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慶應義塾 環境・安全・健康への取り組み 2008

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慶應義塾 環境・安全・健康への取り組み 2008
慶應義塾 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット /表4_表1 (仕上りA4/タテ297×ヨコ210mm)
(表4)
(表1)
慶應義塾
環境・安全・健康への取り組み
2 0 0 8
慶應義塾 2008年5月発行
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
編 集:総務部
E-mail:[email protected]
http://www.keio.ac.jp/
慶應義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(表2)
(P.1)
福澤諭吉の環境 保 護の精 神を
受け継いで。
C o n t e n t s
2
塾長メッセージ
環境・安全・健康への取り組みについて
環 境 編
慶應義塾 2006年度環境負荷
4
特集1 キャンパスの環境配慮設計
6
今から114年も以前の明治27年のこと、慶應義塾の創立者・福澤諭吉は、
故郷大分県の中津にある景勝地・耶馬渓が売りに出されていることを知りました。
福澤は耶馬渓の大自然が心ない者の開発によって失われることを危惧し、
周防灘
山
国
川
福岡県
自身の名を伏せ、私財を投じて土地を購入、
宇佐市
自治体初の環境配慮性能格付
「CASBEE横浜認証制度」初の最高位
Sランクを取得した日吉キャンパス協生館
中津市
今、見ることのできる豊かな耶馬渓の自然を守ったのです。
経読岳
福澤のこの行為は、
自然を乱開発から守るために、
耶馬溪
青の洞門
耶馬溪ダム
8
市民が資金を出し合って土地を購入する
9
自然保護運動(ナショナルトラスト)の
11
先駆といえるものです。
12
福澤の自然や環境に対する高い意識は、
13
世紀を超えて慶應義塾の中で
14
連綿と受け継がれています。
16
17
18
20
22
■ 慶應義塾の概要
【 大 学 院 】
温室効果ガス削減状況
省エネルギー対策
大気汚染防止・節水
廃棄物削減・3R
化学物質管理
非感染性廃棄物の適正処理
実験系有害廃棄物の適正処理
水質管理 医療系廃棄物・放射性物質・PCBの管理
特集 2「中国環境研究会」活動レポート
瀋陽の砂漠に植林活動を展開、
総延長100kmの緑の砂防林を育てる
研究事例紹介
細田 衛士 経済学部教授
和気 洋子 商学部教授
大前 和幸 医学部教授
田中 茂 理工学部教授
福井 弘道 総合政策学部教授
田村 悦臣 薬学部教授
1858( 安政 5 )年 福澤諭吉、蘭学塾を創始
2005( 平成17)年 健康マネジメント研究科の開設
文 学 研 究 科 、経 済 学 研 究 科 、法 学 研 究 科 、社 会 学 研 究 科 、商 学 研 究 科 、
1863( 文久 3 )年 英学塾に転向
2008( 平成20)年 創立150年
医学研究科、理工学研究科、政策・メディア研究科、健康マネジメント研究科、
1868( 慶応 4 )年 慶應義塾と命名
学校法人共立薬科大学との合併
薬学研究科、経営管理研究科、
システムデザイン・マネジメント研究科、
メディア
慶應義塾大学 大学院
1874( 明治 7 )年 幼稚舎発足
薬学部 、薬 学 研 究 科の開設 、
システムデザイン・マネジ
デザイン研究科、法務研究科(法科大学院)
システムデザイン・マネジメント研究科教授
1890( 明治23)年 大学部発足
メント研 究 科 、
メディアデザイン研究科の開設
建築環境・省エネルギー機構理事長 (財)
【 沿 革 】
2004( 平成16)年 法務研究科(法科大学院)の開設
【 一貫教育校 】
1898( 明治31)年 一貫教育の完成
1899( 明治32)年 私学初の海外派遣留学生
【 慶應義塾の目的 】
1906( 明治39)年 大学院設置
慶應義塾は単に一所の学塾として自から甘んずるを得ず。其目的は我日本
1917( 大正 6 )年 医学教育の出発
国中に於ける気品の泉源、智徳の模範たらんことを期し、之を実際にしては
高等学校、志木高等学校、女子高等学校、湘南藤沢中等部・高等部、普通部、
中等部、幼稚舎、
ニューヨーク学院(高等部)
1920( 大正 9 )年 文・経済・法・医学部からなる総合大学へ
居家、処世、立国の本旨を明にして、之を口に言ふのみにあらず、躬行実践
【 学生・生徒・児童数 】
(2007年5月現在)
1934( 昭和 9 )年 日吉キャンパス開設
以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり。
(福澤諭吉)
[学部]通学課程27,908名、通信課程9,438名 [大学院]前期博士(修士)
課程2,592名、後期博士課程1,109名、専門職学位課程582名 [一貫教育
1944( 昭和19)年 藤原工業大学が寄付され工学部となる
1947( 昭和22)年 男女共学の実施
1957( 昭和32)年 商学部の開設
【 キャンパス 】
校]7,432名
三田キャンパス、
日吉キャンパス、矢 上キャンパス、信 濃 町キャンパス、湘 南
1962( 昭和37)年 ビジネス・スクール発足
藤沢キャンパス、芝共立キャンパス、新川崎タウンキャンパス、鶴岡タウンキャン
【 専任教員数 】1,883名(2007年5月現在)
1981( 昭和56)年 工学部を理工学部に改組
パス、浦和共立キャンパス
【 専任職員数 】3,211名(2007年5月現在)
1990( 平成 2 )年 湘南藤沢キャンパス
(SFC)に総合政策学部、環境情報
学部開設、
ニューヨーク学院(高等部)開校
1992( 平成 4 )年 湘南藤沢中等部・高等部開校
1994( 平成 6 )年 政策・メディア研究科の開設
2001( 平成13)年 看護医療学部の開設
【 学 部 】
文 学 部 、経 済 学 部 、法 学 部 、商 学 部 、医 学 部 、理 工 学 部 、総 合 政 策 学 部 、
【 帰属収入 】129,600百万円(2006年度)
環境情報学部、看護医療学部、薬学部、通信教育課程
【 土地面積 】1,231,966.60平方メートル(2006年度)
※学部以外の幅広い活動の場として研究所・附属施設を多数設置
【 建物面積 】645,606.21平方メートル(2006年度)
29
グローバルセキュリティ研究所 副所長
村上 周三 (独)建築研究所理事長
環境関連授業科目一覧
32 特集 3 環境週間レポート
「週間から習慣へ」をキャッチフレーズに、塾生・
教職員が連携して、環境を考え、実践する1週間
34 キャンパス環境トピックス
36 特集 4 SFC緑化
地域の自然を生かした緑豊かなキャンパスを
実現した湘南藤沢キャンパス
(SFC)
38 キャンパスの緑化活動
安 全・健 康 編
41 キャンパス耐震化と防災対策
42 安全・健康トピックス
慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.2)
(P.3)
環境・安全・健康への取り組みについて
慶應義塾は、環境、安全、健康に関わる課題について、教育、研究、医療、地域社会・国際社会への貢献、
キャンパス
の整備等々にわたり活発な活動を続けてまいりました。慶應義塾創立150年を迎えた記念すべき年にあたり、
これらの
活動をさらに推進し、
「環境・安全・健康キャンパス」の実現に向けた取り組みを進めるとともに、
国内外の環境の保全、
安全・健康の維持・向上に貢献していきます。
環境問題への取り組みは、
地球温暖化、
生態系、
水資源、
エネルギー資源、
砂漠化、
大気汚染、
海洋汚染、
排出量取
引等の国際社会に直接関わるグローバルな課題、
また排気ガス、排水、
ごみや廃棄物の処理、水や海や緑の環境の
環
境
編
保全、環境税など国内の各地域やコミュニティに直接影響する諸課題、
そして食べ残しや電気の消し忘れ、
あるいは
新品同様の物を捨ててしまうなど、個人の生活に密着した身近な課題等々の発見と解決、成果の持続と向上に向け
ての複合的な活動です。また、
グローバルな課題、
地域やコミュニティの課題、
個人生活の課題といっても、
そう単純に
切り分けられない面を持っています。
環境問題は、
人間の諸活動が環境の保全と調和しつつ社会が持続して発展するために向き合うべき基本的問題で
あり、人文・社会科学を含む多くの学問分野にわたる総合的な問題です。
とりわけそこには、人間の安全と健康の持
緑豊かで、環境に配慮したキャンパス設計、
ごみ問題
続的な維持・向上の必要性がきわめて密接に関連してきます。物理的・社会的・情報的・その他の安全性の維持・向
への塾生の取り組み、
“実学”
に根ざした「環境問題」へ
上は、
人間・社会と環境の相互作用を良好に維持し向上させるために最も大切な基盤の一つであります。
また、
心と体
の教育研究を通じたアプローチ。慶應義塾で展開さ
の健康維持と向上、地域コミュニティにおける健康のマネジメント、国際社会における健康安全保障等の問題も同様
です。たとえば、大気汚染の問題は環境問題であると同時に健康の問題であり、
また汚染源に対する安全性の問題
でもあります。
したがって、
環境の保全を、
安全および健康の維持・向上を含めて総合的に推進することが大切です。
慶應義塾では、
こうした考え方に基づき、環境問題への取り組みを環境の保全、安全・健康の維持・向上のための
総合的活動として、
これまでの活動を土台に、
私たちの身近な場である慶應義塾のキャンパスを基点とし、
学生・生徒・
児童や教職員による取り組みを通じ、
また地域コミュニティや国際社会との協力を通じて、推進していきたいと考えて
います。慶應義塾における環境・安全・健康への取り組みのいくつかの代表的な例については、
本冊子をご覧いただ
ければ幸いです。
慶應義塾は、創立150年を機に、
「環境・安全・健康キャンパス」の実現を目指すとともに、環境・安全・健康に関する
教育・研究・医療・社会貢献の活動を通じて国内外の社会にさらなる貢献を果たしていきます。環境・安全・健康
に関わる慶應義塾の活動への皆様の日頃からのご厚情に深く感謝申し上げますとともに、今後ともご指導ご支援を
賜わりますよう、
よろしくお願い申し上げます。
慶應義塾長
2
れているさまざまな取り組みを紹介します。
慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.2)
(P.3)
環境・安全・健康への取り組みについて
慶應義塾は、環境、安全、健康に関わる課題について、教育、研究、医療、地域社会・国際社会への貢献、
キャンパス
の整備等々にわたり活発な活動を続けてまいりました。慶應義塾創立150年を迎えた記念すべき年にあたり、
これらの
活動をさらに推進し、
「環境・安全・健康キャンパス」の実現に向けた取り組みを進めるとともに、
国内外の環境の保全、
安全・健康の維持・向上に貢献していきます。
環境問題への取り組みは、
地球温暖化、
生態系、
水資源、
エネルギー資源、
砂漠化、
大気汚染、
海洋汚染、
排出量取
引等の国際社会に直接関わるグローバルな課題、
また排気ガス、排水、
ごみや廃棄物の処理、水や海や緑の環境の
環
境
編
保全、環境税など国内の各地域やコミュニティに直接影響する諸課題、
そして食べ残しや電気の消し忘れ、
あるいは
新品同様の物を捨ててしまうなど、個人の生活に密着した身近な課題等々の発見と解決、成果の持続と向上に向け
ての複合的な活動です。また、
グローバルな課題、
地域やコミュニティの課題、
個人生活の課題といっても、
そう単純に
切り分けられない面を持っています。
環境問題は、
人間の諸活動が環境の保全と調和しつつ社会が持続して発展するために向き合うべき基本的問題で
あり、人文・社会科学を含む多くの学問分野にわたる総合的な問題です。
とりわけそこには、人間の安全と健康の持
緑豊かで、環境に配慮したキャンパス設計、
ごみ問題
続的な維持・向上の必要性がきわめて密接に関連してきます。物理的・社会的・情報的・その他の安全性の維持・向
への塾生の取り組み、
“実学”
に根ざした「環境問題」へ
上は、
人間・社会と環境の相互作用を良好に維持し向上させるために最も大切な基盤の一つであります。
また、
心と体
の教育研究を通じたアプローチ。慶應義塾で展開さ
の健康維持と向上、地域コミュニティにおける健康のマネジメント、国際社会における健康安全保障等の問題も同様
です。たとえば、大気汚染の問題は環境問題であると同時に健康の問題であり、
また汚染源に対する安全性の問題
でもあります。
したがって、
環境の保全を、
安全および健康の維持・向上を含めて総合的に推進することが大切です。
慶應義塾では、
こうした考え方に基づき、環境問題への取り組みを環境の保全、安全・健康の維持・向上のための
総合的活動として、
これまでの活動を土台に、
私たちの身近な場である慶應義塾のキャンパスを基点とし、
学生・生徒・
児童や教職員による取り組みを通じ、
また地域コミュニティや国際社会との協力を通じて、推進していきたいと考えて
います。慶應義塾における環境・安全・健康への取り組みのいくつかの代表的な例については、
本冊子をご覧いただ
ければ幸いです。
慶應義塾は、創立150年を機に、
「環境・安全・健康キャンパス」の実現を目指すとともに、環境・安全・健康に関する
教育・研究・医療・社会貢献の活動を通じて国内外の社会にさらなる貢献を果たしていきます。環境・安全・健康
に関わる慶應義塾の活動への皆様の日頃からのご厚情に深く感謝申し上げますとともに、今後ともご指導ご支援を
賜わりますよう、
よろしくお願い申し上げます。
慶應義塾長
2
れているさまざまな取り組みを紹介します。
(慶應義塾2006年度環境負荷) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.4)
(P.5)
●慶應義塾2006年度環境負荷
慶 應 義 塾 2 0 0 6 年 度環境負荷
各キャンパスの環境負荷のキーインジケーターとなるCO 2排出量をはじめ、エネルギー使用量、
一貫教育校
10万名
志木高・女子高・中等部・普通部・幼稚舎
1万名
(大学キャンパス内に設置の高等学校・湘南藤沢中・高等部を除く)
水道使用量、廃棄物量等の2006年度のデータをまとめました。
1千名
※( )内は対前年
三田キャンパス
教職員数
文学部2・3・4年
経済学部、法学部、商学部 3・4年
文学研究科/経済学研究科/法学研究科
社会学研究科/商学研究科/法務研究科
システムデザイン・マネジメント研究科、
メディアデザイン研究科(2008年8月まで)
2006年度CO 2 排出量
教職員数
学生数
11,645名
7,598CO 2-t( 95.2%)
エネルギー使用量
138,955GJ( 94.5%)
電気使用量
11,314千kWh(99.0%)
ガス使用量
3
634千m(80.5%)
水道使用量
3
73千m(93.1%)
リサイクル率
396.2t
(93.3%)
71.2%(+11.4%)
日吉キャンパス
学生・生徒数
文学部、医学部、薬学部1年
経済学部、法学部、商学部、理工学部 1・2年
システムデザイン・マネジメント研究科、
メディアデザイン研究科(2008年9月以降)
経営管理研究科
高等学校
547名
13,166名
エネルギー使用量
慶應義塾全体
987名
2006年度CO 2 排出量
廃棄物量
教職員数
教職員数
63,516CO 2-t( 98.5%)
エネルギー使用量
1,180,842GJ( 98.2%)
電気使用量
85,842千kWh(100.4%)
ガス使用量
3
7,604千m(93.2%)
水道使用量
廃棄物量
リサイクル率
3,527千kWh(98.4%)
ガス使用量
3
94千m(91.7%)
灯油使用量
23KL
水道使用量
3
46千m(88.4%)
廃棄物量
───
40,305名
2006年度CO 2 排出量
灯油使用量
39,498GJ( 97.6%)
電気使用量
5,077名
学生・生徒・児童数
3,663名
2,210CO 2-t( 97.7%)
芝共立キャンパス
薬学部 2・3・4・5・6年
薬学研究科
教職員数
学生数
23KL
2006年度CO 2 排出量
3
837千m(94.0%)
エネルギー使用量
2,775.1t( 96.2%)
45.8%(+3.1%)
3
196千m(107.5%)
水道使用量
3
28千m(108.6%)
廃棄物量
105,372GJ( 96.3%)
リサイクル率
ガス使用量
3
446千m(84.3%)
水道使用量
3
106千m(86.0%)
廃棄物量
274t( 79.4%)
42,882GJ( 101.7%)
3,490千kWh(100.3%)
エネルギー使用量
8,740千kWh(99.6%)
1,019名
2,345CO 2-t( 101.5%)
ガス使用量
5,778CO 2-t( 96.8%)
電気使用量
97名
電気使用量
2006年度CO 2 排出量
リサイクル率
146.3t( 115.2%)
15.0%(−0.7%)
(2006年5月共立薬科大学のデータを芝共立キャンパスとして記載)
30.2%(−10.1%)
教職員数
信濃町キャンパス
理工学部 3・4年
理工学研究科
学生・生徒数
医学部 2・3・4・5・6年
看護医療学部3年
医学研究科
慶應義塾大学病院
矢上キャンパス
教職員数
学生数
2006年度CO 2 排出量
エネルギー使用量
電気使用量
428名
3,904名
10,840CO 2-t( 100.0%)
199,370GJ( 99.8%)
教職員数
学生数
15,646千kWh(101.0%)
3
ガス使用量
1,037千m(96.1%)
水道使用量
3
110千m(95.8%)
2,483名
湘南藤沢キャンパス
297名
6,068名
