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Oracle WebCenter 11gテクニカル・ホワイト・ペーパー
Oracle ホワイト・ペーパー 2009 年 6 月 Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー はじめに.............................................................................................................................. 2 Oracle WebCenterの概要 .............................................................................................. 4 WebCenter Framework ...........................................................................................................5 WebCenter Social Computing Services ..................................................................................7 WebCenter ComposerとBusiness Dictionary .........................................................................9 Oracle Metadata Servicesによるカスタマイズの階層化 ......................................................11 WebCenter Spaces ...............................................................................................................13 WebCenter Anywhere ...........................................................................................................14 JDeveloper内でのWebCenterアプリケーションの開発.............................................. 14 アプリケーションのカスタマイズ ........................................................................................15 ポートレットの作成 .............................................................................................................16 Java Content Repositoryを使用したコンテンツの統合 ........................................................19 WebCenterアプリケーションのスタイル設定 ......................................................................21 WebCenterアプリケーションの保護 ....................................................................................22 WebCenterアプリケーションの配置 ....................................................................................24 WebCenterを用いたエンタープライズ・マッシュアップの作成 ............................... 24 WebCenter Composerを用いたエンタープライズ・マッシュアップ...................................24 Oracle WebCenter Ensembleを用いたWebリソースのマッシュアップ ...............................26 統合化マッシュアップ・ツール ...........................................................................................27 Social Computingサービスを使用したアプリケーションの拡張 ................................ 28 サービス・フレームワークとアーキテクチャ ......................................................................28 ビルトイン・サービスのタスク・フローのカスタマイズ ....................................................29 WebCenter Spacesを使用した動的コミュニティ ....................................................... 36 個人用スペース ....................................................................................................................37 グループ・スペース .............................................................................................................38 Microsoft Officeプラグインによるグループ・スペースへのアクセス...................................40 WebCenter Spaces向けiPhoneアプリケーション ................................................................41 グループ・スペース管理 ......................................................................................................43 WebCenterの管理 ........................................................................................................ 43 結論 .............................................................................................................................. 45 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー はじめに Web 2.0 テクノロジーは、個人ユーザーに今までにはなかった権限を与えることで、コンシューマ・ インターネットに多大な影響を与えてきました。wiki、ブログ、タグ付け、RSS、マッシュアップなど の新しいツールやテクノロジーによって、誰でも情報を作成、公開、分類、共有できるようになりま した。こうした"ユーザー参加型"のインターネット・アーキテクチャによって、ユーザーは、コミュ ニティ、ディスカッション、レーティング、ソーシャル・ネットワークなどを介して、簡単に情報 の質を高めたり情報量を増やしたりできるため、かつてないスピードで情報が拡大されています。 コンシューマ・インターネットでは、ユーザーによる情報との対話やユーザー同士のやりとりが大 きく変化しましたが、一般企業では依然として、Web 2.0 型のツールとテクノロジーを社員が効果 的に利用できずにいます。企業のナレッジ・ワーカーたちの間では、コンシューマ・インターネッ トの個人利用で慣れている、使いやすいユーザー主導のツールを職場でも使いたいという要求がま すます高まっています。柔軟なユーザー主導の Web 2.0 ツールとその利用パターンを導入すれば、 ビジネス・プロセスが簡素化され個人やグループの生産性が向上し、非定型のコラボレーションに よる知的作業の効率を大幅に高めることができることを、多くの企業は認識しています。こうした 企業は、必要なインフラストラクチャの配置を開始しています。つまり、サービス指向アーキテク チャ(SOA)型のアプローチに移行して、変化するビジネス要件に迅速に対応できる IT 駆動型の企 業アプリケーションを構築しているということです。しかし、企業で Web 2.0 がもたらすビジネス 上のメリットを最大限に活用するには、IT 部門だけではなく、ナレッジ・ワーカー自身が、エンター プライズ・アプリケーションを開発できなければなりません。それには、ナレッジ・ワーカーが社 内外のあらゆるリソースから収集した情報を用いて、アプリケーションの高度なパーソナライズと マッシュアップをおこなえるようにする必要があります。 Oracle WebCenter が登場するまでは、エンタープライズ・アプリケーション・マッシュアップを構 築するのは、優秀な開発者にとっても面倒な作業でした。Oracle WebCenter は、高度でインタラク ティブなタスク指向型 Web 2.0 エンタープライズ・ソーシャル・マッシュアップを構築できるよう に、ソフトウェア・エンジニアからビジネス・ユーザーまで、あらゆるレベルのアプリケーション開 発者を全面的に支援します。また、Oracle WebCenter は、SOA や JCR 1.0 Java Content Repository (JCR 170)、そのほかの業界標準に準拠しており、広範なプラグ・アンド・プレイ製品、ツール、 およびサービスを備えています。そのため IT 部門は、ユーザーが必要とするアプリケーションを簡 単に構築できます。ユーザーは、こうして構築されたアプリケーションを、エンタープライズ環境 向けに設計された Web 2.0 ツールおよびテクノロジーを用いて拡張および改良できます。 2 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 根本的にOracle WebCenterは、標準ベースのオープンで宣言的なフレームワーク上に構築されてい ます。これにより、動的なユーザー・インタフェース・テクノロジーを用いたリッチ・インターネッ ト・アプリケーション(RIA)と統合化されたマルチチャネル・ポータル・フレームワークの柔軟性、 さらにビジネス上の問題またはユーザー・タスクのコンテキストで、コンテンツ、コラボレーショ ン、プレゼンス、およびソーシャル・コンピューティング機能を実現するWeb 2.0 水平型サービス を組み合わせることができます。つまり、Oracle WebCenter Framework 11gは、部門ポータルや企 業ポータルだけではなく、複合インタフェース、ソーシャル・コミュニティ、Webアプリケーショ ンを組み合わせた次世代のアプリケーションとポータルの開発を高速化できるのです。 また、WebCenterの統合化されたフレームワークとサービスを企業が迅速に活用できるように、す ぐに使えるOracle WebCenter Spacesアプリケーションを用意しています。これにより、ユーザーは、 IT部門が専用ソリューションを開発するまで待たなくても、コミュニティ・サイトやチーム・サイト をすぐに利用できます。すべての機能は、Oracle Enterprise Managerが提供する単一の統合化管理 コンソールで管理できます。 Oracle WebCenterでは、Oracle WebCenter Social Computing Servicesによって、エンタープラ イズ向けの総合Web 2.0 サービスセットを用意しています。これらのサービスは、企業のアプリケー ションまたはポータルへの注入やWebCenter Spacesへの事前統合が簡単におこなえるように設計 されています。WebCenterのWeb 2.0 サービスは、ユーザー・インタラクション用であると同時に、 セキュリティ、既存のITシステムとの統合、標準のサポートといった企業向けの要件も満たすように 設計されています。このWeb 2.0 サービスには、wiki、ブログ、RSS、タグ付け、プレゼンスなどが 含まれています。 ユーザーは、エンタープライズ内のすべてのリソースとやり取りする必要があるため、ポータルに は、Business Dictionaryを統合し、アプリケーション、コンテンツとリッチ・メディア、ビジネス・ プロセス、ビジネス・インテリジェンスとの事前パッケージによる統合化をロール固有の方法で実 現し、これらの重要なリソースに対するユーザーの認識を促す必要があります。Oracle Composerを 使用すると、ユーザーおよびサイト管理者は、ユーザーの要件を満たすようにポータルおよびアプ リケーションの動作とルック・アンド・フィールを高度にパーソナライズし、しかもそのパーソナラ イズの内容が将来のアップグレードによって変更されないように保護できます。