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平成 25 年度 包括外部監査の結果に関する報告書

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平成 25 年度 包括外部監査の結果に関する報告書
平成 25 年度
包括外部監査の結果に関する報告書
出資団体(公益財団法人青森市シルバー人材センター、職業訓練法人青森情
報処理開発財団、青森市土地開発公社)の財務に関する事務の執行及び経営に
係る事業の管理及び平成 21 年度包括外部監査結果に対する措置状況について
青森市包括外部監査人
公認会計士・税理士 木村
暢
目次
第1
外部監査の概要.................................................................................................... 1
1.外部監査の種類.................................................................................................... 1
2.監査の対象 ........................................................................................................... 1
3.当該事件を選定した理由 ..................................................................................... 1
4.外部監査対象団体 ................................................................................................ 2
5.監査の着眼点 ....................................................................................................... 2
6.主な監査手続 ....................................................................................................... 3
7.監査対象年度 ....................................................................................................... 3
8.監査実施期間 ....................................................................................................... 3
9.包括外部監査人及び補助者.................................................................................. 4
10.利害関係 ........................................................................................................... 4
第2
監査の結果の要約 ................................................................................................ 5
(1)総括 .................................................................................................................. 5
(2)指摘・意見一覧 .............................................................................................. 17
第3 監査の結果........................................................................................................... 23
1.公益財団法人青森市シルバー人材センター .......................................................... 23
2.職業訓練法人青森情報処理開発財団 ..................................................................... 81
3.青森市土地開発公社 ............................................................................................ 103
4.平成 21 年度包括外部監査結果の措置状況について............................................ 124
(1)全般 .............................................................................................................. 124
(2)一般財団法人青森市文化スポーツ振興公社 ................................................. 143
(3)一般財団法人青森市観光レクリエーション振興財団................................... 199
(4)株式会社アップルヒル ................................................................................. 297
第1
外部監査の概要
1.外部監査の種類
地方自治法第 252 条の 37 第 1 項に基づく包括外部監査である。
2.監査の対象
出資団体(公益財団法人青森市シルバー人材センター、職業訓練法人青森情報処理開
発財団、青森市土地開発公社)の財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理及
び平成 21 年度包括外部監査結果に対する措置状況について
3.当該事件を選定した理由
青森市では、第三セクターの経営健全化と自主・自立化を促進することを目的に、
「第
三セクターの経営評価指針(平成 20 年 3 月策定、平成 24 年 3 月一部改訂)」を策定し、
第三セクターの事業や経営状況等の定期的な点検・評価に取り組んでいる。
点検・評価は、第三セクター自身が行う第一次評価、市所管部局の長が行う第二次評
価については毎年度実施し、外部有識者で組織される、「青森市第三セクター経営評価
委員会」の第三次評価については、基本的に 3 年に 1 回のサイクルで実施することとし
ている。
点検・評価の対象となる第三セクターは、具体的には、市からの出資等の比率が概ね
25%以上で、かつ、当該法人に出資している地方公共団体の中で最も大きい法人である。
青森市は、これらの点検・評価を踏まえ、対象となる第三セクターのあり方について、
団体ごとに「廃止」、「民営化」、「積極的な経営改善を行いつつ存続を図る」等の方
向性を定め、抜本的改革に取り組んでいるところである。
このような第三セクターを取り巻く環境のなか、包括外部監査において、第三セクタ
ーの財務事務や経営管理上の課題を明らかにすることは、それぞれの団体がこれまで以
上に効果的かつ効率的な経営を行っていくうえにおいて有益であり、今後、市が団体の
健全性の評価等を行い、経営の自主・自立化を高める支援を行う際にも有用であると考
えた。
また、平成 21 年度包括外部監査で監査対象となった第三セクターにおいて、監査人
の指摘・意見に対する措置状況を確認することとした。監査の実効性を確保し、監査を
今後の経営に活かしていくには、過年度監査における指摘・意見に対する措置が団体に
おいて実際になされているか監査対象から独立した第三者が確認することが不可欠だ
と考えたからである。
1
4.外部監査対象団体
原則として、青森市にて実施された点検・評価において対象となった第三セクターの
中から、「積極的な経営改善を行いつつ存続を図る」との方向性が示された第三セクタ
ーを監査対象団体とした。
しかし、下記に該当する団体は除外した。
・特有の事情により、特別に他の手法等で点検評価等をすることになった法人
・地方自治法上、包括外部監査人の監査権限が及ばない法人
なお、青森市土地開発公社は、設立意義の希薄化等により、保有資産の処分完了をも
って廃止することが決定されているものの、その処分計画の進捗状況を確かめることに
意義があると考えたため監査対象とした。
また、平成 21 年度包括外部監査の対象となった第三セクターについては、指摘・意
見に対する措置状況を確認するという範囲で、往査、質問、資料閲覧を実施している。
なお、監査の過程で新たな発見事項があった場合は、その点についても、指摘、意見を
表明している。
上記の結果、監査対象団体は下記のとおりとなっている。
(1) 公益財団法人青森市シルバー人材センター
(2) 職業訓練法人青森情報処理開発財団
(3) 青森市土地開発公社
(4) 平成 21 年度包括外部監査の措置状況について
① 一般財団法人青森市文化スポーツ振興公社
② 一般財団法人青森市観光レクリエーション振興財団
③ 株式会社アップルヒル
5.監査の着眼点
監査対象とした第三セクターの財務事務の執行及びその事業の管理が、関係法令に準
拠しているか、経済性、効率性、有効性が確保されているかに着眼した。
また、過年度の包括外部監査の対象となった第三セクターについて、指摘事項や意見
に対して適切な措置がなされているか検証した。
2
6.主な監査手続
実施した主な監査手続は次のとおりである。なお、監査手続の適用にあたっては、効
率的な監査を実施するという観点から、重要と判断したものに限定し、必要に応じて試
査(※)を用いた。
※ 試査とは、特定の監査手続の実施に際して、監査対象となる母集団からその一部の項目を抽出し、それ
に対して監査手続を実施することをいう。
(1) 監査対象団体の概要を把握することを目的として、関連法令、定款、規程等の
閲覧、質問を実施した。
(2) 監査対象団体の存在意義を確認するため、団体のサービスの利用状況等を示す
資料を閲覧とともに質問を実施した。
(3) 法令等に準拠したコーポレートガバナンスが確保され、それが、法令・規程等
に準拠して運営されているか、法令、議事録、関連資料等を閲覧し、質問を実
施した。
(4) 経営計画・予算の策定手続及び統制手続に関する質問及び関係書類の閲覧を実
施し、策定手続及び統制手続の妥当性を検討した。
(5) 監査対象団体に適用される法令、会計基準等を確認し、適切な会計処理がなさ
れているか、決算書、伝票その他会計関連資料を閲覧し、質問を実施した。
(6) 情報システムについて、情報システムの使用状況及び情報セキュリティ管理に
関する質問及び関係書類の閲覧を実施し、情報セキュリティ管理の妥当性を検
討した。
(7) 平成 21 年度包括外部監査の措置状況の適切性を確かめるため、対応状況に関す
る質問、対応状況を示す関連資料の閲覧を実施した。
7.監査対象年度
原則として、決算に関する事項、業務に関する事項は平成 24 年度を対象とした。た
だし、平成 21 年度包括外部監査に対する措置状況は平成 25 年度における対応状況を監
査対象とした。
8.監査実施期間
平成 25 年 7 月 11 日から平成 26 年 3 月 21 日まで
3
9.包括外部監査人及び補助者
包括外部監査人
公認会計士・税理士
木村
暢
包括外部監査人補助者
公認会計士・税理士
多田
昌弘
包括外部監査人補助者
公認会計士・税理士
田中
健一郎
包括外部監査人補助者
公認会計士・税理士
小林
元
10.利害関係
包括外部監査の対象とした事件につき、青森市と包括外部監査人及び補助者との間に
は、地方自治法第 252 条の 29 の規定により記載すべき利害関係はない。
4
第2
監査の結果の要約
(1)総括
① 公益財団法人青森市シルバー人材センター
公益財団法人青森市シルバー人材センターにおいて抽出された主要な指摘事項、意見
は下記のとおりである。
(コーポレートガバナンスの状況について)
理事は、評議員会で選出される。理事会は、全ての理事で組織される機関である。理
事会は業務執行の決定をすると共に、理事の職務執行、業務執行者の業務執行を監督す
る機関である。
一方、監事は、理事の職務の執行を監査し、法令で定めるところにより、監査報告を
作成する機関である。監事は理事会に出席する義務を負い、必要があると認めるときは
意見を述べなければならない。
理事は、理事会にできるだけ出席し、十分な議論を尽くしたうえで、法人としての意
思決定を行うことが求められている。監事は、理事の職務執行を監査する前提として理
事会に出席して、理事会における議論の内容を把握しておかなければならない。
この点に関し、公益財団法人青森市シルバー人材センターにおける理事及び監事の理
事会での出席状況は、下記のとおりとなっている。
理事会への出席の状況
(単位:人)
理事の出席状況
監事の出席状況
役員会内容
日時
平成24年度第1回
平成24年5月30日
6/8
1/2
平成24年度第2回
平成24年5月30日
6/8
1/2
平成24年度第3回
平成24年10月17日
6/8
1/2
平成24年度第4回
平成25年3月26日
5/8
1/2
平成25年度第1回
平成25年5月24日
6/8
1/2
(出席者数/議員総数) (出席者数/議員総数)
理事及び監事がその専門性を生かし、その職責を全うするには、できるだけ全員が理
事会に出席し、十分な議論を尽くしたうえで慎重な意思決定を可能にするような運営が
望まれる(意見1−6及び指摘1−7参照)。
5
また、評議員会は、全ての評議員で組織される機関である。この評議員会は、一般社
団・財団法人法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができる機
関であり、役員(理事及び監事)の選解任を持つとともに、定款の変更,事業の全部の
譲渡等の重要事項を決定する。
したがって、評議員会は,業務執行機関である理事及び理事会を監督・牽制すると共
に重要事項を決定する機関である。
評議員会への出席状況は下記のとおりとなっている。
評議員会の状況
(単位:人)
評議員会内容
日時
議員の出席状況
(出席者/議員総数)
平成24年度定時評議員会
平成24年5月30日
3/6
平成25年度定時評議員会
平成25年6月10日
4/6
公益財団法人青森市シルバー人材センターが遵守すべき一般社団法人及び一般財団
法人に関する法律及び当センターの定款では下記のように規定されている。
評議員会の決議は、議決に加わることができる評議員の過半数(これを上回る割合を
定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る
割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う
(出典:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第189条1項)
評議員会の決議は、決議について特別の利害関係を有する評議員を除く評議員の過半
数が出席し、その過半数をもって行う
(出典:公益財団法人青森市シルバー人材センター定款)
平成24年定時評議員会では評議員6人中3人が出席して決議が行われており、過半数の
出席要件という要件を満たしておらず、法令・定款違反の状態となっている(指摘1−
8参照)。今後は、各機関の役割・機能の趣旨を重視した運営、法令に準拠した運営を
していくことが期待される。
6
(内部管理体制について)
公益財団法人青森市シルバー人材センターは、常勤の役員及び職員が10名程度と非常
に小規模な組織となっている。このような人員体制では、内部管理体制もその規模に応
じたものにならざるを得ない。しかし、当センターは青森市100%出資の団体であり、
その公益的性格を有する実施事業に対する市民の役割期待も大きい。可能な限り、内部
管理体制を充実させ、事業の効率性を向上させ、法令を順守し、適切な情報開示を行い、
資産の保全を確実にする体制の整備及びその運用が求められる。
事業の効率性を向上させるためには、内部監査を実施するのも一つの案であろう(意
見1−10参照)。その場合、内部監査では、単に業務手続の準拠性を検証するだけの
機能を持たせるだけではなく、より効率的な業務フロー実現のために積極的に提言する
機能を持たせることが必要である。意見1−10でも述べているように内部監査室のよ
うな選任の部署を設ける必要はない。同センターのような小規模組織ではそのような人
的余裕はないであろう。兼任でも構わないから、とりあえず、第三者的な目で既存の業
務フローを再考してみる機会を設けることが重要である。
適切な情報開示は、必ずしも、財務面に限定されるわけではないが、それでも、財務
情報は情報開示というカテゴリーのなかでは、重要な位置を占めていることは間違いな
い。
この点、指摘1−31、指摘1−32及び指摘1−36にあるように各種引当金が
計上されておらず、また、計上されていても、その金額に誤りがあった。その他、計算
書類等の備置違反(指摘1−9参照)、リース取引の会計処理の検討(意見1−41
参照)、関連当事者取引との取引の注記の開示を開示するための手続の整備(意見1−
43参照)等の問題点が抽出されたが、当センターを運営するにおいて、高度な開示法
令、会計処理及び体制整備を求められる場面もあることから、必要に応じて会計専門家
等を積極的に利用していく姿勢も大切であろう(意見1−44参照)。また、備品の実
査が行われていなかった(指摘1−39参照)。備品の実査は、盗難等の防止という資
産保全目的のほか、適正な財務諸表を作成するためにも、重要な手続きである。社内手
続として制度化するのが望ましい。
また、業務や会計にシステムを利用する以上、障害管理やシステム操作による不正防
止等の観点から、規程を定め、運用していくことが望ましい。しかし、同センターでは
独自の情報セキュリティ管理規程が作成されておらず、障害管理や情報セキュリティの
考え方が周知されていない。したがって、アクセスコントロールや、データのバックア
ップ、サーバー室の入退室管理を行うこと等について情報セキュリティ管理規程として
マニュアル化することが望まれる(意見1−13参照)。もちろん、情報管理を徹底す
るためには、規程の作成だけで満足するのではなく、アクセスコントロール等の運用面
でも確実に実施していくことが求められる(指摘1−14他参照)。
7
② 職業訓練法人青森情報処理開発財団
職業訓練法人青森情報処理開発財団において抽出された主要な指摘事項、意見は
下記のとおりである。
(コーポレートガバナンスの状況について)
「職業能力開発促進法」では、監事の職務を下記のように定めている。
<職業能力開発促進法(抜粋)>
(監事の職務)
第三十七条の十
監事の職務は、次のとおりとする。
一
職業訓練法人の財産の状況を監査すること。
二
理事の業務の執行の状況を監査すること。
三
財産の状況又は業務の執行について、法令、定款若しくは寄附行為に違反し、又
は著しく不当な事項があると認めるときは、総会又は都道府県知事に報告をする
こと。
四
前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。
当財団では、寄附行為で監事の人数は2名以内と規定し、平成25年4月1日時点で2名の
監事がいる。
当財団における理事及び監事の理事会での出席状況は、下記のとおりとなっている。
理事会の開催状況
理事会内容
(単位:人)
日時
理事の出席状況
(出席理事数/理事総数)
監事の出席状況
(出席監事数/監事総
数)
第73回理事会
平成24年5月24日
16/18
1/2
第74回理事会
平成24年10月4日
16/18
0/2
第75回理事会
平成25年3月28日
15/18
1/2
業務執行の決定は理事会で行われるが、平成24年10月4日に開催された第74回理事会
には、理事の業務執行を監査する役割を担う監事が1人も出席していない。こういった
状況は極めて稀であるということであったが、有効な監査を実施するためには、監事が
理事会の運営状況や決議の結果を適時に把握する必要がある。
したがって、監事が1人も理事会に出席できない場合、理事会の運営状況や決議の結
果に関して、監事が監査を実施するために充分な情報が適時に伝達されるよう配慮する
ことが望まれる。
8
(内部管理体制について)
平成24年4月1日に授業で生徒が使用するサーバー、PC、ソフトウェア、視聴覚設備等
をリース契約により青森市の業者からリース料総額226,592,100円(税込)で調達して
いる。
こられのリース契約のリース物件の納品時に検収書を作成していない。
しかしながら、契約通りの数量の、品質に問題がない物件が納品されたことを納品時
に確認しなければ、後日、品違いや数量不足、品質不良が判明し、業者との間でトラブ
ルが起きる可能性がある。
したがって、少なくとも一定額以上の固定資産に関しては、契約通りに納品されたこ
とを検収する手続きと検収書の作成義務を経理規程に明記し、実施することが必要であ
る(意見2−5参照)。
また、現状、固定資産の現物と固定資産台帳は、年度末に照合しているが、照合記録
は残していない。リース資産は夏休み、冬休みの清掃時に、現物の確認を行っているが、
照合記録は残していない。
しかしながら、固定資産台帳に記載されている固定資産が実在することを漏れなく確
認するためには、個々の物件ごとに照合担当者が照合記録を残し、照合担当者とは別の
担当者が、照合に漏れがないか照合記録をチェックすることが望まれる(意見2−6参
照)。
9
③ 青森市土地開発公社
青森市土地開発公社において抽出された主要な指摘事項、意見は下記のとおりであ
る。
(処分の長期化)
意見3−1で述べられているように保有している土地の処分が長期化している。
下表の通り、市からの事業用地の取得業務受託から青森操車場跡地用地 16 年、青森
駅西口用地 15 年が経過している。これらの事業は、事業用地取得の資金調達を借入に
より行っており、経過年数分の利息が発生している。市は事業用地の取得に要した事業
費、事業用地の取得に要した事務費、前記 2 つの費用に係る支払利息相当額の合計額を
青森市土地開発公社に支払うことになっており、支払利息相当額は最終的に市ひいては
市民の負担となる。そのため、全市的な利息負担を減らすためにも、出来る限り早く市
にこれらの資産を買い取ってもらうことが望まれる。
(単位:千円)
事業
事業名
地区
受託
年度
資産
経過
区分
年数
西部工業
三内丸山 394 の
平成
特定
団地用地
103
2年
土地
青森操車場
浦町奥野 290-17
平成
公有
跡地用地
ほか 20 筆
9年
用地
青森駅西口
柳川 1 丁目 13 番
平成
公有
用地
地1
10 年
用地
小牧野遺跡
野沢小牧野 54 番
平成
公有
用地
55
22 年
用地
計
うち
資産金額
利息相当
額
23 年
101,000
※1
16 年
3,370,530
542,325
15 年
172,944
27,047
3年
3,118
※2
3,647,592
※1 特定土地のため、利息は期間費用として毎期計上される
※2 取得に自己資金を利用したため利息が発生してない
特に青森操車場跡地用地は利息相当額の金額が 542,325 千円と大きく、その金額は資
産金額の 16.1%を占める。同用地については平成 24 年度には青森操車場跡地利用計画
審議会が設置され、その答申により複数の利用計画案が示された。市はこの答申を受け、
現在、当用地をどのように利用するべきか検討中であるが、事業計画を作成する段階ま
では至っていない状態である。そのため、早急に今後の具体的な方針を決定、事業計画
を策定する必要がある(指摘3−2参照)。
10
(資金調達)
青森市土地開発公社は、平成 25 年 3 月 29 日に既存の借入金の借り換えを目的に民間
の金融機関から 3,644 百万円の借入を行っている。借入の際、入札を行っているが、対
象金融機関がすべて辞退し、不調で終わっている。その結果、借入予定日までの時間的
制約もあり、個別に金融機関と交渉し借り入れることとなったが、借入利率は過去の条
件と比較して高い利率で借入となってしまった。しかし、時間的余裕があれば多くの金
融機関と交渉を行うことも可能であり、もっと良い条件で借入することが出来た可能性
がある(意見3−3参照)。
また、対象金融機関が、入札においてすべて辞退した理由は、借入金の大半を占める
青森操車場跡地用地(3,370 百万円)の事業計画の見通しが立たないことが大きな原因
となっているものと考えられる。そういった点からも、青森操車場跡地用地の実現可能
性のある事業計画を早急に立案することが必要である(意見3−5参照)。
11
④ 平成 21 年度包括外部監査結果の措置状況
監査は、監査人による指摘事項の抽出や改善提案の報告のみで終わるものではなく、
それらに対する監査対象団体、部署等の対応方針の作成及び監査人による対応方針に関
する措置状況の確認という一連のフローを反復することによりその実効性が保たれる。
平成 25 年度の包括外部監査では、平成 21 年度包括外部監査で指摘・改善提案を受け
た 3 団体の措置状況の確認を行った。措置状況を確認した結果、主要な検出事項は下記
のとおりである。
i.
全般
(利用料金制の導入促進)
平成 21 年度包括外部監査において、利用料金制は施設の利用者から徴収する利用料
が指定管理者の収入となることから、「指定管理者の自主的な努力を発揮しやすく」、
利用料を市へその都度納付する必要もないことから「市及び指定管理者の会計事務の効
率化が期待できる」ものであり、次回の指定管理者の選定においては、利用料金制を導
入すべきとの提言をうけている。それに対し、利用料金制の導入について、選定委員会
の審議を通して促進していく旨の方針を示しているにも関わらず、導入は進んでいない。
導入の促進が望まれる(意見4−1参照)。
(修繕費の負担区分の明確化)
平成 21 年度包括外部監査において、監査対象とした全施設について、協定書上、施
設の修繕費を施設所有者である市が負担するのか、施設の管理者である指定管理者が負
担するのか、明確な取決めがないことから、修繕費負担のトラブル防止の観点から修繕
費に対する基本的な負担の考え方をできる限り規定化し、判定が困難な場合にのみ別途
協議とすることが望まれる旨提言されている。これに対し、修繕費の取扱いに関する基
準づくりを検討するとの対応方針が示されているが、基準は作られていない。修繕費負
担の取扱いについて慣例は存在するものの、トラブル回避のために基準作りが望ましい
(意見4−6参照)。
12
ii.
一般財団法人青森市文化スポーツ振興公社
(設備導入後の保守業務の委託も視野に入れた入札の実施)
平成21年度の包括外部監査で下記の指摘があった。
青森市文化会館冷凍機保守点検業務については、随意契約により当冷凍機のメー
カーの子会社と業務委託契約を締結している。業務委託概要書の随意契約理由によ
れば、「冷凍機は、製作メーカー固有の特殊な構造・機能を有することから、その
保守点検について精通し、安全に業務を実施するための技術、工具等が必要である。
またその実施に当たっては、専用部品の確保も重要である。」とされている。当財
団は当冷凍機のメーカーの子会社以外にも当冷凍機の代理店等保守点検を行うこ
とができる会社があるか否かの確認を行わずに、当委託業者と随意契約を行って業
務を委託している。
当財団は随意契約を行うのであれば、競争原理を働かせ、より安価な委託金額とす
るために、他業者ではできないか否かについて調査・検討を行うべきである。
上記指摘に対し、「平成22年度から、業務内容を精査し適切なグルーピングによる入
札を実施しました。」との対応方針を表明しているが、平成25年12月現在、従前と同様、
青森市文化会館冷凍機保守点検業務については、当該冷凍機のメーカーの子会社と随意
契約を締結している。
随意契約理由は、「冷凍機は、製作メーカー固有の特殊な構造・機能を有することか
ら、その保守点検について精通し、安全に業務を実施するための技術、工具等が必要で
ある。またその実施に当たっては、専用部品の確保も重要である。」とのことである。
仮に、当該設備の納入時点で実質的に当該設備の維持管理業者は系列の業者に決定し
てしまうのであれば、納入業者は、系列も含めたグループ全体の戦略として、納入時の
価格を小さくし、メンテナンス部分でその分回収しようとすることも可能となってしま
う。この場合、当該設備の納入業者の選定の際には、設備導入後の保守業務の委託も視
野に入れた入札の実施の検討が必要になると思われる(意見4−14参照)。
(委託業者の管理)
平成 21 年度の包括外部監査において仕様書で定める報告書類の入手が徹底されてい
ない等の委託業者の管理の不備が指摘されている。
この点について従前より、改善は図られているものの、仕様書で提出が義務付けられ
ている業務の実施状況を確認する写真を入手していない(指摘4−16参照)、仕様書
と実際の作業回数が相違(指摘4−19参照)等、一部において不備な点が見られた。
13
iii.
一般財団法人青森市観光レクリエーション振興財団
(会計処理の適正化)
平成 21 年度包括外部監査において、賞与引当金や役員退職慰労引当金の未計上であ
ることを指摘されているが改善されていない(指摘4−28及び指摘4−29参照)。
また、ユーサ浅虫の市場出品者に関する売上計上額の決算処理についても不備を指摘さ
れているが、いまだ改善されていない(指摘4−30参照)。
(モヤヒルズの施設毎の収支の把握)
主たる施設としてスキー場、ヒルズサンダー、ケビンハウス、オートキャンプ場、テ
ニスコート、屋内スパ等を有しているが、個別施設毎の収入は管理資料により把握して
いるものの、個別施設毎の支出については把握していない。そのため、個別施設毎の収
支が把握できない状況になっており、施設毎の存在意義を明らかにするため、及び料金
水準の妥当性を判断し市の負担を極力抑制するためにも、個別施設毎の収支の把握が必
要である旨の意見が平成21年度包括外部監査で表明されている。しかし、平成25年12
月現在において、従前どおりの運用であり、施設毎の収支は把握していない(意見4−
48参照)。
(委託者の管理)
平成 21 年度包括外部監査において、一部の業務において委託業者から業務委託契約
書等を入手していないこと、及び委託業者との後日のトラブルを防止するためにも業務
委託契約書において業務実施報告書の提出を義務付ける必要がある旨、提言されている。
これに対して、平成25年12月現在において、業務報告書については入手されており改
善が図られているが、業務委託契約書には業務実施報告書の提出を義務付ける旨の記載
がされていない(意見4−64他参照)。
また、平成21年度包括外部監査において、合子沢記念公園の浄化槽維持管理業務委託
契約書で、いつ、何をどの程度行うかなど具体的な仕様が記載されておらず当該業務の
範囲が不明確になっており、そのような契約書の不備を補うための仕様書も作成されて
いない旨、指摘されているが、平成25年12月現在、この点について改善は見られていな
い(指摘4−69参照)。
14
iv.
株式会社アップルヒル
(会計処理の適正化)
平成21年度包括外部監査において、未払給与や賞与引当金が未計上であることを指摘
されている。
未払給与については、平成25年12月現在においても、財務上の考慮から計上されてい
ない(指摘4−76参照)。また、賞与引当金については、計上することとしたものの、
その計上額の算定方法を検証した結果、その計上額に誤りがあった。計上額について上
席者等がダブルチェックする等の対応が必要である。
ところで、当社は平成25年3月期において賞与引当金を当初の予算計上額を基礎に算
定しているが、実際の賞与の支給額は、当初予算で見込んだ額を大幅に下回っている。
このような状況が常態化するのであれば、引当金の計上要件のひとつである「引当金
計上時に合理的に金額の見積もることが可能である」との要件を満たさなくなる可能性
がある。まず、第一に、正確に金額を見積もることができるような体制を整備すべきで
ある。しかし、体制整備をしても、不確定要因が強く、合理的に金額を見積もることが
できない状況となった場合は、賞与引当金の計上を見送ることも検討すべきであろう
(指摘4−77参照)。
また、当社は平成 21 年度包括外部監査においてテナントとの出店契約上、テナント
の売上金額の一定割合を賃料として受取る契約を締結しているにも関わらず、会計処理
上は売上および仕入勘定を使用しているため、取引先から受取った賃料等を売上に計上
する会計処理に改めるよう指摘を受けているが、その点については改善されていない
(指摘4−78参照)。
(内部管理体制について)
平成 21 年度包括外部監査おいて、テナントごとに賃料算定方法に相違があるケース
があり、低い賃料しか受け取っていないテナントに対する市からテナントへの実質的な
隠れ補助金ではないかとの意見が述べられている。
この意見に対し、テナント毎に賃料が異なることについて、テナントのもつ集客性・
話題性・売上見込額などを総合的に勘案しながらのテナント毎の条件交渉の結果であり、
合理的な経済活動の結果であると考えている旨の対応方針が示されている。
であるならば、賃料の決定方法について組織として方針を定め、テナントと個別に賃
料を決定する際も、その合理的理由を文書で明らかにしておくことが望ましいであろう。
なお、当社の株主である農業協同組合に対しては、他の標準的なテナントと同じ方式
で計算した賃料より大幅に低い賃料を設定しているが、これについては、同組合が株主
という立場であることから優遇しているのではないかという疑念を生じさせかねない
ため、その賃料設定の合理性の検証については特に慎重な対応が求められる。
15
なお、当社は平成 21 年度包括外部監査の意見を考慮し、平成 25 年 6 月 28 日の取締
役会で青森農業協同組合、浪岡アップル友の会の賃料を定額から売上に応じた率に変更
することに決定した。しかし、時期、率を何%にするかについてはまだ決定されていな
い。より迅速な対応が望ましい(意見4−82参照)。
その他、固定資産の現物確認手続きに取り組みつつあるものの、まだ一部で実施され
ていなかったり(指摘4−88参照)、出店契約を締結する際、登録印の押印と印鑑登
録証明書を入手するよう改善したにも関わらず、契約締結時ではなく、契約締結後に印
鑑登録証明書を入手した事例もあった(意見4−85参照)。管理体制は改善されつつ
あるが、さらなる徹底が必要である。
16
(2)指摘・意見一覧
① 指摘
公益財団法人青森市シルバー人材センター、職業訓練法人青森情報処理開発財団、青森
市土地開発公社に関する指摘
No.
内容
1−5
評議員会の出席率の改善
1−7
監事の理事会への出席
1−8
評議員会の決議方法の法令及び定款違反
1−9
計算書類等の備置違反
1−14
業務システムのアクセスコントロール
1−20
FBのデータ送信
1−31
賞与引当金の計上について
1−32
退職給付引当金について
1−36
滞留未収金に対する貸倒引当金の未計上
1−38
小口現金の管理
1−39
備品の実査
2−4
固定資産の取得手続き
2−8
売上計上基準
2−9
賞与引当金の計上
2−13
財務諸表の注記の訂正
3−2
事業計画の作成
3−7
借入金の表示の誤り
3−8
附属明細書の記載誤り
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書に関する新たな指摘
4−9
No.40
備品の実在性の確認(結果)
4−11
No.48
不明朗な入札結果(意見)
4−15
No.63
適切な業務実施報告書の入手(結果)
4−16
No.64
仕様書で定める報告書類の入手の徹底(結果)
4−17
No.65
仕様書と異なる作業場所および作業内容に対する確認不足(結果)
4−18
No.66
委託業者から入手する作業完了報告書様式の修正(結果)
4−19
No.68
業務仕様書と実作業回数の相違(その1)(結果)
4−28
No.134
賞与引当金の計上(結果)
4−29
No.136
役員退職慰労引当金の計上(結果)
4−30
No.138
ユーサ浅虫の市場出品者に関する売上計上額の決算処理(結果)
17
4−33
No.142
入札制度等規程の制定と遵守の徹底(結果)
4−39
No.151
自動更新条項の廃止および入札制度等規程の制定と遵守の徹底
(結果)
4−40
No.152
入札の実施および業務委託契約書の早急な作成(結果)
4−52
No.170
指定管理料の積算および精算(結果・意見)
4−53
No.179
入札制度等に関する資料の保存と相見積りの実施(結果)
4−54
No.180
営業委託契約違反(結果)
4−55
No.181
委託作業の実施状況の未検証(結果)
4−57
No.188
自動更新条項の廃止および入札制度等規程の制定と遵守の徹底
(結果)
4−67
No.207
事業報告書の提出の徹底(結果)
4−69
No.211
業務委託契約書の業務範囲の明確化(結果)
4−73
No.218
事業報告および計算書類の作成(結果)
4−74
No.219
取締役会および株主総会の承認(結果)
4−75
No.221
役員の変更登記の適時性(結果)
4−76
No.222
未払給与の計上(結果)
4−77
No.223
賞与引当金の計上(結果)
4−78
No.224
売上計上額の会計処理(結果)
4−79
No.229
市への事業計画書の提出遅れ(結果)
4−81
No.237
浪岡アップル友の会に対する不動産の無償貸与手続(結果・意見)
4−86
No.251
青森農業協同組合との出店契約の承認手続(結果)
4−87
No.252
浪岡アップル友の会との出店契約書の作成(結果・意見)
4−88
No.261
固定資産の実在性の確認(結果)
4−89
No.263
入札制度等規程の制定と遵守の徹底(結果)
② 意見
公益財団法人青森市シルバー人材センター、職業訓練法人青森情報処理開発財団、青森
市土地開発公社に関する意見
No.
内容
1−1
計画達成のための意識、インセンティブについて
1−2
「経営改善計画」の変更の必要性について
1−3
「事業計画書及び収支予算書」の数値について
1−4
需要対応
1−6
理事会の出席率の向上及び活性化
1−10
内部監査の実施
18
1−11
会員に対する暴力団等と関与がないことの確認
1−12
取引先に対する暴力団等と関与がないことの確認
1−13
情報セキュリティ管理規程の作成
1−15
サーバー室の入退室管理
1−16
サーバー室の保管状況
1−17
データバックアップ
1−18
パスワード管理
1−19
文書管理規程の改定
1−21
FBの承認権限代理
1−22
会計システムのデータ変更
1−23
経理の月次統制業務
1−24
経理の月次業務管理表の作成
1−25
受注管理
1−26
受注入力の網羅性・正確性の確保
1−27
就業報告書がない就業入力
1−28
就業報告書の正確性の確保
1−29
発注者に対する誤った請求
1−30
会員に対する誤った分配金支払
1−33
契約書の作成
1−34
未収金管理に関するマニュアルの整備
1−35
与信限度額の設定について
1−37
金銭債権に対する貸倒引当金について
1−40
備品の管理
1−41
リース取引の検討について
1−42
リース管理表の整備
1−43
関連当事者注記の検討について
1−44
会計リテラシーの充実及び専門家の利用
1−45
会員の入退会に対する対策
1−46
自主財源の拡大
2−1
評議員会議事録の作成
2−2
監事との情報共有について
2−3
リース契約の締結手続き
2−5
固定資産の検収手続き
2−6
固定資産の現物管理
2−7
リース契約の会計処理
19
2−10
資金の貸付の承認証跡
2−11
卒業祝賀会参加費の現金管理
2−12
公益法人会計基準について
3−1
処分の長期化
3−3
入札不調時の想定
3−4
入札参加者の拡大
3−5
過大な支払利息
3−6
市による資金調達、3 セク債の活用
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書に関する新たな意見
4−1
No.2
指定管理者の選定手続
利用料金制の導入促進(意見)
4−2
No.5
指定管理者の選定手続
選定委員会関係・応募者の財務内容に関す
る選定基準の追加(意見)
4−3
No.6
指定管理者の選定手続
選定委員会関係・選定委員会の外部委員の
積極登用(意見)
4−4
No.21
団体・施設共通事項
高齢者の使用料に関する全額免除の廃止の検
討(意見)
4−5
No.22
団体・施設共通事項
公の施設の敷地範囲の明確化・条例上の取扱
い(意見)
4−6
No.25
団体・施設共通事項
修繕費の負担区分の明確化(意見)
4−7
No.26
財団法人青森市文化スポーツ振興公社の存在意義(意見)
4−8
No.30
市との指定管理業務に関する協定上の取扱い(結果)
4−10
No.41
設計書の適切な算定(意見)
4−12
No.49
適切な設計書の算定(意見)
4−13
No.52
日付の記載のない見積書の入手(結果)
4−14
No.53
不適切な随意契約理由(結果)
4−20
No.70
レストランの早期再開(意見)
4−21
No.71
テナント業者からの営業保証金・連帯保証人の必要性(意見)
4−22
No.72
地下駐車場使用料の発券・精算業務の合理化(意見)
4−23
No.81
領収書の管理(意見)
4−24
No.85
青森市合浦亭の廃止の検討(意見)
4−25
No.86
使用料の料金体系に関する見直し(意見)
4−26
No.130
青森市観光レクリエーション振興財団の存在意義(意見)
4−27
No.131
財務内容の改善(意見)
4−31
No.139
決算内容のインターネットによる情報公開(意見)
20
4−32
No.141
業務委託費の積算の必要性(意見)
4−34
No.143
利用料金制の導入(意見)
4−35
No.144
指定管理料の精算の必要性(結果)
4−36
No.146
市場の建物に関する取得のあり方(意見)
4−37
No.147
ねぶた館の利活用(意見)
4−38
No.150
業務委託契約書の再作成(結果)
4−41
No.154
施設の利用状況および存在意義
ヒルズサンダー(意見)
4−42
No.155
施設の利用状況および存在意義
テニスコート(意見)
4−43
No.157
施設の利用状況および存在意義
スパ施設(意見)
4−44
No.158
施設の利用状況および存在意義
会議室(意見)
4−45
No.159
スパ施設の存在意義(意見)
4−46
No.160
共用スペースの照明等(意見)
4−47
No.162
ヒルズクラブの利活用および当施設全体の存在意義(意見)
4−48
No.163
施設毎の収支の把握(意見)
4−49
No.165
施設毎の利用状況に関する市への報告(結果・意見)
4−50
No.166
スパ施設の利用回数のカウント方法(意見)
4−51
No.168
利用者拡大に向けた外部の業者との連携(意見)
4−56
No.184
夏季開館時間の短縮の検討(意見)
4−58
No.192
業務実施報告書の内容不備(意見)
4−59
No.193
巡回報告書の入手の徹底(結果)
4−60
No.194
業務実施状況の確認漏れ(意見)
4−61
No.195
パターゴルフの利用者数向上施策(意見)
4−62
No.197
ラジコンサーキットの利用方法(意見)
4−63
No.200
動物広場の動物への餌やり体験の検討(意見)
4−64
No.204
業務実施報告書の入手の徹底(結果)
4−65
No.205
利用者数の増加施策(意見)
4−66
No.206
不法投棄対応の費用負担(意見)
4−68
No.210
利用者アンケートの記録の保存と市への報告(意見)
4−70
No.215
業務実施報告書の入手の徹底(結果)
4−71
No.216
業務実施報告書の記載内容不備(意見)
4−72
No.217
株式会社アップルヒルの存在意義(意見)
4−80
No.234
株式会社アップルヒルによる建物等の建設および改修(意見)
4−82
No.238
地場産品への支援のあり方(意見)
4−83
No.239
臨時駐車場に関する国土交通省との賃借手続(意見)
4−84
No.242
契約解除時のペナルティの明記(意見)
21
4−85
No.246
契約書における実印の使用(意見)
本報告書における「指摘」及び「意見」の定義は、下記のとおりである。
「指 摘」…法令、規則、条例等に違反している場合、或いは違法ではないが社会通念
上適当でないと考えられる場合に該当する事項を記載している。
「意 見」…組織及び運営の面で合理化に役立つものとして専門的見地から改善を提言
する事項を記載している。
22
第3 監査の結果
1.公益財団法人青森市シルバー人材センター
(1)概要
① 法人の概要
公益財団法人青森市シルバー人材センターは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する
法律」(以下「高齢者雇用安定法」という。)に基づき、高年齢者等の職業の安定その
他福祉の増進を図る等を目的として、全国各地に設立され、青森市では昭和 55 年に財
団法人青森市シルバー人材センターとして設立された。なお、平成 24 年 4 月より公益
財団法人に移行している。
当センターは、原則として 60 歳以上の高年齢者(会員)に相応しい臨時的・短期的
な仕事を家庭、企業、公共団体より請負・委任や労働者派遣事業の形式で引き受け、こ
れを会員に提供する事業を行っている。また、地域社会の福祉の向上と地域の活性化を
目的として、高齢者の生きがいの充実、社会参加の促進のためのボランティア活動も積
極的に行っている。
② 法人の状況
所在地
青森市本町4丁目1番3号
設立年月日
昭和55年8月20日
代表者
若井敬一郎
従業員数
10名※
出資金額
3,000千円
出資者
青森市100%
設立目的
青森市に居住する定年退職者等の高年齢退職者(以下「高年齢者」と
いう。)の希望に応じた就業で、臨時的かつ短期的なもの又はその他
の軽易な業務(当該業務に係る労働力の需給の状況、当該業務の処理
の実情等を考慮して厚生労働大臣が定めるものに限る。)に係るもの
の機会を確保し、及びこれらの者に対して組織的に提供することなど
により、その就業を援助して、これらの者の生きがいの充実、社会参
加の推進を図ることにより、高年齢者の能力を活かした活力ある地域
社会づくりに寄与すること。
基本理念
自主・・・自分たちのものとして考える
自立・・・自分たちの力で育てる
共働・・・一緒になって働く
共助・・・たがいに助け合う
主な事業内容
① 臨時的かつ短期的な就業(雇用によるものを除く。)又はその他の
軽易な業務に係る就業(雇用によるものを除く。)を希望する高年
齢者に対する就業機会の開拓及び提供
23
② 臨時的かつ短期的な雇用による就業又はその他の軽易な業務に係
る就業(雇用によるものに限る。)を希望する高年齢者のために行
う無料の職業紹介事業または一般労働者派遣事業
③ 高年齢者に対する、臨時的かつ短期的な就業及びその他の軽易な業
務に必要な知識及び技能の付与を目的とした講習事業
④ このほか、高年齢者のための臨時的かつ短期的な就業及びその他の
軽易な業務に係る就業を通じて、高年齢者の生きがいの充実及び社
会参加の推進のために必要な事業
シルバー人材
センターの特
徴
① 臨時的・短期的な就業の機会を確保し、会員に提供する団体であり、
長期的な職業紹介や職業斡旋をする団体ではない
② 高年齢者が自主的に助け合い、ともに働くことによって、福祉の実
現を図る団体で、営利を目的とするものではなく、その運営には国
と市の補助を受けている
③ 会員一人一人が組織の構成員であり会員自身で築きあげる団体で
ある
④ 仕事の相談、受注、契約から集金、支払まで事務局が窓口となる
⑤ 仕事中のけがや事故に対してはセンターが保険に加入し対処する
経理区分
就業機会提供事業
就業機会確保事業
補助対象事業
SP(シニアワーク
プログラム)事業
共通
法人会計
規程
運営規程
定款・事務局組織等規程・事務決裁規程・財務規
程・理事会運営規程・評議員会運営規程・使用印
規程・文書取扱規程・個人情報の保護に関する規
程・情報公開規程
就業規程
職員就業規則・嘱託職員就業規則・職員の給与に
関する規程・職員の退職手当に関する規程・役員
及び評議員の報酬等に関する規程・旅費規程・職
員表彰規程
会員に関する規程
就業の機会の提供の方法等に関する規則・配分金
規程・事務費規程・安全・適正就業委員会規程・
見舞金支給要綱・親睦会等に対する助成金交付要
綱・個人情報保護規程
経営方針
会員の増強
会員数の拡大や、既存会員の資質の向上により会
24
(経営改善計
員の増強を図る。
画より)
[具体的な取組内容]
① 会員・役職員による新規会員勧誘
② シルバー人材センター事業についての普及啓
蒙活動
③ 会員の資質の維持及び向上
就業機会の確保
会員の増強に伴い就業開拓が重要となるため、新
規就業分野の開拓や、シルバー人材センター事業
の周知に努めることにより、就業機会の拡大を図
る。
[具体的な取組内容]
① 就業開拓の強化
② シルバー人材センター事業の普及啓蒙活動
③ 就業者数及び就業率の向上と就業延人員の拡
大
安全・適正就業の
会員の就業中の事故防止及び適正就業の徹底を推
推進
進する。
[具体的な取組内容]
① 研修会及び講習会の開催
② 安全・適正就業パトロールの実施
③ 広報及び啓蒙活動
④ 適正就業推進への取組強化
⑤ 会員の健康管理の強化
効率的な組織体制
事務処理の効率化により適切な組織体制を整備す
の整備と人材育成
るとともに、公共性・公益性の高い職務の従事者
としての職員の能力・資質の向上を図る。
[具体的な取組内容]
① 職員数の適正化
② 職員の能力・資質の向上
③ 事務処理の見直し
経営基盤の強化
自立的な事務運営を目指すため、経営基盤の強化
を図る。
[具体的な取組内容]
① 受託事業収入の拡大
② 自主事業の実施についての検討
③ 管理運営費の削減
25
④ マネジメントサイクルの導入
経営状況等の透明
経営の透明化を一層高めるため、市民に対して積
化
極的に情報を公開する。
[具体的な取組内容]
① 情報公開の充実
※事務局長兼務の常務理事は役員数及び職員数の両方でカウントしている。また、職員数には浪岡支所の
会員登用臨時職員 1 名は含めていない。
③ 沿革
・昭和 55 年 8 月 20 日
市費からの寄附金(300 万円)をもって設立
初代理事長
石村陸奥男
就任
・昭和 55 年度末
会員数 416 人、契約金額(2,649 千円)
・昭和 56 年度末
会員数 500 人超(564 人)
・昭和 60 年 4 月 1 日
第二代理事長
・昭和 60 年度末
契約金額 1 億円超(111,058 千円)
・平成 2 年度末
契約金額 2 億円超(210,815 千円)
・平成 3 年 4 月 1 日
第三代理事長
・平成 5 年度末
契約金額 3 億円超(318,568 千円)
・平成 7 年 4 月 1 日
第四代理事長
・平成 9 年 4 月 1 日
青森市福祉増進センターへ移転
・平成 9 年度末
契約金額 4 億円超(417,047 千円)
・平成 11 年度末
会員数 1,000 人超(1,032 人)
・平成 12 年度末
契約金額 5 億円超(515,198 千円)
・平成 13 年 4 月 1 日
第五代理事長
・平成 17 年 4 月 1 日
浪岡町シルバー人材センターと統合
・平成 17 年度末
会員数 1,500 人超(1,535 人)
・平成 22 年 5 月 28 日
第六代理事長
入間正輔
下川原定吉
三國智造
蝦名文昭
若井敬一郎
26
就任
就任
就任
就任
就任
・平成 24 年 4 月 1 日
公益財団法人へ移行
・平成 24 年 10 月 22 日
浪岡支所が青森市浪岡総合保健福祉センターへ移転
④ 施設
公益財団法人青森市シルバー人材センターは、事務所として本所、支所を設置している。
区分
本所
所在地
建物面積
備考
青森市本町 4 丁目 1 番 3 号 2 階 222.19 ㎡(事務所・会
※
議室・講習室)
浪岡支所
浪岡稲村 274 番地
49.28 ㎡(事務室・会議室)
※
※ 青森市より行政財産使用許可を得て、同市の施設を無償利用している。
⑤ 組織等の状況
ⅰ. 役員の状況
区分
(単位:人)
平成 22 年度末
平成 23 年度末
平成 24 年度末
1
1
1
10
7
7
常勤監事
-
-
-
非常勤監事
2
2
2
13
10
10
※
※
※
常勤理事
非常勤理事
合計
平均役員報酬
※ 常勤の役員が 1 名であり、当該個人に関する情報が特定されるおそれがあることから、平均役員報酬金
額を記載しない。なお、非常勤役員の報酬は、理事長が事務の執行報酬として日額 8 千円、理事、監事
が理事会出席報酬として日額 8 千円である。
ⅱ. 職員の状況
区分
(単位:人)
平成 22 年度末
平成 23 年度末
平成 24 年度末
8
8
8
(うち市 OB)
(1)
(1)
(1)
(うち市派遣者)
(-)
(-)
(-)
法人臨時・嘱託等
2
2
2
10
10
10
常勤職員平均年齢
48 歳
49 歳
50 歳
常勤職員平均年収
4,970 千円
4,963 千円
5,004 千円
法人職員
合計
27
ⅲ. 役職員数一覧(平成 25 年 11 月 11 日現在)
区分
役員数※1※2
常勤
人数
(単位:人)
非常勤
1
職員数※1
総数
7
正規
8
市 OB
6
非正規
1
3
総数
10
※1 事務局長兼務の常務理事は役員数及び職員数の両方でカウントしている。また、職員数には浪岡支所
の会員登用臨時職員 1 名は含めていない。
※2 役員数には監事 2 名を含めていない。
28
ⅳ. 組織図(団体資料より転載)
公益財団法人青森市シルバー人材センター組織図
(平成25年11月11日現在)
理 事 会
(3名以上
8名以内)
監
理 事 長
(1名)
常務理事
(1名)
理 事
(6名)
事
(3名以内)
(各種団体及び発注者)
評 議 員 会
(2名)
(3名以上
10名以内)
(各種団体・発注者・学識経験者)
評 議 員
(6名)
・各種団体 3名
・発 注 者 1名
・学識経験者 2名
事 務 局
(11名)
事 務 局 長
(常務理事兼務、事務局の総括)
次 長
(事務局長の補佐及び総務担当チームリーダー)
副 参 事
(次長の補佐及び業務担当チームリーダー)
支所長(嘱託) (支所の総括)
副 参 事 (業務担当)
主 幹 (業務及びSP事業担当)
主 査 (経理担当)
嘱託職員
(業務担当)
臨時職員 (会員) (業務担当)
主 任 (総務及び業務担当)
臨時職員 (総務及びSP事業担当)
会 員
29
(1,315名:10月31日)
⑥ シルバー人材センター事業の仕組み
注1
の登録
契約履行
仕事の提供
就業
請負・委任
労働者派遣
注2
仕事の提供
仕事の発注
配分金等支払
契約金支払
発注者 ︵家庭・企業・公共団体等︶
仕事の受注
シルバー人材センター
意欲のある人︶
会員 ︵原則として60歳以上の健康で働く
希望職種
注1 高齢者向きの仕事受注及び契約内容の履行
注2 臨時的・短期的又は一定の軽易な仕事の発注及び契約金の支払い(配分金+材料費等+事務費)
公益財団法人青森市シルバー人材センターの主な事業の仕組みは、原則として60歳以
上の高年齢者(会員)に相応しい臨時的・短期的な仕事を、家庭、企業、公共団体等よ
り請負または委任により引き受け、これを会員に提供することである。
当センターは、サービス提供に当たり、発注者である家庭、企業、公共団体等から契
約金を受領する。この契約金は、配分金、材料費等及び事務費の3つから構成される。
まず、配分金は、仕事の種類、内容等に応じて定められ、発注者に対して会員に対する
配分金として請求するものであり、その全額を就業会員に支払うものである。なお、こ
の配分金の金額は、その地域における最低賃金等を尊重し社会的に相当な額として定め
られている。また、材料費等は、就業時に必要な物の購入費であり、実費相当分及び使
用料を請求しているものである。さらに、事務費は、家庭・企業・公共団体等から仕事
を受託し、その仕事を高年齢者(会員)に提供するに当たり、仕事の受注から完遂まで
に要する実費経費の一部を、発注者側から事務費として徴するものである。当センター
では、現在その額を配分金の8%程度としている。
他方で、当センターは、就業会員に対し就業対価として配分金を支払う。上述の通り、
配分金は契約金の要素の1つであり、発注者への請求金額全額を就業会員に支払う。ま
た、契約金のうち材料費等は、就業に必要な物品の実費相当額と使用料の受取であり、
基本的に当センターに残るものではない。
30
したがって、発注者との契約金のうち、当センターに残るのは基本的に事務費のみで
ある。なお、当センターでは契約金の一部を構成する事務費を得るほか、これに加え会
員から受け取る会費収入、その他収入が自主財源となる。また、その事業の性質上、国
及び市から補助金を受けており、当該補助金と自主財源を合せた資金が事業運営資金と
なる。
⑦ 財政状態の推移
(単位:千円)
平成
平成
平成
平成
平成
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
現金
430
480
330
380
380
預金
248
2
10
144
36,703
未収金
48,747
60,683
45,524
51,060
32,792
前払金
−
−
−
1,971
−
流動資産合計
49,425
61,166
45,864
53,555
69,875
定期積立預金
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
基本財産合計
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
退職給付引当資産
27,003
27,765
28,454
28,812
32,000
財政運営資金積立資産
34,825
17,242
35,000
29,171
−
特定資産合計
61,828
45,007
63,454
57,983
32,000
1,352
877
−
−
−
什器備品
237
141
80
67
67
電話加入権
480
480
480
480
480
60
60
−
−
−
2,129
1,558
560
547
547
66,957
49,565
67,014
61,530
35,547
116,382
110,731
112,878
115,085
105,422
未払金
40,224
36,533
33,525
34,547
26,007
前受金
16
−
−
−
45
仮受金
−
−
−
5
−
預り金
1,442
1,338
1,664
1,576
1,585
流動負債合計
41,682
37,871
35,190
36,128
27,637
退職給付引当金
30,372
33,072
36,413
37,970
37,034
固定負債合計
30,372
33,072
36,413
37,970
37,034
負債合計
72,054
70,943
71,603
74,098
64,671
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
車両運搬具
預託金
その他の固定資産合計
固定資産合計
資産合計
指定正味財産
31
(うち、基本財産への充当額)
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
(うち、特定資産への充当額)
−
−
−
−
−
41,328
36,788
38,275
37,987
37,751
(うち、基本財産への充当額)
−
−
−
−
−
(うち、特定資産への充当額)
34,825
17,242
35,000
29,171
−
正味財産合計
44,328
39,788
41,275
40,987
40,751
116,382
110,731
112,878
115,085
105,422
一般正味財産
負債及び正味財産合計
(出典:決算書を基に監査人が作成)
平成 24 年度において、「預金」が大幅に増加している。これは、平成 23 年度まで「財
政運営資金積立資産」として表示していたものを「預金」に変更したためである。これ
に伴い、平成 24 年度の「財政運営資金積立資産」の残高はなくなっている。また、「未
収金」の金額は年度毎に変動している。「未収金」は主に 2 月、3 月のサービス提供に
対する請求額で構成され、各期の金額は 2 月、3 月の仕事量等に左右される。さらに、
「未払金」の金額も年度毎に変動している。「未払金」は主に 3 月サービス提供に対す
る会員への支払分配金であり、各期の金額は 3 月の仕事量等に左右される。
⑧ 損益の推移
(単位:千円)
平成
平成
平成
平成
平成
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
511,097
508,143
499,458
482,614
350,243
8,093
8,835
9,574
9,968
10,598
28,254
29,624
39,316
40,167
31,506
−
−
−
−
9,520
SP 技能講習共同費収益
1,785
1,439
1,260
1,449
2,003
正会員受取会費
1,629
1,592
3,652
3,589
3,161
受取市補助金
21,030
21,030
21,000
21,000
21,000
受取連合交付金
21,030
21,030
13,495
8,700
8,700
受取連合助成金
10
30
−
−
−
687
663
543
−
−
11
3
2
2
2
117
70
28
11
14
経常収益計
593,749
592,458
588,327
567,499
436,747
支払配分金
511,097
508,143
499,458
482,614
350,243
6,101
6,889
7,626
7,386
8,372
受取配分金
受取材料費等
受取事務費
労働者派遣事業等受託収益
受取負担金
受取利息
特定資産受取利息
支払材料費等
32
給料手当
47,125
47,198
46,246
46,886
47,101
臨時雇賃金
2,038
1,887
2,419
2,496
2,732
役員等報酬
562
575
445
579
280
法定福利費
7,322
7,224
7,692
7,978
8,243
退職給付費用
5,817
5,148
5,829
4,173
5,099
福利厚生費
111
116
92
90
88
会議費
415
82
79
115
163
旅費交通費
81
14
1
49
0
通信運搬費
3,043
2,983
2,656
2,683
2,615
什器備品費
−
0
−
58
12
1,593
1,493
1,232
1,041
868
修繕費
621
478
97
−
181
印刷製本費
294
532
327
414
299
賃借料
2,927
2,876
2,926
3,090
2,950
保険料
4,500
4,302
3,092
3,012
2,598
諸謝金
135
26
11
11
11
租税公課
1,751
1,801
2,163
2,085
2,148
組織活動助成費
1,399
1,099
1,025
−
−
委託費
2,848
2,964
2,753
2,497
2,484
教材費
67
69
44
43
83
訓練委託費
−
0
−
18
−
支払手数料
7
7
8
8
9
雑費
159
46
41
59
71
光熱水料費
148
149
142
138
84
支払負担金
348
325
304
254
254
車両運搬具減価償却費
475
475
122
−
−
96
96
61
13
−
経常費用計
601,079
596,999
586,889
567,788
436,983
経常損益
▲7,330
▲4,540
1,439
▲289
▲236
経常外損益
−
−
49
−
−
当期純損益
▲7,330
▲4,540
1,487
▲289
▲236
消耗品費
什器備品減価償却費
(出典:決算書を基に監査人が作成)
東日本大震災、国の補助金の減額、指定管理者制度での市委託業務の民間事業者参入
等の事業環境の変化により、経常収益は平成 20 年度から平成 24 年度にかけて減少傾向
33
である。他方で、経常費用も減少傾向である。これは平成 20 年度以降経費項目等の見
直しを実施し、コスト削減が進んだことによる。結果として、損益がゼロ付近となるの
がここ数年の傾向である。なお、平成 24 年度より一部業務の契約形態を請負から派遣
にしたが、派遣契約に係る経常収益は事務費相当額のみ計上されるため、従来の請負契
約と比べ受取配分金、材料費等分相当額だけ小さく計上されている。
平成 20 年度、平成 21 年度はそれぞれ 7,330 千円、4,540 千円の経常赤字である。こ
れは平成 20 年度より青森労働局の委託事業であるSP技能講習が大幅に減り経常収益
が減少したが、他方でコスト削減が間に合わず、赤字となったものである。
(2) 監査の結果
① 計画
ⅰ. 概要
(イ)「経営改善計画」と「事業計画書及び収支予算書」について
経営資源を効率的かつ効果的に活用するためには、適切な計画を策定し、その着実な
実施を行うことが必要である。ここで、公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、
単年度の事業計画の「事業計画書及び収支予算書」と、中長期計画としての「経営改善
計画」(平成23年度∼平成25年度)を作成している。なお、「経営改善計画」は、青森
市の経営評価により指摘された経営上の課題等について、中長期視点のもと自らが策定
し、自助努力による改革・改善を目指す趣旨で策定されている。
(ロ)「経営改善計画」
青森市は、「青森市第三セクターに関する基本方針(以下「基本方針」という。)を
策定している。当該方針は、外部有識者で組織される「第三セクター経営評価委員会」
より提出された経営評価報告書を真摯に受け止め、改めて原点に立ち返り『ゼロ・ベー
ス』の視点で第三セクターの必要性や役割等を再検討するとともに、本市が目指す第三
セクターの経営健全化と自主・自立化について、市と第三セクターがそれぞれ取り組む
具体的事項を明らかにし、第三セクターの抜本的改革に集中的かつ積極的に取り組むこ
とを目的に策定している(「基本方針」より)。
青森市は、
「基本方針」において公益財団法人青森市シルバー人材センターについて、
設立意義は希薄化していないとして、積極的な経営改善を前提に今後も「存続」させる
ものと位置付けた。その結果当センターでは、経営評価により指摘された経営上の課題
等について、平成23年度から平成25年度の3年間を計画期間とする「経営改善計画」を
策定することとなった。
34
(ハ)「事業計画書及び収支予算書」
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、財団法人として事業年度毎に「事業
計画書及び収支予算書」を策定している。
ⅱ. 「経営改善計画」及び「事業計画書及び収支予算書」の内容
「経営改善計画」の基本的内容は下記のとおりである。
◆計画期間:平成23年度∼平成25年度(3年間)
◆計画の基本構成
1
基本情報(法人概要、設立背景、組織構成、財務の状況など)
2
経営改善に向けた自己分析(外部環境分析、内部環境分析)
3
経営方針
4
経営方針の具体的な取組内容・目標
5
経営改善計画表(スケジュール一覧表)
6
経営改善の具体的目標・影響等(財政見通し、個別事業の目標値)
(出典:青森市HPより)
「経営改善計画」において、下記の「経営改善計画表」を作成している。
取組項目
1
H23
H24
H25
→
→
→
備考
会員の増強
① 会員・役職員による新規会員
勧誘
② シルバー人材センター事業に
ついての普及啓発活動
③ 会員の資質の維持及び向上
2
実施年度(計画)
新規会員の獲得
シルバー人材事業
→
→
→
についてのPR活
動
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
各種講習の実施
就業機会の確保
① 就業開拓の強化
② シルバー人材センター事業に
ついての普及啓発活動
③ 就業者数及び就業率の向上と
就業延人員の拡大
35
新規就業先・分野の
開拓
シルバー事業につ
いてのPR活動
未就業会員対策
3
安全・適正就業の推進
安全及び適正就業
① 研修会及び講習会の実施
→
→
→
についての指導強
化
② 安全・適正就業パトロールの
→
→
→
③ 広報及び啓発活動
→
→
→
④ 適正就業推進への取組み強化
検
○
→
⑤ 会員の健康管理の強化
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
実施
4
事業所・現場の巡回
指導
会員への啓発
H23:基準検討
H24:基準作成
健診等受診の奨励
効率的な組織体制の整備と人材育
成
① 職員数の適正化(定員管理計
画)
② 職員の能力・資質の向上(人
材育成方針)
③ 事務処理の見直し
5
施
人材育成方針の実
施
事務処理体制の効
率化
経営基盤の強化
① 受託事業収入の拡大
② 自主事業の実施についての検
討
6
定員管理計画の実
受託事業収入の増
加
自主事業実施の検
検
討
③ 管理運営費の節減
→
→
→
管理運営費の削減
④ マネジメントサイクルの導入
→
→
→
計画的な事業執行
→
→
→
経営状況等の透明化
① 情報公開の充実
ホームページの内
容拡充
H22:理事会での承
認
※
公益法人制度改革への対応
→
○
H23:申請
H24:公益財団法人
への移行
(出典:経営改善計画)
36
「事業計画書及び収支予算書」の基本的内容は下記のとおりである。
◆事業計画書
Ⅰ
基本方針
Ⅱ
事業実施計画
1就業機会提供事業
2就業機会確保事業
3SP(シニアワークプログラム)事業
4会員の自主的な活動
5会員の福利厚生と親睦
6事業運営の強化と事務局体制の整備
◆収支予算書
Ⅰ
収支予算
Ⅱ
収支予算内訳書
Ⅲ
資金調達及び設備投資の見込について
(出典:平成25年度事業計画書及び収支予算書より)
ⅲ. 計画と実績
(イ)PDCA サイクル
経営改善を実現するためには、まず環境分析・自社分析を行い、環境変化に適切に対
応し、内部経営資源を有効かつ効率的に活用していかなければならない。そのためには
計画(Plan)を立案し、計画で定めた諸施策を着実に実行(Do)していかなければなら
ない。
しかし、すべて計画通りに事が運べば問題ないが、現実には、そのようなことはまれ
である。前提とした環境に変化が生じることもあるであろうし、何らかの事情で計画通
り施策を遂行できないこともあり得る。想定外の事象が生じることもあるであろう。し
たがって、定期的に計画と実績の乖離を分析・評価(Check)し、その原因を確かめ、
対応(Act)していかなければならない。計画そのものの見直しをしなければならない
こともある。
このように、計画的な法人運営は、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)
の4つのサイクルを繰り返し、場合によっては計画を見直すことで目標の実現可能性が
高まる。
37
(ロ)計画と実績の比較
下記で、「経営改善計画」のうち数値目標のある①「会員の増強」②「就業機会の確
保」③「就業者数及び就業率の向上と就業延人員の拡大」について、計画実績比較を行
い、差異原因を把握した。
①「会員の増強」
ⅰ.計画実績比較
・会員、役職員の新規会員勧誘
会員数の拡大のため、会員・役職員が積極的に新規会員獲得活動の展開を図り、平成
22年度の会員数1,472人から毎年度1.0%増とし、平成25年度には1,517人を目指す。
(単位:千円)
項目
会員数
平成22
平成23年度
平成24年度
平成25年度
年度
計画
実績
計画
実績
計画
1,472
1,487
1,455
1,502
1,377
1,517
実績
−
(出典:経営改善計画及び事業計画書)
ⅱ.差異原因
平成23、24年度の計画に対する実績は、それぞれ会員数が計画比32人(計画1,487人
−実績1,455人)、125人(計画1,502人−実績1,377人)の未達となった。
差異の発生原因としては、加入率(会員数÷青森市60歳以上の人口)の減少による。
下記表の通り、会員対象となる市の60歳以上の人口は、毎年増加している。平成22年度
末(平成23年3月末)と、平成24年度末(平成25年3月末)を比較すると、後者の方が3,275
人多い。なお、平成24年度末(平成25年3月末)は平成20年度末(平成21年3月末)と比
較すると8,929人増加している。これはいわゆる団塊の世代が60歳を迎えたことによる。
また、加入率は、平成23年度(平成24年3月末)、平成24年度(平成25年3月末)がそれ
ぞれ1.47%、1.37%であり、平成22年度(平成23年3月末)と比較し、0.04%、0.14%低
い。この加入率の低下により、会員数が計画に届かなかった。
ここで、加入率の低下の理由は、主として高年齢者雇用安定法の改正により段階的に
定年年齢が引き上げられ、会員対象となる60歳以上の継続雇用が増えたことによる。こ
の継続雇用制度は、厚生年金の支給年齢の引き上げや、団塊世代の定年退職による労働
力人口急減が経済や社会保障制度に及ぼす影響等を背景として国の施策として行われ
たものである。そのため、シルバー人材センターへの加入率の低下は、青森市だけでな
く、全国的な傾向となっている。また、東日本大震災以降、仕事量が減り希望する配分
金の金額が得られず、退会者がいたことも加入率低下の理由の一つである。
38
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
3月末
3月末
3月末
3月末
3月末
項目
性別
青森市60
男性
38,118
39,428
40,428
41,116
41,839
歳以上人
女性
53,798
55,639
57,142
58,141
59,006
口(人)
計
91,916
95,067
97,570
99,257
100,845
男性
1,011
979
923
906
850
女性
618
613
549
549
527
計
1,629
1,592
1,472
1,455
1,377
男性
2.65
2.48
2.28
2.20
2.03
女性
1.15
1.10
0.96
0.94
0.89
計
1.77
1.67
1.51
1.47
1.37
会員数
(人)
加入率
(%)
(出典:青森市行政区別年齢別人口統計表及び事業報告書)
②「就業機会の確保」
ⅰ.計画実績比較
・就業開拓の強化
団塊の世代の退職時に向けた事務系職種、少子高齢社会に対応する家事援助・育児支
援などについての就業開拓に努め、契約金額は平成22年度の見込額552,033千円から毎
年度1.0%増とし、平成25年度には568,759千円を目指す。
(単位:千円)
平成22
項目
年度
(見込)
平成23年度
平成24年度
平成25年度
修正
計画
実績
計画
実績
計画
実績
※
配分金
502,433
504,953
482,614
510,002
461,940
515,103
−
材料費
9,600
9,600
9,968
9,696
9,696
9,792
−
事務費
40,000
43,000
40,167
43,430
41,025
43,864
−
契約額
552,033
557,553
532,748
563,128
512,661
568,759
−
(計)
(出典:経営改善計画及び事業計画書)
※派遣契約分も含めた金額
ⅱ.差異原因
平成23、24年度の計画に対する実績は、それぞれ契約額が計画比24,805千円(計画
557,553千円−実績532,748千円)、50,467千円(計画563,128千円−実績512,661千円)
の未達となった。
39
差異の発生原因としては、主として東日本大震災による地域経済の低迷、法令遵守の
ための契約選別、指定管理者制度での市委託業務の民間事業者参入の 3 つである。
計画では平成22年度の着地見込から毎年1%契約額が増加することを前提としてい
た。しかし、平成23年3月に起きた東日本大震災の影響により地域経済が低迷したため、
契約額が減少し、計画の前提が崩れてしまった。また、偽装請負防止の契約選別により、
従来受けていた仕事を断るケースが生じ、契約ボリュームが減少した。さらに、指定管
理者制度により民間事業者が市委託業務に参加してきた関係で、従来持っていた仕事の
一部がなくなった。これらの理由により、実績が計画に届かず未達となった。
③「就業者数及び就業率の向上と就業延人員の拡大」
ⅰ.計画実績比較
グループ就業やローテーション就業を推進し、共働・共助による仕事の分かち合いを行
うほか、長期未就業会員の現況調査や面接の実施及び就業年度制度の導入を検討し、就
業者数及び就業率の向上と就業延人員の拡大を目指す。
平成22
項目
年度
(見込)
就業者
数(人)
就業率
平成23年度
計画
平成24年度
実績
計画
実績
平成25年度
計画
実績
1,087
1,116
1,068
1,127
1,020
1,138
−
73.8
75.0
73.4
75.0
74.1
75.0%
−
127,000
128,270
124,670
129,552
117,501
130,847
−
(%)
就業延
人員
(人日)
(出典:経営改善計画及び事業計画書)
ⅱ.差異原因
平成23、24年度の計画に対する実績は、それぞれ就業者数が計画比48人(計画1,116
人−実績1,068人)、107人(計画1,127人−実績1,020人)の未達となった。また、就業
率について、平成23、24年度はそれぞれ計画比1.6%(計画75.0%-実績73.4%)、0.9%(計画
75.0%-実績74.1%)の未達となった。さらに、就業延人員について、平成23、24年度はそ
れぞれ計画比3,600人日(計画128,270人日−実績124,670人日)、12,051人日(計画
129,552人日-実績117,501人日)の未達となった。
計画では就業率を75.0%、就業者数を各年度の計画会員数×就業率75.0%、就業延人
員を平成22年度(見込)から毎年1.0%成長することを前提に計算していた。まず、就
業率であるが、平成23、24年度は計画数値75.0%には届かなかったが、平成22年度(見
40
込)の73.8%とほぼ変わらない。次に、就業者数であるが、主として会員数が計画に届
かなかったことにより計画比未達となった。さらに、就業延人員であるが、毎年1.0%
成長する前提としていたが、平成23年3月に起きた東日本大震災の影響により計画前提
が実態と乖離したことにより、計画未達となった。
ⅳ. 監査手続
「経営改善計画」及び「事業計画書及び収支予算書」を起点とした PDCA サイクルの実
施状況を検証するため、当センターに対する質問を実施し、関係書類を閲覧した。
ⅴ. 監査結果
上記の監査手続を実施した結果、下記の事項を検出した。
意見1−1
(計画達成のための意識、インセンティブについて)
計画は策定しただけでは、その効果を発揮できず、計画に基づいた実行と評価と検証
があってはじめて有効に機能する。すなわち、PDCAのサイクルが継続的に維持されてい
なければならない。
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、「経営改善計画」(平成 23 年度∼
平成 25 年度)を策定している。当センターでは、上述の計画に沿った形で業務を行っ
ており、その点検・評価及びその改善対応について、朝礼等の時間で日々行っており
PDCA サイクルを実施している。しかし、「経営改善計画」で策定した経常収益に関わ
る事項(契約額、会員数等)については目標を達成できていない。その原因は自助努力
の及ばない環境変化による影響もあるであろうが、立案した計画は必ず達成しなければ
ならないという強い意識が欠けていることも原因のひとつと思われる。当センターでは
計画達成のインセンティブが明確でないため、従業員の当事者意識が醸成しにくく、改
善対策のアイディアが出にくい状態になっているとの印象を受ける。
従業員に対し、積極的に計画達成のためのインセンティブを与えることを検討すべき
である。たとえば、従業員毎に計画達成に紐付く目標を課し、これを達成した者に対し
ては人事考課の加点事項とする対応が考えられる。
意見1−2
(「経営改善計画」の変更の必要性について)
計画は、常に外部公表の点からは実現可能性の高いものでなければならないし、内部
的には達成目標としてふさわしいものでなければならない。そのため、計画を立案する
際は、数値の積み上げを根拠とした合理的な内容としなければならない。
41
しかし、内外の環境変化により、計画が実態と大幅に乖離し、自助努力でその差を解
消できない場合は、速やかに計画を見直し、実現可能性、達成目標の面からふさわしい
内容に変更する必要がある。
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、平成24年度までの実績において「経
営改善計画」の経常収益の数値目標は達成できなかった。これは平成23年3月に起きた
東日本大震災の影響により地域経済が冷え込んだことが主たる要因であるが、その影響
は大きく、会員の就業環境に対して大きな影響を与えた。しかし、当センターでは平成
22年度の実績に基づいた「経営改善計画」を策定したのち、計画が終了する平成25年度
までの「経営改善計画」の変更を行っておらず、当該計画が実態と乖離した状態となっ
ている。
この経営改善計画は、経営上の課題等について、中長期視点で改善するため青森市に
求めに応じて策定したものであり、その変更は調整を要する。しかし、実態と乖離した
計画は、外部利害関係者の判断を誤らせ、内部的には、現実的な目標としての価値を失
わせてしまう。そのため、当センターは、「経営改善計画」が実現可能性、達成目標と
して常に適切な状態にあるよう、必要に応じて計画を変更すべきである。民間企業では、
一般的に中期経営計画を毎事業年度策定し、内外の環境変化に合わせて中期経営計画の
数値を変更するローリング方式が採用されるのが普通である。
意見1−3
(「事業計画書及び収支予算書」の数値について)
「事業計画書及び収支予算書」の事業実施計画目標数値(会員数、契約金額)が、「経
営改善計画」との整合性を図るため、変更されず実態から乖離している状態である。
事業計画書の数値は実現可能性、達成目標として常に適切な状態にあるよう、必要に
応じて変更することが望ましい。そのため、事業計画書の目標数値を実態に即した形で
修正すべきである。
意見1−4
(需要対応)
公益財団法人青森市シルバー人材センターは発注者からの注文に対応しているが、現
在のサービスメニューにあるものであっても依頼を断る場合がある。たとえば、除雪で
作業時刻、作業地区が重なる等の理由により依頼に応えることができず、断ることがあ
る。つまり、需要はあるがそれを取り込めておらず、成果に結び付けられていないこと
がある。このような事象が生じた場合、まず依頼を受けるのに障害となっている事項を
明確にし、それは除去することができるか検討すべきである。たとえば、障害となって
いる事項が会員のマンパワー不足であれば、会員をうまくやりくりすれば対応可能なの
かをまず検討することが考えられる。また、根本的にマンパワーを増やすためには会員
42
数の増加が必要であり、これが会員数を増加するための検討にも繋がる。これ以外にも
障害となっている事項の除去を繰り返して行けば、今まで断っていた仕事を受けること
ができるようになる可能性が高まる。
そのため、まず障害となっている事項を把握し、これをどうすれば除去できるか考え
る体制を作ることが望まれる。
② コーポレートガバナンス
ⅰ. 機関の概要
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、公益財団法人として、評議員、評議
員会、理事、理事会及び監事の機関が設置されている。各機関の権限・役割は下記の通
りである。
(イ)評議員及び評議員会
評議員は、第三者機関である評議員選定委員会で選出される。また、評議員会は、全
ての評議員で組織される機関である。この評議員会は、一般社団・財団法人法に規定す
る事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができる機関であり、役員(理事及
び監事)の選解任を持つとともに、定款の変更,事業の全部の譲渡等の重要事項を決定
する。
したがって、評議員会は,業務執行機関である理事及び理事会を監督・牽制すると共
に重要事項を決定する機関である。
当センターでは、定款で評議員の人数を3名以上10名以内と規定し、平成25年度定時
評議員会時点(平成25年6月10日現在)で6名の評議員により評議員会が構成されている。
(ロ)理事及び理事会
理事は、評議員会で選出される。また、理事会は、全ての理事で組織される機関であ
る。この理事会は、業務執行の決定,理事の職務の執行の監督,代表理事の選定及び解
職等を行う。なお、理事会は代表理事(理事長)を選任し、その代表理事(理事長)が
通常法人の代表権を持ち、業務を執行する。当センターでは常務理事を選任し、当該理
事が代表理事(理事長)と共に業務を執行している。
したがって、理事会は業務執行の決定をすると共に、理事の職務執行、業務執行者の
業務執行を監督する機関である。
当センターでは、定款で理事の人数は 3 名以上 8 名以内と規定し、平成 25 年度第 1
回理事会(平成 25 年 5 月 24 日)の時点で 8 名の理事で理事会が構成され、うち 1 名が
理事長、1 名が常務理事である。
43
(ハ)監事
監事は、理事の職務の執行を監査し、法令で定めるところにより、監査報告を作成す
る機関である。この監事は、いつでも、理事及び使用人に対して事業の報告を求め、こ
の法人の業務及び財産の状況の調査をすることができる。なお、監事は理事会に出席す
る義務を負い、必要があると認めるときは意見を述べなければならない。
したがって、監事は理事の職務執行を監査する機関であり、法人の役員として,法人
の運営が適正に行われるための必要な職責を担う。
当センターでは、定款で監事の人数は 3 名以内と規定し、平成 25 年度第 1 回理事会
(平成 25 年 5 月 24 日)の時点で 2 名の監事がいる。
ⅱ. 監査手続
公益財団法人の関連法規である「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」「公
益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」又は定款に違反する事項がないか、
評議員会又は役員会が機能しているかを検証するため、平成 24 年の公益法人移行後の
役員会議事録、評議員会議事録の閲覧、事務局長に対する質問を実施した。
評議員会の状況
(単位:人)
評議員会内容
日時
議員の出席状況
(出席者/議員総数)
平成24年度定時評議員会
平成24年5月30日
3/6
平成25年度定時評議員会
平成25年6月10日
4/6
理事会の状況
役員会内容
(単位:人)
日時
理事の出席状況
監事の出席状況
(出席者数/議員
(出席者数/議員
総数)
総数)
平成24年度第1回
平成24年5月30日
6/8
1/2
平成24年度第2回
平成24年5月30日
6/8
1/2
平成24年度第3回
平成24年10月17日
6/8
1/2
平成24年度第4回
平成25年3月26日
5/8
1/2
平成25年度第1回
平成25年5月24日
6/8
1/2
44
ⅲ. 監査結果
上記の監査手続を実施した結果、下記の事項を検出した。
指摘1−5
(評議員会の出席率の改善)
評議員会は理事の選任、解任等の重要事項の決議を行い、業務執行機関である理事と
理事会を適正に監督し、牽制する機関である。しかし、公益財団法人青森市シルバー人
材センターでは、評議員の評議員会への出席状況は議事録を見るに、平成24年度、平成
25年度の定時評議員会の出席者はそれぞれ評議員6人中3人、6人中4人に留まっている。
特に、平成24年度定時評議員会に関しては、「議決に加わることができる評議員の過半
数が出席」という定足要件に達せず、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び
定款規定に反している。これについては指摘1−8で記載している。
当センターの評議員は各種団体代表者や学識経験者等により構成され、皆多忙を極め
る人たちであり、評議員会への出席が困難な面もある。しかし、財団法人の評議員会は、
執行機関である理事及び理事会を適正に監督、牽制する機関であり、できるだけ多くの
評議員が出席して議論を尽くし、その役割を果たすことことが望ましい。
したがって、十分な日程調整、評議員が果たすべき役割への理解の徹底を図る等、評
議員の評議員会への出席率を高めるための施策を打つべきであると考える。
意見1−6
(理事会の出席率の向上及び活性化)
理事会はすべての理事で組織される意思決定機関であり、業務執行の決定、理事の職
務の執行の監督 、代表理事の選定及び解職等を行う重要な機関である。
しかし、公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、理事会への理事の出席状況
は議事録を見るに、平成24年度、平成25年度の理事会の欠席者は、毎回2,3人いる。
当センターの理事は各種団体代表者、発注者により構成され、皆多忙を極める人たち
であり、理事会への出席が困難な面もある。しかし、財団法人の理事会は実質的な議論
を行い法人の業務執行を決定するものであるため、理事が現に出席して議論に参加する
ことこそが重要である。だとすれば、理事は、積極的に理事会に出席するべきであり、
これを構成する全員が出席することが望ましい。また、そこでは合議のもと議論が十分
に尽くされる必要がある。
したがって、十分な日程調整、理事が果たすべき役割への理解の徹底を図る等を行う
ことにより理事の理事会への出席率向上及び理事会の活性化を図るべきであると考え
る。
45
指摘1−7
(監事の理事会への出席)
業務執行の決定は理事会で行われるが、監事の理事会への出席状況は議事録を見るに、
平成24年度、25年度の理事会において特定の監事が毎回欠席している。当該監事は多忙
を極めており、理事会への出席が困難な面もある。しかし、理事の職務執行を監査する
という監事の役割を果たすためには、理事会に出席し、どのような意思決定が理事会で
なされているか把握することが前提となる。
したがって、十分な日程調整、監事が果たすべき役割への理解の徹底を図る等を行う
ことにより、監事の理事会への出席を促す必要がある。
指摘1−8
(評議員会の決議方法の法令及び定款違反)
平成24年定時評議員会では評議員6人中3人が出席して決議が行われた。ここで、評議
員会の決議について、公益財団法人青森市シルバー人材センターが遵守すべき一般社団
法人及び一般財団法人に関する法律及び当センターの定款では下記のように規定され
ている。
評議員会の決議は、議決に加わることができる評議員の過半数(これを上回る割合を
定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る
割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う
(出典:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第189条第1項)
評議員会の決議は、決議について特別の利害関係を有する評議員を除く評議員の過半
数が出席し、その過半数をもって行う
(出典:公益財団法人青森市シルバー人材センター定款)
評議員6人中の3人は半数であり、過半数とならない。そのため、評議員会の評議員6
人中3人が出席し行われた決議は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第189
条第1項及び定款違反となり、「決議の方法が法令若しくは定款に違反に該当する(一
般社団法人及び一般財団法人に関する法律第266条第1項1号)」として決議取消の対象
となりうるものである。
ここで、評議員会の定足数は、合議制の機関である評議員会の議事を開き、議事を行
うために必要な最小限度の出席者数である。この規定は本来、合議制の機関はその評議
員全員が出席した上で運営されるべきものであるが、現実には全員の出席が難しいこと、
極めて少数の評議員のみをもって議事を決定することは不当であることから設けられ
ているものであり、満たさなければならないものである。これに反した場合、評議員会
の決議は取消対象となり、法的安定性が害され、引いては、法人運営が不安定となる。
46
したがって、当センターに対し、平成24年度定時評議員会に係る一般社団法人及び一
般財団法人に関する法律第189条第1項及び定款に違反していたことを指摘するととも
に、今後の評議員会の決議方法の法令及び定款の遵守を求めるものである。
指摘1−9
(計算書類等の備置違反)
財団法人は、計算書類等及びその写しを、定時評議員会の2週間前の日から主たる事
務所に備置しなければならない。これは、公益財団法人青森市シルバー人材センターが
遵守すべき一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の第199条(同法第129条第1
項・同条第2項を準用している)に規定されるものである。
平成24年度定時評議員会は平成24年5月30日に開催であったが、計算書類等を承認し
た平成24年第1回理事会も同日に開催であったため、当センターは計算書類等及びその
写しを、定時評議員会の2週間前の日から主たる事務所に備置することができなかった
とのことである。そのため、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第199条違反
することとなった。
したがって、当センターに対し、平成24年度の計算書類等及びその写しの備置に係る
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第199条の違反を指摘するとともに、今後
の計算書類等備置の遵守を求めるものである。
1.一般社団法人は、計算書類等(各事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこ
れらの附属明細書(第百二十四条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあって
は、監査報告又は会計監査報告を含む。)をいう。以下この条において同じ。)を、
定時社員総会の日の一週間(理事会設置一般社団法人にあっては、二週間)前の日(第
五十八条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)から五年間、その主たる
事務所に備え置かなければならない。
2.一般社団法人は、計算書類等の写しを、定時社員総会の日の一週間(理事会設置
一般社団法人にあっては、二週間)前の日(第五十八条第一項の場合にあっては、同
項の提案があった日)から三年間、その従たる事務所に備え置かなければならない。
ただし、計算書類等が電磁的記録で作成されている場合であって、従たる事務所にお
ける次項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として
法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
(出典:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第129条第1項・同条第2項)
前章第四節(第百二十一条第一項後段及び第二項並びに第百二十六条第一項第一号、
第二号及び第四号を除く。)の規定は、一般財団法人の計算について準用する。この
場合において、これらの規定中「社員総会」とあるのは「評議員会」と、第百二十一
条第一項中「総社員の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあ
47
っては、その割合)以上の議決権を有する社員」とあり、及び第百二十九条第三項中
「社員」とあるのは「評議員」と、第百二十五条中「社員に」とあるのは「評議員に」
と、第百二十九条第一項及び第二項中「第五十八条第一項」とあるのは「第百九十四
条第一項」と、同条第三項ただし書中「第二号」とあるのは「債権者が第二号」と読
み替えるものとする。
(出典:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第199条)
意見1−10
(内部監査の実施)
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは内部監査を実施していない。内部監査
は、経営者の指揮・命令のもと、経営者自らが設定した内部統制が有効に機能、運営さ
れているか確認することにより、経営目標が効果的に達成することを目的として、リス
ク・マネジメントとリスクコントロール及び組織体のガバナンス・プロセスの有効性に
ついて検討・評価し、改善のための助言・勧告等を行うものである。当センターも内部
監査制度を設けるのが望ましい。被監査部門から独立した内部監査部門を設置するのが
理想であるが、人的・資金的余裕がない場合は、例えば、特定の担当者に内部監査を兼
任させても構わない。その場合、当該担当者の扱う事業を監査する場合は、他の担当者
に監査を担当させることで、監査実施者は被監査部門から独立性を確保しなければなら
ないことに留意が必要である。また、内部監査担当者は、監事と情報交換、協力するこ
とで、より監査に効率的、効果的に監査を行うことが可能となるため、この点について
も検討が望ましい。
③ 市との契約・補助金
ⅰ. 概要
公益財団法人青森市シルバー人材センターは、市と委託・受託業務契約、指定管理
契約に基づくシルバー事業取引がある。また、市から補助金の交付、行政財産の無償
使用許可の供与を受けている。
(イ)市との委託・受託業務契約
当センターは、市の事務の一部の管理及び執行について青森市より受託している。
(ロ)指定管理契約
地方公共団体が公の施設の管理を行わせるために期間を定めて指定する制度とし
て指定管理制度がある。当センターは、青森市の公の施設の管理を行うため、同市と
指定管理契約を締結している。
48
(ハ)補助金
当センターは、高年齢者就業機会確保事業を実施のために、青森市補助金等の交付
に関する規則の規定に基づく補助金申請を行い、その申請が認められ青森市より補助
金を受けている。
(ニ)行政財産使用許可
青森市の行政財産を使用したい場合に行政である青森市に対して申請し、その申請
が認められたもの。当センターは、行政財産使用許可を得て、青森市の建物に本所及
び浪岡支所の事務所を設けている。
49
ⅱ. 内容
市との受託業務契約
(単位:千円)
契約名
契約内容
金額(税込)
契約期間
青森市福祉館及び青森
青森市福祉館及び青森
1時間当たり 平成24年4月1日-
市高田教育福祉センタ
市高田教育福祉センタ
793円 平成25年3月31日
ー管理人業務等委託の
ーの管理人業務
契約
青森市中央卸売市場案
青森市中央卸売市場の
内業務及び清掃業務委
案内業務、清掃業務
10,560 平成24年4月1日平成25年3月31日
託契約
駐車場管理業務及び使
青森市民病院の駐車場
15,348 平成24年4月1日-
用料収納事務委託契約
管理業務及び使用料収
平成25年3月31日
書
納事務
青森市役所前駐車場管
青森市役所前駐車場の
10,233 平成24年4月1日-
理業務及び使用料収納
駐車場管理業務及び使
平成25年3月31日
事務委託契約書
用料収納事務
市との指定管理契約
(単位:千円)
契約名
契約内容
指定管理契約書
金額(税込、年額)
契約期間
青森市青森駅前自転
10,580 平成23年4月1日-
車等駐車場管理業務
平成28年3月31日
行政財産使用許可書
場所
使用許可施設
本所
備考
本町4丁目1−3青森市福祉増進センター
2階:生きがいステーション事務室222.19㎡
※
車庫等作業室、倉庫、車庫3台分102.82㎡
浪岡支所
浪岡稲村274番地 49.28㎡
※
※物件の維持保存のために通常必要とする経費のほか当該物件に付帯する電気、ガス、水道及び暖房等の
使用料については(財)青森市シルバー人材センターが負担する。また、毎年度使用許可申請書を市に提
出し、使用の承認を受けている。
補助金の推移
区分
市補助金
(単位:千円)
平成 22 年度
21,000
50
平成 23 年度
21,000
平成 24 年度
21,000
市の財政的関与等の状況
区分
(単位:千円)
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
補助金
21,000
21,000
21,000
交付金
−
−
−
負担金
−
−
−
委託料
93,350
84,783
99,876
(−)
(−)
(−)
10,673
10,972
10,580
(−)
(−)
(−)
貸付金
−
−
−
出資金(追加額)
−
−
−
125,023
116,755
131,456
21.3%
20.6%
30.1%※
(うち再委託額)
指定管理料
(うち再委託額)
合計
市からの収入依存度(%)
(市からの補助金・交付
金・負担金・委託料・指定
管理料)/当期経常収益×
100
その他の財政援助(税や施
法人市民税の減免及び行政財産使用料の免除(本所及び
設利用料の減免、建物の無
浪岡支所の事務所、車庫等)
償貸与等
(出典:青森市第三セクター経営状況基本情報シートを用いて監査人が作成)
※ 平成 24 年度の市からの収入依存度が増加している。これは主として契約形態の変更による経常収益の
減少によるものである。平成 24 年度より一部業務の契約形態を請負から派遣にしたが、派遣契約に係
る経常収益は事務費相当額のみ計上されるため、従来の請負契約と比べ受取配分金、材料費等分相当額
だけ小さく計上される。それゆえ、上記表の平成 24 年度数値は平成 22 年、23 年度と比べ、市からの
収入依存度が急増しているように見える。ここで、従来方法によると平成 24 年度の経常収益は 110,796
千円増加し、これを考慮した市からの収入依存度は 24.0%である。ここ数年の市からの収入依存度は
21%程度であるが、平成 24 年度に 24.0%と上昇した主たる理由は、単年度の緊急雇用創出事業 15,750
千円を受託したことによる。
51
ⅲ. 監査手続
市との契約・補助金が適切に行われていることを確認するため、契約書、見積書、仕
様書、実施報告書、補助金申請書等の関連資料を閲覧及び当センターに対する質問を実
施し、その内容、項目に異常な点がないか確認した。また、指定管理契約に関しては、
青森市が策定した「指定管理者制度導入基本方針」に沿った運営が行われているか確認
した。
ⅳ. 監査結果
上記の監査手続を実施した結果、下記の事項を検出した。
意見1−11
(会員に対する暴力団等と関与がないことの確認)
公益財団法人青森市シルバー人材センターの会員より暴力団等と関与がないことの
確認を取るべきである。青森市との契約では相手方が暴力団等と関与がある場合、契約
を解除することができる条項がある。また、近時、暴力団をはじめとする反社会的勢力
を排除しようとの気運は高まっており、他の公共機関、民間企業との契約であっても上
記条項と同様のものを求められることが増えてきている。
当センターの会員が暴力団等と関与がある場合、契約を中途解約されること及びそれ
に伴う損害賠償を請求されるリスクが生じる。
そのため、当センターの会員に対し、暴力団等と関与がないことを誓約する書面の提
出を求める等の対策を講じるべきである。
意見1−12
(取引先に対する暴力団等と関与がないことの確認)
公益財団法人青森市シルバー人材センターが作業委託を受ける際の契約書には、暴力
団排除条項を規定するよう、改善すべきである。暴力団排除条項とは、契約書中に、仮
に契約の相手方が暴力団の関連団体であるなどの場合は、契約が解除されるなどの条項
のことである。近時、暴力団をはじめとする反社会的勢力を排除しようとの気運は高ま
っている。
暴力団等と取引していることが明らかになった場合、その風評被害によりシルバー人
材センター事業に対しマイナスの影響を与える可能性がある。その可能性を少なくする
対策として、作業委託契約書に暴力団排除条項を規定することを求めるものである。
52
④ 内部統制
ⅰ. 内部統制
内部統制の定義・目的
内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に
関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保
証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセス
をいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視
活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。
ⅱ. 監査手続
当センターに対する質問及び関連資料の閲覧を実施し、業務システム、会計システ
ム及び受注、請求、回収、支払、計上の業務プロセスの内部統制のデザインを理解し、
内部統制が適切なデザインとなっているか確認した。
<システム概要>
No.
