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製品含有化学物質に関するトピックス(2016 年 4 月号) RoHS指令関連
■製品含有化学物質に関するトピックス(2016 年 4 月号) 発行 2016.4.25 ◆RoHS指令関連情報 *Q.481 改正中国 RoHS が公示され、今年 7 月に施行のようですが、その対象品や適用実施日はどのようなも のでしょうか。 A.481 改正中国 RoHS はこれまでの様々な経過を経て 2015 年 5 月に公表された草案を基本として 2016 年 1 月 6 日に公 布されました。http://www.miit.gov.cn/n1146285/n1146352/n3054355/n3057254/n3057260/c4608532/content.html なお第 23 条で施行日は 2016 年 7 月 1 日と明示されています。 旧規制からの主な変更点は以下の通りです。 1.規制範囲の拡大 旧規制での対象製品は電子情報製品だけでしたが、新規制では家電製品なども含めた電気電子製品全般が対象 となります。電気電子製品とは、第 3 条で「電流あるいは電磁力に依存して作動し、電流と電磁気を発生、伝送、測定 することを目的にするもので、定格稼働電圧は直流 1500 ボルト、交流 1000 ボルトを超えない設備及び付属品である。 ただし、電気エネルギーの生産、伝送と分配の設備を除く」と定義されています。 EU の RoHS 指令と同様に定格電圧で対象製品を定めることで、旧規制よりも対象範囲が拡大することになります。 2.規制有害物質の拡大 規制有害物質は第 3 条で「1.鉛及びその化合物;2.水銀及びその化合物;3.カドミウム及びその化合物;4.六価クロ ム化合物;5.ポリ臭化ビフェニール(PBB);6.ポリ臭化ジフェビニルエーテル(PBDB);7.国家規定するその他の有害物質」 であると定義されています。「その化合物」というところが拡大されていますので注意が必要です。 3.使用制限 旧規制では「重点管理リスト」に掲載された製品を対象とし、対象製品には「強制認証制度」による認証がないと中 国国内では販売できない仕組みとしていましたが、結果的には「重点管理リスト」へ具体的な製品が掲載されることな く、旧規制は廃止されることになります。新規制では旧規制と同様に、目録管理方式をとる(第 17 条)こととなっていま す。しかしながら、新たな制度として「電気電子製品有害物質使用制限合格評価制度」で管理をする(第 18 条)ことと し、産業発展の実際的な状況によって実施時期を公布する(第 19 条)としています。 新規制対応としては、対象製品の拡大に伴い、旧規制対象製品および新しく規制対象品となった製品ともに、旧規 制と同様に含有または非含有の表示(環境保全使用期限等)が必要となります。一方、規制有害物質の使用制限に ついては、目録収載製品が出てきたのちに上記への対応をしていくことになりますが、現在のところ上記第 18 条、第 19 条についての詳細は公表されていません。規制施行日の 7 月 1 日までは各種の情報に注意を払うことが必要で す。 なお、中国 RoHS のこれまでの流れについては 2016 年 2 月 26 日付コラム「中国 RoHS 管理規則の変遷にみる規 制の本質」に、また、当規制のもととなっている 2015 年 5 月の草案については 2015 年 7 月 10 日付コラム「動くか? 改正中国 RoHS 管理規制」に詳しく解説されています。ご参考としてあわせてご確認ください。 (2016/4/15 J-Net21“ここが知りたいRoHS指令”Q&Aより引用) 1 *いま、企業に求められること~順法システムの構築~ EU RoHS(II)指令の制限物質の追加や除外の見直し、REACH 規則の SVHC(Candidate List 収載物質)の追加や 成形品の分母の解釈の変更、中国 RoHS(II)管理規則の告示など、化学物質関連法規制は変化し続けています。 また、国内でも 6 月 1 日からの労働安全衛生法の改正によるリスクアセスメントの義務化や chemCHERPA による 情報伝達スキームの具体化などの動きもあります。 法規制は国内外で改定が頻繁に行われています。 EU RoHS 指令が検討され始めた 2000 年前後から、日本企業は海外(特に欧米)法規制情報の収集と対応が本格 化しました。当初は、法規制の制定、改定情報の収集が目的で、この情報でパッチを当てるような対応に終始しまし た。 