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1998アパレル産業QR実践 - 河内保二のアパレル縫製のページ

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1998アパレル産業QR実践 - 河内保二のアパレル縫製のページ
特集/ア パ レルQRの 実現
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経済工学 リサーチ
主宰 河 内 保 二
リア政 治 を変 え るよ う強 く望 んでいるわけである。
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: イ タ:リアの
: 構造改革
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現在、景気好調 なの はイギ リス とアメ リカで あ
る。 イギ リス はサ ッチ ャー首相時代 の ビッグバ ン、
アメ リカは ク リン トン大統領 の ビ ッグバ ンが 効果
であ る。 プ ロー デ ィ首相 は本年 2月 上旬 、政治危
機 に見舞 われ、 一 度辞表 を提 出 したが、 その後続
投 が決 ま った。 昨年春発足 したプ ローデ ィ政権 は、
を もた ら して い るといわれ る。 ビ ッグバ ンとい う
か らは、従来 の常識 をぶ っ飛 ば して 国家社会 の大
第 二 次世界大戦後 の イ タ リアで初 めての 旧共産党
改造 を意 味 して い る。 イ タ リア も日本 も ビ ッグノヾ
治制度 の見 直 しな どに精力 的 に取 り組 んで い る。
プ ロー デ ィ政権 の最大 の課題 は財政赤字 を削減 し、
ンが 目指 されて い る。 そ して21世 紀 は常識崩壊 の
時代 とい う主 張 もあ る。 そ う した中 で、繊維 ・ア
パ レル産業 はど う常識 をひ っ くり返 して、再生 を
図 るの であ ろ うか。
勢力 を 中心 とす る中道左派政権 で、財政再建、政
欧州連冶 (EU)の 通貨統合 に参 加 す る こ とだ 。
このため、 98年予算案 で歳 出を総額25兆 リラ (約
1兆 7千 5百 億 円)肖 J減 し、財政赤字 を参加基 準
の国内総生産 (GDP)比
1)イ タ リア ーー 常識 を破 る 「オ リー プ の 木 」
連合
財政赤字削減 な どの経済構造改革 を進 めて い る
イ タ リアの ロマ ー ノ ・プ ロー デ ィ首相 が初来 日し、
橋本首相 と会談 した と報 じられ た。 イ ク リアの政
3%以 下 に す る こ とに
決 めた。 ところが、 マル クス主義政党 の共産主義
再建党 が年金支 出 の削減 に強 く反対 し、予算案 そ
の もの を拒否 したため、 プ ロー デ ィ首相 は大統領
に辞表 を提 出、 一 気 に政治不安 が 表面化 した。 こ
こまで の経過 は、戦後 の歴代 内閣 が平均 して 1年
界 は、 キ リス ト教民主 党 や社会党 が崩壊 し、西 欧
一 の勢力 を った 旧共産党
誇
も社会民主主義 を掲 げ、
中道寄 りを鮮 明 に した。 ベ ルル ス コー ニ氏 の保守
のだ。 たが、従来 の常識 を覆 して、今回 はその後
の展開 が 全 く違 った。 プ ロー デ ィ首相 は労働時間
新党 は旧 フ ァ シス ト政党、連邦主 義政党 と組 んだ
の短 縮、失業対策 の強化 な どで再建党 に歩 み寄 っ
が、北部 イ タ リアの分離 を主 張 す る北部 同盟 が離
たが、年金制度 の見 直 しを含 む財政改革 の主 要部
脱 し、再結集 に苦 しんだ。 これ に対 し左 翼民主党
分 で は妥協 を排 した。 イ タ リアの有権者 は度重 な
は健全政党 に脱皮 し、 中道勢 力 や保 守系経済学者
らを含 めた 「ォ リー プの木」連合 とい う思 い もよ
る国政選挙 に うん ざ り してお り、再建党 の強硬姿
勢 を批判 した。有カ メデ ィア もプ ロー デ ィ首相 の
らぬ組 み合 わせ を もた ら した。政治不信 を強 めて
い た有権者 に してみれば、政党 間 の どの よ うな組
財政再建策 を支 持 し、再建党 の 「わが まま」 を強
み合 わせで あれ、政治 の安定 を もた らす政党 、政
後 わずか 5日 で、政府 の追加措 置 を受 け入 れ、改
めて新予算案 に同意 し、今後 1年 間 プ ロー デ ィ内
治家 を支持 したか ったのだ ろ うとい う。小党舌L虫
短命政 権 の続 い たイ タ リアで、 中道保守、 中道左
翼 の二 大連合 が対抗 す る形 での政権交代 ル ー ル を
確立 で きるか ど うか、 もう少 し時 間 をか けてみ る
必要 が あ るとされていた。 イタ リア国民 は 「オ リー
ブの木」連合 が政策 を優先 す ることで、戦後 イ ク
12 APPAREL BUSINESS MAG
ももたないイ タ リア政治 の不安定 さを象徴 す る も
く非難 した。再建党 は孤立化 し、首相 の辞任表 明
閣 に閣外協力 す ると約束 せ ざ るをえなか った。 イ
タ リアが政 治混迷 を回避 で きたの は、過去 1年 半
のプ ロー デ ィ政 権 の実績が あ ったか らだ。財政赤
字 の削減 を は じめ、政治、経済改革 を推 し進 めよ
うとす るプ ロー デ ィ首 相 の強 い信念 が 国民 の支持
特集/ア パ レルQRの 実現
を集 め、 改革 の継続 につ なが った とい う。 ひ るが
え って、 日本 の行財政改革 へ の官僚、族議員 の抵
抗 に直面 す る橋本首相 に とって は、 プ ロー デ ィ首
相 の改革 へ の毅然 と した姿勢 は うらや ま しい もの
で あ るだ ろ う。
提 出す る。
(3)暮 ら しを守 るため に
か けがえ の な い環境、国上、伝統 。文化 を大切
に守 り、暮 ら しの安全 と安心 を確保すべ く進 める。
平成 9年 12月に国際的 に合意 され た地 球温暖化 防
止 を実現 す るために エ ネル ギ ーの見 直 しを行 うと
2)常 識崩壊 ―一 日本大改造
ともに、 国民 の ライ フス タイ ルの チ ェ ックを求 め
橋本首相 は平成 10年 2月 16日 開 催 の 第 142回 国
て い る。 21世紀 の情報通信社会 の ため、電子商取
会 で施政方針演説 を行 った。 日本 の現状 に対 す る
引 の本格 的普及などの諸問題 に適切 に対応 し、 ネ ッ
トワー ク ・イ ンフ ラの整 備、教育、 医療 な ど利用
橋本政権 の認識 の ほどを知 る ことがで きる。 わが
国 の進 むべ き方 向 を見据 え、今何 をなす べ きか に
つ いて次 の よ うに読 み上 げた。第 1は この10年来
の経済面 の困難 を克 服 し、制度疲労 を起 こ して い
者本位 の行政 の情報化 を推進 す る。
中心市街地 の活性化対策、大型店 と地域 社会 が
ともに栄 え るよ うな実効 性 の あ る政 策 を行 う。 さ
らに国民共通 の よ りど ころ と して、伝統 。文化、
るわが 国 の シス テ ム全体 を改革 す ること。経済 の
ボ ー ダー レス化、人 回の少子 高齢化 な ど、 内外情
芸術 ・工芸 を守 り、育 て る。危機管理、災害対策
勢 が大 き く変 化す る中 で、改革 をや り抜 く。 第 2
は内閣 の体制 強化 を図 り万全 を期 す。 また市 民生
は教 育問題 で、放 置で きな い。第 3は 世界 の動 き
活 を脅 かす銃 器犯罪 や薬 物 の乱用、組織 犯罪、暴
に的確 に対応 す る。以上 の 3点 を念 頭 に施政 の方
力団 や総 会屋 な どの反社会 的勢力 を根絶 す るよ う
にす る。交通事故 の防止対策 を推進 す る…。
針 が示 され た。
(1)経済面 の方針
施政方針演説 に対 す る衆 院本会議 での代表質 問
わが 国 は、 1980年代半 ば以 降、急激 な 円高 とそ
の後 の バ ブルの発生 と崩壊 が起 こった。 さ らに97
年夏以 降、 ア ジア各国 での通 貨 ・金融面 の混乱、
認識 を示 しなが ら、景気刺激策 の具体 的対応 には
触 れず、 日本経済再建 に向 けた首相 の メ ッセ ー ジ
国 内 での金 融機 関 の破綻 な どで景気回復 の腰 を折
は い っこ うに伝 わ って こなか った といい、 自民党
られ、経 済 の停滞 に陥 った。 日本経済 を再建 す る
内部 に も 「
首相 は従来型 の発想 を脱 しきれ ない」
ため に、金融 システムの安定 と景気 の回復 が必 要
で、 同時 に経済構造改革 が 不可欠 であ る。 この経
との不満 もあ るとい う。経済再建 に冷 めた首相答
弁 が気 にな るところだ。政府与党 は 「緊急 国民経
済構造改革 は個人消費 と民 間投 資 が主 役 とな って
済対策Jと して、 二 兆 円 の減税 や金融安定化法実
成長 し、質 の高 い雇用 の場 を創 り出す経済であ り、
施 とと もに金融機 関 の土地 の評価 を変更 して 自己
これか らの ビジネ ス と して福祉、情報通信、 環境
資本比率 を高 め、貸 し渋 りを緩和 す るな ど金 融 シ
な どが重 視 され る。物流 や運輸 、電力 ・石油、情
ステム安定化策、株価 の 引 き上 げ要 因 とな る 自社
報通信分野 で徹底 した規 制 の撤廃 と緩和 を行 う。
10年度税制改正 で は法人税 の 引 き下 げな どを実施
株消却 の促進、公 的資金活 用 を含 めた不動産証券
化 な ど土地 流動化策 の検討、 アジア諸国へ の通貨 ・
し、企業が国際的 に活動 しやす くす る。 日本 的経
金融支 援策 な どを打 ち 出 して、年度末決算期 の乗
営 とされ た終身雇用 と年功序列 は見 直 され、労 働
の多様性 を進 め る。技術面 で は産 学官 の連携 によ
り切 りと景気回復 を期待 して い るので あ る。施政
方針演説 や財政 ・経済演説 と代表質 問 の論議 か ら
る研究 開発 とその成果 の活用 を図 り、技能 と技術、
見 て も、従来 の生産者主導、企 業重視 が な りを潜
中小企業 の人材 の育成 に努 め る。
め、国民 の暮 らし重 視 の表現 とな って い る。 これ
(2)個人 と社会 の姿
これ までの 日本社会 の通念 で は、男 は仕事 、家
事 と育児 は女性 とい う役割 を改 め、 自立 した個人
によ り男女 の別 な く、 と もに参 画す る社会 とす る
ために、基本 とな る法律案 を翌 11年の通常 国会 に