1
2
内容
業務システム
会計・給与システム
システム名
TheしるばーVer7
システム管理部署
本所
The会計Ver7東北
給与Ver3.10
本所
会員管理、会費管理、発注者
システム機能概要
管理、受注管理・就業管理、 財務会計システム
請求管理、入金管理、配分金 給与システム
管理・統計管理
OS
Windows XP
Windows XP
導入年
平成22年度
平成22年度
更新予定
平成27年9月
平成27年9月
システム提供会社である東 システム提供会社である東
外注状況
芝情報機器に保守を外注し 芝情報機器に保守を外注し
ている。
ている。
保守料
情報システムの企画・
開発に係る規定
契約書
415,800円(税込)
なし
なし
あり
あり
53
ⅲ. 監査結果
内部統制が有効であれば、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に
関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保
証を得ることができる。しかし、内部統制システムの構築には相応のコストがかかるた
め、その運用が難しい面もある。特に、公益財団法人青森市シルバー人材センターのよ
うな小規模組織では、資金、労働力ともに不足しており、たとえあるべき内部統制をデ
ザインしたとしても、実際には適切に運用することができないことが多い。下記の意見
1−25から意見1−30の内部統制の意見は、業務管理として問題があるため記載
するものであるが、資金、労働力の観点から、その実施が難しい面もある。そもそも内
部統制は手続の導入又は維持するための費用とその手続から得られる便益を比較衡量
の下、経営判断により導入又は維持することの可否を決定するものである。それゆえ、
当センターは、意見1−25から意見1−30について上記の比較衡量を行い、実施
すべきか検討すべきである。
監査手続の結果、下記の事項を検出した。
意見1−13
(情報セキュリティ管理規程の作成)
公益財団法人青森市シルバー人材センター独自の情報セキュリティ管理規程が作成
されておらず、障害管理や情報セキュリティの考え方が周知されていない。したがって、
アクセスコントロールや、データのバックアップ、サーバー室の入退室管理を行うこと
を情報セキュリティ管理規程としてマニュアル化することが望まれる。
指摘1−14
(業務システムのアクセスコントロール)
業務を担当しない会計担当者に業務システムの入力権限が設定されている。会計担当
者は会計システムと業務システムの両方に入力権限があることで、両システムを利用し
不正な操作をすることが可能となっている。
したがって、システムへのアクセス権限が適切であるか、担当業務、担当者毎に適宜
見直しが必要である。
意見1−15
(サーバー室の入退室管理)
バックアップサーバーの設置場所は事務所内の倉庫である。その場所は壁、ドアによ
り仕切られているが、ドアに鍵をかけておらず、職員ならだれでも入れる状態になって
おり、入退室の管理も行われていない。また、当該サーバーはパスワード管理がされて
いない。
54
したがって、知識ある職員が悪意を持てばサーバー内のデータを改ざんすることが可
能な状態である。そのため、サーバー内のデータの改ざんリスクを減少させるため、サ
ーバーをパスワード管理する、サーバー設置場所の入退室管理をする等の対応が望まれ
る。
意見1−16
(サーバー室の保管状況)
バックアップサーバーは事務所内の倉庫に設置されている。当該サーバーは多数の荷
物で囲まれ空気環境が良くない場所に置かれており、サーバー設置環境としては不適切
である。また、専用の空調機等はなく、耐熱、耐湿対策も講じられてはいない。
したがって、サーバー設置に適した環境に設置場所を変更することや、意見1−17
と同様に、外部サーバーの利用、あるいは日々メディアにバックアップを取り保管する
こと等の対応が望まれる。
意見1−17
(データバックアップ)
業務システム、会計システムのデータは、日次でバックアップサーバーのハードディ
スクにバックアップを取っているが、サーバーは事務所内の倉庫に設置されているため、
事務所で火災その他の災害があった場合にデータの復旧が行えない可能性がある。
したがって、事務所とは別のサーバー室にバックップサーバーを置くことや、外部サ
ーバーの利用、あるいはメディアにバックアップを取り、事務所とは別の場所に保管す
ること等の対応が望まれる。
意見1−18
(パスワード管理)
システムへのログインはパスワードにより管理されている。しかし、パスワードの定
期的変更は行われていないため、パスワードを盗まれアクセス権限のない者がシステム
にログインするリスクが、定期的に変更する場合に比べ相対的に高まる。
したがって、システムのログインパスワードは定期的に変更することが望まれる。
意見1−19
(文書管理規程の改定)
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、文書取扱規程が存在するが、その規
定通りの取り扱いが行われておらず、必要のない文書を保管している状態である。また、
当該文書はスペースを取るのみならず、文書に記載される機密情報、個人情報保護の流
出のリスクも生む。
55
したがって、文書ごとに保管期限を定めた文書取扱の規程に基づき文書を管理するこ
とが望まれる。
指摘1−20
(FB のデータ送信)
ファームバンキングシステムのソフトウェア(以下「FB」とする。)は、経理担当者
の PC のみにインストールされている。公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、
経理担当者が、FB を用いて支払データを作成し、これをアウトプットしたものを承認
者に提出、承認後、支払データを FB で送信する。すなわち、支払データ作成者とデー
タ送信者が同一である。また、支払データは承認後も変更することができるため、相手
先、金額等を変更することができる状態である。
上記の状態のため、FB 送信データの改ざんリスクがある。これに対し、当センター
では FB 送信データをアウトプットし、承認者が確認することで対応している。しかし、
その確認がタイムリーに行われない場合もある。また、承認者の承認がなくても支払デ
ータを送信することが可能であり、承認者が知らぬ間にデータ送信されるリスクも存在
する。
これに対して、FB データを作成できるのは経理担当者、データ送信できるのは承認
者と職務を分けることで対応すべきと考える。ここで、当センターでは平成 25 年度中
に FB からインターネットバンキングへの移行を予定している。インターネットバンキ
ングとなっても支払データ作成者と承認者を分けることは必要であり、適切に権限設定
を行い、職務分掌を図るべきである。担当者を分離することで、不正リスクを軽減する
ことが期待できる。
意見1−21
(FB の承認権限代理)
FB データの承認は事務局長が行っている。しかし、事務局長が病欠等で不在の場合、
その権限が他の者に移譲されるのか否かの規定がない。また、権限委譲された場合、そ
のチェック体制も明確でない。
これに対して、FB データ承認権限を委譲する場合、権限規定に明確に規定すること
で対応すべきである。また、併せて権限委譲された場合のチェック体制も確立すべきで
ある。
意見1−22
(会計システムのデータ変更)
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、月次統制業務として経理処理の締め
を行い、日々の会計処理が適切であることを月次で確認している。しかし、当センター
56
では、月次経理締後も会計システムのデータを変更することができる状態のため、月次
で締めた会計データを誤ってあるいは意図的に変更されてしまうリスクが存在する。上
記リスクに対応し、当センターでは意見1−23の経理の月次統制業務を行うが、これ
が実施されない月もあり、適時に会計データの変更が発見されないおそれがある。
したがって、意見1−23の統制業務を確実に行うことで、会計データの変更リスク
に対応すべきである。
意見1−23
(経理の月次統制業務)
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、月次統制業務として月次報告書を作
成している。この月次報告書は収支計算書、正味財産増減計算書、貸借対照表、注記、
財産目録を月次で作成するものであり、最終的に理事長に報告されるものである。
当センターでは、月次報告書を経営状態の把握に利用するとともに、会計上の問題点
を発見する統制として利用している。しかし、経理担当者が他の業務に追われている等
を理由としてこの統制が行わない月があり、この場合、適時に会計上の問題点を発見で
きないリスクが生じる。
したがって、上記の月次統制業務を毎月行うこと及びその実施を確認するプロセスが
必要である。
意見1−24
(経理の月次業務管理表の作成)
経理の月次業務は日々の会計処理が適切であることを月次で確認するプロセスであ
り、これを適切に行うことで決算作業の負担軽減となること、月次の会計情報が利用で
きるものとなる等の利点がある。当該利点を得るためには、経理月次業務が確実に実施
されることが必要であるが、意見1−23にあるように経理月次業務の一部が実施され
ていない場合もある。
したがって、経理月次業務を確実に実施するため、その管理表を作成し、担当者が業
務を実施していることを確認するプロセスが必要である。
意見1−25
(受注管理)
単発案件については、会員の就業後に行われる就業入力まで業務システムに入力が行
われない。そのため、受注したすべての案件が適切に実行されたか否かが明らかでなく、
失念するリスクがある。その場合、発注者からの連絡で発覚することとなるが、失念し
ていたことが明らかになれば信頼、評判を落とすこととなる。
したがって、単発案件についても受注入力を行い、受注管理を行うべきである。
57
意見1−26
(受注入力の網羅性・正確性の確保)
意見1−25に記載の様に、単発案件については、業務処理上、業務システムに受注
処理が行われない。また、業務システムに受注入力が行われる案件についてもその入力
が失念する、又は誤って入力されるリスクがある。そのため、受注案件が網羅的かつ正
確に業務システムに入力される必要がある。
したがって、まず、受注案件を網羅的に把握できる仕組みが必要であり、その仕組み
が有効に機能していることを確認するプロセスも必要である。また、入力の正確性を担
保するためには、入力担当者と別の者がダブルチェックを行うことが考えられる。しか
し、人的余裕がない場合は、担当者がセルフチェックリスト等を利用するなどの工夫が
望まれる。
意見1−27
(就業報告書がない就業入力)
就業が終了した場合、通常、会員より就業報告書の提出を受け、これをもとに業務シ
ステムに就業入力を行う。ただし、就業報告書の提出を受けない場合があり、この場合、
会員からの電話での報告等に基づき業務システムに就業入力が行われる。ここで、業務
システムへの就業入力は他の者のチェックを受けるが、就業報告書がない場合、入力内
容と照合するものがなくチェックを行えず、誤った入力が放置されるリスクがある。
このようなリスクを回避するため、就業報告書の徹底を図るべきである。会員より電
話で報告を受けた場合にはその記録を残し、責任の所在を明らかにし、それと就業入力
を照合し就業入力の正確性を担保すべきである。
意見1−28
(就業報告書の正確性の確保)
就業が終了した場合、通常、会員より就業報告書の提出を受ける。この就業報告書は
会員が記入し事務局に提出するが、作業時間等について誤った記入が行われることがあ
る。当センターの担当者は提出を受けた報告書の作業時間等に明らかな不備があれば気
付くが、報告書の短時間の違い等は気付くことが出来ない。
会員から提出を受けた就業報告書の正確性を確認するプロセスを設けることが必要
である。
意見1−29
(発注者に対する誤った請求)
意見1−27の就業入力の誤り発見できない場合、意見1−28の会員より誤った
就業報告書の提出を受け、これに気付かない場合、発注者に対して実際の作業時間に基
58
づかない誤った請求が行われる。なお、この誤りは、発注者、会員のクレームで発覚す
る。誤った請求は顧客である発注者からの信頼を失う可能性があり、行ってはならない
ことである。
したがって、発注者に対する誤請求を防止するため、意見1−27及び意見1−2
8のプロセスを適切に実行すべきである。
意見1−30
(会員に対する誤った分配金支払)
意見1−27の就業入力の誤り発見できない場合、意見1−28の会員より誤った
就業報告書の提出を受け、これに気付かない場合、会員に対して実際の作業時間に基づ
かない誤った分配金の支払が行われる。なお、この誤りは、発注者、会員のクレームで
発覚する。会員に対する分配金の誤りは、次月の分配金の支払で調整する。
したがって、会員に対する分配金の誤りを防ぐため、意見1−27及び意見1−2
8のプロセスを適切に実行すべきである。
ⅳ. 浪岡支所の管理
(イ) 支所の概要
公益財団法人青森市シルバー人材センターは、平成17年度の(社)浪岡町シルバー人
材センターとの統合に伴い、旧浪岡町を担当する浪岡支所を設立した。ここで、浪岡支
所の業務は下表の記載のものであり、シルバー事業の業務について、基本的に旧青森市
の本所と同様のものを行う。ただし、資金や業務の管理は本所のみで行っており、浪岡
支所では行っていない。
庶務・経理
・会員の配分金の計算に関すること
・会費の徴収、受託事業費の収入等簡易な出納業務に関すること
・その他支所の運営に関する事務で他の所掌に属さないこと
業務
・事業計画・報告に関すること
・会員の加入促進、入会説明会の開催に関すること
・仕事の開拓、受注・見積り・契約に関すること
・仕事の提供及び発注者、会員との連絡調整に関すること
・資材・用具の整備、貸出及び車両の管理に関すること
・仕事の遂行状況の確認及び就業管理に関すること
・会員の知識・技能の講習(研修)及び就業相談に関すること
・就業に係る情報の収集と提供、及び調査研究に関すること
・シニアワークプログラム事業に関すること
・その他の業務運営の指導・調整に関すること
59
安全・適正就業
・安全・適正就業推進計画及び就業途中事故防止計画等の企画・立
案に関すること
・安全パトロールの実施に関すること
・安全・適正就業講習、事故防止研修(技能指導を含む)等の実施
に関すること
・安全確認及び適正就業に関すること
・会員の傷害事故の処理に関すること
・発注者等に対する損害賠償関係の処理に関すること
福祉・家事補助
・介護・育児サービス促進事業等の企画・立案に関すること
・発注者及び会員に対するコーディネート業務に関すること
・福祉・家事援助サービス会員の確保・養成に関すること
(出典:公益財団法人青森市シルバー人材センター事務局組織等規則)
(ロ) 支所の職員
(単位:人)
区分
職員数
正規
人数
市 OB
0
非正規
0
総数
2※
2※
※ 嘱託職員 2 人である。また、他に会員登用の臨時職員が1人いる。
(ハ) 支所の実績
年度
件数
就業延人数
請負金額
前年対比
会員数
(件)
(人日)
(千円)
(%)
(人)
平成20年度
865
14,545
68,637
105.4
149
平成21年度
803
14,673
71,388
104.0
146
平成22年度
988
14,658
74,626
104.5
141
平成23年度
1,124
13,829
67,087
89.9
129
平成24年度
1,050
14,556
71,652
106.8
125
(出典:事業報告書及び収支決算書)
60
(支所の収益性)
浪岡支所の業務は屋外の軽作業、農作業、冬場の除雪がメインであり、自然天候の影
響が大きく、年度変動が大きい傾向がある。平成 23 年度は天候の悪影響により請負金
額が約 67 百万円であったが、通常は 70 百万円超程度の請負金額がある。そのため、事
務費率を 8%とすると、通常受取事務費相当額 6 百万弱の収益が計上される。他方で、
当支所の経費は、人件費金額約 6 百万超(平成 25 年度以降)、会員の傷害保険料、消
費税、材料費等、管理費用で約 6 百万円程度の合計 12 百万円超程度である。ここで、
統合前の浪岡町が交付していた補助金 6 百万円分も併せて青森市より継続して補助金
の交付を受けていることから、補助金 6 百万円分は浪岡支所の分と考えることができ、
これを考慮すると、当支所の損益は均衡している。
(ニ)監査手続
当センターに対する質問を実施し、浪岡支所の現金、未収金管理について確認した。
(ホ) 監査結果
監査手続の結果、下記事項を確認した。その結果、浪岡支所の現金、未収金管理に
ついて特に指摘すべき事項は発見されなかった。
・現金
−小口現金は10万円と設定されている。月初めに本所で10万円を渡し、月末に残額を
本所の管理口座に入金させ、月次で清算する。
−浪岡支所で会費の徴収、受託事業費の受取等の出納業務により現金を受領した場合、
原則として翌日に本所の管理口座に入金する。
・未収金
−本所では未収金管理を行っており、浪岡支所で現金受領済み・送金未達分について、
適宜、問い合わせを行い管理している。
・領収書
−本所より領収書の束が支給され、それを用いて浪岡支所で領収書発行している。本
所は領収書を連番管理しており、浪岡支所に渡した分の領収書を番号管理している。
また、領収書発行後の領収書控えは本所に送られ、本所でこれをチェックする。
61
⑤ 財務
ⅰ. 経常収益・費用分析
下記の経常収益と経常費用の5年推移表を作成し、その内容を検討した。
経常収益 5 年推移表
受取配分金
受取材料費等
自主財源※
うち受取事務費+派遣収益
うちその他収益
補助金・助成金
経常収益計
(単位:千円)
平成
平成
平成
平成
平成
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
511,097
508,143
499,458
482,614
350,243
8,093
8,835
9,574
9,968
10,598
32,490
33,391
44,800
45,217
46,206
28,254
29,624
39,316
40,167
41,025
4,236
3,767
5,485
5,051
5,181
42,070
42,090
34,495
29,700
29,700
593,749
592,458
588,327
567,499
436,747
(出典:決算書を基に監査人が作成)
経常収益の大部分を占める受取配分金が平成 20 年から平成 24 年度まで減少傾向であ
る。これは、指定管理者制度での市委託業務の民間事業者の参入、地域経済の低迷、法
令遵守のための契約選別等により徐々に契約ボリュームが減少していることを示して
いる。この傾向は後述する契約形態の変更分を含めても変わらない。また、平成 24 年
度は、受取配分金が大幅に減少している。これは平成 24 年度より一部業務の契約形態
を請負から派遣にしたことにより、事務費相当額のみ収益計上されるようになったこと
が主たる原因である。これに加え、平成 23 年度の東日本大震災の影響で地域経済が冷
え込んだままのため、契約量の減少傾向が続いたことも原因の 1 つである。
次に補助金・助成金については、平成 22 年度、23 年度の 2 段階にわたり国の補助金
が減額されたため、平成 24 年度では減額前の平成 21 年度と比較し約 1,240 万円減って
いる。
上記 2 つの要因に対し、公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、平成 22 年
度より事務費率を 5%程度から 8%程度に変更、会員費を 1,000 円から 3,000 円に増額
改定した。これにより、平成 22 年度の自主財源は前年度と比較し約 1,140 万円増え、
その傾向は平成 23 年度、24 年度も続いている。
※ 経常収益のうち、会員にほぼ全額渡る受取配分金及び材料費等と、補助金・助成金を除いたものを自主
財源とした。
62
経常費用
(単位:千円)
支払配分金+支払材料費等
上記以外の経常費用
経常費用計
平成
平成
平成
平成
平成
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
517,197
515,032
507,084
490,000
358,614
83,882
81,967
79,805
77,788
78,369
601,079
596,999
586,889
567,788
436,983
(出典:決算書を基に監査人が作成)
経常費用(支払配分金及び支払材料費等を除く)は減少傾向である。平成 20 年度の
経常費用(支払配分金及び支払材料費等を除く)は約 8,390 万円であったが、平成 24
年度は約 7,840 万円まで減少してきており、コスト削減が進んでいる。その主たる要因
は、日常的な経費項目の見直し、削減を実施したことによる。
ⅱ. 人件費
(イ)推移表
・人件費項目の3年推移表
・常勤職員平均年収の3年推移表
人件費項目の3年推移表
(単位:千円)
平成22年度
給料手当
平成23年度
平成24年度
46,246
46,886
47,101
臨時雇賃金
2,419
2,496
2,732
役員等報酬
445
579
280
法定福利費
7,692
7,978
8,243
退職給付費用
5,829
4,173
5,099
92
90
88
62,723
62,202
63,543
福利厚生費
計
(出典:決算書を基に監査人が作成)
常勤職員平均年収の 3 年推移表
(単位:千円)
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
常勤職員平均年齢
48 歳
49 歳
50 歳
常勤職員平均年収
4,970
4,963
5,004
(出典:青森市第三セクター経営情報基本シート)
63
ここ 3 年の人件費は、その総額及び職員一人当たり人件費ともにほとんど変動はない。
これは、同期間に新規採用及び退職者がなかったため人員構成に変化がなかったこと及
び定期昇給等の抑制を図ることにより前年度ベースの人件費となることを意図したこ
とによる。
(ロ)人員計画
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、人員計画として「定員管理計画及
び人材育成等の方針(平成 23 年度∼平成 27 年度)」を平成 23 年 3 月に策定した。
下記は、「定員管理計画及び人材育成等の方針(平成 23 年度∼平成 27 年度)」の抜
粋である。
[策定の趣旨]
明文化した定員管理計画は策定しなかったが、平成10年度からの国の財政構造改革
による集中改革期間における各年度補助金の10%(3ヵ年で30%)の削減(その後の削
減もあり。)を経て、平成19年度から現在の組織体制とし、既に効率的な組織体制と
なっております。
しかし、少子高齢化による労働力減少社会が到来し、高齢者の様々な就業ニーズに
的確に対応する組織体制を構築するため、適正な人員配置及び職員の資質の向上に努
めることとし、平成23年度から平成27年度の5年を計画期間とする定員管理計画及び人
材育成等の方針を策定します。
[これまでの取組状況]
当センターでは、平成9年度の会員数906人、契約金額417,047千円に対し職員数は10
名、平成22年度の会員数1,592人(注)、契約金額546,602千円(注)に対し職員数(本
所)は8名となっており、削減率で20.0%、2名の人員削減を行いました。
更に、22年度は、平成22年3月の浪岡支所長退職に際して、退職者不補充により職員
(臨時職員除く)を1名削減いたしました。
[新たな定員管理計画策定に向けた基本的な考え方]
今後10年間でプロパー職員8名中4名が定年退職(60歳定年の場合)となるため、知
識や経験を有する退職者の継続雇用による業務量に見合った人員配置をし、必要に応
じて退職者補充を行う場合には、職員の年齢構成のバランスを充分に考慮することと
します。
[計画期間]
平成22年4月1日職員数を基準として平成23年度から平成27年度までの5年を計画期
間とします。
[数値目標について]
平成23年4月1日から平成28年3月31日までの定員管理の目標は、現状のプロパー職員
8名以内とします。
64
注:本計画は平成22年3月に策定されており、抜粋した計画では平成22年度との記述となっているが、実際
は平成21年度の実績である。
(ハ)監査手続
ⅰ. 当センターに対する質問、関連資料の閲覧を実施し、現在の人件費水準及び
人件費計画について検討した。
ⅱ. 賞与引当金、退職給付引当金について、会計基準に沿った計上が行われてい
るか検討した。
[質問回答結果]
・人件費水準について
職員一人当たりの人件費は50歳で約500万円であり、年齢、業務内容を考慮すれば妥
当な水準であると考える。
・人員計画について
定年退職が出た場合、退職者の嘱託採用又は若年者の新規採用により現状の人員を
維持する予定である。
・定年延長について
現時点では定年延長は考えていない。今後の社会情勢を見て検討する。
・人件費削減について
今後10年で5名の定年退職が予定される。比較的人件費が高い定年退職予定者から人
件費が低い若年者に代わること、又は退職者の嘱託採用により支払人件費が下がる
ことにより、ここ数年で人件費が下がることが予想され、相当程度人件費を削減す
ることができる。
(ニ)監査結果
監査手続の結果、下記の事項を検出した。
指摘1―31
(賞与引当金の計上について)
各種手当のうち期末手当及び勤勉手当は、一般にいう賞与手当である。公益財団法人
青森市シルバー人材センターは、年2回、6月1日及び12月1日(以下、
「基準日」という。)
にそれぞれ在籍する職員に対して、各基準日の属する月の規則で定める日に期末手当と
勤勉手当を支給しており、支給対象期間(12月から5月)と会計期間(4月から3月)に2
ヶ月間ズレがあるものの、現在の会計処理上は支給時点で費用計上する会計処理をおこ
なっており、賞与引当金を計上していない。
65
ここで、当センターが遵守すべき公益法人会計基準では、賞与引当金の計上を求めて
いる。そのため、当センターでは6月1日の基準日の期末手当及び勤勉手当について賞与
引当金を計上すべきであり、平成24年度決算に際し下記仕訳を計上すべきであった。
(借方)賞与引当金繰入額 3,741,393円
(貸方)賞与引当金
3,741,393円
指摘1―32
(退職給付引当金について)
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、退職一時金制度を設けている。公益
法人会計基準では退職給付引当金の計上を求めており、当センターでは退職一時金制度
に係る退職給付債務について退職給付引当金として計上している。その計算方法として、
自己都合要支給額による簡便法を採用している。なお、この方法は、計算が簡便で理解
が容易という利点を持つ。
退職給付引当金の算定シートを閲覧したところ、自己都合要支給額ではなく会社都合
要支給額での計算、自己都合要支給額から差引く中小企業退職金共済制度掛金の金額の
誤りが生じていた。それに伴い計上すべき退職給付引当金金額に誤りがあった。本来計
上すべき金額は24,463,000円であり、計上金額37,034,000円は12,571,000円過大計上で
あった。
ⅲ. 未収金管理
(イ)推移表
・未収金の3年推移表
未収金の3年推移表
(単位:千円)
平成 22 年度
未収金
45,524
平成 23 年度
平成 24 年度
51,060
32,792
(出典:決算書を基に監査人が作成)
未収金は主に 2 月、3 月のサービス提供に対する請求額で構成され、各期の金額は 2
月、3 月の仕事量等に左右される。
(ロ)監査手続
ⅰ. 当センターに対し質問、関連資料の閲覧を実施し、未収金の発生から回収まで
の管理状況を確認した。
ⅱ. 未収金管理表をレビューし、滞留債権がないか検討した。また、滞留債権が、
公益会計基準に沿った貸倒引当金の計上が行われているか検討した。
66
(ハ)監査結果
監査手続の結果、下記の事項を検出した。
意見1−33
(契約書の作成)
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、受注案件の全部に対しては契約書を
作成していない。これは同センターの受注のほとんどが少額案件であり、契約書を作成
することによる事務コスト上昇、相手が望まない等が原因である。ただし、派遣契約、
行政との契約、相手から要望があった場合には契約書を作成する。
確かに少額案件すべてについて契約を結ぶのは現実的ではない。しかし、契約書を作
成しないことは、相手方との権利義務、負担関係、損害賠償責任等について不安定な状
態となり将来のリスクとなりうる。
したがって、継続取引や金額が大きい等の一定の基準を設け、当該基準を満たす取引
先とは契約書を作成すべきである。
意見1−34
(未収金管理に関するマニュアルの整備)
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、債権管理マニュアルが存在しない。
個々の債権の発生原因は多岐にわたり、画一的な対応が難しい局面も想定されるため、
債権の発生∼滞納発生∼債権回収∼債権放棄に至る一連の流れに対応するため、「事務
処理手順」を定めることが有効である。また、滞納が発生した場合には、遺漏なく徴収
事務を遂行できるような体制を整えることが必要である。
債権を効率的に管理し滞留債権の発生後の長期化を未然に防止するため、客観的な基
準をもって運用することが重要であり、属人的な管理にならないようにするため、実態
に即した独自マニュアルの整備が必要である。
意見1−35
(与信限度額の設定について)
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、与信限度額が設定されていない。そ
して、受注するか否かは金額が大きければ上司に相談するという暗黙のルールは存在す
るが、その金額は明確に決まっておらず、担当者の裁量に任されている部分が多い。こ
れでは相手先の信用リスクを深く検討せず、結果として滞留債権を生じさせてしまうリ
スクがある。
したがって、顧客ごとに与信枠を検討・設定し、その枠内で取引を行うべきである。
特に、新規顧客についてはその支払能力を慎重に検討し、与信枠を設定することが必要
である。
67
指摘1−36
(滞留未収金に対する貸倒引当金の未計上)
公益法人会計基準では、「受取手形、未収金、貸付金等の債権については、取得価額
から貸倒引当金を控除した額をもって貸借対照表価額とする」(公益法人会計基準 第2
貸借対照表
3資産の貸借対照表価額(2))と規定され、貸倒引当金の計上が求められる。
ここで、「未収金管理表」のレビューの結果、下記債権が滞留していることを確認し
た。A社は裁判所に対して破産申請をしており、その債権は破産更生債権等に該当する。
破産更生債権等は債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、そ
の残額を貸倒見積高として見積もりをしなければならないが、公益財団法人青森市シル
バー人材センターではその見積もりを行わず貸倒引当金を計上していない。
したがって、A社に対する未収金39,710円に対して貸倒見積高を算定し、貸倒引当金
を計上すべきである。
勘定
相手方
金額
発生時期
未収金
A社
39,710 円
平成 22 年
意見1−37
(金銭債権に対する貸倒引当金について)
指摘1−36に記載の通り、公益法人会計基準は金銭債権に対し貸倒見積高を見積も
ることが求めている。なお、当該基準では債務者の財政状態と経営成績等に応じて債権
を次の 3 つに区分し、区分毎に貸倒見積高の算定方法を規定している。
現在、公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、貸倒見積高算定に必要な債権
の区分、過去の貸倒実績率等の準備をしておらず、計上すべき貸倒引当金が計上されな
いリスクがある。
したがって、貸倒引当金の未計上リスクに対応し、その検討に必要な作業を決算プロ
セスに含めるべきである。
68
ⅳ. 資産管理
(イ)推移表
・現金預金等(現金・預金・定期積立預金・退職給付引当資産・財政運営資金積立資
産)及び固定資産(車両運搬具、什器備品、電話加入権)の3年推移表
現金預金等及び固定資産の3年推移表
(単位:千円)
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
現金
330
380
380
預金
10
144
36,703
3,000
3,000
3,000
退職給付引当資産
28,454
28,812
32,000
財政運営資金積立資産
35,000
29,171
−
車両運搬具
−
−
−
什器備品
80
67
67
480
480
480
定期積立預金
電話加入権
(出典:決算書を基に監査人が作成)
平成24年度において、「預金」が大幅に増加している。これは、平成23年度まで「財
政運営資金積立資産」として表示していたものを「預金」に変更したためである。これ
に伴い、平成24年度の「財政運営資金積立資産」の残高はなくなっている。
また、固定資産は什器備品及び電話加入権のみであり、残高も少額である。これは平
成21年度に固定資産の大部分を売却したことに伴い、その後はリースで対応する方針と
したことによる。
(ロ)監査手続
ⅰ. 当センターに対し質問及び関連資料の閲覧を実施し、現金預金等及び固定資産
に関する管理状況を確認した。
ⅱ. 賃貸借契約書を閲覧し、賃貸借処理しているリース取引で資産計上すべきもの
がないか検討した。
69
リース一覧表
リース契約内容
コンピュータシス
テム(本所)
コンピュータシス
テム(浪岡支所)
ビジネスホン
リース料総額
リース期間
(千円)
8,400 平成22年9月30日∼
備考
システム使用料
平成27年9月29日
1,050 平成22年9月30日∼
システム使用料
平成27年9月29日
20 平成25年4月1日∼
平成26年3月31日
コピー機(本所)
693 平成24年10月1日∼
平成29年9月30日
コピー機(浪岡支
所)
車両運搬具(ステ
ラ)
車両運搬具(コル
ト)
車両運搬具(ボンゴ
トラック)
車両運搬具(デリカ
トラック)
車両運搬具(カロー
ラワゴン)
車両運搬具(クリッ
パーバン)
車両運搬具(ハイゼット
トラック)
車両運搬具(エルフ
ダンプ)
自走草刈機(2台)
384 平成23年4月1日∼
平成28年3月31日
1,358 平成25年4月12日∼
平成32年4月11日
697 平成22年9月25日∼
平成27年3月24日
170 平成25年3月25日∼
平成26年3月24日
567 平成22年9月25日∼
平成27年3月24日
408 平成25年1月25日∼
平成27年1月24日
1,399 平成24年7月12日∼
平成30年7月11日
351 平成22年9月25日∼
平成27年2月24日
3,069 平成22年9月18日∼
平成29年9月17日
リース料に維持管
理費用含む
リース料に維持管
理費用含む
リース料に維持管
理費用含む
リース料に維持管
理費用含む
リース料に維持管
理費用含む
リース料に維持管
理費用含む
リース料に維持管
理費用含む
リース料に維持管
理費用含む
665 平成22年5月7日∼
平成28年5月6日
公益財団法人青森市シルバー人材センターが遵守すべき公益法人会計基準では、リース
会計基準の適用を求めている。当センターでは、リース取引については、売買処理が必
要となるものを除き、通常の賃貸借取引に準じた方法により会計処理を行っている。
70
(ハ)監査結果
監査手続の結果、下記の事項を検出した。
指摘1−38
(小口現金の管理)
小口現金が保管されている手さげ金庫を確認したところ、担当従業員の退社後の机の
上に当該金庫が鍵の掛かっていない状態で放置されていた。これは備え付け金庫を管理
する事務局長がミーティング中であったため、担当従業員が事務局長に声を掛けること
が出来なかったことによる。このような原因にあるが、他の従業員等が手さげ金庫に触
れることができる状態で放置されている事実は変わらず、管理上不適切であった。
したがって、小口現金の管理の徹底を求めるものである。
指摘1−39
(備品の実査)
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、備品について定期的な実査を行って
いない。備品の実査の未実施は、備品が実際に存在しているか確かめることができなく
なるとともに、備品の盗難や紛失が発見できない又は発見が遅れるリスクが生じる。ま
た、実査による現物確認の機会がないと、備品の状態を確認し、物品の新規購入や除却
の判断をする機会が少なくなる。
したがって、備品について、1年に1回程度の定期的な実査を実施すべきである。
意見1−40
(備品の管理)
公益財団法人青森市シルバー人材センターの備品は少数であるため、備品台帳と備品
の現物を紐付けることは容易である。しかし、備品が増加した場合に備え、台帳及び現
物に備品番号を記載し、その照合を行いやすくすることを検討すべきである。
意見1−41
(リース取引の検討について)
公益法人会計基準では、リース取引の会計処理が規定される。ここで、リース取引は
ファイナンスリース取引又はオペレーティングリース取引のどちらかに該当するか、フ
ァイナンスリース取引は所有権移転か移転外か、及び重要性等の判断が必要であり、リ
ース会計を理解している必要がある。
したがって、リース取引を適切に処理するために、リース取引の知識の蓄積が必要で
ある。
71
意見1―42
(リース管理表の整備)
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、リース契約の管理表がないため、契
約書を確認しないとリースの契約内容、契約期限や契約更新時期がわからず、契約更新
や契約満了に伴う事務処理を失念するリスクが生じる。
そのため、今後リース資産が増えることに備え、新たにリース管理表を整備し、リー
ス資産の管理を適切に行うべきである。
ⅴ. 関連当事者取引
(イ)関連当事者取引注記
公益財団法人青森市シルバー人材センターが遵守すべき公益法人会計基準では、注記
関連当事者との取引の内容を財務諸表に注記することを求めている。
法人と関連当事者との取引は、法人と役員等の個人との取引を含め、対等な立場で行
われているとは限らず、法人の財政状態や経営成績に影響を及ぼすことがある。
そのため、法人と関連当事者との取引や関連当事者の存在が財務諸表に与えている影
響を財務諸表利用者が把握できるように、適切な情報を提供するものとして関連当事者
の取引の内容を財務諸表に注記するのである。
72
ロ)関連当事者取引の内容
関連当事者取引の内容について、内閣府公益認定等委員会が公表している「公益法人
会計基準」の運用指針で規定されている。下記は「公益法人会計基準」の運用指針の関
連当事者取引の内容部分の抜粋である。
6.関連当事者との取引の内容について
公益法人会計基準注解の注17における関連当事者との取引の内容について財務諸表に
注記を付す場合の関連当事者の範囲及び重要性の基準は、以下のとおりである。
(1) 関連当事者の範囲
① 当該公益法人を支配する法人
当該公益法人を支配する法人(以下「支配法人」という。)とは、当該公益法人の
財務及び事業の方針を決定する機関を支配している法人をいい、次の場合には当該法人
は、支配法人に該当するものとする。
ア 当該法人の役員若しくは職員である者、又はこれらであった者で自己が当該公益法
人の財務及び事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該公益法人
の理事会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること
イ 当該公益法人の重要な財務及び事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること
ウ 当該公益法人の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る。)
の総額の過半についての融資を行っていること
ただし、財務上又は事実上の関係から当該公益法人の意思決定機関を支配していないこ
とが明らかな場合には、対象外とすることができるものとする。
なお、国及び地方公共団体については、公益法人の監督等を実施していることをもって、
ただちに支配法人とはしないが、上記ア∼ウに該当しない場合であっても、国又は地方
公共団体が当該公益法人の財務又は事業の方針を決定する機関を支配している一定の
事実が認められる場合には、当該公益法人は、国又は地方公共団体を支配法人とみなし
て公益法人会計基準注解の注17に定める注記をすることが望ましいものとする。
② 当該公益法人によって支配される法人
当該公益法人によって支配される法人(以下「被支配法人」という。)とは、当該公益
法人が他の法人の財務及び事業の方針を決定する機関を支配している場合の他の法人
をいい、次の場合には当該他の法人は、被支配法人に該当するものとする。
ⅰ)当該他の法人が出資等により議決権を行使することができる形態の場合
ア 当該公益法人が他の法人の議決権の過半数を自己の計算において所有していること
イ 当該公益法人が他の法人の議決権の100分の40以上、100分の50以下を自己の計算に
おいて所有している場合で、以下のいずれかの要件に該当すること
a. 自己の計算において所有している議決権と、自己と出資、人事、資金、技術、取引
等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使する
と認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している
73
者が所有している議決権とを合わせて、他の法人の議決権の過半数を占めていること
b. 当該公益法人の役員若しくは職員である者、又はこれらであった者で自己が他の法
人の財務及び事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、他の法人の取
締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること
c. 他の法人の重要な財務及び事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること
d. 他の法人の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る。)の
総額の過半についての融資を行っていること
e. その他、他の法人の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在する
こと
ⅱ)当該他の法人が出資等により議決権を行使することができない形態の場合
ア 当該公益法人の役員若しくは職員である者、又はこれらであった者で自己が他の法
人の財務及び事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、他の法人の理
事会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること
イ 他の法人の重要な財務及び事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること
ウ 他の法人の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る。)の
総額の過半についての融資を行っていること
ただし、当該公益法人が他の法人の財務上又は事実上の関係から他の法人の意思決定機
関を支配していないことが明らかな場合には、対象外とすることができるものとする。
③ 当該公益法人と同一の支配法人をもつ法人
当該公益法人と同一の支配法人をもつ法人とは、支配法人が当該公益法人以外に支配し
ている法人のこととする。
④ 当該公益法人の役員及びその近親者
当該公益法人の役員及びその近親者とは、以下に該当するものとする。
ア 役員(準ずる者を含む)及びその近親者(3親等内の親族及びこの者と特別の関係に
ある者)
イ 役員(準ずる者を含む)及びその近親者が議決権の過半数を有している法人
なお、相談役、顧問その他これに類する者で、当該公益法人内における地位、職務等か
らみて役員と同様に実質的に公益法人の経営に従事していると認められる者も、役員に
準ずる者として対象とすることとする。
ただし、公益法人の役員(準ずる者を含む)のうち、対象とする役員は有給常勤役員に
限定するものとする。注
注
下線部は監査人が引いたものである
(出典:「公益法人会計基準」の運用指針)
74
(ハ)監査手続
関連資料を閲覧し、関連当事者取引として注記するべきものがないか検討する。
(ニ)監査結果
上記監査手続の結果、関連当事者取引として注記すべきものはなかった。しかし、
関連当事者取引注記に係る会社のプロセスにおいて下記の事項を検出した。
意見1―43
(関連当事者注記の検討について)
公益法人会計基準では、注記関連当事者との取引の内容を財務諸表に注記することを
求めている(公益法人会計基準 第 5 財務諸表の注記(14))。そのため、当該注記の必
要性を検討する必要があるが、関連当事者の範囲を検討、関連当事者取引の集計、重要
性の検討の手続きを行わなければならない。公益財団法人青森市シルバー人材センター
では、これらの手続のプロセスがない。なお、平成 24 年度においては、関連当事者の
範囲に含まれる取引はない。
したがって、注記すべき関連当事者取引の開示の可否を検討するため、まず関連当事
者取引の範囲を検討し、必要に応じて関連当事者取引の集計、重要性の検討する手続を
決算経理プロセスに設けるべきである。
意見1―44
(会計リテラシーの充実及び専門家の利用)
公益法人会計基準で要求される関連当事者注記等をはじめ、貸倒引当金、リース会計、
退職給付会計等の会計基準を適切に適用するには、会計基準の理解、会計関連知識の修
得が必要である。そのため、担当者は常に知識と修得に努めることが求められる。
また、必要に応じて、会計専門家を利用しアドバイスを受けることも必要であろう。
⑥ 事業の有効性・経済性・効率性(3E)
事業の有効性・経済性・効率性について各々の指標を設定して検討を行う。
ⅰ. 有効性の検証:会員の加入率、会員数等により判定
(単位:人)
年度
入会会員数
退会会員数
増減数
年度末会員
数
平成20年度
333
289
44
1,629
平成21年度
283
320
▲37
1,592
平成22年度
241
361
▲120
1,472
75
平成23年度
260
277
▲17
1,455
平成24年度
237
315
▲78
1,377
(出典:事業報告書)
項目
性別
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
3月末
3月末
3月末
3月末
3月末
青森市60
男性
38,118
39,428
40,428
41,116
41,839
歳以上人
女性
53,798
55,639
57,142
58,141
59,006
口(人)
計
91,916
95,067
97,570
99,257
100,845
男性
1,011
979
923
906
850
女性
618
613
549
549
527
計
1,629
1,592
1,472
1,455
1,377
男性
68.5
67.4
68.8
68.8
69.0
女性
67.2
68.2
67.9
68.1
68.7
計
68.0
68.6
68.5
68.6
68.9
男性
2.65
2.48
2.28
2.20
2.03
女性
1.15
1.10
0.96
0.94
0.89
計
1.77
1.67
1.51
1.47
1.37
会員数
(人)
平均年齢
(歳)
加入率
(%)
(出典:青森市行政区別年齢別人口統計表及び事業報告書)
昭和55年の設立以降、毎年度ほぼ順調に会員数を伸ばし、平成20年度末会員数は過去
最高の1,629人となった。しかしながら、それ以後は減少傾向に転じている。これは、
加入率(会員数÷青森市60歳以上の人口)が下がっていることによる。高年齢者雇用安
定法の改正により段階的に定年年齢が引き上げられ、会員対象となる60歳以上の人の継
続雇用が増えたため、ここ数年、加入率が下がり続けている状況である。
シルバー人材センター事業は、高年齢者に対して組織的に就業の機会を提供するもの
であるから、一概に会員数、加入率をもって有効性を判断できるわけではない。また、
ここ数年の加入率の低下は、国の施策も影響していると思われる。しかし、会員数、加
入率がある程度のレベル以上でなければ将来的にシルバー事業の展開に支障をきたす
可能性もある。そのため、会員数の減少、加入率低下について有効な対策を打つ必要が
ある。
意見1―45
(会員の入退会に対する対策)
平成25年3月末の公益財団法人青森市シルバー人材センターへの加入率は、1.37%で
あり、平成21年3月末1.77%と比べ、0.4%減少している。これは国の施策も影響してい
76
ると思われるが、当センターの将来的な存続のためには、改善しなければならない。そ
のため、新規入会者の増加と退会者の減少に対する対策を行う必要がある。たとえば、
新規入会に関しては、入会説明会、普及啓発活動の見直しを具体的に実践するとともに、
新規入会者に対して本センター及び当該事業を知ったきっかけを情報収集等すること
により、より効果的な会員確保活動を推進することがある。また、退会者の減少に関し
ては、退会原因に対する対応策を行い会員の満足度を高めることがある。
ⅱ. 経済性・効率性の検証:補助金金額÷会員数により判定
青森市又は青森市及び国が支出した補助金額を会員数で除すことにより、会員一人当
たりの補助金額を算定する。下記の表は、過去5年度分の当該数値の推移である。
区分
平成
平成
平成
平成
平成
20年度
21年度
22 年度
23 年度
24 年度
市補助金(千円)
21,030
21,030
21,000
21,000
21,000
国補助金(千円)
21,030
21,030
13,495
8,700
8,700
42,060
42,060
34,495
29,700
29,700
1,629
1,592
1,472
1,455
1,377
市1人当たり補助金(円)
12,910
13,210
14,266
14,433
15,251
国1人当たり補助金(円)
12,910
13,210
9,168
5,979
6,318
1人当たり補助金(円)
25,820
26,420
23,434
20,412
21,569
1,000
1,000
3,000
3,000
3,000
32,490
33,391
44,800
45,217
46,206
計
年度末会員数(人)
年会費(円)
自主財源(千円)
(出典:事業報告書及び収支決算書)
また、下記の表は、人口30万人規模の東北地方の県庁所在地で情報開示が行われてい
る盛岡市、山形市、福島市のシルバー人材センターの平成24年度の1人当たり補助金額
である。
<平成24年度>
区分
市補助金(千円)
盛岡市
山形市
福島市
12,187
13,600
8,700
県補助金(千円)
−
−
181
国補助金(千円)
9,200
9,000
8,700
21,387
22,600
17,581
294,435
254,200
284,496
712
937
1,229
17,117
14,514
7,079
計
人口(人)
年度末会員数(人)
市1人当たり補助金(円)
77
県1人当たり補助金(円)
−
−
147
国1人当たり補助金(円)
12,921
9,605
7,079
1人当たり補助金(円)
30,038
24,120
14,305
(出典:事業報告書及び収支計算書)
1人当たり補助金は、平成20年度から平成24年度にかけて減少傾向である。そのため、
1人当たり補助金金額の観点からは、経済性・効率性が上昇しているといえる。なお、1
人当たり補助金金額が減少した理由は、平成22年度、23年度の2段階に渡り国の補助金
が大幅に減額されたことによる。補助金減額に対応し、公益財団法人青森市シルバー人
材センターでは、平成22年度より事務費率を3%(5%→8%)、会員費を2,000円(1,000
円→3,000円)上げ自主財源を増やし対応した。
また、人口30万人規模の東北地方の県庁所在地で情報開示が行われている盛岡市、山
形市、福島市のシルバー人材センターの平成24年度の1人当たり補助金金額は、それぞ
れ30,038円、24,120円、14,305円であり、当センターの21,569円は福島市に次いで低い。
それゆえ、当センターは、同規模の県庁所在地のセンターと比較しても経済性・効率
性に問題はないと言える。
意見1―46
(自主財源の拡大)
会員数及び契約金額の減少傾向を打破するためには新たな取組を行うことが必要で
あるが、公益財団法人青森市シルバー人材センターには人的、資金的余裕がなく、積極
的に行うことが出来ない現状がある。また、コストカットも徹底されており、これによ
り新たな資金を生む余地は少ない。さらに、国及び市の財政状態から見て補助金が増え
ることは想定しにくい。
このような状況で新たな取組の展開資金を得るためには、自主財源を拡大させる必要
がある。当センターでは平成 22 年度の会員費及び事務費率の改定により自主財源を増
やしているが、これは国の補助金削減に対応して行われたものであり、自主財源の増加
が補助金の減少で相殺され、新たな資金を生み出していない。そのため、今後は、既存
のシルバー事業といった公益事業を拡充するためにも、新規に収益事業を事業を始めた
り、必要に応じて、適切な範囲で会員費及び事務費率の改定を行う等により自主財源を
増やすための方策の検討が必要と思われる。
78
ⅲ. 外部環境と今後の課題
平成20年度以降の事業実績の推移は次のとおりである。
年度
平成
件数
(件)
就業延
人数(人
日)
契約金
前年対
額
比
(千円)
(%)
就業率
(%)
就業人
数
(人)
会員数
(人)
5,246
127,564
547,444
101.4
70.4
1,147
1,629
5,086
126,217
546,602
99.8
70.9
1,128
1,592
5,720
126,556
548,348
100.3
74.2
1,092
1,472
5,903
124,670
532,748
97.2
73.4
1,068
1,455
6,111
117,501
512,661
96.2
74.1
1,020
1,377
20年度
平成
21年度
平成
22年度
平成
23年度
平成
24年度
※
(出典:事業報告書及び収支決算書)
※派遣事業を加えた金額
平成22年度をピークに契約金額が減少傾向である。地域経済の低迷、指定管理者制度
での市委託業務の民間事業者の参入、法令遵守のための契約選別等の要因によるもので
ある。特に地域経済の低迷が事業実績にも顕著に表れており、民間企業からの受注減少
が著しい。また、会員数の減少も大きい。これは、高年齢者雇用安定法の改正により段
階的に定年年齢が引き上げられ、会員対象となる60歳以上の人の継続雇用が増えたこと
で、加入率が減少したことによる。このように、現在、シルバー事業は厳しい経営環境
にあるといえる。
今後の課題としては、まず、加入率を上昇させ会員を増加させることがある。シルバ
ー事業は会員の労働力なくして成り立たないものであり、一定以上の会員がいることが
事業存続の前提条件となる。そのため、加入率を上昇させることは非常に重要である。
ここ数年で65歳まで継続雇用された団塊の世代が定年を迎え、その人たちを少しでも多
く会員として取り込めるかが今後のポイントとなる。
また、いかに契約高を増やすことができるかも課題となる。平成23年の東日本大震災
の影響で地域経済が冷え込んだため、民間企業からの受注減少が著しい。アベノミクス
効果により今後改善が見られる可能性はあるが、見通しは不透明である。このような中
でも契約高を増やしていくためには、顧客ニーズを的確に把握し、そこに注力する体制
が必要である。
79
ⅳ. シルバー事業の経済性
公益財団法人青森市シルバー人材センターでは、市より年2,100万円の補助金を受け
取っている。また、当センターは同市より市施設の無償利用及び法人市民税の減免の財
政援助を受けている。他方で、当センターは、地域社会の福祉の向上と活性化、高齢者
の健康で生きがいのある生活の実現、高齢者医療費等の削減等の点で市に対して貢献し
ている。前2つの貢献は金額的に算定することが難しいが、高齢者医療費等の削減は概
算であるが金額的に算定することができる。
公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会の「高齢者の社会活動と健康維持・
増進に関する調査」結果によると、シルバー人材センターの会員の医療費は一般高齢者
と比較し年6万円(一般高齢者41.8万円−センター会員35.8万円)医療費が少ないと調
査結果が出ている。これは、シルバー人材センター会員は一般高齢者と比較し、社会参
加活動を行っており、そのため健康の維持や介護予防の効果を高め、結果として医療費
が少ないことによる。青森市でも同様の医療費削減効果があるとすると、シルバー人材
センターが存在することで8,262万円(6万円×会員数1,377人)の医療費削減があり、
これは市の補助金金額等を大きく上回る。また、仮に3万円の削減効果でも4,131万円(3
万円×会員数1,377人)であり、その効果は大きい。
したがって、市から受ける財政援助と市に貢献する医療費削減額を比較すると、後者
の方が大きく、市に対する当センターの経済性は高いと言える。
80
2.職業訓練法人青森情報処理開発財団
(1)概要
① 設立の背景
昭和 62 年、情報処理技術者の不足を背景として、旧労働省が定めた情報処理技能者
養成施設に関する基本方針(通称:コンピュータ・カレッジ構想)に基づき、青森市と
青森商工会議所などが積極的な誘致活動を行った結果、当時の雇用促進事業団(後の雇
用・能力開発機構)が青森市など全国 15 箇所に情報処理技能者養成施設を設置するこ
ととなった。運営にあたっては、同方針により、第三セクター方式で設立された当法人
が受託(委託形態:機構→青森県→青森市→当法人)する形態がとられた。その後、雇
用・能力開発機構の廃止に伴い、当施設は移管を希望する青森市に平成 23 年 3 月末で
無償譲渡され、同年 4 月には青森市から当法人へ無償譲渡された。併せて運営委託は終
了し、国の激変緩和措置として、
平成 23 年度∼25 年度まで国の財政支援を受けながら、
当法人は独立して運営をすることとなった。平成 26 年度以降について、県・青森市と
連携し、国に対し財政支援の継続を求めながら、安定した運営に努めていく。
② 法人の状況
所在地
青森市大字荒川字柴田129番地
設立年月日
昭和63年10月5日
代表者
理事長
従業員数
16名
鹿内
博
出資等の状
況
出資金額
基本財産
50,000 千円
100.0%
20,000 千円
40.0%
㈱青森銀行
8,000 千円
16.0%
㈱みちのく銀行
8,000 千円
16.0%
東日本電信電話㈱
5,000 千円
10.0%
青森商工会議所
1,000 千円
2.0%
うち本市の出資金額
市以外の主
な出資者
設立目的
出資割合
職業能力開発促進法(昭和 44 年法律第 64 号)による認定職業訓練、
その他職業訓練に関し必要な業務を行い、進展する社会の高度情報化
に対処し、産業の高度化及び地域経済活性化のために有為な労働者の
養成と労働者の経済的社会的な地位の向上を図る。
事業内容
1.求職者に対する認定職業訓練を行うこと
2.事業主の委託を受けて当該事業主の雇用する労働者に対する認定
職業訓練を行うこと
81
3.法人の運営する認定職業訓練のための施設を他の事業主等が行う
職業訓練のために使用させること
4.職業訓練に関する情報及び資料の提供を行うこと
5.職業訓練に関する調査及び研究を行うこと
6.無料職業紹介事業を行うこと
7.上記に掲げるものの他、職業訓練その他職業能力の開発及び向上
に関し必要な業務を行うこと
規程
運営規程
寄附行為・あおもりコンピュータ・カレッジ経理
規程・内部監査実施要領・職業訓練法人青森情報
処理開発財団あおもりコンピュータ・カレッジ運
営規程・個人情報の保護に関する規程・情報セキ
ュリティポリシー・職業訓練法人青森情報処理開
発財団情報公開規程
就業規程
あおもりコンピュータ・カレッジ就業規則・嘱託
就業規則・給与規程・退職金規程・常勤理事及び
使用人兼務理事の退職慰労金等に関する規程
業務規程
職業訓練法人青森情報処理開発財団機器選定委員
会規程
経営方針
安定した入学生の
地域における人材の育成は本校に与えられた使命
確保
であるとともに、授業料収入等は財団の財政基盤
を成すものであることから、定員充足を目標とし
た入学生の確保を継続していく。
[具体的な取組内容]
① 県内高校に対する本校PRの強化
② 学校説明会、入試日程等の期日管理強化
③ 県内高校との信頼関係の維持、向上
④ 積極的な対外PR
⑤ 本校HPでの積極的な情報公開
効果的な指導の推
教育指導、学生指導、就職指導・支援各々につい
進と指導陣の人材
て体制面も含め改善点を洗い出し、効果的な指導
育成
の一層の推進を図る。また、指導陣には指導する
立場から高いレベルが求められるため自己啓発を
含めた人材育成を強化する。
[具体的な取組内容]
① 組織体制の見直し
② 教育指導の強化
82
③ 学生指導の強化
④ 就職指導、支援の強化
⑤ 教職員の人材育成
⑥ 適正な職員数の維持
⑦ PDCAの強化
本校の特徴の発揮
本校の特徴としては、地元就職が多いこと、国家
試験の合格率が高いこと、退学率が低いこと、実
習機器が整備されていること、実践的な訓練など
があげられる。これらの点は高校でも高く評価さ
れているため、今後も一層きめ細かな指導を通し
てこれらの特徴の維持、向上を図っていく。
[具体的な取組内容]
① 就職率up
② 国家試験合格率up
③ きめ細かな指導の維持、向上
④ 実習機器の更新
社会ニーズに即し
ITを取り巻く環境、技術の進展等は急速である。
た訓練指導の推進
このため、時代に即した訓練指導にするとともに、
社会から要請される点を訓練指導に反映させるこ
とに努める。また、少子化等が進展する中におい
ては訓練規模の適正化についても図っていく。
[具体的な取組内容]
① 定員の見直し
② 2年科構成の見直し
③ カリキュラムの随時見直し
④ 校内環境の安全確保
⑤ 交通安全の徹底
⑥ 内部監査の実施
財務基盤の強化
黒字体質の維持、資産の効率的な運用、有効活用、
流出抑止等を推進し、今後も安定した運営の継続
を図る。
[具体的な取組内容]
① 効率的な資産運用
② 学費未納管理の強化
③ 本校奨学金返還管理の強化
④ 給与制度の見直し
83
⑤ 自主事業への取組
⑥ 経費節減の徹底
情報管理の強化
これまで蓄積してきた訓練指導における情報や高
校・企業などの情報を共有化し有効活用すること
を通しきめ細かな指導、入学生募集・求人活動の
強化を図る。また、情報セキュリティや個人情報
の漏洩等の対策を一層強化する。
[具体的な取組内容]
① 校内情報システムの構築
② セキュリティ管理の徹底
③ 個人情報保護の徹底
③ 沿革
・昭和 62 年 5 月
労働省、コンピュータ・カレッジ構想を発表
・昭和 63 年 2 月
労働省から青森県に内定通知
・昭和 63 年 5 月
青森情報処理開発財団設立総会
・昭和 63 年 9 月
財団設立認可(青森県知事)
・昭和 63 年 10 月
財団設立登記
・平成元年 4 月
開校・第一期生入学(仮校舎)
・平成元年 8 月
校舎完成
・平成 9 年 8 月
体育館完成(荒川市民センター)
・平成 10 年 10 月
創立 10 周年記念式典
・平成 21 年 2 月
創立 20 周年記念式典
・平成 25 年 3 月
第二十三期生卒業
・平成 25 年 4 月
第二十五期生入学
84
④ 施設
職業訓練法人青森情報処理開発財団は、あおもりコンピュータ・カレッジの施設を所有
している。
区分
本所
所在地
建物面積
備考
青森市大字荒川字柴田 129
3 階建 2,163.79 ㎡(教職員
※
番地
室・教室・端末室・電算室・
図書室)
※
平成 23 年 3 月末付けで当該施設を雇用・能力開発機構から青森市に無償譲渡され、さらに同年 4 月 1
日付けで同市から当該法人に無償譲渡された。
⑤ 組織等の状況
ⅰ. 役員の状況(平成 25 年 4 月 1 日現在)
定款・寄附行為上の役員数
役員の選任方法
(単位:人)
理事
29 人以内
任期
3年
監事
2人
任期
3年
理事会において、理事総数の 3 分の 2 以上が出席(委任
状を含む)し出席した理事の過半数の同意をもって選任
する。
役員数
理事※1
常勤
法人採用役員
監事※1
非常勤
常勤
計※1
非常勤
1(1)
常勤
非常勤
1(1)
0(0)
0(0)
0(0)
0(0)
3(0)
市職員 OB
0(0)
0(0)
他自治体職員
0(0)
0(0)
1(0)
0(0)
16(0)
2(0)
1(1)
19(0)
市派遣職員
市職員兼務
2(0)
民間等からの役員
1(0)
15(0)
小計
1(1)
役員総数
17(0)
18(1)
0(0)
2(0)
20(1)
(常勤+非常勤)
常勤役員平均年齢
※2
常勤役員平均年収
※2
※1 上表中、()は報酬支給人数を内数で示している。
※2 常勤の役員が 1 名であり、当該個人に関する情報が特定されるおそれがあることから、平均年齢及び
平均年収を記載していない。
85
ⅱ. 職員の状況(各年度の 4 月 1 日現在)
(単位:人)
区分
職員数の推移
常勤
法人採用正職員
管理職職員
市派遣職員
平成
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
25 年度
6
6
5
5
その他※1
1
2
3
3
小計
7
8
8
8
常勤
法人採用正職員
3
4
4
4
一般職職員
市派遣職員
その他※1
2
1
小計
5
5
4
4
12
13
12
12
6
4
4
4
18
17
16
16
市職員 OB
市職員 OB
常勤職員
合計
非常勤職員数 ※2
職員総数(常勤+非常勤)
※1 常勤管理職職員及び常勤一般職職員「その他」とは、他団体からの出向者で勤務時間等は常勤職員と
同じ。
※2 非常勤職員は、担当教科時間のみの勤務者とする。
86
ⅲ. 組織体制及び事務分掌(平成25年4月1日現在)
組織体制
教務部
常勤教官
8人
教務部長
理事会
理事長
理事
理事長
副理事長
常務理事
理事
監事
顧問
相談役
青森市長
18 人
1人
3人
1人
13 人
校長
副校長
4人
運営委員会
2人
1人
1人
理事のうち市職員
監事のうち市職員
事務部
委員長 1 人
委員
7人
事務長
経済部長
経済部次長
評議員会
評議員
非常勤教官
常務理事・校長
34 人
事務分掌
<教務部>
企画事項
(1) カリキュラム策定・シラバス策定
(2) 学年暦、休業等の計画立案
(3) 教官研修計画の立案
教務事項
(1) 教科書・教材等の採択
(2) 時間割策定
(3) 教育・訓練指導
(4) 学生指導、就職指導
(5) 課外活動及び公開授業に関する事務
(6) 教育設備機器等の管理
(7) 学習指導要録の作成・保管・管理
(8) 教官等の研修派遣に関する事務
その他の事項
<事務部>
企画事項
(1) 事業計画の策定、事業報告書の作成
87
職員
3人
(2) 寄附行為変更の立案
(3) 諸規程の制定及び改廃の立案
(4) 各種広報の企画及び実施
(5) 資産(基本財産等)の運用方法の立案
(6) カレッジ運営の改善に関する調査及び企画
(7) その他カレッジ運営に関する企画立案
庶務事項
(1) 理事会及び評議員会その他諸会議に関する事務
(2) 諸規程集の分類及び整理保管
(3) 決裁文書の稟議
(4) 登記、認可申請、届出及び契約等の渉外並びに法務に関する事務
その他の事項
⑥ あおもりコンピュータ・カレッジの設備・学科・学生募集要項(平成 24 年度)
<設備>
各種サーバー、パソコン(140台)をLANで接続。
<学科>
求職者(入学生)に対して、2年間で2,800時間のカリキュラムに従って職業訓練を行う。
【1年次
基礎学科】
一般教養の知識を身につけ、また、コンピュータの基本的な知識と技能を習得して、
2年次の専門学科に進むための基礎を身につけるとともに、各種の資格取得を目指す。
【2年次
専門学科】
(コンピュータシステム科)
オブジェクト指向のプログラム言語Visual Basic.NETを基本から応用まで学習する。
さらに、システム設計で実務レベルの設計技法を学習し、情報処理の専門家を目指す。
(コンピュータビジネス科)
ビジネスソフトの応用、Webの作成など実務的なパソコン活用技術を学習する。各専
攻でコンピュータの幅広い活用技術を習得する。
・マネジメント専攻
データベースソフト(Access)の活用技術を学習する。
88
さらに、会計ソフトの活用方法を学習し、事務・営業・販売など幅広い分野で即戦力
となるコンピュータの活用技術を習得する。
・デザイン専攻
様々なWeb活用技術、コンピュータ・グラフィックスの作成・活用技術を学習する。
さらに、CAD概論でコンピュータによる設計技術を学習し、クリエイティブなコンピ
ュータの活用技術を習得する。
<学生募集要項>
【募集定員】
1学年
80名
【学費】
学年
納入時期
学年
納入時期
1年次
入 学 金
12万円
入学時
10月時
前期授業料
37万円
後期授業料
37万円
年間合計
2年次
4月時
前期授業料
37万円
10月時
後期授業料
37万円
86万円
年間合計
74万円
※ 1年次は入学時に教科書、各種検定代で約5万円、10月時に約3万円、2年次は4月時に同じく約1万5千円
実費負担となります。
⑦ 財務の状況
※財務諸表に関する情報
会計年度
始期
終期
4 月 1 日∼翌年 3 月 31 日
適用会計基準
消費税等の会計処理
新公益法人会計基準
税込方式
(平成 16 年改正基準)
※ 当法人は公益法人ではなく職業訓練法人であるため、概ね平成 16 年改正基準に従って財務諸表を作成
している。
89
ⅰ. 経営成績の概要【損益計算書】
(単位:千円、千円未満四捨五入)
区分
平成22年度 平成23年度 平成24年度
経常収益(A)
133,208
162,140
164,471
事業収益
130,477
120,940
107,660
本市からの指定管理収益
−
−
−
本市からの利用料金収益
−
−
−
本市からの受託事業収益
675
1,775
1,876
129,802
119,165
105,784
−
40,211
56,109
うち受取国庫補助金
−
40,211
56,109
うち受取県補助金
−
−
−
うち受取市補助金
−
−
−
基本財産運用益
125
50
20
特定資産運用益
355
132
84
その他経常収益
2,251
807
598
115,897
162,507
153,867
82,014
98,910
76,331
うち職員人件費
55,713
77,366
54,598
うち減価償却費
−
−
−
33,883
63,597
77,536
26,195
29,670
21,546
1,200
2,674
48,844
17,311
▲ 367
10,604
−
31,275
−
92
−
−
▲ 92
31,275
−
17,219
30,908
10,604
−
−
−
その他事業収益
受取補助金等
一
般
正
味
財
産
増
減
の
部
経
常
増
減
の
部
経常費用(B)
事業費
管理費
うち役職員人件費
うち減価償却費
当期経常増減額(C)=(A)-(B)
増
経常外収益(D)
経
減
常 経常外費用(E)
の
外
部
当期経常外増減額(F)=(D)-(E)
当期一般正味財産増減額(G)=(C)+(F)
当期指定正味財産増減額
90
ⅱ. 財政状態の概要【貸借対照表】
(単位:千円、千円未満四捨五入)
区分
平成22年度
48,703
89,263
107,910
固定資産
437,385
467,202
643,322
基本財産
50,000
50,000
50,000
特定資産
360,545
337,497
317,857
−
−
−
30,405
32,958
36,036
26,840
79,705
275,465
うち土地
−
−
−
うち建物
8,189
37,878
36,199
486,088
556,465
751,232
31,682
38,193
38,004
−
−
−
−
−
−
−
32,958
217,310
−
−
−
−
−
−
−
32,958
36,036
31,682
71,151
255,314
50,000
50,000
50,000
うち減価償却引当資産
うち退職給付等引当資産
その他の固定資産
資産 合計
流動負債
うち短期借入金
うち本市からの借入金
固定負債
うち長期借入金
うち本市からの借入金
うち退職給付等引当金
負債 合計
正味財産の部
(新公益法人
会計基準)
平成24年度
流動資産
資産の部
負債の部
平成23年度
指定正味財産
一般正味財産
404,406
435,314
445,918
正味財産 合計
454,406
485,314
495,918
負債及び正味資産 合計
486,088
556,465
751,232
91
⑧ 本市の財政的関与等の状況
(単位:千円、千円未満四捨五入)
項目
平成22年度 平成23年度 平成24年度
補助金
−
−
−
事業費補助金
−
−
−
管理補助金
−
−
−
交付金
−
−
−
負担金
−
−
−
委託料
675
1,775
1,876
私立専修学校等就職支援事業委託費
675
1,775
1,529
青森市立高等看護学院パソコン学習
業務委託費
−
−
347
指定管理料
−
−
−
貸付金(当期借入額)
−
−
−
短期貸付金
−
−
−
長期貸付金
−
−
−
出資金(追加額)
−
−
−
675
1,775
1,876
合計
目的、内容、
必要性、増減理由等
緊急雇用創出事業によ
る就職支援
(注)各項目ごとにそれぞれ四捨五入しているので、決算書と一致しない場合がある。
各年度 3 月 31 日時点
貸付金の状況
(年度末残高)
損失補償の状況
(年度末残高)
債務保証の状況
(年度末残高)
有・無
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
無
−
−
−
無
−
−
−
無
−
−
−
<その他の財政援助(税や施設使用料の減免、建物の無償貸与等)>
・固定資産税減免
・法人市民税減免
・駐車場敷地無償貸与
・校舎は青森市からの無償譲渡(平成 23 年 4 月 1 日付)
92
⑨ 経営状況に関する指標
ⅰ. 健全性の視点
(単位:%・小数点 1 桁未満四捨五入)
指標
算出方法
当期損益
<正味財産増減計算書>
【単位:千円】
当期一般正味財産増減額
累積損益
<貸借対照表>
【単位:千円】
一般正味財産
経常比率
経常収益/経常費用×100
自己資本比率
正味財産合計/資産合計×100
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
17,219
30,908
10,604
404,406
435,314
445,918
114.9
99.8
106.9
93.5
87.2
66.0
153.7
233.7
283.9
96.3
96.3
129.7
−
−
−
70.8
60.9
48.8
138.5
99.4
102.2
(正味財産比率)
流動比率
流動資産/流動負債×100
固定比率
固定資産/正味財産合計×100
借入金依存度
(短期借入金+長期借入金)/
資産合計×100
公益事業比率
公益事業/経常費用×100
内部留保金額の
内部留保金額/(事業費+管理
水準
費+事業に必要な固定資産取得
額)×100
ⅱ. 自立性の視点
(単位:%・小数点 1 桁未満四捨五入)
指標
市からの収入割合
算出方法
本市からの収入(補助金+交
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
0.5
1.1
1.1
−
−
−
−
−
−
付金+負担金+委託料+指定
管理料)/経常収益×100
資産に対する市から
本市からの貸付金残高/資産
の借入金割合
合計×100
受託事業の再委託率
再委託額/(本市からの委託
料+指定管理料)×100
93
ⅲ. 効率性の視点
(単位:%・小数点 1 桁未満四捨五入)
指標
算出方法
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
管理費率
管理費/経常費用×100
29.2
39.1
50.4
人件費率
役職員人件費(事業費・管理費)
70.7
65.9
49.5
7,400
9,538
10,279
/経常費用×100
職員 1 人当たり
経常収益/職員総数(常勤+非
の収益高
常勤)
【単位:千円】
(出典:平成 25 年度青森市第三セクター経営状況基本情報シートより監査人が作成)
(2) 監査の結果
① コーポレートガバナンス
ⅰ. 機関の概要
職業訓練法人青森情報処理開発財団では、職業能力開発促進法に定める職業訓練法人
として、理事、理事会、監事、評議員、評議員会の機関が設置されている。各機関の権
限・役割は下記とおりである。
(イ)理事及び理事会
「職業能力開発促進法」では、理事の職務を下記のように定めている。
<職業能力開発促進法(抜粋)>
(職業訓練法人の代表)
第三十七条の四
理事は、職業訓練法人のすべての事務について、職業訓練法人を代
表する。ただし、定款の規定又は寄附行為の趣旨に反することはできず、また、社団で
ある職業訓練法人にあつては総会の決議に従わなければならない。
また、当財団の「寄附行為」で下記のように定めている。
理事は、理事会で選出される。また、理事は、理事会を構成し、業務の執行を決定す
る。なお、理事長、副理事長及び常務理事の選任は、理事の互選による。
この理事会は、理事長が必要と認めたとき、又は理事の3分の1以上から会議の目的た
る事項を示して請求があったとき、理事長がこれを招集する。なお、理事会は、理事の
3分の2以上が出席しなければ会議を開き、議決することができない。
当財団では、寄附行為で理事の人数は 29 名以内と規定し、平成 25 年 4 月 1 日時点で
18 名の理事で理事会が構成され、うち 1 名が理事長、3 名が副理事長、1 名が常務理事
である。
94
(ロ)監事
「職業能力開発促進法」では、監事の職務を下記のように定めている。
<職業能力開発促進法(抜粋)>
(監事の職務)
第三十七条の十
監事の職務は、次のとおりとする。
一
職業訓練法人の財産の状況を監査すること。
二
理事の業務の執行の状況を監査すること。
三
財産の状況又は業務の執行について、法令、定款若しくは寄附行為に違反し、
又は著しく不当な事項があると認めるときは、総会又は都道府県知事に報告をす
ること。
四
前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。
当財団では、寄附行為で監事の人数は2名以内と規定し、平成25年4月1日時点で2名の
監事がいる。
(ハ)評議員及び評議員会
当財団の「寄附行為」で下記のように定めている。
評議員は、理事会で選出される。また、評議員は、評議員会を組織し、理事会の諮問
に応じ理事長に対し必要な事項を助言する。なお、評議員は、理事及び監事を兼ねるこ
とができない。
この評議員会は、理事会が必要と認めたとき、又は評議員の3分の1以上から会議の目
的たる事項を示して請求があったとき、理事長がこれを招集する。
当財団では、平成25年4月1日時点で34名の評議員により評議員会が構成されている。
ⅱ. 監査手続
理事会及び評議員会が現実に運営されていること及び決議に「職業能力開発促進法」
又は寄附行為に違反する事項がないかを検討するため、平成 24 年度の理事会議事録の
閲覧、担当者に対する質問を実施した。
理事会の開催状況
理事会内容
(単位:人)
日時
理事の出席状況
(出席理事数/理事総数)
監事の出席状況
(出席監事数/監事総
数)
第73回理事会
平成24年5月24日
16/18
1/2
第74回理事会
平成24年10月4日
16/18
0/2
第75回理事会
平成25年3月28日
15/18
1/2
95
ⅲ. 監査結果
上記の監査手続を実施した結果、下記の事項を検出した。
意見2−1
(評議員会議事録の作成)
職業訓練法人の評議員会は、理事会の諮問に応じ理事長に対し必要な事項を助言する
機関である。当財団の評議員会は、年に1度、6月頃に開催しているが、議事録は作成し
ていない。
当財団の寄附行為に評議員会議事録の作成義務は定められていないものの、議事の過
程を明確にするため、評議員会議事録を作成、保管することが望まれる。
意見2−2
(監事との情報共有について)
業務執行の決定は理事会で行われるが、平成24年10月4日に開催された第74回理事会
には、理事の業務執行を監査する役割を担う監事が1人も出席していない。こういった
状況は極めて稀であるということであったが、有効な監査を実施するためには、監事が
理事会の運営状況や決議の結果を適時に把握する必要がある。
したがって、監事が1人も理事会に出席できない場合、理事会の運営状況や決議の結
果に関して、監事が監査を実施するために充分な情報が適時に伝達されるよう配慮する
ことが望まれる。
② 財務
ⅰ. 経常収益及び経常費用分析
(イ)経常収益及び経常費用の推移
経常収益及び経常費用の 5 年推移表を作成し、業績の推移を検討した。
経常収益
基本財産運用益
(単位:千円、千円未満四捨五入)
平成
平成
平成
平成
平成
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
200
125
50
20
780
355
132
84
117,222
116,657
130,477
120,940
107,660
受取補助金
334
333
−
40,211
56,109
その他収益
7,568
7,340
2,251
807
598
経常収益計
127,095
125,310
133,208
162,140
164,471
特定資産運用益
事業収益
1,971
(出典:経営改善計画(平成 23∼25 年度)、平成 25 年度青森市第三セクター経営状況基本情報シート)
96
平成 22 年度において、厚生労働省所管の独立行政法人「雇用・能力開発機構」が 22
年度末で廃止されることを受け、地元の新聞に当校が国の事業として廃止される旨の記
事が掲載されたため、平成 23 年度入学生が大幅に減少し、平成 22 年度の 93 名に対し
平成 23 年度は 64 名に減少した。平成 24 年度入学生も 73 名にとどまったため、入学金
及び在学中(2 学年ある)の生徒の授業料収入が減少した。
また、平成 23 年度から受取国庫補助金が大幅に増加している。これは、国の政策変
更に伴う激変緩和措置として、授業で生徒が使用するサーバー、PC 等のリース料相当
額及び平成 23 年 4 月 1 日に青森市から無償で譲渡された校舎の修繕費相当額を国から
補助金として受け取っているためである。
経常費用
(単位:千円、千円未満四捨五入)
平成
平成
平成
平成
平成
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
事業費
84,048
79,855
82,014
98,910
76,331
うち職員人件費
59,171
56,863
55,713
77,366
54,598
うち減価償却費
−
−
−
−
−
37,520
35,018
33,883
63,597
77,536
28,852
26,188
26,195
29,670
21,546
1,654
1,624
1,200
2,674
48,844
121,568
114,873
115,897
162,507
153,867
管理費
