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E 判定から京大に合格した受験勉強法∼1ランク・2ラン ク上の

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E 判定から京大に合格した受験勉強法∼1ランク・2ラン ク上の
E 判定から京大に合格した受験勉強法∼1ランク・2ラン
ク上の大学に合格するには、どうすればいいのか?∼
著者
Copyright(c) 池田 潤 All rights reserved
1
京大塾講師 JUN
著作権に関して
● 「E 判定から京大に合格した受験勉強法∼1ランク・2ランク上の大学に合
格するには、どうすればいいのか?∼」は、著作物権法で保護される著作物
です。マニュアルの使用に際しましては、以下の点にご注意ください。
● 「マニュアル」の著作権は「池田 潤」に属します。
● 著作権者の事前許可を得ずして、内容の一部または全部を、あらゆるデータ
蓄積手段(印刷物、ビデオ、テープレコーダーおよび電子メディア、縁ター
ネット等)により複製および転載することを禁じます
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E 判定から京大に合格した受験勉強法∼1ランク・2ランク上の大学に合
格するには、どうすればいいのか?∼
目次
1 受験を成功させるマインド p4∼p23
2 受験戦略∼受験を戦略的に攻略する方法∼ p24∼p44
3 JUN 流受験勉強メソッド こうすれば成績は上がる! P45∼p56
4 真のモチベーションを維持する考え方・テクニック p57∼p73
5 効率を上げる JUN 流勉強テクニック集 p74∼p91
6 英語勉強法 p92∼p106
7 数学勉強法 p107∼p116
8 国語勉強法 p117∼p123
9 成績が上がらない原因・改善 p124∼p134
10 オススメ参考書 p135∼p149
11 JUN の京大受験 p150∼p165
12 エピローグ∼受験と人生∼ p166∼p167
3
受験を成功させるマインド
受験理念∼なぜ志望校に合格したいのか∼
受験勉強をしていくにあたり、まず必ず確認しておかなければならないことがあります。
それは、
「なぜ自分は受験をするのか」
「何のために志望校に合格するのか」です。
多くの人は、ここすらまともに決まっていません。「なぜ受験するの?」と聞けば、「何と
なく」
「就職に有利だから」という答えが返ってきます。
これでは、長い受験生活に耐えることはできず、途中で挫折してしまうことは目に見えて
います。
人間は、意味のあること、自分が価値を感じることに対しては努力できますが、そうでな
いことに対して本気になることができません。
「なぜ自分は受験するのか」ということが明確になっていなければ、受験勉強に意味を感
じることができずに、勉強が苦しくなったときに、すぐに諦めてしまいます。
それでは、目標は達成できないのです。
ですから、まず、自分が受験する理念を明確にします。
これは、自分の人生を考えることでもあります。まだ、明確に将来が決まらないのは仕方
ありませんし、それで全く問題ありません。
ですが、自分は自分の人生をどうしたいのか、1 度しかない人生をどう生きたいのか。
そこをよく考えてみる必要はあるのです。
例えば、野球のイチローや、サッカーの中田など、それぞれの分野で素晴らしい成績を残
した人たちが、なぜそうあれたのか、どうして日々の厳しい練習に耐えることができたか
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というと、
なぜ、そのような厳しい練習をするのか、何のために練習するのかがよく分かっていたか
らです。
目的意識、練習に対する理念が違うのです。
それは、生き方の違いとも言えるかもしれません。
一流の人間は、厳しい毎日にも耐えることができます。それは彼らの忍耐力もあるでしょ
うが、それ以上に、目的意識の高さがそれを支えています。
目的意識が高いからこそ、多少困難なことが起こったとしても、乗り越えてしまいます。
例えば、バイトしながら苦学する人がいますが、なぜそんなことができるかというと、そ
うしてでも達成したいことがあるからですよね。
受験に成功したいのなら、受験が、自分にとってそれだけの価値あるものにならなくては
いけません。
そのために、
「なぜ受験するのか」をよく考えるのです。
それに対する自分なりの答えを紙に書き、受験勉強しているときに、見えるところに貼っ
ておく、いつでも確認できるようメモして持ち歩くなどしましょう。
そうすることで、自分自身の目的意識というのも高まり、勉強に対するモチベーションが
変わってきます。
受験に成功するためには、こういったマインドを確立することもまた大切なのです。
巷に売られている勉強法本には、テクニックだけを述べ、それを実践すれば合格できると
書かれてありますが、
では、どうやってそれを実践するのでしょうか?
実践しようという気持ちは、どうやって生み出せばよいのでしょうか?
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それについては、何も書かれていないのです。
だから、実践できずに、成績は伸びることなく、勉強法の本ばかりが本棚にたまってゆく
結果となるのです。
見直すべきは、心のあり方、マインドなのです。
まずは、努力できる下地を作ることから始めなくてはなりません。
テクニックを実践できる自分にならなくてはいけないのです。
マインドを磨くということは、すなわち自分を成長させるということです。
以前の自分から、変わるということです。
人間というのは、外見上の成長というのは、ある時期で止まってしまいます。
ですから、
「成長」という言葉を使うとき、それはズバリ「心・マインドの成長」を意味し
ます。
私が思う、受験の意義とは、
受験によって、自分を成長させることです。
自分の成長こそが、受験で学ぶ最も大切なことなのです。
これはキレイ言などではありません。はっきり言って、受験勉強で得た知識など、半年も
すればほとんど覚えていません。
半年で忘れてしまうようなことを、本気になって頭に詰め込んで、試験本番まで覚えてお
く。
それが受験なのです。
じゃあ、そんなの意味ないじゃないか、受験して何になるんだ!
6
そんな声が聞こえてきそうですし、多くの知識人がそう言います。
しかし、では聞きますが、社会で活躍するビジネスマンや、専門家たちの多くが高い学歴
を持っている場合が多いのはなぜなのでしょうか?
実際に、高学歴の者が、その実力を社会で生かしている割合は大きいのです。
例外的に学歴がない人もいますが、社会で活躍する多くの人は、ある程度の学歴を持って
いることがほとんどです。
それは、受験によって、自分を成長させたからです。
知らない間に彼らは目標を達成できる方法論を知り、メンタリティを身につけたのです。
受験がなければ、学生時代に必死になって勉強するという体験は得られなかったでしょう。
本気になって勉強に打ち込むという体験をしたのかどうかということが、将来の差になっ
て現れてきているのです。
受験勉強をすることによって、自分が成長したということです。
だからこそ、受験には意義があるのです。
まずはそのことを認識してください。
受験には意義がある。そして、さらに、自分なりの意義というものをしっかり考えるので
す。
そうすることで、これから先の勉強に対するモチベーションが変わり、
良い結果を実現できるようになります。
7
コンフォートゾーン
コンフォートゾーンという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これが受験においても非常に大切な考え方なのです。
分かりやすく、噛み砕いて説明します。
例えば、ここに、いつも成績が70点台のA君がいるとします。
ある日、A君はテストで40点台を取ってしまいました。
A君はすごくショックでした。落ち込みました。
しかし、他の科目のテストでは、なんと95点を取ったのです。
この結果は嬉しいものであるはずですが、A君は何となくその結果を信じることができま
せんでした。
周りも、
「カンニングしたんじゃないか」と噂しています。
A君も何となく気分が良くありません。
そして、3ヵ月後。
次のテストを迎えました。前に40点台を取ってしまった科目はなんと見事70点台に返
り咲き!
