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税務アップデート

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税務アップデート
税務アップデート
柴田智以 Associate Director, Tax
伊藤進 Manager, Tax
© 2015 KPMG Phoomchai Tax Ltd., a Thai limited liability company and a member firm of the KPMG network of independent firms
affiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved. Printed in Thailand.
1
BOI免税プロジェクト
損益通算に関する
最高裁判決
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2
1.2015年以前のBOIの法人税優遇措置
BOIプロジェクトに与えられる法人税のインセンティブ
プロジェクト開始日
3~8年間
3~5年間
法人税免除
法人税50%減免
【その他の法人税恩典】
• BOI免税所得を原資とする配当の源
泉税10%の免除
• 投資奨励地域でのBOIプロジェクトでの
運送費、電力料、水道料の10年間
の二重損金可能
免税期間中の損失
BOI期間後の5年間繰越し
各BOI事業とNon-BOI事業に分けた損益計算が必要
Aプロジェクトの免税期間
Bプロジェクトの免税期間
Cプロジェクトの免税期間
BOI事業所得
A
非BOI事業所得
D
B
C
B
C
A
D
C
A
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B
D
A
B
C
D
3
2.最高裁での争点
(1) 複数のBOIプロジェクトでいずれも利益が出ている
課税所得
法人税
BOIプロジェクトA
30
-
BOIプロジェクトB
40
-
合計
70
-
(2) 複数のBOIプロジェクトでいずれも赤字が出ている
課税所得
法人税
BOIプロジェクトA
▲30
-
BOIプロジェクトB
▲40
-
合計
▲70
-
(3) 複数のBOIプロジェクトで片方が利益もう一方が赤字
課税所得
法人税
BOIプロジェクトA
30
-
BOIプロジェクトB
▲40
-
▲40? ▲10?
-
合計
【争点】
法人税の免税恩典を付与されているBOIプ
ロジェクトが複数あり、かつ、同一年度にお
ける各プロジェクトの損益について、黒字と
赤字が混在する場合
①赤字プロジェクト単独の損失を繰越欠損
金とすることができるのか?
②黒字プロジェクトと相殺した残りの損失を
繰越欠損金とするべきか?
歳入局見解
同一法人内での損益であるため、
通算すべき
→翌期に繰越せる欠損金は▲10である
納税者見解
BOIの税務恩典は各プロジェクトごとに与え
られているため、相殺不要
→翌期に繰越せる欠損金は▲40である
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4
3.最高裁の判決
(3) 複数のBOIプロジェクトで片方が利益もう一方が赤字
課税所得
法人税
BOIプロジェクトA
30
-
BOIプロジェクトB
▲40
-
▲40? ▲10?
-
合計
最高裁判決
• 投資奨励法(BOIの免税恩典を付与する
法律)は、損益計算方法について明確に
規定していない
• 課税所得計算は、歳入法に従って計算さ
れるべきである
• 歳入局の見解を支持する
→翌期に繰越せる欠損金は▲10である
【参考1】
【参考2】
課税所得
法人税
BOIプロジェクトA
30
-
BOIプロジェクトB
▲40
BOI計
課税所得
法人税
BOIプロジェクトA
40
-
-
BOIプロジェクトB
▲30
-
▲10
-
BOI計
10
-
Non-BOI
15
-
Non-BOI
15
-
課税所得
5
1
課税所得
15
3
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4.歳入局からの時限的措置
2016年6月16日付、財務省告示の内容
•
自主修正申告に対するペナルティー・遅延利息の免除
過去に各BOIプロジェクト間で損益通算を行っていなかった納税者が、本修正を
目的として2016年8月1日までに歳入局に対して法人税の修正申告を行った場合に
は、本来、不足税額に対して課されるペナルティー(不足税額の最大100%相当
額)及び遅延利息(月利1.5%)を免除する。
•
過去に支払ったペナルティー・遅延利息の還付
過去に各BOIプロジェクト間で損益通算を行っていなかった納税者が、過年度にお
いてすでに修正申告を行っている場合、(すでに還付請求期限である3年を経過し
た事業年度であっても)2016年8月1日を期限として、その修正申告時に支払ったペ