15 年余経過し、法規制の変化は常態化しているとして、情報収集の仕組みの構築と本質的な取組みの模索が始 まっています。 化学物質関連法規制の変化は、規制物質の拡大だけでなく、化学物質管理はリスクマネジメントが要求されるよう になってきています。企業対応での留意点は、ハザード管理からリスク管理へのシフトです。 リスクとは、「目的に対する不確かさの影響」(ISO31000)と定義され、化学物質管理では次のように表されます。 リスク=ハザード × ばく露量 法規制対応では、用語を変えると分かりやすくなります。 リスク=結果の重大性 × 頻度(可能性) 結果の重大性は、罰金額であったり企業や製品信頼性への悪影響で、EU RoHS 指令では特定有害化学物質の含 有などの規制内容になります。規制内容は GPSD(製品全般の安全性に関する欧州議会・理事会指令 2001/95/EC) のように「製品が安全であることを保障する」ことを求めて、指令には明確な基準がなく、規格で示している場合もあり ます。 頻度は、企業活動での規制基準への抵触の可能性です。 一般的なリスク管理のステップは次となります。 (1)ハザードの特定 法規制がハザードになります。 まず、販売先の国の自社製品に適用される法規制や基準を調べます。法規制は日々のごとく変わり、それも厳しさ を増しますので最新情報の入手が必要です。この情報源としては行政、地域支援機関、工業会や民間機関など数多 くあります。次のような情報源を活用することになります。 情報/解説 化学物質国際対応ネットワーク 情報 みずほ情報総研 ケミマガ 情報/解説 第一法規 窓口相談 MTEP 研修/相談 KAST 研修/相談 産業環境管理協会 研修/相談 東京環境経営研究所 顧客からの要求仕様書、グリーン調達基準書なども情報源となります。 法規制の解釈でも動きがあります。2015 年 9 月 10 日の REACH 規則の成形品の SVHC(Candidate List 収載物質) の含有濃度計算の分母は、輸入品に関しては成形品を構成している個々の成形品を分母とするとの解釈が確定しま した。 RoHS 指令の分母は均質物質(homogeneous materials)で、REACH 規則の分母とは違いがあります。ただ、REACH 規則の「成形品を構成している個々の成形品」は考え方によれば、例えば、電子部品のコンデンサーではコンデンサ ー全体ではなく、コンデンサー(成形品)を構成している購入成形品であるピンやスリーブ単位となります。 2 RoHS 指令と REACH 規則との差異が縮まってきて、共に BOM(Bill of materials 部品構成表)で、管理する必要が 出てきました。 しかし、RoHS 指令の重金属の制限は元素単位で、REACH 規則は物質(substance)単位という差異はあります。例 えば、一酸化鉛(Lead monoxide 組成式 PbO)では、RoHS 指令では PbO 中の Pb の重量が対象で、REACH 規則で は PbO が対象となります。この差異は 7%程度ですが、物質によっては無視できない差異もあります。 企業活動は、直接的なのか間接的なのかはさまざまですが、EU だけでなく全世界(国連加盟国数は 196 カ国)をマ ーケットにしています。自社製品に適用される法規制と基準を明確にすることになりますが、販売の可能性のある国 のすべてについて、対応するのは現実問題として困難です。 販売先国が特定されていれば、その国の法規制や基準を調査し対応します。販売先国が特定できない、あるいは 顧客が間接的に広く販売している場合などは、優先順位を付けて対応をすることになります。 化学物質規制法は、EU REACH 規則、化学物質の分類は GHS、製品特定化学物質規制は EU RoHS(II)指令、法 規制適合宣言は CE マーキングをまずは押さえます。 このことで、EU REACH 規則は中国 新化学物質環境管理弁法(通称 C-REACH)や韓国化学物質の登録及び評 価等に関する法律(通称 K-REACH)のひな形的法規制であり、EU REACH 規則対応で、“そこそこ”の対応ができま す。 以下、EU RoHS(II)指令をベースとして説明を進めます。 (2)リスクの見積り リスクの見積りは 2 段階で行います。 まず、設計部品表をベースにして、サプライヤー情報などを含めた BOM を作成します。BOM により、第 1 段階では、 調達する材料に特定有害化学物質が含有する可能性を評価します。 