...

バンガードの「所有者の手引き」 - バンガード・インベストメンツ・ジャパン

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

バンガードの「所有者の手引き」 - バンガード・インベストメンツ・ジャパン
バンガードの「所有者の手引き」
Winter 2014
バンガード会長兼最高経営責任者(CEO)
ビル・マクナブからのご挨拶
「他社との違いは何か」―― この質問になかなか答えられない企業もあるでしょう。
しかしバンガードに
とって答えは簡単です。バンガードは、バンガードのミューチュアルファンドに投資している投資家の皆
ビル・マクナブ
様によって、所有されている企業です。そのような企業はほかにありません。
こうした企業構造を持つがゆえに、バンガードの目標すな
バンガードの創設者ジャック・ボーグルは、40年近く前、会
いうことです。バンガードではこのことを「企業構造の後か
イルの海戦」で大活躍したイギリス海軍提督ホレーショ・ネ
的な議論に聞こえるかもしれませんが、その結果はとても
の社名には、
「 投資で成功するための最良のチャンスを顧
わち事業戦略とはただ一つ、
「お客様のためにはたらく」
と
ら戦略がついてくる」
と称することもあります。何やら学問
実務的です。すなわち、バンガードが生み出す利益は、コ
スト削減やサービス改善といった形で、バンガードの所有
者である投資家の皆様へ還元されるのです。
ここからは、投資家の皆様にバンガードの内部の仕組みを
簡単にご紹介したいと思います。皆様が実際にバンガード
の所有者なわけですから、一種の「所有者の手引き」
と呼
べるものになるかもしれません。
これから8つの記事を紹介します。
これらの記事は、ファン
ドマネージャーの人材発掘プロセス、たゆまぬ効率改善へ
の取り組み、投資家の皆様の資産がどのようにバンガード
内部の仕組みを通って運用されるかなど、さまざまな切り
社設立にあたって社名を選ぶ際に、ナポレオン戦争の「ナ
ルソンの旗艦「バンガード号」にあやかりました。同時に、こ
客に提供できるような、斬新なアイデア・斬新なビジネスの
進め方を、当社が先駆者となって(英語でin the vanguard
=先駆者となって)開拓するぞ」
という決意もこめられてい
ました。その予見は正しかったと言えるでしょう。バンガー
ドは、低コスト投資とインデックス投資の利点が世に広く知
られるようになるずっと前から、その推進役を務めてきたの
です。
これらの記事をお読みいただくことで、バンガードがこん
にちもたゆまず革新を続けていること、そして常に顧客の
皆様 ―― あなたのことです ―― を最優先に考えている
ことを、知っていただければ幸いです。
口からバンガードをご紹介するものです。当社の経験豊か
な取締役2名による、なぜバンガードがユニークなのかと
いう考察も登場します。
ビル・マクナブ
会長兼CEO(最高経営責任者)
2014年2月20日に米国バンガードウェブサイトに掲載
www.vanguardjapan.co.jp
1
バンガードの「所有者の手引き」
目次
バンガード会長兼最高経営責任者(CEO)
ビル・マクナブからのご挨拶
P.1
1. バンガードの使命 ―― バンガードは価値と価値観を投資家へ提案
P.3
2. バンガードの投資戦略 ―― 自重と柔軟性の両立
P.5
3. コストにフォーカス―― 飽くなき効率化の追求
P.8
4. お客様の預け入れ資産の流れ
P.10
5. 能力の発掘 ―― 世界に通用する運用マネージャーを探して
P.12
6. バンガードの投資理念 ―― 顧客の長期的な利益を最優先に
P.14
7. 取締役 ―― その視点
P.16
8. 将来 ―― 長期的に持続する企業の原動力
P.18
投資家の皆様へのお約束
バンガードは、投資家の皆様の資産運用者として、以下のことをお約束します。
常に投資家の利益を最優先に掲げます。
皆様の資産の運用に当たっては、慎重かつ賢明に、長期的視野をもって行い、
他の資産運用会社を長期的に上回るリターンを提供することを目指します。
最も高い企業倫理基準および受託者責任の基準に則って行動します。
コストの最小化を図りつつ、卓越したパフォーマンスとサービスを心掛け、
資産運用サービスの提供者として最高の価値の提供に努めます。
「率直に話す」
というバンガードの理念に従い、投資による利益獲得の可能性のみならず、
投資のリスクやコストについても、率直、公正にご説明します。
皆様の資産と機密情報を保護する強固な管理体制を維持します。
有能かつ勤勉な、多様性に富む人員を雇用し、皆様の資産運用を着実に行い、
皆様の要望にお応えできるよう万全を尽くします。
サービス全般にわたり皆様のご期待に沿えるよう、環境変化に即応し、常に自己革新、
改善に努めます。
2
www.vanguardjapan.co.jp
1. バンガードの使命―バンガードは価値と価値観を投資家へ提案
バンガードは、ほとんどバーチャル企業と言ってもいいくらいで、マンハッタンの高層ビルにオフィスを構えるわけでもなく、津々浦
々の街角に支店があるわけでもなく、テレビに出てバンガードの利点を説明する有名スポークスマンがいるわけでもありません。
大半のお客様にとって、バンガードはペンシルバニア州バレーフォージに設置された私書箱、パソコンやモバイル機器のブラウ
ザ上のブックマーク、あるいはフリーダイヤル通話の受話器から聞こえてくる声、であることでしょう。
では、なぜバンガードに3兆ドルもの資産が預けられているのでしょうか。
(2014年8月末現在)
その理由の1つが、バンガードの提案する
「価値」――すなわち低コスト・優れた投資実績・きめ細かいサービスにあることに疑い
の余地はないでしょう。
しかし、
もう1つ重要な理由があります。それは、バンガードの提案する
「価値観」――すなわち、ユニークな
企業構造・使命感・献身的な従業員の組み合わせです。
この価値観が、バンガードと他の資産運用会社との違いなのです。
ユニークな企業構造
1975年に設立されたバンガードは、
「投信運用会社はお客
バンガードから投資家の皆様へのお約束
バンガードでは、投資家の皆様がバンガードに対して期待
様の利益を最優先して運営されるべきだ」
というシンプルで
できること、
またバンガードの社員自身が自社に対して期
非上場または上場企業である親会社が所有する会社では
様へのお約束」を掲げています。
すが画期的なアイデアを体現した会社です。バンガードは、
なく、バンガードの運用するファンドによって所有される会
社です。そしてバンガードの運用するファンドの所有者は、
待することを明らかにするため、以下のような「投資家の皆
バンガードの企業構造は、金融サービス業界の他社には
あなたご自身を含む、
ファンドの投資家の皆様です。
真似のできない、高い安定性を提供します。四半期ごとに
お客様が所有するという企業構造の下、バンガードではファ
いため、バンガードは自社の経営とファンド運用にとっての
します。
このことは、バンガードが留保する利益や一般株主
金融関連の企業が合併や統合を繰り返す時代にあって、
なります。その結果、バンガードのミューチュアル・ファンドお
も変わらずお客様のために行動するバンガードであり続け
ンドの運用や管理、その他のサービスを実費ベースで提供
へ支払う配当がないという、お客様にとって具体的な利点と
よびETFの経費率は、業界平均を大幅に下回っています。
達成すべき利益予想や成長目標というプレッシャーがな
最善策を、長期的な視野に立って考えることができます。
皆様がいま資産をお預けになっているバンガードは、将来
ます。
*つまり、お客様の手元に残る投資リターンは増え、
またこの
利点は時間が経つにつれて増幅していきます。
バンガードの企業構造の利点の2つ目は、やや抽象的にな
りますが、バンガードの利益とお客様の利益とを確実に一
致させるということです。バンガードはお客様以外に仕える
対象を持たず、全ての意志決定においてお客様の利益を
最優先します。
3
バンガードの「所有者の手引き」
重要なミッション
違いを生み出す人々
バンガードの企業構造の強みは、所有者であるお客様の
バンガードは機関投資家の顧客も多数擁しています。機関投
ために行動するバンガード従業員を導き奮い立たせるよう
な、明確なミッション(使命)があって初めて活かされます。
バンガードのミッションは、次のように、明確かつシンプル
なものです。
「バンガードは、投資家の立場に立ち、あらゆる投資家に対
して公平に接します。そして、あらゆる投資家へ、投資で成功
するための最良の機会を提供します。」
このミッションは、バンガードのノベルティのマウスパッドや
マグネットにも印刷されていますが、最も重要なのは、日々
お客様にサービスを提供する1万4,000人の従業員一人一
人の心に刻み込まれているということです。バンガードの従
業員は、投資・資産運用業界を変え、人々が投資する方法を
変えていこう、
という強い使命感を抱いており、その熱意は
社外からも認められています。
ファンド格付け機関として名高いモーニングスターは2013
年に、
「Can Vanguard keep the faith while expanding
even further?