Oracle WebCenterを 使用すれば、企業は、すべての社員およびパートナー企業がもつ重要な知識とアイデアをうまく利 用し、将来を見据えて力を蓄えることができます。このような完全で統合化された最高の機能を備 えた製品はほかにありません。 3 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー Oracle WebCenter の概要 Oracle WebCenter は、標準ベースの Java Server Faces(JSF)宣言型開発、ポータルとソーシャル・ネッ トワークの柔軟性と強力な機能、および Web 2.0 の統合サービス全体を組み合わせて、エンドユーザー の生産性を向上します。これらのサービスを組み合わせることで、コンテキストを切り替える必要 がなく、生産性を最大化するアプリケーションの構築が可能になります。たとえば、Oracle WebCenter の機能を使用して構築したアプリケーションでは、ユーザーは、インスタント・メッセンジャーや そのほかのコラボレーティブ・サービスをアプリケーション内で直接使用できます。単にアプリケー ションを通して必要なサービスにアクセスできるのではなく、サービスがアプリケーション構造そ のものに統合されているのです。 Oracle WebCenter は、企業の開発者とビジネス・ユーザーの両方をターゲットにした製品です。主要 なコンポーネントとして、WebCenter Framework、WebCenter Social Computing Services、WebCenter Composer、WebCenter Spaces があります。また、WebCenter Anywhere を使用すると、WebCenter ア プリケーションをモバイル対応にすることが可能です。これにより、ユーザーは、さまざまなモバ イル機器からアプリケーションにアクセスできるようになります。 図 1 - WebCenter の主要概念 4 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー WebCenter Framework Oracle WebCenter Framework は、追加統合およびランタイム・カスタマイゼーション・オプションを JavaServer Faces(JSF)環境に提供して補強します。ポートレット、カスタマイズ、パーソナライズ、 統合など、元々ポータル製品に搭載されていた機能を JSF 環境'自体'へ直接統合するということです。 これによって、ユーザーに対して人工的な障壁が取り除かれ、コンテキスト・リッチなアプリケー ション開発基盤を提供します。WebCenter のコンポーネントとサービスは JSF アプリケーションに選 択的に追加できます。たとえば、Instant Messaging and Presence(IMP)サービスだけを使用する場合 です。また、WebCenter のすべてのコンポーネントとサービスにアクセスする場合は、WebCenter Application テンプレートを使用することもできます。 WebCenter Extension for JDeveloper Oracle JDeveloper は、サービス指向アプリケーションを構築するための統合開発環境(IDE)であり、 Java、XML、Web サービス、および SQL の最新の業界標準を使用しています。WebCenter Framework の機能とリソースは JDeveloper 内にシームレスに統合および公開されており、エンタープライズ・ アプリケーション開発者の生産性を最大化します。 WebCenter 対応アプリケーションの構築に必要な開発機能は、すべて JDeveloper 環境から使用できま す。JDeveloper のビジュアルな宣言型アプローチと Oracle Application Development Framework(ADF) を組み合わせて使用すると、アプリケーション開発が簡素化されます。たとえば、ボタン、値リス ト、ナビゲーション・バーなどの多数の標準ユーザー・インタフェース・ウィジェット用のコード があらかじめパッケージ化されています。 5 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 図 2 - WebCenter の JDeveloper 設計環境 WebCenter コンポーネントは、コンポーネント・パレットおよびデータ・コントロール・パレットの リソース・カタログからすぐにアクセスできます。必要なリソースをドラッグして JSF ページにド ロップするだけで、リソースがビュー・コンポーネントとして表示され、自動的に ADF モデルに結 び付けられます。 WebCenter にはいくつかのウィザードが用意されており、ポートレットの作成、既存ポートレットの コンシューム、コンテンツ・リポジトリに対するデータ・コントロールの作成、アプリケーション の保護など、開発に不可欠な作業をサポートします。必要なコーディング量を大幅に削減すること によって、WebCenter は開発者の生産性を飛躍的に向上させます。 Oracle JDeveloper の開発環境について、詳しくは Oracle Technology Network(OTN)の JDeveloper と ADF のホームページを参照してください。 Oracle JDeveloper において、適切なテクノロジーを用いてアプリケーションとそのプロジェクトを正 しく定義するには、アプリケーション・テンプレートを適用する方法がもっとも簡単です。アプリ ケーション・テンプレートは、アプリケーションをプロジェクトに自動的に分割して、処理全体を 論理的に分離します。Oracle WebCenter が提供するテンプレートは、WebCenter アプリケーションの 構築に最適な設定がなされています。 6 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー WebCenter アプリケーションのテンプレートは、データ・モデル用のプロジェクト(Model)、およ びポートレット、コンポーネント、データ・コントロールの消費用プロジェクト(ViewController) で構成されています。単純化するため、WebCenter アプリケーションのテンプレートでは、この 2 つのプロジェクトが 1 つのアプリケーションに含まれていますが、要件にもっとも合う方法でアプ リケーションとプロジェクトを配置しても問題ありません。Java ポートレットの作成用に 2 番目の テンプレート(PortletProducer Application)が用意されています。 タスク・フローによるポートレットとアプリケーションの開発 Oracle ADF 11g で飛躍的な進歩を遂げた主要テクノロジーとして、再利用可能な JSF/ADF コンポー ネントであるタスク・フローがあります。タスク・フローは Oracle JDeveloper に組み込まれており、 開発者がアプリケーションのタスク(Create Expense Report、Enter Budget など)を定義する場所です。 タスクの定義には、ユーザーによるタスクの実行を許可する対話型のページおよびロジックが含ま れます。Oracle WebCenter Framework とタスク・フローを組み合わせて使用すると、開発者は一連の タスク・フローからアプリケーションを構築したあと、個々のタスク・フローをポートレットとし て直接公開できます。アプリケーションを変更または更新すると、その変更内容がポートレットに も即座に反映されます。協調するロジックを集約タスク・フローとしてまとめておけば、単一のイ ンスタンス内で再利用できます。複数の場所で協調ロジックを重複して記述する必要はありません。 こうしたタスク・フローはアプリケーションのコンテキスト内で配信されるため、トランザクショ ン・セマンティクスでラップすることができます。これは、典型的なポートレット標準では制限の ためできなかったことです。 WebCenter Social Computing Services Oracle WebCenter Suite 11g では、総合的な Social Computing Service のセットによって Web 2.0 サービ スと個人向け生産性機能を公開しているため、企業情報とビジネス・プロセスを容易に統合できます。 各サービスは、組み合わせて使用できるように統合化されています(たとえば、Instant Messaging and Presence リンクをディスカッション・フォーラムに追加すると、フォーラムのトピックから、直接製 品の専門家に問い合わせることができます)。 すべての WebCenter Social Computing Services には、すぐに使えるタスク・フローまたはポートレッ トの完全なセットが含まれているため、迅速な導入が可能です。これにより、開発者とエンドユー ザーは短期間で生産性を向上できます。たとえば、ドキュメント・サービスは Documents タスク・ フロー、Document List Viewer タスク・フロー、および Recent Document タスク・フローを介して公 開されます。IT 部門は、これらのいずれかのタスク・フローを、アプリケーションまたはポータル を構築するときに追加できます。ビジネス・ユーザーは、これらのサービス・タスク・フローを、 Oracle Composer を使用して配置済みのアプリケーションまたはポータルに追加できます。ビルトイ ン・タスク・フローがビジネス要件を満たさない場合、開発者は、次のどちらかを実行できます。 1. 事前構築のタスク・フローを直接カスタマイズして要件を満たすようにします。このカスタマイ ズは JDeveloper 内でおこなわれるため、開発者は必要な機能をきわめて生産的かつ迅速に得るこ とができます。 2. 事前構築のデータ・コントロールを使用して、データ・コントロール自体のユーザー・インタフェー スを要件に合わせてバインドします。バックエンドの統合化を構築する必要はありません。 7 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー Application Development Frameworkとタスク・フローの詳細については、OTNのADFに関するページを 参照してください。 WebCenter Services は、IMAP 電子メール、JSR 116 プレゼンス、JCR 1.0 コンテンツ統合、JSR 168、 JSR 286、WSRP 1.0/2.0、JSR 301 など、各種業界標準規格に準拠して構築されています。Social Computing Service タスク・フローは、アダプタ・ベースのモデルに基づいているため、広く使用されているバッ クエンド・システムに簡単に接続できます。 Oracle WebCenter の中心概念は、グループ参加およびソーシャル・コンピューティングであるため、 ユ ー ザ ー お よ び サ ー ビ ス を 使 い や すい方法で結合できます。多くの Oracle WebCenter Social Computing Services は標準の個人生産性ツールと連携するように設計されているため、グループでは なく個人に重点を置いた機能も提供しています。ここではわかりやすいように、WebCenter Social Computing Services をグループ・サービスと個人生産性サービスの 2 つのカテゴリに分類しました。 表 1 - WebCenter Social Computing Services のグループ・サービスと個人生産性サービス 0 グループ・サービス 個人生産性サービス アナウンス メール ディスカッション ワークリスト ブログ メモ Instant Messaging and Presence 最新のアクティビティ Wiki RSS ドキュメント 検索 イベント リンク リスト タグ アクティビティ・グラフ People Connections WebCenter Analytics WebCenter Ensemble 8 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 上記のWebCenter Social Computing Servicesの詳細については、このドキュメントで後述します。また はwww.oracle.com/WebCenterにあるWebCenter Social Computing Services 11gのテクニカル・ホワイ ト・ペーパーを参照してください。 WebCenter Composer と Business Dictionary WebCenter Composer は、ビジネス・ユーザーが実行時にアプリケーションをカスタマイズおよびパー ソナライズしたり、マッシュアップによって個人向けのコンテンツを追加したりできる宣言的なブ ラウザベースのプラットフォームです。WebCenter Composer を使用すると、ビジネス・ユーザーは 実行時にページ上でコンポーネントの追加、削除、配置変更をおこなったり、まったく新しいコン テンツとページを作成したりできます。新しいページを作成するには Create Page ウィザードを使用 します。新しいページで自動的に WebCenter Composer が呼び出され、新規のコンテンツとコンポー ネントを追加できるようになります。新規のコンポーネントは Business Dictionary を介して追加でき ます。Business Dictionary は、ロール・ベースの企業リソース・カタログです。具体的には、構造化 エンタープライズ・アプリケーション・データ、個人向け生産性サービス、セキュア・コンテンツ・ ソースなどを表示します。