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クリーンディーゼル車:日本の自動車メーカーの市場投入動向

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クリーンディーゼル車:日本の自動車メーカーの市場投入動向
2016/4/5
クリーン ディーゼル車:日本の自動車メーカ ーの市場投入動向 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
クリーンディーゼル車:日本の自動車メーカーの市場投入動向
2009年にかけて、新型DE搭載車を欧州市場に相次いで投入
2008.9.26 No.715
燃費規制と排出ガス規制強化への対応として (排出ガス規制は、欧州のEuro 5 規制と日本のポスト新長期規制が
2009年、米国のTier II Bin 5規制が2009モデル年に開始される)、日本の自動車メーカーも、クリーンなディーゼル
エンジン (DE) 開発と、その搭載車の市場投入を具体化しつつある。
日本・欧州・米国の排出ガス規制
日本
欧州
米国
ポスト新長期規制
Euro 5
Tier II Bin 5
PM (g/km)
0.005
0.005
0.0062
NOx (g/km)
0.08
0.18
0.0435
規制開始
2009年10月
2009年 9月
2009MY 完全実施
資料:JAMA, その他
Euro 5規制適合DE車を、ホンダは2008年、マツダと三菱自動車が2009年に投入
日本の自動車メーカーは、欧州外への DE 車投入も視野に、先ず欧州市場にクリーンDE車を投入しつつある。欧
州市場へのDE車投入では、既にホンダが2008年6月にEuro 5規制適合DE車を投入しており、マツダと三菱自動車
も2009年に投入する計画。
Euro 4規制適合DE車は、日産が2007年、スズキと富士重工が2008年に投入した (日産は、Euro 5 よりも厳しい
日本のポスト新長期規制適合DE 車を08年9月に日本で発売した)。
トヨタは、小型DE をいすゞと共同開発中で、欧州市場への新型DE導入時期を明らかにしていないが、北米モデル
の大型 Light truck には、新型V8クリーンDEを近い将来に搭載すると発表した (08年1月)。
日本の自動車メーカーが市場投入を計画しているクリーンディーゼル車 (エンジン)
マツダ
日産
三菱
自動車
ホンダ
トヨタ
富士重工
参考
スズキ
VW
Legacy
(搭載予
モデル
定)
X-TRAIL
Atenza
Lancer
Sportback
Accord,
Accord
Tourer
Tundra,
Sequoia
Golf
Sports
Tourer,
発売時期
C 250
Blue
Splash
CDI
Motion
Legacy
(注1)
Concept
Outback
発表時期
Daimler
2008年
2008年
2008年
2008年
2008年
2007年
2007年
2008年
2008年
9月
6月
6月
2月
1月
12月
10月
9月
9月
2008年6
近い将
2008年2
2008年
月
来
月
春
(欧州)
(北米)
(欧州)
(欧州)
2009年
(欧州)
エンジン
MZR-CD
名称
2.2
2008年
9月
(日本)
M9R
2009年春
(欧州)
4N13型
2.2L
i-DTEC
新型V8
クリーン
DE
エンジン
直列 4気筒
詳細不
形式
コモンレール式ターボディーゼル
明
http://www.marklines.com/ja/report/rep715_200810
2009年央
2008年
秋
(欧州)
(欧州)
150PS
2.0
1.3
Boxer
DDiS
1.6L TDI
2.2L
新型DE
Diesel
水平対向
直列 4気筒
4気筒
コモンレール式
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(注)
排気量
2200cc
最高出力
kW/rpm
最大トルク
N・m/rpm
最高速度
km/h
1995cc
1799cc
2199cc
77
150
110/3600 55/4000
400
360/2000 280/2000
350
350/1800
190
250/2000
500
212
165
