者 が 加 工 品 を 開 発 し
や す い 環 境 を 整 備 す る と と も に、
有 名 シ ェフ と 協 力 し な が ら お 菓 子
や ド レッシ ン グ な ど 市 独 自 に よ る
開発も行っているところです。
ま た、 企 業 誘 致 課 に お い て は、
企業の誘致だけではなくブランド
上天草市
推進室と協力しながら特産品の販
川端祐樹
売ルートの拡大にも取り組んでお
り、 九 州 内 ば か り で は な く 関 西・
関東までプロモーション活動を実
施しています。
熊本市
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上天草市長
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サ ー ト の 開 催 な ど、 戦 略 的 な イ
員として招きながら取り組んでい
を 改 装 し、 観 光 列 車 〜 シ ー ク ル ー
する定期船「シークルーズ」の内装
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メージづくりによる観光振興に取
海を眼下に見下ろしながら登山
を楽しめる観海アルプスコース(九
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で継続してきた事業についても改
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るところです。
危機的状況を回避
ただけると思います。
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り組み、宿泊客も増加しています。
間づくりとしてのJAZZコン
戦略的なイメージづくりによる
観光振興と6次産業化の推進
岳の3つの山からの眺めは国の文化
天草上島の東海岸沿いの高舞登山から龍ヶ岳へと連なる「観海アルプス」
有明海と不知火海(八代海)の2
つ の 豊 か な 海 に 面 し て い る た め、
美・食・癒・遊 上天草
人と海のふれあうまち、上天草市
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さ ら に は、 本 年 4 月 か ら こ れ ら
を 加 速 さ せ る べ く、 ぐ る な び や リ
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AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
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を語る
わが 市
※面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」に、
人口・世帯数は「住民基本台帳」による。
全国市長会ホームページURL
http://www.mayors.or.jp/
大に寄与しない国庫補助金等は対象外とすると
と、 ③ 対 象 事 業 に つ い て は、 地 方 の 自 由 裁 量 拡
不利地域等に配慮したものとなるようにするこ
6月18日〜7月20日
「国の出先機関改革に関する意見」を
川端内閣府特命担当大臣(地域主権推進)
等に提出
6 月 日、 川 端 内 閣 府 特 命 担 当 大 臣( 地 域
主 権 推 進 )、 後 藤 内 閣 府 副 大 臣 、 福 田 総 務 大 臣
政 務 官、 及 び 内 閣 府 地 域 主 権 戦 略 室 次 長 等 に
年度地域自主戦略交付金に関する
[行政部]
対 し「 国 の 出 先 機 関 改 革 に 関 す る 意 見 」を 提 出
した。
平成
地方ヒアリングに神谷・安城市長及び
阿部・川崎市長が出席し、意見陳述
地域主権戦略会議担当主査が出席した。
側 か ら は、 後 藤 地 域 主 権 推 進 担 当 副 大 臣、 神 野
市 市 長 会 の 代 表 と し て 阿 部・ 川 崎 市 長 が、 政 府
財 政 委 員 会 副 委 員 長 の 神 谷・ 安 城 市 長、 指 定 都
7 月 4 日、 平 成 年 度 地 域 自 主 戦 略 交 付 金 に
関 す る 地 方 ヒ ア リ ン グ が 行 わ れ、 本 会 か ら は、
必 要 額 を 確 保 す る こ と、 ② 交 付 限 度 額 の 配 分 に
て は、 財 政 運 営 に 支 障 が 生 じ る こ と が な い よ う、
こ と を 前 提 と し て、 ① 戦 略 交 付 金 の 総 額 に つ い
等 で 都 市 自 治 体 と 十 分 協 議 し、 合 意 形 成 を 図 る
