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NASA(アメリカ航空宇宙局)の 地球観測プログラム
NASA(アメリカ航空宇宙局) の 地球観測プログラム NASAとJAXA(宇宙航空研究開発機構)共同の 全球降水観測計画衛星(GPM)を中心にした NASAの地球観測プログラムの全体概要の紹介 エリック・ストッカー 博士 Erich Franz Stocker - Page 1 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 講演内容 • NASA内部の地球科学の研究 • NASAにおける現在の地球科学の目的の紹介 • 現在活動中の主要な地球科学ミッション(衛星) • 計画中あるいは開発中の主要な地球科学ミッション(衛星) • 現在活動中のミッション(衛星)によって収集された各種デー タの例 • 熱帯降雨観測衛星(TRMM)データ • 全球降水観測計画衛星(GPM)の概要 • まとめ Erich Franz Stocker - Page 2 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 NASAの組織 • NASA は、4つの主要な領域から組織されており、それらは 連邦政府の機関としての責任を担っている。 – 航空学の研究領域 • より安心・安全で効率的な環境に優しい航空輸送システムの 実現 – 探査システム領域 • 探査システムと技術の開発ならびに検証 – 科学領域 • 地球-太陽システム、太陽系ならびに宇宙の探査 – 宇宙作戦領域 • 新しい探検と発見を目指した有人宇宙飛行の活動範囲と持続 期間の拡大 • 地球科学の研究は、科学領域に属している。 Erich Franz Stocker - Page 3 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 科学領域の組織 • 科学領域は、4つの広い科学研究部門から組織されている。 – 地球科学部門 • 地球についての科学的な理解を深め、社会の要求に応えるための宇宙 からの地球の研究 – 太陽物理学部門 • 太陽とそれが地球ならびに太陽系に及ぼす影響の研究 – 惑星科学部門 • 太陽系の起源と歴史についての科学知識の増大、他の惑星での生命の 可能性、ならびに有人宇宙開発に伴う危険と資源の研究 – 天体物理学部門 • 宇宙の起源、構造、進化、運命の発見、地球の似た惑星の探査 • 地球科学の研究は、地球科学部門に属している。 – ゴダード宇宙飛行センターは、NASAの地球科学研究と地球ミッション(衛星) の中心的な研究センターである。 Erich Franz Stocker - Page 4 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 地球科学部門の重要な研究分野 • 大気組成 – 気候の予測、太陽の影響、地表面放射との関連における地球大気組成。 • 気象システム – 大気の運動、大気と海洋および陸上の相互作用。 気象プロセスと現象の理解は、地 球システムの理解のために決定的に重要。 • 炭素循環と生態系 – 貯留層と生態系の間の炭素循環。炭素循環の自然現象による変動、人間活動による 変動、ならびに気候変動による影響。 • 水とエネルギー循環 – 水とエネルギー循環の研究による、ハリケーン予測、熱帯降雨の定量化、全球ならび に地域スケールの水資源の管理。 • 気候変動と変化 – 海洋と氷についての全地球的規模の観測データセットの提供と、それらのと全地球シ ステムの相互作用。 • 地表面と内部構造 – 地震、地すべり、海岸浸食、内部浸食、洪水、火山噴火を含む自然災害の調査、 緩和、ならびに予測。 Erich Franz Stocker - Page 5 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 運用中のNASAの主要地球科学ミッション(衛星) 名称 打ち上げ日 目的 Aqua(アクア) 5/4/2002 地球の水循環についての全球データの収集 Aura(オーラ) 7/15/2004 大気微量気体のデータの収集 CALIPSO(カリプソ) 7/15/2004 雲とエアロゾルについての情報提供 GOES I-M(ゴーズ) 4/13/1994 米国の静止気象衛星:実用的な気象観測と天気予 報 GRACE(グレース) 3/17/2002 地球重力場の分布図の変動 Landsat 7(ランドサット) 4/15/1999 地上の陸域や海岸域の雲のない衛星画像作成 NOAA-N(ノア) 5/20/2005 環境モニタリング情報の提供 SeaWiFS(シーウィフス) 8/1/1997 世界の海色のモニタリング Tera(テラ) 12/18/1999 大気、海洋、陸域ならびにそれらの相互作用なら びにそれらと太陽放射との相互作用についての各 種全球データの提供 11/27/1997 熱帯・亜熱帯の降雨強度分布図作成 TRMM(トリム) Erich Franz Stocker - Page 6 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 研究中ならびに開発中のNASAの主要地球科学 ミッション(衛星) 名称 Aquarius (開発中) 打ち上げ日 5/22/2010 海面塩分濃度の全球マップ CLARREO (研究) TBD 大気絶対放射量と屈折率 DESDynl (研究) TBD 氷の変形、生態系構造、ならびに運動 Glory (開発) 1/23/2010 雲、エアロゾル、黒色炭素の光学的・微物理学的・化学的 特性に関するデータの収集及び長期的気候記録のため の太陽全照射量データの継続的収集 GEOS N-P (開発中) 2009 米国の静止気象衛星:実用的な気象観測と天気予報 GPM (開発中) 7/2013 全球の降水観測ミッション(主衛星と副衛星) ICESatII (研究) 2015 氷、雲、陸域の標高観測 LDCM (研究) 12/1/2012 ランドサットデータ継続ミッション NPOESS (開発) 3/31/2014 NOAAの極軌道気象衛星シリーズとDoDの極軌道気象 衛星プログラムとを統合した新世代実用極軌道気象衛星 Sシリーズ。