190
250
8.9/9.2s 11.3s
7.0s
5速MT
6速MT
9.6s
変速機
6速MT
6速MT
車両重量
1660kg
1540kg
17.9km
148g
Euro 5
17.9km
15.2km
14.2km
CO2排出
172g
185g
(g/km)
性能
2143cc
9.5s
排出ガス
1598cc
110
量
1248cc
127/3750 100/4000
発進加速
(km/L)
1998cc
136
燃費
ターボディーゼル
Euro 5
ポスト
新長期
Euro 5
5速MT
5速MT
1510kg
1505kg
17.5km
17.2km
151g
153g
Euro 4
22.2km
26.3km
19.2km
120g
99g
138g
Euro 4
Euro 5
Euro 5
資料:各社広報資料, その他
(注) 1.発表時点が新しい順に配列した。マツダはエンジン単体の発表で、Atenza への搭載は予定。
Daimler のモデル名称は、C 250 CDI BlueEFFICIENCY Prime Edition。
2.富士重工のエンジン形式は、水平対向 4気筒コモンレール式ターボディーゼル。
3.スズキの最大トルク 190N・m の回転域は、1750~2250 rpm。Splash は、日本でも08年10月に発売予定だ
が、ガソリン仕様のみ。
4.Daimler の最高速度はリミッター上限速度。
5.発進加速は、0~100km/h 加速所要時間で秒。
6.燃費と CO2 排出量は、マツダはエンジン単体の発表で測定条件は不明。
日産 X-TRAIL は上段が 10・15モード/下段が JC08モード。その他は欧州の Combined サイクル値。
7.排出ガス性能は、適合する規制で、マツダは社内測定値。
■日本の自動車メーカーが投入する、クリーン DE の特長と排出ガス後処理装置
日本の自動車メーカーが市場投入を実施・計画中のクリーン DE は、ピエゾ式インジェクター、可変ノズルターボ、
高圧コモンレールシステムなど、燃費改善と燃焼ガスのクリーン化を図る様々な技術を採用している。
排出ガスの後処理装置には、酸化触媒や DPFに加え、NOx 吸蔵還元触媒、触媒活性メカニズムを採用したDPF
等、排出ガス規制強化に対応する装置を追加している。
■エンジンの特長と、採用する排出ガス後処理装置
エンジン名称
エンジンの特長
従来型より排気量を 1割拡大したが
マツダ
MZR-CD 2.2
燃費は同程度、クラストップレベルの
トルク性能、静粛性の向上
日産
M9R
排出ガス後処理装置
独自開発した触媒活性メカニズム
を採用した DPF 搭載
ピエゾ式インジェクター,
DPF, リーン NOx トラップ触媒,
1600気圧コモンレールシステム,
運転状態に合わせて
可変ノズルターボ
DPF と触媒を高精度で制御
ソレノイド式インジェクター,
コモンレールシステム,
三菱自動車
4N13型
http://www.marklines.com/ja/report/rep715_200810
独自の可変バルブタイミング機構,
酸化触媒と DPF
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最適な過給圧制御を行う
ターボチャージャー
ピエゾ式インジェクター,
ホンダ
2.2L i-DTEC
2000気圧コモンレールシステム,
酸化触媒と DPF
高効率化した EGR システム
富士重工
スズキ
(参考)
VW
150PS 2.0
Boxer Diesel
1.3 DDiS
1800気圧コモンレールシステム,
可変ノズルターボ,
アルミ合金製シリンダーブロック
Fiat からの技術供与でライセンス生産
Polo BlueMotion に搭載する
1.6L TDI
3気筒ターボディーゼルエンジンと
DPF
燃費同等だが、走行性能は上回る
2000気圧コモンレールシステム,
(参考)
Daimler
2.2L 新型
ピエゾ式インジェクター,
NOx 吸蔵還元触媒,
ディーゼル
大型化した可変 oil spray nozzle,
尿素噴射装置,
エンジン
可変 water pump,
DPF, SCR (選択還元触媒)
dual-stage supercharging
資料:各社広報資料, その他
■クリーンディーゼルエンジンの今後の展開
投入を実施・計画中
モデル