すべてのカスタマイズは Oracle Metadata Services に格納され、下層のアプ リケーションが変更されることはありません。このため、ビジネス・ユーザーは、下層のアプリケー ションが新規バージョンにアップグレードされても、気にすることなくアプリケーションを開発で きます。 ポータルでよくおこなわれるページのカスタマイズは、配置ごとまたは部門ごとにアプリケーショ ンをブランディングする際に必要不可欠です。一般に、個人ユーザーが各自のページ・ビューを固 有のニーズに合わせて変更できる機能をパーソナライズ機能といいます。WebCenter Composer には、 すべての関連メタデータを管理および検索する主要コンポーネント・セットによる、カスタマイズ とパーソナライズを処理するためのインフラストラクチャがあります。また、WebCenter の実行時の 編集機能によって、アプリケーションの配置後でもカスタマイズの内容を簡単に変更できます。 WebCenter Composer を既存の JSF アプリケーションに追加すれば、エンドユーザーは、独自のエン タープライズ・マッシュアップを作成できます。実行時の編集を有効にするには、WebCenter Composer のデザインタイム・コンポーネントを Oracle JDeveloper のページに追加します。実行時の編集を有 効にすると、エンドユーザーは WebCenter Composer を使用して、アプリケーションの実行中に自身 のページに必要なコンポーネントを選択して追加できます。 9 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 図 3 - さまざまなテンプレートを使用したページ・ウィザードの作成 図 4 - いつでもコンテンツを追加できる Oracle WebCenter Composer の新規ページ 10 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー Business Dictionary Business Dictionary には、アプリケーションのページを構成する際に使用できるビュー・コンポーネ ントとデータ・リソースが格納されています。WebCenter Composer では、カタログ・パネルに下記 のようなデフォルトの実行時リソースが表示されます。アプリケーション・ユーザーは、カタログ 内のコンポーネントをブラウズして、ページに追加できます。カタログには、アプリケーションで 使用可能なすべての Oracle ADF コンポーネントおよびポートレットがデフォルトで表示されます。 開発者は、デフォルトのリソース・カタログを変更するか、独自のリソース・カタログを作成する ことによって、ビューアに表示されるコンポーネントを制御できます。Business Dictionary には、ポー トレット、レイアウト・コンポーネント、タスク・フロー、ドキュメント、Oracle ADF Faces コンポー ネントなどのアイテムを格納できます。 図 5 - Business Dictionary で使用可能なコンテンツのロール・ベース・ビュー Oracle Metadata Services によるカスタマイズの階層化 Oracle WebCenter Framework では、Oracle Metadata Services リポジトリを使用して、カスタマイズ(例: Web ページでの企業ブランディング)またはパーソナライズ(例:個人用ダッシュボード・ページ) されたコンテンツおよびサービスを設定できます。これにより、ユーザーによるアプリケーション またはポータルとの対話機能を高めることができます。情報は、ベース・アプリケーションの上位 階層として格納されるため、開発者とユーザーは、ベースとなるアプリケーションまたはポータル に対して更新やパッチの適用がおこなわれても意識する必要はありません。MDS はあらゆるビジネ ス・プロセスにおいて、ビジネス・インテリジェンス情報およびオラクルの新規エンタープライズ・ アプリケーションで使用します。また、MDS は汎用のメタデータ・ストアであり、アプリケーショ ンおよびポータルをパッチの適用や新規リリースの導入による影響から保護するほかに類のない機 能を実現しています。このような集中化されたメタデータ戦略によって、デザインタイムおよびラ ンタイムの作業を、単一の補完的な開発ライフ・サイクルとして簡単にまとめることができます。 11 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー これにより、製品の存続期間中に追加されたカスタマイズやパーソナライズの内容を失うことなく、 アプリケーションの新しいバージョンの開発や配置が可能です。Oracle Composer コンポーネントを ページに追加すると、情報の格納と検索が MDS に対して自動的におこなわれるため、カスタマイズ やパーソナライズを管理するためのロジックを書く時間が必要なくなります。 カスタマイズ カスタマイズをおこなうと、アプリケーションまたはポータルのすべてのユーザーにとってのビュー が変わります。カスタマイズは通常、配布済みのアプリケーションやポータルを特定の顧客または 用途向けに"印象付ける"際に必要です。カスタイマイズには、ロゴの挿入や、会社に合わせた色の変 更といった簡単なものから、ページへの項目の追加、ページ・レイアウトの変更、与えられたプロ セスの変更、配置済みのアプリケーションやポータルのビジネス要件に合わせた調整なども含まれ ます。Oracle WebCenter Suite 11g Release 1 と Oracle Composer では、こうしたカスタマイズをファイ ル・システムに格納したり、Oracle Metadata Services を使用してデータベースに直接格納したりでき る、きわめて柔軟なモデルを採用しています。たとえば、Oracle Composer では、データベースにカ スタマイズの内容を格納するために、ページの編集中にページのコピー、すなわち"サンドボックス" を作成します。この"サンドボックス"は一時的な格納領域であり、実行時におこなわれたページのカ スタマイズのグループはいったんここに保存されたあと、データベースに保存されたり、ほかのユー ザーにプッシュされたり、破棄されたりします。これにより、カスタマイズをほかのユーザーにプ レビューで確認してもらい、承認を受けてから、すべてのユーザーに公開することができます。 パーソナライズ パーソナライズでは、ポータルやアプリケーションのページにおいて、特定個人向けのビューのみ を変更します。特定のユーザー以外のユーザーは、ページ変更による影響を受けません。Oracle WebCenter Composer では、ロール・ベース・ビューの Business Dictionary からの情報を表示すること によってパーソナライズを有効にするため、ユーザーには自身に関連するコンポーネントだけが表 示されます。たとえば、販売担当者は、現在の顧客のリスト、現在の優良見込客や販売機会のリス ト、過去の顧客や製品のリストなどを、ページのパーソナライズ対象として選択できます。顧客サ ポート担当者には、これらのコンポーネントの一部だけがパーソナライズ対象ページに追加可能な コンポーネントとして表示されます。 Oracle WebCenter Composer は、ユーザーが個人およびグループ領域をカスタマイズおよびパーソナ ライズできるように、Oracle WebCenter Spaces 内で広く利用されています。詳しくは、このドキュメ ントで後述します。 12 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 図 6 - Oracle MDS によるカスタマイズの階層化 WebCenter Spaces Oracle WebCenter Spaces は、ソーシャル・ネットワーキング、通信、コラボレーション、個人生産性 などの分野に最新のテクノロジーをもたらす、すぐに使える WebCenter アプリケーションです。開発 作業は一切ありません。Oracle WebCenter Framework、Oracle WebCenter Composer と Business Dictionary、 WebCenter Spaces によって提供される統合化 Web 2.0 サービスとアプリケーションの堅牢なセットに より、コミュニティ・ポータル、チーム・サイト、そのほかのコラボレーティブ・アプリケーション を即座に配置できます。Oracle WebCenter Spaces は、単一のアプリケーション内で 3 つの主要な機能 である、個人用スペース、ビジネス・ロール・ページ、およびグループ・スペースを提供します。 個人用スペースは、各ユーザーにプライベートな作業領域を用意します。この領域は、個人用コン テンツの格納、メモや ToDo リストの管理、ビジネス・プロセスの割当ての表示と応答、個人イベン トのスケジューリング、オンライン仲間のリスト管理、ユーザー固有の作業日に関する多くのタス ク実行に使用されます。 ビジネス・ロール・ページは、組織内および会社全体の特定のタイプのユーザーと通信するための 強力な方法を提供します。ビジネス・ロール・ページを使用すると、ページまたはページ・セット を個々の企業内ロールに効率的に接続できます。これにより、すべてのユーザーのユーザー固有の 情報と職務権限が最新状態に維持されます グループ・スペースは、関心領域または共通の目標(ビジネス上の問題の解決など)を中心として 構成された任意のサイズの個別のコミュニティをサポートします。グループ・スペースでは、広範 な Web 2.0 のサービスとツールによって、企業内でソーシャル・ネットワーキング機能を実現します。 WebCenter Spaces には、上記以外にも、Microsoft Office 2007 との広範なデスクトップ統合、および WebCenter Spaces のコンテンツと機能にアクセスする iPhone アプリケーションも用意されています。 13 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー WebCenter Anywhere WebCenter は、オラクルの堅牢なワイヤレス・プラットフォームを利用して、統一された作業環境の 利点をあらゆるタイプのモバイル・テクノロジーにもたらします。これらのモバイル・テクノロジー には、PDA やスマートフォンなどの接続デバイス、モバイル音声、およびモバイル・メッセージン グが含まれます。さらに、Windows デスクトップ・ツールから、WebCenter アプリケーションに直接 アクセスすることも可能です。 ADF Mobile WebCenter の開発者が JSF テクノロジーによる生産性向上の成果を得たことに対して、オラクルでは 同様の利点を得るために ADF Mobile を使用したモバイル・アプリケーションの開発を始めました。 ADF Mobile は、デスクトップ向けの JSF アプリケーション開発と同じ方法で、モバイル固有の拡張 機能を追加しています。60 を超える標準 ADF Faces コンポーネントをサポートしているため、開発 者はモバイル・デバイスの小さな画面に合うようにレンダリングされる豊富なコンポーネント・セッ トを使用してアプリケーションを構築できます。このように、WebCenter の開発者は同じような ADF Faces コンポーネントのセットを使用することによって、デスクトップ・ブラウザ・アプリケーショ ンの Model および Controller レイヤーを再利用して、PDA(Microsoft PocketPC、Palm Treo など)向 けの View レイヤーを構築できます。 JDeveloper 内での WebCenter アプリケーションの開発 WebCenter Framework は、アプリケーションで Web 2.0 サービスを使用するための基盤を提供してお り、エンタープライズ・マッシュアップ機能を追加して、エンドユーザーが仕事に必要とするコン テンツを取得できるようにします。また、JSR 168、WSRP、および Oracle ポートレットを WebCenter アプリケーションに統合して、異なるコンテンツ・リポジトリのコンテンツを使用することもでき ます。WebCenter Framework を使用すると、これらのコンポーネントおよびそのほかのカスタマイズ 可能なコンポーネント同士が協調して動作するように関連づけることで、まとまりがあり、分かり やすく、使いやすいアプリケーションを構築できます。 14 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 図 7 - WebCenter アプリケーションの例 アプリケーションのカスタマイズ カスタマイズ可能なコンポーネントは、アプリケーション実行時の動作をカスタマイズする機能を 提供します。これらのコンポーネントを使用すると、サイト管理者はアプリケーションのコンテン ツ表示方法を変更できます。たとえば、管理者がコンテンツの一部を非表示にする、またはあるコ ンポーネントをページ下部から上部へと移動することを決定します。これらの変更および設定はエ ンドユーザーに引き継がれます。 アプリケーションに対して適用されたカスタマイゼーションは、MDS メタデータ・リポジトリに保 存されます。基本のアプリケーション定義と実行時のカスタマイゼーションを含むすべてのメタデー タは、中央のメタデータ・ストアに保存されます。このメタデータの一元管理された戦略によって、 WebCenter は、インフォメーション・ワーカーが実行時におこなう作業と IT 開発者が設計時におこ なう作業を、単一の補完的開発ライフ・サイクルにまとめることができます。