(バンガードはなお拡大し続けながらもその
信念を貫けるか)」
というタイトルのレポートを発行しました。
以下はその抜粋です。
モーニングスターのスチュワードシップ・グレードにお
いて、企業文化でAランクという最高評価を得たバン
ガードを、信頼するに足る理由がある。バンガードが
海外事業展開について語るとき、それはバンガードの
資産を分散させて国際的な人材を集めるということ
にとどまらない(どちらもバンガードの繁栄に貢献す
る要素ではあるが)。分散投資・低コスト・リバランス
を通して、世界中の投資家の投資リターンを増大させ
るために、誠実に尽力することをも意味しているので
ある。バンガードのミッションは時を経ても変わること
なく、場所を移しても変わることなく、その40年の歴
史を通して、
あらゆる投資家のために貫かれてきた。
1万4,000人のバンガード従業員が自社のミッションを心に
刻んで実践していることを、モーニングスター社に認められた
というのは、実に喜ばしいことです。
しかし、それはまた、バン
ガードが成長を続けながらも、その企業文化を保っていかな
ければならない、
ということの再確認でもあります。
4
www.vanguardjapan.co.jp
資家は、何百万ドルという金額をバンガードに投資し、その
従業員の財政面の将来をバンガードに委ねています。なぜ
バンガードを選んだのかと理由を尋ねると、多くの場合、
「バ
ンガードの従業員」
という回答をお寄せいただきます。
一般的な個人投資家はあいにく対象外となりますが、バン
ガードの機関投資家顧客に対しては、バンガードの本社オ
フィスを訪問し、運用管理業務や最先端テクノロジー、サー
ビス機能などを直接視察する機会が設けられています。視
察を行った機関投資家顧客からは、視察によってバンガー
ドのグローバルな規模や事業の照準に対する理解が深ま
っただけでなく、バンガード従業員の情熱・誠実さ・活力・
献身に対して感謝の念さえ沸き、感動を覚えた、
とのコメン
トが数多く寄せられています。
ウォール街における道徳の退廃や文化的欠陥を論じた「ハー
バード・ビジネス・レビュー」のブログ記事で、バブソン大学の
トム・ダベンポート教授は次のように述べています。
「実際の
ところ、顧客をほんとうに最優先する企業文化について知り
たかったら、
リムジンに飛び乗って180キロ南西へひとっ走
り、ペンシルバニア州バレーフォージにあるバンガード・グ
ループへ行ってみるとよい。」
これは、バンガードが地理的にも、
また理念的にも、
ウォール
街から遠く離れていることを、巧みに言い表した言葉だと思
います。バンガードが指針とするのは、
「投資会社が存在する
のは、投資家にとっての利益を生むためであって、投資家か
ら利益をむさぼるためではない」
という高い理想なのです。
*2013年12月31日現在、バンガードの経費率の平均は、
ミューチュ
アル・ファンドが0.19%、ETFが0.14%です。
これに対し、
リッパー(ト
ムソン・ロイターのグループ会社)によれば、経費率の業界平均は、
ミューチュアル・ファンドが1.08%、ETFが0.58%です。
2. バンガードの投資戦略―自重と柔軟性の両立
投資の世界は常に進化し続けています。変化についていかなければというプレッシャーを、投資家も運
用会社も感じているかもしれません。
しかし、
じっくり考えた上で柔軟に対応することと、次から次へメー
ルでお知らせされる投資商品に心を動かされることとの間には、大きな違いがあります。
では、バンガードのようなグローバルな投資会社は、お客様に長期的な富の蓄積をもたらす確実な投
資アイデアと、
トレンド最先端の投資トピックとを、
どのように区別しているのでしょうか。
マリア・ブルーノ
バンガードの投資戦略グループのシニア・アナリスト、
マリア・ブルーノによれば、
その答えは簡単です。
「私
達は短期的なトレンドや市場のノイズに基づいて意志決定をすることはありません。新たな投資アイデア
を採用する前に、独自の調査を行い、
その結果に基づいて、情報に裏打ちされた決定を下します。
」
堅実な基盤
優れた商品は待つ価値がある
1975年の創業以来、バンガードの投資哲学に変わりはあり
2013年、バンガードは2本のインターナショナル(非米国)債
ません。明確で適切な投資目標を設定する、幅広く分散さ
券ファンドを導入しました。米国人のお客様に対し、非米国の
施する、
コストを最小化する、大局観を保って長期的に規律
これが初めてでした。
れたファンドを通して適切なアセット・アロケーションを実
を守る、
ということです。
これら4つの不朽の理念を守ること
で、お客様の投資の成功のチャンスを最大にすることがで
きると、バンガードは信じています。
バンガードの投資理念は創業以来一貫していますが、
その理念
を実践に移す方法は進化してきました。
進化の前には必ず徹底
的な検討、
調査、
計画を行ってきました。
進化のほとんどは、
世
界の金融市場の根本的な変化に対応するためのものでした。
投資戦略グループのプリンシパル、キャサリン・ゴードンは、
「私達は時間をかけて、一過性の流行りものと、そうではな
い廃れないものとを見極めています。投資をハリウッドの俳
優に置き換えて考えてみてください。一夜にして有名人にな
ったかと思ったら瞬く間に消えてしまう俳優がいる一方で、
ト
ム・ハンクスやメリル・ストリープのように、長年にわたる確か
なキャリアを築き上げる俳優もいます。
あなたが映画を作る
としたら、
どちらの俳優を選びますか」
と問いかけます。
もちろん、エンターテイメントの世界では、誰がはかなく消え
去り、誰が伝説の名優として名を残すか、すぐにわかるとは
限りません。投資でも同じことが言えます。
バンガードが新しい投資アイデアを検討する際、投資商品
債券市場への投資機会を提供するのは、バンガードとしては
バンガードの米国人投資家向けとしては初のインターナショ
ナル債券ファンドでしたが、
インターナショナル債券ファンドそ
れ自体は目新しいものではありません。実際、
インターナショ
ナル債券は世界最大の資産クラスであり、世界の金融市場の
約3分の1を占めています。
したがって、バンガードがインター
ナショナル債券ファンドを導入したことに対し、
「なぜ今このタ
イミングで?」
という疑問が起こっても不思議ではありません。
しかし、インターナショナル債券ファンド導入の決定は、ある
日突然下されたわけではなかったのです。
ブルーノは、
「インターナショナル債券ファンドの導入は何
年もかけて熟慮し決定したものです。バンガードでは、イン
ターナショナル債券はお客様のポートフォリオのなかで、
重要な役割を果たす可能性があることを認識していました
が、問題はオペレーション・リスクと取引コストでした」
と振
り返ります。他のファンドのローンチのときとまったく同様
に、バンガードはリスクとコストの管理を適切に、確実に行
えるようになるまで待つことにしたのです。
インターナショナル債券ファンドの場合は、市場の流動性が
高まり、取引コストやヘッジコストが低下していきました。
ラインナップの決定にあたるバンガードの投資戦略チーム
「ついにその水準は、バンガードがインターナショナル債券
に有効か、お客様のニーズを満たすか、低コストで提供でき
き下がったのです。焦らず、適切な方法で行えるようになる
および上級経営陣が問うのは、その投資アイデアは長期的
るか、
という3点です。
インデックスファンドを低コストで提供できる水準にまで引
まで、待った甲斐がありました」
とブルーノは言います。
ゴードンは、
「これらの質問の答えが1つでもノーであれば、