ナルティー及び遅延利息の還付請求を受付ける。なお、その過年度の修正申告が納
税者が自主的に行ったものであるか、歳入局職員の指導等に基づき行ったものであ
るかは問わない。
最高裁判決を受けての修正申告に対する一定の配慮を示すかたちで
上記告示が公表されたが、期限もあることから各社状況に応じて迅
速かつ慎重な判断が必要!
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移転価格税制の最新動向
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1.タイにおける移転価格税制の動向
2015年5月、首相府より公表された新法案の骨子
1.
税務当局は、独立企業間価格とは異なる価格で関連会社(直接または間接的に持株関係、実質
支配関係を有する会社)との取引を行っている会社に対し、その取引価格の修正を行う権限を有
する。
2.
税務調査を受けている会社に過払税金または源泉徴収税過納額がある場合、その会社は還付
請求を行う権利を有し、その請求期限は、税務調査の通知された日から60日以内、あるいは対
象事業年度の法人税確定申告書提出期限から3年以内である。
3.
当移転価格税制が適用される会社は、関連会社取引について以下の内容を記載した文書を事業
年度末日から150日以内に歳入局に提出しなければならない。
(期限内の提出怠った場合、40万バーツ以下の罰金)
・
・
関連会社の直接的または間接的な持株関係、支配関係に関する情報
関連会社取引価格における収益と費用の算定方法
 2015年5月現在、政府より公表されている情報は上記法案の骨子のみ
 本法案は国会での承認を経て法令化されるが、施行時期は未定
(2016年後半の施行が見込まれる)
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2.今後の対応
新法案については未だ不明確な点が多い
1.
施行時期
2.
適用開始事業年度
3.
適用対象会社の範囲
4.
関連会社の定義
5.
移転価格文書の言語
不明点が多い状況であるものの、施行後は150日以内に提出が求められる
ため、事前の準備が望ましい。
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(参考)移転価格文書とは 1/3
関連会社間取引について、独立企業間価格で行っていることを自らが税務当局に対して
証明することを目的とした文書であり、具体的には以下の項目を記載することで証明される。
マスターファイル (親会社の移転価格文書)
タイの文書
<記載項目>
I.
事実分析
対象となる関連者の概要、資本関係、グループの事業概要、組
織構造(従業員数)、各社の損益状況等の基本的な事項
II.
関連者間取引の状況
関連者間取引の取引形態及び取引フロー、取引額、価格設定
方針、価格交渉過程、各関連者の国外関連取引に関するセグ
メント損益データ
III.
機能・リスク分析
関連者間取引に関わる各関連者が果たす機能、負担するリス
ク、保有する資産の状況
V.
移転価格算定方法の選定
事実分析並びに機能・リスク分析結果を踏まえ、各国税制に基
づき選定された移転価格算定方法とその選定理由、内部・外
部比較対象取引の有無の検討結果
VI.
微調整のみ
製造/販売別にひな形
(記載のポイントを示
す)のみ
各国それぞれの事情に
より詳細記述
各国市場の状況以外
は共通部として記述
各国市場状況のみUpdate
製造/販売パターン毎に
見本文章作成
選択。微調整
製造/販売パターン毎、
セグメント毎に見本文
章作成
見本文言より選択
微調整
ポリシーに沿った本文
用意
各国にてUpdate
産業分析
販売市場等の動向、対象となる法人を取り巻く業界の構造、競
合他社の情報等
IV.
各国ほぼ共通
経済分析
選定された移転価格算定方法に基づく検証結果、ベンチマーク
を使用する場合、使用した比較対象取引に関する説明、納税
者の移転価格が妥当であることの説明
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(参考)移転価格文書とは 2/3
移転価格の検証方法
その他の方法
基本三法
移転価格算定方法
概要
独立価格比準法
Comparable Uncontrolled
Price (CUP) Method
 関連者間取引の価格を、第三者のそれと比較する方法
 価格を直接比較する方法となるため、非常に高い比較可能性が求められる
再販売価格基準法
Resale Price Method (RPM)
 製品を関連者から購入し、第三者へ再販売する取引に適用される方法
 関連者間取引に係る売上総利益率を検証する方法
 通常、販売会社が製品に大きな価値を付加しないで再販売するケースに最
適な方法となる
原価基準法
Cost Plus Method (CPM)
 関連者に対して製品やサービスを提供するサプライヤーのコストに対するグ
ロスマークアップを検証する方法
 この方法は、製品の製造、組立、その他の生産を行い、関連者に販売する取
