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発電ポイ ラの変圧運転における蒸気温度の適応ロバス ト制御

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発電ポイ ラの変圧運転における蒸気温度の適応ロバス ト制御
発電ボイラの変圧運転における蒸気温度の適応ロバスト制御
課題番号
平成8年度-平成9年度科学研究費補助金(基盤研究(A)
o8555101
(2))研究成果報告書
平成10年3月
研究代表者早川義一
(名古屋大学工学研究科教授)
研究組織
研究代表者
早川義一
(名古屋大学工学研究科教授)
研究分担者
尾形和哉
(名古屋大学工学研究科講師)
研究分担者
松村司郎
(中部電力)
研究協力者
藤井省三
(大同工業大学)
研究協力者
周
(シミュテック)
超俊
研究経費
平成8年度
7,
平成9年度
計
7,
200
千円
600
千円
800
千円
研究発表
口頭発表
(1)松村,塩谷:適応制御理論を応用した事業用ボイラの制御一蒸気温度
制御-の多変数適応制御の応用-,計測自動制御学会第40回適応制御
講義会,
1997年1月22日
(2)松村,周:MMSと火力発電プラントのモデリング,計測自動制御学
会中部支部プロセス制御研究委員会研究会,
1997年12月10日
第1章
緒言
1.1
研究の背景
火力発電所は経済負荷配分制御において変動負荷を分担しており、発電ボイラの許容負荷調整
幅と負荷変化率とを向上させることが強く要望されている。高温、高圧のボイラでは過熱器の材
料費の軽減や負荷例のタービン機器類の熟応力による疲労破壊の防止などのために、変動の少な
い精密な蒸気温度制御が必要となる。しかし、大容量発電プラントに採用されているボイラでは、
過熱器スプレイヤガス流量の操作量などと蒸気温度などの状態量が複雑に干渉しあう。また,発
電効率をさらに高めるためには、負荷指令とともに蒸気圧力の設定値を変化させる変圧運転が望
ましいが、この運転のもとではボイラの特性は非常に大きく変化する非線形性を示すので、負荷
が大幅に変動しかつ蒸気圧力も大きく変動する状態で蒸気温度を一定に保つことは容易ではなく
非常に大きな問題になっている。
日本で事業用に使用されているボイラは中・小容量のドラム型ポイラ、大容量の貫流型ボイラ
に二分できるが、プラント効率などの面から大容量の貫流型ボイラはベース負荷運用、中・小容
量のドラム型ボイラは負荷調整用に主に運用される。従来の中・小容量ドラム型ボイラはボイラ
出口の蒸気圧力を定格に維持しながら、負荷要求に従ってタービン入口の加減弁によりタービン
入口蒸気圧力を調節するしくみになっている。負荷調整用に運用されるボイラは中間負荷(定格
負荷でない領域)で運用されるので、タービン人口の加減弁によりタービン入口蒸気を絞って運
用する機会が多い。このことは絞り損失を発生することになり経済的な運転ではない。
近年,電力コストの低減は社会的に大きな問題でありタービン入口蒸気を絞らずに運用できれ
ばこれらの問題解決に寄与することができる。
発電所ボイラの蒸気温度制御は、主に現場での調整にもとづくP
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D制御が中心であった。し
かし、制御要求の高度化と計算機技術の発達により,制御村象のモデルを作成し、パラメータの
自動調整や現代制御理論を用いる方法が取り入れられている。
さて、制御系を構成する上で、制御対象の動特性を解析し良いモデルを構築することは非常に
重要である。しかし、実際め制御対象の完全なモデル化が不可能である場合や、時間とともに制
御対象の特性が変化する場合があり、必ずしも満足のいくモデルが得られるとは限らない。そこ
-
1
-
で、このようなモデルの不完全さのもとで,良好な制御性能を達成するために、ロバスト制御と
適応制御の手法が活発に研究されている。
ロバスト制御は,制御対象のモデル化誤差の大きさの上限が与えられた場合に、安定でかつで
きるだけ良好な制御性能を達成する制御系である。ロバスト制御理論におけるH∞最適制御理論
は周波数領域での感度を最適化する設計法として1980年代の初めに提案され、
1980年代の中ご
ろにはその解法が示された。現在でもロバスト制御に関する新しい手法が数多く提案され'Tいるo
また、近年ロバスト制御系の設計のために必要となるモデル化誤差の上限を周波数軸上で見積も
るための研究が盛んに行われている。
適応制御は、制御系を常に希望の性能にするように実時間でのパラメータ推定と補償器の設計
計算をループ中に含んだ制御系である。適応制御の考え方は1950年代に現れ、
1970年代に安定論
に立脚した適応制御理論が芽生えた。しかし,これは現実にそぐわない理想条件を前提として成
立しており,適応制御のめざすところの制御系のロバスト性を満足させるものではなかった。そ
こで、
1980年代には理想条件が成立しない場合のロバストな適応制御理論の研究が活発に行われ
るようになった。
我々はこれまで中部電力西名古屋火力発電所3号ボイラの過熱蒸気温度制御系に対して適応制
御方式を開発し、良好な結果を得ており、現在稼動中である。上記の開発例は高、中負荷帯の一
定蒸気圧力での運転であるが、低負荷帯での変圧運転時の制御はまだうまくいっていない。
適応制御の応用例は実験室レベルでは数多く報告されている。しかし、適応制御に対する需要
は,非線形性が強く,時間とともに特性が変わり,他の制御ループからの干渉性が強く、応答遅
れが大きいような化学プラントや発電プラントに多い。このような悪条件下に対してほとんど研
究は行われていないが、私達の研究室ではマルチモデルを用いたロバストな適応制御方式を提案
し、その理論的な研究を進めている。
本別御方式により、大幅負荷変動や蒸気圧力の変化に村しても制御性能を向上させることが期
待できる。そのため、火力発電所の出力調整能力を向上させることができ,経済運転に貢献でき
る。また,適応制御のもつ環境適合能力によりボイラの経年変化や,環境の変化にも相応できる。
さらに、従来は現場作業員の経験と勘により行われてきた制御装置の調整作業が大きく低減され
ると考える。
1.2
研究の目的
事業用発電プラントの高い運用効率を追求するために,負荷指令とともに蒸気圧力の設定値を
変化させる変圧運転のもとで,過熱蒸気温度を定格値に維持するための制御システムを開発する
ことである。そのための制御理論としてロバスト制御、適応制御の手法を有機的に組み合わせた
制御アルゴリズムの開発を行う。
-2-
研究の特色
1.3
新しい制御システムの開発には村象プラントを想定した簡易モデルに村して理論を試して、有る
程度の勝算が予測できた段階で実機による理論の検証を行っていた。しかし電力の安定供給のため
に最近は実機による試験が簡単には許されない環境にあるので精密なプラントモデルが必要にな
る。このニーズにたいして米国EPRI
(ElectricPower
Research
Institute)が火力・原子力プラン
トのシミュレーションを高い精度を維持しながら簡易に行うことのできるツールMMS
Modeling
(Modular
System)を開発した。
このシステムの特徴はプラントの構成機器をモジュールという小さな単位に分割して各々の機
器の設計データから物理モデルを作成し、モジュールを組み合わせることにより発電プラントの
モデルを作成・シミュレーションを行うものである。本研究ではこの手法により次項に説明する
ボイラについてモデルを構築して新しい制御システムの開発を試みている。これにより実機試験
並のシミュレーションをラボで実行できるので研究開発を制約するものがほとんどない。
本研究では、以下のことに着目し変圧運転時の過熱蒸気温度の制御方式を確立する。
・負荷指令値と蒸気圧力が同時に変化するときに大きな制御偏差が生じる。これを減少させ
るためにはのフィードバック制御だけでは不十分であり、フィードフォワード制御が必要
である。そのため、負荷指令値や蒸気圧力が変化するときの動特性を精度よくモデル化し、
フィードフォワード制御の構成を行う。
・負荷指令値や蒸気圧力が変化するときのフィードバック制御性能をできるだけよくするため
に、ロバスト制御の手法を用いる。そのために、モデル化誤差の上限を事前にオフライン同
定実験から見積もる。
・負荷指令値により制御系の特性が変化するので、フィードフォワード、フィードバック制御
ともに複数のモデル(マルチモデル)を用意してコントローラを負荷指令値により切り替え
るゲインスケジュール方式を用いる。
・ロバスト制御の手法だけでは補償できない制御対象の変動や経年変化に対応するため、適応
制御の手法を用いて常に最適な制御性能を保つ。
-3
-
第2章
制御対象の概要
この研究を進めるためのモデルプラントは中部電力株式会社武豊火力発電所2-4号機と
した。このボイラを選択した理由はお客様の電力使用量に応じて発電量を制御する需給調整
プラントであり、常に大きな負荷変化が要求されながらボイラで発生する蒸気は規定値に制
御されなければならないという、制御システムにたいしてはきわめて過酷な制御性能が要求
されている。
以下にボイラの仕様を示す。
2.
ユニット
2号ユニット
3.4号ユニット
発電機出力
375,000kW
運転開始
1972/6
1972/9.ll
ボイラ型式
屋外式単胴放射再熱強制循
屋外式単胴放射再熱自然循環
環型
型
蒸発量
1200T/H
1210T/H
蒸気圧力
176kg/cm2
蒸気温度
過熱器出口571℃再熱器出口541℃
使用燃料
重油.原油
燃焼方式
重.原油専焼
製造者
三菱重工業
石川島播磨重工業
1単胴放射再熱強制循環型ボイラの構造と制御
三菱重工業製の単胴放射再熱強制循環型ボイラはそのオリジナルは米国CE社によるもの
で、最大の特徴は缶水をポンプで強制的に循環することにある。これにより火炉のチューブ
の直径を自然循環型のボイラの半分程度に細くすることができるのでボイラの負荷変化率を
大きくとることができる。
主蒸気温度制御は主蒸気にボイラ給水を注入(スプレー)することにより行っている。再熱
蒸気温度制御は排気ガスを火炉に再循環することにより燃料の燃焼位置を上下することによ
り再熱器での熱交換の割合を加減することにより行っている。このため主蒸気温度制御と再
熱蒸気温度制御が当然のことながら干渉を起こす系になっている。
干渉に関しては幾つかの研究例があるが完全なものはまだ開発されていない。実態として
は重要な主蒸気温度を主体に制御し、再熱蒸気温度は成り行きまかせになっている。
-4
-
2
2・
単胴放射再熱自然循環型ボイラの構造と制御
石川島播磨重工業製屋外式単胴放射再熱自然循環型ボイラは米国FW社がそのオリジナル
を設計している。
主蒸気温度制御は主蒸気にボイラ給水を注入(スプレー)することにより行っている。火炉
から排出される燃焼ガスは再熱器と一次過熱器・節炭器の両方に分配して流れる仕組みにな
っているo蒸気温度制御は再熱器に流れる排気ガスの割合を加減することにより行っている。
このため主蒸気温度制御と再熱蒸気温度制御が当然のことながら干渉を起こす系になってい
る。
2.