エンジン名称
マツダ
(Atenza)
MZR-CD 2.2
日産
X-TRAIL
M9R
三菱自動車 Lancer Sportback
ホンダ
Accord,
Accord Tourer
4N13型
Tundra/Sequoia
2.2L i-DTEC
富士重工
Tourer,
Legacy Outback
欧州では 2007年に Qashqai を発売 (Euro4適合)。
2010年度から北米と中国にも投入。
将来は、4N14 型で米国の Tier II Bin 5 と日本の
ポスト新長期規制に対応し、日米にも投入する。
規制と日本のポスト新長期規制をクリアし、
09年夏頃に北米投入し、その後に日本にも投入する計画。
クリーン
エンジン
Legacy Sports
2009年に欧州、2011年から日本と世界で搭載車を投入。
新開発の NOx 還元触媒を追加して、米国 Tier II Bin 5
新型 V8
トヨタ
今後の展開
150PS 2.0
Boxer Diesel
いすゞと小型ディーゼルエンジンの開発・
生産・供給に関して業務提携 (07年 8月)。
欧州向けトヨタ車用に 1.6L クラスのアルミブロック製
エンジンを共同開発し、2012年頃に生産を開始する計画。
欧州では既に Legacy saloon にも搭載。
08年 9月に新型 Forester、12月に新型 Impreza にも
搭載予定。2010年代前半に米国と日本にも投入する計画。
2000cc ディーゼルエンジンで Euro 5 をクリアし、
スズキ
Splash
1.3 DDiS
欧州向け SX4 に搭載予定。
2012年には日米でも搭載車を投入する計画。
(参考)
Daimler
C 250 CDI
2.2L 新型
BlueEFFICIENCY
ディーゼル
Prime Edition
エンジン
先ず 5,000台限定の Prime Edition として販売。
その後、カタログモデルとしてラインナップする予定。
現在 4種類ある直4DEを、この新開発エンジンに置き換えて
いく。E-Class, GLK-Class, E-Class Coupe にも搭載する。
資料:各社広報資料, その他
マツダが新型クリーンDEを開発、日産がポスト新長期規制適合DE車を発売
マツダは、PM燃焼触媒に独自開発した活性メカニズムを採用し、PM燃焼効率を高めた新型クリーンDEを開発し
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た。その搭載車を、2009年から欧州市場、2011年から日本を含めて欧州外市場にも投入する計画。
日産は、2007年からEuro 4適合のDE車を欧州販売しているが、そのエンジンに新たなNOx低減装置を搭載して、
日本のポスト新長期規制に適合させた X-TRAIL を、2008年 9月に発売した。2010年度には、北米や中国でも同
エンジン搭載車を発売するとしている。
マツダ:新型クリーン DE を開発、触媒活性メカニズムを持つ DPF を採用
マツダが開発した新型クリーンディーゼルエンジン MZR-CD 2.2 は、独自開発の触媒活性メカニズムを持つ
PM 燃焼触媒を用いた高耐熱性 DPF を採用する。マツダはこのエンジンを、2009年に欧州向け Atenza で導
入、2011年には日本と世界にも搭載車を投入する計画。
PM 燃焼触媒は、セラミックス・サポート材中の内部酸素が移動しやすく、多くの酸素を活用できるため、PM の燃
焼処理時間を約 60% 効率化し、PM の燃焼処理に必要な燃料も節約できる。さらに、DPF の再生インターバルを
従来品の約 2倍にし、再生時間を約 3分の 1に短縮した。排出ガスのクリーン化性能は Euro5 規制にも対応する
(マツダ社内測定値)。
資料:マツダ広報資料 08.9.9, 朝日新聞 08.9.10
日産:Renaultと共同開発した M9R エンジンの NOx 排出をさらに低減
■2007年から、欧州で Qashqai と X-TRAIL に搭載 (Euro4 適合)
日産は Renault と M9R ディーゼルエンジンを共同開発し、2007年から Qashqai と X-TRAIL の欧州仕様に搭
載している (Euro4 適合)。
M9R エンジンは、1600気圧コモンレールシステムとピエゾ式インジェクターによる燃料噴射タイミングと噴射量精