その投資アイデアはバンガードにはふさわしくないというこ
とです」
と付け加えます。
5
バンガードの「所有者の手引き」
変化が必ずしも最良とは限らない
バンガードでは、新しい投資アイデアに対して「イエス」
よりも
「ノー」
と言う場合の方が多くあります。
そして、バンガードの投資哲学にふさわしくない投資アイデアに対して「ノー」
と言うことが、バンガー
ドのお客様の利益になるということが実証されてきました。
ストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)
という言葉をお聞きになった覚えがおありでしょう
か。2000年代半ばに脚光を浴びた投資商品です。
キャサリン・ゴードン
ゴードンは、
「SIVは利回りがよい上に格付けもトリプルAで、
ゴードンは言います。
「お客様の多くがこの決定に不満を抱い
強いプレッシャーが当時はありました。
しかし、何かがおかし
コム銘柄に投資した人々は大きな損失を被りました。結果的
SIVへの投資を却下しました」
と振り返ります。
ド不採用の決断はまったく正しかったのです。」
ほどなくして、SIVは、2008年の金融危機を引き起こす原因と
バンガードが投資・資産運用業界の変化に適応していくこと
これはすばらしい商品だ、なぜSIVに投資しないんだという
いように思えたのです。バンガードの債券投資戦略チームは
なったサブプライム住宅ローン証券の、非常に大きな買い手
だったことが明らかになりました。多くの投資会社が巨額の
損失を被りましたが、バンガードは安
に胸をなでおろして
いました。他社に比べてコスト面で有利なバンガードのファ
ンドは、競争力を維持するために必要以上にリスクをおかし
て高利回りを追い求める必要がありません。
これはそのこと
を示す1つの好例であるといえます。
「金融危機の前は、バンガードは好機をみすみす逸している
ていました。
しかし、2000年にハイテクバブルがはじけ、
ドット
に、バンガードにとってもお客様にとっても、
ドットコム・ファン
はもちろん重要ですが、そうした変化に対して疑問を投げか
けることも同様に重要なのです。
「今回こそは、前のようなバブ
ルなんかとは違う」
という声が聞こえてくるときは、特に注意が
必要です。
ゴードンの言葉を借りれば、バンガードは「一時の流行りであ
るということが明らかであれば、それに対して躊躇なく
『ノー』
と言い、私達の理念を貫きます。」
と批判されました。
しかし最終的には、バンガードは理念を
貫いて正解だったと言ってよいでしょう」
とゴードンは述べま
す。
もう1つ例を挙げますと、1990年代後半にはインターネット
関連株が急騰伸し、誰もが「ドットコム」
ファンドに飛びつき
ました。
ドットコム銘柄の多くは新興企業であり、バンガード
はそれらが長続きするとはみていませんでした。それでも、
投資家から非常に多くの要望が寄せられたため、バンガード
はドットコム・ファンドのローンチを検討することにしました。
そして「バンガードにはふさわしくないので取り扱わない」
と
いう結論に至ったのです。
ご留意事項
債券ファンドには、発行体が期日通り元利の支払をできなくなるリスクや、金利上昇や発行体の支払能力に関する懸念が高まっ
て債券価格が下落するリスクなどが伴います。
米国外企業が発行する債券や株式への投資には、
カントリー/地域リスク
(政変や金融問題、天災によって外国または海外地域
の企業が発行する証券価値が下落するリスク)や、為替リスク
(為替レートの悪化によって、
ドルに換算した海外投資の価値が
下落する可能性)などが伴います。
6
www.vanguardjapan.co.jp
バンガードの投資哲学
バンガードには、創業以来忠実に貫いている、いくつかの原理原則があります。
これらの原理原則は、バンガードのファンド
のマネジメントや運用プログラム、
また投資家の皆様にご提供する助言の指針となるものです。バンガードの信念とも言う
べき一連の原理原則は、バンガード独自の投資哲学を形作り、バンガードの ―― ひいては投資家の皆様の ―― 継続的
な成功の となります。
バンガードの投資哲学が提唱する原理原則は、すべての投資家に便益をもたらすものです。バンガードでは主に3つの
投資家グループに向けてサービスをご提供していますが、それぞれのグループに適用される原理原則には多少の差異
が設けられています。
このことは、あなたの投資がご自身や家族のためなのか、あるいは組織のためなのか、
または顧客
に代わって運用しているのかによって、当然あなたの投資の視点に若干の違いが出てくるのと同様です。
個人投資家の皆様へ
運用成績は多くの要因に左右されます。市場全体のリターンのように、投資家がコントロールできない要因もあります
が、一方でコントロールできる要因もあります。例えば、投資に取り組む姿勢、ポートフォリオの構築およびメンテナンス
の際に重要視する事柄、選び取った運用商品にかかるコスト、運用会社にどのような資質を求めるのか、などは投資家
がコントロールできる要因です。
バンガードは、
コントロール可能な事柄にしっかりと向き合うことが、長期的に見た投資の成功に繋がる最も効果的なア
プローチだと考えています。
ポートフォリオの構築とメンテナンス
運用会社の選択
ポートフォリオ構築を始めたばかりの方も、あるいは経
どの運用会社の投資商品を買うか、
どの資産運用サー
ても重要です。
意してください。
験豊富な投資家も、次の3つの基本原則を守ることがと
ビスを契約するか、を選ぶに当たっては、次の2点に留
投資は長期的な取り組み課題です。短期的なトレンド・運
経験豊富であること。幾多の市況や景気の変動をくぐり
はできません。債券や株式の相場が下落するリスクは、
イナンシャル・プランナーにとって大きな財産であり、従っ
用成果に立脚したアプローチを「投資哲学」
と見なすこと
近い将来に必要となるような資金をさらすには大きすぎ
るリスクです。従って、運用資金と見なすのは、最低でも
向こう5年間は必要としない資金だけにしてください。
資産配分と分散化は必須です。常識に反するように聞こ
えますが、投資において最も重要な意思決定は、具体的
な運用対象の選択ではありません。資産配分――株式・
債券・現金をどのような割合で保有するか――の決定が、
運用目標を達成するためには何よりも重要です。株式市
ぬけて、運用に成功している実績は、資産運用会社やファ
て投資家の皆様と皆様のポートフォリオにとっても大きな
財産です。
継続は力なり。ポートフォリオの組入れ資産が頻繁に入
れ替えられたり、ポートフォリオ・アドバイザーやスタッフ
が始終入れ替わったりするようでは、投資家の皆様の目
標達成をサポートするはずの運用会社の能力低下を招
きかねません。
場と債券市場のあらゆる部分にまたがった幅広い分散投
資は、ポートフォリオ全体のリスク低減に繋がります。
コストも重要です。運用報酬や取引手数料などの運用コ
ストが一貫して低い投資商品を選択することで、相対的
に高いリターンに繋がる優位なスタートを切ることがで
きます。特に、インデックス・ファンドは、非常に低コスト
な上に、税制優遇措置もあり、市場のさまざまなセグメン
ト
(投資分野)へ自動的に分散投資できます。
7
バンガードの「所有者の手引き」
3. コストにフォーカス―飽くなき効率化の追求
数年前、バンガードの電話サポート部署のオペレーター用のヘッドセットを発注しようとしたマネー
ジャーは、空席になっている机の上や引き出しの中に、何百もの壊れたヘッドセットが放置されてい
るのに気づきました。
「――これをなんとかリサイクルできないだろうか?」
そう考えたマネージャーは、ヘッドセットのメーカーに電話しました。
