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倉田 晴登 - 奈良先端科学技術大学院大学附属図書館

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倉田 晴登 - 奈良先端科学技術大学院大学附属図書館
スフィンゴシン-1-リン酸受容体作動薬に関する創薬研究
2012 年 3 月
奈良先端科学技術大学院大学
物質創成科学研究科
倉田 晴登
目次
第一章 緒言…………………………………………………………………………………..1
1-1. スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)とその受容体...……….………………....1
1-2. 本研究背景…………………………………………………………………………..3
1-3. 本研究の目的………………………………………………………………………..5
1-4. 目的達成のための方法……………………………………………………………..6
1-5. 参考文献…………………………………………………………………………..…..9
第二章 出発化合物(ヒット化合物)に対する構造活性相関取得と経口吸収性改善の
検討…………………………………………………………………………………11
2-1.
序論…………………………………………………………………………………11
2-2.
ヒット化合物周辺誘導体の合成…………………………………………………13
2-3.
ヒット化合物周辺誘導体の構造活性相関………………………………………15
2-4.
ヒット化合物周辺誘導体の血中動態……………………………………………18
2-5.
小括…………………………………………………………………………………20
2-6.
実験の部……………………………………………………………………………21
2-7.
参考文献……………………………………………………………………………29
第三章 各部分構造の固定化の検討………………………………………………………30
3-1.
序論…………………………………………………………………………………30
3-2.
各部分構造の固定化化合物の合成………………………………………………31
3-3.
各部分構造の固定化化合物の構造活性相関……………………………………34
3-4.
シンナミル誘導体の血中動態……………………………………………………42
3-5.
小括…………………………………………………………………………………44
3-6.
実験の部……………………………………………………………………………45
3-7.
参考文献……………………………………………………………………………61
第四章 ジヒドロナフタレン骨格を有するリード化合物の創出………………………63
4-1.
序論…………………………………………………………………………………63
4-2.
中心部分のさらなる固定化化合物の合成………………………………………65
4-3.
中心部分のさらなる固定化化合物の構造活性相関……………………………70
4-4.
ジヒドロナフタレン誘導体の血中動態…………………………………………75
4-5.
リード候補化合物の各種基礎評価………………………………………………77
4-6.
小括…………………………………………………………………………………79
4-7.
実験の部……………………………………………………………………………81
4-8.
参考文献……………………………………………………………………………91
第五章 リード化合物の最適化……………………………………………………………92
5-1.
序論…………………………………………………………………………………92
5-2.
リード化合物の周辺誘導体の合成………………………………………………93
5-3.
末端脂溶性部分の構造活性相関と最適化………………………………………99
5-4.
代表化合物の薬物動態…………………………………………………………..106
5-5.
代表化合物の各種基礎評価………………………………………………..……108
5-6.
代表化合物の X 線結晶構造解析……………………………………………….109
5-7.
小括………………………………………………………………………..………111
5-8.
実験の部…………………………………………………………………..………113
5-9.
参考文献…………………………………………………………………..………133
第六章 結論………………………………………………………………………………..134
謝辞………..………………………………………………………………………………..137
研究業績リスト…………………………………………………..………………………..138
略語表
Ac: acetyl、アセチル
B.A.: Bioavailability、生物学的利用率
Bn: benzyl、ベンジル
Boc: tert-butoxycarbonyl、tert-ブトキシカルボニル
Bu: butyl、ブチル
EC50: effective concentration of 50%
ED50: effective dose of 50%
ESI: electrospray ionization、エレクトロスプレー法
Et: ethyl、エチル
GPCR: G-Protein Coupled Receptor、G タンパク共役型受容体
HPLC: high-performance liquid chromatography、高速液体クロマトグラフィー
i.v.: intravenous injection、静脈内注射
LC/MS: Liquid Chromatography / Mass Spectrometry、液体クロマトグラフィー/質量分
析法
Me: methyl、メチル
Ph: phenyl、フェニル
p.o.: per os、経口
Pr: propyl、プロピル
SAR: structure activity relationship、構造活性相関
S1P: sphingosine-1-phosphate、スフィンゴシン-1-リン酸
TLC: thin-layer chromatography、薄層クロマトグラフィー
Ts: toluenesulfonyl、トルエンスルホニル
溶媒や試薬などの略語については、第二章(6-1. General directions)の項を参照。
第一章
緒言
1-1.スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)とその受容体
スフィンゴシン-1-リン酸(sphingosine-1-phosphate: S1P)は生体内に豊富に存在
し、古くから血管新生作用や細胞死への関与など種々の生理作用を示すことが知られ
てきた生理活性脂質である 1。S1P は生体内で、細胞膜構成成分であるリン脂質から
スフィンゴミエリンやセラミド、スフィンゴシンなどの物質を経由して産生された後、
パルミトイルアルデヒドとホスホエタノールアミンに分解される 2(図 1-1)。また、
生化学上の分類においては、S1P は広義にはリン脂質に属するが、狭義には脂溶性の
2 本鎖を有するリン脂質とは区別され、脂溶性の 1 本鎖を有するリゾリン脂質
(lysophospholipid)に分類される 3(図 1-2)
。
S1P の発見当初はその細胞内での働きに注目が集まっていたが、近年、遺伝子タン
パクとして同定されていた EDG 遺伝子群 4(Endocerial Deferenciation Gene)が S1P の
受容体であることが判明し、S1P は細胞膜上に存在するこれら 5 つの S1P 受容体を介
して種々の生体内反応を担っていることが明らかとなってきた。S1P 受容体の生体内
での分布は受容体毎に異なっており、S1P はそれぞれの受容体を介して別々の生体内
。医薬品化学者は、様々な病態において
反応に寄与していると考えられる 5(図 1-3)
望ましい作用だけを発揮するために、あるいは、望ましくない作用だけを阻害するた
めに、受容体などの特定の標的に対してより選択性の高い化合物を設計することを大
きな目的の一つとするのである。(一方では、より効果を高めるために複数の異なる
標的に作用する薬物設計についても近年になって研究が進んでいる。)
OH
O
H3C
NH
H3C
CH3
+
N
CH
CH3 3
O
P
O
O
スフィンゴミエリン
O
OH
セラミド
OH
H3C
NH
H3C
O
OH
スフィンゴシン
OH
H3C
NH2
OH
O
H3C
NH2
O
H3C
O
P
OH
OH
+
NH2
O
P
O OH
OH
図 1-1. S1P の生体内産生経路
1
S1P
パルミトイルアルデヒド
+ ホスホエタノールアミン
リン脂質
模式図
OH
化学構造式(例)
O
H3C
NH
H3C
O
P
O
O
CH3
+
N
CH
CH3 3
O
リゾリン脂質
模式図
化学構造式(例)
OH
O
H3C
NH2
O
P
OH
OH
図 1-2. リン脂質とリゾリン脂質
S1P受容体
樹状図
S1P1(EDG-1)
S1P3(EDG-3)
S1P2(EDG-5)
S1P5(EDG-8)
S1P4(EDG-6)
:全身(脳, 心, 肺, 肝, 脾 etc )
:全身(心, 肺, 腎, 膵 etc)
:全身(肝, 肺, 心, 腎, 脾 etc )
:脳,脾,皮膚
:胸腺,脾,リンパ球
図 1-3. 各 S1P 受容体の相同性、旧名称との比較および主な生体内発現部位
2
1-2.本研究背景
2002 年に S1P の研究領域において大きな発見となる FTY720 に関する研究成果が
発表された。即ち当時、作用機序不明のまま京都大学の藤多哲朗教授らと台糖製薬、
吉富製薬が共同で臓器移植に伴う拒絶反応の抑制を適応として臨床開発していた
FTY720(Fingolimod)6 は、生体内でリン酸化を受けた代謝物が有効成分として働き、
S1P 受容体を介して免疫調節作用を発揮していることが報告された 7。さらにその後
の動物実験を用いた基礎研究から、FTY720 の免疫調節作用は、S1P1 受容体への作動
活性により誘導される S1P1 受容体の細胞内内在化反応に基づく作用であることが明
らかとなった 8。S1P1 受容体はリンパ球の細胞膜上に発現しており、リンパ球がリン
パ節などの 2 次リンパ器官から末しょう血中に移出する際に重要な役割を担っている。
S1P1 受容体がリンパ球細胞内に内在化してその役割が果たせなくなると、末しょう血
中のリンパ球数が減少し、炎症を悪化させるリンパ球の炎症患部への浸潤が抑制され
ることから、多発性硬化症の再発を抑制することができると考えられている。シクロ
スポリンに代表されるような免疫抑制剤は、リンパ球の機能に損傷を与えることによ
ってリンパ球の働きを抑制するのに対し、FTY720 はリンパ球の機能を保持したまま、
リンパ球を 2 次リンパ器官に格納することで有効性を発揮することから、安全性がよ
り高いと考えられており、従来の免疫抑制剤と比較して免疫調整剤と呼ばれている
(図 1-4)。FTY720 のライセンスを受けた Novartis 社は 2010 年、自己免疫疾患である
多発性硬化症治療薬の世界初の経口剤として、ロシアやアメリカなどで FTY720 の新
薬製造販売承認を取得した。2011 年には日本においてもその製造販売が認められた 9。
FTY720 (Novartis)
Lymphocytes
OH
OH
HCl NH2
Lymph node
in vivo
Lymphocytes
Homing
Blood
circulating
system
Sequestration
from peripheral
to lymph
FTY720-P
OH O
P
OH
+O
NH O
3
Binding Affinity, IC50 *
S1P1
S1P1
FTY720-P
6.3 nM
Internalization
Lymphocytes
Inflammatory
site
* Lynch, et al. J. Biol. Chem. 2002, 277, 21453
図 1-4. FTY720 とリン酸化代謝物(FTY720-P)の構造と作用機序
【参考】多発性硬化症 10
多発性硬化症は、日本人の患者が数千人という希少疾患であり、特定疾患に認定さ
れた中枢性脱髄疾患の一つである。また、欧米ではアジアに比べて 10 倍以上罹患率
3
が高いと言われている疾患であり、その名前は時間的・空間的に症状が多発すること
に由来する。すなわち、脳、脊髄、視神経など中枢系の複数の部位が炎症を起こし、
その再発と寛解を繰り返すことを特徴とする自己免疫疾患であり、主な症状としては、
視力障害、運動麻痺、感覚障害などが挙げられる。FTY720 が承認されるまでは治療
満足度と薬剤貢献度が最も低い疾患の一つとして新薬が待ち望まれていた(図 1-5)
11
。
図 1-5. 2005 年の治療満足度別における 2006~2009 年に承認された新薬状況
4
1-3.本研究の目的
FTY720 の発見によって S1P1 受容体作動薬の有用性が明らかとなった一方で、
FTY720 の臨床試験においては副作用として無症候性の徐脈(心拍数低下作用)が認
められた 12。一方マウスなどのげっ歯類においては、S1P3 受容体の作動活性により心
毒性が発現することが報告された 13。そこで本研究では、安全性に対する懸念のより
少ない経口多発性硬化症治療薬の開発を目指した。既に上市されている FTY720(商
品名 Gilenya)と同等の強力な S1P1 作動活性および生体内末しょう血リンパ球消失作
用を有し、かつ S1P3 受容体作動活性に対して数万倍の選択性を有する医薬品候補化
合物を創製することを目標とし、化合物構造と薬理活性などとの相関を分子レベルで
考察することによって、出発であるヒット化合物の課題を克服することを本研究の目
的とした。
5
1-4.目的達成のための方法
出発であるヒット化合物の活性強度、選択性、血中動態を改善するために、化合物
の化学構造と活性や物性との相関を分子レベルで考察することによって、目的の達成
を検討した。
生体内に内在的に存在するリガンド分子は、膜受容体や酵素など種々のタンパクと
結合することによって生体内の様々な生理学的反応を担っている。リガンドとタンパ
クの関係はしばしば鍵と鍵穴の関係に例えられる。リガンド(鍵)は生体内に存在す
る多数のタンパクの中で特定のタンパクのポケット(鍵穴)にのみ選択的に結合する
(図 1-6)。
+
生体内リガンド
(血中)
【鍵】
NH 3
O
H3C
S1P
OH
O
P
OH
O
受容体
(細胞膜)
【鍵穴】
S1P1
S1P2
S1P3
S1P4
S1P5
種々の生理学的反応
図 1-6. 生体内リガンド(鍵)と受容体(鍵穴)の関係
S1P は、良く似たポケット(鍵穴)を持つ S1P1 受容体と S1P3 受容体に同程度の結
合力で結合するが、合成化合物によって S1P1 受容体と S1P3 受容体の選択性を発現さ
せるためには、S1P3 受容体のポケットには収まりにくく、S1P1 受容体のポケットに隙
間なく収まる化合物を設計する必要がある。
(S1P2, 4, 5 受容体に関してはそれぞれにつ
いて様々な研究報告がなされており、それぞれの受容体について選択性を有する化合
物を創製することは興味深い研究対象であるが、本論文からは割愛する 14。)
本研究では、化合物を複数の部位に分割し、それぞれの部位に対する構造の固定化
方法および置換基効果を検討し、良い結果の得られた固定化および置換基に関する部
分構造を組み合わせることによって、化合物を最適化する方法を採用した。構造の固
定化については、特定の標的に作用する選択的な化合物の設計において非常に有用で
ある 15。本研究では、化合物設計―合成―薬理活性などの評価―構造活性相関(SAR)
6
の考察を基にした化合物設計というサイクルを効率的に繰り返すことによって、化合
物の最適化を検討した(図 1-7)。
化合物
設計
結果の
・骨格の固定化
・脂溶性部分の削減
・(受容体タンパク構造の可視化)
合成 ・骨格構築法の検討
・効率的合成ルートの構築
解析・考察
活性などの
評価
・細胞系でのin vitro活性評価
・経口投与によるin vivo活性評価
・化合物血中動態評価
・(毒性評価)
図 1-7. 化合物最適化サイクル
近年の技術開発により、標的とするタンパクを結晶化させ、X 線による構造解析に
よって化合物との作用部位(ポケット)の構造を可視化し、計算化学的アプローチに
よりコンピューター上で化合物構造を設計することが創薬化学の分野で積極的に行
われている。ただし、技術開発が進んだ現在においても、一部の特殊な技術を有する
研究施設およびベンチャー企業を除いて、タンパク構造の可視化技術を化合物設計に
応用できるのは、血中酵素あるいは細胞内酵素などの可溶性タンパクの分野に限定さ
れている。S1P 受容体は、現存する医薬品の半数程度が標的としている G タンパク共
役型受容体(GPCR16)に属するが、GPCR は、細胞膜なしではその 3 次元構造を安定
に保つことができない。GPCR としての機能を保持したまま細胞膜から取り出すには
特殊な技術が必要である。GPCR の結晶構造解析は、世界でもごく限られた施設で成
功しているのみであり
17
、本研究では実施しなかった。ただし、2012 年 2 月に S1P1
受容体の X 線結晶構造解析が報告されたことから
17e
、本研究で得られた構造活性相
関に関して、第三章と第五章で上記 X 線結晶構造解析の報告を加味して考察した。今
後の GPCR の結晶構造解析数の増加に伴って、GPCR の分野においても結晶構造を基
にした化合物設計の例が増えてくるものと思われるが、タンパクの結晶構造を基にし
た化合物設計においては、本来動的な標的であるタンパクの静的な情報のみに捉われ
た化合物設計によって方向性を誤らないように考察を加える必要がある。
また、既に結晶構造が報告された受容体の結晶構造を基(鋳型)にして、標的とす
る受容体の 3 次元構造を可視化しようという研究も実施されている。既に結晶構造が
7
解かれたタンパクを鋳型とし、標的とするタンパクのアミノ酸の 1 次配列の違いなど
を手掛かりに、計算化学の手法を利用して鋳型を改変する事によって標的とする受容
体の結合部位(ポケット)を可視化するのである。本研究の開始時点においては、鋳
型となる GPCR の結晶情報がウシのロドプシンの情報しかなく
17a
、計算機の性能に
も限界があったことから本方法を化合物設計に利用しなかった。ただし、その後の結
晶情報の増加および計算機の性能の向上により、現在に至っては、化合物の選択性の
結果を考察できる水準に達している事例もあると考えられる。本研究においても第五
章で、活性・選択性に関する結果の考察に計算化学による受容体の立体構造の情報を
活用した。
血管
細胞
低分子
(分子量) (~102)
ペプチド
タンパク製剤
(~103)
(~104-6)
血中酵素
G
細胞
GPCR
イオンチャネル
(G-Protein
Coupled Receptor)
核
(分子量)
細胞内酵素
図 1-8. 生体内に存在する代表的な薬物標的タンパクと薬物の大類別
医薬品はその分子量に応じて、概ね分子量が 102 台である低分子医薬品、103 台であ
るペプチドや天然物などの医薬品、104-6 台である抗体などのタンパク製剤に大別され
る(図 1-8)。低分子医薬品は、ペプチドやタンパク製剤に比べて低価大量生産、経口
医薬品の創製という面で利点があり、本研究では低分子医薬品で標的タンパクを制御
する方法を指向した。
8
1-5.参考文献
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2012, 335, 851.
10
第二章 出発化合物(ヒット化合物)に対する構造活性相関取得と経口吸収性改善の
検討
2-1.序論
医薬品開発はシーズ探索から新薬製造承認に至るまで 10 年から 20 年に渡る長い年
月をかけて行われる。医薬品の承認基準が年々厳格になっていることも影響して、近
年では低分子医薬品となる化合物の確率は 2~3 万分の一とも言われている。その医
薬品開発全体の中において医薬品化学者は、ライブラリのスクリーニングあるいは薬
理活性を有する天然物などから見出したヒット化合物を出発化合物として、構造変換
によって薬理作用および体内動態などを改善することで一つの医薬品候補化合物を
創出するという役割を担っている。その過程においては、合成した化合物の構造変換
に伴って変化する薬理活性、物性、体内動態、安全性などのデータを基に、さらに詳
細な化合物設計を実施する。その合成と評価のサイクルを繰り返しながら、途中段階
では、ある一定の基準を満たした化合物をリード化合物として設定し、そのリード化
合物の周辺構造を徹底的に調べ尽くすことで最適化された一つの医薬品候補化合物
を見出す。医薬品化学者はいかなる視点で化合物を設計し、如何に効率的に課題を克
服するかという研究命題に取り組む(図 2-1)。
1
20,000~30,000
シーズ探索
標的検証
ヒット
化合物
探索
医薬品
リード
候補
化合物
化合物
創出
創出
①
②
新薬
承認
前臨床試験
臨床試験
(PhI, II, III)
③
5 – 8 years
① ヒット化合物
大量合成
ルート検討
3 – 7 years
② リード化合物
1 – 2 years*
③ 医薬品候補化合物
*日本製薬協HPより改編
図 2-1. 医薬品創製における医薬品化学の位置付け
本研究では、保有する化合物ライブラリ 1 のスクリーニングにより、S1P1 受容体作
動活性を有し、かつ、弱いながらも in vivo 活性を有する化合物 1 を得たことから、本
11
化合物 1 をヒット化合物として合成展開を開始することとした。本化合物 1 の S1P3
受容体作動活性との選択性は 26 倍であった(図 2-2)。
In vivo 薬理活性(マウスPLL*)
ヒット化合物 1
*Peripheral Lymphocyte Lowering
(x
O
H
N
CO2H
104
cells/mL)
末しょう血 250
リンパ球数
ED50 = 26 mg/kg p.o. 4hr
200
In vitro 薬理活性
150
作動活性
EC50 (nM)
Comp
1
S1P1 S1P3
160
4200
選択性
100
**
S1P3 / S1P1
**
50
26
0
Vehicle
10
30
100
(mg/kg p.o.)
図 2-2. ヒット化合物 1 の活性プロファイル
FTY720 はマウスに 0.060 mg/kg 経口投与することで、投与 24 時間後に末しょう血
のリンパ球数を 50%低下させる(p.o. 24 h ED50 値 = 0.060 mg/kg)ことから、本研究
では、末しょう血リンパ球消失作用を in vivo 薬理作用の指標とし、FTY720 と同等の
ED50 値を in vivo 薬理作用面での目標値とした。また、S1P1 受容体作動活性について
は、FTY720-P と同程度の EC50 値 = 1 nM を、S1P3 受容体作動活性については、測定
可能な範囲で活性を示さないことを目標とした(EC50 値 > 10,000~30,000 nM、選択
性 1~3 万倍)。末しょう血リンパ球消失作用の ED50 値がヒトでの臨床有効投与量を
反映すると仮定した場合、目標とする活性を有する化合物の投薬量は、体重 60 kg の
成人に換算して 1 日当たりわずか 3.6 mg となる。主作用に基づく事例を除いて、1 日
当たり 10 mg 以下の薬物投与による副作用発現リスクは低いことが経験的に知られて
いることから、本研究においては、投与量を低減することで副作用リスクを軽減する
ことを目標とし、活性向上に主眼を置いた研究を行った。
12
2-2.ヒット化合物周辺誘導体の合成
本章に記載した化合物を以下に記した方法で合成した。ヒット化合物 1 および 11a
は、後に述べる経口吸収性の確認のために 2 g 以上の化合物が必要であったため、中
量合成が可能な合成ルートを採用した。すなわち、4-(3-アミノプロピル)フェ
ノール 2 からアクリル酸エステルへの共役付加と、引き続くアミノ基の tert-ブトキシ
カルボニル基による保護によって得られたフェノール誘導体 5 を塩基性条件下でアル
キル化反応に付した後、tert-ブトキシカルボニル基を脱保護することによって 4 段階
で合成した。化合物 11b-11c については、化合物 5 と同様の方法で合成した N-tert-ブ
トキシカルボニルβアラニン誘導体 8 を塩基性条件下、2-クロロトリチル樹脂とエ
ステル結合を生成させた後、固相樹脂上で光延反応を行うことによって合成した 2。
化合物 9 の樹脂からの切り出しを検討した際、塩酸などの強酸を用いて樹脂から切り
出した場合には、2-クロロトリチル樹脂と化合物 8 との結合反応においてフェノー
ル基が樹脂と結合した誘導体由来のアミノフェノール誘導体が同時に切り出された
ため、目的とするアミノ酸誘導体 11b-11c の単離が容易ではなかった。そこで、一旦
弱酸であるトリフルオロエタノールで tert-ブトキシカルボニル基を残したまま樹脂
からの切り出しを行い精製した後に、塩酸による tert-ブトキシカルボニル基の脱保護
工程を経て最終生成物を得た。化合物 11d-11f については、3-(4-ヒドロキシフ
ェニル)プロピオン酸メチル 12 をフェニルプロピル化して得られたメチルエステル
体 13 を水素化ジイソブチルアルミニウムで還元してアルデヒド体 14 を得た後、無保
護のアミノ酸との還元的アルキル化によって合成した 3(Scheme 2-1)。
13
HO
NH2
2
HO
a
CO2R
+
3m
(R = t-Bu)
CO2
Boc
N
n
5
O
d
CO2
a
+
tBu
HO
g
9
O
h
O
CO2H
Pol
CO2H
10b-c
H
N
HCl
n
Boc
N
CO2H
8
Boc
N
n
O
O
i
HO
CO2Me
7
Boc
N
e
b
H
N
CO2R
HO
CO2tBu
1 ; n =3
11a; n = 1
3n
(R = Me)
f
H
N
HCl
n
6 ; n =3
6a; n = 1
2
Boc
N
tBu
4
O
c
HO
b
H
N
CO2H
11b-c
b; n = 2
c; n = 4
HO
j
k
O
CO2Me
CHO
CO2Me
12
l
O
14
13
O
H
N
11d-f
CO2H
n
d; n = 1
e; n = 3
f;n=4
Scheme 2-1.(ヒット化合物周辺誘導体の合成)Reagent: (a) MeOH; (b) Boc2O, THF; (c)
Ph(CH2)5Br, K2CO3, DMF; (d) HCl/1,4-dioxane; (e) NaOH-aq, MeOH, THF; (f) Pol-Cl
(Pol=2-chlorotrityl resin), i-Pr2NEt, CH2Cl2; (g) Ph-(CH2)n-CH2CH2OH, n-Bu3P, TMAD,
CH2Cl2, THF; (h) CF3CH2OH, AcOH, CH2Cl2; (i) HCl/EtOAc; (j) Ph(CH2)3OH, PPh3, DEAD,
THF; (k) DIBAL-H/PhMe, CH2Cl2; (l) i) H2N(CH2)nCO2H, NaOH, HC(OMe)3, MeOH, THF,
ii) NaBH4.
14
2-3.ヒット化合物周辺誘導体の構造活性相関
2-3-1.方法
2-6-3を参照。
2-3-2.結果と考察
保有する脂質化合物ライブラリのスクリーニングにより見出したβアラニン誘導
体 1 を足掛かりとして研究を開始した。化合物 1 は末端部分の高極性のアミノ酸部分
(polar head group)を起点としてベンゼン環を含む脂溶性の長鎖構造(lipophilic tail)
が繋がった特徴的な構造を有していた。化合物 1 の構造活性相関取得の端緒として、
分子長が薬理活性に与える影響を確かめることとした。
化合物の長さや置換基を最適化するとともに、回転可能な結合を減らし、化合物構
造を鍵穴である受容体によりフィットしやすいコンフォメーション(活性コンフォメ
ーション)に固定化することができれば、薬理活性・選択性の向上が期待できる。本
章では最終目標を達成するために必要となる基礎的な構造活性相関情報を取得した。
【結果】
中心部分のベンゼン環と末端部分のベンゼン環の間のメチレン鎖の長さを変換し
た誘導体 11a-11c の in vitro 活性を評価し、化合物 1 の結果と比較した。メチレン鎖の
長さが 5 である化合物 1 が最も強い S1P1 作動活性を与えた。また、メチレン鎖の数
が 3 である化合物 11a は弱いながらも S1P1 作動活性を有していた(Table 2-1)。
アミノ基とカルボン酸との間のメチレン鎖の長さを変換した誘導体 11d-11f の in
vitro 活性を評価し、化合物 11a の結果と比較した。メチレン鎖の長さが 3 である化合
物 11e が化合物 11a と同程度の S1P1 作動活性を与えた(Table 2-2)。
15
Table 2-1. 中心部分のベンゼン環と末端部分のベンゼン環の間のメチレン鎖の長さを
変換した誘導体の in vitro 活性
in vitro (human)
Ca Assay EC50
Compound
No.
Structure
O
H
N
11a
O
O
1
O
Selectivity
S1P3 / S1P1
2600
9000
4
1500
>10000
>7
160
4200
26
2700
>10000
>4
CO2H
H
N
CO2H
H
N
11c
S1P3
(nM)
CO2H
H
N
11b
S1P1
(nM)
CO2H
Table 2-2. アミノ基とカルボン酸との間のメチレン鎖の長さを変換した誘導体の in
vitro 活性
in vitro (human)
Ca Assay EC50
Compound
No.
11d
11a
11e
11f
S1P1
(nM)
Structure
O
O
O
O
H
N
H
N
S1P3
(nM)
>10000 >10000
Selectivity
S1P3 / S1P1
1
CO2H
2600
9000
4
3800 >10000
>3
>10000 >10000
1
CO2H
H
N
CO2H
H
N
CO2H
16
【考察】
得られた構造活性相関を、生体内で S1P 受容体に作用する内因性のリガンドである
S1P の構造と比較し考察した。S1P は末端に高極性のアミノエチルリン酸構造を有し、
リン酸基から末端炭素まで 18 の炭素長を有する。中心部分のベンゼン環と末端部分
のベンゼン環の間の炭素長を変換した化合物 1 および 11a-11c の中で、S1P1 受容体お
よび S1P3 受容体ともに最も強い活性を与えた化合物 1 と S1P との重ね合わせの図を
以下に示した(図 2-3)。S1P のアミノ基から末端炭素までの長さは原子長にして 17
である。一方、パラ置換ベンゼンの原子長を 4 と仮定すると、化合物 1 のアミン原子
と末端炭素までの長さも原子長に換算して 17 となる。FTY720 の創製過程で行われた
分子長に関する研究においても同様の仮定が行われており、妥当な考察が得られてい
ることから、本研究においてもパラ置換ベンゼンの原子長を 4 と仮定した 4。また、
アミノ基とカルボン酸の間の炭素長を変換した化合物 11a, 11d-11f の中で、活性を保
持していた化合物 11a および 11e のアミノ基と酸性官能基であるカルボン酸の距離は、
S1P のアミノ基から酸性極性頭部のリン酸基までの距離と概ね一致していたことから、
化合物 1 は、内因性作動薬である S1P と同じ部位に結合して作動活性を発現している
と推察した。このことから、次章以降 S1P との重ね合わせを指向した化合物設計を実
施することとした。
化合物 1 のように、内因性のリガンドと同じ部位に結合して作用を発揮する作動薬
はオルソステリック作動薬と呼ばれ、内因性リガンド結合部位とは異なる部位に結合
して作用を発揮するアロステリック作動薬と区別される 5。
リン酸あるいはホスホン酸化合物 6 は分子の極性が高過ぎるために、膜透過性が極
めて低いことが知られており、リン酸あるいはホスホン酸化合物を経口薬として開発
するには困難が伴う。S1P1 作動活性の発現には必ずしも酸性パートが必須ではないこ
とが報告されており 7、寄与度については部分的であると考えられるが、化合物 1 の
カルボン酸がリン酸の代替構造としての働きを果たしていることが示唆されたこと
は非常に有益な情報であった。
S1P
O
NH2
O P OH
OH
O
OH
H
N
1
図 2-3. 化合物 1 と S1P の構造の重ね合わせ
17
OH
O
2-4.ヒット化合物周辺誘導体の血中動態
2-4-1.方法
2-6-3を参照。
2-4-2.結果と考察
ヒット化合物 1 をマウスに経口投与すると、投与 4 時間後に末しょう血リンパ球数
の減少が認められたことから、化合物 1 には一定の経口吸収性があることが推察され
たが、末端部分の長鎖構造の代謝に対する不安定性が懸念されたことから、炭素鎖の
短縮によって血中動態が改善するかどうか確認することとした。
そこで、化合物 1、および、末端部分のメチレン鎖を 2 炭素短縮した化合物 11a に
ついて、マウスにおける血中動態を測定した。
【結果】
化合物 1 および 11a をマウスに 10 mg/kg の用量で静脈内投与および 30 mg/kg の用
量で経口投与した際の血しょう中濃度推移を以下に示した。静脈内投与において化合
物 11a は化合物 1 に比べて 10 分の 1 以下の全身クリアランス値(CLtot;体内からの
消失速度のパラメーター)を示した。また、経口投与において化合物 11a は化合物 1
に比べて 10 倍以上の最高血しょう中濃度(Cmax)および血しょう中曝露量(AUCinf)
を有していた(図 2-4)。
O
Comp 1
i.v.
p.o.
Comp 11a
i.v.
p.o.
H
N
O
Dose
AUCinf
Tmax
(mg/kg) (ng・h/mL) (h)
10
4203
30
9281
2.0
10
30
H
N
CO2H
56736
139654
Cmax
CLtot
(ng/mL) (mL/min/kg)
39.7
2137
2.9
1.0
25067
T1/2
(h)
1.3
3.8
Vss
(mL/kg)
4110
1.6
3.8
351
B.A.
(%)
74
図 2-4. 化合物 1 および化合物 11a のマウスにおける血しょう中濃度推移
18
CO2H
82
【考察】
化合物 1 および 11a の生物学的利用率(B.A.)はそれぞれ 74%、82%であり、良好
な結果であった。化合物 1 と 11a の in vitro における溶解性および膜透過性(pH7.4 に
おける人工膜 PAMPA の値を指標)はそれぞれ 94 μM と 39 μM および 6.9 x 10-6 cm/s
と 37.6 x 10-6 cm/s であり、良好な B.A.は良好な膜透過性が反映されたものであると考
えられた。アミノ酸構造を有する化合物は一般的に溶解性に乏しく、化合物 1 および
11a についても溶解性は高くなかったが、優れた膜透過性が低溶解性の欠点を補うこ
とにより、良好な経口吸収性が確保されたものと推察された。
全身クリアランス(CLtot)に関しては、化合物 11a が化合物 1 より 10 倍以上小さ
な値を示したことから、代謝部位と考えられる側鎖のメチレン鎖を短くすることによ
って酸化代謝あるいは化合物の抱合代謝が抑制されたために、化合物の全身からの消
失速度が大きく改善したと考察した。代謝改善に伴って化合物の血しょう中曝露量の
パラメーターである(AUCinf)についても 10 倍以上の改善が認められたと考えられ
る。一般的に化合物の回転可能結合数がより少ないほど膜透過性が向上するという報
告がなされており 8、化合物 11a が化合物 1 よりも優れた血中動態を示したことは、
本報告に矛盾しない結果であった。構造の固定化(回転可能結合数の削減)は薬理活
性・選択性の改善のための戦略でもあり、血中動態特性および活性・選択性の改善に
対する戦略の方向性が一致する可能性を具体的に示すことができたと考えている。
末端部分の極性アミノ酸構造とそこから延びる脂溶性長鎖構造を有する化合物 1 お
よび 11a の両化合物がともに良好な経口吸収性を示したことから、今後、両化合物の
本構造特徴を大きく変化させることなく構造を最適化することが目標達成への近道
であると考えた。
化合物 1 を 30 mg/kg の用量でマウスに経口投与した際の、4 時間後の化合物の血し
ょう中濃度は 1131 ng/mL(= 3.1 μM)であり、ヒト受容体での S1P1 作動活性(EC50 =
0.16 μM)を上回っていた。S1P1 作動活性にはマウスとヒトで種差がないと仮定する
と、30 mg/kg の用量をマウスに経口投与した際に末しょう血リンパ球消失作用を示し
た事実を矛盾なく説明できる。S1P1 受容体タンパクのアミノ酸 1 次配列上の種差は小
さいことが知られており 9、今回の結果は、化合物の末しょう血リンパ球消失作用が、
化合物の血しょう中濃度で概ね説明が付くことを示唆していると考えられる。化合物
の血しょう中濃度で有効性を見積もることができる可能性を示唆できたことは、今後、
化合物の in vitro 活性・化合物血しょう中濃度・in vivo 活性の相関を考察する上でも、
臨床試験を実施する上でも、非常に有益であったと考えられる。
19
2-5.小括
本章では、ヒット化合物 1 の分子長を変換することにより、in vitro 活性と分子長に
関する構造活性相関情報が得られた。また、本化合物群は S1P1 受容体に対して、S1P
が結合する部位と同じ部位に作用していることが示唆された。このことから研究を進
める次段階として、化合物と S1P との重ね合わせを考慮した化合物設計を行うことと
した。また、化合物の回転可能結合数を減らすことで化合物の経口吸収性を向上させ
ることができることが示唆されたことから、化合物の構造の固定化によって、薬理活
性・選択性の向上と合わせて血中動態のさらなる改善を検討することとした(Table
2-3)。
Table 2-3. ヒット化合物周辺βアラニン誘導体 1、11a および S1P の活性・選択性・動
態比較
Pharmacokinetic Properties in rat
(30 mg/kg, oral dosing)
in vitro (human)
Ca Assay EC50
Compound
No.
11a
S1P1
(nM)
Structure
O
H
N
OH
S1P3
(nM)
AUCinf a
Cmax b
Selectivity
S1P3 / S1P1 (ug h/mL) (ug/mL)
T1/2
(hr)
2600
9000
4
140
25
3.8
160
4200
26
9.3
2.1
3.8
12
24
-
-
-
O
1
O
H
N
OH
O
S1P
NH2
O P OH
OH
O
OH
0.50
a
b
20
parameter for oral exposure
maximum concentration
2-6.実験の部(Experimantal)
2-6-1.
General directions
Unless noted otherwise, all reagents and solvents were used as purchased without further
purification. Analytical samples were homogeneous as confirmed by thin layer
chromatography (TLC) and afforded spectroscopic results consistent with the assigned
structures. Proton nuclear magnetic resonance spectra (1H NMR) were taken on a Varian
Mercury 300 spectrometer using deuterated chloroform (CDCl3) or deuterated methanol
(CD3OD) or deuterated dimethylsulfoxide (DMSO-d6) as the solvent. The chemical shift
values are reported in parts per million (δ) and coupling constants (J) in hertz (Hz). Electron
spray ionization (ESI) was determined on a Waters ZQ2000 spectrometer. Fast atom
bombardment mass spectra (FAB-MS, HRMS) and electron ionization (EI) were obtained on
a JEOL JMS-700 spectrometer. Atmospheric pressure chemical ionization (APCI) was
determined on a HITACHI M-1200H spectrometer. Infrared spectra (IR) were measured on a
JASCO FT/ IR-430 spectrometer. Elemental analysis (EA) was determined on a PE2400
series CHNS/O analyzer. Melting point (m.p.) was determined on a Yanagimoto MP-500D.
Microwave irradiation was carried out by CEM Discover. Column chromatography was
carried out on silica gel [Merck silica gel 60 (0.063–0.200 mm), Wako gel C200, or Fuji
Silysia FL60D] or Biotage horizon (QUAD, HORIZON). TLC was performed on silica gel
(Merck TLC or HPTLC plates, silica gel 60 F254).
The following abbreviations for solvents and reagents are used: tetrahydrofuran (THF),
diethyl ether (Et2O), diisopropyl ether (i-Pr2O), tert-butyl methyl ether (t-BuOMe), ethyl
acetate (EtOAc), n-hexane (hexane), toluene (PhMe), dimethylsulfoxide (DMSO),
dimethylformamide (DMF), dichloromethane (CH2Cl2), chloroform (CHCl3), methanol
(MeOH), ethanol (EtOH), isopropyl alcohol (i-PrOH), n-butyl alcohol (n-BuOH), acetic acid
(AcOH), formic acid (HCO2H), hydrochloric acid (HCl), trifluoroacetic acid (TFA),
trifluoroacetic anhydride (TFAA), 4-toluenesulfonic acid (p-TsOH), thionyl chloride (SOCl2),
oxalyl chloride (COCl)2, triethylamine (Et3N), diisopropylethylamine (i-Pr2NEt), potassium
carbonate (K2CO3), di-iso-buthyl alminium hydride (DIBAL-H), lithium alminium hydride
(LiAlH4), sodium borohydride (NaBH4), sodium triacetoxyborohydride (NaBH(OAc)3),
n-butyl lithium (n-BuLi), sodium hexamethyldisilazane (NaHMDS),
sodium hydride
(NaH), methyl magnesium bromide (MeMgBr), 4-dimethylaminopyridine (DMAP), sodium
hydroxide
(NaOH),
tri-n-butylphosphine
di-tert-butyl
(n-Bu3P),
dicarbonate
diethyl
(Boc2O),
triphenylphosphine
azodicarboxylate
(PPh3),
(DEAD),
N,N,N’,N’-tetramethylazo-dicarboxamide (TMAD), 1,1'-(azodicarbonyl)dipiperidine (ADDP),
21
carbon tetrabromide (CBr4), N,N'-dicyclohexylcarbodiimide (DCC), thioanisole (PhSMe),
trimethyl orthoformate HC(OMe)3, sodium iodide (NaI), ammonium chloride (NH4Cl),
magnesium sulfate (MgSO4), sodium sulfate (Na2SO4), palladium on carbon (Pd-C).
Polymer-supported (PS) reagents were purchased from Biotage. Aqueous solution is
represented as (-aq).
2-6-2. 化合物合成
tert-Butyl 3-{[3-(4-hydroxyphenyl)propyl]amino}propanoate (4)
To a stirred solution of 4-(3-aminopropyl)phenol 2 (1.83 g, 12.1 mmol) in MeOH (25 mL)
was added tert-butyl acrylate 3m (1.7 mL, 11.5 mmol) at room temperature. After stirring for
16 h, the mixture was concentrated under reduced pressure. The residue was purified by
chromatography on silica gel using (EtOAc / MeOH) as an eluent to yield 4 (1.55 g, 46%) as
a yellow oil. TLC Rf = 0.24 (EtOAc / MeOH, 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.45 (s, 9
H) 1.79 (m, 2 H) 2.44 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 2.60 (m, 4 H) 2.83 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.68 (d,
J=8.50 Hz, 2 H) 6.99 (d, J=8.50 Hz, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 280 (M + H)+, 224.
tert-Butyl 3-{(tert-butoxycarbonyl)[3-(4-hydroxyphenyl)propyl]amino}propanoate (5)
To a stirred solution of 4 (1.55 g, 5.55 mmol) in THF (30 mL) was added a solution of Boc2O
(1.15 g, 5.3 mmol) in THF (3 mL) at 0 °C. After stirring for 2 h, the mixture was concentrated
under reduced pressure. The residue was purified by chromatography on silica gel using
(hexane / EtOAc) as an eluent to yield 5 (1.57 g, 74%) as a colorless oil. TLC Rf = 0.45
(hexane / EtOAc, 2 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.43 (m, 18 H) 1.79 (m, 2 H) 2.51 (m,
4 H) 3.22 (m, 2 H) 3.42 (m, 2 H) 4.92 (s, 1 H) 6.75 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.03 (d, J=8.50 Hz, 2
H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 380 (M + H)+, 324, 280, 268, 224.
tert-Butyl
3-[(tert-butoxycarbonyl)(3-{4-[(5-phenylpentyl)oxy]phenyl}propyl)amino]propanoate (6)
To a stirred solution of 5 (3.70 g, 9.76 mmol) in DMF (37 mL) was added K2CO3 (4.32 g,
31.2 mmol) and 5-phenylpentyl bromide (3.55 g, 15.6 mmol) at room temperature. After
stirring for 16 h, the mixture was poured into cold water and the mixture was extracted twice
with (hexane / EtOAc, 2 / 1). The combined organic layer was washed with water, brine and
dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure. The residue was
purified by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent to yield 6 (4.86
g, 95%) as a colorless oil. TLC Rf = 0.19 (hexane / EtOAc, 10 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CDCl3) δ 1.43 (s, 18 H) 1.50 (m, 2 H) 1.72 (m, 6 H) 2.52 (m, 4 H) 2.64 (t, J=7.50 Hz, 2 H)
22
3.22 (m, 2 H) 3.43 (m, 2 H) 3.92 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.80 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.07 (d, J=8.50
Hz, 2 H) 7.18 (m, 3 H) 7.27 (m, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 526 (M + H)+, 470, 426, 414,
370.