うち役職員人件費
うち減価償却費
経常費用計
(出典:決算書を基に監査人が作成)
平成 22 年度入学生が 93 名と多かったため、平成 23 年度は、出向も含めた教職員の
増員を前提とした予算を編成した結果、職員人件費が増加した。平成 24 年度は出向元
の協力等により職員人件費を圧縮した。
また、平成 24 年 4 月 1 日に授業で生徒が使用するサーバー、PC、ソフトウェア、視
聴覚設備等をリース契約により調達し、リース資産として固定資産に計上した結果、減
価償却費が大幅に増加している。
(ロ)監査手続
会計処理が「公益法人会計基準」に基づいているか、取引が実在しているか等に関し
て担当者への質問及び資料の閲覧を実施し、勘定科目残高の妥当性の検討を行った。
97
(ハ)監査結果
監査手続を実施した結果、下記の事項を検出した。
意見2―3
(リース契約の締結手続き)
平成24年4月1日に授業で生徒が使用するサーバー、PC、ソフトウェア、視聴覚設備等
をリース契約により青森市の業者からリース料総額226,592,100円(税込)で調達して
いる。
これに先立ちリース契約先がプロポーザル方式により4社の中から当財団の機器選定
委員会により選定作業が行われた。本委員会は、平成23年5月23日開催の第71回理事会
にて設置が承認され、同日付にて理事長より委員の委嘱を受け、あおもりコンピュー
タ・カレッジの教育訓練用電子計算機システム導入作業(教育設備更新)に係る審議並
びに導入業者の選定作業を行った結果に関する答申書を作成し理事長に答申している。
答申書の内容は次の通りである。「導入業者の募集に際しては、幅広く提案を求める
こと、並びに公正・公明性を図るべく一般公募型プロポーザル方式による入札形態とし、
最終的に4社より提案が成されました。提案内容の審議においては、費用面の他に、①
現行の教育訓練環境と水準を維持できること、②今後5年間のITの推進に耐えうるもの
であること、③教育訓練に支障が生じない保証体制であることに特に留意致しました。
導入業者の選定は、本委員会にて制定した評価基準に基づき、①仕様書要件の達成度合
い(加減点評価)、②プレゼンテーションを通した、総合点で採用企業を選定すること
と致しました。」
しかしながら、上記の費用面の提案はリース料総額のみであり、物件別のリース料は
示されていない。また、リース契約書にも同様に、物件別のリース料は示されていない。
したがって、今後、リース契約を締結する際には、リース契約締結までに物件別リー
ス料に関する情報を入手し、個々の物件ごとにリース料を引き下げる余地がないか検討
し、業者と価格交渉を行うことも検討する余地がある。
指摘2―4
(固定資産の取得手続き)
固定資産の取得申請に関して、経理規程第31条第1項「固定資産の取得は理事長の承
認を得て行うものとする。」という規定に基づき、平成24年度の固定資産の取得は理事
会の承認を得ているという当財団の説明を受けた。具体的には、平成24年3月28日に開
催された第72回理事会の第3号議案「平成24年度事業計画並びに収支予算案について」
に関して、事務局より次の事項を説明のうえ、提案されている。「①国の補助金事業に
関し教育機器リース料、建物修繕工事費を収支に計上すること。」
98
しかしながら、経理規程第 31 条第 1 項では理事長の承認が必要とされているにもか
かわらず、上記の第 3 号議案は理事会の収支予算案に関する議案に過ぎず、理事長の固
定資産取得の承認申請には該当しない。
したがって、固定資産取得申請は、理事会の議案や答申書ではなく、固定資産取得申
請書を用いて理事長に直接、稟議申請を行い、理事長の承認証跡を残すことが必要であ
る。
意見2―5
(固定資産の検収手続き)
意見2―3に記述したリース契約のリース物件の納品時に検収書を作成していない。
しかしながら、契約通りの数量の、品質に問題がない物件が納品されたことを納品時
に確認しなければ、後日、品違いや数量不足、品質不良が判明する可能性も否定できな
い。
したがって、少なくとも一定額以上の固定資産に関しては、契約通りに納品されたこ
とを検収する手続きと検収書の作成義務をルール化し、実施することが必要である。
意見2―6
(固定資産の現物管理)
現状、固定資産の現物と固定資産台帳は、年度末に照合しているが、照合記録は残し
ていない。また、リース資産は夏休み、冬休みの清掃時に、現物の確認を行っているが、
照合記録は残していない。
しかしながら、固定資産台帳に記載されている固定資産が実在することを漏れなく確
認するためには、個々の物件ごとに照合担当者が照合記録を残し、照合担当者とは別の
担当者が、照合に漏れがないか照合記録をチェックすることが望まれる。
したがって、固定資産実査手続きを明確にし、固定資産実査を定期的に行うことをル
ール化する必要がある。まず、現物への資産番号シールの貼付を徹底した上で、固定資
産の現況を把握し、当財団のリース資産のように数量が「一式」として固定資産台帳に
登録されている資産の物件別明細を作成し、現物照合の結果、存在しない物件について
は原因を調査の上、会計上、固定資産の除却処理を行い、固定資産台帳と資産の現況の
整合を図るべきである。
また、固定資産実査の記録も保管しておく必要がある。実査の結果の記録が残されて
いない場合、現物確認が実施されたかどうか客観的に確認することができず、網羅的に
固定資産の実在性を確認できないためである。
99
意見2―7
(リース契約の会計処理)
平成 24 年度決算においては、意見2―3のリース料総額をリース資産として固定資
産に計上している。
しかしながら、当財団の資産規模からすれば相当の比重を占めるリース契約であるこ
とから「リース会計基準」を参考にするとすれば、当該リース契約の未経過リース料の
占める期末残高割合(未経過リース料期末残高÷(未経過リース料の期末残高+有形及
び無形固定資産期末残高))は10%未満ではないため、リース料総額の現在価値で固定
資産計上し、リース料支払い時に支払利息を利息法で計上することも検討する余地があ
る。
指摘2―8
(売上計上基準)
当校の学生便覧に学費延(分)納願が諸手続方法一覧表に記載されている。これに従
い、授業料年額74万円を資力の問題等の理由で分納を行う学生が、在学中の2学年で約
10名いるが、分納の場合、翌年度以降に入金が遅れると、翌年度以降の売上としている。
しかしながら、役務提供完了時、すなわち、当財団所定のカリキュラムに従い授業を
行った年度で、授業料売上を計上することが一般的な会計慣行であり、現金主義による
売上計上は業績を測定する上では不適切な会計処理である。
したがって、授業料が分納される場合でも、授業料に対応する授業を行った年度に売
上計上することが必要である。
指摘2―9
(賞与引当金の計上)
平成24年12月に5,836,015円の賞与を支給している。また、平成25年6月支給賞与は
5,688,000円であった。なお、給与規程には賞与支給対象期間の定めはなく賞与支給時
期のみが定められている。
しかしながら、毎事業年度において賞与が支給されており、平成25年5月末までの6
ヶ月間を支給対象期間として、平成25年6月に賞与を支給していることからすれば、
5,688,000円×4ヶ月/6ヶ月=3,792,000円を平成24年度決算において賞与引当金として
計上すべきである。
したがって、給与規程に賞与支給対象期間を定めるとともに、賞与引当金を計上する
ことが必要である。
100
意見2―10
(資金の貸付の承認証跡)
資金の貸付に関して、経理規程第27条「資金の貸付については理事長の承認を得なけ
ればならない。」という規定に基づき、平成24年度の奨学金の貸与は理事会の承認を得
ているという当財団の説明を受けた。
しかしながら、平成 24 年 3 月 28 日に開催された第 72 回理事会議事録には奨学金支
出の承認を求める議案の記述はなく、そもそも、経理規程第 27 条では理事長の承認が
必要とされているため、理事会の議案とされていたところで、理事長の資金の貸付の承
認申請には該当しない。
したがって、資金の貸付は、理事会の議案ではなく、貸付申請書を用いて理事長に直
接、稟議申請を行い、理事長の承認証跡を残すことが必要である。
意見2―11
(卒業祝賀会参加費の現金管理)
卒業祝賀会参加費1人当たり5,500円を参加者60人(保護者含む)が全員現金で当法人
に支払うが、専用の補助簿は作成していない。
したがって、全員の入金があったことを確認するため、あるいは、支払未了者を特定
するため、専用の補助簿を作成すべきである。
意見2―12
(公益法人会計基準について)
当財団は青森市の第三セクターの一つであることから、 経営の透明性を高めるため
積極的な経営情報等の公開が求められているため、当財団のホームページで平成24年度
の決算書類として下記の書類を公表している。
・収支計算書
・正味財産増減計算書
・貸借対照表
・財産目録
・新公益法人会計に伴う計算書類に対する注記
また当該ホームページで(決算に関わる注記)として「財団では公益法人会計基準に
基づいて決算を行っております。」と掲載している。また、財団内でも、公益法人会計
基準に基づいて決算を行う方針を採用している。
厳密に言えば、当財団は職業能力開発促進法により設立された職業訓練法人であり、
公益法人会計基準への準拠が求められる「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関
する法律」「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財
101
団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」に定めのあ
る公益法人等ではない。
しかしながら、「財団では公益法人会計基準に基づいて決算を行っております。」と
ホームページ上で開示し、財団内でも、公益法人会計基準に基づいて決算する方針を採
っているのであれば、青森市の第三セクターとして経営の透明性を高めるためにも、直
近の平成20年改正公益法人会計基準に準拠して計算書類を作成・開示することを検討し
ていくことが望まれる。
しかし、平成20年改正公益法人会計基準で定められている注記事項のうち作成・開示
されていない事項がある。具体的には下記の事項であり、これらの事項についても、注
記を作成・開示することを検討していくことが望まれる。
・基本財産及び特定資産の増減額及びその残高
・基本財産及び特定資産の財源等の内訳
・固定資産について減価償却累計額を直接控除した残額のみを記載した場合には、当該
資産の取得価額、減価償却累計額及び当期末残高
・補助金等の内訳並びに交付者、当期の増減額及び残高
・指定正味財産から一般正味財産への振替額の内訳
・関連当事者との取引の内容
また、貸借対照表内訳表及び正味財産増減計算書内訳表で、会計区分(公益目的事業
会計と収益事業等会計)毎の勘定科目残高、内部取引消去の金額を区分して開示するこ
とが必要になる。
そして、附属明細書(基本財産及び指定財産の明細、引当金の明細)を作成する必要
がある。
指摘2―13
(財務諸表の注記の訂正)
当財団のホームページで公表している「新公益法人会計に伴う計算書類に対する注
記」の「1.重要な会計方式」は平成20年改正公益法人会計基準に定めのある「1.重要
な会計方針」を指すため、(正)方針(誤)方式という財務諸表の注記の訂正が必要で
ある。
102
3.青森市土地開発公社
(1)概要
① 設立の背景
昭和 43 年 12 月、民間による土地開発が積極的に行われる中で、市に代わって公共用
地等を速やかに先行取得することを目的に、(財)青森市開発公社が設立された。
全国的に、地方公共団体等の土地の先行取得の要請が高まり、昭和 47 年、地方公共
団体等が、道路・公園・学校などの公共施設を整備するために必要な土地を優先的に取
得することによって地域の秩序ある整備等を図ることを目的に、「公有地の拡大の推進
に関する法律」が整備された。
この法律の制定を受け、昭和48年4月(財)青森市開発公社から青森市土地開発公社
へ組織変更した。主な業務として、公共用地等の取得、管理及び処分等を行っている。
② 公社の状況
所在地
青森県青森市中央1丁目
設立年月日
昭和48年4月17日
22-5
代表者
加賀谷久輝
従業員数
36人
出資金額
5,000千円
出資者
青森市100%
設立目的
公共用地、公用地等の取得、管理及び処分等を行うことにより、地域
の秩序ある整備と市民福祉の増進に寄与することを目的とする
主な事業内容
1(1)次に掲げる土地の取得、造成その他の管理処分を行うこと
イ公有地の拡大の増進に関する法律第4条第1項又は第5条第1項に規
定する土地
ロ道路、公園、緑地その他の公共施設又は公用用地の用に供する土地
ハ公営企業の用に供する土地
ニ当該地域の自然環境を保全することが特に必要な土地
ホ史跡、名勝又は天然記念物の保護又は管理のために必要な土地
へ航空機の騒音により生ずる障害を防止し、又は軽減するために必要
な土地
(2)住宅用地の造成事業並びに港湾整備事業(埋立事業に限る。)並び
に地域開発のためにする臨海工業用地、内陸工業用地及び流通業務
団地の造成事業を行うこと
(3)前2号の業務に付帯する業務を行うこと
2 前項の業務のほか、当該業務の遂行に支障のない範囲内において、次
に掲げる業務を行う
(1) 前項第1号の土地の造成(一団の土地に係るものに限る。)又は同項
103
第2号の事業の実施と併せて整備されるべき公共施設又は公用施設の
整備で地方公共団体の委託に基づくもの及び当該業務に付帯する業
務を行うこと
(2) 国、地方公共団体その他公共団体の委託に基づき、土地の取得のあっ
せん、調査、測量その他これらに類する業務を行うこと
規程
定款、業務方法書、決裁規程、公印規程、財務規程、就業規程、文書
取扱規程、情報公開規程、嘱託職員設置要綱
③ 組織等の状況
ⅰ. 役員の状況(平成 25 年 6 月 28 日現在)
(単位:人)
理事
任期
2年
10人以内
定款・寄付行為上の役員数
監事
任期
2年
2人以内
理事及び監事は、青森市長が任命する。理事長及
役員の選任方法
び常務理事は、青森市長の指名により決定する。
理事
監事
計
常勤 非常勤 常勤
非常勤
常勤 非常勤
法人採用役員
0(0)
0(0)
市派遣職員
0(0)
0(0)
市職員兼務
10(0)
2(0)
0(0) 12(0)
役員数
市職員OB
0(0)
0(0)
他自治体職員
0(0)
0(0)
民間等からの役員
0(0)
0(0)
小計
0(0) 10(0)
0(0)
2(0)
0(0) 12(0)
役員総数(常勤+非常勤)
12(0)
10(0)
2(0)
常勤役員平均年齢
常勤役員平均年収
非常勤役員は、市職員(地方公務員)が兼務する
非常勤役員に対する報酬等の考え方
ため無報酬となる
(注)上表中、(
)は報酬支給人員を内数で示している。
104
ⅱ. 職員の状況(各年度の 4 月 1 日現在)
区分
(単位:人)
職員数の推移
平均年齢 平均年収
平成
平成
平成
平成
(歳) (千円)
22年度 23年度 24年度 25年度
法人採用正職員
常勤
市派遣職員
管理職職 市職員OB
その他
員
小計
法人採用正職員
常勤
市派遣職員
一般職職 市職員OB
その他
員
小計
常勤職員 合計
非常勤職員数 ※1
職員総数(常勤+非常勤)
0
1
0
0
0
0
0
0
-
-
1
1
40
41
0
0
36
36
0
0
36
36
0
0
36
36
※2
※2
※2
※2
※1 非常勤職員は、青森市兼務職員及び公社嘱託員並びに臨時職員である。
※2 公社より報酬を得るのは公社嘱託員1名及び臨時職員1名であるが、当該個人に関する情報が特定され
るおそれがあることから、平均年齢、平均年収を記載しない。
ⅲ. 組織体制及び事務分掌(平成25年4月1日現在)
組織体制
理事会 10名
監事 2名
(会計管理者、水道部長)
(うち理事長 1名(副市長))
(うち常務理事 1名(総務部長))
(うち理事 8名(企画財政部長、市民生活部長、環境部長、健康福祉部長
経済部長、都市整備部長、農林水産部長、教育部長)
事務局長 1名(管財課長)
庶務課 4名 会計課 4名 審査課 3名 業務担当課 24名
(うち法人嘱託員1名)
(うち法人臨時職員1名)
105
事務分掌
<庶務課>
(1) 理事会および役員に関すること
(2) 定款、業務方法書および規程の制定ならびに改廃に関すること
(3) 職員の任免に関すること
(4) 予算および事業計画の立案に関すること
(5) 公印の管理に関すること
(6) 財産(定款第20条第1号に規定する事業取得財産を除く。)の管理及び処分に関
すること
(7) 物品の購入、保管および処分に関すること
(8) 業務の委託に関すること
(9) 公社にかかる登記、訴訟および広報に関すること
(10) 文書の収発および保存に関すること
(11) 経理事務に関すること
(12) 決算の調整および提出に関すること
(13) 資金の計画、調達、償還および運用に関すること
(14) 原価計算に関すること
(15) 経営分析に関すること
(16) 財務に関すること
(17) 現金、有価証券の出納に関すること
(18) その他、他課の所管に属しない事項に関すること
<会計課>
(1) 現金、有価証券の保管に関すること
<審査課>
(1) 収入に関わる書類の確認および支払に関わる書類の審査に関すること
<業務担当課>
(1) 公共用地および公有地の取得ならびに保障に関すること
(2) 市街化区域内の土地の先買に関すること
(3) 前各号の付帯する業務に関すること
106
④ 財務の状況
※財務諸表に関する情報
会計年度
始期
終期
4 月 1 日∼翌年 3 月 31 日
適用会計基準
消費税等の会計処理
土地開発公社経理基準要綱
税込方式
(平成 17 年改正)
ⅰ. 経営成績の概要【損益計算書】
(単位:千円、千円未満四捨五入)
区分
事業収益(A)
うち公有地取得事業収益
うち土地造成事業収益
事業費用(B)
事業損
事業原価
益
販売費及び一般管理費
経常損益
うち役職員人件費
の部
うち減価償却費
事業利益(損失)(C)=(A)-(B)
事業外収益(D)
うち受取利息
事業外
事業外費用(E)
損益
うち支払利息
事業外利益(損失)(F)=(D)-(E)
経常利益(損失)(G)=(C)+(F)
特別利益(H)
特別損益 特別
特別損失(I)
の部
損益
特別利益(損失) (J)=(H)-(I)
当期純利益(損失)(K)=(G)+(J)
107
平成22年度 平成23年度 平成24年度
969,472
969,472
955,519
6,588
6,239
942,684
12,835
6,588
6,239
11,144
4,750
4,772
13,953
▲ 6,588
▲ 6,239
2,060
1,900
2,080
4
2
1
2,060
1,900
2,080
16,013
▲ 4,688
▲ 4,159
130,319
- ▲ 130,319
16,013 ▲ 135,007
▲ 4,159
ⅱ. 財政状態の概要【貸借対照表】
資産の部
負債の部
資本の部
(単位:千円、千円未満四捨五入)
区分
流動資産
固定資産
うち土地
うち建物
うち退職給付等引当資産
資産合計
流動負債
うち短期借入金
うち本市からの借入金
固定負債
うち長期借入金
うち本市からの借入金
うち退職給付等引当資産
負債合計
資本金
基本財産
準備金(又は欠損金)
資本 合計
負債及び資本 合計
平成22年度 平成23年度 平成24年度
4,005,438 3,854,124 3,726,584
4,005,438 3,854,124 3,726,584
17,023 3,768,189
334
- 3,767,473
- 3,767,473
3,767,473
- 3,644,474
3,767,473
- 3,644,474
3,767,473
3,784,496 3,768,189 3,644,808
5,000
5,000
5,000
5,000
5,000
5,000
215,942
80,935
76,776
220,942
85,935
81,776
4,005,438 3,854,124 3,726,584
⑤ 保有資産
保有資産は下記の 4 つである。当公社ではその管理業務を行っている。なお、保有資
産の処分をもって公社が廃止することが予定されており、保有資産を増やす予定はない。
事業名
西部工業団地用地
青森操車場跡地用地
青森駅西口用地
小牧野遺跡用地
地区
三内丸山 394 の
103
浦町奥野 290-17
ほか 20 筆
柳川 1 丁目 13 番
地1
野沢小牧野 54 番
55
事業受託年度
面積(㎡)
平成 24 年度
簿価(千円)
平成 2 年
9,201.83
101,000
平成 9 年
83,506.75
3,370,530
平成 10 年
4,186.64
172,944
平成 22 年
5,372.82
3,118
102,268.04
3,647,592
計
108
⑥ 本市の財政的関与等の状況
(単位:千円、千円未満四捨五入)
項目
平成22年度 平成23年度 平成24年度
補助金
事業費補助金
管理費補助金
交付金
負担金
委託料
指定管理料
貸付金(当期借入額)
短期貸付金
青森市土地開発公社
事業資金
長期貸付金
出資金(追加額)
合計
942,684
942,684
-
-
942,684
-
-
942,684
-
-
目的、内容、必要
性、増減理由等
柳川庁舎用地・建物
に係る無利子貸付金
(注)各項目ごとにそれぞれ四捨五入しているので、決算書と一致しない場合がある。
各年度 3 月 31 日
時点
貸付金の状況
(年度末残高)
損失補償の状況
(年度末残高)
債務保証の状況
(年度末残高)
有・無
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
有
3,767,473
3,767,473
−
無
−
−
−
3,653,402 千円に
有
−
−
約定利子率等を
加えた額
109
⑦ 経営状況に関する指標
ⅰ. 健全性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
算出方法
当期損益
<損益計算書>
【単位:千円】
当期純利益(損失)
累積損益
<貸借対照表>
【単位:千円】
準備金(又は欠損金)
経常比率
(事業収益+事業外収益)/(事
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
16,013
▲135,007
▲4,159
215,942
80,935
76,776
101.7
28.8
33.3
業費用+事業外費用)×100
自己資本比率
資本合計/資産合計×100
5.5
2.2
2.2
流動比率
流動資産/流動負債×100
23,529.6
102.3
1,115,743.7
固定比率
固定資産/資本合計×100
−
−
−
借入金依存度
(短期借入金+長期借入金)/
94.1
97.8
97.8
資産合計×100
ⅱ. 自立性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
算出方法
市からの収入割
本市からの収入(補助金+交付
合
金+負担金+委託料+指定管理
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
−
−
−
94.1
97.8
0.0
−
−
−
料)/事業収益×100
資産に対する市
本市からの貸付金残高/資産合
からの借入金割
計×100
合
受託事業の再委
再委託額/(本市からの委託料
託率
+指定管理料)×100
ⅲ. 効率性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
算出方法
販売費・一般管理
販売費及び一般管理費/事業収
費率
益×100
人件費率
役職員人件費/(事業費用+事
業外費用)×100
110
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
1.3
−
−
1.2
72.1
76.5
職員 1 人当たり
事業収益/職員総数(常勤+非
の収益高
常勤)
24,234
0
0
【単位:千円】
(出典:平成 25 年度青森市第三セクター経営状況基本情報シートより監査人が作成)
⑧ 公社の廃止
青森市では、「青森市行政改革プログラム(平成18年2月策定)」において、「第三
セクターのあり方の見直しと経営健全化の促進」を取組の方向として位置付け、経営診
断等の点検評価の実施や情報の公開の充実、さらには、点検評価を踏まえた中長期的な
視点での第三セクターのあり方を検討することと掲げた。この点検評価の実効性を確保
し、統一的な視点に立った評価を実施するため、平成20年3月に「第三セクターの経営
評価指針」を策定した。
これを受け、当該指針に基づき、第三セクターの経営状況等の点検評価を行うととも
に、経営改善のための助言等を行い、第三セクターの経営健全化を促進するための組織
として、外部有識者で構成される青森市第三セクター経営評価委員会が設置された。
平成21年、青森市第三セクター経営評価委員会は青森市土地開発公社の評価を実施し、
総合評価で抜本的対応が必要と判断した。なお、下記は、当委員会の報告書である青森
市第三セクター経営評価報告書(平成21年10月)の総括的な所見である。
① 経済が拡大し右肩上がりの成長を前提に公共用地等の先行取得を実施するメリッ
トのある時代から、低成長時代に入り土地価格そのものが低下する時代状況の変化
の中で、土地開発公社の役割は希薄化しており、土地開発公社の役割そのものの見
直しが必要である。
② 市からの取得依頼により土地開発公社が取得した公共施設用地の保有期間が長期
化し、その金利負担、管理負担が相対的に高くなっているため、市の財政負担が大
きくならないよう、一刻も早く適切な対応を検討する必要がある。
③ 土地の効果的な事業推進と事業実施に伴う借入金の利息軽減のために採用できる
方策を、市と連携しながら積極的かつ早急に検証すべきである。
(出典:青森市第三セクター経営評価報告書(平成 21 年 10 月))
当公社を含む市の第三セクターに対する青森市第三セクター経営評価委員会の意見
を受け、青森市では、
「青森市第三セクターに関する基本方針」を策定した。当方針は、
客観的・専門性の観点から評価した経営評価報告書を真摯に受け止め、改めて原点に立
ち返り「ゼロ・ベース」の視点で第三セクターの必要性や役割等を再検討するとともに、
市が目指す第三セクターの経営健全化と自主・自立化について、市と第三セクターがそ
111
れぞれ取り組む具体的事項を明らかにし、第三セクターの抜本的改革に集中的かつ積極
的に取り組むことを目的とするものである。
上記方針の中で当公社に対する検討が行われ、保有資産の処分をもって廃止するとい
う方針が示された。そのため、当公社は保有資産の処分後、廃止される予定である。な
お、下記は、青森市第三セクターに関する基本方針での検討内容及び検討結果である。
<検討内容>
・土地価格の低下や公共事業の見直し・縮減等を背景に、公共用地の先行取得の必要
性が減少し、当該法人の設立意義や役割は希薄化している。
・当該法人が実施する公共用地等の先行取得事業は、特別法(公有地の拡大の推進に
関する法律)に基づくものであり、民間事業者等では当該事業を提供することはで
きないものの、既存の市公共用地取得事業特別会計や土地開発基金等の代替手段に
よる先行取得は可能である。
・一方で、現在当該法人が保有している先行取得用地(H21 末:113,407.85 ㎡)は、
市の土地利用計画に従って処分を進めることとなるため、処分にあたっては一定の
期間が必要である。
・なお、平成 20 年度に策定した「青森市土地開発公社の経営の健全化に関する計画」
を踏まえ、借入金利息軽減策として市から当該法人に対し無利子貸付を実行(平成
22 年 3 月及び 4 月)したことで、今後の財政負担の増大は改善された。
<検討結果>
当該法人の設立意義は希薄化したものの、保存資産の処分に一定の期間が必要であ
ることから、保有資産の処分完了をもって廃止する。
(出典:青森市第三セクターに関する基本方針)
(2)計画
① 土地開発公社の経営健全化対策
平成20年、総務省は、全国的に土地開発公社の経営が悪化に対応するため、土地開発
公社の経営健全化対策に関する通知を発した。当通知は、経営健全化が必要とされる土
地開発公社を対象とし、その設立者又は出資者である地方公共団体の首長に対して「土
地開発公社の経営の健全化に関する計画」を策定し、それを都道府県及び指定都市は総
務大臣に、市町村及び特別区にあっては都道府県知事に提出することを求めている。
青森市土地開発公社の設立者・出資者である青森市は、この総務省通知を受け、経営
健全化計画書を県に提出した。下記は、当計画を一部抜粋したものである。
112
1
経営健全化の期間
平成 20 年度から平成 24 年度まで 5 年間
4
債務保証等対象土地の詳細処分計画
番号
資産区分
1
西部工業団地用地
2
青森操車場跡地用地
(単位:百万円)
簿価(平成
19 年度末)
226
3,280
処分予定
事業予定
年度
年度
平成 20 年
平成 20 年
以降
以降
市が買取
平成 22 年
平成 22 年
り
以降
以降
平成 23 年
平成 23 年
以降
以降
平成 22 年
平成 22 年
市が買取
平成 22 年
平成 26 年
り
−26 年
以降
市が買取
平成 20
平成 20
り
年・21 年
年・21 年
平成 22 年
平成 22 年
処分方針
民間売却
用途につ
いて再検
3
167 討し、平成
青森駅西口用地
23 年まで
に決定
4
5
新ごみ処理施設建設
985
用地
一般廃棄物最終処分
759
場用地
6
石江地区公共用地
950
7
柳川庁舎用地・建物
920
合計
5
市が買取
り
市が買取
り
7,287
達成すべき経営指標の目標値
区分
基準年度
(平成 18 年度)
平成 19 年度
平成 24 年度
0.086
0.018
設立出資団体の債務保証・損
失補償に係る土地のうち保有
期間が 5 年以上であるものの
0.100
簿価総額/設立出資団体標準
財政規模
113
6
設立出資団体による支援措置
無利子融資・低利子融資起債活用を行い、無利子の資金を公社に貸付けるなどの
検討を行う。
(出典:青森市土地開発公社の経営の健全化に関する計画概要について)
【実績】
上記計画の実績及びその差異は下記のとおりである。
計画
実績及び差異
4債務保証等対象土地の詳細処
平成 24 年度で未処分のものは下記のものであり、
分計画
他のものは処分された。
1. 西部工業団地用地
2. 青森操車場跡地用地
3. 青森駅西口用地
5達成すべき経営指標の目標値
平成 24 年度の数値は 0.052 であり、
目標値の 0.018
に届いていないが、その理由は上記 3 つの用地の
処分ができなかったためである。
6設立出資団体による支援措置
平成 22 年 3 月及び 4 月に、市より無利子融資が行
われ、実行された。
② 事業計画
ⅰ. 内容
保有資産 4 物件の内容及び事業計画は下記のとおりである。
西部工業団地用地
所在地
三内丸山394の103
市担当課
企業立地課
事業受託年度
平成2年
資産区分
特定土地
面積(㎡)
9,201.83
簿価(千円)
101,000
114
内容
青森市西部工業団地の 14 区画のうちの 1 区画 9,201.83 ㎡分が保有資産で
ある。なお、民間企業への売却により処分する予定である。
青森市西部工業団地は、14 区画、面積約 30 ヘクタールとして開発された
工業団地であり、平成 6 年度から分譲を開始された。なお、14 区画のう
ち、当公社保有の 1 区画を除く 13 区画は処分済みである。当工業団地の
特徴としては、団地内に健康増進のための福利厚生施設「青森市西部工業
団地多目的施設(三内丸山アリーナ)」が整備されているほか、周辺には
縄文時代の日本最大の集落跡として知られる「三内丸山遺跡」があるなど、
人に優しい環境であることである。また、交通アクセスとして、東北縦貫
自動車道青森I.Cと国道 7 号バイパスに隣接し、青森駅・青森空港・青
森港までいずれも車で約 20 分程度であり、利便性が高い。
事業計画
早期に処分できるよう企業の誘致活動をしている。平成23年度にある企業
からの問い合わせがあり、処分に向けての価格交渉のため、不動産鑑定士
による土地鑑定評価を実施し適正な価格を把握した。その金額は10,100
万円であった。現在その企業と交渉が進展し、当該企業による土地ボーリ
ング調査が平成25年11月末から12月上旬にかけて行われた。このまま交渉
が進展すれば平成25年度中に売却できる予定である。この売却により処分
が完了する。
青森操車場跡地用地
所在地
浦町奥野290-17ほか20筆
市担当課
住宅まちづくり課
事業受託年度
平成9年
資産区分
公有用地
面積(㎡)
83,506.75
簿価(千円)
3,370,530
内容
国鉄清算事業団から代行取得した青森操車場跡地用地のうち、約 8.4
ヘクタール分が保有資産である。現在、当用地は無料又は有料で貸し
付け、利用している。なお、将来的に市が買取ることが予定される。
当公社は、平成 9 年度に公園用地等に供する予定のため市より取得依
頼があり、同年度に国鉄清算事業団から代行取得した。そして、平成
13 年度に、市に対し約 5.2 ヘクタールを青い森セントラルパークに供
する土地として売却処分した。この市取得用地と県所有地が、現在の
青い森セントラルパークとなっている。また、市への未売却分の約 8.4
ヘクタールは、市が買い取るまでの間の暫定的な有効利用として、無
料又は有料で貸し付けを行っている。具体的には、機関区通りの土地
を、歩行者、自転車専用道路用として市に無料貸し付けている。また、
線路北側の中央 3 丁目付近の土地は、冬期間は市の雪の堆積場として
一部を市の道路維持課に無料で貸し付け、冬期間以外はハローワーク
115
や県民福祉プラザの臨時駐車場等として有料で貸し付けている。
事業計画
平成24年9月、当用地の利用計画に関する事項を調査・審議するため、青
森操車場跡地利用計画審議会が設置され、当審議会は、利用計画に関する
答申書を取りまとめた。この答申を受けて、市は当用地の利用計画につい
て検討しているが、平成25年11月段階では、どのように利用するかまでは
具体的に決定しておらず、事業計画は作成されていない状態である。
青森駅西口用地
都市政策課
所在地
柳川 1 丁目 13 番地 1
市担当課
事業受託年度
平成10年
資産区分
公有用地
面積(㎡)
4,186.64
簿価(千円)
172,944
内容
国鉄清算事業団から代行取得した青森駅西口用地であり、保有資産で
都市拠点整備室
ある。現在、当用地は無料で貸し付け、利用している。なお、将来的
に市が買取ることが予定される。
当公社は、平成 10 年度に市より中心市街地再活性化事業に供する予定
のため市より取得依頼があり、同年度に国鉄清算事業団から代行取得
した。市が買取るまでの暫定利用として、無料で貸し付けを行ってい
る。具体的には、冬期間以外は修学旅行のための観光バスの臨時待機
場所等として市の観光課に貸し付け、冬期間は市の雪の堆積場として、
市の道路維持課に貸し付けている。
事業計画
当用地は、市が作成した「青森駅を中心としたまちづくり基本計画」の敷
地として利用される予定である。現在、青森駅を利用する鉄道事業者との
協議中であり、その協議が終了次第、事業化に向けて動き出す予定である。
なお、平成27年度を計画の中期目標としている。
「青森駅を中心としたまちづくり基本計画」市ではこれからの超高齢社会
や低炭素型社会へ対応するとともに、北海道新幹線「新函館駅(仮称)」
開業を見据え、多くの人が集う青森駅の特性をいかし、まちににぎわいを
創出するため青森駅及び駅周辺地区の一体的なまちづくりの基本的な方
向を示す計画。
小牧野遺跡用地
所在地
野沢小牧野 54 番 55
市担当課
文化財課
事業受託年度
平成22年
資産区分
公有用地
面積(㎡)
5,372.82
簿価(千円)
3,118
116
内容
市の依頼により代行取得した用地が保有資産である。当用地は小牧野
遺跡の象徴である環状列石を分断する道路部分の土地である。なお、
将来的に市が買取ることが予定される。
この土地は、史跡の保護や公開をする上で不可欠なものである。取得
予定の全面積は 14,626.01 ㎡であり、このうち 5,372.82 ㎡は取得済み
である。
事業計画
未取得分の9,253.19㎡は、相手方の手筈が整い次第、順次取得している。
市では、平成27年に公園化してオープンする予定であり、平成27年までに
当公社が解散すればその時点で、平成27年までに解散していなければ公園
のオープン前に買い取る予定である。
ⅱ. 監査手続
保有資産の事業計画の妥当性、進捗状況を確認するため、担当者に対する質問を実施
し、関係書類を閲覧した。
ⅲ. 監査結果
上記の監査手続を実施した結果、下記の事項を検出した。
意見3−1
(処分の長期化)
下表の通り、市からの土地取得業務委託依頼に基づく事業用地の取得業務受託から青
森操車場跡地用地 16 年、青森駅西口用地 15 年が経過している。これらの事業は、事業
用地取得の資金調達を借入により行っており、経過年数分の利息が発生している。特に
青森操車場跡地用地は利息相当額の金額が 542,325 千円と大きく、その金額は資産金額
の 16.1%を占める。ここで、市との「公用事業用地の取得に関する覚書」では、事業用
地の取得に要した事業費、事業用地の取得に要した事務費、前記 2 つの費用に係る支払
利息相当額の合計額を青森市土地開発公社に支払うことになっており、支払利息相当額
は最終的に市ひいては市民の負担となる。
意見3−3に記載の通り、当公社の資金調達は市より条件が悪く過大な利息が発生し
ている状態である。そのため、全市的な利息負担を減らすためにも、出来る限り早く市
にこれらの資産を買い取ってもらうことが望まれる。
117
(単位:千円)
事業
事業名
地区
受託
年度
資産
経過
区分
年数
西部工業
三内丸山 394 の
平成
特定
団地用地
103
2年
土地
青森操車場
浦町奥野 290-17
平成
公有
跡地用地
ほか 20 筆
9年
用地
青森駅西口
柳川 1 丁目 13 番
平成
公有
用地
地1
10 年
用地
小牧野遺跡
野沢小牧野 54 番
平成
公有
用地
55
22 年
用地
計
うち
資産金額
利息相当
額
23 年
101,000
※1
16 年
3,370,530
542,325
15 年
172,944
27,047
3年
3,118
※2
3,647,592
※1 特定土地のため、利息は期間費用として毎期計上される
※2 取得に自己資金を利用したため利息が発生してない
指摘3−2
(事業計画の作成)
青森操車場跡地用地は平成9年度の青森操車場跡地利用構想策定に基づき国鉄清算事
業団から用地を取得した後、平成13年度の青森操車場跡地早期利用計画策定、平成22
年度の青い森セントラルパーク低炭素型モデルタウン構想策定が行われたが、それは実
現されなかった。また、平成24年度には青森操車場跡地利用計画審議会が設置され、そ
の答申により複数の利用計画案が示された。市はこの答申を受け、現在、当用地をどの
ように利用するべきか検討中であるが、事業計画を作成する段階までは至っていない状
態である。
この青森操車場跡地用地の事業計画がないことは、意見3−3に記載の通り不利な条
件での資金調達につながっている。そのため、早急に今後の具体的な方針を決定、事業
計画を策定し、金融機関より有利な条件で資金調達をすることが望まれる。
(3)財務
青森市土地開発公社では、資産取得の資金調達を主に借入により行っている。なお、
当公社では支払利息を低く抑えるため、借入期間を 1 年程度の短期間とし、その都度借
り換えを行っている。また、当公社では、平成 20 年度の土地開発公社の経営健全化対
策に関する総務省通知に基づき市が策定した「青森市土地開発公社の経営の健全化に関
118
する計画」を踏まえた形で、平成 22 年 3 月及び 4 月に市より無利子貸付※を受けたた
め、平成 23 年度より民間金融機関の借り換えを行わなかった。しかし、当計画の期限
が平成 25 年 3 月 31 日に設定され、市の無利子貸付の期限も同日であったために、平成
25 年 3 月 29 日付で民間金融機関より借入を行い、これを市の無利子貸付の返済の原資
とした。
※土地開発公社経営健全化団体に係る財政措置として、土地開発公社への無利子貸付は市の一般単独事業
債・一般事業による起債対象となり、その地方債の利子の 4 分の1相当する額を特別交付税により国から
援助があった。
① 資金調達
ⅰ. 借入金明細の 5 年間推移
(単位:千円)
借入先
A地方銀行
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
期末残高 利率 期末残高 利率 期末残高 利率 期末残高 利率
6,891,695 1.05%
942,630 1.05%
0 1.05%
-
B地方銀行
169,911
市
-
1.05%
-
短期借入金 計 7,061,606
0
-
1.05%
-
-
942,630
-
-
-
-
-
平成24年度
期末残高 利率
-
-
0 無利息 3,767,473 無利息
0 無利息
0
0
-
3,767,473
A地方銀行
-
-
市
-
-
3,767,473 無利息 3,767,473 無利息
-
-
0 無利息
-
3,644,474 1.725%
長期借入金 計
-
-
3,767,473
3,767,473
0
3,644,474
借入金 合計
7,061,606
4,710,102
3,767,473
3,767,473
3,644,474
0 無利息
(出典:附属明細書 短期借入金明細表及び長期借入金明細表より監査人が作成)
注 上表中「−」は事業年度内に資金取引がなかったこと、「0」は事業年度に資金取引があり残高がないものを示している
ⅱ. 入札
(イ)手続
当公社では、平成 25 年 3 月 29 日付で 3,644,473,480 円の借入を行うため、下記の入
札参加対象となる金融機関に声を掛け、入札を行った。なお、入札参加者に対して渡さ
れた「青森市土地開発公社の借入金に係る見積書提示及び手続きについて」で、借入金
に青森市から債務保証書の提出があることが記載されている。
入札参加者
青森市土地開発公社では、青森市の市債の借入方法に準じ、資金調達先を「青森市
内に本店のある地方銀行」あるいは「青森県内に本店を有し、青森市内に支店がある
金融機関」とし、借入先の決定に当たっては、参加を希望する金融機関から見積を提
示していただき、最も低い利率を提示したいただいた方と契約を締結します。
(出典:青森市土地開発公社の借入金に係る見積書提示及び手続きについて)
119
(ロ)入札結果
金融機関名
見積結果
A 地方銀行
辞退
B 地方銀行
辞退
C 信用金庫
辞退
D 信用組合
辞退
E 農業協同組合
辞退
ⅲ. 借入
当公社では、上記入札不調を受け、金融機関と個別に交渉を行った。その結果、平成
25 年 3 月 29 日付で下記条件の借入をすることとなった。
借入機関:
A 地方銀行
借入金額:
3,644,473,480 円
資金名
西部工業団地用地資金
:
青森操車場跡地用地資金
青森駅西口用地資金
101,000,000 円
3,370,529,723 円
172,943,757 円
借入期間:
平成 25 年 3 月 29 日から平成 26 年 3 月 31 日
借入利率:
1.725%
② 監査手続
資金調達の状況を確認するため、担当者に対する質問を実施し、関係書類を閲覧した。
③ 監査結果
上記の監査手続を実施した結果、下記の事項を検出した。
意見3―3
(入札不調時の想定)
上記借入の入札は、対象金融機関すべてが辞退し不調であった。辞退の原因は、事業
の見通しが立たない案件に融資することができないという金融機関の姿勢による。ここ
で、入札への応札は個々の金融機関の自由意思であり、結果として不調となることはあ
る。そのため、青森市土地開発公社では、入札の不調を想定した準備が必要であった。
今回の借入の入札期限は平成 25 年 3 月 8 日であり、借入予定日の平成 25 年 3 月 29
日との間に 3 週間しか間がなく、不調となった場合の次の対応を行う準備期間が十分で
なかった。当公社は入札不調後、時間がない中で数社の金融機関と個別に交渉したが、
成立しなかった。結果的にA銀行に頼み込む形で借入することになったが、過去の借入
利率 1.05%に対し、1.725%とかなり高い利率となってしまった。しかし、時間的余裕
120
があれば多くの金融機関と交渉を行うことも可能であり、もっと良い条件で借入するこ
とが出来た可能性がある。
そのため、当公社では、入札が不調である場合も想定し、その後の対応の準備が出来
る形で入札を行うことが望まれる。
意見3−4
(入札参加者の拡大)
借入について入札を行う目的は、金融機関の競争を促すことで借入条件を良くし、利
息負担を最小化することにある。ここで、青森市土地開発公社では上記①ⅱ入札参加者
の通り、青森市の市債の借入方法に準じている。この方法は、地域の金融機関を利用し、
地域に貢献しつつ、借入条件を良くするものであるが、資金調達先が実質的に地域金融
機関に限定されるため、利息負担の最小化の観点からは検討の余地があるといえる。入
札参加できる金融機関の対象を拡大することで、競争が増し、良い条件で借入できる可
能性がある。
したがって、よりよい借入条件を実現するためには、入札に参加できる金融機関の範
囲を広げることも検討すべきである。
意見3−5
(過大な支払利息)
青森市土地開発公社では、金融機関との間で締結した「銀行取引約定書」の各条項の
内容を承認したうえで、個別案件ごとに「金銭消費貸借契約証書」を締結している。ま
た、保証人である青森市は、金融機関に対して土地開発公社の借入債務を担保するため
に「債務保証書」を差し入れている。
平成 24 年度の貸借対照表に長期借入金として計上されているものは、A地方銀行か
らの借入額 3,644,473 千円、借入期限が平成 25 年 3 月 29 日から平成 26 年 3 月 31 日、
借入利率が 1.725%である。これに対し、平成 20 年から平成 22 年にかけて、A銀行よ
り今回の借入と同様な期間のものを 1.05%の利率で借入れていた。そのため、従来と比
較し、今回の借入は 0.675%(1.725%-1.05%)利率が高いこととなる。ここで、日本銀
行の統計資料によると、金融機関が資金貸出時に基準とする短期プライムレートは平成
20 年から平成 25 年にかけて若干下落している。それゆえ、A地方銀行は当公社に対す
る評価を下げたことにより追加のリスクプレミアムを求め、当公社の借入利率が上昇し
たと考えることができる。
近年、金融機関は土地開発公社に対する融資に対する姿勢を変えてきているようであ
る。従来は、市や県などの地方公共団体の債務保証等があるため、万が一の場合でも債
権保全が図られることから与信リスクはきわめて限定的であると判断し、地方公共団体
と一体と考えて融資していた。そのため、土地開発公社は地方公共団体の借入利率に若
121
干のプレミアムを上乗せする形で借入することができた。しかし、近年の金融検査の厳
格化により、金融機関は「債権者区分」を適切に行うことが求められ、区分に応じた利
率が徹底されつつある。ここで、「債務者区分」とは、債務者の財務状況、資金繰り、
収益力等により、返済の能力を判定して、その状況等により債務者を正常先、要注意先、
破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先に区分するものである。なお、金融庁は、金融検査
において、「土地開発公社の査定において、実質的な財務内容を精査することなく、地
方公共団体からの債務保証や損失補償があることのみを根拠に母体である地方公共団
体と一体と判定し正常先と判定している事例」「業況不芳な債務者について、保有資産
の売却計画に具体性がないにもかかわらず、当該資産を売却することにより債務償還能
力が向上するとして債権者区分を上位にとどめている事例」(金融庁「金融検査指摘事
例集」)と指摘し、土地開発公社について債権者区分を適切に行うよう求めている。こ
の金融検査の指摘が、金融機関の土地開発公社に対する融資の姿勢に変化をもたらした
一因と考えられる。
ここで、なぜ金融機関が青森市土地開発公社に対する評価を下げたのか。金融機関の
説明によると、借入金の大半を占める青森操車場跡地用地の事業計画の見通しが立たな
い状態で融資することは容易ではないとのことであった。なお、金融庁「金融検査マニ
ュアル」でも、債権者区分の検討に当たり、事業の継続性と収益性の見通し、キャッシ
ュフローによる債務償還能力、経営改善計画等の妥当性も含めて総合的に勘案、判断す
るものと規定しており、事業の見通しが立たない案件に対する融資は厳しくなることが
想定できる。金融機関の内部事情を推し量ることはできないが、金融検査対応の観点か
ら、たとえ市による保証があったとしても、事業計画の見通しが立たないものに対する
融資は評価を下げる判断があったのではないかと考えることができる。
もし、青森操車場跡地用地の事業計画が適切に作成され、従来通りの利率で借入する
ことが出来れば、約 2,460 万円(借入額 3,644,473 千円×(1.725%-1.05%))利息負担
を減らすことができたはずである。この過大利息はほぼ資産算入されるが、最終的に、
市が利息分も含めた資産価格で用地を買い取ることは決定している。このことは、この
過大利息が市及び市民が負担することになることを示している。
したがって、当公社の利息負担を軽減するのみならず、市及び市民の負担を軽減する
意味でも、青森操車場跡地用地の事業計画を早急に立てることが望まれる。
意見3−6
(市による資金調達、3 セク債の活用)
意見3−3に記載の通り、青森市土地開発公社は1.725%と以前の1.05%と比較し高
い利率で借入を行っており、当公社よりも市による資金調達の方が金利面から有利であ
ることは明らかである。全市的な財政負担を縮減する観点からは、市が資金調達を行い、
122
当公社に調達金利で貸付を行う方法を採用し、全市的な観点から利子負担の軽減を図る
べきである。
また、当公社は保有資産の処分の完了次第、廃止されることが決定されているが、保
有資産の処分計画等は市の各担当課が作成しており、当公社は単に契約の当事者となる
のみの状態である。この状態であれば、当公社を解散し、市の各担当課がその業務を引
き継ぐ方が資金調達、経費の観点から効率的であると考えられる。ここで、解散の際の
資金調達としては3セク債の利用が考えられる。現在、土地開発公社の解散の際に利用
できる制度として「第三セクター等改革推進債」があるが、この制度は平成25年度まで
であるので時間的に間に合わない。そのため、同制度の延長又は同様の制度の創設の際
には、それを利用し、当公社を解散することを検討すべきである。
指摘3−7
(借入金の表示の誤り)
A 銀行からの借入額 3,644,473 千円の借入期限は平成 25 年 3 月 29 日から平成 26 年 3
月 31 日である。これについて、青森市土地開発公社では貸借対照表上「長期借入金」
として表示している。ここで、借入金は返済期限の長短により、流動負債と固定負債と
に区分表示する。そして、この長短区分には、1 年基準が適用されるが、負債での 1 年
基準とは、決算日の翌日から起算して 1 年以内に支払期限の到来するものを流動負債の
部に記載し、1 年を超えて支払期限の到来するものを固定負債の部に記載する考え方で
ある。
当該借入は平成 26 年 3 月 31 日が支払期限であり、決算日の翌日である平成 25 年 4
月 1 日から起算して 1 年以内に支払期限の到来するものであるため、貸借対照表上、
「短
期借入金」として流動負債の部に計上すべきであった。そのため、平成 24 年度決算の
貸借対照表の表示区分、表示科目に誤りがある。
指摘3−8
(附属明細書の記載誤り)
指摘3−7で記載の通り、借入金について貸借対照表の表示科目に誤りがあった。そ
れに伴い、平成 24 年度の附属明細書の短期借入金明細表及び長期借入金明細表につい
て、記載の誤りが生じている。
123
4.平成 21 年度包括外部監査結果の措置状況について
平成 21 年度包括外部監査結果に対する措置状況について、措置状況報告書に記載
されている対応の実施状況を確認した。なお、一般財団法人青森市文化スポーツ振興
公社は平成 25 年 4 月以降スポーツ事業の指定管理業務を行っていないため、同事業の
指定管理に関する措置状況については確認を省略した。
(1)全般
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.1
公募の導入促進(意見)
今回監査対象として選定した文化スポーツ施設および観
光レクリエーション施設は、全国的に多く存在する一般的
な施設であり、他の団体を指定管理者から排除する程の当
施設固有の高い専門性はないものと思われ、他の自治体に
おいては、このような施設について、公募により指定管理
者を選定している事例は多く認められることから、次回の
指定管理者の選定においては、「基本方針」の原則的取扱
いに準拠して、「民間事業者の専門的な手法や経営ノウハ
ウを活用することで市民サービスの向上と管理経費の縮減
等」を図るために、「競争原理が働くこととなる」公募に
より指定管理者を選定すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度に指定管理者制度導入基本方針を改訂し、上
記の具体例を削除し、第三セクター等の非公募による指定
管理者の選定を取りやめます。
ただし、第三セクターについては、対応に一定の期間を
要することから、指定期間を平成25年度以降とする指定
管理者の選定(平成24年度審議)時から公募へ移行しま
す。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年8月当時、公募の導入状況は1施設のみであり、
導入割合は5%であったが、現在はアップルヒルを除き、
公募により指定管理者を選定しており、導入割合は95%で
ある。なお、アップルヒルについても平成27年度以降の指
定管理者の選定は公募選考に移行する予定であり、平成26
年度に実施する方針である。
監査人の評価
公募への移行は進んでおり、意見は反映されている。
124
意見4−1
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.2
利用料金制の導入促進(意見)
利用料金制は施設の利用者から徴収する利用料が指定管
理者の収入となることから、「指定管理者の自主的な努力
を発揮しやすく」、利用料を市へその都度納付する必要も
ないことから「市及び指定管理者の会計事務の効率化が期
待できる」のものであり、次回の指定管理者の選定におい
ては、「基本方針」において「積極的に活用を図る」とさ
れている利用料金制を導入すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
「基本方針」のとおり、今後も利用料金制の導入につい
て、選定委員会の審議を通して促進していきます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年8月当時、完全利用料金制を導入している施設
はアップルヒルのみであり、モヤヒルズ及び青森市八甲田
憩いの牧場に一部利用料金制度を導入していた。したがっ
て、一部料金制も含めた導入割合は16%であった。そして、
現在の導入状況は平成22年8月当時と変わりがない。
監査人の評価
利用料金制の導入は進んでいない。市は利用料金制の導
入を推進し、効率的な施設運営を実施すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.3
選定委員会関係・当選最低得点の設定(意見)
各施設の選定委員会における当選者の得点率が50%以下
の施設が3施設ある。これらの施設では、非公募で市によっ
て選定された応募者が1団体のみであり、得点が半分以下で
あっても当該応募者が当選している。1団体による応募で、
当選最低得点が設定されていない現状では、選定委員会は
有名無実化していると言わざるを得ない。
1団体による応募であっても当選最低得点を設定し、最低
得点に満たない場合には、指定管理者の候補者選定に立ち
戻り、候補者を再検討すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
各審査項目において、市が求める基準を満たす内容を「ふ
つう」としていることから、「ふつう」とした点数の合計
点を最低得点と設定することとします。
平成 25 年 12 月現在の対
平成22年8月対応方針の得点設定を行い、最低得点に満
125
応状況
たない場合には、原則として失格としている。なお、指摘
以降、最低得点以下で当選した者はいない。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.4
選定委員会関係・収支計画の配点割合(意見)
「③管理経費の縮減に関する選定基準の配点については
統一することとし、全体の配点の概ね30%程度とする。」
としているが、幸畑墓苑およびモヤヒルズは15%以下であ
り、「基本方針」からは大きく乖離している。
特に幸畑墓苑については、「基本方針」が策定された平
成17年7月以前であったことから止むを得ない面があるが、
仮に収支計画の配点割合が8%でなく、「基本方針」が目安
としている30%であったとすれば、当選者が変わっていた
可能性が高い状況にある。
次回選定時には、幸畑墓苑についても収支計画の配点割
合は「基本方針」に準拠して「概ね30%」とすべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
既に平成20年8月に行った平成21年度からの指定管
理者公募の際、収支計画の配点割合については「基本方針」
に基づいた配点割合とした選定を行っています。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を実施している。
応状況
監査人の評価
モヤヒルズについて、平成25年度から平成29年度の指定
期間に係る収支計画の配点割合は28.6%(40点/140点)で
概ね30%であり、意見は反映されている。また、幸畑墓苑
については、平成26年度から平成30年度の指定期間に係る
収支計画の配点割合は18.6%(25点/135点)であり、平成
25年7月に改定された『基本方針』において当該配点割合は
『概ね20%』であることから意見は反映されている。
126
意見4−2
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
No.5
選定委員会関係・応募者の財務内容に関する選定基準の追加
(意見)
指摘・意見の内容
「指定管理者導入基本方針」に指定管理者の選定基準が
定められており、これに沿って個々の施設について具体的
な選定基準が定められているが、「基本方針」にも、今回
監査対象とした施設についても、応募者の財務内容に関す
る選定基準が設けられていない。
市は速やかに「基本方針」を見直し、応募者の財務内容
に関する選定基準を追加することを検討すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
指定期間中、施設を安定して管理運営できる団体である
ことは、指定管理者となるうえで必須要件であると考えて
いることから、これまでどおり選定基準ではなく応募資格
要件とします。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
平成22年8月対応方針通り、現在も従前の運用を行って
いる。
『基本方針』による財務内容に関する規制は、『市税、
法人税、消費税及び地方消費税を完納していること』のみ
であることから、規制内容としては緩いものになっている
と言わざるを得ない。自己資本比率等の財務指標に関する
規制を設けるべきである。
意見4−3
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.6
選定委員会関係・選定委員会の外部委員の積極登用(意見)
選定委員会は7名から10名の委員で構成されているが、委
員全員が市の職員である。市の職員は行政側の立場にある
者であり、当該施設の管理業務に精通している委員の必要
性は一定程度認められるが、委員の独立性という観点から
は、行政側の立場にある者の人数は最小限に留めるべきで
あり、外部委員の積極登用が望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年度から、公平性・客観性・専門性等をより高い
次元で確保するため指定管理者制度に関し識見を有する
者、財務及び会計に関し識見を有する者を外部委員として
127
登用しました。
また、平成22年度から行政側の人数を見直しし、外部委
員の構成割合を増加させました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現在、1施設の選定委員は市の職員5名、外部委員2名
(学識経験者1名、財務等について識見を有する者1名)
で構成されており、外部委員の登用割合は29%である。
監査人の評価
外部委員の登用を行っており、一定の改善が見られる。
しかしながら、行政側の立場にある者の人数は最小限に留
めるべきとの意見に対し、外部委員の割合が29%では低い
ものと言わざるを得ない。より積極的な外部委員の登用が
望まれる。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.7
選定委員会関係・各委員による採点の実施(意見)
選定委員会による採点は、委員の合議制によって行われ
ているが、合議制によると、少数意見が採点結果に反映さ
れにくく、多数意見が強く反映される傾向となる。また、
委員のうち職責上位者の意見に引きずられ、職責下位者は
意見を言いにくい、という傾向も一般的には見受けられる
ところである。
このような選定委員会においては、各委員による討議が
行われた後に、各委員が独自に採点を行うのが一般的であ
り、上述のような弊害を防止するためには望ましい方式で
あると思われる。その上で、各委員の採点結果をどのよう
に評価するかについては、各委員全員の採点結果の平均と
する方法や最低得点および最高得点となった各1名の結果
を除外した残りの結果の平均とする方法などが考えられ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
審査項目ごとに各委員による議論の後、各委員が採点し、
その結果の最低点および最高点を除外し、残りの点数の平
均を得点とします。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年度及び平成23年度においては、平成22年8月対
応方針の方法を運用していたが、平成24年度以降、『審査
項目ごとに各委員による議論の後に、各委員が採点し、各
委員全員の採点結果の平均点を得点とする』と言う方法を
128
実施している。
監査人の評価
対応方針とは異なるが、意見を反映した選定手続を行っ
ている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.8
選定委員会関係・採点結果の通知および公表(意見)
市では指定管理者の候補者に応募した各団体に対して、
選定委員会での選定結果を通知しているが、通知内容は被
通知者の評価基準毎の得点および得点の根拠である評価内
容ならびに当選者の総得点である。
しかし、落選者にとって現状分析と次回の応募に向けて
貴重な情報となるのは、評価基準毎の得点の当選者との比
較であり、また、全応募者の総得点の比較である。これら
の情報は応募者にとって有意義なものであり、合わせて全
応募者へ通知することが望まれる。
また、公の施設という公共性を鑑みれば、選定委員会で
の採点結果は、広く市民や応募しなかった潜在的な応募希
望者にも情報公開する必要性があり、ホームページ等によ
り公表することが望ましい。
平成 22 年 8 月対応方針
包括外部監査人の意見は、平成17年度の「基本方針」策
定以前の事例についてのものであり、「基本方針」策定以
降は意見同様の通知や公表を実施しており、今後も継続し
ます。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を実施している。
応状況
監査人の評価
採点結果及びホームページにより、落選者は自己の分析
が可能であり、意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.9
文化スポーツ施設の募集の単位(意見)
文化スポーツ施設は全13施設を非公募により一括して募
集し、その結果、指定管理者制度導入前からこれらの施設
を管理していた財団法人青森市文化スポーツ振興公社を選
定している。
129
できる限り個々の施設毎に募集を行うという原則に立
ち、最低限、文化施設とスポーツ施設は区分する必要があ
ると考えられる。
平成 22 年 8 月対応方針
個々の施設で募集するか、文化施設とスポーツ施設で区
分するか、全体のスケールメリットを勘案しながら募集施
設のグルーピングを検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
現状、文化施設とスポーツ施設と言うグルーピングで募
集を行っている。
文化施設及びスポーツ施設と言うグルーピングでの募集
は行っており、最低限の意見は反映されている。今後は必
要に応じて個々の施設単位での公募の必要性を継続的に検
討していくことが望ましい。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
選定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.10
財団法人青森市文化スポーツ振興公社の人件費水準(意見)
平成20年度の当財団の常勤職員の平均年収は、職員等の
個々人の年齢、学歴、能力、勤務年数、労働時間、集計方
法等の関係もあり、単純な比較はできないが、他の2団体と
比較して給与水準は高いものとなっており、従前よりこの
給与水準が継続している。
市が、このような人件費の高い当財団を公募によらない
で当該公の施設について指定管理者とすることは望ましい
ものとはいえず、公の施設の住民サービスの効果と管理経
費の縮減の効果をそれぞれ考慮し、民間業者を含めて公募
を行い、競争原理を働かせることが指定管理者制度の導入
の趣旨と合致し、望ましい。
平成 22 年 8 月対応方針
平成24年度の指定管理者の選定審議時から公募による選
定を行います。
なお、財団は、平成21年度に給与制度を改正し人件費削
減に努めていますが、今後は他の第三セクターや民間の給
与水準の状況を参考としながら、引き続き適正な人件費水
準を検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
平成25年3月27日の定例理事会において職員給与規定を
改定し、基本給及び諸手当について約10%の削減を行った。
約10%の基本給及び諸手当の削減を行っており、意見は
130
反映されている。今後も他の第三セクター及び民間企業の
給与水準と比較し、人件費水準の検討を実施して行くこと
が望ましい。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
No.11
ユーサ浅虫およびモヤヒルズに関する指定管理料の積算
(意見)
指摘・意見の内容
当財団は、レクリエーション施設であるモヤヒルズの赤
字を、観光施設であるユーサ浅虫の黒字によって支えてい
る構造であることが明らかである。
募集単位は施設毎でありながら、実態としては観光レク
リエーション施設を一体となって管理していると言われて
も止むを得ない状況である。このことは、指定管理者を施
設毎に公募する際の障害にもなりかねない。
市は施設毎の収支の状況に応じた指定管理料の積算を行
うように見直す必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
次回の指定管理者の選定審議(平成22年度)に向けて、
施設毎の収支状況に応じた指定管理料の積算方法としま
す。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を実施している。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.12
幸畑墓苑の配点基準の事前周知(意見)
当施設は今回の監査対象施設の中で唯一、指定管理者の
選定を公募によっている。
募集時に希望者に配付した募集要項には選定基準とし
て、管理運営方針、業務員の配置・研修計画、施設設備管
理計画、防犯・防災計画、環境保全計画、利用者サービス
向上計画、利用促進・利用者増加計画、収支計画などの具
体的な評価項目を設けていることが記載されているが、各
評価項目の配点は記載されていない。
応募者にとって、各評価項目の配点は当落を決定する極
131
めて重要な指標であるとともに、市がどの項目を重要視し
て指定管理者に何を期待しているのかを示す指標でもある
から、各評価項目の配点を募集要項に明記すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
既に平成20年8月の平成21年度からの指定管理者公
募の際、各評価項目の配点を募集要項に明記しています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
募集要項に別紙として、各評価項目の配点を記載してい
る。
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.13
合子沢記念公園の応募書類の保管(結果)
市は応募書類の写しを保管しているものの、原本を紛失
していた。当財団が提出した応募書類は公の施設の指定管
理者選定に関する重要文書であり、市は適切に保管すべき
である。
平成 22 年 8 月対応方針
文書取扱規定に基づき、適正な管理を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応方針に基づき業務を行っている。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
指定管理者の選定手続
指摘・意見の内容
No.14
アッピルヒルの指定管理者選定手続(意見)
旧浪岡町の指定管理者の選定手続は、起案日が平成17年1
月11日となっている協定書締結に関する決裁のみである。
これは見方によっては、旧浪岡町は青森市との合併を控え
て、適切な指定管理者選定手続を経ずに、施設の管理を委
託していた当社と慌てて指定管理の協定書を締結した感が
あることが否めない。
現在の指定管理期間は平成22年3月31日までとなってお
り、次回の指定管理者選定においては、「青森市公の施設
に係る指定管理者の指定手続等に関する条例」「青森市公
の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例施行規
則」「指定管理者制度導入基本方針」に準拠して、募集要
項の作成、選定委員会の設置等の手順を踏んだ選定手続を
132
行うべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度4月1日からの指定管理手続きについては、平
成21年度中に、条例及び基本方針等に準拠した手続きによ
って実施しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
上記の対応を実施しており、今後も当該方針を継続して
いく意向である。
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.15
指定管理者に対する市のモニタリング手続
指摘・意見の内容
事業計画の評価手続の適正化(結果)
市は、アップルヒルの事業計画の実施状況の評価に当た
り、株式会社アップルヒルの株主総会で承認された事業計
画を指定管理者から提出をうける公の施設の管理にかかる
事業計画として入手、評価の対象としているが、当指定管
理者が市に提出すべき事業計画は、指定管理者が当公の施
設の目的を理解し、公益性の実現のために目標を立て、ど
のような事業を発案し、運営していくか、という公の施設
としての公益性にどのように資するかといった事業実施計
画であり、株主総会で承認された事業会社としての収益性
にかかる事業計画ではない。
地場産品の開発、普及等を目的とする当公の施設におい
ては、例えば、どのような地場産品を開発し、どれだけ販
売するか、どのような地場産品フェアをどのような頻度で
実施し、地場産品の普及をはかっていくかといった、当公
の施設の目的に合致した事業計画の提出を受け、どのよう
な運営がなされる計画であるかを市として把握しておく必
要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度からの指定管理手続きに当たり、「基本方針」
に基づき仕様書を整備し、当該公の施設の運営についての
指定管理業務計画を提出させました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
市は、「基本方針」に基づき青森市産地形成促進施設管
理運営業務仕様書を整備し、管理者に対しては、事業計画
書及び管理業務収支予算書を提出させている。なお、平成
23年4月には、平成23年度から平成25年度を対象にした経
営改善計画も提出させている。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
133
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.16
指定管理者に対する市のモニタリング手続
ヒアリングおよび実地調査の結果の文書化(結果)
指摘・意見の内容
ユーサ浅虫、モヤヒルズ、幸畑墓苑、八甲田憩いの牧場、
合子沢記念公園およびアップルヒルのそれぞれの施設につ
いては、事業報告書等の評価および運営状況等のモニタリ
ング調査に当たり、市の担当職員が指定管理者にヒアリン
グを実施し、評価を実施したとのことであるが、ヒアリン
グの回答内容等を記載した文書、回答内容の妥当性等を検
討するに当たって参照した資料および実地調査した結果を
記載した文書を作成していない。
評価およびモニタリング実施に当たり、その調査資料お
よび調査内容を文書で残さないと、どのような資料を調査
し、どのような回答を得て、その資料をどのように分析・
判断した等のモニタリング手続の妥当性を証明するものが
ないことになり適切ではない。これらのモニタリング調査
に当たっては、ヒアリングと実地調査を評価項目に応じて
使い分け、かつ、それらの手続を適切に実施したことの証
拠とするため、その実施の証跡を残すことが必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
「管理運営状況の評価結果」を作成するに当たり、実地
調査やヒアリングの内容と評価結果に至った経緯(分析・
判断内容)がわかるよう、各種資料を作成するとともに、
今後は公文書として適切に保存します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
モニタリング調査を実施した際には、記録文書の作成を
徹底し、当該記録文書は調査の評価結果の起案文書に添付
され、公文書として保存している。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
134
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.17
指定管理者に対する市のモニタリング手続
個別情報保護に関する実地調査の実施
(結果)
指摘・意見の内容
合子沢記念公園およびアップルヒルのそれぞれの施設に
ついては、運営状況等のモニタリング調査に当たり、市の
担当職員が指定管理者にヒアリングを実施し、評価を実施
したとのことであるが、個人情報保護にかかる検証項目に
ついては、ヒアリングのみでは十分に検証可能であるとは
考え難く、これらの検証項目については、実地調査を行う
ことが必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
個人情報に係る関係書類の保管状況については、ヒアリ
ングのみではなく、適宜実地調査を行い確認します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
実地調査を行い、当該実地調査の実施結果は文書化し、
保存している。
実地調査はなされており、指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.18
指定管理者に対する市のモニタリング手続
指摘・意見の内容
収支計算書の評価手続の適正化(結果)
ユーサ浅虫、モヤヒルズ及び幸畑墓苑について、それぞ
れの施設の当項目について、費用の節減に関する適切性に
ついてのみ記載しているが、指定管理者制度における事業
報告書等の評価の趣旨である収支計算書自体の適正性の確
保を鑑みると、当施設にかかる分として市に提出した収支
計算書自体の妥当性についても検証作業が必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度のモニタリングから、収支の内訳を確認す
るなどし、収支そのものや計画との増減のみならず、収支
計算書の適切性を評価します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
上記の対応方針に基づき業務を実施しており、その評価
結果を市のホームページで公表している。
指摘事項は改善されている。
135
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.19
指定管理者に対する市のモニタリング手続
指摘・意見の内容
調査結果の通知等(結果)
合子沢記念公園、モヤヒルズ、ユーサ浅虫、幸畑墓苑お
よびアップルヒルの各施設については、平成20年8月1日付
「指定管理者制度導入施設における事業報告書及びモニタ
リング調査における評価の実施等について(通知)」に従
わず、所管部署より指定管理者へ公文書での通知を行って
おらず、文書による担当部長への報告を確認することもで
きなかった。
また、市のホームページ上で、モニタリング評価結果お
よび事業報告書評価等の評価結果は開示されているもの
の、これらの施設では評価結果が掲示されておらず、当公
の施設の利用者は、施設において評価結果を見ることがで
きず、利用者による直接のモニタリングがなされていない。
当モニタリングは、それぞれの公の施設が、その設置目
的に沿って公益性を発揮して、運営されていることを担保
する制度である。そのためには、市のホームページに開示
されることに加え、それぞれの公の施設の利用者に直接に
市の評価結果が開示され、評価結果についての検証を受け
ることは必要である。
これらの公の施設の指定管理者の事業報告書およびモニ
タリング調査における評価結果は、それぞれの市の所管部
署で、起案文書を作成し、公文書にて通知を行うことが必
要である。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度のモニタリングから、評価結果の通知は、
起案文書により担当部長へ報告するとともに、指定管理者
へは公文書で通知します。また、その結果報告書は、各施
設に掲示します。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を実施している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
136
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.20
指定管理者に対する市のモニタリング手続
指摘・意見の内容
モニタリングの精度の向上(意見)
各所管部署におけるモニタリングの評価結果の報告書で
ある「施設の事業報告書等の評価」および「施設の管理運
営状況の評価(モニタリング)結果」を見ると、市の担当
職員の当モニタリングに対する理解度および各々の評価結
果である報告書の記載事項の質ならびにその量についてば
らつきがある。
各所管部署における評価結果の同水準の実現のために
は、各所管部署において、モニタリング目的や各項目等の
趣旨、意義を十分に理解することが重要である。そのため
には、市民政策課(旧自治体経営課)が、事業報告書およ
びモニタリング調査における評価に関して実施する通知に
おいて、「施設の事業報告書等の評価」および「施設の管
理運営状況の評価(モニタリング)結果」の各項目等の趣
旨、意義および目的等をより詳細に記載し、通知すること
が望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から、指定管理者制度を導入している施設の
所管部署が、事業報告書及びモニタリング調査における評
価を行う目的、意義等を十分理解できるよう、評価項目ご
とにその意味や考え方をより詳細に記載したうえで通知し
ます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
現在は、平成22年度8月の対応に加え、平成24年度から
選定評価委員会によるモニタリングも実施している。
意見は反映されている。
意見4−4
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
団体・施設共通事項
指摘・意見の内容
No.21
高齢者の使用料に関する全額免除の廃止の検討(意見)
青森市公の施設使用料に係る減免基準を定める規程第3
条第2項第9号の規定により、「公の施設を、年齢70歳以上
の者が個人で使用する場合」には使用料が免除されること
となっており、今回監査対象とした施設においても、当規
程の第5条において適用除外とされているモヤヒルズおよ
びユーサ浅虫を除いて、該当者は使用料を全額免除してい
137
る。
他方、市の財政状態が厳しい状況下において、70歳以上
の高齢者の市営バス運賃の全額免除に関しては、健康福祉
部高齢介護保険課が政策を立案し、関係部局と調整の上、
平成19年9月に見直され、10月以降は一部有料化されて一律
100円となっている。
市民感覚からすれば、公の施設よりも市営バスの方が公
共性は高く、弱者への配慮が必要なものと考えられる。
このように、より公共性の高い市営バスの運賃を一部有
料化し、公の施設の方は全額免除を継続しているという点
については、縦割り行政の弊害という印象が拭えず、観光
レクリエーションや文化スポーツのための施設について
も、有料化することを検討する余地があると考える。
平成 22 年 8 月対応方針
それぞれの現状に至った経緯から、「縦割り行政の弊害」
との意見は、包括外部監査人との間に認識の相違があるも
のと考えます。
また、「一方(高齢者に対するバス事業)を有料とした
ことから、他方(公の施設使用料)も有料を検討すべき」
との意見については、同列で判断すべきものではないと考
えます。
平成 25 年 12 月現在の対
平成22年8月当時と同様の運用を行っている。
応状況
監査人の評価
対応方針に示されているように、必ずしも高齢者に対す
るバス事業と公の施設使用料は同列に論じられない面もあ
るが、公の施設の受益者負担のあり方については、継続的
に検討する余地があるものと思われる。
意見4−5
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
団体・施設共通事項
指摘・意見の内容
No.22
公の施設の敷地範囲の明確化・条例上の取扱い(意見)