メーカー担当者は、壊れたヘッド
セットのうち保証期間内のものについて、無償修理または新品交換を申し出てきました。マネージャー
グレゴリー・ナサワー
が電話を1本かけたことによって、バンガードは2万ドル(約200万円)を節約できたのです。
このエピ
ソードが示すのは、バンガードが、お客様に低コスト投資の利点を提唱するだけでなく、自社の効率性
についても細心の注意を払い、運営コストの節約を心がけているということです。
こうした効率性が、最終的にお客様にとっての低コストにつながります。例えば、2013年末、バンガードのミューチュアル・ファン
ドの平均経費率は0.19%でしたが、
これは、業界平均の経費率1.08%(出所:トムソン・ロイターのグループ会社であるリッパー)
の5分の1以下です。
ファンドの運用資産の増大に伴い、経費率が低下
経費率(%)
運用資産総額(単位:10億ドル)
バンガード・ファンドの平均経費率
バンガード・ファンドの運用資産総額
出所:バンガード
バンガードの運用資産は長年にわたって
大きく増加し続け(2014年8月末時点で
3兆ドル超)、そのためバンガードは投資
のコスト低減を実現する機会に恵まれま
した。バンガードが、スケールメリットを
活用していかにコストを下げ、サービス
を強化しているか、その顕著な例をいく
つかご紹介します。
ウェブサイトをお客様が最も利用する取引ツールに
1990年代後半にお客様のお取引高が急増し始めた頃、バン
ガードでは、
ウェブサイトを活用することができれば、
もっと低
いコストでもっと多くのお客様にサービスを提供できることに
下記の棒グラフは、2012年にバンガードの個人投資家顧客
が、電話取引と比べて5倍以上の件数の取引を、オンラインで
行ったことを示しています。
この取引手段の変化の結果、取引
気づきました。実施するためには多額の初期投資が必要とな
コストと手続処理コストは大幅に低減し、そうした低減は、投
ンライン取引のコストは、電話による取引のコストに比べては
した。
るものの、長期的な利点は計り知れないものがありました。
オ
るかに小さくなることが予想されたのです。
それでもなお、
オン
資運用コストの低下として、お客様の利益へ直接反映されま
ライン取引の導入にはリスクがありました。
あるサービスを導
入したからといって、必ずしもお客様がそのサービスを欲して
いるとは限らないからです。
ふたを開けてみると、バンガードのお客様は、バンガードが
電話取引を導入した際もいち早く利用を開始されたものでし
たが、同様に、新たに導入されたオンライン取引もいち早く利
用を開始されました。
取引件数(単位:百万件)
電話取引
オンライン取引
8
www.vanguardjapan.co.jp
出所:バンガード
ファンドの取引コストを節減
ミューチュアル・ファンドの運用において、組入れ証券銘柄
そして、様々な投資目標を持つファンドのラインナップを幅
広く えているバンガードでは、
さらにコスト効率の高い、
ファンド間での証券銘柄売買取引を行うことも可能です。た
の売買は避けられない要素です。たとえ長期保有戦略のイ
とえば、あるベンチマーク・インデックスからある証券銘柄
入りや、ベンチマーク・インデックスの銘柄入れ替えに伴っ
ドのインデックス・ファンドも同じ証券銘柄を売却する必要
せん。2012年の平均運用資産残高が1,000億ドルを超えた
ド・ファンドが、正にその証券銘柄を買おうとしているという
ンデックス・ファンドであっても、
ファンドへのキャッシュの出
て、ポートフォリオ構成銘柄の証券を売買しなくてはなりま
ようなあるバンガード・ファンドでは、同年中、取引コストの
発生しない現資産バスケットによる設定・解約を除いても、
90億ドル以上の証券が売買されました。
また、
ご想像に難く
ないことと思いますが、アクティブ・ファンドの場合は通常、
インデックス・ファンドよりも頻繁に証券の売買を行います。
スケールメリットが効くのはここです。証券売買取引の際、証
券会社は売り手側の証券に対する価格(ビッド)を設定し、
が外されるとき、そのインデックスに連動しているバンガー
がありますが、そのときに、別の、アクティブ運用のバンガー
ことがありえます。
バンガード債券グループのプリンシパル、
グレゴリー・ナサ
ワーは、
「取引はビッドとアスクの中間の価格で実行されま
す。
したがって、その証券銘柄を保有していたファンドはビッ
ドよりも高く売ることができ、その銘柄を買いたいファンドは
アスクよりも低く買うことができるのです。
したがって双方の
ファンド、そして最終的にはファンド投資家が恩恵を受けま
買い手側の価格(アスク)をそれよりも高く設定します。取引
す」
と説明します。
差(ビッド・アスク・スプレッド)が大きくなります。
これは、投
有言実行
高が少なく、取引頻度も少ない証券ほど、
この2つの価格の
資家にとって隠れたコストとなるのです。
2012年にバンガードが発行したリサーチペーパー
「A topic of current interest:Bonds or bond funds?
(最近の関心事:債券にするか、債券ファンドにするか)」で
は、地方債で100万ドルを超えるような売買取引の場合、大
「投資コストをいかに低く抑えるか」
ということは、
バンガードが
投資家の皆様へ向けて提供するアドバイスの中で繰り返され
る、
中心的なテーマです。
これは、
バンガードが40年近く前に創
設されて以来、
バンガードを導いてきた原則でもあり、
また、
バ
ンガードの将来の戦略にとっても重要な一翼を担っています。
手機関投資家のビッド・アスク・スプレッドは、個人投資家の5
分の1未満にまで低くなる可能性があることが示されました。
低コスト
バンガードには、上場企業のように株主利益を考慮した
り、
あるいは会社を所有する一握りの人々の要望に応え
バンガードは低コストの運用商品を提供しますが、それ
たりする必要がありません。エクスペンス・レシオ
(純資
は価格競争のためではなく、それが私たちのビジネスの
産に対する年間営業費用の比率)
を低く抑えることで、
やり方だから、
です。
利益を投資家の皆様に還元しています。
コストを低く抑えられる理由のひとつは、米国における
バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社は、
ユニークな所有構造です。バンガード・インベストメン
ザ・バンガード・グループ・インクの子会社です。
ファン
ツ・ジャパン株式会社の親会社であるザ・バンガード・
ドへの出資者(投資家)がファンド運用会社を所有する
びETF(上場投資信託)によって所有されています。そし
のの、バンガード・グループの事業規模の大きさゆえ
ファンドへの出資者(つまり投資家の皆様)
です。
多くの利益を手元に残すことができます。
グループ・インクは、自らの運用する米国籍ファンドおよ
て、
これらファンドを所有しているのは、言うまでもなく、
構造を、日本において導入することは法的に難しいも
に、日本でも低コストが実現でき、投資家の皆様はより
9
バンガードの「所有者の手引き」
4. お客様の預け入れ資産の流れ
こんにち、技術の発達により、投資家がミューチュアル・ファンドに投資する
手続きは非常に簡単になりました。運用会社のオンライン・アカウントにロ
グインし、簡単かつ迅速にファンドを購入・売却したり、1つのファンドから別
のファンドへと資金を動かしたりさえできます。
しかし、
お客様がバンガード・ファンドを購入・売却されるそのときに、バンガー
ド側では何が起こっているのだろうと不思議に思われたことはありませんか?