N-(3-{4-[(5-Phenylpentyl)oxy]phenyl}propyl)-beta-alanine hydrochloride (1)
To a stirred solution of 6 (4.86 g, 9.26 mmol) in 1,4-dioxane (9 mL) was added a solution of
HCl in 1,4-dioxane (4 mol/L, 40 mL, 160 mmol) at room temperature. After stirring for 14 h,
the precipitates were collected by filteration and washed with 1,4-dioxane to yield 1 (2.49 g,
66%) as a white powder. TLC Rf = 0.35 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300
MHz, CD3OD) δ 1.49 (m, 2 H) 1.72 (m, 4 H) 1.96 (m, 2 H) 2.64 (m, 4 H) 2.71 (t, J=7.00 Hz,
2 H) 3.01 (m, 2 H) 3.23 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 3.92 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.82 (d, J=8.50 Hz, 2 H)
7.14 (m, 5 H) 7.23 (m, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 739 (2M + H)+, 370 (M + H)+; IR
(KBr) 2934, 2855, 2780, 2485, 1704, 1611, 1514, 1452, 1393, 1248, 1177, 1051, 1014, 826,
743, 697 cm-1; EA Calcd for C23H31NO3・HCl: C 68.05%, H 7.95%, N 3.45%, Found: C
68.28%, H 8.08%, N 3.42%, m.p. 135-146 °C.
tert-Butyl
3-((tert-butoxycarbonyl){3-[4-(3-phenylpropoxy)phenyl]propyl}amino)propanoate (6a)
The same procedure as 6 was performed using 5 (3.80 g, 10.0 mmol), 3-phenylpropyl
bromide (2.31 mL, 15.2 mmol), K2CO3 (4.20 g, 30.4 mmol) and DMF (36 mL) to yield 6a
(4.68 g, 94%) as a colorless oil. TLC Rf = 0.18 (hexane / EtOAc, 10 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CDCl3) δ 1.43 (s, 18 H) 1.81 (m, 2 H) 2.09 (m, 2 H) 2.52 (m, 4 H) 2.81 (t, J=7.50 Hz, 2 H)
3.22 (m, 2 H) 3.42 (m, 2 H) 3.94 (t, J=6.00 Hz, 2 H) 6.81 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.08 (d, J=8.50
Hz, 2 H) 7.21 (m, 3 H) 7.29 (m, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 498 (M + H)+, 442, 398, 386,
342.
3-({3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]propyl}amino)propanoic acid hydrochloride (11a)
The same procedure as 1 was performed using 6a (4.68 g, 9.42 mmol), a solution of HCl in
1,4-dioxane (4 mol/L, 38 mL, 152 mmol) and 1,4-dioxane (9 mL) to yield 11a (2.87 g, 81%)
as a white powder. TLC Rf = 0.31 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CD3OD) δ 2.02 (m, 4 H) 2.65 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 2.71 (t, J=7.00 Hz, 2 H) 2.78 (t, J=7.50 Hz,
2 H) 3.01 (m, 2 H) 3.24 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 3.92 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.84 (d, J=8.50 Hz, 2 H)
7.12 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.20 (m, 5 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 683 (2M + H)+, 342 (M +
H)+; HRMS (FAB) Calcd for C21H27NO3: 342.2069, Found: 342.2065; Elemental Analysis
Calcd for C21H27NO3・HCl: C 66.74%, H 7.47%, N 3.71%, Found: C 66.85%, H 7.55%, N
3.69%.
23
Methyl 3-{[3-(4-hydroxyphenyl)propyl]amino}propanoate (7)
The same procedure as 4 was performed using 3-(4-hydroxyphenyl)propylamine 2 (521 mg,
3.45 mmol) in MeOH (10 mL) and methyl acrylate 3n (327 mg, 3.80 mmol) in MeOH (4 mL)
to yield 7 (530 mg, 65%) as a yellow oil. TLC Rf = 0.35 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 80 / 10 /
1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.79 (m, 2 H) 2.58 (m, 6 H) 2.88 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 3.68 (s,
3 H) 6.66 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 6.98 (d, J=8.50 Hz, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 238 (M +
H)+.
3-{(tert-Butoxycarbonyl)[3-(4-hydroxyphenyl)propyl]amino}propanoic acid (8)
To a stirred solution of 7 (520 mg, 2.2 mmol) in THF (10 mL) was added a solution of Boc2O
(527 mg, 2.4 mmol) in THF (1 mL) at 0 °C. After stirring for 2 h at room temperature, MeOH
(5 mL) and 1 mol/L NaOH-aq (5 mL, 5 mmol) were added to the mixture at 0 °C. After
stirring for 6 h at room temperature, 1 mol/L HCl-aq (2.5 mL, 2.5 mmol) were added to the
mixture at 0 °C. The mixture was extracted with EtOAc. The organic layer was washed with
brine and dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure. To the
residue was added THF (2 mL), MeOH (2 mL) and 2 mol/L NaOH-aq (6 mL, 12 mmol) at
room temperature. After stirring for 4 h at room temperature, 2 mol/L HCl-aq (6 mL, 12
mmol) was added to the mixture at 0 °C. The mixture was extracted with EtOAc. The organic
layer was washed with brine and dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under
reduced pressure. The residue was purified by chromatography on silica gel using (hexane /
EtOAc) as an eluent to yield 8 (611 mg, 86%) as a pale yellow oil. TLC Rf = 0.40 (hexane /
EtOAc, 1 / 3); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.45 (s, 9 H) 1.81 (m, 2 H) 2.52 (t, J=7.00 Hz, 2
H) 2.61 (t, J=7.00 Hz, 2 H) 3.22 (m, 2 H) 3.47 (t, J=7.00 Hz, 2 H) 6.76 (d, J=8.50 Hz, 2 H)
7.02 (d, J=8.50 Hz, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 324 (M + H)+, 268, 224.
3-[(tert-Butoxycarbonyl)(3-{4-[(4-phenylbutyl)oxy]phenyl}propyl)amino]propanoic acid
(10b)
To a suspension of 1.00 mmol/g 2-chlorotrityl chloride resin (1.0 g, 1.0 mmol) was added a
solution of 8 (323 mg, 1.0 mmol) and i-Pr2NEt (0.70 mL, 4.0 mmol) in dry CH2Cl2 (10 mL) at
0°C. After shaking for 5 h at room temperature, the mixture was filterd and the residue was
washed with (CH2Cl2 / MeOH / i-Pr2NEt, 17 / 2 / 1) three times, CH2Cl2 three times, DMF
twice and CH2Cl2 twice. The combined organic solvent was concentrated under reduced
pressure to give 2-chlorotrityl resin-bound phenol (1.195 g). To 4-phenylbutylalcohol (63 mg,
0.42 mmol) was added 2-chlorotrityl resin-bound phenol (100 mg, theoretical 0.08 mmol) and
a solution of n-Bu3P (0.11 mL, 0.42 mmol) and TMAD (72 mg, 0.42 mmol) in THF (0.4 mL)
and CH2Cl2 (0.4 mL) at room temperature. After shaking 5 h, the mixture was filterd and the
24
residue was washed with (CH2Cl2 / THF, 1 / 1) four times and CH2Cl2 twice to give
2-chlorotrityl resin-bound phenylbutylether (c.a. 100 mg). To the resin was added a mixture of
AcOH, 2,2,2-trifuluoroethanol and CH2Cl2 (1 / 1 / 1, 1 mL) at room temperature. After
shaking for 3.5 h, the mixture was filterd and the residue was washed with (AcOH /
2,2,2-trifuluoroethanol / CH2Cl2, 1 / 1 / 1) twice and CH2Cl2 four times. The combined
organic solvent was concentrated under reduced pressure. The residue was purified by
chromatography on silica gel to yield 10b (2 mg, 6%) as a colorless oil. TLC Rf = 0.11
(hexane / EtOAc, 1 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.36 - 1.55 (m, 13 H) 1.74 - 1.87 (m, 4
H) 2.53 (t, J=7.0 Hz, 2 H) 2.61 (t, J=7.0 Hz, 2 H) 3.23 (t, J=7.0 Hz, 2 H) 3.46 (t, J=7.0 Hz, 2
H) 3.91 - 3.99 (m, 2 H) 6.80 (d, J=8.5 Hz, 2 H) 7.07 (d, J=8.5 Hz, 2 H) 7.15 - 7.22 (m, 3 H)
7.25 - 7.32 (m, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 456 (M + H)+, 400, 356.
3-({3-[4-(4-Phenylbutoxy)phenyl]propyl}amino)propanoic acid hydrochloride (11b)
To 10b (2 mg, 0.004 mmol) was added a solution of HCl in EtOAc (4 mol/L, 1 mL, 4 mmol)
at room temperature. After sttiring for 1 h, the mixture was concentrated under reduced
pressure to yield 11b (1.5 mg, quantitative yield) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.20
(CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.76 (m, 4 H) 1.96 (m,
2 H) 2.68 (m, 6 H) 3.01 (m, 2 H) 3.24 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 3.94 (m, 2 H) 6.83 (d, J=8.50 Hz, 2
H) 7.17 (m, 7 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 356 (M + H)+.
3-[(tert-Butoxycarbonyl)(3-{4-[(6-phenylhexyl)oxy]phenyl}propyl)amino]propanoic acid
(10c)
The same procedure as 10b was performed using 6-phenylhexanol (75 mg, 0.42 mmol) to
yield 10c (3 mg, 8%) as a colorless oil. TLC Rf = 0.44 (CHCl3 / MeOH, 10 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 1.36 - 1.55 (m, 13 H) 1.59 - 1.88 (m, 6 H) 2.49 - 2.67 (m, 6 H) 3.23 (m, 2 H)
3.47 (t, J=7.0 Hz, 2 H) 3.91 (t, J=6.5 Hz, 2 H) 6.80 (d, J=8.5 Hz, 2 H) 7.07 (d, J=8.5 Hz, 2 H)
7.14 - 7.21 (m, 3 H) 7.24 - 7.31 (m, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 484 (M + H)+, 384.
3-[(3-{4-[(6-Phenylhexyl)oxy]phenyl}propyl)amino]propanoic acid hydrochloride (11c)
The same procedure as 11b was performed using 10c (2.5 mg, 0.005 mmol) to yield 11c (2
mg, quantitative yield) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.29 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20
/ 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.42 (m, 4 H) 1.64 (m, 2 H) 1.74 (m, 2 H) 1.96 (m, 2
H) 2.66 (m, 6 H) 3.01 (m, 2 H) 3.24 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 3.91 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.83 (d,
J=8.50 Hz, 2 H) 7.13 (m, 5 H) 7.22 (m, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 767 (2M + H)+, 384
(M + H)+.
25
Methyl 3-[4-(3-phenylpropoxy)phenyl]propanoate (13)
To a solution of methyl 3-(4-hydroxyphenyl)propanoate 12 (2.50 g, 13.9 mmol) and
3-phenylpropanol (2.8 mL, 20.8 mmol) in THF (70 mL) was added PPh3 (5.46 g, 20.8 mmol)
and a solution of DEAD in PhMe (40%, 9.4 mL, 20.8 mmol) at room temperature. After
stirring for 2 h, the mixture was concentrated under reduced pressure. The residue was
purified by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent to yield 13
(2.66 g, 64%) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.45 (hexane / EtOAc, 5 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 2.09 (m, 2 H) 2.60 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 2.80 (m, 2 H) 2.89 (t, J=7.50 Hz, 2 H)
3.67 (s, 3 H) 3.94 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.82 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.10 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.20
(m, 3 H) 7.29 (m, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 316 (M + H2O)+, 299 (M + H)+, 267.
3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]propanal (14)
To a stirred solution of 13 (1.0 g, 3.36 mmol) in CH2Cl2 (15 mL) was added a solution of
DIBAL-H in hexane (0.95 mol/L, 3.5 mL, 3.36 mmol) at -78 ºC dropwase under inert
atmosphere. After stirring for 30 min at -78 ºC, MeOH (0.5 mL) was added to the mixture.
After stirring 40 min at room temperature, the insoluble was removed through Celite. The
filtrate was concentrated under reduced pressure. The residue was purified by
chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent to yield 14 (614 mg, 68%)
as a colorless oil. TLC Rf = 0.20 (hexane / EtOAc, 7 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.09
(m, 2 H) 2.77 (m, 4 H) 2.90 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 3.94 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.82 (d, J=8.50 Hz, 2
H) 7.09 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.20 (m, 3 H) 7.27 (m, 2 H) 9.82 (t, J=1.50 Hz, 1 H); MS (EI,
Pos.) m/z 268 (M+), 225, 150, 118, 107, 91 (base peak).
({3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]propyl}amino)acetic acid (11d)
To a suspension (a solution for 11e or 11f) of glycine (6.0 mg, 0.080 mmol) and NaOH (3.4
mg, 0.084 mmol) in MeOH (0.30 mL) was added a solution of 14 (30 mg, 0.11 mmol) in
MeOH (0.05 mL) at room temperature. After stirring for 15 min, NaBH4 (4 mg, 0.10 mmol)
was added to the mixture at 0 °C. After stirring for 1.5 h, the mixture was purified by
chromatography on silica gel using (CHCl3 / MeOH / NH4OH) as an eluent to yield 11d (22
mg, 85%) as a white powder. TLC Rf = 0.18 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR
(300 MHz, CD3OD) δ 2.03 (m, 4 H) 2.64 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 2.78 (m, 2 H) 2.96 (m, 2 H) 3.45
(s, 2 H) 3.92 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.83 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.18 (m, 7 H); MS (ESI, Pos. 20 V)
m/z 655 (2M + H)+, 328 (M + H)+.
4-({3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]propyl}amino)butanoic acid (11e)
26
The same procedure as 11d was performed using 4-aminobutanoic acid (8.2 mg, 0.080 mmol)
to yield 11e (25 mg, 89%) as a white powder. TLC Rf = 0.25 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5
/ 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.83 (m, 2 H) 1.94 (m, 2 H) 2.04 (m, 2 H) 2.37 (m, 2 H)
2.65 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 2.78 (m, 2 H) 2.93 (m, 2 H) 3.00 (m, 2 H) 3.92 (t, J=6.50 Hz, 2 H)
6.83 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.19 (m, 7 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 711 (2M + H)+, 356 (M +
H)+.
5-({3-[4-(3-phenylpropoxy)phenyl]propyl}amino)pentanoic acid (11f)
The same procedure as 11d was performed using 5-aminopentanoic acid (9.4 mg, 0.080
mmol) to yield 11f (3 mg, 10%) as a white powder. TLC Rf = 0.28 (CHCl3 / MeOH / NH4OH,
20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.66 (m, 4 H) 2.03 (m, 4 H) 2.21 (t, J=6.50 Hz, 2
H) 2.65 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 2.78 (m, 2 H) 2.94 (m, 4 H) 3.92 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.83 (d,
J=8.50 Hz, 2 H) 7.18 (m, 7 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 739 (2M + H)+, 370 (M + H)+.
2-6-3. 化合物評価
本研究では、S1P1 受容体および S1P3 受容体を過剰発現させた CHO 細胞(チャイニ
ーズハムスター卵巣細胞)に被験化合物の溶液をそれぞれ添加した際の細胞内カルシ
ウム流入量を測定し、in vitro 評価の指標とした。即ち、内因性リガンドである S1P
の最大反応を 100%として、細胞内カルシウム流入量が 50%となる化合物濃度を EC50
として化合物間比較に用いた。
また、化合物を被験動物に経口投与後、一定時間後に末しょう血中のリンパ球数を
測定し、媒体投与群と比較した際のリンパ球の減少の度合いを in vivo 薬理作用の指標
とした。即ち、媒体投与群の末しょう血中リンパ球数を 100%として、被験化合物投
与群の末しょう血中リンパ球数を 50%に減少させる化合物の投与量を被験動物の体
重換算で ED50 として化合物間比較に用いた。化合物の血中動態については、被験動
物に化合物を経口投与または静脈内投与後、一定時間後に血液サンプルを採取し化合
物の濃度を測定した。また、投与後の各時間における化合物濃度を経時的に測定する
ことにより化合物の血しょう中濃度推移を計算した。以下、それぞれの実験条件を記
載した。
・in vitro S1P 作動活性評価(細胞内カルシウムイオン[Ca2+]i の濃度測定)
ヒト S1P1 受容体、S1P3 受容体遺伝子をそれぞれ過剰発現させた CHO 細胞を、
10%FBS(ウシ胎児血清)、ペニシリン/ストレプトマイシンおよびブラストサイジン
(5 μg/mL)含有の Ham’sF12 培地(GIBCO BRL 社製)で培養した。培養した細胞を
5 μM Fura2-AM 溶液(10%FBS、20 mM HEPES 緩衝液(pH7.4)、および 2.5 mM プロ
27
ベネシド含有の Ham’sF12 培地)中で、37℃、60 分間インキュベートした。20 mM HEPES
緩衝液(pH7.4)および 2.5 mM プロベネシドを含む Hanks 液で1回洗浄し、同液に
浸した。蛍光ドラッグスクリーニングシステム(FDSS6000;浜松ホトニクス(株))
にプレートをセットし、30 秒間無刺激で細胞内カルシウムイオン濃度を測定した。被
験薬(終濃度:1 nM~10 μM、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液)を添加し、そ
の 5 分後に S1P(終濃度:100 nM)を添加して、S1P 添加前後の細胞内カルシウムイ
オン濃度の上昇を 3 秒間隔で測定した(励起波長 340 nm および 380 nm、蛍光波長 500
nm)。化合物の各 S1P 受容体に対するアゴニスト活性は、評価化合物の代わりに DMSO
を添加したウェルでの S1P 刺激でのピーク値をコントロール値(A)とし、評価化合
物の添加前の値から添加後の蛍光比の上昇値(B)とを比較し、細胞内カルシウムイ
オン[Ca2+]i濃度上昇率を%で、上昇率(%)=(B/A)×100で算出した。
化合物の各濃度での上昇率を求め EC50 値を算出した。
・in vivo 薬理作用評価(末しょう血中リンパ球数の測定)(マウス)
7 週齢から 8 週齢の雄性 BALB/c 系マウス(3 匹から 5 匹)を用いて、被験化合物
を経口投与し、4 時間後から 24 時間後に、エーテル麻酔下において、腹部大静脈より
採血した。血液中のリンパ球数を多項目自動血球計数装置(SF-3000, Sysmex)にて測
定した。評価方法は、溶媒投与群(Vehicle 群)における平均リンパ球数を 100%とし、
各化合物投与群の平均リンパ球数から% of Vehicle 値を算出した。被験化合物投与量
と% of Vehicle 値から検量線を作成し、血中リンパ球数を 50%にまで落とすのに必要
な化合物投与量を ED50 値として算出した。
・化合物血しょう中濃度の測定(マウス)
6 週齢から 8 週齢の雄性 BALB/c マウス 21 匹のそれぞれに、ウェルソルブ(セレス
テ社製)で溶かした被験化合物を生理食塩水で希釈し、経口投与液(20%ウェルソル
ブ)あるいは静脈内投与液(10%ウェルソルブ)をそれぞれの投与経路で投与し、投
与後の各時間(7 ポイント)においてそれぞれ 3 匹のマウスから採血を行った。採血
後血球成分を除去した血漿 25 μL を 2% アンモニア水 200 μL で希釈し、あらかじめ
200 μL のメタノールと 200 μL の水でコンディショニングを行った Oasis HLB(Waters)
プレートに内部標準物質 10 ng とともに全量を加えた。5%メタノール 200 μL で洗浄
後、AcCN/IPA(4/6)+2% アンモニア水混液 100 μL で溶出した。溶出後の溶液 10 μL
を LC/MS/MS に注入し定量することで各個体の各時間における血しょう中濃度を算
出し、各時間における 3 匹のマウスの平均値を用いて算出した血しょう中濃度から各
血中パラメーターを算出した。
28
2-7.参考文献
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Pharmacol., 2008, 74, 1308.
6. (a) Hale, J. J.; Doherty, G.; Toth, L.; Mills, S. G.; Hajdu, R.; Keohane, C. A.; Rosenbach,
M. J.; Milligan, J.; Shei, G.-J.; Chrebet, G.; Bergstrom, J.; Card, D.; Forrest, M.; Sun, S-Y.;
West, S.; Xie, H.; Nomura, N.; Rosen, H.; Mandala, S. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 14,
3501. (b) Yan, L.; Hale, J. J.; Lynch, C. L.; Budhu, R.; Gentry, A.; Mills, S. G.; Hajdu, R.;
Keohane, C. A.; Rosenbach, M. J.; Milligan, J.; Shei, G.-J.; Chrebet, G.; Bergstrom, J.;
Card, D.; Rosen, H.; Mandala, S. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 14, 4861.
7. (a) Jo, E.; Sanna, M. G.; Gonzalez-Cabrera, P. J.; Thangada, S.; Tigyi, G.; Osborne, D. A.;
Hla, T.; Parrill, A. L.; Rosen, H. Chemistry and Biology, 2005, 12, 703. (b) Hale, J. J.;
Lynch, C. L.; Newway, W.; Mills, S. G.; Hajdu, R.; Keohane, C. A.; Rosenbach, M. J.;
Milligan, J.; Shei, G.-J.; Parent, S. A.; Chrebet, G.; Bergstrom, J.; Card, D.; Ferrer, M.;
Hodder, P.; Strulovici, B.; Rosen, H.; Mandala, S. J. Med. Chem., 2004, 47, 6662.
8. Veber, D. F.; Johnson, S. R.; Cheng, H.-Y.; Smith, B. R.; Ward, K. W.; Kopple K. D. J.
Med. Chem. 2002, 45, 2615.
9. Ishii, I.; Fukushima, N.; Ye, X.; Chun, J. Annu. Rev. Biochem., 2004, 73, 321.
29
第三章 各部分構造の固定化の検討
3-1.序論
低分子化合物と受容体との関係はしばしば鍵と鍵穴の関係に例えられる。化合物の
回転可能な結合数を減らし、化合物構造を活性コンフォメーションに固定化すること
ができれば、より鍵穴にフィットしやすくなり、薬理活性・選択性が向上する。そこ
で、前章で得られた化合物 11a の構造を A、B、C の 3 つの部位に分割し、それぞれ
の部位の固定化に対する構造活性相関を検討することで、分子構造の固定化が薬理活
性に与える影響を検討することとした(図 3-1)。
A パート
B パート
O
C パート
H
N
11a
図 3-1. 化合物 11a の化学構造の分割
30
CO2H
3-2.各部分構造の固定化化合物の合成
A パートを固定化した誘導体 16 および 17 は第二章の Scheme 2-1 で合成した化合
物 7 を出発として、以下に示す合成スキームに従って合成した(Scheme 3-1)。
HO
H
N
HO
a
O CF3
N
CO2Me
b
c
O
15
7
H
N
CO2Me
CO2H
16
O
H
N
CO2H
17
Scheme 3-1.(A パートの固定化化合物の合成)Reagent: (a) TFAA, Py, CH2Cl2; (b)
trans-PhCH=CHCH2OH (for 16) or PhC≡CCH2OH (for 17), Ph3P, ADDP, THF; (c) NaOH-aq,
MeOH, THF.
B パートにトランス二重結合を導入しシンナミル構造に固定化した化合物 21a は、
第二章 Scheme 2-1 と同様の方法でシンナミルアルデヒド誘導体 20a とβアラニンと
の還元的アルキル化反応によって合成した 1。アルデヒド誘導体と無保護のアミノ酸
との還元的アルキル化反応によって 1 段階で最終化合物が得られる反応が確立できた
ことは、これらの誘導体の合成の効率化に大きく貢献した。本反応では、βアラニン
など溶解性の悪いアミノ酸試薬を、メタノール中で粉末状の水酸化ナトリウムと共に
すりつぶすことでアミノ酸をナトリウム塩として溶解させた後に縮合反応に供した。
シンナミルアルデヒド誘導体 20a については、市販の4-ヒドロキシ桂皮酸 18a を塩
化チオニル/メタノール中でメチルエステル化した後、光延反応を行うことにより得
られたエーテル体 19a を原料とした還元反応による合成方法を検討した。1 当量の水
素化ジイソブチルアルミニウムを用いた反応ではアルデヒド体 20a は全く得られず、
原料 19a と過還元体であるアルコール体の1:1の混合物を与えた。また、得られた
アルコール体のデスマーチン試薬による酸化反応は複雑な混合物を与えた。そこで、
ノルマルヘキサン中、ジエチルアミン共存下、水素化リチウムアルミニウムを作用さ
せることによって、エーテル体 19a から一段階でアルデヒド体 20a を得る方法を検討
し、目的とするシンナミルアルデヒド誘導体 20a を得た 2(Scheme 3-2)。
HO
a
b
c
O
CO2H
19a
18a
d
CO2Me
O
H
N
O
20a
CHO
CO2H
21a
Scheme 3-2.(B パートの固定化化合物(シンナミル誘導体)の合成-1)Reagent: (a)
SOCl2, MeOH; (b) Ph(CH2)3OH, Ph3P, DEAD, THF; (c) LiAlH4, Et2NH, n-Hexane; (d) i)
H2NCH2CH2CO2H, NaOH, HC(OMe)3, MeOH, THF; ii) NaBH4.
31
シンナミル誘導体 21b-21d は以下の方法に従って合成した。二重結合のトランス配
置を有するアルデヒド誘導体 20b は、市販のアルデヒド誘導体 22b とジエチル(シア
ノメチル)ホスフォネート誘導体とのホーナーエモンズ反応により得たニトリル体
23b を水素化ジイソブチルアルミニウムで還元することによりアルデヒド体 24b とし、
本アルデヒド体 24b を塩基性条件下、3-フェニルプロピルブロミドと反応させるこ
とで合成した(Scheme 3-3)。アミノ基のγ位にメチル基を有するアルデヒド誘導体
20c-20d については、反応中に生成した幾何異性体との分離が難しく、異性体混合物
のまま化合物 20b と同様の方法で反応を進め、アルキル化した後に分離することでそ
れぞれのアルデヒド誘導体 20c-20d として単離した。二重結合部分にメチル基を有す
る誘導体においては、幾何異性体の生成および分離の問題から、概して収率が低かっ
た。
a
HO
HO
R1
HO
R2
CHO
R1
R1
23b-d
24b-d
d
e
O
R2 H
N
CHO
20b-d
R1
R1
c
R2
CN
O
22b-c
O
b
R2
CO2H
HCl
21b-d
b; R1=H, R2=Me, trans
c; R1=Me, R 2=H, trans
d; R1=Me, R 2=H, cis
Scheme 3-3.(シンナミル誘導体の合成-2)Reagent: (a) (EtO)2P(O)CHR2CN (b: R2=Me,
c: R2=H), NaH, THF; (b) DIBAL-H, THF; (c) i) Ph(CH2)3Br, K2CO3, DMF; ii) separation of
geometric isomers 20c and 20d; (d) i) H2NCH2CH2CO2H, NaOH, HC(OMe)3, MeOH, THF;
ii) NaBH4; (e) HCl-aq/THF.
中心部分のベンゼン環に置換基を有するシンナミル誘導体 21e-21j についてもベン
ズアルデヒド誘導体 22e, 22g-22i, 22p を出発物質として、同様の方法で合成を行った。
21j については、ベンジル保護体の市販試薬 22p を出発物質としシンナミルアルデヒ
ド 24p まで誘導した後、チオアニソール中トリフルオロ酢酸との反応によりベンジル
基の脱保護を行いフェノールアルデヒド誘導体 24j へと導いた(Scheme 3-4)。
32
R
O
3 R'
2
a
R
R'
O
b
R
CHO
R'
O
CN
22e; R = R' = H
22g; R = H, R' = 3-Me
22h; R = H, R' = 2-Cl
22i ; R = H, R' = 2-OMe
22p; R = CH2Ph, R' = 2-Me
d
23e; R = R' = H
23g; R = H, R' = 3-Me
23h; R = H, R' = 2-Cl
23i ; R = H, R' = 2-OMe
23p; R = CH2Ph, R' = 2-Me
R'
O
CHO
e
24e; R = R' = H
24g; R = H, R' = 3-Me
24h; R = H, R' = 2-Cl
24i ; R = H, R' = 2-OMe
24p; R = CH2Ph, R' = 2-Me
24j ; R = H, R' = 2-Me
3 R'
2
O
f
n
n
CHO
c
H
N
CO2H
HCl
21e; R' = H, n = 1
21f ; R' = H, n = 2
21g; R' = 3-Me, n = 1
21h; R' = 2-Cl, n = 1
21i ; R' = 2-OMe, n = 1
21j ; R' = 2-Me, n = 1
20e; R' = H, n = 1
20f ; R' = H, n = 2
20g; R' = 3-Me, n = 1
20h; R' = 2-Cl, n = 1
20i ; R' = 2-OMe, n = 1
20j ; R' = 2-Me, n = 1
Scheme 3-4.(シンナミル誘導体の合成-3)Reagent: (a) (EtO)2P(O)CH2CN, NaH, THF
(for 22g and 22p) or THF/DMF (for 22e, 22h and 22i); (b) DIBAL-H/PhMe, CH2Cl2 (for 23e)
or THF (for 23g, 23i and 23p) or THF/CH2Cl2 (for 23h); (c) trifluoroacetic acid (TFA),
PhSMe; (d) Ph(CH2)3+nBr, K2CO3, DMF; (e) i) β-alanine, NaOH (powder), MeOH (for 20e,
20f, 20h and 20i) or MeOH/THF (for 20g and 20j), HC(OMe)3 (for only 20i), ii) NaBH4; (f)
HCl/1,4-dioxane, 1,4-dioxane (for 21e, 21f, 21h and 21i) or 1,4-dioxane/H2O (for 21g and
21j).
C パートのβアラニン部分を環状アミノ酸に変換した 25a-25f については、前章
Scheme 2-1 に記載した共通中間体のアルデヒド体 14 と種々の環状アミノ酸を、
Scheme 2-1 と同様の還元的アルキル化反応に付すことにより合成した(Scheme 3-5)。
CO2H
*
a
O
O
N
CO2H
*
CHO
14
N
*
25a
N
CO2H
*
N
CO2H
25d
N
CO2H
25e
25b
CO2H
25a-f
*
CO2H
N
25c
*
N
25f
Scheme 3-5.(C パートの固定化化合物の合成)Reagent: (a) i) each unprotected cyclic
amino acid, NaOH, HC(OMe)3, MeOH, THF; ii) NaBH4.
33
3-3.各部分構造の固定化化合物の構造活性相関
3-3-1.方法
2-6-3を参照。
3-3-2.結果と考察
分子構造における各部分構造の固定化が薬理活性に与える影響を確かめるために
3-2で合成した化合物の薬理活性を測定し、その結果について考察した。
【結果(A パート、C パート)-1】
中心部分のベンゼン環と末端部分のベンゼン環の間(A パート)のメチレン鎖を二
重結合および三重結合で固定化した誘導体 16-17 の in vitro 活性を評価し、化合物 11a
の結果と比較した。化合物 16-17 はいずれも S1P1 作動活性が減弱した。また、アミノ
酸部分(C パート)を環状アミノ酸で固定化した誘導体 25a-25f の in vitro 活性を評価
し、化合物 11a の結果と比較した。ほぼ全ての環状アミノ酸において S1P1 作動活性
が減弱したが、3-アゼチジンカルボン酸構造を有する化合物 25a が化合物 11a と同
等以上の S1P1 作動活性を与えることが明らかとなった。(Table 3-1)
34
Table 3-1. A パートと C パートの固定化化合物に対する構造活性相関
in vitro (human)
Ca Assay EC50
Compound
No.
11a
16
17
25a
S1P1
(nM)
Structure
O
O
O
H
N
Selectivity
S1P3 / S1P1
4
2600
9000
>10000
>10000
(1)
>10000
>10000
(1)
1600
6400
>10000
>10000
(1)
7600
>10000
>1
>10000
>10000
(1)
>10000
>10000
(1)
>10000
>10000
(1)
CO2H
H
N
CO2H
H
N
O
S1P3
(nM)
CO2H
CO2H
4
N
25b
O
N
CO2H
25c
O
CO2H
N
25d
O
N
CO2H
25e
O
N
25f
CO2H
O
CO2H
N
【考察(A パート、C パート)-1】
A パートについては薬理活性向上に効果的な固定化化合物は見出されなかった。末
端に柔軟な構造を有する S1P や FTY720 が強力な S1P1 作動活性を有していることか
ら、A パートはあまり固定化し過ぎない方が強い S1P1 作動活性を与えると考察した。
作動活性の発現および受容体の内在化に関して、S1P1 受容体が末端部分の柔軟な構造
を好んでいる可能性があると考えられる。
C パートについては3-アゼチジンカルボン酸誘導体がβアラニン誘導体と同等
以上の薬理活性・選択性を与えた。前章で実施した C パートのメチレン鎖の長さの変
換では、βアラニンとγアミノブタン酸に明確な活性の差は認められなかったが、本
35
章での固定化の結果から、C パートのメチレン鎖の長さは 2 つが最適であることが示
唆された。アミノ酸部分の構造活性相関については、アミノ酸誘導体で同様の研究を
行っている Merck 社からも報告されており、同様の結果が報告されている 3。
【結果(B パート)-2】
中心部分のベンゼン環とアミノ基の間(B パート)のアルキル側鎖を二重結合で固
定化したシンナミル誘導体 21a-21d の in vitro 活性および in vivo 活性の結果を以下に
まとめた。化合物 21a は化合物 11a と比較して S1P1 作動活性が 30 倍以上向上した一
方で、S1P3 作動活性には 3 倍程度しか影響しなかったことから、10 倍以上の選択性
改善が認められた。また、共役二重結合の周辺の置換基効果を検討したところ、アミ
ノ基のβ位、γ位のいずれの位置にメチル基を導入した化合物(それぞれ 21b、21c)
においても、S1P1 作動活性が向上した。一方、シス配置に固定化した誘導体 21d にお
いては、トランス配置に固定化した誘導体 21c に比べて 40 倍程度 S1P1 作動活性が減
弱した。
化合物 21a および 21c においては、化合物 1 と比較して、in vitro 活性の向上に伴っ
て in vivo 活性が向上していることを確認した(Table 3-2)。
Table 3-2. Bパートの固定化化合物(シンナミル誘導体)に対する構造活性相関
R=
Compound
No.
11a
21a
21b
21c
21d
in vitro (human)
Ca Assay EC50
*
Structure
RO
H
N
RO
H
N
RO
RO
RO
CO2H
CO2H
βH
N
H
N
γ
H
N
CO2H
CO2H
CO2H
in vivo (mouse)
PLL Efficacy ED50
S1P1
(nM)
S1P3
(nM)
Selectivity
S1P3 / S1P1
p.o. 4hr
(mg/kg)
2600
9000
4
-
70
3300
47
4.6
33
1900
58
-
21 >10000 >476
930
36
>10000
11
0.69
-
【考察(B パート)-2】
シンナミル誘導体への変換で、S1P1 受容体作動活性が向上し、S1P3 作動活性に対す
る選択性が劇的に向上したことについて、以下のように考察した。S1P1 受容体作動活
性の向上については、S1P とシンナミル誘導体との構造の重ね合わせから、化合物に
導入した共役二重結合が S1P の二重結合と同様の役割を果たすことで、S1P1 受容体作
動活性の向上に貢献したと考察した(図 3-2)。S1P の二重結合が還元されたジヒドロ
スフィンゴシン-1-リン酸(スフィンガニン-1-リン酸)の S1P1 受容体作動活
性は S1P のそれと比較して減弱するという報告は、本考察の一部を裏付けるものと考
えている 4。
Structural similarity between S1P and cinnamyl derivatives
+
Ligand
in living
organism
NH 3
O
H3C
S1P
O
H
N
21a
Not influenced
π-electrophilic by π-electron
π-electron
part
S1P1
OH
Basic
part
O
P
OH
O
CO2H
Acidic
part
S1P3
図 3-2. S1P とシンナミル誘導体 21a との構造の重ね合わせ
二重結合に結合したメチル基が活性・選択性の発現に重要であるという結果につい
ては、以下のように考察した。他の研究者らから S1P1 受容体に選択的な作動活性を
有する化合物としてベンジルアミン誘導体が報告されており、アミノ基から脂溶性末
端に向けて一炭素離れた場所のベンゼン環が活性・選択性に重要な役割を果たしてい
ることが考えられる 3b, 5。これらベンジルアミン誘導体のアミン部分と本研究で合成
した化合物のアミン部分が重なると仮定すると、本研究で合成した化合物の二重結合
部分が上記ベンジルアミン誘導体のベンゼン環部位と重なることから、二重結合近傍
をメチル基で嵩高くすることによって、ベンジルアミン誘導体のベンゼン環と同様の
働きを発揮し、活性・選択性が向上したと考えられる。テトラヒドロイソキノリン誘
37
導体によって S1P1 選択的化合物の創製が可能であることも報告されており 5d、このこ
とからもアミン近傍のπ電子および中心部分の立体的な嵩高さの重要性が示唆され
る(図 3-3)。
F
FF
S
O
CO2H
N
N
ON
O
N
N
O
H
N
CO2H
CO2H
21a
図 3-3. 他の研究者から報告されたベンジルアミン誘導体とシンナミル誘導体との重
ね合わせによる、シンナミル誘導体の二重結合部位の嵩高さの重要性の考察
Parent らは、GPCR の受容体であるウシのロドプシンの結晶構造を基に、タンパク
のアミノ酸の 1 次配列の違いから S1P1 受容体および S1P3 受容体の立体構造を計算し、
化合物の中心部分の立体的な嵩高さによって S1P1 受容体に対する活性・選択性が向
上する原因が、化合物の中心部分近傍に位置すると計算された S1P1 受容体タンパク
の 276 番目のロイシンと S1P3 受容体タンパクの 263 番目のフェニルアラニンの立体
的な違いにあると考察していた
6a
。別の研究者からも同様の研究が行われており
6b
、
化合物の中心部分の嵩高さは、S1P1 受容体タンパクの 276 番目のロイシンと S1P3 受
容体タンパクの 263 番目のフェニルアラニンの立体的な差によって生じる両受容体間
のポケットの大きさの差を認識するのに重要であると考えられていた。
一方、2012 年 2 月になって Stevens らが S1P1 受容体の結晶構造解析に成功し、S1P1
受容体タンパクの 276 番目のロイシンは化合物の中心部分ではなく、脂溶性末端部分
の近傍に位置すると報告した 7。Stevens らによって取得されたヒト S1P1 受容体の結晶
は、作動活性を有する化合物ではなく、拮抗活性を有する化合物との共結晶ではあっ
たが、ウシのロドプシンを鋳型にして計算から見積もられた Parent らの結果と比較す
ると精度が高いと考えられた。脂溶性末端部分の近傍に位置すると考えられる S1P1
受容体タンパクの 276 番目のロイシンと S1P3 受容体タンパクの 263 番目のフェニル
アラニンの立体的な差が化合物の構造活性相関に与える影響については第五章で考
38
察する。また、二重結合部分のアミノ基のγ位へのメチル基の導入が特に S1P1 作動
活性の向上および S1P3 作動活性の選択性改善に寄与した考察については、次章で考
察を加えたい。
Stevens らの上記報告によれば、S1P1 受容体のポケットはほぼ直線的な形状を有し
ていると見積もられていることから、大きく折れ曲がったシス配置を有する化合物
21d については、S1P1 受容体作動活性が大きく低下したものと推察された。
【結果(A パート)-3】
ヒット化合物と比較して中心部分の構造が変化したことから、改めてシンナミル誘
導体に関して、中心部分のベンゼン環から末端部分のベンゼン環までのメチレンリン
カー(A パート)の長さに対する構造活性相関を検討した(Table 3-3)。
Table 3-3. シンナミル誘導体のAパートの長さに対する構造活性相関
in vitro (human)
Ca Assay EC50
Compound
No.
21a
Structure
O
O
21e
21f
11a
O
O
O
11b
1
O
H
N
H
N
H
N
H
N
H
N
H
N
39
Selectivity
S1P3 / S1P1
S1P1
(nM)
S1P3
(nM)
70
3300
47
120
>10000
>83
150
6700
45
2600
9000
4
1500
>10000
>7
160
4200
26
CO2H
CO2H
CO2H
CO2H
CO2H
CO2H
シンナミル誘導体の A パートのリンカーの炭素鎖長(3~5)の変化に伴って生じた
S1P1 受容体作動活性の変化はわずか 2 倍程度であった。これは、第二章で検討した二
重結合を持たない誘導体と比較して大きく異なる結果であった。二重結合を持たない
誘導体では、リンカーの炭素鎖長が 5 である化合物 1 からリンカーの炭素鎖長が 3 で
ある化合物 11a になることで S1P1 受容体作動活性が 15 倍以上減弱したが、シンナミ
ル誘導体ではリンカーの炭素鎖長が 5 である化合物 21f からリンカーの炭素鎖長が 3
である化合物 21a になることで S1P1 受容体作動活性が 2 倍程度向上した。また、シ
ンナミル誘導体において S1P3 受容体作動活性との選択性が最も良かったのはリンカ
ーの炭素鎖長が 4 である化合物 21e であった。
【考察(A パート)-3】
共役二重結合の導入によって、π電子雲がアミノ基側に 2 炭素分広がったことによ
り、末端ベンゼン環の好まれる位置も 2 炭素分中心部分に向かってシフトしたために、
シンナミル誘導体においては、リンカーの炭素鎖長が 3 である化合物 21a がより強い
S1P1 受容体作動活性を示したと考えられる。π電子部分の認識が 2 炭素分シフトする
のであれば、アミノ酸部分とアミノ酸部分を認識している受容体との距離が遠くなり、
相互作用が減弱するとも考えられるが、アミノ酸部分と受容体との静電的相互作用は
非常に強いことから、静電的相互作用を保持するために、受容体が部分的に構造を変
化させることで強い活性が発現した可能性が考えられる。化合物設計において、受容
体などのタンパクが剛体でないことは、常に念頭に入れておかなければならない重要
な要素と考えられる。リンカーの炭素鎖長が 5 である化合物 1 と化合物 21f の結果だ
けを比較していた場合には、シンナミル誘導体の有用性に気付いていなかった可能性
もあった。本事例は、化合物の構造活性相関情報を取得する際には、活性発現最小単
位を見極めた上で情報を収集することがいかに重要であるかを示す良い例証であっ
たと考えられる。
【結果(B パート)-4】
選択性に関して最も良い結果を与えたリンカーの炭素鎖長が 4 であるシンナミル誘
導体に対して、中心部分のベンゼン環に対する置換基効果を検討した。ベンゼン環の
3 位にメチル基を有する化合物 21g は S1P1 受容体作動活性が 2 倍程度減弱した一方で、
2 位にメチル基を有する化合物 21j は 3 倍程度 S1P1 受容体作動活性が向上した。また、
2 位のメチル基をクロル基に変換した化合物 21h は化合物 21j と同等の S1P1 受容体作
動活性を示した一方で、メトキシ基に変換した化合物 21i は化合物 21j と比較して S1P1
受容体作動活性が 7 倍程度減弱した(Table 3-4)。
40
Table 3-4. シンナミル誘導体の中心部分(B パート)ベンゼン環に対する置換基効果
in vitro (human)
*
Ca Assay EC50
R=
Compound
No.