引、関連者に対してサービスを提供する取引に対して有効である
利益分割法
Profit Split Method (PSM)
 一連の関連者間取引の連結利益の分割状況を検証する方法
 取引が相互に強く関連しており、個別に検証を行うことが出来ない場合、ユ
ニークな無形資産が関連する場合等において、第三者間での比較対象取引
が無い場合に有効となる方法
 残余利益分割アプローチと、貢献度利益分割アプローチが規定されている
取引単位営業利益法
Transactional Net Margin
Method (TNMM)
 関連者間取引に係る営業利益の水準を検証する方法
 RP法やCP法と同様に取引関連当事者の一方の利益率を検証する方法であ
るが、売上総利益ではなく営業利益を検証する点が大きな相違点となる
タイにおける移転価格の実務上、一般的な製造会社・販売会社等の移転価格
分析の大半のケースにおいてTNMMが用いられている。
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(参考)移転価格文書とは 3/3
ベンチマーク分析の例
営業利益率
比較対象企業
3年加重平均値
FY 2014
FY 2013
FY 2012
A Co., Ltd.
7.22%
-2.49%
11.00%
5.17%
B Co., Ltd.
4.19%
3.60%
3.61%
3.80%
C Co., Ltd.
3.34%
3.45%
5.65%
3.86%
D Co., Ltd.
1.37%
1.46%
1.60%
1.46%
E Co., Ltd.
1.91%
2.03%
1.96%
1.97%
F Co., Ltd.
1.57%
1.71%
0.55%
1.38%
G Co., Ltd.
9.79%
8.95%
14.17%
10.81%
XX%
YY%
ZZ%
WW%
最小値(Minimum)
1.55%
-2.49%
1.05%
1.75%
四分位下限値(25th Quartile)
1.88%
2.02%
2.49%
2.20%
中央値(Median)
3.34%
3.45%
3.61%
3.80%
四分位上限値(75th Quartile)
5.07%
4.61%
5.59%
4.76%
最大値(Maximum)
9.79%
8.95%
14.17%
10.81%
貴社
タイにおける
ベンチマーク分析の特徴
 比較対象企業はBOL (Business
Online) に登録されている約100万
社弱の中からTSIC (Thailand
Standard Industrial Classification)
コードによる分類に基づいて選定
される。
 比較対象企業はタイ人株主が資
本の50%以上を保有するタイ法人
のみ
 比較対象3期中、2期以上で当期
純損失を計上している企業は除外
 その他様々な分析を行なった上で
最終的に約10社弱の比較対象企
業が選定される。
※ したがって、自社が実務上の競合
とみなしている企業が必ずしもベ
ンチマーク分析における比較対象
企業として選定されるとは限らな
い。
四分位レンジ
( Inter-Quartile Range)
移転価格税制の根拠規定をベースに(中央値等の一点をもって更正)レンジの中にあっても課税を
受けるケースもある。
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リース料に係る源泉税の改正
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リース料に係る源泉税の改正 (1)
 2016年5月に歳入局はリース料にかかる源泉徴収制度を改正する歳入局規則
No.Taw.Paw 259/2559を公布しました。この歳入局規則は、源泉徴収の細則を定めた既
存の歳入局規則No.Taw.Paw 4/2528を改正(具体的にはNo.Taw.Paw 4/2528の第6項
の第2段落以降を定めを撤廃)したものとなります。
 既存の歳入局規則No.Taw.Paw 4/2528の第6項においては、資産のリース料について原
則として賃借人に5%の源泉徴収を義務付けていますが、以下の全ての要件を満たす
リース契約にかかるリース料については源泉徴収を免除するとされていました。
源泉徴収が免除される要件 (歳入局規則No.Taw.Paw 4/2528 第6項)
1
賃貸人が法人であり、払込資本金が6千万バーツ以上、かつ、VATの登録事
業者であること
2
賃借人が法人であること
3
リース期間が3年以上であること
4
リース期間満了時に買取オプションが付されていること
撤廃
→ 全てのリース料に
源泉徴収が必要
 この改正によって、2016年6月1日以降に支払われる全てのリース料について、賃借人は
5%の源泉徴収が義務付けられることになります。
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リース料に係る源泉税の改正 (2)
リース会社への影響