大気、陸域ならびに海洋の全球環境条件観測 ミッション NPP (開発) 1/15/2011 NPOESS衛星シリーズの準備プロジェクト SMAP 1/1/2013 土壌水分の能動型・受動型センサによる観測ミッション Erich Franz Stocker - Page 7 目的 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 Landsat-7 Landsat 7 は、よく較正された中程度の分解能の、雲の被覆の少ない、太陽光照射に よるマルチスペクトルの地球の陸域、沿岸域のディジタル画像を提供する。季節ごとに 全地球の画像が得られる。米国を16日ごとにカバーする。運用は、2000年の秋以来、 NASAから米国地質調査所(USGS)に移った。 Erich Franz Stocker - Page 8 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 Landsat 映像:ネバダ州ラスベガスの発展 Landsat- 5 Erich Franz Stocker - Page 9 Landsat-7 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 アラスカ州 Mt Redoubtの噴火 火山泥流 米アラスカ州ア ンカレジの南西 約160キロにあ るリダウト山が 2009年3月22 日から23日に かけ、3回噴火 した。 火山噴出物 噴煙は高度約 15000メートル に達した。専門 家によると、同 山の噴火は約 20年ぶり。 Erich Franz Stocker - Page 10 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ベリーズの海岸の映像-バリア・リーフ(堡礁) Erich Franz Stocker - Page 11 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 エトナ山(イタリア シチリア島の活火山) Erich Franz Stocker - Page 12 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 SeaStar 衛星– SeaWiFS(センサ) SeaStar衛星は、Orbital Sciences Corporation 社で開発されたが、 SeaWiFS というセンサの みを搭載しており、1997年8月1日に、低衛星軌道にペガサスロケットで打ち上げられた。 GeoEye社 が、コマンドと衛星の制御の責任を有している。SeaWiFS の開発は、 Hughes/SBRC社のサブコントラクトで行われたが、GeoEye社が機器の最終責任を持っている。 Erich Franz Stocker - Page 13 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 SeaWiFS衛星の一日の軌道パス(カバレージ) Erich Franz Stocker - Page 14 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ベーリング海における植物性プランクトン coccolithopheres Erich Franz Stocker - Page 15 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 北大西洋でのプランクトンの春季大増殖(Spring Bloom) Erich Franz Stocker - Page 16 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer 中解像度映像スペクトロ放射計 MODIS (on Aqua and Terra、アクアおよびテラ衛星搭載) MODIS は、アクア 衛星とテラ衛星に搭載されている。アニメーションは、MODIS と他のアクア衛星搭載機器のカバ レージを示す。 アクアとテラのMODIS は、全地球の表面を1-2日ごとに観測する。MOSISは、36周波のスペクトル バンドを有している。 