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第7号 - 静岡理工科大学

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第7号 - 静岡理工科大学
第7号
新袋井フォーラム会報
新しい町づくり・人づくりを考える有志の会
新袋井フォーラム
2007・3・1
会報 第7号
平成 19(2007)年 3 月 1 日発行
品があることを伝えています。しかし、食品
の70%はそのどちらにも属さない平性食品
だそうですが、それでも、これらの食品も必
ず「五味」の中のいずれかの効能を持ってい
るといいます。
「身土不二」という言葉もあります。五里四
方を単位として、其の中で採れるものを食べ、
其の地域で生活することが一番よいという教
えです。アナクロニズムと笑われようとも、
一度は考えてみたい視点です。
野山に生える雑草から畑や庭に植えられる
野菜や果物をはじめ、観賞用の草花の中にも
薬用になるものがたくさんあります。
私たちはこれらの草木について知識だけで
接するのではなく、健康を模索する体験の中
に取り入れたいものです。健康と薬草の関係
を念頭に置いて、「薬膳の町・袋井」「薬草公
園の袋井」として、市民にはもちろんのこと
全国に発信できる企画を持ちたいと願ってい
ます。これに関連する事柄を新袋井フォーラ
ムでも取り上げて行きたい。
提唱・薬草公園と薬膳
本会会長・健康部会長
小原
望
「日本一健康文化都市」を標榜する袋井市
の市民にとって、安心安全を求める第一のも
のとして「健康」を思い浮かべることは自然
なことだと思います。健康を維持するために
は、健康とは何かを考えながら、自分自身の
体力・体調に思いを致すことが大切でしょう。
漢方医学では人間が元気に生きて生活する
上で体の中に絶対不可欠な要素は、「気」「血」
「水」であると言っています。「気」は見る
ことも触れることもできません。「気」には
先天の気と、後天の気があり、前者は両親か
ら戴いた「先天の精気」で、現代風に言えば
DNAということでしょう。後者の「後天の
精気」は、生まれた後に取り入れる空気や食
べ物によって作られるものです。
医食同源、薬食同源の言葉があるように、
無理なく健康を維持するために、薬を使わず、
自然の食べ物で日常生活を豊かに送れること
が望ましいでしょう。薬の常用は其の薬効が
徐々に薄れるというか、人間の身体が其の薬
に対して抵抗力をつけるので、現代医学は、
より強力な新薬を開発するというイタチごっ
こを繰り返しています。個人としては、薬は
いざという時のために取って置くという考え
方が大切です。
中国古来の薬膳の教えの中に、食べること
によって身体を温める食品と身体を冷やす食
新袋井市とフォーラム
∼「フォーラム」基調講演②∼
豊田富士雄
フォーラム講演
新袋井市の「総合計画」が今年(06 年)の
9月に議会承認されていますが、その1年前、
昨年の秋からこれの策定のための審議会が立
ち上がりました。ここから先が非常にしゃべ
りにくいんでございますが、その会長は本日
もご参加の塩田進・前静岡理工科大学学長さ
んであり、諮問したのがやはり本日ここにい
らっしゃる原田市長さんで、しかも小原会長
も参加していましたから、審議会の中心の方
が本日皆出席でございます(微笑)。25名
の総合計画審議委員は有識者が揃っているの
ですが、どうして私などと思ったんですけれ
-1-
第7号
新袋井フォーラム会報
ども、何で私が委嘱されたのかと思ったら、
名簿の名前の後に括弧で、私の所には「新袋
井フォーラム」と記されていました。「私で
いいんですか」と言ったら、市の方は「いい
んです」ということでしたので、新袋井フォ
ーラムの名で末席をけがしました。それで、
何かの機会で1度、フォーラムに対しても御
報告する義務があると思っておりました。
皆様も御記憶と思いますが6月に「基本構
想」は議会承認されておりますが、その後に
「基本計画」の5年分と「重点プロジェクト」
10年分が併せてまとまったのが「総合計画」
でして、塩田会長から答申されて、9月に議
会で承認されたということでございます。冒
頭で言いました新しい市になったんだなあと
感動をもったのがこの1年程前でしたが、実
はこの1年半で新しい町の今後10年、特に
立ち上がりの5年はこうやっていこうやとい
う計画が決まっちゃったということです。そ
れはただ上をすり抜けていったというように
とっていただきたくないんですが、その議論
に1年加わりまして、つくづく感じたことが
あります。恐らく今日もこのフォーラムでい
ろんな御議論があるでしょうが、現在の我が
市の行政執行のテンションの高さから言えば、
今後の町づくりに関する意見などが官民共同
ということでしかるべく提案されてくれば、
いろんな形でそれを受け止めていく雰囲気が
あります。そう肩に力を入れずに、今回の『広
報ふくろい』の記事ではございませんが、
「ふ
らっと」というような気持ちでですね、御提
案があると必ず何らかの反応が出てくる位の、
良い手作り感のある総合計画作りであったな
あと思いながら、この役を務めさせて頂いた
わけでございます。
豊田富士雄会員
-2-
2007・3・1
手作り感のある「総合計画」
今ここにコピーを持ってきましたので、皆
さんに配って下さいませんか。実は本体はこ
んなに厚い、ものすごい分量なんですが、そ
の中に前期基本計画というのがございます。
9つの政策と28の施策がそこに書かれてご
ざいます。まあ官庁の言葉でございますから、
漏れのないような言葉になっておりますので、
その先が実は問題だよというのはその通りで
ございますが、一応このようにまとめられま
した。私も時々発言しました。特に中途で、
私は3月から袋井市の商工会議所の副会頭を
拝命する段になり、副会頭は3人いるんです
が、私は商業をやれということになっており
ましたんで、今の大型店の問題とかいろいろ
担当範囲に入ってきました。そういうことも
あったのか、総合計画の審議会でも後半急ピ
ッチでやってくる中で、部会に分かれたわけ
ですが、「快適産業づくり部会」の座長を務
めることになり、3回ほどで部会の意見を集
