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第143回日本胸部外科学会関東甲信越地方会要旨集(170KB)
第143回日本胸部外科学会 関東甲信越地方会要旨集 日 時: 2007年 9 月 1 日(土)9:25∼16:15 会 場: つくば国際会議場エポカル 〒305-0032 茨城県つくば市竹園 2-20-3 (つくばエクスプレスつくば駅 徒歩10分) 総合受付 エントランスホール(1 階) 第 I 会場 第 II 会場 大会議室101 (1 階) 中会議室201 (2 階) 第III会場 中会議室202 (2 階) 幹 事 会 小会議室303 (3 階) 会 長: 榊原 謙 筑波大学大学院人間総合科学研究科(心臓血管・呼吸器外科) 〒305-8575 茨城県つくば市天王台 1-1-1 TEL:029-853-3210/FAX:029-853-3097 参加費: 1,000円 (当日受付でお支払い下さい) ご注意: (1)PC発表のみになりますので、ご注意下さい。 (2)PC受付は60分前(ただし、受付開始は 9 時00分です。) (3)一般演題は口演時間 5 分、討論 3 分です。 (4)追加発言、質疑応答は地方会記事に掲載いたしません。 【会場案内図】 つくば国際会議場 〒305-0032 茨城県つくば市竹園 2-20-3 TEL:029-861-0001 会場周辺図 (1) 広域地図 (車) 常磐自動車道 桜・土浦I.C. (電車) つくばエクスプレス 秋葉原駅 (快速45分、 区間快速52分) 千代田石岡I.C. 常 磐 自 動 国道12 5号 学 園 東 大 通 り 土浦北I.C. つ く ば 国際会議場 神立駅 線 学園 土浦 サ イ エ ン ス 大 通 り 国 道 2 9 4 号 国 道 6 号 車 道 J R 常 磐 線 つくば市 国 道 4 0 8 号 学 園 西 大 通 り 土浦駅 桜土浦I.C. 霞ヶ浦 4号 谷田部I.C. 国道35 国道 12 5号 荒川沖駅 国道125 号 ひたち野うしく駅 谷和原I.C. 牛久駅 (2)周辺地図 至筑波山 至下妻 西大通り 東大通り 中央公園 つくば駅 つくばエクスプレス Q’t 至常総 学園西 中央通り つくばセンター オークラフロンティアホテルつくば 筑波学園郵便局 クレオ[ジャスコ・西武] 学園東 大清水公園 つくば中央警察署 三井ビル 南 4 B駐車場 最大706台 最大471台 カピオ デイズタウン 南 4 A駐車場 オークラフロンティアホテルつくば エポカル 北駐車場 最大297台 竹園公園 最大33台 つくば国際会議場 南駐車場 Tsukuba International Congress Center 最大55台 南大通西 研究交流センター 南大通東 南大通り 物質・材料研究機構 至牛久 つくばセンターバスターミナルから、つくバス 「セ ンター循環」 が15分毎に連絡しています。 ノバホール 土浦学園線 南 3 駐車場 TXつくば駅A3出口のエスカレーターを上りきり、目 の前にある階段を上がり、そこから右に行くと歩行 者専用道路 (ペデストリアン) があり、これを南へ。 道なりに進みますと徒歩約10分で国際会議場です。 ペデストリアン(歩行者専用道路) 至桜・土浦インター –2– 車でご来場の方は左図の駐車場をご利用下さい。近 隣の店舗の駐車場の利用は、呉々もご遠慮下さい。 【場内案内図】 つくば国際会議場エポカル ■1F 搬入口 多目的ホール 控室 H103 控室 H102 控室 H101 控室 101 搬 入 口 メインエントランス ホテル連絡通路 エントランス インフォメーション 102 大会議室 付 エントランス ホール 受 PC 受付 合 第I 会場 総 101 大会議室 エントランス 管理事務室 ■2F 同時通訳室 大ホール 1 階席 映写室 調整室 控室 201 202 中会議室 第III 会場 200 中ホール 調整室 201 中会議室 第II 会場 ■3F 300 中ホール 大ホール 2 階席 304 小会議室 機械展示会場 ホスピタリティルーム 303 小会議室 幹事会 302 特別会議室 五人委員会 301 306 305 小会 和室和室 議室 –3– 第 I 会場:大会議室101(1 階) 第 II 会場:中会議室201(2 階) 第 III 会場:中会議室202(2 階) 9:25 開会式 9:30∼10:18 9:30∼10:18 9:30∼10:10 大血管 1 弁膜症 1 肺癌 1 1∼6 川人 宏次 東京慈恵会医科大学柏病院 1∼6 小寺孝治郎 1∼5 東京女子医科大学東医療センター 齋藤 誠 東京医科大学霞ヶ浦病院 10:18∼11:06 10:18∼11:06 10:10∼10:50 大血管 2 弁膜症 2 肺癌 2 7∼12 軸屋 智昭 7∼12 古梶 清和 慶應義塾大学 筑波メディカルセンター 6∼10 吉田 純司 国立がんセンター東病院 11:06∼12:02 11:06∼12:02 10:50∼11:38 大血管 3 成人先天性心疾患 肺血管異常・感染症 13∼19 師田 哲郎 13∼19 小出 昌秋 11∼16 堀之内宏久 慶應義塾大学 聖隷浜松病院 東京大学 12:20∼13:10 12:20∼13:10 ランチョンセミナー 1 ランチョンセミナー 2 周術期における短時間作 用型β遮断薬の臨床応用 AC肺モデルを使った手術 上達の裏技? 講師 ∼トップサージャンの流儀 をマネしてみませんか∼ 稲田 英一 (順天堂大学麻酔科) 座長 天野 純 講師 (信州大学心臓血管外科) 大渕 俊朗 (国立病院機構小倉病院) 座長 岩崎 正之 (東海大学呼吸器外科) 11:00∼11:50 12:00∼12:50 五人委員会 幹事会 (3 階 特別会議室302) (3 階 小会議室303) 9:30∼16:15 機械展示会場・ホスピ タリティールーム (3 階 小会議室304) –4– 第 I 会場:大会議室101(1 階) 第 II 会場:中会議室201(2 階) 第 III 会場:中会議室202(2 階) 13:30∼14:34 13:30∼14:10 13:30∼14:18 感染性心内膜炎 先天性心疾患 1 縱隔 20∼27 別所 竜蔵 20∼24 鈴木 章司 17∼22 日本医科大学千葉北総病院 奥村 栄 癌研有明病院 山梨大学 14:34∼15:14 14:10∼14:50 14:18∼15:06 虚血性心疾患 1 先天性心疾患 2 胸膜・横隔膜 28∼32 小林 俊也 25∼29 宮地 鑑 聖マリアンナ医科大学 23∼28 渋谷 潔 千葉大学 北里大学 15:14∼15:54 14:50∼15:38 15:06∼16:02 虚血性心疾患 2 先天性心疾患 3 心膜疾患・心腫瘍 33∼37 禰屋 和雄 30∼35 川崎志保理 順天堂大学 帝京大学 閉会の辞 –5– 29∼35 上西祐一郎 自治医科大学 第 I 会場(大会議室101) 9:30∼10:18 大血管 1 座長 I−1 川 人 宏 次(東京慈恵会医科大学柏病院) I−2 大動脈基部置換術および上行弓部大動脈部分置換術後に 肝動注カテ穿孔による胸腹部大動脈仮性瘤を部分体外循 発症した硬膜下血腫の一例 環下に修復した 1 例 茨城西南医療センター病院 東京大学医学部附属病院 心臓外科 大坂基男、小西泰介、小石沢正 木村光利、師田哲郎、末松義弘、山本哲史、縄田 寛、高本眞一 78歳女性。大動脈弁閉鎖不全、上行弓部大動脈瘤に対して、大動脈 39歳男性。10年前回盲部癌、肝転移に対し手術施行。術後、肝動注 基部置換術および上行弓部大動脈部分置換術を施行した。翌日に抜 カテを挿入し化学療法を施行されたが、1 年半後にカテ先端が大動 管したが、術後 2 日目に意識レベルの低下を認め、頭部CTでは両 脈に逸脱した為中止した。1 ヶ月前に腹痛があり、腹部CT施行。腹 側前頭部から頭頂部に硬膜下血腫を認めた。翌日に穿頭ドレナージ 腔動脈の頭側でカテが穿孔しその近傍に仮性瘤を認めた。部分体外 を予定したが、意識が回復したため保存的治療に変更した。術後58 循環下に大動脈を縦切開し仮性瘤との交通部を大動脈内側からプレ 日目のCTで血腫の消失を認め、患者は後遺症なく退院した。 ジェットを用いて閉鎖。カテは右鼠径部より抜去。術後CTでは造 影剤の血管外漏出はなく、仮性瘤も縮小していた。 I−3 I−4 大動脈内に腫瘍を認め左心室瘤、瘤内血栓を合併した一 浮遊する上行大動脈内腫瘤の 1 例 例 自衛隊中央病院 胸部外科 春日部中央総合病院 心臓病センター 心臓血管外科 江戸川誠司、橋本博史、竹島茂人、田中良昭 秋田雅史、平野智康、忽滑谷通夫 症例は70歳男性。58歳より慢性腎不全にて当院通院し、68歳から透 症例は43歳女性。胸痛を主訴に近医受診し左心室瘤、左心室内血栓 析導入。平成19年 4 月より胸部絞扼感・全身倦怠感出現し、当院精 を認めたため手術目的にて当院紹介となった。造影CTにて左心室 査入院。心エコーにて大動脈弁直上に浮遊する大動脈内腫瘤を認め 瘤、左室内血栓と共に遠位弓部大動脈内に細長い腫瘍影を認めた。 た。頸部エコー検査にて左総頚動脈分岐部に高度狭窄を認めたた TEEでも大動脈内に拍動に伴って動く腫瘍を認めた。遠位弓部大動 め、4 月27日、上行大動脈内浮遊腫瘤摘除術および左頸動脈内膜摘 脈内を循環停止下に内視鏡で見たところ左鎖骨下動脈より反対側の 除術施行。病理所見は、severe atherosclerosis with calcification、 no 大動脈壁に紐状の腫瘍がありそれを切除した。左室内血栓及び瘤壁 malignancyであった。 を切除し手術を終了した。術後経過良好で術後10日目に退院した。 I−5 I−6 ステントグラフト内挿後に瘤径の拡大をきたし胸腹部置 左鎖骨下動脈起始異常を伴う右側大動脈弓に合併した解 換手術を行った慢性B型解離の一例 離性大動脈瘤の一手術例 東京医科大学 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター 心臓血管センター 佐藤正宏、佐藤和弘、今村健太郎、佐伯直純、槇村 進、 郷田素彦、井元清隆、鈴木伸一、内田敬二、柳 浩正、小林健介、 小泉信達、小櫃由樹生、重松 宏 伊達康一郎、加藤 真、長 知樹 症例は52歳男性。分岐型人工血管置換術後、急性大動脈解離STBを 65歳男性。1999年右側大動脈弓、急性大動脈解離(stanford B) に対 発症し、瘤径の拡大認めステントグラフト(SG)挿入術施行。SG し、ステントグラフト内挿術施行するもフォローアップのCTでエ フォロー中に下行大動脈の拡大認め手術となる。FFバイパス、部分 ンドリークおよび瘤径の拡大を認めた。2007年 6 月PCPS補助下、 体外循環補助下に胸腹部大動脈瘤切除、人工血管置換術、腹部 4 分 右第 5 肋骨床開胸にて下行大動脈置換術施行。術中肺出血などを認 枝、肋間動脈一対を再建とした。