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農山漁村の魅力

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農山漁村の魅力
第1
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農山漁村の魅力
農山漁村の美しさの意義
農山漁村の美しさは、その景観のみならず、土、水の匂いや感触、せせらぎの
音や潮騒など五感で感じる要素と、地域の伝統文化などの要素が一体となって醸
成されます。
農山漁村においては、自然の造形を背景とし、気候風土に適した形で農林漁業
を営む中で編み出されてきた「生きるための技」や、人々の生活の「息遣い」が
感じられるような、それぞれの地域に固有の個性ある美しい風景がつくられてき
ました。
農山漁村では、農林漁業の生産に関わる農地・森林の土地利用、漁港の利用や
集落のたたずまいなど、生産、生活に伴った秩序を反映した美しさ、自然環境が
もつ多様な美しさ、地域の伝統行事や文化などが醸し出す伝統的な美しさなど、
様々な視点から美しさをとらえることができます。
これらの美しさは、地域住民にやすらぎや充足感をもたらし、生活に潤いを与
えるとともに、都市住民にとっても、心のふるさととして、価値ある原風景の魅
力として認識されてきました。
このような農山漁村の美しさは、地域の自然や農林漁業、人々の暮らしと文化
を背景とした、それぞれの地域の個性を活かして歴史的に形成されてきました。
花、土、草の香る美しい農村(三重県美杉村)
湖面を彩る水と緑のハーモニー(長野県栄村)
潮騒を感じる集落(静岡県戸田村)
2
農山漁村の現状
農山漁村においては、過疎化・高齢化の進展等により、経済や社会資本の面で
都市よりも立ち遅れがみられるとともに、地域のコミュニティ機能が低下し、農
地・森林や水の管理上の問題が生じているほか、混住化の進展等により地域の伝
統文化の伝承等にも支障が生じている例がみられ、更に、今後、市町村合併の進
展により、地域内格差の拡大が懸念されています。
このような状況の中で、廃棄物の不法投棄のほか、耕作放棄地の増大、無秩序
な沿岸開発の進行や海域の水質劣化、手入れ不足の森林の増加等によって良好な
景観の形成に支障が生じ、日本の原風景ともいえる農山漁村の魅力が失われつつ
あります。
また、農山漁村振興対策については、都市に比べて立ち遅れた道路や汚水処理
などの生活環境基盤と生産基盤を総合的に整備し、農林漁業の振興と農山漁村の
定住条件の確保などに重点を置いて施策を進めてきました。
しかしながら、生産基盤、生活環境基盤の整備において効率性や利便性の向上
を目標とした整備が行われてきた結果、必ずしも各地域が持つ美しさや魅力の根
源である地域の個性を活かした整備が行われてきたとは言い難い状況にありま
す。
野積みされた廃車
山間部の耕作放棄地
3
魅力ある農山漁村づくりをめぐる新たな動き
近年の国民の意識の変化に伴い、ゆとり、やすらぎ、癒しを求めて、都市には
ない豊かな自然や美しい景観といった農山漁村固有の魅力が再認識されるととも
に、UJIターン、田舎暮らし等のニーズが高まってきています。
地方自治体において、自然景観の保全や歴史的町並みの保全等を目的として、
景観の基準やガイドライン、建築物等と景観の調和に関する手続き等を定める景
観条例の制定に取り組む動きが急速に拡大しています。
また、農山漁村の新しい動きとして、景観を含め、地域の将来を自ら考え、創
っていくという地域住民が主体となった地域づくりのための活動が拡大していま
す。
さらに、観光立国懇談会において 、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」の
観光立国を実現する観点から、農山漁村地域においても、それぞれの地域の美し
い自然景観、文化遺産、食文化、祭等の伝統行事等の資源を活用し、地域に根ざ
した魅力を高めていくことの必要性が提言されました。
このように、農山漁村において、住民がそれぞれの地域の魅力を再認識し、都
市的な生活様式や文化も取り入れながら、都市との交流を進め、それを地域の活
性化につなげていくことが期待されている中で、都市と農山漁村の双方の生活及
び文化を享受する新たなライフスタイルの実現に向けて「都市と農山漁村の共生
・対流推進会議 」(オーライ!ニッポン会議)が設立されるなど、都市と農山漁
村の共生・対流の一層の推進に向けた国民的な運動の展開が進められているとこ
ろです。
伝統的な建築様式と色彩による景観形成
(福井県宮崎村)
あじさいを植樹した、美しく、地域に開
かれた農村 (神奈川県開成町)
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