3
制御要求
規定負荷および圧力変化率の条件で定格蒸気温度が±2℃をとする。負荷変化率は37590MWの範囲で3%/分を目標とするoこれに対して圧力変化率は169-120kg/cm2の範囲で
1・94kg/cm2/分を目標とする。
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第3章
MMSによるシミュレータの開発
3.1前書き
火力発電プラントの効率向上、制御系性能改善、新しい制御系の開発、新しい運転方式(変
圧運転)の開発、
Operatorの訓練などは火力発電現場の課題となっている。それらの課題を
解決するために、様々な実機試験が必要となる。しかし、実機に於いてこのような試みはほ
とんど許されない。従って、フルプラントで大範囲の運転条件(負荷と圧力指令値の変化)に
対して,高精度な数式モデル、あるいはシミュレータが要求されている。
火力発電プラントのポイラ,給水過熱ヒータなどの設備に対して、モデリングの研究が行
われているが、フルプラントのシミュレータを開発する研究はまだ行われないのが現状であ
る。
そのような要求に答えるために、我々はModular
Modeling
System(MMS)を用いて、熱力
学と流体力学の観点から、武豊発電所2号機のほぼすべての設備に対して、数学モデルを構
築した。設備の設計データ、運転時の操作データ(ヒートバランスデータ)などを用いて、モ
デルのパラメータと状態の初期値を決定した。武豊2号発電プラントの通常運転時の制御シ
ステムをエミュレーションした。プラント側と制御系側のシミュレーションプログラムを結
合させ,武豊2号機のシミュレータを開発した。
以上のシミュレータを用いて、いろいろなシミュレーション結果を得た。定格負荷におけ
るこのシミュレータは精度よく武豊2号発電プラントの静特性を表していることが分かった。
3.2武豊2号機のプロセスと制御系
まず制御系を含む武豊2号機の概念図は次の図3.
は主蒸気圧力設定値,
1に示す。ここで、
MSTspは主蒸気の温度設定値、
DLspはドラムレベルの設定値、
TPは主蒸気圧力、
MWは発電量、
_8j:再熱蒸気温度設定値、
温度、 ATTは減温器出口温度、
ⅧTは再熱蒸気温度とする。
GV、
OF、
WF、
SP,
MWDは発電指令,
DLはドラムレベル、
RHTsp
MSTは主蒸気
PIはPIDコントローラとする。
GRFはガバナ、燃料流量、給水流量、スプレ流量、ガス再循環流量とする。
-10-
TPD
図3.1武豊2号発電機の概念図
武豊2号発電プラントの仕様は2章で述べたが、実際の制御系はPI制御とGainSchudeling
補正を中心となった制御が行われている。ただし、ここで、ロカールな制御系(例えば給水
ヒータのレベル制御系)は省略した。
武豊2号機のプロセスを図3.2に示す。武豊2号発電プラントは標準的な強制循環型ドラ
ムタイプの発電プラントである。蒸気は最初にボイラから過熱器を通って高圧タービンを駆
動する。その後ボイラの再熱器にもどされて加熱され、次に中圧タービン,低圧タービンの
順に流れ、最後に復水器で冷却されて水となる。この水は循環してボイラに供給される。熱
効率を上げるために、復水後のボイラ給水はタービンの各段から抽汽で加熱される。このよ
うなサイクルの中で、蒸気とガスの圧力、エンタルビ、温度、密度は激しく変化しているこ
とは言うまでもない.
定格負荷時武豊2号発電プラント内の水の性質変化を表3.1で表す。ただし、上記の値
はすべて各々設備の入り口の値である。負荷指令の変化に伴う武豊2号発電プラントにおけ
る高圧タービン入口蒸気の性質の変化は表3.
2で表す。
-if]-
国3・2武生2号の発tプロセスの概念図
1997.6.30(〉ol.1)
(珠)シミュテック
E二・
r}t=
-=・
曽-
表3.
1
:定格負荷時武豊2号発電プラント内の水の性質変化一覧表
P(Pa)
H(∫/kg)
T(℃)
R(kg/m3)
低温スーパヒ一夕
1.78E+07
2.52E+06
357.0
128.5
高圧タービン
1.65E+07
3.48E+06
568.0
47.53
中圧タービン
2.88E+06
3.54E+06
540.0
7.75
低圧タービン
7.84E+05
3.16E+06
338.9
2.825
復水器
5099.0
2.38E+06
33.2
0.02
第一低圧給水加熱器
1.17E+06
1.43E+05
34.1
993.6
脱気器
7.35E十05
7.06E+05
166.2
892.2
給水プンプ
1.59E+06
7.06E+05
166.2
898..8
第一高圧給水加熱器
1.84E+07
7.31E+05
170.1
908.0.
エコノマイザ
1.79E+07
1.20E+06
273.9
781.5
表3.2
:負荷変化する時のHPT入口の蒸気の性質(主蒸気温度設定値=568℃)
MWD(MW)
375
280
90
P(kg/cm2)
170.0
142.0
142.0
W(kg/sec)
315.2
235.2
75.6
R(kg/m3)
113.42
84.85
84.85
Cp(∫/kg℃)
2.67e6
2.57e6
2.57e6
H(J/kg)
3.42e6
3.46e6
3.46e6
図3. 1で示した武豊2号発電プラントの概念図において、武豊2号発電機のすべての設備
を描写していないが、主な設備はほとんど記述している。省略した部分は燃料タンク等制御
と直接関係のない部分だけである。この中のガス再循環フアンとガスダンパと押込通風機と
ダクトなどを除いて、すべての設備が今回のシミュレーションの対象とする。
武豊2号発電プラントの通常運転時の制御システム概念図を図3.3に示す。ただし、この
概念図の中で、切換ロジック、事故時のインターロックなどを省略している。この図に示し
ているものをすべてシミュレーションの対象とする。
-13-
拝≡て書ttシミュテr/ク
199T_7.7(ref.
図3・3
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、
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王■t圧力
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1)
武豊2号発電プラントの通常運転時の制御システム概念図
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3.3
MMSを用いた武豊2号機のプロセスのモデリング(モデル導出)
MMS(Modular
Modeling
System)は米国EPRI/B&W社のFramatoneシミュレーショ
ンサービスによって開発されたものである。十年前中部電力によって日本に導入されたもの
である。それ以来、
MMSでは熱力学と流体力
MMSを用いて様々な研究が行われてきた。
学の観点から火力と原子力発電プラントの設備モデリング化が行われている。
範囲な水、蒸気、ガスの性質の数学モデルも持っている。
MMSには広
MMSのモデルはユーザが使いや
すいためにデータベースを持ったモジュールの形で提供されている。このデータベースには
AutoPamを言うツールが備えられている。設備の物理データや運転条件をデータベースに
入力すれば、モデルを実行するためのすべてのデータや初期条件が自動的に計算される。ユ
ーザが発電プラントにある各々の設備の設計データと必要な現場の実測値を調べて、自分の
プラントにあわせて、
MMSのモジュールをつないでいけば、迅速的に発電プロセスのモデ
MMSの詳細を紹介しない
リングのシミュレータを構成することができる。本報告書では、
が、 MMSを用いて武豊2号機プロセスの過熱器のモデリングを行う際の詳細を以下で述べ
る。
3.3.1武豊2号機プロセスの過熱器のモデリング化
まず過熱器のスキマチック図は図3.4に示す。
W
>
Wsl hsl,Tsl Psl
,
,
Wge hge Tge
,
図3.4
,
過熱器の概念図
ここで:
hge過熱器入口燃焼ガスのエンタルビ、
hgl過熱器出口燃焼ガスのエンタルビ、
hsl過熱器出口蒸気のエンタルビ、
hse過熱器入口蒸気のエンタルビ、
-15-
Tge過熱器入口燃焼ガスの温度、
Tse過熱器入口蒸気の温度、
TgL過熱器出口燃焼ガスの温度、
TsL過熱器出口蒸気の温度、
wge過熱器入口燃焼ガスの流量、
wse過熱器入口蒸気の密度、
wgL過熱器出口燃焼ガスの流量、
wst過熱器出口蒸気の密度
まず以下の三つの仮定を設ける。
A)ガスの圧力から体積までの応答速度が早いので、ガス側の体積蓄積効果を省略する。こ
れでガスの流れは均一的になって、ガス側と蒸気側の動特性が無関係になる。
B)パイプのメタル伝熱係数がガス側の伝熱係数より通常は1桁大きいから、パイプに沿っ
て,ガスと蒸気の温度差が一定であると仮定する。
C)燃焼ガスは理想気体の混合物と仮定する。
3.3.1.1蒸気の質量保存
Ws]
(1)
+Vs
-Wse
すなわち
wsL
が得られるo
-wee
ここで、
-0
♯vs(Zrp警・芸Ih%)
(2)
Pst,Vsは過熱器内蒸気の圧力とパイプの体積であるo
3.3.1.2蒸気のエネルギ保存
d
wsLhsL
-
Wsehse
-qf
'窟(psIVsusL)
=
0
(3)
すなわち
孟(ps7Vsu,i.P)警・(hsL
%]
Vs[(pst g・h-1)
-
・hsL
(4)
qfはガスから供給された熱である.パイプの金属質量の影響を考慮するために
p・
-
pst
(5)
I(苦%)
とする。 (4)と(5)を(3)に代入すると次式が得られる。
-16-
4)/功[p
・wse
-
WsLhs7
(wsehse
WSL,)
-
-
命)/冴Ih
I
qf)]
(6)
(〟)
wse
-WSL
-Vslp/d'lh盲
(7)
vs芸Ip
ガス側
3.3.1.3
ガス側のエネルギ保存則によって
dPg,
[
wge(hge -hgz)-qg
dugL
dt
Vg議
(8)
pg′f Th.
が得られるoここで、
Vg,PgLは過熱器のガス側体積と圧力である。
qgは蒸気に吸収された
熱である。大気圧の理想空気に対して、次の式が成り立つことが分かっている。
dhgl
(9)
--l・4警
dt
PgL
Pst
=
i,T/
RTgl
'
Rはガス定数
よって
%
-
3・96・
・273・15'/Vg
10-3[wgL'hge
-hgL'-qg]'TgL
(10)
3.3.1.4燃焼ガスと蒸気の熱伝達量
燃焼ガスと蒸気の間の対流と輯射伝熱を考えると、次式が得られる0
(トFsg )ATLMA触
3iluE
qg
ここで、
伝熱係数、
ATLMは対数平均温度差、
Fsgは汚れ係数、
Ucgは燃焼ガスの対流伝熱係数、
Ahxは伝熱面積、
Ucc蒸気の対流伝熱係数。
-17-
U,gは燃焼ガスの輯射
仮定B)により
Tge
Count皿ow
A㌦
case:
Tse
+
-TgL
-Tst
=
(12)
1n
TgL
Tge
Parallel
A㌦
case:
-
TgL +TsL
-TsL
Tse
-
=
Tge -Tse
1n
+TsL
TgL
ここで、
+Tm
-Tse
Tmはメタル温度である.
-
Tm
(13)
Tm
-
Dittus-Boelterの計算式を用いるとU打とUcgを計算する
ことはできる
Ucc
=
Ucg
=
Kus昭・8
KusWfe'6
頼射熱は実測値によって決まる
U,g
=
-
KJ(Tse, TsL,ATLM)
-24・417
I
Tsl)/
(16)
・0・0552ATLM
1・02[(Tse2]
I
熱損失は次の式で
qL
F(1
=
-
(17)
Fsg)U,gAhrATM
推定する。蒸気流量は次式で計算する。
wse
-
(18)
cfJA
ガス温度はhgLとMf(燃料に中に含まれている水分)によって決まる.