2006年度CO 2 排出量
7,495CO 2-t( 99.0%)
エネルギー使用量
139,220GJ( 99.0%)
電気使用量
10,207千kWh(99.0%)
ガス使用量
3
880千m(99.0%)
水道使用量
3
59千m(78.6%)
廃棄物量
840名
リサイクル率
病院 年間外来者数
総合政策学部/環境情報学部/政策・メディア研究科
看護医療学部/健康マネジメント研究科
湘南藤沢中等部・高等部
135.3t( 72.5%)
45.3%(−6.7%)
1,120,161名
病院 年間入院患者数
2006年度CO 2 排出量
343,163名
27,249CO 2-t( 98.9%)
廃棄物量
356.8t( 91.7%)
エネルギー使用量
リサイクル率
58.8%(+8.7%)
電気使用量
32,918千kWh(101.5%)
ガス使用量
3
4,317千m(94.1%)
水道使用量
3
415千m(98.1%)
廃棄物量
1466.5t
(103.9%)
リサイクル率
4
238名
生徒・児童数
515,545GJ( 98.6%)
41.8%(+4.6%)
※学部・研究科は2008年度現在
※教職員数・学生・生徒・児童数は2007年5月現在
※月が瀬・ニューヨーク学院は除く。
※各キャンパスのCO 2排出量やエネルギー等の使用量については、体育会施設および遠隔地などの数値
は含まれていません。
ガス:2.080t-CO 2 /千m 3 、灯油:2.490t-CO 2 /KL
※CO 2 排出量換算係数…電気:0.555t-CO 2 /千KWh、
(温対法による係数)
※排出量については上記換算係数を使用していますが、排出量のうち約7割から8割を占める電気使用
量は購買によるものです。この電気の係数は年次変化しており、実績値としてはさらに減少しています。
※エネルギー換算係数…電気:9.76GJ/千KWh、
ガス:45GJ/千m 3、灯油:36.7GJ/KL
5
(特集/日吉キャンパスの複合施設) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.6)
(P.7)
特集 1
キャンパスの環境配慮設計
自治体初の環境配慮性能格付
「CASBEE横浜認証制度」初の
最高位Sランクを取得した日吉キャンパス協生館
慶應義塾創立150年記念事業として日吉キャンパスに建設が進んでいる「協生館」は、2007年1月、建築物の環境品質・性能と
環境負荷を評価するシステムである「CASBEE横浜認証制度」の第1号として最高位Sランク認証を受けました。地域との連携
を推進し、
「開かれた大学」のコンセプトの実現をめざした協生館の設計からCASBEE認証までを紹介します。
協 生 館 完 成イメージ
環境と調和、地域市民に開かれた
キャンパス建設をめざす
への取り組みとして、建築物の環境配慮を市の施
策として推進していた。そのひとつが、
「CASBEE
「協生館」は、2008年3月末に開通した横浜市営
横 浜 認 証 制 度 」の 導 入であった 。
「CASBEE
CASBEE評価では、環境負荷を低減すると同
地下鉄4号線・日吉駅の開設が重なったこともあり、
地下鉄4号線・日吉駅に隣接した地上7階、地下2
(Comprehensive Assessment System for
時に、周辺 環 境との調 和や、アメニティも重 要な
キャンパスの敷地内に設置される計画であった地
するなどの配慮も盛り込まれた。
まちなみ・景観への配慮は、
ちょうど、横浜市営
階の建物で、慶應義塾創立150年記念事業のひと
Building Environmental Efficiency)」とは、
要 素になってくる。横 浜 市では、① 地 球 温 暖 化
下鉄出入り口と協生館の間を利用者が集まる広
つとして、将来に向けた日吉キャンパスの整備の
建築物の環境品質・性能と環境負荷を同時に評
対策、②ヒートアイランド対策、③長寿命化対策、
場(サンクンガーデン)
として整備し、
日吉駅周辺
一環として計画された。
価する全国共通の尺度として、国の支援を受け、
④まちなみ、景観への配慮の4項目を重点項目と
の景観の向上と混雑の緩和を図った。また、協生
慶應義塾の大学院研究科の教室、研修施設
産・学・官共同で研究・開発された評価システムで、
して定めていた。
館に沿って走る綱島街道拡張整備に合わせて、
など大 学 が 使う施 設 が 設けられるとともに 、地
約90ある評価項目を採点し、
「Sランク
(すばらしい)」
協生館は、建物自体に周辺の環境と既存のキ
歩道と一体となった歩行者空間には緑の並木を
下1階 から地 上 2 階までに、市 民の 利 用も可 能
から「Cランク
(劣る)」までの5ランクで格付けする。
ャンパス建物との調和に配慮し、明るく清潔感の
つくるなど、地域の人にやすらぎを与える環境づく
な体 育 施 設 、
コンビニエンスストア、
カフェ、
レストラ
従来は建築主による自主検査であったが、2007
ある白色系の外観を採用した。地球温暖化対策
りを進めることになった。
ン、保 育 所などが 併 設され 、
「開かれた大 学」と
年度より、横浜市が学識経験者をまじえた第三者
やヒートアイランド対策として、
コージェネレーション
こうした数々の工夫の結果、慶應義塾の協生
して世代を超えた人々と塾生が集い、交流し、先
評価によって、環境に配慮した建築物を認証する
システムの導入、
トップライトによる自然採光などに
館は「CASBEE横浜認証制度第1号Sランク」を
導 的な連 携を実 現 するための 拠 点をめざして
制度を創設した。
より省エネが図られた。また、
ピークカットのために、
取得、認証交付式が2007年1月17日、市庁舎にお
いる。2006年8月17日に地鎮祭が行われ、現在、
慶應義塾では、地域に開かれ、環境に配慮し
夜間電力で製氷し、昼間の冷房に利用する氷蓄
いて執り行われた。
2 0 0 8 年 8月の 竣 工 予 定で、着 々と建 設 が 進ん
たキャンパスづくりの理念の実現に向けた取り組
熱も採用。長寿命化対策には免震装置を採り入れ、
2008年2月には新教育棟である「第4校舎綱島
でいる。
みのひとつとして「CASBEE横浜認証」取得のた
建築物の耐久性を向上させている。
街道側新教育棟」もSランクを認証取得した。新
この協生館は、横浜市が全国の自治体に先駆
めの活動をスタートさせた。
日吉キャンパスは豊かな自然に恵まれており、協
教育棟は、2009年3月竣工予定である。
けて実施した、環境に優しい建物を認証する制
CASBEEの審査にあたっては、
さまざまな角度
生館の建設にあたっては、
これらの自然をできる
度(CASBEE横浜認証制度)の第1号として、最
から環境性能が要求され、高いレベルでの環境
かぎり生かすことを基本とした。設計段階では残
高位「S」ランクの認証を受けている。
設計・計画が求められる。最高位のSランクに適合
す予定だったサクラの木が、実際に施工する段階
する、環境対応の設計レベルを確保するために設
で伐採しなければならない状況となった際には、
計事務所と何度も打合せが行われた。
切らずに残すために設計変更を行った。移植が
横浜市が環境配慮建築の認証制度をスタート
慶應義塾の協生館の計画が着々と進行してい
設が進められた。新たに植樹する高木は従来か
:普通のビル
BEEに基づく環境ラベリング
:サステナブルビル
(モデルケース)
環境性能効率(BEE)=
L
(建築物の外部環境負荷)
建築物の環境性能効率(BEE)
を向上させるためには、分子とな
るQ
(Quality 環境品質・性能)
を上げると同時に、分母となる建
物の外部環境負荷(Loadings)
を下げることが必要になる。
これを縦軸がQ、横軸にLの値をプロットしたとき、Qの値が高く、L
の値が低いほど傾斜が大きくなり、
よりサステナブルな性向の建
築物と評価できる。
建築物の環境品質・性能 Q
S
Q(建築物の環境品質・性能)
BEE=1.5
BEE=3.0
100
CA S B E Eの考え方
建設風景
可能な樹木はできるだけ移植するなど、慎重に建
た2006年、横浜市においても、地球温暖化防止
6
温暖化、
ヒートアイランド、景観、
さまざまな観点から環境配慮を
A
「第4校舎綱島街道側新教育棟」外観イメージ
らキャンパス内に生息している樹種を中心に選択
●「第4校舎綱島街道側新教育棟」の環境評価のポイント
BEE=1.0
地球温暖化対策
アトリウムのトップライトによる自然採光・通風・
換気システム
免震層(地熱)
を利用したクールピット
(OAの
取込み)
半屋外空間の計画による風通しへの配慮
ヒートアイランド対策
桜並木やけやき並木、外構緑化、屋上緑化を
あわせた立体的で連続した緑地の整備
高木や大庇(アプローチテラス)による日陰の
確保
風環境シミュレーションの実施による風害対策
長寿命化対策
免震装置の採用・階高、壁長さ比等にゆとりの
ある設計
まちなみ・景観への
配慮
駅前広場から街道沿いに桜とけやきの並木が
連なる景観を形成
既存擁壁の撤去による圧迫感の低減
アプローチテラス、
アトリウム、中庭など建物内
外を連関させる豊かな中間領域の形成
B+
●「協生館」の環境配慮ポイント
B-
地球温暖化対策
50
BEE=0.5
ヒートアイランド対策
C
0
0
50
建築物の外部環境負荷 L
コージェネレーションシステムの採用
トップライトによる自然採光を利用し、昼間の電
力を削減
氷蓄熱の採用(夜間電力で製氷し、昼間の冷
房に使用)
親水施設の計画による清涼感の演出と、地表
面等の温度上昇の抑制
長寿命化対策
免震装置により地震時の損傷を抑制し、建物
の耐久性を向上
まちなみ・景観への
配慮
地下鉄の出入り口を敷地内に取り込み、合わ
せて利用者が集まる広場を整備
綱島街道沿いに並木と歩行者空間を整備
100
7
(温室効果ガス削減状況) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(温室効果ガス削減状況/省エネルギー対策) (P.8)
(P.9)
●温室効果ガス削減状況 ●省エネルギー対策
過 去5 年 間の
エネルギー使 用量と二酸化炭素排出量推移
高効率の設備・機器の導入を
計画的に推進
環境問題の中でも、エネルギーの使用削減などによる温室効果ガス
(CO 2 )削減は、
慶應義塾では、CO 2削減を進めるため、高効率なエネルギー設備・機器の導入などハード面における対策はもとより、
緊急を要する課題となっています。慶應義塾の年度ごとのエネルギーの使用量、CO 2排出量と、
その取り組みを紹介します。
無駄なエネルギーを消費しないよう、運転管理に気を配り、省エネルギーのノウハウを蓄積しています。
) ( ) (
) ( ) (
エネルギー使用量
CO 2排出量
2006年度の慶應義塾全体のエネルギー使用
2006年度のエネルギー使用によるCO 2 排出量
芝共立キャンパスを除く大学の全キャンパスに、
2007年度に、一般教室・自習室・研究室など、
量は118.1万GJ( 2005年度比98.2%)
となりました。
は63.5千トンとなりました。
ガスエンジンによるコージェネレーション設備(CGS)
利用形態(使用時間および使用率)の異なる部屋
過去5年間の推移はグラフの通りです。
現在、創立150年記念事業の一環として大学
を導入しています 。2000年度に矢上・湘南藤沢
が混在している建物の空調機器を更新する際に、
建物の延べ 面積は新築工事により2002年度
の各キャンパスなどで建物の建設および建設計画
両キャンパスに 各2基 導 入したのを皮 切りに 、
中央熱源方式(冷温水発生機)で行っていた空
から2 0 0 6 年 度にかけて約 3%増 加しています。
が進められており、エネルギー使用の増加が見込
2 0 0 6 年 度 で 合 計8基 となり、総 発 電 量 は
調方式を、個別分散方式(ガスヒートポンプ発電タ
これに伴いエネルギーの使 用量も増 加していま
まれますが 、建築物総合環境性能評価システム
2,450kWhとなりました。
イプ)に変更しました。これにより、年間約130トン
すが、今後さらに、エネルギー使用の削減と温室
(CASBEE)の認証Sランクを取得するなど環境
ガスエンジンの排熱を主に冷暖房の空調用とし
のCO 2削減効果を期待できます。 効果ガス排出の削減に取り組んでいきます。
ガスコージェネレーション設備の導入
への配慮に取り組んでいます。
て利用しており、2006年度の三田・信濃町両キャ
また、2006年度を最後に各大学キャンパスおよび
パスにおけるCO 2の削減効果(マージナル電源係
一貫教育校ではCO 2排出量の多い灯油の使用を
数による評価)は年間約1,000トンとなっています。
利用形態に合わせ、空調方式を変更
廃止しました(臨時に使用する場合を除く)。
CO2排出量(エネルギー別)
エネルギー使用量
万GJ
面積単位(GJ/m2)
140
CO2排出量(エネルギー別)
面積単位(kg/m2)
千t 70
120
2.07
120
2.03
100
1.99
80
60
60
1.95
40
1.91
30
1.87
20
20
1.83
10
0
1.79
0
凡例
油
03年度
ガス
04年度
05年度
電力
06年度
面積単位
※換算係数 電気:9.76GJ/千kWh、
ガス:45GJ/千m 3、灯油:36.7GJ/KL
※グラフ上、灯油については、使用量が少ないため表示されていません。
※03年度におけるエネルギー使用量の減少は、冷夏・暖冬による。
三田キャンパス大学院校舎屋上に設置した
ガスヒートポンプエアコン室外機
100
40
02年度
110
50
80
02年度
凡例
) (
ヒートポンプ式エアコンの集中管理化
90
油
03年度
ガス
04年度
05年度
電力
2005年度から、利用していない教室・会議室な
06年度
三田キャンパス南館に設置されている
面積単位
発電出力350KWhのコージェネレーション設備
※排出係数
電気:0.555kg-CO 2/kWh ガス:2.080kg-CO 2/m 3 灯油:2.490kg-CO 2/L
※グラフ上、灯油については、排出量が少ないため表示されていません。
どの運転制御や消し忘れの防止、適切な温度設
定を目的に、各部屋に設置されている個別方式の
空調機(ヒートポンプ式エアコン)の集中制御化を
進めました。集中制御に取り込めない機器につい
ては、過度の設定にならないように各室への巡回
点検を実施しています。
TOPICS
第8回(2007年度)
地球環境世界児童画コンテスト
「地球環境特別賞」を受賞
慶應義塾幼稚舎2年生(受賞時)
坪井優樹 君
地球温暖化をはじめとする地球環境問題は、子ども
たちの未来にとっても切実な問題であり、子どもの頃か
ら環境意識を育てることも必要になっています。
「地球環境世界児童画コンテスト」は、
( 財)
日本品質
保証機構(JQA)
と国際認証機関ネットワーク
(IQNet)
が、UNICEF(国際連合児童基金)東京事務所の後
援により、世界中の7歳から15歳までの子どもたちを対
象として毎年募集するもので、第8回コンテストでは53の
国と地域から20,748枚の作品が寄せられました。幼稚
舎2年生の坪井優樹君は、第8回のコンテストで「地球
環境特別賞」を受賞しました。この画について、坪井君
は「ぼくの大好きなペンギンが東京へやってきた。これっ
てうれしいけどいいのかな? うつくしい地球をぼくたち
がまもりたい!」とコメントを寄せています。
中央監視室に設置されている
中央監視モニター画面の一部
8
9
(大気汚染防止・節水) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.10)
(P.11)
●大気汚染防止・節水
運 転 管 理をひとつひとつ見直し
省エネルギーに取り組む
大気汚染防止
大型ボイラーの燃料のガス化によるばい煙削減へ
化石燃料の燃焼によって引き起こされる大気
汚染対策として、慶應義塾ではボイラーの燃焼
を効率化するなどしてばい煙の削減に取り組ん
できました。
1999年に大型ボイラーの燃料をガス化して以
降、
ばい煙の排出量は激減しました。現在では3
台(16t/h・12t/h・10t/h)の水管式蒸気ボイラ
ーと300kWコージェネレーション2基からのばい
) ( ) (
運転管理の見直し等による
省エネの取り組み
更新時期に合わせて各キャンパスでは、順次省
運転管理も含めて、エネルギーの効率的な活
ドバックして、
さらなるばい煙の削減をめざしてい
エネルギー型の照明器具に取り替えています。三
用を進めています。主な取り組みは以下の通りです。
ます。2006年度から2007年度にかけて水管式
ボイラー棟に3基設置されているうちの2号水管式蒸気
田キャンパスでは、2004年度から2006年度にかけ
●搬送設備のインバーター化
ボイラーの2台(16t/h・12t/h)に排熱回収装置
ボイラー(設置工事中の写真)。蒸気発生量は12t/h
てキャンパス全体の約36%の照明器具の取り替
エレベーターや空調用冷温水ポンプなど省エネ効
えを完了しました。これにより1年で約800トンの
果の高いインバーター化を行いました。
この高効率
CO 2 削減効果がありました。今後も、
●蒸気系統の保温ジャケットの取り付け
型照明器具への改修を全塾で進めていきます。
バルブやフランジ(パイプ継ぎ手)など露出した部
) (
分に断熱処理を施しました。
洗面所や廊下・階段などの照明器具を、改修
電 気 室の 換 気 運 転をタイマーなどによるスケジ
工事に合わせて、人感センサーで人の動きを検知
ュール運転から温度制御による運転に切り替え
し、消灯または減光から100%点灯になるよう設定
ました。
しています。
●空調ウォーミングアップ運転時の
) (
外気取り入れ遮断 ウォーミングアップ運転時には、外気の取り入れを
利用の少ない廊下・ホールなどの共用部分の
遮断し、省エネ化を図っています。
照明器具は間引き点灯を行っています 。不必要
●エレベーターの台数制御
な点灯にならないように、照明スイッチに日常点灯
複 数のエレベーターが 並んでいる場 合は、1台