SG後の胸腹部置換術を行い良好 め術後管理にやや難渋したが全身状態は徐々に改善し、現在外来 な結果を得た。endoleakなく、瘤径の拡大を来たした症例を経験し フォローアップ中である。 たので報告する。 –6– 10:18∼11:06 大血管 2 座長 I−7 軸 屋 智 昭(筑波メディカルセンター) I−8 発症後 1 週間を経過した肝硬変合併のA型大動脈解離の 高度肝機能障害を伴った感染性胸部大動脈瘤の 1 例 1例 東邦大学医学部付属大森病院 心臓血管外科 茨城西南医療センター病院 心臓血管外科 益原大志、渡邉善則、塩野則次、藤井毅郎、浜田 聡、原 真範、 小西泰介、大坂基男、小石沢正 寺本慎男、小澤 司、小山信彌 69歳女性。C型肝炎、肝硬変で近医通院中。5/21胸背部痛、嘔吐、 59歳、女性。主訴は喀血、CTにて肺出血、限局性胸部下行大動脈 下痢が出現したが自宅で経過を見ていた。5/28症状が増強し近医受 瘤を認めた。急速な瘤拡大から大動脈気管支肺瘻を伴った感染性大 診、下壁心筋梗塞を疑われ本院内科に転送された。造影CTで基部 動脈瘤と診断し、緊急手術を施行した。高度肝機能障害 (Child-Pugh から腹腔動脈分岐部まで大動脈解離が認められ、発症から1 週間経 分類 grade B) 、限局性病変よりTemporary bypass下に瘤切除し、パッ 過したA型解離の診断で緊急手術の適応とした。術前の血小板数が チ形成術、肺部分切除を施行。術中検体にてStreptococcus agalactiae 5.3万と低下しており、肝硬変による出血傾向があることが予想さ が検出された。術後36病日に独歩退院となった。 れ、FFP、PCを十分量準備した上で上行+部分弓部大動脈置換術を 行い救命し得た。 I−9 I − 10 重症肝硬変を合併した感染性胸部大動脈瘤に一期的弓部 上行大動脈置換術後人工血管感染を呈し再人工血管置換 部分置換、大網充填術を施行した 1 例 術にて救命できた 1 例 伊勢崎市民病院 心臓血管外科 杏林大学医学部附属病院 心臓血管外科 小此木修一、大林民幸、小谷野哲也、安原清光 岩畔哲也、窪田 博、土屋 博、遠藤英仁、戸成邦彦、須藤憲一 63歳男性。発熱を主訴に他院受診、単純CTで前縦隔に不整形の腫 症例は33歳、男性。A型大動脈解離にて上行大動脈置換術施行。 瘤を認め精査加療目的に当科紹介。造影CTで胸部仮性大動脈瘤の 22PODより炎症所見の増悪を認め、血液培養よりMRSAを検出。CT 診断を得た。血液培養陰性であったが、瘤の形状またChild-Pugh B 上、術創の膿瘍形成なく、肺炎像を認めた。呼吸状態増悪となり の肝硬変・control不良の糖尿病を合併しており易感染性の状態であ ICU入室。TTEにて、Felt部にVegetationを認め人工血管感染と診 ることから、感染性瘤が強く疑われた。一期的に弓部部分置換、大 断。28PODに部分弓部人工血管置換術施行し、胸部開放創にて帰 網充填術を施行した。病理診断は感染瘤であった。術後経過良好で 室。連日の心嚢内洗浄を行い、初回より58PODに大網充填術施行。 第31病日軽快退院。若干の文献的考察を加え報告する。 161PODに転院となった。 I − 11 I − 12 下行大動脈置換術後に、食道穿孔及び人工血管感染を発 Crawford 4 型胸腹部大動脈瘤破裂の一治療経験 症した 1 例 山梨県立中央病院 心臓血管外科 国保直営総合病院君津中央病院 心臓血管外科 小林辰輔、土屋幸治、中島雅人、岡本祐樹、矢野清崇 勝股正義、須藤義夫、浮田英生 症例は50歳女性、腹部大動脈瘤破裂の疑いで当院に転院搬送。前医 65歳女性。解離性大動脈瘤 (DB-IIIb) に対して待機的に下行置換術を 単純CTではSMA直下より、terminal Aortaに至る瘤形成と、後腹膜 施行。術後 3 日目経口摂取開始後に胸腔ドレーン排液が混濁し呼吸 血腫を認め、Crawford 4 型の胸腹部大動脈瘤破裂と診断し、緊急手 苦出現、胸部X線にて左気胸、胸水貯留を認めた。無効なドレーン 術施行した。spiral incision、第 8 肋間開胸・後腹膜アプローチと を 1 本抜去し、検鏡にて細菌感染を検出。膿胸と診断し緊急手術施 し、大動脈近位は腹腔動脈下、遠位は両側総腸骨動脈で遮断し、Y- 行。中枢側吻合部付近の食道に 1cmの穿孔を認めた。穿孔部を直接 graftの両脚をstraight部に吻合した自作graftにて、SMA下腹部大動脈 閉鎖後、有茎大網にて穿孔部と人工血管を被覆した。約 1 ヶ月間持 と両側腎動脈を再建した。対麻痺、腎不全を合併することなく、術 続吸引と抗生剤投与を施行。培養の陰性化、感染徴候の改善を認め 後17日に独歩退院した。 再手術後40日後に退院。 –7– 11:06∼12:02 大血管 3 座長 I − 13 師 田 哲 郎(東京大学) I − 14 上行及び弓部大動脈瘤に対し、gull wing approachで一期 胸腹部置換術後A型大動脈解離に対しopen stent併用全弓 的に上行弓部下行置換術を施行した 1 治験例 部置換術を施行した 1 例 健康保険岡谷塩嶺病院 心臓血管外科 杏林大学医学部附属病院 心臓血管外科 志村一馬、畑 博明、飯田 充、添田雅生、梅田有史、奈良田光男 山田宗明、窪田 博、土屋博司、遠藤英仁、戸成邦彦、須藤憲一 症例は72歳男性。平成18年の健康診断で胸部レントゲン異常陰影を 症例は41歳、女性。B型大動脈解離にて1997年にY graft置換術、 指摘され、近医受診。上行大動脈の拡大、弓部大動脈瘤を指摘さ 2004年に胸腹部置換術施行。2007年にA型大動脈解離発症。可視内 れ、手術目的に当院紹介となる。平成18年11月15日gull wing ap- にて上行弓部にEntryを認めず、また、前回の中枢側吻合部を術野か proachにより順行性脳分離体外循環併用、超低体温循環停止下に、 ら確認できなかった。鎖骨下動脈分岐で大動脈離断。open stentの留 1 期的に上行弓部下行大動脈置換術を施行した。術後経過も良好で 置にて、安全かつ容易に全弓部置換術を行うことができた。術後 12月12日退院となる。gull wing approachで 1 期的に施行しえたので endo-leakおよび遺残解離を認めず、25PODに退院となった。 報告する。 I − 15 I − 16 Stanford A型急性大動脈解離に対し、上行弓部置換術を B型急性大動脈解離SMA閉塞合併症例に対するオープン inclusion methodで施行した 2 治験例。 ステントによるエントリー閉鎖 健康保険岡谷塩嶺病院 心臓血管外科 1石心会狭山病院 心臓血管外科 飯田 充、畑 博明、添田雅生、梅田有史、志村一馬、奈良田光男 2獨協医科大学越谷病院 心臓血管外科 症例 1。56歳、男性。A型急性解離を発症し、上行弓部置換術施 齊藤政仁1、木山 宏1、垣 伸明1、今関隆雄2 行。弓部置換はIslandで再建。断端形成を末梢、中枢、島状部の 3 症例は43才、男性。B型急性大動脈解離を発症し緊急入院。翌日突 ヶ所に施行し、外膜でWrappingしてinclusionを行った。症例 2。43 然腹痛を自覚しCT施行して、SMA閉塞と診断、同日緊急手術施 歳、男性。急性解離で緊急手術。同様の方法で救命しえた。当院で 行。術中TEEで遠位弓部にentryを認めた。胸骨正中切開でアプロー は以前より、上行置換術に際し、出血制御のためinclusion methodを チ、循環停止下にオープンステントを留置し上行弓部下行置換術 用いて良好な成績を収めてきた。今回、上行弓部置換が必要な症例 (ハイブリッド法) を施行。オープンステントでエントリー閉鎖を行 に対しても応用したので報告する。 う事によりSMA虚血を改善し救命し得た。有用な治療手段と思われ 報告する。 I − 17 I − 18 Stanford A型解離の上行大動脈置換術後にintimal flapによ 緊急上行大動脈置換術後の基部仮性瘤に対しDavid手術 るLMT閉塞を来した 1 例 を行った 1 例 1筑波メディカルセンター病院 心臓血管外科 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター 心臓血管センター 2筑波メディカルセンター病院 循環器内科 1 1 1 小林健介、井元清隆、鈴木伸一、内田敬二、柳 浩正、 2 2 軸屋智昭 、佐藤正剛 、佐々木昭暢 、塩塚潤二 、野口祐一 伊達康一郎、郷田素彦、加藤 真、長 知樹、松木佑介 62才男性。Stanford A型解離にて緊急入院。術前に冠虚血、ARな 43歳男性。38歳時にDe Bakey I 型の急性大動脈解離で緊急上行大動 し。解離はLCO付近まで及ぶも、周囲にintimal tearなし。GRFグ 脈置換を施行。GRF glueを使用した。以後段階的に弓部大動脈置 ルーで断端形成後、上行置換を施行した。ICU帰室後 3 時間目に 換、胸部下行大動脈置換を施行。今年 2 月のCTで右冠動脈直上の AMIを発症し緊急CAGを施行。LMT遠位に動揺するintimal flapが存 仮性動脈瘤が判明。5/18にValsalva graft (Φ28mm) を用いてDavid手 在し同部にステントを留置した。偽腔閉鎖により冠虚血が顕性化し 術を施行。大動脈壁が茶色に変色して菲薄化し前回のgraft吻合部が た希な症例と思われたため、考察を加え報告する。 一部外れていた。経過良好で6/6に退院した。 I − 19 大動脈基部置換術後19年目の仮性瘤に対する一手術例 船橋市立医療センター 心臓血管外科 椛沢政司、高原善治、茂木健治、畠山正治 症例は57歳女性。S63年、急性A型解離のため他院にて大動脈基部 置換術 (Piehler法再建) 施行。以降他院外来フォローされていたが、 H13年よりCTにて人工血管周囲に血腫様低濃度域を認め、H18年11 月には60mm大に拡大、仮性瘤と診断し、再手術目的に19年 4 月当 科紹介、入院。MRも合併しており、上行弓部置換術+MVRを施行 した。仮性瘤は人工血管−人工血管の吻合部からの微小出血による ものであった。 –8– 13:30∼14:34 感染性心内膜炎 座長 I − 20 別 所 竜 蔵(日本医科大学千葉北総病院) I − 21 肝硬変 (Child-Pugh B) 慢性腎不全を合併した活動性感染 自己心膜による僧帽弁交連部形成を行った活動性感染性 性心内膜炎の 1 例 心内膜炎の一例 社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷浜松病院 昭和大学病院 第 1 外科 梅原伸大、小出昌秋、國井佳文、渡邊一正、松尾辰朗、杉浦唯久 大井正也、尾本 正、大野正裕、福隅正臣、岡山尚久、毛利 亮、 60歳男性。慢性腎不全、アルコール性肝硬変にて近医follow up中、 石川 昇、手取屋岳夫 不明熱にて07年 1 月当院紹介。