観光レクリエーション施設およびアップルヒルは、条例
上、施設の設置場所として、施設の敷地範囲が複数の地番
に跨っているにもかかわらず、そのうち代表的な地番1つの
みを記載している。これらの施設は比較的郊外の広い敷地
を有しており、現地視察しても公の施設としての敷地範囲
138
が必ずしも明確ではない現況にある。したがって、これら
の施設については、全ての地番を条例に明記することによ
り、公の施設の敷地範囲を明確化すべきである。
また、文化スポーツ施設は代表的な地番1つのみでも施設
の敷地範囲が概ね明らかであるが、青森市営野球場、青森
市営庭球場、青森市スポーツ会館および青森市スポーツ広
場の設置を定めている青森市都市公園条例には施設の所在
地が一切記載されていない。これら以外の文化スポーツ施
設については全ての地番または代表地番が記載されてお
り、施設の設置場所を特定するために、条例には最低限、
代表地番は記載すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
条例で規定すべきは、公の施設の位置であり、行政財産
の地番や敷地範囲ではないことから、包括外部監査人の意
見とは異なり、条例に公の施設に係る行政財産としての地
番等を明記する必要はないものと考えています。
平成 25 年 12 月現在の対
平成22年8月当時と同様の運用を行っている。
応状況
監査人の評価
地方自治法第244条の2第1項では、「公の施設の設置及び
管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならな
い。」とされており、設置に関する事項として、条例で名
称や位置が規定されるのが通例である。
公の施設の設置について条例措置が必要な理由は、公の
施設が住民の福祉を増進するために当該住民の利用に供す
ることを本来の目的として設置されるため、対住民との関
係において、当該施設の存在を広く周知させ、その活発な
使用を予定しているためである。
青森市営野球場、青森市営庭球場、青森市スポーツ会館
および青森市スポーツ広場の設置を定めている青森市都市
公園条例には施設の所在地が一切記載されていないが、こ
れらの施設についても、位置が分かるように条例に明示す
る方が、公の施設について条例措置を求めた趣旨に合致す
るものと思われる。
139
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.23
団体・施設共通事項
公の施設の敷地範囲の明確化・指定管理者との協定書上の取扱い(意見)
指摘・意見の内容
観光レクリエーション施設およびアップルヒルは、公の
施設としての敷地の範囲が必ずしも明確ではない現況にあ
るが、指定管理者との協定書上、観光レクリエーション施
設は代表地番のみの記載となっており、アップルヒルにつ
いては地番の記載が一切ない。また、青森市八甲田憩いの
牧場については、公の施設の一部を指定管理者が管理すべ
き施設から除外しているにもかかわらず、除外する範囲に
関する記載がない。
協定書上、全ての地番を明記するとともに、公の施設の
範囲を明記した図面を添付することにより、指定管理者が
管理すべき施設の範囲を明確化すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
指定管理者が管理すべき施設の範囲を明確にするため、
次回の指定管理手続から、管理すべき範囲を示した図面や
地番の一覧等の添付を行います。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を実施している。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
団体・施設共通事項
指摘・意見の内容
No.24
指定管理者が管理すべき財産の明確化(意見)
協定書において、指定管理者は財産を適切に管理する義
務を負う趣旨の規定が記載されていない施設がある。指定
管理者により財産が適切に管理されない場合には、市の財
産の劣化が通常以上に早く進行するリスクがある。このよ
うなリスクを防止するために、市は協定書において、指定
管理者は財産を適切に管理する義務を負う旨を規定すべき
である。
また、協定書に指定管理者が管理すべき対象となる具体
的な市の物品が記載されていない施設があるが、物品につ
いては盗難、損傷、紛失等のリスクがある。これらのリス
クが実際に発生したときに、指定管理者が負うべき責任の
範囲を明確にするために、市は管理対象となる物品の名称
140
および数量を協定書上明記すべきである。
さらに、全施設の協定書に公の施設の出入口等を開閉す
るための鍵の種類および数量が記載されておらず、複製を
禁止する規定は設けられていない。公の施設の出入口等を
開閉するための鍵は、盗難や紛失が発生したときは、これ
らの鍵を使用して施設が閉館となっている時間帯に不正に
侵入されてしまうリスクがある。このようなことから、施
設の鍵は厳重に管理する必要があり、市は協定書に指定管
理者との間で受け渡した鍵の一覧を記載するとともに、鍵
の複製禁止に関する規定を設けるべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から、「備品の取扱いの記載、一覧の作成」
について、募集要項への記載のチェックを行うとともに、
「財産の適正管理」「鍵の取扱い」を管理業務内容として
仕様書に規定します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
上記の対応を実施している。なお、鍵の種類及び数量に
ついては、指定管理開始時に書面で引継ぎを行っているた
め、協定書等に記載していない。
監査人の評価
意見は反映されている。
意見4−6
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
団体・施設共通事項
指摘・意見の内容
No.25
修繕費の負担区分の明確化(意見)
今回監査対象とした全施設について、協定書上、施設の
修繕費を施設所有者である市が負担するのか、施設の管理
者である指定管理者が負担するのか、明確な取決めがない。
ただし、アップルヒルについては、1,300千円以下の修繕費
は指定管理者の負担、1,300千円を超えるときは市と指定管
理者が別途協議することとなっており、一定の金額基準は
あるが、1,300千円を超えるものについては、やはり明確な
取決めがない。モヤヒルズについては、協定書上、明確な
取決めがないにもかかわらず、運用上は市が修繕費を全額
負担している。
修繕費の負担区分を事前に明確化して負担に関するトラ
ブルを防止するという観点からは、修繕費に対する基本的
な負担の考え方をできる限り規定化し、判定が困難な場合
141
にのみ別途協議とすることが望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
今後、指定管理導入施設の修繕費の取扱いに関する基準
づくりを検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現状、修繕費の取扱いに関する規定は明文化されていな
い。慣例的に130千円以下のものは少額修繕費として予算が
付与されており、1施設当たり236千円の予算を指定管理料
の積算に織り込んでいる。なお、当財団の責めにより発生
した修繕費は当財団で負担することになる。一方で、1,300
千円以上の修繕については、市が負担すると言う慣例が存
在する。
監査人の評価
現状、修繕費の取扱いに関する規定はない。上記の慣例
が存在するだけである。したがって、費用負担のトラブル
を回避するためには、修繕費の取扱いを規定し、双方の合
意を得ておく必要がある。
142
(2)一般財団法人青森市文化スポーツ振興公社
① 設立の背景
昭和54年8月に青森市民文化ホール及び青森市民美術展示館の管理運営、芸術及び文
化の普及振興等を目的として、財団法人青森市文化施設管理公社が設立された。また、
昭和57年5月に青森市民体育館、青森市営野球場、青森市民室内プール等の管理運営、
スポーツの普及振興を目的として、財団法人青森市社会体育施設管理公社が設立され
た。
その後、生涯学習への多様化する市民ニーズに応えるための環境の整備が急がれて
いるなか、青森市において、これらの市民ニーズに応えるため、特に文化、スポーツ
等の学習の拠点としての各施設のこれまでの管理運営方法や自主事業の進め方等につ
いて検討され、文化、スポーツ施策推進の業務運営の効率化と施設間の連携の強化を
図ることとし、行政サービスの向上を重点に置いた青森市行革大綱が策定された。そ
の一環として、新たに文化、スポーツ施策推進の一元化を図るために平成8年4月に両
財団を統合し、財団法人青森市文化スポーツ振興公社が設立されることになった。
平成25年4月1日、新公益法人制度改革に伴い、一般財団法人青森市文化スポーツ振
興公社へ移行した。
143
② 法人の状況
設 立 年 月 日
平成 8 年 4 月 1 日
理
事
長
佐々木
所
在
地
〒030-0812
隆
青森市堤町一丁目 4 番 1 号
電話・ FA X 番号
TEL
017−773−7300
HPアドレス
http://www.aobun-sogei.com/
FAX
017−776−2066
出資等額
基本財産・資本金等
出資等の状況
うち本市の出資等額
出資等割合
100,000 千円
%
100,000 千円
100.0%
青森市における文化及びスポーツの普及振興並びに青森市民
の体力向上を図ることにより、もって市民の生活向上と福祉の増
設
立
目
的 進に寄与するとともに、指定管理者として指定を受けた青森市が
設置する公の施設の利用者の目線に立った効率的な管理運営を
行うことを目的とする。
①文化及びスポーツの普及振興に関する事業
②青森市から指定を受けた公の施設等の管理運営に関する事業
事
業
内
容
③青森市から委託を受けて行う体力向上等に関する事業
④青森市から指定を受けた管理運営施設の利用者の利便性の向
上に係る事業
⑤その他この法人の目的を達成するために必要な事業
指定管理期間
(直近)
指定管理業務の状況
指定管理してい
る施設名
利用料金制の導
入状況
5 年間(平成 25 年度∼平成 29 年度)
青森市文化会館、青森市文化会館地下駐車場、
青森市民ホール、青森市民ホール駐車場、青森
市民美術展示館、青森市合浦亭
利用料金制なし
144
③ 組織等の状況
ⅰ. 役員の状況(平成 25 年 4 月 1 日現在)
理事
6名以上15名以内
任期
2年
監事
2名以内
任期
4年
理事及び監事は、特別の利害関係を有する評議員を除く評議員の過
半数が出席し、その過半数をもって行う評議員会の決議によって選
任する。理事長及び常務理事は、特別の利害関係を有する理事を除
く理事の過半数が出席し、その過半数をもって行う理事会の決議に
よって理事の中から選定する。
計
理事
監事
常勤
非常勤
常勤
非常勤
常勤
非常勤
定款・寄附行為上の役員数
役員の選任方法
法人採用役員
市派遣職員
市職員兼務
役員数
市職員OB
他自治体職員
民間等からの役員
小計
役員総計(常勤+非常勤)
常勤役員平均年齢
非常勤役員に対する報酬等の考え方
(注)上表中、(
1 (1)
1 (1)
1 (0)
1 (0)
6 (0)
1 (1) 8 (1)
9 (2)
※ 歳
1 (0)
0 (0) 2 (0)
2 (0)
常勤役員平均年収
1
0
0
0
0
0
1
(1) 1 (1)
(0) 0 (0)
(0) 1 (0)
(0) 1 (0)
(0) 0 (0)
(0) 7 (0)
(1) 10 (1)
11 (2)
※ 千円
理事長報酬月額150千円、理事会等出席日当5千円/回
)は報酬支給人数を内数で示しています。
※ 常勤の役員が1名のため、当該個人に関する情報が特定されるおそれがあることから、平均年齢及び平
均年収を記入していません。
ⅱ. 職員の状況(各年度の4月1日現在)
区分
常勤管理職職員 計
法人採用正職員
市派遣職員
市職員OB
その他
常勤一般職職員 計
法人採用正職員
市派遣職員
市職員OB
その他
常勤職員 合計
非常勤職員数
職員総数(常勤+非常勤)
【参考】臨時職員数
平成
22年度
(人)
9
9
職員数の推移
平成
平成
24年度
23年度
(人)
(人)
9
9
9
9
平成
25年度
(人)
1
1
23
21
23
21
23
20
22
17
2
32
2
32
3
32
5
23
32
32
32
23
20
平均年齢 平均年収
(歳) (千円)
※
※
42.7
4,211
46.6
2,155
※ 該当する職員が1名のため、当該個人に関する情報が特定されるおそれがあることから、平均年齢及
び平均年収を記入していません。
145
ⅲ. 組織体制及び事務分掌(平成 25 年 4 月 1 日現在)
組織体制
監 事 2名
総務グループ リーダー1名
理事会 9名
(うち理事長1名、常務理事 1名)
評議員会 10名
事務局長 1名
経営改革推進チーム
施設運営グループ リーダー1名
事業企画グループ リーダー1名
総務チーム
1名(文化事業企画チーム兼務)
文化会館※1
15名(うち臨13名)
経理チーム
1名(スポーツ事業企画チーム兼務)
市民美術展示館
3名(うち臨2名)
市民ホール※1
7名(うち臨5名)
※1
文化事業企画チーム
6名(うち総務チーム兼務1名)
スポーツ事業企画チーム
3名(うち経理チーム兼務1名)
【派遣】元気プラザ・西部市民センター
健康運動指導業務
5名
文化会館及び市民ホールは駐車場を含む。
事務分掌
<総務グループ>
(1) 定款及びその他諸規程の制定及び改廃に関すること
(2) 文書の収受、発送、保管及び公印に関すること
(3) 人事、職員の服務、給与及び旅費に関すること
(4) 契約、物品の出納及び保管に関すること
(5) 予算及び経理に関すること
(6) 現金等の出納管理に関すること
(7) 基金に関すること
(8) 理事会その他の会議に関すること
(9) その他公社の運営に関すること
(10) 事務監査に関すること
<事業企画グループ>
(1) 事業の企画に関すること
(2) 事業の契約、予算及び経理に関すること
(3) 青森市運動指導業務委託に関すること
(4) 事務監査に関すること
<施設運営グループ> (各館共通)
(1) 文書の収受、発送、保管及び公印に関すること
(2) 館内施設の利用の受付及び使用許可に関すること
(3) 館内施設の使用料、その他歳入の徴収及び出納管理に関すること
146
(4) 舞台設備、照明設備、音響設備の保全及び操作に関すること(文化会館、市民ホ
ール)
(5) 館の施設及び設備の管理に関すること
(6) 地下駐車場の管理・運営及び料金徴収に関すること(文化会館地下駐車場、市民
ホール地下駐車場)
(7) 施設の総合調整及び運営に関すること
(8) 事務監査に関すること
<経営改革推進チーム>
(1) 経営改革推進に関する業務
(2) その他横断的業務の総合調整に関すること
④ 財務の状況
※財務諸表に関する情報
会計年度
始期
終期
4 月 1 日∼翌年 3 月 31 日
適用会計基準
消費税等の会計処理
新公益法人会計基準
税込方式
(平成 20 年改正基準)
ⅰ. 経営成績の概要【正味財産増減計算書】
(単位:千円、千円未満四捨五入)
区 分
経常収益(A)
事業収益
本市からの指定管理収益
本市からの利用料金収益
本市からの受託事業収益
その他事業収益
受取補助金等
うち受取国庫補助金
うち受取県補助金
うち受取市補助金
経常
基本財産運用益
増減
特定資産運用益
一般正味 の部
その他経常収益
財産増減
経常費用(B)
の部
事業費
うち職員人件費
うち減価償却費
管理費
うち役職員人件費
うち減価償却費
当期経常増減額(C)=(A)-(B)
経常外
経常外収益(D)
経常外費用(E)
増減
の部
当期経常外増減額(F)=(D)-(E)
当期一般正味財産増減額(G)=(C)+(F)
当期指定正味財産増減額
147
平成22年度 平成23年度 平成24年度
811,601
773,717
862,336
805,975
771,946
856,600
748,955
697,387
791,847
6,546
28,290
25,002
50,474
46,269
39,751
2,060
540
3,963
105
30
16
3,461
1,201
1,757
797,093
776,121
777,834
754,424
764,201
754,155
154,620
187,285
164,833
264
146
11
42,669
11,920
23,679
39,456
8,634
20,003
12
75
75
14,508
▲ 2,404
84,502
145,737
1,286
7,800
147,482
569
106,462
▲ 1,745
717 ▲ 98,662
12,763
▲ 1,687 ▲ 14,160
-
ⅱ. 財政状態の概要【貸借対照表】
(単位:千円、千円未満四捨五入)
区 分
平成22年度 平成23年度 平成24年度
流動資産
144,874
156,183
229,780
固定資産
56,224
53,225
50,223
基本財産
50,000
50,000
50,000
特定資産
うち減価償却引当資産
資産の部
うち退職給付等引当資産
その他の固定資産
6,224
3,225
223
うち土地
うち建物
資産 合計
201,098
209,408
280,003
流動負債
59,136
69,133
153,888
うち短期借入金
うち本市からの借入金
固定負債
負債の部
うち長期借入金
うち本市からの借入金
うち退職給付等引当金
59,136
69,133
153,888
負債 合計
正味財産の部 指定正味財産
50,000
50,000
50,000
(新公益法人
うち基本財産への充当額
50,000
50,000
50,000
会計基準)
うち特定資産への充当額
一般正味財産
91,962
90,275
76,115
うち基本財産への充当額
うち特定資産への充当額
正味財産 合計
141,962
140,275
126,115
負債及び正味財産 合計
201,098
209,408
280,003
148
⑤ 本市の財政的関与等の状況
(単位:千円、千円未満四捨五入)
項 目
補助金
事業費補助金
管理費補助金
交付金
負担金
委託料
運動指導業務
西部市民センタープール等管理業務
合浦海水浴場管理業務
(うち再委託額)
指定管理料
指定管理業務
(うち再委託額)
貸付金(当期借入額)
短期貸付金
長期貸付金
出資金(追加額)
合 計
平成22年度 平成23年度 平成24年度
目的、内容、必要性、増減理由等
6,546
28,289
25,002
18,365
14,724 元気プラザ及び西部市民センタートレーニング室での運動指導
4,603
7,909
8,050 西 部 市 民 セ ン タ ー プ ー ル 等 の 利 用 者 の 安 全 確 保 の た め の 業 務
1,943
2,015
2,228 海水浴場の全般的管理(監視含む)
415
410
408 清掃業務等
748,955
697,387
791,847
748,955
697,387
791,847 文化・スポーツ施設の指定管理業務
185,991
185,678
184,331 保守点検業務等
755,501
725,676
816,849
(注)各項目ごとにそれぞれ四捨五入しているので、決算書と一致しない場合がある。
各年度 3 月 31 日時点
貸付金の状況
(年度末残高)
損失補償の状況
(年度末残高)
債務保証の状況
(年度末残高)
有・無
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
無
−
−
−
無
−
−
−
無
−
−
−
149
⑥ 経営状況に関する指標
ⅰ. 健全性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
算出方法
当期損益
<正味財産増減計算書>
【単位:千円】
当期一般正味財産増減額
累積損益
<貸借対照表>
【単位:千円】
一般正味財産
経常比率
経常収益/経常費用×100
自己資本比率
(正味財産比率)
正味財産合計/資産合計×100
流動比率
流動資産/流動負債×100
固定比率
固定資産/正味財産合計×100
借入金依存度
公益事業比率
内部留保金額の
水準
(短期借入金+長期借入金)/
資産合計×100
公益事業/経常費用×100
平成 22
平成 23
平成 24
年度
年度
年度
12,763
▲1,687
▲14,160
91,962
90,275
76,115
101.8
99.7
110.9
70.6
67.0
45.0
245.0
225.9
149.3
39.6
37.9
39.8
−
−
−
93.7
97.6
84.1
11.5
11.6
9.8
内部留保金額/(事業費+管理
費+事業に必要な固定資産取得
額)×100
ⅱ. 自立性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
市からの収入割
合
算出方法
平成 22
平成 23
平成 24
年度
年度
年度
本市からの収入(補助金+交付
金+負担金+委託料+指定管理
93.1
93.8
94.7
−
−
−
24.7
25.6
22.6
料)/経常収益×100
資産に対する市
本市からの貸付金残高/資産合
からの借入金割
計×100
合
受託事業の再委
再委託額/(本市からの委託料
託率
+指定管理料)×100
150
ⅲ. 効率性の視点
指標
管理費比率
人件費比率
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
算出方法
管理費/経常費用×100
役職員人件費(事業費・管
理費)/経常費用×100
職員 1 人当たりの
経常収益/職員総数(常勤
収益高
+非常勤)
平成 22 年
平成 23 年
平成 24 年
度
度
度
5.4
1.5
3.0
24.3
25.2
23.8
25,363
24,179
26,948
【単位:千円】
(出典:平成 25 年度青森市第三セクター経営状況基本情報シートより監査人が作成)
151
⑦ 監査の結果
意見4−7
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.26
財団法人青森市文化スポーツ振興公社の存在意義(意見)
指摘・意見の内容
当財団の主たる事業は、市から収受した指定管理料によ
って公の施設を管理するという民間事業者にも開放された
事業となっており、民間事業者では通常なし得ない公益法
人固有の公益事業はほとんど行っていない。ソフト事業と
称して、指定管理者として管理している文化施設を使用し
て音楽コンサート、演劇、美術品の展示などを行い、スポ
ーツ施設を使用して各種スポーツ種目の教室等を開催して
いるが、これらも市から指定管理料を受取って実施してい
るものである。公の施設の管理委託が自治体の外郭団体に
限定されていた時代においては、当財団は公益法人として
設立目的に合致した業務を行い、公益法人としての存在意
義があった。しかし、公の施設の管理が民間にも開放され
た指定管理者制度が導入された以降は、公益法人であるに
もかかわらず民間でもなしうる業務が業務の大半である当
財団の存在意義について疑問の生じるところである。民間
事業者であっても、指定管理業務の募集要項にソフト事業
も含めれば、現状程度の事業であれば十分に実施可能と思
われる。
指定管理者制度導入により公の施設の管理が民間にも開
放されたという点を踏まえ、市の外郭団体としての当財団
の存在意義と、民間活力および競争原理を活用して市の負
担を軽減すると同時に市民サービスを向上していく、とい
う背反する2つの点をどのようにすれば両立させることが
できるのか、市は検討を尽くす必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
当財団の存在意義などについて市で策定する「(仮称)
第三セクターに関する基本方針」において、財団の今後の
あり方について検討していくところであり、その中で市と
しての方向性を示します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成25年度からスポーツ事業の指定管理者はスポーツネ
ット青森(住 所:青森市新町二丁目5−1)となり、当財団
は文化事業の指定管理者として事業を行っている。
152
監査人の評価
「第三セクターに関する基本方針」において、積極的な
経営改善を前提に当財団を存続させる方向性が打ち出され
ている。しかし、当財団の行っている事業は平成21年度包
括外部監査の結果報告書に記載の通り、民間事業者でも実
施できる業務が多々あると思われ、実際にスポーツ事業の
指定管理者はスポーツネット青森に移管されている。今後
も事業環境を継続的に観察し、必要に応じて民営化その他
の検討を定期的に検討していくことも必要かと思われる。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.27
財務内容の改善(意見)
指摘・意見の内容
当財団の平成21年3月31日現在の正味財産は126,928千円
であり、退職給付引当金の未計上額202,466千円を加味する
と、実質的には債務超過の状態となっている。
このような事態となることを回避するために、当財団は
管理経費等の支出の削減や追加の出資(出えん)の募集な
ど、財務内容の改善策の実施が急務である。また、市とし
ても、外郭団体である当財団の財務内容の改善に向けて、
市としての取組方針を早急に検討する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
今後も引き続き支出の削減に取り組むとともに、財務内
容の改善策について早急に検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
平成24年度の決算においても、退職給付引当金を計上し
ていない。
当財団が従業員に対して支給する退職金については、青
森市が当財団の代わりに支給することを約している。した
がって、当財団には従業員に対して退職金を支給する義務
は発生していないと判断されることから、退職給付引当金
の計上は不要と判断した。
153
意見4−8
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.30
市との指定管理業務に関する協定上の取扱い(結果)
指摘・意見の内容
当財団は指定管理業務を行っている各施設に設置してい
る自動販売機の販売手数料及び文化会館で開催されるコン
サート等の催事の観覧券の販売手数料収入を市へ報告して
いる指定管理業務に関する収支報告書に記載していない。
しかし、これらは指定管理業務を行っていることに直接付
随して得られる収入であり、指定管理業務を行わない場合
には得られない収入であるため、指定管理業務に関する収
支報告書上、収入として記載すべきである。
同様に、市は指定管理者を公募せず、非公募により当財
団に指定管理業務を行わせているのであるから、指定管理
料の積算上、当収入は管理運営費から控除して指定管理料
を見込むべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
自動販売機の販売手数料は、指定管理の有無に関らず許
可者の収入として帰属するものであり、指定管理者以外の
者が設置することも可能であることから、指定管理業務に
付随して得られる収入ではないと考えます。
また、催事の観覧券の販売手数料は、催事の主催者から
の販売受託契約に基づく収入であり、本来指定管理者以外
の者が行うべき観覧券の販売を財団が任意で行うことによ
り得られる収入であることから、施設に付随する収入では
なく、財団の自主事業による収入であると考えます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成24年度までは平成22年8月時の対応方針の通り、自動
販売機の販売手数料及び催事の観覧券の販売手数料は、当
財団の自主事業であるとの認識で、指定管理業務に関する
収支報告書に記載していなかった。しかしながら、平成25
年度から方針を変更し、上記手数料を収支報告書に記載す
ることとした。そこで、『青森市文化施設及び施設付属駐
車場管理業務収支予算書(平成25年度)』には、上記手数
料を収入に含めて青森市に報告している。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。しかしながら、文化会館で
開催されるコンサート等の催事の観覧券の販売手数料は、
施設に付随する収入ではなく、財団の自主事業による収入
であると判断される。当該観覧券等の販売手数料は催事の
154
主催者からの販売受託契約に基づくものであり、当該観覧
券等は他のプレイガイド等でも十分に購入する機会があ
り、当施設でのみ購入が可能と言うような特殊事情はない
ため、いわゆる公平性は保たれていると判断される。した
がって、催事の観覧券の販売手数料は当財団の自主事業と
判断し、指定管理業務に関する収支報告書に記載する必要
はないと判断する。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.31
財団法人青森市文化スポーツ振興公社の決算書上の取扱い(結果)
指摘・意見の内容
当財団の決算書上、会計区分は、以下のようになってい
る。
① 一般会計・・・指定管理業務
② 文化事業特別会計・・・公益法人としての財団が行ってい
る文化事業(自主事業)
③ スポーツ事業特別会計・・・公益法人としての財団が行っ
ているスポーツ事業(自主事業)
④ 施設付帯事業特別会計・・・①∼③以外の付帯事業
自動販売機手数料収入は④の施設付帯事業特別会計に
計上し、観覧券販売手数料収入は②の文化事業特別会計
に計上しているが、これらの収入は指定管理業務に直接
付随して得られる収入であり、①の一般会計に計上すべ
きである。
平成 22 年 8 月対応方針
自動販売機販売手数料及び催事の観覧券の販売手数料
は、いずれも指定管理付随収入とは認識していないことか
ら、現行の会計処理で問題はないと考えています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現行の会計区分は、①∼③を公益目的事業会計、④を収
益事業等会計として区分している。そして、上記の自動販
売機手数料収入及び観覧券販売手数料収入は、収益事業等
会計に計上している。
監査人の評価
現在、指摘時の会計区分を採用していない。自動販売機
手数料及び観覧券販売手数料の収受は収益事業に該当する
ことから当財団が採用している会計区分に問題はないと判
断した。
155
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.32
職員互助会への貸付金の貸倒処理(結果)
指摘・意見の内容
当財団は平成18年6月に発生した職員互助会への貸付金
8,831千円のうち、平成19年度中に2,988千円を回収し、平
成20年3月31日現在の貸付金残高は5,843千円であり、平成
21年3月31日現在まで貸付金残高は不変である。
職員互助会は平成20年3月31日以降、資金残高がゼロのま
ま休止状態となっており、加えて、将来の活動によって資
金獲得の可能性も見込めないことから、当貸付金を職員互
助会から回収することは極めて困難な状況となっている。
平成21年3月31日時点において、職員互助会の休止状態は
1年を超えて継続しており、また活動の再開も見込めないこ
とから、当財団は平成20年度の決算処理において当貸付金
を貸倒処理すべきであったものと考える。
平成21年度の決算日まで、上記返済可能性の状況に変化
がないのであれば、当財団は平成21年度の決算処理におい
て、当貸付金を貸倒処理すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
貸付金債権の消滅時効の時期は到来していませんでした
が、職員互助会の休止状態が2年間となり、活動の再開や将
来の活動によって資金獲得の可能性も見込めないことか
ら、平成21年度決算において、貸付金の貸倒処理を行いま
した。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成21年度において、当該貸付金の全額について貸倒引
当金を計上し、当該繰入額を経常外費用として計上した。
その後、平成22年度において当該貸付金に対する回収の目
途が立ったことから当該貸倒引当金を全額取り崩し、当該
取り崩し額を経常外収益に計上した。平成24年度までに全
額を回収し、計上した貸倒引当金を取り崩し、特別利益に
計上した。そして、平成23年度に2,921千円及び平成24年度
に2,916千円の返済を受け全額を回収した。
監査人の評価
当財団は平成22年度中に職員互助会と返済協定書を取り
交わし、その内容からも今後2年間に当該貸付金の回収は確
実なものと判断され、回収不能見込み額はゼロと判断し、
会計処理は妥当と判断した。
156
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.33
退職給付引当金の計上(結果)
指摘・意見の内容
当財団では退職金規程により、職員に対して退職給付債
務を負っているが、退職給付引当金を計上していない。平
成18年4月1日から施行された公益法人会計基準では退職給
付引当金を計上することとされている。平成21年3月31日現
在の自己都合要支給額202,466千円について、公益法人会計
基準に準拠して退職給付引当金を計上する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
退職金引当金の充当財源や積立計画などの方策を早急に
検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
当財団は、平成24年度の決算において退職給付引当金を
計上していない。
当財団が従業員に対して支給する退職金については、青
森市が当財団の代わりに支給することを約している。した
がって、当財団には従業員に対して退職金を支給する義務
は発生していないと判断されることから、退職給付引当金
の計上は不要と判断した。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.34
パーソナルコンピューターへのアクセス管理(意見)
指摘・意見の内容
当財団所有のパーソナルコンピューターについて、職員
が自主的に立ち上げ時のパスワードを設定していた1台を
除き、その他のパーソナルコンピューターについては、立
ち上げ時のパスワードが設定されていなかった。当財団に
おいては、パーソナルコンピューターについて、立ち上げ
時のパスワードを設定することおよび当パスワードを定期
的に変更することとする規則も設けられていない。
パーソナルコンピューターについては、盗難やデータの
不正コピーによって、当財団の会計処理データ、公の施設
の利用者に関するデータおよび役職員の給与データなどの
不正利用の危険性があることから、すべてのパーソナルコ
ンピューターについて、立ち上げ時のアクセス管理として、
パスワードを設定し、そのパスワードについては、定期的
に変更する規則をさだめ、運用されることが必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
立ち上げ時のアクセス管理やパスワード設定について、
157
財団としてのセキュリティ体制を強化するためのルールを
作成し、それに基づく運用に改めました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
年に一度、事務局長の指示でパスワードの変更を行って
おり、変更後は、『公社パソコンパスワード登録表』で管
理している。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.35
会計ソフトへのアクセス管理(意見)
指摘・意見の内容
当財団では、公益法人会計ソフトを複数のパーソナルコ
ンピューターを接続したLANパッケージを使用している。
この公益法人会計ソフトには、複数のユーザーが登録さ
れ、これらのユーザーには共通のパスワードが設定されて
いるが、その共通のパスワードは定期的な更新が行われて
いない。当ソフトへの入力の妥当性については、伝票入力
の複数チェックや当ソフトの入力データの税理士によるチ
ェックの手続で補完されているものの、会計処理に関する
不正の防止を徹底するという観点から、当ソフトへのアク
セス管理として、ユーザー別にパスワードを設定し、定期
的にそのユーザー別パスワードを変更することが必要であ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
パスワード設定については、定期的に変更を行うなど、
不正防止の徹底を強化しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
会計ソフトは使用者のみのパーソナルコンピューターに
インストールされており、そのパスワードは当該パーソナ
ルコンピューターのログイン時のパスワードと同様になっ
ている。そして、そのパスワードは年に一度、局長指示で
変更している。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.39
利用者ご意見箱の施錠管理および用紙の様式等(意見)
指摘・意見の内容
文化スポーツ施設では利用者からの意見を広く集め、今
後の施設の管理、利用者へのサービス向上に活用するため
158
に、ご意見箱を設置している。このご意見箱の設置目的は
適切なものであるが、ご意見箱は施錠管理されていない。
投書された用紙には利用者の氏名や連絡先などの個人情報
が記載されている可能性があり、個人情報保護の観点から、
ご意見箱は施錠管理すべきである。
また、意見を記入する用紙のご意見欄は白紙となってい
るが、利用時間や職員の応対態度、応対所要時間など、特
に意見を求めたい項目は、用紙に印刷して、より積極的に
意見を求めることが望まれる。
さらに、電話で寄せられた意見について、現在は記録を
残していないが、電話であっても利用者からの貴重な意見
であり、意見受付票等に記録・保存して活用することが望
まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
ご意見箱は施錠管理することに改めました。
また、意見を記入する用紙の様式の改善及び電話での意
見等の記載保存も実施しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
ご意見箱は施錠管理を行い、また、意見を記入する用紙
もより利用者の意見を聴取できるように改善されている。
さらに、電話等で頂いた意見についてもメモを作成し、保
管している。
監査人の評価
適切な管理がなされており、意見は反映されている。
指摘4−9
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.40
備品の実在性の確認(結果)
指摘・意見の内容
文化会館、美術展示館、体育館、市民室内プールなど各
施設を視察した中では、会議室の机や椅子など、備品を管
理・特定する備品番号の入った「シール」が貼付されてい
るものと、貼付されていないものとが混在しており、バッ
クヤード等ではシールが貼付されていないホワイトボード
や展示板、脚立などが散見された。
青森市財務規則第227条第2項では、「総務部長は、物品
の取得、管理及び処分に関する事務の適正に期するため必
要があると認めるときは、部局の長に対し、その所管に属
する物品に関する資料若しくは報告を求め、随時に職員を
159
して実地に調査をさせ、又は分類換えその他必要な措置を
求めることができる」と規定されているが、現物との照合
が長年実施されていなかった上記の状況は、とても備品に
関する事務の適正に期しているとは言えず、財務規則違反
の状態となっている。
市民の税金で購入している備品であることに鑑みれば、
本来は少なくとも年に1度程度は市としても現物を確認し、
備品の有無やその状態を把握する必要性は高い。また、指
定管理者が備品を管理している場合でも、備品の有無・状
態等については適時に報告を求め、適切に把握・管理する
必要性は十分にある。
市有備品管理の重要性を考慮すれば、早急にシールの貼
付といった備品特定作業を完了し、少なくとも年に1度程
度、もしくは仮に数が多く1度に当該作業を実施することが
困難な場合でも、数年をかけて循環的に現物確認を行うと
いったルールを策定し、当財団から市への報告体制を構築
すべきである。また、市は上記の事項を十分に踏まえ、備
品の現物管理に係る規則に現物照合の実施を明記すべきで
ある。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年度に、備品シール貼付による備品の特定作業と
現物確認作業を実施しました。今後は、備品台帳と現物の
照合の徹底と、市への報告体制を強化します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
市が保有している備品データに基づき、備品シールの貼
付及び現物確認を行い、市に報告を行っている。
文化会館において備品シールの貼付状況を確認したとこ
ろ、机及び椅子でシールが剥がれているものが散見された。
これは、種々のイベントに応じて机及び椅子を移動するこ
とが多く、その際に剥がれてしまうことがあるとの回答を
得た。剥がれてしまったものは、適宜貼り直し等を行い、
今後も適切に管理していく必要がある。
160
意見4−10
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.41
設計書の適切な算定(意見)
指摘・意見の内容
当財団は業務の一部を外部に委託しているが、一定金額
以上の案件については入札または見積り合せを行うことに
よって委託業者を選定している。当該入札を行う時には最
低入札価格を決定するため、また見積り合せを行うときに
は委託額の妥当性を確認するため設計書を作成している。
当財団が管理している施設は13施設に上っているため、
施設を跨いで共通の契約書になっているケースも多く、そ
の場合には各々の施設の担当者が行うのではなく、そのう
ちの一施設の担当者が中心になって行うこととしている。
しかしながら、担当者によっては、前回の設計書をそのま
ま引用し、業務委託契約書または同仕様書の業務内容に変
更があるにもかかわらず前回の契約書等の内容をそのまま
記載するなど基本的な点でミスが多い。
当財団は入札または相見積りの都度、独自で設計書を個
別品目の積上げにより算定し直すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、入札や相見積もりの都度、設計書は独
自による個別品目の積上げ算定を実施しています。
平成 25 年 12 月現在の対
設計書は個別品目の積み上げにより算定している。
応状況
監査人の評価
設計書は当財団で積み上げにより算定されている。しか
しながら、平成22年8月提出措置状況報告書No.49の指摘で
あるように当財団で独自に積算を出来るスキルがなく、現
時点においても同様であることから、現在行っている設計
書の作成方法は、前年度の実績等を用いたものであり、独
自の設計書とは言い難い。
なお、現状、当財団では積算の出来る専門家を養成する
ための資金が十分にあるとは言えないことから今後は市の
専門家の協力を仰ぐ、又は外部の専門家に業務を委託する
等の費用対効果を勘案した方法を検討する必要がある。
161
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.42
委託業務の契約期間(意見)
指摘・意見の内容
当財団は業務の一部を外部に委託しているが、当財団が
締結している業務委託契約の期間はすべて1年であり、期間
終了時には毎回入札または相見積りを実施している。しか
しながら、当財団が指定管理者になって以降の3年間では、
ほとんどの業務委託契約は結果として同一の業者に委託し
ている状況となっている。したがって、例えば3年などの複
数年契約を締結することによって、業務委託額をより安価
にすることが期待できる。
当財団は、業務委託額をより安価にするために、複数年
契約を実施することを検討すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
複数年度による委託契約は、指定管理期間内でのみ可能
であるため、次期(平成23年度から2か年)の指定管理者
となった場合、検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
業務の外部委託について、複数年契約は締結していない。
と言うよりも、実質的に複数年契約は締結できない。なぜ
なら、市の予算との兼ね合いから当年度と翌年度等の予算
額が同額になるとの保証もないため、単年度契約を締結せ
ざるを得ない。
監査人の評価
市の予算との兼ね合いから、実質的に複数年契約は締結
できないため、単年度契約でより有利な契約を締結できる
かが重要と判断される。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.43
委託額の各施設への配賦方法(結果)
指摘・意見の内容
当財団の業務委託に関しては、いくつかの施設を一括し
て委託業者と契約を締結している。その場合、当財団は契
約書上に記載されている施設毎の金額を各施設の負担額と
するが、契約書上施設毎の金額が記載されていないときに
は各施設の設計書に基づき配賦している。しかしながら、
それによる算定額と実際に施設へ配賦された金額に若干差
異が生じている。
設計書に基づく算定額と実際の配賦額にはこのような差
異が生じていることから、各施設の損益が正しく反映され
162
ないことになり、施設管理が十分なされていないことにな
る。当財団は契約書上の金額または設計書に基づき正しく
算定した金額を何ら調整なしに各施設に配賦する必要があ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から、各施設毎の損益を正確に把握するため、
設計書に基づき正しく算定した金額を調整せずに各施設に
配賦しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
当財団は、上記の金額について調整を加えずに配賦を行
っている。
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.44
支出負担行為票の内容の確認(結果)
指摘・意見の内容
青森市文化会館冷凍機保守点検整備業務に関して、当財
団の局長および施設の館長以下の職員の承認を得るための
帳票である支出負担行為票には契約方法、支払方法、契約
相手方、支出予定額、購入額、支出目的等が記載されてい
るが、支出負担行為票に記載されている支出の目的には、
冷凍機保守点検整備業務にもかかわらず、品名として冷凍
機保守点検整備業務とはまったく無関係の別の業務である
「青森市文化会館舞台音響設備保守点検整備業務」と記載
されていた。
支出負担行為票には局長および施設の館長以下の職員8
名が承認印を押印しておきながら誰一人として、当業務と
はまったく無関係の別の業務が記載されていることを指摘
している者がいなかったことは、内容についての確認をせ
ずにめくら判を押していたと言わざるを得ない。承認者は
支出負担行為票の内容を確認の上押印をすべきである。
また、承認者が多くなると、各自の責任意識が希薄とな
り、自分一人くらいは確認を怠っても構わないであろう、
というような意識が働き易くなる傾向が一般的にはあると
考えられる。このような事態を防止するために、本当に8
名もの承認者が必要であるのか、最低限必要な承認者は誰
であるのかを当財団は再検討することにより、業務の実効
性および効率性の向上を図る必要があると考える。
163
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年度から、決裁ラインおよび組織の見直しなど、
事務事業の実効性、効率性の向上を図る改善策を実施しま
した。
平成 25 年 12 月現在の対
改善策を実施し、適切に業務を行っている。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.45
同一業務の指名競争入札単位の検討(意見)
指摘・意見の内容
清掃作業などの複数の施設に共通した委託業務につい
て、委託業務に関する指名競争入札の方法について確認し
たところ、施設が所在している地域毎に分割して入札する
方法が採られていた。しかし、地域毎に分割する合理的な
理由に乏しく、各施設をまとめて指名競争入札した方が契
約額をより低額にすることが可能であると考える。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から、実施可能な業務(清掃委託業務)をま
とめて契約しました。
しかしながら、除排雪業務に関しては、施設間の距離が
4km離れており、冬場の降雪時には、雪のない時期に比べて
数倍の移動時間を要するほか、時間内での除排雪作業が困
難なことも予想されるなど、地域固有の課題もあるため、
同一業者で効率的に実施できるかどうか検証する必要があ
ります。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
まとめることが可能な業務については、まとめて契約を
締結している。
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.46
指名競争入札不落時の手続の不備(結果)
指摘・意見の内容
当財団は、地方自治法施行令第167条の2第1項第8号にお
ける「競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札
に付し落札者がないとき」は随意契約によることができる
規定を準用し、3回目の最低入札価格者との随意契約を行っ
た。
164
随意契約手続としては、予定価格以下に達するまで随意
契約先から見積書を入手し続けることになるが、それらの
見積書は見当たらなかった。委託契約額と同額の見積書は
保存されているが、当該見積書には日付が入っていないた
め、この時の見積書か否か不明の状態になっている。
当財団は最終的に随意契約を行ったのであるから、随意
契約に切替えた後に入手した見積書を保存しておく必要が
ある。
また、日付のない見積書を入手すべきではなく、見積書
には日付を入れるよう業者を指導する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
契約書類の内容確認を複数で行うとともに、契約手続に
要した書類の保存を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
改善策を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.47
指名競争入札手続の不備および決裁文書の不実記載(結果)
指摘・意見の内容
①入札執行表では2回目の入札額で「落札」と記載されてい
るが、実際にはE社の入札額は予定価格である3,884千円
に達していないため落札はしていなかった。入札執行票
には入札の状況を正確に記載すべきである。
②決裁文書の随意契約理由によれば、「再入札にいとまが
ないこと」などから最低入札価格を提示したE社と随意
契約を締結したとしているが、本当にいとまがなかった
か疑問である。入札は年度末である平成20年3月31日の11
時に執行されたことから、確かに「再入札にいとまがな
い」とは言えるが、同日の16時にE社より見積書の提出
を受け随意契約を締結しているのであるから、E社で再
入札を行うことは時間的に可能であったと推測される。
指名競争入札の実効を高めるためには少なくとも3回の
入札執行は行うべきである。
③決裁文書中に随意契約先の社名を誤ったことは、決裁文
書への不実記載である。また、決裁文書への承認を行う
意思決定者は決裁文書の内容を確認せずに押印してい
165
る。決裁文書は事案について当財団として最終決定を行
う資料であるため、内容については十分留意すると共に
不実記載にならないように意思決定者は内容の確認を行
った上で押印すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
不備のあった書類は修正しました。
今後は、契約書類の内容確認を複数で行うとともに、厳
格な契約手続の運用を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
改善策を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
指摘4−11
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.48
不明朗な入札結果(意見)
指摘・意見の内容
青森市文化会館等清掃作業等業務および青森市屋内グラ
ウンド等清掃作業業務については指名競争入札において不
明朗な入札結果が見受けられた。
①入札参加指名業者の一部は前年度も入札に参加してお
り、前年度の落札額が19,000千円であることを知り得た
にもかかわらず、1回目には前年度落札額を超える入札額
であり、2回目には辞退している。このような入札結果を
鑑みると、2回目で辞退した業者は当業務を行う意思がな
く入札に参加した可能性を否定できない結果となってい
る。
②早くも2回目までで指名業者の大半が入札辞退している
という通常考えられない状況となっている。この点にお
いて談合があったのではないかという疑念を払しょくす
ることができない入札結果となっている。
平成 22 年 8 月対応方針
入札にあたっては、指名業者の一部入れ替えを行ってい
ることから、入札結果は適正な執行の結果であると認識し
ています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
上記業務について適切に入札を行っている。しかし、監
査の過程で新たな不備が発見された。
平成25年度の入札結果を確認したところ、不適切だと思
われる入札結果は見受けられなかった。しかしながら、平
166
成21年度の上記の指摘事項とは異なる新たな指摘事項とし
て、入札結果報告書に記載誤りが発見された。青森市文化
会館自動制御設備保守点検整備業務及び青森市民美術展示
会館ボイラー及び空調設備保守点検整備業務の入札に関す
る入札結果報告書について、A業者の入札額が『1,045千円』
であったところ、結果報告書には『10,450千円』と記載さ
れていた。執行人及び立会人の押印があるが、結果報告書
の内容を確認していないとの疑念がある。今後は内容を適
切に確認することが望まれる。
意見4−12
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.49
適切な設計書の算定(意見)
指摘・意見の内容
随意契約を行う場合には設計額に基づいて契約額を算定
することから、設計額の積算は必須である。当財団は設計
額の積算を行う専門家を独自に養成し、自前で設計額を積
算する必要があり、その際、積算の担当者は他館の積算手
法など情報収集しながら、適切な設計書の作成方法につい
て検討すべきである。また、業務委託は委託業者との間で
談合や癒着が生じる可能性があるため、業務委託契約に係
る手続は適正に行われるよう十分に留意する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
今後は、実務研修を実施し、設計書等の適切な資料作成
を行うべく職員の育成を図りながら、適切な執行に努めま
す。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現状、研修を実施しているが、積算の出来る専門家を養
成出来ていない。したがって、積算は、前年度実績や委託
業者の見積り等を参考にして行っている。
監査人の評価
研修内容を確認したところ、積算に直接関係する研修は
ない。当財団の現状を鑑みると、積算の出来る専門家を養
成するための資金が十分にあるとは言えない。したがって、
市の専門家の協力を仰ぐ、又は外部の専門家に業務委託す
る等の費用対効果を勘案した方法を検討する必要がある。
167
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.51
同一内容業務の入札の一本化(意見)
指摘・意見の内容
青森市スポーツ広場植栽・造園施設管理業務と青森市文
化会館構内樹木管理等業務の内容にそれほど大きな違いは
なく、青森市スポーツ広場においては、芝生グラウンド維
持管理業務と植栽・造園施設管理業務が分離されているこ
とは、不効率と考えられる。さらに、この2委託業務につい
ては、現委託業者であるI社、J社も含めた指名業者10社
が双方の委託業務の指名業者に選定されていることから、2
委託業務を分割して指名競争入札する理由は見当たらな
い。
一般的に2委託業務を分割せず一括して入札する方がよ
り安価に入札されることが期待されるのであるから、2委託
業務を一括して指名競争入札をすることを考慮すべきであ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、文化会館とスポーツ広場の樹木管理業
務を一括して、入札を実施しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年度から平成24年度は、一括して入札を実施して
いたが、平成25年4月からスポーツ事業の指定管理者はスポ
ーツネット青森に移管されたため、文化会館とスポーツ広
場で別々の入札が行われている。
監査人の評価
スポーツ事業と文化事業を、別々の指定管理者が行うこ
とになったために生じるデメリットである。しかしながら、
従来のスポーツ事業と文化事業を一括して当財団が指定管
理者となっていた場合より、スポーツ事業が他社に移管さ
れたと言うことは競争原理が働いていることと捉えられ、
当該入札についてはデメリットが生じたが、スポーツ事業
と文化事業のそれぞれで考えた場合には、メリットの方が
大きいのではないかと推察される。したがって、このよう
な入札が生じた場合にはやむを得ないと判断する。
168
意見4−13
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.52
日付の記載のない見積書の入手(結果)
指摘・意見の内容
青森市文化会館等自家用電気工作物保安管理業務につい
ては、委託業者と平成20年4月1日において随意契約を締結
している。当財団は契約金額を決定するため契約前に委託
業者から見積書を入手しているが、当該見積書に日付が記
載されていない。これではいつ時点の見積書か明確ではな
い。
委託業者は見積書を発行する時には見積書に日付を記載
すべきであり、当財団は日付を記載するよう委託業者に求
めるべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
契約書類の内容確認を複数で行うとともに、今後は厳格
な対応を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
概ね改善策を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
今回の監査において見積書の閲覧を行ったところ、日付
のない見積書は見受けられなかったので、指摘事項の改善
はなされていると判断する。
一方で、随意契約を締結する際には当財団のルール上、
起案書において当該契約業務に係る『支出予定額』を決定
し、その後、当該随意契約を締結する業者に見積書を提出
させている。
平成25年度の契約に係る見積書を閲覧したところ、『青
森市民ホール舞台機構設備保守点検業務』、『青森市民ホ
ール舞台音響設備保守点検業務』及び『青森市民ホール電
話交換設備保守点検整備業務』に係る見積書について、当
該見積書の日付が契約開始日(平成25年4月1日)となって
いた。そもそも、一般的な商慣習においては、見積書を入
手し、その内容を検討した上で契約を締結するのであり、
見積書の日付が契約開始日と同日と言うことは、当該見積
書の内容検討が行われていないとの疑念が生じる。したが
って、契約を締結する際には、契約開始日以前に見積書を
入手し、その内容を検討の上、契約を締結すべきである。
169
意見4−14
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.53
不適切な随意契約理由(結果)
指摘・意見の内容
【1】 青森市民ホール機械設備等維持管理業務は、エレベ
ーター設備、空調用冷凍機、空調パッケージ設備、ボ
イラー設備などの設備点検の他に水道施設検査、空気
環境測定、飲料水水質検査、残留塩素測定、害虫駆除、
消防設備点検、受水槽清掃、高架水槽清掃、汚雑排水
槽清掃など多岐に亘った業務が含まれている。そのた
め、エレベーター設備の保守点検業務はエレベーター
のメーカーに、自動扉設備保守点検業務は自動扉のメ
ーカーに、冷凍機は第一種フロン類回収業者に、水質
検査は登録業者に再委託を行わざる得ない状況にな
っている。このような状況では、多岐に亘る業務を一
業者に一括して随意契約をする理由に乏しいと言わ
ざるを得ない。
当委託業務については、随意契約理由が適切でない
ことから、適当な単位にグルーピングを行った上で、
入札を実施すべきである。
【2】 青森市文化会館冷凍機保守点検業務については、随
意契約により当冷凍機のメーカーの子会社と業務委
託契約を締結している。業務委託概要書の随意契約理
由によれば、「冷凍機は、製作メーカー固有の特殊な
構造・機能を有することから、その保守点検について
精通し、安全に業務を実施するための技術、工具等が
必要である。またその実施に当たっては、専用部品の
確保も重要である。」とされている。当財団は当冷凍
機のメーカーの子会社以外にも当冷凍機の代理店等
保守点検を行うことができる会社があるか否かの確
認を行わずに、当委託業者と随意契約を行って業務を
委託している。
当財団は随意契約を行うのであれば、競争原理を働
かせ、より安価な委託金額とするために、他業者では
できないか否かについて調査・検討を行うべきであ
る。
170
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、業務内容を精査し適切なグルーピング
による入札を実施しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
【1】青森市民ホール機械設備等維持管理業務については、
『青森市民ホールエレベーター設備保守点検整備業
務』、『青森市民ホール自動扉保守点検整備業務』、
『青森市民ホール機械設備等維持管理業務(名称は従
前と同じであるが、業務内容を大幅に削減)』及び『青
森市民ホール冷温水発生機保守点検整備業務』の4業
務に分離し、4業務とも随意契約により業務委託契約
を締結した。
【2】青森市文化会館冷凍機保守点検業務については、当該
冷凍機のメーカーの子会社と随意契約を締結した。
監査人の評価
【1】及び【2】ともに、随意契約で業務委託しており、
委託先は当該設備の制作設置会社又は子会社となっている
ものが見受けられた。随意契約理由としては、他社に依頼
した場合には、経済的に不利となるとのことである。実際
のところ、当該設備の納入時点で当該設備の維持管理業者
は決定されているように思われる。このような場合、そも
そも当該設備の納入業者の選定の際には、設備導入後の保
守業務の委託も視野に入れ、ライフサイクルコストを考慮
した入札も検討すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.55
仕様書への記名および押印(結果)
指摘・意見の内容
委託業務について、業務委託契約書ファイルに添付され
ている仕様書を確認したところ、当財団および委託業者共
に、住所、会社名の記載がなく契約印も押印されていない
ため、仕様書のみでは正式な契約書の体をなしていない。
これらの業務委託契約書(または請書、以下同様)の条項
においては作業内容、作業方法、作業時期、作業回数、提
出書類、留意事項など重要な内容は記載されておらず、当
財団が委託を行うに当たって、適正な経営管理が行われて
いるとは言えないと考える。
業務遂行に関して委託業者との間での後日のトラブルを
171
防止するためにも、契約書自体には契約印が押印されてい
ることから、仕様書は契約書本体に一緒に綴じ込むか、契
約書と同様に当財団および委託業者の住所、会社名を記載
した上に契約印を押印する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 21 年度から、仕様書は契約書本体と一緒に綴込み、
契約書類は複数の者で確認を行っています。
平成 25 年 12 月現在の対
改善策を実施し、適切に業務を行っている。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
172
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.56
仕様書への委託業務実施頻度の明記(結果)
指摘・意見の内容
青森市文化会館等清掃作業等業務において、青森市文化
会館の貯水槽の清掃が6月30日に行われた。青森市文化会館
等清掃作業業務等仕様書第4条青森市文化会館2.建築物環
境衛生管理作業(5)貯水槽によれば、「高置水槽又は圧力
水槽の掃除は、原則として受水槽の掃除と同じ日に行うこ
と。」とあり、受水槽の掃除日が何も記載されていないた
め、年に何回なのか、月に何回なのか、毎日なのか不明に
なっている。また、ボイラー等清掃作業においても仕様書
に作業日に関する記載がまったくないため、同様の問題が
ある。
この状況は当財団が委託業者に作業を任せたまま管理を
行っていないのではないかという疑念すら生じさせる。年
単位に業務を行う場合、月単位に行う場合、毎日行う場合
では業務コストも異なり、ひいては委託金額も異なること
から業務委託契約書には年間作業日数に関する規定を明確
に記載する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、仕様書に回数及び作業日に関する記載
をすることとしました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
仕様書に回数及び作業日に関する記載を行い、適切に業
務を行っている。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.61
再委託の承諾違反(結果)
指摘・意見の内容
一部の委託業者は委託業務のうち一部の業務について第
三者へ再委託している。業務委託契約書第5条(再委託等の
制限)によれば、「乙(委託業者)は、委託業務の全部又
は一部を委託し、又は請け負わせてはならない。ただし、
あらかじめ書面により甲(指定管理者)の承認を得た場合
は、この限りではない。」とされていることから、本来委
託業者は、業務の一部を第三者へ再委託する場合には当財
団の承諾が必要であるにもかかわらず、その承諾を得ずに
第三者へ再委託を行っており、明らかに業務委託契約違反
173
である。
当財団は、委託業者を通して再委託業者からの業務実施
報告書を入手しており、再委託が行われたことを知り得た
のであるから、委託業者に対して当財団に承諾申請書の提
出を求めていなかったことは不適切と言わざるを得ない。
加えて、青森市民ホール機械設備等維持管理業務について
は、多岐に亘る委託内容から再委託の可能性が十分あり、
再委託業者から入手している業務実施報告書に添付されて
いる作業以外にも再委託になっている作業があると推定さ
れることから、当財団がその点について委託業者に確認し
ていないことは、怠慢と言わざるを得ない。当財団は、再
委託を行っているすべての委託業者に対して承諾申請書の
提出を求めるべきである。その上で、再委託の妥当性を検
討し承認すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
委託業者に対して再委託の有無を確認するとともに、再
委託を行う場合は、承認申請書の提出を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
改善策を実施し、適切に業務を行っている。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.62
業務実施報告書等の入手の徹底(結果)
指摘・意見の内容
一部の委託業務について、委託業務仕様書第6条(提出書
類)によれば、「乙(委託業者)は、契約書に定める書類
のほか、次の書類を提出すること。
(1)業務実施報告書(2)
委託業務実施状況記録写真」とされている。しかしながら、
関係資料を閲覧したところ、仕様書に規定している作業を
適正に行っていることを示す業務実施報告書または委託業
務実施状況記録写真は入手されていないことが判明した。
各委託業者は上記業務実施報告書または記録写真を当財団
へ提出していないことから仕様書違反となる。
また、当財団は各委託業者から業務実施報告書または委
託業務実施状況記録写真の提出を受けていないことを知り
ながら何ら措置をしていないことは、当該業務が適正に遂
行されたか否かについての管理を怠ったと言わざるを得な
174
い。
業務遂行に関して委託業者との間での後日のトラブルを
防止するためにも、委託業者から業務実施報告書および委
託業務実施状況記録写真を必ず入手するとともに業務遂行
状況を巡視することにより、委託業者が仕様書に基づいて
適正に業務を遂行していることを確認する必要があり、そ
の上で委託業者へ支払いを行うべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年度から、委託業者へ業務を実施したことを証す
る資料(報告書、記録写真)の提出の徹底を再度指示しま
した。
また、業務内容や実施状況について職員が巡視するなど、
確認作業を徹底しています。
平成 25 年 12 月現在の対
改善策を実施し、適切に業務を行っている。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
指摘4−15
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.63
適切な業務実施報告書の入手(結果)
指摘・意見の内容
青森市文化会館等清掃作業等業務において、委託業者は
青森市文化会館等のボイラーの清掃、パッキングの取替え、
不良箇所の補修、ボイラー性能検査に規定する検査に合格
する基準にすることなどを行うことになっているが、当財
団は委託業者がこれらの業務を実施したことを証する資料
を委託業者から入手していない。
委託業者は仕様書で定められている書類を当財団へ提出
する必要があり、提出されない場合には当財団は委託業者
に当該書類の提出を求めるべきである。
また、同仕様書第4条「青森市文化会館2.建築物環境衛生
管理作業(7)昆虫などの防除作業」によれば、「ゴキブリ
を対象に、各階トイレ、流し場、洗面所、更衣室、ごみ置
き場において年2回定期点検及び定期処理を行うこと。」と
されている。
年2回のねずみ・こん虫等生息状況点検および防除記録を
確認したところ、上記指定場所のうち更衣室については生
175
息状況点検および防除記録の記載はなく、報告書の様式に
も更衣室の欄は設けられていない。実際には1階の作業を行
っているときに更衣室の点検・防除も一緒に行われている
とのことであるが、このような書式では本当に実施された
か否か確認することができない。
仕様書の内容と報告書様式の整合性を図り、仕様書に指
定された場所がすべて作業されたことが明確になるように
改善する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年度から、委託業者に清掃作業日誌の提出を求め、
実施状況を確認しています。
また、仕様書に指定した場所がすべて作業されたか明確
に確認できるよう仕様書の内容と報告書の様式の整合性を
図りました。
平成 25 年 12 月現在の対
改善策を実施しているが一部に不備がある。
応状況
監査人の評価
『青森市文化会館等清掃作業等業務』について、仕様書
の内容と報告書の様式の整合性、及び報告書の入手状況等
を確認したところ、以下の改善点が発見された。当財団は、
再度当該業務に関する一連の事項について確認を行い、改
善すべきである。
<青森市文化会館>
①日常清掃について、実施場所が委託仕様書別表1に明示さ
れているが、以下の点について委託仕様書別表1と実施報
告書に不整合がみられる。
(1)実施報告書に記載されている共用部分『非常階段(5F
∼B1)』、『2展示室トイレ』、『クロークの扉拭
き』及び専有部分『展示室』が委託仕様書別表1に記
載されていない。
(2)実施報告書に記載されている『親子室』が委託仕様
書別表1では『母子室』となっている。
(3)実施報告書に記載されている専有部分『1F階トイレ
(楽屋)』及び『シャワー室(2F楽屋側)』が委託
仕様書別表1では共用部分に記載されている。
②定期清掃の床面定期洗浄作業について、『原則として平
日に行い甲の事務又は行事に支障のないよう実施する。』
と記載されているが、その業務の実施頻度が明確にされ
176
ていない。
③建築物環境衛生管理作業における(4)飲料水、残留塩
素の測定について、実施されていない、又は実施報告書
を入手していない。
④建築物環境衛生管理作業における(7)昆虫などの防除
作業について、作業実施場所に『リハーサル室内更衣室』
の指示があるが、生存状況点検および防除記録に記載は
なく、報告書の様式にも『リハーサル室内更衣室』の欄
は設けられていない。一方、委託仕様書に記載されてい
ない『1階清掃用品置場』が生存状況点検および防除記
録に記載され、報告書の様式にも欄が設けられている。
指摘4−16
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.64
仕様書で定める報告書類の入手の徹底(結果)
指摘・意見の内容
青森市民ホール機械設備等維持管理業務について、関係
資料を閲覧したところ、報告書類はすべて入手されていな
いことが判明した。委託業者は上記の資料を当財団へ提出
していないことから仕様書違反となる。また、当財団は委
託業者から上記の書類の提出を受けていないことを知りな
がら何ら措置をしていないことは当該業務が適正に遂行さ
れたか否かについての管理を怠ったと言わざるを得ない。
業務遂行に関して委託業者との間での後日のトラブルを
防止するためにも、委託業者から実施報告書を必ず入手す
るとともに業務遂行状況を巡視することにより、委託業者
が仕様書に基づいて適正に業務を遂行していることを確認
する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から、委託業者に実施報告書を提出するよう
指導します。
また、業務内容について職員が巡視するなどして業務の
実施状況の確認を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
青森市民ホール機械設備等維持管理業務は、『消防設備
保守点検整備業務』、『エレベーター設備保守点検整備業
務』、『自動扉保守点検整備業務』、『機械設備等維持管
理業務』及び『冷温水器保守点検整備業務』の5契約に分
177
離し、改善策に基づいて業務を行っているが、一部に不備
がある。
監査人の評価
各契約の業務仕様書で求められている報告書の入手状
況、及び報告書の内容を確認したところ、以下の改善すべ
き点が散見された。したがって、当財団は契約書、仕様書
及び業務報告書を再度、見直すべきである。
①消防設備保守点検整備業務について、結果報告書は入手
しているが、実施状況を確認する写真を入手していない。
仕様書に当該写真の提出を義務付けている以上、入手を
徹底すべきである。
②エレベーター設備保守点検整備業務について、業者仕様
の様式における報告書のみ入手され、当財団が指示した
内容が実際に行われたかどうか不明である。また、実施
状況を確認する写真を入手していない。
③機械設備等維持管理業務について、実施内容と仕様書の
内容に相違がみられる。
(1)仕様書別紙1 Ⅱ法定点検における『冷却塔清掃』及
び『貯湯槽・熱交換器清掃』が報告書に記載されて
いない。
(2)仕様書別紙1 Ⅲ設備保守点検
空調パッケージ設備
室内機における『透過膜式等の加湿器の目視』、『そ
の他空調設備
加湿器』に関する事項が報告書に記
載されていない。
④冷温水器保守点検整備業務について、報告書及び実施状
況を確認する写真を入手しているが、当財団が指示した
内容が実際に行われたかどうか不明である。
指摘4−17
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.65
仕様書と異なる作業場所および作業内容に対する確認不足(結果)
指摘・意見の内容
青森市文化会館等清掃作業等業務および青森市民ホール
清掃作業等業務において、青森市文化会館・青森市民美術
展示館および青森市民ホールの清掃作業が仕様書に基づい
て適正に行われているか確認したところ、青森市文化会館
等清掃作業等業務および青森市民ホール清掃作業等業務の
178
双方共、仕様書と異なる作業場所および清掃回数を委託業
者が多くの場所で行っていることが判明した。
清掃作業においては、作業場所および清掃回数の範囲に
よって、委託業務金額がまったく異なるため、仕様書には
作業場所および清掃回数を明確に記載しなければならな
い。
また、仕様書に記載されている作業場所および清掃回数
と異なる作業を委託業者が行っているにもかかわらず、当
財団は確認を怠っている。当財団は委託業者が行っている
清掃作業場所および清掃回数を確認する必要があり、仕様
書と異なる作業を行っている場合には、適切に指導を行う
べきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から仕様書の見直しを実施し、清掃作業完了
報告書に基づき適正に実施しているか現場の確認作業を徹
底します。
平成 25 年 12 月現在の対
改善策を実施しているが一部に不備がある。
応状況
監査人の評価
平成22年8月提出措置状況報告書 No.63 における監査人
の評価に記載した通り、当該業務については、業務仕様書
及び実施報告書には、不備が多々見られる。当財団は、再
度当該業務に関する一連の事項について確認を行い、改善
すべきである。
指摘4−18
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.66
委託業者から入手する作業完了報告書様式の修正(結果)
指摘・意見の内容
青森市文化会館等清掃作業等業務において、当財団は毎
日清掃作業完了報告書を委託業者から入手しているが、報
告されている項目は清掃作業場所および清掃後の状況のみ
であり、作業内容毎の区分がないため、仕様書に記載され
ている作業場所で行うべき作業内容が適切に行われている
か判断できない資料になっている。また、委託業者が行っ
ている作業が毎日の作業、使用時に行う作業、都度行う作
業、年1回の作業なのか管理できない資料になっている。そ
のように大まかに作成された清掃作業完了報告書を入手し
179
ても作業場所毎に行われるべき作業内容が適切に行われて
いることが示されず、どの頻度で作業が行われるべきかに
ついても示されていないため、当財団は委託業者が仕様書
に基づいて適正に業務を遂行したことを確認していなかっ
たと言わざるを得ない。
当財団は仕様書を早急に修正すると共に、修正後の仕様
書に合わせて清掃作業完了報告書も、作業場所、作業区分
毎に作業内容および作業頻度を記載した表形式に作り直す
必要があり、その上で、当財団は委託業者から入手した報
告書を元に清掃作業が適正に遂行されたか否かを確認すべ
きである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から仕様書及び清掃作業完了報告書を修正
するとともに、業務実態の確認を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
改善策を実施しているが一部に不備がある。
応状況
監査人の評価
平成22年8月提出措置状況報告書 No.63 における監査人
の評価に記載した通り、当該業務については、業務仕様書
及び実施報告書には、不備が多々見られる。当財団は、再
度当該業務に関する一連の事項について確認を行い、改善
すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.67
仕様書における作業回数の明確化(結果)
指摘・意見の内容
青森市文化会館等清掃作業等業務において、仕様書の内
容を確認したところ、貯水槽の清掃については、「青森市
文化会館の項2.建築物環境衛生管理作業(5)①」に、「貯
水槽の清掃期日は、前もって甲(指定管理者)に連絡する
こと。」とのみ記載されており、年何回行うかについては
一切記載されていない。実際には委託業者が年1回6月に作
業を行っており、当財団は当該回数を妥当な頻度であると
考えて委託業者に指示しているのであるが、年回数は委託
額に影響するものであるため、その旨を仕様書に明記した
上で、指名競争入札時に募集要項にも明記する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、仕様書に年 1 回 6 月に実施する旨を明
記し、入札を実施しました。
180
平成 25 年 12 月現在の対
改善策を実施し、適切に業務を行っている。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
指摘4−19
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.68
業務仕様書と実作業回数の相違(その1)(結果)
指摘・意見の内容
青森市民ホール機械設備等維持管理業務および青森市民
体育館等清掃作業等業務において、各委託業者から入手し
た業務実施報告書を確認したところ、仕様書との相違があ
った。
当財団は委託業者から入手した清掃作業日誌および貯水
槽清掃報告書の内容を十分確認すると共に業務遂行状況を
巡視することにより、委託業者が仕様書に基づいて適正に
業務を遂行していることを確認する必要がある。
また、当財団は委託業者が行った実作業回数が仕様書上
の作業回数よりも多くなる場合は、委託業者が不必要な作
業を行うということであるため、注意をすることも必要で
ある。それ以上に、当財団は委託業者が行った実作業回数
が仕様書上の作業回数よりも少なくなる場合は、委託業者
が仕様書に記載されている作業回数を行うよう委託業者に
要請すべきであり、必要に応じて業務委託料の減額を検討
すべきである。
なお、業務委託契約後に仕様書の点検整備回数の増減が
必要とされた場合には速やかに業務委託契約の変更を行
い、それに伴い委託額の変更を行うべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から、実作業に即し当該業務の仕様書を見直
しました。
また、実施作業回数の巡視による確認を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
改善策を実施しているが、一部に不備がある。ただし、
平成25年4月からスポーツ事業の指定管理者はスポーツネ
ット青森に移管しており、青森市民体育館に係る業務は当
財団の管轄外である。
監査人の評価
青森市民ホール機械設備等維持管理業務において、業務