人感センサーで、無駄な照明をカット
照明器具に内蔵された人感センサー。
場所により、
1∼3分で
消灯するように設定
照明の間引き点灯
用と区別するためのシールを貼るなどしています。
この測定結果を日常の運転および整備にフィー
(エコノマイザー)
を設置して、約5%の省エネ
(ガ
→
138℃
エコノマイザー
→
給水
タンク
補給水
節水対策
煙
道
79℃
→
248℃
2号ボイラ
蒸気Bkg/cm2
12th
都市ガス
雨水利用、節水器具の採用で大幅に水使用量を削減
節水対策として、雨水利用や節水器具の導
水道使用量(人数原単位)
全塾使用量
入などを行っています。これにより一人当たりの
水使用量は2002年度の年間12.4m 3から2006
年度に10.0m 3と大きく削減しています(大学病
万m3
人数原単位(信濃町別)
m3/人
20.0
18.0
16.0
80
院のある信濃町キャンパスを除く)。
また、
日吉キャンパスの来往舎では、屋上部分
) (
矢上キャンパスにおいて、教室棟・11棟のバリア
して利用しており、
これによる2006年の水道削
大学病院では、
ガス焚きのボイラーが設置され
フリー化にともない、
自動ドアを設置するにあたっ
減量は1,300m 3でした。今後も、改修工事に合
ています。2007年度にこのボイラーの煙道に排熱
ては、ホールの扉が開けっ放しにならないよう、
自
回収給水装置(エコノマイザー)
を設置し、省エネ
動ドアを2重に設置し、冷暖房効率が下がらない
また、洗面所の改修工事に合わせ、節水型の
化を図りました。これにより、年間約220トンのCO 2
ようにしました。
器具を採用しています 。非接触型で低流量の
の削減効果を期待できます。
45℃
還水
●排気ファンの運転方法の見直し
を休止させています。
エコノマイザーの系統図
ス使用量)
と、
ばい煙排出量を削減できました。
●自動ドアの2重化
蒸気ボイラーに
排熱回収給水装置を設置
わかりやすくシールを貼った照明スイッチ
ばい煙量の基準値を下回るのはもちろんのこと、
→
省エネルギー型照明器具
煙測定を年2回行って東京都に届け出ています。
高効率型照明器具への改修
の約3,600m 2に降った雨水を洗面所の洗浄水と
わせ節水器具などの採用により水道使用量の
14.0
12.0
60
10.0
8.0
40
6.0
4.0
20
2.0
0.0
0
02年度
03年度
04年度
05年度
06年度
削減を図っていきます。
洗面器の採用をはじめ、女子トイレには無駄な
洗浄を避けるための擬音装置の設置、大小洗
浄水量の異なる洗浄弁の採用など、節水を図っ
ています。
節水型手洗い
節水型トイレ
10
11
(廃棄物削減・3R) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(廃棄物削減・3R/化学物質管理) (P.12)
(P.13)
●廃棄物削減・3R ●化学物質管理
廃 棄物の削 減をめざして
化学物質管理システムを導入し、管理を徹底
慶應義塾では、人と環境が調和した循環型社会を実現するために、積極的に3R(Reduce=発生抑制、Reuse=再使用、
近年、実験者の安全、環境への配慮、
さらにはPRTR法の施行などによって、大学における化学物質の管理は重要性を増しています。
Recycle=再利用)に取り組み、資源としての利用を推進し、
ごみの発生量を減らす努力をしています。
矢上キャンパスでは、学部共通の薬品管理システムを導入、化学物質の適正管理を行っています。
) (
って、資源の有効活用を図っています。
●Recycle 再利用
) ( ) (
WEB上で入庫から出庫までを一元管理
危険物の指定数量管理を実施
2006年度の慶應義塾全体の一般廃棄物と産
資源の再利用には、
まず、
ごみ分別の徹底が
薬品管理において重要なポイントは、
どんな薬
環境保全センターでは、IASO R5に登録された
業廃棄物を合わせた廃棄物発生量は、2,775.1ト
必要です。全塾に視認性の高い分別用容器を設
品がどこに、
どのような数量で、
どのような状態で
薬品情報をもとに、矢上キャンパスにおける危険
ンになりました。全塾的に3Rに取り組んでおり、過
置するとともに、分別表示を徹底して、
リサイクル
管理されているのかを、一元管理できるシステムを
物貯蔵取扱数量に関して類別ごとに「指定数量」
去3年間、廃棄物発生量は毎年100トンずつ減少
率を高めるようにしています。
構築することです。
を毎月不定期に調査を行っています。現在、矢上
しています。また、2006年度のリサイクル率は45.8
紙のリサイクル率向上に関しては、紙類のリサ
理工学部が導入した薬品管理システム
(IASO
キャンパスにおいては、教育・研究を目的に危険物
%で前年より3.1ポイント上昇しました。
イクルボックスを設置、学生団体による不要になっ
R5)は、化学物質の保管場所が第3階層まで区
を使用する場合、実験室内における危険物の貯
) (
たコピー用紙などの古紙回収を実践しています。
分され、
部屋番号(第1階層)、
保管場所(第2階層)、
蔵取り扱い数量は、指定数量1未満(0.2∼1未満
三田キャンパスでは、学生団体との共同プロジ
保管場所の詳細(第3階層)
まで設定ができるシ
少量危険物貯蔵取扱所 )
とし、該当する部屋に
●Reduce 発生抑制
ェクトにより、分別方法、
ごみ箱の設置場所などを
ステムです。
関しては、条例で定める基準を満たす改修工事
ごみ、資源問題の解決の第一歩はごみ排出量
再検討し、2006年度から紙(ミックスペーパー)回
また、特定化学物質の環境汚染を未然に防ぐ
を行い、横浜市への届出が完了しています。また、
の抑制にあります。FAX、
スキャナ、
プリンタを統合
収専用ごみ箱を設置 。可燃ごみから紙を分離さ
ことを目的とするPRTR法(特定化学物質の環境
指定数量0.2未満に関しても自主的管理として所
し、PDF作成機能を有した複合機の導入を進め、
せ資源ごみとして再利用できる環境づくりを行い
への排出量の把握等及び管理の改善の促進に
轄消防署への届出を行っています。
書類のPDF化によるペーパーレス化に取り組んで
ました。その結果、再利用率の大幅な向上を実現
関する法律)に対応したシステムとなっています。
います。
することができました。
理工学部では、化学物質の一元管理により、
これ
) (
●Reuse 再使用
らの行政からの化学物質の調査・報告に対し精
PRTR制度では、対象化学物質の環境への排
封筒の再使用、
ミスコピーの裏面使用などによ
度の高い報告を実施するとともに、環境負荷の低
出量と事業所の外への移動(廃棄物処理)を事
減化を図っています。
業所ごとに把握して、都道府県を経由して国に届
廃棄物発生量の現状
3Rへの取り組み
ごみの分別回収
PRTR制度での届出
け出る義務があります。理工学部での年間取扱い
慶應義塾 廃棄物発生量の推移(2004∼2006年度)
ともにクロロホルムとトルエンが該当し、慶應義塾
3500
2005年度
3000
廃
棄
物
発
生
量
︵
t
︶
数量0.5トンを超える化学物質は、2006年、2007年
キャンパス別廃棄物発生量(重量ベース比) ※一般廃棄物・産業廃棄物合計
発生量(t)
処理(t)
2006年度
再利用量(t) 再利用率
発生量(t)
処理(t)
2500
三田
424.5
170.5
254.0
59.8%
396.2
113.9
282.3
71.2%
2000
日吉
345.1
205.8
139.3
40.3%
274.0
191.2
83.0
30.2%
1500
矢上
389.0
194.0
195.0
50.1%
356.8
146.7
210.1
58.8%
1000
500
0
2004年度
2005年度
2006年度
の報告として横浜市に届出を行いました。
再利用量(t) 再利用率
湘南藤沢
186.7
89.7
97.0
52.0%
135.3
74.0
61.3
45.3%
信濃町
1411.1
866.9
526.2
37.2%
1466.5
853.5
613
41.8%
芝共立
127.0
107.1
19.9
15.7%
146.3
124.4
21.9
15.0%
合計
2883.4
1634.0
1231.4
42.7%
2775.1
1503.7
1271.6
45.8%
薬品管理システム IASO R5の構成
法令規制要求事項の集計
1. 危険物貯蔵数量調査集計
2. PRTR法の集計
3. その他法令要求事項
デレクトリーをサーバーに設定
環境保全センター事務局
図1.起動画面
登録・保管場所(デレクトリー)の設定
パスワード
グループID発行
研究室責任者(教員) 薬品の在庫管理者権限
薬品登録作業
研究室の棚卸し
作業の開始
図2.データマネージャー画面
12
学生の権限 入庫・出庫作業等
13
(非感染性廃棄物の適正処理) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.14)
(P.15)
●非感染性廃棄物の適正処理
非 感 染 性 廃 棄 物の適正処理
矢上キャンパスでは、バイオテクノロジーなど生命科学系の研究分野の増加にともない、
生命系の実験による廃棄物なども増えてきました。これらの廃棄物処理も適正に行っています。
) ( ) (
生物系と実験系の廃棄物に区分
生物系廃棄物のカテゴリー区分
) ( ) (
専門の業者に廃棄物を委託
冷凍庫で実験動物を処理
矢上キャンパスでは注射針、刃など医療現場で
生物系廃棄物は、基本的には遺伝子組み換え
カテゴリーⅢの実験で使用した付着物などを廃
実 験 動 物などの処 理に関しては、矢 上キャン
使用される器具などを実験で使っており、実験に
実験安全委員会及び生命倫理委員会へ申請した
棄する際は、段ボール容器(写真1)
を利用します。
パスで管理する−80℃の2台の冷凍庫を使います。
よって発生する廃棄物を「擬似感染性廃棄物」と
実験を行うにあたって発生する廃棄物のことです。
排出量が多くなることが考えられるため、
集積場(廃
実 験 動 物の血 液・体 液は事 前にこの冷 凍 庫で
して取り扱ってきました。最近ではこのほかに、生
これらの廃棄物を廃棄する場合、
Ⅰ∼Ⅳまでの
棄物保管庫)に感染性廃棄物専用の保管庫を設
凍らせて排 出します。脊 椎 動 物も同 様に取り扱
命科学系の研究の増加にともなって、細胞組織を
カテゴリー区分が設けられており、
それぞれのカテ
置し、一時的に保管することとしました。なお、
この
います。また、無脊椎動物に関しても、
ホヤ、
ヒトデ、
取り扱う実験が増えており、
この研究領域の実験
ゴリーに該当する廃棄物を廃棄する際には、感染
段ボール容器の使用は、
ウェットな状態の廃棄物、
さらには昆虫にまで枠組みを広げて、
これらの死
によって発生する廃棄物を適正に処理するため
性専用廃棄物容器に廃棄するようになりました。
使用後の薬品ビンなどは対象外としており、収集
体も感 染 性 廃 棄 物 容 器に入れて、適 正に処 理
の廃棄処理システムが必要になってきました。
医学部・大学病院等のある信濃町キャンパスで
運搬業者への処理委託の前に、
1箱ごとに検品し、
を行っています。 これを受けて、2 0 0 6 年 1 1月に新たな廃 棄 処
はなく、理工学部等のある矢上キャンパスでの実
不適切な廃棄の場合は、研究室責任者に対して
理システムとして、生 物 系 廃 棄 物と実 験 系 廃 棄
験のため、
「感染性」ではありませんが、廃棄に使
現場で注意指導を行うなど、
厳重に管理しています。
) (
物とを完全に区別した以下のような回収方法を
用する廃棄物容器及び処理工程に関しては、感
回収は週に一度、感染性廃棄物収集運搬業
回収された廃棄物の容器は、中間処理場に運
構築しました。
染性廃棄物と同様の工程で処理しています。
中間処理場で焼却処理
者が検量した後、搬入を行っています。他のカテゴ
ばれ、
ここでコンテナに入れられて随時焼却処理
◆ 生物系廃棄物……生物系廃棄物の処理
リー(Ⅰ、
Ⅱ、
Ⅳ)
に関しては、実験廃液と同じ扱いで、
されます。焼却灰はさらに溶融炉でスラグとなり、
◆ 実験系廃棄物……実 験で使 用した溶 媒 等 の
隔週で回収しています。
路盤材として利用されるか、
または最終処分場へ
廃液
運ばれ埋め立て処分されます。
カテゴリーⅠ
実験動物の死体・細胞組織等
隔週回収
カテゴリーⅡ 疑似感染性廃棄物
(注射針・刃など)
生物系廃棄物
カテゴリーⅢ 付着物(血液・体液・薬品等)
毎日、回収
集積場への廃棄
カテゴリーⅣ ヒト由来の細胞組織(付着物も含む)
写真1 感染性専用段ボール容器
廃
写真2 感染性専用廃棄物容器
感染性専用廃棄物容器は、一度閉じるとふたを壊さない限り開かない容器を使用しています。段ボール容器も使用後はガムテープなどでしっかり閉じ、収集しています。
棄
実験廃液(使用済み化学物質)
溶質+溶媒の廃棄
物
隔週回収
有害物質の廃液
(法令で定める化学物質)
実験系廃棄物
廃試薬(不要化学薬品の廃棄)
危険な薬品の廃棄
毒性・引火性・爆発性などの化学物質の廃棄
高圧ガス
(気体)の廃棄
高圧ガスボンベ容器の回収と廃棄
不定期回収
環境保全センターに
連絡して処理
中間処分場のコンテナ
溶融炉で焼却灰を固化する
溶融固化した焼却灰は路盤材として使用
焼却灰を埋め立てる管理型最終処分場
(福島県いわき市2007年6月22日視察)
14
15
(実験系有害廃棄物の適正処理/水質管理) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.16)
(P.17)
●実験系有害廃棄物の適正処理 ●水質管理
実 験系 有 害 廃 棄 物の適正処理
矢上キャンパスでは、実験による教育・研究が欠かせませんが、実験によって固体、液体の有害廃棄物が生じます。
これらの有害廃棄物によって、水質汚濁や土壌汚染などの環境汚染を招くことのないよう、厳重に処理しています。
水質管理
排水の分析などを通じて、水質管理を徹底
実験で使った器具や、病院の診療行為を通じて発生する薬品の洗浄水の排出にあたっては、
定期的に水質基準をチェックし適切な水質管理を実施しています。
市の指導に基づいて自主採水を実施
矢上キャンパスでは、化学物質を実験で使用する場合、使用後の実験廃液は、100%
廃棄物として回収するように指導しています。
) (
実験廃液などの洗浄を徹底的に行う
実験では、固体、液体の化学物質を溶媒に溶
矢上キャンパスから積み込
まれた実験廃液が入ったポ
リ容器、缶類は、随時、焼却
処理および化学処理が施
され、処分される
全センターに申し込みます。
②各研究室で記入されたデーターシートを集計し、
廃棄物処理業者に申し込みを行います。
また、器具などの洗浄の際に実験廃液に含まれる有害化学物質が公共下水に排出さ
れることのないよう、除害施設を設けるなど万全の対策を進めており、横浜市の工場排水
指導課の指導のもと、
自主採水、
自主分析を行うシステムを確立しています。これにより環
境負荷の低減化が図られており、2007年度の各薬品の分析項目はいずれも基準値を下
回りました。
かしますが、実験が終わった後で不要になった廃
③廃棄物処理業者は、各研究室の申込書からマ
液は、実験廃液として廃棄します。廃棄物処理法
ニフェストを作成、回収当日に最終数量確認作
では、
この廃液は産業廃棄物(産廃)
・特別管理
業を行い、実験廃液の検品を実施します。この
出される物質については、
キャンパス・病院とも自主的に月に1度排水の分析を行ってい
有害産業廃棄物(特管)の品目に該当します。
作業は、廃棄物処理法の基準に基づいて行わ
ます。万一薬品等の不正排出を発見した場合には、至急原因を特定して是正すること
とくにクロム、
シアン、
カドミウムなどの有害化学
れるもので、性状、臭気、容器の破損状態、表
物質を含有する実験廃液の場合、水質汚濁防止
示物などを確認し、集計表に記入します。最終
法、下水道法等の適用を受け、下水中の水質基
数量を検量した後、実験廃液は廃棄物中間処
準が定められています。
理業者に運ばれます。
矢上キャンパスではこれらの水質基準を守るた
●廃棄物中間処理業者への委託
め、不要になった実験廃液や実験廃液が付着し
運搬車に積み込まれた実験廃液はその性状
た器具の洗浄を3回にわたって行い、3次洗浄水
により、焼却処理工場と中和処理工場に運ばれま
まで回収し、有害物質の排出防止に努めています。
す。処分を委託する場合、実験廃液は委託件数
信濃町キャンパスでも、教育研究や診療を通じて発生するさまざまな薬品類・廃液等は、
としています。2007年度においてはすべて基準を大幅に下回っており、良好な排水状
況でした。
自主分析項目一覧
分析薬品名
外部委託業者へ委託する項目
1
ダイオキシン類
テトラクロロエチレン
2
フタル酸ジエチルヘキシル(要監視項目)
3
シアン化合物
4
有機燐化合物
ジクロロメタン
特定洗浄施設:実験流し台
四塩化炭素
1.2-ジクロロエタン
1.1-ジクロロエチレン
5
アルキル水銀化合物
シス-1.2-ジクロロエチレン
6
モリブデン
(要監視項目)
1.1.1-トリクロロエタン
7
アルミニウム
るため、事前に処分場の視察を実施し、万全を期
実験廃液の廃棄は、
以下の手順で行っています。
しています。
ベンゼン
●矢上キャンパスでの確認作業
●最終処分場への運搬と埋め立て
クロロホルム(要監視項目)
①環境保全センターから配布される実験廃液回
中間処理場で処理された結果生じる処分灰は、
が多いため、担当者の交換などによる弊害を避け
外部への分析委託項目
トリクロロエチレン
) (
実験廃液を検品、
中間処理場を経て最終処分場へ
特定洗浄施設:
ドラフト
定期的(年4回)に回収して専門業者に処理を委託しています。また、洗浄等を通じて排
1.1.2-トリクロロエタン
1.3-ジクロロプロペン
理工学部の除害施設
特定洗浄施設:超音波洗浄機
トルエン
(要監視項目)
最終確認作業。多いときは
4トンの収集運搬車2台分
の実験廃液が出る
収数量表(廃棄物情報データーシート=MDS
