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Instructions for use Title 小学校高学年における集合の指導
Title Author(s) Citation Issue Date 小学校高学年における集合の指導:授業書と授業の過程 について 須田, 勝彦 北海道大學教育學部紀要 = THE ANNUAL REPORTS ON EDUCATIONAL SCIENCE, 25: 81-116 1975-12 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/29121 Right Type bulletin Additional Information File Information 25_P81-116.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP 小学校高学年における集合の指導 一一授業書と授業の過程について一一 須田勝彦 An I n s t r u c t i o no f“ Set" i nHigher Grades o f Elementary School Katsuhiko Suda 的 qdFD ヴt Q U のG Q U O O Q U つω n百 円 百 円 宮 内 百 ハ U n U ハ U A U 官i 節節節節節節授節節 第第 章 12 第 3 点 題 価析問 評分の 一不一不⋮⋮⋮のの続 表表庶民⋮⋮程そ退 的的性⋮⋮過と業 入廷包る⋮⋮業ト授 導外内な⋮ A口 授 ス と のののと A 口集とテ誉 会合合会集分審価業 集集集集空部業評授 123456 第第第第第第 創出回開館山∞∞幻 日・ ・ の⋮ t14 関⋮て 1 料﹁⋮令題 日超一批の⋮に問 法問⋮のそ⋮容本程 方本い J と⋮内装過 と甘部ら式鎖のの業 定のね方婆一導緩授 設導の散導一指過と A の指意分指討 口一等書 題合本﹁一検築指業 課築授 節節節節 索 意案 0123 l 第第第第 2 第第第 。 目 第 G章 課 題 の 設 定 と 方 法 , 数学教育研究 i ζ 関する私たちの一般的な方法論は,本紀要第 1 8号1)第 1 9号 2 ),ζ述べたとうりであ る。それは簡単に要約するならば, r 数学的諸概念ζ l 憶する大域,及び小域のニつのレベルにおける 概念の連関のあり方を明らかにするために, さしあたり数学教育のもっとも基本的な概念に関する個 々の授業蓄を作成し,主に授業過程と評価テストを基準にそれを検証して行く Jというものである。 乙れまで,内包量,疋比例関数,及び一次関数 3 ) について,そのような第ゼ、ロ近似ともいうべき 枠組からいうかぎり,ほぼ満足しうる授業蓄を作成しえたが,同時 i ζ ,重要ないくつかの間題も残さ f比例関数を関数概念一般の中でどのように位讃づけるか,あるいは広い意味での れている。即ち, i 関数,あるいは写像全般にわたる指導の展望をどのように組みたてるべきかについては,すべて保留 したうえで,古典解析への基本的な筋道にかかわる部分についてのみその指導のあり方を開題にして きたのである。しかし,当然の ζ とながら関数概念一般と切り離されたと ζ ろに正比例関数が存在 するはずもなく,そのかぎりで私たちのプランに対する野沢茂正の批判。は正当といえよう。 ζ れに対するポジティブな見解の表明が必要で、あるが,現夜のと ζ ろ,おおまかに. r 正比例関 c.,有限集合における写像をブラックボックスを用いて指導する Jという仮説的な構怨 数の指導以前 I -8 1- 教育学部紀要第2 5号 を考えているにすぎない。正比例関数の指導の「以前に j というのは,当然,i[比例関数もそのよう な有限集会の写像のひとつの拡張としてとらえることが必要と考えるからで,必ずしも正比例関数の 学習に霞接に接続させる必要性はない。私たちも野沢氏と同様, r 関数は解析学への道だけでない j と考えているのである。 私たちの集合指導 l ζ 関するプランづくりはこのような必要性から生じた。即ち,一方では正比例 関数,一次関数から,さらには微積分の導入指導(二次関数)への発展を考えるさい,これ以上関数 一般の指導体系の問題を捨象しえない ζ と,さらに一方では,古典解析の指導体系とは相対的に独自 に構想しうると乙ろの,集会→写像→代数構造への研究の第一歩を切り拓かねばならない ζ との,であ る。しかし,集会を指導する以上,指導の窓義は単 l ζ 必要性のみから媒介する 会に関する ζ ζ とは正しくない。集 の問題,即ち単なる必要性ではなく,集合自体の独自なまとまり,あるいは子どもの側 からみれば面白さが,どのような形で存在するか,という ζ とに関しては,古典解析におけるその問 題とは比較にならないほど未知の問題が多い。それは単に,集合が数学教育のテー?にとりあげられ て日が浅いという事情のみならず,集合が現代数学の中でもっている位置に規定されている ζ とによ るものと思われる。 集会が現代数学の基礎である,といういい方は,それは当然であるにしても,その意味はきわめ て多様であろう。カントーノレ以前にも,数学及び数学的論王理学の中 l と所属,包含の概念はあったし,そ れをより広げて,人間の結集能力に集会を帰着させれば,単 ζ i 集合が現代数学の基礎という主張では なく,人間の認識活動一般にかかわる問題にさえなるだろう。あるいは集合論をカン卜-}レのっくり だしたものそれ自体とみるならば,数学における無限的な対象に対するある取り扱い方を示したもの であり, ζ の段階で集合論を現代数学の基礎というなら,その内容は解析学の集合論的基礎づけ,あ るいはより狭く,実数論の集合論的構築という窓味になろう。さらに,素朴集合論の危機をとうして, ツェノレメロ, フランケノレによる集会論の公潔的体系化, ノイマン,ベルナイス,ゲーデノレによる体系 化の作業を可能にし,意味あるものたらしめたのは,数学会体 ζ I対する公王理主義の方向,あるいは構 造の考え方による数学の再構築の方向であった。 ζ の段階では集合論は,遠山啓氏のいう「構造の素 子の集まり jのという機能において,現代数学の慈礎であるといえよう。 集合論の成立をめぐる歴史的な三つの段階が,現在においても集合論の現代数学 l ζ 占める位震に 関する諸契機を構成しているとすれば,小沢健一氏のように,数学における集合の役割を次の三点に 要約する乙とは根拠のある ζ とのように患われる。 ( 1),述語の"モノ、、化, ( 2 ),分析の極としての素 子の集まり, ( 3 ),無限への挑戦7)。 ζ れらの諸契機がいかに関連しているかを明らかにする乙とは本稿 の重要な課題であろうが,それに全面的に答を与える ζ とは数学論上の難問であり,さしあたり小学 校高学年における集合の指導のあり方の問題に即して考えてみたい。そのため,本論文の諜題はま ず集会がわが国の数学教育の中で,現実にどのように問題とされてきたかを概括する そ ζ で行なわれた諸論議の中から集合指導の窓義として考えうる ζ ζ とによって, とがらを抽出する。さらに,その 具体的な指導プログラムを作成するうえでの基本的な問題点のいくつかを検討する乙とを還して,私 たちの仮説としての授業著書と,それによる授業過程の一部を展開したい。そして,評価テストと授業 過程の分析から,いちおうその授業審の当否を明らかにすると同時に,若子の改善すべき問題点と思 われる ζ とを明らかにする。 内 Jeu n o 小学校高学年における集合の指導 第 1意 集 会 指 導 の 基 本 問 題 第 8節 本 章 の ね ら い 8年の指導要領改訂の時期にさか わが躍の数学教育において集合が問題とされてきたのは,ほほ 5 のぼる乙とができょう。 5 8年の改訂では,割合分数を基軸ζ l,小学校に分数の乗除が復活されたが, 遠山務氏はそれを批判する中で,援にもとずいて分数の乗除を指導すべきことを主張した ω。いわば, ζ の主張のコロラリーとして, r 数え主義 J= J I 民序数を中心とした数指導渥論』ζ対する止場の見地, 即ち集合数を中心とする数指導の理論を生みだしたのである。 ζζ では集合それ自身が指導の対象と されたのではないにしても,集会の数学教育とのかかわりの中で,もっとも本源的な問題をあばき出 した成果といわなければならない。 ζ の問題はその後,数学教育協議会(数教協)によって,集合そ のものとの関連よりは,主 i 乙数指導,量指導,計算体系のま重論等の精密な構成へと発展させられるこ とになる。しかし,数教協第 1 3圏全国大会 0965年)における深水吉春氏の発表ののように,単ζ l数指 導を集会数から入るにとどまらず,加法・減法の集合による;窓味づけの中で、いくつかの間題点が明か るみに出されたり,あるいは集会数を数認識の基本にするとして,さらにその指導の前提如何の問題 が1 9 6 8年頃から八王子の養護学校で,遠山啓氏ら l とよってとりくまれるゆなど,乙の問題も独自に E 重 要な進展をみせている。 集合それ自体が指導の対象として問題となり, しかも関音寺ζ l教材分析の視点としても新たな論議 8年の指導要領改訂の前後からであろう。 6 8年の改訂は諸外国の現代化プラ が進展したのは,やはり 6 ンがいちおうでそろい,さらにそのリアクションも生まれつつある背景の中で作成されたが,その中 で数指導を不十分ながらも集会数を基本にした乙と,そしてなんらかの形で集合それ自体をも小学校 の教育内容にくみ ζ んだ乙となどは,いちおうの前進として評価できょう。そこで本家では, 6 8年指 導要領の内容を具体的に分析すると問時に,指導婆領 ζ i対する諸批判の中から凝集しつつある集合指 導の意義と内容, J J Zび指導上の基本問題を検討したい。 第 1鮪 「分散方式Jの批判 一指導婆鎖とその「展開」の検討ー 集合に対する指導要領の考え方のまま本的な性格は, り扱しつの中 ζ i表現されている。 r 指導計画の作成と各学年にわたる内容の取 r 集合,関数,縫率などの概念の指導については,乙れらの観点に 立った見方 a 考え方が児童の中に漸次湾成されるようにするとともに,教締が ζ れらの観点に立った 指導をする ζ とによって,各内容のもつ意味がより的確に児童きにはあくされるようにする ζ とを主要 なねらいとしている。…… ζ れらの概念は,特定の学年の指導のみで育成される性格のものではない ので,その指導が,児議の発達段階に郎応して継続的,発 E 霊的に行なわれるよう配慮する ζ とが必婆 である。 J11)ζζ で述べられているととは,集合それ自身が直接 l ζ 指導の対象となるよりは,集合の観 点にた「た「見方・考え方Jの育成が重点となるとと,そして「各内容のもつ意味が…… Jとされて いる ζ とからわかるように,集合を単なる思考の形式としてとらえ,それに何らかの内容が外在的に つけ加わるべきものとしてとらえられている乙と,である。しかし,当然の ζ とながら,たんなる素 材という意味とは区別された,集合それ自体の内容と無関係に「見方・考え方Jを育成するプログラ -8 3- 教育学部紀委第 2 5 号 ムは作成しえるものではない。従って次に,どのような素材について,どのような集会の内容の指導 が考えられているかを見なければならない。指導要領では,直接「集合を用いて Jというような表現 は 4年の統計と 5年の整数,分数,国形のと ζ ろで用いられている。 r 築会に着目するなどして,資料を正しく分類整理する能力をのばす J12)ζ とを 4年の統計では, r 二つの事がらに関して起乙る場合を,図などを用いて調べるとと J r 資料の務ちゃ重な 白的とし, りについて検討する 集合,要素, ~ ζ とJ13)をその具体的な内容としている。そして ζの f内容の取り扱い j の中で ~コなどの用語,記号がはじめて導入される ζ とになる。 ζ 乙で,きわめて多くの内 容が未分化に盛り込まれていることに校図しなければならない。まず, ( 1 ) 全体としては統計間有の 内容としての有限測度構造を教える ζ とになるが,そのための前提として, ( 2 ) 測度をのせるベース としての集合概念,及び部分集会の概念, ( 3 ) ζ 乙では測疫をのせる手つづきとして現われると乙ろ の,述語と集合,部分集会の関連,さらには, ( 4 ) r ニつの事がら j を扱うさいの,ブー レ演算とそ j れにともなう婆索の個数の問題, ( 5 ) 集合のシェー?としてのベン図,等がこ乙で問時に数われる ζ とになるのである。それらの内容は,集合の位置づけに関するひとつのあり方を示していることは事 実であるにしても,さきに述べた用語,記号の範臨で,何らかの法則的認識を形成する ζ とは不可能 であろう o 仮 l ζ ( 4 H ζ 焦点を合わせるにしても,少なくとも合併集合,共通集合,補集合の概念ぬきに, 意味のある指導過程を構成しうるとは考えられない。 5年の整数では. r 奇数と偶数 l とわけるなど,簡単な場合について,観点をきめる ζ と,整数は いくつかの築合にわけられる ζ とを知る乙と J 1 4 )が「内容 J とされているが, 容なのかの判定は不可能である。 ζ れだけでは何が莫の内 r 指導要領の渡鵠 Jを見ると. ζ rの学年では,整数全体(この場 合. 0および疋の整数だけであるが)を,直接考察の対象に取りあげて環解を深めて行くとと らいであり. J 1 5 ) がね r 具体的な場だけでなく,始象的な数の世界をも,築合に着尽してとらえる ζ とができ るようになることを綴待しているわけである J16)と述べられている。そのねらいのため,具体的な内容 としては 2および 3を法とする終余類をつくること,さらにその剰余類が 2については剰余体をつ くることを f理解させたい J1りとし, 3については加法に関する定義可能性について「能力のある子ど もに帰納的に ζ のような事実を発見させるような指導があってもよい J18) とされる o ζ 乙でも,多くのことがいわれているが,集会の内容については. 目 ( 対象にとりあげる ζ 撃数を「集合の考え Jの と , ( 2 ) そのさい,剰余による分類によって,部分集合をつくる の内容である。まず, ( 1 )の ζ とに関しては, ζ と,だけがそ r 整数全体 j といっているように,対象を無限集合に拡 張しているのであるが,有限集合と無線集会の区別には何らふれられていない。 