TgL
=
(19)
f(hgL,Mf)
式(6)、 (7)、 (10)は過熱器のモデルとなり、
(6)、 (7)の蒸気の性質
芸Ih芸Ip
がMMSの内部ルーチンによって計算される。
(14)、 (15)、 (18)式の定数は過熱器の運転条
件によって計算される。
武豊2号機の高温過熱器の入力データは表3.3で示す。この入力データでモデルに必要な
パラメータや初期状態をAutoPamで計算することができる。具体的な値は表3.4のようで
ある。
-18-
表3.3
武豊2号機の高温過熱器の入力データ
項目
育己号
単位
数値
Heat-Exchanger
kkt
Counterftow
2
FueトType
ufuel
Oil
2
Tube-oute「diameter
dout
M
0.0508
Tube-inner-diameter
din
M
0.0389
Tube-density
rmet
kg′m**3
7850
Number-rows-in-direct-of-gas-flow
nr
くNone〉
24
Number-tubes-gas-passes-per-row
nW
くNone〉
208
くNone〉
2529
Pr
m
0.1140
pl
Number-tubes-steam-れows-through
nftow
Tube-spaclng-Perpendicular-to-gas-flow-direction
m
0.ー043
Tube-length丁甲tending-into-gas-path
tt
m
10.500
Width-of-gas-flow-passage
lw
m
12.540
Low-Flow-Parameter
Kfm
Pa**2
1538726ー4.8
Slaggtng-coefficient:-Fractional-reduction-in-heat-
Fらg
くNone>
0
Moisture-fraction-of-flue-gas
Mf
くNone>
0.07
Percent-of-excess-ai「in-combustion
Xsair
くNone〉
7.140
Enthalpy-oトfue卜at-firing
Hfuel
J/kg
41535600
Pressure-oトSteam-entering
Pらe
Pa
16979200
Enthalpy-oトsteam-entering
Hse
J/kg
2964ー00
Flowrate-oトsteam
WSe
kg/ら
315.253
Pressure-oトsteam-leavlng
Pst
Pa
16735600
Enthalpy-oHhe-steam-leavlng
Hsl
J/kg
3473540
Flowrate-of-flue-gas
Wge
kg/ら
418.559
Temperature-oトflue-gas-entering
Tge
C
944.890
Tube-spac]ng-para‖eトto-gas-flow-direction
transfer
表3.4
武豊2号機の高温過熱器の計算データ
項目
記号
単位
数値
Flowconductance丘)rsteam
Cr
(kg/s)/(位g/m'*3)
0.07533
Kg
177943.986
Ucg
W/(C☆kg/s)★★0.6))
13527.800
Gas/Metalra血antH/Tparameter
Urg
m★★2
2886.740
Volumeoffuelgas
Vg
Ⅱ1★★3
274.558
Ⅵ)1umeofsteam
Vs
m★★3
32.4928
SteamconVectiVeH′rparameter
Ucc
W/(C★kg/s)★★0.8))
34624.326
Hg1(0)
Hs1(0)
Ps1(0)
J収g
703548.7492
J/kg
34735400.0
Pa
16735600.0
Metalmass
Gas/MetalconVectiVeH′r
Parameter
Enthalpyoffulegasleaving
EnthalpyorsteamleaVing
ⅠnitialpressureofsteamleaVing
-19-
3.3.2
MMSの主なモジュールとモジュール間の情報交換
MMSでは主に以下の図に示すようなモジュールが提供されている。
図3.5
SPRHTR、
この図においてDRUMFC、
MMSの主なモジュール
ATTEMP、
TURB肝、
ECON、
VALVEI、
CONDPH、
PUMP、
FWHTRは強制循環ポイラ、過熱器、減温器、高圧タービン、節炭器、バルブ、復水器、プン
プ、脱気器、給水加熱器のモジュールを表している。これらのモジュールの詳細は省略する
が、次の表でまとめる。
表3.5
MMSモジュールの複雑さ
代数方程式の数
モジュール名
微分方程式の数
DRUMFC
7
30
22
SPRHTR
3
13
13
ATTE肝
0
2
4
TURBⅠ1P
5
80
14
ECON
2
8
12
Ⅴ瓜VEⅠ
8
6
6
CONDPH
3
10
EE
PUMP
0
13
5
DEARPH
2
7
4
FWHTR
7
29
22
-20-
モデル定数の数
DEARP臥
MMSのモデルビルダというソフトを用いてWindows'95の画面上でこれらのモジュールを適
切につないで、シミュレータの構築作業をする。
MMSはモジュール間の情報を正しくやり取りするために、車ジュールの入出力ポートに
ResitiveまたはStorageという性質を与えている。
プのポートしかつながらない。すなわち、
MMSでは基本ルールとしてはRとSタイ
SポートからRポート-、あるいはRポートから
Sポート-の接続しか許されていない。
萱t'さ_
図3.6
SポートからRポートまでの接続
この時Resitiveな出力ポートは流量(W)信号を他のモジュールからもらって、圧力、密
度、温度、エンタルビ(P,R,T,H)を計算し、他のモジュールに渡す。
storageな入口は他
のモジュールから圧力、密度、温度、エンタルピ信号(P,R,T,H)をもらって、流量(W)伝
号を計算し、他のモジュールに渡す。
図3.7
RポートからSポートまでの接続
逆にResitiveな入口ポートとStorageな出口は図3.7のようにモジュール間の情報交換
を行う。
MMSはモデルビルダで作成したシミュレータをACSL(Advanced
Continuous
Simulation
Language)ソースコード,さらにFotranソースコードに変換し、コンパイルし実行ファイル
を生成する。
3.3.3
武豊2号機の全体シミュレーションモジュール
まずシミュレーションする設備のリストを次の表で示す。表に示したすべてのモジュール
-21-
に対して、物理パラメータと運転データをメーカや現場の測定値(ヒートバランス表と設備
の実験成績表)などで調べて,各モジュールに入力する。この部分はかなり時間と金銭がか
かる部分である.データ入力済みのモジュールをWindow95上でMMSのモデルビルダの画面
上でつないでおく。現場の条件に併せて、適切な境界条件を与えて、シミュレーションとデ
バッグをする。
表3.6シミュレーション設備一覧
12
設備名(モジュール種類)
中庄タービン(TURBLP)
補助蒸気逆止弁(VALVEC)
低圧タービン(TURBLP)
復水器(CONDPH)
バウンダリ-(BOUNDIN)海水入口
バウンダリ-(BOUNDOUT)海水出口
復水ポンプ(PUMP)
復水ポンプモータ(MOTOR)
脱気器レベル調節弁ⅣALVEI)
脱気器レベル調節弁アクチエエータ(ACT)
第1低圧給水加熱器(FWHTR)
第8抽気管(PIPER)
13
ドレンポンプ(PUMP)
DP
14
ドレンポンプモータ(MOTOR)
MOCDP
15
LFVI
21
第1低圧給水加熱器ドレンレベル調節弁(VALVED)
第1低圧給水加熱器ドレンレベル調節弁アクチュエータ(ACT)第2
低圧給水加熱器(FWHTR)
第7抽気管(PIPER)
第2低圧給水加熱器ドレンレベル調節弁ⅣALVED)
第2低圧給水加熱器ドレンレベル調節弁アクチュエータ(ACT)
第3低圧給水加熱器(FWHTR)
22
第6抽気管(PIPER)
EXP6
23
第3低圧給水加熱器ドレンレベル調節弁(VALVED)
第3低圧給水加熱器ドレンレベル調節弁アクチュエータ(ACT)
第4低圧給水加熱器(FWHTR)
第5抽気管(PIPER)
LFV3
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
ll
16
17
18
19
20
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
バクンダリ- (BOUNDIN)第4低圧給水加熱器ドレン入口
第4低圧給水加熱器ドレンレベル調節弁(VALVED)
第4低圧給水加熱器ドレンレベル調節弁アクチエエータ(ACT)
給水管(PIPESR)第4低圧給水加熱器から脱気器
脱気器(DEARPH)
第4抽気管(PIPER)
BPAブースタポンプA(PUMP)
ブースタポンプAモータ(MOTOR)
BPBブースタポンプB(PUMP)
ブースタポンプBモータ(MOTOR)
ID NO.
