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17-14 がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究
17-14 がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究 主任研究者 国立病院機構四国がんセンター 住 吉 義 光 研究成果の要旨 補完代替医療(CAM)を利用している癌患者が最も切望している情報、癌に対する有効率・延命効 果・症状の緩和・副作用などであるが、これらで科学的に検証されたものは非常に少ない。CAM に対 する有用な情報を提供するため、1)癌患者に対する CAM ガイドブックを作成し、実際の利用状況を 調査する、2)癌医療に携わる医療関係者に対する CAM のガイドラインの作成を、さらに CAM の臨床 研究では 3)健康食品を利用した臨床試験の実施、4)健康食品以外の CAM の臨床試験の実施、を計画 した。1)は、2006 年 4 月より“がんの補完代替医療ガイドブック”を冊子やホームページ上で公表 した。利用結果調査ではおおむね満足されていたが、掲載内容量が少ないとの意見もあった。2)は 日本緩和療法学会との共同作業で作成し、本年 5-6 月頃出版物として公表予定である。3)は前立腺 癌待機療法を対象に、健康食品による直接的治療効果をエンドポイントに試験中である。登録進捗 状況は、予定症例数の 75%以上と順調である。4)は、終末期癌患者に対する簡易マッサージによるス トレス軽減効果の検証や乳癌患者のアロママッサージのストレス解消効果を施行中である。 研究者名および所属施設 研究者名 所属施設および職名 分担研究課題 住吉 義光 国立病院機構四国がんセンター がんの代替療法の臨床応用に関する研究 部長 今西 二郎 京都府立医科大学医学研究科 教授 アロマセラピーによる乳がん患者の不安感軽減効果に関 する研究 所 昭宏 大野 智 国立病院機構近畿中央胸部疾患セン がん患者における補完代替療法の受療行動に関する行動 ター 医師 科学的研究 金沢大学医学系研究科 特任助教授 各種がんの代替療法におけるエビデンスの収集と情報提 供 大坂 巌 静岡県立静岡がんセンター 副医長 終末期がん患者における代替医療の現状 吉村 耕治 京都大学医学研究科 助手 根治的前立腺全摘除後患者における代替医療使用の経時 道輪 良男 国立病院機構金沢医療センター 的推移および行動変容準備性の検討 十全大補湯による進行癌転移抑制に関する研究 医師 研究報告 1 研究目的 癌患者の約 40%が何らかの補完代替医療(CAM)を施行 ゆる健康食品が大多数を占め、利用目的は治癒とか延命 している。本邦の特徴として、利用している CAM はいわ とかの直接的抗腫瘍効果を期待してであった。一方、CAM -1- 17-14 がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究 に関する情報は容易に手に入れることは可能であるが、 の平均年齢は 63.9 歳であった。 CAM を利用している患者が最も必要としている情報であ ガイドブックの絵や文字の大きさについては、 「適切で る有効率、予防・延命効果・副作用に関するものは非常 ある」 「ほぼ適切である」と回答した人が 98%であり、 に少ない。さらに、科学的に検証された信頼できる情報 文字の大きさなどのレイアウトに関して問題はないと思 は皆無である。そのため現時点での、信頼できる公正な われた。 CAM の情報をがん患者のみならず医療従事者に提供する ガイドブックに書かれている内容の量については、 「少 ことは有意義な研究と考える。また、CAM の科学的検証 ない」と回答した人が 31%であった。また、これに合わ のため、本邦ではほとんど行われていないヒトによる臨 せて、アンケート調査票、質問7の自由回答欄に寄せら 床試験も重要である。 れた意見には、ガイドブックで取り上げた健康食品(ア ガリクス、プロポリス、AHCC、サメ軟骨、メシマコブ) 2 研究方法 以外の健康食品の情報や、その他の補完代替医療(免疫 癌患者と家族さらには医師を含む医療従事者に対する 療法、鍼灸、アロマセラピーなど)に付いての情報を求 CAM に対する有用な情報を提供するため、1)癌患者に対 めているものが多く、今後の改訂作業に反映すべきであ する CAM ガイドブックを作成し、実際の利用状況を調査 ると思われた。 する、2)癌医療に携わる医療関係者に対する CAM のガイ ガイドブックの中で印象に残った、関心を持った個所 ドラインの作成、を計画した。