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Application Lifecycle Management and Business Strategy

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Application Lifecycle Management and Business Strategy
 アプリケーション ライフサイクル管
理とビジネス戦略 DAVID CHAPPELL 2008 年 12 月 SPONSORED BY MICROSOFT CORPORATION © 2008 CHAPPELL & ASSOCIATES カスタム ソフトウェアを構築することは、必要なのでしょうか。つまり、ビジネスにおける
本当に重要な部分とは無縁なプロセスなのでしょうか。それとも、カスタム ソフトウェアを
構築する能力が優れている組織がすべて成功を収めているのでしょうか。おそらく、どちら
も極端な話で、実際のところはこの両極の間にあるのでしょう。ただし、1 つだけ明らかな
ことがあります。つまり、企業がビジネス戦略をいかにうまく実践できるかは、多くの場合、
その企業が新しいアプリケーションを作成し、それを運用していく能力と密接に関係してい
ます。 考えてもみてください。ほぼすべての組織では、競争相手との差別化を図る戦略を模索しま
す。そして、ほとんどの企業でこの差別化を実現するうえできわめて重要な役割を果たすの
がカスタム アプリケーションです。情報技術 (IT) から産み出されるビジネス価値の中で最も
重要なのは、カスタム アプリケーションによって実現される独自性かもしれません。 しかし、カスタム アプリケーションは魔法のように突然生まれるわけではありません。また、
永久に変わらないまま順調に機能し続けるわけでもありません。カスタム アプリケーション
の作成と運用はどちらも、"アプリケーション ライフサイクル管理 (ALM)" のプロセスを通じ
て実現されます。 ALM とビジネス戦略の関連性は、必ずしも明確に理解されているわけではありません。しか
し、この関連性を正しく捉えることで、近代的組織が優れた戦略を立てられるようになるこ
とは明らかです。つまり、長期的に高収益性を実現できるようになるには、ALM の能力も高
くなければなりません。 新機軸から義務へ ビジネス戦略の本質は差別化にあります。たとえば、企業は異なる製品を提供したり、異な
る市場を対象とするなど、競合他社とは異なる行動をとろうとします。また、より低コスト
のサービスを提供するなど、同じことを異なる方法で行おうとします。いずれの場合でも、
行動が戦略的になるのは、それによって組織が競争相手との差別化を図り、独自の価値を顧
客に提供することができる場合です。 差別化に成功すれば、競争上優位に立てます。しかし、良いアイデアを秘密にしておくこと
は難しいため、差別化を維持し続けることは困難です。図 1 は、このような場合に通常どの
ようなことが起こるかを示しています。 2
図 1: 戦略上のリーダーによって成功を収めた新機軸は、やがて、同業他社にとっては義務へ
と変化する 業界で初めて新機軸を実装し成功を収めた企業は、競争上大きな優位性を得ます。同じ戦略
を 2 番目に実装した企業も、ある程度競争上の優位性を得ることができます。しかし、3 番
目ともなると、通常、この新しいアプローチは業界のベスト プラクティスになりつつありま
す。これを実装しないと、競争上不利な立場に追い込まれるおそれがあります。最初は新機
軸だったものが、義務へと変化します。 最初は新機軸だっ
たものが、義務へ
と変化します。 これを物語る例はいくつもあります。たとえば、セルフサービ
ス搭乗手続き端末を最初に導入した航空会社は、競争上大きな
優位性を得ました。2 番目に導入した航空会社も、ある程度の
優位性を得ました。しかし、現在では、すべての航空会社にと
ってこうした端末が不可欠となり、用意しなければ不利な立場
に追い込まれます。同様に、FedEx (運送会社) が自分の荷物を Web 上で直接追跡できるようにしたとき、この新機軸は競争上
大きく優位に立てると大いにもてはやされました。現在では、
このサービスはすべての配送企業に求められています。この新
機軸はもはや義務になりました。 戦略から実用へ 現代のビジネス戦略のほぼすべてでは、なんらかの形で IT が利用されています。セルフサー
ビス搭乗手続き端末と Web ベースの荷物追跡は、この現実を物語る良い例です。しかし、成
功を収めたすべての戦略は、やがて IT インフラストラクチャの一部になっていきます。ほぼ