しかし。
前回、95点だった科目までもが、70点台になってしまいました。
ここで、A君は落ち込むでしょうか。いいえ、少しは落ち込むでしょうが、ある種の納得
感というものがA君の心の中には生まれるのです。
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「これが、俺なんだよな」
そういう気持ちが、A君には生まれたのです。
以上が、コンフォートゾーンに関するお話です。このお話から、非常に大切な事実が分か
ります。
人には、自分はだいたいこれくらいの人間なのだ、という無意識が働いているということ
です。
そして、その範囲のことを「コンフォートゾーン」というのです。
人は、自分自身が、
「これくらいの人間だ」と思う範囲に居座ろうとします。放っておけば、
その範囲から出ることはありません。
ずっと、今の自分であろうとするのです。それが心地いいからです。
ところが、時に自分の思う範囲とは異なる範囲に属する事実が現れます。
A君が、自分は70点程度取れる人間だと思っているのに、40点を取ってしまった。
そのことです。
A君は気分が良くありません。自分の範囲からズレているからです。
さらに、他のテストでは、95点を取りました。しかし、それもまた、A君の想定してい
る範囲とは異なっているのです。
だから、この結果も、A君にとっては心地よくないのです。
結果、どうなったかいうと、40点台だったテストは、70点台に。
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95点だったテストも、70点台に。すなわち、自分の範囲に収まる結果となったのです。
こういった話は、テストだけでなく、人生全体に関しても言うことができます。
「自分はこれくらいだ」という範囲の中でしか、人の将来は変わらないし、現実も自分が
想定している範囲のものになってゆくのです。
まずは、コンフォートゾーンというものが自分にもあって、これまでの人生は、自分が勝
手に思い込んでいたゾーンの中で生きてきたのだということを自覚することです。
何事も、問題が何かを明確にすることから始まります。
もし、自分が、自分の思う現実というものを引き寄せることができないのなら、それは、
その現実というものがゾーンの外にあるもので、自分自身本当に手に入るとは信じられて
いないのかもしれません。
そういったことは、本当によくあることなのです。
コンフォートゾーンを高めていかなければ、高い目標は達成できない。つまり、志望校に
合格できない可能性が高くなります。
心のブレーキがかかってしまっている状態ですね。
では、どうすればこのコンフォートゾーンの問題を解決できるのか、ということになって
きます。
それには、
「セルフイメージ」が深く関わってきます。
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セルフイメージ∼理論編∼
セルフイメージとは何か。
それは、
「自分自身を、自分がどう思っているか」のイメージです。
例えば、
「自分は価値のある男だ」「自分は人に好かれる女」など、人は自分に対する何か
しらのイメージを持っているもの。
そして、そのイメージが現実に非常大きな影響を与えるのです。
例えば、これは人間関係を考えれば一番よく分かるのですが、
ここに、
「自分は好かれない、価値のない人間だ」というセルフイメージを持っている人が
いるとします。
マイナスなセルフイメージを抱えている人です。現実に、こういう人は世の中に山ほどい
ます。
こういう人は、自分から相手に話しかけることができません。
なぜなら、「自分には価値がないから、話しても相手にされない」と思っているからです。
だから、相手と上手くコミュニケーションをとることができません。
いざ、話すとなっても、本当の自分を出すことができない。本当の自分には価値がないと
思っているから、良く見せようとして「偽りの自分」を演じます。
「相手によく思われようとする自分」で相手と接するのです。
そうなると、相手は、
「心が通じ合わない」と感じます。自分を偽っていることは、他人の
目から見れば無意識レベルで違和感を感じるし、なにより、自分自身が一番ストレスを感
じます。
ストレスを感じれば、その場を楽しむことができない。
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そんな人と一緒にいて、相手も楽しいわけがありません。
結果、相手は離れてゆきます。心の通う友達がいなくなっていってしまう。
その現実を見て、その人は思うわけです。
やっぱり自分には価値がないのだ、と。
でも、考えてみれば分かりますが、事の発端は、自分が自分に価値がないと思っていたこ
とです。
すべての行動は、心の中で、自分には価値がないと思っていたことから生まれたものです。
行動というのは、心から生まれるものなのです。
価値がないと思っていれば行動が変わるように、価値があると思っていれば、行動が変わ
る。
それは、良い方向への変化です。
価値があると思っていれば、自分から話しかけることができるし、本来の自分で接するこ
とができます。
たとえ相手に拒絶されたとしても、それほど傷つきません。良い意味で、相手の責任にで
きるからです。
セルフイメージが違うだけで、行動は大きく変わるし、心の持ち方まで変わってくるので
す。
これは、人間関係だけでなく、目標を達成する場面においても非常に重要です。
それでは次に、どうすれば、目標を達成できるセルフイメージを持つことができるのか、
ということが問題になってきます。
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セルフイメージ∼実践編∼
では、セルフイメージを良い方向に改善するにはどうすればいいかということです。
ここを改善することによって、実際に現実は変わってくるのです。
まず、今、あなたが持っているセルフイメージというのは、これまでの人生の中で形成さ
れてきました。
セルフイメージは、自分自身の体験や、他人からの影響によって大きく左右されます。
例えば、悪い例では、子供の頃に親の愛情を受けることができなかった人は、自分には価
値がないと思う傾向があります。
しかし、考えてみてほしいのですが、親からの愛情を受けられなかったからといって、そ
の人は本当に価値がないのでしょうか。
そんなことはないですよね。
それは、親に責任があるのであって、本当にその子に価値がないなんてことはありえない。
現実には価値があるのに、親に価値がないと「思わされてきた」わけです。
そこに明確な根拠はないのです。
そう、セルフイメージは、ほとんどの場合、根拠なく作り上げられたものなのです。
そうなると、良いセルフイメージを作り上げていくのにも根拠は必要ないことになります。
実際、例えば、一流の人間になる人というのは、最初から実績があったわけではありませ
ん。
かの豊臣秀吉は、身分の低いところからスタートしました。つまり、天下を取れる根拠な
ど微塵もありません。けれども、秀吉の母親は、秀吉に「あなた将来必ず出世するわ」と
言い続けました。
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すると、秀吉も「そうなのかもしれない」と思うわけです。
根拠はなかったけれど、セルフイメージが上がったわけですね。
そして、その後の活躍は知っての通りです。
つまりは、セルフイメージを高めるのに、根拠は必要ないということです。
ただ、根拠なくセルフイメージを高めていくと、自然に根拠が生まれてきます。
それは、あらゆることに対する解釈が変わってくるからです。現実を良い方向に考えられ
るようになり、ある現実を、自分に有利なように解釈するようになります。
そうなると、どんどんセルフイメージが高くなってきます。
セルフイメージが上がれば、コンフォートゾーンも上がります。
先ほどの例で言えば、いつもは70点だった子が、
「俺は90点を取れる人間だ!」と信じられるようになったということです。
すると、95点を取っては違和感がありませんね。
「俺らしい」と思うわけです。
逆に、70点台を取ると、
「何をやっているんだ俺は!」となるはずです。
こうなると、90点台を取る努力というものが、苦痛ではなくなります。
むしろ、怠けて70点台を取ってしまうことの方が苦痛なのです。
自然に、進んで努力できるようになるわけですね。
これが、受験をするにあたって、理想の姿です。
いやいや努力するのではなく、進んで努力する。努力したいと思う。
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そういう姿勢を作っていくのが、マインドの役割なのです。
だから、まずは根拠がなくても良いので、自分自身のセルフイメージを上げてゆきましょ
う。
紙に書いてもいいし、毎日自分に言い聞かせてもいい。
とにかく、自分に否定的な言葉をかけない。他人から否定的な言葉を受けても真に受けな
い。
自分のセルフイメージを下げないようにするのです。
下げられそうになったら、一人になって、自分と向き合う、読書するなどすればよい。
とかく他人は否定的なことを言ってくるものですが、そういったことをされても、セルフ
イメージを下げる必要はありません。
セルフイメージを上げていくことによって、コンフォートゾーンは上がり、求める現実が
変わって、行動も変わり、
現実が変わってゆくのです。
そして、ついには、志望校合格という目標を達成することができるのです。
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目標を達成できる考え方
では、少し具体的に、目標達成、つまりは大学合格を手にするのに必要な考え方について
述べてゆきます。
人はなぜ、目標を達成できないか。
それは、
目標達成への過程を乗り越えることができないから
です。
目標達成の過程というのは、困難であることがほとんどです。
簡単には乗り越えらない。また、
「継続する」ことも必要です。
「誘惑」もあります。
英語を勉強しようとしても、単語を覚えるのが苦痛で、テレビを観ている方が楽しいから
ついついテレビを観てしまう。
こういったことが重なって、目標が達成できなくなるのです。
では、どうすれば、目標は達成できるのでしょうか。目標達成に必要な考え方というのは
一体何なのでしょうか。
それを今から紹介してゆきますね。
例えば、ここにダイエットに挑戦する人がいるとします。
ダイエットも、目標達成のひとつですよね。
でも、ダイエットするには、「食生活に気を配る」「運動をする」など、その時点では「苦
痛なこと」を行う必要が出てきます。
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さらに、目の前には、
「お菓子」という誘惑があるとしますね。
多くの人は、
「苦痛を避け、快楽を求める」ので、運動を避け、お菓子を食べます。
すると、当然のことながら、ダイエットは失敗しますね。
ここがポイントです。
人は、
「苦痛を避け、快楽を求める」生き物です。
目標を達成するときに大事なのは、この「苦痛と快楽の関係」に注目することなのです。
どういうことかというと、目標を達成することが快楽であり、怠けることを苦痛だと思う
ように自分をコントロールしてゆくのです。
具体的にそれは、どうすればできるのか。
そこには、
「想像力」というものが関わってきます。
まず、目標を達成したいという動機をよく見直します。最初にも述べましたが、人は自分