バンガードがお客様のファンド購入・売却取引を執行するにあたっては、社外
の人がまず目にすることのない、複雑な一連の作業を必要とします。
ここでは、
米国最大のミューチュアル・ファンドであるバンガード トータル・ストック・マー
ケット・インデックス・ファンドを例に、
お客様がファンド受益証券を購入される
際の、バンガード内部のプロセスをご説明します。
バンガード個人投資家グループのマネージング・ディレクター、ポール・ヘラーは、
「バンガードでは、電子メールや郵便などの手段
にかかわらず、お客様が当社従業員とのやりとりやファンドの売買取引を円滑に行っていただけるように、
日々努力しています」
と言
います。
「お客様のファンド売買の注文を受け付けてから、お客様が売買取引の完了を確認されるまでの間に、人・プロセス・システ
ムの間で絶妙な連携プレーが行われるのです。
」
技術の進歩によって取引の多くが自動化されたとはいえ、今でも何千人というバンガードの従業員が、
日々、業務の円滑な進行を
支えています。
お客様からお預かりした資産の運用に直接従事する担当者だけでなく、他の従業員もまた、サポートや管理といっ
たかたちで関与しています。
それら全てを支えているのは、お客様の財産と情報を保護し、
あらゆる規制要件を確実に満たすよう
設計された、包括的なコントロールです。
お客様からのファンド売買注文を処理する
キャッシュ・フローの管理
フィラデルフィア郊外にあるバンガードの処理センターで
バンガードの口座でミューチュアル・ファンドを購入したお
が処理されています。
ピングとファンド投資家向けサービスの提供を行う)ザ・バ
は、毎日、金額にして何百万ドルというファンド売買の注文
客様の資金は、
まず、
(バンガード・ファンドのレコードキー
ンガード・グループ名義の銀行口座へ振り込まれます。
ファ
ンド購入注文の処理が終わると、その資金は、お客様の購
入したファンドが保有する銀行口座へ移されます。
こうした資金の移動は、バンガードのファンド・ファイナン
シャル・サービス部門が監督しています。同部門の従業員
はまた、1日を通して、お客様によるバンガード・ファンドの
売買をモニターし、ファンドのポートフォリオ・マネージャー
に報告します。
この報告に基づいて、ポートフォリオ・マネー
ジャーは、ファンドからの入出金のより正確な予測を立てる
ことができます。
10
www.vanguardjapan.co.jp
ファンドのポートフォリオ組入れ銘柄の
トレードの執行
ファンドのプライシングに関する作業は大きく2つに分かれます。
まず、
ファンドに組み入れられているポートフォリオ保有証
午後遅くになると、株式ファンドのポートフォリオ・マネージャー
券銘柄(1日あたり合計約7万5,000銘柄)の価格データを、
できており、
ファンドのポートフォリオからどれほどの組入れ株
得します。
このプロセスは自動化されており、金融市場から
て、
その情報に基づいて、市場の引け時に購入する株式銘柄リ
ファンド会計システムに供給します。
ただし、バンガードの
は、
その日にどれくらいのキャッシュが入ってきそうか大体予測
式銘柄のトレードを実行する必要があるのか判断します。
そし
ストを作成します。
株式ファンドのポートフォリオは、何千もの銘柄を保有する
場合もあります。例えば、
トータル・ストック・マーケット・イン
デックス・ファンドは3,500銘柄以上の株式を保有しています。
市場引け時すなわち米国東部標準時午後4時の直後に取
情報を収集するベンダーが、証券価格情報をバンガードの
証券プライシング・チームがこの自動プロセスを注意深く
モニターして、
データの正確性を確認しています。
次に、保有証券銘柄の価格およびその他の会計情報(日々
のファンドの支払勘定と受取勘定を含む)に基づいて、各
ファンドのNAVを算出します。計算は自動化されています
ファンド投資家による取引(ファンドの購入・売却・交換など)
が、
ファンド分析チームが価額の正確性をチェックします。
ほんの一部でしかありません。分配金の再投資、M&Aなどの
は、
ファンドのNAVがベンチマークのNAVと連動している
柄の入れ替え
(インデックス・ファンドの場合)なども、
ファン
査し、問題を解決します。
は、
ファンドのポートフォリオ組入れ銘柄のトレード要因の、
企業アクション、
ファンドのベンチマーク・インデックス構成銘
ドのポートフォリオからトレード実行すべき証券銘柄を決定
する要因となります。
ポートフォリオ・マネージャーは、
トレーディング・プラット
フォームを通じて、その日の証券銘柄トレードの注文を証
券会社へ送信します。バンガードのファンドのトレード情報
が他の投資家に利用されることのないよう、
トレーディング・
プラットフォームを通じたトレードは匿名で行われます。
ポートフォリオ・マネージャーと密接に連携して作業するサ
ポート・チームが、ポートフォリオ・マネージャーの注文通り
株式インデックス運用ファンドの場合、最初のチェック項目
かどうかということです。
ここに乖離があるときは原因を調
ファンドのNAV情報は、翌朝の新聞で発表するための締切で
ある午後6時5分までに、
ナスダックへ送信しなくてはなりま
せん。
ナスダックは受け取った情報を情報購読者(ブルーム
バーグやロイターなどのマーケット情報提供会社を含む)に
対して配信します。
午後6時半には、
ファンドの最新のNAVが米国バンガードの
ホームページ上に掲載されます。
ファンドNAVはバンガードの
レコードキーピング・システムにも送信され、お客様のファンド
購入注文によって何口が購入されたのかが計算されます。
に全てのトレードが執行されていることを確認します。
ファンドのプライシング
1日の終わりには、再びファンド・ファイナンシャル・サービス
部門の出番となります。
ファンド・プライシング・チームが、バン
ガード・ファンドの基準価額(NAV)
を算出するのです。
このプ
ロセスも非常に複雑で、従業員・入念に設計された手続き・複
数のコンピューター・システムの相互作用、
という三者の協力
によって、
プロセスの正確さとタイムリーさを確保しています。
これにて、米国バンガードのお客様のバンガード・ファンドのご
購入は無事完了いたしました。
このたびはバンガードをご利用
いただき誠にありがとうございます。
今後ともお引き立てのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
11
バンガードの「所有者の手引き」
5. 能力の発掘 ―― 世界に通用する運用マネージャーを探して
バンガードはインデックス運用の第一人者としてよく知られています。バンガードはまた、アクティブ運
用の株式ファンドにも深く根を下ろしており、そのスポンサーとして全米第4位の規模を誇ります。低
コスト運用を旨とするバンガードは、インデックス運用も低コストのアクティブ運用ファンドも、
どちら
も投資家のポートフォリオにとって重要な役割を果たすと考えます。
市場平均以上のリターンを上げたい投資家のために、バンガードでは業界平均を大幅に下回るコスト*
で、世界に通用する運用マネージャーの運用するアクティブ運用商品をご提供します。
ここでは、バン
ダン・ニューホール
ガードがどのようにして世界に通用する運用会社を発掘し、管理しているかをご紹介します。
(注:本稿では、
「運用マネージャー」
とはファンドのポートフォリオの運用を担当する個人ではなく、
その属する運用会社を指します。)
市場平均を上回る実績を上げるのは
どの会社か?
大半のアクティブ運用株式ファンドが、長期的にはベンチ
マークを下回る運用実績となることを示す証左が、 には
あふれています。バンガードでは、投資家の皆様の投資成
功の可能性を高めるため、長年にわたり開発と改良を重ね
てきた段階的プロセスよって、傑出した運用マネージャー
を見出すことに努めています。
主な選択基準は6つ
まず、運用マネージャーのデータベースや業界カンファレン
ス、出版物、そしてバンガードの既存マネージャーからの紹
介などを通して、候補を特定します。次にスカウト・チームが
6つの定性的・定量的基準に基づいて候補を絞り込みます。
その基準とは、企業・人材・投資理念・投資プロセスという4
つの「推進力」、
また、その運用会社の既存のポートフォリオ・
運用実績という2つの「結果」です。
運用マネージャーの発掘を監督するのは、CEOのビル・マ
上記の他にも、運用マネージャー候補の倫理基準や所有構
同委員会は毎月会合を開き、市場、ポートフォリオ、資産運
人材に関する評価は、投資を行う人材層の厚み、経験年数、
年1回は、バンガードの各ファンドのポートフォリオ・マネー
委託に対する対応能力などを基に評価します。投資理念と投
ジャーには、バンガードが自家運用するアクティブ運用ファ
信条やアプローチの有無をチェックします。ポートフォリオと
クナブと、上級経営陣から成る委員会です。マクナブCEOと
造の安定性などをチェックします。運用マネージャー候補の
用委託内容、運用マネージャー等に関して話し合うほか、
専門知識、継続性、危機管理プランに加え、多額の資産運用
ジャーとも会合を持ちます。そうしたポートフォリオ・マネー
資プロセスの評価にあたっては、長年にわたり一貫性のある
ンドおよびインデックス運用ファンドのポートフォリオ・マ
運用実績の評価は、ベンチマークや同業他社と比較した実
ネージャーも含まれます。
績、様々な市場環境下での実績に基づいて行います。
運用マネージャーの発掘を実際に担当しているのは、専任
バンガードでは、お客様の資産を預かって運用するという
ルで構成されています。
このチームを率いるダン・ニュー
資源を投じており、また運用マネージャーとの間に長期的
のスカウト・チームで、20名の経験豊かなプロフェッショナ
重責を真
に受けとめ、運用マネージャーの発掘に多くの
ホールは、
「 我々は、有能な運用マネージャーがいないか、
な関係を築くことを目指しています。実際、バンガードは、先
採用できるよう、スカウト・チームは毎年約150社の運用マ
する運用会社30社とは、平均15年という長期的な関係を
と常に目を光らせています」
と言います。必要なときにすぐ
ネージャー候補とミーティングを行い、バンガードの資産
運用委託内容に対する適性を評価しています。
12
www.vanguardjapan.co.jp
に挙げたバンガードのアクティブ運用ファンドに対し助言を
築いています。
低い手数料、長期的なインセンティブ
バンガードのスクリーニングを通過した候補者に対しては、
バンガードのアクティブ運用ファンドに対し
助言をする運用会社の一覧(2014年1月現在)
きい額の資産を委託する代わりに、運用報酬(運用資産残高
Acadian Asset Management LLC
バンガードが採用する外部運用会社の大半は、基本報酬に
Armstrong Shaw Associates Inc.