すべての IT は、かつては、最初に採用した組織に競争上の優位性をもたらした新機軸であっ
たと言っても過言ではないでしょう。ただし、いずれ、すべては、効果的にサポートする必
要がある実用的 IT 機能となります。 3
このことを踏まえると、IT 投資は次の 2 つのカテゴリに大別することができます。 "戦略的 IT": 新たなビジネス戦略を直接支える新機能への投資。 "実用的 IT": その他すべての IT 投資。このカテゴリに属するテクノロジの多くは、組織の
戦略的新機軸が長年にわたり積み重なってできたものです。 図 2 は、この 2 つのカテゴリが前掲の競争上の優位性のグラフとどのように対応するかを示
しています。 図 2: 戦略的 IT 投資によって、差別化の期間が生み出される この図が示すように、戦略的 IT によって、組織に競争上の優位性をもたらす新機軸が支えら
れます。では、実際のところ、戦略的 IT とはどのようなもので構成されているのでしょうか。
ほとんどの場合、その答えは簡単で、"カスタム アプリケーション" から構成されます。多く
のビジネスにとってパッケージ ソフトウェアも重要です
が、汎用的なパッケージを使って戦略的差別化を実現す
るのは困難です。そのため、航空会社の搭乗手続き端末、
戦略的 IT によって、組
Web ベースの荷物追跡などの多くの新機軸では、カスタ
織に競争上の優位性を
ム アプリケーションが利用されています。 もたらす新機軸が支え
カスタム アプリケーションの管理は、ALM を利用して実
現されます。したがって、ALM をうまく実装することが、
られます。 競争上の優位性を生み出す能力にきわめて大きな影響を
及ぼす可能性があります。図 2 に示すように、新機軸に
よって競争上の優位性がもたらされる差別化の期間というものが存在します。そのため、組
織はカスタム アプリケーションをすばやく作成できなければなりません。しかし、成功を収
めた新機軸もやがて実用カテゴリに移行するため、カスタム アプリケーションを長期にわた
って容易に管理できる必要もあります。これを成功に導くのも ALM の役割です。 4
ここまでに述べてきたすべてのことをまとめて全体像を明らかにしておくと、ビジネス戦略
と ALM には次のような関係があります。 ビジネス戦略とは、競争相手との "差別化を図る" ことを意味します。 差別化を図るには、"その差別化を支える戦略的 IT 投資" が必要です。 戦略的 IT 投資とは、ほとんどの場合、"カスタム アプリケーション" です。 カスタム アプリケーションは、"アプリケーション ライフサイクル管理" を通じて作成お
よび管理されます。 まとめ ビジネスと IT の連携の中心となるのは、新たなビジネス戦略をサポートする能力です。IT に
関する意思決定者は、一般に、「データ センターの機能が停止したらどうするか」など、運
用上のリスクについて心配します。こうした意思決定者の多くは、「次の新たなビジネス戦
略をサポートできなかったらどうするか」といった戦略上のリスクについてはそれほど心配
しません。しかし、ビジネス戦略をサポートできないことによって生じる影響は、長期的に
見ると、1 度のシステム障害によって生じる影響よりもはるかに大きなものとなる可能性が
あります。IT 組織が CEO の壮大な新アイデアを迅速にサポートできないことが原因でビジネ
スの差別化を図るチャンスを逃すことは、IT 管理者のキャリアにとってはマイナスです。 同様に、競争相手が新たな戦略を展開し、差別化期間を最初に利用できる立場になったとし
たら、できるだけ早く追随することが重要です。そのためには、通常、新しいアプリケーシ
ョンを作成する必要があり、これには効果的に ALM の実装が必要です。 ALM をビジネス戦略の基盤と捉えるのは、拡大解釈ではなく、事実そのものです。したがっ
て、競争上の優位性を生み出すうえでは ALM の能力を高めることが不可欠です。カスタム ソ
フトウェアが重要となるすべての組織では (つまり、現代のほぼすべての組織では)、ALM の
習得が基本的な目標となるでしょう。 著者について David Chappell は、カリフォルニア州サンフランシスコにある Chappell & Associates (www.davidchappell.com) の社長です。講演、執筆、コンサルティングなどの活動を通じて、
世界中の人々が新しいテクノロジを理解して使用し、的確な判断を下せるようにするのをサ
ポートしています。 5
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