約しろという指示も頂きました。
これもたいへん戸惑ったのですが、どんな
ことをしたかと言いますと、ここに掲げてご
ざいます政策の5、6、7の3つを、7、8
人の部会員の皆さんで詰めていくとこういう
ことでございまして、内容を見ると非常に大
事な内容でございます。私が担当したのは、
政策5「利便性が高く快適に暮らせるまちづ
くり」、政策6「人と自然にやさしい環境を
育むまちづくり」、政策7「多彩な産業が織り
なす活力あふれるまちづくり」
でございます。
フォーラムの皆様も関心が高いテーマだと思
います。特に政策7についてはそれを実現す
るために4つの施策が提示されました。第1
が「魅力ある農業の振興」で、ここで農業が
出てくるんです。2番目は「楽しさとにぎわ
いあふれる商業の振興」、これは後ほど申しま
すが、住民意識調査という凄まじい綿密な意
識調査がこの総合計画の土台としてあるので
すが、ニーズのナンバーワンが中心市街地に
賑わいを取り戻せという点でございました。
第3が「豊かな生活を支える工業の振興」、4
つ目が
「多くの人が訪れにぎわう観光の振興」
です。
議論に加わった人間として、ぜひ読み込ん
第7号
新袋井フォーラム会報
で頂きたいと思っておりますのは、一つ一つ
の施策に対して、言い放しではなくて施策の
目的と、現状分析と課題の明示、それからそ
れを乗り越えていくための施策の基本方針、
さらに最後に数値目標が出ておりまして、5
年間の工程管理をキチンとやろうという計画
でございます。これは非常に市民にとって有
難い、チェックの効く計画だなあと感じた次
第でございます。なかなか数値化が難しい問
題も多々あるわけでございますけど、少なく
とも総合計画を作っていく中でそういう外枠
での担保をもった計画というのは非常に感銘
を受けたことを覚えております。
審議会全体に関しては、先ほど申しました
ように、まずは全自治会協力の下での住民意
識調査が行われて、非常に細かく分析されま
して、それを基に市長さんはじめ助役さん、
市の幹部さんらが各地へタウンミーティング
に出かけて、住民との対話会を開きました。
それが総合計画の審議を行うベースになって
いるわけですが、そこでの対話内容を吸収し
てまとめられていきました。さらに言うと、
私はこんなに整理されたものを見たのは初め
てですが、袋井市の現状分析書という、福祉
の問題でも土地利用の問題でも水の問題でも、
ここまで細かく数字で押さえた資料があるの
かなと思われる程のデータを審議会に出して
いただきました。逆に言うと審議会委員にこ
れを読めと言うことですね。大変でしたけど
有難い土台でございました。私もタウンミー
ティングにいくつか加わっていましたけど、
これだけの準備を整えて行うのなら議論も良
い議論になるだろうなあと思っていました。
更に、50人か60人の方が自ら手を挙げ
た方を中心にして作られた「まちづくり塾」
というのも併行で行われ、これも良い内容で
総合計画に盛り込まれました。加えて町内で
いろんな各部に役職者の方々も割り振られて
おるわけでございますが、それはそれで町内
の役職は毎日やりながら、自分の住む地域を
どうしたら良いかというプランを練って、町
内ごとで総合計画をまとめたら、それが上へ
上がっていくというシステムを採用していま
した。そういう意見も盛り込めたと伺ってお
ります。
全部ひっくるめますと、総合計画のワーク
ショップにつきましては、担当の企画財政課
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2007・3・1
の方々は恐らく寝る間もなかったと思うんで
すけど、バッチリでございまして、我々みた
いな仕事の合間を縫って何とか参加時間に遅
れないようにといってる人間がすぐに議論に
取っつけるように準備をしてくれました。ま
た塩田学長さんも、すごい切れ味でございま
して、その日提出されたものがその場でどん
どん修正されていきました。私としては予想
以上にフレキシブルで手作り感のある、つま
りコンサルタント業者任せではない、市民の
総力を挙げての総合計画になったんではない
かなと思っている次第でございます。
新袋井フォーラムへの期待
新袋井フォーラムが今後いろいろなものを
考えていくときに、今回の総合計画と関連さ
せて考えることもできるのではないかと思い
ます。先ほど申し上げた静岡理工科大学との
関係だけでなくて、行政全体の動きとも当フ
ォーラムは良い対話が出来る雰囲気をもって
います。市長さんもフォーラムのメンバーで
ございますから。だから、総合計画の審議会
が終わったから、これで終わりというのでは
なくて、この総合計画がさらに実行段階にな
った時に、新袋井フォーラムに関係する事柄
もいろいろ議論の対象になっていっていいん
じゃないかと思っています。
もう少しだけ私の主張を言わせて頂きたい
と思います。一つはフォーラムについてでご
ざいますけれど、先ほど申しました理工科大
との関係ということだけでなくて、もっと他
の事柄でもフォーラムは力を発揮できるので
はないかと思います。我が町はあらゆる組織
が、女性と男性が同じチャンスと機会をもっ
てやるようにならなければいけないと思いま
す。新袋井フォーラムにも、もっと女性がた
くさん入って欲しいと思います。それと、こ
の会はお金がないんですね。運営していくの
にファンドがない会でございまして、どうや
って事務局でやりくりして下さっているのか
分かりませんが、大変なご苦労があると思い
ます。
時代は進んでおりまして、先ほど申しまし
た大学の荻野研究室あたりでは、多くの人が
インターネット上で議論に参加して、意思表
示をして、全体の意見の結論を出せるという
第7号
新袋井フォーラム会報
ような、簡単に言うと、地域まちづくり意志
決定ソフトみたいなものを持っているようで
す。そういうものも既に出来ているわけです
ね。そのような物をこのフォーラムでも活用
してはどうでしょうか。IT を活用したような
フォーラムにしていったら、意外と非常に素
晴らしい方が、意見を出してくださるかもし
れません。フォーラムの会員でなくても発言
してもよいと思います。有力企業の工場長で、
「多分自分は袋井には3年か5年いれば長い