CAM の臨床試験を施行し、 を尋ねる質問に対しては、健康食品に関する科学的検証 科学的検証によるエビデンスを構築のために、3)健康食 の有無や CAM を利用する際の注意点などへの関心が高か 品を利用した臨床試験の実施、4)健康食品以外の CAM の った。癌患者は自分が利用している健康食品の有効性と 臨床研究の実施、を立案した。 安全性に関する正確な情報を求めていることが伺われた。 今後は、これらのアンケート結果等を反映しつつ、ガ 3 研究成果 イドブックの改訂作業に取り組む予定となっている。 1)癌患者に対する CAM ガイドブックを作成し、実際の利 2)癌医療に携わる医療関係者に対する CAM のガイドライ 用状況を調査 ンの作成 癌医療現場における CAM の位置付けや現時点での標準 現時点での、癌の CAM に関して明らかになっている信 的な考え方などの情報提供を行い、CAM に関する患者と 頼できる情報を文献的に探索・検討し、ガイドラインを 医療者のコミュニケーションの促進を図る為、2006 年 4 作成した。このガイドラインは、日本緩和療法学会との 月に患者向けの「がんの補完代替医療ガイドブック」を 共同作業である。内容の一部を下記に紹介する。 健康食品・ハーブ:推奨できるエビデンスがない 作成し公表した。このガイドブックは、癌患者が CAM と どのように向き合い、どのように利用したら良いのか考 推奨度C 鍼灸:化学療法の有害事象を減ずる可能性がある えることを目的としている。CAM 利用を考えている癌患 者が、その利用にあたって確認・注意すべき点を中心に 推奨度B チェックリスト形式を取り入れ簡略にまとめた。 さらに、 なお、詳細は本年5月頃に出版物として公表される。 詳細な情報が必要とするならば資料編を読んでもらうよ 3)前立腺癌待機療法患者に対する健康食品による臨床試 うに構成されている。 験 ガイドブックに対する意見をアンケートにより調査し 目的:前立腺癌患者における補完代替医療の利用率は た。四国がんセンターおよび金沢大学補完代替医療学講 20-30%と報告されている。また、補完代替医療の種類と 座に寄せられたガイドブックに対する意見・質問などを しては、いわゆる健康食品がほとんどであり、それもキ とりまとめた。 ノコ類が最も多かった。しかしながら、いわゆる健康食 アンケート調査は、 2006 年 7 月〜11 月に郵送もしくは 品の癌に対する有効性・延命効果・症状の緩和・副作用 直接配付にて行った。アンケートの回収方法は、郵送も などで科学的に検証されたものは非常に少ない。 さらに、 しくは FAX で行った。有効回答が得られた 179 名に関し 西洋医学的手法を用いた臨床研究はほとんど見あたらな て解析を行った。回答者は、患者 90 名、家族 35 名、医 い。これらのことより、前立腺癌に対する健康食品の有 師 15 名、看護師 5 名、薬剤師 7 名、その他 27 名であっ 用性を科学的に検証することは重要と考え、西洋医学的 た。また、男性は 92 名、女性は 87 名であった。回答者 手法を用いた多施設共同の前向き臨床研究開始した。 -2- 17-14 がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究 対象:前立腺癌待機療法症例とした。 いわゆる、feasibility study として設定した。なお、 さらに、待機療法開始症例と開始後 6 ヶ月以上経過し 中間解析は行わないこととした。試験期間は、2006 年 3 た症例を対象とした 2 つの臨床研究を計画した。なお、 月~2009 年 2 月(3 年間)とした。 待機療法施行中症例では、エントリー直近の PSA-DT 研究参加施設:北海道大学医学部泌尿器科、東北大学 (doubling time)が negative slope でないこととした。 医学部泌尿器科、東京慈恵会医科大学泌尿器科、北里大 方法:使用する健康食品は、キノコ類のものとした。 学医学部泌尿器科、京都大学医学部泌尿器科、香川大学 理由は、 本邦で最も高頻度に使用されているからである。 医学部泌尿器科、四国がんセンター泌尿器科 摂食期間は 6 ヶ月としたが、 希望者に対しては 12 ヶ月ま 試験の進捗状況 では継続することとした。期間設定に明らかな根拠はな 平成 17 年 7 月までに全 7 施設において、 院内倫理委員 いが、米国での同様な健康食品を用いた試験で、摂食期 会の承認を受けた。 間を 6 ヶ月としていたためである。さらに実際に補完代 平成 18 年 3 月までの月別登録症例数を図に示す。 総数は、 替医療を利用する場合、現実的な経済的問題(費用)を 待機療法開始症例は 34 例/40 例(85%)であり、待機療法 加味して期間を設定した。 施行中症例は 30 例/40 例(75%)である。登録状況は順調 評価は、primary endpoint として PSA 値が 50%以上減 に推移していると思われる。 