血培よりEnterococcus faecalis検出さ 24歳男性。2 週間持続する発熱にて受診。心エコーにて僧帽弁前尖 れ、僧帽弁に疣贅を認めた。抗生剤加療を行ったがMRによる心不 から後交連部に15mmの疣贅と重度の僧帽弁逆流を認めた。CTにて 全コントロール不良で 2 月19日準緊急的に僧帽弁置換術を行った。 脳梗塞と腎梗塞を認め、血液培養よりstreptococcus gordoniiを検出し 肝硬変はChild-Pugh Bであり術前から輸血療法を行い、状態を改善 た。手術は、疣贅の付着する前尖A3 およびA2、3 strut chordae切 させた。肝硬変を伴った弁置換術の救命率は低く今回さらに慢性腎 除、P3 のsliding technique、A3 と後交連部欠損部を自己心膜と人工 不全を合併した症例を救命したので報告する。 腱索で修復した。術後MRは消失し、軽快退院した。 I − 22 I − 23 左房内に疣贅を有した感染性心内膜炎の 1 例 三尖弁位感染性心内膜炎に対する弁形成術 社会福祉法人三井記念病院 心臓血管外科 新潟県立新発田病院 嶋田正吾、三浦友二郎、木川幾太郎、福田幸人、宮入 剛 青木賢治、渡邉マヤ、大関 一 症例は59歳男性。腰痛を主訴に近医入院した際に炎症所見の高値を 症例は77歳、男性。化膿性脊椎炎のため入院。心エコーで三尖弁に 指摘された。血液培養にて連鎖球菌が検出され、また心エコーにて 最大径1.7cmの疣贅を認め、血液培養でEnterococcus faecalisを検出し 左房内疣贅および疣贅の陥入による僧帽弁閉鎖不全症を指摘され た。抗生剤点滴で炎症反応は消退傾向だが疣贅が退縮せず、弁逆流 た。感染性心内膜炎の診断で当科紹介となり、人工心肺下左房内疣 が高度なため手術を行った。感染による三尖弁破壊は著しく疣贅と 贅切除術を施行(疣贅は左房天井に付着し有茎性、僧帽弁は正常) ともに前尖約2/3を切除した。欠損部を自己心膜パッチ+人工腱索 し、術後経過良好であった。弁病変を有しない感染性心内膜炎は比 で再建した。遺残弁逆流は軽度。術後経過良好で炎症反応は陰性化 較的まれでありこれを報告する。 し退院した。三尖弁位感染性心内膜炎に対する弁形成術は稀であ り、報告した。 I − 24 I − 25 2 箇所の大動脈基部瘤を有する慢性期感染性心内膜炎に 大動脈弁位感染性心内膜炎に併発し解剖学的大動脈弁輪 対する瘤閉鎖、Bentall手術の一例 付着異常に伴い心外性に進展した感染性バルサルバ洞動脈瘤の一例 北信総合病院 心臓血管外科 自治医科大学附属大宮医療センター 心臓血管外科 大井啓司、吉田哲矢 堀大治郎、田中正史、山口敦司、安達秀雄、井野隆史 48歳男性。2006年 7 月咳嗽にて当院を受診。mild AR、大動脈基部 34歳男性、左片麻痺で発症の大動脈弁位感染性心内膜炎。エコーに 軽度拡大を認めたが、経過観察された。2007年 3 月心拡大、大動脈 て二尖弁、AR、弁尖の破壊像、疣贅、無冠尖弁輪部に 2 cm大の膿 基部拡大が出現。UCG上、ARの進行と基部のflap様構造物を認め 瘍腔を認め、大動脈弁無冠尖弁輪部膿瘍を伴う感染性心内膜炎の術 た。慢性大動脈解離、AAEの診断で手術を施行。大動脈弁は高度に 前診断で待機的に手術施行。弁輪付着異常に伴い弁輪下から心外性 破壊され、弁輪の 2 箇所に広範な基部瘤が認められた。flap様構造 に進展するバルサルバ洞底部動脈瘤を認め、活動期感染がないため 物は瘤壁の一部と考えられた。瘤内に感染組織を認めず、瘤の上縁 AVR+動脈瘤の自己心膜パッチ閉鎖術を施行した。術後経過良好。 −下縁を水平マットレスで直接閉鎖しBentall手術を行った。病理検 査は感染性心内膜炎であった。術後 4 週間抗生剤を投与した。 I − 26 I − 27 大動脈弁輪部膿瘍壁の破綻を来たした活動期PVEの 1 例 感染性心内膜炎による大動脈弁輪膿瘍右心房穿破の 1 手 千葉県循環器病センター 心臓血管外科 術例 丸山拓人、鬼頭浩之、林田直樹、松尾浩三、浅野宗一、平野雅生、 自治医科大学附属病院 心臓血管外科 大場正直、深澤万歓、村山博和 齊藤 力、坂野康人、田口昌延、森田英幹、相澤 啓、河田政明、 75歳、女性。ASに対するAVR (CEP19mm) の 7 週間後より風邪症状 上西祐一朗、大木伸一、立石篤史、小西宏明、三澤吉雄 出現。近医通院するも軽快なく当科受診。心エコーにて人工弁周囲 症例は57歳女性。歯周炎治療中に、発熱、下痢、その後完全房室ブ 膿瘍をみとめ、PVEの診断にて入院、手術となる。大動脈を切開す ロック、心不全で発症。心臓超音波検査で大動脈弁疣贅および逆 るとほぼ全周性の弁輪部膿瘍と、NCC弁輪部での大動脈後方への膿 流、さらに右心房へのシャント血流を認めた。血液培養陰性であり 瘍穿破をみとめた。膿瘍壁のデブリードマンの後、馬心膜にて裏打 心不全コントロール、歯科治療、抗生剤治療を行ない手術を行っ ちしたダクロンファブリックを用いて弁輪欠損部を再建し、 た。術中所見では大動脈弁輪膿瘍が弁下部に進展し右心房へ穿破し CEP21mmにてre-AVRを行った。 ているのを確認した。膿瘍腔をパッチ閉鎖し人工弁置換術を施行し た。 –9– 14:34∼15:14 虚血性心疾患 1 座長 I − 28 小 林 俊 也(聖マリアンナ医科大学) CABG周術期に血栓症をきたしたヘパリン誘発性血小板 I − 29 高度脳血管障害、ASOを合併した不安定狭心症に対し、 減少症の 1 例 IABPを挿入しOPCABを施行した一例 社会福祉法人三井記念病院 心臓血管外科 信州大学医学部附属病院 心臓血管外科 岡村裕輔、木川幾太郎、島田勝利、牧 祐歩、嶋田正吾、 駒津和宜、瀬戸達一郎、高橋耕平、寺崎貴光、和田有子、 福田幸人、宮入 剛 福井大祐、天野 純 症例は62歳、女性。狭心症に対してon pump CABG 4 枝を施行した 症例は77才、男性。ASOにてFF bypassの既往があり、両側内頚動脈 ところ、第 9 病日に著明な血小板減少を認めた。CABG周術期の血 狭窄、前大脳動脈狭窄にて近医にて経過観察されていた。一週間ま 小板減少は頻度が高く、その原因は多様である。当初はチクロピジ えより前胸部痛が出現し、CAG施行したところLMT+三枝病変を ンによる薬剤性血小板減少と判断した。しかし、2 本の静脈グラフ 認め、手術目的で当科紹介となった。脳循環保護のため、左総腸骨 トの早期閉塞をきたし、PCIの際にステント内血栓形成を認め、抗 動脈の狭窄をPTAで解除し、IABPを挿入した。OPCAB×3(LITA to ヘパリン抗体は陽性であった。ヘパリン誘発性血小板減少症の診断 LAD、SVG to 4PD、SVG to PL)を施行、脳合併症等認めず、術後 に至った症例を経験したので報告する。 経過は良好であった。 I − 30 I − 31 不安定狭心症を呈した大動脈炎症候群患者に対し冠動脈 冠動脈起始異常を伴う冠動脈−肺動脈瘻の一手術症例 バイパス術を施行した 1 例 1新潟市民病院 心臓血管外科 自治医科大学附属大宮医療センター 2新潟市民病院 救命救急センター 宇宿真一郎、安達秀雄、山口敦司、田中正史、岡村 誉、井野隆史 渡邉マヤ1、羽賀 学1、石川成津矢1、高橋善樹1、中澤 聡1、 症例は51歳女性。20歳代に大動脈炎症候群と診断されていた。平成 金沢 宏1、山崎芳彦2 18年12月胸痛自覚し近医受診した。平成19年 2 月の冠動脈造影検査 57才男性。狭心痛を主訴に他院受診。心臓カテーテル検査、MDCT (CAG) で♯5 50%、♯7 90%、♯10 90%であった為、♯7と♯10に により冠動脈−肺動脈瘻、冠動脈瘤と診断され当院紹介。体外循環 対しPCI施行された。同年 4 月再び胸痛を自覚した為CAG施行され 下に瘻閉鎖、瘤切除を施行。正常な左右冠動脈の他、肺動脈バルサ たところ♯5 75%と進行していた為冠動脈バイパス術 (CABG) の方 ルバ洞に異常冠動脈起始を認めた。この異常血管が左前下行枝と交 針となった。同年 5 月OPCAB 2 枝(RGEA to LAD、Proper hepatic 通し、瘤を形成、右室内腔との交通も認めた。瘤に流入する冠動脈 artery-composite SVG to PL) 施行した。文献的考察を含め報告する。 を結紮。更に瘤を開放し瘻孔閉鎖、流入血管を結紮した。術後胸痛 は消失し、外来経過観察中である。 I − 32 冠動脈右房瘻 (左主幹部−右心房) に対し開胸下瘻孔閉鎖 術を施行した 1 治験例 東京慈恵会医科大学 心臓外科 奥山 浩、橋本和弘、坂本吉正、石井信一、田口真吾、井上天宏、 香川 洋、山本和弘 46歳女性の患者で、2 年前の健康診断で初めて心拡大、不整脈を指 摘された。その後労作時息切れを訴えるようになり平成18年11月精 査来院となった。心筋シンチグラムでは虚血所見はなかったが、 MDCTにて拡大した左主幹部から上行大動脈後方を走行し右心房に 交通する冠動脈右房瘻を認め、カテーテル検査では52%の左−右短 絡を確認した。平成19年 3 月12日に開胸下に瘻孔を結紮閉鎖術を施 行した。 – 10 – 15:14∼15:54 虚血性心疾患 2 座長 I − 33 禰 屋 和 雄(帝京大学) I − 34 CABG術後24年でSVGに瘤様変化を来たした一手術例 先天性冠動脈狭窄が疑われ冠動脈形成術を行なった 1 手 財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 心臓血管外科 術例 盧 大潤、池永 茂、澤田貴裕、角田 優、宮島敬介、渡邉嘉之、 順天堂大学医学部 心臓血管外科 尾澤直美、真鍋 晋、文元建字、福井寿啓、下川智樹、新本春夫、 岩村 泰、山崎元成、井澤智彰、佐川直彦、齋藤洋輔、明石浩和、 維田隆夫、高梨秀一郎 松村武史、塩尻泰宏、菊地慶太、山本 平、丹原圭一、川崎志保理、 症例は78歳男性。1983年にCABG(SVG-LAD、SVG-OM)を施行。 天野 篤 2006年に胸部X-p上の異常陰影を指摘、精査にてグラフト瘤と診 症例;14歳男性。生来健康。運動中に突然心肺停止となりAEDにて 断。On-pump beatingにてCABG 1 枝 (LITA-LAD) を施行、瘤様変化 蘇生された。CAGを施行したところLMT入口部に99%の狭窄が指 を来たしているSVGはいずれも結紮した。若干の文献的考察を加え 摘され手術適応となった。手術は人工心肺使用下に左主幹部冠動脈 て報告する。 形成術を施行した。術後経過は良好であった。冠動脈狭窄の原因と して先天性冠動脈狭窄が疑われた。若干の文献的考察を加えて報告 する。 I − 35 MRを合併した虚血性心筋症に対してPPM approximation、 I − 36 難治性VTを併発したAMI後VSPにDor手術を施行した 1 MVP、 CABG、 Dor手術を行った 1 例 治験例 山梨県立中央病院 心臓血管外科 群馬県立心臓血管センター 心臓血管外科 中島雅人、土屋幸治、岡本祐樹、矢野清崇、小林辰輔 岡田修一、金子達夫、江連雅彦、佐藤泰史、長谷川豊、大木 茂、 症例は54歳男性。