...

参考資料2

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

参考資料2
地理的表示法について
ー 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律 ー
地理的表示保護制度とは
○ 地理的表示保護制度とは、品質、社会的評価その他の確立した特性が産地と結びついている産品について、そ
の名称を知的財産として保護するもの。国際的に広く認知されており、世界で100カ国を超える国で保護。
○ 農林水産物・食品について本制度を導入し、生産者が本来得るべき利益を確保するとともに、消費者の信頼の
確保を目指す。
○ 地理的表示のイメージ ~ ○○干柿(※架空の農産物)を例に ~
商品
産地
品 質
社会的評価
・ 農林水産大臣賞受賞
・ 市場で高値で取引
その他の特性
・ 飴色に仕上がる
・ 小ぶりで食べやすい
“
主として帰せられる”
・ 他産品より高い糖度
・ もっちりとした食感
自然的な特性
・ 気候・風土・土壌 等
人的な特性
・ 伝統的なノウハウ
・ 地域伝統の文化 等
“○○”(地名)
○ ○ 干 柿
地 理 的 表 示
[地理的表示に対する独立した保護を与えている国] 111か国
○ 諸外国では、地理的表示に対
する独立した保護を与えている
国は、100か国以上。
アジア
中東
欧州(EUを除く)
EU
中南米
アフリカ
11か国
7か国
17か国
(28か国)
24か国
24か国
※ 国際貿易センター(WTOと国連貿易開発会議(UNCTAD)の共同設立機関)調べ(平成21年)
1
(参考)EUで地理的表示登録されている産品の例
乳製品(チーズ)
牛肉・畜産加工品
カマンベール・ドゥ・ノルマンディー(フランス)
ブフ・シャロレー・デュ・ブルボネ(フランス)
※ブフ:牛(仏語)
○特徴: どっしりとした、なめらかな円柱形のチーズ。表面は
薄く白カビの層で覆われており、軽い塩味とフルーティーな
食味が特徴。独特な芳香を持つ。
○地域との結びつき: フランス・ノルマン
ディー地方で飼育されたノルマンディー
種の牛の生乳を、少なくとも50%以上使
用。19世紀後半から引き継がれている
伝統的な製法により、生み出されている。
ゴーダ・ホラント
(オランダ)
○特徴: 円筒形で側面
は丸いセミハードのナ
チュラルチーズ。芳ば
しくスパイシー。口当た
りはマイルド。熟成する
につれて硬さが増す。
○地域との結びつき:
オランダの牛乳を原料
とする。17世紀初頭か
らの伝統的な製法。
ウェスト・カントリー・
ファームハウス・
チェダー(イギリス)
○特徴: 地域の牛乳か
ら製造した、固い練り
チーズ。9ヶ月以上の長
い熟成期間による強い
ナッツの風味。特徴的な
円筒形の木枠に入れら
れ、カットして販売。
○地域との結びつき:
15世紀からの伝統的な
製造方法による手作り。
モッツァレラ・ディ・
ブファラ・カンパー
ニャ(イタリア)
○特徴: 水牛のミルク
で製造した、たんぱ
く質豊かな楕円形
のフレッシュチーズ。
○地域との結びつき:
産地のカンパーニャ地
方では、13世紀後半の
古くから手作りでチー
ズを製造。
○特徴: フランス中部ブルボネ地域の穏やかな
気候と、豊かな大地の牧草で育った最高級肉
牛のシャロレー種であるブフ・シャロレー・デュ・
ブルボネは、脂肪が少なく、赤肉のうまみが強
く、濃い味が特徴。
○地域との結びつき: 19世紀から飼育
は始まっており、長年にわたり強健な牛
を飼育するための育種や飼育技術の改
良がおこなわれてきた。火山地帯でもあ
る肥沃な大地には、豊かな牧草地が広
がっており、個性的な食味を育んできた。
プロシュート・ディ・パルマ(イタリア)
※プロシュート:生ハム(伊語)
○特徴: パルマ地方の豚モモ肉と、塩のみを原料とした生ハ
ム。カットした生ハムはピンク色~赤色で脂肪部分は白く、繊
細でまろやかな甘みと軽い塩味、独特の芳醇な香りが特徴。
○地域との結びつき: イタリア・パルマの丘
陵付近で生産された生ハムのみが、プロ
シュート・ディ・パルマとして認可され王冠
型の焼印を受けられる。アペニン山脈か
ら丘陵に吹くそよ風が空気を乾燥させ、
伝統的な製法で、何世紀にもわたり、生
ハムの製造を可能にしてきた。
※ 「カマンベール」、「ゴーダ」、「チェダー」、「モッツァレラ」の名称自体は、誰もが制限なく使用できる。
2
(参考)EUで地理的表示登録されている産品の例
野菜・果物
ジャージー・ロイヤル・ポテト
(イギリス)
○特徴: 長めの楕円形で、肝臓の形をしたばれいしょとして知