少した症例の割合とした。すなわち、摂食直前(登録時) 重篤な有害事象は 1 例に認められた。試験期間中に、 の PSA 値と比較して、摂食後 50%以上低下した症例の割 腹部大動脈瘤の破裂により死亡した症例であった。効果 合を算出することとした。 Secondary endpoints は PSA-DT、 安全性評価委員の先生による検討の結果、試験に使用し PSAV (velocity)、免疫パラメーター検査(Th1/Th2, NK ている健康食品との関連性はなく、偶発的な事象との判 活性)、 摂食のコンプライアンス、 QOL 調査(STAI, POMS)、 断で、試験はそのまま続行してもかまわないとの許可が 有害事象(発現率およびその Grade)とした。PSA-DT の検 得られた。 討項目は、PSA-DT が 2 年未満、2-10 年、10 年以上の症 前立腺癌待機療法患者に対する健康食品による臨床試験 例の比率とする。PSA-DT が 2 年未満とは、待機療法を中 月別登録状況 止し、根治的治療への変更を考慮するひとつの指標であ 月別登録症例数 る。さらに、待機療法 6 ヶ月以上施行症例では、摂食前 8 の期間の PSA-DT と摂食後の値を比較検討する。PSAV の 7 検討項目は、PSAV が 0.75 ng/ml/y 未満である症例の比 6 5 率などとする。PSAV が 0.75 ng/ml/y 未満は、PSA-DT の 待機療法 施行中症例 待機療法 4 2 年未満と同様に、根治的治療への変更を考慮するひと 3 つの指標である。待機療法施行中症例では、摂食前の期 2 間の PSAV と摂食後の値も比較検討する。 免疫パラメータ 1 ー検査(Th1/Th2, NK 活性)は、摂食前の値と摂食後 6 ヶ 0 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 月および終了後の値を比較検討する。摂食のコンプライ アンスは研究開始後、2 ヶ月毎の来院時に摂食状況を調 4)健康食品以外の CAM の臨床研究 査する。調査法は、来院時に残っている、摂食していな *終末期癌患者に対する簡易マッサージによるストレス い包数の自己申告とする。QOL 調査は不安状態の尺度ツ 軽減効果の検証 ールである STAI(State-Trait Anxiety Inventory)およ 背景と目的:終末期癌患者に対する CAM の有効性を評価 び POMS (Profile of Mood States)を用いる。摂食前の した研究は少ない。患者の家族は病棟側から CAM が提供 値と摂食後および終了後 2 ヶ月目の 3 ポイントを比較検 されることに対して満足しているとの報告もあり、緩和 討する。有害事象は、CTCAE ver.3 日本語訳 JCOG/JSCO ケアの質の向上には終末期癌患者に対する CAM の有効性 版を用いる。有害事象の grading は、それぞれ Grade 0-5 や臨床での適応を探ることは意義のあることである。 の定義内容にもっとも近い grading を用いる。 CAM としてのマッサージに関する報告は散見され、不安、 目標症例数と試験期間:症例数は各 40 例とした。症例 疼痛、悪心、リンパ浮腫などの症状緩和を目的とした臨 数設定の根拠は、 健康食品による臨床研究の報告はなく、 床試験により、その有効性が示唆されている。さらに、 有効率などより統計学的に推定することは不可能である。 手に対する 5 分間の簡易マッサージのみでも不安の軽減 -3- 17-14 がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究 効果があることが明らかにされている。 p<0.05 ストレスの生物学的指標として唾液中 Chromogranin A (CgA)の有用性が近年、注目されている。CgA は副腎髄 質のクロマフィン顆粒内から分離された酸性の糖タンパ クであり、カテコラミン類と共存・共放出される。顎下 腺導管部にも存在し、自律神経刺激により唾液中に放出 されることが明らかにされており、交感神経―副腎系の 活動を示す指標と考えられている。CgA は数値逆唱負荷 マッサージ前 マッサージ後 図1マッサージ前後での STAI-s の変化 や研究発表などのストレス負荷に対して数分以内で変化 し、身体的ストレスの影響は受けにくい。唾液は採取が CgA(pmol/mL) p<0.05 簡便であり、血液採取に比べて侵襲性が少ないという利 点がある。 終末期癌患者に対する簡易マッサージが、PS の悪い終 末期がん患者のストレス軽減に寄与するかどうかを明ら かにする。