MPT
VMT
LPT
CON
CWE
CWL
CP
MOCP
DLV
ACDLV
LFI
EXP8
ACLFVI
LF2
EXP7
LFV2
ACLFV2
LF3
ACLFV3
LF4
EXP5
LFIN
LFV4
ACLFV4
DFP
DER
EXP4
BPA
MOBPA
BPB
MOBPB
-22-
37
BFPAボイラフィードポンプA(PUMP)
FPA
38
AVA
49
RH減温器スプレー供給ライン
BFPA逆止弁(VALVEI)
BFPA再循環弁(VALVED)
BFPA再循環弁アクチュエータ(ACT)
BFPA出口逆止弁(VALVEI)
BFPTAタービンA
(TURB)
BFPTAタービンAアクチュエータ(ACT)
BFP駆動蒸気供給ライン
BFm逆止弁(VALVEC)
BFPBボイラフィードポンプB(PUMP)
BFPB逆止弁(VALVEI)
RH減温器スプレー供給ライン
BFPB再循環弁(VALVED)
BFPB再循環弁アクチエエータ(ACT)
BFPB出口逆止弁(VALVEI)
50
BFPTBタービンB
51
BFPTBタービンBアクチュエータ(ACT)
ACTBB
52
TBVB
54
BFP駆動蒸気供給ライン
BFPTB逆止弁(VALVEC)
BFP駆動蒸気供給ライン
BFPT圧力調節弁(VALVEC)
BFPT圧力調節弁アクチュエータ(ACT)
55
MBFP+ブースタポンプ(PUMP)
BPC
56
MBFP+ブースタポンプモータ(MOTOR)
MOBPC
57
MBFP再循環弁(VALVED)
MBFP再循環弁アクチエエータ(ACT)
MBFP流量調節弁(VALVEI)
MBFP流量調節弁アクチュエータ(ACT)
MBFP出口逆止弁(VALVEI)
第1高圧給水加熱器(FWHTR)
第3抽気管(PIPER)
第1高圧給水加熱器ドレンレベル調節弁ⅣALVED)
第1高圧給水加熱器ドレンレベル調節弁アクチエエータ(ACT)
ドレン配管(PIPESR)第1高圧給水加熱器から脱気器
第2高圧給水加熱器(FWHTR)
第2抽気管(PIPER)
第2高圧給水加熱器ドレンレベル調節弁(VALVED)
第2高圧給水加熱器ドレンレベル調節弁アクチュエータ(ACT)第3
高圧給水加熱器(FWHTR)
第1抽気管(PIPER)
バウンダリ- (BOUNDIN)第3高圧給水加熱器ドレン入口
第3高圧給水加熱器ドレンレベル調節弁ⅣALVED)HFV3
第3高圧給水加熱器ドレンレベル調節弁アクチュエータ(ACT)
給水管(PIPESR)第3高圧給水加熱器から1次節炭器
節炭器(ECON)
ECO
RVC
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
53
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
RVA
AC RVA
LVA
TBA
ACTBA
TBVA
FPB
AVB
RVB
ACRVB
LVB
TBB
(TURB)
ドラムポイラ(DRMFC)
空気配管A (DUCTSR)ガス式空気予熱器からドラムボイラ
空気配管B (DUCTSR)ガス式空気予熱器からドラムボイラ
ガス式空気予熱器A (REGHX)
-23-
VHT
ACVHT
ACRVC
FWV
AC
FVVV
LVC
HFI
EXP3
HFV
1
ACHFVI
DDP
HF2
EXP2
HFV2
ACHFV2
HF3
EXPI
HFIN
HFV3
ACHFV3
ECP
ECO
DRM
AIP2
AIP6
AHA
ガス式空気予熱器B (REGHX)
バウンダリ- (GAOUT)煙突A
バウンダリ- (GAOUT)煙突B
低温過熱器(SPRHTR)
減温器(ATTEMP)
減温器アクチエエータ(ACT)
減温器逆止弁(VALVEI)
高温過熱器(SPRHTR)
主蒸気管(PIPERS)
高圧タービン(TURBHP)
高圧タービン加減弁アクチュエータ(ACT)
再熱蒸気管(PIPERS)
M減温器(ATTEMP)
RH減温器アクチュエータ(ACT)
再熱器(SPRHTR)
再熱蒸気管(PIPERS)
インターセプト弁ⅣALVEC)
-24-
AHB
SOA
SOB
LSH
ATS
ACATS
AT
SV
HSH
MSP
HPT
ACHPT
LRP
ATR
ACATR
RHT
HRP
ISV
3.3.4武豊2号発電プラントと制御系のシミュレーション
MMSを用いた武豊2号機のシミュレータを次の図に示す。
図3.8
武豊2号発電プラントのシミュレータ
同様に制御のエミュレータも作成したが、ここで省略する。
1 3ZPwLOAD
王Dゑ仲
29.F牛p
㌻〃,z-r
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Jr工兵挿
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G
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I
′
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i
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L17-
''P
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∫ll
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図3.9
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定格負荷(375MW)におけるヒートバランス図
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∫叫
rl
3.4武豊2号発電プラントをモデリングする時に必要なデータ
3.4.1設備に関するデータ
この部分のデータは中部電力によって提供された設備試験成績表、主管系統図、設計資料、
各部構造図、設備配置図などの資料を用いた。ただし,データの量は巨大なため省略する。
3.4.2
運転データ
この部分のデータも中部電力によって提供された各負荷におけるヒートバランス表や
DCS制御装置のスナップショットデータ記録を用いた。定格負荷(375MW)におけるヒート
バランス表の一例を図3.9に示す。
武豊2号機のエンタルビ、圧力、流量バランス図
3.4.3
3.4.1と3.4.2のデータを用いて、シミュレータの入力データを用意することができる。図
3.10から図3.15に示す。
3.4.4制御系のデータ
基本的にDCSのcon丘gurationデータをそのまま使ったが、一部PIコントローラのデー
タを変更した。これはシミュレータの計算を早くするためである。
3.4.5
Stiffnessの解析
今回開発するシミュレータの中で動特性がかなり早い応答を持つ設備(高圧タービンなど)
とかなり遅い応答を持つ設備(ボイラのレベル部分、再熱器など)を混在してシミュレーショ
ンしているので、シミュレータが数値計算上Stiff的になっており問題である.
そこで、我々は武豊2号シミュレータの全体を分割した。定格負荷の近傍において、得ら
れたサブプラントを線形化し、極を求めた。高圧タービン、入口加減弁および抽気管を含ん
だサブシステムの極はすべて実数であり以下のようである。
1
4
-0.10000000
-4.58217000
2
5
ll.23433000
3
-2.32151000
-40837.9000
5番目の極は高圧タービンブレッド(Balde)間の蒸気の体積圧縮効果を考えるための極であ
る。シミュレータの計算上のStiffness問題を解決するには高圧タービンなどの設備に対し
て、再モデリングしなければならないと思われるが,現在のMMSにはこのような性質を持
った高圧タービンモジュールが提供されておらず、かなり難しいと思われる。
time capable)モジュールには数値計算上の問題
MMSの新しくReleaseされるRTC(real
を考慮したLibraryが提供される予定であるので、新しいツールを使って、武豊2号機シミ
ュレータの計算上の問題を解決したい。
-27-
図3・10
武豊火力2号棲ガスエンタルピバランス
単位:j・kg
人力値
書十井値
エンクルビ差
412811
固3・11武豊火力2号機ガス圧力バランス
単位:mmAq
10
88()
図3・12
武豊火力2号機ガス流量バランス
単位:
kg/s
人力値
書十井値
48.89
EE13・13
武t火力2号t&工ンタルピバランス(375Mw時)
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A■F弁
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TLB暮気
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(1)3T5hヒート/lラン又
(2)I 997/6/2Tの16T--タ
OO)たb書■してある
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武士火力2号8圧力′くランス(375Mw時)
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(2)19?7/6/27のItEデータ
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EE)3・15 武士火力2号tL流tバランス(375Mw時)
3.5シミュレーション例
以上で開発したシミュレータを使って、定格負荷(375MW)及び負荷が375MWから
365MWまで下げた時の二通りのシミュレーション例を図3.16と図3.17に示す。
まずシミュレーションデータを収集するために出力項目一覧表を示す。
表3.7
出力項目一覧表
単位
tーhptse
物理量の意味
負荷指令値
主蒸気圧力
主蒸気圧力指令
ガバナー開度
燃料流量
主蒸気流量
給水流量
主蒸気温度
しdrm
ドラムレベル
m
Ytbfpajnterface
給水タービン加減弁開度
ドラム出口蒸気温度
変数名
Mwd
c2ー31678neg
c2131678poS
Gvinterface
wdrmfe
W_mSpwe
wdrmwe
tlshse
thshse
Ysp_interface
t_mptse
t_hrpwe
Ygrf_interface
YrhjnterFace
mW
kg/cm2
kg/cm2
none
kg/see
kg/see
kg/see
℃
none
℃
SH滅温器出口蒸気温度
sHスプレ調節弁開度
中圧タービン入り口蒸気温度
低圧タービン入り口蒸気温度
℃
g「f入り口弁開度
RHTスプレ調節弁開度
none
none
℃
℃
none
(1)定格負荷(375MW)におけるシミュレーション
各制御系の設定値は以下に示す。
表3.8
発電指令MWD
主蒸気圧力TPD
主蒸気温度MST
再熱蒸気温度RHT
ドラムレベルDL
各制御系の設定値
375MW
169MW
568℃
540℃
0.86M
MMSのAutoPamによって計算されたシミュレータの状態の初期値は完全平衡点ではない
ので、シミュレーションを行う前にシミュレータのある時間を実行させて、シミュレータの
状態を安定させる必要がある。二つのシミュレーションの結果を図3.16と図3.17に示す。
図3.16と図3.17に示したように再熱蒸気温度、主蒸気温度,給水流量,燃料流量、蒸気
流量の順に応答が早くなっていることがわかる。これは現場の常識とよく合っている。
-34-
The Throde
1000
Pressure
2000
1Tle Govemer
3000
400 0
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1000
2000
3000
Us8C
4000
5000
Vsec
The FIcwate
Tho FJo≠〝ateof Fuel
of Main
Stoam
318
317
邑3'6
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2000
3000
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5000
1000
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2000
3000
4000
5000
Vsec
ITIe Fo8Mater
Boiler
of
The Tomperaturo
of Main
St白arn
314
313
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3000
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5000
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LovBJ of Drum
Tho ytbfpa
4000
5000
1000
L/see
2000
3000
dsec
-35-
4000
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The TemperabJre
Of MaJn
Steam
at the Outlet of Drum
The Temperature
of Main
Steam
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of Main
Steam
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2000
Usec
3000
甘sec
図3.16
シミュレーションの結果(平衡状態)
-36-
4000
5000
Tho Throdo
20OO
Prossuro
4000
The Governor
6000
8000
4000
10000
6000
The F[owate
8000
10000
8000
1 0000
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of Fuel
of Man
The Flovqate
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316
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4000
8000
8000
2000
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8000
10000
8000
1 0000
Usec
The yEbfp8
Leve一 of Drum
4OOO
6000
4000
dsec
6000
800O
0
10000
2000
4000
6000
ぬoc
Vse⊂
ー37-
Tlle Temperature
Steam
of Main
at廿帽0しLdet of DnJm
nle Temperature
of Main
Steam
at廿1e Odet
of A甘emp.
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414.8
414.6
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414.4
Ln
JE=
Ul
-⊂::
J414.2
414
413.8
2000
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8000
10000
413.6
0
2000
4000
600 0
t/see
8000
10000
tlsec
¶1e Spray
llle Temperature
of Main
Steam
at
the lnletof MPT
0.7
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The Tomperahjre
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4000
lnねt
6000
The
of HRP
8000
1 0000
8OOO
1 0000
GRF
4000
usec
6000
tlsec
図3.17
(負荷変化:
6000
t/see
シミュレーション結果
MWDが375MWから365MWまでのステップ変化の応答)
-38-
8000
10000
3.6
シミュレーションの精度
以上で開発したシミュレータの静的と動的な精度を確認しなければならないが,ここで定
格負荷におけるシミュレータの精度の比較を行う。まず表3.9に定格負荷時定格負荷時武豊
2号発電機シミュレータ内水の性質変化一覧表を示す。
表3.9:定格負荷時武豊2号機シミュレータ内水の性質変化一覧表
低温スーパヒ一夕
高圧タービン
中圧タービン
低圧タービン
復水器
第一低圧給水加熱器
脱気器
給水プンプ
第一高圧給水加熱器
エコノマイザ
P(Pa)
H(J/kg)
T(℃)
R(kg/m3)
1.79E+07
2.51E+06
357.9
130.1
1.67E+07
3.48E+06
568.0
47.9
2.90E+06
3.55E+06
540.0
7.90
8.llE+05
3.16E+06
350.1
2.86
5106.1
2.39E+06
33.2
0.04
1.23E+06
1.41E+05
33.7
993.6
7.95E+05
7.19E+05
170.3
893.9
1.65E+06
7.21E+05
170.4
894.6
1.84E+07
7.45E+05
173.5
903.0
1.80E+07
1.20E+06
273.9
782.0-
表3・ 1にすでに定格負荷時武豊2号機内の水の性質変化を一覧の形で示したが比較のため
にここでもう-度示す。
表3.
