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2 生鮮果実 - 日本アセアンセンター

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2 生鮮果実 - 日本アセアンセンター
A-2. 生鮮果実
2 生鮮果実
1. 日本のマーケット事情
(1) 品目の定義
熱帯果実、温帯果実、かんきつ類の果実などの代表的な種類。ただし、冷凍・乾燥・缶詰・加工果実を含まない。貿易
統計上の分類及びHS番号は以下のとおりである。
品目名
バナナ
パイナップル
アボカド
マンゴー
グアバ、マンゴスチン
オレンジ
グレープフルーツ
レモン
ライム(キトルス種)
ライム(その他のもの)
ぶどう
すいか、メロン
パパイヤ
りんご
さくらんぼ
キウイフルーツ
ドリアン
ランブータン、パッションフルーツ、
レイシ及びごれんし
HS番号
0803.00-100
0804.30-010
0804.40-010
0804.50-011
0804.50-019
0805.10-000
0805.40-000
0805.50-010
0805.50-090
0805.90-020
0806.10-000
0807.11-000、19-000
0807.20-000
0808.10-000
0809.20-000
0810.50-000
0810.60-000
0810.90-210
なお、本稿では、熱帯果実(バナナ、パイナップル、アボカド、マンゴー、グアバ、マンゴスチン、パパイヤ、ドリアン、ラ
ンブータン、パッションフルーツ、レイシ及びごれんし)、温帯果実(ぶどう、すいか、メロン、りんご、さくらんぼ、キウイフ
ルーツ)、かんきつ類(オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム)と分類する。また、統計分類上、かんきつ類の数値
には乾燥果実の数値を含む。
(2) 市場動向
日本における果実(果実加工品を含む)の消費量は、主要果実であるみかん、りんごの生産量の変動から増減はある
ものの、近年はおおむね横ばいに推移している。2005年度の1人当たり年間消費量は43.1kgと、5年前に比べて3.9%
増となっている。(⇒図表1)果実全体の供給数量のうち果実加工品、なかでも輸入品は増加傾向にあるが、生鮮果実
の占める割合は減少しており、日本園芸農業協同組合連合会の推計によると、生鮮果実の割合は、1995年は64%で
あったが2004年は51%に減少している。生鮮果実を食べるには皮や種などを取り除く手間がかかるため、若年層を中
心とした食の簡便化志向の強まりによる果実離れの進行が、要因として考えられている。一方で、健康への関心が高ま
る中高年齢層になると、健康に良いと言われる果実を意識的・積極的に摂取する傾向も見られる。
また、FAO(国連食糧農業機関)のバランスシートによると、日本における果実消費量は中国やロシア等よりは多いも
のの、欧米と比較した場合はおよそ2分の1程度の低い水準にある。欧米諸国では果実が日頃の食生活に定着し、食事
の一部として消費されることが多いのに対し、日本では果実は嗜好品としての性格が強く、消費量が少ない状況にあ
る。
図表1 果実および果実加工品の国内生産量・消費量の推移
1人当たり供給数量(kg)
国内生産量(千トン)
指数(2000年=100)
指数(2000年=100)
1990
38.8
4,895
93.5
127.2
1995
42.2
4,242
101.7
110.3
2000
41.5
3,847
100
100
2001
44.3
4,126
106.7
107.3
2002
42.0
3,893
101.2
101.2
2003
39.8
3,674
95.9
95.5
2004
41.5
3,457
100
89.9
2005
43.1
3,708
103.9
96.4
出所:食料需給表(数値は年度集計(4月~翌年3月)による。2005年は概算値。
)
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
23
A-2. 生鮮果実
国内での果実生産状況を見ると、果実の栽培面積(結果樹面積)は23万2,800ha(2004年)と、ピークであった1974
年の37万9,700haと比較すると4割近く減少している。果樹園の多くが傾斜地に立地し、収穫等機械化が困難な作業が
多いことや、後継者不足、高齢化の進展による担い手の減少等によって、果実の生産基盤の脆弱化が見られる状況と
なっている。2005年度の国内生産量は370万8千トンで、5年前に比べて3.6%減、同じ表年(注)である4年前と比べると
10.1%減である。日本では、果実の大きさ、果肉の成熟、着色、果形及び糖度、酸度など、品質を重視した果実生産が
行われていることが特徴である。南北に続く中山間地域の多い日本列島では、寒冷地果樹のりんご、さくらんぼから、温
帯果樹のぶどう、なし、もも、暖地果樹のかんきつ類、びわ、熱帯果樹のパイナップル、マンゴーまで、多様な果実が生
産されている。
注)温州みかん等のかんきつ類は1年ごとに結果数の多い年と少ない年を繰り返す「隔年結果」という性質を持ち、
結果数の多い年を「表年」、少ない年を「裏年」と呼ぶ。
一方、生鮮果実の輸入は、品目を多様化させながら、順調に輸入量を伸ばしてきた。1970年頃まではバナナが輸入
果実の8割以上を占めるバナナ集中型の輸入構造であったが、その後グレープフルーツを筆頭にかんきつ類が増加し
て、バナナ・かんきつ類を中心とした多品目型へと変化した。その結果、国産果実の多くの品目が輸入果実との競争に
さらされることとなり、りんご、さくらんぼ、温州みかんなどは、外観や品質上の優位性を生かして輸入果実に対抗できる
差別化を行って需要を確保している。
国内施策としては、果物の健康機能性を普及啓発し消費拡大につなげていく「毎日くだもの200g運動」が推進されて
いる。また、温州みかんとりんごについては、需給調整対策によって計画的な生産・出荷を図ると共に、それでも価格が
大きく変動した場合には、計画的生産に取り組む生産者を対象に経営安定対策が行われている。さらに、みかん等(温
州みかん、なつみかん、はっさく、いよかん、ネーブルオレンジ)から、国産果実の端境期需要(4~6月)に対応した優
良晩かん類等(不知火、せとか、はるみ、あまか等)への転換を推進すること、販売サイドと連携して「旬」や「品質の良
さ」等を強調するため、品質管理の高度化によるブランド化を推進することなどが唱えられている。
生鮮果実市場では、近年、食の簡便化志向によって、スーパー等では生鮮果実をそのまま食べられるようにしたカット
フルーツが販売され、数種類のカットフルーツを彩り良く盛り合わせたセットが、割高でも手軽に少しずついろいろな果
実を食べたいという需要に応えて人気がある。パパイヤ、マンゴー、キウイフルーツなどが色合いと高級感からカットフル
ーツセットに取り入れられ、今まで食べたことのなかった消費者層に広がっている。また、輸入・国産を問わず、糖度が
高く手軽に食べられる品種の人気が高まっている。甘みが強いものをおいしいと評価する傾向が強まり、スーパーでは
店頭で果実の糖度を表示したり、試食販売を積極的に行ったりしている。
また、最近の果実市場では熱帯果実が注目を浴びている。バナナ、パイナップルに加え、アボガド、マンゴー、パパイ
ヤ、ドリアンなど従来あまり馴染みのなかった果実が、スーパーやコンビニエンスストアなど多様な店舗で購入できるよう
になり、その消費も伸びている。特にマンゴーは、外食店やコンビニでマンゴーを使ったデザート商品が普及し、割高な
イメージは薄れて、スーパーでは食品売り場に欠かせない商品となっている。高級食材を扱う食料専門スーパーでは、
スターフルーツ、ドラゴンフルーツ、キワノ、ランブータン、チェリモヤ、マンゴスチンなど様々な熱帯果実がコーナーを埋
める光景も見られる。
以下に、品目ごとの商品特性を記す。
① バナナ
バナナは、植物防疫法に基づき、青い成熟していない状態で輸入され(主要輸出国のフィリピン、台湾からの成熟バ
ナナは輸入禁止)、室(むろ)に入れて追熟加工してから販売される。輸入される品種は、キャベンディッシュまたはそ
の改良品(グランエナーノなど)がほとんどで、一部にいわゆるモンキーやモラド(赤色)なども輸入されている。近年、
バナナの栄養価が見直され、マスコミ等に取上げられたことから消費量が伸び、輸入増加の要因となった。手軽さ、
身近さ、健康志向などに加え、高糖度系バナナ等品揃えが増えたことから、バナナの輸入は今後も堅調に推移する
とみられている。輸入時期はフィリピン、エクアドル産が周年、台湾産が2月~9月である。
② パイナップル
パイナップルの輸入品種はスムース・カイエン種が中心で、一部には台湾産クイーン系品種で、手でちぎって食べ
られる「スナックパイン」と呼ばれているものもある。パイナップルは、バナナ等と異なり収穫すると熟成が止まるため、
甘くなるまで畑で育てられ出荷される。近年は甘味に優れたフィリピン産ゴールデンパインが開発され、需要が伸びて
いる。完熟系の高糖度パイナップルが消費者に認知されてきたこと、硬い皮をむかなくても食べられるカット加工品の
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
24
A-2. 生鮮果実
販売が好調であることなどから、輸入は堅調に推移するとみられている。パイナップルはフィリピン産が周年、台湾産