Erich Franz Stocker - Page 17 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 北部ワシントン州の山火事-500mの解像度 Erich Franz Stocker - Page 18 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 紅海をわたる砂塵嵐- 1kmの解像度 Erich Franz Stocker - Page 19 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 カンボディアのモンスーン期の雨 (解像度1km)-2006年7月 Erich Franz Stocker - Page 20 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 スペインとアルジェリア Erich Franz Stocker - Page 21 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 オランダ– 1kmの解像度 Erich Franz Stocker - Page 22 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーン Carlotta-メキシコ 2006 Erich Franz Stocker - Page 23 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 台風Ewiniar (1km) –ミクロネシア2006年7月 Erich Franz Stocker - Page 24 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 CloudSat 能動型リモートセンシ ング(94GHzレーダ) を用いて雲の垂直構 造を測定することに より、 従来の地球観測ミッ ションにおける重大 なギャップを埋める。 Cloudsat の情報は、 CALIPSO のライダ ーとの編隊飛行によ りさらに強化される。 CloudSatの主要ミッションは、2006年4月28日の打ち上げ後、22ヶ月続く予定であったが、レーダの 寿命から判断すると、99%の確率で、3年間の運用が期待されている。 CloudSat とCalipsoは、一 緒に打ち上げられた。 Erich Franz Stocker - Page 25 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーンDean 3次元映像 - 2007 Erich Franz Stocker - Page 26 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 CloudSat のプロフィール、竜巻の突発 2008年2月 ケンタッキー、テネシー、ミズーリ州 Erich Franz Stocker - Page 27 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 Tropical Rainfall Measuring Mission TRMM(熱帯降雨観測衛星) 熱帯地方の降雨の正確な時間・空間変動の 観測は、気象学上の未解決な重要な問題で ある。TRMM衛星は、そのミッション期間にお いて緯度35°Nと 35°Sの範囲のこれまで 観測データが少なかった熱帯の海上と陸域に おける膨大で詳細な4次元の降雨分布と潜熱 放出についての降雨観測データを提供しつつ ある。同時に観測された大気の放射収支の 観測データと組み合わせることによって、はじ めて全地球的規模での非断熱加熱の推定が 実現しつつある。 TRMM衛星 は、降雨の特性とその変化につ いて、これまで知られていなかった多くの知見 をもたらした。 Erich Franz Stocker - Page 28 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 TRMM衛星概観図 Erich Franz Stocker - Page 29 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 TRMM 衛星の組み立て (NASAゴダード宇宙飛行センター) Erich Franz Stocker - Page 30 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ベンガル湾上でのTRMM 降雨観測センサによる観測 Erich Franz Stocker - Page 31 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 3時間 毎の実時間観測全球降雨データのムービー (2009年4月23日06 UTC-4月29日0 UTC) Erich Franz Stocker - Page 32 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーン イザベルの水平面内の降雨分布映像 の時間変化。2003年9月(降雨レーダによる観測) Erich Franz Stocker - Page 33 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーンの通り道:TRMM搭載の降雨観測装置TMIは、1998年9月2日に、 4つのハリケーン(Howard, Isis, Earl, Danielle)の上空を通過して観測した。 Erich Franz Stocker - Page 34 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーン Bretは、1999年8月21日、テキサスに近づいた。 高さ15 km に及ぶHot Tower が観測された。 