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全頁 - 大分大学経済学部
外部評価のための自己点検評価報告書 (平成 13∼17 年度) 平成 18 年 9 月 大分大学経済学部 大分大学大学院経済学研究科 第 1 章 学部・研究科における教育研究の基本方針 1.1 教育研究の基本方針 1.1.1 沿革 本学部・研究科は大正 10 年 12 月 9 日に創設された大分高等商業学校として発足し,昭和 19 年に大分 経済専門学校と改称された後,昭和 24 年の大分大学創設と同時に大分大学経済学部となる。この時,2 学科体制(経済学科,経営学科)であったが,平成 6 年度に 3 学科体制(地域システム学科の増設)とな る。その間,昭和 52 年には大学院経済学研究科が設置され,平成 11 年には,それまでの経済学専攻の 1 専攻から経済社会政策専攻,地域経営政策専攻の 2 専攻に改組した。平成 14 年には,経済学部開校 80 周 年を迎えるに至った。 本学部・研究科には昭和 2 年に商事調査部が設置されたが,昭和 16 年にはその改組によって経済研究 所が創設され,第 2 次世界大戦以前にさかのぼる貴重な資料を保存整理するとともに,その充実を図るこ とによって,経済関係資料の多方面にわたる利用の便に供してきた。経済研究所は,平成 14 年に,大分 大学コミュニティ総合研究センターに改組され,経済研究所が行ってきた一部の業務が教育研究支援室に 継承された。 本学部・研究科は,質実剛健の校風,理論と実践のバランスの取れた教育研究を大分高等商業学校時代 から継承している。さらに今日の学問の専門化や学際化,社会的ニーズの多様化に即応して自己点検と学 部・研究科の改革を重ね,教育研究体制の充実発展にも努めてきた。その結果として,本学部・研究科は 現在,多くの学問的業績を挙げるとともにそれを地域社会へ還元することによって地域との関係を深め, 多くの優れた人材を地域社会に送り出している。 1.1.2 基本方針の現状と課題 (1) 経緯 平成 3 年の大学設置基準の大綱化を契機に,本学部においても積極的な学部改革の必要性が認識され, 平成 4 年度の自己点検・評価を踏まえ,平成 5 年に学部の将来像の見直しを行い,新しい教育研究の「基 本方針」として「地域の経済社会構造及び地域政策に関する分析を教育研究の中核に据えること」 ( 『経済 学部改組計画概要』平成 5 年 7 月,2 頁)とした。この基本方針をさらに詳細に規定して, 「地域問題への 学際的教育研究を柔軟な組織体制のもとで推進し,過疎化,高齢化,情報化,国際化など,地域社会の現 実的諸問題と多様なニーズに教育研究の実践を通して積極的に対応するとともに,次代を担う地域の人材 を養成することによって,これからの地域社会に貢献すること」 (同上)を目指すこととした。こうして平 成 5 年以降,社会情勢の変化と地域社会のニーズに積極的に対応して行くことが本学部の教育研究の基本 方針となり,その後は学部の将来構想もこの方針に即して策定されてきている。 この方針は,その後平成 9 年度に,学部の自己点検・評価を踏まえて再度次のように定式化された。 「情 報化と国際化が急速に進展する 21 世紀を展望し,多様化した社会的ニーズに積極的に対応するため,本 学部は,経済にかかわる専門知識を広く教育・研究するとともに,地域に根ざす高等教育研究機関として, 1 経済や企業活動を軸にした地域社会の分析や地域政策などに関する教育研究を組織的に進め,社会の次代 を担う人材を養成する」 ( 『大分大学経済学部の現状と課題̶自己点検評価報告書』平成 10 年 3 月,1 頁) 。 本学部では,さらに平成 11 年 2 月に「中期的ビジョン検討委員会」を設置して学部の中期的将来構想 の検討を行い,同年 10 月には『大分大学経済学部中期的ビジョン』を策定した。そこでは「総合的な教 養を具えた職業人」の養成を目指す学部教育の方向性として,改めて「伝統,地域,少人数教育」の 3 点 を提示した( 『中期的ビジョン』4 頁) 。 こうした教育研究の基本方針に即した学部の将来像を具体化するため,平成 6 年 4 月にはその第一歩と して学部改組を行い, 「地域システム学科」を新設して「地域に関するまとまった教育研究」に対応した体 制を整備した。 他方,平成 11 年度には大学院経済学研究科においても,近年の急激な社会変化に対応した高度な地域 社会の教育研究と地域活性化の指導的人材の養成を目指して, 「国際化のなかの地域社会」を基本的コンセ プトとする拡充改組を行い,従来の「経済学専攻」に代えて,新たに「経済社会政策専攻」と「地域経営 政策専攻」を設置した。平成 12 年には,その基本的コンセプトに基づき, 「経済のグローバル化や情報化 に伴う学術研究の高度化と地域の複雑かつ多様な経済開発政策問題に効果的に対応しうる人材を養成す る」ため, 「グローバリゼーションによる環境変化に適切に対応する地域企業・事業体の<経営環境政策> を重点的に教育研究する博士後期課程」の設置を構想し( 『大分大学大学院経済学研究科博士後期課程経営 環境政策専攻設置構想(案) 』 ,平成 12 年 3 月,15 頁) ,平成 12 年 3 月に文部省と協議したが,設置には 至らなかった。 (2)教育研究の目的と目標 本学部では,これまでの教育研究の基本方針を踏まえて,教育研究の目的と目標を定めている。学部教 育に関しては,本学部のアドミッション・ポリシー(平成 13 年度以降)において, 「学生の基礎的能力を 高めることを本学部の教育目的」として設定し,その目標を「基礎学力を伸ばすことのできる多様な授業, カリキュラムを編成するとともに,少人数教育に基づいたきめ細かな指導によって,論理力,表現力,開 かれたコミュニケーション能力や共生する力」及び「国際化,情報化などに対応できる能力」の育成にお いている。他方,大学院教育に関してもアドミッション・ポリシー(平成 16 年度以降)において,「高度 職業人の養成」を目的とし,その目標を「理論的・学際的アプローチと実務に直結する応用的・政策的アプ ローチを通じて,現代経済社会の諸前提に対処しうる判断力と問題解決能力の涵養」を図ることにおいて いる。さらに研究に関しては,その目的を①本学部の特性を生かした積極的な研究活動の推進,②理論と 実践の融合,③地域と響き合う研究の推進,④グローバルな視点に立つ研究の推進におき,それぞれにつ いて,具体的な目標を設定している( 『分野別研究評価自己評価書―経済学系−』平成 15 年 7 月) 。具体 的には以下のとおりである。 2 「学部教育の目的(アドミッション・ポリシー)」 本学部は,経済学,経営学を中心にしながら社会科学の諸分野について,基礎から応用・実践に至るま で幅広く学習することを通じて,経済社会の動向を的確に把握し,社会の中核を支える人材を養成するこ とをめざしています。こうした人たちが今日の高度化・複雑化する社会に柔軟に対応しながら,各方面で 真価を発揮するためには,基礎的能力が不可欠です。こうした能力を身につけることは,社会や経済の変 化に対する適応力を高めるとともに,創造性を発揮するうえでの基盤になると考えています。また,実社 会で活躍するうえで求められる実践力を身につけるためにも基礎的能力が重要です。そこで,学生の基礎 的能力を高めることを本学部の教育目的とします。 (出所:経済学部一般選抜学生募集要項) 「学部教育の目標(アドミッション・ポリシー)」 この目的を達成するために基礎学力を伸ばすことのできる多様な授業,カリキュラムを編成するととも に,少人数教育に基づいたきめ細かな指導によって,論理力,表現力,開かれたコミュニケーション能力 や共生する力を育成します。同時に,国際化,情報化などに対応できる能力も育成します。 (出所:経済学部一般選抜学生募集要項) 「大学院教育の目的(アドミッション・ポリシー)」 現代の経済社会は,情報技術の進歩などにより急速なグローバル化が進展する一方で,私たちが生活する それぞれの地域においても,その資源の活用や将来へ向けた戦略の重要性が高まっています。そのため, グローバルからナショナル,さらにはローカルに至る様々なスケールにおける経済社会の諸問題を的確に 理解し,分析し,解決する能力を有した高度で専門的な人材の必要性がより一層強まっています。 本研究科は,こうした経済社会の変化を受けて,鋭い分析能力と専門的な知識を有し多様な経済社会の リーダーとなりうる高度職業人を育成し,送り出すことを目的とします。 (出所:経済学研究科修士課程 学生募集要項) 「大学院教育の目標(アドミッション・ポリシー)」 旧来の枠組みにとらわれない高度な学際的・学際的アプローチと実務に直結する応用的・政策的アプロ ーチを通じて,現代経済社会の諸問題に対処しうる判断力と問題解決能力の涵養を図っていきます。 (経済社会政策専攻) 経済政策や社会政策の理論と歴史に関する総合的アプローチを基礎とする教育・研究を行っていきます。 (地域経営政策専攻) 地域経済分析や企業経営に必要な様々な情報に関する実践的アプローチを基礎とする教育・研究を行っ ていきます。 (出所:経済学研究科修士課程 学生募集要項) 3 「研究の目的」 ①本学部の特性を生かした積極的な研究活動の推進 本学部は, 『大分大学基本構想』で本学の基本理念とされている「創造性の開発」と「社会性の向上」 を踏まえ,経済学,経営学を中心とした社会科学の諸分野について教育研究を進める体制を整備している。 教員は多様な研究機関や学会などと連携しながら,多元的な資金を活用し,各専門分野で研究を推進して いる。 ②理論と実践の融合 大分高商以来の実学重視の伝統を踏まえ,理論と実践の両面について均衡のとれた研究を行い,社会に 向けて政策的提言を行うとともに,企業を始めとする社会諸組織の活動への貢献に努める。 ③地域と響き合う研究の推進 これまでの研究の実績を基礎にして地域経済及び地域の企業活動の分析をさらに発展させ,政策立案へ の協力など地域社会の要請に対応し,地域社会との双方向的コミュニケーションを実現する幅広い研究活 動に取組む。 ④グローバルな視点に立つ研究の推進 現代社会におけるグローバル化の進展に伴う経済構造の変化や企業行動に関する研究を進めるととも に,国内外の研究交流を促進する研究体制の整備を目指す。 (出所: 『分野別研究評価自己評価書―経済学系―』平成 15 年 7 月) 「研究の目標」 ①本学部の特性を生かした積極的な研究活動の推進 1)各専門分野での多様な研究活動,とくにプロジェクト研究を支援するとともに,学会,研究諸組織, あるいは学術誌などを通じた研究成果の積極的な公表を推進する。 2)社会科学の幅広い分野をカバーした教育研究体制を構築している本学部の特性を生かし,学部内の研 究会において研究の成果報告を行うなど,研究の相互交流を図る。 3)研究成果の発表機会を拡充するため研究紀要の発行や学術図書の刊行助成を行う。学会開催について も協力する。 4)研究活動を支えるため教育研究支援室を設置する。その活動の一環として戦前期植民地関係資料や西 日本の地域経済に関する資料を収集・整理し,学内外の利用に供する。 5)学内の研究費はもとより,教育研究特別経費や外部資金の活用を図る。また,本学部の同窓会から資 金的な支援を受け,研究活動の活性化を図る。 6)研究体制や研究成果などについて,多面的な評価を実施し,研究体制の改善及び研究活動の推進に活 用する。 ②理論と実践の融合 1)理論と実践の両面に亘り幅広い研究を行うため理論研究と政策・実証研究の均衡のとれた研究体制を 構築する。 4 2)企業の経営実態や経営課題などに関する実証的な研究を推進し,企業の実態やニーズを踏まえた研究 を行うなど,企業活動への貢献に努める。 3)社会的な要請のある研究を進めると同時に研究の社会貢献を図るため,企業や行政,シンクタンクな どとの共同研究を推進する。 4)公開講座や講演会などを通じ,社会に向けて研究成果を発表し,経済・経営理論と実証研究の成果の 普及を図る。 ③地域と響き合う研究の推進 1)地域の産業振興,新産業創出ならびに雇用創出などに貢献する共同研究の推進を通じて,地域社会の 要請する学問的課題の解決に取り組む。 2)経済の地域的構造に関する研究を推進して,それぞれの地域の特質を明らかにし,問題点や課題の解 明に努める。 3)地域の研究機関,産業界,自治体等との共同研究を推進し,地域社会の要請に合った研究内容の充実 を図る。 4)コミュニティ総合研究センターや地域共同研究センターなど学内研究支援組織を活用し,研究活動の 推進を図る。 5)地域との共同研究で得られた成果を講演会,公開講座,マスコミなどを通じて広報し,地域社会に還 元する。 ④グローバルな視点にたつ研究の推進 1)経済のグローバル化をめぐる社会科学的研究に共同で取り組み,その成果を公表する。とりわけ東ア ジア経済の動向に関する研究体制を整備する。 2)国際的な共同研究プロジェクトを推進し,その研究成果を公表することで,国際社会への知の情報発 信を進める。 3)諸外国の経済動向や研究動向について研究を推進し,現代の経済,経営上の諸問題の解決に役立てる。 4)海外からの研究者の受入れ,国際シンポジウムの開催や参加を通じて,世界的水準の研究との交流を 推進する。そのための財政的支援体制を整備する。 5)国際学会での研究報告の支援や海外派遣制度の充実など,学部スタッフの海外での調査研究活動を強 化する。 (出所: 『分野別研究評価自己評価書―経済学系―』平成 15 年 7 月) (3)現状と課題 学部教育に関しては,少人数教育の推進のために,演習・セミナー科目をすべての学年に配置している が,18 年度以降,それを更に徹底し,全学期にわたって,何らかの演習・セミナー科目を設置する方向で 検討を進めている。一般教養科目や専門科目においても,1クラス 150 名程度を上限とするようなクラス 編成を検討している。そのほか,情報化・国際化に対応した教育を実現するために必要なカリキュラム編 5 成や人員配置・講演会の検討を続けている。 研究科の整備・拡充に関しては,平成 14 年に学部の企画委員会の下に「大学院あり方検討プロジェクト」 が設置され,平成 15 年に「大学院のあり方に関する最終報告」を出した。その報告では,入試改革や本研 究科へのマルチコース制の導入が提言された。 これを受けて,平成 16 年度入試において,推薦入試(学部一般学生) ,事業所推薦制度(社会人)を導 入した。さらに 17 年度入試では,シニア推薦制度(入学時 55 才以上の熟年社会人)を導入した。他方, マルチコース制の導入に対応して「大学院 MC プロジェクトチーム」が設置され,平成 18 年度の導入に 向け検討が続けられることになった。 さらに平成 16 年 11 月,企画委員会から「大学院の拡充に関する方針」が示され,平成 19 年度を目標 に,博士課程設置の検討を始めることが提案された。これにより「大学院 DC プロジェクトチーム」が組 織され,検討が進められている。 1.2 評価の項目と観点 学部・経済学研究科の教育研究の方針について現状等を評価するために,次のような評価の項目と観点 を設定した。 (1)学部・研究科の目的(教育研究活動を行うに当たっての基本的な方針・・・以下,該当箇所では「教育 研究の基本方針」に読み替えている)が明確に定められており,その内容が,学校基本法に規定された, 大学一般に求められる目的に適合するものであること。 ①目的として,教育研究活動を行うに当たっての基本的な方針や,養成しようとする人材像を含めた, 達成しようとする基本的な成果等が,明確に定められているか。 ②教育研究の基本方針が,学校教育法第 52 条に規定された,大学一般に求められる目的から外れるも のでないか。 ③教育研究の基本方針が,学校教育法第 65 条に規定された,大学院一般に求められる目的から外れる ものでないか。 (2)教育研究の基本方針が,学部の構成員に周知されているとともに,社会に公表されていること。 ①基本方針が,学部の構成員(教職員及び学生)に周知されているか。 ②基本方針が,社会に広く公表されているか。 1.3 評価の結果 (1)学部・研究科の目的(教育研究活動を行うに当たっての基本的な方針)が明確に定められており,その 内容が,学校基本法に規定された,大学一般に求められる目的に適合するものであること。 ①目的として,教育研究活動を行うに当たっての基本的な方針や,養成しようとする人材像を含めた, 達成しようとする基本的な成果等が,明確に定められているか。 観点①については,学部及び研究科のアドミッション・ポリシーや『分野別研究評価自己評価書―経済 6 学系―』 (平成 15 年 7 月)に示されるように,本学部・研究科の教育研究の基本方針が,これまでの本学 部・研究科の教育研究の伝統を踏まえ,学部教育の目的と目標,大学院教育の目的と目標,研究の目的と 目標として,既に具体化している。したがって,十分達成している。 ②基本方針が,学校教育法第 52 条に規定された,大学一般に求められる目的から外れるものでないか。 参考までに,学校教育法第 52 条をみると, 「大学は,学術の中心として,広く知識を授けるとともに, 深く専門の学芸を教授研究し,知的,道徳的及び応用的能力を展開させることを目的」としている。 本学部の教育研究の基本方針(学部教育の目的と目標,研究の目的と目標)は,経済学・経営学の諸分 野を中心に,人文・社会科学の分野において,本学部の歴史や特性を考慮に入れ,明確かつ具体的に設定 したものであり,上記の学校教育法第 52 条の規定と整合的である。したがって,十分達成している。 ③研究科の基本方針が,学校教育法第 65 条に規定された,大学院一般に求められる目的から外れるも のでないか。 参考までに,学校教育基本法第 65 条をみると, 「大学院は,学術の理論及び応用を教授研究し,その深 奥をきわめ,又は高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い,文化の 進展に寄与することを目的とする」となっている。これは,本研究科の教育の基本方針(大学院教育の目 的と目標)と十分に整合的である。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(1)に関しては,十分達成している。 (2)基本方針が,学部の構成員に周知されているとともに,社会に公表されていること。 ①基本方針が,学部の構成員(教職員及び学生)に周知されているか。 教育研究の基本方針として,学部・大学院教育の目的と目標,研究の目的と目標として策定されたもの は,いずれも関係委員会において検討・作成され,学部教授会・研究科委員会において審議・決定したも のである。また学部教育及び大学院教育の基本方針に関しては,本学ホームページの学部別入試情報 (http://www.oita-u.ac.jp/から入試情報→学部別のアドミッションポリシー)や,本学部ホームページの 研究科案内(http://www.ees.ec.oita-u.ac.jp/menu2.html)に掲載している。入試要項等の冊子としても配 布もしている。したがって,十分達成している。 ②基本方針が,社会に広く公表されているか。 上記のように,学部教育や大学院教育の基本方針に関しては,本学や本学部研究科のホームページや入 試要項に掲載している。また本学部の研究に関しては,大学評価・学位授与機構の関連サイトに,評価報 告書が掲載されている(http://www.niad.ac.jp/sub_hyouka/kenkyu/keizai/h14houkoku/EH14R2U0075. pdf) 。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(2)に関しては,十分達成している。 7 第 2 章 教育研究組織の実施体制 2.1 学部・研究科の組織 2.1.1 教育研究組織 学部・研究科の組織は,教育研究組織と運営組織に区別される。学部の教育研究組織は,経済,経営シ ステムおよび地域システムの 3 学科から構成される。研究科は,経済社会政策専攻と地域経営政策専攻の 2 専攻から構成される(図 1.1 参照) 。 図 1.1 教育研究組織 経 済 学 部 (昭和 24 年 5 月設置) (平成 6 年 4 月改組) 経済学科 (講座:基礎経済論,比較経済論,経済政策論) 経営システム学科 (講座:経営基礎論,経営行動論,会計情報論) 地域システム学科 (講座:地域情報文化論,地域経営論,地域行政論) 経済学研究科 (昭和 52 年 5 月設置) (平成 11 年 4 月改組) 経済社会政策専攻 (国際経済システム,経済社会システム) 地域経営政策専攻 (地域経営システム,企業経営システム,経営情報システム) (出所:経済学部総務係資料) (1)学部の構成 ・経済学科 経済学科は,人々の経済活動の法則を明らかにし,それに基づく経済社会の構造や動態を分析するこ とを課題としている。今日,社会の高度化や国際化の下で,経済社会は複雑化し大きな転換期に直面し ているが,経済学科はこうして複雑化し変化しつつある社会の動きや構造について,新しい視野から教 育研究することをめざしている。 経済学科には,経済学の課題や体系を学習するための基礎科目としての経済学入門Ⅰ・Ⅱがあり,ま た経済社会を分析するための理論的枠組みを学ぶ経済原論Ⅰ・Ⅱが必修科目としておかれている。この 科目を含んで基礎経済論,比較経済論,経済政策論という 3 つの講座グループがあり,その中に多彩な 講義科目が開講されている。 ・経営システム学科 経営システム学科は,主として企業(会社)の経営活動やそれに関連する周囲の諸条件(環境)を研 究教育する分野である。国や社会の経済を支える生産の最小単位が企業であるから,その経営組織,管 理技術,財務分析,人事労務管理,情報処理,会計報告などの科目を学習することは,広く経済活動の 理解のためにも有用である。経営システム学科の基礎的な学習として「経営学入門」と「簿記Ⅰ」があ り,さらにそれらの上に,経営基礎論,経営行動論,会計情報論の 3 つの講座グループがある。 8 ・地域システム学科 地域システム学科は,地域社会の活性化という実践的な目標に基づいて,経済,法,行政,福祉,健 康など地域に住む人々の生活の様々な領域を学問的に教育研究する学科である。今日の地域社会が直面 する様々な問題に学問的に対応し,また地域社会の国際化という観点から,外国語および外国文化の学 習や研究がたいへん大切になってくる。これらの諸問題に対応するため地域システム学科には,地域情 報文化論,地域経営論,地域行政論の 3 つの講座グループがある。 (出所:大分大学経済学部『講義要綱(シラバス) 』平成 17 年度版,p.9) (2)研究科 本研究科の教育体制は, 「経済社会政策」と「地域経営政策」の 2 専攻によって構成される。 「経済社会 政策」専攻には「国際経済システム」 , 「経済社会システム」の 2 教育研究分野を設け, 「地域経営政策」 専攻には, 「地域経営システム」 , 「企業経営システム」及び「経営情報システム」の 3 教育研究分野をお いている。 研究科の特色として,①社会人・職業人の積極的受け入れと高度な専門的職業人の要請,②「地域」へ の総合的アプローチ,③「政策」重点化のカリキュラム,④外国人留学生の積極的受入れがある。 (出所:平成 17 年度 大分大学大学院経済学研究科修士課程 学生募集要項) 2.2 運営 2.2.1 運営組織 学部・研究科の運営組織は図 1.2 のとおりである。学部では教授会,研究科では研究科委員会が中心に なっている。研究科の組織は学部組織を基礎とし,施設・設備を学部と共用するほか,研究科に関わる事 務も学部事務組織で処理している。ただし,入学試験に関わる事務については,平成 11 年度から本学部 入試課が担当し,学部学務係がその補助を行っている。 図 1.2 運営組織 教 授 会 総務係 経 済 学 部 事 務 部 学務係 研究科委員会 経済学研究科 (経済学部事務部) (出所:経済学部総務係資料) 2.2.2 教授会の構成と役割 教授会の構成については, 「国立大学法人大分大学教授会規程」及び「大分大学経済学部教授会規程」 で,学部長,教授,助教授,講師(専任)及び助手と定めている。教授会の運営は,教授会構成員一人一 人の自由で自主的な議論のもとで行い,決定事項は構成員自らの責任と義務において処理するという体制 をとっている。 なお教授会の権限として,以下のような審議事項を定めている。 9 ① 長期的な目標,中期目標・中期計画及び年度計画における教育,研究及び社会貢献に関する事項 ② 学部長等候補者の選考に関する事項 ③ 教育研究評議会の方針に基づく教員選考,教員資格審査及び身分に関する事項 ④ 学生の受け入れと身分に関する事項 ⑤ 学位の授与に関する事項 ⑥ 教育課程の編成に関する事項 ⑦ 研究活動に関する事項 ⑧ 社会貢献活動に関する事項 ⑨ その他学部長等が必要と認めた事項 (出所:国立大学法人大分大学教授会規程) 2.2.3 研究科委員会の構成と役割 本研究科委員会は,研究科長(学部長併任)を委員長とし,大学院担当教員によって構成される。審議 事項は以下のとおりである。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 教員の選考に関する事項 教育課程に関する事項 学生の入学,退学,休学,転学,留学,除籍及び賞罰その他身分に関する事項 試験に関する事項 修士課程の修了に関する事項 その他研究科に関する事項 (出所:大分大学大学院経済学研究科規程) 2.2.4 その他の主要な委員会の構成と機能 学部教育及び大学院教育に関して,教授会や研究科委員会の下部組織として,とりわけ教務委員会及び 大学院委員会が重要な役割を果たしている。 (1)教務委員会 委員会は,教務に関する事項について,企画,連絡及び調整を行い,関係事務の円滑な遂行に資するこ とを目的としている(大分大学経済学部教務委員会規程第 2 条) 。委員会は委員長と委員(各学科から 1 名)から構成され,教授会の選考に基づき学部長が委嘱する(同第 3 条) 。 (2)学部大学院委員会 大学院の教務に関する事項について,企画,連絡及び調整を行い,関係事務の円滑な遂行に資すること を目的としている(学部大学院委員会に関する申合せ) 。委員長は研究科長(=学部長)から委嘱され,委 員として,研究科長(=学部長) ,教務委員長,大学院経済学研究科の各専攻 2 名,社会科学系以外の教 員 1 名から構成される。 2.3 教養教育の実施体制 教養教育の実施体制は,全学レベルの大分大学教養教育委員会及び大分大学教養教育委員会科目別専門 10 部会議に担われている。大分大学教養教育委員会は理事(教育担当) ,各学部教務委員長,高等教育開発セ ンター長,各学部の教員のうちから選出された者(各 1 人)等から構成され,教養教育委員会科目別専門 会議は各学部等から選出された該当分野(導入教育・基礎教育科目,全学共通科目,外国語科目,身体・ スポーツ科学科目,日本語・日本事情科目)担当教員から構成される。これらの委員会の審議事項は以下 のとおりである。ただし,平成 18 年度に教養教育実施体制の見直しを計画しており,教養教育実施機構へ 改組の予定である。 本学部の教員は,教養教育関係の委員会に対して,その構成員として審議事項の検討に参加している。 さらには,教養教育として位置づけられる授業科目を担っている。外国語科目,身体・スポーツ科学科目, 日本語・日本事情科目については,担当者が限定されるが,導入教育・基礎教育科目(具体的には基礎演 習)および全学共通科目については,本学部の全教員が分担している。特に,全学共通科目については, 卒業に必要な単位数や受講者数に応じて,学部別の開講数が定められており,本学部では,全教員が,ロ ーテーションにより,原則として,4 年間に 2∼3 セメスター担当している。 「大分大学教養教育委員会の審議事項」 ①教養科目の開設に関する事項 ②教養科目のガイダンス及び履修指導に関する事項 ③規程等の制定改廃に関する事項 ④教養教育棟の運営方針に関する事項 ⑤自己点検及び評価に関する事項 ⑥将来計画に関する事項 ⑦広報に関する事項 ⑧その他教養教育に関する事項 「大分大学教養教育委員会科目別専門部会議の審議事項」 ①授業科目の開設方法に関すること ②授業の方法に関すること ③授業の学生数に関すること ④授業担当教員に関すること ⑤各年度の開設計画の作成に関すること ⑥授業科目のガイダンス及び履修指導に関すること ⑦その他教養教育に関すること (出所:大分大学教養教育委員会規程,大分大学教養教育委員会科目別専門部会議規程) 2.4 評価の項目と観点 (1)学部・研究科の教育研究に係る基本的な組織構成(学部及びその学科,研究科及びその専攻,教養教育) の実施体制が,学部・研究科の基本方針に照らして適切なものであるか。 11 ①学部及びその学科の構成が,学士課程における教育研究の基本方針を達成する上で適切なものになっ ているか。 ②研究科及びその専攻の構成が,大学院課程における教育研究の基本方針を達成する上で適切なものに なっているか。 ③教養教育の体制が適切に整備され,機能しているか。 (2)教育活動を展開する上で必要な運営体制が適切に整備され,機能していること。 ①教授会・研究科委員会が,教育活動に係る重要事項を審議するための必要な活動を行っているか。 ②教育課程や教育方法等を検討する教務委員会・大学院委員会の組織が,適切な構成となっているか。 また,必要な回数の会議を開催し,実質的な検討が行われているか。 2.5 評価の結果 (1)学部・研究科の教育研究に係る基本的な組織構成(学部及びその学科,研究科及びその専攻)の実施体 制が,学部の基本方針に照らして適切なものであるか。 ①学部及びその学科の構成が,学士課程における教育研究の基本方針を達成する上で適切なものになっ ているか。 学部・学科の構成は,教育研究の基本方針を達成するために整合的かつ機能的であるように整備されて きた。教員採用の際には,必要な分野の教員を採用できるように,原則として,学科が採用人事を発議す るという仕組みを取り入れている。したがって,十分達成している。 ②研究科及びその専攻の構成が,大学院課程における教育研究の基本方針を達成する上で適切なものに なっているか。 平成 11 年に実施された研究科の改編に伴って,専攻の改編や大講座制の導入,定員の充足などに努め てきた。しかし,時代の要請と地域社会の要望に応え,本研究科の更なる充実と拡充に向けての取組みを 行っており,修士課程へのマルチコース制の導入は平成 18 年度を予定している。すなわち,経済社会政 策専攻に国際経済コース,政策科学コース,地域経営政策専攻に地域政策コース,マネジメント(MBA) コース,アカウンティングコースを導入する予定である。また,博士課程の設置は平成 19 年度を計画し ている。したがって,おおむね達成しているが,改善の余地もある。 ③教養教育の体制が適切に整備され,機能しているか。 教養教育の体制に対して,本学部は,委員会の構成員として,あるいは教養教育科目を担うことによっ て,その責任を果たしている。特に,全学共通科目に関しては本学部の全教員がローテーションにより担 当しており,これが定着している。その他の分野の科目についても,設定された科目を支障なく,担当し ている。したがって,本学部教員が関与する限りにおいて,十分整備され,機能している。 以上から評価項目(1)に関しては,総じて,十分達成している。 12 (2)教育活動を展開する上で必要な運営体制が適切に整備され,機能していること。 ①教授会・研究科委員会が,教育活動に係る重要事項を審議するための必要な活動を行っているか 教授会では,前述のような国立大学法人大分大学教授会規程に基づく審議事項,研究科委員会では,研 究科委員会規程に定められた事項について,審議を行っている。教授会・研究科委員会とも,毎月第 2 水 曜日に定例の会議を開催している。定例の会議で,審議不可能な場合や緊急を要する案件が生じた場合, 臨時の会議を開いて対処している。したがって,十分達成している。 ②教育課程や教育方法等を検討する教務委員会・大学院委員会の組織が,適切な構成となっているか。 また,必要な回数の会議を開催し,実質的な検討が行われているか。 教務委員会では各学科の代表者からなる組織として編成され,学部の教務事項の全般を処理している。 平均して週 1 回の会議を開催し,その時々の学部の教務関係事項を処理している。他方,研究科に関して は,研究科長(=学部長) ,教務委員長を含む,研究科の専攻を考慮した組織が編成されており,平均して 月 1 回の会議を開催し,研究科に関する教務関係事項を処理している。このように,学部の学科や研究科 の専攻を配慮した委員構成をとり,教授会や研究科委員会に付議される議案の検討を行っている。本学部・ 研究科の教育組織の運用においてきわめて重要な委員会として位置付けられ, 必要な回数の会議を開催し, 実質的な検討を行っている。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(2)に関しては,十分達成している。 13 第 3 章 教員及び教育支援者 3.1 教員組織 3.1.1 教育研究組織と教員編成 前章でみたように,本学部は 3 学科構成であり,それぞれの学科は 3 つの講座グループ(大講座)から 構成されている。経済学科は,基礎経済論,比較経済論,経済政策論の 3 つの大講座から,経営システム 学科は,経営基礎論,経営行動論,会計情報論の 3 つの大講座から,地域システム学科は,地域情報文化 論,地域経営論,地域行政論の 3 つの大講座から,それぞれ構成される。また,それぞれの大講座のなか で,多様な講義科目が開講されている。 他方,研究科に関しては,前章のように, 「経済社会政策」と「地域経営政策」の 2 専攻によって構成 される。 「経済社会政策」専攻には「国際経済システム」 , 「経済社会システム」の 2 教育研究分野を設け, 「地域経営政策」専攻には, 「地域経営システム」 , 「企業経営システム」及び「経営情報システム」の3教 育研究分野をおいている。 こうした教育研究組織に対応して教員組織が編成されている。なお,本学部の教員が大学院担当の教員 を兼務している。 3.1.2 定員充足率 本学部の平成 17 年 4 月 1 日現在における定員充足率は 96%である。ただし,他学部への転用分等を考 慮すると,実際には,66 名の定員に対して 65 名の現員となり,ほぼ 100%近い充足率になっている。 表 3.1 教員組織定員現員表 学部長 経済学科 (学科長) 3 大講座 経営システム学科 (学科長) 3 大講座 地域システム学科 (学科長) 3 大講座 教 授 助教授 講 師 助 手 教 授 助教授 講 師 助 手 教 授 助教授 講 師 助 手 合 計 非常勤講師 平成 17 年 4 月 1 日現在(現員) 15(12)名 7( 7)名 0( 2)名 0( 1)名 13( 8)名 7( 8)名 0( 3)名 0( 1)名 15(10)名 9(10)名 0( 1)名 1( 1)名 67(64)名 33 名 (出所:経済学部総務係資料) 3.1.3 教員編成への配慮 学部教員の編成の基本方針として,柔軟な教育研究体制の整備がある。すなわち,外国人,女性教員, 社会人教員(民間企業,行政機関等での職歴を有する者)の採用の推進である。教員の公募にあたっては, 14 応募資格として,たとえば「博士課程修了(単位取得退学を含む)もしくはそれと同等と認められる者」 との表現で,従来から社会人についても採用を図ってきたが,近年ではさらに,たとえば「博士課程修了 (単位取得退学を含む)もしくはそれと同等と認められる者(民間企業・官公庁等における経験のある者 で,教授または助教授に匹敵する研究業績または実務経験を有する者を含む) 」との表現とし,社会人の応 募を促進して教員の多様性の増大を図っている。 他方,大学院教育に関しては,大学院担当の学部教員によって運営されている。原則として,教授およ び助教授歴 5 年以上(相当を含む)の者が,特研と演習を担当し,助教授歴 5 年未満のものは,特研のみ を担当している。なお,社会科学系以外の科目の担当教員は特研のみを開講している。 3.2 教員の任用(採用,昇任) 3.2.1 教員任用の枠組み 本学部の教員の任用は,国立大学法人大分大学教員選考規程,大分大学経済学部教員選考規程及び国立 大学法人大分大学教員選考基準に基づいている。 本学教員の任用は, 「教育研究評議会の方針に基づき教授会が選考し,教育研究評議会の審議を経て,学 長が行う」 (本学教員選考規程第 1 条第 2 項)ことになっている。なお「任用」には,採用や昇任等を含む。 学部長は,任用候補者の推薦があったとき, 「配置を予定する学科の長または関係講座の教員の意見を聞 いて,すみやかに教授会に付議しなければならない」 (本学教員選考規程第 3 条) 。これを受け,経済学部 教員選考規程第 2 条において, 「学部長は,関係講座又は学科目の教員の意見を聞くために学科会議を置 く」と定めている。 採用の場合,任用候補者の推薦に先立って,いかなる分野の教員を任用するか,学科会議の議論や経済 学部人事委員会の調整にもとづき,採用の方向性を決定している。昇任の場合,任用候補者の推薦に先立 ち,本人の申請が必要となる。 教授会が任用候補者の推薦を採択すると,そのつど審査委員会が置かれ(本学教員選考規程第 8 条) ,同 委員会は,別途基準(後述)に基づき,任用候補者の資格を審査し,その結果を教授会に報告する(同規 程第 9 条) 。教授会は,審査委員会の報告をもとに,審査結果を審議し,候補者を決定し(同規程第 14 条) , その後,教育研究評議会によって,教授会の選考に基づき,候補者の任用が審議される(同規程第 15 条) ことになる。 以上が教員任用の枠組みである。なお本学部では,採用に関しては,公募を原則としている。公募によ る任用が困難な場合は,本学教員選考規程第 4 条(任用候補者の推薦がない場合の規定)に基づき,学部 長は,学科会議及び教授会の議を経て選定委員会を置き(本学部教員選考規程第 4 条) ,同委員会が当該 科目の候補者を選定することになる。 3.2.2 任用候補者の選考基準 任用候補者の審査委員会では,国立大学法人大分大学教員選考基準,大分大学経済学部教員選考規程 にもとづき,本学部の教授,助教授,講師及び助手の選考を行っている。すなわち,本学教員選考基準第 2 条,3 条,4 条ではそれぞれ教授,助教授,講師の選考を規定している。審査委員会は,本学部教員選考 15 規程第 8 条により,それらに定める基準のほか,別に定めるもの(内規)に基づき教員選考を行っている。 国立大学法人大分大学教員選考基準 第 2 条 教授の選考は,次の各号の一に該当し,教育研究上の能力があると認められる者について行う。 (1) 博士の学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む。 )を有し,研究上の業績を有する (国立大分大学教員選考基準規程 者 (2) 研究上の業績が前号の者に準ずると認められる者 (3) 大学において教授の経歴のある者 (4) 大学において助教授の経歴があり,教育研究上の業績があると認められる者 (5) 芸術,体育等については,特殊の技能に秀で,教育の経歴のある者 (6) 専攻分野について,特に優れた知識及び経験を有する者 第 3 条 助教授の選考は,次の各号の一に該当し,教育研究上の能力があると認められる者について行う。 (1) 前条に規定する教授となることのできる者 (2) 大学において助教授又は専任の講師の経歴のある者 (3) 大学において 3 年以上助手又はこれに準ずる職員としての経歴がある者 (4) 修士の学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む。 )を有する者 (5) 研究所,試験所,調査所等に 5 年以上在職し,研究上の業績があると認められる者 (6) 専攻分野について,優れた知識及び経験を有する者 第 4 条 講師の選考は,次の各号の一に該当する者について行う。 (1) 第2条又は前条に規定する教授又は助教授となることのできる者 (2) その他特殊な専攻分野について教育上の能力があると認められる者 大分大学経済学部教員選考に関する内規 第 2 条 大分大学経済学部教員選考は,業績,経験年数及び勤務状態を考慮して行う。 第 3 条 業績については,下表の基準を満たさなければならない。ただし,社会人を採用する場合にお いては,研究上の業績だけでなく,専攻分野に関する優れた知識,経験及び資格等も考慮することが できる。 論文又はこれに準ずる業績 一般教員 身体スポーツ科学 担当者 助手 1 編以上 1 編以上 講師 過去 2 年以内に書かれたもの 1 編以上 1 編以上 助教授 講師昇任後 2 編以上 2 編以上 教授 助教授昇任後 9 編以上 7 編以上 (7 編以上) (5 編以上) (博士の学位を有する者) ※博士の学位には,外国において取得した学位を含むものとする。 16 第 4 条 経験年数については,下表の基準を満たさなければならない。 採用の場合 助手 大学における経験年数 昇任の場合 2 年以上 講師 〃 4 年以上 本学助手経験 2 年以上 助教授 〃 7 年以上 本学講師経験 3 年以上 教授 〃 17 年以上 本学助教授経験 (博士の学位を有する者) (15 年以上) 10 年以上 (8 年以上) ※特記事項については省略 第 6 条 勤務状態については,本学における学校行政,研究状況などを教授会において総合評価する。 3.3 教育の基礎となる研究活動 『平成 14 年度 大分大学教員評価報告書』 (15 年 9 月刊)を参照すると,同評価では,教員個々人に 対して, 「B 教育の改善に係わる業績 2.研究成果の教育への反映」を尋ねている。この質問に対して, その時点で回答可能であった経済学部教員 58 名のうち,46 名が複数回答(不明1を除く)を寄せ,その すべてが肯定的な回答である。その内訳は,次のとおりである。 a)「研究業績そのものを教材として使用している」という回答が 8 件である(代表例:「最近の地域通貨に 関する研究を学会で報告し論文で公表し,それらの成果を学部や大学院のゼミや講義の教材として使い, 参加者の質疑に応答した。また以前に公表したアーミシュに関する翻訳やオウエンの論文に対する他の 研究者の評価などを紹介し,最近の研究成果も交え,授業の教材として使用し,参加者の質疑に答えた。 ) 。 b)「研究業績を分かり易い形にした上で受講者に教授する」という回答が 24 件である。 (代表例:「学会の 成果を直接学生に還元するには距離がありすぎるので,より噛み砕いて,問題意識だけは現実問題を直 視する方向で考えている。」,「授業では,経済論集や経済研究所報に公表した研究成果をわかりやすく 紹介している。」) c)「研究活動で得られた独自の研究方法を,あるいは研究活動で付随的に得た知見を学生に伝えている」と いう回答が 23 件存在した(代表例: 「私の研究テーマである監査保証と会計士の思考を,監査論の初学 者がもっていると思われる素朴な疑問形式で学生に投げかけ,知識欲の喚起を促した。また,実際の経 済社会で生起する企業不正や公認会計士の責任に関する問題,公認会計士に期待される役割等をケー ス・スタディ形式で提示し,考察する機会を提供した。 」 ) 。 d)その他が1件である。 以上のように, 回答可能であった教員 58 名のうち, 8 割弱に当たる 46 名が肯定的な意見を述べている。 したがって,教育の基礎となる研究活動に関しては,大部分の教員によって実践されている。 17 3.4 教育支援者の配置や教育補助者の活用 3.4.1 学務係 本学部の事務部は学部運営の円滑な実施に当たっている。事務組織は事務職員の大幅な定員削減に対応 して効率的な事務運営を行うため,平成 11 年度から大学全体の事務一元化が実施された。教育支援に関 わる事務組織として,学務係がある。その編成は以下のとおりである。 学務係長 1名 学務主任 1名 学務係員 4名 2名 平成 17 年 4 月 1 日現在 (出所:経済学部総務係資料) また学務係では,次のような学部・研究科の教育事項に関する事務を取扱っている。 ・教育課程の編成に関すること。 ・授業計画及び時間割の作成に関すること。 ・授業,教育実習及び学期末試験等の実施に関すること。 ・教室,演習室等の整備に関すること。 ・学生の入学,休学,退学及び卒業等の身分に関すること。 ・学生の賞罰に関すること。 ・学生の修学指導に関すること。 ・教育職員免許状の取得に関すること。 ・学籍簿の作成および保管に関すること。 ・学業成績の整理および保管に関すること。 ・成績証明書及び単位取得証明書の交付に関すること。 ・入学者選抜試験の実施に関し指定された事務に関すること。 ・教務委員会及び学生生活委員会等の会議に関すること。 ・所掌事務にかかる調査,統計及び諸報告に関すること。 ・学部付属の教育研究施設に関すること。 ・その他学務に係る事務に関すること。 (出所:経済学部総務係資料) 3.4.2 教育研究支援室 学部・研究科の教育研究を支援するために教育研究支援室(旧経済研究所・メディアサービス室を平成 14 年 4 月に改組)を設けている。 教育研究支援室は,平成 14 年 4 月に経済研究所を改組して大分大学コミュニティ総合研究センターが 設置されたのを機に,経済研究所が行ってきた業務の一部とメディアサービス室の業務を引き継いで発足 しており,研究部・編集部・教育部・資料部・メディアサービス部の 5 部門から構成される(平成 17 年 3 月現在)。各部における実務的な業務は,3 名の助手によって担われている。 研究部は研究会の開催や研究推進対策の検討などを担当している。編集部は『大分大学経済論集』 『ワー キングペーパー』 ( 『研究所報』は平成 14 年度まで)の編集・発行などを担当している。教育部は講演会 の開催や学生懸賞論文の募集などを行っている。 資料部では戦前期経済関係資料などの貴重な文献の管理, 地域経済関係資料の収集,大学・官公庁・研究機関の紀要・雑誌などの受入及び閲覧を行い,教員・学生 や学外の研究者などの利用に供している。メディアサービス部では,おもに教育研究に関わる学部内のコ ンピュータやネットワークの管理・運用,および利用者のサポート等を行っている。ネットワークや一部 のコンピュータシステムは大分大学総合情報処理センター管理下にあるため,コンピュータやネットワー 18 クの管理・運用については学部窓口的役割を果たすと同時に,双方で連携をとりつつ,学部独自のニーズ に応じた運用を行っている。利用者のサポートについては,情報処理実習室を利用する学生のサポートを 中心に,教職員への IT 支援も行っている。 このような教育研究支援室の組織と活動を一覧にまとめたものが以下の図である。 図 1.1 教育研究支援室の組織と活動 研究部(主任 1 名,委員 3 名) 編集部(主任 1 名,委員 6 名) 教育部(主任 1 名,委員 3 名) 資料部(主任 1 名,委員 3 名) メディアサービス部(主任 1 名,委員 3 名) (組 織) 室 (活 動) 研究部 長 ① ② ③ ④ 編集部 ① ② 教育部 ① ② 資料部 ① ② ③ ④ ⑤ メディアサービス部 ① ② 研究推進・研究交流の活性化 研究成果の企画・刊行 研究会の企画・支援 常設研究部会の支援 経済論集の編集 ワーキングペーパーの発行 経済学部講演会の開催 学生懸賞論文の募集 地域経済関係資料の収集 紀要・雑誌の受入 戦前期文献の保管・閲覧 雑誌目録の発行 図書システムの管理・運用 学部内情報機器の保守・管理・運用 利用者支援 (出所:経済学部教育研究支援室資料) 3.4.3 TA(ティーチングアシスタント)の活用 本学部では平成7年度から導入されているTAは講義資料作成など,教育効果を向上させる目的で実施さ れている。平成17年度から,情報リテラシーⅠの講義にも導入を図っており,講義担当者の負担を大きく 軽減させた。今後,情報リテラシー関係の講義での拡大を予定している。 実施件数 業務内容 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 12 12 9 21 16 教育補助及び講 教育補助及び講 教育補助及び講 教育補助及び講 教育補助及び講 義資料収集及び 義資料収集及び 義資料収集及び 義資料収集及び 義資料収集及び データ作成 データ作成 データ作成 データ作成 データ作成 (出所:経済学部学務係資料) 3.5 評価の項目と観点 19 (1)教育課程を遂行するために必要な教員が適切に配置されていること。 ①教員組織編成のための基本的方針を有しており,それに基づいた教員組織編成がなされているか。 ②教育課程を遂行するために必要な教員が確保されているか。 ③学士課程において,必要な専任教員が確保されているか。 ④大学院課程において,必要な研究指導教員及び研究指導補助教員が確保されているか。 ⑤学部の基本方針に応じて,教員組織の活動をより活性化するための適切な措置(たとえば,年齢及び 性別構成のバランスへの配慮,外国人教員の確保,任期制や公募制の導入等)が講じられているか。 (2)教員の採用及び昇格等に当たって,適切な基準が定められ,それに従い適切な運用がなされていること。 ①教員の採用基準や昇格基準等が明確かつ適切に定められ,適切な運用がなされているか。特に,学士 課程においては,教育上の指導能力の評価,また大学院課程においては,教育研究上の指導能力の評 価が行われているか。 ②教員の教育活動に関する定期的な評価を適切に実施するための体制が整備され,機能しているか。 (3)教育の基本方針を達成するための基礎となる研究活動が行われていること。 ①教育の基本方針を達成するための基礎として,教育内容等と関連する研究活動が行われているか。 (4)教育課程を遂行するために必要な教育支援者の配置や教育補助者の活用が適切に行われていること。 ①大学において編成された教育課程を展開するために必要な事務職員,技術職員等の教育支援者が適切 に配置されているか。また,TA 等の教育補助者の活用が図られているか。 3.6 評価の結果 (1)教育課程を遂行するために必要な教員が適切に配置されていること。 ①教員組織編成のための基本的方針を有しており,それに基づいた教員組織編成がなされているか 柔軟な教育研究体制の整備を目的に,教員組織を編成している。ここ数年,研究科に博士課程の設置を 進めてきているので,教員採用においても,博士課程設置への対応を考慮している。したがって,十分達 成している。 ②教育課程を遂行するために必要な教員が確保されているか。 本学部の専任教員と非常勤講師により,本学部の教育課程を担っている。毎年度,基礎演習・2 年セ ミナー,外書講読,教養科目,専門基礎科目,専門科目,演習に関する担当者を学科会議及び教授会にお いて決定している。基礎演習・2 年セミナー,外書講読,教養科目,専門基礎科目に関しては,必要な担 当者数は毎年度,確保できている。専門科目については,毎年度,2 年度先までを計画している。こうし た仕組みにより,必要な教員が確保されている。したがって,十分達成している。 ③学士課程において,必要な専任教員が確保されているか。 20 上記のように,専門科目については,毎年度,2 年度先までを計画し,必要な教員が確保されている。 したがって,十分達成している。 ④大学院課程において,必要な研究指導教員及び研究指導補助教員が確保されているか。 大学院課程に関しては,毎年度,次年度の実施特研科目,演習科目を研究科委員会において決定してお り,現状では,必要な研究指導教員及び研究指導補助教員を確保している。したがって,十分達成してい る。 ⑤学部の基本方針に応じて,教員組織の活動をより活性化するための適切な措置(たとえば,年齢及び 性別構成のバランスへの配慮,外国人教員の確保,任期制や公募制の導入等)が講じられているか。 本学部での教員の採用は原則として公募によるものである。公募の条件に年齢条件も記載している。そ れは学部内の既存教員との関係で設定しているものであり,その意味では,年齢バランスについては一定 の配慮をしている。女性教員や外国人教員の採用に関しては,平成 17 年 4 月現在,前者が 9 名,後者が 3 名である。外国人教員の採用に関しては,世界公募により,平成 16 年度末に,1 名を確保することができ た。女性教員や外国人教員の採用の拡大の余地はまだあると思われる。現状では,おおむね達成している が,改善の余地もある。 以上から評価項目(1)に関しては,総じて,十分達成している。 (2)教員の採用及び昇格等に当たって,適切な基準が定められ,それに従い適切な運用がなされていること。 ①教員の採用基準や昇格基準等が明確かつ適切に定められ,適切な運用がなされているか。特に,学士 課程においては,教育上の指導能力の評価,また大学院課程においては,教育研究上の指導能力の評 価が行われているか。 本学部の教員の任用は,国立大学法人大分大学教員選考規程,大分大学経済学部教員選考規程及び国立 大学法人大分大学教員選考基準,経済学部教員選考に関する内規に基づいている。任用(採用・昇任)基 準は,本学教員選考基準,本学部教員選考に関する内規に示され,本学及び本学部の教員選考規程の枠組 みのもとで,適切な運用がなされている。教育上の指導能力の評価に関しては,現状では,経験年数を考 慮するにとどまる。他方,大学院課程に関しては,大学院担当の学部教員が兼任している。原則として, 教授および助教授歴 5 年以上(相当を含む)の者が,特研と演習を担当し,助教授歴 5 年未満のものは, 特研のみを担当しているので,経験年数のみが担当資格の基準となっている。したがって,おおむね達成 しているが,改善の余地もある。 ②教員の教育活動に関する定期的な評価を適切に実施するための体制が整備され,機能しているか。 平成 14 年度の「大分大学教員評価」以降,毎年度,教育活動を含む教員評価を実施している。教員評 価の体制はおおむね整備され,機能しているが,改善の余地もある。 21 (3)教育の基本方針を達成するための基礎となる研究活動が行われていること。 ①教育の基本方針を達成するための基礎として,教育内容等と関連する研究活動が行われているか。 前述の『平成 14 年度 大分大学教員評価報告書』から明らかなように,本学部では,教育内容等と関 連する研究活動が行われていると言える。したがって,十分達成している。 (4)教育課程を遂行するために必要な教育支援者の配置や教育補助者の活用が適切に行われていること。 ①大学において編成された教育課程を展開するために必要な事務職員,技術職員等の教育支援者が適切 に配置されているか。また,TA 等の教育補助者の活用が図られているか。 本学部・研究科の学務に関する事務事項は,教務委員会・学部大学院委員会のもとで,学務係によって 担われ,適切に処理されている。教育研究支援室では,3 名の助手を配置し,教育研究上の実務的な支援 に効果を挙げている。TAの導入・活用も拡大しつつある。すなわち,教育支援者が適切に配置され,教 育補助者の活用も図られている。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(2)に関しては,おおむね達成しているが,改善の余地もある。 22 第 4 章 学生の受入 4.1 学生の募集及び選抜の方法と状況 4.1.1 募集の方法 (1) 募集内容 本学部では以下のような枠組みで学生を募集している。まず,一般学生の入学については,一般選抜と 特別選抜を実施している。 ・一般選抜 : 前期日程,後期日程 ・特別選抜 : 推薦入学(普通科推薦,商業科・総合学科推薦) ,帰国子女,中国引揚者等子女,私費外国 人留学生 他方,社会人,短期大学等卒業者,4 年制大学卒業者等で,経済学部への入学,特定学科目や科目に関 する研究を希望する者に関しては,以下を実施している。 ・社会人入学 ・編入学 ・研究生 ・科目等履修生 (2) 募集活動 PR 活動として,例年 7 月中旬∼下旬に高校教員を対象に入学説明会を,8 月上旬に高校生を対象にオー プンキャンパスを開催して,本学の教育,研究内容,施設設備,入学試験,学園生活などの概要を説明し ている。その際,高校教員には「入学者選抜要項(基本的事項) 」等を,高校生には『BUNDAI(学園だより) 』 や PR 誌『OITA UNIVERSITY』を配布している。さらに,高校側からの依頼により開催される出前講義や高 校生の大学訪問(キャンパスツアー)において大学の模擬授業等を通じて入学後の学生生活の説明を行う だけでなく,高校生を対象とした進学相談会等にも本学教職員が出向き個別相談にも応じている。また, これと平行して,推薦入学試験で入学した学生が出身高校を訪問し,大学での学習状況や生活について報 告する「キャンパス大使」の制度も設けている。他方,募集要項として,大分大学『学生募集要項(一般 選抜) 』 (前期,後期日程) ,同『特別選抜学生募集要項(推薦入学) 』 (普通科推薦,商業科・総合学科推薦) , 同『特別選抜学生募集要項(帰国子女,中国引揚者等子女,私費外国人留学生,社会人) 』 , 『大分大学経済 学部科目等履修生選考要項』 , 『大分大学経済学部研究生募集要項』が毎年度,作成・公表され,希望者に 配布されている。 4.1.2 選抜の方法 (1) 募集定員 一般の学生については,一般選抜の試験の前期日程で 120 名,後期日程で 100 名(特別選抜を含む)を 23 選抜し,推薦入学試験の普通科推薦で 50 名,商業科・総合学科推薦で 40 名を選抜している。特別選抜で は,社会人入学試験,帰国子女入学試験,中国引揚者等入学試験,及び私費外国人留学生入学試験により それぞれ若干名を,編入学生入学試験(学士入学を含む)により 10 名を選抜している。 (2) 選抜方法 一般選抜による入学者の選抜は,大学入試センター試験,個別学力検査等,調査書および健康診断に基 づいて総合判定する。なお,平成 17 年度入試以降の大学入試センター試験で受験を要する教科・科目お よび本学の実施する個別学力検査等は表 4-1 と 4-2 のとおりである。大学入試センター試験の受験を要す る教科に関しては,これまで平成 15 年入試までは 3 教科 3 科目(前期日程) ・4 教科 4 科目(後期日程) 型,平成 16 年度入試では 5 教科 7 科目(前期日程) ・5 教科 6 科目(後期日程) ,そして現在の 6 教科 7 科目(前期日程) ・6 教科 6 科目(後期日程)型に変更された経緯がある。 表 4-1 大学入試センター試験及び個別学力検査で受験を要する教科・科目(平成 17 年度一般前期日程入試) 大学入試センター試験で本学が指定する教科・科目 個別学力検査の教科・科目等 国語 「国語Ⅰ ・国語Ⅱ」 1 科目 地歴 「世界史 A」 「世界史 B」 「日本史 A」 から 1 科目 「日本史 B」 「地理 A」 「地理 B」 公民 「現代社会」 「倫理」 「政治・経済」 から 1 科目 数学① 「数学I」 「数学Ⅰ ・数学A」 から 1 科目 「数学Ⅱ」 「数学Ⅱ ・数学 B」 から 1 科目 数学 〔数学Ⅱ・数学 A・数学 B〕 〔英語Ⅰ・英語Ⅱ・ 数学② 英語 から 1教 科 「工業数理」 「簿記」 「情報関係基礎」 オーラルコミュニケーションB(リスニングのみ) ・リーディング・ライティング〕 理科① 「総合理科」 「物理ⅠA」 「物理ⅠB」 理科② 「化学ⅠA」 「化学ⅠB」 から 1 科目 「地学ⅠA」 「地学ⅠB」 理科③ 「生物ⅠA」 「生物ⅠB」 外国語 「英語」 「ドイツ語」 から 1 科目 「フランス語」 「中国語」 「韓国語」 (6 教科7科目) [注] (1) 大学入試センター試験及び個別学力検査について ア)この表中の「 」及び〔 〕書きは,科目の区分を示します。 イ)複数の科目から選択できる場合は,受験している科目のうち最高得点のものを合否判定に使用します。 (2) 大学入試センター試験について ア) 「工業数理」 「簿記」 「情報関係基礎」を選択できる者は,高等学校もしくは中等教育学校において,これらの科目を 履修した者及び専修学校の高等課程の修了(見込み)者に限ります。 (3) 個別学力検査について 数学A・数学Bの出題範囲については,下記のとおりです。 数学A(数と式・数列) 数学B(ベクトル・複素数と複素数平面) 24 表4-2 大学入試センター試験及び個別学力検査で受験を要する教科・科目(平成17年度一般後期日程入試) 大学入試センター試験で本学が指定する教科・科目 個別学力検査の教科・科目等 国語 「国語Ⅰ ・国語Ⅱ」 1 科目 地歴 「世界史 A」 「世界史 B」 「日本史 A」 「日本史 B」 「地理 A」 「地理 B」から 1 科目 公民 「現代社会」 「倫理」 「政治・経済」から 1 科目 数学① 「数学I」 「数学Ⅰ ・数学A」 から 1 科目 数学② 「数学Ⅱ」 「数学Ⅱ ・数学 B」 「工業数理」 「簿記」 「情報関係基礎」 小論文 理科① 「総合理科」 「物理ⅠA」 「物理ⅠB」 理科② 「化学ⅠA」 「化学ⅠB」 「地学ⅠA」 「地学ⅠB」 から 1 科目 理科③ 「生物ⅠA」 「生物ⅠB」 外国語 「英語」 「ドイツ語」 「フランス語」 「中国語」 「韓国語」 から 1 科目 (6 教科 6 科目) [注] (1) 大学入試センター試験及び個別学力検査について ア)この表中の「 」及び〔 〕書きは,科目の区分を示します。 イ)複数の科目から選択できる場合は,受験している科目のうち最高得点のものを合否判定に使用します。 (2) 大学入試センター試験について ア) 「工業数理」 「簿記」 「情報関係基礎」を選択できる者は,高等学校もしくは中等教育学校において,これらの科目を 履修した者及び専修学校の高等課程の修了(見込み)者に限ります。 (3) 個別学力検査について ア)小論文は,高等学校の段階における総合的な学力到達度を検査する大学入試センター試験を補うものとして,次の資質を みようとするものであり,広く社会科学的素材に基づく出題を行います。ただし,専門的知識・用語は必要としません。 (a)理解力(あるいは大意把握力) (b)論理的思考力 (c)表現力 他方,特別選抜の推薦入学(普通科推薦および商業科・総合学科推薦)では,大学入試センター試験お よび個別学力検査を課さず,調査書,推薦書,志望理由書,小論文,面接および健康診断により選考する。 これ以外の帰国子女・中国引揚者等子女・社会人入試では,大学入試センター試験および個別学力検査を 課さず,出願書類,小論文,面接および健康診断を総合して選考する。また,私費外国人留学生入試では, 私費外国人留学生統一試験, 日本語能力試験ならびに本学で実施する学力試験(数学又は英語から1 科目), 面接の成績,出願書類および健康診断を総合して選考する。さらに,編入学試験(学士入学を含む)につ いては,短期大学・高等専門学校卒業者等および 4 年制大学卒業者に対して実施されており,試験科目は 小論文と英語で,合格者は 3 年次生として入学する。 4.1.3 選抜試験の実施と状況 (1) 実施体制 選抜試験問題は各教科とも複数の担当者により出題・校正が行われた後,複数の問題チェック・査読担 当者により査読・改訂が行われる。また,試験監督者も偏りが生じないように配慮されている。さらに, 25 センター試験では監督者説明会が毎年開催され,公正な試験環境が保たれるよう試験監督者に周知徹底さ れている。面接・小論文等を試験科目に含む推薦入試・一般選抜試験後期日程では,採点基準に関する打 合せを重ね,終了後に反省会を行い,改善策を検討している。そして,大学入試センター試験,一般選抜 試験,特別選抜試験の当日は,全教科の試験開始前に進行や入学志願者への対応等に関する最終確認を繰 り返し行い,不備が生じないように努めている。 (2) 選抜試験の状況 表 4-3 に示されたように,各選抜試験とも入学定員を上回る入学者数があり,総数での両者の差は平成 13∼15 年度では 20 名前後であったが,平成 16∼17 年度では 40 名前後に増加している。個別に見ると一 般選抜試験での差が近年増加している。他方,一般選抜試験以外では,全般に,入学者数と入学定員はほ ぼ等しい(表 4-3,4-4 参照) 。また,研究生および科目等履修生の入学者数は表 4-5 と 4-6 のとおりであ る。 表 4-3 各入学者選抜試験の状況 年度 平成 13 年 度 平成 14 年 度 平成 15 年 度 平成 16 年 度 試験区分 入学定員 入学志願者 受験者 当初合格者 追加合格者 計 入学者 前期日程 後期日程 推薦入学 帰国子女 中国引揚者 社会人 120 100 90 若干名 若干名 10 名以内 513 1002 126 1 5 2 474 444 122 1 3 2 179 149 90 1 3 2 0 0 0 0 0 0 179 149 90 1 3 2 127 113 89 0 3 2 合計 310 1641 1040 418 0 418 329 前期日程 後期日程 推薦入学 帰国子女 中国引揚者 社会人 120 95 90 若干名 若干名 10 名以内 421 576 156 0 3 2 400 260 156 0 3 2 177 125 91 0 3 2 0 0 0 0 0 0 177 125 91 0 3 2 131 102 90 0 1 2 合計 305 1158 821 398 0 398 326 前期日程 後期日程 推薦入学 帰国子女 中国引揚者 社会人 私費外国人 120 95 90 若干名 若干名 10 名以内 若干名 509 791 148 0 1 2 9 482 370 147 0 1 2 8 180 139 92 0 1 2 3 0 0 0 0 0 0 0 180 139 92 0 1 2 3 125 104 92 0 1 2 2 合計 305 1460 1010 417 0 417 326 前期日程 後期日程 推薦入学 帰国子女 中国引揚者 社会人 私費外国人 120 95 90 若干名 若干名 10 名以内 若干名 560 1227 149 0 3 1 10 546 589 147 0 3 1 10 181 135 91 0 2 1 2 0 0 0 0 0 0 0 181 135 91 0 2 1 2 146 106 91 0 2 1 2 合計 305 1950 1296 412 0 412 348 26 平成 17 年 度 前期日程 後期日程 推薦入学 帰国子女 中国引揚者 社会人 私費外国人 120 95 90 若干名 若干名 10 名以内 若干名 332 555 132 0 4 1 5 325 218 131 0 3 1 5 179 136 91 0 3 0 3 0 0 0 0 0 0 0 179 136 91 0 2 0 1 138 110 91 0 2 0 1 合計 305 1029 683 412 0 412 342 (出所:経済学部学務係資料) 表 4-4 編入学の状況 年度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 志願者数 合格者数 入学者数 14 10 10 28 10 8 20 12 10 平成 16 年度 27 11 8 平成 17 年度 20 10 8 (出所:経済学部学務係資料) 表 4-5 研究生の状況 年度 平成 13 年 度 平成 14 年 度 平成 15 年 度 平成 16 年 度 平成 17 年 度 学期 4月 10 月 4月 10 月 4月 10 月 4月 10 月 4月 10 月 日本人 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 外国人 3 1 1 3 3 1 3 6 3 5 合計 4 1 2 3 3 1 3 6 3 5 (出所:経済学部学務係資料) 表 4−6 科目等履修生の状況 年度 平成 13 年 度 平成 14 年 度 平成 15 年 度 平成 16 年 度 平成 17 年 度 学期 前期 男 1 女 0 合計 1 後期 前期 0 1 0 0 0 1 後期 前期 0 1 1 1 1 2 後期 前期 0 1 0 1 0 2 後期 前期 0 1 0 1 0 2 後期 1 1 2 (出所:経済学部学務係資料) 27 4.1.4 アドミッション・ポリシー 本学部では以下のようなアドミッション・ポリシーを定め,毎年の「入学者選抜要綱」 「入学者募集要項」 の他,ホームページなどからも広く公開している。 《教育理念・目標》 本学部は,経済学,経営学を中心にしながら社会科学の諸分野について,基礎から応用・実践に至る まで幅広く学習することを通じて,経済社会の動向を的確に把握し,社会の中核を支える人材を養成す ることをめざしています。 こうした人たちが今日の高度化・複雑化する社会に柔軟に対応しながら,各方面で真価を発揮するため には,基礎的能力が不可欠です。こうした能力を身につけることは,社会や経済の変化に対する適応力 を高めるとともに,創造性を発揮するうえでの基盤になると考えています。また,実社会で活躍するう えで求められる実践力を身につけるためにも基礎的能力が重要です。そこで,学生の基礎的能力を高め ることを本学部の教育目的とします。 この目的を達成するために基礎学力を伸ばすことのできる多様な授業,カリキュラムを編成するとと もに,少人数教育に基づいたきめ細かな指導によって,論理力,表現力,開かれたコミュニケーション 能力や共生する力を育成します。同時に,国際化,情報化などに対応できる能力も育成します。 《経済学部はこのような人を求めています》 本学部は,経済社会の諸問題に関心をもつ人に対して,その基礎的能力を高めることを教育の目的と しています。 したがって,本学部に入学する人は,経済社会への関心や基礎学力を有すると同時に,自分のもつ学 力や能力を伸ばしたいという意欲をもつ学生であってほしいと考えています。とくに,いきいきとした 好奇心をもち続けられる人,しっかりした自分をもち自己表現ができる人,そして,バイタリティーあ ふれる人を本学部は求めています。卒業後の進路として,次のような目標をもっている人が入学するこ とを歓迎します。 ・ 金融界で活躍することをめざす人(たとえば銀行,保険会社,証券会社の仕事などをめざす人) ・ 産業界で活躍することをめざす人(たとえばメーカー,商社,サービス業の仕事やベンチャービジネ スの起 業などをめざす人) ・ 公務に携わることをめざす人(たとえば公務員,国税専門官,裁判所職員や警察,郵政事業などの仕 事をめざす人) ・ 会計や税務,法務に携わることをめざす人(たとえば公認会計士,税理士,中小企業診断士,社会保 険労務士,司法書士などをめざす人) ・ 教育や研究に携わることをめざす人(たとえば高校教員や研究調査の仕事,また大学院進学などをめ ざす人) ・ 国際社会で活躍することをめざす人(たとえば国際公務員や海外ボランティア,また外国企業で働く ことをめざす人) ・地域社会で活躍することをめざす人(たとえば県庁・市町村役場やマスコミ,病院,福祉施設などで 働くことをめざす人) 28 《各学科の特色》 本学部は,次の三つの学科によって構成され,それぞれ特色ある授業を提供しています。 とりわけ地域経済や地域社会に関する豊富な授業は他大学にはみられない充実したものです。学生は 入学時に学科を決めず,基礎を幅広く学んだのち各自の希望に応じて所属学科を決めますが,学生の多 様な関心やニーズに対応し,多面的な学習ができるように所属学科にかかわらず豊富なメニューのなか から自由に選択できるようにしています。 1.経済学科 経済学科では,家計,企業,政府などの経済主体の行動から構成される経済現象の全体像について学 びます。分析にあたっては,さまざまな経済現象の関連性に着目して,それらの因果関係を明らかにす ることを重視します。 2.経営システム学科 経営システム学科では,現代企業のかかえる諸問題を正確に分析し,解明するための方法を学びます。 基本的には経営学・会計学・商学を中心にして,理論と実践の統合をはかっています。 3.地域システム学科 地域システム学科は,地域レベルで生じているさまざまな地域問題を社会学・地理学・社会福祉学・ 法学・コミュニケーション学などに立脚しながら総合的・学際的にとらえ,その具体的解決策を模索す ることを目的としています。 《入学者選抜の基本方針》 経済学部では,一般選抜(前期日程・後期日程)のほか,特別選抜(普通科推薦,商業科・総合学科 推薦,社会人など)を実施し,複数の入学者選抜方式によって多様な人材を受け入れることを目指して います。 ○一般選抜(前期日程) 高等学校において基礎的な学力を修得した学生を選抜するため,大学入試センター試験は6教科7科 目とし,個別学力検査では数学と英語から1教科を選択します。 ○一般選抜(後期日程) 高等学校において基礎的な学力を修得した学生を選抜するため,大学入試センター試験は6教科6科 目とし,個別学力検査では小論文を課します。小論文では,社会科学的素材に基づく出題を行い,理解 力(あるいは大意把握力) ,論理的思考力,表現力をみます。 ○特別選抜(普通科推薦,商業科・総合学科推薦) 大学入試センター試験と個別学力検査を免除し,小論文,面接,提出書類を総合して選考します。小 論文では,社会科学的素材に基づく出題を行い,理解力(あるいは大意把握力) ,論理的思考力,表現力 をみます。面接はグループによるディスカッション方式で行い,積極性や理解力,自己表現能力をみま す。 ○特別選抜(帰国子女,中国引揚者等子女) 大学入試センター試験と個別学力検査を免除し,小論文,面接,提出書類を総合して選考します。小 論文では,社会科学的素材に基づく出題を行い,理解力(あるいは大意把握力) ,論理的思考力,表現力 (日本語能力を含む)をみます。面接では,経済社会への知的好奇心や勉学意欲,自己表現能力をみま す。 29 ○特別選抜(社会人) 大学入試センター試験と個別学力検査を免除し,小論文,面接,提出書類を総合して選考します。小 論文では,社会科学的素材に基づく出題を行い,理解力(あるいは大意把握力) ,論理的思考力,表現力 をみます。面接では,経済社会への知的好奇心や勉学意欲,自己表現能力をみます。 ○特別選抜(私費外国人留学生) 日本留学試験ならびに本学で実施する学力検査(数学または英語から1教科選択) ,小論文,面接,提 出書類を総合して選考します。小論文では,社会科学的素材に基づく出題を行い,理解力(あるいは大 意把握力) ,論理的思考力,表現力(日本語能力を含む)をみます。面接では,経済社会への知的好奇心 や勉学意欲,自己表現能力をみます。 ○第3年次編入学 英語,小論文,提出書類を総合して選考します。小論文では,社会科学的素材に基づく出題を行い, 理解力(あるいは大意把握力) ,論理的思考力,表現力をみます。 (出所: 「経済学部アドミッション・ポリシー」 ) 4.2 評価の項目と観点 (1)教育の目的に沿って,求める学生像や入学者選抜の基本方針が記載されたアドミッション・ポリシーが 明確に定められ,公表,周知されていること。 ①教育の目的に沿って,求める学生像や入学者選抜の基本方針等が記載されたアドミッション・ポリシ ーが明確に定められ,公表,周知されているか。 (2)アドミッション・ポリシーに沿って適切な学生の受入が実施され,機能していること。 ①アドミッション・ポリシーに沿って適切な学生の受入方法が採用されており,実質的に機能している か。 ②アドミッション・ポリシーにおいて,留学生,社会人,編入学生の受入等に関する基本方針を示して いる場合には,これに応じた適切な対応が講じられているか。 ③実際の入学者選抜が適切な実施体制により,公正に実施されているか。 ④アドミッション・ポリシーに沿った学生の受入が実際に行われているかどうかを検証するための取組 みが行われており,その結果を入学者選抜の改善に役立てているか。 (3)実入学者数が入学定員と比較して適正な数となっていること。 ①実入学者数が,入学定員を大幅に超える,又は大幅に下回る状況になっていないか。また,その場合 には,これを改善するための取組みが行われるなど,入学定員と実入学者数との関係の適正化が図ら れているか。 4.3 評価の結果 (1)教育の目的に沿って,求める学生像や入学者選抜の基本方針が記載されたアドミッション・ポリシーが 明確に定められ,公表,周知されていること。 ①教育の目的に沿って,求める学生像や入学者選抜の基本方針等が記載されたアドミッション・ポリシ ーが明確に定められ,公表,周知されているか。 本学部では 4.1.4 で示したようなアドミッション・ポリシーが規定され,例年 7 月中旬∼下旬に開催さ 30 れる入学説明会等で高校教員に配布される「入学者選抜要綱」 ,入学志願者に配布される「入学者募集要項」 の他,ホームページなどを通じて広く公表・周知されている。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(1)に関しては,十分達成している。 (2)アドミッション・ポリシーに沿って適切な学生の受入が実施され,機能していること ①アドミッション・ポリシーに沿って適切な学生の受入方法が採用されており,機能しているか。 アドミッション・ポリシーでは,本学部の求める学生像として,とくに, 「いきいきとした好奇心をもち 続けられる人,しっかりした自分をもち自己表現ができる人,そして,バイタリティーあふれる人」とし ている。こうした学生を選抜するために,推薦入試では大学入試センター試験は課されないものの,出願 資格として高校時の一定水準以上の成績を定めているだけでなく,詳細な入学志願書も提出させている。 さらに面接及び小論文を課すことによって,経済社会への関心や入学後の勉学意欲を測り,自分の考えを 表現できるかを判定している。一方,入学定員の 3 分の 2 以上を占める一般選抜ではセンター入試を課し ているが,平成 15 年度入試までは 3 教科 3 科目(前期日程)・4 教科 4 科目(後期日程)型の設定であったこ ともあり,学生の全般的な基礎学力を調べるには科目数がやや少ない面もあった。しかし,平成 16 年度入 試からは 5 教科 7 科目(前期日程)・5 教科 6 科目(後期日程)型,平成 17 年度入試以降では 6 教科 7 科目(前 期日程)・6 教科 6 科目(後期日程)型に変更を行い,課題の解決をはかってきた。