1
:定格負荷時武豊2号発電プラント内水の性質変化一覧表
P(Pa)
Ⅲ(∫/kg)
T(℃)
R(kg/m3)
低温スーパヒ一夕
1.78E+07
2.52E+06
357.0
128.5
高圧タービン
1.65E+07
3.48E+06
568.0
47.53
中圧タービン
2.88E+06
3.54E+06
540.0
7.75
低圧タービン
7.84E+05
3.16E+06
338.9
2.825
復水器
5099.0
2.38E+06
33.2
0.02
第一低圧給水加熱器
1.17E+06
1.43E十05
34.1
993.6
7.35E+05
脱気器
7.06E+05
166.2
892.2
1.59E+06
給水プンプ
7.06E+05
166.2
898.8
第一高圧給水加熱器
1.84E+07
7.31E+05
170.1
908.0
エコノマイザ
1.79E+07
1.20E+06
273.9
781.5
表3.1と表3.9のデータを比較すると、シミュレータは武豊2号発電機の静特性をよく表
していることがわかる。
-39-
3.7あと書き
現場の実測データと設備の設計データとMMSを用いて、熱力学と流体力学の観点から武
豊2号機のモデリングとシミュレータを開発した。いろいろなシミュレーションを行った。
現場の経験にあう結果が得られた。特に開発したシミュレータはプラントの静特性をよく表
していることが分かった。
今回の研究においてまだいろいろな問題点が残されている。例えば、動特性の確認試験を
しなければならない、またシミュレータの計算のStiffness性、さらに、現場のPIコントロ
ーラを使ったシミュレーションをするなどの問題点が上げられる。これは今後の課題にした
い。
参考文献
【1】谷下市松、工業熱力学、
(樵)裳華房、昭和49年
【2】植田辰洋、ボイラおよび蒸気原動機、共立出版社、
【3】電気学会通信教育会、火力発電、電気学会、
1986年
【4]野坂康雄、産業システム制御、コロナ社、
Ordys,
【5】
Simulation
A.W.,
A.W.
of Power
Pike,
M.A.
Generation
Johnson,
Plants,
1990年
1994年
氏.M.
Katebi
Springer-Verlag
-40-
and
,
M.J.
IJOndon,
Grimble,
1994.
Modelling
and
第4章
制御系の構成
本章では発電用ボイラの過熱蒸気温度制御系の構成に関する基礎的な提案をおこなう.この制
御対象はガス流量の変化による遅い応答と蒸気の圧力変化による速い応答が混在した系であるこ
と,温度や圧力,流量,液位などの種々の制御系が干渉していること,負荷変化による特性の変
動があること,燃料の種類により特性が変化すること,むだ時間があること,経年変化など様々
な問題がある.そこで通常提案されている制御理論をそのまま応用しても十分な性能は期待でき
ない.ここでは以上の点に着目し,主に外乱補償型フィードフォワード制御系の構成を述べる.
ただし,
MMSによるシミュレータの開発はまだ完成しているわけではないので,ここで示す
ことができるのはモデル化や制御系設計の方法論であり,具体的な結果を示すことを目的とはし
ていない.以降に示す結果は3章で述べたMMSによるシミュレータとは異なり,平成7年3月
ころに開発された武豊4号のシミュレータにもとづくものである.
4.1
発電プラントのモデル化
制御村象はドラム圧力,ドラムレベル,蒸気流量,蒸気温度の制御系が複雑に干渉しあう.例
えばMWDが上がると蒸気流量が増す.その結果ドラム圧力が下がる.また,燃料流量が増え主
蒸気温度が上がる。主蒸気温度が上がると、
RHT系が働きガス循環系にも影響を与え,ドラムレ
ベル系にも影響を与える。
これらを全て記述できるモデルが作成するのは困難であるので,ここでは温度制御ループを中
心にモデルを作成する.
主蒸気温度(ファイナルスーパーヒータ出口温度)に大きく影響を与えるのはSⅡスプレ弁で
あり,これを制御入力として主蒸気温度系が構成されている.
Fignre‥4.1に主蒸気温度制御系の
構成を示す.この構成はカスケード系となっている.マイナコントローラにより減温器(DeSH)
出口温度が制御され,メインコントローラによりスーパーヒータ出口温度が目標値に保たれるよ
うにフィードバック補償器が構成されている.これらのフィードバック補償器はゲインを負荷指
令により変化させる機能を持ったPIもしくはPIDと,ヒートバランスを考慮した前向き補償,
および負荷指令値変動信号(BIR)を用いた前向き補償からなる.
-41一
MST
Figure
4.1:蒸気温度制御系
本研究で設計を目指す適応ロバスト制御方式の補償器は既存のメインコントローラと並列で使
用する.その理由は,適応ロバスト制御方式の補償器が既存の補償器を補う目的で使用され,異
常時にはもとの補償器に切り替えられること,適応制御の出力信号を適応機能を開始させた初期
の段階でそのまま使用すると信号が大きく振動し好ましくないことから適応機能が十分収束する
まで既存の補償器のみで運転できることなどである.
以上の理由から,制御入力はメインコントローラ出力に外部から加える信号で,
Figure‥4.1で
はupで示されている.
主蒸気流量(SF),主蒸気圧力(TP)が主蒸気温度に与える影響は非常に大きい.通常,主蒸気
流量はMWDに比例し,また蒸気の移動時間の変化のためにSHスプレ弁の開度の変化からスー
パーヒータ出口温度までの応答時間が変わる.また,主蒸気圧力をその目標値に保つために燃料
流量(OF)が制御入力として用いられている.燃料流量の変化は燃焼ガスの温度,燃焼ガス流量
の変化となる.これらはスーパーヒータを通して蒸気温度の変化に影響を与えている.
以上を考慮すると,主蒸気温度MSTは,プライマリスーパヒータ出口蒸気エンタルビⅡpsH
,主蒸気流量SF,主蒸気圧力TP,燃料流量OF,外部入力upを用いて次のような非線形の
動特性を表すと考えられる.
MST
SF,
-
fl(HPSH,SF,TP,OF,up)
TPの値をそのまま用いて新しい補償器を構成すると,
(4・1)
upがSF,
TPを用いて作成され
ることになり,システム全体では新たなループを生じることになる.このとき,系全体の安定性
の考察が必要になる.また,これまで実際に用いられてきたBIRは閉ループ系の外部信号であ
る.このように新しい蒸気温度制御ループを他のループと切り離して設計するためには外部信号
を用いた前向き補償器を作成するのがよい.そのためⅡPSH,
SF,
TP,OFなどの信号を用いるか
わりに,それらの変化の原因であるMWDや,本研究の主目的である変圧運転を考慮しドラム圧
力目標値(TPsp)を用いてモデルを変形する.
MST
4.2
-
f2(MWD,TPsp,
up)
制御系設計用モデルの同定
本節では,制御系設計用モデルのオフライン同定について述べる.オフライン同定の目的は,
-42-
(4・2)
●制御系設計用モデルの次数,むだ時間などの構造的なモデルの正確さの評価を行う.
●適応制御的な手法を用いない場合の制御性能を調べることにより,制御系の構成に関する考
察を行う.
●適応制御的な手法を用いる場合には,モデルの推定パラメータの初期値として利用する.
などがあげられる.
さて,前節で述べたfl,f2は非線形性をもつ動特性である.この関数を物理的な考察により求
めるのは非常に難しい.そのような方法によるモデル化は,前章で述べたMMSによるモデル化
のように,シミュレータの開発には適しても,制御系の設計にはそのまま用いることはできない.
そこで,制御系設計用モデルの作成するために定常状態の近傍での線形モデルを作成する.ある
信号xの定常状態をxo,
△x-I-xoとするとき,
AMST-GluP+G2
upo-oより
AHPSH+G3
ASP+G4
ATP+G5
(4・3)
AOF
もしくは,
AMST
と作成される.ここで,
-
GluP+
G2AMWD
+ G3ATPsp
(4・4)
Giは伝達特性をあらわす.通常離散時間形式で制御系が構成されるため,
Giはパルス伝達関数と考える.以降,
(4.4)式を用いて説明を行う.
負荷指令値(MWD)毎に定常状態は異なり,また,応答速度などの伝達特性は異なっている.
したがって,入出力関係を表すパルス伝達関数もMWDに応じて変化する.ゆえに,
△MST(k)
-
Gl(wi,Ill)up(k) + G2(wi,Z
1)△MWD(k)
+
G3(wi,I-1)△TPsp(k)
k
と表す.ここで,
wiは代表的な負荷指令値であり,たとえば高負荷,中負荷,低負荷を表す.
は適当なサンプリング周期ごとのサンプル数,
I-1は1サンプル遅れ演算子をあらわす.
これらのモデル化では物理的考察から作成することが難しいため,各負荷帯域で同定実験川【2】
を行い,入手したデータから統計的な手法を用いで伝達関数モデルを作成する.ここで,同定に
関しての手順や注意事項をいくつか述べる.
●ステップ入力テストより大まかな時定数を求め,サンプリング周期を決定し,
を作成する.
・各負荷帯域の近傍にて,
M系列信号
up,MWD,TPspにM系列信号などのテスト入力を加える.用い
る振幅は,あまり小さいとS/N比が小さくなり好ましくない.あまり大きいと非線形的な
現象が現れたり,通常の運転にとって好ましくないなどの弊害が出るので,注意する.また,
用いる信号がMWDやTPspなどの閉ループ系の外部信号であればよいが,
SF,
OFなど
の閉ループの内部信号の場合に雑音と信号に相関が生じるので,推定パラメータにバイアス
が生じることがある.
-43-
●観測信号の雑音成分や非構造的なモデル化誤差の影響を軽減するために,プレフィルタとし
てすべての信号に適当なローバスフィルタを通すとよいであろう.ただし,ここで求めたモ
デルにより前向き補償を行うので,低周波域のモデルの精度も必要だと思われることから,
バンドパスフィルタは用いないほうがよい.
●同定モデルは一般的な出力誤差法を用いる.式誤差モデルの場合,モデルの同定精度は高周
波帯域で良くなる傾向にある.一方,出力誤差モデルを用いた場合には,テスト信号の周波
数成分と先に述べたプレフィルタにより重みづけられた,誤差モデルのH2ノルムにより
同定誤差が評価される.こちらのほうが前向き補償器の設計の観点からは好ましいと思わ
れる.
●次数,むだ時間などの構造を決める場合に,いくつかの候補の中から最適なものを選ぶ.こ
こで,同定結果の評価には同定誤差の二乗和を用いたり,同定誤差と外部入力の相関を用い
たりする.まず,十分な次数を与え異なるむだ時間の同定モデルを複数用意し,それぞれの
モデルを用いて同定を行う.むだ時間の次数が小さいモデルは大きなむだ時間のモデルを包
含するので,同定誤差の二乗和が小さいもののなかでむだ時間の次数が大きいものを選ぶと
よい.次に,むだ時間を固定しシステムの次数を決定する.やはり,同定誤差の二乗和が小
さいものを選択する.ただし,あまり次数が大きいのは好ましくない.以上の作業には試行
錯誤が伴う.
制御系の基本構成
4.3
制御目的は主蒸気温度を一定に保つためのレギュレーションである.負荷が一定のときには外
乱や無視した動特性の影響を補償するフィードバック制御の設計である.負荷や圧力が変化する
ときには入出力特性の応答の遅さやむだ時間のためにフィードバック補償のみでは温度を一定値
に保つことが難しい.このときには負荷指令値や圧力指令値を利用したフィードフォワード補償
を併用する.
まず,フィードフォワード補償の設計手順を述べる.多入力-出力の伝達関数が
y=
とあらわされるとする.ここで,
I-dlBl(z 1)__ I-d2B2(I-1) u2
Al(I-1)
A2(z 1)
.
wl
■
ulは既知の外乱信号,
u2は操作入力とする.ここで以下の仮定
を設ける.