適切な距離を保ちながら、バンガード以外と比べはるかに大
に一定の比率をかけたもの)
を低く抑えるべく、交渉します。
対して運用実績に応じた成功報酬を上乗せした報酬を受け
取ります。ベンチマークを上回る運用成績を上げた場合は見
返りを得て、ベンチマークを下回る運用成績の場合は不利益
になる、実績に応じた報酬体系を採用することにより、運用マ
ネージャーと投資家との利益を一致させるようにします。
バンガードはそれぞれの運用会社を、採用時と同じ6つの評
価基準に基づいて、能動的かつ独立的にモニターします。そ
の結果、キャッシュがそれ以上流入すると既存の投資家のた
めに効果的な運用実績を上げられない恐れがあると判断し
た場合は、
ファンドの販売を一時的に停止することもありま
す。
また、状況によっては運用マネージャーを交代させること
もありますが、そのような事態は非常に稀です。ニューホー
ルは、
「どんな運用マネージャーでも業績が落ち込むことは
あるので、バンガードでは長期的な視点から忍耐強く見守り
ます。運用実績だけに基づいて運用マネージャーを採用し
たり契約を打ち切ったりしたことは一度もありません。最も重
要なのは、その会社とその人材が信頼できるか、
ということ
です」
と説明します。
最も有能なアクティブ運用マネージャーであっても、ベンチ
マークを上回る運用成績を保証することはできません。
しか
し、バンガード・ファンドの実績を見ると、バンガードの象徴と
も言える
「低コスト」
と、
「アクティブ運用マネージャーを採用
する際の厳格かつ規律あるプロセス」の組み合わせの利点
は明らかです。
リッパーのデータによると、2013年9月30日
までの10年間で、バンガードのアクティブ運用株式ファンド
38本のうち35本(92%)が、同種同等ファンドの年間リターン
ARGA Investment Management, LP
Baillie Gifford Overseas Ltd.
Barrow, Hanley, Mewhinney & Strauss, LLC
Cardinal Capital Management, L.L.C.
Century Capital Management, LLC
Chartwell Investment Partners, L.P.
D. E. Shaw Investment Management, L.L.C.
Delaware Investments Fund Advisers
Donald Smith & Co., Inc.
Edinburgh Partners Limited
Frontier Capital Management Co., LLC
Granahan Investment Management, Inc.
Hotchkis and Wiley Capital Management, LLC
Jennison Associates LLC
Kalmar Investment Advisers
Lazard Asset Management LLC
Los Angeles Capital
M&G Investment Management Limited
Marathon Asset Management LLP
Oaktree Capital Management, L.P.
PRIMECAP Management Company
Pzena Investment Management, LLC
Sanders Capital, LLC
Schroder Investment Management North America Inc.
Stephens Investment Management Group, LLC
Sterling Capital Management LLC
Wellington Management Company, LLP
William Blair & Company, L.L.C.
の平均を上回っています。*
*2012年12月31日現在、バンガードのアクティブ運用ファンドの年平均エクスペンスレシオは0.28%でした。
それに対し、
トムソン・ロイターのグ
ループ会社であるリッパーによると、業界平均は1.14%でした。同じくリッパーによると、2013年9月30日までの10年間で、バンガードのアクティブ
運用株式ファンド38本のうち35本が、
リッパーの定める同種同等ファンド群のリターンの平均を上回りました。上記以外の運用期間においては上
記と異なる分析結果が得られる可能性があります。比較対象は10年間以上の運用実績があるファンドのみとしました。運用実績は過去の実績を表
すものであり、将来の実績を保証するものではないことにご注意ください。すべての投資はリスクを伴います。
13
バンガードの「所有者の手引き」
6. バンガードの投資理念 ―― 顧客の長期的な利益を最優先に
規則は、煩わしさと恩恵とを同時にもたらすことができるでしょうか。
バンガード・ファンドの投資家の皆様の中には、バンガードの投資方針の一部に違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
投資家が不便とお感じになるのもご尤もですが、
しかしバンガードが規則を厳守するのにはそれだけの理由があります。バンガー
ドのポートフォリオ・レビュー部門シニア・マネージャーのマーティン・クレップは、
「バンガードの投資方針は、長期投資家の利益を
守るためのものです」
と言います。
バンガードの重要な投資方針と、それがどのように長期投資家の利益につながるのかについて、
ご紹介します。
ファンドの販売の一時停止
バンガードでは、1980年代から、
アクティブ運用ファンドの
受益証券の新規購入の受付を一時的に停止することがあり
ました。その理由は主に2つあります。
ファンドの運営可能な
規模の限界を超えないようにすること、そして
「ホットマネー」
の流入を防ぐことです。
全てのアクティブ運用ファンドには規模の限界があります。
その限界を超えてしまうと、ファンドの元々の資産運用委
託内容を維持しながら新規に流入してくる資金を生産的
な方法で運用することが、難しくなります。また、
「ホットマ
ネー」は、ファンドの規模の上限に対する、望ましくないプ
レッシャーの源となります。
典型的なシナリオとしては、あるファンドが傑出した運用実
績を短期的に実現して、非現実的な高リターンが今後も続
重視するのは、数日単位の短期ではなく、
数十年単位の長期
バンガードは長期的な投資アプローチを信条としています。
長期投資家の皆様を、そうでない投資家による高頻度ファ
ンド売買のコストから守りたいのです。
バンガードの高頻度売買ポリシーでは、ファンドの投資家
が、1つのファンドを短い期間に高速で何度も売却したり購
入したりして資金を出し入れすることを制限しています。バ
ンガードのミューチュアル・ファンドを売却または入れ替え
した投資家は、取引方法の電話・オンラインを問わず、60
暦日間は同じファンドを購入または再び入れ替えすること
ができません。
このルールの趣旨は、投資家の皆様が、資産
を効果的に運用しながらも、長期的な視点をお持ちになる
ようにというものです。
くと期待する投資家からの資金が、そのファンドに殺到す
ただし、マネーマーケット・ファンドや多くの短期債券ファンド
た資金は、
リターンが通常に戻るとすぐに流出することは、
す。
また、上場投資信託(ETF)は証券ブローカーを通して取
ることがあります。
リターンが急激に上昇した直後に流入し
歴史が証明しています。
ファンドの販売停止は、そのファンドに投資したい人たちに
とっては苛立つルールかもしれません。
しかし、バンガード
には高頻度売買ポリシーは適用されず、いつでも売却できま
引されるため、高頻度売買ポリシーは適用されません。
バンガードが運用する180本以上のファンドのうち、一部の
ファンドは取引コストの高い市場に投資するため、購入時
は安易に販売停止にしているわけではありません。むしろ、
と売却時の両方でそれぞれ手数料(信託財産留保額)がか
ると考えて実行しています。
ァンドに支払われ、少数の投資家が売買によって発生させ
既存の投資家の利益を守るために最も効果的な方法であ
かります。
この信託財産留保額は、バンガードにではなくフ
るコストを、残りの大多数の投資家が負担させられることの
ないように、
ということを意図しています。
14
www.vanguardjapan.co.jp
投資の固辞
販売継続中のファンドであっても、バンガードでは時として投資をお断りする場合があります。
それぞれのファンドは取引金額の上限が設けられています。1回の購入希望金額が取引金額の上限を超える場合、
ファンドの