したがって,十分達成し ている。 ②アドミッション・ポリシーにおいて,留学生,社会人,編入学生の受入等に関する基本方針を示して いる場合には,これに応じた適切な対応が講じられているか。 アドミッション・ポリシーにおいて留学生,社会人,編入学生の入学者選抜の基本方針を規定している。 この方針に従い,帰国子女,中国引揚者等子女と帰国子女,中国引揚者等子女に関しては,大学入試セン ター試験と個別学力検査を免除し,小論文,面接,提出書類を総合して選考している。他方,編入学生に 対しては英語,小論文,提出書類を総合して選考している。小論文では社会科学的素材に基づく出題を行 い,理解力(あるいは大意把握力),論理的思考力,表現力(編入学入試以外は日本語能力を含む)を,面接 では経済社会への知的好奇心や勉学意欲,自己表現能力を試験している。以上の事から判断すると適切に 対応していると考える。したがって,十分達成している。 ③実際の入学者選抜が適切な実施体制により,公正に実施されているか。 本学部では 4.1.3 (1)のような入学者選抜試験が実施されている。まず,入試問題の出題・校正,査読は 全て別の委員会で実施され,不適切な出題内容のチェックに努めている。推薦入試・一般選抜試験後期日 程では終了後の反省会が毎年開催されている。また試験当日は,試験の開始前に実施要領を最終確認する ことにより,試験実施上の不備を可能な限りチェックするように努めている。したがって入学者選抜は適 切な実施体制により,公正に実施されている。したがって,十分達成している。 31 ④アドミッション・ポリシーに沿った学生の受入が実際に行われているかどうかを検証するための取組 みが行われており,その結果を入学者選抜の改善に役立てているか。 毎年,一般選抜と特別選抜における入学志願者,受験者,合格者,入学者の傾向に関する調査が行われ, 「入学者試験に関する調査」において公表されている。これは表 4-3∼4-6 のような総数やその近年の推移 が示されているだけでなく,卒業年度別,男女別,出身高校所在地別にも分析されている。他方,一般選 抜に関しては入学志願者の併願大学や入学志願者・合格者の分布も示されている。さらに,経済学部では, 独自に一般選抜試験の前期日程入学者,後期日程入学者,普通科推薦入学者,商業科・総合学科推薦入学 者の 4 試験区分毎に入学後の成績を追跡調査も行い,一つの試みとして入学後の学業成績と入学者選抜試 験時の成績の相関分析も行っている。以上のような調査から入学者の実態の把握に努め,アドミッション・ ポリシーに沿った学生受入が行われているかを検証し,一般選抜試験では定員再配分,特別選抜試験や社 会人,留学生,編入学生に関しては試験科目の見直し等に反映するように努めている。したがって,十分 達成している。 以上から評価項目(2)に関しては,十分達成している。 (3)実入学者数が入学定員と比較して適切な数となっていること。 ①実入学者が,入学定員を大幅に超える,又は大幅に下回る状況になっていないか。また,その場合に は,これを改善するための取組みが行われるなど,入学定員と実入学者数との関係の適正化が図られ ているか。 近年,少子化と入学志願者の動向が変化しており,入学手続率の予想は難しい。当初の予想を上回るこ ともあり,平成 16∼17 年度に関しては,前期・後期日程入試では入学定員を 11∼26 名を超える入学者数 となった。したがって個別にみると,2 割を超える超過率となる場合がある。全体では,実入学者数と入 学定員の差は 40 名前後であり,本学部の定員総数からみると最大 10 数パーセントの超過率にとどまる。 したがって,問題視するようなレベルではなく,実入学者数は入学定員と比較して適切な数となっている といえる。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(3)に関しては,十分達成している。 32 第5章 教育内容及び方法・教育の成果 5.1 教育の基本方針(目的と目標) 5.1.1. 教育の目的 本学部は「アドミッション・ポリシー」のなかで次のような教育目的を掲げている。アドミッション・ ポリシーは,毎年「一般選抜学生募集要項」に掲載し,またホームページ上でも公表している。 教育目的 本学部は,経済学,経営学を中心にしながら社会科学の諸分野について,基礎から応用・実践に至るま で幅広く学習することを通じて,経済社会の動向を的確に把握し,社会の中核を支える人材を養成する ことをめざしています。こうした人たちが今日の高度化・複雑化する社会に柔軟に対応しながら,各方 面で真価を発揮するためには,基礎的能力が不可欠です。こうした能力を身につけることは,社会や経 済の変化に対する適応力を高めるとともに,創造性を発揮するうえでの基盤になると考えています。ま た,実社会で活躍するうえで求められる実践力を身につけるためにも基礎的能力が重要です。そこで, 学生の基礎的能力を高めることを本学部の教育目的とします。 (出所:経済学部一般選抜学生募集要項) 5.1.2 教育の目標 上のような教育目的を達成するために,「アドミッション・ポリシー」では次のような教育目標を定め ている。 教育目標 この目的を達成するために基礎学力を伸ばすことのできる多様な授業,カリキュラムを編成するととも に,少人数教育に基づいたきめ細かな指導によって,論理力,表現力,開かれたコミュニケーション能 力や共生する力を育成します。同時に,国際化,情報化などに対応できる能力も育成します。 (出所:経済学部一般選抜学生募集要項) 5.2 教育の内容 5.2.1 カリキュラムの編成 (1) 編成方針 多様な学習分野について,基礎から応用・実践への一貫性に配慮した科目を開設し,学生の系統的学習 が可能となるように科目を配置している。 こうした方針は,講義概要(シラバス)に掲載された履修科目のフローチャートとして示されている(資 料1)。また,前・後学期はじめに行われる履修相談により,学生に周知されている。 カリキュラムの編成方針は,教育システム委員会および教授会により定期的に検討している。各年度に 開設されるべき個々の授業科目については,学科会議及び教授会で編成方針に則った検討の上,前年末ま でに定めている。 33 (2) カリキュラム改革 平成 14 年度の学部教育改革プロジェクトにおいて,少子高齢化と全入時代の到来,高等学校までの教 育内容の変化と学生の学習履歴の多様化,ならびに社会から求められる人材の養成等への対応策を検討し た。そして,他大学・他学部との競争を考慮して,学部としての教育面での存続基盤の確立を急ぐ必要が ある,との方針を策定した。これをうけて,教育システム委員会において教育体制,カリキュラムの検討 を進め,個性を伸ばす多様なカリキュラムの実現という従来からの方向性とともに,学部教育のコアとな る知識の修得という2つの柱をたてて,平成 17 年度入学生より新たなカリキュラムを実施した。 具体的なカリキュラム改革の内容は,以下のとおりである。 ・学部教育について,カリキュラムの体系を考慮して,専門基礎科目など専門教育のコアとなる科目を 精査し,必修・選択必修化を行った。 ・従来マスプロ化が著しかった専門基礎科目や情報リテラシーなどについて,大規模授業を排し,学習 効果を高めるために,1科目複数クラスを開設し,従来よりもきめ細かな指導が可能となるようにした。 ・少人数教育の徹底として,新たに1年次及び2年次後期に演習を設け,入学時からのシームレスな少人 数指導を可能とした。 ・1年次前期の基礎演習Ⅰの内容を標準化し,情報リテラシー,図書館ガイダンス,イコール・パートナ ーシップガイドラインなど学園生活と大学における基礎的学習方法の習得を図った。 ・卒業要件について,演習など少人数教育の必修単位数を増やす一方で,教養科目における選択科目の 単位数を削減して総単位数を136単位から132単位へ削減し,各科目等の学習時間を十分に確保させると ともに,体系的学習の比重を高めるよう図った。 5.2.2 カリキュラムの特色 (1) 少人数教育 本学部のカリキュラムは,1 年次から 4 年次まで少人数科目を必修科目として配置し,平成 17 年度入学 生より新たに 1 年次及び 2 年次後期にも演習を設け,きめ細かな指導を行っている。 少人数教育科目開講数 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 基礎演習 21 (16.1) 21 (15.9) 21 (15.7) 22 (16.8) 22 (15.6) 2 年セミナー 23 (14.3) 21 (15.0) 21 (15.9) 22 (15.0) 22 (15.9) 3 年次専門演習 44 (6.5) 43 (6.8) 42 (7.8) 40 (8.1) 41 (7.3) (注) 各年度前期開講数,( (出所:経済学部学務係資料) )内は平均受講者数 (2) 基礎的能力の育成 1 年次の少人数教育である「基礎演習」では,大学の勉学へのモチベーションを高めながら,論理力, 発表力の養成,学習技法の習得を目指し,FD等を通じて標準化した内容での指導を行っている。また, 情報化に対応するため,基礎演習で 1 年次生全員に基礎的な指導を行うと同時に,「情報リテラシーⅠ・ Ⅱ」を複数クラス開講し,受講生一人あたりパソコン各一台使用する環境で指導を行っている。 34 (3) 情報化に対応した教育 本学部では平成10年度に社会経済の情報化に対応して,「情報処理教育の現状と今後のあり方」を作成 し,情報処理教育に関する次のような教育課題を設定した。 ・情報化社会で活動するために必要な素養を習得することができる。 ・情報機器を利用することによって有意義な学生生活を送ることができる。 ・情報を自らの学習に即して,的確に判断し,処理し,伝達できる能力を身に付けることができる。 ・卒業後,情報化された企業や多くの組織で円滑に活動できる能力を身に付けることができる。 本学部のカリキュラムは,これら 4 つの課題のそれぞれに対応した科目を開設し,それらを体系的に配 置している。 経済学科 経営システム学科 地域システム学科 専門科目 間 接 的 ・統計学Ⅰ 応用 ・統計調査論 ・オペレーションズリサー ・情報社会論 Ⅰ・Ⅱ ・情報と法 チⅠ・Ⅱ ・情報産業論 直 接 的 ・統計学Ⅱ 応用 ・計量経済学Ⅰ・Ⅱ ・経営情報システム論Ⅰ・ ・情報処理論Ⅰ・Ⅱ Ⅱ 教養科目 情報基礎教育 ・情報処理関連の教養教育科目 ・情報処理リテラシーⅠ・Ⅱ・Ⅲ (出所:経済学部学務係資料) (4) 国際化に対応した教育 国際化に対応した人材の養成のために,本学部では,①国際化関連の専門科目および外国書講読の設置, ②外国人教員の採用,③国際学生フォーラム,④海外学術講演会の開催の取組みを行っている。 ①に関して,学科ごと,あるいは共通で,多様な国際化関連科目を設けており,学生の知的要求と社会 の人材要請に応えるとともに,学生のコミュニケーション能力,異文化との共生力を涵養している。 学科 国際化関連専門科目 「外国書講読AⅠ・AⅡ」「国際貿易論」「世界経済論」「開発経済論」「アジア経済発展論」 経済学科 「アメリカの政治経済」「国際関係論Ⅰ・Ⅱ」「西洋経済史Ⅰ・Ⅱ」「国際金融論Ⅰ・Ⅱ」 経営システム学科 「国際経営論」「国際物流論Ⅰ・Ⅱ」「国際会計論Ⅰ・Ⅱ」「外国書講読BⅠ・BⅡ」 「異文化間コミュニケーション論Ⅰ・Ⅱ」「比較社会文化論Ⅰ・Ⅱ」「英語コミュニケーショ ンセミナーⅠ・Ⅱ」「ドイツ語コミュニケーションセミナーⅠ・Ⅱ」「英米言語文化論Ⅰ・Ⅱ」 地域システム学科 「現代ドイツ社会論」「近代ドイツ文化論」「フランス文化論」「現代フランス社会論」「中 国文化論」「現代中国社会論」「現代英語論」「イギリス言語文化論」「アメリカ言語文化論」 学科共通 「ビジネス英語」「東アジア経済統合と中国経済」 (出所:経済学部学務係資料) 35 ②に関して,本学部は3名の外国籍教員(中国,韓国,英国)を擁し,教育の国際化を日常的に推進して いる。 ③に関して,平成16年度に特別講義として「東アジア経済統合への道」を開講し,この講義の一貫とし て第1回国際学生フォーラム(参加大学 韓国2,中国1,タイ1,ドイツ1)を本学において開催した。17 年度にはチェンマイ大学(タイ)において開催された同フォーラムにも参加した。 ④に関して,海外から講師を迎えて学術講演会を開催している。この講演会は,学生だけでなく一般に も開放しており,平成13年から17年の間に,以下の表に挙げた国々から講師を迎えている。 出身国 中国 韓国 米国 タイ ドイツ 講演数 5 2 2 1 1 (出所:経済学部学務係資料) (5) インターンシップ 平成11年度に「大分大学インターンシップ実施要領」を作成し,継続してインターンシップを実施して いる。参加する学生にマナーなどの事前指導を行うとともに,事後には報告会を実施し,報告書を作成し ている。インターンシップは単位として認定しており,その評価の基礎として,受け入れ企業の実習指導 者に実習効果,積極・自発性,理解度,報告・相談及び職場規律に関して5段階の評価を依頼している。 インターンシップ実施にあたっては,本学部のインターンシップ委員会が実施主体となり,全学的な調 整は教務協議会の内部に設置された「インターンシップ連絡会」が行っている。さらに対外的には,大分 県が主催する「インターンシップ導入促進等支援事業の実施に係る連絡会議」に参画し,促進・調整を図っ ている。 平成13年度 平成14年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 実施事業所数 4 8 10 12 14 参加学生数 11 19 37 50 39 (出所:経済学部学務係資料) (6) 社会人講義 職業意識を啓発し,社会に対する学生の視野を広めるため,社会人を講師とする科目として「地域と経 済」 (平成12年度以降)を設けている。また平成14年度からは野村證券寄附講義として「日本経済と証券ビ ジネスの展望」 (15年度以降「資本市場の役割と証券投資」 )を,平成15年度からは四極会寄附講義として 「会社研究」を開講している。さらに,平成15年度には損害保険寄附講義として「規制改革と激動する損 害保険」を開講した。 36 (7) 履修科目の登録 学習効率の向上,留学生・留学希望学生の受講の便宜,学生の多様な勉学ニーズへの対応等の利点を考慮 して,平成 10 年度より全学的にセメスター制が採用されている。経済学部は 1 セメスター当たり登録可 能な単位数を 25 単位までと規定している。この制限には教員免許修得に必要な教員免許状科目は含まれ ない。また夏季休暇時期を中心に実施される集中講義も制限対象外である。学生にはガイダンスを通じて 単位制について周知し,充分な学習時間を確保できる履修登録がなされるよう配慮している。 5.2.3 カリキュラムの構成 (1)進級要件および卒業要件 本学部のカリキュラムは,平成 15 年度の旧大分医科大学と旧大分大学統合後,平成 16 年度に,教養教 育の科目区分が変更され,次のように構成されている。 全学共通科目 教養教育科目 導入教育科目 外国語科目 身体・スポーツ科学科目 人文 社会 自然 課題コア 情報処理 職業意識啓発科目 ゼミナール科目 基礎演習 第 1 外国語 第 2 外国語 専門基礎科目 専門科目 (出所:経済学部学務係資料) このカリキュラム区分に即して進級要件(演習参加要件)および卒業要件が設定されている。17 年度の カリキュラム改革により新たな進級要件,卒業要件を設定した。 (資料 2) 。 (2)教養教育 本学の教養教育科目は平成 16 年度より,科目区分を全学共通科目,導入教育科目,外国語科目,身体・ スポーツ科学科目,日本語・日本事情科目,短期留学プログラム科目に分類される。後者2区分は留学生 のための科目である。 本学の全学共通科目はコア科目制を採用し,現代的課題と学際性にとくに配慮したテーマ別の科目配置 を行っている。この間,平成 9 年度に導入された「課題コア」は, 「福祉と人権」 , 「国際理解」 , 「地域」 , 「環境」の 4 つのテーマを設定してきたが,15 年度の旧大分医科大学と旧大分大学との統合を受けて,16 年度よりテーマの一つ「福祉と人権」を「福祉・人権・医療」と変更した。また,平成 13 年度より「職 業意識啓発科目」が新たに設けられている。 全学共通科目は,平均 100 名クラスで年間 120 クラス以上(情報処理,ゼミナール,職業意識啓発科目 は含めない)開設することを原則としているが,この間の動向は下表のとおりである。 37 区分 分野 課題コア 全学共通科目 外国語 人文科学 社会科学 自然科学 コア 福祉・人権・医療 国際理解 地域 環境 人間と精神 歴史と文化 国家と社会 産業と経済 自然と数理 科学と技術 情報処理 英語 その他 ゼミナー ル 第 1 外国語 第 2 外国語 身体スポーツ科学 H.13 4 6 4 6 3 19 22 14 17 20 6 16 19 14 26 40 H.14 6 3 4 6 11 20 16 15 15 19 6 12 19 22 26 40 開講科目数 H.15 6 4 4 5 8 20 14 16 13 20 6 12 15 26 25 44 H.16 10 4 2 6 8 18 13 19 17 21 6 10 24 26 25 42 H.17 7 5 5 6 11 18 14 15 17 21 19 8 27 32 15 25 受講者数(平成 17 年度) 平均 範囲 120 13∼199 126 11∼217 139 29∼289 91 4∼243 48 15∼145 19 6∼45 23 0∼55 44 21∼70 37 17∼64 30 15∼25 (出所:経済学部学務係資料) 外国語科目の中でも既修外国語である英語については,学習履歴の多様な学生が入学してくる状況を踏 まえ,平成 15 年度の入学生から習熟度別クラス編成を導入している。従来の総合英語(3 単位)に代わり, 入学時に行うプレースメントテストの結果から,総合英語あるいは基礎英語に分かれることとした。16 年 度からは,従来1年次選択必修とされてきた英会話あるいは英語演習(1 単位)のうち,後者を整理して その教育内容を総合英語・基礎英語に統合するとともに,ネイティブ・スピーカーが担当する英会話を必 修とした。17 年度入学生にはこれらを整理し,さらに外部試験を活用した改善を進めている。1年次には 総合英語Ⅰ・Ⅱあるいは基礎英語Ⅰ・Ⅱ(2単位)と英会話(1 単位)を必修とした上で,2年次に TOEIC の成績結果を加味する総合英語Ⅲ(1 単位,18 年度開講)を全員に必修とした。このため学年度末に TOEIC を学部単位で実施し,1 年次生全員にその受験を義務づけている。 (3)4 年一貫教育 本学部では,基礎的能力に重点を置きながら,基礎から応用・実践へと一貫した教育を施している。 こうした 4 年一貫教育の枠組みに教養教育が体系的に位置づけられる。このため,2 年次までは,教養 教育における全学共通科目の履修を学期当たり3 科目までとして, 適正なクラス規模を保障すると共に, 教養と専門のバランスのとれた履修を図っている。 (4) 専門基礎教育 各学科・講座の基礎を教授するとともに,いくつかの専門の中から学生が自身の適性を見極める機会を 与え,専門教育へ向けてのモチベーションを高めることがこの科目のねらいである。大規模授業を排し, 学習効果を高めるために,平成 17 年度より,開講授業科目を精選するとともに,同一科目について複数ク ラスを開設し,従来よりもきめ細かな指導が可能となるようにした。経済学入門は 2 年次必修であった経 済原論との関係を整理し,専門への共通の土台として必修科目に位置づけなおした。同様に,簿記入門な ど各学科の専門基礎と位置づけられる科目も複数クラスを開講した。 38 単位(人) 学科 受講者数 専門基礎科目 平成13年 経済学科 経営シス テム学科 地域シス テム学科 平成14年 303 231 − − − 409 382 402 391 352 340 190 231 経済学入門Ⅰ 経済学入門Ⅱ 経済学Ⅰ 経済学Ⅱ 経済学Ⅲ 経営学入門(Ⅰ) 経営学入門Ⅱ 簿記(入門)Ⅰ 簿記入門Ⅱ 法学入門(Ⅰ) 法学入門Ⅱ 地域研究入門(入門:地域と文化Ⅱ) 入門:地域と文化Ⅰ 平成15年 225 234 − − − 299 315 397 431 419 332 219 370 平成16年 311 232 − − − 408 337 423 384 394 286 172 418 平成17年 354 296 − − − 299 206 433 444 292 274 275 345 163 131 340 339 341 412 117 397 86 510 184 443 176 (注) 簿記入門Ⅰ・Ⅱと平成17年度の経済学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ,経営学入門,簿記Ⅰは複数クラスの合計。(出所:経済学部学務係資料) (5)専門教育 本学部の教育目的に謳われているように「基礎から応用・実践に至るまで幅広く」授業科目を開設して いる。専門科目の開講数は次のような動向である。 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 経済学科 45 46 43 40 42 経営システム学科 48 50 46 42 44 地域システム学科 70 72 67 51 50 学科共通 19 21 22 20 12 182 189 178 153 148 合計 (出所:経済学部学務係資料) 専門科目の履修状況は次表のような動向である。 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 29 人以下 46 44 48 35 27 30∼49 人 29 34 22 25 19 50∼149 人 50 59 68 49 61 150∼349 人 42 47 35 37 36 350 人以上 15 5 5 7 5 (出所:経済学部学務係資料) 5.2.4 教育方法の特色 (1)情報教育の強化 学生生活および卒業後の社会における多様なメディア普及に即応できるように,情報機器を活用した教 育が行われている。とりわけ,1 年次生に対しては,平成 13 年度より学部で統一した内容のメディア・リ テラシーを設定し(平成 14 年度からは毎年改訂した共通テキスト「メディア・リテラシー入門」を作成) , 39 1 年次生必修の基礎演習の 4∼5 月(3 コマ分)をその指導に当てている。 平成 16 年度より,入学時のガイダンスにおいて,情報リテラシーⅠ(ワード) ・Ⅱ(エクセル)を全員 が履修するよう指導し,これに対応してクラス数を各 2 コマ増加させている。これらのクラス数増加によ り受講生あたりパソコン各 1 台が使用できる環境を整備した。 (2)Webctの導入 授業資料について印刷物を補完し,練習問題や課題,レポートの配布・回収を行う授業支援システムと して,平成16年度より全学の総合情報処理センターによりWebctの導入が図られている。経済学部で は,16年度に前期後期各3科目,17年度には前期5科目,後期8科目で利用している。 (3)ティーチング・アシスタント(TA)の活用 本学部では平成7年度から導入されているTAは教育補助及び講義資料収集及びデータ作成など,教育効 果を向上させる目的で実施されている。とりわけ,平成17年度より情報リテラシーなどの授業内での個別 指導において効果的に活用している。 (4)外国語文献の利用 授業教材として外国語文献を用いた専門科目は「外国書講読」 ,平成14年度より経済学科開講の「2年セ ミナー」があり,ほかに地域システム学科のいくつかの科目でも外国書をテキストとしている。 5.3 学習指導と成績評価 5.3.1 学習指導 (1) 履修指導 授業の選択については,次のような形で履修指導を行っている。 授業選択に関する履修指導 学年別ガイダン ス 履修相談 年度初めに教務委員が各学年別にガイダンスを行い,きめ細かな指示を与えている。 とりわけ1年生にたいしては,必修となる語学や体育などの教員も加わり,さらに 細かなガイダンスを行っている。 各セメスターの履修登録期間中,履修相談室を設け,教務委員が個別の履修相談に 応じている。 学部ならびに各学科の教育方針を明記し科目の体系を示したうえで,各科目の内容 講義概要(シラバ を掲載している。掲載内容は授業のねらいから到達目標,原則14回分の講義内容, ス) 時間外学習,関連科目,評価方法等であり,16年度に制定された全学的な仕様に準 拠している。 履修の手引き 平成14年度までは全学年対象の『履修の手引き』を発行していたが,15年度より, 新入生が履修をスムーズに行えるよう,1年生向けの内容としている。また教員紹 40 介を充実させ,個々の教員の研究内容と開講されている講義内容との連関がわかる ように配慮している。 フローチャート 履修のフローチャートを作成し,講義概要(シラバス)に掲載して学生に系統的な 履修計画を促している。 1年次の基礎演習,2年次の2年セミナー,3,4年次の演習を必修科目として配置す 指導教員制 ることによって,全学期にわたって全学年で少人数教育を実施しており,それぞれ の指導教員が個別的に履修相談に応じている。 (出所:経済学部学務係資料) また,学科や専門の選択については次のような履修指導を行っている。 学科や専門の選択に関する履修指導 すべての学科において専門基礎科目を開講し,諸分野の中から学生が自身の適性を見 専門基礎科目 極める機会を与え,専門へ向けてのモチベーションを高める役割を担っている。 演習履修の手引 き 3, 4年次に参加する演習担当教員の属する学科によって学生の学科所属を決定するた め,演習の選択にあたっては,とくに『演習履修の手引き』を発行し,演習の専門的 内容を詳しく解説し,学生の選択の便宜を図っている。 (出所:経済学部学務係資料) (2) 補充教育 入試での試験科目の削減や推薦入試等の実施による入試方法の多様化によって,必要な学力が十分には 形成されていない学生に対応するため,基礎的な科目に関して補習授業(半期)を実施している。当初数 学と英語を開講し,対象となる学生に対して受講義務は課さなかった。その後英語は,平成15年度の習熟 度別クラス編成実施を契機に補習の充実化を図り,基礎英語受講者全員に英語(前期のみ)の補習を義務 づけた。16年度からは,数学については「経済数学」の講義において必要な基礎的部分へ対応することと した。英語については英会話に代わってさらに1クラス増設し,17年度からは前後期共に開講して,基礎英 語受講者の学力補強に主眼を置いた補習に切り替えた。 授業科目 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 英語 24 30 60 66 66 英会話 51 31 25 数学 43 23 28 (出所:経済学部学務係資料) (3) 授業時間外学習の指導 授業時間外学習の指導については,オフィスアワーを設定し,学生に授業その他への質問の機会を設け ている。また,各科目の講義概要(シラバス)に「時間外学習等」という項目を設け,学生の自発的な自 己学習へのヒントとしている。その他,情報処理実習室を授業で使用していない時に開放し,eラーニン 41 グを初め,学生が自己学習できるよう便宜を図っている。 (4) 懸賞論文 本学部では毎年,学生から懸賞論文を募集している。専門の教員から構成される委員会が審査をし,講 評および表彰を行う。懸賞というインセンティブによって学生の自主的な研究を推奨することが懸賞論文 の趣旨であり,それはおのずと(3)の授業時間外学習を促進することにもつながる。応募数も増える傾向に ある。 応募論文数 平成13年度 13 平成14年度 17 平成15年度 20 平成16年度 18 平成17年度 30 (出所:経済学部教育研究支援室資料) 5.3.2 成績評価 (1) 成績評価の現状 本学部では従来,優,良,可,不可の4段階評価を行っていた。しかしながら,大学審議会答申や大分大 学基本構想において成績評価基準の明示と厳格な成績評価の実施が提起されたことを受け,平成14年度以 降,以下の6段階評価に変更されている。 学期末試験細則 「単位の修得は,当該科目の試験又は報告書の成績を考査して定める。ただし,授業科目によっては, 試験を行わず,平常の成績により単位を認定することがある。 」 「成績は,下記のとおり,S,A,B,C,D,Fの評語をもって表し,C以上を合格とし,所定の単 位を与える。 」 評価 100点満点での得点 単位認定の有無 S 90点以上 有 A 80点以上90点未満 有 B 70点以上80点未満 有 C 60点以上70点未満 有 D 50点以上60点未満 無 F 50点未満 無 (出所:経済学部学務係資料) また,成績評価基準は,16年度から講義概要(シラバス)に「成績評価の方法および評価の割合」とい う項目を作り,%表示で明記し,学生に周知している。評価の正当性を確保するための処置として,学生 が評価に納得がいかないとき,学務を通して担当の教員に異議申し立てを行い,担当教員からのそれに対 する回答を得ることができる。 42 (2) 留年防止対策 本学部では,進級要件(資料2)を満たした学生に対して演習の履修資格を認めている。したがって2年 次終了時点において進級要件を満たしていない学生は,この時点で留年が確定する。本学部における留年 生の動向については,本章の次節「2.5 教育の達成状況」を参照されたい。 留年は,単に学生の自己責任の問題ではなく,履修指導上の問題であるという認識から,次のような方 策を実施して,防止に当たっている。 留年防止対策 年度初めに教務委員が各学年別にガイダンスを行い,きめ細かな指示を与えてい る。とりわけ新入生にたいしては,必修となる語学や身体・スポーツ科学などの 教員も加わり,さらに細かなガイダンスを行っている。 1年次生に対して,6月時点で欠席調査を行い,欠席の多い学生を呼び出し,学生 生活委員会,教務委員会が個別面接指導を行っている。 修得単位数が20単位未満のものを呼び出し,学生生活委員会,教務委員会が個別 指導を行っている。そのさい保護者にも成績を通知し,家庭での指導も促してい る。 2年次生に対して,進級要件を満たさず留年が確定した学生を呼び出し,学生生 活委員会,教務委員会が個別面接指導を行っている。そのさい保護者にも成績を 通知し,家庭での指導も促している。 1年次の基礎演習,2年次の2年セミナー,3,4年次の演習を必修科目として配置 することによって,すべての学年で少人数教育を実施しており,それぞれの指導 教員が個別的に履修相談に応じている。 (出所:経済学部学務係資料) 学年別ガイダンス 欠席者対策 成績不振者対策 留年生対策 指導教員制 成績評価については,平成17年度より希望する学生の保護者に対して年間の成績結果を送付するととも に,2年生の保護者を対象に保護者会を開催し,履修・成績の状況について相談に応じている。 5.4 教育の達成状況 5.4.1 単位修得の状況 卒業者数,留年生,進級者の動向は下記のとおりである。留年生の割合は,平成14年度から16年度まで は,約3割で推移していたが,平成17年度は23%に減少している。また,進級者の割合は,平成14年度を 除いて,80%前後である。 (1)卒業者数の動向 卒業者数 (単位:人) 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 3 月卒業(a) 323 281 296 290 309 9 月卒業 15 15 9 9 13 (出所:経済学部学務係資料) (2) 留年生の動向 43 入学年度別 留年学生数 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 13 年 12 年 11 年 10 年 9年 8年 7年 6年 度 度 度 度 度 度 度 度 56 20 13 2 1 0 1 0 93 0.23 66 39 8 4 0 1 0 118 0.29 73 22 9 2 1 0 107 0.27 75 21 6 5 0 107 0.28 61 23 14 3 104 0.24 入学年 度 (単位:人) 卒業予定 平成 17 年度 平成 16 年度 平成 15 年度 平成 14 年度 平成 13 年度 (注) a は前表の卒業者数である。 計(b) b/(a+b) (出所:経済学部学務係資料) (3) 進級者数の動向 進級者数 (単位:人) 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 進級者数 305 345 314 313 293 進級割合 82.4% 86.7% 78.5% 79.0% 79.8% (出所:経済学部学務係資料) 5.4.2 免許・資格取得の状況 本学部では, 商業と公民の教員免許を取得できる。 教育実習参加者数は平成 16 年度が 20 名であったが, 平成 17 年度は 5 名に減少した。 (1) 教員免許取得状況 教育実習参加者数 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 商業 4 9 11 12 4 公民 2 2 5 8 1 (出所:経済学部学務係資料) (2) 商業教員免許取得状況 高等学校普通(一 種)免許取得者数 高等学校普通(専 修)免許取得者数 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 5 5 11 12 4 0 0 1 1 1 (出所:経済学部学務係資料) 44 (3) 公民科教員免許取得状況 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 3 2 5 9 1 0 1 1 0 0 高等学校普通(一 種)免許取得者数 高等学校普通(専 修)免許取得者数 (出所:経済学部学務係資料) 5.6 評価の項目と観点 (1) 教育内容面での取組み ①教育の一般方針(目的と目標)や授与される学位に照らして,授業科目が適切に配置され,教育課程 の体系性が確保されているか。 ②授業の内容が,全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものになっているか。 ③授業の内容が,全体として教育の一般方針を達成するための基礎となる研究活動の成果を反映したも のとなっているか。 ④学生の多様なニーズ,学術の発展動向,社会からの要請等に対応した教育課程の編成に配慮している か。 ⑤単位の実質化への配慮がなされているか。 (2) 教育方法及び成績評価面での取組み ①教育の一般方針に照らして,講義,演習,実験,実習等の授業形態の組合せ・バランスが適切であり, それぞれの教育内容に応じた適切な学習指導法の工夫がなされているか。 ②教育課程の編成の趣旨に沿って適切なシラバスが作成され,活用されているか。 (3) 教育の達成状況 ①各学年や卒業(修了)時等において学生が身につける学力や資質・能力について,単位取得,進級, 卒業(修了)の状況,資格取得の状況等から,あるいは卒業(学位)論文等の内容・水準から判断し て,教育の成果や効果が上がっているか。 ②学部として,教育の基本方針に沿った形で,教養教育,専門教育において,課程に応じて,学生が身 につける学力,資質・能力や養成しようとする人材像等についての指針が明らかにされており,その 達成状況を検証・評価するための適切な取組みが行われている。 5.7 評価の結果 (1) 教育内容面での取組み 45 ①教育の一般方針(目的と目標)や授与される学位に照らして,授業科目が適切に配置され,教育課程 の体系性が確保されているか。 教養ならびに専門科目については,基礎的かつ多様な科目が開講されており,学生の勉学ニーズに応え ている。また,学生が基礎的科目から応用・実践的科目を体系的に履修できるように,フローチャートを 講義概要(シラバス)に掲載している。専門科目のそれぞれに対応した演習,卒論指導が用意されており, これらを通じて教育目的の達成を意図している。したがって,十分達成している。 ②授業の内容が,全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものになっているか。 毎年末の学科及び教授会は教育課程編成の趣旨を踏まえて翌年の開設授業を定めており,さらに教育シ ステム委員会の検討を通じて,数年に一度,教育課程全体に関わる見直しを行っている。個々の教員は, これらの委員会等の参加により,教育課程に関する検討審議を踏まえた授業内容を実施している。したが って,十分達成している。 ③授業の内容が,全体として教育の基本方針を達成するための基礎となる研究活動の成果を反映したも のとなっているか。 本学部の教育特徴としての「国際化に対応した教育」は,学部として推進している東アジア研究,EU 研究等に依拠したものであり,このように教員の担当する科目と専門領域が合致し,研究成果が授業に直 接反映している。また授業評価やFD活動を通じて研究成果の授業の内容の反映に努めている。したがっ て,十分達成している。 ④学生の多様なニーズ,学術の発展動向,社会からの要請等に対応した教育課程の編成に配慮している か。 3 分野 10 コアに分かれる教養科目,3 学科 9 大講座に及ぶ専門科目により多様かつ体系的な教育課程を 編成しており,学生の多様なニーズに対応すると同時に,多様な学術の発展動向の反映に努めている。ま た,同窓会寄附講義,野村證券寄附講義などの社会人講義を充実させるとともに,社会人から教員を登用 しており,こうした連携の深化により教育課程に対する社会からの要請にも積極的に応えている。したが って,十分達成している。 ⑤単位の実質化への配慮がなされているか。 学期当たり登録可能な単位数制限の設定,教務委員会を中心とした組織的・恒常的な履修指導による単 位制の学生への周知等を通じて,学生の学習時間の確保,学習意欲を喚起するようサポートをしている。 さらに,平成17年度カリキュラム改訂により,総単位における専門教育と少人数指導の比重を上げること で,学生の体系的学習へのモチベーションを高めるよう図っている。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(1)に関しては,十分達成している。 46 (2) 教育方法及び成績評価面での取組み ①教育の基本方針に照らして,講義,演習,実験,実習等の授業形態の組合せ・バランスが適切であり, それぞれの教育内容に応じた適切な学習指導法の工夫がなされているか。 1年次,2年次の演習を増やしたこと,さらに少人数教育を充実させている。情報リテラシー等の実習的 要素の大きい授業ではクラス数を増設し,受講生一人当たりパソコン1台を使用する環境とし,新たに教育 補助としてティーチングアシスタントを配置した。講義における受講者数の大規模対策として,専門基礎 科目の複数開講などで適正規模に努めるとともに,WebCTの導入により双方向性を高めるなどの改善を進 めてきている。したがって,十分達成している。 ②教育課程の編成の趣旨に沿って適切なシラバスが作成され,活用されているか。 