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調査報告書 - 経済産業省

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調査報告書 - 経済産業省
平成 26 年度成果報告書
平成26年度地球温暖化問題等対策調査
(地球温暖化問題を巡る国際動向調査
(気候変動枠組条約(UNFCCC)))
調査報告書
平成 27 年 3 月
一般財団法人電力中央研究所
1
目次
第 1 章 UNFCCC関連会合への参加 .............................................................................................3
1-1.ダーバンプラットフォーム作業部会(ADP2-5)への参加 .....................................................3
1-2.ダーバンプラットフォーム作業部会(ADP2-6)への参加 ...................................................76
1-3.第 20 回気候変動枠組条約締約国会議(COP20)関連会合(ダーバンプラットフォーム作
業部会(ADP2-7)を含む)への参加 ............................................................................................ 119
1-4.ダーバンプラットフォーム作業部会(ADP2-8)への参加 ................................................. 183
第2章 ADP を中心とする気候変動交渉状況等の調査・分析 ..................................................... 203
2-1.将来枠組みに対する各国のポジション分析.................................................................... 203
2-2.我が国が求めていくべき将来枠組みの構造 ................................................................... 211
第3章 米国における気候変動関連分野の調査 ........................................................................... 240
3-1.米国の 2025 年目標の分析 ............................................................................................. 240
3-2.新枠組みへの米国参加に関する分析 ............................................................................ 243
2
第1章
UNFCCC関連会合への参加
経済産業省産業技術環境局地球環境対策室の指示に従い、以下の会合に政府代表団の一員
として参加した。
①ダーバンプラットフォーム作業部会(ADP2-5)
2014 年 6 月 4 日~2014 年 6 月 14 日 ドイツ(ボン)
②ダーバンプラットフォーム作業部会(ADP2-6)
2014 年 10 月 20 日~2014 年 10 月 25 日 ドイツ(ボン)
③第 20 回気候変動枠組条約締約国会議(COP20)関連会合(ダーバンプラットフォーム作業部会
(ADP2-7)を含む)
2014 年 12 月 1 日~2014 年 12 月 13 日 ペルー(リマ)
④ダーバンプラットフォーム作業部会(ADP2-8)
2015 年 2 月 8 日~2015 年 2 月 13 日
以下では、上記①~④について、出席した会合に関する報告資料を掲載する。各国の発言は、
電力中央研究所の出張者が聞き取った内容に基づく。
1-1.ダーバンプラットフォーム作業部会(ADP2-5)への参加
2014 年 6 月 4 日(水)
ADP 開会プレナリー
(1)共同議長が事前のシナリオノートに沿って今回会合の進め方を説明し、各交渉グループがス
テートメントを行った。
(2)ワークストリーム1(2020 年以降の枠組み)については、2014 年の検討課題である「新合意の要
素」と「貢献に付す事前情報」についての議論を進めるべきとの点では先進国と途上国の間で意見
の一致があった。しかし、途上国側の各グループは、「要素」や「貢献」に緩和だけではなく、適応
や途上国支援(資金、技術、キャパシティービルディング)を含めるべきと述べ、この点に深入りしな
かった先進国側のグループとの違いがみられた。
(3)ワークストリーム2(2020 年までの野心向上)については、途上国側のほぼ全てのグループが、
COP19 の決定(Decision 1/CP.19 のパラ3&4)に言及しつつ、先進国の目標引き上げを閣僚会合
だけではなくコンタクトグループでも取り上げるべきと強調した。EU は、今週、2020 年までの目標を
超過達成する見通しを発表し、超過分は 55 億トンに達することを示す予定と述べた。
(4)今後のプロセスに関しては、要素の作成方法について、「共同議長が作成すべき」(EIG)、「共
同議長のガイダンスを信頼する」(UG、AILAC)、「LMDC の提案を CRP として配布すべき」
(LMDC)といった意見があった。また、アフリカグループは、今回の会合で事前情報についての結
3
論案を得て、各国の事前準備へのガイダンスを与えるべきと述べた。
※ステートメントの全文は下記リンクで入手可能である。
http://unfccc.int/bodies/awg/items/7544.php
2014 年 6 月 5 日(木)
非公式の会合に出席し、地球環境対策室に対して報告を行った。
2014 年 6 月 6 日(金)
非公式の会合に出席し、地球環境対策室に対して報告を行った。
2014 年 6 月 7 日(土)
ADP コンタクトグループ
概要:
(1)コンタクトグループの進め方について

もともと適応を議論する予定だったが、LMDC とアフリカグループの国々が全体論(貢献と要
素の関連、要素に関する今回会合の成果等)を先に議論すべきと代わる代わる主張した。

これに対して、米国、EU、ドミニカ共和国等が個別テーマを先に議論すべきと反論した。

両者の中間をとる形で、シンガポール(ガフール大使)が、①個別テーマを先に議論する、②
全体論および今回会合の成果を議論する時間を、ストックテーキングの前に設けることを共同
議長が約束する、の 2 点を提案し、共同議長がこれに賛同して、水曜日にその時間をとる意
向を提示した。

この提案に反論はなく了承された。
(2)適応について

自国決定の貢献(NDC)と事前情報については以下の発言があった。

適応を貢献・事前情報に含めるべき: インド、ブラジル、南アフリカ、ケニア

適応を貢献に含めるべきではない: EU、ブータン(LDC)、

実施手段(MOI)を貢献に含めるべき: バングラデシュ

途上国自身による適応への投資を資金への貢献としてカウントすべき: 南アフリカ、スー
ダン(アフリカグループ)、ケニア

緩和と適応の関連性については以下の発言があった。

世界全体の緩和野心から適応の必要性が定まるというリンクを明示すべき: LDC、
AOSIS、コロンビア

そのリンクを定量的な適応資金目標に転換すべき: スーダン(アフリカグループ)、南ア
フリカ、ケニア
4

こうした主張に対して、先進国側は「レジリエンスの強化」など定性的な目的を新合意に
記載するという対案を提示

資金とのリンクについては、途上国側からは「NAP 実施等への先進国の支援提供をコミットメ
ントとすべき」との主張が相次いだ。一方、先進国側(米国、ノルウェー)は GCF が資金の半分
を適応に拠出と決定していることで脆弱国支援が確保されていると主張した。

新たな制度や組織体は不要、知識プラットフォームは有用という点では、多くの国の意見が一
致した。
各国の発言:
共同議長

各種提案の招請を議論して、収斂を得ることが目的である。
フィリピン

個別の要素を議論する前に、全ての要素をどのように取り込むのかを議論したい。また、どの
テーマがいつ取り上げられるのかを明らかにしてほしい。
共同議長

前回会合で示したように適応、緩和、資金(以上を日曜まで)、技術、キャパシティービルディ
ング、透明性(以上、来週)の順で検討する。WS2 も取り上げる。その後、ストックテーキングで
次のステップを議論する。
エジプト(LMDC)

LMDC の CRP では、全ての要素が同等の重要性を持っている。条約実施上のギャップを埋
めることが目的であり、バリプロセスの成果に基づく。要素は貢献の通報に不可欠である。貢
献のスコープに合意がなければ、何の情報かが分からなくなる。貢献は条約の全ての柱(緩
和、適応、資金、技術)を含む。条約 4 条はコミットメントの構造、つまり先進国は支援をコミット
し、途上国は支援に応じて行動をとるという構造を与えている。
スーダン(アフリカ)

リマでは、ワークストリーム2、INDC、要素という 3 つの分野で決定が必要である。前回のコンタ
クトグループで前2者についてはアイデアが示されたが、要素については今回会合でどのよう
に成果を取りまとめるつもりかを説明してほしい
共同議長

締約国が決めることである。
5
スーダン

サブスタンスの議論に入る前に、この点を議論する時間をとるべき。INDC については、今回、
結論案を得ることを望む。要素とワークストリーム2については、どのような成果を目指すのか
が不明確である。
クウェート

締約国やオブザーバーのアクセスが制限されている。部屋を変えるべき。
共同議長

Noted.
中国

アフリカグループを支持する。コンタクトグループのベースは何か、どのような成果を目指すの
かを最初に議論すべき。個別イシューの前に、コンタクトグループが何を行うのかについて全
体像を得るべき。出発点は締約国の提案と CRP であり、共同議長のスライドではない。
共同議長

CRP は議論のベースの1つ( ‘A’ basis)。正統なベースは締約国のサブミッションのみである。
サウジアラビア

情報についての決定を得るためには、INDC が何であるのかについて先に議論する必要があ
る。
共同議長

各要素を先にやってから、INDC を議論しようと考えている。
スーダン

締約国主導の原則に照らせば、中国やスーダンの提案に従うべき。
ノルウェー

各国のサブミッションをもとに、どこに着地点があるのかを模索すべき。サブスタンスを先に議
論したほうが、収斂が見えやすいはずである。
スイス

サブスタンスを先に議論してから、INDC とは何かを考えるのが合理的である。共同議長のガ
イダンスに従う。
6
インド

締約国の示唆に従うべき。NDC を先に議論したほうがいい。広い部屋に変えるべき。
ツバル(LDC)

共同議長が示した landscape は有用である。サブミッションと CRP を歓迎する。これらのテーマ
別の議論に取り込んでいくべきである。手続き論に時間を使いたくない。
フィリピン

共同議長から出てきたものは出発点にならない。全ての要素を議論できるように、LMDC は全
ての要素を取り込んだ CRP を作った。
EU

すぐにサブスタンスを議論すべきである。
クウェート

サブミッションをもとに交渉を行うべきで、LMDC の CRP をスクリーンに投影すべき。
ドミ共

要素のパッケージに到達するに、サブスタンスの議論を始めるべき。

2015 年合意では、適応の実効性を強化し、より目立つように位置付け、一般的な義務、締約
国のコミットメント、方法論と指標、MOI とのリンクを含めるべきである。異なる要素間のシナジ
ーや、知識・ベストプラクティスの共有も進めるべき。また、適応をより目立つようにすべきだが、
緩和と適応に同じ構造を当てはめるのは有益ではない。
中国

アフリカグループが言うように全体像の議論を先に行うべきである。
南アフリカ

INDC と要素は、同じコインの表・裏である。INDC についてはテキスト案があるのに、要素の
方は提示されないのはなぜか。両方を同じ文書で扱うという保証が必要であり、2つのトラック
とすることは認められない。
共同議長

南アフリカと同じ理解である。
7
中国

ちなみに、COP19 のマンデートは INDC そのものではなく、情報を特定することである。
米国

サブスタンスの議論から始めることを支持する。必要なことは、これらを一貫した形で構造化・
統合することであり、共同議長がこれらを一貫した方法でまとめていき、収斂を見いだしていく
のがよい。
シンガポール

要素と INDC のスコープという2つのイシュークラスターがあり、これらは相互に関連している。
難しいのは、こうした全体像を議論せずに、部分に分割してもうまくいかないことであり、南アフ
リカやアフリカグループにシンパシーを感じる。こうした全体像をどこかのタイミングで議論する
という保証が必要である。議論する順番が問題なのではない。そこで、①テーマ別の議論を開
始する、②全体像やリンケージについて議論する機会を別途、設けることを保証する、③成果
についてもストックテーキングの際に議論することを保証するということを提案したい。
共同議長

ストックテーキングの前にリンケージを議論することを保証する。どのように成果をとりまとめる
かは締約国が決めることである。サプライズはやらない。
ブラジル

サブスタンスの議論を始めよう。適応については、現在のシステムは様々な側面のバランスが
とれておらず、新合意ではどうやってバランスをとるかが重要である。INDC は新合意の背骨
だが、事前情報に適応を含めるべきである。新たな仕組みを作るのではなく、バランスの欠如
を解決して適応を促進すべきである。
スーダン

会合の成果について議論することも保証するのか。
共同議長

保証する。
スーダン

いつ議論するのか。
共同議長
8

水曜日あたりを予定している。全てのイシューについて、時間と場所をとる。
以下の論点を提示
Long-term and collective aspects of adaptation

Overarching goal for adaptation as common commitment to ensure climate resilience

Global goal for adaptation based on level off mitigation and aggregate costs of impacts

The global temperature goal of 2/1.5 goal to frame national adaptation plants and actions
Commitments/contributions

To reemphasize the commitment of all Parties to work towards climate resilient
development

Individual commitments by Parties to include adaptation and to be in the form of NAPs,
for example
Institutional arrangements, cooperation and coordination

Strengthening existing institutions and arrangements to enhance implementation of
adaptation

Enhancing reporting, exchange, monitoring and evaluations, e.g. through strengthening
NAPs

Adaptation assessment framework for common methodologies to assess vulnerability,
adaptation options, costs and progress in implementation

Registry to record NAOPs and adaptation actions, monitor progress and gaps in adaptation
globally
ブータン(LDC)

適応について、実施への支援が重要である。また緩和の野心度により、適応のコストが決まる
という緩和と適応の関係性に留意すべきである。適応、ロス&ダメージ、MOI の関係性も同様
に重要である。

適応には、緩和と同等の位置付けが与えられるべきである。

適応は、カンクン適応枠組みと国別計画に基づく。ワルシャワロス&ダメージメカニズムは新
合意のなかに位置付けられるべきである。

適応への支援は権利であることから、適応は貢献の一部とならない。貢献は緩和が中心であ
り、適応は NAP でカバーされる。
フィリピン

条約 4 条 1 項(d)、4 条 4 項、12 条 3 項等に基づきつつ、先進国は途上国の適応コストを満
たさなければならない。
9
メキシコ

既存の様々なメカニズムに立脚して、適応メカニズムを設けるべきである。適応レジストリーは
さらに検討を深めるべきである。うまく機能する知識プラットフォームが必要である。

前進をトラックできるように、結果志向のアプローチをとるべきである。

ステークホルダーやジェンダーの巻き込みが必要である。
チリ(AILAC)

長期かつ全体的な側面に合意すべきである。レジリエンスに関する具体的な目標を定めて、
その aspirational goal への前進を評価できるようにする必要がある。

全ての国が各国で決めた計画に基づき、グローバルな適応努力にコミットする。

脆弱性を評価する方法論、気候シナリオのモデリングへのより良い理解、社会経済的側面、ス
テークホルダーの巻き込みが必要である。

既存の制度に立脚すべきで、新たな制度は不要である。

ロス&ダメージは独立のメカニズムであり、ワルシャワメカニズムが完全に実施可能になるべ
き。
バングラデシュ

緩和と適応には関連性があるが、異なるものである。

適応の実施に、資金とのリンクをどのように持たせるのかが大きな課題である。巨額の資金が
必要である。緩和の野心度を決め、適応の必要性を特定し、それを実施していくなかで両者
のシナジーを図るべきである。

ロス&ダメージが重要である。

INDC には、資金についてのグローバルな数字が必要である。
ナウル(AOSIS)

適応は、地域や国に固有なものである。条約 4 条 3 項と 4 項がグローバルなゴールと関連する。
緩和の野心度→適応コスト→ロス&ダメージという関係性を書き込む必要がある。

コミットメントについては、NAP は country-driven であり、各国の優先順位との調整を図りつつ、
単なるメインストリーミングを越えて、実施につなげていくことが必要である。

制度については、新合意のなかに、適応委員会を通じてアンカリングするのがよい。GCF、技
術メカニズム、LEG など他のキープレーヤーとのリンクも重要である。

長期の予見可能な支援が必要である。

小島嶼国(SIDs)の特別な事情を配慮すべきである。
ドミニカ共和国
10

新たな組織体は不要だが、知識を促進するプラットフォームは有益である。
ブラジル

条約 4 条 1 項(e)は全ての国の協力を定めているが、これをどのように実施に落とし込むかが
カギである。

適応のグローバル目標は疑問だらけの概念である。コスト積み上げは方法論上の問題が多く、
そのような目標を定めるのは賢いこととは思えず、メリットを見いだせない。一方、適応コストや
ニーズの方法論を開発することは必要である。

適応は MOI へのアクセスの権利である。

適応を新合意や NDC の中で主流化し、ニーズ、行動、計画を示す(showcase)していく必要
がある。国内でのコンサルテーションを通じて、ローカルレベルから上がってくる適応ニーズを
NDC から排除すべきではない。
ノルウェー

グローバルな目標については、条約に good anchoring がある。

コミットメントについては、NAPs にリファーするのが良い。ただ NAPs の定義などで混乱がある
ようなので、意味合いを確定するためにワークショップを開いてはどうか。

新たな報告制度には慎重になるべきである。

新たな制度を作る必要はないが、知識共有の取り組みは有益である。カンクン適応枠組みを
活用しながら、既存制度の一貫性を構築するのがよい。

資金面については、GCF が資金の半分を適応に回すと決めたことが、SIDs や LDCs に対する
強力なセキュリティとなっている。
スイス

適応は各国のプロセスである。一部は支援が必要であるが、全ての適応に対して、支援が必
要なわけではない。

全体的な目標は、レジリエンスと適応能力を構築するといった定性的なものにしてはどうか。

コミットメントについては、NAP を作成し、適応を開発プロセスに統合するといった概論的なも
のがよい。各国の具体的な取り組みまでを書き込むのは困難である。

制度面については、COP にそのレビュー権限を付与して、合意自体では扱わないのがよい。
レジリエンスのモニタリングを加える必要がある。レポーティングは国別報告書など既存のもの
を活用すべき。
エジプト(LMDC)

条約 4 条 4 項(資金提供)が途上国の適応行動の基礎である。ワルシャワロス&ダメージメカ
ニズムを 2015 年合意に位置付ける必要がある。
11

LMDC の CRP をスクリーンに投影すべきである。
インド

適応は NDC の一部であり、適応への支援などを扱うべきである。

NAP を含むカンクン適応枠組みがベースである。

新合意の中に適切な規定を設けて、適応基金を強化すべきである。

適応レジストリーは興味深い。
ニュージーランド

適応はローカルな性質なものであり、国際レベルではローカルな取り組みが実現するように促
進するのがよい。

定量的な目標は不要であり、定性的な目的で十分である。例えば、開発への適応の統合を通
じて、影響へのレジリエンスを確保するといった記述はどうか。

全体のコミットメントは既にいろいろある UNFCCC の取り組みであり、新たな制度は不要である。
適応のさまざまな構成要素を効率化することが重要である。
コロンビア

適応は極めて重要であり、新合意で適切に扱われるべきであり、現場での実施が促進される
ようにしなければならない。

適応と緩和はグローバルな責任であり、定性的な記述でもよいので、緩和と適応のリンクを明
示的に書き込むべきである。

コミットメントについては、定量化の方法論がないことから、各国レベルで柔軟に対応できるよ
うな定性的なものでよい。脆弱国に不要な負荷を課すべきではない。

制度アレンジメントについては、既存の取り組みのギャップを埋めていく必要がある。
EU

ゴールについては、(定量的なものではなく、)規範的なものが有用である。

各国のコミットメントも全体のコミットメントも既に条約に規定があり、これらを強化していくのがよ
い。

INDC については、もともと緩和の議論から出てきた概念であり、適応で同様の手順を定める
ことには懸念がある。ブータンがいうように NAP に加えてさらなる負担となるし、バングラデシュ
がいうように緩和と適応にはシナジーがあるが異なるものである。
日本

全体のコミットメントについては、1 つ目のビュレットを支持する。2 つ目のビュレットについては、
定量化が困難である。
12

各国のコミットメントについては、各国が適応を自国政策等に統合するのがよい。2 つのビュレ
ットをどちらも支持する。

既存アレンジメントの強化には賛成であり、新たな制度は不要である。

共通方法論による評価枠組みについて、日本でも困難に直面しており、2015 年に間に合うと
は思えない。
オーストラリア

適応は 2015 年合意の重要な一部であり、全ての国の責任である。グローバルな取り組みとロ
ーカルの取り組みの適切なバランスをとることが課題である。

目標については、グローバルな取り組みとしての適応の重要性を明確に認識する、とするの
がよい。

各国のコミットメントは国別の計画とする。

新合意から COP に対して既存アレンジメントの実施権限を与えてはどうか。教訓やベストプラ
クティスなどの情報共有プロセスは有益だろう。一方、共通基準、指標等は困難である。各国
が行動し、国際レベルではそれらを認識するのがよい。
エクアドル

適応についても、条約 4 条 4 項などに従い、差異化が求められる。
フィリピン

長期の目標については、条約 4 条 4 項に従い、新規の追加的な資金提供について定めるの
がよい。

各国のコミットメントについては、資金提供のもとでの NAP 実施や、先進国による支援提供義
務を定める。

制度については、完全なファイナンスによる既存制度の強化、適応メカニズムの創設、適応レ
ジストリーの創設が有益である。

LMDC の CRP をスクリーンに投影すべき。
シンガポール

グローバル目標については、適応は国内・ローカルな取り組みであり、そのような目標設定は
納得できない。

新たな組織体は不要であるが、適応委員会を通じたさらなる調整は必要である。レジストリー
は有益である。
スーダン(アフリカグループ)

アセスメントと遵守も含めるべきである。条約は締約国のコミットメントを定めつつ、3 条 1 項、2
13
項、4 条 4 項、5 項、8 項などを通じて、適応のグローバルな側面も定めている。

緩和野心を基礎に適応ニーズを事前評価すべきである。

ファイナンス、特に GCF が重要である。

長期的側面については、カンクン合意にあるように 2℃と 1.5℃の両方の可能性がまだ残って
いる。温度ごとの排出経路を定め、そのもとでの影響を地域別にスケールダウンして、適応コ
ストを算出して目標とする。

コミットメントについては、先進国は支援のタイプやソースを定量的に明確にして、支援の適切
性を評価する基礎とする。途上国は、合意されたガイドラインの下で適応行動とそのコストを特
定し、途上国自身による適応への投資を資金への貢献としてカウントする。適応コストの評価
と支援の事前評価を行う。

NAP は適応支援の入口である。

支援への MRV も必要。

先進国による支援提供の責任を法的拘束力ある合意に書きこむべきである。
南アフリカ

グローバルな目標は、新合意の不可欠な一部である。脆弱性を低減するため、緩和、温度目
標、支援をリンクさせるべきである。

各国のコミットメントは CBDR&RC と衡平に基づき定める。全ての国に対して、準国家主体を
巻き込みながら計画を策定することを義務とする。適応とロス&ダメージのコストを評価し、途
上国自身による適応への投資は資金への貢献とカウントしつつ、先進国は途上国の NAP 実
施を支援し、そのための明確なルールを設ける必要がある。

既存の制度アレンジメントについては、適応委員会の機能を強化すべきである。NAP ガイドラ
インへのルールも必要である。

INDC への情報について、全ての国が方法論・仮定とともに影響予測と適応コストを提示し、
NAPs に基づくプログラム・プロジェクトや地域間あるいは国際的な協力を示す。先進国による
MOI 提供も情報に含める。南アフリカはそのためのフォーマットを提示しており、全ての国が
共通フォーマットを使うべきである。
中国

議論の出発点は条約の実施である。適応に関するコミットメントは条約に多数定められており、
これら全てを含めるべきである。

貢献とは、辞書的には金である。

制度アレンジメントについては、適応補助機関を作ってはどうか。

提案をスクリーンに投影して、提案に Yes か No か、No ならなぜかを問うという交渉モードに入
るべき。
14
ケニア

適応は INDC の重要な一部である。

適応はグローバルな責任であり、適応のグローバル目標は最善の方法である。緩和野心から
適応要件を導き、適応を通じて緩和とのシナジーを図るというリンケージを取り込む必要があ
る。

適応の出発点は国別計画(NAP)である。

新たな組織は不要であるが、知識共有は必要である。

途上国による適応投資は資金への貢献と認識されるべきである。

先進国は適応支援の事前情報を提示すべきであり、それに基づき、支援の適切性をレビュー
すべきである。
韓国

温度目標を適応と関連付けるのはトップダウン的に過ぎるので適切ではなく、ボトムアップな
側面も考慮すべきである。

コミットメントについては、NAP を通じてローカルレベルの取り組みを取り込むべき。

適応レジストリーは有益であろう。
ツバル

LEG が継続するかどうかを 2 年ごとに議論するのは問題であり、法的拘束力ある合意に明確
に位置付けるべきである。

緩和に応じた適応コストをレビューするメカニズムが必要である。
米国

新合意に取り込む要素は、強固で簡潔で実施可能なものであるべきであり、合意本体と決定
の使い分けも意識すべきである。

適応は絶対的に不可欠であり、国際レベル、国内レベル、ローカルレベルで適応の位置付け
を高めるべきである。

コミットメントについては、適応への取り組み、国別計画や評価の重要性等を再確認する
(reaffirm)、適応を開発に統合するように締約国に呼び掛ける(call on)といったものを含めて
はどうか。

GCF が適応重視の決定をしている点は重要である。

長期目標は、「気候へのレジリエンスを開発に統合する」といったような定性的なものがワーク
する。

新たな合意を作っているのだから、既存の条約条文に触れる必要はない。
カナダ
15

既存レンジメントに立脚し、それらを強化していくのがよい。

評価枠組み(assessment framework)に関心はあるが、共通の方法論が適切とは思えない。

適応レジストリーは検討する価値があろう。

全ての国がこれまでの教訓に基いて戦略を策定し、適応を開発に統合するというコミットメント
がよい。
2014 年 6 月 7 日(土)
ADP コンタクトグループ
概要:
(1)10 時開始の予定であったが、開始時間になっても共同議長は現れず、11 時 20 分頃に部屋を
Saal Beethoven から Plenary Maritim に変更するとのアナウンスがあり、11 時 40 分頃に会合を開始
した。
(2)開始後、LMDC 各国が「各国のサブミッションを束ねた交渉文書を用意せよ、その上で分野別
のスピンオフグループに分かれてテキスト交渉に入れ」と繰り返し要求した。これに対し、先進国と
その他途上国は、交渉を難航させるだけと反論した。進め方について結論を得ないまま、緩和に
関する発言になだれ込んだ。
(3)アンブレラグループ各国(日本、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)は、全ての国
に共通の義務・ルール等を適用しつつ、NDC により変化する能力と事情に応じて自己差異化をし
ていくこと、緩和貢献は支援を条件とするものではあってはならないことなどを指摘した。EU は、共
通の義務・ルールの必要性に加えて、「純粋なボトムアップの貢献では不十分であり、トップダウン
の側面を取り込む必要がある」として、世界全体の長期の排出経路や、事前アセスメントや事後レ
ビューを通じた 2℃目標との整合性確保を強調した。
(4)途上国の見解は、グループ間でニュアンスの違いはあるものの、先進国と途上国の間でコミット
メントのタイプを差異化するという点ではほぼ共通しており、特に、LMDC 各国は、条約条文を引用
しながらこの点を原則論的に繰り返し主張した。一方、LDC・AILAC・AOSIS は、差異化を指摘し
つつも、レビューやアセスメントを通じて温度目標(2℃、または 1.5℃)との整合性を確保する点に
重点を置いて発言した。ブラジルと南アフリカは、貢献の事前評価を 2015 年ではなく、2016 年以
降に行うべきと主張した。
(5)各国の発言後に、共同議長が今後の進め方に関して発言し、「現時点ではコンセンサスはなく、
2 週目のストックテーキングプレナリーまでに議論を進めてコンセンサスを見出して欲しい」と述べ
た。
各国の発言:
共同議長

ビュレットポイントは締約国の提案を除外するものではない。サブミッション、CRP、口頭での発
言の全てがインプットとして考慮される
16
フィリピン

非公式のドラフトグループ(drafting groups)に入り、テキスト交渉を開始すべき。
共同議長

昨日、サブスタンスから議論を始めて、その後に他のイシューも取り上げることを確認した。
フィリピン

テキスト交渉をいつ開始するのかを明確にしてほしい。
ベネズエラ

大きな部屋に移ったのだから、大きなイシューを議論すべきである。いまの進め方では、法的
拘束力ある合意に辿りつけない。2015 年合意の全体像をまず明らかにすべきであり、そのの
ちに、少人数のドラフトグループに分かれるのが良い。同時に解決が難しい問題は政治レベ
ルで議論する。国連の伝統的なスタイルに従うべき。
ウガンダ

会期中にスピンオフグループを立ち上げるつもりなのか。
ノルウェー

分野別の議論をただちに始めるべき。
カナダ

昨日も手続き論を議論した。共同議長の進め方でよい。
エクアドル

フィリピンの質問への回答が欲しい。テキストを交渉するのか、スピンオフグループを作るのか、
いまの QA スタイルを続けるのか。
日本

サブスタンスの議論に入りたい。手続き論は昨日、決着している。スピンオフを作るかどうかは
締約国が決定することだが、日本は現時点でスピンオフは好ましくないと考えている。
スイス

昨日、サブスタンスの議論に入ることに合意したはずである。複数のグループに分かれるのは
時期尚早である。
17
インド

テキストに基づいて交渉すべきである。いまの共同議長のアプローチに賛成しない国が多い
ことも明らかであり、この方法にもコンセンサスはない。
中国

途上国の意見を支持する。テキストの compilation やスピンオフが必要である。
EU

手続き論にこれ以上の時間を使いたくない。意見の収斂と相違を特定していくべき。テキスト
の compilation を行うと、すぐに膨れ上がってしまい、交渉できなくなってしまう。昨日の適応の
議論では、収斂が見えてきた。全体的な目的、計画など責任の強化、既存アレンジメントの活
用などである。

緩和に入ろう。ボトムアップの貢献では不十分であり、ハイブリッドアプローチが必要である。
第一に、責任と能力を反映し、後退を認めない。第二に、事前情報を通じて、公平性や長期
目標との一貫性を明らかにすべき。第三に、前提を明らかにし、指標を用いることで、全体とし
て、あるいは各国別に 2℃目標に整合するか、公平かどうかを明らかにすべき。第四に、形式
として法的拘束力をもつべき。第五に、長期目標について、世界全体の排出経路に合意すべ
き。第六に、MRV、アカウンティング、遵守というルールに基づくシステムとすべき。ただちに、
事前情報に合意すべであり、この点についてテキスト交渉に入るべき。
ロシア

手続き面については既に議論し合意済みである。サブスタンスを議論したい。共同議長には
議論の成果を抽出して取りまとめる力量がある。コペンハーゲンに至るプロセスの経験を踏ま
えると、スピンオフは望ましくない。単一のコンタクトグループが最も適切なセッティングであ
る。
クウェート

フィリピン、ベネズエラ、ウガンダ、エクアドル、中国、インド、キューバを支持する。
エジプト

手続き論を議論することで、サブスタンスの検討も早まる。既に多くのサブミが出ており、過去
2 年の作業をどうやって成果に反映するのかが重要であり、この点を明確にすべき。
米国

我々はテキストの「要素」を議論していると信じている。テキストそのものではない。共同議長の
18
役割はこれまでの意見を統合(synthesis)することであり、特定のグループの提案を取り上げる
ことではない。共同議長は集約結果を提示し、それに対して、さらに改善できないかを意見す
ればよい。昨日の議論はこの点で非常によかった。共同議長の進め方は正しい。テキストその
ものは次の段階である。
イラン

手続き面の議論はまだ終わっていない。テキストの compilation により、パラグラフごとに真の
交渉をできる。
シンガポール

シンガポールとしては、どのような形式の議論も差し支えない。スモールグループはいつかは
必要である。ただ、これは順番の問題であり、徐々に積み上げていく問題であり、タイミングの
問題であり、イシューの成熟度の問題でもある。そのため、テーマ別の議論から始めるのが有
益である。ただし、重要なリンケージについての幅広い議論を今後行うという理解の下である。
テーマ別の議論を続ける、ただし作業フォーマットのレビューをストキックテーキングで行う。そ
のときまで、作業フォーマットに関するどの締約国のポジションも予断されない」としてはどう
か。
エチオピア

真の交渉に入っていないことを懸念する。リマから交渉を開始しても、パリまでの 1 年でまとま
るとは考えにくい。
ツバル

INDC をドラフトテキストにどのように反映するかを議論する必要がある。全ての国が緩和の貢
献を提示することは必須であるが、LDC の緩和は支援の水準に依存する。プロセスに関する
明確なマイルストーンが必要であり、最新の科学に沿って貢献をレビューしなければならな
い。

緩和のコアとなる要素は、最新の科学に基づく緩和水準であり、多国間の監視(oversight)に
よって、1.5℃以内を満たせるようなレビューメカニズムを合意に含めるべき。公平な国のカテ
ゴリー分けが必要である。先進国はエコノミーワイドの総量目標、LDC についてはその特別な
事情を考慮されるべきで、途上国に対しては、結果ベースのコミットメントや活動ベースのコミ
ットメント(原単位目標、技術目標等)などの多様な選択肢が認められるべきで、一部の途上
国にはエコノミーワイドの相対目標を掲げうる。

約束期間は 5 年を越えるべきではなく、IPCC による評価のサイクルとリンクさせるべき。定期的
なレビューをこの 5 年サイクルに組み込む。1.5℃以内を確実にするために事前レビューメカニ
ズムを盛り込み、先進国間の同等性(comparability)も国際レビュープロセスで評価する。
19

また、ロバストな遵守レジームも必要。
コロンビア(AILAC)

科学と CBDR&RC に従い、長期のグローバルな緩和目標を定めるべきである。また今世紀中
頃の炭素ニュートラル目標も必要である。

全ての国が緩和のコミットメントをしなければならず、INDC に付す情報によって、2℃・1.5℃の
観点から適切かどうかを評価できるようにすべきである。また野心的な行動を促すような正しい
インセンティブを取りいれる必要がある。

市場メカと非市場メカは両方とも重要である。

レビューメカニズムによって、調整(adjustment)や緩和機会の掘り起こしを行い、2℃・1.5℃を
満たせるようにすべき。

REDD+については、ワルシャワ REDD プラスフレームワークを含めるのがよい。

“applicable to all”は、画一性(uniformity)ではなく、CBDR&RC に基づく公平な差異化である。
先進国のリーダーシップが必要である。
ヨルダン

中国、フィリピン等を支持する。
南アフリカ

INDC は事前の多国間評価にかけるべきである。リマでは、最小限の情報、事前プロセス、要
素、その他について単一の決定を得るべき。

長期の側面については、全ての国が 2℃目標にコミットし、これを 2050 年までに 1990 年比で
少なくとも 50%減に至る排出経路に転換し、その下で、各国は野心的かつ公平に差異化され
た緩和コミットメントをもつ。その際、全ての締約国のコミットメントと追加的にコミットメントを定
めた条約 4 条の構造に従う。事前評価に関連しても、最小限の情報のフォーマットを、条約 4
条に基づき先進国と途上国で差異化して作成する。条約 4 条 1 項(a)に従い、全ての国がコミ
ットメントを有し、その際、原単位目標、NAMA 等も許容され、MRV も行うが、4 条 2 項に従い、
先進国は追加的に 1990 年を基準年とする 2030 年までのエコノミーワイドの総量目標を持つ。
また全ての先進国が 2050 年のゼロカーボンの目標をもつ。

情報については、セクター/対象ガス、GWP、マーケットの使用、全ての国への共通のアカウ
ンティング、先進国への共通の基準年、貢献が野心的で衡平であることの説明を含む。

制度アレンジメントについては、BR/BUR、IAR/ICA 等の既存の制度を活用する。市場メカを
使う場合は、環境十全性と追加性の検討を課す。

プロセスについては、サブミッションを参照してほしいが、緩和、適応、実施手段に対して行わ
れることを強調しておく。

INDC は 2015 年合意に取り込まれるべきだが、その最終決定は 2016 年に行い、inscribe する
20
のはその後である。事前評価は、事務局が INDC の全ての要素を集約して、テクニカルな専
門家がレポートを作成し、SB で検討して、COP に対して、各国の貢献と全体での積み上げが
適切かどうかについてレコメンデーションを行うべき。

事後のアセスメントやレビュープロセス(実施状況とグローバルな努力の適切性をレビュー)も
合意に位置付けられるべき。

期間については、中間レビュー付きの 10 年が望ましい。

緩和野心により適応ニーズが決まるというリンクも考慮すべき。
スーダン(アフリカ)

関連する条文は、先進国については 3 条 1 項、4 条 1 項、4 条 2 項、途上国については 4 条
1 項、4 条 7 項である。先進国はエコノミーワイドの総量削減目標とゼロカーボンへの道筋を約
束すべき。途上国は NAMA を含む相対的な排出削減を行う。

アカウンティングについては、先進国は IPCC の最新のインベントリーガイドラインを、途上国
は自ら適切と判断するガイドラインを用いる。また、市場メカのダブルカウント回避(削減量とし
てのダ ブルカウン トと、削減と支援のダ ブルカウントの両方) 、非市場 メカによる貢献 、
LULUCF(京都議定書のルールの改善)、国際イニシアティブのアカウンティングも扱う。

適切性(adequacy)については、先進国に対しては、国別に貢献を検討し、公平性を示す指
標を使用し、最小限満たすべき閾値をもとに評価を行う。途上国については、(国別ではなく)
途上国全体で評価を行い、先進国からの支援を考慮して評価を行う。

遵守については、先進国は京都議定書と IAR をもとに行い、不遵守の場合には、緩和と資金
の両方に関する数字を是正する。途上国は ICA を通じて行う。
ケニア

緩和は 2015 年合意のコアである。全ての国が条約と科学に沿って野心を高める。世界全体
の目的として、温度と排出についてグローバルな目標を書き込む。

INDC は各国のコミットメントの出発点である。この点に関して、事前情報について更なる明確
化が必要。

原則として、後退(backsliding)を認めない、先進国はカーボンバジェットにより率先する、途上
国は相対的な緩和行動を行う。

緩和のタイプと規模は、温度目標と世界全体の排出目標に沿うべきであり、これらの目標の観
点から、事前プロセスで適切性を評価する

BR/BUR 等に基づく事後の報告メカニズム、市場メカ・非市場メカ・LULUCF・REDD+の明確
なルール、レビューに基づくラチェットアップのメカニズム、ICI を扱う規定等が必要である。

遵守については、促進的なものであるべき。

MOI について、先進国は INDC の中で具体的な資金・技術・キャパシティービルディングの支
援を示すべき。
21
ノルウェー

長期目標に絞って話す。長期目標は野心を定め、定期的なレビューを促進し、継続的に野心
を高めるのに必要である。目標には、GHG 濃度、2℃目標、グローバルな排出削減という 3 種
類がある。濃度については、CO2 濃度の上限値が目標候補となる。温度については、2℃目
標が新合意を導くべきであり、これは緩和と適応の共通目標でもある。グローバルな排出削減
については、2050 年までに世界全体でカーボンニュートラルとする、つまり全ての排出が除去
(removal)でオフセットされることを提案する。
ジャマイカ

地域的に近い小国(カリブ海等)については、排出目標を国別ではなく、グループとして提示
するアプローチを認めてはどうか。

適切性をレビューするプロセスを支持する。
アンティグア・バーブーダ

ジャマイカが提示したグループアプローチを支持する。

緩和野心の水準が適応の必要性を決めるというリンクを考慮すべき。

1.5℃以内に沿うように、GHG 削減についての全体的なコミットメントが必要。

市場メカに対する環境十全性を確保すべきである。

期間は 5 年以内が適切。

不遵守へのロバストなメカニズムが必要である。

2013-2015 レビューを定期的な 5 年サイクルのレビューとして組み込むべき。

緩和の要素は法的拘束力を持つべき。野心度は先進国間では同等(comparable)であり、さら
に全体で差異化されるべき。

強力な MRV の規定が必要だが、SIDs への過剰な負担にならないように注意が必要であり。
エクアドル(LMDC)

附属書 I 国はトップダウンの QELRO、非附属書 I 国は強化された NAMA という形で差異化
する。

緩和の INDC には、MOI が含まれるべき。

先進国間の同等性(comparability)が不可欠である。

対応措置への支援も必要である。
ナウル(AOSIS)

IPCC AR5 などをもとに、2013-2015 レビューが ADP にインフォームする。

タイプと野心度については後退を認めない。先進国はエコノミーワイドの緩和目標を継続的に
22
強化する。

長期目標については、1.5℃以内とすることが必要である。また、グローバルな緩和目標は、リ
スク最小化の観点から検討すべきである。

ギャップを埋めるため、先進国は 2020 年までの緩和野心と支援を引き上げるべきである。
マーシャル諸島

2013-2015 レビューが重要である。

全ての国は法的拘束力ある緩和コミットメントが必要である。1992 年の条約の焼き直しは不要
である。

全ての国が INDC を緩和コミットメントの形式で提示すべき。

単純な自己差異化では不適切であり、グローバル目標への前進をトラックできるようにしなけ
ればならず、そのためにはルールが必要である。第一に、タイプや規模について、後退を認
めない。先進国は総量削減を続け、途上国は徐々に総量削減に近づけていく。第二に、共通
の終了年が必要である。その際、新たな科学的知見を駆動力として、政治的なモーメンタムを
生み出すサイクルとなるようにすべきである。期間を 10 年+中間レビューとする案と、5 年とす
る案が提示されているが、後者を望む。IPCC の評価報告書を 10 年サイクルとしつつ、約束期
間に合うようにテクニカルレポートを 5 年サイクルで作るのがよい。5 年間のコミットメントを、そ
の開始年の 10 年前に確定すべき、つまり 2020 年以降のコミットメントは 2015 年に決められる
べきある。

さらに、2050 年までの長期の脱炭素化目標、つまり今世紀中頃までのネットゼロ排出も盛り込
むべきである。

能力と責任のある国は、来年 3 月までに INDC を提示すべきである。
シンガポール

以下の 5 点がキーポイントである。

①条約 4 条 1 項の文脈のもとで INDC を提出する共通義務(タイプは多様でありうる)

②全ての国が緩和の要素を貢献に盛り込む義務(ただし他の要素を盛り込むことを否定
はしない)

③貢献作成への支援が提供される

④先進国が、特に早期に野心的な INDC を提示することによってリーダーシップを示す

⑤世界全体の参加が必要である
メキシコ

全ての国が緩和のコミットメントを行うべき。NDC については、先進国と他のその立場にある国
は定量的なエコノミーワイドの削減目標、他の途上国は総量制約、原単位、BaU 比、部門別
など多様な選択肢とすべき。LDC については行動でもよい。
23

時間変化する枠組み(dynamic framework)については、法律家に他の国連条約でどのように
やっているのかを検討させてはどうか。
オーストラリア

以下をシンプルかつ簡潔に書きこむべきである。

①条約の目的の認識、②全ての国が共通の連続的な期間(consecutive period)の下でコ
ミット、③プロセス、④国際的に合意されたアカウンティングの枠組み、⑤国際的に合意さ
れた MRV の枠組み、⑥前進的な方向性(positive direction of travel)

コミットメントは、国別行程表(national schedule)に情報とともに記録する。

差異化は、国別事情の中で常識的(sensible)なものを決めることを各国に許容することで実現
する。

NDC は調整を要求されるものではなく、各国がそのタイプとヘッドラインナンバーを自ら決定
する自由度を有するべき。ただし、一貫性をもったパラメーターが必要。例えば、共通の終了
年(例えば 2030 年)、定量的または定量化可能であること、支援を条件としないこと、最新の
科学的ガイドラインによる方法論・メトリクスを用いることなどである。

アカウンティングについては、方法論、土地部門の原則、市場メカの原則(ダブルカウントの回
避、永続的・検証可能でありバンキング・ボローイングが可能であること)が必要である。
スイス

緩和に関する長期ビジョンは有用である。ただし、持続的(durable)な形となるように注意が必
要である。2℃以下、2050 年に 2010 年比で 40~70%削減、今世紀後半のカーボンニュートラ
ルなどが指摘されている。

コミットメントは自己差異化され、合意の附属書(Annex)に埋め込まれる(anchor)。

貢献については、支援を条件付けないこと、タイプは自国で決定するが削減量が定量化可能
であること、終了年を共通にすること、ルールと前提が明確であること(市場メカのダブルカウ
ント回避やオプトイン等)が必要である。

INDC のレビューについては、世界全体で野心を向上できるようなものにすべき。

制度アレンジメントについては、市場メカなどインセンティブメカニズム、トラッキングの仕組み、
将来の約束を埋め込む仕組みが必要であり、COP にこれらの詳細を決定する権限を与える
べき。
ボリビア

緩和、適応、持続可能な開発のリンクが重要である。
バングラデシュ

INDC は、十分な情報とともに、来年第 1 四半期までに提示されるべきであり、先進国がリード
24
しなければならない。また、国際的なアセスメントとレビューをできるようにすべき。

事前情報は、早期の理解に不可欠である。情報によって、INDC が十分に野心的かつ、
CBDR&RC と衡平の観点から公平であるのかを説明する必要がある。
ブラジル

緩和は、2015 年合意の本質的な側面だが、合意はこれだけに限るものではない。

ブラジルは幅広いコンサルテーションを開始し、特に緩和の貢献に対して必要な正統性を確
保するようにつとめている。

事前情報は、緩和コミットメントのデザイン次第である。附属書 I 国に対しては後退を認めず、
総量目標であるべき。途上国は柔軟性が与えられるべき。また、緩和貢献は他国の貢献を条
件とすべきではない。一方、途上国の貢献の一部は支援を条件とする。

アセスメントプロセスを 2015 年に急いで行うべきではない。野心的ではない貢献を提示するね
じれたインセンティブを与えることになり、2015 年合意を弱体化させてしまう。

差異化については、自己差異化であるが、附属書 I 国には後退を認めてはならず、また附属
書自体も維持すべきである。一方、途上国には総量目標を含む様々なオプションが与えられ
るべきであり、支援を条件とするもの、自らのリソースで実施するものの両方を含む。

MRV については、附属書が後退(backsliding)を防ぐセーフガードになる。
サウジアラビア

食糧安全保障、適応、持続可能な開発が重要である。

目標(goal)はマンデートではない。

緩和と適応は相互に関連しており、対等に扱われるべきである。
インド

貧困削減やエネルギー・水へのアクセスが途上国(インド)にとって優先課題である。したがっ
て、衡平を欠く仕組みは受け入れられない。途上国への支援が不可欠である。

緩和コミットメントは差異化されるべき。先進国は条約 3 条 1 項に基づき国内削減でリードし、
先進国間の同等性(comparability)を確保し、QELRO の形式をとり、歴史的責任に基づき附
属書 I 国全体のトップダウン目標を定めるべき。途上国は附属書 II 国から資金・技術の支援を
受ける。

MRV も、現行の仕組みがそうであるように、差異化する。

制度アレンジメントについては、附属書 I 国は京都議定書、途上国は NAMA とするのがよい。
中国

条約の原則・規定に反する提案は ADP で議論すべきではない。

長 期的 な側 面につい ては、条約の 目的と 共有 ビジョンに 関する ドー ハの決 定( 衡平 、
25
CBDR&RC、途上国支援、持続可能な開発への衡平アクセス)を 2015 年合意に完全に取り
込むべき。

コミットメントについては、まず条約の個々の柱について行動を強化すべき。緩和については、
先進国は同等な総量目標、途上国は支援のもとで多様な緩和行動を継続という差異化を盛り
込むべきである。また途上国の個別のニーズと特別な事情を考慮し、原単位目標、BaU 比、
計画、政策措置など多様な形態を認めるべきである。

対応措置も含めるべきである。

レビューやアセスメントのプロセスはそもそも ADP のマンデート外であり、条約の再交渉になら
ないようにすべき。CBDR&RC に基づき、先進国と途上国の間で差異化し、全ての要素(先進
国の目標、途上国のアクションのバリアとそれを取り除く支援等)を扱うべき。また、IAR と ICA
が既にあることから新規の仕組みは不要である。レビューを通じて、先進国の目標見直し、途
上国への更なる支援提供が行われるべき。

条件付けが何度か指摘されているが、そもそも先進国による支援の提供は義務である。支援
を条件付けるべきではないとの主張は、先進国の言い訳である。
EU

INDC について、純粋なボトムアップでは不十分であり、トップダウンの要素を盛り込んだハイ
ブリッドアプローチにする必要がある。

CBDR&RC については、変化する現実を反映する必要があり、南ア、AILAC、LDC、ツバル、
ノルウェー、スイスなども同様の見解を示した。

テキストではなく、要素の議論に入っていくべき。パリに至るまでのプロセスの要素は、①コミッ
トメントのタイプと野心(大きな責任と能力のある国は総量目標を掲げ、後退を認めない)、②
事前情報(野心的かつ公平であることの説明)、③世界全体で 2℃以下となるかの確認であ
る。

2015 年合意の要素としては、①法的拘束力ある緩和コミットメント、②全ての国への MRV・ア
カウンティング・遵守(土地利用、市場メカ(ダブルカウント回避)等)、③長期目標(世界全体
の排出経路)、④定期的に野心度を検討するメカニズムである。

来週、事前情報のドラフティングを行いたい。
ニュージーランド

①目的については、条約の目的に書かれている濃度安定化を合意に入れるのが良いだろう、
②国のカテゴリー分けではなく、合意されたパラメーターに柔軟性を埋め込んでいくのがよい、
③野心を向上させることにコミットすることを盛り込むという 3 点を説明する。

グローバルな緩和目標について、ノルウェーのアイデアにも関心があり、CO2 濃度を検討する
のがよいかもしれない。目標は aspirational なものであるべき。

新合意のもとで全ての国が NDC を提出する義務を負い、NDC は合意の外側(broader
26
package)の国別行程表(national schedule)に含めるのがよい。NDC には様々なパラメーター
があるが、合意された制約の枠内でオプトアウトを認めるべき。また約束期間は共通であるべ
きだが、5 年が良いか、10 年が良いかはまだ決めていない。また定量化可能であるべき。

全体の方向性を示す条文を入れてはどうか。方向性とは、時間とともに野心を向上させ、オプ
トアウトを減らしていくということである。ただし、不可抗力の規定も必要である。

合意されたアカウンティングルールを適用するという共通義務も含めるべき。このなかで、市場
メカを使う国は合意された基準(COP 決定による)に従うことにする。MRV のシステムも、柔軟
性を埋め込みつつ、共通にすべき。

2015 年の成果は、①法的拘束力ある合意、②COP 決定、③全ての国への国別行程表という
パッケージであるべき。

プロセスについては、①事前情報の要件、②コンサルテーション・レビューの進め方、③アカ
ウンティングルールを検討する必要がある。
アルジェリア

歴史的責任が中心にあるべきで、先進国は同等なエコノミーワイドの総量削減目標を掲げ、
途上国は支援を条件とする適切な行動をとるべきである。
パプアニューギニア

REDD+と沿岸海洋生態系によるストックとそれらへの支援を 2015 年合意に位置付けるべき。
クウェート

対応措置の条文が必要である。
日本

2015 年合意は持続的(durable)なものであるべきで、CBDR&RC は変化する文脈のもとで適
用(operationalize)すべき。

長期的な視点に関しては、条約の究極の目的と最新の科学的知見が重要である。

2015 年の成果は、合意本体と COP 決定の組み合わせとなる。合意における義務のひとつは、
INDC を提示することである。緩和は INDC の中心であり、全ての国は緩和の貢献を評価・比
較・合算できる形で提示しなければならない。

国別事情に基づき、さまざまなコミットメントのタイプ(基準年の選択、単年・複数年の選択を含
む)が許容されるべきだが、主要国には総量目標を期待する。ただし、国のカテゴリー分けは
行わない。

INDC は支援を条件とするものであってはならない。

土地利用や市場メカを使う国は前提を明らかにする必要がある。市場メカについては、ダブル
カウントをどうやって避けるのかも示すべき。
27
ガイアナ

事前アセスメントや貢献の更新に関するマーシャル諸島の見解を支持する。

緩和ギャップを埋めるために、先進国は野心強化でリードすべきである。

SIDs や LDC に同じスタンダードを課すのは無理であり、これらの国々に対して特別な考慮が
必要である。
米国

長期的な側面については、新合意は持続的(durable)であり、複数の約束期間を繰り返して
いくものであり、変化する能力と事情に応じて 2℃目標に貢献していくという点が重要である。

米国は来年第 1 四半期に緩和貢献を提示すべく作業を進めている。

国のカテゴリー分けは望ましくなく、NDC という考え方により、この問題への答えはほぼ出てい
る。

定量化は重要な要素である。ただし、能力がない国は定性的な貢献も許容する。

差異化は、自己差異化によって行う。

最初の貢献の時間枠については、首脳レベルの関心を維持すべく、終了年を共通にすべき。
米国はいくつもの理由により、2025 年の方向に傾いている。国内政策の時間枠が貢献の終了
年と一致していなくても、終了年の排出量を推定すればよいだけなので、問題にならない。

貢献期間の終了年のあとの更新については、目標を引き上げる方向も、引き下げる方向も認
められるようにしたほうがいい。

2 種類のルールが必要である。第一に、他国が理解できるように貢献の意味を明確にするた
めのルールである。第二に、いくつかの側面についての制約(共通の終了年、GWP などのメト
リクス、対象部門・ガスとオプトアウトする場合の説明、土地部門と市場メカのアカウンティング)
である。

(最終的な)貢献の通報は、合意参加時に行うのがよい。

貢献への支援の条件付けは認められない。資金のフローは 2020 年以降も続く。貢献のコアの
部分は国際的な資金を条件としてはならない。
カナダ

これまでの議論を聞いていると、①NDC を提示する共通の法的義務、②行程表を定期的に
更新する共通の法的義務、③情報により貢献を定量化可能にする共通の法的義務という構
造が浮かび上がってきていると思う。この 3 つの要素のもとで、詳細を議論してはどうか。
韓国

目標の形式とタイプは各国が国別事情のもとで決定する。

事前情報は規定的(prescriptive)にすべきではない。
28

コンサルテーション期間は、幅広い参加と野心を促進するようなものにすべき。
共同議長

緩和の議論の総括はしない。

進め方については、コンセンサスを見いだせない。コンタクトグループは、交渉を行うのか話し
合うだけなのか、成果は何か、スピンオフを作るかなどについて、意見の一致はなかった。3 月
の会合のときと状況は似ている。コンタクトグループを作るかどうかについて、最初の時点では
コンセンサスは無かったが、期間中にコンセンサスが形成された。ストックテーキングまでにコ
ンセンサスを得てほしい。二国間などで議論してほしい。それまでは、サブスタンスの議論を
続ける。プロセスについては、ストックテーキングで取り上げる。
フィリピン

交渉いつ開始するのか、テキストはどうするのかを明らかにすべき。
共同議長

今週、交渉テキストを作ることはない。そもそも、これまでの合意は、テキストの要素を作ること
であった。
中国

初回のコンタクトグループで提示した決定草案はどうするのか。
エチオピア

テキストの集約を行うのか。リマまでに集約する必要がある。
ガンビア

CRP を使って交渉したい。
共同議長

集約に反対する国も多かった。CRP だけを交渉に使うことに反対する国もあった。来週の中頃
に今後の進め方を見いだせると楽観している。
ツバル
テキストの集約は AWG-LCA で示されたように機能しない。
クウェート

AWG-LCA には数々のサクセスストーリーがある。マラケシュ合意も膨大なテキストから作られ
29
た。
共同議長

INDC に関するドラフトテキストは、何ら公式のステータスを持つものではない。締約国の見解
を議長が振り返ってみたものにすぎない。これをどうするかは、締約国が決めることである。
中国

交渉テキストではなく、要素のテキストをどうするのか。

INDC のテキスト草案は、ワルシャワのマンデートである情報を越えて、貢献の検討も含んでい
る。
共同議長

あくまで、3 月のセッションを振り返ったものである。

来週は、既に述べたように進めていく。
※上記に加え、イラン、エジプト、ヨルダン、エクアドル、ドミニカ等が LMDC の CRP に沿って発言し
た。
2014 年 6 月 10 日(火)
ADP コンタクトグループ(技術)
概要:
(1)制度アレンジメントと協力、特に①技術メカニズム、②資金メカニズムとのリンク、③実現環境
(enabling environments)とバリア、④技術ニーズ評価(TNA)等について、各国が意見を表明した。
(2)既存の技術メカニズム(TEC と CTCN)を継続・強化すべきという点については、先進国・途上
国を問わず、多くの国の間で意見の一致があった。また、AOSIS と南アフリカは新合意の中に技術
メカニズムを位置付けるべきと述べた。
(3)多くの途上国が資金メカニズムとのリンクが重要と述べた。また、LMDC は GCF や資金メカニズ
ムの中に技術・IPR のウィンドウを設けるべきと主張したが、米国は緩和や適応との区別がつきにく
いと牽制した。
(4)LMDC・LDC・南アフリカは、IPR は技術移転の阻害要因であり、これに対処すべきと主張した。
先進国は IPR はバリアではなく、技術移転の促進剤であり、イノベーションへのインセンティブであ
ると反論した。
各国の発言:
冒頭に共同議長が論点として以下を提示。
Institutional arrangements, cooperation and coordination
30
• Strengthen the Technology Mechanism
• Enhance cooperation, and synergy and linkage with other institutional arrangements, in
particular the financial mechanism
• Effectively create enabling environments, and address barriers to technology development and
transfer
• Further strengthen the role of technology needs assessments (TNAs) in enhancing technology
development and transfer
ツバル(LDC)

既存の制度アレンジメントは十分で、新しい組織は不要という主張が多いが、新合意では全て
の要素が必要である。緩和だけを扱うものではない。

2015 年合意では、資金とのリンケージが重要であり、資金メカニズムの中に技術ウィンドウが
設けられるべき。また、合意の中に既存組織を位置付けることにより、その確実性を高めること
ができる。

IPR はバリアであり、これに代替するものを探すべき。

技術メカニズムと条約内外の他の組織体とのシナジーが重要であり、この点を新合意に明記
してはどうか。
インド(LMDC)

条約 4 条 3 項(c)と 4 条 5 項に基づき、附属書 II 国が技術を支援する。

IPR は技術移転のバリアであり、その除去や円滑化が必要。また、コストに対して資金を提供
すべく、GCF に特別ウィンドウを設けるべき。

既存の技術メカニズムの下での取組としては以下がある。まず、先進国の実現環境(enabling
environments)、特に IPR コストによる技術開発移転の阻害が深刻な問題となっており、これに
対処すること。また途上国については、運営規則(operational modalities)を通じて、技術アク
セスへの支援を強化することが必要である。

多くの部門で変革的な対応が必要であり、途上国の文脈やニーズに応じた真のグローバルな
協働を部門別の多様性に注目して進めていかなければならない。

IPR は重大な懸念であり続けている。いくつかの部門での成功例がこの交渉では役立つ。ま
た、協働 R&D を通じた IPR の共有も有用である。
ベリーズ(AOSIS)

これまでに様々な決定を積み重ねてきたが、いまだ技術は普及していない。2015 年合意では
この状況を正すべきである。カンクン合意で創設した技術メカニズム(TEC、CTCN)を実効的
にする必要があり、これらを 2015 年合意に位置付けて、 “the” 技術メカニズムとして明確化
すべき。また、他のイニシアティブは、技術メカニズムにガイドされるべきである。
31

SIDs の特別な事情を考慮した特別なプログラムを CTCN など技術メカニズムの中で始めるべ
き。
南アフリカ

2℃目標を満たせるように、途上国の技術開発移転への支援にコミットすべきである。

先進国は 4 条 3 項と 4 条 5 項に従い、以下をコミットすべき(※サブミッションに掲げられたも
のを読み上げ)。

技術の買い上げと途上国へのライセンス、途上国ユーザーへの特許不行使のプレッジ、
ライセンス補助、インセンティブ枠組み、内生的能力(endogenous capacities)の強化、協
力的 R&D 等

途上国は TNA を最終化し、適切な国別構造を整備することにコミットすべき。

制度アレンジメントについては、途上国の技術アクセスを強化する政策・規制枠組みが必要で
あり、技術メカニズム(TEC、CTCN)を新合意に位置付けるべき。また技術移転と資金の既存
アレンジメントに関して、リンケージが必要である。

技術移転は INDC に含まれる。途上国は情報に TNA を含め、4 条 3 項と 5 項のもとでコミット
している国は、技術移転の金額、前提、使用するメカニズムなどを情報に含め、さらに貢献が
公平であることを説明すべき。
ベネズエラ

技術は新合意に不可欠な一部である。

技術に対する資金支援は先進国のコミットメントであり、この義務は民間部門には転嫁できな
い。MRV と強力な遵守が必要である。

技術メカニズムでは、ローカルの状況への技術の適合や自前技術(endogenous technology)
の開発を支援すべき。

IPR は条約で扱われるべきものであり、新合意の中で IPR を明示的に言及すべき。

これまでの成果との連続性を確保すべきであり、COP21 までに、法律の専門家グループにこ
れまでの決定との整合性確保を検討させるべき。
日本

既存のアレンジメントはうまく機能している。そのまま継続し、さらに強化していくべき。技術とキ
ャパシティービルディングの間にはクロスカッティングな性質があることから、関連する COP 決
定のなかに、他の組織体との協力を位置付けるのが良い。

CTCN では、すでに 80 か国以上がフォーカルポイントを立ち上げており、6 か国の途上国から
リクエストも提出されており、支援実施段階に入ったところである。さらに、TEC と CTCN はワー
クストリーム2において、特に再生可能エネルギーと省エネルギーについて重要な役割を果た
しうる。
32

2015 年合意への反映方法については、持続性(durability)が基準となる。継続する側面は合
意にアンカーしつつ、変化する側面(機能や各組織体の性質)は関連する COP 決定に反映さ
れるべきである。
中国

条約の実施が目的である。制度アレンジメントの機能実施(operationalization)だけでは全く不
十分である。資金の提供、バリアの除去(IPR への対処、実現環境の強化)などが条約で求め
られていることである。

2015 年の成果における技術の要素について、3 つのポイントを述べる。

第一に、先進国が、途上国への技術支援について具体的なコミットメントや行動計画を掲げる
ことである。技術の提供、バリアの除去(パテントプールを含む)、途上国の能力強化、研究開
発実証への支援、国内環境の改善などであり、これらは定量化・検証・比較されなければなら
ない。

第二に、途上国の能力構築や自国能力強化への支援である。制度アレンジメントを通じた南
南協力が有益かもしれない。

第三に、共同研究開発実証を先進国の支援のもとで、先進国と途上国のステークホルダーを
巻き込みながら行うべき。

既存の技術メカニズム、TNA、資金メカニズムに立脚するが、技術メカニズムに対して、さらな
るガイダンスとマンデートが必要である。技術に関する行動と支援の MRV も強化されるべきで
ある。
アルジェリア(アラブグループ)

IPR のようなバリアは除去されるべきである。

IPR の国際メカニズムを創設して、技術への資金を提供すべきである。GCF の下に技術開発
移転の特別ウィンドウを作ってはどうか。
ウガンダ

ポズナン戦略プログラムなど、技術メカニズム創設前に始めていた取組も重要である。

自前技術(endogenous technology)の重要性を 2015 年合意はもっと強調すべきである。その
ためには資金が必要である。CTCN には具体的なリクエストが届いているが、資金メカニズム
に技術に関する特別ウィンドウが必要である。

IPR はイノベーションを促進するが、技術移転のバリアでもあり、対処すべきである。
イラン

促進的な IPR レジーム・IPR の国際メカニズム、および GCF における技術ウィンドウが必要で
ある。資金メカニズムは IPR へのファイナンスを行うべきである。
33

技術は他の要素と同等の法的性質をもつべきである。

附属書 II 国は資金と技術の支援を提供すべきであり、国内準備では資金と技術に関する支
援のコミットメントを検討すべき。
EU

緩和と適応へのコミットメントが技術への市場需要を生み出すことから、これらのコミットメントが
有効である。そして、こうした需要に対応するために、TEC と CTCN を作った。EU は CTCN に
多額の資金を提供している。GCF も技術に資金を提供する。こうして需要と供給がマッチング
される。TNA は、供給と需要をつなぐ役割を担う。緩和に関する INDC は、TNA をバンカブル
なプロジェクトに仕上げることに役立つ。

実現環境(enabling environments)については、TEC の作業計画で既に対応している。バリア
と実現環境の文脈の中で IPR も議論されている。ナショナルイノベーションシステムも実現環
境である。

技術やスキルは民間部門にあり、TEC の理事会などを通じてリーチアウトしていくのがよい。
米国

制度アレンジメントについて、TEC と CTCN は機能し始めたところであり、今後、経験を蓄積し
ていく。ニーズにこたえられるように、CTCN のリソースとスタッフを拡大していく方法を見つけ
ないといけない。

今後の交渉では、意見が収斂しそうな分野を追求すべきだが、IPR は意見がまとまらない分野
である。IPR は技術移転の促進剤であり、イノベーションに不可欠である。