が3月~7月に輸入されるが、近年はフィリピン産にほぼ集中している。
③ パパイヤ
植物防疫法によりパパイヤの輸入が禁止されている地域の中で、輸入解禁(条件付)されているのは、米国(ハワ
イ)産とフィリピン産のソロ種、台湾産のソロ種および台農二号種である。日本への輸入はほとんどがフィリピン、ハワイ
産で周年輸入されている。低価格なフィリピン産が船便で輸入されるようになったことが、近年の需要拡大に寄与して
いる。パパイヤは肉の消化を助ける消化酵素パパインを含んでおり、外食産業でのデザートメニューやカット加工品
の普及によって知名度が上がっている。
④ マンゴー
主な輸入品種は、メキシコなどから輸入されるケイト種、ヘイデン種、トミーアトキンス種(以上は果皮が赤みを帯びて
いることからアップルマンゴーと呼ばれる)と、フィリピンから輸入されるマニラスーパー種(果皮が黄色いのでペリカン
マンゴー、ゴールデンマンゴーと呼ばれる)が代表的である。他にオーストラリア、ハワイ、タイ、台湾などからも輸入さ
れており、2004年9月からはブラジル産のトミーアトキンス種、2006年6月からはインド産のアルフォンソ種、ケサー種、
チョウサ種、バンガンバリ種、マリカ種、およびラングラ種が輸入解禁(条件付)された。輸入時期は、台湾産が6~7月、
フィリピン産が周年、オーストラリア産が10~3月、メキシコ産が3~9月、タイ産が4~7月である。
⑤ アボカド
アボカドの輸入品種はほとんどがハス種である。9割以上がメキシコ産で周年輸入されており、一部が米国、ニュー
ジーランド、チリからも輸入されている。アボカドには多くの栄養素が含まれており、特に脂肪分が豊富なことから「森
のバター」とも称されているが、その大部分は悪玉コレステロールを増さない不飽和脂肪酸であるため、健康的な果
実として消費者の認知度が高まり、輸入が増加傾向にある。
⑥ その他の熱帯果実
生鮮の熱帯果実の多くは、植物防疫法によって東南アジアからの輸入が原則として禁止され、条件付で輸入解禁
されている。(⇒3.(1)輸入時の規制・手続き)その他の熱帯果実としては、レイシ(ライチ)が台湾や中国から輸入され
ているほか、ドリアン、チェリモヤ、パッションフルーツなど多種類が少量輸入されている。2003年4月からはタイ産の
マンゴスチンが輸入解禁(条件付)された。
⑦ グレープフルーツ
グレープフルーツは、国内生産はほとんど無く、米国フロリダ産とカリフォルニア産が主力で、端境期には南アフリ
カ産やイスラエル産が輸入されている。果肉の色によって、白肉種(ホワイト)と赤肉種(ルビー)に大別される。白肉種
の代表品種はマーシュシードレスで、赤肉種にはトムソンピンク、レッドブラッシュ、フォスターシードレスなどがある。フ
ロリダ産は11~4月、カリフォルニア産は5~10月に輸入される。なお、最近では、2004年にフロリダ州を襲ったハリケ
ーンのためにグレープフルーツが品薄となった影響で、代替商材としてカリフォルニア産のオロブランコ(グレープフ
ルーツと文旦の交配種、イスラエル産はスィーティーと呼称)などが注目を浴びた。
⑧ オレンジ
オレンジは大別すると、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、ブラッドオレンジに分けられる。国内ではネーブル
オレンジが栽培されている。輸入されるオレンジの大半はアメリカ産で、冬場がネーブルオレンジ、夏場がバレンシア
オレンジである。ブラッドオレンジは赤いアントシアニン色素を含み、果肉の色が暗赤色であることからブラッド(血)と
名付けられている。バレンシアオレンジはカリフォルニア産が中心で、夏場のものは、「リグリーニング」といって、いっ
たんオレンジ色になった皮に葉緑素が現れることがあるが、緑色がかっていても完熟している。2005年3月からイタリ
ア産タロッコ種のスウィートオレンジ(ブラッドオレンジの1つ)が輸入解禁(条件付)されている。
⑨ レモン・ライム
レモンは、主として飲料用や調味料用、香料原料用として用いられる。アメリカ・カリフォルニア産が主力であるが、端
境期の9~10月や夏場の需要期には、アリゾナ産や南アフリカ産、チリ産も輸入される。ライムは外観、用途ともにレモン
に似ており、ほとんどがメキシコ産である。
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
25
A-2. 生鮮果実
⑩ キウイフルーツ
輸入されているのはニュージーランド産が中心である。国内でも栽培されているヘイワード種は果肉が緑色である
が、最近人気のゴールド・キウイは果肉が黄色く、甘味が強いのが特徴である。キウイフルーツのビタミンCは、1個食
べると1日に必要なビタミンCの7割がまかなえるほど豊富である。輸入時期は、ニュージーランド産が4~12月、米国
産が11~4月である。
⑪ さくらんぼ
輸入されているさくらんぼのほとんどは、米国産である。ビング種はアメリカンチェリーの主力品種で、果皮は濃い
赤紫色で果肉も濃紅色、ダークチェリーとも呼ばれ、果肉は硬めで甘味が強い品種である。レーニア種は日本のさく
らんぼに似た赤黄色の果皮で果肉がやわらかく、ブルックス種はビングとレーニアを掛け合わせた早世品種で、甘味
は一番とも言われる。5月上旬から6月にかけて輸入されている。
⑫ ぶどう
輸入されているぶどうは、チリ産(品種:トンプソンシードレス、フレームシードレス、リベール、アルメリア、エンペラー、
ブラックシードレス、ルビーシードレス、レッドグローブおよびレッドシードレス)および米国産(品種:エンペラー、アル
メリア、リベール、トンプソンシードレスおよびキャデナル)が多い。輸入時期はほぼ周年であるが、米国産は10~12
月、チリ産は2~5月ごろが輸入の最盛期である。
(3) 日本の流通・取引慣行
生鮮食品の流通においては、卸売市場(卸売業者、仲卸業者)が流通の中核となっている。(⇒A-1.生鮮・冷凍野菜)
卸売市場については、2004年6月に卸売市場法の改正が行われ、生産、消費の両サイドからの期待に応えられる「安
全・安心」で「効率的」な流通システムへの転換が図られている。また、消費者の安全・安心志向に対応し、食品流通業
者は食品の情報を提供する必要性を感じており、青果物に対するトレーサビリティ・システム(注)の導入も進められてい
る。
注)
トレーサビリティとは、生産、処理・加工、流通・販売等の各段階で食品の仕入先、販売先、生産・製造方法などを記録、
保管し、食品とその情報を追跡し、さかのぼることができることをいう。トレーサビリティ・システムとはトレーサビリティのため
の「識別」、「データの作成」、「データの保管」、「データの照合」を行う一連の仕組みをいう。
輸入果実の流通経路は、輸入業者→中央・地方の卸売市場にある青果会社(卸売業者)→仲卸業者→小売店→消
費者というルートが一般的で、果物小売店、野菜小売店、スーパー、百貨店、フルーツパーラー等で扱われている。卸
売市場での「セリ(競り)」取引は独特の取引形態で、売り手と買い手(複数)が公開のもと互いに値段を競い合い、最も
高い値をつけた買い手に販売していく方法である。当日出荷された果実は卸売業者(荷受人)によってセリにかけられ、
仲卸業者または売買参加者(仲卸業者と同じ立場で卸売業者から直接買い入れることが可)に取引きされた後、小売店
へ販売される。しかし最近は、消費の多様化や流通の迅速化の要求により、従来からのセリの他、「相対(あいたい)売
り」によって取引きされることも多い。相対売りとは、信頼の上、1人の売り手と1人の買い手が話し合いで取引きする方法
で、今後さらに相対売りによる販売の割合は増えるとみられている。
果実によっては専門卸商から小売店へ、または輸入商社から直接に加工業者へ流れるものも相当部分を占める。生
鮮果実の輸入増大は、卸売市場を経由しない流通形態(市場外取引)の増加をもたらしており、輸入果実を取り扱う多
国籍企業や商社では、卸売業者を系列化、組織化しながら、大型スーパーとの直接取引を拡大させる傾向も見られる。
農林水産省の調べによれば、生鮮果実の卸売市場経由率は、1989年では78%であったが、2003年では54.0%に減
少している。
また、農林水産省の調査(2003年食品流通構造調査)から、業種別による仕入先の傾向を見ると、食品製造業におけ
る生鮮果実の仕入量は、国産生鮮果実では産地段階(生産者、集出荷団体等)からの仕入割合が69.2%と最も高くな
っているのに対し、輸入生鮮果実については、商社からの仕入割合が81.0%と最も高い。食品小売業においては、国
産・輸入とも卸売市場の仲卸業者からの仕入割合が最も高く、国産は54.5%、輸入は43.5%である。外食産業におい
ては、食品小売業からの仕入割合が最も高く、国産は32.9%、輸入は27.6%である。食品卸売業においては、国産で
は産地段階からの仕入割合が50.6%と最も高く、輸入では商社からの仕入割合が60.7%と最も高くなっている。
なお、2004年6月の卸売市場法の改正によって、2005年4月からは、卸が仲卸を経由せず直接小売や外食産業に
供給する「第三者販売」や、仲卸が産地から直接仕入れる「直荷引き」が、一定の条件のもとで認められている。また電
子商取引の場合は、卸売市場に現物を入荷することなく卸売りを行うことが認められ、産地から直接小売業者に出荷す
ることも可能となった。さらに2009年4月からは、現在は全国一律に水準が定められている卸売業者の卸売手数料が弾
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