OMI、MR、APによる心不全のため入退院を繰 滝原 瞳 り返し、内科治療が困難となり手術目的に転院した。LVDs74mm、 症例は63歳男性。AMI (前壁梗塞) で他院にてPCI施行されるも不成 EF23%、MR (II) でhANPの持続点滴を必要とした。術前IABPを挿入 功で保存的に治療を行っていた。17日目に心タンポナーデから し、PPM approximationを伴う左室形成(Dor)手術とPhysio ring ショックになり心嚢穿刺施行、IABP挿入して当院転院となった。 (24mm) によるMVP、 CABG (SVG-HL、SVG-PDA、 SVG-RCA) を 左室瘤と心尖部付近にVSPを認めた。また難治性のVTも頻発した。 行った。術後経過は良好で16病日に退院した。 Dor手術とLV cryoablation施行し、術後は一度もVT認めることなく 退院となった。文献的考察を含めて報告する。 I − 37 食道亜全摘・胸骨後胃管再建後の心破裂に対して左開胸 下心嚢ドレナージ、止血術を施行した 1 例 東京慈恵会医科大学附属柏病院 心臓外科 配島功成、阿部貴行、花井 信、長沼宏邦、川人宏次 症例は67歳女性。食道癌に対する食道亜全摘・胸骨後胃管再建術の 既往がある。AMI (LCX#11 100%) 発症 3 病日にoozing typeの心破 裂を起こし、心停止となった。胸骨後胃管再建の既往があるため、 左開胸でアプローチし、心嚢ドレナージ、圧迫止血術を行い、救命 したので報告する。 – 11 – 第 II 会場 (中会議室201号) 9:30∼10:18 弁膜症 1 座長 II − 1 小 寺 孝 治 郎 (東京女子医科大学東医療センター) II − 2 大動脈 4 尖弁による大動脈弁閉鎖不全症の 1 例 80歳以上の高齢者に対する大動脈弁置換術の経験 高瀬クリニック 心臓血管外科 医療法人徳洲会大和徳洲会病院 心臓血管外科 松濱 稔、角野 聡 中田弘子、中村勝利、伴 哲雄、寺田 康 大動脈 4 尖弁は極めてまれとされている。我々は大動脈 4 尖弁の 症例 1;83歳、男性。急性心不全で発症、冠動脈造影で#6 および 1 例を経験したので文献的考察を加え報告する。症例は70歳、男 #7 に各々75%狭窄を認めた。AR II˚、maxΔPG50mmHg、EF54 性。13年前より大動脈閉鎖不全症を指摘されていたが、今回の経胸 %。ASR、APの診断で発症後 1 ヶ月に大動脈弁置換術(Mosaic 壁心臓超音波検査にて、大動脈弁閉鎖不全症の増悪及び心拡大が指 21mm) および 1 枝冠動脈バイパス術 (SVG) を施行した。症例 2;82 摘され大動脈弁置換術の方針となった。術中経食道心臓超音波検査 歳、女性。52歳時に急性心不全で発症。ARと診断され以後外来通 にて大動脈 4 尖弁の診断にいたり、手術所見はHurwitzの分類typeC 院。定期心エコー検査でmoderateAR、LVDd56mm、EF52%と左心 であった。大動脈弁置換術を施行し経過は順調である。 室機能低下を認めたため大動脈弁置換術(Mosaic19mm)を施行し た。 II − 3 二尖弁に対するstentless生体弁を使用した手術手技の工 II − 4 Freestyle弁壁の突然の破裂によりショックに陥った一例 夫 町田市民病院 心臓血管外科 医療法人鉄蕉会亀田総合病院 心臓血管外科 水野友裕 加藤雄治、外山雅章、加藤全功、古谷光久、呉 海松、野澤幸成、 症例は31歳、女性。7 年前(subcoronary法)と 4 年前(full root法)に 原澤慶太郎 Freestyle弁を用いた大動脈弁置換術の既往あり。今回、突然の激し 当施設では二尖弁を含めAS症例に対して積極的にstentless生体弁を い眩暈、血圧低下のため救急搬送され、CTで右室流出路の高度狭 用いたModified subcoronary法によるAVRを行っている。二尖弁症例 窄、切迫閉塞を認め、緊急手術を施行。胸骨切開後より激しい動脈 ではしばしば左右冠動脈の開口位置異常を伴うことが多く、full root 性出血が見られたため、超低体温循環停止下に剥離し、full root法 法や機械弁が選択される傾向にあるが、手術的工夫を加えることに で置換されたFreestyle弁壁に約 8 mmの破裂孔を認めた。破裂、出 よりsubcoronary法にても十分対応可能であり、最近経験した左右冠 血による右室流出路高度狭窄が原因と診断した。破裂孔の直接閉鎖 動脈開口部が60˚と180˚に位置していた 2 症例を踏まえて報告する。 により止血、救命した。 II − 5 II − 6 Free-Style生体弁によるAVR後人工弁機能不全に対し、 AR、STJの拡大を伴う胸部大動脈瘤に対しSTJの縫縮と 再弁置換および上行大動脈置換を行った 1 例 大動脈弁形成術を施行した 1 例 東京慈恵会医科大学附属柏病院 心臓外科 1総合病院成田赤十字病院 心臓血管外科 阿部貴行、益子健男、長沼宏邦、花井 信、川人宏次 2総合病院成田赤十字病院 呼吸器外科 症例は74歳男性。Free-Style生体弁を用いたAVR後 5 年目に、心不 土居厚夫1、飯田浩司1、砂澤 徹1、星野英久2 全症状を呈したため心エコー行ったところ、severeARが指摘され 76歳女性。AR III˚、STJ 29mmで最大径60mmの胸部大動脈瘤を認め た。術中所見では、生体弁の左冠尖に相当する部分に亀裂が入って 手術施行。Subcommisural plication、cusp plication及びcusp raspingを おり、valve on valve法で、MOSAIC生体弁19mmによる再弁置換+ 施行した後、中枢側を23mmにtaperした28mm人工血管をSTJに縫合 上行大動脈置換を施行し、良好な結果を得たので報告する。 することにより縫縮。術中内視鏡にて大動脈弁のcoaptationを確認。 術後TEEにてAR trivial、経過良好にて独歩退院。 – 12 – 10:18∼11:06 弁膜症 2 座長 II − 7 古 梶 清 和(慶應義塾大学) 放射線治療で胸骨が腐骨化したAS患者に右開胸にて II − 8 大動脈弁置換術を行った原発性アミロイドーシスの 1 例 AVRを施行した 1 例 国家公務員共済組合連合会虎の門病院 東京都済生会中央病院 心臓血管外科 佐藤健一郎、成瀬好洋、田中慶太 田中秀弥、大坪 諭、藤邑尚史、竹内成之、廣谷 隆 症例は59歳男性。3 年前に原発性アミロイドーシスと診断され、1 症例は76歳女性。AS (AVA : 0.7cm2、max PG :108mmHg)の診断で 年前に腎アミロイドーシスによる慢性腎不全のため、血液透析を導 AVRを予定したが、1970年に左乳癌に対して左乳房切除+腋窩リン 入された。心臓超音波上、高度左室拡大、左室機能の低下を伴う大 パ節郭清+放射線療法を施行した影響で、胸骨柄および左肋骨の骨 動脈弁閉鎖不全症を認め、大動脈弁置換術を行った。術後は、アミ 破壊像を認め、胸骨前面に有瘻性の皮膚潰瘍を形成していた。胸骨 ロイドーシスに伴う易出血性、肝不全等の合併症を認め、血漿交換 正中切開による手術は困難と考え、左側臥位による右側方開胸でア を必要としたが、術後54病日目に死亡した。剖検所見とともに報告 プローチしAVRを施行した。術後の経過は良好で、胸骨前面の皮膚 する。 潰瘍が感染を起こすこともなく、術後36日目に退院した。 II − 9 Starr-Edwardsボール弁による僧帽弁置換術後15年後に妊 II − 10 高度石灰化僧帽弁輪を伴う僧帽弁逸脱症、僧帽弁逆流 娠希望し生体弁へ再置換術を施行した若年女性の症例 症、三尖弁逆流症、虚血性心疾患、心房細動に対して僧帽弁形成術 東京女子医科大学東医療センター 心臓血管外科 +三尖弁輪形成術+冠動脈バイパス術+MAZE手術により軽快を得 山口晶子、小寺孝治郎、浅野竜太、村井則之、佐々木章史、 た一症例 片岡 豪、池田昌弘、道本 智、中野清治 総合病院国保旭中央病院 心臓外科 症例は30歳女性。5 歳時にASD直接閉鎖術をその後、MRに対し 峯岸祥人、樋口和彦、稲葉博隆、大澤 宏 Starr-Edwards弁によるMVRを施行。以降25年間、特に大きな問題は 症例は79歳女性。2007年 1 月より動悸、息切れを自覚。精査にて高 認めなかったが、挙児を希望したため、生体弁による再置換術を 度石灰化僧帽弁輪を伴う僧帽弁逸脱症、僧帽弁逆流症、三尖弁逆流 行った。摘出した弁自体に機能不全はなかったが、左室、左房両側 症、虚血性心疾患、心房細動の診断。術中、高度石灰化僧帽弁輪の にパンヌスの形成を認めた。術後経過は良好で、12PODに軽快退院 ため弁置換術は困難と判断し、僧帽弁輪形成にAlfieri法を追加した した。 僧帽弁形成術+三尖弁形成術+冠動脈バイパス術+MAZE手術を施 行し、軽快を得た。 II − 11 Port-Access法を用いた僧帽弁狭窄+三尖弁閉鎖不全に対 II − 12 ヘパリン起因性血小板減少症患者に対し、人工心肺下に する同時手術例 弁置換手術を施行した一例 慶應義塾大学病院 心臓血管外科 東京大学医学部附属病院 心臓外科 宮木靖子、工藤樹彦、四津良平、古梶清和、木村成卓、田野敦子、 梅木昭秀、小野 稔、本村 昇、河田光弘、高本眞一 高橋辰郎 症例は77歳女性。歯科治療後の胸部絞扼感を契機に、重度の僧帽弁 当科では僧帽弁疾患、ASDなどではport-access法を第一選択として 狭窄症、左房内巨大血栓、心房細動などが指摘された。ヘパリン起 手術を行っている。通常僧帽弁手術時は経大腿静脈からの 1 本脱血 因性血小板減少症 (HIT) であることが術前に判明したため、アルガ 下にて手術を行うが、本症例では、上大静脈に脱血を追加した 2 本 トロバンにて人工心肺を維持させたうえで、僧帽弁置換(CE25) 、 脱血を確立の後、右房切開・ring annuloplastyの後、右房を閉鎖。次 左房内血栓除去、Maze手術を施行した。術中、術後とも大きな問題 いで右側左房切開下に僧帽弁置換術を施行した。我々のport-access なく経過し、20PODに洞調律で退院となった。HIT患者に対し人工 のstandard procedureに変更を加えることにより、適応を拡大するこ 心肺下手術を施行した希な症例を経験したので報告する。 とが可能な症例であった。 – 13 – 11:06∼12:02 成人先天性心疾患 座長 II − 13 小 出 昌 秋(聖隷浜松病院) 僧帽弁閉鎖不全症を合併した高齢者動脈管開存症 (PDA) II − 14 成人のダウン症、心室中隔欠損症の一手術例 再手術の 1 例 聖マリアンナ医科大学病院 心臓血管外科 医療法人社団愛友会上尾中央総合病院 心臓血管外科 永田徳一郎、近田正英、小林俊也、村上 浩、柴田 講、 保々恭子、華山直二、梅津健太郎、嶋田直洋、高沢有史 大野 真、千葉 清、遠藤 仁、幕内晴朗 症例は81歳、女性。68歳時他院にて、左側開胸による動脈管結紮術 症例は34歳女性。生後まもなくダウン症、心室中隔欠損症と診断さ を行ったが、術後動脈管が開存していた。僧帽弁閉鎖不全症増悪と れたが手術は施行されず、他院で経過観察されていた。34歳時に当 心不全症状を認め、再手術となった。正中開胸し、体外循環を確立 院を紹介され、心エコーでVSD、high flow、PHと診断され、手術適 し心停止下に主肺動脈を縦切開した。肺動脈内腔よりPDAを確認し 応がありそうなため心カテ後、肺動脈絞扼術と肺生検を施行。心カ FoleyカテーテルをPDAより大動脈側に挿入して視野を確保し、直 テ、肺生検で手術適応あり、根治術施行。ダウン症のhigh flow、 接閉鎖した。続いて、僧帽弁輪にPhysio ring 26mmを縫着し逆流は VSDでは、本邦最高齢と思われ、文献的考察を併せて報告する。 消失した。経過良好で術後20日目に退院した。 II − 15 Shone’ s syndrome (大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症+僧帽弁狭 II − 16 成人期に診断されたScimitar症候群に対して異常肺静脈 窄兼閉鎖不全症+大動脈縮窄症) の一手術例 左房直接吻合法により根治した一例 獨協医科大学病院 胸部外科 東京医科歯科大学医学部附属病院 心肺機能外科 柴崎郁子、望月吉彦、島村吉衛、山田靖之、井上有方、三好新一郎 小林直紀、荒井裕国、田中啓行、田村 清、伊藤聡彦、染谷 毅、 37歳男性。3 歳時に大動脈縮窄症、PDA、PHと診断されるが放置し 牛山朋彦 以後は無症状だった。H18年 8 月頃より心不全症状を認め精査目的 症例は2 2 歳男性。胸部X 線にて右肺野に異常陰影を指摘され、 で入院。心エコーやカテーテル検査にてASR+MSR+大動脈縮窄症 3DCT、心臓カテーテル検査にてScimitar症候群 : Qp/Qs = 1.9、ASD と診断された。上記の診断に対しAVR (SJM21) +MVR (SJM21) +上行 (−) と診断された。胸骨正中切開、常温体外循環にて異常肺静脈を −下行大動脈バイパス術 (インターガード12mm) を施行した。僧帽 離断し、左房に直接吻合した。術後 3DCTにて異常肺静脈吻合部の 弁はShone’s syndrome の特徴であるsupravalvular ringを認めた。稀 良好な形態が確認され経過は良好であった。若干の文献的考察を加 な疾患を経験したので報告する。 え報告する。 II − 17 高度肺高血圧・低酸素血症を合併した36歳女性多脾症候 II − 18 片肺Rastelli 手術後の右肺動脈狭窄に対する再手術の 1 例 群例に対する心内修復術の経験 横浜市立大学医学部附属病院 心臓血管外科 1自治医科大学附属病院 とちぎ子ども医療センター 小児心臓血 安田章沢、寺田正次、磯松幸尚、町田大輔、益田宗孝 管外科 症例は20歳男性。VSD+ PAで 5 歳時Rastelli手術施行。術後左肺動 2自治医科大学附属病院 心臓血管外科 脈の閉塞を認めた。右肺動脈の狭窄に対し18歳時心外導管除去、右 3日本肺血管研究所 室流出路パッチ拡大術を試みるも右肺動脈狭窄部の拡大は困難で 河田政明1、立石篤史1、上西祐一朗2、八巻重雄3 あった。StentによるPTA施行するも不成功に終わった。今回、右肺 長期間専門的医療歴のないまま経過していた36歳女性の多脾症候 動脈をリング付き人工血管で再建、右室流出路はbulging sinus 2 弁 群、体静脈還流異常、単心房、房室中隔欠損、左右両側房室弁逆流 付きのePTFE人工血管で再建し、術前100mmHgを示した右室圧は術 による高度肺高血圧、低酸素血症に対し、肺生検による肺血管病理 後45mmHgと改善を認めた。 診断に基づきペースメーカー植え込み・体/肺静脈還流修復を含む 心内修復術を施行した。肺動脈圧は術前86/から50−60/へと推移 し、QOLの改善が得られた。 II − 19 AAE、AS(二尖弁)、CoA、TAAに対しTAR、Bentall手 術を同時施行した症例 東京女子医科大学病院 心臓血管外科 腰山 宏、青見茂之、冨岡秀行、石田 徹、森元博信、八田一葉、 斎藤 聡、宮城島正行、黒澤博身 症例は21歳男性。診断は大動脈弁輪拡張症 (AAE)、胸部大動脈瘤 (TAA) 、大動脈弁狭窄症 (AS) 、先天性二尖大動脈弁、大動脈縮窄 症 (CoA) 。生後 1 ヶ月に心雑音を指摘され精査にてAS、CoAと診断 された。10歳時ASに対し経皮的バルーン大動脈弁切開術を施行し た。その後徐々に上行弓部大動脈の拡大を認めたためBentall、全弓 部置換術(TAR) を施行した。術後経過は良好であった。 – 14 – 13:30∼14:10 先天性心疾患 1 座長 II − 20 鈴 木 章 司(山梨大学) RSウィルス感染後に施行した右心バイパスの術後呼吸 II − 21 心原性脳塞栓を発症し、embolic sourceの除去と僧帽弁形 管理に難渋した 1 例 成を要した幼児例 順天堂大学 心臓血管外科 筑波大学附属病院 心臓血管外科 川崎志保理、山本 平、山崎元成、菊地慶太、丹原圭一、天野 篤 今井章人、金子佳永、池田晃彦、徳永千穂、平松祐司、榊原 謙 症例は 1 才男児。診断はDORV、PS、hypoplastic LVの機能的単心 1 歳 3 ヶ月の女児。基礎疾患なし。発熱から 3 日後突然の強直性 室。術前の肺動脈圧、肺血管抵抗に問題なし。術前40日前にRSウィ 痙攣に続いて右不全片麻痺を発症。MRAで左中大脳動脈起始部の ルス感染を発症するも抗体は陰転化していた。1 才時に体外循環下 閉塞を、心エコーで僧帽弁後交連部に径 2mm程の可動性乳頭構造 に右BCPS、左BCPCを施行した。術直後のCVP 13mmHg、O2SAT86 と中等度MRを認めた。IEまたは心腫瘍と考え 4 週後に塞栓源除去 % (FiO2:0.4) 。1 病日より高CO2血症を発症し再挿管。呼吸管理に と一側Kay-Reedによる弁形成施行。病理所見上myxoma様変化に炎 難渋するも、2 ヵ月後突然改善し良好な経過をたどる。特異な経過 症所見が混在し、確定診断には至らなかった。基礎疾患のない幼児 を呈した他のRSウィルス感染後の体外循環使用症例とともに考察を のIEまたはmyxomaによる脳塞栓は稀であり治療経過を検証しつつ 加え報告する。 報告する。 II − 22 II − 23 喀血を繰り返した原因不明のlt.PV atresiaの一治療経験例 冠動静脈瘻による僧帽弁上狭窄の一例 長野県立こども病院 心臓血管外科 東京大学医学部附属病院 心臓外科 豊田泰幸、木村光裕、西野貴子、打田俊司、原田順和 木下 修、村上 新、川島 大、藤崎正之、竹内 功、高本眞一 症例は 3 歳女児。生後 3 カ月時にPDAに対してclipping術施行。3 歳 1 歳女児。出生後、心不全症状出現。心カテでLADとLCXを分岐後 頃より原因不明の喀血を反復。胸部造影CTにて lt.PV atresiaと判 に冠状静脈洞へ開口する冠動静脈瘻を認め、手術。術前心エコーで 明。心カテにて lt.PCWP 26mmHg。なおPDA clipping時は心エコー 僧帽弁上狭窄を指摘されるも、術中心停止下では左房内で冠動静脈 上、lt.PVのLAへの還流を認めていた。喀血の原因は詳細は不明で 瘻と僧帽弁上狭窄ともに確認できず、LCX分岐直後で冠動静脈瘻を あるが、PV atresiaに伴う末梢肺静脈圧亢進などが考えられた。本症 心外膜側で結紮。術後心不全は改善したが、数ヵ月後に僧帽弁上狭 例に対し人工心肺下にLt.PVと左心耳吻合を施行し良好な結果を得 窄出現。1 歳時に紹介再手術。僧帽弁上の左房後壁が突出し、心房 たので報告する。 筋内に瘻孔血管あり。瘻孔血管切除により僧帽弁上狭窄は改善し た。 II − 24 TOF術後遠隔期における高度PRに対してPVRを施行し た一例 長野県立こども病院 心臓血管外科 西野貴子、豊田泰幸、木村光裕、打田俊司、原田順和 14歳男児。25W、728gで出生。生直後より心雑音認め、TOF、PDA と診断された。2 歳時にrt mBTを施行。3 歳時にVSD patch closure、RVOTR (monocusped) を施行。その後PRの増加、RVの拡大 による右心不全症状が進行し、PVR(CEP23mm) を施行。術後軽度 PHは残存しているがRVEDV:229→142%Nとなり、QOLは著明に 改善した。 – 15 – 14:10∼14:50 先天性心疾患 2 座長 II − 25 宮 地 鑑(北里大学) II − 26 大動脈弓離断症に大動脈肺動脈窓を合併した一手術例 大動脈弓離断症 (A型) を合併したAortopulmonary window 財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 心臓血管外科 の 1 治験例 片山雄三、安藤 誠、平林朋子、田中睦夫、関 宏、中田雅之、 神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科 和田直樹、朴 仁三、高橋幸宏 小坂由道、麻生俊英、武田裕子、梶原敬義 症例は 4 ヶ月男児。3 ヶ月健診で心雑音を指摘、精査にてIAA (A) 、 満期2958gで出生。6 日齢、顔色不良で当院へ救急搬送。受診時下 AP window、PDA、PHの診断。手術;大動脈弓を再建後、右肺動脈 肢動脈圧触知不能。エコーでIAA、AP windowを診断しPGE1を開 とwindow間を切離するように主肺動脈をflap状に切離し、同flapを 始。既にMOF、 DICを認めたため挿管下に内科的治療を行った後、 用い上行大動脈を修復。主肺動脈は自己心膜を用いて修復した。術 日齢 8、人工心肺下にAP windowをパッチ閉鎖し、IAAを端々吻合 後経過は良好で軽快退院された。 で修復した。手術 2 日後に抜管。術後12日軽快退院した。本疾患の 合併は急速かつ重篤な呼吸循環不全に陥ることが知られているがそ の頻度は稀である。我々の経験を報告する。 II − 27 II − 28 AV groove patch plasty を施行したSDL型DORVの 1 例 Combination patch法によるseptationを施行したtotal inlet- 1東京都立八王子小児病院 心臓血管外科 trabecular septal defectの 1 治験例 2筑波大学附属病院 心臓血管外科 東京女子医科大学病院 心臓血管外科 厚美直孝1、吉井 剛1、中山至誠1、平松祐司2 渕上 泰、石原和明、坂本貴彦、岩田祐輔、山本 昇、松村剛毅、 3 歳男児。