方だけど」と言われる方もおられますが、過
去を調べてみれば長年の海外経験をおもちで
すごい商品を開発している方もおられるわけ
で、そういう方々も袋井におられるうちは協
力して頂いてはどうでしょう。さらにそれら
の方が袋井を出て行った後でも「マイホーム
タウン袋井」という意識を感じて下さってい
るならば、フォーラムのネットワークを通じ
て袋井と繋がっているという気持ちをもって
下されば、人の輪が大きくなると思います。
2007・3・1
われているのですが、それに加えて、何かの
地域のアイデンティティーを入れてはどうか
と考えます。とにかく、あそこは、お米にし
ても健康に良い米ばかりを作っているとか、
メロンの売り方についてもゼリーにしたりワ
インにしたりするのはよいけど、さらに健康
に良いものを上手に引き出しているとか、そ
ういう風な意味でさらに付加価値を付けた農
業が必要だと考えています。だから「日本一
健康農産物の里作り」ということが私の主張
と言いますか、いつも思って願っていること
なんです。そんな方向にいけたらなあと思っ
ています。
二つめは、これもフォーラムの浅井さんや
横井さんからこの夏に伺ったことですが、電
磁冷凍の技術です。これは理工科大学の桐原
先生がご教示下さったということですが、こ
れを使うと、例えばメロンを例にとりまして
も、間もなく出来る静岡空港から上海、香港
に行って、そこからデーゼロ【流通に1日か
からないこと】で、さらに10日間の間消費
期限があるということになれば十分に商品と
して他と戦える。ところが今の状態で空輸し
て行くんだと途中でしおれてしまう。商品価
値が下がってしまう。
しかし、電磁冷凍の技術を使うことによっ
て、この地域の農家さんも、作物の鮮度を保
ったままユーザーの一番近いところまで運ん
で行けるということは非常に画期的なことだ
と思います。これはもう是非実現してもらっ
たらいいと思っております。私の直感から申
しましても、非常にこの技術は、地域の農業
者の方にとって、競争力の源になる可能性が
高いと思っております。
それから、月末の『広報ふくろい』に、「余
熱利用の御意見どうぞお寄せください」とい
うのが出ておりました。焼却場の余熱のこと
ですが、これを温水プールとか植物園とか、
利用法はい
ろいろある
んでござい
ましょうけ
れども、主
張するだけ
は自由だと
温室メロン生
産量日本一。袋井
思うんです。
袋井市の HP より
のクラウンメロン
私が少し主
農業と地域アイデンティティー
最後に、最近、このフォーラムに関係した
ことで若干思っていることを少し述べさせて
いただきますと、一つは良く出ております農
業です。やっぱり引き続き新総合計画におき
ましても日本一健康文化都市を目指すわけで
ございます。まだ誰にも受け入れられており
ませんが、私自身は、「日本一健康農産物の里
作り」というのをやっておりまして、例えば
花火をあげるとかそういうときにも、それを
標榜してアピールしています。
お茶を作るにしてもメロンを作るにしても
お米を作るにしても、単に農業生産額を上げ
て収益性を高めて、―もうかる農業を作る
ということはベースでございますけど―、
それだけではなくて、
やはり町との関係では、
日本一の健康的な農産物の里であるという位
の気持ちで取り組んでいます。農家さんにと
ってみれば生産物の効率的な商品管理もされ
るべきですが、新しい開発も必要です。「健
康」ということについて、これは総合産業で
ございますけども、成長性は高いわけでござ
います。大体、生産、加工、販売までやらな
いと農業経営はもたないと言われているんで
すけれど、それらの点は各県ともそこそこ行
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第7号
新袋井フォーラム会報
張したら、それを聞いていた助役さんが「だ
めだめ」と言われたので、多分だめになった
と思うんですが、私の主張は次のようなもの
です。
あの余熱は聞くところによると1ギガカロ
リー(1時間当り)ということですね。1ギ
ガカロリーというのは計算しますと、冬場に
一番温室で暖房を使うメロンについて換算し
ますと、240トン位得られる熱量なんです
ね。これはエネルギーの専門家にはじいても
らったんです。1 戸当り8棟の経営ならば6
0戸の方々が働けるだけの熱量でございます。
ゴミの焼却の多い少ないがあるんですが、も
うちょっとうまくやると2ギガカロリー位ま
でいけるかもしれないというわけですね。そ
うなればもっと多くのメロン農家さんにも役
立つと思います。
「メロンピア」構想を提案
私はメロン農家さんには長くお世話になっ
ております。今は重油を炊いて温湯を回して
メロンを作っているわけですが、目の前にゴ
ミを燃やしてあれだけの余熱が出て、お湯を
沸かせられるということであるならば、それ
はメロン組合の方は何とか利用できないのか
なと思うのは当然です。アグリニクス研究会
にも組合長さんがおられますが、そう言って
おられます。全部のメロン農家の方が、余熱
が利用できる所へ移転して、そこでは分譲住
宅みたいにいつでも温湯が回っているような
形になっていると、
一番都合が良いようです。
移転に掛る費用は、例えば自己負担が半額で
補助金が半額でもいいでしょうが、団地自体
が移動するということはあり得ると思います。
さらに温湯の温度が下がった時だけ追い炊き
が出来るようなものを付けて、6畳部屋位の
大きさのものを皆が利用できるようにすると
いうことは可能だと思います。
私の主張は、単にメロン農家さんのためだ
けの案ではなくて、あの地帯を法多山、茶ピ
アなどと一体化して、その場所を「メロンピ
ア」という名前にでもしてはどうかという一
つの案です。総合計画の時も出たし、商工会
との対応でも出たんですが、旧浅羽町の方々
にとっては袋井市へ向かっていくという気持
ちは勿論あるんですけれど、かなり磐田や掛
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2007・3・1
川へのアクセスがものすごく便利になってい
るというんですね。それはそれで結構なこと
でございまして、今や浅羽地区の方々にとっ