RoHS 指令の整合規格である EN50581(有害 物質の使用制限に関する電気・電子製品の評価のための技術文書)では、「サプライヤーの信頼性」と「調達材料に 特定有害化学物質が含有する可能性」から、含有リスクの見積もりをします。 「サプライヤーの信頼性」は、当然企業単位で、信頼性を評価する仕組みが必要となります。例えば、次のような区 分をします。 ・ISO9001 マネジメントシステムに化学物質の管理システムを統合し運用している。 ・RoHS/REACH の専用システムを独立し導入している。 ・都度、不使用証明書を集めている。 ・都度サプライヤーに顧客要求を伝達している。 「特定有害化学物質の含有の可能性」は、調達材料単位となります。 この信頼性の区分けは、通常のサプライヤー評価システムの中の、チェック項目に組み込んで(一緒に)に行うこと が効率的となります。 「調達材料に特定有害化学物質が含有する可能性」は、IEC62321-2(サンプリングガイドライン)などが利用できま す。自社製品を構成する部品や材料について成形品単位または均質物質単位で、さらに規制物質〔EU RoHS(II)指 令では 6(間もなく 10)〕物質、REACH 規則では 168 物質(2016 年 3 月末時点))ごとに確認することになり、確認対象 が膨大になりますので、これも 2 ステップで行うことが考えられます。 第 1 段階の第 1 ステップはスクリーニングです。 材料 ・金属材料:ステンレス・鉄合金・銅合金・アルミ合金等 ・樹脂材料:フェノール樹脂 (PF)・エポキシ樹脂(EP)・メラミン樹脂(MF)・ポリプロピレン (PP)・ポリ塩化ビニル (PVC)等 ・複合材料:樹脂を含む・樹脂を含まない 等 3 工程 ・機械加工:切削加工・物理的加工(研磨・溶接)等 ・表面処理:めっき(化学・電気)・塗装・含浸等 ・樹脂成形 ・接着、等 材料と工程のマトリックスで、特定有害化学物質が含有される可能性を区分けします。 ステンレスを切削加工した部品と樹脂成形部品では、含有している可能性は後者が高いことが技術的知見で評価 できます。 スクリーニングでは、部品の重量、部品数や原産地国なども評価項目になります。 スクリーニングでの評価のまとめは、ステンレスを切削加工した部品のリスク評価は材質確認で終わりとするなど の単純化でよいのですが、単純に割り切れない場合は「階層化意思決定法 AHP(Analytic Hierarchy Process)によ るリスクの統合や HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)による重要工程の選択などを行います。 AHP も HACCP も成書が多くありますので参考になります。 第 1 段階の第 2 ステップは、スクリーニングで含有している可能性に高い部品材料についての精査です。第 2 ステ ップは、「サプライヤーの信頼性」と「含有している可能性」のマトリックス評価を行い、確証データとして「カタログ」「仕 様書」「サプライヤー適合宣言書」「部品材料適合証明書」「マネジメントシステム保証書」「分析データ」などの組合せ 情報を集めて評価します。同様に「工程の信頼性」として、「作業標準書」、「検査基準書」や「QC 工程表」も対象としま す。 第 1 段階では、RoHS 指令や REACH 規則が制限を要求している特定有害物質の含有を評価しました。第 2 段階は 製品固有のリスクのリスク見積りを行います。 リスク評価の目的は顧客のリスクの低減で、顧客の使い方によりばく露は変わり、リスクは変わります。GPSD が求 める安全な製品要求は、RoHS 指令や REACH 規則の要求を含むさまざまな基本的な要求です。RoHS 指令や REACH 規則等の要求への適合は必要事項ですが、それで十分とは言えないことを意味します。 顧客の使い方について、ブルーガイド(The 'Blue Guide' on the implementation of EU product rules 2014) の 2.7 項で「製造者は合理的に予見できる使用条件の下で、製品に規定された条件により製品に定められた用途に相当す る保護レベルを製品と一致させなくてはならない」として、自社の一方的な使用方法の特定ではなく、「合理的に予見 できる使用条件」をリスク評価対象にしなくてはなりません。 さらに、「製造者は製品の意図された用途を考慮し、自身を特定製品の平均的な使用者の立場に置いて、どのよう な方法で製品が使用されるかを合理的に考えることを深く考慮しなくてはならない」として、間違った使用方法も考え ることを求めています。 