2016年6月以降にタイ国内の法人から受け取るリース料について、例外なく5%の源泉徴収がされる
ことになります。

源泉徴収された金額は、法人税の前払いと取り扱われますが、これまでよりも法人税の前払いが多
くなるため、年度末の法人税の確定申告において還付(源泉徴収された金額 > 法人税の年税額)と
なる可能性が高まります。
リース料 1,000
リース会社
タイ国内法人
950を支払い
50(5%)を源泉徴収
して歳入局へ納付
年度末の法人税の確定申告
リース収入
リース原価
販管費
1,000
800
50
歳入局
150
税引前利益
年間の法人税(20%) 30
前払法人税
差引納付額
50
▲20
利益率が25%以上でない
と、源泉徴収された金額
(売上の5%)が法人税の
年税額(利益 x 20%)より
も大きくなり、還付が発生
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還付を受けるにはもれなく
税務調査が実施される
→ 税務調査の対応に要する労
力・キャッシュフローに影響
15
新規固定資産の減価償却費
の二重の所得控除
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16
新規固定資産の二重の所得控除 (1)

2016年5月に歳入局は勅令No.604及び歳入局規則No.266を公布しました。これにより、2015年11
月3日から2016年12月31日までの間に取得して事業供用した新規の固定資産の減価償却費につい
て、法人税の申告書上、二重の所得控除が認められます(全ての法人が対象)。

二重の所得控除とは、会計上の減価償却費が損金に算入される場合、法人税の申告書上でさらに
その減価償却費相当を所得減算をするというものです(詳細は後述)。

対象となる固定資産は以下の通りです。
二重の所得控除の対象となる固定資産 (勅令No.604)
1. 機械設備、そのスペアパーツ、工具、器具、備品
2. コンピュータープログラム
3. 車両(乗用車及び定員10名未満のバスは除く*)
4. 建物(土地及び居住用建物は除く)
* 乗用車及び定員10名
未満のバスであっても、レ
ンタル事業に供するもの
は対象となります
5. 上記1.~4.の既存の固定資産に対する資本的支出(現状回復費は対象外)

この他、以下の要件を充足する必要があります。
二重の所得控除の対象となる要件 (勅令No.604, 歳入局規則No.266)
1. 新品であること(中古は不可)
2. 2016年12月31日までに事業供用し、歳入法に従い減価償却がされること*
3. 2016年12月31日までに固定資産の取得価額の支払いが完了していること*
4. 2015年11月3日から2016年12月31日までの間に固定資産の取得に関して、発注・契約手
続きがされたものであること*
5. タイに所在するものであること(車両は除く)
6. 歳入法の他の勅令に基づく税務優遇措置を受けていないこと
7. その全部または一部がタイ投資委員会(BOI)の投資奨励事業の用に供されていないこと
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* 建物の場合は、事業供
用に代えて、建設許可の
取得が要件となりそうで
す(現状、明文規定なし)
* Hire-Purchase(分割払
い購入)の場合は、この
要件を満たせない可能性
があります
17
新規固定資産の二重の所得控除 (2)

二重の所得控除ができる金額は、その固定資産の取得価額のうち、2016年12月31日までに支払っ
た金額が限度とされます。なお、各事業年度の二重控除額は「2016年12月31日までに支払った金額
÷その固定資産の税法耐用年数」として計算されます。

例えば3月決算法人のケースで、固定資産の取得価額を分割で支払った場合、以下のようなケース
が想定されます。(固定資産の取得価額 1,000, 耐用年数 5年, 定額法)
固定資産(1,000)
2015/11/3
の取得・事業供用
200の支払い
800の支払い
2016/3/31
3ヶ月
2016/12/31 2017/3/31
12ヶ月
事業年度
①会計上の減価償
却費(損金)
②二重控除額
(損金)
合計
①+②
2016/3月期
50
200
250
2017/3月期
200
200
400
2018/3月期
200
200
400
2019/3月期
200
200
400
2020/3月期
200
200
400
2021/3月期
150
-
150
合計
1,000
1,000
2,000
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備考
2016年末までに支払が完了する前
提で1,000÷5年=200を二重控除
18
新規固定資産の二重の所得控除 (3)