TNA を作ってはいるものの、商業的なプロジェクトパイプラインになかなか入っていかない。こ
の問題に対処するため、CTCN を作ってきた。新合意では、こうした制度アレンジメントにリファ
ーしてはどうか。

資金メカニズムに技術ウィンドウを設けるとの提案があるが、これは COP15 までの資金交渉で
も取り上げてられてきた。緩和と適応との区別が難しいことが問題である。

民間部門の関与強化は重要であり、さらに議論したい。
カナダ

民間部門が重要な役割を果たす。

実施手段は包括的な視点から捉えるべきであり、技術はその重要な要素の1つである。

条約下での取組は技術メカニズムに結実した。技術に関する取組は、技術メカニズムに導か
れるべきである。

カナダは、CTCN の立ち上げに 250 万ドルを提供した。

2020 年以降についての合意では、技術メカニズムの重要性を認識し、COP が決定を行えるよ
うにしてはどうか。
34

実現環境の改善は重要である。IPR がバリアであるとは思わない。イノベーションへのインセン
ティブであると固く信じる。
ペルー

技術にはコストがかかることを踏まえると、資金メカニズムとの接続が必要である。
フィリピン

2015 年合意には、技術メカニズムに対するレビュー・評価の規定を含めるべきである。

技術メカニズムと資金メカニズムのリンケージや、支援への MRV とのリンクが重要である。
マレーシア

条約 4 条 3 項、4 条 4 項、4 条 7 項、4 条 8 項、4 条 9 項に従うべき。需要と供給という観点か
ら語られているが、あたかも条約がマーケットプレイスのようだ。途上国のニーズは需要ではな
い。技術の提供は、供給ではなく、コミットメントである。技術に関する標準的なパラダイムにと
らわれていては、気候変動に対応できない。条約の下で何を議論するのかをこの理解のもと
で絞るべきである。
メキシコ

2015 年合意では、技術メカニズムを強化し、実効性を高めるべきである。そのために、①各国
レベルの優先順位付けへの支援、②技術プロセス全体(プルとプッシュ)へのテクニカルな専
門性の提供、③資金の提供、④実現環境の創出、⑤経済社会開発の便益(雇用など)の促進
を行うのがよい。
2014 年 6 月 11 日(水)
ADP コンタクトグループ(透明性)
【概要】
(1)緩和に関する MRV とアカウンティングについて、先進国は「柔軟性を持たせつつも、全ての国
に共通にすべき」と主張する一方、LMDC とアフリカグループは「先進国(BR、IAR)と途上国
(BUR、ICA)の間で差異化すべき」と述べ、従来通り、平行線となった。
(2)途上国は、「支援提供の MRV を高めるべき」と足並みを揃えて主張していた。これに対して先
進国側は、「提供国側の支援実績だけではなく、受取国側における支援の実効性にも MRV を行う
べき」と牽制した。
(3)市場メカニズムについては、米国、EU、ノルウェー、南アフリカ、AILAC が、「ダブルカウント回
避のためにルールが必要」と発言した。さらに、米国とブラジルが、国際取引の基準や取引参加の
適格性条件に触れた。。
35
各国の発言:
共同議長

スライドに基づき透明性に関するこれまでの議論を紹介。

行動(Action)に関する透明性における差異化と柔軟性に関し、①条約 4 条と 12 条に従い付
属書1国と非付属書Ⅰ国で異なる義務を課す、②共通の枠組を設け、ビルトインされた柔軟
性に基づき、枠組の適用において柔軟に対応する、③能力に基づき徐々に行うべき対応を
高めていくという3つの考え方が存在。

また、支援の MRV については、①条約 12 条に基づき、先進国の MRV を国別報告書、BR、
IAR で強化、②支援実施国を増やしていくという 2 つの考えが存在。
ナウル(AOSIS)

NDC に付す情報は、各国の取り組みの合計がグローバルな目標との関係で適切かどうかを
判断するために重要。

透明性の枠組は SIDS や LDC の特別な状況にも配慮すべき。
ツバル(LDC)

パリに至る透明性のプロセスが必要である。緩和と資金を含む貢献を検討するタイムラインが
必要である。

透明性の内容面では、京都議定書よりも弱いものであってはならない。KP における透明性の
枠組は良いモデルであり、特に先進国には、京都議定書のルールが適用されるべき。遵守の
仕組みも設けられるべきだが、差異化が必要。

資金についても緩和と同様の MRV の仕組みが設けられるべき。
オーストラリア

2015 年合意における透明性は緩和、適応、支援等を全て含むべき。既存のシステムに立脚し、
その経験から学ぶべき。

行動の透明性については、現在の BR/BUR、IAR/ICA からも多くの教訓を得ることが可能と考
える。2015 年合意における行動の透明性の差異化については、議長の提示した②、すなわ
ち共通のガイドラインのもとで、各国の能力・事情やコミットメントのタイプに応じてその適用に
差異があるということが望ましいと考える。二分法のシステムではなく、各国が継続的に改善で
きるものにすべき。

透明性の制度アレンジメントは、効率化をはかり、重複を避ける必要がある。新合意では全て
の国が共通の透明性枠組みを各国事情に応じた柔軟性をもって適用することを約束して、枠
組みの詳細については COP 決定を通じて 2020 年までに整備していくべき。
サウジアラビア(LMDC)
36

2015 年合意における透明性に関する枠組は、全て条約の精神と条項(2 条 2 項(a)(b)、12
条 1 項~4 項)と整合的なものでなければならない。

附属書Ⅰ国は BR/IAR を通じて努力の同等性を確保、非附属書Ⅰ国は BUR/ICA で透明性
を確保すべき。

先進国から途上国への資金、技術等の支援の MRV が強化されるべき。

途上国の透明性の実施に関する支援は 2015 年合意に不可欠な一部。
(この他、アルジェリア(アラブグループ)、エクアドル、イラン、フィリピンが同様の発言)
ノルウェー

2015 年合意では、既存の制度から共通のシステムをつくるべき。そのシステムは柔軟性をもつ
必要があり、共通に適用する規定と緩和コミットメントのタイプに応じた規定を含む。継続的に
改善し、現在の MRV の枠組における教訓を反映すべき。

緩和のアカウンティングルールは、前進をトラックするために必要で、期間を通じて全ての国
に適用されるもの。検証されたインベントリー、土地部門の予見可能なアプローチ(土地ベー
ス、または活動ベース)、市場メカニズムのモダリティ(クレジットの国際的なトラッキングシステ
ム。ダブルカウントを防ぐような仕組み。ITL が前例)を含む。柔軟性を持たせるために、IPCC
のインベントリーアプローチや途上国への猶予期間などを盛り込む。事前情報に各国が予定
しているアカウンティングアプローチを含め、これに基づいて新合意に高次の規定を設ける

2015 年合意には、①共通の重要な要素(共通のガイドラインに従うこと、独立の専門家レビュ
ーを受けることなど)、②全ての国にアカウンティングが適用されることを含め、同時に必要な
ガイドラインとモダリティを作成するための作業計画を決めるのがよい。
カナダ

2015 年合意には、透明性についての原則(全ての国に適用されること、様々な国別事情に応
じて十分に柔軟に対応すること等)が含まれ、詳細については 2015 年以後に議論していくべ
き。2015 年合意に含まれるべき重要な規定は以下のとおり。①共通の透明性・アカウンティン
グの枠組に参加するとのコミットメント、②NDC の進捗状況について定期的に報告するとのコ
ミットメント、③定期的レビューに参加するとのコミットメント、④土地セクター及び市場メカニズ
ムを使用する国は定期的に状況を報告するとのコミットメント。

2015 年合意によって、報告とレビューのガイドラインを作成するマンデートを COP に与えること
も検討するべき。
スーダン(アフリカグループ)

まず 3 つの側面を強調する。第一に、透明性の枠組みは条約、特に 12 条 1 項、122 項、12
条 3 項に基づくべき。第二に、既存の制度アレンジメントを重視すべき。第三に事前評価は不
可欠である。
37

2015 年合意には、先進国による緩和コミットメント及び途上国支援の MRV が含まれるべき。
先進国については、毎年のインベントリーの報告とレビュー、BR、国別報告書を新合意に反
映し、京都議定書の遵守の規定を適用すべき。途上国については、国別報告書、BUR、ICA
が 2015 年合意の透明性の基礎となる。

附属書 II 国の資金と技術のコミットメントについては、資金の常設委員会の作業を 2015 年合
意に反映すべきであり、支援のタイムラインと財源(およびその定義)が明らかにされるべき。
支援の適切性の事前評価も必要。

共通のアカウンティングルールは先進国にのみ適用されるべき。途上国に対して懲罰的であ
るべきではなく、各国の主権を尊重したものであるべき。
ベネズエラ

LMDC のステートメントを支持する。

条約と京都議定書との法的な一貫性を確保すべきである。
コロンビア(AILAC)

事前情報とプロセスを含む事前の明確化、支援規模(財源、チャネル等を含む)の透明性ル
ール、能力変化に応じた改善、科学と CBDR&RC に基づく努力水準の定期的レビューを含
むべきである

行動の MRV については、後退しないこと、適応性を高めることが重要である。アカウンティン
グルールについては、ダブルカウントを避けること、クレジットの環境十全性を確保すること、
AAU のキャリーオーバーを阻止することが重要である。

支援の MRV については、資金をトラッキングするための国際的に合意された方法論が必要
である。資金のダブルカウントを防ぐためには、気候資金に関する共通の合意された定義が
必要である。

遵守も重要である。
スイス(EIG)

共通の透明性枠組みはすべての国に適用されつつ、能力に応じて適用の深度を変える柔軟
性を有するものである。

新合意には、全ての国が、次のラウンドの NDC に関する全ての関連する情報を提示するとい
う規定を設けるべき。

アカウンティングについては、合意にコアのルールを含めるべきで、EIG のサブミッションに詳
しく書かれている。例えば、土地部門の包括的アプローチ、IPCC ガイドラインの適用、緩和タ
イプに応じたルールなどである。これらを実施するためのガイドラインは COP 決定で定める。

支援のアカウンティングについては、現在進行中の作業に立脚して、合意に何を含めるかを
検討する。支援のデリバリーだけではなく、その利用によるインパクトも MRV に含めるべきであ
38
り、COP でガイドラインを改訂する。

透明性に関する規定を独立のセクションとするか、合意の要素ごとに規定をおくかも検討する
必要がある。
EU

共同議長が提示した 3 つのオプションについては、全ての国に適用される共通のシステムに、
コミットメントのタイプに応じた差異化を含めるのがよい。ルールは、コミットメントのタイプに応じ
て異なるものとすべきであり、IPCC ガイドラインを用いることでそれに埋め込まれた柔軟性が
適用される。能力に応じてタイムラインを変えることも一案である。

アカウンティングについては、LULUCF(土地)に関する既存システム(京都議定書や REDD+)
の経験が重要であり、各国の能力に応じた差異化も必要。市場メカニズムについては環境十
全性を確保し、ダブルカウントを避けることが大切。

遵守は透明性の一部である。

合意自体には、明確なルールの基礎、レポートの義務、レビュー、土地利用の原則等を含め、
その詳細については作業計画を策定し、2015 年から 2020 年に検討する。

支援の提供と受取の MRV は、公的資金・民間資金の両方を含むものである。

MRV 実施への支援も継続する。
エクアドル

支援の透明性をまず確保してから、行動の透明性を行うというシークエンスが重要
南アフリカ

全てのアクション(特に支援の提供)への MRV が必要である。支援の MRV では、タイプ、財
源、支払い、合意された経路に向けた実効性が明らかにされるべきである。

既存のシステム(IAR、ICA)はまだ初期段階であり、これらの経験に学んでいく必要があり、
2020 年以降のコミットメントの事後評価に生かしていくべき。

遵守は透明性のもう1つの側面である。条約 13 条が定める Multilateral Consultative Process
を活用できないか。

市場メカニズムに関するルールは、ダブルカウント回避に必要である。土地利用については、
炭素プールを包括的にカバーする必要がある。

MRV 実施への支援は維持されるべき。
日本

既存の枠組、仕組みから得られる経験や教訓を活かすべきであり、本年 12 月の SB41 から始
まる先進国の MA も参考になるものと考える。

現在の二分化された MRV の枠組は 2020 年以降統合すべき。ただし、国別事情、コミットメン
39
トのタイプ、GHG 排出へのインパクトなどに対応する柔軟性を有するべき。市場メカニズムと土
地セクターを活用する国は、使用した方法論を明らかにすべき。

支援の MRV は重要であり、我が国は COP 決定に基づき関連する報告書を UNFCCC 事務
局に提出している。支援の MRV の目指すところは、資金の出し手と受け手の持つ情報を合致
させること。MRV により支援の受取国の中で情報が共有され国内での情報ギャップの問題が
解消されることを期待。
ドミニカ共和国

差異化は、共通の枠組みのもとで、能力と事情に応じて行っていくべき。

透明性の強度については、後退を認めず、前進するものとするが、拙速に前進させるのでは
なく望んだときに前進するようにする。
フィリピン

行動の透明性は、支援の透明性に依存する。
メキシコ

様々なタイプに応じた MRV が必要である。

LDC や SIDs への配慮が必要である。
中国

キーイシューは、条約 12 条に応じて、先進国と途上国の差異化をすることである。仕組みを新
たに作っていく必要はなく、既存のシステムの合意に位置付ければよい。

先進国については、先進国間の比較可能性に焦点を当てるべきである。また資金の透明性
の方法論がないことが懸念材料である。

途上国については、取組の多様性を理解することが目的である。

共通のアカウンティング・MRV ルールは先進国のみに適用されない。途上国については、取
組が多様であるので、共通化できない。

支援の MRV について、資金支援の共通アカウンティングルールを作ってはどうか。また、途
上国の MRV を支援する窓口を GCF に設置するのも一案である。

貢献や情報は、新枠組みの要素に従う。情報も先進国と途上国で差異化される。
米国

現在のシステムをいかにして全ての国に適用できるものに変化させるかが重要である。

支援の透明性については、既に十分に行ってきているが、さらに前進するには、資金の実効
性を強調するなどしてはどうか

行動の透明性については、柔軟で各国事情に対応したものであるべきで、事前の透明性と事
40
後のレビューが必要である。非附属書 I 国のインベントリーは大雑把な要約に過ぎないので、
能力がある国や排出量の多い国はもっと多くの情報を提示すべきである。また、非附属書 I 国
の国別報告書は排出量の予測がないが、排出量が多く能力のある国は予測を提示すべき。
適応の報告も強化するのがよい。国別報告書における南南協力の記載について、もっと詳細
なガイドラインを作ってはどうか。レビューのガイドラインについても同様である。

差異化と柔軟性については、単一の柔軟なシステムを作っていくのが望ましく、能力に応じて
改善していくのがよい。附属書 I 国の報告ガイドラインも能力の違いを考慮していた。

透明性は非罰則なものであるべき。

LDC や SIDs にはより多くの柔軟性が与えられるべき。

アカウンティングについては、柔軟性を持ちつつ全ての国に適用されるルールが必要である。
京都議定書の一部の要素は活用できるが、全てではない。AAU 取引のための比較可能性の
確保などは、ここでの検討に必要ではない。土地部門については、野心を最大化するように
すべきで、様々な事情の中でどのように土地部門をアカウントするのか、そしてどのようにトラッ
クするのかについてガイドラインが必要である。市場メカニズムについては、ダブルカウントを
避けることと、ユニットがリアルで検証可能であることが重要である。そのため、ユニットの国際
取引に関する基準と、同一のクレジットは一か国だけでカウントされることを確保する必要があ
る。後者については、様々なタイプのコミットメントが想定されており、京都議定書よりも状況が
難しくなっている。
ツバル

カーボンユニットをトラックするシステムが必要であり、京都議定書が有用である。
ロシア

各国にフレンドリーだが、全ての国に適用されるものがよい。差異化は、全ての国に適用され
るシステムに、柔軟性を埋めこむことで確保するのがよい。つまり、単一の MRV システムであ
る。上方調整(upward adjustment)の仕組みも必要である。
ブラジル

締約国間の努力を比較する強力な方法論が必要である。貢献はボトムアップで自国決定だが、
事前の透明性のロバストな方法論が必要となる。もちろん、事後の透明性も必要である。

事前の透明性については、まずコミットメントのモダリティに合意する必要があるのだが、努力
を比較する共通のメトリクスについて SBSTA で検討を強化すべきである。この点で、2℃目標
を考慮すれば、温度が参照指標であるべきで、温度の減少への各国の貢献を比較するシス
テムがあるとよい。

支援の透明性については、2015 年合意に一般的なガイダンスを含めつつ、方法論レベルで
は、SBSTA に作業させるべきである。資金支援のダブルカウントを避けるようにしなければなら
41
ない。

市場と非市場のメカニズムについては、どのような柔軟性メカニズムも、締約国がコミットメント
を実施できるようにするという観点から設計されるべきである。国内努力が中心であり、例外的
な場合に、市場や非市場のメカニズムなど柔軟性を認める。そのため、強力な適格性クライテ
リアが必要である(例えば、コミットメントの comparable modalities を満たす場合にアクセスを認
める)。

更なる方法論に関する作業が必要であり、これらを ADP で急ぐ必要はない。2020 年までに
SBSTA で作業すればよい。全ての方法論が 2015 年までに整う必要はなく、2020 年に間に合
えばよい。2015 年までは、一般的な原則で十分である。
バングラデシュ

差異化と柔軟性については、既存の枠組みに立脚することが大切である

評価・レビューのメカニズムが必要である

新合意では、既存の MRV の枠組みを強化・効率化すべき

アカウンティングについては、共通のルール(IPCC の方法論・ガイダンス・メトリクス・セクター・
ガス等)が必要であり、さらに市場メカと LULUCF に関する京都議定書のルールを活用する。

支援の透明性についても、ロバストな MRV の枠組みが必要である。先進国と他のその立場に
ある国が支援を行う。
ADP コンタクトグループ(NDC)
概要:
(1)論点となっているのは、①NDC の範囲、②事前情報、③INDC 提出後のプロセスである。
(2)LMDC は、新たな CRP を提示し、「①NDC には緩和、適応、資金、技術、キャパシティービル
ディングの全てが含まれる」、「②情報は既存のレポーティングに関する決定(BR・IAR/BUR・
ICA 等)に基づいて行う。途上国の行動を検討する際に、先進国からの支援の情報が必要」、「③
COP19 のマンデートは情報の特定であり、提出方法やその後のプロセスを定める必要はない」と主
張した。
(3)南アフリカは、①や②の点では LMDC と考えが近いが、INDC 提出後の事前評価プロセスに
ついては 2016 年にこれを実施して、同年の COP22 までに NDC を最終確定するというスケジュー
ルを提案した。
(4)ノルウェー、シンガポール、AILAC は、NDC に適応を含めてもよいとする一方、緩和と適応で
は性質が異なることから、事前情報や事前評価など、緩和と同じ手続きに従う必要はないと主張し
た。
(5)スイスは、NDC とコミットメントを区別し、適応は NDC に含まれるものではなく、コミットメントに含
まれると発言した。
(6)残りの国々は 12 日に発言予定である。
42
各国の発言:
共同議長

先週提示した決定草案は、情報の特定と貢献を検討するプロセスを扱うものである。情報の
特定(パラグラフ3)と関連する Annex はまだスケルトンであり、意見を欲しい。プロセスについ
ては、リマまでに検討を深めるものと考えている。

INDC について、これまで出てきた意見は、緩和は「全ての国の参加が重要であること」など、
適応は「途上国への更なる負荷にならないこと、緩和を代替するものではないこと、緩和とは
異なるルールであること、NAP が重要であること」など、資金は「NDC の一部であること、具体
的な情報(規模、財源、タイプ等)を伴うこと、公平であることを示すこと」など、技術は「先進国
は支援のコミットメントをすること、バリアの除去が重要であること」など、キャパシティービルデ
ィングは「定量的な情報を示すこと」などであった。
ニカラグア

LMDC は INDC の情報について CRP を用意した。配布・投影してほしい。

基本的に、条約の差異化に従う、既存の COP 決定の報告を活用するという内容である。

情報の検討・レビューは、2015 年合意の要素の一部である「行動と支援の透明性」のイシュー
として扱うべきである。
スイス

情報については、COP20 で決定が必要である。パリに間に合わせるには、その後のプロセス
についてもリマで決める必要がある。

テキストだけではなく、概念的な議論が必要である。
ニカラグア

共同議長のテキストを交渉のベースにすべきではない。締約国が提示したテキストを交渉の
ベースにすべきである。
チリ

すべてのインプットは価値がある。全ての選択肢を検討する準備がある。
南アフリカ

テキストではなく、概念を議論したい。まだテキストを交渉する段階ではない。
インド

ワルシャワの決定によるマンデートは、情報の特定であり、これに集中すべきである。
43
フィリピン(LMDC)

NDC は、緩和、適応、資金、技術、キャパシティービルディングを含むものである。緩和だけ
ではない。

全ての国は、条約 4 条、附属書、衡平、CBDR に従って、INDC を提示すべきである。つまり、
附属書 I 国のコミットメント(自国決定のエコノミーワイドの削減目標)と非附属書 I 国のアクショ
ン(さまざまなタイプの行動を許容、その程度は先進国からの支援による)というように差異化さ
れる。

NDC は、条約を減じるものであってはならない。自国決定ではあるものの、附属書 I 国は歴史
的責任に応じてリードし、同等な努力を行い、先進国全体の削減水準は科学で決定され、
1990 年比 40%減によって 2020 年までのギャップを埋めるべきである。非附属書 I 国は、持続
可能な発展など重要な優先事項にとりくみ、排出量は増加すると見込まれることから、途上国
の行動を検討する際に、先進国からの支援の情報が不可欠となる。

説明の際に以下の表を提示。
44
ツバル(LDC)

現時点では、テキストを議論しない。

INDC をパリまでに提示しなければならず、適応について準備が間に合わない場合、落とされ
てしまうのか。また適応がどのような文脈にあるのか、適応のメトリクスは何であるのかを明らか
にしてほしい。
サウジアラビア

NDC を特定しないまま、情報だけを議論するのは意味がない。緩和、適応、資金、技術が
NDC の重要な柱である。緩和だけでは後退である。

適応と緩和には、同等の政治的な重みがある。一方、テクニカルな違いがある。緩和について
は、8 割の国の排出が全体 1~2 割しか占めず、残りが 9 割を占める。前者の削減を論じても
効果はなく、これらの国は適応にフォーカスすべき。一方、大排出国は、CBDR&RC や衡平
のもとで緩和を行う。
ドミニカ共和国

全ての国は、緩和の貢献を提示すべきである。その際、国別事情に従い、タイプは差異化さ
れ、時間とともに発展させていく。また、コミットメントの提案を 2℃目標と比較することが大切で
45
ある。適応や MOI を貢献に含めてもよい。
ナウル(AOSIS)

緩和は、NDC のコアの要素であり、出来限り速やかに提示されるべきである。先進国は後退
せずリーダーシップを示し、エコノミーワイドの削減目標を掲げるべきである。

共同議長のテキストは有用である。
シンガポール

全ての国が INDC を提出するようにすることが大切である。

リマでは、長くて複雑な決定は不要である。以下のようなことを定めてはどうか。
①全ての国が提出する必要があり、情報は貢献のタイプによる
②情報の目的は INDC の明確化・透明性・理解にあり、途上国に不要な負担を課すべき
ではない
③自国のリソースによる貢献、また途上国については支援を受けた場合の更なる貢献を
示すこと
④測定可能、報告可能、検証可能、そして定量化可能であること
⑤文脈や国別事情を記述すること

INDC のスコープについては、①全ての国は緩和を貢献に含めなければならないが、緩和以
外を含めることを排除しない、②途上国は INDC に適応を含めるかもしれないが、情報の要件
は緩和と適応で異なる、適応は緩和と同等に重要だが、対称的でなくてもよい。

INDC へのコンサルテーションについては、後に述べるが、シンプルで、light touch なものがよ
い。
スイス

テキストの前に概念を議論する必要がある。3 つの概念的な問いがある。

第一に、緩和中心の合意か、包括的な合意かという点である。ダーバン合意は明確に包括的
な合意を示唆しており、この点を明確にしている。

第二に、緩和は附属書 I 国のみかという点である。この考え方に挑戦したい。全ての国が貢献
すべきである。スイスは世界全体の排出量の 0.1%しか占めていないが、これは関係ない。共
通の課題であるのだから、共通に対応する。適応についても同様である。適応と緩和のトレー
ドオフにトラップされてはいけない。

第三に、INDC に基づく合意を作ろうとしているのか、つまり INDC に反映されないものは合意
に入らないのかという点である。このような考え方には注意が必要である。INDC が一方にあり、
その後、NDC が合意にアンカーされるが、それに加えて、コミットメントのセットがある。全ての
国が緩和のコミットメントを行う。適応については、そのコミットメントを書き込むスペースを合意
に盛り込むべきである。これはコミットメントであり、貢献とは呼ばない。INDC の機能として、緩
46
和の数字を理解することが期待されている。また、コミットメントと 2℃目標のギャップを知るため
に、コンサルテーションが必要である。そして、ギャップを埋めるために、協力が必要である。ま
た公平性も検討しなければならない。この観点から必要な情報を特定すべきである。適応はこ
れとは全く異なるプロセスである。1つのプロセスに多くを詰め込み過ぎると、それぞれについ
ての理解を妨げることになりかねない点に注意が必要。
コスタリカ(AILAC)

INDC は合意に反映される1つの要素である。究極の目的と 2℃目標に向けて、各国がどのよ
うに貢献するかをトラックすることが重要である。貢献は、緩和、適応、実施手段を含む。

緩和、適応、実施手段について、それぞれの異なる性質が考慮されるべきである。適応と実
施手段の努力は緩和の貢献を代替するものではない。緩和は自国決定されるものであり、
CBDRRC と国家主権が尊重される。INDC では後退を認めない。また最も脆弱な国に負荷に
ならないようにすべきである。

情報の要件については以下、①緩和については、2℃目標との整合性を理解できることが重
要、②適応については行動を理解する最小の情報が必要、③MOI については MOI の全体
目標をどのように実現するかについての政策措置の情報が必要。

事前アセスメントについて、①緩和について、2015 年合意の前に 2℃目標への整合性と公平
性・衡平が評価されるべき、②適応については、事前評価を行わず、長期のアセスメントプロ
セスを行う、③MOI については、まず気候資金を拡大させるための検討を待つべきである。

全ての要素は対等に扱われ、同じ法的性質をもつべきである。
アルジェリア(アラブグループ)

CBDR&RC の原則維持が重要である。

緩和だけではなく、他の要素も含まれるべきである。

LMDC とアフリカグループを支持する。
南アフリカ

最小のセットの情報を INDC とともに提示すべきである。つづいて、NDC の公平性と適切性を
評価する事前プロセスが必要であり、その後、NDC を合意に埋め込む。

NDC は全ての要素を含むべきである。これはダーバンで決めたことである。

INDC を提示するプロセスは、合意されたプロセスであるべきで、最小の情報の提示は 2015
年合意をつくる最初の重要なステップである。INDC の特徴は自己決定であることである。各
国のホームワークでは、2℃目標が考慮されるべきである。

情報のタイプについては、サブミッションで示した。適応については、どのような選択肢が使え
て、そのコストはいくらかという情報が必要である。途上国が自ら実施する適応投資は資金貢
献とみなされるべきである。先進国は提示する支援を示すべきである。共通のテーブルフォー
47
マットが有用である。

緩和については、全ての国が条約 4 条 1 項(b)のもとでコミットし、先進国はさらに 4 条 2 項な
どのもとでコミットしており、この構造に従う。先進国は総量目標、途上国はその他のタイプも
認める。

資金については、どのような緩和と適応に資金を提供するか、財源、タイプ、チャネルは何か
などの情報を提供する。

技術については、途上国は TNA を情報として提示する。先進国は具体的な支援の内容を提
示する。

情報には、INDC 作成の際の前提や分析も含まれるべきである。

条約 4 条の共通のコミットメントと条約 4 条 2 項~4 条 5 項の先進国のコミットメントという構造
に従うべきである。

プロセスについては、それを開始するためのクリティカルマスを議論する必要がある。

アセスメントでは、専門家によるテクニカルレポートを作成し、それを SB に提出し、検討して、
それに基づき、締約国がすべきことについて COP へのレコメンデーションを行うべきである。

INDC のタイムラインをスライドで表示したい(※2016 年の COP22 で最終的なコミットメントを合
意に書きこむまでのプロセス(次図)を提示)
48
ボリビア

貢献には、緩和、適応、資金、技術、キャパシティービルディング、透明性が含まれる。

附属書 I 国のコミットメントと非附属書 I 国のアクションという形で差異化される。附属書 I 国の
コミットメントは条約 4 条 2 項に従う。さらに、条約 4 条 3 項~5 項に従い、途上国を支援する。
非附属書 I 国は、附属書 I 国の支援のもとで行動する。
ロシア

貢献を提出する際に使うマトリックスやフォーマットは、過度に規定的なものにならないように
すべき。

全ての要素は同様に重要であるが、NDC は条約の目的から逸れないようにすべき。各要素を
NDC に含めることの法的帰結は何になるのかを明確にすべき。特に、適応について、国内の
49
取り組みなのか、複数国の取り組みなのか、そして国際的に法的拘束力あるコミットメントにな
るのか、政治的なものなのかを明確にすべき。緩和は条約のコアとなる分野である。

プロセスについて、南アフリカは INDC の事前評価はパリの成果の後と言ったが、困惑してい
る。貢献は法的拘束力あるコミットメントでなければ無意味である。パリのあとに事前評価を行
うのでは、パリに間に合わせるように真面目に努力しなくなってしまう。これでは京都議定書第
2 約束期間のようになってしまう。

共同議長のテキストを歓迎する。ただし、細かいところまで入り込むべきではない点を注意す
べき。
ヨルダン

ニカラグア(LMDC)、サウジアラビア、アルジェリア(アフリカグループ)を支持する。
ノルウェー

2015 年合意は貢献以上のものをカバーする。全ての国が緩和貢献を提示すべきとの意見の
収斂があると思う。他の要素については、各国に委ねる。しかし、緩和と他の要素は情報の点
で違いがある。緩和について、2℃目標との観点で、世界全体でどのような帰結になるのかを
知る必要があり、そのために情報のパラメータを定める。

適応を貢献に含めるべき、適応と緩和のバランスをとるべきとの意見がある。バランスをとるべ
きだが、適応は文脈依存的であり、緩和との対称性は不要である。そうすることを望む国は、
貢献に適応を含めてもよいが、共通の事前情報は不要である。適応は異なるプロセスで扱う
べきである。

決定草案の緩和の部分はよい出発点であるが、いくつかコメントする。

定量的な数値で記述することが重要であり、期待する排出削減量を推定できるようにす
べきである

時間枠・目標年は共通であるべき

カバーされる部門のスコープと国全体の排出量に占める割合

メトリクスは貢献のタイプごとに定めるべき

マーケットについてはどうやってダブルカウントを避けるかを示すべき(SBSTA の作業が
役立つ)

土地利用については、カバレッジがどれほどか、土地ベースか活動ベースか、レファレン
スレベルの基準年はいつかを示すべき

貢献が野心的かつ公平であることを、自ら選んだ指標を用いて相互に説明すべきである。
2014 年 6 月 12 日(木)
ADP コンタクトグループ(NDC)
(1)前日に続いて、①NDC の範囲、②事前情報、③INDC 提出後のプロセスなどについて、各国
50
が意見を表明した。
(2)先進国は、「NDC は基本的に緩和を扱うもの」、「適応と実施手段は 2015 年の合意やパッケー
ジの一部であるが、緩和とは性質が異なり、別のプロセスで扱われるもの」という点で意見が一致。
ただし、NDC の中に適応と実施手段を含めてよいかどうかという点については、「緩和以外の要素
を貢献に含めても差し支えないが、全ての国は緩和を含む貢献を提示しなければならない」(米
国)、「適応や資金などを NDC に含めると、事前情報が複雑になり、混乱のもとになる」(EU)という
ように、微妙なニュアンスの差があった。また、「NDC に必ず緩和を含める」という点は、メキシコとベ
リーズ(カリブ諸国)も支持し、マーシャル諸島は NDC に適応を含めることを支持しつつも、緩和と
は大きく異なる点を指摘した。
(3)LMDC に属する国々(中国、インド、イラン)は、「①NDC には緩和、適応、資金、技術、キャパ
シティービルディングの全てが含まれる」、「②情報は既存のレポーティングに関する決定(BR・
IAR/BUR・ICA 等)に基づいて行う。途上国の行動を検討する際に、先進国からの支援の情報が
必要」、「③COP19 のマンデートは情報の特定であり、提出方法やその後のプロセスを定める必要
はない」という主張を繰り返した。
(4)ブラジルとスーダン(アフリカグループ)は、「NDC の内容について、これは新合意の背骨となる
ものであり、緩和、適応、実施手段のバランスをとるべき」(ブラジル)、「NDC は緩和に限るという文
脈はワルシャワにはなかった。緩和を適応よりも優先させるという考え方は受け入れられない」(スー
ダン)と述べ、NDC は緩和が中心ではないという立場を明確にした。
(5)前日に南アフリカが事前アセスメントを 2016 年以降に行うと発言したことに対して、「プロセスを
2016 年や 2017 年に遅らせる提案を支持しない」(米国)、「事前評価プロセスを 2016 年に行うとい
う意見があったが、2015 年合意を得る前に、貢献を理解すべき」(豪)、「南アフリカが提示したタイ
ムラインを懸念する」(マーシャル諸島)と反論が続いた。
一方、ブラジルとスーダンは「長期にわたり繰り返し行われるものであり、来年終わるのではなく、
来年始まるものだ」と述べた。
(6)10 カ国以上がまだ発言できておらず、次回の会合で議論を続けることになった。
各国の発言:
中国

ワルシャワの決定は、検討課題を情報の特定に制限されている。締約国のコンセンサスなしで、
このタスク以外のテキストを議長が作成する必要はない。プロセスの問題は、要素の1つであ
る透明性のなかで議論されるべき。プロセスは、情報は別に扱うべき。リマでプロセスを扱うか
どうかについて、いまのところコンセンサスはないのでアジェンダファイトがあるかもしれない。

INDC は条約の関連する規定(特に 4 条)に沿うべきであり、緩和だけではなく、全ての要素を
同等に扱うべきである。先進国は歴史的責任によりリーダーシップを取るべき(途上国支援を
含む)。先進国は、エコノミーワイドの目標を 1990 年比で掲げるべきで、その水準は科学で決
められる。附属書 II 国は緩和コミットメントに加えて、途上国支援もコミットし、これらは国内準
51
備や貢献の重要な要素である。途上国は先進国からの支援のもとで行動する。途上国の行
動は多様である。

情報については、そもそも透明性の要素の中で扱われるべきである。既存の先進国と途上国
で差異化された報告・情報を活用すべきである。

リマでの情報に関する成果は、

(1)先進国の緩和に関する情報:①先進国の総量削減目標、②対象セクターとガス(先
進国は全てのセクターとガスをカバーすべき)、③LULUCF とアカウンティング、④歴史
的責任に沿っているかどうかの説明、⑤他の関連する情報。また、オフセットは先進国の
貢献にカウントされるべきではない。

(2)先進国から途上国への支援に関する情報:資金については、明確なロードマップ(タ
イムテーブル、ODA 以外の財源(カーボンマーケットを含む)、チャネル(カーボンマーケ
ットを含む))。技術については、①資金、②バリア除去、③RD&D への支援などのコミット
メントを含む。

(3)途上国に関する情報:様々な分野での行動(緩和、適応等)を扱う。行動の多様性を
反映するものである。取組強化へのバリアを取り除くのに必要な支援など。
EU

テキストを議論するのはまだ早い。

意見が収斂しているのは、①事前情報についてリマで合意する必要があること、②全ての
INDC は緩和をかならず含むこと、③リマで決定が必要であることである。

意見が収斂しないのは、まず、差異化を情報に反映する方法である。EU の考えは、INDC の
多様性に対応すること、例えば BaU 比などの場合は、BaU の排出量を提示することである。ま
た、INDC が公平で適切であることを各国は説明すべきである。

評価プロセスについては、適切性や公平性を評価すべきだが、これは UNFCCC で公式に行
うべき。

INDC のプロセスは緩和の文脈で議論されてきた。適応や資金などを NDC に含めると、事前
情報が複雑になり、混乱のもとになる。ツバルの問いに答えると、適応と資金は新合意の重要
な一部であり、適応に関するメトリクスは機能しない可能性があり、脆弱国に不要な負荷をか
けることになる。緩和とは異なるタイムラインで適応を検討すべきである。適応については、い
くつもの要素について意見の収斂が出てきている。資金についても同様である。

前文の第 3 パラにある過去の決定へのリファーは不要である。パラ3の invite では表現が弱い。
パラ4では、”mitigation” contribution を強調し、IPCC の知見を参照すべき。パラ5では、テク
ニカルサマリーでは、2℃目標との関連が分析されるべきである。また、UNFCCC の Q&A ワー
クショップも有用である。パラ6では、ハイレベルのワークショップなどが有用だろう。Annex に
つ い て は 、 緩 和 タ イ プ ご と の 方 法 論 、 expected emission reduction だ け で は な く 定 量
化、”international” market mechanism の明記を含めるべき、適応については、機能しないこと
52
を懸念する。資金についても、貢献の概念がそもそも機能しない。
ベリーズ(カリブ諸国)

緩和以外の要素を含めることは任意だが、全ての国が緩和に関する情報を提示しなければな
らない。後退は認めず、先進国は条約と整合的に総量目標を掲げるべき。

INDC は来年第 1 四半期までに提出され、パリで合意に書きこむ前に、十分な時間をアセスメ
ントに使うべきである。貢献草案を提示する最終的な締め切りを 8 月 31 日としてはどうか。

情報についての決定を、できる限り早期におこなうべき。情報はカテゴリー分けする必要はな
く、温度目標との整合性という目的に立ち返るべきである。

2013-2015 レビューとのリンクは、温度目標との観点からみた INDC の適切性を評価するのに
必要である。

SIDs と LDC への特別なテクニカルサポートが必要である。また、INDC の地域アプローチを排
除すべきではない。
インド

INDC には、緩和、適応、資金、技術、キャパシティービルディングの全てが含まれる。緩和だ
けではない。

情報について、条約と整合すべきであり、その原則に基づき、差異化が必要。先進国は総量
目標を提示し、さらに資金と支援のコミットメントの情報も提示すべきであり、途上国は緩和と
途上国の行動に関する情報を提示する。途上国の行動は資金・技術の支援に依存する。
オーストラリア

2015 年合意に取り込まれる要素を予断しないように、NDC を議論すべきである。

NDC のスコープについて、自国決定であるが、全ての国が緩和を含めるべきである。適応は
緩和を代替しない。情報は緩和にフォーカスすべきである。比較的限られた数のパラメータで
十分である。情報はさまざまなタイプのコミットメントを理解するために必要であり、BaU 比目標
や原単位目標では関連情報が必要である。適応と資金等については、2015 年合意のなかで
別の方法でそれぞれに合った方法で対応すべきである。

INDC を伝達するプロセスはシンプルなものがよく、UNFCCC に提出し、ウェブサイトに掲載す
るのがよい。

事前評価プロセスを 2016 年に行うという意見があったが、2015 年合意を得る前に、貢献を理
解すべきである。UNFCCC でのプレナリープロセスや二国間、主要国で議論する。
日本

テキストの議論はまだ早い。

INDC に必要な情報は緩和に関するものである。他国の貢献を分析、評価、比較し、衡平化
53
どうかを判断することが目的である。全ての国が緩和の INDC を提示しなければならない。

適応については、国・地域ごとに異なるので、比較するのは難しく、指標を作るのは難しく、コ
ストの定量化も信頼性が低い。適応の重要性を尊重しないわけではなく、定量化が難しいとい
うこと。2015 年合意では適応が含まれるべき。緩和、適応、支援の特徴の違いを考慮すべき
であり、さらに議論したい。

プロセスについては、時間制約を考えれば、新たな公式プロセスを作るのではなく、各国が自
ら説明するのがよい。
マーシャル諸島

各国の多様性を考えれば、情報について過度に規定的にならない方がよい。

南アフリカが提示したタイムラインを懸念する。

来年にクリティカルマスに達することが重要であり、各国の INDC 作成の経験を 10 月のセッシ
ョンで共有してはどうか。

決定草案の Annex については、適応を含めることを支持するが、適応は緩和と大きく異なる。
適応の基準年や BaU とは何なのか。サブスタンスに応じて変えていくことが重要。

緩和について、短い約束期間がよい。そうすることで、科学の情報に応じて、頻繁に更新でき
る。
ジャマイカ

パリで合意を採択する前に、貢献が 2℃目標に向かっていることを評価することが必要。それ
なくして、合意を受け入れるのは困難である。専門家による貢献の評価が不可欠である。

適応について、緩和のように 5 年ごとに予測していく方法は機能しない。適応は緩和の規模に
よる。緩和だけでプロセスをとめるのではなく、他の要素にも他のプロセスが必要である。
米国

共同議長はこの議論を記録して、さらに統合したもの(synthesis)を示して欲しい。

INDC とその情報は緩和を扱うべきである。十分な情報をもって、パリの前に検討する必要が
ある。これがワルシャワで議論したことだった。

適応と実施手段は 2015 年パッケージの不可欠の要素だが、適応や実施手段を緩和とパラレ
ルで扱うと、緩和と適応についての実効性を最大化できない。これら全てに同時に国内準備
を行うのは、多くの国にとって過度な負担となる。コンサルテーション期間についても同様であ
る。貢献とコンサルテーションは、各国および世界全体の緩和を扱うべきである。適応につい
ては別のプロセスをつくるのがよいのではないか。

緩和以外の要素を貢献に含めても差し支えないが、全ての国は緩和を含む貢献を提示しな
ければならない。緩和を含まない貢献は認められない。

情報については、緩和貢献の野心度を理解するのに必要であり、共同議長の Annex に示さ
54
れたもので概ねよい。貢献は定量化可能であるべきで、タイプごとに情報が異なることが
Annex にリストされるべき。ただし、これらの情報は貢献準備で自動的に作られるものであり、
何ら追加的な負担とならない。差異化はタイプで行うものであり、国のカテゴリーリストは不要
である。

コンサルテーション期間について、3 月に INDC 提出が間に合わない国も、出来る限り、その
期限に近い時期に提示すべきである。ADP でプレゼンテーションを行う機会を設けることや、
テクニカルペーパーを支持する。条約外でのコンサルテーションも重要であり、プロセスのあり
方を、overly engineered しないほうがよい。また、最初から最善の努力が提示されるようにすべ
きである。

合意に加わるかどうかを決めるのに、各国の貢献を明確に理解することは不可欠であることか
ら、プロセスを 2016 年や 2017 年に遅らせる提案を支持しない。

過去のレポーティングに関する決定にリファーする必要はない。事前情報の目的は、明確化・
透明性・理解であり、レポーティングである。

決定草案のパラ4は、2℃目標の観点からの世界全体のインパクトをみるものである。

事務局は各国の貢献を UNFCCC のウェブに掲載しつつ、MISC 文書に集約するのがよい。
チリ

緩和、適応、実施手段はグローバルな側面をもち、全体で対応すべきである。これらの3つは
全て、新合意にコミットメントとして含められるべきである。INDC はコミットメントをもたらす唯一
の手段ではない。INDC は、①究極の目的の実現に向けた各国の貢献を伝え、②どのように
適応準備しているかを伝え、③世界全体の MOI 目標に近づく政策措置が取られているかを
伝えるものである。

決定草案については、まず、Parties “shall” communicate としたほうがいい。パラ4については、
2 行目の adequate の後に、in line with the latest AR5 finding を入れるのが良い。また、このパ
ラの最後を how individual contributions are ambitious, equitable and fair, based on Parties’
national circumstances and capabilities としてはどうか。

オブザーバーによるサイドイベントも有益である。

パラ6について、[X]に SBSTA、SBI、Ad-hoc Committee をいれつつ、consider を carry out
assessment of INDCs に変えて、staring as early as in 2015 in order to report back to COP21 を
入れる。

情報について、Expected emissions reductions に quantification of を付ける。さらに、explain
the expected process of ratification, acceptation, …など国内プロセスの情報を加える。また、
national investment made on mitigation and indication of additional mitigation potential
provisional on additional mitigation cooperation を加えてはどうか。
イラン
55

附属書 I 国と非附属書 I 国で差異化する。

NDC は、緩和だけではなく、他の要素を含む。
ニュージーランド

ルールの不透明性があるので、国内準備で困難がある。

緩和貢献は他の合意の要素と比べてユニークである。他の要素については、別の形で検討し
て、新合意や COP 決定に含めるのがよい。

事前情報はかなりシンプルなものである。BaU 比や原単位の目標の場合、それに関連した情
報が必要である。EU のいうように、全ての国に共通な情報とタイプごとに異なる情報があり、差
異化は国のカテゴリーではなく、タイプで行う。ニュージーランドは事前情報のテンプレートを
提示した。一貫したフォーマットの使用は、各国の貢献を事務局が集約する際などに、有益で
ある。

プロセスについて、UNFCCC での Q&A セッションや条約外の二国間の議論などを組み合わ
せていく。

原則と重要なルールは新合意に含めるが、それ以外は COP 決定に含める。ルールがパリま
でに決まらない場合は、パリの段階では、provisional という位置付けで貢献を提示する。

緩和以外の貢献については、全ての国から共通の情報が必要なわけではない。例えば、適
応や研究開発についての情報は、なかなか比較できるものではなく、いずれは検討すればよ
るのが有益かもしれないが、いまでなくてもよい。

適応や実施手段は 2015 年合意に含まれるべき要素だが、2015 年の INDC に含めるのは現
実的ではない。
ブラジル

ブラジルは国内協議を開始した。

NDC の性質について、2 つの異なる理解がある。1 つ目は交渉をインフォームするための 1 回
限りのツール、2 つ目は長期にわたり繰り返し行われるものである。ブラジルは後者を支持する。
貢献の集約や国内コンサルテーションは来年終わるのではなく、来年始まるものである。

事前情報については、リマの COP で決めるとしても、条約のコミットメントを変えるものではない。
つまり、差異化が残るということである。

NDC の内容について、これは新合意の背骨となるものであり、緩和、適応、実施手段のバラン
スをとるべきである。適応と実施手段は、NDC に含まれないとしたら、後回しになってしまう。
先進国は、定量的かつ検証可能な形で支援の提供を貢献として提示すべきであり、途上国
はその緩和や適応行動に対する支援のニーズを示すべきである。

ワークストリーム2の経験に基づき、国家レベルと多国間レベルでのコミュニケーションを促進
するシステムを作るのが良い。共通の最小公倍数的な指標を SBSTA に検討させるべき。

情報は過度に規定的になるべきではないが、CBDR&RC を反映して、途上国の多様性を許
56
容するものであるべき。

事前情報に、2020 年までのギャップを埋めるための定量的貢献を含めてはどうか。
メキシコ

ワルシャワの決定は、全ての国が緩和の義務を負うことを意味する。ただし、INDC に何を含め
て良くて、含めてはいけないかを決めるものではないが、緩和は必ず含めるべき。

INDC は、低炭素の持続可能な社会に向けて、どこに機会があるのかを診断することを目的
する。

複雑ではないプロセスにすべきである。その際に、資金を見ることは不可欠である。資金を条
件としない貢献と条件とする貢献があり、資金の貢献をみる必要がある。

適応、緩和、資金の事前情報はそれぞれ異なり、レビュープロセスもまた然りである。

決定草案の Annex について、適応の基準年は不要、技術や資金の支援は緩和のパートにも
必要
スーダン(アフリカグループ)

多国間プロセスで、INDC を NDC に転換する必要がある。

多国間プロセスは、公平性と適切性を評価すべきである。

INDC は緩和に限るという文脈は、ワルシャワにはなかった。緩和を適応よりも優先させるとい
う考え方は受け入れられない。

途上国による適応投資は、途上国の貢献としてカウントされるべきである。同時に、先進国に
よる資金提供の適切性も評価されるべき。

アフリカグループは適応についての情報を提示した。これらは複雑なものではなく、締約国は
提示可能である。

プロセスでは、テクニカルプロセスと多国間プロセスが必要である。また、このプロセスはブラ
ジルが言うように何度も繰り返すものである。
カナダ

緩和貢献は支援を条件付けるべきではないが、国際的な支援がある場合の追加的な緩和を
提示してもよい。

新合意は各国の適応を支援すべきだが、適応は緩和を代替するものではない。

事前情報については、定量化可能とするために十分な情報が必要である。開始年と終了年
の情報も必要だが、終了年について、2025 年か 2030 年か、さらに議論したい。また、目標年
の排出の推定値(Estimated emissions in a target year)も必要。アカウンティングについて、土
地利用とマーケットをどのように扱うのか、特に後者についてダブルカウントを避けて、環境十
全性を保つ方法などを提示する必要がある。総量目標以外の貢献を提示する国には、より多
くの情報が必要である。
57

コンサルテーションは促進的なものであり判断をくだすものではない。主要な排出国が参加す
べきである。
2014 年 6 月 13 日(金)
ADP コンタクトグループ(NDC)
概要:
(1)前日に続き、NDC について、これまでに発言できなかった国が意見を述べつつ、NDC 作成へ
の支援(ワルシャワの決定のパラグラフ2(d))についてもいくつかの国が発言した。
(2)「NDC の範囲」について、以下の発言があった。
・マレーシア、クウェート(LMDC 系):NDC は緩和、適応、資金、技術、キャパシティービルディング
の全てを含む
・ケニア、インドネシア:NDC は緩和、適応、実施手段を含む
・バングラデシュ:NDC は緩和が中心。適応と実施手段を含めても良いが、緩和と同じ扱いは不要
・コロンビア、ペルー(AILAC 系):NDC は緩和、適応、実施手段を含むが、対称的に扱わなくてよ
い
・パラオ、トンガ(AOSIS 系):NDC は緩和がコア、または緩和のみ
・韓国:NDC の範囲は各国が決めるが、緩和は必ず含める
(3)「事前情報」については、以下の発言があった。
・LMDC 系:先進国と途上国で差異化すべき
・コロンビア、ペルー(AILAC 系):適応の情報について、議長が示した決定草案の Annex に書か
れているものは細かすぎる。負担にならないようにすべき。緩和の情報を速やかに詰めていくべき
・韓国:緩和の情報について、基準年だけではなく、基準期間も認めるべき。ピークアウト時期の記
載は任意とすべき
(4)「NDC 作成への支援」については、中国が、「速やかに支援が提供されるべき、準備だけでは
なく実施にも資金が提供されるべき」と述べた。また EU が、NDC 作成支援に関する既存の取組を
多数列挙した。
各国の発言:
共同議長

明日の全体構造の議論に向けて、本日の午後、共同議長の reflection をウェブに掲載する。

閉会プレナリーでは、交渉グループのステートメントを予定してない。

INDC の議論を続ける。
コロンビア

INDC は合意の要素だが、他の合意の要素と切り離して議論すべきではない。自国決定とす
58
ることで幅広い参加が促される。

INDC には、緩和、適応、実施手段を含む。ただし、これらは事前情報やアセスメントで対称的
に扱われるべきではない。2015 年に向けては、適応に関する事前情報は Annex に書かれて
いるほどに詳しくする必要はない。緩和については、詳しくメトリクスを定め、新合意に反映さ
せるべきである。実施手段については、その定量的なグローバルな目標が定められるべきで
ある。

アセスメントについては、リマで決定すべきである。
バングラデシュ

INDC の要素については、個々の分野の違いが考慮し、全ての国が提出すべき INDC の最小
セットを合意すべきであり、緩和はこれに含まれる。適応は 2015 年合意の不可欠の要素だが、
必ずしも緩和と同じ方法で扱われる必要はない。

緩和の貢献については、後退を認めない。

リマの前に、INDC の準備への支援が提供されるべき。
クウェート

INDC への検討やレビューはワルシャワの決定のマンデートではない。これらは透明性の要素
として検討されるべき。

情報は、パリの成果を予断してはならない。

INDC は、ダーバン合意のパラ5に掲げられた要素をすべてカバーし、条約の 4 条や附属書を
整合するものであるべき。つまり、先進国と途上国で差異化される。
パラオ

INDC は全ての国に適用され、緩和がそのコアである。

1.5℃を達成するためには、緩和がコアとなる。事前レビュープロセスはその観点で重要であ
る。

米国や EU がいうように、適応とロス&ダメージは 2015 年合意に含まれるべき。
トンガ

INDC は緩和だけに集中すべきであり、適応と実施手段は 2015 年合意の要素として扱われる
べきである。野心的な緩和コミットメントが INDC に不可欠である。

1.5℃目標を達成すべく、事前レビュープロセスにリマで合意すべきである。
ペルー

緩和の情報の要件については、速やかに詰めていくべきである。

適応の情報については、その独自の情報とタイムラインを定めるべきであり、不要な負担にな
59
らないようにすべきである。

法的性質や差異化については、リマで決めなくてよい。
エクアドル

昨日のストックテーキングに関連して、交渉テキストは締約国から提案されたものを使わなけ
ればならないことを強調する。

途上国は貢献に緩和を含めるが、それは持続可能な発展の文脈と先進国からの支援のもと
でである。
マレーシア

INDC は、先進国と途上国で差異化されるべきである。

途上国の貢献のタイプは多様である。

情報については、これは透明性のイシューであり、先進国と途上国で差異化されるべきであり、
既存の報告の仕組みに基づくべきである。情報には、先進国の緩和に関するもの、先進国か
らの支援に関するもの(タイムテーブルを含む)、途上国の貢献に関する情報(極めて多様。
資金・技術・キャパシティービルディングのニーズに関する情報を含む)である。

プロセスについては、これを決めることは、ワルシャワの合意のマンデートではない。ありうると
したら、既存のプロセスを活用することである。

MOI は途上国の野心度に直接に関わる。

全ての先進国は、緩和コミットメントを見なすべきである。途上国の緩和行動は支援の提供に
より強化される。

情報について、①全体像(情報と要素の関係)、②情報についての基本的問題(差異化、情
報のベース)、③テキストという順に議論してはどうか。

昨日提案のあった collectively constructed text が先に進める 1 つの方法である。
韓国

INDC のスコープについては各国が自ら決めるが、緩和は全ての国が含める。

情報について、決定草案のパラ4はワルシャワのマンデートを越えている。ワルシャワのマンデ
ートに集中すべきである。つまり、情報に集中し、リストは簡潔なものにすべき。

基準年を “Reference as a base year or a period”とすべき。またピーク年の記載は optional とす
べき。
シンガポール

ルールやコンサルテーションは、INDC の明確化、透明性、理解を促進し、多国間のルールに
基づくシステムを損なうことなく、参加を促進するようにすべき。

コンサルテーションについては、サブミッションで考え方を述べた。非介入的で主権を尊重す
60
る形で行われるべき。シンプルな方法で、お互いの貢献を理解できるようにQAを行うのがよ
い。また、参加を促すように、コンサルテーションを開始するためのクリティカルマスを設定する
のがよい。

また、コンサルテーションでは、貢献を未提出の国がなぜ提出できないのか、どのようにすれ
ば提出を促せるのかも議論すべき。

全ての国が INDC を提出するまでコンサルテーションを行うべき。
インドネシア

全ての国に適用されるコミットメントを望むが、CBDR&RC や衡平が尊重されることも望む。

INDC では、全ての緩和がキーであるが、適応と実施手段もカバーする。

緩和の貢献は、既存のメカニズム(京都議定書を含む)に立脚すべき。途上国の貢献は支援
なしのものと先進国からの支援を受けるものからなる。

適応の貢献は、緩和と同等に重要にある。途上国のレジリエンスを高める措置は、資金・技
術・キャパシティービルディングを大規模に要する。INDC はこの点を考慮すべきである。2015
年合意では、途上国の適応行動が貢献と認められるための登録メカニズムが必要である。こ
の登録メカニズムでは、途上国が必要とする支援も記載する。

実施手段の貢献は、資金、技術、キャパシティービルディングが包括的に扱われるべき。

透明性については、緩和貢献の前進は、先進国と途上国で差異化して、定期的に MRV が行
われるべきである。
中国

ワルシャワの決定のパラグラフ 2(d)についてコメントする。まず、invite や encourage ではなく、
urge と request であり、意味合いが強い。先進国は速やかに支援を提供すべきである。次に、
支援のスコープについて、事前準備だけではなく、具体的な行動の実施にも支援が与えられ
るべきである。最後に、MRV への支援について、事務局が情報を取りまとめるべき。
ケニア

INDC は緩和に限定されるものではなく、適応、緩和、実施手段を含むものである。

情報については、新合意の要素を予断しないように議論すべき。

INDC は暫定的なものであり、アセスメントが必要である。アセスメントは、異なる要素ごとに行
うべきで、CBDR&RC を考慮し、途上国に過度な負担にならないようにすべきである。

途上国については、定量的な緩和目標か、定性的なものかを自ら決める自由度を確保すべ
き。一方、先進国は、総量削減目標と明確なパスウェイを掲げるべき。全ての国が、予定され
る排出削減量を情報として提示すべきである。

適応に求められる情報は、緩和とは異なる。さまざまな部門における計画、レジリエンスを高め
る活動などが含まれる。
61

実施手段については、先進国は提供する支援を明確に提示すべきである。

事前評価は、透明性確保だけではなく、2℃目標の観点から適切かどうか、どれほどのコスト
が必要なのかも扱うべき。

テキストの集約を行うと同時に、共同議長に簡潔なものを用意する権限を与えるべき。
ドミニカ

ベネズエラが法律専門家グループをつくることを提案したが、先進国が条約の義務を忘れて
いるように見えることもあり、この提案を支持する。
EU

ワルシャワの決定のパラグラフ 2(d)について、Global Climate Change Alliance など様々な取
組がある。EU はフルリストを事務局に提出する準備がある。
ADP コンタクトグループ(評価、レビュー、遵守)
概要:
(1)COP21 以降にとるべきプロセス(評価、レビュー、遵守)に関して、各国が見解を示した。
(2)遵守に関しては、EU、ブラジル、ネパール(LDC)、コロンビアなどが、京都議定書の遵守レジ
ームを前例にすべきとの見解を示した。
一方、ニュージーランドは、WTO の経験(TPRM)を踏まえ、国際的なピアレビューが遵守促進
に役立つと述べた。また、南アフリカは、問題が発生しても早期に対応する「早期警告プラットフォ
ーム」を提案した。
他方、中国は、「合意に含めるサブスタンスが決まらなければ法形式も定まらず、遵守は法形式
とリンクすることから現時点での議論は時期尚早」と発言した。
(3)緩和約束の期間設定に関して、米国は、最新の科学、政治の意思、技術進歩を反映させてい
くには 2025 年を終了年とすることが魅力的と述べつつ、2025 年から 2030 年の緩和約束について
は、2025 年よりも十分に早い時期に交渉するのがよいと発言した。マーシャル諸島とパラオも、最
新の科学を反映させるという観点から、5 年サイクルをとるべきと主張した。スイスも、この考え方は
説得的とした。ニュージーランドは、2025 年を終了年とする考え方の利点を理解すると述べた。
(4)貢献を正式決定するタイミングについて、米国は、「合意参加時に最終的な貢献を提出する。
ただし、COP21 のタイミングでも、inf 文書以上、Annex 以下の文書に貢献を反映する。最終決定
時に貢献を変更できるのは、アカウンティングのルールが想定と大きく異なるものになった場合や、
不可抗力があった場合などに限定する」と述べた。
ニュージーランドは、「COP21 までにルールが間に合わない場合、暫定的な形で貢献をアンカ
ーし、COP 決定などで認識(acknowledge)する。その後、ルールが決まってから国別行程(national
schedule)を最終決定する」と述べた。
(5)事後レビューについては、米国とスイスが次の期間への橋渡しするものとの見解を示した。一
62
方、EU と南アフリカは、コミットメントの上方修正につなげることが重要と述べた。中国は、先進国と
途上国で差異化すべき、全ての要素をカバーすべき、ドーハで決定した再検討メカニズム(revisit
mechanism)を全ての先進国に課すことが基礎になると述べた。
各国の発言:
ロシア

貢献の検討・評価を 2015 年と 2016 年に行うとすると、つまり、パリのあとに検討・評価を行う可
能性を開くと、パリまでに全ての国の貢献が揃わないリスクが出てくる。

遵守について、京都議定書の遵守レジームの教訓に学ぶべきである。遵守を期限のあとに示
すのでは遅すぎる。期間全体で機能するようにすべきである。
サウジアラビア

京都議定書のようなコマンド&コントロールのアプローチでは参加国が広がらない。一部の国
にしか機能しない。締約国がポテンシャルを実現するのを助けるようなインセンティブが必要
である。IAR/ICA を始めたばかりであり、まずはこの成果を見るべき。
EU

INDC 作成後のプロセスについて、2℃目標を満たすようにどのように動的で柔軟なシステム
にするかが重要。その意味で、野心メカニズムが必要。約束期間の長さ、IPCC プロセスなど
が関連する。

遵守について、サウジアラビアが言うようにインセンティブを与えることが重要であるが、遵守シ
ステムも必要である。他の国際合意でも遵守メカニズムでは実施を促進している。透明性だけ
ではなく、アカウンタビリティも必要。高次の原則、適用範囲、帰結、トリガー、手続き、制度構
造などを細かく検討する必要がある。

COP、SB、京都議定書が現在もっているガバナンスシステムを活用すべきである。この際、制
度の効率性を確保すべき。

発効要件、変更・修正の手続き、批准手続きなども合意のなかで扱う必要がある。経済統合
体への特別な条文も必要である。
ドミニカ共和国

2℃・1.5℃目標に向かっていくようにしていくことが重要である。実施手段はその可能性を開く
ものである。多くの国が指摘したように、この方向に向かうためには後退を認めるべきではない。
静的ではなく、前に進んでいく。最初は多様性があるかもしれないが、収斂を目指していくべ
きである。このようなプロセスを作っていく必要がある。
ノルウェー
63

長期目標、市場ベースの協力、技術開発、グリーングロース、遵守、定期レビューといった視
点が必要である。

パリにいたるまでのコンサルテーションとその後の定期的なレビューの両方が必要。前者につ
いては、情報に関するガイドラインをリマまでに決めて、パリまでに全体の野心が 2℃目標と整
合するかを確認する。後者の定期レビューは、2℃目標に向かっているかを評価することを目
的とする。差異化は固定されたカテゴリーによるのではなく、能力と責任の変化に応じて変え
ていく。

これまでに作ってきたシステムを反映し、重複しないようにすべき。

コアの合意に何をいれるか、全体のパッケージに何を入れるかを区別していくべき。
共同議長

最後の点については、明日、議論する。
米国

貢献は、COP21 と各国の参加時の両方でキャプチャーする。パリでは、テキストともに、貢献を
何らかの方法(Annex ではないが、inf 文書以上のもの)で反映する。その狙いは2つあり、第
一に全体の野心レベルがどれほどかを明らかにすること、第二に合意参加時に貢献を変更す
ることを難しくすることである。

合意参加時に最終的な貢献を提示する。締約国には合意参加時に、パリで反映した貢献を
変更する自由を有する。ただし、パリの前にコンサルテーションを行わなかった国は、草案と
最終案の間に時間を取るべき。また、変更する場合も、アカウンティングの最終的なルールが
想定していたものと大きく異なるものになった場合や不可抗力の場合など、限定的であるべ
き。

アカウンタビリティは、カンクンで作った MRV の枠組みを単一の枠組みに統一していくことで
対応するのがよい。

長期的には、定期的なレビューを実施し、次のサイクルの交渉に入っていくのがよい。

コミットメントの法形式の議論も必要である。

2025 年か、2030 年かという点については、最終的な決定はしていないが、科学の情報、政治
の意思、技術進歩を反映させていくには 2025 年の方が魅力的である。緩和の約束期間を
2020 年から 2025 年として、2025 年よりも十分に早い時期に 2025 年から 2030 年について交
渉するのがよい。
ネパール(LDC)

緩和を含む INDC を COP21 の前に提出しなければならない。対策オプションをできるだけ拡
大させていきたい。

十分な量の資金のコミットメントを確実にするため、2015 年までに資金のコミットメントを事前評
64
価する必要がある。資金の規模は、途上国の支援ニーズに見合うものでなければならない。こ
のプロセスは緩和の INDC と同様のものであるべき。