順法確証情報のサプライヤーとの授受、顧客との授受の標準ツールとして開発されている chemSHERPA(chemical information SHaring and Exchange under Reporting Partnership in supply chain)です。 chemSHERPA は 2015 年 10 月から運用されています。 (3)リスク低減措置の検討 リスクが特定されたら、リスク低減措置を検討します。 低減措置の検討では、例えば鉛の含有の可能性をさげるために、真鍮材をステンレスに変える、あるいは樹脂製 品を金属に変えるなど、幅広に行います。ブレーンストーミングまでは必要ありませんが、幅広に意見を集めることが 必要です。 この取組みを自社の部品や材料の標準化推進活動などと統合すると進捗します。 (4)リスク低減措置の優先度の決定 検討したリスク低減措置をすべて実施することは、多くは無理ですので優先度を決めます。優先度は実現の可能 性と効果から決めるなどとします。実現の可能性は技術的な側面だけでなく、経営的な視点での検討も入れます。 優先度の高い部品や材料について、「サプライヤーの信頼性」や「工程信頼性」の確証情報をレビューして、確証情 4 報の妥当性の確認や定期的見直し期間の設定などを行います。 ISO/IEC17050-2(適合性評価-供給者適合宣 第 2 部 支援文書)では、「確証情報(支援文書)は、供給者適合 宣言からの遡及が可能であるように、作成、保持、管理及び維持をしなければならない」としています。 確証情報はトレサビリティの要求ですので、必ずしも自社で保有することが要求されませんが、「物と情報」のリンク が重要となります。 (5)リスク低減措置のマネジメントシステムへの組み込み (1)ハザードの特定から(4)リスク低減措置の優先度の決定までの手順は、標準化しておくことが重要です。 ISO/IEC17050-1(適合性評価-供給者適合宣 第 1 部 一般要求事項)では、「適合宣言の発行者は、提供した又 は受領された対象が適合宣言に表明した要求事項と継続的に適合することを確実にするための適切な手順を持たな くてはならない」としています。 ISO9001 のマネジメントシステムなどの手順に組み込むことで維持できます。ISO9001 は必ずしも第三者認証を受 けることが要求されてはいませんが、RoHS Enforcement Guidance Document(Version 1 - issued May 2006)が求め るコンプライアンス保証シシステム(CAS Compliance Assurance System)は求められています。 ちなみに、この手順が CE マーキングの技術文書(Technical Documentation 技術説明書)の基本説明事項になり ます。 (6)スパイラルアップ リスクは、前提条件が変われば変わります。設計変更、サプライヤー変更、工程変更などの変更があれば、リスク 評価は見直しが必要となります。 設計変更を含めて何処まで変化すれば見直すのかは悩ましいところです。 ISO/IEC17050-2 で、支援文書の内容に関し、「適合宣言の妥当性に影響を与える変更があった場合は、それを 文書化しなくてはならない」としています。 設計変更などの場合は、設計変更承認手続きのなかで、「適合宣言の妥当性に影響を与える」かについて DR (Design Review)で評価し記録を残すなどの手順が考えられます。 次に優先度の高い事項についてリスク低減措置を検討しましたので、ひと段落が終わったら次の優先度の高い事 項のリスク低減措置を検討します。PDCA サイクル(plan-do-check-act cycle)でスパイラルアップをしていきます。 (7)デューディリジェンス EU での順法活動と順法証明は、デューディリジェンス(Due diligence)と言われています。デューディリジェンスを主 張するためのガイド“Due diligence defence guidance notes”があり、そのなかで次があります。 ・相当な注意を払ってあらゆる適正措置をとる ・当然実施すべき活動を遂行する 前項の(1)から(6)がデューディリジェンスを主張するできる内容になっていることが必要となります。 