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台湾知財ニュース(17年2月号)

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台湾知財ニュース(17年2月号)
台湾知財ニュース(17年2月号)
・海賊版製造、CD ライターによる違法コピーが普及
・税関での取締強化、知的財産権侵害物品
・ネット悪用の知財権侵害
過料上限 300 万元に引き上げ
摘発対象に P2P、FTP ユーザーをマーク
・日本タバコ銘柄「Seven Stars」と「七星」を社名に使用していいの?
高裁判決、著名商標の不正使用にあたり 日本企業の勝ち
・TSMC vs. SMIC、特許侵害や営業秘密窃取等訴訟 和解金 1.75 億ドルで決着
中国当局から圧力?ライバル同士からアライアンス構築へ?
❏海賊版製造、CD ライターによる違法コピーが普及
アメリカ映画協会(MPAA)と台湾の検察・警察機関が連携して海賊版の取締活動を行
った結果、一ヶ月間で 6 万 8 千枚余りの海賊版映画と 50 台を超える CD 書き込みドライ
ブ(DVD ムービーライター)を押収した。同協会アジア太平洋地域担当責任者の Frank
Rittman 氏は、台湾では CD ライターが海賊版密造に使われるデバイスとして普及してい
るという特殊な現象を指摘し、合法的な業者に膨大な損失を与えていると非難した。
アメリカ映画協会の海外を管轄する団体、モーション・ピクチャー・アソシエーショ
ン(MPA)が 2004 年、アジア太平洋地域で行った摘発活動で押収された CD 書き込みド
ライブの 56%にあたる 1,775 台は台湾から見つかっているという。
中央社 2005.02.03 ほか
(解説)
情報化社会に対応して、台湾産業はこれからの産業中核とされた知識集約産業へ移行
している。皮肉なことにコピー産業も一般の製造業と同様に構造の転換を迎えている。
ただ、これは権利者団体や警察当局の追及の手から逃れようとするための構造転換に過
ぎず、取締りをするサイトには好ましくない状況になっている。最新の設備や機械を取
り備えた大量生産のできる海賊版製造工場が警察に捕まるリスクが大きいから、それに
取って代わって登場しているのは、CD ライターや DVD ムービーライターによる家庭内で
の小規模の海賊版製造である。注文を受けて作るパターンが主流となっている。リスク
が小さいうえ、コストも安い。発売前の音楽 CD だけでなく、劇場公開中はもちろん、
封切り前の映画作品でもインターネットから簡単に手に入る。去年、台湾でも大きなブ
ームを巻き起こした日本のヒット作「盲導犬クイールの一生」や「世界の中心で愛を叫
ぶ」などはいずれも台湾全国一斉ロードショー開始前から入手することができた。日本
での劇場公開は台湾より先だが、映画館で盗み撮りされたものでないことは一目で分か
る。
外資系の大規模チェーンのレンタル店の台湾市場進出に伴う競争の激化から生き残る
ために、配給会社から不正に流出されたとみられる映画作品を常連客を対象に販売して
いる小型で伝統的なビデオレンタル店がある。リストから好きな作品を選んでもらって
書き込みドライブで海賊版を作る。お店にはお巡りさんがよく顔を出すから、店での取
引をやめて常連客の家まで届けてくれる。このようなサービスは常連客にのみ提供する。
翻訳はちゃんとしているし、「この DVD はプロモーション用」とかいう文字が画面に出
ているのもたまに見かける。値段は正規版のレンタル料と変わらない。
2004 年の著作権法改正で、著作物に施されたコピーガード措置を勝手に破壊したり除
去したりすることが禁じられている。しかしながら、一般大衆が著作物を合法的に利用
する権利をはく奪するおそれがあるから、ブランク CD-R や書き込みドライブの使用ま
でを制限し、或いは禁止することは考えにくい。捜査当局の取締りにも限界がある。現
段階では、先端的なコピーコントロール技術によって無断複製ができないように、或い