主要エンドポイントは State-Trait Anxiety Inventory (STAI)(状態・特性不安検査)により測定さ れるストレスの変化であり、副次的エンドポイントは唾 マッサージ前 マッサージ後 図2マッサージ前後での CgA の変化 液中 CgA の変化および全般的な満足度である。 対象と方法:20 歳以上の終末期癌患者で、PS(ECOG)が 結論:PS が不良である終末期癌患者に対して、簡易マ 3 以上で、認知機能障害がなく、患者本人より同意が得 ッサージはストレス軽減に有効である可能性が示唆され ら れ た 症 例 を 対 象 と し た 。 マ ッ サ ー ジ は Licensed た。唾液中 CgA 測定は簡便かつ非侵襲的な評価方法であ Massage Therapist(米国認定マッサージ師)の資格を有 り、今後も CAM の有効性の指標となりうるが、緩和ケア する緩和医療科のカウンセラーが病室にて行い、内容は 病棟に入院を要するような癌患者では、口腔内の乾燥な ①手掌から前腕までの指圧、②手指のストレッチ、③手 どがあるため測定が難しい側面も認められた。今後は症 背の指圧、④手全体のストレッチを中心とする。所要時 例蓄積を継続し、マッサージの有効性をより明確にして 間は 5 分間とした。唾液は唾液採取用の綿(アシスト社 いく予定である。 製唾液分取用脱脂綿付遠心管) 付属の綿を 45 秒間噛んだ *アロマセラピーによる乳癌患者の不安感軽減効果に関 後に採取する。STAI-s、満足度調査への回答は自記式を する研究 原則とした。心拍数測定、唾液採取、STAI-s をマッサー 目的:癌患者は、たとえ原発巣が完全に除去できて、 ジ前後において測定した。マッサージ後には満足度を いわゆる完全緩解を得てからでも、再発に対する不安感 0-10 の 11 段階にて測定し、再度同様なマッサージを希 が常に付きまとい、乳癌患者においても大きなストレス 望するかどうかを質問した。 になっている。アロマセラピーの効果の1つとして、ス 結果:対象となった患者は 16 例(男性 7 例、女性 9 トレス軽減効果があげられる。また、不安感やうつ状態 例)であり、年齢は 61.5 歳(中央値)であった。また、16 の改善にも効果がある。そこで、被験者にアロマセラピ 例のうち唾液採取が可能であったのは 6 例であった。マ ーを行うことにより、乳癌患者の再発に対する不安感の ッサージ前と比較して、STAI-s の低下が認められた(図 軽減効果、うつ状態の改善を検討した。 1) 。心拍数はマッサージ前(83.7±18.9 回/分) 、マッ サージ後(81.7±20.3 回/分)であり、両者間には有意 方法:アロママッサージは、上肢及び下肢後面に対し て 30 分間施行。 差は認められなかった。CgA はマッサージ前に比べて、 • エッセンシャルオイル(サノフロール社製) マッサージ後に有意に低下を示した(図2) 。満足度は平 オレンジ・スイート 3 滴(Lot.No.LF3190567) 均 7.13(±2.55)であった。同様なマッサージを希望す 真正ラベンダー2 滴(Lot No. LF3190559) るかどうかに関しては 16 例中 11 例(75%)が希望し、2 サンダルウッド 1 滴(Lot No.LF3160489) 例(12.5%)はどちらでもなく残りの 2 例(12.5%)は希 望しなかった。 • キャリアオイル ホホバオイル(メドウズ社製) -4- 17-14 がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究 心理テストおよび QOL は STAI、 POMS、HADS、QR を用い、 mice. Cancer Letters, 240:83-93,2006. 3.Osaka,I.,Palliative care philosophies of Japanese アロママッサージ前後において調査した。 certified palliative care units:A nationwide 結果:選択基準に合致するものは、12 名であり、43 歳 survey. J Pain Symptom Manage, 33:9-12,2007. から 58 歳(平均 51.8 歳) 、術前ステージは、Ⅰ期 3 名、 Ⅱ期7名、不明 3 名であった。HADS では、アロマセラピ 4 .Morita,S.,Ohno,S.,A phase I/II traial of a WT1 ーマッサージを行うことによって、全期間を通して、抑 (Wilms’tumor gene)peptide vaccine in patients うつ尺度の有意な変化はみられなかったが、不安尺度は with solid malignancy: safety assessment based on 有意に低下した(p<0.01、ANOVA)。