4年の統計における 集合は,はじめから限定された集会についての,内匂と外廷を問題にしていたのだから,ある述語ζ i 対してそれに対応する集会は容易に考える ζ とができたが, ζζ では無限なものをも集会,あるいは ひとつのそノとして認めるか否かという,数学史上も深刻な論争を生んだ問題を回避,あるいは無視 をしているのであり,きわめて範聞が不明確な「集会 j にならざるをえない。さらに 「呉体的な場Jで集会を用いたが, 段階を設定しているが, ζ 4年の統計は r 抽象的な数の世界 Jにも集合を考えうる,という「教授学 J的 の ζ とは何ら本質的な意味をもたないであろう。何故ならば,統計におけ る f 分類整理」の対象にしても,それは伺も「具体的な場 Jそのものではなく,すでに集合とその要 素という形でとらえうる抽象化 19)を経ているのであって,それは素材としての数と変わるものではない からである。 次に ( 2 )の内容を検討しよう。本来,剰余系のつくる代数構造は,簡単で興味深い内容をもってい - 8 4- 小学校高学年における集合の街導 るが, ζ こでは何を目的として「集合 Jや「余りによる分類Jを行なっているのだろうか。指導要鎮 の本来のねらいからいえば,集会の考えを用いる ζ とによって整数のもつ意味がはっきりする ζ とが 存在しなければならなし、。しかし,整数を整数でわれば余りがでてくるということは,乙こでは何の 能力のある子ども J がかいま見る程度, 興味もないし,裳数を分類したうえで,その剰余系の構造は f i整数論的な内容が深まっているとは考えられない。集合本来の内容からいっ というのであれば,特ζ r 観点をきめると,整数はいくつかの部分集会にわけられる Jという ζ 之は ても 4年の統計にお ける「分類・整現 j と異なるものではない。そしてもし,同じ集合論的な構造を,異なる素材で扱う ζ とによって,何かを「漸次育成 j する ζ とをねらったのであれば,そこで育成すべき内容は何であ ろうか。 4年の統計は有限測度構造であり, 5年の整数は蕗空間の代数構造である。そ ζ での集合の 用いられる様式は数学的には全く異なるものである。しいて共通する乙とをさがせば,指導要領の表 現を用いれば観点をきめると ζ 集合はいくつかの部分集会にわけられる,ということになろう。しかし, の表現の中に混同の要閣が含まれているのである。それは,述語とその外延(部分集会の概念)を その本質的な内容としているのか,それとも集会の類別を問題にしているのか,その表現はふたとお りの解釈の余地を残しているのであり, ζζlζ 無目的 l ζ 何かを f 類別 j する ζ とを「集合の考え j の 指導と等寵する指導要領(及び教科書)の誤りが生ずる。 i関する集合の取り扱いについては「一つの分数の分子,分母 i 乙同じ数を乗除してできる分 分 数ζ 数は,もとの分数と同じ大きさを表わすことを知る 回する ζ ζ と。また, ζ のようにしてできる分数の集合に とJ20)となっている。そして後者は,奥分母分数の大小比較,及び加減(通分による)の伏 線とな「ているようである。しかし,乙れは集合を用いることによって当の「内容 j のもつ意味をは っきりさせる,という指導要領のねらいと,まさに正反対の結果にほかならない。まず, にしてできる集会 Jは,はたして一元集合なのであろうか,無限集合なのであろうか。 r このよう r 指導要領の 展開 Jでは,無限集会として扱われている。しかし,子どもはすでに,たとえば士とをは同じ数であ ることを知っているのだから,乙の二つの要素は問ーなはずであり,もし異なるとすれば÷ゃをは分 数ではなく, (1, 3), (2, 6) という相等の定義されていない順序対にすぎない。素朴集会論の 段階でも,婆索は互いにはっきりと弁別される ζ とを要求しているのであって,乙のような取り扱い は,集会の考えとも異質なのである 21)。さらに乙のような「集会 Jをつくることによって過分の伏線 とする ζ とは,通分を結局,たんなる試行錯誤によって指導するのと関じ ζ とであり,最小公倍数を 見つけるという,分数屈有の「内容 Jをむしろ否定するものでしかない 22)。 同じく 5年の鴎形では, とがねらいとされているが, r 恭本的な間形について,包摂関係などに義目して理解をまとめる J23)<: ζ れについては,問題になる集会が連続無線の濃度をもったものであり, 外延的に表象しうるものではない ζ と,従って菌形についての指導は,むしろ内包=論潔の側頭から 取り扱う ζ とが主要であるべき乙と,の二点で,すでに批判しつくされているといえよう 2 4 以上述べたように,築会ζ i関する指導望号館の「見方・考え方Jの「漸次育成 j という方向は,集 会自体のとらえ方においても多くの誤りがあり, しかもその「見方・考え方Jが適用されるべき当の f内容」も,それによって何ら新しいものがつけ加えられない。 いう, ζ の ζ とは, r 指導要領の展開」に r いままで取り扱わなかった新しい内容を形式的に加えるよりは,従来からある内容でも,そ れに対する見方や取り扱い方を新しい観点に立ってくふうする乙とによって,現代化のねらいに郎応 してい ζ うJ25)とする意図そのものの内包する問題点 l ζ 帰国するといわなければならない。即ち,集合 は当然,それ自体「新しい内容 Jではあるが,それをそのものの内容に郎して指導する -8 5- ζ とは「形式 教育学部紀要第2 5号 的ζ i 加える J ζ とになる。そして集合は,たんに f見方,取り扱い方j であり,その「内容」を従来 からあるもので満たす,という論理は,より積極的には,集合論それ自体が内容を欠いている 主張する誤りであり, ζ ζ とを の誤りのうえに,さらに f 従来からある内容 Jζ !対する現代化の視点からの 反省を放棄するものに他ならないのである。 第 2節 集 合 指 導 の 内 容 に つ い て 数教協による指導要領批判は,銀林浩氏による「分散方式 J自体の教授学的批判 26)をはじめ,集合 に慢しでも,増島高敬尽によって, r 他分野への無限侵略 J ! ζ よる,各々の悶有の内容の貧弱化27)として 数 展開されている。その論想的な必然として,一定の時期に集中的に指導することの必姿性,および f 学を内容的に展開したときの一分野として集会を指導する J28)ζ とが主張される ζ とになる。しかし, その指導すべき内容はさき然,十分に検討すべき賭題を含んでいる。 まず,野沢茂氏は,指導要領における集会の把擦を, r 論理に関して用いられている J 2 9 )と述べ, その内容を「集合の内包(性震)と外延(要素}との関係 Jとしている。そして「乙 ζ で論理とのつ ながりを扱うならば,その ζ とを正面から取りあげて扱かうべき J29)であり,そのさい f集合と論理を 扱うなら, ド・モ jレガンの法郎まで扱わないと lつの教材としてまとまったものにならない J29)ζ とが 主張されている。 ζ の野沢氏の見解は,その後の数教協におけるいくつかの実践プランの方向を代表 0年 4月ζ l発表された「数教協ゼミナーノレ,集合の意義とその指導 J するものといえよう。たとえば, 7 における,中学校の榊忠男氏のプラン,小学校の問自進氏のプランは,いずれも部分築合のブール演 算が最終的な目標とされ,榊氏はその双対構造そ.間也氏はド・モ jレカポンの法刻をいちおうの到達点 としておさえている。 ζ れらは,集会指導の窓義を論王室との対応としておさえ,その内容としてブー ル演算を中心とする,野沢氏の見解と一致したものといえる。 しかし,乙 ζ で注窓しなければならないのは,集会指導の意義ぞ論理との対応にみる場合,集合 一般が数学の中で果すところの"述語のモノ化、、と,とりわけその機能を数学的論理学の中の命題論 理のシェー?に用いるブーノレ演算とは,いずれも明言命漂泊と係わるものではあるにしても,必ずしも 向ーの開題ではない,という ζ とである。いわゆる,述語のそノ化とは,単純化すれば性賀町 x )のか P ( xけを考える わりに集合 a= ~ xI ζ とである G 乙れは第ーに,森毅氏の表現によれば,ガウス, リーマン等による空間概念の成立による, r 数学的対象を外延的表象においてとらえる ζ とJ 3 0 )を可能 ならしめた成果の,ひとつの一般化,拡張といえよう。第ニにそれは,外延と内包のたんなる対応関 係、の存在(それは古典的形式論理学においてもすでに明らかだった〉を述べているのではなく モ 1 1 ノ1 t ¥ ¥ としての外延の自立であり,そのことによって逆に,集合がそれに性質を賦与されるものとし ての「構造の素子のあつまり Jとなる 、、述語のそノ化、、は, ζ ζ とを可能ならしめるのである。 のような意味で「論理と対応 Jするが,ブール演算として定式化されて いる意味での論理とは,次のように笹閉してとらえる乙とができょう。第一の契機に関しては,集会 は数学的対象のひとつとしての命題論理のシェーマであり,第ニの契機に隠しては,いわばれ無構造、、 という特殊な構造の紙与されたものが集合なのである。即ちブール演算はブ述語のそノ化、、という集 会の本質的な側面の,ひとつの構成要素として存在するにすぎず,前記の野沢氏の見解には飛緩があ るといわなければならない。内包と外廷のつながりを扱う ζ とをブーノレ演算の指導と等震できないの は明らかであって,どんなものであるにせよ,内包と外廷のつながりを問題にしない集会の指導など, ありえないのである o m述語のモノ化、、が直接的にブール演算につながっているというより述語 - 8 6- 小学校高学年における集合の指導 のそノ化、、としての集会を前提として,述語のあるつながり方のタイプに対する集会のつながり方を 扱うのが野沢氏のいう「論理 Jすなわちブーノレ演算というべきであろう。 乙のように,集会一般がもっ 演算を区別するとしても m述語のそノ化、、の側面と,集会論のひとつの部分としてのブーノレ それを悶ーのものと考えるととも根拠のないことではない。¥¥述語の そノ化、、のさい,素朴集合論の破産との関連で,ひとつの全体集合を屈定してはじめてそれが矛盾な くなしうるからであり,その意味である全体集合の中の部分集合を扱うブーノレ演算と本軍的に同一の 場面と考える ζ とができるのである。 ζ れはしかし,集合論の危機に対するツェノレメロのひとつの解 答のあり方にすぎないのであって,もし ζ れをブール演算と考えるなら,ツェルメロの公理系による 集会論自体がブール演算と同じものになってしまうのである。 従って集合指導の内容として,分出公王壌による集会概念の指導そのものと,ブー Jレ演算の指導と はいちおう区別すべき ζ とが結論されるが,ひとつの自然な場面として,両者を問時ζ l指導する ζ と も可能であろう。その場合,ブーノレ演算は命題論潔の指導とあわせた形で意義づけられる。そして, そ ζ でいう論潔は, r かつ J r または j 及び否定にかかわる論理に限定されるのであって,論理一般 の指導ではなし、。とすれば,それが論理一般にいかなる位置づけをもちうるか,という鵠題になろう。 乙の問題は,仮 ζ i 数学における論ま患に限定しても,論理の内容を明正しい、、推論の形式と考えるなら ば,これまでの数学的諸概念の習得のさい,いかなる推論が働いており,その中のいかなる形式を拍 出して指導すべきか,という問題の中で考えねばならない。しかし, ζ れはほとんど未開拓の問題で あり,その解明は今後ζ l待たねばならない。ただ,それを限定して,ブーノレ演算の指導が,いちおう 現段階で必要と考えられている教育内容の中で,いかなる有効性をもちうるか,という問題から出発 する ζ とは可能である。それに対しては,野沢茂氏らのプラン 31)のように, 測度構造を乙の段階の自擦とする ζ いわゆる集合算, R Pち有限 とが,ひとつの解答となる。 しかし,有限 d 制度構造とはいっても,乙の段階では, n (AUB) n (A)十 n(B)-n(AnB) 口 を唯一の法員!jとして,その「四用法 j を扱いうるにすぎない。教科書でも,ほとんど ζ れを集会指導 の唯一の包擦であるかのように扱っているが,このような方向は疑問であるといわねばならない。そ れは第一に r 四用法 Jとはいっても,その内容はたんなる自然数の加減に関するものであり, r 内 包量の三用法 j のように本震的 ζ i新しい量に関する異なった用法とは逢って,ひとつの法尉の変形に すぎない ζ と,第ニζ i 有限測度は,濃度と測度が一致すると乙ろにひとつの特色があるが,濃度論 と J しては無限の問題を扱わないかぎりトリヴィアノレであり,測度論としても,乙のひとつの法員.iJを扱い うるだけでは不十分で,指導するならば集合や直積,集会開の主主像などの後 i 乙,統一的に扱うべ きこと,などの理由による。 森毅氏は同様 i ζ 集合を有限総度構造と結びつけるべき 野沢氏のそれとは若干異なっている。 ζ とを主張しているが,その主張の内容は r,.集合が基本的J というのは,その上にI}民序構造や代数構造 がのるからであり,とくに集合東の有効性は位相構造のときに著しいが, ζ れは中等教育までの問題 ではない。むしろ有効性は,測度構造ぐらいであって,.集会は蚤をのせるための土台」と考えても よいぐらいである。 j 却森氏の主張は,集会を積極的 l ζ 測度構造への発展を考えて指導すべき ζ とよ りはむしろ,集会は少なくとも小学校の段階ではとりたてて指導する必要性がとぼしく,せいせ、い ilt~ 度構造となら結びつきうるという,いわば消極的な主張とも考えられるが,集合がある構造をのせて 制度構造ζ l はじめて基本的たりうる,という主張は重姿なものであろう。設をのせる台u というと t 限定され,小学校での測度構造は前述のように,それ独自ではさほど面白みが発捧されないにしても, - 8 7- 教育学部紀婆第2 5号 いわゆる論理との対応を集合指導の喰ーの意義として,その内容をブール演算 ζ i倭少化する方向とは 異なったものといえる o 数教協の中で,かつて集会を初等整数論の中で扱っては,という主張が見ら れたのも,同様な趣旨からであろう。しかし,乙のような意味で,集合をある構造をのせる台,ある いは構造の素子の集まりとして指導する乙とは,少なくとも小学校の段階では,多くのれ補助定理、、 なしに論ずる乙とは鴎難なことである。 乙 ζ で,集合指導の位置づけとその内容について,次のように段階を区分したい。