21e
21g
21j
21h
21i
Structure
R
R
R
R
R
O
O
H
N
O
S1P3
(nM)
120
>10000
>83
280
>10000
>36
36
>10000
>278
24
7200
300
230
>10000
>2.3
CO2H
3
2
O
O
Selectivity
S1P3 / S1P1
S1P1
(nM)
H
N
H
N
Cl
OMe
H
N
H
N
CO2H
CO2H
CO2H
CO2H
【考察(B パート)-4】
本章の考察―2において、シンナミル誘導体の共役二重結合部分の置換基の嵩高さ
が活性・選択性の向上に重要であることを考察した。共役二重結合の近傍である中心
部分のベンゼン環の 2 位にメチル基や塩素原子など脂溶性の官能基で立体的に嵩高く
することで、本章の考察―2と同様の理由から活性・選択性が改善したと考えられる。
また、極性原子である酸素原子を有するメトキシ基をベンゼン環の 2 位に導入するこ
とにより S1P1 受容体との相互作用が減弱したことから、内因性のリガンドである S1P
が持つ脂溶性アルキル側鎖と重なり合うと考えられるオルソステリック部位におい
て、極性基が許容される部位は限定されると考えられた。
ベンゼン環 3 位へのメチル基の導入によって、S1P1 受容体に対する作動活性が減弱
したことから、中心部分と末端部分のベンゼン環同士をつないでいるエーテル部分近
傍の嵩高さは S1P1 受容体のポケットに収まりきらないことが推察された。
41
3-4.シンナミル誘導体の血中動態
Table 3-2 に示したように、化合物 21a をマウスに経口投与した 4 時間後の ED50 値
は 4.6 mg/kg であり、ほぼ同等の S1P1 作動活性を有する化合物 1 の ED50 値(26 mg/kg)
と比較して 5 倍程度の改善が認められた。第二章における化合物 1 と 11a の血中動態
の測定結果から、リンカーの炭素鎖長が短い方が経口吸収性に有利に働くことが示唆
されており、シンナミル誘導体 21a の経口投与 4 時間後の血しょう中濃度はヒット化
合物 1 のそれと比較して 5 倍程度優れていることが推察された。
また、化合物 21c は化合物 21a に比べて S1P1 受容体作動活性が 3 倍程度向上して
いるのに対し、in vivo 活性は 6 倍程度向上していたことから、化合物 21c の経口投与
4 時間後の血しょう中濃度は化合物 21a のそれと比較して、2 倍程度改善していると
推察された。
本結果を総合すると、化合物 21c の経口投与 4 時間後の血しょう中濃度は化合物 1
のそれと比較して、10 倍程度改善していると推察された。そこで、シンナミル誘導体
の代表化合物の血中動態を確認するとともに、本考察を検証するために、代表化合物
の 21c についてラットにおける血しょう中濃度推移を測定した。
3-4-1.方法
3-6-3を参照。
3-4-2.結果と考察
ラットにおける血しょう中濃度測定では、有効性評価動物種であるマウスとは種が
異なるが、マウスにおける血しょう中濃度測定とは異なり、同一個体からの採血によ
る評価が可能であることから血しょう中濃度の推移が精度良く測定できる点が利点
である。化合物 21c のラットにおける血中動態を 2 用量で測定したところ、1 mg/kg
から 10 mg/kg への用量の増加に伴って、最高血しょう中濃度到達時間(Tmax)、血し
ょう中半減期(T1/2)にほとんど影響を与えずに、血しょう中曝露量(AUCinf)
、最高
血しょう中濃度(Cmax)が約 10 倍に上昇した。投与量に応じて血しょう中曝露量が
増加する性質は、医薬品の開発に当たって、薬理反応の用量依存性を検証する上で非
常に望ましい特性である。今後の合成展開でこの望ましい特性を失わないように、脂
溶性長鎖を有する末端アミノ酸構造という基本的な化合物構造の特徴を保持しつつ、
化合物構造を最適化していくことが望ましいと考えられた。化合物 21c の血しょう中
半減期(T1/2)は 6~7 時間、生物学的利用率(B.A.)は 61~73%であり、良好なプロ
ファイルであった(図 3-4)。
42
化合物 21cをラットに投与した際の
未変化体血しょう中濃度推移
O
Dose
(mg/kg)
i.v.
1
p.o.
10
p.o.
1
AUCinf
(ng・h/mL)
9150
55700
6650
H
N
Tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
4.0
5.3
3520
435
CO2H
CLtot
(mL/min/kg)
1.8
T1/2
(h)
5.7
7.4
6.0
Vss
(mL/kg)
655
B.A.
(%)
61
73
図 3-4. シンナミル誘導体代表化合物 21c の血しょう中濃度推移
化合物 21c の経口投与 4 時間後の血しょう中濃度と化合物 1 のそれを比較すると、
それぞれ化合物 21c の 10 mg/kg 投与群で 3520 ng/mL、化合物 1 の 30 mg/kg 投与群で
1131 ng/mL であった。線形性を仮定して用量を 30 mg/kg に補正して比較すると、化
合物 21c の経口投与 4 時間後の血しょう中濃度は 10560 ng/mL となり、マウスとラッ
トの動態種差がないと仮定すると、経口投与 4 時間後の血しょう中濃度においては、
化合物 1 から化合物 21c への構造変換により、概ね 10 倍程度の改善ができたものと
考えられる。
43
3-5.小括
本章では、各部分構造の固定化に対する構造活性相関を取得した。その結果、脂溶
性末端部分(A パート)の固定化は好ましくないことが示唆され、また、中心部分の
ベンゼン環とアミノ酸の間(B パート)のアルキル鎖をトランス二重結合で固定化し
たシンナミル誘導体において、活性・選択性に劇的な改善が認められた。また、アミ
ノ酸部分(C パート)の固定化からは、βアラニンと同等以上の活性・選択性プロフ
ァイルを有する3-アゼチジンカルボン酸が見出された。
シンナミル誘導体の S1P1 作動活性の向上については、シンナミル誘導体の二重結
合が、S1P の有する二重結合と同様の寄与をするためと考察した。また、シンナミル
誘導体の二重結合部分および中心部分のベンゼン環の 2 位にメチル基やクロル基を導
入することにより、さらなる活性・選択性の向上が認められたことから、活性・選択
性の向上には脂溶性官能基で中心部分を嵩高くすることが重要であることが明らか
となった。本結果は、S1P1 受容体選択的な化合物として他の研究者らから報告されて
いるベンジルアミン誘導体の構造活性相関と一致するものであった。中心部分にシス
配置を有する誘導体の活性が減弱した結果については、S1P1 受容体の結晶構造解析の
情報を元に、妥当であると考察した。また、シンナミル誘導体においては、A パート
のメチレン鎖数が 4 の誘導体が最も優れた選択性を与えた。
シンナミル誘導体の代表化合物である 21c は、血しょう中半減期が 6~7 時間、B.A.
が 61~73%であり、用量に応じて血中での曝露量が増加する良好な血中動態特性を示
した。化合物 21c は、ヒット化合物 1 と比較して in vitro 活性・選択性、in vivo 活性、
血中動態ともに向上したが、目標とする FTY720(-P)の活性値と比較すると十分ではな
く、さらなる検討が必要である(Table 3-5)。
Table 3-5. ヒット化合物 1、シンナミル誘導体 21c、FTY720(-P)の活性・選択性比較
in vitro (human)
Ca Assay EC50
Compound
No.
1
Structure
O
O
21c
FTY720
H
N
H
N
S1P1
(nM)
S1P3
(nM)
160
4200
21
>10000
Selectivity
S1P3 / S1P1
in vivo (mouse)
PLLa Efficacy ED50
p.o. 4hr
(mg/kg)
p.o.24hr
(mg/kg)
26
26
N.T.
>476
0.69
N.T.
0.088
0.060
CO2H
CO2H
(0.23) b
a; Peripheral Lymphocyte Lowering
b: Values for FTY720-P
44
(20) b
(87) b
3-6.実験の部(Experimantal)
3-6-1. General directions
2-6-1を参照。
3-6-2. 化合物合成
Methyl 3-[[3-(4-hydroxyphenyl)propyl](trifluoroacetyl)amino]propanoate (15)
To a stirred solution of 4-(3-aminopropyl)phenol 2 (2.0 g, 13.2 mmol) in MeOH (20 mL) was
added a solution of methyl acrylate (0.60 mL, 6.6 mmol) in MeOH (3.5 mL) at room
temperature. After stirring for 14 h, the mixture was concentrated under reduced pressure. To
the residue was added PhMe, and the mixture was concentrated under reduced pressure twice
for an azeotropy to yield crude 7. To the residue was added CH2Cl2 (10 mL). To the resulting
solution was added pyridine (1.6 mL, 19.8 mmol) and TFAA (2.8 mL, 19.8 mmol) at 0 ºC.
After stirring for 1 h, NaHCO3-aq was addd to the mixture, which was extracted with CH2Cl2.
The organic layer was washed with water and dried over MgSO4. The filtrate was
concentrated under reduced pressure. The residue was purified by chromatography on silica
gel using (CHCl3 / MeOH) as an eluent to yield 15 (1.0 g, 45%) as a yellow oil. TLC Rf =
0.65 (CHCl3 / MeOH, 10 / 1); 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6, 373 K) δ 1.75 - 1.95 (m, 2 H)
2.45 - 2.54 (m, 2 H) 2.62 (t, J=7.05 Hz, 2 H) 3.39 (t, J=7.70 Hz, 2 H) 3.56 - 3.72 (m, 2 H)
3.61 (s, 3 H) 6.68 (d, J=8.60 Hz, 2 H) 6.98 (d, J=8.60 Hz, 2 H) 8.73 (s, 1 H); MS (FAB, Pos.)
m/z 334 (M + H)+, 302, 133. 107.
3-{[3-(4-{[(2E)-3-Phenyl-2-propenyl]oxy}phenyl)propyl]amino}propanoic acid (16)
To a solution of cinnamyl alcohol (30 mg, 0.23 mmol) in THF (0.5 mL) was added PPh3 (59
mg, 0.23 mmol), ADDP (57 mg, 0.23 mmol) and a solution of 15 (50 mg, 0.15 mmol) in THF
(0.7 mL) at room temperature. After shaking for 18 h, the supernatant solution was
concentrated under reduced pressure. The residue was purified by chromatography on silica
gel using (hexane / EtOAc) as an eluent to yield the intermediate cinnamyl ether compound
(46 mg) as a crude material. To this residue was added THF (1 mL) and MeOH (0.5 mL). To
the resulting solution was added 1 mol/L NaOH-aq (0.5 mL, 0.5 mmol) at room temperature.
After stirring for 2 h, the mixture was concentrated under reduced pressure. The residue was
purified by chromatography on silica gel using (CHCl3 / MeOH / HCO2H) as an eluent to
yield 16 (33 mg, 57%) as a white powder. TLC Rf = 0.35 (CHCl3 / MeOH / HCO2H, 20 / 2 /
1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.83 - 2.06 (m, 2 H) 2.51 (t, J=6.41 Hz, 2 H) 2.67 (t,
J=7.51 Hz, 2 H) 2.92 - 3.05 (m, 2 H) 3.14 (t, J=6.41 Hz, 2 H) 4.68 (dd, J=5.68, 1.56 Hz, 2 H)
6.43 (dt, J=16.11, 5.68 Hz, 1 H) 6.73 (d, J=16.11 Hz, 1 H) 6.92 (d, J=8.79 Hz, 2 H) 7.15 (d,
45
J=8.79 Hz, 2 H) 7.19 - 7.26 (m, 1 H) 7.27 - 7.34 (m, 2 H) 7.37 - 7.45 (m, 2 H); MS (ESI, Pos.
20 V) m/z 340 (M + H)+; HRMS (FAB) Calcd for C21H25NO3: 340.1913, Found: 340.1914.
3-[(3-{4-[(3-Phenyl-2-propynyl)oxy]phenyl}propyl)amino]propanoic acid (17)
The same procedure as 16 was performed using 15 (50 mg, 0.15 mmol) to yield 17 (38 mg,
66%) as a white powder. TLC Rf = 0.31 (CHCl3 / MeOH / HCO2H, 20 / 2 / 1); 1H NMR (300
MHz, CD3OD) δ 1.89 - 2.05 (m, 2 H) 2.58 (t, J=6.41 Hz, 2 H) 2.67 (t, J=7.60 Hz, 2 H) 2.94 3.05 (m, 2 H) 3.17 (t, J=6.41 Hz, 2 H) 4.91 (s, 2 H) 6.98 (d, J=8.60 Hz, 2 H) 7.17 (d, J=8.60
Hz, 2 H) 7.28 - 7.35 (m, 3 H) 7.35 - 7.42 (m, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 338 (M + H)+;
HRMS (FAB) Calcd for C21H23NO3: 338.1756, Found: 338.1763.
Methyl (2E)-3-[4-(3-phenylpropoxy)phenyl]acrylate (19a)
To stirred MeOH (90 mL) was added SOCl2 (9.9 mL, 136 mmol) at -15 °C, which was added
to a stirred suspension of 4-hydroxycinnamic acid 18a (10.0 g, 61.0 mmol) in MeOH (60 mL)
at 0 °C. After stirring for 1 h at 50 °C, the mixture was concentrated under reduced pressure.
To the residue was added cold NaHCO3-aq and extracted with EtOAc twice. The combined
organic layer was washed with brine and dried over MgSO4. The filtrate was concentrated
under reduced pressure to yield the intermediate phenol compound (10.6 g, 98%) as a white
powder. To a stirred solution of the intermediate phenol compound (2.47 g, 13.9 mmol) in
THF (70 mL) was added 3-phenylpropanol (2.8 mL, 20.8 mmol), PPh3 (5.46 g, 13.9 mmol)
and a solution of DEAD in PhMe (40%, 9.4 mL, 20.8 mmol) equipped with the water bath.
After stirring for 13 h at room temperature, the mixture was concentrated under reduced
pressure. The residue was purified by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as
an eluent. The collected fraction was concentrated under reduced pressure. The residue was
triturated with t-BuOMe to yield 19a (1.66 g, 40%) as a white powder. TLC Rf = 0.53 (hexane
/ EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.12 (m, 2 H) 2.81 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 3.79 (s,
3 H) 3.99 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.31 (d, J=16.00 Hz, 1 H) 6.89 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.20 (m, 3 H)
7.27 (m, 2 H) 7.46 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.65 (d, J=16.00 Hz, 1 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z
593 (2M + H)+, 297 (M + H)+.
(2E)-3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]acrylaldehyde (20a)
To a stirred suspension of LiAlH4 (128 mg, 3.4 mmol) in hexane (5 mL) was added
diethylamine (0.70 mL, 6.8 mmol) at room temperature. After stirring for 5 min, 19a (1.0 g,
3.4 mmol) was added to the mixture in one portion. After stirring for 25 min at room
temperature, 2 mol/L HCl-aq (10 mL) and THF (20 mL) were added to the mixture at 0 °C.
The mixture was extracted with EtOAc. The organic layer was washed with brine and dried
46
over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure. The residue was purified
by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent to yield 20a (155 mg,
17%) as an orange powder. TLC Rf = 0.39 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CDCl3) δ 2.14 (m, 2 H) 2.82 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 4.01 (t, J=6.00 Hz, 2 H) 6.61 (dd, J=16.00,
7.50 Hz, 1 H) 6.93 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 7.21 (m, 3 H) 7.30 (m, 2 H) 7.42 (d, J=16.00 Hz, 1 H)
7.51 (d, J=8.50 Hz, 2 H) 9.66 (d, J=7.50 Hz, 1 H); MS (FAB, Pos., matrix = Glycerin +
m-NBA) m/z 267 (M + H)+.
3-({(2E)-3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]-2-propenyl}amino)propanoic acid (21a)
The same procedure as 11d was performed using 20a (155 mg, 0.58 mmol) and β-alanine (36
mg, 0.41mmol) to yield 21a (99 mg, 71%) as a white powder. TLC Rf = 0.13 (CHCl3 / MeOH
/ NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 2.07 (m, 2 H) 2.49 (t, J=6.50 Hz, 2 H)
2.79 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 3.16 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 3.76 (dd, J=7.50, 1.00 Hz, 2 H) 3.96 (t,
J=6.00 Hz, 2 H) 6.12 (dt, J=16.00, 7.50 Hz, 1 H) 6.78 (d, J=16.00 Hz, 1 H) 6.88 (d, J=8.50 Hz,
2 H) 7.20 (m, 5 H) 7.39 (d, J=8.50 Hz, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 679 (2M + H)+, 340 (M
+ H)+, 251, 119; HRMS (FAB) Calcd for C21H25NO3: 340.1913, Found: 340.1933; Elemental
Analysis Calcd for C21H25NO3: C 74.31%, H 7.42%, N 4.13%, Found: C 74.06%, H 7.49%, N
4.06%.
(2E)-3-(4-Hydroxyphenyl)-2-methylacrylonitrile (23b)
To a stirred solution of 4-hydroxybenzaldehyde 22b (8.50 g, 69.6 mmol) in dry THF (200
mL) were added diethyl (1-cyanoethyl)phosphonate (18.4 mL, 104 mmol) and NaH (60% in
oil, 7.0 g, 174 mmol) portionwise at 0 °C. After stirring for 1 h at 0 °C and for 2 h at room
temperature, the mixture was poured into cold NH4Cl-aq and acidified with 2 mol/L HCl-aq.
The mixture was extracted twice with EtOAc. The combined organic layer was washed with
water, brine and dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure. The
residue was recrystallized with (t-BuOMe / hexane) to yield 23b (3.53 g, 32%) as a pale
yellow powder. TLC Rf = 0.54 (hexane / EtOAc, 1 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.26 (d,
J=8.50 Hz, 2 H), 7.13 (q, J=1.50 Hz, 1 H), 6.87 (d, J=8.50 Hz, 2 H), 5.51 (s, 1 H), 2.15 (d,
J=1.50 Hz, 3 H); MS (EI, Pos.) m/z 159 (M+) (base peak).
(2E)-3-(4-Hydroxyphenyl)-2-methylacrylaldehyde (24b)
To a stirred solution of 23b (1.59 g, 10.0 mmol) in dry THF (50 mL) was added a solution of
DIBAL-H in PhMe (1.0 mol/L, 22 mL, 22 mmol) at -78 ºC dropwase under inert atmosphere.
After stirring for 6 h at 0 ºC and for 2.5 h at room temperature, additional DIBAL-H in PhMe
47
(1.0 mol/L, 10 mL, 10 mmol) was added to the mixture at 0 ºC. After stirring for 20 min at 0
ºC, the mixture was poured into cold NH4Cl-aq. 1 mol/L HCl-aq (30 mL) was added to the
mixture to pH 3. After adding EtOAc and stirring for 1 h, the insoluble was removed through
Celite. The mixture was extracted twice with EtOAc. The combined organic layer was dried
over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure. The residue was purified
by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent. The collected fraction
was concentrated under reduced pressure. The residue was triturated with Et2O to yield 24b
(538 mg, 33%) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.52 (hexane / EtOAc, 1 / 1); 1H NMR
(300 MHz, DMSO-d6) δ 9.47 (s, 1 H), 7.51 (d, J=8.50 Hz, 2 H), 7.34 - 7.36 (m, 1 H), 6.87 (d,
J=8.50 Hz, 2 H), 1.95 (d, J=1.00 Hz, 3 H); MS (EI, Pos.) m/z 162 (M+) (base peak).
(2E)-2-Methyl-3-[4-(3-phenylpropoxy)phenyl]acrylaldehyde (20b)
To a stirred solution of 24b (162 mg, 1.0 mmol) in DMF (3 mL) was added 3-phenylpropyl
bromide (0.16 mL, 1.05 mmol) and K2CO3 (276 mg, 2.0 mmol) at room temperature. After
stirring for 7.5 h, cold water was added to the mixture and the mixture was extracted twice
with (hexane / EtOAc, 1 / 1). The combined organic layer was washed with water, brine and
dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure. The residue was
purified by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent to yield 20b
(231 mg, 83%) as a white powder. TLC Rf = 0.48 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CDCl3) δ 9.54 (s, 1 H), 7.52 (d, J=9.00 Hz, 2 H), 7.27 - 7.33 (m, 2 H), 7.17 - 7.25 (m, 4 H),
6.96 (d, J=9.00 Hz, 2 H), 4.02 (t, J=6.50 Hz, 2 H), 2.83 (t, J=7.50 Hz, 2 H), 2.10 - 2.20 (m, 2
H), 2.09 (d, J=1.00 Hz, 3 H); MS (EI, Pos.) m/z 280 (M+) (base peak), 161, 91.
3-({(2E)-2-Methyl-3-[4-(3-phenylpropoxy)phenyl]-2-propenyl}amino)propanoic
acid
hydrochloride (21b)
To a solution of β-alanine (32 mg, 0.36 mmol), NaOH (powder, 14 mg, 0.36 mmol) and
HC(OMe)3 (0.059 mL, 0.54 mmol) in MeOH (4 mL) was added a solution of 20b (100 mg,
0.36 mmol) in MeOH (2 mL) and THF (2 mL) at 0 °C. After stirring for 1.5 h at 0 °C and for
1 h at room temperature, NaBH4 (16 mg, 0.43 mmol) was added to the mixture at 0 °C. After
stirring for 30 min at 0 °C, 2 mol/L HCl-aq (0.4 mL) was added to the mixture at 0 °C to
neutralize. The mixture was concentrated under reduced pressure. The residue was purified by
chromatography on silica gel using (CHCl3 / MeOH / NH4OH) as an eluent to yield free form
of 21b. To a suspension of free form of 21b in THF (7 mL) was added 1 mol/L HCl-aq (0.36
mL) at 0 °C. To a resulting solution was added Et2O (30 mL). The resulting precipitate was
collected and washed with Et2O to yield 21b (41 mg, 29%) as a white powder. TLC Rf = 0.27
(CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.12 - 7.29 (m, 7 H),
6.91 (d, J=8.50 Hz, 2 H), 6.65 - 6.68 (m, 1 H), 3.97 (t, J=6.00 Hz, 2 H), 3.77 (s, 2 H), 3.25 48
3.30 (m, 2 H), 2.75 - 2.85 (m, 4 H), 2.01 - 2.12 (m, 2 H), 2.00 (d, J=1.00 Hz, 3 H); MS (ESI,
Pos. 20 V) m/z 707 (2M + H)+, 354 (M + H)+, 265, 119; HRMS (FAB) Calcd for C22H27NO3:
354.2069, Found: 354.2070.
(2E)-3-(4-Hydroxyphenyl)-2-butenenitrile (23c)
The same procedure as 23b was performed using 1-(4-hydroxyphenyl)ethanone 22c (10.0 g,
73.4 mmol) and diethyl cyanomethylphosphonate (17.8 mL, 94.3 mmol) by modifying
reaction condition from for 2 h at room temperature to for 38 h between 60-80 °C. The
mixture was purified by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent
followed by trituration by (t-BuOMe / hexane) to yield pure 23c (1.80 g, 15%) as a white
powder and a crude 23c including 23d (5.2 g, crude 45%). TLC Rf = 0.34 (hexane / EtOAc, 2 /
1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.44 (d, J=1.00 Hz, 3 H), 5.13 (s, 1 H), 5.54 (q, J=1.00 Hz,
1 H), 6.85 (d, J=9.00 Hz, 2 H), 7.39 (d, J=9.00 Hz, 2 H); MS (EI, Pos.) m/z 159 (M+) (base
peak), 144.
(2E)-3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]-2-butenal (20c)
& (2Z)-3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]-2-butenal (20d)
The same procedure as 24b was performed using a crude 23c including 23d (crude 5.2 g, <
32.7 mmol), a solution of DIBAL-H in PhMe (1.0 mol/L, 114 mL, 114 mmol) and dry THF
(200 mL) to yield a regioisomer mixture of 24c and 24d (1.30 g, crude 25%) as a yellow
powder.
The same procedure as 20b was performed using a regioisomer mixture of 24c and 24d (1.30
g, 8.05 mmol), 3-phenylpropyl bromide (1.5 mL, 9.7 mmol), K2CO3 (2.67 g, 19.3 mmol) and
DMF (20 mL) to yield trans isomer 20c (1.46 g, 65%) as a yellow powder and cis isomer 20d
(287 mg, 13%) as a yellow oil.
trans isomer 20c
TLC Rf = 0.49 (hexane / EtOAc, 2 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.07 - 2.19 (m, 2 H),
2.55 (d, J=1.00 Hz, 3 H), 2.82 (t, J=7.50 Hz, 2 H), 4.00 (t, J=6.50 Hz, 2 H), 6.40 (dq, J=8.00,
1.00 Hz, 1 H), 6.92 (d, J=9.00 Hz, 2 H), 7.18 - 7.24 (m, 3 H), 7.27 - 7.34 (m, 2 H), 7.53 (d,
J=9.00 Hz, 2 H), 10.16 (d, J=8.00 Hz, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 280 (M+), 161, 91 (base peak).
cis isomer 20d
TLC Rf = 0.38 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.51 (d, J=8.00 Hz, 1
H), 7.17 - 7.33 (m, 7 H), 6.91 (d, J=9.00 Hz, 2 H), 6.10 (dq, J=8.00, 1.50 Hz, 1 H), 4.00 (t,
J=6.00 Hz, 2 H), 2.83 (t, J=7.50 Hz, 2 H), 2.30 (d, J=1.50 Hz, 3 H), 2.08 - 2.18 (m, 2 H); MS
(EI, Pos.) m/z 280 (M+) (base peak), 161, 91.
49
3-({(2E)-3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]-2-butenyl}amino)propanoic acid hydrochloride
(21c)
The same procedure as 21b was performed using 20c (1.43 g, 5.1 mmol), β-alanine (433 mg,
4.86 mmol), NaOH (powder, 204 mg, 5.10 mmol) and HC(OMe)3 (0.53 mL, 4.86 mmol),
MeOH (30 mL), MeOH / THF (30 mL + 10 mL) and NaBH4 (221 mg, 5.8 mmol) to yield a
free form of 21c (1.59 g, 92%).
To a suspension of free form of 21c (1.59 g, 4.5 mmol) in 1,4-dioxane (100 mL) and water
(10 mL) was added a solution of HCl in 1,4-dioxane (4 mol/L, 1.2 mL, 4.8 mmol) at 0 °C.
After stirring at room temperature, water (15 mL) was added to the suspension to dissolve.
MeOH (44 mL) was added to the solution. After standing at -20 °C, the resulting precipirtate
was collected to yield 21c (1.385 g, 73% in 2 steps) as a white powder. TLC Rf = 0.19 (CHCl3
/ MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 2.02 - 2.12 (m, 2 H), 2.15 (d,
J=1.00 Hz, 3 H), 2.73 - 2.83 (m, 4 H), 3.30 - 3.36 (m, 2 H), 3.87 (d, J=7.50 Hz, 2 H), 3.96 (t,
J=6.00 Hz, 2 H), 5.75 (tq, J=7.50, 1.00 Hz, 1 H), 6.88 (d, J=9.00 Hz, 2 H), 7.11 - 7.28 (m, 5
H), 7.39 (d, J=9.00 Hz, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 707 (2M + H)+, 354 (M + H)+, 265,
147, 119; HRMS (FAB) Calcd for C22H27NO3: 354.2069, Found: 354.2065; Elemental
Analysis Calcd for C22H27NO3・HCl: C 67.77%, H 7.24%, N 3.59%, Found: C 67.53%, H
7.25%, N 3.64%
3-({(2Z)-3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]-2-butenyl}amino)propanoic acid hydrochloride
(21d)
The same procedure as 21b was performed using 20d (273 mg, 0.98 mmol), β-alanine (83 mg,
0.93 mmol), NaOH (powder, 37 mg, 0.93 mmol) and HC(OMe)3 (0.10 mL, 0.93 mmol),
MeOH (6 mL), MeOH / THF (6 mL + 2 mL) and NaBH4 (42 mg, 1.1 mmol) to yield a free
form of 21d (181 mg, 55%). The same procedure as 21b was performed using a free form of
21d (100 mg, 0.28 mmol), 1 mol/L HCl-aq (0.42 mL, 0.42 mmol) and THF (10 mL) to yield
21d (101 mg, 92%) as a white powder. TLC Rf = 0.27 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1);
1
H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.10 - 7.29 (m, 7 H), 6.94 (d, J=9.00 Hz, 2 H), 5.55 (tq,
J=7.00, 1.50 Hz, 1 H), 3.97 (t, J=6.00 Hz, 2 H), 3.63 (dd, J=7.00, 1.00 Hz, 2 H), 3.12 (t,
J=6.50 Hz, 2 H), 2.80 (t, J=7.50 Hz, 2 H), 2.62 (t, J=6.50 Hz, 2 H), 2.12 - 2.15 (m, 3 H), 2.02
- 2.11 (m, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 707 (2M + H)+, 354 (M + H)+, 265, 119; HRMS
(FAB) Calcd for C22H27NO3: 354.2069, Found: 354.2079.
(2E)-3-(4-Hydroxyphenyl)acrylonitrile (23e)
The same procedure as 23b was performed using 4-hydroxybenzaldehyde 22e (20.0 g, 164
50
mmol), diethyl cyanomethylphosphonate (46.0 mL, 284 mmol), NaH (60% in oil, 13.0 g, 328
mmol) and THF / DMF (200 mL / 15 mL) to yield 23e (15.0 g, 63%) as a white powder. TLC
Rf = 0.30 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.71 (d, J=16.66 Hz, 1 H)
6.87 (d, J=8.79 Hz, 2 H) 7.34 (d, J=16.66 Hz, 1 H) 7.34 - 7.38 (m, 3 H); MS (EI, Pos.) m/z
145 (M+), 117, 89.
(2E)-3-(4-Hydroxyphenyl)acrylaldehyde (24e)
The same procedure as 24b was performed using 23e (261 mg, 1.8 mmol), DIBAL-H in
PhMe (1.0 mol/L, 9.0 mL, 9.0 mmol) and CH2Cl2 (15 mL) to yield 24e (140 mg, 60%) as a
pale yellow powder. TLC Rf = 0.13 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)
δ 6.64 (dd, J=15.92, 7.87 Hz, 1 H) 6.83 (d, J=8.60 Hz, 2 H) 7.58 (d, J=8.60 Hz, 2 H) 7.61 (d,
J=15.92 Hz, 1 H) 9.57 (d, J=7.87 Hz, 1 H) 10.18 (s, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 148 (M+), 120,
91.
(2E)-3-[4-(4-Phenylbutoxy)phenyl]acrylaldehyde (20e)
The same procedure as 20b was performed using 24e (150 mg, 1.0 mmol), 4-phenylbutyl
bromide (0.21 mL, 1.2 mmol) and K2CO3 (346 mg, 2.5 mmol) and DMF (1 mL) to yield 20e
(330 mg, quantitative yield) as a pale yellow oil. TLC Rf = 0.49 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H
NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.63 (d, J=7.68 Hz, 1 H) 7.49 (d, J=8.60 Hz, 2 H) 7.40 (d, J=15.55
Hz, 1 H) 7.07 - 7.34 (m, 5 H) 6.91 (d, J=8.60 Hz, 2 H) 6.60 (dd, J=15.55, 7.68 Hz, 1 H) 3.91 4.07 (m, 2 H) 2.64 - 2.77 (m, 2 H) 1.71 - 1.94 (m, 4 H); MS (EI, Pos.) m/z 280 (M+), 147, 91.
3-({(2E)-3-[4-(4-Phenylbutoxy)phenyl]-2-propenyl}amino)propanoic acid hydrochloride
(21e)
The same procedure as 21c was performed using 20e (330 mg (net 280 mg), 1.0 mmol),
β-alanine (81 mg, 0.91 mmol), NaOH (powder, 40 mg, 1.0 mmol), MeOH / THF (1 mL + 0.50
mL), NaBH4 (41 mg, 1.1 mmol) for a free form of 21e, and a solution of HCl in 1,4-dioxane
(2 mol/L, 0.70 mL, 1.4 mmol) and 1,4-dioxane (2 mL) to yield 21e (238 mg, 61%) as a white
powder. TLC Rf = 0.29 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ
7.39 (d, J=8.79 Hz, 2 H) 7.09 - 7.30 (m, 5 H) 6.89 (d, J=8.79 Hz, 2 H) 6.80 (d, J=16.11 Hz, 1
H) 6.10 (dt, J=16.11, 7.32 Hz, 1 H) 3.92 - 4.04 (m, 2 H) 3.79 (dd, J=7.32, 1.01 Hz, 2 H) 3.24 3.29 (m, 2 H) 2.75 (t, J=6.59 Hz, 2 H) 2.60 - 2.71 (m, 2 H) 1.71 - 1.86 (m, 4 H); MS (ESI, Pos.
20 V) m/z 707 (2M + H)+, 354 (M + H)+, 265, 133; HRMS (FAB) Calcd for C22H27NO3:
354.2069, Found: 354.2072.
51
(2E)-3-{4-[(5-Phenylpentyl)oxy]phenyl}acrylaldehyde (20f)
The same procedure as 20b was performed using 24e (150 mg, 1.0 mmol), 5-phenylpentyl
bromide (0.23 mL, 1.2 mmol) and K2CO3 (346 mg, 2.5 mmol) and DMF (1 mL) to yield 20f
(102 mg, 35%) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.52 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR
(300 MHz, CDCl3) δ 9.63 (d, J=7.68 Hz, 1 H) 7.50 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 7.41 (d, J=15.55 Hz, 1
H) 7.08 - 7.34 (m, 5 H) 6.91 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 6.60 (dd, J=15.55, 7.68 Hz, 1 H) 3.99 (t,
J=6.50 Hz, 2 H) 2.65 (t, J=7.86 Hz, 2 H) 1.76 - 1.94 (m, 2 H) 1.61 - 1.77 (m, 2 H) 1.42 - 1.60
(m, 2 H); MS (EI, Pos.) m/z 294 (M+), 148, 147, 91.
3-[((2E)-3-{4-[(5-Phenylpentyl)oxy]phenyl}-2-propenyl)amino]propanoic
acid
hydrochloride (21f)
The same procedure as 21c was performed using 20f (102 mg, 0.35 mmol), β-alanine (28 mg,
0.31 mmol), NaOH (powder, 14 mg, 0.35 mmol), MeOH / THF (1 mL + 0.50 mL), NaBH4
(14 mg, 0.37 mmol) for a free form of 21f, and a solution of HCl in 1,4-dioxane (2 mol/L,
0.70 mL, 1.4 mmol) and 1,4-dioxane (2 mL) to yield 21f (81 mg, 57%) as a white powder.
TLC Rf = 0.20 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.41 1.57 (m, 2 H) 1.61 - 1.74 (m, 2 H) 1.74 - 1.85 (m, 2 H) 2.63 (t, J=7.60 Hz, 2 H) 2.76 (t, J=6.50
Hz, 2 H) 3.25 - 3.33 (m, 2 H) 3.80 (d, J=7.14 Hz, 2 H) 3.97 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 6.11 (dt,
J=15.74, 7.14 Hz, 1 H) 6.81 (d, J=15.74 Hz, 1 H) 6.88 (d, J=8.79 Hz, 2 H) 7.08 - 7.30 (m, 5
H) 7.39 (d, J=8.79 Hz, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 368 (M + H)+, 279; HRMS (FAB)
Calcd for C23H29NO3: 368.2226, Found: 368.2211.
(2E)-3-(4-Hydroxy-3-methylphenyl)acrylonitrile (23g)
The same procedure as 23b was performed using 4-hydroxy-3-methylbenzaldehyde 22g (10.0
g, 73.4 mmol), diethyl cyanomethylphosphonate (17.8 mL, 110 mmol), NaH (60% in oil, 7.34
g, 184 mmol) and dry THF (250 mL) to yield 23g (9.71 g, 83%) as a pale yellow powder.
TLC Rf = 0.30 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 2.11 (s, 3 H), 6.11
(d, J=16.50 Hz, 1 H), 6.78 (d, J=8.50 Hz, 1 H), 7.29 (dd, J=8.50, 2.00 Hz, 1 H), 7.39 (d,
J=2.00 Hz, 1 H), 7.44 (d, J=16.50 Hz, 1 H), 10.02 (s, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 159 (M+) (base
peak), 130.
(2E)-3-(4-Hydroxy-3-methylphenyl)acrylaldehyde (24g)
The same procedure as 24b was performed using 23g (5.58 g, 35.1 mmol), DIBAL-H in
PhMe (1.0 mol/L, 77 mL, 77 mmol) and dry THF (100 mL) to yield 24g (3.675 g, 65%) as a
yellow powder. TLC Rf = 0.31 (hexane / EtOAc, 2 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.29 (s,
52
3 H), 5.52 (s, 1 H), 6.59 (dd, J=16.00, 7.50 Hz, 1 H), 6.82 (d, J=8.50 Hz, 1 H), 7.32 (dd,
J=8.50, 1.50 Hz, 1 H), 7.35 - 7.43 (m, 2 H), 9.62 (d, J=7.50 Hz, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 162
(M+) (base peak), 147.
(2E)-3-[3-Methyl-4-(4-phenylbutoxy)phenyl]acrylaldehyde (20g)
The same procedure as 20b was performed using 24g (162 mg, 1.0 mmol), 4-phenylbutyl
bromide (256 mg, 1.2 mmol) and K2CO3 (332 mg, 2.4 mmol) and DMF (3 mL) to yield 20g
(107 mg, 36%) as a yellow powder. TLC Rf = 0.56 (hexane / EtOAc, 2 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 1.81 - 1.90 (m, 4 H), 2.24 (s, 3 H), 2.70 (t, J=7.50 Hz, 2 H), 4.02 (t, J=6.00
Hz, 2 H), 6.59 (dd, J=16.00, 7.50 Hz, 1 H), 6.81 (d, J=9.00 Hz, 1 H), 7.15 - 7.22 (m, 3 H),
7.24 - 7.42 (m, 5 H), 9.62 (d, J=7.50 Hz, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 294 (M+), 162, 147, 91 (base
peak).
3-({(2E)-3-[3-Methyl-4-(4-phenylbutoxy)phenyl]-2-propenyl}amino)propanoic
acid
hydrochloride (21g)
The same procedure as 21c was performed using 20g (107 mg 0.36 mmol), β-alanine (27 mg,
0.30 mmol), NaOH (powder, 13 mg, 0.33 mmol), MeOH (3 mL), MeOH / THF (3 mL + 1
mL) and NaBH4 (14 mg, 0.37 mmol) for a free form of 21g, and a solution of HCl in
1,4-dioxane (4 mol/L, 0.10 mL, 0.40 mmol) and 1,4-dioxane / water (6 mL / 0.30 mL) to yield
21g (66 mg, 55%) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.16 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 /
1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.78 - 1.86 (m, 4 H), 2.19 (s, 3 H), 2.64 - 2.79 (m, 4 H),
3.23 - 3.28 (m, 2 H), 3.78 (d, J=7.00 Hz, 2 H), 3.96 - 4.03 (m, 2 H), 6.03 - 6.14 (m, 1 H), 6.76
(d, J=15.50 Hz, 1 H), 6.83 (d, J=8.00 Hz, 1 H), 7.09 - 7.28 (m, 7 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z
735 (2M + H)+, 368 (M + H)+, 279, 147, 133; HRMS (FAB) Calcd for C23H29NO3: 368.2226,
Found: 368.2206.
(2E)-3-(2-Chloro-4-hydroxyphenyl)acrylonitrile (23h)
The same procedure as 23b was performed using 2-chloro-4-hydroxybenzaldehyde 22h (7.5 g,
47.9 mmol), diethyl cyanomethylphosphonate (8.5 mL, 52.7 mmol), NaH (60% in oil, 4.0 g,
101 mmol) and THF / dry DMF (50 mL / 20 mL) to yield 23h (6.8 g, 79%) as a yellow
powder. TLC Rf = 0.58 (hexane / EtOAc, 1 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.72 (d,
J=16.47 Hz, 1 H) 7.61 (d, J=8.60 Hz, 1 H) 6.86 (d, J=2.56 Hz, 1 H) 6.76 (dd, J=8.60, 2.56 Hz,
1 H) 6.05 (d, J=16.47 Hz, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 181, 179 (M+), 151, 144, 123, 116, 89, 63.
(2E)-3-(2-Chloro-4-hydroxyphenyl)acrylaldehyde (24h)
53
The same procedure as 24b was performed using 23h (5.4 g, 30 mmol), DIBAL-H in PhMe
(1.0 mol/L, 66 mL, 66 mmol) and dry THF / CH2Cl2 (70 mL / 30 mL) to yield 24h (2.0 g,
36%) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.26 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz,
DMSO-d6) δ 10.44 - 10.89 (m, 1 H) 9.65 (d, J=7.87 Hz, 1 H) 7.87 (d, J=7.68 Hz, 1 H) 7.82 (s,
1 H) 6.92 (d, J=2.38 Hz, 1 H) 6.81 (dd, J=7.68, 2.38 Hz, 1 H) 6.74 (dd, J=15.73, 7.87 Hz, 1
H); MS (EI, Pos.) m/z 184, 182 (M+), 153, 147, 128, 119, 89, 63.
(2E)-3-[2-Chloro-4-(4-phenylbutoxy)phenyl]acrylaldehyde (20h)
The same procedure as 20b was performed using 24h (182 mg, 1.0 mmol), 4-phenylbutyl
bromide (0.21 mL, 1.2 mmol) and K2CO3 (346 mg, 2.5 mmol) and DMF (1 mL) to yield 20h
(315 mg, 100%) as a pale yellow oil. TLC Rf = 0.61 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 9.69 (d, J=7.68 Hz, 1 H) 7.86 (d, J=15.92 Hz, 1 H) 7.59 (d, J=8.97 Hz, 1 H)
7.11 - 7.36 (m, 5 H) 6.95 (d, J=2.56 Hz, 1 H) 6.83 (dd, J=8.97, 2.56 Hz, 1 H) 6.60 (dd,
J=15.92, 7.68 Hz, 1 H) 3.93 - 4.05 (m, 2 H) 2.64 - 2.74 (m, 2 H) 1.73 - 1.89 (m, 4 H); MS (EI,
Pos.) m/z 314 (M+), 279, 147, 132, 117, 104, 91, 87, 65.
3-({(2E)-3-[2-Chloro-4-(4-phenylbutoxy)phenyl]-2-propenyl}amino)propanoic
acid
hydrochloride (21h)
The same procedure as 21c was performed using 20h (315 mg 1.0 mmol), β-alanine (81 mg,
0.91 mmol), NaOH (powder, 40 mg, 1.0 mmol), MeOH / THF (1 mL + 0.50 mL) and NaBH4
(41 mg, 1.1 mmol) for a free form of 21h, and a solution of HCl in 1,4-dioxane (2 mol/L, 0.70
mL, 1.4 mmol) and 1,4-dioxane (2 mL) to yield 21h (140 mg, 33%) as a pale yellow powder.