の望む未来が実現できると思うからこそ、努力できるのです。望む未来がなければ努力で
きません。
だから、望む未来を、具体的にイメージします。
そして、望む未来が手に入ったら、自分はどうなるのか。どんな毎日になるのか。それを
考えます。それが本当に欲しいと思うまで考えます。
すると、未来に対する快楽が大きくなり、苦痛に思えた行動も、その未来につながってい
ると考えることで、楽しくなってきます。
未来への努力が、快楽になるのです。
そして、逆に、今怠けることによって手に入る未来もよく考えます。
今、ダラダラすることによって手に入る未来とはどんなものなのだろうか。
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このままいけば、どんな人生を送ることになるのだろうか。
それを具体的にイメージします。ろくでもないものであればあるほどいいです。
すると、次第に、ダラダラしていることが苦痛になってきます。
怠けているのが嫌になってきます。
そして、自然に努力するようになるのです。
努力したいと思って、努力するようになるのです。
これが、JUNが考える「快楽と苦痛理論」です。
つまりは、努力することを快楽とし、怠けることを苦痛と思うように自分をコントロール
するということです。
受験以外のどんな場面にも応用できるものなので、ぜひ覚えておいてくださいね。
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合格する思考法
ここまで読んで、マインドの重要性というものが分かっていただけたのではないかと思い
ます。
ここでは少し、理念的な話をしますが、よく言われることで、
今の自分は、過去の自分が作った
というものがあります。
まさにその通りでありまして、今の自分のあらゆる現実というのは全て過去の自分が作り
あげてきたものです。
これまでの人生の選択全てが、今のあなたに影響を与えているのです。
もし、今の現実に満足していないのであれば、過去の自分の行いに責任があります。
それをまずは自覚する必要があります。
よく、自分のミスを他人のせいにする人がいますね。そういう人は全く成長することがで
きないもの。
受験で言えば、自分は頭が悪いからといって、最初から努力することを拒否する人もいま
す。
頭が悪いから努力しないということがどういうことか分かるでしょうか。
そういう人が言う頭の良し悪しというのは、先天的なもの、つまり、遺伝によるものを想
定しています。
そして、遺伝というのは、両親の遺伝子によるものですから、
頭が悪いから努力しないというのは、自分の努力しない責任というものを、親のせいにし
ているということです。
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自分の努力不足を、親の責任にする。それでは、成長することなどできません。
100歩譲って、実際に頭が悪かったとしても、それを悲観していれば現実が変わるので
しょうか。
世の中には、変えられることと変えられないことがあります。
受験勉強においても、このことを意識しておくことというのは、非常に重要です。
自分の成績が上がらないときに、人のせいにすることは簡単です。楽です。
自分は努力しないで済むからです。
しかし、それは、変えられることを変えられないと思い込むことで自分を正当化している
だけです。
変えられることは変える
変えられないことは受け入れる
この姿勢が受験勉強においても大切なのです。
まず、成績を上げるというのは、自分の努力でどうにでもできることです。
変えられることです。
だから、自分の至らないところを見つめ、努力して変えてゆきます。
でも、例えば、家が貧しくて思うように勉強できない。
これは変えられないことです。実際に私はそのような家庭で育ち、中・高と塾には行けま
せんでしたし、
予備校には、親が借金して通わせてくれました。
さらに、借金返済のために、私はバイトしながら勉強を続けていました。周りにそういう
子はあまりいませんでした。でも、それは仕方のないことなのです。
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そういう現実は、受け入れるのです。変えられないことは、受け入れるのです。
でも、その中でも、勉強法や生活習慣など、変えられることはいくらでもありました。
そこを必死になって改善してゆく。
自分の努力によって変えられることは、責任は自分にあると考えて、どんどん変えてゆく
のです。
そういう姿勢こそが、合格する姿勢。
そういう姿勢で努力できることこそが、合格する思考法なのです。
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思考の現実化
受験マインドについてこれまで述べてきましたが、これが最後になります。
セルフイメージを高めてコンフォートゾーンを上げ、自分から進んで努力するようにする。
そして、常に目標達成を胸に思い描くことで望む未来を明確にし、失敗も糧に努力してゆ
く。
「マインド編」で伝えたかったことは、まとめると、そういうことになります。
では、この「マインド編」の最後として、
「思考の現実化」の話をしましょう。
私は受験において、京都大学を受験し、一浪の末、合格することができました。
そして、その過程の中で学んだことがあります。
それがまさに「思考は現実化する」ということです。
私は浪人時代から、ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」を読んでいましたし、その
他「引き寄せの法則」
「因果応報」など、様々なマインド的なお話を読んでいました。
そして、それを実践してみせたのが、私の受験だったのです。
常に志望校に合格できたときのことをイメージし、夢実現を思い続けたのです。
それはもう、毎日やっていました。
すると、勉強するのも苦ではなくなってきますし、合格することが非常にリアルに感じて
くるのです。
受験本番当日、全く緊張しなかったことを今でも覚えています。
なぜなら、心の底から「合格するに決まっている」と思っていたからです。
一年間思い続けることで、それが、当たり前の事実となっていたのです。
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そして、現実は思った通りになりました。
今でも、私は、
「思考は現実化する」と固く信じています。
そして、それを証明する事実が、私の人生でたくさん起こりました。
夢というのは、強く思い続け、それに向かって努力すれば必ず叶うのです。
問題は、行動を起こそうと思うくらいの夢がないことです。
情熱がないことです。
夢が叶わないと言っている人に足りないのは、能力ではなく、情熱です。
情熱があれば、いくらでも行動できるはずなのです。
例えば、本当に好きな人ができたとします。
そうなれば、その人のために何でも出来ると思いませんか。その人のためならつらい仕事
も耐えられるし、どこへだって行ける、そう思わないでしょうか。
情熱があるから、そんなことができるのです。
話を「夢」に向けたところで同じことで、毎日そのことを考えてしまうぐらい、楽しくワ
クワクする夢を、まずは持つことです。
素晴らしい未来を思い描くことです。
なんせ、思考は現実化するのです。
素晴らしい未来を思考したらいいのです。
この受験で、その法則を体感することができれば、最高ですね。
これで、マインド編は終わります。ぜひ何度も読み返し、無意識レベルに落とし込んでい
ってください。
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受験戦略∼受験を戦略的に攻略する方法∼
戦略の重要性
受験には、戦略が必要不可欠です。
例えば、戦争をするときに、何の作戦もなく、「突撃!」することなんてないですよね。
絶対に、綿密な作戦を立て、あらゆるリスクを頭に入れた上で戦いに挑むものです。
受験も、戦争のようなものです。
受験は頭脳戦です。それは、数学ができるとか、英語ができるとか、そういう頭脳を意味
するのではなく、
「どのように戦うか」を考えることのできる頭脳を意味します。
しかし、受験勉強をするときに戦略を立てる人は、実際にはごくわずかです。
実際に生徒と接していても、何か頭を使って勉強しているなと感じる子はほとんどいませ
ん。
だからこそ、頭を使って戦う者が勝つのです。
一般的な受験生は、
「英語は単語だよな」
「たくさん古文を読めば、だんだん読めるようになるんじゃないか」
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「数学は才能だからあきらめて、他の科目で勝負だ!」
「社会は暗記。とにかく問題集を解きまくるぞ!」
このように、何の根拠もないことを、根拠があると勘違いして、あらぬ方向へ舵を切って
しまいます。
ちなみに、これらは全て間違いです。
こんなことを信じていたのでは、到底受験で成功することはできません。
戦争において、間違った情報というのは致命的です。
敵がいないと聞いていたところに敵がいた。
実は、全く敵と遭遇しないルートが存在した。
こんな事態に陥ってしまう時点で、勝てるわけがないのです。
受験も一緒です。
自分の勉強法は、間違ったものだった。
実は、もっと効果の上がる勉強法が存在した。
そんなことを受験が終わった後に知っても、後の祭りです。
そうならないよう、きちんとした情報を手にし、その情報を元に、自分で戦略を立ててい
く。
そういう姿勢が大事なのです。
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戦略の立て方
では、戦略というのは、どのようにして立てていけばいいのでしょうか。
そのことに関して説明していきますね。
戦略というのは、どの分野に関しても当てはまる考え方で、スポーツ、ビジネス、自己啓
発、何でもそうですが、
戦略を立てるとき最初に考えなければならないのは、
ゴールです。
自分がどういうゴールを持っているのか、つまり最終目標は何なのかということです。
受験で言えば、志望校合格なわけですが、もっと具体的に、
どの大学のどの学部に、どのくらいの点を取って合格する
という、最終目標が必要なのです。
京都大学法学部で考えてみましょう。
京都大学法学部の二次試験は、
英語150点 数学150点 国語150点 社会50点(自分の場合は世界史)です。
センター試験は、250点満点に換算されます。
つまり、750点満点の試験です。
ここで、必ず確認しなければならないのが、
志望校、志望学部の合格最低点です。
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合格最低点とは、その大学に入るには最低何点取ればいいのかを示す数字です。
これは、各大学の過去問集に載っているので、必ず志望校、志望学部の合格最低点を確認
してください。
京都大学法学部の最低点は、大体480点です。
この合格最低点より、20点ほど上を目指します。つまり、ゴールは、500点ですね。
京都大学法学部の試験で、500点を取ること
これが、ゴールになりました。
そして、ゴールが決まれば、それをどんどん細分化する作業に入ります。
500点取るには、具体的に、どの科目で、どの程度の点を取るのかを考えていくのです。
ただ、ここで問題になってくるのが、
個人の資質、科目の特性、問題の質
です。
自分の得意、不得意科目が何なのかによって、またその科目はそもそも伸ばしやすいのか