最終処分場に運ばれ、埋め立てられます。
に該当)に必要な廃液情報を記入し、環境保
キシレン
(要監視項目)
ふっ素及びその化合物
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
アンモニア性窒素
ほう素及びその化合物
六価クロム化合物
フェノール類
ニッケル(除害施設設置基準のみ適用)
アンチモン
(要監視項目)
カドミウム及びその化合物
除害施設:16D棟中和槽
特定洗浄施設:スクラバー
最終排水溝
鉛及びその化合物
不要薬品の廃棄
水銀及びアルキル水銀その他水銀
セレン及びその化合物
銅及びその化合物
16
教育・研究用に購入した薬品(化学物質)
みになっています。
が不要になったときは、不要化学薬品とし
また、不要薬品の処理費削減のために、
て年数回、
定期的に回収し、
処分しています。
未開封の薬品、
高価な薬品などについては、
とくに研究室責任者の退職、異動などのと
ほかの研究室から要望がある場合には譲
きは、該当者に事前に不要薬品リストを作
渡し、最終的に不要な薬品のみを不要化
成させ、環境保全センターに提出する仕組
学薬品として廃棄する手続きを行っています。
亜鉛及びその化合物
鉄及びその化合物(溶解性)
マンガン及びその化合物(溶解性)
砒素及びその化合物
クロム及びその化合物
薬品番号と申請番号を照合し、
廃棄する薬品を確認する
全有機
14棟側 最終排水溝
17
(医療系廃棄物・放射性物質・PCBの管理) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.18)
(P.19)
●医療系廃棄物・放射性物質・PCBの管理
医 療系 廃 棄 物 、放 射性物質等の
管 理の現 状
医学部と大学病院、理工学部、薬学部等を擁する慶應義塾では、放射性物質、感染性廃棄物など、
安全な取り扱いや処理を必要とするものを扱っています。それぞれの性質、状態にあわせた処理や管理を行い、
安全で適正な管理体制を整えています。
) (
にも医療現場における発生源での排出量の削減
医療系廃棄物には、感染性廃棄物も含まれる
資材のディスポーザブル化が医療系廃棄物の増
ため、特に適切な取り扱いと分別、安全な回収・保
加の一因となっていることもあり、衛生面での質の
管、処理が求められています。
向上と医療系廃棄物の問題をどう捉えていくかが
慶應義塾大学の医学部、大学病院、理工学
重に実施しています。
そのためには、医療系廃棄物に関わるさまざま
今後の課題となっています。
部および薬学部では、医学・生命科学研究、創
その一例を紹介すると、放射線・RIを使用
な関係者や職種の人々が、医療系廃棄物に対し
する部屋ならびに慶應義塾の敷地の境界に
て正しい認識を持つことが大切です 。たとえば、
) (
薬研究および診療が広範に行われ、
日本のみ
ならず世界の人類の健康増進に大きく貢献し
おける放射線量およびRI量が規定されてい
ています。
るので、施 設を設 計 する段 階で十 分に安 全
医療従事者なら、医療現場における適切な分別、
医学部・大学病院等のある信濃町キャンパスで
この研究および診療に、放射線および放射
性を検討し漏洩等がないようにします 。使用
清掃などの委託業者の場合は、回収時の針刺し
は「都民の安全を確保する環境に関する条例」
(平
性物質(RI : Radioisotope)
も広く使用され
開始後は定期的に放射線・RIの量を測定し、
事故などの防止、運搬、処理業者は廃棄物の適
成12年東京都条例第215号)
を遵守し、部署ごと
ています 。放射線およびRIを使用するには、
法定限度を超えていないことを確認し、記録
大学内の教職員・学生だけでなく、義塾の周
しています 。これを放射線モニタリングといい
辺に居住されている一般の方々(公衆)の安
ます。また、放射線・RIの使用により発生した
全(放射線安全)のため、細心の注意を払わ
放射性廃棄物も厳重に管理され、固体廃棄
医療系廃棄物に対する取り組み
が求められています。これに対して、近年の医療
信濃町キャンパスにおける
化学物質・毒劇物・医薬品の管理
放射線および放射性物質の管理の徹底を図る
医学部・大学病院 放射線安全管理室 室長 中里
一久
正な処分などに関する知識が求められています。
に管理者を設置し、管理体制を明確にしています。
大学病院においては1年に1回、医師や看護師
保健衛生上の危害を未然に防止すること、漏洩
に対してだけではなく、清掃作業者などに対して
などによる環境への影響を未然に防ぐこと、盗難、
なければなりません。
物は所 定の容 器に封 入し毎 年 所 定の廃 棄
も感染対策講習会を開いて医療系廃棄物の正し
火災などの事故対応を想定した危機管理体制な
このために、放射線・RIは法律の厳重な規
業者に引き渡しています。液体および気体の
い取り扱い方の認識を広め、安全で確実な廃棄
ど、各種管理規則を設け、安全かつ適正な管理
則により管理されています 。慶應義塾では法
廃棄物は浄化し希釈した後、放射線モニタリ
物処理をめざしています。
体制を作りあげています。
医療系廃棄物は、基本的に焼却処理(無害化)
また、病院では麻薬、覚せい剤等の取り扱い、向
されたあと、最終的には埋立て処分されるか、
スラ
精神薬の取り扱いについて十分な指導をし、薬品
グとして道路の路盤材等に再利用されますが、
リ
管理部署における管理状況については定期的に
サイクルの効率は決して良くありません。そのため
調査し、
盗難事故などの被害を未然に防いでいます。
を遵守することにより、職業人および患者の方々
ングし法定限度以下であることを点検しなが
の安全を確保するだけでなく、周辺の人々の
ら安全に放出しています。
放 射 線 安 全のため、放 射 線・R Iの管 理を厳
PCBの管理
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、特別管理産
信濃町キャンパス特別管理産業廃棄物(感染性廃棄物)
業廃棄物に指定されており、厳重な管理が必
t
700.000
600.000
500.000
要です。慶應義塾では、PCBの含有した電気
568.031
588.178
607.990
51.500
29.945
75.298
101.435
26.670
27.725
75.865
79.770
77.290
400.000
廃棄処理 については、処理委託の早期登録
を2006年度から行っており、処理施設の受け
入れ態勢が整い次第搬出する計画です。
300.000
200.000
機器類は、行政の指導に従い厳重に保管して
います。
410.690
406.440
401.540
100.000
0
2004年度
感染性一般
18
2005年度
感染性金属
感染性ガラス
2006年度
飼育床(糞尿)
19
(特集/「中国環境研究会」活動レポート) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.20)
(P.21)
特集 2
「中国環境研究会」
活動レポート
瀋陽の砂漠に植林活動を展開、
総延長100kmの
緑の防砂林を育てる
慶應義塾「中国環境研究会」は、大気汚染防止のためのバイオブリケットプラント建設、
アルカリ土壌の改善、中国東北部瀋陽における
植林活動など、中国の環境問題の解決をめざして多岐にわたる活動を展開しています。一連の活動に携わった桜本光商学部教授
と瀋陽の植林事業に関わった二人の塾生の話を交え、中国の環境問題に挑む慶應義塾の学際的プロジェクトを紹介します。
瀋陽遼寧大学の学生とともに、ポプラの植林地の実地見学
塾生も参加し、
中国の環境問題の現状を実感
1999年から始まった瀋陽・康平県での植林は、
循 環 型 環 境 改 善を実 現 するプロジェクトとなっ
プログラムでは、中国の瀋陽東北大学などの学
2007年の夏までに目標の半分を植えた。初期に
たのです」
生との交流も重要な一部だった。議論をすると、
中国・東北部の瀋陽市から北西へ約200km、
植林したポプラは森となって荒涼とした砂漠に潤
中国環境研究会では、脱硫石灰を康平県のア
中国の学生は経済成長への関心が高く、環境問
康平県は内モンゴル自治区のカルチン砂漠に接し、
いを与えている。
ルカリ土壌に混ぜた。何年にもわたる試行錯誤の
題に対する取り組みや思いについて、塾生側と多
結果、荒地の中に設けられた土地改良試験場の
少の温度差があったことは否めなかった。しかし、
土地に、
それまで育たなかったトウモロコシが人間
一方で、
「日本と中国の歴史的な問題を乗り越え、
砂漠から流入する砂によって大きな被害を受けて
いた。毎年幅20mにわたってアルカリ性の砂が押
都市と農村とを結ぶ循環型環境改善を実現
し寄 せるため、作 物も作れ ず 村は貧しかった。
慶應義塾が中国で環境活動を始めたのは、瀋
の背丈以上に伸び、青々とした葉を茂らせた。そ
未来を築こうと語りかける中国の学生に励まされ、
1999年4月、中国環境研究会は中国側からの依
陽での植林活動よりもずっと以前、1980年代半ば
して、
この活動が植林へと発展していった。
共感したことも強く印象に残りました」と屋良君は
頼を受け、
カルチン砂漠に、
アルカリ土壌の改良と
にまで遡る。桜本教授は、そのいきさつを次のよう
防風、防砂を目的としたポプラの苗木を植林する
活動に着手した。その幅100m、総延長は100km
語っている。
CDMの認可も視野に
に語る。
桜本教授は、
こうした学生同士の交流には大き
「当時、理工学部の橋本芳一教授、法学部の山
2007年8月28日から9月2日まで、慶應義塾創立
に達する壮大な植林計画であった。
田辰雄教授(いずれも現大学名誉教授)が中国
150年記念未来先導基金プログラムの一環として、
慶應義塾が苗木を提供し、植林祭というイベン
環境問題の共同研究を立ち上げておられた。こ
「学部横断環境プロジェクト」による瀋陽市訪問
事業を行ってきましたが、
これからは大学同士の
トを通じて、中国の小学生から大人までの地元住
の流れを受け継いで、法学部長の国分良成教授、
が行われ、6学部の塾生と3研究科の大学院生16
提携を深め、互いの人間的なパイプを太くしていく
民がその苗を植えていくことになった。1999年の
今年お亡くなりになられた小島朋之教授(総合政
名が康平県の植林事業の現場を訪れた。商学部
ことが必要です 。また中国の現地で環境問題を
第一次の実験的な植林は0.7k㎡であった。中国
策学部)、山田教授らとともに中国環境研究会を
4年南秀憲君と、政策・メディア研究科修士課程2
学ぶことは、既存のカリキュラムでは得ることので
環境研究会は、
これを機会に植林事業を継続し、
設立し、総合大学としての慶應義塾の多分野の
年屋良富士子君もこのプロジェクトに参加した。
きない研究へのモチベーションを与えてくれます」
2002年に初めて塾生を瀋陽に派遣することにな
知恵を集めて運営してきました。
「ほんとうは4月の植林の時期に行って実際に植
現在、瀋陽での植林プロジェクトは、京都議定
った。桜本教授は、当初、塾生の参加には慎重で
当初、中国の環境で問題だったのは、中国経
林したかったのですが、
それでも中国環境研究会
書で定められたCDM(クリーン開発メカニズム)の
あった。
「塾生を海外に連れて行くとなると、その
済のエネルギー源である石炭燃焼から生じる二
の尽力で、防砂林が育っているのを目にし、植林
認可をめざしている。大学発のCDM認可は世界
リスクもありますから。しかし、環境問題は21世紀
酸化硫黄でした。この硫黄分による肺がん率の
の効果を十分理解できました」
(南君)。
的に見ても珍しく、今後の大きなノウハウとなること
の人類の重要な課題であり、若い世代が環境問
上昇や大気汚染をなんとかしたいと思い、バイオ
題を肌で感じることが大切です。その意味では、
ブリケット・プラントを設置したのです」
残念に思っていたんです 。ところが、夏のこの季
この事業の根底には、福澤諭吉以来義塾に脈々
困難を克服して塾生が植林事業の現地に行った
バイオブリケットとは、豆炭、練炭などの石炭粉
節に中国でポプラを植林すると、
ただ地下水を引
と伝わってきた“実学 ”の思想がある。公害を克
ことは非常に意義がありました」
末に稲わらやコーリャンなどの植物原料と石灰を
き上げるだけで環境をむしろ悪化させることを学
服してきた歴史をふまえ、省エネをはじめとする環
そのとき参加したのは、商学部の和気洋子教授、
混ぜて高温で成型したもの。その過程で副生成
びました。環境と向き合うためには、
ただ自己満足
境技術を供与していくことは、
日本が世界に発信
早見均教授、産業研究所の吉岡完治教授のゼミ
物となる脱硫石灰が土壌改良に役立つ。
でかかわるだけではだめなことを知り、同時に中
できる環境貢献のひとつ。それを先導していく人
国環境研究会のプロジェクトの仕事の大変さとス
材を育てていくこともまた、慶應義塾の大きな使命
ケールの大きさを感じました」
(屋良君)。
にちがいない。
ナールに所属する塾生で、いずれも環境関係の
分野を専攻していた。
桜本光教授(商学部)
「バイオブリケットによって、都 市の空 気がきれ
いになると同時に、農村の土壌改良にもつながる。
南秀憲君(商学部4年)
瀋陽東北大学での研究発表会
「私も最初は自分の手で植林したかったのに、
と
なメリットがあるという。
「これまでは大学と政府との関係で研究や環境
植林による砂丘緑化の進行を実感
が期待されている。
屋良富士子君(政策・メディア研
究科修士課程2年)
20
21
(研究事例紹介) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.22)
(P.23)
●研究事例紹介
資 源循 環 型 社 会の制度設計
国際経済学から
地球環境問題へアプローチ
経済学部 教授 細田 衛士
商学部 教授 和気 洋子
) (
として出版されます。
) (
る南北問題を新たな局面へと変貌させています。
この研究は、経済活動から発生する廃棄物を
第3の柱は、現場のフィールドワークという手法
東南アジアからの養殖エビ輸入や木材輸入が
するという、
いわゆる持続可能性の理念を実現す
収集・回収し、中間処理・再生資源化し、
あるいは
に頼りつつ、
また同時に統計的手法を採用して、
マングローブ生態系破壊の元凶とした反自由貿
ることは容易なことではありません。環境配慮型の
最終処分する一連の経済(これを静脈経済と呼
静脈物流の分析を行うことです。この研究では、
易運動や、その漁法がイルカを傷めるとの理由で
世界経済を構築するためには、
より多くの国々が
びます )を1つの系としてみなし分析しています。
静脈海運物流の統計分析を集中的に行っている
米国がメキシコからのキハダマグロ輸入を一方的
その国際システムの形成に合意し、
それが安定的
静 脈 経 済での取り引きには、2 つの情 報の非 対
ところに特色があります。この研究は、慶應義塾大
に禁止した事件などを契機に、貿易と環境をめぐ
に機能するための理論的基盤や実証的検証がど
称性が存在し、
これが経済を歪め持続可能性を
学グローバルセキュリティ研究所(G-SEC)のプロ
る論争は国際経済学分野における重要なひとつ
うしても必要になります。少なくとも国際経済学の
損ねます。本研究では、
この2つの情報の非対称
ジェクトの1つとして行っていますが、研究チーム
の研究テーマになりました。たとえば自由貿易は
枠組みにおいて地球環境問題にアプローチしな
性による市場の歪みを分析し、
どのような施策に
の構成員としては、私の他に、大沼あゆみ経済学
環境保全に敵対的か、
それとも友好的かといった
ければならない所以がここにあります。
よってこの歪みを取り去ることができるかを研究
部 教 授 、宮内 環 経 済 学 部 准 教 授 、山本 雅 資 G -
素朴な疑問ですが、図に示されるように、そのメカ
ニズムは相当に複雑な様相を呈しています。そして、
) (
自然科学系分野において蓄積された多くの貴
静脈経済を分析する
の対象にしています。
計と政策展望−』慶應義塾大学出版会( 2008 )
SEC助教、一ノ瀬大輔経済学部助教がいます。
貿易と環境をめぐる論争
地球環境を保全しながら世界経済の成長を維持
けた慶應義塾政策実証プロジェクト」として、
環境政策への反映
) ( ) (
これまでの研究では、貿易活動それ自体が地球環
境に直接的な負荷を与えると結論付けることは難
重な知見によって地球温暖化現象をめぐる複雑
この研究は3つの柱から成り立ちます。1つは、
以上の研究成果は、拡大生産者責任、排出者
しいことが論証されたり、
実証されたりしてきています。
なメカニズムがかなり解明されてきていますが、
一方、
静脈経済を取り込んだ線型経済成長モデルを作
責任および適正処理・リサイクル責任のカプリング
り、
その数学的な性質を探ることです。この成果は、
という形で実際の政策に採用されています。また、
) (
国際社会は地球温暖化対策をめぐる国際的な費
『 環境制約と経済の再生産 −古典派経済学的
生産物連鎖制御によって潜在資源価値をいかに
1992年リオサミットは、地球環境問題がもはや
学系分野が担う政治・経済の課題に直面するこ
接 近−』慶 應 義 塾 大 学出版 会( 2 0 0 7 )
として出
顕在化させるかという本研究の考え方は、
たとえば、
避けられない人類の課題であることを国際社会
とになりました。その第一歩は京都議定書の締結
『 建設リサイクル推進に係る方策 』
(社会資本整
が認めた歴史的な国際会議となりました。そして、
ですが、そこにはいまなお多くの論点が燻っており、
第 2の柱は、
日本 経 済の資 源 循 環レジームの
備審議会環境部会建設リサイクル推進施策検討
貧困に苦しむ多くの地域が存在していることも、
環境政策が国際競争力に与える影響、あるいは
展開・発展を分析し、上のモデルの成果も踏まえ
小委員会・交通政策審議会交通体系分科会環
依然として国際社会の現実であり、それらの地域
フリーライダー・炭素リーケージなどへの懸念に関
つつ、資源循環レジームのあり方を展望すること
境部会建設リサイクル推進施策小委員会 第7回