・
Al(I-1)は安定な多項式
・ulからyまでのむだ時間dlはu2からyまでのむだ時間d2よりも大きい
始めの仮定はプラントが安定であることから満たされている.
る温度変化は非常に速いので問題ない.
-44-
2番目の仮定もスプレ流量に対す
もし,制御入力を
u2
=
V2
A2(I-1)Bl(I-1)ul
Al(Ill)B2(z 1)
I-(dl-d2)
-
(4.5)
のように構成できれば,外乱ulによるy-の影響を操作入力u2で打ち消すことができ,
z
y=
d2B2(I-1)
V2
A2(I-1)
(4.6)
とすることができる.
しかし,
(4.5)式のようなフィードフォワード補償器を構
B2(I-1)の根が単位円の外にあると,
成することができない.そこで,
B2(q-1)の単位白から出ている因子をすべて定数に置き換えて
しまう方法が考えられる.すなわち,
B2(I-1)
ただし,
(4・7)
B2+(I-1)B2-(I-1)
-
B2-(I-1)はその根がすべて単位円の中にある多項式,
B2+(I-1)はその根がすべて単位円
の外にある多項式とする.このとき安定なフィードフォワード制御系を構成するためには,
A2(I-1)Bl(I-1)
ul
Al(I-1)B2-(I-1)B2+(1)
(dl-d2)
u2=V2-I
(4・8)
とすればよい.このときフィードフォワード制御系の定常ゲインは一致するが,位相が異なるの
で注意する.このような問題をさけるために,同定モデルのβ多項式の次数をoとしてモデル
を同定する方法も考えられる.
さて,
ulからyまでのむだ時間dlがu2からyまでのむだ時間d2よりも短い場合を考えよ
う.このときは(4.8)式のようなフィードフォワード制御の計算はできない.そこで,
A2(I-1)Bl(I-1) ul
Al(I-1)B2-(I-1)B2+(1)
u2=V2-
(4・9)
のように計算を行う.当然補償の動作には遅れが生じる.これは構造的な制御性能の限界であろう.
一般に主蒸気流量や主蒸気圧力の変化に対する主蒸気温度の変化は速いと思われる.一方MWD
やDPspを用いたほうがこのような問題が生じにくい.
さて,フィードフォワードコントローラをMWDに応じて切り替えるために,図.4.2の構成を
用いる.ここで,
WiはMWDに応じて切り替える重みで,たとえば,
(:
1-rn
trll
rn=
-
lMWD
:rn≦1
:rn>1
I
MWDnl
△〟Ⅳ上)
とする.
ここで,
MWDnは、
モデルを同定した時の平衡点での〟Ⅵ/刀,
△〟lγβは有効範囲
となる半径で設計者が自由に与えることができる。
この方法で求めた、主蒸気圧力目標値による影響を打ち消すためのフィードフォワードコント
ローラーの成果をFigure:4.3からFigure:4.6に示す。実線がフィードフォワードコントローラー
-45-
Feed
Forward
Controller
Figure4.2:ゲインスケジュール型フィードフォワード補償器
なしで一点鎖線がフィードフォワードコントローラ有りの場合の主蒸気温度である。
Figure:4.3は
MWDが高いときと低いときの,ドラム圧力のステップ変化に対する応答であり、
5割近くの改
善が見られる. Figure:4.4はドラム圧力がランプ状に変化したときのドラム圧力の様子と,その
ときの主蒸気温度の応答である.ただし,
改善が得られた。
MWDが高いときを図示している.これも5割近くの
Figure:4.5は同じくMWDが中及び低のときの応答である。これも良好な成果
が得られた. Figure:4.6は高、中、低負荷の三つのコントローラーを重み関数を用いて補間して
得られたコントローラーに対して主蒸気圧力をランプ状に大幅に変化させた場合である.ただし,
MWDも主蒸気圧力にあわせて大幅に変化させている.これも良好な結果が得られた。
フィードバック補償器
4.4
プロセス制御系では制御対象のモデル化が困難であることから,フィードバック制御系がPIま
たはPIDで構成されることがほとんどである.また,そのゲインの調整作業も負荷の大幅な変動
時の安定性や応答を考えて保守的にせざるをえず,ゲインを大きくできないようである.
これらのゲインは現場の作業員が経験と勘により定めているのが現状で,これらを系続的にで
きる手法を提案したいと考えている.特に,既存のフィードバック系の構造をそのまま利用し,
PIDパラメータの再調整に着目したい.その理由は
。本研究で述べているようにMMSによるシミュレータの作成を通して過熱器の特性が徐々
にはっきりとしてきたので,その数式モデルやモデルの不確かさの考察が可能になった.し
かも,各負荷帯域でのモデル化が可能である.
●
フィードフォワード補償器により大きな負荷変動や圧力変化に村する偏差を軽減しており,
主蒸気温度制御系に加わる外乱の大きさが小さくなっている.
である.
-46-
Step
10
20
30
(high)
response
40
50
60
70
80
90
1 00
70
80
90
1 00
t【10sec】
Step
(low)
response
1 062
1061
富・
.J=0
こ≠弓
1 060
.=e2
LLft)
FIO59
1058
0
1
0
20
30
40
50
60
t【10sec】
Figure
4.3:ステップ入力に対する応答
Ramp
input
signa一
20
9i
10
蔓o
く乃
臣-10
-20
0
20
40
60
80
100
120
140
160
120
140
160
t[1 0sec]
ramp
(high)
response
1 065
誉
[≠
芸1060
u」
]喜岳
1055
0
20
40
60
80
100
t【10sec】
Figure4.4:上:ランプ人力
下:高負荷における応答
-47-
ramp
response
(mid)
1 065
育
.工=
⊂
1060
=e
星
トー
1055
0
20
40
60
80
100
120
140
160
120
140
160
t【10sec】
ramp
1
response
(一ow)
065
二
望一
亡=
呈1060
JFg5Fj
喜喜岳
1055
0
20
40
60
80
100
t【10sec】
Figure4.5:上:中負荷における応答
Ramp
下:低負荷における応答
input
signal
2800
2600
.!⊇
邑
2400
2200
50
1 00
1
50
200
250
300
350
400
300
350
400
t【10sec】
ramp
1
response
(high)
065
百
⊂
呈1060
L空
三岳
1 055
0
50
100
150
200
250
t【10sec】
Figure4.6:大幅な変化とゲインスケジュールによるコントローラー
-48-
本研究ではまだMMSによるシミュレータの開発が完成しておらず,具体的な設計作業には取
り掛かることができなかった.しかし,近年のロバスト制御理論の発達や,ロバストPIDコント
ローラ[3】の設計法の提案など,また,
LMIを用いたパラメータ調整の最適化手法[4]を用いるこ
とで,モデルの不確かさと制御仕様からPIDの最適調整が行えるものと思われる.
適応制御方式への対応
4.5
これまで述べてきた手法はオフラインでモデルパラメータを同定し,固定パラメータをもつコ
ントローラの設計手法を述べてきた.しかし,経年変化や燃料の種類の変化に相応できるよう適
応制御化の要求が高い.そこで,付録1には適応的な手法を用いた外乱補償フィードフォワード
付きMRACSを紹介する.ただしこの結果は変圧運転を行っておらず,そのため比較的良好な結
果がでた.・以下に本手法の概要を述べる【5].
。モデルを制御入力と既知外乱から主蒸気温度偏差までのARモデルで表し,オンライン同
定が容易に行われるようにしている.
●モデルと入手可能な外乱信号から,制御対象のむだ時間先の出力信号を予測している.
。外乱がないときのレギュレーションとしては,閉ループ系の極を指定しており,偏差が零へ
収束するスピードが指定できる.これはフィードバック制御性能とロバスト性のトレードオ
フを指定する設計パラメータとなっている.
●その予測値を用いて,ある評価関数を最小にすることにより制御入力を求めている.この評
価関数には制御入力の大きさも考慮されており,制御入力が過大になることを防ぐ働きを有
する.
●モデルパラメータはMWDの線形関数になると想定することで,
MWDの変化により推定
パラメータが不必要に変動することを防いでいる.
・パラメータ調整別のロバスト性を向上させるため,不惑帯【6]を設け,同定誤差が小さいと
きや信号のPE性が不十分であるときには同定を停止している.
・数値計算上の不安定を引き起こさないようにVD分解アルゴリズム[7】を採用している.
●
MWDの変化は蒸気流量の変化となり,蒸気のスピードの変化になる.これは,入出力間
のむだ時間の変化にもつながる.そこで,
ようにした.その結果,
4.6
MWDの変化によりサンプリング周期を変える
MWDの値によらず等しいむだ時間の次数を設定できる.
まとめ
本章では蒸気温度制御系に対するコントローラを.非適応的な手法と適応的な手法に分けて述
べてきた.しかし,適応的な手法を用いて変圧運転に対するシミュレーションを行ってもあまり
-49-
良好な結果が得られていない.これは主蒸気流量,圧力が変化するときの温度-の応答速度がス
プレー流量から蒸気温度までの応答速度に比べて非常に速いために,圧力一定運転の際に用いた
ようなARモデルでは十分に特性を表現できないのではないかと思われる.
そこで,プラントのモデルを改めて(4.1)式に立ち戻り,物理的な考察を用いた圧力変動補償を
行う必要があろう.そのためにもMMSによるモデル構築の完成を願う次第である.
-50-
Bibliography
[1】片山:システム同定入門,朝倉書店,(1994)
[2] System
Identification
TOOLBOX
For Use
with
MATLAB,
The
MATE
WORKS
Inc・
【3】佐伯,平山‥ロバスト感度最小化に対するPID制御機のパラメータ空間設計,計測自動制御
学会論文集,
32-12,
pp.1612/1619 (1996)
【4]岩崎:LMIと制御,昭晃堂(1997)
【5】尾形,藤井,加藤,松村‥発電ボイラにおける過熱蒸気温度の適応制御に関する研究,日本機
械学会論文集,
57-539,
pp.2277/2284 (1991)
【6]大森,佐野‥ロバスト適応制御.コンビュ-トロール32,(1990)
【7]片山:応用力ルマンフィルタ・朝倉書店,(1983)
-51-
第5章
結言
●
本研究では開発ツールとして米国EPRI
(ElectricPower
Research
Institute)で開発された物理
モデルによるシミュレータMMSを用いて、発電プラントのモデルを開発した。
MMSは実プラ
ントを模擬し,それを用いて作成したモデルは新制御システムを開発するための有効な手段とな
ると思われる。
しかしながら,そのシミュレータの開発には様々な問題があり,今回はそのプロトタイプがやっ
と完成した所である.現段階ではプラントの静特性がほぼ現場のデータとあう結果が得られてい
る.今後はシミュレータ中に現場で使用しているコントローラを組み入れ,動特性の評価を行い,
修正していかなければならない.これは各モジュールのパラメータの調整作業であり,ある意味
ではモデルの同定作業とも考えられる.しかしながら,そのパラメータ数は膨大な数であり,非
線形微分方程式の形をしており,その調整作業は簡単でない.その方法は今後の検討課題である.
そのために本研究での制御系設計作業はあまり進んでいない.