イギリスの当局の RoHS ガイダンス(Guidance to RoHS Directive 2011/65/EU National Measurement and Regulation Office)では、サプライヤーと材料・部品の信頼性などのデューディリジェンスの主張するべき事項を例示し ています。 デューディリジェンスは難しい、掴みどころのない感じですが、「お客様満足」のために何をするかということが基本 で、多くの企業は現状の取組みで説明できるものです。 ただ、心しなくてはならないのが、「有言実行」で、取り組みを説明し、その言葉通りに実行している記録が示せなく てはならないことです。 (2016/3/25 J-Net21“ここが知りたいRoHS指令”コラムより引用) 5 ◆REACH規則関連情報 *中国化学物質規制の最近の動きから -現有化学物質名録の追加と新規化学物質申告登記指南の改訂について- 中国の新規化学物質の登記制度は、2010 年 10 月 15 日に施行され、5 年半近くが経過しました。この 5 年の間に 通常申告で登記された物質が、新たに現有化学物質名録に追加収載されました。また、登記の手続きの改訂の検討 が行われ、「新規化学物質申告登記指南」の改訂案が WTO に TBT 通報が行われました。このコラムではこれらの概 要をご紹介します。 1.「現有化学物質名録」への追加物質について 中国の「新規化学物質環境管理弁法」では通常申告された新規化学物質は、一般類新規化学物質、危険類新規 化学物質に分類管理されます。さらに、危険類新規化学物質の内、残留性、蓄積性、生態環境及び人への毒性のあ る物質は、重点環境管理危険類新規化学物質として管理されます。一般類新規化学物質は初回製造又は輸入の満 5 年で「現有学物質名録」に収載されます。また、危険類新規化学物質(重点環境管理類新規化学物質を含む)は、 初回製造又は輸入の満 5 年の 6 ヵ月前に、提出された活動状況報告が審査・評価され、「現有化学物質名録」に収載 されます。今般、「現有化学物質名録」に収載された 31 物質が 3 月 8 日付で公告されました 1)。 収載された 31 物質の内、16 物質は CAS 番号を有するもの、残りの 15 物質は CAS 番号が無く、シリアル番号が付 与されています。 今回収載された 31 物質は、下記のように分類されています。 分類区分 現有化学物質名録に収載された数 一般類新規化学物質 3 危険類新規化学物質 11 重点環境管理危険類新規化学物質 17 2.TBT 通報された改訂「新規化学物質申告指南」案の概要 改訂については、2015 年 6 月 25 日に意見募集稿が発表され、7 月 31 まで意見募集が行われていました 2)。寄せ られた意見を考慮され、2016 年 3 月 8 日に改訂案が WTO に TBT 通報されました 3,4)。通報によれば、2016 年 11 月 1 日から施行予定になっています。 2.1 成形品中の物質の申告について 現行の指南では、REACH 規則の「意図的放出物質」に該当する成形品中の新規物質の申告の義務がありました。 改訂案では、これに加え「成形品の使用過程で、新規化学物質が環境と人体へのばく露による危害性がある場合」に 申告の義務が課せられます。これは REACH 規則の「成形品中の SVHC」に似ていますが、REACH 規則で規定されて いる 0.1%のような成形品中の濃度限界値についての規定は記載されていません。 2.2 免除物質の追加 現行の指南では、不純物や意図しない偶発的に生成する物質の申告は免除されていましたが、新たに「添加物と 表面処理剤が特定の機能を実現する過程で化学反応により生成した物質が免除されることになります。但し、危害が 発生する場合は免除対象外です。 2.3 科学研究の届出数量のあし切値の新設 現行の指南では、0.1 トン未満や中国で生態毒性試験を行うためのサンプル輸出には科学研究届出が必要でした。 すなわち、量的なあし切値がありませんでしたが、改訂案では、「10 ㎏以上」と量的なあし切値が設けられます。 2.4 ポリマーの簡易申告要件の変更 これまで簡易申告が行われたポリマーが大変多くありましたが、簡易申告が可能な低懸念ポリマーの判定基準が 厳しくなり、簡易申告できる範囲が狭くなりました。 6 平均分子量が 1,000~10,000 ダルトンの分子量のポリマーについては、高懸念や高反応性基を含有しないことが低 懸念ポリマーの条件です。改訂案では、高懸念や高反応性基として、メタアクリル酸エステル、クロロシラン、アミン等 が追加されており、これらに該当する場合には低懸念ポリマーではなくなります。 