どうか、さらに、志望校の問題は点が取りやすいのか取りにくいのか
ということが重要になってくるのです。
大事なので、もう一度言います。
個人の資質、科目の特性、問題の質
この三つを踏まえた戦略でなければ、戦略とは言えません。ですので、結局、戦略という
のは個人的なものになるのです。自分で考えていかなければならないのです。
私は有料コンサルをやっていますので、そちらの生徒さんの戦略に関しては私が考えます
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が、基本的に戦略は自分で考えるもの。
そのために、今挙げた三つを必ず意識することです。
例えば、私の京大受験で言えば、私の得意科目は英語と国語。苦手科目は数学でした。
だから、英語と国語で点を稼いで、数学の失点を補う、という戦略になります。
科目の特性として、英語は伸ばしやすい。国語は伸ばしにくいと言われていますが、実際
には伸びますし、対処の仕方もあります。
ただ、問題は、京都大学の問題が、英語と国語で稼ぐという戦略を使えるのかということ
です。
例えば、英語と国語が、誰にも解けないような難問揃いであったり、細かな文法事項を問
うてくるものであったなら、その戦略は使えないことになりますよね。
ですが、実際に、京大の過去問を調べ、合格体験記などを読んでみると、そうではないこ
とが分かります。実際に、自分の目標とする点数を取っている人はたくさんいるのです。
よって、自分の戦略は、実現可能だと判断できました。
では、具体的に取る点数を考えていきましょう。
センター試験は、215 点(86%)取れたと仮定します。
すると、二次試験で取らなければならない得点は、285 点です。
となれば、得意な英語で 100 点。国語も 100 点。合計 200 点。
苦手な数学は 60 点に抑えて、世界史は半分の 25 点を取れば良い。これで 285 点です。
実際には、勉強すれば数学はもっと上がると思っていましたし、国語の 100 点という数字
は確実なものではなかったので、国語 85 点。数学 75 点という道も頭にはあります。
かなり具体的になってきましたね。
28
目標点
英語 100 国語 100(85) 数学 60(75) 世界史 25
です。
そして、先に言っておきますが、私の受験結果は、まさにこの戦略通りにいきました。
実際の受験結果 英語 105 国語 110 数学 70 世界史 26
戦略を立て、それに向けて一歩ずつ歩んでいったからこそ、合格を手にすることができた
のです。
さぁ、目標とする点数が決まりましたね。
では、どんどんこれを細分化していきます。
細分化することによって、今やるべきことが明確になり、実際に合格への一歩を踏み出す
ことができるのです。
29
夢への道のりの細分化
では、目標得点を決めたら、次に、それをどんどん細分化していく作業に入ります。
各科目それぞれについて、目標得点を取るには具体的にどういう手順を踏まえれいいのか
ということを考えていくのです。
その際にも、しっかり志望校の過去問を調べて、実際にどういう問題が出題されていて、
どういう分野の力をつけていけばいいのか考えます。
例えば、京都大学の英語の試験は、傍線部和訳と、長文の英作文です。このふたつしか出
ないのです。
にもかかわらず、
「英語の勉強だ!」といって、長文問題ばかりやっても意味がありません
ね。入試本番の問題と、差異がありすぎるのです。
確かに、一般的に考えれば、長文問題を解くことは重要です。
しかし、それが「あなた」にとって重要かどうかは分からないのです。
あくまで、自分の戦略の中で、何をすべきか考える必要があり、そのために各科目で実際
にどんな問題が出ているのかをしっかり調べておかなければならないのです。
京都大学の英語で考えてみると、和訳と英作文だけですから、そのふたつに特化した勉強
をすることになります。
では、具体的にどんな対策が必要でしょうか。一例として考えてみましょう。
まずは、確かな英文構造把握力が必要ですね。主語や動詞、修飾語句の係り方、関係詞の
範囲など、英文がどういう構造なのかを把握する力がなければ、和訳などできるわけがあ
りません。
そのため、英文読解にまずは力を入れなければならないことが分かります。
さらに、和訳の中に知らない単語が入っていると非常にやっかいなことになってしまいま
30
す。そこで、単語力の向上も必要だと分かります。
まだあります。京都大学の英語の文章は難解です。日本語で読んでも意味が分からないよ
うな難しい文章が出ます。だから、和訳箇所も日本語的に難しく、何を言っているのか分
からない場合も出てきます。
なぜ、何を言っているのか分からないかというと、それは文章全体が一体何の話をしてい
るのか分かっていないからです。
つまり、和訳箇所の内容をつかむためには、文章全体の意味を把握する力も必要になって
くることになります。
英語の力だけでなく、国語的な力も必要になってくるのです。
以上で、和訳に関して必要な力が大体分かってきました。
英文構造把握力
単語力
読解力
です。
今、読んでいただいたように、この結論を得るためには、問題を分析して、その対処法を
自分の頭で考えるという作業が必要になるのです。
今は京都大学の例でお話しましたが、この作業を自分の志望校の問題に関しても考えてゆ
く。
まず、どんな問題が、どれくらいのレベルで、量はどれくらいなのか、ということを見てゆ
きます。
その上で、一つ一つの問題について、どういう勉強をすれば解けるようになるのか、必要
な力とは何なのかを考えなければなりません。
京都大学の場合だと、和訳→①英文構造把握力 ②単語力 ③読解力 となったわけです。
では、さらに細分化してゆきます。
三つの力が必要なことは分かっても、では、それらの力を具体的にどうやってつけてゆく
のかということが分からなければ、成績は伸びてきませんね。
31
英文構造把握力 に関して言えば、これは、
「精読力」を磨く必要があるので、例えば「ビ
ジュアル英文解釈(駿台文庫)
」などといった、解釈系の参考書をこなしてゆくことが有効
です。
さぁ、かなり具体的になってきましたね。
目標得点を決める→問題を分析→対処法を考える→参考書の決定
まで進んできたわけです。かなり戦略が細分化されてきました。
しかし、まだ足りません。まだ細分化してゆきます。
参考書を選定したら、次は、それをいつまでにやるのか、何周するのか、を決めてゆきま
す。
例えば、200 ページある参考書なら、1 日 20 ページ進めば、10 日あれば一周できます。
単純に計算すれば、30 日で 3 周ですね。でも、実際には、一度解いている問題ですから、2
周目以降はもっと早くできるはず。よって、30 日で 5 周と考えます。
5 周すれば大半は頭に入っていると考えられるので十分です。
よって、1 日 20 ページ以上進むこと、30 日で 5 周するというノルマが出来ました。
つまり、その日 1 日にするべきことが決まったのです。
これで、夢への道のりの細分化が完成しました。
夢への道のりの細分化とは、大きな夢を掲げ、それを小さく区切っていって、1 日 1 日の行
動を決めてゆくことなのです。
「今日、何するの?」まで分からなければ、細分化とは言いません。
人間の人生というのは結局、その日 1 日に何をするかによって決まってくるのです。
32
大きな夢を抱いても、毎日コツコツと夢へと続く行動を起こしていなければ夢は叶いませ
ん。
だから、夢を細分化し、毎日の行動を決めてゆくのです。
今は、一つの科目の、一つの分野についてしか見ていませんが、これを全ての科目の全て
の分野について行なってゆくと、全ての科目について、
「今日するべきこと」が見えてきま
す。
すると、後はそれをこなすのみです。
戦略的に受験を考えてゆくと、最終的に、毎日自分が考えたノルマをこなしてゆくことで
志望校に合格できるようになるのです。
科目別 戦略の立て方
戦略の立て方について分かっていただけたでしょうか。
では次に、科目別に戦略の立て方を見ていくことにしましょう。
自分自身で戦略を立てるときに問題になってくるのが、
「この戦略で果たして正しいのか」
ということですよね。
その、
「戦略の正当性」を裏づけていくために、各科目の特性を踏まえ、攻略法を知ってお
かなければなりません。
詳しくは「科目別勉強法」の章で述べますので、詳細について今は触れませんが、戦略を
立てる際に大事な部分だけ見ていくことにしましょう。
33
英語
英語の戦略上一番大事な特性は、
いきなり伸びることはない
一度伸びると、簡単に力は落ちない
得点が安定して取れる
の三つです。この三つの特性を踏まえた上で考えていくと、
英語は、早い時期からコツコツと継続的に進めていくべき、という結論が得られますね。
10月頃から本気になって勉強を始めたところで「いきなり伸びることはない」ので間に
合いませんし、
「一度伸びると、簡単に力は落ちない」ので、受験の前半期に完成させておけば後はメン
テナンス程度でよいことになる。そうすると、他の科目の勉強に時間を使えますよね。
そう、戦略を考えるときには、各科目の勉強時間も考慮しなければならないのです。
だから、前半期は英語にある程度の時間を配分する。といっても、英語は「いきなり伸び
ることはない」ので、1 日に大量の時間を費やすのではなく、毎日一定の時間継続させるこ
とが大事になるのです。
これが、英語の特性です。
数学
数学の特性は以下のものになります。
いきなり伸びることはない
あるレベルに到達しないと、できるようにならない
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できなければ得点が安定しないが、できるようになれば安定する
数学はある意味、複雑な科目です。問題児といった感じ。数学が得意な人はよいのですが、
苦手な人にとってこれほどやっかいな科目もないと思います。
まず、
「いきなり伸びることはない」ので、受験の前半期から勉強しなければならないこと
になります。
さらに、
「あるレベルに到達しないと、できるようにならない」ので、かなりの時間をかけ
なければならないことになります。これは数学が得意な人にしても同じですよね。
数学が得意というのは、数学の問題を考えるのが好きで、たくさんの問題を解いているか
らこそ得意になったのであって、
生まれつき二次関数の問題が解けたわけではありません。
また、できる人とできない人の差が激しいのも数学の特徴で、できるようになれば大変な
武器になる一方で、できなければ大変不利な状況になってしまいます。
ですので、数学は、受験の前半期にかなりの時間を使って勉強することになります。
国公立大学志望で、二次試験に数学が含まれる場合などは特に、数学に時間を費やすこと
を覚悟しなければなりません。
「できなければ得点は安定しないが、できるようになれば安定する」という点を考えても、
数学ができるかできないかというのは、非常に大きな差になってくるのです。
他の科目が全くできなくても、数学ができたから合格した、という人もいれば、
他の科目は出来たのに、数学ができなかったから不合格だった、という人もいるのです。
よって、数学は受験前半期から、時間をかけて勉強すべき科目だと分かります。
現代文
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現代文の特性は以下の通りです。
勉強量に対する伸びが期待しづらい
時間がかかるが、継続することで伸びる
得点が安定しない
