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1
ファイナンス応用研究
第14回 2014年9月27日
畠田
2
企業評価-実践-
文献
Berk, Jonathan and DeMarzo, Peter, 2013, Corporate Finance,
Third Edition, Pearson, Chapter 19 (久保田,芹田,竹原,徳永,山内
訳,「コーポレートファイナンス:入門編」,第19章,丸善,2014年)
3
14.1 はじめに
これまでに展開してきたファイナンスの分析ツールが,企業の評価モデルを
構築するために実践的にどのように用いることができるかを示す。
仮想的な企業(アイデコ社)について,
• アイデコ社は,シカゴを本拠地にしたスポーツ用の特別なメガネ,ゴーグ
ル類のデザインおよび製造を手掛ける非上場企業である。
• 創業者であるウォン氏は,4年前に会社経営からは退いていたが,2015
年の半ば頃,会社を売ることを決意した。
• あなたは,KKP投資会社のパートナーとして,同社の購入についての検
討を行う。
• もし交渉が成立した場合,会社を1億5000万ドルで,買収自体は本会計
年度末に行われる。KKP投資会社は,以後5年間にわたり,アイデコ社
の経営効率性の向上と財務における改善を手掛けた上で会社を売却す
る予定である。
• アイデコ社の買収額は適正か?
4
14.1 はじめに
ウォン氏からの
売却提示:
2015
買収交渉
2020
経営改善
Ⅰ.2015年度の KKP投資会社による買収
損益計算書
買収金額(1億5000万ドル)
貸借対照表
の試算
Ⅱ.2015年度以降のFCFの試算
(1) 基本項目の想定
(2) 追加資本支出の想定
(3) 運転資本の想定
(4) 資本構成の想定
Ⅲ.資本コスト(税引き後WACC)の計算
Ⅳ.資産の価値の計算
Ⅴ. 最終判断
KKP投資会社による売却
売却金額(?)
5
14.2 財務諸表(損益計算書・貸借対照表)
Ⅰ.2015年度の損益計算書・貸借対照表
の試算
6
14.2 財務諸表(損益計算書・貸借対照表)
法人税率
表1 アイデコ社の2015年度損益計算書・貸借対照表の試算
35%
損益計算書 (単位 1,000ドル)
1 売上高
75,000
2 売上原価(減価償却費控除前)
3 原材料費
-16,000
4 直接労務費
-18,000
5 売上損益
41,000
6 販売費
-11,250
7 一般管理費
-13,500
8 利子支払い・減価償却費控除前利益(EBITDA) 16,250
9 減価償却費
-5,500
10 利子支払い前利益(EBIT)
10,750
11 支払利息
-75
12 税引き前利益
10,675
13 法人税
-3,736
14 当期純利益
6,939
買収額
売掛金回収期間(日数)
在庫回収期間(日数)
150,000
90.00
45.63
貸借対照表
資産の部
1 現金および預金
2 売掛金
3 商品および仕掛品
棚卸資産
原材料在庫
4 流動資産合計
5 固定資産
6 のれん
7 資産合計
負債の部,純資産の部
8 買掛金
9 負債
10 負債合計
11 純資産
12 負債の部,純資産の部合計
必要運転資金以上に保有す
る現金
12,664
18,493
6,165
4,165
2,000
37,322
49,500
86,822
4,654
4,500
9,154
77,668
86,822
6,500
7
14.3 比較対象企業を用いた評価(第4回の復習)
アイデコ社は,スポーツ製品企業であることから,比較対象企業として,同業
種企業であるオークリー,ラクソティカ,ナイキ,スポーツ製品企業平均をリ
ストアップし,買収価格の妥当性を検討しよう。
表2 アイデコ社の財務比率との比較(2015年中)
アイデコ社(提案
ラクソティカグ
スポーツ製品産
比率
オークリー社
ナイキ社
価格の下での値)
ループ
業の平均
P/E
21.6
24.8
28.0
18.2
20.3
2.0
2.0
2.7
1.5
1.4
営業価値(EV)/売上高
営業価値
9.1
11.6
14.4
9.3
11.4
(EV)/EBITDA
EBITDA/売上高
21.7%
17.0%
18.5%
15.9%
12.1%
比率
P/E
営業価値(EV)/売上高
営業価値(EV)/EBITDA
各比率の範囲
最低
最高
18.2