診断は、DORV、l-malposition、PS.Qp/Qs 2.3、Rp 0.51、 山崎 暁、小林 豊、梅田悦嗣、鈴木憲治、久米悠太、黒澤博身 RV 99/ 、mPA 22/8。右側房室間溝と右冠動脈の間で右室を縦切開 症例は 3 歳女児。Total inlet-trabecular septal defectの診断で生後 1 ヶ し、一弁付パッチで流出路再建した。閉胸前の右室圧は81/ (RV/ 月時にPA bandingを施行し、今回combination patchによるseptationを LV=0.76) 、術後の心エコーでRV-PAの圧較差は55 mmHgであった 施行した。術後はsinus rhythmで経過良好であった。 が、術後経過良好で10日目に退院。術後 8 ヶ月の心カテで右室圧は 31/(RV/LV=0.32) 、良好な右室流出路形態が確認された。 II − 29 肺静脈狭窄をくりかえす総肺静脈還流異常を合併した無 脾症に対する肺静脈形成術の工夫 社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷浜松病院 心臓血管外科 杉浦唯久、小出昌秋、國井佳文、梅原伸大、渡邊一正、松尾辰朗 Asplenia、SRV、TAPVC(III)の診断で生後13日にTAPVC repairと PABを行った。1 歳時に右肺静脈狭窄に対してパッチ拡大術を、1 歳 8 ヶ月時に左肺静脈狭窄に対してSutureless Methodによる拡大術 を行った。1 歳10ヶ月時に右肺静脈再狭窄に対してステント留置術 を行い、今回左肺静脈再狭窄に対して心嚢外での上下肺静脈端々吻 合、肺静脈上大静脈側々吻合による再建術を行った。 – 16 – 14:50∼15:38 先天性心疾患 3 座長 II − 30 川 崎 志 保 理 (順天堂大学) Williams症候群、大動脈弁上狭窄症に対し同種肺動脈 II − 31 Shaher 5A型、両側冠動脈壁内走行を伴うTGA 1 型に対 パッチを用いたBrom手術を施行した 1 例 しMEE変法を施行した一例 北里大学病院 1横浜市立大学医学部附属病院 心臓血管外科 板谷慶一、宮地 鑑、宮本隆司、井上信幸、鳥井晋造、三好 豊、 2神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科 山本信行、小原邦義 町田大輔1、益田宗孝1、麻生俊英2、寺田正次1、磯松幸尚1、安田章沢1 症例は 6 歳男、Williams症候群、大動脈弁上狭窄 (砂時計型) 、両側 症例は日齢13、男児。生直後より全身性チアノーゼを認めUCGにて 肺動脈末梢狭窄を診断される。圧較差の進行を認め、評価のカテー TGA (1) 、PDA、restrictive PFOの診断で緊急BAS施行。UCG・CAG テルで40mmHgの圧較差を認めた。術中所見で大動脈弁は 3 尖で左 にて冠動脈はShaher 5A型、両側冠動脈とも壁内走行し冠動脈口は 右冠動脈入口部付近に外径10mmの狭窄部と左冠動脈口遠位部に 交連部に近いと診断された。生後13日にASO施行。冠動脈は術前診 ridgeを認めた。同種肺動脈をパッチとして用いたBrom手術を施行 断通りで両側冠動脈ボタンを作成するMEE変法を選択した。術後経 し、エコー上圧較差を認めていない。現在術後 6 ヶ月で経過良好で 過良好で軽快退院した。 ある。 II − 32 II − 33 漏斗部中隔欠損を伴う両大血管左室起始症の 1 治験例 5 ヶ月女児の突然発症した大動脈弁・僧帽弁逆流に対し 東京女子医科大学心臓病センター 心臓血管外科 Ross-Konno手術、MVRを施行した一例 久米 悠太、岩田祐輔、石原和明、坂本貴彦、山本 昇、松村剛毅、 埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科 山崎 暁、小林 豊、鈴木憲治、渕上 泰、黒澤博身 岩崎美佳、加藤木利行、枡岡 歩、鈴木孝明、許 俊鋭 症例は、完全大血管転移症 2 型、大動脈縮搾に対し、日齢11日に、 症例は 5 ヶ月女児。生来健康であったが、突然嘔吐出現、心疾患疑 BAS施行後に鎖骨下動脈フラップ術、肺動脈絞扼術を施行。日齢48 いで当院搬送。心エコーにて高度のAR・MRと診断。大動脈弁形成 日に根治術予定となった。術中所見より漏斗部中隔欠損を伴う両大 術・僧帽弁形成術を施行。大動脈弁は右冠尖が無冠尖との交連部付 血管左室起始症と診断。大動脈スイッチ術、心内血流転換術とも 近で断裂・prolapseしており、僧帽弁腱索が断裂していた。術後、 に、術後の大動脈弁下狭窄、肺動脈弁下狭窄が予想されたため、 大動脈弁形成部の再断裂が原因と考えられる心不全の増悪を認めた Rastelli手術を施行し、良好な結果を得たので報告する。 ため、15POD Ross-Konno手術、 僧帽弁置換術施行。経過良好の ため術後39日目退院となった。 II − 34 中心肺動脈欠損を伴う単心室症に対するo f f p u m p II − 35 PSVTを伴った無脾症に対し不整脈手術とextracardiac extracardiac TCPC手術 TCPCを同時に行った 3 例の経験 茨城県立こども病院 心臓血管外科 千葉県循環器病センター 心臓血管外科 金本真也、阿部正一、坂有希子、五味聖吾 丸山拓人、松尾浩三、林田直樹、鬼頭浩之、浅野宗一、平野雅生、 中心肺動脈欠損を伴う単心室 2 症例に対して、off pump extra car- 大場正直、村山博和 diac TCPC手術を行った。心外導管は14mmと16mmを使用、bidirec- 症例はAsplenia、SV、PAまたはPSの 4 歳女性、4 歳男性、13歳男 tional Glenn手術時に再建した中心肺動脈にGore-Tex製のpouchを縫 性。BTSなどを経てBDGを行った後、Fontan型手術待機中であった 着、次回TCPC手術時にoff pump操作が容易に行えるよう考慮した。 が、PSVT発作を繰り返しRFCAが無効であった。全例心房内の 下大静脈側の導管吻合は単純遮断下に行った。本症例における cryoablationとextracardiac TCPCを行い、うち 2 例では同時にペース Fontan手術到達までの治療戦略について、本術式の選択を含めて考 メーカー植え込みを行った。全例NYHAI˚で外来follow up中であ 察する。 る。 – 17 – 第 III 会場(中会議室202) 9:30∼10:10 肺癌 1 座長 III − 1 齋 藤 誠(東京医科大学霞ヶ浦病院) 肺化膿症術後20年目に肺癌で残肺中葉切除を施行し得た III − 2 術前 1 秒量0.81Lであった重症COPD合併肺癌の 1 切除 1例 例 東京医科大学 呼吸器外科 1東邦大学医学部附属大森病院 呼吸器外科 角田佳彦、佐治 久、宮島邦治、臼田実男、梶原直央、内田 修、 2東邦大学医学部附属大森病院 病院病理科 大平達夫、坪井正博、平野 隆、加藤治文 牧野 崇1、笹本修一1、大塚 創1、福森和彦1、田巻一義1、 症例は60歳、男性。1987年肺化膿症で右肺下葉切除施行。健康診断 秦 美暢1、高木啓吾1、中山晴雄2、密田亜希2、長谷川千花子2、 にて腫瘤陰影を指摘され2006年12月当科初診。右S4原発性肺腺癌、 渋谷和俊2 c-T2N0M0:IBと術前診断。2007年 1 月、手術施行。胸腔内は高度 70歳男性。Hugh-Jones 2˚で術前 1 秒量0.81Lであった重症COPDに合 に癒着、下葉支断端付近は肺動脈と線維性に癒着しており、上葉 併した肺腺癌 (C-T2N0M0) に、術前リハビリテーションを行い左上 支・中間幹分岐部を露出して気管支処理を先行させた後、肺動脈上 葉切除術を施行した。肺換気血流シンチによる術後予測 1 秒量は 幹末梢で肺動脈を処理し、残肺全摘することなく中葉切除を施行し 0.68Lであった。術後経過は良好で 1 ヵ月の 1 秒量は0.72Lと低下は えた。 軽微であり、術後予測 1 秒量はunderestimateであった。 III − 3 III − 4 気管腺様嚢胞癌の 1 例 緩徐な増大傾向を示し、画像上結節影を呈したクララ細 東海大学医学部外科学系呼吸器外科学 胞型細気管支肺胞上皮癌の 1 例 中里顕英、渡邊 創、中村雄介、増田大介、中川知己、増田良太、 1総合病院長岡赤十字病院 呼吸器外科 井上芳正、岩崎正之、井上宏司 2長岡赤十字病院 症例は40歳代男性。半年前より喘息様症状を認め近医で加療されて 小池輝元1、富樫賢一1、江村 巌2 いた。2007年春、呼吸苦増悪のため前医に緊急入院となり、CTで 症例は69歳女性。既往歴は48歳時右乳癌、60歳時に左乳癌にて手 気管腫瘍と右上葉主体の肺炎を指摘。当院に転院搬送となった。来 術。左乳癌術前のCTにて左肺S9に径約0.8cm大の結節影指摘、69歳 院時のCTでは気管分岐部より 3cm上方の気管左側壁から内腔へ突 時のCTにてわずかに増大、転移性肺腫瘍を疑って手術を施行。術 出する19×13×17mmの軟部陰影を認めた。肺炎の治療後、右後側 中迅速診断にて腺癌で原発性肺癌の診断であり、また永久病理結果 方開胸にて 4 気管輪を環状切除し、端々吻合で気管を再建した。術 ではクララ細胞型細気管支肺胞上皮癌の診断であった。同組織型の 後の病理診断では腫瘍頭側および尾側断端が陽性であり、放射線照 画像所見の特徴は、比較的高濃度の結節影を呈し、明らかな胸膜陥 射を予定している。 入像を伴わない。また、病理組織所見についても供覧する。 III − 5 肺癌術後に転移を疑った肝腫瘍 1国立がんセンター東病院 呼吸器外科 2国立がんセンター東病院 上腹部外科 中村亮太1、吉田純司1、高橋進一郎2、中尾将之1、川瀬晃和1、 高橋健司1、西村光世1、永井完治1 54歳男性。右肺癌に対し2002年11月右肺上葉切、リンパ節郭清を施 行。中分化型腺癌、病理病期 2Bであった。2005年11月の腹部エ コーで単発の肝腫瘍を認め、CT、MRIで肝転移と診断。化学療法を 2 コース施行しSDであった。その他に明らかな転移を認めないため、 2006年 3 月肝部分切除を施行。病理病期 2 の胆管癌であった。肺 癌の肝転移は予後不良であるが、単発の場合肝原発癌の可能性も考 慮する必要がある。 – 18 – 10:10∼10:50 肺癌 2 座長 III − 6 吉 田 純 司(国立がんセンター東病院) 術前化療後に左残肺全摘術を行った異時性多発肺癌の一 III − 7 両側性同時多発肺癌に対し、胸骨正中切開にて一期的根 例 治術を施行した 1 例 東京医科大学霞ヶ浦病院 呼吸器外科 新潟県立がんセンター 呼吸器外科 齋藤 誠、石田順造、山口 学、古川欣也 保坂靖子、吉谷克雄、大和 靖、小池輝明 75歳男性。