現代文に関しては、昔から、「伸びない」「どうやって勉強すればいいのか分からない」と
いう意見があります。
確かに、現代文にそういう面があるのは事実です。しかし、やり方次第で現代文も伸ばす
ことが可能です。それは、
「科目別勉強法」のところで詳しく述べますね。
今は、現代文の科目の特性に関してのみ見ていきますが、この三つの特徴から考えても、
現代文に多くの時間を費やすのはあまり得策ではないことが分かると思います。
ですが、継続して正しい勉強法を実践していけば伸びることもまた事実です。
なので、現代文に関しては、かなり長期的な視点を持って継続して勉強していくことが大
事です。例えば、週に3∼4題の問題を解いていく、という形で勉強していく。
これを続けていけば、入試が近づいてくる頃には受験前半期とは比べ物にならない正答率
になっています。
古文
古典の特性です。
正しい勉強で確実なリターンを得られる
文法・単語・敬語が超重要
読解には慣れが必要
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この三つになります。まず、現代文と比較して、伸びが期待できます。勉強もしやすいで
す。
まず古文の勉強といわれたら、文法・単語・敬語の三つを思い浮かべてください。この三
つが最重要です。
逆に言えば、この三つさえきちんと勉強していれば古文のかなりの部分をカバーできたこ
とになります。
このように、勉強する対象がはっきりしていると、勉強しやすいのですね。ただ、読解に
はある程度の慣れが必要です。文法・読解・敬語の三つをマスターした上で、読解の方法
も学びます。
それをクリアできれは、古文は得点源に出来ますので、苦手でも得意にしたいところです。
漢文
漢文の特性です。
勉強内容が圧倒的に少ない
すぐに伸びる
暗記が大半。読解に技術ほとんどいらない
この三つの特性を見ていただければ分かりますが、漢文は非常に勉強のしやすい科目で、
リターンもすぐに返ってきます。
暗記分野が勉強の大半を占め、勉強量も少ないときているので、その勉強のしやすさが分
かりますよね。
なので、漢文がセンターだけでいいのだという人は、全く勉強していない状態からでも、
37
10 月∼11 月から勉強を始めれば間に合います。
社会
社会全般の特性は以下の通りです。
暗記中心。思考する機会がほとんどない(論述は除く)
勉強量が多い
やればやるだけリターンは返ってくる
社会は暗記科目ですから、思考したりすることはほとんどありません。しかし、覚える段
階においては、思考力もフルに使うようにすべきです
単なる丸暗記ではなく、きちんと「理解」して覚えることが大事です。人間の脳は、丸暗
記には適していません。例えば、歴史なら、その歴史事項が起きたのはなぜなのか、他の
歴史事項とはどのような関わりがあるのかということをしっかりと考え、理解しながら勉
強するということです。
ただ、日本史や世界史などは大変に勉強量が多いです。かなりの負担になります。暗記科
目だからといって、受験後半期まで何もやらないでいれば、間に合わないでしょう。
なので、前半期から、流れをつかむ勉強から入り、だんだんと細かな部分を覚えていくと
いう勉強法をとることになります。
ただ、やればやるだけリターンが返ってくるのも社会の一つの特性です。受験の後半に力
を入れることになるのも、単純に得点を上げることが可能だからなのですね。そういう部
分があるということも理解しておきましょう。
理科
理科の特性です。
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得意不得意がはっきりしている(自分に向いているか判断が必要)
高得点を狙える
得点が安定する
まず、理科は好き嫌いがはっきりする科目です。これは個人に資質の何ものでもないと思
いますが、好きでない科目の勉強はなかなか続けることが出来ません。なので、最初の科
目選びはかなり大事になってきます。
ただ、理科は安定的に高得点を狙うことができ、また得点も安定しますので、理系の人に
とっては大変重要な科目となります。
勉強の方法としては、まずは講義型の参考書で「理解」してから、問題集に移るべきです。
理科は、数学の次に「理解」が大切ですので、まずは分かりやすい説明がしてあり、問題
があまりついていない講義型(実況中継シリーズなど)の参考書で勉強する。それが大変
に有効になってきます。その後、簡単な問題から初め、夏以降に応用問題が解ければよい
ですね。夏までは、基本問題を完璧にすることを主眼に置きましょう。
大学受験戦略例∼JUNの受験∼
では、私が一体どういう戦略を立て、日々どんな勉強をしていたのかを紹介しますね。
私の浪人当時の状況としては、全ての科目に関して完成している科目がなく、全部をきち
んと勉強し直す必要がありました。特に数学は非常に苦手で、かなり勉強して苦手を克服
しないことには、合格することはないだろうと感じていました。
なので、まずは数学を克服することが私の受験の課題だったのです。
39
さらに、英語や国語に関してもさらなるレベルアップが望まれましたし、世界史など、現
役時代には論述対策など全くやっていない状態だったので、さらなる勉強が必要なのは明
らかでした。
では、今回は、英語、数学、国語の私の戦略を紹介していきましょう。
英語に関しては、先ほど少し述べましたが、和訳と英作文がメインということで、
受験前半期から、和訳と英作文に絞った戦略を考えていました。
和訳対策としては、英文解釈系の参考書をこなすことと、大量の和訳問題を解いてゆくこ
とを主眼においていたので、
「英文解釈教室」「ポレポレ英文読解プロセス50」「英文和訳演習」などを中心に進めて
いきました。
特に「英文解釈教室」は10周以上繰り返し、完全にマスターしました。そうすることで、
英文の構造を把握することでミスを犯すことはほとんどなくなりました。
ただ、問題は、知らない単語が和訳箇所に出てくることであったので、受験後半期には「速
読英単語上級編」
「リンガメタリカ」を使って、語彙力をつけていきました。
さらに、英作文ですが、これは勉強の軸としては、例文暗記、表現暗記、問題演習の三つ
が挙げられます。
よく言われることですが、結局英作文を書くときというのは、表現を知っているかそうで
ないかということが一番問題になってくるので、例文を暗記することで使える表現を増や
しておくことは非常に大切です。
また、例文でなくても、問題演習をしているときに使える表現があればどんどんメモして
いきます。これが表現暗記です。
使っていた参考書としては、「最難関大への英作文」があります。これも10周以上繰り返
し完璧にマスターしました。
これは、夏頃から始めましたね。いきなりこの参考書はレベルが高すぎるので、ある程度
40
の力がついてからにしましょう。
次は数学ですが、ひたすら、問題演習でした。その際にもある点にものすごく神経をつか
っていたのですが、それは「数学勉強法」のところで書きます。
ただひたすら問題演習をし、一つ一つの問題をきちんと復習する。単純ですが、そういう
戦略をとっていました。
問題集で言えば、
「頻出・ハイレベル文系・理系数学ⅠA・ⅡB(マセマ)
」「文系数学良問
プラチカ」などをやっていましたね。
受験前半期から本気になって勉強し、夏も、かなりの時間を数学に費やしました。それで
も、本当に力がついてきたなと感じたのは、秋を過ぎてからで、それまでは我慢の時期が
続きました。
ただ、上述した参考書を極めてからは、かなり自分の実力に自信が持てるようにもなりま
した。
11月頃からはセンター対策。センター数学はなかなか難しいので、対策はした方がいい
です。
センター後は、過去問レベルの問題をたくさん解く、という形にしていましたね。
国語は、現代文に関しては、受験の前半期から記述問題をどんどん解いていきました。な
ぜなら、京大の現代文では、かなり長い記述問題しか出ないからです。
選択肢問題は、解ける必要がなかったのです。ですので、センター試験前には、センター
対策として選択肢問題も解いていましたが、それ以外の時期は、記述問題を徹底的に解い
ていました。
1週間に、4∼5題を、丁寧に考えて解くという習慣をつけていました。
古文に関しては、先ほど述べた、文法・単語・敬語を、受験の前半期で完璧に仕上げまし
た。
夏までにこの三つの基礎を仕上げておけると、後がすごく楽になります。
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私の場合も、受験前半期でこの三つを仕上げたので、後半期は読解問題に集中することが
でき、読解問題でも、確かな文法力と単語力、敬語を把握力が身についていたことで、結
果として読解の仕上がりも早くなりました。
漢文を本格的に始めたのは 10 月∼11 月からですが、十分間に合いました。センターだけで
あれば、10 月から始めれば、十分に間にあうでしょう。
最後に、私の受験の大まかな流れを言っておくと、
受験前半期(夏まで)
数学に最も力を入れる。英語・国語については継続的に勉強を続け、長期的に伸ばしてい
く。世界史・日本史に関してもこの時期からしっかりと勉強し(世界史に重点)
、完璧に仕
上げた参考書をそれぞれ作る。
夏休み
数学の演習量を増やす。英語・国語の勉量はそのまま。次第に社会や理科といった科目に
関する時間を増やしていく。この時期に「理解」することから、
「覚える」ことへと、次第
に重心を移していく。
受験後半期(センター試験まで)
数学の演習量を減らし、難問に挑んでいく。ひとつの問題にかける時間は増やす。英語は、
暗記系に費やす時間を増やす。国語も、古文に関しては単語力も意識する。世界史・日本
史についても同様。
センター試験後∼二次試験まで
毎日、二次試験と同レベルの問題を、全ての科目についてひたすら解く。世界史に関して
は、
「ナビゲーター世界史」を 1 日 1 冊読んでいた。数学も7題ほど。現代文の記述 2 題、
古文1題も必ず解いていた。
まず受験全体を通し、数学に一番力を入れると決めていました。私の受験で一番勉強時間
が多かったのは数学だと思います。
42
その結果、受験前半期の多くの時間は数学をとられましたが、継続的に英語と国語を勉強
していたおかげで、これらの科目についても成績を伸ばすことが出来ました。
英語に関しては、毎日継続することを第一に考えた戦略を立てていましたが、それで正解
だったと思います。国語の記述に関してもそうですね。
世界史・日本史に関しても受験前半期から取り組んでいましたが、一番重要視したのは、
「同
じ参考書をひたすら繰り返すこと」です。
「石川の日本史B講義」
「ナビゲーター世界史」
「山
川教科書」を徹底的に反復し、問題集は直前期以外ほとんど解いていません。しかし、そ
の戦略がセンター日本史 100 点という結果につながりました。
以上、大まかに私の戦略を紹介しました。
このように戦略を立てて受験を戦うということが、志望校合格には必要不可欠です。この
章で紹介した戦略の立て方、志望校の問題から各科目の特性、そして自分の資質をよく考
えて自分の受験に最適な戦略を立ててほしいと思います。
43
この章のまとめ
志望校の過去問・合格最低点を調べ、各科目の目標得点を決定する
各科目について、どのように勉強すれば目標得点を取ることができるか
考える
勉強法に応じて、使用する参考書を決める
参考書を、いつまでに何周するのか決め、1 日の勉強量を決定する
計画を立てる際は、個人の資質、科目の特性、問題の質 に注意する
44
JUN流受験勉強メソッド
授業依存からの脱却 これまでの勉強法は間違っていた!