仕様書と報告書における作業の周期が相違しているものが
181
見受けられた。なお、『青森市文化会館等校内樹木管理等
業務』の業務委託仕様書において指示されている以下の業
務について、実施時期が異なる、又は実施されていない事
例が発見された。当財団は委託業者に対して業務委託仕様
書に準拠した業務の実施を要請すべきである。
①青森市文化会館において、6月・8月実施予定の薬剤散布
が7月に実施されている。
②青森市文化会館において、7月・9月実施予定の整枝剪定
が8月・9月に実施されている。
②青森市文化会館において、6月実施予定の植替整理及び除
草が除草のみ実施されている。
③青森市文化会館において、7月又は8月実施予定の樹木施
肥が6月に実施されている。
意見4−20
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.70
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
レストランの早期再開(意見)
指摘・意見の内容
当施設の2階のレストランを運営していた業者が平成20年1
月に倒産し、その後、閉鎖された状態が続いている。
文化会館のような公の施設内にレストランを設置する市民
のニーズは高いものと思われるのであるから、レストランの
業者の採算が成り立つ水準まで、市は使用料を減額できるよ
うな減免制度を設ける必要があるものと考える。
さらに抜本的には、このような建築費のみに基づく使用料
の計算方式は、近隣の賃借料相場や集客力などの立地条件と
は無関係に決まるため合理的ではない。条例を改正し、本来
は民間のように、こういった要素を考慮して決める仕組みと
することが望まれる。または最低家賃にレストランの売上金
の一定割合を加算したものとすることも考えられる。
いずれにせよ、施設の有効活用と利用者の利便性の向上の
ために、使用料を思い切った水準まで引下げてレストランの
再開を図ることが望まれる。
また、レストランとしての再開を断念するのであれば、別
の転用案を早期に決めて、施設の利活用を図ることが望まれ
る。
182
平成 22 年 8 月対応方針
当該スペースを作品展示としての活用も視野に入れ、他の
活用方法を検討します。また、貸し展示スペースとして活用
する場合の使用料の引下げについても検討します。
平成 25 年 12 月現在の
対応状況
平成23年度から展示室としての運用を開始した。使用料に
ついては、以下の通りである。
時間貸し
(1時間)
通し貸し
9時∼17時
9時∼22時
3,880円
6,400円
11,660円
19,240円
9時∼13時
520円
展示品の販売なし
13時∼18時
580円
18時∼22時
760円
9時∼13時
1,560円
展示品の販売あり
13時∼18時
1,730円
18時∼22時
2,290円
監査人の評価
展示室としての再利用を初めたことにより、スペースの有
効利用を促進している。しかしながら、稼働率は平成23年度
が17.3%、平成24年度が13.6%である。したがって、今後は
使用料の価格設定を含めて稼働率を向上させるための方法を
検討する必要がある。
意見4−21
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.71
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
テナント業者からの営業保証金・連帯保証人の必要性(意見)
指摘・意見の内容
平成20年1月のレストランの業者倒産により、未収使用
料、電気代等2,451千円、業者が負担すべき原状回復費用441
千円、合計2,892千円が徴収不能となっている。
テナントを入居させるに当たっては、このような債権が
回収不能となるリスクに備えるため、営業保証金を徴収し、
または、連帯保証人を求めるのが一般的である。現在、1
183
階の喫茶室にも業者が入っているが、営業保証金の徴収や
連帯保証人を付けることもしてない。
債権が回収不能となるリスクを回避し、使用料や原状回
復費用等を確実に回収できるようにするために、テナント
業者に対して、営業保証金の徴収や連帯保証人を付けるこ
とが望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
テナントを入居させる際、契約時に営業保証金や連帯保
証人を付けることを条件とします。
なお、現在、1階の喫茶室にも業者が入居して営業をして
いるが、平成23年度から徴収する方向で検討・協議します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
契約書上、行政財産目的外使用料の一カ月分を預り金と
して受け取っているのみで、営業保証金の受領及び連帯保
証人の附帯は行っていない。
監査人の評価
テナントの入居希望者が少ないため、行政財産目的外使
用料の一カ月分のみの受領に留まっているとの回答を得た
が、営業上の担保としては不十分である。青森市の飲食店
における保証金の相場は3カ月から4か月分と思わること
から、当財団においても万が一の場合に備えて、同程度の
営業保証金を受領し、連帯保証人も附帯する必要がある。
意見4−22
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.72
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
地下駐車場使用料の発券・精算業務の合理化(意見)
指摘・意見の内容
当施設の地下には114台を収容できる駐車場が設置され
ており、当財団臨時職員が発券・精算業務を行っている。
大型ショッピングセンター等において導入事例が多く見
受けられるように、出入り口が1箇所のみであっても、出入
り口に自動精算ゲートを設置し、自動精算ゲート以外に例
えば地下駐車場のエレベーター前に自動精算機を設置する
ことにより、利用者が事前に精算を終了して出口に向かう
ことができるようになり、出口での精算時間をゼロにして1
台当たりの通過所要時間の短縮化を図り、混雑を緩和して
利用者の利便性を向上することが可能となると思われる。
利用者の利便性の向上および管理運営費の経済性の向上
184
を図るために、市は本格的な設備投資回収計算を速やかに
実施し、自動精算ゲートへの転換を検討すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
自動精算ゲート導入設置に係る経費と、現在の発券精算
業務を行っている人件費との比較のみならず、当該駐車場
の構造や利便性などを勘案しながら、自動ゲートと人の常
駐のメリット、デメリットを総合的に検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
市の決定により、導入は見送られている。
応状況
監査人の評価
平成21年度包括外部監査の結果報告書に記載の通り、利
用者の利便性の向上及び管理運営費の経済性の向上を図る
ために、市は本格的な設備投資回収計算を速やかに実施し、
自動精算ゲートへの転換を検討すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.73
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
コインロッカーの修理(意見)
指摘・意見の内容
当施設の入り口横には利用者の利便性のためにコインロ
ッカーが145台設置されており、使用料は文化会館条例施行
規則の別表に準拠して1回10円である。そのうち、14台は利
用者が鍵を長期間返還していないため、使用できないよう
に当財団によって鍵を差込むシリンダーが取外されてお
り、使用できない状態である。当財団によると大ホールで
の催し物開催時でもロッカーには余裕があり、新たなシリ
ンダーを設置するためには1台当たり数千円を要すること
もあり、新たなシリンダーは設置していない状態である。
しかし、大ホールで開催されるイベントに多数の来館者
がある場合、大ホールの観客席数2,031席に対して131台の
コインロッカーが不足となることも完全には否定できず、
長期間返還されていない鍵が今後返還される可能性は極め
て低いと思われること、また、当財団は指定管理期間満了
時までにはコインロッカーを使用できるように修理しなけ
ればならないこと等を鑑みると、当財団は速やかにロッカ
ーを使用できるように修理すべきである。
また、このほか2台は本来鍵に付いているロッカーのナン
バープレートが外れた状態になっており、施錠後、利用者
185
は自分が利用したロッカーのナンバーを失念すると、自分
が利用したロッカーを見つけるのに手間がかかるという不
便な状態になっている。ナンバープレートの取付けは容易
であり、当財団は速やかにナンバープレートを取付けるべ
きである。
平成 22 年 8 月対応方針
ナンバープレートは平成 21 年度に設置しました。また、
シリンダーは平成 22 年度に修繕しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
コインロッカーは修理されており、適切に管理・運用し
ている。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.74
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
使用料の前納の徹底
官公庁に関する後納(結果)
指摘・意見の内容
文化会館では、利用者が官公庁関係である場合には、使
用料の徴収について後納を認めているケースがある。
青森市文化会館条例第7条第1項本文によれば、使用料は
原則前納しなければならず、後納が認められるケースは、
「市長が特別の理由があると認めるとき」(第7条第2項但
書)のみであることからすれば、当財団が使用料を後納で
徴収するためには、市長へ申請し承認を得る必要がある。
今回の官公庁の場合のように、市長の承認なく当財団の
判断で後納による料金の徴収をしている事実は、条例違反
に該当する。また、回収可能性に係るリスクが低いとして
官公庁だけに使用料の後納を認めているという運用は、他
の利用者との公平性をも害しているとみることができる。
合規性および公平性の観点からは、官公庁についても原則
どおり前納で徴収する運用を実施すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年 1 月から、原則どおり前納により徴収を実施し
ています。
平成 25 年 12 月現在の対
前納を徹底している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
186
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.75
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
使用料の前納の徹底
指摘・意見の内容
直前使用申請に関する後納(結果)
文化会館では、例えば使用の2、3日前など、使用の直前
に使用の許可申請を受ける場合がある。この場合、当財団
は、直近の利用者に使用日当日に納入通知書兼領収証書の
持参をお願いし、事前納付確認を実施しているが、当財団
は直接現金を授受できないため、後納になってしまうケー
スが存在する。
青森市文化会館条例第7条第1項本文によれば、使用料は
原則前納しなければならず、後納が認められるケースは、
「市長が特別の理由があると認めるとき」(第7条第2項但
書)のみであることからすれば、当財団が使用料を後納で
徴収するためには、市長へ申請し承認を得る必要がある。
また、青森市文化会館条例施行規則第3条第2項本文によれ
ば、文化会館の使用申請の受付は7日前までとなっており、
管理運営上支障がないと認められるときはこの限りではな
いとされているが、これは使用料の後納を認めているわけ
ではない。
ここで上記の状況を考えると、結果的にとはいえ使用料
が後納となっている事実は条例違反に該当し、使用申請が
使用日の7日前を過ぎた時点での申請受理で使用料の徴収
が後納になっている状況は、前述の当条例施行規則が定め
る「管理運営上支障」が顕在化しており同施行規則違反に
該当するものと考えられる。また、回収不能となるリスク
を回避するために前納を原則とした条例の趣旨に鑑みれ
ば、平成20年度で回収不能となった事実はないものの、よ
ほどの合理性がない限り後納を認めるべきではない。
しかし、市民等へのサービスおよび施設の稼働率を高め
るという観点からすれば、直前の申し込みであっても可能
な限り対応することは望ましいことであり、直前の使用許
可申請にも対応できるように、「市長が特別の理由がある
と認めるとき」として後納を認める基準を定める等、市は
適切な対応を図るべきであると考える。
187
平成 22 年 8 月対応方針
前納の徹底を原則とするが、市民サービス向上の観点か
ら、直前申請に関しての後納の対応基準について今後検討
します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
前納を徹底しており、直前申請に関する後納の対応基準
を設けていない。
適切に改善されている。なお、『青森市文化会館使用許
可申請書』を閲覧したところ、使用料の納付日が使用日よ
りも遅いもの(いわゆる後納の状態と見られる事例)が見
受けられた。
使用料は銀行振込で収受することになるが、この入金確
認は市から提供される銀行への入金状況をまとめたプルー
フリストに基づいて行っている。このプルーフリストでは、
特に都市銀行の場合、利用者が実際に振込を行った日から
数日後にプルーフリストに記載されるため、実際の入金日
と当財団が把握できる入金日にタイムラグが生じ、当該使
用許可申請書上、あたかも後納であったかのような記載と
なる。当財団としては、使用日前に入金の確認の取れない
場合には、利用者に使用料の納付書を持参するように依頼
しており、前納の徹底に努めていると判断した。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.76
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
使用料の前納の徹底
財団法人青森市文化スポーツ振興公社の自己使用に関する後納(結果)
指摘・意見の内容
青森市文化会館条例第7条第2項本文によれば、使用料は
原則前納しなければならない。しかし、平成20年度の「青
森市文化会館使用許可申請書」を閲覧したところ、当財団
が自主事業として自ら使用する場合には使用料が後納され
ていた。
条例上、使用料の納付が原則として前納であるにもかか
わらず後納している理由は、使用料には大ホール等の施設
使用料の他、当日でないと確定しない附属設備に係る使用
料があるため、1度の納付で済ませるという事務処理の簡便
化を図るために後納を実施していたとのことである。
188
しかし、他の一般利用者が、当日でないと確定しない附
属設備に係る使用料を除き、大ホール等の使用料を原則ど
おり前納している事実を鑑みれば、当財団だけが事務処理
上の便宜で後納が許容されている状況は公平性を著しく害
している。
また、大ホール等の使用料は条例により前納すべきこと
が義務付けられていることからすれば、前納が可能である
にもかかわらず後納している状況は、明らかに条例違反と
言わざるを得ない。そもそも利用者の前納を徹底すべき立
場にある当財団自らが後納しているという事実は、条例違
反であるというだけではなく、条例遵守に係る意識が希薄
であるとの印象も拭い去れない。
当日でないと金額が確定しない附属設備に係る使用料は
後納となっても止むを得ないとしても、大ホール等の使用
料については、原則どおり前納を徹底し、条例遵守に努め
るべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 21 年 9 月から、原則どおり前納を徹底しました。
平成 25 年 12 月現在の対
前納を徹底している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.77
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
スポットライトに関する条例の是正(結果)
指摘・意見の内容
施設案内に記載されている附属設備の中に「スポットラ
イト1.5kw」という設備が記載されているが、「青森市文化
会館条例施行規則別表(第8条関係)」では「スポットライ
ト15kw」と規定され、両者のキロワット数に齟齬が生じて
いる。
当財団の説明によると、実際に使用しているスポットラ
イトは「1.5kw」のものであり、15kwのスポットライトは存
在しないとのことである。これは同施行規則別表に記載さ
れているキロワット数の誤りであるが、規則の重要性に鑑
みれば、青森市の確認が不十分であったことを示唆する事
象である。
189
同施行規則を事実に合った記載に修正し、早急な改正が
必要であるとともに、今後同様な誤りを未然に防止する確
認体制の整備が必要であると考える。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年3月に青森市文化会館条例施行規則別表を正し
い表記に改正しました。
今後は、同様の誤りのないよう確認体制を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
改正して運用している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.78
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
使用料の減免申請漏れ(結果)
指摘・意見の内容
減免の必要書類である「青森市文化会館使用料減免申請
書」、「青森市文化会館使用料減免申請について(通知)」
(青森市長の承認)、および「青森市民体育館使用許可申
請書」を全件閲覧し、当該整合性、合規性について確認し
た結果、減免申請書が未提出にも関わらず使用料が免除さ
れていたケースがあった。
市長の承認なく使用料を免除している事実は重大なこと
であり、公平性・合規性の観点から防止する必要がある。
使用料の減免が事務手続の中でも非常に重要な業務である
ことからすれば、今後は複数人によるチェックを徹底する
など、ミスの再発防止を図るべきと考える。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年9月から、複数職員によるチェック体制の徹底を
図り、同様の誤りが発生しないよう再発防止に努めていま
す。
平成 25 年 12 月現在の対
チェックを実施し、再発防止を徹底している。
応状況
監査人の評価
複数職員のチェック欄を設け、再発防止を行っており、
指摘事項は改善されている。
190
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.79
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
駐車場の稼働率の計算方法(意見)
指摘・意見の内容
当財団は、文化会館に設置されている大ホール、大中小
の各会議室、和室、茶室、応接室、リハーサル室の各施設
別に稼働率を計算し市へ報告している。駐車場収入が年間
27,767千円、収容可能台数が114台であることからすれば、
1ヶ月1台のスペース当たりにおける収入は20,297円であ
り、周辺の月極駐車場料金よりは高い収入を確保している
と言える。
しかし、当財団が算定した駐車場の稼働率である91%は、
収容可能台数に占める1日の延べ利用台数をもとに算定し
た結果であり、この場合、1台の利用時間が仮に30分の場合
でも1台が1日利用したものとカウントされ算定されている
ため、稼働率の数値としては実態を表していない。
当財団の計算した稼働率91%では駐車場が毎日、ほぼ満
車ということになるが、試算結果は平均的には1/4程度しか
利用されていないものと推定され、当財団の市への報告内
容は利用実態と著しくかけ離れた数値であり、不適切な報
告と言わざるを得ない。
利用実態の判断を誤るというリスクを回避し、駐車場の
利用状況を適切に把握・管理するためには、時間ベースで
算定を実施するなど、当財団はより精緻な利用率の算定方
法を採用すべきであると考える。
また、市側も現地視察等により、ある程度の利用実態は
把握しており、稼働率91%との財団からの報告が利用実態
を表していないことは、知り得ていたはずである。このよ
うな疑問を抱かせるような報告内容を市側が放置すること
は怠慢であると言わざるを得ず、当財団に対し、適切に利
用実態を把握して市へ報告するよう指導すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 21 年度分の実績から、稼働率は時間ベースの算定に
よるものとし、報告内容の確認を徹底しました。
平成 25 年 12 月現在の対
稼働率の報告は時間ベースの算定で行っている。
応状況
監査人の評価
報告形態は時間ベースの稼働率に基づき行われており、
指摘事項は改善されている。なお、当該稼働率の実績に基
191
づけば平成24年度は約27%であり、文化会館への集客率の
向上を含めて稼働率を向上させる方法を模索する必要があ
る。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.80
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
ピンスポット室のドアの施錠管理(意見)
指摘・意見の内容
文化会館の大ホールの天井近くには、1Fの舞台にスポッ
トライトを当てるための操作等を行うピンスポット室と呼
ばれる部屋が設置されている。そこに至る5階の専用通路は
落下すると人命に係る危険性がある場所となっている。
他方、この5階には、大会議室が設置されており、大会議
室からドアを2つ開けただけで、ピンスポット室への専用通
路に入ることが可能な状態である。
大会議室は一般の市民等に広く利用されており、大会議
室から危険性のあるピンスポット室への専用通路に容易に
行けるという構造は、安全管理上、重大な問題があると考
えられる。これを防止するためには、ピンスポット室への
専用通路に通じているドアは速やかに施錠管理を実施すべ
きである。
なお、ピンスポット室から大会議室へ至るドアは、ピン
スポット室からみると災害等緊急時の避難通路でもあり、
非常通路への避難路を遮断してしまうことになりかねない
ため、非常通路側から専用通路側へのドアの開閉は開錠操
作が必要で、専用通路側から非常通路側へのドアの開閉は
開錠操作が不要となるような施錠管理の仕組みにする必要
があることに留意が必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、ピンスポット室への専用通路に通じる
ドアは施錠管理をする方向で検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
ピンスポット室への専用通路に通じるドアは、適切に施
錠管理を実施している。
意見は反映されている。
192
意見4−23
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.81
青森市文化会館および青森市文化会館地下駐車場
領収書の管理(意見)
指摘・意見の内容
文化会館では、領収書は市販のものを使用している。フ
ロントで使用する分の領収書は受付(内側)の下にある棚
に保管されているが、当財団の印鑑は既に押印された状態
であり、領収書の連番管理を実施していない状況では、い
わば自由に使用できる状態であると言える。
押印された領収書は、連番管理や領収書綴りの受払管理
を実施しないと、領収書の一部抜取りや領収書綴りが盗難
されても盗難の事実が判明しないため、ある分を抜き取る
ことにより現金を受領した証跡を隠蔽することが可能にな
ってしまう。すなわち、実際に受領した現金を自ら横領で
きるリスクや、不正発行により第三者の不正に加担できる
といったリスクが存在している。
そのため領収書の管理には厳格性が求められるところ、
当財団は少なくとも連番管理を実施した上で、使用済み領
収書控えの連番が抜けていないことの検証および宛先や金
額等の未記入や担当者印の押印漏れなど不適切な発行がな
いことの検証、ならびに領収書綴りの表紙等への検証者印
を押印することにより、検証作業を実施した証跡を残すと
いった厳格な管理が必要と考える。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年1月から、連番管理と担当者印の押印、検証作業
実施の証跡を残すなど、厳格な管理を実施しています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
領収書には連番管理を実施し、担当者の押印を行ってい
る。
領収書に対する連番管理及び担当者の押印は適切になさ
れている。また、年度が変わると新しい領収書綴りを用い
て業務を行っている。しかしながら、過年度の領収書綴り
に未使用分がある場合、封印等を行っていないために後日
使用することが可能な状態である。また、使い終わった領
収書綴りについて責任者の検証作業を実施した証跡が残さ
れていない。
今後、使い終わった領収書綴りは責任者が検証作業を実
施し、実施したことを明確にする証跡を残すよう改善が望
193
まれる。また、年度が変わった時に未使用分がある場合に
は、使用出来ないよう封印等を行い、厳格な管理を行って
いく必要がある。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.82
青森市民ホールおよび青森市民ホール駐車場
駐車場の供用時間に関する条例施行規則の見直し(結果)
指摘・意見の内容
市民ホール駐車場の料金体系は駐車場条例第18条によ
り、普通駐車については1時間当たり210円、夜間駐車につ
いては駐車時間とは無関係に630円という料金体系となっ
ているが、普通駐車および夜間駐車の供用時間については
定められておらず、当条例第16条において、供用時間は規
則で定めることとなっている。
しかし、駐車場条例施行規則第6条では、駐車場の供用時
間は午前9時から午後10時までと規定されているに過ぎず、
供用時間を普通駐車と夜間駐車に区分して規定していな
い。このため、午前9時から午後10時までという供用時間の
うち、何時から何時までが普通駐車の料金体系の適用とな
り、何時から何時までが夜間駐車の料金体系の適用となる
のか判然としない。
現在運用している供用時間および料金体系は、文化会館
地下駐車場と同様の取扱いをしており、午前9時から午後10
時までが普通駐車、午後10時から午前9時までが夜間駐車と
なっている。しかし、上述のように当条例施行規則上、午
後10時から午前9時までは供用時間となっておらず、さらに
普通駐車と夜間駐車の供用時間の区分は定められていない
ため、現状は当条例施行規則違反の状況となっている。
当条例施行規則に合わせるように現在の運用を見直すの
ではなく、市が速やかに当条例施行規則を改正し、午前9
時から午後10時までが普通駐車、午後10時から午前9時まで
が夜間駐車というように供用時間を規定し、現在の運用が
当条例施行規則違反とならないようにする必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
青森市駐車場条例施行規則を改正し、普通駐車と夜間駐
車の供用時間の区分を定めます。
194
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
青森市駐車場条例施行規則を改正し、普通駐車と夜間駐
車の供用時間の区分を定めた。
青森市駐車場条例施行規則は適切に改正され、指摘事項
は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.83
青森市民美術展示館
利用者ご意見箱の設置場所(意見)
指摘・意見の内容
当施設では常時、2F事務室の室内に、利用者からのご意
見箱を設置しているが、2Fの事務室に来る利用者はごく一
部の利用者のみである。このため、ご意見箱の設置を知ら
ない利用者がほとんどであると思われ、平成20年度におけ
る利用者からの投書は全くなかった。
利用者から幅広く意見を聞く機会を設け、今後の利用者
へのサービス向上に活用するために、ご意見箱は1Fの正面
入り口のカウンターに設置することが望ましい。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年度から利用者に目がつく場所にご意見箱を移動
させ、より多くの意見を聴取できるよう積極的なPRに努め
ています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
建物の1階の正面入り口のカウンターに設置し、利用者の
意見を聞き易い体制にしている。
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.84
青森市民美術展示館
個人情報が記載された資料の施錠管理(意見)
指摘・意見の内容
使用許可申請書には利用者(出展者)の氏名、住所、電
話番号等の個人情報が記載されている。この使用許可申請
書を綴込んだファイルは事務室の机の上に保管されてい
る。
事務所の常駐職員が一人となる時間帯があり、業務で事
務所を多少の時間ではあるが、空けることもある。職員が
一時不在となった事務所のドアは施錠されないケースもあ
り、一時的とはいえ不特定多数の利用者が入室することが
195
できる状況にある。
このため、個人情報の漏洩防止の観点からは、使用許可
申請書を綴込んだファイルは、昼間も使用する時以外はキ
ャビネット内に保管し、施錠管理すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、使用する時以外はキャビネット内に保
管し、施錠管理を実施しています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
使用する時以外はキャビネット内に保管し、施錠管理を
実施している。
意見は反映されている。
意見4−24
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.85
青森市合浦亭
青森市合浦亭の廃止の検討(意見)
指摘・意見の内容
当施設は茶道、華道、短歌、俳句などの芸術・文化活動
等を行う場として、昭和57年に合浦公園内に設置されたも
のである。
当施設の利用件数は、このように最近3年間では年間28
件∼39件、単純月平均では2件∼3件程度であり、極めて低
迷している。特に12月から3月までの冬季期間はほとんど利
用がなく、3年間で2件のみである。冬季期間は合浦公園か
ら当施設玄関までの導入路(通路)10m余は除雪されてお
らず、1m以上の積雪を職員が1件だけの利用のために数時
間費やして除雪しているような状況である。
公園内に景観に調和するような純和風の建物と小庭があ
り、雰囲気が良く茶会を行うには良い所ではあるが、他の
地方自治体においてこのような施設を持っているところは
少なく、どうしても必要な施設とは思われない。文化会館
内にも茶室があるなど代替施設はあり、当施設を廃止して
も影響は極めて限定的と考えられる。これだけ利用率が低
いのであれば、市民のニーズは乏しく、当施設は閉鎖して、
経費の節減を図るべきである。
なお、仮に当施設を廃止しない場合には、利用者が少数
かつ特定の利用者に限定されている現状を鑑みれば、使用
料を引上げて受益者への負担として転嫁を図り、市の負担、
196
引いては当施設を利用しない圧倒的多数の市民の負担を軽
減すべきである。また、冬季は上述のように除雪の作業を
要し、利用件数は12月∼3月の間は過去3年間で2回のみであ
ることから、少なくとも冬季は閉鎖すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
青森市合浦亭は、限定的な客層が対象となる施設である
一方、公園内の景観と調和した純和風の建物であり、他の
地方自治体も有しているところが少ない極めて特徴的な施
設であることから、施設の希少価値と年間の利用状況など
を勘案しながら、合浦亭の利活用のあり方について検討し
ます。
平成 25 年 12 月現在の対
青森市合浦亭については、現状存続させている。
応状況
監査人の評価
まず、第一に当該施設の廃止を再度検討すべきである。
そして、存続させる場合にも、ほぼ利用者がいない12月∼3
月は閉鎖すべきである。
意見4−25
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.86
青森市合浦亭
使用料の料金体系に関する見直し(意見)
指摘・意見の内容
当施設の1時間当たりの使用料は、午前、午後、夜で料金
が異なっており、特に夜間が昼間の2倍もの高額な料金とな
っている。
このような施設で夜間の利用ニーズが高いとは考えにく
く、逆に夜間の方が利用ニーズは低いものと思われる。平
成18年度∼平成20年度の3年間において、夜間の利用件数は
ゼロであった。
当施設を廃止しない場合には、料金体系を速やかに見直
すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
合浦亭の利活用のあり方について整理し、その中で料金
設定の見直しを検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
現状、料金の改定は実施されていない。そして、平成26
年度までは現状のままで運営することが決定されている。
まず、第一に当該施設の廃止を再度検討すべきである。
そして、存続させる場合にも、効率的な施設運営と言う観
点から料金及び利用可能時間を見直すべきである。
197
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.87
青森市合浦亭
人件費の配賦計算(意見)
指摘・意見の内容
当施設の収支計算書上、人件費は発生していないことに
なっているが、実際には市民体育館の職員が兼務して当施
設の管理業務を行っている。
このような場合、当施設の管理運営費を把握して、ひい
ては当施設の収支を適切に把握するために、兼務職員の作
業時間を当施設と市民体育館とに区分把握して作業時間割
合で当施設にも人件費を配賦・計上すべきである。または、
作業時間割合を把握する事務負担を省略することも考えら
れるが、その場合であっても最低限、兼務職員の業務実態
を勘案した兼務時間比率を設定して配賦計算し、当施設の
管理運営費を適切に把握することが望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から職員の作業時間を合浦亭と市民体育館
とに区分し、人件費を配賦・計上します。
平成 25 年 12 月現在の対
上記のとおり、実施している。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
198
(3)一般財団法人青森市観光レクリエーション振興財団
① 設立の背景
国の経済が成熟期と言われ、市民生活も量より質の高度化を求められ、本当の豊か
さとは何かが改めて問い直されてきているところ、長年の検討課題であった本市の数
少ない冬季レクリエーション施設「雲谷スキー場(昭和34年開設)」について、市
民ニーズに応えるべく、全面改修により夏季にも活用可能な通年型施設「モヤヒルズ」
を建設し、誰でも・いつでも・手軽に楽しめることによる本市の観光レクリエーショ
ンの振興発展を目指すこととなった。
施設の管理運営を通じて、本市の優れた自然・人文資源を再確認し、そのすばらし
さを市民自身が十分享受できる仕組みづくりを先導的に推進し、ひいてはその魅力と
活力が広く観光レクリエーションサービスの開発と提供を主務とする業務の性格を考
慮したところ、可能な限り民間感覚と柔軟な経営手法を導入することが望ましいとの
考えから、本市の出資及び市民・事業者の出えんにより「青森市観光レクリエーショ
ン振興財団」を設立することとなった。
平成25年4月1日からは、公益法人制度改革に伴い一般財団法人へ移行し、現在「モ
ヤヒルズ」「八甲田憩いの牧場」「合子沢記念公園」「道の駅ユーサ浅虫」「幸畑墓
苑」などの管理運営業務を行いながら、本市の観光レクリエーションの振興に努めて
いる。
199
② 法人の状況
設 立 年 月 日
平成 9 年 9 月 10 日
理
事
長
佐々木
所
在
地
〒030-0133
正明
青森市大字雲谷字梨野木63番地
電話・ FA X 番号
TEL
017−764−1110
HPアドレス
http://www.moyahills.jp/
FAX
017−764−1711
出資等額
基本財産・資本金等
出資等割合
20,400 千円
100.0%
5,100 千円
25.0%
2,000 千円
9.8%
市以外の主 ㈱みちのく銀行
2,000 千円
9.8%
な出資者
川越観光産業㈲
1,250 千円
6.1%
㈱イシダスポーツ
1,250 千円
6.1%
うち本市の出資等額
出資等の状況
㈱青森銀行
この法人は、観光及びレクリエーションの振興に関する事業を
設
立
目
的
行い、観光レクリエーション産業の健全な育成と発展及び余暇活
動の充実を図り、地域経済の活性化と地域住民の福祉の向上に寄
与することを目的とする。
①スキー場及び道の駅等の観光及びレクリエーションの振興に
資する公益施設の管理運営に関する事業
②上記公益施設の利用者等に便益を提供するための飲食業、物品
販売、公衆浴場等の営業に関する事業
③観光及びレクリエーションの振興に資するイベント、大会、講
習会等の企画及び運営に関する事業
事
業
内
容
④観光及びレクリエーションの振興に資する人材及び組織の養
成並びに支援に関する事業
⑤観光、レクリエーション、地域及び道路に関する情報の収集、
整理及び提供に関する事業
⑥観光及びレクリエーション施設の利用者に係る誘客及び宣伝
に関する事業
⑦その他この法人の目的を達成するために必要な事業
指定管理業務の状況
指定管理期間
(直近)
5 年間(平成 25 年度∼平成 29 年度)
200
モヤヒルズ(一部利用料金制)
道の駅「ユーサ浅虫」(利用料金制なし)
指定管理してい
青森市幸畑墓苑(利用料金制なし)
る施設名
八甲田憩いの牧場(一部利用料金制)
合子沢記念公園(利用料金制なし)
③ 組織等の状況
ⅰ. 役員の状況(平成 25 年 6 月 27 日現在)
役員の選任方法
理事
5名以上7名以内
任期
2年
監事
3名以内
任期
4年
理事及び監事は、評議員会において、議決に加わることのでき
る評議員の過半数が出席し、その過半数の決議をもって選任す
る。
計
理事
監事
常勤
非常勤
常勤
非常勤
常勤
非常勤
法人採用役員
市派遣職員
市職員兼務
役員数
市職員OB
他自治体職員
民間等からの役員
小計
役員総計(常勤+非常勤)
常勤役員平均年齢
非常勤役員に対する報酬等の考え方
0
0
2 (0)
0
0
2 (2)
2
3 (0)
2 (0) 0
2 (2) 5 (0) 0 (0) 2 (0) 2
7 (2)
2 (0)
64.0 歳
常勤役員平均年収
非常勤役員に対する報酬等なし
定款・寄附行為上の役員数
(0) 0 (0)
(0) 0 (0)
(0) 2 (0)
(0) 0 (0)
(2) 0 (0)
(0) 5 (0)
(2) 7 (0)
9 (2)
2,700 千円
(注) 上表中、( )は報酬支給人数を内数で示しています。
ⅱ. 職員の状況(各年度の4月1日現在)
区分
常勤管理職職員 計
法人採用正職員
市派遣職員
市職員OB
その他
常勤一般職職員 計
法人採用正職員
市派遣職員
市職員OB
その他
常勤職員 合計
非常勤職員数
職員総数(常勤+非常勤)
【参考】臨時職員数
平成
22年度
(人)
0
職員数の推移
平成
平成
23年度
24年度
(人)
(人)
0
0
平成
25年度
(人)
0
平均年齢 平均年収
(歳) (千円)
47
47
51
51
39
39
34
34
41.0
41.0
2,706
2,706
47
51
39
34
41.0
2,706
47
51
39
34
25
201
ⅲ. 組織体制及び事務分掌(平成25年4月1日現在)
組織体制
監事
2名
理事会 7 名
(うち理事長 1 名)
(うち常務理事 1 名)
評議員会
モヤヒルズ事業所
事務局長(常務理事兼務)1 名
ゆーさ浅虫事業所
駅長(理事長兼務) 1 名
管理部
総務
5 名
営業部
管理部
ゆーさ
市場
8名
8名
(うち臨 7 名) (うち臨 1 名) (うち臨 3 名)
施設
管理
10 名
3名
物販
営業部
総務
索道
施設・園地
(幸畑墓苑含)
9名
12 名
5名
(うち臨 5 名) (うち臨 3 名) (うち臨 6 名)
事務分掌
○総務
①理事会・評議員会に関すること
②定款・規則等に関すること
③職員の人事に関すること
④事務局の組織に関すること
⑤契約に関すること
⑥財産・金銭及び物品に関すること
⑦利用者保険に関すること
⑧利用者統計に関すること
⑨他の課の事務に属さないこと
⑩事業計画に関すること
⑪予算及び決算に関すること
⑫資金計画及び資金操作に関すること
⑬収入及び支出の命令に関すること
⑭公益事業に関すること
⑮電話・コピー・ファックスの維持に関すること
○営業企画
①公益事業の企画・実施に関すること
②収益事業に関すること
202
営業
企画
2名
③ヒルズミュージアムの企画・運営に関すること
④営業施設・レンタル用品の企画・運営に関すること
⑤利用券の売り払い、精算に関すること
⑥広報・誘客に関すること
⑦渉外に関すること
⑧アウトドアスポーツの調査及び資料に関すること
⑨物販に関すること
⑩産直事業に関すること
⑪道路情報タッチパネルの維持管理に関すること
○索道
①索道施設の企画・運営に関すること
○施設・園地
①園地施設の管理に関すること
②建物、構築物、電気、通信、放送、給排水、温泉等の設備に関すること
③車両、機械等に関すること
④地域内共益施設の管理に関すること
⑤駐車場の維持管理に関すること
⑥清掃に関すること
203
④ 財務の状況
※財務諸表に関する情報
会計年度
始期
終期
4 月 1 日∼翌年 3 月 31 日
適用会計基準
消費税等の会計処理
新公益法人会計基準
税抜方式
(平成 20 年改正基準)
なお、平成 22 年度まで
12 月 1 日∼翌年 11 月 30 日
ⅰ. 経営成績の概要【正味財産増減計算書】
区 分
経常収益(A)
事業収益
本市からの指定管理収益
本市からの利用料金収益
本市からの受託事業収益
その他事業収益
受取補助金等
うち受取国庫補助金
うち受取県補助金
経常
うち受取市補助金
増減
基本財産運用益
特定資産運用益
一般正味 の部
その他経常収益
財産増減
経常費用(B)
の部
事業費
うち職員人件費
うち減価償却費
管理費
うち役職員人件費
うち減価償却費
当期経常増減額(C)=(A)-(B)
経常外
経常外収益(D)
増減
経常外費用(E)
の部
当期経常外増減額(F)=(D)-(E)
当期一般正味財産増減額(G)=(C)+(F)
当期指定正味財産増減額
204
(単位:千円、千円未満四捨五入)
平成22年度 平成23年度 平成24年度
966,678
634,385
610,649
966,663
634,379
610,644
280,860
196,937
216,052
149,457
82,425
80,335
1,962
1,893
1,743
534,384
353,124
312,514
15
6
5
946,984
633,902
597,246
804,707
529,140
498,053
227,743
154,131
118,861
1,894
530
259
142,277
104,762
99,193
60,003
41,564
38,994
157
66
19,694
483
13,403
93
70
70
▲ 93
▲ 70
▲ 70
19,601
413
13,333
-
ⅱ. 財政状態の概要【貸借対照表】
資産の部
負債の部
正味財産
の部
(新公益
法人会計
基準)
(単位:千円、千円未満四捨五入)
区 分
平成22年度 平成23年度 平成24年度
流動資産
43,477
33,040
42,879
固定資産
52,227
50,874
50,798
基本財産
20,400
20,400
20,400
特定資産
うち減価償却引当資産
うち退職給付等引当資産
その他の固定資産
31,827
30,474
30,398
うち土地
うち建物
28,424
資産 合計
95,704
83,914
93,677
流動負債
75,869
63,284
53,635
うち短期借入金
20,000
15,000
うち本市からの借入金
固定負債
382
6,461
うち長期借入金
うち本市からの借入金
うち退職給付等引当金
6,079
負債 合計
75,869
63,666
60,096
指定正味財産
20,400
20,400
20,400
うち基本財産への充当額
うち特定資産への充当額
一般正味財産
▲ 565
▲ 152
13,181
うち基本財産への充当額
うち特定資産への充当額
正味財産 合計
19,835
20,248
33,581
負債及び正味財産 合計
95,704
83,914
93,677
205
⑤ 本市の財政的関与等の状況
(単位:千円、千円未満四捨五入)
項 目
補助金
事業費補助金
管理費補助金
交付金
負担金
委託料
観光地刈払・清掃等管理業務委託
(うち再委託額)
指定管理料
指定管理業務
(うち再委託額)
貸付金(当期借入額)
短期貸付金
長期貸付金
出資金(追加額)
合 計
平成22年度 平成23年度 平成24年度
1,962
1,893
1,743
1,962
1,893
1,743
40
280,860
196,937
216,052
280,860
196,937
216,052
43,935
39,210
41,411
282,822
198,830
217,795
目的、内容、必要性、増減理由等
(注)各項目ごとにそれぞれ四捨五入しているので、決算書と一致しない場合がある。
各年度 3 月 31 日時点
貸付金の状況
(年度末残高)
損失補償の状況
(年度末残高)
債務保証の状況
(年度末残高)
有・無
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
無
−
−
−
無
−
−
−
無
−
−
−
206
⑥ 経営状況に関する指標
ⅰ. 健全性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
算出方法
当期損益
<正味財産増減計算書>
【単位:千円】
当期一般正味財産増減額
累積損益
<貸借対照表>
【単位:千円】
一般正味財産
経常比率
経常収益/経常費用×100
平成 22
平成 23
平成 24
年度
年度
年度
19,601
413
13,333
▲565
▲152
13,181
102.1
100.1
102.2
正味財産合計/資産合計×100
20.7
24.1
35.8
流動比率
流動資産/流動負債×100
57.3
52.2
79.9
固定比率
固定資産/正味財産合計×100
263.3
251.3
151.3
20.9
17.9
−
34.3
32.9
38.4
▲3.4
▲4.8
▲2.9
自己資本比率
(正味財産比率)
借入金依存度
公益事業比率
内部留保金額の
水準
(短期借入金+長期借入金)/
資産合計×100
公益事業/経常費用×100
内部留保金額/(事業費+管理
費+事業に必要な固定資産取得
額)×100
ⅱ. 自立性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
市からの収入割
合
資産に対する市
からの借入金割
合
算出方法
平成 22
平成 23
平成 24
年度
年度
年度
本市からの収入(補助金+交付
金+負担金+委託料+指定管理
29.3
31.3
35.7
−
−
−
15.5
19.7
19.0
料)/経常収益×100
本市からの貸付金残高/資産合
計×100
受託事業の再委
再委託額/(本市からの委託料
託率
+指定管理料)×100
207
ⅲ. 効率性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
管理費比率
人件費比率
職員 1 人当たりの
収益高
【単位:千円】
算出方法
管理費/経常費用×100
役職員人件費(事業費・管理費)
/経常費用×100
経常収益/職員総数(常勤+非
常勤)
平成 22
平成 23
平成 24
年度
年度
年度
15.0
16.5
16.6
30.4
30.9
26.4
20,568
12,439
15,658
(出典:平成 25 年度青森市第三セクター経営状況基本情報シートより監査人が作成)
208
⑦ 監査の結果
意見4−26
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.130
青森市観光レクリエーション振興財団の存在意義(意見)
指摘・意見の内容
青森市観光レクリエーション振興財団は、観光およびレ
クリエーションの振興に関する事業を行い、観光レクリエ
ーション産業の健全な育成と発展および余暇活動の充実を
図り、地域経済の活性化と地域住民の福祉の向上に寄与す
ることを目的として、平成9年9月に市が25%を出資(出え
ん)し、この他に地元の金融機関や観光・スポーツ関連団
体等延べ22団体・個人が残りの75%を出資(出えん)して
設立された。
現在の主な活動は、市の公の施設である5施設の指定管理
業務であり、いずれの施設とも、指定管理者制度導入以前
から、当財団が市から管理委託を受けていたものである。
当財団の主たる業務は、モヤヒルズやユーサ浅虫のよう
な商業施設という側面を併せ持つ公の施設の指定管理業務
であり、純然たる公益事業は指定管理者となっているこれ
らの公の施設を利用しての若干の自主事業に過ぎない。
公の施設の管理委託が自治体の外郭団体に限定されてい
た時代においては、当財団は公益法人として設立目的に合
致した業務を行い、公益法人としての存在意義があった。
しかし、公の施設の管理が民間にも開放された指定管理者
制度が導入された以降は、公益法人であるにもかかわらず
民間でもなしうる業務が全業務の大半である当財団の存在
意義について疑問の生じるところである。民間事業者であ
っても、指定管理業務の募集要項に現在当財団が公の施設
を利用して実施している公益事業も含めれば、現状程度の
公益事業であれば実施可能と思われる。
指定管理者制度導入により公の施設の管理が民間にも開
放されたという点を踏まえ、市の外郭団体としての当財団
の存在意義と、民間活力および競争原理を活用して市の負
担を軽減すると同時に市民サービスを向上していく、とい
う背反する2つの点をどのようにすれば両立させることが
できるのか、市は検討を尽くす必要がある。
209
平成 22 年 8 月対応方針
当財団の存在意義などについて市で策定する「(仮称)
第三セクターに関する基本方針」において、財団の今後の
あり方について検討していくところであり、その中で市と
しての方向性を示します。
平成 25 年 12 月現在の対
経営改善計画の3年目であり、当財団は存続している。
応状況
監査人の評価
「第三セクターに関する基本方針」において当財団は積
極的な経営改善を前提に存続させるという方向性が定めら
れた。しかし、今後も事業環境を踏まえ、民営化等の必要
性を継続的に検証していくことは重要と思われる。
意見4−27
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.131
財務内容の改善(意見)
指摘・意見の内容
当財団の平成20年11月30日現在の正味財産は4,968千円
であり、賞与引当金の未計上額5,800千円、退職給付引当金
の未計上額1,968千円および役員退職慰労引当金の未計上
額11,647千円を加味すると、実質的には債務超過の状態と
なっている。債務超過ということは、資産よりも負債の方
が大きく、財団を清算すると全ての資産を換金しても債務
を全て返済することができない状態であることを意味して
いる。例えば、これらの賞与・退職金以外の全ての債務を
返済すると職員および役員への賞与・退職金を支払う資金
が不足している状態である。
このような事態となることを回避するために、当財団は
管理経費等の支出の削減や追加の出資(出えん)の募集な
ど、財務内容の改善策の実施が急務である。また、市とし
ても、外郭団体である当財団の財務内容の改善に向けて、
市としての取組方針を早急に検討する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
今後も引き続き支出の削減に取り組むとともに、財務内
容の改善策について早急に検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成24年度から退職給付引当金のみを計上している。ま
た、平成24年度は給与手当を34,128千円減少させたこと等
により正味財産を13,333千円増加させており、支出削減に
取り組んでいる。
210
監査人の評価
正味財産は13,333千円増加しており、財務状況は改善に
向かっている。ただし、平成24年度から退職給付引当金を
計上したという意味では一定程度会計処理の改善は行われ
たものの、未だ、役員退職慰労引当金及び賞与引当金の計
上はされていない点は、問題として残っている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.132
財団の決算期の変更(意見)
指摘・意見の内容
財団の決算期は11月となっており、他方、指定管理期間
は4月∼3月であることから、収支計算書や利用状況に関す
る各種根拠資料等、財団の決算期に合わせた12月∼11月の
ものと、指定管理期間に合わせた4月∼3月のものの2種類を
毎年作成している。これによって、事務作業の煩雑、非効
率が発生していると考えられる。
当財団の主たる事業は、市の公の施設の指定管理業務で
あり、事務作業の簡素化、効率化を図るために、財団の決
算期を3月に変更することを検討することが望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
指定管理者の受託期間は4月∼3月の報告が必要なことか
ら、事務作業の簡素化・効率化を図るため3月決算の会計期
間への変更を検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年11月期を最後に、当財団の決算期を3月に変更し
ている。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.133
収支計算書の区分(意見)
指摘・意見の内容
当財団の収支計算書はモヤヒルズとユーサ浅虫の2つの
会計単位に区分されている。しかし、本来の業務管理上は、
公益法人としての財団の本業である自主事業が一般会計で
あり、収益事業である指定管理業務を行っているモヤヒル
ズ、ユーサ浅虫、幸畑墓苑、八甲田憩いの牧場、合子沢記
念公園の5つが特別会計とすべきものであることから、合計
6つの会計単位に区分することが考えられる。これによっ
て、本業である自主事業と施設別の指定管理業務の収支を
211
明らかにし、経営判断の情報とする必要があると考える。
平成 22 年 8 月対応方針
モヤヒルズ、ユーサ浅虫、憩いの牧場、記念公園、幸畑
墓苑を特別会計として会計処理することを検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現状、一般会計及び特別会計という区分は採用しておら
ず、『モヤヒルズ』、『八甲田憩いの牧場』、『合子沢記
念公園』、『幸畑墓苑』及び『ゆ∼さ浅虫』について、各
施設毎に収支計算書を作成し、管理を行っている。
監査人の評価
各施設毎に収支計算書を作成し、管理を行っていること
から意見は反映されている。
指摘4−28
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.134
賞与引当金の計上(結果)
指摘・意見の内容
当財団のユーサ浅虫の給与規程では、賞与を6月と12月に
支給することとなっており、賞与の支給対象期間について
の定めはなく、12月の賞与については6月16日から11月15
日を支給対象期間として勤務成績等を査定して支給してい
るが、当財団は賞与引当金を計上していない。 平成18年4
月1日から施行された公益法人会計基準では賞与引当金を
計上することとされている。
このため、平成20年12月に支給した賞与5,800千円は、そ
の実質的な支給対象期間が平成20年6月16日から11月15日
であるため、平成20年11月期において賞与引当金として計
上すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から公益法人会計基準に基づき支給期間を考
慮して賞与引当金を計上します。
平成 25 年 12 月現在の対
賞与引当金は計上していない。
応状況
監査人の評価
公益法人会計基準に基づき賞与引当金を計上すべきであ
る。
212
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.135
退職給付引当金の計上(結果)
指摘・意見の内容
当財団では退職金規程により、職員に対して退職給付債
務を負っているが、退職給付引当金を計上していない。
平成18年4月1日から施行された公益法人会計基準では退
職給付引当金を計上することとされている。
当財団では、中小企業退職金共済に加入して掛け金を拠
出しており、退職金規程による自己都合要支給額のうち、
中小企業退職金共済から退職者に支払われる額を控除した
残額を、退職金として財団から退職者に支払う制度を採用
している。
自己都合要支給額が中小企業退職金共済支払額を上回る
職員については、差額を公益法人会計基準に準拠して退職
給付引当金を計上する必要がある。
また、自己都合要支給額が中小企業退職金共済支払額を
下回る職員が発生している要因は、過去に退職金規程の改
正を行い、退職金の支給水準を引下げたが、中小企業退職
金共済の掛け金を引下げていないことによるものとのこと
である。この場合、職員本人に退職金規程による自己都合
要支給額を上回る退職金が本人に支払われることになり、
超過部分は、いわば財団が規程を上回る不必要な負担をし
ていることになる。超過分が解消されるまでの間は、人件
費節減のために、当該職員についての中小企業退職金共済
の掛け金の支払いを停止すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
退職金給付の対象となる準職員についても中小企業退職
金共済へ加入するとともに、自己都合退職給付額が中小企
業退職金共済支払額を上回る職員については掛金追加の手
続きをし、差額は退職引当金を計上します。
今後は、自己都合退職給付額と中小企業退職金共済支払額
が同額となるよう、年度毎に掛金と支給率を照合します。
平成 25 年 12 月現在の対
平成24年度から退職給付引当金を計上している。
応状況
監査人の評価
平成24年度から退職給付引当金を計上しており、適切に
改善されている。なお、退職給付引当金は自己都合退職給
付額と中小企業退職金共済からの支給見込額との差額を計
上している。
213
指摘4―29
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.136
役員退職慰労引当金の計上(結果)
指摘・意見の内容
職員への退職給付引当金と同様、旧公益法人会計基準で
は役員に支払う退職慰労金についても、引当金の要件を満
たす場合には、役員退職慰労引当金を計上することとされ
ている。当財団では、役員退職慰労金規程があり、過去の
支払状況が当該規程に基づいているため、引当金の要件を
満たしているものと考えられる。平成21年3月31日現在の役
員退職慰労金の要支給額を役員退職慰労引当金として計上
する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から内規に基づく期末要支給額と合致するよ
うに役員退職慰労引当金を計上します。
平成 25 年 12 月現在の対
役員退職慰労引当金は計上していない。
応状況
監査人の評価
役員退職慰労引当金を計上すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.137
ユーサ浅虫の指定管理料収入の決算処理(結果)
指摘・意見の内容
ユーサ浅虫の指定管理業務の決算期間は、4月から3月ま
での1年間であり、当財団は指定管理料を対象年度の4月に
市より受取っている。
当財団では、指定管理業務の協定に基づき4月に受取った
指定管理料を一旦前受金に計上し、毎月、当指定管理業務
に関して発生した費用と同額を前受金から業務受託収入に
振替えている。当財団と市との契約上、市から受取った指
定管理料は、当財団側で発生した費用に応じて、実績精算
されることに基本的にはなっていないため、上記受取額で
ある前受金増加額と費用見合の業務受託収入への1年間の
振替金額の合計である前受金減少額は一致しておらず、毎
年差額が発生している。
この差額は、市へ返還する必要がないので当財団の収益
であり、当指定管理業務の年次決算終了時点である3月31
日をもって業務受託収入とすべきものである。しかしなが
ら、当財団では当差額を業務受託収入に振替えておらず、
214
当差額は前受金に累積されている。
この前受金は、過年度において当財団の収益とすべきも
のであることから、本来は平成20年11月期の当財団の決算
処理で、経常外収益へ振替えることが必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年度から前受金の差額は経常外の収益へ振替えま
した。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
当該前受金は毎期末において、ゼロとして決算を行って
いる。
指摘事項は改善されている。
指摘4―30
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.138
ユーサ浅虫の市場出品者に関する売上計上額の決算処理(結果)
指摘・意見の内容
当財団はユーサ浅虫の市場出品者との出品契約上、出品
者の売上金額の一定割合を販売手数料として受取る契約を
締結している。同様に、ユーサ浅虫の飲料等の販売会社と
締結している自動販売機の設置に関する契約上も、売上金
額の一定割合を手数料として受取る契約を締結しているも
のがある。
この取引について、当財団の会計処理は売上および仕入
勘定を使用しているが、当財団は、いずれの取引について
も商品等を仕入れてはおらず、取引先の売上金額の一定割
合を手数料として受取っているのであるから、仕入を計上
することは不適切であり、取引先から受取った手数料を売
上に計上すべきである。
今後はこのように取引先から受取った手数料のみを売上
に計上する決算処理に改める必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
市場出品者や自動販売機の売上金について、販売手数料
のみを売上計上する決算処理について検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
現状、従前と同様の会計処理を行っている。
応状況
監査人の評価
受領した手数料のみを売上に計上する決算処理に改める
必要がある。
215
意見4−31
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.139
決算内容のインターネットによる情報公開(意見)
指摘・意見の内容
当財団はインターネットによる決算内容の情報公開を実
施していないが、平成20年3月に市が作成した「第三セクタ
ーの経営評価指針」の7.情報公開(1)第三セクターによる
情報公開では、
「インターネットによる公開に努めること。」
とされている。
これは、第三セクターが市からの出資や補助金を受けて
おり、市の外郭団体として公共性の高い事業を行っている
ことから、当然の帰結として、税金を負担している市民に
対して市に準じた高い説明責任を有していると考えられる
からである。
このような経営評価指針の趣旨を鑑みて、当財団はイン
ターネットによる決算内容の情報公開を行うことが望まし
い。
なお、当財団はモヤヒルズについてインターネットのホ
ームページを開設しているものの、財団としてのホームペ
ージは開設していない。財団の活動を情報発信するツール
として、インターネットは有用であり、財団としてのホー
ムページの開設も合わせて検討することが望ましい。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度内にインターネットによる決算内容の情報
公開ができるように環境を整備します。
平成 25 年 12 月現在の対
モヤヒルズのホームページ内で決算書を開示している。
応状況
監査人の評価
モヤヒルズのホームページ内で決算内容の開示を行って
いるが、当財団のホームページは存在しない。当財団の活
動内容の認知度向上のためにも当財団のホームページを開
設するのが望ましい。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.140
個人情報保護に関する規程の整備(意見)
指摘・意見の内容
当財団は市の公の施設を5施設管理しており、各施設にお
いて、施設の利用許可申請書や商品発送の運送伝票の控え
等、顧客の氏名、住所、電話番号等の個人情報が記載され
216
ている書類を取扱っている。しかしながら、個人情報保護
に関する規程は未だ整備されていない。
個人情報保護法第23条により、個人情報取扱事業者は本
人の同意なしに個人情報を第三者に提供してはならず、こ
のためには、個人情報が漏洩しないように適切に管理する
義務を有している。
当財団は、このような法律を踏まえて団体としての現在
の運用の考え方を明確にし、職員に周知・徹底するため
にも、速やかに個人情報保護に関する規程を整備すること
が望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度内に個人情報保護規程を整備します。
平成 25 年 12 月現在の対
個人情報保護規程を整備し、運用している。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
意見4−32
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.141
業務委託費の積算の必要性(意見)
指摘・意見の内容
当財団の職員の中には設計額を正確に積算できる者がい
ないことから業務委託額の積算を行っていないため、その
金額の妥当性については判断ができない。業務委託は委託
業者との間で談合や癒着が生じる可能性があるため、業務
委託契約に係る手続は適正に行われるよう十分に留意する
必要があり、少なくとも一定以上の金額が発生する業務委
託については常に積算を行い、随意契約金額の妥当性を検
討すべきである。そのためには、当財団は設計額の積算を
行う専門家を独自に養成し、自前で設計額を積算する必要
があり、積算の担当者は他館の積算手法などを情報収集し
ながら、適切な設計書の作成方法について検討すべきであ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
自前で設計額を積算できるように他の施設や関連する事
業所から積算手法等の情報収集しながら、適切な設計書の
作成に努めます。
平成 25 年 12 月現在の対
従前どおり、自前での積算は行っていない。
応状況
217
監査人の評価
現状、当財団では積算の出来る専門家を養成するための
資金が十分にあるとは言えないことから、今後は市の専門
家の協力を仰ぐ、又は外部の専門家に業務を委託する等の
費用対効果を勘案した方法を検討する必要がある。
指摘4−33
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.142
入札制度等規程の制定と遵守の徹底(結果)
指摘・意見の内容
当財団の業務委託契約の中には年間業務委託金額が10百
万円を超える契約があるにもかかわらず、入札も相見積り
も行っていない。市財務規則第122条を準用すれば、50万円
を超える委託業務については随意契約ができず入札を行う
必要がある。また、市財務規則第123条を準用すれば、50
万円以下の委託業務については随意契約が可能であるが、5
万円以下の委託業務を除き、二人以上から相見積りを実施
する必要がある。当財団は早急に工事、物品およびサービ
ス購入に関する入札制度等についての規程を制定すべきで
あり、当該規程を遵守して新たに委託業者を選定し直すべ
きである。
平成 22 年 8 月対応方針
財団の契約行為について、青森市の財務規則を参考にし
ながら、工事・物品およびサービス購入に関する入札制度
等についての規程を制定します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
規程の整備は行っていないが、工事・物品およびサービ
ス購入時には相見積もりを取っている。
規程を整備していない。したがって、当財団は早急に規
程を整備すべきである。また、委託業者の選定に当たって
は相見積もりによる方法のみであるため、入札による方法
が必要な場合には、適切に入札を行う必要がある。
218
意見4−34
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.143
ユーサ浅虫
利用料金制の導入(意見)
指摘・意見の内容
市は「指定管理者制度導入基本方針」において、「利用
料金制は、公の施設の管理運営にあたって指定管理者の自
主的な努力を発揮しやすくし、また、市及び指定管理者の
会計事務の効率化が期待できることから、施設の性格や実
態等を考慮しながら制度導入について十分に検討したうえ
で、積極的に活用を図るものとする。」としている。
使用料収入が発生する施設は、4階の会議室および5階の
浴場施設(日帰り温泉施設)である。この他、業務用施設
という名称で指定管理者である当財団自体が市から賃借し
て物販およびレストランを営業しており、ここからも使用
料が発生する。当財団が使用しているこの業務用施設はと
もかくとして、会議室と浴場施設、特に浴場施設は、指定
管理者の営業努力次第で収入水準が大きく影響を受けるも
のであり、利用料金制の導入が望ましいと考えられる。
利用料金制を導入しない理由について、平成16年当時の
市の検討資料によると、「委託料と収入の差が、平成15年
度決算で73,814千円、平成16年度決算見込みで74,506千円
であり、収支採算が見込まれない施設であるため、利用料
金制の導入を見送るものである。また、ユーサ浅虫の物販
収入(30,000千円と見込む)を考慮しても委託料と収入の
差は、約44,000千円程度あり、収支採算が見込まれないと
考える。」となっている。
ここで言っている「委託料と収入の差」とは、浴場、会
議室および業務用施設の使用料収入と当施設の運営費用と
の差額のことであるが、この収支採算が赤字であることが
利用料金制を導入しない理由には全く当たらない。この赤
字の金額は指定管理料を考慮する前の当施設の赤字であっ
て、指定管理料をそれ以上の額とすれば黒字にすることは
できるのである。実際に、指定管理者制度導入後の実績で
は、指定管理料を含めれば、平成18年度34,652千円、平成
19年度22,116千円、平成20年度21,613千円という3年連続の
219
黒字となっている。
市は当施設についても、平成18年度の指定管理者制度導
入当初において利用料金制を採用すべきであったと考えら
れ、また、次回の指定管理者制度選定となる平成23年度に
おいては利用料金制を採用すべきであると考える。
平成 22 年 8 月対応方針
指定期間を平成25年度以降とする指定管理者の選定(平
成24年度審議)時から公募へ移行するともに、利用料金制
度導入について検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成24年度に開催された指定管理者選定評価委員会にお
いて、会議室、浴場施設のみの収入では、そのキャパシテ
ィと利用時間から企業努力による黒字は難しいという判断
もあったことから、現状、利用料金制度については見送っ
ている。
監査人の評価
会議室、浴場施設は集客施設であり、指定管理者のイン
センティブ向上を目的とした利用料金制の採用に適した施
設といえる。採算も会議室、浴場施設のみの収入ではなく、
指定管理料も含め総合的に判断すべきであり、今後も利用
料金制の採用を検討していく必要があると思われる。
意見4−35
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.144
ユーサ浅虫
指定管理料の精算の必要性(結果)
指摘・意見の内容
平成20年4月1日に覚書を締結し平成20年度の指定管理料
は98,757千円となったが、指定管理料の積算根拠となって
いる運営費用を見直し、平成21年1月13日に変更覚書を締結
して指定管理料は98,757千円から107,727千円に8,970千円
増額されている。その後、平成21年3月31日に当財団から市
へ精算報告書が提出され、実績の運営費用104,947千円との
差額2,780千円が市へ返納されている。
指定管理料のうち灯油代、電気代、水道代、温泉使用料、
維持修繕費および建物リース料は実費精算となっている。
協定書の第4条第2項には「指定管理料の額は、管理業務
の変更の必要性が生じた場合又は特別な事情があると認め
られる場合を除き、管理業務に要した経費、利用料金及び
220
その他の収入に増減があっても、増額又は減額しないもの
とする。」と規定されている。上記の指定管理料の変更の
うち、「特別な事情」と言える可能性があるのは、原油価
格の大幅な高騰の影響を受けた灯油代のみであり、それ以
外を変更することは協定書に違反していると考えられ、安
易に指定管理料を変更すべきではなく、協定書を遵守すべ
きである。
また、変更覚書には変更の理由が一切記載されていない
が、協定書に準拠して「特別な事情」により灯油代を変更
するのであれば、その旨を変更覚書に明記すべきである。
なお、指定管理料に関する見積書および請求書の日付は
未記入となっているが、見積日および請求日を明確にする
ために、日付は記入するように市は当財団を指導すべきで
ある。
平成 22 年 8 月対応方針
市としては、原油の高騰による光熱水費の増や、予測し
得なかった修繕の発生など、指定管理者の経営努力の及ば
ない経費の増加要因については、「特別な事情」と考えて
いることから、指定管理料の変更は適正であったと認識し
ています。
なお、覚書に変更理由が記載されていない点については、
今後変更理由を記載するよう改善するともに、見積書や請
求書の日付については、契約書類の確認不足であったこと
から、記入した見積書等を再提出させ、適切な事務処理に
是正しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
覚書、見積書及び請求書等の書類関係のチェック体制を
強化し、業務を行っているが、一部に不備がある。
平成24年度まで指定管理料の変更が行われており、当該
覚書には理由が記載されていなかった。したがって、指摘
事項は改善されていない。一方で、見積書及び請求書は適
切に整備されている。
221
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.145
ユーサ浅虫
指定管理期間における収支計算書の提出および実績評価(結果)
指摘・意見の内容
協定書第10条には、「乙(指定管理者)は、毎事業年度
終了後、管理業務に関し、甲(市)が指定する期日までに
管理業務に係る事業報告書を甲に提出しなければならな
い。」と規定されているが、当財団が市へ提出している事
業報告書には、当施設の3月31日に終了する指定管理期間に
おける収支計算書は添付されていない。
収支計算書は当然に事業報告書に含まれるものと解さ
れ、収支計算書が提出されていないことは協定書および条
例への違反である。当財団は市へ収支計算書を提出すべき
であり、市はそのように当財団を指導すべきである。
当財団は決算期が11月30日であることから、当施設の11
月30日までの1年間の収支計算書は作成しているが、指定管
理期間である3月31日までの1年間の収支計算書は作成して
いない。当財団は当施設の毎月の収支計算書を市へ提出し
ているため、市では毎月の収支計算書を合算すれば、3月31
日までの大まかな1年間の収支計算書を作成することはで
きるが、実際には作成していない。
このため、指定管理者である当財団および市は、いずれ
も当施設の指定管理期間である3月31日までの1年間の収支
を把握していない状況である。このように指定管理業務の
会計年度における収支の状況を把握していないという状況
は、当財団および市の当施設に関する実績評価が適切に行
われていないということになる。
施設の収支に関する情報は、施設の情報の中でも最も重
要な情報の1つであり、当財団および市は、財団の決算期で
ある11月30日までの1年間の収支とは別に、指定管理業務の
会計年度である3月31日までの1年間の収支を把握して、指
定管理業務の会計年度の実績を評価すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年度の事業報告から、毎月の収支計算書に加え、
当施設の指定管理期間(4月∼3月)の収支計算書を提出さ
せています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
施設の指定管理期間における収支計算書を作成し、提出
している。
222
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
意見4−36
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.146
ユーサ浅虫
市場の建物に関する取得のあり方(意見)
指摘・意見の内容
当施設には地場産品を直売する施設として市場が設けら
れている。この市場は、指定管理者制度導入以前、市から
当財団への管理委託当時に、仕様書における「地場産品の
振興を図るため、産地直売施設を賃借により設置するもの
とする。」という規定に基づき、当財団とリース契約した
リース会社から平成15年2月28日に、無料駐車場の敷地内に
おいて当財団が引渡しを受けたものである。
市は当施設を浅虫地区地域振興施設整備事業として整備
するに当たり、地域総合整備債を起債しており、起債に当
たっての施工計画事項としては、市場が設置してある土地
は駐車場整備(=駐車場用途)としての申請であるが、市
場はリース物件なので設置期間は契約上限定的なものであ
ることから一般的に整備債の繰上返済が必要となる「用途
の転用」には当たらないと判断し、また、よりリース経費
を節約するために、業者と厳しい価格交渉ができる当財団
がリース会社とリース契約を締結し、管理運営することが
相応しいと判断した、とのことである。
そのため、市場は条例で定める公の施設ではなく、市は
当財団から土地の使用料(地代)を徴収していない。使用
料を徴収していないのみでなく、市は当財団に対して、リ
ース物件である市場のリース料の実費相当額として、同額
の指定管理料を支払っている。
リース契約の期間は平成15年2月28日から平成20年2月27
日の5年間、リース料総額には建設費の全額の他、固定資産
税や支払利息など、諸費用が含まれている。このため、平
成20年2月27日のリース契約期間満了時には、リース会社か
らは1年毎の更新となる再リース契約とするよりも、1年分
の再リース料程度の金額で済む買取りの方が経済的なため
買取りを勧められたが、整備債の起債条件に抵触して繰上
223
返済が必要となってしまうために買取りをすることができ
ず、再リース料を毎年支払っている。また、建物のほか、
市場で使用するPOSレジ、陳列棚、厨房機器等の什器備品に
ついても建物と同一期間のリース契約となっており、市は
実費相当額として、同額の指定管理料を当財団に支払って
いる。以上が市場の建物を巡る事実関係であるが、これら
に関して次の問題点が考えられる。
第一に、現状の契約形態を前提として、市場は公の施設
ではないが、元々公の施設の無料駐車場であった場所にお
いてリース会社が設置したリース物件である市場を当財団
が引渡しを受け、収益事業である物販営業をしているので
あるから、当財団から使用料(地代)を徴収すべきである。
また、市場は収益部門であり、建物および什器備品のリー
ス料の実費相当額として同額を指定管理料として当財団へ
支払うべきではない。
第二に、什器備品については、当財団が買取りをしても
整備債の繰上返済にはならないのであるから、経費削減の
ために、当財団は再リースよりも安価である買取りを行う
べきである。
第三に、市は市場の建物が取得であれば繰上返済が必要
となる駐車場から市場用地への「用途の転用」に該当する
が、施設の設置期間が限定的なリース物件であるので「用
途の転用」には該当しない、としている。しかし、リース
物件の耐用年数は数十年以上が見込まれるにもかかわらず
リースの契約期間を5年間として建設代金に相当するリー
ス料を既に全額支払済みであること、および建物の仕様は
当財団が指定していること等から、形式的にはリースとい
う賃貸形式となっているが、経済的実態は取得に等しいも
のである。また、取得であっても、リース物件であっても、
無料駐車場として整備した場所に市場の建物が建設されて
いる、という物理的状況は何ら変わらない。違いは所有権
がリース会社にあるのか、当財団にあるのかの違いだけで、
市場の建物は厳然とそこに存在しているのである。以上よ
り、繰上返済の要否について、リース物件なら不要であれ
ば当財団が取得しても不要であり、逆に、当財団が取得す
ると必要となるのであればリース物件でも必要となる、と
224
いう可能性がある。この点について、市は整備債の貸し手
側に照会しておらず、弁護士にも照会していない。このよ
うな重要な論点については、市は事前に貸し手側や弁護士
に照会すべきであり、今後、速やかに照会する必要がある。
照会を行うことなく、今後、数十年にも亘ると想定される
建物の再リース料を毎年支払い続けていくことは、経済性
の観点から全く無駄な支出であると言わざるを得ない。
最後に、抜本的には、リース物件である市場の建物は公
の施設の基盤を構成するものであり、本来、市が取得し、
条例上も公の施設として明記すべきである。それを当財団
に賃借により設置させるのは筋違いである。当財団が賃借
により設置することとした協定書も同様に筋違いである。
市は速やかに、市場の建物の取得を検討すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
今後、当該建物のあり方と什器備品の取得について検討
します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成21年度包括外部監査の結果報告書の指摘事項に対す
る現在の状況は以下の通りである。
①使用料(地代)の徴収及び指定管理料の支払について
当財団は当該物件に対する使用料(地代)を支払って
いない。一方で、市は、当該物件に係るリース料と同額
の指定管理料の支払は止めている。
②什器備品の取得について
当財団は当該什器備品を取得しておらず、再リース契
約を締結している。
③繰上返済に対する市の対応
市は、繰上返済の要否について整備債の貸し手側及び
弁護士に対して照会を行っておらず、状況は平成21年度