は不正コピーされた CD-R などの保存媒体をプレーヤーで再生することができないよう
にするなど技術の面からソリューションを求めるほうが現実的かもしれない。
❏税関での取締強化、知的財産権侵害物品
過料上限 300 万元に引き上げ
改正税関密輸取締条例の施行に伴い、知的財産権侵害事件、輸入品に関する不実な申
告、又は不実の証憑書類の提出があった場合の行為者に対する処罰がよりいっそう厳し
くされた。同条例によるこれまでの過料処分は最高額でも 9 万元程度にとどまるのと比
べると、300 万元への大幅な引き上げは、知財権侵害への抑止力を高めたい関係当局の
狙いがうかがえる。第 39 条ノ 1 により、通関申告がなされた輸出入貨物で並行輸入さ
れる正規品でなく、特許権、商標権若しくは著作権を侵害したものと認めるときは、最
高で侵害物品価格の 3 倍にあたる額の過料を科するとともに、その貨物を没収すること
ができる。
台湾がスペシャル 301 条項に基づく優先監視対象から一般監視国に格下げされたのも、
近年の税関での水際取締対策が評価されたからであると関税総局はみている。税関の統
計では、2004 年における商標権侵害物品の輸入差止め実績は 6 万 3,264 件で、輸出侵害
物品への摘発は 3,430 件。輸入されようとする海賊版コンパクトディスクについて 6 万
6,907 枚が押収されたが、輸出される海賊版は見つかっていない。
米国土安全保障省の税関及び国境保護局(CBP)と入国・税関取締局(ICE)が発表し
たデータによると、米税関で押収された台湾からの海賊版・模倣品は金額にして 2002
年の 2,650 万ドルから 2003 年の 61 万ドルへ、さらに 2004 年上半期では 6 万ドルとの
大幅減となり、これでようやく知的財産権侵害物品の仕出し国トップテンのブラックリ
ストから外された。
経済日報 2005.02.04
(解説)
知的財産局が入手した情報によると、ブランド品発祥地のフランスでは、2006 年から
模倣品を持ち込もうとする入国者に対して、その商品を没収するほか、巨額の罰金を科
する水際取締制度を 2006 年から導入する予定であることが分かった。目下、フランス
の税関当局では、知的財産権侵害疑義貨物の商標、図形をスキャンしてすぐ真贋判定の
できる検査機器のテストが行われているところである。
財布やハンドバッグのバッグ類、衣類等に付された著名ブランドなど商標権をはじめ、
知的財産権侵害に係る物品が世界市場に出回っていることで、大きな損害を被り、工場
を閉鎖するなどに追い込まれた企業は少なくない。こうした知的財産権侵害物品を水際
で食い止めようと、先進諸国にとどまらず、被害状況が特に深刻な各国における模倣
品・海賊版対策の取り組みが強化されつつある。
今回の税関密輸取締条例改正も台湾当局における模倣品・海賊版対策の一環として位
置付けられている。また、模倣品・海賊版問題に対処するためには、税関職員が知的財
産権に関する専門的な知識を備えることが必要不可欠であり、そのための研修プログラ
ムも近々実施される予定である。台湾は、2003 年まではアメリカ税関が発表した差押え
全件数と品目別差押え物品の仕出し国の上位十位にランクインし、そのためにアメリカ
当局からの手厳しい批判にさらされた。今や税関で差押えられた知的財産権侵害物品の
ほぼ全品目において中国がトップを占めている。欧米タバコ企業だけでなく、台湾国産
ブランドのタバコ会社も登録商標が印刷された包装資材の盗難事件で、中国からの模倣
品タバコはどれぐらい市場に流れ込んでいるのか問題の後始末が大変である。模倣品タ
バコの流入はコンテナが利用されることがほとんどだから、水際での取締りは比較的容
易だが、バッグや衣料品の偽ブランド品の流入は国際郵便や国際宅配便を利用している
ことが多く、検査上のセキュリティホールとなっている。
輸入禁制品とされる知的財産権侵害物品の輸入者に対する厳罰化は威嚇効果を高める
かどうか、今のところははっきりしないが、法の改正よりも法の執行、つまり水際取締
りの確実な実施に重きを置くべきだという声もある。
❏ネット悪用の知財権侵害