まず,集会と は何かについて,乙れ i まれ述語のそノ化、、としての集合の概念そのものの指導がめざされる。次にそ れは,ニつの方向に発展可能である。ひとつは,そのブール演算,さらには確率識の初歩,という方 向であり,いまひとつは写像へ結びつける道である。後者は,古典解析の関数概念とは相対的に独自 に , 勺またらき、、の概念を自立化し,変数や関数記号なども有限集会の写像概念の中で扱うものであ り,その乙とによってさらに,ニつの方向が可能となる。ひとつは,そのような写像に隠して,その 結合によってできる構造を直接取り扱うものであり,いまひとつは集会,写像概念をもとにして煩列, 組み合せ論へと発展させる方向である。 ζ の後者の方向 ζ i ブーノレ演算が加われば,確率もある程度実 のある指導も可能となろう。 私たちは本論文において,このように多様な発展の方向性を考えながら,その中の最初の部分に あたる集合概念の導入のあり方を考えてみる乙とにする。そのさい,集合概念の把握は,いちおう集 会のもつ m述語のモノ化、、の作用を本質的なものとしてとらえ,写像とは独立に導入したい。後者の 方向,即ち主主像概念とセットにした集合の指導,さらには写像概念をもとにした集合の指導は,現在 のと乙ろ森毅氏によって問題が提起されている却にとどまっており,今後の検討の課題としたい。 第 3節 指 導 過 程 の 基 本 開 題 大域的にみれば,集会概念の導入はひとつの単位であり,それを a= ~ l ' I P( 1 ' )~の形で定義す るとはいっても,それをすべての子どもに理解させる手だてとしては,より分析的に考えねばならな い。すなわち,そ乙 ζ l は少なくとも三つのモメントが含まれていると考えられる o それは第ーに,集 会がひとつの外延的な対象,あるいは数学的実在 αとして存在する,ということ,第二はそれが構成 される手つづき,過程の問題,具体的には変項 X と述語pの役割の問題,第三には戸 によって集合が 矛盾なく定まるためには,本質的には a= ~ l ' IP(1'). l 'E X ~の形で,集合 X の部分集合として考 えなければならない ζ と,である。しかし,当然の ζ とながら, ζζ での指導の目的は,ツェノレメロ の公理系そのものの理解ではなく,集合を自由に用いる乙とができるようになる ζ とであり,従って 第三のモメントについては,その実質的な意味,すなわち部分集合の構成が指導の内容となろう。本 節では, ζ の三つのモメン卜に隠して,その実際の指導過程を組む上での問題点を検討したい。 第一は,集冶概念の,小域における導入,定義の問題と考える プランは,集会の定義を,集会はものの集まりである ζ ζ とができる。 ζ れまでの多くの とを述べ,あるものがその集合に属するか否 かが明らかでなければならない,という形で指導している。たとえば岡田進氏のプラン刊では,まず「集 まれ」という ζ とばによって. r 4年 1組の背の高い子 j でははっきりしないが. r 4年 1総で背の ζ とができる乙とを指導した後. r ある条件や性震によって, さが 1 25 c m以上の子 Jならば集まる その範閣がはっきりしているものの集まりの ζ とを r集合J という Jと し,集合といえるもの, いえないものの弁別の問題に入っている。増間忠之氏のプラン 35)も間様に,ある条件を与えて,それが 集合をつくるかどうか,という問題をとうして集合を定義している。ただ,増田氏のプランでは,定 - 8 8- 小学校高学年における集合の指導 ①,集合とは,ものの集まりである(鼠で考えたものもいれる)。②,あるものが,集まり 義として f の中にはいるか,はいらないかがはっきり区別できるものでなければならない。 J紛と述べ,定義をこ つの部分にわけでいる点,及び集合の例の中 I c r自然数全体の集まり J 3 7)も含んで, 存在を明磯にしている点で,関白氏のそれとは異なっている ζζ で無限集合の 3 8 )。 しかし,乙のような裂の定義の重要な問題点が,鈴木重雄氏によって報告されている 39)。鈴木氏の 実践では,集会を前述のような裂で定義した後,集会になるもの,ならないものの問題をほぼ全員の 正答で終えた。学校行事等の事情でその一週間後,集合になるもの,ならないものの例を用紙に書か せたら, 次のような結果がでた。それは第一 I C.集合になるもののもつべき「はっきりした条件 J を , すべて,数値であると理解した子ども ( e x,r 足の早い人の集まり jは築合にならない, r100m を1 6秒以 内で走る人の集まり j は集会になる),第ニに,さらには数値がなければ集合にならないと考えた子ど も( e x, r 本屋にあるマンガ本の集まり j は集会にならない, r 会になる),第三ζ i , は「きりした条件 Jを,単 l 乙 「動物の集まり Jは集合にならない. r 1 2 0円以上のマンガ本の集まり Jは集 「より具体的なととば j と考えた子ども ( ex. r サ Jレの集まり Jは集会になる〉の三つのパターンが生じ,い ちおう誤答でない第一のパターンを除いて 6割以上の子どもが誤った認識をもったのである。 乙の報告は,第一時と第ニ時の間 ζ l 一週間のブランクが存在した ζ とによって,乙の種の定義の 時題点が明瞭に映しだされたものといえよう。乙の事実そのものは,鈴木氏自身の表現を借りれば, r r集合とは何か jという最も蒸本的な乙とがぬけていた J40)ζ とに他ならない。鈴木氏はその反省と 1 ) . 集合は「要素の確定性と全体の確定性を満たす集まり ll)としておさえねばならない ζ と , して. ( ( 2 ) . 性質と集合の対応が集合概念の義底にあること,を指摘しているが, ζ れは必ずしもこの問題の 本質を的篠に表現していないと思われる。それは,(1)の縫定性,とくに ζ の場合 F J 噛になるのは全体の 確定性であるが,それは集合自身に関する問題ではなく,それを規定すると乙ろの述語の問題,ある いは築会が存在する以前に,述語が与えられて,それが集合をつくるかどうか,また一意的 ζ l決まる かどうか,が問題なのであるから,それが理解されている ζ とを前提としているのである。同様に ( 2 ) についても,性質(述語)と集合の対応が集合概念のまま底にあるにしても,対応の一方である集会そ のものは,述誌とは相対的 ζ i 独自なものとして存在しなければならない。 ζ の問題 ζ i 関して,野沢茂氏の第二次プラン 42) 及び武石佳久氏のプランにおける f 外延的表示 J の部分 43) は注呂すべき特徴をもっている。野沢氏のプランでは,まず Oから 2 0までの数字をかいたカ ードを示し,その中から O .4 ,6 .2 , 8 , 1 0のカードをひとまとめにして袋に入れ,それを集合と定義して いる。 ζζ で,集合,婆素という用語,及び{トの用い方,さらに~ ~の中 iζ 要素をかく I1反序は任意. である ζ とを指導し,その後に外延的表示,内包的表示 ζ l入っている。武石氏のプランでは,集合の 定義そのものは従来のものと異ならない叫が,外延的表示の指導において,ある条件にあう数のマグネ ット・チップをビニーノレ袋に入れ,それをニ回とりだす ζ とによ「て表示の順序の任意性を導いてい る 。 ζ れらの工夫は,述語と対応されるべき数学的実在としての集合を,簡単な具体物として示しえ た例ということができる。ただ,外延的表示との関連で一書すれば,野沢氏のプランでは~ ~の中に 喜震を表示する任意性が,すでに{トの用法の中で指導されており,従「て外延的表示そのものの指 導内容は全く存在しえなくなっている。 ζ の点は ζ れまでのほとんどすべてのプランも同検であって, 外延的表示はすでに指導ずみであるために,それ g身の指導内容をもたず,たんに内包的表示と対に なるものとして位讃づけられるにとどまる。 ζ れ に 比 し て 武 石 氏 の プ ラ ン で は , ビ ニ ー jレ袋に示 - 8 9- 教育学部紀要第 2 5号 される集合の具体物そのものから導かれている点で,優れたアイデアといえよう。しかし,そこでの ビニー Jレ袋の機能が,たんに 1 I 民序の{主主主性を導くためにのみ用いられているのであれば,それはかえ 「て怒意的な感を免れないのであって,集会の定義にそれを用いる ζ とによ勺て自然な流れとなるの である。 第二のモメントは,具体的には内包的表示の指導に対応している。 ζ れまでの集合指導プラ ンの中で,内包的表示の扱いは,対象とする学年のレベルに対応して二種類のものが見られる o 第一 は,主 lζ4学年での指導を前提としたもので,内包的表示を扱わないか,あるいは変形した形で扱っ ているものである。たとえば,岡国進氏のプラン 45)では,集会の表わし方は外延的表示のみになってい るし,野沢茂氏の第ニ次プラン 46) 岡田昭弘氏のプラン 4りなどでは,たとえば内包的表示として A = { 1 から 1 0までの整数トというように,変項 X を用いない形で指導している。前者の,外延的表示一本の プランでは,当然の ζ とながら実質的な内容として外延のみでは集合の指導が成立しない。集会の導 入そのものに述語を用いた定義がされており, (冊国進氏のプランでは f4年 1組で背の高さが 1 2 5 c m以上の子j が用いられていた),それを集合としてとらえるためには,内包→外延の郵送は不可避で ある。たんに表示方式そのものに内包的表示を用いない ζ とのみをもって, 定しうるように考える乙とは不可能ではなかろうか。その意味で, されている, f 外延的取り扱い JI と限 しばしば外延的表示の指導内容と f lO以下の自然数の集会を Aとすると, A= { 1 ‘2 ,…… 1 0 ~ J48) である,というような内 容は外延的表示ではなく,内包的表示の本質的な指導内容といわねばならない。従って,どの学年で あれ,内包→外延の筋道が不可欠だとすれば,内包的表示の指導を回避する乙とは妥当ではないと考 える。 次ζ l後者の,変演を用いない内包的表示について検討しよう。変項を用いないのは,岡国昭弘氏 によれば, r 4年生にはす ζ しむずかしい J 4 9 )という以上の理由はないと思われる。たしかに,文字使 i 関する混在の小学校の水準を考えると. 4学年ではいかなる主義味の文字(未知数,変数など〕も 用ζ ほとんど未習であるといえる。とくにこの場合,歴史的には変数としての文字の拡張されたものであ り,かつ変数としての文字が関数指導の中で現われるのが 5~6 学年だから, ζ のような危懐自体は 正当といえる。しかし,文字指導がそれ自体として系統性, 1 I 良次性をもっているというより,それが ζ の段階で xを用いる ζ 用いられる数学的内容に即して考えるべきだとすれば, との可能性は否定し えない。さらに,関数指導で変数 Z が指導されていたとしても,その拡張はア・プリオリに容易であ ると考える根拠はない。むしろその拡張は,数から集合へ,という拡張なのであるから,集合概念ぞ 前援にする ζ とが自然ではなかろうか。とすれば,関数の中で xが用いられる以前ζ l変項 X を用いる ととは,論主主的には問題がなく,指導可能性の問題に還元する ζ とができょう。 第二の種類は 6学年での指導を前提としたもので,野沢茂氏の第一次プラン 50) 増飽忠之氏のプラ ン , r わかるさんすう J651)の集合の章などに見られるように,内包的表示をそのまま指導しているも { XI X は 1以上回以下の整 f1から 1 0までの整数トという表現は,集会論 のである。その意義はたとえば{ 1から 1 0までの整数}という表現と, 数}という表現の羨奥 ζ i現われている。即ち前者の, 的な意味での述語,つまり「あるものが lから 1 0までの整数の,ひとつである Jζ とを意味するのか, その条件をみたすものを集めた集会 g身を表わすのか,判定はきわめてあいまいである。むしろ集合 の本質的側面としての述諮のそノ化という機能ではなく, の書きかえにすぎないとさえいえよう問。 {1 .2 , ・ …. . 1 0 ~の単なる外延的なレベルで ζ れに比して後者では, とによ「てそれが集合論的な意味での述語である ζ fXはj という表現がつけ加わる乙 とが一見して明らかなのである。 -9 0ー 小学校高学年における集合の指導 しかし,先にも述べたように,仮ζ l関数の中で変数としての X の使用が指導されているにしても, {xltt ; r けという形の使用が,そのいかなる拡張であるかはただちに明らかではない。 ζ の問題に 衡して仙波元氏は.r メガネっき(アナあき)レッテ jレJ53) という表現で述認を形象化するとともに(下 関参照) r 要素をえらびだすアナあきレッテルとしての述語。 ( a ) 他方乙れで Q のすべての要素を点検して,えらびだされる要素の 全体,つまり集合…...ができるが, ζ の外延(集合)にたいし て……内包(概念)が磁定する。つまり, れも臨式化しておく 一 と(下記)のように対応させておくとよいのかも知れない j叫 と 整 1 玖、語←一一一歩要素 ζ ( b )口 は ヒ ゲ を は や し て い る i 怒している。仙波氏による問題の整理は,あえて変項を用いる ζ との意義と とも i 乙その具体的な指導過程のあり方をも同時同しえたものといえよう。 第三のモメントは,全体としては集会の定義そのものにかかわっている闘 概念←ー→集合 が , ζ 乙では直接的な問題として部分集合の定義,指導過程について考えた い。なぜならば,仮に最初の導入としてひとつの全体をさめたものの中から,ある条件によって集合 をつくる ζ とに限定したとしても,それを子どもが意識化するや否や,集会を前提として集合が定義 されることになって,定義にはならない。従ってその意識化はやはり部分集会の指導の中で行なわれ ねばならないからである。 乙れまでのほとんどすべてのプランでは,部分集合の定義は,通常の入門警にある定義,すなわ ち「任意の xについて, X E Bならば:XE 三Aであるとき. BはAの部分集合であるという Jを用いて いる。しかし,乙の中でも,いくつかの異なる指導過程が構想されている乙とは伎白すべきであろう。 まず,榊忠男氏の中学校での指導プランでは,ニつの集合 A口{ a, b. c ~. B= { a, b,C, d ~があるとき .A と 8 のあいだにはどういう関係がありますかj 耐という発問から導入している ρ と の発問から,真部分集合の定義を導き,次ζ l,別ζ l定義されている相等とあわせて,部分集合を複合 的な概念として定義する。 