緩和コミットメントと資金コミットメントについて、強力な MRV システムが必要。

京都議定書 5 条、7 条、8 条のようなレビューメカニズムが必要。

遵守については京都議定書のシステムに学び、資金も遵守に含められるべきである。
共同議長

COP21 までに INDC が揃わなかった場合、どのように適切性を判断するのかについても考え
てほしい。
コロンビア

遵守レジームは、実施を促すことを目的とし、促進的側面とそれ以外の側面を含める。京都議
定書はよい前例である。ただし、新合意に適した新しいメカニズムを作る必要がある。
ナウル(AOSIS)

SIDs と LDC の特別な事情を、レポーティングの方法を検討する際に考慮すべきである。

緩和貢献を合算して、グローバル目標と比較するプロセスが必要である。

ロス&ダメージは個別の分野として新合意に含まれるべき。具体的な中身の交渉に入るときに
は、ロス&ダメージは独立した分野として交渉されるべき。ワルシャワで決定したメカニズムを
新合意に位置付けるべき。
マーシャル諸島

事前評価、削減機会特定のプラットフォーム、強力な MRV スキーム、5 年のコミットメントサイク
ル(最新の科学と歩調を合わせる)が必要である。

①最新の科学の情報を受け取る→②各国でコミットメントを準備し、最終的に埋め込む 6 カ月
前までに評価を行う→③評価については、IAR の方法(QA など)に学ぶ。長期目標の観点か
ら見て野心的か、また公平かを評価する→④その後の COP でコミットメントを埋め込む。この
サイクルを繰り返していく。ただし、再度の批准を必要としないようにする。

2015 年に埋め込むものについて、2030 年を目標とするのは妥当ではない。また、中間レビュ
ーも機能しない。約束期間を 5 年とすることに合わせて、IPCC による科学的評価についても、
10 年に一度の完全な報告書と、5 年に一度のテクニカルな報告書を作成することにしてはどう
か。

いまは 2025 年に終わる期間のコミットメントを 2014 年に invite して 2015 年に埋め込もうとして
いるが、次の期間(2025 年~2030 年)についても同様に 2019 年に invite して 10 年のリードタ
イムをもって 2020 年に決定すべきである。

MRV は既存の枠組みに立脚しつつ、コミットメントが実施されているかを確認する。同時に削
65
減ポテンシャルの掘り起こしのため、野心のレビューをいれるべきである。

その他の手続き的条文も必要。

批准のポリティクスが起きて、実施が遅れないようにすべき。

遵守については、現在検討中。
シンガポール

スライドに掲げられた要素は、参加を促進するのか、阻害するのかという観点から検討すべ
き。

以下の 4 つを 2015 年合意に書きこむべき。
第 1 に、多国間のルールに基づくシステムの強化
第 2 に、ダーバンのマンデートを再確認(reaffirm)。具体的には、普遍的な参加を促すた
めの国際的な協力と支援
第 3 に、NDC をコア合意にアンカー。その際に、国別の事情と持続可能な開発の権利を
認識すること
第 4 に、透明性は全ての国に適用させること。特に事前情報や事前コンサルテーション
のルールについて
ニュージーランド

2015 年の成果は、批准可能な法的拘束力ある合意、それを支援する COP 決定、および国別
行程表(national schedule)からなる。

批准可能な法的拘束力ある合意は簡潔で原則的なものであるべき。義務を定め、限定された
柔軟性(bounded flexibility)を規定するもの。長期目標、commit to commit、透明性、遵守な
どを含む。また、国別行程表を提示する義務を含む。コミットメントそのものは容易にアップデ
ートできる文書に書きこむ。

COP 決定では、土地部門のアカウンティングルール、市場メカニズムの利用に関する共通の
最小ルール、既存組織に関するものを扱う。

NDC とルールは反復的なプロセスで検討していく。貢献を正式決定するには、ルールも決め
なければならない。パリにルールが間に合わない場合、暫定的な形で貢献をアンカーし、
COP 決定などで acknowledge する。その後、ルールが決まってから、新合意に加わる際に、国
別行程表を最終決定する。

2025 年か、2030 年かについては、ポジションはないが、2025 年の利点を理解する。その方が
シンプルだからである。

WTO の経験(TPRM)を踏まえれば、遵守を促進するための国際的なピアレビューが役立つ
のではないか。
スイス
66

事前アセスメントはパリの前に行う。そうしなければ、数字が書き込まれた合意をパリで採択で
きない。シンガポールがいうように、INDC を提示していない国も、コンサルテーションで取り上
げるべき。また、事前プロセスは適応については機能しない。

合意発効後のレビューについては、合意のライフサイクル全体で実施されるべきであり、次の
ラウンドのコミットメントを導くものであるべき。

中間レビューは機能しない。

全ての国に共通の約束期間があるべき。マーシャル諸島が言う、2025 年を最終年とすること
や十分なリードタイムをもって次期のコミットメントを決めるという考え方は説得的である。

法的拘束性と遵守を支持する。遵守と MRV は異なるものである。遵守は促進的であるのがよ
いが、強力な MRV の枠組みも不可欠である。もちろん、適応の遵守は緩和のそれと異なるも
のになる。

MOP、改正、合意の Annex の更新方法なども定める必要がある。
中国

レビューやアセスメントは ADP のマンデート外だが、ダーバン決定のパラグラフ6と関連するた
め、重要なイシューである。パラ6は「野心の向上」を定めている。ADP では条約の書き換えを
交渉しているのではない。

事前のプロセスなどいろいろといっているが、プロセスはダーバンプラットフォームのプロセス1
つだけである。

リマでは、情報に集中すべきである。レビューやアセスメントは、新合意の要素の1つである透
明性の中で扱われるべきである。

事後プロセスについて、先進国と途上国で差異化され、全ての要素をカバーすべきである。

ドーハの revisit mechanism を全ての先進国に課すことが 2015 年の基礎になるかもしれない。
先進国は 1990 年比で少なくとも 2020 年に 40%削減、それ以降についても何かの目安を作る。
途上国は、先進国の支援のもとで行動をとる。

遵守は、法形式とリンクしている。現時点では、サブスタンスに集中すべき。法形式はサブスタ
ンス次第であることから、遵守を議論するのはまだ早い。もちろん、パリまでに議論することは
歓迎する。
南アフリカ

Upward adjustment が重要である。パリに NDC が不要といっているのではなく、事前評価を急
ぐべきではないと言っている。テクニカルな評価から始め、貢献の調整に関するレコメンデー
ションを行い、コミットメントを COP で最終決定する。

実施期間を 10 年+中間レビューとする。中間レビューは、定期的なレポーティングなどに基
づいて行う。

事後評価では、機会の特定、支援の特定、それらに基づくコミットメントの調整を行う。また、既
67
存の MRV の枠組みを適応と実施手段に対しても活用してはどうか。具体化は SB に委ねる。

遵守については、早期警告プラットフォームを設けて、問題が発生しても早期に対応するよう
にする。条約 13 条の多国間コンサルテーションプロセスを活用できる。
パラオ

強力な遵守システムが必要である。京都議定書における共通のアカウンティングルール、強
力な MRV、遵守システムを活用すべきである。

期間は最新の科学に対応できるように、5 年以下であるべき。長い約束期間にすると、遵守の
評価が 2030 年以降になってしまう。
ブラジル

プロセスは全ての要素をカバーすべき。緩和だけではく、適応と実施手段を含める。もちろん、
これらの間の違いを考慮すべきだが、より重要なのは、全ての要素を含めることは、可視化
(visibility)、透明性、NDC を書き込む際の country ownership の観点から必要。NDC はプロ
セスを進めるツールである。調整は上方も下方もある。

マーシャル諸島は 5 年間のサイクルを提案しているが、より短いサイクルでの世界全体での排
出量レビューが有用である。IAR と ICA では世界全体の排出量をレビューできない。遵守でも
できない。このレビューには科学が必要である。

比較のための共通指標が必要であり、グローバルな温度目標達成への各国の貢献を計れる
ようにすべきである。排出量でみるのは、基準年の概念などの指標が入り、複雑になることから、
温度でみるべき。

遵守については、ルールに基づくシステムが必要である。京都議定書の特徴を取り入れる必
要がある。
日本

事前評価は、シンプルで効率的であるべき。

事後評価は、全ての国で共通の枠組みである。ただし、国別事情、能力、タイプ、GHG 排出
のインパクトの観点から柔軟に運用する。

5 年サイクルの考え方は京都議定書スタイルに似ている。長い期間は長期のシグナルを投資
家に送れる。短い期間は野心的ではないコミットメントへのロックインを避けることができる。期
間について柔軟性を持たせることで参加を促進できるかもしれない。この点をさらに議論した
い。
サウジアラビア

条約の原則・規定に導かれるべきである。先進国と途上国は差異化されるべき。
68
フィリピン

UNFCCC にはここで話しているものが既に含まれている。
ボリビア

フィリピンの発言に賛成する。
2014 年 6 月 14 日(土)
ADP コンタクトグループ(全体構造)
概要:
(1)全体構造、要素間の関係、要素横断的な論点、合意と COP 決定の使い分け等について、各
国が意見を述べた。
(2)「全体構造」について、LMDC はダーバン合意の 6 つの要素ごとにセクションを設ける構造を提
案した。これに対して、スイスは、支援については単一のセクションにまとめて、MRV とレビューは、
緩和と適応で内容が大きく異なることから、それぞれの章で扱われるべきとした。また、各国の約束
を書きこむ文書の形式として、日本、米国、豪州は国別行程書(national schedule)を、LDC とスイス
は附属書を、南アフリカは行程書または附属書を、中国は添付文書(attachment)を例示した。
(3)「要素間の関係」について、日本とスイスは、緩和と適応が目的であり、支援はそのための手段
であると述べた。これに対して、LMDC(中国、インドを含む)は、全ての要素が同等な法的位置付
けを持つべきとしたうえで、途上国の行動は先進国による支援に連動すると主張した。一方、アフリ
カグループと AILAC は、緩和、適応、実施手段の間の相互関係を認識すべきとした。
(4)「要素横断的な論点」について、LMDC(中国、インドを含む)は CBDR と衡平及び二分法によ
る差異化を、アフリカグループは衡平と透明性を、LDC は温度目標を指摘した。日本は普遍性と
差異化を横断的論点として指摘し、二分法アプローチは現在の国際情勢と多様化した国別事情と
整合しないと述べた。
(5)「合意と COP 決定の使い分け」については、先進国は合意には持続的なものを含めて、ルー
ルの詳細などは COP 決定で扱うと述べた。LDC は各国の約束を書き込む附属書を、批准を経ず
に COP 決定で改正できるようにすべきとした。
各国の発言:
共同議長

以下を議論したい。

Issues relating to inter-relationships and cross-linkages between elements

Issues that are cross-cutting across elements

Issues relating to placement – which issues are best addressed in the agreement and which
issues are more suitable for COP decisions

Issues relating to timing – whether issues need to be addressed in Lima, in Paris or later
69
ツバル(LDC)

相互関係については、2015 年合意は包括的な文書であるべきで、全ての要素を含むべきで、
別個の条文をもつべき。各要素について、制度的側面をもつべき。

全ての要素に共通するキーとなる側面は温度目標である。調整手続きを設けて、努力を高め
るべき。科学に対応し、1.5℃以内を達成すべき。

レビューサイクルは 5 年サイクルであるべき。IPCC も同様。

緩和については、5 年ごとの共通終了年をもつべき。レビュープロセスは附属書の改正が必要
だが、批准ではなく、COP 決定で改正できるようにすべき。

緩和の野心度は実施手段と強くリンクする。

コアとなる MRV は京都議定書のアカウンティングであり、サポートへの MRV も必要である。資
金を生み出すモダリティーへのコミットメントも法的拘束力をもつべきである。

法的構造としては、コミットメントを Annex に含めることとし、COP 決定によってコミットメントを強
化できるようにすべき。

2015 年合意は全ての重要なコミットメントを inscribe すべき。これまでに COP 決定で創設した
組織も新合意に inscribe すべき。

緩和と資金のコミットメントは Annex に含まれるべき。法的な確実性が必要。COP 決定で上方
修正する。後退は認めない。先進国と能力がある国はエコノミーワイドのコミットメントを共通の
メトリクスで約束する。その他の能力がある国は異なるタイプのコミットメントを掲げる。

テクニカルな部分は COP 決定に含める(例えば、土地部門のアカウンティング等)。

タイミングについては、リマでは、①最初の INDC のマイルストーン(INDC の意味、提出とレビ
ューの迅速なプロセス)、②2015 年に含めるキーとなる要素、③法的拘束力ある合意を交渉
するマンデートを決定すべきである。
アルゼンチン(LMDC)

2015 年合意は、前文(条約の目的、先進国の歴史的責任、ドーハ気候ゲートウェイの成果、
ADP は条約の原則に従うこと、合意の要素はダーバン合意のパラ5に従うこと)、Section 1(原
則:条約の実施強化等)、Section 2(緩和:equity と CBDR。対応措置、一方的措置への規定、
実施手段への MRV も含む)、Section 3(適応:途上国の適応は附属書 II 国に支援される等)、
Section 4(資金:2020 年までと 2020 年以降の資金支援の強化、先進国による資金支援の
MRV の強化等)、Section 5(技術:バリア除去、附属書 II 国による資金提供、条約の技術メカ
の強化等)、Section 6(キャパシティービルディング:GCF が支援するメカニズムの創設等)
Section 7(透明性:先進国と途上国で差異化等)、その他の条文からなる。

リンケージについては、①途上国の強化された行動は、先進国の資金・技術・キャパシティー
ビルディングの下で行われること、②2020 年までの野心と 2020 年以降の野心のリンクが重
要。
70

クロスカッティングについては、もっとも重要なのは、CBDR をどのように合意に反映するかで
ある。条約には、動的な差異化(自己差異化を含む)は含まれていない。差異化は、先進国と
途上国の間で、条約の構造に基づいて行われるべき。

2015 年合意の条文は条約実施の強化にフォーカスすべきである。全ての要素は同様の法的
性質をもつべきである。2015 年合意の制度的側面は過去の決定で強化されたものに基づき、
さらに強化すべきである。

リマでは、ワルシャワで決定したタスク(要素、情報)にフォーカスすべきであり、負荷を過度に
高めてはならない。パリでは 2015 年合意に関する交渉を終了させる。

LMDC のさまざまな国は、collectively construction of ADP draft negotiating text を提案した。
次のステップについて明確にしてほしい。全ての要素に関して締約国の全てのインプットを反
映したビュレットポイントを含むノンペーパーを 7 月 15 日までに用意することを共同議長に求
める。
(※ベトナム、イラン、ヨルダンが同様の発言)
スイス

支援については単一の章であるべき。

MRV は、要素ごとに異なる方法をとるべきである。緩和、適応、資金の章に含めるべきであ
る。

要素間のリンケージについては、相互にポジティブな影響がでるようにすべき。支援はそれ自
体が目的ではなく、目的(緩和と適応)へのツールである。緩和と適応はそれぞれに最も野心
的な行動となるようにすべき。

合意全体に横断的に適用されるのは、遵守や附属書の改正などである。クロスカッティングな
ものは、それが緩和と適応の両方に等しく適用されるものに限り、これらとは独立の章とすべき。
例えば、MRV やレビューについては、緩和と適応で、内容が大きく異なることから、それぞれ
の章で扱われるべき。

目的については、緩和についての具体的な目的と適応についての具体的な目的を議論して
はどうか。資金については、ツールであることから、合意には目的を含めないが、COP 決定に
レファレンスとしてゴールを含めるのはよい。

適応の章では、適応するコミットメント、および自国決定の適応計画のコミットメントを含めるべ
き。コミットメント自体は附属書に含める。

COP に対して、合意を具体化する能力を与えるべき(ルール作りなど)。

リマでは、①最小の事前情報、②検討プロセスを明確すること(INDC が間に合わない国への
対応を含む)、③合意の要素の構造を決める。

パリでは、持続的で簡潔な合意と必要な COP 決定を採択する。パリのあとに持ち越すものもあ
る。ただし、パリでは以下を決めておく。第一に、積み残したものを検討するプロセスに関する
決定である。第二に、貢献(特に適応の貢献)を最終化できない場合には、その後に何をする
71
のかを決める決定が必要である。
ナウル(AOSIS)

National ownership と締約国間の信頼を高めるに、法的拘束力ある議定書を望む。
ベリーズ(カリブ)

全ての要素(ロス&ダメージを含む)に、同等の政治的重要性を持たせるべき。

締約国の異なる責任を記録する方法論を 2015 年合意に含めるべき。

約束期間は 5 年以下であるべき。中間レビューは効果がない。

合意は個々の要素を扱うセクション(ロス&ダメージは独立)からなる。また、原則と文脈を扱う
短いセクション、遵守に関する規定(強力な促進的な遵守、市場メカへのアクセス)、発効条件
に関する規定、改正を柔軟に行うための規定が必要である。
韓国

2015 年パッケージは、合意、COP 決定、NDC からなる。

合意は、大きく、緩和、適応、実施手段という 3 つの章からなる。

要素間の相互関係については、緩和と適応は相互に関係し、実施手段と関連しているが、緩
和と適応の条文の中に実施手段を含めるのがよい。

透明性に関する規定は、それぞれの要素に関するセクションのなかに設けられるべき。

市場メカや土地利用に関するルールは COP 決定でカバーされるべき。

INDC のスコープと法的性質は、コミットメントが 2015 年合意に含まれるかどうかに関連する。
レビューにも関係する。緩和については事後レビューと遵守も検討する必要である。
スーダン(アフリカグループ)

ワークストリーム2での成果が新合意の基礎となる。

温度目標、適応、緩和野心の間には相互関係がある。2℃上昇でも影響が出る。この点を検
討し、必要な支援を考えるべき。

原則的なイシューがクロスカッティングである。つまり、衡平と CBDR&RC。また、貢献のタイプ、
事前アセスメント、事後アセスメント、透明性、遵守もクロスカッティングであり、すべての要素
に適用される。

ジェンダーの要素もクロスカッティングである。

全ての要素が 2015 年合意で扱われるべき。また、コミットメント、アカウンティング、遵守等も扱
う。具体的なルールは COP 決定で扱われる。ICI を条約のもとで、どのようにアカウント・認識
するかを合意で扱うべき。適応委員会、CTCN、資金の常設委員会、GCF 等へのガイダンス
は COP 決定で扱われる。

リマでは、交渉文書案の要素と情報を検討する。また、情報を検討するプロセスとワークストリ
72
ーム2も決める。パリでは、新合意と、貢献を引き続きコミュニケートすることを決める。
南アフリカ

緩和と適応のリンク、気候変動へのチャレンジと実施手段の動員のリンクを新合意に含めるべ
き。適応に関するグローバル目標はこれに役立つ。

衡平と透明性は、クロスカッティングな要素である。これらは完全な参加と野心強化に不可欠
である。透明性は、事後評価とそのタイミング、および遵守を扱う。事前の評価も必要である。

制度リンケージについては、既存の制度(CGF、適応委員会、技術メカニズム等)を強化し、新
合意にアンカーすべき。透明性について、既存の MRV システムが出発点になる。

ICI を条約の下に登録する仕組みを設けるべき。ICI へのアカウントをするために、事後評価を
設けるべき。

個々のコミットメント、全体のコミットメント、グローバルな目標、アセスメント、遵守が合意の不可
欠な要素である。共通のグローバルなコミットメント(緩和、適応、実施手段)を新合意に盛り込
む。各国のコミットメントについては INDC の形で開始し、最終的には附属書や Schedule の形
で含める。どちらでもフレキシブルである。
オーストラリア

緩和、適応、支援、透明性のすべてが合意に含まれる。NDC は national schedule に含まれる。
合意には highest level of commitments を持続的な形で含める。また、合意には schedule のプ
ロセスを盛り込むが、schedule そのものは合意の外である。

貢献の公式化と更新、アカウンティングルール、適応の情報の共有に関するルールは、COP
決定で扱う。一部はパリまでに、残りはその後の SB で。

コアの合意の構造は、①前文に文脈、②コミットメントは、各国のもの(定量的な緩和、適応計
画、実施支援の協力)とグローバルなもの、③透明性とアカウンティング(詳細は COP 決定)、
④制度アレンジメントとのリンケージ、⑤貢献のレビュー、⑥governing のアレンジメント、⑦そ
の他、からなる。
EU

新合意の原則は持続的であること。その観点から、合意に含めるものと COP 決定に含めるも
のを検討すべき。

適応、緩和、実施手段は新合意に含まれるべき点にコンセンサスがある。

緩和について、新合意は長期目標(2 度目標と整合する世界全体の排出経路)とすべての国
の法的拘束力あるコミットメント(後退はないことを要件)を含む。INDC はパリの前に拘束力あ
るコミットメントに転換すべき。マーシャル諸島などが提案した「定期レビューとコミットメントのサ
イクルを同期させる」と言うアイデアを真剣に検討したい。MRV とアカウンティングについて、
新合意は原則を打ち立てるべきである(特に土地部門と市場メカニズム)。差異化は緩和コミッ
73
トメントのタイプで行う。COP21 における決定は、MRV レジームや土地部門のアカウンティング、
支援への MRV についての作業計画を定めるべき。緩和貢献を含める前に、ルールが決まっ
てなければならないという考えに反対である。

適応について、2015 年合意は既存の努力(カンクン適応枠組み等)に立脚し、さらなる決定で
強化する。適応の実効性についてのモニタリングとレポーティングの規定も設ける。緩和とは
異なる方法で詳細化していく。

資金について、資金提供の目的(2℃目標の達成)、民間部門へのクリアなシグナル、実施環
境の強化等などを含める。また、MRV の強化も含める。詳細は COP 決定で定める。

遵守について、2015 年合意は遵守メカニズムを創設し、その組織を定め、評価の原則を定め
るべきである。
中国

先進国と途上国の行動を別々に定める。条約からの逸脱をしない。

クロスカッティングイシューについて、CBDR&RC をどのように反映するかが重要である。自己
差異化などを主張する国があるが、条約の附属書に基づくべき。差異化は、6 つのコアとなる
要素の全てに適用する。この原則をリマで決めるべきである。

全てのコア要素は同等の法的位置付けを持つべきである。条文の長さもバランスをもつべき
である。①先進国の緩和コミットメント、②途上国の緩和行動、③先進国の資金のコミットメント
とロードマップ、④先進国の技術とキャパシティービルディングの支援政策を Attachment に含
める。後の段階で、法形式と遵守を議論したい。

リンケージについては、途上国の強化された行動と先進国の強化された支援のリンクが重要
である。また、先進国の支援の透明性と途上国の行動の透明性もリンクする。資金、技術、キ
ャパシティービルディングのリンクも重要である。2020 年までの野心と 2020 年以降の野心もリ
ンクする。

今回と次回のセッション、さらにリマまでのプロセスは不明確である。この点を閉会プレナリー
で議論すべき。この点について、我々の提案を示す。
ボリビア

気候レジリエンスへの非市場ベースの支払いメカニズムが必要である。

マザーアースの権利がクロスカッティングである。

市場は持続可能な解決策ではない。市場ベースメカニズムへのモラトリアムを設けるべきであ
る。

ボリビア、ベネズエラ、エクアドル等は、リーガルコンタクトグループを提案する。
インド

ダーバン合意のマンデートは条約実施の強化であり、新合意を作ることだけではない。
74

新合意では、全ての要素は同等の法的位置付けを持つべき。

バリ行動計画の6つの柱が、交渉文書草案の要素に含まれるべきである。リマまでに、これら
の要素にもとづく構造を決めるべきである。

詳細のルールは COP21 のあとに決める。

クロスカッティングイシューは、衡平、CBDR&RC、遵守である。

INDC は条約のもとでのコミットメント全てを含む。

締約国のテキストに基づく交渉のプロセスを明確にしてほしい。
コロンビア(AILAC)

新合意には、それぞれの要素について、グローバルな目標が含まれるべき。また、それらの間
のリンケージを認識すべき。

長期目標は、各国のコミットメントと行動で補完する。

構造は、コミットメントのタイプの多様性に対応し、ラチェットアップを長期の交渉を伴わずに可
能にするものであるべき。毎回の期間が終了するごとに批准が必要にならないようにすべき。
将来の貢献を上方修正するのを容易にするような手続きが必要。

前文(文脈を与える、2020 年までの野心強化も)、緩和(グローバル目標、特別な国別事情と
衡平を考慮した差異化、貢献のアンカー、アカウンティング)、適応(グローバル目標、貢献の
アンカー)、実施手段(グローバル目標、実施手段の提供のアンカー)、ロス&ダメージ、透明
性、遵守(MRV とは区別すべき)、法的事項が、構造である。

アルゼンチンの提案を歓迎する。全てのインプットに基づく概念的な統合文書を作成するよう
に共同議長に求める。
日本

緩和と適応が合意の中心であり、実施手段は緩和と適応の手段である。透明性は 5 つの要素
をカバーする。

中心的なクロスカッティングイシューは、普遍性と差異化である。二分法アプローチは現在の
国際情勢と多様化した国別事情と整合しない。

2015 年の成果は、シンプルなコア合意と関連する COP 決定。どちらに含めるかは持続性
(durability)で決める。コア合意には、NDC の提示、事前プロセスを受けること、事後レビュー
を受けること、適応を国家計画に統合することを含める。

緩和コミットメントは変更時の批准が不要となるように、national schedule に含めるべきだが、更
なる検討が必要である。
マーシャル諸島

それぞれのトピックを、どれほど深く扱うかは、それぞれのイシューの性質による。

法的文書は簡潔であるべき。
75

コミットメントはパリで inscribe すべき。コミットメントを新合意から完全に切り話すのはよくない。
上方修正を柔軟に行えるようにすべき。
ドミニカ共和国

NDC は全ての柱を扱うためのツールではないが、新合意は全ての要素を扱うべき。ある柱を
扱うことで、別の柱が代替されるという考え方は受け入れられない。

長期のグローバルな目標が必ず含まれるべき。

市場メカについては、テクニカルな面から検討すべき。そうすることでスコープへの合意が容
易になる。
米国

コアの合意、COP21 における決定、将来の COP 決定からなる。

コアの合意は簡潔であるべき、容易に国内実施できるものであり、持続的であり、頻繁な修正
を必要としないものであるべき。実施にフォーカスし、相互理解を深めることが建設的である。
詳細は COP 決定で定める。例えば、アカウンティングの規定を新合意にコアの部分だけ(ダブ
ルカウントの回避等)を入れて、COP21 やその後の COP 決定に含める。

緩和については、合意に、①緩和貢献の維持とスケジュールへの反映(将来のサイクルにお
いて合意の改正を不要とするようにする)、②次期のサイクルに向けて、今回の合意の前に行
うプロセス、③レポーティング等のルール、④義務実施のレビューを含める。

アカウンティング、2020 年以降の共通の MRV、適応行動を強化するためのガイダンス等は
COP 決定で扱い、2016 年から 2020 年の計画をパリで定めるべき。

既存制度については、合意でリファーするのはよい。資金を条件とすべきではない。
パプアニューギニア

REDD+は新合意にアンカーされるべきである。
1-2.ダーバンプラットフォーム作業部会(ADP2-6)への参加
2014 年 10 月 20 日(月)
ADP 開会プレナリー
概要:
(1)冒頭に、共同議長が、3 つの文書(要素のノンペーパー、INDC の決定草案、ワークストリーム2
の決定草案)の概要を説明した。
(2)要素に関連して、法的側面に関する Q&A ペーパーを事務局が説明した。また、共同議長は、
ストックテーキングプレナリーで、この論点に関する締約国からのガイダンスを求めると述べた。
(3)続いて、各交渉グループによるステートメントが行われた。
76
①要素のノンペーパーについては、途上国側の各グループが、議論の出発点として適切と述べる
一方、アンブレラグループ(UG)や EU は、もっと簡潔で構造化された文書が必要と述べた。
②INDC について、先進国の各グループは、(INDC は緩和を扱うものであることを前提に)事前情
報や提出後のプロセス、MRV やアカウンティング、サイクルや期間などの論点について検討を進
めるべきと述べた。一方、途上国側の多くのグループが、「緩和だけではなく、適応、資金、技術、
能力構築も含むものである」(G77+中国・アフリカグループ・BASIC 等)、「緩和に絞るべきではない」
(LMDC)と主張した。ただし、LDC は、「INDC は主に緩和を扱うものであり、適応と資金はコア合
意で扱われるべき」と述べた。また、EIG が、適応に関するボトムアップのプロセスを、緩和との性質
の違いを考慮しつつリマで検討してはどうかと述べた。
③ワークストリーム2については、途上国側の各グループが COP19 決定のパラ3&4を具体化すべ
き、特に先進国の削減目標強化と途上国支援の約束実施を検討すべきと述べた。
各国の発言;
共同議長

INDC に関わる事前情報とワークストリーム2の COP 決定が必要である。

翻訳に必要な時間を考慮すると、4 月初旬までに交渉テキスト草案をセットする必要がある。

今回の会合を “bridge building session”と名付けたい。異なるオプションの間にブリッジをかけ
て、前に進めるように努力してほしい。そうした議論をしやすいように会議室も用意した。
Manuel Pulgar-Vidal 大臣(ペルー、次期 COP 議長)

(会議場の)準備は整っている。

緊急性の認識(sense of urgency)、COP21 という期限までに残された時間、過去の COP による
マンデート(INDC、資金、2020 年までの野心)、リマを成功させなければならないことを念頭に
おいてほしい。

リマで取り組むべきイシューは、事前情報の定義、明確で構造的で中身のあるテキストの要素、
ワークストリーム2の結論(今後の計画、既存のコミットメントの遵守)、他の補助機関で扱う議
題等である。

会期中に多くの国と会いたい。
フィゲレス事務局長

ドーハ改正の批准手続きを進めてほしい。

気候サミットと関連イベントによって、実施可能なことが広がった。金融機関、企業、地方政府
の数々のアナウンスメントを通じて、我々には、資金や技術があることが示された。

共同議長が示した3つのタスクについての進展が不可欠である。
共同議長
77

3つの文書(要素のノンペーパー、2つの COP 決定案)を用意した。

適応と資金についての理解を深めること、INDC、貢献・約束の長期サイクル、ルールに基づく
システム、合意に含めるものと決定に含めるものの区別(これは階層の問題ではない)等を議
論したい。

法的側面について、既存制度の活用、ガバナンス、移行期、最終節の条文(final clause; 発
効要件等)について、Q&A を整理したペーパーを事務局の法律担当で作成した。
事務局

新合意の法形式が決まっていない中での予備的検討である点に留意してほしい。締約国が
検討すべき数々の制度面の論点を指摘することを狙いとしている。新枠組みは議定書という
形式になる場合を想定した。ペーパーはウェブに掲載する。

http://unfccc.int/files/bodies/awg/application/pdf/qustion_and_answers_for_adp_2.6_v_20
141019_formatted_clean_version.pdf

4つの分野(ガバナンス、制度、最終節の条文、移行期のアレンジメント)を扱った。

ガバナンスについては、意思決定のフォーラムの選択肢を示した。

制度については、議定書本体に制度に関する条文を含めるという形での個別のアンカリング
と、既存または将来の制度について 2015 年合意の運営組織(governing body)の決定に委ね
るという包括的なアンカリングの方法があることを示した。

最終節の条文については、主に手続き的側面(参加、署名、批准、発効、改正など)を扱って
いるが、センシティブなものもある。発効要件、改正手続き、貢献の調整について、特に注目
すべきである。発効要件の法的オプションは、客観的に検証可能で、定量的・実現可能なも
のであるべき。

移行期については、2015 年合意に伴う技術的・運営的な詳細について、2015 年から 2020 年
の間に作業する際に、①何を 2015 年から 2020 年に検討するか、②どのプロセスで検討する
か(具体的には SBI/SBSTA、政府間委員会、ADP の延長といった選択肢)という問いかけを
示した。
共同議長

ストックテーキングの際に、締約国のガイダンスを求める。

INDC については、スコープが重要な論点である。全ての国の NDC が緩和を含むべきという
点はほぼ明らかとなっているが、他の側面についてさらに明確にする必要がある。また、INDC
提出後のプロセスも重要な論点である。INDC について、議論を進めるための決定案を用意し
た。今回の会合では、理想をいえば、テキストに合意したい。そうすれば、リマでは要素に集
中できる。

ワークストリーム2については、決定草案で、①ワルシャワの決定のパラ3とパラ4の実施、②資
金、③2015 年の TEM へのガイダンス、④全てのアクターの巻き込み、⑤パリの後の野心強化
78
プロセスを扱っている。ワークストリーム2の政治的側面を考慮すれば、リマでの本件に関する
決定は重要である。読み合わせ(collective reading)を開始した。

2015 年の追加会合、特に来年前半について、今週中に決める必要がある。
G77+China(ボリビア)

2015 年の合意は、緩和・適応・資金・技術・能力構築・透明性を含むべき。

ワークストリーム 2 については、先進国のコミットメントが実施されていないことを懸念する。緩
和だけではなく、資金、技術、能力構築にもギャップがある。COP19 決定のパラ3とパラ4の検
討に時間を割くべき。先進国は総量目標を見直して、1990 年比で少なくとも 40%削減を掲げ、
目標に付された条件を取り除くべき。

2015 年の成果は、途上国の適応を強化するという長期ビジョンを反映し、適応へのファイナン
スを拡大すべき。

資金については、2016 年に 700 億ドルの目標を定めて、2020 年に 1000 億ドルまで拡大して
いくべき。

GCF は新合意の中にアンカーされるべき。初期拠出は早急に検討すべきイシューである。

ロス&ダメージに関するワルシャワメカニズムを 2015 年合意に含めるべき。

INDC は、バランスよく、包括的なものとして捉えられなければならない。先進国は、資金、技
術、能力構築を提供しなければならない。途上国はそれらを必要とする。

法的側面も重要である。COP19 決定のパラ 2(a)に基づき、緩和、適応、資金、技術、キャパシ
ティービルディング、透明性を等しく扱うべきである。ロス&ダメージについても同様。

ワークストリーム2も、ワークストリーム1とバランスをとりながら進めていく必要がある。ワークスト
リーム2はギャップが埋まるまで続けるべきであり、リマでの決定を望む。

要素に関するノンペーパーは完璧ではないが、出発点として有用である。
(拍手)
EU

全ての主要国・新興国は来年 3 月までに INDC を提示しなければならない。INDC を検討・分
析する国際プロセスも決める必要がある。

リマでは、要素案に合意する必要がある。INDC による差異化の実現、コミットメントの最終決
定に必要なルール、2015 年以降のサイクル、適応と支援について合意と COP 決定の使い分
けが論点であり、サブミッションで考え方を示した。ノンペーパーには EU の考え方が反映され
てない部分がある。シンプルで簡潔な文書にしていく必要がある。

2020 年までの野心強化についてもリマで決定が必要である。
UG(オーストラリア)

事前情報に関するガイダンスおよび INDC 提出後のプロセスに関する決定を交渉する用意が
79
ある。また、初期貢献の期間、方法論のアプローチ、アカウンティングのアプローチ、最大の参
加を確保するような貢献の最終形式が重要である。

要素について、簡潔で構造化された文書が必要であり、新合意に含まれるべき分野と COP 決
定で扱うべき分野を分けていくべきである。

TEM は来年も続けていく際に、現実的なものとして機能し続けるようにしていく必要がある。
EIG(スイス)

EIG の各国(メキシコ、韓国、スイス)は GCF にプレッジした。

適応に関するボトムアップアプローチも有益だが、タイムラインや国家計画の提出後のフォロ
ーアップについて、適応は緩和と異なる点を考慮しなければならない。リマで具体化していく
のがよい。

INDC 提出後の多国間プロセスでは、2℃目標と整合するように、調整(calibration)や協力を
可能とすべきである。
アフリカグループ(スーダン)

INDC と要素について、文書のステータスが揃っていないことを懸念する。

要素のノンペーパーには、アフリカグループが求めるパラメーターが反映されており、これをも
とに他の締約国と議論していきたい。

INDC の決定案については、緩和が中心であり、適応は選択的であり、資金・技術・能力構築
は本文に触れられていない点を懸念する。2015 年合意は緩和の合意ではなく、INDC は全て
の要素を扱うものである。多くのアフリカ諸国は、緩和の INDC ではなく、適応の INDC を作成
する立場にある。適応の INDC は、計画作成の状況、適応ニーズ、これまでの投資に対する
認知を含むものであり、これに対応して、先進国は今後の支援を提示する。また、先進国は資
金、技術、能力構築の INDC を提示すべきである。

ワークストリーム2については、2020 年に 1000 億ドルの目標に向けたクリアなベンチマークを
定めるべきである。
(拍手)
AOSIS(ナウル)

ロス&ダメージは、適応とは区別された形で 2015 年合意に含まれなければならない。

2015 年合意は法的拘束力ある議定書であるべき。

1.5℃と整合するような野心度を確保しなければならない。INDC は集計できるように定量的で
あるべき。明確化、透明性、理解向上に役立つように事前情報を決める必要がある。

資金は 2015 年合意の根本的な構成要素であり、先進国のコミットメントを含まなければならな
い。資金のギャップが解消されるべきである。

ワークストリーム 2 について、AOSIS は提案を示した。テクニカルな情報は最初の一方であり、
80
行動につなげるには政治プロセスとのリンクが必要である。COP におけるハイレベルイベント
や COP19 決定のパラ3&4についての政治的な議論が必要である。
LDC(ネパール)

ダーバンプラットフォームのパラ5の各要素を 2015 年合意にどのように反映させるかを議論す
べきである。要素の bullets(ノンペーパー)は有用だが、さらに詳細にしていくべき部分もある。
この文書を適切なフォーマットに変えていく必要がある。

INDC と 2015 年合意は相補的な関係にあり、INDC は主に緩和を扱うべきものである。一方、
緩和と実施手段はコア合意の方で扱われるべきである。また、2015 年合意は、資金メカニズム
に明確なガイダンスを与えるべきである。
(拍手)
ALBA+アルゼンチン、エルサルバドル(ベネズエラ)

6 つの要素は合意の核心であり、脇に追いやることはできない。先進国は緩和のコミットメントと
資金・技術・能力構築のコミットメントを引き受けるべき。

ノンペーパーのテキストをスクリーンに映して交渉すべきである。

ドーハ改正の批准が 2020 年までの野心強化の基礎である。
(拍手)
LMDC(エクアドル)

要素の具体化、情報の特定、バリ行動計画の成果の実施加速というワルシャワで合意したタ
スクに集中すべきであり、何かを加えるべきではない。二国間での非公式な議論ではなく、コ
ンタクトグループで議論すべきである

要素のノンペーパーは、有用な出発点である。6 つの要素について具体的に議論すべきであ
る。 “pick & choose”で質問を抜き出して議論するような進め方を避けなければならない。時
間配分のバランスもとるべきである。

INDC は目的ではなく手段であり、要素の文脈の中にあるものである。INDC の決定案は締約
国のテキストではなく、コンセンサスがない。ワルシャワのタスクを越えている。リマでは、プロセ
スや INDC そのものを議論すべきではなく、また緩和にフォーカスすべきでもない。要素の文
脈で議論すべきである。情報について、締約国のテキストに基づいて速やかに交渉すべきで
ある。

バリ行動計画の成果(資金、技術、能力構築)の実施や先進国の目標強化(少なくとも 40%)
がワークストリーム2の重要なタスクであり、ワルシャワの決定のパラ 3&4 を具体化していくこと
が不可欠である。議長の決定案はこの点で不十分であり、締約国のテキストに基づいて交渉
すべきである。
(拍手)
81
BASIC(南アフリカ)

要素のノンペーパーは、よい出発点である。

2015 年合意はダーバンプラットフォームのパラ5の 6 つのコアとなる要素を含まなければならな
い。

2℃以内を達成するように、締約国が、既存のコミットメントを後退(regression)させることなく、
貢献を徐々に強化できるようにすべきである。

INDC は緩和、適応、資金、技術、能力構築をカバーしなければならない。事前情報は先進
国と途上国で差異化すべきである。

適応はグローバルな対応が必要なものであり、緩和と同様に重要である。国家適応計画が適
応の INDC の基礎であり、途上国による適応投資も貢献となる。リマでは、適応基金や GCF に
おける適応窓口に十分な資金が与えられるようにすべき。

新合意では、既存制度(TEC、GCF、常設委員会)とのリンクが必要である。

2020 年までについては、先進国の野心度が低いことを懸念する。2014 年の目標見直し
(revisit)について、必要なアレンジメントを整えるべきである。

ワルシャワの決定のパラ3&4は緊急性を要する課題であり、リマでの成果が必要である。
AILAC(コスタリカ)

考え方をサブミッションで示した。
第 1 に、合意の全体構造、特に交渉・批准なしで野心を強化する仕組みである。
第 2 に、各国の貢献についての繰り返しのサイクルとステップについてである。
第 3 に、パリ合意に含まれるべき要素(適応、緩和、実施手段、ロス&ダメージ、透明性、遵守、
法的規定、サイクル、ルールとガバナンス)の概念である。特に要素間の関係性を強調した。
第 4 に、メキシコとともに、適応についての考え方(グローバル目標、各国のコミットメント、実施
手段、将来の制度アレンジメントのビジョン)を示した。
第 5 に、ワークストリーム2についてである。TEM についての具体的なアイデアを示した。
2014 年 10 月 21 日(火)
ADP コンタクトグループ(適応)
概要:

2015 年合意の要素としての適応を議論した。

途上国側からは多くの要求が提示された。具体的には以下の通り。
①適応のグローバル目標(特に、適応と緩和・資金のリンクの定量化)
②新たな制度の創設(適応の補助機関、適応レジストリー)、既存制度のアンカリング
③ファイナンスの拡大&先進国による支援のコミットメント(条約 4 条 4 項等に基づく)
④適応とは別の項目としてのロス&ダメージの反映
82

ただし、中国は、定量的なグローバル目標やロス&ダメージについての深入りを避けて、「メト
リクス・方法論を検討する必要」と述べるにとどめた。また、条約 4 条 4 項、5 項、8 項、9 項とい
った二分法(附属書 I と非附属書 I 国)に基づく条文を強調した。インドは、緩和と適応の間で
対称性を確保すべきと強調した。

先進国側は、主に以下のような意見を述べた。
①定量目標への懐疑
②計画作りなどのコミットメントを(二分法を示唆しないように)「全ての国」や「各国」のコミ
ットメントという形で “applicable to all”となるように、2015 年合意に含める
③資金支援の提供国を “all Parties in a position to do so”といった形で先進国・附属書 II
国から広げていく(※この点はコロンビアも指摘)
④GCF は 50%を適応に回すことになっている
⑤2015 年合意の中には持続的なものだけを含めるべきであり、関連制度やその他の詳
細は COP 決定で扱うのがよい

共同議長は、ボリビアとスイスに適応に関する非公式コンサルテーションをファシリテートする
ように依頼した。ボリビアは、G77+中国の中で調整が必要と回答した。
各国の発言:
共同議長

何を 2015 年合意に入れるか、何を COP 決定に入れるか。適応と緩和は political parity だが、
テクニカルには対称的とは限らない。条約は既にある中で、何が新合意でさらに必要かを議
論したい。INDC の文脈での適応は後ほど議論するので、2015 年合意のもとでの適応に集中
してほしい。

2015 年合意で、適応は不可欠な要素である。緩和と適応の関連や、グローバルな側面(目標、
その他の長期的側面、これらと温度目標との関連)について提案があった。コンセンサスはな
いが何がイシューかを明確にしてほしい。どうやって 2015 年合意に反映するかも論点である。

制度とその他のアレンジメントについて、既存のアレンジメントの強化や新しい制度について
の提案があった。どのような制度アレンジメントが必要で、どのように 2015 年合意に含めるかを
議論してほしい。

どの側面が 2015 年合意に含まれ、どの側面を COP 決定で扱うかを議論してほしい。
LDC(ツバル)

これ以上の報告は不要で、具体的な行動が不可欠である。

ロス&ダメージは適応とは区別されるべき。

全ての国は努力することがコア。また、既存の制度(適応委員会、LEG など)をアンカリングす
る。

附属書 II 国に支援を提供するように呼びかける。特に、LDC や島国に対する支援を求める。
83

クリアリングハウスやレジストリーを作る。これを「隔年適応支援報告」のレポジトリーにも用い
る。

観測とモデリングを、脆弱国を支援するようにダウンスケールすべき。

GCF は少なくとも 50%を適応に用いるべき。

「隔年適応支援報告」を附属書 II 国に作成させる。

国際金融機関や支援機関にすべてのファイナンスを climate proof とすることを求める。

ICAO・IMO に innovative finance for innovation を検討するように求める。

ロス&ダメージのワルシャワメカニズムを 2015 年合意にアンカーする。国際気候変動移住連
携ファシリティーを設けて、移民・移住を支援し、補償を検討する。保険とリスク移転も扱うべ
き。

これらを要素のテキストに含めてほしい。
G77+中国(ボリビア)

2015 年合意は、途上国の適応行動を支援するという長期のビジョンをアンカーすべき。適応
ニーズの多様性を認識すべき。条約 4 条 4 項の文脈も関連。実施との明確なリンクが必要。
資金・技術・能力構築へのアクセスという文脈で議論されるべき。
AILAC+メキシコ(メキシコ)

長期の全体的側面について、適応のグローバル目標を支持する。その目標は適応のグロー
バルな側面を捉えたものであり、緩和の水準とリンクし、コストとニーズを表すものである。

サブミッションの最初の 3 ページ分を読み上げ
http://www4.unfccc.int/submissions/Lists/OSPSubmissionUpload/39_99_130581311840849856-Ad
aptation%20Submission%20AILAC-Mexico%20vf.pdf
スイス

目標については、政治的性質で定性的なものであれば役立つ(レジリエンスの強化や、適応
の優先度強化など)。支援はツールであり目的ではないので、目標は支援を扱うものではな
い。

合意には、適応のコミットメントを含めるべき。各国は国別適応計画・政策を作成する、適応を
主流化する、国別計画・戦略を報告するといった内容。また、相互学習のための場(space)を
作る。

制度については、合意そのもので扱う必要はない。現時点では新規制度は不要だが、将来は
COP 決定で創設できるようにしてはどうか。

支援については、各国は投資しつつ、一部の国は支援を必要とし、all countries in a position
to do so が支援を提供する。適応の行動だけではなく、計画作りにも支援が必要だろう。
84
AILAC(コスタリカ)
サブミッションの 5 ページ以降を読み上げ。
http://www4.unfccc.int/submissions/Lists/OSPSubmissionUpload/39_99_130581311840849856-Ad
aptation%20Submission%20AILAC-Mexico%20vf.pdf
AOSIS(ナウル)

緩和、適応、ロス&ダメージの関連を 2015 年合意に反映すべき。

SIDS の特別な状況を考慮すべき。

さまざまな温度上昇シナリオに応じた適応コストやニーズを議論の出発点とすべき。

制度アレンジメントについては、地域の適応センターが必要。既存制度の強化も歓迎する。適
応委員会は適応の方向性を定める組織として 2015 年合意にアンカーされるべき。

資金メカニズムについて、適応基金の資金作りが前例となる。MOI への MRV も重要。

ロス&ダメージは 2015 年合意のなかに適応とは別に取り込まれるべき。
EU

既存のコミットメント(条約 4 条 1 項)と制度に立脚することが出発点である。ここからさらに進め
ていくために、①計画プロセスを越えて、主流化していくことが重要、②脆弱国・LDC だけで
はなく、他の国にも適応への関心が広がっており、この点も 2015 年合意に反映すべき。

要素については、プランそのものではなく、プラニングの強化と国家開発計画への統合・主流
化を盛り込むことで、既存のコミットメント(4 条 1 項)を具体化できる。AILAC がメトリクスに言及
したが、関心がある。マイルストーンは COP 決定で扱うのがよいかもしれない。

このプラニングのコミットメントへのコミュニケーションとレビューは、national communication を
通じて行うのがよい。

資金を提供する国を拡大していくべき。

グローバル目標について、ファイナンスや定量化には疑問がある。定量化は適応委員会で検
討されているが、基本的には世界全体ではなく、各国を対象とするものである。

レジストリーの提案は興味深い。
ガンビア

緩和と適応支援の間に明確なリンクを設ける、例えば、Addition 1 GtCO2 emissions に対して、
Additional 10 billion とすべき。
アフリカグループ(スーダン)

目標は、政治的かつ定性的で、緩和や資金と結びつけないという意見がスイスや EU からあっ
たが、緩和、適応、資金のリンクはきわめて明確である。

温度目標ではなく、実際の緩和に基づいて、適応ニーズが決まる。
85

適応への資金コミットメントについては、短期的には金額で、長期的には GDP のパーセンテ
ージで表されるべき。

常設委員会がギャップを埋めるための選択肢を埋めるのがよい。

適応のグローバル目標は、政治的な意思であり、テクニカルなイシューではない。

EU に対して、プラニングを越えて、条約 4 条 5 項をどのように実現していくのかを問いたい。

条約 4 条 1 項に基づく途上国の投資を、グローバルな貢献と見なすべき。

条約 4 条 4 項に従い、先進国は INDC の中に提供する予定の支援を含めるべき。
南アフリカ

共通のゴールは、共通のコミットメントと各国のコミットメントを通じて実施されるものである。

共通のコミットメントには、地域別の協力やその認識が含まれる。

国別の適応計画プロセスをアンカーする。その計画作成と実施を先進国は支援すべき。

既存制度とメカニズムのアンカリングと新規のメカニズム(例:適応知識プラットフォーム、温度
上昇に応じた適応ニーズを特定する方法論)が必要。

支援の提供について、適応と支援のダイレクトなリンクが必要である。

資金・技術・能力構築のアセスメントについて、緩和よりも長期の取組であることを考慮すべ
き。

ロス&ダメージは、適応とは別個に取り入れられるべき。ツバルの言う保険とリスク移転に興味
がある。
オーストラリア

全ての国が、国別事情にしたがって、適応行動について、共通の責任をもつ。

2015 年合意は、情報やベストプラクティスの共有も促進できる。

適応コストをグローバルな目標とすることは、テクニカルに困難である。適応はローカルレベル
で行われるものであるため。

適応は緩和を代替するものではない。

2015 年合意には、①適応を重要な側面として認識、国別プロセスと共通の責任、②全ての国
が適応行動をとる、③全ての国が経験を共有する。COP 決定にはカンクン適応枠組みへのエ
ンドース等を含める。
ノルウェー

①全ての国のコミットメントを強化、②途上国への支援の強化、③適応についての対話の強化、
④既存制度のアンカリングと強化が必要。

①について、全ての国は最も脆弱な人々を守る、科学と知識(indigenous を含む)に基づく。

②について、適応へのコミットメントは、途上国への支援で underpin される。GCF は 50%を適
応に用いるとしている。市場メカの SOP を財源とすべき。開発支援での適応考慮も。
86

③について、既存プロセスと重複にならないように行う。メトリクスを用いて、複雑性を簡素化し
ていく。

④について、カンクン適応枠組みは “appropriate home”である。

グローバル目標については、そもそも条約 2 条が緩和と適応の共通目標である。2℃目標に
2050 年のネットゼロ排出目標を組み合わせるべき。適応の定量目標は現実には機能しない。
テクニカルに困難である。現場での実施にフォーカスすべきである。

2015 年合意は緩和と適応がともに重要だが、その実施は対称的ではない。適応に適したプロ
セスが必要である。要素の議論のなかでその方法を議論すべき。
中国

長期的に共通メトリクスを見出していくべき。

適応について 2030 年までに年間 1000 億ドルといった目標が必要。

先進国のコミットメントと途上国のアクション。CBDRRC と equity を反映すべき。4 条 4 項、5 項、
8 項、9 項に従う。

制度について、適応委員会のマンデートを強化して、GCF や TEC との連携を強化すべき。

ロス&ダメージは重要だが、まだ方法論がない。この方法論を議論すべき。
ニュージーランド

Ensure resilience by integrating adaptation with national policies というように長期の目標は定
性的であるべき。

新合意は COP に実施の側面を authorize すべきである。新合意に含めるものは、durability
test を通ったものだけである。

Consolidation and coherence のために、適応への MRV を強化することが重要。

資金について、GCF は 50%を適応に割くとしており、プラニングからプロジェクトに移ることが
できる。
インド

INDC のテキスト(パラ3、4、5)には反対である。緩和については shall、適応については may
となっていることが問題。緩和と適応は対等に扱われるべき。パラ5については、「適応の貢献
は global population がどのように適応するのかについての理解を高める」という文言も入れる
べき。

適応における事前情報について、ダウンスケールした予測、プランニングと準備、適応実施へ
の国内資源と必要な国際支援等を含めるべき。Nationally appropriate adaptation action を
NAMA と対称的になるように整備していくべき。

2015 年合意では、適応基金を強化すべき。
87
日本

適応は重要ということに同意。EU やオーストラリア等が言うように、適応はグローバルに取り組
むべきという点に同意。科学的知見に基づくべきと言うインドの発言にも同意。

2015 年合意は、適応に関する条文を含みうる。例えば、①共通ビジョンの共有(適応を国家
政策に統合することによるレジリエンスの強化等)、②国別の適応行動の強化、サブナショナ
ルの強化、③Monitoring & Evaluation。

コア合意は簡潔で durable であるべき。そのため、永続的ではない既存組織については、COP
決定の中で触れればよいのではないか。2015 年以降の M&E の議論について COP 決定で
扱ってはどうか。

適応は緩和とは性質が異なる。特に条約の究極の目的の点で。

適応目標・コストのグローバルな定量化は難しいのではないか。国別でも困難。
カナダ

グローバル目標は、定性的であるべき。条約の目的は既に緩和とのリンクを扱っている。

ロス&ダメージは適応の一部である。ワルシャワメカニズムの実施に集中すべき。

資金については、適応の中で扱う必要はない。

新合意における適応の条文は、全ての国に適用されるべきであり、二分法に基づくべきでは
ない。
ブラジル

レジストリーやクリアリングハウスのアイデアに関心。

既存の制度を、新合意のために適応させていくべき。例えば、適応基金の今後を議論したい。
適応委員会についても、適応の補助機関にしていくアイデアを議論したい。
コロンビア

グローバルな適応目標は、新合意のコアとなる要素である。緩和や支援とのリンケージを定め
る役割が重要。

適正技術についての地域センターが必要。
米国

適応は 2015 年合意のコア要素である。

先進国と途上国の両方におけるプラニングプロセス、特別気候変動基金、GCF などを通じて、
適応の取組が強化されてきた。プラニングプロセスと支援を組み合わせて、適応の実効性を
高めていくことが大きな方向性。

国別の取組の条文は、全ての国にプラニングプロセスを求めるというものがよい。単なる文書
ではなく、(各国で)制度が必要。各国で適応の位置付けを高めていくと入れてみてはどうか。
88

いろいろな提案が出てきたが、2015 年合意に含めるものは長期にわたるものである。

グローバル目標については、特に資金や温度との関係について、多くの国が留保した。各国
が適応行動をとるように求めるという形のほうが分かりやすい。

Annex II への言及ではなく、Parties in a position to provide support とすべき。
共同議長

締約国間で議論を続けるために会議室を予約した。さらに意見交換してほしい。コミットメント、
適応目標、制度アレンジメント(新規、既存)、レジストリーや知識プラットフォーム、新合意と
COP 決定、支援と緩和とのリンクなどを議論してほしい。
アルゼンチン、ナイジェリア

コンタクトグループでスピーカーリストを続けるべき。
共同議長

15 時ちょうどに再開する。その時点で発言する国がいない場合には、資金に移る。
ボリビア

適応が重要というのでは、ダーバン合意の繰り返しにすぎない。プラニング&レポーティング
では不十分である。途上国が適応のための措置を実施するという長期ビジョンには役立たな
い。

適応は途上国に対して追加的な負担である。新合意ではこれに対する資金のコミットメントが
必要であり、条約 4 条 4 項を新合意にアンカーすべきである。

ロス&ダメージは 2015 年合意の一部である必要がある。
シンガポール

適応にも nationally determined の概念を適用すべきである。国別に固有であることを踏まえれ
ば、“massive monitoring machinery”は困難。
ツバル

COP 決定で適応についての多くの部分を扱うという考え方に uncomfortable である。

EU が 言 う review mechanism of communication は 我 々 の 求 め る も の で は な い 。
Communication and review of needs を求めている。MRV の明確な制度プロセス、明確な制度
的サポートメカニズムを求めている。

既存の制度を 2015 年合意にアンカーすることで、これらの制度を durable にすべきである。

主流化という名のもとで、各国の政策と資金という2つの異なるものが扱われている。このような
使い方を懸念する。
89
共同議長

適応について議論するために、会期中に常に使用できる会議室を準備した。ボリビアとスイス
にコーディネートを依頼する。ストックテーキングで報告してほしい。
G77+中国(ボリビア)

グループ内で調整が必要である。
(※ このほか、ヨルダン、バングラデシュ、エジプト、ナイジェリア、タンザニア、アルジェリア、東チ
モール、セントルシア、イラン、ニカラグア等が発言した。)
2014 年 10 月 22 日(水)、23 日(木)
ADP コンタクトグループ(INDC)
概要:
(1)「INDC のスコープ」について、①先進国・LDC・マーシャル諸島は、「緩和に絞るべき」、②メキ
シコと AILAC は、「緩和、適応、実施手段を含むが、3 つのイシューの扱い方は異なり、適応につ
いての事前アセスメントは不要。一方、資金については(緩和と同じ期間の)サイクルと事前アセス
メントが必要」、③アフリカグループは、「緩和、適応、実施手段を含む。適応については、先進国
からの支援に関する情報が必須」、④LMDC(中国含む)は、「INDC は ADP の全ての要素を含む」
と述べた。
(2)「適応を INDC に含めるかどうか」という点に関して、ツバルが LDC を代表して、「適応貢献の
MRV・レビューサイクルが必要という点について reassurance が必要」と発言。これを受けて、スイス
が、「新合意のもとで、適応のコミットメントを visible にするためのプロセスを(パリの後に)設けては
どうか」と発言。これに対して、ツバルが、「適応への支援が予見可能となるような MRV が必要で、
これでは reassurance にならない」と反論し、最終的に適応を INDC に含める可能性を排除しなかっ
た。
(3)「緩和の事前情報」について、①先進国は、「二分法による差異化は不要。全ての国に共通の
ものと、タイプごとに適用するものに区別するのがよい」、②アフリカグループと LMDC(中国含む)
は、「先進国と途上国で区別すべき」と述べた。
(4)「事前のプロセス」について、ほぼ全ての国がリマで決める必要があると述べたが、LMDC(中
国含む)は、COP19 で与えられたマンデートの範囲外であり、決定は不要と主張した。
(5)その他、以下の発言があった。
90
①南アとブラジルが、「INDC は一度きり(once-off)か、サイクルかを明確にすべき」と発言
②ブラジルが、二分法ではなく、「同心円(concentric)の差異化」を提唱。いくつかの国が、さらに
議論したいと関心を表明
③途上国の一部が no backsliding に触れた(ブラジル、AOSIS、コロンビア、パラオ、トリニダード・ト
バゴ、ソロモン諸島)
④要素との関連について、「INDC と要素は同一の COP 決定の中に扱われるべき」(南アフリカ)、
「要素と INDC は切り離せない」(ブラジル、LMDC 系)
⑤米国が、事前情報に any additional information の項目を設けて、各国の文脈・事情を説明でき
るようにしてはどうかと提案
⑥中国が、「COP19 のマンデートは、ADP が情報を identify というものであり、COP 決定である必要
はない。ADP の結論や議長の非公式ノートというオプションも維持したい」と発言。スイスがこの考
え方は不適当と反論
各国の発言:
共同議長

Draft decision の改訂版を 3 か月前に提示した。できれば、今週中に結論を出したい(※その
後、①6 月の議論、②決定草案、③今回会合における資金と適応に関する議論の説明)。適
応と資金を INDC の中でどのように扱うかも議論してほしい。
LMDC(アルゼンチン)

CRP2 をすでに提示した。

INDC をどのように理解するか?INDC も情報も、要素と結びつけて議論すべき。

INDC に関するリマの決定は、ワルシャワでのタスク(つまり情報)に絞るべき。その観点から、
文書のタイトルを、Information Parties will provide when putting forward their INDC とすべき。

条約のもとでの差異化されたコミットメントにもとづいて必要な情報を、リマでの決定で特定す
べき。緩和だけではなく、附属書 I 国の緩和コミットメント、附属書 II 国の資金・技術・能力構築
提供のコミットメント、非附属書 I 国の自国決定の貢献を含むものである。

透明性の要素の文脈で議論すべきである。
サウジアラビア

ワルシャワの決定のパラ2(b)に基づいて、すでに国内準備を始めている。リマでの決定は、
国内での準備に大きなインプリケーションがある。貢献が緩和だけに絞られるとするならば、野
心は限定的となる。リマの決定でそのような絞り込みを行うと、国内準備を損なうことになる。同
様に、幅広い情報が許容されなければ、国内準備が損なわれる。
マーシャル諸島
91

決定草案は有用な出発点である。

法的拘束力ある議定書を交渉しており、既にある義務を強化するものでなければならず、
backslide は認められない。INDC をパリ議定書に書きこむときには、nationally-determined
“commitments”とすべき。

全ての主要排出国は 3 月まで、その他の国は 6 月までに INDC を提示すべき。

事前情報は排出削減効果が明確に分かるようなデータと前提を含むべき。

全ての INDC は緩和の要素を持つべき。

スコープについて、堂々巡りの議論になっていることを懸念する。資金と適応は政治的に重要
であるが、大臣が簡単には理解できないような複雑なメトリクスを検討している時間的余裕はな
い。

INDC 提示後のプロセスによって、1.5℃・2℃目標を満たせるかどうかを評価すべき。

INDC を管理するオンラインツールを事務局が 2015 年を通じて提供すべき。

新たな議定書には、法的拘束力ある緩和コミットメントと、適応と MOI のコミットメントが必要。
LDC(ツバル)

INDC は主に緩和にフォーカスすべき。同時に、適応と MOI も適切に法的合意に位置付けら
れるべき。この点を INDC の文脈で議論する必要がある。

貢献は、最終的にはコミットメントに転換すべき。

緩和の INDC サイクルは、将来の MRV サイクルの前例となりうる点に注意が必要。同時に適
応の貢献についても MRV・レビューサイクルが必要という点について reassurance が必要。し
かし、INDC プロセスで、レポーティングの負担を増やしたくはない。LDC は定性的な貢献を
提示するかもしれない。レポーティングの差異化が必要である。

適応の INDC は、ニーズを登録するものであり、支援についてのサイクルとリンクしている。そ
のため、意味のある適応の INDC を 2015 年までに LDC を作ることはできない。 この点をきち
んと解決する必要がある。決定草案にある“may”では明確ではない。All shall か、all shall
not かをはっきりさせるべき。

緩和については、今のテキストでは、INDC がパリまでに適切にレビューされるのかはっきりし
ない。促進的な公式のレビュープロセスが必要。その中で、INDC を強化できるようにすべき。
バングラデシュ

INDC 提出の cutoff date を入れることに賛成である。どの国が来年 3 月の INDC 提示で front
runner になるのかを明らかにするのがよい。

スコープについては、INDC はシンプルなもので比較可能なものであるべき。時間が限られて
いることを踏まえれば、最小の情報要件を定めるのがよい。基本的には各国が決めるものだ
が、緩和と MOI の貢献については具体的な情報を定める必要がある。緩和の INDC につい
ては、衡平と科学の要請を満たすものであること、できれば、1.5℃以内を満たすものであるこ
92
とを示すべき。

コンサルテーションプロセスを実効的なものにするには、期限内に INDC が提出されなければ
ならない。

最初のサイクルは、2025 年までとするのが望ましい。そうすることで、科学の変化や国別事情
にあわせてダイナミックに変化させることができる。

カンクン以来のコミットメントからの backsliding を認めてはならない。
ニュージーランド

INDC は条約の究極の目的に資するように、緩和を扱うものでなければならない。緩和の貢献
が適応と代替可能なものとなってしまうと、条約の究極の目的の達成が損なわれかねない。

適応は 2015 年合意のもとで political parity をもって扱われるべきという意見を何度も聞いた。
この点について、ニュージーランドのサブミッションでは、研究開発や統合的アプローチなど、
その他の情報を記載できる欄を設けることを提唱している。そのため、Annex で緩和以外の情
報を定める必要はない。

二分法による差異化には賛成しない。自国決定を通じてスペクトルが作られる。そのため、
Option 2 に反対である。

前文で、条約 4 条、7 条、10 条、12 条に触れる必要はない。原則の一部だけを引用すること
にも反対。特に、RC なしで CBDR に触れるべきではない。 “In accordance with national
circumstances”としてはどうか。