TLC Rf = 0.29 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.58 (d,
J=8.79 Hz, 1 H) 7.08 - 7.31 (m, 6 H) 6.96 (d, J=2.56 Hz, 1 H) 6.88 (dd, J=8.79, 2.56 Hz, 1 H)
6.18 (dt, J=15.84, 7.19 Hz, 1 H) 3.93 - 4.04 (m, 2 H) 3.85 (dd, J=7.19, 1.10 Hz, 2 H) 3.25 3.33 (m, 2 H) 2.77 (t, J=6.59 Hz, 2 H) 2.62 - 2.72 (m, 2 H) 1.74 - 1.84 (m, 4 H); MS (ESI, Pos.
20 V) m/z 775 (2M + H)+, 390, 388 (M + H)+, 301, 299, 133; HRMS (FAB) Calcd for
C22H26NO3: 388.1679, Found: 388.1666.
(2E)-3-(4-Hydroxy-2-methoxyphenyl)acrylonitrile (23i)
The same procedure as 23b was performed using 4-hydroxy-2-methoxybenzaldehyde 22i
(10.14 g, 66.6 mmol), diethyl cyanomethylphosphonate (13.0 g, 73.3 mmol), NaH (60% in oil,
6.69 g, 153 mmol) and dry THF / dry DMF (100 mL / 25 mL) to yield 23i (8.95 g, 77%) as an
ivory powder. TLC Rf = 0.51 (CHCl3 / MeOH, 9 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.51 (d,
J=16.66 Hz, 1 H) 7.16 - 7.32 (m, 1 H) 6.32 - 6.52 (m, 2 H) 5.92 (d, J=16.66 Hz, 1 H) 5.19 (s,
54
1 H) 3.87 (s, 3 H); MS (APCI, Neg. 20 V) m/z 174 (M - H)-.
(2E)-3-(4-Hydroxy-2-methoxyphenyl)acrylaldehyde (24i)
The same procedure as 24b was performed using 23i (5.07 g, 28.9 mmol), DIBAL-H in PhMe
(1.0 mol/L, 64 mL, 64 mmol) and dry THF (100 mL) to yield 24i (1.92 g, 37%) as a brown
powder. TLC Rf = 0.30 (CHCl3 / MeOH, 9 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.61 (d, J=7.87
Hz, 1 H) 7.77 (d, J=15.93 Hz, 1 H) 7.44 (d, J=8.06 Hz, 1 H) 6.71 (dd, J=15.93, 7.87 Hz, 1 H)
6.32 - 6.55 (m, 2 H) 6.16 (s, 1 H) 3.88 (s, 3 H); MS (APCI, Neg. 20 V) m/z 177 (M - H)-.
(2E)-3-[2-Methoxy-4-(4-phenylbutoxy)phenyl]acrylaldehyde (20i)
The same procedure as 20b was performed using 24i (100 mg, 0.56 mmol), 4-phenylbutyl
bromide (143 mg, 0.67 mmol) and K2CO3 (155 mg, 1.1 mmol), NaI (42 mg, 0.28 mmol) and
DMF (6 mL) to yield 20i (148 mg, 85%) as a brown oil. TLC Rf = 0.36 (CHCl3 / MeOH, 9 /
1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.62 (d, J=7.9 Hz, 1 H), 7.74 (d, J=15.9 Hz, 1 H), 7.48 (d,
J=8.6 Hz, 1 H), 6.71 (dd, J=7.9 Hz, 1 H), 6.33 - 6.58 (m, 2 H), 4.00 (t, J=6.5 Hz, 2 H), 3.88 (s,
3 H), 2.66 (t, J=7.5 Hz, 2 H), 1.77 - 1.90 (m, 2 H), 1.64 - 1.77 (m, 2 H), 1.42 - 1.61 (m, 2 H);
MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 311 (M + H)+.
3-({(2E)-3-[2-Methoxy-4-(4-phenylbutoxy)phenyl]-2-propenyl}amino)propanoic
acid
hydrochloride (21i)
The same procedure as 21c was performed using 20i (87 mg 0.28 mmol), β-alanine (21 mg,
0.24 mmol), NaOH (powder, 9.4 mg, 0.24 mmol), HC(OMe)3 (0.031 mL, 0.28 mmol), MeOH
(3 mL) and NaBH4 (11 mg, 0.35 mmol) for a free form of 21i, and a solution of HCl in
1,4-dioxane (4 mol/L) and 1,4-dioxane to yield 21h (93 mg, 78%) as an off-white powder.
TLC Rf = 0.28 (n-BuOH / AcOH / H2O, 20 / 4 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.36 (d,
J=8.23 Hz, 2 H) 7.09 - 7.30 (m, 5 H) 7.02 (d, J=16.28 Hz, 1 H) 3.88 - 4.07 (m, 2 H) 3.62 3.88 (m, 5 H) 3.16 - 3.40 (m, 2 H) 2.46 - 2.85 (m, 4 H) 1.71 - 1.87 (m, 4 H); MS (APCI, Neg.
20 V) m/z 382 (M - H)- ; HRMS (FAB) Calcd for C23H29NO4: 384.2175, Found: 384.2173.
(2E)-3-[4-(Benzyloxy)-2-methylphenyl]acrylonitrile (23p).
To a stirred solution of 2-methyl 4-benzyloxybenzaldehyde 22p (10.0 g, 44.2 mmol) and
diethyl cyanomethylphosphonate (10.7 mL, 66.3 mmol) in THF (150 mL) was added NaH
(2.65 g, 66.3 mmol) at 0 ºC portionwise. The mixture was stirred for 5.5 h at room
temperature. After approximately half amount of the solvent was removed under reduced
pressure, the mixture was poured into iced water and t-BuOMe was added to the mixture.
55
Resulting precipitation was collected through filtration, washed with water and dried under
reduced pressure to yield 23p (6.00 g, 55%) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.42 (hexane /
EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.38 (s, 3 H), 5.08 (s, 2 H), 5.67 (d, J=16.50 Hz,
1 H), 6.80 - 6.87 (m, 2 H), 7.29 - 7.46 (m, 6 H), 7.61 (d, J=16.50 Hz, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z
249 (M+), 146, 91 (base peak).
(2E)-3-[4-(Benzyloxy)-2-methylphenyl]acrylaldehyde (24p)
To a stirred solution of 23p (6.0 g, 24.1 mmol) in dry THF (200 mL) was added a solution of
DIBAL-H (1.0 mol/L in PhMe, 84 mL, 84 mmol) at -78 ºC over 20 min. After the mixture
was gradually warmed to room temperature over 45 min, the mixture was stirred for 24 h. The
mixture was poured into iced water, acidified with 5 mol/L HCl-aq to pH 1 and extracted with
t-BuOMe. Organic layer was washed with 1 mol/L HCl-aq and dried over MgSO4. The
filtrate was concentrated under reduced pressure. To the residue was added t-BuOMe and the
insoluble was removed by filtration. The filtrate was was concentrated under reduced pressure.
The residue was purified by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent
and further purified by trituration by (t-BuOMe / hexane) to yield 24p (460 mg, 8%) as an
orange powder. TLC Rf = 0.40 (hexane / EtOAc, 3 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.46 (s,
3 H), 5.10 (s, 2 H), 6.59 (dd, J=15.50, 7.50 Hz, 1 H), 6.84 - 6.89 (m, 2 H), 7.31 - 7.45 (m, 5
H), 7.58 (d, J=9.50 Hz, 1 H), 7.70 (d, J=15.50 Hz, 1 H), 9.68 (d, J=7.50 Hz, 1 H); MS (EI,
Pos.) m/z 252 (M+), 91 (base peak).
(2E)-3-(4-Hydroxy-2-methylphenyl)acrylaldehyde (24j)
To a stirred solution of 24p (200 mg, 0.79 mmol) in TFA (4 mL) was added PhSMe (0.93 mL,
7.9 mmol) at room temperature. The mixture was stirred for 2 h. The mixture was poured into
iced water and extracted with (hexane / EtOAc, 1 / 1) twice. The combined organic layer was
washed with water, brine and dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced
pressure and the residue was triturated with (hexane / EtOAc / THF) to yield 24j (40 mg,
31%) as a greenish powder. TLC Rf = 0.22 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz,
DMSO-d6) δ 2.37 (s, 3 H), 6.54 - 6.69 (m, 3 H), 7.65 (d, J=9.00 Hz, 1 H), 7.85 (d, J=15.50 Hz,
1 H), 9.62 (d, J=8.00 Hz, 1 H), 10.04 (s, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 162 (M+), 147 (base peak).
(2E)-3-[2-Methyl-4-(3-phenylpropoxy)phenyl]acrylaldehyde (20j)
To a stirred solution of 24j (40 mg, 0.25 mmol) in DMF (1 mL) were added K2CO3 (83 mg,
0.60 mmol) and 3-phenylpropyl bromide (0.045 mL, 0.30 mmol) at room temperature. The
mixture was stirred for 16.5 h at room temperature. To the mixture was added cold water and
56
the mixture was extracted with hexane / EtOAc (1 / 1) twice. The combined organic layer was
washed with water, brine and dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced
pressure and the residue was purified by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc)
as an eluent to yield 20j (66 mg, 96%) as a colorless oil. TLC Rf = 0.31 (hexane / EtOAc, 5 /
1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.07 - 2.17 (m, 2 H), 2.46 (s, 3 H), 2.82 (t, J=7.50 Hz, 2 H),
3.99 (t, J=6.00 Hz, 2 H), 6.59 (dd, J=15.50, 8.00 Hz, 1 H), 6.74 - 6.79 (m, 2 H), 7.18 - 7.24 (m,
3 H), 7.27 - 7.34 (m, 2 H), 7.57 (d, J=8.00 Hz, 1 H), 7.70 (d, J=15.50 Hz, 1 H), 9.67 (d,
J=8.00 Hz, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 280 (M+), 147, 91 (base peak).
3-({(2E)-3-[2-Methyl-4-(3-phenylpropoxy)phenyl]-2-propenyl}amino)propanoic
acid
hydrochloride (21j)
To a stirred solution of β-alanine (17 mg, 0.19 mmol) and NaOH (8 mg, 0.20 mmol) in
MeOH (2 mL) was added a solution of 20j (64 mg, 0.23 mmol) in MeOH (2 mL) at 0 ºC. The
reaction mixture was stirred for 1 h at 0 ºC and 30 min at room temperature. To the reaction
mixture was added NaBH4 (8 mg, 0.22 mmol) at 0 ºC. The reaction mixture was stirred for 30
min at 0 ºC. To the reaction mixture was added 1 mol/L HCl-aq to neutralize. The mixture
was concentrated under reduced pressure. And the residue was purified by chromatography
on silica gel using (CHCl3 / MeOH / NH4OH) as an eluent to yield a free form of 21j (53 mg)
as a white powder. To a stirred suspension of free form of 21j (53 mg, 0.15 mmol) in
1,4-dioxane (1.5 mL) was added a solution of HCl in 1,4-dioxane (4 mol/L, 0.056 mL, 0.23
mmol) equipped with water bath. The reaction mixture was stirred for 10 min and the
resulting solution was concentrated under reduced pressure. The residue was triturated with
Et2O to yield 21j (48 mg, 65%) as a white powder. TLC Rf = 0.21 (CHCl3 / MeOH / NH4OH,
20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.99 - 2.12 (m, 2 H), 2.34 (s, 3 H), 2.74 - 2.81 (m,
4 H), 3.27 - 3.31 (m, 2 H), 3.83 (d, J=7.50 Hz, 2 H), 3.95 (t, J=6.50 Hz, 2 H), 6.02 (dt,
J=15.50, 7.50 Hz, 1 H), 6.71 - 6.76 (m, 2 H), 7.07 (d, J=15.50 Hz, 1 H), 7.12 - 7.29 (m, 5 H),
7.44 (d, J=9.50 Hz, 1 H); MS (FAB, Pos., matrix = Glycerin + m-NBA) m/z 354 (M + H)+,
265; HRMS (FAB) calcd for C22H27NO3: 354.2069. Found: 354.2055.
1-{3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]propyl}-3-azetidinecarboxylic acid acetate (25a)
The same procedure as 21c was performed using 14 (324 mg, 1.21 mmol),
3-azetidinecaboxylic acid (94 mg, 0.93 mmol), NaOH (52 mg, 1.30 mmol) and MeOH (1 mL).
The resulting mixture was purified by chromatography on silica gel using (CH2Cl2 / MeOH /
AcOH) as an eluent to yield an AcOH salt form of 25a (215 mg, 56%) as a white powder.
TLC Rf = 0.44 (EtOAc / AcOH / H2O = 3 / 1 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.71 - 1.92
57
(m, 2 H) 1.98 (s, 3 H) 1.99 - 2.12 (m, 2 H) 2.61 (t, J=7.60 Hz, 2 H) 2.78 (t, J=7.20 Hz, 2 H)
3.09 - 3.20 (m, 2 H) 3.32 - 3.46 (m, 1 H) 3.92 (t, J=6.22 Hz, 2 H) 4.09 - 4.26 (m, 4 H) 6.79 6.88 (m, 2 H) 7.07 - 7.13 (m, 2 H) 7.14 - 7.29 (m, 5 H); MS (FAB, Pos., matrix = Glycerin +
m-NBA) m/z 354 (M + H)+; HRMS (FAB) calcd for C22H27NO3: 354.2069. Found: 354.2061.
1-{3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]propyl}-2-pyrrolidinecarboxylic acid (25b)
The same procedure as 21c was performed using 14 (324 mg, 1.21 mmol),
2-pyrrolidinecarboxylic acid (107 mg 0.93 mmol), NaOH (52 mg, 1.30 mmol) and MeOH (1
mL). The resulting mixture was purified by chromatography on silica gel using (CH2Cl2 /
MeOH / AcOH) as an eluent to yield 25b (107 mg, 31%) as a white powder. TLC Rf = 0.46
(EtOAc / AcOH / H2O = 3 / 1 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.82 - 2.19 (m, 7 H) 2.32 2.48 (m, 1 H) 2.64 (t, J=7.51 Hz, 2 H) 2.78 (t, J=7.20 Hz, 2 H) 2.96 - 3.16 (m, 2 H) 3.15 3.29 (m, 1 H) 3.61 - 3.77 (m, 1 H) 3.80 (dd, J=9.34, 6.04 Hz, 1 H) 3.91 (t, J=6.22 Hz, 2 H)
6.76 - 6.90 (m, 2 H) 7.07 - 7.13 (m, 2 H) 7.14 - 7.35 (m, 5 H); MS (FAB, Pos., Glycerin +
m-NBA) m/z 368 (M + H)+, 322; HRMS (FAB) Calcd for C23H29NO3: 368.2226, Found:
368.2225; IR (KBr) 3028, 2949, 2864, 1632, 1582, 1514, 1497, 1467, 1456, 1364, 1248, 1176,
1114, 1037, 965, 934, 829, 750, 700, 581, 494 cm-1.
1-{3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]propyl}-3-pyrrolidinecarboxylic acid (25c)
N-Boc-pyrrolidine-3-carboxylic acid (400 mg, 1.86 mmol) was dissolved in a solution of HCl
in 1,4-dioxane (4 mol/L, 4 mL, 16 mmol) and stirred for 2 h at room temperature. The
reaction mixture was concentrated under reduced pressure to give 3-pyrrolidinecarboxylic
acid hydrochloride as a dark beige oil, which was used without purification.
The same procedure as 21c was performed using 14 (324 mg, 1.21 mmol),
3-pyrrolidinecarboxylic acid hydrochloride (141 mg 0.93 mmol), NaOH (52 mg, 1.30 mmol)
and MeOH (1 mL). The resulting mixture was purified by chromatography on silica gel using
(CH2Cl2 / MeOH / AcOH) as an eluent to yield 25c (61 mg, 18%) as a white powder. TLC Rf
= 0.46 (EtOAc / AcOH / H2O = 3 / 1 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.92 - 2.12 (m, 4 H)
2.13 - 2.38 (m, 2 H) 2.64 (t, J=7.51 Hz, 2 H) 2.78 (t, J=7.51 Hz, 2 H) 2.98 - 3.09 (m, 1 H)
3.10 - 3.20 (m, 2 H) 3.22 - 3.47 (m, 3 H) 3.52 - 3.65 (m, 1 H) 3.92 (t, J=6.22 Hz, 2 H) 6.84 (d,
J=8.42 Hz, 2 H) 7.12 (d, J=8.42 Hz, 2 H) 7.16 - 7.33 (m, 5 H); MS (FAB, Pos., matrix =
Glycerin + m-NBA) m/z 390 (M + Na)+, 368 (M + H)+, 322; HRMS (FAB) calcd for
C23H29NO3: 368.2226. Found: 368.2223; IR (KBr) 3651, 3622, 3415, 3026, 2948, 2871, 2779,
2683, 2463, 2345, 1951, 1878, 1804, 1611, 1513, 1497, 1474, 1453, 1373, 1353, 1300, 1246,
1177, 1115, 1039, 1031, 985, 945, 812, 776, 749, 698, 637, 597, 572, 520, 471, 462 cm-1.
58
1-{3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]propyl}-2-piperidinecarboxylic acid (25d)
The same procedure as 21c was performed using 14 (324 mg, 1.21 mmol),
2-piperidinecarboxylic acid (120 mg 0.93 mmol), NaOH (52 mg, 1.30 mmol) and MeOH (1
mL). The resulting mixture was purified by chromatography on silica gel using (CH2Cl2 /
MeOH / AcOH) as an eluent to yield 25d (5 mg, 1.4%) as a white powder. TLC Rf = 0.51
(EtOAc / AcOH / H2O = 3 / 1 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.44 - 1.64 (m, 1 H) 1.65 1.91 (m, 4 H) 1.97 - 2.12 (m, 4 H) 2.12 - 2.27 (m, 1 H) 2.49 - 2.70 (m, 2 H) 2.78 (t, J=7.50 Hz,
2 H) 2.83 - 3.06 (m, 2 H) 3.16 - 3.29 (m, 1 H) 3.34 - 3.47 (m, 1 H) 3.47 - 3.62 (m, 1 H) 3.92 (t,
J=6.22 Hz, 2 H) 6.77 - 6.87 (m, 2 H) 7.08 - 7.14 (m, 2 H) 7.14 - 7.31 (m, 5 H); MS (FAB,
Pos., Glycerin + m-NBA) m/z 382 (M + H)+, 338, 185; HRMS (FAB) Calcd for C24H31NO3:
382.2382, Found: 382.2384; IR (KBr) 3951, 3944, 3934, 3920, 3906, 3894, 3887, 3873, 3866,
3856, 3842, 3823, 3809, 3803, 3782, 3772, 3761, 3753, 3746, 3737, 3727, 3714, 3704, 3692,
3678, 3671, 3658, 3652, 3631, 3622, 3590, 3569, 3547, 3426, 3026, 2945, 2866, 2478, 2362,
2345, 2102, 1950, 1872, 1832, 1794, 1775, 1764, 1752, 1736, 1719, 1686, 1677, 1618, 1612,
1562, 1553, 1544, 1534, 1512, 1498, 1468, 1452, 1389, 1300, 1245, 11773, 1037, 945, 847,
825, 748, 720, 699, 669, 637, 614, 606, 582, 571, 563, 552, 548, 538, 526, 516, 498, 490,
478, 471, 461 cm-1.
1-{3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]propyl}-3-piperidinecarboxylic acid (25e)
The same procedure as 21c was performed using 14 (324 mg, 1.21 mmol),
3-piperidinecarboxylic acid (120 mg 0.93 mmol), NaOH (52 mg, 1.30 mmol) and MeOH (1
mL). The resulting mixture was purified by chromatography on silica gel using (CH2Cl2 /
MeOH / AcOH) as an eluent to yield 25e (150 mg, 42%) as a white powder. TLC Rf = 0.44
(EtOAc / AcOH / H2O = 3 / 1 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.66 - 1.99 (m, 4 H) 1.99 2.15 (m, 4 H) 2.57 - 2.71 (m, 3 H) 2.78 (t, J=7.20 Hz, 2 H) 2.88 - 3.39 (m, 6 H) 3.92 (t, J=6.32
Hz, 2 H) 6.77 - 6.89 (m, 2 H) 7.10 - 7.17 (m, 2 H) 7.16 - 7.31 (m, 5 H); MS (FAB, Pos.,
Glycerin + m-NBA) m/z 382 (M + H)+; HRMS (FAB) Calcd for C24H31NO3: 382.2382,
Found: 382.2374; IR (KBr) 3433, 3026, 2945, 2864, 2758, 2527, 2483, 2365, 2249, 1950,
1883, 1603, 1511, 1497, 1470, 1454, 1380, 1298, 1245, 1175, 1111, 1069, 1035, 975, 918,
858, 831, 788, 768, 748, 700, 582, 527, 455 cm-1.
1-{3-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]propyl}-4-piperidinecarboxylic acid (25f)
The same procedure as 21c was performed using 14 (324 mg, 1.21 mmol),
4-piperidinecarboxylic acid (120 mg 0.93 mmol), NaOH (52 mg, 1.30 mmol) and MeOH (1
mL). The resulting mixture was purified by chromatography on silica gel using (CH2Cl2 /
59
MeOH / AcOH) as an eluent to yield 25e (133 mg, 37%) as a white powder. TLC Rf = 0.51
(EtOAc / AcOH / H2O = 3 / 1 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.78 - 2.15 (m, 8 H) 2.31 2.47 (m, 1 H) 2.63 (t, J=7.41 Hz, 2 H) 2.78 (t, J=7.20 Hz, 2 H) 2.88 - 3.08 (m, 4 H) 3.34 3.50 (m, 2 H) 3.92 (t, J=6.22 Hz, 2 H) 6.79 - 6.88 (m, 2 H) 7.09 - 7.15 (m, 2 H) 7.14 - 7.31 (m,
5 H); MS (FAB, Pos., Glycerin + m-NBA) m/z 382 (M + H)+; HRMS (FAB) Calcd for
C24H31NO3: 382.2382, Found: 382.2380; IR (KBr) 3424, 3028, 2943, 2665, 2599, 2528, 2478,
2366, 1961, 1892, 1709, 1610, 1581, 1513, 1498, 1469, 1446, 1366, 1302, 1246, 1178, 1115,
1041, 938, 887, 831, 811, 795, 773, 748, 698, 670, 626, 579, 569, 547, 526, 516, 504, 496,
469, 452 cm-1.
3-6-3. 化合物評価
・in vitro S1P 作動活性評価(細胞内カルシウムイオン[Ca2+]i の濃度測定)
2-6-3を参照。
・in vivo 薬理作用評価(末しょう血中リンパ球数の測定)(マウス)
2-6-3を参照。
・化合物血しょう中濃度の測定(ラット)
7 週齢の雄性 SD ラット 3 匹のそれぞれに、ウェルソルブ(セレステ社製)で溶か
した被験化合物を生理食塩水で希釈し、経口投与液(20%ウェルソルブ)あるいは静
脈内投与液(10%ウェルソルブ)をそれぞれの投与経路で投与し、投与後の各時間に
おいて同一個体から経時的に採血した。採血後血球成分を除去した血漿 25 μL を 2%
アンモニア水 200 μL で希釈し、あらかじめ 200 μL のメタノールと 200 μL の水でコン
ディショニングを行った Oasis HLB(Waters)プレートに内部標準物質 10 ng とともに
全量を加えた。5%メタノール 200 μL で洗浄後、AcCN/IPA(4/6)+2% アンモニア水混
液 100 μL で溶出した。溶出後の溶液 10 μL を LC/MS/MS に注入し定量することで各
個体の血しょう中濃度推移を算出するとともに、各時間における 3 匹のラットの平均
値を用いて算出した血しょう中濃度推移から各血中パラメーターを算出した。
60
3-7.参考文献
1. Verardo, G.; Geatti, P.; Pol, E.; Giumanini, A. G. Can. J. Chem. 2002, 80, 779.
2. Zweifel, G.; Hahn, G. R.; Shoup, T. M. J. Org. Chem. 1987, 52, 5486.
3. (a) Hale, J. J.; Newway, W.; Mills, S. G.; Hajdu, R.; Keohane, C. A.; Rosenbach, M. J.;
Milligan, J.; Shei, G.-J.; Chrebet, G.; Bergstrom, J.; Card, D.; Koo, G. C.; Koprak, S. L.;
Jachson, J. J.; Rosen, H.; Mandala, S. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 14, 3351. (b) Hale,
J. J.; Lynch, C. L.; Newway, W.; Mills, S. G.; Hajdu, R.; Keohane, C. A.; Rosenbach, M. J.;
Milligan, J.; Shei, G.-J.; Parent, S. A.; Chrebet, G.; Bergstrom, J.; Card, D.; Ferrer, M.;
Hodder, P.; Strulovici, B.; Rosen, H.; Mandala, S. J. Med. Chem., 2004, 47, 6662.
4. (a) Van Brocklyn, J. R.; Lee, M-J.; Menzeleev, R.; Olivera, A.; Edsall, L.; Cuvillier, O.;
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2008, 283, 19593.
5. (a) Hale, J. J.; Doherty, G.; Toth, L.; Li, Z.; Mills, S. G.; Hajdu, R.; Keohane, C. A.;
Rosenbach, M. J.; Milligan, J.; Shei, G.-J.; Chrebet, G.; Bergstrom, J.; Card, D.; Rosen,
H.; Mandala, S. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 14, 3495. (b) Li, Z.; Chen, W.; Hale, J. J.;
Lynch, C. L.; Mills, S. G.; Hajdu, R.; Keohane, C. A.; Rosenbach, M. J.; Milligan, J.; Shei,
G.-J.; Chrebet, G.; Parent, S. A.; Bergstrom, J.; Card, D.; Forrest, M.; Quackenbush, E. J.;
Wickham, L. A.; Vargas, H.; Evans, R. M.; Rosen, H.; Mandala, S. J. Med. Chem., 2005,
48, 6169. (c) Saha, A. K.; Yu, X.; Lin, J.; Lobera, M.; Sharadendu, A.; Chereku, S.; Schutz,
N.; Segal, D.; Marantz, Y.; McCauley, D.; Middleton, S.; Siu, J.; Bürli, R. W.; Buys, J.;
Horner, M.; Salyers, K.; Schrag, M.; Vargas, H. M.; Xu, Y.; McElvain, M.; Xu, H. ACS
Medicinal Chemistry Letters, 2011, 2, 97. (d) Demont, E. H.; Arpino, S.; Bit, R. A.;
Campbell, C. A.; Deeks, N.; Desai, S.; Dowell, S. J.; Gaskin, P.; Gray, J. R. J.; Harrison,
L. A.; Haynes, A.; Heightman, T. D.; Holmes, D. S.; Humpgreys, P. G.; Kumar, U.;
Morse, M. A.; Osborne, G. J.; Panchal. T.; Philpot, K. L.; Taylor, S.; Watson, R.; Willis,
R.; Witherington, J. J. Med. Chem., 2011, 54, 6724.
6. (a) Deng, Q.; Clemas, J. A.; Chrebet, G.; Fischer, P.; Hale, J. J.; Li, Z.; Mills, S. G.;
Bergstrom, J.; Mandala, S.; Mosley, R.; Parent, S. A. Molecular Pharmacology. 2007, 71,
724. (b) Nakamura, T.; Asano, M.; Sekiguchi, Y.; Mizuno, Y.; Tamaki, K.; Kimura, T.;
Nara, F.; Kawase, Y.; Shimozato, T.; Doi, H.; Kagari, T.; Tomisato, W.; Inoue, R.;
Nagasaki, M.; Yuita, H.; Oguchi-Oshima, K.; Kaneko, R.; Watanabe, N.; Abe, Y.; Nishi,
T. Bioorg. Med. Chem. Lett., 2012, 22, 1788.
7. Hanson, M. A.; Roth, C. B.; Jo, E.; Griffith, M. T.; Scott, F. L.; Reinhart, G.; Desale, H.;
Clemons, B.; Cahalan, S. M.; Schuerer, S. C.; Sanna, M. G.; Han, G. W.; Kuhn, P.; Rosen,
61
H.; Stevens, R. C. Science, 2012, 335, 851.
62
第四章 ジヒドロナフタレン骨格を有するリード化合物の創出
4-1.序論
前章で良い結果が得られたシンナミル誘導体 21c から更なる固定化を検討した。活
性向上に重要な二重結合部分の置換基を有するシンナミル誘導体で最適化を実施す
るには、合成中に生成するシス・トランス異性体の比率改善および分離の課題が残る
ことから、シス・トランス異性体の生成しない中心部分の構造設計を念頭に入れ検討
を行った。また、前章で明らかとなった中心部分(B パート)の嵩高さの重要性を加
味して化合物を設計した。
まず、中心部分の活性コンフォメーションに対する検討を行った。即ち、化合物 21c
は主に以下に示すような 2 種のコンフォーマーの平衡混合物として存在すると考え、
伸長したコンフォメーション構造(Extended Conformer I)をタイプ A の様式で固定化
した3-エキソメチレンピペリジン誘導体、および、折りたたまれたコンフォメーシ
ョン構造(Folded Conformer II)をタイプ B の様式で固定化したテトラヒドロピリジ
ン誘導体を設計した。テトラヒドロピリジン誘導体はシス・トランス異性体の生成し
ない構造として魅力のある構造である(図 4-1)。
RO
A
O
21c
H
N
HN
CO2H
B
Conformer I
Conformer II
Type A
R
CO2H
Type B
RO
O
N
CO2H
N
CO2H
図 4-1. シンナミル誘導体 21c からのさらなる固定化化合物の設計-1
また、別の固定化様式として、C の様式で固定化した 2 環式タイプのインデン誘導
体、および、ジヒドロナフタレン誘導体を設計した。これら誘導体についてもシス・
トランス異性体が生成しないことが大きな魅力であると考えた(図 4-2)。
63
RO
H
N
CO2H
C
O
H
N
Type C
CO2H
RO
21c
H
N
図 4-2. シンナミル誘導体 21c からのさらなる固定化化合物の設計-2
64
CO2H
4-2.中心部分のさらなる固定化化合物の合成
4-2-1.テトラヒドロピリジン誘導体、および、3-エキソメチレンピペリジン
誘導体の合成
テトラヒドロピリジン誘導体 32a およびピペリジン誘導体 32b および 37 は以下に
示す方法で合成した。
臭化物 26 を n-ブチルリチウムでリチオ化した後、Boc-ピペリドン 27 と反応させる
ことによって4―ヒドロキシピペリジン誘導体 28 を得た。化合物 28 を塩酸で処理す
ることで tert-ブトキシカルボニル基の脱保護と脱水反応を同時に行おうとしたが、本
条件下では脱保護反応のみが進行し、4-ヒドロキシピペリジン誘導体 29 が得られ
た。続いて還元的脱水酸基条件に付すことで、脱水反応が進行した。得られたテトラ
ヒドロピリジン誘導体 30 をアクリル酸エステルとの共役付加反応に付すことでテト
ラヒドロピリジン誘導体 31 を得た。化合物 31 の tert-ブチル基をトリフルオロ酢酸で
脱保護することでテトラヒドロピリジン誘導体 32a を、また、化合物 31 の二重結合
をパラジウム-炭素の存在下、水素雰囲気下で還元することにより得たピペリジン誘
導体の tert-ブチル基を同様の脱保護条件に付すことで、ピペリジン誘導体 32b をそれ
ぞれトリフルオロ酢酸塩として得た。
3-エキソメチレンピペリジン誘導体 37 は、3-ヒドロキシピペリジン 33 をアク
リル酸エステルと共役付加反応に付した後、Swern 酸化を行って得られたケトン誘導
体 34 と、別途アルコール誘導体 35 から調製したホスホニウム塩 36 との Wittig 反応
を行い、次いで tert-ブチル基を塩酸で脱保護することによって得た(Scheme 4-1)。
65
O
N
Boc
27
a
O
O
HO
Br
26
O
b
N
HO
Boc
28
O
c
TFA
O
NH
f
O
N
32a
O
k
l
O
TFA
N
CO2H
32b
i
O
N
CO2tBu
CO2H
Br
j
O
+
P
OH
34
33
34 + 36
e
h
NH
HO
CO2tBu
31
TFA
g
N
31
30
e
NH
29
d
31
HCl
35
36
O
N
37
COOH
HCl
Scheme 4-1.(テトラヒドロピリジン誘導体、および、3-エキソメチレンピペリジン
誘導体の合成)Reagent: (a) n-BuLi, THF; (b) HCl/1,4-dioxane, CH2Cl2; (c) Et3SiH, TFA,
CH2Cl2; (d) CH2=CHCO2But, iPr2NEt, DMF; (e) TFA, CH2Cl2; (f) H2, 10% Pd-C, EtOAc; (g)
CH2=CHCO2tBu, MeOH; (h) (COCl)2, DMSO, Et3N, CH2Cl2; (i) CBr4, Ph3P, C H2Cl2; (j) Ph3P,
PhMe; (k) NaH, DMSO; (l) i) HCl/EtOAc, ii) separation of geometric isomers.
4-2-2.ジヒドロナフタレン誘導体など 2 環式誘導体の合成
インデン誘導体 42a およびジヒドロナフタレン誘導体 42b-42d は、Vilsmeier 反応に
よるホルミル化反応を鍵反応としてそれぞれ以下に示す方法で合成した 1。
インデン誘導体 42a および1位に置換基を有さないジヒドロナフタレン誘導体 42b
には以下の方法を用いた。即ち、5-ヒドロキシインダノン 38a および6-ヒドロキ
シテトラロン 38b を塩基性条件下、4-フェニルブチルブロミドと反応させた後、得
られたケトン誘導体 39a および 39b を水素化ホウ酸ナトリウムでアルコール体 40a お
よび 40b へと還元し、続いて DMF 中でオキシ塩化リンと反応させることによって、
系中で脱水反応とホルミル化反応を同時に行い、対応するアルデヒド体 41a および
41b を得た。得られたアルデヒド体 41a および 41b を、前章と同様の還元的アルキル
66
化反応に付すことにより、アミノ酸誘導体 42a および 42b を得た。ただし、化合物
42a にはインデン環内の二重結合が異性化した 42f が副生成物として 25%程度含まれ
ており、完全に分離することはできなかった。また、1位にメチル基を有するジヒド
ロナフタレン誘導体 42c および 42d は、テトラロン誘導体 39b に対してメチルグリニ
ャール試薬を反応させることでアルコール体 40c へと誘導し、トシル酸水和物との反
応で脱水体 43 を得た後、鍵反応である Vilsmeier 反応に付すことによりアルデヒド体
41c を得、引き続く還元的アルキル化反応および塩酸の処理により、目的とするアミ
ノ酸誘導体 42c および 42d を塩酸塩として得た(Scheme 4-2)。脱水体 43 は極性が非
常に低く、シリカゲルカラムによる精製が非常に容易であった。また、本精製操作を
加えることでホルミル化反応後の生成物はシリカゲルカラムなしで結晶化によって
精製することができた。
本反応スキームの考案に当たっては、活性向上に重要と考えられたアミノ基のγ位
のメチル基を容易に導入できる出発物質として、ケトン官能基を望ましい位置に有す
るインダノン誘導体およびテトラロン誘導体を選択して検討を行った。
67
*
R=
HO
a
R
n
O
b
R
n
c
O
R
n
O
n
CHO
O
O
38a; n = 0
38b; n = 1
39a; n = 0
39b; n = 1
d
41a
OH
R
40a; n = 0
40b; n = 1
H
N
O
+
CO2H
R
41b
e
R
H
N
O
CO2H
42f
42a
d
41a; n = 0
41b; n = 1
O
H
N
CO2H
HCl
42b
f
39b
R
O
g
R
O
c
R
O
CHO
OH
43
40c
d
e
R
O
41c
CO2H
N
HCl
m
42c; m = 0
42d; m = 1
Scheme 4-2.(2 環式誘導体の合成)Reagent: (a) Ph(CH2)4Br, K2CO3, DMF; (b) NaBH4,
MeOH, THF; (c) POCl3, DMF (for 40a and 40b) or DMF/CH2Cl2 (for 43); (d) i) β-alanine
(for 42a-42c) or 3-azetidine carboxylic acid (for 42d), NaOH (powder), MeOH/THF (for 42a
and 42b) or MeOH/THF/i-PrOH (for 42c and 42d), HC(OMe)3 (for 42a) or Na2SO4 (for 42c
and 42d), ii) NaBH4; (e) HCl/1,4-dioxane, 1,4-dioxane, H2O (for 42b and 42c) or HCl-aq,
THF (for 42d); (f) MeMgBr/Et2O, THF; (g) TsOH monohydrate, CH2Cl2.
1位にメチル基を有するジヒドロナフタレン誘導体 43 のホルミル化反応の際に、
反応終了後の溶液を水で処理し、分液後の有機層を濃縮したところ、残さの収量が理
論収量に比べて少なかった。そこで、水相に含まれる成分を分析したところ、水相に
はジヒドロナフタレン環1位のメチル基が系内でエキソメチレン基に異性化した後、
当該メチレン部位で Vilsmeier 反応が進行したと考えられるイミニウム塩 44’が主に含
まれていることが明らかとなった。系内で生成した望みのイミニウム塩 44 と加水分
解速度に大きな差があったことから液々抽出での分離が可能であったと考えられる
68
(図 4-3)。
*
R=
R
O
O
R
O
R
O
41c
+
N
43
POCl3
DMF
R
O
Cl
44
+
R
organic layer
Aqueous
work-up (by facile hydrolysis)
R
O
+
N
44'
H
O
+
Cl
N
Cl
44'
aqueous layer
図 4-3. 化合物 43 のホルミル化反応における副生成物の生成と分離
化合物 42d の合成の最終段階では、市販の3-アゼチジンカルボン酸を用いた。ち
なみに、本化合物の合成については、2 種類の方法が報告されている 2。
69
4-3.中心部分のさらなる固定化化合物の構造活性相関
4-3-1.方法
2-6-3を参照。
4-3-2.結果と考察
【テトラヒドロピリジン誘導体およびピペリジン誘導体の薬理活性の評価】
序論で概説した化合物設計のうち、テトラヒドロピリジン誘導体、および、ピペリ
ジン誘導体の薬理活性の結果と考察を以下にまとめた。
テトラヒドロピリジン誘導体 32a および3-エキソメチレンピペリジン誘導体 37
の in vitro 活性を評価したところ、テトラヒドロピリジン誘導体 32a の活性がより優
れていたことから、伸長したコンフォメーション構造(Extended conformer I)と比べ
ると、折りたたまれたコンフォメーション構造(folded conformaer II)の方が活性に
対する寄与が大きいことが示唆された。また、化合物 37 においては中心部分のベン
ゼン環の 2 位のプロトンとピペリジン環の 4’位のプロトンの立体反発により、ベンゼ
ン環と二重結合の間の結合が回転し、共役π電子の平面性が失われていることが活性
の減弱に影響していることも示唆された。
ただし、テトラヒドロピリジン誘導体 32a の活性・選択性はシンナミル誘導体 21c
と比較すると、減弱・縮小傾向であったことから、活性コンフォメーションとしては
最適ではないことが示唆された。むしろそれらの中間に当たる、ベンゼン環の面に対
して垂直方向にアミノ基が伸びた構造が好ましいと考えられた。
また、テトラヒドロピリジン誘導体 32a の二重結合を還元したピペリジン誘導体
32b の活性が大きく減弱したことから、本骨格においても共役部位の二重結合が重要
な役割を果たしていることが明らかとなった(Table 4-1)。
70
Table 4-1. テトラヒドロピリジン誘導体およびピペリジン誘導体の薬理活性
R=
Compound
No.
21a
in vitro (human)
Ca Assay EC50
*
Structure
RO
H
N
RO
H
N
21c
CO2H
CO2H
in vivo
(mouse)
PLL Efficacy
ED50
Selectivity p.o. 4hr
S1P3 / S1P1 (mg/kg)
S1P1
(nM)
S1P3
(nM)
70
3300
47
4.6
21
>10000
>476
0.69
45
1200
27
1.4
1500
>10000
>7
N.T.
1600
>10000
>6
N.T.
RO
32a
N
37
R
O
CO2H
2 4'
N
CO2H
RO
32b
N
CO2H
【インデン誘導体およびジヒドロナフタレン誘導体の薬理活性の評価】
序論で概説した化合物設計のうち、インデン誘導体およびジヒドロナフタレン誘導
体の薬理活性の結果と考察を以下にまとめた。本項においては、前章で受容体選択性
に関して良好な結果を与えることが示唆された脂溶性末端部分(A パート)に4-フ
ェニルブチルエーテル構造を有する誘導体間において構造活性相関を考察した。
インデン誘導体 42a およびジヒドロナフタレン誘導体 42b の in vitro 活性はシンナ
ミル誘導体の 21e と比較して良好であった。ただし、インデン誘導体 42a は in vivo
において 1 mg/kg の投与量においても有効性を示さなかった。インデン誘導体 42a の
合成においては、合成の途中段階で環内での二重結合の異性化が認められたことから、
in vivo の効果の弱さについては、生体内における化合物の化学的安定性が低いことが
原因と考察した(Table 4-2)。
71
Table 4-2. インデン誘導体およびジヒドロナフタレン誘導体の薬理活性
Compound
No.
21e
42a a
42b
42c
42d
in vitro (human)
Ca Assay EC50
*
R=
Structure
R
O
RO
RO
RO
H
N
H
N
H
N
H
N
RO
in vivo
(mouse)
PLL Efficacy
ED50
S1P1
(nM)
S1P3
(nM)
120
>10000
>83
N.T.
N.T.
17
3200
188
>1b
N.T.
57
7800
137
N.T.
N.T.
11
>10000
909
0.34
N.T.