ζ ζ で,部分集合の二つの定義のしかたは論理的にはまったく任意である にしても,真部分集合の定義自体がたとえば rAの要素はすべて 8の要素になっており . Bの中には A I ζ 属さない要素が存在する J というように複合的になされねばならないとすれば,やはり部分集合 l,問問進氏の定義安見ょう。同国進氏は rAを 1 2の約数 若手複合的に扱うのは不自然と恩われる。次ζ の集合 . Bを 6の約数の集会としたとき. A= { , 12 ,…… 12}. B出{, 12 , " ・ ・6}集合 Bの要素は, H すべて集合 Aの要素になっている J 5 7 )という例から部分集会を定義する。榊氏の導入と異なるのは,榊 氏が全く相互に外的に,かつ外延的に与えられたニつの集合の比較を用いているものに比して,問問 進氏は,内匂的な条件をともなって二つの集合を提示している ζ とである。しかし,乙の段階で集会 A. Bの要素の関の関係と. 1 2が 6で整除される ζ との問に何らかのつながりをもたせて考えるのが 不婆な ζ ととすれば,本質的には榊氏の導入と異なると乙ろはない。 乙れらに比して,聖子沢茂氏の第二次プラン及び岡田昭弘氏のプランでは,たとえば 要素と r 6涯の人の 6涯の男の子の集会の婆素をくらべてどらんなさし、。どんな ζ とに気がつきますか J58) という 発問から部分集合の定義を導く く,内包的に, ζ とに見られるように,もはや外延的に二つの集合を与えるのではな しかもその述語自体から一方が他方の部分である ζ いる 59Lζ の方法は,野沢氏の表現によれば.r集合の中に集会がある とが自明であるような例を用いて ζ とを気づかせる J58) という,い わば部分集合の認識に変るひとつの前提的な契機の毎夜を明らかにした点にメリットを認めねばなら ない。郊ち,たとえば A {a.b.c~.B={ α. - 9 1- b トとするとき Bの要素 G は Aの要素にも 教育学部紀委第 2 5号 なっているが AとB ! ζ 別々な G が要素として存在しているわけではない。乙のような G が何由霊場 しようと,文字 αによって表現されているそノはただひとつしか存在しないのである刷。 ζ のように, r 集会の中 l ζ 集合 , 複数の集合に驚場する「同じ j 要素の,モノとしての同一性を保註するもの ζ そ がある j という形での部分集合の認識である。 た A, Bの開の関係を調べる ζ ζ の認識をぬきに,たんに別個に,外延的 l ζ 与えられ とは,操作的なレベソレの認識にとどまるのではなかろうか。 しかし,野沢民らのプランの構成に対しても,重要な難点を指摘せざるをえない。すなわち,た とえば r 6 斑の人の集合 Jと r 6斑の男の子の築合Jとでは,すでに,いわば概念の内包のレベルで 包含関係が明らかであって,その要素を問題にする必然性自体が存在しないのである。それを調べて, 一方の要素がすべて他方の要素にもなっているととを知ったとしても,それはトリヴィアノレな認識に すぎない。 従って,操作的なレベルにとどまる部分集合の定義に対する優位性を保存しつつ,乙の難点(操 作的なレベ jレの認識の必然性がで、て ζ ない ζ と)を解消するためには,定義自体の逆転が必愛である。 すなわち,一方の任意の要素が他方の婆素になっているか否かの身元確認は,一方の要素の中から分 出して他方の集合をつくる過程に対し,逆の過程として存在しているのであり, て生ずる集合を部分集合と定義する ζ ζ の"分出、、によ勺 とによって,要素のそノとしての同一性が保証されると同時に, 身元確認の過程の必然性が位寵づけられるのである。武石佳久氏 61)木村稔子氏 62)らが,主』乙空集会が任 意の集合の部分集合である ζ とを指導する必要から,乙のような定義の逆転をはじめて援唱したので あるが,その ζ との意義は,たんに部分集合と空集合の関係にとどまらず,部分築合の概念自体にと って,本質的であったといえる。 J 員序は,プノレパキでは包含をもとに柏等を定義しながらも, なお,相等の概念と都分集合の概念のI f 直観的には,乙の公王室は,元のすべてが一致する二つの集合は相等しいという乙とを意味しているJ 6 3 ) と述べている o 指導の頗序としては,公理的展開の形式よりは,むしろそのととによって述べられて いる意味を重視して,集合は外延で定まるということを,部分集合の前に指導しておく ζ とが妥当で あろう。 第 2章 接 業 蓄 と 授 業 の 過 程 は,私たちの作成した授業警の全体と,その授業の進め方に関する ζ とがらを述べるとと もに,実際の授業の記録の一部を紹介したい。その図的は,私たちの仮説としての授業蓄を,可能な かぎり暖昧さを除いた形で提示するためであり,それに対する評価にかかわることがらは次章で述べ 972年 9月l ム札幌市立東橋小学 たい。授業蓄と授業の過程は,次のニ次にわたっている。第一次は 1 校 4年 2組(授業者須田智恵子教諭)で試みたパイロット・サーヴェイである。 ζ こでは,集合指導 にかかわる基本的な内雰として,集会とは何か,ブール演算,濃度論の初歩の三つを扱い,全体とし 0時間の授業がなされたが, て約 2 ζ ζ ではその最初の部分をとりあげる 6 4 )。第二次は, 1973年 1 1丹ζ i開 校 5年 l組(授業者木下勝弘教諭)で実施された,集合とは何かに関する修工Eプランで,それは約 1 0 時轄の授業を要した。第一次,第二次ともに,授業警の構成は次のとうりである。 ~ L 集合とは, ~ 2,集合のあらわし方 ( 1 ), ~ 3,集合のあらわし方( 2 ), ~ 4,集会となる 性質(第一次では「集合となる条件 J)~ 5,とくべつな集合, - 9 2- ~ 6,部分集合 小学校高学年における集会の指導 第一節集合の導入 の プ ラ ン は , 全 体 と し て 「 集 合 の 導 入 J与を尽的とするものであるが, ζ における集合の導入に鱒する,授業蓄の~ 集 ζζ ではその中の,小域 1について述べる。 合(第一次) きょうから集会の勉強をはじめます。さあ,どんな勉強でしょうか。 ζ のまえまで勉強してきた四角形 のいろいろな性質は,何千年もの背につくられた数学です。それにくらべて,集会は.主主まれてからちょう ど1 0 0年くらいしかたっていない数学です。 ドイツのカントーノレが考えだしました。 専門F:研究されている集合論はむずかしいが,乙れからみなさんが勉強する集会主主のもとになると は,きっとみなさんにもわかる ζ とができます。ある数学者は次のように云っています。 ζろ r 集会論のょいと ろは,やさしい点にある o J ζ ζ れから勉強したらわかるように,集会はむずかしそうでやさしく, しかもやさしいとゆだんしたら,わか らなくなります。それでも,プリントをきちんと読めば,必ずみんなわかる ζ とですから, しっかり勉強し ましょう。 集 合(第二次) 4年生のとき,集会の勉強をしました。おぼえていますか ? ζ れからプリントを使って築合を勉強しま すが, 4年生の集会とはべつの ζ とをしますので,復習は必要ありません。 集合は,いまからちょうど 1 0 0年ほど前, ドイツのカントーノレという人が考えだしました。そのために, i発展しました。 数学全体がすっきりとやさしくなって,その後数学は飛ゃく的ζ 乙のくまえがき〉の部分は,たとえば増臼忠之氏のプランにあるように,カントーノレの伝記を中 心に f 集 合 論 を つ く り あ げ た 人j の よ う な 話 を 用 い る 乙 と も 可 能 で あ り , 授 業 者 の 創 意 に ゆ だ ね る べ き ζ と で あ ろ う 。 な お , 第 二 次 で は 4学 年 で 教 科 書 の 集 会 が 学 習 さ れ て い る の で , そ の 復 習 が 不 要 で ある ζ とを述べる必要があった。 │集合をつくっ示ムt 三ムとつのものを献ムム瓦コ あるもの αが,集合 Eの要素のとき 読みかたは ※ Eミ ヨ G とか a E 三B と饗きます。 r Eは G をふくむJとか r aはgの要素である」とかいいます。 ミヨという記号は, ョーソのヨの字とおぼえましょう。 ほんとうは,ギリシア文字の「 ε J (イプシロン)からとったものです。 ※ 注意 α3Eとか EEα とか舎くと,意味がちがってきます。 あるもの G が集会 Eの要素でないとき E aとか aE 宇Eと書きます。 = s q o Q υ 教 育 学 部 紀 要 第2 5号 集会の定義l ζ 関しては,指導過程は授業警に対象化しえない。授業警は実際の授業のまとめにす ぎず,授業は次のように進行させる。 授業記録(第一次〉 (表面 i とAとかいたどニー Jレ袋に,ア,イ,ウ…・・ヘ コまでのカードを入れたものを提示) T ζ P ・ A. オ,オ主, の袋は何だと患いますか 0 l字がかいである。 ・ カードζ 一枚じゃなく,とれもあるよ。 (カード 2 . 3枚見せる〕 ・ カードの集まり そうですね。 ζ の袋 Aのように,いくつかのものが集まってひとまとまり になったものを集合といいます。 ζ の集会 AI とは何が入っていますか。 ・ 字をかいたカード そうですね。(何枚かカードを出して確かめる) ・ますか? ・ ァ,・ r オJは入ってい ζ れから調べてみましょう。そのまえに. ・ 入っている 蛙は? ・ 入っていない 「 カjは ? そうですね。 ・ わからない ζ ζ で芸書き方の約束をしましょう。 「 オ j は集合A I ζ 入っていました。 ζ の乙とを A 3 オとかき ます。オモ三 Aとかいてもよいです。 読みかたは……(テキストどうり) ...ーといいます。 だけど,オヨAとか AEオとか.かかない ζ とにします。築 合ヨ要素のように.集会を綴いている方に.要素を閉じている 方に警いてください。 かえるは入っていませんでしたね。乙の ζ とを A~ヨかえると か,かえる $ A とかきます。わかりましたね。 それではプリントの問題 1をやってください。そのまえに, 袋に入ったままならわからないので,築会Aの整案をとりだしてみ ましょう。(板番)ふつう,集会を害事き表わすときは{ }の r t l C要素をかきます。(一枚づつより出して. {}の中に警き ζ んで行く〉 (板番完成) { オ . エ , ア … … } 集 会 Aは,このようなも のの集まりでしたね。 ζ のζ とを.凶ト{ に零き加える)とかきます。 それを' プりント に iと警き 問題 ζ } ι 白 んで.鵠革媛草 1をやつてみましよう。 l 集会 A={ ( 1 ) 次の i ① A I ③ A ( 2 ) 次の│ れを板警 (ζ であるとき, の中 l と.3か会の. どちらかひとつを害事き入れなさい。 ァ @ A I コ2 ヵ 仁 コ ハ C DA の中 l 乙 Aの要素になるものと.ならないものをひとつ警きましょう。 ①仁コε A ② A争 - 9 4- (第ニ次) 小学校高学年における集会の指導 問題 2 集会 B={木下先生,絡葉先生,鈴木先生,藤谷先生} とします。次の! の中 i と.ヨか辛をかきなさい。 ① BL 予J I I扇子 @ B仁 コ 木 下 先 生 ⑤ B I I J I I瀬:t3 @ B仁コ職先生 ④ 8仁 コ 長 嶋 選 手 問題 3 上の問題 2と同じような問題そっくって,となりの人にといてもらってみましょう。 問題 lのねらいは,定義に用いた集会 Aについて,要素になるか否かを見わけると毘時に,記号 ョ,ミわの用い方を理解することにある。問題 2は .Aでない集合 Bについて, ζ ζ れもまた集会である とを知らせるとともに,ョ,やの用い方の練習がなされる。問題 31 ま第 2次でつけ加えたもので, ま全体の討論の中で解き,問題 2は 集会を任意に定義しうる乙との王室解が毘的である。なお,関題 11 子どもが各自とき,問題 3は子どもどうしで正解を点検しあうように作られている。 第 2節 集 合 の 外 延 的 表 示 2 . 集合のあらわし方(1) (第二次) ニつの集合 A . Bがあります。 A={ B={ 質問 乙のこつの集会は,同じだと恩いますか.ちがうと思いますか。 . Bが同じ集合のとき. A Bと書きます。 集合 A 同じ集会でないときは AキBと書きます。 ζ のことから,集会をあらわすひとつの方法は.要素をぜんぷ書けばよい(J 民 I 序はどうでもよい)という ζ とがわかります i表示されていたが,その著書き方はいかなる自由度をもつのかを確認し 前時にも,集合は外延的 ζ なければ,その表示の意味自体,明篠さを欠いている。その乙とは,量を認識するさいの,保存性の 獲得と開様な位置づけが可能であろう。その意味で,表示の1 ) 箆序の任意性を導く蕊礎として,高官時か Fhu QU 教 育 学 部 紀 要 第2 5号 ら集合を袋 ζ i入れたカードのワン・セットとして定義したのである。しかし,乙のような定義を用い た場合,ひとつの袋(集合)を用いる武石プランでは,もとより自明な発簡をしているにすぎない ζ とになる。そとで本時は,間じ文字のカードが入「たニつの袋(集合) A. Bについて,それが同じ か違うかを問う して. ζ とになる。前時の学習から,子どもは容易に同じであると考えるが,それをもとに r 集会は要素できまる Jという外延性の原理を磯認し,その認識をもとに,外主主的表示の本質 的な意義を指導する ζ とが,目標となる。授業の過程は,次のように,ほとんど一意的に決定される。 なお,外延的表示を約束1.内包的表示を約束 2としたのは,第 2次からである。 授業記録(第一次) T:それじゃね,乙れ, ζ れは先生のうちのゴミ袋。 P: ワーでっかし、。ヘェ一。ゴミ入れてないだろうね。 T: ゴミ一四も入れていない,新しいのだよ。今日はね,集会 A と集合 Bについてしらべてみます。 どんな要素からできていますか。 P: ・かたかな・字・カード・マジック・かたかなのカード T:ζ の A の嬰素をひとつづっとり出してみるよ。だして審いて行くからね。まず……- ケ p (次々にとりだし,読んでいく) P:ク,ア.コ,オ,ウ,イ,エ,キ,カ r:集合 Aの婆素だしちゃ「たよ。それではプリントに,あのとうりかいてみましょう。