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県道 29 号線「平成 20 年度龍潭線街路改良工事
県道 29 号線「平成 20 年度龍潭線街路改良工事」について(提案書) 首里は、琉球王朝代の王都であり、中国・朝鮮・日本・東南アジア諸国との貿易等を 通じて独自の文化を造り出した琉球王国の中心地です。 首里の町は、首里城を中心に、どこまでも続く石畳道、石垣と住宅内の樹木が調和し た、全体が庭園のような「まち」であったといわれています。 昭和 63 年、建設省は、都市景観施策上のモデル事業において、首里城公園を中心と して、歴道事業を含めた 142 ㌶が重点地区(首里地区)として位置づけ、都市景観ガ イドプランにおいて、那覇の景観形成・整備の 1 つの拠点として景観整備の推進を位置 づけています。歴史的環境の保全と住民生活環境の向上という 2 つの面からとらえ、 各々の調和を保ちながら都市基盤整備をすすめようというものです。 龍潭通り(県道 29 号線)は、かつて当蔵大通りと呼称され、御殿、殿内など士族屋 敷が立ち並ぶ道でした。道には、そこに生活し、歴史を営んできた人々のあり方が刻み 込まれ、形態も機能も人々が社会活動を行ってきたことの現象そのものです。 道は、その時代にその場で生きる人々の文化の表現であり、生き生きとした生活が営 める場としてつくらなければなりません。 現在、その沿線地区は、首里の観光・商業の核であり首里城下のメインストリートと なっています。 このような地区にあって、歴史と文化の薫るまちづくりを進め、観光・商業が共存し あう環境づくりや、首里らしい歴史的な面影のある道路及び沿道建物により、親密感と 統一感をもたせる景観形成を図るため、那覇市は 2002 年 12 月に、山川交差点から鳥 堀交差点までの約 1.2km の区間、龍潭通り沿線の近隣商業地域(25m)の範囲を都市 景観形成地域に指定し、現在、建物等の整備が進められています。 モノレールの開通により鳥堀交差点から当蔵町へ至る道は、首里城公園への主要観光 ルートともなっています。本地区は、今後ますます来訪者が増えることが予測されます。 それに伴い、商業活動もこれまでの機能ではなく、歴史的環境地区としてふさわしい新 たな役割を付加した機能への脱皮が重要な課題となっています。首里地区の歴史環境を 活かした骨格商業軸の整備指針と誘導手法などが必要となっています。 私たちは、首里城のおひざもと龍潭通りを首里地区の骨格、顔として、又、人が主役 の道として位置づけます。この道を生きる場とする地域と協働で管理することにより、 その町は美しく、歴史的風格と伝統があり、 首里文化市 や まつり などをとおし て住んでいることを誇りに思い、人々が訪れて楽しく、心に残る文化を表現する道づく りの観点から、その形態や機能などを整備する必要がると考えます。その実現は、独自 の文化力に魅了されることでリピーター来訪者の増加、沖縄・首里城観光の更なる魅力 向上へと波及すると思います。 つきまして、本団体では、龍潭通り沿線のまちづくり理念の実現を図ることにおいて、 県道 29 号線「平成 20 年度龍潭線街路改良工事」に関わる龍潭通りの機能・修景・街 灯・道路素材・バリアフリー・街路樹・サイン等の整備方針について、次(別紙)のと おりご提案致します。 沖縄県土木建築部 南部土木事務所長 殿 NPO 法人首里まちづくり研究会 理事長 石 崎 雅 彦 〔提案事項〕 1.主要機能 ① 首里の観光・商業の核として、及び首里城下のメインストリート機能を確保する こと。 ② 通過交通の抑制と速度ダウン機能を確保すること。 ③ 交通弱者(歩道=障害者、高齢者、妊婦、乳幼児を伴った者、子供など・車道= 自転車、速度 6km 以上の電動機付補助車、二輪車など)に配慮した機能・構造を 確保すること。 ④ 首里文化市 や まつり など首里文化再興を図る機能を確保すること。 ⑤ 伝統的土地利用秩序(風水)を活かすこと。 (山川交差点と鳥堀差点側にゲート性 確保するなど) ⑥ 道が交差する辻空間は隣接公有地や民有地と一体的にコミュニティー(ポケット パークなど)及び周辺への誘導(サイン等)機能を確保すること。 ⑦ 樹木・交通・保安など NPO 含む地域と協働で管理できる仕組みを図ること。 ⑧ 市 や まつり 時など街路利用の簡素化、活用(ギャラリー、オープンカフ ェなど)ができる仕組み(道路特区など)づくりを図ること。 2.修景 ① 世持橋の整備は、文化財復元に見合った時代考証と石工技術の継承を図る手法を 提案する。 ② 龍潭沿道は、首里八景「龍潭夜月」や「爬龍船」の観賞場所と首里城の眺望とし ての意義を重視し、それを阻害する植栽及び柵等の工作物は設置しない方が望ま しい。 ③ 安全管理については、既存龍潭水道石組等の構造を参考に公園側との調整も含め 整備手法の検討を提案する。 3.街灯 (1) 提案理由 ① 街並景観・首里城の夜間景観との一体感(形態一体化による魅力アップ)とプラ イバシー及び保安機能を確保する配置及び形態とする。 (2) 提案方針 ① 局部照明と歩道保安照明を配置する。 ② 保安照明の形状・形態は、高さ 2.0m 程度とし、行灯(アンドン)をモチーフとした 形態(デザイン)とする。支柱(ポール)及び器具枠部は濃朱色とする。器具 灯光面は障子紙(白)のイメージとする。 4.道路素材 1)歩道 (1) 提案理由 ① 歴史的環境地区としてふさわしく、観光・商業が共存しあう新たな役割を付加 した素材とする。 ② 景観、交通弱者対策、安全性、管理性の確保。 (2) 提案方針 ① 歩道は石(琉球石灰岩)敷きとし、誘導用ブロック目地に合わせ、意匠は布敷 1 き(目くら目地)とし、縦目地が通らないようにランダム敷きとする。 ② 誘導用ブロックは歩道と同素材系のトラバーチン(目くら目地)とする。 ③ マンホール等は、歩道素材の化粧蓋とする。 2)車道 (1) 提案理由 ① 歴史的環境地区としてふさわしく、通過交通の抑制と速度ダウン機能及び交通 弱者に配慮した道路機能・構造を確保する。 (2) 提案方針 ① 車両通行帯は、脱色アスファルト舗装とし、追い越し禁止ライン表示とする。 ② 路肩及びバスベイは石(琉球石灰岩)敷きとし、意匠は機能美を活かした(パ ターン化は避けること)あいかた敷きとする。 ※あいかた積(敷)=全ての一個の石を廻りの 5∼7 個の石が支え(包み)、全体的 に安定した美しさがある。 ③ L型側溝(歩道縁石)はトラバーチン(琉球石灰岩)とする。 ④ マンホール等は、車両通行帯・路肩各々素材の化粧蓋とする。 5.バリアフリー (1) 提案理由 ① 交通弱者の安全性及び 市 や まつり 時のスペースや往来の利便性を確保 する。 (2) 提案方針 ① 歩道と車道の段差を無くす。 ② 車止めは、御影石(黒系)の加工品(デザイン)とし、チェーンは取り付けな いこと。 6.街路樹 (1) 提案理由 ① 市 や まつり 会場機能を確保する。 ② 景観と緑陰を確保し、樹形、花木ともに美しい樹木を配置し、NPO 団体含む地 域と協働での維持管理の仕組みを図る。 ③ 隣接店舗や NPO 団体により花木類のプランターを配置・維持管理を行い、 市 や まつり 時等による移動が可能な対応とする。 (2) 提案方針 ① 鳳凰木(ホウオウボク)を主要木とし、アイポイントに伝統的土地利用秩序積 廻し(チンマーサー)機能のシンボルツリー(ガジュマル、クバ等)を配置す る。 ② 中高木は成木とし、地中埋設アンカー支柱とする。 ③ その他、ポケットパークや辻空間植生については、必要に応じて別途配植を検 討すること。 7.サイン ① 那覇市デザインマニュアルにもとづき、歴史的な環境とも調和したサインを整 備すること。 2