MMSで以前開発した簡易モデ
ルを用いて、前向き補償のゲインスケジュール制御を行う方法をまとめるに留まった.しかし、従
来のPID制御に対して良好な制御性を得る見通しを得た.ロバストなフィードバック制御システ
ムの開発は、十分なモデルの考察に基づくものであるので,モデルと実プラントでの比較検証と
共に今後の継続研究の課題としたい。
現時点で予想される主な問題点は,主蒸気流量,圧力が変化するときの温度への応答速度がス
プレー流量から蒸気温度までの応答速度に比べて非常に速いために,圧力一定運転の際に用いた
ようなARモデルを用いた前向き補償の方式では十分な外乱抑制特性が得られないことである.
そのため変圧運転時には主蒸気圧力制御系を含めた制御系の再構築も考慮すべき課題と言えよう.
-52-
適応制御理論を応用した事業用ボイラの制御
蒸気温度制御への多変数適応制御の応用
中部電力株式会社電力技術研究所
松村司郎
日本ベ-レ一株式会社応用システム部塩谷秀夫
適応制御の研究の背景
1
発電用ボイラの制御において,ボイラからタービンへ供給する蒸気の温度制御は最も難しいとされてい
る。
〔注:事業用ボイラにおいて蒸気温度制御とは一般的にボイラからタービンへ供給する蒸気の温度を所定の値に
保つよう制御を行うことである。
〕
I
これは、現在用いられているP
D制御系において制御圭と操作土を持ぶ複数個の制御ループがポイ
ラ・プロセスを介して相互に干渉することが一つの要因であるが、この他ポイラ・プロセスはその動特性
が、負荷の大きさによって変化すること、火炉や蒸気過熱器がシーズニングと呼ばれる経年変化をするこ
と、燃料の種至削こよっても動特性が支配されることが蒸気温度制御を困難にしている。
このような状況の下では、制御対象の特性変化に対応して制御パラメータを調節するモデル規範形適応
制御(MRACS
:NodeI
ラックスと読む)が従来のP
Reference
I
Adaptive
System
Control
以下本稿ではMRACSと記述しエム
D制御に比べて多くの利点を有していると言うことができる。
なお、この研究は名古屋大学藤井教授のご指導のもとに極東貿易株式会社,日本ベーレ一株式会社と共
同で開発したものである。
2
蒸気温度制御システム
本章では、従来の蒸気温度制御
システムと、
MRACSを応用し
た蒸気温度制御システムの構成に
ついて説明する。
第1図にMRACSの対象とし
た蒸気温度制御系の制御概要とそ
の特徴を示す。
主蒸気過熱器は時定数がきわめ
て長い(20-30分)ため、過熱器
の出口の温度から過熱器での熱交
換王を見越した過熱器入り口蒸気
第1図
温度を決定し、過熱器入り口の蒸
蒸気温度制御システム
気に給水を混ぜて過熱器入り口の蒸気温度を制御することにより、最終的には過熱帯出口の蒸気温度を目
標値に制御するカスケード制御方式をとっている。
高圧タービンで仕事の終わった蒸気は再熱器に送り込まれ再び過熱され再熟蒸気として中庄タービンに
送られる。再熱蒸気の制御は燃焼ガスの再循環量を加減することにより制御される。
ここで、制御上の問題点は、再循環燃焼ガスは主過熱器と再熱過熱半の両方で熱交換しているので、再
ー53-
熱蒸気の温度を制御するた
タービン
めに燃焼ガスの再循環呈を
加減すると、それは主蒸気
過熊低減器
の温度に影響するいわゆる
干渉を起こす。
他方、圭過熱器の入り口
設定値
蒸気温度が変われば,主過
熱器での燃焼ガスから蒸気
への熱交換率が変わるので
燃焼ガスの温度が変わり再
熟蒸気へ干渉を起こすこと
になる。
第2図
また,過熱器の中を通る
PID+MRACSハイブリッド制御システム
蒸気量の変化やシーズニン
グと呼ばれる現象によって燃焼ガスから蒸気への熱交換の特性が変化する。
既に述べたように蒸気温度制御系は主蒸気と再熟蒸気系で構成されているが,
MRACSの考え方は両
者とも同じであるので主蒸気系への応用について説明する。
MRACSは第2図に示すように従来の制御系に並列に構成し従来の制御出力を補償する形で動作する
PID・MRACSハイブリッド・システムとした。
ハイブリッド・システムにした理由は次のとおりである。
3
ア
ブラントの線形性が向上するので制御設計が容易
イ
MRACSに異常があったときのリスク回避がてきる
ウ
MRACS単独では制御の初期条件作りが困難
MRACSの理論
MRACSの基本構成を第3園
に示す。
MRACSでは設計者の
プラントに対する制御願望を規範
モデルとして与える。適応調節計
の出力信号はこの規鮎デルの出三男
力にプラント出力が一致するよう
に決定される。すなわち,規範モ
デルの出力にプラントと適応調節
計を結合した制御系の勤特性が一
致するように適応調節計の出力を
合成する。
プラント出力
主蒸気温度偏差
したがって、この制御方式では
第3囲
適応調節計内の可変パラメータは
入手可能な信号(測定できる信号)
MRACSの基本輯成
f='けを用いるパラメータ調整棲鰍=よりオンライン自動詞肺される。
-54-
3-1
プラント・モデル
プラントに零次ホールド要素を前置きしてサンプリンケ周期Tで離散化した系を次のようにモデル化す
る,
A(I ll)e.(k) z-1^n.(z'])-∫-(A)+I--d2[12(I-.
)"2(k)+zII'h'(:(I-I)",(k)
A(I-I)= I+a,z1-.+・・・+`7"主 "
=
ただし
B.(I-1)=
I,70 +b7.I-]+-I+blmlZ-m-
β2(z--1) b2o +b2.I-7+∴+b写m2Z
L
C(I-I)= co +c.z l+・・・+cqz-q
=
"-2
(∼)
(1)式において
kは正の定数、またz-.は遅延演草子で
z--e.(k)=e.(k-I)である。
e,(k)
:蒸気温度偏差
".(k)
:プラントヘの制御入力
t',(k)
:プラントに加わる既知の外乱(再循環ガス流i)
lt,(k)
:プラントに加わる既知の外乱(MWデマンド)
上記のプラントに対して次の仮定を設ける。
(ア)多項式
(イ)係数
A(I-7)とB.(I-.),B2(I-I),C(z
(ウ)
l)は夫々互いに既約
aりblj,b2E,Ciは未知の定凱ただし.
bl.≠0
A(I-1),Bl(z-I),B2(I-.),C(I-7)の次数 tl,ml,m2,qは既知
dl,d2,(1w
(エ)無駄時間
(オ) Bl(z
は既知。ただしd2≧dl,
dtI,≧dl,
dl>-1
])は漸近安定な多項式
制御の目的はプラントの出力が目標値〔恒常的に零〕を漸近的に満足するよう制御入力".(k)
を合成す
ることである.言い換えれば安定な多項式D(I-1)を導入しプラントの出力が(3)式を満足するように
1(.(k)を合成するレギュレーションである.
I)(z-1)e(k+dl)=0,
e(0)$0
ただし、
3-2
1+d.I-I+・・・+a.I-"
D(I-.)=
プラントの別表現
はじめにプラント・
′i5メータal,・-,a〝,blo,・・・,bld,b2.,-・,b2d,Co,・-,C.が既知であるとして所要
の調節計の構造を決定する.
いま、安定多項式D(z
D(z
ただし、
1)を導入すれば次の関係を満足する多項式R(I-.),S(I-I)が一意にきまるc
・
.)= A(I--.)R(I--)+z
R(I-.)
=
S(I-.)=
dts(z
I+r.zI'+・・・+rd._lZ
s. +s.z
(5)
.)
叶-)
.+・-+sn_.I-(n-71
(5)式の両辺にL,.(A)を乗じて(1)式の関係を用いると次の式が得られる。
D(I-I)e-(k) A(z 1)R(I-I)e.(k)+I-dts(z 1)e.(k)
=
=
I).(I-'])R(I-.)".(k-dl)+S(z
+
B2(I-'1)R(z'-.)t12(k
-d2)
+
c(I--)R(I--)ll,(k-dl,)
-55-
.)e.(k-dl)
=
Juz-I)",(A-`Jl)+S(I-I)e・I(k-dl)
(6)
+Juz-I),,2(k-d2)+Rc(:-I).'J(A-a")
=g6(A-dl)
ただし
Jl.(zJ)= B.(z
l)
=l・Ⅰ.,+J・1.I-I+・・・+7・1"...a.
Q(z
])
RL(=
])= C(I-◆1)II(I一l)
-l・Co
-
B2(z
t)R(z
])R(z'-I)
=
7.2. +r21Z'1.o
+,・C.Z
1Z
-(m]rd]1-u
+-+/・2..ltd.__.Z
1o+・・・+/・cL,.dI
'(m2'E]]-u
IZ-(q+A-]'
♂一-【rl.,Co']
{(k)- [t,,(k),i(A)】
6i(k)=ト・1(k-I),-・,,,.(k-nlトdl+I),
e.(k)/・・,e,(k-71+I),
1I2(k+dト`J2),・・・,・tI2(k-m2-d2+1),
w(k
1-dト`^・J),・・・,W(k-ql^・,十1)]
(6)式は(1)式で与えられるプラントの別表現を意味しS(z'
)),Iち(z
l),R2(z
l),RL(z-1)の係数
s.,l・l.-,r2i,I・C.はaりbli,b2.,ciに関係したパラメータとなっている。これらの/くラメ-タの個数は夫々
Jl,∼ll+dl,m2+dl,(I+(11であり、全部で(Jl+ml+m2+q+3×dl)となる.
(1)式の/くラメータ
.の数は(17+ml+m2+q+3)であるのでdl>lの場合(12)式は(1)式の非最小実現である。
3-3
コントローラの設計〔尾形他1991〕
(3)式は(6)式を用いると次のように書くことができる。
D(z'-1)e(k+dl)=
0
bl.7(.(k)+堵g.(k)=
(7)
(7)式より前述の制御目的を達成のための制御入力は次のように求められる。
=
1L.(k)
S(z
I)..′=
(d2-`n)
1)
e.(k)- z:(d2I`n)B2(z
)II(I-I)ーl、■I′
B.(z l)
'8'
・L2(kト2-(^・-A,詳言w(k,
-かgo(k,
(8)式の!′1(k)(まd2≧dl,dw≧dlであるかぎリe.(k),-∫.(k),,L2(A),,-,(k)の未来値を用いることな
しに実現することができる。
実際にはプラントの′くラメ-タは未知であるから(8)式のu.(k)をそのまま._計算することI?できない。
そのため(8)式に含まれる(7けml+m2+q十3×41)個の未知′くラメータ(bl.,堵)をその推定王
tb..(k),6(A)lで置き換え,,.(k).を次のように合成する。
・Ll'k'・-一誌6'k'go'k'
'9'
蒸気温度に対するパラメータは負荷の大きさに依存して変化することは良く知られている。そこで以下
では負荷指令を1t′(A)と置き、
′くラメータがw(k)の一次関数として表されるとの仮定の下に変動負荷
対応形のMRACSを定式化する。
さて、
MRACSはもともと時不変系を対象とした理論である。したがって火力プラントのように、負
荷に依存してJくラメ-タが変化する場合、例えばプラントの負荷を一定の割合で変化させたとするとプラ
ントは時変系となり、特に負荷変化割合が大きい場合はパラメータ推定値が実際のパラメータ変化に追従
し得ないため制御性が劣化する。
-56-
この対策として以下に述べる方式を採用することにより、火力プラントの蒸気温度制御においては、ラ
ンブ状態負荷変化に対しても良好な制御結果が得られることが実験l=よって明らかになった.