に対 す る答 弁 で、景気低迷 の現状 につ いて厳 しい
は政府 の歳 入が企業 の法人税 (業債赤字 で無税)
依存 か ら消費税 (家計赤字 で も徴税)依 存 へ と移
行 した ことによ り、 国 の スポ ンサ ーが 国民 で あ る
とい う色彩 が 強 ま って い る。現 に平成 9年 度 の税
収 は当初予算 見積 もりに対 して、法人税 の伸 び悩
APPAREL BUSINESS MAG 1 3
特集/ア パ レルQRの 実現
み によ り 3千 億 円 の減収 にな るとい うことである。
5)常 識崩壊 ―一 生活産業大改造
財政構造改革 に も打撃 か と報 じられて い る。
通産省 水谷生活産業 局長 は新年 の挨拶 で、次 の
よ うに書 いて い る。 21世紀 に向 け、第 1に これ ま
3)常 識崩壊 一一 金 融大改造
での経済 シス テ ムを見 直 し、経済構造 の改革 に積
松永蔵相 は財政演説 で次 の よ うに読 み上 げた。
極 的 に取 り組 む。生活文化 関連分野 で は、製造、
最近 の経済金融情勢 は家計 や企業 の景況感 の厳 し
流通、取 引慣行 な どにお けるわが国特有 の構造 問
題 を解消 し、消費者 に とって魅 力 あ る商 品や サ ー
さが実体経済 に影響 を及 ぼ し、景 気停滞 とな って
お り、金融 システ ムの安定化 と経済 の 回復 へ 施策
して行 く。現在 の危機 的 な財政 状況 か ら脱 却 し、
財政構造改革 法 の 目標達成 に金力 を挙 げ る。法人
ビス を提 供 して い くために産業構造 を市場指 向型
産業構造、 そ して ク リエ ー シ ョンを育 む産業構造
税制 は基 本税 率 や中小法人 に対 す る軽減税 率 な ど
に変革 して い く必要 が あ る。 このよ うな改革 を実
現す るために情報化 の推進、市場 メカニ ズ ムが十
を引 き下 げ、 これ によ り基本税率 は シ ャウプ税制
以来最低 とな る…。 これ まで の財政構造 を大 改造
分発揮 され る様 に事業環境 の整備 な どによ り、商
品 の販売流通 の効率化、 サ ー ビス提供 の良質化 な
す るとい う。 しか し、貸 し渋 りは深刻 で あ る。橋
本 内閣 の 日本版 ビ ッグバ ン (金融待1度の抜本改革)
どを促進 して い く。第 2に 環境調和型社会 の構築
に向 けた施策 を推進 す る。第 3に 国際 ル ー ル を基
を控 えて、 日本 の銀行 が 自己資本 の強化 を迫 られ
本 と した貿易 ・産業 の発展 を 目指す。 ア ジアを 中
た結果、貸 し渋 りや資金回収 の傾向を強 めている。
企業 の資金調達 は銀 行 の貸 し渋 りを嫌気 して、銀
心 と した輸入 の急増 に対 して 、 WTO協 定 な どの
国際 ル ー ル に基 づ き、 自由貿易体制 の維持 ・強化
行離 れが加速 して い るよ うで あ る。 その証 拠 に 日
を基本 と して、適切 に対応 す るとともに国内産業
本 の優良企業 の多 くが、銀行融資 か ら社債発行 な
の構造改革 を図 りつつ、 関係諸 国 と密接 な連 携 を
ど資本市場 で 巨額 の資金 を調達 す るよ うに移行 し
取 りなが ら貿易 の安定 な発展 を 目指 す。
現在、通産省 で アパ レル産業 につ いて アパ レル
てお り、今後 一 段 と進 む と見 られ る。
主要製 品 の競争 力 と技術 の 関係 を分析 し、資料 作
4)常 識崩壊 一一 経済大改造
成 を行 って い る。主要製 品 と して、差別化 によ り
尾身経 企庁長官 は経済演説 で次 の よ うに読 み上
強 い製 品分野 (フ ァッシ ョ ン性 の高 い製 品)と 、
低 コス トによ り強 い分野 とで競争力があり、設備 ・
げた。経済停滞 は構造 問題 によ る もので、不良債
権 問題、 日本 的経済 シス テ ムの制度疲労 そ して産
業 の空洞化 を挙 げ、景気 回復 の ため に① 不良債権
の早期解決 ② 規制撤廃 。緩和 ③ 産業空洞化 に
機械 な ど加 工 に必 要 な主 要技術 で はそ の全工程 で
トップ レベ ル にあ る と し、縫製業 で生産か ら流通、
顧客 まで分 断 され た構造 のため折角 の トップ レベ
魅力 あ る事業環境 を整 備 して対応 す る ④ 豊 かで
ル を生 か し切 ることがで きな い と指摘 して い る。
安心 で きる国民生活 の実現 ⑤ 世界経済 の持続 的
移行す る。政府 は規制緩和 な どを通 じて民 間部 門
競争力 がわが 国 にあ る理 由 と して、 国内市場 にお
ける QR指 向 の 高 ま りで売 れ筋 商 品 の シー ズ ン
内追加 の必要性 が重 要 にな って、 品質、納期 な ど
で 国内工 場 にメ リッ トが認 め られ る。繊維 ・アパ
が その活力 を最大 限 に発揮 で きるよ う、経済 の体
レル技術 の維持発展 のための課題 と して、市場用
質 を強 化 し、競争 を促進 し、発展 のための基盤 を
整備 す る役害Jを果 た して行 く…。
性 を的確 に捉 えた開発能力 と技術力 の向上 に努 め
る こと、縫製 工 程 で の機械活用 の ポテ ンシ ャル を
発展 に貢献 す るな どを挙 げ、21世紀 に向 けて従来
の発想 を抜 本 的 に転換 し、民 間部 門中心 の経済 に
ここで は、 これ まで の経済 の常識 を覆 して構造
的諸問題 を克 服 し、将来世代 のために経済大改造
発揮 で きる技能者 の確保 と育成が重要 としている。
新製 品 を生 みだ し、 マ シンメ ー ドす る とい うこと
を進 め るとい う ことで あ る。経企庁 の97年12月の
で あ る。
景気動 向調査 は 3か 月連続 の低迷 を示 し、民 間 で
はすで に景気 は停滞 で はな く、後退局面 にあ ると
してお り、政府 の公式判 断 が注 目 されて い る。
14 APPAREL BUSINESS MAG
特集/ ア パ レルQ R の 実現
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6 ) 常 識 崩壊 一― 機械産業大改造
同省広瀬機械情報産業局長 は次 の よ うに書 いて
い る。 わが国経済 の活性化、構造改善 の推進等 に
相 も変 わ らず 低迷、大手婦人専 門店 や中小 アパ レ
ル、 そ して卸売業 の倒産 と、暗 い トンネル を脱 し
資す る観点 か ら次 の諸点 に重 点 的 に取 り組 んで行
きれ ない現状 にあ る。 円安 とな った とはいえ、 ア
パ レル、卸売業 にお け る生産基地 の海外 シフ ト化
く。
は、未 だ に根 強 く、 国内縫製産地 の空洞化 は顕著
1)新 規産業 の創 出 と して、産業 や雇用 の空
とな り、地方縫製産地企業 は相次 ぐ工場 閉鎖 や倒
洞化 の問題 に対 して適切 に対応 し、 国民経済 の
産 とい う悲 しむ べ き状況 に直面 し過 去 に経験 のな
発展 を確保 して行 くた め に、既存産業 の高付加
い厳 しい環境 を強 い られ た年 で あ った。 この よ う
な現状 をさ、まえ、平成 10年度 は、情報化 時代 に対
価値化 を含 め新規産業 の創 出 を図 る。
2)情 報化 の推進 情 報化 は業務 の効率化 や
応 した組合活動 と次代 を担 う若手経営者育成 に力
生産性 の 向上 の観点 か ら競争力強化 の点 か らカ
を注 ぎ、組 合 員企業 の健全 な発展 と東京縫製産地
ギ とな る もの。特 に産 業 の情報化 が重 要 と見 て
の活性化 を図 る こととす る。情報化 で は、異業種
い る。
交流 な どを推進、新 しい縫製業 の あ り方 を追 求す
3)環 境問題。 リサイ クル対策 な どに も積極
る。
的 に取 り組 む。
先端技術 開発 や様 々な環境整備 な ど精 一 杯 の
支援 を して 行 く。
3)大 阪府被服縫製業界「労働力確保 へ 6年 事業」
大阪府被服工業組合小池俊 二 理 事長 の メ ッセ ー
機械産業 に属す る ミシン産業 も新 開発、情報
ジは次 の通 りで あ る。被服業界 の組合員企業 は厳
化、環境 問題 の諸課題 に先端技術 によ り対処 し
しい環境 に直面 してお り、景気悪化 によ る需要低
て行 く方 向 となろ う。
迷、在庫増大、 円安 によ る海外生産品 の コス トア
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それで はアパ レル産業 で は どの よ うな大改造 が
語 られて い るの だ ろ うか。
1)縫 製業界 「新 たな 時代 の展望 を」
ップな ど経営課題 は山積 み とな って い る。 当組合
で は、 ここ数年 間、 QR推 進 によ る業務改善 。効
率化、 ワー ル ドフ ァッ シ ョ ン トレー ドフェア出展
によ る需要 開拓、認定職業訓練 のパ ソ コ ンス クー
ル開催 によ る情報化社 会 に対応 す る人 材育成、 時
短推進 によ る雇用基盤改善、 PL法 に対応 す るPL
法保険制度 な ど中小企業 の体質改善 。強化 を図 る
日本衣 料縫製 品協会小池俊 二 会長 は、新年 の挨
拶 で次 の よ うに メ ッセ ー ジ した。
ための事業 を行 って きて い る。今後 は中小企業労
働力確保推進事業 を行 う。 募集 。採用 の改善、教
21世紀 にお ける繊維 ・アパ レル産業 の再生 に向
育訓練 の充実、職場環境 の改善、福利厚生 の 4項
け実践段階 に入 った QR事 業 に よ る情 報 化 、 人
材育成 な ど コ ンシユー マ ・レスポ ンスの体質構築
目 につ き、 6年 間 の事業 を始 め る。第 2に は、外
が ます ます重要性 を増 して い る。 日本 の アパ レル
産業 は輸入 中心 で、縫製 はア ジアに依存 して い る
国人研修生 を迎 え、事業 を開始 す る。第 3に は、
展示会 へ の積極 的参加。第 4に は、 QRと THP
が、 ア ジアでの市場形成 に至 って い な い。 ア ジア
事業 の普 及 と実践 。 そ して環境 問題 と して リサイ
クル ・ユ ニ フォー ムの普及 に努 め る。 これ らは中
市場 を創 り出す努力 を要 し、 日本 もアパ レルの輸
小企業 の体質改善 。強化 に寄与 す る と して い る。
出を真剣 に考 え る時期 に きて い る。
2)東 京婦 人子供縫製業界「東京産地 の溜 性化 へ」
4)縫 製機械 工 業業界 「関連業界 との交流 を」
日本縫製機械工業会安井 義博会長 の メ ッセ ー ジ