1988年前医で肺扁平上皮癌にて左上葉切除pt1n0m0 65歳女性。人間ドックの胸部レントゲンで異常を指摘された。CT StageIA。以後別の前医にて経過観察中、胸部XP異常影認め、2005 で右S1 と左S3 に異常陰影を認め、精査の結果、両側肺腺癌、各々 年11月当院受診し、TBLBにて肺扁平上皮cT2N2M0 StageIIIAにて入 cT1N0M0であった。両側性同時多発肺癌に対し、胸骨正中切開にて 院。CBDCA+PTXを 2 コース試行後 (判定MR) 、手術を行った。術 右上葉切除+ND2a、左S3 区域切除+ND1 を施行した。術後経過良 前合併症:高血圧、糖尿病、間質性肺炎。第VI肋骨床開胸。残肺は 好にて術後12日目に退院した。病理検査の結果は両方とも腺癌、野 胸壁、縦隔と強く癒着しこれを剥離し、心嚢内でPA、PVを処理。 口分類typeCで右はpStage IA、左はpStage IBであった。両側性同時 術後病理は♯7、11に転移有pt2n2m0 StageIIIAで治療効果は極軽度 多発肺癌に対し胸骨正中切開にて一期的根治術を施行した 1 例を経 (Ef Ia) 。術後17ヶ月健存。 III − 8 験したので報告する。 上大静脈浸潤肺癌に対し上大静脈合併右上葉切除、上大 III − 9 肺葉切除術後に中葉軸捻転を呈した 1 例 静脈再建を行った 1 例 1前橋赤十字病院 新潟大学医歯学総合病院 第二外科 2群馬大学医学部 第 2 外科 篠原博彦、土田正則、橋本毅久、佐藤征二郎、竹重麻里子、 伊部崇史1、上吉原光宏1、竹吉 泉2 武内 愛、林 純一 80歳、男性。心筋梗塞の既往あり。2004年検診で胸部異常陰影を指 症例は65才男性。検診にて発見された最大径6.5cmの腹部大動脈瘤 摘されたが放置していた。2006年 3 月当院受診しCT所見上肺癌が 精査時に右上葉に6.2cmの腫瘤を指摘され、気管支鏡検査にて扁平 疑われ、当科へ紹介された。6 月VATS生検を行い、迅速診断の結 上皮癌と診断、上大静脈への浸潤を認めcT4N0M0 stageIIIBと診断さ 果が腺癌であったため、一期的に右肺上葉切除・リンパ節郭清を れた。腹部大動脈瘤に対し人工血管移植術を行った22日後に開胸術 行った。術後 1 日目に突然、泡末様血性痰が出現し気管支鏡・CT を行った。腫瘍は上大静脈へ広い範囲で浸潤しており、上大静脈管 所見から中葉軸捻転と診断した。同日緊急手術、中葉切除を施行 状切除を要し、右腕頭静脈−右房間にePTFEグラフトを用いて再建 し、経過良好で術後 3 カ月目に軽快退院した。肺手術後の残葉軸捻 した。経過良好で術後21日で退院した。 転は重要な合併症であるため若干の文献的考察を加え報告する。 III − 10 切除肺葉の部分肺静脈還流異常を合併した肺癌の 1 例 慶應義塾大学 呼吸器外科 朝倉啓介、木村吉成、井澤菜緒子、高橋祐介、池田達彦、塚田紀理、 河野光智、泉陽太郎、渡辺真純、川村雅文、堀之内宏久、小林紘一 症例は64歳男性。左上葉のIA期肺癌の術前CTにて異常左上肺静脈 が無名静脈へと還流する部分肺静脈還流異常 (PAPVC) を認めた。ま た心房細動、僧帽弁閉鎖不全、慢性心不全であった。心臓カテーテ ル検査で肺体血流比は1.99であった。慎重な呼吸循環管理の下、左 上葉切除を施行した。異常左上肺静脈は結紮切離した。術後の合併 症なく術後11日目に退院となった。 – 19 – 10:50∼11:38 肺血管異常・感染症 座長 III − 11 堀 之 内 宏 久 (慶應義塾大学) III − 12 胸膜炎で発症した肺葉外肺分画症の 1 例 前縦隔腫瘍と肺内分画症を合併した一例 自治医科大学附属病院 呼吸器外科 1東京医科歯科大学大学院 心肺機能外科 手塚憲志、金井義彦、勝部乙大、白石 守、遠藤哲哉、手塚康裕、 2東京医科歯科大学医学部附属病院 放射線部 大谷真一、山本真一、長谷川剛、佐藤幸夫、遠藤俊輔、蘇原泰則 藤原直之1、岸野充浩2、小島勝雄1、田中啓之1 症例は16歳男性。2007年 2 月15日左胸背部痛発熱を認め近医受診。 症例は22歳男性。2006年12月の健診で胸部X線の異常を指摘され 症状増悪し19日胸部X線にて左胸水認め入院。左胸膜炎の診断、穿 た。前縦隔腫瘍が疑われ当科紹介受診。胸部CTで 4×4×8cmの内 刺ドレナージ抗生剤による加療。3 月 6 日精査加療目的に当科紹 部に石灰化を伴う、多房性嚢胞状腫瘤を認め、奇形腫が疑われた。 介。CTで左下葉と横隔膜の間に腫瘤影認めたため、肺分画症等の 右下葉に結節影が認められたためHRCTで再検したところ、腹腔動 疾患を疑った。4 月25日胸腔鏡補助下腫瘍切除術施行。組織学的に 脈から分枝する異常血管と判明、右肺内分画症と診断された。手術 気管支構造があり肺胞構造も認められる腫瘤との診断を得た。考察 は前側方開胸で前縦隔腫瘍摘除、心膜合併切除、心膜再建、右下葉 を加えて報告する。 分画肺切除を施行した。 III − 13 III − 14 喀血を繰り返し、切除後の組織診断で確認された肺動静 肺腺癌の診断で手術を施行したアルコール性肝硬変に合 脈奇形の 1 例 併した肺放線菌症の 1 例 長野市民病院 呼吸器外科 1総合病院土浦協同病院 呼吸器外科 齋藤 学、西村秀紀 2総合病院土浦協同病院 心臓血管外科 症例は56歳の女性で、平成13年 2 月に血痰あり、気管支鏡で左B6 中山 健1、稲垣雅春1、井口けさ人1、小貫琢哉1、渡辺大樹2、 からの出血を認めたが、止血剤で軽快しCT検査で異常を認めず、 広岡一信2、大貫雅裕2 経過観察とした。平成19年 3 月に喀血を来して緊急入院した。造影 66歳、男性。アルコール性肝硬変・食道静脈瘤で通院。2007年 1 月 CTで左S6に造影効果のある小結節を認めたが、出血源であるかは 血痰出現、3 月CTでは左S10縦隔側に1.5×2×4cmの無気肺様腫瘤陰 確認できなかった。その後も喀血を繰り返し、左下葉は無気肺を呈 影を認めた。洗浄細胞診でClass 4 腺癌疑い。cT2N0M0と診断。5 月 したため下葉切除術を施行した。手術時には左上葉も血液凝固で無 下葉切除施行。強固な癒着あり。術後14日で退院。病理ではS10末 気肺を呈したが、気管支内吸引により改善した。術後経過は良好で 梢に5.2×3×5cmの慢性期の細気管支肺炎で膿瘍形成を伴い放線菌 出血はなく、組織診断でB6に沿って動静脈奇形が確認された。 症と診断された。膿瘍壁には異型扁平上皮がみられた。 III − 15 III − 16 漏斗胸Nuss手術後感染に対し、ペクタスバー抜去も感染 胸腔鏡下洗浄術にてコントロールしえた肺全摘術後急性 制御できず、左膿胸手術を要した 1 例 膿胸の一例 国保松戸市立病院 呼吸器外科 癌研究会有明病院 呼吸器外科 溝渕輝明、岩井直路、高野浩昌 今清水恒太、奥村 栄、小川史洋、矢部三男、上原浩文、 7 才女児。既往歴は気管支喘息。幼少時より漏斗胸を認め、左右対 佐藤之俊、中川 健 称も陥凹部深く、当院形成外科でNuss手術を施行した。術後経過良 症例は40歳代女性。S状結腸癌肺転移に対し右肺全摘術施行。術後 好で、第11病日退院。手術 1 ヶ月後に胸痛と発熱を主訴に来院。心 niveauの増減を認めていた。術後10ヶ月、発熱・黄色の痰を認め、 嚢水貯留、心外膜炎の診断で入院。翌日に胸郭挙上用のペクタス 精査施行。気管支断端瘻、急性膿胸、吸引性肺炎の診断。胸腔ド バーを抜去した。排膿あり、細菌培養で黄色ブドウ球菌を検出。左 レーンを挿入し、抗生剤を投与した。気管支鏡検査で明らかな気管 膿胸併発に対し、抗生剤+胸腔ドレナージ術施行も肺膨張不良に 支断端瘻は認めなかったため、開窓術も念頭に置きつつ、胸腔鏡下 て、胸腔鏡併用膿胸手術施行し、感染制御に成功した。文献的考察 洗浄術を施行した。術後胸水培養は陰性。8 病日ドレーン抜去し、 を交え報告する。 15病日退院。現在、術後81日経過したが、膿胸の再燃は認めない。 – 20 – 13:30∼14:18 縱隔 座長 III − 17 奥 村 栄(癌研有明病院) 頸部からのドレナージで軽快した降下性壊死性縦隔炎の III − 18 胸腔鏡下ドレナージが有効であった降下性壊死性縦隔炎 一例 の1例 山梨大学医学部附属病院 第 2 外科 1JR東京総合病院 胸部外科 千野慎一郎、奥脇英人、松原寛知、宮内善広、鈴木健之、 2JR東京総合病院 耳鼻咽喉科 進藤俊哉、松本雅彦 上野克仁1、室田欣宏1、竹田 誠1、吉田 剛2、一瀬晴子2、 症例は78歳女性。発熱、咽頭痛を主訴に前医を受診。急性咽頭炎の 竹内 啓2、原 誠2 診断で一週間入院治療を受けた。退院後も頚部腫脹及び咽頭痛が持 60歳女性。咽頭痛、嚥下困難が初発症状。入院時CTにて頚部蜂窩織 続したため当院受診。同日施行したCTにて、左咽頭後間隙から縦 炎、咽頭後膿瘍あり。発症 6 日目に頸部から前縦隔を中心とした縦 隔にかけて膿瘍形成を認めた。降下性壊死性縦隔炎と診断し緊急手 隔内に広範な膿瘍形成を認め、心窩部より前縦隔ドレーン挿入+頚部 術施行。全身麻酔下左前頚部襟状切開で深頚部、及び縦隔に対して 切開+気管切開施行したが、縦隔のドレナージ不良あり。胸腔鏡補助 ドレナージを行った。術後経過良好で第 6 病日頚部ドレーン抜去、 下縦隔ドレナージ術を追加した。以後経過良好。起因菌は不明。降 第 8 病日に縦隔ドレーン抜去し、第16病日に退院した。 下性壊死性縦隔炎の治療に関し若干の文献考察を加え報告する。 III − 19 III − 20 ステロイド治療により一時的に腫瘍の縮小を認めた赤芽 筋ジストロフィーに伴う低肺機能患者に非侵襲的呼吸補 球癆合併 4A期浸潤型胸腺腫の 1 手術例 助装置が有用であった一例 1自治医科大学附属大宮医療センター 呼吸器外科 新潟県立中央病院 胸部外科 2自治医科大学 呼吸器外科 本野 望、青木 正、島田晃治、中山 卓、矢澤正知 太田浩雄1、中野智之1、坪地宏嘉1、遠藤俊輔1、蘇原泰則2 31歳、筋ジストロフィーの男性。心室頻拍で当院に入院中、精査時 72歳男性。3 年前に胸膜播種を伴う 4A期浸潤型胸腺腫と診断。化 に縦隔腫瘍を発見された。著しい低肺機能(VC 1650ml(40.4%)、 学療法施行中に赤芽球癆を合併したため化学療法を中断しステロイ FEV1.0 1450ml (85.1%) ) のため、術前より非侵襲的呼吸補助装置に ド治療を施行した。胸腺腫は一時縮小し、経過観察となった。2 年 よる呼吸訓練を行い、胸腺・胸腺腫摘出術を施行した。術後第4 病 間で腫瘍の増大を認め、手術を施行した。胸骨正中切開左腕頭静脈 日まで同呼吸補助を行った。筋変性疾患に伴う低肺機能患者に 合併胸腺腫胸腺全摘術、左開胸下横隔膜合併左肺下葉部分切除術、 NPPVを使用し、安全に開胸手術を行えたので報告する。 左S1+2 区域切除術を施行した。術後縦隔と胸腔に放射線治療を追 加した。 