結果として、製品の 存続期間中、インフォメーション・ワーカーが実施したカスタマイゼーションを失うことなく、ア プリケーションの新しいバージョンの開発や配置が可能となります。 WebCenter Frameworkでは、showDetailFrameとpanelCustomizableの 2 つのカスタマイズ可能なコン ポーネントを提供しています。1 つ以上のJSFまたはADFコンポーネントをshowDetailFrameで囲 むと、境界線と、コンテンツの最小化などのアクション・メニュー付きのヘッダーが表示されます。 panelCustomizableコンポーネントは、ADFコンポーネントの集合に対する水平方向および垂直 方向のレイアウト機能を提供します。 15 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー showDetailFrameコンポーネントと同様に、panelCustomizableコンポーネントもアクション・ メニューを含むヘッダーを表示できます。 ポートレットの作成 WebCenter Framework Extension for JDeveloper は、ポートレットの作成と配置をサポートします。 WebCenter Framework は、JSR 168、WSRP 2.0 を含む、すべてのポートレット標準をサポートします。 Oracle JDeveloper のポートレット作成ウィザードを使用すると、WSRP/JSR 168 および PDK-Java (Portlet Development Framework for Oracle Portal)のポートレットを素早く簡単に作成できます。ポー トレット・プロデューサ配置を支援する一連のウィザードも用意されています。テストのために、 ポートレットを WebCenter の事前構成 WebLogic Server に配置できます。 WebLogic Server は、 JDeveloper のツールバーから開始および停止できます。つまり、ポートレットを開発およびテストする間、 JDeveloper 環境から出る必要はまったくないということです。 図 8 - JSR 168 Java Portlet ウィザードを使用したポートレットの作成 JSF アプリケーションのポートレット化 アプリケーションのポートレット化とは、アプリケーションをポートレットとして使用できるよう にすることです。ポートレット化したアプリケーションはポータルに埋め込むことができます。ポー タルに埋め込まれたアプリケーションは、スタンドアロン・アプリケーションと同じ方法で使用で きます。ポートレット化によって、さまざまなアプリケーションを統合して、エンドユーザーから 使いやすい単一ロケーションで公開するための便利なメカニズムが提供されます。ビジネス・ユー ザーは、ポートレット化されたアプリケーションを使用して、エンタープライズ・マッシュアップ を作成できます。 Oracle WebCenter の JSF-Portlet Bridge(JSR 301)を利用すると、開発者は JSF アプリケーションを JSR 168 ポートレットにポートレット化できます。ポートレット化されたアプリケーションは、Oracle 16 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー WebCenter アプリケーションや OracleAs Portal などの、ポートレット標準をサポートするすべての ポータル・フレームワークから消費できます。JSF アプリケーションをポートレットとして公開する には、JSF ページのマークアップが JSR 168 ポートレットのマークアップ・フラグメント・ルールに 準拠している必要があります。ほとんどの ADF Faces コンポーネントは、ポートレットに準拠した マークアップをレンダリングします。ADF アプリケーションをポートレット化する場合、注意すべ きガイドラインやベスト・プラクティスが数多くあります。詳しくは、『Oracle WebCenter Framework 開発者ガイド』を参照してください。 ポートレットの統合 WebCenter Framework のポートレット統合機能は、JSR 168、WSRP 2.0 を含む、すべてのポートレッ ト標準をサポートします。つまり、WebCenter アプリケーションは、ポートレットを消費できるとい うことです。 図 9 - さまざまなポートレットを統合した WebCenter アプリケーション アプリケーションでポートレットを使用する前に、用意されているウィザードを使用して、ポート レット・プロデューサをアプリケーションに登録する必要があります。登録が正しく完了すると、 ポートレットは自動的に JDeveloper のコンポーネント・パレットに追加されます。そのほかのコン ポーネントと同様に、パレットから個々のポートレットをドラッグして、アプリケーション・ペー ジにドロップできます。また、オラクルのビルトイン・ポートレットやサード・パーティのポート レットを WebCenter アプリケーションに追加することも可能です。 多くの場合、パッケージ・アプリケーションには独自のポートレット・セットが含まれており、こ れらを利用してアプリケーションが使用する特定のデータや機能にアクセスできます。これらのポー トレットが互換性のあるテクノロジー(WSRP、JSR 168、または PDK-Java)を使用して作成されて いる場合は、WebCenter アプリケーションにも組み込むことができます。 17 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー ポートレットと ADF Faces コンポーネント間、およびポートレットとページ間でパラメータを受け 渡すことによって、ポートレットとコンポーネントを関連づけることができます。この方法で、ペー ジ・コンテキストに応じてポートレットが異なるデータを表示する、コンテキスト・センシティブ なアプリケーションを作成できます。Oracle WebCenter Framework は、コンテキスト・イベント機能 を備えています。この機能により、開発者は、コンテンツが常に同期化され、イベントの影響を受 けたコンポーネントのコンテンツだけがリフレッシュされるように、関連するコンポーネントやポート レットを接続またはマッシュアップできます。コンテキスト・イベントを使用すると、Oracle ADF Faces コンポーネント、WSRP ポートレット、PDK-Java ポートレット、タスク・フローを接続できます。 ポートレットと ADF Faces コンポーネントのインタラクション ADF Faces コンポーネントとポートレットは、緊密に統合されています。これらを 1 つの JSF ページ に配置して、1 行のコードも書かずに、宣言方式で文脈的につなげることができます。ポートレット 内のユーザー・インタラクションからページ内の部分的な更新を開始して、ページ内のほかのコン ポーネントを再レンダリングできます。同様に、ページ上の ADF ビュー・コンポーネントの状態が 変更された場合も、ポートレットは自身のコンテンツをリフレッシュするため、確実にコンテキス トが維持されます。 ユーザー・インタラクションの例 下の図において、"Volume for last"という名前のドロップダウン・リストは、OmniPortlet が生成する 円グラフのコンテンツを決定する JSF コンポーネントです。ユーザーがリストから値を選択すると、 値は OmniPortlet に渡されます。OmniPortlet は値を読み取ると、ページ全体の更新を発生させること なく、部分的なページ更新を実行します。 図 10 - OmniPortlet を使用して作成した Service Volume Distribution ポートレット 18 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー Java Content Repository を使用したコンテンツの統合 異なるコンテンツ・リポジトリおよびコンテンツ管理システムを統合するには、通常、専用の複雑 な API に対するカスタム・コーディングが必要です。こうしたコンテンツ・システムを利用する新 しいアプリケーションを作成するのは、コストがかかり、保守やアップグレードが難しくなります。 Content Repository for Java API および Java Content Repository(JCR)標準のバージョン 1 の仕様を定 めた JSR 170 の公開によって、コンテンツへのアクセスが標準化され、コンテンツを統合する新規ア プリケーションの作成がはるかに容易になりました。 Oracle WebCenter は、JSR 170 標準を利用し、統合を実現するための JCR API に対し、純正コーディ ングの容易な代替手段を提供します。また、データ・コントロール(JSR 227 により規定)を使用し て、この汎用フレームワークの背後に JCR 標準の複雑さを隠しているため、関連するデータ・コン トロールをアプリケーションにドラッグ・アンド・ドロップして、個々のコンテンツ・データ・コ ントロールにバインドするだけで、統合アプリケーションを作成できます。JCR API 標準に記述され たアダプタが、基盤となるコンテンツ・システムにアクセスします。 データ・コントロールは、アプリケーション内のUIコンポーネントの作成に使用する、すべてのデー タ・オブジェクト、コレクション、メソッド、および処理を含むコンテナです。JCRの複雑さを取り 除いて、基本的な処理を表面化します。WebCenterによって、Oracle Content Server、OracleAS Portal、 Oracle WebCenter Adapter for Microsoft SharePoint、Oracle WebCenter Adapter for EMC Documentum、お よびOracle WebCenter Adapter for IBM Lotus Dominoの 5 つのリポジトリへアクセスできるようにして います。また、開発およびテストのために、WebCenterアダプタを使用してファイル・システムにア クセスすることもできます。 JCR は幅広いベンダーによって採用されている標準であるため、使用可能なアダプタの種類は着実 に増加しています。専用のコンテンツ・システム(例:デジタル・メディア資産)にコンテンツを 保存している場合は、独自の JCR アダプタを作成します。Oracle JDeveloper のコンテンツ・データ 制御ウィザードを使用すれば、特定の JCR リポジトリに接続するためのデータ・コントロールを作 成および設定できるようになります。データ・コントロールは、下位にあるアダプタに関係なく、 任意のアプリケーションで使用できます。 データ・コントロール すべてのコンテンツ管理システムには、管理対象オブジェクトの属性が数多く保管されています。 これらの属性によって、ほぼ非構造化情報のまわりに構造化されたメタデータのセットが定義され ます。構造化メタデータはコンテンツの分類や検索に不可欠であるため、アプリケーションでこれ らの属性を使用できるようにすることが重要です。Content Data Control では、すべてのリポジトリに 共通の属性、リポジトリ固有の属性、およびカスタム属性のすべてが使用できます。 単純化のため、またアプリケーション開発を容易にするため、データ・コントロールは実際の処理 (個別の API コールではなく)を表示します。データ・コントロールが提供する機能には検索と詳細 検索が含まれており、リポジトリからのファイルやフォルダを取得するだけでなく、これらのファ イルやフォルダの属性や、ファイルのコンテンツに対する URL も取得できます。 19 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー アプリケーションでデータ・コントロール機能を使用するには、データ・コントロール・パレット からデータ・コントロールのメソッドまたは属性をドラッグして、アプリケーションにビュー・コ ンポーネントとしてドロップします。すべての ADF バインディングは自動的に作成されます。 コンテンツ管理システムでのコンテンツの整理以外の重要な課題は、コンテンツへのアクセス制御 です。よって、Content Data Control の主要な側面は、アクセスの管理またはバックエンド・リポジト リのアクセス制限の維持にあります。WebCenter Framework では、データ・コントロールが使用する ユーザー・コンテキストに完全な柔軟性を提供しており、パブリック・ユーザー、事前定義ユーザー、 またはアプリケーションに認証され JAAS のセキュリティ・コンテキストに設定されたユーザーが使 用できます。 図 11 - Data Control Wizard を使用した Oracle Content Server データ・コントロールの作成 20 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー WebCenter アプリケーションのスタイル設定 一貫性があり、人目を引くルック・アンド・フィールを実現することは、アプリケーションの設計 および開発における重要な部分です。アプリケーションのスタイルを全体的に定義する最善の方法 は、スキンを使用することです。スキンはCSS 3.0 構文に基づいたスタイル・シートであり、アプリ ケーション全体に対して一箇所で指定します。コンポーネントごとにスタイルを設定したり、ページ ごとにスタイル・シートを挿入したりするかわりに、1 つのスキンを作成してアプリケーション全体 に適用できます。すべてのコンポーネントは、スキンに記述されたスタイルを自動的に使用します。 