て、賑わいとか便利性とか、走っていく方向
は袋井の駅前へ向かって走っていくよりも、
磐田の方とか掛川の方という感じが非常にあ
るんですね。そのラインの所に存在している
わけですので、そこを「メロンピア」として
はどうかというわけです。
勿論メロンだけでなくて、そこには浅羽地
区や中遠地区全体からの農産物の販売所とか、
前回の新袋井フォーラムの「会報」にも出て
おります薬膳のこととか、いろいろございま
すけれども、焼却場の余熱が単に温水プール
になって終りというよりは、産業全体の振興
と言いますか、そういう風な方向で進んでは
どうかと思います。
もっとも中核にはメロンを位置付けたいで
す。先ほど240トンと言いましたけれど、
60トンでも50トンでも良いと思います。
メロン農家さんも高齢化しており、農業を休
んだり止めたりしているベテランの方もおら
れます。後継者もありません。そういう方は
「メロンピア」の職員として入っていただい
て、新たに1からメロン農家の後継者になろ
うとする方の教育をしてもらう。つまりメロ
ンセンターのようなものを作るわけです。栽
培の指導も、昨日まで自分の地元でメロン作
りをやっていたベテランで後継者のいない方
が先生になって入ってもらい、希望者につい
て研修をする。それから、メロンは世界で一
番緻密な作物でございますから、子どもさん
の教育にも非常に良いと思います。
要するに私が言いたいことは、焼却場の余
熱を、メロンを核に地域の農業振興・産業振
興・観光振興に結びつけるとうことです。
最後に「総合計画」について補足したいこ
とがあります。審議の全過程について大変快
適に私は過ごさせていただきましたが、いく
つかの部分では意見が吸収されなかったなと
いう思いがあります。私の主張のかなり大き
なことの一つに次の点があります。6月に承
認された基本構想の中にある3つの基本目標
に、「ともに支え合い、力を合わせて、地域
の発展につくすまち」とあり、そのまちは市
民の力、地域の力によって支えられるという
構想で、それはそれで非常に良いのでありま
第7号
新袋井フォーラム会報
すけれども、地域に尽すだけで良いんでしょ
うか、と私は2回ほど申し上げたことがあり
ます。これからの時代、「地域」という言葉
の前に「国」という言葉を入れるべきではな
いかと主張しましたら、笑われてしまいまし
た。豊田さんらしいね、とも言われました。
「ともに支え合い、力を合わせて、国と地域
の発展につくすまち」と言ってはいけないん
ですか、と申しましたら、審議委員の方は違
和感があると言うんです。
2007・3・1
11 月「フォーラム」の記録
豊田富士雄会員による基調講演の後に行わ
れた意見交換の模様を以下に記します。
******************
小栗勝也
第 2 部の「フォーラム」は自由な意見交換
の場ですので、肩肘張らないで言いたいこと
を言い合えたらと思います。初めにフォーラ
ムの会員でもある静岡理工科大学前学長の塩
田進先生から一言お願いしたいと思います。
塩田進
塩田でございます。先ほど袋井市の総合計
画に関連して私も名前が出て参りましたが、
私は皆さん方のいろんなレベルでの御議論の
上に乗っかってまとめただけでございまして、
実際を積み上げてきたので、ちゃんとしたも
のになったんではないかと思います。
豊田さんから先ほどアグリニクス研究会と
いう話が出たんですけど、これは農と工と商
というものがこれからはあまり区別がないん
じゃないかという考え方で発足したもので、
農業を中心でやるんですが、そこに工業や商
業が開発した手法を農業に出て行って融合さ
せていかなければいけないということであり
ます。「アグリニクス」の、「アグリ」はア
グリカルチャー(農業)です。電子工学はエ
レクトロニクスですし、浜松の方では「浜松
ホトニクス」という会社名にあるような「光」
を扱う言葉もあります。そんなら「アグリ」
とその他の技術の融合だから「アグリニクス」
でいいだろうということで付けたんです。こ
の辺ではアグリニクス、アグリニクスと使わ
れるようになりました。ひとりでに、だんだ
ん広がってきて県内にそして日本全体に、最
後は辞書に載ればいいなと思っています。
そんなことで農業のことについて今勉強を
しています。何にも知らないし経験もないも
のですから。ただ「塩田」ですから田かつい
ていますから先祖は百姓でしたから、縁がな
いわけじゃないんですけれど、今勉強してい
ます。そういう中で皆さんの意見を聞くと、
農業は大変なことになっているんだなあとい
うことを感じています。
まずメロンの味と題して話がありましたけ
「国」への思いも
しかし、これは、私はどうしても譲れない
のでありまして、地域だけにつくしていて地
域で満足すれば、それで日本人が全うされる
時代はもう終わっています。最近ベストセラ
ーの『国家の品格』もそうですけれど、非常
に難しい議論になりますが、間違いなく、国
のことは天皇陛下だけが考えるわけじゃない
し、政府だけが考えればいいわけでもない。
私たち自身が、国と地域の発展につくすとい
う位の気持ちでなければならんと、私は今で
も思っております。別に右翼でも軍国主義者
でもございませんが、世界26か国を歩きま
すと、本当にそういう感を強くするわけです。
やっぱり、良い国を作るんだということを、
初めはお題目みたいに聞こえても、そういう
コンセプトの中に入れるべきだと思います。
もっと大きく「世界」としても良いんですが、
とにかく地域だけでは不十分です。地域の発
展につくせば結果として良い国になるという
議論もないわけじゃありませんが、そんなに
甘くもないと思います。やっぱり良い国を作
るということを、みんなが日ごろから意識し
ていないと、そういう国にはならないという
感が強いわけで、そんなことを総合計画審議
会で2回主張しました。しかし却下されまし
た。全然だめでした。まあしょうがないかな
と思っています。
そんなことを主張したということを最後に
申し上げまして、大変お耳汚しで大変に恐縮
でございますが、私のスピーチを終わらせて
頂きます。後ほどの意見交換の何かの足しに
でもなればと思います。御静聴ありがとうご
ざいました。(完) 【文責本会事務局】
-6-
第7号