Erich Franz Stocker - Page 35 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーン ボニー、1998年8月22日 Erich Franz Stocker - Page 36 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーン Carlotta 2000年6月20日の観測 Erich Franz Stocker - Page 37 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーン Jeanne 2004年9月17-26日 Erich Franz Stocker - Page 38 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーン ジー ンの上陸、フロリ ダ TMI 地表面降雨強度 (透明色) TRMM VIRS 雲頂の温度 陰影起伏図 Erich Franz Stocker - Page 39 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーン ジー ンの上陸、フロリ ダ TMI 地表面降雨強度 (カラー) 海岸線、ハイウェー 都市 Erich Franz Stocker - Page 40 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーン ジー ンの上陸、フロリ ダ TMI 地表面降雨強度 (カラー) 海岸線、ハイウェー 都市 Erich Franz Stocker - Page 41 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 ハリケーン ジー ンの上陸、フロリ ダ TMI 地表面降雨強度 (透明色) Erich Franz Stocker - Page 42 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 Erich Franz Stocker - Page 43 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 Global Precipitation Measurement mission (GPM: 全球降水観測計画衛星) GPM は、TRMMの観測を高緯度まで延長して、また観測頻度を増やして観測できる。 これによって全球的な水循環の理解がさらに深められる。GPMは、降雨強度が、1時間 当たり、1インチの100分の1(0.25 mm/時間)から4インチ(約100 mm/時間)までの広い 範囲を観測することができる。GPM は、様々な寸法の降水粒子を推定し、雪と雨の区 別をすることができるであろう。GPM は、全球の80%以上の地域で、3時間ごとの平均 雨量を観測することを目指している。観測データは、3時間以内にユーザが利用可能と なろう。 Erich Franz Stocker - Page 44 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 GPMの基準概念 研究と応用のため専用ならびに利用可能な汎用の衛星を用いて、全世界の降雨観測 を、一体化して推進するように特別に設計されている。 GPM低軌道傾斜角衛星(40°) GPM主衛星(65°) ハリケーンと中緯度の ストームを準リアルタイム で観測するための 非太陽同期軌道からの サンプリングによる改良 ・降水物理観測衛星 ・衛星群による降雨観測の 相互較正のための基準リフ ァレンスの提供 パートナー衛星: データ処理システム 地上検証 衛星間較正の統一された フレームワークの中における 次世代の衛星群に基づいた全球降水 プロダクト。 Erich Franz Stocker - Page 45 打ち上げ前のアルゴリズム開発と打ち 上げ後のプロダクト評価のための 国際協力サイト Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 GPM主衛星搭載マイクロ波放射計GMI (89 GHz垂直偏波)の観測輝度温度データの統合 Synthetic GMI Tb of 89 GHz V Channel Erich Franz Stocker - Page 46 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009 まとめ • NASA は、宇宙からの地球観測に長い歴史を持っている。 • NASA は、現在いくつかの非常に成功した地球観測ミッションを持っており、それらは研究 と実利用の点で用いられている。 – TRMMは、NASA-JAXAの共同ミッションであり、これらの中心である。TRMM は、3 年のミッションであったが、現在11年目の観測が行われている。 – TRMM は、日本の通信総合研究所が設計し、JAXAが開発した世界初の降雨レーダ を搭載している。 – TRMM 衛星は、NASA によって組み立てられ、JAXA によって種子島宇宙センター から日本のH-IIロケットによって打ち上げられた。 • NASA は、現在計画中あるいは、開発中の非常に興味深い一連の地球観測ミッションを 持っている。 • GPMは、非常に成功した – 熱帯地方の降雨観測を全球の降水観測(雪も含む)へと拡張する。 – NASA とJAXA間のパートナーシップを引き継ぐ。 – パートナーシップを、GPMを支える宇宙ならびに地上システムを提供する国際社会へ と拡張する。 • NASAのミッションは、地球とその生態系をより高度にかつ継続的にモニタするために、 他の国際的なミッションに参加する。 Erich Franz Stocker - Page 47 Tottori University of Environmental Studies, Presentation May 11, 2009