アプリケーションがスキンを使用するように設定されている場合、設計時のコード変更は必要あり ません。 Web Center アプリケーションでは、ビジュアル・コンポーネントに ADF Faces を使用します。ADF Faces コンポーネントはコンポーネントの表示をレンダラに委譲します。レンダラは、クライアント 上でコンポーネントを表示するためのさまざまな方法や、異なるクライアント上でコンポーネント を表示する方法を決定します。ADF Faces には、デスクトップ・スクリーンおよび PDA での表示用 に HTML レンダリング・キットが含まれています。 Oracle ADF Faces では、ADF Faces 11g コンポーネント・ライブラリの一部として、アプリケーショ ン向けに以下の 3 つのスキンを用意しています。 • Oracle:Oracleスキンはデフォルトのスキンであり、Oracleのアプリケーション・ユーザー・イン タフェース標準(Oracle Browser Look and Feel、またはOracle BLAF)に準拠しています。 • Simple:Simpleスキンにはほとんど書式は含まれておらず、すべてのカスタム・スキンの出発点 となります。 • Minimal:Minimalスキンは、Simpleスキンを基本としていますが、いくつかのアイコンが含まれ ます。ADF Facesコンポーネントを使用して作成したアプリケーションでは、デフォルトでOracle スキンを使用します。しかし、会社の好みのルック・アンド・フィールに合わせたカスタム・ス キンを独自に作成することもできます。カスタム・スキンでは、1 つのCSSファイル内でコンポー ネントに対してスタイルを設定することによって、ADF Facesコンポーネントの一部の色、フォ ント、および位置までも変更できます。独自のCSS(カスタム・スキン)を適用する場合、CSS に含まれていない要素は、すべてSimpleスキンから継承されます。 図 12 - ADF ツリー・コンポーネントを使用したファイルの表示とオープン 21 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー WebCenter アプリケーションの保護 WebCenter Framework Security は、WebCenter アプリケーションによって、アプリケーションで公開 されるコンテンツとプロセスに対するアクセス制御に利用されています。WebCenter Framework Security は ADF Security Framework を基盤として構築されており、ページとタスク・フローの認可、Secure Connection Management、および Credential Mapping のサポートを利用しています。また、Oracle Platform Security Services(OPSS)レイヤーを利用して、ID 管理、ポリシー管理、資格証明管理などの機能を 実現しています。WebCenter は、認証、ID アサーション、SSL サポート、そのほかのこうしたコア なセキュリティ・サービスを下層の WebLogic Server(WLS)から委任されています。これにより、 WebCenter には、WLS を使用するすべての ID ストアをサポートできる柔軟性が生まれます。 WebCenter Spaces アプリケーションは、自身を対象としたユースケースをサポートするカスタムの機 能ビルトインを備えています。たとえば、アプリケーションスコープのロール、自己登録のサポー ト、グループ・スペース・セキュリティ管理などの機能ビルトインがあります。 図 13 - WebCenter の中核となるセキュリティ・インフラストラクチャ・コンポーネント WebCenter Framework Security のおもな機能は、次のとおりです。 • Service Security Extension Framework:各WebCenterサービスは、認可のパーミッション・モデル やそのほかのメタデータを規定したセキュリティ拡張機能を定義します。したがって、サービス 自体が自身のセキュリティ要件を定義します。 • パーミッション・ベースおよびロール・ベースの認可:WebCenter Framework Securityは、2 つの 認可モードをサポートしています。1 つは、JAASパーミッション・モデルに基づくパーミッショ 22 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー ン・ベース・モデル、もう 1 つは、リモートのバックエンドをもつサービス(ドキュメント・ラ イブラリ・サービスなど)向けのロール・ベースのパーミッション・モデルです。ロール・ベー スのパーミッション・モデルを使用すると、サービスは下層のバックエンド・ストア(ドキュメ ント・ライブラリ・サービスの場合はUniversal Content Server)のセキュリティ・モデルを維持し ます。 • 外部アプリケーションと資格証明のマッピング:WebCenter Frameworkは、自身の認証プロセス を実装している可能性があるため、WebCenter Frameworkアプリケーションのシングル・サイン オン(SSO)プロセスに参加できない(外部)アプリケーションを複製する機能をサポートして います。 • WSセキュリティを使用したセキュアなID伝播のサポート:WebCenterはWSセキュリティを使用 したセキュアなID伝播をおこないます。WSRPのセキュリティ・フレームワークでは、ユーザー 名トークンやSAMLトークンなどのセキュリティ・トークン・プロファイルをサポートすること によって、メッセージの整合性と機密保護を含む完全なメッセージ保護を実現します。 WebCenter アプリケーションは、WLS SAML ベースの SSO と Oracle Access Manager を利用します。 必要に応じて、Oracle SSO といったほかの SSO ソリューションも利用できます。wiki やブログなど のサービスでは、ログイン済みのユーザーが再度認証を受けなくてもシームレスに操作できるよう に、SSO が必要です。そのほかのサービスでは、WS セキュリティ、外部アプリケーション、ほかの カスタム方式などのメカニズムを使用して ID 伝播を実現します。次の図に、WebCenter Services に よって利用されるさまざまな ID 伝播メカニズムを示します。 図 14 - WebCenter Services で利用される ID 伝播メカニズム 23 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー WebCenter アプリケーションの配置 配置において、WebCenter アプリケーションは、従来の J2EE アプリケーションとまったく同じよう に動作します。ただし、WebCenter アプリケーションには、アプリケーション・コードの配置や実行 時にアプリケーションに適用されるカスタマイズとパーソナライズ、およびアプリケーションが使 用するセキュリティ・ポリシーが含まれます。標準の配置プロセスでは、すべてのカスタマイズ、 (ページとページ内ポートレットの)パーソナライズ、およびセキュリティ・ポリシーが自動的に引 き継がれるため、開発者や管理者は全体的な配置に集中できます。 アプリケーションを本番環境に配置するために必要な手順は、目的のトポロジ(開発環境からテス ト環境および本番環境、開発環境から本番環境など)によって異なります WebCenter アプリケーショ ンの一般的なライフ・サイクルは以下のとおりです。 • WebCenter アプリケーション・テンプレートを使用して、アプリケーションを開発します。テン プレートには、アプリケーション・コード、実行時のカスタマイゼーション、アプリケーション が使用する WebCenter サービスの設定および接続情報に関する、EAR ファイルへのパッケージ化 が指定されています。 • EAR ファイルが配置サーバーに転送されます。 • Enterprise Manager またはコマンドライン・インタフェースを使用して、EAR ファイルをスタン ドアロンの WebLogic Application Server 環境に配置します。このプロセスによって、カスタマイ ズ、パーソナライズ、およびセキュリティ・ポリシーがターゲット環境に自動的に注入されます。 WebCenter を用いたエンタープライズ・マッシュアップの作成 WebCenter には、開発者およびビジネス・ユーザーが、バックエンド・システムの構造化および非構 造化されたコンテンツを統合、カスタマイズ、およびパーソナライズして、実行時に軽量エンター プライズ・マッシュアップを作成するためのさまざまな方法が用意されています。マッシュアップ を作成するための第一手段として、WebCenter Composer と WebCenter Ensemble を、WebCenter Suite が提供する追加のポートレット・パブリッシング・ツールと組み合わせて使用する方法があります。 WebCenter Composer を用いたエンタープライズ・マッシュアップ WebCenter Composer は、マッシュアップ・アーキテクチャに基づいてエンタープライズ・マッシュ アップを構築するための完全なプラットフォームを実現します。これにより、ユーザーは、さまざ まな情報ソース(ERP、コンテンツ・リポジトリ、Web サービス、コラボレーティブ・サービスな ど)に接続して、それらを実行時につなぎ合わせることができます。開発者は、自分でカスタムの 軽量アプリケーション(ポートレットやタスク・フロー)を作成して、リソース・カタログ内にコ ンポーネントとして公開できます。また、Google Gadgets などのサードパーティ・アプリケーション をリソース・カタログ内に統合および公開することもできます。リソース・カタログは、Business Dictionary を介してビジネス・ユーザーに公開されます。ビジネス・ユーザーは自身のマッシュアッ プに取り込むアプリケーションを選択し、カスタム・ページにドロップしてパーソナライズできま す。たとえばユーザーは、販売チームに関する情報が表示された BI Answers ダッシュボードのレポー トをドラッグ・アンド・ドロップして、Google Gadget マップにつなげることができます。販売担当 者のレコードをクリックすると、その販売担当者が取引を成立させた場所が地図に表示されます。 24 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー ユーザーは、特定の社員による年間販売総額を表示するグラフを追加し、それをほかの 2 つのコン ポーネントとつなぐことを決定できます。つまり、ビジネス・ユーザーは、共通のパラメータ(こ の例では社員番号[EmpNo])に基づいて、エンタープライズ内のさまざまなアプリケーションから データを取り出し、1つのコンテキストにまとめることができます。WebCenter Composer を使用す ると、ユーザーは実行時にアプリケーションのプロパティを変更して、パラメータを設定し、その パラメータを使用してコンポーネントをつなげることができます。また、見た目をよくするために アプリケーションのルック・アンド・フィールを変更することもできます。さらには、ADF Faces コンポーネントをそのページにドラッグ・アンド・ドロップして、ページ・レイアウトを変更する こともできます。 図 15 - WebCenter Composer を用いた販売用マッシュアップ WebCenter Composer を使用すると、開発者はロール・ベースのリソース・カタログを構成できます。 ロールごとに異なるカタログを作成したり、1 つのカタログにさまざまなロールの異なるビューとア クセス・レベルを構成したりできます。 WebCenter Composer では、Metadata Services レイヤー内のすべてのユーザー・カスタマイズを、レイ ヤー・カスタマイズのセットとして格納します。MDS は、データベース・システムまたはファイル・ システム内にカスタマイズを格納するように構成できます。WebCenter Composer を使用すると、ユー ザー・ロール(責任)または任意のアプリケーション固有の条件に基づいてカスタマイズ・レイヤー を構築できます。たとえば、企業ポータルのサイト管理者は、最上位レイヤーを作成し、エンドユー ザーが変更できないすべてのグローバルなカスタマイズを定義できます。さらに、2 番目のレイヤー には、組織内の各部門のさまざまなカスタマイズのセットを定義できます。これらのカスタマイズ・ レイヤーは、どちらも基本メタデータ・レイヤー上に位置します。基本メタデータ・レイヤーには、 ポータル全体の基本カスタマイズを定義します。 25 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー Oracle WebCenter Ensemble を用いた Web リソースのマッシュアップ Oracle WebCenter Ensemble は、Web リソースを効率よく管理する上で有効な、価値ある配置サービ スを IT 部門および管理者に提供するだけでなく、開発者用の直感的なアプリケーション生成および マッシュアップ用システムも提供します。開発者はコンポーネントとプログラム可能な機能を登録 し、それらをほかの開発者と共有できます。WebCenter Ensemble によって、これらのコンポーネン トをほかのアプリケーションや管理しているリソースと融合できます。WebCenter Ensemble を使用 すると、ウィジェットとプログラム可能な機能の再利用が簡素化されるため、開発者はすべてのプ ログラム可能な機能の詳細を把握する必要がなくなります。 