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セイファート銀河の分光観測に 挑戦!
セイファート銀河の分光観測に 挑戦! E-3三舩貴之,八幡浩輔 S-3小林壮太,杉山潤一郎,髙山和真 チャレンジゼミナール報告会 2013年3月4日 1 目的 • 天体の分光観測では,天体のスペクトルを観 測することで,天体までの距離,組成成分な どが分かる. • 美星天文台で,セイファート銀河NGC1068な どを観測する. • その分光解析のため,解析ソフトIRAF(Image Reduction and Analysis Facility)の使用方法を 学ぶ. • NGC1068を解析したい. 2 天体分光器 • • • • スリットを通り分光器へ入射した光は コリメータレンズで平行光に変換 回折格子でスペクトルに分けられる カメラレンズでCCD上に結像 美星天文台の分光器 3 CCD画像 天体(オブジェクト)以外の光も含まれている • バイアス – CCDから読み出す際の電荷(下駄として加算) • ダーク – 暗電流により発生するカウント値 • スカイ – 夜光や街の光 • 宇宙線イベント 4 天体情報を取り出す フレーム:CCDカメラで得られる画像 フラット:周辺減光などによる感度ムラ補正 天体情報= ( オブジェクトフレーム - バイアスフレーム - ダークフレーム - スカイフレーム )/フラット 分光観測では,さらに コンパリゾンフレーム により波長較正が必要 美星では鉄・ネオン輝 線を出すフォロカソー ドランプを使用してい る 5 セイファート銀河とは • 見かけ上の分類とは別に, 激しい活動性を示すものを 活動銀河という. • 大半の銀河はスペクトル中 に吸収線のみを示すが,活 ハッブルが提唱した銀河分類の音 叉図 (R.ベレンゼン 1980 : p.149) 動銀河では全波長域で放 射(輝線)がみられる. セイファート銀河 • スペクトル中に幅の広い強い輝線を有し,非常に明るく 小さな中心核(活動銀河核)を持っている. – 輝線の半値幅から,幅の広い輝線が見られるものを1型セイ ファート銀河,幅の狭い輝線が見られるものを2型セイファート 銀河 – 他に,電波銀河,クェーサー,スターバースト銀河等がある. 6 美星天文台 • 8月25日(土)22:00~26日(日)04:00と10月12日 (金)22:00~13日(土)04:00の2回,美星天文台の 101cm望遠鏡と分光器,Andor社冷却CCDカメラを用 いて分光観測を行った. • 撮影天体はNGC6946,NGC1068,NGC1052 7 解析ソフトIRAF(Image Reduction and Analysis Facility) • 撮影したFITS (Flexible Image Transport System)データを 各種補正(整約)して,解析することができる. • IRAFはアメリカ国立光学天文台(National Optical Astronomy Observatories)によりサポートされているフ リーソフト(http://iraf.noao.edu/) – LinuxやWindowsのCygwin環境等で動作する • 世界の天文学者が標準的に使用している解析ソフ トなので,敷居が高いが挑戦してみた. • マニュアルを探して,結局,美星天文台Web上の 「美星天文台101cm望遠鏡 IRAFによる分光データ 整約のすすめ 川端哲也(美星天文台)」が良かっ たので,挑戦してみた. 8 NGC1068(M77) • くじら座にある渦巻銀河 – 距離 4,700万光年 – 視等級 +8.8 – 視直径 7' x 6‘ – 幅の狭い輝線が見られる2型 セイファート銀河 Wikipedia(NASA) • IRAFを使用する解析により, 距離の算出に挑戦したい Wikipedia 9 画像チェック バイアスフレーム l1.fits 白い点は宇宙線イベント コンパリゾンフレーム l23.fits 鉄ネオンの輝線スペクトル オブジェクトフレーム l24.fits 横一本の線がNGC1068(80℃,900秒)のスペクトル ダークフレーム(-80℃, l43.fits 900秒) フラットフレーム l30.fits 10 データ整約 • • • • • バイアスフレームの合成: imcombine フラットフレームの合成: imcombine フラットからバイアスを引く: imarith フラットの規格化: imarith オブジェクトフレームの一次処理:imarith – オブジェクトフレームからバイアスを引き,フラットで割る l24.fits 処理前 l24bf.fits 処理後 11 オブジェクトフレームとコンパリゾンフレー ムの一元化:apall 天体スペクトルを画像から抽出する オブジェクトフレーム コンパリゾンフレーム • 縦軸はカウント値,横軸は画像上のピクセル位置 • 横軸を波長に同定したい 12 コンパリゾンの波長同定:identify 鉄・ネオン同定チャート(右図)と比較し,コンパリゾンに 波長同定する 13 オブジェクトスペクトルへ波長同定の 結果を登録:refspectra OⅢ5025 OⅢ4977 Hα6589 Hα6609 14 NGC1608の赤方偏移・後退速度・距離 OⅢ Hα NⅡ 文献値[Å] 観測データ[Å] 4959 4977 5007 5025 6563 6589 6584 6609 赤方偏移 後退速度 銀河までの距離 Δλ[Å] 18 18 26 25 Z=Δλ / λ0 0.00361 0.00358 0.00394 0.00378 0 z 3.7 10 3 0 0 3 cz 1.1 10 km/s cz r 14 Mpc H ハッブル定数を80km/s・Mpcとした. 距離の文献値は14.4Mpc 15 まとめ • セイファート銀河NGC1068の赤方偏移・後退 速度・距離を求めるため – 美星天文台で分光観測を行った – 天文学者の使う解析ソフトIRAFに挑戦した – NGC1068の解析に挑戦した • 銀河までの距離は,文献値に比較的近いも のになった. • 分光観測について,ご協力下さった美星天文台 綾 仁台長,前野様に感謝いたします. 16