新規固定資産の二重の所得控除を適用するためには、法人税の申告書(PND.50)に以下の内容を
記載した書類を添付する必要があります。
固定資産の取得に関する
書類(1)
固定資産の詳細(2)
リスト
書類名
書類の作成日
支払いに関する証憑(3)
(2015年11月3日から2016年12月31日まで)
書類の名前
書類番号(if any)
支払日(4)
金額 (Baht)
日/月/年
固定資産
事業供用
の所在地
備考(7)
日(6)
(5)
/ 使用地
(1)
固定資産の取得または改良を行ったことを証する書類(契約書、発注書等)で、書類が1セット以上ある場合には、全ての書類を記載してくだ
さい。これらの書類は、2015年11月3日から2016年12月31日までの間に作成・発行されたものである必要があります。
(2)
固定資産の詳細とは、資産の種類(機械装置、ソフトウェア、車両、建物など)をいい、動産の場合には、その資産の名前、ブランド、モデル、
サイズもしくは仕様を記載してください。固定資産の改良の場合には、改良に関する詳細を記載してください。
(3)
支払いに関する証憑とは、領収書、タックスインボイス、小切手、振替伝票などをいいます。
(4)
支払日に関して、小切手での支払いの場合にはその小切手に記載された日、銀行送金の場合には送金日をいいます。
(5)
その固定資産の所在地、使用されている場所を明記してください。
(6)
事業供用日とは、減価償却計算を開始する日をいいます。
(7)
固定資産について、売却、破壊、滅失、耐用年数の経過の事実がある場合、将来の税務調査に備えて、その売却、破壊、滅失、耐用年数
の経過に関する関連書類を保管してください。
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19
タイ・シンガポール
租税条約の改正
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20
タイ・シンガポール租税条約の改正 (1)