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A-2. 生鮮果実
力化される。このような規制緩和により、卸売市場における卸と仲卸、各地の卸売市場間の競争が本格化し、流通の多
様化・効率化が進むものと期待されている。
政府は、産地自らが果実専門店、量販店等多様な販売形態に則して果実の品質や出荷形態を見直す取り組みを進
めている。特に、卸売市場法の改正に対応して、流通業者、販売業者等との連携のもとでブランド品等を活用しつつ、
多様化する流通ルートを活用した積極的な販売に取り組んでいる。また流通コストの削減を図るため、現行の外観を重
視した果実の全国標準規格の廃止を含め、生産出荷団体による果実の出荷規格の見直しを検討している。
図表2 生鮮果実(輸入品)の流通経路
海 外 生 産 者
輸入業者(柑橘類他)
輸入業者(バナナ)
(中央卸売市場)
市場外
卸売業者
卸売業者
専門卸
小売店
仲卸業者
配荷業者
青果会社
加工業者
卸売市場経由
(中央・地方)
(卸売業者)
小売店
(市場売買参加者)
小売店
国産果実の流通は生産者(農家)の所属する農業協同組合を通じて卸売市場に出荷される。その後の流通
経路は輸入品と基本的に同じである。
図表3 生鮮果実(国内産)の流通経路
生 産 者
出荷団体
(農業協同組合)
集出荷
業者
産地集荷市場
卸売業者 (委託集荷)
(セリ、入札)
地方市場等
売買参加者
(大口需要者)
(セリ、入札)
仲卸業者
(買付、相対売)
小売業者
小売業者
小売業者
売買参加者
(小売業者等)
(中央卸売市場)
消費者
消費者 (需要者)
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A-2. 生鮮果実
2. 貿易動向
(1) 日本の輸入動向
日本は1960年1月のプルーンを皮切りに生鮮果実の輸入自由化を進め、1991年の生鮮オレンジ、1992年のオレン
ジ果汁を最後に、全ての生鮮果実、果実加工品が自由化されている。
近年における生鮮果実の輸入は、バナナとグレープフルーツの主要2品目で、金額ベースで全体の5割以上、数量
ベースで7割以上を占める輸入構造となっている。(⇒図表5)2001年には一時期の健康ブームから増加していたバナ
ナの消費量が平年並に戻ったことなどから生鮮果実全体の輸入額が落ち込んだものの、その後は1,600億~1,700億
円台で安定して推移している。(⇒図表4)2004年8月に米国フロリダ州を襲ったハリケーン被害による収穫減少で、グレ
ープフルーツの品薄状況が続いたことなどにより、2005年の生鮮果実の輸入は、1,649.2億円(前年比3.9%減)、179
万320トン(前年比2.5%減)となった。
【熱帯果実】
バナナは日本に輸入される生鮮果実の中では金額、数量とも最も多い品目であり、生鮮果実全体の輸入の増減はバ
ナナの変動による場合が多い。2005年におけるバナナの輸入は、647億円(前年比1.5%増、シェア39.2%)、106万
6,873トン(前年比4%増、シェア59.6%)と、前年に引き続き堅調な伸びを見せている。台湾産は前年の台風により収穫
が減少、主力のフィリピン産も作柄に不安があったが、かんきつ類の品薄をみた商社が日本向け輸出量を増やす動き
等が見られた。甘みが強く水分が少ないバナナは、夏場は需要が落ちるが、気温低下に伴い引き合いが強まる傾向が
ある。
パイナップルは、熱帯果実の中でも長い歴史のある定番フルーツである。従来のものより甘味の強い品種が開発され
たことや手軽に食べられるカット加工品の販売などにより、輸入は増加傾向で推移している。2005年における輸入は98
億円(前年比6.5%増)で、過去最高を記録した1986年の109億円には及ばないものの最近10年間では過去最高とな
っている。アボカドも2003年に栄養価の高い健康食品としてメディアに紹介されて以降、消費が拡大し、66.4億円(前
年比5.9%増)と過去最高を記録している。マンゴーは、特に2003年、2004年の伸びが大きく、2005年も数量では1.6%
減となったものの、44.6億円(前年比8%増)と堅実な伸びを見せている。パパイヤは、フィリピン産の一部が植物防疫法
によって輸入禁止となっているため減少傾向にあり、12億円(前年比11.8%減)であった。
【かんきつ類】
健康志向の高まりや、カクテルなどの業務用需要の拡大によって増加していたグレープフルーツ、レモン、ライムの輸
入は、2003年頃より頭打ちとなり、減少傾向を示している。グレープフルーツは、かんきつ類の中で最も輸入が多く、生
鮮果実全体でみても2番目に多い品目である。前年に米国フロリダ州を襲ったハリケーンの影響を受け、主力であるフロ
リダ産の輸入量が減少していたため、2005年の輸入は213.8億円(前年比23.3%減)、20万5,961トン(前年比28.6%
減)と大幅に減少、平均単価は上昇した。レモンは98.2億円(前年比6.0%減)、ライムは9.4億円(前年比1.0%増)とな
っている。
一方、オレンジは、米国カリフォルニア州や欧州産地での作柄が悪かったことにより世界的に品薄感があったが、
2005年の輸入は114.9億円(前年比4.6%増)と、増減を繰り返しながらも安定的に推移している。
【温帯果実】
キウイフルーツは、2005年は170.9億円(前年比4.2%減)、5万9,435トン(前年比4.1%減)と頭打ちとなったものの、
2001年の輸入額と比較すると83.2%増と輸入が急増している。糖度の高いゴールドキウイの認知度・人気が高まってお
り、今後も堅調な需要が見込まれる。さくらんぼの2005年の輸入は、有力産地の米国カリフォルニア州が豪雨にみまわ
れ減産となった影響もあり、104.9億円(前年比2.4%減)と4年連続で減少した。メロン・すいかは40.4億円(前年比
15.4%減)、ぶどうは21.9億円(前年比15.7%減)といずれも減少している。一方、りんごは、植物防疫法によって特定
国からの輸入に限られており、2005年は3,200万円(前年比761.8%増)と盛り返したものの低水準にとどまっている。
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
28
A-2. 生鮮果実
図表4 生鮮果実の輸入の推移
[輸入総額の推移]
[品目別輸入金額の推移]
(百万円)
(百万円)
70,000
200,000
60,000
150,000
バナナ
50,000
40,000
100,000
グレープフルーツ
30,000
20,000
50,000
キウイフルーツ
10,000
0
0
2001
2002
2003
2001
54,801
7,154
3,031
3,093
1,997
719
2
27,330
13,083
13,466
1,083
9,327
12,783
3,799
2,475
295
154,438
バナナ
パイナップル
アボカド
マンゴー
パパイヤ
ランブータン等
グアバ・マンゴスチン
ドリアン
グレープルーツ
オレンジ
レモン
ライム
キウイフルーツ
さくらんぼ
メロン・すいか
ぶどう
りんご
合計
単位:金額=百万円、数量=トン
2004
2002
65,028
7,697
3,160
3,150
1,901
710
123
29,443
10,912
14,613
1,111
13,230
11,920
3,784
2,344
28
169,154
2005
2001
(年)
金 額
2003
62,851
7,465
5,752
3,541
1,316
239
341
128
26,759
11,117
11,270
1,008
13,974
11,213
4,026
2,246
26
163,274
2004
63,746
9,201
6,274
4,127
1,357
413
247
122
27,881
10,983
10,441
929
17,841
10,749
4,774
2,591
4
171,679
2002
2003
2004
2005
(年)
数 量
2005
2001
2002
2003
2004
2005
64,706
990,554
936,272
986,643 1,026,014 1,066,873
9,800
118,344
122,871
122,690
142,281
155,426
6,641
10,821
13,648
23,973
28,991
28,150
4,459
8,892
8,875
10,307
12,336
12,139
1,198
6,869
6,606
3,986
4,763
4,075
337
1,601
1,452
332
891
654
196
9
381
321
238
111
377
417
367
338
21,383
268,650
284,687
274,328
288,510
205,961
11,493
126,203
103,873
117,087
112,937
115,433
9,815
84,321
88,193
87,974
82,536
76,686
939
2,256
2,406
2,260
2,213
2,208
17,089
39,564
48,311
49,712
61,955
59,435
10,493
17,031
14,162
14,526
13,941
12,363
4,041
34,783
35,728
39,025
44,694
39,262
2,185
11,511
11,837
12,751
13,873
10,955