度の向上や、吸気・排気のポートを対向して配置するダブルスワールポートの採用で、空気・燃料を効率よく混合
し、燃焼効率を向上した。自己再生型の DPF は、排出ガス中の PM の 99% 除去が可能。
■リーン NOx トラップ触媒により、日本のポスト新長期規制に適合
日産は、M9R をベースに、高度なエンジン制御技術とリーン NOx トラップ触媒により、さらに NOx を削減して、
ポスト新長期規制に適合させ、2008年 9月に日本で発売した X-TRAIL に搭載した。
リーン NOx トラップ触媒は、通常燃焼 (リーン燃焼) 時に NOx をトラップ層に貯蔵する。蓄積させた後、瞬間的
に、燃料が濃いリッチ燃焼状態にして、浄化層に H2 と CO を生成させて、NOx を還元浄化する。
M9R エンジン搭載の X-TRAIL の CO2 排出量は、2.5L ガソリン車より 20% 少ない (軽油の製造時も入れると
27% の削減としている)。
2010年度には、北米や中国等に、販売する国や地域を順次拡大していく計画。北米では、中型セダン Maxima
に搭載する予定 (Tier II Bin 5 排出ガス規制適合)。
資料:日産広報資料 07.4.18/08.6.9, 日刊自動車新聞 08.9.13, その他
2009年に、三菱は欧州に、ホンダは北米にクリーンディーゼル車を投入
三菱自動車は、2009年から欧州で、Euro 5 適合の DE を Lancer Sportback に搭載する。また、燃焼効率をさら
に高め、後処理システムに NOx トラップ触媒を加えたエンジンで日米の排出ガス規制もクリアして、日本と米国に搭
載車を投入する計画。
ホンダは2008年6月、欧州向け Accord に Euro 5 適合の DE を導入した。このエンジンにNOx 還元触媒を加え
て日米の排出ガス規制をクリアし、2009年夏頃に北米市場、続いて日本市場にも投入する計画。
三菱自動車:2009年春から、欧州向け Lancer Sportback にクリーン DE を搭載
三菱自動車は、2008年秋に欧州で発売する Lancer Sportback (Lancer の hatchback モデル) に、09年春か
ら、新開発 1.8L クリーンディーゼルエンジン (4N13型) 搭載車をラインナップする計画 (08年 6月発表)。
4N13 型エンジンは、ソレノイド式インジェクターのコモンレールシステム、独自の可変バルブタイミング機構
(MIVEC:Mitsubishi Innovative Valve timing Electronic Control system)、タービン流可変 (VG:Variable
Geometry) のターボチャージャー等を採用。後処理システムには、酸化触媒と DPF を組み合わせ、Euro 5 に対
応する。
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三菱自動車は、米国と日本への投入も視野に、2.2L クリーンディーゼルエンジン (4N14型) も開発中。4N14 型
は、ピエゾ式インジェクターのコモンレールシステム、独自の可変バルブタイミング機構、タービン流可変/コンプレ
ッサー流量可変 (VD:Variable Diffuser) のターボチャージャー等を採用。後処理システムには、酸化触媒、NOx
トラップ触媒、DPF を組み合わせた新触媒システムの採用により、米国 Tier II Bin 5 と日本のポスト新長期規制
に適合する見込み。
資料:三菱自動車広報資料 07.8.29/07.9.7/08.1.14/08.6.11, 2007年東京モーターショー資料, その他
(注) 2008年秋に、DE 仕様の Pajero を日本で発売するが、排出ガス性能は新長期規制適合
(Pajero の DE 仕様は、 05年以降、設定が中止されていた)。
ホンダ:i-DTEC クリーン DE を、2008年 6月から欧州仕様 Accord に搭載
■クリーン性能を高めた i-DTEC エンジンで Euro 5 に対応
ホンダは、欧州仕様 Accord に2003年から採用しているディーゼルエンジン i-CTDi エンジンのクリーン性能を
さらに高めた、Euro 5 適合の i-DTEC エンジンを開発、欧州向け新型 Accord と Accord Tourer に搭載して、