28.0
1.4
2.7
9.3
14.4
買収価格
最低
126,285
107,000
153,125
営業価値(EV)/売上高を用いた評価倍率法
𝑃 = 𝑃/𝐸 × アイデコ社の売上高
営業価値(EV)/EBITDAを用いた評価倍率法
𝑃 = 𝑃/𝐸 × アイデコ社のEBITDA
最高
194,285
204,500
236,000
𝑃/𝐸を用いた評価倍率法
𝑃 = 𝑃/𝐸 × アイデコ社の純利益
8
14.4 ビジネスプラン
Ⅱ.2015年度以降のFCFの試算
(1)基本項目の想定
(2)追加資本支出の想定
(3)運転資本の想定
(4)資本構成の想定
9
14.4 ビジネスプラン
売却までの5年間
(1) 基本項目の仮定
表3 アイデコ社の売上と営業費用についての仮定値
年度
2015 2016 2017
売上データに関する予想
年あたり成長率
1市場規模全体
5.0% 10,000 10,500 11,025
2マーケットシェア
1.0% 10.0% 11.0% 12.0%
3アイデコ社の生産量
1,000 1,155 1,323
4平均販売価格(ドル)
2.0%
75.00 76.50 78.03
原材料データに関する予想
年あたり成長率
5原材料費(ドル/1個あたり)
1.0%
16.00 16.16 16.32
6直接労働費(ドル/1個あたり)
4.0%
18.00 18.72 19.47
営業費用および法人税データに関する予想
7販売費(%:対売上高)
15.0% 16.5% 18.0%
8一般管理費(%:対売上高)
18.0% 15.0% 15.0%
9法人税率
35.0% 35.0% 35.0%
2018
2019
2020
11,576 12,155 12,763
13.0% 14.0% 15.0%
1,505 1,702 1,914
79.59 81.18 82.81
16.48
20.25
16.65
21.06
16.82
21.90
19.5% 20.0% 20.0%
14.0% 13.0% 13.0%
35.0% 35.0% 35.0%
10
14.4 ビジネスプラン
売却までの5年間
(2) 資本支出の仮定
• 毎期一定額の500万ドルの資本支出(𝐼)
• 販売量の成長が50%増になった時点(𝑡 = 2018年)以降,設備の拡張に
よる追加の資本支出を行う。
販売量の成長が50%増になる時点𝑡 =2018年
表4 アイデコ社の資本支出についての仮定値
2015
2016
2017
2018
2019
2020
固定資産と資本支出(1000ドル)
1 操業資産簿価(前期末簿価)
50,000 49,500 49,050 48,645 61,781 69,102
2 資本支出(𝐼)
5,000 5,000 5,000 20,000 15,000 8,000
3 減価償却費(𝐷𝐸𝑃)
-5,500 -5,450 -5,405 -6,865 -7,678 -7,710
4 期末簿価
49,500 49,050 48,645 61,781 69,102 69,392
備考:減価償却方法:定額法(耐用年数=10年,残存価値=0)
減価償却費(𝐷𝐸𝑃 )=(前期末資産簿価残高+当期資本支出額)/耐用年数で計算
11
14.4 ビジネスプラン
売却までの5年間
(3) 運転資本の仮定
表5 アイデコ社の運転資本必要度
運転資本回転日数
基礎数値
資産 (増分はFCFの低下に繋がる)
売上高
1 売掛金
原材料費
2 原材料
原材料+労務費
3 棚卸資産
売上高
4 最低必要現金
負債 (増分はFCFの増加に繋がる)
労務費+一般管理費
5 未払い賃金
原材料費+販売費
6 買掛金・その他未払金
2015年
日数
90
46
45
30
日数
15
45
目標(2016年以降)
日数
60
30
45
30
日数
15
45
運転資本管理
売掛金
原材料
× 365
2. 原材料回収期間(日数)=
× 365
売上高
原材料費
棚卸資産(在庫)
最低必要現金
3. 棚卸資産(在庫)回収期間(日数)=
× 365 4. 最低必要現金期間(日数)=
× 365
売上原価
売上高
未払い賃金
買掛金・その他未払金
5. 未払い賃金支払期間(日数)=
× 365 6. 買掛金支払期間(日数)=
× 365
労務費+一般管理費
売上原価
1. 売掛金回収期間(日数)=
12
14.4 ビジネスプラン(第6回の復習)
売却までの5年間
(4) 資本構成の仮定