東京婦人子供縫製 工 業組合唐川健理事長 の メ ッ
セ ー ジは次 の通 りで あ る。繊維 。フ ァッ シ ョン業
界 にお いて はバ ブル崩壊 の後遺症 が 未 だ に尾 を引
は次 の通 りで あ る。現在 の経済状況 にお いて縫製
機械業界 はます ます大競 争 時代 を迎 え、 一 層 の グ
き、 国内経済 の不透 明 と相 ま って、婦人服市場 は
工 業 会 は、 これ らに対応 す るため、情報受発信 の
ローバ リゼ ー シ ョン化 が進 行 して い る。縫製機械
APPAREL BUSINESS MAG 15
特集/ア パ レルQRの 実現
地 固 めを行 い、 内外 の 関連業界 との交流 を深 め、
の メ ッセ ー ジは次 の通 りで あ る。
さ らにわが 国生産体制 の整備確立 を行 う ことによ
ミシ ン業界 はアパ レル業界 の空洞化 も限界 に来 て
りさ らな る市場 の進展 に努力 す る。 さ らに来年 の
い るので、低迷 も底 をつ いた感が あ り、活性化 の
」IAN/1'99(5月 8日 か ら11日、東京 ビ ッグサ イ ト
緒 につ いた もの と考 え、新 しい戦 略 を考 え るべ き
だ。現実 の各事業 は低迷 を続 け、 か ろ う じて ミシ
ンシ ョー事業 が比 較 的 に活発 な活動 とな ってい る。
次回 か らさ らに新 しい内容充実 に挑戦 して行 く。
にて 開催)に 備 え る。
5)特 殊 ミシンエ 業業界 「独 自の研 究開発 を」
全 日本特殊 ミシンエ業会園井康三会長 のメ ッセー
ジは次 の通 りで あ る。輸 出型大手企業 は好調 で あ
二 極化Jが 鮮 明 にな り、多数 を 占め る
る ものの 「
9)輸 出縫製 品工業界 「生産 の効 率化が肝要」
中小企業 の景況感 は低迷 したまま、 いぜん下 降線
事長 の メ ッセ ー ジは次 の通 りであ る。 日本製 アパ
を辿 って い る。 工 業 ミシ ン業界 は競争 ます ます厳
レルの競争力喪失 は、生産者 が非効率 な生産 方法
日本輸 出縫製 品工 業協 同組合連合会吉 田育弘理
しく、 この難 関 を凌 いで行 くには、独 自の研究 開
す なわ ちあ ま りに も極端 な多品種少量生産並 びに
発 で 時代 に即応 した製 品作 りに追進 す るよ り他 に
納期 の短縮 化 を強 い られて い るためであ る。物作
方法 はな い。本年 こそ、市場 の要請 に柔軟 かつ迅
速 に対応 す る ことによ り、世界 に通 用 す る企 業 と
りを無視 した このよ うな需給 構造 が 改善 され ない
限 り、 国内 アパ レルの競争力回復 は不可能 である。
して行 く。
縫製業界 の発展 には、 隠忍 自重 しなが ら新製品 の
開発 や生産 の効率化 によ る コス トダウ ンを図 るな
6)ミ シン商 工 業業界 「業 界 の パ ー トナ ー シ ッ
プの構築 へ」
全 国 ミシン商 工業 協 同組合連合会 ・東京都 ミシ
ン商 工 業協 同組合高松紘次郎理事長 の メ ッセ ー ジ
どの企 業努 力 が肝要 で あ る。組 合 と して は、 国内
外 の情報 の収集分析提供 によ り組合員 の時宜適切
な経営判 断 に役立 つ ことを 目指 し、企業診 断 と経
営指導 を行 う。 7年 目に入 った中国人研修生受 け
は次 の通 りで あ る。生産 の空洞化 と併 せ 、輸入大
偏重 で あ り、 国内 アパ レル製 品 の輸 出 に期待 す る
入 れ事業 をよ り積極 的 に推進 す る。
と ころは非常 に大 きい。 その意 味 にお いて は、 わ
が 国 の アパ レル業界 は縫製 関連機器、素材、副資
ヨ
妻牽幸華妻:::=:│:筆
≡:
1)常 識 崩壊 ―― 右肩下が り 高 齢化、少子化、
材 と他 に劣 る もの はない。 品質 を確 保 し、合理 的
コス トダウ ンを踏 まえ た シス テ ムを整備 し、業界
を支 え る各 業 種 が 相 互 乗 り入 れ して 真 の "パ ー
ル
トナ ー シ ップ を 築 き上 げ る こ とに よ り、 日本
日本経済 は停滞 だ とい うが、恐 慌前夜 とい う言
葉 も一 部 で 聞 かれ、倒産 や金融不安 の続 く中、企
の アパ レル産業 の活性化 に結 びつ けて行 きたい。
業経営 は深刻 で あ る。 日本 国内で は、人 口の高齢
7)大 阪 ミシン商業界 「自助努力 で難 関突破」
化、少子化 によ り顧客 の財布 の ひ もが回 くな り、
顧客 の数 が減少 してゆ く。 サ ラ リー マ ン所帯 の実
人 口減少、 客数減少、消費 ダ ウ ン
大 阪 ミシン商業協 同組合安宅英吉理事長 の メ ッ
セ ー ジは次 の通 りで あ る。業界 を取 り巻 く経済環
境 は年 々悪 くな って い るが、組合員 は昨年始 め273
質消費支 出 は、 97年12月時点 で 2か 月連続 で前年
社 であ ったのが、 6社 減 の267社 とな り、 倒 産 で
どで、 全 くとい って よいほど盛 り上 が らず、 さ ら
はな く、 自主廃業 で あ り、不幸 中 の幸 い と して い
る。本年 も苦 しい年 とな るが、組合 と して他力本
に年後半 か らの保険、銀行、証券 の相次 ぐ事実上
の倒産 によ る金 融不安 は消費 マ イ ン ドを ダウ ンさ
願 で な く、 自助努力 で この難 関 を突破 す る。
せ、惨憎 た る個人消費 とな った。 このよ うな経済
同月比 を割 り込 んだ。個人消費 も97年は消費税 の
引 き上 げ、 特別減税 の廃止、 医療保 険 の負担増 な
状況 にお いて、顧客 を確実 に惹 き付 けるには、 顧
8)愛 知 工 業 ミシン商業界 「
新 しい戦 略で」
客 に とって価値 の あ る もので あ る ことを要 す る。
愛知県工業 ミシン商業協 同組合 田島郁夫理 事長
つ ま り、顧客数 が減 り、消費 ダウ ンで購入単価 も
16 APPAREL BUSINESS MAG
F ︲︲ ︲ ︲ ︲ ︲ ︲ ︲ ︲ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︲
特集/ア パ レルQRの 実現
減少 す る とい うダブルパ ンチ とな るわ けだ。今後
ア ・ミラノは文化 の都 と して思 い焦 がれ る。 しか
の 日本経済 は右肩 下 が りとな らざ るを得 ない。大
し、 こ う した 日本 の常識 と違 って、文化面 で フラ
ンスの 日本 に対 す る “逆 片 想 い "現 象 す ら起 き
量生産 した商 品 を消費者 に一 方 的 に押 し付 け るプ
ロ ダク トア ウ トで は生 き残 れ ない。右肩上 が りと
い う常識 は崩壊 した。現在 は為替 レー トは 円安 に
振 れて いて、 日本 アパ レル生産 も右肩下 が りに対
応す るために も、海外輸 出を視野 に入 れ る必 要 が
あ るとの指摘 も行 われて い る。 しか し、伝 え られ
るところで は、 日本 アパ レル産業協会 が 国際 アパ
て い る と言 う。最近五年 間 の芥川賞 の受賞者 の名
前 を言 え る人 は、文芸誌 の記者 で も稀 だ と言 われ
るの に、 フラ ンスで は、受賞作 の全てが翻訳 され、
一 定 の読者層 に知 られて い る事実。 シ ラク大 統領
“
自身、 今 で は高等教育 で 日本 語 を学 ぶ 人 が 一 万
レル連盟 を脱会 した とい う。 アパ レル輸 出 に支 障
人、 日本 で フラ ンス語 を学 習す る人 よ り多 いので
ル
は と話 した とい う。50年代 に 2人 しか いなか っ
とな らな いよ うに と念 じて い る。
た東洋語学校 の 日本 語 科 の 生 徒 は、 今 は1,600人
に上 って い る。純文学 や映画 に と ど ま らず、 Ma
2)常 識崩壊 ― 消費者主 導 消 費 税 に よ る国
の政策 シフ ト
アパ レル産業 に とって望 ま しい こととは 一― 過
生産 しやす い大量生産J回 帰 ヘ
去成功体験 で は 「
nga(漫 画)は フ ラ ンス語 と して定着 し、 テ レ ビ
のスイ ッチをひねれば 日本製 ア ニ メの 氾 濫 、 「プ
リク ラJの 機械 には若者 の列 がで きるとい った調
の願望 とい うのが あ り、大量生産 が トガで の作 り
子 で、大衆 に も日本 は身近 な存在 とな りつつ ある。
つ ま り、前世紀末 の ジ ャポ ニ ズ ム以来 一 世紀 を経
過 ぎ倒産 の苦 い思 い 出 も多 々 あ る。今 日で は、生
て、 日本文化 へ の関心 は、広 くか つ 深 くフ ラ ンス
産者本位、官公本 位、販売本位 の世 か ら消費者本
位、生活者本位、顧客本位 の時代 に変わ っている。
に浸透 し始 めた と思 われ る。本年 は 日本 にお ける
フラ ンス年 が 開催 され る。 一 方通行 か ら両面交通
国 の歳入 が企 業依存 の法人税主体 か ら消 費税主体
へ の機運 が 出 て きて、 日仏間 に真 の対話 の機会 が
に移行 した ことは、 国が国民個人 の懐 を当て にす
訪 れ た といわれ る。
るよ うにな った証拠 で もあ る。安定 した税収 のた
めには、好不況 の企業業績 に左 右 され ない税金 と
す る必 要 が あ る。右肩上 が りの経済成長 の下 では、
税収 は成 長率 ア ップに伴 って増加 し、 自然増収 と
な る。 これ に反 して、不況 にな った り、 成長率 が
ダウ ンす る と、赤字会社 が増 えて法人 税収 が激減
4)常 識崩壊 ―― シ ック ・シンプル 脱 服飾
パ リ、 ミラ ノ、 ニ ュー ヨー ク
モ ー ドの トレン ドを簡単 に示 す と、脱服飾 に向
か った経過 が浮 か び上 が る。 す なわ ち、 ゴー ジ ャ
スで デ コ ラテ ィブ (バロ ヽ
ノク ・ロココ)→ 脱豪華 ・
字 とな る。 これ を財政欠 陥 な ど とい って いたので
脱虚飾 ・脱俗悪 ・脱服飾 (アール ヌー ボ ー)→ シ
ンプ ル ・エ レガ ンス (ア ー ル デ コ)→ シ ック ,シ
あ るが、今 日で は財政欠 陥 が毎年続 いて い る危機
ンプル (ポ ス トモ ダ ン)→ チ ー プ 。シ ンプル (現
状態 で あ る。 ま して、今後 の 日本経済 は、高齢化、
実生活)
モ ー ド界 の シ ンプ ル化 はパ リ、 ミラノ、 ニ ュー
ヨー クの デザ イ ンの トレン ドとな った。 「シ ンプ
し、会社員 の所得税収 が伸 び悩 む。 国家財政 は赤
少子化、人 口減 少 によ り右肩下 が りとな るの で、