それでは て ζ んどは Bo (同様に) P: ェ,ウ,イ,ア,キ.オ, コ,ケ,ク,カ,最後はぜんぶカだ。 T: ( r質問 Jを読む ) ζ の袋,もうからっぽになっちゃったけど,集合 A と集合 8は同じでしょ うか。そこの(プリント)に自分で考えてかいてみてください。 T:そしたらす乙し話しあい,討論してみるよ。開じかちがうか。まず,同じだと思う人。半分ち ょっと.Ysぐらい。ちがうと思う人? p :.多数決でさめるか。 T:多数決ではきまらないよ。それでは意見を言ってください。 P: ・同じ。理由はわからない。 ・A と B両方とも同じ文字だからね,同じ。 ちらも要素が同じだから 0 ・A と BのI J 箆番号がちがってもね…… T:ちょっとちがうよ。 ・間じ。 A と Bはど ・さっきい「たんでしょう。 J r 願書手がちがっても,要素が同じだから…日。 それでは調べてみますよ。 A の要素ひとつひとつが Bの中にあるかどうか。ケは? P:ある。(同様に,最後まで) T:いま,集会 Aの要素をみていったけど,ないのありましたか? P:ない。 T:ζ んどは 8の要素が A にあるかどうか調べます。あった場合は線で結びます。(調べる)ない のあった? P:ない。 T:それで,ど「ちいいの? p 同じ。 (乙の後,授業蓄を読んで確認して行く) - 9 6- 小学校高学年における集会の指導 問題 4 次のこつの集会は河じですか,ちがうでしょうか。 ① A 謂{ァ,ィ,ゥ, } B謂{ァ,ィ,ゥ} @ @ A { a,b. c,d} A謂{太郎,花子、みち子} ④ A={あ,い,ぅ.え,} 第 開 a={a,b,e} B={みち子,太郎,花子} B={あーい,う,ぇ,ぉ} 3節 集 合 の 内 包 的 表 示 3 , 集合のあらわし方 〈第一次,第ニ次) ( 2 ) A需{ }とします。 ζ の集合を, ζ とばで表わしてみよう。 Aは B {o , 2 ,4 ,6 , 8 ,}とします。 坦 Bは 集合は,要素を全部脅かなくても,要素がもっている共通の性質であらわす ζ とができます。それは, 次のように書きます ο A={XIXは B={XIXは ζ のように書く意味を考えてみましょう。たとえば 8について,次の 3 とを考えます。 11 ;:1:.ひとけたの偶数です。 乙の! の中ζ i,いろいろなものをあてはめてみます。その中で,文が疋しくなるもの全部あつめて集会 をつくると, もとの Bと同じになりますね。 約束 2 集会をあらわずには,要素がもっている共通な性質でかけばよい f 集合は要素できまる Jζ とをもとにして,要素をさめるような述語(授業蓄では「性質 Jとい う表現を用いている ) κ よっても集合を表現しうる である。 ζ ζ と,そして,その具体的な方法についての学習 乙で,二つの集会が具体例として用いられる。 A は,それぞれの授業を行なうクラスの宕 干名を要素とする集合で,第一次では r4年 2級のめがねをかけた人 j が,第ニ次では, r5年 1組の 西町 2丁目に伎んでいる人 Jが用いられた。乙のような素材を用いるのは.一見,たんに窓意的 ζ i集 められたいくつかの要素が,じつはすべてある共通の性質をもっている ζ とに気づかせる過程を重視 したからである。 Bのように,すでにある性質を前提として選びだされたものの集合ではその乙とは i,授業の後者の局的についての 期待できない。 B は A をもとにして,その ζ とを意識化すると同時 ζ -9 7- 教育学部紀要第 2 5号 素材として位置づけられている o t . r : t o , r 仁 コ は ひ と け た の 偶 数 で すj と い う よ う な 文 の 中 川 で すJは,集合を乙とばで表わすさいの「ひとけたの偶数の集会 j という表現とのレベルのちがい,あ るいはその Z が要素を代表するものである乙とを明確にするためであって,第二次でつけ加えたもの である。 ζ の授業蓄の最後の方では「です Jは省略してよい,と記してあるが,乙のねらいが達成さ れれば,その時点で省略する乙とは可能であろう。 授業記録(第二次) T:きょうは,いま, (5年 l組の子どもの中から,その名前を板霧〉 P:ぁ,集合 Aは乙のクラスの集まり(騒がしく,藤、得不能)・ f 先生,僕は ? J r 僕をお芯れな くj T:さて,先生がいま黒板ζ表した名前なんですけど,乙れは一体,なんだと思いますか? l P: ・男子の名前・ 5年 1組 の 男 子 の 名 前 . 5年 1紐の男子のみよじ・あるものの集会・集合 A の要素にな勺ている人・その要素は全部,菊水酋町 2了 尽 の 男 子 ・ あ あ / T: じゃ,みんなのプリント I C , A Iま 5年 1組の函館J2丁目に住んでいる友だちの集会とかいてく ださし、 o P: ・先生,それよりも f 浅町 2丁目に住んでいる, 5年 1組の…… j の方がいいよ。 ・いや,地 球. 日本…… j ・「太陽系・…・・ J • r 男子」っているの?・いないから…… T:ζ れは何であらわしたんですか? p : • Aの集合を ζ とばであらわした。 T:では次のととろ, ζ れは何だと思いますか? P: (多数挙手)・いちばん小さい偶数の集合・ちがう・ 8までの偶数の集合・ 1 0未満の偶数の集 ム 、 口 T:なるほど P : O以上 8以下の中の偶数の集会・ひとけたの偶数の集合 T:いままでたくさんでたよ内どんな表し方がいいんですか。 P: ・ひとけたの, 8までの偶数の集合・ひとけたの整数で偶数 T: r ひとけたの偶数の集合 J乙れで鯖単に表わす ζ とができましたね。それでは,そこに書いて くださし、。 以上が前半部であるが,授業では次主主 ζ I述べるように,後半部で,本盤的なと乙ろで誤った展開 となった。従って後半部は,第一次のを紹介する。 授業記録(第一次〉 T:それでね,今日はね,新しい書き方を教えます。 xは 4年 2組のめがねをかけた人} p :• ζ の Aを , ζ ういうふうに書きます。 {xl r …...かけた人の集会 j T:そうすれば Bはわかるね,書いてください。 r 集合 Jという ζ とばはムう乙 ζ iとはいらない よo P:わ か る の ? T :{ }でもう集合をあらわしているんだから。(板番〉 P: ・あってた・簡単だよ T:そしたらね,次に, ζ の警き方の意味を考えてみましょう。 -9 8- 小学校高学年における集合の指導 4年 2組のめがねをかけた人 口は とういう文章を考えてみます。との己の帆,乙の総のいろんな人のを入れて,あってた らζ 勺ち(黒板 iζ{ }をかく)に入れていきますよ。 読んでもらいます。(口町一時入れる〉 P 今村さんは 4年 2組のめがねをかけた人 T:いいですか o P:ちがう。 T:次 P:出崎君は 4年 2紛のめがねをかけた人,いいです, ・先生,ただしいかまちがっているか「め がねをかけた人 j だけでもいい T: うーん、はい次 P:土門さんは………-いいですむ (以下同様) T:それで今,どうしたかというと,ととの Z の と 乙 ろ の か わ り に 口 U たんです。いろんな 人そあてはめて,乙っちに集めたんです。そしたら? P: ・上と同じになった 0 ・Aの要素と同じになった。 T : Aの要素を,きのうの書き方と I J 買序はちがうけど? P: ・閉じだ・わかった T : xのととろにあてはめてみて,……今日新しく勉強したんです。………正しいのだけ ζ っちに 集めてくると,きのうの書き方とおんなじになった。 ζ のxは,乙ういうものを全部 P: まとめたもの T:それが今日の表わしかたです o B <b同じよう札て考えてみます。 口はひとけたの撒 措くよ。また口ζ l入れますから読んでください。正しいのはまた ι 目的っておき ますよ。 P: ・Oはひとけたの偶数・いいでーす。 •1 8はひとけたの偶数・ちがいまーす 0 ・1はひとけたの偶数・ちがいまーす。 (以下同様) T:まとめてみると・さっきの集合 Aと同じように を入れてみた。いれてみて, ζ xのと ζ ろ に 口 そ っ く っ て , い ろ ん な 数 「ちの性費にあうものだけをとってきたら,きのうみたいな書 き方と P :同じにな「た。 T:だから P:同じ, ζ の集会と ζ ( 乙 ζ の集会は でプリント配布) (第二次) 問題 5 次のように脅かれている集会を,約束 1の方法で表わしてみましょう o ① A={XIXは1 0より小さい奇数です。} -9 9- 教 育 学 部 紀 婆 第2 5号 A={ } ② A {XIXは 3より大きし 7より小さい整数です。 苫 A ={ ③ A={XIXは1 2の約数です} A ={ ④ A={XIXは l遊間の曜日のひとつです。} A ={ } 問題 6 次の集合を,約束 2の方法で表わしなさい。 ① A {O. 2 . 4 . 6 . 8 . 1 O } A={ @ A立{木下先生,稲葉先生,鈴木先生,藤谷先生} A={ ③ A出{いかりや長介. l f 中本工事,高木プー,荒井 i i . 加藤茶} A明{ 謂 ④ E= {O. 1 . 2 , 3 , 4 . 5 . 6 . 7 . 8 , 9 . 1 0,1 , 1 1 2 .1 3 } E謂{ B ={春,秋,夏,冬} 8出{ ① 第 4節 集 合 と な る 性 質 4 , 集会となる性質(第二次) 前の時窃にやったように,集合は. r めがねをかけている j とか. r 偶数Jとかの性震をきめれば,そ れをみたす集会がきまります。 次の集合を,約束 1の方法でかきましょう。 質問 A={Xlxは 5年 ① l級の美人です。} A={ ② A {XIX I ま小さい数です。} 需 A明 ζ ζ } のように,性質のなかには,あるものがその性震をみたすかどうか,はっきりしないものもあります。 のような性質をみたすものの集会は,つくる ζ とができません。 跨 媛 7 次の性質で,集合をつくるものには O . つくられないものには×そっけなさい ① 札幌市の小学校です ③ 背の高い子です @ 1以上, 1 0以下の整数です ④ うたのじようずな人です 問題 8 次のものの集まりで.集合といえるものはどれですか。 ① 若者たち @ 2 0さい以下の日本人 ③ 算数がよくできる人 @ おもしろい本 ③ 「ももたろう Jの け ら い ⑥ おいしいおかし 質問 つぎの f 生餐は,集合をつくりますか。 3でわりきれる整数 - 100ー 小学校高学年における集会の指導 i限定し,無限集合は扱わない乙のプランにおいても¥¥述語のモノ化、、 指導の対象を有限集合ζ はなお次のこつの問題を内包している。害事ーに,仮に考察の対象会全体としてひとつの所与の有限集 会に限定したとしても,その部分集合を決定する述語が, らないという,きわめて強い条件が必要である。 ζ とであ「て ζ 、、真偽の原理的決定可能性、、をもたねばな の ζ とは対象の有限性,無限性以前ζ l 問題になる r Xは P(X)である Jという文の XI 何かを代入して,それが命題となるか否かの判定が ζ できればよい。その代入されるべき何かは,さしあたり全体集合の中で考える必要はないのである。 ζ の問題は,乙れまで,集会の定義 ζ l 関する「全体の確定性 j と呼ばれているが,集合以前の,述語 のもたねばならぬ特性であると と無限の問題であり, ζζ ζ r ろから,仮にいま. 述語の対象決定作用 Jとよほう。第二は,有限 では無限集会はとり扱わないのであるから,集合をつくる述語は,何らか の形で対象を有限なものに限定するものでなければならない。 とよぷ。 ζ ζ ζ の問題を仮に. r 述語の有i 浪化作用 j の場合,集合をつくる述語は,乙のニつの作用をあわせも「ていなければならず, しかも の二つは明確に分離して把握しておかなければならない。 乙のセクションでは,そのために,まず最初の質問で,集合をつくる述語は対象決定作用をもた ねばならない ζ とをまず明らかにする。費時の文の中にある「集合 j という表現が誤りである乙とを 結論づければよいのである。問題 7 . 8は,それぞれ述語それ g体に対する対象決定作用の問題と, 臼常語で,あるセットとして扱っているものが,集会といえるか否かを判定する 後の「質問 j は,第ニ次でつけ加えたものであるが, ζ とをねらう。その ζ れに対しではニつの考え方が出される ζ とを 期待している。第一は,述語の対象決定性に定位して,集会をつくるという解答と,第二は郁良化作用 が含まれていない乙とに定位して,集合をつくらないという解答である。乙の二つはいずれも正解で あり,まとめとしては,有限化作用をもっ述語をつけ加えれば,集会ができる,とすればよい。なお, プザントの配布は,最初の質問についてのまとめが終了してからが適当であろう。なお . ζ の部分の 授業記録は,第一次では簡単に教締が結論を与えてしまっており,第二次では,前節のおわりの部分 ζ l,外延的表示を内包的表示ζ i直す簡題を作らせる中で指導されたので,授業警に対応する授業記録 は存在しない。しかし,第二次の作簡では,ほぼ,最初の質問がねらっていた水準までは達成されて いたので,その部分を紹介する。 授業記録(第二次. ~ 3の終りの部分) T:どんな問題をつくりましたか P:; 集合目={岩戸,荒井,河瀬,伊藤,守谷} T:ζ れ は ? P:日 ={XIXは東橋小学校 5年 l経のとくに況な人 j T: ちょ「と待てよ P:東橋小学校といってもまだ日な人いるかも知れない・ 5年 1組といっている・「とくにjだも ん,いい 0 ・なんぼ「とくに j といってもね,ほかにまだ自分では Hでないと思っていても偽 の人が Hだと思っていたら.. T:まだいるかもしれない。 P: ・いるよ,いる T:ζ れは集合になるの,ならないの? P: ・その条件が,わかるっていうか…・・・集合をつくる条件がちゃんと保証できてないと,その 集合はつくれない 0 ・ある人がそう思っても,ほかの人がそうでないと思うから・でも集合は -1 0 1- 教 湾 学 部 紀 要 第2 5号 できるよ・みんなが納得できるような問題をつくらないと・そうだ・そうだ・だけどできるん でしょ集合は・はっきりきまってない集合をつくっても,みんなには理解してもらえない。 (以下略) 授業記録(第二次,最後の「質問 Jのと ζ ろ 〉 T:質問について考えてみよう。 P: ・3で言語りきれる数は無限の数まで行く。. 