開発者は、ページレットと呼ばれる一意で再利用可能なリソースとして、WebCenter Ensemble 内に アプリケーションを登録します。URL アドレス指定が可能でマークアップを返すサービスは、すべ てページレットの候補です。各ページレットにおいて、WebCenter Ensemble は、システムによって ページレットに直接マッピングされる一意の識別子(タグ)を生成します。このタグ(単純な XML 文字列)は、システムに登録されているほかのページまたはリソースに挿入すると、WebCenter Ensemble によって変換されます。このタグは単純な XML 文字列であり、WebCenter Ensemble によっ て変換されるため、ページレットは任意のプラットフォーム上で動作する任意の Web ページに埋め 込むことができ、任意の言語で記述できます。 ページレットには、独自のスタイルと JavaScript を格納できます。ページに挿入する際には、任意の 属性やペイロード、またはカスタム・データを含めることもできます。これらのパラメータは、 WebCenter Ensemble によって個々のページレットに渡され、処理されます。たとえば、スレッド・ ディスカッション・ページレットでは、ディスカッションが含まれているプロジェクトの ID または 名前、あるいはプロジェクト全体の名前が必要です。グラフ・ページレットでは、グラフ化するデー タの XML ペイロードが必要です。 WebCenter Ensemble には、ページレットとリソースの両方で使用できるそのほかの事前定義タグの セットも含まれています。これらの適応タグを使用すると、ページ上の論理関数(pt:logic.if など) を使用してコレクションを反復(pt.logic.foreach)し、ユーザーのロール(pt.runner.roleexpr など)を 調べることができます。適応タグ・ライブラリは、消費する側のページに UI を統合するための強力 なツールです。ライブラリ全体が XML を使用して呼び出され、WebCenter Ensemble によって変換さ れるため、完全にクロス・プラットフォームなライブラリになっています。 WebCenter Ensemble には、次の 2 つの機能を提供するクライアント側の JavaScript フレームワークも 含まれています。1 つは、ページレットが自身のプリファレンスおよびイベント機能と情報を共有で きる機能、もう 1 つは、XML 処理関数と同様に、JavaScript ベースのマッシュアップが簡単になる機 能です。WebCenter Ensemble は、スクリプト・フレームワークの注入を理論的に、すなわちページ が必要としているときだけおこないます。 WebCenter Ensemble は、指定されたリソースのページを配信する際、ページをスキャンしてシステ ムの別の場所に定義された個々のタグを検索し、適切なページレットに変換して、ページに動的に 機能を注入します。簡単な例として、開発者は Google の検索ボックスをページレットとして登録で きます。WebCenter Ensemble は、このページレットを単純な XML 文字列(例:<pt:search:Googlebox>) として表現します。 26 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー ほかのリソースにこのタグが存在する場合、WebCenter Ensemble はそのタグを置換して、Google 検 索ボックスの UI と機能を動的にページに直接注入します。 図 16 - ページレットの登録 統合化マッシュアップ・ツール WebCenter Framework では、Oracle WebCenter Composer や Oracle WebCenter Ensemble のほかにも、多様 なポートレット・ベースのツールが事前に統合されています。これらのツールを使用することで、ビ ジネス・ユーザーおよび開発者は、マッシュアップを迅速かつ容易に作成できます。一連の宣言型ウィ ザードによって、個々の要件に合わせてデータとサービスを組み合わせるプロセスが支援されます。 • Web Clippingポートレット:ビジネス・ユーザーがプログラミングなしで独自のフィードを作成 できるようにする、ブラウザベースの宣言型ツール。ユーザーは、Web Clippingポートレットを 使用して情報サンプルをクリップし、IT部門に補助フィードの提供を依頼する必要があるかどう かを判断することもできます。Web Clippingポートレットを使用すると、ユーザーはほとんどす べてのソースからWeb 2.0 のマッシュアップを作成できます。 • OmniPortlet:ビジネス開発者が、Webサービス、RSS、およびXMLフィードをデータソースとし て利用して、エンタープライズ・マッシュアップを迅速に作成できるようにするツール。ウィザー ドベースのアプローチを使用して、ビジネス・ユーザーは、開発者が作成したすべての標準フィー ドから新しいマッシュアップを素早く生成できます。さらに、開発者はAJAXベースのユーザー・ インタフェースを簡単に作成してウィザードに追加できるため、ユーザーは選択肢から選ぶこと ができるようになります。既存のWebサービスやXML、またはRSSフィードから、いかに素早く ユーザーが新しいマッシュアップを定義できるかを図 17 に示します。 図 17 - OmniPortlet ウィザードを使用したマッシュアップの作成 27 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー Social Computing サービスを使用したアプリケーションの拡張 前述のとおり、Oracle WebCenter Suiteには、幅広いWeb 2.0 ベースのソーシャル・コンピューティング に関するサービスとツールが含まれています。アプリケーションの機能を拡張し、エンドユーザー・ エクスペリエンスを向上させることが可能です。以下の項では、WebCenter 11gの一部として使用で きる主要な新規のサービスについて説明します。各サービスの詳細については、www.oracle.com/ WebCenterで公開されている『WebCenter Social Computing Services 11g』テクニカル・ホワイト・ペー パーを参照してください。 サービス・フレームワークとアーキテクチャ WebCenter Service の共通アクセス・モデルを提供するため、シン・アダプタ・レイヤーを使用して、 ユーザー・インタフェースからバックエンド・リポジトリを抽出します。このモデルの利点は、Web Services インタフェースを介してサービスに対する共通のアクセス・メカニズムが提供されること、 および UI で何も変更しなくてもバックエンド・リポジトリに対する接続を変更できることです。共 通接続アーキテクチャにより、Oracle Content Server など、ドキュメントを格納および管理するバッ クエンド・リポジトリに対する新規の接続を簡単に登録できます。対応する UI とドキュメント・ラ イブラリでは、この新規の接続がプロパティとして設定され、この接続を介してコンテンツが提供 されます。このモデルの利点は、UI 側で何も変更しなくても、新規のリポジトリに対する接続を一 定期間にわたってサポートできることです。一方、アプリケーションで新規にカスタム・サービス の UI を構築する場合は、1 行もコードを変更することなく、新規の接続を利用できます。 検索フレームワークは、'検索サービス・バス'を用意することで、このサービス・アーキテクチャに シームレスに接続します。検索サービス・バスは、すべての WebCenter Service に対する検索問合せ を連結し、結果を集約します。 28 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 図 18 - WebCenter Services のアーキテクチャ ビルトイン・サービスのタスク・フローのカスタマイズ Oracle WebCenter Social Computing Services には、50 を超えるビルトインのタスク・フローまたはポー トレットが付属しています。これらのビルトイン・ユーザー・インタフェースは、多くの場合、エ ンドユーザーが望むインタフェースとは一致していないことを、オラクルは認識しています。従来、 変更には、開発者が最初からポートレットを再構築するか、ソース・コードのコピーを入手して直 接編集する必要がありました。しかし、基本コンポーネントの新しいバージョンが提供されると、 すべての作業をやり直す必要があります。Oracle WebCenter Framework は強力なパーソナライズおよ びカスタマイズ機能を備えているため、WebCenter Social Computing Services に付属のビルトインの タスク・フローやポートレットをカスタマイズして、必要なルック・アンド・フィールを実現でき ます。ソース・コードは必要ありません。たとえば、各ディスカッション・スレッドにユーザーの 写真を表示する必要がある場合は、ビルトインのタスク・フローを JDeveloper 内でカスタマイズし て、写真表示機能を直接追加できます。カスタマイズは Oracle Metadata Services に直接保存されます。 29 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー コーディングは一切必要ありません。これはつまり、タスク・フローの新規バージョンやパッチが リリースされた場合も、カスタマイズを複雑なマージ・プロセスなしで直接適用することができる ということでもあります。 次の項では、WebCenter Social Computing Services 11g で使用できる主要な新規サービスについて説明 します。 タグ タグを使用すると、ユーザーは、項目をキーワードまたはタグと関連づけることができます。これに より、個人にとって意味のあるタグを使用して検索し、同じ項目を迅速に見つけられるようになり ます。また、元のユーザーによってタグが作成および共有されるため、タグを共有している場合は、 ほかのユーザーもより迅速に情報を検索できます。たとえば、アプリケーションに、各部門の社員 の連絡先を表示するコンポーネントが含まれているとします。このコンポーネントのタグ付けを有 効にすると、ページの訪問者によって、HRや連絡先などのタグがそのコンポーネントに割り当てら れます。これにより、そのユーザーは、タグを検索することで、そのページをより迅速に見つけら れるようになります。ほかのユーザーも、検索時にそのページを簡単に見つけることができます。 WebCenterアプリケーション内でオブジェクトにタグ付けすることにより、すべてのタグが表示され るタグ・クラウドと呼ばれるコンポーネントに貢献することになります。あるタグ(キーワード) を検索して関連リソースを見つけたユーザーの数が多くなるほど、そのキーワードはタグ・クラウ ド内で目立つように表示されます。時間が経つと、もっとも検索回数の多い情報がもっとも目立つ ように強調表示されるようになります。こうして、ユーザーは、タグ・クラウド内でもっとも目立 つキーワードをクリックするだけで、簡単にコンテンツを見つけることができます。 図 19 - すべてのタグが表示されるタグ・クラウド Oracle WebCenter には、Tag Center と呼ばれるビルトイン・アプリケーションが用意されています。 これにより、タグを管理および保守できるだけでなく、タグを使用して WebCenter 内をナビゲート できます。 30 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 図 20 - Oracle WebCenter の Tag Center Instant Messaging and Presence Instant Messaging and Presence サービスを使用すると、ユーザーはオンライン状態のユーザーを把握 し、オンライン・ステータスの公開と管理を完全にコントロールできます。このサービスは SIP for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions(SIMPLE)に基づいており、標準ベースのテクノ ロジーを使用して JSF アプリケーション内にアクションを作成できます。アクションには、インス タント・メッセージング(IM)サービス、インスタント・ボイス、インスタント・ビデオ、および インスタント会議アプリケーションなどがあります。また、このサービスを使用すると、プレゼン スに基づいて Oracle WebCenter 固有のアクション(メールの送信など)を実行できます。 WebCenter で構築したアプリケーションには、呼制御、クリック・ツー・ダイヤル、インスタント・ メッセージング・フレームワーク、ビデオ・チャット機能、プレゼンスなどのテレフォニー・コン ポーネントを簡単に埋め込むことができます。WebCenter では、標準でプレゼンス・サーバー(Oracle Communications and Mobility Server)と Oracle Communicator を提供しており、これを利用して SIP ベー スのインスタント・メッセージングや音声およびビデオのネットワークを拡張できます。また、Parlay X Web Services API を使用して、すべての WebCenter ベースのアプリケーションにプレゼンス情報を 提供できます。プレゼンス対応アプリケーションの例としては、パッケージ追跡、ロケーションベー スのサービス、ブラウザベースのインスタント・メッセージングがあります。