新袋井フォーラム会報
ど、温室組合の方々とか若手の人たちと一杯
飲みながら話をしているんですけど、これは
なかなか大変だなと思いました。お茶も同様
の問題を抱えているんじゃないか、構造的な
問題があるようだということで、一体これを
どういうふうに考えたらいいのか、どういう
アプローチをしたらいいのかというところで
現在少し考えております。
持続可能な社会
それから、総合計画の中で一つのキーワー
ドとして「持続可能な社会」ということが出
ているんですけれど、循環型とかいろんな言
い方がありますが、要するに持続可能という
ことです。例えば石油は有限な資源ですから、
石油の値段が上がっていくのは持続可能の社
会とは反対のことであります。あるいは環境
問題にしても炭酸ガスの問題がありますから、
持続可能ではない。何とか持続可能なものを
探したいのですが、先ほどバイオマスの話が
出たんですけれども、一つはゴミなどの廃棄
物系はお金を別に払って処理しなくちゃいけ
ないんですけれど、それを有効に利用すると
いうことは、お金を払わないでそれをカバー
していくというのは、これは相当よい方向性
ですね。しかしこれには、バイオマス燃料の
原料としての材木というか、木そのものをど
のようにして集めるかという問題があります。
3月から5月位まで皆さん花粉症になりま
す。一度計算してみると面白いと思うんです
が、花粉症のためにどれだけ医療費がかかっ
ているか、税金をどれだけ使っているのかと
いう計算です。日本全国にまたがっています
から、ものすごい金を使っているんじゃあな
いかと思います。それの十分の一位のお金で
これの対策が何か出来るんじゃないかという
気がします。例えば、50年なり何十年計画
で杉を他の木に植え替えてしまう。杉はもう
止めて、代わりに本来の日本の木を植えてい
こうという所まで考えてエネルギー問題に対
処していったら面白いと思います。
杉はチップにしたりペレットにしたりして
燃やすとものすごくコストが上がっちゃうん
ですね。コストが上がって石油に対応するだ
けの安い燃料が得られない。間伐材を集める
にしても色んなところに散らばった材木の切
-7-
2007・3・1
れ端とか集めますから、ものすごくコストか
かっちゃうんですね。それなら、昔薪を使っ
ていた時のように、計画的に植えて育てて伐
採するという仕組みの中で木材というものを
もう一度見直したら、答えが出るような気が
しています。
これは最近考えていることです。
そういうようなことで、持続可能な社会を
この地域にどうやって造っていくのかという
問題は非常に面白いテーマだと思っています。
それに、バイオマスエネルギーの材料にな
る作物では、アメリカだとトウモロコシ、ブ
ラジルだとサトウキビだとかいっていますけ
ど、それらの作物をこの辺に植え育てそれを
エネルギー源にすることもできますから、別
に山の木でなくてもいいのです。そういうも
のもあるかなと考えています。
つまり何を言いたいかかといいますと、多
分このフォーラムの大事なポイントは、夢の
あることをみんなで考えようよということだ
と思うんです。そして現在、非常に困ってい
ること、長期的に困るであろうことを突破す
るためにはどうしたらよいかというような夢
のあることを提案していくのが良いのではな
いかと思っています。
本会の最近の活動と今後の主な予定
●本会地域情報部会のプロジェクト『遊ばまい
静岡・浅羽の方言かるた』が完成、12 月 23 日よ
り「ふらっと」にて一般販売申込受付を開始。12
月 20 日、製作した浅羽東小学校6年生全員への
贈呈式を実施。各紙と『広報ふくろい』で記事に。
●12 月 29 日午後、SBS ラジオの生中継で『かる
た』が紹介。児童代表も出演。同ラジオでは 1 月
31 日午後の番組でも『かるた』が紹介された。
●1 月 18 日、浅羽東小学校で「かるた会」実施。
方言保存の会・本会も参加。地元テレビ局 4 局と
新聞 4 社が取材(別掲記事参照)、大きく報道され
たことで翌日には注文が殺到、対応に追われた。
●2 月 3 日、本会の幹事会を開催。
●2 月 24 日、ヒルッカ・ピエティラ女史の講演
会を後援(別掲記事参照)。
●2 月 24 日、本会教育部会が募集した小中学生
の「俳句」の第 1 回選考会を開催(同上)。
●3 月 8 日∼11 日、本会歴史部会が「昔のハンコ・
骨董展」を共催(同上)。
●3 月下旬、本年度第 2 回「フォーラム」(自由
な意見交換会、通算 4 回目)開催予定。
第7号
新袋井フォーラム会報
ムベを語る村松孝司会員
先ほど農業の話をしましたけれど、知れば
知るほどこれは大変なことになっているなと
いう感じがしておりますので、それを夢のあ
る話に転換させると突破口が開けてくるわけ
ですので、ぜひ、そういうことをやっていけ
たら面白いと思います。
それからもう一つは、審議会でも問題にな
りました人づくりといいますか、教育の話で
も頑張っています。これも夢のあることと結
びつくと思うんですけれど、どういう人材を
育てるかということも大事です。どんなアイ
デアが地域の中から出てくるかが大切です。
地域の力で、特に子どもたちをどのように育
てていくかということが大事な問題で、それ
がこれから非常に大事な地域の力として問わ
れていくと思うんです。そんなことも考えて
います。
あるいは外国人の方々がもっと増えると思
います。労働力としてもっと入ってくるでし
ょう。そういうことも含めた人づくりを地域
でどうやるか、これもまた大きな問題です。
それについても夢のある話をやって頂ければ
いいかと思います。長くなりますのでこの辺
でやめます。
小栗
どうもありがとうございました。引き続き
自由意見交換会に移りたいと思います。第1
部で豊田さんが講演をしてくださいましたの
で、それに対する質疑がありましたら先に承
って、その辺りから進めようと思います。ど
なたかございませんでしょうか。特に農業と
いうことにこだわらなくても結構でございま
すけれども、この際でございますから御発言
をお願いします。
村松孝司さん、いかがでしょうか。あの植
物をご持参頂いたのは村松さんですね。
2007・3・1
植物の葉っぱは何で奇数かということは、