られる。表皮は黄色で薄く剥きやすい。香りがよく、固めの食感。
○地域との結びつき: イギリス海峡にある
ジャージー島では、100年以上ばれいしょの
栽培が行われてきた。肥料として海藻を使
用しており、肥沃な土壌が、品質のよいばれ
いしょの栽培を可能にしている。19世紀に発
見された。
メロン・デュ・オー・ポワトゥー
(フランス)
○特徴: ジューシーで糖度が高いシャランテ種のメロン。
○地域との結びつき: 仏東部・オー・ポ
ワトゥ地方の石灰質に富む土壌がメロ
ン栽培に適しており、温暖かつ夏期に
少雨な気候が、同産品の糖度の高さを
生み出している。100年以上にわたる
高品質メロン生産の歴史により同産品
の評判が確立された。
オニオン・ドゥー・デ・セヴェンヌ
(フランス)
○特徴: 真珠のように白く、大きく丸い鱗形。透き通った外皮
に覆われている。中程度の硬さで、みずみずしい。鮮度がよ
いと、パリッとした食感。食味は辛味や苦味はなくバランスが
よい。香りがよく、調理すると透明になり、まろやかで甘い。
○地域との結びつき: 南フランスのセ
ヴェンヌ山脈に位置する産地は穏や
かな地中海性気候であり、野菜や果
物を、新鮮かつ乾燥した状態で保つ
ことが可能。玉ねぎの栽培に適して
いる。
メラ・アルト・アディージェ
(イタリア)
※メラ:りんご(伊語)
○特徴: カラーによってりんごの種類が区分される。強い芳香
を持つ。果肉はぎっしり詰まっており、保存期間が長い。
○地域との結びつき: 伊北東部アルト・アディージェ地域の気候
は温度差が大きく乾燥している。日照時間は長く、海抜500m以
上の生産地で、果実はゆっくりと熟す。
肥沃な土地と適した
気候により、19世紀半
ばから、この地域でり
んごの商業栽培が始
められた。
3
(参考)EUで地理的表示登録されている産品の例
その他
フォワン・ド・クロー
(フランス)
※フォワン:干草(仏語)
○特徴: ミネラルを含んでいる消化のよい飼料用干草。草は年3回刈り取
る。最初に刈り取った干草は牛馬用の飼料となる。2回目に刈り取った
干草は栄養が豊富なため乳牛用の飼料となる。3回目に9月頃刈り取っ
た干草は、最も栄養が豊富なため、搾乳用の羊や山羊の飼料となる。
○地域との結びつき: 16世紀末、地中海性気候
の南仏プロバンス地方に運河が引かれ、栄養
豊かな水で灌漑が行われたことから、草の栽
培が可能となった。日照時間が長く、風通しの
よいこの地は、干草の製造に適している。
コキーユ・サン・ジャック・デ・コート・
ダルモール(フランス)
※コキーユ・サン・ジャック:帆立貝(仏語)
スコティッシュ・ファームド・サーモン
(養殖サーモン)(イギリス)
○特徴: 貝の身はミネラルが豊富で、味は繊細。熱をかけすぎな
いシンプルな料理に向く。貝殻には赤や茶色
の輪がある。
○特徴: シャープな外観と丸みを帯びた側面が特徴。硬くなめら
かな鱗で覆われており、光沢のある銀色をしている。鮮度のよい
サーモンの身は締まっており、一貫性のある食味を保っている。
○地域との結びつき: 大西洋岸のコート・ダル
モール県の海岸で10月~4月の冬場にかけて
帆立貝の稚貝を漁獲し、木製の籠の中で育て
ている。名称の由来は、スペインのサンティア
ゴ・デ・コンポステラに向かった中世の巡礼者
が、浜辺で拾った貝殻を持ち帰り、巡礼の証
として外套に飾ったところから来ている。
○地域との結びつき: スコティッシュ・
ファームド・サーモン(大西洋サケ)を
養殖しているスコットランドの西海岸で
は、150年を超える長きに渡り、養殖技
術の改良が行われてきた。地域は大
西洋サケの養殖に理想的な入り江と
なっている。
4
地域ブランドの課題と現行制度の限界
○ 産品の名称を国が登録し、その表示等の不正使用を防止する措置を講じる制度として商標制度が存在。
○ 商標の登録の際に、産品の品質基準の登録、品質の確認までは求められておらず、一定の品質基準を満たすも
のを保護する制度となっていない。また、不正使用への対応にも一定の限界。
地域ブランドの課題
○ 品質の統一化が図られず、産品のブランド価値
の向上が図られていない。
○
ある産品の事例
商標制度
○ 地域ブランドを守る商標制度で品質を守る取
組はあくまでも自主的な取組にすぎず、品質を
制度的に担保することはできない。
・ 昭和50年代から栽培を開始。
・ ブームにより、地域名が先行して全国的に周知されるもの
の、生産主体ごとの品質格差が大きく、低品質産品の存在
により需要者の評価が低下しつつある。
・ 市による認定シールの取組や組合によるホームページで