2.9
>10000
>3448
0.16
1.9
Selectivity p.o. 4hr p.o. 24hr
S1P3 / S1P1 (mg/kg) (mg/kg)
CO2H
CO2H
CO2H
CO2H
CO2H
N
a
Including 25% of regioisomer 42f
b
23% reduction at 1 mg/kg
ジヒドロナフタレン誘導体に関しては、合成段階においてインデン誘導体に認めら
れた環内の異性化の懸念も、シンナミル誘導体で認められたシス・トランス異性体の
生成の懸念もないことから、さらなる合成展開を継続することとした。
ジヒドロナフタレン誘導体 42b に対して、シンナミル誘導体で活性・選択性の向上
に最も寄与したアミノ基のγ位(ジヒドロナフタレン環の1位)のメチル基を導入し
た化合物 42c は、EC50 値が 11 nM の強い S1P1 受容体作動活性と約 900 倍の S1P3 受容
体作動活性との選択性を有していた。化合物 42c は前章で得られたシンナミル誘導体
の構造活性相関(Table 3-2、3-4)の中で、活性・選択性の向上に寄与することが示さ
れた 2 ヵ所(ベンゼン環の 2 位およびアミノ基のβ位)のメチル基同士を結合させ、
さらに S1P1 作動活性向上に最も寄与するアミノ基のγ位にメチル基を有する構造で
あることから、それら置換基の相加効果が、活性向上の一つの要因と考えられる(図
4-4)。
また、テトラヒドロピリジン誘導体および3-エキソメチレンピペリジン誘導体の
結果の考察に関連して、2 環式への固定化により、共役π電子の平面性が強固になっ
72
たことも活性・選択性向上の要因であることが示唆された。
O
× ○
○
3
2β
O
H
N
H
N
CO2H
CO2H
γ◎
21e
42c
S1P1 / S1P3 = 120 nM / >10000 nM
S1P1 / S1P3 = 11 nM / >10000 nM
図 4-4. 化合物 42c の活性向上に対する考察-1
また、テトラヒドロピリジン誘導体と3-エキソメチレンピペリジン誘導体の活性
コンフォメーションの考察から、アミノ基が中心部分のベンゼン環の面に対して垂直
方向に方向付けされることが活性向上に重要である可能性が示唆されていたが、2 環
式構造を採用すること、および、ジヒドロナフタレン環の1位(アミンのγ位)にメ
チル基を導入することで、アミノ基がより 2 環式面に対して垂直方向に方向付けされ
やすくなったことも、活性向上の一つの要因と考えられる(図 4-5)。実際の結晶中
での化合物のコンフォメーションについては、次章で議論する。
O
O
H
N
CO2H
H
H
H
N
CO2H
HH H
21e
42c
S1P1 / S1P3 = 120 nM / >10000 nM
S1P1 / S1P3 = 11 nM / >10000 nM
図 4-5. 化合物 42c の活性向上に対する考察-2
さらに、第二章で得られたアミノ酸部分(C パート)に関する構造活性相関の中で、
βアラニンと同等以上の活性・選択性が認められた3-アゼチジンカルボン酸への置
換を検討した。化合物 42c のβアラニンを3-アゼチジンカルボン酸に置換した誘導
体 42d は、活性・選択性をさらに改善し、EC50 値が 2.9 nM の強力な S1P1 受容体作動
活性と 3000 倍以上の S1P3 受容体作動活性との選択性を示した。また、経口投与 4 時
間後の in vivo 活性は 0.16 mg/kg であり、化合物 42c の結果(0.34 mg/kg)と比較して
も 2 倍程度向上していた(Table 4-2)。
3-アゼチジンカルボン酸の効果については明確ではないが、アミノ基の周辺構造
が嵩高くなることによって、アミノ酸部分の構造がジヒドロナフタレン環の面に対し
て垂直方向に向く寄与がより大きくなった可能性が考えられる。本アミノ基は、S1P1
73
受容体の X 線結晶構造解析の結果から、S1P1 受容体のグルタミン酸残基と酸性プロ
トンを介して相互作用していると考えられることから、アミノ基のプロトンがなくて
も強い活性を示したことは本考察と矛盾しないものであった。
74
4-4.ジヒドロナフタレン誘導体の血中動態
前述したように、化合物 42d は経口投与 4 時間後においても比較的低用量で in vivo
活性を示したことから、化合物 42d の経口吸収性は良好であることが推察された。そ
こで化合物 42d のラットにおける血しょう中濃度推移を検証した。また、アミノ酸部
分の構造変化が血中動態に与える影響を調査する目的で、類縁体 42c についても合わ
せて検討した。
4-4-1.方法
3-6-3を参照。
4-4-2.結果と考察
良好な in vivo 活性を示した化合物 42c および 42d のラットにおける血中動態を測定
した。結果を図 4-6 に示した。両化合物ともに 1 mg/kg から 10 mg/kg あるいは 5 mg/kg
への用量の増加に伴って血しょう中曝露量(AUCinf)が約 10 倍あるいは 5 倍に増加
した。また、B.A.も 44~85%と良好であった。環構造の変換においてもシンナミル誘
導体の B.A.や用量依存性に関する良好な性質は受け継がれていることが確認できた。
また、アミノ酸構造を 4 員環に変換することで経口投与時の半減期が約 7 時間から約
17 時間に向上していた。活性面だけでなく動態面でも3-アゼチジンカルボン酸の有
用性が確認できたことから、次章以降、アミノ酸部分を3-アゼチジンカルボン酸に
固定して構造変換を実施することとした。
一方、シンナミル誘導体 21c とジヒドロナフタレン誘導体 42d の 1 mg/kg 経口投与
時の化合物血しょう中濃度を比較すると、4 時間後ではそれぞれ 427 ng/mL, 159 ng/mL
であり、血しょう中半減期はそれぞれ約 6 時間、約 17 時間であった。化合物 42d は、
化合物 21c と比較して S1P1 作動活性が 10 倍近く向上しているのに対して、経口投与
4 時間後の in vivo 活性の向上が 4 倍程度であったことは、血しょう中濃度の差からほ
ぼ矛盾なく説明できると考えている。また、血しょう中半減期が長くなったことにつ
いては、化合物の回転可能結合を減らすことによって、代謝酵素の認識を受けにくく
なり、化合物が代謝的に安定になったことが一つの要因と考えられる(図 4-6)。
75
化合物 42dをラットに経口投与した時の
未変化体血しょう中濃度推移
化合物 42c をラットに経口投与した時の
未変化体血しょう中濃度推移
O
Comp.
42c
i.v.
p.o.
p.o.
Dose
(mg/kg)
1
10
1
42d
i.v.
p.o.
p.o.
1
5
1
H
N
AUCinf
(ng・h/mL)
5400
26820
2390
4420
14600
3780
CO2H
CO2H
*
Tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
4.0
4.0
1780
168
3.3
4.7
637
181
CLtot
(mL/min/kg)
3.1
4.0
N
T1/2
(h)
5.2
7.2
6.9
Vss
(mL/kg)
858
11.0
16.6
16.7
2860
B.A.
(%)
50
44
66
85
Values are means of three experiments, standard deviation is given by ±.
図 4-6. ジヒドロナフタレン誘導体代表化合物 42c および 42d の血しょう中濃度推移
76
4-5.リード候補化合物の各種基礎評価
化合物 42d は良好な in vitro/in vivo 活性、および血中動態を示したことから、リー
ド化合物の候補と考えられた。そこで、構造の最適化のための詳細な変換を開始する
前に、安全性や物理化学的性質などの面で医薬品として致命的な欠点がないかどうか
検証した。
4-5-1.方法
化合物の遺伝毒性を評価する AMES 試験や心毒性を評価する hERG 試験、膜透過性
の指標となる人工膜 PAMPA の透過性試験については、参考文献を参照 3。
4-5-2.結果と考察
リード候補化合物 42d の各種基礎評価の結果を以下にまとめた。水への溶解性は低
かったが、経口吸収性が良好であったことから、低溶解性が問題になる可能性は低い
と考えられた。溶解性が低いにもかかわらず経口吸収性が良好である原因については、
高い膜透過性が低溶解性の欠点を補っているためと考察した。また、化合物の胆汁に
対する溶解性が良好である可能性も考えられた(Table 4-3)。
化合物 42d は、リード化合物として十分な活性を有しており、安全性・物性動態・
物理化学的性質の面でも大きな問題は認められなかったことから、次章以降、化合物
42d をリード化合物として選択し、病態モデルでの有効性評価や周辺構造の徹底的な
構造変換を実施して、一つの医薬品候補化合物の創製を目指すこととした。薬効を見
積もる一つの方法として、化合物 42d のマウス過敏性大腸炎およびラット小腸移植片
に対する拒絶反応の抑制に対する効果が検証され、有効性を示すことが報告されてい
る(化合物名は W-061 として報告されている)4。
77
Table 4-3. リード候補化合物 42d の各種基礎評価結果
評価項目
分類
S1P1 EC50(ヒト)
S1P3 EC50(ヒト)
PLL p.o.4h(マウス)
in vivo
PLL p.o.24h(マウス)
PLL 経時変化(ラット)
遺伝毒性
AMES試験
循環器毒性
hERG
BA
血中動態(ラット)
用量依存性
膜透過性
人工膜(PAMPA)pH 6.2
溶解度(水)
pH 6.8
分子量
cLogP
水素結合供与基
水素結合受容基
Rotatable Bond
in vitro
活性
安全性
物性動態
構造特性
化合物 4 2 d 結果
4.2 nM
> 10000 nM
0.16 mg/kg
1.9 mg/kg
図4-7
陰性
IC50 = 8.7 μM
66-86%
あり
38 x 10 -6 cm/sec
32 μg/mL
405.54
4.3
1
4
9
各種基礎評価の一環として、化合物 42d を経口投与した際の末しょう血中リンパ球
数の経時変化を検討した。その結果、化合物 42d はほぼ血中濃度の推移に応じた末し
ょう血リンパ球消失作用を示すことが示唆された(図 4-7)。このことは化合物 42d
が代謝物ではなく、その化合物そのもので薬理反応を引き出していることを示唆して
いる。先行品の FTY720 は代謝物が薬理反応を引き起こすタイプの薬剤であり、活性
体への代謝速度の個人差によって有効性に個人差が出るリスクがあるのに対して、本
論文で合成した化合物群は、より個人差の少ない薬剤として FTY720 と差別化できる
可能性があると考えられる。
140
化合物 42d; 1 mg/kg, p.o.
% of Vehicle Control
120
100
80
60
***
40
***
***
20
***
0
0
4
8
12
hr
16
20
24
図 4-7. 化合物 42d をラットへ経口投与した際の末しょう血リンパ球数の経時変化
78
4-6.小括
本章では、シンナミル誘導体 21c からさらなる固定化を検討した。テトラヒドロピ
リジン誘導体と3-エキソメチレンピペリジン誘導体に対する活性の考察から、化合
物の活性コンフォメーションに対する情報が得られた。即ち、アミノ酸部分の構造が
中心部分のベンゼン環の面に対して垂直方向を向くこと、また、ベンゼン環と二重結
合を含むπ電子共役面が平面性を保つことの重要性が示唆された。一方、別の固定化
方法として検討したジヒドロナフタレン骨格などの 2 環式誘導体はシンナミル誘導体、
テトラヒドロピリジン誘導体を上回る優れた in vitro 活性・選択性を示した。シンナ
ミル誘導体の課題であったシス・トランス異性体の生成を回避することと、シンナミ
ル誘導体における好ましい置換基同士を結合させる発想から 2 環式化合物を設計した
ことが、置換基の相加効果を生んだだけでなく、2 環式を採用することでπ電子雲が
強固な平面性を確保し、さらに、ジヒドロナフタレン環の 1 位へのメチル基の導入に
より、アミノ酸部分を 2 環式平面に対してより垂直方向に配置できたことが良い結果
に繋がったと考えられる。
医薬品分野におけるジヒドロナフタレン骨格の応用例はそれほど多くなく、特許的
にも魅力のある骨格であると言える 5。ジヒドロナフタレン誘導体は、同様の活性が
期待できるナフタレン誘導体と比較して、特許性、溶解性、活性に重要なジヒドロナ
フタレン環の 1 位への置換基の導入しやすさに関して利点があると考えられる。反応
系中において、空気酸化などによってナフタレン体へ変換される懸念はあるものの、
本研究で使用した反応条件においては、本化合物群のナフタレン体への酸化は全く認
められなかった。ジヒドロナフタレン環 6 位の酸素原子の電子供与効果によって共役
二重結合の電子密度が増加したことが安定化に寄与していると考えられる。
ジヒドロナフタレン誘導体の代表化合物 42d は 1.9 mg/kg の比較的低用量で経口投
与 24 時間後の in vivo 活性を示し、S1P3 作動活性との選択性も良好であったことに加
えて、安全性面などの大きな懸念が認められなかった。また、合成面においても、活
性に重要なジヒドロナフタレン環の 1 位(アミノ基のγ位)のメチル基を効率的に導
入できる合成ルートが確立できたことから、化合物 42d を医薬品候補化合物創製のた
めの詳細な構造の最適化を行うためのリード化合物として選択した。
ヒット化合物 1 およびシンナミル誘導体の代表化合物 21c とジヒドロナフタレン骨
格を有するリード化合物 42d の比較を以下に示した(Table 4-4)。ヒット化合物 1 と
比較すると、活性・選択性は飛躍的に向上したものの、目標としている FTY720 と同
程度の活性を発現するためには in vitro 活性で約 10 倍、in vivo 活性で約 30 倍のさら
なる改善が必要である。
79
Table 4-4. ヒット化合物 1、シンナミル誘導体代表化合物 21c、リード化合物 42d、
FTY720(-P)の活性・選択性比較
in vitro (human)
Ca Assay EC50
Compound
No.
1
Structure
O
O
21c
H
N
H
N
O
42d
FTY720
p.o. 4hr
(mg/kg)
p.o.24hr
(mg/kg)
S1P1
(nM)
S1P3
(nM)
Selectivity
S1P3 / S1P1
160
4200
26
26
N.T.
21
>10000
>476
0.69
N.T.
2.9
>10000
>3448
0.16
1.9
0.088
0.060
CO2H
CO2H
CO2H
N
in vivo (mouse)
PLLa Efficacy ED50
(0.23) b
a; Peripheral Lymphocyte Lowering
b: Values for FTY720-P
80
(20) b
(87) b
4-7.実験の部(Experimental)
4-7-1.General directions
2-6-1を参照。
4-7-2.化合物合成
tert-Butyl 4-hydroxy-4-[4-(3-phenylpropoxy)phenyl]-1-piperidinecarboxylate (28)
To a solution of 1-bromo-4-(3-phenylpropoxy)benzene 26 (1.2 g, 4.1 mmol) in THF (7 mL)
was added a solution of n-BuLi in hexane (1.6 mol/L, 2.31 mL, 3.7 mmol) at -78 °C. After
stirring for 2 h at -78 °C, a solution of N-boc-4-piperidone 27 (746 mg, 3.7 mmol) in THF (3
mL) was added to the solution at -78 °C. After the mixture was gradually warmed to 10 °C
over 4.5 h, water was added to the mixture at -78 °C. After the organic solvent was
concentrated under reduced pressure, the mixture was extracted with t-BuOMe. The organic
layer was washed with water and dried over Na2SO4. The filtlate was concentrated under
reduced pressure. The residue was purified by chromatography on silica gel using (hexane /
EtOAc) as an eluent to yield 28 (908 mg, 60%) as a white powder. TLC Rf = 0.62 (hexane /
EtOAc, 3 / 7); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.37 (d, J=8.97 Hz, 2 H) 7.24 - 7.33 (m, 2 H)
7.13 - 7.23 (m, 3 H) 6.88 (d, J=8.97 Hz, 2 H) 3.93 - 4.09 (m, 2 H) 3.96 (t, J=6.31 Hz, 2 H)
3.14 - 3.34 (m, 2 H) 2.81 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 2.04 - 2.16 (m, 2 H) 1.87 - 2.03 (m, 2 H) 1.67 1.81 (m, 2 H) 1.48 (s, 9 H) 1.46 (s, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 411 (M+), 354, 336, 311, 292, 266,
254, 239, 91.
4-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]-4-piperidinol hydrochloride (29)
To a solution of 28 (400 mg, 1.0 mmol) in CH2Cl2 (2 mL) was added a solution of HCl in
1,4-dioxane (4 mol/L, 1.5 mL, 6.0 mmol) at 0 °C. After stirring for 50 min at room
temperature, the mixture was concentrated under reduced pressure. The residue was triturated
with i-Pr2O to yield 29 (340 mg, 97%) as a white powder. TLC Rf = 0.62 (CHCl3 / MeOH /
NH4OH, 80 / 10 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.32 (d, J=8.97 Hz, 2 H) 7.10 - 7.29 (m,
5 H) 6.93 (d, J=8.97 Hz, 2 H) 3.97 (t, J=6.31 Hz, 2 H) 3.18 - 3.38 (m, 4 H) 2.79 (t, J=7.32 Hz,
2 H) 2.22 - 2.38 (m, 2 H) 1.96 - 2.14 (m, 4 H); MS (FAB, Pos.) m/z 312 (M + H)+, 294, 91.
4-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]-1,2,3,6-tetrahydropyridine trifluoroacetate (30)
To a solution of 29 (100 mg, 0.29 mmol) in 5% TFA / CH2Cl2 (1 mL) was added triethylsilane
(0.15 mL, 1.2 mmol) at room temperature. After stirring for 48 h at room temperature, the
mixture was concentrated under reduced pressure to yield 30 as a white powder. This was
81
provided for next step without further purification. TLC Rf = 0.62 (CHCl3 / MeOH / NH4OH,
20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.39 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 7.09 - 7.30 (m, 5 H) 6.90
(d, J=8.78 Hz, 2 H) 5.99 - 6.09 (m, 1 H) 3.96 (t, J=6.22 Hz, 2 H) 3.75 - 3.86 (m, 2 H) 3.45 (t,
J=6.22 Hz, 2 H) 2.69 - 2.87 (m, 4 H) 1.97 - 2.14 (m, 2 H); MS (FAB, Pos.) m/z 294 (M + H)+,
265, 91.
tert-Butyl
3-[4-[4-(3-phenylpropoxy)phenyl]-3,6-dihydro-1(2H)-pyridinyl]propanoate
(31)
The same procedure as 4 was performed using 30 (245 mg, 0.58 mmol), tert-butyl acrylate
(0.26 mL, 1.7 mmol), i-Pr2NEt (0.30 mL, 1.7 mmol) and DMF (4 mL) to yield 31 (218 mg,
89% in 2 steps) as a white powder. TLC Rf = 0.60 (hexane / EtOAc, 1 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 7.30 (d, J=8.96 Hz, 2 H) 7.13 - 7.31 (m, 5 H) 6.84 (d, J=8.96 Hz, 2 H) 5.88 6.03 (m, 1 H) 3.96 (t, J=6.31 Hz, 2 H) 3.10 - 3.19 (m, 2 H) 2.74 - 2.86 (m, 4 H) 2.71 (t, J=5.67
Hz, 2 H) 2.50 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 2.44 - 2.61 (m, 2 H) 2.01 - 2.19 (m, 2 H) 1.45 (s, 9 H); MS
(FAB, Pos.) m/z 422 (M + H)+, 364, 318, 306, 292, 102, 91.
3-[4-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]-3,6-dihydro-1(2H)-pyridinyl]propanoic
acid
trifluoroacetate (32a)
A solution of 31 (28 mg, 0.066 mmol) in 50% TFA / CH2Cl2 (1 mL) was stirred at room
temperature. After stirring for 2 h at room temperature, the mixture was concentrated under
reduced pressure. The residue was triturated with i-Pr2O to yield 32a (26 mg, 82%) as a pale
yellow powder. TLC Rf = 0.24 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CD3OD) δ 7.40 (d, J=8.97 Hz, 2 H) 7.10 - 7.30 (m, 5 H) 6.90 (d, J=8.97 Hz, 2 H) 5.92 - 6.09
(m, 1 H) 3.96 (t, J=6.22 Hz, 2 H) 3.89 - 4.00 (m, 2 H) 3.52 (t, J=7.04 Hz, 2 H) 3.47 - 3.68 (m,
2 H) 2.88 (t, J=7.04 Hz, 2 H) 2.83 - 2.92 (m, 2 H) 2.79 (t, J=7.80 Hz, 2 H) 1.97 - 2.14 (m, 2
H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 731 (2M + H)+, 366 (M + H)+; HRMS (FAB) calcd for
C23H27NO3: 366.2069. Found: 366.2069.
3-{4-[4-(3-Phenylpropoxy)phenyl]-1-piperidinyl}propanoic acid trifluoroacetate (32b)
To a suspension of wet 10% Pd-C (50 wt%, 40 mg) in EtOAc (1 mL) was added a solution of
31 (170 mg, 0.40 mmol) in EtOAc (3 mL). After stirring for 3.5 h at room temperature under
atmospheric pressure of hydrogen, the filtrate was concentrated under reduced pressure. The
residue was purified by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent to
yield tert-butyl 3-{4-[4-(3-phenylpropoxy)phenyl]-1-piperidinyl}propanoate (100 mg, 60%)
as
a
white
powder.
A
82
solution
of
tert-butyl
3-{4-[4-(3-phenylpropoxy)phenyl]-1-piperidinyl}propanoate (90 mg, 0.21 mmol) in 50% TFA
/ CH2Cl2 (2 mL) was stirred for 1 h at room temperature. After the mixture was concentrated
under reduced pressure, the residue was triturated with i-Pr2O to yield 32b (90 mg, 87%) as a
white powder. TLC Rf = 0.29 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CD3OD) δ 7.09 - 7.30 (m, 7 H) 6.86 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 3.93 (t, J=6.31 Hz, 2 H) 3.60 - 3.74
(m, 2 H) 3.44 (t, J=7.04 Hz, 2 H) 3.06 - 3.23 (m, 2 H) 2.84 (t, J=7.04 Hz, 2 H) 2.78 (t, J=7.04
Hz, 2 H) 2.71 - 2.91 (m, 1 H) 1.98 - 2.17 (m, 4 H) 1.86 - 1.98 (m, 2 H); MS (ESI, Pos. 20 V)
m/z 368 (M + H)+; HRMS (FAB) Calcd for C23H29NO3: 368.2226, Found: 368.2219.
tert-Butyl 3-(3-oxo-1-piperidinyl)propanoate (34)
To a solution of 3-hydroxypiperidine 33 (3.0 g, 30 mmol) in MeOH (7 mL) was added
tert-butyl acrylate (5.27 mL, 36 mmol) at room temperature. After stirring for 14 h at room
temperature, the mixture was concentrated under reduced pressure to tert-butyl
3-(3-hydroxy-1-piperidinyl)propanoate (6.2 g, 90%) as a yellow oil.
To a solution of (COCl)2 (0.58 mL, 6.6 mmol) in CH2Cl2 (30 mL) was added DMSO (0.59
mL, 8.3 mmol) at -78 °C. After stirring for 10 min at -78 °C, a solution of tert-butyl
3-(3-hydroxy-1-piperidinyl)propanoate (760 mg, 3.3 mmol) in CH2Cl2 (2 mL) was added to
the mixture at -78 °C. After stirring for 1 h at -40 °C, Et3N (2.3 mL, 16.5 mmol) was added to
the mixture. After stirring for 30 min at -20 °C, NaHCO3-aq was added to the mixture. The
mixture was extracted with CH2Cl2 and the organic layer was washed with water, brine and
dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure. The residue was
purified by chromatography on silica gel using (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 80 / 10 / 1) as an
eluent to yield 34 (640 mg, 85%) as a brown oil. TLC Rf = 0.71 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 80
/ 10 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 3.02 (s, 2 H) 2.73 (t, J=7.14 Hz, 2 H) 2.64 - 2.70 (m,
2 H) 2.40 (t, J=7.14 Hz, 2 H) 2.35 (t, J=6.77 Hz, 2 H) 1.87 - 2.01 (m, 2 H) 1.44 (s, 9 H); MS
(FAB, Pos. Glycerin + m-NBA) m/z 381 (M + m-NBA + H)+, 320 (M + Glycerin + H)+, 228
(M + H)+, 172.
Triphenyl[4-(3-phenylpropoxy)benzyl]phosphonium bromide (36)
The same procedure as 6 was performed using 4-hydroxybenzyl alcohol (10.3 g, 82.9 mmol),
3-phenylpropyl bromide (12.6 mL, 82.9 mmol), K2CO3 (17.1 g, 124 mmol) and DMF (38
mL) to yield [4-(3-phenylpropoxy)phenyl]methanol 35 (20.1 g, quantitative) as a powder.
To a solution of [4-(3-phenylpropoxy)phenyl]methanol 35 (3.6 g, 15 mmol) in dry CH2Cl2
(100 mL) were added PPh3 (4.7 g, 18 mmol) and CBr4 (7.3 g, 22 mmol) at room temperature.
After stirring for 30 min, the mixture was concentrated under reduced pressure. The residue
83
was purified by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent to yield
1-(bromomethyl)-4-(3-phenylpropoxy)benzene (1.27 g, 28%) as a colorless oil.
To a solution of 1-(bromomethyl)-4-(3-phenylpropoxy)benzene (590 mg, 1.6 mmol) in PhMe
(5 mL) was added PPh3 (424 mg, 1.6 mmol) at room temperature. After stirring for 1 h at
80 °C, the mixture was concentrated under reduced pressure. The residue was triturated with
i-Pr2O to yield 36 (948 mg, 94%) as a white powder. TLC Rf = 0.57 (hexane / EtOAc, 5 / 1);
1
H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.79 - 7.96 (m, 3 H) 7.44 - 7.79 (m, 12 H) 7.08 - 7.31 (m, 5
H) 6.87 (dd, J=8.97, 2.56 Hz, 2 H) 6.75 (d, J=8.97 Hz, 2 H) 4.81 (d, J=14.27 Hz, 2 H) 3.90 (t,
J=6.31 Hz, 2 H) 2.76 (t, J=7.50 Hz, 2 H) 1.89 - 2.14 (m, 2 H); MS (FAB, Pos. Glycerin +
m-NBA) m/z 487 (M + H)+, 262, 225, 107, 91.
3-{(3E)-3-[4-(3-Phenylpropoxy)benzylidene]-1-piperidinyl}propanoic acid hydrochloride
(37)
Dimsyl anion was prepared by following procedure. To DMSO (20 mL) was added NaH
(60% in oil, 800 mg, 20 mmol) at room temperature. After stirring for 3 h at 60 °C, the
solution was used for the reaction below as a solution of dimsyl anion (1.0 mol/L).
To a solution of 36 (830 mg, 1.3 mmol) in DMSO (2 mL) was added a solution of dimsyl
anion (1.0 mol/L, 1.3 mL, 1.3 mmol) and a solution of 34 (600 mg, 2.6 mmol) in DMSO (2
mL) in the flask equipped with water bath. After stirring for 18 h at 50 °C, Et2O and water
were added to the mixture at 0 °C. The mixture was extracted with Et2O and the organic layer
was washed with water and dried over Na2SO4. The filtrate was concentrated under reduced
pressure. The residue was purified by chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as
an
eluent
to
yield
tert-butyl
3-{(3E)-3-[4-(3-phenylpropoxy)benzylidene]-1-piperidinyl}propanoate (112 mg, 10%) as a
regio isomer EZ mixture.
To tert-butyl 3-{(3E)-3-[4-(3-phenylpropoxy)benzylidene]-1-piperidinyl}propanoate (14 mg,
0.032 mmol) was added a solution of HCl in EtOAc (4 mol/L, 1 mL, 4 mmol) at room
temperature. After stirring for 2 h, the mixture was concentrated under reduced pressure. The
residue was purified by chromatography on silica gel using (CHCl3 / MeOH / NH4OH) as an
eluent to yield 37 (2.9 mg, 22%) as a colorless oil. TLC Rf = 0.26 (CHCl3 / MeOH / NH4OH,
20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.06 - 7.30 (m, 7 H) 6.89 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 6.61
(s, 1 H) 3.96 (t, J=6.22 Hz, 2 H) 3.84 (s, 2 H) 3.19 - 3.40 (m, 4 H) 2.79 (t, J=7.50 Hz, 2 H)
2.58 - 2.68 (m, 2 H) 2.58 (t, J=6.68 Hz, 2 H) 1.98 - 2.12 (m, 2 H) 1.79 - 1.96 (m, 2 H); MS
(ESI, Pos. 20 V) m/z 380 (M + H)+, 306.
84
5-(4-Phenylbutoxy)-1-indanone (39a)
The same procedure as 6 was performed using 5-hydroxy-1-indanone 38a (5.0 g, 33.8 mmol),
4-phenylbutyl bromide (7.92 g, 37.2 mmol), K2CO3 (10.3 g, 74.3 mmol) and DMF (50 mL).
To the reaction mixture was added ice/water and the resulting precipitate was filtered and
washed with water and hexane to give 39a (7.81 g, 83%) as a brown powder. TLC Rf = 0.29
(hexane / EtOAc, 3 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.68 (d, J=9.00 Hz, 1 H),7.27 - 7.33
(m, 2 H), 7.16 - 7.23 (m, 3 H), 6.86 - 6.90 (m, 2 H), 4.04 (t, J=6.00 Hz, 2 H), 3.04 - 3.11 (m, 2
H), 2.64 - 2.74 (m, 4 H), 1.79 - 1.89 (m, 4 H); MS (EI, Pos.) m/z 280 (M+), 149, 132, 117, 104,
91 (base peak).
5-(4-Phenylbutoxy)-1-indanol (40a)
To a stirred solution of 39a (3.0 g, 10.7 mmol) in MeOH (20 mL) and THF (20 mL) was
added NaBH4 (405 mg, 10.7 mmol) at 0 ºC. After stirring for 1 h at room temperature, the
mixture was concentrated under reduced pressure and water was added to the residue. The
mixture was extracted with EtOAc twice and combined organic layer was washed with water,
brine and dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure. The
residue was triturated with hexane to yield 40a (2.63 g, 87% yield) as a brown powder. TLC
Rf = 0.21 (hexane / EtOAc, 3 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.25 - 7.32 (m, 3 H), 7.15 7.22 (m, 3 H), 6.74 - 6.80 (m, 2 H), 5.19 (q, J=6.00 Hz, 1 H), 3.97 (t, J=6.00 Hz, 2 H), 3.04
(ddd, J=16.00, 8.50, 6.00 Hz, 1 H), 2.65 - 2.84 (m, 3 H), 2.41 - 2.53 (m, 1 H), 1.90 - 2.02 (m,
1 H), 1.75 - 1.87 (m, 4 H), 1.60 (d, J=6.00 Hz, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 282 (M+), 264, 149,
132, 91 (base peak).
6-(4-Phenylbutoxy)-1H-indene-2-carbaldehyde (41a)
To a solution of 40a (2.0 g, 7.1 mmol) in dry DMF (8 mL) was added POCl3 (2.1 mL, 23.4
mmol) at 0 ºC. After stirring for 50 min at room temperature and 30 min at 50 °C, the mixture
was poured into crashed ice. After adding water, the mixture was extracted with (hexane/
EtOAc) twice. And the combined organic layer was washed with water, brine and dried over
MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure. The residue was purified by
chromatography on silica gel using (hexane / EtOAc) as an eluent. The desired fraction was
collected and concentrated under reduced pressure. The residue was triturated with (Et2O /
hexane) to yield 41a (622 mg, 30%) as a yellow powder. TLC Rf = 0.38 (hexane / EtOAc, 3 /
1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.89 (s, 1 H), 7.67 (s, 1 H), 7.49 (d, J=8.50 Hz, 1 H), 7.26 7.32 (m, 2 H), 7.16 - 7.23 (m, 3 H), 7.07 (d, J=2.00 Hz, 1 H), 6.90 (dd, J=8.50, 2.00 Hz, 1 H),
85
4.03 (t, J=6.00 Hz, 2 H), 3.63 (s, 2 H), 2.69 (t, J=7.00 Hz, 2 H), 1.79 - 1.89 (m, 4 H); MS (EI,
Pos.) m/z 292 (M+), 160, 132, 91 (base peak).
3-({[6-(4-Phenylbutoxy)-1H-inden-2-yl]methyl}amino)propanoic acid (42a)
The same procedure as 11d was performed using 41a (200 mg, 0.68 mmol) and β-alanine (61
mg, 0.68 mmol), NaOH (powder 27 mg, 0.68 mmol), HC(OMe)3 (0.082 mL, 0.75 mmol),
NaBH4 (31 mg, 0.82 mmol), MeOH (10 mL) and THF (12 mL) to yield 42a (43 mg, 17%) as
a beige powder, in which 25% of 5-alkoxyindenyl isomer 42f generated in situ was contained.
TLC Rf = 0.24 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.04 7.33 (m, 7 H), 6.92 - 6.97 (m, 1 H), 6.74 - 6.84 (m, 1 H), 4.03 - 4.10 (m, 2 H), 3.96 - 4.02 (m,
2 H), 3.44 - 3.52 (m, 2 H), 3.14 - 3.21 (m, 2 H), 2.63 - 2.72 (m, 2 H), 2.46 - 2.54 (m, 2 H),
1.75 - 1.83 (m, 4 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 731 (2M + H)+, 366 (M + H)+, 277, 145;
HRMS (FAB) Calcd for C23H27NO3: 366.2069, Found: 366.2050.
6-(4-Phenylbutoxy)-3,4-dihydro-1(2H)-naphthalenone (39b)
The same procedure as 6 was performed using 6-hydroxy-1-tetralone 38b (5.2g, 32.1mmol),
4-phenylbutyl bromide (7.52 g, 35.3 mmol), K2CO3 (9.75 g, 70.5 mmol) and DMF (50 mL) to
yield 39b (8.88 g, 94%) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.50 (hexane / EtOAc, 2 / 1) ; 1H
NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.76 - 1.88 (m, 4 H) 2.06 - 2.15 (m, 2 H) 2.60 (t, J=6.00 Hz, 2 H)
2.69 (t, J=7.00 Hz, 2 H) 2.91 (t, J=6.00 Hz, 2 H) 4.02 (t, J=6.00 Hz, 2 H) 6.68 (d, J=2.50 Hz,
1 H) 6.80 (dd, J=8.50, 2.50 Hz, 1 H) 7.16 - 7.23 (m, 3 H) 7.26 - 7.33 (m, 2 H) 7.99 (d, J=8.50
Hz, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 294 (M+), 91 (base peak).
6-(4-Phenylbutoxy)-1,2,3,4-tetrahydro-1-naphthalenol (40b)
The same procedure as 40a was performed using 39b (2.0 g, 6.80 mmol), NaBH4 (257 mg,
6.80 mmol), MeOH (15 mL) and THF (15 mL) to yield 40b (2.19 g, quantitative) as a pale
yellow oil. TLC Rf = 0.42 (hexane / EtOAc, 2 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.71 - 1.85
(m, 5 H) 1.87 - 2.00 (m, 3 H) 2.62 - 2.85 (m, 4 H) 3.92 - 3.99 (m, 2 H) 4.71 - 4.78 (m, 1 H)
6.61 (d, J=2.50 Hz, 1 H) 6.75 (dd, J=8.50, 2.50 Hz, 1 H) 7.15 - 7.22 (m, 3 H) 7.25 - 7.34 (m, 3
H); MS (EI, Pos.) m/z 296 (M+), 91.
6-(4-Phenylbutoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (41b)
The same procedure as 41a was performed using 40b (1.0 g, 3.38 mmol), POCl3 (1.0 mL,
11.0 mmol) and dry DMF (4 mL) by modifying the reaction condition from (50 min at room
temperature plus 30 min at 50 °C) to (for 75 min at 70 ºC). The residue after extraction
86
followed by concentration was triturated with (t-BuOMe / hexane) to give 41b (948 mg, 92%)
as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.44 (hexane / EtOAc, 3 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3)
δ 1.76 - 1.88 (m, 4 H) 2.54 (t, J=8.00 Hz, 2 H) 2.69 (t, J=7.00 Hz, 2 H) 2.83 (t, J=8.00 Hz, 2
H) 4.00 (t, J=6.00 Hz, 2 H) 6.71 - 6.76 (m, 2 H) 7.15 - 7.23 (m, 5 H) 7.25 - 7.31 (m, 2 H) 9.58
(s, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 306 (M+), 174, 145, 91 (base peak).
3-({[6-(4-Phenylbutoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenyl]methyl}amino)propanoic
acid
hydrochloride (42b)
The same procedure as 11d was performed using 41b (120 mg, 0.39 mmol) and β-alanine (29
mg, 0.33 mmol), NaOH (powder 14 mg, 0.34 mmol), NaBH4 (15 mg, 0.39 mmol), MeOH (4
mL) and THF (1 mL). The residue after concentration was purified by chromatography on
silica gel using (CHCl3 / MeOH / NH4OH) as an eluent and the collected material was
triturated with (i-PrOH / Et2O) to yield a free form of 42b (78 mg, 63%) as a pale yellow
powder.
To a suspension of a free form of 42b (76 mg, 0.20 mmol) in 1,4-dioxane (3 mL) and water
(0.15 mL) was added a solution of HCl in 1,4-dioxane (4 mol/L, 0.075 mL, 0.30 mmol). After
stirring for 20 min at room temperature, the solution was concentrated under reduced pressure.
The residue was triturated with (i-PrOH / Et2O) to give 42b (70 mg, 84%) as a white powder.
TLC Rf = 0.19 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.75 1.82 (m, 4 H) 2.34 (t, J=8.00 Hz, 2 H) 2.63 - 2.71 (m, 2 H) 2.77 (t, J=6.50 Hz, 2 H) 2.85 (t,
J=8.00 Hz, 2 H) 3.23 - 3.28 (m, 2 H) 3.79 (s, 2 H) 3.97 (t, J=6.00 Hz, 2 H) 6.62 (s, 1 H) 6.68 6.73 (m, 2 H) 7.00 (d, J=7.50 Hz, 1 H) 7.11 - 7.28 (m, 5 H) ; MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 759
(2M + H)+, 380 (M + H)+, 291, 159; HRMS (FAB) Calcd for C24H29NO3: 380.2226, Found:
380.2199.
4-Methyl-7-(4-phenylbutoxy)-1,2-dihydronaphthalene (43)
To a solution of 39b (7.79 g, 26.4 mmol) in dry THF (90 mL) was added MeMgBr (3.0 mol/L
in Et2O, 13.2 mL, 39.6 mmol) at -18 ºC over 40 min. The reaction mixture was stirred for 1 h
at 0 ºC and 2 h at room temperature. Water was added to the reaction mixture at 0 ºC. The
mixture was extracted with EtOAc twice. The combined organic layer was washed with water,
brine and dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure to yield
crude 6-(4-phenylbutoxy)-1-methyl-1,2,3,4-tetrahydro-1-naphthalenol 40c (9.40 g) as an oil.
To a solution of 6-(4-phenylbutoxy)-1-methyl-1,2,3,4-tetrahydro-1-naphthalenol 40c (9.28 g
(net < 8.20 g), 29.9 mmol) in CH2Cl2 (90 mL) was added p-TsOH monohydrate (0.25 g, 1.32
mmol) at room temperature. The reaction mixture was stirred for 1.5 h at room temperature
87
and was concentrated under reduced pressure. The residue was purified by chromatography
on silica gel using (hexane / CH2Cl2) as an eluent to yield 43 (6.44 g, 83%) as a pale yellow
oil. TLC Rf = 0.61 (CH2Cl2 / hexane = 2 / 5); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.05 - 7.35 (m, 6
H) 6.58 - 6.76 (m, 2 H) 5.60 - 5.76 (m, 1 H) 3.84 - 4.04 (m, 2 H) 2.57 - 2.79 (m, 4 H) 2.13 2.29 (m, 2 H) 1.98 - 2.04 (m, 3 H) 1.75 - 1.85 (m, 4 H); MS (EI, Pos.) m/z 292 (M+) (base
peak), 160, 145, 91.
1-Methyl-6-(4-phenylbutoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (41c)
The similar procedure to 41a was performed.
To POCl3 (6.52 g, 42.5 mmol) was added DMF (4.94 mL, 63.8 mmol) at 0 °C. The reaction
mixture was stirred for 3 h at room temperature. This mixture was added to a solution of 43
(5.30 g, 18.1 mmol) in CH2Cl2 (10 mL) at 0 °C. The reaction mixture was stirred for 1 h at
room temperature. The reaction mixture was poured into ice/water (300 mL) and extracted
with (hexane / EtOAc, 1 / 1) twice. (The water layer was used to isolate the iminium salt 44’.)
The conbined organic layer was dried over MgSO4 and concentrated under reduced pressure
to yield 41c (4.14 g, 72%) as a yellow oil. TLC Rf = 0.34 (hexane / EtOAc, 5 / 1) ; 1H NMR
(300 MHz, CDCl3) δ 1.76 - 1.88 (m, 4 H), 2.46 - 2.55 (m, 5 H), 2.67 - 2.75 (m, 4 H), 4.01 (t,
J=6.00 Hz, 2 H), 6.73 (d, J=2.50 Hz, 1 H), 6.78 (dd, J=8.50, 2.50 Hz, 1 H), 7.16 - 7.23 (m, 3
H), 7.26 - 7.33 (m, 2 H), 7.47 (d, J=8.50 Hz, 1 H), 10.31 (s, 1 H); MS (EI, Pos.) m/z 320 (M+),
91 (base peak).
3-({[1-Methyl-6-(4-phenylbutoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenyl]methyl}amino)propanoic
acid hydrochloride (42c)
The same procedure as 11d was performed using 41c (77 mg, 0.24 mmol) and β-alanine (19
mg, 0.22 mmol), NaOH (powder 9 mg, 0.23 mmol), THF (1 mL), MeOH (3 mL), i-PrOH (8
mL) and NaBH4 (10 mg, 0.26 mmol) to yield a free form of 42c (55 mg, 64%) as a white
powder.
To a suspension of a free form of 42c (38 mg, 0.097 mmol) in 1,4-dioxane (2 mL) and water
(0.10 mL) was added a solution of HCl in 1,4-dioxane (4 mol/L, 0.050 mL, 0.20 mmol) in a
flask equipped with ice bath. After dissolved by adding 1,4-dioxane (30 mL) and water (0.40
mL), the reaction mixture was concentrated under reduced pressure. The residue was
triturated with (Et2O / i-PrOH) to yield 42c (39 mg, 93% (60% in 2 steps) as a white powder.
TLC Rf = 0.16 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.74 1.82 (m, 4 H), 2.16 (s, 3 H), 2.32 (t, J=7.50 Hz, 2 H), 2.64 - 2.70 (m, 2 H), 2.73 - 2.80 (m, 4
H), 3.26 - 3.33 (m, 2 H), 3.93 (s, 2 H), 3.98 (t, J=6.00 Hz, 2 H), 6.71 - 6.78 (m, 2 H), 7.11 88
7.33 (m, 6 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 787 (2M + H)+, 394 (M + H)+, 305; HRMS (FAB)
Calcd for C25H31NO3: 392.2226, Found: 392.2224.
1-{[1-Methyl-6-(4-phenylbutoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenyl]methyl}-3-azetidinecarbox
ylic acid hydrochloride (42d)
The same procedure as 11d was performed using 41c (2.55 g, 8.0 mmol) and 3-azetidine
carboxylic acid (1.21 g, 12.0 mmol), NaOH (powder 478 mg, 12.0 mmol), HC(OMe)3 (1.3
mL, 12.0 mmol), THF (6 mL), MeOH (115 mL) and NaBH4 (605 mg, 16.0 mmol) to yield a
free form of 42d (2.21 g, 68%) as a white powder.