分解性や不安定なポリマー、吸水性の平均分子量 10,000 以上のポリマーは低懸念ポリマーから除外されます。た だし、2%ルールによる簡易申告は可能です。 (2016/4/15 J-Net21“ここが知りたいREACH規則”コラムより引用) *第15次 SVHC 追加候補物質(4物質) 欧州化学品庁(以降「ECHA」)は、2016 年 2 月 29 日に第 15 次の REACH 規則認可対象候補物質(SVHC)として 4 物質を提案し、意見募集を開始 1)しました。意見募集は 4 月 14 日まで実施されます。 意見募集においては、「人の健康もしくは環境に重大なそしてしばしば不可逆的な影響をもたらす物質は SVHCs (substances of very high concern)として特定される。もし、物質が SVHC として特定されれば、結果的に認可物質リ ストに組み込まれる認可候補物質リストに追加される。」としています。 欧州委員会の要求により、加盟国または ECHA は REACH 規則の附属書 XV に規定されている要求にしたがったド シエ (技術一式文書)を準備することによって SVHC として特定されるべき物質を提案します。 今回提案されています 4 物質の中には、第 14 次の SVHC 提案物質において、スウェーデンが提案していたものの 2015 年 11 月に申請を取下げ、改めて再提案する 2)としていた、フタル酸ジシクロヘキシル(Dicyclohexyl phthalate (DEHP)、CAS 番号 84-61-7)が含まれています。 物質名 (±)-1,7,7-trimethyl -3 - [(4-methylphenyl) CAS 番号 36861-47-9 methylene]bicyclo [2,2,1]heptane-2-one 主な用途 提案理由 化粧品、日焼け止 環境への重大な影 め剤 響の可能性を有する (4-methylbenzylidene camphor) 懸念と同等レベル (±)-1,7,7-トリメチル-3- [(4-メチルフェニル) (第 57 条(f)) 提案国 ドイツ メチレン] ビシクロ [2,2,1] ヘプタン-2-オン 1,7,7-trimethyl-3- (phenylmethylene) bicycle 15087-24-8 [2.2.1] heptan2 -one(3-benzylidene camphor) 化粧品、日焼け止 環境への重大な影 め剤 響の可能性を有する 1,7,7-トリメチル-3-(フェニルメチレン)ビシクロ 懸念と同等レベル [2,2,1] ヘプタン-2-オン (第 57 条(f)) Benzo[def]chrysene (Benzo[a]pyrene) 50-32-8 ベンゾ[a]ピレン 接着剤、塗料、防 発がん性、変異原 水剤、シーリング 性、正食毒性、PBT、 剤、結合剤、炭素・ vPvB ドイツ ドイツ 黒鉛製品、冶金精 錬製品 Dicyclohexyl phthalate (DCHP) 84-61-7 フタル酸ジシクロヘキシル ホリ塩化ビニル 生殖毒性、環境への スウェー (PVC)やゴム、プ 可能性ある重大な影 デン ラスチックの可塑 響を有する懸念と同 材 等レベル (第 57 条(f) (2016/4/8 J-Net21“ここが知りたいREACH規則”コラムより引用) 7 ◆chemSHERPA関連情報 *chemSHERPA 入門セミナー 2016 年度の 7 月までの入門セミナーを以下に示します。8 月以降については、決まり次第、お伝えする予定です。 入門セミナーテキスト〔pdf〕は、「説明資料」のページからダウンロード可能です。 経済産業省のサイトに、入門セミナーの内容を要約した chemSHERPA の説明動画が掲載されました。本サイトの 「リンク集」のページからもリンクしています。 プログラムなどの詳細、席の空き状況のご確認、お申込みは、一覧表の下の『詳細のご案内・申し込みページへ』 をクリックしてください。参加費は無料です。 開催日 開催地域 会場 定員 第1回 2016-5-17 東京都(千代田区) みずほ情報総研本社会議室 午前、午後 各 45 名 第2回 2016-6-17 東京都(千代田区) みずほ情報総研本社会議室 午前、午後 各 45 名 第3回 2016-7-8 東京都(千代田区) みずほ情報総研本社会議室 午前、午後 各 45 名 (2016/4/1 chemSHERPA ホームページより引用) 8