32
2,339
120
108
18
124
164,918 1,723,747 1,679,415 1,746,500 1,836,642 1,790,320
出所:財務省「貿易統計」
図表5 2005年における生鮮果実の品目別輸入動向
金 額
64,706
金額ベース
構成比
39.2%
前年比
101.5
数 量
1,066,873
数量ベース
構成比
59.6%
前年比
104.0
グレープルーツ
21,383
13.0%
76.7
205,961
11.5%
71.4
97
キウイフルーツ
17,089
10.4%
95.8
59,435
3.3%
95.9
288
288
オレンジ
11,493
7.0%
104.6
115,433
6.4%
102.2
97
100
さくらんぼ
10,493
9,815
6.4%
6.0%
97.6
94.0
12,363
76,686
0.7%
4.3%
88.7
92.9
771
127
849
128
バナナ
レモン
パイナップル
平均単価
2004年
2005年
62
61
104
9,800
5.9%
106.5
155,426
8.7%
109.2
65
63
アボカド
6,641
4.0%
105.9
28,150
1.6%
97.1
216
236
マンゴー
4,459
2.7%
108.0
12,139
0.7%
98.4
335
367
メロン・すいか
4,041
2.5%
84.6
39,262
2.2%
87.8
107
103
ぶどう
2,185
1.3%
84.3
10,955
0.6%
79.0
187
199
パパイヤ
1,198
0.7%
88.2
4,075
0.2%
85.6
285
294
ライム
939
0.6%
101.0
2,208
0.1%
99.8
420
425
ランブータン等
337
0.2%
81.7
654
0.0%
73.4
463
515
グアバ・マンゴスチン
196
111
0.1%
0.1%
79.4
90.5
238
338
0.0%
0.0%
74.1
92.3
768
333
823
326
32
0.0%
861.8
124
0.0%
706.8
215
262
164,918
100.0%
96.1
1,790,320
100.0%
97.5
93
92
ドリアン
りんご
合 計
単位:金額=百万円、数量=トン、前年比=%、平均単価=kgあたり円
出所:財務省「貿易統計」
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
29
A-2. 生鮮果実
(2) 対日輸出国別内訳及びASEANのポジショニング
生鮮果実は、生産地および植物防疫上の制約から対日輸出国が特定国に限定されやすく、また大手輸出企業の生
産出荷体制なども影響して、1ヵ国で80~90%を超えるシェアを得ている品目が多い。2005年は、全体としてはバナナ、
パイナップルなどで1位を占めるフィリピンからの輸入が、679.8億円(シェア41.2%)、110万5,647トン(シェア61.8%)
で1位を占めている。次いで、かんきつ類(グレープフルーツ、オレンジ、レモン)を中心とする米国が427.8億円(同
25.9%)で2位を占める。以下、キウイフルーツで1位を占めるニュージーランド(同10.1%)、アボガド、メロン・すいかで1
位を占めるメキシコ(同7.2%)、グレープフルーツで強みを見せた南アフリカ(同4.5%)が続く。(⇒図表6)
なお、気象条件等から、ASEANから輸入されているのは熱帯果実である。ASEANの占めるシェア(41.7%)のほとん
どはフィリピンによるもので、残りはタイ(0.5%)が占めている。(⇒図表8)
【熱帯果実】
品目別に見ると、バナナはフィリピン産が86.8%と圧倒的なシェアを有し、第2位のエクアドル(シェア8.5%)との差が
ひらいている。パイナップルはほとんどがフィリピン産(同97.1%)、アボカドはメキシコ産(同95.9%)となっている。マン
ゴーはフィリピン産(同40.3%)、メキシコ産(同30.1%)が中心で、フィリピン産は18億円(前年比6.6%減)とやや減少し
たものの、メキシコ産は13.4億円(前年比29.5%増)となりシェアを伸ばした。フィリピン産のペリカンマンゴーは、1年を
通して出荷されており、価格競争力も強みである。一方、パパイヤは、2002年10月に停止されたフィリピンのダバオ産
パパイヤの輸入が2003年8月から再開され、米国ハワイ産(同58.1%)とフィリピン産(同40.7%)でほとんどのシェアを
占める。また、2003年4月からマンゴスチンのタイからの輸入が解禁されたことにより、グアバ・マンゴスチンは、ほとんど
がタイ産(同99.6%)である。なお、ドリアンは全てタイ産となっている。(⇒図表7)
【かんきつ類】
かんきつ類の主要3品目であるグレープフルーツ、オレンジ、レモンの最大対日輸出国は、いずれも米国である。前述
のとおり、有力産地である米国フロリダ州を襲ったハリケーンの影響もあって、2005年の米国からの生鮮果実の輸入額
は427.8億円まで落ち込んでおり、2001年と比較すると28.3%減となっている。(⇒図表6)特にグレープフルーツの米
国からの輸入額は134.9億円(前年度比33.5%減)となり、シェアも63.1%に落ち込む一方、その代替として南アフリカ
産が63.5億円(シェア29.7%)、イスラエル産が11.5億円(同5.4%)と増加した。米国はオレンジで75.9%、レモンで
77.2%のシェアを占め、それぞれチリが2位を占めている。ライムはほとんどがメキシコ産(同99.9%)である。(⇒図表7)
なお、米国フロリダ州は2005年11月にもハリケーンに見舞われ、2年連続で被害を受けた同州のグレープフルーツ、
オレンジの2006年の生産量は、ハリケーン被害前の2004年の半分程度にとどまると予測されている。
【温帯果実】
温帯果実の主要対日輸出国は、キウイフルーツはニュージーランド(シェア94.7%)、さくらんぼは米国(同98.9%)、メ
ロン・すいかはメキシコ(同70.6%)と米国(同18.0%)、ぶどうはチリ(同64.5%)と米国(同31.3%)と分かれている。なお、
りんごは唯一オーストラリアから3,200万円が輸入されたにすぎない。(⇒図表7)
図表6 生鮮果実の主要対日輸出国・地域
[2005 年の輸入金額構成]
[主要国からの輸入金額推移]
(百万円)
80,000
ASEAN
41.7%
フィリピン
その他
32.3%
60,000
米国
40,000
ニュージーランド
20,000
米 国
25.9%
メキシコ
0
2001
2002
2003
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
30
2004
2005
(年)
A-2. 生鮮果実
フィリピン
2004
2001
2002
2003
金 額
49,620
金 額
61,311
金 額
59,418
2005
金 額
数 量
64,767 1,018,793
金 額
数 量
平均単価
67,979
41.2% 1,105,647
61.8%
61
59,629
59,010
51,041
50,517
379,815
42,782
25.9%
261,245
14.6%
164
ニュージーランド
9,184
13,178
13,662
17,157
57,080
16,581
10.1%
56,324
3.1%
294
メキシコ
7,739
8,014
10,676
11,880
69,619
11,941
7.2%
64,955
3.6%
184
南アフリカ
4,042
4,295
6,486
7,109
87,357
7,453
4.5%
114,525
6.4%
65
エクアドル
10,654
9,918
8,312
6,986
122,718
5,479
3.3%
91,099
5.1%
60
チ リ
5,224
5,337
4,718
5,179
39,957
4,977
3.0%
38,271
2.1%
130
台 湾
2,807
2,788
3,577
2,411
20,000
2,151
1.3%
16,712
0.9%
129
オーストラリア
1,560
1,706
1,843
1,310
7,218
1,396
0.8%
8,965
0.5%
156
4,364
34,084
4,178
2.5%
32,577
1.8%
128
171,679 1,836,642
164,918
100.0% 1,790,320
100.0%
92
米 国
3,979
3,597
3,540
合 計
( E U)
154,438
169,154
163,274
162
244
-
( ASEAN)
50,061
61,774
60,372
その他
-
-
65,674 1,022,612
-
68,830
-
-
-
41.7% 1,108,976
-
61.9%
62
単位:金額=百万円、数量=トン、平均単価=kgあたり円
出所:財務省「貿易統計」
図表7 生鮮果実の品目別主要対日輸出国・地域 (2005年、金額ベース)
バナナ
国 名
第1位 フィリピン
金 額
56,176
パイナップル
シェア
86.8%
前年比 平均単価
国 名
105.1
59 フィリピン
78.4
60 米 国
第2位 エクアドル
5,479
8.5%
第3位 台 湾
1,621
2.5%
83.9
56,349
87.1%
105.0
(ASEAN全体)
107 台 湾
60
金 額