の指摘当時と何ら変わっていない。
④市場の建物の取得について
市は当該建物の取得について検討を実施しておらず、
当財団はリース会社から当該物件をリースしている。な
お、リース料に対して指定管理料は支払われていない。
監査人の評価
ユーサ浅虫の市場の建物については、種々の問題点が指
摘されているが、指定管理料の支払に対する改善がなされ
たのみで、依然として、多くの問題点を抱えている。市及
び当財団は、早急に再度検討を実施すべきである。
225
意見4−37
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.147
ユーサ浅虫
ねぶた館の利活用(意見)
指摘・意見の内容
市場の建物の一部に、本来は加工場として使用する機能
を備えた18㎡の広さの部屋があるが、当財団はこの部屋を
浅虫町内会に無償貸与している。浅虫町内会は、毎年ねぶ
た祭りの期間中にこのねぶたを実際に使用し、それ以外の
期間は、このねぶた館に展示している。ねぶた館は市場の
建物の一部であるが、外からはガラス越しにねぶたを見る
ことができる。
しかし、ねぶたに関する説明書きなどの掲示はなく、展
示としては中途半端で寂しい感じを受ける。当施設には、
ねぶた館に関する案内表示が一切なく、ホームページやパ
ンフレットにも記載されておらず、多くの利用者は存在に
すら気がつかないものと思われる状況である。このような
状況では、ねぶた館の存在意義を見出すことは困難である。
保管場所を持たない同町内会からの強い要望で設置した
とのことであるが、近隣には営業中のホテルや廃業となっ
たホテルも多くあり、当施設以外にも保管、展示を引き受
ける施設がある可能性は十分にあると考えられる。このた
め、ねぶた館は本来の使用目的に従い惣菜等の加工施設と
して利用するか市場の販売スペースとして活用することを
検討する余地があるものと思われる。
検討の結果、ねぶた館として引続き使用する場合には、
インターネットやパンフレットへの掲示、館内での案内掲
示、ねぶたに関する説明書きなどの掲示等により、利用向
上に向けたアピールを行うことが望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度中に本来の使用目的である惣菜等の加工場と
しての活用を再検討するとともに、地元の方達とねぶたの
移設について協議します。
しかし、ねぶたの保管場所については、近隣に廃業のホ
テル等はあるものの防犯面等を考慮すると、移設は難しい
ことが予想されることから、協議・検討の結果、引き続き
ねぶた館として使用する場合は、浅虫ねぶた発祥の地等の
案内表示やパンフレットやホームページ等により、利用向
226
上に向けたアピールに努めます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
引き続きねぶた館として使用しており、ホームページに
てPRしている。
引き続きねぶた館として使用しているためねぶたの保管
場所を他に移設することが難しいと想像されるが、その場
合には、当該ねぶた館の利用向上の方法を再度検討し、実
施すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.148
ユーサ浅虫
協定書への責任分担表綴込み漏れ(結果)
指摘・意見の内容
市が保管している市と当財団との「道の駅ユーサ浅虫の
管理業務に関する協定書」には、法令変更、政策変更、第
三者賠償、自然災害等想定される項目毎に市と当財団との
責任の分担を取り決めた「市と指定管理者の責任分担表」
が綴込まれているが、当財団が保管している協定書には責
任分担表が綴込まれていなかった。製本時の単純な綴込み
漏れであるが、責任分担表は万が一の事態に備えて市と当
財団との責任の分担を定めた重要な文書であり、協定の当
事者それぞれが保管する協定書は確実に同一のものを作成
する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
市と財団の協定の当事者がそれぞれ同一の協定書を保管
するよう、協定書を修正しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
協定書の別紙である『市と指定管理者の責任分担表』を
協定書に綴じ込み、適切に管理している。
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.149
ユーサ浅虫
外部への業務委託の検討(意見)
指摘・意見の内容
道の駅であるユーサ浅虫においては、施設内外の清掃、
浴場清掃、レストラン業務を外部の業者には委託せず、当
財団の職員が自ら行っている。それらを自前で行うことに
よって、業務内容にきめ細かい配慮がなされ、お客様サー
227
ビスの向上が図られ、当施設が某観光情報誌においてトイ
レ、清掃、食事、品揃え、接客等9項目に関して実施した新
潟県を含む東北7県137道の駅の購読者アンケートで総合1
位を獲得した要因の一つにもなっていると考えられる。
しかしながら、当財団は経費を抑えるため、常に外部委
託について検討する必要があり、既に当財団は施設内の清
掃業務につき外部委託を考え、清掃業者から事前に見積書
を入手していたが、その金額と人件費および諸経費の合計
とを比較し、業務委託料のほうが高額であることから現時
点においても外部委託は行っていない。事前見積書の内容
を確認したところ、一人当たり人件費が日額(7.5時間)
10,500円で計算されていた。当該日額は一般的に高いと考
えられることから、青森市内における民間企業の給与相場
からして妥当か否かを当財団自身が検証する必要があっ
た。さらに、当財団は事前見積書を1社のみならず複数業者
から入手し、その内容を詳細に検討すべきであった。清掃
業務について、最終的には人件費および諸経費の合計額を
予定価格とした指名競争入札を行うことにより、委託業者
の選定を検討すべきである。
また、浴場清掃およびレストラン業務について、当財団
は外部業者から事前に見積書は入手していないが、上記清
掃業務と同様、複数業者から見積書を入手することにより、
外部への業務委託を検討すべきである。
その上で、利用者へのきめ細かい配慮が引続きなされて
いるか否かを財団が独自に検証することで、利用者へのサ
ービスの維持・向上が図られるものである。
平成 22 年 8 月対応方針
清掃、浴場業務については、平成22年度中に再度、複数
業者による見積もりを実施し、その上で、直接雇用とする
か外部委託するかを検討します。
レストラン業務については、財団がレストランを運営す
る能力があり、あえて外部に再委託する必要性がなく、ま
た、旬の地場産品の提供などに臨機応変に対応できること
から、引き続き財団が直接業務を実施します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
まず、レストランについては、現状、公募により外部委
託を行っている。また、浴場清掃については当財団が直接
雇用した者が実施しており、施設内外の清掃は複数の業者
228
から相見積もりを入手した上で、外部委託を行っている。
監査人の評価
意見は反映されている。
意見4−38
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.150
ユーサ浅虫
業務委託契約書の再作成(結果)
指摘・意見の内容
当財団は平成17年度まで市より当施設の管理を委託され
て運営しており、平成18年度からは市より当施設の指定管
理者として指定されている。当財団は特別清掃、給排水設
備、空気調和設備等保守点検業務やエレベーター保守点検
業務などの管理運営業務7件について、外部業者に委託して
いる。特別清掃、給排水設備、空気調和設備等保守点検業
務委託契約における委託期間は平成17年度から、自家用電
気工作物保安管理業務委託契約における委託期間は平成14
年度から、エレベーター保守点検業務委託契約における委
託期間は平成16年度からそれぞれ1年間であるが、それらは
自動更新が付され、指定管理者となった後も自動更新条項
を用いて同一内容、同一条件および同一委託額で契約を行
っている。指定管理者制度とは、それまで地方公共団体や
外郭団体に限定していた公の施設の管理・運営を、民間事
業者に包括的に代行させることができる制度であり、委託
制度とは異なる制度である。指定管理者は民間の手法を用
いて、弾力的かつ柔軟的な施設運営を行なうことにより、
管理運営経費の縮減、ひいては、施設を所有する地方公共
団体の負担の軽減が期待されているものである。しかしな
がら、当財団は平成18年度に指定管理者となり、市との契
約関係が以前の受託者から指定管理者に立場が変わったに
もかかわらず、以前と同様の業務委託契約書をそのまま使
用していることは、指定管理者制度に係る考え方に反する
ものである。
当財団は早急に上記 3 委託業務の契約書を新規に作成し
直すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
自家用電気工作物保安管理業務、エレベーター保守点検
業務は、平成22年度から契約を見直し、新たに契約書を締
229
結しました。
特別清掃・給排水設備・空気調和設備等保守点検業務は、
平成23年度分から、一括業務委託を見直し、それぞれ専門
性のある業者との分割した契約方法に改めます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
①特別清掃・給排水設備・空気調和設備等保守点検業務は一
括業務委託契約を締結し、自動更新条項が付されている。
②自家用電気工作物保安管理業務は、青森市が業者と1年間
の業務委託契約を締結しており、自動更新条項は付され
ていない。
③エレベーター保守点検業務は自動更新条項が付された業
務委託契約を締結している。
監査人の評価
①特別清掃・給排水設備・空気調和設備等保守点検業務は、
従前通り一括業務委託契約を締結している。また、自動
更新条項が付され、再委託禁止条項が盛り込まれていな
い。なお、一括業務委託契約を行っているのは、当該契
約の方が合理的であるとの検討結果に基づくものであ
る。
以上の事から、下記の問題点が指摘される。そもそも、
指定管理者制度は民間の手法を用いて、弾力的かつ柔軟
的な施設運営を行うことにより、管理運営経費の縮減、
ひいては、施設を所有する地方公共団体の負担の軽減が
期待される制度である。その趣旨に照らして、自動更新
条項は排除され、また、当該業務の再委託は禁止される
べきである。したがって、当財団は自動更新条項を付さ
ず、再委託禁止条項を盛り込んだ契約を締結すべきであ
る。
②自家用電気工作物保安管理業務は青森市が業者と1年間
の業務委託契約を締結している。したがって、指摘事項
は改善されている。
③エレベーター保守点検業務は自動更新条項が付された業
務委託契約を締結している。また、当該業務の再委託を
認める条項も盛り込まれている(ただし、当該業務につ
いては再委託されたことはない)。したがって、平成21
年度の指摘事項が改善されていない。指定管理者制度は
民間の手法を用いて、弾力的かつ柔軟的な施設運営を行
なうことにより、管理運営経費の縮減、ひいては、施設
230
を所有する地方公共団体の負担の軽減が期待される制度
である。その趣旨に照らして自動更新条項は排除され、
また、当該業務の再委託は禁止されるべきである。した
がって、当財団は自動更新条項を付さず、再委託禁止条
項を盛り込んだ契約を締結すべきである。
指摘4−39
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.151
ユーサ浅虫
自動更新条項の廃止および入札制度等規程の制定と遵守の徹底(結果)
指摘・意見の内容
当財団は管理運営業務7件全件について、指定管理者にな
った平成18年度以降も平成12年度に契約していた委託業者
との間で随意契約により業務委託契約を締結しており、契
約期間は季節的業務を除き1年間である。そのうち5件につ
いては自動更新条項を付すことによって毎年更新を行い、
平成20年度においても同様の契約書によって委託を行って
いる。現在、ユーサ浅虫の委託業者選定に関しては何ら規
程が存在していないが、市財務規則第122条を準用すれば、
50万円を超える委託業務については、原則として、随意契
約ができず入札を行う必要がある。また、市財務規則第123
条を準用すれば、50万円以下の委託業務については随意契
約が可能であるが、5万円以下の委託業務を除き、二人以上
から相見積りを実施する必要がある。
ユーサ浅虫の業務委託契約書に自動更新条項が付されて
いる委託業務5件の委託先選定状況を確認したところ、すべ
て入札も相見積りも実施せずに毎年自動更新されている。
業務委託契約書に自動更新条項を付した場合には、原則委
託先の変更が予定されないため、業務委託金額が硬直化す
ること、委託先のサービスがマンネリ化することなどの弊
害が生じるリスクがある。したがって、当財団は契約書の
自動更新を止め、業務委託契約期間毎に委託業者選定を実
施すべきである。そのため、当財団は、早急に工事、物品
およびサービス購入に関する入札制度等についての規程を
制定し、当該規程を遵守して新たに委託業者を選定し直す
べきである。
231
平成 22 年 8 月対応方針
財団の契約行為について、青森市の財務規則を参考にし
ながら、工事・物品およびサービス購入に関する入札制度
等についての規程を制定します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
規程の整備は行っていないが、工事・物品およびサービ
ス購入時には相見積もりを取っている。なお、業務委託契
約については、除雪・排雪作業以外の契約については自動
更新条項が付されている。
監査人の評価
依然として、規程の整備を行っていない。したがって、
当財団は早急に規程を整備すべきである。また、平成21年
度の指摘の通り、サービスの向上及び効率的な業務の実施
のためには、自動更新条項を付さない契約に改めるべきで
ある。
指摘4−40
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.152
ユーサ浅虫
入札の実施および業務委託契約書の早急な作成(結果)
指摘・意見の内容
樹木雪囲い・解体業務については、当財団が毎年同一委
託業者へ口頭で依頼し、委託金額は委託業者からの見積書
に基づいて決定している。当業務は緊急に行われるもので
はなく、毎年一定の時期に実施されることが予想されてい
るものであるから、市財務規則第123条を準用すれば、50
万円超の委託業務に当たるため入札を行う必要がある。
また、当業務については業務委託契約書を作成していな
い。業務委託契約書が作成されていなければ、業務内容、
業務範囲、期間、金額、条件等が不明確になるため、委託
業者は業務を適切に遂行することができない。業務遂行に
関して委託業者との誤解に基づく後日のトラブルを防止す
るとともに、委託業者の業務が不適切であった場合に指導
できる根拠とするためにも、早急に、具体的な業務内容、
範囲等を明確に記載した新規契約書を作成し、適正な契約
に基づく業務委託を実施すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
財団の契約行為について、青森市の財務規則を参考にし
ながら、工事・物品およびサービス購入に関する入札制度
等についての規程を制定します。
232
平成22年度から、具体的な業務内容・範囲等を明確にした
仕様書を作成し、入札等の業者選定方法をとるなど、適正
な契約手続きを実施します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
規程の整備は行っていないが、工事・物品およびサービ
ス購入時には相見積もりを取り、業者の選定を行っている。
依然として、規程を整備していない。したがって、当財
団は早急に規程を整備すべきである。
また、当該樹木雪囲い・解体業務については、先方と見
積書を取り交わすのみで、業務内容等を明記した契約書を
締結していない。したがって、当財団は責任内容を明確化
するために早急に契約書を作成し、当該業務の契約書を正
式に取り交わすべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.153
ユーサ浅虫
専門業者への委託と再委託禁止条項の設定(結果)
指摘・意見の内容
当財団は特別清掃、給排水設備、空気調和設備等保守点
検業務および機械警備業務について、指定管理者になった
平成18年度以降も平成12年度から契約している委託業者と
の間で、全委託金額のうち80.9%を随意契約により業務委
託契約を締結している。
同一業者だけでは行えないほどの様々な分野の業務を委
託しているが、委託業者から入手した業務実施報告書等か
らは業務を再委託していることを証す資料はなかったた
め、当財団を通して委託業者に確認したところ、上表の内、
温泉水および公衆浴場法水質検査業務と地下オイルタンク
漏洩検査業務の2件は第三者の専門業者へ再委託している
とのことであった。このように再委託があるにもかかわら
ず、委託業者から入手した業務実施報告書等からは一部の
業務を再委託していることを窺うことはできなかったこと
から、他にも再委託があるのではないかという疑念をぬぐ
い去ることはできない。
通常同一業者の業務範囲は限られるのであるから、委託
業者の専門性を確認の上、専門性を持っていない業務につ
いては、早急に、他の専門性を持った業者に委託し直すよ
233
う検討すべきである。
また、上記のように当委託業務は2件の再委託が行われて
いるが、業務委託契約書には委任または下請負の禁止の条
項が記載されていないため、現時点では契約違反に当たら
ないが、当財団は他の委託業務と同様、契約書に委任また
は下請負禁止の条項を設けるべきであり、その上で、再委
託の承認を行うべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成23年度から、専門分野ごとに委託業者選定を行うと
ともに、契約書には委任または下請負禁止の条項を設ける
こととします。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
地下オイルタンク漏洩検査業務、温泉水および公衆浴場
法水質検査業務ともに、再委託の禁止条項を設けた契約書
を締結している。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
意見4−41
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.154
モヤヒルズ
施設の利用状況および存在意義
指摘・意見の内容
ヒルズサンダー(意見)
営業日数1日当たりの輸送人員数は200人程度、営業時間
は1日7時間なので1時間当たりでは30人程度であり、利用は
低迷している。施設別の収支が把握されていないため、赤
字幅がどの程度であるのかは不明である。市は当財団に対
して、施設別収支を把握するように指導し、市の運営費負
担額が妥当であるか、また存在意義があるかどうか、確認
すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
施設別収支を把握するための資料提出を指導し、今後、
施設運用のあり方について財団と協議・検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現状、ヒルズサンダーの収支が分かる資料の作成は行っ
ておらず、モヤヒルズの収支計算書の中に含めた記載にと
どまっている。
監査人の評価
現状の収支計算書では、ヒルズサンダーの収支が把握で
きず、検討を実施できる状況にない。まず、当該施設の収
支を把握できる資料を早急に作成し、当該資料に基づいて
当該施設の存続の可否を検討すべきである。
234
意見4−42
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.155
モヤヒルズ
施設の利用状況および存在意義
指摘・意見の内容
テニスコート(意見)
施設別の収支が把握されていないため、赤字幅がどの程
度であるのかは不明である。市は当財団に対して、施設別
収支を把握するように指導し、市の運営費負担額が妥当で
あるか、存在意義があるかどうか、確認すべきである。
利用料金は利用人数とは無関係に、1面1時間当たり昼間
(午前6時∼午後6時)が1,000円、夜間(午後6時∼午後9
時)が1,500円となっている。このため、稼働率100%とし
た場合の1日当たりの利用料収入は、昼間が3面×12時間×
1,000円=36,000円、夜間が3面×3時間×1,500円=13,500
円となる。この金額を使用して実際の利用料収入から稼働
率を試算すると、昼間が4%前後、夜間が0.5%前後となる。
このように、テニスコートについては、利用人数のみなら
ず、コートの稼働率データも事業運営管理上は把握すべき
である。
このような低水準の稼働率であるならば、市民のニーズ
には全く適合していないと言わざるを得ず、他に市営のテ
ニスコートもあることから、市の費用負担の軽減のために
テニスコートは廃止することが妥当と考える。
平成 22 年 8 月対応方針
施設別収支及び稼働率を把握するための資料提出を指導
し、今後、テニスコートの廃止も含め、施設運用のあり方
について財団と協議・検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現状、テニスコートの収支が分かる資料の作成は行って
おらず、モヤヒルズの収支計算書の中に含めた記載に留ま
っている。
監査人の評価
現状の収支計算書では、テニスコートの収支が把握でき
ず、検討を実施できる状況にない。また、平成21年度と同
様の方法により、稼働率を推定すると平成22年度から平成
24年度は以下の通りとなり、極めて稼働率が悪いことが推
察される。
平成22年度
平成23年度
平成24年度
日中稼働率
3.0%
3.1%
2.3%
夜間稼働率
0.4%
0.4%
0.1%
235
したがって、当該施設の収支を把握できる資料を早急に
作成し、当該資料に基づいて当該施設の存続の可否を検討
すべきである。なお、当財団が作成している『MOYA HILLS 運
営状況報告書』のテニスコートの日中の利用時間が、『午
前9時∼午後6時』になっているが、『モヤヒルズのホーム
ページ』における利用可能時間が、『6時∼18時』になって
おり、報告書とホームページの記載が整合していない。正
確な利用時間は、『6時∼18時』であることから報告書を適
切に作成すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.156
モヤヒルズ
施設の利用状況および存在意義
指摘・意見の内容
ターゲットバードゴルフ(意見)
施設別の収支が把握されていないため、赤字幅がどの程
度であるのかは不明である。市は当財団に対して、施設別
収支を把握するように指導し、市の運営費負担額が妥当で
あるか、存在意義があるかどうか、確認すべきである。
このような低水準の稼働率であるならば、市民のニーズ
には全く適合していないと言わざるを得ず、市の費用負担
の軽減のためにターゲットバードゴルフは廃止することが
妥当と考える。
現在、ホームページには当施設が存在することすら掲載
されておらず、夏季用のパンフレットには施設の紹介はあ
るが料金が記載されていない。廃止しない場合には、利用
の促進を図る必要があり、ホームページやパンフレットに
料金体系を含む施設案内を掲載すべきである。
なお、ターゲットバードゴルフの規模が小さいことから、
利用人数や利用料収入を集計しておらず、1年間の利用状況
を数値としては把握していないが、当財団および市は、如
何に規模が小さいとはいえ、最低限、利用人数や利用料収
入という施設の利用状況を表す数値情報は把握すべきであ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
施設別収支を把握するための資料や利用者数・利用料収
入を把握するための資料の提出を指導し、今後、ターゲッ
236
トバードゴルフの廃止も含め、施設運用のあり方について
財団と協議・検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
平成25年度から廃止している。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
意見4−43
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.157
モヤヒルズ
施設の利用状況および存在意義
指摘・意見の内容
スパ施設(意見)
施設別の収支が把握されていないため、赤字幅がどの程
度であるのかは不明である。市は当財団に対して、施設別
収支を把握するように指導し、市の運営費負担額が妥当で
あるか、存在意義があるかどうか、確認すべきである。
特に、スパ施設の利用水準は著しく低迷しており、温水
プールの運営費は結構な金額になるものと推定されるた
め、大幅な赤字となっているものと思われる。施設の廃止
を含めて、抜本的な見直しが必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
施設別収支を把握するための資料提出を指導し、今後、
スパ施設の抜本的な見直しも含め、施設運用のあり方につ
いて財団と協議・検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成25年度から温水プール及びサウナについては、7月∼
9月の土曜日、日曜日及び祝日並びに青森市内の小学校の夏
休み期間のみの営業とし、その他は従前どおりの営業であ
る。なお、施設毎の収支を把握できる資料は作成していな
い。
監査人の評価
現状の収支計算書では、スパ施設の収支が把握できない
状況にある。温水プール及びサウナについては、営業期間
の見直しがなされ一定の改善が見られるが、今後は適切な
収支状況を把握し、効率的な施設運用方法を検討、実施す
べきである。
237
意見4−44
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.158
モヤヒルズ
施設の利用状況および存在意義
指摘・意見の内容
会議室(意見)
当施設のような郊外にあるレクリエーション施設では会
議のニーズは皆無であり、年に数回、展示会等のイベント
目的で利用される程度である。会議室の利用水準はこのよ
うに著しく低迷している。
現在、ホームページおよび夏季用のパンフレットには当
施設が存在することすら掲載されておらず、冬季用のパン
フレットには施設の広さ等の紹介なしに料金のみが記載さ
れている。ホームページやパンフレットに料金体系を含む
施設案内を掲載し、利用の促進を図る必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
次回パンフレット作成時には、パンフレットに広さ・収
容人数・料金体系・イベント内容などを掲載します。なお、
ホームページには速やかに掲載しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
ホームページに会議室の収容人数及び利用料金を、また、
パンフレットには利用料金を記載し、利用の促進を図って
いる。
監査人の評価
ホームページに会議室の収容人数及び利用料金を記載
し、利用を促していることから一定の改善は見られる。し
かしながら、パンフレットには、会議室の利用料金のみの
記載にとどまっており、改善の余地がある。なお、ホーム
ページには、会議室の写真(会議又はセミナー等を実施し
ている写真)も掲載した方が利用者には施設がより身近に
感じられ、利用も促進されると思われる。
意見4−45
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.159
モヤヒルズ
スパ施設の存在意義(意見)
指摘・意見の内容
ア.温泉施設
スパ施設には源泉掛け流しの温泉があるが、インターネ
ットのホ−ムページによる利用案内、パンフレット、館内
の案内掲示のいずれにも温泉との記載のみで、源泉掛け流
238
しであることの記載がなく、当スパ施設が源泉掛け流しの
温泉である点について利用者に対して十分に周知できてい
ないものと思われる。また、当温泉のスペースは、浴室の
容量が5人程度でいっぱいであり、洗い場は3つしかなく、
しかもそのうちシャワー付は1つのみであり、そのスペース
の狭さや設備の不足は否めず、収容能力は極めて不十分で
ある。スキーシーズンには、スキーを終えた利用者が温泉
の利用を希望する場合が多くあるが、収容能力が足りない
ため、麓の民間浴場を案内している始末である。
源泉掛け流しという魅力ある温泉を保有しながら、これ
が利用者に十分に周知されず、かつ利用者が仮に集まった
としても、スペースの関係から利用人数がかなり制限され
てしまう状況は、いわゆる宝の持ち腐れであり、当施設の
有効活用がなされていないと言わざるを得ない。
現在においては、健康志向等により、温泉施設の集客力
は高まっている。こうした環境下、源泉掛け流しの温泉と
いった魅力ある当温泉施設を、上述したような状態で運営
を継続していくことは好ましいものではなく、当該施設の
利用を通じての市民サービスという観点から不十分であ
る。PRの方法、当該スペースの拡充など、当温泉施設をよ
り有効に活用する方策を検討し、集客に努めていくべきで
ある。
イ.温水プール
スパ施設には温水プールがあるが、温水プールの面積は
約200㎡であり、プールとしては非常に狭く、幼児等の親子
連れが数組入るといっぱいになってしまう程度であり、収
容能力は不十分である。
なお、館内の案内表示のうち1箇所に温泉プールとの表示
があるが、実際にはプールは水道水であり温泉は使用して
いないので、事実と異なる不適切な表示となっており、速
やかに改めるべきである。
ウ.総合
温泉と温水プールをセットで「スパ」として営業してい
るが、温泉と温水プールともスペースや設備について中途
239
半端であると言わざるを得ない。施設の開設時に何故この
ような中途半端な施設としたのか全く理解に苦しむところ
である。
このような状況からの当然の帰結として利用者は低迷し
ている。平成20年度の温泉と温水プールを合わせたスパの
利用者数は6,492人、利用料収入は1,774千円であり、営業
日数が301日であったので、一日当たりの単純平均利用者数
はわずか22人のみとなる。さらに営業時間が午前10時から
午後9時までの11時間であるため、営業時間中の一時間当た
りの単純平均利用者数は2人にも満たない。
現状では、隣り合っている温泉とプールのスペースがそ
れぞれに中途半端であり、これによって両施設の魅力がと
もに向上していないものと思われる。施設の有効利用を促
進させる観点からは、両者の統廃合を含めた抜本的な改善
策が必要であると考える。
改善案として、現在のプールをより大きく改修し、これ
を売りにして集客を図る、または源泉掛け流しの温泉を売
りにするのであれば、温泉の拡大のため、隣接するプール
の廃止等も十分に検討には値するものと考える。しかし、
近年、自治体によるリゾート施設建設が破綻し、自治体の
財政を圧迫しているケースが多く見受けられることに鑑み
て、この場合には設備投資の回収計算を慎重の上にも慎重
を期して行う必要がある。市の財政が厳しい中、設備投資
は十分に吟味すべきことに留意が必要である。
その上で有効な活用策が見出せないのであれば、このよ
うな市民のニーズに適合していないスパ施設は、市民負担
軽減のために廃止を検討すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
ア.2010年夏季パンフレットから、温泉施設・温水プー
ルを掲載するとともに、源泉掛け流しの表示を温泉施設の
入口に掲示するなど積極的なPR・集客に努めます。
イ.館内の誤った案内表示を撤去しました。
ウ.当該施設のあり方については廃止又は時間短縮など
両施設の抜本的な見直しも含め、市と財団で協議・検討し
ます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
ア.夏季パンフレットにスパの料金及び利用時間は記載
し、源泉掛け流しの表示を温泉施設の入口に掲示すること
240
によりPRに努めている。
イ.館内の誤った案内表示を撤去した。
ウ.平成25年度から温水プール及びサウナについては、7
月∼9月の土曜日、日曜日及び祝日並びに青森市内の小学校
の夏休み期間のみの営業とし、その他は従前どおりの営業
である。
監査人の評価
ア.夏季パンフレットにスパの料金及び利用時間は記載
されている。一方で、当温泉施設の最大の魅力である『源
泉掛け流し』が記載されていないので、利用の促進と言う
観点からはPR不足と言わざるを得ない。なお、源泉掛け
流しの表示を温泉施設の入口に掲示すると言う点に関して
は、適切に改善されている。
イ.館内の誤った案内表示については、撤去されており、
適切に改善されている。
ウ.平成22年度から平成24年度までのスパの年間利用収
入、年間利用者数及び1日当たりの利用者数は以下の通りで
ある。
平成22年度
平成23年度
平成24年度
年間利用収入
1,760千円
1,901千円
2,022千円
年間利用者数
6,912人
7,678人
8,266人
1 日当たり利用者数
25人
25人
28人
当年度から温水プール及びサウナについては、営業期間
の見直しがなされ一定の改善がみられたが、以前、抜本的
な改善策とは言えず当該施設の存続の可否も含め、十分な
検討が必要である。
意見4−46
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.160
モヤヒルズ
共用スペースの照明等(意見)
指摘・意見の内容
施設の中には、廊下の脇などに多目的スペースと言える
ようなオープンスペースとして、共用スペースが存在する
が、そこは昼間であっても暗い印象であり、照明設備の明
るさもしくはその数が不十分であるとの印象を受けた。
241
共用スペースでは、例えば親子連れが子供を近くで遊ば
せる、また、空いた時間に読書ができるなど、利用者のニ
ーズに応えられるような配慮が当然に必要である。しかし、
照明が暗い状態では、上記のようなニーズに応えることは
できず、利用者の利便性が十分に考慮されていない。無償
のスペースではあるが、いわばこうした隠れた施設の利用
に対しての十分な配慮がなされれば、これも1つの集客効果
を生み出す一因であり、施設全体の利用度アップ、利用者
の満足度向上には不可欠な対応であると考える。
こうした点を考慮すれば、共用スペースを明るい蛍光灯
などに変更し、利用者がより利用しやすくなるように配慮
し、また、当該スペースの目的および存在を利用者に認知
してもらうためにも、館内に十分な掲示をするなどの施策
に取り組む必要があると考える。
平成 22 年 8 月対応方針
共用スペースの照明は不足していると認識していたた
め、同スペースの上部に照明設備を新たに取り付け一部改
善を図っていました。
しかしながら、より一層利用者が利用しやすいよう照明
の増設等を検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
適宜、対応しているが抜本的な改善は行っていない。
応状況
監査人の評価
施設の改修には、ある程度の支出が不可避であり、費用
対効果を勘案して最善の方法を検討し、実施すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.161
モヤヒルズ
図書コーナーのあり方(意見)
指摘・意見の内容
施設内には図書が備置きされているスペースがあり、ス
キーに関する月刊誌、伝記物語集、中国の人物歴史集など
が書棚に保管されている。しかし、すぐに手にとって閲覧
できる図書は、施錠ができない簡易書棚に保管されている
数えられる程度の少数であり、それ以外の図書は書棚に施
錠がされ利用者の閲覧には実質供されていない。備置され
ている図書の数などを考慮すれば、当該スペースはそもそ
も図書を見たいという利用者のニーズをほとんど充足して
242
いないと思われ、不要なスペースになっていると言わざる
を得ない。
これに対する対応としては、①図書を充実させ利用者の
増加を図る、②利用者が少ないので用途変更して他に活用
する、③利用者が少ないので図書閲覧のスペースを廃止し、
単なる共用スペースにする、などが考えられる。しかし、
当該スペースに係る対応の費用および効果を考慮すれば、
有効な用途変更は容易でない以上、当面の現状維持もやむ
を得ないと考える。
平成 22 年 8 月対応方針
利用者の利便性向上のため、図書コーナーの施錠がして
ある棚の書籍を自由に閲覧できるようにします。
また、当該スペースの利用促進のため、無料図書コーナ
ーがあることの表示を1階に掲示します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
書籍については自由に閲覧できるように改善し、案内表
示を設置した。
意見は反映されている。
意見4−47
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.162
モヤヒルズ
ヒルズクラブの利活用および当施設全体の存在意義(意見)
指摘・意見の内容
モヤヒルズにおけるメインの建物であるヒルズクラブは
デッドスペースが多いとの印象を受ける。車椅子用のスロ
ープが無駄に長くなっており、利用できる床面積を圧迫し
ている。また、無意味と思われる吹き抜けが多く、空間を
無駄に使用している。
展示エリアは青森市観光レクリエーション振興施設条例
上1㎡当たり1時間10円となっているが、八甲田山と元プロ
スキーヤーの三浦雄一郎氏親子の紹介・写真パネルを飾っ
て無料開放している。集計データはないが、利用者はほと
んどいないと思われる。展示エリアとしての利用の申込み
があった際には、パネルを片付けて貸出している。
ビデオ室は当条例上1時間につき1,170円となっている
が、現在貸出は行っておらず、ボランティアのネイチャー
ガイドの控え室となっている。
243
他の用途で使用できる見込のないスペースの一部は、当
財団が利活用を考えて、キッズルーム、図書コーナーとし
て無料開放しているが、当財団によれば利用率は芳しくな
いとのことである。
また、2Fに設置されているスパの温泉と温水プールは小
さすぎる。温泉はわずか5人程度が入ると満員になり、温
水プールは親子数組が入ると満員になってしまうような状
況である。
このようなことから、現状は建物の大きさの割に全く活
用できていない状況であると言わざるを得ない。
その上、ヒルズクラブの建物は設計者が東京の人であっ
たためか、屋根が雪国仕様になっていないとのことである。
そのため冬季期間中は屋根からの落雪、氷柱落下が発生し
ており危険なため、危険な箇所にはロープを張って、立入
禁止としている。
市の財政状態を考えると予算上は厳しいものがあるが、
当建物を大掛かりに改造し、例えば、全館を家族で丸1日楽
しめるような温泉、プール施設にするといった思い切った
アクションをとることも一考である。ただし、バブル期に
自治体が多額の投資を行ってレジャー施設を建設したもの
の、利用率が低迷して施設運営が破綻した事例が多く見受
けられることに十分留意して慎重に検討することが必要と
なる。
または正反対に、これ以上、中途半端なことを続けてい
くくらいであれば、思い切って利用率の低迷している屋外
の施設も含めて全施設を廃止し、毎年1億円近い維持費を削
減するか、比較的市民のニーズがあると思われる冬季期間
中のスキー場運営のみに特化するということも検討に値す
ると思われる。
平成 22 年 8 月対応方針
厳しい財政状況の中で、大掛かりな改修等は困難ですが、
施設全体の運営並びに運営期間、すなわち、冬期間中のみ
の運営などについては、今後検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現状、抜本的な改善は行っていない。しかしながら、温
水プール及びサウナについては営業期間を限定にするとい
った施策を実施している。
監査人の評価
現状、抜本的な改善はなされておらず、改善の余地があ
244
る。立地条件を考慮した抜本的な改革を検討する必要があ
る。
意見4−48
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.163
モヤヒルズ
施設毎の収支の把握(意見)
指摘・意見の内容
当施設の中での主たる施設は、冬季がスキー場、夏季が
スキー場部分を利用したヒルズサンダーである。この他、
屋外には、ケビンハウス、オートキャンプ場、テニスコー
ト等があり、ヒルズクラブの屋内には、スパ等があるが、
個別施設毎の収入は管理資料により把握しているものの、
個別施設毎の支出については把握していないため、個別施
設毎の収支が把握できない状況になっている。
施設毎の存在意義を明らかにするため、および料金水準
の妥当性を判断し市の負担を極力抑制するためにも、個別
施設毎の収支の把握が必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
施設別収支を把握するための資料提出を指導し、今後の
施設運用のあり方について財団と協議・検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
従前どおりの運用であり、施設毎の収支は把握していな
い。
現状の収支計算書では施設毎の収支が把握できず、検討
を実施できる状況にない。まず、当該施設の収支を把握で
きる資料を早急に作成し、当該資料に基づいて当該施設存
続の可否を検討すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.164
モヤヒルズ
施設毎の利用状況に関する市への報告(結果・意見)
指摘・意見の内容
当財団は当施設内に設置されているスキー場、ヒルズサ
ンダー、ケビンハウス、オートキャンプ場、テニスコート、
スパ、会議室等の各施設について、営業日数、利用者数、
利用料収入等を一覧にした運営状況報告書を毎年度作成
し、市へ提出している。しかし、平成20年度は当報告書が
245
作成されておらず、市へ提出されていなかった。
年度の報告書は提出されていないが、別途、月次の報告
書が提出されており、市では月次報告書のデータを表計算
ソフトに入力して集計しているため、市は年度のデータも
把握しており、市の実質的な評価手続に問題はない。しか
し、協定書の第10条第2項第2号および第3号には、当財団
は毎年度、市へ利用者数、利用料金収入等の実績を報告す
ることになっており、協定書違反となっている。当財団は
協定書に従い、市へ年度の報告書を提出すべきであり、市
はそのように当財団を指導すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
簿冊に綴り込み漏れがないよう、確認を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
意見4−49
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.165
モヤヒルズ
施設毎の利用状況に関する市への報告(結果・意見)
指摘・意見の内容
市は月次報告書のデータを表計算ソフトに入力・集計し
ているが、当該データは当財団が作成しているものである。
このため、市が書面で報告を受けたデータを表計算ソフト
に再入力する作業は非効率であるとともに、入力誤りによ
る正確性の低下にもなりかねない。業務の効率化および正
確化を図る観点から、当財団は市が作成している表計算ソ
フトのファイルを参考に、施設毎の利用状況を効率的にデ
ータ管理できるファイルを作成し、当該ファイルにて市へ
報告するように改善することが望ましい。
平成 22 年 8 月対応方針
事務の効率化のため報告書の提出にあわせ、電子データ
での提出を財団と協議・検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
従前どおり、紙媒体で提出している。
応状況
監査人の評価
業務効率化のために電子データの報告を再度検討する必
要があると判断する。
246
意見4−50
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.166
モヤヒルズ
スパ施設の利用回数のカウント方法(意見)
指摘・意見の内容
スパ施設は青森市観光レクリエーション施設条例別表第
一により、1回500円となっているが、当財団は当条例第9
条第3項の規定に基づき、市長の承認を受けて、1回大人350
円、子供200円に変更している。
このように、料金設定が「1回当たり○円」となっている
ため、スパの利用者は一度スパを出ると、再入場はできな
いこととなっている。このため、スパ施設の目の前にある
レストランに食事や休憩に行っても再入場できない状況と
なっている。同様の施設で、1回当たりではなく、1日当た
りで料金設定をしている施設もある。レストランでの食事
や休憩所での休憩後に当スパ施設の再利用を希望する利用
者にとっては、このような「1回当たり○円」という料金設
定は利便性が極めて悪いものである。
市は当条例の規定を「1回当たり○円」から「1日当たり
○円」へ改正し、スパ利用者は利用料金を支払えば、当日
の間は、レストラン、ゲームーコーナー、キッズルーム、
展示コーナー等の管理棟内や屋外の遊具、冒険公園、ター
ゲットバードゴルフ等の施設の間を自由に行き来できるよ
うにして、利用者にとっての利便性の向上を図るべきであ
る。
なお、再入場できないことはインターネットのホ−ムペ
ージによる利用案内、パンフレット、館内の案内掲示のい
ずれにも記載されていない。当財団の担当者によると、利
用者からの利用申込み時に口頭で説明しているとのことで
あるが、少なくとも再入場を認めない間は、上記各ツール
にその旨を記載して利用者への事前・事後の周知を徹底す
べきである。
平成 22 年 8 月対応方針
利用者の利用状況等を勘案しながら、再入場の是非や1
日あたりの料金設定について検討します。
なお、現状の再入場できない旨をホームページ・パンフ
レット・館内の案内表示に記載・掲示し、周知に努めます。
平成 25 年 12 月現在の対
従前通り、1回毎の料金設定で運用している。なお、ホー
247
応状況
監査人の評価
ムページには当該運用の定めは記載されていない。
平成21年度の指摘同様、1回毎の料金設定は利用者の利便
性に配慮しない不親切な運用と言わざるを得ない。利用者
の目線に立った料金設定を検討すべきである。また、ホー
ムページ、パンフレット及び館内の案内表示にその旨の記
載もなく、これも利用者に配慮しない不親切な運用である。
なお、現状、スパ施設は利用できない状況にあり、利用再
開時に適切な改善を行う必要がある。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.167
モヤヒルズ
利用料金に関する前納の徹底(結果)
指摘・意見の内容
当財団の担当者によると、利用の当日にならないと利用
人数が確定しないような団体利用のケースで、利用団体が
国立、県立、市立等の公共団体や地元金融機関の場合には、
利用料金の後納を認めているとのことである。
青森市観光レクリエーション振興施設条例第9条第1項本
文に、当施設の利用者は利用料金を前納しなければならな
い旨が規定されており、同項ただし書きにおいて、「ただ
し、市長が特別の理由があると認めるときは、この限りで
ない。」と規定されている。しかし、上記後納のケースは
いずれも当財団の独自判断で実施されており、市長の許可
は得ていない。
当日にならないと人数が確定しないケースであることお
よび利用料金が確実に回収できると推定される利用者であ
ることから、利用料金の後納を認めている当財団の判断は
理解できるものの、当条例が定めている市長の承認を得て
いないことから、条例違反となっている。
当財団は、今後このような後納を認める場合には、事前
に市長の許可を得るべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
利用料金の前納を徹底しますが、やむを得ず後納となる
ケースについては、市施設条例に基づき事前に市長の承認
を得るようにします。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
利用料金の前納を徹底しており、やむを得ず後納になる
場合(リフト券販売委託に係るもの、市内の小学校のスキ
248
ー教室に係るもの及び自衛隊等のスキー訓練に係るもの)
には市長の承認を得ている。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
意見4−51
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.168
モヤヒルズ
利用者拡大に向けた外部の業者との連携(意見)
指摘・意見の内容
当施設の主な営業は冬季シーズンのスキー場であるが、
スキー場の利用者拡大に向けた施策のうち、旅行業者等の
外部の業者との連携について、当財団の担当者によると、
平成9年の施設開設当初にコンビニエンスストアでのチケ
ット販売の委託を検討したが手数料が高いので見合わせ
し、それ以後、外部の業者との連携を検討した実績はない
とのことである。
最近では、他のスキー場において、生活協同組合やスー
パーマーケットなどの小売店と連携してスキーツアーの主
催を依頼したり、近隣の宿泊施設と連携したスキー&宿泊
ツアーを企画したりするケースが見受けられる。このよう
な外部の業者との連携は、利用者拡大に向けた施策として
は有意義であると思われる。
当施設の指定管理者である当財団はこのような検討すら
行っていないとのことであるが、先ずは利用者拡大に向け
て外部の業者へ働きかけ、連携を模索することが望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
これまでも販路拡大のため様々な方策を検討してきてお
り、現在は近隣の宿泊施設とのスキーリフト券付宿泊パッ
クなどを検討しています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
八甲田ロープウェー、八甲田パーク及び当財団の3社で
共通リフト券を販売し、利用促進のための施策を実施して
いる。
監査人の評価
一定の改善は見られるが、今後も更なる利用促進のため
の施策を検討し、実施すべきである。
249
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.169
モヤヒルズ
利用者拡大に向けた市立小学校等との連携(意見)
指摘・意見の内容
当財団の担当者によると、市立小学校のスキー場の利用
は、市内47校の概ね4∼6年生が1シーズンに1日利用してい
るとのことである。当施設は市民の税金を投入して運営し
ているものであり、せっかく市民が運営費用を負担して存
続しているのであるから、市立小学校の団体利用をより積
極的に推進して、スキーシーズン期間中の利用日数を1日の
みでなくもっと増やし、小学1∼3年生や市立中学校の生徒
も対象にするなど対象年齢の幅を増やすことによって、公
の施設を設置した市としてもより利用率を高めるような施
策が欲しいところである。
市の観光課も、縦割り行政の壁を越えて、市の教育委員
会や各市立小学校・中学校との連携を模索することが望ま
れる。
平成 22 年 8 月対応方針
各学校では、児童・生徒数の減少やスキー教室の日数増
による保護者の負担増など、様々な要因により利用者の増
員は進んでいない状況となっています。
しかしながら、今後も継続して様々な機会を通じて利用
の働きかけを積極的に行っていきます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
小学校との連携を強化し、また、中学校及び高等学校に
も幅を広げ、利用促進施策を実施している。
意見は反映されている。しかしながら、今後も利用者数
増加のための施策を検討し、実施する必要がある。
指摘4−52
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.170
モヤヒルズ
指定管理料の積算および精算(結果・意見)
指摘・意見の内容
指定管理料は、指定管理者が公の施設の管理運営業務の
ために要する費用の対価として支払われるものである。し
かし、モヤヒルズの場合は商業施設であり、指定管理者制
度導入以前の委託の時代も商業施設運営収入を見込んで委
託料はゼロであったことから、指定管理料もゼロとするこ
250
とを基本として平成18年度に指定管理者制度がスタートし
ている。
ただし、平成18年度においては、本来市が負担すべき高
額修繕費の実費相当を指定管理料として見積り、市が予算
措置できたものについて、指定管理料として支払う覚書が
締結されている。指定管理料が修繕費実費相当額であるこ
とは協定書および指定管理料に関する覚書等には明記され
ていないが、指定管理料に関する見積書に修繕費の内訳が
記載されている。このため、市が負担すべき高額修繕費が
発生する度に当初覚書の金額を変更する変更覚書が作成さ
れている。また、覚書第5条には「乙(指定管理者)は業務
終了後、精算残金が生じた場合は、甲(市)に返納するも
のとする。」と規定されており、指定管理料の使用内訳が
記載された明細書(使用金額と指定管理料が同額)を添付
して、当財団から精算金額0円と記載された精算報告書が市
へ提出されている。
平成19年度および平成20年度になると、市が負担すべき
高額修繕費の見積りが概算金額となり、当初見積りと実績
との間に差額が生じている。また、雪不足やスキー人口の
減少により索道(リフト)収入が落込んでいることに鑑み
て、指定管理料の積算対象が平成18年度までは当財団が負
担していた少額修繕費にまで拡大しており、こちらは個別
の修繕案件毎の内訳はなく、過去の修繕費実績を参考に2
年とも一括で見積もられている。
この結果、平成19年度は3,717千円、平成20年度は2,936
千円の指定管理料の余剰が生じているが、この余剰金は市
には返還されず、当財団による当施設の運営が赤字である
ことを勘案して修繕費以外の施設運営費に充当されてい
る。市の観光課の担当者によると、覚書に反して精算不要
とする取扱いは観光課と財政課の協議の上で決定したとの
ことであるが、返還不要とした理由について記載した決裁
文書等の承認に関する内部書類は作成されていない。承認
に関する内部書類以外でも、返還不要とした理由が記載さ
れた文書は一切作成されていない。この協議結果を受けて、
当財団から精算金額0円と記載された精算報告書が市へ提
出され、市ではこの精算報告書および明細書を添付して決
251
裁文書(委託業務完成検査調書)が作成されているが、や
はり、返還不要とした理由は記載されていない。
このように、当施設の指定管理料は協定書および覚書上、
使用使途が特定されていないにもかかわらず、実態は修繕
費の積算資料に基づいて算定されている。また、覚書上、
指定管理料を修繕費として使い切らない場合には返還を要
するとしながらも実際には返還不要として処理し、その理
由を記載した市と当財団との合意文書や市内部の決裁文書
が作成されておらず、極めて不透明な内容となっている。
また、指定管理者である財団の決算期は11月となってい
るが、財団の11月の決算書上、市から受領した指定管理料
収入は修繕費と同額を収入計上し、残額を前受金に計上し
ている。そして、市に提出する3月31日までの1年間の収支
報告書上は、前受金を取崩し、余剰金を含めて受領した全
額を指定管理料収入に計上している。このように、当財団
の決算処理も、指定管理料が修繕費の補填であるというこ
とを前提としたものとなっている。
以上が当施設の指定管理料を巡る事実関係の概略である
が、これらに関して次の問題点が考えられる。
第一に、現状の覚書を前提とすれば、指定管理料のうち
修繕費の余剰金は市に返還すべきである。市と当財団との
覚書上は指定管理料に関する実績精算の規定があり、上述
の如く、実態は修繕費の補填という性格のものであるため、
安易に他の施設運営費に充当すべきではないと考える。さ
らに、少額修繕費には、後述のように、少額修繕費に該当
しない1件の修繕費および修繕に該当しない温泉のレジオ
ネラ検査費用等が含まれており、これらについても市に返
還すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
市と財団で指定管理料の使途についての協議文書を交わ
すとともに、市内部の決裁文書の作成の際にその理由を明
記することとします。
平成 25 年 12 月現在の対
現状、市と当財団は協議文書を作成していない。
応状況
監査人の評価
当財団の担当者にヒアリングを実施したところ、公益事
業が負担すべき修繕費の一部を収益事業が負担したことが
あるとの回答を得ており、修繕費の取扱いが極めて曖昧に
252
なっているとの心証を得た。したがって、市と当財団は当
該修繕費の取扱いについて早急に協議を実施すべきであ
り、当該協議内容を文書化し、双方の負担関係を明確化す
べきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.171
モヤヒルズ
指定管理料の積算および精算(結果・意見)
指摘・意見の内容
第二に、抜本的には指定管理料は修繕費に限定するので
はなく、当施設の予想される全ての収入と支出の差額であ
る支出超過予想額を指定管理料として積算すべきである
し、より抜本的には、民間活力と競争原理を積極的に導入
するという本来の指定管理者の制度趣旨に従い、公募によ
り指定管理者および指定管理料が決定されるべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
今回の指摘を受け、次回の選定審議時(平成22年度)か
らは、指定管理料について、利用料金収入との支出超過予
想額を考慮した積算とします。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
利用料金収入との支出超過予想額を考慮した積算を行
い、当該不足額について指定管理料を受領している。
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.172
モヤヒルズ
索道収入に関する決算処理(結果)
指摘・意見の内容
モヤヒルズの平成20年11月期の索道収入(リフト収入)
は、収入総額の36.3%を占めている。また、市からの業務受
託収入を除く事業収入に対する割合は、実に63.7%であり、
モヤヒルズの最も重要な収入源となっている。
索道収入は、当日スキー場に来場した人に対してリフト
券を販売するケースと、シーズン前に前売り券として販売
するケースの2通りがある。当日にリフト券を販売する場合
は、利用者に対しその日に役務提供を完了しているため、
販売時に収益を計上する処理に問題はない。しかし、前売
り券を販売した場合は、販売時点では購入者に対し役務の
253
提供が完了していないため、当該役務提供が完了するまで、
すなわち購入者が来場しリフトを利用するまで収益を計上
すべきではない。
これに対し当財団は、リフト券を前売りした場合、販売
時点である入金時に全額を収益計上しており、現金主義に
基づく処理を実施している。
利用時期の実態を見ると、リフトの前売り券が実際に使
用されるのは、スキー場の営業期間である12月から3月であ
り、当財団の決算期である11月を経過した翌期である。そ
のため当財団のように現金主義に基づく収益の計上をした
場合、本来翌期に計上されるべき収益が当期に認識されて
しまい、当該施設の収支計算書が実態を表していないとい
う弊害が生じている。特に索道収入は、上述のようにモヤ
ヒルズの最大の収入源であり金額的重要性も大きい。
収支計算書は、当財団が今後の運営方針を検討する場合
や、市が施設の財政状態、経営成績および利用状況を的確
に把握するためにも重要な情報であり、十分な精度を確保
する必要がある。したがって、収支計算書に施設の実態を
忠実に反映させるためにも、リフトの前売り券に係る収益
は発生主義に基づき計上すべきであり、使用前の索道収入
については前受処理を実施し、翌期に当該収益を計上すべ
きである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から発生主義を用いることとし、10月分11月
分のリフト前売券売上金は前受金計上し、翌期に売上計上
します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現在、当財団の決算期は3月であり、当該リフトの前売
券は営業期間の3月までに役務提供していることから当該
前受金は収益計上されている。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.173
モヤヒルズ
総合案内所のレジの管理(意見)
指摘・意見の内容
当施設のメインの入り口横には総合案内所が設置されて
いるが、冬季スキーシーズン以外は利用者が少なく、人件
254
費節減のために常駐者は配置していない。
この総合案内所には、料金を収受するためのレジが設置
され、収納した現金やつり銭が保管されているが、利便性
への配慮から営業時間中は施錠されていない。このような
状況は人件費を節減するためであっても望ましいものとは
いえず、防犯管理上は最低限、事務所に常駐している職員
から見える位置にレジを設置すべきである。それができな
いのであれば、営業時間中でもレジは施錠しておき、使用
の都度、開錠すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
レジの配置換えは困難なため、職員が常駐しない時はレ
ジを施錠し、使用の都度、開錠することとしました。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に行っている。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.174
モヤヒルズ
領収書の管理(意見)
指摘・意見の内容
モヤヒルズでは、領収書は市販のものを使用している。
フロントで使用する分の領収書は、レジの中に保管されて
いるが、使用している1冊には事前に当財団の印鑑を押印
し、発行する際に「領収印と日付」の入ったゴム印を押印
している。しかし、領収書の連番管理が実施されていない。
当財団の印鑑が捺印され連番管理が実施されていない状
況では、領収印と日付の入ったゴム印を押印する運用を実
施していても、領収書の一部抜取りや領収書綴りが盗難さ
れても盗難の事実が判明しないため、ある分を抜き取るこ
とにより現金を受領した証跡を隠蔽することが可能になっ
てしまう。すなわち、実際に受領した現金を自ら横領でき
るリスクや、不正発行により第三者の不正に加担できると
いったリスクが存在している。
そのため領収書の管理には厳格性が求められるところ、
当財団は少なくとも連番管理を実施した上で、使用済み領
収書控えの連番が抜けていないことの検証および宛先や金
額等の未記入や担当者印の押印漏れなど不適切な発行がな
255
いことの検証、ならびに領収書綴りの表紙等への検証者印
を押印することにより、検証作業を実施した証跡を残すと
いった厳格な管理が必要と考える。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年11月から市販の領収書に連番を付して管理簿を
作成するとともに、他の責任者が毎日、管理簿と現物の確
認を行うこととしました。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に行っている。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.175
モヤヒルズ
金庫の鍵の管理(意見)
指摘・意見の内容
モヤヒルズの大金庫には、現金、預金通帳、未使用のバ
スカード、切手、はがき、収入印紙、登記簿謄本などが保
管されている。この大金庫の鍵は、差込鍵とダイヤル式の
二重になっているが、ダイヤル式の鍵は開錠できる状態に
常時セットされ使用していない状態である。また、差込鍵
は早番から遅番へ直接受渡されるが、遅番は翌日の早番の
ために施錠管理されていない「鍵の置き場」に置いている
状態である。
このような状況は、遅番が退館した後、全館が機械警備
体制になるとはいえ、鍵の置き場さえ把握してしまえば、
例えば夜間に警備会社が駆けつけるまでの短時間に不正に
進入した者が大金庫を開けることができ、金庫の管理方法
としては極めて不適切である。
ダイヤル式の鍵を利用すること、および差込鍵の施錠管
理の実施等、より厳格な管理方法を採用すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
従来の鍵の管理に加えダイヤル施錠も行い、金庫の管理
をさらに徹底して行うこととしました。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
256
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.176
モヤヒルズ
市の公文書等の保管(意見)
指摘・意見の内容
平成9年9月に当施設を設置するための当時の決裁文書お
よび工事請負契約書等の証拠書類が当施設の倉庫に保管さ
れている。市および財団担当者によると、施設の修繕等に
おいて図面等が必要になる場合があり、利便性を図るため
に当施設に保管している、とのことである。
しかし、決裁文書は市の公文書であり、市の管理する適
切な場所において保管すべきものである。同様に、工事請
負契約書等の証拠書類も将来の使用時に備えて市の管理下
において保管すべきである。その上で、修繕時における利
便性を図るのであれば、必要最低限の写しを当施設に保管
すれば足りると考える。
平成 22 年 8 月対応方針
モヤヒルズに関する文書は、修繕等での使用の利便性を
考慮しながら、適正な管理に努めます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現状、モヤヒルズに関する文書は、利便性を考慮しモヤ
ヒルズで管理している。当該対応方針に対して、市も了承
しており市も管理文書を把握している。
監査人の評価
より適切な管理方法は平成21年度の指摘事項に記載され
ている方法と判断される。しかしながら、業務上の利便性
と比較考量され、現状の対応方法が最善の方法と市及び当
財団が判断しているのであれば特段問題は無いと判断す
る。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.177
モヤヒルズ
個人情報が記載された資料の施錠管理(意見)
指摘・意見の内容
当施設では、スキー場以外の施設について、利用者から
利用許可申請書の提出を受けており、申請書には利用者の
氏名、住所、電話番号等の個人情報が記載されている。申
請書は専用のファイルに綴じ込んでおり、綴じ込んだ申請
書が一杯になったファイルは施錠管理しているキャビネッ
トに保管している。しかし、当申請書の提出を受ける都度、
ファイルに順次綴じ込んでいくため、綴じ込み途中の最新
257
のファイルは利便性を図るために総合案内所の後方のキャ
ビネットの上に保管しており、施錠管理されていない。
昼間は事務所に職員が常駐しており、夜間は全館機械警
備がセットされているものの、個人情報の適切な管理とい
う観点からは、少なくとも夜間は使用中の最新ファイルも
キャビネットに入れて施錠管理することが望ましい。
平成 22 年 8 月対応方針
個人情報の適切な管理をするため、夜間は、利用申請書
等の個人情報が記載された文書を施錠できるキャビネット
に保管することとしました。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.178
モヤヒルズ
経費の支払に関する請求書の検証作業の証跡化(意見)
指摘・意見の内容
当財団における経費精算の業務手順は以下のようになっ
ている。
稟議書作成→承認→発注→物品・サービスの購入→請求
書入手→支払い
担当者は経費の支払いを行う時点で、請求書と稟議書に
記載されている発注内容および金額を照合確認していると
のことであるが、その証跡がないため、担当者が実際確認
しているのか不明の状況である。担当者は請求書の内容、
金額が妥当であるか稟議書等と照合確認した際には、照合
の証跡を請求書上に記載すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から請求書上に、支払担当者が稟議書と照合
した証跡を記載することとしました。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
258
指摘4−53
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.179
モヤヒルズ
入札制度等に関する資料の保存と相見積りの実施(結果)
指摘・意見の内容
① 複数年契約の検討と自動更新条項の廃止
業務委託契約期間は13件中10件が1年契約となっており、
そのうち1件を除いて契約に自動更新条項が付されている。
担当者によれば、5年間を同一業者に選定することを前提と
した相見積りを実施したとしているが、その旨を示す資料
が残っていないため、その正否を判断できない状況である。
複数年を同一業者に選定することを前提とした相見積りを
実施するのであれば、1年契約に自動更新条項を付けるべき
ではなく、当初から複数年契約とし経費節減を図るべきで
ある。
また、1年契約より長い期間の契約のほうが、業務委託額
がより安価になるものと期待されるのであるが、契約期間
が5年では、施設を取り巻く環境の変化や当財団および委託
業者の状況の変化に対応することが困難になること、委託
業者のサービスがマンネリ化することなどの弊害が考えら
れることから、業務委託契約期間は3年程度が望ましいと思
われる。
② 入札や相見積りに関する資料の適切な保存
業務委託について入札制度等が採用されているか確認し
たところ、入札は一切行われておらず、一部の業務委託に
ついては相見積りを実施しているとのことであった。担当
者によれば、平成18年度において指定管理者になった時に
一部の業務委託費について相見積りを実施したとのことで
あるが、その時の資料は現在保管されておらず確認するこ
とができない。そのため、相見積りを実施したことの信憑
性については論じられないが、相見積りを実施した資料を
未だ3年しか経っていないにもかかわらず廃棄したことは
問題である。
市の文書編さん保存規程によれば、入札や相見積りに関
する資料は10年間保存することとなっている。当財団は業
務委託費に係る入札や相見積りに関する資料の保存期間に
ついて市の規程を準用して規程を作成し、10年間保存する
259
必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
①これまで5年としていた委託業者の契約期間を予め、3
年程度の複数年契約として見積もり合わせのうえ契約し
ます。
②相見積を実施した資料は、財団事務処理規程に従い保存
します。
平成 25 年 12 月現在の対
①契約期間は1年契約であるが、除雪業務を除き自動更新条
応状況
項が付されている。
②10年間保存する方針である。
監査人の評価
①契約期間は1年であるが、自動更新条項が付されている契
約については、当財団の指定管理期間である5年間の契約
と実質的には変わらない。したがって、当財団は自動更
新条項を排除した1年契約を締結し、毎年、入札又は相見
積もりを実施し、委託業者を選定すべきである。
②適切に改善されている。
指摘4−54
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.180
モヤヒルズ
営業委託契約違反(結果)
指摘・意見の内容
① 営業時間、営業期間等の規定違反
当財団はモヤヒルズセンターハウス食堂の運営をL社に
委託している。モヤヒルズの主業務は冬場のスキー場経営
であり、冬期以外にはイベントの日を除き来場者数が少な
いため、委託業者にとって食堂の運営は厳しく、冬期以外
に食堂を開けていること自体が赤字誘発要因になってい
る。そのため、委託業者は食堂の営業委託契約に反した以
下のような業務運営を行わざるを得ない状況である。当財
団はそのような状況を認識していることから、営業委託契
約書の規定に反して違反箇所はあるが、大目に見ていると
のことである。契約違反箇所は以下のとおりである。
ア. 業務委託契約書第8条および別紙1において提供する
メニューはハンバーク定食、とんかつ定食、かつ丼、牛丼、
カレーライス、カツカレーと別記されているが、往査日の7
月28日のメニューにそれらのメニューはなく、カルビ定食
260
と肉しょうが焼き定食の2種類のみであった。
イ. 同契約書第10条の(1)において、営業時間は全期間
を通じて10時から20時までと義務付けられているが、冬期
以外の実際の営業時間は11時∼15時となっている。
ウ. 同契約書第10条の(2)において、営業期間は原則と
して通年営業することが義務付けられているが、実際には4
月下旬から7月の夏休み前までおよび夏休み後から10月中
旬までは土曜日、日曜日および祭日のみ営業を行っている。
また、10月下旬から12月中旬までは一切営業を行っていな
い。
エ. 同契約書第13条において、食堂従業員の名簿の提出
を義務付けているが、実際には提出されていない。
オ. 同契約書第17条において、健康診断の実施を義務付
けているが、実際には行われていない。
通年営業を行った場合には、来場者数から算定して委託
業者は赤字経営が避けられないこと、他に委託業者を見つ
けるのが困難であることから、委託業者による現在の運用
は止むを得ない状況にあり、早急に契約書の内容を実情に
合うように変更すべきである。
特に、臨時休業日の変更については、営業委託契約書第
10条によれば、当財団と委託業者が双方で協議して定める
ものとするとされている。委託業者は、上記のように土曜
日、日曜日および祭日や夏休み、冬のスキーシーズン等、
来場者が多く集まる時には営業を行っているが、それ以外
の時は営業を行っていないのが現状である。平成20年度に
おいては年間の営業日は308日(4月および11月の業務切替
日57日を除く)であり、そのうち休業日は131日(42.5%)
もある。131日という休業日は臨時休業日とは言えず、当財
団と委託業者との協議のみで決定すべき事項ではなく、市
の承認が必要であると考える。
また、営業時間の変更についても同条により当財団と委
託業者が双方で協議して定めるものとするとされている。
しかし、営業時間変更に関して協議した書面はなく、口頭
のみで変更が行われている。双方の意思を確認し誤解を防
ぐためにも、口頭のみで行うことはせず、必ず書面を作成
することによって営業時間を変更すべきである。
261
② 権利譲渡等禁止の規定違反
施設内に設置している自動販売機については、一般的に
は、当財団が自主事業として自動販売機業者と契約するこ
とが多いと思われるが、当施設の場合は、当財団ではなく
委託業者が直接自動販売機業者と契約している。これは前
述の如く食堂の運営が厳しいため、当財団が委託業者へ委
託料を減額することを目的として取っている措置と考えら
れる。その結果、委託業者は自動販売機業者に施設の一部
を転貸し、業者より手数料を受取っていることになる。営
業委託契約書第3条(権利譲渡等の禁止)によれば、
「乙(委
託業者)は、委託営業の営業権を譲渡し、転貸し、又は担
保に供してはならない。」とされている。それにもかかわ
らず、当財団は委託料を減額することを目的として委託業
者に対して当該権利の転貸を口頭で承認している。契約書
第3条を遵守するのであれば、当財団の承認の有無にかかわ
らず転貸が禁止されていることから、委託業者がモヤヒル
ズセンターハウス食堂の営業委託の権利を第三者である自
動販売機業者に転貸していることは契約違反となる。
これを正すためには、当財団は委託業者が現在行ってい
る自動販売機業者との直接契約を廃棄させ、当財団自身が
自動販売機業者と契約をする必要がある。その上で、委託
業者との間でこれに代わる補填、例えば委託料であるレス
トラン売上負担金の減額を考えるべきである。また、この
転貸が指定管理者制度導入以前の平成12年度から行われて
いる経緯を考えた場合には、現状を否定せず、市および当
財団へ書面での承諾を条件に、委託業者がモヤヒルズセン
ターハウス食堂の営業委託の権利を第三者に譲渡等可能と
なるように営業委託契約書の条文を修正することも一案で
ある。
平成 22 年 8 月対応方針
①営業日、休業日、営業時間等の変更については、財団と
委託業者間において書面で協議するとともに、重要な変
更については、市の承認を事前に得るよう指導します。
②委託契約書を見直し、市および当財団へ書面での承諾を
条件に、委託業者がモヤヒルズセンターハウス食堂の営
業委託の権利を第三者(自動販売機設置業者)に転貸等
を可能とします。
262
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
①ア.メニュー
夏季期間のメニューについて、委託業者から変更に関
する書面を提出させて変更を行っている。
イ.営業時間
夏季の営業時間について、文書により変更申請書を提
出させて、変更を行っている。
ウ.営業期間
夏季の営業期間について、文書により変更申請書を提
出させて、変更を行っている。
エ.名簿
毎年、従業員名簿を提出させている。
オ.健康診断
毎年、従業員の健康診断書を提出させている。
②契約書
契約書は平成18年度から変更されておらず、自動更新
条項が付されている。なお、自動販売機の権利の転貸に
ついては、従前どおり契約書上禁止されている。
監査人の評価
①ア.メニュー
夏季期間のメニューについては、委託業者から変更
に関する書面を提出させて変更を行っていることから
適切に改善されている。しかしながら、冬季期間のメ
ニューについては、契約書上のメニューから変更され
ているが委託業者から変更に関する書面を入手してい
ない。当財団は、冬季の開業が始まる前に当該書面を
入手すべきである。
イ.営業時間
夏季の営業時間については、文書により変更申請書
を提出させて変更を行っていることから適切に改善さ
れている。なお、冬季については営業時間の変更はな
い。
ウ.営業期間
夏季の営業期間については、文書により変更申請書
を提出させて変更を行っていることから適切に改善さ
れている。なお、モヤヒルズは施設の都合上、4月初め
から4月の下旬及び11月初めから12月上旬まで夏季営
業及び冬季営業の準備のために当該施設は閉鎖され
263
る。しかしながら、契約書上、当該閉鎖が記載されて
いないため、双方の明確化のために記載することも検
討の余地があると思われる。
エ.名簿
毎年、従業員名簿を提出させており、適切に改善さ
れている。
オ.健康診断
毎年、従業員の健康診断書を提出させており、適切
に改善されている。
②契約書
契約書は平成18年度から変更されておらず、自動更新
条項が付されている。当財団は自動更新条項を排除した1
年契約を締結し、毎年、入札又は相見積もりを実施し、
委託業者を選定すべきである。また、自動販売機の転貸
については、契約書上禁止されている。そのため、実情
と整合していないため、契約書を見直す必要がある。
指摘4−55
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.181
モヤヒルズ
委託作業の実施状況の未検証(結果)
指摘・意見の内容
ケビンハウス清掃・整備業務、リネン類の賃貸借とリネ
ンサプライ・サービス業務、一般廃棄物収集運搬業務およ
び場内道路・駐車場の車両誘導等業務は、委託業者との間
で単価契約を行っている。これら4委託業務の委託実績額の
妥当性を検証しようとしたが、判断材料となる資料が存在
していなかったため検証することができなかった。この点
を担当者に確認したところ、業務日報等を作成していない
ことから業務量を確認することができず、委託業者からの
請求書には業務量と単価が記載されているにもかかわらず
何ら確認せず請求書に記載している金額を鵜呑みにして支
払いを行っていたとのことである。単価契約について、当
財団は業務量を示す業務日報等を作成するとともに業務が
適切に実施されているかを把握すべきであり、業務日報等
と請求書の内訳を確認した上で支払いを行うべきである。
264
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から、リネン類の賃貸借とリネンサプライ・
サービス及び一般廃棄物収集運搬業務について、納品書や
業務日報等を委託業者に提出させ、請求書の内訳と照合す
ることで請求書の妥当性を確認することとしました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
上記の対応を実施しているが、一部に改善すべき点があ
る。
改善されているが、リネンについてチェック方法が統一
されておらず、チェックが未実施と誤解を与える事例が見
られた。したがって、チェック方法を統一し、適切に実施
すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.182
モヤヒルズ
営業委託料の検証不足(結果)
指摘・意見の内容
営業委託契約書第12条によれば、当財団はレストランの
売上げの15%および自動販売機の売上げの12%を委託業者
から負担金として徴収することになっている。レストラン
売上げについてはPOSが導入されており、レストランの売上
額がモヤヒルズのシステムに連動しているため、当財団自
身が委託額を検証することは可能である。しかし、自動販
売機の売上げについては、飲料会社が売上高報告書を委託
業者へ発行しているにもかかわらず、当財団はそれを入手
しておらず、委託業者から提出された売上高の報告を鵜呑
みにして営業委託料を算定している。それでは、委託額の
算定で誤謬が発生した場合に気付かない危険性がある。当
財団は自動販売機の売上げに関し、委託業者が飲料会社か
ら入手した売上高報告書の提出を受け、売上高の確認を行
った上で請求を行うべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から飲料会社が委託先業者に提出している売
上高報告書の写しもあわせて提出させることとしました。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
265
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.183
青森市幸畑墓苑
冬季閉鎖の検討(意見)
指摘・意見の内容
冬季は積雪等の影響により利用者が極端に少なくなって
いる。例えば12月から3月までの4ヶ月間の利用人数は983
人で年間利用者数に対する構成割合は8.5%に過ぎない。
市の説明によると、冬季の利用者の大多数は遭難事件の
あった冬季に合わせ訪れる熱心な県外客とのことである
が、運営費用の節減を図るために、利用者数への影響が少
ない冬季は当施設を閉鎖することを検討する余地があるも
のと思われる。
平成 22 年 8 月対応方針
冬期間、特に積雪が多くなると来館者数が大幅に減少す
るため、その間は施設の閉鎖を検討する余地はあるものの、
当施設の設置目的として歴史を伝える必要があることに加
えて、事件発生が冬期間であり、利用者もあることから当
面は現状を維持します。
平成 25 年 12 月現在の対
従前どおりの運用を行っている。
応状況
監査人の評価
平成21年度の指摘のように、費用対効果を鑑みると冬季
の閉鎖の検討は重要である。しかしながら、当施設の設置
目的が、明治35年1月の冬場に起こった『八甲田山雪中行軍