タイとシンガポールとの間の租税条約が改正され、2017年1月1日より施行されます。現行の租税条
約と新租税条約の主要項目の相違点は、以下の通りです。
現行の租税条約
新租税条約
改正の影響
配当
第10条
■ 配当を支払う会社の議決権 ■ 配当を支払う会社の議決権株式の
■ タイ国内法では源
株式の25%以上を保有する
25%以上を保有する場合、源泉税の
泉税の税率は10%
場合、源泉税の税率は20%
税率は10%を超えないものとする
のため、改正によ
る影響なし
を超えないものとする
■ 本条項の適用は配当の実質受益者
にのみ適用
利子
第11条
■ 金融機関(保険会社を含む) ■ 金融機関(保険会社を含む)が受領 ■ タイ国内法では源
する利子の源泉税の税率は10%を
泉税の税率は15%
が受領する利子の源泉税の
税率は10%を超えないもの
超えないものとする
■ 金融機関について
とする
■ 資産の販売やサービスの提供による
は改正による影響
なし
■ 金融機関以外が受領する利
一定の債権から生じる利子の源泉税
子の源泉税の税率は25%を
の税率は10%を超えないものとする ■ 金融機関以外は場
超えないものとする
■ 上記以外の利子の源泉税の税率は
合によっては新条
15%を超えないものとする
約の方が有利とな
るケースあり
■ 本条項の適用は利子の実質受益者
にのみ適用
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21
タイ・シンガポール租税条約の改正 (2)
(前頁の続き)
現行の租税条約
使用料 第12条 使用料の定義
新租税条約
使用料の定義
改正の影響
■ タイ国内法では源
泉税の税率は
15%
① 文学上、美術上もしくは ① 文学上、美術上もしくは学術上の著作物(映画
学術上の著作物(映画
フィルム、ラジオ放送用またはテレビジョン放送
■ シンガポール法人
フィルムを含む)の著作
用のフィルムまたはテープを含む)の著作権の
に技術供与として
権、特許権、商標権、意
使用もしくは使用の権利の対価として受領する
全ての種類の支払金
のロイヤリティを
匠、模型、図面、秘密方
支払う場合、新条
式もしくは秘密工程の使 ② 特許権、商標権、意匠、模型、図面、秘密方式も
約の方が有利と
用もしくは使用の権利の
しくは秘密工程、または産業上、商業上、学術上
なる(15%→8%)
対価として受領する全て
の設備の使用もしくは使用の権利の対価として
の種類の支払金
受領する全ての種類の支払金
■ シンガポール法人
② 産業上、商業上、もしく ③ 産業上、商業上、もしくは学術上の経験に関する
に機器や設備の
は学術上の経験に関す
リース料を支払う
情報の対価として受領する全ての種類の支払金
る情報の対価として受
場合、新条約では
制限税率
8%の源泉税が課
領する全ての種類の支
払金
されるため、現行
■ 上記①の使用料に対する源泉税の税率は5%を超
の条約と比べて
えないものとする
制限税率
不利になる
■ 上記①および②の使用料 ■ 上記②の使用料に対する源泉税の税率は8%を超
(0%→8%)
えないものとする
に対する源泉税の税率は
15%を超えないものとする ■ 上記③の使用料に対する源泉税の税率は10%を
超えないものとする
その他
■ 本条項の適用は使用料の実質受益者にのみ適用
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22
タイ・シンガポール租税条約の改正 (3)
(前頁の続き)
現行の租税条約
譲渡益 第13条
新租税条約
■ シンガポールの居住者
■ シンガポールの居住者がタイ ■
がタイに所在する不動産
に所在する不動産を譲渡した
を譲渡した場合の譲渡益
場合の譲渡益は、タイでも課
税することができる
は、タイでも課税すること
ができる
■ シンガポールの居住者がタイ ■
■ シンガポールの居住者
の非上場株式を譲渡した場
合、その株式の発行会社の
がタイに所在する動産
価値の75%が直接又は間接
(タイ法人の株式を含む)
的にタイに所在する不動産の
の譲渡した場合の譲渡
価値で構成されている場合に
益は、シンガポールでの
は、タイでも課税することがで
み課税でき、タイでは課
きる
税できない
改正の影響
タイ国内法ではシンガポール
法人がタイ法人の株式を譲渡
した場合の譲渡益に対して
15%の源泉税の課税
シンガポール法人がタイ法人
の株式を譲渡した場合、現行
の条約ではタイで課税がされ
ないが、新条約ではタイで課
税されるケースもあり得る
■ シンガポールの居住者がタイ
に所在する動産(国際輸送に
使われる船舶及び航空機な
どの一定のものを除く)の譲
渡した場合の譲渡益は、シン
ガポールでのみ課税でき、タ
イでは課税できない
■ 本条項の適用はその譲渡に
よる実質受益者にのみ適用
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23
印紙税法の改正
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24
印紙税法の改正 (1)