2008年 6月に発売した。
i-DTEC エンジンは、燃焼室の形状最適化、2000気圧コモンレールの採用による噴射時間の短縮、EGR システ
ムの高効率化等により、NOx と PM の発生を低減しながら、出力を高めた。Euro5 規制は、米国 Tier II Bin 5 や
日本のポスト新長期規制より緩やかなため、後処理装置には、酸化触媒 (CO/HC浄化) と DPF (PM 除去) のみ
を使用。
■新開発 NOx 還元触媒を追加して、米国の Tier II Bin 5 と日本のポスト新長期規制に対応
この i-DTEC エンジンに、新開発 NOx 還元触媒を追加して、米国 Tier II Bin 5 と日本のポスト新長期規制を
クリアし、2009年夏頃に北米市場の Acura ブランド車に搭載、その後日本市場にも投入する。
新開発 NOx 触媒は 2層構造。通常のリーン燃焼時に、下層に NOx を吸着する。必要なタイミングでリッチ燃
焼状態にして、NOx の一部を H2 と反応させて NH3 (アンモニア) に転化させ、上層に吸着する。再度リーン燃
焼になった時に、NH3 が NOx と反応し、無害な N2 に浄化する。
資料:ホンダ広報資料 06.9.25/08.2.11, その他
トヨタは北米モデルにV8 DE、富士重工は水平対向DE、スズキはFiatのDEを搭載
トヨタは、近い将来、北米に V8 クリーン DE 車を投入すると発表したが (08年1月)、エンジンの詳細はまだ明らか
にしていない。
富士重工は2008年から、乗用車初の水平対向 DE を欧州市場に投入し、Euro 4適合車を販売している。今後、
欧州で搭載モデルを増やし、機が熟せば2010年代前半に米国と日本にも投入する計画。
スズキは現在、Fiatから技術供与を受けたEuro 4適合エンジンをインドで生産し、ハンガリー製の欧州向けモデル
に搭載している。同じくFiatから技術供与を受けるEuro 5適合エンジンは、日本で生産し、欧州向けモデルに搭載
する計画。2012年には、日本と米国でもクリーンディーゼル車を投入するとしている。
トヨタ:北米モデルの大型 Light truck に、新型 V8 クリーンディーゼルエンジン搭載を計画
トヨタは、北米市場モデルの大型 Pickup の Tundra と大型 SUV の Sequoia に、近い将来、新型 V8 クリーン
ディーゼルエンジンを投入する、と発表した (08年 1月)。
新型 V8 クリーン DE の詳細は未発表だが、2007年 3月から豪州向け新型 Land Cruiser に搭載している現行
の 4.5L V8 Twin Turbo Diesel エンジン (VD型) は、排気量 4461cc、最高出力 195kW/3400rpm、最大トルク
650N・m/1600rpm、燃費 9.7km/L (combined) で、Euro 4 適合。
高圧コモンレールシステム、2系統 EGR システム、DC モータ駆動によるツイン VN (Variable Nozzle) ターボを
採用し、低燃費と静粛性を実現したとしている。また、軽量化と高強度化を両立するために、シリンダーブロックに
高強度な CGI 材 (Compacted Graphite cast Iron) を採用している。
資料:トヨタ 広報資料 08.1.14, Technical Review (08.4.25), Toyota Australia Website, その他
(注) Tundra への新型 V8 DE 搭載計画は、Automotive News (08.8.11) によれば、その後保留になったとされる。
富士重工:乗用車用初の水平対向ディーゼルエンジン Subaru Boxer Diesel を欧州仕様に搭載
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富士重工は、乗用車用として世界初の水平対向ディーゼルエンジン Subaru Boxer Diesel を、Legacy Sports
Tourer と Legacy Outback に搭載し、2008年 2月、欧州市場に投入した。Euro 4適合。
Subaru Boxer Diesel は、アルミ合金製シリンダーブロック採用と、同排気量の水平対向ガソリンエンジンよりも全
長を 61.3mm 短縮して軽量化し、振動が少ないという水平対向の特性を活かして、静粛性を向上したとしている。
