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放射線量の測定に関するQ&A
放射線量の測定に関するQ&A Q1 A 今回、測定調査にいたった経緯を教えてください。 3 月 11 日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故以来、多くの区民の方か ら放射能に関する不安の声や相談が寄せられました。国がそのことについて迅速かつ適 切な対応をしない中、区では、区民要望を踏まえ、区民の不安解消のために放射能の専 門家等による検討会を立ち上げ、その助言を得て、 「プール水」、 「土壌」、 「給食食材(野 菜)」について区として独自に放射線量の測定を行うことを決定しました。 Q2 A 他の自治体が行なっている空間線量率を測定しないのはなぜか。 「空間線量率」については、区は高性能な測定機器を保有していませんが、区内には 電力館のモニタリングポストがあり、常時測定を行なっています。また、福島県内のデ ータをみると、空間線量率と土壌中の放射線量には一定の相関があることが分かってき ており、空間線量率をほぼ推定することが可能になっております。そのため今回は、土 壌やプール水、給食食材(野菜)について採取を行い、ゲルマニウム半導体検出器によ るγ(ガンマ)線スペクトロメーター法による測定を行いました。 ※その後、東京都から小型放射線測定器が貸与されましたが、この測定器は数値が高めに 出るため、渋谷区放射能健康影響検討会では正式に使用する測定器としては用いており ません。 一方、この測定器は操作が容易であり、職員による測定が可能なため、7 月から区立小 中学校等 34 か所、区立公園 79 か所において、参考数値の収集を目的として補完的に空 間線量の測定を実施してまいりました。 測定結果は参考数値ですが、いずれも年間被爆量に換算した数値は 1[mSv/年](ミリシ ーベルト/年)(国際放射線防護委員会 ICRP の平常時の目安)未満でした。 今後、東京都から精度の高い測定器(シンチレーションサーベイメーター)が貸与さ れた後は、改めて空間放射線量の測定を実施します。 Q3 A 水道水を測定してもらいたい。 都内の水道水は、各浄水場で毎日、放射性物質の測定をしており、浄水処理の過程に おいて、放射性物質の除去効果のある粉末活性炭投入を強化するなどの対応を図ってい ます。都によれば、水源地や浄水場、給水栓において、定期的にきめ細かな水質管理を 行なっており、水源から蛇口まで厳重なチェックのもと安全を確保しています。 なお、水道水の放射性物質は、4 月 5 日以降、不検出です。(6 月 15 日現在) Q4 私立学校・私立幼稚園・公園の土壌も測定してもらいたい。 A 今回は、区内 59 地点について、土壌の放射能線量を詳細に測定しています。私立学校 や幼稚園等近隣の範囲も包括して測定したものと考えていますので、近接の測定値を参 考にしてください。 ※公園の空間線量については、区立公園 79 か所を参考数値の収集を目的として測定しまし た。(Q2参照) Q5 A 給食食材(野菜)のサンプル調査が、6検体では少ないのでは。 食品の安全性については、生産地と市場において確認されています。今回は、区民の 不安に応え、子どもたちが給食からどの程度の放射性物質を摂取しているかを確かめる ため、他区に先駆けて調査を行いました。サンプルの選定にあたっては、食材購入の経 路を出来るだけ広く把握するため、同じ生活圏に集中しないこと、また小学校と保育園 では使用する食材が違うため、小学校と保育園を同じ件数を調査することとし、区内を 3 ブロックに分け小学校 3 校、保育園 3 園の合計 6 検体としました。このサンプル調査に ついては、9 月に対象校・園を変えて再調査する予定です。 Q6 A 牛乳の放射線量が心配。 牛乳については、生産地において放射線量を測定しているところであり、現在基準を 超える牛乳は流通しておらず安全は確認されています。 Q7 土壌の調査は、どのように行なったのか。 A 今回の土壌調査については、表土(表層から 5 ㎝)を 1.5 ㎏以上採取し、乾燥させた状 態でゲルマニウム半導体検出器によるγ(ガンマ)線スペクトロメーター法により測定 を行いました。 Q8 A 3核種以外も測ってほしい。 今回の原発事故によって大気中に放出された核種は、揮発性の高い放射性ヨウ素やセ シウムが主であり、都内においてはヨウ素 131、セシウム 134、セシウム 137 について、 環境モニタリングが行われています。 福島第一原発から 30 キロ圏外の地点(福島県)で、ごくわずかのストロンチウムが検 出されたことが国の調査で判明しました。文部科学省によると、これまでの土壌の分析結 果からセシウムに比べて存在比が 1,000 分の1程度と低く、陸上では飛散しにくいものと 推定されています。引き続き同原発から各方位 10 地点においてストロンチウムのモニタ リングが継続されており、都内においてはモニタリングの必要性はないとされています。 