が援助・貿易・技術移転・海外からの企業誘致な
する問題などがそれです。こうしたなかで導入さ
です。この成果は、
『 資源循環型社会 −制度設
合同部会)
などで採用されています。
どを通じた経済成長の機会を希求し、
そのために
れた京都メカニズム
(柔軟性措置)、とくにクリーン
先進国経済が果たす役割が一層、求められてい
開発メカニズム(CDM)はWin-Winスキームとし
ることも事実です。こうして地球環境問題はいわゆ
てその実効性が期待されています。
版されました。
静 脈 物 流の解 析 結 果の一 部
私たちが中国東北部カルチン砂漠周辺で展
開している植林風景。植林後は緑の樹木が
砂漠を潤す。
カルチン草原( 中 国 )
地球温暖化問題と国際協調の枠組み
研究の3つの柱とその成果
持続可能な世界経済をめざして
「C D M(クリーン開発メカニズム)事 業 化にむ
用負担などをどうするかといった、いわば社会科
植林風景
植 林 後の様 子
産業廃棄物には「西送り現象」がみられる
プラスの影響
∼1,000 t
∼5,000 t
∼10,000 t
∼15,000 t
15,000 t∼
経済成長
生産拡大
∼10,000 t
∼20,000 t
∼30,000 t
∼40,000 t
40,000 t∼
このように港湾統計
を視覚化してみると
その傾向がわかる
所得増加
資金的余裕
環境
意識の向上
低負荷品の生産 保全
資源効率の向上
技術普及
貿
易
この現象が統計
的に有意である
ことを確認できた
再生資源循環
有害物質の
越境移動
ガバナンスの
空白或
東京からの金属くずの移出
大阪からの金属くずの移出
マイナスの影響
酒田リサイクルポートの静脈物流の視察
22
地球温暖化
大気・土壌汚染
生態系破壊
環境リスク
環境
負荷
植林風景
貿易が環境に与える影響シナリオ
23
(研究事例紹介 ) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.24)
(P.25)
●研究事例紹介
「一杯のビール」から
有害物質の量と健康への影 響を考える
空気中の有害ガス成分だけを
捕集する空気清浄技術の開発
医 学部 教授 大前 和幸
理 工 学 部 教 授 田中 茂
「饒舌」から「急性アルコール中毒死」まで
) (
) (
また、平成14年から3ヵ年の計画で、文部科学
用しています。図1のピンクに塗ってある部分が、
我々
環境計測技術から
空気清浄技術の実用化に向けて
スポーツやお風呂上がりの一杯のビールのおい
の活動範囲です。
室内空気汚染への社会的関心の高まりから、現
境を創造する室内空気汚染物質の高性能浄化
しさは、多くの人々が経験しているでしょう。
「ビー
装置の開発”の研究プロジェクトが開始されました。
ル」の主成分であるアルコール(正確にはエタノー
) (
在、
多数の空気清浄技術の研究が行われています。
しかしながら、問題の重要性に比較して、その多
その研究成果を基にして、平成17年4月に慶應
ル)
という物質が、
「おいしい」という健康に良い影
最近の例としてインジウム研究を紹介します。イ
くの技術は、既存の化学フィルター法、活性炭等
義 塾 大 学 発・研 究 開 発 型ベンチャー企 業として
響を与えました。その「ビール」をどんどん飲み続
ンジウムは液晶テレビやプラズマテレビの製造に不
の吸着剤による除去技術を単に転用したものが
株式会社 STAC(Standard Technology for
けるとどうなりますか。
「饒舌になる」
「気分が悪く
可欠な金属で、世界需要の90%以上が日本で使
多く、実際に有害ガスの除去能力や処理量が充
Air Cleaning)が設立されました。
なる」
「酩酊する」
・
・
・そして最悪の場合には「急
用されています。2001年にインジウムの吸入が原
分とはいえません。一方、当環境化学研究室で開
今後、住宅、
ビル、
トイレ、病院、美術館、
クリーン
性アルコール中毒死」に至ります。長期間大量に
因と疑われた世界で一例目の肺間質障害死亡が
発してきた“拡散スクラバー法”は、
ガスの拡散を
ルーム、動物飼育舎等の様々な生活・生産の室内
アルコールを飲むと、肝臓を悪くしたりアルコール依
発生し、2003年以降、当教室と九州大学共同でイ
利用したガスの捕集法であり、
例えば、
多孔質テフロ
環境において、拡散スクラバー法による空気清浄
存症になる一方で、適度な量の飲酒は心臓病の
ンジウム吸入と肺間質障害に関する調査研究を
ン
(PPTFE, Poruous Poly Tetra Flouro Ethylene)
技 術が 、国内 外で広く利 用され普 及 することが
発生を予防します。これらの事実は、
アルコールと
21社25事業場・研究機関で実施しました。図2は
製チューブに空気を流すと空気中のガス成分は
期待でき、私どもの研究開発が 社会に貢献でき
いう物質は、飲む量によって健康影響の種類や程
結果の一部です。血清中インジウム濃度が増加、
拡散し、PPTFEチューブ内壁の孔を透過します。
るのではないかと考えています。
度が異なってくることを意味しています。
すなわち体の中に入ったインジウム量が増えると、
PPTFEチューブの外側にガスを吸収する水等
アルコールも含めていわゆる「有害物質」と一括
肺間質障害の指標であるKL-6が上昇し(左図)、
を配置しておけば、そのままガス成分を吸収する
りにされる物質についても、全く同じことがいえます。
正常上限500U/mLを超える異常値を示す作業
ことができます。
すなわち、少ない量なら健康に悪い影響は起きな
者の割合が高くなっています(右図)。この他、
イ
また、空気中の粒子は、
ガスと異なり拡散係数
いが、
ある量以上では健康に悪い影響が現れます。
ンジウム濃度が高いと肺の高精度CT写真で異常
が 小 さい の で 、そ のまま空 気 の 流 れと共 に
我々の教室では、
シナリオに最も適した科学的手
陰影を示す作業者の率が増加する、呼吸機能検
PPTFEチューブを通過します。従って、
シンプル
法を用いて、
「一般環境・労働環境に存在する有
査で拘束性障害の率が増加する、等の証拠が得
なPPTFEチューブを用いるだけで、粒子と分別
害物質の量と健康影響の関係」という科学的情
られ、
インジウム吸入と肺間質障害の因果関連が
して、空気中のガス成分のみを捕集することがで
証明されました。この情報を各事業場にコミュニケ
きる画期的なガスの捕集法といえます。
ーションし、事業場の環境は格段に改善しました。
また、
日本産業衛生学会はこの情報から、血清中
) (
インジウム濃度が3ng/mLを超えないように勧告を
“拡散スクラバー法”によるガス成分の捕集の研
報を創出し、一般環境・労働環境にその情報を適
インジウムの健康影響
図1 有 害 要 因と健 康に関わる
リスク評 価とリスク管理
医学的プロセス = 科学的データの創出
有害性の特定(hazard identification)=定性情報
量反応/量影響評価(dose-response/effect assessment)=定量情報
行政医学的プロセス
リスクの特性評価(risk characterization)
曝露限界値設定(standard setting)
リスクの双方向伝達(communication)
リスク減少(reduction)のための施策
リスクの回避(avoidance)
リスクの制御(control)
リスクの排除(removal)
曝露の継続監視(exposure monitoring)
健康サーベイランス
リスクマネージャー
(行政機関)
しています。
曝露限界値設定(standard setting)
図2 インジウム作業者の血清インジウム濃度と間質性肺障害指標KL-6の関係
ス除去処理技術を応用した新しい空気清浄技術
量影響関係
の実用化を目指して、
ここ数年来、研究をすすめ
量反応関係
1.0
9000
リスクの減少(reduction)のための管理
リスクの回避(avoidance)
リスクの制御(control)
リスクの排除(removal)
リスクマネージャー
(企業)
8000
7000
6000
Group A
Group B
Group C
Group D
Group E
0.9
4000
3000
2000
T1O2
コーティング張
ブラックライト
外管の内径:24cm
内管の外径:3.2cm
通気流路有効長(L)
:56cm
0.7
度の「環境賞」優良賞(日立環境財団、
日刊工業
0.6
0.5
新聞主催、環境省後援)
を受賞しました。
0.4
0.3
0.1
0.0
24
太陽
0.2
1000
500
0.01
てきました。その研究成果が認められ、平成13年
0.8
5000
清浄空気
拡散スクラバー法による
空気清浄技術への期待
が、
さらに、
“拡散スクラバー法 ”を用いた有害ガ
実践的プロセス
健康影響評価(health check up)
曝露評価(exposure monitoring)
リスクの双方向伝達(communication)
歯車型拡散スクラバー
究は、主に、環境計測技術として展開してきました
KL-6 異常率
曝露評価(exposure assessment)
労働環境
KL-6 (U/mL)
一般環境
省・大 学 発ベンチャー創出事 業である“快 適 環
0.10
1.00
10.00
In-S (ng/mL)
100.00
0
10
20
30
40
50
In-S (ng/mL)
60
70
80
25
(研究事例紹介) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.26)
(P.27)
●研究事例紹介
デジタルアースで地球の
危 機 管 理を目指す
食品成分と薬の相互作用を探る
薬 学 部 教 授 田村 悦 臣
総 合政策学部 教授 グローバルセキュリティ研究所 副所長 福井 弘道
するために、文部科学省の学術フロンティア事業の
薬の「飲み合わせ」の科学
多様な食品の薬物代謝酵素に
対する影響を調べる
) ( ) (
デジタルアースとは、
自然環境情報や人文社会
補助を受けて、2004年度から5年計画でデジタルア
食べ物の食べ合わせという言葉はよく耳にする
薬学部衛生化学講座では、
ヒトの消化管から
情報をWEB上に集約した、多次元・多解像度の
ジア
(Digital Asia)構想を打ち出してきました。す
と思いますが、薬についても「飲み合わせ」という
単離された培養細胞(Caco-2細胞)を消化管の
地球のことです。地球環境問題など地球規模の
でにJAXA(宇宙航空研究開発機構)、
アジア工科
ものがあります。
「薬と薬」
「薬と飲食物」といった
モデルとして使い、食品として、緑茶、
コーヒー、ハ
問題を検討するために、共同実験室や科学コミュ
大学(AIT)、各国の宇宙機関、大学などからこの
組み合わせで体の中に摂取された場合、その組
ーブなどの飲料、
ウコン、
イチョウ葉エキスなどの民
ニケーションのプラットフォームとしての活用を目指
構想に賛同を得て、各研究機関が分散的に所有し
み合わせによっては予想外の副作用がおきたり、
間療法薬、
ブルーベリーやアロニアといった果実、
しています 。特にアジアにおける災害・環境問題
ている情報を、
サーバーを介してボトムアップ方式で
薬の効果が弱くなってしまうことがあります。特に、
ビタミンCやビタミンEなどのビタミン類、そして最近
に対応するために、慶應義塾大学ではデジタルア
デジタルアジアのポータルサイトに集約しています。
薬と食品との飲み合わせは無数の組み合わせが
では、
ヨーグルトに含まれる乳酸菌など、多様な食
地球規模の問題を検討するための
プラットフォーム
) (
球観測衛星データや地理空間情報の利用を促進
消
化
管
消
化
管
吸収
肝臓
全身へ
吸収・肝臓へ
代謝酵素
薬
排泄
図1
食品には消化管での薬の代謝
に影響する成分が含まれる。
地球環境の現状、本当の姿をWEB上に集約し、
) (
問題となっています。
対する影響を調べています(図2)。これまでの研
て描かれており、実際には消化
再現することは、簡単ではありません。依拠するデ
このポータルサイトには、大きく分けて二つのシ
古くからよく知られた例としては、薬の吸収を悪
究で判ったことは、植物性の食品に含まれるポリフ
襞になっている。
ータが違ったり、データが同じでも解釈や表現方
ステム( 図1)があります。一つは、客観的な空間
くする牛乳やお茶などがありますが、最近では、
グ
ェノール類が薬物の代謝に対して大きな影響を
法が異なったりすると、情報が効率的に処理する
情報を取得し、表示解析することが可能なジオブ
レープフルーツジュースなどの果汁やハーブ茶な
与えることです。その効果は、酵素に対する直接
ことが難しく、バラバラな地球像が出来上がってし
ラウザで、
もう一つは、地域ごとに必要な概念集
どに薬の効果に大きく影響する成分が含まれてい
的な効果ばかりではなく、酵素の遺伝子の発現 ※3
紅茶
2.3
まいます。特にアジア地域では、
データや情報の共
(オントロジー)
を用いて集約したローカルニュース
ることが明らかとなってきています。これらの飲料
にまで影響を与え、食品が体内からなくなった後
緑茶
2.4
ローズレッド
ジアプロジェクトを推進しています。
ヒマラヤ氷河決壊をモニタリング
考えられるので、実際の医療現場でも大変難しい
品について薬物代謝酵素(特に抱合酵素 ※2 )に
有のためのメカニズム、
さらには情報技術やネット
を閲覧するメディアブラウザです。すでに二つのシ
には、薬の体内の濃 度( 血中 濃 度 )を決 定 する
まで影響が残る場合があることです。また、乳酸菌
ワーク環境が未成熟であるため、関係諸機関や
ステムは試験版が完成しており、2007年度からこ
上で重 要な働きをする薬 物 代 謝 酵 素 ※1の活 性
のような善玉菌 ※4の種類と量(菌叢という)が、薬
ユーザ間で積極的な情報の活用、共有、相互利
のシステムを利用した実地研究に着手しています。
に影 響を与える成 分が 含まれています。体 内で
物の代謝に影響を与える可能性があることも次第
用が進んでいないのが現状といえます。
図2は地球温暖化の最前線のモニタリングであ
の薬の代謝は主に肝臓で起こりますが 、経口薬
に明らかとなってきています。
このため慶應義塾大学では、
アジア地域での地
る、
ヒマラヤの氷河湖の決壊洪水調査です。2008
では、
まず、小腸などの消化管で代謝されます(図
以上のように、薬と食品成分との相互作用は、
年度から開始している本シ
1)。消 化 管での代 謝が 体内 へ 吸 収される薬の
薬を適正に使用する上で大変重要な問題です。
図2 決壊洪水が危ぶまれている
ヒマラヤの氷河湖
Natural
地球観測
空間情報基盤
Earth
News
Comments
Blog
Social
グリッドコンピューティング
センシングWeb
準リアルタイムの
空間情報処理
多次元ブラウザ
メディア
ブラウザ
オントロジーを用いた
検索システム
この図では消化管は単純化し
管の内部は複雑に入り組んだ
ジャスミン茶
1.2
2.7
3.1
烏龍茶
7.9
ラベンダー
8.3
ペパーミント
0
2
4
6
8
ステムを活用したパイロット
量を制限していると考えることができます。したが
過度に心配する必要はありませんが、薬を飲む前
事業であり、上述の情報集
って、食品に含まれる成分が消化管での薬物の
後にはなるべく水以外の飲料は飲まないよう心がけ、
約システムを利用しながら、
代謝にどのような影響を与えるかを調べることが
特に日常的にサプリメントやハーブなどを摂取して
地 球 温 暖 化の最 前 線とも
重要になってきます。
いるときは、薬の処方を受ける際に、医師・薬剤師
図2
各種飲料の薬物代謝(硫酸抱
合反応)の阻害。
ヒト消化管モデルCaco-2細胞
内の 硫 酸 抱 合 反 応に対 する
各種ハーブの影響を調べた。
数字は活性の半分を阻害する
濃度(%)を示している。通常
飲まれる濃度が100%にあたる。
にその旨を伝え相談することが大切です。
いえる問題に、
オフライン
(フ
ィールドワーク)
とともに、オ
ンライン(ITを活用したリア
ルタイムモニタリング、
シミュ
※1 薬物代謝酵素;薬や毒物などの生体外物質(ゼノバイオテ
※2 抱合酵素;薬などの化合物にグルクロン酸や硫酸など親水
※4 善玉菌;腸内ビフィズス菌など、体に良い働きをしてくれる腸
レーション)の双方から取り
ィクスxenobiotics、異物ともいう)
を分解あるいは排出するため
性の高い構造を転移する反応を触媒する酵素群の総称。一般
内細菌のこと。悪玉菌(大腸菌やウェルシュ菌、
ブドウ球菌など)
の代謝反応を薬物代謝と呼び、
これらを行う酵素を総称して薬
に生成物は排泄されやすくなる。
の活動を抑え込むのをはじめ、腸内を酸性に保って体を有害菌
組んでいます。
物代謝酵素という。全体的には対象物質の親水性を高め分解・
※3 遺伝子の発現;DNA上の遺伝情報がタンパク質などの生
から守る、発がん物質を無害化する、免疫力を高める、便秘を
排出しやすくする傾向があるが、逆に、発がん物質などへ変化し、
体 成 分としてその 機 能を発 揮 するようになること。狭 義には
防ぐ、
ビタミンB群などを産生するといった多用な働きが知られる。
毒性が増す場合もある。
DNAの遺伝情報がメッセンジャーRNA(mRNA)へと転写され
この働きを積極的に利用しようという考えをプロバイオティクス
ることを指す。
(probiotics)
と呼ぶ。
図1 地球の姿を捉える2つのシステム
26
10
活性の50%を阻害する濃度(%)
27
(環境研究事例紹介) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(環境研究事例紹介・環境関連授業科目一覧) (P.28)
(P.29)
●環境関連授業科目一覧
良 質な環 境を、少ない環境負荷で実現する
サステナブル建 築の研究
環境関連授業科目一覧
2008年度設置の「環境」に関連する科目を各研究科と各学部ごとに、一覧表にまとめました。