講義概要(シラバス)は,全学的に仕様を整えるとともに,学部・学科の全体像としてのフローチャー トや個々の授業の関連科目の明示によりカリキュラム編成が学生に理解されるように工夫をしている。同 時にこれらを活用して,教務委員会による定期的で組織的なガイダンスと相談,また,演習指導教員によ る個別指導を行っている。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(2)に関しては,十分達成している。 (3) 教育の達成状況 ①各学年や卒業(修了)時等において学生が身につける学力や資質・能力について,単位取得,進級, 卒業(修了)の状況,資格取得の状況等から,あるいは卒業(学位)論文等の内容・水準から判断し て,教育の成果や効果が上がっているか。 カリキュラムの改善,学生指導の徹底をはかる中で,卒業不可能者は平成17年度には減少しつつあると はいえ,13年度から16年度の期間では増加する傾向があった。また,進級不可能者は漸減しながらも約2 割である。ただし,経済の停滞期に就職・進学率が8割以上の水準を確保していることは,社会において本 学部学生の能力が評価されていると判断できよう。なお,教員免許取得については,商業科と公民科の免 許取得者が増加傾向にあったが,平成17年度は減少している。したがって,おおむね達成しているが,改 善の余地もある。 ②学部として,教育の基本方針に沿った形で,教養教育,専門教育において,課程に応じて,学生が身 につける学力,資質・能力や養成しようとする人材像等についての指針が明らかにされており,その 達成状況を検証・評価するための適切な取組みが行われている。 学生が身につける学力,資質・能力や養成しようとする人材像等についての指針は,アドミッション・ ポリシーの中で,教育の目的と目標として明確にしている。教育の達成状況については,各年度末までの 学科会議と教授会において,次年度の開設授業科目に関わる前提として検証している。また,平成14年度 には学部教育改革プロジェクトとして,平成17年度には学部自己評価委員会がそれぞれ随時ないし定期的 に検証・評価を行っており,それらの結果は教育システム委員会および教授会の検討を通じてカリキュラ 47 ム改定に結実している。したがって,十分達成している。 以上から項目(3)に関しては,総じて,教育の基本方針をおおむね達成しているが,改善の余地もある。 48 第 6 章 大学院経済学研究科 6.1 本研究科の整備・拡充 1990 年代以降,大学審議会の答申等で大学院教育の拡充が打ち出されたのを受け,本研究科においても 改組と拡充の検討を進めてきた。平成 14 年に学部の企画委員会の下に設置された「大学院あり方検討プロ ジェクト」は大学院の組織と入試,教育のあり方について検討し,平成 15 年に「大学院のあり方に関する 最終報告」を出した。その報告は,本研究科の将来の方向として,基本的な枠組みは現行のままとし,様々 なニーズに対応するためマルチコース制を導入すること,地域の様々な情報の発信基地や交流地点の役割 を果たすこと,入試改革を行うことを提言している。 (1) 入試 その提言を受け,平成 16 年に入試制度を改革した。学部の一般学生に対しては推薦入試を導入するこ と,社会人に対しては,勤務先の理解を得て安心して研究に取組める環境を作り出すとともに,研究の成 果を仕事にフィードバックできる機会を提供するために「事業所推薦」制度を導入すること,さらに,入学 時 55 才以上の熟年社会人に対しては,その豊かな社会経験の上に更なる学習を重ね,第二,第三の出発 への機会を提供するために「シニア推薦」の制度を導入することを決定し,平成 17 年度入試から実施に移 した。 (2) マルチコース制の導入 「最終報告」は,現在,社会が大学院に期待し,求めているものは広範多岐にわたっている。これらの ニーズに対し,専門職大学院として対応していくことは継続的な学生定員の確保や,ある一つの専門分野 に特化することに伴うリスクを考慮するならば,困難性が伴うと思われる。しかしながら,そこにニーズ が存在している以上,それに応えることもまた大学院の使命であることに間違いないとし,この相反する 困難な問題を解決する方策としてマルチコース制を提案している。 コースの名称と内容については,その後(平成 16 年 12 月) , 「大学院MCプロジェクトチーム」によっ て検討が進められ,平成 18 年度から修士課程に導入予定のマルチコース制は以下を計画している。 [経済社会政策専攻] (1) 国際経済コース グローバル化している今日の社会において,経済や社会を一国単位で考えることは困難になってお り,グローバルな視点にたった分析が欠かせません。このコースは,国際経済,国際金融や国際関係 等の最新の動向について学ぶとともに,国際経済社会の分析方法を身につけることによって,グロー バル化した現代社会を的確に分析できる人材を養成します。こうしたグローバルな経済社会の分析は, 国際社会で活躍しようとする人にとって必要とされているだけではなく,今日の地域の政策や企業経 営を考える上でも欠かせない能力ということができます。 49 (2) 政策科学コース 政策科学とは,政策レベルの諸問題に対し,当該問題へ取り込むこと自体の重要性を強調しつつ,関連性 をもつ諸科学の理論的フレームワークを融合して問題解決にあたるという極めて実践的な学問です。本コー スは,政策に関わる様々な問題を各種アプローチによって実践的に分析,解明できる政策決定のエキスパー トを養成します。 また,地方分権が強力に推し進められ,地域行政等における政策の策定,遂行,評価の重要性がますます 高まるなか,本コースは地域の期待と課題に応えるものとなるでしょう。 [地域経営政策専攻] (1) 地域政策コース 地域は,過疎問題,都市問題,財政問題をはじめ多くの地域問題を抱えていますが,同時に,地方分権の 下で自律的な地域をつくるという課題にも直面しています。こうしたなかで,地域の経済社会をどのように 運営し,発展させるかということは,各地域にとって従来以上に具体的な課題として表れています。本コー スは,地域経済や地域社会を分析し,その課題解決にむけた研究を通じて,地域政策のエキスパートを育成 します。とくに,地方自治体にとって,政策立案能力を高めることが重要な課題となっていますので,自治 体政策を立案する能力を備えた人材を育成します。また,地域住民の手による地域づくりの取り組みも,地 域の諸課題を解決するうえで重要とされており,地域づくりを考えられる地域のリーダーを育成します。 (2) マネジメント(MBA)コース 企業価値を高めることは企業活動の大きな目的であり,新たな企業価値を創造できる者のみが競争の勝利 者となることができます。本コースは,この企業価値の創造と向上を実現するために必要とされる経営戦略 の策定,ビジネスモデルの構築,産業技術の活用(MOT) ,サプライ&デマンドチェーンの確立,ナレッ ジ・マネジメントの導入,ロジスティック・マネジメントの展開等現代の多様なマネジメント・ツールを理 解するとともに,様々なマネジメント・スキルを使いこなせるビジネス・プロフェッショナルを養成します。 (3) アカウンティングコース 本コースでは,国際会計基準や会計制度に関する理論的な考察を行うとともに,コーポレート・ガバナン スやコンプライアンスに対する意識の高まりに応えるべく社会的倫理観を備えた会計プロフェッショナル を養成します。とくに,直接金融による資金調達の重要性が高まり,CFO(財務担当重役)の役割が強調さ れているようになって来た昨今,ビジネスの最前線や国際舞台でも十分通用する高度で専門的な会計知識を 身につけた実践的な会計プロフェッショナルを目指しています。 なお,ここでいう会計プロフェッショナルは,公認会計士や税理士等に限定されず,国際企業から地方公 共団体その他の非営利組織に至るまで,現場で実際に会計業務に携わっている専門家をも含む広い概念で す。また,このコースは,高等学校の商業教員の再教育という役割も担っています。 (出所: 「大分大学大学院経済学研究科修士課程 学生募集要項」 ) (3)博士課程の設置 平成 16 年 11 月には,企画委員会から「大学院の拡充に関する方針」が示された。そこでは,専門職大 50 学院を開設することはさまざまな困難があり当面は難しいが,今後の他大学の動きによって,専門職養成 にふさわしいコースの設定や,専門職大学院設置の検討を行う必要があるとされた。また,近年の大学院 拡充の下で社会科学系の大学院でも博士課程が設置されるところが増えている現状や地域社会の要請に応 えることを考慮に入れ,平成 19 年度開設を目指して博士課程設置の検討をはじめることが提案された。 これは「大学院DCプロジェクトチーム」によって検討が進められている。 6.2 教育研究の基本方針 平成 17 年度の募集要項まで, 「経済学研究科(修士課程)の案内」に, 「研究科の目的」を記載してきた。 その後,平成 17 年に研究科のアドミッション・ポリシーを策定し,それを 18 年度入試以降の募集要項や 本学の関連ホームページ等に掲載している。 「大学院教育の目的(アドミッション・ポリシー)」 現代の経済社会は,情報技術の進歩などにより急速なグローバル化が進展する一方で,私たちが生活する それぞれの地域においても,その資源の活用や将来へ向けた戦略の重要性が高まっています。そのため, グローバルからナショナル,さらにはローカルに至る様々なスケールにおける経済社会の諸問題を的確に 理解し,分析し,解決する能力を有した高度で専門的な人材の必要性がより一層強まっています。 本研究科は,こうした経済社会の変化を受けて,鋭い分析能力と専門的な知識を有し多様な経済社会の リーダーとなりうる高度職業人を育成し,送り出すことを目的とします。 (出所:経済学研究科修士課程 学生募集要項,ただし募集要項では「理念」としている箇所である) 「大学院教育研究の目標(アドミッション・ポリシー)」 旧来の枠組みにとらわれない高度な学際的・学際的アプローチと実務に直結する応用的・政策的アプロ ーチを通じて,現代経済社会の諸問題に対処しうる判断力と問題解決能力の涵養を図っていきます。 (経済社会政策専攻) 経済政策や社会政策の理論と歴史に関する総合的アプローチを基礎とする教育・研究を行っていきます。 (地域経営政策専攻) 地域経済分析や企業経営に必要な様々な情報に関する実践的アプローチを基礎とする教育・研究を行っ ていきます。 (出所:経済学研究科修士課程 学生募集要項) 6.3 経済学研究科の組織および運営 6.3.1 経済学研究科の組織 経済学研究科の組織は学部組織を基礎としている。施設・設備を学部と共用する他,研究科に関わる事 務も学部事務組織で処理している。ただし,入学試験に関わる事務については,平成 11 年度から本学部 入試課が担当し,学部学務係がその補助を行っている。 本研究科には,大学院経済学研究科委員会と学部大学院委員会が設置されている。研究科委員会が研究 51 科の運営の中心的な役割を担い,その方針の下に学部大学院委員会が研究科に関わる事項の立案作業など を行っている。また,企画委員会の専門委員会として大学院整備充実プロジェクトチームがある。そのほ か研究科関連の予算,図書購入などについては学部の該当する委員会で検討している。 6.3.2 経済学研究科委員会の構成と役割 本研究科委員会は,研究科長(学部長併任)を委員長とし,大学院担当教員によって構成されている。 その役割は,大学院入学者の選抜,カリキュラム編成,学位(修士)論文の最終審査,その他研究科の運 営に関する事項を審議・決定することである。全学的組織としては,各研究科間の連絡調整に関する事項, その他大学院の運営に関する重要事項を審議する大分大学大学院委員会がある。 6.3.3 教員組織 本研究科の教育は,大学院担当の学部教員によって運営されている。原則として,教授および助教授歴 5 年以上の者が特研と演習を担当し,助教授歴 5 年未満の者は,特研のみを担当している。なお,社会科 学系以外の科目の担当教員は特研のみを開講している。 6.4 教育活動 6.4.1 大学院学生の募集と選抜方法 研究科の入学定員は,経済社会政策専攻 8 名,地域経営政策専攻 12 名の計 20 名である。入学試験は, 一般選抜,外国人留学生特別選抜および社会人特別選抜の 3 種類の選抜方法により,9 月の 1 次試験,2 月の 2 次試験の年 2 回実施している。選考は,学力検査,面接および成績証明書の結果を総合して判定し ている。 また,平成 16 年度(17 年度入試)から一般選抜(推薦) ,社会人特別選抜(事業所推薦)および社会 人特別選抜(シニア)の選抜方法を導入した。これらの推薦等の入学試験は,7 月の第 1 次試験,12 月の 第 2 次試験の年 2 回実施している。選考は,出願書類と口述試験の結果を総合して判定している。 (1) 一般選抜 一般選抜の筆記試験は,専門科目と外国語科目で行われる。 ア.専門科目の試験は,次の科目の中から希望する専攻科目を 1 科目選択する。 理論経済学(近代経済学),政治経済学(マルクス経済学),経済学史,国際金融論,財政学,金融論,社会 政策(労働経済論を含む),経済政策,国際経済論,開発経済論(アジア経済論),日本経済史,西洋経済史, 経済地理学(地域発展論),地域経済論,統計学,経営学,労務管理論,企業ファイナンス論,企業論,財務 会計論,管理会計論,マーケティング論,保険論,交通論,民法,商法,労働法,租税法,国際関係論, 経済法,経営情報システム論,経営組織論 イ.外国語科目の試験は,次の科目の中から 1 科目選択する。 英語,ドイツ語,フランス語,中国語 52 (2) 一般選抜(推薦) 一般選抜(推薦)の試験は,口述試験が行われる。推薦要件としては,3 年次までに 100 単位以上を修 得し,そのうち 60 単位以上は優(A)以上が占め,学部長または指導教員が責任をもって推薦できる者で, 合格した場合には入学を確約できる者に限られる。 大学 3 年次へ編入学した者で受験を希望する者は,次に該当する者とする。 3 年次に 40 単位以上を修得し,そのうち 30 単位以上は優(A)以上が占め,学部長または指導教員が 責任をもって推薦できる者で,合格した場合には入学を確約できる者に限られる。 (3) 社会人特別選抜 社会人特別選抜の筆記試験は,経済学,経営学,法律学,の中から 1 科目選択する。出願資格としては, (1)入学時に大学卒業後 2 年以上の職歴があり,定職に就いている者,または大学を卒業して 5 年以上経過 している者,(2)本研究科において,個別の入学資格審査により,大学を卒業した者と同等以上の学力があ ると認めた者で, 22 歳に達しかつ最終学校卒業後 2 年経過した後 2 年以上の職歴があり定職についている 者,又は最終学校卒業後7年以上経過している者に限られる。 (4) 社会人特別選抜(事業所推薦) 社会人特別選抜(推薦)の試験は,口述試験が行われる。出願資格としては,(1)入学時に大学卒業後 2 年以上の職歴があり,現在,勤務中の事業所の推薦を受けられる者,(2)本研究科において,個別の入学資 格審査により,大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた 24 歳以上の者で,最終学校卒業後 2 年経過した後 2 年以上の職歴があり,現在勤務中の事業所の推薦を受けられる者に限られる。 (5) 社会人特別選抜(シニア) 社会人特別選抜(シニア)の試験は,口述試験が行われる。出願資格としては,(1)大学を卒業し,入学 時,満 55 歳以上の者,(2)本研究科において,個別の入学資格審査により,大学を卒業した者と同等以上 の学力があると認めた者で,入学時において,満 55 歳以上の者に限られる。 (6) 外国人留学生特別選抜 外国人留学生特別選抜の筆記試験は,専門科目と作文(日本語)で行われる。専門科目の学力試験は, 一般選抜試験の専門科目の中から 1 科目を選択する。 6.4.2 募集要項の配布,PR 活動 学生募集要項は,全国の国立大学 38 校(41 学部) ,公立大学 16 校(18 学部) ,私立大学 147 校(207 学部) ,さらに主に社会人学生募集に向けて,県内の自治体,教育委員会,短期大学,高等学校,経営者団 体,民間企業など 77 団体に郵送している。 大分県庁,大分市役所,大分合同新聞社,別府市役所,日本銀行大分支店,大分商業高等学校,商工会 53 議所連合会,豊和銀行,大分みらい信用金庫などには学部大学院委員会のメンバーが訪問し PR 活動を行 っている。さらに学内の学生に対しても進学説明会を開催している。 また,大学院学生募集用のポスターや社会人学生募集用のパンフレットなどを作成し PR 活動に力を入 れている。 6.4.3 入学者選抜試験実施状況 平成 9 年度以降,選抜方法(一般選抜,外国人特別選抜,社会人特別選抜別)と実施時期の違いにより, 志願者数,合格者数がいかに変化してきたかを示すのが次の表である。 志願者・合格者数の推移 第 1 次(9 月) 第 2 次(2 月) 平 募 成 集 年 人 度 員 13 20 31(9)[7] 19(8)[5] 17(4)[2] 11(4)[1] 48(13)[9] 30(12)[6]{8} 14 20 12(4)[5] 10(4)[4] 5(0)[3] 3(0)[3] 17(4)[8] 13(4)[7]{5} 15 20 9(2)[3] 6(2)[2] 17(5)[9] 14(4)[7] 26(7)[12] 20(6)[9]{8} 16 20 13(5)[4] 10(5)[3] 18(4)[6] 11(3)[5] 31(9)[10] 21(8)[8]{8} 17 20 22(6)[9] 13(5)[4] 20(5)[13] 14(5)[8] 42(11)[22] 27(10)[12]{12} 志願者数 合格者数 志願者数 合計 合格者数 (注)( )は社会人で内数, [ ]は外国人留学生で内数。 { }は女子で内数。 志願者数 合格者数 (出所:大学入試課資料) 6.4.4 カリキュラムと教育システム (1) カリキュラムの変更 平成 11 年度,大学院が改組され,その目的が研究者養成という目的を含みながら地域社会の新しいニ ーズに対応した高度専門的職業人の養成および専門職業人のリフレッシュ教育へと改められた。その後, 院生と教員を対象に,カリキュラムに関するアンケートを実施し,問題点を把握し,平成 13 年度からカ リキュラムを改正した。その要点は次のとおりである。 ①「特研」2 単位を従来どおり開講する。名称は「特研I」に改める。 ②「ワークショップ」を廃止し, 「特研Ⅱ」を新設する。 「ワークショップ」は院生の研究課題に一致しない,報告書作成の負担が大きすぎる,前後期の連携 が欠如している等の理由から,教員アンケートで廃止を求められ,その代替科目として「特研Ⅱ」を毎 年,前後期とも夜間に 15 コマ開設することにした。この科目の新設は,院生,教員両者から「特研」2 単位では専門科目の学習が入り口で終わってしまうとの意見が多くあり,それに対応するものである。 「特研 I・Ⅱ」によって, 「ワークショップ」の課題であった研究方法,研究技法の教授も可能との判断 であり,それらを積極的に取り入れた講義が望まれている。 ③ 基礎講義科目は選択科目とし,2 科目まで選択可能とする。 社会人のみを対象とした必修科目「基礎講義科目」2 単位は,院生と教員のアンケートに基づき,経 54 済や経営学部以外の出身者,留学生及び大学卒業後かなりの年月を経た院生に対して必要と判断された ので,これを全院生対象の選択科目に改め,4 単位まで修了要件に含める。この科目は,毎年,前期の 夜間に 5 コマ開設することにした。 ④ 各教員は「特研 I」に加えて, 「基礎講義科目」の担当者を除き,2 年に 1 回, 「特研Ⅱ」を担当する。. ⑤「国際コミュニケーション科目」は従来どおり,2 単位の選択科目(2 単位のみ修了要件)とする。 ⑥「演習」は従来どおり必修とし,2 単位ずつの科目に分割する.。 (2) 長期履修制度の導入 平成 16 年度から,有職者などを対象に 2 年を超えて(最長 4 年間)学習ができる長期履修制度を導入 した。授業料の割り増しはなく,柔軟な運用に努めている。 6.4.5 単位取得率,修了率 単位取得率と修了率の表を掲載する。 単位取得率は,在籍学生数と取得科目数で表している。現在, 「演習」 (通年 4 単位)を例外とし,全科 目,セメスター制にし,半期 2 単位となる。 取得科目率 平成年度 在籍学生数 総取得科目数 平均取得科目数 未履修科目数 13 70 372 5.3 4(1) 14 45 267 5.9 17(2) 15 35 298 8.5 15(3) 16 43 336 7.8 1(4) 17 50 375 7.5 14(5) (注)(1)(2)は休学生 3 名,(3)(4)は休学者 1 名,(5)は休学者 2 名による。 (出所:学務係資料) 入学 2 年間での修了率 入学年度 平成 12 年度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 合計 入学生数 40 28 13 20 21 122 修了年度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 修了者数 32 22 9 17 16 96 修了率 80% 78.6% 69% 85% 76.2% 78.7% (注)退学者数は,平成 12 年度 2 名,13 年度 4 名,14 年度 2 名, 15 年度 0 名,16 年度 0 名である。除籍者が平成 13 年度 1 名,平成 16 年度 1 名いる。 6.4.6 授業科目と担当教員 (1)平成 17 年度の本研究科の授業科目と担当教員は次の表に示すとおりである。 55 (出所:学務係資料) 経済社会政策専攻 授 業 科 目 単位 開講年 実施時期 担当者 国 際 経 済 シ ス テ ム 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 気賀沢 国 際 経 済 シ ス テ ム 論 特 研 Ⅱ 2 18 前期 夜 気賀沢 ア ジ ア 経 済 論 特 研 Ⅰ 2 17 前期 夜 薛 ア ジ ア 経 済 論 特 研 Ⅱ 2 18 後期 夜 薛 国 際 金 融 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 鳥谷 国 際 金 融 論 特 研 Ⅱ 2 18 後期 夜 鳥谷 証 券 市 場 論 特 研 Ⅰ 2 18 前期 夜 金 2 18 後期 夜 金 証 券 市 場 論 特 研 Ⅱ 国 際 関 係 論 特 研 Ⅰ 2 17 前期 昼 高山 国 際 関 係 論 特 研 Ⅱ 2 17 後期 夜 高山 西 洋 経 済 史 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 城戸 西 洋 経 済 史 特 研 Ⅱ 2 18 前期 夜 城戸 経 済 史 特 研 Ⅰ 2 17 後期 昼 市原 経 済 史 特 研 Ⅱ 2 17 前期 夜 市原 研 2 17 後期 夜 嘉目 比 較 社 会 理 論 特 ミ ク ロ 経 済 学 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 宇野(真) ミ ク ロ 経 済 学 特 研 Ⅱ 2 18 後期 夜 宇野(真) 研 2 17 前期 夜 五十嵐 研 2 研 2 17 後期 昼 丸山 マ ク 政 ロ 治 再 経 経 生 済 済 産 学 特 学 論 特 特 経 済 社 会 思 想 史 特 研 Ⅰ 2 経 済 社 会 思 想 史 特 研 Ⅱ 2 研 2 17 前期 夜 下田 数 理 経 済 学 特 丸山 経 済 政 策 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 昼 高見 経 済 政 策 論 特 研 Ⅱ 2 17 前期 夜 高見 17 後期 昼 阿部 社 会 政 策 論 特 研 2 労 使 関 係 論 特 研 2 労 働 経 済 論 特 研 2 17 前期 夜 石井 損 害 保 険 論 特 研 2 17 後期 夜 大羽 生 命 保 険 論 特 研 2 18 前期 夜 井田 財 政 学 特 研 Ⅰ 2 財 政 学 特 研 Ⅱ 2 財 政 理 論 特 研 2 56 阿部 経 済 統 計 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 西村 経 済 統 計 論 特 研 Ⅱ 2 18 前期 夜 西村 日 本 経 済 史 特 研 Ⅰ 2 17 前期 昼 合田 日 本 経 済 史 特 研 Ⅱ 2 17 後期 夜 合田 昼 S.R.Day 憲 法 特 研 Ⅰ 2 憲 法 特 研 Ⅱ 2 研 2 17 後期 E U 経 済 論 特 ◎演 習 Ⅰ 2 17 前期 ◎演 習 Ⅱ 2 17 後期 ◎演 習 Ⅲ 2 17 前期 ◎演 習 Ⅳ 2 17 後期 ◎は,必修科目。 地域経営政策専攻 授 業 科 目 地 域 政 策 論 特 単位 開講年 実施時期 担当者 研 2 17 前期 夜 奥田 17 前期 夜 高島 都 市 経 営 論 特 研 Ⅰ 2 都 市 経 営 論 特 研 Ⅱ 2 地 域 経 済 学 特 研 Ⅰ 2 17 後期 昼 児島 地 域 経 済 学 特 研 Ⅱ 2 17 前期 夜 児島 高島 地 域 発 展 論 特 研 2 17 前期 昼 宮町 経 済 地 理 学 特 研 2 17 後期 夜 宮町 地 域 産 業 論 特 研 2 17 後期 夜 中澤 地 域 構 造 論 特 研 2 18 後期 夜 中澤 地 域 福 祉 論 特 研 Ⅰ 2 地 域 福 祉 論 特 研 Ⅱ 2 現 代 契 約 法 特 研 2 17 前期 夜 二宮(孝) 損 害 賠 償 法 特 研 2 18 前期 昼 二宮(孝) レ ジ ャ ー 行 動 論 特 研 Ⅰ 2 17 前期 昼 二宮(浩) レ ジ ャ ー 行 動 論 特 研 Ⅱ 2 17 後期 夜 二宮(浩) 交 通 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 山本 交 通 論 特 研 Ⅱ 2 18 後期 夜 山本 経 済 法 特 研 Ⅰ 2 17 前期 夜 田中 経 済 法 特 研 Ⅱ 2 18 後期 夜 田中 経 営 学 特 研 Ⅰ 2 17 前期 夜 大谷 Ⅰ 2 17 後期 昼 本谷 企 業 シ ス テ ム 論 特 研 57 企 業 シ ス テ ム 論 特 研 Ⅱ 2 17 後期 夜 本谷 経 営 労 務 論 特 研 Ⅰ 2 17 前期 昼 幸 経 営 労 務 論 特 研 Ⅱ 2 17 後期 夜 幸 経 営 行 動 科 学 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 深尾 経 営 行 動 科 学 特 研 Ⅱ 2 18 前期 夜 深尾 経 営 意 思 決 定 論 特 研 Ⅰ 2 経 営 意 思 決 定 論 特 研 Ⅱ 2 現 代 株 式 会 社 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 片山 現 代 株 式 会 社 論 特 研 Ⅱ 2 18 前期 夜 片山 比 較 経 営 史 特 研 Ⅰ 2 17 前期 昼 松尾 比 較 経 営 史 特 研 Ⅱ 2 19 後期 夜 松尾 経 営 管 理 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 藤原 経 営 管 理 論 特 研 Ⅱ 2 18 前期 夜 藤原 企 業 フ ァ イ ナ ン ス 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 鵜崎 企 業 フ ァ イ ナ ン ス 論 特 研 Ⅱ 2 18 前期 夜 鵜崎 マ ー ケ テ ィ ン グ 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 昼 松隈 マ ー ケ テ ィ ン グ 論 特 研 Ⅱ 2 労 働 関 係 法 特 研 Ⅰ 2 17 前期 昼 鈴木 労 働 関 係 法 特 研 Ⅱ 2 17 後期 夜 鈴木 松隈 商 法 特 研 Ⅰ 2 17 前期 夜 宇野(稔) 商 法 特 研 Ⅱ 2 18 後期 夜 宇野(稔) 租 税 法 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 小林 租 税 法 特 研 Ⅱ 2 19 前期 夜 小林 経 営 情 報 シ ス テ ム 論 特 研 2 17 前期 昼 松岡 情 研 2 17 後期 夜 松岡 報 戦 略 論 特 統 計 情 報 分 析 論 特 研 Ⅰ 2 17 前期 昼 深道 統 計 情 報 分 析 論 特 研 Ⅱ 2 17 後期 夜 深道 管 理 会 計 シ ス テ ム 論 特 研 Ⅰ 2 17 前期 昼 大崎 管 理 会 計 シ ス テ ム 論 特 研 Ⅱ 2 国 際 会 計 論 特 研 Ⅰ 2 国 際 会 計 論 特 研 Ⅱ 2 情 報 監 査 論 特 研 Ⅰ 情 報 監 査 論 特 研 大崎 17 後期 昼 椛田 2 17 前期 夜 岸 Ⅱ 2 18 後期 夜 岸 株 式 会 社 会 計 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 夜 椛田 株 式 会 社 会 計 論 特 研 Ⅱ 2 17 前期 夜 椛田 58 コ ス ト ・ マ ネ ジ メ ン ト 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 昼 北山 コ ス ト ・ マ ネ ジ メ ン ト 論 特 研 Ⅱ 2 19 前期 夜 北山 情 報 社 会 論 特 研 Ⅰ 2 17 後期 昼 豊島 情 報 社 会 論 特 研 Ⅱ 2 豊島 ◎演 習 Ⅰ 2 17 前期 ◎演 習 Ⅱ 2 17 後期 ◎演 習 Ⅲ 2 17 前期 ◎演 習 Ⅳ 2 17 後期 ◎は,必修科目。 共通科目 授 業 科 目 単位 開講年 実施時期 担当者 国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン Ⅰ 特 研 2 17 後期 昼 河上 国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン Ⅰ 特 研 2 17 前期 昼 中逵 国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン Ⅰ 特 研 2 17 後期 夜 雲 国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン Ⅰ 特 研 2 17 後期 昼 中野 国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン Ⅱ 特 研 2 17 前期 夜 楠本 国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン Ⅱ 特 研 2 17 後期 昼 安岡 国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン Ⅱ 特 研 2 17 後期 夜 安田 国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン Ⅲ 特 研 2 17 前期 昼 森川 単位 開講年 基礎講義科目 授 業 科 目 実施時期 担当者 経 済 学 2 17 前期 夜 下田,宇野真 経 営 学 2 17 前期 夜 松尾 会 計 学 2 17 前期 夜 北山 学 2 17 前期 夜 小林 法 (出所:学務係資料) (2)授業数,時間割,担当者数 平成 17 年度の授業科目数をあげると,授業科目は,演習(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳを含む) ,基礎講義科目 4 科 目,共通科目の国際コミュニケーション特研 7 科目,経済社会政策専攻の特研が 27 科目,地域経営政策 専攻の特研が 38 科目で,特研と基礎講義科目をあわせて 76 科目を実施している。特研は昼間開講数が 28 科目,夜間開講数が 44 科目と,社会人院生の時間に合わせて,夜間の開講数が多くなっている。講義・ 演習の担当者総数は 56 名であり,そのうち演習担当者数は 36 名である。 59 (3)シラバス シラバスは,平成 10 年度から大学院関係の部分が別冊子となり,履修方法等(年度行事予定表,履修 規程,修士学位論文に関する細則,学生の海外留学,履修申請手続き,研究科規程を含む) ,講義要綱(経 済社会政策専攻科目,地域経営政策専攻科目,共通科目と基礎講義科目の講義内容を含む) ,学務関係事項 (授業終始時刻と諸手続き)などを記載している。 6.4.7 学位(修士)授与の状況 平成 13 年度から平成 16 年度までの本研究科の修了者数,すなわち学位(修士)授与者数は,平成 13 年度 17 名,14 年度 35 名,15 年度 26 名,16 年度 12 名,17 年度 17 名である。 6.4.8 修了者の進路状況 平成 13 年度から 16 年度までの本研究科修了者の進路は次表のとおりである。 大学院生の進路状況(平成 17 年 3 月 18 日現在) 出身 修了者 数 大分大学 他大学 社会人 留学生 合計 3 2 10 2 17 大分大学 他大学 社会人 留学生 合計 2 5 13 12 32 大分大学 他大学 社会人 留学生 合計 8 1 15 5 29 会計等 国 家 地 方 事務所 公務員 公務員 平成 12 年度 2 1 1 1 3 1 3 1 3 6 1 3 平成 13 年度 1 企業等 3 3 7 4 4 1 1 平成 14 年度 教員 進学 その他 帰国 1 2 1 1 3 1 5 5 5 1 1 6 12 6 1 2 4 13 1 1 8 1 10 2 2 1 3 2 1 2 2 平成 15 年度 大分大学 他大学 社会人 留学生 合計 1 1 3 6 11 1 1 1 1 2 1 1 1 1 60 1 1 2 4 2 2 平成 16 年度 2 2 5 9 18 大分大学 他大学 社会人 留学生 合計 2 1 2 1 6 1 4 5 1 2 1 2 1 1 3 3 平成 17 年度 4 大分大学 他大学 社会人 留学生 合計 4 5 8 17 4 5 9 1 1 5 1 2 2 (出所:経済学部就職支援室資料) 6.5 図書費,学資,学習などの支援状況 6.5.1 図書費 本研究科の運営費などの予算は,学部と独立して組まれてはいないが,図書費については年間 60 万円 程度の予算を措置している。 6.5.2 奨学金制度,授業料減免の状況 奨学金(独立行政法人学生支援機構)の給付状況,授業料免除の状況については,以下のとおりである。 経済学研究科 奨学金受給状況 第1種 第2種 合計 平成 13 年度 5 2 7 平成 14 年度 2 1 3 平成 15 年度 2 2 4 平成 16 年度 2 0 2 平成 17 年度 3 0 3 備考 第 1 種 2 名の内,1 名は 2 年生 経済学研究科授業料免除者の推移 申請者数 全額免除者数 半額免除者数 平成 13 年度前期 19 14 1 平成 13 年度後期 17 14 1 平成 14 年度前期 16 8 4 平成 14 年度後期 16 10 2 平成 15 年度前期 15 10 2 平成 15 年度後期 15 11 3 平成 16 年度前期 20 9 8 平成 16 年度後期 20 9 8 平成 17 年度前期 20 1 15 平成 17 年度後期 20 2 14 (出所:学生支援課資料) 61 6.6 大学院研究科の施設・設備 6.6.1 大学院生研究室 院生数の増加に伴い,約 50 名の院生が 6 つの大学院生室を共用している。これはそれぞれ 8 名から 9 名の院生が 1 つの研究室を共用しており手狭な状況である。全員に貸与しているロッカーも廊下に置かざ るを得なくなっている。 6.6.2 講義室,演習室 講義室,演習室は学部と共用であり,大学院独自の施設はない。院生用のパソコン室には,パソコン 3 台を設置している。院生の研究室では無線LANを利用できる。そのほか,院生の利用のために情報処理 第1実習室の利用時間を午前 0 時まで延長している。また,コピーの使用許可枚数は 2000 枚である。 6.6.3 その他の施設・設備 図書館の開館時間は,平日が 9:00∼22:00(春,夏,冬季休業中は,9:00∼19:00) ,土・日・祝日が 10:00 ∼19:00 である。休館日は 12 月 28 日∼1 月 4 日である。大学院生への貸与冊数と期間は,開架図書が 5 冊で 2 週間,書庫内図書が 20 冊で 1 ヶ月となっている。 また,教育研究支援室には,資料,定期刊行物,一般図書,新聞などを所蔵しており,閲覧時間は平日 の 8:30∼17:00 となっているが,個人の電子カードで随時入室できるシステムになっている。 6.7 評価の項目と観点 (1)教育課程が教育の目的に照らして体系的に編成されており,その内容,水準,授与される学位において 適切であること。 ①教育の目的や授与される学位に照らして,教育課程が体系的に編成されており,目的とする学問分野 や職業分野における期待にこたえるものになっているか。 ②授業の内容が,全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものになっているか。 ③授業の内容が,全体として教育の目的を達成するための基礎となる研究活動の成果を反映したものに なっているか。 ④単位の実質化への配慮がなされているか。 ⑤夜間において授業を実施している課程(夜間大学院や教育方法の特例)を有している場合には,その 課程に在籍する学生に配慮した適切な時間割の設定等がなされているか。 (2)教育課程を展開するにふさわしい授業形態,学習指導法等が整備されていること。 ①教育の目的に照らして,講義,演習,実験,実習等の授業形態の組み合わせ・バランスが適切であり, それぞれの教育内容に応じた適切な学習指導法の工夫がなされているか。 ②教育課程の編成の趣旨に沿って適切なシラバスが作成され,活用されているか。 (3)研究指導が大学院教育の目的に照らして適切に行われていること。 ①教育課程の趣旨に沿った研究指導が行われているか。 62 ②研究指導に対する適切な取組み(例えば,複数教員による指導体制,研究テーマ決定に対する適切な 指導,TA としての活動を通じた能力の育成,教育的機能の訓練等が考えられる。 )が行われているか。 ③学位論文に係る指導体制が整備され,機能しているか。 (4)成績評価や単位認定,修了認定が適切であり,有効なものとなっていること。 ①教育の目的に応じた成績評価基準や終了認定基準が組織として策定され,学生に周知されているか。 ②成績評価基準や終了認定基準に従って,成績評価,単位認定,修了認定が適切に実施されているか。 ③学位論文に係る適切な審査体制が整備され,機能しているか。 6.8 評価の結果 (1)教育課程が教育の目的に照らして体系的に編成されており,その内容,水準,授与される学位名におい て適切であること。 ①教育の目的や授与される学位に照らして,教育課程が体系的に編成されており,目的とする学問分野 や職業分野における期待にこたえるものになっているか。 高度な理論的・総合的なアプローチと実務に直結する政策的・応用的アプローチを通じて,高度な専門 職業人を育成するという教育の目的(アドミッション・ポリシー)に照らして,本研究科における教育課 程は,経済学や経営学にとどまらず,法学,社会学,会計学などからなる多様な授業科目から編成される とともに,基礎的なものから政策的・応用的な科目まで体系的に編成されている。また時宜的なカリキュ ラムの変更により,院生の希望に沿うような教育課程の編成を目指しており,目的とする学問分野や職業 分野における期待に応えるものになっていると考えられる。したがって,十分達成している。 ②授業の内容が,全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものになっているか。 授業科目は特研と基礎講義科目をあわせて 76 科目を実施し,その他に演習を実施している。基礎的な 分野から専門分野に至るまで,幅広い知識の修得が可能であるとともに,専門分野の研究を進めることが 可能である。また共通科目により,外国語文献の習熟が可能であり,基礎講義科目により社会人学生への 配慮も行っている。こうした多様な授業科目は,教育の目的や教育研究の目標の観点から編成されている ものであり,全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものと言える。したがって,十分達成している。 ③授業の内容が,全体として教育の目的を達成するための基礎となる研究活動の成果を反映したものと なっているか。 この観点に関しては, 「平成 14 年度 大分大学教員評価報告書」 (15 年 9 月刊)を参照すると,研究成 果の教育への反映について,経済学部教員のほとんどが肯定的な回答を寄せている(詳細は本報告書第 8 章を参照されたい) 。したがって,十分達成している。 ④単位の実質化への配慮がなされているか。 フェイス・トゥ・フェイスの授業,事例研究,実地調査等の方法によってきめ細かな研究指導を行って いる。また,院生の要望に応じたテキストの利用や授業内容を提供している。休講の時は代わりの時間で 63 埋め合わせている。したがって,十分達成している。 ⑤夜間において授業を実施している課程(夜間大学院や教育方法の特例)を有している場合には,その 課程に在籍する学生に配慮した適切な時間割の設定等がなされているか。 本研究科においては,特例に基づいて昼夜開講を行っている。とくに社会人の院生に配慮して特研 72 科目のうち,夜間開講が 44 科目,昼間開講が 28 科目と夜間の開講数を多く配置している。夜間の授業時 間帯は 18 時 10 分∼19 時 40 分,19 時 50 分∼21 時 20 分であり,週 3 日間程度の通学で必要な単位が修 得可能である。また,平成 16 年度から長期履修制度を導入している。さらには,本学図書館が 22 時まで 開館していること,本学部教育研究支援室の資料は 24 時間利用できること,本学部情報処理第 1 実習室 のパソコンを午前 0 時まで利用できることなどの便宜を図っている。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(1)は,十分達成している。 (2)教育課程を展開するにふさわしい授業形態,学習指導法等が整備されていること。 ①教育の目的に照らして,講義,演習,実験,実習等の授業形態の組み合わせ・バランスが適切であり, それぞれの教育内容に応じた適切な学習指導法の工夫がなされているか。 講義や演習だけでなく,事例研究や実地調査などそれぞれの授業科目の特質に応じた適切な学習指導を 行っているので,十分達成している。 ②教育課程の編成の趣旨に沿って適切なシラバスが作成され,活用されているか。 シラバスについては前記のように,履修方法や講義要項,学務関係事項を記載している。講義要項につ いては, 「講義のねらい」 , 「講義の内容」 , 「評価の方法」などを詳しく記載して学生に周知している。した がって,十分達成している。 以上から評価項目(2)は,十分達成している。 (3)研究指導が大学院教育の目的に照らして適切に行われていること。 ①教育課程の趣旨に沿った研究指導が行われているか。 学生募集要項では,大学院の教育・研究の目標に関して, 「旧来の枠組みにとらわれない高度な理論的・ 学際的アプローチと実務に直結する応用的・政策定アプローチを通じて,現代経済社会の諸問題に対処し うる判断力と問題解決能力の涵養を図っていきます」と記述している。各教員は,この目標を踏まえて, 理論的・実践的な研究指導を行っている。したがって,十分達成している。 ②研究指導に対する適切な取組み(例えば,複数教員による指導体制,研究テーマ決定に対する適切な指 導,TA としての活動を通じた能力の育成,教育的機能の訓練等が考えられる)が行われているか。 院生の希望する研究テーマと指導教員の専攻分野が齟齬をきたさないように,入学前に調整を行ってい 64 る。入学後,院生から専攻分野(したがって指導教員)の変更の申し出があった場合は,学部委員会,研 究科委員会で検討し,適切な措置をとっている。また院生は,その大部分が指導教員の学部授業科目の TA に任命されている。こうした点が研究指導に対する取組みである。したがって,十分達成している。 ③学位論文に係る指導体制が整備され,機能しているか。 修士学位論文に関する細則では, 「学位論文を作成提出する者は,所定の演習を履修し,演習担当教員 の研究指導を受けなければならない」 (第 2 条)と規定している。演習担当の指導教員は,この規定を踏 まえて,修士学位論文の作成に際して,極め細やかな指導をしている。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(3)は,十分達成している。 (4)成績評価や単位認定,修了認定が適切であり,有効なものとなっていること。 ①教育の目的に応じた成績評価基準や終了認定基準が組織として策定され,学生に周知されているか。 シラバスには, 「2 年以上在学し,必修科目,選択必修科目及び選択科目を合わせて 30 単位以上修得し かつ必要な研究指導を受けた上,修士論文の審査及び最終試験に合格すること。所属コースの科目から 6 単位,所属コースの授業科目から 6 単位,全コースの授業科目,共通科目,福祉社会科学研究科開設科目 及び工学研究科開設科目(MOT 特論)から 10 単位を修得すること。国際コミュニケーションⅠ特研,国 際コミュニケーションⅡ特研,国際コミュニケーションⅢ特研の習得単位については,2 単位までを修了 要件単位として認める。基礎講義科目の修得単位については,修了要件として認めない」と記述している。 このように,成績評価基準等は,組織として策定し,シラバスにより学生に周知されている。したがって, 十分達成している。 ②成績評価基準や終了認定基準に従って,成績評価,単位認定,修了認定が適切に実施されているか。 大分大学大学院経済学研究科規定(抜粋)では, 「各授業科目の単位の認定は,試験又は研究報告によ り行う。前項の成績は,優,良,可及び不可の評語をもって表し,可以上を合格とする」 (第 8 条)と規 定している。各教員は,この規定にもとづいて適切に成績評価等を実施している。したがって,十分達成 している。 ③学位論文に係る適切な審査体制が整備され,機能しているか。 大分大学大学院経済学研究科規定(抜粋)では, 「学位論文は,必要な研究指導を受けた上,所定の期日 までに提出するものとする」 (第 10 条)と規定している。修士学位論文の審査にあたっては,この規定を 踏まえて,3 名の審査委員―主査 1 名と副査 2 名―が審査する体制であり,特に支障はきたしていない。 したがって,十分達成している。 以上から評価項目(4)は,十分達成している。 65 第7章 学生支援 7.1 学生生活の援助,指導の体制 7.1.1 学生生活の指導体制 (1)学生生活の指導組織 本学部における学生生活の指導は,学生生活委員会委員長及び委員3名を中心に行い,その事務は,全学 的には学生支援課で,本学部では学務係が窓口となって取り扱っている。また,全学的な調整を行う場と しての学生生活協議会は,平成15年10月の旧大分大学と大分医科大学の統合を期に,学生生活支援委員会 と名称を変えた。 (2)学生への個別指導の充実 交通事故,悪徳業者とのトラブルをはじめとして学生の様々な点での生活指導は必要に応じて適宜行う ほか, 「学生相談制度」を設けて,学生生活委員が絶えず学生の求めに対応できる体制を整えている。特に 近年は,下宿先の学生を狙った悪徳商法の勧誘がいっそう悪質化しており,注意が必要である。学生生活 の実態調査でも, 「悪徳商法に巻き込まれたことがあるか」という質問に,本学部では28名が「勧誘等を受 けて,契約したことがある」と回答し,被害は深刻である(平成17年度版『学生生活実態調査報告書』 ) 。 休退学者の増加問題については,平成7年度から実施が始まった出席不良学生に対するヒアリングや,修 得単位数の極端に少ない学生に対する個別指導などの地道な対策を続けている。 平成13∼17年度の休学者数は,38名(院生5名) ,42名(6名) ,44名(5名) ,41名(3名) ,48名(5名) と推移しており,平成16年度を除けば,一貫して増加傾向にある。留学のための休学といった積極的な意 味を持つ事例もあるが,経済的理由も多く,17年度には「その他」の理由で22名もの男子学生が休学して いるのが目を引く。多様な個別ケースに応じて面接などで事情を聞き,できる限りきめ細やかな対応をし ている。 退学者の異動理由としては,減少傾向にあった「進路変更」を挙げる者が16年度に15名,17年度に17名 と増加しており,学部と学生のミスマッチが意識される。基礎演習(1年次)や2年セミナーなどの少人数 教育の場で,学生の現状を把握し,早めの対応や指導を心がけている。特に長期欠席が続く者については, 学務係,教務委員会,学生生活委員会が協力し,積極的な個別指導を行っている。その際に,身体状況や メンタルヘルスの点でカウンセリングの必要ありと認められる学生については,本学保健管理センターで カウンセリングを受けるよう勧めている。また,社会人の学生に対しては,その悩みや意見を聞くために 意見交換会を開催している。 除籍に関しては,平成17年度には3件(うち2件は死亡による)と相対的に少ないが,休学件数と退学件 数とあわせて検討すると,問題の深刻さが浮かび上がる。休学という形で問題をペンディングにしている 学生数が従来よりも多いため,除籍や退学の件数が少ないと考えられるからである。休学に入った学生達 とのコンタクトを断たずに,学業の継続と卒業・就職のモチベーションを維持することは簡単なことでは ないが,ゼミ担当教員などの協力を得ながら,個別面談にあたっている。場合によっては早い時期の進路 66 変更を認め,経済的な理由などから余儀なく除籍に至るようなことが減るように取組んでいる。 異動理由:休学 年度 平成13年度 性別 家庭の 事 情 経済的 理 由 留学の た め 病気 療養 その他 学生合計 院生合計 男性 女性 1 0 2 1 4 3 2 3 22 5 38 5 3 8 3 11 15 2 17 11 6 17 14 (3) 5 (1) 19 7 3 9 12 3 4 7 1 2 3 2 2 4 5 2 2 4 0 3 3 3 1 4 4 2 6 27 13 8 21 12 10 22 13 7 20 22 (1) 1 23 42 6 44 5 41 3 48 5 経済的 理 由 1 0 1 2 0 2 2 0 2 1 0 1 0 2 2 就職の た め 2 1 3 1 0 1 2 2 4 0 2 1 0 0 0 進路 変更 3 2 5 3 0 3 1 1 2 11 4 15 15 2 17 病気の た め 1 2 3 1 0 1 0 1 1 0 1 1 0 0 0 死亡 学生累計 院生 合計 7 0 5 0 6 0 8 1 3 0 合計 1 男性 0 平成14年度 女性 0 合計 0 男性 0 平成15年度 女性 0 合計 0 男性 0 平成16年度 女性 0 合計 0 男性 1 平成17年度 女性 0 合計 1 (注)( )は内数 大学院生 異動理由:退学 年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 性別 男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 家庭の 事 情 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 異動理由:除籍 年度 平 成 13 年 度 平 成 14 年 度 平 成 15 年 度 平 成 16 年 度 平成17年 度 性別 男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 授業料 未 納 6 1 7 2 2 4 5 1 6 7 1 8 0 1 1 0 0 0 1 0 1 0 0 0 1 0 1 2 0 2 67 卒 業 不可能 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 その他 12 3 15 6 1 7 15 1 16 5 1 6 1 0 1 学生 合計 院生 合計 24 3 11 3 22 3 24 0 21 0 休学,退学,除籍件数推移 年度 休学件数 院生内数 退学件数 除籍件数 13 43 5 27 7 14 48 6 14 5 15 49 5 25 6 16 44 3 24 9 17 53 5 21 3 (出所:経済学部学務係資料) (3)新入生へのオリエンテーションの充実 新入生については,大学生活に慣れないことや初めての一人暮らしから生じるメンタルな問題,生活習 慣が乱れる問題などが多く指摘されている。また,入学後にはじめて本学部でやりたいことを探し始める 学生もいて,そうした動機付けの低さから早々に講義からドロップアウトし,友人関係をつくれない学生 も見受けられる。そのため本学部では,早く大学生活になじませ,幅広い交友関係を作らせるためにオリ エンテーションを行ってきた。 平成11∼16年度では,基礎演習のゼミ単位でオリエンテーション企画を立てて実施した。ただし,複数 ゼミの合同バスハイクから,市内観光,食事会まで,企画にかなりの相違があったので学部全体でのオリ エンテーションの必要性と期待される効果を再考した。それを受け,17年度は新入生を4グループに分け, 各グループ100名程度のバスハイクを企画した。 体験型グリーンツーリズムでは地域の受け入れ農家との交流が可能であり,野外教育活動センターのフ ァシリテイターの活動に興味を持つ学生もいる。バスハイク全体では,本学部自治会に新入生の指導や世 話を依頼し,新入生と上級生の交流の場を用意して互いに親しみをもたせ,大学生活になじみやすいよう にすることもできた。 (4)学生生活の環境整備 本学への通学事情は,大分大学前駅の設置(平成15年)とそれに伴う男子寮の脇を抜けてメインストリ ートに接続する学内通学路整備(車イスでの通行路も確保)により,JRでの通学はかなり便利になった。 ただし,相変わらず自動車通学を希望する学生は多い。しかし,教育研究環境の点からも,駐車のスペー スの点からも,その要望すべてに応えることはできない。自動車通学を希望する者については,通学距離 が5キロ以遠などの条件を満たす者のみに,学生支援課が入構許可証を発行している。 こうしたシステムによって,学内の交通秩序や環境はほぼ保たれているといえよう。安全と静謐な環境 を守るために,メインストリートなど中心部への車の乗り入れを禁止し,自動二輪の駐車場は講義棟から 離して設置されている。附属図書館側には希望の多かった自転車の駐輪場が増設された。 本学部内での学習環境の向上についても,努力を続けている。セメスター制の導入により,7月や8月の 暑い時期に講義や学期末試験を実施しなければならないので,全講義室に冷房施設を整備した。 68 身体障害者の学生のために,エレベーター,スロープ,トイレ,自動ドア,控え室などを設置して,学 習環境の改善を行った。その他,夜間街灯の設置や,ロッカーの増設,駐輪場の整備・拡充,トイレの改 修,メインストリートに面した学部棟と隣接する学部棟の1階渡り廊下の改修と屋根の設置など,引き続き 学部内外の環境の整備を行っている。 学生への広報活動として,年4回『BUNDAI.OITA』を刊行し,全学的な広報を行っている(大分大学 のホームページにも掲載) 。また大学ホームページ自体も充実してきており,その中に設置されている学生 サービス用情報システム(学生向けのWeb「学生掲示板」MASIS・メイシス)では,時間割,休講・補講, 就職情報,アルバイトの求人情報,施設利用状況などの情報を得ることができる。また大学からの学生呼 出の掲示や,学生が意見を大学に伝える電子意見箱も設置され,大学と学生を繋ぐツールともなっている。 本学部の学務係からも頻繁に更新を行い,情報提供に努めている。 これとは別に,本学部・研究科のホームページも,ゼミ・教員紹介ページのリニューアルやキャリア開 発室のページの拡充など,学生生活の環境整備に向けて情報発信を続けている。 7.1.2 学生の自治活動及び課外活動への援助 (1)自治活動 本学部の学生は自治組織として「思学会」を組織しており,学生大会を中心に様々な活動を行っている。 本学部としても自治活動を尊重しつつ,必要に応じて相談にのるなどしている。一方,思学会の側も,新 入生歓迎行事に積極的に協力し,学生の意見を集約して学部や全学の「意見交換会」で要望,意見交換を 行っている。とりわけ,活動の主体となるのが,2年生と3年生(11月の聡明祭運営まで)なので,1年生の オリエンテーションや学園祭の実施などを中心に,学部運営にとっては近年,一層重要な組織となってい る。 (2)課外活動 学部を越えた団体として,様々なサークル,同好会などが多数組織されており,それらを統括する組織 として体育会及び文化会がある。現在旦野原キャンパスには,体育会には26部5同好会,文化会には24部1 同好会が加盟しており,本学部の学生も多数加入し,積極的に活動している(大分大学『学生生活案内』 平成17年度版) 。本学部では,教員が顧問になるなどの形でサークル活動を支援している。 また本学では,平成15年10月の大分医科大学と旧大分大学の統合を期に学園祭の開催時期などが見直さ れ,10月末に医学部祭(挾間キャンパス) ,11月上旬に聡明祭(旦野原キャンパス)が開催されるようにな った。また12月初旬には駅伝大会(旦野原キャンパスで開催,医学部・地域住民も参加)が,開催されて いる。学生主催のこれらの行事には,多数の学生が参加して活動を盛り上げている。大学としても学生の 自主的活動の一環としてこれを支援している。 また,本学部学生による行事として従来は学部スポーツ大会が開催されていたが,参加人数の減少やカ リキュラム上の理由から中止を余儀なくされ,学生の交流促進には別の手段が考えられている。これとは 別に,学生の自主的活動をできるだけ支援するため,学部運営に支障のない限り,学生の要望に応じて施 設やスポーツ,キャンプ用品などの備品を貸し出しするなどの活動は継続している。 69 7.1.3 学生の経済生活と奨学金制度 本学部学生は,日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金をはじめ多くの奨学金を受給している。こ のうち,本学部で日本学生支援機構の奨学金を受けている学生数は,以下の表のとおりである。 学生数 第1種 第2種・きぼう 21プラン 計 2001(平成13)奨学生数 1,401 185 154 339 24.2 71 4 5.6 2002(平成14)奨学生数 1.405 230 236 466 33.2 36 8 22.2 2003(平成15)奨学生数 1,418 220 286 506 35.7 37 8 21.6 2004(平成16)奨学生数 1,447 236 318 554 38.3 44 6 13.6 2005(平成17)奨学生数 1,460 257 447 704 48.2 53 3 5.7 (注)いずれも5月1日現在(平成13年度まで日本育英会奨学金) 在学生 研究科 比率% 在学生数 奨学 生数 在院生 比率% (出所: 『大分大学概要』 ) 奨学金を希望する学生は多いが,そのすべてに奨学金を貸与することはできない。ただ,日本学生支援 機構の奨学金の種類も増加し,有利子のものも含め受給者数の実数は増加の傾向にある。平成17年5月1 日現在では,第1種,第2種ともに受給者数が増加し,特に第2種の受給者数は前年度に比べて100人以上 増えている。その結果合計人数も増え,ほぼ2人に1人は奨学金を受給していることになる。 また,授業料の全額免除・半額免除によって経済的負担を減少させ,安定した修学環境を提供する制度 も,旧国立大学の法人化にともない,免除割合や全額免除・半額免除に振り分ける人数の変更が大学ごと に可能になった。各大学の実情に応じた運営ができるようになり,本学でも平成16年度から全額免除学生 と半額免除学生の人数の割合を変更して,なるべく多くの学生の半額免除を可能にするようにした。奨学 金と授業料免除の2つの制度を補完的に運営しながら,学生にとって安心して学習できる経済的基盤を整え るよう一層の工夫を図るべきであろう。 本学部の学生・院生の経済状況については,学生生活実態調査のアルバイトに関するアンケート回答に よると,決してゆとりがあるとは言えない実情が浮かび上がってくる。最近1年間に650名(有効回答780) , 83.3%の者がアルバイトをし,最も多いのが,販売・店員(延べ315名)やウェートレスなどの接客業(延 べ246名)といった職種であり,週16時間から24時間もバイトに当てる学生が最も多い(186名) 。確かに, 課外活動費のため(311名) ,実務経験のため(250名)といった理由もあるが,最も多いのは「生活費」の ため(398名・有効回答数1408名中23.1%)というものである。学業との時間配分を考えさせ,アルバイト 先でのトラブルの相談にのるなど,アルバイトをめぐる学生生活指導もますます重要となろう(平成17年 度『学生生活実態調査報告書』調べ) 。 7.2 学生の就職状況 7.2.1 卒業者数 本学部の学科ごとに卒業者数をみると,以下のようになる。 70 平成14年3月卒業 10年度入学生 9年度入学生 8年度入学生 7年度入学生 6年度入学生 者数(単位:人) 経済 37 9 3 経営システム 103 7 2 地域システム 98 14 3 1 1 117 計 238 30 8 3 2 281 平成15年3月卒業 者数(単位:人) 11年度生 10年度生 9年度度 8年度生 7年度生 計 29 105 5 18 1 0 1 36 4 2 0 129 109 243 17 40 5 0 0 131 10 2 1 296 12年度生 11年度生 10年度生 9年度生 計 経済 40 7 5 1 53 経営システム 100 10 2 0 112 地域システム 114 9 1 1 125 254 26 8 2 290 12年度生 11年度生 10年度生 計 経済 経営システム 地域システム 計 平成16年3月卒業 者数(単位:人) 計 平成17年3月卒業 13年度生 者数(単位:人) 2 1 計 112 経済 49 10 3 0 62 経営システム 97 7 9 3 116 地域システム 120 11 3 0 134 266 28 15 3 312 計 52 平成18年3月卒 14年度生 13年度生 12年度生 11年度生 10年度生 9年度生 業者数(単位:人) 7年度生 計 経済 51 7 4 1 1 0 0 64 経営システム 108 15 1 1 0 1 0 126 地域システム 104 9 4 1 0 0 1 119 計 263 31 9 3 1 1 1 309 (出所:経済学部学務係資料) 7.2.2 就職指導と学生の進路 (1)就職支援 本学部における就職支援は,就職委員長以下4名の委員で構成される就職委員会を中心に行っている。学 部独自の就職支援を担当する学生の窓口として, 「キャリア開発室」 (平成17年度に旧「就職支援室」から 71 改称)をおいて,学生への情報提供,連絡,企業の人事担当者との打ち合わせなどに対応している。学部 でのきめ細かな対応が,学生の就職支援に大きな力となっている。 就職協定廃止以降の採用活動の早期化に対応し,平成12年度から既に,3年生対象の就職ガイダンスを前 倒しで進めている。まず3年生の10月には卒業予定者全員に進路用身上調書を提出願い,学生の希望進路を 把握している。4月には,就職概況の実績データ,就職活動の基本や注意点,就職活動の心構え,就職情報 の検索の仕方,企業の求める人材,就職支援室の利用方法などについても詳しく説明した「就職の手引」 を作成・配付している。 キャリア開発室では,ガイダンス開催,エントリーシート指導,企業説明会を,就職支援活動の3つの柱 としている。平成17年度には,就職ガイダンスとして7回にわたり,毎日コミュニケーションズ,ディス コ,日本経済新聞社,リクルート等から外部講師を迎え, 「就職活動に向けて今できること」 (4月25日) , 「職務適性テスト実施」 (5月18日) , 「職務適性テスト結果表の見方」 (6月8日) , 「日経新聞の読み方」 (6 月22日) , 「先輩が面接でアピールしたところは?」 (7月11日) , 「インターネットによる就職情報の収集」 (10月12日)といった講演を行った。最後の「4年生就職内定の体験談」 (11月9日)では,4年生を講師 に具体的な状況を話してもらった。いずれも好評で,次年度も引き続き開催の予定である(大分大学経済 学部キャリア開発室調べ) 。 ガイダンス開催とともに,企業説明会も重要である。平成17年度には,日本通運,大分県信用保証協会, 日本銀行,東京海上日動火災,三菱重工業,日本興亜損害保険,日立ハイテクソリューションズ,国民生 活金融公庫,三菱電機株式会社等の説明会が,12月,1月,5月,6月に開催された。また学生に人気が高 いのが,キャリア開発室でのエントリーシート指導である。平成17年度は11日間にわたり午前と午後2時間 ずつ,予約制で学生の指導にあたった(大分大学経済学部キャリア開発室調べ) 求人情報は,かつては掲示板に求人票を掲示し,一週間を過ぎたものはファイルに綴じて,就職支援室 で閲覧させていた。しかし多くの求人情報が電算化されたのにともない,紙媒体による求人票掲示は廃止 されつつある。電算化された求人情報は,大分大学のホームページ上の学生サービス用情報システムで閲 覧できる。 このように情報収集も企業へのエントリーシートの提出も,インターネットによるアクセスが一般的に なったため,キャリア開発室には4台のパソコンを設置し,教養教育棟1階のインフォメーションルームの パソコンとあわせて,利用しやすい環境を作っている。さらに,会社案内や就職情報誌,内定した学生の 就職活動報告などの資料を,閲覧できるようにしている。 キャリア開発室を拠点とする学生との対応とは別に,就職委員は来学された企業への応対も担当してい る。また,毎年1月には,求人票の送付があった企業及び最近学生が就職した企業等約650社に文書で求人 依頼を行っているほか,11月から2月にかけ,就職委員が当該年度の採用内定企業を中心に数十社の企業を 訪問している。 (2)学生の進路 求人社数は,大分県内外で,総数では14年度は1,320社,15年度は1,357社,16年度は1,284社,17年度 は1,426社と増加する傾向にある。就職先は,平成17年度には,人気の高い金融・保険業が35%と一番多く, 72 次いで卸・小売業の14%,製造業の13%,サービス業8%となっている。 就職内定状況については,以下の表のとおりである。 年度 項目 14 年度 15 年度 16年度 17年度 卒業者数 311(134) 299(154) 322(172) 322(157) 就職希望者数 244(108) 231(112) 269(153) 254(129) 207(85) 197(95) 224(125) 217(109) 84.8%(78.7) 85,3%(84,8) 83.3%(81.7) 85.4%(84.4) 就職者数 就職率 (注)( )は女子で,内数(9月卒業者を含む) (出所:キャリア開発室「就職内定状況」 ) 以前の就職率は90%を超えていたが,企業等の厳選採用の傾向が続いた平成13年度以降は,90%を割り 込む状況が続いている。就職者数自体も217名と,前年度より7名下回った。しかし,分母である就職希望 者数が減少したので,就職率は,平成17年度卒業生の場合,85.4%と前年度の83.3%を2ポイント程度上回 っている。女子の就職率は男子より低い84.4%であるが,前年度と比較すると,3ポイント程度改善してい る。 平成17年度の就職先を地域別に見ると,大分県内が80(女子内数52)名(37.4%) ,九州51(30)名(23.8%), 京浜31(9)名(14.5%),阪神20(3)名(9.4%),東海5(3)名(2.3%),中・四国27(10)名(12.6%)となっている(以下, 引用はいずれも平成18年度版『就職の手引』キャリア開発室) 。 平成17年度では,大分県出身者数は96名で,地元就職者は74名と地元就職率は77.1%に上る。平成13∼ 16年度までの地元就職は,49名(63.9%),60名(65.2%),63名(74.1%),69名(73.4%)と推移し,景気の回 復に伴う県内企業の採用意欲の上昇に伴い,もともと強かったいわゆる地元志向に回帰したといえよう。 学部全体でも出身地への就職率は66%(10%増)となっており,出身地へ戻って就職したいという希望は, 大分県出身者だけではなく,一般的な傾向といえるかもしれない。本学部には中国地方出身の学生のみな らず,関西地方出身の学生も散見される。こうした学生向けに全国の就職情報を提供したり,OBのネット ワークを活用することがこれからいっそう必要となるであろう。 学内で開講された公務員試験対策講座は,受講者は一定数いるものの,昨今の採用減という事情もあい まってめざましい効果が上がっているとまでは言えない。平成17年度には,国家公務員,地方公務員とも 採用数の減少も影響して,かなり厳しい数字となった。海上自衛隊1(女子内数1), 航空自衛隊1,東京国 税局1,日本郵政公社九州支店5(4),日本郵政公社四国支店1,大分県庁1(1),大分県警4(1),福岡県警1 (1)である。 大分県内市町村役場への就職者は,平成16年度10名であったが17年度には皆無となった。これは市町村 合併が終わった影響もあるのだろうが,学生にはかなり厳しい結果となった。ただし,学内の公務員試験 対策講座自体は,学生のモチベーションを維持するためにも引き続き必要だと思われる。 好況感に伴う企業の採用意欲は回復しつつあるものの,厳選採用は常態化しており,平成17年度も求人 数の増加がそのまま採用数の増加には直結していない。試験の内容も従来のエントリーシート,筆記試験, 73 適性検査,3回程度の面接に加え,グループ討議,プレゼンテーション,模擬セールス等,学生の様々な実 力を問うものが増えている。学生の学力や適性といった能力のほか,社会的対応力が試されるようになっ てきている。 例年,就職が内定したにもかかわらず卒業できなかった学生が少なからず存在し,企業には種々迷惑を かけている。本学部の社会的信用という観点から,より良い履修指導や学生指導が必要であると思われる。 職業生活に対する意欲と自身のキャリア形成にいっそう自覚的になれるよう,早い時期からの指導が重要 になるであろう。 7.3 評価の項目と観点 (1)学生に対する支援 ①学習や生活に関する相談のための体制が整えられ,効果的に行われているか。 ②学習や生活に関する環境(施設・設備)が整えられているか。 ③課外活動に対する援助は適切に行われているか。 ④経済的支援や就職支援が適切に行われているか。 7.4 評価の結果 (1) 学生に対する支援 ①学習や生活に関する相談のための体制が整えられ,効果的に行われているか。 学習相談については教務委員会が担当し,特に 3,4 年生についてはゼミ指導教官が個別に対応してい る。従来は演習が開講されていなかった 1,2 年生の後期で,指導体制があいまいになっていたが,平成 17 年度から基礎演習をⅠ・Ⅱと通年で開講している。また 18 年度から 2 年セミナーが中級演習Ⅰ・Ⅱと して前後期の通年開講を予定している。こうした改善によって,4 年間すべての時期で少人数のゼミ形式 での学生指導が可能になり,学習や生活相談についても,一層きめ細かな対応ができると思われる。同時 に,学生どうしの交流も促進できると期待している。 個人的な相談については,学生生活委員が担当して,「学生相談制度」を設けている。相談窓口としては, 学務係の窓口の横に「学生相談箱」が設置されてきたが,現在では,全学的に設けられた電子意見箱が活用 されている。したがって,十分達成している。 ②学習や生活に関する環境(施設・設備)が整えられているか。 本学部では,学生が自主的に学習できるように,情報処理実習室のコンピュータの更新やノートパソコ ンの増設などを行い,設備の面での改善を進めている。教室の冷暖房設備もほぼ整備した。学生控え室も 整備し,平成 18 年度からは,試験前と試験期間中に 100 号演習室を学習室として利用をしたいという学 生の要求に応えて,その夜間開放も計画している。したがって,十分達成している。 ③課外活動に対する援助は適切に行われているか。 本学部では,学生の自主性を尊重しながら,必要に応じた支援を行っている。したがって,十分達成し 74 ている。 ④経済的支援や就職支援が適切に行われているか。 経済的支援については,日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金をはじめとして各種の奨学金の受 給が必要な学生に対して,適切に推薦を行っている。授業料の減免についても,基準に応じて支援が必要 な学生に対して,適切に推薦を行っている。就職支援については,本学部キャリア開発室での多様な支援 のほかに,就職委員会を中心として,学生個々人に対応した就職相談やこまめな企業訪問を行うなど,非 常に丁寧な活動を行っている。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(1)に関しては,十分達成している。 75 第 8 章 研究活動 8.1 研究の基本方針(目的及び目標) 本学部では,これまでの教育研究の基本方針を踏まえて,教育研究の目的と目標を定めている。研究に 関しては,その目的を①本学部の特性を生かした積極的な研究活動の推進,②理論と実践の融合,③地域 と響き合う研究の推進,④グローバルな視点に立つ研究の推進におき,それぞれについて,具体的な目標 を設定している( 『分野別研究評価自己評価書―経済学系−』平成 15 年 7 月) 。 「研究の目的」 ①本学部の特性を生かした積極的な研究活動の推進 本学部は, 『大分大学基本構想』で本学の基本理念とされている「創造性の開発」と「社会性の向上」 を踏まえ,経済学,経営学を中心とした社会科学の諸分野について教育研究を進める体制を整備してい る。教員は多様な研究機関や学会などと連携しながら,多元的な資金を活用し,各専門分野で研究を推 進している。 ②理論と実践の融合 大分高商以来の実学重視の伝統を踏まえ,理論と実践の両面について均衡のとれた研究を行い,社会 に向けて政策的提言を行うとともに,企業を始めとする社会諸組織の活動への貢献に努める。 ③地域と響き合う研究の推進 これまでの研究の実績を基礎にして地域経済及び地域の企業活動の分析をさらに発展させ,政策立案 への協力など地域社会の要請に対応し,地域社会との双方向的コミュニケーションを実現する幅広い研 究活動に取り組む。 ④グローバルな視点に立つ研究の推進 現代社会におけるグローバル化の進展に伴う経済構造の変化や企業行動に関する研究を進めるとと もに,国内外の研究交流を促進する研究体制の整備を目指す。 (出所: 『分野別研究評価自己評価書―経済学系―』平成 15 年 7 月) 「研究の目標」 ①本学部の特性を生かした積極的な研究活動の推進 1)各専門分野での多様な研究活動,とくにプロジェクト研究を支援するとともに,学会,研究諸組織, あるいは学術誌などを通じた研究成果の積極的な公表を推進する。 2)社会科学の幅広い分野をカバーした教育研究体制を構築している本学部の特性を生かし,学部内の 研究会において研究の成果報告を行うなど,研究の相互交流を図る。 3)研究成果の発表機会を拡充するため研究紀要の発行や学術図書の刊行助成を行う。学会開催につい ても協力する。 4)研究活動を支えるため教育研究支援室を設置する。その活動の一環として戦前期植民地関係資料や 西日本の地域経済に関する資料を収集・整理し,学内外の利用に供する。 5)学内の研究費はもとより,教育研究特別経費や外部資金の活用を図る。また,本学部の同窓会から 資金的な支援を受け,研究活動の活性化を図る。 6)研究体制や研究成果などについて,多面的な評価を実施し,研究体制の改善及び研究活動の推進に 活用する。 76 ②理論と実践の融合 1)理論と実践の両面に亘り幅広い研究を行うため理論研究と政策・実証研究の均衡のとれた研究体制 を構築する。 2)企業の経営実態や経営課題などに関する実証的な研究を推進し,企業の実態やニーズを踏まえた研 究を行うなど,企業活動への貢献に努める。 3)社会的な要請のある研究を進めると同時に研究の社会貢献を図るため,企業や行政,シンクタンク などとの共同研究を推進する。 4)公開講座や講演会などを通じ,社会に向けて研究成果を発表し,経済・経営理論と実証研究の成果 の普及を図る。 ③地域と響き合う研究の推進 1)地域の産業振興,新産業創出ならびに雇用創出などに貢献する共同研究の推進を通じて,地域社会 の要請する学問的課題の解決に取り組む。 2)経済の地域的構造に関する研究を推進して,それぞれの地域の特質を明らかにし,問題点や課題の 解明に努める。 3)地域の研究機関,産業界,自治体等との共同研究を推進し,地域社会の要請に合った研究内容の充 実を図る。 4)コミュニティ総合研究センターや地域共同研究センターなど学内研究支援組織を活用し研究活動の 推進を図る。 5)地域との共同研究で得られた成果を講演会,公開講座,マスコミなどを通じて広報し,地域社会に 還元する。 ④グローバルな視点にたつ研究の推進 1)経済のグローバル化をめぐる社会科学的研究に共同で取り組み,その成果を公表する。とりわけ東 アジア経済の動向に関する研究体制を整備する。 2)国際的な共同研究プロジェクトを推進し,その研究成果を公表することで,国際社会への知の情報 発信を進める。 3)諸外国の経済動向や研究動向について研究を推進し,現代の経済,経営上の諸問題の解決に役立て る。 4)海外からの研究者の受入れ,国際シンポジウムの開催や参加を通じて,世界的水準の研究との交流 を推進する。そのための財政的支援体制を整備する。 