また、福島第一原発敷地内で、放射性ウランやプルトニウムが検出されましたが、文部 科学省が行なっている 20 キロから 30 キロ圏における土壌調査では、ウランについては自 然界の存在比に留まり、プルトニウムについては過去の大気圏内核実験によるもの以外に 検出されず、都内において放射性ウランやプルトニウムをモニタリングする必要性は生じ ていません。 Q9 A 給食の食材の産地名を公表すべきである。 区立保育園、学校では、給食の食材の購入時には産地を確認しており、また産地名に ついては、それぞれ掲示または説明をしています。 Q10 A 今回の土壌測定に関して内部被ばくが心配です。どれくらいの被ばく量があるのか。 放射線の被ばくには、外部被ばくと内部被ばくとがあります。外部被ばくについては、 土壌測定結果の計算値の欄に示したとおり、年間被ばく量で 1[mSv/年]を超えたところ はありませんでした。 内部被ばく量については、仮に、土壌測定でセシウム 134 が 370[Bq/kg]、セシウム 137 が 400[Bq/kg]検出された場合の実効線量E[μSv]を試算すると、 (試算例) ・セシウム 134【換算係数を 0.013[μSv/Bq]とする】 E[μSv]=370[Bq/kg]×0.0002[kg/日]×200[日/年]×0.013[μSv/Bq] =0.19 [μSv/年] =0.00019 [mSv/年] ※1[mSv]=1000[μSv]より ・セシウム 137【換算係数を 0.0096[μSv/Bq]とする】 E(μSv)=400[Bq/kg]×0.0002[kg/日]×200[日/年]×0.0096[μSv/Bq] =0.15 [μSv/年] =0.00015 [mSv/年] ・セシウム 134 とセシウム 137 の合計の内部被ばく量は、 0.00019[mSv/年]+0.00015[mSv/年]=0.00034 [mSv/年] となり、一般公衆の線量限度とされる 1[mSv/年]を大幅に下回ります。 なお、年間 200 日(稼働日)について毎日 0.2gの土壌が経口で体に入ると仮定し、計 算には以下の式(文部科学省による)を用いました。 実効線量 E[μSv]=C[Bq/kg]×W[kg]×e[μSv/Bq] ただし、C:測定された試料の放射能濃度[Bq/kg] W:試料の摂取量W[kg] 0.2[g]/日=0.0002[kg/日]と仮定 e:経口摂取した核種の実効線量係数[μSv/Bq] (国際放射線防護委員会による) Q11 A 今回の測定した土壌で栽培した菜園の野菜(じゃがいも)を食べても大丈夫ですか。 国際的には自然界からの暴露を除き、通常は一年間での放射線被ばくの限度値を 1[mSv]としています。 今回、セシウム 134 が 370[Bq/kg]、セシウム 137 が 400[Bq/kg]検出された土壌で栽培 された野菜を、仮に1[kg]食べた場合の内部被ばく量を計算すると、 (試算例) 370[Bq/kg]×1[kg]×0.011(移行係数)×0.013[μSv/Bq](換算係数) =0.053[μSv] 400[Bq/kg]×1[kg]×0.011[移行係数]×0.0096[μSv/Bq](換算係数) =0.042[μSv] 合計=0.053[μSv]+0.042[μSv]=0.095[μSv]=0.000095[mSv] ※土壌から野菜への移行係数としては 0.011(じゃがいも)とし、換算係数は、 国際放射線防護委員会の 2∼7 歳の実効線量係数を用いています。 となり、胸部レントゲン検査 1 回分(0.05[mSv])と比較してもたいへん小さい値と なります。 試算にあたっては、文部科学省の「「暫定的考え方」の取りまとめに際し検討した内部被 ばくに関する算定結果と根拠」 (http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/05 /12/1305995_0512_1.pdf)を参考とした。 Q12 本区が洗浄・清掃の目安としている基準毎時 0.25[μSv/時]以上の考え方について 教えてください。 A 国際放射線防護委員会が勧告する平常時の追加放射線管理基準は年間1[mSv/時]以下 としており、これを 1 時間あたりの被曝量に換算すると毎時約 0.19[μSv/時] 以下となり ます。今回はこの値に事故前の平常時におけるバックグラウンド値として毎時 0.06[μSv/ 時]を加えた値を洗浄等の目安としています。 (算出根拠) 条件として、1日のうち、屋外に8時間、屋内(放射線遮断効果が 0.4)に 16 時間時間 滞在する生活パターンを仮定すると、年間の被ばく線量は 0.19[μSv/時]×(8[時間]×1.0+16[時間]×0.4)/24[時間]×24[時間/日]×365[日/年] =998.6[μSv/年]≈1[mSv/年] となります。 この 0.19[μSv/時]に平常時のバックグラウンド値 0.06[μSv/時]を加えて、0.25 [μSv/時]とします。