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JA長野県グループ

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JA長野県グループ
part2
システム選定の理由
JA 長野県グループ
同グループが着目したのは、Sapiens
の開発生産性である。ある県の JAグル
ープが一部のシステム開発に利用して
いるという話を聞き、1999 年 10 月に実
際にデモを見て機能性をチェック。翌年
再構築の経緯とシステム内容
2 月に導入を決定した。モデルシステム
再構築の狙い
として、まず購売系の宅配システムの開
を推進。それに基づき、信用系事業をJASTEM(農林中央金
用機上で 30 年にわたり運用してきた基幹業務システムの再構
築に取り組むこととなった。利用者は、JA 全農長野とそれを構
成する25(当時)の農業協同組合、システム構築の主管は JA
農協中央会の総合情報システム室、そして開発を中心的に担
ったのは、グループ内のシステム構築を主要業務とする長野県
協同電算である。
導入したシステム
で販売系・購買系など基幹 システムを再構築
Sapiens
庫の勘定系システム)へ移管するとともに、日本ユニシスの汎
発に着手。5 月の連休明けからコーディ
頻繁な仕様変更と手戻りを
プロトタイピング開発で
乗り切る
JA 長野県グループは、
「第 5 次電算構想」
2001 年から6カ年の
28
同グループの基幹システムは、購買系・販売系・管理系・共
済系・全業務共通などの各システム。旧システムの業務要件を
踏襲するのに加え、各種の新機能群を付加するので、実際に
は移行ではなく、新規開発するシステムといってよい。 JA 農協
中央会の総合情報システム室では、販売系の「園芸・花き販売
システム」だけでもCOBOL で 70 万ステップ以上あり、こうした
大規模開発には、生産性を高める何らかの開発ツールが不可
欠と判 断。 早くからツール 製 品 の 選 定を始め、1999 年に
(以下 Sapiens)の存在を知り、導入を決
「Sapiens eMerge」
めた。そして Sapiens が利用できるプラットフォームという理由で、
ングを開始し、約 2カ月で開
発を終了、7 月に本稼働とい
う高 い 生 産 性 を 実 感し、
Sapiens の全面採用を決定
したという。
同グループがファンクショ
ンポイント法(FP、注 1)を使
って導入から5 年間の加重
平 均 で 比 較 し たところ、
「COBOL が 10FP で あるの
に 対し、S a p i e n s は 平 均
100FP。システム内容によ
って、40 ∼ 200FPという結
果を得ており、COBOLと比
べて最高 20 倍の生産性が
あると評価しています」
(長
野県協同電算 営業部 原退
介審議役)
プロジェクトの難所
iSeries の導入が決まった。全体では28システムが iSeries 上で、
8システムが富士通系のクライアント/サーバー上で動いている。
同プロジェクトが 最初に
(ウイングアー
また Sapiens が不得手とする印刷処理は「SVF」
直面したのは「意識改革の
クテクノロジーズ)
、バッチ処理は RPG で開発した。
壁」である。
「長野県協同電
算では開発者のほとんどが COBOLを
導入スケジュールとプロジェクト規模
使ってきました。そのため利用経験の
iSeries 上で最初に稼働したのは、2000 年の宅配購売シス
ない、その時点では本当に生産性 が
テム。販売系の「園芸・花き販売システム」は図表 1 のとおり。
高いのか分からない Sapiens の導入に
プロジェクトは長野県協同電算から開発要員が約 20 名、協力
は、強い抵抗 がありました。この意識
会社から約 50 名。要件定義などの上流工程で JA 農協中央会
から約 8 名が参加。
84
2007 no.3
原 退介氏
佐々木 賢氏
営業部 審議役
長野県協同電算
筆頭常務取締役
長野県協同電算
第 2 特集
基幹再構築の難所を乗り切る ! プロジェクト必勝運営法
を変革していくことが、プロジェクトの最
プログラムをロードして、担当者は新し
いるので、コミュニケーション効率は必
初の仕事でしたね」
(長野県協同電算
い画面を確認できる。早ければ午前中
ずしも高くない。そのため設計と開発部
佐々木賢筆頭常務取締役)
の仕様変更が、その日の昼食後に確認
隊が同じであれば、つまり設計の担当
まず、管理者を中心にサピエンス・ジ
できることも。
「COBOL であれば、1 週
者 が 開 発 業 務 を 兼 務し た 場 合 は、