パラ2については、新たな期限を交渉する必要はない。

パラ3は invite とすべき。

パラ4は不要である。

パラ5に INDC は quantified/quantifiable という言葉を入れるべき。温度目標については hold
よりも、pathway に近づいているという表現のほうがよい。equitable よりも fair share がよい。

パラ6は不要である。

パラ7は事務局が公平性を評価する役割にないのでその記述を削除すべき。

パラ8についてはシンプルで現実的なアプローチを望む。

パラ9には、Parties in a position to do so を入れてはどうか。

パラ10も不要である。

Annex は、Option 1 で止めるべきである。リストにはほぼ comfortable である。全てタイプにあて
はまるものと、“if applicable”なものを区別してはどうか。ピーク年よりも、長期の経路のほうがよ
い。貢献が国別事情の中で fair であることの短い説明を含めてはどうか。

①INDC のスコープを定めずに、緩和の情報だけを決めることはできるか、②緩和と適応を代
替可能なものとせず、各国事情を捉えることはできないかを尋ねたい。
EU
93

以下の点で収斂があった。

リマで事前情報の決定が必要である。

INDC は出来る限り早くに提示されるべきである(主要国は 3 月 31 日まで)。

条約の究極の目的と長期目標の文脈で INDC を検討すべきである。Backslide を認めず、
時間とともに強化していくべきである。


COP21 の前に国際プロセスを持つべきである。

INDC を分析・集計し、貢献の強化を促すような促進的なプロセスを定めるべき。
差異化については、意見の収斂はないが、緩和のタイプと自国決定で差異化をすべきと考え
る。

来年の国際プロセスのために、INDC 提出の期限を持つべきである。

プロセスは、①事務局が INDC をコンパイルしてテクニカルペーパーにする、②ADP で議論
する(パネル、ワークショップなど)、大排出国を優先する、INDC を提出していない国も含める、
③国際機関や NGO の分析も取り上げる、④オンラインで質問を提示できるようにする、⑤閣
僚会合(6 月)、⑥それを望む国は COP21 の前にコミットメントを強化。

指標を交渉すべきではないが、事前情報として、コミットメントを形成する際に使った指標を提
示することは有用である。

INDC は緩和以外では機能しない。新合意で適応と支援を反映することの reassurance(ツバ
ル)、適応と緩和を対称的に扱わない(AILAC)といった方法を検討したい。

事前情報には以下を含むべき。

土地部門については、これを含めるかどうか、どのアカウンティングアプローチを使うか、
土地ベースか活動ベースか、レファレンスレベルは何か。

市場メカニズムについては、ダブルカウンティング・クレーミングを避ける方法、unit の制
限、どれくらいの割合を市場メカニズムで達成するか。


原単位目標や BaU 目標の場合、その予測方法論

INDC が公平であることを正当化する情報
全ての先進国と新興国は 3 月を期限とすべき。そのため、パラ5の期限を削除すべき。
メキシコ

緩和は全ての国の INDC の一部であるべき。

コンサルテーションは促進的であるべきで、介入的であるべきではない。

INDC は緩和だけではない。適応についても、INDC に含めて、ボトムアップの自己決定を含
めるべき。これは LDC や SIDS などに負担を求めるものではない。脆弱性を減らすためのグロ
ーバルな努力に一貫性を与えるものである。

パラ7の事務局によるテクニカルペーパー(世界全体の集計)は有益だが、パラ8次第である。
テクニカルペーパーを作成するのはどのタイミングか、どれくらいの頻度で更新するかなどを
議論する必要がある。事務局による公平性の評価について、何が基準となるのか。これは各
94
国が事前コンサルテーションで自ら述べるものである。

Annex について、緩和については Option 1 を望む。ただし、sector は indicative であるべき。
緩和貢献は国全体で定めるものであり、セクター別に固定するものではない。また排出目標
ではなく、trajectory を扱うべき。

適応については、緩和と同様のプロセスは現時点では不可能であり、義務的な最小の情報要
件は不要である。2015 年合意に先だって提示することも無理であり、2020 年までに行えばよ
い。ただし、各国は、適応のグローバル目標の貢献や支援へのアクセスを促進するための情
報を提示するように invite されるのがよい。そのため、Option 2 を望む。
中国

要素の議論の中で、INDC もバランスよく取り上げるべき。

INDC を議論する際に、緩和を最初に取り上げるのは prospective ではない。緩和を、資金・技
術・能力構築から切り離して検討するのは、条約の書き換えである。

Nationally determined であっても、条約の原則・規定の枠内で INDC を検討すべきである。

情報は、透明性に関するイシューであり、透明性の要素のなかで議論すべきである。COP19
のマンデートは、情報の「特定(identify)」であり、成果は情報の identify であるべき。ADP が
identify するとしており、COP 決定である必要はない。ADP の結論や議長の非公式ノートという
オプションも維持したい。

決定草案は交渉のベースにならない。締約国の CRP をベースにすべき。LMDC は数ヶ月前
に CRP を既に示している。

COP19 のマンデートを広げることには反対である。

事前の評価・検討・協議という提案があるが、これが野心を扱うものであるならば、野心は交渉
テキスト草案の要素の中で議論すべきである。ダーバン合意のパラ6は ambition を扱うとして
いる。

情報の特定について、既に条約の下にあるバリ行動計画の報告に関する成果などを活用す
べきである。これらは、先進国と途上国の間の CBDR に基づいている。

資金・技術・能力構築の情報について、もっと elaborate すべきである。

緩和の情報を細かく求めると、国内のプロセスを複雑にして、長い時間が必要になってしまう。

先進国の緩和の情報については、基準年、タイムライン、GWP、ガスとセクターのカバレッジ、
2030 年までの削減量、LULUCF、市場メカニズム、政策措置、対応措置による経済的なイン
パクトを含める。

先進国による資金・技術・能力構築の提供については、タイムフレーム、資金のタイプ、財源、
支援提供のメカニズム、新規の資金、政策措置を含める。

途上国の情報については、前提、方法論、セクター、ガス、GWP、適応とロス&ダメージ、食
糧安全保障、持続可能な発展、支援のニーズを自発的に含める。

来年の事前アセスメントについての決定は以下の点で必要ではない。
95

COP19 のマンデートを越えているうえ、リマまでの残された時間の中で、情報と要素という
タスクに取り組まなければならない。また、来年は合意を交渉するのに忙しく、事前のコン
サルテーションを来年実施する余裕はない。

事前のプロセスがあると、最初に野心的な貢献を示さず、事前プロセスの後に強化するこ
とになるだろう。

先進国による支援提供の情報がない中で、途上国が緩和貢献を準備するのは難しい。

2020 年までの野心ギャップがどうなるのかにも依存する。

新たな提出期限は不要である。

情報をコミュニケートする方法についての決定は、既に IAR/ICA があるので不要である。

事務局の役割は、主権を侵害するようなものであってはならないことから、コンパイルに留める
べき。また、分析する際には、附属書 I 国、附属書 II 国、非附属書 I 国というようにカテゴリー
分けすべきである。
モンゴル

INDC は全ての国で取り組むべきものである。

緩和だけではなく、2015 年合意の他の重要な柱(適応、資金、技術、能力構築)も含むべきで
ある。しかし、緩和貢献の提出のタイムラインと異なる。

必要な支援ニーズに関する情報が重要である。支援は目標達成に不可欠である。
ノルウェー

主要国は 3 月を期限とすべきである。ノルウェーは 3 月の期限を守る。

INDC のフォーカスは緩和であるべき。

ツバルが求める reassurance について、まず INDC は、最終的な貢献のスコープやコミットメント
のサイクルを予断するものではない。また、INDC に関する決定は、2015 年合意に適応がどの
ように反映されるのかを予断するものでもない。適応は野心的に扱われる。2015 年以降に適
応を構造的に扱うプロセスを提案する。資金については、INDC に含めても、気候資金は効果
的に動員されない。ただし、途上国が支援を条件とする貢献も提示することで、 行動の
“upper spiral”が可能になる。新合意における適応と資金についての異なるプロセスをさらに
検討していく必要がある。
アフリカグループ(スーダン)

パラ3で緩和は必須となり、パラ4で適応は選択的となり、支援を扱うものが本文にない。これ
ではバランスがとれていない。

先進国による適応支援の義務をテキストに明確に反映すべきである。この点は、Option 1 に反
映されている。

支援については、オプション1が有用な出発点となる。中長期の資金プレッジを提示するのが
96
難しいという先進国があるが、短期は金額で、長期は GDP や ODA のパーセンテージで表せ
ばよい。

パラ7で、温度上昇の観点から緩和貢献の集計を評価する視点が入っているが、温度目標に
応じた適応コストも評価すべきである。資金・技術・能力構築の視点も必要である。

パラ9では、条約 4 条に触れるのがよい。

前文で、条約の関連する条項に触れているのは良い。適切な条文に言及すべき。

ダーバンプラットフォームのパラ5の要素は、何が INDC に含まれるかを示している。

パラ3に、衡平と適切性の視点を含めるべき。

パラ4の “may”は条約 4 条 1 項に反する。

パラ5で、温度シナリオを、適応や支援の観点から解釈する視点を入れるべき。INDC は緩和
だけではなく、パラ5の全ての要素を含む。

パラ7にも、温度目標に応じた適応ニーズに言及すべき。

緩和の情報は、附属書 I 国と非附属書 I で区別すべき。

適応の情報についても同様である。Annex にある最後の5つのビュレットを先進国が提出する
ことを義務とすべき。

資金・技術・能力構築については、Option 1 がよい。ただし、支援の追加性も項目に加えるべ
き。

CP19 の decision 1 のパラ2を包括的に扱うべき。
オーストラリア

事前情報は緩和にフォーカスすべき。適応と支援は要素の中で扱うのが良い。

INDC の考え方は緩和以外では機能しない。なぜならば、緩和は期間中の floor を定めるもの
だが、適応の計画・投資は状況に応じて dynamic に変えていくものである。

差異化については、どの国も差異化が必要と考えているが、問題はどうやって差異化すべき
である。情報については、差異化を必要とするロジックはない。先進国と途上国で基本的なパ
ラメーターは変わらない。貢献のタイプによって異なる側面はある。

INDC 提出後は、事務局によるコンパイルとパブリケーション、および促進的な検討が必要で
ある。大排出国が優先されるべきであり、能力が低く、排出量も小さい国に過度な負担を求め
るものではない。各国は他国との公平性や比較可能性を分析すると思うが、事務局が公平性
や野心の価値判断を行うことには懸念がある。また、解釈を含まずに集計をできるのかについ
ても疑問がある。

各国は INDC を提示する際に“Relevant”な情報を提示すればよいが、 それは“complete”でも
あるべき。

緩和については、Option 1 に基づいて作業を進めていくのがよい。

単年か複数年か

レファレンスポイントは何か
97

BaU の場合、それを固定するのか、変更していくのか

政策措置を含めてはどうか

削減量は部門別ではなく国全体で示す

能力のない国については、定性的な貢献も認める

土地部門やマーケットなど、重要なルールについて、今週議論した。

ピーク年など過度に規定的になるよりも、政策措置など各国の文脈に関する一般的な情
報を入れてはどうか。
ケニア

ケニアは INDC を包括的に捉えている。条約のさまざまなコミットメントを扱うものである。決定
草案は緩和に偏っている。INDC には適応も含まれるべき。ただし、適応は緩和を代替するも
のではない。

情報に関する決定は、ADP に関する broader decision に含まれるべき。

全ての国に必要な基本的な情報から始めて、先進国に必要な情報へと進んでいくのがよい。

先進国は総量削減目標と資金の INDC を掲げるべきであり、情報はそれに関するものである。
途上国はさまざまな行動を提示するが、決定草案にある情報の一部は、途上国にとって提示
困難である。

途上国は、貢献のどの部分が国内で funded され、どの部分が国際的に支援されるものなのか
を情報として示すべき。そして、先進国は資金を INDC として示すべき。

各国はなぜ自らの INDC が公平で野心的と考えるかを示すべき。

事前プロセスの決定も必要である。
AILAC(コスタリカ)

さまざまなタイプを許容する柔軟性をもちつつ、時間とともに野心度を強化する仕組みが必
要。

INDC は、緩和、適応、MOI を含むべき。ただし、対称的ではない。3 つのイシューの違いは
新合意に反映されるべき。

緩和についての事前情報の義務的な最小要件をリマまでに定める必要があり、貢献が衡平で
科学の要請を満たすものであることを示すようなものであるべき。

MOI の貢献については、先進国とその立場にある国に対する initial information requirement
をリマで決めるべき。中所得国は自身の投資と南南協力をこの中で扱う。LDCs と SIDs は国際
的な MOI の提供を求められない。情報は負荷ではなく、協力と国内行動を強化する機会とし
て機能させるべき。附属書 II 国は、拡大した予見可能な新規の資金を定量的な形で、MOI の
サイクルにそって定期的に示すべき。

適応の貢献については、各国の努力を扱うものであり、条約のもとでの適応に関するコミットメ
ントを反映するものである。新合意のなかに、適応を一貫した方法で扱うシステムが必要であ
98
る。Mandatory minimum information は適応の INDC については不要である。国別の能力に
応じて、適応に関する行動の情報を提供する。適応のメトリクスは、適応行動を理解するのに
役立つ。これは脆弱国に新たな負荷をかけるものではない。

事前評価については、サブミッションで詳しく述べた。緩和と MOI の貢献に対して、事前のア
セスメントを行うべきである。適応の INDC については、事前アセスメントプロセスではなく、他
国の適応行動についての collaborative understanding を促進するのがよく、遵守も必要はな
い。
カナダ

貢献のタイプとは関係なく共通な情報を、リマの決定で定めるべき。

Annex にある二分法に基づく選択肢は 2020 年以降の現実を反映していない。

コンサルテーションは、各国の努力を修正するかどうかを交渉するものであってはならない。

事務局による情報のコンパイルはよいが、各国の貢献の評価をすべきではない。

NDC は緩和を扱うものである。
ロシア

INDC は緩和を扱うものである。

条約の原則を selective に取り上げるのには反対。

期限については、すでにワルシャワで合意している。

事務局の役割は、compilation であるべき。
(10 月 23 日)
韓国

緩和は INDC のキーとなる要素である。しかし、国別の事情の違いを踏まえれば、適応を含め
ることも可能であるべき。ただし、緩和と適応ではタイムラインが異なる。その意味で、パラ4に
賛成する。

パラ6は不要である。

パラ7については、EIG のサブミッションを見てほしい。

緩和の事前情報は、①不可欠な情報(タイプによらず、全ての情報に適用)と②追加的な情
報(タイプごとに必要かどうかが変わるもの。国別事情もこの中に反映される)からなる。
南アフリカ

INDC と要素を扱う1つの決定が必要である。両者はコインの両面である。

差異化について議論しなければ意味が無い。世界は変化しているが、バウンダリーのない自
己差異化では 2℃以内に抑えるのは難しい。

INDC は一度きり(once-off)のものなのか、2020 年以降にも使うものなのかをはっきりさせるべ
99
き。

事前評価について、米国がいう sunlight ではなく、spotlight が必要。

緩和の情報について、表形式のほうが分かりやすい。温度目標の観点から評価すると同時に、
適応と緩和のリンクも理解する必要がある。条約では、全ての国のコミットメントと一部の国の
追加的なコミットメントを含んでおり、これがルールであるべき。この点について南アフリカは提
案したが、いまの決定草案に含まれていない。この理解に基づく、表形式もすでに提示した。

(サブミの読み上げ)
ガーナ

INDC に関する決定を採択することは重要である。

INDC は、緩和と適応を含むべき。また、新たな予見可能な資金も含まれるべき。
ガンビア

貢献は野心を下げるものであってはならない。先進国と能力の高い国は野心的な緩和を提示
すべき。適応についても legal parity が必要である。
セントルシア

INDC は緩和が中心と言う意見や適応・MOI も含みうるという意見があったが、INDC は
nationally determine であり、どの情報を入れるかは各国が決めるべき。ただし、緩和と適応は
検討のタイムラインが異なる。

プロセスについての決定も必要。

サイクルの期間については、5 年間とするのが適切である。

緩和の INDC はパリの合意でコミットメントとなるべき。

差異化について、SIDS の特別の事情が考慮されるべきである。
スイス

情報の Identification を行うのに、議長サマリーでは不十分であり、決定が必要である。

差異化については、いくつかの国は附属書に基づく差異化を提案しているが、applicable to
all や自己差異化の概念に反するので不適切である。特に、情報については、附属書による
差異化はまったく当てはまらず、貢献のタイプに応じて差異化が行われるべき。

スコープについて、適応は 2015 年合意で重要な要素であり、適応のコミットメントは visible に
なるべきで、緩和と適応のバランスも理解するが、INDC だけが 2015 年合意に含まれるもので
はない。適応は緩和とタイムラインが異なる。INDC は緩和にフォーカスすべきである。適応は
新合意の目的の1つであり、コミットメントが必要であり、そのコミットメントが visible となるプロセ
スも必要である。しかし、時間枠が異なる。INDC はパリより前のプロセスを定めるものであるが、
適応はパリ以降にも続くプロセスであり、INDC を適応に適用すると、適応を弱めてしまう。
100

まず、タイトルは不要である。他の項目とあわせた大きな決定になると思われるからである。

前文の最終パラについて、 “intended”の legal force は重要ではない。

パラ2について、全ての主要国は 3 月までに INDC を提示すべき。ただし、決定に書きこむ必
要はない。提出しない国にはアテンションが集まるので。

パラ4は不要である。

パラ5については、aggregate だけではなく、individual も含めるべき。

パラ6は不要である。

パラ7について、事務局が公平性を評価するのは難しい。ただし、各国は自ら貢献の適切性
を説明すべき。

事務局はテクニカルペーパーを作るべき(事前情報、集計を扱う)。

プロセスは、負荷をかけるものではなく、シンプルなものであるべき。EIG のサブミに詳しく書い
た。Compile, calibrate, and cooperation の考え方を提示している。

パラ10は all the Parties in a position to do にしてはどうか。
日本

INDC は緩和にフォーカスすべき。適応、資金、技術、能力構築も同様に重要であるが、別の
場で扱われるべき。

緩和の事前情報については、Option 1 を支持する。

ニュージーランドの発言を全面的に支持する。

事前コンサルテーションについて、UNFCCC のウェブサイトに INDC を掲載し、締約国・民間
部門・NGO からの質問を集めることを提案する。事務局が INDC の解釈を伴うような分析・評
価を行うべきではない。

提出期限については、新たな期限を決定に含める必要はない。
米国

事前情報について、全ての国が共通に用いる straightforward text であるべき。

公式のプロセスは氷山の一角である。さまざまなチャネルでコミュニケーションが行われている。
6 月までに INDC を準備すべきである。もし、期限を含めるのであれば、8 月ではなく、6 月の
ADP セッションの前とすべきである。

INDC のスコープについて意見の収斂が見られない。米国は、INDC は緩和を扱うものと理解
している。もし、このマンデートを緩めたら、問題が起こる。まず、(別の要素を含めることで)プ
ロセスが複雑になり、遅れが生じる。来年 6 月からパリまでの時間が限られていることから、パリ
までに十分な理解を確立できないかもしれない。緩和以外のもの(適応と支援)を INDC に含
めると、それらの実効性が下がるおそれがある。支援を INDC に入れると、支援を最大化でき
なくなるかもしれない。適応と支援は新合意に含まれるべきである。適応の進め方に関するス
イスの発言は興味深い。
101

Option 1 をベースとすべき。差異化は NDC による自己差異化で実現し、条約にも沿っている。
附属書 I 国と非附属書 I 国による情報の差異化は適切ではない。

ニュージーランドのパラグラフごとの修正提案を全面的に支持する。

事前情報に、“exiting and anticipated domestic measure, including those with legal force”を含
めてはどうか。また、 “any additional information”を含めて、国別の特別な背景事情を説明で
きるようにしてはどうか。

共通の時間枠が必要であり、最初の期間の終了年は 2025 年となることを望む。リマにおいて、
この点の indication を与えられたら useful である。
タンザニア

LDC に対するレポーティングの負荷になる恐れがある。INDC を準備するには時間がかかる。
条約 4 条 5 項等に立ち返る必要がある。

先進国は INDC をコミットメントと目標に転換すべきという一文を入れるべきである。
ブラジル

NDC はボトムアップの要素である。合意はトップダウンである。NDC は列車、合意は駅であ
る。

NDC と要素は hand-in-hand に検討すべきものである。

NDC は一度きりのものか、サイクルなのかを明らかにすべき。ブラジルはサイクルであるべきと
考える。最初の NDC サイクルから 2℃を達成できるようにすべきで、徐々に改善していくべき。

スコープについては、アフリカグループの見解を支持する。

決定草案では、パラ4bis として、資金と技術移転に explicit に触れるべき。

“Free fall”にならないようにしなければならない。先進国のバックスライディングを避ける必要
がある。

二分法を進めようとしているわけではない。同心円(concentric)の差異化を求めている。附属
書 I 国は総量目標、非附属書 I 国は NAMA だが、全ての国が円の中心に向かっていくべき。
附属書 II 国が資金・支援を提供すべきだが、非附属書 II 国も南南協力を進めていく。

プロセスは促進的かつ科学に基づいて strong であるべき。
イラン

ワルシャワのマンデートを越えるべきではない。

INDC は新合意のさまざまな要素にリファーすべき。
ヨルダン

アセスメントやレビュー、特に第 3 者によるものはワルシャワのマンデートを越えている。

ヨルダンは緩和の INDC を準備している。しかし、INDC を緩和に限るべきではない。緩和とそ
102
の他の要素には同等の法的性質を持たせるべきである。

貢献は、自国決定されるべきであり、トップダウンのアロケーションには反対である。先進国は
リーダーシップを示すべき。途上国は持続可能な発展の観点から国別事情に応じて先進国
からの資金・技術・能力構築の支援のもとで行動する。

情報は、全ての要素(緩和、適応、資金、技術、能力構築、透明性)を扱うものであるべき。緩
和の情報は先進国と途上国で差異化されるべき。
トンガ

UNFCCC の専門家が“running total”を集計すべきである。

2025 年を目標年とすることが望ましい。
AOSIS(ナウル)

緩和が INDC のコアである。ただし、全ての要素が 2015 年合意でバランスよく扱われるべきで
ある。

INDC を集計して、温度目標と比較して評価し、貢献を強化できないかを検討するプロセスが
必要である。

先進国はリーダーシップを示すべきであり、総量目標からバックスライドすべきではない。
コロンビア

適応と MOI の野心も前文・本文に反映すべき。

原則に触れるときは、CBDR だけではなく、RC を加えるべき。

No backsliding に関する文言も含めるべきである。

適応の INDC については、より長期の時間枠(greater timeframe)が必要。適応の貢献は
indicative なものであり、National Adaptation Plan が支援の条件とならないように、他の手段に
もリファーすべき。

MOI の貢献についてのガイダンスも含めるべき。

緩和の INDC に対するアセスメントのモダリティ(公式レポートの作成、外部からの評価
(external assessment)など)をさらに検討すべきである。

緩和の情報については、Option 1 がよい。

MOI の情報については、Option 1 がよい。

適応の情報については、Option 1 が適切。これは prescriptive ではなく、indicative なものと位
置付けるべき。
パラオ

INDC を通じて、特に先進国がリーダーシップを示すべき。Backsliding を認めず、野心を強化
するものであるべき。
103

ブラジルのいう Concentric な差異化は興味深い。

INDC の集計を行い、2℃・1.5℃以内になるように、各国が貢献をさらに強化できるかどうかを
検討するプロセスが必要である。
ナイジェリア

INDC を 2℃など温度目標との観点から評価することを通じて、先進国の取組を強化すべき。
シンガポール

新合意と ADP のマンデートは INDC よりも広い。あらゆるものを、それ以外のあらゆるものとリ
ンクさせて考えると複雑となってしまう。ワルシャワでは、INDC を他の目的から切り離した。

スコープ、レビュー、差異化について意見が二極化している。

事前情報は、テクニカルなものであるべき、政治化してはならない。そうすると全てを失いかね
ない。

NDC には緩和が含まれるべき。適応と MOI を含めるかどうかについてはオープンである。た
だし、緩和以外の要素をどのように含めるのかまだ理解できない。ウォーレン・バフェットの言
葉に従えば、理解できるものだけ投資するということになる。

レファレンス年、タイプ、スコープ、アカウンティングの方法、タイプごとの方法論、他の関連す
る情報(国別事情や文脈の説明など)が事前情報として有用である。
ALBA+エルサルバドル(キューバ)

事前プロセスや評価は、マンデート外である。

先進国と途上国で情報は差異化されるべき。特に、先進国による資金の事前情報がバランス
をとるうえで重要である。
ベネズエラ

バックスライディング、差異化など、複雑な側面を INDC は含む。ブラジルのいう同心円の差異
化は興味深い。

Supporting narrative を事前情報に含めるという考え方は興味深い。

INDC は緩和だけを扱うものではない。
インド

マンデートは、情報を特定することである。事前コンサルテーションプロセスはマンデート外で
あるうえに、feasible ではない。非生産的でもある。

ワルシャワで合意したタイムラインを再定義する必要はない。

2020 年までの野心は信頼形成に不可欠である。

現実が変わっているという指摘があったが、貧困は変わっていない。貧困削減はファシリテー
104
ションで解決できるものではなく、何世代もかかる取組である。
トリニダード・トバゴ

No backsliding が必要である。これは条約のもとで掲げたコミットメントからの後退を認めないと
いう意味である。同心円的(Concentric)な差異化も長期的には no backsliding と整合する。

緩和と適応の間の political parity とは何か理解できていない。緩和と適応ではタイムラインが
異なる。適応を INDC に含めて、来年 3 月に提出を求めることにどのような意味があるのかが
明らかではない。

必要に応じて貢献を強化するようなプロセスが必要である。
東チモール

INDC は緩和を扱うものだが、先進国による支援のコミットメントも必要である。

INDC を新合意に組み込むときに、その法的拘束性について別に検討しなければならない。

LDC には、定性的なアプローチが適切である。

資金のコミットメントを全ての国に求めるのは CBDR に反する。LDC には当てはまらない。

パラ2に新たな期限があるが、LDC がこの期限を満たすのは難しい。
エルサルバドル

INDC は ADP の全ての要素を含むべき。
エクアドル

ワルシャワのマンデートに従うべき。

INDC は、バランスよく、包括的に定義されなければならない。
ソロモン諸島

支援については、Option 2 を支持する。

歴史的責任を有する国はリーダーシップを示すべきであり、backsliding は認められない。

途上国の INDC 実施への支援についてのパラを加えるべき。
アルジェリア

LMDC の CRP を用いるべきである。

附属書 I 国は総量目標の情報を、附属書 II 国は資金・技術・能力構築の支援の情報を、非附
属書 I 国は NAMA に関する情報を提示すべき。
クック諸島

1.5℃以上は、小島嶼国にとって選択肢ではない。
105

INDC に関して、SIDS の特別な状況が考慮されるべき。

緩和はクック諸島の INDC のコアである。
トルコ

2030 年が INDC の適切な horizon である。

条約の附属書に基づく事前情報は受け入れられない。Option 1 に入っている項目の一部に
ついて、準備が難しいものがある。
ツバル

INDC 全体にまだ不明確なところがある。Kick-start の目的なのか、パリの後の MRV のモデル
とするものなのか、はっきりしない。INDC と MRV を一緒にしてしまうと、MRV が弱くなってしま
う。両者は区別されるべき。

緩和の INDC の決定と他の要素に関する決定を組み合わせて、信頼を醸成してはどうか。

あるいは、適応の INDC を設けて、現在の適応に関する作業に勢いをつけることもできる。し
かし、レポーティングの負荷が生じる可能性がある。適応の INDC は、自国の適応ではなく、
他国を支援するものとして捉えるべき。これは適応の MRV と関わってくる。スイスが言うような
適応のコミットメントを visible にするだけでは、reassurance として不足である。適応への支援が
予見可能となるような MRV が必要である。適応を INDC に含めることを通じて、緩和と適応の
時間軸の違いを捉えることもできる。
スイス

(列車のアナロジーを用いつつ)緩和とそれ以外で扱い方を区別すべき。

タイミングについて、6 月のセッションで INDC を検討すべき。残りは 9 月に検討すべき。この2
つがパリへのマイルストーンになる。

サイクルについて、今回の INDC の決定は今後のサイクルのあり方を予断するものではない。
学習して改善できる。
コンゴ民主共和国

INDC は緩和だけではなく、すべての要素を扱うものである。

先進国のコミットメントの backslinding は認められない。
ニカラグア

先進国はこの議論の中で適応を downgrade している。
2014 年 10 月 24 日(金)
COP 決定文書案について分析し、その結果を地球環境対策室に報告した。
106
2014 年 10 月 25 日(土)
ADP コンタクトグループ(サイクル)
概要:
(1)「目標年・サイクル」について、各国が①2030 年/10 年サイクル(日本、EU、中国、南アフリカ)、
②2025 年/5 年サイクル(米国、LDC、小島嶼国)という従来の意見を繰り返しつつも、以下のよう
な妥協案も示された。

10 年サイクル+中間レビュー(EU、南アフリカ。日本も関心を表明)(※LDC・小島嶼国が機
能しないと反論)

共通の開始年(約束期間が 5 年間の国も 10 年間の国も、5 年ごとに新たな約束期間が始まり、
それにあわせてレビューを行い、5 年ごとに新たなコミットメントを提示)(スイス)

5 年間の貢献期間とその先の 5 年の示唆的期間 (indicative term)を同時に示し、5 年ごとに
レビュー(「全体検討プロセス」)を通じて更新(ブラジル)

5 年間を期間とする法的拘束力をもつ緩和コミットメントと 10 年間の示唆的な目標(indicative
target)の組み合わせ。次のサイクルの準備は開始の 2 年前までに着手し、1 年前までに確定
(カリブ諸島)

先進国は 5 年目標と 10 年目標の両方を提示し、途上国には時間枠の柔軟性を与える(中国)
(2)「差異化」について、従来、二分法に拘っていたいくつかの途上国から以下のような対案が示さ
れた。

同心円(concentric)の差異化。円の中心は総量削減目標(ブラジル)

総量目標を掲げる附属書 A 国(先進国は必須、途上国は望む場合)、それ以外を掲げる附属
書 B 国(LDC)

大きな排出シェアの国、中程度の排出シェアの国、小さな排出シェアの国の3つにカテゴリー
に分類(ボリビア)
各国の発言:
共同議長

緩和(長期的側面に注目)、貢献のサイクル、その他のイシューの3つをまとめて取り上げる。

長期目標・ビジョンに関連して、SBSTA 議長に 2013-2015 年レビューの状況を報告してもらう。
SBSTA 議長

長期目標(2℃)の適切性を COP 決定に基づいてレビューしている SED の報告書が最近、公
表された。
107
共同議長

長期目標やビジョンが締約国の貢献をどのようにフレームするのかを議論してほしい。

サイクルについて、定期的な更新を求める意見を何度も聞いたが、この考え方はサイクルとし
て捉えられる。こうしたサイクルを、2℃を満たすように次の期間にも継続的に適用するという意
見もあった。(INDC は)一度きりか、繰り返し用いるものなのかを問う意見もあった。期間につ
いて、5年と言う意見と10年という意見があった。共通の時間枠を持つべきという意見もあった。
一方、レビューの目的は何か、どのような情報が必要か、いつ行うのかが明らかではない。ブ
ラジルは前進(progress)のレビューを提案した。サイクルが国内プロセスにどのように機能する
のかも論点である。一部の国からは、既に overburden という意見を聞いた。

その他のイシューについては、南アフリカが法的側面を議論したいと昨日、発言した。
LDC(ツバル)

LDC のサブミッションでは、2つの国のカテゴリーを Annex で捉えることを提案した。Annex は
固定するのではなく、時ともに COP 決定で改訂していく。これはコミットメントのレベルを高めて
いくことを目的とする。Annex A 国は総量削減目標をかかげて、高い基準のレポーティングを
行う。Annex B 国はレポーティングについて柔軟性が認められる。国際的な取引について、こ
れを検討するのに機が熟しているのかまだ分からないが、ネットの排出削減やガバナンスを
COP 決定で決めていく。森林破壊については、セーフガードをさらに強めていく。対応措置に
ついては、フォーラムを新合意の中で永続的な機関とする。MRV プロセスについては、
IAR/BR を COP を通じて定期的に改善していく。MRV プロセスと INDC プロセスは異なる。
INDC プロセスを MRV プロセスの前例とすべきではない。

5年サイクルが、確実性と緊急性の観点から絶対的に不可欠である。民間投資に長期的なシ
グナルを与えるために10年サイクルがよいと提案する国があったが、短い時間枠にすることで、
技術や民間部門が速やかに対応するようになる。また、中間レビューを提案している国がある
が、理論上はよいが実際には機能しない。5年サイクルが不可欠である。

Annex に含めるものを COP 決定やその他のものに落とすことには反対である。Opt-in や
Opt-out にも反対である。
ヨルダン

サイクルは、透明性と理解を高めるものだと理解している。2014 年にステップを定め、2015 年
から 2020 年に貢献を提示し、2020 年から 2030 年に事後レビューを行いつつ、2025 年に中
間レビューを行い、revisit のメカニズムを作る。その際、全ての要素がレビュー対象となるべき。
2030 年以降は、貢献を更新する。

評価メカニズムは non-intrusive であるべきで、貢献の調整は自主的なものであるべきで、トッ
プダウンには反対である。実施手段についても評価を行うべき。
108
中国

緩和の章は、全ての国の共通の側面と先進国と途上国で差異化された側面に分けて書くべ
き。前者は条約 4 条 1 項に従う。後者には、①全ての先進国は無条件の比較可能な総量削減
目標を掲げるという規定(2020 年までは limitation and reduction であったが、2020 年以降は
limitation を削って reduction とすべき)、②途上国は強化された行動を、持続可能な開発の文
脈のもとで、先進国からの支援のもとで行うという規定(さらに、条約 3 条 2 項に反映されている
途上国の特別な事情を考慮しつつ、原単位目標、BaU 比目標などのタイプを列挙することで
「強化」を表現)、③対応措置の規定を含むべき。

No backsliding について、レファレンスレベルを含めるべき。それは、2020 年までと比べて、タ
イプ、性質(nature)、強度(magnitude)の点で後退しないことである。

長期目標について、COP18 の決定1のパラ1~3を 2020 年以降も適用されるべきであり、合意
に反映されるべき。

2 つの attachment を通じて、コミットメントを反映すべき。1 つ目は先進国の総量目標を含む。2
つ目はバリのプロセスの経験に照らして途上国の強化された多様な行動を反映する。1つの
文書に全ての国の行動を乗せるのは困難である。

先進国による支援の提供は義務である。

条約と京都議定書の中に多くのサイクルがある。COP・MOP の 1 年サイクル、BUR・BR・ICA・
IAR の 2 年サイクル、国別報告書の 4 年サイクル、京都議定書の第 2 約束期間と再検討メカ
ニズム(revisit mechanism)の 8 年サイクルがあるが、これらのサイクルは 2020 年以降も基礎で
あるべき。健全なサイクルは、先進国がリードし、途上国(SIDS と LDC を含む)に支援を提供
して、相互信頼が形成されて、途上国が野心を強化することである。不健全なサイクルは、先
進国がバックスライドして、相互信頼が築かれず、途上国が野心を強化しないことである。

サイクルは、新合意の要素ではなく、ダーバン合意のパラ6(※野心を扱うパラグラフ)と関する
ものである。野心の点について、以下を指摘したい。①野心は緩和だけではなく、条約の他の
柱を含むものである。条約 4.2 と 3.2(e)がレビューの基礎を与える。②新たなものを作る必要は
なく、既存の制度(IAR、ICA)をアンカーし、強化すべき。③差異化については、先進国によ
る緩和目標の強化、先進国による支援の強化、途上国による行動の強化、2020 年までと 2020
年以降のリンクが必要である。2020 年以降の野心の出発点は、京都議定書の再検討メカニズ
ムである。これが成功して、信頼が形成されるか見守りたい。④強制的ではなく、奨励的
(encouraging)であるべき。途上国が支援なしで行動の強化を求められるのは認められない。

時間枠については、10 年を支持するが、LDC の意見も踏まえて、建設的に議論に貢献したい。
先進国は 5 年目標と 10 年目標の両方を提示し、途上国には時間枠の柔軟性を与えてはどう
か。

Durable なものは、UNFCCC そのものである。

2020 年以降の約束の反映方法として、attachment を提案しているが、緩和だけではなく、先進
国による支援の提供もこれに含めるべき。
109

遵守は法形式に関わるイシューである。議論するのはオープンだが、現時点では、合意の中
身に集中したい。
韓国

緩和は 2015 年合意のカギとなる要素である。

10 年サイクルの INDC がよい。第一に、さまざまな国別事情や能力を反映できる。第二に、緩
和政策の一貫性確保である。第三に、投資家に予見可能なシグナルを与えることできる。

低い水準の野心でのロックインを避けるために、中間レビューを入れるべき。

また、最初のサイクルは 10 年だが、その次のサイクルの長さもレビュー対象にしてはどうか。
AOSIS(ナウル)

1.5℃に沿うように緩和が行われるべき。新議定書には、全ての国が参加し、時間を区切った
差異化された緩和約束が掲げられるべき。

時間枠は重要である。共通の期間・終了年がなければ比較が困難になる。これは INDC の決
定と要素のペーパーの両方に含められるべき。

条約と議定書の MRV システムが重要である。

全ての先進国が総量目標を掲げるべき。同時に、全ての国が緩和の野心を高める。ただし、
途上国の特別な事情を考慮する。

リマでは、ロス&ダメージを議論する十分な時間が欲しい。AOSIS はサブミッションを用意して
いる。
カリビアンコミュニティ(ベリーズ)

2100 年の 1.5℃または 2℃以内、2050 年の完全な脱炭素化と整合的であるべき。そのために
は、今から 2020 年代中盤までに大きな政策変化が必要である。

Manageable chunks に分けるために、5 年間を期間とする法的拘束力をもつ緩和コミットメントと
10 年間の示唆的な目標(indicative target)の組み合わせが望ましい。次のサイクルの準備は
開始の 2 年前までに着手し、1 年前までに確定する。この方法であれば、科学や技術の発展
に対応できる。10 年サイクルの場合、2050 年までの目標見直しの回数が限られてしまう。また、
国内の意思決定に結び付けることも容易になる。科学(IPCC)のサイクルも 5 年に戻すべきで
ある。

10 年サイクルに 5 年の中間レビューを入れるという案があるが、これは機能しない。

遵守は、各国および世界全体を扱うものであるべきで、facilitative であるべき。次のサイクルで
の市場メカニズムへのアクセスと関連付けるなどのインセンティブと結びつけるのがよい。
EU

中国が法形式を予断すべきではないと述べたが、ダーバン合意にマンデートがある。
110

合意に含めるべきものと COP 決定に含めるべきものについて述べる。新合意には、①新合意
では全ての国が緩和約束を over time に附属書に掲げて、法的拘束力をもつ、②レビューを
全ての国に促進的に適用すること、③緩和約束の最終確定や調整を批准なしで行えるような
手続きを含める。COP 決定には、レビュープロセスの詳細(野心を柔軟に高められるようにす
るため)を含める。

EU を含めて、多くの国が 2030 年の貢献を提示すると述べている。AOSIS やベリーズの懸念
を聞いたが、2030 年とすることは低い野心でロックインするものではない。キーとなるイシュー
は、5 年か 10 年かではなく、5 年レビューをいかに実効的にするかである。EU は炭素バジェッ
トと経路を掲げているので、毎年の排出水準が分かる。他の国も同様にすべき。目標年の選
択肢は、2025 年と 2030 年に絞るべき。全ての国の緩和貢献は同じ年にレビューされるべき。
その中で 2℃の点から野心が強化されるべき。

ドーハ改正で採択された簡素化された手続きはよい前例になる。

MRV の枠組みは二分法ではなく、共通のシステムにしていくべき。

2015 年合意は、IPCC の最新の知見に基づいて、長期目標を含むべき。

差異化について、INDC は国別事情と能力に応じた差異化を許容するものである。新合意は
CBDR と RC に基づくべき。国別事情の変化も反映すべき。①INDC による自己差異化(タイ
プと野心水準の選択)、②時間とともに野心・スコープ・MRV を前進させること、③全ての国が
法的拘束力をもつ約束を掲げること(MRV とアカウンティングは二分法に基づかない)が重要
である。
ボリビア

先進国には、京都議定書のトップダウンアプローチを適用すべきである。

RCP2.6 シナリオにもとづき、①歴史的責任の指標、②エコロジカルフットプリントの指標、③能
力の指標、④発展状況の指標を組み合わせて、残された排出バジェットの公平な努力分担を
定めるべき。これらの指標に基づき、各国をカテゴリー分けできる。少なくとも、①大きな排出
シェアの国、②中程度の排出シェアの国、③小さな排出シェアの国の3つにカテゴリー分けで
きる。この点はブラジルの同心円的な差異化に関係する。途上国への支援実施も考慮しなけ
ればならない。
スイス

緩和の目標については、政治的な定性的な目標として炭素ニュートラルに関心がある。

(中国に対して、)全ての国が以前よりも多くを行うのはよいが、その出発点が附属書という点
には反対である。

京都議定書の第 3 約束期間はない。既存のサイクルを繰り返すのではない。

共通の期間をもつことが望ましいが、難しいかもしれない。共通の開始年をもってはどうか。つ
まり、約束期間が 5 年間の国も 10 年間の国も、5 年ごとに新たな約束期間が始まり、それにあ
111
わせてレビュー(looking at)を行い、5 年ごとに新たなコミットメントを提示するというものであ
る。

事前期間について、次のサイクルでは既に仕組みが出来ているので容易であり、パリまでの
経験に立脚できる。

新合意には、①各国がコミットメントを提示すること、②5 年ごとに約束期間を開始すること、③
事前期間を設けること、④COP がコミットメント更新を簡素化できること(毎回の批准を必要とし
ないこと)を含めるべき。

法的拘束力がある合意と約束を求めており、遵守メカニズムが必要である。コミットメントは
Annex に含まれるべきだが、国のカテゴリー分けに基づく Annex には反対である。緩和貢献を
提出(hand in)すること、緩和貢献を維持すること、貢献実施への MRV、関連方法論とルール
を使うことに法的拘束力を持たせるべき。遵守は MRV やレビューとは異なる。
サウジアラビア

サイクルではなく、現場での実施にフォーカスすべきである。

長期目標について議論するのはオープンだが、現場での実施に時間を割いて議論してはどう
か。適応の時間枠、食糧安全保障、持続可能な発展が thresholds である。

サイクルについては、交渉に時間を割くより、現場での実施をどのように強化すべきかを議論
したほうがよい。対応措置についても時間を割くべき。これにより、より良い緩和を実現できる。

緩和を切り出して検討すると、野心は弱くなる。

差異化については、自己差異化だけではない。自己差異化はこのプロセスで 20 年以上行っ
てきた。附属書でさえも自己差異化でなされた。差異化の1つの方法は、our last
communication に立脚すること。2 つ目の方法は、ブラジルがいう tier を見出して、自らをどの
tier に位置付けるかを決めること。パリで、「Annex I/Non-Annex I」 や「全ての国」という考え方
だけになることを望まない。真剣な議論が必要である。
ノルウェー

Operational goal について、2℃目標は我々が望む終着駅を示した。しかし、ここにどうやって
辿りつくかが明らかではない。パリ合意は明確な方向性を与えるべき。そのために、2050 年ま
でのネットゼロ排出を operational goal として含めるべき。この目標は最新の IPCC 報告書と整
合的である。

緩和ポテンシャルについて、全ての国が排出を抑制・削減することを無条件に約束すべきで
ある。ただし、支援を必要とするコミットメントを排除するものではない。共通の MRV システムと
アカウンティングによって、ton is ton が確保されるべき。能力が低い国は定量的な目標を必要
は無い。

事前プロセスについて、AOSIS や LDC に同意する。昨夜の INDC のテキストはさらに改善が
必要。事務局は compilation だけではなく、集計して、どれほどの削減になるかを検討すべき。
112

Direction of travel について、ルールとして、go forward、no backslide であるべき。能力のない
国は定量的な目標を最初はもたないかもしれないが、能力が高まるにつれてさらなるコミットメ
ントを持つようにしていくべき。

炭素市場の利用が野心強化に不可欠である。

共通の時間枠が必要という点に賛成する。
ブラジル

NDC を埋め込むサイクルはダイナミックであるべき。ワンショットではなく、持続的に野心を養う
ようなものであるべき。

ダイナミックな貢献サイクルについてのサブミッションを準備しており、その概要を紹介する。

10 年間の期間の中に、5 年間の貢献期間とその後の 5 年の示唆的期間を設けるのがよい。各
貢献期間の終了までに、示唆的期間の貢献に対する調整と確認(confirm)を行い、その次の
示唆的期間を communicate する。各貢献期間の前半に「全体検討プロセス(aggregate
consideration process)」を行い、各国貢献の調整に対してグローバルな視点をもって情報を与
える。後半には、各国が国内で NDC の調整を行う。

2020 年までに、2020 年から 2025 年までの貢献を登録し、2025 年から 2030 年までの示唆的
な貢献を communicate する。

2020 年から 2023 年に COP で最初の「全体検討プロセス(aggregate consideration process)」
を行い、各国の貢献調整に関する recommendation を決定する。その後、国内において示唆
的期間の貢献をレビュー・調整して、2025 年から 2030 年の貢献を登録し、2030 年から 2035
年の示唆的な貢献を伝達する。そして、2025 年から 2028 年に 2 回目の全体検討プロセスを
行う。全体検討プロセスは、実施段階において条約の目的に近づいているかがレビューされ、
条約の全ての柱に関する野心が扱われる。このプロセスでは、2℃目標に向けた前進、先進
国による実施手段の提供の適切性・規模・予見可能性を扱う。衡平と科学に従い、各種の報
告制度の情報や最新の IPCC の評価報告を用いる。

純粋な自己差異化では不十分であると考えたことから、同心円の差異化を提案した。これは
原則を維持しつつ、必要なダイナミクスを取り入れて、円の中心(エコノミーワイドの目標)に向
かうようなインセンティブを与えるものである。条約の書き換えではない形で、ダイナミクスを取
り込むために提案した。
アフリカグループ(スーダン)

貢献、適応、資金、技術、能力構築の貢献は同じ時間枠で communicate されるべき。貢献タイ
プの違いは sequential manner に対処する。

貢献のサイクルは科学に立脚すべき。

貢献の情報は公式に communicate されるべき。貢献(緩和、適応、支援)が、原則に基づく参
照枠組みに沿って衡平と科学の観点から評価されるように情報が提示されるべき。これを通じ
113
て、先進国のリーダーシップを実現する。このプロセスには、テクニカルなものとコンサルテー
ションが含まれる。リマでこのプロセスを定めるべき。

サイクルは低い野心をロックインするものであってはならない。このために、5 年を越えるサイク
ルに対する中間レビューなどの選択肢や、直近の具体的な貢献と2つから3つ先のサイクルに
ついての示唆的な貢献の組み合わせを提唱している。

先進国からの支援は予見可能なものであるべきで、指標(2030 年の GDP に対する割合の割
合など)と直近の貢献期間の具体的な金額をもって評価すべき。

事後の検討については、2013-2015 年レビューが参考になる。
南アフリカ

2℃目標はパリ合意に含められ、経路に転換されなければならない。「少なくとも 2050 年に
1990 年比で半減、科学に応じて強化」という目標を含むべき。この目標は野心的な中間目標
と公平な負担分担に基づかなければならない。

自己差異化の原則を深く、深く、懸念する。コミットメントのタイプと強度を自己決定するという
考え方を新合意のもとで公式化・制度化することは許容できない。

緩和のコミットメントについて、全ての国のコミットメントと一部の国の追加コミットメントを区別す
べき。現在の固定的なシステムには賛成しないが、いまあるものを無視することもできない。

全ての国に no backsliding が必要であり、これはダイナミックなプロセスを生み出す。これは、
公平と衡平のもとで発展させていくべきであり、全ての国が合意に加わるのに comfortable に
なるようなものであるべき。

INDC は一度きりのものであり、将来のサイクルについては異なるものをリマで検討すべき。

貢献は自国決定であることには賛成するが、約束の設定に関する合意された多国間のルー
ルも必要である。(以降、サブミの読み上げ)

INDC の決定は、2030 年以降のサイクルをロックインするものであってはならない。

森林や市場メカニズムの詳細ルールについて、リマではスピンオフグループで検討すべき。

2015 年合意では、既存の制度(柔軟性メカニズム、土地利用や REDD+等)も使い続ける一方
で、新たな市場メカニズムについても規定すべき。

各国の貢献は Annex として新合意に取り込まれるべき。この点についてツバルの提案は興味
深い。国際的に前例もある。Annex を固定的な文書とする考え方には反対である。

ダイナミックなサイクルが必要である。ブラジルの提案は興味深い。漸進的実施期間は 10 年と
しつつ、on track であることをチェックするために中間レビューを設けて、どのタイミングでも約
束の調整を可能とすることを提案する。中間レビューは科学と衡平に基づくことに賛成する。
事前アセスメントと事後レビューを次のサイクルにも含めていくというブラジルの提案にも興味
がある。将来の期間のコミットメントはその前の期間よりも強化されるべき(no backsliding)。

遵守は、自己差異化においてより重要になる。遵守システムでは、包括的なアプローチ(早期
警報システム、促進のためのプラットフォーム、多国間コンサルテーションプロセスを含む)が
114
必要である。執行(enforcement)は、他の avenues を使い尽くしてから発動する。

法的性質について、事務局の文書に感謝する。今回、さまざまなレベルの法的拘束性に関す
る意見を聞いた。透明性を法的拘束力あるコミットメントと同一視する考え方は受け入れられな
い。
AILAC(パナマ)

貢献については、要素間の違いを反映すべき。この点はサイクルの設計についても同様であ
る。貢献はスケールアップと No backsliding の原則に従うべきで、サイクルを支えるものであ
る。

サイクルは、そのためのセクションで扱うべき。

以下からなるステップを提案する(※サブミッションの読み上げ)

First step: ex-ante information requirements

Second step: Countries communicate their INDCs in country contribution documents

Third step: an ex-ante assessment process

その際、要素ごとに異なるプロセスを適用する。緩和については、温度目標との関
係を、実施手段については、そのグローバル目標との整合性を評価する。適応につ
いては事前プロセスに反対である。

Fourth step: After the assessment the country contributions can be modified, if necessary,
and inscribed

Fifth step: During the contribution period, Parties report on their progress toward fulfilling
their contributions

Sixth step: an ex-post revision process

Seventh step: Countries communicate their second round of INDCs for the subsequent
period
AILAC(チリ。パナマを補完)

既存の約束からの No backsliding と gradual scale-up の原則を追加するのがよい。後者はダイ
ナミックな要素を反映するのに役立つ。ブラジルの concentric の差異化を AILAC の中で議論
したが、良い提案であり、引き続き検討したい。

温度目標を緩和目標に転換すべきである。カーボンニュートラルのグローバル目標が重要で
ある。

法的拘束力ある議定書の採択を支持する。全ての国の法的拘束力あるコミットメントが含まれ
るべき。法的イシューをリマでさらに議論したい。

透明性は法的性質を代替するものではない。遵守メカニズムが不可欠である。
シンガポール
115

長期のサイクルを求める国は、野心を弱めることを求めていない。政策のプロセスで成果を出
すには時間がかかる。シンガポールでは、中小企業や多国籍企業を巻き込んでいく必要があ
るが、中小企業を説得して進めていくには時間がかかる。短いサイクルだと、説得しきれずに
野心がさがる恐れがある。多国籍企業は外に出ていってしまうかもしれない。それゆえ、国別
事情の文脈が重要である。
ニュージーランド

限定された柔軟性(bounded flexibility)の原則が、Nationally determined とトップダウンのリン
クについての着地点となりうる。緩和約束に関する幅広いパラメーター(約束の定量化、期間
の開始年等)を新合意に含めるのがよい。さらに新合意はデフォルトの規範(norm)を定める
べき。例えば「国別事情でそうできない場合を除いて、全てのセクターとガスを対象とする」とし
てはどうか。移行期間、MRV の tier の選択、アカウンティングアプローチの選択といった方法
でも柔軟性を持たせられる。

No backsliding よりも、継続的な改善、野心の強化、合意の規範とルールに従う範囲を広げて
いくといったようなポジティブな言い方のほうが望ましい。ただし、この原則は、straitjacket とな
らないようにしていくべき。

法形式については、参加と各国の野心を強化するようなものを考えなければならない。NDC
が未達の場合に罰則があるような形で拘束力をもつものになる場合には、参加が抑制された
り、約束が保守的なものになったりするだろう。また、約束を更新するのに再批准を不要とする
手続きに賛成である。

ルールに基づくシステムとして、透明性が重要である。緩和約束の提示・維持・報告とレビュー
やその他の事項には法的拘束力をもたせても、緩和約束の中身は、法的拘束力ある合意の
外側(schedule など)におく。

5 年レビューのアイデアには魅力を感じるが、約束期間の長さについては、まだポジションを
固めていない。共通のサイクルが間違いなく望ましいが、スイスの共通開始年の考え方につい
て、もっと聞きたい。示唆的な目標の考え方にも関心がある。AOSIS が提唱する IPCC レビュ
ープロセスとの連携にも関心がある。

グローバル目標は原則としてよいアイデアである。簡単に理解できる aspirational なものがよい。
2100 年にゼロネット CO2 排出に関心があるが、すぐには合意できない場合、この点にあまり交
渉で時間を使い過ぎない方がよい。
イラン

先進国は backsliding することなく野心を強化すべき。

グローバルな長期目標はバリのプロセスで長い時間で検討されてきた。その成果をノンペー
パーに反映すべき。

サイクルはダーバンのマンデートではない。ただし、レビューのサイクルは、条約のもとで既存
116
の制度のもとで実現している。これらを 2020 年以降にも適用すべきである。さらに何かを加え
ても複雑化するだけである。

先進国の緩和約束、適応支援、支援の提供は同じサイクルでなされるべきであり、GEF と
GCF の増資のサイクルともリンクすべきである。
マーシャル諸島

2015 年合意(パリ議定書)の核心は、全ての国の法的拘束力ある緩和約束である。

INDC は準備段階に適用されるものであることを明確にすべきである。

No backsliding について、タイプ、スコープ、規模の点で強化されるべきである。

共通の時間枠・終了年が緩和約束に必要である。5 年サイクルを望む。15 年後のコミットメント
を 2015 年にロックインすべきではない。

新しい科学が提示された次の年にコミットメントが定められるべきである。それゆえ、今年と来
年に約束を検討している。それゆえ、IPCC も 5 年サイクルに戻すべきである。コミットメントを書
き込むリードタイムは 10 年であるべき。2025 年のコミットメントは 2015 年に書きこむ。

長期目標(2050 年のネットゼロ排出等)を新合意に含めるべきである。

事前のアセスメントの経験に基づいて、2015 年合意に約束強化の規定を含めるべきである。
日本

全ての国が定量化可能な INDC を提出するように原則として義務付けられるべきであり、主要
国は総量削減目標の提示が期待される。ただし、LDC には定性的なものも認める。また、全て
の国が INDC 達成のために具体的な手段をとるように義務付けられるべきである。レビューに
ついても同様である。INDC そのものは法的拘束力を持たせず、具体的な政策措置で INDC
支える。

10 年サイクルを検討している。10 年では低い野心でロックインする懸念があるのは理解するが、
よく設計された中間レビューで対処可能である。2025 年と 2030 年の両方が認められる場合に
は、2025 年の貢献を提示する国は 2030 年についても示唆的な貢献を提示してはどうか。
オーストラリア

期間について、固まったポジションはない。

既存のレビュープロセスにさらに新しいものを加えて、特に短いサイクルの場合に管理しきれ
るかを検討すべき。

ブラジルが提案するグローバルな集計レビューと 2013 年-2015 年レビューの関係を尋ねた
い。

MRV のシステムは、前進をとらえる繰り返しのシステム(rolling system)である。将来にわたっ
て durable なものを作っていくべき。

約束の形式について、オーストラリアは合意の外にある national schedule を提案した。パリの
117
合意にはこのプロセスの原則を含めて、詳しいモダリティは COP 決定で決めるのがよい。
カナダ

長期目標については、経路(pathway)の議論は科学の世界にあるものであり、UNFCCC でそ
れ自体を検討するものではない。むしろ、世界全体の努力を集計して、科学的な知見を比較
するほうが現実的である。

INDC は緩和に関するものである。緩和以外の要素は合意で扱われる。

INDC は unconditional であるべき。そして、quantified、あるいは少なくとも quantifiable である
べき。

自己差異化という考え方が最善の方法である。ブラジルの提案を興味深く聞いた。

期間については、まだ決めていない。5 年か 10 年かという違いを埋めるための提案(特に示唆
的な方法)がいくつか出てきている。

法形式については、INDC の法的な義務の議論に関心がある。INDC に対して法的な批准が
必要になると遅れが生じる。
ツバル

5 年サイクルと IPCC のサイクルを、5 年サイクルでマッチさせるべきである。

INDC の決定草案の改訂版に 1.5℃が含まれていないことを懸念する。

シンガポールが時間がかかるといったが、最も貧しい島国であるツバルは 2020 年までに再エ
ネ 100%を宣言しており、皮肉である。

“pick & choose”の合意を議論しているように聞こえる。我々は気候変動の解決という共通の
目的に向かっていない。
米国

2℃・1.5℃を達成するための基礎として、①幅広い参加、②能力の増加とともに取組を強化、
③実効的な実施と定期的なレビューがある。

新合意には、①各国は Schedule を提出して維持すること、②共通の時間枠を持つこと、③貢
献に対する基準(定量的(quantified or quantifiable)であること、条件付きのものを掲げる場合
にも必ず無条件な貢献を含むこと、十分な事前情報等)、④レポーティングのガイドライン(パ
リでの COP 決定が必要)、⑤アカウンティング(パリでの COP 決定が必要)、⑥貢献実施に対
するレビュー(パリでの COP 決定が必要)を含められるべき。

Schedule か Annex かという点について、フォーマルな側面と実際的な側面があるが、(後者に
ついていえば、)京都議定書よりも詳細な内容が含まれるので Schedule のほうが望ましい。

タイプや時間枠について、二分法による差異化を求める意見があったが支持しない。また、
LDC の提案は新しい二分法になる。リストではなく、能力に応じて、自ら差異化していくことが
望ましい。基準に基づく自動的な改訂が含まれるのであればよいが、2015 年までには難しい
118
だろう。同心円(concentric)の差異化について、例えば、いくつの円があるのか等を尋ねた
い。

5 年サイクルを支持する。さまざまな提案が出てきたので、リマで議論を進めたい。
ナイジェリア

適応に適切な検討がなされなければ、どこにもたどりつかない。
シンガポール

(ツバルに対して、)シンガポールには大規模ウィンドファームの土地がないなど、再エネに制
約があることに留意して欲しい。信頼の構築が重要である。
東チモール

全ての国に緩和を求めるのがよいことだが、CBDR と LDC への配慮が必要である。東チモー
ルは定量的な緩和目標を提出するのは難しい。レビューについても差異化が必要である。

サイクルについては、5 年とすることが重要である。

INDC の決定草案から 1.5℃が消えたことは理解できない。
1-3.第 20 回気候変動枠組条約締約国会議(COP20)関連会合(ダーバンプ
ラットフォーム作業部会(ADP2-7)を含む)への参加
2014 年 12 月 1 日(月)
非公式の会合に出席し、地球環境対策室に対して報告を行った。
2014 年 12 月 2 日(火)
ADP 開会プレナリー
概要:
(1)議論の進め方について、1つのコンタクトグループのもとで、別個のテーマを扱う2つの会合を、
共同議長のファシリテートのもとで、同時に行っていくことになった。ただし、LMDC とアフリカグル
ープはこの進め方に明確には反対しないものの、6 つのテーマごとのグループを設けるべき、ファ
シリテーターを指名すべきと発言し、共同議長を牽制した。
(2)INDC について、UG と EIG は緩和中心であることを前提として発言する一方、途上国の各グル
ープは適応・支援など他要素を含みうることを前提として発言していた。ただし、途上国の間でも、
「緩和を必ず含むべき」(LDC)、「適応と支援が選択制になっているのは許容できない」 (アフリ
カ)、「その他の貢献は緩和貢献と特徴が異なることを考慮すべき」(AILAC)というように、ニュアン
スには相当の違いがあった。また、先進国のなかでも EIG は、緩和のプロセスとは別個の適応に関
するボトムアップアプローチをリマで議論したいと発言した。
119
(3)要素ペーパーについて、LDC と AILAC がバランスがとれたものとして議論の土台とすることを
明確に支持したが、逆に LMDC はバランスが悪いと痛烈に批判した。途上国の間で、評価が二分
している様子であった。
各国の発言:
G77+中国(ボリビア)

新合意は条約のもとにある。条約の原則と規定、特に衡平と CBDR&RC に従い、6 つのコア
要素が扱われるべき。

事前情報はバランスをもって捉えらなければならない。先進国は資金・技術・キャパシティービ
ルディングの支援を提供すべき。

先進国による資金規模の確実性が必要。

CBDRRC と衡平のない合意は条約と整合しない。緩和中心のボトムアップアプローチでは、
先進国の排出がかえって大きくなってしまう。

ワークストリーム2については、先進国は 2020 年に 1990 年比で 40%削減し支援を提供すべ
き。

ワルシャワ決定のパラ3とパラ4の実施が重要。TEM だけではなく、これらのパラについてもバ
ランスよく決定に含まれるべき。

新合意は 6 つの要素をバランスよく扱うべき。ロス&ダメージ、対応措置も扱われるべき。

条約の再交渉は受け入れられない。
EU

前回会合では緩和に関するアカウンティング等に十分な時間を割けなかったので、リマでは
十分に議論すべき。

EU は 2030 年に 1990 年比で 40%削減(拘束力あり)を決めた。米中の発表を歓迎する。

GCF のプレッジは前向きなモメンタムを生み出している。
UG(オーストラリア)

緩和についての貢献の提出に関するガイダンスを与える COP 決定が必要。

要素は、来年、合意の交渉に入る際のガイドとして使えるように、収斂がある分野に基づいて
簡潔であるべき。

新合意は緩和、適応、支援を扱うことが政治的に重要であるが、それぞれを対称的に扱うこと
は望ましくない。緩和野心の強化へのフォーカスを維持すべき。

議論をばらばらに分解するのは現時点では望ましくない。
EIG(スイス)

要素について、緩和、適応、実施手段をバランスよく扱うべき。
120

EIG 各国は国内準備を進めており、タイムリーに提示する。

GCF へのプレッジはモメンタムを生み出している。

差異化は、衡平、責任、能力に基づくべきであり、自己差異化が不可欠で、ガイダンスが必要
である。

貢献に関するプロセスは、非介入的で促進的なものであるべき。

事前情報と多国間プロセスは緩和コミットメントの理解を深めるもの。適応はボトムアップアプロ
ーチで検討されるべきだが、緩和とは異なる時間枠であり、これをリマで議論したい。
アフリカグループ(スーダン)

INDC と要素をカバーする単一の決定を望む。

パラレルミーティングについて、ファシリテーターの指名を支持する。

決定草案で文言が”recommendation”に落とされているのは、ダーバンのマンデートに反す
る。

適応と実施手段の提供が optional になっている点を懸念。テキストのバランスが取れていな
い。

先進国の支援義務を弱めつつ、in a position to do so を入れて対象国を広げているのは許容
できない。

途上国の適応に対する温度目標のインプリケーションも検討されるべき。

WS2 では、グローバルな再エネパートナーシップなど実施につなげていくべき。2016 年・2017
年と 2018 年・2019 年の 2 年サイクルで、テクニカルな検討とレビューを行うべき。

GCF の初期拠出を歓迎する。
AOSIS(ナウル)

米中の声明や GCF へのプレッジを歓迎するが、不十分である。WS2 が絶対的な優先事項で
ある。

適応は不可欠である。ロス&ダメージも適応と区別して 2015 年合意に含まれるべきである。

新合意は法的拘束力ある議定書であるべきで、1.5℃以内に抑制するものであるべきで、緩和
約束は定量化可能であるべき。新合意では先進国による資金コミットメントが必要。
LDC(ネパール)