9,516
国 名
第2位 ニュージーランド
第3位 米 国
(ASEAN全体)
1.7%
74.4
97
92
0.9%
76.9
109
9,517
97.1%
107.7
62
マンゴー
金 額
6,370
シェア
95.9%
前年比 平均単価
国 名
103.5
239 フィリピン
230.3
158 メキシコ
139
2.1%
68
1.0%
4456.3
-
-
-
300 タ イ
-
パパイヤ
国 名
シェア
58.1%
488
40.7%
8
0.7%
(ASEAN全体)
488
40.7%
国 名
金 額
195
シェア
99.6%
第2位 フィリピン
0
0.2%
第3位 メキシコ
0
0.2%
98.9
1,293
(ASEAN全体)
196
99.8%
79.7
823
国 名
金 額
13,488
シェア
63.1%
第2位 南アフリカ
6,348
29.7%
第3位 イスラエル
1,146
5.4%
-
-
第2位 フィリピン
第3位 台 湾
金 額
1,798
シェア
40.3%
1,343
30.1%
129.5
371
8.3%
115.8
389
2,170
48.7%
96.6
300
前年比 平均単価
国 名
90.0
406 中 国
86.7
210 台 湾
478 オーストラリア
86.7
210
シェア
64.7%
70
20.8%
160.9
353
34
10.1%
81.0
1,610
-
-
-
-
(ASEAN全体)
前年比 平均単価
70.0
512
ドリアン
前年比 平均単価
国 名
79.6
823 タ イ
813
金 額
111
シェア
100.0%
111
100.0%
グレープフルーツ
第1位 米 国
374
金 額
218
グアバ・マンゴスチン
第1位 タ イ
前年比 平均単価
93.4
287
ランブータン等
金 額
695
第1位 米 国
前年比 平均単価
107.8
62
170
アボカド
第1位 メキシコ
シェア
97.1%
前年比 平均単価
90.5
326
90.5
326
オレンジ
前年比 平均単価
国 名
66.5
145 米 国
106.7
66 チ リ
125.8
110 オーストラリア
-
-
金 額
8,724
シェア
75.9%
前年比 平均単価
102.5
103
1,092
9.5%
104.5
96
983
8.6%
125.3
116
-
-
-
-
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
31
A-2. 生鮮果実
レモン
国 名
第1位 米 国
ライム
金 額
7,573
シェア
77.2%
1,579
16.1%
414
4.2%
76.7
60
-
-
-
-
第2位 チ リ
第3位 南アフリカ
(ASEAN全体)
前年比 平均単価
国 名
98.4
139 メキシコ
86.7
117 米 国
金 額
938
シェア
99.9%
1
0.1%
42.6
424
-
-
-
-
キウイフルーツ
国 名
第1位 ニュージーランド
金 額
16,191
シェア
94.7%
第2位 チ リ
637
3.7%
第3位 米 国
163
1.0%
(ASEAN全体)
-
-
国 名
金 額
2,851
さくらんぼ
前年比 平均単価
国 名
96.0
298 米 国
106.6
153 チ リ
48.4
274 オーストラリア
-
金 額
10,375
前年比 平均単価
98.1
846
1.1%
66.4
1,103
1
0.0%
-
3,979
-
-
-
-
-
ぶどう
シェア
70.6%
第2位 米 国
729
18.0%
第3位 韓 国
411
10.2%
-
-
(ASEAN全体)
シェア
98.9%
116
メロン・すいか
第1位 メキシコ
前年比 平均単価
101.6
425
前年比 平均単価
国 名
84.8
99 チ リ
86.1
79 米 国
81.3
324 台 湾
-
金 額
1,410
シェア
64.5%
684
31.3%
60.1
242
38
1.8%
93.8
482
-
-
-
-
-
前年比 平均単価
102.4
178
りんご
国 名
第1位 オーストラリア
金 額
32
シェア
100.0%
-
-
前年比 平均単価
1011.2
262
第2位
第3位
(ASEAN全体)
-
-
単位:金額=百万円、前年比=%、平均単価=kgあたり円
出所:財務省「貿易統計」
図表8 ASEANからの生鮮果実の国別/品目別輸入の推移
[金額推移]
[数量推移]
(トン)
(百万円)
80,000
61,774
60,000
60,372
65,674
68,830
1,000,000
50,061
909,006
875,639
927,365
2001
2002
2003
1,022,612
1,108,976
800,000
40,000
600,000
400,000
20,000
200,000
0
0
2001
2002
2003
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
32
1,200,000
2004
2005
(年)
2004
2005
(年)
A-2. 生鮮果実
2001
2002
金 額
2003
2004
2005
40,571
51,521
50,217
53,664
6,901
7,474
7,243
8,833
アボカド
-
-
-
-
-
-
-
マンゴー
1,773
1,872
2,187
2,247
2,170
5,857
パパイヤ
696
778
254
563
488
ランブータン等
バナナ
パイナップル
平均単価
2004
2005
56,349 783,162 744,801 797,354
871,845
946,261
2005
60
9,517 116,314 120,631 120,655
139,206
152,582
62
-
-
-
-
6,089
7,367
8,204
7,230
300
3,322
3,721
1,187
2,683
2,328
210
119
6
1
-
-
349
20
3
-
-
-
-
-
341
245
196
-
-
381
305
238
823
ドリアン
-
123
128
122
111
-
377
417
367
338
326
グレープルーツ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ライム
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
キウイフルーツ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
さくらんぼ
1
-
-
-
-
1
-
-
-
-
-
メロン・すいか
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ぶどう
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
りんご
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
50,061
61,774
60,372
65,674
68,830 909,006 875,639 927,365 1,022,612 1,108,976
62
合 計
全体でのシェア
バナナ
パイナップル
32.4%
36.5%
37.0%
38.3%
41.7%
53.1%
55.7%
61.9%
40,408
51,371
50,032
53,448
56,176 781,413 743,549 795,561
52.7%
52.1%
869,641
944,467
59
6,874
7,448
7,236
8,830
9,516 115,818 120,164 120,482
139,165
152,577
62
アボカド
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
マンゴー
1,642
1,714
1,897
1,926
1,798
5,397
5,601
6,746
7,303
6,274
287
パパイヤ
210
696
778
254
563
488
3,322
3,721
1,187
2,683
2,328
ランブータン等
0
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
グアバ・マンゴスチン
-
-
-
-
0
-
-
-
-
0
813
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
合 計
49,620
61,311
59,418
64,767
67,979 905,951 873,035 923,976 1,018,793 1,105,647
61
全体でのシェア
32.1%
36.2%
36.4%
37.7%
41.2%
52.6%
52.0%
52.9%
55.5%
61.8%
157
151
186
215
173
1,513
1,252
1,793
2,204
1,794
96
17
19
4
2
1
240
270
66
23
5
133
ドリアン
バナナ
パイナップル
アボカド
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
マンゴー
131
158
290
321
371
460
487
621
901
955
389