なお「環境」についてはさまざまな捉え方が考えられますが、ここでは狭義の、直接的な意味
独 立行政法人建築研究所 理事長
慶 應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研 究 科 教 授
財 団法人建築環境・省エネルギー機構 理事 長
村上 周三
での環境関連授業科目を一覧表にしてあります。
(学部)
科目名
担当教員
文学部
環境問題と大学
) (
され、他の産業界でも徹底的な対策が導入されて
建築分野の温暖化対策を推進するためには、
はじめて、
2050年に60%削減されると推計しました。
高知県梼原町総合庁舎
(2006年11月竣工、担当教授:
村上、隈、伊香賀)
建築関連のCO 2排出量の将来推計
に耐用年数を3倍に伸ばす長寿命化対策が導入
経済と環境
経済と環境
担当教員
商学部
川村 晃生教授
経済学部
経済と環境
科目名
環境ビジネスとポスト京都議定書時代の企業
早見 均教授
経営学(環境と戦略)
梅津 光弘准教授
大沼 あゆみ教授
経営学(環境と戦略)
谷口 和弘准教授
青木 健一郎教授
経営学(環境と戦略)
今口 忠政教授
前田 淳准教授
武山 政直教授
松原 彰子教授
世界経済論/世界経済論Ⅰ,Ⅱ
和気 洋子教授
大沼 あゆみ教授
産業組織各論(規制の経済学)
中条 潮教授
清水 健一教授
産業組織各論(社会問題の経済学)
中条 潮教授
武山 政直教授
外国語演習S
(英語)
大矢 玲子准教授
片田 真一非常勤講師
医学部
国全体の超長期推計に関する研究とともに、実建
すでに2008年に入りましたが、
このような徹底的
物の設計・予測・検証するなどの実践的な研究が
な対策が導入される建物は残念ながら少数派です。
大切です。
温暖化対策を推進するためには、エネルギーコス
建物運用、新築工事、改修工事に伴う建築関
ト削減などの直接的な便益だけでなく、良質な環
自由研究セミナーa/b
岸 由二教授
衛生学(環境と健康)
大前 和幸教授ほか
連のCO 2 排出量は日本の総排出量の40%にも達
境や環境負荷削減などの間接的な便益を明示す
自由研究セミナーa/b
松原 彰子教授
公衆衛生学
武林 亨教授ほか
科学と社会
岸 由二教授
理工学部
します。その2050年までの排出量を推計してみま
るための研究も進めています。
した(図1)、気候変動枠組み条約京都議定書の
経済と環境
英語2
一瀬 その子非常勤講師
生物学Ⅰ
・Ⅱ
上野 健非常勤講師
英語3
小原 京子准教授
第1約束期間(2008年∼2012年)において、
日本
) (
長沖 暁子准教授
高知県梼原町総合庁舎で
サステナブル建築賞を受賞
生物学Ⅰ
・Ⅱ
岸 由二教授
地球科学概論Ⅰ
・Ⅱ
坪田 幸政非常勤講師
はCO 2などの温室効果ガス排出量を1990年に比
実際の建物を設計し、環境性能をコンピュータ
生物学Ⅰ
・Ⅱ
長沖 暁子准教授
健康科学
西村 多美子非常勤講師
べて6%削減すると約束したわけですが、建築関
で予測し、実使用時の性能を検証する実践的な
地域生態文化論
岸 由二教授
環境化学概論/環境化学
鹿園 直建教授
地理学a/b
松原 彰子教授
エネルギー変換システム
佐藤 春樹教授
環境経済論/環境経済論a,b
大沼 あゆみ教授
環境・エネルギー論
佐藤 春樹教授・田中 茂教授
連のCO 2 排出量は、現状のままでは15%も増えて
研究にも取り組んでいます 。高知県梼原町総合
しまいそうです。また、2007年の先進8カ国首脳会
庁舎は、21世紀COEプログラムにおけるサステナ
ENVIRONMENTAL LAW AND ECONOMY(PCP) 高村 ゆかり非常勤講師
環境化学1・2
田中 茂教授
議で提案された「世界の温室効果ガス排出量を
ブル生命建築のモデルプロジェクトとして慶應義
ENVIRONMENTAL ECONOMIC THEORY(PCP) 有村 俊秀非常勤講師
環境生物工学
太田 博道名誉教授
2050年までに50%削減する」という超長期目標に
塾大学が調査研究、設計、性能検証を担当した
ENVIRONMENTAL ECONOMIC POLICY(PCP)
馬奈木 俊介非常勤講師
建築環境工学
伊香賀 俊治教授
対しても10%の削減にとどまってしまいます。
プロジェクトです。運用に伴うCO2排出量を半減し、
INTERNATIONAL ENVIRONMENTAL PROBLEMS(PCP)
バティー,ロジャー教授
生体触媒化学
松村 秀一教授
地球環境科学Ⅰ
・Ⅱ
鹿園 直建教授
京都議定書採択の翌年(1998年)以降、すべ
建築物総合環境性能評価システムCASBEE(キ
ての新築建物で通常よりもエネルギー消費量を30
ャスビー)でも最高のSランクとなる設計を行い、良
%削減できる対策が導入され、改修される建物で
質な環境を少ない環境負荷で実現することに寄
は従前よりも15%削減できる対策が推進され、
さら
与するサステナブル建築賞を受賞しました。
図1 建築分野の2050年までの将来推計
(担当教授:伊香賀・村上)
法学部
生物学Ⅰ、生物学Ⅱ/生物学
秋山 豊子教授
都市インフラストラクチャシステム
柳原 隆司非常勤講師
生物学Ⅰ、生物学Ⅱ/生物学
金谷 信宏准教授
反応システムと環境
植田 利久教授
生物学Ⅰ、生物学Ⅱ/生物学
小野 裕剛専任講師
物理学Ⅰ、物理学Ⅱ/物理学
下村 裕教授
ライフサイクル工学
物理学Ⅰ、物理学Ⅱ/物理学
小林 宏充准教授
総合政策学部・環境情報学部
物理学Ⅰ、物理学Ⅱ/物理学
杉本 憲彦専任講師
都市と地域の未来
金安 岩男教授
化学Ⅰ、化学Ⅱ/化学
小瀬村 誠治教授
空間情報発送
厳 網林教授
福井 弘道教授
横森 剛専任講師
飯田 訓正教授
化学Ⅰ、化学Ⅱ/化学
志村 正専任講師
地球システム
自然科学特論Ⅰ
志村 正専任講師
総合政策学部
自然科学特論Ⅰ
秋山 豊子教授
地域政策
大前 孝太郎特別招聘准教授
自然科学研究会Ⅰ
・Ⅱ
秋山 豊子教授
まちづくり論
大江 守之教授
自然科学研究会Ⅰ
・Ⅱ
金谷 信宏准教授
まちづくり論
飯盛 義徳准教授
自然科学研究会Ⅰ
・Ⅱ
小林 宏充准教授
国土政策
岩村 敬特別招聘教授
自然科学研究会Ⅱ
志村 正専任講師
環境政策
浜中 裕徳教授
演習Ⅰ
オイションゴウ非常勤講師
地球環境政策
浜中 裕徳教授
環境法Ⅰ
・Ⅱ
六車 明教授
持続可能システム論
渡邉 正孝教授
行政法ⅣA
藤原 淳一郎教授
環境情報学部
国際環境法
小山 佳枝非常勤講師
都市と環境
厳 網林教授
運用に伴うCO 2排出量を半減し、CASBEEで最高のSランクを実現した環境配慮対策のいろいろ
28
29
(環境関連授業科目一覧) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.30)
(P.31)
●環境関連授業科目一覧
(学部)
科目名
担当教員
科目名
担当教員
科目名
担当教員
科目名
担当教員
都市空間設計と情報技術
池田 靖史教授
建築設計と環境デザイン
松原 弘典准教授
アーバンリモデリングデザイン
小林 博人准教授
システムデザイン・マネジメント研究科
エコロジカルデザイン
大澤 啓志非常勤講師
ビルディングエレメントデザイン
前川 秀幸非常勤講師
環境と開発のジオインフォマティクス
福井 弘道教授
システムエンジニアリング序論
狼 嘉彰教授
生活環境論
藤倉 まなみ教授
都市空間の再設計
小林 博人准教授
薬学研究科
システム環境論
中野 冠教授
エネルギー環境論
渡邉 正孝教授
人間環境整合論
福田 亮子専任講師
衛生化学特論
田村 悦臣教授
ダイナミクス解析と制御の数学的手法
西村 秀和教授
生態学フィールド調査法
一ノ瀬 友博准教授
看護医療学部
衛生化学特論
清水 美貴子専任講師
国際問題概論
手嶋 龍一教授
衛生化学特論
服部 研之助教
法的問題概論
狼 嘉彰教授
システムデザイン・マネジメント研究
同研究科所属全教員
地球環境概論
厳 網林教授
環境論
ランドスケープエコロジー
大澤 啓志非常勤講師
薬学部
環境センシング論
鈴木 仁非常勤講師
科学技術と現代社会
環境リスク科学
武林 亨教授
環境保全計画論
藤倉 まなみ教授
エコシステムサービス論
鎌倉 光宏教授ほか
経営管理研究科
谷田部 雅嗣非常勤講師
経営環境特殊講義
姉川 知史教授
法務研究科
C10生体防御(2)免疫系の破綻・免疫系の応用
笠原 忠教授
経営環境特殊講義
田中 滋教授
国際環境法
C11健康(1)栄養と健康(2)社会・集団と健康
田村 悦臣教授
経営環境特殊講義
中村 洋教授
渡邉 正孝教授
C12環境(1)化学物質の生体への影響
田村 悦臣教授
経営環境演習
姉川 知史教授
環境法Ⅰ
六車 明教授
エコシステム評価論
厳 網林教授
C12環境(1)化学物質の生体への影響
清水 美貴子専任講師
経営環境演習
田中 滋教授
環境法Ⅱ
六車 明教授
自然環境論
一ノ瀬 友博准教授
C12環境(1)化学物質の生体への影響
森田 裕子専任講師
経営環境演習
中村 洋教授
環境法務ベーシック・プログラム
高齢者環境設計論
福田 亮子専任講師
C11健康(2)社会・集団と健康(3)疾病と予防
永井 総子専任講師
経営環境特論
田中 滋教授
地球システム設計論
福井 弘道教授
C18薬学と社会(3)
コミュニティーファーマシー
福島 紀子教授
経営環境特別実習
姉川 知史教授
環境法務ワークショップ・プログラム
六車 明教授
地球環境情報論
清水 浩教授
C8生命体の成り立ち
(4)小さな生き物たち
下遠野 久美子准教授
経営環境特別実習
田中 滋教授
テーマ演習
六車 明教授
地球環境技術論
清水 浩教授
経営環境特別実習
中村 洋教授
テーマ研究
六車 明教授
大森 正仁教授
小山 佳枝非常勤講師
六車 明教授
西久保 裕彦非常勤講師
(大学院)
科目名
科目名
担当教員
経済学研究科
担当教員
地球環境資源学
鹿園 直建教授
社会・環境論特論
大沼 あゆみ教授
バイオマス利用建築論
坂本 功特別研究教授
社会・環境論演習
大沼 あゆみ教授
分子結晶の物理化学
大村 亮専任講師
環境経済論
大沼 あゆみ教授
政策・メディア研究科
環境経済論演習
大沼 あゆみ教授
概念構築(EG1)
池田 靖史教授
経済史演習
杉山 伸也教授
概念構築(EG2)
清水 浩教授
牛島 利明教授
先端研究(EG1)
金安 岩男教授
古田 和子教授
先端研究(EG2)
福井 弘道教授
柳沢 遊教授
人間工学論
福田 亮子専任講師
神田 さやこ准教授
地域環境論
中島 裕輔非常勤講師
ENVIRONMENTAL LAW AND ECONOMY(PCP) 高村 ゆかり非常勤講師
都市政策
大江 守之教授
ENVIRONMENTAL ECONOMIC THEORY(PCP) 有村 俊秀非常勤講師
デジタルアース論
福井 弘道教授
ENVIRONMENTAL ECONOMIC POLICY(PCP)
馬奈木俊介非常勤講師
安全環境論
梶 秀樹非常勤講師
INTERNATIONAL ENVIRONMENTAL PROBLEMS(PCP)
バティー, ロジャー教授
応用環境デザイン(建築とランドスケープデザイン)
坂 茂教授
商学研究科
応用環境デザイン(都市環境のデザイン)
小林 博人准教授
黒川 行治教授
環境の変遷
三宅 理一教授
高橋 正子専任講師
環境デザイン・フィールド・ワークショップ
三宅 理一教授
西山 久美子特別招聘准教授
環境空間論
松原 弘典准教授
和気 洋子教授
建築環境制御論
加藤 孝明非常勤講師
新保 一成教授
都市デザイン論
岸田 比呂志非常勤講師
早見 均教授
エネルギー政策分析
渡邉 正孝教授
産業連関特論
桜本 光教授
ランドスケープデザイン
石川 幹子非常勤講師
国際経済特論
和気 洋子教授
環境の力学
手塚 升非常勤講師
国際経済学特殊研究
和気 洋子教授
都市空間の構成
日端 康雄名誉教授
空間モデリング特論
古谷 知之准教授
環境会計論
環境と経済政策
理工学研究科
環境・資源・エネルギーと日本経済社会の構造
井出 亜夫非常勤講師
ランドスケープエコロジー
大澤 啓志非常勤講師
環境・資源・エネルギー科学特論第1
小尾 晋之介教授ほか
地球環境技術論
清水 浩教授
環境・資源・エネルギー科学特論第2
黒田 千秋非常勤講師
地球システム
福井 弘道教授
環境化学特論
田中 茂教授
エネルギー環境論
渡邉 正孝教授
環境機能材料工学特論
堀田 篤准教授
ポピュレーションダイナミクス
大江 守之教授
環境・多重スケール力学同演習
小尾 晋之介教授ほか
地球環境政策
浜中 裕徳教授
環境法
奥 真美非常勤講師
アーバン・リノベーション研究
大江 守之教授
居住環境デザイン工学
伊香賀 俊治教授
都市空間とリスクマネージメント
厳 網林教授
大気環境科学
鶴田 治雄非常勤講師
グローバル環境システム
清水 浩教授
30
〈 環境問題に関する研究を検索する方法 〉
慶應義塾では、環境問題に関係する多彩な研究が、
あらゆる学部・研究科で行われています。これらの
多彩な研究テーマを知るために、
「K-RIS」
「KLL版イエローページ」
「SFC研究所版イエローページ」
などの検索システムを設け、
ネット検索ができるようになっています。
「環境」
「温暖化」
「排出権」
「大気」
「水質」
「リサイクル」
「化学物質」
「ソーラー」
「電気自動車」といったキーワードで検索してみてください。
K-RIS(Keio Research Information System)
K−RISでは慶應義塾全体における、研究者の情報を得ることができます。
キーワード検索、所属別検索、研究者が学会などで発表した、論文検索などができます。URL:http://www.k-ris.keio.ac.jp/
そのほかの研究者データベース
●KLL(慶應義塾先端科学技術研究センター)版 イエローページ
矢上キャンパス
(理工学部)における、現在進行中の研究プロジェクトを紹介。
URL:http://www.kll.keio.ac.jp/db/index.html
●SFC研究所版 イエローページ
湘南藤沢キャンパスにおける、現在進行中の研究プロジェクトを紹介。
URL:http://www.kri.sfc.keio.ac.jp/kris-yp/
31
(特集/環境週間レポート) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.32)
(P.33)
特集 3
環境週間レポート
「週間から習慣へ」
をキャッチフレーズに、
塾生・教職員が連携して、
環境を考え、実践する1週間
慶應義塾大学では、毎年6月のうちの1週間を「環境週間」と定めて、塾生・教職員が連携しながら、
環境問題について考え、実践する催しを開いています。
環境週間の担い手となっている環境サークルE.C.O.の活動と、
日吉キャンパスの環境週間を紹介します。
ゴミ回収
2 0 0 7 年 からはテーマを設 定 することにした 。
イプ(ミンミ・リ・リ・パック)である。食べ終わった後
館)での写真展と身近な環境問題をテーマにした
が参加して「日吉キャンパスごみ掃討大作戦」
E.C.O.のメンバーで2007年の環境週間総責任者
にフィルムをはがすと、容器はきれいなままリサイク
本の展示、
ポスター展示企画、他大学や社会人な
が始まった。
慶應義塾大学日吉キャンパスで「環境週間」が
となった理工学部2年生の長谷川公寛君は、
「テ
ルできる。しかし、塾生の中にはリサイクル容器で
ども参加したパネルディスカッションなどが、環境週
最初に開催されたのは、2002年6月だった。当時、
ーマを決めれば、環境週間の狙いが絞れると思っ
あることも、
フィルムをはがせることも知らない人も
間の間に企画・実行された。 慶應義塾の環境問題に関心を持つ教職員スタッ
たからです。2007年のテーマは『身近な環境問題』
いる。回収ボックスを設け、分別指導を展開し、容
フは、環境問題が大きな社会的なテーマとなって
にしました。環境問題は一人ひとりの地道な活動
器の回収率の向上をめざした。
「環境週間の間は、
環境問題を難しく考えず
身近な問題として捉えたい
いることを受け、塾生と教職員が環境について興
が大切なことから、
まずは大きな目標を掲げるよりも、
確かに効果がありました。問題は環境週間が終
1週間の環境週間が終わり、E.C.O.の反省会
味を持つ機会をつくれないかと考えていた。それも、
身近な環境問題を取り上げようということになった
わったあと、
リサイクル容器であること、
フィルムが
が開かれた。痛感したのは、環境週間について
大学側が押し付けるのではなく、塾生が主体的に
のです」といきさつを語っている。
はがせることなどを忘れてしまう。秋の三田祭で
知らない塾生が意外に多いことだった。
「告知の
取り組むことが大切との認識を持っていた。
環境週間には塾内でさまざまなイベントが行わ
の同じイベントでやっと思い出してくれたりします」
徹底を図り、環境週間の認知度をもっとあげたい」
幸い慶應義塾大学には、
リオデジャネイロ・サミッ
れる。各企画内容はE.C.O.内部で2006年末頃
ト以前の1991年に創設され、環境問題に真剣に
から討 議し、H A P Pに諮って2 0 0 7 年 4月頃に最
例年行っている講演会には、環境漫才師林家
谷川君は、環境週間に携わった感想を次のように
取り組んできた「E.C.O.」というサークルが活動を
終決定した。 ライス・カレー子氏を招いた。楽しく環境問題を知
語っている。
「何かが変わっていくという手ごたえ
続けていた。教職員側とE.C.O.で話し合いが持
4月からは6月の環境週間に向って、E.C.O.の主
ってもらえたと評価すると同時に、次回はもっと専
もありました。それまで、環境にほとんど関心のな
たれ、
環境問題を塾生・教職員が考え、
実行する「環
だったメンバー20人ほどが走り始めた。環境週間
門的な講演が必要という意見もあった。大学生協
かった体育会系の塾生が、
ぼくらの話に耳を傾け、
境週間」が開催されることになった。イベントのキ
といっても、塾生の多くはその存在さえ知らない。
とタイアップした企画も、初めて行われた。
「ecoop!