5)国際学会での研究報告の支援や海外派遣制度の充実など,学部スタッフの海外での調査研究活動を 強化する。 (出所: 『分野別研究評価自己評価書―経済学系―』平成 15 年 7 月) 8.2 研究活動 8.2.1 研究活動の実施体制,支援・推進体制,検証・改善システム (1)大分大学経済学会 本学部には大分大学経済学会を置いている。同学会は,広く経済に関する研究調査及びその振興を図る ために必要な援助を行い,会員相互の啓発に資するとともに一般文化の向上に寄与することを目的とし, 77 研究資料の収集に対して,あるいは研究調査や研究会・講演会に対して援助を行い,さらには機関誌の刊 行等を行っている。 (2) 教育研究支援室 平成 14 年 4 月,大分大学コミュニティ総合研究センターの設置(経済学部経済研究所の改組による) を機に,本学部に教育研究支援室を新設した。同支援室は研究部等の 5 部から成る。各部は本学部教員の 中から任命された主任と部員から編成され,本学部における教育研究の重要な支援組織として位置づけら れる。同支援室には 3 名の助手を配置し,図書・資料の受入れ,閲覧・貸出し,雑誌目録の発行,蔵書目 録データーベースに関するメンテナンス,研究紀要の編集・発行,研究会・講演会の開催,情報機器のメ ンテナンス等本学部における研究活動を広く支援している。 (本報告書第 3 章を参照) (3) 柔軟な研究体制を整備するための人事面での配慮 学部教員の編成の基本方針として,柔軟な教育研究体制の整備がある。すなわち,外国人,女性教員, 社会人教員(民間企業,行政機関等での職歴を有する者)の採用の推進である。とりわけ,社会人の応募 を促進して教員の多様性の増大を図っている。また採用の場合,任用候補者の推薦に先立って,いかなる 分野の教員を任用するか,学科会議の議論や経済学部人事委員会の調整にもとづき,採用の方向性を決定 している。 (本報告書第 3 章を参照) (4) 研究活動の推進のための施策 プロジェクト研究の振興方策として,教育研究支援室による共同研究の組織化を挙げることができる。 同室はこれまで大分県産業創造機構等との共同研究プロジェクトを組織してきた。また,平成 14 ∼15 年 度には「グローバル化と日本の経済・社会」の共同研究を組織し,創立 80 周年記念事業として出版する 等プロジェクト研究の推進主体となっている。プロジェクト研究にあたってはコミュニティ総合研究セン ターや地域共同研究センター,ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー等の学内諸施設と協力している。 研究環境の整備方策として,第 1 に,研究用図書の整備と予算の執行方針を挙げることができる。本学 部は予算の執行にあたって,図書・雑誌類の整備を優先する方針を貫いてきた。そのため,予算のうち図 書購入費を十分確保するとともに,予算の弾力的運用による共同利用を進めている。とくに雑誌や大型の 図書セット等は共同利用を原則とし,計画的な購入を進めている。第 2 に,教育研究支援室の資料の整備 を推進している。同室では大学の紀要や企業,行政機関,シンクタンクの機関誌等の収集に努めるととも に, 「地域開発」に関する資料,統計,書籍等の収集を進めている。これらの資料は整理し学内外に公表 するとともに,データーベース化してインターネットによる学内外からの検索が可能である。また,戦前 期旧殖民地資料を所蔵しており,これも整理して学内外の利用者に供している。 研究成果の発表機会の確保と研究の相互交流を図る方策として,第 1 に,経済学部教員の研究成果の発 表の手段として, 『大分大学経済論集』 , 『コミュニティ総合研究』 (旧『研究所報』 )及びワーキングペー パーを利用できる。また教員の単著刊行を促進するための出版助成制度もある。第 2 に,教員間の研究交 流や共同研究を進めるために研究会を開催している。 第 3 に, 教員の在外研究や内地研究を奨励している。 78 在外研究は,海外先進教育研究実践支援プログラム等を利用している。本学部独自の制度として同窓会の 奨学寄附金による海外派遣制度があるが,最近の低金利の影響をうけ海外派遣を停止している。 (5)研究活動の検証,改善のシステム 組織としての研究活動等を評価する体制として,第 1 に,学部レベルにおける自己点検・評価活動があ り,その成果を平成 4 年以降,4 年毎に公表している。平成 14 年の自己評価報告書は新たに「評価の項目 と観点」を設定し,観点ごとの評価結果を 5 ランクで表示し,その平均点を項目の評価結果として表示し た。これにより,よりきめ細かな評価がなされ,課題が明確に提示されることとなった。第 2 に,全学レ ベルにおける自己点検評価活動に関して,平成 13 年の大分大学自己評価報告書『大分大学の現状と課題』 では,重点項目を設定し,全学的視点からの点検及び評価を行っている。第 3 に,本学部は,大学評価・ 学位授与機構による平成 14 年度着手分野別研究評価「経済学系」を,A.研究体制及び研究支援体制,B. 研究内容及び水準,C.研究の社会的効果,D.諸施策及び諸機能の達成状況,E.研究の質の向上及び改 善のためのシステムのそれぞれの点について受けた。 教員の研究活動等を評価する体制として,平成 14 年度以降,全学の教員を対象に,研究業績等の個人 評価を実施している(14 年度分については, 『平成 14 年度大分大学教員評価報告書』平成 15 年 9 月,と して刊行した) 。採用や昇任の場合,審査委員会により,研究業績の内容を審査している。全学の学長裁 量経費(教育・研究経費) (以前は教育改善推進経費)により,経済学部は年数件の補助を継続的に受け ている。これも研究活動に対する評価の意味がある。教員の研究業績については,教員の研究業績の内容・ 水準を一層高めるために,平成 17 年 1 月に『大分大学経済論集』に査読制の導入を決定し,平成 17 年度 から実施している。 評価結果を活用するシステムの整備・機能として,経済学部自己評価報告書等で提起される自己評価に 関する各課題は,各種委員会でさらに改善策を立案し,本学部教授会及び大学院研究科委員会で審議し, 改善を進めている。そのため,自己評価委員会をはじめ各種委員会の構成は多様な情報や意見が相互に反 映されるように,学科間及び世代間のバランスを考慮している。また,新たな課題については,企画委員 会でプロジェクト・チームを設ける等の対応をしている。 8.2.2 研究成果の公表 本学部教員の研究成果の公表の場として,本学部に係わるものとして,教育研究支援室研究部主催の研 究会,刊行物(研究紀要,ワーキングペーパー)及び研究助成がある。本学部以外の本学に係わるものと して,主として,コミュニティ総合研究センターにおける活動がある。また,その他として学外における ものがある。総合的にみると,活発な研究活動が行われている。 (1) 研究会 本学部教育研究支援室主催の研究会は,平成 17 年度で 190 回を数える。平成 17 年度から「東アジア 経済研究会」 , 「経済社会のグローカル化研究会」に再編し, 「EU研究会」を新設した。過去 5 年間の研 究会の開催状況と平成 17 年度の研究会内容は以下のとおりであるが,とくに平成 17 年度は,きわめて多 79 くの研究会を開催することができた。 平成 14 年度に発足した「東アジア経済研究会」では,第 3 回にタイ国立チェンマイ大学社会科学部か ら講師を招いたのを皮切りに,たびたび国外から講師を招き,国際共同研究の成果を着実に挙げている。 このように研究会は,本学部教員の研究成果の公表の場としての意義とともに,国際的な共同研究の推進 の意義ももっている。 表 8.1 過去 5 年間の開催状況 年 度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 研究会 6 5 4 4 − (単位:回) 東アジア経済研究会 グローカル化研究会 − − 3 − 5 − 5 2 2 6 EU研究会 − − − − 3 注)東アジア経済研究会及びグローカル化研究会は,平成 16 年度までは常設研究会,特別研究会として活動。 (出所:教育研究支援室資料) 表 8.2 平成 17年度の研究会 研究会名 研 究 会 開 催 日 / 研 究 論 題 等, ( )内は報告者 東アジア経済研究会 4 月 21 日(木): 「中国の国有企業改革における経営者の年収について」 (干文生) グローカル化研究会 5 月 18 日(水): 「基地閉鎖が地域経済に及ぼす影響」 (Kurt Fuellhart) 」 EU 研究会 6 月 22 日(水): 「2005 年英国総選挙―遠方からの考察」 (Stephen Day) グローカル化研究会 7 月 20 日(水): 「グローカル概念をレビューする」 (宮町良広) , 「老舗企業の継 続力と地域との関わりについて」 (本谷るり) 〃 10 月 26 日(水): 「国と地方の財政関係について―大分県のケース―」 (小野宏) , 「繊維産業のグローバル化」 (松隈久昭) 東 ア ジ ア 経 済 研 究 11 月 15 日(火): 「地域経済発展の決定要因―ドイツと日本の比較」 (Karl-Heinz 会・EU研究会 Schmidt) グローカル化研究会 11 月 16 日(水): 「独占と雇用」 (宇野真人) , 「海事産業優遇政策の根拠とその妥 当性―欧州諸国との比較から―」 (山本雄吾) 〃 12 月 21 日(水): 「経済のグローバル化と企業課税」 (井田知也) , 「スポーツ・ツ ーリズム政策による地域振興に関する調査研究」 (二宮浩彰) グローカル化研究会 1 月 25 日(水): 「香港の公的扶助制度と貧困・ホームレス問題」 (垣田裕介) , 「 『東 アジア共同体構想』と日本の外交について」 (高山英男) EU研究会 2 月 15 日(水): 「フランスの子育て事情と少子化対策」 (中野昌宏) (出所:教育研究支援室資料) (2) 学部としての刊行物・出版助成 ①『大分大学経済論集』 現在,経済学部の研究誌(研究紀要)として『大分大学経済論集』がある。これは年 6 回発行し,平成 17 年度で 57 巻となっている。過去 5 年間の掲載内訳と 17 年度の総目次は以下のとおりである。 表 8.3『大分大学経済論集』掲載内訳 年 度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 論 文 29 21 23 25 24 研究ノート 判例研究 2 0 4 0 7 0 7 0 1 3 資 料 0 0 0 1 0 翻 訳 6 2 2 1 1 書 評 1 3 1 1 1 合計 38 30 33 35 30 (出所:教育研究支援室資料) 80 表 8.4 平成 17 年度『大分大学経済論集』総目次 自 第 57 巻第 1 号(平成 17 年 5 月) 至 第 6 号(平成 18 年 3 月) 論 文 執 筆 者 部品のアーキテクチャの変化と企業の経営戦略 仲本大輔 会計理論における古典的・真実利益アプローチと意思決定・有用性アプローチの論理(2)椛田龍三 号 1 1 中村美保 労働法における労働者・使用者概念 鈴木芳明 郵政民営化の推進に係る諸課題 野村健太郎 日本とオーストラリアの公共投資の効率性(1)―GMM による検定― 小野 宏 会計理論における古典的・真実利益アプローチと意思決定・有用性アプローチの論理(3)椛田龍三 キヤノンにみる経営戦略の策定・実施・報告と評価に関する考察 片岡洋人 中村美保 仲本大輔 雇用における男女平等 鈴木芳明 持ち株会社と経営・会計システム 野村健太郎 相互市場モデルにおける最適輸出補助金政策 高見博之 1 1 1 2 2 2 日本とオーストラリアの公共投資の効率性(2)―マクロ計量モデルによる実証― イギリス自動車企業における生産の再編と労働・管理 ―ローバー・グループのカウリー 工場の事例を中心に― パートタイム労働者と法 コーズィレフ外相の初期の外交構想について コーポレート・ガバナンス ―アソシエント・テクノロジー株式会社のケース― 地域経済循環の分析と政策的課題:飯塚都市圏の事例(上) 派遣労働者と法 管理会計の新パラダイム:自律的組織におけるコントロール 地域経済循環の分析と政策的課題:飯塚都市圏の事例(下) 採用と法 中心部商店街の消費者満足度分析 小野 宏 幸 光善 3 3 鈴木芳明 高山英男 鵜崎清貴 宮町良広 鈴木芳明 片岡洋人 宮町良広 鈴木芳明 松隈久昭 3 4 4 4 4 5 5 5 6 人事と法 鈴木芳明 6 郵政民営化法の成立へ向けての攻防 野村健太郎 執 筆 者 鵜崎清貴 執 筆 者 小林宏之 6 号 6 号 2 包括利益の開示によるフィードバック効果 ―構成要素アプローチと経営者による会計政策― 研 究 ノ ―ト ベンチャー企業における資金調達 ―株式会社石井工作研究所をケースとして― 判 例 研 究 流山ユー・アイ ネット法人税更正処分取消請求事件控訴審判決の検討 ―「ふれあい事業」と法人税法施行令 5 条 1 項 10 号― 「A 社 B 社方式」による贈与税及び加算税賦課決定処分取消請求事件判決の検討 ―「偽 りその他不正の行為」の意義を中心として― ハンセン病補償金不支給決定取消請求事件判決の検討 2 2 3 小林宏之 4 小林宏之 5 中国の医療賠償責任保険約款 執 筆 者 大羽宏一等 号 1 書 評 徳橋曜編著『環境と景観の社会史』 (文化書房博文社,2004 年) 執 筆 者 城戸照子 号 3 翻 訳 (出所:教育研究支援室資料) ②ワーキングペーパー ワーキングペーパーの刊行は平成 6 年度から開始され,過去 3 回の内容は以下のとおりである。 表 8.5 ワーキングペーパー発行状況 シリーズ No. 8 9 10 研 究 テ ― マ 執筆者 発行年月 2004.7 製品原価計算システムの正確性について:現代原価計算研究の系譜 片岡洋人 How High Is Urban Unemployment in China? International Tax Competition and Double Taxation 薛進軍(共著) 2004.9 井田知也 2006.3 (出所:教育研究支援室資料) 81 ③ 出版助成 本学部では研究成果の出版を奨励しており,過去 5 年間の出版の状況は以下のとおりである。 表 8.6 出版状況 年 度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 人 数 2 0 0 0 1 (出所:教育研究支援室資料) (3) 本学(学部外)の刊行物等 ① 『コミュニティ総合研究』 コミュニティ総合研究センターを活用して,本学部教員と学外研究機関による共同調査研究を定期的に 行っている。その成果は『コミュニティ総合研究』 (同センター刊)に掲載されている。平成 17 年度は, 論文が 5 件あるが,共同調査研究は実施されなかった。 表 8.7 『コミュニティ総合研究』掲載内訳 刊行年度 論 文 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 共 同 調 査 研 究 論文数 備考 6 平成 12 年度実施分 6 平成 13 年度実施分 4 平成 14 年度実施分 4 平成 16 年度実施分 − 件 数 1 1 1 1 − 1 0 1 1 5 (注)平成 14 年度までは『研究所報』 (旧経済学部経済研究所) (出所: 『研究所報』 , 『コミュニティ総合研究』各号) 表 8.8『コミュニティ総合研究』第 3 号(平成 17 年度刊)の目次 論文 奥田憲昭 松隈久昭 深道春男 研究ノート 下田憲雄 地域ブランドを育むまちづくり―市町村合併と大山ブランド― 商店経営と経営者意識―大分市の中心部商店街を対象として― 製造業の技術進歩と研究開発・技術移転について OECD 各国に見る技術特性と産業構造 (出所: 『コミュニティ総合研究』第 3 号,2006 年 3 月) (4) その他の研究成果 その他の本学以外に係わる研究成果は,以下のとおりである。 表 8.9 過去 5 年におけるその他の研究成果 年 度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 人 数 23 18 25 17 24 件 数 38 31 41 33 49 (出所:教育研究支援室資料) 82 表 8.10 その他の研究成果の内容(平成 17 年度) 氏 名 西村善博 丸山武志 佐藤 隆 阿部 誠 薛 進軍 Stephen R. Day 石井まこと 金 珍奎 高見博之 松隈久昭 大羽宏一 本谷るり 山本雄吾 椛田龍三 北山弘樹 研 究 論 題 「行政記録による人口統計」 『統計』第 56 巻第 12 号,日本統計協会,2005.12. The Local Currencies and Robert Owen s Labour Notes , C.Tsuzuki, N. Hijikata and A.Kurimoto(eds.), The Emergence of Global Citizenship, Robert Owen Association of Japan, 2005. 「搾取,分配的正義,所有権――オルタナティブ社会を求めて」 『季刊経済理論』第 41 巻第 4 号, 経済理論学会,2005. 「生産の海外移転と地域産業」仲村政文ほか編『地域ルネッサンスとネットワーク』ミネルヴァ 書房,2005.3. 『中国経済論』第 2 版(共著,第 8 章担当) ,ミネルヴァ書房,2005.4. 『経済転型的代価 ―中国的失業,貧困,収入差距的経験分析』 (共著,第 1 章「中国的失業,貧 困,収入差距」担当)2005.7. 「中国的失業,貧困与収入分配差距」 『中国人口科学』第 110 巻第 5 期,2005.10. Developing a Conceptual Understanding of Europe s Transnational Political Parties: With a Specific Focus on the Party of European Socialists , Journal of Contemporary European Studies, Vol.13 No.1, Routlegde, April 2005. The Party of European Socialists: Transnational Aspirations, National Realities , in Vivien Schmidt et al., Public Discourse and Welfare State Reform: The Social Democratic Experience, Mets & Schilt, Amsterdam, 2005. Book Review The European Party Financing Regulation by H.H. von Armin and M. Schurig, Journal of Common Market Studies, Vol.43 No.5, December 2005. Fostering more contact between EU and Asean , Letter published in the Financial Times, Tuesday June 14, 2005. The Outcome of the Growing Multiplicity of Employment Categories in Japan: The Analysis of Two Sectors - Electronics and Retail 『紀要』第 3 号,大分大学大学院福祉社会科学研 究科,2005.3. 「書評:山本潔『日本の労働調査 1945∼2000 年』 」 『労働の科学』60 巻 6 号,労働科学研究所, 2005.6 「書評:稲上毅『ポスト工業化と企業社会』 」 『労働の科学』60 巻 11 号,労働科学研究所,2005.11. 「韓国のベンチャーキャピタル」 『証券経済研究』第 51 号,日本証券経済研究所,2005.9. 「賃金交渉と内生的シュタッケルベルク競争」(共著)『現代経済学研究』第 12 号,西日本理論経 済学会,2005.9. Market Segmentation and Analysis of Japan s Residential Post and Beam Construction Market , Co-written with Roos, J.A. and Ivan L. Eastin,Forest Products Journal, Vol.55 No.4, Forest Products Society, 2005. 「災害に対する日本人のメンタリティ」 『危険と管理』第 36 号,日本リスクマネジメント学会, 2005.3. 「21 世紀の消費者政策と消費者教育」 『消費者教育』第 25 冊,日本消費者教育学会,2005.9. 「消費者教育の視点からみた保険に関する消費者問題の現状と課題」(共著)『消費者教育』第 25 冊,日本消費者教育学会,2005.9. 「医療業務を対象とする賠償責任保険に関する保険事故のあり方」 『松島恵先生古稀記念論文集』 成文堂,2005.11. 「老舗企業の加齢と継続」 『関西国際大学地域研究所研究叢書 2005』関西国際大学地域研究所, 2005.3. 「タクシーサービスにおける運賃引下げの可能性 ―高齢化社会における今後のタクシーサービ スのあり方」 『交通学研究/2004 年研究年報』第 48 号,日本交通学会,2005.3. 「メール便の現状と課題 ―一般信書便市場へのメール便事業者参入の可能性―」 『関西大学商学 論集』第 50 巻第 3・4 合併号,関西大学商学会,2005.10. 「解説:乗合バス路線廃止と生活交通手段の維持施策」 『おおいたの経済と経営』第 181 号,大銀 経済経営研究所,2005.9. 「わが国企業会計基準委員会」 『会計利益計算の構造と論理に関する総合研究(日本会計研究学会 スタディグループ中間報告書)』日本会計研究学会,2005.9. 広瀬義州編著『特許権価値評価モデル(PatVM)活用ハンドブック』(分担執筆),東洋経済新報 社,2005.12. 83 片岡洋人 豊島慎一郎 奥田憲昭 宮町良広 『製品原価計算の基本構造に関する研究』一橋大学大学院商学研究科博士学位論文,2005.3. 「日本原価計算研究学会第 1 期企業研修制度最終報告 ―日本化薬株式会社における実務から得 られた知見―」 『原価計算研究』第 29 巻第 2 号,日本原価計算研究学会,2005.3. 「社会参加のフォーマル・セオリーに向けて」三隅一人編『フォーマライゼーションによる社会 学的伝統の展開と現代社会の解明』 (科研費研究成果報告書) ,2005.3. 「地域福祉計画と福祉コミュニティづくり―社会福祉基礎構造改革の検証―」 『紀要』 第 3 号, 大分大学大学院福祉社会科学研究科,2005.3. 「大分県における市町村合併―合併パターン・合併協議会と自治体の対応―」 『西日本社会学会年 報』第 3 号,西日本社会学会,2005.4. 「地域的レギュラシオンと地域経済―温泉観光地・別府と湯布院の二都物語」矢田俊文編『地域 構造論の軌跡と展望』ミネルヴァ書房,2005.3. 「国内の地域経済循環分析―飯塚都市雇用圏(福岡県) 」 『都市型産業対策推進調査報告書』経済 産業省地域経済産業グループ,2005.3. 「欧州中小都市圏における地域経済の現状と課題 ノッティンガム都市圏(英国) 」 『人口減少下 の地域経済構造(欧州)に関する調査研究』財団法人産業研究所,2005.5. 「古銭学」高山博・池上俊一編『西洋中世学入門』東京大学出版会,2005. 城戸照子 「書評:佐藤彰一著『中世初期フランス地域史の研究』 」 『西洋史学』No.218, 日本西洋史学会, 2005. 「NPM と福祉改革への具体化」 『総合社会福祉研究』第 26 号,総合社会福祉研究所,2005.3. 高島拓哉 「都市経営論の反福祉的側面と福祉論的意義」 『経済科学通信』No.108,基礎経済科学研究所, 2005.8 「郊外居住の地理的実在」 『関東都市学会年報』7 号,関東都市学会,2005.3. 中澤高志 「女性のライフコースに見られる地域差とその要因 ―金沢市と横浜市の進学高校卒業生の事 例」 『地理学評論』第 77 巻 9 号,日本地理学会,2005.8. 「くじゅう山系登山をケース・スタディーとした年代別登山者行動の分析」 『自由時間研究』28 号,レジャー・レクリエーション研究所,2005. 「レクリエーションの専門志向化過程からみたウインドサーフィン行動−レジャーの社会的世界 におけるフィールドワークを通じて−」 『レジャー・レクリエーション研究』54 号,日本レジ ャー・レクリエーション学会,2005. 「ソウル・香港・台北におけるホームレス支援施策の現状(上) 」 (東アジアホームレス支援施策 調査チーム・分担執筆) 『季刊 Shelter-less』No.23,新宿ホームレス支援機構,2005.1. 「介護保険制度下の在日コリアン高齢者――2003 年大阪市生野区調査から」 『社会問題研究』第 54 巻第 2 号,大阪府立大学,2005.3. 「ソウル・香港・台北におけるホームレス支援施策の現状(中) 」 (東アジアホームレス支援施策 調査チーム・分担執筆) 『季刊 Shelter-less』No.24,新宿ホームレス支援機構,2005.4. 「福祉政策における『戦時』と『平時』 」 『大阪保険医雑誌』No. 463,大阪保険医協会,2005.9. 「書評:岩田正美・西澤晃彦編著『貧困と社会的排除 ―福祉社会を蝕むもの』 」 『季刊社会保障 研究』第 41 巻 2 号,国立社会保障・人口問題研究所,2005.9 二宮浩彰 垣田裕介 「福祉供給の根拠について―福祉政策研究のための予備的作業」 『医療政策学校』No.1,本の泉社, 2005.11. (出所:教育研究支援室資料) (5) 学会等における研究報告 学会等における研究報告について,過去 5 年間及び平成 17 年度の状況は以下のとおりである。 表 8.11 過去 5 年間における学会等における報告 年 度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 報告者数 14 10 13 16 19 件 数 17 13 17 27 27 (出所:教育研究支援室資料) 84 表 8.12 学会報告状況(平成 17 年度) 氏 名 西村善博 佐藤 隆 Stephen R. Day 井田知也 松隈久昭 鵜崎清貴 報 告 論 題 「センサスと統計調査の変容:フランスの事例」経済統計学会第 49 回全国総会,2005.9.4. 「書評:守健二(東北大学)著『資本と時間の政治経済学』(八朔社,2004 年 11 月)」経済理論学会第 53 回大会,大東文化大学,2005.10.15. The Role and Significance of the European Political Parties ,The Kyushu Group of the European Union Studies Association-Japan, Seinan Gakuin University, August 1, 2005. The European Political Parties and Supranational Governance , European Union Studies Association-Japan, Kyushu University, November 11-12, 2005. Designing the Project of Comparative Regionalism , discussant to the First International Workshop of the Comparative Regionalism Project (CREP), University of Tokyo, September 12-13, 2005. Optimal Tax Policy on Foreign Source Income : There is No Need for Tax Allowance of International Double Taxation , 60th International Atlantic Economic Conference, Marriott Financial Center Hotel, New York USA, October 2005. Transfer Pricing and Reinforcement of Tax Executive System , Annual Meeting of European Public Choice Society, University of Durham, Durham UK, April 2005. 大崎美泉 「中心部商店街の顧客満足と広告活動」日本広告学会九州部会,西南学院大学,2005.8.6. 「ベンチャー企業の評価価値」日本経営財務研究学会全国大会,兵庫県立大学,2005.10.15. 「欧州諸国の海事産業優遇施策の動向とその根拠 ―トン数標準税制を中心に―」日本港湾経済学 会・日本物流学会合同九州部会,九州産業大学,2005.11.19. 「キーコンポーネンツのアーキテクチャの変化と企業の経営戦略」組織学会九州支部第 53 回例会, 九州大学,2005.7.9. 「医療機関の原価計算・管理会計」日本管理会計学会九州部会,九州大学,2005.7.16. 椛田龍三 「会計利益計算の構造と論理に関する総合研究」日本会計研究学会全国大会,関西大学,2005.9.15. 山本雄吾 仲本大輔 片岡洋人 豊島慎一郎 奥田憲昭 宮町良広 城戸照子 中澤高志 二宮浩彰 二宮孝富 青野 篤 「自律的組織のコントロールに関する一考察」第 17 回日本管理会計学会九州部会,福岡大学, 2005.12.3. 「地域社会における社会的活動の実証的研究―大分県臼杵市を事例として―」第 7 回日本 NPO 学会大 会,関西学院大学,2005.3.20-21. 「地域福祉計画と福祉コミュニティづくり」 ,日本地域福祉学会,北星学園大学,2005.6.5. 「イギリスの地域経済と地域政策」日本地理学会春期学術大会地理教育公開講座,青山学院大学, 2005.3.29. 「ベレンガリウス王文書に見る 9-10 世紀イタリア北部の市壁と防備施設の建造」第 10 回関西イタリ ア史研究会,同志社大学,2005.12.11 「東京大都市圏における住宅供給の変遷」日本地理学会春期学術大会,青山学院大学,2005.3.29 「 20 世 紀 シ ス テ ム と ラ イ フ コ ー ス の 地 理 学 」 経 済 地 理 学 会 大 会 , 中 央 大 学 , 2005.5.21. Family System and Life Course: A Comparative Study of Two Regions in Japan International Convention of Asian Scholars, Shanghai Exhibition Center, 2005.8.21. 「多様化するライフコースと職住関係 ―晩婚化・非婚化との関係を中心に」地理科学学会秋期学術 大会,広島大学,2005.10.10. 「地方圏におけるインターネット関連産業とその経営者 ―大分県の事例を中心に」アジア発展会 議,北九州国際会議場,2005.12.12. 「地域スポーツクラブにおける会員選好のコンジョイント分析」日本生涯スポーツ学会第 7 回大会, 長崎県ハウステンボス,2005.10. 「くじゅう山系登山行動の分析−スポーツ・ツーリズム参加モデルの適用−」日本体育学会第 56 回 大会,筑波大学,2005.11. シンポジウム「施設・里親による子の監護と親権 ―その法的・福祉的課題」 (問題提起と司会) ,日 本家族〈社会と法〉学会第 22 回学術大会,広島大学,2005.11.12. 「アメリカ公教育における価値の教え込みと生徒の修正 1 条の権利」関西アメリカ公法学会 2005 年 度秋期総会・研究会,同志社大学,2005.12.3. (出所:教育研究支援室資料) 85 8.2.3 研究活動の推進措置 (1) 在外研究・内地研究の奨励 在外研究は,若手特別枠を含む文部科学省の在外研究員制度(平成 15 年度まで) ,海外研究開発動向調 査等にかかわる研究者派遣制度,海外先進教育研究実践支援プログラム,経済学部同窓会の奨学寄付金に よる海外派遣制度(資料 3 を参照) ,外国政府や外国の奨学金による制度など多様な機会を活用している。 本学部では在外研究・内地研究を奨励しており,過去 5 年間及び平成 17 年度の状況は以下のとおりであ る。 表 8.13 在外研究・内地研究の内訳(出張期間 2 ヶ月以上) (単位:人) 年 度 在外研究(外国出張) 内地研究(出張) 5 4 4 1 1 1 0 1 0 0 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 (出所:経済学部総務係資料) 表 8.14 氏 名 金 珍奎 平成 17 年度在外研究・内地研究の状況 研 修 先 韓国(南ソウル大学) 期 間 平成 17.5. 1∼18.2.28 (出所:経済学部総務係資料) (2) 学会開催の奨励 本学部は,学内で開催される学会の運営に対しても最大限の支援を行っている。参加者数に応じて一定 の額を補助したり,本学部が主催か共催の場合,会場費を無料にすることなどの便宜を図っている。 (3) 学術講演会の開催 本学部では,研究の推進のため学外から研究者・著名人を招き,学術講演会を開催している。過去,5 年間及び平成 17 年度の状況は以下のとおりである。 表 8.15 過去 5 年間の講演会開催状況 年 度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 回数 5 0 5 5 5 (出所:教育研究支援室資料) 表 8.16 平成 17 年度の講演会 開 催 日 平成 17 年 4 月 22 日 平成 17 年 7 月 7 日 講 演 テ ― マ 講 演 者 中国の国境貿易 干文生 氏:深セン大学経営学部助教授(中国) 中国における国有企業の民営 李和中 氏:武漢大学「政治と公共管理学院」 化について 教授・学部長(中国) 86 平成 17 年 7 月 21 日 平成 17 年 12 月 5 日 平成 18 年 1 月 19 日 司法制度改革について −裁 判員制度を中心に− スポーツビジネスと地域づく り インターネット時代における 法と倫理―サイバー犯罪とそ の対策― 浅見宣義 氏:大分地方裁判所 部総括判事 溝畑宏 氏:大分フットボールクラブ代表取締役 夏井高人氏:明治大学法学部教授・法科大学 院教授 (出所:教育研究支援室資料) (4) 国際的な研究交流の推進 平成 15 年 3 月に開催されたパダボーン大学経済学部(ドイツ)との共同シンポジウムは,本学部の教 育研究支援室が窓口となって開催された本学で初めての国際シンポジウムである。 「地域経済・産業の展開 ―大分(日本)とパダボーン(ドイツ)との比較研究を中心として―」をテーマにパダボーン大学からは 3 本(5 名) ,本学部からは 7 本(8 名)の研究発表が行われた。このシンポジウムは,平成 14 年に始ま った本学部との間の共同研究の成果であり,この共同研究はその後も継続している。また前述のように, 教育研究支援室主催の研究会も国際的な共同研究の推進に寄与している。 8.2.4 財政的支援 本学部の予算は,平成 16 年度に,法人化への移行に伴い,大きな変更が生じた(本報告書第 12 章参照) 。 研究費についても,共通図書費を除くと,研究旅費を含む一定額となった(教員一人当たり平成 16 年度 30 万円,17 年度 35 万円) 。教員は,それを図書費,旅費,物品費に利用できる。ただし,パソコン購入 者については特例として,一定の増額を認めている。 (1)研究費等 表 8.17 研究費 年 度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 教員数(現員) 66 65 62 65 64 金額(千円) 789 816 788 770 737 (注)金額には共通図書費を含み,平成 16 年度以降は研究旅費も含む。 (出所:経済学部総務係資料) 表 8.18 研究旅費 年 度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 教員数(人数) 66 65 62 金額(千円) 130 120 123 (注)研究旅費は,平成 16 年度から研究費に含まれる。 (出所:経済学部総務係資料) (2)外部資金 共同研究の過去 5 年間の状況は以下のとおりであり(表 8.19) ,平成 17 年度は,件数,金額とも増加に 87 転じた。科学研究費の過去 5 年間の状況をみると,近年,申請件数,採択件数,金額とも横ばいからやや 増える傾向にある(表 8.20) 。奨学寄附金については,平成 14 年度を除くと,ほぼ横ばいで推移している (表 8.21) 。 表 8.19 共 同 研 究 年 度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 件数(件) 0 4 2 0 4 金額(千円) 0 500 250 0 985 (出所:経済学部総務係資料) 表 8.20 科学研究費の申請・交付状況 年 度 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 申請件数(件) 23 21 22 21 26 採択件数(件) 5 6 6 11 12 金額(千円) 4,400 5,100 4,400 8,400 11,300 (出所:経済学部総務係資料) 表 8.21 奨学寄附金受入れ状況 年 度 件数 金額(千円) 平成 13 年度 3 1,900 平成 14 年度 6 10,168 平成 15 年度 4 1,450 平成 16 年度 2 2,750 平成 17 年度 2 1,500 (出所:経済学部総務係資料) 8.2.5 学術情報の交換,研究図書・資料,ビデオの収集・整備 (1) 学術情報の交換 学術情報の交換については, 大分大学総合情報処理センターを中心とした学内LANシステムを通じて, 全国の各大学研究機関と連携して種々の学術情報の交換を行うことが可能となっている。 また,本学部では『大分大学経済論集』と他大学等で発行された紀要・論文集を交換している。寄贈分 も含めると,全部で 1,991 種(平成 17 年度末)に上り,このうち,継続受入中のものは 854 種である。 交換先の内訳は,大学 243,会社・団体 49 である。その範囲は国公立,私立の大学の経済・経営関係 学部の大部分をカバーしている。 『大分大学経済論集』及び『コミュニティ総合研究』は,平成 11 年発行分から本学附属図書館のホー ムページ上で本文を公開している。 (2) 研究図書・資料,ビデオの収集・整備 本学部教育研究支援室で収集している研究図書・資料は多岐にわたるが, 戦前期経済関係資料の管理と, 88 愛知以西の地域開発・地域経済関係資料の収集・整備をその特徴としている。