パパイヤ
ランブータン等
タイ
数 量
2003
2002
グアバ・マンゴスチン
ASEAN
オレンジ
合計
レモン
フィリピン
2001
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
119
6
1
-
-
349
20
3
-
-
-
グアバ・マンゴスチン
-
-
341
245
195
-
-
381
305
237
823
ドリアン
-
123
127
122
111
-
377
415
367
338
326
キウイフルーツ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
さくらんぼ
1
-
-
-
-
1
-
-
-
-
-
メロン・すいか
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ぶどう
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
りんご
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
424
457
949
905
850
2,564
2,407
3,279
3,800
3,330
255
0.3%
0.3%
0.6%
0.5%
0.5%
0.1%
0.1%
0.2%
0.2%
0.2%
合 計
全体でのシェア
インドネシア
6
-
3
-
-
236
-
102
-
-
-
マレーシア
9
7
1
1
-
255
197
2
19
-
-
ベトナム
-
-
0
-
-
-
-
5
-
-
-
シンガポール
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ミャンマー
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ラオス
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
カンボジア
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ブルネイ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
単位:金額=百万円、数量=トン、平均単価=kgあたり円
出所:財務省「貿易統計」
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
33
A-2. 生鮮果実
(3) 国内市場における輸入品のシェア
輸入果実は、国内では生産されない、あるいは生産量の少ない品目が中心であり、また、国内生産される果実は生食
だけではなく、果汁などの果実加工品にも利用されるため、生鮮果実としての輸入品のシェアは算出できない。
近年の生鮮果実の国内生産量は、みかん生産の影響から増減を繰り返し、みかんの生産量が多い表年は増え、裏年
は減少するという傾向がある。2005年度における果実の国内生産量は前年比7.3%増の370.8万トンで、その過半数が
みかん(113.2万トン)、りんご(81.9万トン)に集中している。果実および果実加工品の合計でみると、輸入品のシェアは
輸入自由化前の1989年度の33.7%から2005年度には60.1%まで上昇しており、輸入果実および果実加工品は日本
人にとって欠かせないものとなっている。
図表9 日本市場における輸入果実および果実加工品のシェア
2001
4,126
5,151
64
△33
9,246
55.7%
国内生産量
輸 入 量
輸 出 量
在庫の増減量
国内需給量
輸入品のシェア
2002
3,893
4,862
27
△52
8,780
55.4%
2003
3,674
4,757
33
36
8,362
56.9%
2004
3,457
5,353
44
5
8,761
61.1%
2005
3,708
5,437
64
40
9,041
60.1%
単位:千トン
出所:食料需給表(数値は年度集計(4月~翌年3月)による。2005年は概算値。食料需給表で対象とする
果実は、本稿とは一部異なる。)
図表10 主な国産果実の国内生産量
品 目
みかん
2004年度生産量
前年比
1,060
92.5
755
89.7
なつみかん
74
98.7
ネーブルオレンジ
14
93.3
357
102.3
りんご
その他のかんきつ類
ぶどう
206
93.2
なし
352
96.2
もも
152
96.8
さくらんぼ
16
84.2
233
87.9
パイナップル
12
109.1
キウイフルーツ
29
78.4
3
100.0
かき
熱帯果実
単位:千トン
出所:食料需給表(数値は年度集計(4月~翌年3月)による。)
3. 対日輸出における留意点
(1) 日本における輸入時の規制・手続き
生鮮果実の輸入に際しては「植物防疫法」および「食品衛生法」の規制を受ける。また、「種苗法」に基づき、登録され
た品種について育成者権をもつ権利者に許可なく収穫物又は加工品を輸入することは、原則として禁止されているの
で注意する。
1) 植物防疫法
海外からの植物の病害虫の侵入を防止するため、生鮮果実を輸入する場合には植物検疫の手続きが必要となる。
十分な植物検疫が実施できる特定の海港・空港のみが輸入港として認められており、貨物到着後、輸出国政府機関
が発行する「植物検査証明書」等の必要書類を添付して「植物、輸入禁止品等輸入検査申請書」を植物防疫所へ提
出しなければならない(申請書は輸入予定日の7日前より受付開始)。検査の結果、検疫病害虫が付着していなけれ
ば合格となり、「合格証明書」が発行され輸入することができる。
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
34
A-2. 生鮮果実
図表11 植物防疫法に基づく輸入検査 (検疫) 手続き
輸 入 検 査 の 申 請
(輸出国の植物検査証明書の添付)
輸入検査
検疫病害虫が付着している場合
検疫病害虫が付着していない場合
消毒実施
積戻し・廃棄
合 格 証 明 書
食品衛生法に基づく手続き
植物防疫法では、土のついた植物、日本に未発生の病害虫(チチュウカイミバエ、コロラドハムシ、コドリンガ等)の
生息する地域から発送され、またはその地域を経由する植物(植物防疫法施行規則別表2に掲げるもの)の輸入が禁
止されている。禁止品目は病害虫の発生地域ごとに定められており、これに該当する生鮮果実が日本に輸入された場
合、焼却処分などの措置がとられる。ただし、輸入禁止品であっても、試験研究や展示用など限られた目的を持って
行う場合は、農林水産大臣の許可を受けて、一定の条件のもとに輸入することができる。
また、輸入が禁止されている生鮮果実であっても、病害虫に対する消毒技術が確立したり、病害虫の発生していな
い地域を確立する等、病害虫の侵入を防止する措置が確立した場合には、農林水産大臣が定める消毒等の基準に
適合していることを条件に、輸入が解禁されている。詳細は、農林水産省植物防疫所のホームページを参照のこと。
(⇒英文 http://www.pps.go.jp/english/faq/import/kinshi.html)
2) 食品衛生法
販売または営業に使用する目的で食品を輸入する場合には、輸入者は「食品等輸入届出書」と必要書類(加工食
品の場合、製造工程表、原材料配合表など)を揃え、通関しようとする海空港を管轄する厚生労働省検疫所に届け出
なければならない。届出書の審査の結果、衛生検査が必要とされたものは保税地域内で検査が行われ、輸入の可否
が判定される。手続きの流れは図表12のとおりである。
生鮮果実については、主に食品添加物(防カビ剤、被膜剤、着色料など)と、残留農薬のチェックが行われる。防カ
ビ剤については使用できる果実の種類や残存量が規定され、被膜剤や着色料についても使用基準が定められている。
指定外の添加物が使われていると、焼却処分などの措置がとられるので注意が必要である。
残留農薬については、2006年5月29日、食品中に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(以下、農薬等)
が、一定量を超えて残留する食品の輸入・販売を原則禁止するというポジティブリスト制度が施行された。この制度で
は、使用、残留等が認められる農薬等について残留基準を設定し、それ以外のものについては一律基準(人の健康を
損なうおそれのない量として0.01ppmに設定)を適用することとしている。ポジティブリスト制度の対象は加工食品を含
む全ての食品で、生鮮果実も対象となる。詳細は、厚生労働省ホームページを参照のこと。
(⇒http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/index.html)
輸入時には当該食品が食品衛生法の規格基準等に適合するかどうか、検疫所の輸入相談を利用するなど十分な
情報収集が必要である。また、事前に厚生労働大臣登録検査機関あるいは輸出国の公的検査機関で自主検査を行
い、その検査成績書を添付すると、その項目についての衛生検査が省略され、輸入手続きが迅速に行われる。
な お 、 コ ン ピ ュー タ に よ る 届 出 を 希 望 す る 場 合 は 、 輸 入 手 続 き を 電 子 化 し た 「 輸 入 食 品 監 視 支 援 シ ス テ ム
(FAINS)」を利用することができる。所要のハード、ソフトを備えて厚生労働大臣に申込み、暗証番号を取得すること