御存知だと思うので説明は省かせてもらいま
すが、ヤツデという植物がありますが、葉っ
ぱは必ず8つはないわけです。必ず奇数7つ
か9つです。
葉っぱの亀裂を数えてみてください。よく
子どもたちの自然観察会でクイズを出したり
するわけですが、
実はこの七五三を利用して、
庭屋は家の中に植えたんですね、庭木の一つ
として。棚を作って植えました。何故かとい
うとやはり縁起ですね。子どもを健やかに育
てようということでこの木を植えたものだと
思います。
これは古い植物でして、万葉集に「むべな
るかな」という1つの歌がありますが、その
「ムベ」なんですね。アケビは普通は三つ葉
か五葉で、みな落葉なんですが、これだけは
常葉です。このムベは袋井の小笠山に、それ
こそアケビの仲間では1番多くあるアケビの
種類なんですね。小笠山は暖かいからなんで
す。漢方ではこの根っこを干して煎じて飲ん
だりします。腎臓とか膀胱の膨らみを直すよ
うな薬に使うようです。
私は自然が大好きで、今、フォーラムの中
で自然部会長もやらさせてもらっていますが、
小さい頃から空の星を眺めるのが好きで、お
月見も好きです。静岡理工科大学が出来たと
きに、小笠山の中で望遠鏡をもった大学が出
来るんじゃないかなあと、ものすごく期待を
しておりました(実際には理工科大学として
は天体望遠鏡はありません―編者注)。文化
の1つにお月見文化というものがあると思い
ます。今年も「月見の里学遊館」で袋井の山
梨地区のお月見会をやったわけですが、旧暦
で8月15日にやりました。その時に、文献
を調べていましたら、昔は1年で5回もお節
句をやったということが分かりました。1月
「ムベ」なるかな
村松孝司
はい。これは、御存知だと思いますが、ア
ケビの一種の「ムベ」という植物です。この
植物に私はいろいろなことを教わりました。
1つはですね、よく見ると分かると思います
が、先っちょの葉っぱは3枚です。それで次
が5枚です、根本の葉っぱは7枚です。七五
三の葉っぱになるわけですね。
-8-
第7号
新袋井フォーラム会報
7日の七草、3月3日の桃の節句、5月5日
の端午の節句、7月7日の七夕、それから9
月9日の菊の節句です。そういう風にですね、
普段の生活の中で、何げない生活の中で、月
を愛でながらも、子どもたちの成長や皆の無
病息災を祈って、いろいろの行事をします。
お節句なども挟んで、1年の生活を、自然か
ら取り入れてやっていたという事実は大事な
ことだと思うんですね。
今の生活でそれらが消えつつあるというこ
とは、自然に感動する場面が如何に少ないか
ということを意味すると思います。そういう
自然に目を向けるような子どもは少ないんじ
ゃないかと思われてなりません。私は小さい
時にお袋からお月見でススキを飾って団子を
食べさせられた思い出があります。昔は皆そ
うだったと思います。ここにいる皆さんもや
ってきたと思うんですが、いつの間にかそれ
がなくなってしまっている。世の中の発展と
かで忘れ去られてきたそういうものをですね、
取り返すために、お月見を、北公民館ではこ
こ数年ずっとやってきています。
昔からの文化を、せめてそういうことを知
っている大人が目の黒いうちに、今の子ども
たちに語り継げたらいいなあと思っています。
それで、最近は、
庭屋の仕事は趣味でやって、
子どもたちと話をすることが仕事みたいな生
活をやっております。話が変な方に行ってし
まいましたが、「ムベ」もフォーラムで議論
されている自然園とか、薬草公園でも、立派
に育つように植えていけたらいいなあと思っ
ています。
もう1つですね、アケビの素晴らしいこと
を学びました。私の家の棚には2本のアケビ
が植えてあります。これは雌雄同種です。雄
も雌も咲く木なんですが、なぜ2本植えなけ
ればならないかということを、実際に植えて
みて初めて気がつきました。キウイなんかは、
雄木を植えないと絶対実がなりませんね。銀
杏もそうです。雄木雌木がありますから、別
に植えるわけです。しかし、アケビでは雌花
雄花がそれぞれ咲くのに、どうして1本では
実がならないかということを、2本植えて初
めて気がついたんです。1本の木が、はじめ
に雄花をいっぱい咲かせ、その花が落ちる頃
に雌花が開きます。別のもう一本の木では、
先の一本目の木が雌花を咲かせる頃に、雄花
-9-
2007・3・1
が咲きます。1週間ほどずれて咲きます。木
によって花の咲き方が数日ずつ違うんですね。
人間も近親結婚は御法度になっていますが、
植物も同じです。
植物は生まれながらにして、
同じ種を自分にもらわないために雄花と雌花
を同時に咲かせないんですね。生まれながら
にして、そういう仕組みをもっていることを
アケビから学びました。
比那純
葉っぱがどれも奇数ということは全然知ら
なかったです。
村松
大きな葉っぱがありますね。里芋の葉っぱ
なんか大きいですね。あれは人間が開発して
作ったものです。
昔は主食だったんですかね。
でかい葉っぱに耐えられなくなると、何千年
何万年という植物の進化の過程で風に強くな
るために自分の葉を割っていくわけですね。
そして、ちょっと考えてみて下さい。葉っぱ
の1枚というと、これ(一枚の葉を指して)
が1枚じゃないわけですね。(根元に)葉柄
というものを持っていて、もしこれが落葉す
るとしたら、根元から落ちるわけです。だか
らこれ(根元で繋がっている複数の葉全体を
指して)が本当は1枚の葉っぱなんです。元
は丸い1枚の葉っぱだったわけです。だから
割れる時には必ず真ん中(真ん中の葉)が残
るわけです。真ん中があるということは、左
右にきれいに分かれると、真ん中が残るから
単葉になるんです。だから必ず、ヤツデもそ
うです。ぜひ数えてみて下さい。8枚という
ものはありません。7枚か9枚です。子ども
にクイズを出したということはですね、これ
を1枚とってこの葉っぱは何枚というと、1
枚 1 枚を数えちゃうんですよね。これは本当
は全体で1枚の葉っぱなんですね。
七五三の葉を持つ「ムベ」
第7号
新袋井フォーラム会報
塩田
薬草公園というのはどのくらい具体化して
いるんですか。
小栗
フォーラムの中の健康部会が薬草をテーマ
にして何か袋井の町おこしに役立てられない
かという考えを持っていまして、いずれこれ