3で割り切れる数は万とか億とかいくから,乙の 苦 手jり切れる数かを書いていないから,わからない 0 問 題 は ど ζ までの 3で ・集合をつくる条件が向かひとつぬけている・範留がはっきりわからない・整数はいつまでも 終らないから…・・ T:で は , 美 男 子 や 美 人 の 問 題 と く ら べ た ら ? P: ・3で苦手jりきれる数は.わりきれたりわりきれなかったりするが,美人の問題はその人によっ てちがう 0 ・3で割りされるのはある程度は集合をつくるけど,美人は集合をつくらない。 • 5年 l組の美人です,というのは偶人の考えで, 3でわりされるというのは,みんなでいく ら考えでも終らない。 (以下略) 第 5節 窓 集 合 5 とくべつな集合 (第二次) 問題 9 次の性質は,集会をつくりますか。 ① 質問 7の倍数です@ ② としが 4 0さい以上です。 次の集合の婆 3 震を,ぜんぷ警きなさい。 ① A {XIXは1 0以上2 0以下の?の倍数です。} 招 ② A={XIXは ζ の総の 4 0さい以上の人です。 「一ーまとめと ζ とばの約束 ① のように,要素がひとつしかなくても,性質をみたすかどうかがはっきりしていますから,集合 になります。 ② のように,要素がひとつもない集合もあります。 ζ の集会を,空集合といいます。空集合はふつ う,長ざとかきます。¢はギワシア文字で,ファイと読みます。 問題 1 0 次のものの集まりのなかで,集会でないものには X,空集合には¢のしるしをつけなさい。 ① 火援に行った ζ とのある人間の集会 ② 背の高い人の集会 ③ ④ B本l とある , 9 , OOOm以上の高さの山の集合〈 日本の,おいしいお潤の集合 ⑤ ⑤ 3より小さし 7よ り 大 き い 整 数 の 集 会 ) ζ の組で,身長が 2 m 以上の人の集合( 問題 1 1 次の文で,まちがったものはどれですか。 ① O30 - 102- 小学校高学年における集会の指導 どんなもの X をとってきても x牛 戸 ② @ o={o} o ① {1} 1 {ァ}ヨア 前節で述べたように,集会をつくる述語は,対象決定作用と有限化作用のこつをなんらかの形で 備えていなければならない。そ ζ で,前者をそなえていながら後者をそなえていない連語を提示い それが集会をつくるか否かを判定させる。その結論として,有限化作用がつけ加えられれば集会にな る ζ とを確認し(問題 9),質問にでてくるこつの集合が集合としての資格を有している ζ とを論理的 に準備する。質問の①は一元集合であり,質問の@は~集合であるが,一元集会のもっている特殊性 は乙乙ではさほど問題にはせず~集合の導入のためのステップに位置づけているにすぎない。一元 集合においてもなお,集合と要素そ区別するととの必然性は, ζ の段階では必ずしも重姿でない。だ から,一枚のカードと,そのカードがス;っている袋とはちがうととを確認する程度でよいだろう。空 集会は,その外延的表示の方法もまた授業の中で十分に討論される必要があろう。たとえば{なし} と書く ζ とは,梨がー偲の集合になってしまう,などの例で.何どとかを書く い乙とを示す ζ と,また五百の指導の後には, ζ {O}と書くと空築合ではなくなる 空の袋がひとつ入っている袋とは異なるものである ζ と自体が空集合でな ζ とを,笠の袋と, との認識を通じて明らかにされねばならない。 乙れらの ζ とを十分に確認するため,授業書では「要素をぜんぷ書きなさい Jという質問にとどめ, その外延的表示は討論の中で明らかにされるべき ζ ととして残しである。問題 1 0, 1 1は定着のための 0は答をあわせる程度,問題 1 1はひとつひとつ正否の理由をだしあって進めるの 問題であるが,問題 1 が妥当であろう。 第 6節 都 分 集 会 6 部分集合(第一次,第二次) A {o. 1 . 2 . 3 . 4 . 5 . 6 . 7 . 8 . 9 . }とします。 Aの中には,いろいろな性質をもっている要素があります。 2 次の性質をみたす集合を,約束 1の方法であらわしなさい。 問題 1 B={XIXI ま8より大きい Aの要素です。 i 明 B={ C={XIXは 3でわると 1あまる Aの婆素です。} C謂{ D {Xlxは 3以下の獲数です。} 出 D={ 上のように,ある集合Aのなかで,ある性質をもっている要素の集会(たとえば. B .C . Dなど)のと とを. I Aの部分集合│ といいます。 2の B . Cは rAの要素ですj という述語が 分出公理による部分集合の定義の指導であり,問題 1 有限化作用をするもの. Dはそれ自体が A の部分集合で,有限伎が明らかなもの,となっている。 授業記録(第二次) T:今日は,部分集合にいきます。いま ζζ に . Aという集合をかいてみます。乙の集合は,何の -1 0 3- 教育学部紀婆第 2 5号 集合という ζ とができますか? P: .{xlxは 1 0末満の整数}. {x Ixは 9以下の整数}・ {xは O以上 9以下の整数}・{x I xま9までの整数} , T:ζ の Z っていうのは何ですか。 A と罰じものですか? P: ・ちがう・乙の Aはまとめたもの .xは要素のひとつひとつ (牟実際の授業では,次章に述べる事情から. されていた .Tの発簡は, ζ {xIxは 1 0未満の整数の集合}と誤って発言 の誤りに対する注意である。) T :{xIxは 6より大きい Aの要素です } ζ れを.約束 1の方法でかいてみてください o P :{7, 8 , 9} T:Cは ? .P:{4 , 7} ・ {l, 4 , 7} T:Dは ? ・P:{3 , 2 , 1 . O} ・先生 j 順番反対だよ・いいしょ o T:いままでやった集合と,今の集合では.ちがうと乙ろありますか? P: ・Aの集合のものの中の集合しかやっていない と,要素が…… H 0 ・要素がきちんときまっている。 ・いつもだ ・今 8ゃったのは,集合 A からその部分をとったけど,いままでは,そうい うきまった婆素からとって乙なかった。 ・前までやっていたのは集合の中の婆素の性質だけで, ζ んどやったのは要素でいくつかにわけ,その中の性質をやった。 T:なるほどね。 ζ れが部分集会というわけです。(テキスト読む)今の考えをつかって,問題 1 3 をやってください。 第一次 開緩 l ク l ケ ト「 F わかるさんすう J4 1日版(変芸書房) P 77より複写 ① A={xlXI ま2組のむかいあった辺が平行} ② 8 A={ 出 {xIxl まl組だけのむかいあった辺が平行} B={ @ C={xlxはすくなくとも一つの角が直角} C出{ @ D {xIxl ま台形でない} 坦 。={ - 104- 小学校高学年における集合の指導 ⑤ E={XIX!ま4つの角がすべて宮( j 'より小さい} 第二次 問題 1 3 P= {3. 4 . 5 . 6 . 7 . 8 . 9 . 1 0 .1 1 .1 2 .1 3 .1 4 .1 5 .1 6 .1 7 . 18}とします。 次の性震をみたす Pの部分集合を,約束 lの方法であらわしなさい。 ① A おお {XIX! まPの要素で.素数です。 1 *素数とは. 1とその数以外 l と約数がない整数 窃 B={XIXはPの婆素で. 4でわると 3あまる数です。} ③ C {XIXはPの婆素で. 4でわると Oあまる数です。} ④ D={XIX!まPの要素で .11の倍数です。} ⑤ E={xlxはPの要素で. 7以上 .10以下の数です ο ⑤ F={XIXはPの要素で. 2 0より小さい} ⑦ G={XIXはPの要素で,約数がひとつしかない。 問題 1 3は,部分集会の定義の適用による定着をねらうだけでなく,部分集合に関する基本的な諸 性質を導く ζ とも目的とされている。 ζ 乙では具体的には,任意の集合 Aについて Aコ Aが含まれているが,適当なくふうによって乙の授業蓄の最後に o .及 び Aコ nおはない、として述べた,推移律, あるいは部分集合の東構造(非線形な綴序構造)を明らかにするような問題をつけ加えることも考え られよう。また, ζ の問題 1 3のように,それぞれの素材に却して Aコ Aや Aコ¢を把握する ζ とから, より一般化の水準を上げるためのくふうも必要である。 なお,第一次,第ニ次で異なる素材を用いたのは次のようなま翠自による。第一次では,乙の集合 の指導の直前 i ζ !日版 f わかるさんすう J 4の四角形の指導がなされており,初等整数論は指導されていな かった。第二次では,教出の教科書ではあるが.分数の過分に必要な稜度の整数論的な知識が指導さ れていたが.歯形 i ζ ! 鶏する予備的な知識については必ずしも十分であるとは判断できなかった。この ような理由でそれぞれの素材を用いたのであるが,現想的には,集会の指導には豊富な素材を用いる ζ とが必要であり,両者が十分前提として指導されていることが望まれる。さらに,整数論的知識の 内容も,教科書では不十分であり,少なくとも「わかるさんすう J 5の程度の初等整数論が,集合ζ l 先だって指導される必婆があろう。 4 A= {a. b. c }とします。 問題 1 Aの部分集会になるものぜんぶかいてみましょう。 ヒント Aの部分集会ですから.要素の数は 3以下になるはずです。そ ζ で. Aの部分集会で 要素が 3のものは 聖書素が 2のものは - 105- 数育学部紀婆 第2 5号 婆3 震が lのものは 婆業が Oのものは くおはなし〉 ζ の関績は,上のような考え方のほかに,次のように考える乙ともできます。 Aの部分集合は, a,b. C が入っていたり.入っていなかったりします。そ ζ で. 一 一 、 23 との,二つの考え方で, A={イ , ロ,ノ、,ニ}として .Aの部分集合を全部警いてみましょう。いくつ あると怒いますか? ある所与の集合から,適当な条件によって選びだされた新しい集合として部分集会が定義された が.次i ζ 引分出、、のための具体的な条件からはなれて,可能性のレベルだけで部分集合をつくる とが問題はのねらいであるの乙れは, ζ れ分出、、の逆操作としての"身元確認、、への橋渡しにほかなら ない。従ってエレメン卜としては,無規定的な,単なる文字, a, b, cを用いる。乙の問題はまた, 組み合せ論の入り口にもなっており,それら有限数学の指導体系いかんは,今後十分な検討を要する n ζ とであろう。少なくとも,現在の高校教科書のように4: nCr= 炉 の 証 明 と し て . ら ο c 1+x: pの展 開式 i ζ x=lを代入する方法などはととの本質から離れており,問題 1 4とそれに続くれおはない、の セットがその本質的な証明になっているのである。 (第一次,第二次〉 ζ とばの約束 , Eの爺分集合であるととを 集会Aが BコA または ACE と望号きます。 A牛E と害警きます。 部分集合でない ζ とを E中A 時 星 通l l i または E={Q 1 . ~ a~ 5}とします。 ① A={2 , 3 . 5}のとき .EコAですか, EコAですか。 それはなぜでしょう。 @ こAですか。 A= {O. 3 . 4 . 5 . 6}のとき . EコAですか, Eわ それはなぜでしょう。 - 106- 小学校高学年における集会の指導 まとめ Aの要素が,すべて Eの婆素になっていれば . Eコ Aといえます。 Aが Eの部分集合かどうかを調べるために, Aの一つ一つの婆業が EI とあるかどうかを調べる乙とを「身 元緩認 j といいます。 Aの要素の身元緩認をして,すべての婆君主が E I ζ 入っていれば . EコAです。ひとつでも Eにはない要素 があれば怠こわAといえます。 問題 1 6 次のいろいろな集合 EとAについて, E コ A か E~コ A かを,身元緩認をして調べてましょう。 ① E {a.b.c,d,e} A {a.c,d} @ E {XIXは1 0以下の奇数} A= { 1 . 3 . 5 . 7 . 9 . 1 1 } @ E={XIXは20以下の 2の倍数} A {Xlxは2 0以下の 4の倍数} 坦 ④ 口 E={X1Xは臼本の小学生} A={Xlxは東橋小 5年 1級の予} ホ約束 2の書きかたで. ,意味がはっきりしているときには, r ですJを省略する ζ ともあります。 くおはなし>部分集会をあらわす記号つは,不等号>と似た性質があります d たとえば, *AコB で , しかも 8コ Cならば, Aコ Cがなりたつ。 ~a>b で , しかも b >c ならば. a>cがなりたつ。 というように,コは,集会の大小関係、と考えるととができます。しかし,ちがうと ζ ろもあります。数の , aぐbのうち,どれかひとつが必ず成りたちます。 場合には,どんなニつの数で、も, a>bか a bか 誼 それにくらべて . A {2. 3 . 4}, B ={1. 2 , 3 , 5}とすると, Aコ Bも . A=Bも , ACB 詔 も,どれもなりたちませんね。さらに,集会のコは .AコAですが,数の>は a ) > aです。 5は,ニつの独立に与えられた集合 E, Aについて「任意の xについて 問題1 X が Aの主要素なら i 使われている定義を導くための問題である。問題 ば犯の部分集会である Jという,部分集合の通常 ζ そのものは容易にとけるが,そのま翠白を部分集合の定義を用いて正しく述べさせる乙と,及び ら Eへの Aか n恒等写像、、を対応する要素を線で結ぶなどして作る乙とが必要である。そのような恒等写 6はその定着をねらう問題で,①,②,③ではたん 像を作る操作を"身元確認、、とよんでいる。開題 1 に内包的 ζ処 i 理するだけでなしそれとあわせて外延化した証明が必要であり'@はもっぱら内包的 に処理しうる問題となっている。 なお,集会のシェーマとしてしばしば用いられるベン図については ζ ζ では次のような理由で それを用いなかった。 ベン闘は集合のシェーマであり,集合の漣解をたすける ζ とは疑いえない。しかし,一般にシェ ーマと呼ばれているものには,少なくともニつの区別すべき内容があるように患われる。ひとつは, 数とその計算体系におけるタイルのような私ので, ζ れは教育内容のもっとも本質的な構造をになっ た具体物である。