が必要である。
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
35
A-2. 生鮮果実
図表12 食品衛生法に基づく輸入検査手続き
事前の輸入相談
事前の情報入手(製造方法、添加物の使用等)
事前の検査 (輸出国公的検査機関、厚生労働大臣登録検査機関)
検 疫 所 へ の 届 出
(食品等輸入届出書の提出等)
審
検査を要する貨物
不合格
査
検査を要しない貨物
合 格
届出済証または
合格証の受取り
積戻し・廃棄・
食用以外の用途
税 関 申 告
(2) 日本における販売時の規制・手続き
生鮮果実の販売に際しては「食品衛生法」「JAS法」「不当景品類及び不当表示防止法」の規制を受ける。容器包装
については「容器包装リサイクル法」および「資源有効利用促進法」の規制を受ける場合があり、対象となる容器包装、
特定事業者の範囲、表示方法など、詳細は所轄官公庁(⇒(6)所轄官公庁)に問い合わせのこと。
1) 食品衛生法
食品衛生法により、有害・有毒な物質を含有する食品や不衛生な食品を販売することが禁止されている。また、かん
きつ類やバナナについては、原則として使用したすべての添加物を容器包装に表示することが義務づけられている。
(⇒(3) 表示規制)
2) JAS 法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)
JAS法では一般消費者向けに販売するすべての飲食料品が品質表示基準の対象となっている。生鮮果実につい
ては「生鮮食品品質表示基準」に基づく表示が義務づけられる。(⇒(3) 表示規制)
3) 不当景品類及び不当表示防止法
販売する商品等の内容について、一般消費者に優良と誤認させる誇大広告や虚位表示などは不当表示として禁
止されている。また、商品の原産国を判別することが困難な紛らわしい表示も不当表示として禁止されている。
(3) 日本における販売時の表示規制
1) 法律に基づく義務表示
① JAS 法
JAS法の「生鮮食品品質表示基準」によって、生鮮果実は容器や包装の見やすい箇所や、立て札などの消費者の
見やすい場所に日本語で下記の表示をすることが義務づけられている。
① 名称
② 原産国名(一般に知られている地名でも可)
なお、単品の果実を単に切断したもの(カットフルーツ)は生鮮食品に含まれるが、複数の果実を切断した上で混ぜ
合わせたもの(カットフルーツミックス)は加工食品となるので、「加工食品品質表示基準」に従って名称、原材料名、原
料原産地(注)等を表示する。加工食品の場合は、店内処理したものを店内で販売する限りにおいては、表示は不要
である。
注) 国内でカットされたカットフルーツミックスの場合には、主な原材料(原材料に占める重量割合が50%以上のもの)の産地
を記載しなければならない。
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
36
A-2. 生鮮果実
② 食品衛生法
食品衛生法に基づき、かんきつ類、バナナを容器包装に入れて販売する場合には、原則として使用したすべての
食品添加物を容器包装の見やすい場所に表示することが義務づけられている。収穫後に防カビ剤・防ばい剤を使用
している場合には、店頭でばら売りする場合にも、売り場に表示しなければならない。
③ 資源有効利用促進法
同法に基づき、一定の容器包装については分別回収促進のための識別
表示をすることが義務づけられている。紙やプラスチック製包装材を使用し
た場合、容器包装の1ヵ所以上に決められた様式で識別マークを表示する
必要がある。
2) 法律に基づく任意表示
① JAS 法
<有機農産物及び有機農産物加工食品の検査認証制度>
有機農産物及びその加工食品に関しては「特定JAS規格」が定められており、その規格に適合するかどうかについ
て格付けを受け、有機JASマークを貼付したものでなければ、「有機○○」「オーガニック○○」と表示することができな
い。外国 (JAS制度と同等の認証制度を有すると認められる国に限る)で生産された有機農産物等を輸入する場合、
「有機○○」などの表示をするためには、次のいずれかの方法により格付けを行い、有機JASマークを貼付しなければ
ならない。(⇒図表13)
① 外国の製造業者等が登録外国認定機関から認定を受けて、自ら有機JASマークを貼付したものを輸入販売するこ
とができる。
② 輸入業者が国内の登録認定機関から認定を受ければ、外国の公的機関が発行する証明書又はその写しが添付さ
れているものに自ら格付けを行い、有機JASマークを貼付して販売することができる。
③ 日本の登録認定機関から認定を受けた外国の製造業者等が製造した有機食品に有機JASマークを貼付したもの
を輸入販売する。
有機JASマーク
図表13 輸入有機農産物及び有機農産物加工食品の検査・認証制度
農林水産大臣
[認定機関名]
登録
登録申請
登録国内認定機関
認定
登録
登録申請
外
国
登録外国認定機関
認定
認定
外国一般製造業者
認定外国製造業者、
認定外国小分け業者等
自ら JAS マークを添付
一般輸入業者
認定輸入業者
(公的機関の証明書)
自らJASマークを貼付
問い合わせ先: 農林水産消費技術センター 本部 交流技術課
TEL:048-600-2366
http://www.cfqlcs.go.jp
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
37
A-2. 生鮮果実
生産情報公表
JASマーク
<生産情報公表 JAS マーク>
食品の生産情報を正確に記録・保管・公表していることを、登録認定機関が認定したものは
生産情報公表JASマークを任意表示できる。生鮮果実については、「生産情報公表農産物の
JAS規格」の適用を受ける。この制度により、生産履歴が第三者の認定の下で明らかな食品で
あることを消費者が容易に識別でき、また生産者等も商品の付加価値をアピールできるメリット
がある。
問い合わせ先: 農林水産消費技術センター 本部 交流技術課
TEL:048-600-2366
JAS
ク
[認定機関名]
http://www.cfqlcs.go.jp
3) 農林水産省のガイドラインに基づく任意表示
<特別栽培農産物に係る表示ガイドライン>
化学合成農薬や肥料の使用を低減して生産された果実(特別栽培農産物)の表示に係る農林水産省のガイドライ
ンが制定されている。不特定多数の消費者に販売される生鮮果実に適用される。
輸入された特別栽培農産物の表示例
農林水産省新ガイドラインによる表示
特別栽培オレンジ
化学合成農薬:○○地域比 7 割減(使用回数)
化学肥料:栽培期間中不使用
栽培責任者 ○○○○
輸出国の住所、連絡先 (電話番号)
確認責任者 ○○○○
輸出国の住所、連絡先 (電話番号)
輸入業者: 会社名、住所、製品に関する問合せ先の電話番号
(農薬等使用状況)
http://www.xxx
・「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」
の表示は禁止。
・化学合成農薬(性フェロモン剤等誘引剤を除く)
の使用回数、化学肥料の窒素成分量が、いずれも
当該地域の慣行レベルに比べて50%以下で栽培さ
れたものは「特別栽培農産物」と表示する。
・慣行のレベルは地方公共団体(輸入品の場合は、
米国の州、中国の省など)が策定または確認した
ものを節減割合の算定の比較基準とする。
・ラベルや店頭の表示の他、消費者が農薬等の使用
状況をインターネットで確認することができる。
4) 業界自主表示
生鮮果実に関する業界自主表示は特にない。
(4) 新規参入時の留意点
生鮮果実市場に参入しようとする場合には、日本人の嗜好特性、食生活習慣等への理解が必要となる。また、品質
保持への注意と規格基準への理解が必要である。輸入果実は入荷までに相当日数がかかるため、鮮度保持・傷・品
痛み等に注意を要する。また、日本の規格では、品種や品質ばかりでなく、サイズ・ツブ揃い・光沢等も評価の対象と
なる。国内の取引価格はこの等級に基づき設定されるので、日本の規格基準を充分理解しておく必要がある。なお、
生鮮で輸入不可能なものでも、ジュース、ジャム、乾燥果実、冷凍果実等の加工品であれば輸入が可能な場合があ
る。
果実は、永年作物であること、品質が重視される点から、特に気象条件の影響を受けやすい作物である。果樹は、
生育期だけでなく休眠期にも明確な温度反応があり、貯蔵養分などを通じて、前のシーズンの気象の影響が翌年にな
って現れることも多く、これらが果実の品質に直結してしまう。したがって、安定した果実の需給を行うためには、気温・
降雨量等の気象のバランスの崩れによる品質低下、ハリケーン等の悪天候による収穫減などの不測の事態に対応しう
る供給体制の構築が必要となる。
ところで、現在最も留意しなければならないのが、残留農薬基準の問題である。前述のように2006年5月末にポジ
ティブリスト制度が施行され、残留農薬の規制が強化された。新制度では、基準値を設定した化学物質を283品目から
799品目に増やすとともに、基準値を設定していない物質については残留基準を一律0.01ppm以下に規制している。
生産者は、適正な農薬等の使用に努めるとともに、隣接する農作物への飛散(ドリフト)をできるだけ少なくするよう心が
けなければならない。また関連事業者は、農薬使用履歴、防除基準、防除歴等に基づき、自らが取扱う果実に使用さ
れた農薬の把握、管理に努め、効果的な衛生確保体制を構築することが求められる。