最後に、WebCenter Voice オプションでは、JSR 116(SIP Servlet API 仕様)に基づく豊富なテレフォニー・インフラストラク チャ・コンポーネントの一式をバンドルすることで、WebCenter 機能を拡張します。WebCenter Voice オプションと関連した Service Creation Environment が提供する API を使用することで、クリック・ ツー・コール、コール・ルーティング、着信制限、会議通話、ボイス・メールなど、カスタムのテレ フォニー・サービスを開発し配置できるようになります。このサービスの設計により、これらのカ 31 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー スタム・ソリューションは、ほとんどすべての SIP ベースのプレゼンス・サーバーと統合できます。 WebCenter は Microsoft Live Communication Server の認定も受けています。 詳しくは、OTNのOracle Communication and Mobility Serverページを参照してください。 図 21 - Instant Messaging and Presence アクションの「Presence」アイコンとメニュー メール 電子メール・サービスを使用すると、ユーザーは IMAP 準拠のシステムからアプリケーションにス トリーミングで直接電子メールを受信できます。このサービスのタスク・フローを使用すれば、ア プリケーションに個人メールを取り込むことができます。つまり、メール・クライアント・アプリ ケーションに常に戻らなくても、自分宛のメールを監視できるのです。 Oracle WebCenter は、汎用的な IMAP および SMTP ベースのすべてのメール・サーバーをサポートし ており、MS Exchange とのネイティブな統合も実現します。 カレンダー グループ・カレンダー機能は、コミュニティ用に提供されている機能です。リスト・ビューだけで なく、日単位、週単位、月単位のビューもあります。通知メカニズムにより、新規イベントがスケ ジューリングされるとすべてのユーザーに通知されます。 イベント イベント・サービスによって、グループ・カレンダー機能が提供されます。これによりユーザーは、 会議、予定、そのほかのタイプのチーム・イベントをスケジューリングできるようになります。ま た、モデレーターがイベント・サービスを利用できる各グループ・スペースには、専用のイベント・ ページが用意されています。 32 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 図 22 - 新規イベントのスケジューリングと週単位ビューでの表示 リンク リンク・サービスを使用すると、ユーザーは、それまでリンクされていなかったさまざまな情報(ド キュメント、ディスカッション、タスクなど)に簡単に接続できるようになり、その結果、アイテ ム間にコンテキストが生成されます。ワンクリックするだけで情報が得られるため、ユーザーは、 タスクを完了するために必要なものがすべて提供されます。追加の情報源を求めてデスクトップか ら移動する必要はありません。ユーザーが関連情報のリンク付けを形成することによって蓄積され た知識は、広範なグループに伝達されます。リンク・アイコンは接続された情報を意味します。オ ブジェクト間で非定型な関係を確立できるため、ユーザーは現在のビジネス・コンテキストから移 動することなく、さまざまなタイプの情報に容易にナビゲートできます。 図 23 - リンクによる明示的な関係の作成 33 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 最新のアクティビティ 最新のアクティビティ・サービスを使用すると、アプリケーション内でサービスに対する最新の変 更内容を表示できます。一部の Oracle WebCenter サービスは、最新のアクティビティ・サービスを 使用できるように事前構成されています。たとえば、ドキュメント・ライブラリにドキュメントを 追加すると、最新のアクティビティ・サービス向けの情報が自動的に作成され、ドキュメント・ラ イブラリに対する最新の変更内容に関する情報が表示されます。このサービスは、ページ、イベン ト、ドキュメント、アナウンス、ディスカッションからの情報を追跡できます。 図 24 - 最新のアクティビティ リスト Oracle WebCenter には、さまざまなリストを作成および管理し、ページに公開する簡単な方法が用意 されています。リストを使用すると、Excel スプレッドシートと同じように、異なる列タイプを作成 して構造化されたデータを表示できます。リストには多数の用途があります。たとえば、プロジェ クト内の問題を追跡するリストや、新製品のリリースを遅らせている未解決のバグの情報を管理す るリストを追加できます。リスト・データは、Excel にエクスポートし、Excel 内で処理および変更 してから、リスト・サービス内にインポートできます。 34 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 図 25 - リストを使用してグループ・スペース内のアクション項目を捕捉および追跡 メモ メモ・サービスを使用すると、個人用のメモやリマインダを追跡できます。各メモにはステータス があり、メモの管理と並べ替えに使用できます。 アクティビティ・グラフ アクティビティ・グラフ・サービスを使用すると、ユーザーが、ほかのサービスによって使用され る結果および推奨事項に影響を与えるために実行するあらゆる種類のアクティビティを追跡できま す。たとえば、今日の多くのソーシャル・コンピューティング・サイトでは、ユーザーが、自身の 個人的なアクティビティ、業績、考え方、友人に関する情報を投稿できます。しかし、ビジネス・ コンテキストで使用する場合、ユーザーが実行する作業(ドキュメントの投稿、顧客エスカレーショ ンの解決、販売入札の獲得、新規の製品またはサービスの開発など)は、ほかのユーザーから見た ときのそのユーザーの専門知識に影響を与えるものでなければなりません。アクティビティ・グラ フ・サービスを使用すると、拡張可能なエンジンによって、ユーザーの項目とアクションのログへ の記録、追跡、分析をおこない、利用者に有益と思われる項目とアクションを推奨できます。たと えば、個々の顧客の苦情を解決する必要がある場合は、同様の問題を扱ったことのある組織内の別 のユーザーを見つけます。アクティビティ・グラフ・サービスでは、こうした専門家を特定し、す べてのユーザー・ネットワークから見えるように表面化できます。 People Connections People Connections サービスを使用すると、ビジネス・ネットワークを迅速に組み立てることができ ます。People Connections サービスには、ユーザー・プロファイルの表示、ユーザーの接続リストや ネットワークの視覚化、ほかのユーザーによって保留されているか受け入れられた招待状の表示、 35 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー ユーザーのロールまたはユーザー自身の関連情報を反映したホワイトボードの配信、さらには、自 分または他者への賞賛の監視と管理などをおこなうタスク・フローとポートレットなどが含まれま す。People Connections サービスは、アクティビティ・グラフ・サービスの一部として、ユーザーが 関心のあるアクティビティ・タイプを決定するためのフィルタなど、上記のアクティビティ・スト リームに関するビューを表示します。この 2 つのサービスを組み合わせることで、企業内および企 業間のソーシャル・コンピューティング・サービスの価値が大幅に向上します。 WebCenter Spaces を使用した動的コミュニティ Oracle WebCenter Spaces は、コミュニティとチーム・サイトを迅速に作成できるように設計された、 標準の WebCenter アプリケーションです。前述のとおり、Oracle WebCenter Spaces には、単一アプリ ケーション内に 2 つの作業環境、すなわち個人用スペースとグループ・スペースが用意されています。 図 26 - WebCenter Spaces アプリケーション 36 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 個人用スペース 個人用スペースは、個人がそれぞれのニーズに合わせてパーソナライズ可能な各ユーザーに固有の 作業環境です。個人用スペースは 3 つの主要領域で構成され、それぞれが異なるレベルの情報を提 供します。 サイドバー サイドバーは、いつでもすぐにアクセスする必要があるもっとも重要な情報を把握するためのビュー です。サイドバーでは、対話する必要があるビジネス・プロセス、最近アクセスしたドキュメント、 お気に入りのディスカッション、個人用 ToDo リスト、チャットの相手として選択できるオンライン 状態のユーザー、応答を必要とする優先度の高いメール、アクセスする必要があるアプリケーショ ンなどの情報が公開されます。また、サイドバーは常にアプリケーションの左側に表示されますが、 縮小(アイコン化)して画面領域を節約することも、あるいは最小化して完全に非表示にすること もできます。 図 27 - サイドバー 37 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 個人用ページ 個人用スペースには、事前定義のページとユーザーが作成する個人用ページが保管されます。個人 用スペースの各ページは、画面上の主要な領域を占めます。このスペースで利用可能なページは、 すべてタブ形式で表示されます。ページ上の情報は、権限に応じてパーソナライズできます。 WebCenter Composer と Page サービスを使用して新規のページを作成し、Business Dictionary 内で利 用可能なリソースを任意に組み合わせて追加できます。たとえば、カスタムのダッシュボードを作 成してビジネス・インテリジェンス・レポートを表示したり、それらのレポートを OmniPortlet に連 結したり、ドキュメント・ライブラリのドキュメントを追加したり、一連のユーザーとそのオンラ イン・ステータスに関するプレゼンス情報を表示したりできます。ユーザーは、Page Manager を使 用してページの追加、編集、削除、表示、非表示を実行したり、ほかのユーザーとページを共有し たり、ページのプロパティと設定を変更したりできます。 ビジネス・ロール・ページ 個人用スペースには、ビジネス・ロール・ページと呼ばれる一連のページも表示されます。ビジネ ス・ロール・ページは、組織内でのユーザーのプロフェッショナル・ロールを対象としたものです。 たとえば、管理者は、事業ごとにビジネス・ロール・ページのセットを作成できます。販売担当者 が自分の個人用スペースにログインすると、販売ビジネス・ロール・ページが表示されます。エン ジニアが自分の個人用スペースにログインすると、エンジニアリング・ビジネス・ロール・ページ が表示されます。個々のビジネス・ロールに関するタイムリーな情報は即座に入手でき、ほかの事 業部の無関係な情報は一切含まれません。 グループ・スペース 個人用スペースは各ユーザー固有のスペースですが、グループ・スペースはプロジェクト・チーム や関心のあるコミュニティの形成とコラボレーションをサポートします。また、継続的な対話と情 報の共有を基本的な目的として仮想環境でユーザーを 1 つにまとめ、ソーシャル・ネットワークを 形成します。 グループ・スペースはページから構成されますが、その多くは特定のサービスまたは数個の補足的 なサービスに使用されます。たとえば、ドキュメント・ページでは、グループのコンテンツをアッ プロード、整理、管理するための中央のライブラリを提供します。リスト・ページでは、複数列リ ストを作成および公開する手段を提供します。検索ページには、検索を保存し、検索結果を管理す るための機能が含まれます。 これらのページやそのほかのデフォルトのページに加え、グループ・スペースは、権限のあるユー ザーによって作成されるカスタム・ページをサポートします。ページは、多数用意されている事前 定義のレイアウトから選択することで、簡単に作成できます。少しの作業で、チームまたはコミュ ニティ固有のニーズに合わせてページを作成できるのです。 複数のサービスをマッシュアップで組み合わせて、たとえばグループ・コミュニケーションとプロ ジェクト・リソースのための中央のアクセス・ポイントとなるページを作成できます。あらゆる専 門技術レベルをもつ権限のあるメンバーが、さまざまなリソースを簡単にページに追加できます。 38 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー こうしたリソースには、ビジネス・インテリジェンス・グラフ、レポート、ポートレット、ビジネス・ アプリケーション、Web 2.0 サービス、そのほかの ADF リソースまたはビューなどがあげられます。 グループ・スペースを作成する際には、付属のテンプレートを使用できます。もしくは、企業情報 のマッシュアップが含まれているグループ・スペースをテンプレートとして保存し、活用すること もできます。このように既存のグループ・スペースからテンプレートを作成することで、ほかのグ ループ・スペース作成者は、自身のタスクやプロジェクトのサポート・フレームワークを設定でき ます。 図 28 - グループ・スペースのコラボレーションおよびコミュニケーション機能の利用 すぐに利用できるグループ・スペース・テンプレート Group Projectテンプレートは、異なる部門のメンバーで構成されていますが、すべてのメンバーが共 通の目的を実現できるように、本格的なプロジェクト・チームをサポートするための最適な構成を 提供します。