摘発対象に P2P、FTP ユーザーをマーク
BSA(ビジネスソフトウェアアライアンス)の発表によると、台湾における海賊版ソ
フトの使用率は逐年減少している傾向にあるものの、インターネットを通じてのソフト
の不法ダウンロードが増加している。昨年の第三四半期まで台湾におけるネット上のソ
フトの違法コピーは 2003 年に比べて 230%の増加となり、そのうち、ピアツーピア
(P2P)によるファイル交換等著作権侵害はなんと 770%の大幅増という驚異的な数字を
記録している。
ネット上ではびこる違法コピー等知財権侵害行為に対する実効性のある抑止策として、
知的財産局は三年を一区切りとする「ネット上の権利侵害防止強化に関する実施方案」
の策定に取り掛かっている。ネット悪用の知財権侵害への全面的な取締、宣伝・啓発活
動、必要な規制を行うほか、知的財産権保護警察隊とコンパクトディスク合同取締チー
ムから「インターネットにおける権利侵害合同取締専門プロジェクトチーム」のメンバ
ーを選び、ネット上の権利侵害事件の摘発に当たる。
今は、ピアツーピアソフトやエフティーピー(FTP)によるファイルの交換或いは転
送、電子メールやインターネットによる通信販売、シリアルナンバーが解読されたファ
イルの提供などがネット上の違法コピー問題をいっそう深刻化させている。BSA と警察
当局によれば、今後の取締活動の重点対象となるのは、ファイル交換・伝送の発信元、
海賊版の出所と営利目的での違法コピー者。そして一般のユーザーに対してはモラル面
からの勧告実施が中心。
自由時報 2005.02.11 ほか
(解説)
香港当局で、素早いファイル配布を可能にした P2P 技術「ビットトレント(通称 BT、
BitTorrent)」を悪用し、米コロンビア社が投資し、周星馳(チャウ・シンチー)が監
督・主演する映画『功夫(邦題:カンフー・ハッスル)』やハリウッド映画を配信して
いたとみられる容疑者を逮捕したというニュースが伝えられている。最近、大容量ファ
イルの配布で BT が流行っているというので、著作物の交換に利用された P2P ソフトの
「Grokster」と「Morpheus」側に著作権侵害に対する責任はないとする米控訴審判決に
続いて、エンターテイメント業界にとって心配事はまた一つ増えたことになる。IFPI
(国際レコード産業連盟)も他人事とは思えないようで、ミュージックビデオ(MV)が
次の標的にされるのではないかと危機感をつのらせている。インターネットの普及やパ
ソコンの高速・大容量化に伴い、デジタル化された音声・映像ファイル等著作物の違法
な配布・交換などが増えているなかで、マイクロソフト社が開発した「DRM(Digital
Right Management)」のようなコンテンツの流通・再生に制限を加える技術に注目が集
まっている。
著作権侵害が現実の世界からバーチャル空間のインターネットという新しいアジトに
移っている現状に鑑みて、BSA(ビジネスソフトアライアンス)は 2005 年を「反インタ
ーネット海賊版元年」と宣言し、台湾経済部で新たに設置される予定のインターネット
における権利侵害取締り専担部門と連携して、著作権者の許諾を得ないソフトやファイ
ルの配布・交換に対抗していく姿勢を強調した。
ただ、ネットワークを利用したダウンロード行為への規制に関する法律根拠が欠如し
ており、また P2P ソフトの違法性を問うアメリカの映画・音楽業界が起こした一連の訴
訟に対する判決に示されているように、裁判所は必ずしも著作権者側の主張を認める司
法判断を下すとは限らない。
台湾のインターネット利用状況に関する調査報告で、学生のユーザー全体に占める割
合が最も高く、資料検索、フリーソフトのダウンロード、ファイルの交換等の目的でイ
ンターネットを利用している。学生は、こうした行為が他人の権利を侵害し、法律に違
反する可能性のあることに対する認識が薄い。キャンパスに入って捜査を行ったり学生
らを対象とする取締りも社会からの反発が予想される。
❏日本タバコ銘柄「Seven Stars」と「七星」を社名に使用していいの?
