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地方自治体の予算は、一会計年度における歳入及び歳出の見積もり

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地方自治体の予算は、一会計年度における歳入及び歳出の見積もり
地方自治体の予算は、一会計年度における歳入及び歳出の見積もりという性質を持って
いる。これによって会計年度内の収支の内容や事務事業の概要、その方向などが財政的な
側面から明らかにされているのである。
また、予算の持つ重要な意義は、その政治的側面としての財政民主主義の諸原則の保障
というところにある。具体的には、租税承認権、経費支出承認権、予算・決算承認権を租
税法律主義の立場や予算書または決算書による議会の承認という形から、法体系を確立保
障している。この点からも自治体の予算は、「議会」つまり「住民」による自治体への統制
手段ということができる。
予算制度は①完全性の原則(全ての収支を完全に計上しなければならない)②単一性の
原則(複数の予算は収支全体の把握を難しくし、国民による統制機能を妨げるため、収支
は 1 つの予算にしなければならない。また、財政の硬直化を防ぐためノン・アフェクタシ
オン目的非拘束を原則とする)③明瞭製の原則(準備段階、収支の分類・項目を明瞭に理
解できるよう表示しなければならない)④厳密性の原則(準備段階、予算と決算の一致を
望む)⑤事前性の原則(準備段階、会計年度開始前に議会に承認されなければならない)
⑥限定性の原則(財政統制権の侵害になる費目間流用(承認された費目が目的外に支出)、
超過支出(承認された金額以上の支出)を禁止、単年度の原則(承認された期間内で経費
は行われるべき))⑦公開性の原則(民主主義の根幹であり、予算の全過程が国民に公開さ
れなければならない)の 7 つの原則によって確立している。
地方公共団体の予算の内容は、歳入歳出予算(一年間の収支計上)
、継続費(数年度を要す
る事業。経費の総額・年割額は事前に議決し計上。単年度の原則に反発)
、繰越明許費(継
続費の 2 ヵ年版)
、債務負担行為、地方債(単年度を超える借り入れ)、一時借入金(年度
内返済可能なもの)
、金額の流用など自治法第 215 条で規定されている。
また、その形式・性質により、一般会計予算(自治体の基本的歳入出を経理する会計)・
特別会計予算(特定の事業など一般会計と区別)
、普通会計予算(一般会計に公営事業会計
を除いた特別会計を合算した予算。統計上使用するもの)・公営事業会計予算(公営企業会
計に自治体の経営する事業の会計を含めたもの)、通常予算(当初予算。事前性の原則)・
補正予算(既定の予算に追加・変更を加える予算。厳密性の原則)
、暫定予算(会計年度開
始までに本予算が成立しない場合、成立までの空白期間をつなぐ予算)などいくつかの種
類に分けることができる。
そして各年度の予算は、編成、審議、執行、決算という過程で循環している。編成にお
いて、自治体の財政担当課は、各部局課からの予算要求を査定し、その予算書は予算編成
権を持つ首長が決定する。予算書が議案として議会に提出されると議会はこれを審議・議
決しなければならない。議決され、再議の必要のない場合は、総務大臣・知事に報告し、
その要領を住民に公表しなければならない。そして、予算が成立されると執行権を持つ首
長の下、執行過程に入る(歳出予算は拘束力をもつ)。最後に予算の執行結果を計数的にま
とめ、決算となる。予算が住民=議会の統制手段であるならば、決算はその総括であり、
議会の認定は形式的側面だけで捕らえることはできない。議会の認定を通じて、首長の政
治的道義的責任を明確にすることが必要であり、監査委員のあり方を含め、議会による認
定の機能を高めることが求められる。
昨今の地方財政問題は、根本である諸原則、そして地域住民を意識せず、取り行われた
ように思われる。その結果が財政破綻なのだろう。今後は、より一層財政の効率性・透明
性を確保し、無駄のない運営をするためにも、予算の意義は大きなものとなっているので
はないだろうか。すなわち、知事・市町村長、議員はもちろん、地域住民自らが進むべき
姿を描かなければならないのである。
地方財政の抱える問題は、今後新しい「地方自治」を構築していく上で解決しなければ
ならないものである。
「中央の各省庁は地方に対して権限を行使でき、自治体は天から降る
ように補助金などがもらえる」と言ったような話の行き着く先は、多額の債務で破綻した
北海道夕張市だ。このような国と地方の関係は改める時である。地域の一人ひとりの住民
が、感性豊かに育てられ、充実感を持って働き、安心できる老後を過ごすためには、財政
を含める地方自治の抜本的改革が必要である。
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