To a suspension of a free form of 42d (2.16 g, 5.3 mmol) in THF (80 mL) was added 2 mol/L
HCl-aq (2.8 mL, 5.6 mmol) at 0 °C. The reaction mixture was stirred for 10 min at 0 °C. Et2O
(192 mL) was added to the mixture at 0 °C. the mixture was stirred for 1 h at 0 °C. The
resulting precipitate was collected and washed with (THF / Et2O, 1 / 2) to yield 42d (2.06 g,
87% (59% in 2 steps)) as a white powder. TLC Rf = 0.14 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 /
1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.74 - 1.83 (m, 4 H), 2.18 - 2.30 (m, 5 H), 2.63 - 2.78 (m,
4 H), 3.66 - 3.79 (m, 1 H), 3.94 - 4.03 (m, 2 H), 4.16 (s, 2 H), 4.18 - 4.47 (m, 4 H), 6.72 (d,
J=2.50 Hz, 1 H), 6.76 (dd, J=8.50, 2.50 Hz, 1 H), 7.10 - 7.28 (m, 5 H), 7.32 (d, J=8.50 Hz, 1
H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 811 (2M + H)+, 406 (M + H)+, 305; HRMS (FAB) Calcd for
C26H31NO3: 404.2226, Found: 404.2233; IR (KCl) 3461, 3043, 2942, 2916, 2868, 2795, 2692,
2605, 2465, 2421, 1737, 1634, 1609, 1567, 1496, 1480, 1452, 1434, 1419, 1378, 1326, 1303,
1281, 1254, 1230, 1204, 1197, 1172, 1133, 1101, 1073, 1048, 1023, 996, 979, 963, 876, 865,
823, 753, 741, 729, 695, 673, 657, 619, 553, 526, 463 cm-1; m.p. 128 -131 °C.
N-Methyl-N-{(2E)-2-[6-(4-phenylbutoxy)-3,4-dihydro-1(2H)-naphthalenylidene]ethylide
ne}methanaminium chloride (44’)
To the water layer separated from organic layer in the experiment for 41c was added (hexane /
EtOAc, 1 / 1) at room temperature. After stirred at room temperature, the resulting yellow
precipitate was collected by filtration to give 44’ (1.63 g, 23%) as a yellow powder. 1H NMR
(300 MHz, CD3OD) δ 8.78 (d, J=11.16 Hz, 1 H) 8.07 (d, J=9.15 Hz, 1 H) 7.10 - 7.29 (m, 5 H)
7.01 (d, J=11.16 Hz, 1 H) 6.89 (dd, J=9.15, 2.56 Hz, 1 H) 6.82 (d, J=2.56 Hz, 1 H) 4.04 - 4.12
(m, 2 H) 3.66 (s, 3 H) 3.56 (s, 3 H) 3.07 (t, J=6.13 Hz, 2 H) 2.91 (t, J=6.22 Hz, 2 H) 2.63 2.74 (m, 2 H) 1.90 - 2.03 (m, 2 H) 1.75 - 1.87 (m, 4 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 348 (M +
H)+.
4-7-3. 化合物評価
89
・in vitro S1P 作動活性評価(細胞内カルシウムイオン[Ca2+]i の濃度測定)
2-6-3を参照。
・in vivo 薬理作用評価(末しょう血中リンパ球数の測定)(マウス)
2-6-3を参照。
・in vivo 薬理作用評価(末しょう血中リンパ球数の測定)(ラット経時変化)
7 週齢の雌性 Lewis ラット(6 匹)を用いて、被験化合物を経口投与し、0 時間後、
2 時間後、4 時間後、8 時間後、24 時間後において同一個体から経時的に採血し、血
液中のリンパ球数を多項目自動血球計数装置(SF-3000, Sysmex)にて測定した。評価
方法は、投与 0 時間後における平均リンパ球数を 100%とし、各採血時間における平
均リンパ球数から投与 0 時間後の平均リンパ球数に対する割合を%で算出した。
・化合物血しょう中濃度の測定(ラット)
3-6-3を参照。
90
4-8.参考文献
1. Reddy, M. P.; Rao, G. S. K. J. Org. Chem. 1981, 46, 5371.
2. (a) Anderson Jr., A. G.; Lox, R. J. Org. Chem., 1972, 37, 3953. (b) Miller, R. A.; Lang, F.;
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Berardi, F.; Colabufo, N. A.; Tortorella, V.; Fiorentini, F.; Olgiati, V.; Vanotti, E.; Govoni,
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Nakayama, Y.; Fukushima, D. WO 2002051820.
91
第五章 リード化合物の最適化
5-1.序論
前章で見出したジヒドロナフタレン骨格を有するリード化合物 42d は安全性面な
どの大きな懸念が認められなかったことから、活性向上に焦点を絞った検討を行った。
脂溶性末端部分の A パートに関しては、これまで中心部分のベンゼン環と末端部分の
ベンゼン環のリンカーの長さ変換しか実施しておらず、詳細な構造変換による活性向
上の余地が十分にあると考えた。
リード化合物 42d は A パートにフェニルブチル基を有するが、置換基などの詳細な
構造活性相関を取得する上では、部分構造単位であるフェニルブチルアルコール誘導
体の合成が多段階であることが課題となる。そこで、フェニルブチルアルコール誘導
体に比べて合成段階が少なく、より効率的に構造活性相関が取得できるフェニルプロ
ピルアルコール誘導体を利用してフェニルプロピル誘導体に焦点を絞った検討を行
った。
92
5-2.リード化合物の周辺誘導体の合成
前章では、A パートを固定してジヒドロナフタレン誘導体の合成を実施したため、
以下の模式図で示すように最初に A パートに相当する部分構造(アルキルハライド体
あるいはアルコール体)を導入する直線的な合成ルート(Linear Synthetic Route)を採
用した。本合成ルートでは、アミノ酸部分の C パートを変換するには効率が良いが、
A パートを変換した種々の誘導体を合成するには効率が悪い。例えば最終化合物まで
の合成段階が 4 段階である以下の合成ルートで 30 種類の A パート変換化合物を合成
した場合には、合成段階が計 120 ステップ必要となる(図 5-1)。
Linear Synthetic Scheme
HO
A1 O
A1
A2
A3
.
.
.
.
A30
A2
A3
.
.
.
.
A30
O
A1
A2
A3
.
.
.
.
A30
O
A1
O
A2
A3
.
.
.
.
A30
4 steps/comp x 30 comp = 120 steps
図 5-1. 直線的な合成ルート(例)
そこで、保護基を活用し、共通中間体を経由する以下の収束的合成ルート
(Convergent Synthetic Route)の構築を計画した。本ルートが確立できれば、例えば
図 5-1 に示したものと同数の A パート変換化合物を合成する場合に、合成段階を計
120 ステップから 64 ステップに効率化できる(図 5-2)。収束的合成ルートの採用に
より、合成する化合物数が増えれば増えるほど効率性が上がることに加えて、A パー
トに相当する部分構造(アルキルハライド体あるいはアルコール体)を得るための合
成が多段階となり、これらのアルキルハライド体あるいはアルコール体が貴重となる
場合においても、本ルートの採用により、各段階による A パート部分のロスが最小限
に抑えられる利点がある。
93
Convergent Synthetic Scheme
HO
P
O
P
O
P
O
HO
共通中間体
HO
共通中間体
A1
O
A1
A2
A3
.
.
.
.
A30
O
A2
A3
.
.
.
.
A30
4 steps + 2 step/comp x 30 comp = 64 steps
図 5-2. 収束的な合成ルート(例)
94
5-2-1.無置換フェニルプロピル誘導体の合成
無置換フェニルプロピル誘導体については第四章に記載の Scheme 4-2 と同様の方
法で行った。ただし本反応においては、アルコール体 46 を直接 Vilsmeier 試薬との反
応に付すことで、反応系中で脱水反応とホルミル化を1段階で行い、アルデヒド体 47a
をより短工程で得た(Scheme 5-1)。
R=
*
HO
a
R
O
b
O
R
O
OH
O
46
45a
38b
c
R
O
e
d
R
O
CO2H
N
CHO
HCl
48a
47a
Scheme 5-1.(直線的な合成ルートによるジヒドロナフタレン誘導体の合成)Reagent:
(a) Ph(CH2)3Br, K2CO3, DMF; (b) MeMgBr/Et2O, THF; (c) POCl3, DMF, CH2Cl2; (d) i)
3-azetidine carboxylic acid, NaOH (powder), HC(OMe)3, MeOH, THF, ii) NaBH4; (e) HCl-aq,
THF.
5-2-2.収束的合成法によるジヒドロナフタレン誘導体の合成
上記 Scheme 5-1 に記載した合成方法で A パートを変換した場合、1 化合物を合成
するのにそれぞれ 4-5 段階を要する。そこで、合成効率を上げるために保護基を用い
た以下の収束的合成ルートを検討した。6-ヒドロキシテトラロン 38b を出発として、
Scheme 5-1 と同様の方法でベンジル基を導入した6-アルコキシテトラロン 45b を
経て、メチルグリニャール試薬の付加反応と後処理時の塩酸処理によって脱水反応を
行ってジヒドロナフタレン誘導体 49 を得た。化合物 49 は極性が非常に低いことから、
シリカゲルカラムによる精製が非常に容易であった。化合物 49 を Vilsmeier 試薬によ
るホルミル化反応に付し、アルデヒド体 50 に誘導した後、トリフルオロ酢酸/チオ
アニソールの条件 1 でベンジル基を脱保護することで、共通中間体である 51 を得た
(Scheme 5-2)。
95
HO
a
O
b
O
O
c
O
38b
49
45b
O
d
HO
e
CHO
CHO
51
50
Scheme 5-2.(ジヒドロナフタレン誘導体共通中間体の合成)Synthesis of the key
intermediate 51. Reagent: (a) benzyl bromide, potassium carbonate, acetone; (b)
MeMgBr/Et2O, THF; (c) EtOAc, HCl-aq (d) POCl3, DMF; (e) TFA, PhSMe.
共通中間体 51 を別途合成あるいは購入したアルコール体 55b-55m との光延反応に
付すことよりアルデヒド体 47b-47m を合成し、引き続いて3-アゼチジンカルボン酸
52 との直接還元的アルキル化反応、あるいは3-アゼチジンカルボン酸メチルエステ
ル 53 との還元的アルキル化反応に続くエステル基の加水分解反応により目的とする
アミノ酸誘導体 48b-48m を得た。3-アゼチジンカルボン酸メチルエステル 53 につ
いては、塩化チオニル/メタノールの溶液に3-アゼチジンカルボン酸 52 を加え、
加熱攪拌することで合成した(Scheme 5-3)。
HO
a
R
O
b
c
R
O
CO2H
47b-47h
HCl
47b-47m
51
d
R
O
CO2Me
47i-47m
48b-48h
e
CO2H
O
CO2H
N
f
48i-48m
CO2Me
HN
52
R
N
48'i-48'm
HN
N
CHO
CHO
HCl
53
Scheme 5-3.(収束的な合成ルートによるジヒドロナフタレン誘導体の合成)Reagent:
(a) the corresponding alcohol 55b-55m, DEAD (for 55b and 55d) or TMAD (for 55c and
55e-55m), PPh3, THF; (b) 3-azetidine carboxylic acid 52, NaOH (powder), MeOH, THF,
HC(OMe)3, ii) NaBH4; (c) HCl-aq, THF; (d) 3-azetidine carboxylic acid methyl ester 53,
NaBH(OAc)3, Et3N/THF (for 47i and 47m) or AcOH/DMF (for 47j-47l); (e) NaOH-aq,
MeOH; (f) SOCl2, MeOH.
96
試薬として市販されていた4-フェニルブタン-2-オール 55g を除いて、末端部
分構造である A パートのアルコール体 55b-55f、55h-55m については、以下に示す方
法で合成した。アルコール体 55b-55f については、対応するカルボン酸を THF・ボラ
ン錯体で還元することによって合成した 2。アルコール体 55h については、対応する
エチルエステル 56 を水素化リチウムアルミニウムで還元することによって合成した。
プロピルベンゼン誘導体のリンカー部分の 2 位にメチル基を有する光学活性体アルコ
ール 55i の合成は Evans の不斉補助基を利用して行った 3。即ち、Evans の不斉オキサ
ゾリジノン 58S を n-ブチルリチウムで処理した後、酸塩化物 57i と反応させることに
よって3’-アシルオキサゾリジノン 59i(4’-S)を合成した。続いて、59i(4’-S)を
ヘキサメチルジシラザンナトリウムで処理した後、p-フルオロベンジルブロミドと反
応させることによって、アルコール前駆体の 60i を単一のジアステレオマーとして得
た。得られた 60i を水素化ホウ酸リチウムで還元することによって目的とする光学活
性アルコール体 55i へと誘導した。その他の誘導体 55j-55m についても 55i と同様の
方法に従って合成した(Scheme 5-4)。
97
a
R3
R1
b
R3
R1
OH
COOH
R2
R2
OH
CO2Et
56
55h
55b-55f
54b-54f
b ; R1 = p-F, R 2 = R3 = H
c ; R1 = m-F, R2 = R3 = H
d ; R1 = o-F, R 2 = R3 = H
e ; R1 = H, R 2 = Me, R 3 = H
f ; R1 = H, R 2 = H, R3 = Me
4'
R4
X
+
O
57i ; R4 = Me, X = Cl
58S; (4'-S)
58R; (4'-R)
57k ; R4 = Et, X = OH
57l ; R4 = iPr, X = Cl
X
R4
HN O
O
e
c
4'
d
N O
O
59i
59j
59k
59l
O
; R4 = Me, (4'-S)
; R4 = Me, (4'-R)
; R4 = Et, (4'-R)
; R4 = iPr, (4'-R)
X
R4
4'
N O
2
O
O
60i ; X = F, R 4 = Me, (2-R, 4'-S)
60j ; X = F, R 4 = Me, (2-S, 4'-R)
60k ; X = F, R 4 = Et, (2-S, 4'-R)
60l ; X = F, R 4 = iPr, (2-R, 4'-R)
60m ; X = Cl, R4 = Me, (2-S, 4'-R)
R4
OH
2
55i
55j
55k
55l
55m
; X = F, R 4 = Me, (2-R) (up)
; X = F, R 4 = Me, (2-S) (down)
; X = F, R 4 = Et, (2-S) (down)
; X = F, R 4 = iPr, (2-R) (down)
; X = Cl, R4 = Me, (2-S) (down)
Scheme 5-4.(A パート側鎖アルコール体の合成)Synthesis of 55b-55f and 55h-55m.
Reagent: (a) BH3 THF complex, THF; (b) LiAlH4, THF; (c) n-BuLi, THF (for 57i and 57l) or
DCC, DMAP, CH2Cl2 (for 57k); (d) p-fluorobenzyl bromide (for 60i-60l) or p-chlorobenzyl
bromide (for 60m), NaHMDS, THF; (e) LiBH4, THF.
98
5-3.末端脂溶性部分の構造活性相関と最適化
5-3-1.方法
2-6-3を参照。
5-3-2.結果と考察
フェニルブチル基を有するリード化合物 42d からフェニルプロピル基を有する化
合物 48a への変換において、S1P1 作動活性はほとんど変化しなかったが、S1P3 作動活
性との選択性が低下した。また、化合物 48a の経口投与 4 時間後のリンパ球消失作用
は、化合物 42d のそれと比較して 3 倍程度減弱していたことから、化合物 48a は化合
物 42d に比べて経口投与 4 時間以内の血中濃度が 3 倍程度低いことが示唆された。
次に、代謝に対する安定性向上が期待できるフッ素原子を置換基に選択して、フェ
ニルプロピルエーテル誘導体の末端部分のベンゼン環に対する置換基効果を検討し
た。無置換の 48a と比較して、
末端ベンゼン環のパラ位にフッ素原子を有する 48b は、
S1P1 作動活性が 3-4 倍、経口投与 4 時間後の in vivo 活性が 7 倍程度向上した一方で、
メタ位にフッ素原子を有する 48c、オルト位にフッ素原子を有する 48d は、無置換の
48a と比較して、S1P1 作動活性に差がなく、経口投与 4 時間後の in vivo 活性が 3 倍程
度向上した。また、いずれの置換基導入においても、S1P3 作動活性には差が認められ
なかった。本結果から、フェニルプロピル部分の末端ベンゼン環へのフッ素原子の導
入は、置換位置に依らず血中動態の向上に寄与し、S1P1 作動活性の向上にはパラ位の
置換基が最も適していることが示唆された。また、化合物 48b の経口投与 4 時間後
のリンパ球消失作用は、リード化合物の 42d のそれと比較して 3 倍程度向上している
のに対し、経口投与 24 時間後のリンパ球消失作用は、8 倍程度向上していたことから、
化合物 48b はリード化合物と比較して血中持続性が向上していることが示唆された。
フッ素原子の導入により、本誘導体の主な代謝部位と考えられる末端ベンゼン環の代
謝が抑性された結果であると考えられる。化合物 48b の経口投与 24 時間後の in vivo
活性強度(ED50 (p.o. 24h) = 0.25 mg/kg)は目標値の 4 倍程度にまで到達した(Table 5-1)。
99
Table 5-1. フェニルプロピル誘導体の薬理活性―1(末端ベンゼン環への置換基導入)
RO
CO2H
N
Compound
No.
in vitro (human)
Ca Assay EC50
S1P1
(nM)
R
*
42d
48a
*
S1P3
(nM)
Selectivity
S1P3 / S1P1
in vivo (mouse)
PLL Efficacy ED50
p.o. 4hr
(mg/kg)
p.o.24hr
(mg/kg)
2.9
16700
5759
0.16
1.9
3.0
5000
1667
0.40
N.T.
0.84
3200
3810
0.055
0.25
4.0
3900
975
0.15
0.69
2.7
2900
1074
0.13
0.75
F
48b
48c
*
*
F
F
48d
*
続いて、中心部分のベンゼン環と末端部分のベンゼン環をつなぐリンカー部分であ
るプロピレン側鎖への置換基導入を検討した。置換基としては合成的な効率性を考慮
し、メチル基を選択した。プロピレン側鎖の 1 位にメチル基を導入した化合物 48g は、
無置換の化合物 48a と比較して S1P1 作動活性が 7 倍程度減弱したのに対して、プロ
ピレン側鎖の 2 位あるいは 3 位にメチル基を導入した化合物 48f および化合物 48e は、
化合物 48a と比較して S1P1 作動活性が 4-5 倍程度向上すると同時に、S1P3 作動活性
が 4 倍程度低下したことから、選択性が 20 倍程度改善する結果となった。一方、プ
ロピレン側鎖の 2 位にメチル基を 2 個導入した化合物 48h は 7 倍程度 S1P1 作動活性
が減弱した(Table 5-2)。
100
Table 5-2. フェニルプロピル誘導体の薬理活性―2(リンカー部分への置換基導入)
R
O
CO2H
Compound
No.
R
48a
*
3
48e
*
48f
*
2
1
48g
*
48h
a
in vivo (mouse)
PLL Efficacy ED50
in vitro (human)
Ca Assay EC50
N
*
S1P1
(nM)
S1P3
(nM)
Selectivity
S1P3 / S1P1
p.o. 4hr
(mg/kg)
p.o.24hr
(mg/kg)
3.0
5000
1667
0.40
N.T.
0.60
22000
36667
>0.3 a
N.T.
V
0.70
20800
29714
0.19
N.T.
20
14000
700
N.T.
N.T.
20
>30000
1500
N.T.
N.T.
20% reduction at 0.3 mg/kg
シンナミル誘導体 21a あるいは 21e における構造活性相関において、エーテル酸素
原子の近傍である中心部分のベンゼン環の 3 位のメチル基導入で S1P1 作動活性が低
下したことから、プロピレン側鎖の1位にメチル基を導入した 48g の S1P1 作動活性
が低下したのは、エーテル酸素原子の近傍の嵩高い置換基が S1P1 受容体のポケット
に収まらないためと考察した(図 5-3)。
O
n
γβ
3
H
N
2
In vitro 活性 ×○ ◎ ○
3 2 1
O
CO2H
N
CO2H
In vitro 活性 ○ ○×
血中動態 × ○ -
21a (n=1) or 21e (n=2)
48a
図 5-3. シンナミル誘導体の中心部分のベンゼン環およびジヒドロナフタレン誘導体
のリンカー部分の置換基に対する構造活性相関概略
101
また、プロピレン側鎖の 3 位にメチル基を有する化合物 48e が、化合物 48a と比較
して経口投与 4 時間後の in vivo 活性を減弱させたのに対して、プロピレン側鎖の 2
位にメチル基を有する化合物 48f は、化合物 48a と比較して経口投与 4 時間後の in vivo
活性を 2 倍程度向上させた。末端により近いプロピレン側鎖の 3 位のメチル基は生体
内で代謝を受けやすいことが示唆された一方で、プロピレン側鎖の 2 位のメチル基は
代謝に対する影響が少ないことが示唆された。化合物 48a と化合物 48f の比較から、
プロピレン側鎖の 2 位にメチル基を導入することで in vitro 選択性を改善しつつ in vivo
活性を向上できる可能性が示された(Table 5-2、図 5-3)。
プロピレン側鎖の 2 位にメチル基を導入することで、プロピレン側鎖の 2 位が不斉
中心となることから、さらに詳細な構造活性相関取得を検討した。即ち、これまでの
検討で最も強い in vivo 活性を与えた化合物 48b に対して、プロピレン側鎖の 2 位メチ
ル基の立体配置が活性に与える影響を検証した。
その結果、R 配置のメチル基を有する化合物 48i に比べて S 配置のメチル基を有す
る化合物 48j の S1P1 作動活性が 2 倍程度優れており、S1P3 作動活性にはほとんど影
響しないことが明らかとなった。また、経口投与 24 時間後の in vivo 活性についても
化合物 48j の方が化合物 48i と比べて 2 倍程度優れていた。このことは、両化合物の
薬物動態は立体配置の影響をほとんど受けないことを示唆している。化合物 48b から
化合物 48j への変換では、経口投与 24 時間後の in vivo 活性を減弱させることなく、
in vitro 選択性を 7 倍程度改善することができた。
さらなる選択性改善に関する情報を取得するために、プロピレン側鎖の 2 位の置換
基の立体効果を検証した。プロピレン側鎖 2 位のエチル基を有する化合物 48k、イソ
プロピル基を有する化合物 48l と立体的に嵩高い置換基になるにつれて S1P3 作動活性
が減弱したことから、プロピレン側鎖の 2 位の置換基の立体的な嵩高さと S1P3 作動
活性に対する明確な構造活性相関が得られた(Table 5-3)。
102
Table 5-3. フェニルプロピル誘導体の薬理活性―3(プロピレン側鎖 2 位の立体配置
および嵩高さに対する影響)
RO
CO2H
in vitro (human)
Ca Assay EC50
N
Compound
No.
R
in vivo (mouse)
PLL Efficacy ED50
S1P1
(nM)
S1P3
(nM)
Selectivity
S1P3 / S1P1
0.84
3200
3810
0.25
p.o.24hr
(mg/kg)
F
48b
*
F
48i
R
*
0.85
a
11000 a
12941
0.55
0.37
a
9450
a
25541
0.22
F
48j
S
*
F
48k
S
*
1.1
29300
26636
0.77
4.5
>30000
>6667
0.68
F
48l
R
a
*
Average of 2 assays
Parent らから報告されている受容体アミノ酸変異実験からは、S1P1 受容体タンパク
の 276 番目のロイシン残基と、当該ロイシン残基に相当する位置を占める S1P3 受容
体タンパクの 263 番目のフェニルアラニン残基の違いが活性・選択性に重要な役割を
果たしていることが明らかになっており 4a、また、Stevens らの S1P1 受容体結晶構造
解析の結果からは、S1P1 受容体タンパクの 276 番目のロイシンはリガンド化合物の脂
溶性末端部分に位置していることが示唆されている 4b(図 5-4)。このことから、S1P1
受容体の脂溶性末端部分には、ロイシン残基とフェニルアラニン残基の立体的な嵩高
さの違いに基づいて、S1P3 受容体の脂溶性末端部分には存在しない空間があると考え
られる。この考察が正しいと仮定した場合、化合物 48j のプロピレン側鎖 2 位のメチ
ル基は、S1P1 受容体にだけ存在する当該空間を占めることで、S1P1 受容体に対する活
性・選択性を向上させたものと考えらえる。また、化合物 48k および化合物 48l のプ
ロピレン側鎖 2 位のエチル基およびイソプロピル基は、S1P3 受容体の当該位置を占め
るフェニルアラニン残基との立体反発により、S1P3 受容体に対する活性を低下させた
ものと考えらえる。
103
H
N
NH2 OH
P OH
O
O
図 5-4. S1P1 受容体と S1P1 受容体拮抗薬との共結晶構造解析から推定される S1P1 受容
体 276 番目のロイシン残基と当該拮抗薬との相対位置
これまでの検討で最も優れた結果を与えた化合物 48j の類縁体として、末端のフッ
素原子を同族ハロゲン原子の塩素原子に変換した化合物 48m を合成し評価したとこ
ろ、化合物 48m は化合物 48j と比較して、in vitro 活性にほとんど影響与えることな
く、in vivo 有効性を改善した。塩素原子への変換によって薬物動態が改善した結果と
考えられた。
化合物 48j および化合物 48m は目標としていた FTY720 と同等の in vivo 活性を有し、
S1P1 作動活性と S1P3 作動活性が 25,000 倍あるいは 15,000 倍程度乖離していたことか
ら、ともに医薬品候補化合物の一つとして十分な活性プロファイルを有していると考
えられた(Table 5-4)。
104
Table 5-4. フェニルプロピル誘導体の最適化化合物 48j および化合物 48m の活性プロ
ファイル
in vitro (human)
Ca Assay EC50
Compound
No.
S1P1
(nM)
S1P3
(nM)
CO2H
0.37
9450
CO2H
0.55
8200
Structure
in vivo (mouse)
PLLa Efficacy ED50
p.o. 4hr
(mg/kg)
p.o.24hr
(mg/kg)
25541
0.069
0.22
14909
0.034
0.095
0.088
0.060
Selectivity
S1P3 / S1P1
F
O
48j
S
N
Cl
O
48m
S
FTY720
N
(0.23) b
a; Peripheral Lymphocyte Lowering
b: Values for FTY720-P
105
(20) b
(87) b
5-4.代表化合物の薬物動態
本章で得られたフェニルプロピル誘導体の代表 3 化合物 48b、48j、48m のラットに
おける薬物動態に係るパラメーターを測定し、リード化合物 42d を含めて比較するこ
とで、ジヒドロナフタレン骨格の末端脂溶性部分の変換による薬物動態に対する寄与
を検討した。
5-4-1.方法
3-6-3を参照。
5-4-2.結果と考察
化合物 42d 、48b、48j、48m をそれぞれラットに 1 mg/kg の用量で静脈内投与ある
いは経口投与した際の血中パラメーターを以下にまとめた。
化合物 48b はリード化合物 42d と比較して、経口投与 24 時間後の血しょう中濃度
が向上していた。代謝部分と考えられる末端ベンゼン環をフッ素原子で置換すること
により代謝が阻害され、体内からの化合物の消失速度を反映する全身クリアランス
(CLtot)が改善したことが一つの要因と考えられる。
化合物 48j は化合物 48b と比較して、経口投与 24 時間後の血しょう中濃度が減少
していた。化合物 48b と比較して S1P1 作動活性が 2 倍程度向上した化合物 48j が、経
口投与 24 時間後のリンパ球消失作用において、化合物 48b と同等の効果を示した結
果を良く説明している。化合物 48j は化合物 48b と比較して全身クリアランス(CLtot)
が上昇しており、新たに導入したプロピレン側鎖の 2 位のメチル基が新たな代謝部位
となったと考えられる(Table 5-5)。
106
Table 5-5. ジヒドロナフタレン骨格代表化合物 42d、48b、48j、48m の血中動態 a
plasma concentration
AUCinf
CLtot
T1/2
Vss
BA
ng/mL
Compound µg h/mL
mL/min/kg
hr
L/kg
%
Cmaxb
24h
4.4
4.0
11
2.9
i.v.
(±1.2)
(±1.0)
(±4)
(±0.46)
42d
85
3.8
181
53
17
p.o. (±0.30)
(±33)
(±11)
(±9)
5.4
3.2
21
5.3
i.v. (±0.81)
(±0.5)
(±2)
(±0.49)
48b
106
5.7
159
88
24
p.o.
(±1.7)
(±79)
(±34)
(±9)
c
2.6
4.0
19
5.7
i.v.
(±0.6)
(±2)
(±0.51)
(±0.33)
48j
75 c
c
103
69
57
2.0
p.o.
(±5)
(±19)
(±51)
(±0.22)
9.0
2.0
27
3.9
i.v.
(±2.5)
(±0.6)
(±6)
(±0.48)
48m
62
5.5
184
87
20
p.o.
(±1.1)
(±46)
(±33)
(±1)
a
b
c
1 mg/kg in rat. Standard deviation is given in parentheses.
Tmax for these 4 compounds are between 4.7 h and 6.0 h
The data until 24 hr was adopted.
化合物 48m は、化合物 48j と比較して経口投与 24 時間後の血しょう中濃度が向上
していた。体内からの化合物の消失速度を反映する全身クリアランス(CLtot)が改善
したことが一つの要因と考えられる。
化合物 48m は、化合物 48j と比較して経口投与 24 時間後の血しょう中濃度におい
て 1.3 倍程度改善が認められるが、S1P1 作動活性で 1.5 倍程度劣っており、投与 24 時
間後の in vivo 活性における 2 倍の向上を説明できない。そこで、ラットにおけるタン
パク結合率を測定し、以下の考察を加えた。
化合物 48m のラットにおけるタンパク結合率は 96.7%であり、血中に存在する化合
物の内、血中の非特異的なタンパクに捕捉されていない化合物(血中フリー体)の比
率は 3.3%と見積もられた。一方、化合物 48j のラットにおけるタンパク結合率は 98.1%
であり、化合物 48j の血中フリー体比率は 1.9%と見積もられることから、両化合物の
タンパク結合率の差が、血中フリー体比率に反映され in vivo 活性の差に表れたものと
考えられる。
本研究で血中動態を測定した化合物はどの化合物も B.A.が優れていた。これらの化
合物に共通した構造的特徴は、末端部分のアミノ酸から伸びた脂溶性長鎖構造である。
脂溶性長鎖構造は膜透過性を向上させるが、生体内での酸化代謝を受けやすくする。
一方、アミノ酸構造の高い極性は膜透過性を低下させるが、酸化代謝酵素の認識を受
けにくくさせると考えられる。本研究で用いた化合物の優れた血中動態は、脂溶性長
鎖構造とアミノ酸構造の物性がバランス良く保たれていたことが要因と考察した。
107
5-5.代表化合物の各種基礎評価
ジヒドロナフタレン骨格を有するフェニルプロピル誘導体の代表化合物 48j および
48m は良好な in vitro/in vivo 活性、および血中動態を示したことから、医薬品候補化
合物の一つとして十分な活性プロファイルを有していると考えられた。そこで、安全
性や物理化学的性質などの面で問題点がないかどうか各種基礎評価を検討した。
5-5-1.方法
4-5-1を参照。
5-5-2.結果と考察
化合物 48j と 48m およびリード化合物 42d の各種基礎評価の結果を以下にまとめた。
化合物 48j および 48m は各種基礎評価において大きな問題点が認められなかったこと
から、医薬品候補化合物の一つとして十分なプロファイルを有していると考えられた
(Table 5-6)。
ただしこれら 2 化合物は、末端脂溶性部分の A パートフェニルプロピルエーテル誘
導体に関して最適化された化合物であり、A パートをさらに精査することで、活性・
選択性などの面をさらに改善できる可能性がある。
Table 5-6. 化合物 48j と 48m およびリード化合物 42d の各種基礎評価
評価項目
分類
in vitro
活性
構造特性
化合物 4 8 m
0.55 nM
8200 nM
15000倍
0.034 mg/kg
0.096 mg/kg
陰性
IC50>10 μM
66-86%
あり
IC50>10 μM
75%
あり
IC50>10 μM
62%
未測定
IC50>10 μM
薬物相互作用
分布
蛋白結合
ヒト:97.2%
ラット:96.6%
ヒト:99.7%
ラット:98.1%
ヒト:98.3%
ラット:96.7%
膜透過性
人工膜
(PAMPA)
38 x 10 -6 cm/sec
62 x 10 -6 cm/sec
50 x 10 -6 cm/sec
32 μg/mL
38~64 μg/mL
< 5 μg/mL
405.54
4.33
1
4
9
423.52
4.34
1
4
8
439.97
4.91
1
4
8
遺伝毒性
循環器毒性
血中動態
物性動態
化合物 4 8 j
0.37 nM
9450 nM
26000倍
0.069 mg/kg
0.22 mg/kg
陰性
IC50 = c.a. 1 μM
PLL p.o.4h
PLL p.o.24h
AMES試験
hERG
ラットBA
用量依存性
CYP阻害
in vivo
安全性
S1P1 EC50
S1P3 EC50
選択性
化合物 4 2 d
2.9 nM
16700 nM
5800倍
0.16 mg/kg
1.9 mg/kg
陰性
IC50 = 8.7 μM
溶解度(水)
pH 6.8
分子量
cLogP
水素結合供与基
水素結合受容基
Rotatable Bond
108
5-6.代表化合物の X 線結晶構造解析
化合物の活性コンフォメーションに関する考察を深めるために、化合物の X 線結晶
構造解析を行い、結晶状態における化合物のコンフォメーションに関する情報を得る
ことを検討した。結晶状態における化合物のコンフォメーションは、結晶のパッキン
グの影響を受けることから、必ずしも溶液状態におけるコンフォメーションを反映す
るとは限らないが、一定の知見を得ることができる。
5-6-1.方法 5-7
5-8-3を参照。
5-6-2.結果と考察
化合物 48b と 48m についてそれぞれの構造を重ね合わせたところ、末端脂溶性部
分である A パート以外の部分はほとんど同じ立体配座を取っていた。また、プロピレ
ン側鎖の 2 位にメチル基を導入することで、化合物 48m の A パートの方が結晶中で
はより伸長したコンフォメーションを取っていることが明らかとなった。また、アミ
ノ酸部分の構造はジヒドロナフタレン環の面と垂直方向を向いていることが明らか
となった(図 5-5)。
X
R
O
CO2H
N
Red ; R = H, X = F (48b)
Gray; R = Me, X = Cl (48m)
図 5-5. 化合物 48b と 48m の X 線結晶構造
計算化学的な研究により S1P 受容体のポケットを可視化することで、各 S1P 受容体
の選択性に関する研究を行っている Parrill らから、S1P1 受容体のポケットは S1P3 受
容体のポケットと比較して 4Å程度長いことが見積もられている 8。本報告を正しい
109
と仮定すれば、プロピレン側鎖の 2 位へのメチル基の導入で in vitro 活性・選択性が
向上したのは、側鎖導入により脂溶性末端 A パートがより直線的なコンフォメーショ
ンを取りやすくなることによって、S1P1 受容体により選択的に結合しやすくなったこ
とが一つの要因と考察した。
第四章の3-2において、ジヒドロナフタレン骨格などの 2 環式誘導体の活性向上
は、アミノ酸部分の構造がジヒドロナフタレン環の面と垂直方向を向いていることが
要因の一つと考察したが、結晶状態では実際にアミノ酸構造がジヒドロナフタレン環
の面と垂直方向に伸びていることが確認できた。本考察の妥当性がより確かなものに
なったと考えられる。
110
5-7.小括
本章では、リード化合物 42d の末端脂溶性部分(A パート)の構造の最適化を行う
端緒として、A パートを効率良く変換するための収束的合成ルートを確立し、さらに、
合成段階が少なく、より効率的に構造活性相関が取得できるフェニルプロピル誘導体
を選択して最適化を検討した。
脂溶性末端部分のベンゼン環に、代謝阻害に寄与すると考えられるフッ素原子を置
換することにより、リード化合物 42d と比較して選択性は若干劣るものの、in vitro/in
vivo 活性の向上した化合物 48b が得られた。さらに、光学活性体の作り分けを含めた
リンカー部分の置換基の精査を行い、プロピレン側鎖の 2 位に S 配置のメチル基を導
入することで in vitro/in vivo 活性を維持または向上させつつ選択性を改善した化合物
48j および 48m を得ることができた(Table 5-7)。
第四章での活性コンフォメーションに関する検討から、アミノ酸部分の構造が中心
部分のベンゼン環の面に対して垂直方向を向くことが、強い in vitro 活性を発現する
ために重要であると考察したが、化合物 48b および 48m の X 線結晶構造解析の結果、
結晶中では実際にアミノ酸構造がジヒドロナフタレン環の面に対して垂直方向を向
いていることを検証できた。また、これら 2 化合物の X 線結晶構造解析および、S1P1
受容体と S1P3 受容体のポケットの大きさ(長さ)を計算した文献報告の結果から、A
パートのプロピレン側鎖の 2 位にメチル基を導入することによって、脂溶性末端 A パ
ートのコンフォメーションがより直線的となり、S1P1 受容体のポケットによりフィッ
トしやすくなることで in vitro 活性・選択性が向上したと考察した。これらの化合物
の構造活性相関情報などの知見は、さらに優れた S1P1 受容体作動薬の創成のみなら
ず、今後の GPCR の結晶化技術および計算化学の発展と相まって、他の S1P 受容体に
対する作動薬および拮抗薬の設計など、本研究分野における創薬に幅広く利用できる
ものと考えられる。
代表化合物 42d、48b、48j および 48m のラットにおける血中動態を測定した。末端
ベンゼン環のパラ位へのハロゲン原子の導入により、血中持続性が改善していた。本
結果は置換したハロゲン原子によって代謝が阻害されたためと考察した。また、プロ
ピレン側鎖 2 位へのメチル基の導入により血中からの消失速度が速くなったことは、
プロピレン側鎖 2 位へのメチル基が代謝を受けやすくなったためと考察した。さらに、
化合物 48j および 48m の血しょう中濃度と in vitro 活性から予測される in vivo 活性と
実測値との差については、化合物のタンパク結合率を加味することで説明できると考
えられた。
化合物 48j および 48m は、活性・選択性以外の各種基礎評価においても大きな問題
点が認められなかったことから、医薬品候補化合物の一つとして十分なプロファイル
を有していると考えられた。ただしこれら 2 化合物は、末端脂溶性部分の A パートフ
111
ェニルプロピル誘導体に関して最適化された化合物であり、A パートをさらに精査す
ることで、活性・選択性などの面をさらに改善できる可能性がある。
Table 5-7. リード化合物 42d とフェニルプロピル誘導体の代表化合物 48b、48j、48m
および FTY720(-P)の活性・選択性比較
in vitro (human)
Ca Assay EC50
Compound
No.
S1P1
(nM)
S1P3
(nM)
Selectivity
S1P3 / S1P1
p.o. 4hr
(mg/kg)
p.o.24hr
(mg/kg)
2.9
16700
5759
0.16
1.9
CO2H
0.84
3200
3810
0.055
0.25
CO2H
0.37
9450
25541
0.069
0.22
CO2H
0.55
8200
14909
0.034
0.095
0.088
0.060
Structure
O
42d
in vivo (mouse)
PLLa Efficacy ED50
CO2H
N
F
O
48b
N
F
O
48j
S
N
Cl
O
48m
S
FTY720
N
(0.23) b
a; Peripheral Lymphocyte Lowering
b: Values for FTY720-P
112
(20) b
(87) b
5-8.実験の部(Experimental)
5-8-1.General directions
2-6-1を参照。
5-8-2.化合物合成
6-(3-Phenylpropoxy)-3,4-dihydro-1(2H)-naphthalenone (45a)
The same procedure as 6 was performed using 6-hydroxy-1-tetralone 38b (5.2 g, 32.1 mmol),
3-phenylpropyl bromide (5.85 mL, 38.5 mmol), K2CO3 (10.6 g, 76.9 mmol) and DMF (50
mL) to yield 45a (8.40 g, 94%) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.44 (hexane / EtOAc, 2 /
1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.00 (d, J=9.00 Hz, 1 H), 7.27 - 7.33 (m, 2 H), 7.17 - 7.24
(m, 3 H), 6.81 (dd, J=9.00, 2.50 Hz, 1 H), 6.68 (d, J=2.50 Hz, 1 H), 4.01 (t, J=6.50 Hz, 2 H),
2.91 (t, J=6.50 Hz, 2 H), 2.81 (t, J=7.50 Hz, 2 H), 2.57 - 2.64 (m, 2 H), 2.06 - 2.19 (m, 4 H);
MS (EI, Pos.) m/z 280 (M+), 162, 134, 118, 91 (base peak).
1-Methyl-6-(3-phenylpropoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (47a).
To a solution of 45a (4.0 g, 14.5 mmol) in THF (40 mL) was added MeMgBr (3.0 mol/L in
Et2O, 10 mL, 30 mmol) at 0 ºC. The reaction mixture was stirred for 2 h at 0 ºC. The mixture
was poured into ice/sat.NH4Cl-aq and extracted with EtOAc twice. The combined extract was
washed with water, brine and dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced
pressure to give crude 46 (4.50 g, quantitative yield) as an oil.
To POCl3 (5.0 mL, 55 mmol) was added dry DMF (20 mL) at 0 ºC. To the mixture was added
a solution of crude 46 (4.50 g, 14.5 mmol) in dry CH2Cl2 (20 mL) at 0 ºC. The reaction
mixture was stirred for 1 h at 0 ºC and for 45 min at room temperature. The reaction mixture
was poured into cooled 1 mol/L NaOH solution (300 mL). The mixture was extracted with
(hexane / EtOAc, 1 / 1) twice. And combined organic layer was washed with water, brine and
dried over MgSO4. The residue was purified by chromatography on silica gel to yield 47a
(1.88 g, 42% yield) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.43 (hexane / EtOAc, 3 / 1) ; 1H
NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.31 (s, 1 H), 7.47 (d, J=8.50 Hz, 1 H), 7.26 - 7.33 (m, 2 H), 7.16
- 7.24 (m, 3 H), 6.79 (dd, J=8.50, 2.50 Hz, 1 H), 6.73 (d, J=2.50 Hz, 1 H), 4.00 (t, J=6.50 Hz,
2 H), 2.82 (t, J=7.50 Hz, 2 H), 2.68 - 2.76 (m, 2 H), 2.46 - 2.55 (m, 5 H), 2.07 - 2.17 (m, 2 H);
MS (EI, Pos.) m/z 306 (M+) (base peak);
1-{[1-Methyl-6-(3-phenylpropoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenyl]methyl}-3-azetidinecarbo
xylic acid hydrochloride (48a)
113
The same procedure as 11d was performed using 47a (306 mg, 1.0 mmol) and 3-azetidine
carboxylic acid 52 (101 mg, 1.0 mmol), NaOH (powder 40 mg, 1.0 mmol), HC(OMe)3 (0.11
mL, 1.0 mmol), THF (2 mL), MeOH (14 mL) and NaBH4 (45 mg, 1.2 mmol). After
purification by column chromatography on silica gel, the residue was triturated with Et2O to
yield free form of 48a (205 mg, 52% yield) as a powder.