財政 は欠 陥 だ らけ とな って しま う。 これ を大 改造
す ることが迫 られて い る。 消費税移行 によ って、
国 の財布 は国民 の消費 に依存 す る ことにな った わ
けであ るか ら、政府 は当然 、 国民、消費者 のため
に施政 しな くて はな らな い。消費者主導 が 唱 われ
る所以 で あ る。
3)常 識崩壊 ―― フランスが 日本 に憧れている/
日本 で は フラ ンス ・パ リのイメ ー ジはベ ルバ ラ
で、芸術 の都 パ リと して憧 れ の的 で あ り、 イ タ リ
ルの 中 に創造が あ る」 と、平成 9年 12月、 15年ぶ
りに来 日の ジ ョル ジ ィオ ・アル マ ー ニ は語 った と
い う。 イ タ リア ・フ ァッ シ ョン界 の 3Gと いえば、
ジ ャ ンフ ラ ンコ ・フェ レ、先 ごろ亡 くな った ジ ャ
ンニ ・ヴェルサーチ、そ して ジョル ジオ ・アルマー
ニ (63)の 三 氏 で あ る。 中 で最重鎮 の アルマ ー ニ
氏 が この ほど、最新 コ レク シ ョンを携 えて15年ぶ
りに来 日 した。 コ レク シ ョ ンで披露 した婦人服 は、
装飾 を抑 え た シンプル なたたず ま い。柔 らか い生
APPAREL BUSINESS MAG 17
特 集/ア パ レルQRの 実現
地 の持 ち味 だ けで華 や ぎを表現 した ドレス、男 も
ののイ メ ー ジなが ら肩 の ライ ンが滑 らか なス ー ツ
● ビスポ ー クテ ー ラー ( 誂え紳 士服店) は 、 わ が
国 に昭和 4 0 年、 5 万 軒 の テ ー ラーが あ つた のが転
な ど。複雑 な色 合 いに東洋 的繊細 さも見 て とれ る。
業 ・廃業 ・倒産 によ りつ いに 1 万 軒 にまで大 幅減
「服 をデザイ ンす るにあた って 女 性 を思 い描 くと
少 した。
き、 そ の体形 はそれ ほど問題 には しません。 む し
●注文 ワイ シ ャツの店 は、 昭和 40年代 国内 に 5千
ろ問 いたいの は彼女 が 『自分』 をきちん と把握 し、
軒 といわれ たのが、激減 して700軒を切 った。
●パ リで もオ ー トクチ ュー ル は、 モ ー ド革命 が な
服 の着 こな し方 を知 って い るか ど うかです」 とい
う。飾 りたて た人 よ りは 「ニ ュー ヨー クで見 か け
た80代 の女性、 ご く普通 の スカ ー トに、私 の作 品
の ジ ャケ ッ トを さ りげな く組 み合 わせて着 こな し
て いた。 ああ い う人 に魅力 を感 じるJと 。 一 時 は
医学 を志 したが、 その後 イ タ リアの百貨店 の バ イ
ヤ ーや、企業 の紳土服 のデザ イナ ーを経 て1975年
に独立 した。 か つ て 「豪華 な織物 は嫌 い」 と語 っ
た ことが あ る。豪華 な布 に は もう手 を加 え る こと
がで きな い。一方、 シンプルな布 には自由にイメー
ジを広 げ る倉J造 のス ペ ー スが あ る。 しか し、 日本
けれ ば生 き残 れ なか った。 サ ンデ ィカ会員数 も最
盛期 の 3分 の 1に まで減 った。 ブラ ン ドの メ ゾ ン
もデザ イナ ー の若返 り、海外 の人材起 用 な ど経営
革新 を進 めて い る。
● ロ ン ドンで も、 セ ー ビル ・ローの ビスポー ク ・
テ ー ラー はさびれて い る。
●わが国 の縫製工 場数 は、平成 3年 、 31,651事業
所 で あ ったのが、平成 5年 29,720とな り、 そ の 後
も減少 を続 けて い る。成人男子 。少年服製造業 で
で は ここ数年 の ブラ ン ドブー ムで、 そん な特 質 を
は平成 3年 か ら平 成 7年 まで に782事業所 が減 り、
成人女 子 。少女服 製 造 業 で は3,475事業 所 が 消 え
知名度」 で買 う人 も少な くない。
見極 め るよ りは 「
た。
宣伝 に屈
それ に対 して、 当 の作者 で あ りなが ら 「
ヽ
った
こと
なか
なか
しヽ
と
して しま
手厳
。 「ま
」 、
“
"で
選 び、 ど う着 こな す か を じっ
ず 自分 の 目
自動車業界 での動 きはさ らに衝撃 的であ る。
●フ ェラー リ社 の職人芸 自動車手作 りが消滅 と報
くり考 えて。服 を着 る とい う行為 は決 して手足 だ
本 国技研 の指導 で近 代 的 な工 業生産 に変 わ った。
●イギ リスで は、手作 りの超 高級車 の 日― ル スー
ロイ ス社 が売 りに出 され た。 同社 は92年を ピー ク
けの表面 的 な問題 で な く、脳 を使 う ことなので す
か ら」 と耳 の痛 い話 で あ る。 アルマ ー ニの シンプ
ル はモ ー ドの グ ローバ ル ス タ ンダー ドで あ る。 こ
じられ た。 イ タ リアで は、職 人芸 の フェ ラー リは
に売 り上 げ台数 が落 ち込 んで、 工 場 の近代化 と、
リス トラを実施 して いた。 日本 の トヨタを始 め、
ドイ ッの BMW、
ダイ ム ラーベ ンツ、 フォル クス
れ に月
Rの もつ 色気、艶 が加 え られて、 シ ック ・シ
ンプル とい うデザ イ ンの流 れが生 まれ る。 96年 に
"の
“
イギ リスで シ ック ・シ ンプ ル
著 書 が 出版
ー
ー
ー
ー
された。著者 はニ ュ ヨ クの ソ ホ に シック ・
進 めて い る。
シンプル ・デザイ ン ・オフィスを開 いた、 ジェフ ・
ス トー ンとキ ム ・ジ ョンソ ンで、近代 的生活 へ の
○ これ に反 して、苦境 を脱 して楽境 の縫製企業 も
少 な くな い。平成 9年 の法人 申告所得 の ベ ス ト
シ ック ・シ ンプル ・シ リー ズを創 り出 した。協力
ー
者 に リバ イス社や イ ッセイ ・ミヤケで働 いた ロバ
84,381社には繊維 ・アパ レル産業 の企業 が 多 数
健 闘 して い る。縫製 工 場 につ いて経営 の ポイ ン
ト ・ター デ ィオ の名 もあ る。 フ ァッシ ョン誌 「ド
マ ーニJも シ ック ・シンプルを掲 げて い る。
トと してかねてか ら『
昌えて い る 「ナ、 ツ、 卜、
5)常 識崩壊 一一 横並 び苦 境 業 界 で の 楽 境 縫 製
企業
単 な る昔 なが らの仕事 は寂 しい ことか も知 れ な
いが、人 間社会 の現実 問題 と して衰退 して い る。
ワーゲ ンな どが ロール ス ・ロイス社買収 の交渉 を
オ」 の観点 か ら楽境 のいわれを見 てみ よ う。
○ 「ナ」 の点 で は、 うま く流 す ことを実現 した工
場 で、 多品種少量生 産 を こな し、 短 サ イ クルに
は QRを 実践 して業績 を上 げて い る。
○ 「ツ」 の点 で は、 うま く作 る ことで、難素材 や
好況 は創造 と革新 が生 み 出す。 アパ レル産業 で の
難縫製 を乗 り越 えて、仕 立 て映 え の よい商品 を
縫製 して い る。横並 び の縫製 工 場 と違 って、縫
実 際 が これ を裏付 けて い る。
製技術 の差別化 で受注 には困 らな い縫製 工 場 と
18 APPAREL BUSINESS MAG
特集/ア パ レルQRの 実現
な って い る。現在、世界 で イ タ リアの フェラー
リや イギ リスの ロー ルス ・ロイスの事 態 は、手
縫 いが上等 だ とす る和裁 ・洋裁 の常識 を破 る も
の とな ってお り、 この両社 の教訓 はアパ レル産
業 にテ ー ラー式仕立 てを卒業 して、近代 的 マ シ
ンメ ー ドの工 業縫製 を マス ターす べ きで あ るこ
とを示 して い る。
① 「卜」 の点 で は、 うま く取 ることで あ るが 、受
注 を年 間通 して うま く取 る とい うことで あ る。
工 場 は腕 自慢 で あ るが、 商売 が下手 とい うのが
普通 とされて い るが、受 注活動 を軽視 して は、
割 の良 い仕事 は こない し、 閑期 には受注 が切 れ
て しま う。単 な る営 業力 だ けで な く、工場全体
と して Q・ C・ D(品 質、 コス ト、納期)の 力
で受 注確保 す る工 場 が経営 を安定 させ て い る。
受注 を人 任 せ に しな い点 か ら縫製 工 場 の 直販 の
動 き も生 じて いる。流通 の不振 か ら離 れて、 自
立 した販売活動 によ り活路 が 開 け るとされ る。
○ 「オ」 の点 で は、 うま く起 こす ことで、新製 品
を起 こす ことで あ る。 デザイ ン創造、 グ レー ド
F F B ( フ ァッ シ ョン ・フ ァク トリー ・ブチ ック)
を展 開 し、受注生産 して い る。
●紳士服業界 で は、注文紳士服 を専 門 に縫製 して
い る大 手縫製 工 場 が好調 で あ る。 また ブ ラ ン ドで
よ 「ダーバ ン」が高級 ブラン ド 「ブルノー ・ピア ッ
ヤ
テ リ」 にパ ター ン ・オ ー ダー ・メー ドを導入 した。
デザイ ンは シ ングル 2つ ボ タ ン、 ダブル 4つ ボ タ
ンな ど 4種 類 か ら、生地 はイタ リアの有名 メーカー
の見本99種類 か ら選 ぶ。顧客 の注文 を受 けてか ら
生地 を直輸入 し縫製す る。納期 は 3週 間。 ダイ ドー
リミッテ ッ ドは主 カ ブ ラ ン ド 「ニ ュー ヨー カ ーJ
取扱店 の一 部 でパ ター ンオ ー ダー を導入 し、好評
の中 で はぼ全 店 (98店)に 拡大 した。 三 陽商会 で
は 「バ ーバ リー」全店 (210か所 )で パ タ ー ン ・
オ ー ダー のキ ャンペー ンを行 った。パ ター ン ・オー
ダー は ブ ラ ン ドの特徴 を生 か したパ ター ンか ら素
材 や ボ タ ン、 サイズな どを 自由 に選 べ る男性 向 け
の注文服 の ことをい う。 オ ー ダー メ ー ドほど 自由
度 はないが、体型 に合 わなか った り、個性 的感覚
ア ップな ど、商 品 の イメ ー ジを高 め、付加 価値
をあ らわせ なか った りとい う顧客 の利用 が増 えて
い る。東京 の伊勢丹 で は大 手 アパ レルのオ ンワー
向上 を達 成 して い る。長野 オ リンピ ックで の ス
キ ー ウエ アや ジ ャ ンプ ウエ アな どの新製 品 が ハ
ド樫 山 が 開設 した紳士服 の イ ー ジーオ ー ダー シス
テムを取 り入れている。 このシステムではコンピュー
イテクを競 って多数活躍 したのが話題 となった。
タ 。グ ラフ ィ ックスによ リデ ジ タルカメ ラで撮影
6)常 識崩壊 ―― 中間排 除 ? カ