新議定書は、最も野心的な緩和約束と適応、ロス&ダメージ、支援を含むべきである。

要素ペーパーはバランスが取れている。LDC の提案を取り入れたことに感謝。

すべての国が緩和を INDC に含めるべきだが、LDC の特別な事情が考慮されるべき。
AILAC(コスタリカ)

共同議長が用意した 2 つの文書に基づいて、議論を進めることができる。
121

新合意では、可能であれば、今世紀中頃のカーボンニュートラルを目指していくべき。

全ての国が緩和貢献を提示する際に示す情報の定義とその後のプロセスについての合意を
得るべき。適応と実施手段の貢献はそれぞれの特徴が考慮されるべき。

パラレルプロセスが増殖することを避けるべき。共同議長のリーダーシップを信頼する。
LMDC(キューバ)

作業の進め方を変えるべき。スクリーンにテキストを映して、直接に交渉すべき。6 つのコア要
素に沿ってグループを立ち上げるべき。

決定案はバランスが取れておらず、包括的でもない。全ての国によるボトムアップアプローチ
は CBDR を反映せず、条約の下の約束からのバックスライドである。

先進国へのボトムアップアプローチは認められない。途上国の強化された行動に適用される
べき。

先進国の支援と途上国の行動のリンクを明確にすべき。
ツバル

何が INDC を構成するのかについて最初に議論することを提案したい。
ADP コンタクトグループ(決定案)
概要
(1)共同議長が決定案のパラ1~3についての具体的な意見・提案を発言するように求めたところ、
G77+中国から「各国の意見をテキストに反映させる方法が分からない」との発言があり、さらに
LMDC(中国、アルジェリア、イラン、ベネズエラ等)とアフリカグループが「テキストをスクリーンに映
して交渉すべき」と発言した。これに対して、共同議長は「各国がテキストに対する意見を一通り述
べて、引っかかる論点(sticky points)を明らかにしてから、スクリーン上でのテキスト交渉に移りたい」
と答えた。
(2)パラ1(要素の詳細化・検討の歓迎)については、「問題ないが welcome という言葉を使うかどう
かは議論の進展を踏まえて最後に検討するのがよい」(日本。EU も同調)、「ドラフトテキストの要素
を決定の Annex に含めて、このパラグラフからリファーすべき」(AILAC、ツバル、アフリカグループ。
EU も関心を表明)という意見があった。
(3)パラ2(COP21 までの作業完了)については、「問題ない」(日本、EU)、「条約 17 条(6 か月ル
ール)にリファーすべき」(ロシア、ツバル。EU も関心を示す)、「recommendation を draft decision
that contains a negotiating text に変えるべき」(AILAC)、「緩和、適応、資金、技術、キャパシティー
ビルディング、透明性の各要素に関するサブパラグラフを設ける」(アフリカ)、「『条約の原則・規定
にしたがって』を入れるべき」(エジプト)、「法形式の3つの選択肢の内の1つを選ぶべき」(ガボン)
という意見があった。
(4)パラ3(交渉プロセスの強化)については、「問題ない」(日本、EU)、「recommendation を
122
conclusion of its work に変えるべき」(AILAC)、「recommendation では表現が弱い」(ヨルダン)とい
う意見があった。
(5)今回発言できなかった国は明日(12/3)の会合で発言する。
共同議長

テキストベースの交渉に移る。交渉に際して、ポジショニングは交渉ではない、特定のパラグラ
フを具体的に指摘して提案してほしい、相互の提案に反応してほしい(沈黙は同意を意味す
る)ということを念頭においてほしい。一般的なステートメントを行う時間はない。他の国の提案
に意見があったら、すぐに反応してほしい。これをグランドルールとしたい。この会合では、決
定案のパラ1~6を議論する。これらは要素に関する文言で、パラ1~3は前進のキャプチャー、
パラ4~6は assurance である。パラ1~3について意見を求める。
マレーシア

テキストベースの交渉に移ったことを歓迎する。しかし、これから述べる各国の意見をどのよう
に反映するのかがはっきりしない。各国が提案したり、削除したり、ブラケットをつけたりするの
か。決定案のなかのリンケージ、決定案と INDC のリンケージ、決定案と要素のリンケージ、
INDC と要素のリンケージをどのように扱うのかもはっきりしない。
共同議長

このテキストを交渉するのは今回が最初なので、締約国のサジェスチョンを事務局のサポート
を得てキャプチャーして、我々が締約国の意見を反映したい。向こう4日間はこの方法で進め
たい。リンケージがあることは指摘のとおりである。
ロシア

最初のパラグラフとは、前文か、本文か。
共同議長

本文である。前文は最後に回した方がよい。
ロシア

パラ2について、クリアな手続きと関連する条約の条文(条約 17 条)を明示すべき。6 か月ルー
ルについて明確に理解すべき。6 か月ルールで出てきたものと最後に出てくるものがまったく
異なるものになることを望まない。
アルジェリア(アラブ)

テキストをスクリーンに映して欲しい。そうしないと各国の意見に速やかに反応できない。前文
123
を先に議論すべき。
中国

議論の進め方について、今年の初めから懸念を伝えてきた。共同議長の説明に感謝するが、
懸念がある。事務局が発言を記録して、テキストに反映させるという方法は望まない。テキスト
をスクリーンに映して、リアルな文書に基づく交渉を行うべきである。また決定案をテキスト交
渉のベースとするかのように話しているが、我々はこのドラフトに大きな懸念をもっている。CRP
等が決定案に反映されているとは思わない。CRP やその他のインプットもテーブルにあるべ
き。
共同議長

議論の進め方については、他の国の意見も聞きたい。
ツバル

共同議長の進め方に問題はない。パラ1で、要素の議論をフォーマライズすべきで、as
included in document X(要素のテキスト)を入れるべき。パラ2については、条約 17 条へのリフ
ァーがあるべき。
ベリーズ

決定案を交渉ベースとすることを支持する。前文の温度目標について、この交渉が 2013-2015
年レビューの結果を予断しないようにしてほしい。
日本

共同議長の努力に感謝。テキストは様々な国の意見がバランスよく反映されている。パラ1~3
について、これでOKである。要素についての検討が終わっていないので、welcome を使うか
どうかは最終日まで待つべきである。多くの要素の検討が解決して、歓迎できることを望む。
チリ(AILAC)

要素のペーパーも Annex として決定に含めつつ、パラ1は welcomes よりも強めて、recognizes
elements of draft negotiating text elaborated by … as reflected in Annex 1 as a basis of
negotiation for a protocol, another legal instrument or an agreed outcome with legal force…と
すべき。パラ2は making a recommendation を producing a draft decision that contains a
negotiating text…とすべき。パラ3は recommendation を conclusion of its work とすべき。
サウジアラビア(LMDC)

今のテキストはバランスが悪い。前文に、これまでの成果へのリンクがないことを懸念する。また、
124
緩和だけを扱っている点もバランスが悪い。INDC も緩和に偏っておりバランスが悪い。他の分
野の野心がなければ、緩和の野心も高まらない。ワークストリーム2については、差異化を扱う
必要がある。
イラン

スクリーンに映して交渉しない場合、どのように議長は多くの締約国の意見をキャプチャーする
のか。また、締約国はどうやって自分の意見が反映されていることを確かめるのか。スクリーン
にテキストを映して交渉すべきである。進め方についてのコンセンサスを先に得てから、テキス
トの交渉に進むべき。
スーダン

チリやロシアの提案は興味深く、スクリーンに映してみることができれば有用である。今回はス
クリーンに映せなくても、次回からは映すことを保証してほしい。パラ1について、recognizes a
draft negotiating text …. as contained in Annex とすべき。パラ2で、要素に関する議論を反映す
るために、decides in the context of articulation of a protocol, another legal instrument or an
agreed outcome with legal force …. というシャポーのもとに、6 つの要素ごとのサブパラグラフ
を入れるべき。
中国

テキストと締約国の提案をスクリーンに映すことに反対している国はない。グランドルールでは、
沈黙は同意ということだった。次回以降は、共同議長が全てのコメントを持ち帰るのではなく、
テキスト交渉を始めることを明確にしてほしい。
共同議長

テキストを最初から go through するのはこれで終わりではない。それゆえ、この方法を提案した。
何が sticky point かを明らかにしてから、どこかのポイントでテキストをスクリーンに映して議論し
たい。沈黙は “might”で同意と話した。
ニカラグア

交渉テキスト草案の要素は、共同議長が作るものではなく、締約国が作るものであるべき。ノン
ペーパーはバランスがとれていない。スクリーンに映して、締約国が直接に交渉すべき。
ヨルダン

パラ1について問題はない。パラ 2 について、ドーハのマンデートを弱めている。パラ3は、
ADP のマンデートが recommendation と弱められていることが問題。
125
ベネズエラ

可能であれば、このセッションでドラフトテキストを欲しい。ある国は緩和が中心であり、別の国
は全ての要素が扱われるべきとしている。これが1つの問題である。別の問題は、条約の原則
の扱いである。要素や原則と INDC の関連も sticky points である。テキストをスクリーンに映す
べきである。
ガボン

スーダンを支持する。この COP でドラフトテキストに合意すべきである。ドーハの決定は、この
COP までに要素を検討するというものであった。ドラフトテキストは簡潔で理解が容易なもので
あるべき。パラ2について、法形式の3つの選択肢のうちの1つを選ぶべきである。ダーバン合
意のパラ4ですでに提案されているものを、再度提案する必要はない。
EU

パラ1~3に大きな問題はない。パラ1について、ドラフトテキストを Annex に含めるなど、よりフ
ォーマルに認識する提案は興味深い。日本の提案にも同意する。パラ2について、6 か月ル
ールについて明確にするというロシアの提案に関心あり。パラ3について、AILAC の提案がよ
いと思う。
エジプト

スクリーンに映すべき。前文の最終パラにあるように、締約国以外のステークホルダーに言及
することに賛成しない。パラ2について、ダーバン合意パラ5の 6 つの要素や「原則・規定にし
たがって」を入れる。また、ADP のマンデートは COP21 での採択であり、その点を反映すべ
き。
2014 年 12 月 3 日(水)
ADP コンタクトグループ(決定案)
各国の発言:
オーストラリア

共同議長の進め方に comfortable。

パラ1を交渉するのはまだ早い。交渉テキスト草案として Annex に反映することには現時点で
は同意しない。

パラ2とパラ3に同意。

パラ4は Affirms ではなく、Determines とする。

パラ5は political parity ではなく、political priority とする。最後に、in ways that lead to the most
effective outcomes in differing local, national and international contexts を加える。

パラ6は削除。以下を前文に追加。
126
PP Affirming that fulfilling the ultimate objective of the Convention will require strengthening
the multilateral, rules-based regime and the urgent and sustained implementation of existing
commitments under the Convention,
中国

ADP のアジェンダの全ての要素に関する前進を歓迎するという新しいパラグラフを冒頭にい
れるべき。

パラ2:decides を affirms に変える。Affirms that ADP shall complete its work ASAP in order to
adopt a protocol, …. とする。any accompanying draft decisions を削る。

パラ3:toward 以下を削って、on the draft negotiating text とする。

パラ4:decides that the negotiating text shall include the provisions on all the elements …を入
れる。

パラ6:decides to achieve the balanced and comprehensive treatment among mitigation,
adaptation , financing, technology, capacity building and transparency in the draft negotiating
text とする。

パラ7: 先進国の取組を特に目立つようにする。
スイス

パラ2:条約 17 条へのリファーの提案を支持。

パラ1:要素の文書を反映するという提案を支持。

中国が文言を変えようと提案している理由が分からない。その理由を尋ねたい。
インド

パラ2:by making recommendation 以下を by putting forward the elements for the draft
negotiating text に変える。

パラ3: process of negotiation のあとに、on the draft negotiating text とする。

パラ4: recommendation を the negotiating text とする。

パラ5:political parity が不明瞭。Full legal parity とすべき。

パラ6:under the Convention, in particular those under Art. 4 thereof を入れる。
ブラジル

パラ1:as appended to this decision を入れる。

パラ2:any accompanying draft decision は COP21 だけとは限らないので、, as well as by
elaborating any related draft decisions for adoption by the COP at its 21st and subsequent
sessions, as appropriate とする。

パラ5:political parity とは何か。Parity between operational provisions regarding mitigation,
127
adaptation , and means of implementation

パラ6:including adoption of the Doha Amendment and the $100 billion goal を existing actions
and commitments のあとに入れる。
ノルウェー

最初の3つのパラグラフはよい。

パラ1:welcome を使うかどうかは too early。

パラ5とパラ6は COP 決定に含める必要はない。
インドネシア

パラ2:making a recommendation はダーバン合意の新たな解釈であり、これを producing a
draft text on a protocol, …とすべき。

パラ5:political parity の意味が不明。
ケニア

パラ1:要素のテキストを Annex として決定案に含めるべき。

パラ2:producing a draft text がダーバン合意のマンデート。Accompany draft decisions は現時
点で必要かどうか不明。

パラ5:political parity ではなく、balanced treatment among all the elements がよい。
米国

パラ1: “further” elaboration and consideration としてはどうか。

パラ4:elements ではなく、aspects of work としてはどうか。

パラ5:political parity や parity は曖昧である。Underscore the importance of adaptation であれ
ば理解できるが、他のパラグラフでこの点を扱えるかもしれない。

パラ6:political parity ではなく、to underscore the importance of とする。

パラ2:条約 17 条は議定書の場合に適用される。削除するか、さらなる説明を要する。
ここで南アフリカが、point of order を求め、数多くの途上国の要求に応えて、スクリーンにテキストを
写すべきと発言。一方、米国等は現在の方法を支持。解決を見いだせなかったことから、Friends
of the Chairs 会合を開催
ADP コンタクトグループ(要素・緩和)
概要:
(1)要素に関するノンペーパーの緩和に関するセクションついて、AOSIS、ノルウェー、AILAC、サ
128
ウジアラビア、アフリカグループ、中国が意見を述べた。
(2)長期目標について、AOSIS とノルウェーは 2050 年のネットゼロ排出へのリファーを求める一方、
サウジ、アフリカ、中国は緩和だけではなく、適応や支援の長期的側面も扱われるべきと発言した。
(3)ノルウェーが先進国・途上国で区別するのではなく、国別事情や能力に基づく柔軟な文言がよ
いと発言したのに対して、サウジ、アフリカ、中国は “all Parties”や “in a position to do so”という言
葉に否定的な見解を示しつつ、二分法による差異化を求めた。
(4)今回発言できなかった国は、12 月 4 日の会合で発言する(※12 月 3 日 23 時 50 分時点では、
10 時 30 分に開始予定。ただし、Friends of the Chairs 会合次第)
※各国の発言の詳細は以下。パラグラフ番号については、下記リンクの文書(要素に関するノンペ
ーパー)を参照。
http://unfccc.int/resource/docs/2014/adp2/eng/11nonpap.pdf
各国の発言:
ナウル(AOSIS)

パラ13:この文言は弱すぎる。Make efforts and cooperate to を削除すべき。長期の温度目標
へのリファーも有益、パラ3の文言を移してはどうか。a は 2050 年のゼロエミッションと完全な脱
炭素化にリファーすることに関心。4 つ目のブレットはよい。ただし、will を may に変える。c は
安定化を書くべき。長期目標について、最新の科学に基づく 5 年サイクルのレビューを含める
べき。

パラ14:維持すべき。

パラ15:15.2 は重要。ただし、may need flexibility がよい。15.3 と 14(no backsliding)のリンク
が必要。15.4 については、Option 2 がよい。

パラ16:Parties’ proposed commitments という言葉がよい。遅くとも合意に書きこむ 12 カ月前ま
でに提示するという文言を提案。
ノルウェー

緩和と適応のコミットメントを、コミットメントを扱う共通の条文に書いてはどうか。

2050 年までのネットゼロ排出を支持(パラ 13a)。

パラ15:先進国・途上国で区別するのではなく、国別事情や能力に基づく柔軟な文言がよい。
ただし、LDC の事情を考慮する文言は必要。

パラ14を支持。

パラ15.4:Option 1 と Option 2 の組み合わせを支持。Option 1 が rigid。

透明性のアカウンティングとサイクルは、緩和の要素と統合されるべき。スケジュールを提示し
て、レビューを受ける義務も、緩和のコミットメントと同じ場所に書かれるべき。
129
チリ(AILAC)

パラ13:長期の世界全体の緩和コミットメントを支持。a の長期の脱炭素経路を支持。2℃目標
も含まれるべき。

パラ14:no backsliding が入っていることを歓迎。徐々にスケールアップさせるアプローチは良
い。

パラ15:successive の側面はサイクルと一緒に扱われるべき。

パラ15.1:これは、compilation of contribution に関連する。

パラ15.2:途上国に対する柔軟性をより明確にする必要ある。

パラ15.3:Non-Annex I Parties in a position to do so をより明確にすべきである。h の「同心
円のニュアンス化された差異化」は、定義を扱う Section B で扱うのが良い。i について、国のカ
テゴリー化は Annex の交渉のように見えるので、タイプによるダイナミックな差異化の方がよ
い。

パラ15.4:Option 2 を望む。

パラ16:遅くとも法的合意に書きこむ 1 年前、通常は 18 ヵ月前に communicate すべき。

パラ17:prepare, communicate を削除。
サウジアラビア

All Parties や in a position to do so を望まない。

パラ13:条約 2 条の文脈は濃度安定化を扱うものである。また、2 条には生態系の適応や食
糧安全保障などもある。しかし、aggregate level は書かれていない。カンクン合意の文言なら支
持する。

Commitments/contributions に、actions を加えるべき。

パラ15.2:ナウルの発言を支持する。持続可能な発展なども考慮されるべき。

パラ15.3:CBDR、歴史的責任を入れるべきである。c, d, f は途上国に求めるものを広げ過ぎ
ている。h の incentive について、技術が入手できない場合にも対応する文言が必要。

パラ15.4: “communication”は SBI と SBSTA で検討されており、その検討結果を予断しない
ようにすべき。

パラ16: “communication”については同様の理由は留保する。

パラ17:governing body とは何かを明確にする必要がある。

パラ18:Option 1 を支持する。
ケニア(アフリカ)

Equity、CBDR、先進国のリーダーシップにリファーしていない点を懸念。

グローバルゴールについて、緩和だけではなく、適応と実施手段についても必要。

途上国の緩和コミットメントを強め過ぎている。

パラ13:条約の原則等にそって、文言を強化すべき(CBDR、先進国のリード、先進国と途上
130
国の明確な区別等)。Decarbonization とあるが、条約は二酸化炭素以外のガスも扱っており、
炭素だけになっている点を懸念。科学との整合は必要だが、IPCC は経路を決定するわけで
はないので、政治的な決定が必要。cを支持する。

パラ14:No backsliding の概念は完全に支持する。しかし、この文言はおもに先進国にあては
まるものである。途上国には NAMA の多様性が認められており、(後退の)基準が存在しな
い。

パラ15.1:これは先進国に適用される点を反映すべき。

パラ15.2:先進国の長期の経路と総量目標との関連を詳細にすべき。また、途上国への柔
軟性は必要。

パラ15.3:a に equity と CBDR を入れるべき。b と c にある先進国と途上国の区別はシャポー
に反映すべき。e の all major economies を支持しない。h の同心円の差異化を支持するが、も
っと詳細に検討する必要がある。i は条約に反するので支持しない。

パラ15.4:先進国には conditionality がないことを明記。途上国には認められる。Option 3 を
支持。

パラ18:2つの option だけではなく、Option 1 への flexibility が必要。
中国

パラ13:aggregate level について、緩和ではなく、適応や支援の側面が無い点を懸念。Parties
to make efforts and cooperate to stabilize GHG concentrations in the atmosphere at the level
that prevents dangerous anthropogenic interference with climate system in accordance with the
shared vision resulting from the Bali Action Plan, including to hold the increase of global
average temperature below 2℃/1.5℃ above pre-industrial levels, in the context of sustainable
development, with developed countries’ leadership by undertaking ambitious emission
reductions and providing finance, technology and capacity building support to developing
country Parties とすべき。a は長期目標を含める場合、排出削減だけではなく、その実現のた
めの文脈である支援等も入れるべき。最初の2つのブレットをブラケットして、2013-2015 年レビ
ューおよびその後の定期的なレビューを反映することも一案。4 つ目のブレットについては、最
後に in the context of equitable access to sustainable development(EASD)を入れるべき。b に
ついては、提案した国に説明を求める。c についても、EASD を入れるべき。

条約 4 条にしたがって、全ての国のコミットメントと、先進国・途上国のコミットメントに再構成す
べき。

パラ14:no backsliding の意味を明確化するために、 “All Parties, taking into account their
CBDR and their specific national and regional development priorities, objectives, and
circumstances, to formulate, implement, publish and regularly update programs pertaining
measures to mitigate climate change in order to enhance their level of ambition after 2020”を提
案する。
131

パラ15:Successive は上記 update に反映されるうえ、この合意の end date はいつなのかという
点にも関連し、その点が明確ではない。先進国と途上国を区別するパラグラフなので、このシ
ャポーを削除すべき。

パラ15.1:①先進国の定量的で集計可能・比較可能・MRV 可能で、2020 年までよりも野心
的な目標と②途上国の定量化可能・MRV 可能なバリ行動計画の下での NAMA に分けるべ
き。

パラ15.2:先進国は indicative long-term trajectory、途上国は long-term, low-carbon green
development strategy and programs as appropriate とすべき。

パラ15.3:a は削除。b は支持だが、absolute を加えるべき。c の定量的・定量化可能・集計可
能 は削除すべき 。また 、circumstances and capabilities は “in the context of sustainable
development” と す べ き 。 ま た 、 commitment/contributions/actions と す る 。 e は all major
economies ではなく、all developed countries としてはどうか。f の in a position to do so は条約と
反するので削除。h は、ブラジルの提案を聞きたい。i も削除。

パラ 15.4:Option 3 をベースに、Option 2 を統合する。Option 3 の最後に support by developed
country Parties を入れる。

パラ16:12 条とバリ行動計画の関連する成果にリファーすべき。また Attachment を通じて
communicate するとすべき。Attachment は、先進国の共通テーブルフォーマットと途上国の
NAMA の集約からなる。

パラ18:Option 2 を削除して、Option 1 を維持。
2014 年 12 月 4 日(木)
ADP コンタクトグループ決定案
(1)冒頭、共同議長より、前夜および同日午前に行われた Friends of the Chairs 会合を踏まえて、
①各国のテキスト提案をウェブに掲載し、スクリーンに投影しながら説明(金曜日までに完了)、②
議長が改善された決定案として各国提案を踏まえた統合版を準備、③ライン・バイ・ラインの交渉を
開始という手順が紹介された。その後、主に要素と INDC を扱うパラ1~12に対して、各国がテキス
ト提案を説明した。ウェブに掲載された各国のテキスト提案は主に以下の内容であった。
(2)貢献のスコープを扱うパラ8(※)については、以下の提案があった。
※Notes that the scope of contributions is to be nationally determined in the context of Article 2 of
the Convention
①the scope of を削除し、スコープを扱わないパラグラフとする(UG、スイス)

日本、ノルウェー: the scope of を削除

オーストラリア: Notes を Reiterates に変更、the scope of を削除、貢献の前に intended を追加

ニュージーランド: パラグラフ自体を削除

スイス: the scope of を削除し、in the context のあとに長期目標・2℃目標を追加
132
②スコープは自国決定のまま(EU、LDC、マーシャル諸島、サウジ)

EU・マーシャル諸島: 議長テキストのまま

LDC: 貢献の前に intended を加え、in the context 以下を削除

サウジアラビア: in the context 以下を削除し、COP19 の決定1のパラ2(b)に従い、を追加
③スコープは自国決定のままだが、条約の原則や条文を参照(LMDC、南ア)

中国:末尾に条約の4条のコミットメントや関連する COP 決定を考慮し、を追加

アルジェリア・アルゼンチン・パキスタン: 末尾に its principles and provisions に従って、を追
加

南アフリカ: 条約の原則や規定を考慮し、以前のものよりも野心的であることを追加
④緩和・適応・実施手段を含むと明記(AILAC)

AILAC: 緩和・適応・実施手段を含むと明記
⑤その他

ベネズエラ: カーボンバジェットとする可能性を考慮し、nationally determined を留保
(3)貢献に緩和を含めるべきことを扱うパラ9(※)については以下の提案があった。
※Stresses that all Parties should include a mitigation component in their intended nationally
determined contributions
①削除(オーストラリア、スイス)
②should を shall に置き換えるなどして意味を強化(先進国、AILAC、マーシャル諸島)

日本・ノルウェー; should を shall に置き換え

カナダ・NZ: shall communicate its proposed mitigation efforts as its INDC とする

EU・マーシャル諸島: Stresses を Decides に、should を shall にに変更

AILAC: should を shall に 変 更 した うえ で 、 for 2020 to 2025, including an indicative
contribution for 2030 を追加
③支援や適応も明記

LDC: パラ 11 をパラ 9-bis とする。9-ter として、附属書 I 国とその立場にある国は資金支援の
貢献を含めることを追加

南ア: 緩和、適応、支援とする。ただし、要素のなかに適応とその支援が明確に反映されれ
ば柔軟に対応

サウジ: 緩和を含め、適応を含めることを検討

中国・アルジェリア・アルゼンチン・パキスタン: mitigation component を削除して、先進国の
緩和約束、途上億の支援、途上国の行動を明記

ベネズエラ: 途上国への支援を含める
(4)緩和と適応の政治的同等性を強調するパラ5(※)については以下の提案があった。
※Affirms its determination to achieve political parity between mitigation and adaptation in the
133
protocol, another legal instrument or agreed outcome with legal force referred to in paragraph 2
above
①政治的同等性を削除し、適応の重要性を強調(UG)
米国:political parity を削除し、to underscore the importance とする
カナダ:political parity を削除し、elevate the critical importance とする
オーストラリア:political parity を削除し、political outcomes とする
ニュージーランド:political parity を削除し、recognize the importance of とする
②更なる検討が必要(EU)
③「政治的」を削除し、「緩和・適応・実施手段の条文間の同等性」に変更(ブラジル・AILAC)
④政治的同等性を削除し、緩和・適応に実施手段を加える(LDC、南ア)
LDC: political parity を削除し、fair and equal treatment として、実施手段を追加
南ア:political parity を削除し、balanced support とする
アルゼンチン:political を削除し、実施手段を追加。CBDR による差異化も追加
⑤「政治的」を削除し、「法的」または「完全な」に変える(LMDC)
エジプト、アルゼンチン、ヨルダン: legal parity とする
インド、サウジ、ヨルダン: full parity とする
⑥全文を変更し、「全ての要素をバランスよく包括的に交渉テキストのなかで扱う」とする(中国)
(5)異なる要素の INDC はそれぞれの特徴・時間枠を有することに留意するパラ12(※)について
は、大半の国が削除すべきとした。
※Notes that intended nationally determined contributions associated with the different elements
referred to in paragraph 5 of decision 1/CP.17 have unique characteristics and time frames

EU:INDC を削除して、要素に関するパラグラフとする

日本・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド。ノルウェー・スイス・AILAC・LDC・中国・アル
ジェリア・アルゼンチン・パキスタン・ベネズエラ・キューバ・ヨルダン:削除

サウジアラビア:time frames を processes に変える

南ア:そのまま維持
(6)IPCCAR5 で評価された科学的知見から示唆される世界全体の野心度を、既存以
上の目標達成及び資金等支援を直接結びつけるパラ10(※)については以下の提案があった。
※Agrees that achievement of the aggregate level of ambition indicated as necessary by the scientific
findings assessed in the Fifth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change
through nationally determined contributions requires:
(a)Implementation of contributions by each Party beyond any commitment or action currently
undertaken by it under the Convention or its Kyoto Protocol;
(b)Mobilization of increasing levels of financial, technological and capacity- building support for
134
developing country Parties, in particular those most vulnerable to the adverse effects of climate
change
①削除(日本・ニュージーランド)
日本・ニュージーランド:削除
②(a)と(b)を削除し、別の文言を追加
カナダ:(a)と(b)を削除し、全ての国による最も幅広い協力や国際的な取組への事項的な参加を追
加
オーストラリア:(a)と(b)を削除し、「以前の努力よりも前進していることを示す野心的な貢献を提示
するように奨励」という文言を追加
③以前のバージョンの文言(タイプ・スコープ・規模が以前・現在の取組を越えるべき)に戻す(EU、
スイス、ノルウェー)
EU:以前のバージョンのテキスト(※)に戻すべき
※the type, scope and scale of such contribution should go beyond previous and current actions…
スイス・ノルウェー:以前のバージョンのテキストを戻したうえで、最大限の努力や総量目標への速
やかな移行などを追加して強化
④現在の文言を支持
南ア:ほぼこのまま支持
LDC:後半部分を 10-bis とする
⑤現在の文言を残しつつ、以前のバージョンの文言も追加(AILAC、マーシャル諸島)
⑥(a)で CBDR 等の条約の原則にリファー、(b)で支援の提供国が Annex II 国であることを明記
(LMDC)
⑦先進国の緩和に限定し、途上国については多様性を認識に留める(中国)
ADP コンタクトグループ(要素・緩和)
概要:
(1)前日に続いて、緩和を扱うセクション D への意見を各国が述べた。
(2)先進国(日本を含む)は、透明性(アカウンティングを含む)やサイクルの要素を緩和のセクショ
ンに含めるべきと主張した。また、二分法に基づくサブパラブラフを支持しないと発言した。
(3)一方、途上国は二分法に基づく差異化を含むサブパラグラフを支持すると発言し、 “major
economies”という言葉を意味が不明確として削除するように求めた。また CBDR を明記するように
求めた。
(4)長期目標(パラ13)や後退禁止(パラ14)についても、多くの国が具体的な修正案を提示した。
また、多くの国が市場メカニズムの使用を明記すべきと発言した。
(5)今回までに発言できなかった国は、次回発言する。
各国の発言:
135
南アフリカ

2℃以下を含めて、世界全体の長期目標を operationalize すべき。目標は IPCC と整合的であ
るべき。

条約 4 条の構造と同様に、全ての国のコミットメントと先進国のコミットメントという区別をすべき
で、15.3b と c の区別が必要。

数字とルールを同時に理解しなければならない。LULUCF のルールを議論したい。

パラ14:支持。ただし、do more も入れる必要。No less を more に変えるべき。
EU

アカウンティングとレビューサイクルも緩和とリンクしている。

パラ13:長期目標は不可欠な要素。2℃目標を明示すべき。2050 年までに 1990 年比で少なく
とも半減を含める。また、長期の脱炭素化経路の情報も提示されるべき。

パラ14:支持。

パラ15:contributions ではなく、commitments にリファーすべき。全ての国が緩和約束を継続
的に維持するという考え方を入れるべき。また、コミットメントは附属書に含まれることも入れる
べき。

パラ15.1:中国のいう “qualified”は不可。

パラ15.3:約束のタイプは責任と能力によって差異化されるべき。全ての国が最終的に総量
目標を負うべきという考え方を含めるべき。

パラ15.4:Option 1 と Option 2 を統合して、すべての国が unconditional、LDC は一部に
conditional とすることを提案。

パラ17:市場メカの使用への言及を含めるべき。Eligibility requirement と accounting を条件と
する。土地利用についても同様に含める。

パラ18:不要。

パラ19:アカウンティングルールの新しいパラグラフを含めるべき。

サイクルについて、10 年サイクル+5 年サイクルのレビューを支持。
インド

条約の原則と規定を変えるべきではない。

パラ13:2 条のあとに、in accordance with Article 4 を入れる。長期目標については、すでに合
意された文言がある(All Parties to undertake efforts under CBDR&RC, EASD, survival of
countries, Mother Earth・・・)。これを使うべき。

パラ15.3:a について、CBDR 等を含めるべき。b と c は問題ない。E の major econmies は条
約の言葉ではなく、Annex I に変えるべき。f について、途上国自身が決めることである。h に
ついて、もっと明確にしたい。

パラ15.4:Option 3 を支持。
136
米国

このセクションには、合意に加わる国は Schedule を提示して維持する、タイムラインは共通で
ある、具体的で定量的であること、一部は無条件であることを反映すべき。事前情報を伴うこと
も反映すべき。レビューについても同様。アカウンティングの規則も COP21 の COP 決定で決
めるべき。5 年サイクルで緩和のコミットメントを更新し、各国のスケジュールを information
document として事務局がオンライン上で管理する。

パラ13: 2℃目標の reaffirmation、2050 年までの世界全体での半減を含める。

パラ14:タイプではなく、ambition にフォーカスすべき。タイプのみの場合、とても非野心的な
総量目標と出てくることを懸念。

Contribution の前に、Nationally determined を入れる。

パラ 15.2 とパラ 15.3:二分法を含めているが、次の改訂では、条約の附属書のアップデートと
いうオプションも含めるべき。また、二分法の差異化を入れる場合には、自己差異化や附属書
の更新のオプションも入れるべき。

パラ 16:タイムフレームとプロセスを緩和のセクションに含めるべきである。

パラ 17:ルールは 2015 年に COP 決定で決めるべき。

パラ 18:Option 2 がよい。シャポーも不要。
ボリビア

ボリビアのサブミッションに、歴史的責任に応じたカーボンバジェットを書いてある。

パラ13:b は、条約の原則・規定に従う、1.5℃に言及する。

パラ14:commitments and actions とすべき。

パラ15.1:shall be equitable や指標に基づくカーボンバジェットに含めるべき。

パラ15.3:a に according to Article 4.1 や先進国のリードを入れる。

パラ15.4:Option 3 を支持。
オーストラリア

パラ13:mitigation efforts とするのがよい。努力の分配になるような長期目標には慎重になる
べき。

パラ15:period と national schedule の概念を入れる。

パラ15.2:カーボンバジェットにならないように注意すべき。二分法は支持しない。

パラ15.3:a は evolving であり、パラ14とも関連して支持。

パラ15.4:全ての国が少なくとも無条件のものを出すべき。

パラ16:期間とリンクすべき。また詳細は COP 決定で決めることも書く。これはパラ14やセクシ
ョン K とも関連。パリで決定しつつ、その後の経験も踏まえて更新する。

アカウンティングがこのセクションに含まれるべき。Governing body が決めるルールに従う、環
137
境十全性、各国事情と能力を取りこむといった考え方も入れる。ルールには、IPCC の方法論
の使用、国際的に合意されたルール・ガイダンス、サイクルを通じて適用、完全な適用に徐々
に近づける、土地利用、マーケット(売り手と買い手の両方、ダブルカウンティング)、レファレ
ンスレベルとベースラインが含まれるべき。

パラ17:パラ30とのリンクが何を意味するのかについて保留する。

パラ18:不要。
ツバル(LDC)

パラ13:c に 1.5℃以下を入れるべき。

パラ14:支持。

パラ15:シャポーはよい。

パラ15.2:もともとのコンセプトが、この文言にはうまく反映されていない。

パラ15.3:a, b, c, f, g, h を支持。同心円の差異化については修正が必要。

パラ15.4:Option 2 と Option 3 の統合を支持。

Annex A(定量的な総量目標)と Annex B(その他の締約国)を含めるべき。レポーティングの
要件は二つの Annex で異なる。Annex A のほうが要件が多い(土地利用など)。

パラ17:削除。

パラ18:有用なものがある。特に Option 1 の c。
ロシア

パラ13:2050 年までに半減を入れるべき。IPCC へのリファーの仕方には慎重になるべき。

パラ14:約束期間中の調整には懸念がある。

パラ15:Nationally determined が重要。国の分類は新合意には不要である。

パラ17:メカニズムの使用は補完的であるべき。 “Jointly”と市場メカニズムには関連がある。
ブラジル

条約の再解釈は認められない。普遍的(universal)な法的義務が必要である。それは、各国が
約束を提出し実施することである。NDC は合意の要素に適用される。ブラジルのサブミッショ
ンが十分に反映されていない。パラ 15.3.h に軽く反映されているだけである。同心円の差異化
は一度限りの決定ではなく、ダイナミックなサイクルを含むものである。レビューやアセスメント
との関係を次の機会に説明する。

アカウンティングは、透明性と関連する。透明性と遵守は、行動と支援に関係し、適応だけに
適用されるものではない。そのため、別個に扱うべきである。

市場メカについても、別個の要素として扱うべき。京都議定書の既存のメカニズムの経験を考
慮し、mutatis mutandis に基づいて、2020 年以降のモダリティーと手続きをつくるべき 。この点
も要素として、議論すべき。
138

カーボンバジェットについて、理想と政治的な現実を考えるべき。バジェットの基準に合意する
ことは難しい。

他のパラグラフについては保留する。
スイス

緩和のスタンドアローンのセクションが必要。ただし、二分法は不要。

パラ14:ここに含まれる概念を支持。 “shall not become less over time”としたい。また、科学の
要請に応じて最大限の努力をすることや、各国は徐々に総量約束に向かうという考え方を含
めるべき。動的な差異化を支持するが、方向性を定めたい。

パラ15.1:同意。Unconditional を含めるべき。また、unconditional な貢献に加えて、協力が
あれば実施できるという conditional な貢献も提示できることも含める。

パラ15.2:同意。

合意で市場メカ(議定書 6 条と 12 条に関するものを含む)の役割に言及。環境基準とダブルカ
ウンティングの回避も含める。詳細はパリまでに COP で定める。

透明性はこのセクションに含められるべき。

セクションKの要素も、このセクションに移すべきである。
ベネズエラ

パラ13:条約 2 条の引用に加えて、in accordance with Article 4 も含める。a は、IPCC によれ
ばいくつかのオプションがあるので、現時点では絞り込まないほうがよい。

パラ14:progressive は条約にない言葉であり、避けるべき。CBDR への言及がない。

パラ15.1:CBDR や条約下の差異化に言及すべき。

パラ15.3:a は条約の条文を引用した文言とすべき。e は major economies という言葉を懸念。
f も同様。in a position to do so は条約にない言葉である。h は留保する。i はカテゴリーという
言葉は条約にはない。

パラ15.4:Option 3 を支持。

パラ18:Option 1 を望む。どのような制度かはまだ議論すべき。緩和だけではなく、適応とのリ
ンクも有用。

明確なアカウンティングルールについて、地域別や二国間のルールを望まない。
日本

米国の言うように、このセクションにもっと多くの要素を含めるべき。アカウンティングルールや
透明性をこのセクションに移すべきである。これらは定量的な緩和貢献にとって不可欠である。
市場についても、もっと多くのレファレンスが必要。

パラ13:IPCC の科学的レポートへの整合は支持するが、AR5 の数字に直接リファーすること
を支持しない。科学は定期的にアップデートされるため、durable な合意には適さない。二分
139
法を含む 3 つ目と 4 つ目のブレットを支持しない。

パラ14:各国が野心強化のための努力をするという方向性を信頼醸成のために共有するのは
よい。しかし、二分法で捉えられるべきではない。野心強化の際に、何と比較するのかを明確
にしたい。拘束力あるコミットメントの場合、各国は最初から野心的な貢献を提示するのをため
らうかもしれない。そのため、法的拘束性と同時に議論したい。

パラ15:全ての国は quantifiable な貢献を提示し、その達成のための手段をとるべき。また、
NDC はレビューされるべき。 この考えを反映すべき。

パラ15.3:二分法に基づく b, c, d, f を支持しない。e を支持する。Major economies の意味は
明確である。後発国は定性的な貢献を提示することも許容される。

パラ18:Option 2 を支持。

アカウンティングルールのパラグラフを含めるべき。
アルゼンチン

パラ13:according to respective CBDR を含めるべき。a については 2 つ目のブレットを支持す
るが、二分法の差異化も入れるべき。

パラ15.2:途上国は自らのリソースで緩和を実行することが難しい。

パラ15.3:b を望む。

パラ15.4:Option 3 を支持。

土地利用についての言及は、SBSTA での農業に関する議論を予断しかねないこと懸念。

パラ18;Option 1 を支持。

一方的措置もここに含めるべき。
ニュージーランド

米国の提案を支持。

パラ13:2℃目標の reaffirm を支持。今世紀末までのネットゼロ排出を含めてはどうか。二分法
に基づく目標は支持しない。b は合意できない。

パラ14:コンセプトは支持。ただし、貢献の自国決定をあまり制約しないようにすべき。
“Commitments should be at least as ambition as any previous and level of ambition of
commitments has to increase over time”としてはどうか。

事前コンサルテーションをこのセクションに移すべき。

パ ラ1 5 : 二 分法 への 言及 を支 持 しない 。 “Each Party to submit successive nationally
determined commitments that should be quantified or quantifiable, can be aggregated,
transparent, verifiable”として、サブパラグラフを入れないのはどうか。EU のいうようにコミットメ
ントを over time に維持することや、米国のいうように参加時にスケジュールを提示するという言
葉を入れてもよい。

パラ15.4:Option 1 を支持だが、Option 2 の sentiment を含めてはどうか。
140

パラ16:透明性の記述はここに移すべき。

パラ59について、まず Option 1 を支持しないが、残りの選択肢について議論しない。パラ59.
1については、緩和に限定するというオプションを加えたい。a と c を支持しない。59.2は支持
するが、まだ決まっていない COP 決定へのリファーには慎重であるべき。

パラ18:Option 2 を支持。

パラ58の関係する部分をこのセクションに移す。

市場メカについて、環境十全性、ダブルカウンティングの回避、透明性という原則を含めるべ
き。土地部門については、カバレッジを徐々に拡大、定義を一貫して適用、方法論を一貫して
適用、非人為的な排出はアカウンティングから除外、ダブルカウントの回避等を原則として含
める。詳細はパリで決定される COP 決定に含まれるべき。
ヨルダン

テキストをスクリーンに写すべき。

パラ13:in accordance with Article 4 を入れる。

パラ15.1:CBDR を削除しているのは大問題。

パラ15.3:Option になっていないのが不可解。b, c, d は支持。a, e, f は反対。A について、
national circumstances に触れる際には、in accordance with Article 4.1 を入れるべき。
UAE

パラ14:Early mover を認識すべき。

パラ15.3:d は重要。f は重要だが、voluntary かどうかを明確にする必要がある。i は削除す
べき。

パラ15.4:Option 3 を支持だが、Option 1 との中間点を模索したい。

パラ18:Option 1 を支持。
カナダ

パラ13:科学に応じて、時間とともに変化するようにグローバル目標を反映すべき。二分法に
基づく差異化は不可。

パラ14:考え方は支持する。合意は facilitative であるべきで、文言はあまり制約的であるべき
ではない。

パラ15:もっとシンプルにすべき。 “based on national circumstances and capacities, quantified
or quantifiable, unconditional on support, accompanied by sufficient information to enable their
clarity, transparency and understanding”としてはどうか。米国がいうように多くの要素がこのパラ
グラフと関係する。二分法は支持しない。

パラ16:セクション K の内容はこのセクションに含めるべき。

パラ17: “jointly”の考え方について、パリ合意のなかにルールを含めるオプションを入れて
141
ほしい。

パラ18:Option 2 を支持。
キューバ

パラ13:All Parties のあとに、in accordance with principles and provisions を入れる。d として、
“aviation from BaU”、e として、 “low emission development strategy”を入れることを提案す
る。

パラ14:条約 4 条にリファーすべき。

パラ15:successive の意味が不明なので削除。代わりに条約の条文にリファーする。

パラ15.3:based on equity and CBDR をシャポーに入れる。c は、条約 5 条にリファー。

パラ15.4:Option 3 を支持。
(※発言する時間のなかった韓国、イラン、パナマ、メキシコ、エチオピア、中国、ウクライナ、アルジ
ェリアは次回、この順番で発言する。)
2014 年 12 月 5 日(金)
ADP コンタクトグループ(要素・緩和)
(※前日の議論の続き)
韓国

パラ13:long-term decarbonization pathway を支持。今後の議論で具体化。

パラ15.1:一般的に支持。

パラ15.4:Option 2 を支持。

パラ16:更なる明確化が必要。

パラ17:関係する項目を反映。

市場メカニズムをこのセクションに含めるべき。
イラン

パラ13:実施手段にもリファーすべき。CBDR へのリファーも必要。

パラ14:条約4条にリファーすべき。

パラ15とパラ15.1:差異化へのリファーがないので反対。

パラ15.3:b と c は支持。i は削除。

パラ18:支持。更に内容を強めるべき。
パナマ

パラ13:b は informed by national estimate を入れる。
142
メキシコ

パラ13:支持。1.5℃を追記。a は強く支持。b は興味深く、もっと具体的な内容を提案国から聞
きたい。

パラ14:支持。

パラ15:シャポーで commitments とすべき。

パラ15.1:支持。

パラ15.2:支持するが、先進国のリードと CBDR を追加。

パラ15.3:e を強く支持。h を支持。

パラ15.4:Option 2 が望ましい。

パラ16:強化する必要あり。ただし、緩和だけとならないようにリンクを考慮すべき。

パラ17:さらに明確にする必要あり。

市場メカに関する規定(ダブルカウントや透明性の原則を含む)を設けることを望む。
エチオピア

パラ13:アイデアはよい。全てを支持。

パラ14:パラ13に含まれるので意味がないが、残すなら no less の代わりに more とすべき。

パラ15.3:c に、which have been provided means of implementation を途上国のあとに加え
る。

パラ15.4:Option 1 に反対。Option 2 にも反対だが、Option 1 ほどではない。Option 3 が望ま
しい。
サウジアラビア

透明性は適切な場所で議論されるべき。

対応措置が適切に含まれない合意を支持しない。

パラ13:末尾に、条約2条の内容を追記。a は decarbonization を削除。2つ目のブレットを支持
するが、IPCC のあとに、歴史的責任や発展の段階等を追記。

パラ14:All Parties を先進国に変えるべき。

パラ15:条約4条に従って、を追加。

パラ15.1:削除。

パラ15.3:c は prepare their actions とする。a, f, h, i を削除。

パラ15.4:Option 1 は All Parties を先進国とする。

パラ16:削除。

パラ18:「既存のアレンジメントを協力メカニズムを創設することで強化」という文言をシャポー
に追加。

アカウンティングはここでは扱わない。
143
中国

条約4条の構造に従うことが重要。

ブラジルの提案は新しい概念を持ち込んでおり支持できない。

15.3cに関するエチオピアの提案を支持。

2050年に半減という提案について、EASD に従うカーボンバジェットに従うという言葉を入れ
るべき。

パラ13:a の decarbonization を sustainable development とすべき。

差異化が消えている構造は支持できない。
ウクライナ

パラ13:b について、トップダウンよりもボトムアップを望むことから、カーボンバジェットに反
対。

パラ15.4:Option 1 に歴史的責任や CBDR、国別事情を入れる。

パラ18:Option 2 を支持。ただし、Option 1 の c も考慮。
アルジェリア(アラブ)

条約のすべての構造を維持すべき。

パラ13:a について、共有のビジョンで議論してきた。ダーバンでの合意の文言を使うべき。

中所得国や主要国という新たなコンセプトに反対。

実施手段を明示的に反映すべき。
エジプト

パラ14: if possible を加え、さらに途上国の事情を考慮することをも追記。

パラ13:非拘束的であるべき。

パラ15.3:e と f に反対。

パラ15.4:Option 2 と Option 3 の統合がよい。

パラ18:Option 2 は不適切。Option 1 の c がよい。
ADP コンタクトグループ(要素・透明性)
概要:
(1)透明性を扱うセクション J について、各国が意見を述べた。
(2)多くの先進国がアカウンティングなど緩和に関する部分は緩和のセクションに移すように提案し
つつ、透明性に関する単一のシステムが必要と強調した。同時に、透明性やアカウンティングに関
する原則を具体的に書きこむことを提案した。また、二分法による差異化を含む文言に反対した。
支援の透明性については既に取組が行われていることから、新合意での追加的な記述は不要で
144
はないかとの意見も多かった。
(3)一方、途上国は、透明性は緩和だけではなく支援も扱うものであり、緩和に偏った文言を改め
るべきと主張した。また、先進国と途上国で差異化されるべきこと、CBDR 等の条約原則に従うこと
を明記するように求めた。支援の MRV について、共通の方法論が必要であると主張する国も多か
った。
(4)今回発言できなかった国(ブラジル等)は、翌日に発言する。
各国の発言:
南アフリカ

既存のアレンジメント(BR/BUR, IAR/ICA)に立脚すべき。単一の枠組みに統一するのはまだ
早い。

パラ55:Option 1 を支持。ただし、徐々に Option 2 の要素を入れていく。

支援への MRV を強化すべき。

パラ57:b は common but differentiated templates とする。

パラ58:LULUCF のアカウンティングは不可欠。ルールを統合するプロセスを2015年に開始
すべき。d に、for understanding mitigation commitments を追記。

パラ59:時間枠について、Option 2 を支持。
ナウル(AOSIS)

SIDs と LDCs への透明性についての支援が必要。

支援への透明性、特に気候資金の明確な定義が必要。
チリ

パラ53:支持。

パラ54:d の考え方を支持。市場メカと土地利用のルールやアカウンティングを定めるプロセス
を立ち上げる必要。

パラ55:Option 2 がよい。

パラ57:d の developing countries の前に all を入れる。

パラ58:i について、資金の MRV について国際的な合意された方法論へのリファーが含まれ
るべき。その際、ダブルカウンティングを避けるようにすべき。

パラ59:Option 2 がよい。
アルゼンチン

パラ53:先進国と途上国の差異化をいれる。全ての要素を扱うべき。

パラ54:全ての要素を扱うべき。CBDR を含める。

パラ55:Option 1 がよい。
145

パラ56:Each Party は CBDR に反する。Commitments/contributions を commitments and
actions とすべき。

パラ57:CBDR を含めるべき。Parties in a position to do は不要。

パラ58:c について、さらに議論が必要。d について、SBSTA での農業の議論を予断してはな
らない。e はマーケットだけではなく、various approaches とすべき。
ケニア(アフリカグループ)

全ての行動と支援に適用されるべき。先進国と途上国で差異化されるべき。バックスライドは
認められない。

途上国に対する既存の枠組みを使うべき。さらなる負荷は認められない。

パラ53:CBDR&RC に言及すべき。c は支援を提供するのは Annex II であることを明記すべ
き。d については facilitate the use of ではなく、define the rule とすべき。

パラ55:Option 1 を支持。ただし、緩和だけに閉じているように見えることを懸念

パラ56:差異化を反映すべき。

パラ57:b は、Annex II の支援の MRV を強化すべき。c は既存のシステムですでにカバーさ
れている。d は Parties in a position to do so を削除。

パラ58:途上国への MRV は現時点では問題はない。先進国の MRV には問題がある。特に
市場と LULUCF のプロセスが必要。
EU

アカウンティングルールを緩和のセクションに含めるべき。アカウンティングについては合意に
原則を含めつつ、COP 決定でガイドラインを作成する(※原則と COP 決定に含めるべき内容
について、下記リンクのサブミッションを読み上げ)
http://www4.unfccc.int/submissions/Lists/OSPSubmissionUpload/106_99_130577580473315361-IT
-10-14-EU%20ADP%20WS1%20submission.pdf

パラ53&4:概ね支持。ただし、パラ53の c は支援だけではなく、緩和も含むべき

パラ55:Option 1 を支持ないが、共通のシステムのもとで能力に応じて柔軟性を認める

パラ56:支持。遵守の評価に必要な情報も明示すべき(例えば、A requirement for Parties to
periodically report consistent time series of greenhouse gas emissions and removals and to put
in place and maintain national arrangements for monitoring and reporting)

パラ57:いまの書き方では支持しない

パラ58:MRV と緩和のアカウンティングが混同されており、これらを区別すべき。a は既存だけ
ではなく、ensure development of を入れる。b を支持するが意味が不明確。c を支持するが、も
っと具体的に書くべき。j と k を支持しない

パリで合意するために、2015年の早い段階で議論する場を設けるべき
146
ニュージーランド

大半は COP 決定で扱い、コアとなる部分を新合意に含めるべき。

パラ53:d(市場)について、原則は緩和のセクションで扱うべき。

パラ54:不要だと思うが、柔軟である。

パラ55:Option 3 を支持。全ての国に適用されるのであれば、Option 2 を支持。

パラ56:支持しない。

パラ57:決定で扱うべきもの。差異化を含む c と d は支持しない。

パラ58:合意に含めるものと COP 決定で扱うものを区別したほうがよい。a は既存の制度の経
験を踏まえることは重要だが、二分法にならないようにすべき。b~e は支持する。f~k は必要
ないのではないか。

ルールについて今回会合の間に関心のある国で議論してはどうか。
ツバル(LDC)

パラ53:a で ambition は緩和を示唆するので、別の言葉がよい。Progressive efforts などがよい。
c は支持。dについては、international を national に変えるべき。fを支持。

パラ54:emissions and removals を削除して、緩和に偏らないようにすべき。

パラ55:Option 1 がよい。ただし、緩和に偏らないようにすべき。例えば、パラ57の d の考え方
を、パラ55にも入れてはどうか。

パラ56:全ての国が全ての要素について情報を提供することをコミットメントとしているが不適
切である。

パラ57:d と e を支持。

パラ58:多くの COP 決定に含めるべき。適応への支援のアカウンティングが必要。j と k は重
要。
中国(LMDC)

先進国と途上国の間の CBDR を反映すべき。先進国と途上国を区別した既存の仕組み・構
造を活用すべき。単一のシステムはこの違いを反映していない。

Commitments/contributions という言葉をさらに明確にすべき。条約のもとの commitments には
先進国の支援も含まれるが、contribution のなかに支援を含めないと一部の先進国が言って
いる。

パラ53:commitments under the Convention として、CBDR 等を追記する。ブレットについては、
①先進国の総量目標の比較可能性を確保、②先進国の支援の検証、③途上国のアクション
実施の明確化とすべき。

パラ54:緩和だけではなく、条約のもとでの行動を扱うべき。既存の制度アレンジメントに基づ
くという文言にすべき。ブレットとして、①条約の原則・規定、②CBDR 等を考慮、③途上国に
対する支援の水準を入れる。c と d は支持。
147

パラ55:Option 1 がよいが、元々の LMDC のサブミッションの文言にすべき。緩和に偏っては
ならない。

パラ56とパラ57:先進国と途上国で区別した文言にすべき。先進国は総量目標、目標達成の
政策措置、適応、支援に関する情報を提示、途上国は行動と受け取った支援の情報を提示と
すべき。また支援の情報は共通の方法論で提示されるべき。

パラ58:先進国と途上国で区別して、再構成すべき。a は adjust ではなく、build on とする。b
を削除。f は適応だけではなく、全ての支援を扱うべき。g は文言を強化すべき。テンプレート
ではなく、共通の方法論とすべき。h は削除。i について、南南協力は削除。j と k は支持。
中国

支援に関する共通の報告フォーマットと方法論を含める。

途上国の MRV を強化するための長期のチャネルを GCF 等に含めるべき。
パナマ

パラ53:REDD+メカニズムを d に追記。

パラ55:Option 1 を支持。
メキシコ

透明性に関する別個のセクションを維持しつつ、他の要素ごとのセクションにリファーするのが
よい。

パラ53:支持。ただし、d について、facilitate を ensure that …. is trasparent とすべき。

パラ54:支持。

パラ55:Option 2 を支持。common MRV framework built on existing arrangements としてはど
うか。

パラ57:c について、先進国が支援提供の情報を提示するという文言を追加。

パラ58:シャポー以外の大半は COP 決定に含めるのが望ましい。南アが言うように2015年に
議論するプロセスやワークショップを行うことがよい。
ヨルダン

パラ53:先進国と途上国の区別をオプションとして追加すべき。a は先進国に適用される。d は
国際的な市場メカニズムが合意されたかのような文言になっているが、まだ合意されていな
い。

パラ54:a は CBDR に反する。

パラ55:Option 1 について、LMDC の提案を支持する。Option 2 は既存の差異化に反する。
Option 3 には反対。

パラ56:Each Party は CBDR に反する。
148

パラ57:d は Parties in a position to do に反対

パラ58:e は市場メカに合意しないので反対。i の南南協力は条約と無関係である。
スイス

各論(緩和、適応等)のセクションに、このセクションの内容を移していくべきである。

パラ53:a は全ての分野に適用されることが重要。b~d について、緩和、適応、実施手段ごと
の内容の違いを反映すべき。e と f はルールに関するものだが、アイデアは支持。

パラ54:a に賛成。b に反対。c は支持。d は decision だけではなく、experience にも立脚すべ
き。

パラ55:全ての国で共通としつつ、柔軟性を持たせ、徐々に高めていくという考え方を含める
べき。

パラ57:すでにあるもの以上のものを含める必要はない。

パラ58:a は経験に立脚すると書くべき。b~d は EU のいうように強化すべき。e について、
“Recognize the use of Article 6 and 12 mechanisms of the Kyoto Protocol and the mechanisms
defined under the Convention in relation to mitigation commitments”として、条約の他の場で
検討されている成果に立脚。

f については、effectiveness を追加しつつ、すでに条約のもとで起きていることをハイライトす
る。
ノルウェー

パラ55:Option 2 の考え方に沿うべき。

緩和、適応、実施手段は性質が異なるのでそれぞれに扱うべき。

アカウンティングに関する部分は緩和のセクションに移すべき。

内容面は COP 決定で扱うべきで、例えば、パラ57の内容は COP 決定で扱うべき。新合意で
は短い条文にすべき。具体的にはパラ53とパラ54を統合して短いものにして、原則を扱う。
例えば、パラ53d について、facilitate を ensure とする。

パラ58:i の南南協力は資金に関するセクションでも扱うのがよい。

インベントリーに関する文言がない。
オーストラリア

単一の透明性のシステムへの参加、システムのメカニクス、原則を、このセクションに含める。メ
カニクスはこのセクションに含めつつ、個別テーマの具体的な側面はそれぞれのテーマのセ
クションに含める。

パラ55:Option 2 を支持。ただし、柔軟性の書き方に同意できない。 例えば、“that is fit for
the purpose with appropriate flexibilities”としてはどうか。さらに、①インベントリー、②緩和約
束・貢献への前進、③適応のモニタリングと評価、④支援の提供と成果を明記してはどうか。ま
149
たプロセス面で、①専門家レビューと②促進的な多国間プロセスも明記してはどうか。

パラ56:報告へのコミットとなっているが、これだけではない。全ての国が共通の透明性システ
ムに参加、および継続的に透明性を改善していくことを追記。

原則として、柔軟性はキーであるが、パラ54b の差異化には賛成しない。能力の低い国への
負荷を増やさないことも必要。パラ54d はあえて合意に書く必要はない。

支援の透明性は同意するが、詳細は COP 決定で定めるべき。

パラ58:c は重要。また、アカウンティングの関する記述は緩和のセクションに移すべき。アカ
ウンティングの原則はパリで合意し、詳細はその後に検討すべき。MRV の詳細についても同
様。
日本

緩和の MRV は全ての国に適用されるべき。パラ55は Option 3 を支持。ただし、排出のインパ
クトや能力に応じた差異化が認められるべき。

アカウンティングルールについて、土地利用とマーケットのパラグラフを含めるべき。パラ58の
シャポーにこの点を含めて、 “The governing body shall elaborate the accounting rules on the
use of market mechanisms and land sector to mitigation commitments/contributions”としたうえ
で、d と e を削除する。土地セクターと市場メカを使う国は、排出・除去量を特定する方法を説
明すべき。市場メカニズムのアカウンティングルールのなかで、ダブルカウントを避ける方法を
国際的に作成されるべき。支援の MRV は既に行われており、関連するサブパラグラフは不要
である。
米国

アカウンティングを緩和のセクションに移すべき。

透明性の要件を完全にパリまでに決めるべき。

パラ53:single をシャポーに加える。c は支援だけではなく、行動にも適用される。オプトアウト
や tier などの柔軟性もこのパラに含める。

パラ54:①隔年報告(緩和、適応、支援をカバー)、②テクニカルレビュー、③実施の促進的
検証(facilitative examination)を含める。各国の事情と能力を考慮することを追記。

パラ55:Option 3 を支持。

パラ56:全ての国に適用。隔年報告のコミットメントや IPCC ガイドラインの使用も含めるべき。

パラ57:パラ56ですでに扱われている。詳細は COP 決定で扱われるべき。b の代わりに、f と
して支援の提供と受け取りに関する MRV について、国別の事情に応じて行うというオプション
を入れるべき。

パラ58:Option 1 として、パリで採択される透明性の要件に関する決定へのリファーを入れる。
サウジアラビア
150

パラ53:b について、tracking of progress を削除。c は by Annex Parties を追加。d は as
appropriate とすべき。アカウンティングは ADP のマンデートではない。

パラ54:emissions and removals を削除し、条約12条を追加。パラ a は支持しない。パラ d は
明確にする必要。

パラ55:「自己差異化に基づき、既存の制度のもとで MRV を行う、その選択肢は条約のもとの
MRV、カンクン合意のもとの MRV、京都議定書の MRV である」というオプションを提示した
い。

パラ57:All Parties を Annex II Parties とする。D の Parties in a position to do so を削除。

パラ58:i に関連して気候資金の定義に合意すべき。
2014 年 12 月 6 日(土)
ADP コンタクトグループ(要素・透明性)
(※前日の議論の続き)
ブラジル

透明性とアカウンタビリティは根本的に異なる。代替可能ではない。アカウンタビリティは法的
義務と結びついている。アカウンタビリティはトップダウンの要素である。サブミッションで
“Economic Mechanism”の概念を提示した。

透明性はサイクルの概念と結びつく。次の期間への準備やニーズと支援のマッチングに関わ
る。緩和だけではなく、適応と実施手段とも関連する。透明性のモダリティとルールについては
交渉をやり直す必要はない。既存のものを活用すればよい。新しいシステムを切開する必要
はない。いまのシステムに含まれている差異化を取り除く提案には賛成しない。

透明性レジストリーをサブミッションで提案した。緩和、適応、実施手段のそれぞれにレジストリ
ーを設けて、2015 年合意に位置付ける。
エクアドル

パラ53:CBDR や先進国・途上国の区別を入れる。

パラ54:existing を入れる。

パラ55:Option 1 を支持。

資金の MRV に関するエクアドル提案(FCCC/AWGLCA/2012/CRP.1)を説明。
http://unfccc.int/resource/docs/2012/awglca15/eng/crp01.pdf
カナダ

二分法は世界の現状を反映していない。柔軟性を有する共通のアプローチが必要。

レポーティングとレビューの一般的原則、緩和の規定、適応と支援の規定という構造をとるべ
き。

パラ55:Option 3 を支持。豪の提案も支持。
151

パラ53:d, e, f は緩和のセクションへ。

パラ58:b, c , d, e は緩和のセクションへ。

透明性についてインフォーマルな議論の場を設けてほしい。
韓国

パラ55:Option 2 を修正のうえ支持。Built on existing institutions を追加。
トルコ

セクション J とセクション K を統合すべき。

Contribution を文書全体で使うべき。

パラ55:Option 2 を支持。

パラ56:including 以下を削除。

パラ57:d で、(in a position to do so を含めず、)Annex II のみとすべき。

パラ58:この段階では、削除。
ADP コンタクトグループ(貢献・約束の時間枠とプロセス)
概要:
(1)要素に関するノンペーパーのセクション K(貢献・約束の時間枠とプロセス)について、各国が
意見を述べた。
(2)サイクルの期間については、以下の意見があった
①10年サイクルを支持
・日本(ただし、5年サイクルに関心がある国があり、努力が10年間もチェックされないことへの懸念
があることを認識)
・EU(“every [x] years”というようにシンプルにすべき。EU は2030年目標を望んでいるが、「5年間
の約束+その後の5年間の示唆的約束」がテーブルにあることは認識)
・メキシコ(10年を望むが、「5年間の約束+その後の5年間の示唆的約束」を検討することを示唆)
・カナダ、韓国
②5年サイクルを支持
・米国
③5年サイクルを支持するが、「5年間の約束+その後の5年間の示唆的約束」も可
・ツバル(LDC)、マーシャル諸島
④「5年間の約束+その後の5年間の示唆的約束」を支持
・ブラジル、南アフリカ、AILAC
⑤「全ての国に10年/5年」
、または「先進国は10年/5年、途上国には多様性」
・中国(オプション1は「全ての国に対して 2030 年/2025 年まで」
、オプション2は「先進
国は 2030 年 and/or 2025 年、途上国には多様性を許容」
)
152
⑥5年ごとに同時更新することを条件に、期間に柔軟性を持たせる
・スイス(全ての国がコミットメントを5年ごとに提出・更新。ただし、5年よりも長い
約束期間の国は、5年後の示唆的なコミットメントを提示)
⑦年数を示さず、全ての国で共通にすべきとだけ発言
・オーストラリア
・ノルウェー(共通である限り、フレキシブル)
(3)その他の論点については、以下の「各国の発言」を参照。インド、ニュージーランド、サウジアラ
ビアなど今回発言出来なかった国は、次回の会合(月曜の予定)で発言する
各国の発言:
中国