ャパンで 2 週間の講習を受け、彼らが
間は必要な修正作業も、Sapiens では
Sapiens の生産性はさらに高かったので
講師になって社内で 1 週間の講習を開
1日で済む。COBOL で修正作業が 4 つ
はないかという指摘も出ている。
催。実開発が始まり、販売系の畜産シ
続けば、たちまち工数が 1カ月遅れます。
今、長野県協同電算を見学に訪れる
ステムが 2002 年に 2カ月程度の工数で
でも、Sapiens であったため、あれだけ
システム担当者の多くが「本当に開発
本稼働した頃には、Sapiens の生産性
仕 様 変 更 と 手 戻りが 発 生 し ても、
生産性は高いのか」
「我々のスキルレベ
が理解され、抵抗なく利用が定着した。
iSeries 上のシステムはすべて予定どお
ルで受け入れられるのか」と質問する。
また同グループでは、ラショナル・ソフ
り本稼働しました」と、長野県協同電算
同社では上記を踏まえて自らの開発経
トウェア( 当 時)の モ デリングツール
営業部の高梨勝緒部長(当時の開発部
験を語り、その成功事例を受けて全国
(現 IBM)
を導入し、上
「Rational Rose」
長)は指摘する。
の JAグループで Sapiens 導 入 の 機 運
が高まっているようだ。
流工程における設計のクラス図やシー
ケンス図作成に利用した。取引の流れ
プロジェクトを振り返って、今
注 1 ソフトウェアの規模を測定する手法。ソフトウェアの
“機
能”
を基本に、その処理内容の複雑さなどからファンクショ
ンポイントという点数を付け、ソフトウェアの全機能のポイ
ントを合計して規模や工数を導き出す
をグラフィカルに図示することで、ウォー
池上良一次長(長野県協同電算 開
ターフォール型の開発から意識を切り換
発 企 画 部)は、
「 導 入 前 は 漠 然 と、
え、オブジェクト指向型の発想を学習す
Sapiens は大規模システムの開発には
るのに役立ったという。
不向きではないかというイメージを抱い
一方、広域で複雑な組織構造を持
ていました。実際に使ってみると、大規
つ JAグループの全 ユーザーから要望
模システムでも何ら問題はなかったで
を吸い上げ、農協ごとに手法の異なる
すが、できればすべての要件定義を終
業務要件をすべてサポートしたシステム
了してから開発に入った方が開発工数
2004.12-2005.2
を構築するのは、意思疎通や合意を得
は短縮できたように思います」と語る。
単体・統合テスト
るうえで大きな苦労があったようだ。例
確かに途中段階での修正変更を素早
えば「園芸・花き販売システム」では要
く反映して、システムを作り込めるのが
件定義に 1 年、開発に 1 年を要している。
プロトタイピングのメリットだが、大規模
各地の農協の担当者が要件定義に参
システムの場合は、プロトタイピングのス
加し、意見をまとめ、慎重にシステムへ
パイラルに入る前に、すべての要件を
反映するが、県内のあちこちの組合か
決定しておく方が、さらに高い生産性を
らさまざまな要望 が出され、なかなか
得られるとの実感だ。
仕様が決定できないという状況は想像
また今回のプロジェクトでは、上流工
に難くない。開発段階に入ってからも、
程の基本設計・詳細設計は JA 農協中央
仕様変更と手戻りが頻繁に発生した。
会の総合情報システム室で、Sapiens
しかし Sapiens ではプロトタイピング
を利用した開発の実作業は長野県協同
型の開発が基本。例えば、ある担当者
電算で実施した。両社は組織も違い、
が画面を操作し、機能の変更を長野県
総合情報システム室の中でもシステムご
協同電算に要請すると、翌朝には修正
とに担当部署が分かれ、拠点も離れて
池上良一氏
高梨勝緒氏
開発企画部 次長
長野県協同電算
営業部 部長
長野県協同電算
2005.3
2005.3
順次、本稼働
2004.1-12
開発
2003.4-2004.3
要件定義
図表 1 プロジェクトの進捗
(園芸・花き販売システム)
company profile
株式会社長野県協同電算
• 設立:1974 年
• 本社:長野県長野市
• 資本金:23 億 3274 万円 • 売上高:49 億円
• 従業員数:71 名
• 事業内容:電子計算機ならびに諸機械による計算
業務の受託、電子計算機による情報提供業務の
受託、ソフトウェアの開発販売など
• http://www.janis.or.jp/kenren/nkd/
http://www.imagazine.co.jp/
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