一生懸命協力してくれたことが嬉しかった。環境
ャッチフレーズは、
「週間から習慣へ」に決まった。
大学の掲示板、立て看板、慶應義塾大学のホー
環境に優しい生協をめざして」では環境対応の
問題をあまり難しく考えるのではなく、
自分たちの
環境週間をきっかけに、環境問題をその後の生
ムページなどで告知していった。
文具や小物が販売され、貝殻でできた消しゴムや
身近な問題として塾生が考え、行動するようにな
活習慣に取り入れてほしいという願いが込められ
(長谷川君)
マイバッグが大人気だった。その傍らでは、
リデュ
ってほしいですね」。
ースやリユースの重要性の訴求、環境に関する本
2008年6月、慶應義塾ではまた環境週間が開
で変わることなく引き継がれてきている。
いよいよ、環境週間のスタート。6月18日、
日吉キ
の展示などが開催され、多くの塾生が関心を持っ
催される。足元を見つめ、新しい課題に取り組む
初年度は日吉キャンパスを中心とした開催であ
ャンパス全域で、体育会に所属する塾生をはじめ
て見守った。このほか、
日吉メディアセンター(図書
ための塾生の活動が始まる。
ったが、2003年の2回目には三田キャンパスが加
大勢の塾生と協力して塾内のゴミ拾いを行う「日
わり、
さらに湘南藤沢キャンパスにおいても同時開
吉キャンパスごみ掃討大作戦」が行われた。
「ま
催されるようになった。2004年度からは、
日吉キャ
だ塾生の中には缶やたばこなどのポイ捨てが目立
45
ンパスの環境週間は、教養研究センター日吉行事
ちます。大勢で一斉にごみ拾いを行うことで、環境
40
企画委員会(HAPP)が主催し、E.C.O.が全面的
意識を訴えられたと思います。環境週間を知らせ
35
に協力、サポートすることになった。
る旗や拡声器を使った呼びかけで、環境週間の
「身近な環境問題」をテーマに
多彩な企画を展開
存在もアピールできました」
(長谷川君)。
野外でのもうひとつの大きなイベントが「リサイ
メディアセンターでの環 境 関 連 書 籍 紹 介
というのがメンバーの共通した思いであった。長
ごみ掃討大作戦、
リサイクル容器回収に
塾生が真剣に取り組んで
たものだった。以後、
このキャッチフレーズは現在ま
32
体育会各部から約100名、E.C.O.約20名など
環境活動実践のきっかけとなる
イベントをつくりたい
「環境週間」期間中のリサイクル弁当容器の回収率推移
回
収
率
︵
%
︶
はがし済
はがし未
キャンパス内・周辺のごみ拾い
弁当容器回収
30
25
20
15
2007年の「環境週間」は、6月18日から6月22日
クル弁当容器回収率改善企画」。日吉キャンパス
10
の約1週間にわたって開催された。それまで、環境
で販売されている弁当の容器は、容器の底にフィ
5
週 間ではとくにテーマを決めてこなかったが 、
ルムが貼ってあり、
その上にご飯などが盛られるタ
0
14日
(木) 15日
(金) 18日
(月) 19日
(火) 20日
(水) 21日
(木) 22日
(金) 25日
(月) 26日
(火)
平均
33
(キャンパスECOトピックス) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.34)
(P.35)
●キャンパス環境トピックス
塾 生や教 職員が一 体となって取り組む
日常 的な省エネやリサイクル活動
慶應義塾では、毎日の省エネや3Rの取り組みのほか、学園祭のイベントなどを通じて、
環境意識の啓発に努めています。大学キャンパスでの取り組み事例を紹介します。
) (
●ブックリユース制度
祭「矢上祭」においても、三田祭と同様の取り組
通じて、来場者に環境問題への意識向上を促し
塾内では不要になった書籍が毎日大量廃棄さ
みが行われています。
ています。
●省エネの呼びかけ
れています。この状況を改善するため、E.C.O.に
●落とし物のチャリティーバザー
信濃町キャンパスでは各教室に温度計付のメ
よる「ブックリユース制度」が展開されています。日
三田祭では、毎年、大学構内で拾われ保管期
) (
ッセージシールの貼り付けや省エネのお願いのポ
吉キャンパスの塾生会館1階に本棚を設置し、不
間を過ぎた落し物を大 学から譲り受け、E . C . O .
●理工学部・理工学研究科「省エネファンド企画」
スターを掲示しているほか、省エネアンケートを実
要になった書籍を持ち寄っています。この本棚の
主催でチャリティーバザーを実施しています 。こ
矢上キャンパスでは、理工学部省エネルギー推
施するなどの啓発活動を展開しています 。他キ
書籍は、
だれでも自由に持ち帰ることが可能です。
の収益金は、環境保護活動などを展開している
進委員会が中心となって、エネルギー対策の一環
ャンパスにおいても同様な活動を行っており、
こう
として、
「省エネファンド企画」を開催しています。
した活動を通じて省エネ意識の浸透に取り組ん
) (
団体に全額寄付しています 。また、矢上祭では、
おもに小 学 生を対 象に、
リサイクルをテーマにし
これは、学内での省エネルギー対策を推進するた
でいます。
●リサイクル容器の導入
た室内企画を開催しています。
めの施策で、エネルギー消費の高まる夏期及び冬
●古紙回収
1995年度、三田キャンパスの学園祭「三田祭」
●ドームハウスで環境意識を啓発
期に向けて、塾生や教職員を対象に省エネルギ
日吉キャンパスでは教職員の協力のもと、公認
は全国の学園祭に先駆け、三田祭実行委員会と
湘南藤沢キャンパスの学園祭「七夕祭」
「秋祭」
ー啓発ポスターの公募を行っています。集まった
学生団体 E.C.O.のメンバーが各校舎をまわり、不
E.C.O.の主導のもと、模擬店参加団体が協力す
においては、
環境サークルの「Alternative Energy
ポスターは、矢上キャンパスに掲示され、啓発に貢
要になったプリントや資料・書籍を分別回収してい
る形で、環 境 対 策 へ の 取り組みを始めました 。
Innovators」が、
「DRP(Dish Return Project)」
献しています。
ます。また、
月1回、塾生会館内の学生団体を対象
1997年度には、
「三田祭環境プロジェクト」が発
と「ドームハウスプロジェクト」に取り組んでいます。
一連の活動が評価され、2007年9月に、文部科
とした回収も実施しています。なお、定期試験時
足し、
ごみ分 別 回収が 始まり、
リサイクル容 器が
DRPとは模擬店で紙皿の代わりに、再利用可能
学省大臣官房文教施設企画部より講演依頼を
には大量のコピーなどが廃棄されるため、
日吉キャ
導入されました。なお、
リサイクル容器は、2000年
なプラスチック皿を使う取り組み、
ドームハウスとは
受け、
「大学等における省エネルギー対策に関す
ンパスに加えて三田キャンパスにも古紙回収ボック
度からほぼ100%リサイクル可能なP&P容器が
三角形のダンボールパネルを繋ぎ合わせて作るエ
る研修会」で発表を行いました。
スを設置し、回収に努めています。
使用されています 。なお、矢上キャンパスの学園
ネルギー効率の良い建築物です。一連の活動を
信濃町キャンパスに貼られた
メッセージシール
大学キャンパスでの環境活動
公認学生団体
学園祭での3Rの取り組み
コンテスト
(ECOCON)」にも5回連続で参加。
塾員
(卒業生)
の活動
2002年からは横浜市立矢上小学校と連携し
●E.C.O.
1991年に発足した歴史あるサークル
キャンパスでの環境啓発の発信源
て環境教育を実施しています。児童や保護者の
方と矢上川でごみ拾いのほか、6年生の総合学
習のサポートを担当しています。
E.C.O.は、環境問題への取り組みを活動の中
心に据えている公認学生団体です。1991年、一
山川勇一郎
(1998年 総合政策学部卒業)
自然と関わり、
「自然を大切にする芽」を育みたい
学生教育と一体となった省エネ啓発
優秀賞 総合デザイン工学専攻修士課程1年生
然に興味を持ち、
「人と人」
「人と自然」をつ
えざる価値」を掘り起こし、社会に発信する
なぐことで社会に役立ちたいとこの業界に飛
ことで共感の輪を生み出す作業の連続です。
び込んだのが27歳の時。多くの人の心に「自
ただ、
自然の中での活動は、必ず負荷が伴う
然を大切にする芽」が育ち、花が咲き、実を
ため自然の保全と利用のバランスを意識した
結ぶ時、
私の仕事も一段落すると思いますが、
事業運営が求められます。
まだ当分、落ち着けそうもありません。
SFCで学んだ「問題発見・問題解決」の
◎ホールアース自然学校 http//wens.gr.jp
日吉キャンパス内の畑で野菜栽培
第3回 ECOCONで敢闘賞受賞
が自ら動いてみよう」という趣旨の返事をもらい、
2004年6月、
自然食に興味を持った塾生が、
自
突っ込んでから6年が経とうとしています。
その塾生が仲間を集め、
自主的な活動がスタート
分達の手で作物を作ることを目的に結成。日吉キ
自然学校とは「自然ガイドの集団」と考え
人の心に「自然を大切にする芽」を育んで
「自然学校」という、耳慣れない分野に首を
最優秀賞 生命情報学科3年生
「自然を生業にする」ということは、
自然の「見
取り組みを訴えたところ、塾長から「まずは塾生
人の塾生が当時の塾長に、義塾の環境に対する
34
●スローフードクラブ
ホールアース自然学校
コーディネーター
2007年度夏の
省エネ推進「省エネファンド企画」
ポスター・受賞作品より
精神や、
さまざまな分野で活動している塾員
とのネットワークが、今の仕事に非常に役立っ
ていると日々実感しています。
しました。
ャンパス内にある畑での野菜栽培を軸に、地域の
ていただくとわかりやすいのですが、
自然体
いくということは、時間のかかる道のりです。
「環境問題について考え、身近なところから行動
方の協力を得て収穫祭を開くなど、精力的に活
験のプログラムの実施を基本に、国内外の指
だからこそ、
自分にかかわった人が何かに気
していく」を基本理念に、約80名の会員が教職
動しています。2006年、
「第3回全国大学生環境
導者の育成、地域振興のコンサルティング、
づき、行動を起こしていく姿を見ると、
自分自
員や塾生と連携して、
さまざまな環境改善・啓発
活動コンテスト
(ECOCON)」に参加し、敢闘賞
企業との連携プロジェクトなど、多岐にわたる
身も勇気づけられます。
活動を展開しています。
「全国大学生環境活動
を受賞しました。
活動を行っています。
慶應義塾山岳会出身の父の影響から自
35
(SFCキャンパス緑化計画) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.36)
(P.37)
特集 4
SFC緑化
地域の自然を生かした
緑豊かなキャンパスを実現した
湘南藤沢キャンパス
( SFC )
1990年に開設されたSFCは、豊富な緑の樹木に包まれた絶好の環境にあります。
キャンパスの緑化計画はどのように進められたのか、
そして今、
どのように管理されているのかを紹介します。
それまであったハイキングコースなどはそのまま生
に広葉樹林と竹林を残し、池に浅瀬ができるよう
までには時間がかかる。開校して数年は、新たに
かし、敷地内にある富士浅間神社は鎮守の森と
に設計するなどして、平坦地でメジロ、
コゲラなど
植樹した木々はまだ十分に生育していなかったが、
湘南に慶應義塾の新しいキャンパスをつくる構
してそのまま残すことにした。
が観察できる環境を整えていった。
20年を経たいま、
キャンパスは明るく伸びやかな広
想は、1980年代半ばから検討されていた。情報や
「保存緑地」
「常葉広葉樹林による回復緑地」
この頃、開発と環境の問題がクローズアップさ
葉樹と緑豊かな常緑樹、竹林、調整池などが調和
国際化、人間と環境を重視し、地域と共生した最先
「落葉広葉樹林による回復緑地」
「修景緑地※」
れ始め、事業の実施が環境にどんな影響を与え
した景観をつくりだしている。調整池にはカモが
端の大学創設がそのコンセプトの中心であった。
の4区を設け、敷地面積の51%を緑地とすること
るかを評議する環境アセスメント
(環境影響予測
飛来し、昆虫などもすみつくようになった。このキャ
キャンパス予定地の神奈川県藤沢市遠藤字刈
になった。
評価 )が注目されるようになった。SFCの建設計
ンパスの緑化計画を推進するため、塾員(卒業生)
画も環境アセスメントを実施することになり、1987
から募金を行い、
「三田会の杜」と名づけ、塾生・
年12月、
「環境影響予測評価」の説明会が市民
教職員・塾員の慶應義塾社中が一体となって緑
センターなどで3回にわたって開催され、大きな問
豊かなキャンパスをつくりあげてきた。
題もなく了承された。
自然を育てるためには、人手と費用がかかる。
健康と文化の森づくりを推進
込は、
当時、
わずかに住宅が散在するものの、
ほと
んどが畑と山林の自然豊かな地域であった。ここ
に敷地面積約32万5700m2の広大なキャンパスが
つくられる。
※修景緑地とは、園路・広場等の造成により発生する土地改変
を伴う法面等で、周辺景観と調和を図るなどのために植栽する
緑地のことをいう。
動植物の生態を調査して保存
市街化調整区域であることから、地区整備計
地域の自然を生かし、環境に配慮したキャンパ
また、その後2001年に開設した看護医療学部
地元では造園業者が、SFCのキャンパス緑地の
画によって藤沢市と敷地面積の50%以上を緑地
スづくりのために、
この地域の植物・動物の生態
の場合、
その地域にはオオタカが生息していたため、
手入れを目的にした会社を設立し、年間計画によ
とする協定が結ばれた。
の調査も入念に実施した。植林植生として、
シラカ
地域の自然を考えるNGO団体からその保護策を
って樹木の下刈り、枝払い、修景地の草刈りなど
慶應義塾では、建設にあたって、
( 1)
自然の持つ
シ群集、
クヌギ、
コナラ群集、モウソウ竹、
スギ・ヒノ
講じるように要請があった。慶應義塾ではこれに
を行っている。間伐などについては、教職員・業者
豊かな環境とそのポテンシャルを最大限に活用す
キ植林、ニセアカシア植林が丘陵地帯の斜面に
全面的に協力し、着工を半年遅らせ、建物を営巣
と共同で中期計画を作成、緑地の保全に努めて
る、
( 2)多様な要素を持つ複合性の高いキャンパ
広がっていた。これらの植物を保存緑地として現
木からできるかぎり遠ざけるなどの対策を講じて、
いる。これらの年間費用は、約4,000万円弱で、
こ
スとする、
(3)外部との交流が盛んな開かれたキ
状保存することにし、造成区域では地域に適した
オオタカの保護に力を注いだ。
の金額は三田、
日吉キャンパスの緑地管理費用と
ャンパスとする、
の3点をマスタープランの骨子とした。
タブノキ、
シラカシ、ヤブニッケイ、
アラカシ、
ケヤキ、
比較すると、格段の予算規模となっている。
地域の人もキャンパスの自然を楽しむ
まず、現況の地形特性を極力生かし、
自然の起
エノキなどの樹木を植林することが決まった。
伏をキャンパスの景観に取り入れ、谷筋には進入
動物の生態系を調査したところ、
シジュウカラ、
建設がスタートしたのは1988年、森に囲まれた
って、
自然を楽しむことができる。鎮守の森として
道路、調整池などを設け、現状の自然環境や景観
エナガ、
アオジなどの鳥類が樹林内に生息してい
大学のイメージが次第にできあがっていき、1990
残された浅間神社には、サクラの木があり、毎年
になじませることにした。敷地の中心部の高台に
ることがわかった。キャンパスの造成により森林面
年4月、新入生を迎え入れた。
サクラの季節になると地元の人々が花見に訪れる。
都市型の建物をつくり、周辺部を緑でぐるりと取り
積が減少することによる動物の個体数、種の減少
SFCは当初の計画通り、緑豊かなキャンパスと
地域と一体となった緑豊かなキャンパスは、
これか
巻く。地域との調和と連帯を促進していくために、
を最小限に抑えるべく、調整池を設け、その周辺
して完成した。しかしながら、植樹した苗が育つ
ら、
さらに成熟するときを迎えようとしている。
SFCでは、地元の人々は自由にキャンパスに入
中・高等部
修景池(ガリバー池)
開設 前
開設時1 9 9 0 年
現在
本館
調整池(テアトロン)
メディアセンター
36
37
(キャンパスの緑化活動) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.38)
(P.39)
●キャンパスの緑化活動
緑を育て、心やすらぐ環境をめざして
慶應義塾では、首都圏の各キャンパスの特徴に応じた緑化に取り組んでいます。
歴史が始まったばかりのキャンパスから100年を超えるキャンパスまで、適切な樹木管理・植樹計画を通じて緑豊かな環境をめざしています。
特集4で紹介した湘南藤沢キャンパス以外の緑化施策を紹介します。
) (
樹木の保守管理によって
自然との共生を図る
●日吉キャンパス
●矢上キャンパス
● 信濃町キャンパス
約1300種類の多様な動植物が生息する
限られた敷地の中で緑化資源維持を図る
病院における憩いの環境保持に努める
慶應義塾では「計画的な管理を行うことで緑豊
「日吉の森」の生物多様性を守る
矢上キャンパスは高台に立地し、近年は教育研
信濃町キャンパスは、立地の関係上、それほど
かなキャンパス環境を維持し、義塾とともに歴史を
日吉キャンパスは約36haの面積を持ち、
東急東横
究施設の建設により、敷地が次第に狭くなってき
樹木の数が多くないため、基本的には必要時に
重ねる貴重な樹木の保護に努める」ことを目標とし、
線の渋谷と横浜の中間という都市部に位置しながら、