アイデコ社は,現在の負債は僅かであり,650万ドルの余分な現金を保有し
ている。KKP投資会社は,企業の負債を大幅に増加させようと計画しており,
その場合,現存する負債を返済し,銀行から1億ドルの借り入れを,金利
6.8%で受ける。また,追加的な資本支出の一部も借り入れによって行う。
表6 アイデコ社の負債計画と支払利息
2015
2016
2017
負債と支払利息表(1000ドル)
1 負債残高
2 支払利息
2018
2019
2020
100,000 100,000 100,000 115,000 120,000 120,000
6.80%
-6800
-6800
-6800
-7820
-8160
表7 アイデコ社の買収に関する資金の源泉と使途
買収の資金調達表(1000ドル)
源泉
使途
1 新規銀行ローン
100,000
1 アイデコ社株式購入額
2 アイデコ社の超過保有現金
6,500
2 アイデコ社の現存する負債の返済
3 KKP投資会社自身の投資額
53,000
3 アドバイサリーフィー等
4 資金源泉総額
159,500
4 資金使途総額
KKP投資会社の必要資金(資本支出)= 53,000
150,000
4,500
5,000
159,500
13
14.5 ファイナンスモデルの作成
(1) 損益計算書の試算
表8 アイデコ社の2015-2020年度損益計算書の試算
損益計算書 (単位 1,000ドル)
2015
2016
2017
2018
1 売上高
75,000 88,358 103,234 119,777
2 売上原価(減価償却費控除前)
3 原材料費
-16,000 -18,665 -21,593 -24,808
4 労務費
-18,000 -21,622 -25,757 -30,471
5 売上損益
41,000 48,071 55,883 64,498
6 販売費
-11,250 -14,579 -18,582 -23,356
7 一般管理費
-13,500 -13,254 -15,485 -16,769
8 EBITDA
16,250 20,238 21,816 24,373
9 減価償却費(DEP)
-5,500
-5,450
-5,405
-6,865
10 利子支払い前利益(EBIT)
10,750 14,788 16,411 17,508
11 支払利息
-75
-6,800
-6,800
-6,800
12 税引前利益
10,675
7,988
9,611 10,708
13 法人税
-3,736
-2,796
-3,364
-3,748
14 税引後利益
6,939
5,193
6,247
6,960
2019
2020
138,149 158,526
-28,333
-35,834
73,982
-27,630
-17,959
28,393
-7,678
20,715
-7,820
12,895
-4,513
8,382
-32,193
-41,925
84,407
-31,705
-20,608
32,094
-7,710
24,383
-8,160
16,223
-5,678
10,545
14
14.5 ファイナンスモデルの作成
(3) 運転資本の試算
表9 アイデコ社の正味運転資本必要額の試算
2015
2016
2017
運転資本(1,000ドル)
1 売掛金
2 原材料
3 棚卸資産
4 最低必要現金
5 流動資産合計
6 未払い賃金
7 買掛金・その他未払金
8 流動負債合計
正味運転資本
9 正味運転資本:𝑁𝑊𝐶 (5-8)
10 正味運転資本の増分:∆𝑁𝑊𝐶
2018
2019
2020
18,493
2,000
4,165
6,164
30,822
1,295
3,360
4,654
14,525
1,534
4,967
7,262
28,288
1,433
4,099
5,532
16,970
1,775
5,838
8,485
33,067
1,695
4,953
6,648
19,689 22,709 26,059
2,039
2,329
2,646
6,815
7,911
9,138
9,845 11,355 13,030
38,388 44,304 50,872
1,941
2,211
2,570
5,938
6,900
7,878
7,879
9,110 10,448
26,168
22,756
-3,412
26,419
3,663
30,509 35,194 40,425
4,089