アプリケーション開発、顧客エスカレーション、セールス・パイプライン業務、ベン ダーの選択など、プロジェクトは何でもかまいません。Group Projectグループ・スペースの目的は、 新規プロジェクトの開始、プロジェクト・チームの定義、プロジェクト成果物に基づく実行などの 各プロセスを簡素化することです。 Community of Interestテンプレートは、コラボレーションの実施、コンテンツの作成、アイデアの共 有をおこなうユーザー・コミュニティのサポートに最適な構成を実現します。コミュニティの主題 は何でもかまいません。Java、人事、野球、芸術、家畜など、ありとあらゆるものを主題にできます。 Community of Interestの目的は、専門知識、アイデア、コンテンツを共有して、その主題領域につい てより深く学ぶことです。関心に基づくグループ・スペースによって、一貫性があり、動的でタイ ムリー、かつインタラクティブな参加経験を得られます。 39 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー Blankテンプレートは、基本的に空の何も構成されていない開始点を提供します。ここから、各自の 仕様に合わせてグループ・スペースを構成できます。Blankテンプレートを使用してグループ・スペー スを作成すると、空のホームページが用意されるので、あとは自由に作成できます。 プロジェクト・グループの目的はコラボレーションです。Communities of interest の目的はコミュニ ケーションです。WebCenter Spaces では、あらゆるタイプのグループで、コミュニケーションとコラ ボレーションをサポートするサービスを簡単に利用できます。 Microsoft Office プラグインによるグループ・スペースへのアクセス WebCenter Spaces では、ビルトインの Office 2007 Sidebar コンポーネントを使用して、広範な Microsoft Office デスクトップ統合を実現できます。ユーザーは、WebCenter Spaces 内から、Office Sidebar のコ ンテンツの追加や削除をしたり、Office 2007 でコンテンツをプレビュー表示したりできます。Office 統合では、WebCenter Spaces コンテンツをその場で挿入することも可能です。これにより、グループ・ スペースまたは個人用スペースのコンテンツが、WebCenter 11g のメタデータ・リンク機能を使用し て、Office 2007 ドキュメントのコンテキストで表示されます。また、WebDav の完全なサポートによ り、Spaces および WebCenter カスタム・アプリケーションの Windows ファイル・ベースのデスクトッ プ統合を実現します。 図 29 - WebCenter Spaces と Microsoft Office との統合(グループ・スペース・メンバーのプレゼンスを表示し、 Microsoft Word 内でチャットを開始している) 40 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー WebCenter Spaces 向け iPhone アプリケーション 前述のとおり、WebCenter Suite 11g には WebCenter Anywhere が含まれています。WebCenter Anywhere を使用すると、ユーザーは WebCenter アプリケーションの情報とサービスを、モバイル機器、iPhone や Blackberry といったスマートフォン上で直接利用できます。WebCenter Suite 11g には、WebCenter Spaces コンテンツにアクセスするすぐに利用可能な iPhone アプリケーションが含まれています。WebCenter Spaces iPhone アプリケーションでは、 Spaces インスタンス内に 4 つの異なるビュー、すなわち Home、 Connections、グループ・スペース、Settings を表示できます。 Home ビューの内容は次のとおりです。 • 現在のステータスを更新できるプロファイル・ページ • ネットワーク上のほかのユーザーからのホワイトボード・ポスト • グループ・スペース内のプロジェクトで作業するユーザーからのアクションを確認するためのア クティビティ Connections ビューでは、専門家ネットワーク全体の詳細(ステータス、プロファイル属性、ホワイ トボード・ポストなど)を確認できます。 グループ・スペース・ビューは、異なるグループ・スペースにナビゲートする際ときに使用するも のであり、次の操作を実行できます。 • グループ・スペース内で発生しているすべてのアクティビティを「Home」タブで確認する • グループ・スペース内のすべてのコンテンツ(ドキュメントやディスカッション・フォーラムな ど)を表示する • グループ・スペースのすべてのメンバーを表示する 図 30 - 専門家ネットワークの Connections ビュー 41 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 図 31 - グループ・スペース内のアクティビティ 図 32 - グループ・スペース内のすべてのドキュメントを表示 42 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー グループ・スペース管理 管理者は、WebCenter Spaces 管理インタフェースから、ロール・ベースのページを作成し、すべての ページを管理できます。追加の管理インタフェース機能には、ユーザーとロールの管理、ロール・ ベース・ページの作成と管理、サービスの構成、Sidebar の構成、グループ・スペースの管理などが あります。また、管理者は、単一のユーザー・インタフェースから、グループ・スペースやテンプ レートのエクスポートとインポートなど、ライフ・サイクル操作を簡単に実行できます。 グループ・スペース管理は、WebCenter Spaces 管理に完全に統合されています。たとえば、グループ・ スペースを作成したユーザーは自動的にそのスペースのモデレーターとなり、ほかのユーザーにモ デレーター権限を与えることができます。モデレーターまたはそれと同等のロールを与えられたユー ザーは、グループ・スペースのメンバーの追加または削除、新規メンバーの招待、グループ・スペー ス・メタデータ(グループ・スペースの表示名、説明、検索キーワードなど)の作成と更新、グルー プ・スペースで使用可能なサービスの管理を実行できます。 グループ・スペース内の中身を作成するには、企業の ID ストアからメンバーを追加する、自己登録 をおこなう、ユーザーがメンバーシップを要求できるようにするなど、いくつか方法があります。 企業内と同様、1 人のユーザーが同時に複数のチームのメンバーになることができ、任意の数のグ ループ・スペースに参加できます。 WebCenter の管理 Oracle Fusion Middleware の管理者は、すべての Oracle WebCenter コンポーネントのセキュリティを 考慮したあらゆる管理作業、およびインストール、構成、監査タスクを実行できます。これらの機 能はすべて、単一の Oracle Enterprise Manager Console に統合されています。Oracle Enterprise Manager Console は、市場に出ている製品の中で唯一、Social Computing Services、 Dynamic Business Communities、 および配置済みアプリケーションのすべての用途で完全な管理機能を実現しています。Oracle WebCenter Spaces コンポーネントを管理および監視するために、Oracle Fusion Middleware 管理者がおこなうこ とのできる作業は次のとおりです。 • Oracle WebCenter Spaces の起動と停止 • バックエンド・サービスの構成(メール・サーバー、ワークリスト接続、ディスカッション・サー バー接続、メール・サーバー接続、インスタント・メッセージングとプレゼンスの接続、Oracle Secure Enterprise Search 接続、およびグループ・スペース・イベント、リンク、リスト、メモ、タ グのデータベース接続) • 外部アプリケーションとデータソース(コンテンツ・リポジトリ、外部アプリケーション、ポー トレット・プロデューサなど)の保守 • 企業シングル・サインオンを許可する ID ストアの構成 • グローバル・オプションの設定(グループ・スペース・サブスクリプション・ワークフローの SOA 接続、wiki サービス、ワークリスト項目など) 43 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー • グループ・スペースとグループ・スペース・テンプレート、または Oracle WebCenter Spaces アプ リケーション全体のインポートとエクスポート。これにより、Oracle WebCenter アプリケーション とストレージまたは本番環境間でコンテンツのバックアップや移動が可能 • ログ・ファイルを使用した問題点の特定と診断 • Oracle WebCenter Spaces のパフォーマンス分析と Oracle Enterprise Manager による現在のステータ スの監視 Oracle WebCenter Spaces 内では、委任管理機能の一部として、Oracle WebCenter Spaces 管理者に最高 のアプリケーション権限が与えられます。すべての個人用スペースとグループ・スペースでタスクの 管理と監視を実行するため、Oracle WebCenter Spaces 管理者は、次の作業を実行できます。 • アプリケーション全体の設定の変更:アプリケーションの命名、デフォルトのルック・アンド・ フィールのカスタマイズ、デフォルト言語の選択、ディスカッション・フォーラムとRSSニュー ス・フィードの設定、個人スペースの無効化、グループ・スペース・サービスの管理など • ユーザーとロールの管理:デフォルトのロール割当て、カスタム・ロールの作成、ロール・パー ミッションの定義、ユーザー・アクセスの管理、要求の承認 • 個人用ページの管理:個人用ページの表示、編集、および削除、ページのデフォルト値の設定、 ページのコピー、ページ・セキュリティの管理 • ビジネス・ロール・ページの管理:特定のビジネス・ロールに固有のページの作成と管理、一般 読者へのページの公開、不要なページの削除 • 外部アプリケーション・リンクの保守:Sidebarのアプリケーション・ペインでの外部アプリケー ション・リンク・リスト内エントリの追加、変更、および削除 • グループ・スペースおよびグループ・スペース・テンプレートの管理:グループ・スペースを一 時的にオフラインにしたあとのオンラインへの復帰、グループ・スペースのクローズまたは再ア クティブ化、グループ・スペースまたはテンプレートの削除、グループ・スペース・テンプレー トの公開または非表示 44 Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ペーパー 結論 Oracle WebCenter は、優れた機能をもつオラクル製品です。この製品は、標準ベース開発の機能とポー タルの機能を 1 つにまとめて、コンテキスト・リッチなアプリケーションを提供し、効率の飛躍的 な向上を実現します。SOA アプリケーションに自然なユーザー・インタラクション環境を提供する ことによって、構造化および非構造化コンテンツの管理と統合、ビジネス・インテリジェンス、ビ ジネス・プロセス、コミュニケーション、コラボレーションといった幅広いサービスを活用できる ようにし、高品質で効率的なユーザー・エクスペリエンスを提供します。また、Oracle WebCenter は Oracle Fusion Applications のコア・コンポーネントであるため、WebCenter を使用して構築したア プリケーションは、現在および将来の Oracle アプリケーションとシームレスに連携できます。 45 Oracle WebCenter 11g テクニカル・ホワイト・ ペーパー 2009 年 7 月 著者:Christian Hauser Copyright © 2009, Oracle and/or its affiliates.All rights reserved. 本文書は情報提供のみを目的として提供されており、ここに記載される内容は予告なく変更されることがあります。本文書は一 切間違いがないことを保証するものではなく、さらに、口述による明示または法律による黙示を問わず、特定の目的に対する商 Oracle Corporation 品性もしくは適合性についての黙示的な保証を含み、いかなる他の保証や条件も提供するものではありません。オラクル社は本 World Headquarters 文書に関するいかなる法的責任も明確に否認し、本文書によって直接的または間接的に確立される契約義務はないものとしま 500 Oracle Parkway す。本文書はオラクル社の書面による許可を前もって得ることなく、いかなる目的のためにも、電子または印刷を含むいかなる Redwood Shores, CA 94065 形式や手段によっても再作成または送信することはできません。 U.S.A. 海外からのお問い合わせ窓口: Oracle は米国 Oracle Corporation およびその子会社、関連会社の登録商標です。その他の名称はそれぞれの会社の商標です。 電話:+1.650.506.7000 ファクシミリ:+1.650.506.7200 www.oracle.com 0109