Subaru Boxer Diesel の CO2 排出量は、同排気量のガソリン車より約 25% 少なく、慣性や摩擦が少ないので、
アクセルレスポンスもよく、加速も滑らか、としている。
欧州仕様には、既に Legacy saloon にも Boxer Diesel を搭載しており、08年 9月に新型 Forester、12月に新
型 Impreza にも搭載予定。市場で機が熟せば、2010年代前半に、米国・日本にも投入する計画。
資料:富士重工広報資料 07.12.25/08.2.8
スズキ:Fiat の技術供与で 1300ccDE をインドで生産、2000ccDE は日本で生産予定
スズキは2006年11月から、Suzuki Powertrain India で Fiat から技術供与を受けた、Euro 4 規制適合の
1300cc ディーゼルエンジン (1.3 DDiS) を生産している。当初の年産能力は 10万基。インドで生産する Swift に
搭載している他、08年からハンガリーで生産する Splash 等にも搭載する。ハンガリー製 Splash は 08年春に欧州
に投入した。
スズキは日本でも、相良工場内に エンジン工場を新設し、2010年からを目処に、Fiat の技術供与で 2000cc デ
ィーゼルエンジンを生産する。Euro 5 適合だが、将来の排ガス規制にも対応可能で、当初の年産規模は 10万基
(05年 10月発表)。
08年夏に稼動した相良の新完成車工場で生産する欧州向け SX4 等に搭載する見込み。2012年には、日米で
も 2000cc ディーゼルエンジンを搭載する乗用車を発売する計画。
資料:スズキ広報資料 05.10.20/07.2.6, 日刊工業新聞 08.9.15
(参考) VW と Daimler が市場投入する予定のクリーンDE車
VW は2008年秋に発売する新型Golfの、低燃費仕様コンセプトカーを発表した。VWの5座席車で現在最も燃費
が良いPolo BlueMotionと、燃費はほぼ同等としている。
Daimler が発表したC-ClassのクリーンDE 車は、後処理技術をいくつか組み合わせ、Euro 5に対応。Euro 6 と
米国のBin 5 規制にも対応できるとしている。
VW:新型 Golf の BlueMotion Concept の燃費は 26.3km/L、CO2 排出量は 99g/km
VW は、2008年 10月に 6代目となる新型 Golf を欧州発売するが、その低燃費コンセプトカー Golf
BlueMotion Concept を 08年 9月に発表した。販売は、09年央頃からの予定。
Euro 5 適合の 1.6L TDI ターボディーゼルエンジンを搭載し、5速MT のギア比見直し、低転がり抵抗タイヤの
採用、空気力学的設計等により、燃費は 26.3km/L、CO2 排出量は 99g/km (排出ガス後処理は DPF)。5座席
車で現在最も燃費が良い Polo BlueMotion 並みの燃費で、出力やトルク等の走行性能は Polo BlueMotion を
上回る。
資料:VW 広報資料 08.9.8
Daimler:2008年秋、新開発 DE を搭載した C-Class を欧州で発売
Daimler は、2008年 9月、C-Class に新開発ディーゼルエンジン (DE) を搭載した C 250 CDI
BlueEFFICIENCY を発表した。2000 気圧コモンレールを採用し、NOx 吸蔵還元触媒、尿素噴射装置、DPF、
SCR (選択還元触媒) を組み合わせて、Euro 5 適合。Euro 6 と 米国 Bin 5 にも対応できる見込み。
C 250 CDI BlueEFFICIENCY は、2008年秋に、5,000台限定モデルの Prime Edition として欧州発売し、その
後、カタログモデルとしてラインナップする予定。Daimler は、現在 4種類ある直列 4気筒 DE を、この新開発 DE
に置き換え、将来は、E-Class, 新型 GLK-Class, 次期 E-Class Coupe にも搭載する見込み。
資料:Daimler 広報資料 08.9.10, その他
出典:マークラインズ
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