タイトルが不明確。 Other matters relating to implementation and ambition としてはどうか。

パラ59.1を削除して、スコープにすべての要素を含むとすべき。

パラ59:timing issue というヘッディングをつけて、(1)合意の開始日、(2)合意の終了年、(3)コミ
ットメントに関する時間枠という3つを扱うべき。それぞれについて以下のオプションを提案。

開始日:オプション1 2020 年 1 月 1 日/オプション2 2020 年の最終日/オプション3:
2021 年 1 月 1 日

終了年:オプション1 2030 年/オプション2 2040 年/オプション3:2050 年、オプション
4 2100 年/オプション5 durable

コミットメントに関する時間枠について、オプション1 全ての国に対して 2030 年/2025 年
まで/オプション2 先進国は 2030 年 and/or 2025 年、途上国には多様性を許容

パラ59.2:「既存の COP 決定のもとでの情報に基づく」を追加。その上で透明性のセクション
に移動。

パラ60:「Option 1 先進国による比較可能性の明確化/Option 2 途上国の行動の多様性
の理解向上/Option 3 Governing body/COP が既存の経験に基づいて手続き等を決定」を
追加。その上で、透明性のセクションに移動。

パ ラ 6 1 : formalization/finalization と は 何 か を 確 認 す る 必 要 す る 。 Option 3 の も と で 、
Attachment A~C とする(A:先進国の緩和、B:先進国による支援、C:途上国の行動)とする。
緩和のセクションに移すことに柔軟でである・パラ62&63:クラリファイが必要であり、ブラケッ
トを付けるべき。

パラ64:「Option 1 2020 年以降の強化された行動の前進をトラッキング/Option 2 長期の
側面の適切性のレビュー/Option 3 条約の目的に向けた実現のレビュー/Option 4 温度
上昇への歴史的責任/Option 5 野心向上」を追加。

パラ65: “every 1/2/3/4/5 years” とすべき。[x]を削除し、「合意が発効後」に変える。

パラ66:Option 1 を支持。その上で、Option 2 の下に、先進国の緩和、先進国による支援、途
上国の行動(緩和 and/or 適応)を入れる。
153

パラ67:①先進国の総量削減目標への revisit、②先進国から途上国への資金・技術・キャパ
シティービルディング提供に関する多国間レビュー、③途上国の強化された緩和 and/or 適
応行動の国内での振り返り(domestic reflection)と国際理解、④すべての国の長期の持続可
能な発展の経路についてのイノベーションに関する理解を入れるべき。

パラ68: 冒頭を“Parties to increase the level of ambition”として、①先進国の野心強化(途上
国支援を含む)、②途上国の強化された行動をその対象とする。

パラ69:a に “including information from NC, BR, national inventory report of developed
countries”を入れる。B は先進国を明記する。d は維持。e は 2013-2015 年レビューとその後
のレビューを明記すべき。f は条約のもとでの関連するすべての制度を明記。

パラ70:「Option 1 いまの文言/Option 2 adopt までを削除したうえで既存の MRV の仕組み
を明示/Option 3 」を追加。
オーストラリア

コミットメントの対象ことに時間枠やサイクルが異なるので、それぞれのテーマのセクションに含
めるのがよい。

パラ59:先進国と途上国で時間枠を分けず、全ての国で共通であるべき。特にレビューは同
じタイミングであるべき。緩和のセクションに反映。

パラ59.1: b がよい。

パラ59.2: COP 決定案で議論している。その結果を反映するのが良い。

パラ60: 事前の検討は重要だが、トップダウンアプローチとならないようにすべき。

パラ60.2:Option 1 がよい。

パラ66: Option 2 がよい。

条約下の制度を認識する条文を別個に設けてはどうか。

セクション L は、applicable to all であるべきで、促進的であるべき。
南アフリカ

2つの5年期間(最初の firm な約束とその後の示唆的な幅)と長期目標の組み合わせからなる
ダイナミックなサイクルを提案する。パラ59について、Option 2 に加えて、長期の経路も含める
べき。

さらに 5 年サイクルのシンプルなレビューが必要。そのために、Ex-ante consideration と
strategic review を統合してシンプルするのがよい。各国のコミットメントと世界全体のレビュー
の両方が必要。各国のコミットメントのレビューは、非規定的・非罰則的で促進的なものである
べき。世界全体のレビューも必要。

パラ69:有用だが、g は削除。

パラ67:各国はレビューの recommendation を考慮して次の約束を検討することを明記すべ
き。
154
韓国

パラ59:Option 3 を支持。

パラ60:Option 2 がよいが、b の言葉遣いに懸念。

パラ60.1:b と c を支持。

パラ60.3:c がよい。

パラ60.4:Option 1 がよい。

パラ60.5:a を支持、その他はクラリファイが必要。

パラ63:さらにクラリファイが必要。

パラ66:中間レビューを支持しており、Option 2 がよい。

パラ69:a と c の考え方を支持だが、文言は改善の必要あり。
チリ(AILAC)

緩和、適応、実施手段のそれぞれの貢献にサイクルの概念が適用されるべき。その際、それ
ぞれの特徴にあわせる。また、サイクルの考え方は、各論のセクションに含まれるべき。

パラ59:Option 2 を支持。

実施手段のサイクルは予算プロセスを踏まえると、1 年か 2 年とするのがよい。

パラ59: 緩和貢献については、b を望む。実施手段の貢献に関する時間枠のパラグラフも設
けて、1 年または 2 年という予算サイクルに合わせる。適応についても、同様に別のパラグラフ
を設けて、適応の性質に合わせたものとする。

パラ59.1:b を支持。

パラ59.2:リマでさらに詳細を議論したい。

パラ60:Option 2 を基礎に議論したい。2℃目標の観点、最新の科学と世代間衡平の考慮も
明記。

パラ60.2: “the year prior to inscription of commitments/contributions”を Option 3 として提
案。

パラ60.3:クラリファイが必要。

パラ60.4:Option 3 を好むが、adjust を revise に変更して、voluntary basis であることを明確に
すべき。

パラ60.5:d のコンセプトがよい。ただし、緩和と実施手段をカバーすると明記。

パラ60.6:緩和の事前評価プロセスは、INDC を提示した直後の四半期に行う。例えば、第 1
四半期に出した国は、第 2 四半期。その際に、グローバルな努力水準をテクニカルな専門家
(UNEP 等)が評価し、レコメンデーションを取りまとめて提示する。適切性と公平性・衡平を
SBI/SBSTA で検討する。検討結果は報告書として取りまとめる。実施手段の貢献については、
常設委員会と TEC でタスクフォースを設置して、各国の貢献の適切性・比較可能性などを分
析・評価し、レコメンデーションをとりまとめる。適応については、事前評価プロセスは不要。
155

パラ61:Option 6 を支持。

パラ62:a を好む。

パラ63:Option 1 を支持。ただ、後退禁止も含めるべき。

パラ64~70:全ての国への 5 年サイクルのレビューを支持。

パラ66:Option 2 を支持。貢献を修正するための野心メカニズムも必要。
スイス

緩和のセクションに移すべき。

約束期間について、ある程度の柔軟性が必要。ただし、全ての国が同時に約束を更新するこ
とが条件。全ての国はコミットメントを 5 年ごとに提出・更新する(ただし、5 年よりも長い約束期
間の国は、5 年後の示唆的なコミットメントを提示)としてはどうか。

パラ60.1:a と b を支持。a について、世界全体での野心度も含めるべき。d は二分法であり
支持しない。

パラ60.2:過度に規定的であるべきではなく、各国によるコミットメントの実施の前に行い、コ
ミットメントに責任を発生させるための最小限の数を定めてはどうか。そうすることで同時性を
確保可能。

パラ61:Option 1 を支持。

戦略レビューは全ての国に適用すべき。
トルコ

10 年期間+中間レビューを支持。

事前プロセスは過度に規定的であるべきではない。
ノルウェー

それぞれのテーマのセクションに移すのがよい。

パラ59:共通である限り、フレキシブルである。

パラ61:コミットメントが義務となるようにすべき。Annex や schedule などの選択肢があり、どのよ
うにして義務的な効力を強化できるかを議論したい。

パラ66:Option 2 を支持。

パラ68&69:支持。

パラ70:有用。
ツバル(LDC)

K-bis として、「支援の貢献」に関するセクションを設けるべき。

パラ59: Option 1 がよい。K-bis にもこのサイクルを含める。Option 2 でもよい。

パラ59.1:a と b は自明。c は緩和の約束と支援への貢献に絞るべき。
156

パラ59.2:事前検討のパラに含めたほうがよい。

パラ60:緩和を対象とした文言になっているが、支援の貢献についても同様の文言が必要。

パラ60.1:d は、LDC が提案している Annex A と Annex B の違いを反映したものにすべき。

パラ60.2: “prior to inscription”としてはどうか。

パラ60.4:Option 2 でよい。

パラ60.5: Technical Body を設けてはどうか。

パラ61: Option 2 がよい。

パラ62:b がよい。セクション M の改正手続きに従う。

パラ64:支持。

パラ65:各約束期間開始の 2 年前にガイダンスを与えることにしてはどうか。

パラ66:全ての国を対象とすべき。

パラ69&70:支持。
EU

緩和野心を徐々に高めるメカニズムが必要。具体的には、事前レビュー、最終決定、キャプチ
ャー、簡潔な更新手続き、5 年サイクルの事後レビューが必要。

合意にはプロセスの創設と重要な原則を含める。モダリティはパリで採択する COP 決定に含
める。

パラ59:every [x] years というようにシンプルにすべきで EU は 2030 年目標を望んでいるが、
Option 2 がテーブルにあることは認識。

パラ59.1:このセクションは緩和を扱うものであることを明確にすべき。

パラ60:Option 1 を削除。Option 2 のシャポーを残しつつ、60.1の内容を含める。

パラ60.2&パラ60.3:内容はよいが、パリでの COP 決定に含める。

パラ60.4:Option 3 と Option 4 を削除。

パラ60.5:COP 決定で定める内容だが、プロセスは合意に含める。

パラ61:Option 1 を支持。

パラ62:更新のための簡潔な手続きが必要。

パラ64~70:既存の緩和コミットメントに対するロバストなレビュープロセスと中間レビューが反
映されていない。最新の科学や 2℃目標の観点から定期的に促進的なレビューを行う。
日本

パラ59:Option 3 を支持。ただし、5 年サイクルに関心がある国があり、努力が 10 年間もチェッ
クされないことへの懸念があることを認識。

パラ60:事前プロセスは不可欠。パラ60.1a の 1 つ目のブレット、パラ60.1c、パラ60.3b を
支持。

パラ60.5:a を支持。ウェブプラットフォームの中で質問に応えていくことを提案している。
157

パラ61:COP21 でコンパイル、その後の国内プロセス(批准)を経て、最終決定となるが、約束
を含める文書の形式について、まだ意見を固めていない。
ブラジル

パラ59:Option 2 がよい。グローバルな野心レベルの向上に役立つ。

パラ59.1:a~c は排他的ではない。d を強調する。実施手段もスケールアップする必要があ
る。

パラ60:Option 1 を好む。ただし、Option 2 を望まないということではない。Option 2 と strategic
review のなかにあるものを組み合わせる単一のプロセスを提案したい。IPCC と条約のもとで
の透明性のプロセスに基づいて、行動と支援の全体レベルを評価し、2℃目標に向けた前進
を評価する。科学と衡平との整合と持続可能な発展へのリファーが全体検討プロセスの原則
である。この観点で、パラ69のシャポーで科学と衡平にリファーすべき。また、各国の温度上
昇への寄与もレファレンスにすべき。野心度は、将来に何をするかだけではなく、各国が過去
に行ったこと(排出、その削減、温度上昇への寄与)にも基づかせる。

パラ61:Option 7 を加えたい(※内容不明)。

パラ62:a を支持。随時更新を可能にするには、Annex では難しい。また、最終的な貢献は批
准と同時にコミュニケートする。このときに、INDC が NDC になる。

全体検討プロセスの成果は、勧告(recommendation)であるが、その法的ステータスについて
はオープンである。他のレジームでは、決定だけではなく、その他の法的レベルのもの(決議
等)もある。
カナダ

セクション K はもっと簡素にすべきで、多くを COP 決定で扱うのがよい。緩和だけとすることが
重要。その他のイシューはそれぞれのセクションで扱う。

パラ59:シャポーに nationally determined contributions を加えて、59.1 を削除。また、Option 3
を支持。

パラ59.2:COP 決定で定めていくべき。

パラ60:事前プロセスは促進的な形で科学や IPCC に基づき、貢献を提出した年に行うのがよ
い。その手続きは COP 決定で扱われるべき。サブパラグラフを削除。

パラ61:貢献に対して法的拘束力を持たせないことで参加を最大化できる。

パラ62:a を支持。

パラ63:ルールは 2020 年までに作っていくものであり、2015 年の時点では具体化が難しい。

パラ64~70:定期的なレビューという考え方を支持。詳細は COP 決定で具体化すべきだが、
パラ66は Option 2 であることが自明。

パラ69:d, e, f, g を支持。
158
アルゼンチン

先進国のコミットメントと途上国の行動に分けるべき。

先進国のコミットメントは緩和と実施手段の提供が入る。先進国は 5 年ごとに提示すべき。

途上国への規定には事前プロセスは適用しない。
マーシャル諸島

全てのコミットメントを同時にレビューし更新するのは困難であり、緩和、適応、資金の時間枠
の違いを反映すべき。

緩和については各国のポテンシャルを最大化するようにすべき。約束提案の提出、事前評価
(野心メカニズム、ワークストリーム2の手法も参照)、前進のロバストなトラッキング、簡素化され
た約束更新の手続きが必要。

パラ59:全ての国が共通の終了年を持つべき。国のカテゴリーにより差異化することに反対。
約束は 5 年ごとに更新、inscription の12~18か月前に提出、10 年後までの 5 年間の約束(例
えば、2015 年には 2021~2025 年の約束を提出)を望む。また AILAC の言うようにその後の 5
年間の示唆的な目標も提示し、後に確定するという考え方も支持。

パラ59.1:削除。

パラ60の Option 2 とパラ60.1のなかに有用な要素があり、それらを統合すべき。IPCC に対
して、5 年ごとのレポート(2019 年、2024 年、・・・)を求める文言を含める。

パラ60.2:「約束提案を inscribe するセッションの 12 か月前」を提案。

パラ60.4:Option 3 を支持。更なる批准が不要な形がよい。

パラ60.5:2015 年に事前プロセスがどのようになるのかを見極めてから検討してはどうか。

パラ61:Option 1 を支持。

戦略的レビューについて、全体の野心度を評価するという我々の考え方に近い。5 年ごとのレ
ビューを行うべきで、最初のレビューは 2018 年と 2019 年に行う。IPCC のサイクルもこれに合
わせるべき。
米国

全ての努力に共通のサイクルはいらない。緩和については 5 年サイクルがよい。適応には終
了年はない。そのため、セクション K の内容は緩和のセクションに移すべき。

緩和のサイクルに関する原則は、①全ての国にスケジュール更新を求めること、②貢献に対
する事前検討期間を設けること、③事務局が各国のスケジュールをオンラインで入手可能な
information document として取りまとめることである。

パラ59:全ての国に 5 年を望む。

パラ59.1:mitigation only という選択肢を加えてほしい。c と d は透明性に含めるべき。

パラ60:事前検討ではなく、協議期間(consultation period)という言葉がよい。パラグラフ全体
をもっと整理すべき。プロセスの目的、タイミング、ガイダンスとモダリティという構造がよい。a
159
は支持しない。

パラ60.1:d は二分法を示唆しており問題。

パラ60.2:「提出後、6 か月間」というオプションを入れる。

パラ60.3:a を支持しない。

パラ60.4:COP 決定に含めるべき内容だろう。

パラ60.5:c の意味をクラリファイしてほしい。

パラ61:Option 5 を支持。

パラ62:a を支持。

パラ64:effect を ambition に変える。

パラ65:「IPCC AR の発表後ただちに」というオプションを追加。

パラ66:Option 2 を支持。

パラ68:合意で最初から決めてしまうことを懸念。COP 決定で検討していくべきこと。

パラ69:d, e, f, g を支持。a~c を支持しない。g にコベネフィットを入れる。

パラ70:京都議定書へのリファーを望まない。
メキシコ

パラ59:10 年を望むが、Option 2 を検討することを示唆する。

パラ59.1:a を望む。

パラ60:米国が言うように consultative period という名称がよく、Option 2 を支持。ただし、
fairness はテクニカルな組織では評価できないものであり、各国で判断すべき。c の deficits と
は何かをクラリファイする必要あり。

パラ60.2:Option 1 を支持。

パラ60.3:a と b を統合するのがよい。

パラ60.4:Option 2 を支持。

パラ60.5:d を支持。テクニカルボディは Adequacy を評価するが、fairness は各国が評価。

パラ60.6:支持。

パラ61:Option 5 を支持。

パラ62:c をオプションとして望む。

パラ63:Option 1 を支持。

パラ64:支持。

パラ66:Option 2 を支持。

パラ65:レビューは永続的に行われるべきもの。5 年を支持できない。

パラ68:a について、次の期間の約束の上方調整プロセスが必要。
キューバ

先進国と途上国が inscribe するコミットメントがまだ明らかになっていない。これが分からないう
160
ちには議論を進めるのが難しい。

事前検討は、先進国と途上国で差異化されるべき。先進国についてはドーハ改正の revisit を
活用すべき。途上国については先進国からの支援が重要。

パラ61:検討するにはまだ早すぎる。

パラ63:Option 3 として、「途上国は極端な自然事象に影響を受ける場合は変更可能」を入れ
る。
マレーシア

短いサイクルでの技術移転と資金提供が与えられることで、途上国の排出削減を促進できる

パラ59:資金と技術の時間枠も必要

パラ60:実施手段との明確なリンクが必要

パラ60.1:衡平に基づくアプローチが必要

パラ60.3:既存プロセスを活用すべき

パラ60.4:CBDR をどのように適用するのか、実施手段がどうなるのかが重要
2014 年 12 月 8 日(月)
ADP コンタクトグループ(貢献・約束の時間枠とプロセス)
(※12 月 6 日(土)の議論の続き)
トリニダード・トバゴ

新しいバージョンは我々の意見を反映されていない。レビュープロセスは戦略レビューではな
く、2013-2015 年レビューとその後のレビューである。

パラ63:後退禁止を含めるべき。

パラ66:Option 2 を支持。
ウクライナ

パラ59:Option 3 を支持。

パラ59.1:a がよい。

パラ60:Option 1 を望む。

パラ60.1:b の fairness を削除。

パラ61:Option 1 を検討。

パラ63:Option 1 を望む。

パラ66:Option 2。

パラ69:新しいバージョンがよい。
アルジェリア(アラブグループ)
161

パラ59.1:先進国は自国決定であってはならない。緩和だけではなく、途上国支援も含む。

パラ59:先進国は 5 年サイクル、途上国は 10 年サイクルを望む。

パラ60:緩和だけではなく、適応と支援を適用すべき。

パラ60.1:先進国と途上国の間の比較可能性を望まない。削除すべき。

パラ60.2:Option 2 を支持。

パラ60.4:Option 2 を支持。

パラ60.5:削除。

パラ61:Option 2 を削除。全てのオプションは CBDRRC と整合的であるべき。

パラ64:既存のプロセスがあるのが不要。
ニュージーランド

緩和のセクションで扱われるべきもの。

パラ59:Option 1 を支持しない。残りのオプションを議論すべき。

パラ59.1:緩和に絞るというオプションを追加。a と c は不支持。

パラ59.2:決定(decision x)にリファーしているがリマの決定が新合意を予断しないようにす
べき。

パラ60:プロセスは不可欠であり Option 1 に反対。Consultation process と呼んだほうがよい。
①貢献の提出、②協議プロセスへの参加、③科学に基づく、④帰結は促進的、⑤時間ととも
に野心強化という構造にしてはどうか。

パラ60.5:a, b, c(ただし事務局による)を支持。

パラ61:Option 5 を支持。

パラ62:a を支持。

パラ64:興味はあるが、クラリファイする必要。

パラ65:IPCC レポートとリンクさせたほうがよい。

パラ66:Option 2 を支持。

パラ67&68:現時点では留保。

パラ69:a, b, c を支持しない。すでにあるプロセスとの重複を避けるためにも、世界全体を対
象とすべき。
サウジアラビア

パラ59:先進国と途上国で区別すべき。

パラ59.1:途上国については a、先進国については b。
ADP コンタクトグループ(決定案)
概要:

12 月 8 日(月)6 時 30 分に示された決定案について、パラグラフごとの交渉を開始した。
162

前文にある最初の 6 つのパラグラフに対して、各国が修正案を提示した。途上国が「条約の原
則・規定に従う、を加筆」(LMDC)、「緩和だけではなく適応・実施手段のパラグラフも含める」
(LMDC、パナマ)、「ロス&ダメージにリファー」(AOSIS、LDC)といった提案を示したに対して、
先進国は「簡潔なパラグラフであるべきで、修正不要」と発言した。
(※詳細は決定案に直接記入する形式で記録し、地球環境対策室に報告した。)
2014 年 12 月 9 日(火)
ADP コンタクトグループ(決定案)
概要:
(1)前日に続いて、前文のパラグラフに対して、各国が修正案を提示した。
(2)適応を扱う前文パラ(※)について、以下のような代替案が示された。
※議長テキストの文言: Affirming its determination to strengthen and scale-up adaptation action
(中略 in the light of the critical importance of resilience to the sustainable development of all
Parties, food security and the eradication of poverty,
①シンガポール:"and scale-up"と"food security and the eradication of poverty"を削除
②チリ:"food security"を削除
③パキスタン:"food and water security"とする
④ブラジル:"in developing countries"をパラの最後に加える→中国が支持
(3)本文パラ1まで議論を進めて散会した。
(※詳細は決定案に直接記入する形式で記録し、地球環境対策室に報告した。)
2014 年 12 月 10 日(水)
ADP コンタクトグループ(決定案)
概要:
ワークストリーム1を扱うパラグラフ 23 まで、各国が意見を修正案を提示した。
(※詳細は決定案に直接記入する形式で記録し、地球環境対策室に報告した。)
2014 年 12 月 11 日(木)
ADP コンタクトグループ(決定案)
概要:
(1)午後 7 時に行われたストックテーキングプレナリーにおける COP 議長のガイダンスを踏まえて、
ADP 共同議長が決定案の改訂版を提示した。
※下記リンクで入手可能
http://unfccc.int/files/meetings/lima_dec_2014/in-session/application/pdf/adp2-7_i3_11dec14t2230_
dt.pdf
163
(2)共同議長から、決定案の趣旨について、残りの時間が限られていることを踏まえて、大幅に短
くしたこと、重要な論点についてはオプションを示したこと、来年の合意を予断しないようにしたこと
などの説明があった。
(3)その後、共同議長から、この会合は決定案の配布に留めて、議論は明日(12 日)の午前 10 時
に再開し、午後1時に予定されている COP 議長によるストックテーキングに進捗を報告するという手
順が示された。締約国からは特に意見がなかったことから、そのまま散会となった。
2014 年 12 月 12 日(金)
ADP コンタクトグループ(決定案)
概要:前日に提示された決定案について、各国が意見を述べたが見解の相違が大きいことが明ら
かになった。
各国の発言:
COP 議長

作業のモードを変えて、加速して欲しい。

隠されたテキストはない。解決策を探してほしい。

ノルウェー、シンガポールの閣僚をファシリテータに指名した。このファシリテーションはここで
の交渉を補完するものである。

午後 1 時にストックテーキングプレナリーを行う。
ナイジェリア

大きな部屋に移るべき。
ベネズエラ

HoDs が席に着けるようにすべき。オブザーバーも入れるべき。
ニカラグア

部屋を変えるべき。オブザーバーも入れるべき。
サウジアラビア

パラ6は受け入れられない。スピンオフで議論すべき。そうしないと、間に合わなくなってしま
う。
ボリビア(G77)

条約の原則(CBDRRC)や規定への明確なリファーがないことを深く懸念。
164

先進国と途上国の差異化がないことを懸念。関連して、実施手段と資金について、共通の提
供義務が読めるようになっていることを懸念。支援は先進国から途上国に提供することを明確
にすべき。

ロス&ダメージを適応から分けていないことを懸念。

緩和、適応、持続可能な発展、貧困削減のリンクが反映すべき。
ナイジェリア

部屋を変えるべき。会合をサスペンドすべき。
グアテマラ(AILAC)

議論を続けるべき。

並べられたオプションのなかではオプション3がもっとも野心的。
ベネズエラ

オブザーバーも入れるべき。
タンザニア

HoD が席に座れていない。
ロシア

HoD はバッジの色が違うのに中に入れないのは国連側の落ち度ではないか。
→プレナリー・クスコに移動
ナイジェリア

要請を受け入れたことに感謝。
共同議長

セキュリティの問題があった。共同議長の意図ではない。
グアテマラ(AILAC)

パラ3の annex I への言及は根本的である。

パラ6はもっと作業が必要。これでは assurance にならない
EU

パラ7:INDC は緩和であるべき。他のイシューにはこのプロセスは機能しない。適応を自発的
165
なベースで INDC を含めることを検討してもよい。ただし、事前情報を強化する場合に限る。資
金を INDC に含めることには反対。

パラ11:Option 3 を望む。フィンガーポインティングを望んでいない。促進的なものであるべき。
そうであることを明示する文言を準備している。

パラ13:Option 1 を望む。

差異化について、要素のペーパーに、全ての国の考えが反映されている。前文に含まれてい
る。
ツバル

パラ6:非常に問題である。どのように支援が提供・動員されるのかが不明確。パラ9と関連して、
支援の indication は INDC の不可欠な要素。

パラ7:Option 3 に基づいて議論。ただし、資金は選択的であるべきではない。LDC への特別
な事情に関する文言がなくっているが、これは根本的に必要。

パラ9:Option 3 に支援提供について。パラ6と Annex にも反映。

パラ10:Option 3 を望む。

パラ14:OK。

パラ15:具体的なタイムラインの文言を容易している。
インド

オプションのないパラグラフに多くの懸念がある。ダーバンのマンデートである Under the
Convention が損なわれている。衡平と CBDR が尊重されていない。既存の制度アレンジメント
に基づく多国間のルールベースのシステムという考えや差異化もない。

パラ7:Option 1 を支持。

パラ9:Option 1 を支持。

パラ11:Option 1 を支持。

パラ13:Option 1 を支持。
サウジ

パラ6を検討できない。議論のベースにならない。条約のもとでのコミットメントを損なう。スピン
オフグループでもっと議論する必要

他のパラグラフについては LMDC を待つ
メキシコ

資金の問題を明確に扱っていない。これを解決しないと前に進めない。主に資金と技術の支
援を求めている。

パラ7:Option 3 を支持。
166

パラ9:Option 3 を支持。

パラ11:Option 3 を支持。

パラ13:Option 3 を支持。

パラ2:ロス&ダメージは重要。Adaption and ロス&ダメージとすべき。
オーストラリア

パラ9:Option 2 を支持。ただし、as relevant any assumption and methodologies を追記したい。

パラ2:昨年、ロス&ダメージで妥協した。ワルシャワメカニズムは新合意でも serve すべき。パ
ラ5の文言を使うか、パラ2のロス&ダメージを削って、With any associated institutional
arrangements を入れる。

パラ7:Option 2 を支持。

パラ13:Option 1 を支持。
中国

原則、差異化、実施手段がテキストに含まれるべき。

オプションのパラグラフに多くの懸念がある。Should be under the Convention and guided by
principles and provisions を入れるべき。

パラ6:other Parties in a position to do so を削除すべき。

パラ7:Option 1 か、Option 2。ただし、(条約 2 条ではなく)条約 4 条に基づくとする。

パラ9:Option 1 がよいが、条約12条と関連する報告に関する決定に従うとすべき。Option 2 と
Option 3 と annex を支持しない。先進国と途上国の差異化が入っていない。

パラ11:Option 1 を支持。

パラ13:Option 3、ただし修正が必要。revisit mechanism のモダリティを含めるべき。
ボリビア

パリの合意を予断しているが、このテキストに基づいて作業できる。

全ての要素は条約の下にあるべき。この点が強力な形で前文に書かれるべき。その際に、条
約の原則・規定も考慮と書く。

パラ6:先進国から途上国に責任を転嫁しており合意できない。

パラ7:Option 1 を支持。ただし、条約 2 条だけではなく 4 条にも従うとすべき。

パラ9:Option 1 を支持。ただし、Annex I、non-Annex I、Annex II で差異化すべき。自ら公平
性と衡平を検討することになっているが、残りのカーボンバジェットの分配に関する公平性と衡
平の指標について議論すべき。

パラ11:Option 1 を支持。残りのオプションはデファクト・ボトムアップアプローチであり、認めら
れない。

パラ13:Option 3 を強化すべき。緩和だけではなく、適応、資金、技術、キャパシティービルデ
167
ィングも扱うべき。

Annex:差異化されておらず問題。国際的な市場メカニズムとは何を指しているのか不明確。
CDM なのか、それ以外のものなのかが分からず問題。
マーシャル諸島

パラ7:緩和がコアであるかぎり、適応を入れてもよい。Option 3 にこれが反映されている。

パラ11:Option 3。

パラ6:先進国による 2020 年までの 1000 億ドルの動員を越えるものがこのパラグラフに含まれ
るべき。
フィリピン

パラ2:ロス&ダメージの前の including を削除。

パラ7:Option 3 を望む。a mitigation contribution, and may include contribution on adaptation
を削除し、contribution on mitigation, として、capacity building のあとに、where appropriate,
contribution on adaptation を入れる。

パラ9:Option 2 を望む。 And equitable を削除し、, inclusive, respectful of human rights in
particular rights of indigenous peoples and women, とすべき。

パラ14:同様に indigenous peoples and women を入れる。
スーダン(アフリカグループ)

条約4条に明確にリファーすべき。Recalling the principles and provisions でもよい。

パラ3:2 月の会合をどのように進めるのかについてはっきりしないと、要素ペーパーに同意し
がたい。

パラ5:legal form と content の両方を予断しないような文言にすべき。

パラ6:other Parties in a position to do so を懸念。ambitious mitigation のあとに in developing
countries を入れる。

パラ7:Option 3、ただし、Parities INDC will include contribution on mitigation, adaptation,
finance, technology development and transfer, and capacity building, as appropriate とする。

パラ9:Option 2 がよいが、スコープを予断しないこと、また支援についても定量化することを含
めるべき。適応については、先進国はプラニングと支援、途上国はプランニングとニーズを含
める。

パラ11:適応ニーズと支援も事前評価の対象とすべき。
タンザニア

パラ7:Option 3 がよいが、適応は我々のグローバルな貢献であり、貢献に含めるべき。実施
手段が明確でなければ、貢献もできない。
168

パラ6:スーダンと同様。

Annex: 能力が不足しており、差異化がなければ、これを満たせない。
エチオピア

パラ8:facilitate clarity の意味が分からない。Help clarity なら理解できる。同様のことがパラ9
にも当てはまる。パラ14a も同様

パラ10:implementation への支援も含めるべき
スイス

ロス&ダメージは 2015 年合意に含めるべきではない。

全ての Option 1 はワルシャワよりも弱い文言である。

パラ7:Option 2 を支持。

パラ9:Option 2 を支持。

パラ11:Option 3 を支持。

パラ13:Option 1 を支持。

しかし、これでは弱い。パラ6は不要だと思うが、より野心的な成果を追求すべき。適応に関す
るプロセスについて、INDC と切りはなして立ち上げることを提案していた。ただし、INDC に適
応を含めるならば、より多くの事前情報を欲しい。また、緩和の INDC は定量的であるべき、市
場の利用に関するアカウンティング、途上国は支援を条件づけない INDC と支援を求める
INDC を含めるべき。Option 2 を越えるべき
コロンビア(AILAC)

パラ7:資金も貢献に含めるべき。2020 年までの目標からの progression が必要。

パラ9:Option 3。Shall を維持すべき。

パラ11:Option 1 は不可。Option 3 を強く望む。

パラ13:Option 2 を望むが、Option 3 の a~e を扱うべき。
トリニダード・トバゴ

前文に長期の温度目標(2℃・1.5℃)を含めるべき。

パラ7:Option 3 を支持。Option 2 も検討しうるが、その場合、パラ9は必ず Option 3 とすべき。
Option 1 は不可。

パラ9:Option 3 を支持。ただし、妥協のために Option 2 とのコンビネーションも支持。Option 1
は不可。

2℃または 1.5℃に整合していることを確認することが必要。Equitable は、関係するツールがな
く予断することになるので削除。

パラ11:オプション3を支持。
169
エジプト

差異化がないこととパリ合意の予断が問題。この文書が緩和にフォーカスしていることが予断
である。一方、INDC に関する資金について、明確なタイムラインの記述がない。

パラ6-bis として、”agrees that the scaled-up, new and additional, predictable, adequate as well
as ・・・”の支援を途上国に提供するという文言を提案。

パラ3:annex I に懸念がある。まだ議論しておらず、法的なステータスを与えるべきではない。

Annex II:もっと議論する必要。

特定のオプションを支持するのは難しい。修正が必要。

スーダンがいうように、Recalling the principles and provisions を前文に入れるべき。
ナイジェリア

このテキストは歪んでいる。

パラ1:条約の原則を反映すべき。他のパラグラフも同様。

パラ2:ロス&ダメージの前にある including を削除。

パラ7:”INDC submitted by Annex I Parties should be ambitious enough in accordance with
IPCC AR5”を加える。 発効要件を削除。
ロシア

パラ2:ワルシャワの決定があるので、パラ2にロス&ダメージを含めるべきではない。

パラ7:Option 1 をベースとすべき。INDC は野心的であるべきだが、progression beyond the
current understanding というような具体化を望まない。

パラ9:annex II で具体的に縛ってしまうべきではない。

パラ11:fair and equitable distribution を望まない。Option 2 の dialogue between the session の
意味が不明。In-session workshop なら明確である。またこのプロセスの目的を明確にすべき。
INDC に対する不要な精査は避けるべき。
ブラジル

このテキストは、野心が足りず、資金の記述は不十分であり、差異化は不明確である。後退禁
止の書き方も明確ではない。しかし、このテキストに基づいて作業を試みたい。

前文:under the Convention がよい。

パラ6:other Parties in a position to do so に懸念。エジプトの提案に関心。

パラ7:Option 3 を支持。アフリカグループによる提案(=適応の後に as appropriate を追加)に
関心。緩和、資金、実施手段は選択的であるべきではない。

パラ8:early action を含めたい。

パ ラ 9 : Option 3 を 支 持 。 し か し 、 methodologies, land-use accounting approaches を
170
Methodological approaches to estimate and account for anthropogenic GHG emissions by
emissions, and, as appropriate, removal of sinks に変える。

パラ11:Option 1 を支持するが、妥協のために Option 2 でもよい。

パラ12:encourage では弱すぎる。

パラ13:Option 3 がよいが、(a)は削除すべき。ICA/IAR をリオープンするため。
EU

多くの国がこれまでのポジションをリピートしている。

INDC は緩和のために作られたプロセスだが、適応を自発的なベースで含めることにフレキシ
ブルである。これまでのポジションから動かない国に、フレキシブルになることを求める。

パラ6:other Parties in a position to do so に合意できないのであれば、削除して、合意できると
ころにフォーカスしてはどうか。
パキスタン

パラ2:legal parity を追加すべき。

パラ3:更なるアイデアの提示を可能とするような文言にすべき。

パラ6:other Parties in a position to do so は政治的な問題であり、この考えを削除すべき。

パラ7:Option 1 を支持。

パラ8:支援のニーズと提供も含めるべき。

パラ9:Option 1 を支持。ただし、支援のニーズと提供も含めるべき。

パラ11:Option 1 を支持。

パラ12:強い言葉が必要。

パラ13:Option 1 を支持。

パラ14:(v)に適応の要素も含めるべき。
共同議長

要素のペーパーの最初の脚注で懸念の点に対処している。
トルコ

パラ1:新合意は under the Convention であることを confirm している。

パラ6:この文言は新合意を予断しており、削除すべき。

パラ7:Option 1 か Option 2 を望むが、Option 3 にも反対ではない。

パラ8:パラ1と統合してはどうか。

パラ9:Option 1 か Option 2 を望む。

パラ11:Option 1 か Option 3 を望む。
171
マレーシア(LMDC)

Guided by the Convention ではなく、under the Convention や in accordance with principles and
provisions とすべき。衡平と CBDR も含むべき。

パラ2:with legal parity を in a balanced manner のあとに含める。

パラ3:annex I を交渉のベースであることを認めてしまうことになってしまうことを懸念。
Continues its work pursuant to paragraph 5 of 1/CP.17 としてはどうか(134 分)。Future and
previous submissions も。

パラ5:arrangements in relation to communication and implementation とすべき。また、legal
nature だけではなく、content も含める。

パラ6:資金だけはなく、技術も含めるべき。Other Parties in a position to do so は、条約を、改
正を通さずに変えようとするものでありレッドライン。mobilize も問題。前のバージョンのパラ14
(a)があったが、このようなものが必要。

Annex II:削減の定量化を求めているのに、支援の定量化を求めていないのは問題。

パラ7:条約 2 条のあとに、条約 4 条を加えるべき。

土地部門へのリファーを削除すべき。

事前アセスメントについては、もしそれを始めるのであれば、EU がいうように促進的なものであ
るべき。
ナイジェリア

パラ10:in a position to do so を削除。また means of implementation を加える。
UAE

パラ3、パラ4、パラ5、パラ16等はすでに合意しているように見える。

前文に、条約の原則をリファーできるのではないか。

パラ6:2020 年までの先進国の目標をどのように達成するかの明確性が必要。削除が簡単な
方法だが、何かをできるのではいか。

パラ7:Option 2 がよいが、Option 3 にも出来るのではないか。Option 2 の後半も多少の作業。

パラ9:Option 1 がベストだが、Option 2 が更なる議論のベースになるだろう。

パラ11:Option 1 がよいが、Option 2 でコモングラウンドを探れるのではないか。

パラ13:Option 2 を望む。
南アフリカ

前文に under the Convention が必要。

パラ2:with a view to holding 2℃/1.5℃ and level of adaptation efforts required… linked to
mitigation efforts….に置き換えてはどうか。

パラ6:other Parties in a position to do so を削除。
172

パラ7:Option 3 がよいが、may を削除し、shall also include contribution on adaptation。

パラ9:Option 3 がよいが、undertaking in national adaptation efforts を入れる。

パラ11:Option 3 がよいが、11-bis として、土地部門に関する既存の方法論上の規定に関する
テクニカルペーパーとワークショップを加える。

パラ13:Option 2。

パラ14:ダウンスケールした気候予測と適応支援を(vi)として含める。
エクアドル

長期の資金の重要性を強調する。
ニュージーランド

貢献のスコープは緩和限定、定量化可能な緩和貢献が必要と主張してきたが、このテキストを
ベースに議論したい。

差異化の問題は、ここでは解決されていない。新合意を予断しないと書かれており、要素テキ
ストの中で来年議論していくものと理解している。二分法を再度持ちこまないようにしてほし
い。

パラ2:inter alia があるので排他的なリストではない。

パラ6:このまま支持する。ただし、レッドラインを越えないように交渉したい。

パラ7:Option 2 がよい。緩和から適応に広げる場合でも、緩和と同様ではなく、必須にしない
ほうがよい。

パラ9:Option 2 に assumption and methodologies, land-sector accounting approaches, expected
use of market mechanisms を追記。

パラ7とパラ9にクリアなリンクがある。同時に検討すべき。

パラ11:Option 2 がよい。各国の貢献の公平性と全体の積み上げの両方が必要だが、Option
3 には入っておらず、支持しない。

パラ13:Option 2 を望む。Option 3 はワルシャワのマンデートを越える。
日本

前文:この短いものを望む。

パラ6:この文言のままを支持。特に other Parties to do so を支持。

パラ7:Option 2 を望む。ただし、EU のように適応にリファーすることには貢献と特徴付けない
のであれば柔軟である。資金、技術、キャパシティービルディングへの言及は望まない。

パラ9:Option 2 を望む。ニュージーランドの提案を支持。

パラ11:Option 2 を望む。

パラ13:Option 1 がよいが、Option 2 でもよい。Option 3 は望まない。
173
ニカラグア

Annex I は共同議長のレポートに添付することを望む

パラ6:削除

パラ11:Option 1 を支持。

パラ13:Option 1 を支持。
マラウィ

パ ラ 6 : support for ambitious mitigation and adaptation action で は な く 、 means of
implementation。

パラ7:EU や日本の示した柔軟性も踏まえて、Option 3 をもとに議論したい。

パラ9:支援に関する情報はレッドラインである。
2014 年 12 月 13 日(土)
ADP 非公式プレナリー
概要:
(1)午後 7 時に散会後、午前 1 時より開催とのアナウンスがあったが、実際には午前 2 時 15 分に
開始した。
(2)冒頭、共同議長が決定案(L 文書)を提示し、その内容を説明した。
(3)速やかに最終プレナリーを開催したいと共同議長より説明があったが、多くの途上国が「一部
の国は事前にコンサルテーションを受けていたようだが、多くの途上国はそのようなコンサルテーシ
ョンを受けていなかった。この会合の前にテキストを見た国があった。テキストを検討するのには時
間が必要」と主張した。これを踏まえ、同日午前 10 時より閉会プレナリーを開催するとアナウンスし
て散会した。
各国の発言:
COP 議長

ADP での議論、閣僚のコンサルテーション、COP 議長によるコンサルテーションを重ねてきた。
それを踏まえて、ADP 共同議長が準備したテキストをここで提示する。全ての国はこのテキスト
に live up できるはずである。オープンドアで議論したい
共同議長

FCCC/ADP/2014/L.5 を用意した。テキストは全ての国にとって不満のあるものだろう。このテキ
ストはコンセンサスで採択されなければならない。

前文を追加した。ADP の work は under the Convention であり、条約の原則に導かれることを
記した。また、ADP に関するこれまでの決定を想起し、ギャップに留意することも示した。
174

資金について、その重要性を考慮し、パラグラフ6からパラグラフ3に移した。先進国から途上
国に資金を提供・動員することとその意思の他の国も支援を補完することを記した。

パラ4は、要素ペーパーを acknowledge している。

INDC に関するパラグラフは 2015 年合意を巡る来年の交渉に影響しないようになっている。各
国に等しく unhappiness を分配したつもりである。LDCs と SIDs への特別の考慮、INDCs に適
応のコンポーネントを含めることなどを盛り込んだ。提出時期や INDC が明確化、理解、透明
性の促進を目的とすることに関するワルシャワの文言も引用した。パラ 12 については、オプシ
ョン 2 に近く、INDCs を提出する際に提出する情報を示した。

パラ 14 については、対話を行うのであれば、国家主権を尊重し、非介入的で促進的であり、
参加を強制されるものではないとした。これは良い妥協であると考えている。

パラ17については、もっとも野心的なバージョンを採用した。パラ18は TEM を扱っており、ユ
ースと女性などへの言及を含めた。残りのパラグラフには変更を加えていない。

ここでこの会合を閉じて、2~3分後に閉会プレナリーを始める。
キューバ

すぐに閉会プレナリーを始めるとのことだが、テキストを見る時間は与えられないのか。
共同議長

どれくらいの時間がかかるか。
キューバ

出来る限り速やかに行うが、どれほどの時間がかかるかは分からない。
共同議長

変更点はあまり多くはないので、30 分でどうか。
キューバ

COP 議長は透明性を強調してきた。この原則は最後まで貫かれるべきだ。全ての国が時間を
与えられるべきである。
マレーシア(LMDC)

COP 議長のコンサルテーションを受けなかったのは残念である。グループとして多様な意見を
反映させなくてはいけない。検討する時間を十分に欲しい。
ベネズエラ

12 時 45 分にコンサルテーションのための電話を受けて、部屋で待っていたが、結局、コンサ
175
ルテーションを受けなかった。これは 2009 年のコペンハーゲンと同様である。テキストを読む
時間を十分に与えてほしい。いくつかの先進国が先回りしてテキストを見ていた。
スーダン

COP 議長にコンサルテーションに参加したいと伝えた。我々よりも早くテキストを見ている国が
あることを知った。これには懸念がある。他のパーティーが与えられたようにコンサルテーショ
ンの機会を与えてもらいたかった。テキストを読み、他のパートナーと協議する時間が必要で
ある。
ツバル

COP 議長、閣僚ファシリテーター、ADP 共同議長、事務局の努力に感謝する。いくつかのグ
ループがこのテキストについてコンサルテーションを受けていたが、LDC は受けていなかった。
Take-it-leave-it ではなく、テキストに反応するプロセスが必要である。
共同議長

Take-it-leave-it ではない。
EU

EU もテキストをずっと待っていた。COP 議長が透明性を持って対応していると理解。いまこそ、
妥協をすべきだ。
ボリビア

適切な時間を与えられるべきだ。
ボリビア

G77/中国として議長を信じてきた。コンサルテーションを行えなかったが、各国からの提案に
オープンであろうとすることは重要である。文書は 4 ページ+37 ページある。これを 3 分で終了
するのは無理。コペンハーゲンを想起する。3 分や 30 分ではなく、十分な時間が必要。議長
が我々をリードしてくれると信じている
共同議長

COP 議長ではなく、ADP 共同議長が短い時間を提案しているので、非難するのは ADP 共同
議長にしてもらいたい。
ニカラグア

2009 年のコペンハーゲンでは 3 時半にテキストが提示され、1 時間しか与えられなかった。今
176
回も 2 時半に提示され、30 分しか与えられない状況になっている。大多数の途上国がコンサ
ルテーションを受けていなかった。一部の国はコンサルテーションを受けていた。レビューする
時間が必要である。
タンザニア

共同議長、COP 議長に感謝する。この 2 週間エンゲージすることができた。スーダン、ボリビア
の発言を支持。我々はこの重要な文書をそのような短時間で確認できないことを理解してもら
えると思う。コンサルテーションの機会が重要である。
コンゴ民

いくつかの国がテキストについて事前にコンサルテーションを受けていた。アフリカには 54 カ
国あるが、適切なコンサルテーションが行われなかった。残りの国に対するバランスを取り戻す
必要がある。
グアテマラ

検討する時間は必要であるが、デッドラインも必要である。共同議長からのガイダンスを求め
る。
ナイジェリア

コペンハーゲンを繰り返したくない。グループとして、各国として、検討する時間が必要であ
る。
共同議長

急かしたいわけではなく、帰路に就く国も出てきていることを懸念した。グループ内だけではな
く、グループを越えて検討してほしい。お互いで、そして各国の首都と検討してほしい。そこで、
明日の 10 時に ADP 最終プレナリーを行うことを提案する
ADP 閉会プレナリー
概要:
共同議長が準備した決定文書案に合意できず、CO 議長のもとでの調整を行うことになった。
各国の発言;
共同議長

L.5 を検討するように求める。
スイス(EIG)
177

昨夜のペーパーは誰にとってもアンハッピーであり、今回目指したものの全てを達成できたわ
けではないが、現時点での最大限に野心的なものとして、このまま受け入れることができる。
スーダン(アフリカ)

ADP のワークは under the Convention であり、条約の原則・規定に従わなければならない。差
異化のコンセプトを損なうものではなってはならない。スコープについては、要素間のパリティ
が必要である。アフリカのプライオリティーは、適応、資金、技術、キャパシティービルディング
である。これらは等しく、バランスをもって扱われなければならない。適応を緩和より下に位置
付けることは不可。また、アフリカの緩和の INDC は先進国からの資金の INDC がなければ受
け入れられない。どんな情報も、適応と支援を考慮しなければない。

採択を懸念する。要素を等しく扱っていない。ある要素は義務的で、別のものは自発的である。
また差異化を損なっている。共同議長と締約国とさらに作業したい。アフリカグループは、これ
をもとに進めるポジションにない。
EU

テキストは EU の提案を完全には取り入れていないが、この惑星を守るために、パリでの成功
のために、EU はこのテキストを支持する
ツバル(LDC)

テキストを慎重に検討した。多くの妥協を反映している。LDC についての特別の考慮を取り入
れたことを感謝する。要素にリファーことも評価する。しかし、まだ手術が必要である。特にロス
&ダメージを明示的に示すべきである。最貧層が気候のインパクトから回復するための永続
的なアレンジメントが必要である。
ベリーズ

ベリーズにとって、条約の目的を recall することが重要である。INDC を得ている。また事前の
プロセスも得ている。2020 年までの野心も同様。しかし、全てを得たわけではない。ここで再度、
テキストをオープンしてしまうと、多数のオプションだらけの文書になるか、中身の薄い文書に
なってしまう。締約国にこのまま採択することを求める。
チリ(AILAC)

これは明確に妥協のテキストであり、価値を認める。事前情報、事前のコンサルテーション、野
心、要素が重要なイシューだった。適応と実施手段について議論を進めたかった。今日、決
定を先延ばしにしてしまうことは深刻な問題を引き起こす。
マレーシア
178

我々は差異化された世界にいる。植民地化された時代から始まっている。それゆえ、条約に
は附属書I国と非附属書I国がある。このレッドラインはこのテキストでは対処されなかった。①
条約の下にあり、原則に従うこと(衡平と CBDR)、②INDC について附属書 I 国と非附属書 I
国を差異化すること、③other Parties in a position to do so や willing to do を使わないこと、④
INDC のスコープには全ての要素を含むこと、⑤INDC のアセスメントを行わないこと、⑥2015
年合意に向けて締約国のサブミッションが重要であることを求めた。

他のプロセスの交渉に関わってきたが、テキストを提示したときは真剣に検討されてきた。しか
し、このテキストでは、我々のテキストが採用されなかったことを深く失望する。

CBDR が適切に認識されていないこと、INDC と情報に関して差異化が考慮されていないこと、
willing to do so が使われている、先進国の資金貢献についての情報がない、緩和に偏ってい
る、2015 年合意を予断していること、来年のアレンジメントが入っていること、ノンペーパーを
来年の交渉の基礎としていることに失望している。

時間を使い尽くしているが、手術が必要。チーフ外科医である COP 議長のもとでのプロセスで
検討を続けていきたい。共同議長の今回の進め方には不満はないが遅かった。誰も責めるつ
もりはない。深刻な懸念がある。
サウジアラビア

このテキストは我々が必要とするスナップショットになっていない。各国の貢献を予断する内容
になっており、有益ではない。建設的に交渉してきた。どのグループに対しても受け入れられ
ないものを迫るようなことであってはならない。
ベネズエラ

条約を再交渉するつもりはないが、しかし、これは条約を破壊しようとするものである。これはこ
の交渉を再度損なった。アフリカグループ、LDC、LMDC を支持する。
ナイジェリア

コンサルテーションを行ったことで、外されているという感覚が弱まった。アフリカグループが提
示したイシューに対処すべき。条約の原則・規定に適切にリファーし、附属書 I 国と非附属書 I
国の差異化をテキストの適切な場所に反映し、INDC と要素において緩和と適応を等しく扱う
べきである。マレーシアが指摘した点も同様である。
アルジェリア(アラブ)

このテキストを支持できない。
コンゴ民

6 つの要素を等しく扱うべき。パラ7、8,9、11に先進国と途上国の差異化は反映しなければ
179
ならない。貢献のスコープはこれら 6 つの要素を扱わなければならない。テキストをこのままで
は受け入れられない。テキスト提案を受け付けて、いまのテキストにいくつかの重要なイシュー
を入れ込む形で作業をしていきたい。他の国とともに建設的に議論したい
ロシア

昨夜手続き論で再び危機に陥りそうになったことは懸念するが、これまでの進め方には満足も
している。ロシアはこれを支持する準備がある。
マーシャル諸島

物事を進めていくために、不満を受け入れるときがあることを理解している。パリの成功がなけ
れば、国の存在が危うくなる。前に進めよう。いますぐに COP で採択すべきだ。
エジプト

テキストには不満がある。公平ではない。発言のあとの拍手からも分かるように、この部屋はい
ま 2 つに割れている。このテキストは 2015 年合意を悪い方向で予断している。このテキストは
受け入れらない。
エルサルバドル

最後の努力をすべきだ。世界を失望させないようにしよう。
ソロモン諸島

ロス&ダメージが明示的に書かれていないことを懸念。6 つのコア要素に加えて、ロス&ダメー
ジを stand alone に加えてほしい。我々の嘆願を聞いてほしい。
オーストラリア

COP 議長と共同議長の進め方に感謝する。これは妥協のうえに成り立つテキストである。もち
ろん不満はあるが、妥協のテキストである。これを採択しよう。
インド

アフリカ、LDC、LMDC の言ったことに対処すべき。INDC は適応、資金、技術、キャパシティ
ービルディング、緩和の全てを扱うべき。貧困層のことを想起しよう。汚染者に支払わせるので
はなく、貧困層に支払わせるのはやめよう。COP 議長と議論する準備がある。
ウガンダ

支援、特に脆弱国への資金支援が重要である。ロス&ダメージがなくなったことを懸念。来年、
法的拘束力ある議定書に合意すべく、共同議長と COP 議長を支援して、リマで成果を得た
180
い。
シンガポール

滞在している 9 割以上の閣僚とコンサルテーションを行った。①under the Convention, guided
by the principles、②INDC のスコープのバランス、③資金支援が与えられることとその後退禁
止、④野心の規模(2℃・1.5℃を満たすため)、⑤将来の法形式や差異化のあり方をリマで予
断しないことを解決すべきことが分かった。テキストを改善すべく、真剣な努力をした。しかし、
さらなる調整が必要である。どこに手術が必要なのかを見極める必要がある。
パラグアイ

このテキストは山岳国家の懸念に応えていない。
中国

意見の相違が大きい。中国はマレーシアが発言した LMDC の立場、アフリカグループの立場、
LDC の立場を支持する。共同議長の努力に感謝する。ノルウェーとシンガポールの努力にも
感謝する。現在の決定案は昨日よりも改善しているが、バランスを欠いたままである。CBDR
や先進国と途上国の差異化、2020 年までの緊急性に対処していない。このテキストは途上国
の懸念に応えるべく、さらに改訂されるべき。ADP のテキストへの合意はリマの成功に不可欠
であるが、しかし今、デッドロックの状況に陥っている。COP 議長が異なるポジションを調和化
するガイダンスを行うことを望む。そして、リマの成果をバランスのとれたものとすべき
米国

共同議長と COP 議長に感謝。このテキストは我々の見解を十分に反映するものになっていな
い。しかし、長い交渉をする時間がもうない。このテキストはバランスがとれている。この COP の
成功と来年の成功、この条約がステークである。ここで決裂すると深刻な影響がある。全ての
国が解決することを望んでいる。我々は安定的でルールに基づき法的効力がある合意を初め
て作ろうとしている。十分に野心的でなくても、徐々に野心を高めていくものであり、自国決定
という構造で完全に差異化し、CBDRRC は異なる国別事情のなかで考慮される。新合意は、
アカウンタビリティ、透明性、レビュー、レポートティングの基盤を与えるものである。また適応
の位置付けを高め、プラニングだけではなく、実施も進める。さらに資金と技術の支援も大規
模に提供する。来年成功すれば、このようになる。いま達成できることとできないことを意識す
べき。要素のテキストは多くのイシューについてニュートラルであり、全ての要素が確保されて
いる。米国の差異化に関する見解は決定に反映されていないが、要素ペーパーには反映さ
れている。前に進もう。完璧を良いことの敵にすべきではない。COP 議長を支持する。他の国
にも支持を求める。
181
ニュージーランド

ここにいる国は、同じことに懸念があり、そして異なる懸念をもっている。テキストの提案はある
が、それを行わない。要素のテキストは、この部屋にあるどの立場も損なっていない。米国が
いうようにリスクにおかれているステークは大きい。
日本

共同議長が決定案を改訂したことに感謝。二人の閣僚にも感謝。このテキストは慎重に書か
れており、様々な国の意見のミドルグラウンドを追求しつつ、来年の合意を予断している。満
足していない部分もあるが、これは他国も同じであると理解している。多くの国が言うように、妥
協のテキストである。時間もない。このまま、テキストを受け入れる準備がある。他の国にもそう
することを望む。パリに向けて、前に進めよう。
キューバ

COP 議長に最後の努力を行うというアイデアを支持する
ベラルーシ

このテキストを支持する。他の国に妥協を求める。
南アフリカ(BASIC)

アフリカグループの見解を支持する。BASIC グループは①貢献のスコープ、②差異化、③支
援、④アセスメントプロセスの懸念を理解する。受け入れ可能なテキスト案を容易している。最
後のマイナーな調整を行おう。
クック諸島

ロス&ダメージは 2015 年合意で別個の要素として扱われるべき。しかし、要素テキストに反映
されており、パリまでに交渉できることも理解。このテキストを支持する
フィリピン

ロス&ダメージは別個の要素で扱われるべき。人権の要素も重要である。しかし、このテキスト
を受け入れることを支持する
ブラジル

特に重要なイシューはルールベースのシステムであり、条約の原則・規定・構造を完全に実施
すべきである。選択的に実施すべきではない。ブラジルは会議に先立って建設な提案を行っ
た。これは二分法による差異化ではない。差異化は過去へのレファレンスではなく、各国が公
平で衡平であることを認識するために必要であり、自己差異化は条約を損なうものである。共
182
同議長と COP 議長に対して、マイナーな変更によって合意を目指すことを提案する。
共同議長

この部屋にはコンセンサスはない。このテキスト(L.5)を COP 議長に送る。COP 議長が合意を
目指してコンサルテーションを行う。クロージングステートメントは COP の閉会プレナリーで行
ってほしい。

分断されているという意見があったが、気候変動に立ち向かうという点ではまとまっている。
COP 議長

2 つの世界があるという発言があったが、1 つの惑星でもある。レッドラインを越えよう。

信頼は交渉の基礎であり、この基礎をもとに COP20 を重要なステップにできる。午後2時 30
分から全てのブロックとコンサルテーションを行う。10 分くらいのものである。レッドラインを言う
のではなく、そのもとで live with できる解決策をもってきてほしい。それをもとに、テキストを作
り、COP プレナリーにはかる。
1-4.ダーバンプラットフォーム作業部会(ADP2-8)への参加
2015 年 2 月 8 日(日)
ADP コンタクトグループ(セクション D・緩和)
(1)要素ペーパーのセクション D(緩和)について、共同議長が示した進め方に従い、各国がペー
パーに未反映のアイデアを提示した。

LMDC とアフリカは先進国・途上国という二分法による差異化を、多くのパラグラフに埋め込ん
でいった。これに対して、米国が二分法による差異化を含める場合には、「Annex X」による差
異化もオプションとして同じ場所に含めるように提案した。

排出量の長期目標について、EU は 2100 年までのニアゼロ排出を、AOSIS は 2050 年までに
2010 年比で 70-95%削減、2070 年から 2080 年の間にニアゼロ排出(※これは 1.5℃のケース
に相当)を提示した。

米・加・豪は、透明性やサイクルに関連するアイデアをこのセクションに含めることを提案した。
具体的には、米国は次のサイクルにおける事前提示とコンサルテーションを、カナダは透明性
(インベントリー、予測値の提示等)を提示した。オーストラリアはアカウンティングとサイクルを
このセクションのパラグラフ 16 の中に含めることを提案した。

南アフリカとロシアは、各国のコミットメントは合意の一部(integral part)と提案した。

後退禁止や前進に関して、カナダは「条約 2 条の達成に向けて」、ノルウェーは「国別事情に
応じた最大限の努力」、ブラジルは「過去の取組(undertakings)からの前進」という文言を提案
した。

市場メカと森林に関するパラ 23 については、日本(※新合意の governing body がアカウンティ
183
ングルールを作ること等)、ニュージーランド(※アカウンティングの原則、市場メカの原則、土
地セクターの原則)、ノルウェー、 EIG(※同日のサブミッションを参照)、ブラジル(※経済メカ
ニズム提案)が新規のアイデアを示した。また、熱帯雨林諸国が REDD+を含めることを、
AOSIS が適応コストを満たすための share of proceeds を、セネガルが under the Convention で
あり既存のメカニズムに立脚することを提案した。また、ボリビアが joint mitigation and
adaptation approach と non-market approaches を含めるように発言した。

AOSIS が、2020 年までの野心ギャップを埋めるためのプラットフォームを、新合意に位置付け
ることを提案した。
(2)共同議長と各交渉グループの代表が協議した結果、残りのセクションについても、まずは未反
映のアイデアをペーパーに反映することを優先し、 短縮化(streamline)の議論は 2 月 10 日以降に
開始することになった。
(※詳細は要素テキストに直接記入する形式で記録し、地球環境対策室に報告した。)
2015 年 2 月 9 日(月)
ADP コンタクトグループ(セクション H・技術)
概要:
(1)要素ペーパーのセクション H(技術)について、共同議長が示した進め方に従い、いくつかの
途上国がペーパーに未反映のアイデアを提示した。

インドが知財に要する全費用を GCF から支援することを、南アフリカが多国間制度による知財
買い上げを提案した。

パキスタンが気候変動関連の知的財産権に関する特別のモダリティーを提案した。

LMDC が技術メカニズムに対するレビューを提案した。また、多くのパラグラフに先進国・途上
国の二分法を盛り込んだ。

中国が技術の長期目標を提案した。これは、技術別に目標を立てて、先進国による技術移転
を 2℃目標等の観点から評価するもの。

ドミニカ共和国が、技術の社会的側面に関する文言(テクノロジーアセスメント等)を多数提示
した。

ブラジルが、技術の NDC を全ての国が準備・維持・伝達・実施するように求めた。
(2)一方、先進国側からは発言がなかった。
(※詳細は要素テキストに直接記入する形式で記録し、地球環境対策室に報告した。)
2015 年 2 月 10 日(火)
ADP コンタクトグループ(セクション K 時間枠・プロセス)
184
概要:
(1)要素ペーパーのセクション K(時間枠・プロセス)について、共同議長が示した進め方に従い、
各国がペーパーに未反映のアイデアを提示し た。
(2)時間枠について

ブラジルが「5 年の貢献期間とその後の 5 年の示唆的期間」の組み合わせを提案した。

LMDC が「先進国は 2025 年と 2030 年、途上国は先進国からの支援に応じて多様」を提案し
た。
(3)プロセスについて

EU は、事前と事後の評価を明確に区別すべきと述べた上で、事後の評価を、全ての国に対
して、5 年ごとに行うことを提案した。

ブラジルは"aggregate consideraton process"提案を関連パラグラフに埋め込んでいった。
"aggregate consideraton process"提案は事前と事後のレビューを一体的に行うもの。

南アフリカは、INDC のプロセスは弱すぎるので、2030 年以降はより厳格なプロセスが必要と
述べたうえで、事前プロセスでのテクニカルパネルの活用や、governing body による各国の約
束強化のレコメンデーションを提案した。
(4)その他

LMDC は、多数の追加案を提示し、テキスト全体に二分法を埋め込んでいった。

ニュージーランドは、①ルールが想定とは異なる場合には、約束草案からの変更を行ってもよ
いこと、②透明性に関する規定を遡及適用しないこと、③緩和のセクションは不可抗力の際に
は適用しないことを、個別のパラグラフとして提案した。

米国は事前情報の項目を列挙するパラグラフを提案した。

LMDC は、「新合意は 2021 年から 2030 年を扱うものであり、2030 年以降のアレンジメントに
ついては governing body で検討する」というパラグラフを提案した。