を何らかの形で提言をしたいということなん
ですが、現状について健康部会長の小原先生
からお話し頂けませんか。
小原望
今改まってということになりますと、フォ
ーラムはお金も何もないもんですから、計画
倒れになることもあって、余り大きなことは
言えないんですけれど、基本的には自分たち
の健康そのものを、自然との関わりの中で考
える場所があっても良いんじゃあないかとい
う発想です。野草の中にも自分たちの健康に
関わるものがあるんだということを考えなが
らウォーキングをしながら、自分の健康を管
理するような所があってもいいんじゃないか
と思います。それを薬草公園という形にして
みてはどうかと考えますが、袋井市の中に2
つ3つあってもいいんじゃあないかなと思っ
ています。そのようなことを考えています。
それと同時に、薬草に注目するのなら、
「薬
膳の町」という発想もあっていいんじゃあな
いかということで、「薬膳の町」として袋井
を PR する方法もあるのではないかと考えて
おります。たまたま、浅羽の出身の方で日本
で有数の薬膳料理の調理師がいらっしゃると
いうことです。浜松のホテルで働いておられ
ます。その方とも話をしましたが、袋井でそ
ういうことをやるんだったら、私も力になり
ますよという返事を頂いております。
富士宮が焼きそばの町だったり、浜松が餃
子の町だと打ち出すなら、その向こうを張っ
て袋井も薬膳の町というのを出してやっては
どうだろうか、という考え方を持っています。
ただ、具体的にこのような形にしましょう
という計画を我々の方で作りますと、行政の
方で考えていることと違うことが出てくると
行政の方が困って、何も実現できなくなる恐
れもあるものですから、はっきりしたことは
何も打ち出していませんけれども、ひとつの
提案として、そのような考えを打ち出してみ
たいということでございます。(続く)
- 10 -
2007・3・1
『方言かるた』大好評
前号既報の通り、本会より『浅羽の方言か
るた』を発行しましたが、大変に好評です。
(1)地元テレビ4局他が報道
●1 月 18 日朝、かるたを製作した浅羽東小学
校 6 年生全員が同校体育館にて、初の「かる
た会」
を開催しました。
報道機関も多数来訪。
テレビでは地元の NHK、SBS テレビ、静岡
第一テレビ、あさひテレビの4局が、新聞は
静岡新聞、中日新聞、産経新聞、朝日新聞の
4紙が取材しました。
NHK テレビはお昼の地域ニュースで最も
早く報道し、夕方と夜にも同じ内容で放送し
ました。他のテレビ局はいずれも夕方の地域
ニュースで報道しましたが、このうち SBS
テレビは4分程の特集を設け詳しく紹介して
くれました。本会事務局も SBS の取材には当
日のお昼近くまで協力しました。
新聞4紙はいずれも翌日の朝刊(静岡地域
紙面)に大きく記事を掲載しました。
テレビと新聞を見た方が多数かるたを注文
して下さいました。19 日午前は電話が絶えず、
嬉しい悲鳴を上げることになりました。
●年末の 12 月 29 日にも、SBS ラジオの午後
の番組「マルキン特大号・アッパレ!ハレハ
レ」でかるたが紹介されました。キャスター
の小川啓子さんらが袋井市協働まちづくりセ
ンター「ふらっと」を訪れ、ここから中継で
生放送。浅羽東小学校の児童 4 名と、柴田和
夫・浅羽方言保存の会会長(本会会員)が「声」
で出演しました。
急きょの出演依頼でしたが、
同小の近藤郁子先生が冬休み中の児童に連絡
を取って下さり実現しました。
(2)寄せられた声
【一部のみ抜粋してご紹介します】
●袋井市在住のご婦人:読んでみると思わず
笑えてくるものから、亡き父母、祖父母の使
っていた言いまわしをなつかしく思い出され
るものもあり、楽しませてもらっております。
●森町在住のご婦人:森町迄お届け頂けたな
んて夢のようです。早速主人の母と私達みん
なで CD を何度も聴かせていただき、笑い声
第7号
新袋井フォーラム会報
一杯の楽しい一時を過ごさせて頂きました。
まだ一歳の孫と楽しいかるた取りのできる日
を今から楽しみに…と夢がふくらみます。
●静岡理工科大学荒木信幸学長:方言かるた、
大変すばらしい活動だと思います。
●静岡理工科大学 K 教授:『朝日新聞』で見
ました。地域に根付く活動、これからも頑張
って下さい。
●Shizuokaonline.com の「Web コラム 一
灯」2007 年 1 月 15 日付「方言かるたの重み」
(鮟鱇)より:「…はがき大の札が約 100 枚も
あると重い、重い。郵便物の重量を計る秤で
は、あっさり上限を超えてしまいました。地
域の願いがずしりと詰まっているのです。」
『方言かるた』を届けて
本会会員・浅羽方言保存の会会員
小澤壮吉
「こんにちは、『浅羽の方言かるた』の者
です。ご注文頂きありがとうございました。
お届けにあがりました」と言うと、その方は
「ご苦労様です」とニコニコ微笑ながら迎え
て下さいました。
「かるたは、どうして知りましたか?」と
尋ねると、「テレビで見たよ。私は浅羽が在
所でね、方言で育ったもんで懐かしくて、こ
りゃー、ちゃっと注文しにゃあーと思って申
込んだだヨ」と直ぐに方言での返事が返って
きました。
「テレビや新聞の報道って凄いね。
びっくりしたんね。お陰さんでたぁんと注文
貰ってね」と相手に合わせて返しました。
「いい物作ったね。浅羽の衆は大したもん
だね。なかなか出きるもんじゃないに」と、
方言かるたに高い評価を下さいました。自分
が誉められたように嬉しくなって、これに感
謝しながら、「実は浅羽東小学校の児童が…」
と製作の経過を説明し、暫く会話の花が咲き
ました。購入して頂いた方にとっても喜んで
頂いて、大変ありがたい気持ちになり、自分
一人だけがこのような言葉を頂くのは申し訳
ない気がしました。
こんなに喜んで下さる方に巡り会えて、
「あ
あ、お届けして良かった」としみじみ思いま
した。心を温められて次のお宅に向いました。
- 11 -
2007・3・1
妻から借りた携帯電話を開いて、ぶきった
く右手でプッシュ。「○○さんのお宅でしょ
うか?」「はい、そうです」「私、『方言か
るた』の者です。先だってはご注文ありがと
うございました。今日お届けさせて頂きます