2015年4月1日以降、契約書等に印紙を貼付ける方法ではなく、歳入局の窓口で現金にて印紙税を
納付しなければならない課税文書が以下の通り定められています。なお、現金で印紙税を納付する
ためには、納付時にオリジナルの契約書の提出が要求されます。
(Notification of the Director-General of Revenue Department on Stamp Duty No. 37, No. 54)
税率表
NO.
1.
3.
4.
課税文書の種類
納付条件
納税義務者
税率
土地、家屋(水 賃貸料が100万バーツ以上の契約
上家屋を含む)、
その他の建造 借主が政府・政府機関または地方自
物の賃貸借契 治体である契約
約書
土地法に基づき借主として登記が必
要な契約
契約締結前もしくは契約締結日
の翌日から15日以内に印紙税
を現金で納付
賃貸人
契約金額の
0.1%
Hire-Purchase
(分割払い購
入)契約書
資産の所有者が法人の場合
その資産が不動産もしくは登記
が必要な車両(中古車両を除
く)である場合のみ、印紙税を
現金で納付
資産の所有者が金融機関または消
費者金融業者の場合
その資産が何であるかに関わ
らず、印紙税を現金で納付
請負契約書
(期間の定め
がない契約
は3年契約と
みなす)
その登記前もしくは登記日に印
紙税を現金で納付
報酬が100万バーツ以上の契約
契約締結前もしくは契約締結日
の翌日から15日以内に印紙税
委託者が政府・政府機関または地方 を現金で納付
自治体であり、報酬が20万バーツ以
上の契約
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資産の所有 契約金額の
0.1%
者
受託者
契約金額の
0.1%
25
印紙税法の改正 (2)
(前頁の続き)
税率表
NO.
5.
6.
課税文書の種類
納付条件
納税義務者
金銭消費貸借 全ての契約
契約または当
座借越契約
融資を行った者または口座借越
に同意した金融機関及び消費者
金融業者が印紙税を現金で納付
貸付者
保険証券
保険会社が印紙税を現金で納付
保険業者
税率
(Notification of the Director-General of Revenue Department on Stamp Duty No. 37, No. 54)
全ての保険証券
借入額の0.05%
(1万バーツが上限)
損害保険料の0.4%
生命保険料または年
金保険料の0.05%
等
9.(2)
手形証書
全ての手形証書
証書を発行した金融機関(保険
会社を除く)が印紙税を現金で納
付
発行者
1通につき3バーツ
14.
信用状
タイ国内で発行された信用 信用状を発行した銀行が印紙税
状
を現金で納付
発行者
1万バーツ未満の信用
状・・20バーツ
1万バーツ以上の信用
状・・30バーツ
タイ国外で発行され、タイ
国内で支払われる信用状
16.
タイ国内で最初に所有者となった
銀行が印紙税を現金で納付
貨物の受領証 タイ国内の法人により空輸 発行者が印紙税を現金で納付
荷受が行われた貨物の受
領証
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タイ国内で最 20バーツ
初の所有者
発行者
1バーツ
26
印紙税法の改正 (3)
(前頁の続き)
税率表
NO.
17.
納税
税率
義務者
(Notification of the Director-General of Revenue Department on Stamp Duty No. 37, No. 54)
保証契約
保証人
上限額の記載なし・・10バーツ
金融機関(保険会社を除く)が契約 連帯保証人が金
当事者となる連帯保証書
融機関(保険会社
1千バーツ以下・・1バーツ
を除く)に対して印
1千バーツ超1万バーツ未
紙税を現金で納付
満・・5バーツ
課税文書の種類
納付条件
1万バーツ超・・10バーツ
23.
28.(b)
課税文書の写 課税文書の副本または写本で、そ その原本の納税義
しまたは控え の原本にかかる印紙税が現金で納 務者が印紙税を現
付されているもの
金で納付
動産の販売に 登記の対象となる車両(中古車を
かかる受領証 除く)の販売、買戻し条件付販売、
分割払いによる販売または所有権
の移転にかかる領収書で、売主ま
たは貸主が法人であるもの
その車両の登記前
もしくは登記日に
印紙税を現金で納
付
帆船、排水量6トン以上の船舶およ
び汽船、排水量5トン以上のモー
ターボートの販売にかかる領収書
販売日前もしくは
販売日の翌日から
15日以内に印紙
税を現金で納付
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契約当事
者
原本の印紙税が5バーツ以
下・・1バーツ
原本の印紙税が5バーツ超・・
5バーツ
発行者
受領証の金額の0.5%
27
印紙税法の改正 (4)

印紙税法の改正ではないが、2016年5月に以下の趣旨の歳入局ガイドラインNo.Paw.153/2559
が公布されており、税務調査はこのような見解に従って実施されることから、注意が必要である。
(ケース1)
①見積書の送付(諸条件の記載あり)
見積書
修理業者
タイ国内法人
見積書
サイン
②承諾の署名をして返送
印紙税の税率表No.4の請負契約書
として見積書に記載金額の0.1%の
印紙税の納付を要求
歳入局の見解 : 契約書というかたちをとっていなくと
も、双方の当事者が書面にて諸条件に合意していれ
ば、課税文書とみなす
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28
印紙税法の改正 (5)
(ケース2)
①見積書の送付(諸条件の記載あり)
見積書
修理業者
タイ国内法人
発注書
サイン
②発注書に署名をして送付
印紙税の税率表No.4の請負契約書
として見積書に記載金額の0.1%の
印紙税の納付を要求
歳入局の見解 : 契約書というかたちをとっていなくと
も、双方の当事者が書面にて諸条件に合意していれ
ば、課税文書とみなす
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印紙税法の改正 (6)
(ケース3)
①数年前に請負契約を締結
(契約書に印紙を貼り付け)
印紙
請負契約書
報酬総額
900,000 Baht
②当該請負契約について追加
業務が発生し、覚書を締結
覚書
追加報酬
200,000 Baht
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報酬の総額が1百万バー
ツを超えるため、追加報
酬の20万バーツ分につい
ては、歳入局へオリジナ
ルの契約書及び覚書を持
参のうえ、現金で印紙税
を納付する必要あり
30
その他のアップデート
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31
法人税の税率