いまひとつは,内包議の面穣図表示のように,内包量そのものとはちがった,ある 空間的対象への"向型写像、、のようなもので,ベン閣は集合そのものの構造よりは,単純閉曲線が平 面を二つの領域にわけるという位格的事実にもとづいたもので,従って後者のシェーマと考えられる。 -1 0 7- 教 育 学 部 紀 嬰 第2 5号 前者のシェーマは,指導の最初から教えるととが当然であるのに比して.後者は,たんなる早期導入 では.シェーマがま理解されたが当の教育内容は理解されなかったという事実も生まれかねない η 従っ てベン図は,ひととうり集合の基礎的概念を ζ の授業警で与えてから,ブール算へ移行するさい導入 するのが適当であろう。 第 3章 授 業 蓄 と 捜 業 過 程 の 評 価 当 然 の ζ とながら,評価は一般に教育諸実践の改善のためにある O 私たちの方法論からしでも, 評 価 は 授 業 警 の 全 体 と し て の 当 否 を 明 ら か に す る 乙 と , そ し て そ の ζ とを通して問題点を究明し,授 業過程の改善をめざしていく ζ とを g的としている。そ ζ で本意では,評価テストとその結果をまず 示し,次にそのiE答率の溶ちた問題に関してその原因と考えられる乙とがらを考えてみたい。なお, 資料としては第二次のもの用い,第一次については正答率を示すにとどめる。 第 1節 評 価 テ ス ト と そ の 分 析 ( )内 ζ l疋答率を示す。ただし,第一次 3 5名 , 第 二 次 4 1名 第一次 評価テスト ( 1 ) A= {O, 2 , 4 , 6, 8 , 1O}とします。次の仁〉臼かやか,どちらか一つ持き入れなさい。 ① A口 ス ② A口 (94%) @ 6 ( 9 7 9 ぢ 口 A口 ヵ ④ A 口えんぴつ也 A 1 0 ( 9 4 9 ぢ ( 9 7労 (97%) ( 2 ) 次の集合を要素の性質でかく方法であらわしなさい。 む A {O. 1 . 2, 3, 4, 5, 6 . 7, 8, 9 . 1 0,1 1 .1 2 .1 3,1 4 . 15} (94%) 出{ 口 A={木下先生 ② i 質問先生.菊地先生,斉藤先生,藤谷先生} (88%) ( 3 ) 次の集会でさE集会はどれですか。空集合には Oをつけなさい。 ① ( 8 6形)火援に行った ζ と の あ る 人 ② @ ( 6 3 9 ぢ) 4年生でいたずらっ ζ の集まり ( 8 0忽)北海道 l とある市③ ⑤ (80%) 4 0以下の穫数 ( 8 3 9 ぢ)だるまの足 ( 4 ) ァ,ィ,ゥ,…-…・ケ,コの文字が,下の閣にかいた人をあらわします。集会 E={ァ,ィ,ゥ,ム オ,ヵ,キ,ク,ヶ,コ}とするとき,次のいろいろな芯の部分集会を,要素をすべて望書く方法でかい e てください。 ィ白色 3 {X1Xはめがねをかけた人} (97%) {xlxはひげをはやした人} (91%) C={XIXはめがねをかけて,ひげをはやした人} (88紛 D={xlxはめがねをかけていない人} ( 91;約 A E 明 B 口 94 併i 争 ; e ?号@ F G ① 胃 {XIX! まひげをはやしていない人} ( 9 7予約 出 {xlxはめがねをかけていないし,ひげもはやしていない人} (100%) H {X1X Iま,野球帽をかぶった人} (33%) (979的 口 ( 5 ) ある集合 Aから,いくつかの婆棄をえらんできて,集合 8をつくりました。 いものには 0,まちがったものには×をつけなさい。 @ ① (41%) BE'A ③ (94%) BがAの部分集合かどうかはわからない。 ( 8 5 9 約 BはAの部分集合です。 - 108- ζ のとき,次の文のiEし 小学校高学年における集合の指導 ( 6 ) A {3. 5 . 8 . 9 . 1O}とします。 ① 仁 コ は 4でわりきれるような Aの製薬 詰 という文の仁コ lζAの要素を lつづっ入れてみましょう。それぞれの文は正しいですか。正しいと きには O . まちがっているときには×をつけなさい。 は 4でわりきれるような Aの要素 は 4でわりきれるような Aの要素 は 4でわりきれるような Aの 要 素 ( は 4でわりきれるような Aの 要 素 ( 82~ぢ は 4でわりきれるような Aの 要 素 ( ② 8 口 {XIx Iま. 4でわりきれるような Aの婆素}とします。 Bを要素をぜんぷ苦手く方法であらわ しなさい。 B={ 79% 第ニ次 評価テスト ( 1 ) A = {O, 2, 4 . 6 . 8 . 1O}としますo 次 の 仁 コ の 中 i 臼か料、どちらカ叫つを討入れ 口8 口 C DA 口t ゆ A ② A 3 (93%) (90%) (93%) ( 2 ) 次の集合を,約束 2の方法〈要素の性震でかく方法)であらわしなさし、。 ① A {O, 1 . 2 . 3 . 4 . 5 . 6 . 7} (88%) ② A={木下先生,稲葉先生,鈴木先生,藤谷先生} (93%) ( 3 ) 次のあつまりの中で, Z E集会には O. 築合にならないものには×をつけてください。どちらでもないも のもありますよ。 ① 5年 1総の,ちょっといい男の集まり (93~約 @ 5年 1組の. 4 0さい以上の人の集まり (78%) ③ 北海道にある市の集まり @ 北海道にある人口が (90%) 1 5 0万以上の都市の集まり ⑤ 北海道にある,にぎやかな都市の集まり @ 4 0以上の整数の集まり ⑦ 6の約数で 1 0より大きい数の集まり (73%) ((80~約 (76%) (78%) 倍数ではありません ③ あまり大きくない整数の集まり (tl5~ぢ) ( 4 ) ア,ィ,ゥ,エ,ォ……・・ケ, コの文字が,下の図K.奮いた人をあらわします@集会芯={ァ,イ,ゥ, エ,オ,ヵ,ニト, ク,ヶ,コ}とするとき.次のいろいろな Eの部分集会を,約束 Iの方法〈婆 3 震をすべ f九 位 て書く方法)であらわしなさい。 在J ウ~~ ① A 出 E {XI叫 が ね を か け た 人 } = { } (98%) B={xIXはひげのある人} 珍品作男: } 000%) C 詰 {XIXはかみの毛が一本もない人} ;争ヶ@合@ } (100%) D={XIXはひげもあって,めがねをかけている人} -109- 教育学部紀要第 2 5号 @ ={ F {xlXはひげもないし.めがねもかけていない人} (98%) 、 ( 9 8 9 ぢ) ( 5 ) ある集合 A から,いくつかの婆素をえらんできて,集合 Bをつくりました。 ζ のとき,次の文の正しい . まちがったものには×をつけなさい。 ものには O ① Bi まAの部分集合です。 @ @ @ BがAの部分集会かどうかはわからない。 ( 7 8 9 的 ( 8 0 9 ぢ 〉 Aの要素は,どれも Bの要素です。 ( 7 6 5 ぢ 〉 Bの要素 a . どれも Aの要素です。 ( 8 0 5 ぢ) ⑤ BCAです。 (59%) ⑥ B巴 Aです。 (59%) . 8 . 1 0 .1 2 }とします。 ( 6 ) A= {3. 5 ① 「仁コは 4でわりきれる Aの婆素です Jという文の「つの中 lζ.Aの婆 3 震 を lつずつ警き ζ んで みましょう。 ( 9 8 9 約 は 4でわりきれる Aの婆素です。………( │ ) l ' ま4でわりきれる Aの婆棄です。………( i i は 4でわりきれる Aの要素です 0 ・・・ . .( H H は 4でわりきれる Aの要素です。'"・ ・ . .( H i ま4でわりきれる Aの 献 で す 0 ・・・ ・ ( H H ② 上のそれぞれの文が.iEしいか正しくないかを考えて .iEしいものには Oをつけてください。( の中 I C答をかきましょう。 ③ (88%) B {XIXは 4でわりきれる Aの婆素です}とします。 Bを約束 1の方法(婆桑をぜんぶ警く方法) 明 でかいてみましょう O B= { }( 9 3 9 約 評価テストは第一次,第ニ次とも,授業終了後 1 週間 ~2 週間のあいだに実施された。(1)は.記 号ヨとその否定の意味を閥う問題, ( 2 )は.外延的表示をなんらかの方法で内包的表示になおす問題で, 記法がiEしく,かつ表示が集会 Aを定義しえているとき B 正答とした。 ( 3 )は,集合と集合でないもの を区別し,さらに集会については空集合と空集合でないものをほ別する問題である。(第一次では後 0 ( 4 )は‘ある対象を示す文字の集会 ζ l 隠して,一 者の区別のみを問うている ) この述訟とその否定を くみあわせた要素を分出して部分集合をつくる問題で,ケアレスミス,あるいは留の見まちがいを想 定して,各集合についてー偲以下の婆索の誤りをま答とした。 ( 5 )は,部分集会の定義 ζ i 相当する文を あたえ,それを三種類の向儀な表現であらわしうるか喜子かを問う関越である。それぞれ,二つの文が ペアになっており,子どもの集合理解の論理的レベ Jレを解明する乙とをねらっている。 ( 6 )は,分出公 震による Aの部分集合 Bを構成する過程そのものが潔解されているか否かを問う問題で,本実験プロ グラムのもっとも本質的なねらいが実現されたか否かが評価される。 上記の i E答率表は. 2間 に わ た る 実 験 プ ロ グ ラ ム の 結 巣 が ま ぽ 罰 様 な 傾 向 を も っ て い る 示している。郎ち. ( 1 ) , ζ とを ( 2 ), ( 4 ), ( 6 )についてはほぼ90%前後の正答がえられ, ( 3 ) . (切については,そ れぞれ若手の分析すべき問題を残しながら. 80%前後の正答をみせている。そ ζ で次に, ( 3 ) . (切につ いて誤答の傾向を示したい。まず, ( 3 )について,空集会になるもの,空でない集会になるもの,集合 にならないもの,の三三つに関してそれぞれ,次のような人数の分布を示した。 - 110- 小学校高学年における集会の指導 G主文ご美一~ごこま一〈五つ : i i i ; F 人④ A. 空集合になるもの(@. @).⑦) @ @ ⑦ 8 ¥- B. ~でない集会(@. @) @ ⑥ C. 集合でないもの(①. @.⑥) ① ⑧ ⑤ 乙の結果は.まず第一 i 乙集合でないものの弁別が,空でない集合との対比では,ほぼ完全に理 解されている ζ とが Bからわかる。しかし第ニに, Z E集会との対比では. A. Cともに 80%( 3 3人) 前後の子どもに理解されたにとどまっている。第三ζ i,空でない集合と空集合の区別は.@で 7名が 空集合とした ζ とを除けば,いずれの問題もほぼ理解されていると考えうる。 ( 5 )の①,②,③ .0は,部分集会の定義とその逆のれ身元確認、、が,ほぼ80% 弱の子どもに理解 されている ζ とを示している。①,②ではそれぞれ 9名が①を X. ②を Oとしている。 ち 4名は③,④で正答していた。 ζ ζ の 7名のう の ζ とは¥¥選びだすu という行為を,部分集合というタームと は別に,身元確認の必然性に結びつけるととができていると考える ζ とができる。乙のQ). @.③, ④の誤答で注目されたのは,①,②ではほとんどが①を X. @を Oという,いちおうコンシステント -1 1 1- 教育学部紀要第 2 5号 な誤りであったのに比して,③ . CDでは逆にそれが少なかった ζ とである。(③,④のうちのいずれか を誤ったは名のうち, 9名がいず、れか一方を正答している)。 ζ の ζ とは,それらの子どもにとって, iAの要素はすべて Bの要素である Jという関係が,シンメトワックなものとしてとらえられている ζ とを示すといえよう。 @ , @の正答率が異常 ζ i 溶ちているが,⑤または⑤で誤った 1 9名の中で .10名は ζ の問題中では @または@の誤りで,そのうち 9名が⑤,⑤の両方を誤っている。さらに,①, ずれか一方を正答しているものはその 9名のうちの 6名であり, ζ れらの ζ φまたは③,④のい とから,誤りのほとんど は部分集会の概念について何らかの正しい知識をもちながらも,記号の用法についての混乱があった と考えるととができる。 第 2節 授業種F と授業過種の賄題点 喜Ii筋の記述から,評価テストのとくに正答率の落ちた問題の原因について,次の三つの問題点を 抽出できょう。第一は,空集合と集合にならないものの区別の問題,第二は,部分集合の中で,rAの 要素はすべて B の嬰素である j という関係のとらえ方にかかわる問題,第三三は記号コとヨの区別に関 する問題である。なお, ( 3 )の⑥で. 4 0以下の整数を 7名が空集合とした乙とについては,いまのと乙 ろ集団的ケアレスミスとしか考えられないので検討の課題から外したい。 第一の問題は,授業警では 4 .集合となる性質,の部分,及び, 5 .とくべつな集会,の部分にか かわっている。授業蓄のねらいは,前章でのべたように,真偽判定可能性の問題と有限性の問題の区 別が 4で明確になされたうえで,その両者をみたしながら要素をもたないものとして空集合が把握さ れるととである。授業審 4の前半の質問は適当に楽しみながら授業するとして,問題 7,問題 8 .及 び後半の質問の扱いが注意を委しよう。問題 7は,個物にかかわる性質をのべたものであるから,ま ず文頭に「仁コ I ; l :Jあるいは ixはJを 補 い , 次 日 の 仁 コ ま た は x!ζいくつかのものを代入し てみて哀偽判定可能性を弁別する,という作業を追う ζ とが必婆だった。そして問題 8では,日常語 でいわれるものの集まりが,集合と呼べるか否かが問題であるから, ζ んどは命題 E 3 Xの形になお して,その真偽判定可能性を考える必要があったと恩われる。さらに後半の質問でも, ベソレを十分に区別した確認がなされなければならない(郎ち. ζ のニつのレ i それだけでは集合をつくらない」乙 とより,乙の述語は真偽判定可能であるととに重点がおかれる)。第ニ次の授業記録の中で,子どもは ほぼ自然発生的に ζ の区別をしているが,授業の結論がはっきりせず,また次に記すように問題 9の 結論が,単純に「集会をつくらない iとなってしまった。 ζζlζ ,空集合と集合にならないものの混 同の原閣があったと考えられる。 授業記録(第二次,問題 9) T:① は ? P: ・O T: どうして? P:範閥がきまっていない。 T:② は ? p : .0 ・ちがう T:Oをつけた潔由は? P: ・なんとなく・私は Oなんだけど,何百さいまで生きるって ζ とはないから O. - 112- ・私は×を 小学校高学年における集会の指導 つけたんだけど,いくらでも考えられるでしょ。