の周知を行っているが、低品質産品の排除の効果は低い。
○ ブランドへのただ乗りが行われている実態
○
ある産品の事例
○ 商標権は私権であり、侵害への対応は訴訟な
どによる自力救済。農林漁業者等が行うには一
定の限界。
・ 昭和40年代から栽培を開始。
・ 火山灰土壌という土地条件の悪さを克服するため、古くか
ら盛んな畜産の堆肥を活用し地力を高め、品質を向上。トッ
プブランドとして全国的な知名度を得たが、ブランドに便乗
し、そのブランドの基準を満たさないものが名称を冠し
て販売されていた実態があった。
・ 現在、地方自治体と農協が対策を検討している状況。
5
(参考)商標法のうち地域団体商標制度の概要
目
的
地域ブランドを適切に保護することにより、事業者の信用の維持を図り、産業競争力の強化と経済の活性
化を支援すること
地域団体商標
民事上の請求
商標権者が自己の商標権を侵害された場合、
・侵害の停止又は予防の請求
・損害賠償の請求に当たっての損害額の推定、過失
の推定等
が可能
地域の名称及び商品の名称等からなる商標について、
一定の範囲で周知となった場合には、事業協同組合等
の団体による地域団体商標を認める制度
地域名 + 商品等の普通名称
地域団体商標の登録要件
・団体の適格性
・地名と商品の密接な関連性
・出願人の使用による一定程度の周知性の獲得
・商標全体として商品の普通名称で無いこと
侵害
刑事罰
商標権等を侵害した者:
10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、
又はこれを併科する。
商標権等を侵害する行為とみなされる行為を行った者:
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、
又はこれを併科する。
先使用の権利
地域団体商標の現状
出願前の使用者の保護
【登録査定状況(平成26年4月8日現在)】
登録査定総数 566件
(うち農林水産物・食品 304件)
自己のために、引き続き商標の使用可能
6
特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(平成26年法律第84号)について
法律の概要
① 「地理的表示」を生産地や品質等の基準とともに登録。
② 基準を満たすものに使用を認め、統一マークを付することとする。
③ 不正な地理的表示の使用は行政が取り締まり。
生産・加工業者
③
品
質
管
理
生産・加工業者
※
)
の団体 ( 2
生産・加工業者
① 地理的表示(※1)、生産・加工
業者の団体の登録申請
ポイント1
○ 産品の品質を、国の登録を
受けた生産者団体が確認し、
「お墨付き」を与える。
② 地理的表示、 生産・
加工業者の団体の登録
ポイント2
※ 手続の透明性・公平性も確保
※1 明細書、生産行程管理業務規程を添付
農林水産大臣
③ 品質管理体制のチェック
○ 生産者にとっては、訴訟等の
負担なく、自分たちのブランド
を守ることが可能。
生産・加工業者
生産・加工業者
取締り
通
報
不正
使用
地理的表示の不正使用を知った者
ポイント3
○ 地域共有の知的財産であり、
生産者全体が使用可能。
※2 複数の団体を登録することも可能。地域のブランド協議会等を含む。
制度創設の効果
① 生産者利益(地域の知的財産)の保護
農林水産物等の適切な評価・財産的価値の
維持向上
② 需要者利益の保護
高付加価値の農林水産物等の信用の保護・
需要の確保
7
(参考)酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律に基づく酒類の地理的表示保護について
目
的
酒税の保全及び酒類業界の安定のため、政府が酒類業者等に対して必
要な措置を講ずることができるようにし、酒税の確保及び酒類の取引の安
定を図る。
地理的表示に関する表示基準
の罰則までの流れ
質問検査(立入検査)
税務職員
(職権又は情報
提供による)
地理的表示に関する表示基準
基準の遵守指示
・
日本国のぶどう酒、蒸留酒の産地のうち国税庁長官が指定するものを表示する
地理的表示又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒、蒸留酒の産地を表示する地
理的表示のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒、
蒸留酒について使用することが禁止されている地理的表示は、当該産地以外の地