まず′くラメ一夕0力(次式のように負荷,I,(k)の関数として表されるものとする。
0=
07
(9)
+11・(k-(/I)♂
従って(6)式の係数は.
]'(z-
[伊1I一′(k.-,/I)♂]'g(k-dl)
7)e.(k)
-
(10)
[c7r,♂'][g'(k-dl),‖,(k-dl)g'(k-dl)]'
-
r
0'gc(k-dl)
=
ただし
♂r
c7'-[,・l;,q;r】,
q'-[cI',♂']
-[7・.:,a:],
]
[,・1;,-,,・1:A.dH,・-.0,・・・,s"0_I,,・2言,・・・,r2od仙
a;'-
]
d: [,・1ぐ,・・・,7・-:,..a,__ド-.h,・・・,snb小,・2:,・・・,,.2b"
-
I,rcqb.a._.
gc'(k)
-
i,,.(k),i(k),-・′(k),,.(k),w(k)a(k)]
と置くと制御入力計算式は(8)式の代わりに(12)式のようになる。
r
T(.(k)=
(12)
巧g;(k)
bl: + w(k)bl.b
頃r
-
ただし、
g.c'(k)-【i(k),,I,(k)i(k)]
-[鍔r,a'],
実際にはt(,(k)の計算式として(12)式の′くラメータを推定値で置き換えた(13)式を用いる.
t1.(k)=-
a:(k)g:(k)
ノ\
(13)
bl: '1'J(k)占1:(k)
(13)式は(14)式に置き換えて制御出力を求める.
rJ
bI:+w(k)b]:(A)
1I.(k)=-
6は零割を防('ための十分に小さな数値である。
I;コ
^a::(k){o(k)
(14)
[b・.a
+w(k)I;I:(A)]2
・c
yv什
・■、ら虹迦
じ二吐」
6lZ...k)f
/
ド-...如
5.jd
++
8,(I-..kI
CONTROしLEDSYSTEM
/
UI
I
kー
ーIz,..9p.1)++
F1/2,I.kI
′
巨石一
ADAPTfVE
CONTROLLER
第4図
既知外乱補償MRACSの構成
-57-
e.(k)
--[這]
ij
3'-4
/くラメータ調整アルゴリズム
(15)
D(z-I)e'1(k)
-♂(k)g(k-dl)
たT='しe'.(A)・と計'(k)(ま(6)式のe.(k)とqk)の推定値である.
これから同定誤差信号e'(A)を次のように与える.
ak)]'d々-dl)
e'(A)-D(z-.)[e.(A)-e-.(k)]-[0-
(16)
e'(k)を用いて次のパラメータ調整則を得る。
∫)(z
e'(A)=
-I)e.(A)計(k-I)6(A
-dI)
1+g7◆(A-dl)r(k-I)6(A-dl)
′ヽ
′ヽ
qk)=
qk-I)+r(k-I)M-dl)e●(k)
r(k)=
ただし、
忘[
1t(k)
r(k-1ト
A2(k)「(k-I)式々-dl){(k-dl)「(k-1)
ll(k)-りヱ(k){(k-dl)「(k-I)g(k-`Jl)
0<1.(k)≦1,0≦12(k)≦2,「(0)>0
なお、本制御系におけるパラメータ推定は、
Landauによって提案された/くラメータ調整則(固定トレー
ス法)を用いた。
適応制御の実用化に際して留意した事項
4
適応制御の安定性、収束性については理論的な吉正明が与えられているが、現実にモデル化誤差、すなわ
ち寄生要素の存在その他の原因によって制御系の口/くストネスが完全に保証されているとは言い難いo
と
くに本例のように火力プラントを対象とする制御系においては、制御系の不具合のためプラント・トリッ
プを生じた場合の損失は大きい。そこで本例では制御の信頼性を向上させるための種々の方策を講じた。
4-1
制御システムの構成
I
第2固に示したようにMRACSの調節計を在来のP
D制御系と並列に設置し、
MRACS調節計か
らプラントヘ制御信号を加算する回路の途中に信号の変化率ならびに絶対値の制限回路を設けた.この構
成によってMRACS調節計内に何等かの原因によって不測の不具合が生じた場合には,
MRACS側か
らの信号をある制限値以内に抑えるか.または制御信号の更新を止めてプラントの制御を通常のP
I D制
御へ移行させプラントの運転が継続できる。
4-2
可変サンプリング周期の採用
プラントの表現式と無駄時間の次数を固定する代わりにシステム同定とプラント制御のためのサンプリ
ング周期を負荷に応じて連続的に変化させる方式を採用した。すなわち、プラントの応答が緩やかな低負
荷帯においては長いサンプリング周期を用い,プラントの負荷が増加し応答が早くなるに従ってサンプリ
ング周期を短くする方式とした.このことによって広い負荷帯に対してプラントのダイナミックスを適切
に表現することが可能となった。
4-3
既知外乱に対する補償
主蒸気制御系と再熟蒸気制御系のそれぞれに対して1入力出力の調節計を用いる代わりに、夫々の制御
系に外乱補償回路を扱け各制御回路の間の相互干渉を抑制する方式を採用した.一般に燃焼ガス再循環量
を制御するダンパ回路の操作は主蒸気温度と再熟蒸気温度の両方に影響をおよぽすため,主蒸気温度制御
-58-
ルーブと再熱蒸気制御ループの間で相互干渉を生ずるが、上記対策によってその程度を緩和することがで
きるoまた.火力プラントの蒸気温度制御系にとって最大の外乱である負荷指令(MWD)の計洲直を用
い,蒸気昂度制御に関連する′iラメータをMWDに関する一次式で近似しその係数を推定する方式とした。
このことにより負荷変化に対する′(ラメータ変化の追従性を高め制御牲の向上を図ることができた。
4-4
・
パラメータ更新計算におけるUD分解アルゴリズムの採用
適応制御信号の合成においては逐次最小二乗法による/1.ラメータ推定を行うが、計算機のレジスターの
ビット長が有限であることによる計算誤差により行列rの正定性がくずれ制御性の安定性が損なわれる場
合があることが指摘されている。これを防止するためにr行列の計算にUDUT三角分解法を用いた.
従来型利和
主蒸気ヲソプ負荷紬
負荷上昇
■一
旺乗型+適応利和
主束気ヲソナ負荷鼓旗
色持上昇
‖
■■
ユ50日W
■ll
∫
IEZII
3S○MW
lJ
一
主■九L14:tF鼓
l
り-
/
ZZEii[iL ′J久
り
0
ZE^tlf(d
SHBーR
EFl
T7rlESTVW)0分
,手芸`:#川W○
○:○6:一!)0:l6:一5]
主蒸気ヲソプ負荷粕
l≡
ユSOHヽY
rFI
Bl
∫
9:S一.'l∼]
従来型利敵
I
/v
SI7B)R
Bl
iI6I川出力
∩
l17
○:Il:(∼
∫
∼2:○1:○S2
負荷柿下
r-I..-●
一I.210MW
2:I1.'0$27:7l:○S7
従来型+適芯利和
)I仔昆帥(3○分
_l1
Lj
EE)
I:)I:○S2
主蔵気ヲソナ負荷粕
Z:り:○∼J
負荷持下
3S○MW
7
36M中也力
■、
り
㌔
八一
1S
S‖
○:り.'Si]
I○:36:5S]
立江九ilLt
り
一l
自荷上昇
3SOMW
従来型+適応利和
捕
一書
ヽーノ′
、ーー
H
自荷降下
‖
71"\"'Ir帥り.那
2:)I:○S2
円熟沫気ヲソナ負荷釈放
∼:一l:○、∼
負荷降下
Mり○分I
__J_ー_
℡
EZ
ノご一喝力
q
g
FF!
‖
\ノ
月払Z(れtiF(a
川
RllB岬
一l7]○HW.
R 0:)6二5i】○:I6:S5ー○:56:S51]..06:55‖:)6:5S
第5図
2Z昭蒜。i'j
EJLiJg
Rlー8lR
一l
〟
_.一へ
=
川
九tiF(d義.
3馴…)
ユS○MW
/柑抑止dt(ふ
H
川
=
I払
2:I):○521:2l:○i2
従来型+適応制御
り
350T.1lV
ノ㌣
ZIOMW
7:○]:○S
○:川:りt○;!l:一∼
円処京気ラソナ自荷択抜
り
ロ
/,
H
り
_Lこ...._.二二=
従来型馴卸
1l
35○MW
り
H
/
9:5与:LS]0:○6:lS1
負荷上昇
RH8
I
ーー佃区仰3○分
2JOMWt
9:l6:l5○
円紙気ヲソナ負荷紬
H
/\
0
J:2]:]Sn:ユl:IS
z)I
lln^
m
II
B 2:5l:tSz
一
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II
一S
′
2]OMW
0:56:SSH:06:55]t:78:Si
>
u巧空少.,
筒井≡
lS
′
1)/
B望
m
H
り
主Z(
′lS
円熟蒸気ラソプ負荷訊陸
従来型利和
り
Eii妻
5:SI:]○1S:01:]○]6:1):l○ー6:7]:1016:3]:l○
西名古屋火力発電所3号機における実証拭験結果
-59-
Ⅱ
Ⅱ
EZ
4-5
PE(Persistent
Excitation)条件に対する考慮
プラントの特性を同定するためにプラントからの信号がある程度相互に独立である必要がある。このこ
とをPE.というo
PE条件の不足をJiラメー■タ推定計軌こ用いる入力信号の変化率および振幅の低下に
よって監視し.これがしきい値を下回るときは計算ループをJくイパスすることによって一時的にパラメー
タ更新を休止する方法を採用したo
5
実言正討鹸の結果
開発したシステムは.当社の西名古屋火力発電所3号機およぴ、尾鷲三田火力発電所1号機で実証試験
を行った。ここでは第5図に西名古屋火力発電所3号機の実証試験の結果を示す.第5図の左半分は従来
シス,テムによる制御、右半分は従来とMARCSのハイブリッド制御の結果を示す。さらに同園の上半分
は過熱器系,下半分は再熱羊系を示す。これから分かるようにMARCSによる制御の改善が十分になさ
れている。
6
おわりに
最近では非線形プロセスの適応制御の研究が盛んであるが、実用システムは線形プロセスの制御に限ら
れている。
蒸気温度制御系は完全な線形プロセスではないが、蒸気圧力が一定であれば負荷変化による線形性のく
ずれが少ないので制御が可能であるが,蒸気圧力とボイラ負荷が同時に変化すると余りにも非線形が強く
なり適応制御ができないことをシミュレーションで確認した。
しかし,火力の現場としては蒸気圧力とボイラ負荷が同時に変化する時にこそ適応制御が必要であるの
で、この問題については新しいテーマとして現在取り組んでいる.
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Fly UP