ポートフォリオ・マネージャーまたはポートフォリオ・レビュー部門による検討が行われます。投資を受け入れるかどうかは、その
投資の時間枠によって判断されます。
クレップは、
「既にバンガードに投資してくださっているお客様を優先すべきだと、当社では考えているのです」
と言います。
ご留意事項
マネーマーケット・ファンドへの投資は連邦預金保険公社(FDIC)やその他政府機関によって保証されるものではありません。
マネーマーケット・ファンドでは1口1ドルの額面価格の維持を目指していますが、元本割れとなる恐れもあります。
15
バンガードの「所有者の手引き」
7. 取締役 ―― その視点
バンガードの取締役を長く務めている、アルフレッド・M・ランキン・ジュニア、
ラジブ・L・グプタの両氏
が、それぞれの役割、投資に関する視点、バンガードの所有構造、そして、競争の激化する中でなぜバ
ンガードが投資に最適な運用会社であり続けるのか、インタビュー形式でお話しします。
ランキン氏は
ハイスター・イエール・マテリアルズ・ハンドリング/NACCOインダストリーズ社の会長・社長兼最高経
営責任者(CEO)です。
グプタ氏はローム・アンド・ハース社の元会長・社長兼CEOです。
アルフレッド・M・
ランキン・ジュニア
ザ・バンガード・グループの取締役であると同時にバンガードのミューチュアル・ファンドのトラスティー
(受託者委員会)のメンバーでもあるという、二重の役割について説明してください。
ランキン:一本一本のバンガード・ミューチュアル・ファンドの受託者委員会のメンバーとして、私は他の
受託者と共に、
ファンド投資家の皆様に対して第一義的に責任を負い、各ファンドがその資産運用委託
内容に基づき健全に運営されることを確実にします。受託者委員会はバンガード社内外のポートフォリ
オ・マネージャーと会い、
ファンド運用にかかる全ての事項が適用法規制に準拠し、適切に運営されてい
るかどうかレビューします。
バンガード社の取締役 兼 受託者委員会メンバーというポジションは、バンガードのユニークな所有構
ラジブ・L・グプタ
造という文脈の中で、バンガードにとって大きな強みとなります。バンガード社はバンガードの米国籍ミ
ューチュアル・ファンドの投資家によって所有されており、実費ベースでサービスを提供しています。バン
ガードでは全てのファンドにおいて、
ファンド運用と管理の両面で適切な運営を徹底しています。取締役
と受託者委員会メンバーの両方の役割を担う私達の、中心的な責任とは、投資家の皆様に対するもので
あり、一本一本のファンドが適切に運営されるようにすることです。
グプタ:この、取締役と受託者委員会メンバーの両方の役割を担うというモデルは、バンガード・ファンド
の投資家の皆様にとって、そしてまたバンガードにとって、
ファンドとバンガード社それぞれに別々の取
締役会を設定するよりも、
うまく機能していると思います。バンガードでは、その企業構造上、取締役と受
託者委員会の責任は同一です。つまり、顧客へのサービス提供、低コスト、そして運用リスクや事務リス
クを適正な低い水準に抑えることへの責任です。
バンガードの取締役の役割は、
ファンド運用と取締役会とを密接に連携させることで、
シーム
他の公開・非公開企業に比べて大きく違いますか。
レスな企業経営が可能となっています。
とはいえ、
ガバナンス
ランキン:
「バンガード社をバンガードの米国籍ミューチュア
ードの取締役会も、他のすべての公開・非公開の企業や非営
ル・ファンドの投資家が所有する」
という構造であるがゆえ
に、外部株主のために短期的な利益を出すのではなく、
ファ
ンド投資家の利益のために熟慮した長期的な視点のアプロ
ーチをとることが可能です。上場企業の多くは目先の利益を
追求しがちです。
しかしバンガードでは、バンガード社の取
の観点から取締役会が考えるべき事項という点では、バンガ
利団体等の取締役会と全く同様の責任を負っています。
バンガードでの経験が、投資に対する考え方に影響を与えたり、
変化させたりしたということはありましたか。
締役またはバンガード・ファンドの受託者委員会のいずれの
ランキン:私は20年前にバンガードの取締役になりました。当
長期的な視点で働くことになるのです。
在ほど広くは理解されていませんでした。少なくとも私自身は
役割に身を置いても、
ファンド投資家の利益のために熟慮し
グプタ:バンガードは、顧客が同社の唯一の株主であるという
点で、資産運用業界の中でもユニークな企業です。
その結果、
バンガードは透明性をきわめて高く保ち、
「存在意義を維持し
つつ最高の価値を顧客に提供するには何をすべきか」
を積
極的に考えることが可能です。顧客と株主の利害を一致させ、
時の資産運用業界では、バンガードの理念や投資哲学は、現
バンガードの理念について良く知りませんでした。
しかし、
その
後のバンガードでの経験を通して、今では「投資」
と聞くと真っ
先に
「バンガードの理念」が頭に浮かぶようになりました。
バン
ガードでの経験を通して、低コストの利点、長期的な視座、分散
投資、
インデックス運用など、多くのコンセプトを学びました。
20年前と比べて、
自分自身の投資理念が非常に明確になった
と思います。
16
www.vanguardjapan.co.jp
グプタ:2008∼2009年の金融危機によって、個人投資家は
ことです。市場が過熱している、
あるいは過小評価されている
運用ファンドやオルタナティブ投資であっても、長期的に市場
メッセージを発信すべきかを理解して、大局的な視点に立つ
確認されたと思います。
さらに、
オルタナティブ投資は流動性
な根拠とに基づいたメッセージを送ることが非常に重要です。
もちろん、投資に精通したプロの精鋭が管理するアクティブ
平均を上回る運用実績を達成するのは困難であることが、再
を大きく欠いており、投資家が必要や希望に応じていつでも
簡単に解約できるわけではないことも明らかになりました。
し
かし、バンガード・ファンドには十分な流動性が確保されてい
ます。私の取締役在任中にも、市場の浮き沈みの中で、バン
ガードが提案する低コストのインデックス運用の利点が実証
されたと思っています。
金融サービス企業間での価格競争が高まるなか、
バンガードは
顧客の資産の最良の管理者として、
どのように差別化を図って
いくのでしょうか。
難しい経済環境の中では、バンガードが投資家にどのような
ことが肝要です。取締役会の立場で申し上げても、熟慮と確か
規制当局から厳格なリスク管理が求められる現在の環境下に
あって、バンガードでは、
リスク管理・内部監査・コンプライア
ンスの面で最高のベストプラクティスを実行し続けることで対
応しています。
これは規制の観点からだけでなく、投資家の観
点からも正しい行動だといえます。なぜなら、そうした責任を、
最良の方法で実行するということは、バンガードのレピュテー
ション(評判)にも大きく影響するからです。
もちろん、競合環境は事業戦略上、
また日々の業務を行う上で
も、常に考慮すべきことです。競合状況について深く分析した
ランキン:まずバンガードは、競合他社よりもはるかに大きい
評価レポートが、定期的に取締役会に提出されます。取締役
す。
「バンガード社の所有者とはバンガードの米国籍ミューチ
スを長期的に提供し、最高水準の価値を提供し続ける方法を
スケールメリットを維持することに、引き続き注力していきま
ュアル・ファンドである」
という企業構造が、
スケールメリットを
投資家へ提供することを可能にしています。第2に、バンガー
ドはこれからも、卓越したサービスや能力の提供に集中して
いきます。バンガードのサービスの品質、
ファンド運用の品質
は、投資家の皆様から広く認められるところとなっています。
あらゆる面で、バンガードはそのユニークな企業構造に基づ
いて投資家の利益を最優先することにより、今後も、他社とは
一味違う強みを持った企業であり続けるでしょう。
グプタ:バンガードはコストを低減し続けることができます。
しかし、バンガードのメッセージは「低コスト」だけではありま
せん。
この点はしっかりお伝えしておきたいと思います。バン
ガードは、
「自社の利益と顧客投資家の利益を一致させるユ
ニークな企業構造を持っている」
ということを投資家の皆様
にご納得いただいて、投資家の皆様とのあいだに信頼関係
を築いていきます。
また、
コスト低減にも細心の注意を払いま
すが、それと全く同様に、
リスクの低減にも細心の注意を払っ
ています。最後に、新商品を追加し、
また他社に先駆けて新商
品の追加に取り組みます。バンガードは信頼できる、頼れる
企業としてだけでなく、革新的な企業としても投資家の皆様
に認知していただくことを目指すからです。