域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用することができない。
・ 清酒の産地のうち国税庁長官が指定するものを表示する地理的表示は、当該産
地以外の地域を産地とする清酒について使用することができない。
国税庁長官が指定している産地
酒類
指定産地名
産地の地域
指定時期
果実酒
山梨
山梨県
H25.7.16
単式蒸留しょうちゅう
壱岐
長崎県壱岐市
H7.6.30
単式蒸留しょうちゅう
球磨
熊本県球磨郡 人吉市
H7.6.30
単式蒸留しょうちゅう
琉球
沖縄県
H7.6.30
単式蒸留しょうちゅう
薩摩
鹿児島県(奄美市及び大島郡を除く。)
H17.12.22
清酒
白山
石川県白山市
H17.12.22
※ TRⅠPS協定第23条第1項の対象が「ぶどう酒又は蒸留酒」の酒類のみであったことから、
同項(注)書きに基づき、民事上の司法手続に代えて行政上の措置として酒類業組合法の
表示の基準として定めたものである。
指示に従わなければ
指示に従わない旨の公表
基準の遵守命令
命令に違反した者
50万円以下の罰金
※罰金を受けた場合には免許の取消し
先使用の権利
平成6年4月15日前少なくとも10年間又
は善意で継続使用の場合、適用除外
8
(参考)地理的表示に関する品質管理基準等作成産地支援(26年度予算)
事業実施主体
農林漁業者の組織する団体等(全国で9つの産地)
予算額等
152百万円の内数 (補助率:定額)
○ 地理的表示が使用され、地域特性を有する産品等について、産地が当該産品の品質管理基準を定めること
等により産品の品質をより明確化し、産品の評価を高めていくことを目指しています。
■事業内容
○ 対象産品の製法や品質管理基準等の策定、産品の特性分析や市場調査、専門家への相談を通じたマーケ
ティング戦略の策定等に係る経費を補助します。
事業内容
補助金
農林水産省
全国で9つの産地が対象
(公募)
産地の生産・加工業者の団体が行う
対象産品の製法の明確化
品質管理基準等の策定
産品の評価を高める
高品質!
食べたい!
買いたい!
美味しい!
対象産品の特性分析
専門家への相談
などへの経費補助
消費者
問合せ先:農林水産省食料産業局新事業創出課
TEL:03-6738-6442(直通)
9
(参考)特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案に対する附帯決議
平成26年5月21日 (衆)農林水産委員会
平成26年6月17日 (参)農林水産委員会
我が国の農林漁業・農山漁村をめぐる厳しい状況を克服し、本来の活力を取り戻すためには、農林水産物・
食品に関する地理的表示保護制度を確立し、生産業者及び需要者の利益の保護を図ることが喫緊の課題と
なっている。
よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
一 地理的表示保護制度の導入に当たっては、それぞれの地域においてその効果的な活用が助長されるよう、
生産業者、生産者団体等による地域ブランドの確立に向けたこれまでの取組を十分尊重しつつ、関係者に
対し、新たな制度の趣旨及び内容はもとより、既存の地域団体商標制度等との相違点及び制度の役割分
担等について周知徹底を図ること。
二 地理的表示の登録に係る明細書の作成に向けた地域における合意形成の重要性に鑑み、円滑な合意形
成に向けた支援を行うこと。
三 国による登録業務が迅速かつ公平に行われるよう、地域の様々な特性に由来した品質等を備えた農林水
産物・食品をめぐる事情とともに、知的財産に係る高度な知見を有する人材を育成・確保する等、審査体制
の整備を図ること。
四 登録を受けた特定農林水産物等の品質に係る信頼性の確保を図るため、登録生産者団体による実効あ
る品質管理が実施されるよう、適切に指導・監督を行うこと。
五 地理的表示及び標章の不正使用に対し、実効ある取締りが機動的に行われるよう、通報窓口の設置を含
めた効率的な監視体制の整備を図ること。
六 地理的表示保護制度の活用を我が国の農林水産物・食品の輸出促進対策の重要な柱として明確に位置
付け、輸出促進のための総合的なサポート体制を強化するとともに、海外における農林水産物・食品の模
倣品への対策を充実・強化すること。
七 本法の施行状況に係る検討については、特定農林水産物等の登録の状況、生産業者及び需要者の利益
保護の状況はもとより、諸外国における地理的表示保護制度の導入状況とこれが我が国に与える影響等
も踏まえ、適時適切に実施し、その結果に基づき、十全の措置を講ずること。
右決議する。
10
Fly UP