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100 ② 沼田町 1)地域の概要 北海道のほぼ中央、空知管内の北西部に
② 沼田町 1)地域の概要 沼田町 北海道のほぼ中央、空知管内の北西部に位 置している沼田町は豊かな自然に包まれた町 産業別就業者 であり、内陸型で、四季の区別がはっきりし 0% 5% 10% 15% 20% 25% 林業 0.5% 漁業 0.0% 鉱業 0.4% は牧場、畑作地帯、他の二方は山岳地帯で占 7.2% 0.3% 情報通信業 0.0% められています。 かつては炭鉱と稲作の町として繁栄してき 1.7% ましたが、昭和 43 年度に雨竜炭鉱が閉山し、 9.3% 卸売・小売業 その後農業中心の町へと転換しました。基幹 0.9% 作物の水稲は、道産米の評価では最高位にラ 0.1% ンクされ「ななつぼし」や「きらら397」 5.0% 飲食店,宿泊業 を主に生産しているほか、「ゆめぴりか」の作 10.1% 医療,福祉 付けも行っております。主要作物としては、 3.4% 5.3% 複合サービ ス業 土地利用型作物の麦・大豆・ソバ等と、集約 8.0% サービ ス業 的作物の花卉・メロンなどが栽培されており、 8.6% 公務(他に分類されないもの) 分類不能の産業 の流域に沿って南に開けています。また西側 10.2% 電気・ガス・熱供給・水道業 教育,学習支援業 南部の平坦部は広大な石狩平野の北端の一 農耕地はこの平坦部を流れる雨竜川や小河川 製造業 不動産業 ています。 部で肥沃な水田地帯となっており、市街地や 建設業 金融・保険業 35% 29.0% 農業 運輸業 30% 近年ではブロッコリーの作付けが増え、産地 0.0% 化が図られています。 2)クリーンエネルギー導入による地域振興の状況 ●「利雪型農業」を中心とした地域振興 沼田町では、基幹産業である農業での生産、流通、加工、販売に雪を利用することで付加 価値が形成され、新たな関連産業の形成に繋がっていくと考え、「利雪型農業」を中心とした 地域振興を図っています。 ●雪を利用して米に付加価値形成 平成6年度の食管法改正により、自分たちで米を販売しなければならなくなり、市場競争 力のある品質の良い米を出荷するために、それまで個々の農家で出荷していたものを、共同 100 施設に集め品質を整えて出荷することになりました。もみの乾燥と低温貯蔵のできる施設を 検討していたところ、雪を利用した冷房システムを知り、商品としての差別化もできること からこれを採用し、平成8年度、雪冷熱を利用した米貯蔵施設「スノークールライスファク トリー」を建設したことが、雪氷熱利用のきっかけとなっています。 ●雪の多様な活用方法に着目 雪氷熱利用の検討において、地域振興に活用できるなど様々な用途があることが判明した ことを受け、平成 14 年度、「輝け雪の町宣言」を行い、雪と共生するまちづくりを目指すこ ととなりました。現在、イチゴや椎茸(商標「雪中椎茸」)の品質向上や収穫時期の調整を目 的とした低温栽培のほか、米の品質維持(商標「雪中米」)と出荷時期の調整を目的とした低 温貯蔵、味噌(商標「雪中みそ)や酒(商標「雪なごり」)の付加価値形成を目的とした低温 熟成に雪が利用されています。また、雪そのものを活用した夏のイベントや雪の販売などが、 「雪中米」等の特産品と合わせて地域のアピールに貢献し、観光振興にも繋がっています。 さらに、雪保管におけるイニシャルコストの低減を目指した「雪山センター構想」が打ち出 され、平成 20 年度から運用を開始し、町内外への各雪利用施設やイベント等への雪の配給が 行われています。 <雪中米> <雪中椎茸> <雪中みそ> 101 3)クリーンエネルギー導入事例 ●スノークールライスファクトリー(低温保存) 事業主体 沼田町 完成年度 平成8年度 運営管理 北いぶき農業協同組合 沼田支部 設備規模 貯雪量 1,500t 貯留乾燥 50t/ビン×55 ビン 事 業 費 16 億 2,300 万円 米の貯蔵に雪冷房を導入した施設として、平成8年度に完成しました。貯留乾燥ビン(米を 蓄えて乾燥する容器)に貯蔵された 2,500tのもみを 1,500tの雪による冷熱で低温貯蔵する ことができます。冷房期間は4月中旬∼8月中旬まで、貯蔵庫内を温度5℃、湿度 70%に保 つことができます。 もみは、各農家において1次乾燥された半乾もみ(水分 18%未満)を荷受し、5日間程度 で 14.5%に乾燥仕上げを行います。施設で乾燥調製を行った約 22 万俵を「雪中米」としても み摺し出荷します。 雪冷房の方式は、空気を雪で直接冷す「雪-空気直接熱交 <貯雪庫内部> 換型」を採用しています。もみ貯留ビン内で温かくなった 空気を貯雪庫に送風し、雪に開けられた孔を通して0℃近 くまで冷し、暖かくなっている空気と混合することにより、 温度4℃、湿度 75%に調節し、もみ貯蔵ビンに送風します。 <冷房システム> 混合器 送風機 6℃、湿度65% もみ貯留ビン 2,500トン 平均5℃、湿度70% 雪 1,500トン 4℃、湿度75% 0℃、湿度100% 融解水 102 ●就農支援実証施設(椎茸の低温栽培) 事業主体 沼田町 完成年度 平成 19 年度 設備規模 貯雪量 86t 年間雪利用量 1,300t 事 業 費 8,190 万円 椎茸の菌床栽培ハウス(3棟)に雪冷房を導入し、ハウス内の温度管理を行っています。 本施設で栽培された椎茸は商標「雪中椎茸」として出荷されています。 雪冷房システムは、雪の融解水が地下型貯雪槽から熱交換器を循環する1次回路と冷却水 が熱交換器からハウス間を循環する2次回路から構成され、ハウス内のファンコイルユニッ トから冷風を供給します。利用する雪は、随時、沼田式雪山センターから供給を行う方法に より、貯雪槽を小型化しイニシャルコストの低減を図っています。 <投雪風景> <栽培ハウス内部> <冷房システム> ファンコイルユニット 積算熱量計 貯雪槽 熱交換器 椎茸発生棟 雪 機械室 103 雪冷房システム概略図