III − 21 III − 22 椎体前面両側にまたがる後縦隔腫瘍の 1 切除例 縦隔内血管腫を疑った甲状腺癌縦隔リンパ節転移の 1 手 順天堂大学医学部 呼吸器外科 術例 赤星 拓、宮元秀昭、坂尾幸則、櫻庭 幹、王 志明、高橋宣正、 国立病院横浜医療センター 呼吸器外科 宮坂善和、稲垣智也 山仲一輝、坂本和裕、椎野王久 症例は38歳男性。検診のレントゲン写真で異常を指摘。CT上Th8 の 67歳女性。18年前に甲状腺濾胞腺腫で甲状腺左葉切除の既往あり。 両側にまたがる 7×3cm大の腫瘤で、Th8 椎体は圧迫変形していた。 左多発肺腫瘤で通院中、2006年10月CTで左肺腫瘤に変化ないもの アプローチをどうするか議論のうえ、左側小開胸併用、胸腔鏡補助 の上縦隔から気管分岐部に及ぶ造影効果の高い腫瘍の出現を認め 下に切除術を行い摘出可能であった。病理診断はneurinomaであっ た。胸腔鏡で観察すると腫瘍の表面は暗赤色で穿刺にて易出血性 た。 で、細胞診はclass 1であった。縦隔内血管腫を疑い開胸腫瘍摘出術 を施行。病理で甲状腺濾胞癌の多発リンパ節転移と診断された。そ の後残存甲状腺摘出を施行したが濾胞癌は認めず、今後ヨード内用 療法の予定である。 – 21 – 14:18∼15:06 胸膜・横隔膜 座長 III − 23 渋 谷 潔(千葉大学) III − 24 多発微小肺転移を呈した甲状腺乳頭癌の一例 当院における月経随伴性気胸 4 例の検討 千葉大学大学院 胸部外科学 1筑波メディカルセンター病院 呼吸器外科 長門 芳、吉田成利、本橋新一郎、安福和弘、伊豫田明、 2筑波メディカルセンター病院 病理科 鈴木 実、関根康雄、澁谷 潔 3筑波メディカルセンター病院 呼吸器内科 症例は39歳女性、平成18年甲状腺乳頭癌に対し甲状腺右葉切除術施 菊池慎二1、市村秀夫1、北原美由紀1、岡崎洋雄1、内田 温2、 行。平成19年PETにて縦隔リンパ節に集積あり精査目的に当科紹 菊地和徳2、金本幸司3、栗島浩一3、石川博一3 介、精査の結果甲状腺癌リンパ節転移と診断された。また胸部CT 月経随伴性気胸 4 例の臨床経過を報告する。症例は30∼45歳の女 にて右S2 に径 2mmの結節影を認め診断治療目的に右肺部分切除術 性。全例が右側。手術適応は再発が 3 例、持続性気漏が 1 例。全 および縦隔リンパ節郭清を施行した。病理組織学的診断において腫 例で肉眼的に横隔膜の多発褐色斑点を認め、2 例で病理組織学的に 瘍はAAHであったが、腫瘍の周囲に多発甲状腺癌の微小転移を認め 異所性子宮内膜を認めた。 3 例に横隔膜部分切除術と吸収性縫合補 た。今回、当科で経験した同様の症例を含め報告する。 強材の被覆をし、全例に偽閉経療法を施行した。術後再発を 4 例、 偽閉経療法後再発を 2 例に認めた。 III − 25 III − 26 Multifocal fibrosisの 1 例 横隔膜脂肪腫の 1 例 自衛隊中央病院 胸部外科 1東京都済生会中央病院 呼吸器外科 田中聖子、橋本博史、江戸川誠司、竹島茂人、松木泰憲、 2東京都済生会中央病院 病理科 佐藤仁哉、猛尾弘照、田中良昭 櫻井裕幸1、江口圭介1、梶 政洋1、末舛惠一1、山崎一人2 59歳、男性。人間ドックで膵酵素高値を指摘された。精査目的の胸 症例は50歳、男性。1999年 9 月、検診にて胸部異常影指摘され当院 部造影CTで胸腹部大動脈周囲から椎体右側、右胸壁に至る軟部腫 受診。左横隔膜上に突出する結節を認め、診断・治療目的に2000年 瘤、左腎門部に 3cm大の軟部腫瘤を認めた。悪性疾患を否定できな 1 月胸腔鏡下腫瘍摘出術施行した。病理診断は横隔膜脂肪腫であっ い為、胸腔鏡下腫瘍生検を施行した。病理診断はorganizing pleuritis た。2003年再び胸部異常影指摘。前回の手術部位に一致して結節を で、multifocal fibrosisと考えられた。診断が困難であったmultifocal 認め、徐々に増大傾向を認めたため、2003年 9 月開胸下に腫瘍を摘 fibrosisの 1 例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。 出した。術後病理診断は脂肪腫であった。その後再発兆候をみとめ ず現在外来通院中である。横隔膜脂肪腫はまれであり、文献的考察 を加えて報告する。 III − 27 1 年後に胸水貯留で発見された外傷性横隔膜破裂の 1 例 III − 28 肝硬変による肝性胸水に対して胸腔鏡下に横隔膜の修復 国際医療福祉大学病院 呼吸器外科 を試みた 1 例 齊藤紀子、山本達生、村山史雄 筑波大学附属病院 呼吸器外科 症例は53歳、男性。2005年10月交通外傷を受け、両側胸水貯留が認 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 められたが自然軽快した。約 1 年後の2006年11月下旬になり労作時 臼井 亮、石川成美、小林尚寛、小林敬祐、酒井光昭、後藤行延、 呼吸困難を自覚し、左胸水貯留を指摘された。画像上は肺内および 鬼塚正孝、榊原 謙 胸膜に病変を認めず。診断確定のため審査胸腔鏡を施行した。胸腔 68歳男性、C型肝炎・肝硬変にて治療中。半年前から右胸水が出現 内に腫瘍性病変はなく、横隔膜に一部筋層の断裂、欠損を認めた。 し、次第に増加。胸腔穿刺で週に 2 回、1 回 3 l程度の排液を要す 術所見から、外傷性横隔膜破裂による胸水貯留と考えられた。欠損 る様になった。横隔膜の交通を疑い、胸腔鏡下に手術を行った。報 部をゴアテックスシートにてパッチ閉鎖を行い、術後は胸水の再貯 告されている様に嚢胞性の病変が横隔膜に見られ切除したが、胸水 留なく経過している。 はその後も貯留し続けた。肝性胸水は治療が困難な病態であるが、 我々の経験を踏まえ文献的考察を加えて報告する。 – 22 – 15:06∼16:02 心膜疾患・心腫瘍 座長 III − 29 上 西 祐 一 郎 (自治医科大学) S字状中隔に伴う左室流出路狭窄を合併した上行大動脈 III − 30 XPOSETMを用いて非体外循環下に切除し得たgiant peri- 瘤の一治験例 cardial lipomaの 1 症例 防衛医科大学校病院 第 2 外科 千葉大学 大学院 臓器制御外科学 阪野孝充、磯田 晋、木村民蔵、藤田真敬、田中克典、志水正史、 伊良部真一郎、志村仁史、石田 厚、今牧瑞浦、新妻ゆり子、 中山健史、門麿義隆、野上弥志郎、中村伸吾、前原正明 宮崎 勝 症例は78歳女性。主訴は軽度労作時呼吸困難。胸部レントゲン写真 giant pericardial lipomaの 1 症例を経験したので報告する。55歳男 で異常を指摘され、胸部CTで上行大動脈瘤(径 7cm) を認めた。術 性、他の既往歴はなく、過去に胸部症状はなかった。2006年 8 月か 前心エコーでS字状中隔、左室流出路狭窄を認め圧較差は96mmHg ら労作時呼吸困難出現し、CTにて心後面の巨大心臓腫瘍と診断さ であった。これに対し上行半弓部置換術、及び弁下狭窄解除術 れた。2007年 5 月腫瘍切除術施行。OPCAB用のXPOSETMを応用し (Morrowの手術) を施行した。S字状中隔に伴う左室流出路狭窄に対 非体外循環下に重量1400 gの腫瘍を切除し得た。病理ではpericardial する外科治療は稀であり、文献的考察を加えて報告する。 lipomaと診断された。 III − 31 III − 32 睡眠時無呼吸症候群にて重症両心不全を来たしたと考え 左心補助人工心臓が有用であった劇症型心筋炎の 1 症例 られた 1 治験例 日本大学医学部附属板橋病院 心臓血管外科 聖路加国際病院 心臓血管外科 宇野澤聡、秦 光賢、瀬在 明、新野哲也、依田真隆、大幸俊司、 大森一史、渡邉 直、阿部恒平、山崎 学、小柳 仁 古川宣行、村上朝彦、南 和友 【症例】 3 年前より夜間呼吸困難感を自覚。入院一月前より腹部膨満 症例は65歳、男性。胸背部痛、発熱を主訴に受診。全周性の壁運動 感を認め当院内科受診。CT上腹水を認め精査入院。UCGにて左室 の低下とST上昇を認め冠動脈造影を施行。冠動脈病変を認めず急性 内血栓の存在、左室駆出率低下(LVEF25%)と高度三尖弁閉鎖不 心筋炎と診断。入院翌日にショック状態となりPCPSを装着。PCPS 全、肺高血圧症に伴う右心不全を認めた。左室内血栓除去と三尖弁 導入後81時間でLVADを装着し、左心補助11日目にLVADより離 逆流の軽減を図りIABP補助、完全体外循環、心拍動下に左室内血 脱、離脱後56日目に退院。劇症型心筋炎の心原性ショックに対し緊 栓除去、三尖弁輪形成術施行。術後睡眠時無呼吸検査にて重症 急にPCPSを導入し、早期にLVADに切り替え救命することができ OSASを認め夜間CPAP導入。循環呼吸状態は落ち着き術後UCGにて た。 LVEF : 44%まで改善。 III − 33 III − 34 右房内腫瘤から発見された収縮性心膜炎の 1 例 初発肺結核に合併した収縮性心膜炎の 1 例 慶應義塾大学病院 心臓血管外科 国立国際医療センター病院 心臓血管外科 小林美里、古梶清和、工藤樹彦、根本 淳、田野敦子、高橋辰郎、 横山泰孝、福田尚司、保坂 茂、福島祥子、宮坂亞希、竹中 慎、 山邉健太朗、四津良平 秋田作夢、賀嶋俊隆、木村壯介 症例は49歳男性。Afに対して外来通院中、2006年11月の定期心臓超 57歳男性。10ヶ月の経過で体重増加、胸水、心嚢液貯留などのエピ 音波検査にて右房内に腫瘤を認めた。経食道心臓超音波検査を2007 ソードを経て収縮性心膜炎と診断。喀痰培養陽性の肺結核も認め、 年 2 月に施行したところ、右房内腫瘤は増大傾向であったため入院 心不全をコントロールしつつ多剤併用化学療法を優先。2 ヵ月後に となった。CT上、心膜の石灰化があり、収縮性心膜炎疑いで手術 CPB非使用心膜切除術を行い、術後 8 ヶ月間の抗結核治療を追加、 を施行した。術後経過は良好であった。 現在肺結核や心膜炎ともに再燃ない。切除心膜に結核性病巣は証明 できえなかったが、家族などに同時期結核発症、他に基礎疾患がな いことから結核性心膜炎だったと考える。 III − 35 収縮性心膜炎術後に急性増悪した僧帽弁および三尖弁閉 鎖不全症の 1 例 北里大学医学部 心臓血管外科学 山本信行、小原邦義、鳥井晋造、三好 豊、板谷慶一、井上信幸、 宮地 鑑 症例は65歳男性。平成17年 2 月に呼吸困難を契機に収縮性心膜炎と 診断され、手術勧められるも拒否。その後 2 度の心不全による循環 動態の破綻を認め、平成18年12月に心膜切除術を施行。術後拡張障 害は解除されるも急速に心拡大が出現、僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁 閉鎖不全症の急性増悪を認め、カテコラミンから離脱できなくな り、平成19年 4 月に僧帽弁および三尖弁の弁置換術を施行。経過が 特異的であり、若干の文献的考察を加え報告する。 – 23 –