した顔写真 や体型 な どを情報 と して取 り込 み、 パ
ソ コ ンの画面 にオ ー ダー したお客 の姿 を映 し出す。
スタマイゼー
シ ョン
画面上 で シングルや ダブル とい ったデザイ ン、生
顧客 の注文 によ り生産 す るカス タム メ ー ドの時
代 とな って きて い る。 この カス タム メ ー ドはオ ー
地柄 だ けで な く、組 み合 わせ約 13万通 りの 中 か ら
トクチ ュー ルの高級婦人仕立 て とは異 な る。 また
テ ー ラーの ビス ポ ー ク (誂え)紳 士服 とも異 なる。
も自由 に選 ぶ ことがで きる とい う。
●婦人服業界 で は、 パ ソ コ ンに服地 や デザイ ン選
え紳士服市場 は低迷 して い るが、 これ ま
近年、訪ほ
での誂 えの よ うに業者 が一 方 的 に高額 の値付 けを
びを代行 させ るハ イテ ク型 の ブチ ックが登場 して
い る。東京 。自由が丘 に開店 した 「ラ ・イ ーJで
す るので はな く、 マス ・カス タマ イ ゼ ー シ ョンと
して、大衆 向 けの カス タム メ ー ドで あ る。注文 に
は、 パ ソ コ ン画面 で服地 や デザイ ン、色 な ど千通
りの 中 か ら 「自分 だ けの一 点」 を選 んで注文 で き
よる実需生産 で あ り、売 れ残 りはな い。
●アメ リカで は、 マス ・カス タマ イゼ ー シ ョンの
る。 この店 は東 レの運営 で、神戸店 とと もにFFB
の全 国展 開 に向 けた一 環 で あ る。
●パ ンス トのセ ミオ ー ダ ‐ が進 め られて い る。靴
時代 が来 て い るとい う。 その例 として、 リーバ イ ・
ス トラウス社 の女性用 ジー ンズの カス タム フ ィッ
トの展 開 が挙 げ られ、 また朝と
で はカス タム ・フー
ト社 の販売展 開が報 じられ た。
● 日本 で は、東 レ株式会社 が、縫製 工 場 (フ ァク
トリー)と ハ イ テ ク ・ブチ ックが 一 体 とな った
選 べ る。 さ らに シ ャツや ネ クタイ との組 み合 わせ
下屋 イ ンター ナ シ ョナル社 は身長、 ウエス ト、 ヒッ
プ、太 もも、 お、くらはぎな ど 9カ 所 のサイズを採
寸 し、 コ ンピュー タに入 力 して顧客 の体型 に最適
の商 品 を販売 して い る。
●靴下 で は、手描 きの デザ イ ンで も自由に一 足単
APPAREL BUSINESS MAG 19
特集/ア パ レルQRの 実現
位 か ら靴下 をオ ー ダー メ ー ドで きる靴下 の シ ョッ
プが あ る。靴下 編 み 機 大 手 の 大 東 製 機 が 、 THK
社、靴下卸 の モ ン ドと共 同 で 開店 した。
●靴 の業界 で は、銀座 ワ シン トン靴店 が 注文靴 と
して 「あなただ けの靴」 を扱 うア ドリブ売 り場 を
設 けて い るのを始 め、捕 調露っ オ ー ダー を受 け る
ブチ ックや、婦人靴 の セ ミオ ー ダーを して い る靴
け られ る。1つ は、店頭 に製品を置かず、イ ンター
ネ ッ トや電 話、 FAXで 注文 を受 けて メ ー カ ー で
組 み立 て る方式。 いわゆ る直販方式 で デ ル コ ンピ
ュー タや、 エプ ソ ンダイ レク ト、 日本 ゲ ー トウェ
イな どが 採用 して い る。 もう 1つ は主 に代理店経
由 で注文 を受 け、 メ ー カ ーが組 み立 て る方式。最
近採用 す る メ ー カ ー が 増 え て い る方 式 で 、 NEC
や コ ンパ ック、富士通 な どが企 業 向 け シ リー ズに
店 も増 えて い る。
●バ ッグ業界 で は、東京 ・銀座 の 「ロイ ド ・フ ッ
トウェア」社 で、顧客 に革 カバ ンの革 の色 や質、
適用 して い る。納期 に関 して は富士通 は 5日 と宣
金具 を選 んで買 って注文 を受 け、 イギ リスの工 場
代理店 が注文 に応 じて製 品 を組 み立 て る方式 が あ
で作 って納 品 して い る。
●化粧 品業界 で は、 ポ ー ラ社 が 「あなただ けの化
粧 品」 と して注 文 で きるアペ ックス ・アイ を打 ち
り、例 えば大塚商会 は企 業 向 けの組 み立 て販売 を
出 して い る。
●香水業界 で は、 パ レル メ ー カ ーの集 ま る東京 ・
神宮前 の 「ミャ ・フ レグ ラ ンス ・ス ク ー ル」 で
「自分 だ けの香水」 を調合、入手 で きる。
● 自動車業界 で は、ト ヨ タの注 文 自動車会社 「モ
デ リス タJが オ ー プ ン した。客 の好 み に応 じて、
オ リジナ ル車 を生 産 し、販売 す る受注生産 会社 で
言 して い るが、他社 は 1-2週
間 だ。 このほかに、
開始 した。受注生産 を 「BTO(Build To Order)」
や 「CTO (COnfigure TO order)」 と呼 ぶ よ う
にな った。 コ ンパ ックはBTOを 「注文生産」CFO
を 「注文仕様生産]と 訳 し、数種類用意 した基 本
モ デ ル を注文 に応 じて製造 す る方式を BTO、 ユ ー
ザ ーが 注文 した周辺装置 や ソフ トな どを基 本 モ デ
ル に追加 して組 み立 て る方式 を CTOと して い る。
0こ の分類 で アパ レルの顧客 か ら直接 の受 注生産
は基 本 モ デ ル と して基 本 デザイ ンを ベ ー ス と して
あ る。ト ヨタ車 の部 品 を 自由 に変 え られ るほか、
客 の希望 に応 じて改造 す る 「オ ー ダー メ ー ド車」
生地 や色 柄 が選 択 され 、体型 やサイズが指定 され
る CTOと な る。 パ ソ コ ン業界 で は流 通 コス トの
も扱 う。 少 品種大量生産 に慣 れて きた 自動車 メ ー
カ ー大手 が 消費者 の好 みの多様化 に対応 して多 品
種少量生産 へ の道 を進 み始 めた。
●パ ソ コン業界では、デルコンピュー タや 日本 ゲ ー
削減 のため製品在庫を持 たずに済む受汁牛産 はメー
カ ー に とって魅 力的で あ る。
● しか し、 メー カ ーの 直販 シス テ ム は代理店外 し
トウェイが業務 に応 じたカス タム メ ー ドを打 ち出
した。 直販 シス テ ム によ り競争力 の あ る価格 と し
た。 エ プ ソ ンダイ レク トやプ ロサイ ド、 マ イ ク ロ
ン ・エ レク トロニ クス ・ジ ャパ ンが知 られて い た
が、受注生産 を全 面採用 して い るデ ル コ ンピュ ー
タが、売上高 を飛躍 的 に伸 ば しつつ在庫削減 に成
功 して い ることか ら、一躍注 目を集 めるよ うになっ
た。 これを追 って、 コ ンパ ックや NEC、 富士 通 、
ソー テ ック、 東芝、 IBMな どのパ ソコンメーカー
が相次 いで受注生産方式 の採用 に踏 み切 ってい る。
採用 メ ー カ ーの主 な狙 い は在庫 肖J減で あ る。 また
大塚商会、 ソフ トバ ンクな どの流通業者 まで もが
取 り組 み始 めた。先行 のデル社 や ゲ ー トウェイ社
はさ らに競争力 を増 す ためにサ ー ビス を拡 充 し、
顧客 に魅力 の あ る受注生産 パ ソ コ ンを 目指 して い
る。 パ ソ コ ンの受注生産 の方式 は大 き く3つ に分
20 APPAREL BUSINESS MAG
を結果 す るだ けに流通業界 で危 機感 を深 め るほど
の流通常識 の崩壊 で もあ る。
≧葬 毒
幸華
こ
訓 軽妻
わが 国 が これ まで近 代化 を進 め、 工 業化 を高 め
て きた生産 は、経済大国 と して成功 す る反 面、多
くの不調和、行 き詰 ま りも生 み 出 して しま った。
ノーベ ル賞 の江崎玲於奈博士 も次 のよ うに述 べ た。
「
特 に ここ百年余 りの科学 の進 歩 は 目 ざ ま しい。
そ こか ら生 まれ た さまざまの技術、 医療 や医薬 は
われわれ に限 りな い益 を与 え た。 しか し、 この過
程 の裏 には、 自然 の破壊 や汚染 、核兵器 の配備、
ヽ
の荒廃 な ど好 ま しか らざ る影 もある。
人,亡
」 といっ
たのであ る。 その上 、 国民 の生活 や消費 の変化、
即 ち多様化 に対応 で きな くな って、生産 の見直 し
が始 ま った。 工 業生産 は大量 化、高速化、大規模
特集/ア パ レルQRの 実現
化 を 目指 したが、 これ らにつ いて実現度 の高 い産
るが 、買 いた い ものが ない とい う ミスマ ッチを引
業 と しての重 厚長 大産業 は行 き詰 ま り、軽薄短小
き起 こ し、売 れ残 り品 の 山 とな る。工業生産 が行
産業 に主 導権 を譲 って い る。 す なわ ち、現代生産
き詰 ま りとな り、脱工業 が 叫 ばれ ることになった。
論 は工 業生産 の立場 に立 って、大変貌 の時代 へ の
業生産主導 の時代 は終 わ った とす る説 が注 目を集
2)プ ロダ ク トアウ トか らマー ケ ッ トイ ンヘ
イギ リスの繊維工業 は産 業革命 を リー ドして世
めて い る。 それで は、工業生産 の次 に来 る生産 と
界 にその名 を轟 かせ た。手機織 りか ら力 織機 に転
はどん な もので あ るのかが 関心 の的 とな る。 しか
換 して大 成功 を収 めた。 その成功 がかえ って イギ
適合 を模索 して い るわ けな ので あ る。 そ して、工
も、次 の時代 と 目 され る21世紀 は数年 後 に迫 って
リスの繊維産業 の斜 陽 を導 い たという見方がある。
お り、 ここに次代 の生産 と しての考察 を行 う こと
当時採 用 した旧式 の紡績法 であ る ミュール式 に こ
と した理 由が あ る。
だわ り、 と らわれて、性能 の高 い新式 の リング式
へ の切 り替 えが遅 れ、 国際競争力 を失 って衰退 し
1)生 産大変貌
300年前 の イギ リスの産 業 革 命 が工 業 生 産 を生
み 出 した。 それ まで の もの作 りは ホ ー ム メ ー ドか
ア ー チザ ン (職人)メ ー ドで あ り、手作 りの丸仕
上 げによ る作 り方 で あ った。 モノづ くりの革命 が
産業革 命 で あ る。 アパ レル生産 も遅 れ ばせ なが ら
産業革命 の流 れ に入 って きた。縫製工 業 の成 り立
ちを振 り返 るの にイギ リスの産 業革命 に学 ぶ べ き
モノ は多大 で あ る。本年 はイギ リスの産業革 命 の
遺産 を 日本 で見 られ る。世界 で も大規 模 の科学技