私が、浪人して予備校に入ったとき、もちろん授業はきちんと全て受けるつもりでした。
全ての授業に真面目に出て、予備校をフルに使う気でした。
しかし、予備校にいて気づいたことがあります。
それは、授業を受けているだけでは絶対に成績は上がらない、ということです。
今までの受験のあり方として、授業というのは「絶対にあるべきもの」
「授業を受けなきゃ
勉強ではない」と考えられていました。そして、それが当たり前のことでした。
浪人するとなれば予備校に通わなければならないし、そうしなければ合格することはでき
ない、そう考えられてきました。
しかし、私はそうは思いません。予備校に通わずとも志望校に合格できる。むしろ、予備
校に通わないからこそ、一番効率的な勉強をすることができるのです。
予備校には合格実績というものがありますが、あれは成績上位陣が「結局は自分で勉強し
て手に入れた実績」であって、成績下位陣は、大した実績を残していません。まして、偏
差値50だったけれど、予備校に通って東大・京大に合格した人など、ほとんどいません。
予備校に通って東大・京大に合格するのは、ほとんどが去年、同レベルの大学を受験して
失敗した、つまり元々その力のある人ばかりなのです。
果たしてその合格が予備校のおかげだと言えるでしょうか?
本当に予備校に通っていたからこそ、合格できたのでしょうか?
予備校側は、
「儀式化」している授業をただ一方的に行い、後は放置です。生徒の自学自習
にほとんど頼り、
「元々力のある生徒」だけが合格していく。
45
世間で言われる「逆転合格」のなどは、実際にはほとんど存在しないのです。
そして、逆転合格していく生徒は、
「自分で勉強」しているのです。授業をたくさん受けた
から合格した、なんて生徒はいません。
逆に、予備校に期待して入ってきた成績下位陣は、期待を見事に裏切られ、自分の夢は所
詮夢でしかなかったと思わされ、志望校のレベルをどんどん下げていくのです。
この章では、私が考案したJUN流受験メッソドを包み隠さず公開していきます。
そして、この方法を実践していくと、自然に予備校側の逆をやっていくことになります。
JUNと、予備校、どちらが正しいかということは、あなたが決めてください。
では、これから、本当に成績の上がる真実の勉強法を公開していきます。
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一冊を極める∼復習至上主義∼
受験勉強において重要なのは、
知識を頭に入れ、それを使って考え、答えを出すこと
簡単に言えばこうなりますよね。ほとんどの科目について、
「知識を頭に入れる」という作
業が存在します。このステップを上手くこなすことができなければ、成績は上がりません。
そして、予備校のシステムの一番の欠陥はここにあります。
予備校では、ある分野に関する授業はたったの一度しか行なってくれません。というか、
一年間で授業はたったの 20∼30 回しかないのです。
90 分の授業を一年間で 20∼30 回で、果たして高校三年間の内容をこなすことができるの
でしょうか。それも、たった一度です。一度授業で扱った内容に関しては、二度と触れる
ことがない。つまり、
「繰り返さない」のです。
しかし、どんな内容であれ、一回の説明でそれを理解し、覚えることなど不可能。また、
自分のペースで勉強することもできません。
例えば、英文法の授業も年間計画で行なわれますので、12月になっても「英文法」で習
っていないことがあるのです。12 月になって英文法を勉強していることが、受験戦略とし
てどれほど間違ったものであるか。英文法というのは、英語の「基礎」です。受験前半期
に終わらせておくべきものなのです。
それが、12 月の段階でまだ終わっていないのです。これがどれほど異常なことかお分かり
でしょうか。
それを当たり前のこととして受け止めてきたのが、今までなのです。
しかし、それではいけません。これからは、正しい勉強法を身につけ、成績の上がる勉強
をするのです。
そして、これから述べるのが、JUN流勉強メッソドの根本理論の一つ。それは、
47
復習至上主義です。
復習することが、受験勉強で最も重要なことなのです。
さらに言えば、繰り返すことです。私が言う「復習」というのは、同じ参考書を何回も繰
り返すことよって、
「復習していることになっている状態」を言います。
それは、一冊を極める、ということです。
大抵の人は、一冊の参考書を終えると、
「終わった」と言って、次の参考書に移ってしまい
ます。これではいけません。
私が考える、参考書が「終わる」の定義は、
内容を全て覚え、問題も解けること
を意味します。決して、一周したことが「終わり」を意味するわけではないのです。
この定義をしっかりと覚えておいてください。「終わる」とは、
内容を全て覚え、問題も解けること です。
(実際には、8∼9 割中身を覚えれば、次の参考書
に移ります)
そして、この定義を満たすためには必然的に同じ参考書を繰り返すことになるのです。
一周しただけで内容を覚えていることなど不可能だからです。二周でもきついでしょう。
大体、5∼10 周程度が目安です。これくらいやらないと頭に残りません。
多いと思うかもしれませんが、難関大へ合格するには、この程度やらなくてはいけないの
です。
まずは、そういう前提に立ってください。
参考書というのは、繰り返さなくては極めることができない、極めなくては意味がない。
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一度何かの参考書を繰り返してみれば分かりますが、繰り返すことによって極めると、
その参考書の内容と似た問題が出てくれば、参考書の中身が頭の中でイメージでき、解き
方や知識が芋づる式に出てきます。
そして、解けるのです。受験では、ほとんどの場合、新しい何かを考え出す必要はありま
せん。今までの勉強してきた内容をしっかり頭に入れていれば、それを思い出し、少し他
の知識と関連させるだけで解くことのできる問題がほとんどなのです。
何度も繰り返しやっていると、参考書の記述表現やページ数なども思い出せます。ここま
でやるのです。ここまでやると、同じ問題が出れば確実に解けます。
さらに、応用力もつくのです。確かな知識があるからこそ、応用できるのです。これは、
私自身は数学の勉強で身にしみて感じました。
数学の勉強においてこそ、繰り返しの学習が必要になってくるのですが、そんなことを知
らなかった時期の私には全く応用力がありませんでした。少しでも問題が難しくなると、
もう手が出ない、そんな状態でした。
しかし、参考書を繰り返し解き、解き方を完璧に理解、覚えた状態で解いてみると、何と
応用して考えることができたのです。また、考えることが楽しくなりました。数学の楽し
さを知った瞬間でした。
社会など、このメッソドを使えば、何の問題もありません。例えば、私は山川の日本史教
科書が 20 周以上繰り返しましたが、そうすれば、ほとんどのことを覚えていました。その
結果は先ほど述べた通りです。
結局、何度も何度も繰り返し勉強することができるかどうかが、カギになってくるわけで
す。
49
繰り返すときの注意点
ただ、ひたすら繰り返せばそれだけでよいかというとそんなことありません。
これは非常に重要なことですが、簡単に言うと、
理解した上で繰り返すこと
が必要なのです。これを無視していれば、20 回繰り返そうが 30 回繰り返そうが、意味があ
りません。
勉強しているのに成果が上がらない人は、多くの場合、ここに原因があります。
理解していないのです。
きちんと、
「分かった!」という状態になっていないのに、どんどん先に進み、やった量に
満足する。昔の私がそんな状態でしたから、よく分かります。しかし、それではいけませ
ん。それでは成績は伸びません。
繰り返すことの前提には、
「理解すること」があるのです。
「理解して」
、さらにそれを「覚
える」からこそ、一冊の参考書を繰り返し、極めることには意味があるのです。
では、どうすれば理解することができるのか、どうすれは理解しているかどうかを確認す
ることができるのか。
それが、JUN流勉強メソッドの二つ目の根本理論に関わってくるのです。
50
因果思考∼理解するために思考法∼
理解をするために最も大事なのは、因果関係が分かっているかどうかです。
そして、その因果関係を意識して理解していく思考法のことを、
因果思考
と言います。このことに関して明確に述べている勉強法本は他にはありません。どの本も
間接的なことを述べるだけで、本当に大事なことに関して述べていないのです。
因果思考では、ある結果が出た、その原因を深く考えていきます。
原因を深く考える。
これは受験勉強のあらゆる場面で使います。この思考法を身につけているかどうかが、決
定的に受験の成否に関わってくるのです。
いろんな例を挙げて考えてゆきましょう。
例えば、数学の参考書を読んでいた。何となく分からない部分が出てきた。その場合、全
てと言っていいと思いますが、「ある結果が出てきた原因が分からない」のです。