20%の法人税率は、これまで勅令(Royal Decree)に基づく時限立法によるものでしたが、このた
び歳入法に定める税率が30%から20%に改正されたことにより、2016年1月1日以降に開始する
事業年度より20%の法人税率が恒久的に適用されることになりました。
事業年度

税率
備考
2011年度以前
30%
歳入法で定める税率は30%
2012年度
23%
2013年度及び2014年度
20%
勅令No.555により、2014年度までの時限立法として、段階的
な軽減税率が適用
2015年度
20%
勅令No.577により、2015年度まで20%の適用を延長
2016年度以降
20%
歳入法で定める税率を30%から20%に改正、2016年度以降、
恒久的に20%が適用
2016年5月の官報にて勅令No.603が公布され、中小企業(各事業年度の末日における払込資本
金が500万バーツ以下、かつ、各事業年度の売上収益が3,000万バーツ以下の法人)の2015年1
月1日以降に開始する事業年度については、以下の軽減税率が適応されます。
事業年度
2015年度及び2016年度
2017年度以降
課税所得
税率
30万バーツ以下
0%
30万バーツ超
10%
30万バーツ以下
0%
30万バーツ超 300万バーツ以下
10%
300万バーツ超
20%
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32
個人所得税の税率
2016年2月の官報にて勅令No.600が公布され、以下の個人所得税の税率が2016年12月31日ま
で延長して適用されることになりました。

課税所得(バーツ)

税率
0
~
150,000
0%
150,001
~
300,000
5%
300,001
~
500,000
10%
500,001
~
750,000
15%
750,001
~
1,000,000
20%
1,000,001
~
2,000,000
25%
2,000,001
~
4,000,000
30%
4,000,001
~
2017年以降は
2,000,001 ~ 5,000,000 : 30%
5,000,001 ~
: 35%
となる見込み(下記参照)
35%
2016年4月に2017年以降の個人所得税の減税に関する法案が閣議で承認されました。本法案に
おける主な変更点は以下の通りです。
2016年まで
2017年以降
課税所得の40%(6万バーツが限度)
課税所得の50%(10万バーツが限度)
基礎控除
3万バーツ
6万バーツ
配偶者控除
3万バーツ
6万バーツ
子供1人につき1.5万バーツ
(合計3人が限度)
子供1人につき3万バーツ
(人数制限なし)
子供1人につき2千バーツ
廃止
400万バーツ超の課税所得
500万バーツ超の課税所得
項目
給与所得の経費控除
扶養控除
教育費控除
累進税率の最高税率(35%)が
適用される課税所得
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33
付加価値税(VAT)の税率

現在のVATの7%の税率は、勅令No.592によるもので、2016年9月30日までの時限立法となって
おります。

歳入法で定めるVATの税率は10%ですが、過去から勅令によって軽減税率(7%)の適用を延長
するかたちで運用されてきました。

現時点で2016年10月1日以降の税率は未定で、今後、新たな勅令が公布されなければ、2016年
10月以降のVATの税率は10%となります。
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34
固定資産税の導入

2016年6月7日の閣議にて、以下の固定資産税の法案が承認されました。この固定資産税は、こ
れまでの土地・家屋税及び地方開発税に代わって、早ければ2017年中に施行される見込みです。
課税対象
1
農業用地
2
宅地・住宅
(現行)土地・家屋税及び地方開発税
(新)固定資産税
納税義務者 = 不動産の所有者
納税義務者 = 不動産の所有者
土地・家屋税(年間賃料相当x 25%)の
対象
評価額 x 0.2%を上限
所有者の
居住用
N/A
評価額が5千万バーツ以上の
場合は、評価額 x 0.5%を上限
賃貸物件
土地・家屋税(年間賃料相当x 25%)の
対象
(2軒目以降は評価額が5千万
バーツ未満でも課税あり)
土地・家屋税(年間賃料相当x 25%)の
対象
評価額 x 2%を上限
地方開発税の対象
評価額 x 5%を上限
3
商業用地・商業施設
4
更地
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