術 資料 を所蔵 す る大 英科学博物館 の展覧会 が平成
10年 7月 23日か ら8月 30日 まで東京 で開催 され る。
出品 には産業革命 によ るスチ ー ブ ンソ ンの蒸気機
た。 アメ リカの 自動車業界 も世界 に君臨 した成功
が、 旧式 ブ レーキの ドラム式 に執着 して、新式 の
デ ィスク式 の導入 を最後 まで ため らわせて、低迷
を招来 させ た とい う。 工 業 での リー ドは技術 的成
功体験 も常識 化 す る。 その よ うな常識 によ り打 ち
出 され るの は、 「プ ロ ダク トア ゥ トJで あ り、 か
つ ての成功 の押 しつ け とな り、顧客 といよいよ遠
く離 れて しま う ことに な る。 イギ リスの産業革命
によ り工業生産 とな り、 アメ リカ の大量生産 によ
り成長 を見 た生産 も、量産 が行 き詰 ま り、脱工業
の時代 とな った。そ して脱工業 の方向 に 「マーケ ッ
トイ ン」 の理念 が示 され るに至 っ た。 「マ ー ケ ッ
トイ ン」 とは、生産者 側 が市場 の 中 か ら顧客 の要
関車 「ロケ ッ ト号」 を始 め と して約 70点、英 国 に
求 をキ ャ ッチ して生 産 をす ることを意 味す る。生
とって 国宝級 の ものばか りで、 これだ けの点数 が
産者側 の 常 識 は崩 壊 し、 生 産 の 目指 す と こ ろ は
英 国外 に持 ち 出 され るの は初 めて とい う。 ここか
らも学 べ るよ うに、産業革 命 によ り発展 した工 業
「
収益Jや 「効率Jや 「シェア」 か ら、CS(キ ャ
ス タマ ー ・サ チス フ ァク シ ョンの略 で、顧客満足
生産 は機械 を使 い、分業 によ る作 り方 で あ る。 そ
を意 味 す る)へ と移行 す る ことにな った。経営 は
こで工 程分析 が行 われ、流 れ作業 が取 り入 れ られ
利益 が な ければ成 り立 たないが、 プ ロ ダク トア ゥ
るよ うにな る。 工 程 には機械 が設 備 され、機械 に
トで利益 さえ上 げれ ばよい とい うので は、経営 は
よ る品質 向上 や作業能率 が検討 の対象 とな る。 こ
永続性 を失 う。 この ことはモ ー ド界 で も、 パ リの
オ ー トクチ ュ ールの浮沈、盛衰 が如 実 に物語 って
い る。 モ ー ドを芸 術作 品 と思 い込 めば 「ア ー ッ o
の結果、工業生産 は量産 が も っとも効率的 とされ、
生産が 四則算 的 な合理性 の上 に築 かれて きた。 し
か し、機械 も進歩 し高生産性 とな り、経営 は合理
性 の追求 の あ ま り、顧客 の満足度 が犠牲 とな りが
イ ンJで あ り、デザイ ンに打 ち込めば 「デザイ ン ・
イ ンJと な るわけだ し、製品 に誇 り高 き自信 を持 っ
ち とな り、生産 した製 品が売 れ残 るよ うにな り、
て 回執 すれ ば 「プ ロ ダク ト ・イ ン」 とな り、世界
つ いに生産 の見 直 しが求 め られ るに至 った。 工 業
の動 きや顧客 の生活実態 にます ます遊 離 して、商
生産 の性格 と して 「プ ロ ダク トァ ウ トJと い うこ
とが指摘 され るが、 これ は生産 側 の一 方 的 な思 い
入れで製 品 を量産 して、市場 に押 しつ ける ことを
品 を送 り出す。 この種 の顧客不在 も 「プ ロ グク ト
ア ウ ト」 であ る。 パ リのオ ー トクチ ュールの顧客
は全 世界 にわ ずか千人 ほどに減少 して しまい、 そ
い って い る。 この結果、消費者 か ら製 品 は沢 山あ
の経営 は大 赤字 で、顧客 を意識 したプ レタポルテ
APPAREL BUSINESS MAG 21
特集/ア パ レルQRの 実現
撃
撃華
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1)常 識崩壊 ― THP開 発 とは ?
通産省 は繊 維 ・アパ レル 産 業 の QR化 の た め
の情報通信技術 の進展 を図 り、生産 か ら小売 りま
での ビジネス ・プ ロセス を電 子 ネ ッ トワー クに対
顧客志 向 の生産を別 の表現 として 「
多 ・高 ・短 ・
少」生産 と造 語 したが、 これ は多品種 ・高 品質 十
応 させ ることと し、業務 シス テ ムの開発、生産技
術 ・生産管理技術 の開発 を行 い、実証 ネ ッ トヮー
高感性 ・短 サ イ クル ・少量生産 の略 で あ る。 この
クを構築 して実証実験 を行 っている。 これはTIIP
(テ キス タイ ル ・イ ングス トリー ・イ ノ ベ ー シ ョ
によ り経営 を維持 して い るのが実態 で あ る。
意 味 で生産 供給 の QR(ク
ィック レスポ ンスの 略
の意
で、迅速 な反応
味 である)は 短 サイ クル生産
に相 当 し、生産 の リー ドタイ ム (生産期 間)を 短
ン ・プ ロ グ ラムの略 で、繊維産業革新計画)事 業
ど う実施 す るのだ ろ うか。 この点 につ いて は、 か
と して行 われて い る もので、関連事業 と して25種
類 の業務 アプ リケ ー シ ョ ンの 開 発 と QRコ ー ド
セ ンター業務、 EDI標 準 メ ッセ ー ジの 紹 介 な ど
を行 って い る。繊維 ・アパ レル産業 に も身近 な コ
ねてか らの主 張 に加筆 して、次 の よ うにま とめて
ンピュー タ通 信時代 が到来 して い る。顧客 との距
い る次第 で あ る。
離 を縮 め る情報通信技術 として、 これ まで の生産 。
縮 す るた めの方 向 で あ り、時間的顧客満足 を図 る
もので あ る。迅速 に生 産 し、作 りす ぎないために、
1)仮 需 の量生産 は しない。 実 需 の受 注 を しっ
か り取 って生産 を行 う。売 り切 りのためにカ
ス タム メ ー ドとす る。
2)生 産手配 の的確迅速化 に コ ン ピュ ー タ生 産
管理 (CAE)を 活用 す る。
3)パ ター ンメ ー キ ングに CADを 使 う。
4)裁 断 に CAMを
使 う。
5)縫 製 の流 しは、少量 ず つ 行 う。
6)品 種切 り替 え には多能 工 化 して 、 多 工 程 持
ち とす る。
7)ア パ レルマ シ ンはフ レキ シ ビ リテ ィの 高 い
自動機 (CAM)と
す る。
8)'情報 ネ ッ トワー ク (TIIPネ ッ ト)は POSと
流通経路 に育 った常識 を崩壊 す る。電子商取 引 で
は、本人 の確認 が不可欠 で、個人 の識別技術 がキー
を握 って い る。電子商取 引 の普及 に伴 って、識別
技術 開発 がNEC、 沖 電 気 、 三 菱 電 機 な どで 行 わ
れて い る。 その上、 イ ンターネ ッ ト上で電子 マネー
実験 が始 ま るとい う。 サイバ ー ビジネ ス協議会 は
今年 9月 か らイ ンター ネ ッ ト上 で現金 のかわ りに
お金 と して使 え る 「
電子 マ ネ ーJの 実験 を始 める。
この実験 は、 利 用 者 が イ ン タ ー ネ ッ トで 仮 想 の
「
銀行」 で現金 (電子 マ ネ ー)を 引 き出す と、 利
用者 の実 際 の銀行 日座 の残高が その分減 り、 引 き
出 した金 額 の情報 で あ る電 子 マ ネ ー が ICカ ー ド
の連動 で売 れ る商品 を売 れ るだ け生 産 す る。
に記憶 され る。不J用者 は ICカ ー ドか らネ ッ ト上
に設 けた商店宛 に電子 マ ネ ーの情報 を送 信 し、代
9)商 品 サ ンプル は多種少量試作す る。
10)本 番 は リピー ト発注 に対 して迅速生産 で迅
金 の決済 をす る もので あ る。 イ タ リアや パ リの ア
パ レル業界 の関心 はイ ンター ネ ッ トによ る電子 マ
速納入 す る。
ネ ー取 引 に向 け られて い る。
11)納 品 は遅延 の ない迅速 配達 とす る。
12)顧 客 の注文 や代金支払 いに はイ ンター ネ ッ
トによ る電 子商取 引 と し、電子 マ ネ ー決済 と
してゆ く。
13)生 地手 配 や縫 製 工 場 との連 携 は QRネ ッ
トワー クの リンケ ー ジ (THPネ ッ ト)を 活
2)常 識崩壊 ―一 逆工場 とは
これ まで に述 べ た ことか ら、工業 は過去 の もの
とな り、脱工業 の生産 は顧客 を画 一 的 にあ しらう
量産 を脱 して、顧客個 々 に対応 す る個産 にな り、
工業 (工という作 り手 の業、 た くみの業、Industrp
用 す る。
の名 も客業 (客 の た め の 業 、 Ordustryと 筆 者 が
ク ィ ック レスポ ンスの挑戦 は顧客満足 の網
羅 で あ り、 クィック レスポ ンスの次期バ ー ジョ
造語 と した)に 変 わ り、工業量産 は客業個産 に変
ンが 「キ ャスタマTレ スポ ンス (顧客へ即応)」
場は 「
逆工場」 と しての性格 とな るとい う。逆工
とされ る所以 で あ る。
場 とは、生産 の情報 が顧客 か ら発 して、 これ に工
22 APPAREL BUSINESS TttAG
わ るのだ と信 じて い るわ けであ る。 21世 紀 には工
特集/ア パ レルQRの 実現
場 が レスポ ンス して生産 を行 う意 味 の もので、現
くされて い る。 その結果 か、 ′
売 りで は法律 を無
Jヽ
在 の情報 が作 り手 の川上 か ら買 い手 の川下 に流 れ
視 した露骨 な利益追求 が告発 され、生産 で は量産
る とい う流 れ を逆 転 して、川下 の顧客 か ら情報 が
が最善 だ とす る常識 が働 き、生産過 剰 によ り業界
川上 に逆流 す ることを い うので あ る。 21世紀 は逆
を疲弊 させて い る。 商法 も改正 す べ きで あ る とさ
工 場 の時代 で もあ る。製造業 は製 品 を媒介 に した
サ ー ビス業 とな るとい う。 これを実施す るために、
当然、生産 の方法 が変 わ って くる。逆工場 はその
法律 を守 り、社会 に責任 を負 い、顧客 の身 にな っ
名 のよ うに これ まで の工 場 の常識 を崩壊 させ る。
い う考 え方 に意 識 の大変革 を しな い と、違法 によ
多品種少量生産 のため に単工程持 ちの分業専 門的
ライ ン構成 での ロ ッ ト流 しの方式 は採 用 され な く
り会社 が破綻 させ られ るに至 るだ ろ う。企業 の不
ー
ー
.祥事 が相次 ぐ中、 コ ポ レ ト ・ガバ ナ ンス (企