高裁判決、著名商標の不正使用にあたり
日本企業の勝ち
日本たばこ産業の銘柄「セブンスター」は 1986 年に英語の「Seven Stars」、1990 年
に中国語の「七星」を商標登録出願し、登録されいる。同社の「マイルドセブン(MILD
SEVEN)」の売上げは台湾における輸入たばこ市場ではシェア首位の 48%を獲得している。
セブンスターは 1995 年、セブンスターの台湾での販売・取次について「七星煙草股份
公司(株式会社)」と総販売代理契約を交わし、2001 年 12 月 31 日をもって契約期間が
満了し、更新されなかった。ところが、契約では、双方の業務提携関係が終了した後の
七星煙草公司その他これに類似する名称の使用が禁止されているにもかかわらず、七星
煙草公司は引き続きJTが権利を所有する商標「七星」と「Seven Stars」をその中国
語、英語の会社名称に使用し、また 2003 年に七星煙草公司の責任者と取締役、監査役
が新設会社「七星事業公司」の重役になって新たに輸入たばこ事業を立ち上げたときに
も「七星」と「Seven Star」の使用を取り止めなかった。そこでJTは商標専用権侵害
として商標法、公平取引法により侵害行為の排除及び会社名称の変更を求める裁判を起
こした。
中国時報 2005.02.13
(解説)
本件は、双方の業務提携関係終了後においても、一方の当事者が所有する著名商標を
他方の当事者が継続的に使用していいかどうかが争われたものであるため、次の二つの
問題点を明らかにすれば、結果ははっきりと見えてくる。まず、
1.本件控訴人「七星煙草股份公司」の会社設立登記と被控訴人「日本たばこ産業」
による「Seven Stars」の登録商標出願とどちらが先か?
1986 年に「Seven Stars」の商標登録出願当時、控訴人はその中国語訳の「七星」
をあわせて出願しなかった。「七星」について出願がなされたのは 1989 年 6 月 6 日、
1990 年に商標登録証が交付されている。自分は被控訴人の商標登録出願より先に
1989 年 9 月 1 日に同一名称の「七星」と「Seven Stars」をそれぞれ中国語と英語の
社名に会社登記申請をしたといった控訴人の答弁は事実と若干異なる。
次に、
2.控訴人が契約終了後においても引き続き「七星」(「Seven Stars」の中国語訳。
台湾のたばこ業界、喫煙者をはじめ消費者に広く認識されているたばこの銘柄。以下、
係争名称)を社名に使用することが契約違反にならないか。被控訴人が所有する著名
商標「七星」(知的財産局が認定)にただ乗りする意図はあったかどうか。商標権者
でないが、かつてセブンスターの台湾での総販売代理だった控訴人が「七星」を、商
標権者であるJTとの販売代理・取次関係が終了した後においても、継続的に使用し
ていたことは、消費者に混同誤認を生じさせる虞があるか?
双方の業務提携関係が終了した後、控訴人が対外的に「七星煙草股份公司」の名義
のもとで営業を続けないということで双方が合意したうえ、契約締結に至ったわけだ
から、控訴人による被控訴人所有の商標の継続的使用は明らかに契約違反である。そ
もそも双方が業務提携を開始する以前にたばこ関係の事業を営んでいなかった控訴人
は、双方の業務提携関係があってこそ係争名称を使用し始めた。また、セブンスター
は台湾市場でシェア首位級の銘柄であるが故に、控訴人が係争名称の使用を続けてい
たことは係争名称の高名さにただ乗りする意図があったと考えられる。かつて販売代
理関係にあった一方の当事者による同一名称の使用はいうまでもなく、消費者に混同
誤認を生じさせるおそれがあり、控訴人は契約にしたがって名称を変更する義務があ
る。
権利侵害行為の排除は、今起きている侵害行為と、将来起きる可能性のある侵害行為
を対象とするもので、控訴人が現在でも被控訴人の登録商標を使用していることからし
て、権利侵害行為にあたると考えて妥当である。また控訴人は係争名称を使用する権利
がなくなってからもなお係争名称を新設会社の名称に襲用したことは、たとえ今のとこ
ろ営業の事実がなくても、被控訴人にしてみれば、権利が侵害される可能性は大きい。
よって、被控訴人には商標法第 61 条第 1 項の後段規定によりその侵害行為の排除を請
求する権利がある。
主な参照条文:
商標法(2003 年 11 月 28 日現行商標法改正前の旧法)
第 61 条第 1 項 商標権者はその商標専用権を侵害した者に対し、損害賠償を請求す
ることができる。又、その侵害を排除することを請求することもできる。侵害のおそ
れがあるものは侵害を防止することを請求することができる。
商標法(新法)
第 62 条 商標権者の同意を得ないで、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当する
ときは、商標権侵害とみなす。
第一号
【他人の著名な登録商標であることを明らかに知っていて、同一若しくは
類似の商標を使用し、又は当該著名商標中の文字を自己の会社名称、商号、ドメイン
名その他営業主体若しくは出所を表示する標識として使用することによって著名商標
の識別性又は信用を減損した場合。】
第二号
【他人の登録商標であることを明らかに知っていて、当該商標中の文字を
自己の会社名称、商号、ドメイン名その他営業主体若しくは出所を表示する標識とし
て使用することによって、商品又は役務の関連消費者に混同誤認を生じさせた場
合。】
公平取引法
第 24 条 本法に別段の規定がある場合を除き、企業は他の取引秩序に影響するに足
りる欺瞞的、又は著しく公正さを欠くような行為を行ってはならない。
民事訴訟法
第 457 条
仮執行の宣告
❏TSMC vs. SMIC、特許侵害や営業秘密窃取等訴訟
和解金 1.75 億ドルで決着
中国当局から圧力?ライバル同士からアライアンス構築へ?