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
38
A-2. 生鮮果実
<参考> 輸入果実の卸売数量・価額・価格
品目
輸入果実 計
卸売数量
(千t)
卸売価額
(億円)
卸売価格
(円/kg)
対前年比
数量(%)
価額(%)
価格(%)
1240
1900
153
96
91
94
バナナ
731
814
111
101
90
88
パインアップル
86
128
150
102
103
101
95
97
102
レモン
68
137
201
グレープフルーツ
150
212
142
78
76
97
オレンジ
92
164
178
99
101
101
輸入おうとう
6
64
1043
94
100
106
輸入キウイフルーツ
36
146
411
89
90
101
輸入メロン
22
32
145
-
-
-
その他の輸入果実
50
202
404
91
95
104
資料:農林水産省「平成17年青果物卸売市場調査」
(注:その他の輸入果実の対前年比は、輸入メロンを含んだ数値で対比した)
(5) 関連品目の留意点
① 果汁・ジャム類
果汁・ジャム類を輸入する際には、食品衛生法の規制を受ける。果汁についての詳細は、本稿「A-3 果汁」を参照の
こと。
② 果実缶詰
果実缶詰を輸入する際には、食品衛生法の規制を受ける。食品添加物の規格基準への適合と、缶詰の内面塗装剤
からの内分泌かく乱化学物質の溶出に注意が必要である。
③ 冷凍果実
冷凍果実を輸入する際は、冷凍野菜と同じく食品衛生法の規制を受ける。冷凍果実の多くは、ジャム、デザート、飲料
等の原材料として業務用に使われ、冷凍食品として流通するものは少ない。
(6) 関連法規制の所轄官公庁
植物防疫法
農林水産省 消費・安全局 植物防疫課
TEL:03-3502-8111 (代)
FAX:03-3502-3386 (直通)
http://www. maff.go.jp
食品衛生法
厚生労働省 医薬食品局 食品安全部 監視安全課 輸入食品安全対策室
TEL:03-5253-1111 (代)
FAX:03-3503-7964 (直通)
http://www.mhlw.go.jp
JAS 法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)
農林水産省 消費・安全局 表示・規格課
TEL:03-3502-8111 (代)
FAX:03-3502-0594 (直通)
http://www.maff.go.jp
種苗法
農林水産省 生産局 種苗課
TEL:03-3502-8111 (代)
FAX:03-3502-5301 (直通)
http://www. maff.go.jp
不当景品類及び不当表示防止法
公正取引委員会 経済取引局 取引部 消費者取引課
TEL:03-3581-5471 (代)
FAX:03-3581-1754 (直通)
http://www.jftc.go.jp
資源有効利用促進法/容器包装リサイクル法
経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課
TEL:03-3501-1511 (代)
http://www.meti.go.jp
環境省 廃棄物・リサイクル対策部 企画課 リサイクル推進室
TEL:03-3581-3351 (代)
FAX:03-3593-8262 (直通)
http://www.env.go.jp
農林水産省 総合食料局 食品産業企画課 食品環境対策室
TEL:03-3502-8111 (代)
FAX:03-3508-2417 (直通)
http://www.maff.go.jp
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
39
A-2. 生鮮果実
4. 日本の関税・消費税
(1) 関 税
生鮮果実の関税率は図表14のとおりである。バナナ、オレンジ、グレープフルーツ、ぶどうについては、輸入時期によ
って税率が異なる季節関税が適用されているので注意を要する。なお、事前に関税分類や関税率等を確認する場合、
税関に対して口頭・文書・Eメールで照会を行い、回答を受けることができる「事前教示制度」を利用すると便利である。
http://www.customs.go.jp
問い合わせ先:税関ホームページ
図表14 生鮮果実の関税率
税
品
HS番号
0803.00
名
基本
WTO
協定
40%
20%
特恵
率
暫 定
日星
協定
日馬
協定
バナナ
-100
(1) 毎年4月1日から同年9月30日までに輸入
-100
(2) 毎年10月1日から翌年3月31日までに輸
10%
無税
無税(1千トン)
20%
無税
無税(1千トン)
*
されるもの
50%
25%
*
入されるもの
0804.30-010
パイナップル
20%
17%
0804.40-010
アボカド
6%
3%
無税
無税
0804.50
グアバ、マンゴーおよびマンゴスチン
6%
3%
無税
無税
0805.10
オレンジ
20%
16%
15.0%
40%
32%
30.0%
10%
(10%)
8.8%
10%
(10%)
8.8%
-000
(1) 毎年6月1日から同年11月30日までに輸
入されるもの
-000
(2) 毎年12月1日から翌年5月31日までに輸
入されるもの
0805.40
グレープフルーツ
-000
(1) 毎年6月1日から同年11月30日までに輸
入されるもの
-000
(2) 毎年12月1日から翌年5月31日までに輸
入されるもの
レモン
無税
(無税)
無税
無税
0805.50-090
ライム (キトルス・アウランティフォリア及びキトルス・
無税
(無税)
無税
無税
0805 90-020
ライム (その他のもの)
無税
(無税)
無税
無税
0806.10
ぶどう
20%
17%
6.8%
13%
7.8%
15.5%
0805.50-010
ラティフォリア)
-000
(1) 毎年3月1日から10月31日までに輸入され
るもの
-000
(2) 毎年11月1日から翌年2月末日までに輸
入されるもの
すいか
10%
6%
無税
0807.19
その他のもの(メロン)
10%
6%
5.0%
0807.20
パパイヤ
4%
2%
0808.10
りんご
20%
17%
0809.20
さくらんぼ
キウイフルーツ
ドリアン
10%
8.5%
7.4%
8%
10%
6.4%
5%
5.3%
無税
ランブータン、パッションフルーツ、
レイシ及びごれんし
10%
5%
0807.11
0810.50
0810.60
0810.90-210
無税
無税
15.5%
2.5%
*無税
2.5%
*無税
無税
注1) 特恵欄の「*」は後発開発途上国(Least Developed Countries)にのみ適用されることを示す。
注2) 税率は原則として、特恵税率、WTO協定税率、暫定税率、基本税率の順に優先して採用される。ただし、特恵税率は法令で
定める要件を満たす場合に限られ、WTO協定税率はそれが暫定税率又は基本税率より低い場合にのみ適用される。
注3)マレーシアから輸入される生鮮バナナについては、二国間関税割当制度により、1年につき1,000トンまでは日馬協定税率
が、それを超えたものについては一般特恵税率が適用される。
ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド
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A-2. 生鮮果実
【特恵関税制度】
特恵受益国から生鮮果実を輸入し、特恵関税の適用を受けようとする場合には、原則として特恵受益国の税関などが発
給する「特恵原産地証明書」(Form A)を添付する必要がある(総価額が20万円以下の場合は不要)。なお、生鮮果実につ
いては、特恵原産地証明書の提出を省略可能なものもある。詳細は財務省 関税局へ確認のこと。
【EPA (経済連携協定)】
日本とASEAN諸国との間ではEPA(経済連携協定)交渉が推進されており、農林水産分野においても関税の撤廃・削減
が進められている。日本・シンガポール新時代経済連携協定(2002年11月30日発効)、日本・マレーシア経済連携協定
(2006年7月13日発効)によって、シンガポール及びマレーシアを原産国とする対象品目については、EPAによる協定税率
が適用される。
ASEAN諸国の関税率適用状況は以下のとおりである。
適用税率
LDC特恵税率
一般特恵税率
日星協定税率
日馬協定税率
WTO協定税率
国 名
ミャンマー、カンボジア、ラオス
タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム
シンガポール(注)
マレーシア(注)
ブルネイ
注) EPAの対象品目に含まれない場合は、シンガポールを原産地とする物品にはWTO協定税率が、マレーシアを原産地とする
物品には一般特恵税率が適用される。
(2) 消費税
(CIF+関税)×5%
5. 関連業界団体
・日本青果物輸入安全推進協会
TEL:03-5833-5141
FAX:03-5833-5140
http://www.fruits-nisseikyo.or.jp
・日本バナナ輸入組合
TEL:03-3288-7244
FAX:03-3288-7305
http://www.banana.co.jp
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