会は、それを参考にしながら、投資家の皆様に最高のサービ
検討します。
グプタ:バンガードの経営陣は取締役会に対して、競争力に
ついて常に鋭い視点で考えるよう熱心に働きかけ、
また、その
ために最高の資源を投入しています。例えば、バンガードがグ
ローバル化やインターナショナル(非米国)事業に関して今ま
で以上に積極的になったのは、取締役会が長年かけて何度も
検討を重ねた結果です。
バンガードの競合他社のあいだで見られる変化の1つに、競
合他社が多様な事業ラインナップを展開するようになり、別
の事業ラインナップの貢献によって、バンガードに匹敵する低
コストを提供する場合が出てきていることが挙げられます。
し
たがってバンガードでは、
自分たちのしていること、すなわち
コスト低減を、
どうやったらいっそう推進できるかを考えるだ
けでは十分ではありません。競争力を高め、
これからもバンガ
ードのお客様に優れたサービスを提供し続けるためには、他
にどのような手段を取ることができるか、常に検討する必要が
あります。今まさに戦略的な検討が行われている最中であり、
先ほども述べた通り、経営陣は取締役会に熱心に働きかける
とともに、社外からの情報も積極的に取り入れています。
バンガードはこの数年間で急成長を遂げました。同時に、周
囲の環境は経済面でも規制面でも厳しく、競争も激化してい
ます。
これらの要素は、バンガード取締役会の打ち出す、将来
に向けた戦略に、
どのように影響していますか。
ランキン:経済環境、規制環境、競合環境、
これらは全て、バ
ンガードの長期戦略を検討する際に、取締役会が考慮する
17
バンガードの「所有者の手引き」
8. 将来 ―― 長期的に持続する企業の原動力
投資で成功するには、長期的な視点を持ち、長期的な投資機会を追求しつつ短期的な緊急事態に対処
していく能力が必要です。バンガードという企業の運営においても同じことが言えます。
バンガードのストラテジー・アンド・ファイナンス・グループのマネージング・ディレクター、
グレン・W・
リードは、
「事業計画というのは、つきつめると、現在と将来のトレードオフ」だと言います。
「一方では『現行年度の営業コストを節約して既存投資家顧客のために経費率を低く抑える』
ということ
グレン・W・リード
と、
もう一方では『将来の成長の促進、
リスクの軽減、顧客のサービス・エクスペリエンスの改善を目標とし
て適切な長期投資を行う』
ということの間で、
うまくバランスをとることが必要です。全ては、最終的にファ
ンドの経費率を将来的に下げることが目標です。バンガードが、高価値なサービスを犠牲にすることなく、
低コストファンドの第一人者としての地位を長年にわたって維持するためには、
こうした長期的な支出が
必要なのです」
とリードは言います。
ここでは、バンガードの長期的視野に基づいた継続的なコスト管理の事例を2つご紹介します。
ベンチマークの変更と手数料削減
次の100年に向けたインフラ整備
2012年、バンガードが22本のインデックス・ファンドのベンチ
バンガードはまた、別の長期プロジェクトとして、
グローバル・
マーク変更を発表したことで、投資業界に衝撃が走りました。
この変更には、200名以上のバンガード従業員による、6カ月
にわたる注力と1万9,000件以上の証券売買取引を要しまし
た。バンガードは、証券取引件数および取引コスト、ならびに
ベースの投資運用インフラについても大幅な改善に取り組ん
でいます。
こんにち、バンガードは世界80カ国以上のお客様に
サービスを提供しており、
データ管理・取引注文管理・法令順
守・リスク監視等における改善のニーズは高まる一方です。
実現キャピタルゲインを最小限に抑えながら、ベンチマーク
グレン・リードは、
このプロジェクトによって全てのバンガード
16本の米国株式インデックス・ファンドおよびバランス型イ
される予定だと言います。
その結果、取引は24時間体制で、今
の変更を完了させることができました。2013年半ばまでに、
ンデックス・ファンドが、MSCIベンチマークからシカゴ大学証
券価格調査センター(CRSP)の開発した新しいベンチマーク
に、
また、6本の国際株式インデックス・ファンドがMSCIベン
チマークからFTSEベンチマークに、それぞれ移行しました。
CRSPとFTSEのインデックス使用料に関して、バンガードでは
両社と長期契約を結ぶことにより、
インデックス使用料を低く
抑えられるようになりました。ベンチマーク変更は、投資家の皆
様にとって、長期的に見て大きな節約につながることでしょう。
グレン・リードは、
「従来のインデックス・プロバイダーとの契
約では、
インデックス使用料は将来的に上昇を続けていく変
動コストでした。バンガードはインデックスを変更することで、
それを固定コストに変えました。
その結果、バンガード・ファン
ドはより一層のスケールメリットを追求することができ、それ
によって今後も更にお客様の投資コストを低減していくこと
ができます」
とコメントしています。
18
www.vanguardjapan.co.jp
の取引業務が同一の技術システム・プラットフォーム上に統合
まで以上に迅速かつ効率的に執行されることになります。
リードは「世界中からお客様がバンガードへと集まって来ら
れる限り、バンガードはグローバルな投資運用能力を拡大し
なくてはなりません。投資業界のグローバル化・複雑化は進
んでおり、たとえバンガード自体がそれほど急成長していな
かったとしても、企業インフラの拡張は必要不可欠なのです」
と述べます。
このプロジェクトは段階的に実行され、数年間をかけて完了す
る予定です。
「バンガードでは、投資する際は長期的な視点に立つようお客
様に勧めています。
それと同様、バンガード自身もその企業経
営において長期的視点が必要なのです」
とリードは言います。
「バンガードが目指しているのは、100年続く企業を作ること
です。
」
ご留意事項
全ての投資にはリスクが伴い、それには投資元本の損失リスクも含まれます。
米国籍投資信託の取引に関する情報
リスクに関する情報
当ファンドは、株式や公社債を実質的な主要投資対象としており、株式や公社債の投資に係る価格変動リスクを伴います。
一般に、株式の価格は個々の企業の活動や業績、市場・経済の状況等を反映して変動し、また、公社債の価格は市場金利
の変動等を受けて変動するため、当ファンドはその影響を受け、基準価額が下落し、損失を被ることがあります。当ファンド
の基準価額の変動要因としては、主に「価格変動リスク」や「為替変動リスク」、
「カントリーリスク」、
「信用リスク」、
「流動性リ
スク」などがあります。
当ファンドは外貨建資産に投資し、原則として為替ヘッジを行いませんので、為替変動の影響を受け、基準価額が下落し、損
失を被ることがあります。
したがって、
ご投資家の皆様の投資元金は保証されているものではなく、基準価額の下落により、
損失を被り、投資元金が割り込むことがあります。
詳しくは販売会社より交付されます投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
手数料に関する情報
売買等取引に掛かるコストにつきましては販売会社にてご確認ください。
ファンドへの投資家は間接的にその投資期間分のエクスペンスレシオを負担します。エクスペンスレシオとは、
ファンドの内
部で徴収される運用管理費及びその他費用です。エクスペンスレシオは毎年決算時に見直され、変動します。
詳しくは販売会社より交付されます投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
お取引に関する情報
バンガード・インベストメンツ・ジャパンは、金融商品取引業1種の登録を受けておりますが、お客様に金融商品取引の執
行に関わるサービスを提供しておりません。個別の金融商品取引に係わる説明、告知、
もしくは報告等、および同取引に係
わる売買代金の受け渡しも行っておりません。金融商品の売買を行う場合は、当社以外の金融商品取引業者からあらため
て必要な情報の入手し、法令上の手続きをお済ませのうえお取引下さい。
19
www.vanguardjapan.co.jp
バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社
2014 The Vanguard Group, Inc.
All rights reserved. Vanguard Marketing
Corporation, Distributor.
加入協会:日本証券業協会
ITV 012014
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第146号
Fly UP