世 界 最 大 手 半 導 体 フ ァ ウ ン ダ リ 「 台 湾 積 体 電 路 ( Taiwan Semiconductor
Manufacturing corporation、以下 TSMC)」が、特許権侵害や営業秘密窃取を理由に中
国 半 導 体 分 野 最 大 手 の 「 中 芯 國 際 集 成 電 路 ( Semiconductor Manufacturing
International Corporation、以下 SMIC)」製品の米への輸入差止めや損害賠償を求め
る裁判は、SMIC 社が TSMC 社に対し 1 億 7500 万ドルの和解金を六年に分けて支払うこと
で決着がついた。証券アナリストや市場関係者が予測していた 6 億ドルの和解金とは差
が余りにも大きいから、双方の間で何かの秘密協議が結ばれているとか、中国当局から
の圧力があったのではとの見方も一部にはある。和解が成立したことについて、SMIC 社
CEO の張汝京氏は満足しているようだが、TSMC 社社長はあるセミナーの場で「満足とい
えるほどのものではないが、(和解条件を)受け入れた」とそれ以上の話題や和解案に
ついての具体的な言及を避けたい様子であった。
2003 年に TSMC が SMIC の幹部を台湾の裁判所に告訴した事件での仮処分申立てが受け
入れられたことを皮切りに、ライバル社の SMIC を法的手段によってけん制する動きが
表面化している。2004 年 6 月に米北カリフォルニア連邦地方裁判所にも告訴を起こした
が、営業秘密窃取の審理に関して連邦地方裁判所ではなく州裁判所のほうが適当だとさ
れ、受理されなかった。その後も、同社は特許権侵害の部分について連邦裁判所に提訴
を試みた。
自由時報 2005.02.01 ほか
(解説)
ファウンダリ大手二社の特許戦争が一段落したことを受けて、台湾と香港の株式市場
で外資系投資機関から半導体関連株のコア銘柄への買い注文が殺到し、大手各社の株価
はともに値上がりした。
TSMC が和解案を受け入れたのは中国市場、そして国際競争力の維持が狙いだとみられ
ている。SMIC 社は世界最大手のファウンダリの TSMC 社から多くの幹部やエンジニアを
引き抜いて彼らを主力メンバーに組織構成されたようなもので、そのおかけで製造プロ
セス技術水準も規模も何年も経たないうちに TSMC 社に追いついている。
台湾半導体企業の知的財産権が中国企業によって侵害された事案は相次いでいる。IC
デザイン業界によると、「中国市場進出に影響を及ぼしかねないので、訴訟は金銭的に
も時間的にも賢明な選択ではない。できれば、協議で解決したい」という。
ファウンダリ業界二番目の UMC 社は台湾の法的規制を無視して第三国で設立された会
社を通じて資金を中国のある企業にへ送り込み、さらに特許技術を無償で本来ならば競
合他社であるはずの中国企業に提供していることが発覚したのをきっかけに、中国への
ハイテク技術流出を等閑視している政府当局の管理能力に疑問が投げかけられている。
UMC 社は株式市場の上場企業で、会社の損益について、数十万人の株主に対して経営陣
としての責任を問われるべきである。事件捜査を進めている検察当局のみならず、金融
当局においても未然防止を如何に図るか、罰金処分をはじめ、しかるべき措置を講じな
ければならない。
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