都市の運用状況を踏まえ、
「国と地方の協議の場」
に 当 た っ て は、 先 行 す る 都 道 府 県 及 び 政 令 指 定
理事・評議員合同会議を開催決議・
重点提言により正副会長が要請活動
重 に 検 討 す る こ と、 ④ 国 の 関 与 縮 小 の 観 点 か ら、
が 多 い こ と か ら、 地 方 の 意 見 を 聞 き な が ら、 慎
余 地 の な い も の が 大 宗 を 占 め、 本 会 で は 慎 重 論
画一的な現金給付や医療保険など地方の裁量の
告 を 了 承 す る と と も に、
言・ 提 言、 諸 会 議 の 開 催 状 況 等 に つ い て の 報
の第
月 開 催 の 理 事・ 評
行財政の課題について講演の後、6月6日開催
7 月 日、 理 事・ 評 議 員 合 同 会 議 を 全 国 都 市
会館において開催。岡本総務事務次官から地方
つ い て 状 況 の 説 明 が あ り、 引 き 続 き 人 員 派 遣 等
波 被 災 地 の 市 街 地・ 居 住 地 復 興 の た め の 事 業 に
各省の政務三役等に面談の上、要請した。
上、 要 請 す る と と も に、 各 委 員 会 正 副 委 員 長 は、
について要請があった。
[企画調整室]
な お、 平 野 復 興 大 臣 か ら は、 東 日 本 大 震 災 の 津
事業規模等の要件設定の縮小や交付申請手続き
議 員 合 同 会 議 及 び 委 員 会 開 催 要 領 を 協 議・ 決
細野原発事故の収束及び再発防止担当・内閣府特命担当大臣
(原子力行政)
に要請する正副会長
回 全 国 市 長 会 議 に お け る 決 議・ 重 点 提
の 簡 素 化 を 行 う こ と、 ⑤ 地 域 自 主 戦 略 交 付 金 は
ること等を発言した。
阿 部・ 川 崎 市 長 は、 指 定 都 市 市 長 会 代 表 と し
て、 地 域 自 主 戦 略 交 付 金 の 指 定 都 市 へ の 導 入 に
つ い て は、 地 域 の 自 主 性 を 高 め る 取 組 が 一 歩 前
かいり
進 し た と 評 価 し た 上 で、 ① 要 望 額 と 交 付 限 度 額
に 乖 離 が 生 じ た 都 市 も あ る こ と か ら、 指 定 都 市
が 必 要 と す る 総 額 を 確 保 す る こ と、 ② 継 続 事 業
分の算定方法の見直しや客観的指標の配分割合
の拡大については地方の意見を聞きながら対応
す る こ と、 ③ 戦 略 交 付 金 は 税 源 移 譲 ま で の 経 過
措 置 で あ り、 そ の 工 程 を 明 ら か に す る こ と、 ④
対 象 事 業 を 拡 大 す る と と も に、 基 金 創 設 等 に よ
[財政部]
り事業費の年度間偏在の課題解消に取り組むこ
と等の制度改善の意見陳述を行った。
民主党の仙谷政策調査会長代行に要請する正副会長
な税源配分が行われるまでの過渡的な措置とす
定した。
政 )、 民 主 党 の 仙 谷 政 策 調 査 会 長 代 行 に 面 談 の
び再発防止担当・内閣府特命担当大臣(原子力行
会議終了後、「決議・重点提言」により、正副
会 長 は、 平 野 復 興 大 臣、 細 野 原 発 事 故 の 収 束 及
従 来 の 国 庫 補 助 金 等 の 総 額 を 縮 減 す る こ と な く、
神 谷・ 安 城 市 長 か ら は、 第 回 全 国 市 長 会 議
において決定した「決議及び重点提言」に基づき
つ い て は、 団 体 間・ 年 度 間 の 事 業 費 変 動 や 条 件
庫補助金等の地域自主戦略交付金化の制度設計
神谷・安城市長
(左)
、阿部・川崎市長
(左から3番目)
意 見 陳 述 を 行 っ た。 具 体 的 に は、 市 町 村 向 け 国
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あ く ま で も、 国 と 地 方 の 役 割 分 担 に 応 じ た 適 正
と も に、 経 常 補 助 金 へ の 導 入 に つ い て は、 全 国
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平野復興大臣に要請する正副会長
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AUGUST 2012 市政
市政 AUGUST 2012
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動き
全国市長会の
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