EU は、新枠組みでの意思決定に参加するには、緩和約束を持たなければならないというパラ
グラフを提案した。
(※詳細は要素テキストに直接記入する形式で記録し、地球環境対策室に報告した。)
2015 年 2 月 11 日(水)
ADP コンタクトグループ(構造)
概要:
(1)前日の議論を踏まえて、「構造」についての意見交換を行った。
(2)冒頭、共同議長が、①パリ合意は条約のもとにあるものをどのように進めるか、②一度きりの合
意か、複数期間の合意か、③コペンハーゲン以降の制度枠組みをどのように扱い、リファーするの
185
か、④適応と緩和について同内容の規定にするのか、異なる性質を考慮するのか、⑤実施手段
(資金、技術、キャパシティービルディング)の要件は何か、⑥コア合意と COP 決定をどのように使
い分けるかを議論したいと問いかけた。
(3)「条約と新合意の関係」について、LMDC と中国が、「条約こそが持続的なものである。2015 年
合意は、2021 年から 2030 年の期間における条約の実施を強化するものである」と発言した。一方、
米国とニュージーランドは、「新合意は条約 2 条の目的を達成するための持続的なものである」と述
べた。
(4)「新合意の構造」について、多くの国が、現在のテキストの構造は最終的な合意の構造を予断
しないと述べた。多くの先進国が、支援、透明性、サイクル等を、緩和や適応のセクションの中に含
めていくことを提案した。一方、LMDC、中国、ブラジルは、条約の構造(特に 4 条と 12 条)に従う
べきと主張した。LDC は、透明性・MRV をテーマごとにばらすことに反対した。
(5)「新合意の目的(objective)」について、日本、米国、ニュージーランドは条約の究極の目的(2
条)が適用されると述べたのに対して、ブラジル、メキシコ、AILAC、AOSIS は温度目標や各分野
の目標など、より具体的にすべきとした。
(6)「緩和、適応、支援の扱い方」について、多くの先進国が各要素の特徴の違いを反映すべきと
述べたのに対して、LMDC、中国、インド等は各要素をバランスよく、対等に扱うべきと主張した。ブ
ラジルは、これら全てを NDC で扱うべきとした。
(7)「コア合意と COP 決定の使い分け」について、先進国は持続的なものはコア合意に、時間とと
もに発展させるものは決定に含めるという区別であり、重要性の違いではないという考え方を示した。
一方、多くの途上国は、使い分けを議論するのは時期尚早として意見を示さなかった。
(8)「既存制度の反映」について、多くの国が既存の制度を新合意にアンカーすべきとしつつ、新
たな制度や将来の変更の可能性も考慮すべきと述べた。
(9)「市場メカニズム」について、日本とニュージーランドが、その必要性・重要性を指摘したところ、
ブラジルが、「市場メカニズムや国際的な移転には、アカウンティングのルールに対する共通の理
解に基づかなければならない」、ベネズエラが、「新規の市場メカニズムには、原則もルールもなく、
既存の適用可能なルール(CDM)に反するだけではなく、条約法に関するウィーン条約違反であり、
削除すべき」、AOSIS が、「さらなる明確化が必要」と発言した。
各国の発言:
共同議長

新合意は何をすべきかを議論したい。具体的に言うと、①パリ合意は条約のもとにあるものを
どのように進めるか、②一度きりの合意か、複数期間の合意か、③コペンハーゲン以降の制度
枠組みをどのように扱い、リファーするのか、④適応と緩和について同内容の規定にするのか、
異なる性質を考慮するのか、⑤実施手段(資金、技術、キャパシティービルディング)の要件
は何か、⑥コア合意と COP 決定をどのように使い分けるかである。

この議論は成果を目指すものではない。
186
ロシア

新合意は実施可能なものであるべき。そのためには、目的、約束、遵守のリンクが必要であ
る。

CBDR を含むすべての条約原則に立脚しつつ、普遍的なコミットメントをもりこむ。ただし、能
力の差異を考慮して、先進国は総量削減目標、途上国はその他としつつ、新たに総量削減
目標を掲げる国を取り込めるようにしておくべき。
オーストラリア

単一期間以上がよい。

新合意を検討するうえで考慮すべきは、①実効性、②簡潔性、③持続性、④参加、⑤重複回
避である。⑤については、条約と新合意を同時に実施することを考慮すべき。

合意と COP 決定の使い分けについては、セクションごとに検討していくのがよい。例えば、サ
イクルについては定期的に緩和約束を見直すことを合意に含めつつ、そのモダリティは決定
に含める。このような意見を、annotation として取りまとめておいてはどうか。

機能性(functionality)については、内容(content)と横断的なメカニカルなイシューを区別して
はどうか。
ノルウェー

構造について、サブミッションを示した。①前文、②目的(条約 2 条に立脚)、③緩和と適応、
④資金・技術開発移転・キャパシティービルディング、⑤戦略的実施レビュー、⑥遵守、⑦制
度アレンジメント、⑧手続き規定からなる構造を提案した。
http://www4.unfccc.int/submissions/Lists/OSPSubmissionUpload/114_99_130674827900688262-St
ructureNor.pdf
サウジアラビア

制度については、実効性をどうやって高めるのかを議論すべき。

緩和と適応は補完的である。
アラブグループ

テキストの構造と合意の構造を区別すべき。テキストはダーバン合意の 6 つの要素をバランス
よく扱うものであるべき。法形式は、内容に合意してから検討すべき。
LDC

いまのテキストの構造に不満はない。

透明性・MRV を、テーマごとにばらすことには反対である。
187

緩和と実施手段の順序・タイミングを密接にリンクさせるべき。

既存制度を、永続的な形で反映しつつ、governing body がマンデートを与えるようにするのが
よい。CDM も同様。同時に、ロス&ダメージなど、新たな制度アレンジメントも必要である。

合意と COP 決定の使い分けを議論するのはまだ早い。
日本

INDC はもはや単一の媒体(vehicle)ではない。2015 年合意でどの部分にどの媒体を使うの
かを議論すべき。締約国の努力を促進するようにすべきであり、透明性と遵守はそのために重
要である。

法的合意に含めるものは、 “test of time”を通り、持続的なものであるべき。COP 決定に含め
るのは、重要ではないからではない。批准が不要なものが決定に含まれる。

条約の究極の目的は、新たな法的合意にも適用される。

定量的な INDC を提出し、INDC 達成のための措置をとり、レビューを受けることを各国の義務
とすべき。

市場メカニズムを使えることとアカウンティングルールに従うことも含める必要がある。

適応については、評価を促進し、国家計画に適応を統合するように奨励することをコア合意に
含める。報告やレビューは緩和とパラレルである必要はない。適応のモニタリングと評価は適
応に固有なものであるべき。

資金については、その立場にある全ての国を奨励するという側面と、提供国と受取国の双方
で民間資金を動員するように努力するという側面がある。

技術とキャパシティービルディングは手段であり、緩和・適応と切り離せない。

時間枠は、緩和のセクションに移すべき。

セクション C は、セクション D や前文に統合できる。
ニュージーランド

新合意は、条約 2 条の目的にための重要な義務を盛り込むべき。緩和がコアであり、適応は
緩和が不十分なときに必要、緩和と適応の目的のために支援を行い、これらへの透明性を確
保する。

見出しは不要かもしれない。

構造については、①名称・前文・定義、②目的(条約 2 条)、③緩和約束、④緩和の透明性、
⑤適応、⑥支援とその透明性、⑦透明性の残りの部分、⑧制度、⑨final clause はどうか。

法的合意と COP 決定の使い分けについては、「普遍性(全ての国への法的拘束力ある義務)」
と「持続性(再交渉不要)」にそって評価してはどうか。例えば、スケジュールのプロセスについ
て、合意にフックを入れておき、詳細を COP 決定にしてはどうか。法形式、レビュー、サイクル、
アカウンティングは合意を締結する前に知る必要があり、現時点からの検討が必要。また、各
国のコミットメントは批准を繰り返さなくてもよいように、national schedule に含めるのがよい。
188

コア合意にいれるかどうかは重要性を表すものではない。ニュージーランドにとって市場メカ
は重要だが、COP 決定で詳細を扱うべきと考えている。
モルジブ(AOSIS)

目的・総則は、具体的なものにすべき。

ロス&ダメージを適応とは異なる見出しのもとで扱うべき。

市場メカニズムはもっと明確化が必要である。

合意と決定の使い分けの議論は時期尚早である。

6 月は、見出しを考えなおしつつ、条文形式に変えていく必要がある。
スイス

MRV は、各論の中に入れていくのか、横串的なものにするのかを考える必要がある。

制度アレンジメントについては、状況の変化を反映できるように、ロックインしないようなものに
すべき。

緩和と適応のそれぞれに、MRV、ルール、サイクルが必要だが、共通にする必要はない。緩
和の目的は排出削減、適応の目的は強靭性であり、異なっている。一方、資金はそれ自体が
目的ではなく、緩和と適応のためのものである。

COP 決定に含めるものは、時間とともに変化するものであり、重要ではないものということでは
ない。

市場メカニズムについては EIG の考え方をサブミッションで示した。
メキシコ

目的は、条約 2 条にレジリエンス等を追加したものがよい。

新合意は、簡潔で、全ての国への義務を定め、透明性を確保し、将来へのアレンジメント(批
准なしで更新可能にする仕組み)を含むものであるべき。

長期的に変化していく側面として、気候変動の影響、各国の能力、技術がある。

既存の制度を新合意で活用すべき。詳細は COP 決定で定め、時間とともに変化させていく。

緩和と適応はともに持続可能な発展に貢献するものであり、長期目標が必要だが、両者で異
なるものである。

実施手段が提供されるという reassurance が必要である。

いまのテキストの構造に不満はない。ただし、セクション間のリンクが必要である。
米国

新合意は、条約の目的の達成に向けた持続的な枠組みであり、その基本的な規定は将来見
直さなくてもよいものであるべき。

合意の構造について、多くの国が要素テキストとは異なると言っていた。前文(条約の目的に
189
リファー、総則のセクションは不要)、定義、全ての国に対する緩和、全ての国に対する適応、
緩和と適応の支援(資金、技術、キャパシティービルディング)、制度(実施のレビューを含む)
という構造はどうか。報告、レビュー、プロセス等は、緩和、適応、支援の各パートの中に含め
るのがよい。また、NDC は、多様性を反映できるように、附属書ではない文書に含めるのがよ
い。

既存制度の位置付けについては、メキシコの考え方を支持する。既存のものと位置付けつつ、
それを発展させていくのがよい。

合意と決定の使い分けについては、合意は持続的で簡潔なもの、付随する決定は時間ととも
に進化するものと考えている。重要性の違いではない。例えば、事前情報や MRV は米国にと
って重要だが、合意でフックを作り、詳細は決定で扱うと考えている。

簡潔な “cover decision”も必要である。
EU

合意と決定の使い分けは、重要性の問題ではない。EU にとって重要な透明性、アカウンタビ
リティ、遵守は、合意だけではなく、決定にも含まれると考えている。

緩和、適応、実施手段は合意に入れるべきだが、同一ではない。各イシューのニーズを反映
すべき。

法的拘束力ある議定書という法形式を望む。

REIO の規定や遵守の規定が必要である。
ブラジル

アカウンタビリティの要素は、合意に基本的なマンデートを含めて、詳細は決定で扱うという
EU の考え方に同意する。

スイスが資金の目的は不要と発言したことに失望する。

国別事情に応じた柔軟性という指摘があったが、リマで合意した差異化の考え方に反する。リ
マでは CBDR に合意した。

市場メカニズムや国際的な移転には、アカウンティングのルールに対する共通の理解に基づ
かなければならず、パリから合意発効までの間のマンデートが必要である。

ニュージーランドが全ての国への法的義務をコア合意に入れるかどうかの基準と述べたが、個
別の法的義務も必要である。

一度限りの合意か、持続的な合意かという点については、持続的な合意に反対しない。交渉
から実施へと移っていくべきであり、事後的に revisit するのはルールではなく、実施であるべ
き。

目的について、条約 2 条は出発点であるが、終着点ではない。共通の目標として温度目標が
必要であり、これは緩和だけではなく、適応ニーズや実施手段にも関連する。

要素間に階層性を設けてはならない。COP 決定はパッケージの一部として詳細を定める際に
190
有用であるが、合意自体の中で要素間のバランスを確保する必要がある。

条約のもとでの既存構造を、その目的を支持するように、新合意にアンカーすべきである。

緩和、適応、実施手段は NDC を通じて対応する。全ての国への法的義務は、緩和、適応、実
施手段の各セクションに従い、NDC を提示して実施することである。サイクルについては、
NDC 更新のレファレンスを含めておく。

総則のセクションは必要である。一般的な目的と普遍的な法的義務をここで定める。ただし、
実施においては差異化が必要である。CBDR 等の既存の原則を MRV のルール等に反映す
る必要があり、既存のシステムを活用すればそのようになる。
パナマ

REDD+はパリ合意の中心的な要素である。

目的(2℃/1.5℃)、原則(CBDR が中心)、約束(先進国とその立場にある国、及び途上国で
区別)、緩和(ワルシャワ REDD+枠組み、市場メカニズムへのレファレンス、土地部門につい
て先進国は土地ベースに移行・途上国は REDD+枠組み)、資金(GCF が中心、支援の調整
を制度化)、適応、ロス&ダメージ、技術、キャパシティービルディング(これらは合意の要素だ
が、重複を削除)という構造を考えている。

途上国は持続的な支援を必要としている。
ベネズエラ

京都議定書のルールは、例えば 2020 年以降にも続く CDM プロジェクトがあることから 2020
年以降も続く。それゆえ、移行・継続性に関するテキストが必要である。一方、新規の市場メカ
ニズムには、原則もルールもなく、既存の適用可能なルールに反するだけではなく、条約法に
関するウィーン条約違反であり、削除すべきである。京都議定書では、市場メカニズムの基本
的なマンデートを定め、個別の決定でルールを定めてきた。新合意のもとで新たなルール作り
を待つのではなく、CDM のルールを使うべき。
バハマ(カリブ諸国)

法形式として議定書を望む。

一般原則(制度のアンカーを含む)、約束と義務、実施に関する情報の伝達、紛争解決メカニ
ズム、資金メカニズムのセクションが必要である。

緩和について、約束のサイクルとレビューのシステムを合意の中で扱うべき。

ロス&ダメージは、別個の条文とすべき。

市場メカニズムについて、一貫して明確なテキストが必要である。
グアテマラ(AILAC)

新合意は野心的かつ普遍的であり、後退を防ぎ、全ての約束を徐々にスケールアップするも
191
のであるべき。

前文、②目的(条約の強化と具体的な目標)、③約束(緩和、適応、実施手段)、④定期的な
レビューと調整、 ⑤制度と促進メカニズム、⑥法的側面(遵守、発効要件等)という構造を考
えている。
インド

構造として、前文と目的(簡潔なもの。条約のもとでの全ての国の実施強化、条約の原則と規
定に従う)と各要素からなるものを考えている。MRV 等の詳細は決定で定める。

合意と決定の使い分けは、後の段階で検討すべき。また、要素テキストはリマの決定に従うべ
き。CBDR に従い、適応とロス&ダメージを別個に扱い、INDC の事前評価を含めるべきでは
ない。

法形式に関するワークショップが有益である。

資金・技術・キャパシティービルディングの個別目標は新合意に不可欠である。

新たな附属書を提案する意見があるが、条約を裏口から再解釈するような文言は許容できな
い。

ダーバン合意には、2013 年-15 年レビュー、AR5、補助機関の作業を考慮すると書かれている
が、これをどうやって行うのかを考える必要がある。

パリのパッケージには、ワークストリーム2についての決定が含まれるべき。
中国

2012 年頃の議論を聞いているような印象である。

合意の構造は、条約とダーバン決定に従うべきである。特に条約 4 条、12 条、附属書に従うべ
きである。

目的は、条約の実施であり、その 2 条の達成である。その実施は、条約のもとでの行動強化し
かありえない。

一度きりの合意か持続的な合意かという点について、条約こそが持続的なものであり、2015 年
合意は条約をリプレースするものではなく、2021 年から 2030 年までの実施に焦点をあてたも
のと考えるべき。ただし、2015 年合意に、2030 年以降のアレンジメントを検討するためのトリガ
ーを含めておく必要がある。

既存制度のアンカーと強化を支持する。新たな制度が作られるのであれば、それもアンカー
すべき。

リマ決定のパラ2には、全ての要素をバランスよく扱うと書かれている。これは内容と法的性質
の両方に当てはまり、全ての要素(緩和、適応、資金、技術、キャパシティービルディング、透
明性)を等しく扱うべきである。

合意と決定の使い分けを議論するには、合意の法形式を先に決めるべきであり、現時点では
時期尚早である。
192

現在のテキストの構造は、合意の最終構造を予断するものではない。

見出しや小見出し、章立てについては昨年のサブミッションで考え方を示した。
マレーシア(LMDC)

新合意は、持続的な UNFCCC のもとでの行動強化・実施強化を扱うものである。将来のことは
不確実なので、合意の対象期間が 10 年とするのがよい。

全ての重要な要素をバランスよく扱うべき。特に、緩和と支援の時間枠は共通にすべき。

ルールについては、現時点で十分ではないものを強化するのがよい。例えば、支援の MRV
のルールを包括的なものにすべき。

合意と決定の使い分けについて、いろいろな意見が出てきているが、議論するのは時期尚早
である。

既存制度をアンカーして強化し、さらに新規の制度も設けるべきである。

条約にそって、規定を構成すべきである。

差異化ではなく、二分法(注:米国の Annex X と Y の提案を指すものと思われる)に基づくの
は大きな問題である。条約とリマの決定に立脚し、CBDR から後退すべきではない。先進国と
途上国では出発点が異なる。
イラン

条約が出来てから 20 年以上が経過したが、この間、実施が十分ではなかったのは技術移転
である。実施を強化するために、GCF に技術移転のための新規ウィンドウを設けるべき。

新合意は、条約 4 条と 12 条に沿って構成すべき。

サイクルは、全ての要素をカバーすべき。
アルゼンチン

合意と決定の使い分けを議論するのは時期尚早だが、合意にはコアとなる要素が全て含まれ
るべき。

土地部門は、新合意から除外すべき。
(※ トルコ、パキスタン、ガボンも発言した。)
2015 年 2 月 12 日(木)
ADP コンタクトグループ(サイクル)
概要:
(1)冒頭に、交渉テキストの扱いと、コンタクトグループで取り上げるイシューの選択についての議
論があった。交渉テキストについては、既に提出した追加項目が適切に反映されていない場合に
限り、その訂正を盛り込み、ストリームラインの成果は盛り込まないこと、訂正がある場合には同日
18 時までに事務局に連絡することとなった。イシューの選択については、共同議長はサイクルと市
193
場を例示したのに対して、途上国がこれら以外も取り上げるべきと発言したが、今後、さまざまなイ
シューを取り上げる可能性を残しつつ、サイクルと市場を議論することになった。
(2)サイクルの期間について、以下の意見があった

日本:10 年サイクルが理に適っているが、中間レビューも支持しうる

EU:5 年サイクルのレビュー。約束期間の選択肢は 5 年か 10 年に限る。2030 年以降の約束
期間についてのポジションはまだない

スイス:約束期間を統一できなくても、約束の発表のサイクルを 5 年で共通化

ブラジル・AILAC:5 年間の確定期間とその後の 5 年間の示唆期間の組み合わせ

LDC・マーシャル諸島:5 年を支持だが、それよりも長い示唆的な期間も支持しうる

米国:最初の期間の終了年は 2025 年。その後の周期も共通化すべき。中間見直しは機能し
ない

カリブ諸国:5 年サイクルであるべき

中国:2021 年から 2030 年(※サイクルではなく、一度きりということを含意)
(3)サイクルの対象について、以下の意見があった。

先進国:緩和を扱う

中国、インド、サウジ:全ての要素を包括的にバランスよく扱う

ブラジル、メキシコ、AILAC:緩和、適応、支援で異なるサイクル

LDC、マーシャル諸島:途上国の緩和と支援をパラレルに扱う
(4)市場メカニズム等については、翌日(2 月 13 日)の午前に取り上げることになった。
各国の発言:
①テキストの扱いとイシューの選択に関する議論
共同議長

テキストについては、2 か所の訂正がある。

今日の午後は適応と緩和のサイクルと、市場メカニズムと非市場のアプローチを議論したい。
明朝は、6 月のボンの会合について議論したい。結論を得ることではなく、ブレーンストーミン
グが目的である。
南アフリカ(G77+中国)

テキストのステータスはどうなっているのか。ストリームライニングはどうなっているのか。明確に
してほしい。今朝の成果は別文書に含めるのか、修正を要求できる期限はいつかを知りたい。
また、事務局には重複箇所を特定してほしい。

クロスカッティングなテーマを議論するのは有益であり、差異化、スコープと見出し、市場と非
市場などが候補である。
LMDC
194

2 つのイシューを取り上げるようだが、他のイシューにも関心がある。
中国

サイクルと市場を議論することに反対はしないが、イシューの全体像が必要である。資金、資
金の長期目標、資金の定量目標なども議論したい。

一方で、すでにテキスト交渉という新たなフェーズに入っており、概念の議論をすることには懸
念もある。
共同議長

別文書は作らない。20 時までに確定し、それ以降は変更しない。できれば 3 月までに各公用
語で配布したい。提案国の帰属は示さない。

イシューの全体像をむしろ聞きたい。サイクルと市場はサジェスチョンに過ぎない。
チリ

AILAC とエチオピアの提案の扱いはどうなるのか。ジュネーブテキストを今のままとすることに
はもちろん同意するが。
マレーシア

訂正の期限はいつなのか。
共同議長

今夜 18 時を越えて更なる変更を受け付けない。すぐに知らせてほしい。
中国

全体像が必要だが、議論を始めることには反対しない。資金、適応、ロス&ダメージも議論し
たい。
ツバル

17 時から 18 時に予定されていたインフォーマルの扱いはどうなるのか。
共同議長

目的は、現時点のスナップショットをとること。どの国も今後、自由に提案できるが、文書自体
はこれ以上の追加はしない。スナップショットがうまくいきすぎて、ストリームラインを行おうとし
たことから混乱が生じた。ストリームラインはせずに、訂正だけを反映したい。18 時までに示し
てほしい。
195
②サイクルに関する議論
サウジアラビア(アラブグループ)

サイクルは、6 つの全要素の野心度とリンクさせるべき。

先進国と途上国ではレビューのサイクルを差異化すべき。先進国へのレビューは緩和と MOI
を扱い、途上国へのレビューは適応と緩和を扱う。
EU

2℃目標達成のため、継続的な上向きのサイクルが必要である。

緩和の一部である。緩和約束を常時維持し、野心強化のため、レビューし、更新する。

レビューを 5 年ごとに行う。国別と全体の両方について野心と公平性を 2℃目標の観点を考慮
して評価すべき。約束期間終了の x ヶ月前という形で時期を示しておく。また事前情報として、
公平で野心的であることの説明を含める。協議は、提示と採択の間に行う。過去のものからの
前進であるべきで、新合意の governing body で簡易的な変更手続きを定める。サイクルの原
則は合意で扱い、そのモダリティは決定で扱う。

約束期間は 5 年か 10 年に限るべき。2030 年以降も、5 年サイクルと整合させるべき。

適応は緩和とは異なる。

資金については、能力と責任に応じて変化させていくべきである。緩和とは異なるので、資金
のセクションで扱うべき。
ロシア

時間枠を複雑にすると後退する恐れがある。また、持続的で実施可能なものでもなくなる。こ
の議論は非生産的かもしれない。

調整の法的手続きの検討は慎重に行うべき。
ブラジル

目的を達成するまで、永続的な形でサイクルを続けていくべき。一度きりではなく、永続的な
プロセスである。

NDC の提示はボトムアップのプロセスであり、要素ごとにタイムラインが異なる。資金は、国家
予算は1~2年のサイクルであり、一方で GCF 等の replenishment のサイクルもある。緩和につ
いては、全体で行動すべきものなので、比較可能性とアカウンティングが必要となる。適応は
これらとは異なる。全ての要素が、野心強化のパーツとなる。

一方、検討のサイクルは、国際レベルで全体として行うものであり、目的の達成に向けてどの
段階にいるのかについて、定期的なスナップショットをとるものである。

緩和については、パラメーターを国際的に定めるべきで、周期(periodicity)の国際合意が必
要である。何もなければ 2100 年でもよいとなるが、5 年または 10 年という期間が必要。ブラジ
ルは、5 年間の確定期間とその後の 5 年間の示唆期間の組み合わせを提案した。
196

検討のサイクル、つまり定期的なスナップショットは発効後に直ちに行い、その後は 5 年ごとに
実施する。ブラジルが提案する全体検討プロセス(aggregate consideration process)は、全体と
してどの程度遠くにまで行けたのかを考えるものである。名指しでは野心向上に役立たない。
各国の個別の実施状況は、遵守を通じて検討し、このスナップショットでは扱わない。スナップ
ショットは全ての締約国を扱い、各国において次の期間とその次の示唆期間を決める際に参
照する。

前進(progression)という概念を懸念する。次の期間は、前の期間よりも前進が必要と定めてし
まうと、行動を遅らせるという歪んだインセンティブを与えてしまう。全ての国は、CBDR と科学
等を考慮して、全期間において最善の努力を提示すべきである。
日本

野心強化のためにサイクルが必要である。緩和については、各国の目標を設定してレビュー
する共通のサイクルを持つことが望ましい。一方、資金のサイクルは各国間で異なり、適応は
開発と関連するのでこれもまた異なる。要素ごとにサイクルは異なり、サイクルの要素は緩和に
限るべきである。

国内の行動の方向性を変えるには、長期のシグナルが必要であり、10 年サイクルが理に適っ
ている。ただし、短いサイクルを望む国があることや、10 年間もレビューしないことへの懸念も
理解することから、5 年の中間レビューも支持しうる。最初から最善の INDC が提示されるべき。
中間レビューの目的は、明確性、透明性、理解の向上であるべき。ボンでさらに議論したい。

パラ71について、Option 3 のサブオプションについて、(b)や(c)は頻度や期間、(g)と(h)は期
限を指しているようにみえる。一貫性がないので編集が必要だろう。
共同議長

2030 年以降も期間が続くという理解でよいか。
日本

そのとおり。
チリ(AILAC)

開始日は 2020 年 1 月 1 日だと考えている。

パラ 71 の Option 2 をシャポーとして、次の 5 年間と、その後の示唆的な 5 年間の組み合わせ
がよい。このセクションは緩和を扱っているものと考える。

実施手段の各国の約束は、より短い時間枠であり、各国の予算サイクルに応じて、毎年か、隔
年である。2019 年に提示を開始することを想定する。一方、全体の長期目標も必要であり、こ
れはより長いサイクルとなる。

適応についても更なる検討が必要である。考え方はサブミッションで示した。
197

貢献のスコープを扱うパラ 73 については、Option 1 (b)が AILAC の考え方である。この合意の
規定により定義されるべき。というのも、緩和、適応、支援の個別の性質にそって扱うものであ
り、各論を扱う他のセクションで定義するのがよいためである。
スイス

緩和はサイクルで、適応は漸進的と考える。

期間とサイクルの長さは異なるものである。京都議定書では一致させていたが、2020 年以降
は異なる。もともとは約束を定める前にルールを決めることを望んでいたが、今回は期間を決
める前に約束の検討が始まり、2025 年と 2030 年に分かれてしまった。統一することが望ましい
が、現実には難しい。この現状をリマで受け入れたと理解している。パリでも変えられないだろ
う。

そこで、約束の発表サイクルを共通にしてはどうか。次の期間の約束を同時に再提出し、同一
の手続きを踏む。約束期間の長さとは別個に、5 年ごとに再提出するということである。
中国

FCCC がもっとも持続的な合意である。2015 年合意は 2021 年から 2030 年の野心度を高める
ものである。10 年は、先進国の緩和・支援によるリードと途上国によるフォローを促し、信頼を
構築するのに良いサイクルである。

UNFCCC には多数のサイクルが既に存在している。第一に、毎年の COP である。第二に、
BUR/BR や ICA/IAR の 2 年サイクルである。第三に、4 年ごとの国別報告書である。重複を避
けるために、これらを活用すべき。

タイムラインについて、実施の事後評価と次のステップのものがあり、この区別を考慮すべき。
パリ合意の発効は 2020 年であるが、発効前に事前評価をできるのか。

資金は目的ではなく手段という発言があったが、中国では陰と陽が合わさってサイクルにな
る。

国際的なサイクルと国内のサイクルを調和させるのは難しい。1 年サイクルの国もあれば、2 年
サイクル、5 年サイクルの国もある。国内レジームを国際的なサイクルに調和させるのは困難で
ある。毛沢東がいうように、自省(self reflection)は野心に不可欠である。

条約 7 条 2 項(e)にあるように、全ての要素を包括的に扱うべき。3 つの別個のサイクルにする
と、リンケージを失ってしまう。特に資金と途上国の緩和・適応のリンケージが必要である。

野心度はレビューとも関わる。第一に、2013-2015 レビューであり、これは 7 年サイクルである。
第二に、先進国の削減目標の再検討(revisit)である。京都議定書の再検討メカニズムを 2020
年以降にも取り入れるべき。第三に、資金・技術・キャパシティービルディングの適切性のレビ
ューである。第四に、途上国による強化された行動の自省(domestic reflection)と国際的な理
解である。最後に、Zou Ji 教授が提唱する持続可能な発展の経路である。

2020 年までのギャップも防がなければならない。ギャップとそれを埋める責任を特定すべき。
198
米国

2 つの難しいイシューがある。それは、最初の INDC の終了年が 2025 年か 2030 年かというも
のと、将来のサイクルの周期(periodicity)である。最初の終了年については 2025 年を支持す
る。サイクルの周期については、首脳レベルの関心を同時に減られるように共通にすべき。

2030 年の目標を提出する時期は、いまから 5 年後となる。国内の厳しいプロセスを通った目標
を変えるのは難しく、5 年後に 2030 年目標を再検討(revisit)してもうまくいかない。歴史がその
ことを示している。

適応のサイクルについては、そもそも漸進的なものだと思う。確定的な周期があるのか、どのよ
うな提案があるのかを理解したい。

EU に対して、2035 年目標を 2025 年に設定するということなのかを尋ねたい。また、サイクルを
合意と COP 決定のどちらに入れると考えているのかを聞きたい。

ブラジルに対して、示唆期間の改訂は自国決定なのかを尋ねたい。また、積み上げには各国
の排出を知る必要があるが、カンクン合意では明確性が足りずにそれができなかった。どうや
って行うのか。
メキシコ

サイクルとは、長期目標を翻訳したものである。差異を取り込めるように柔軟であるべきで、前
進を評価する共通期間が必要である。

パラ 71 のオプション2と、5 年と 10 年の両方を望む。また緩和への事前レビューが必要であ
る。

適応については、前進をレビューするサイクルが必要である。適応のプロジェクトに資金がつ
いているが、プロジェクトにはタイムラインがある。5 年サイクルである必要はないが、サイクルと
いう考え方自体は可能である。

実施手段については、先進国からの隔年の報告が必要であり、資金のセクションに含まれる
べき。
ベリーズ(カリブ諸国)

5 年の約束期間が必要。10 年は不適切である。

最初のサイクルは 2020 年~2025 年であるべき。2030 年までの目標を出すこと自体は歓迎す
るが、2025 年を最初の終了年とすべき。また、1.5℃以内を評価のベンチマークとすべき。

NDC は、パリで法的拘束力ある約束に転換されるべき。ただし、LDC と SIDs の特別な事情へ
の配慮が必要である。
インド

ロシアが言うように複雑なプロセスに入っている。
199

サイクルは、適応、緩和、資金、技術、キャパシティービルディングをバランスよく扱うべき。ま
た、差異化を取り込むことが出発点である。

IAR や ICA など既存の仕組みに立脚すべき。要素ごとに情報が異なるが、計画プロセスの特
徴を踏まえれば、共通のサイクルに乗せることは可能である。どれくらいの支援が得られるの
かを知る必要があり、資金の示唆的な INDC と途上国のニーズを同時に扱うべき。

再検討メカニズム(revisit mechanism)は必要だが、事前プロセスは望まない。
イラン

サイクルは、各要素を確定してから検討すべきである。先進国と途上国の間の差異化、資金、
技術が明確になっていない。途上国のサイクルは、先進国の条約の下での支援の野心度に
左右されることから、これらを先に明確にすべき。
EU

米国の質問について、まだポジションを固めていない。5 年か 10 年かのどちらかであろう。
ブラジル

米国の質問について、 “to reflect outputs of aggregate consideration process”と合意に書くこと
を考えている。多くの国が再検討(revisit)を懸念しているようだ。示唆期間は再検討してから
確定するが、全体検討プロセス(aggregate consideration process)は名指しするものではなく、
多くの努力をしている国を認識するためのものである。目標見直しに情報を与えることを意図
しており、各国は自国の目標が国際的な理解に沿っているのかを検討する。国別の評価は、
報告義務と遵守促進の中で行う。
マーシャル諸島

緩和の約束期間は短いものであるべき。適応については、計画と実施のレビューは必要と考
えているが、期間については特段の意見はない。

緩和のサイクルと実施手段の提供の間にシナジーが必要である。資金については短い期間
が機能するだろう。

緩和のサイクルについて、米国、ブラジル、チリ、メキシコ、ベリーズは短いものを提案している
が、長期の示唆的な約束を加えることにもオープンである。科学に応じた見直しが可能としつ
つ、長期の確実性を与えるという効果がある。2019 年、または 2020 年に 2030 年の数字を全て
の国の間で同時に検討する。

記入(inscription)の 12 か月前に事前の検討を行い、各国の緩和ポテンシャルや科学の要請
を完全に考慮する。

INDC は形式として、弱いものなので続けるべきではない。リマ決定のパラ8にあるように、
INDC のアレンジメントは新合意を予断しない。
200
LDC

緩和と実施手段を 5 年サイクルとすべき。途上国は、緩和に対応する実施手段の提供につい
て明確な意思表示を必要としている。緩和と実施手段をパラレルに扱うべき。

公式の事前プロセスをパリで決めるべき。

5 年以上の示唆的な目標を検討してもよいが、5 年サイクルであることがロックイン回避に必要
である。サイクルの統一化(harmonize)も不可欠である。

サイクルの途中で野心を強化するのは法的には難しい。議定書の改正を governing body の
決定で批准なしで出来るような法的プロセスが必要である。

LDC は適応の INDC を支持しない。合意に記入(inscribe)できないからである。NAP や NAPA
などがある。適応のサイクルが必要なのかも検討している。
共同議長

モントリオール議定書には、調整(adjustment)と改正(amendment)があることは興味深い。
サウジアラビア

適応のサイクルは、緩和に対して補完的な役割を担うものである。両方をリンクし、相互に調
整するのがよい。つまり、緩和のサイクルは適応のサイクルとリンクする。どの程度の緩和を行
うかによって、どの程度の適応が必要なのかが決まる。実施手段とも連動させる必要がある。こ
れら 3 つを同時並行的に進めていくべき。

適応の INDC はリマで解決した問題である。
マレーシア

緩和と適応のリンクはますます強まっている。

定期的な検討と評価は、条約の 7 条 2 項の(a)と(e)が参考になる。

ドーハ改正は 2020 年末まで続くが、新合意が 2020 年から発効する場合、2 つの法的拘束力
ある合意が並立することになる。そのインプリケーションは何なのか。
2015 年 2 月 13 日(金)
ADP 閉会プレナリー
概要:
共同議長が交渉テキストに関する会期中の検討を総括した上で、テキストを国連公用語に翻訳
すること、法形式を予断するものではないこと、合意と決定を区別していないこと、6 月の会合で内
容面の交渉を行うことなどを説明し、その後、交渉テキストを採択した。また、共同議長は次回会合
について、2 月 13 日午前の会合での議論を踏まえてシナリオノートを作成し、その中で作業の進め
方を示すと述べた。さらに、共同議長は下期の追加会合の日程について、締約国との協議を踏ま
201
えて、8 月 31 日~9 月 4 日及び 10 月 19 日~23 日の期間で会合を準備するように事務局に要請
したと発言した。
その後、ペルーがフランスおよび国連事務総長とともに「リマ-パリ行動アジェンダ」を立ち上げた
ことを、コスタリカがチリ、グアテマラ、フランス、スウェーデン等とともに人権と気候変動に関する知
見とベストプラクティスを共有するための「ジュネーブ・プレッジ」に署名したことを紹介して、
ADP2-8 会合は閉幕した。
202
第2章
ADP を中心とする気候変動交渉状況等の調査・分析
2-1.将来枠組みに対する各国のポジション分析
2014 年度に行われた交渉では、それまでの交渉よりも論点が多岐にわたるようになった。以下で
は、各国のポジション分布を論点ごとに見ていく。論点には、緩和、適応、資金、技術、透明性とい
う要素に関するものと、要素間のバランス、締約国間のバランス、新合意と COP 決定の使い分け、
新合意と気候変動枠組条約の関係という全体論に関わるものがある。
(1)緩和
図2-1は、各国の立場を、「全ての国にボトムアップ」、「全ての国にトップダウン」、「南北固定
化(先進国はトップダウン、途上国はボトムアップ)」という 3 点を結ぶ三角形の中に分布させたもの
である。
図2-1
出典:各国のサブミッションと ADP 会合での発言をもとに電力中央研究所作成
ほとんどの先進国は「全ての国にボトムアップ」と「全ての国にトップダウン」の中間、つまり「全て
の国にハイブリッド」に収斂しつつあるが、米国や日本はその中でもややボトムアップ寄り、EU はや
やトップダウン寄りとなっている。 先進国と対照的な立場をとるのが、「南北固定化」という右下の
203
頂点に位置する LMDC である。LMDC は ADP が始まった 2012 年からこの見解をとっており、2013
年の 1 年間を通じても、意見をほぼ変えなかった。一方、全ての途上国が南北固定化にポジショニ
ングしている訳ではない。ブラジル、南アフリカ、アフリカグループは、全ての国にハイブリッドと南
北固定化の中間に位置している。つまり、総論としては、ハイブリッドアプローチであるが、制度設
計のなかに先進国と途上国の区別を織り込んで、この区別を維持する立場である。AOSIS と LDC
は「1.5℃以内」との整合性を重視しており、トップダウン寄りのハイブリッドの考えと見られ、また南
北固定化ほどではないにせよ、国のカテゴリー分けを志向している。
多くの国が「ハイブリッドアプローチ」の考え方を採っていることから、これまでの議論はこのアプ
ローチを軸に進んできた。明確な定義が存在している訳ではないが、各国のサブミッションや発言
を踏まえると、ハイブリッドアプローチは図2-2に示すように、5 つの段階から成っており、制度設
計にあたっては 9 つの論点が存在する。
図2-1 ハイブリッドアプローチの 5 つのステップと制度設計上の 9 つの論点
出典:電力中央研究所作成
表2-1は 9 つの論点に対する各国の意見を整理したものである。
表2-1
ハイブリッドアプローチの各論点に関する各国見解
論点
各国の見解
204
論点 1
①各国が自ら約束のタイプを選択する。その自己選択を通じて自己差異化がなされ
約 束 の タ る(先進国)(※主要国に対して、国別総量目標の提示を望む(日本、EU))
イプ
②先進国と途上国の区別を維持し、先進国は国別総量目標、途上国は自由選択と
する(LMDC、南アフリカ)
③先進国は国別総量削減目標、他の国でもその立場にある国は国別総量削減目
標、それ以外の国も何らかの約束(メキシコ)
④総量目標を掲げる附属書 A 国(先進国は必須、途上国は望む場合)、それ以外を
掲げる附属書 B 国(LDC)
⑤同心円(concentric)の差異化。円の中心は(a)総量削減目標で、先進国はこれを
必須。その外側に(b)排出予測に対する総量抑制目標、(c)GDP 原単位目標、(d)
人口あたり目標、(e)行動があり、途上国は自国の状況に応じて(a)~(e)の中から選
択し、徐々に円の中心に近づける(ブラジル)
論点 2
①10 年サイクルを支持(日本(ただし、5 年サイクルに関心がある国があり、努力が 10
目標年・
年間もチェックされないことへの懸念があることを認識)、EU(“every [x] years”という
サイクル
ようにシンプルにすべき。EU は 2030 年目標を望んでいるが、「5 年間の約束+その
後の 5 年間の示唆的約束」がテーブルにあることは認識)、メキシコ(10 年を望むが、
「5 年間の約束+その後の 5 年間の示唆的約束」を検討することを示唆)、カナダ、韓
国、インド、ウクライナ)
②5 年サイクルを支持(米国)
③5 年サイクルを支持するが、「5 年間の約束+その後の 5 年間の示唆的約束」も可
(LDC、マーシャル諸島)
④「5 年間の約束+その後の 5 年間の示唆的約束」を支持(ブラジル、南アフリカ、
AILAC)
⑤「全ての国に 10 年/5 年」、または「先進国は 10 年/5 年、途上国には多様性」
(中国)
⑥5 年ごとに同時更新することを条件に、期間に柔軟性を持たせる(スイス(全ての国
がコミットメントを 5 年ごとに提出・更新。ただし、5 年よりも長い約束期間の国は、5 年
後の示唆的なコミットメントを提示))
⑦年数を示さず、全ての国で共通にすべきとだけ発言(豪・ノルウェー)
論点 3
COP20 の決定文書で以下を例示。必須事項ではなく、どの事項を含めるかは各国が
関連情報 任意に決定
の項目
①参照点に関する定量情報(基準年を含む)、②実施の時間枠/期間、③範囲とカ
バレッジ、④計画プロセス、⑤前提と方法論のアプローチ(人為的な GHG 排出と
(適切な場合には)その除去に関する推定・アカウンティングに関するものを含
む)、⑥約束草案が国別事情の観点からみて公平で野心的であることの説明、⑦約
束草案による条約 2 条の目的への貢献に関することの説明
205
→次のサイクルに向けて、2015 年合意の中でさらに具体化していく可能性あり
論点 4
COP20 において、「2015 年 10 月 1 日までに提示された約束草案の全体効果
協 議 ・ 評 (aggregate effect)に関する統合レポート(synthesis report)を、条約事務局が 11 月 1
価の方法
日までに作成すること」を決定。UNFCCC の下での対話実施が模索されたが、COP
決定には盛り込まれなかった。2016 年に事前協議を行うという案が出てくる可能性あ
り。次にサイクルに向けて、2015 年合意の中で具体化していく可能性あり
論点 5
【登録方法】
約束の登
①新合意に刻み込む(inscribe)(EU、LDC、AOSIS、AILAC)(国別の Contribution
録方法と
Document に刻み込む(AILAC)、総量削減目標を掲げる附属書 A(先進国+α)、
タイミング
排出抑制約束・戦略を掲げる附属書 B(その他)(LDC))
②合意の補足文書である国別の行程表(schedule)に含める(米、豪、ニュージーラン
ド)
③法的文書の附属書や行程表に書き込む(南アフリカ)
④新合意の添付書(attachment)に含める。先進国の削減約束を取り込む添付書 A、
先進国による支援を含める添付書 B、途上国の行動を含める添付書 C の 3 本立て
(中国)
【登録のタイミング】
①2015 年合意への参加時(米国)・署名時(メキシコ)(※ただし、COP21 のタイミング
でも、inf 文書以上・Annex 以下の文書に貢献を反映(米国))
②事前アセスメントの終了から 3 カ月以内(初回は 2015 年合意の採択時)(AILAC)
③COP21 までにルールが間に合わない場合、暫定的な形で貢献をアンカー。ルー
ル決定後、最終版を提示(ニュージーランド)
④2015 年は暫定的な貢献を、2017 年までに最終的な貢献を記入(南ア)
論点 6
①約束に法的拘束力をもたせて、遵守のメカニズムが必要(EU、AILAC、LDC)
約束の法
②約束そのものには法的拘束力を持たせず、約束の提出、その達成のための措置
的拘束性
の実施、実施へのレビューを受けることに法的拘束力をもたせる(日本)
③約束そのものには法的拘束力を持たせず、約束の提示や MRV を受けることに拘
束力をもたせる。約束には、国内法で拘束力をもたせる(ニュージーランド)
④関連情報のなかに、約束の実施を下支えする「国内の既存の政策措置・予見され
る政策措置(そのうちの一部は法的効力をもつ)」を含める(米国) →COP20 の決定
には含まれず
⑤目標・取り組みを提出することを義務とする(シンガポール)
⑥コミットメント作成における基準に従うことに法的拘束力をもたせる(南アフリカ)
論点 7
【計測・報告・検証(MRV)とアカウンティング】
透明性確
①共通の MRV システム・アカウンティングルールが必要(先進国、AILAC)
保のルー
②最終的には共通システムを目指すべきだが、途上国は当面はオプションの中から
206
ル
自由選択できるようにすべき(南アフリカ)
③全ての国に適用される共通ルールは不要であり、先進国・途上国の二分法に基づ
く既存システムを活用すべき(LMDC)
【ルールを決めるタイミング】
①貢献に適用される拘束的なルール(レポーティング、アカウンティング、レビュー)
は、COP21 で COP 決定として決められるべき(米国)。約束の努力水準に大きな影響
を与えるルール(メトリクス、レファレンスレベル、土地部門と市場メカのアカウンティン
グ)は、COP21 で COP 決定として決められるべき(EU)
②パリ、またはその後に決める(ニュージーランド)
③COP21 までに決まらない際には、COP21 で作業計画を決める。ルールが約束に
影響を与える場合、各国は調整を許される(日本)
④新合意に原則を含めて、詳細は 2016 年以降に決める(豪)
論点 8
①透明性の強化:約束の実施状況に対する単一のレビューシステムが必要。単一で
事後レビ
はあるが、能力・事情等に基づく差異化を許容する(日本、米国)(※ウェブサイトを
ューの役
通じた Q&A と SB におけるレビューセッション(日本)、条約 13 条のもとで COP が採
割
択した「多国間協議プロセス」(メンバーシップの規定を除く)の検討を含む(米国))
②期間途中の調整:温度目標・科学的情報に照らして定期的に各国の取り組みと世
界全体の努力水準をレビューし、必要に応じて事後調整(EU、AILAC、南アフリカ、
メキシコ)
(※サイクルを 10 年として、5 年目に中間レビューを行う(EU、南アフリカ))
③次の期間へのインプット:10 年間の期間の中に、5 年間の貢献期間とその後の 5
年の示唆的期間を設ける。各貢献期間の終了までに、示唆的期間の貢献に対する
調整と確認(confirm)を行い、その次の示唆的期間を伝達する。各貢献期間の前半
に「全体検討プロセス(aggregate consideration process)」を行い、各国貢献の調整に
対してグローバルな視点をもって情報を与える。後半には、各国が国内で NDC の調
整を行う(ブラジル)
④先進国・途上国の二分法に沿って区別すべき(中国)
論点 9
①促進機能中心とするメカニズムが必要(米、豪、ノルウェー、南ア、アフリカ、メキシ
遵守メカ
コ)
ニズムの
②罰則も含む遵守メカニズムが必要(スイス、LDC)
採否と役
③遵守のメカニズムが必要だが、内容は明言せず(EU、ニュージーランド、AILAC)
割
※議論するには時期尚早(日本、中国)
出所:各国のサブミッションと ADP 会合での発言をもとに、電力中央研究所作成
(2)適応
アフリカ諸国、AILAC、及びメキシコは、途上国の適応支援のニーズを金銭的に定量化して世界
207
全体の目標とすべきと主張した。これに対して、先進国は、適応のニーズは地域固有であり、世界
全体での定量化になじまず、世界全体の目標を設けるとしても定性的なもの(例えば、強靭性
(resilience)の向上等)にすべきとした。ただし、途上国の中でも AOSIS は適応ニーズの定量目標
化は困難で、定性的な目標が望ましいとの見解を示した。
ロス&ダメージについても、途上国は、LDC と AOSIS を中心に適応とは異なる位置づけで新枠
組みに含められるべきと主張しているのに対して、先進国側は既存の取り組み(ワルシャワメカニズ
ム)との重複への懸念を表明している。
一方、COP20 の決定文書では、新枠組みにおいて適応を強化することが前文に盛り込まれた。
(3)資金
COP20 の決定文書のパラグラフ 4 として、以下が含まれた。
Urges developed country Parties to provide and mobilize enhanced financial support to developing
country Parties for ambitious mitigation and adaptation actions, especially to Parties that are
particularly vulnerable to the adverse effects of climate change; and recognizes complementary support
by other Parties
まず、冒頭の部分で、先進国から途上国への資金の流れを示した。これは、1 章で述べたよう
に、
「先進国と途上国」という二分法からの脱却が ADP の最大争点となる中、資金支援について
はこの二分法を認めているかのように見える。
次に、被支援国として、脆弱国が特記されており、途上国の中でも、脆弱国が他の途上国とは
区別されている。ただし、脆弱国の定義は与えられていない。
最後に、他国による補完的な支援が認識されている。冒頭で先進国を資金提供国としつつ、他
国も「補完」という位置付けで提供側に回ることを示したものである。ただし、その前の部分と
は、セミコロン(;)で区切られており、その前後の関連性が弱められている。
ただし、このパラグラフで書かれていることが、2020 年以降の枠組みのことを指しているの
かが必ずしも明確ではない。前述の(1)や(2)に関連するパラグラフでは、新枠組み(英語では、“a
protocol, another legal instrument or agreed outcome with legal force”)という言葉が使われているが、
このパラグラフでは用いられておらず、2020 年以降の将来を指すとは明確には読みとれない。
時制は現在形であり、グリーン気候基金(Green Climate Fund、GCF)に対して、先進国だけで
はなく、一部途上国も拠出を表明している現状を指しているものとも読みとれる。
このように意味するところが明確ではなく、多様な解釈を許容しうるが、大きな方向性として、先進
国から途上国への支援は続くこと、提供国は広がること、脆弱国が重要な被支援国となることの 3
点が示されたと言えよう。
ただし、対立点も残っている。ほぼ全ての途上国が、先進国による資金提供に定量目標を設け
るべきと主張しているのに対して、先進国は、そのような定量目標は不要であり、むしろ民間投
208
資を促すような制度環境(enabling environments)の強化を目標とすべきと主張した。
図2-1は資金に関する先進国と途上国の意見の相違を整理したものである。
資金提供国の範囲
先進国
途上国
All Parties in a position to do
so (AILACとLDCも同調)
先進国限定
※COP20における決定=Urges developed country Parties to
provide and mobilize enhanced financial support to developing
country Parties for ambitious mitigation and adaptation actions,
especially to Parties that are particularly vulnerable to the adverse
effects of climate change; and recognizes complementary support
by other Parties;
定量目標は機能しない
年間1000億ドル以上の定量目標
国別の年間定量目標(金額)
先進国間の負担分担
財源
民間資金も重要な役割
公的資金が中心
途上国の排出削減
支援を条件としないものを
含むべき
資金支援に左右される
資金拡大方法
実現環境強化
(enabling environments)
図2-1 資金に関する先進国と途上国の意見の相違
出所:各国のサブミッションと ADP 会合での発言をもとに、電力中央研究所作成
(4)技術
技術移転について、インド等の一部途上国が知的財産権保護は技術移転を阻害しており、GCF
に技術ウィンドウを設けて知的財産権を買い上げ、途上国に安価で使用させるべきと主張している
が、先進国は、知的財産権はイノベーションと技術移転を促進するものであると反論した。図2-2
は技術に関する先進国と途上国の意見の相違を整理したものである。
先進国
技術メカニズム
(TECとCTCN)の役割
途上国
既存の技術メカニズム(TECとCTCN)を継続・強化すべき
(※一部の国は新合意の中に明確に位置付けるべきと発言)
資金メカニズムにお
ける技術ウィンドウ
新規ウィンドウは不要(米)
CTCNがニーズをバンカブルな
プロジェクトに仕上げることを支援
(米・EU)
技術に特化したウィンドウを
設けるべき(LMDC、LDC)
知的財産権
(IPR)
技術移転の促進剤であり、
イノベーションのインセンティブ
技術移転の阻害要因であり、対
処する仕組みを含めるべき(資金、
共同R&D、優遇的なライセンス)
図2-2 技術に関する先進国と途上国の意見の相違
出所:各国の ADP 会合での発言をもとに、電力中央研究所作成
209
(5)透明性
多くの先進国がアカウンティングなど緩和に関する部分は緩和のセクションに移すように提案し
つつ、透明性に関する単一のシステムが必要と主張している。同時に、透明性やアカウンティング
に関する原則を具体的に書きこむことも提案している。また、透明性の仕組みを、二分法によって
差異化することには参加している。支援の透明性については既に取り組みが行われていることから、
新合意での追加的な記述は不要ではないかとの意見も多い。
一方、途上国は、透明性は緩和だけではなく支援も扱うものであり、緩和に偏った文言を改める
べきと主張している。また、先進国と途上国で差異化されるべきこと、CBDR 等の条約原則に従うこ
とを明記するように求めている。支援の MRV について、共通の方法論が必要であると主張する国
が多い。図2-3は透明性に関する先進国と途上国の意見の相違を整理したものである。
緩和(排出削減)に関するMRV
全ての国に共通のシステムとするが
各国の事情に応じて柔軟に適用する
支援に関するMRV
提供国の支
援実績だけ
ではなく、
受取国での
実効性も扱う
べき
先進国と途上国の間で差異化すべ
き(カンクン合意のMRVを活用)
先進国
支援提供の
MRVを強化
すべき
LDC/AOSIS/
AILAC
南ア
アフリカ
LMDC
図2-3 技術に関する先進国と途上国の意見の相違
出所:各国の ADP 会合での発言をもとに、電力中央研究所作成
(6)要素間のバランス
COP20 では、新枠組みにおいて、排出削減、適応、途上国支援、透明性確保という諸要素をバ
ランスよく扱うことを「決定」した。ADP を創設した COP17 のダーバンプラットフォーム合意は、ADP
の検討テーマとして、削減、適応、支援(資金、技術、能力構築)、透明性を列挙したが、これらを
最終的に新枠組みの中に含めるかどうかには言及しておらず、COP18 と COP19 の決定文書でも
同様であった。今回の COP の決定文書では、これら全てが新枠組みに含まれること、しかもバラン
スよく扱われることが、決定事項として明記された 。従来の文言よりも、かなり踏み込んでおり、削
減、適応、支援を同等の重要性をもって扱うことを求める途上国に配慮した形となった。
210
2015 年の会合では、多くの先進国が各要素の特徴の違いを反映すべきと述べたのに対して、
LMDC、中国、インド等は各要素をバランスよく、対等に扱うべきと主張した。ブラジルは、これら全
てを NDC で扱うべきとした。
(7)締約国間のバランス
現行の枠組みであるカンクン合意と京都議定書では、UNFCCC が採択された 1992 年時点にお
ける OECD 加盟国と旧ソ連・東欧諸国を先進国、それ以外の国を途上国として取り組みを区別して
いるが、ADP では、先進国がこの区分からの脱却を求め、大きな争点となってきた。
COP20 の決定文書には、差異化について新たな文言が盛り込まれ、「新枠組みは、共通だが差
異ある責任と個別能力の原則を、様々な国別事情を考慮して反映する」とされた。これまでの交渉
において、「共通だが差異ある責任」は先進国・途上国という二分法を想起させる言葉として用いら
れてきたが、これに「個別能力」や「様々な国別事情」という言葉が加わることで、自国決定を通じた
自己差異化も読みとれるようになっている。この文言は、2014 年 11 月の米中共同声明で使われた
ものであり、米中合意を起点に、最も困難な論点について、一歩を踏み出したといえる。
ただし、新しい文言が具体的に何を意味しているのかは現時点では明らかではない。2015 年 2
月の会合では LMDC は従来の二分法を繰り返し主張しており、ポジションは大きくは変わっていな
いように見える。
(8)新合意と COP 決定の使い分け
先進国は持続的なものはコア合意に、時間とともに発展させるものは決定に含めるという考え方
である。一方、多くの途上国は、使い分けを議論するのは時期尚早としている。
(9)新合意と気候変動枠組条約の関係
LMDC と中国は、「気候変動枠組条約こそが持続的なものである。2015 年合意は、2021 年から
2030 年の期間における条約の実施を強化するものである」と 2015 年 2 月の会合で発言した。一方、
それ以外の大半の国々は、「新合意は条約 2 条の目的を達成するための持続的な枠組みである」
との見解である。
2-2.我が国が求めていくべき将来枠組みの構造
2-2-1.考えられる新枠組みの構造パターン
2014 年は各論の詳細についても議論が及び、その中で交渉グループのポジションも上記のよう
に細分化していったが、そのような詳細な差異を捨象し、大きな方向性に着目して、考えられる枠
組の構造パターンを描くと、図2-4のようになる。緩和のハイブリッドアプローチに対する意見も、
この考え方の違いに沿って整理できる。たとえば、先進国は、INDC という手法になじむのは緩和
であり、その特徴を捉えて、事前情報も緩和に絞るべきと主張してきた。一方、AILAC や LDC は、
途上国支援や適応についても、緩和の仕組みと対称的である必要はないが、それぞれの性質に
211
応じた国際的なプロセスを設けて、緩和と同等の重要性を示すべきとしてきた。他方、LMDC、ブラ
ジル、アフリカはそれぞれの間での意見の相違があるものの、大きな方向性として、緩和、適応、途
上国支援を対称的に扱うことを強く求め続けており、たとえば事前情報についても、これらの要素
全てを扱うものとしてきた。
法的枠組み
COP決定
先進国
将来にわたって変更の必要
がないものを含める。要素間
の特徴の違いを反映する
AILAC
LDC
緩和と適応(ロスダメ含む)を
同等の重要性をもって扱い、
途上国支援(特に資金)の約
束を含む
LMDC
ブラジル
アフリカ
緩和、適応、支援を対称的
に扱い、UNFCCCの構造を引
き写す
時間とともに発展させていくもの
(各論の詳細な仕組みや規定)
を含める
法的枠組みとCOP決定の使
い分けを議論するのは時期
尚早
図2-4 各国の見解に基づく枠組み構造のパターン
出所:各国のサブミッションと ADP 会合での発言をもとに、電力中央研究所作成
2-2-2.COP21 に向けた交渉上の課題
このように、各国間で枠組みの構造に関する見解が大きく、COP21 に向けた交渉上の課題は大
きい。我が国として目指すべき構造は、図2-4で示した先進国の見解に沿うものと思われるが、そ
れを実現するためにも、コンセンサスを得られるバランスを考察して、それに基づき戦略を検討する
必要がある。以下では、2015 年の交渉上の大きな課題を整理する。
(1)新枠組みの要素間のバランス確保
2015 年の交渉では、COP21 での採択に向けて、各国の提案をもとに合意可能な「条文」を作る
ことが最大の課題となる。これまでは、コンセプトを中心に交渉が行われてきたが、今後は、それら
を国際条約の条文に仕上げていかなければならない。その際、削減に関するハイブリッドアプロー
チを仕上げつつ、検討が遅れている適応と支援についても着地点を見いだして、削減・適応・支援
のバランスを確保できなければ、合意は困難となる。
合意可能なバランスが何であるのかは、現時点では予見しがたいが、これまでの合意からヒントを
得ることはできる。
212
・カンクン合意との対比
2010 年のカンクン合意では、「先進国と途上国」という区分を維持しつつ、途上国から排出抑制
行動とその実施に対する透明性確保を引き出すために、先進国は資金提供を約束し、GCF と技術
メカニズムも創設して、バランスをとった。ADP では、先進国は、「先進国と途上国」という二分法か
らの脱却を目指しており、これを越えるための新たなバランスが必要である。
・COP20 の決定文書から示唆されるバランス
COP20 の決定文書の記述を踏まえれば、現時点で合意可能なバランスとは、
①排出削減については、約束草案に付す関連情報の項目を各国の選択に委ねたように、約束の
タイプ(表 4-1 の論点 1)や強度を自ら決定することを通じて自己差異化する。その結果として、各国
は、総量目標を掲げる国、相対目標(原単位目標や BaU 比目標)を掲げる国、定性的取組を掲げ
る国に大別される
②支援については、「先進国と途上国」の二分法を明示的に残し、先進国から途上国の流れを継
続しつつ、新たに支援側に回る国の存在や途上国間の南南協力を取り込む
③適応については、脆弱国への重点支援を具体的にすることで、その位置付けを強化する
といったものではないかと考えられる。COP20 では二分法とも、自己差異化とも読みとれる文言が
合意されたが、上記のバランスには、両方の概念が含まれており、差異化という観点からも、合意
点に近いのかもしれない。
ただし、COP20 の決定からは、途上国が支援を条件とする排出削減を提示した際に、どのように
応えるのかという点が見えてこない。これは、①と②をどのように繋ぐかということでもあり、合意に必
要なバランスを図るうえで避けては通れない課題である。
(2)排出削減に関するハイブリッドアプローチの仕上げ
排出削減については、ハイブリッドアプローチの仕上げを行うことが課題となる。
・米国の参加要件との整合性
これまでの COP では、表2-1の論点 2、及び論点 5 から論点 9 についての方向性が示されてお
らず、これらの着地点を見いだす必要がある。
その検討においてポイントとなるのは、米国の参加要件を満たすように制度を設計することであ
る。国際条約への米国の参加というと、「上院の 3 分の 2 以上の同意」という条件が良く知られてい
る。京都議定書では上院の 3 分の 2 以上の同意を得られる見込みが全くなく、ブッシュ政権期に不
参加が確定的となった。現在においても、連邦議会で多数派となっている共和党は、オバマ政権
の気候変動対策に批判的であり、議会の同意を得ることは困難な状況である。
しかし、合意の内容や形式次第では、米国政府は、議会の同意を得ずに、国際合意に参加でき
る。まず、合意に法的拘束力がない場合は、参加に制約はない。一方、法的拘束力を有する合意
の場合、その内容が、大統領や行政府の既存権限だけで実施できるものであれば、議会の同意を
213
得ずに締結できる。この方法で参加する国際合意は単独行政協定(sole executive agreements)と
呼ばれている。最近では、2013 年に水銀に関する水俣条約を、単独行政協定として議会の同意を
得ずに締結した。水俣条約は 2013 年 10 月 10 日に国際交渉で採択されたが、米国は採択から約
1 か月後の 11 月 6 日に署名・受諾し、世界で最初の締約国となった。
ADP を創設した 2011 年のダーバンプラットフォーム合意は、2020 年以降の新枠組みの法形式に
ついて、議定書、他の法的文書、または法的効力を有する合意された成果という 3 つの選択肢を
示した。3 つ目の選択肢の意味するところは不明確であるが、法的拘束力を有さないカンクン合意
と比べれば、法的な位置付けの強い合意が志向されている。
新枠組みが法的拘束力をもつ合意となる場合、米国が参加するには、単独行政協定としての要
件を満たす必要が出てくる。つまり、新枠組みのなかで法的拘束力を持たせる部分は、米国の既
存法で実施可能なものに限るということである。
まず、約束の法的拘束性(論点 6)については、米国の既存法には法的拘束力をもつ国全体の
削減目標が含まれておらず、国際的にも拘束力を持たせることは難しい。同様に、罰則を有する遵
守メカニズム(論点 9)も困難である。水俣条約では罰則ではなく、遵守促進の機能が取り入れられ
たが、このような方法であれば、米国は同意できるだろう。
約束の登録方法(論点 5)については、附属書など新枠組み本体と一体となった文書に含めて
批准対象にするよりも、別文書に登録して批准対象から外した方が既存国内法との整合性を主張
しやすい。
一方、約束の提出や実施状況への透明性確保(論点 7)については、既存の UNFCCC の下でも
報告義務等があり、その義務をさらに詳細化するという位置付けであれば、拘束力を持たせられる
だろう。
・目標年のばらつきへの対処
目標年・サイクルへの合意がないままに、各国は約束草案を提示することになり、2025 年目標を
提示する国、2030 年目標を提示する国、両方を提示する国に分かれていくと予想される。
このばらつきにどのように対処するかは 2015 年の交渉に残された大きな課題であるが、各国が
国内での検討プロセスを経て決定した目標を事後的に変更することは難しい。そのため、ばらつき
を許容しつつ、5 年サイクルを掲げる国と 10 年サイクルを掲げる国の間で公平性を確保するという
方向で議論が進むと予想する。たとえば、2025 年目標を掲げた国が 2030 年目標を提示するタイミ
ングで、そうではない国の 2030 年目標に中間レビューを行い、両者に等しくプレッシャーがかかる
ようにすることが一案であろう。
・アカウンティング
表2-1に示したように、透明性確保については、市場メカニズム(排出量取引)や土地部門に対
するアカウンティングが検討課題の 1 つとなっている。約束草案に付す関連情報に、アカウンティン
グに関する項目が含まれており、今後、約束草案とともに各国のアカウンティングに対する考え方
214
が出てくることになる。そのため、草案が出揃う時期には大きな争点になると予想される。
(3)2℃目標に向けた追加努力を継続検討するプロセス
COP20 の決定を受けて、条約事務局は 2015 年 11 月 1 日までに各国の約束草案を積み上げた
全体効果に関するレポートを作成する。また、UNEP などの国際機関やシンクタンク、環境 NGO 等
も、各国の約束草案に関する分析をタイムリーに実施していくと予想される。
各国の約束草案の内容次第では、こうした分析を通じて、2℃目標の達成に必要とされる削減量に
届かないという議論が 12 月の COP21 に向けて強まっていくかもしれない。そのような雰囲気のなか
で COP21 を迎えると、2℃目標との整合性が争点になる。
一方で、各国が、国内の検討プロセスを踏まえて提示したものを強化するのは容易ではない。そ
のため、2015 年の時点で整合性を確保するのではなく、2℃目標に向けた追加的な努力を 2016 年
以降も継続的に絞り出すプロセスを作る方向に議論が向かうのではないかと予想する。
ADP では、2020 年以降の新枠組みの交渉に加えて、2020 年までの追加削減を特定するために
専門的検討が行われているが、この検討プロセスを 2020 年以降の削減も扱うように発展させ、実
効性を高めていくことが、この議論の出口かもしれない。たとえば、専門的検討の結果を途上国支
援と関連付けて、安価で大きな削減ポテンシャルが存在する国・分野に資金・技術の支援を重点
配分するという方法が考えられる。あるいは、ハイブリッドアプローチの「事前協議」と「事後レビュー」
の中に、専門的検討による追加削減機会の特定という機能を埋め込んで、その位置付けを高める
ことも一案と考えられる。
2-2-3.我が国として目指すべき新枠組みの構造
このように合意に向けて諸課題があるなかで、コンセンサスを得ることができ、我が国の観点(特
に全ての国の参加確保)からも望ましい枠組みは、「プロセスに関する合意」であると考える。
これらの課題に示されているように、COP21 で合意を得るには、①削減、適応、途上国
支援のバランス、②米国の既存法との整合性、③2℃目標の達成に向けた努力継続を同時に
確保することが必要である。
その解の 1 つが、取り組みを継続強化するための新たなプロセスを常設することである
と考える。ハイブリッドアプローチにおける事前協議、事後レビュー、遵守促進の仕組み
や、ADP における追加削減特定のための専門的検討は、いずれも取り組み強化を目的とし
ている。これらを単一のプロセスのもとに束ね、さらにその中に途上国の支援ニーズに対
応する機能も持たせることで、削減と支援のバランス、および 2℃目標に向けた努力継続を
示すことができよう。
そして、このようなプロセスであれば、米国も合意可能と考えられる。取り組みの継続
強化に類似するプロセスとして、かつて UNFCCC では、
「多国間協議プロセス(multilateral
consultative process)
」の創設が検討されていた。条約実施にかかる疑問(questions)の解決
や、問題解決に必要な技術・資金の調達についての助言を任務とし、それを促進的、協力
215
的、非対立的、非司法的に遂行するものである。1998 年の COP4 で合意寸前まで交渉が進
んだが、このプロセスを主導する委員会の議席配分に合意できず決裂した。米国と南アフ
リカは、新枠組みにおける事後レビューや遵守促進を、この多国間協議プロセスを参考に
すべきと主張している。こうしたプロセスに関する合意であれば、米国の既存法との整合
性も確保しやすいと思われ、米国や他国と協働して合意形成を図れるだろう。
適応については、排出削減のように期間を区切って目標を立てるのではなく、長期的か
つ継続的に強靭性を高めることが重要である。そのため、削減とは別のプロセスを設けて、
各国の取り組みに関する情報共有や途上国の支援ニーズへの対応を担うようにするのがよ
いだろう。排出削減と並び立つプロセスを作ることで、新枠組みにおける適応強化の姿勢
を示すことができる。
日本の産業界は、経団連の環境自主行動計画、及びそれを引き継いだ低炭素社会実行計
画のもとで、PDCA サイクルを回し続けているが、上記のプロセスに関する合意は、産業界
における PDCA サイクルの取り組みに近い。2015 年の COP21 でプロセスに関する合意を得
たとしても、その詳細な設計は 2016 年以降となるが、その際に日本の産業界が蓄積してき
た経験は先行事例として大いに参考になり、それを国際的に発信することで、その実現に
近づくことができるだろう。
2-3.主要国の動向
米国
①CO2 排出量の実績と見通し(エネルギー関連)