平成 18 年 3 月現在の資料 数は,前者が 31,382 冊,後者が 28,250 冊に達している。前者については,他に定期刊行物 1,258 種も所 蔵している(資料4,5,6参照) 。 図書資料目録のデータベース化も進んでおり,戦前期文献のうち旧植民地関係及び海外諸国に関する資 料約 1 万冊と,地域経済関係資料のうち平成元年以降受け入れた約 1 万 2 千冊については,教育研究支援 室のホームページ上で検索することができる。また大部分の定期刊行物と統計類は国立情報学研究所の Webcat に登録しており,所蔵検索が可能である。 戦前期文献については文献目録を作成し,全国の研究者に利用の便宜を図っている。また,その保存に も努力しており,保存状態の悪いものからマイクロフィルム化を進めている。戦前期文献の利用状況は以 下のとおりである。 表 8.22 戦前期文献利用状況 閲 年 度 閲覧者数 平成 13 年度 23 人 平成 14 年度 31 人 平成 15 年度 17 人 平成 16 年度 9人 平成 17 年度 8人 覧 利用資料数 図書 312 冊 雑誌 9 タイトル 図書 518 冊 雑誌 18 タイトル 図書 146 冊 雑誌 12 タイトル 図書 33 冊 雑誌 19 タイトル 図書 175 冊 雑誌 3 タイトル 複 写 依頼件数 複写枚数 10 件 ― 18 件 889 枚 14 件 298 枚 13 件 630 枚 17 件 796 枚 マイクロフィルム 複 製 撮 影 1件 0 フィルム 1 本 4件 0 フィルム 7 本 2件 1 件/フィルム 1 本 フィルム 4 本 (雑誌 3 タイトル) 2件 1 件/フィルム 17 本 フィルム 6 本 (図書 126 冊 雑誌 12 タイトル) 0 0 (出所:教育研究支援室資料) 本学部では平成 4 年度に旧経済研究所内にビジュアルセンターを設置し(14 年度から「教育研究支援室 ビデオ資料室」と名称変更) ,研究・教育用ビデオの収集も行っている。現在,385 本のビデオを保管・利 用している。その中には,大分県下の多くの市町村が作成したPRビデオが含まれている。 8.3 評価の項目と観点 研究活動に関しては,次の 3 点の評価項目を設定し,各評価項目においては,以下の評価の観点に基づ いて評価を行う。 (1) 研究の基本方針(目的及び目標)に照らして,研究の実施体制及び支援・推進体制が適切に整備され, 機能しているか。 ① 研究の実施体制及び支援・推進体制が適切に整備され,機能しているか。 ② 研究活動に関する施策が適切に定められ,実施されているか。 ③ 研究活動の質の向上のために研究活動の状況を検証し,問題点等を改善するためのシステムが適切 に整備され,機能しているか。 (2) 研究の基本方針に照らして,研究活動が適切に行われており,研究の成果が上がっているか。 ① 研究出版物,研究発表,その他の成果物の公表状況等及び国内外の大学・研究機関との共同研究や 89 地域との連携状況等から見て,研究が活発に行われているか。 ② 競争的研究資金の応募・獲得状況,外部評価や研究プロジェクト等の評価,受賞状況等から見て, 研究の質が確保されているか。 ③ 社会・経済・文化の領域における研究成果の活用状況や関連組織・団体からの評価等から見て,社 会・経済・文化の発展に資する研究が行われているか。 (3) 研究の基本方針に照らして,研究の内容が教育に反映されているか。 ① 教育の基本方針を達成するための基礎として,教育内容等と関連する研究活動が行われているか。 8.4 評価の結果 (1)研究の基本方針(目的及び目標)に照らして,研究の実施体制及び支援・推進体制が適切に整備され, 機能しているか。 ① 研究の実施体制及び支援・推進体制が適切に整備され,機能しているか。 ここでは,1)研究の実施体制の整備,2)研究の支援・推進体制に分けて検討する。 研究実施体制の整備については,研究を活性化するための研究体制,柔軟な研究体制,研究成果公表の 体制の 3 点から評価を行う。 研究を活性化するための研究体制として,本学部は 3 学科・9 大講座から成り,大講座制による研究の 活性化に資するように組織の弾力化を図っている。大学院は,平成 11 年度に従来の経済学 1 専攻から現 行の 2 専攻へ改組した。研究面では,大分大学経済学会が重要な役割を果たしている。 本学コミュニティ総合研究センターでは,毎年のように,学外研究機関と共同研究を実施し,その成果 を『コミュニティ総合研究』に掲載してきた。行政や地域の企業等との連携については,本学地域共同研 究センター等が窓口となって,共同研究,奨学寄附金の受入等を推進しているが,コミュニティ総合研究 センターにおいても,行政や地域の企業等との連携を推進し,本学部教員もそれに参加している。 柔軟な研究体制に資するために,本学部では,採用人事面での配慮を行っている。とくに,社会人の応 募を促進して教員の多様化を指向している。そのような人事方針にもとづき,本学部で必要な教員を確保 している。 研究成果公表の体制として, 『大分大学経済論集』 ,ワーキングペーパー, 『コミュニティ総合研究』を 利用できる。 『大分大学経済論集』各巻第 6 号には,本学部教員の研究成果の一覧を掲載している。また 『大分大学経済論集』の目次は本学部ホームページで,本文は本学附属図書館のホームページで,各教員 の研究業績は本学ホームページの「研究者総覧」で公開している。 次に,研究の支援・推進体制の整備については,教育研究支援室の設置,共同研究の支援・推進体制の 2 点から評価を行う。 教育研究支援室は本学部における教育研究の重要な支援組織として位置づけられ,3 名の助手が本学部 の研究活動を幅広く支援している。共同研究の支援・推進体制として,教育研究支援室研究部主催の研究 会が重要な役割を担っている。また本学では教育改善推進経費(平成 16 年度は学長裁量経費〔教育・研 究事業に含まれる〕)の制度があり,共同研究に対する援助が行われている。 したがって,研究の基本方針の達成に十分貢献している。 90 ② 研究活動に関する施策が適切に定められ,実施されているか。 ここでは,プロジェクト研究の振興方策,研究環境の整備方策,研究成果の発表機会の確保と研究の相 互交流を図る方策の 3 点から評価を行う。 プロジェクト研究の振興方策として,教育研究支援室による共同研究の組織化を挙げることができる。 同室による大分県産業創造機構等との共同研究プロジェクトや「グローバル化と日本の経済・社会」にお ける共同研究の組織化がある。 研究環境の整備方策として,予算面では,その弾力的運用による共同利用(雑誌や大型の図書セット) の推進を挙げることができる。また教育研究支援室の資料を整備し,学内外での利用を推進している。 研究成果の発表機会として, 『大分大学経済論集』等の研究紀要があり,教員の著書刊行を促進するた めの出版助成制度もある。教員間の研究交流や共同研究を進めるために研究会を開催している。平成 17 年度は,多数の研究会を開催することができた。また,本学部では研究の相互交流を図るために,教員の 在外研究や内地研究を奨励している。 したがって,研究の基本方針の達成に十分貢献している。 ③研究活動の質の向上のために研究活動の状況を検証し,問題点等を改善するためのシステムが適切に整 備され,機能しているか。 ここでは,1)組織としての研究活動を評価する体制,2)個々の教員の研究活動を評価する体制,3)研究 活動の実施状況や問題点を把握するための方策,4)評価結果を活用するシステムの整備状況の 4 点から評 価を行う。 組織としての研究活動等を評価する体制として,学部レベルの自己点検・評価活動(4 年毎に自己評価 報告書『大分大学経済学部の現状と課題』を刊行) ,全学レベルの自己点検評価活動がある。また,大学評 価・学位授与機構による平成 14 年度着手分野別研究評価「経済学系」を受けている。本学部では,外部 評価体制の整備を進めてきたところである。 個々の教員の研究活動等を評価する体制として,全学の教員を対象にした研究業績等の個人評価,採 用・昇任における審査委員会がある。全学の学長裁量経費(教育・研究経費)もまた研究活動の評価とな るが,経済学部では毎年継続的に数件ずつ獲得している。さらには, 『大分大学経済論集』への査読制の 導入・実施がある。 研究活動の実施状況や問題点を把握するための方策として,学部自己評価委員会は,本学部の各種委員 会で恒常的に行われている学部の現状把握と自己評価の検討結果をとりまとめ,4 年に 1 度,報告書を作 成・公表している。これを受け,各種委員会はそれぞれの課題に応じて,改善策を検討・実施している。 個々の教員の研究については,研究会によって,研究内容が教員相互に認識され,他の教員から研究上の アドバイスが得られるなど,教員間の相互啓発や相互評価を促す点で効果をあげているが,研究会のあり 方には工夫の余地もある。 評価結果を活用するシステムの整備・機能として,自己評価に関する各課題は,各種委員会でさらに改 善策を立案し,本学部教授会及び大学院研究科委員会で審議し,改善を進めている。そのため各種委員会 91 の構成を工夫したり,企画委員会にプロジェクトチームを設ける等の対応をしている。とはいえ,評価結 果をより一層,改善に結びつける余地も残っている。 したがって,研究の基本方針の達成におおむね貢献しているが改善の余地もある。 以上から評価項目(1)に関しては,総じて,十分達成している。 (2)研究の基本方針に照らして,研究活動が適切に行われており,研究の成果が上がっているか。 ①研究出版物,研究発表,その他の成果物の公表状況等及び国内外の大学・研究機関との共同研究や地 域との連携状況等から見て,研究が活発に行われているか。 研究成果の全体的な状況から見て,研究は活発に行われていると評価できる。国内外の大学・研究機関 との共同研究(例:ドイツ・パダボーン大学経済学部との共同シンポジウム) ,地域との連携状況(例:コ ミュニティ総合研究センターと地域研究機関との共同調査研究)からみても,研究は活発に行われている と評価できる。したがって,十分達成している。 ②競争的研究資金の応募・獲得状況,外部評価や研究プロジェクト等の評価,受賞状況等から見て,研 究の質が確保されているか。 奨学寄附金は横ばいで推移しているが,過去 5 年間の科学研究費の状況をみると,申請件数,採択件数, 交付額とも,近年は,横ばいからやや増える傾向にある。共同研究についても,件数,金額とも増加に転 じた。したがって,おおむね達成しているが,改善の余地もある。 ③社会・経済・文化の領域における研究成果の活用状況や関連組織・団体からの評価等から見て,社会・ 経済・文化の発展に資する研究が行われているか。 本学部は,平成 15 年度に分野別研究評価「経済学系」を受けている。そこでは,該当教員 37 名につい て, 「研究の社会(社会・経済・文化)的効果」に関して,次のような指摘を受けている。 ・経営実務への寄与については,経営,会計学領域での研究に,注目される具体的貢献がある。 ・政策形成への寄与としては,他県での政策決定に利用されたり,公共事業評価システムや国の改革指針 に織り込まれた研究もあり評価できる。 ・経済・経営理論の普及,応用を目指す活動への寄与については,経営学,会計学領域においてグローバ ル化,ネットワーク社会化への対応に関わって一定の社会的貢献をなした研究が存在する。 ・地域との連携・協力に積極的に取組み,その研究成果は多数に上るが,特に経済統計領域における協働 は適切な取組みである。 ・国際社会への寄与については,共同研究「グローバル化と日本の経済・社会」は大きな寄与といえる。ま た,中国語で執筆された研究成果が現地でいかされた例もある。 領域ごとの特色について以下に整理する。 ・経済学領域のうち,地域性のある研究という観点からはいくつかの見るべきものがある。なかでも,計 量経済学・データ解析領域における研究は,基礎資料を提供するものとして評価できる。しかし,その 社会的効果,とりわけ政策形成や経営実務への寄与についての記述は,個別に列挙されているだけであ 92 って必ずしも十分ではなく,評価は困難である。応用経済の領域では,社会的効果が認められるものもあ るが,総じて理論的裏付けが希薄なため社会への説得力に欠けるものも少なくない。 ・経営学領域においては,経営学,商学領域で,経営実務,地域社会,国際社会に相応の貢献をなし得ると 判断される研究がかなり存在する。地域との協力・連携の面で高い水準にある地域研究もあり,地域密着 型大学の一つの在り方を示している。会計学領域では,政策形成や経営実務への影響,またそれらの社会 的効果について,見るべきレベルにあるものもあるが,それなりの業績もないわけではなく,高低差が見 られる。 (出所: 『分野別研究評価自己評価書―経済学系―』平成 15 年 7 月 本観点に関して,「分野別研究評価」を引用すると研究の社会的効果について,比較的幅広い分野にわた って,具体的かつ一定の評価を受けていることがわかる。逆に,問題点の指摘も散見される。 したがって,おおむね達成しているが,改善の余地もある。 以上から評価項目(2)関しては,おおむね達成しているが,改善の余地もある。 (3)研究の内容が教育に反映されているか。 ①教育の基本方針を達成するための基礎として,教育内容等と関連する研究活動が行われているか。 平成 14 年度大分大学教員評価に際しての設問「研究成果の教育への反映」において,経済学部教員 58 名のうち,8 割弱に当たる 46 名が肯定的に回答(本報告書第 3 章 教員及び教育支援者「3.3 教育の基 礎となる研究活動」 )していることから,十分達成していると言える。 以上から評価項目(3)関しては,十分達成している。 93 第 9 章 施設・整備 9.1 施設の現状と整備状況 9.1.1 施設の現状 (1)経済学部棟 経済学部棟は,南側の管理研究室棟と北側の演習室棟及びそれらの棟を結ぶ大講義室棟で構成されてい る。経済学部全体の建物面積は 6,896 ㎡であり,その主な内訳は表 9.1 のとおりである。 表 9.1 建 物 面 積 部 屋 等 室当り面積(㎡) 室 数(室 名) 面積(㎡) 大 講 義 室 ( 3 4 7 席 ) 341 1(202 号) 341 大 講 義 室 ( 2 8 0 席 ) 249 1(101 号) 249 中 講 義 室 ( 1 4 8 席 ) 152 3(201.301.401 号) 456 小 講 義 室 ( 6 0 席 ) 70 1(203 号) 70 大 規 模 演 習 室 52 2(第 7.8 演習室) 104 小 規 模 演 習 室 26 6(第 1∼6 演習室) 156 小 規 模 演 習 室 23 1(200 号) 23 合 同 研 究 室 81 1 81 第 一 指 導 室 46 1 46 情 報 処 理 第 一 演 習 室 101 1 101 情 報 処 理 第 二 演 習 室 53 1 53 情 報 処 理 第 三 演 習 室 46 1 46 教員研究室(教養教育棟を除く) 23 52 1,196 教 室 23 1 23 経済学研究科院生研究室 24 7 168 福祉社会科学研究科院生研究室 23 2 46 第 一 会 議 室 102 1 102 第 二 会 議 室 46 1 46 第 三 会 議 室 23 1 23 教 員 育 研 控 究 支 援 室 庫 69 6 414 閲 覧 室 101 1 101 資 料 室 23 1 23 事 務 室 46 1 46 メ デ ィ ア サ ー ビ ス 室 23 1 23 コミュニティー総合研究センター 23 1 23 情 室 70 1 70 86 書 報 シ ス テ ム 584 学 生 控 室 86 1 学 生 控 室 51 1 事 務 室 等 51 750 廊下・ホール・トイレ等 1,979 総 6,896 面 積 (出所:経済学部総務係資料) 94 平成 13 年度に管理研究室棟と演習室棟とを結ぶ屋根の設置及び通路の改修を行ったので,雨天時の移 動が便利になった。14 年度に 101 号教室の改修工事を行い,空調設備(ガス冷暖房) ,教材提示装置や照 明設備改修等を整備した。15 年度に 202 号教室に音響システムを設置した。 授業科目によっては講義室の収容能力を超える受講生を抱えることもあるが,教室の変更等によって対 応している。また,少人数教育(基礎演習Ⅰ・Ⅱ,2 年セミナー,3・4 年演習)は,主として演習室・教 員研究室や必要ならば他学部の情報処理実習室で行っている。 9.1.2 施設の管理・運営 夜間(18 時以降)及び休日については,管理研究棟の 1 階出入口 3 カ所でカードキーによる出入りの管 理をしている。また,学生控室については,学生の課外活動のため午後 9 時まで開放している。 情報処理第 1 実習室は,カードキーによって入室可能であり,大学院生は午前 0 時まで利用できる。 9.1.3 施設・整備の改善状況 平成 13 年度以降に改善された施設・整備は次のとおりである。 (1)身体障害者の活動を支援する施設・整備 ・学生控室南側周辺の教育施設整備(平成 13 年度)及び環境施設整備(平成 14 年度)を行った。また, 隣接した「いこいの広場」に駐輪用スタンドを設置した。 (2)学生生活や教育を支援する施設・整備 ・13 年度,101・201・202・203 号講義室にビデオ・MD・PC 等の視聴覚・情報機器を設置した。 ・14 年度,情報処理第 2・3 実習室にパソコン一式を設置した。 ・15 年度,学部玄関のフローリング貼り替え,及びトイレを改修した(管理棟 1 階・2 階,講義棟 1 階) 。 ・16 年度,既設の学生用ロッカーの利用規則を変更し,多くの学生の便宜を図った。 ・16 年度,学生掲示用パソコンを設置した。 ・17 年度,301・401 号講義室にビデオ・MD・PC 等の視聴覚・情報機器を設置した。 ・17 年度, 院生室のパーティションを施工し,院生の便宜を図った。 ・17 年度 4 階合同研究室の間仕切り及びエアコンを設置した。 (3)研究活動を支援する施設・整備 ・13 年度,印刷室にカラー複写機を設置した。 ・15 年度,印刷機を更新した。 ・16 年度,カラー複写機(ネット対応)を設置した。 ・15 年度および 16 年度,教員用エアコンの更新を一部行った。 ・17 年度 印刷機を更新した。 (4)事務活動を支援する施設・整備 ・14 年度,用務員室の改修並びに外部通路床改修工事を施工した。 9.2 教育用施設・設備の現状 95 9.2.1 講義室 平成 17 年度の利用状況は表 9.2 のとおりである。 講義室については,多様化するカリキュラムに対応して学生が選択できる授業科目が増え,同時限に多 くの授業科目が重なるため,講義室の割り振りに苦心している状況である。 表 9.2 講義室及び演習室利用状況 室 名 収容人員(人) 週当り利用状況(回) 1 0 1 号 講 義 室 262 10 2 0 1 号 講 義 室 154 15 2 0 2 号 講 義 室 347 16 2 0 3 号 講 義 室 60 15 3 0 1 号 講 義 室 154 15 4 0 1 号 講 義 室 154 11 第 1 演 習 室 16 7 第 2 演 習 室 16 6 第 3 演 習 室 16 7 第 4 演 習 室 16 6 第 5 演 習 室 16 8 第 6 演 習 室 16 4 第 7 演 習 室 24 8 第 8 演 習 室 24 10 2 1 合 0 0 号 演 習 室 16 2 0 号 演 習 室 24 3 同 研 室 24 1 室 24 8 0 指 導 究 (出所:経済学部学務係資料) 9.2.2 情報処理実習室 (1) 概要 経済学部情報処理第 1 実習室(総合情報処理センター実習室システムF)と経済学部が運用・管理する 第 2,第 3 実習室の 3 つがある。入学時に総合情報処理センターより発行される利用者アカウントで,セ ンター実習室A∼Gおよび経済学部実習室を利用できる。 ・情報処理第 1 実習室 台 数:端末 43 台(OS : WindowsXP/Linux) ,プリンタ 1 台 ・情報処理第 2 実習室 台 数:端末 20 台(OS : WindowsXP) ,プリンタ 1 台 ・情報処理第 3 実習室 台 数:端末 20 台(OS : WindowsXP) ,プリンタ 1 台 (2) 第 1 実習室の現況 96 この実習室の機器は,平成 15 年 2 月に総合情報処理センターからのレンタルで設置された。端末はデ ィスクレスで,起動時にサーバよりイメージファイルをダウンロードして稼動する。OS は WindowsXP と Linux のデュアルブートとなっており,Windows 環境で,WWW をはじめ,ワープロ,表計算,デー タベース,電子メール,ウィルス対策ソフト等を備えている。 (3) 第 2・3 実習室の現況 この 2 つの実習室の機器は,平成 15 年 3 月に経済学部独自のシステムとして設置された。OS は WindowsXP で,第 1 実習室と同様,WWW,ワープロ,表計算,データベース,電子メール等を利用で きる。また,ウィルス対策ソフトや環境復元ソフトの導入により,セキュリティ管理やシステム管理の向 上を図っている。 (4) 利用状況等 これらの実習室では,授業・演習のほか,就職活動等,課外活動での自由な利用も認めている。管理上 の理由から,利用時間は原則として平日の 9:00∼17:00 であるが,大学院生の利用の便宜を図るため,第 1 実習室のみドアに出入管理装置を設置し,カードキーによる時間外の入室(午前 0 時まで利用)を可能 にしている。 (5) その他 実習室に限らず,PC を用いてネットワークに接続できる環境の整備が求められており,現在,5 つの講 義室を含め,約 10 箇所に無線 LAN のアクセスポイントを設置している。演習や授業での貸し出し用ノー ト PC(72 台)のほか,無線 LAN 対応であれば,私用の PC を自由にネットワークに接続して利用する ことができる。今後は演習室等にアクセスポイントや電源設備を整備することにより,利用の機会向上が 望まれるところである。 9.2.3 教育用機器 教育用視聴覚設備の整備状況は,表 9.3 及び表 9.4 のとおりである。視聴覚機器については,各講義室 に配置されている。今後は,更新への対応や学務係が保管する機器についても機動性の高いものを増やし ていく必要がある。 表 9.3 学務係及び教育用で保管する機器 機 器 台 数 液晶プロジェクター 2 スクリーン 1 ノートパソコン 72 ラジカセ 3 (出所:経済学部学務係資料) 97 表 9.4 視聴覚機材設置状況 講義室・演習室名 第 101 講義室 機 器 セット数 ビデオ・MD・PC・教材提示装置・液晶プロジェクター 一式 第 201 講義室 〃 一式 第 202 講義室 〃 一式 第 203 講義室 〃 一式 第 301 講義室 〃 一式 第 401 講義室 〃 一式 第 1,2,3,4,5 演習室 ビデオ・テレビ機器 一式 第 6,7,8 演習室 ビデオ・テレビ機器(BS) 一式 200 号演習室 〃 一式 合同研究室 〃 一式 指導室 〃 一式 (出所:経済学部学務係資料) 9.3 研究用施設 9.3.1 研究室 現在,教員研究室は 52(教養教育棟にある研究室を除く)あるが,既に満室の状態が続いている。平成 16 年に,200 号教室及び教員控室等の改修によって研究室を補充した。 9.3.2 研究用備品など パソコン等の情報機器は全ての研究室に設置され, LAN を利用できる。 また, 語学系の教員研究室には, ビデオ・テレビ等が設置されている。平成 13 年に教育基盤設備充実経費によって,文献検索・管理・デ ータベースシステムを整備した。 9.4 教育用施設 ・一部の講義室において,音響・採光・冷暖房の面で改善の余地がある。 ・廊下やホールなどが全体的に暗く,夜間に授業のある院生にとっては移動し辛い。 ・視聴覚機器のいっそうの整備,活用を検討する必要がある。 ・少人数教育にあった講義室等の整備が必要である。 9.5 評価の項目と観点 施設・整備において,教育研究環境の向上への取組み及び教育研究環境の整備の達成状況の点から,以 下の項目及び観点を設定した。 98 (1)学部において編成された教育研究組織及び教育課程に対応した施設・設備が整備され,有効に活用され ていること。 ①学部において編成された教育研究組織の運営及び教育課程の実現にふさわしい施設・設備 (たとえば, 校地,運動場,体育館,講義室,研究室,演習室,情報処理学習のための施設,語学学習のための施 設,図書館その他付属施設等が考えられる)が整備され,有効に活用されているか。 ②教育内容,方法や学生のニーズを満たす情報ネットワークが適切に整備され,有効に活用されている か。 (2)学部において編成された教育研究組織及び教育課程に応じて,図書,学術雑誌,視聴覚資料その他の教 育研究上必要な資料が系統的に整備されていること。 ①図書,学術雑誌,視聴覚資料その他の教育研究上必要な資料が系統的に整備され,有効に活用されて いるか。 9.6 評価の結果 (1)学部において編成された教育研究組織及び教育課程に対応した施設・設備が整備され,有効に活用され ていること。 ①学部において編成された教育研究組織の運営及び教育課程の実現にふさわしい施設・設備 (たとえば, 校地,運動場,体育館,講義室,研究室,演習室,情報処理学習のための施設,語学学習のための施 設,図書館その他付属施設等が考えられる)が整備され,有効に活用されているか。 ここでは,校地,運動場,体育館,語学学習のための施設,図書館等の付属施設については全学的に利 用しているので,評価の対象外である。 表 9.4 の「視聴覚機材設置状況」が示しているように,各演習室はビデオ・テレビ機器一式を標準装備 している。各講義室はビデオ・MD・PC・教材提示装置・液晶プロジェクター一式を標準装備している。 また表 9.2 の「講義室及び演習室利用状況」が示しているように,十分に利用されている。したがって, 十分達成している。 ②教育内容,方法や学生のニーズを満たす情報ネットワークが適切に整備され,有効に活用されている か。 学生への必要な情報は学内 LAN を通じて配信している。また,携帯電話からのアクセスも可能となっ ている。情報処理実習室は授業・演習のほか就職活動・課外活動等でも自由に利用できる態勢にある。し たがって,十分達成している。 以上から評価項目(1)に関しては,十分達成している。 (2)学部において編成された教育研究組織及び教育課程に応じて,図書,学術雑誌,視聴覚資料その他の教 99 育研究上必要な資料が系統的に整備されていること。 ①図書,学術雑誌,視聴覚資料その他の教育研究上必要な資料が系統的に整備され,有効に活用されて いるか。 経済学部単独の図書,学術雑誌,視聴覚資料等の整備については教育研究支援室が中心におこなってい る。例えば,戦前期経済関係資料(31,382 冊)や地域開発・地域経済関係資料(28,250 冊) ,学術雑誌(1,258 種類の定期刊行物及び 1,991 種の紀要・論文集) ,研究・教育用ビデオ(385 本)等が収集・整備されてお り,その大半が同支援室のホームページ上で検索可能であり,自由に閲覧・貸し出しが可能な体制にある。 したがって,十分達成している。 以上から評価項目(2)に関しては,十分達成している。 100 第 10 章 地域社会との連携 10.1 公開講座・公開授業の方針と開設状況 公開講座・公開授業は,本学の地域社会に対する生涯学習の提供の一環として開設されている。これは, 「いつでも,どこでも,だれでも」主体的に学ぶことができる場の提供を基本方針に,地域社会に対して, 高度で先進的な学問の学習機会を提供することを目的としている。この本学の方針に対して,経済学部で は,公開講座を 3 学科で,輪番的に開設・担当している。他方,公開授業は,本学の授業の一部を公開す るもので, 教養科目に加えて専門科目も公開されるようになってきている。 経済学部の公開授業科目も徐々 に増えている。 10.1.1 公開講座の開設状況 表 10.1 は,過去 5 年間の講座名と受講者数を示している。表 10.2 は平成 17 年度の開講日,担当者, テーマである。 表 10.1 過去 5 年間の公開講座開設状況 年 度 募集人員 受講者数 平成 13 年度 情報化社会をどう生き抜くか 70 41 平成 14 年度 地域社会と異文化間交流 70 50 平成 15 年度 グローバリゼーションと世界の政治経済 70 62 平成 16 年度 グローバル化と新しい企業経営 70 46 70 41 平成 17 年度 講 座 名 地球(グローバル)時代の地域(ローカル) 再生 (出所:大分大学生涯学習教育研究センター『大分大学公開講座案内』各年度版,研究・社会連携部 地域連携推進課資料) 表 10.2 平成 17 年度公開講座の開設状況 日 時 担 当 講 師 テーマ 10 月 6 日(木) 経済学部 助教授:中澤高志 グローカル化とインターネット:大分県のインター ネット関連事業 10 月 13 日(木) 九州大学大学院人文科学研究院 助教授:梶田 真 明野団地から考える新産業都市・大分の 40 年 10 月 20 日(木) 経済学部 助教授:本谷るり 10 月 27 日(木) 安心院町町づくりリーダー まつぼっくり農園:荷宮英二 老舗企業から見る地域企業活動の継続性 地域(ローカル)だからできる事。気持ちひとつ (意識改革)で田舎も楽し 11 月 10 日(木) 経済学部 教授:森川登美江 中国経済のグローバル化とグローカル化 11 月 17 日(木) 経済学部 助教授:小林宏之 地域をささえる有償ボランティア活動と課税問題 グローバルとローカル:21 世紀の大分の地域づく りを考える 11 月 24 日(木) 経済学部 教授:宮町良広 (出所: 『平成 17 年度 大分大学公開講座要綱』 ) 101 10.1.2 公開授業の開設状況 本学部教員による過去 5 年間の公開授業科目数と受講者数は表 6.3 のとおりである。 表 10.3 過去 5 年間の公開授業開設状況 年 度 公開授業科目数 受講者数 平成 13 年度 11 科目 11 平成 14 年度 11 科目 11 平成 15 年度 18 科目 19 平成 16 年度 24 科目 34 平成 17 年度 20 科目 9 (出所:大分大学生涯学習教育研究センター『大分大学公開講座案内』各年度版,研究・社会連携部 地域連携推進課資料) 10.2 大学開放イベント 大分大学では,平成 6 年度以降,本学の研究会活動やその成果を地域社会に広く公開し,地域との連携・ 協力をさらに推進することを目的とした大学開放イベントを開催している。開放イベントには,各学部が 協力して大学全体が主催するものと各学部が主催するものとがある。過去 5 年間の大学開放イベントのメ インテーマと大学及び経済学部の催しは表 10.4 のとおりである。 表 10.4 過去 5 年間の大学開放イベント 開催年月 大学のメインテーマと催し 学部の催し ・メインテーマ: 「21 世紀,はばたく大分大 ・講演会 学∼地域に根ざし,地域とともに生きる」 ・展示(ゼミ・研究科紹介) ・パネルディスカッション: 「大分大学におけ ・ファッションショー 平成 13 年 5 月 る人づくりに期待すること∼高等学校と大 ・ゲーム・クイズ 学の関係のあり方∼」 ・基調講演(講演者 学外 1 名) パネルディスカッション (パネリスト 学内 1 名,学外 4 名) ・メインテーマ: 「はばたく大分大学∼福祉社 ・展示(ゼミ・研究科紹介) 平成 14 年 6 月 ・ゲーム・クイズ 会大分を目指して∼」 ・講演会: 「やさしい街・やさしい人」 (講演 ・ビデオシアター 者 女優 石井めぐみ) ・メインテーマ: 「大学の今を語り,未来を見 ・展示(ゼミ・研究科紹介) つめる∼大分大学の今,そしてこれから∼」・展示,体験(異文化) 平成 15 年 6 月 ・講演会: 「脳と生命とこころ」 (講演者 北 ・ビデオシアター 里大教授 養老孟司) ・メインテーマ: 「∼活力ある大分,活力ある・展示(学部・研究科等紹介) 大学をめざして∼」 ・模擬授業 平成 16 年 11 月 ・講演会: 「環境変化への対応と社会,個人意 識への影響」 (講演者 国際ビジネスコンサ ルタント ジョージ・フィールズ) 102 ・パネル展示(学部・研究科・学部ゼ ・メインテーマ「地域との共生」 ミ紹介) ・講演会「地域競争力―大分県の場合―」 (講演者:大分県知事 広瀬勝貞) ・学部進路案内 ・シンポジウム:テーマ「地震に強い地域づ・経済学部体験講義 ・ビジネスアイデアコンテスト 2005 くり」 「防災と地域づくり」 (大分県消防防災課長 表彰式 平成 17 年 11 月 本城敬二) 「スマトラ沖地震に学ぶ」 (本学医学部教授 三角順一) 「すまいの安全・安心を考える」 (本学工 学部教授 井上正文) 「建築物の耐震診断・耐震補強」 (本学工 学部教授 菊地健児) (出所:大学開放イベント実行委員会資料) 10.3 共同研究・地域貢献事業 10.3.1 共同研究 本学部では表 10.5 のような共同研究に取組んできている。 表 10.5 共同研究 年度 平成 14 年度 平成 15 年度 平成 17 年度 研究題目 共同研究機関 ・ツルミ自然海塩のマーケッティングについて ・イノイ研 ・タクシー業務における新しいビジネスモデルの構築 ・大銀経済経営研究所 ・タクシー業務の新しいサービスのあり方 ・山口産業 ・椿ケ鼻ハイランドパーク活性化事業に関する研究 ・大銀経済経営研究所 ・地域情報化と市民参加に関する研究―大分県を事例として― ・ハイパーネットワー ク社会研究所 ・物流解析手法の研究 ・大銀経済経営研究所 ・最新マーケティング理論を応用した新しいソフトの開発 ・日建コンサルタント ・安心院地域活性化に関する研究 ・安心院まちづくり協 議 会 ・大分県におけるコミュニティバス等運行可能性調査 ・大銀経済経営研究所 ・金融機関における利用者満足度に関する調査研究 ・豊和銀行 (出所:経済学部総務係資料) 10.3.2 地域貢献のための学内各センターとの連携 本学には,コミュニティ総合研究センター,生涯学習教育研究センター,地域共同研究センター,福祉 科学研究センターなどの共同利用施設がある。本学部の教員も,各センターの運営や研究活動に積極的に 参加することにより地域貢献に通じる活動に取組んでいる。とくに,コミュニティ総合研究センター(旧 経済学部経済研究所)における研究共同調査・地域貢献事業については,本学部教員の貢献は多大である (表 10.6 参照) 。 103 表 10.6 過去 5 年間の共同調査研究・地域貢献事業 年 度 共同調査研究・地域貢献事業のテーマ 連携機関 平成13年 共同調査研究「地方分権と広域行政に関する調査研究」 度 ① 地方分権時代の市町村合併と地域課題 ② 広域行政・市町村合併・まちづくり―大分県を事例として考える― ③ 地方分権における行政サービスと利用者満足―介護サービスを中心 として― ④ 過疎地域における広域連合化の合意形成過程―N県K地域を事例と して― ⑤ 地方分権と地方税改革―大分県内の市町村を例として― ⑥ 地域社会における情報化と住民意識―大分県南地域を事例として ― 共同調査研究「大分県産業社会の変容と今後の課題」 ① 商業の構造的変化と問題点―大分県を対象として― 平成14年 ② 過疎地域の交通問題―地方乗合バス事業の現状と維持施策の検討 ③ 就業人口の高年化と潜在成長力 度 ④ 大分市における工業化と製造業就業者地区の動態 地域貢献特別支援事業「大分県ポータルサイト構築事業」 平成15年 地域貢献特別支援事業「大分県ポータルサイト構築事業」 度 共同調査研究「地域経済の課題と展望」 ① 地方財政状況の数量分析―九州各県及び大分県内11市の場合― ② 大分県の文化観光と別府温泉 ③ 中国沿海地域の経済発展とその九州地域への意義―深セン市を例と 平成16年 して― 度 ④ 大分県の産業構造とその変遷 地域貢献特別支援事業「大分県ポータルサイト構築事業」 研究調査事業「地域づくりと街づくり」 調査研究事業「地域づくり」 研究調査事業: 「大分市の商店街,商業施設に関する買物動向調査」 平成17年 「地域についての調査研究事業」 度 産学官交流事業 「商業における情報技術(IT)の活用と事例研究」 大分県地域経済情報セ ンター 大分県産業創造機構 大分県産業企画課,大 分県商工会議所 大分県産業企画課,大 分県商工会議所 大分県産業創造機構 大分県産業企画課,大 分県商工会議所 大銀経済経営研究所 安心院町(松本地区) 大分市 安心院町(松本地区) 大分県中小企業団体中 央会 (出所:大分大学経済学部『研究所報』第 36 号,大分大学コミュニティ総合研究センター『コミュニティ総合研究』創刊号∼3 号) 10.4 評価の項目と観点 地域社会との連携については,推進体制と活動状況を評価項目として,各項目については,以下のよう に観点を設定して評価する。 (1)地域社会との連携を推進する体制 ①組織として地域との連携をはかる活動が十分行われているか ②地域連携を推進する組織が整備され,機能しているか ③地域社会との連携をはかる活動は,地域のニーズを十分に反映しているか ④地域に対して,地域社会との連携をはかる活動に関する情報提供は十分か (2)地域社会との連携活動 104 ①地域との連携をはかる活動は,適切かつ効果的に行われているか ②サービスの受け手の満足度は十分高いか 10.5 評価の結果 (1)地域社会との連携を推進する体制 ①組織として地域との連携をはかる活動が十分行われているか 「地域社会との双方向的コミュニケーションに基づく貢献と交流」の積極的推進が本学の重要な理念の 一つになっている。すなわち,地域社会の人材育成だけでなく,大学の開放,地域社会が要請する学問的 課題の解決など地域と連携した活動も求められている。このような地域連携での取組みとして,本学部と しての地域連携・社会貢献面での活動は,公開講座,公開授業,大学開放イベントがある。また,学内の コミュニティ総合研究センター,生涯学習教育研究センター,地域共同研究センター,福祉科学研究セン ターなどでは,地域社会との連携・交流を図りながら様々な活動を展開しているが,本学部の教員もそれ らのセンターの活動に参加している。現在,地域連携の活動として,おおむね貢献しているが,事業や活 動の件数,参加者数の観点からみると改善の余地もある。 ②地域連携を推進する組織が整備され,機能しているか 大学開放イベントには実施委員会があり,事業の企画,運営,事後の総括まで行なっている。公開講座に ついても実施委員会があり,公開講座のテーマ,講師,場所,日程などを決定している。さらに公開講座終 了後,受講者へのアンケート調査を実施し,次回開催の参考にしている。地域研究機関との共同研究につい ては,コミュニティ総合研究センターが窓口になるとともに,共同研究の企画もしている。このように,地 域連携に関わる個々の事業を担当する委員会・組織は明確にされ,円滑な運営されている。さらに,平成 16 年度, 「社会連携推進委員会」を設置し,地域連携を統括的に推進するための委員会の整備を行った。