な り、多工程持 ちの多能工 による助 け合 い作業 で、
業支配)と い う言葉 が注 目 され た。 これ は誰 が企
少量流 しに移行 す ることにな り、作 りす ぎの ロス
業 を支配 、統治す るか を問題 とす る言葉 で あ る。
が排 除 され るよ うにな る。設備 の今後 は ど うか と
い うと、 一 歩進 めて顧客 の欲求 を満足 させ る観点
か ら生産 の設備 は作 り上 げ られ るよ うに期待 され
戦後 の 日本企業 は この点 が 不明確 で企 業犯罪 の温
る。既存 の設備 が前提 とな る現 在 の生産設計 は、
プ ロ ダク トアウ トの 「プ ッ シュ型設備 (押 し付 け
展 したため、責任 の所在 が あ い ま いに な ったため
であ るといわれ る。企業経営 にお いてル ール を守
型設備)Jの 考 え方 で あ って、 生 産 は顧 客 に マ ッ
チ させ るよ り既存設備 に マ ッチ させ る結果 とな っ
経営理念 の構築 が課題 とな って い るが、 か け声 と
れ、利益優先 の経営論 も書 き直 しが必要 とされ る。
て経営 を行 い、 その結果 と して利益 が得 られ ると
床 と もな った。株式会社 は リス ク分散 によ って広
く株主 か ら出費 を募 り、 巨大 な資本 を動員 して発
り、株主 の尊重、社会 的責任 な どに重 点 を置 い た
て しま う。設備 は顧客 の欲求 を満 たす観点 で作 り
は裏 腹 に外部 か らの チ ェ ック体制 を充 実 した り、
上 げ られ な ければ な らな い。 これ は 「プ ル型設備
経営実態 を積極 的 に公 開す る ことには二 の足 を踏
(顧客 の欲求 が 引 っ張 る設 備)」 とい うことになる。
む企 業 が まだ多 い と指摘 されて い る。
この ため、 工 場 は設 備 につ いて単純 購入、単純使
用 の レベ ル を乗 り越 えて、設備 を使 い こな しの上
2)日 本 的経営の常識 崩壊
に作 り替 えて、顧客 によ リマ ッチ させ る ことがで
これ まで行 われて成功 した とされ る日本 的経営
きるよ うにな ることが必 要 で あ る。 これ は縫製業
は、 日本企業 に特有 な経営 方式 とされて い る。終
が労働集約 か らよ り深 い設備知識 の上 に生産 す る
身雇用、年功序列、企業 内 の労働組合 が特徴 であ
とい う知識集 約 へ の移 り変 わ りを意味 す る。 その
る。経済界 か らは国際競争力 をつ けて生 き残 るに
こと 自体容 易 な ことで ないが、 そ うい う観点 に立
は、 業界 の 自主規制 の撤廃 は もちろん、年功序列
つ と、 これか らが見 えて くるので はなか ろ うか。
や終 身雇用、労 資協調 とい った 日本 的経営 の常識
が再考 され る必要 が あ るとされ た。 これ に拍車 を
手
華:等
華
華幸摯碧
華韓華臣
革
1)利 益優先 の常識崩壊
掛 けた のが 、企業 の不祥事 の相次 ぐ発覚 で あ る。
経 団連役員を引責辞任 した企業 トップは 9人 に上 っ
た。 日本 的経営 は多 くの会社 が右肩上 が りの成長
を過 信 し、資産 バ ブルの夢 の 中で経営戦略を誤 り、
企業 は利益 が な けれ ば成 り立 たない。 だか らと
い って利益 さえ上 げれ ば企 業 は何 を して もよ い こ
厳 しい リス トラを余儀 な くされ、 日本 の経営 に大
とにはな らない。会社 は経営者 の もので もな けれ
打撃 を与 え た要 因 とな った。 もはや経営者 も日本
ば、株主 の もので もな く、社会 に責任 を負 う存在
的経営 に安住 で きな い。 そ して ひ とたび会社 が崩
壊 すれ ば、社員 は一 夜 に して氷海 に放 り出 されか
で あ る。商法 で は 「
会社 は株主 の もの」 と してお
り、会社経営 の本 や工 業経営論 な どは会社 は 「
利
の
益 を上 げ る も 」 と して い る。社会 に責任 を負 う
用 や年功序列、賃金 は崩 れ つつ あ るが、労使 の関
とい う記述 は、 その本 や教科 書 の 冒頭 に触 れ る く
係 はさ らに ドライな もの とな って きて い る。企業
らいで、書 中 で は利益 を 目的 と した説 明 で埋 め尽
内 で具合 の悪 い ことを内密 に処理 しよ うとす る日
ね ない。 日本 的経営 と して もて はや された終 身雇
APPAREL BUSINESS MAG 23
特集/ア パ レルQRの 実現
本 的体質 を社外取締役制度 の導入 な どで改善 す る
うとい う考 え方 とな って きて い る。規格 や法制面
動 き も見 られ るよ うにな った。大改造 に中 で、社
“
"型
員 は滅私奉公型 で な い 活 私 奉 公
に 自立 ・
転換 が迫 られて い る。 日本 的経営 は経営者 に とっ
で も品質 が重 視 されて い る。
● PL法 につ いて
て も、 社 員 に と って も、見 直 しが 求 め られ、 これ
日本 で は、製造物責任 (PL)法 が 平 成 7年 7
月 よ り施行 され、相談窓 □や紛争処理機 関 も相次
までの常識 が 崩壊 して い ることを知 らされ る。
いで 開設 されてお り、消費者 の相談 や苦情 に対応
す る体制作 りが進 め られた。 PL法 で は、 製 品 の
3)生 産主導 の常識崩壊
生産供給 で は これ まで の作 り手 が主 役 で あ った
のが、 これか らは買 い手 が主 役 に入 れ替 わ る時代
で あ るといわれ、顧客 が生産 を リー ドす る。 この
顧客 に ジ ャス トフ ィ ッ トして商 品 を生産 供給 す る
欠 陥や説 明書 の不備 な どによ って消費者 が生 命、
身体、財産 に被害 を受 けた場合、製造業者 や販売
業者 に賠償責任 を負 わせ る。現行民法 で は、製 品
の欠 陥 の ほか メ ー カ ー側 の過失 も証 明 しな けれ ば
な らな い。 これ に対 し、 PL法 で は欠 陥 さえ証 明
よ うに しなければな らな い。 いいか えれば、顧客
で きれば賠 償 が認 め られ るので消費者保護 の面 で
の欲求 に適種、適質、適量、適 期、適価 の商 品 を
生産供給 す るとい うことで あ る。 これ は生産 の原
大 きな前進 と見 られ る。 消費者 か らの相談 や苦情
を受 け付 け る 「
PLセ ンター」 な どの 開設 も相 次
点 とな る もので あ る。施政方針演説 で も政治 にお
いだ。 「
裁定」部 門 も受 け付 けを始 め た。 消 費 者
ける消費 者主役 が 唱 われて い るよ うにな ってい る。
か らの審査請求 を受 けて、弁護士 、消費者 問題専
日本全 体 が消費者主導 に大改革 され る。残念 なが
門家 な どで構成 す る裁定委 員会 が調査結果 に応 じ
ら、生産工学 で も、 工 業経営 で も教科書 や著書 を
て和解案 を 出す シス テ ムで あ り、被害 を迅逮 に救
見 ると、社会 に貢献 し、顧客 のため にな る生産 と
済す るのが狙 い とな って い る。
● iS09000シ リー ズにつ いて
い う表現 は建 前 と して少 しばか りされて い るが、
魂 が入 って いない。 企業 内 の能率、効率、生産性
主 導 とな るの は容易 で な い。 この流 れ は工 業 が行
これ に関連 して、 国際標準規格 (IS09000)が
制定 され て い る。 この 国 際認 証 制 度 IS09000シ
リー ズにつ いて は、次 の よ うに解説 されて い る。
ISOに よ る国 際認 証 制 度 は、 製 品 や サ ー ビス を
き詰 ま り、脱工業 へ の流 れで あ る。 この点 で は、
例 えばイ トー ヨー カ堂 は企 業理念を 「
顧客 のためJ
よ りさ らに進 めた 「顧客 の身 にな って」 と して い
供給 す る企 業 に対 し、 その企業 の品質保証体制 が
一 定 の レベ ル に達 して い ることを
国際基準 によ り
ー
認証 す る、 JISマ
ク待1度 の 国 際版 と も い え る
て、経営 の先進企業 であ ると見 られて い る。
制度 で あ る。 この制度 は ヨー ロ ッパ ECを 中心 に
が主題 とな って しま って い る。生産主導 で きた企
業 や社員 に とって は、常識 の大崩壊 であ る消費者
実施 されて きた もので、 日本 は導入 が 大 き く立 ち
ま とめてみ る と、 21世紀 アパ レル産業 は20世紀
遅 れて いたが、 1993年11月 1日 に財団法人 の認定
機 関 「日本品 質 シス テ ム審査登録認定協会」 が発
足 した。 この機 関 は一 カ国一 機関 とな って お り、
型常識 の崩壊 の上 に成 り立 つ とも言 え よ う。 その
キ ー ワー ドは簡潔 に い う と、 CS、 ES、 ESで あ
次 の 3種 類 の業務 を行 う。①認証 機 関 (各企業 の
認証 と登 録 を行 う)の 認定②教育機関 (アセ ッサ ー
る。
の教育 ・企業 の指導)の 認定③ アセ ッサ ー の認定
で あ る。認証機 関 で は、 アセ ッサ ー といわれ る審
韓
寵難華
華
華鑑 謹韓萎
華
1)CS(顧
客満足)
査員 を何名 か擁 して いて、 これ らの アセ ッサ ーが
ビジネス と して まず CSを 高 め る こと を 図 り、
企業 の審査 に当 た る。審査 に合格す れば、 その企
顧客 の満足 の上 に結果 と して利益 が得 られ る とい
業 は IS09000に よ り認 証 され た企 業 と して認 証
う考 え方 とな るので あ る。 CSは 売 り上 げ や収 益
機 関 に登 録 され、 国際的 に認 め られ ることになる。
によ り間接 的 に測 られて きたが、現 在 は CSを 経
営全体 の 目標 と して置 き、 直接 的 に測定 して い こ
それ まで は、 日本 と しての認 定機関 も認証 機 関 も
24 APPAREL BUSINESS MAG
無 か った た め、 日本 品 質 保 証 機 構 」QA(元 機 電
戸
特集/ ア パ レルQ R の 実現
1宴
│■
1昼
│ヽ
│き
E
ま
青モ
│こ
こ=こ│=│ユ
1青
│こ
│こ
=1車
享1卑
二│】
善
11思
首│=│=車
ど一 部 の機 関 が英 国 そ の 他 の 国 の 認
で あ る。 ISOは ジュ ネ ー ブに本 部 を置 く非 政 府
証機 関 の協力 で、外 国 の認証 を受 けて きたが 、 こ