ある式があったとして、その式がなぜ導き出されたのか、なぜその式を使う必要があるの
か、つまり、その原因が分からないのです。
世界史が何だか理解できない。それは、事実の因果関係が分かっていないからです。ある
事件にはいろいろな時代背景が関わっています。ある制度にも、それができた原因がある
はずなのです。しかし、そこを深く考えることなく、表面ばかり勉強しているから、分か
らないし、おもしろくないのです。
さらに言えば、成績上がらない。勉強しているのに伸びない。そういう人に足りないのも、
まさに因果思考です。
なぜ成績が上がらないのか、勉強しているのに成果が出ない原因は何なのかということを
51
考えていないのです。
成績が上がらないというのは、結果です。その結果が出たのには、何らかの原因があるの
です。
分からない、というのは、
その結果が出た原因が分からない、ということなのです。
逆に言えば、原因をしっかりとつかむことが出来れば、理解できたことになります。
原因をつかむことが出来る思考こそが、受験を成功に導く強力なツールなのです。
そのために、常に、
「なぜ」を問うてほしいのです。
何か問題が発生したときに、「なぜこの問題が起きたんだ」と、その原因を探る思考を習慣
づけるのです。
勉強しているときも、「なぜこうなったんだったっけ?」「この式が出てきたのはなぜだろ
う?」と考えるのです。
理解に弱いと自分で感じる人は、こういうところをサボってきた人なのです。
こういうところをサボり、曖昧にごまかしてしまうと、成績は上がらないのです。
この因果思考を身につけた上で、つまり完璧に「理解」した上で、何度も参考書を繰り返
すことによって「覚える」ことができたなら、鬼に金棒です。
JUN流勉強メソッドで目指す王道コース。それは、
因果思考によって完璧に理解した内容を、何度も繰り返して覚える
ことです。そうすることによって、自然に応用力もついてくるのです。
52
最後のステップ
JUN流勉強メソッドの王道コースは、
因果思考によって完璧に理解した内容を、何度も繰り返して覚える
ことだと言いました。これだけでも十分戦えますが、完璧を狙うなら、最後にもう一つス
テップを踏んでもらいます。
それは、
「慣れる」こと。つまりは、覚えた内容を、応用することができるように、ひたす
ら問題演習することです。
この段階では、繰り返すことはそれほど大事ではありません。
「慣れ」の状態を作るために、ひたすら新しい問題に挑みます。そのときに、自然にこれ
まで勉強してきた内容が頭をよぎり、応用力がついている自分を実感できるはずです。そ
して、新しい問題を解くことが楽しくなってくると思います。
こういう状態が、志望校レベルの問題で維持することができれば、それはすなわち、
合格を意味します。
王道コースを歩んだら、その効果を確認するために、新しい問題をどんどん解いていく。
そして、さらに実力をつけていく。こういう流れが全ての科目に通用する最強の勉強法に
なるのです。
53
形式と実質
受験勉強で大事なのは、どれだけの知識が頭に入り、それを使って答えを出せるかという
ことです。
それ以外のことをいうのは、手段にすぎません。手段を目的にしてしまってはいけません。
例えば、ノートを取るのは、知識を頭に入れるため、ですよね。復習できるようにして、
覚える作業ができるようにするのがノートの役割のはずです。しかし、そういう風にノー
トを位置づけていない人がたくさんいますね。
ノートを取ったりまとめたりすることが勉強だと考えている人です。
それは、形式にとらわれすぎなのです。
ノートを取っていれば、勉強している気になりますよね。形式的には、勉強の範疇に入る
からです。しかし、実質的に見れば、頭に知識が入っているわけではないのです。
この、形式と実質を踏まえないと、勉強は無駄に終わってしまいます。
例えば、A君とB君が、1 日 10 時間勉強したとします。
A君は集中して勉強していました。しかし、B君は注意散漫だった。
この場合、明らかにA君の方が勉強量は多いはずです。形式的には同じ時間勉強している
わけですが、実質的にはA君の方が圧倒的に効率的に勉強していることになります。
形式にとらわれると、多くのことを見落としてしまうのです。
さらに言えば、
「では、時間ではなくて、勉強した量ではかればいいのではないか」という
考え方がありますね。よく、勉強は時間ではなく量ではかれと言われています。
しかし、ここにも落とし穴があるのです。
では、例えば、C君がA君と同じだけの量を勉強したとします。
54
同じだけの時間、量を勉強したのだから、2 人は同じだけ勉強したことになるはずですが、
実際にはそうではないのです。
C君は、深く理解していないのに、量をこなそうとして、曖昧な理解のまま先に進んでい
た。
この場合、量は同じでも、質が全く違うのです。A君の方が、成績に結びつく勉強をして
いるのです。
「量」もまた、形式にすぎないのです。
戦略を立てるときに考えるのは、
「量」までですから、戦略を立て、それに沿って勉強する
ことだけを考えていると、形式にとらわれて実質を無視した勉強になるのです。
大事なのは形式ではありません。実質です。どれだけきちんと理解し、どれだけの知識が
頭に入ったかが大事なのです。
授業を受けることが大事なのではなく、ノートを取ることが大事なのではなく、何時間勉
強した、どれだけの量勉強した、そんなことが大事なのではないのです。
どれだけ理解し、どれだけ頭に残したか
大事なのはこれだけです。
今後の勉強では、必ず意識してください。人は形式にとらわれます。ですが、形式にとら
われると、本質を見失います。
本質をしっかりと見て勉強を続けていくこと。
それが、合格を呼び込む、JUN流勉強メソッドなのです。
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この章のまとめ
これまでの常識ではなく、真実の勉強法を知ること
復習中心主義 一冊を完璧にすることで、合格へと近づける
理解した上で繰り返すことが重要
因果思考 理解するには物事の因果関係を考えること
因果思考で理解し、覚えたら、後は「慣れる」!
実質と形式 形式にとらわれて実質を見失うな
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真のモチベーションを維持する考え方・テクニック
モチベーションが上がらない…
なかなかやる気になれない…
こういうときというのはあるものですが、これでは受験勉強ははかどらないですよね。当
たり前ですが。
受験勉強に必要なのは、最善の勉強法と、真のモチベーションです。この二つが絶対に必
要になってきます。しかし、多くの勉強法本は、勉強法には触れるけれどもモチベーショ
ンに関してはほとんど言及していません。
言及しているとしても、陳腐なテクニックを述べるだけ。毎日やるべきことを決めましょ
う、目標を常に意識しましょうなどという誰でも知っている情報はいらないのです。
この章では、本当にモチベーションが高いとは一体どういうことなのか、どうすれば真の
モチベーションというのは生まれるのかということに関して説明していきます。
今回のお話は、受験勉強だけでなく、これからの人生にも役立ちます。心して読んでくだ
さい。目標達成・人間関係など、多くのことに当てはまる理論になります。
では始めます。
自分の中に入っていくまで、何度も何度もじっくり読んでください。一回では理解できな
いかもしれません。必ず、自分の中で消化していってください。
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エナジーのお話
人間には、エナジーというものがあります。人それぞれ様々なエナジーを持っています。
エナジーには属性もありますし、量も異なります。本当に人それぞれなのです。
このエナジーが少なくなると、
寂しい・つらい・苦しい・やる気が出ない…
といったマイナスな感情が生まれてしまいます。マイナスな感情は、マイナスはエナジー
から生まれるのです。逆に、
楽しい・ワクワクする・明るい…
これらはプラスの感情ですよね。プラスの感情とうのは、プラスのエナジーから生まれま
す。ここまでは簡単ですね。
エナジーというのは、毎日減ったり増えたりします。エナジーと感情が密接に関係してく
るからです。感情は、毎日揺れ動きますよね。エナジー=感情ではありませんが、感情が
マイナスになれば、エナジーもそれに引きずられるようにマイナスになってしまうのです。
ですから、感情のコントロールというものが、非常に大切であるということが分かるかと
思います。
さぁ、ここで、世の中の成功者と、そうでない人の差を「感情」という点に注目して考え
てみましょう。
まず、成功していない人。こういった人は、どういうときに感情が動くでしょうか。
それは例えば、好きな人にふられた、お金が手に入った、欲しいものを買った、大事なも
のを失くした…などなど、良いこと悪いことを含めると、こんなところになるでしょうか。
では、これらの共通点は何だか分かりますか…?