した がって,推進する組織は整備され,十分機能している。 ③地域社会との連携をはかる活動は,地域のニーズを十分に反映しているか 前述のように,大学開放イベントや公開講座に関して,それぞれの実施委員会が,企画と実施,事後の総 括やアンケートの分析を行っている。コミュニティ総合研究センターでは,外部機関との相談の上,共同研 究の企画を行っている。同センターへの再編後,地域社会との連携も広がりをみせている。公開授業に関し ても,開設科目数,受講者数は増えつつある。この点は地域のニーズに対して,おおむね貢献しているが, 公開講座の参加人数から判断すると改善の余地もある。 ④地域に対して,地域社会との連携をはかる活動に関する情報提供は十分か 情報提供に関しては,学内では,イントラネットが整備され,地域連携に関する情報提供は十分なものと いえる。外部に対しては,関連するホームページ上で情報の提供がある。また,近隣地域(銀行や郵便局の 窓口,教育委員会や小中学校)に対して,本学の生涯学習教育研究センターによる冊子( 「大分大学公開講座 案内」 )の配布がある。必要に応じて新聞広告や駅にパンフレットを掲示する場合もある。近年は情報提供 105 の点では充実してきたといえる。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(1)に関しては,おおむね達成しているが,改善の余地もある。 (2)地域社会との連携活動 ①地域との連携をはかる活動は,適切かつ効果的に行われているか 公開授業については,毎年授業終了後,受講生にアンケートがなされている。平成 16 年度分について は, 「内容」 「レベル」 「学習方法」 「教員の対応」 「満足度」に関して,多数が「興味深かった」 「適切」 「対 応がよい」 「満足」といった高評価を与えている。 公開講座についても,毎年講座終了後,受講生にアンケートしている。平成 16 年度の集計結果によれ ば,講座の 1 回当たりの時間,曜日・時間帯,開設の時期については,おおむね高評価を得ている。し かし,実施回数について「多すぎ」という意見が半数を越えており,講義内容の構成やテーマの選択に も一層の工夫が必要なように考えられる。受講者数も定員に満たない状況が続いている。 大学開放イベントについては,例年参加者数を増やすために,学園祭と重なるよう実施時期を設定し, 無料喫茶や模擬授業を実施している。しかし,学生の参加は多いが,地域住民,高校生などの参加者が 少ない傾向がある。 このように各活動については,おおむね適切かつ効果的に実施されていると考えられるが,参加者数等 の観点からみると,改善の余地もある。 ②サービスの受け手の満足度は十分高いか 公開授業に関して,平成 16 年度のアンケートによれば,ほとんどの者が「満足」と答えており,十分な 満足度を与えている。公開講座については, 「講座の内容」 「レベル」に関しては, 「興味深かった」 「適切」 と答えた者が過半を越えており,ある程度の満足度を与えることができたと考えられる。しかし,開催場 所の設備や回数の点,テーマの掘り下げの点等で,否定的な回答も見出される。したがって,受講者に満 足感を与えているかどうかの観点でみれば,公開授業はおおむね貢献しているが,改善の余地もある。 以上から評価項目(2)に関しては,地域社会や住民との連携を図るうえで,おおむね貢献しているが,改善 の余地もある。 106 第 11 章 教育の質の向上及び改善のためのシステム 11.1 改善のシステム 11.1.1 教育評価 (1) 学生による授業評価アンケート 同アンケートは,平成12年度から全学的に統一して作成,学期ごとに実施されている。本学部では3分の 1の教員の実施する授業ごとに行っている。経済学部における専門科目でのアンケート実施科目数は以下の とおりである。これらの結果については,学期ごとに全学的な「授業改善のためのアンケート調査」報告 書を公開するとともに,15年度後期からアンケートの対象となった教員の自己点検と改善についての報告 「教員による自己点検レポート集」 (15年度後期7人,16年度前期6人,後期6人,17年度前期6人)を公開 している。 学生による授業評価実施数 授業の範囲※ 13年度 13年度 14年度 14年度 15年度 15年度 16年度 16年度 17年度 17年度 前期 後期 前期 後期 前期 後期 前期 後期 前期 後期 A B C A B C A B C A 38 16 30 19 33 27 26 25 28 25 4,272 2,360 3,649 2,786 3,953 3,513 4,345 3,651 3,553 3,479 28 11 29 13 25 25 23 22 25 18 1,876 816 3,625 2,062 2,049 1,754 2,662 2,009 2,389 1,370 対象科目数 受講登録者数 実施科目数 回答受講者数 (注)対象科目数:調査対象とした授業は 1 学期当たり各学科 1 講座に属する授業である。 A:基礎経済論・経営基礎論・地域経営論 B:比較経済論・経営行動論・地域行政論, C:経済政策論・会計情報論・地域情報文化論 (出所:経済学部学務係資料) (2) 学生との意見交換 本学部では, 「学生と教員の意見交換会」を行っている。教員側は学部長などが,学生側は思学会(学生 自治会)役員らが参加して,カリキュラム内容や授業形態など教育問題を含め学生生活全般について意見 交換している。平成17年度には,岡山大学で行われた「i*see」 (学生交流2005)に,思学会(学生自治会) 役員3名を教員(教務委員)1名とともに派遣し,他大学における学生の意見反映活動について理解を深め た。また全学の「学生と教員の意見交換会」は平成14年度から毎年1回開催されており,教務委員会・学生 生活委員会を中心として経済学部からも教員が参加している。 (3) 学外関係者・同窓会との意見交換 学外関係者からの教育への意見としては,毎年開催される「学部スタッフと同窓会との意見交換会」が, 同窓会から教育改善に向けての意見を交換する場として機能し,またOBが講師を務める同窓会寄付講座 「会社研究」やその他の社会人講義を通じて,教育への学外者の意見が直接的に反映されている(本報告 107 書第5章「5.2.2.(6) 社会人講義」を参照)。 (4) 教員評価 平成14年度には全学的な教員個人評価システムが設けられており,教員個々の自己評価に基づく教育研 究業績の評価が実施され,教員個々の具体的達成状況を公開した(『平成14年度 大分大学教員評価報告書』 15年9月刊) 。なお,平成15年の医科大との統合・法人化などの事情により,全学的教員評価制度は見直し が行われているが(新制度は18年度内確定) ,教員個々の自己評価を加えた教育研究業績データの収集は15 年度以降も継続して行われている。 11.1.2 ファカルティ・ディベロップメント活動 教務協議会(当時)の「全学の教員が 3 年に 1 度参加する」との要請により大学教育開発支援センター (当時)の企画するファカルティ・ディベロップメント(FD)ワークショップには,第 1 回の平成 13 年 度から経済学部の教員も毎年参加し,16 年度までにほぼ全員が参加している。そこでは,Web 教材の開 発や Webct の授業への活用,発音トレーニング,学生との共同参加による教育改善,公開授業による相互 参観などの取り組みを行っている。 とりわけ,平成14年度からは学部教務委員会を中心として,全学的なFDワークショップの一つである「初 年次少人数教育における教育技法改善」に取り組んでいる。これは経済学部の基礎演習の場を活用して, 多様化した学習プロフィールを持つ学生に配慮した,教授方法・内容の集団的な検討を行うことを企図し たもので,平成15年度には合同授業や授業公開をおこない,平成16年度には,メディア・リテラシー,図書館 ガイダンス,バスハイク,男女共同参画などの全体に共通する授業内容について内容の標準化を進め,平成17年度には, 新たにおかれた後期基礎演習について,授業公開を行い,担当教員相互に授業参観を行った。 FDワークショップ参加者数 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 9 18 15 29 29 (出所:FD活動報告集) その他の研修参加者数(大学教育学会,九州地区大学一般教育研究協議会) 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 1 2 0 15(注) 1 (注)平成 16 年度は本学で九州地区大学一般教育研究協議会が開催されたため,参加者が増えている。 (出所:FD活動報告集) 11.1.3 カリキュラムの検討・改善 カリキュラムの検討・改善は,教育システム委員会で行っている。定期的に委員会を開催し,種々の改 革案を教授会に提案している。平成15年度には,前年の学部教育改革プロジェクトの答申をうけて,教育 システム委員会がカリキュラムの検討を進め,平成17年度よりカリキュラムの改定を行っている(節 「5.2.1.(2)」を参照)。 108 11.2 評価の項目と観点 (1) 教育の質の向上及び改善のためのシステム ①教育の実施状況や問題点を把握し,組織としての教育活動の評価や個々の教員の教育活動の評価を適 切に実施する体制が整っているか。 ②これらの評価結果を教育の質の向上及び改善の取り組み,教員の資質の向上を図るための取り組みに結 び付けるシステムが整備され,機能しているか 11.3 評価の結果 (1) 教育の質の向上及び改善のためのシステム ①教育の実施状況や問題点を把握し,組織としての教育活動の評価や個々の教員の教育活動の評価を適 切に実施する体制が整っているか。 学生による授業評価がセメスターごとに実施され,その結果について組織および個人による分析報告が 公開されている。また,平成14年度には全学的に教員個人評価システムが設けられ,教員個々の達成度と して公開しており,以後,教育研究業績データが継続して蓄積されている。学外関係者からの教育への意 見は「学部スタッフと同窓会との意見交換会」や社会人講義を通じて直接的に教育改善へ結びつけられて いる。したがって観点①に関しては,向上及び改善のためのシステムが十分に機能している。 ②これらの評価結果を教育の質の向上及び改善の取り組み,教員の資質の向上を図るための取り組みに 結び付けるシステムが整備され,機能しているか。 学生による授業評価については,個々の教員がその結果を具体的な教育活動の改善に結びつける活動「教 員による自己点検レポート」を行っている。自己点検と同時に教育改善でもあるFD活動には平成16年度 までにほとんどの教員が参加している。全般的な教育の改善の取り組みとしては,14年度には学部教育改 革プロジェクトによる検証が教育システム委員会および教授会の検討を通じて17年度のカリキュラム改定 に結実している。したがって観点②に関しては,向上及び改善のためのシステムが十分に機能している。 以上から評価項目(1)に関しては,向上及び改善のためのシステムが十分に機能している。 109 第 12 章 財務・運営 12.1 財務 12.1.1 全学の予算編成の方針 国立大学の予算制度は,平成 12 年度から,従来の校費の積算方式に代えて, 「時代の変化に対応し得る 教育研究組織の再編を促進する」ことを目的とする新しい制度が導入され,教員あたり積算分と学生あた り積算分に加えて学長裁量経費などで構成される大学分等の項目を設けた校費の算出方法に変更された。 本学では,平成 12 年度は従来の学内予算配分の方式が踏襲されたが,平成 13 年度から科研費の申請状況 や教養教育の状況などを反映させた新たな予算配分方式がとられた。 さらに平成 16 年度の法人化によって,役員会が主体となって全学的に予算を管理する制度に大きく変 化した。人件費を除く学内の予算配分についても,学生数に応じた基盤教育経費,教員数に応じた基盤研 究経費,学長裁量経費,部局長裁量経費および光熱費等の管理的経費や法人全体の管理運営に必要な経費 を中心とする共通経費等の項目で管理する方式になった。予算配分の決め方については,法人化後毎年の ように変化したが,平成 17 年度に予算委員会がつくられ,予算配分は予算委員会での審議にもとづき, 教育研究評議会,経営協議会を経て役員会で最終決定するようになった。 現在の予算制度では,学部にたいしは基盤教育経費,基盤研究経費,特別事業費及び部局長裁量経費が 配分される。基盤教育経費は在籍学生数に応じて配分額が決まる。また,基盤研究経費は実験・非実験ご とにきめられた単価に教員実員数を掛けて決まる。なお,基盤的経費については,法人化による激変緩和 の措置がとられている。一方,部局長裁量経費には,学生納付金の状況や管理的経費の節減状況等を反映 させたインセンティブ係数が掛けられて決まる。 本学部への当初予算配分額をみると,水光熱費,清掃費等が学部予算から全学共通経費に移行したため 正確な比較はできないものの,法人化前の平成 14 年度に比べて,平成 16 年度は約 24%,平成 17 年度は 約 25%減少しており,学部の財政は厳しい状況にある。 12.1.2 本学部における予算編成の基本方針 本学部では,従来から学部内予算の配分については,図書の充実をはかることや学部運営のための共通 経費を十分確保するという基本方針の下に,予算委員長,学部長,教務委員長,入試委員長,学生生活委 員長,各学科の代表 2 名,図書委員長,メディアサービス部代表,事務長の 14 名で構成される予算委員 会で審議するやり方をとってきた。とくに法人化以前は,校費の有効利用をはかるという観点から,研究 費等を教員個人に配分するのではなく学部全体でプールし,図書は個人の購入目標額を設けたうえで,そ の範囲内で教員が選書していた。一方,備品については,基本的な設備は共同利用を推進し,研究室用の 備品は教員個人の要求を予算委員会で調整して購入していた。旅費についても,学部運営のための旅費を 控除したうえで,研究旅費を教員間に均等に配分していた。 しかし法人化を契機に,こうした研究費の配分方法を変更し,学部に配分された基盤研究経費は,物品 と旅費をあわせた個人研究費として教員に均等に配分し,各教員は配分された研究費の範囲内で購入する 110 方式にした。一方,基盤教育経費は学部共通経費として支出しており,共通備品や消耗品の購入,コピー・ 印刷費,非常勤講師人件費,その他の学部運営費に当てている。また,雑誌や学生用図書,大型図書等は 「学部共通図書費」としており,本学部予算のなかで大きな比重を占めているが,これは基盤教育経費か ら支出しており,従来の総額をできるだけ維持するように努めている。 これら学部の共通経費は,基盤教育経費では不足しているため,不足分については部局長裁量経費の一 部をあてている。また,部局長裁量経費のなかに「教育研究推進経費」を設け,個人研究費とは別に教育 研究活動のための一部費用を支援している。 12.1.3 教員人件費の管理 法人化によって国立大学法人は人件費の管理を求められるようになった。すべての人件費は「全学管理」 されているとはいえ,現在までのところ教員の「定員」は,法人前の定員にもとづいている。 同時に平成 18 年度から学長裁量定員等の導入や効率化係数などへの対応として,定員の削減が進めら れることになった。学長裁量定員は,現中期目標期間中に全学で 18 名を設定することになり,本学部の 場合,定年退職などの状況を勘案し,期間中に 2 名の定員を拠出することになっている。一方,効率化係 数や昇給による人件費増へ対応するために全学で 10 名の教員の削減を行うことになり,これにともなっ て本学部では 2 名の削減が求められている。これらをあわせて,本学部では平成 21 年度までに 4 名の定 員が削減されることになる。 こうした定員削減にくわえて平成 18 年度から定年の 65 歳への延長が決まり,その影響もあって,教員 の新規採用はきわめて困難な状況にある。 他方,非常勤講師の人件費は,法人化された平成 16 年度に全学教養教育科目の一部をのぞいて各学部 の負担となった。そのため,平成 16 年度は,本学部では非常勤講師を大幅に削減し,外国語,教職課程 など最低限の授業に絞った。平成 17 年度からは,学部の予算で専門教育の非常勤講師を一部復活した。 一方,定員の拠出によって教育水準の低下を招かないようにするため,平成 18 年度からは非常勤講師人 件費の一部を全学の人件費から支出する予定である。 本学部では,定員削減に対応するために,平成 18 年度から人件費の企業側負担による出向教員1名を 受け入れ,教育にあたってもらう予定である。そのほか,カリキュラムの充実をはかるために,2 単位の 寄付講義を開設しており,現在,四極会寄付講義「会社研究」および野村證券寄付講義「資本市場の役割 と証券投資」がある。平成 18 年度からは,さらに 2 単位の寄付講義を新たに 2 つ開設する予定である。 12.1.2 予算の状況 本学部の予算額は,1 億 1 千万円程度で推移していたが,平成 15 年度においては,9 千万円台と厳しい 現状となっている。また,平成 16 年度以降,予算の費目(事項)が大幅に変更されている。 111 (単位:千円) 年度 平成 13 年度 事項 当初予算額 平成 14 年度 平成 15 年度 93,402 93,027 86,652 運 営 費 0 0 0 事 業 費 0 0 0 臨 時 費 0 0 0 △2,430 △1,784 △1,723 入試に係る経費 0 0 △2,667 振替 0 2,000 0 設備充実費 0 0 0 追加配分 9,528 19,764 5,580 学長裁量経費 9,470 3,405 3,000 109,970 116,412 90,842 共通経費 付帯事務費 配分額計 年度 事項 平成 16 年度 平成 17 年度 備 考 基盤教育経費 43,689 42,524 基盤的経費 基盤研究経費 21,877 22,813 〃 重点的経費 10,000 6,819 基盤教育経費 △1,877 △243 基盤研究経費 △152 0 学長裁量経費 18,507 2,593 TA経費 940 932 共通経費 1,731 1,734 0 927 79 121 学生厚生補導事業 職員厚生経費 配分額計 94,794 (注)△は当初予算額からの控除 部局長裁量経費 図書館附帯事務費 計算機利用料 図書館文献複写料 等 留学生特別指導費 78,220 (出所:経済学部総務係資料) 12.1.3 決算の推移 本学部の決算額は,下表のとおりである。 (単位:千円) 事項 年度 図 書 備 品 消 耗 品 光 熱 水 役 務 そ の 計 費 費 費 料 費 他 平成 13 年度 41,281 (37.54%) 28,765 (26.16%) 18,366 (16.70%) 6,436 ( 5.85%) 14,136 (12.85%) 986 ( 0.90%) 109,970 平成 14 年度 39,520 (33.95%) 41,600 (35.73%) 15,837 (13.60%) 5,386 ( 4.63%) 13,410 (11.52%) 659 ( 0.57%) 116,412 112 平成 15 年度 37,667 21,289 11,198 6,921 11,453 2,314 (41.46%) (23.43%) (12.33%) ( 7.62%) (12.61%) ( 2.55%) 90,842 事項 年度 図 書 費 備 品 費 消 耗 品 費 印 刷 費 役 務 費 そ の 他 計 平成 16 年度 33,387 24,959 15,414 3,820 6,547 10,667 94,794 平成 17 年度 (35.22%) (26.33%) (16.26%) ( 4.03%) ( 6.91%) (11.25%) 備 29,974 (38.32%) 3,610 ( 4.62%) 13,765 (17.60%) 3,602 ( 4.60%) 12,134 (15.51%) 15,135 (19.35%) 78,220 考 旅費,謝金等 (出所:経済学部総務係資料) 12.2 学部・研究科の運営 12.2.1 運営組織 学部・研究科の運営組織は図 12.1 のとおりである。学部では教授会,研究科では研究科委員会が中心 になっている。研究科の組織は学部組織を基礎とし,施設・設備を学部と共用するほか,研究科に関わる 事務も学部事務組織で処理している。ただし,入学試験に関わる事務については,平成 11 年度から本学 部入試課が担当し,学部学務係がその補助を行っている( 『更なる教育・研究支援体制をめざして―事務処 理体制の再編(報告) 』平成 10 年 12 月) 。 図 12.1 運営組織 教 授 会 総務係 経 済 学 部 事 務 部 学務係 研究科委員会 経済学研究科 (経済学部事務部) (出所:経済学部総務係資料) 12.2.2 教授会の構成と役割 教授会の構成については, 「国立大学法人大分大学教授会規程」及び「大分大学経済学部教授会規程」で, 学部長,教授,助教授,講師(専任)及び助手と定めている。教授会の権限に関しては,国立大学法人大 分大学教授会規程で,以下のような審議事項を定めている。 ① 長期的な目標,中期目標・中期計画及び年度計画における教育,研究及び社会貢献に関する事項 ② 学部長等候補者の選考に関する事項 ③ 教育研究評議会の方針に基づく,具体的教員選考,教員資格審査及び身分に関する事項 ④ 学生の受け入れと身分に関する事項 ⑤ 学位の授与に関する事項 ⑥ 教育課程の編成に関する事項 ⑦ 研究活動に関する事項 ⑧ 社会貢献活動に関する事項 ⑨ その他学部長等が必要と認めた事項 教授会の運営は,上記の審議事項に限定されるが,教授会構成員一人一人の自由で自主的な議論のもと で行われ,決定事項は構成員自らの責任と義務において処理するという体制をとっている。 113 12.2.3 研究科委員会の構成と役割 本研究科委員会は,研究科長(学部長併任)を委員長とし,大学院担当教員によって構成される。大分 大学大学院経済学研究科規程で,以下のような審議事項を定めている。 ① 教員の選考に関する事項 ② 教育課程に関する事項 ③ 学生の入学,退学,休学,転学,留学,除籍及び賞罰その他身分に関する事項 ④ 試験に関する事項 ⑤ 修士課程の修了に関する事項 ⑥ その他研究科に関する事項 12.2.4 各種委員会の構成と機能 各種委員会の設置は図 12.2 のとおりである。教授会のもとに企画委員会や教務委員会等,研究科に関しては 研究科委員会の下に学部大学院委員会が設けられている。委員会の構成については,学部規定,各委員会の申合 せ等により構成が定められており,それぞれの委員は教授会で選出し,学部長が任命する。各委員会はそれぞれ の目的に従って各分野の課題を検討する。 学部・研究科の運営への事務職員の意思を反映させるために, 教授会, その他委員会へ事務職員が委員又はオブザーバーとして参加している。 図 12.2 各種委員会 (専門委員会) 大学院整備充実プロジェクトチーム 企画委員会 大学院マルチコース制検討プロジェクトチーム 教務委員会 教育システム委員会 社会人講義等運営委員会 インターンシップ実施委員会 入試委員会 入試広報委員会 学生生活委員会 就職委員会 教 授 会 公開講座検討委員会 学部大学開放イベント実行委員会 学部広報委員会 自己評価委員会 学部情報公開委員会 予算委員会 図書委員会 特別昇給制度等検討委員会 人事委員会 学部国際交流委員会 社会連携推進委員会 大学院研究科委員会 学部大学院委員会 (出所:経済学部総務係資料) 114 12.3 事務組織 12.3.1 事務組織と構成 事務部は学部運営の円滑な実施に当たっている。事務組織は事務職員の大幅な定員削減に対応して効率 的な事務運営を行うため平成 11 年度から大学全体の事務一元化が実施された( 『更なる教育・研究支援体 制をめざして―事務処理体制の再編(報告) 』平成 10 年 12 月) 。これにより,経済学部においても事務組 織は表 1.3 のとおりに改編された。 表 1.3 事 務 長 総務係長 学務係長 1名 1名 総務係員 学務主任 合 事務組織と構成 2名 1名 計 用 務 員 学務係員 1名 2名 平成 17 年 4 月 1 日現在 1名 4名 4名 9名 (出所:経済学部総務係資料) 12.3.2 担当の職務 総務係と学務係が担当する職務は以下のごとくである。 総務係 ・学部事務に関し,総括及び連絡調整すること。 ・会議(他の係の所掌に属するものを除く)及び諸行事に関すること。 ・学科,講座等の設置及び改廃に関すること。 ・職員の出張及び研修に関すること。 ・公印の管守に関すること。 ・文書の接受,配付,浄書及び発送に関すること。 ・職員の服務に関すること。 ・予算に関すること。 ・概算要求の資料作成に関すること。 ・資産の管理に関すること。 ・職員の安全管理に関すること。 ・営繕工事の計画及び申請に関すること。 ・各種書類の接受に関すること。 ・所掌事務の調査報告に関すること。 ・その他:他の係の所掌に属しない事務に関すること。 学務係 ・教育課程の編成に関すること。 ・授業計画及び時間割の作成に関すること。 ・授業,教育実習及び学期末試験等の実施に関すること。 ・教室,演習室等の整備に関すること。 ・学生の入学,休学,退学及び卒業等の身分に関すること。 ・学生の賞罰に関すること。 ・学生の修学指導に関すること。 ・教育職員免許状の収得に関すること。 ・学籍簿の作成および保管に関すること。 ・学業成績の整理および保管に関すること。 ・成績証明書及び単位取得証明書の交付に関すること。 ・入学者選抜試験の実施に関し指定された事務に関すること。 ・教務委員会及び学生生活委員会等の会議に関すること。 ・所掌事務にかかる調査,統計及び諸報告に関すること。 ・学部付属の教育研究施設に関すること。 ・その他学務に係る事務に関すること。 115 (出所:経済学部総務係資料) 12.4 評価の項目と観点 (1)学部・研究科の教育研究の基本方針を達成するために,教育研究活動を将来にわたって適切かつ安定し て遂行できるだけの財務基盤を有していること。 ①学部・研究科の基本方針に沿った教育研究活動を安定して遂行するための経常的収入が継続的に確保 されているか (2)学部・研究科の基本方針を達成するための活動の財務上の基盤として,適切な収支に係る計画等が策定 され,履行されているか ①学部・研究科の基本方針を達成するための活動の財務上の基盤として,適切な収支に係る計画等が策 定され,関係者に明示されているか (3)学部・研究科の基本方針を達成するために必要な運営体制及び事務組織が整備され,機能していること。 ①運営のための組織及び事務組織が,学部・研究科の基本方針の達成に向けて支援するという任務を果 たす上で,適切な規模と機能を持っているか。また,必要な職員が配置されているか。 ②学部・研究科の基本方針を達成するために,効果的な意思決定が行える組織形態になっているか (4)学部・研究科の基本方針を達成するために,学部・研究科の活動の総合的な状況に関する自己点検・評 価が行われ,その結果が公表されていること。 ①学部・研究科の活動の総合的な状況について,根拠となる資料やデータ等に基づいて,自己点検・評 価(現状・問題点の把握,改善点の指摘等)を適切に実施できる体制が整備され,機能しているか ②自己点検・評価の結果が学部内及び社会に対して広く公開されているか ③評価結果が,フィードバックされ,学部・研究科の基本方針の達成のための改善に結び付けられるよ うなシステムが整備され,機能しているか 12.5 評価の結果 (1)学部・研究科の教育研究の基本方針を達成するために,教育研究活動を将来にわたって適切かつ安定し て遂行できるだけの財務基盤を有していること。 ①学部・研究科の基本方針に沿った教育研究活動を安定して遂行するための経常的収入が継続的に確保 されているか 現状では,全学レベルで各学部に予算が配分され,それを学部予算委員会で,各費目別に編成している。 近年の予算削減の傾向は厳しいものがあり,それが教員の研究費に大きな影響を与えているのも事実であ るとはいえ,本学部・研究科における教育研究活動を安定的に遂行するための経常的収入は今のところ, 継続的に確保されている。したがって,十分達成している。 以上から評価項目(1)関しては,十分達成している。 116 (2)学部・研究科の基本方針を達成するための活動の財務上の基盤として,適切な収支に係る計画等が策定 され,履行されているか ①学部・研究科の基本方針を達成するための活動の財務上の基盤として,適切な収支に係る計画等が策 定され,関係者に明示されているか 既述のように,全学レベルで策定された学部予算について,本学部の予算委員会において,年度初めに, 各種費目別の予算編成を行っている。その際,前年度実績等を考慮に入れるが,学部予算額の削減傾向に 対応して,無駄な支出を避け,できるかぎり節約に努めている。ただし,情報機器の老朽化対策として, 一定年限以上を経たパソコン購入者については,更新上の優遇措置を講じている。予算委員会で編成した 予算案を教授会に提案し,教授会で審議・決定している。決算に関しても,予算委員会で検討した後に, 教授会に提案し,教授会で審議・決定を行っている。したがって,十分に達成している。 以上から評価項目(2)関しては,十分達成している。 (3)学部・研究科の基本方針を達成するために必要な運営体制及び事務組織が整備され,機能していること。 ①運営のための組織及び事務組織が,学部・研究科の基本方針の達成に向けて支援するという任務を果 たす上で,適切な規模と機能を持っているか。また,必要な職員が配置されているか。 運営組織としては,教授会のもとに企画委員会や教務委員会等,研究科委員会のもとに学部大学院委員 会を設けている。各種委員会では原則,原案の作成,教授会・研究科委員会で原則,審議・決定という仕 組みである。緊急の案件を審議する場合には,臨時の教授会や研究科委員会の開催により対処している。 各種委員会は,本学部・研究科の教職員における多様な情報や意見を反映できるように学科間や世代間を 考慮した委員構成をとっている。 他方,平成 11 年度の事務組織一元化への移行により,全学的観点から,事務組織の再編が実施された。 この限りにおいて,本学部の総務係,学務係は,必要な職員が配置されていると言える。また,本学部・ 研究科の教育研究活動の基本方針を達成するために,総務係,学務係は,さまざまな事務上の支援を行っ ており,現状では,何らの問題も生じてはいない。したがって,十分達成している。 ②学部・研究科の基本方針を達成するために,効果的な意思決定が行える組織形態になっているか 上記のように,教授会のもとに企画委員会や教務委員会等,研究科委員会のもとに学部大学院委員会が 設けられている。各種委員会で原案の作成,教授会・研究科委員会で審議・決定という仕組みである。緊 急の案件を審議する場合には,臨時の教授会や研究科委員会の開催により対処している。したがって,十 分達成している。 以上から評価項目(3)関しては,十分達成している。 (4)学部・研究科の基本方針を達成するために,学部・研究科の活動の総合的な状況に関する自己点検・評 価が行われ,その結果が公表されていること。 117 ①学部・研究科の活動の総合的な状況について,根拠となる資料やデータ等に基づいて,自己点検・評 価(現状・問題点の把握,改善点の指摘等)を適切に実施できる体制が整備され,機能しているか 本学部に,常設の委員会として自己評価委員会がある。それは,平成 4 年に設置されたもので,現在, 学部長,評議員,学科長及び各種委員会代表(教務,入試,予算,教育研究支援室,学部学術交流,図書, 大学院)から構成される総数 14 名の委員会であり,学部・研究科レベルの自己点検・評価を担っている。 資料やデータに関しても,各種委員会経由あるいは学部総務係や学務係,教育研究支援室から直ちに得る ことができる体制となっている。したがって,十分達成している。 ②自己点検・評価の結果が学部内及び社会に対して広く公開されているか 本学部・研究科では,平成 5 年度に,平成元年∼4 年度を対象とする自己点検・評価を行い,その結果 を平成 6 年 3 月に刊行している。その後,4 年度を一つの対象期間として,自己点検・評価を重ねてきた。 最新の自己点検・評価は,平成 13∼16 年度を対象とするもので,平成 18 年 3 月にとりまとめを行った。 この報告書については,学部内の自己評価委員会以外のメンバーにも周知を図るため,平成 18 年 5 月以 降,学部内でのみ閲覧可能なホームページ上に掲載し,同年 7 月,学外を含め一般に閲覧可能な学部のホ ームページ(http://www.ees.ec.oita-u.ac.jp/jikoten/jiko-4/index.html)に掲載を行った。 また平成 14 年度着手分の分野別研究評価(経済学系)を受け,大学評価・学位授与機構の関連サイト に, 本学部・研究科に関する評価報告書が掲載されている (http://www.niad.ac.jp/sub_hyouka/kenkyu/keizai/ h14houkoku/EH14R2U0075.pdf) 。したがって,十分達成している。 ③評価結果が,フィードバックされ,学部・研究科の基本方針の達成のための改善に結び付けられるよ うなシステムが整備され,機能しているか 経済学部自己評価報告書等で提起される自己評価に関する各課題は,各種委員会でさらに改善策を立案 し,教授会及び研究科委員会で審議・決定,改善を進めている。そのため自己評価委員会をはじめとする 各種委員会の構成は,多様な情報や意見が相互に反映されるように,学科間及び世代間のバランスを考慮 している。また新たな課題については,企画委員会でプロジェクトチームを設ける等の対応をしている。 とはいえ,評価結果をより一層,改善に結びつける余地も残っている。したがって,おおむね整備・機能 しているが,改善の余地もある。 以上から評価項目(4)関しては,総じて,十分達成している。 118 資 料 119 編 資料 3 四極会奨学寄付金による海外研究員派遣 四極会奨学寄付金による海外研究員派遣要領 (趣 旨) 1 四極会(大分大学経済学部同窓会)奨学寄付金による海外研究員派遣は, 教員の海外での研究の助成を行 い,学生の教育等に還元することを目的とする。 2 長期(6 ヶ月以上)海外研究の経験のない者とする。 (推薦順位) 3 大分大学経済学部文部科学省在外研究員派遣申し込み順を準用する。 (派遣期間) 4 10 ヶ月以上 12 ヶ月以内とする。 (雑 則) 5 本要領により派遣された者は,帰国後 3 年間はその成果を本学学生に還元しなければならない。 6 この要領に定めるもののほか,派遣に必要な事項は,四極会奨学寄付金による海外研究員派遣要領実施 細目,文部科学省在外研究員規定及び同実施細目を準用する。 7 この要領による派遣は,平成元年度から実施する。 資料 4 所蔵資料の種類および冊数 (平成 17 年 3 月現在) 戦前期経済関係資料 (1)図書・資料 31,382 冊 (2)定期刊行物 1,258 種 地域経済関係資料 27,872 冊 定期刊行物 (1)各大学紀要・論文集 1,196 種 (2)会社・団体関係雑誌 795 種 その他一般図書 3,761 冊 注 1.「その他一般図書」の中には元教官の寄贈図書が含まれる。 注 2.このほかに新聞関係の資料を所蔵している。 新聞(朝日・毎日・読売・西日本・日経・日経流通・日経産業・日経金融は最近約 1 年分,大分合同新聞 は昭和 42 年以降現在まで) 新聞マイクロフィルム版(西日本・毎日地方版,いずれも昭和 42 年から昭和 60 年まで) 新聞切り抜き(大正末期∼昭和 20 年頃および昭和 45∼55 年) (出所:教育研究支援室資料) 124 資料 5 地域経済関係資料について この資料は,昭和 41 年に長期研究課題を「地域開発」と設定して以来,このテーマに沿って収集したも のである。教職員,学生および所長の許可を得た者は閲覧および帯出して利用できる。各分野の資料数は 次のとおりである。 地域経済関係資料 NDC分類別資料数 分類番号 内容 冊数 分類番号 内容 冊数 000- 総記 115 500- 工業 200- 歴史 96 510- 道路・河川 328 290- 地理 180 519- 公害 900 310- 政治・地方行政 1,504 520- 各種工業 317 330- 経済・企業・金融 4,594 600- 産業・開発計画 3,413 340- 財政・租税 1,169 610- 農林水産業 2,292 351- 統計 4,286 670- 商業 1,451 358- 人口 624 680- 交通・観光 2,225 360- 社会問題・労働 370- 教育 2,165 1,942 271 計 27,872 (出所:教育研究支援室資料) 125 資料 6 戦前期経済関係資料について 大分高等商業学校創立以来の大正末期より昭和 20 年にかけての資料約 31,000 点を所蔵している。その 内容は本邦・旧植民地・海外の産業・経済全般にわたっている。原則として貸出はしていないが,所定の 用紙により申し込めば閲覧・複写をすることができる。 戦前期経済関係資料 分類別資料数(大分高商の分類表による) 分 1.日 類 本 2.北海道・樺太 冊数 分 第 1 次分類表(国別) 類 16,816 40.ヨーロッパ一般 冊数 48 782 41.ロシア 156 236 3.台 湾 1,061 42.ドイツ 4.朝 鮮 1,581 43.イタリー 51 5.南洋群島 55 44.フランス 74 129 45.イギリス 185 10.アジア・東亜一般 11.満州・関東州 2,266 46.ヨーロッパ諸国 12.支 1,447 50.アフリカ 那 13.シベリヤ 54 60.アメリカ一般 14.南洋一般 233 61.北米一般 15.フィリピン 100 62.アメリカ合衆国 16.東インド諸島 169 63.カナダ 146 61 9 4 217 14 17.仏領インドシナ 80 64.中米・西インド 40 18.タ イ 67 65.南米一般 41 19.マレー・海峡植民地 39 66.ブラジル 160 20.ビ ル マ 35 67.南米諸国 33 21.英領インド 90 70.国際・世界 733 22.西アジア 49 80.大分県 382 30. 大 洋 州 77 81.大分高等商業学校 126 97 1.日本(16,816 冊)の内訳 分 類 第 2 次分類表−内容別 冊数 分 類 A.一般 100 J.市場・取引所 B.経済一般 381 K.倉庫 C.経済政策 223 L.保険 D.財政 E.貨幣・金融 冊数 分 類 220 S.交通 922 29 T.労働 704 327 U.人口・移植民 1,451 M.工業 878 N.鉱業・冶金 353 1,464 V.社会 550 288 W.政治 427 1,789 X.教育・宗教・文化 F.物価 83 O.農業 G.企業 421 P.畜産業 141 Y.統計 H.産業 523 Q.林業 351 Z.雑 I.商業・貿易 778 R.水産業 117 127 冊数 693 3,082 521