遭難事件』の悲劇を後世に残すことであり、現在も冬場を
選んで当該施設を訪れる方がおられるとのことである。後
世に残すべき歴史的悲劇は風化させてはならない。
以上の事から、冬場については、全面的な閉鎖ではなく、
営業日数を減らす等の対応を検討すべきである。
意見4−56
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.184
青森市幸畑墓苑
夏季開館時間の短縮の検討(意見)
指摘・意見の内容
11月から3月までの冬季期間の開館時間は9時から16時30
分であるが、日の入りの時間が遅くなる4月から10月の夏季
期間は冬季期間よりも終了時間を1時間30分延長し、9時か
ら18時となっている。
266
4月から10月の夏季期間における時間帯別の利用人数で
は、17時から18時の1時間の利用人数はわずか86人で同期間
の利用者数9,404人に対する構成割合は0.9%に過ぎない。
夏期の終了時間を18時から17時へ1時間繰上げ、人件費、水
道光熱費等の経費の節減を図る余地があるものと思われ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
夏季であっても16時30分から18時までの利用者が少ない
ことから、経費節減効果も勘案し、閉館時間の繰上げを財
団と協議・検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
従前どおりの運用となっている。
応状況
監査人の評価
平成21年度の指摘同様、開館時間を短縮し、経費の削減
を図るべきであると判断する。
夏季については、入場者の少ない17時から18時を閉館し、
開館時間を9時から17時までとする、また、冬場について
は、開館日数を土曜日、日曜日及び祝日を含む週4日程度
に減らし、開館時間を9時から16時までとする、などの経
費削減策を実施し、当該施設を存続させるために注力すべ
きである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.185
青森市幸畑墓苑
市立小学校中学校の社会科見学の活用(意見)
指摘・意見の内容
当施設は八甲田山雪中行軍遭難に関する史実資料等を展
示し、この事件を歴史の記憶にとどめ、その教訓を次世代
に語り継ぐことを主な設置目的としているが、市内の小学
校、中学校の社会見学は、平成16年7月のオープン以来、平
成19年度に市立中学校が1校実施したのみである。このよう
な設置目的をもった有意義な市営の公の施設を有している
のであるから、教訓を受け継ぐという意味で活用が進まな
いのはもったいないことである。
オープン初年度には当施設を所管する市の観光課が、ま
た平成20年度には公益法人である当財団が、市内各小・中
学校長に対し当施設の活用を働きかけているとのことであ
るが、上述のように残念ながら成果は思うように上がって
267
いないのが現状である。今後は、市および当財団は、市の
教育委員会にも働きかけ、また、各学校にも継続的に個別
に直接働きかけて、例えば、市内の生徒は中学校の2年生に
なると当施設を見学するといったことや、市内の学校で八
甲田山系への遠足の際には当該施設に立ち寄るといったこ
とを定着させるように、積極的に取組むことが望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
教育委員会と連携し、引き続き、小中学校に文書での依
頼のみならず、校長会で直接働きかけるなど、各学校へ来
館の依頼を継続的に行い、小中学生等の次世代への歴史の
伝承に努めます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
市内の小学校及び中学校に文書で案内を送付し、積極的
にPR活動を実施している。
意見は反映されている。今後も積極的なPRの実施、及
び来場者数増加のための施策を検討・実施すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.186
青森市幸畑墓苑
利用者数の向上施策(意見)
指摘・意見の内容
平成16年度のオープン以来、利用者数は減少の一途を辿
っている。
利用者数が減少している要因として考えられるのは、展
示物に変化がないことから、リピーターを作ることが難し
いことによるものと思われる。また、当初は市内、県内市
外の住民の利用が多かったものが減少し、近年では県外の
観光客の占める割合が増加しているものと思われる。
3億円の建設費を費やして設置した貴重な施設であり、市
内児童の誘致の他にも、展示物の入替え、展示の仕方の変
更、市政だよりへの記載など、施設の設置目的を果たすた
めに、利用者数の向上の施策を図ることが望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
施設のPRと利用者数の向上のため、平成21年10月の紅
葉の時期に「雪中行軍遭難地域探索」と称して資料館を見
学後、八甲田、田代地区に向かい、後藤伍長発見の地、露
営地等を探索する事業を実施したところ、参加者に好評だ
ったことから、毎年、ツツジの開花時期、紅葉の時期など
に実施していきます。
268
また、各種観光商品との連携を検討し、利用者数の向上
に努めます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
春と秋に、田代地区の散策と雪中行軍遭難史実の探索を
実施し、当施設のPRを積極的に行っている。また、新しい
展示品の増設、及び『ミスター雪中行軍』と呼ばれる山下
康博氏を招いての特別講演を実施する等、利用者増加のた
めの施策を企画、実施している。
監査人の評価
意見は反映されている。今後も、様々なイベントを企画・
実施し、積極的に利用者数向上のための施策を行うべきで
ある。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.187
青森市幸畑墓苑
領収書の管理(意見)
指摘・意見の内容
当施設では、市販の領収書を用いて、観覧料の受取の領
収書と本の販売代金の受取の領収書を発行している。
領収書は、領収書の横領または盗難による不正利用の可
能性が懸念される。領収書の不正利用の防止のため、領収
書には連番を付して、一部がなくなったとしてもすぐにわ
かるように連番管理することが一般的である。加えて、法
人独自印刷の領収書よりも市販の領収書のほうが、不正が
行いやすい。八甲田雪中行軍遭難資料館では、往査時に使
用していた観覧料の領収書については、連番が付されてい
たが、本の販売代金の受取の領収書については連番が付さ
れていなかった。加えて、当本の領収書には、受取の発行
印としての法人名と法人判が事前に押印されていた。
このように事前の発行印が押印された市販の領収書を利
用することを考慮したうえで、不正利用の防止の観点から
本の販売代金の受取の領収書についても、観覧料の領収書
と同様に適時に連番を付す必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年11月から市販の領収書に連番を付して管理簿を
作成するとともに、他の責任者が毎日、管理簿と現物の確
認を行うこととしました。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
269
指摘4−57
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.188
青森市幸畑墓苑
自動更新条項の廃止および入札制度等規程の制定と遵守の徹底(結果)
指摘・意見の内容
当財団は幸畑墓苑が設置された平成16年度から指定管理
者に指定されている。当財団は管理運営業務14件全件につ
いて、委託業者との間で随意契約により業務委託契約を締
結しており、契約期間は季節的業務を除き1年間である。そ
のうち7件については自動更新条項を付すことによって毎
年更新を行い、平成20年度においても同様の契約書によっ
て委託を行っている。現在、幸畑墓苑の委託業者選定に関
しては何ら規程が存在していないが、市財務規則第122条を
準用すれば、50万円を超える委託業務については、原則と
して、随意契約ができず入札を行う必要がある。また、市
財務規則第123条を準用すれば、50万円以下の委託業務につ
いては随意契約が可能であるが、5万円以下の委託業務を除
き、二人以上から相見積りを実施する必要がある。
幸畑墓苑の業務委託契約書に自動更新条項が付されてい
る委託業務7件の委託先選定状況を確認したところ、すべて
入札も相見積りも実施せずに毎年自動更新されている。業
務委託契約書に自動更新条項を付した場合には、原則委託
先の変更が予定されないため、業務委託金額が硬直化する
こと、委託先のサービスがマンネリ化することなどの弊害
が生じるリスクがある。
したがって、当財団は契約書の自動更新を止め、業務委託
契約期間毎に委託業者選定を実施すべきである。そのため、
当財団は、早急に工事、物品およびサービス購入に関する
入札制度等についての規程を制定し、当該規程に遵守して
新たに委託業者を選定し直すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
財団の契約行為について、青森市の財務規則を参考にし
ながら、工事・物品およびサービス購入に関する入札制度
等についての規程を制定します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
規程の整備は行っていないが、工事・物品およびサービ
ス購入時には相見積もりを取っている。
規程を整備していない。したがって、当財団は早急に規
程を整備すべきである。
270
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.189
青森市幸畑墓苑
業務委託契約書の自動更新条項に係る不備(結果)
指摘・意見の内容
八甲田山雪中行軍遭難資料館浄化槽保守点検管理委託契
約書の期間を確認したところ「委託期間は、平成16年8月1
日から平成17年3月31日までとする。」とした上で、同一条
件をもって行う1年毎の自動更新条項が付されている。契約
書を素直に解釈すれば、平成20年度においては、平成20年8
月1日から平成21年3月31日までが委託期間であると推測さ
れるが、業務委託は平成20年4月1日から平成21年3月31日ま
で毎月2回行われていた。業務委託契約は平成16年8月1日か
ら始まり、その後毎月2回の委託業務を行うことが前提とさ
れているとのことから、早急に業務委託期間を4月1日から3
月31日までの1年間の契約に変更する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から、業務委託期間を4月から翌年3月までの1
年間とする契約に変更しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
業務委託期間を4月1日から3月31日までとする契約書を
締結している。
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.190
青森市幸畑墓苑
業務委託契約準拠違反(結果)
指摘・意見の内容
ねずみ・害虫防除業務は表題のとおり、ねずみおよび害
虫を防除するものであり、当仕様書においても防除対象種
類を「原則としてねずみ、ゴキブリ等の衛生害虫」として
いる。しかし、委託業者からの実施報告書によれば、実施
対象がゴキブリだけになっており、ねずみおよびその他の
衛生害虫の駆除は行われていなかったことから、委託業者
は明らかに業務委託契約違反を犯していると言える。委託
業者は業務請負契約書および仕様書に基づき、ねずみおよ
びゴキブリ以外の害虫も防除対象にすべきである。
このように防除対象種類が業務委託契約に準拠していな
いことについて、当財団は委託業者に照会しておらず、理
由を把握していなかった。当業務委託契約は少額の委託額
271
ではあるものの公の施設を管理する指定管理者として質的
には重大な問題であると言わざるを得ない。当財団は契約
書に記載された業務が適正に遂行されていることを確認す
べきであり、少なくとも当財団は1回目の実施報告書を入手
した時点で適時に委託業者に照会し、契約どおりに適時に
実施するように委託業者を指導すべきであった。
なお、衛生害虫の定義が明確でないため、当財団は衛生
害虫について具体的に業務委託契約書に記載すべきであ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
今後は、委託業者に対し具体的内容が判る実施報告書を
提出するよう依頼し、報告書を入手した時点で、委託業者
に内容を照合し、契約どおり実施しているか確認・指導し
ます。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.191
青森市幸畑墓苑
再委託の承諾違反(結果)
指摘・意見の内容
委託業者は浄化槽保守点検管理業務のうち水質検査業務
について指定検査機関へ再委託している。八甲田山雪中行
軍遭難資料館浄化槽保守点検管理委託契約書第6条(再委託
等の制限)によれば、「乙(委託業者)は、委託業務の全
部又は一部を請け負わせてはならない。ただし、あらかじ
め書面により甲(指定管理者)の承諾を得た場合はこの限
りでない。」とされていることから、本来委託業者は、業
務の一部を第三者へ再委託する場合には当財団の承諾が必
要であるが、その承諾を得ずに第三者へ再委託を行ってお
り、明らかに業務委託契約違反である。
当財団は、委託業者が水質検査業務に係る指定検査機関
でないことを知っており、再委託されることは自明の理で
あることから、委託業者に対して当財団に承諾申請書の提
出を求めていなかったことは不適切と言わざるを得ない。
当財団は委託業者に対して承諾申請書の提出を求めるべき
272
である。その上で、再委託業者の妥当性を検討し承認すべ
きである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、水質検査業務に関する再委託の承認手
続きを行います。
平成 25 年 12 月現在の対
承認手続を適切に実施し、業務を行っている。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
意見4−58
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.192
青森市幸畑墓苑
業務実施報告書の内容不備(意見)
指摘・意見の内容
当財団は委託業務のうち、除雪業務、苑地管理業務およ
びゴミ運搬・処分業務の3件の業務については、委託業務が
適正に行われたことを証する業務実施報告書および業務実
施状況や業務実施結果を示す添付写真を委託業者から入手
していない。外構年間管理業務については、業務実施報告
書は入手しておらず、また業務を行っている写真は入手し
ているものの業務実施状況や業務実施結果を示す添付写真
とはなっていない。また、浄化槽保守点検管理業務につい
ては、水質検査を行った旨の業務実施報告書等何らの資料
を入手していない。そのため、委託業務が適正に行われた
か否かの確認が実際にはなされていない状況である。
業務委託契約書には業務実施報告書を入手すべきである
旨の条項は記載されていないが、業務遂行に関して委託業
者との間で適正に業務が行われたことを確認するために
も、また委託業者との後日のトラブルを防止するためにも、
委託業者から業務実施報告書および委託業務実施状況記録
写真を必ず入手するとともに業務遂行状況を巡視すること
により、委託業者が仕様書に基づいて適正に業務を遂行し
ていることを確認する必要があり、業務委託契約書におい
て業務実施報告書の提出を義務付ける必要がある。また、
当財団は業務日時、内容を確認した上で業者へ支払いを行
うべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
除雪業務、ごみ収集・運搬と苑地管理業務については、
273
業務報告書の提出を義務付けるように業務委託契約書を見
直します。
平成 25 年 12 月現在の対
業務報告書の提出を徹底させている。
応状況
監査人の評価
業務報告書は入手されているが、契約書及び仕様書に業
務実施報告書の提出義務が明記されていない。現状、業務
実施報告書が提出されているのは、口頭等により委託業者
に告知したものと推察されるが、文書化されていない場合、
当該報告義務をめぐりトラブルになる可能性は否定できな
い。したがって、当財団は①契約書に仕様書を付して当該
報告書の提出義務がある旨の記載をする、又は②契約書自
体に当該事項を盛り込む等の対応を実施すべきである。
意見4−59
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.193
青森市幸畑墓苑
巡回報告書の入手の徹底(結果)
指摘・意見の内容
機械警備の方法に関しては、機械警備業務委託契約書第4
条(警備方法)によれば、「遠隔監視装置による機械警備
及び週1度の建物内外の巡回警備併用方式とする。」とされ
ている。また、警備計画書第9条(事故報告書等の提出)に
よれば、「警備実施期間中に事故等が発生したとき、乙(委
託業者)は事故報告書を甲(指定管理者)の警備責任者に
提出する。」とされている。すなわち、業務委託契約書の
文言を素直に解釈すれば、委託業者が当財団に対して事故
等が発生しない限り業務実施報告を行わなくても良いこと
になる。しかし、実際には委託業者は好意的に当財団に対
して毎週巡回報告書を提出しているため、現実的な問題は
ないものの機械警備業務の実施に関し業務委託が適切に行
われたことを確認し合うため、契約書にも事故等の発生の
有無にかかわらず毎週巡回報告書を入手するよう記載すべ
きである。
また、機械警備業務委託契約書に添付されている警備計
画書第12条(警報装置の保守点検)によれば、「甲(指定
管理者)に設置された警報装置の機能については、乙(委
274
託業者)は適宜保守点検を行うものとする。」として、委
託業者は遠隔監視装置による機械警備および建物内外の巡
回警備の他に警報装置の保守点検も行うことになってい
る。しかし、警報装置の保守点検については業務実施報告
書等書面による資料を何ら入手していないことから、委託
業者によって警報装置の保守点検が適正に行われたか否か
の確認が実際にはなされていない状況である。
業務委託契約書には業務実施報告書を入手すべきである
旨の条項は記載されていないが、業務遂行に関して委託業
者との間で適正に業務が行われたことを確認するために
も、また委託業者との後日のトラブルを防止するためにも、
委託業者から業務実施報告書を必ず入手するとともに業務
遂行状況を巡視することにより、委託業者が仕様書に基づ
いて適正に業務を遂行していることを確認する必要があ
り、業務委託契約書において業務実施報告書の提出を義務
付ける必要がある。また、当財団は業務日時、内容を確認
した上で業者へ支払いを行うべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
これまでも、巡回報告書、機械警備保守点検等の業務実
施報告書の提出がなされていましたが、契約書上もこれら
を義務付ける契約書に変更します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
契約書に仕様書が付されておらず、また報告書に関する
記載もなされていない。しかしながら、口頭により提出を
告知し、報告書を提出させている。
監査人の評価
業務報告書は入手されているが、契約書及び仕様書に業
務実施報告書の提出義務が明記されていない。現状、業務
実施報告書が提出されているのは、口頭等により委託業者
に告知したものと推察されるが、文書化されていない場合、
当該報告義務をめぐりトラブルになる可能性は否定できな
い。したがって、当財団は①契約書に仕様書を付して当該
報告書の提出義務がある旨の記載をする、又は②契約書自
体に当該事項を盛り込む等の対応を実施すべきである。
275
意見4−60
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.194
青森市幸畑墓苑
業務実施状況の確認漏れ(意見)
指摘・意見の内容
幸畑墓苑苑地管理委託契約書第1条および同仕様書1から
7によれば、同業務委託はQ町会に委託業務内容を委託する
ことになっている。
当財団は委託業者から業務実施報告書を入手していない
ため、当財団が市に対して提出している日別業務内容別の
苑地管理業務実施表を確認したところ、平成20年度におい
て行った清掃は、4月11日から10月28日にかけて延べ27日の
みであり、遊具の点検については同実施表に何日に行った
かの記載がないため仕様書どおりに業務が実施されたか確
認できない状況になっている。また、この同実施表には作
業員が何名参加したかについての記載もないため、非常に
不明瞭であり適切でない。
当財団は委託業者から必ず業務実施報告書を入手すると
ともに、市に提出する実施表には実施日の記入、作業員の
参加人数等の情報を正確に記載すべきである。市も当財団
より実施表の提出を受けた際は適正な内容か否かを確認
し、不適切な場合には訂正を求めるべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から業務実施報告書を新たに作成・提出させ
ることとしました。
平成 25 年 12 月現在の対
業務実施報告書の提出を徹底させている。
応状況
監査人の評価
業務報告書は入手されているが、契約書及び仕様書に業
務実施報告書の提出義務が明記されていない。現状、業務
実施報告書が提出されているのは、口頭等により委託業者
に告知したものと推察されるが、文書化されていない場合、
当該報告義務をめぐりトラブルとなる可能性は否定できな
い。したがって、当財団は①契約書に仕様書を付して当該
報告書の提出義務がある旨の記載をする、又は②契約書自
体に当該事項を盛り込む等の対応を実施すべきである。
276
意見4−61
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.195
青森市八甲田憩いの牧場
パターゴルフの利用者数向上施策(意見)
指摘・意見の内容
パターゴルフは通常料金1プレー9ホール大人380円、子供
190円である。利用者数は延べ864人、1日当たりの平均利用
者数は4人(営業日数は4月16日から11月15日までの214日)
と低迷している。ゴルフコースは牧場の一部に人工芝を敷
いたものであるが、人工芝は平成7年の開業当時のものであ
り、14年経過していることから痛みが激しくなってきてい
る。1ホールは平均20∼30m程度の短いもので、各ホールの
変化も少なく、魅力は乏しい。収入ベースでは平成20年度
には平成8年度の30%まで落込んでいる。
収入の推移からわかるように当該施設の魅力は逓減して
きており、かつ、当該施設の直近年度の収入は少額である
ことから、当該施設の料金を安くし、または無料化して利
用を促進し、市民へのサービス向上を図ることも有用であ
ると考える。
それと同時に、メンテナンス費用は極力抑え、使用に耐
えられなくなった時点で当該施設についてパターゴルフ場
としての利用を廃止するということも考えられる。
平成 22 年 8 月対応方針
パターゴルフについては本格的な改修はせず、経費を極
力抑えながら部分毎に補修し、営業を継続します。
また、利用料金は今後の利用状況等を踏まえながら検討
します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現状、従前どおりの運用を行っている。しかしながら、
現在、平成26年度から利用料金の減額を検討しており、3
月までに決まれば、平成26年度から運用する方針である。
監査人の評価
平成22年度から平成24年度までのパターゴルフの年間利
用収入及び年間利用者数は以下の通りである。
平成22年度
平成23年度
平成24年度
年間利用収入
183千円
146千円
101千円
年間利用者数
681人
550人
379人
年間利用収入及び年間利用者数ともに減少の一途を辿っ
ていることから廃止も含めた抜本的な改善策を検討する必
277
要がある。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.196
青森市八甲田憩いの牧場
割引券の発行に関する市の承認漏れ(結果)
指摘・意見の内容
当財団はパターゴルフの利用者数向上を図るために、平
成20年度からレストランの利用者に対して代金精算時にパ
ターゴルフの利用料金の割引券を発行している。通常料金1
プレー9ホール大人380円、子供190円のところ、割引後は大
人280円、子供140円としている。
当財団の担当者によると、割引券を発行することについ
て、当時の市の担当者へ口頭で相談し、承認を得ていると
のことであるが、現在の市の担当者によると、口頭により
承認したかの事実は不明とのことである。いずれにせよ、
文書での申請、許可は得ておらず、青森市八甲田ふれあい
施設条例上は料金を変更する場合に必要とされている市長
の承認を得ていないので、条例違反の状況となっている。
当財団は条例にしたがって、文書による市長の承認を得る
べきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から割引券の発行及び利用料金の変更につ
いては、文書による承認の手続きを行います。
平成 25 年 12 月現在の対
割引券の発行は止めている。
応状況
監査人の評価
現状、割引券は発行していないため、評価対象としない。
意見4−62
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.197
青森市八甲田憩いの牧場
ラジコンサーキットの利用方法(意見)
指摘・意見の内容
ラジコンサーキットの施設使用料は無料であるが、当施
設としてラジコンカーの貸出は行っておらず、ほとんどの
来場者はラジコンカーを持参しないので、いくつかの同好
会が独占使用しているのが実態のようである。しかし、本
来、市が行う行政サービスは、特定の利用者のみに偏って
278
利用されるものではなく、広く市民に利用されるべきもの
であり、当施設の現状は必ずしもそのようになっていない。
休日には家族連れが多く当施設(八甲田憩いの牧場)を利
用していることから、子供が気軽に利用できるように、安
全面に配慮してスピードを抑えた設定にしたラジコンカー
を当施設が貸出すなど、利用促進および市民サービスの充
実の施策を検討すべきである。
それでも当施設の利用が、現状のように特定の利用者に
偏重しているのであれば、無料での利用は当施設を利用す
る市民と利用しない市民の間の公平性を欠くものであり、
市民間の公平性の確保のため、当施設の有料化を検討する
ことが必要である。また、市内には当施設以外にも有料で
民営のラジコンサーキットもあり、民業圧迫とならないた
めにも、有料化が望ましいと考える。
平成 22 年 8 月対応方針
ラジコンサーキットについては、パターゴルフ場同様、
経年劣化が見られており、設備もそれ程充実しているとは
言えないことから現時点での有料化は考えていません。
施設の利用にあたっては、市民の平等利用が原則であり、
特定の利用者が占領することのないよう今後とも努めま
す。提案のあったラジコンカーの貸出などについては、指
定管理者と協議します。
平成 25 年 12 月現在の対
従前どおりの運用を行っている。
応状況
監査人の評価
平成21年度の指摘と同様、当該施設については、①利用
者が一定のものに限られていること、②市内の民営のラジ
コンサーキットが有料であること、を鑑みると有料化する
ことを公平性及び民業圧迫防止の観点から継続的に検討し
ていく必要がある。なお、貸し出し用ラジコンカーの購入
に関しては、その需要を考慮し、費用対効果を踏まえ、無
駄な出費にならないように慎重な対応も求められる。
279
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.198
青森市八甲田憩いの牧場
中央トイレの水洗化(意見)
指摘・意見の内容
当施設の中央トイレは旧式の溜め方式であるが、最近の
子供はこのような旧式の溜め方式のトイレの利用経験がな
いため中央トイレを利用できずに、レストハウスの簡易溜
め方式のトイレまで行くケースもあるようである。青森市
内の公共施設の中でも溜め方式のトイレはほとんどなく、
下水道施設がない場合でも、レストハウスの簡易溜め方式
のように利用上は水洗トイレのような形式がほとんどとの
ことである。
当施設の利便性の向上を図るため、市は中央トイレをレ
ストハウスのような簡易溜め方式に改善することを検討す
ることが望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
簡易溜め方式による水洗化について再度検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
簡易水洗トイレに変更している。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.199
青森市八甲田憩いの牧場
動物広場の管理の明確化(意見)
指摘・意見の内容
当施設の敷地には、レクリエーション施設として、パタ
ーゴルフ場、ラジコンサーキット場、多目的広場に加え、
動物広場がある。動物広場は、やぎ、ひつじ、ポニーとい
った草食動物を飼育し、客にふれあいの場を提供している。
動物広場は、当施設の一部であり、指定管理者である青森
市観光レクリエーション振興財団が業務を行うべきもので
ある。しかしながら、当動物広場にいる動物の餌やりおよ
び施設の管理は、青森市八甲田憩いの牧場に隣接する市畜
産振興センターの職員が実施している。
市の担当者によると、当施設は、市が地元の農畜産物の
消費拡大を目指して、市畜産振興センターに関連する施設
として、その隣接地に開業した施設であり、当センターに
これらの動物の飼育に関するノウハウがあることから、当
280
センターの職員が餌やりや施設の管理を実施している、と
のことである。
このように、動物広場を指定管理者の管理の対象にしな
い場合には、協定書に動物広場は指定管理者の管理対象外
である旨を、明記して、その管理責任を明確化することが
望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
平成23年度から、管理範囲を明確にするため、協定書に
管理する施設・敷地・責任区分等を明記します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
責任分担表を協定書に綴り込み、適切な対応を実施して
いる。
意見は反映されている。
意見4−63
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.200
青森市八甲田憩いの牧場
動物広場の動物への餌やり体験の検討(意見)
指摘・意見の内容
動物広場には、やぎ、ひつじ、ポニーといった草食動物
が飼育されている。このような草食動物については、市民
と動物とのふれあいの機会として、一箱100円程度の有料で
餌やり体験を実施している他の施設も多くある。
近年、都市生活者とこのような動物の関わりは年々希薄
となっている。八甲田ふれあい施設条例第2条によると、
「観
光農業の推進を図るとともに、都市生活者等に対し、自然
環境及び農業に親しみ、理解を深める機会を与えるため八
甲田ふれあい施設を設置する。」とあり、都市生活者等と
動物との直接のふれあいの機会として、衛生上の問題にも
配慮しつつ、餌やり体験の検討が望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
動物広場での動物とのふれあい体験は、利用者の衛生管
理、家畜伝染病予防等の観点から常時専門スタッフの配置
が不可欠であり、人員確保などの課題もありますが、イベ
ント時などでの実施の可能性を指定管理者と協議します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
毎年、7月最終週の週末に当該施設で実施される『八甲田
牧場まつり』のイベントで、牛の乳搾り体験会及び小動物
とのふれあいコーナー等を設置し、動物と触れ合える機会
を作り、当該施設の認知度向上の施策を実施している。
281
監査人の評価
意見は反映されている。今後も様々な施策を実施し、当
該施設利用者数の向上に注力すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.201
青森市八甲田憩いの牧場
権利譲渡等の禁止違反(結果)
指摘・意見の内容
当施設のレストハウスは開設時期が4月中旬から11月中
旬までであり、平日や悪天候時には集客能力がないため、
レストハウス食堂の運営のみでは経営状況が厳しく、現在
の委託業者を除き進んでレストハウス食堂を運営する業者
がいないのが実情である。施設内に設置している自動販売
機については、一般的には、指定管理者が自主事業として
自動販売機業者と契約することが多いと思われるが、当施
設の場合は、当財団ではなく委託業者が直接自動販売機業
者と契約している。これは前述の如く食堂の運営が厳しい
ため、当財団が委託業者へ委託料を減額することを目的と
して取っている措置と考えられる。その結果、委託業者は
自動販売機業者に施設の一部を転貸し、業者より手数料を
受取っていることになる。営業委託契約書第3条(権利譲渡
等の禁止)によれば、「乙(委託業者)は、この契約によ
って生じる権利または義務を第三者に譲渡、転貸し、また
は担保にしてはならない。」とされている。それにもかか
わらず、当財団は委託料を減額する目的で委託業者に対し
て当該権利の転貸を口頭で承認している。契約書第3条を遵
守するのであれば、当財団の承認の有無にかかわらず転貸
が禁止されていることから、委託業者がレストハウス食堂
の営業委託の権利を第三者である自動販売機業者に転貸し
ていることは契約違反となる。
これを正すためには、当財団は委託業者が現在行ってい
る自動販売機業者との直接契約を廃棄させ、当財団自身が
自動販売機業者と契約をする必要がある。その上で、委託
業者との間でこれに代わる補填、例えば委託料の減額を考
えるべきである。また、この転貸が指定管理者制度導入以
前の平成12年度から行われている経緯を考えた場合には、
現状を否定せずに、市および当財団へ書面での承諾を条件
282
に、委託業者がレストハウス食堂の営業委託の権利を第三
者に譲渡等可能となるように営業委託契約書の条文を修正
することも一案である。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から施設内に設置する自動販売機について
は、指定管理者と直接自動販売機業者との直接契約に改め
ました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
現状、当財団は自動販売機業者と直接契約を締結してお
らず、自動販売機に係る業務をレストラン業者に委託して
いる。なお、業務委託契約書第1条第2項でその旨を記載し
ている。
監査人の評価
平成22年8月に示された方針とは異なった対応を行って
いるが、契約書上、特段の問題はないと判断する。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.202
青森市八甲田憩いの牧場
再委託の承諾違反(結果)
指摘・意見の内容
委託業者は給水設備保守管理業務のうち水質検査業務に
ついて指定検査機関に再委託している。同契約書第11条(委
任又は下請負の禁止)によれば、「乙(委託業者)は、甲
の承認を得ないで委託業務を第三者に委任し、又は請け負
わせてはならない。」とされていることから、本来、委託
業者は業務の一部を第三者へ再委託する場合には当財団の
承諾が必要であるが、その承諾を得ずに第三者に再委託し
ており、明らかに同契約書第11条に対する契約違反である。
当財団は委託業者が水質検査業務に係る指定検査機関で
ないことを知っており、再委託されることは自明の理であ
ること、さらには、委託業者を通して再委託業者から業務
実施報告書を入手しており、再委託が行われたことを知り
得たことから、委託業者に対して当財団に承諾申請書の提
出を求めていなかったことは不適切と言わざるを得ない。
当財団は委託業者に対して承諾申請書の提出を求めるべき
である。その上で、再委託業者の妥当性を検討し承認すべ
きである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、水質検査業務に関する再委託の承認手
続きを行いました。
283
平成 25 年 12 月現在の対
再委託の承認手続きを実施し、適切に業務を行っている。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.203
青森市八甲田憩いの牧場
貸与備品使用料の算定誤り(結果)
指摘・意見の内容
当財団が委託業者に支払っているレストハウス食堂の運
営業務の委託料は、市の行政財産目的外使用料に準じて算
定されており、このため、委託料は建物と貸与備品の使用
料の合計となっている。そのうち、貸与備品に関する1年間
当たりの使用料の算定は
貸与備品の1年間当たりの使用料=取得価額×耐用年数
後の原価残存率(5%)
とされている。
当財団の算定額に用いた使用料の算定式では、最初の1
年間で耐用年数後の5%のみしか回収されず、残存率である
5%を除いても全額回収するのに19年掛かることになる。こ
れでは、備品の耐用年数である6年または8年を大きく超え
る期間での回収であり、合理的な算定とは言えない。した
がって、この算定は耐用年数到来時に残存価額を除いた全
額を回収できるように、以下のとおりとすべきである。
貸与備品の1年間当たりの使用料=取得価額×(1−耐用
年数後の取得価額残存率(5%))÷耐用年数
当財団が委託業者に支払っているレストハウス業務の委
託料は残存価額を除く取得価額が耐用年数内に回収できる
ように算定する必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
八甲田憩いの牧場で貸与している備品は、耐用年数内で
購入費の回収を終えているため、残存価格相当額を使用料
とする算出方法に問題はないものと考えています。
平成 25 年 12 月現在の対
従前どおりの運用を行っている。
応状況
監査人の評価
当財団は、当該指摘のあった備品については、既に耐用
年数を経過したものであることから、
貸与備品の1年間当たりの使用料
284
=取得価額×耐用年数後の原価残存率(5%)
とした算定式を用いているとのことである。耐用年数の到
来してしまった物品等の使用料算出方法としては、ある程
度の合理性はあると思われる。一方で、新品の備品等に同
様の算定式を用いた場合、平成21年度の指摘であるように
当該備品の取得価額の回収期間が耐用年数を大幅に上回る
ことになる。したがって、①耐用年数の到来しているもの
については、
貸与備品の1年間当たりの使用料
=取得価額×耐用年数後の原価残存率(5%)
を用いて、②新品のものについては、
貸与備品の1年間当たりの使用料
=取得価額×(1−耐用年数後の取得価額残存率(5%))
÷耐用年数
を用いるのが合理的と思われる。
意見4−64
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.204
青森市八甲田憩いの牧場
業務実施報告書の入手の徹底(結果)
指摘・意見の内容
業務委託仕様書によれば、受水槽清掃点検および水質検
査業務の他に衛生器具類水張り・調整を春および衛生器具
類水抜き・凍結防止処理を秋に行うことになっているが、
衛生器具類水張り・調整および衛生器具類水抜き・凍結防
止処理については委託業者から委託業務が適正に行われた
ことを証する業務実施報告書を入手していない。そのため、
それらの作業が適正に行われたか否かの確認が実際にはな
されていない状況である。業務委託契約書には業務実施報
告書を入手すべきである旨の条項は記載されていない。し
かし、業務遂行に関して委託業者との間で適正に業務が行
われたことを確認するためにも、また委託業者との後日の
トラブルを防止するためにも、委託業者から業務実施報告
書を必ず入手するとともに業務遂行状況を巡視することに
より、委託業者が仕様書に基づいて適正に業務を遂行して
いることを確認する必要があり、業務委託契約書において
285
業務実施報告書の提出を義務付ける必要がある。また、当
財団は業務日時、内容を確認した上で業者へ支払いを行う
べきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から衛生器具類水張り・調整および衛生器具
類水抜き・凍結防止処理は、業務報告書の提出を義務付け
るように業務委託契約書を見直しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
業務委託契約書に業務実施報告書入手に関する記載がな
く、また仕様書も存在しない。しかしながら、業務実施報
告書は入手している。
監査人の評価
業務報告書は入手されているが、契約書及び仕様書に業
務実施報告書の提出義務が明記されていない。現状、業務
実施報告書が提出されているのは、口頭等により委託業者
に告知したものと推察されるが、文書化されていない場合、
当該報告義務をめぐりトラブルとなる可能性は否定できな
い。したがって、当財団は①契約書に仕様書を付して当該
報告書の提出義務がある旨の記載をする、又は②契約書自
体に当該事項を盛り込む等の対応を実施すべきである。
意見4−65
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.205
合子沢記念公園
利用者数の増加施策(意見)
指摘・意見の内容
当施設は平成9年に開催された第21回全国育樹祭の会場
跡地を利用して、自然観察やレクリエーションなどを市民
が楽しめるように、平成10年4月1日に設置されたものであ
る。
当施設を開設した平成10年度以降、平成14年度までの5
年間は毎年、利用者数は増加している。これは、施設の存
在が徐々に市民の間に浸透していったためであると思われ
る。しかし、平成14年度の28,412人をピークにその後利用
者数は減少傾向にあり、平成20年度は15,791人、ピーク時
の56%にまで落込んでいる。
平成20年度までは市からの受託事業として当財団が自然
観察会を開催していたが、市の予算が確保できなかったた
め、平成21年度は実施されていない。参加者は50人と少な
286
いが、参加者がリピーターになり、また、友人に話すこと
により参加者が増加するというような間接的な波及効果も
期待できる。このような地道な活動が利用者数を向上させ
ていくためには重要である。
また、公益法人である当財団は現在、当施設での自主事
業を実施していないが、例えば、自主事業での自然観察会
の開催や園内に多くあるどんぐりの実を拾って人形を作る
等の体験学習会などを開催し、必要に応じて財政負担を軽
減するために実費程度の参加料を徴収するなど、利用者数
の増加に向けて、より一層の施策が望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
市と指定管理者が連携し、指定管理者の自主事業の開催
も含め、利用者の増加を図るよう施策検討を行います。
平成 25 年 12 月現在の対
特に利用者の増加を図る施策は実施していない。
応状況
監査人の評価
市民の利用促進に向け、当該施設に設置されている『野
鳥観察施設』を利用した何らかのイベント等を実施するな
ど、何らかのアクションを起こすことが必要であろう。そ
の際、事後的に費用対効果を検証し、その結果を今後にフ
ィードバックし、さらなる効率的かつ効果的な利用者増加
策を検討しなければならないのは当然である。
意見4−66
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.206
合子沢記念公園
不法投棄対応の費用負担(意見)
指摘・意見の内容
当財団の担当者によると、自動車や家電製品のリサイク
ル法が制定されたこともあり、近年、園内での不法投棄が
増加している。平成20年度において、当財団は不法投棄物
の処理費用を負担している。
不法投棄の監視業務については指定管理者の業務として
協定書に明記されているが、不法投棄物の処理費用は市と
指定管理者のどちらが負担するのか明確ではない。仕様書
にあるゴミ処理は園内の通常のゴミであると思われ、不法
投棄物までは含んでいないと思われるが、実際には当財団
が負担している。
287
処理費用は本来、市が負担すべきものと思料する。また、
市が不法投棄の処理費用は指定管理者が負担すべきである
と考えるのであれば、その旨を協定書上明記する必要があ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
不法投棄の処理については、市と指定管理者で協議し、
責任分担の明確化を検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
不法投棄費用は、市が負担するとの内諾があるとのこと
であるが、当該内諾については文書化されていない。
市と当財団は、不法投棄費用の費用負担について覚書等
を締結して、費用負担関係を明確にすべきである。
指摘4−67
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.207
合子沢記念公園
事業報告書の提出の徹底(結果)
指摘・意見の内容
公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例お
よび市と当財団の間で締結されている当施設の管理業務に
関する協定書において、指定管理者は毎事業年度終了後、
管理業務に係る事業報告書を市に提出しその承認を得なけ
ればならない、とされており、事業報告書に記載する事項
は、協定書において次のとおりとされている。
(1) 管理業務の実施状況
(2) 利用状況(利用者数の総括、利用拒否等の件数・理
由等)
(3) 利用料金収入の実績等、管理業務に係る収支の状況
(4) その他市が必要と認める事項
しかしながら、当財団から青森市に対して、(3)に係る
収支計算書は提出されているものの、(1)、(2)、(4)
に係る報告が行われていない。毎月市に提出されている月
次の報告書に、(1)、(2)、(4)と同趣旨の内容が記載
されているが、年次で集計している資料は指定管理者であ
る当財団も市も作成していない。
月次に関する情報に加え、事業年度における総括的・全
体的な利用の状況・変化等を把握して評価する必要があり、
市の今後の当施設に係る意思決定の情報としても有用であ
288
る。当財団は当条例および協定書に従い事業年度に関する
事業報告書を市に提出すべきであり、市は当財団に提出を
求める必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
協定書等に従い事業年度に関する事業報告書を提出させ
ます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
事業年度に関する事業報告書を平成25年度から提出する
方針である。
対応が遅いと言わざるを得ない。今後は、改善すべき事
項が検出された場合は、速やかな対応が望まれる。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.208
合子沢記念公園
業務月報報告書の記載漏れ(結果)
指摘・意見の内容
市および当財団の間で締結されている協定書上、業務月
報報告書を翌月10日まで提出することが定められている。
平成20年度の業務月報報告書と利用許可書ならびに使用許
可申請書を照合したところ、平成20年9月において、団体利
用者数に記載漏れがあった。
業務月報報告書は、市が施設の利用状況等を把握するた
めの資料であり、当施設のあり方を市が決定する際の資料
になるものであることから、当財団は作成に当たり二重チ
ェックを行うなどして、正確な資料の作成に努めるべきで
ある。
平成 22 年 8 月対応方針
事業月報報告書等報告書類全般について、記載漏れ等が
無いよう確認体制の強化に努めます。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.209
合子沢記念公園
使用許可申請書の提出および許可書の交付方法(結果)
指摘・意見の内容
森林公園条例施行規則第4条においては、「許可を受けよ
うとするときは、使用日の一月前から三日前までに青森市
289
森林公園使用許可申請書を条例第十一条に規定する指定管
理者に提出しなければならない。」と規定し、使用日に応
じ、その都度に青森市森林公園使用許可書の交付を受ける
ことが定められているが、通期の一括利用申請・許可を行
っているものがあった。
当施設の通期の一括利用申請は、使用日に応じて使用許
可を受けるとする当条例施行規則第4条に違反するもので
あり、また、当申請書による申請日から1ヶ月以上先の日以
降の利用は、同様に当条例施行規則第4条に違反するもので
ある。
したがって、このような場合であっても、原則どおり、
使用日の1ヶ月前から3日前までの間に使用日毎に申請書を
提出し、許可書の交付を受ける必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
使用許可申請については、条例に基づき、使用日に応じ
た申請・許可の手続きを徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
意見4−68
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.210
合子沢記念公園
利用者アンケートの記録の保存と市への報告(意見)
指摘・意見の内容
当財団の担当者によると、利用者に対して、当施設の利
用に関する満足度などの意見を随時ヒアリングして、施設
管理担当者間のミーティング時に口頭で報告し、対応を協
議しているとのことであるが、記録を残していないので、
いつ、どのような利用者からどのような意見が寄せられた
のか判然としない状況である。
利用者へのアンケート結果は、施設が市民にとって有意
義なものとなっているかどうか、どのようにすればより有
意義なものとなり得るか、といった施設の現状評価と今後
の施策を立案する場合に有用な情報であり、当財団はこれ
を文書で保存して施設管理情報として役立てることが望ま
れる。また、市は協定書において当財団に対して市への報
290
告を義務付け、市としても上記の観点からこの情報を有効
活用することが望ましい。
なお、アンケートの実施方法であるが、施設管理担当者
が利用者に随時ヒアリングすることも重要であるが、一定
期間を定めて、一斉にアンケートを実施することも有効で
あると考えられる。
平成 22 年 8 月対応方針
アンケート、要望等については、その内容や結果を文書
化するとともに、市と指定管理者が情報共有し、市民サー
ビスの向上に努めます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
野鳥観察施設内にアンケート箱を設置し、業務の改善に
役立てている。
利用者の感想等をミーティングで報告しているが、当該
ミーティング等の内容が文書化されていない。当該ミーテ
ィング等に参加していない者への情報の共有化及び検討内
容の明確化のために、ミーティング等の内容を文書化すべ
きである。
指摘4−69
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.211
合子沢記念公園
業務委託契約書の業務範囲の明確化(結果)
指摘・意見の内容
浄化槽維持管理業務委託契約書第1条において、「乙(委
託業者)は甲(指定管理者)の所有する屎尿浄化槽につい
て、…維持管理及び清掃作業を行うものとする。設置場所
野鳥観察展望台及び合子沢記念公園駐車場公衆便所」と記
載されているが、いつ、何をどの程度行うかなど具体的な
仕様が記載されていない。そのため当該業務の範囲が不明
確になっている。一般的にそのような契約書の不備を補う
ために仕様書が作成されるが、当業務については仕様書も
作成されていない。
業務遂行に関して委託業者との誤解に基づく後日のトラ
ブルを防止するため、また委託業者の業務が不適切であっ
た場合に指導できる根拠とするため、業務委託契約書また
は同仕様書には具体的な業務内容および範囲を明確に記載
する必要がある。
291
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、業務範囲等を明確にするため、委託契
約の仕様書の作成を徹底させます。
平成 25 年 12 月現在の対
従前の通りの運用を行っている。
応状況
監査人の評価
仕様書を作成しておらず当該委託業務の内容が不明確に
なっている。当財団は早急に仕様書を作成し、仕様書の内
容に基づいて業務が実施されていることを確認すべきであ
る。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.212
合子沢記念公園
再委託の承諾違反(結果)
指摘・意見の内容
委託業者は取水堰及び野鳥観測所給水設備保守点検業務
のうち水質検査業務について、指定検査機関に再委託して
いる。同契約書第11条(委任又は下請負の禁止)によれば、
「乙(委託業者)は甲(指定管理者)の承認を得ないで委
託業務を第三者に委任し、又は請け負わせてはならない。」
とされていることから、本来、委託業者は業務の一部を第
三者へ再委託する場合には当財団の承諾が必要であるが、
その承諾を得ずに第三者に再委託しており、明らかに同契
約書第11条に対する契約違反である。
当財団は委託業者が水質検査業務に係る指定検査機関で
ないことを知っており、再委託されることは自明の理であ
ること、さらには、委託業者を通して再委託業者から業務
実施報告書を入手しており、再委託が行われたことを知り
得たことから、委託業者に対して当財団に承諾申請書の提
出を求めていなかったことは不適切と言わざるを得ない。
当財団は委託業者に対して承諾申請書の提出を求めるべき
である。その上で、再委託業者の妥当性を検討し承認すべ
きである。
平成 22 年 8 月対応方針
契約書に基づき、今後は承認を得るよう業務改善を図り
ます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
委託業者には再委託に係る承諾書を提出させ、当財団では
承諾書の内容を確認し、承認手続を実施している。
指摘事項は改善されている。
292
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.213
合子沢記念公園
業務委託契約書における再委託禁止条項の設定(結果)
指摘・意見の内容
浄化槽維持管理業務委託契約書については、委任または
下請負の禁止の条項が記載されていない。そのため、委託
業者は、検査機関に濃度計量証明を委託しているが、再委
託の承認を受けていない。
業務委託契約書に委任または下請負禁止の条項がないた
め契約書上の禁止条項には触れないが、他の委託業務と同
様、契約書に委任または下請負禁止の条項を設けるべきで
あり、その上で、再委託の妥当性を検討し承認すべきであ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
契約書に再委託制限の条項を加え、承認を得るよう改善
します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
依然として、契約書には再委託禁止条項は盛り込まれて
いない。しかしながら、当該委託業務の再委託については、
承認申請書を提出させ、承認手続を実施している。
監査人の評価
再委託の承認手続は実施されている。しかし、契約書に
は再委託禁止条項は盛り込まれていない。承認手続の権限
を明らかにするためにも、当財団は契約書に再委託禁止条
項を盛り込むのが望ましい。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.214
合子沢記念公園
点検業務の不適切な時期での実施(結果)
指摘・意見の内容
消防用設備等定期点検委託契約書第2条によれば、機器点
検業務は年1回5月に実施し、機器点検に配線点検が追加さ
れる総合点検業務は年1回11月に行うことになっているが、
業務実施報告書によると機器点検業務は平成20年11月に実
施されており、総合点検業務は平成20年9月に実施されてい
た。
当施設の開園期間が5月から11月であることから、5月は
営業開始時期、11月は営業終了時期に当たり、契約書どお
りに実施することが合理的であり、1回目の機器点検業務を
9月に実施することは適切な時期とは考えられない。また、
293
契約上、営業終了時期である11月に実施することとなって
いる総合点検業務を営業期間中である9月に実施すること
は適切な時期とは考えられない。
このように点検時期が契約に準拠していないことについ
て、当財団は委託業者に照会しておらず、理由を把握して
いない。これは公の施設を管理する指定管理者として安全
管理上重大な問題であると言わざるを得ない。
本来であれば、当財団は1回目の総合点検業務に関する業
務実施報告書が5月に委託業者から提出されなかった時点
で適時に委託業者に照会し、契約どおりに適時に実施する
ように委託業者を指導すべきであったものである。さらに、
結果として、契約どおり適時に点検業務が実施されなかっ
たことに関して、契約違反という委託業者の責任を追及し、
委託料の減額等の措置を講じるべきであった。
また、市の担当者は当財団からの業務実施報告書によっ
て、消防設備の点検時期がこのように適時に行われていな
かったことを知り得たのであるから、消防設備の点検時期
を適時に行うよう当財団を指導すべきであった。
今後は、当財団は委託業者を適切に指導・監督すべきで
あり、市は当財団を適切に指導・監督すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
契約書に基づき、適切な時期での点検実施を徹底させま
す。
平成 25 年 12 月現在の対
上記の対応を適切に実施している。
応状況
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
意見4−70
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.215
合子沢記念公園
業務実施報告書の入手の徹底(結果)
指摘・意見の内容
視線誘導標設置・撤収業務委託契約については委託先か
ら委託業務が適正に行われたことを証する業務実施報告書
を入手していない。そのため、委託業務が適正に行われた
か否かの確認が実際にはなされていない状況である。業務
委託契約書には業務実施報告書を入手すべきである旨の条
294
項は記載されていない。しかし、業務遂行に関して委託業
者との間で適正に業務が行われたことを確認するために
も、また委託業者との後日のトラブルを防止するためにも、
委託業者から業務実施報告書を必ず入手するとともに業務
遂行状況を巡視することにより、委託業者が仕様書に基づ
いて適正に業務を遂行していることを確認する必要があ
り、業務委託契約書において業務実施報告書の提出を義務
付ける必要がある。また、当財団は業務日時、内容を確認
した上で業者へ支払いを行うべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
契約書で業務実施報告書の提出を義務付け、報告書に基
づき確認するよう改善します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
報告書の入手は徹底されているが、契約書に報告書の提
出義務が明記されていない。
業務報告書は入手されているが、契約書及び仕様書に業
務実施報告書の提出義務が明記されていない。現状、業務
実施報告書が提出されているのは、口頭等により委託業者
に告知したものと推察されるが、文書化されていない場合、
当該報告義務をめぐりトラブルになる可能性は否定できな
い。したがって、当財団は①契約書に仕様書を付して当該
報告書の提出義務がある旨の記載をする、又は②契約書自
体に当該事項を盛り込む等の対応を実施すべきである。
意見4−71
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.216
合子沢記念公園
業務実施報告書の記載内容不備(意見)
指摘・意見の内容
取水堰及び野鳥観測所給水設備保守点検業務について、
当財団は委託先より業務実施報告書を入手しているが、そ
の内容は工事名および工期等を記載した表紙、再委託して
いる水質検査結果報告書および業務実施の写真のみであ
り、委託業務を実施または完了した旨、実施した日付、保
守点検内容については何ら記載がなされていない。そのた
め、保守点検が適正に行われたか否かの確認が実際にはな
されていない状況である。
また、業務委託契約書には業務実施報告書を入手すべき
295
である旨の条項は記載されていない。しかし、業務遂行に
関して委託業者との間で適正に業務が行われたことを確認
するためにも、また委託業者との後日のトラブルを防止す
るためにも、委託業者から委託業務を実施または完了した
旨、実施した日付、保守点検内容が記載された業務実施報
告書を必ず入手するとともに業務遂行状況を巡視すること
により、委託業者が仕様書に基づいて適正に業務を遂行し
ていることを確認する必要があり、業務委託契約書におい
て業務実施報告書の提出を義務付ける必要がある。また、
当財団は業務日時、内容を確認した上で業者へ支払いを行
うべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
契約書で業務実施報告書の提出を義務付け、内容につい
ても不備が無いよう改善します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
報告書の入手は徹底されているが、契約書に報告書の提
出義務が明記されていない。
業務報告書は入手されているが、契約書及び仕様書に業
務実施報告書の提出義務が明記されていない。現状、業務
実施報告書が提出されているのは、口頭等により委託業者
に告知したものと推察されるが、文書化されていない場合、
当該報告義務をめぐりトラブルとなる可能性は否定できな
い。したがって、当財団は①契約書に仕様書を付して当該
報告書の提出義務がある旨の記載をする、又は②契約書自
体に当該事項を盛り込む等の対応を実施すべきである。
296
(4)株式会社アップルヒル
① 設立の背景
株式会社アップルヒルは、旧浪岡町において、農業振興、地域振興及び地元住民の
雇用の場として建設された産地形成促進施設アップルヒルの管理運営を行うために設
立した。当該施設は、地域特産品の普及、販売、地域情報発信及びりんご生産などの
業務が主業務である。そのため、当該施設の管理運営にあたってはりんごの生産知識
などの専門的な知識を有するほか、民間感覚による効率的な経営と公共施設の運営と
いう非営利的な活動なども必要となることから、当該施設の管理運営を実施するため
に設立した株式会社アップルヒルは第三セクターの形態になっている。
297
② 法人の状況
設 立 年 月 日
平成 8 年 4 月 1 日
代表取締役社長
小笠原
所
〒038-1331 青森県青森市浪岡大字女鹿沢字野尻 2-3
在
地
一
電話・FAX番号
TEL:0172-62-1170/FAX:0172-62-1171
HPアドレス
http://www.applehill.co.jp
資
40,000 千円
本
金
市の出資比率
75.0%
産地形成のための地場産品の販売や地域農業産品を活かした新商品
設
立
目
的
の開発及び普及並びに地域振興に資するイベント等に関する事業を
行い、地域における農業振興及び地域振興の向上に寄与することを
目的とする。
1.農産物・畜産物・水産物及び、きのこ類の販売
2.農産物・畜産物・水産物の保存食品の企画開発及び販売
3.地域産業に関する商品の企画、立案、販売及び斡旋
事
業
内
容
4.生鮮食料品、加工食料品及び加工調理食品並びに冷凍食品の販売
5.レストラン並びに喫茶店の経営
6.菓子、玩具及び民芸品並びに工芸品の製造販売
7.飲料水及び、酒類・タバコの販売
8.書籍、雑誌及び地図の販売
指定管理期間
指定管理業務の状況
指定管理してい
る施設名
利用料金制の導
入状況
5 年間(平成 22 年度∼平成 26 年度)
青森市産地形成促進施設アップルヒル
指定管理料が 0 円
(出典:平成 25 年度青森市第三セクター経営状況基本情報シートより監査人が作成)
298
③ 組織等の状況
ⅰ. 役員の状況(平成 25 年 6 月 28 日現在)
(単位:人)
取締役 6名以内
任期
2年
定款・寄付行為上の役員数
監査役 2名以内
任期
4年
株主総会において議決権のある発行済株式の総数
の3分の1以上にあたる株式を有する株主が出席
役員の選任方法
し、その議決権の過半数の議決によって選任す
る。
取締役
監査役
計
常勤 非常勤 常勤 非常勤 常勤 非常勤
法人採用役員
2(2)
2(2)
0(0)
市派遣職員
0(0)
0(0)
市職員兼務
1(0)
1(0)
0(0)
2(0)
役員数
市職員OB
0(0)
0(0)
他自治体職員
0(0)
0(0)
民間等からの役員
1(0)
1(0)
0(0)
2(0)
小計
2(2)
2(0)
0(0)
2(0)
2(2)
4(0)
4(2)
2(0)
6(2)
役員総数(常勤+非常勤)
5,795千円
常勤役員平均年収
常勤役員平均年齢
61.5歳
非常勤役員に対する報酬等の考え方 月額175千円
(注) 上表中、(
(注)
)は報酬支給人数を内数で示している。
法人採用役員(取締役)のうち1名は「使用人兼務役員」であり、当該役員の人件費については、
使用人として支給している給与である。なお、「常勤役員平均年収」には当該取締役に係る人件
費も含んでいる。
ⅱ. 職員の状況(各年度の4月1日現在)
(単位:人)
職員数の推移
平均年齢 平均年収
区分
平成
平成
平成
平成
(歳) (千円)
22年度 23年度 24年度 25年度
法人採用正職員
14
11
14
13
44.5
3,802
市派遣職員
常勤
市職員OB
管理職職員
その他
小計
14
11
14
13
44.5
3,802
法人採用正職員
20
22
20
18
40.5
1,599
市派遣職員
常勤
市職員OB
一般職職員
その他
小計
20
22
20
18
40.5
1,599
常勤職員 合計
34
33
34
31
42.2
2,523
非常勤職員数
職員総数(常勤+非常勤)
34
33
34
31
42.2
2,523
ⅲ. 組織体制及び事務分掌(平成25年4月1日現在)
299
組織体制
株式会社アップルヒル
組織図
取締役会(4名)
取締役会長
(1名)
代表取締役
社長
(1名)
取締役
(1名)
取締役
統括部長
(1名)
レストラン部
(1名)
営業部
(1名)
監査役
(2名)
ふれあい・加工課
(1名)
道草庵
(4名)
物販
(6名)
加工
(3名)
レストラン
(8名)
林檎・催事
(3名)
ふれあい
交流館
事務分掌
<レストラン担当及び道草庵担当>
(1) 商品をお客様に提供する業務
(2) 新商品の開発の業務
(3) 商品の品質管理の業務
(4) 厨房等の品質管理の業務
(5) 資材の受注、在庫計画及び管理に関する業務
(6) レストラン、道草庵の活性化に関する業務
(7) レジ精算に関する業務
<林檎催事担当>
(1) 観光りんご園に関する業務
(2) イベントの企画、運営、管理に関する業務
300
総務部
(1名)
総務
(2名)
(3) テント販売及び催事に関する業務
(4) インターネット販売等の業務
(5) レジ精算に関する業務
<物販担当>
(1) 販売企画及び販売促進に関する業務
(2) 売り場の活性化に関する業務
(3) こみせ横丁、産直施設、豆やなどの管理並びに教育に関する業務
(4) レジ精算に関する業務
<加工担当>
(1) 自社製品の製造に関する業務
(2) 資材の受注、在庫計画及び管理に関する業務
(3) 製品の品質管理及び衛生管理に関する業務
(4) 新製品開発の業務
<ふれあい交流館担当>
(1) 商品をお客様に提供する業務
(2) ブログ、ホームページの更新など各種情報の受発信業務
(3) 販売企画及び販売促進に関する業務
(4) レジ精算に関する業務
<総務部>
(1) 定款、株主総会及び取締役会に関する業務
(2) 社員、社長印の保管及び押し印業務
(3) 経理、予算、会計管理、会計事務に関する業務
(4) 予算案作成及び予算充当に関する業務
(5) 総務、資産、什器備品の管理及び庶務全般に関する業務
(6) 人事、人事労務管理、能力開発、人事育成及び福利厚生に関する業務
(7) 保健衛生及び安全管理に関する事項
301
④ 財務の状況
※財務諸表に関する情報
会計年度
始期
終期
4 月 1 日∼翌年 3 月 31 日
適用会計基準
消費税等の会計処理
中小企業の会計に関する指
税抜方式
針
ⅰ. 経営成績の概要【損益計算書】
(単位:千円、千円未満四捨五入)
区分
営業収益(売上高)(A)
うち本市からの指定管理収益
うち本市からの利用料金収益
うち本市からの受託事業収益
営業 営業費用(B)
損益 売上原価
経常
販売費及び一般管理費
損益
うち役職員人件費
の部
うち減価償却費
営業利益(損失)(C)=(A)-(B)
営業外収益 (D)
うち受取利息
営業外
営業外費用 (E)
損益
うち支払利息
営業外利益(損失)(F)=(D)-(E)
経常利益(損失)(G)=(C)+(F)
特別利益(H)
特別
特別
特別損失(I)
損益
損益
特別利益(損失)(J)=(H)-(I)
の部
税引前当期純利益(損失) (K)=(G)+(J)
法人税・住民税及び事業税(L)
法人税等調整額(M)
当期純利益(損失)(N)=(K)-(L)+(M)
302
平成22年度 平成23年度 平成24年度
510,579
522,579
502,257
10,179
16,102
4,974
517,458
516,899
506,687
315,748
323,847
316,332
201,710
193,052
190,355
123,638
125,457
117,786
7,054
6,332
5,573
▲6,879
5,680
▲4,430
16
812
2,244
16
10
11
2
14
812
2,244
▲6,865
6,492
▲2,186
50
30
3,696
1,310
3,614
400
▲1,260
▲3,584
3,296
▲8,125
2,908
1,110
2,095
182
182
▲10,220
2,726
928
ⅱ. 財政状態の概要【貸借対照表】
(単位:千円、千円未満四捨五入)
区分
平成22年度 平成23年度 平成24年度
流動資産
34,346
53,130
59,296
固定資産
54,823
50,115
44,642
うち土地
資産の部
うち建物
41,138
38,380
35,701
うち退職給付等引当資産
資産合計
89,169
103,245
103,938
流動負債
28,716
39,706
39,071
うち短期借入金
うち本市からの借入金
固定負債
360
760
負債の部
うち長期借入金
うち本市からの借入金
うち退職給付等引当資産
360
760
負債合計
28,716
40,066
39,831
資本金
40,000
40,000
40,000
資本剰余金
株
うち資本剰余金
主
利益剰余金
20,453
23,179
24,107
資
純資産の部
うち繰越利益剰余金
20,453
23,179
24,107
本
自己株式
株主資本合計
60,453
63,179
64,107
評価・換算差額等
新株予約権
純資産 合計
60,453
63,179
64,107
負債及び純資産 合計
89,169
103,245
103,938
303
⑤ 本市の財政的関与等の状況
(単位:千円、千円未満四捨五入)
項目
平成22年度 平成23年度 平成24年度
補助金
事業費補助金
管理費補助金
交付金
負担金
委託料
おぼこい林檎のブランド化及び販路拡大事業
「め∼ど∼in青森!」販売促進事業
グリーンツーリズム活性化事業
(うち再委託額)
指定管理料
貸付金(当期借入額)
短期貸付金
長期貸付金
出資金(追加額)
合計
10,179
10,179
10,179
16,102
10,083
6,019
16,102
4,974
4,974
4,974
(注)各項目ごとにそれぞれ四捨五入しているので、決算書と一致しない場合がある。
各年度 3 月 31 日時
点
貸付金の状況
(年度末残高)
損失補償の状況
(年度末残高)
債務保証の状況
(年度末残高)
有・無
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
無
−
−
−
無
−
−
−
無
−
−
−
304
⑥ 経営状況に関する指標
ⅰ. 健全性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
算出方法
当期損益
<損益計算書>
【単位:千円】
当期純利益(損失)
累積損益
<貸借対照表>
【単位:千円】
利益剰余金
経常比率
(営業収益+営業外収益)/(営
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
▲10,220
2,726
928
20,453
23,179
24,107
98.7
101.3
99.6
67.8
61.2
61.7
119.6
133.8
151.8
90.7
79.3
69.6
−
−
−
業費用+営業外費用)×100
自己資本比率
純資産合計/資産合計×100
流動比率
流動資産/流動負債×100
固定比率
固定資産/純資産合計×100
借入金依存度
(短期借入金+長期借入金)/資
産合計×100
ⅱ. 自立性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
算出方法
市からの収入割
本市からの収入(補助金+交付金
合
+負担金+委託料+指定管理料)
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
2.0
3.1
1.0
−
−
−
−
−
−
/営業収益×100
資産に対する市
本市からの貸付金残高/資産合
からの借入金割
計×100
合
受託事業の再委
再委託額/(本市からの委託料+
託率
指定管理料)×100
305
ⅲ. 効率性の視点
(単位:%・小数点1桁未満四捨五入)
指標
売上高総利益率
算出方法
(営業収益−売上原価)/営業収
平成
平成
平成
22 年度
23 年度
24 年度
38.2
38.0
37.0
営業利益(損失)/営業収益×100
▲1.3
1.1
▲0.9
経常利益(損失)/営業収益×100
▲1.3
1.2
▲0.4
自己資本純利益
当期純利益(損失)/純資産合計
▲16.9
4.3
1.4
率
×100
販売費・一般管理
販売費及び一般管理費/営業収
39.5
36.9
37.9
費率
益×100
人件費率
役職人件費/(営業費用+営業外
23.9
24.3
23.2
15,017
15,836
14,772
益×100
売上高営業利益
率
売上高経常利益
率
費用)×100
職員 1 人当たり
営業収益/職員総数(常勤+非常
の収益高
勤)
【単位:千円】
(出典:平成 25 年度
青森市第三セクター経営状況基本情報シートより監査人が作成)
306
⑦ 監査の結果
意見4−72
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.217
株式会社アップルヒルの存在意義(意見)
指摘・意見の内容
株式会社アップルヒルは、公の施設である道の駅アップ
ルヒルが平成8年7月に設置されることに先立ち、平成8年4
月に当施設の管理運営を市(旧浪岡町)から受託すること
を目的として、市が75%を出資し、青森農業協同組合が25%
を出資して設立された。
当施設は、産地形成促進施設設置条例第3条において、
「消
費者との交流による地場産品の開発、普及及び交流の展開
を図るとともに、青森市及び交流圏域の情報の受発信基地
として寄与するため、青森市産地形成促進施設を設置する」
と規定され、当社は市の外郭団体として、この設置目的に
沿って、道路利用者のための休憩機能、情報発信機能とい
った道の駅としての基本的機能に加え、地元農産物を中心
にした物産品の販売、飲食店などを兼備えた当施設を管理
運営している。
現在、当施設の指定管理料はゼロとなっており、初期投
資費用を除けば、当施設の管理のための市民の負担は発生
していない。当施設は公の施設であることから、事業を細
分すれば収益を生まない純然たる公の施設の管理事業につ
いては赤字となっているはずであるが、当社は商業施設に
おける利益をもって、この赤字の事業を含む当施設全体の
管理運営費の全てを賄っており、指定管理料の支払いを受
ける必要がないからである。この点は、当社の経営努力に
よるところが大きく、評価に値するものである。当施設は、
道路利用者のための休憩機能、情報発信機能を有し、地方
自治法第244条「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進す
る目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の
施設という。)を設けるものとする。」の趣旨に合致する
施設がある一方で、物品販売や飲食店という民間と同様の
商業施設があり、施設全体として黒字となっている。この
ように、施設全体として相当の利益を産み出せるのであれ
ば、その利益の中から市に家賃を支払っても指定管理者に
307
なることに経済的合理性がある。公募を行えば民間業者の
応募も想定され、その際に民間事業者は指定管理料をゼロ
とするに留まらず、市へ家賃を支払っても引受ける可能性
が十分にあるものと思われる。また、地元の物産品を扱っ
ている指定管理者とはいえ、市の外郭団体が市の商業施設
に非公募で入居し、相当の利益をあげることは、家賃を支
払い、もしくは施設を自ら取得して、商業施設を運営して
いる民間事業者との競争上不公平であり、民業圧迫と言わ
ざるを得ない。
指定管理者制度導入により公の施設の管理が民間にも開
放されたという点を踏まえ、市の外郭団体としての当社の
存在意義と、民間活力および競争原理を活用して市の負担
を軽減すると同時に市民サービスを向上していく、という
背反する2つの点をどのようにすれば両立させることがで
きるのか、市は検討を尽くす必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
株式会社アップルヒルは、消費者との交流による地場産
品の開発、普及及び交流の展開を図るとともに、青森市及
び交流圏域の情報の受発信基地として寄与するために設置
された産地形成促進施設を運営する目的で設立され、地元
農業団体等と連携しながら農産物の販売等を実施し、無料
の指定管理料で施設運営を行っています。
当社の存在意義などについて市で策定する「(仮称)第
三セクターに関する基本方針」において、会社の今後のあ
り方について検討していくところであり、その中で市とし
ての方向性を示します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年10月にまとめられた「青森市第三セクターに関
する基本方針」では、外部有識者で組織された青森市第三
セクター経営評価委員会からの経営評価報告書を踏まえつ
つ、青森市としては、株式会社アップルヒルの方向性は積
極的な経営改善をしたうえで存続させるとの結論が出てい
る。
理由は、当社は単なる施設管理のみならず、農業振興・
地域振興事業に係る『市施策を実行するパートナー』とし
ての役割が期待されるというものである。
監査人の評価
「青森市第三セクターに関する基本方針」では、第三セ
クターとして存続させる意義については記述されている。
308
しかし、当該方針では民業圧迫ではないかという疑問につ
いては言及されていない。
この民業圧迫ではないかという批判を緩和するため、市
は次回の指定管理者の選定では公募を実施する方向で検討
している。公募が実現すれば、一定程度民業圧迫という批
判も解消されるものと思われる。
しかし、公募が実現したとしても、市の出資を受けた当
社が、他の民間業者が扱う商品を取り扱っているという事
実は変わらない。今後、継続的に他の民間業者との市場で
の競合状況を勘案しつつ、民営化等の方策を継続的に検討
していくことが求められるであろう。
指摘4―73
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.218
事業報告および計算書類の作成(結果)
指摘・意見の内容
平成18年5月に会社法が施行され、旧商法のときに作成し
ていた営業報告書は事業報告に改められ、計算書類のうち
利益処分案は株主資本変動計算書に改められているが、当
社は平成21年3月期においても従来の営業報告書と利益処
分案を作成し、監査役の監査報告書および株主総会議事録
にも営業報告書と利益処分案と記載されていることから、
現状では会社法に準拠した株主に対する適正、適法な報
告・承認がなされていない。
当社は関連法規の改正情報を適切に把握し、少なくとも
今後は事業報告および計算書類を適法に作成すべきであ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
株式会社アップルヒルで使用している財務会計ソフトが
旧商法ベースとなっていたことや、会社法を十分把握して
いなかったことから、作成する計算書類等に不備がありま
した。
第14期(平成21年度)決算報告書から会社法に基づく事業
報告及び計算書類等を作成し、平成22年6月16日に開催した
取締役会及び株主総会にて承認されました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
決算関連資料を閲覧したところ、会社法に従い事業報告、
計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算
309
書、個別注記表)及び附属明細書が作成されていた。
事業報告、計算書類、及び附属明細書の作成は、重要な業
務執行行為であることから、取締役会設置会社では取締役
会の承認が必要である。しかし、取締役会議事録を閲覧し
たところ、事業報告、計算書類のうち個別注記表及び附属
明細書が承認対象となっていなかった。
また、取締役は、計算書類及び事業報告を定時株主総会
に提出し、計算書類は定時株主総会の承認を受けなければ
ならず、事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければ
ならない。しかし、定時株主総会議事録を閲覧したところ、
計算書類のうち、個別注記表が承認対象となっていなかっ
た。
監査人の評価
実際は、事業報告、計算書類、附属明細書とも、取締役
会、定時株主総会に提出されていたとのことである。会社
法に関する知識不足から承認すべき対象が不明確なまま議
事録への記載漏れが生じたものと考えられる。今後は、会
社法の知識の充実に努め、議事録への記載漏れがないよう
に注意すべきである。
指摘4―74
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.219
取締役会および株主総会の承認(結果)
指摘・意見の内容
事業報告および計算書類ならびにこれらの附属明細書は
会社法第436条第3項の規定により取締役会の承認を受けな
ければならないが、当社では取締役会の承認を全く受けて