2009 年の COP15 の直前に、
2020 年の排出目標として、
「2005 年比で 17%程度
(in the range
of 17%)の削減」を提示


「17%削減」は、当時検討されていた国内排出量取引法案の内容と整合的な目標
2012 年のエネルギー起源 CO2 排出量は、2005 年比で約 12%減(図2-5の左)
。この
間、シェールガス革命に伴い、天然ガス火力の発電量が増加し、石炭火力の発電量が
減少。しかし、2013 年は天然ガス価格が上昇したことに伴い、前年比で約 2%増加の見
通し

エネルギー省エネルギー情報局(EIA)は、エネルギー関連の CO2 排出は、2005 年比
で 2020 年に約 8%減、2025 年と 2030 年に約 7%減と予測(図2-5右の Reference)
216
エネルギー関連CO2排出量の実績と見通し
エネルギー関連CO2排出量の実績と見通し
(2005~2013年、単位は百万トンCO2)
(2000~2040年、単位は百万トンCO2)
図2-5 米国の最近の排出量実績(左)と今後の見通し(右)
出典: 米国エネルギー省・エネルギー情報局
②オバマ大統領 気候変動行動計画(2013 年 6 月 25 日発表)

2013 年 6 月 25 日、オバマ大統領は今後の温暖化対策についてのスピーチを行い、同時にホ
ワイトハウスのウェブサイトに「大統領気候変動行動計画(The President’s Climate Action
Plan)」(以下、「行動計画」)が掲載された

オバマ大統領は、2013 年 1 月の第 2 期就任演説で「気候変動の脅威に対応していく」と述べ、
2 月の一般教書演説では議会に超党派の法案を検討するよう要請し、「議会の協力を得られ
ない場合には大統領の権限で実施可能な施策を講じる」と宣言。今回の「行動計画」は、議会
の新規立法が不可能である状況を踏まえて大統領・行政の権限で実施可能な対策をとりまと
めたものという位置づけ

「行動計画」は、「①国内の排出削減」、「②国内おける気候変動影響への準備」、「③国際的
なリーダーシップ」という3つの柱からなる。「①国内の排出削減」では、「2020 年までに 2005
年比で 17%減」という目標を達成するために、図2-6の取り組みを列挙
図2-6 大統領気候変動行動計画の概要
出典:大統領気候変動行動計画をもとに電力中央研究所作成
217
③火力発電所への排出規制-新設発電所への排出基準

新設の火力発電所への基準案:
2012 年 3 月に第 1 案、2013 年 9 月に第 2 案が発表さ
れたが、いずれも、全ての新設火力発電所に対して、燃料種を問わず、ガスタービン
コンバインドサイクル発電並みの排出基準を義務付けるもの。石炭火力については、
炭素回収貯留(CCS)なしでは達成できない水準

電力業界・石炭業界は、CCS という未実証の技術を義務付けるのは不適切と反発

EPA は全量の回収・貯留ではなく、部分的な回収・貯留(partial CCS)であれば実
証済みと主張

EPA は、2015 年 1 月に、今夏に最終決定すると発表
2012年3月に発表された新設火力発電
所への基準案
• 新設の発電ユニットに対して、メガ
ワット時(MWh)当たりの二酸化炭
素排出を1,000ポンド以内とする。こ
れは、石炭火力は炭素回収貯留
(CCS)なしでは達成できない水準
• ただし、最初の10年間は1,800ポン
ド(≒超臨界並み)、残りの20年間
は600ポンド以下とする「30年平均
オプション」を認める
• 現在、パブコメを踏まえた修正中。
2013年9月に新提案を公表予定
2013年9月に発表された新設火力発電所へ
の基準案
• 新設の石炭火力発電ユニットに対して、
メガワット時(MWh)当たりの二酸化炭
素排出を1,100ポンド以内(1年平均)、ま
たは1,000-1,050ポンド以内(7年平均)。
依然として、石炭火力はCCSなしでは達
成できない水準
• 新設の天然ガス火力ユニットに対して、
容量や熱効率に応じて、メガワット時
(MWh)当たりの二酸化炭素排出を
1,000ポンド以内、または1,100ポンド以
内
シェール革命により、石炭火力の新設は元々、ほとんど存在せず、この基準は現時点の状況では、
ほぼ無意味。ただしCCSを根拠とする基準には電力・石炭産業の抵抗大。法律上の課題もある
図2-7 火力発電所への排出規制-新設発電所への排出基準
出典:電力中央研究所作成
④火力発電所への排出規制-既設発電所への排出規制

EPA は、2014 年 6 月 2 日に、州に対する規制手続きの草案(Clean Power Plan)を発表。
手続きとはいうものの、州別目標を定めるなど、詳細な内容に踏み込んだもの

「州別の調整排出原単位の目標」、および「州の計画が満たすべき仕様と要件」か
らなる

州別目標は「①発電所施設内の効率改善」、
「②天然ガス火力の優先ディスパッチ」、
「③再エネ・原子力の利用拡大」、「④省エネによる発電回避」という 4 つの分野
による削減ポテンシャルを積み上げて設定

「2020 年から 2029 年の平均による中間目標」と、
「2030 年以降、毎年満たすべき
最終目標」の 2 本立て

排出総量ではなく、排出原単位を指標とする目標だが、省エネによる排出削減を
218
取り込むため、
「調整原単位」を指標として使用

州計画に対する EPA の承認基準として、以下の 4 点を提示。規制対象(発電所等)
への強制可能な措置と目標未達が見通される際の是正措置が必須となっている点
がポイント

①規制対象に対して強制可能な措置(enforceable measures)を含むこと

②EPA が各州に設定した目標が達成される見通しであること

③定量化可能で検証可能であること

④実施状況を毎年報告するプロセス、及び報告のなかで大幅な目標未達が見
通される場合の是正措置が特定されていること

原単位目標であるため、排出総量へのインパクトは不確実であるが、EPA の見通
しでは、発電部門の排出総量が 2005 年比で、2020 年に 26%減、2025 年に 29%減、
2030 年に 30%減

現在から 2020 年まで急速に削減し、その後は 2030 年に向けて緩やかに削減とな
る見通し(図2-7左)
。その際、石炭火力比率が低下し、天然ガス火力と再エネ
電源の割合が増加(図2-7右)

当初、EPA は 2015 年 6 月に規制手続きを最終決定する予定だったが、2015 年 1 月に
EPA は最終決定の時期を「今夏」とすることを発表
100%
発電部門の排出量(
百万トンCO2)
2100
90%
2000
19%
20%
20%
20%
12%
15%
15%
16%
80%
70%
1900
その他
60%
1800
50%
1700
32%
32%
33%
40%
20%
2015
2020
2025
2030
原子力
再エネ
天然ガス
石炭
30%
1600
1500
2010
石油
30%
37%
33%
31%
31%
2020
2025
2030
10%
0%
年
2012
図2-8 Clean Power Plan の下での発電部門の排出見通し(左)と
Clean Power Plan の下での電源構成の見通し(右)
出典:EPA のモデル計算等に基づき電力中央研究所作成
⑤Climate Action Plan に掲げられたその他施策の状況

Climate Action Plan に掲げられた他の施策の進捗は以下の通り。2014 年に入ってから具
体的な動きが続いた

トラックの燃費規制強化
219

オバマ大統領は 2014 年 2 月 18 日に、EPA と運輸省に対して、2018 年モデル以降
のトラック(medium- and heavy-duty vehicle)への燃費基準・排出基準を設定する
ように指示。2015 年 3 月に規則案通知を提示し、2016 年 3 月に最終決定の見通し

現時点では削減効果は不明。2012 年時点では、トラックからの排出量は全排出量
の 7%程度。なお、ホワイトハウスは、2014 年モデルから 2018 年モデルまでの基
準(2011 年に決定)では、5 年間の累積で 2 億 7000 万トン削減の見通しと発表

メタン排出削減戦略

ホワイトハウスは 2014 年 3 月 28 日に、メタン排出削減戦略を発表し、分野別(埋
立地、炭鉱、農業、石油ガス)の取り組みを強化する方針を提示

石油ガス部門については、2015 年 1 月に今後の取り組みを発表。新規の設備につ
いては大気浄化法のもとで規制を導入しつつ、既存の設備については業界の自主
的取組に委ねるという方針を提示。これにより、石油・ガス部門のメタン排出が、
2025 年に 2012 年比で 40~45%削減されるとの見通し

埋立地について、2014 年 7 月 1 日に新規埋立地への規制案を発表したが、削減効
果としては、年間 30 万トン(CO2 換算)程度に留まる見通し(※埋立地からの排
出量は、年間 1 億トン(CO2 換算)
)

HFC 削減

EPA は 2014 年 7 月 10 日に冷蔵庫とエアコンに使用する HFC のフェーズアウト(=
代替フロンの承認リストからの HFC 除外)を提案。2020 年に、3100 万トンから
4200 万トン(CO2 換算)の削減となる見通し。

また同年 9 月 16 日にはホワイトハウスが民間企業との協力を発表し、2025 年まで
の累積で 7 億トンの削減になると試算

建物の省エネ基準強化

エネルギー省は 2014 年 5 月 9 日、業界が定めた建築基準強化案に賛同(affirm)
。
これにより、2030 年までの累積で、2 億 3000 万トンの削減との見通し
⑥州レベル排出量取引の動向

州別の排出量取引制度としては、RGGI(北部 9 州における発電部門のみを対象とした取引
制度)とカリフォルニア州の制度が実施中(表2-2)
220
表2-2 カリフォルニア州と北部におけるキャップ&トレード制度
カリフォルニア州 Cap and Trade
北東部地域GHG削減イニシアティブ
(RGGI)
対象部門
2013~14年:発電+産業部門の固定排出源
2015年~:燃料供給者を追加(輸送用を含む)
化石燃料発電設備
適用基準
年間排出25,000t-CO2以上
設備容量25MW以上
対象ガス
CO2,CH4,N2O,SF6,HFCs,PFCs,NF3およびそ
の他Fガス
CO2
カバー率:域内発電部門のCO2排出量約95%
目標期間
2013~14年,
2015年以降は3年毎
2009~2011年,
以降3ヶ年毎
キャップ設定と
削減スケジュー
ル
2020年までに州全体のGHG排出量を1990年
水準に(2020年の割当総量は2015年比約15%
減)
2014年まで:過去の排出実績に基づき総量
決定,2015~2020年:年率2.5%で削減
(2018年には初期比10%減)
排出枠の価格
オークションの最低入札価格USD 10/t-CO2付
近で推移
第1遵守期間(2009~12)はキャップが排出
量を上回り,98%の施設が遵守,オークショ
ン価格はUSD 2~3/t-CO2
出典:電力中央研究所作成
⑦気候変動行動計画における国際的なリーダーシップ

「大統領気候変動行動計画」は国内政策に加えて、「国際的なリーダーシップ」について以下
を列挙

MEF の強化。建物の省エネ推進について取り組みを開始したことを例示

主要新興国との二国間協力の拡大。HFC に関する米中合意などを例示

短寿命温室効果物質の削減。CCAC とグローバルメタンイニシアティブを例示

森林破壊による排出の削減

クリーンエネルギーと省エネルギーの拡大。今後強化すべき分野として、以下を列挙

再生可能エネルギー(大規模・小規模の双方。再エネミニグリッドの商用化)

天然ガス(石炭火力からガス火力への転換促進、天然ガス自動車の促進)

原子力発電(安全性と不拡散の目標と整合する形での原子力発電の推進)

クリーンコール(二国間・多国間の技術協力を継続)

省エネルギー(これまでの取り組みとして GSEP などを例示しつつ、建物のエネルギ
ー効率改善、水・排水処理施設のエネルギー消費削減、機器の効率基準の分野で
取り組みを強化)

環境製品・サービスの貿易交渉

環境製品(太陽光、風力、水力、地熱など)のグローバルな自由貿易のために WTO
で交渉を立ち上げ。環境製品の貿易の 90%がカバーされるように各国の参加を確
保する

サービス貿易新協定(Trade in Services Agreement)の交渉で環境サービスを取り上
げる
221

化石燃料補助金の撤廃


米国の化石燃料補助金を 2014 年予算で撤廃するように提案。他国とも協働
海外の石炭火力新設に対する公的な資金支援を終了

ただし、①最も貧しい国で他の選択肢がなく最高効率の石炭火力を導入する場合と
②CCS を採用する場合を除く


他国や多国間開発銀行に対しても、同様の措置を取るように同意を求める
気候変動への耐久性を高める(水資源の効率的利用、指標保険(index insurance)を含
む革新的な資金リスク管理ツールの開発、気候変動影響に対抗できる種子や農業方法
の普及)

気候変動資金の動員(公的資金を用いて民間投資を動員)

2020 年以降の枠組みについて、野心的かつ柔軟で幅広い参加を確保できる合意を追
求。UNFCCC に加えて、モントリオール議定書、国際海事機関(IMO)、国際民間航空機
関(ICAO)でも取り組みを進める
⑧米中の二国間協議

2013 年 6 月の習近平国家主席の訪米に際して、モントリオール議定書(※オゾン層破壊物質
を規制する条約)の下で HFC の削減を進めていくことに合意

2014 年 2 月のケリー国務長官の訪中に際して、「政策対話を通じて、双方の 2020 年以降の
排出抑制計画に関する情報共有を進める」との共同声明を発表

国務省の Todd Stern 特使はアメリカ進歩センターでの 11 月 24 日の講演で、このときにケ
リー長官が共同声明のアイデアを中国側に持ちかけたと発言

2014 年 7 月の米中戦略経済対話において、8 件の実証プロジェクト立ち上げを発表。そのう
ちの 4 件は CCUS(炭素回収利用貯留)。前年の S&ED で発表された分野以外での協力推進
も確認。また、S&ED の機会を捉えて、中国最高指導部(共産党中央政治局常務委員)のメン
バーである張高麗(Zhang Gaoli)国務院常務副総理(第一副首相)と、米国大統領府のキー
パーソンである John Podesta が会談し、気候変動に関する意見交換を実施。2014 年 10 月に
も Podesta 氏が再度訪中して、張高麗と会談

2014 年 11 月 12 日、北京で行われた APEC 首脳会議後の米中首脳会談において、米国・オ
バマ大統領と中国・習近平国家主席が共同声明を発表し、以下を表明

米国:2025 年までに、温室効果ガス排出を 2005 年比▲26~28%削減を目指す(28%と
なるよう最大限努力)

中国:2030 年頃に、二酸化炭素排出をピークアウト(早期実現に努力)。また、2030 年頃
に、一次エネルギー消費に占める非化石燃料のシェアを 20%程度

同時に、米中クリーンエネルギー研究センターや CCUS 等の協力継続も確認
⑨米印二国間協議
222

ケリー国務長官の訪印に合わせて、米印戦略対話を 2013 年 6 月 24 日に開催。米印気候変
動対話を強化して、ADP 交渉に関する建設的な議論を進め、更なる二国間協力の可能性を
模索することに合意。米国環境派は HFC 削減に関する米印合意を求め、ケリー国務長官もデ
リーでの講演でインドに HFC 削減を呼びかけたが、今回は合意には至らず

2014 年 7 月末に、ケリー国務長官が訪印。この機会を捉えて、米印気候変動作業部会を 7 月
30 日に開催。様々なテーマを議論したものの、具体的な成果はあまりなかった模様。前年来
の懸案である HFC フェーズアウトも継続議論となった模様

2014 年 9 月 30 日に、米国・オバマ大統領とインド・モディ首相の首脳会談を踏まえた共同声
明を発表。このなかで、2013 年の HFC に関する米中合意と同様だが、少し弱い文言が盛り込
まれ、モントリオール議定書のもとで HFC 規制を進めていく方針をインドも事実上、容認

米印共同声明の文言: They recognized the need to use the institutions and expertise of
the Montreal Protocol to reduce consumption and production of HFCs, while continuing to
report and account for the quantities reduced under the UNFCCC. They pledged to
urgently arrange a meeting of their bilateral task force on HFCs (以下省略)

(参考)米中合意の文言: Regarding HFCs, the United States and China agreed to work
together and with other countries through multilateral approaches that include using the
expertise and institutions of the Montreal Protocol to phase down the production and
consumption of HFCs, while continuing to include HFCs within the scope of UNFCCC
and its Kyoto Protocol provisions for accounting and reporting of emissions.

2014 年 11 月のモントリオール議定書の締約国会合では、インドは HFC を扱うことに反対せず

2015 年 1 月、オバマ大統領の訪印に合わせて、オバマ大統領とモディ首相が共同声明を発
表。その中でインドにおける再エネ促進の協力等を位置付け。一方、排出ピーク年や INDC
に関する言及はなし

インドは再エネ電源を 2022 年までに 100GW まで増加との目標を掲げ、米国はこの目標
に対して協力

クリーンエネルギー分野の研究と開発について既存のパートナーシップを延長

クリーンエネルギーに対するファイナンスの加速(タスクフォースの設立、商務省によるト
レードミッション、輸銀によるプロジェクト発掘(インド再エネ開発庁との最大 10 億ドルの
MoU に基づく)等)

モントリオール議定書での HFC 削減について 2015 年に具体的に進めること
⑥2020 年以降の目標-2025 年に 2005 年比で 26~28%削減

2014 年 11 月 12 日の米中共同声明で、
「2025 年に 2005 年比で 26~28%削減という目標」
を発表

目標は大統領府(ホワイトハウス)主導の「inter-agency プロセス」で検討。EIA や EPA
がモデル分析の結果を示しつつ、最終的にはホワイトハウスで決定。2014 年1月にホ
ワイトハウス入りした John Podesta 氏がキーパーソン(目標発表後の 2015 年 2 月に退
223
任)

クリントン政権期に大統領首席補佐官を務める

退任後は、シンクタンク「アメリカ進歩センター」
(Center for American Progress、
CAP)を創設。草の根レベルへのアウトリーチを重視する活動を展開

2008 年の大統領選挙ではグリーンジョブ構想を打ち出し、オバマ氏の当選後の政
権移行チームを率いる

一方、クリントン政権期より、議会軽視で、物事を強引に進めようとするとの批
判も根強い

ホワイトハウスが公表したファクトシートによると、2014 年 11 月 12 日に発表した目
標は「既存の法律の下で実現可能な費用効果的な削減に関する集中的な分析に基づく」
とのこと。ただし、現時点では、▲26~28%の内訳や前提となる法律・施策は未公表

Podesta 氏は 2015 年 2 月に退任。後任は Brian Deese 氏
EU
①温室効果ガス排出量の実績

2013 年以降も京都議定書の第2約束期間に参加。EU27 か国全体で 2020 年に 1990 年比
20%削減の目標

2011 年時点で既に基準年比 18.4%減となっており、20%削減目標は「なりゆき目標」
ではないかとの批判あり
図2-9 京都議定書基準年(※)との比率で見た EU の温室効果ガス排出量の実績
224
出典:European Environmental Agency
②EU-ETS をめぐる動き

2005 年 1 月に温室効果ガス排出量取引制度(EU-ETS)を導入。EU 加盟国の主要エネ
ルギー集約産業のうち、約 12,000 施設(installations)を対象(EU の CO2 総排出量の
ほぼ半分)

2011 年 7 月以降、金融危機・経済低迷に伴う排出減により、供給過剰となり、排出枠
の価格が低迷。2008 年には 30 ユーロ近くまで高騰した価格が、2012 年には 6 ユーロ
程度に

供給過剰で使い切れなかった余剰枠が年々累積し、
約 20 億トンに到達。これを踏まえ、
欧州委員会は排出枠オークションを先送りして、供給量を絞ることを提案。欧州議会
は 2013 年 4 月に提案を否決したが、その後、2013 年 12 月に欧州議会と閣僚理事会で
最終案を採択。9 億トン分のオークションを先送りに

オークションを先送りしても余剰枠が増大すると見込まれることから、欧州委員会は
2014 年 1 月に市場安定化リザーブの創設を提案。欧州理事会は 2014 年 11 月に合意し
たパッケージの中でこの方針を確認
図2-10 EU-ETS の余剰排出枠の実績と見通し
出典:Jos Delbeke(DG CLIMATE ACTION)のプレゼンテーション資料(Carbon Expo 2014 –
Cologne, 28 May 2014)
③2020 年以降の目標-2030 年に 1990 年比で少なくとも 40%削減

欧州委員会は 2011 年 3 月に「低炭素経済に向けたロードマップ」を提案。1990 年比で
2030 年に 40%削減、
2040 年に 60%削減、2050 年に 80%削減という排出経路を提示
(図)
。
欧州議会は 2012 年 3 月にロードマップを支持する決議を採択したが、環境相理事会で
225
は 2011 年 6 月と 2012 年 3 月に議論するも、ポーランドの反対で合意に至らず

2013 年 3 月、欧州委員会は気候変動・エネルギー政策の 2030 年枠組みに関するグリー
ンペーパーを発出し、2030 年目標の議論を開始
図2-11 「2050 年の競争力ある低炭素経済に向けたロードマップ」
に示された温室効果ガス排出経路
出典:2050 年の競争力ある低炭素経済に向けたロードマップ

2014 年 1 月 22 日、欧州委員会が 2030 年に向けた気候変動・エネルギー政策案(A Policy
Framework for Climate and Energy in the Period from 2020 to 2030)を発表。2030 年に 1990
年比で 40%削減を提案。欧州理事会と欧州議会に対して、温室効果ガス削減目標を 2015
年早期にプレッジすることを 2014 年中に同意するように要請

2014 年 11 月に、欧州理事会は、2030 年に 1990 年比で「少なくとも 40%削減」という
目標を含む下表のパッケージに合意
表2-3
欧州理事会が 2014 年 11 月に合意したパッケージ
226
分野
概要
①拘束力ある •
温室効果ガス
削減目標
2030年に1990年比で40%削減(域内削減のみ)(EU-ETS部門は2020年以降、年率2.2%ず
つ、排出枠を削減(2030年に2005年比43%削減)。非ETS部門は2005年比で30%削減(加
盟国間で分担)。非ETSの加盟国分担の内訳がいつ決定・公表されるのか不明
②EU全体の
•
拘束力ある再 •
生可能エネル
ギー目標
EU全体で最終消費エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率を2030年に27%以上
EU全体目標を各国レベルの拘束力ある目標には転換しない
③エネルギー •
効率化
•
エネルギー効率化指令のレビューを2014年に実施し、2030年に(予測値に対して)27%の
省エネという非拘束目標を提案。目標値を30%に引き上げるかどうかを2020年に再検討
EU全体目標を各国レベルの目標には転換しない
④EU-ETSの
改革
欧州委員会の提案に沿った市場安定化措置を含むETSが目標達成の中心手段となること
を確認(【参考】欧州委員会の提案:2021年以降、市場安定化備蓄(market stability
reserve)を創設。既存の余剰枠問題に対処しつつ、オークション枠の調整によって市場
ショックを緩和(※一定のルールに基づき、備蓄分の排出枠を放出))
排出枠の2%を備蓄し、域内低所得国支援に充当
•
•
出典:電力中央研究所作成

2015 年 2 月 25 日に、欧州委員会は Communication という形式で、“The Paris Protocol-A
blueprint for tackling global climate change beyond 2020”を発表。INDC を表形式で提示。
「少
なくとも 40%削減」の内数に森林吸収分が含まれることが判明し、環境 NGO 等は目標
を緩める懸念があると批判

その後、3 月 6 日に UNFCCC に INDC を提示。2 月 25 日版では、
「農業、森林、他の土
地利用を含む」となっていたのに対して、提出版では「土地利用・土地利用変化・森
林を 2030 年の温室効果ガス緩和枠組みに含める方法について、テクニカルな条件が整
い次第、いずれにせよ 2020 年より前に、政策を確立する」という表現に変更。また、
農業・森林・他の土地利用のアカウンティングのアプローチについて、2 月 25 日版で
は、
(i)CMP7 の Decision 2、適用可能な COP 決定、EU の域内法(Decision 529/2013/EU)
及び(ii)環境十全性の現在水準に立脚という文言があったが、提出版では削除
④「2030 年に 1990 年比で 40%削減」という目標の評価

欧州委員会(European Commission)による影響評価(impact assessment)

「レファレンスケース」として、現状の政策の延長(たとえばETS部門は年率 1.74%減を
2020 年以降も継続、エネルギー効率化指令の効果が継続等)を想定

「GHG40%減ケース」における経済影響を、レファレンスケースに対するエネルギーシス
テムのコスト増で評価すると、GDP比で 2030 年に 0.2%。ただし、再エネ 30%・エネ効率
改善 30%を追加的に課す場合には 0.54%まで上昇(※限界削減費用を均等化しない、
つまり高い再エネが入るため と推測)

2030年の排出権価格は、①レファレンスケースは35€/tCO2、②GHG40%減ケース
227
では53€/tCO2、③GHG40%減&再エネ 30%・エネ効率改善 30%は11€/tCO2(※
③で安価になるのは、コスト高の再エネ導入で大幅に削減され、残りをETSで補うため)

Stanford Energy Modeling Forum (EMF)に参加した10個のモデルによる影響評価

レファレンスケースとして、2050 年に 1990 年比 40%減を想定

対策ケースとして、2050 年に 1990 年比 80%減を想定。この場合、2050 年目標の達成に
向けて、最適に削減を進めていくと、 2030 年の時間断面では 1990 年比で 47% (40–
51%)の削減となる。ゆえに、欧州委員会が掲げる 40%減目標は 2050 年に 80%減と整
合的であるが、中央値(47%)でみれば、もっと野心度を上げるべきとなる

対策ケースでは、レファレンスケースと比べて、2030 年のGDPが 0.7%低くなる。経済影
響は moderate と言える
中国
①CO2 排出量(GDP 原単位・総量)の実績と見通し(エネルギー起源)

2009 年の COP15 の直前に、2020 年の排出目標として、
「GDP 当たり CO2 排出量を 2005
年比で 40~45%削減」を提示。また、第 12 次 5 カ年計画において、GDP 当たりの CO2
排出量を 2015 年に 2010 年比で17%削減する目標を設定

2015 年目標・2020 年目標は近年のトレンドの延長上にある(図2-12)
。総量では
大幅増加(図2-13)
228
(tCO2/
千ドル)
2.5
2
1.5
2010年比
17%減
2005年比
40~45%減
1
0.5
0
図2-12 GDP あたり CO2 排出原単位の実績(2000 年~2011 年)と
2015 年・2020 年目標(エネルギー起源)
出典:IEA CO2 emissions from fuel combustion をもとに電力中央研究所作成
229
[100万トン]
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
図2-13 CO2 排出量の実績(1990 年~2011 年)と
2020 年目標(エネルギー起源)
(※GDP 成長率は 7%と仮定)
出典:IEA CO2 emissions from fuel combustion をもとに電力中央研究所作成
②第 12 次 5 カ年計画(2011~15 年)における省エネ・GHG 削減策

第 12 次 5 カ年計画では、2011 年から 2015 年にかけて、省エネ目標(GDP 当たりエネ
ルギー消費量の減少目標)を▲16%、CO2 削減目標(GDP 当たり CO2排出量の削
減目標)を▲17%に設定

2011 年 8 月 31 日に「省エネ・汚染物質排出削減に関する総合活動方案」を公表。省・
直轄市・自治区など地域ごとに省エネ目標を割り当て。天津、上海など東部の富裕地
域に高い目標を設定。第 11 次 5 カ年計画において上位 1,000 社を対象としてきた省エ
ネプログラムを上位 10,000 社に拡大

2013 年 1 月 23 日に、国務院は「エネルギー発展第 12 次五カ年計画」を公表。2015 年
までに1次エネルギー消費量を 40 億トン(石炭換算)に、電力消費量を 6 兆 1500 億
kWh に抑制するエネ消費総量目標を明記
③石炭消費に関する目標

図2-14に示したように、石炭比率はこの 10 年間は 7 割前後で推移していたが、近
年は減少傾向
230

2013 年には、1 次エネルギーに占める石炭比率の目標を発表

「エネルギー発展第 12 次五カ年計画」( 2013 年 1 月 23 日)では、1 次エネルギーに
おける石炭の比率を 2015 年に 65%前後に縮小させつつ、天然ガスの比率を 7.5%に高め
るという目標

PM2.5 による大気汚染を受けて発表された「大気汚染防止行動計画」
(2013 年 9 月 10
日)には、
「2017 年に石炭のエネルギー消費総量に占める比率を 65%以下に低下させ
る」と記載

2014 年 11 月に発表された「エネルギー発展戦略行動計画(2014-2020)」には、
「2020
年に石炭消費量を 42 億トン前後に抑制」との総量目標を初めて明記(※ただし、ピー
クアウトとは限らない)
。比率についても、エネ消費に占める割合を 2020 年 62%以下
との目標を記載

2015 年 2 月 2 日に、工業情報化部と財務部は「工業分野における石炭クリーン高効率
利用行動計画」を発布。2020 年に「石炭消費を 1.6 億トン以上節約」という目標を掲
げて、クリーン高効率技術の導入促進を目指すという内容
図2-14 中国の一次エネルギー消費量と石炭の比率の経年変化
出典:堀井伸浩(2012)
「第 12 次 5 カ年計画期間における中国のエネルギー問題の焦点」
東京大学政策ビジョン研究センター 「第 4 回 Energy Policy Roundtable 2012」報告資料
④エネルギー発展戦略行動計画(2014-2020)

2014 年 11 月 19 日に、国務院は「エネルギー発展戦略行動計画(2014-2020)
」
を公表。エネルギー発展第 12 次五カ年計画(2015 年が目標年)との違いは表2-4
231
表2-4 「エネルギー発展戦略行動計画(2014-2020)」と
「エネルギー発展第 12 次五カ年計画」(2015 年が目標年)の比較
分野
エネルギー発展第12次五カ年計画(2015年目標)
エネルギー
消費と効率
1次エネルギー消費量を40億t(石炭換算)に、電
力消費量を6兆1500億kWhに抑制
1次エネルギー消費量を48億t(石炭換算)
GDP当たりのエネルギー消費を2010年比16%削
減、非化石エネルギー比率を11.4%に向上
非化石エネルギー比率を15%に向上
石炭の比率を65%前後に縮小、天然ガスの比率
を7.5%に拡大
石炭消費量を42億トン前後に抑制、石炭の比率を62%前後
に縮小、天然ガスの比率を10%に拡大
1次エネルギー生産能力を36億6000万t(石炭換
算)に増強。このうち、石炭を41億tに、天然ガスを
1565億m3に、非化石エネルギーを4億7000万t
(石炭換算)に拡大、原油を2億tに維持
1次エネルギー生産能力を42億t(石炭換算)に増強。このう
ち、在来型天然ガスを1850億m3、シェールガスと炭層メタン
をそれぞれ300億m3、ガスパイプラインを12万km以上
石油の可採年数が14~15年となるように油田開発
石油の海外依存度を61%以下に抑制
エネルギー自給率を85%前後に堅持
エネルギー
生産と供給
エネルギー発展戦略行動計画(2014-2020)(2020年目標)
電源開発
発電設備容量を14億9000万kWに拡大。このうち、 原子力を5800万kW(設備容量)+3000万kW(建設中容量)、
石炭火力が9億6000万kW、ガス火力が5600万
水力を3億5000万kW、風力を2億kW、太陽光を1億kW、地
kW、水力が2億9000万kW、原子力が4000万kW、 熱を5000万トン(石炭換算)
風力が1億kW、太陽光・太陽熱発電は2100万kW
環境保護
GDPあたりのCO2排出を2010年比17%削減
石炭火力発電1kWhあたりのSO2排出とNOx排出
をそれぞれ48%減、56%減
新設石炭火力に300g(石炭換算)/kWh(送電端)の原単位
目標
出典:電力中央研究所作成(ただし、12 次計画については、李志東「エネルギー発展計
画を公表 消費を総量で抑制」
(日経エコロジー2013 年 5 月号)を引用)
⑤排出量取引をめぐる動向

中国政府は、第 12 次5カ年計画(2011~2015 年)において、
「炭素排出取引市場を逐
次確立」することを発表

国家発展改革委員会は、河北省、広東省の2省と、北京、上海、重慶、深圳、天津の
5つの市に対して、排出量取引のモデル事業を行うよう通知を発出

2013 年に試行スキームを導入


試行スキームを開始した省・市

深セン市(Shenzhen)
:2013 年 6 月 18 日

上海市(Shanghai)
:2013 年 11 月 26 日開始

北京市(Beijing)
:2013 年 11 月 28 日開始

広東省(Guangdong)
:2013 年 12 月 19 日開始

天津市(Tianjin):2013 年 12 月 26 日開始

河北省(Hubei)
:2014 年 4 月 2 日開始

重慶市(Chongqing)
:2014 年 6 月 19 日開始
2014 年 12 月に、国家発展改革委員会気候変動対応司は、全国規模の排出権取引の創設
を推進するために「二酸化炭素排出権取引の管理に関する暫定措置」を発布。さらに
2015 年 1 月には、
「全国規模の二酸化炭素排出権取引市場の創設推進に関する基本状況
と今後の構想」と題する文書を発表し、 ①2014-2015 年を準備段階、②2016-2020 年を
232
実施・改善段階、③2020 年以降を安定深化段階と位置付けて、全国を対象とする排出
権取引市場を徐々に発展させていく方針を提示。特に②については、2016 年と 2017 年
を試行段階と位置付けて、省・市を段階的に全国市場に取り込んでいき、2017 年から
2020 年にかけて全国市場を全面実施し、改善を通じて市場を安定化させるという考え
⑥2020 年以降の目標-2030 年頃に二酸化炭素排出をピークアウト

習近平国家主席は、2014 年 11 月 12 日に米国オバマ大統領との共同声明のなかで、
「2030
年頃に二酸化炭素排出をピークアウト。2030 年頃に一次エネルギー消費に占める非化
石燃料のシェアを 20%程度」という目標を発表

一方、ピーク時である 2030 年頃の CO2 排出量の見通しや、CO2 以外の温室効果ガス
の排出見通しは示していない

これまで、排出ピークアウトについて以下の研究が存在。
「2030 年にピークアウト」は
これらの中間的な見解

発展改革委員会傘下のエネルギー研究所(能源研)の研究者は 2012 年に「2℃シ
ナリオ」を発表し、再エネ導入と石炭火力からガス火力への転換を強化すればピ
ークアウトは最速で 2025 年、ピーク排出量は 85.6 億トンと推定

華北電力大学の研究者の論文は、GDP 成長率、都市化・産業構造、エネルギーミ
ックス、省エネ等に関する様々な想定を組み合わせた39通りのシナリオについ
て、CO2 排出量の見通しを計算したところ、ピーク時期は 2030 年から 2035 年の
間、ピーク排出量は標準成長想定では 85~95 億トン強、高成長想定では 100 億ト
ン前後との結論を導いた

清華大学の He Jiankun 教授らのグループは、中国語論文で、CO2 排出のピーク時
期は 2030 年前後、ピーク排出量は 110 億トンとの見解を提示。英文メディアにも
同趣旨の発言
表2-5 中国の研究者による排出ピークアウト時期の研究
233
能源研
Jiang et al. (2013)
華北電力大学
Yuan et al. (2014)
清華大学
何(2013)(※He Jiankun)
排出ピーク時期
2℃シナリオでは、2025年
2030年から2035年の間
2030年前後
ピーク排出量
85.6億トン
(エネルギー起源CO2のみ)
標準成長想定では85~95
億トン強、高成長想定では
100億トン前後
(エネルギー起源CO2のみ)
成長率が
2010 年代:8.38%
2020年代:7.11%
2030年代:4.98%
標準成長想定では、成長率が
2010年代前半7.5%、後半7%
2020年代前半6.5%、後半6%
2030年代前半5.5%、後半5%
高成長想定は0.5%を上乗せ
エネルギーに関す
る想定
再エネと天然ガス火力の急
拡大で石炭火力を減少、
2020年以降にCCSを大規模
導入
①標準ケース、②再エネ強
化・石炭減少ケース、③標
準ケース+CCSの3パターン
を想定
その他の想定
鉄・セメント等の生産量は
2020年以前にピークアウト
都市化、産業構造、省エネ
化等について複数のパター
ンを想定
GDPに関する想定
110億トン
(※2020年に96.8億トン)
(エネルギー起源CO2のみ)
成長率が
2010年代は平均7.5%、
2020年代は平均5%
(※結果から逆算)
出典:各研究をもとに電力中央研究所作成
インド
①CO2 排出量(GDP 原単位・総量)の実績と見通し(エネルギー起源)

2020 年の排出目標として、
「GDP 当たり排出量を 2005 年比 20~25%削減」(ただし農
業部門を除く)を提示(※中国は CO2 排出の GDP 原単位を目標としているがインドは
対象ガスを指定していない)

2020 年目標は近年のトレンドの延長上にある(図2-15)
。ただし、総量では大幅増
加(図2-16)
234
(tCO2/
千ドル)
1.8
1.6
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
2020
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
0
図2-16 GDP あたり CO2 排出原単位の実績(2000 年~2011 年)と
2020 年目標(エネルギー起源)
出典:IEA CO2 emissions from fuel combustion をもとに電力中央研究所作成
235
[100万トン]
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
図2-17 CO2 排出量の実績(1990 年~2009 年)と
2020 年目標(エネルギー起源)
(※GDP 成長率は 7%と仮定)
出典:IEA CO2 emissions from fuel combustion をもとに電力中央研究所作成
③低炭素成長戦略(2011 年 5 月)と第 12 次五カ年計画

2011 年 5 月、国家計画委員会(Planning Commission)は、「包括的成長のための低炭素戦略」
(Low Carbon Strategies for Inclusive Growth)に関する中間報告書を公表。GDP 当たり排出
量を、2005 年比で「Determined Effort ケース」では 15~25%、「Aggressive Effort ケース」では
33~35%削減が可能と試算。部門別の排出削減ポテンシャルも分析(表2―6)

2012 年に発表された第 12 次五カ年計画(ドラフト、2012~2017 年)は上記報告も踏まえ、国
家気候変動行動計画を表2―7のように再編することを提案。気候変動に関する首相審議会
(PM’s Council on Climate Change)に諮られる予定だったが、2014 年 5 月に政権が交代
表2-6 国家計画委員会・中間報告に示された排出原単位見通し
236
出典: インド計画委員会ウェブサイト
http://moef.nic.in/downloads/public-information/Interim%20Report%20of%20the%20Expert%20
Group.pdf
表2-7 国家気候変動行動計画の再編案
出典:インド国家気候変動行動計画をもとに電力中央研究所作成
④省エネ達成認証取引制度(PAT)の動向

2012 年に、
省エネ目標達成のために事業者が証書取引を行う PAT 制度
(Perform, Achieve
and Trade の略称)を開始。2012 年 3 月 31 日に公表された省エネ法改正に基づく

8 業種(火力発電、鉄鋼、セメント、アルミニウム、塩化アルカリ、肥料、紙パイプ)
の 478 社の指定事業者(Designated Consumers、略称は DCs)に対して、エネルギー消
費原単位目標を設定。業種別にサブセクターを設け、製造工程・技術・原材料の違い
237
を加味したうえで、DCs に対する目標を設定。制度全体で最初の3年間(2012 年 4 月
1 日~2015 年 3 月 31 日)の累積で、エネルギー消費を 669 万トン(原油換算)の削減
を想定

目標未達の場合は、DCs は指定罰金を払うか、省エネ証書を購入して埋め合わせる必
要あり
表2-8 PAT 制度の概要
出典:柳ほか(2013)
⑤モディ政権の動向

2014 年 4 月から 5 月にかけて議会下院の総選挙が実施され、ナレンドラ・モディ氏が
率いる中道右派インド人民党(BJP)が圧勝。モディ氏が首相に就任

モディ政権は、2014 年 6 月 18 日に、2014 年度の新予算案を発表。気候変動関連では
以下などを提示

National Adaptation Fund に Rs 100 crores (約 2000 万ドル)

石炭課税を 1 トン当たり 50 ルピーから 100 ルピーに引き上げて、クリーンエネル
ギーと再生可能エネルギーへの補助金に充当

Tamil Nadu、Rajasthan、Gujarat、Andhra Pradesh、及び Laddakh におけるウルトラ
メガソーラープロジェクトに Rs. 500 crores(約 1 億ドル)

Goyal 石炭・電力・再エネ大臣は、2014 年 11 月に、2022 年の太陽光発電の導入目標を
20GW から 100GW に強化することを検討中と発言。その後、2015 年 1 月の米印共同声
明にこの数値を目標(goal)として記載。また、2015 年 2 月には、新エネルギー・再生
可能エネルギー省が、2022 年までに再エネ発電容量を 175GW に増やすという目標を提
238
示。内訳は太陽光 100GW、風力 60GW、バイオマス 10GW、小水力 5GW

一方、Goyal 大臣は、慢性的な電力不足解消のため、 5 年以内に国内炭生産と電力供給
を倍増させるとの目標を掲げ、石炭火力新設のボトルネックを解消する取り組みも非
常に熱心に推進

国営炭鉱会社 Coal India 改革:
炭鉱開発の遅れが、発電所新設を遅らせており、
Coal India の改革を通じて開発加速を狙う また、炭鉱売却の入札に関する法律を
議会に提示し、2015 年 3 月に議会を通過。首相の署名後、成立の見通し

環境認可、森林認可の迅速化: 炭鉱開発、および発電所建設に伴う環境認可と
森林認可の遅れが、発電所新設を遅らせており、その手続きを迅速化することで、
開発加速を狙う

それゆえ、モディ政権の施策が排出トレンドを押し上げるのか、押し下げるのかは現
時点では不透明

2014 年 11 月に首相審議会をメンバーを変えて再構築
⑥2020 年以降の目標について

2014 年 12 月初旬に、翌年 1 月のオバマ大統領の訪印にあわせて、インドが排出ピーク
年を発表する方向で検討しているとの報道がインド国内で相次ぐ。12 月中旬には、
「2030 年~2050 年」
、または「2035 年~2050 年」にピークアウトとインドの一部メデ
ィアが報道。その後、インド政府や Javadekar 環境大臣が火消し

オバマ大統領の訪印時には、気候・クリーンエネルギー協力が発表されたが、インド
の排出ピーク年や INDC については盛り込まれず

インドの Business Standard 紙は、インド政府関係者の匿名コメントとして下記を紹介

‘under the convention’ や ‘principles of CBDR and equity’ といった文言につい
て、米印で根本的な対立を解消できず、パラグラフ全体を弱めた

インド側は米国に発展の権利を公式に認めることを求めたが、受け入れられなか
った。そのため、事前に内部で検討していたものを取り下げた

Javadekar 環境大臣は、2015 年 2 月 3 日の演説で以下を発言

INDC を準備しているところである。まだアイデアの段階にすぎないが、2 つの
INDC を提出するかもしれない。1 つ目は、国内資源で達成できるもの、もう 1 つ
は、先進国から資金が提供され、手ごろなコストで技術が利用できる場合のもの
である
239
第3章
米国における気候変動関連分野の調査
本章では、「①米国の 2025 年目標(2005 年比 26~28%削減)」、及び「②新枠組みへの米国参
加」を分析する。①については、2014 年 6 月に発表された既設火力発電所への排出基準ガイドラ
イン草案(Clean Power Plan)をはじめとする既存法の下での諸施策に基づいて分析する。②につ
いては、米国が法的枠組みに参加するための要件を制度面と政治面(特に 2014 年 11 月の中間選
挙後の議会動向)から考察する。なお本章の分析は、(1)本調査の下で米国 Climate Advisers 社に
外注した調査、(2)本調査の下で実施した米国ワシントン D.C.への出張、及び(3)電力中央研究所
が収集した各種情報に基づいている。
概要は以下の通りである。①について、ホワイトハウスは目標は既存法の下での削減に関する集
中的な分析に基づくとしているが、これまでに発表された既存法の下での各種施策による削減量
を積み上げても、26%削減には至らず、未発表の施策が想定されている可能性がある。②につい
て、新枠組みにおける法的義務が米国の既存法と整合する場合、大統領は議会の同意を得ずに
締結できるが、そのような方法での参加に対して議会が強く反対する可能性がある。
3-1.米国の 2025 年目標の分析
米国は、2014 年 11 月 12 日、「2025 年に 2005 年比で 26~28%削減」という目標を発表した。ホ
ワイトハウスが公表したファクトシートによると、「既存の法律の下で実現可能な費用効果的な削減
に関する集中的な分析に基づく」とのことであるが、本報告の執筆時点では、26~28%削減の内
訳や前提となる法律・施策は未公表である。
そこで、米国政府がこれまでに発表した各種の数値に基づき、既存の法律の下での施策によっ
て、2025 年時点でどの程度の削減が見込まれるかを計算する。具体的には、ベースとなるレファレ
ンスケースの排出量から、既存国内法のもとでの実施が見込まれている諸施策の削減量を差し引
いて得られる排出量を計算する。
(1)レファレンスケースの排出量
エネルギー起源 CO2 の排出量については、エネルギー省エネルギー情報局(EIA)による見通し
(Annual Energy Outlook 2014、略称 AEO2014)を用いた。非エネルギー起源 CO2 の排出量、森
林の吸収量、CO2 以外の温室効果ガスの排出量については、米国政府が 2014 年 1 月に
UNFCCC 事務局に提出した隔年報告書(Biennial Report、略称 BR)に記載された数値を用いた。
2025 年の数値が入手できないものについては、2020 年と 2030 年の値の平均値を用いた。また、
森林の吸収量について、BR は低位ケースと高位ケースを示しているが、吸収量が大きい高位ケー
スを用いた。メタンについて、米国は 2015 年から GWP を 21 から 25 に変更しているため、これを
反映した。
表3-1に、レファレンスケースの排出量・吸収量を示した。
240
表3-1 レファレンスケースにおける排出量と吸収量(単位は百万 tCO2e)
2005 年
2020 年
2025 年
2030 年
CO2
6112
5629
5679
5680
CH4
697
713
736
745
N2O
356
347
359
364
HFC
120
207
269
302
PFC
5.6
5
6
7
SF6
14.7
9
10
10
吸収量
-998
-898
-917
-937
合計
6223
6012
6123
6171
出典:米国政府が発表した各種資料をもとに電力中央研究所作成
(2)既存国内法の下で実施が見込まれる諸施策の削減量
上記のレファレンスシナリオには、オバマ政権第 1 期で策定された施策による削減量のみが含ま
れている。そこで、オバマ政権第 2 期に策定された、または策定中の施策による削減量を、主に米
国政府が発表した数字をもとに積み上げる。
①Clean Power Plan

発電部門の排出量をベースケース比で、2020 年に 18%、2025 年に 23%、2030 年に 25%削
減。EPA が発表した規制影響分析に基づく
②中・大型トラックに対する新燃費基準

政府が発表した数値が存在しないため、2020 年、2025 年、2030 年において、それぞれ 2012
年比で 5%、10%、15%削減と想定
③商業用建物の建築基準強化

政府が示した見通しに基づき、レファレンスケースに対して、2020 年に 1000 万トン、2025 年に
1860 万トン、2030 年に 2700 万トン削減と想定
④各種機器への省エネ基準の効果

政府が示した見通しに基づき、レファレンスケースに対して、2020 年に 1000 万トン、2025 年に
2312 万トン、2030 年に 3220 万トン削減と想定
⑤メタンの削減

Clean Power Plan による増減(石炭生産減とガス生産増の効果、EPA が発表した規制影響分
析に基づく)、2015 年 1 月に発表した政策による削減(石油・ガス部門からの排出を 2025 年に
2012 年比で 45%削減)、2014 年 3 月にメタン削減戦略(BaU 比で 2020 年に 9000 万 tCO2e
削減)を考慮して、レファレンスケースに対して、2020 年に 1 億 700 万 tCO2e、2025 年と 2030
年に 1 億 7000 万 tCO2e 削減と想定
⑥モントリオール議定書改正の北米提案(HFC の削減)
241

2014 年 9 月 16 日にホワイトハウスが発表した見通し(2025 年に最大で 2 億 4000 万 tCO2e
を削減)と BR の数値(2020 年に最大で 1 億 3500 万 tCO2e を削減)に基づく。2030 年につい
ては、2025 年と同じ数値を使用
⑦オゾン濃度規制による森林回復

2014 年 12 月に発表されたオゾン濃度規制により森林回復が見込まれ、それによる吸収量の
増加を EPA の規制影響分析に基づき、2025 年に 1 億 800 万トン、2030 年に 3 億 2900 万ト
ンと推定
(3)削減ケースの排出量
レファレンスケースに以上の削減を加味して、「削減ケース」の排出量・吸収量を計算すると、表
3-2になる。2005 年比でみると、2020 年に 14%削減、2025 年に 19%削減、2030 年に 23%削減と
なる。
表3-2 削減ケースにおける排出量と吸収量(単位は百万 tCO2e)
2005 年
2020 年
2025 年
2030 年
CO2
6112
5214
5099
5034
CH4
697
606
567
575
N2O
356
347
359
364
HFC
120
72
29
62
PFC
5.6
5
6
7
SF6
14.7
9
10
10
吸収量
-998
-898
-1025
-1266
合計
6223
5355
5045
4786
出典:米国政府が発表した各種資料をもとに電力中央研究所作成
(4)考察
2025 年目標は「既存の法律の下で実現可能な費用効果的な削減に関する集中的な分析に基
づく」とされているが、既に発表されている諸施策による削減を積み上げても、2025 年に 2005 年比
で 26~28%削減という数字には届かず、7~9%分という大きな乖離がある。それゆえ、既存法の下
で実施可能な未発表の施策が想定されているのではないかと思われる。たとえば、Rhodium
Group の Larsen 氏らは、既存権限の下で実施可能な未発表施策として、建物の断熱対策
(weathernization)と修繕のプログラム、再エネ技術の性能と普及率の向上、テレワークの拡大、自
動車の相乗りとトランジット、さらなる省エネ基準策定を挙げ、これらにより、2020 年に 1 億 500 万ト
ンの追加削減が可能としている。エネルギー需要の見通しを下方修正して、レファレンスケースの
排出量を引き下げる可能性も考えられる。
さらに、発電部門の排出削減政策である Clean Power Plan は、①石炭火力発電所の熱効率改
242
善、②既設の天然ガスコンバインドサイクル発電の稼働率向上、③再生可能エネルギーの拡大と
原子力発電の維持・新設、及び④省エネルギーを積み上げて、州別に既設火力発電の調整済み
排出原単位目標を定めるものであり、EPA の規制影響分析は、原単位目標をシミュレートしたもの
であるが、上記②と③を十分に反映していない可能性がある(表3-3)。これらを反映するように計
算すれば、絶対量の削減量の見通しが多少、大きくなるかもしれない。
表3-3 Clean Power Plan における天然ガスコンバインドサイクル発電の稼働率および再生可能
エネルギーによる発電量の想定と規制影響分析の比較
Clean Power Plan の想定
規制影響分析
(EPA のテクニカルサポート文書による)
既設天然ガスコンバインドサイクル発
2020 年に 64%
電所の平均稼働率
2020 年に 55%
2025 年に 54%
2030 年に 50%
再生可能エネルギーの発電電力量
2020 年に 281TWh
2020 年に 321TWh
2025 年に 407TWh
2025 年に 347TWh
2030 年に 523TWh
2030 年に 356TWh
出典:EPA が発表した各種資料をもとに電力中央研究所作成
また、この分析では、吸収量について高位ケースを用いたが、低位ケースを用いて計算すると、
2025 年に 2005 年比で 13.5%減となり、削減幅は目標の約半分になる。
このように、米国の 2025 年目標は既存法の下の施策だけでは達成が困難な水準に設定されて
いると言える。
3-2.新枠組みへの米国参加に関する分析
2011 年のダーバンプラットフォーム合意は、2020 年以降の新枠組みの法形式として、議定書(a
protocol)、他の法的文書(another legal instrument)、または法的効力を持つ合意された成果
(agreed outcome with legal force)を挙げているが、このいずれであっても、「法的な枠組み」が目指
されている。これまで、法的な枠組みとしては、1992 年に採択された UNFCCC、及びその下で
1997 年に採択された京都議定書が存在しているが、米国は京都議定書には参加できなかった。
不参加にはいくつかの要因があるが、京都議定書の批准に際して、上院の同意を得られる見通し
がなかったことはその 1 つである。
そこで、米国が参加可能な法的枠組みとは何かを考察する。
(1)米国の参加パターン
米国が法的拘束力をもつ国際合意に参加する際には、主に以下に述べる 3 つの方法がとられ
243
る 1。
第一に、単独行政協定(sole executive agreement)として参加する方法である。これは議会の同
意を得ずに、大統領の権限によって合意を締結するものである。この方法をとることができるのは、
合意の内容が大統領の憲法下での権限(外交権限、及び国内法の実施権限)で実施可能な場合
に限られる。最近では、2013 年 11 月に水銀に関する水俣条約を、議会の同意を得ずに受諾した。
その際に、国務省は同条約は既存法で実施可能であるとの説明を示した(詳細は(3)で述べる)。
第二に、議会行政協定(congressional executive agreement)として参加する方法である。これは
上院、下院それぞれの過半数の同意をもって大統領が批准するものであり、多くの場合、議会が
事前に定めた目的に沿って交渉が行われ、その範囲内で合意がなされた場合に適用される。通
商交渉でこの方法が使われることが多く、ファストトラックとも呼ばれている。
第三に、条約(treaties)として参加する方法である。これは、上院の 3 分の 2 以上の同意を得て、
大統領が批准するものである。京都議定書は、条約としての参加が目指されたが、上院の 3 分の 2
以上の同意を得る見込みがなく、当時のクリントン大統領は上院に諮らなかった。
一方、法的拘束力を有さない国際合意の場合、参加にあたって、上記のような制約はない。たと
えば、UNFCCC の下のカンクン合意は、形式的には法的文書ではなく、COP 決定という位置づけ
のものであり、その参加に特段の要件はなかった。
(2)2020 年以降の新枠組みの場合
2014 年 11 月の中間選挙によって、現在の連邦議会は上院、下院ともに共和党議員が多数派と
なっている。共和党議員は概してオバマ政権の気候変動対策に批判的であるため、議会の同意を
要する方法での参加、すなわち議会行政協定または条約としての参加はほぼ不可能と思われる。
そのため、米国が参加可能な選択肢は、単独行政協定と法的拘束力のない合意の 2 パターンとな
るが、ADP では法的枠組みが目指されていることから、単独行政協定としての参加が有力視され
る。
その場合、新枠組みが既存法の下で実施可能であることが要件となる。たとえば、削減目標を義
務化すると、2025 年に 2005 年比で 26~28%削減との目標は国内法には存在しておらず、また3
-1で分析したように既存法の諸施策による削減を積み上げても目標に届かせるのは容易ではな
いことから、「既存法で実施可能」という要件を満たすは極めて困難となる。一方、目標自体ではな
く、目標の提出や目標に対する透明性確保(報告やレビュー等)といった手続き・プロセスを義務
化するのであれば、その内容次第では、大統領の既存権限で実施可能と言える可能性がある。
オバマ政権の下で批准(または受諾)するためには、2015 年の COP21 において、「既存権限で
実施可能であること」を確定させる必要がある 2。米国は 2014 年 9 月のサブミッションで、「合意に
Purvis (2008)を参照。
厳密にいえば、オバマ政権は 2017 年 1 月 20 日まで続くので、2016 年 12 月の COP22
で確定させれば、ぎりぎりのところで間に合うかもしれないが、大統領選挙後の退任直前
の時期にそのような重要決定を行うのは政治的に困難と思われる。
1
2
244
参加する前に知っておくべきことは、パリまでに解決されるべきである」としており、パリの直後、つま
り 2016 年に批准することを念頭においているのかもしれない。手続き・プロセスに関する義務は法
的枠組みだけではなく、その枠組みが COP に策定を委任した場合には関連 COP 決定にも含まれ
ることになるが、2014 年 12 月のサブミッションでは、「報告やレビューのシステムは COP21 で最終
決定されるべきである。合意本体では、隔年報告、専門的レビュー、進捗の促進的検討を設けるこ
とを定め、詳細はパリでの COP 決定で扱う」と述べており、2016 年に批准できるようにするために、
手続き・プロセスの義務を 2015 年に確定させたいと考えているのかもしれない。
(3)水俣条約の前例
水俣条約は 2013 年 10 月 10 日に採択されたが、米国は翌月の 11 月 6 日に同条約を批准・受
諾し、世界初の締約国となった。その際に、米国は条約 30 条 4 項に従って条約実施のための国内
措置を説明する文書を提出しており、米国政府は条約採択時には既存国内法で同条約を実施で
きるとの確信をもっていた、さらに言えば、既存法で実施可能となるように交渉を進めてきたのでは
ないかと推測される。例えば、排出(emissions)を扱う 8 条は、新設施設と既設施設を区別している
点などが米国の大気浄化法に似ているなど、条約と米国法の間に類似性が見られる。
また、水俣条約の第 15 条には「実施・遵守委員会」の規定がある。条約規定の実施を推進し、遵
守をレビューする委員会を設け、締約国会議に対して必要に応じて提言(recommendation)を行う
ものである。その性質は懲罰的なものではなく、促進的なもの(facilitative)とされ、各国の個別能
力と事情を考慮しなければならないとされている。本報告の第2章では、かつて UNFCCC のもとで
検討されていた「多国間協議プロセス」を取り上げたが、水俣条約の実施・遵守委員会はこのプロ
セスに似たものである。米国は 15 条も含めた水俣条約全体を単独行政協定として締結しており、こ
のような内容の実施・遵守の仕組みであれば議会の同意を得ずに受諾できることを示している。
(4)中間選挙後の議会の動向
一方、議会側は議会の関与なしで米国の参加を決めることに強く反対すると予想され、既にその
ような動きが出てきている。2015 年 1 月にキーストーン XL パイプラインの建設を認可する法案の投
票が行われたが、その際に上院では、気候変動に関するいくつかの修正案への投票も行われた。
そのうちの1つに、
「以下が上院の意思である。
・ 米中合意は、米国において効力を有さない
・ 米中合意は、米国の消費者、労働者、家族、コミュニティにとって悪いディール(bad deal)であ
り、経済的に不公平で、環境上は無責任である
・ 米中合意やその他の二国間合意、国際合意(UNFCCC におけるパリでの合意等)は、上院の
助言と同意を必要とし、合意の実施に必要な立法と規制に関する詳細な説明、及びコストやそ
の他の経済影響についての分析を伴わなければならない
・ 不公平で経済的に有害な約束をともなう、いかなる二国間、またはその他の合意に米国は賛
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成すべきではない」
という内容の修正案があった。
投票の結果は、賛成が 51 名(共和党議員が 50 名、民主党系議員が 1 名)、反対が 46 名(共和
党議員が 2 名、民主党議員が 44 名)、棄権が 3 名(共和党が 2 名、民主党が 1 名)であった。上院
の議事規則上、この修正案の可決には、過半数の 51 名ではなく、60 名以上の賛成が必要であり、
否決された。
この修正案は主に 2014 年 11 月の米中合意を批判するものであるが、この点に加えて、
「UNFCCC におけるパリでの合意には上院の助言と同意を必要とする」としており、オバマ政権が
議会の関与なしで批准(または受諾)することへの牽制とも読み取れる。
(5)まとめ
サブミッションで示された見解を踏まえると、オバマ政権は 2020 年以降の新枠組みを単独行政協
定として 2016 年のうちに批准(または受諾)することを念頭においている可能性がある。議会の承
認なしで合意を締結するには、その合意は既存の国内法で実施可能なものでなければならない。
2013 年に採択された水俣条約では、その条件が確保され、米国は議会の承認なしで受諾した。
ADP で交渉している新枠組みでこの条件を満たすためには、削減目標ではなく、その提出や透明
性確保など、手続き・プロセスを義務化する方法が考えられる。
一方、共和党が両院で多数派となった連邦議会では、上院の同意を得ずに締結することへの懸
念が出始めている。今後、参加の方法を巡って、政権と議会が対立を深める可能性がある。
参考文献
Larsen, J., K. Larsen, and W. Ketchum (2014), “Is the US on Track? EPA’s Clean Power Plan and the
US 2020 Climate Goal,”
<http://rhg.com/notes/is-the-us-on-track-epas-clean-power-plan-and-the-us-2020-climate-goal>
Purvis, N. (2008), “Paving the Way for U.S. Climate Leadership: The Case for Executive
Agreements and Climate Protection Authority,” Resources for the Future Discussion Paper, RFF
DP 08-09.
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