機 関 で、 1947年に設立 され、 現 在 120か 国 の 団 体
れ以 後 は、 日本 としての認証が行われ るようにな っ
か参加 して い る。規格 その もの には拘束 力 はな い
た。
が、政府調達 の案件 にな った りす るため、 自主 的
検 」MI)な
に守 る企 業 が多 くな って い る。規格 には番号 がつ
2)ES(従
業員満足)
いて お り、基本 的 な製 品 か ら順 に番号 が害Jり振 ら
従業員満足 は CSを 実現 す る企 業 内組織 の 満 足
が CS同 様 に重 要 で あ り、企業 の業績 を左 右 す る
れて い る。 その規格 が増 え、 IS09000番 シ リー ズ
は品質管理 と保証 につ いて 、 14000番 シ リー ズが
問題 との認識 が 深 ま って きて い る。如何 に ESを
高 め、組織 の モ ラル や モ チ ベ ー シ ョ ンを 向上 させ
環境管理 の国際規格 に割 り振 られて い る。
IS014000番 シ リー ズ は、 工 場 な どで の 環
て行 くか、 が 関心 を集 めて い る。 この ところ、 リ
ス トラに明 け暮 れ た米企業 が一 転、求人難 に直面
した。景気拡大 の長期化 で労働需給 が ひ っ迫、情
境管
の
の
理 方法 や排 出物 削減 な どの報告 や製 品 の環境
レベ ル、製 品 の製造 か ら使用 ・廃棄 に至 る各段 階
ごとの環境影響評価、 その監 査方法 な どを細 か く
報 産業 で は技術者 の争奪戦 が激 化 して い る。 「米
規走 して い ると この規格 の 中身 は、環境担 当 の役
企業 の経営課題 は 『顧客』 か ら 『
従業員』 に移 るJ
と、 ア ーサ ー ・ア ンダー セ ンの最高経営責任者、
員 を置 くことや社員 の環境教育 を徹 底 す るよ う求
リチ ャー ド ・ミゼ ール氏 は語 った。米企業 は90年
代前半 まで顧客満足 を重 点 テ ー マ に掲 げたが、 こ
本 の企業 の 中 には反対論 が多 か ったが、環境保全
れか らは 「
従業 員満足Jを 競 う時代 を迎 え る。 ス
い った。 この規格 を充 分満 た して い る と認 め られ
め るな どか な り厳 しくな って い る。議論 当初 は 日
の国際的 な流 れ に押 され るよ うに賛成論 が増 えて
トックオプ シ ョン (自社株 購入権)を 導入 して、
た企 業 には認証 が与 え られ る。取得 の ための専 門
意欲 あ る人 材 を引 きつ け る報酬‖
体系 を作 る。 医療
業者 も生 まれ、 日本 国 内 で は平成 9年 7月 現在 で
な ど福利厚生 を整 え る。賃金改革 だ けで は十分 で
約 330の企 業 や工 場 な どが認 証 を 取 得 して い る。
はな く、快適 な職場環境 は もちろん、 面 白 い知 的
な仕事 を提供 で きな い企業 は もう人 材 を集 め られ
な い。 リス トラブー ム に便乗 して従業員 を冷通 し
て きた企 業 は しっべ返 しに道 うだ ろ う。 メデ ィア
企業 だ けで はな く、地方 自治体 や病 院 な どで も認
証 を取得 す る動 きが広 ま って い る。認証取得後、
総合的 な環境報告書 を作成 し、公開 した り、環境
行動計画 を発 表 す る企 業 も出て きた。 一 方、 中小
が 暗 い 「ホ ヮイ トカ ラー ・ブル ー ス」 を奏 でて い
企業 の場合 は認 証 に もお金 がかか るため、認証取
る間 に、米 の有力企業 は素早 く雇 用戦 略 を転 換 し
得 が遅 れそ うで、 今後、支援策 が 求 め られ る。認
て い る。 かつ て リス トラ経営 の代名詞 だ ったIBM。
93年 に会長 に就任 した ル イス 。ガ ー スナ ー氏 は、
証 の取得 が増 え ると、環境教育 が徹底 して い くこ
「リス トラの早期終結」 を宣 言 して 一 気 に大 規 模
会 を提 供 す ることに もな るとされ る。
※ ハ ンテ ィ ング ・ヮー ル ド社 の願 い 一一 環境保
な合理化 を実施 したが、 95年 には早 くも雇用者数
が増勢 に転 じ、 96年 に は 2万 6千 人 を新規採 用 し
た。終身型雇用 に こだ わ った昔 の経営 陣 で は、 こ
れ ほど早 く反転 で きなか っただ ろ う、 といわれて
い る。
3)ES(地
球環境満足)
とにつ なが るので、 これ まで にない環境教育 の機
護
軽 くて丈夫、男女 を問 わず 使 え る シ ンプル な
デザ イ ンが持 ち味 の米 国製 バ ッグ 「ハ ンテ ィ ン
グ ・ワール ド」 は気楽 に持 ち歩 ける と して人 気
を集 めて い るが、 同 ブ ラ ン ドの ロゴマ ー クは19
91年 に変更 し、 それ まで のキバ の ない ゾウの柄
●企 業 の環境 管理、 監査 につ いて の iS014000シ
リー ズ
に、新 しく探検、 自然保護、教育 の文字 を英語
で記 した もの と した。 ロバ ー ト ・リー社長 は熱
この規格 は、工 業製 品 の規格 を国際的 に決 め る
心 な環境保護主義者 で、動物愛護 も同社 の願 い
国際標準化機構 (ISO)で 決 めて い る規格 の うち、
企業 の環境管理 ・監査 につ いて の標準規格 の こと
だ とい う。
APPAREL BUSINESS MAG 25
特集 /ア パ レルQRの 実現
●容器包装 リサイ クル法 と廃 棄物処理 法 の制定
容器包装 リサ イ クル法 はテ レビ、冷蔵庫、洗濯
機、 エ ア コ ンの リサ イ クル に関す る法 律 で あ り、
環境保全 のために リサイ クルす る ことを求 めて い
る。廃棄物処理法 は法律 で指定 した特定機器廃棄
物 を対象 にその処理 につ いて規定 した もので ある。
現在、 日本 の廃棄 物 は年 に6,000万 トンとな って
お り、 その 1%の 60万 トンが リサイ クル されて い
るが、残 りの殆 どはその まま、ない し焼却 されて、
埋 め立 て られて い る。 この ままで は、廃棄物 によ
り環境 が破壊 され、生活 が脅 か され る。最近 で は、
自動車会社 が 中心 にな って、従来 ス ク ラ ップ にす
るだ けだ った使用済 み 自動車 (廃車)を 再利 用す
る動 きが本格化 して きた。
家電業界 で は冷蔵庫 な どを リサイ クルす る仕組
みが整 え られ つつ あ るが、 自動車 は国内 の廃車 台 `
数 が年 間500万台 に達 して そ の 処 理 が 大 きな課 題
とな って お り、 自主 的 な廃車 リサイ クル に本腰 を
入 れ始 めた。 自動社各 メ ー カ ーの廃車 の リサ イ ク
ル は現 在、車量比 で ほぼ75%程 度 に止 ま ってい る。
トヨタ 自動車 は リサイクルプラン トの稼働 をスター
トさせ る。本 国技研 は再生部 品 の 出荷 を始 めてお
り、 日産 自動車 は解体 しやす い工 法 を共 同研究 し
て いて、車体 の重量比90%以 上 を再生 利用 で きる
新型車 を発売 す るとい うことだ。 しか し、廃棄物
処理 の費用負担 が 問題 とな って お り、最終 的 には
消費者 の負担 にな る と見 られて い る。
大量 にものを作 り、作 りす ぎとな って売れ残 り、
廃棄物 とす るや り方 は、 も はや許 されな い。
21世紀 は人 類 的課題 を背負 って、 20世紀 の常識
崩壊 の 中 で生 き抜 くことを考 えなければな らない。
このため何 が常識 で、 ど う崩壊 したか を見 る こと
は、 有意義 で あ る。 よ り中 の常識崩壊、繊維 ・ア
パ レル産業 の常識崩壊 に引 き続 いて、次 の時代 の
潮流 が押 し寄 せ て きて い る。 おわ りに当 た り、 こ
の潮流 を味方 と して21世紀 を迎 え るよ うにあ りた
い と感 じて い る。
26 APPAREL BUSINESS A/1AC.
APPARttL
CONTENTS
BUSINESS MAGAZIN回
JUNコ
1998
《
特集》アパ レルQRの 実現
繊維 ・アパ レル産業再生の鍵 .…………・
・
!。
………….…………・
………………… 河内 保 二 (12)
QR実 現への発進
1.21世 紀 常識崩壊 の時代
2.常 識崩壊 ― アパ レル産業大 改造
3.常 識崩壊 一い ったい ど うな る ?
4.常 識崩壊 ―量産 との決別
5.QRへ 発進
6.常 識崩壊 -21世 紀経営 に要す るもの
7,常 識崩壊 -21世 紀 アパ レル産業
8 . おわ りに
バ ル ダ ンホ ー ムペ ー ジ開設 … …………………………………………………株式会社バルダン (27)
Q R ・ ア パ レル 生 産 シ ス テ ム
次代 の ニ ー ズに呼応 す る
・
・
・
よ
・
……i・
・
…… …… …・
│…… 株式会社島精機製作所 (28)
アパ レル トー タル デザ イ ン( A T D ) シ リーズ ・
ユ ー ザ ー と歩 む
。
………… ………… ………………………………… 東 レ株式会社 (33)
東 レアパ レル コ ンピュー タ シス テ ム
QR時 代 における
.…
企画部門 の情報 システム化 の提案
………………………………………株式会社ア ンドアルフ ァ (36)
ー
ア パ レル デ ザ イ ン ツ ル パ ッ ドシ ス テ ム
°
………住商エレクトロニクス株式会社 (42)
手作業感覚の道具立てとデータベースが仕事を変える
モプラレBAF一 S“ノー トリム" ……… … … … … … … …… … …… … ・
ヤマ トミシン製造株式会社 (47)
柚 ロヘム縫 い用脱技能省力機
QR・ 需要 予 測 システム
QRシ ステム構築 に向けて∼始 まりは予測 か ら∼ .…..株
式会社富士通大分 ソフトウェアラボラトリ (49)
需要予測 システム FOREPALSご
紹介
QR・ ア パ レル 物 流 システム
アパ レル物流 の効率化 を実現す る ……………………………………… ー ヨー
カネツ株式会社 (54)
ト
ソー タ システム
ー
QR体 制確立をサポ トする .… ……………………………………………………株式会社ダイフク
(57)
ム
シス
テ
最新物流
垂直搬送 システム&種 蒔 き仕分 け
支援 システムのご紹介
…
………………………………………… ホクショー株式会社 (61)
APPAREL BUSINESS MAG ll
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