To a suspension of 48a (205 mg, 0.52 mmol) in THF (20 mL) was added a solution of HCl-aq
(1 mol/L, 0.80 mL, 0.80 mmol) at 0 ºC. The resulting solution was concentrated under
reduced pressure. The residue was triturated with Et2O to yield 48a (200 mg, 46% yield in 2
steps) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.20 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR
(300 MHz, CD3OD) δ 7.32 (d, J=8.50 Hz, 1 H), 7.11 - 7.28 (m, 5 H), 6.76 (dd, J=8.50, 2.50
Hz, 1 H), 6.72 (d, J=2.50 Hz, 1 H), 4.20 - 4.45 (m, 4 H), 4.16 (s, 2 H), 3.96 (t, J=6.50 Hz, 2
H), 3.67 - 3.78 (m, 1 H), 2.69 - 2.83 (m, 4 H), 2.20 - 2.29 (m, 5 H), 2.01 - 2.11 (m, 2 H); MS
(ESI, Pos. 20 V) m/z 783 (2M + H)+, 392 (M + H)+, 291; HRMS (FAB) calcd for C25H29NO3:
392.2226. Found: 392.2205.
6-(Benzyloxy)-3,4-dihydronaphthalen-1(2H)-one (45b)
The same procedure as 6 was performed using 6-hydroxy-1-tetralone 38b (75 g, 462 mmol),
benzyl bromide (103 g, 601 mmol), K2CO3 (96 g, 694 mmol) and acetone (460 mL). After
completing the reaction, the reaction mixture was filtered through Celite and the filtrate was
concentrated under reduced pressure. The residue was triturated with (t-BuOMe / hexane, 1 /
4) to yield 45b (102 g, 87% yield) as a brown powder. The same procedure above was
performed to yield 45b (89 g, 76% yield) as a brown powder. TLC Rf = 0.44 (hexane / EtOAc,
3 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.06 - 2.18 (m, 2 H), 2.62 (t, J=6.0 Hz, 2 H), 2.92 (t,
J=6.0 Hz, 2 H), 5.12 (s, 2 H), 6.79 (d, J=2.5 Hz, 1 H), 6.90 (dd, J=8.5, 2.5 Hz, 1 H), 7.30 7.46 (m, 5 H), 8.01 (d, J=8.5 Hz, 1 H).
7-(Benzyloxy)-4-methyl-1,2-dihydronaphthalene (49)
To a solution of 45b (185 g, 734 mmol) in dry THF (1.0 L) was added a solution of MeMgBr
(3.0 M in Et2O, 367 mL, 1100 mmol) over 1 h under inner temperature 20 ºC equipped with
ice bath. The reaction mixture was stirred for 3.5 h at room temperature. The reaction mixture
was poured into (ice / sat. NH4Cl-aq (1.5 L)). To the mixture was added a solution of HCl-aq
(2 mol/L, 1.0 L). After the reaction mixture was stirred for 3 h at room temperature, the
reaction mixture was extracted with EtOAc twice (700 mL x 2). The combined organic extract
was washed with HCl-aq (1 mol/L, 0.50 L), water (0.50 L), brine (0.50 L) and dried over
MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure and the residue was purified by
114
chromatography on silica gel with (hexane / EtOAc) to yield 49 (70.2 g, 38% yield) as a pale
yellow oil white powder. TLC Rf = 0.71 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3)
δ 7.26 - 7.49 (m, 5 H), 7.09 - 7.21 (m, 1 H), 6.67 - 6.90 (m, 2 H), 5.60 - 5.81 (m, 1 H), 5.07 (s,
2 H), 2.74 (t, J=7.96 Hz, 2 H), 2.17 - 2.31 (m, 2 H), 1.94 - 2.08 (m, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V)
m/z 251 (M + H)+.
6-(Benzyloxy)-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (50)
The similar procedure to 41c was performed.
To POCl3 (73 g, 476 mmol) was added dry DMF (50 mL, 700 mmol) under inner temperature
30 ºC equipped with ice bath over 15 min. The reaction mixture was stirred for 30 min at
room temperature. To the mixture was added a solution of 49 (70 g, 280 mmol) in dry DMF
(230 mL) under inner temperature 15 ºC equipped with ice bath over 1.5h. The reaction
mixture was poured into ice/water (1.1 L) and extracted with (hexane / EtOAc, 1 / 3) (400
mL) and (hexane / EtOAc, 1 / 1) (300 mL). Hexane (250 mL) was added to the organic layer,
which was washed with water (1 L x 2), brine (700 mL) and dried over MgSO4. The filtrate
was concentrated under reduced pressure to yield 50 (47.9 g, 62% yield) as an ivory powder.
TLC Rf = 0.50 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.31 (s, 2 H), 7.29 7.62 (m, 6 H), 6.70 - 6.98 (m, 2 H), 5.11 (s, 2 H), 2.63 - 2.80 (m, 2 H), 2.38 - 2.61 (m, 5 H);
MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 279 (M + H)+.
6-Hydroxy-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (51)
To a solution of 50 (36.7 g, 132 mmol) in PhSMe (310 mL, 2640 mmol) was added TFA (610
mL, 7920 mmol) at room temperature. The reaction mixture was stirred for 4 h at room
temperature. The mixture was added to NaOH-aq (5 mol/L, 1700 mL) under inert temperature
15 ºC over 3 h. HCl-aq (2 mol/L, 300 mL) was added to the mixture to pH 5. The mixture was
extracted with t-BuOMe (500 mL x 2) twice. The combined organic layer was extracted with
NaOH-aq (1 mol/L, 1500 mL + 300 mL + 200 mL) three times. The combined aqueous layer
was acidified by HCl-aq (5 mol/L, 400 mL) to pH 3 and extracted with EtOAc (500 mL + 200
mL) twice. The combined organic layer was washed with water, brine and dried over MgSO4.
The filtrate was concentrated under reduced pressure. The residue was triturated with (EtOAc
/ t-BuOMe) and t-BuOMe twice to yield 51 (14.6 g, 59% yield) as a light brown powder. TLC
Rf = 0.29 (hexane / EtOAc, 2 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.30 (s, 1 H), 7.45 (d,
J=8.60 Hz, 1 H), 6.77 (dd, J=8.60, 2.65 Hz, 1 H), 6.72 (d, J=2.65 Hz, 1 H), 5.92 (s, 1 H), 2.65
- 2.77 (m, 2 H), 2.43 - 2.58 (m, 5 H); MS (EI, Pos.) m/z 188 (M+) (base peak), 173, 159, 145,
144; HRMS (FAB) Calcd for C12H12O2: 188.0837, Found: 188.0834.
115
3-(4-Fluorophenyl)propan-1-ol (55b)
To a stirred solution of 3-(4-fluorophenyl)propanoic acid 54b (3.0 g, 17.8 mmol) in THF (10
mL) was added a solution of BH3 THF complex (1.02 mol/L, 52.5 mL, 53.5 mmol) over 30
min at 0 ºC. The reaction mixture was stirred for 2.5 h at room temperature. After MeOH (1
mL) was added to the reaction mixture at 0 ºC, the mixture was stirred overnight at room
temperature. The reaction mixture was concentrated under reduced pressure. Water was added
to the mixture, which was extracted with CHCl3. The organic layer was washed with water,
brine and dried over MgSO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure to yield
55b (2.80 g, quantitative yield) as a pale yellow oil. TLC Rf = 0.19 (hexane / EtOAc, 3 / 1);
1
H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.79 - 1.95 (m, 2 H), 2.62 - 2.75 (m, 2 H), 3.67 (t, J=6.5 Hz, 2
H), 6.91 - 7.02 (m, 2 H), 7.08 - 7.21 (m, 2 H).
6-[3-(4-Fluorophenyl)propoxy]-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (47b)
The same procedure as 13 was performed using 51 (50 mg, 0.27 mmol), 55b (37 mg, 0.24
mmol), a solution of DEAD in PhMe (40w/w%, 0.13 mL, 0.29 mmol), PPh3 (76 mg, 0.29
mmol) and dry THF (0.75 mL) to yield 47b (60 mg, 77% yield) as a pale yellow powder.
TLC Rf = 0.40 (hexane / EtOAc, 3 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.32 (s, 1 H), 7.48 (d,
J=8.50 Hz, 1 H), 7.16 (dd, J=8.50, 5.50 Hz, 2 H), 6.97 (t, J=8.50 Hz, 2 H), 6.78 (dd, J=8.50,
2.50 Hz, 1 H), 6.73 (d, J=2.50 Hz, 1 H), 3.99 (t, J=6.00 Hz, 2 H), 2.79 (t, J=7.50 Hz, 2 H),
2.69 - 2.75 (m, 2 H), 2.47 - 2.56 (m, 5 H), 2.04 - 2.14 (m, 2 H); MS (EI, Pos.) m/z 324 (M+)
(base peak), 109.
1-({6-[3-(4-Fluorophenyl)propoxy]-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenyl}methyl)-3-azeti
dinecarboxylic acid hydrochloride (48b)
The same procedure as 11d was performed using 47b (57 mg, 0.18 mmol) and 3-azetidine
carboxylic acid 52 (27 mg, 0.27 mmol), NaOH (powder, 11 mg, 0.27 mmol), HC(OMe)3
(0.029 mL, 0.27 mmol), THF (1 mL), MeOH (4 mL) and NaBH4 (10 mg, 0.27 mmol) to yield
free form of 48b (51 mg, 58% yield).
To a solution of 48b (44 mg, 0.11 mmol) in THF (1.5 mL) was added a solution of HCl-aq (2
mol/L, 0.070 mL, 0.14 mmol) at 0 ºC. The solution was concentrated under reduced pressure.
The residue was triturated with Et2O to yield 48b (37 mg, 77% yield) as a white powder. TLC
Rf = 0.26 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.32 (d, J =
8.50 Hz, 1 H), 7.20 (dd, J = 8.50, 5.50 Hz, 2 H), 6.98 (t, J = 8.50 Hz, 2 H), 6.76 (dd, J = 8.50,
2.50 Hz, 1 H), 6.72 (d, J = 2.50 Hz, 1 H), 4.18 - 4.43 (m, 4 H), 4.16 (s, 2 H), 3.95 (t, J = 6.00
116
Hz, 2 H), 3.66 - 3.75 (m, 1 H), 2.69 - 2.82 (m, 4 H), 2.20 - 2.28 (m, 5 H), 1.99 - 2.10 (m, 2
H) ; MS (APCI, Neg. 20 V) m/z 408 (M - H)- ; HRMS (FAB) calcd for C25H28FNO3:
410.2131. Found: 410.2109.
3-(3-Fluorophenyl)propan-1-ol (55c)
The same procedure as 55b was performed using 3-(3-fluorophenyl)propanoic acid 54c (336
mg, 2.0 mmol), BH3 THF complex (1.0 mol/L, 3.0 mL, 3.0 mmol) and THF (1 mL) to yield
55c (175 mg, 57% yield) as an oil. TLC Rf = 0.56 (CHCl3 / MeOH, 10 / 1).
6-[3-(3-Fluorophenyl)propoxy]-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (47c)
The same procedure as 13 was performed using 51 (100 mg, 0.53 mmol), 55c (89 mg, 0.58
mmol), TMAD (137 mg, 0.79 mmol), PPh3 (209 mg, 0.79 mmol) and dry THF (1.5 mL) to
yield 47c (130 mg, 76% yield) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.41 (hexane / EtOAc, 3 /
1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.32 (s, 1 H), 7.48 (d, J=8.50 Hz, 1 H), 7.20 - 7.29 (m, 1
H), 6.99 (d, J=7.50 Hz, 1 H), 6.86 - 6.95 (m, 2 H), 6.79 (dd, J=8.50, 2.50 Hz, 1 H), 6.74 (d,
J=2.50 Hz, 1 H), 4.00 (t, J=6.50 Hz, 2 H), 2.82 (t, J=7.50 Hz, 2 H), 2.66 - 2.76 (m, 2 H), 2.45
- 2.55 (m, 5 H), 2.05 - 2.17 (m, 2 H); MS (EI, Pos.) m/z 324 (M+), 109 (base peak).
1-({6-[3-(3-Fluorophenyl)propoxy]-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenyl}methyl)-3-azeti
dinecarboxylic acid hydrochloride (48c)
The same procedure as 11d was performed using 47c (125 mg, 0.38 mmol) and 3-azetidine
carboxylic acid 52 (58 mg, 0.58 mmol), NaOH (powder, 23 mg, 0.58 mmol), HC(OMe)3
(0.063 mL, 0.58 mmol), THF (1 mL), MeOH (7 mL) and NaBH4 (22 mg, 0.58 mmol) to yield
a free form of 48c (92 mg, 58% yield).
To a solution of a free form of 48c (92 mg, 0.22 mmol) in THF (6.8 mL) was added a solution
of HCl-aq (1 mol/L, 0.34 mL, 0.34 mmol) at 0 ºC. The solution was concentrated under
reduced pressure. The residue was triturated with (THF / Et2O) to yield 48c (85 mg, 85%
yield). TLC Rf = 0.28 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ
7.33 (d, J = 8.50 Hz, 1 H), 7.21 - 7.30 (m, 1 H), 7.02 (d, J = 8.00 Hz, 1 H), 6.84 - 6.98 (m, 2
H), 6.76 (dd, J = 8.50, 2.50 Hz, 1 H), 6.72 (d, J = 2.50 Hz, 1 H), 4.20 - 4.43 (m, 4 H), 4.16 (s,
2 H), 3.96 (t, J = 6.00 Hz, 2 H), 3.64 - 3.78 (m, 1 H), 2.81 (t, J = 7.50 Hz, 2 H), 2.73 (t, J =
8.00 Hz, 2 H), 2.19 - 2.29 (m, 5 H), 2.01 - 2.12 (m, 2 H) ; MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 819 (2M +
H)+, 410 (M + H)+, 309; HRMS (FAB) calcd for C25H28FNO3: 410.2131. Found: 410.2130.
3-(2-Fluorophenyl)propan-1-ol (55d)
117
The same procedure as 55b was performed using 3-(2-fluorophenyl)propanoic acid 54d (300
mg, 1.78 mmol), BH3 THF complex (1.02 mol/L, 5.25 mL, 5.35 mmol) and THF (6 mL) to
yield 55d (326 mg, quantitative yield). TLC Rf = 0.36 (CHCl3 / MeOH, 9 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 1.38 (s, 1 H), 1.83 - 1.95 (m, 2 H) 2.75 (t, J=7.5 Hz, 2 H) 3.68 (t, J=6.5 Hz, 2
H) 6.97 - 7.10 (m, 2 H) 7.13 - 7.24 (m, 2 H).
6-[3-(2-Fluorophenyl)propoxy]-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (47d)
The same procedure as 13 was performed using 51 (100 mg, 0.53 mmol), 55d (74 mg, 0.48
mmol), a solution of DEAD in PhMe (40w/w%, 0.26 mL, 0.58 mmol), PPh3 (152 mg, 0.58
mmol) and THF (1.5 mL) to yield 47d (124 mg, 79% yield) as a pale yellow powder. TLC Rf
= 0.28 (hexane / EtOAc, 5 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.32 (s, 1 H), 7.47 (d, J=8.50
Hz, 1 H), 7.15 - 7.24 (m, 2 H), 6.99 - 7.09 (m, 2 H), 6.79 (dd, J=8.50, 2.50 Hz, 1 H), 6.74 (d,
J=2.50 Hz, 1 H), 4.01 (t, J=6.50 Hz, 2 H), 2.85 (t, J=7.50 Hz, 2 H), 2.69 - 2.76 (m, 2 H), 2.46
- 2.55 (m, 5 H), 2.07 - 2.18 (m, 2 H); MS (EI, Pos.) m/z 324 (M+), 109 (base peak).
1-({6-[3-(2-Fluorophenyl)propoxy]-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenyl}methyl)-3-azeti
dinecarboxylic acid hydrochloride (48d)
The same procedure as 11d was performed using 47d (68 mg, 0.21 mmol) and 3-azetidine
carboxylic acid 52 (32 mg, 0.32 mmol), NaOH (powder, 13 mg, 0.32 mmol), HC(OMe)3
(0.034 mL, 0.32 mmol), THF (1 mL), MeOH (4 mL) and NaBH4 (12 mg, 0.32 mmol) to yield
a free form of 48d (64 mg, 74% yield).
To a suspension of a free form of 48d (64 mg, 0.16 mmol) in THF (2 mL) was added HCl-aq
(2 mol/L, 0.10 mL, 0.20 mmol) at 0 ºC. To the mixture was added THF (12 mL) and water
(0.2 mL). To the resulting solution was added Et2O (16 mL) at 0 ºC. The resulting precipitate
was collected by filtration to yield 48d (55 mg, 79% yield) as a white powder. TLC Rf = 0.30
(CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.33 (d, J = 8.50 Hz, 1
H), 7.16 - 7.27 (m, 2 H), 6.98 - 7.10 (m, 2 H), 6.76 (dd, J = 8.50, 2.50 Hz, 1 H), 6.72 (d, J =
2.50 Hz, 1 H), 4.19 - 4.46 (m, 4 H), 4.16 (s, 2 H), 3.98 (t, J = 6.00 Hz, 2 H), 3.65 - 3.78 (m, 1
H), 2.83 (t, J = 7.50 Hz, 2 H), 2.70 - 2.77 (m, 2 H), 2.20 - 2.29 (m, 5 H), 2.00 - 2.11 (m, 2 H) ;
MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 819 (2M + H)+, 410 (M + H)+, 309; HRMS (FAB) calcd for
C25H28FNO3: 410.2131. Found: 410.2119.
3-Phenyl-1-butanol (55e)
118
The same procedure as 55b was performed using 3-phenylbutanoic acid 54e (328 mg, 2.0
mmol), BH3 THF complex (1.0 mol/L, 3.0 mL, 3.0 mmol) and THF (1 mL) to yield 55e (211
mg, 70% yield). TLC Rf = 0.64 (CHCl3 / MeOH, 10 / 1).
1-Methyl-6-(3-phenylbutoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (47e)
The same procedure as 13 was performed using 51 (100 mg, 0.53 mmol), 55e (96 mg, 0.64
mmol), TMAD (137 mg, 0.79 mmol), PPh3 (167 mg, 0.64 mmol) and THF (2 mL) to yield
47e (94 mg, 55% yield) as a yellow oil. TLC Rf = 0.70 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 10.31 (s, 1 H), 7.44 (d, J=8.50 Hz, 1 H), 7.27 - 7.34 (m, 2 H), 7.16 - 7.24 (m,
3 H), 6.73 (dd, J=8.50, 2.50 Hz, 1 H), 6.67 (d, J=2.50 Hz, 1 H), 3.80 - 3.96 (m, 2 H), 2.93 3.07 (m, 1 H), 2.66 - 2.75 (m, 2 H), 2.44 - 2.55 (m, 5 H), 1.99 - 2.16 (m, 2 H), 1.33 (d, J=7.00
Hz, 3 H); MS (APCI, Neg. 20 V) m/z (ESI, Pos. 20 V) 321 (M + H)+.
1-{[1-Methyl-6-(3-phenylbutoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenyl]methyl}-3-azetidinecarbox
ylic acid hydrochloride (48e)
The same procedure as 11d was performed using 47e (89 mg, 0.28 mmol) and 3-azetidine
carboxylic acid 52 (28 mg, 0.28 mmol), NaOH (powder, 11 mg, 0.28 mmol), HC(OMe)3
(0.036 mL, 0.34 mmol), THF (1 mL), MeOH (2 mL) and NaBH4 (16 mg, 0.42 mmol) to yield
a free form of 48e (53 mg, 49% yield), which was treated with 1 mol/L HCl-aq in 1,4-dioxane
to yield 48e (48 mg, 39% yield in 2 steps) as a white powder. TLC Rf = 0.30 (CHCl3 / MeOH
/ NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.10 - 7.34 (m, 6 H), 6.68 (dd, J = 8.50,
2.50 Hz, 1 H), 6.64 (d, J = 2.50 Hz, 1 H), 4.18 - 4.46 (m, 4 H), 4.15 (s, 2 H), 3.65 - 3.94 (m, 3
H), 2.91 - 3.04 (m, 1 H), 2.67 - 2.75 (m, 2 H), 2.18 - 2.28 (m, 5 H), 1.93 - 2.12 (m, 2 H), 1.30
(d, J = 7.00 Hz, 3 H); MS (APCI, Neg. 20 V) m/z 404 (M - H)- ; HRMS (FAB) calcd for
C26H31NO3: 406.2382. Found: 406.2375.
2-Methyl-3-phenylpropan-1-ol (55f)
The same procedure as 55b was performed using 2-methyl-3-phenylpropanoic acid 54f (328
mg, 2.0 mmol), BH3 THF complex (1.0 mol/L, 3.0 mL, 3.0 mmol) and THF (1 mL) to yield
55f (211 mg, 70% yield). TLC Rf = 0.67 (CHCl3 / MeOH, 10 / 1).
1-Methyl-6-(2-methyl-3-phenylpropoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (47f)
The same procedure as 13 was performed using 51 (100 mg, 0.53 mmol), 55f (96 mg, 0.64
mmol), TMAD (137 mg, 0.79 mmol), PPh3 (167 mg, 0.64 mmol) and THF (2 mL) to yield
47f (86 mg, 50% yield) as a yellow oil. TLC Rf = 0.70 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300
119
MHz, CDCl3) δ 10.32 (s, 1 H), 7.47 (d, J=8.50 Hz, 1 H), 7.25 - 7.33 (m, 2 H), 7.16 - 7.24 (m,
3 H), 6.78 (dd, J=8.50, 2.50 Hz, 1 H), 6.73 (d, J=2.50 Hz, 1 H), 3.76 - 3.88 (m, 2 H), 2.86 (dd,
J=13.50, 6.50 Hz, 1 H), 2.67 - 2.76 (m, 2 H), 2.46 - 2.63 (m, 6 H), 2.20 - 2.33 (m, 1 H), 1.04
(d, J=7.00 Hz, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 321 (M + H)+.
1-{[1-Methyl-6-(2-methyl-3-phenylpropoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenyl]methyl}-3-azeti
dinecarboxylic acid hydrochloride (48f)
The same procedure as 11d was performed using 47f (81 mg, 0.25 mmol) and 3-azetidine
carboxylic acid 52 (25 mg, 0.25 mmol), NaOH (powder, 10 mg, 0.25 mmol), HC(OMe)3
(0.033 mL, 0.30 mmol), THF (1 mL), MeOH (2 mL) and NaBH4 (14 mg, 0.38 mmol) to yield
a free form of 48f (40 mg, 39% yield), which was treated with 1 mol/L HCl-aq in 1,4-dioxane
to yield 48f (37 mg, 34% yield in 2 steps) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.30 (CHCl3 /
MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.32 (d, J = 8.50 Hz, 1 H), 7.21 7.28 (m, 2 H), 7.12 - 7.19 (m, 3 H), 6.75 (dd, J = 8.50, 2.50 Hz, 1 H), 6.70 (d, J = 2.50 Hz, 1
H), 4.36 - 4.48 (m, 2 H), 4.19 - 4.33 (m, 2 H), 4.16 (s, 2 H), 3.65 - 3.86 (m, 3 H), 2.84 (dd, J =
13.00, 6.50 Hz, 1 H), 2.73 (t, J = 8.00 Hz, 2 H), 2.55 (dd, J = 13.00, 7.50 Hz, 1 H), 2.15 - 2.29
(m, 6 H), 1.01 (d, J = 7.00 Hz, 3 H) ; MS (APCI, Neg. 20 V) m/z 404 (M - H)- ; HRMS (FAB)
calcd for C26H31NO3: 406.2382. Found: 406.2371.
1-Methyl-6-(1-methyl-3-phenylpropoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde (47g)
The same procedure as 13 was performed using 51 (150 mg, 0.80 mmol), 4-phenylbutan-2-ol
55g (144 mg, 0.96 mmol), TMAD (206 mg, 1.2 mmol), PPh3 (251 mg, 0.96 mmol) and THF
(3 mL) to yield 47g (182 mg, 71% yield) as a yellow oil. TLC Rf = 0.70 (hexane / EtOAc, 3 /
1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.31 (s, 1 H), 7.46 (d, J=8.50 Hz, 1 H), 7.25 - 7.33 (m, 2
H), 7.15 - 7.23 (m, 3 H), 6.75 (dd, J=8.50, 2.50 Hz, 1 H), 6.68 (d, J=2.50 Hz, 1 H), 4.36 - 4.48
(m, 1 H), 2.66 - 2.83 (m, 4 H), 2.45 - 2.56 (m, 5 H), 2.02 - 2.16 (m, 1 H), 1.83 - 1.97 (m, 1 H),
1.35 (d, J=6.00 Hz, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 321 (M + H)+.
1-{[1-Methyl-6-(1-methyl-3-phenylpropoxy)-3,4-dihydro-2-naphthalenyl]methyl}-3-azeti
dinecarboxylic acid hydrochloride (48g)
The same procedure as 11d was performed using 47g (175 mg, 0.55 mmol) and 3-azetidine
carboxylic acid 52 (55 mg, 0.55 mmol), NaOH (powder, 22 mg, 0.55 mmol), HC(OMe)3
(0.072 mL, 0.66 mmol), THF (2 mL), MeOH (3 mL) and NaBH4 (31 mg, 0.82 mmol) to yield
a free form of 48g (93 mg, 42% yield), which was treated with 1 mol/L HCl-aq in 1,4-dioxane
to yield 48g (90 mg, 37% yield in 2 steps) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.30 (CHCl3 /
120
MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.31 (d, J = 8.50 Hz, 1 H), 7.20 7.27 (m, 2 H), 7.10 - 7.18 (m, 3 H), 6.72 (dd, J = 8.50, 2.50 Hz, 1 H), 6.65 (d, J = 2.50 Hz, 1
H), 4.20 - 4.47 (m, 5 H), 4.16 (s, 2 H), 3.64 - 3.80 (m, 1 H), 2.66 - 2.79 (m, 4 H), 2.19 - 2.31
(m, 5 H), 1.80 - 2.09 (m, 2 H), 1.29 (d, J = 6.00 Hz, 3 H); MS (APCI, Neg. 20 V) m/z 404 (M
- H)- ; HRMS (FAB) calcd for C26H31NO3: 406.2382. Found: 406.2365.
2,2-Dimethyl-3-phenylpropan-1-ol (55h)
To a suspension of LiAlH4 (368 mg, 9.69 mmol) in dry THF (10 mL) was added a solution of
ethyl 2,2-Dimethyl-3-phenylpropanoate 56 (1.0 g, 4.85 mmol) in THF (6 mL) at -78°C. The
reaction mixture was stirred for 2 h at 0 °C. To the mixture was added saturated Na2SO4-aq.
The mixture was dried over Na2SO4. The filtrate through Celite was concentrated under
reduced pressure. The residue was purified by chromatography on silica gel to give 55h (751
mg, 94% yield) as an oil. TLC Rf = 0.52 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3)
δ 0.88 (s, 6 H), 1.53 (s., 1 H), 2.58 (s, 2 H), 3.32 (s, 2 H), 7.14 - 7.32 (m, 5 H).
6-(2,2-Dimethyl-3-phenylpropoxy)-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde
(47h)
The similar procedure to 13 was performed using 51 (150 mg, 0.80 mmol), 55h (131 mg, 0.80
mmol), TMAD (206 mg, 1.2 mmol), PPh3 (251 mg, 0.96 mmol) and THF (2 mL). The
mixture was stirred at 200 °C for 10 min under microwave irradiation to complete the reaction
and yield 47h (72 mg, 27% yield) as a pale yellow powder. TLC Rf = 0.64 (hexane / EtOAc, 3
/ 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.32 (s, 1 H) 7.48 (d, J=8.60 Hz, 1 H) 7.08 - 7.29 (m, 5
H) 6.81 (dd, J=8.60, 2.40 Hz, 1 H) 6.78 (d, J=2.40 Hz, 1 H) 3.57 (s, 2 H) 2.72 (s, 2 H) 2.67 2.78 (m, 2 H) 2.51 (s, 3 H) 2.48 - 2.58 (m, 2 H) 1.03 (s, 6 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 335
(M + H)+.
1-{[6-(2,2-Dimethyl-3-phenylpropoxy)-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenyl]methyl}-3-a
zetidinecarboxylic acid hydrochloride (48h). The same procedure as 11d was performed
using 47h (70 mg, 0.21 mmol) and 3-azetidine carboxylic acid 52 (23 mg, 0.23 mmol), NaOH
(powder, 9 mg, 0.23 mmol), HC(OMe)3 (25mg, 0.25 mmol), THF (1.5 mL), MeOH (3 mL)
and NaBH4 (12 mg, 0.32 mmol) to yield a free form of 48h (31 mg, 35% yield), which was
treated with 4 mol/L HCl in 1,4-dioxane to yield 48h (30 mg, 31% yield in 2 steps) as a beige
powder. TLC Rf = 0.40 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 50 / 10 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CD3OD)
δ 7.34 (d, J = 8.23 Hz, 1 H) 7.03 - 7.26 (m, 5 H) 6.70 - 6.85 (m, 2 H) 4.20 - 4.50 (m, 4 H) 4.17
(s, 2 H) 3.60 - 3.81 (m, 1 H) 3.54 (s, 2 H) 2.67 - 2.81 (m, 4 H) 2.20 - 2.32 (m, 5 H) 1.01 (s, 6
121
H) ; MS (APCI, Neg. 20 V) m/z 418 (M - H)- ; HRMS (FAB) calcd for C27H33NO3: 420.2539.
Found: 420.2534.
(4S)-4-Benzyl-3-propanoyl-1,3-oxazolidin-2-one (59i)
To a stirred solution of (4S)-4-(phenylmethyl)-1,3-oxazolidin-2-one 58S (7.0 g, 39.5 mmol) in
dry THF (80 mL) was added a solution of n-BuLi in hexane (1.54 mol/L, 30.8 mL, 47.4
mmol) at -78 °C. After the reaction mixture was stirred for 30 min at -78 °C, propanoic acid
chloride 57i (3.77 mL, 43.4 mmol) was added to the mixture. The reaction mixture was stirred
for 1 h at -78 °C and NaHCO3-aq was added to the mixture. The mixture was extracted with
t-BuOMe twice and combined organic layer was washed with brine and dried over Na2SO4.
The filtrate was concentrated under reduced pressure to yield 59i (9.50 g, quantitative yield)
as a pale yellow oil. TLC Rf = 0.47 (CHCl3 / MeOH, 10 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ
1.17 - 1.26 (m, 3 H), 2.77 (dd, J=13.5, 9.5 Hz, 1 H), 2.87 - 3.07 (m, 2 H), 3.31 (dd, J=13.5,
3.0 Hz, 1 H), 4.12 - 4.25 (m, 2 H), 4.63 - 4.73 (m, 1 H), 7.18 - 7.24 (m, 2 H), 7.24 - 7.38 (m, 3
H).
(4S)-4-Benzyl-3-[(2R)-3-(4-fluorophenyl)-2-methylpropanoyl]-1,3-oxazolidin-2-one
(60i)
To a stirred solution of 59i (9.50 g (maximum content 9.21 g, 39.5 mmol)) in dry THF (120
mL) was added a solution of NaHMDS in THF (1.0 mol/L, 45.4 mL, 45.4 mmol) at -78 °C.
After the reaction mixture was stirred for 1 h at -78 °C, a solution of 4-fluorobenzyl bromide
(8.58 g, 45.4 mmol) in dry THF (20 mL) was added to the mixture. The reaction mixture was
stirred for 6 h at -78 °C and saturated NH4Cl-aq was added to the mixture. The precipitate
was removed by filtration and the filtrate was extracted with EtOAc twice. The combined
organic layer was washed with brine and dried over Na2SO4. The filtrate was concentrated
under reduced pressure. The residue was triturated with (hexane / Et2O) to yield 60i (7.55 g,
56% yield in 2 steps) as a white powder. TLC Rf = 0.56 (PhMe / acetone, 20 / 1); 1H NMR
(300 MHz, CDCl3) δ 1.18 (d, J=7.5 Hz, 3 H), 2.52 - 2.69 (m, 2 H), 3.05 - 3.18 (m, 2 H), 4.01 4.23 (m, 3 H), 4.61 - 4.72 (m, 1 H), 6.92 - 7.02 (m, 2 H), 7.06 (dd, J=7.5, 1.5 Hz, 2 H), 7.19 7.34 (m, 5 H).
(2R)-3-(4-Fluorophenyl)-2-methylpropan-1-ol (55i)
To a stirred solution of 60i (7.80 g, 22.8 mmol) in dry THF (100 mL) was added a solution of
LiBH4 (1.09 g, 50.1 mmol) in dry THF (50 mL) dropwise at 0 °C. After the reaction mixture
was stirred for 3 h at 0 °C, 1 mol/L NaOH-aq was added to the mixture. The reaction mixture
122
was extracted with EtOAc twice and combined organic layer was washed with brine and dried
over Na2SO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure and the residue was
purified by chromatography on silica gel to yield 55i (3.29 g, 86% yield) as a colorless oil.
TLC Rf = 0.63 (CHCl3 / MeOH, 20 / 1).
6-{[(2R)-3-(4-Fluorophenyl)-2-methylpropyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenec
arbaldehyde (47i)
The similar procedure to 13 was performed using 51 (2.45 g, 13.0 mmol), 55i (2.18 g, 13.0
mmol), TMAD (2.69 g, 15.6 mmol), PPh3 (4.09 g, 15.6 mmol) and THF (40 mL) to yield 47i
(4.47 g, 100% yield) as a yellow oil. TLC Rf = 0.36 (hexane / EtOAc = 3 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 10.32 (s, 1 H) 7.47 (d, J=8.60 Hz, 1 H) 7.08 - 7.17 (m, 2 H) 6.92 - 7.01 (m, 2
H) 6.78 (dd, J=8.60, 2.56 Hz, 1 H) 6.73 (d, J=2.56 Hz, 1 H) 3.80 (d, J=5.85 Hz, 2 H) 2.84 (dd,
J=13.63, 6.50 Hz, 1 H) 2.67 - 2.76 (m, 2 H) 2.50 (s, 3 H) 2.46 - 2.60 (m, 3 H) 2.14 - 2.30 (m,
1 H) 1.02 (d, J=6.77 Hz, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 339 (M + H)+.
Methyl 1-[(6-{[(2R)-3-(4-fluorophenyl)-2-methylpropyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro
-2-naphthalenyl)methyl]-3-azetidinecarboxylate (48’i)
To a stirred solution of 47i (2.80 g, 8.27 mmol), methyl 3-azetidinecaboxylate hydrochloride
53 (2.50 g, 16.5 mmol) and Et3N (2.30 mL, 16.5 mmol) in THF (30 mL) was added
NaBH(OAc)3 at 0 °C. After the reaction mixture was stirred for 16 h at room temperature,
NaHCO3-aq was added to the mixture. The reaction mixture was extracted with CH2Cl2 twice
and combined organic layer was dried over Na2SO4. The filtrate was concentrated under
reduced pressure and the residue was purified by chromatography on silica gel to yield 48’i
(3.23 g, 89% yield) as a yellow oil. TLC Rf = 0.36 (hexane / EtOAc, 1 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 7.18 (d, J=8.40 Hz, 1 H) 7.08 - 7.16 (m, 2 H) 6.91 - 7.01 (m, 2 H) 6.64 - 6.74
(m, 2 H) 3.76 (d, J=5.85 Hz, 2 H) 3.71 (s, 3 H) 3.43 - 3.61 (m, 2 H) 3.23 - 3.41 (m, 5 H) 2.84
(dd, J=13.45, 6.50 Hz, 1 H) 2.61 - 2.75 (m, 2 H) 2.52 (dd, J=13.45, 7.68 Hz, 1 H) 2.12 - 2.33
(m, 3 H) 2.09 (s, 3 H) 1.00 (d, J=6.77 Hz, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 438 (M + H)+, 323.
1-[(6-{[(2R)-3-(4-Fluorophenyl)-2-methylpropyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthale
nyl)methyl]-3-azetidinecarboxylic acid (48i)
To a stirred solution of 48’i (3.18 g, 7.26 mmol) in MeOH (30 mL) was added 5 mol/L
NaOH-aq (10 mL, 50 mmol) at 0 °C. After the reaction mixture was stirred for 1 h at room
temperature, 2 mol/L HCl-aq was added to the mixture to neutralize (pH 6.9). Thr resulting
precipitate was collected by filtration and dried to yield 48i (2.75 g, 89% yield) as a white
123
powder. TLC Rf = 0.40 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 20 / 5 / 1); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ
7.31 (d, J = 8.60 Hz, 1 H), 7.10 - 7.23 (m, 2 H), 6.92 - 7.02 (m, 2 H), 6.74 (dd, J = 8.60, 2.56
Hz, 1 H), 6.70 (d, J = 2.56 Hz, 1 H), 4.11 - 4.26 (m, 4 H), 4.09 (s, 2 H), 3.76 - 3.81 (m, 2 H),
3.34 - 3.48 (m, 1 H), 2.83 (dd, J = 13.63, 6.50 Hz, 1 H), 2.67 - 2.77 (m, 2 H), 2.55 (dd, J =
13.63, 7.68 Hz, 1 H), 2.20 (s, 3 H), 2.11 - 2.28 (m, 3 H), 1.00 (d, J = 6.77 Hz, 3 H) ; MS (ESI,
Pos. 20 V) m/z 847 (2M + H)+, 424 (M + H)+, 323; HRMS (FAB) calcd for C26H30FNO3:
424.2288. Found: 424.2268; IR (KBr) 3364, 2923, 2852, 1658, 1600, 1509, 1469, 1401, 1278,
1254, 1224 cm-1; [α]D(25.6 °C) = -37° (c = 0.55, EtOH).
(4R)-4-Benzyl-3-propanoyl-1,3-oxazolidin-2-one (59j)
The same procedure as 59i was performed using (4R)-4-(phenylmethyl)-1,3-oxazolidin-2-one
58R (10.0 g, 56.4 mmol), n-BuLi in hexane (1.54 mol/L, 40.3 mL, 62.1 mmol), propanoic
acid chloride 57i (4.9 mL, 56.4 mmol) and dry THF (100 mL). The residue after work-up was
purified by chromatograghy on silica gel to yield 59j (14.2 g, quantitative yield) as an oil.
TLC Rf = 0.58 (PhMe / acetone, 10 / 1).
(4R)-4-Benzyl-3-[(2S)-3-(4-fluorophenyl)-2-methylpropanoyl]-1,3-oxazolidin-2-one
(60j)
The same procedure as 60i was performed using 59j (14.1 g (maximum content 13.2 g, 56.4
mmol)), NaHMDS in THF (1.0 mol/L, 66.5 mL, 66.5 mmol), 4-fluorobenzyl bromide (12.6 g,
66.5 mmol) and dry THF (60 mL). The residue after work-up was triturated with t-BuOMe to
yield 60j (11.6 g, 56% yield in 2 steps) as a white powder. TLC Rf = 0.65 (PhMe / acetone, 10
/ 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.19 - 7.38 (m, 5 H) 7.03 - 7.10 (m, 1 H) 6.92 - 7.01 (m, 3
H) 4.56 - 4.74 (m, 1 H) 3.99 - 4.26 (m, 3 H) 3.00 - 3.19 (m, 2 H) 2.46 - 2.72 (m, 2 H) 1.18 (d,
J=6.59 Hz, 3 H); MS (APCI, Pos. 20 V) m/z 342 (M + H)+, 178.
(2S)-3-(4-Fluorophenyl)-2-methylpropan-1-ol (55j)
The same procedure as 55i was performed using 60j (11.6 g, 33.9 mmol), LiBH4 (1.63 g, 74.6
mmol) and dry THF (150 mL) to yield 55j (5.51 g, 97% yield) as an oil. TLC Rf = 0.14
(PhMe / acetone, 10 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.07 - 7.19 (m, 2 H) 6.87 - 7.03 (m,
2 H) 3.38 - 3.62 (m, 2 H) 2.74 (dd, J=13.54, 6.22 Hz, 1 H) 2.40 (dd, J=13.54, 8.05 Hz, 1 H)
1.81 - 1.98 (m, 1 H) 0.90 (d, J=6.77 Hz, 3 H); MS (EI, Pos.) m/z 168 (M+), 150, 135, 109
(base peak), 83.
124
6-{[(2S)-3-(4-Fluorophenyl)-2-methylpropyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthaleneca
rbaldehyde (47j)
The same procedure as 13 was performed using 51 (1.20 g, 6.38 mmol), 55j (1.13 g, 6.69
mmol), TMAD (1.69 g, 9.56 mmol), PPh3 (2.00 g, 7.65 mmol) and THF (30 mL) to yield 47j
(2.20 g, quantitative yield) as a yellow oil. TLC Rf = 0.86 (hexane / EtOAc, 1 / 1) ; 1H NMR
(300 MHz, CDCl3) δ 10.32 (s, 1 H) 7.47 (d, J=8.42 Hz, 1 H) 7.07 - 7.16 (m, 2 H) 6.90 - 7.02
(m, 2 H) 6.77 (dd, J=8.42, 2.56 Hz, 1 H) 6.73 (d, J=2.56 Hz, 1 H) 3.80 (d, J=5.85 Hz, 2 H)
2.84 (dd, J=13.63, 6.50 Hz, 1 H) 2.67 - 2.76 (m, 2 H) 2.50 (s, 3 H) 2.41 - 2.62 (m, 3 H) 2.09 2.33 (m, 1 H) 1.02 (d, J=6.77 Hz, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 339 (M + H)+.
Methyl 1-[(6-{[(2S)-3-(4-fluorophenyl)-2-methylpropyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro
-2-naphthalenyl)methyl]-3-azetidinecarboxylate (48’j)
The similar procedure to 48’i was performed using 47j (1.60 g, 4.71 mmol), methyl
3-azetidinecaboxylate hydrochloride 53 (786 mg, 5.18 mmol), NaBH(OAc)3 (1.49 g, 7.07
mmol), AcOH (1.5 mL) and DMF (15 mL) to yield 48’j (1.75 g, 85% yield) as a yellow oil.