が、おいでですか?」「おりますよ。わざわ
ざ申し訳ないね」「お宅の位置は大体の見当
がつきますが、お近くの目標物を教えて下さ
いますか?」「○○公民館の先の信号機を右
折して、少し行き黄色い屋根の交番を左折し
て二軒目です」
片手でメモを取っていたが、その内に分か
らなくなってしまいました。「教えて頂いた
様に車を進めてみます。近づいて分からなく
なったらまた、お電話しますので、お願いし
ます」「分かりました」
中古の軽トラは軽快なエンジン音で続行。
あっ、公民館が有ったぞ、その先の信号をど
っちへ曲がるんだったかな? うろうろして
いると後続車の姿が見えたので、こりゃあい
かんと思い、取りあえず左折して空き地に停
車。メモを見ても分からないので電話を入れ
ました。「先ほどお電話した『方言かるた』
の者です。今コンビニの隣りの空き地でお電
話しております。ここからはお宅に近いです
よね」「じゃあ、そこまで行きますので待っ
てて下さい」「申し訳ありません、よろしく
お願いします。車は白の軽トラです」
三∼四分で、それらしき女性の方が手提げ
を持って近づいてきました。「『方言かるた』
の者です」と言うと、双方がやっと巡り会え
たことに安堵し、自然に笑いがこぼれてきま
した。申込書を示して確認をし、『かるた』
を手渡しました。笑顔の会話が始まりました。
「ご注文ありがとうございました。何で知
って頂きましたか?」「テレビと新聞の両方
を見て、これは面白そうだと思って申込んだ
んですよ」「ありがとうございます。私共も
予想外の反響にびっくりしています」「小学
生が作ったの?」「三年ほどまえ、地元の浅
羽東小学校の三年生が総合学習の時間に方言
を勉強したのがきっかけで、『本当の方言か
るたを作ろう』という話に発展して、今回の
完成に繋がりました。その児童はいまは六年
生で、良い卒業記念になりました」「それは
良かったね」
このご婦人もかるたを称賛して下さいまし
第7号
新袋井フォーラム会報
た。その後も会話は続きましたが、「ありが
とうございました。是非皆さんで楽しんで下
さいね」とお礼を申し上げ、次のお届け先に
向いました。次の方はどんな方が待っていて
下さるか楽しみにしながら、また車を走らせ
ました。
2007・3・1
電磁冷凍が議会でも話題に
本会関連行事のお知らせ
(1)「昔のハンコ・骨董展」を開催します
・袋井市文化協会古美術を観る会と新袋井フ
ォーラム歴史部会の共催。問合せ先:榊原保
禄(歴史部会長・電 0538−43−2838)
・日時:3 月 8 日∼11 日。10 時∼4 時 30 分。
・場所:袋井市協働まちづくりセンター「ふ
らっと」(電 0538−43−6315)(入場無料)
・主な出展品:①印とその周辺(多種多様な
印多数、関連書画・印譜、殷墟二里出土の副
葬品、他)、②曰くの面白い絵画等(掛軸、額、
足立雪山畢生の作=細密画「清宴雅集」、法多
の団子を間違えた浮世絵「袋井」、他)、③滅
びしものは懐かしき哉(江戸∼明治の日常用
具、古写真、喫煙用具、義太夫奥撥、他)
(2)「新生袋井市を心で感じ俳句で表そう」
=本会教育部会主催の俳句大会の第1回選
考委員会を 2 月 24 日に開催しました。
・選考委員:鈴木瑳姫、村松弘子、小久江郁
子、三浦さとよ、村松達也、小原望(本会会
長)、原田秀夫(教育部会長)、星野矩昭
・今後選考を重ね、市内小6・中3の児童生
徒による応募俳句千五百点程(1 月末締切)
の中から、小中学生別に市長賞・教育長賞・
新袋井フォーラム会長賞を選出します。3 月
下旬に表彰の予定。表彰状・副賞を進呈。
(3)NPO 法人世界女性会議ネットワーク
静岡(代表・天野:℡0538−23−0615)の
主催で 2 月 24 日に袋井市総合センター行わ
れた講演会「持続可能な福祉社会をめざした
女性たちのチャレンジ∼女性のチャレンジ支
援マイタウンミーティング in 袋井∼」(講
師:ヒルッカ・ピエティラ女史=フィンラン
ド国連協会名誉会長)について、新袋井フォ
ーラムも後援団体の 1 つとして協力しました。
【以上の3件は 2 月 3 日の幹事会で承認】
- 12 -
本会食品部会で手掛けようとしていた「シ
ラス・プロジェクト」に関連して、浅羽海岸
沖で漁獲される生シラスを少しでも長く保存
するための新技術として、食品部会員の桐原
正之・静岡理工科大学助教授及び幡野明彦・
同大助手により本会に紹介されたのが電磁冷
凍技術でした。平成 17 年 11 月に行われた本
会設立記念総会においても、幡野会員(当時)
が過冷却現象の簡易実験を交えながら紹介し
て下さいました(本誌第 3 号 2 頁参照)。
この電磁冷凍のことは、本会役員を通じて
袋井市役所と静岡県庁(知事とも2回面談)
に伝えられ、高い関心を惹いたと聞いており
ます。平成 18 年 12 月に開会された袋井市議
会定例会でも一般質問の中でこれが取り上げ
られ、ついに議会でも話題に上る程になりま
した。以下紹介します。
・竹原和義議員の質問「クラウンメロンと
電磁冷凍について」
・市長の答弁「食品の組織を破壊すること
なく、うまみと鮮度を保存できる電磁冷凍
の技術は、食品流通にとって画期的である。
活用によっては、新たな販路の拡大も期待
されるので、クラウンメロン支所にも紹介
したい。」(静岡県袋井市議会発行『ふくろ
い市議会だより』№9、2007 年 2 月 1 日、
10 頁より)
********************
新 入 会 員
2月3日の幹事会で以下の方の入会が承認
されました。(敬称略、順不同)
・山下金作(元浅羽町文化協会会長、浅羽方
言保存の会)
・小澤壮吉(元幸浦郵便局長、浅羽方言保存
の会)
・富永 茂(袋井市商工会議所)
『新袋井フォーラム会報』第7号
発行日:平成 19(2007)年 3 月 1 日
編集・発行: 新 袋 井 フ ォ ー ラ ム
〒437−8555 静岡県袋井市豊沢 2200−2
静岡理工科大学 理工学部 情報システム学
科 小栗研究室内 新袋井フォーラム事務局
(Fax:0538−45−0110 大学代表)
印刷:榑松印刷所(袋井市浅羽)
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