いない。また、前項「(1)事業報告および計算書類の作成」
に記載のとおり、株主総会で承認された計算書類等は旧商
法のときに作成されていたものとなっている。当社は適法
に作成した事業報告および計算書類ならびにこれらの附属
明細書について、取締役会および株主総会の承認を受ける
必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
第14期(平成21年度)決算報告書から会社法に基づく事
業報告及び計算書類等を作成し、平成22年6月16日に開催し
た取締役会及び株主総会にて承認されました。
平成 25 年 12 月現在の対
事業報告、計算書類、及び附属明細書の作成は、重要な
310
応状況
業務執行行為であることから、取締役会設置会社では取締
役会の承認が必要である。しかし、取締役会議事録を閲覧
したところ、事業報告、計算書類のうち個別注記表及び附
属明細書が承認対象となっていなかった。
また、取締役は、計算書類及び事業報告を定時株主総会
に提出し、計算書類は定時株主総会の承認を受けなければ
ならず、事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければ
ならない。しかし、定時株主総会議事録を閲覧したところ、
計算書類のうち、個別注記表が承認対象となっていなかっ
た。
監査人の評価
実際は、事業報告、計算書類、附属明細書とも、取締役
会、定時株主総会に提出されていたとのことである。会社
法に関する知識不足から承認すべき対象が不明確なまま議
事録への記載漏れが生じたものと考えられる。今後は、会
社法の知識の充実に努め、議事録への記載漏れのないよう
に注意すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.220
監査役の任期(結果)
指摘・意見の内容
当社では定款をもって監査役の任期を3年としており、実
際の運用も任期を3年として、株主総会において3年毎に任
期満了に伴う監査役の改選を議決している。しかしながら、
平成14年5月1日に施行された商法改正により、監査役の地
位の強化が図られ、監査役の任期はそれまでの3年から4年
に延長されており、それ以降、現在の会社法でも第336条第
1項の規定により監査役の任期は原則として4年とされてお
り、定款をもってしてもその期間を短縮することはできな
い。したがって、会社法の規定に従い、監査役の任期は4
年に改めなければならない。
平成 22 年 8 月対応方針
平成21年9月1日に開催された臨時株主総会に諮り、会社
法に基づく任期に改めました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
定款を閲覧したところ、第20条において、「監査役の任
期は就任後4年以内の最終決算期に関する定時株主総会の
終結の時までとする」と定められていた。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
311
指摘4―75
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.221
役員の変更登記の適時性(結果)
指摘・意見の内容
平成19年6月29日∼7月2日に就任・重任した取締役5名お
よび監査役1名の就任・重任登記は平成19年8月10日となっ
ており、平成20年7月1日に就任した取締役1名の就任登記は
平成20年8月18日となっている。いずれも、就任・重任した
日から登記した日まで1ヶ月以上経過している。
会社法第909条の規定により、役員が変更したときは遅滞
なく変更の登記をしなければならないが、2年連続で登記が
1ヶ月以上遅れており、変更登記は速やかに実施すべきであ
る。
平成 22 年 8 月対応方針
今後、役員及び監査役の交代があった場合は、速やかに
変更登記を実施します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
平成25年6月28日に就任・重任した取締役4名及び監査役2
名の就任・重任登記は平成25年8月9日になされている。
指摘事項は改善されていない。変更登記を速やかに行う
必要がある。
指摘4―76
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.222
未払給与の計上(結果)
指摘・意見の内容
給与規程第10条によると、給与は前月16日から当月15日
までを計算期間とし、当月21日に支給することとなってい
る。このため、平成21年4月21日に支給する給与のうち、3
月16日から3月31日までの期間対応額は、平成20年度の決算
において、未払給与として計上すべきであるが、当社は未
払給与を計上しておらず、平成21年4月の支給時に費用計上
している。
本来計上すべきであった未払給与の金額は、平成21年4
月に支給された給与に16日(3月16日∼3月31日)/31日(3
月16日∼4月15日)を乗じた額である。このような発生主義
に基づく会計処理を採用し、未払給与を計上すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
発生主義に基づく会計処理については、より企業の経済
活動の実態に即した会計方法であることから、第15期(平
312
成22年度)から採用し、未払給与を計上する方向で検討し
ます。
しかし、未払給与を計上するにあたっては、給与の計算
期間が前月16日から当月15日であるため、決算日(3月31日)
と計算期間時点(4月15日)と2回給与計算をする必要があ
り、事務的な負担となることから、給与支払い規定の改正
も併せて検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成25年3月期の決算において、財務上の考慮から未払給
与は計上されていない。
監査人の評価
適正な会計処理に基づき未払給与を計上する必要があ
る。
指摘4―77
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.223
賞与引当金の計上(結果)
指摘・意見の内容
給与規程第14条によると、8月に支給する夏季賞与の支給
対象期間は前年の12月1日から当年の7月31日までの8ヶ月
間となっている。このため、平成21年8月に支給する夏季賞
与のうち、平成20年12月から平成21年3月までの期間対応額
は、平成20年度の決算において、賞与引当金として計上す
べきであるが、当社は賞与引当金を計上しておらず、平成
21年8月の支給時に費用計上している。
本来計上すべきであった賞与引当金の金額は、平成21年8
月に支給された賞与に4ヶ月(12月∼3月)/8ヶ月
(12月∼7月)を乗じた額である。このような発生主義に基
づく会計処理を採用し、賞与引当金を計上すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
発生主義に基づく会計処理については、より企業の経済
活動の実態に即した会計方法であることから、第15期(平
成22年度)から採用し、賞与引当金を計上する方向で検討
します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成25年3月期において賞与引当金を予算計上額を基礎
に算定し、計上している。
しかし、引当金の額は8月賞与支給予算額に、理論上、4
ヶ月/8ヶ月を乗じた金額としなければならないのにもかか
わらず、3ヶ月/7ヶ月を乗じた額となっている。
313
また、実際に8月支給された賞与は予算額を大幅に下回っ
ている。
監査人の評価
指摘事項を改善しようとする意図はあるものの、計算方
法に誤りがある。計算方法に誤りがないか上席者等がダブ
ルチェックする等の対応が必要である。
また、実際の賞与の支給額は、当初予算で見込んだ額を
大幅に下回っているが、このような状況が常態化するので
あれば、引当金の計上要件のひとつである「引当金計上時
に合理的に金額の見積もることが可能である」という要件
を満たさなくなる可能性がある。まず、第一に、正確に金
額を見積もることができるような体制を整備すべきであ
る。しかし、体制整備をしても、不確定要因が強く、合理
的に金額が見積もることができない状況となった場合は、
賞与引当金の計上を見送ることも検討すべきであろう。
指摘4―78
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.224
売上計上額の会計処理(結果)
指摘・意見の内容
当社はテナントとの出店契約上、テナントの売上金額の
一定割合を賃料として受取る契約を締結している。同様に、
飲料等の販売会社と締結している自動販売機の設置に関す
る契約上も、売上金額の一定割合を手数料として受取る契
約を締結している。この取引について、当社の会計処理は
売上および仕入勘定を使用しているが、当社は、いずれの
取引についても商品等を仕入れてはおらず、取引先の売上
金額の一定割合を賃料等として受取っているのであるか
ら、仕入を計上することは不適切であり、取引先から受取
った賃料等を売上に計上すべきである。
今後はこのように取引先から受取った賃料等を売上に計
上する会計処理に改める必要がある。
平成 22 年 8 月対応方針
決算処理については、円滑及び適正な処理を総合的に勘
案しつつ、手数料のみを売上計上する決算処理の導入につ
いて検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
テナントとの取引については、従来と同様の売上、仕入
による会計処理をしている。
314
円滑及び適正な処理を検証中であり、取引先から受け取
った賃料については、平成27年度決算から売上に計上する
会計処理に修正する予定である。
自動販売機による飲料等の販売は、実態として売上額の
一定割合を手数料として受け取るのではなく、売上高相当
額は入金され仕入額相当額は支出されているとのことであ
り、今後も従来の会計処理を継続する方針である。
監査人の評価
平成27年度決算から、テナントからの収入について会計
処理を修正する方針であるが、現時点では指摘事項は改善
されていない。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.225
決算内容のインターネットによる情報公開(意見)
指摘・意見の内容
当社はインターネットによる決算内容の情報公開を実施
していないが、平成20年3月に市が作成した「第三セクター
の経営評価指針」の7.情報公開(1)第三セクターによる情
報公開では、「インターネットによる公開に努めること。」
とされている。これは、第三セクターが市からの出資や補
助金を受け、市の外郭団体として公共性の高い事業を行っ
ていることから、当然の帰結として、税金を負担している
市民に対して市に準じた高い説明責任を有していると考え
られるからである。
このような経営評価指針の趣旨を鑑みて、当社はインタ
ーネットによる決算内容の情報公開を行うことが望まし
い。
平成 22 年 8 月
今後の改善予定等
株式会社アップルヒルは、同社の専用ホームページを開
設していないことから、インターネットでの決算内容の情
報公開について今後検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
インターネットで決算内容は公開されている。
応状況
監査人の評価
意見は反映されている。
315
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.226
個人情報保護に関する規程の整備(意見)
指摘・意見の内容
当社は顧客からの依頼により商品等を日本全国に発送し
ており、この運送伝票の控えには顧客や受取人の氏名、住
所、電話番号等の個人情報が記載されている。この運送伝
票やその他の個人情報が記載されている書類は施錠管理さ
れているものの、個人情報保護に関する規程は未だ整備さ
れていない。個人情報保護法第23条により、個人情報取扱
事業者は本人の同意なしに個人情報を第三者に提供しては
ならず、このためには、個人情報が漏洩しないように適切
に管理する義務を有している。
当社は、このような法律を踏まえて会社としての現在の
運用の考え方を明確にし、社員に周知・徹底するためにも、
速やかに個人情報保護に関する規程を整備することが望ま
れる。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度中に、個人情報保護に関する規程を整備しま
す。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
「株式会社アップルヒル個人情報保護規程」が整備され
ている。
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.227
条例施行規則の別表の見直し(結果)
指摘・意見の内容
青森市産地形成促進施設条例施行規則は平成17年4月1日
の施行以来見直しが行われておらず、この間施設の状況は
変化しているが、これに応じて当条例施行規則が更新され
ていない。現在では、当条例施行規則の別表と実態が乖離
している事項や施行当初からの誤植が見受けられる。
このような不備を市も当社も把握せずに放置してきたこ
とは怠慢であると言わざるを得ない。市は早急に実態に合
致した適切な内容に条例施行規則を見直すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度7月に青森市産地形成促進施設条例施行規則
を改正しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
平成22年7月に青森市産地形成促進施設条例施行規則は
改正されている。
指摘事項は改善されている。
316
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.228
市と株式会社アップルヒルとの協定書の記載事項(意見)
指摘・意見の内容
旧浪岡町が当社と締結した現在の協定書は、青森市の協
定書の標準雛形と比較すると条文数が非常に少なく記載事
項に不足があると考えられる。行為の制限、損害賠償、再
委託の制限、権利譲渡の制限、責任分担、緊急時の対応、
他の事業との区分経理義務、後任当社や市への事務の引継
ぎ義務など、当施設を定めた青森市産地形成促進施設条例
で規定されている事項や当社と事前に取り決めておくこと
が必要と考えられる事項について、速やかに覚書等を締結
すべきである。また、現在の指定管理期間は平成22年3月31
日までとなっており、次回の協定書を作成するときには、
青森市の標準雛形に準拠すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年4月からの指定管理に係る協定書については、指
定管理者制度導入基本方針に準拠した内容で作成し、協定
を締結しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
青森市の協定書の雛形に準じた協定書が作成されてい
る。
意見は反映されている。
指摘4―79
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.229
市への事業計画書の提出遅れ(結果)
指摘・意見の内容
協定書第2条によると、「乙(指定管理者)は毎期の事業
終了前までに、翌期の管理業務にかかる年間事業計画書を
甲(市)に対して提出しなければならない。」と規定され
ているが、平成20年度の事業計画書は事業年度末である平
成20年3月31日を3ヶ月も経過した平成20年6月30日に提出
されている。事業計画書を提出する趣旨は、事業開始前に
市が当社の計画を把握し、不適切な内容等があれば、改善
を求めることができるようにすることにあるものと思われ
る。
しかし、市は期限までに事業計画書を提出しなかった当
社に対して、早期の提出を促すような指導を行っていなか
ったことは、業務怠慢であると言わざるを得ない。
317
当社は協定書の提出期限を遵守すべきであり、市は当社
に対して提出期限を遵守するように指導すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度の年間事業計画の提出から期限を遵守するよ
う指導しています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年4月に締結した協定書には年間事業計画書の提
出時期について規定されておらず、指定管理者として提出
すべき事業計画は提出されていない。
監査人の評価
改善されていない。市は事業計画書の提出時期を事業開
始前に指定し、事業計画書を指定期限内に入手、内容分析
すべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.230
市への事業報告書の提出遅れ(結果・意見)
指摘・意見の内容
協定書第5条によると、「乙(指定管理者)は毎年5月31
日までに甲(市)に対し、当期の経営状況を表す書類及び
次期予算書を提出しなければならない。」と規定されてい
るが、平成20年度の事業報告書は平成20年7月14日に提出さ
れている。事業報告書を提出する趣旨は、事業が計画どお
りに実施されたかどうかを市が把握し、不適切な実績等が
あれば、適時に改善を求めることができるようにすること
にある。このような趣旨を鑑みても、当社は提出期限を遵
守すべきであり、市は当社に対して提出期限を遵守するよ
うに指導すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度の事業報告書(平成21年度分)の提出から期
限を遵守するよう指導しています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年4月に締結された協定書によると、第12条で当社
は事業報告を市の指定する期日までに提出すべき旨が定め
られている。
平成24年度の事業報告書は、市がメールにて提出期限を4
月19日として通知し、当社は事業報告書を4月16日に提出し
ている。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。また意見は反映されている。
318
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.231
市への事業報告書の提出遅れ(結果・意見)
指摘・意見の内容
地方自治法第244条の2第7項によると、「指定管理者は、
毎年度終了後、その管理する公の施設の管理の業務に関し
事業報告書を作成し、当該公の施設を設置する普通地方公
共団体に提出しなければならない。」と規定されているが、
協定書の規定では、「経営状況を表す書類」となっている。
当社は指定管理業務以外の業務を行っていないため、株式
会社としての「経営状況」は「公の施設の管理の業務」と
現状では同一であるが、その他の業務を開始する可能性も
あるため、協定書の規定を地方自治法に整合するように見
直すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年4月に締結した協定書から、地方自治法及び本市
の指定管理者制度導入方針に基づいた内容に修正しまし
た。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
平成22年4月に締結した協定書の規定は、地方自治法に整
合するように見直されている。
指摘事項は改善されている。また意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.232
りんどうの丘の維持管理費用の負担関係(結果)
指摘・意見の内容
当施設に隣接して市営の公園である、りんどうの丘が設
置されている。道の駅を所管しているのは農林水産部農業
政策課であるが、りんどうの丘を所管しているのは浪岡事
務所の都市整備課である。りんどうの丘の花壇の維持管理
費用は、本来、りんどうの丘を所管している都市整備課が
負担すべきところ、実際は道の駅を所管している農林水産
部農業政策課が負担している。
このように本来負担すべきでない所管部署が費用を負担
すると、それぞれの施設について発生した市の管理運営費
の実態把握を誤り、ひいては施設の存廃等重要な意思決定
の誤りにつながりかねないリスクがある。
りんどうの丘は公の施設である道の駅アップルヒルとは
別の市営の公園であり、りんどうの丘の花壇の維持管理費
用は、公園を所管している浪岡事務所の都市整備課が負担
319
すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
適正な部署がりんどうの丘の花壇の維持管理費用を所管
するよう、平成 23 年度の当初予算編成時に整理します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
りんどうの丘にある花壇は、農業政策課と都市整備課で
所管範囲が分割されている状態にあったが、包括外部監査
の指摘を受け、農業政策課と都市整備課で検討した結果、
農業政策課が所管することとし、占用許可を都市整備課か
ら得て、農業政策課の予算で対応している。
監査人の評価
管理すべき部署を再検討したうえで予算措置されてお
り、指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.233
トイレの下水道料の負担関係(結果)
指摘・意見の内容
国土交通省に道の駅として登録されるためには、構内に
24時間利用可能なトイレを設置しなければならないことと
なっており、当施設にも24時間利用可能なトイレが設置さ
れている。トイレの下水道料は市が負担している。しかし、
市と当社が締結している協定書の第6条(施設管理の費用負
担)によると、1,300千円を超える大規模な修繕以外の維持
管理費用は指定管理者である当社が負担することとなって
いる。市の説明によると、根拠は明らかでないが、指定管
理制度導入前の管理委託の形態であったときから、既に下
水道料は市が負担していたとのことである。
このような根拠のない前例踏襲は速やかに見直し、協定
書に基づいて指定管理者である当社が下水道料を負担すべ
きである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度から、協定書に基づき指定管理者が下水道料
金を負担するよう見直しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
領収書を閲覧した結果、当社が下水道料金を負担してい
る。
指摘事項は改善されている。
320
意見4−80
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.234
株式会社アップルヒルによる建物等の建設および改修(意見)
指摘・意見の内容
指定管理者である当社は、以下のように、アップルヒル
の敷地内に複数の建物等を建設し、また、多くの市有の建
物等の改修工事を行っている。協定書の第7条では、
「乙(指
定管理者)は指定の期間が満了したとき、又はその施設を
管理しなくなったときは、速やかに原状を回復し、甲(市)
に引き渡さなければならない。但し、甲の承認を得たとき
はこの限りではない。」と指定管理者の原状回復義務が規
定されており、当社は、仮に指定管理者が交代したときに
は、これらの建物等(取得原価合計88,939千円、簿価合計
54,850千円)を取壊すか、市の承認が得られれば市へ寄付
しなければならなくなる。
ただし、指定管理の始期である平成17年1月1日時点で、
既に建設していた建物等は、当該建物等が存在していた状
態が原状であり、協定書上は当社に取壊す義務はなく、仮
に取壊すなら、市が取壊費用を負担しなければならなくな
るリスクがある。市は、これらの建物等についても、協定
書の原状回復義務に該当することを当社との覚書の締結等
により、明確にしておく必要がある。
また、市は平成12年から平成18年までは地方自治法の規
定に基づいて「目的外使用」ということで、当社の所有す
る建物等の敷地として、その土地の利用に関する許可を行
っていたが、平成19年度以降は土地の使用に係る利用の許
可手続は中断し、それ以降、当社は無許可の状態で建物の
敷地として土地を利用している。市が目的外使用による利
用許可手続を中断したのは、平成18年度の地方自治法の改
正の際、地方自治法に規定する土地の「目的外使用」とは、
撤去が容易な簡易建物等の敷地となる場合であり、本件に
ついて「目的外使用」による当土地の利用の許可を出すこ
とについて問題があることを市が認識したためである。
建物の中には当施設が指定管理者制度となった平成17年
1月以降のものがあるが、指定管理者が管理施設内に建物の
建設または市有建物の改修工事を行うことは経済的合理性
からはあり得ない。何故なら指定管理期間満了後、指定管
321
理者が交代したときは建物を自己負担で取壊すか、市へ寄
付しなければならなくなるからである。それでは何故、こ
のようなことが行われているのであろうか。それは、指定
管理者が非公募により交代することはなく、永続すると市
側も指定管理者側も想定していると言われても止むを得な
いものである。建物は公の施設の基盤を構成するものであ
り、市は速やかに、建物等の取得を検討すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
本市の土地に、株式会社アップルヒルが建設した建物の
取扱いについては、利用者の利便性等を考慮し、次回の指
定管理選定作業までに、株式会社アップルヒルと協議し整
理します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
市としては、財政的な理由等により建物等を取得する意
向は有していない。
仮に当社が指定管理者でなくなった場合の原状回復につ
いては、建物等を市に寄付するか、あるいは、建物を取り
壊すことはせず、適正な地代を当社から収受し、新たな指
定管理者と共同で道の駅の経営に参画してもらう等のその
他さまざまな方法を含め、当社と現在協議中である。
監査人の評価
平成22年8月対応方針において、「次回の指定管理選定作
業までに、株式会社アップルヒルと協議し整理します」と
記載しているが、協定書第15条により突発的に指定の取消
し等を受ける可能性もあるわけであるから、できるだけ速
やかに方向性を定める必要がある。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.235
浪岡アップルヒル友の会の事務局建物(結果)
指摘・意見の内容
浪岡アップル友の会は当施設の地元近隣農家で組織さ
れ、青森農業協同組合の農産物等の販売所とは別に、当施
設内の農産物直売所において、農産物を販売している。
浪岡アップル友の会の事務局建物は行政財産である市の
土地に建設されており、指定管理者である株式会社アップ
ルヒルは地方自治法第238条の4および青森市財務規則第
196条から第200条までの規定により、行政財産の継続使用
許可申請と原形変更(建物の建設)の申請を行わなければ
ならない。株式会社アップルヒルは平成17年11月12日付で
322
行政財産継続使用許可申請書を市へ提出し、平成17年12月1
日から平成18年11月30日までの期間の使用許可を申請して
いるが、市の手続漏れにより許可書は交付されておらず、
その後は株式会社アップルヒルから使用許可申請書すら提
出されておらず、未許可で使用している状態となっている。
また、行政財産の原形変更(建物の建設)は当初から申請
書すら一度も提出していない。特に、当該土地の使用料は
無償となっており、経済的実態は補助金を交付しているこ
とに等しく、その使用許可手続は重要である。このような
状態を放置していることは、行政の怠慢と言わざるを得な
い。
市は速やかに株式会社アップルヒルに対して行政財産継
続使用許可および原形変更の申請を行うように指導すると
ともに、許可書の交付手続を行うべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年度中に行政財産継続使用許可および原形変更の
手続きを実施します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
アップル友の会事務所設置用地として青森市浪岡大字女
鹿沢字野尻1番地2の土地17.49㎡の行政財産使許可書が交
付されている。また、原状変更があった際は、原状変更の
手続きもなされている。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.236
浪岡アップル友の会に対する不動産の無償貸与手続(結果・意見)
指摘・意見の内容
浪岡アップル友の会は当施設の地元近隣農家で組織さ
れ、青森農業協同組合の農産物等の販売所とは別に、当施
設内の農産物直売所において、農産物を販売している。農
産物直売所には漬物等の加工室159.35㎡が併設されている
が、当社は当会にこの加工室を無償貸与している。この他、
当施設内に当会により事務局用の建物が設置されている
が、その建物部分の敷地14.03㎡についても当社が当会へ無
償貸与している。これらの無償貸与取引について契約書が
作成されていないが、責任や権限等の関係を明確にしてト
ラブルを防止する観点から、速やかに契約書を作成すべき
である。
323
平成 22 年 8 月対応方針
責任や権限等の関係を明確にしてトラブルを防止する観
点から、平成22年度中に契約書を取り交わします。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成 23 年 6 月 20 日に当社と浪岡アップル友の会との間
で責任・権限を定めた「浪岡アップル友の会店舗出店契約
書」を締結している。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。また意見は反映されている。
指摘4−81
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.237
浪岡アップル友の会に対する不動産の無償貸与手続(結果・意見)
指摘・意見の内容
浪岡アップル友の会との取引については、当社にとって、
当会との取引は取締役との取引に該当し、会社法第356条の
規定により、当社と当会との取引については、取締役会の
承認が必要であるにもかかわらず承認手続は採られておら
ず、会社法違反の状態となっている。当社は会社法違反の
状態を解消するために、当会との取引について速やかに取
締役会の承認を得るべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成22年7月に開催した臨時取締役会に諮り、承認を得ま
した。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年7月に開催した臨時取締役会では「浪岡アップル
友の会との合意書」を「浪岡アップル友の会店舗出店契約」
に改定することについて承認をしているが、会社法第356
条の規定に基づいた当社と浪岡アップル友の会との取引の
可否そのものについて承認はしていない。
なお、現在、当社の取締役で浪岡アップル友の会の代表
であったI氏は当社の取締役を退任しており、利益相反関
係は生じていない。
監査人の評価
平成22年7月に開催した臨時取締役会は会社法356条の規
定に基づく取引の承認を意図したものであったが、議事録
の作成に不慣れなこともあり、その意図を議事録に反映で
きなかったとのことである。現在では当社と浪岡アップル
友の会との取引には、会社法第356条の承認を要する関係は
ないものの、過去の議事録においてその意図を適切に表現
できていないのであるから、過去の取引について事後的で
あっても取締役会の承認をし、その旨議事録を作成してお
くことが望ましいものと思われる。
324
意見4−82
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.238
地場産品への支援のあり方(意見)
指摘・意見の内容
藍染体験や藍染品の販売を行っている藍工房に90㎡を賃
貸し、売上の10%を賃料として受取っている。藍工房は市か
らの非公式な依頼を受けて入居しているが、売上が少なく、
当社の経営にはほとんど貢献していない。藍工房の90㎡は
直営の物販コーナーに隣接しているため、仮にこれを直営
の物販コーナーにすれば、賃料よりも多くの利益を獲得で
きるものと思われる。
本来、入居するテナントを選定する権利は指定管理者で
ある当社にあり、もし、市が公の施設の設置趣旨である地
場産品の支援の名の下に、このような売上の少ないテナン
トを入居させることを当社に強要するのであれば、その分、
市が当社に支払う指定管理料が高くなる理屈となる。また、
それは入居する団体が本来負担すべき賃料を市が指定管理
料の名目で肩代わりしていることであり、市にとっては入
居する団体に対する隠れ補助金ともいえる。この論点は、
賃料を一般の10%より低くしている青森農業協同組合の定
額賃料である月100千円(売上金額の3%程度)、浪岡アップ
ル友の会の売上の8%の賃料にも言えることである。青森農
業協同組合であれば売上の10%の賃料と比較すると月200千
円、年2,400千円程度の賃料が減免されたことになり、浪岡
アップル友の会であれば売上の10%の賃料と比較すると年
間売上金額161,937千円の2%で3,239千円の賃料が減免され
たことになり、実質的には隠れ補助金ということになる。
市は当社に対して適正な賃料を徴収するよう指導した上
で、必要であれば目に見える形で堂々と補助金を交付する
べきである。
平成 22 年 8 月対応方針
藍工房が入居している「体験加工実習室」は、施設利用
者に藍染め体験等を実施させる施設であり、直接的な売上
は少ないですが、物販販売とは異なる魅力での集客性・話
題性があるため、施設全体の利用者数の増加及び物販コー
ナーへのシャワー効果等により、間接的に株式会社アップ
ルヒルの経営に寄与しています。
また、体験加工実習室の機能を重視し、平成22年度か
325
らの指定管理仕様書において、『体験活用実習室を活用し、
関係団体等と連携を図りながら、施設利用者が藍染体験な
どを含めた体験活動をすることができる環境整備を実施す
ること。』と規定しました。なお、テナント毎に賃料が異
なることについては、テナントのもつ集客性・話題性・売
上見込額などを総合的に勘案しながら各テナント毎の条件
交渉の結果であり、合理的な経済活動の結果であると考え
ています。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
当社は包括外部監査の意見を受け、平成25年6月28日の取
締役会で青森農業協同組合の賃料を定額から売上に応じた
率に変更することに決定した。しかし、時期、率を何%にす
るかについては決定されていない。
監査人の評価
平成22年8月対応方針で示されているように、テナント見
込み客の話題性、集客力のほか、空きテナントの多寡等、
総合的に判断して、経営上合理的な範囲でテナント毎に賃
料が異なることはありうると考える。
しかし、一方で、第三セクターで、公の施設を管理する
当社は、公の施設の利用者はもちろんテナント等の公の施
設への参加者をできるだけ平等に取り扱うべきとの考え方
も成り立ちうる。
要は、民間の自由度の高い効率的な経営と第三セクター、
指定管理者の立場としての公共性をどのように調整するか
という問題に帰結する。
当社としては、賃料の決定方法について組織として方針
を定め、テナントと個別に賃料を決定する際も、その合理
的理由を文書で明らかにしておくことが望まれる。
筆頭株主であり、公の施設の管理運営の委託者である市
においても、上記の賃料決定方針の妥当性、個別の賃料決
定方法の合理性について必要に応じて指導していくことが
求められる。賃料の決定方針、決定方法が不当であったり、
合理的理由がない場合は、是正を求めていくことが求めら
れる。
なお、当社の株主である農業協同組合に対して、他の標
準的なテナントと同じ方式で計算した賃料より大幅に低い
賃料を設定しているが、これについては、同組合が株主と
いう立場であることから優遇しているのではないかという
326
疑念を生じさせかねないため、その賃料設定の合理性の検
証については特に慎重な対応が求められるであろう。
意見4−83
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.239
臨時駐車場に関する国土交通省との賃借手続(意見)
指摘・意見の内容
道の駅の駐車場として大型車7台分、小型車186台分を確
保しているが、土日祝日やイベント開催時など来場車両が
多い日には駐車場が不足する場合があり、道の駅の前を平
行して走る市道と国道に挟まれた土地を、小型車40∼50台
程度が駐車できる臨時駐車場として国土交通省から無償で
賃借している。市の担当者によると、この無償賃借に関し
ては、国土交通省からは使用許可申請書の提出や契約書の
作成等の要請はないので、取り交わした文書はなく、口頭
承認により無償で賃借しているとのことである。
しかし、通常、国有財産を無償賃借するためには、無償
賃借に関する申請書の提出や許可書の交付または契約書の
作成等の一定の手続が必要なはずであり、トラブル防止の
観点からは、市は国土交通省に対して照会し、場合によっ
ては積極的に働きかけ、一定の手続を採ることが望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
青森河川国道事務所弘前国道維持出張所に確認したとこ
ろ、毎年度、株式会社アップルヒルから「道路一時占有に
ついて」という申請書の提出を受けており、当該申請書を
受理したことによって、臨時駐車場としての活用を認めて
いるとのことであったことから、所定の手続きは実施され
ていました。
しかし、市はその事実を十分把握していなかったことか
ら、今後は、適切な実態把握に努めます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成 23 年 4 月 1 日から平成 24 年 3 月 31 日の期間に係る
「道路一時占有について」という申請書を青森河川国道事
務所弘前国道維持出張所長宛てに提出したのを最後に、同
申請書は提出されていない。平成 24 年 4 月以降の期間に係
る申請書については提出を失念していたとのことである。
なお、平成 25 年に入り、国から道路貸与について無償か
ら有償とする方針が示されたため、当社としては、今後、
327
道路の一時占有を申請すべきかどうか検討中である。
監査人の評価
平成24年3月までの期間については、一定の手続きにより
占有許可を得ていたものの平成24年4月以降の期間につい
ては申請書の提出が失念されていた。市は、当社の申請書
の提出状況について実態把握に努めることが望まれる。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.240
目的物件の明記(意見)
指摘・意見の内容
目的物件については、出店契約書の第3条において、「甲
(当社)は目的物件内にアーケード式店舗を自己負担によ
り建築し、本契約期間乙(テナント)に使用せしめる。」
と規定されているが、目的物件の場所や面積など、賃貸す
る目的物件の具体的範囲が契約書上、明確に記載されてい
ない。
テナントとのトラブル防止の観点から、賃貸する目的物
件の具体的範囲を図面等により明確にすべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
責任や権限等の関係が明らかとなるよう、契約書の改善
を図ります。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
出店契約書を閲覧したところ、これに所在地、物件名、
面積、敷地Noが記載され、賃貸する目的物件の具体的範囲
が明確になっていた。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.241
解除権保有者等の明記(結果)
指摘・意見の内容
出店契約書の第8条には「乙(テナント)が売上金額を偽
ったときまたは第5条に違反したときに解除することがで
きる。」と規定されており、第5条には「乙(テナント)は
次の各号の行為をしてはならない。①使用目的、販売品種
の変更
②賃借権の譲渡その他の処分
属設備転貸その他の処分
下せしめる行為
③目的物件及び付
④甲(当社)の信用、品位を低
⑤一ヶ月以上営業を中止した場合」と規
定されている。
しかしながら、甲、乙どちらに解除権があるのか、また、
328
何を解除することができるのか、明記されていない。第8
条は、「乙(テナント)が売上金額を偽ったときまたは第5
条に違反したときに甲は本契約を解除することができる。」
と誰が何を解除することができるのか、明記すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
責任や権限等の関係が明らかとなるよう、契約書の改善
を図ります。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
出店契約書を閲覧したところ、当該契約書に第5条禁止行
為として「①使用目的、販売品種の変更
その他の処分
②賃借権の譲渡
③目的物件及び付属設備転貸その他の処分
④甲(当社)の信用、品位を低下せしめる行為
⑤甲(当
社)の承認なしに営業を中止した場合」と規定し、また、
第8条(解除権)で「乙(テナント)が金額を偽ったとき、
または第5条に違反した時に甲(当社)は本契約を解除する
ことができる」と規定し、当社に解除権があることが明記
されている。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
意見4−84
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.242
契約解除時のペナルティの明記(意見)
指摘・意見の内容
テナントに契約違反があったときは、出店契約書第8条に
より、当社は契約を中途解除することができる。このよう
な場合、通常であれば違約金や損害賠償金などのぺナルテ
ィをテナントに請求できるような規定を設けるが、現在は
そのような規定は設けられていない。このような禁止行為
に対して抑止効果を図るため、また、仮にそのような事態
となったときにはペナルティを課すことができるように、
ペナルティに関する規定を設けることが望ましい。
平成 22 年 8 月対応方針
テナントに不利益となる契約内容の変更であることか
ら、契約更新等の際に改善する方向で検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
出店契約書を閲覧し、当該契約書では中途解約時の違約
金や損害賠償金などのペナルティは規定していないことを
確認した。
監査人の評価
意見は反映されていない。ペナルティ規定は禁止行為に
対する抑止効果を図るためであり、禁止行為が行われるリ
329
スクを軽減するため、出店契約書上当該規定を設けること
が望ましい。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.243
原状回復費用の負担者の明記(意見)
指摘・意見の内容
テナントは物品販売や飲食提供のために必要となる備品
等を持込んで営業している。出店契約書第10条には「乙(テ
ナント)は甲(当社)に対し、事由のいかんを問わず、目
的物件を返還すべきときは、甲の立会いを得て目的物件の
点検をなし、現状に復して返還するものとする。乙は甲の
立会いが無く勝手に営業廃止し返還した場合は甲のもとで
備品などを処分するものとする。」と規定されている。し
かしながら、後段の場合に甲が処分に要した費用を甲、乙
どちらが負担するかが明記されていない。甲が処分に要し
た費用は乙が負担することを明記すべきである。
なお、前段の「現状に復して返還する」は「原状に復し
て返還する」の誤植であり、訂正が必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
テナントに不利益となる契約内容の変更であることか
ら、契約更新等の際に改善する方向で検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
出店契約書を閲覧したところ、当該契約書第10条で「甲
(当社)が処分に要した費用は乙(テナント)が負担する
ものとする」と規定され、甲(当社)が処分に要した費用
は乙(テナント)が負担することが明記されたことを確認
した。また、同条で「原状に復して返還する」と規定され、
誤植の訂正も行われた。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.244
最低賃料の必要性(意見)
指摘・意見の内容
当社が作成している標準的な契約では、賃料は売上金額
の10%となっているが、最低賃料の規定はない。この場合、
仮に売上が落込むと受取賃料も連動して落込むことにな
る。最も極端な場合、売上がゼロであれば、受取賃料もゼ
ロとなってしまう。
330
このような貸し手側のリスクを回避するために、一般的
には最低賃料を定めるケースが多いが、当社では、今まで
に最低賃料の規定を設けることを検討したことはないとの
ことであった。テナントの合意が必要となるため、貸し手
側である当社の一方的な意思決定で実現できるわけではな
いが、できる限り最低賃料の規定を設けるように、少なく
ともテナントと交渉すべきである。
なお、仮に最低賃料の規定がない場合、テナントが赤字
を理由に営業を中止してしまい、その結果、受取賃料がゼ
ロとなってしまうリスクがあるが、そのようなときには貸
し手側が契約を解除できるようにしておくことが望まし
い。現在の契約には、「一ヶ月以上営業を中止した場合」
に解除できることとなっているが、これでは例えば毎月1
週間営業していれば、解除できないこととなってしまうこ
とになりかねない。「一ヶ月以上営業を中止した場合」を
例えば「甲の承認なしに1週間以上営業を中止した場合」と
いうように、期間を更に短縮することが望ましい。
平成 22 年 8 月対応方針
テナントに不利益となる契約内容の変更であることか
ら、契約更新等の際に改善する方向で検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
出店契約書を閲覧したところ、当該契約書第5条で「甲(当
社)の承認なしに営業を中止した場合」が禁止行為、8条で
禁止行為をした場合には当社の契約解除権、第2条で「最低
賃借料は1㎡当たり月1千円とする」と最低賃借料の規定が
設けられていることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.245
営業保証金・連帯保証人の必要性(意見)
指摘・意見の内容
当社は営業保証金の徴収や連帯保証人を付けることをテ
ナントに求めていない。商業施設の場合、当社のようにテ
ナントから売上金を預かり、一定期間経過後に返還するの
が一般的であるが、同時に、営業保証金を徴収し、または、
連帯保証人を求めるのが通常である。これは、テナントが
原状回復義務を怠った場合やテナントに悪意や重大な過失
があり損害賠償請求を行う場合に、代金回収をより確実に
331
するためである。
テナントの合意が必要となるため、貸し手側である当社
の一方的な意思決定で実現できるわけではないが、契約解
除時の原状回復費用等の代金回収をより確実にするために
は、できる限り営業保証金の徴収や連帯保証人を付けるよ
うに、少なくともテナントと交渉すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
テナントに不利益となる契約内容の変更であることか
ら、契約更新等の際に改善する方向で検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
当社に対する質問をしたところ、営業保証金は徴収して
いない、連帯保証は平成24年度の新規入居分より取り始め
たとの回答を得た。また、平成24年度の新規入居分の出店
契約書を閲覧したところ、連帯保証人の署名、押印があり、
連帯保証をとっていることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。なお、営業保証金の徴収は行っ
ていないが、経理上1か月分の売上を預かることとなってい
るため、新たに営業保証金を徴収しなくとも、契約解除時
の原状回復費用等の代金回収をすることができると評価し
た。
意見4−85
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.246
契約書における実印の使用(意見)
指摘・意見の内容
契約書におけるテナントの印鑑について、印鑑登録した
いわゆる登録印とすることをテナントに求めておらず、印
鑑登録証明書も入手していないので登録印であるかどうか
を確認できない状況となっている。
テナントとの出店契約書は不動産の賃貸借という重要な
契約文書であり、トラブル防止の観点からはテナントに対
して印鑑登録証明書の提出を求め、契約書上の印影と照合
して、登録印が捺印されていることを確かめることが望ま
しい。
平成 22 年 8 月対応方針
既存のテナントに対して、登録印での契約書作成及び印
鑑登録書の提出を求めるとともに、今後の契約の際は登録
印での契約書作成を徹底します。
平成 25 年 12 月現在の対
すべての既存テナントの出店契約書を閲覧したところ、
332
応状況
登録印で契約書を作成していること及びその印鑑登録書の
提出を受けていることを確認した。ただし、テナントNか
らの印鑑登録書日付は平成23年6月21日であり、契約書日付
の平成23年4月1日より遅かった。
監査人の評価
意見は反映されている。しかし、テナントNの印鑑証明
書日付は契約書日付より3か月弱遅く、契約書の押印段階で
は提出を受けていなかった。印鑑証明書を提出してもらう
趣旨は、重要な契約に対するトラブルを事前に防止するた
めに契約書に使われた印鑑を確認することであることか
ら、契約時に印鑑証明書の提出を受けることを徹底すべき
である。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.247
売上金の処理の明記(意見)
指摘・意見の内容
テナントの売上金は毎日、当社が預かり、賃料や水道光
熱費等の諸経費を控除して、当月分を翌月10日に返金して
いる。このような売上金の預かり処理は、このような商業
施設の業界では一般的な方法であり、テナントも口頭では
同意しているが、契約書には売上金の処理に関する規定は
全くない。
テナントとのトラブルを防止するために、このような売
上金の処理については、契約書に明記すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
テナントとのトラブル防止の観点から、平成 22 年度中に
売上金の管理について明記した契約書に改めます。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
出店契約書を閲覧したところ、当該契約書第3条で「経理
システムは、テナントの売上金を毎日、甲(当社)が預か
り賃料や振込手数料を控除して当月分を翌月10日に乙(テ
ナント)の指定口座に入金する」と規定しており、売上金
の処理について出店契約書で明記していることを確認し
た。
監査人の評価
意見は反映されている。
333
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.248
賃貸借契約書の作成の徹底(意見)
指摘・意見の内容
藍染体験や藍染品の販売を行っている藍工房に90㎡を賃
貸し、売上の10%を賃料として受取っている。この藍工房の
出店については、当社の説明によると、市からの非公式な
依頼であったことなどから、契約書は作成していないとの
ことである。
契約書は出店に関する契約条件を明確化するための重要
文書であり、速やかに契約書を作成すべきである。なお、
藍工房は市からの非公式な依頼を受けて入居しているが、
売上が少なく、当社の経営にはほとんど貢献していない。
90㎡という占有面積に見合った最低賃料を徴収することが
望まれる。
平成 22 年 8 月対応方針
トラブル防止の観点から、藍工房と平成22年度中に契約
書を取り交わします。しかし、藍工房が入居している「体
験加工実習室」は、施設利用者に藍染め体験等を実施させ
る施設であり直接的な売上は少ないですが、物販販売とは
異なる魅力での集客性・話題性があるため、施設全体の利
用者数の増加及び物販コーナーへのシャワー効果等によ
り、間接的に株式会社アップルヒルの経営に寄与しており、
賃料については、テナントのもつ集客性・話題性・売上見
込額などを総合的に勘案しながら各テナント毎の条件交渉
の結果であり、合理的な経済活動の結果であると考えてい
ます。また、体験加工実習室の機能を重視し、平成22年度
からの指定管理仕様書において、『体験活用実習室を活用
し、関係団体等と連携を図りながら、施設利用者が藍染体
験などを含めた体験活動をすることができる環境整備を実
施すること。』と規定しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
藍工房との出店契約書を閲覧したところ、平成24年4月1
日付で契約を取り交わしていること及び当該契約書第2条
で「最低事務手数料として36,300円」と規定し、最低事務
手数料を徴収していることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。
334
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.249
賃貸借契約書作成日の記入の徹底(結果)
指摘・意見の内容
一部テナントとの契約書は、作成日が未記入となってい
た。契約書の作成日は、契約締結日時点で作成者が代表者
であったかどうかの特定や将来の消滅時効の成立日等に影
響を及ぼすことから、法的に重要な意味を持つ日付である。
このように、契約書の作成日は重要な日付であり、契約
書への記入の徹底が必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
指摘後、テナントと契約日を再確認し、契約書に日付を
記載しました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
すべての既存テナントの出店契約書を閲覧したところ、
すべての出店契約書に作成日が記入されていることを確認
した。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.250
銀行振込口座指定届の入手の徹底(意見)
指摘・意見の内容
売上金をテナントへ返還するときの銀行振込口座は、銀
行振込口座指定届にてテナントが指定することになってお
り、この銀行振込口座指定届は出店契約書作成時にテナン
トから入手することになっている。しかし、AC社の銀行
振込口座については、当該口座の預金通帳の写しを入手し
ているものの、銀行振込口座指定届は入手していなかった。
銀行振込口座指定届は、売上金の返還に関するトラブル
を防止する目的で作成される重要な文書であり、早急に入
手するとともに今後は入手を徹底すべきである。
浪岡アップル友の会についても、銀行振込口座指定届が
未入手となっており、入手を徹底すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
売上金の返還に関するトラブルを防止する観点から、既
存のテナントについては、銀行振込口座指定届は全て提出
させました。
なお、アップル友の会については、株式会社アップルヒ
ルが売上金の管理を行っておらず、売上金の振込等がない
ことから銀行振込口座指定届は提出不要としています。
平成 25 年 12 月現在の対
すべての既存テナント(アップル友の会を除く)の銀行
335
応状況
振込口座指定届を閲覧し、銀行振込口座指定届が提出され
ていることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。
指摘4―86
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.251
青森農業協同組合との出店契約の承認手続(結果)
指摘・意見の内容
青森農業協同組合は当社に25%出資しており、75%を出資
する市と協同して当社を経営している株主であり、当組合
の代表理事組合長であるAE氏は当社の非常勤取締役副会
長に就任している。
また、当組合は当施設にテナントとして出店して農産物
等を販売している。当社と当組合との出店契約書は、当社
が作成している書式ではなく、当組合が作成している書式
を使用している。当社は、他のテナントとの標準的な出店
契約上、賃料は売上の10%としているのに対して、当組合と
の契約条件は月額賃料100千円の定額となっている。当組合
の売上に対する賃料の割合は3%程度となり他のテナントに
対する賃料10%と比較するとかなり低い賃料水準である。
このように、当組合が当社と親密な関係であるとしても、
いわば当組合を低廉な賃料で特別扱いするのであれば、本
来当社に帰属すべき利益の一部が当組合に移転しているこ
とになり、当社の株主である市はこれにより間接的にでは
あるが本来得られるべき利益の一部を逸失していることに
なる。
このようなケースに対処するために、会社法では第356
条において、会社と取締役との取引については、取締役と
の取引条件を優遇することで会社の利益が逸失しないよう
に取締役会の承認が必要である旨を定めている。上述のと
おり、当社の非常勤取締役副会長であるAE氏は当組合の
代表理事組合長であり、当社にとって、当組合との取引は
取締役との取引に該当する。このため、会社法第356条の規
定により、当社と当組合との取引については、取締役会の
承認が必要であるにもかかわらず承認手続は採られておら
ず、会社法違反の状態となっている。
336
当社は会社法違反の状態を解消するために、当組合との
取引について速やかに取締役会の承認を得るべきである。
なお、会社法第369条の規定により、特別の利害関係を有
する非常勤取締役副会長のAE氏が当該取締役会決議にお
いては議決権がないことに留意が必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年 7 月に開催した臨時取締役会に諮り、承認を得
ました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年7月に開催した臨時取締役会で青森農業協同組
合との店舗賃貸借契約書を承認している。しかし、第356
条の趣旨は会社と取締役の取引という利益が相反する取引
について公正性を担保するため取締役会の承認を要求して
いるのであり、当社と青森農業協同組合との取引そのもの
の可否を承認の対象とすべきである。
監査人の評価
利益が相反していた間の取引について、取締役会の事後
承認を行うことが望ましい。
指摘4―87
月提出措置状況報告書
No.252
浪岡アップル友の会との出店契約書の作成(結果・意見)
指摘・意見の内容
当会の会長であるAF氏は当社の非常勤取締役に就任し
ており、当社にとって、当会との取引は取締役との取引に
該当する。このため、会社法第356条の規定により、当社と
当会との取引については、取締役会の承認が必要であるに
もかかわらず承認手続は採られておらず、会社法違反の状
態となっている。
当社は会社法違反の状態を解消するために、当会との取
引について速やかに取締役会の承認を得るべきである
なお、会社法第369条の規定により、特別の利害関係を有
する非常勤取締役のAF氏が当該取締役会決議においては
議決権がないことに留意が必要である。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年 7 月に開催した臨時取締役会に諮り、承認を得
ました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
平成22年7月に開催した臨時取締役会で「浪岡アップル友
の会との合意書」を「浪岡アップル友の会店舗出店契約」
に改定することについて承認を得ている。
337
しかし、第356条の趣旨は会社と取締役の取引という利益
が相反する取引について公正性を担保するため取締役会の
承認を要求しているのであり、当社と浪岡アップル友の会
との取引そのものの可否を承認の対象とすべきである。
なお、現在、当社の取締役で浪岡アップル友の会の代表
であったI氏は当社の取締役を退任しており、利益相反関
係は生じていない。
監査人の評価
利益が相反していた間の取引について、取締役会の事後
承認を行うことが望ましい。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.253
浪岡アップル友の会との出店契約書の作成(結果・意見)
指摘・意見の内容
浪岡アップル友の会は当施設の地元近隣農家で組織さ
れ、青森農業協同組合の農産物等の販売所とは別に、当施
設内の農産物直売所において、農産物を販売している。
浪岡アップル友の会との間では出店に関する合意書が作
成されており、販売手数料(賃料)が売上金額の8%である
こと、電気料金・水道料金は実費負担すること、合意期間
が平成20年4月1日からの1年間で自動更新されることが簡
易に記載されているが、正式な出店契約書は作成されてい
ない。
当社の出店契約書の標準雛型には、合意書に記載されて
いる事項の他に、目的物件、原状回復義務、契約解除等に
関する事項も規定されていることから、こうした各種事項
を明確にするために、速やかに正式な契約書を作成すべき
である。
平成 22 年 8 月対応方針
トラブル防止の観点から、浪岡アップル友の会と平成2
2年度中に新しい契約書を取り交わします。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
浪岡アップル友の会との出店契約書を閲覧したところ、
平成23年6月20日付で契約を取り交わしていること、また、
当該契約書に目的物件、原状回復義務、契約解除等に関す
る事項が規定されていることを確認した。
監査人の評価
指摘事項は改善されている。また意見は反映されている。
338
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.254
浪岡町生活改善グループとの出店契約書の書式更新(意見)
指摘・意見の内容
浪岡町生活改善グループとの契約書は、平成15年4月1日
に作成されている。当社は、その後、平成18年度に契約書
の標準書式を見直しているが、浪岡町生活改善グループと
の契約書は1年間の自動更新が継続的に適用されており、新
書式の契約書は作成されていない。
このため、現在も有効に成立している旧書式の契約書に
は、新書式の契約書には記載されている目的物件や原状回
復義務等が全く記載されていない。また、旧契約書の記載
文言が実態と合っていないため、以下のような問題点が生
じており、多くの改善すべき点がある。
① 売上の10%を家賃(旧契約書上の名目は手数料)として
徴収することになっており、商品の売買契約ではないに
もかかわらず、契約書の表題が「購買契約書」となって
いる。
② 第8条では「本契約は、購買契約のみ有効である。」と
規定されているが、契約内容は購買契約ではない。
③ 第1条では「乙(浪岡町生活改善グループ)は、甲(当
社)の指定する納品時間、納品場所を遵守する。」と最
初の条文で唐突に規定しているが、そもそも納品する商
品は何か、甲、乙のどちらが納品する商品を決めるのか
等が記載されていない。
以上のような問題点を解消するために、当社は、速やか
に新書式の契約書を用いて、浪岡町生活改善グループとの
間で契約を再度締結すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
トラブル防止の観点から、なみおか「豆や」(旧浪岡町
生活改善グループ)と平成22年度中に新しい契約書を取
り交わします。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
なみおか「豆や」(旧浪岡町生活改善グループ)との出
店契約書を閲覧したところ、平成23年4月1日付で契約を取
り交わしていること、その契約内容は他の店舗と同様であ
ることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。
339
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.255
レジ精算表への現金受領印(意見)
指摘・意見の内容
道の駅に出店しているテナントは、一日の売上金額が印
字されているレジレシートおよび金種別の現金有高を手書
きで記入したレジ精算表ならびに現金の3種類を毎日営業
終了後、当社に持参する。当社では3種類の金額を照合して
からその全てを受領し、このうち2枚複写となっているレジ
精算表の1枚をテナントに返却する。この作業において、当
社の担当者は、署名や押印という行為を全く行っていない。
テナントに対しては領収書の代用としてレジ精算表に記
載されている現金有高と同額の現金を受領したという事実
を証するために、また、社内管理上は複数配置されている
担当者のうち誰が照合して受領したかという責任の所在を
明確化するために、2枚複写となっているレジ精算表の2枚
共に現金を受領・照合した担当者印を押印することが望ま
しい。
平成 22 年 8 月対応方針
指摘後、管理体制の強化を図り、複写となっているレジ
精算表の2枚共に受領・照合した担当者印を押印する取扱い
に改めました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
レジ精算表を閲覧し、複写となっているレジ精算表の2
枚共に受領・照合した担当者印を押印する取扱いがされて
いることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.256
売上高と預金預入額との照合表の作成(意見)
指摘・意見の内容
直営店の売上金とテナントの売上金は、原則として毎日、
専用の預金口座に預け入れることとしている。この預金預
入額の妥当性を検証するために、レジデータの管理システ
ムから出力される部門別速報に記載されている売上高に商
品券、クレジットカード等による掛売り、消費税、現金過
不足等を調整して預金預入額を計算し、預金通帳と照合し
ている。
しかし、この照合における調整方法は複数配置されてい
る担当者によって不統一となっており、また、調整過程は
340
部門別速報の余白にメモ書きしている状況である。加えて、
担当者が特定できるような署名や押印は行われていない。
預金預入額の検証業務は、不正防止という観点から極め
て重要な業務であり、業務方法の改善が必要である。
具体的には、売上高と預金預入額との調整表の書式を作
成し、主な調整項目は書式に予め印字しておくことによっ
て、作業の効率性と正確性を高め、作成者と検証者が押印
することにより、責任の所在を明確にしつつ、内部牽制機
能を働かせるという方法が考えられる。
平成 22 年 8 月対応方針
指摘後、作業の効率性・正確性の向上と責任の明確化を
図るため、売上高と預金預入額との調整表の書式を作成し、
主な調整項目は書式に予め印字する方法に改めました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
売上高と預金預入額との調整表の書式を閲覧し、主な調
整項目は書式に予め印字する方法を実施していること及び
実施者と検証者が押印されていることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.257
出納事務に係る出金内容の検証(意見)
指摘・意見の内容
当社は少人数で経営を行っているため、事務担当者も2
名のみである。そのため、出納担当者は経理事務担当者と
兼務している状況である。物品購入および支払いについて
は購入伺いで稟議決裁しており、支払伝票については担当
部長が承認を行っている。しかし、出納担当者が支払処理
を行っていることに対しては誰もチェックしていない。出
納担当者が行う支払処理がチェックされないと、購入伺い
や支払伝票に基づかない支払いが行われたり、二重に支払
いが行われたり、誤った金額で支払いが行われても、その
事実が判明しないため、過大に支払いを行うリスクが存在
している。
改善案の一つとして、担当部長は後日においても支払口
座のある通帳の金額を支払伝票と照合確認し、牽制機能を
発揮すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
指摘後、担当部長が、定期的に通帳の金額と支払伝票の
照合を行うように改めました。
341
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
当社に対する質問及び支払伝票の閲覧をしたところ、担
当部長が定期的に通帳の金額と支払伝票の照合を行ってい
ることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.258
領収書綴り受払管理簿の作成と定期的な実査(意見)
指摘・意見の内容
領収書は事務担当者が入金時に使用する他に、各店舗に
おいてPOSレジから出力されるレシートでは不都合な顧客
用に使用している。領収書はおよそ3年に一度50冊を目途に
外部に発注依頼して作成しており、その時点で社名と連番
が記載されている。使用中の領収書綴りは10冊程度、未使
用領収書綴りは18冊程度と冊数が少ないこと、事務担当者
が一括管理していることから領収書綴り受払管理簿は作成
されていない。そのため、現時点でどの領収書綴りが使用
済み、使用中または未使用なのか判明せず、未使用領収書
綴りが不正に利用されても発見することができない状況に
なっている。領収書は領収書綴りの受払管理を実施しない
と、領収書の一部抜取りや領収書綴りが盗難されても盗難
の事実が判明しないため、ある分を抜き取ることにより現
金を受領した証跡を隠蔽することが可能になってしまう。
すなわち、実際に受領した現金を自ら横領できるリスクや、
不正発行により第三者の不正に加担できるといったリスク
が存在している。
したがって、事務担当者は領収書綴り受払管理簿を作成
し、現時点で領収書綴りがどのような状態にあるか管理す
る必要がある。さらに、事務担当者は定期的に未使用領収
書綴りの残冊数について現物実査を行うべきであり、事務
管理者は領収書綴り受払管理簿を確認すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
指摘後、領収書綴り受払管理簿を作成するとともに、定
期的に現物と照合する管理体制としました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
担当者に対する質問及び領収書綴り受払管理簿を閲覧し
たところ、領収書の管理が行われていることを確認した。
意見は反映されている。
342
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.259
未使用領収書の管理(意見)
指摘・意見の内容
領収書は社名および連番を付して印刷されている。未使
用になっている領収書綴りをサンプルチェックしたとこ
ろ、未使用綴りのうち現在使用中の綴りについては、即座
に使用しやすいように事前にすべて社判が押印されてい
た。事前に社判が押印されている場合、事務担当者以外の
者でも、相手先名および金額のみを記載することによって
何時でも発行することができるため、不正使用が容易な状
況になっている。したがって、領収書は使用時に社判を押
印することが望ましい。
また、事務担当者は使用済みとなって回収された領収書
綴りについて、何の管理もせずにキャビネット内に保管し
ているが、領収書の管理には厳格性が求められるのである
から、事務担当者は使用済み領収書控えの連番が抜けてい
ないことの検証、未発行領収書が使用できない状態で領収
書綴りに綴じこまれていることの検証、および使用済み領
収書綴りの表紙等への検証者印を押印することにより検証
作業を実施した証跡を残すといった厳格な管理が必要と考
える。
平成 22 年 8 月対応方針
指摘後、領収書は使用時に社判を押印するとともに、使
用済み領収書の検証を行う管理体制に改めました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
当社に対する質問及び領収書綴りを閲覧したところ、領
収書は使用時に社印を押印していること、使用済み領収書
の検証控えの連番が抜けていないことの検証を行っている
こと、未発行領収書が使用できない状態のものについて管
理がされていること、領収書綴りの表紙へ検証者印が押印
され検証作業の証跡が残っていることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.260
使用済みの領収書の管理(意見)
指摘・意見の内容
使用済みの領収書綴りをサンプルチェックしたところ、
適切に作成されたものの何らかの理由で発行されなかった
領収書が数件再使用可能な状況で発見された。当領収書に
343
は相手先および金額が記載されているため当該先に対して
記載金額しか使用できないと考えられるが、社判が押印さ
れていることから不正使用の可能性も残り内部統制上好ま
しくない。書き損じの領収書は穴を開ける、消去できない
ペンで大きくバツ印を付けるなど使用できない状態にすべ
きである。領収書は不正の原因にもなるため、厳格に管理
すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
指摘後、書き損じの領収書が再使用できないような管理
体制に改めました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
領収書綴りを閲覧したところ、書き損じの領収書は消去
できないペンで大きなバツ印が付けられ使用できない状態
となっていることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。
指摘4―88
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.261
固定資産の実在性の確認(結果)
指摘・意見の内容
固定資産の実在性を確認するため、固定資産台帳を基に
機械装置4件(全件)、車両運搬具2件(全件)、工具器具
備品5件(ランダム抽出)について現物確認したところ、固
定資産台帳に計上されていない乗用草刈機1台、手押し草刈
機1台が存在していることが判明した。担当者に確認したと
ころ、当該資産は当社の所有になっており、平成17年の合
併時に旧浪岡町から贈与されたものらしいという不明確な
回答しか得られなかった。上記乗用草刈機1台、手押し草刈
機1台は、中古物品としても相応の金額を有していることか
ら、固定資産台帳および決算書に計上し、適切に管理すべ
きものであると考える。
また、当社は平成17年に行われた青森市と旧浪岡町の合
併時以降、固定資産の実在性の確認を行っていないとのこ
とであった。固定資産の現物確認を行わないと上記のよう
に固定資産台帳に計上されていなかった資産が存在する、
固定資産台帳に計上されているものの現物の資産が見当た
らない、ということが起こる可能性があるため、少なくと
も1年に1度は固定資産と現物との照合を実施し、固定資産
344
の実在性を確認すべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
平成 22 年度から、年 1 回固定資産台帳と現物を照合しま
す。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
当社に質問をしたところ、固定資産台帳と現物の照合は
サンプル的に一部行ったのみであることを確認した。今後
は固定資産台帳に載るすべての固定資産の現物照合を行う
方針であるとの回答を得た。
監査人の評価
指摘事項の改善は不十分である。固定資産の実在性を確
認するためには、現物確認は重要であり、すべての固定資
産で行うべきである。
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.262
顧客アンケートの活用(意見)
指摘・意見の内容
当社は現在、来場者から満足度や改善要望事項等の顧客
アンケートを実施していない。当社によると、以前はイン
ターネットのホームページの掲示板で意見の書込みを受付
けていたが、いたずらが多かったので、平成18年度に掲示
板は閉鎖したとのことである。現在はホームページによる
物品販売の受注画面に顧客のご意見の書込みがある場合
は、必要に応じてEメールで回答はしているが、ご意見や
回答は出力していない状況である。
来場者からの満足度や改善要望事項等は、公の施設の運
営にとって非常に有用な情報であり、顧客アンケートの実
施が望まれる。例えば、直営レストランの客席に用紙を設
置する方法やトイレ横の情報発信基地スペースにご意見箱
を設置するなどの方法が考えられる。
平成 22 年 8 月対応方針
利用者の満足度を図るため、アンケートの実施を含めた
各種手段を検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
当社に対する質問及びアンケートの閲覧により、直営レ
ストランあっぷるひる及び情報発信基地スペースにご意見
箱を設置していることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。
345
指摘4―89
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.263
入札制度等規程の制定と遵守の徹底(結果)
指摘・意見の内容
工事、物品およびサービス購入に関する入札制度等につ
いては、これに係る規程がないため、発注または購入時の
ルールを社長に尋ねたところ、1,300千円以上については指
名競争入札を行い、それ未満については原則2社以上から相
見積りを実施しているとのことであった。しかし、社長が
担当者に確認したところ、1,300千円以上について指名競争
入札は行われているが、それ未満について相見積りを実施
している場合はほとんどないとのことであった。
工事、物品およびサービス購入について、実際の入札関
連資料を確認したところ、1,300千円以上について指名競争
入札は行われていたが、相見積りを実施しているケースは
全く見当たらなかった。社長によれば、複数の業者から見
積書を入手している場合もあるとのことであるが、その場
合でも必要な見積書以外は廃棄しているため、外部的には
確認できない状況になっている。
1,300千円未満の案件について相見積りの実施の徹底と
入手した見積書の保管の徹底を図るべきである。また、現
時点において、当社は工事、物品およびサービス購入に関
する入札制度等についての規程を作成していないが、規程
が作成されていないと、例えば社長や担当者が変わった場
合には上記の手続が守られないというリスクが存在する。
当社は、早急に当該規程を制定し、契約または購入のルー
ルを明確にすべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
株式会社アップルヒルの契約行為について、青森市の財
務規則を参考にしながら、工事・物品およびサービス購入
に関する入札制度等についての規程の整備を検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
監査人の評価
当社に対する質問を行い、入札制度等の規定は設けてい
ないとの回答を得た。
指摘事項は改善されていない。近々の入札予定がないと
のことだが、将来の入札に備えて入札規定の整備を進める
べきである。
346
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.264
入札参加業者の制限に係る準用の取止め(意見)
指摘・意見の内容
当社は入札参加業者を決定するに際して、青森市入札参
加業者等指名要綱附則2.(経過措置)を準用して、合併前
の浪岡町の区域内に本店を有する者に限定している。例え
ば、当施設のトイレ、レストランの清掃およびごみ廃棄業
者を選定する際には合併前の浪岡町の区域内に本店を有す
る業者がAG社のみであることから、随意契約で契約を締
結している。また、駐車場造成工事入札に当たっては、青
森市役所から提示された競争入札有資格者一覧より、同じ
く合併前の浪岡町の区域内に本店を有する業者を5社選定
し指名競争入札を行い、落札業者と工事契約を締結してい
る。
入札参加業者の範囲を制限した場合には、入札参加者数
が少なくなるため入札価格が硬直的になる可能性があり、
高値で入札される可能性を否定できない。特に、青森市と
旧浪岡町が平成17年4月1日に合併してから5年近く経過し
ているのであるから、このような経過規定を廃止する時期
になっていると思われる。したがって、当社は青森市が規
定している青森市入札参加業者等指名要綱附則2.(経過措
置)の準用をすべきではなく、入札業者をより広く募集す
ることにより、低価格で落札されるようにすべきである。
平成 22 年 8 月対応方針
株式会社アップルヒルの契約行為について、青森市の財
務規則を参考にしながら、工事・物品およびサービス購入
に関する入札制度等についての規程の整備を検討し、あわ
せて、青森市入札参加業者等指名要綱附則2.(経過措置)
による合併前の浪岡町の区域内に本店を有する者に限定す
る取扱いについても検討します。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
当社に対する質問をしたところ、現在、入札参加業者を
決定するに際して、青森市入札参加業者等指名要綱附則2.
(経過措置)を準用することを取りやめているとの回答を
得た。
監査人の評価
意見は反映されている。
347
平成 22 年 8 月提出措置状況報告書
No.265
見積書および購入申請書と請求書との金額相違(意見)
指摘・意見の内容
当社の物品およびサービス購入の流れは以下のようにな
っている。購入申請書の作成・承認→見積書の入手→物品
およびサービス発注・購入→請求書の入手→見積書との照
合→支払い
上記のように経費の支払いは請求書に基づいて行われて
いるが、出納担当者はそれと同時に支払時において当該請
求書と見積書を確認照合することとしている。請求書と見
積書の内容および金額についてランダムに数件抽出して確
認照合したところ、見積書および購入申請書と請求書とで
金額が相違しているものが1件発見された。
結果的には見積書および購入申請書よりも請求書の金額
の方が少ないため、仕入先との取引上何らかの値引きが発
生して当社に実質的な損害は無いと考えられるが、金額が
相違する場合には、見積書上または購入申請書上に相違し
た理由の記載が必要であると考える。
平成 22 年 8 月対応方針
見積書や購入申請書と請求書の相違があった場合は、そ
の理由を請求書に記載するよう改めました。
平成 25 年 12 月現在の対
応状況
当社に質問したところ、平成22年8月対応方針以後、見積
書や購入申請書と請求書の相違が生じた場合がないこと、
見積書や購入申請書と請求書の相違があった場合はその理
由を請求書に記載する方針であることを確認した。
監査人の評価
意見は反映されている。該当する案件はなかったが適切
な方針を保っており、意見は反映されていると判断する。
348
349
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