・×をつけたんだけど区切りがついていない。 第二の問題点は,問題 1 5と,その前後の, ζζ ζ とばの約束,及びまとめの扱い方にかかわっている。 で正答率が若干落ちた原因のひとつとして考えられるのは,授業過程でのトザヴィアノレなミスで ある。授業では, ζ とばの約束のと ζ Eは Aの部分集合である Jと読んでしまった。 ろで rEコ Aを 問題 1 5のときは,そのミス ζ i気がつかないまま正しい読み方にもどったため,不審に思った何人かの 子どもの声があったが,発言としてはだされず,結局,まず関係コの読み方自体にあいまいさが残っ たのである。しかし, ζ の問題はたんに, ζ のようなミスに帰着する ちがいが十分に学級全体に明らかにされない ζ と自体が示している ζ ζ とはできないだろう。読みま とは, 日常的な言語の中にある 諸関係の多様さに対する,莫然とした承認が存在するのではなかろうか。すなわち,たとえば閉鎖関 係というきわめて強い関係以前にも,多くの対称、的な関係、があると同時に,非対称的な関係でありな がらも,ある閉鎖類の類似物をつくるものも多い。 ζ のような言語における関係把握一般の問題は, 現在ほとんど明らかにされていないと思われる。乙れは,関係一般の論環的な整潔と問時ζ i,逆ζ l数 学的な関係のもつ特殊性を明らかにする課題として残されているといえよう。 ζ れに対し,授業警の 改義の問題とかかわって指摘せねばならないととは,関係コのもつ反対称性を,結等概念の深い理解 との島普通でおさえられていれば, ζ の種の誤りのうちの少なくない部分は正されるだろう,という乙 とである。 第三の問題点は,直接的にはコと三3 ' の混同で,記号が定着していなかったととであるが,これに ついても二つの原盟を考える ζ とができる。第一は,授業では,授業書のプリントが各授業の終了時 ζ i回収されたことである。乙れは授業警の用い方のひとつではあろうが,集会ζ l関する諸記号は,常 ζ i手もとで照合できるような状態である乙とが必要であろう。 ζ れは,授業終了後の感想文の中で, 記号についての混乱や困難を指摘したヲこどもが多かった事実に表われている(第一次では,プ… Jレ演 算まで扱ったにもかかわらず,乙の種の感想、はほとんど見られなかった)。 しかし,第一次でも B 旺 A~ζO をつけた子どもが第ニ次よりむしろ多くいたことは,より本質的 な問題の存在を示唆している。即ち, ζ のような誤りが生じた!慰留としてあるのは,コとヨのもって いる論理的なレベルの違いともいうべきものが, 必然性もないのに比して, ζ 日常語ではほとんど自覚化されておらず,またその の区別は集合論的な抽象のひとつの特殊なあり方として存在していると いう乙とであろう。授業の中でも, じっさいそのような混乱がみられた。それは,内包的表示の中の 問題 6全体がそのように解かれたことである(授業が乙のような誤った展開であったため,評価テス ト( 2 )で閤様な表示をした者は誤答には入れなかった)。従ってもし,この誤りが法郎的にでるものとす れば,授業の中で,問題 6の①を,それを正すものとして佼置づけ,ニ種の表わし方を発表させて どちらが正しいかを討論させる必要があろう。さらに,指導がべき集合まで進んだ段階で, ζ の穣 の誤りは巌終的に克服されるものと考える。 * 牟 * 以上の評価テスト分析の結果から,私たちの仮説としての授業警の構成は,その骨絡が支持され たものという ζ とができる。そして,とくに本節で検討した三点について,授業奮と授業過程の修正 が必要であろう。 く主主> 1) 土井捷三 三上勝夫,須悶勝彦「遂動の解析を装礎としたiE比例関数の指導j 北大教育学部紀要 第 i 1 8号. 1 9 7 1年 3月 - 113- 教 育 学 部 紀 婆 第2 5号 向上「蕊比例潟数の慕礎としての内包最指導 J1 弓第 1 9号. 1972年 2尽 2) 3) 拙稿「授業テキスト 4) 数教協第 1 9回全国研究大会で,私たちの発表に対して,野沢茂氏から. 一次関数 J (道数協第 1 3関大会発表レジコメ) 1 9 7 3年 8月 rjを入れなければ関教を教 えたととにはならない Jという意味の発含があった。問機の趣旨の,道数協あての書簡が,遂数協研究 資料「比例・構造 J1 9 7 2 年のあとがきに紹介されている。 5) 披稿「数学教育の現状と方法論的諸問題 J北海道教育学会第 1 8図研究大会発表レジュメ. 1 9 7 3年 1 2 月参照 6) 遠山啓 f 現代数学の考え方 J 1 9 6 4年 4月(明治図書)には. r 分析的で原子論的研究方法を極点まで 6 ) と述べ,それを権造の考え方と結びつけて論じている(同番 P1 7 おし進めたものである J (局審 P1 ~P lO)。 7) 8) 小沢健一「集会の関係・総数への応用 J (教育科学 遠山 啓「畿の問題について J f 数学教育JN . o1 0 4 .1 9 6 9年 4月,所収) c r 数学教護J 1 9 5 8年 8月 , ζζ では数教協ゼミナール@r 蚤とは何かJ 所収,による。)同「数学教育ノート J 1 9 6 9年 6月. (盤土本土).凋問進 協の批判と 6 8年指導婆領の内容 J 9) r 5 8年指導要領ζ l対する数教 c r 数学教室1N . o179. 1968年 8月,所収) r 発表物を見るととができなかったので.野沢茂氏の紹介( 数学教室 JN . o197. 1970年 1月増刊) I と 算数教育J N . o107. 1967年 1 1月)参照。 よる。なお,深水吉春「集会でとり入れる基本事項 Jcr 1 0 ) 小島靖子「精神薄弱児の数量指導 J (r数学教室 Jぬ 182.1968 年 11 月 ~No. 1 8 5 .1 9 6 9年 2 f l所収) 1 1 ) 文部省「小学校学習指導要領 J 1 9 6 8年 7f l 1 2 ) 向上 1 3 ) 同上 1 4 ) 1 5 ) 向上 P .7 6 以下,たんに「指導婆領j と絡す。 P. 6 5 P. 6 5 P . 67 ) 1 1口 廷 編 「 改 訂 小 学 校 学 留 指 導 要 領 の 腿 勝 算 数 科 編 J 1 9 6 8年1 0月(明治図警)p . .208-., P.209 以下「展開 Jと絡す。 1 6 ) 1 7 ) 1 8 ) 1 9 ) 同上 P‘2 0 9 P.209 同上 P.209 向上 ζ の ζ とは. r 現実の集合の操作と集会論の構成僚理との異同j として,倉筒令ニ朗氏によって論じ られている。食 E B令ニ朗 rr 集合論JI と対する f 際数学 j J ( r 現代数学Jv o 14 .N . o6 . 1 9 7 1年 5月) 参照。 2 0 ) 21 ) r 指導婆鎖 JP .6 8 .6 9 森毅ド覧会、、を切る一日数教編『集合とその指導』批判 J ( r 数学教室 JN . o2 21 .1 9 7 1年 1 1月場 刊)参照。 2 2 ) 2 3 ) 2 4 ) 野沢茂「集会 J (r数学教室 JN . o1 7 9 .1 9 6 8年 8月増刊I J)参照。 r 指導要領 J P. 6 9 前掲(注 2 2 ) ) 論文,八島正秋 f 指導要領による図形指導実践上の問題点 J (r 算数教育J 野沢茂 N . o136. 1970年 4fl入 「 て い 談 集 会 に つ い て 遠 山 務 先 生 に 開 く J (r数学教室 JN. o221. 1971年 1 1月増刊) P. 1 1~ P. 1 2 . 森毅・竹内啓「数学の世界 J1 9 7 3年 3月(中央公論社).P.1 3など参照。 r 展開 JP .1 2 2 5 ) 2 6 ) 銀林浩 2 7) 場島高敬 f 新指導要領と水道方式の教訓 J (r数学教護 JN . o1 7 9 .1 9 6 8年 8月増刊号) f 集合・論理・健率をどう教えるか J (r数学教室長 JN . o1 9 7 .1 9 7 0年 l月増刊号)参照。 P .6 1 2 8 ) 向上 2 9 ) 野沢茂前掲〈注 2 2 ) 論文) P‘ 3 6 3 0 ) 森毅「数学の歴史 J 1 9 7 0年 1f l (紀伊国屋新番) P. 1 4 3 31 ) 野沢茂川、学校の集会J( r数学教護Jぬ 221 .1 9 7 1年 1 1月増刊)向「集会と論理Jcr 数学教室j -114- 小学校高学年における集合の指導 N u1 9 7 .1 9 7 0年 1尽増刊). f f 母国進,榊忠男氏らのプランについては「数教協ゼミナーノレ ⑤集会の意義 とその指導 J 1 9 7 0年 4f t 3 .参照。 :~2) 森毅「有限の数学 J . 3 3 ) 森毅 1 9 7 1年 4月. (明治図警 ) P .9 同上番,及び加藤武雄「森毅氏の問題提起『僚数学としての現代数学JJ (数教協「研究と実 u3 7 .1 9 7 3年 1 1月)参照。 銭 JN 3 4 ) 3 5 ) 3 6 ) 3 7 ) 3 8 ) r4年生の集合指導プラン j 前掲(注 3 1 )) 増田忠之「学習テキスト 築会の諮 J (北教組札幌支部教育課程委員会編「あすの実践のために J翼 手 数科編 2 ) . 1 9 7 0年 1 0月 岡田進 向上 毘上 P. 7 P .6 増田氏の定義は,野沢氏のプランを参考 l としていると忽われる。 r ~ 1.集合 乙の節では m集会の概 震が現実 i と存在するもの。実存はしないが 念、、を強ませる G 集合の例として,有限集合,無線集合,婆 3 思考の対象として存夜するもの,と各種の型をあげる J野沢茂,前掲 C 注⑨)論文. P .2 5 3 9 ) 鈴木義雄「私の失敬一集合の:意味 J (r数学教室 j ぬ 2 1 5 .1 9 7 1年 6月)なお, ζ の実践は中学一年 の生徒が対象である。 4 0 ) 4 1 ) 向上 P. 8 3 乙の概念は,銀林浩氏による。要素の緩定性とは,要素の不変性(考えている間.婆素そのものは変 化しない ζ と〉と弁別性(たとえば { 2 . 2 . 3}などは二つの 2が 区 別 が つ か な い 。 筒 ー の と き は { 2 . 3}と局じ)曾全体の篠定性とは,境界がはっきりしていること, とされている。銀林法「集合 u1 1 7 . 1 9 7 0年 5月 ) な お , 同 と写像のすべて. 1 . 集合の定義をめぐって J (教育科学「数学教育JN 9 7 1年 9f t 3 .( 明治図番)参照。 「集会の数学 J 1 4 2 ) 野沢茂「小学校の築会 J (r 数学教一室 JN u2 21 .1 9 7 1年 1 1月場刊)なお,聖子沢氏のプランは三つの奥 なったものが発表されているが, ζζ で仮 l ζ ,注 9 )論文 lともあるものを第一次, ζ の論文を第二次と u2 4 4 .1 9 7 3年 9f t 3 . 及び Nu2 4 6 . 1 9 7 3年1 1月には,第三次ともいうべき「集 呼んでおく。さらに,関誌 N 会ゲーム j が紹介されているが, 4 3 ) 武石佐久「中学校 ζ れに対する検討は他の機会にゆずる。 集合の指導 J (r数学教室J泌 2 4 4 .1 9 7 3年 9月) 4 4 ) ただし.ベン図への移行が若干くふうされている。向上論文参照。 4 5 ) 4 6 ) 4 7 ) 4 8 ) 4 9 ) 5 0 ) 5 1 ) 5 2 ) 間沼進前掲〈注 31 )) 野沢茂前掲(注 4 2 )) 遠山啓・銀林浩編「算数わかる教え方 J たとえば増田忠之 前掲(注 3 5 ) 論文, (4年). 1 9 7 2年 8月(爵オ二社)所収 P,8 4 7 ))P .2 4 7 9 ))論文 遠山啓 監査修「わかるさんすう J6 . 1 9 7 1年 7f t 3 . 間関昭弘氏が{ 1から 1 0までの整数}という形にせよ. r 内包的表示を欽っておくと,論理との結びつき 6 )P, 248)といっている ζ とは乏しくない。乙れはたんに円から で便利な商がでてくる J (前掲注4 ぬまでの整数の築合Jというのと同じととであって,論混との結びつきを考えるならば乙そ,変項を用 いた表現が E 重要なのである。 5 3 ) 仙波元 rr レッテノレ j の 概 念 - r 述語』と『概念の内包Jについて J (r 数学教家 JN u2 2 9 .1 9 7 2年 7月,)p . .7 6 向上 P. 7 9 5 4 ) 5 5 ) 竹内滋氏は次のよ・うに述べている。 r 数学の中で本当に集会が有効に使われる場合というのは,まず 鴎自明弘前掲(注 聖子沢茂 前掲(注 はっきりした築合があって,あとはすべてその銘分集合だけで考えていくわけですね。そのもとのはっ きりした集会がないと ζ ろで集会をやると危険なわけでしょ,そのなかで,右仮.l J の滋ぎわにいる人たち の集会 . t i .側の廊下側にいる人たちの集会を考えましょう…ーというのならいいと患いますけれども, 一115- 教 育 学 部 紀 婆 第2 5号 そうじゃなくて, ζζ にいる人閉会部が集合です。隣の総にも人がいて . ζ れも集合ですとやるから, もとの大きい枠が,なんだか全然わからなくなる。 5 6 ) 5 7 ) 5 8 ) 5 9 ) 幹事忠男 前掲(注 3 1 )P .2 6 ) 開 国 進 前 掲 ( 注3 1 )P .4 9 ) 野 沢 茂 前 掲 ( 注4 2 )P .3 3 ) 同様な方法が,三上勝夫.中山島氏らによって授業プラン化されている。蕊庭市鳥俗小学校「公関税 究 会 授 業 案J . 6 0 ) 6 1 ) J ( 前 掲 注2 4 )P .2 8 .2 9 ) 倉田令二期 1 9 7 2年 1 0月 前掲(注 1 9 )論文〉参照。 武石佳久「中学校における集合の指導 J (教育科学「数学教育 j 尚 1 2 7 .1 9 7 1年 3月).隠「集合の指 導 J (r数学教室震 JN a2 1 4 .1 9 7 1年 5月〉 6 2 ) 6 3 ) 6 4 ) 木村稔子「中学校の集合 J ( r数学教室 JN a2 21 .1 9 7 1年 1 1]3増刊) 前原昭二訳プノレパキ「数学原論j 築会論1.1 9 6 8年 9尽(東京図舎 ) P .6 3 他の部分については拙稿「小 4における築会論の初歩の指導一俊業舎とその解説 J (北大教育学部 教俊学研究室綴 教授学研究シリーズ N a1)を参照。 (1 9 7 4年 3月) - 116-