4,685
5,231
15
14.5 ファイナンスモデルの作成
表10 アイデコ社の2015-2020年度FCFの試算
単位 1,000ドル
2016
2017
2018
1 売上高
88,358 103,234 119,777
2 売上原価(減価償却費控除前)
3 原材料費
-18,665 -21,593 -24,808
4 労務費
-21,622 -25,757 -30,471
5 売上損益
48,071
55,883
64,498
6 販売費
-14,579 -18,582 -23,356
7 一般管理費
-13,254 -15,485 -16,769
8 EBITDA
20,238
21,816
24,373
9 減価償却費(𝐷𝐸𝑃)
-5,450
-5,405
-6,865
10 EBIT
14,788
16,411
17,508
11 支払利息
-6,800
-6,800
-6,800
12 税引前当期純利益
7,988
9,611
10,708
13 法人税
-2,796
-3,364
-3,748
14 税引後当期純利益
5,193
6,247
6,960
16 減価償却費(𝐷𝐸𝑃)
+
5,450
5,405
6,865
17 正味運転資本増加:∆𝑁𝑊𝐶
-3,412
3,663
4,089
18 資本支出(𝐼)
5,000
5,000
20,000
19 FCF
13,474
7,409
-5,845
2019
138,149
2020
158,526
-28,333
-35,834
73,982
-27,630
-17,959
28,393
-7,678
20,715
-7,820
12,895
-4,513
8,382
7,678
4,685
15,000
1,458
-32,193
-41,925
84,407
-31,705
-20,608
32,094
-7,710
24,383
-8,160
16,223
-5,678
10,545
7,710
5,231
8,000
10,328
企業が保有する資産が生み出す税引き後利益 = 1 − 𝑡 × 𝐸𝐵𝐼𝑇
故に,FCF = 1 − 𝑡 × 𝐸𝐵𝐼𝑇 + 𝐷𝐸𝑃 − ∆𝑁𝑊𝐶 − 𝐼
16
14.6 資本コストの推定(第10回,第11回の復習)
Ⅲ.資本コスト(税引き後WACC)の計算
• 資産の資本コスト(税引後WACC)を計算
• アイデコ社は未上場企業
⇒ 類似企業の推定値を利用
17
14.6 資本コストの推定(第10回,第11回の復習)
•
第10回,第11回で述べた手法を用いて,株主資本(株式)の資本コストと
負債の資本コストを推定し,税引後WACC(資産の資本コスト)を計算す
る。
•
アイデコ社は未上場企業である。
•
未上場である場合,株主資本(株式)の資本コストを直接推定することが
できない。
•
ここでは,類似企業の資本コストの推定値を利用する。
18
14.6 資本コストの推定
今,アイデコ社の負債の資本コスト:𝑟𝐷 ,自己資本の資本コスト:𝑟𝐸 を検討し
たところ,アイデコ社の負債の資本コスト:𝑟𝐷 = 6.80%であり,類似企業の株
式 の ア イ デ コ 社 の 株 式 の ベ ー タ : 𝛽 は 1.49 , マ ー ケ ッ ト ポ ー ト フ ォ リ オ
(S&P500)の期待リターン:𝑟𝑀 は10.11%,無リスク資産のリターン(TBレー
𝐷
ト):𝑟𝑓 は,5.98%となる結論に至った。アイデコ社は,目標レバレッジ:
を
𝐸+𝐷
40%に設定している。法人税率:𝑡を35%とするとき,アイデコ社の資産の資
本コスト(税引後WACC:𝑟𝐴,𝑊 )はいくらか?
𝑟𝐷 = 6.80%
𝑟𝐸 = 𝑟𝑓 + 𝛽 𝑟𝑀 − 𝑟𝑓 = 5.98 + 1.49 ∙ 10.11 − 5.98 = 12.134
𝑟𝐴,𝑊 =
𝐷
𝐸+𝐷
1 − 𝑡 𝑟𝐷 +
= 9.05%
𝐸
𝑟
𝐸+𝐷 𝐸
= 0.4 ∙ 1 − 0.35 ∙ 6.8 + 0.6 ∙ 12.134
19
14.7 投資の評価
Ⅳ.資産の価値の計算
Ⅴ. 最終判断
20
14.7 投資の評価
2020年度末の資産価値:𝑉2020 の計測
[DCF法による資産価値の計測] 2021年のアイデコ社の期待FCF:𝐹𝐶𝐹2021
は,11,151,000ドルで,2021年以降アイデコ社の𝐹𝐶𝐹𝑡 ,𝑡 = 2022, 2023, ⋯
は年率5%で増加すると想定する。KKPの売却後のアイデコ社の将来価値:
𝐹𝑉2020 は?