STAI は、状態不安に the phase I data. Jpn J Clin Onc36(4):231-236,2006. ついて各セッションの直前、直後で有意な不安度軽減が 5. Ichioka,K., Yoshimura, K., Aging Males’scale in みられた(p<0.01、QR は、アロマセラピーマッサージの Japanese men attending a multiphasic health 前後においてスコアが減少した。POMS については、疲労 screening clinic. Urology,67, 2006. については、有意な変化はみられなかったが、怒りー敵 意の項目において、全体を通して有意差が認められた 日本語論文 (p<0.05、ANOVA) 。 1. 住吉義光、日本補完代替療法、がんの補完代替医療 ガイドブック、3(1): 23-26、2006. 結論:アロマセラピーマッサージにより、乳癌患者の不 安感に対して、改善効果がみられた。また、免疫能につ 2. 住吉義光、がんの補完代替医療って?エキスパート ナース、22:16-19、2006. いては、大きな変化は認められなかった。今後、さらに 無作為化対照比較クロスオーバー試験などレベルの高い 3. 住吉義光、がんの補完代替医療-患者への情報提供 はいかに行うか-消化器・癌・内視鏡ケア、 臨床試験を行う必要があると考えられた。 11(6):107-113、2006. 4. 住吉義光、がんの補完代替医療の現状と正しい利用 4 倫理面への配慮 法、看護、59(1):90-95、2007. 臨床試験は、すべて各施設の倫理委員会により承認を 得てから開始する。特に被験者による研究ではヘルシン 5. 今西二郎、補完・代替医療とスピリチュアリティ、 医学のあゆみ、216:169-172、2006. キ宣言を遵守し、被験者本人に十分に説明後同意を得て から始め、個人情報などの機密保持に配慮する。前立腺 6. 今西二郎、アロマセラピー、日本薬剤師会雑誌、 58:185-189、2006. 癌に対する臨床研究では、使用する健康食品は研究費よ り購入し、被験者に無料で提供する。さらに、健康食品 7. 今西二郎、緩和医療における統合医療、臨床外科、 61:169-172、2006. を製造している企業とは、 “研究結果はいかなる内容であ っても公表する” “この研究を企業側および研究者双方と 8. 中屋隆明、今西二郎、Suppresson of murine melanoma も宣伝目的に使用しない”などの覚え書きを締結する。 growth by fermented grain extracts、日本補完代 ガイドブックは、特定の利害に偏ることのないように中 替医療学会誌、3:9-13、2006. 立的立場を堅持する。 9. 今 西 二 郎 、 代 替 ・ 相 補 医 療 、 臨 床 と 研 究 、 研究成果の刊行発表 10. 今西二郎、サプリメントと代替医療 日本の補完・ 83(3):405-410、2006. 代替医療の現状は?肥満と糖尿病、6:29-30、2007. 外国語論文 1. Akakura, K., Sumiyoshi, Y.,et .,A randomized trial 11. 大坂 巌、補完代替療法の考え方、よくわかるがん comparing redical prostatectomy plus endocrine 患者の症状コントロール、エキスパートナース、 therapy versus external beam radiotherapy plus 22(15):82-87、2006. endocrine therapy for locally advanced prostate 12. 鈴木信孝、大野智、補完代替医療の現況と展望、日 cancer:Results at median follow-up of 102 months. 本病院薬剤師会雑誌、42(11):1421-1425、2006. 13. 大野智、がんの補完代替医療ガイドブック、日本補 Jpn J Clinl Oncol,36(12): 789-793,2006. 2.Asada,H.,Imanishi,J.,Combination vaccine of 完代替医療学会誌、3(3):83-88,2006. dendritic cells(DCs) and T cells effectively 14. 鈴木信孝、大野智、補完代替医療とリハビリテーシ suppressed preestablished malignant melanoma in ョン、リハビリテーション医学、43(1):40-46、2006. -5- 17-14 がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究 -6-