ています。敷地が近隣と隣接しているため、防災
剪定・伐採などを行う個別対応による管理を実施
自然との共生を進めています。
キャンパス内には15haを越える緑地が保存されてい
や暴風にも考慮し、不必要な樹木伐採は行わな
しています。数は少なくとも、
キャンパスと大学病院
キャンパスによって管理する樹木・緑地の総量
ます。
「鬼の寝床の森」
「まむし谷奥の森」
「一の谷
いなど、限られた敷地の中での緑化資源維持に
における憩いの環境を保てるよう、既存樹木の保
は異なりますが、樹木管理にあたっては、
( 1)年間
の森」
「馬場の森」など、大小いくつかの森があり、
努めています。また、定期的な整枝作業によって
護に努めています。
の保守計画に基づき、予算措置を講じて計画的
それらをあわせて「日吉の森」と呼んでいます。この
発生した枝は落葉とともに破壊機を用いて細かく
に実施する緑化整備と
(2)自然災害や急激な枯
森には、
多摩丘陵の面影を残すヤクシソウやオドリコ
裁断し、堆肥として土に還元できるようにすべてキ
●芝共立/浦和共立キャンパス
損の進行などに対応する緊急整備のように、柔軟
ソウなど貴重な植物やタヌキ、
コゲラなどの小動物や
ャンパス内で処理しています。堆肥化は乾燥処理
自然とのふれあいを大切に
な対応が求められるものがあります。
鳥など1300種近い多様な生き物が生息しており、
身
や焼却処分に比べ処理速度が遅いという欠点が
芝共立キャンパスは、都心に位置するキャンパ
近な自然が都市近郊から消えつつある現在、慶應
ありますが、好気性微生物を利用した簡易で安価
スのため、
それほど多くの樹木はありませんが、屋
) (
義塾だけでなく、周辺地域にとってもかけがえのな
な処理方法であり、資源循環型社会に貢献する
上庭園を設けるなど緑化に配慮しています。
い貴重な財産となっています。
最も地球環境に優しい処理方法といえます。
また、林野に隣接し、四季折々の緑に恵まれた
●三田キャンパス
■日吉キャンパスの生物種
今後も限られたスペースを活かし、理工学部の
浦和共立キャンパスは約500種類の薬草が栽培
キャンパスらしい自然と科学の調和のとれた緑化
された3,500㎡の薬用植物園と4,000m2の林地帯
計画を推進していきます。
を有し、
自然とのふれあいを大切にしています。
各キャンパスの緑化管理
歴史ある樹木の移植など、長期的な保守計画を実施
三田は慶應義塾の中でももっとも歴史あるキャ
ンパスであり、
キャンパス内には義塾の歴史を刻ん
402
75
23
32
5
573
無脊椎動物
昆虫
クモ
貝類
甲殻類
その他
両生類
爬虫類
鳥類
ほ乳類
2
5
78
6
91
脊椎動物
動物
だ古い樹木が数多く見受けられます。たとえば中
庭の大銀杏は、
その象徴的な樹木といえます。
三田キャンパス
樹齢を重ねた樹木の多い三田キャンパスでは、
これまでに比べて管理費用が増加しており、
この
植物
傾向は今後も続くものと予想されます。
菌類(キノコ類)
そこで、樹勢診断によるキャンパス全体の総合
合計
的な現状調査を実施し、
これに基づいた長期的
な保守計画を策定できるよう、現在、委託業者との
628
福澤記念育林会の活動
シダ植物
40
裸子植物
6
被子植物
505
コケ植物
27
578
79
1285
慶應義塾は1965年1月に財団法人福
が約160haあります。
学習を行ってきました。
澤記念育林会を発足させ、慶應義塾を卒
慶應義塾では同法人の山林を利用して、
今後とも、時代を担う若い世代が、育林
業した林業家たちの林業三田会の支援と、
植林を通じて美しい環境を保全し、豊か
活動を通じて自主的に学び、環境問題に
地方の営林署や林業組合関係者の協力
な人間生活の場をつくり、情操に富んだ教
取り組んでいけるよう、積極的に育林の機
を得て、慶應義塾の森林を育ててきました。
育を実践する活動に努めており、毎年、一
会の提供を行っていきます。
同法人は法人の所有山林のほか、国有地
貫教育校の児童、生徒や大学生たちが、
や個人所有地を借用して植林した分収林
植林、下草刈り、間伐、枝打ちなどの体験
打合せを進めています。この長期保守計画にお
いては、サクラなど比較的寿命の短い樹木を適切
に植え替えることによって、緑豊かなキャンパス環
境を維持できるように検討しています。創立150年
記念事業による新校舎建築にともない、移植によ
る保護が必要となる記念樹への事前処理を行う
など、未来を見据えた樹木管理を推進しています。
38
育林風景
日吉キャンパス
39
(キャンパス耐震化と防災対策) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.40)
(P.41)
●キャンパス耐震化と防災対策
2003年度より、耐震補強工事を順次実施し、
キャンパス施設の安全性のさらなる確保を図る
慶應義塾では、建物の地震対策や崖斜面の安全対策などに力を入れています。
) (
どを実現しています。また、免震構造の建物にモ
慶應義塾では、1995年の阪神・淡路大震災を
ニタリング装置を設置し、地震データの収集などを
きっかけに、1995年度から1998年度にかけて保
行い、研究に利用するとともに、近い将来、キャン
有する建物についての耐震診断を実施しました。
パスの安全性向上に役立てることも検討しています。
2003年度からは、
この結果に基づき、耐震性が現
行の基準に適合しない建物について、耐震補強
) (
の計画を策定し、補強工事を進めてきました。こ
慶應義塾の各キャンパスでは、
これまで崖や斜
の計画は、建物の耐震性能のほか、建設年代、用
面あるいは古い擁壁などで、地震や台風などの際、
途、使用状況、将来計画等を考慮して、実施の優
地すべりや崩壊などの土砂災害が発生する恐れ
先順位などを設定したものです。
があるものについては、随時補強工事などの対策
2003年度以降に実施した耐震補強工事は23
を講じてきました。1996年度および2004年度に崖・
件です。優先度の高いものについては既に補強
斜面の安全性について専門家による調査を行い、
が終わっている状況ですが、今後も必要に応じて
その調査結果に基づき、順次斜面の補強工事を
境 の 保 全 にとどまらな い 、安 全・健 康 の 維 持・
耐震補強に取り組み、2009年度を目処に補強を
行っています 。災害発生の可能性の高い箇所、
向 上 の た め の 総 合 的 活 動と考えています。ここ
完了する予定です。また、近い将来建て替えが想
災害が発生した場合に被害が大きくなることが予
定される建物等を含め、創立150年記念事業期
想される箇所などを優先的に計画・実施しています。
建物の地震対策について
安 全・健 康 編
慶 應 義 塾 では 、環 境 問 題 へ の 取り組 みを 、環
では 、安 全・健 康 に 関 する 事 例 を 紹 介します。
施設利用者の快適性の確保、建物の長寿命化な
崖・斜面の安全対策について
間終了予定の2015年秋までには全キャンパスの
耐震化が達成される見込みです。
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
2007年度
1件
9件
4件
5件
4件
一方、
最近の施設計画では、
建物の規模や立地、
用途・機能などにより、耐震構造、免震構造、制震
構造などから最適な構造を選定しています。これ
により、必要な耐震性能を満たすことはもちろん、
耐震補強
41
(安全トピックス) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.42)
(P.43)
●安全・健康トピックス
万 一の事 故や感 染 症の拡大を防ぐため、
救 急教 育や保 健 衛 生教育を実施
突然の事故、死亡率の高い感染症に備えて、救命救急時の対応をはじめ、全塾的に安全対策に取り組んでいます。
) (
しています。
) (
慶應義塾では、一貫教育校を含め、各キャンパ
修学旅行や体育会等団体の合宿、文化祭など
感染症対策は重要なリスクマネージメントです。
ス等、食中毒原因ウイルスの流行時には、手洗い
スに保健管理センターを設置し、毎日の健康管理
がある場合には、必要に応じて、熱中症や骨折な
慶應義塾では、保健管理センターを中心に、予防
や消毒の徹底を指導しています。
をはじめ、救急時に備えています。夜間や早朝の
どの対応も含めて指導しています。
対策を行っており、麻疹など学校伝染病に罹患し
) (
整備し、マニュアル化しています。
) (
た場合には、感染症登校許可証明書を持参し、
復職・復学するようにしており、感染症流行時には
大学の保健管理センターでは、学校保健法に
また、健常人の突然死の多くは心室細動という
各キャンパスでは、三田祭、
日吉祭など、
さまざま
早急に対策をとるようにしています。
基 づいた学 校 環 境 安 全 対 策として、各キャンパ
不整脈が原因です。心室細動の治療には電気シ
な食品を扱うイベントがあります。慶應義塾では、
また、海外渡航時の予防接種相談や生活指導
スの校内巡視を定期的に行い、空気環境調査(特
ョックが不可欠です。電気ショックが1分遅れるごと
イベント前に産業医や学校医、衛生管理者による
のほか、留学生の相談にも応じています。
定化学物質も含む)、落下細菌調査、熱輻射測
に救命率は10%ずつ低下します。救急車が到着
衛生講習会を実施しています。取扱食品や調理
■対策1 麻疹等
定のほか 、照明や騒音などの環境調査を行い、
するまで待っていては、突然死は防げません。
法のチェックを行い、講習会時には、細菌性食中
麻 疹や風 疹などウイルス性 疾 患は、小 児だけ
学生が学びやすく、教職員も働きやすい環境づ
そこで慶應義塾では、一貫教育校に計21台、
毒の教育として「中毒予防のすすめ」のパンフレ
の疾患ではなく、免疫のない成人にも流行します。
くりに努めています。
大学病院を除くすべての大学キャンパスに計24台、
ットを配布し、食材の取り扱い方や手洗い、消毒
入学時のチェック、予防接種勧奨を積極的に行
また、校内食堂の衛生管理については、食品衛
AED(自動体外式除細動器)
を設置しています(2007
剤の使用方法などを指導します。
っています。
生法に基づく食堂担当業者の検査や保健所の
年8月現在)。
また、大学入学時には「健康のすすめ」を配布
■対策2 結核
調査に限定せず、学校の責任において、産業医・
医療従事者だけでなく、一般の教職員や学生、
し、飲酒、喫煙、薬物乱用、感染症や生活習慣病
結核は決して昔の疾患ではありません。慶應
保健師が食堂巡視を実施し、微生物検査などを
警 備員等が 救 命 救 急に対 応できるよう、授 業も
についての知識の啓蒙普及に努めています。健
義塾では、毎年の胸部X線撮影や、医療系大学
行い、衛生管理指導の強化に努めています。
康診断の結果、指導が必要な教職員や学生へは、
生への結核スクリーニング検査(QFT)を実施し
医師や保健師による個別指導を実施しています。
ています。
救命救急対策
事故時にも対応できるよう、救急時の対応手順を
AED
三田キャンパス内には下記の場所に
設置しています。
①
②
③
④
⑤
三田キャンパスのAED配置図
4
保健衛生教育
感染症対策
■対策4 食中毒予防
慶應義塾内の食堂施設に対しては、
ノロウイル
環境衛生対策
■対策3 インフルエンザ
インフルエンザは、一貫教育校や大学病院を中
熱輻射測定
心に流行することがあるので、罹患時の早急な届
出を周知しています。また、新型インフルエンザ対
QFTを用いた結核検診
医学部1年生
看護医療学部1年生
薬学部1年生
医学部雇入時健康診断
1
ベ
ー
ス
ラ
イ
ン
胸部X線
問診
QFT
42
結核患者
接触者
全職員
全学生
定
期
健
診
胸部X線
問診
12ヶ月毎
接
触
時
胸部X線
問診
QFT 陰性
QFT
陰性
QFT
5
落下細菌調査
策も検討しています。
3
2
図書館 1階エントランス
南館 1階受付前
研究室棟 1階受付前
北館 2階保健管理センター内
正門警備室内
含めてBLS(Basic Life Support)教育を実施
予防内服
陽性
重点観察者
定
期
外
結
核
健
診
胸部X線
問診
有症状時受診
6ヶ月or
3ヶ月
陽性
43
(安全・健康トピックス) 慶応義塾大学 環境・安全・健康への取り組み 2008 パンフレット (A3ヨコ/タテ297×ヨコ420mm)
(P.44)
(表3)
●安全・健康トピックス
塾 生や教 職員が健 康に過ごせるよう
キャンパスの環 境 整備に取り組む
塾生や教職員が毎日を過ごすキャンパスが健やかな環境となるように、分煙の徹底を図っています。またアスベスト対策や
シックハウス対策にも積極的に取り組んでいます。
) ( ) (
度には8棟 、2007年度には3棟の除去工事を実
キャンパスの分煙化と、禁煙教育の推進
信濃町キャンパスの敷地内禁煙化
施しました。
空気環境測定については、文部科学省「学校
2003年5月1日から健康増進法が施行され、受
2006年12月から信濃町キャンパスでは、大学病
現在、吹き付けアスベストが残っている箇所は、
環境衛生の基準」の定める6物質を対象に行い、
動喫煙の防止のために「学校」などの多数の人
院にとどまらず医学部を含む敷地内全域を禁煙
一部の機械室など日常的に人が出入りしない場
すべてが指針値を下回っていることを確認します。
が利用する施設について受動喫煙の防止策を講
化しました。敷地内禁煙化に至るまでには、関係
所などで除去が困難な部分に限られており、安全
その際、必要に応じて厚生労働省の基準による
じることが義務化されました。慶應義塾でも、2002
者で禁煙化ワーキンググループを組織して喫煙場
上問題のないよう管理しています。最終的には完
14物質(うち1物質は指針値案)
とTVOC(総揮
年11月に「キャンパス分煙環境検討ワーキンググ
所の撤去、禁煙講演会や広報活動、防災パトロー
全除去に向けて、施設の建て替えなども視野に入
発性有機化合物・暫定目標値)
まで対象を広げて
ループ」を発足させ、すべての人が快適に過ごせ
ル活動を行い、
また、保健管理センターでは禁煙
れた計画を立てています。
測定を行います。
るキャンパス環境づくりに向け、
キャンパス分煙化
相談や資料配布などの活動を展開してきました。
44
境測定を実施
と喫煙マナーの向上を図るガイドラインを設定し、
防火対策などの環境整備と並行し、今後も禁煙
) (
上記のような工事時の測定以外にも、
「学校環
2003年4月からは全キャンパスにおいて分煙化を
支援に継続して取り組んでいきたいと考えています。
空気中に含まれる化学物質により体調不良を
として定期的に空気環境測定を行っています 。
進め、歩行禁煙としました。
シックハウス対策
境衛生の基準」による定期環境衛生検査の一環
) (
引き起こすシックハウス症候群については、新築
2003年度から2005年度には、過去数年間の改修
また、
これに先駆けて、保健管理センターでは、
吹き付けアスベストの
使用実態調査と除去工事
や改修工事の後に多く見られることから、建材な
工事場所を対象に行った追跡調査も合わせ、延
2001年1月から禁煙相談を始めています。開始当
慶應義塾では、
アスベストが社会問題となった
どから発生する化学物質が主たる原因と考えら
べ1300箇所以上の測定を行いました。
初は、主に、ヘビースモーカーで慢性閉鎖性肺疾
1987年から、吹き付けアスベストの使用実態調査
れています。しかしながら、建材以外にも薬品や
しかし、化学物質濃度がすべて指針値を下回
患(COPD)が疑われる人を中心に、呼気一酸化
を行い、順次除去工事を行ってきましたが、含有
書籍、
PCなどさまざまなものから化学物質は発生
っていても、体調不良等が発生することがあります。
炭素測定を行い、呼吸器内科医の指導のもと、
ニ
量の少ない箇所や日常的な人の出入りの少ない
しており、症状についても個人差があるため、原因
このような場合、再度空気環境測定を行うなど状
コチンガムを処 方していましたが 、その後 、教 職
場所については、一部除去を完了していない箇
究明や対策が非常に難しい問題です。
況を十分調査するとともに、
できる限りの室内環境
員および塾生を対象にニコチンパッチを利用した
所がありました。
慶應義塾では、現在、工事を行う際、
シックハウ
改善策を検討し、実施しています。
6カ月間にわたる禁煙指導プログラムを実施しま
2005年に、
アスベスト被害がより深刻な問題と
ス症候群が発生しないように、下記の取り組みを
した。現在も禁煙の「きっかけ」を提供するため
してクローズアップされるなか 、改めて使用実態
行っています。
に「新しい年は煙のない年にしましょう」、
「喫煙
の調 査を行いました。この調 査の中で吹き付け
・化学物質の放散量の少ない建材を選定
しない社会人になりましょう」および「一日禁煙し
アスベストの使用が確認された箇所については、
・十分な換気量(自然換気・機械換気)の確保
てみませんか?」等の呼びかけを継続的に行い、
空気中の浮遊量調査を行いました。その結果 、
・工事完了から使用開始までの期間の確保と換
禁煙へのトライを促進し、塾生・教職員の健康増
安全は確認されましたが、吹き付けアスベストの
進に努めています。
完全除去をめざし、2005年度には5棟、2006年
医 学 部の病院内禁煙の表示
気の促進
・工事完了後(あるいは什器設置後)に空気環
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