𝐹𝑉2020 =
2015
∞
𝑡=1
1+𝑔
1
𝑡−1 𝐹𝐶𝐹
2021
𝑡
+ 𝑟𝐴,𝑤
=
2020
𝐹𝐶𝐹2021
11,151
=
= 275,333
𝑟𝐴,𝑤 − 𝑔 0.0905 − 0.05
2021
11,151
11,151
0.0905 − 0.05
= 275,333
𝐹𝑉2020 =
⋯
2022
2023
2024
1.05 ∙ 11,151
1.052 ∙ 11,151
1.053 ∙ 11,151
⋯
21
14.7 投資の評価
2020年度末の資産価値:𝑉2020 の計測
[評価倍率法による資産価値の計測] 表2より,提案価格を用いたアイデコ社
のEBITDA倍率=9.1である。今,2020年のEBITDA倍率もそのまま変わら
ないとする。 KKPの売却後のアイデコ社の将来価値:𝐹𝑉2020 は?
表10より,2020年のEBITDA= 32,094なので,
𝐹𝑉2020 = 32,094 × 9.1 = 292,052
22
14.7 投資の評価
[DCF法による株主資本価値の計測] 2021年のアイデコ社の期待FCF:
𝐹𝐶𝐹2021 は , 11,151,000 ド ル で , 2021 年 以 降 ア イ デ コ 社 の 𝐹𝐶𝐹𝑡 , 𝑡 =
2022, 2023, ⋯ は年率5%で増加すると想定する。
税引き後WACC
9.05%
表11 アイデコ社の資産価値,負債価値,株主資本価値
2015
2016
2017
2018
13,474
7,409
-5,845
単位 1,000ドル
FCF
𝐹𝑉2020
資産価値(営業価値):𝑉2015
負債価値:𝐷2015
株主資本価値:𝐸2015
𝑉2015 =
2020 ...
10,328
275,333
200,346
100,000
100,346
5 𝐹𝐶𝐹2015+𝑡
𝑡
𝑡=1
1+𝑟𝐴,𝑊
13,474
2019
1,458
7,409
+
𝐹𝑉2020
1+𝑟𝐴,𝑊
−5,845
5
1,458
10,328
275,333
= 1.0905 + 1.09052 + 1.09053 + 1.09054 + 1.09055 + 1.09055 = 200,346
𝐸2015 = 𝑉2015 − 𝐷2015 = 200,346 − 100,000 = 100,346 > 53,000
よって,アイデコ社を買収すべきである。
KKP投資会社の資本支出額(表7)
23
14.7 投資の評価
[評価倍率法による株主資本価値の計測] 表2より,アイデコ社のEBITDA倍
率=9.1である。今,2020年のEBITDA倍率もそのまま変わらないとする。
税引き後WACC
9.05%
表12 アイデコ社の資産価値,負債価値,株主資本価値
2015
2016
2017
2018
13,474
7,409
-5,845
単位 1,000ドル
FCF
𝐹𝑉2020
資産価値(営業価値):𝑉2015
負債価値:𝐷2015
株主資本価値:𝐸2015
𝑉2015 =
2020 ...
10,328
292,052
211,187
100,000
111,187
5 𝐹𝐶𝐹2015+𝑡
𝑡
𝑡=1
1+𝑟𝐴,𝑊
13,474
2019
1,458
7,409
+
𝐹𝑉2020
1+𝑟𝐴,𝑊
−5,845
5
1,458
10,328
292,052
= 1.0905 + 1.09052 + 1.09053 + 1.09054 + 1.09055 + 1.09055 = 211,187
𝐸2015 = 𝑉2015 − 𝐷2015 = 211,187 − 100,000 = 111,187 > 53,000
よって,アイデコ社を買収すべきである。
KKP投資会社の資本支出額(表7)
24
14.8 まとめ
留意点
• この分析では,財務危機的費用についての議論は含まれていない。さら
に,エイジェンシーコスト,エントレンチメントの問題も考慮していない。す
なわち,負債の節税効果の側面しか捉えていない。
⇒ 過大(過小)評価されている可能性あり
•
感応度分析を実施することで,様々な想定の下での𝐸2015 あるいは,
𝐸2020 = 𝑉2020 − 𝐷2020 を計測することができる。
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