TLC Rf = 0.36 (hexane / EtOAc, 1 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.18 (d, J=8.40 Hz, 1
H) 7.08 - 7.16 (m, 2 H) 6.91 - 7.01 (m, 2 H) 6.64 - 6.74 (m, 2 H) 3.76 (d, J=5.85 Hz, 2 H)
3.71 (s, 3 H) 3.43 - 3.61 (m, 2 H) 3.23 - 3.41 (m, 5 H) 2.84 (dd, J=13.45, 6.50 Hz, 1 H) 2.61 2.75 (m, 2 H) 2.52 (dd, J=13.45, 7.68 Hz, 1 H) 2.12 - 2.33 (m, 3 H) 2.09 (s, 3 H) 1.00 (d,
J=6.77 Hz, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 438 (M + H)+, 323.
1-[(6-{[(2S)-3-(4-Fluorophenyl)-2-methylpropyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthale
nyl)methyl]-3-azetidinecarboxylic acid (48j)
The similar procedure to 48i was performed using 48’j (1.75 g, 4.0 mmol), 5 mol/L NaOH-aq
(2.4 mL, 12 mmol) and MeOH (8 mL) to yield 48j (1.21 g, 73% yield) as a white powder.
TLC Rf = 0.24 (CHCl3 / MeOH / NH4OH, 50 / 10 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.30
(d, J = 8.42 Hz, 1 H) 7.09 - 7.23 (m, 2 H) 6.87 - 7.03 (m, 2 H) 6.74 (dd, J = 8.42, 2.56 Hz, 1
H) 6.69 (d, J = 2.56 Hz, 1 H) 4.12 - 4.27 (m, 4 H) 4.09 (s, 2 H) 3.78 (d, J = 6.04 Hz, 2 H) 3.35
- 3.47 (m, 1 H) 2.83 (dd, J = 13.45, 6.50 Hz, 1 H) 2.67 - 2.75 (m, 2 H) 2.54 (dd, J = 13.45,
7.78 Hz, 1 H) 2.20 (s, 3 H) 2.09 - 2.29 (m, 3 H) 0.99 (d, J = 6.77 Hz, 3 H) ; MS (ESI, Pos. 20
V) m/z 424 (M + H)+, 323; HRMS (FAB) calcd for C26H30FNO3: 424.2288. Found: 424.2270;
[α]D(25.6 °C) = +27.2° (c = 0.55, EtOH).
(4R)-4-Benzyl-3-butanoyl-1,3-oxazolidin-2-one (59k)
125
To a solution of (4R)-4-(phenylmethyl)-1,3-oxazolidin-2-one 58R (5.0 g, 28.2 mmol) and
butanoic acid 57k (3.09 mL, 33.9 mmol) in CH2Cl2 (30 mL) was added DMAP (689 mg, 5.64
mmol) and DCC (11.64 g, 56.4 mmol) at 0 °C. The reaction mixture was stirred for 3 h at
room temperature. After the insolublue material was removed by filtration, NaHCO3-aq was
added to the filtrate. The mixture was extracted with CH2Cl2 and organic layer was washed
with brine and dried over Na2SO4. The filtrate was concentrated under reduced pressure. The
residue was purified by chromatograghy on silica gel to yield 59k (7.04 g, 84% yield) as an
oil. TLC Rf = 0.64 (PhMe / acetone, 10 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.02 (t, J=7.5 Hz,
3 H), 1.65 - 1.83 (m, 2 H), 2.71 - 3.03 (m, 3 H), 3.30 (dd, J=13.5, 3.5 Hz, 1 H), 4.06 - 4.26 (m,
2 H), 4.63 - 4.73 (m, 1 H), 7.18 - 7.24 (m, 2 H), 7.24 - 7.38 (m, 3 H).
(4R)-4-Benzyl-3-[(2S)-2-(4-fluorobenzyl)butanoyl]-1,3-oxazolidin-2-one (60k)
The same procedure as 60i was performed using 59k (3.0 g 12.1 mmol), NaHMDS in THF
(1.0 mol/L, 14.6 mL, 14.6 mmol), 4-fluorobenzyl bromide (2.75 g, 14.6 mmol) and dry THF
(30 mL). The residue after work-up was triturated with (t-BuOMe / hexane) to yield 60k (1.81
g, 35% yield) as a white powder. TLC Rf = 0.77 (PhMe / acetone, 10 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CDCl3) δ 0.94 (t, J=7.5 Hz, 3 H), 1.52 - 1.58 (m, 1 H), 1.69 - 1.84 (m, 1 H), 2.45 (dd, J=13.5,
9.5 Hz, 1 H), 2.77 (dd, J=13.5, 6.5 Hz, 1 H), 2.99 - 3.06 (m, 2 H), 4.04 - 4.19 (m, 3 H), 4.60 4.71 (m, 1 H), 6.93 - 7.00 (m, 2 H), 7.04 (dd, J=7.5, 2.0 Hz, 2 H), 7.21 - 7.30 (m, 5 H).
(2S)-2-(4-Fluorobenzyl)-butan-1-ol (55k)
The same procedure as 55i was performed using 60k (1.59 g, 4.47 mmol), LiBH4 (214 mg,
9.84 mmol) and dry THF (15 mL) to yield 55k (437 mg, 54% yield) as an oil. TLC Rf = 0.85
(hexane / EtOAc, 1 / 1) ; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.93 (t, J=7.5 Hz, 3 H), 1.18 (t, J=5.5
Hz, 1 H), 1.31 - 1.45 (m, 2 H), 1.63 - 1.76 (m, 1 H), 2.54 - 2.70 (m, 2 H), 3.53 (t, J=5.5 Hz, 2
H), 6.92 - 7.01 (m, 2 H), 7.10 - 7.17 (m, 2 H).
6-{[(2S)-2-(4-Fluorobenzyl)butyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenecarbaldehyde
(47k)
The same procedure as 13 was performed using 51 (100 mg, 0.53 mmol), 55k (97 mg, 0.53
mmol), TMAD (137 mg, 0.80 mmol), PPh3 (167 mg, 0.64 mmol) and THF (1 mL) to yield
47k (184 mg, 98% yield) as a colorless oil. TLC Rf = 0.26 (hexane / EtOAc, 10 / 1); 1H NMR
(300 MHz, CDCl3) δ 10.31 (s, 1 H) 7.46 (d, J=8.78 Hz, 1 H) 7.07 - 7.15 (m, 2 H) 6.89 - 6.99
(m, 2 H) 6.76 (dd, J=8.78, 2.38 Hz, 1 H) 6.71 (d, J=2.38 Hz, 1 H) 3.82 (d, J=5.12 Hz, 2 H)
126
2.65 - 2.77 (m, 4 H) 2.50 (s, 3 H) 2.44 - 2.58 (m, 2 H) 1.92 - 2.05 (m, 1 H) 1.40 - 1.57 (m, 2
H) 0.98 (t, J=7.41 Hz, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 353 (M + H)+.
Methyl
1-[(6-{[(2S)-2-(4-fluorobenzyl)butyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenyl)methyl]
-3-azetidinecarboxylate (48’k)
The similar procedure to 48’i was performed using 47k (175 mg, 0.50 mmol), methyl
3-azetidinecaboxylate hydrochloride 53 (83 mg, 0.55 mmol), NaBH(OAc)3 (157 mg, 0.75
mmol), AcOH (0.5 mL) and DMF (5 mL) to yield 48’k (192 mg, 86% yield) as an oil. TLC Rf
= 0.34 (CHCl3 / MeOH, 9 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.97 (t, J=7.5 Hz, 3 H), 1.48 (m,
2 H), 1.89 - 2.00 (m, 1 H), 2.08 (s, 3 H), 2.13 (s, 2 H), 2.26 - 2.36 (m, 2 H), 2.64 - 2.77 (m, 4
H), 3.53 - 3.60 (m, 4 H), 3.74 (s, 3 H), 3.79 (d, J=5.0 Hz, 2 H), 3.90 – 4.03 (m, 1 H), 6.64 6.72 (m, 2 H), 6.90 - 6.98 (m, 2 H), 7.08 - 7.15 (m, 2 H), 7.20 (d, J=8.5 Hz, 1 H).
1-[(6-{[(2S)-2-(4-Fluorobenzyl)butyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenyl)methyl]3-azetidinecarboxylic acid (48k)
The similar procedure to 48i was performed using 48’k (185 mg, 0.41 mmol), 2 mol/L
NaOH-aq (0.41 mL, 0.82 mmol) and MeOH (2 mL) to yield 48k (96 mg, 53% yield) as a
white powder. TLC Rf = 0.13 (n-BuOH / AcOH / H2O, 20 / 4 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CD3OD) δ 7.29 (d, J=8.60 Hz, 1 H) 7.10 - 7.19 (m, 2 H) 6.90 - 7.01 (m, 2 H) 6.72 (dd, J=8.60,
2.56 Hz, 1 H) 6.67 (d, J=2.56 Hz, 1 H) 4.09 - 4.25 (m, 4 H) 4.06 (s, 2 H) 3.80 (d, J=5.12 Hz, 2
H) 3.34 - 3.48 (m, 1 H) 2.64 - 2.78 (m, 4 H) 2.20 (s, 3 H) 2.15 - 2.32 (m, 2 H) 1.83 - 2.03 (m,
1 H) 1.37 - 1.58 (m, 2 H) 0.98 (t, J=7.50 Hz, 3 H); MS (APCI, Neg. 20 V) m/z 436 (M - H)- ;
HRMS (FAB) calcd for C27H32FNO3: 438.2444, Found: 438.2423.
(4R)-4-Benzyl-3-(3-methylbutanoyl)-1,3-oxazolidin-2-one (59l)
The same procedure as 59i was performed using (4R)-4-(phenylmethyl)-1,3-oxazolidin-2-one
58R (5.0 g, 28.2 mmol), n-BuLi in hexane (1.54 mol/L, 19.2 mL, 29.6 mmol),
3-methylbutanoic acid chloride 57l (3.3 mL, 26.9 mmol) and dry THF (50 mL). The residue
after work-up was purified by chromatograghy on silica gel to yield 59l (6.33 g, 89% yield) as
an oil. TLC Rf = 0.61 (PhMe / acetone, 10 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.00 - 1.04 (m,
6 H), 2.16 - 2.29 (m, 1 H), 2.71 - 2.95 (m, 3 H), 3.32 (dd, J=13.5, 3.5 Hz, 1 H), 4.11 - 4.24 (m,
2 H), 4.63 - 4.74 (m, 1 H), 7.18 - 7.24 (m, 2 H), 7.24 - 7.38 (m, 3 H).
(4R)-4-Benzyl-3-[(2R)- 2-(4-Fluorobenzyl)-3-methylbutanoyl]-1,3-oxazolidin-2-one (60l)
127
The same procedure as 60i was performed using 59l (3.0 g 11.5 mmol), NaHMDS in THF
(1.0 mol/L, 13.8 mL, 13.8 mmol), 4-fluorobenzyl bromide (2.60 g, 13.8 mmol) and dry THF
(30 mL). The residue after work-up was recrystallized with (EtOAc / hexane) to yield 60l
(428 mg, 8% yield) as a white powder. TLC Rf = 0.81 (PhMe / acetone, 10 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 1.03 - 1.07 (m, 6 H), 1.94 - 2.10 (m, 1 H), 2.21 (dd, J=13.5, 9.5 Hz, 1 H),
2.84 (dd, J=13.5, 3.0 Hz, 1 H), 2.92 - 2.99 (m, 2 H), 3.96 - 4.10 (m, 2 H), 4.18 - 4.29 (m, 1 H),
4.55 - 4.65 (m, 1 H), 6.91 - 7.01 (m, 4 H), 7.19 - 7.29 (m, 5 H).
(2R)-2-(4-Fluorobenzyl)-3-methylbutan-1-ol (55l)
The same procedure as 55i was performed using 60l (411 mg, 1.1 mmol), LiBH4 (53 mg, 2.4
mmol) and THF (5 mL) to yield 55l (83 mg, 38% yield) as an oil. TLC Rf = 0.86 (hexane /
EtOAc, 1 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.94 - 1.00 (m, 6 H), 1.07 (t., J=5.0 Hz, 1 H),
1.52 - 1.69 (m, 1 H), 1.75 - 1.90 (m, 1 H), 2.47 - 2.57 (m, 1 H), 2.62 - 2.73 (m, 1 H), 3.55 (t,
J=5.0 Hz, 2 H), 6.92 - 7.01 (m, 2 H), 7.11 - 7.18 (m, 2 H).
6-{[(2R)-2-(4-fluorobenzyl)-3-methylbutyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenecar
baldehyde (47l)
The same procedure as 13 was performed using 51 (76 mg, 0.40 mmol), 55l (79 mg, 0.40
mmol), TMAD (104 mg, 0.61 mmol), PPh3 (127 mg, 0.48 mmol) and THF (2 mL) to yield
crude 47l (74 mg, crude 50% yield) as a brown oil. TLC Rf = 0.26 (hexane / EtOAc, 10 / 1);
1
H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.90 - 1.10 (m, 6 H), 1.76 - 2.00 (m, 3 H), 2.50 (s, 3 H), 2.60 -
2.84 (m, 5 H), 3.84 (d, J=5.0 Hz, 2 H), 6.62 - 6.77 (m, 2 H), 6.87 - 7.03 (m, 2 H), 7.08 - 7.20
(m, 2 H), 7.44 (d, J=8.5 Hz, 1 H), 10.31 (s, 1 H).
Methyl 1-[(6-{[(2R)-2-(4-fluorobenzyl)-3-methylbutyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro
-2-naphthalenyl)methyl]-3-azetidinecarboxylate (48’l)
The similar procedure to 48’i was performed using crude 47l (68 mg, 0.19 mmol), methyl
3-azetidinecaboxylate hydrochloride 53 (31 mg, 0.20 mmol), NaBH(OAc)3 (59 mg, 0.28
mmol), AcOH (0.2 mL) and DMF (2 mL) to yield 48’l (32 mg, 19% yield in 2 steps) as an oil.
TLC Rf = 0.34 (CHCl3 / MeOH, 9 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.98 – 1.02 (m, 6 H),
1.80 - 2.01 (m, 2 H), 2.06 - 2.10 (m, 5 H), 2.25 (t, J=7.5 Hz, 2 H), 2.61 - 2.78 (m, 4 H), 3.30 3.39 (m, 4 H), 3.59 - 3.67 (m, 1 H), 3.71 (s, 3 H), 3.80 (d, J=5.0 Hz, 2 H), 6.60 - 6.67 (m, 2 H),
6.91 - 6.98 (m, 2 H), 7.09 - 7.19 (m, 3 H).
128
1-[(6-{[(2R)-2-(4-fluorobenzyl)-3-methylbutyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenyl
)methyl]-3-azetidinecarboxylic acid (48l)
The similar procedure to 48i was performed using 48’l (28 mg, 0.060 mmol), 2 mol/L
NaOH-aq (0.060 mL, 0.12 mmol) and MeOH (0.3 mL) to yield 48l (13 mg, 47% yield) as a
white powder. TLC Rf = 0.13 (n-BuOH / AcOH / H2O, 20 / 4 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CD3OD) δ 7.28 (d, J=8.42 Hz, 1 H) 7.11 - 7.22 (m, 2 H) 6.88 - 7.03 (m, 2 H) 6.68 (dd, J=8.42,
2.56 Hz, 1 H) 6.62 (d, J=2.56 Hz, 1 H) 4.08 - 4.23 (m, 4 H) 4.06 (s, 2 H) 3.78 - 3.89 (m, 2 H)
3.30 - 3.48 (m, 1 H) 2.61 - 2.83 (m, 4 H) 2.19 (s, 3 H) 2.16 - 2.27 (m, 2 H) 1.80 - 1.97 (m, 2
H) 1.03 (d, J=6.30 Hz, 3 H) 1.01 (d, J=6.60 Hz, 3 H); MS (APCI, Neg. 20 V) m/z 450 (M H)- ; HRMS (FAB) calcd for C28H34FNO3: 452.2601, Found: 452.2585.
(4R)-4-Benzyl-3-[(2S)-3-(4-chlorophenyl)-2-methylpropanoyl]-1,3-oxazolidin-2-one
(60m)
The same procedure as 60i was performed using 59j (10.0 g, 42.9 mmol), NaHMDS in THF
(1.0 mol/L, 49.3 mL, 49.3 mmol), 4-chlorobenzyl bromide (10.6 g, 51.5 mmol) and dry THF
(100 mL). The residue after work-up was triturated with (Et2O / hexane) to yield 60m (12.8 g,
69% yield) as a white powder. TLC Rf = 0.57 (toluene / acetone, 20 / 1); 1H NMR (300 MHz,
CDCl3) δ 7.13 - 7.40 (m, 7 H), 6.97 - 7.16 (m, 2 H), 4.56 - 4.79 (m, 1 H), 4.00 - 4.25 (m, 3 H),
3.05 - 3.18 (m, 2 H), 2.52 - 2.69 (m, 2 H), 1.18 (d, J=6.8 Hz, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z
360, 358 (M + H)+, 178.
(2S)-3-(4-chlorophenyl)-2-methylpropan-1-ol (55m).
The same procedure as 55i was performed using 60m (10.1 g, 28.2 mmol), LiBH4 (1.35 g,
62.1 mmol) and dry THF (130 mL) to yield 55m (4.80 g, 92% yield) as a colorless oil. TLC
Rf = 0.37 (hexane / EtOAc, 3 / 1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.25 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.10
(d, J=8.8 Hz, 2 H), 3.43 - 3.57 (m, 2 H), 2.75 (dd, J=13.5, 6.1 Hz, 1 H), 2.39 (dd, J=13.5, 8.1
Hz, 1 H), 1.82 - 2.00 (m, 1 H), 1.30 (t, J=5.5 Hz, 1 H), 0.90 (d, J=6.8 Hz, 3 H); MS (EI, Pos.)
m/z 186, 184 (M + H)+,168, 166, 153, 151, 131, 125 (base peak).
6-{[(2S)-3-(4-Chlorophenyl)-2-methylpropyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthalenec
arbaldehyde (47m)
The same procedure as 13 was performed using 51 (2.03 g, 10.8 mmol), 55m (2.00 g, 10.8
mmol), TMAD (2.23 g, 12.9 mmol), PPh3 (3.38 g, 12.9 mmol) and THF (35 mL) to yield
47m (3.90 g, quantitative yield) as a yellow oil. TLC Rf = 0.33 (hexane / EtOAc, 3 / 1) ; 1H
NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.32 (s, 1 H), 7.47 (d, J=8.6 Hz, 1 H), 7.25 (d, J=8.4 Hz, 2 H),
129
7.10 (d, J=8.4 Hz, 2 H), 6.77 (dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1 H), 6.73 (d, J=2.7 Hz, 1 H), 3.80 (d, J=5.8
Hz, 2 H), 2.84 (dd, J=13.1, 6.7 Hz, 1 H), 2.66 - 2.77 (m, 2 H), 2.44 - 2.62 (m, 6 H), 2.14 2.32 (m, 1 H), 1.02 (d, J=6.8 Hz, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 357, 355 (M + H)+.
Methyl 1-[(6-{[(2S)-3-(4-Chlorophenyl)-2-methylpropyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro
-2-naphthalenyl)methyl]-3-azetidinecarboxylate (48’m)
The same procedure as 48’i was performed using 47m (3.90 g (maximum content 3.85 g, 10.8
mmol)), methyl 3-azetidinecaboxylate hydrochloride 53 (3.29 g, 21.7 mmol), NaBH(OAc)3
(3.43, 16.2 mmol), Et3N (3.0 mL, 21.7 mmol) and THF (40 mL) to yield 48’m (4.62 g, 94%
yield in 2 steps) as a pale yellow oil. TLC Rf = 0.33 (CHCl3 / MeOH, 20 / 1); 1H NMR (300
MHz, CDCl3) δ 7.23 (d, J=8.4 Hz, 2 H), 7.18 (d, J=8.4 Hz, 1 H), 7.10 (d, J=8.4 Hz, 2 H), 6.64
- 6.72 (m, 2 H), 3.75 (d, J=5.9 Hz, 2 H), 3.70 (s, 2 H), 3.50 - 3.59 (m, 2 H), 3.23 - 3.41 (m, 6
H), 2.85 (dd, J=13.5, 6.5 Hz, 1 H), 2.67 (t, J=7.1 Hz, 2 H), 2.52 (dd, J=13.5, 7.8 Hz, 1 H),
2.13 - 2.32 (m, 3 H), 2.09 (s, 3 H), 0.99 (d, J=6.8 Hz, 3 H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 456, 454
(M + H)+, 341, 339.
1-[(6-{[(2S)-3-(4-Chlorophenyl)-2-methylpropyl]oxy}-1-methyl-3,4-dihydro-2-naphthale
nyl)methyl]-3-azetidinecarboxylic acid (48m)
The similar procedure to 48i was performed using 48’m (4.60 g, 10.1 mmol), 5 mol/L
NaOH-aq (10 mL, 50 mmol), MeOH (20 mL) and THF (2 mL) to yield 48m (4.17 g, 94%
yield) as a white powder. TLC Rf = 0.24 (CHCl3 / MeOH / NH4OH = 20 / 5 / 1) ; 1H NMR
(300 MHz, CD3OD) δ 7.31 (d, J=8.6 Hz, 1 H), 7.24 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 7.15 (d, J=8.6 Hz, 2
H), 6.66 - 6.78 (m, 2 H), 4.12 - 4.28 (m, 4 H), 4.10 (s, 2 H), 3.78 (d, J=5.9 Hz, 2 H), 3.33 3.50 (m, 1 H), 2.84 (d, J=13.5, 6.5 Hz, 1 H), 2.65 - 2.77 (m, 2 H), 2.55 (dd, J=13.5, 7.8 Hz, 1
H), 2.12 - 2.31 (m, 6 H), 1.00 (d, J=6.8 Hz, 3 H) ; MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 879 (2M + H)+,
442, 440 (M + H)+, 341, 339; HRMS (FAB) calcd for C26H30ClNO3: 440.1992. Found:
440.1976; IR (KBr) 3460, 3380, 2928, 2861, 1611, 1493, 1395, 1309, 1279, 1256, 1197 cm-1;
m.p. 148.6-148.9 °C; [α]D(27.4 °C) = +43.2° (c = 0.50, EtOH).
Methyl 3-azetidinecarboxylate hydrochloride (53)
To MeOH (70 mL) was added SOCl2 (23.4 mL, 321 mmol) at 0 ºC with stirring. After 15 min,
3-azetidinecaboxylic acid 52 (25 g, 247 mmol) was added to the mixture in five portions at 0
ºC. After the reaction mixture was stirred for 2 h at room temperature, the reaction mixture
was concentrated under reduced pressure under 30 ºC. The residue was washed with Et2O
twice to yield 53 (35.8 g, 95% yield) as an orange powder. TLC Rf = 0.68 (CHCl3 / MeOH /
130
NH4OH, 80 / 20 / 4); 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 4.18 - 4.33 (m, 4 H), 3.72 - 3.81 (m, 4
H); MS (ESI, Pos. 20 V) m/z 231 (2M + H)+, 116 (M + H)+.
5-8-3. X 線結晶構造解析
X-ray crystallography structure analysis of 48b
化合物 48b(5.79 g, 14.1 mmol)に水(40 mL)を加え 85℃に加熱し、THF(9 mL)を
滴下した。さらに水(11 mL)を加え溶解させ、徐々に室温まで冷却し、析出した結
晶をろ過することにより化合物 48b の単結晶(5.55 g, 96%)を無色結晶として得た。
A colorless block crystal of compound 48b (0.29 x 0.40 x 0.15 mm) was mounted in a
cryoloop and frozen at 93 K in a liquid nitrogen stream. Data was collected on Rigaku
R-AXIS RAPID with graphite monochromated Cu-Kα radiation at 93 K. A total of 25672
reflections were collected, of which 7873 were unique. Equivalent reflections were merged.
The program package of Crystal Structure
5
was used for analysis. The position of all the
non-H atoms were determined by the program SHELXL97
6
and DIRDIF 7, and refined
anisotropically. Hydrogen atoms were placed at calculated positions and refined using a riding
model. Crystallographic data for 48b: triclinic P-1(#2), a=9.644(1) Å, b=10.982(2) Å,
c=23.892(4) Å, α=102.38(1)°, β=101.51(1)°, γ=90.10(2)°, V=2419.1(6) Å3, Z=4, λ = 1.54178
Å, R; Rw(I > 3.00σ(I))= 0.074, 0.074.
X-ray crystallography structure analysis of 48m
化合物 48m(3.4 g, 7.7 mmol)に THF と水の混合溶液((THF:水 = 10:1), 22 mL)
を加え 75℃に加熱した。熱時ろ過後、THF と水の混合溶液((THF:水 = 10:1), 3 mL)
で洗いこんだ。撹拌下、ろ液に水(40 mL)を加え、析出した結晶をろ過することに
より化合物 48m の単結晶(3.1 g, 91%)を無色結晶として得た。
A colorless platelet crystal of compound 48m was mounted in a cryoloop and frozen at 93 K
in a liquid nitrogen stream. Data was collected on Rigaku R-AXIS RAPID with graphite
monochromated Cu-Kα radiation at 93 K. A total of 47132 reflections were collected, of
which 47084 were unique. Equivalent reflections were merged. The program package of
Crystal Structure
5
was used for analysis. The position of all the non-H atoms were
determined by the program SHELXL97
6
and DIRDIF 7, and refined anisotropically.
Hydrogen atoms were placed at calculated positions and refined using a riding model.
Crystallographic data for 48m: monoclinic P21(#4), a=10.3394(8) Å, b=9.9189(8) Å,
c=24.099(2) Å, β=94.736(6)°, V = 2463.0(3) Å3, Z=4, λ = 1.54178Å, R; Rw(I > 3.00σ(I))=
0.061, 0.066.
131
5-8-4. 化合物評価
・in vitro S1P 作動活性評価(細胞内カルシウムイオン[Ca2+]i の濃度測定)
2-6-3を参照。
・in vivo 薬理作用評価(末しょう血中リンパ球数の測定)(マウス)
2-6-3を参照。
・化合物血しょう中濃度の測定(ラット)
3-6-3を参照。
132
5-9.参考文献
1. Curran, D. P.; Du, W. Org. Lett., 2002, 4, 3215.
2. Hasegawa, D.; Uchiro, H.; Kobayashi, S. Tetraheron. Letters. 2002, 7185.
3. (a) Evans, D. A.; Bartroli, J.; Shih, T. L. J. Am. Chem. Soc. 1981, 103, 2127. (b) Evans, D.
A.; Kim, A. S.; Matternich, R.; Novack, V. J. J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 5921.
4. (a) Deng, Q.; Clemas, J. A.; Chrebet, G.; Fischer, P.; Hale, J. J.; Li, Z.; Mills, S. G.;
Bergstrom, J.; Mandala, S.; Mosley, R.; Parent, S. A. Molecular Pharmacology. 2007, 71,
724. (b) Hanson, M. A.; Roth, C. B.; Jo, E.; Griffith, M. T.; Scott, F. L.; Reinhart, G.;
Desale, H.; Clemons, B.; Cahalan, S. M.; Schuerer, S. C.; Sanna, M. G.; Han, G. W.; Kuhn,
P.; Rosen, H.; Stevens, R. C. Science, 2012, 335, 851.
5. Crystal Structure, version 3.6.0, 2000-2004, Crystal Structure Analysis Package, Rigaku
and Rigaku /MSC.
6. Sheldrick, G. M.; SHELX97; University of Göttingen, Germany 1997.
7. Beurskens P.T.; Admiraal G.; Beurskens G.; Bosman W. P.; Garcia-Granda, S.; Gould, R.
O.; Smits, J. M. M.; Smykalla, C. Technical Report of the Crystallography Laboratory,
University of Nijmegen, The Netherlands 1996.
8. Pham, T-C. T.; Fells Sr. J. I.; Osborne, D. A.; North, E. J.; Naor, M. M.; Parrill, A. L.
Journal of Moecular Graphics and Modeling. 2008, 26, 1189.
133
第六章
結論
S1P1 受容体作動薬(FTY720)が多発性硬化症の経口治療薬として有用であるとい
う発見は、これまで治療満足度および薬物による治療貢献度ともに最も低い疾患の内
の一つであった多発性硬化症の患者にとって福音となった。本研究では、副作用リス
クのより低い S1P1 受容体作動薬の創製を目指して、低用量で有効性を示し、かつ、
S1P3 受容体作動活性と数万倍の乖離のある化合物の創製を目指した。本目的を達成す
るために、ヒット化合物 1 の構造を A、B、C の三つの部分構造に分割して、それぞ
れの部位の固定化を検討し、主として活性コンフォメーションに対する考察を加える
ことで、ヒット化合物 1 の課題であった in vitro 活性・選択性および in vivo 活性の改
善を検討した(図 6-1)。
各部分構造の固定化を検討した結果、中心部分の B パートをシンナミル骨格に固定
化することで活性・選択性が大きく改善することが明らかとなった。S1P とシンナミ
ル誘導体との重ね合わせからアミノ基近傍のπ電子が重要であると考察した。また、
シンナミル誘導体に対する置換基情報から、共役二重結合近傍の嵩高さの活性・選択
性に対する重要性が明らかとなった。共役二重結合とその近傍のメチル基は、他の研
究者らから報告されている S1P1 受容体選択的作動薬であるベンジルアミン誘導体の
ベンゼン環に相当する役割を担っていると考察した。
続いてシンナミル誘導体の更なる固定化を検討した。アミノ酸部分を折りたたまれ
たコンフォメーションに固定化したテトラヒドロピリジン誘導体 32a と、伸長したコ
ンフォメーションに固定化したエキソメチレンピペリジン誘導体 37 を設計・合成し、
その活性を評価した結果、エキソメチレンピペリジン誘導体に比べてテトラヒドロピ
リジン誘導体の活性が高かったことから、折りたたまれたコンフォメーションの方が
活性に対する寄与が大きいと考察した。一方で、テトラヒドロピリジン誘導体は固定
化前のシンナミル誘導体と比べて活性が減弱していたことから、アミノ酸部分の構造
は、折りたたまれたコンフォメーションと伸長したコンフォメーションの中間の位置
(ベンゼン環の面に対して垂直方向)に方向付けされることが好ましいと考察した。
また、活性の低下したエキソメチレンピペリジン誘導体は共役π電子の平面性が損な
われていることが示唆されたことから、共役π電子の平面性が S1P1 受容体作動活性
に寄与していることが示唆された。
二重結合部位に置換基を有するシンナミル誘導体は、その合成時にシス・トランス
異性体が生じることから、異性体の分離および選択性の制御が課題となる。そこでシ
ス・トランス異性体の生成しない固定化方法として、ジヒドロナフタレン骨格を代表
とする 2 環式誘導体を設計・合成し、その活性を評価した。その結果、2 環式誘導体
はシンナミル誘導体を上回る活性・選択性を有していることが明らかとなった。2 環
式骨格を採用することで共役π電子の平面性が強固となり、さらに、アミノ酸構造が
134
2 環式平面の垂直方向に方向付けされやすくなったために活性・選択性が向上したと
考察した。特にジヒドロナフタレン誘導体については、活性向上に重要な置換基を効
率良く導入できる合成ルートを構築できたことが研究の進捗に大きく貢献した。ジヒ
ドロナフタレン誘導体に、予備検討で有望な環状アミノ酸として見出されていた3-
アゼチジンカルボン酸を導入したところ、さらに活性・選択性が向上したリード候補
化合物 42d が得られた。固定化したアミノ酸部分の嵩高さによって、アミノ酸構造が
ジヒドロナフタレン環の垂直方向へ方向付けされる寄与がより大きくなったためと
考察した。
ジヒドロナフタレン誘導体 42d は活性面だけでなく、安全性などの問題点も認めら
れなかったことから、本化合物をリード化合物と定め、A パートの詳細な構造変換を
実施した。合成的な効率性を考慮し、収束的合成ルートを確立した上でフェニルプロ
ピルエーテル誘導体に絞って最適化を検討した。その結果、パラ位へのハロゲン原子
の導入によって in vitro/in vivo 活性が向上すること、プロピレン側鎖 2 位に S 配置の
メチル基を導入することで in vitro/in vivo 活性を維持または向上させつつ選択性が改
善することを明らかにすることができた。S1P1 受容体の結晶構造解析の報告から、本
メチル基は、選択性発現の一つの鍵となる S1P1 受容体の 276 番目のロイシン残基近
傍のポケットに収まることで活性・選択性の向上に寄与していると考察した。また、
これらの代表化合物である 48b および 48m の X 線結晶構造解析の結果から、結晶中
では実際にアミノ酸構造がジヒドロナフタレン環の面に対して垂直方向を向いてい
ることが検証できた。
パラ位にハロゲン原子、プロピレン側鎖の 2 位に S 配置のメチル基を有する化合物
48j および化合物 48m は目標としていた FTY720 と同等の in vivo 活性を有し、S1P1
作動活性と S1P3 作動活性が 25,000 倍あるいは 15,000 倍程度乖離していた。また、活
性・選択性以外の各種基礎評価においても大きな問題点が認められなかったことから、
医薬品候補化合物の一つとして十分なプロファイルを有していると考えられた。ただ
しこれら 2 化合物は、末端脂溶性部分の A パートがフェニルプロピルエーテルである
誘導体に関して最適化された化合物であり、A パートをさらに精査することで、活
性・選択性などの面をさらに改善できる可能性がある。
本研究を通して得られた構造活性相関などの種々の知見は、さらに優れた S1P1 受
容体作動薬の創成のみならず、今後の GPCR の結晶化技術および計算化学の発展と相
まって、他の S1P 受容体に対する作動薬および拮抗薬の設計など、本研究分野におけ
る創薬に幅広く利用できるものと考えられる。
135
O
H
N
1(ヒット化合物)
CO2H
分子長検討(S1Pと同様の結合部位)
動態検証(側鎖長短縮による動態改善)
A パート
B パート
O
S1Pの構造を基にした化合物設計
C パート
H
N
CO2H
11a
(π電子の重要性)
環状アミノ酸探索
置換基探索
(中心部分の嵩高さの重要性)
O
O
H
N
n
CO2H
× ○ ◎○
21a (n=1), 21e (n=2)
CO2H
N
25a
以下のコンセプトに基づく化合物設計
(共役π電子を平面に固定)
(中心部分を嵩高く)
(アミノ酸を中心ベンゼン環と垂直に方向付け)
(シス・トランス異性体生成回避)
活性コンフォメーション検討
(アミノ酸の向きの重要性)
(共役π電子の平面性の重要性)
O
CO2H
N
O
42d(リード化合物)
N
32a
CO2H
O
N
CO2H
X
37
Aパートの最適化
(収束的合成ルートの構築)
(代謝部位のブロック)
(不斉中心を含む構造活性相関の取得)
(X線結晶構造解析によるコンフォメーション解析)
O
S
N
CO2H
48j (X=F), 48m (X=Cl)
(フェニルプロピル誘導体 最適化化合物)
図 6-1. 本研究のまとめ
136
謝辞
本論文をまとめるに当たり、終始ご懇意なるご指導、ご鞭撻を賜りました奈良先端
科学技術大学院大学
物質創成科学研究科
反応制御科学研究室
垣内喜代三教授
に深く感謝し、心からお礼を申し上げます。
また、本論文を作成するに当たり有益なご助言を賜りました奈良先端科学技術大学
院大学
物質創成科学研究科
伴正和教授、谷原正夫教授、森本積准教授に心から感
謝申し上げます。
本研究は、小野薬品工業株式会社
水無瀬研究所において行われました。本研究お
よび本論文の作成の機会を与えて下さり、終始ご激励を賜りました戸田正明博士、福
島大吉博士、高岡義和博士、世古卓哉博士に心から感謝申し上げます。
本研究に関するご指導、ご鞭撻を始め、本論文の作成の機会を与えて下さるととも
に、論文投稿に当たり終始懇切なご指導とご助言を賜りました巾下広博士に深く感謝
申し上げます。
本研究の推進に当たり、有益な議論を通して数多くの化合物を合成し、合成法の開
発においても奮闘していただきました久須美健介氏、大槻和裕氏、鈴木亮氏、黒野昌
邦博士、徳田奈津子氏、寺門正彦博士に深く感謝申し上げます。
本研究の推進に当たり、薬理学的評価および薬物動態学的評価を行って頂いた中出
眞嗣博士、南真志博士、萩谷洋氏、小野岳児氏、小宮貴樹氏、水野弘貴氏、塩屋裕樹
氏、高田有華氏、正野知行氏に感謝申し上げます。
また、X 線結晶構造解析を行って頂いた故小田垣良彦博士と、NMR や MS、IR な
ど各種分析機器の測定・解析について有益なご助言を頂きました猪原武男氏に感謝申
し上げます。
本研究に関する論文投稿および本論文の作成に当たり、終始懇切なご助言を賜りま
した中井久郎博士、佐藤加寿豊氏、近藤隆史博士に感謝申し上げます。
紙面の都合上ここには記載しきれませんが、本研究の推進に当たり、有益なご助言
を賜りました、水無瀬研究所および福井合成研究所、つくば研究所の多くの諸先輩方、
同僚、後輩の研究員の皆様に厚く御礼申し上げます。
本論文を終えるに当たり、これまでお世話になった全ての家族・友人・関係者に感
謝するとともに、時に厳しくも暖かく見守ってくれた、妻
間が少なくなることを我慢してくれた息子
137
美代子と、共に過ごす時
健人に心から感謝します。
研究業績リスト
学位論文の主たる部分を公表した論文
1. Structure-Activity Relationship Studies of Sphingosine-1-phosphate Receptor Agonists
with N-Cinnamyl-β-Alanine Moiety
Haruto Kurata, Kazuhiro Otsuki, Kensuke Kusumi, Masakuni Kurono, Masahiko Terakado,
Takuya Seko, Hirotaka Mizuno, Takeji Ono, Hiroshi Hagiya, Masashi Minami, Shinji
Nakade and Hiromu Habashita
Bioorg. Med. Chem. Lett, 21 (5), 1390-1393 (2011).
2. Discovery of S1P agonists with a dihydronaphthalene scaffold
Haruto Kurata, Kensuke Kusumi, Kazuhiro Otsuki, Ryo Suzuki, Masakuni Kurono, Yuka
Takada, Hiroki Shioya, Takaki Komiya, Hirotaka Mizuno, Takeji Ono, Hiroshi Hagiya,
Masashi Minami, Shinji Nakade and Hiromu Habashita
Bioorg. Med. Chem. Lett, 21 (13), 3885-3889 (2011)
3. Structure-Activity Relationship Studies of S1P agonists with a dihydronaphthalene scaffold
Haruto Kurata, Kensuke Kusumi, Kazuhiro Otsuki, Ryo Suzuki, Masakuni Kurono,
Natsuko Tokuda, Yuka Takada, Hiroki Shioya, Hirotaka Mizuno, Takaki Komiya, Takeji
Ono, Hiroshi Hagiya, Masashi Minami, Shinji Nakade and Hiromu Habashita
Bioorg. Med. Chem. Lett, 22 (1), 144-148 (2012)
参考論文
1. First synthesis and properties of dendritic Bin-bismuthanes
Hitomi Suzuki, Haruto Kurata and Yoshihiro Matano
Chem. Commun., 2295-2296 (1997)
2. Synthesis and Properties of a Series of Phenylene-Bridged Bin-Bismuthanes
Yoshihiro Matano, Haruto Kurata, Toshihiro Murafuji, Nagao Azuma, and Hitomi Suzuki
Organometallics, 17 (18), 4049-4059 (1998)
3. Water-soluble non-ionic triarylbismuthanes. First synthesis and Properties
Yoshihiro Matano, Yoshiyuki Aratani, Takashi Miyamatsu, Haruto Kurata, Katsuaki Miyaji,
Shigetada Sasako and Hitomi Suzuki
J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 2511-2517 (1998)
4. Therapeutic Effects of Novel Sphingosine-1-Phosphate Receptor Agonist W-061 in Murine
DSS Colitis
Yasuaki Sanada, Tsunekazu Mizushima, Yasuyuki Kai, Junichi Nishimura, Hiroshi Hagiya,
Haruto Kurata, Hirotaka Mizuno, Etsuko Uejima and Toshinori Ito
PLoS One, 6 (9), e23933 (2011)
138
5. Prevention of GVHD and graft rejection by a new S1P receptor agonist, W-061, in rat
small bowel transplantation
Jinghai Song, Hiroshi Hagiya, Haruto Kurata, Hirotaka Mizuno and Toshinori Ito
Transplant Immunology, 26, 163-170 (2012)
学会発表
1. 日本化学会第 71 秋季年会(平成 8 年 10 月)
表題;複数のビスマス原子を含む芳香族ビスムタンの合成と物性(ポスター)
倉田
晴登、俣野
善博、鈴木
仁美
2. 日本化学会第 72 春季年会(平成 9 年 3 月)
表題;複数のビスマス原子を含む芳香族ビスムタンの合成と物性(口頭)
倉田
晴登、俣野
善博、鈴木
仁美
3. 第 8 回 AIMECS11(2011 年アジア医薬化学連合国際医薬品化学シンポジウム)
(平
成 23 年 11 月)
表題;Identification of Novel Sphingosine-1-Phosphate Receptor Agonists (Poster)
Haruto Kurata, Kensuke Kusumi, Kazuhiro Otsuki, Ryo Suzuki, Masakuni Kurono,
Natsuko Tokuda, Yuka Takada, Hiroki Shioya, Hirotaka Mizuno, Takaki Komiya, Takeji
Ono, Hiroshi Hagiya, Masashi Minami, Shinji Nakade and Hiromu Habashita
出願特許
1. S1P受容体結合能を有する化合物およびその医薬用途
中出 眞嗣、水野 弘貴、小野 岳児、南 真志、佐賀 寛、萩谷 洋、小宮 貴樹、巾
下 広、倉田 晴登、大槻 和裕、久須美 健介
WO/2005/020882(国際出願)
2. Compound capable of binding S1P receptor and pharmaceutical use thereof
中出 眞嗣、水野 弘貴、小野 岳児、南 真志、佐賀 寛、萩谷 洋、小宮 貴樹、巾
下 広、倉田 晴登、大槻 和裕、久須美 健介
US7825109(成立済み)
3. アゼチジン環化合物およびその用途
巾下 広、倉田 晴登、中出 眞嗣、小野 岳児
WO/2005/063704(国際出願)
4. Azetidine ring compounds and drugs comprising the same
巾下 広、倉田 晴登、中出 眞嗣、小野 岳児
US7511159(成立済み)
139
5. アミノカルボン酸誘導体およびその医薬用途
巾下 広、倉田 晴登、中出 眞嗣
WO/2006/064757(国際出願)
6. アミノカルボン酸誘導体およびその医薬用途
巾下 広、倉田 晴登
JP4318087(成立済み)
140
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