58
実は、これらに感情を動かされすぎてはいけないのです。なぜなら、
これらは全て、「自分の外にある出来事」だからです。
「自分の外にある出来事」に感情を委ねてしまってはいけないのです。
もちろん、好きな人に振られたらつらいですよね、それを嬉しいと思うなんて不可能でし
ょう。お金が手に入れば嬉しいです。それはそうなのです。
ですが、そうやって外の出来事に大きく感情を動かされるということは、
「自分の感情を他
に支配される」ということです。
外の出来事というのはコントロールできません。自分の予期せぬ出来事が起こるかもしれ
ず、そしてそれは自分の思う通りにはならないものです。
それにいちいち感情を振り回されるということは、他者にコントロールされていることと
何ら変わらないのです。
では、成功者の「感情」とはどういうものなのか。
成功者は、「感情を自分で生み出す」のです。
自分自身は、自分自身で維持します。外界で起こる出来事に関して、感情を動かされすぎ
ないのです。たとえマイナスな出来事が起こっても、自分で感情をプラスに持っていくこ
とができるのです。もちろん、人に話しを聞いてもらったりすることで自分を維持するこ
ともありますが、基本的には他人のエナジーを利用せずに、自分の力で踏ん張ります。
では、なぜ「外の出来事」に感情を支配されてしまってはいけないのか。それを説明しま
しょう。
外の出来事、例えば、恋人・やる気を与えてくれるセミナー・友達との会話…など、人は
エネルギーが不足すると、無意識のうちにこれらの手を借りようとします。
自分自身にエナジーが少ないから、
「他人にエナジーに頼ろう」とするのです。他人にエナ
ジーに頼ることによって、自分を維持しようとします。
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そして、一旦は、他人のエナジーに頼ることで自分を維持できるのですが、それは一過性
のものにすぎず、またエナジーが減っていくのです。そして、減ったらまた他人にエナジ
ーをもらう。
よく、セミナーに何度も何度も足を運んでいるのに結果が出ない人がいますが、根本的な
考え方が間違っているのです。そういう人は、自分で自分を維持することが出来ないから、
セミナーに頼っているだけなのです。しかし、エナジーはまた減る。だから、何度もセミ
ナーに足を運ぶことになるのです。
恋愛でもそうですね。恋人にエナジーをもらおうとする。それは、良いことでもあるので
す。お互いがお互いを支え合うのは素晴らしいことです。しかし、目標を達成する、夢を
現実のものにするということを考えるとき、成長のスピードを考えても、やはり自分で自
分を維持できなければなりません。
また、よく気晴らしだと言って、ゲームや漫画、映画などに安らぎを求める人がいますが、
エナジーの視点からそれがなぜなのかということも分かります。
ゲームや漫画、映画などには、他人のエナジーが込められているのです。元々、他人が自
分を楽しませるために作ったものなのですから、自分のエナジーを消費することなく楽し
むことが出来る。
つまり、エナジーの消費が少ない。少ない消費量で楽しむことが出来る。だから、気晴ら
しにそれらを楽しんだりするのですね。
しかし、他人にエナジーをもらっていることに変わりはありません。それではいけないの
です。
エナジーとは、自分で生み出すものです。
自分自身でやる気を生み出し、行動していかなくてはならないのです。他人のエナジーに
頼る毎日からは脱け出さなくてはなりません。
他人のエナジーに「依存」する状況が極端までエスカレートするとどうなるかと言うと、
死んでしまいます。
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ドラッグに溺れ、酒を飲みまくり、ギャンブルにお金をつぎ込む。ろくでもない男や女に
人生を破壊される…
全て、自分以外の何かに依存し、エナジーをもらおうとした結果生まれるものです。自分
自身を自分で維持できない者の末路とは、悲惨なものなのです。
あなたはそうなってはいけません。常にやる気満々で、人生を輝かしてゆくのです。
では、その方法ですが、まず、
自分のエナジーは自ら生み出すものと知ること
これだけで、大きく違います。すなわち、これまでの文章を読み、理解しただけで、あな
たは違う人間になったのです。これまで見えていなかったエナジーという視点で自分のモ
チベーションを見ることができるようになったこと。それだけで、大きな成長なのです。
なぜなら、やる気がなくなったときに、気づくのです。
「あっ、今俺はエナジーが不足して
いるのだな」と。そして、今までであれば、漫画を読んだり、ゲームをしたりして気晴ら
しをしていた。しかし、それは他人からエナジーをもらっているにすぎず、失敗者のやる
ことだと知ったのです。すると、その行動は自粛するようになるのです。
そして、
「エナジーは自分で生み出さなきゃ!」といって、自分に厳しくなります。また勉
強に取り組むようになります。そう思うことで、本当にエナジーを自分で生み出せるよう
になっていきます。
勉強していて、やる気がなくなってきたら、それは自分のエナジー不足が原因です。自分
の責任です。自分が自分に甘いのです。そんな自分を許してはいけません。「自分を維持す
るぞ!」と言い聞かせるのです。そうすることで、本当に維持できる自分になっていきま
す。
そして二つ目としては、
自分のセルフイメージを上げることです。
これがモチベーションアップにつながります。
61
例えば、アルバイトを始めると分かりますが、アルバイトと社員さんでは仕事に対するモ
チベーションが違いますね。通常、社員さん方がモチベーションは高いし、仕事もたくさ
んこなします。
逆にアルバイトの方は、
「俺はアルバイトだから」と言って、仕事をきちんとやらなかった
り、
「ここまで」というラインを作ってしまったりするわけです。
それは、まさにセルフイメージです。
「俺はアルバイトなのだ」というセルフイメージを持
つと、それだけの仕事しかやらなくなるのです。やる気も出ない。
しかし、
「俺は仕事のできる最高の男なのだ」というセルフイメージを持っていたらどうで
しょう。ちょっとしたミスも許さないようになるでしょうし、仕事をきちんとこなすでし
ょう。なぜなら、きちんと仕事をこなせないと、
「できる男」というセルフイメージからは
ずれてしまうからです。
これは私にも経験がありますが、塾で最初新人として入ったときよりも、新人が入ってき
て先輩になったときの方が「頑張らなきゃ」と思うのですね。なぜなら、セルフイメージ
が「先輩」だからです。新人より仕事が出来て当然だと思っているから、頑張るのですね。
だから、できる限りセルフイメージを高く持つ。
「俺はこの程度で弱音を吐く男じゃない。」
「あたしは、絶対に負けない。」
「俺は一流の人間になる男なのだから、この程度の壁は乗り越えられる」
こういうセルフイメージを持つことで、エナジーというのは自然に生まれてきます。
やらなきゃいけない、頑張らなきゃいけない、という気持ちこそがエナジーなのです。
それが、自分を自分で維持するということにつながっていくのです。
これができるようになると、常にやる気満々で、勉強に取り組めるようになっていきます。
そして、そういう真剣な気持ちで勉強に向かっているから、勉強も楽しくなっていきます。
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これは少し余談になりますが、勉強とは本来「楽しいもの」です。本当に楽しいのです。
自分の人生のクオリティを上げるため、望む未来を手に入れるための勉強というのは、本
当に楽しい。
ただ、勉強というのは、エナジーを多く消費するだけのことです。エナジーの少ない人は
「楽しくない」と言いますね。消費できるだけのエネルギーを持っていないからです。
そういう人は、ゲームや漫画、テレビなどの楽チンな方へ走ることになるのです。
自分を高めることを楽しいと思うこと。これが非常に大切になってきます。
エナジーのお話は理解できたでしょうか。エナジーがあるからこそ、モチベーションが生
まれるのです。モチベーションというのは、他人から与えられるものではありません。自
分で生み出すものです。
私はよく、
「自分の人生を自分で輝かせる」と言いますが、これは結局、自分のエナジーは
自分で維持し、自分の力で前へ進んでいくということです。つらく、苦しいときも、自分
の力を信じて頑張り抜くのです。それこそが真のモチベーションです。
真のモチベーションとは、自分の中から湧き上がってくるものなのです。
他人から与えられるものではなく、自分で生み出すものこそが、真のモチベーションなの
です。
それを、忘れないでください。
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生物界の掟
地球上には、本当に多くの生物がいます。それはもう、大変な数になります。
その大変な生物たちが生きる世界。その世界には、共通の掟があります。
それは、強い者が生き残るということ。(詳しく考えれば、「強い」の定義は複雑になりま
すが、今は単純に考えてください。
)
自分自身を成長させていった者だけが、生き残っていくのです。
それが、生物界の掟であります。
生物の原則として、
「成長」というものがあります。
生物は、成長しなくてならないのです。生きている限り、成長することが必要になります。
野菜や果物もそうです。成長を止めてしまえば、腐ってしまいます。
成長こそが、掟なのです。
そこで、人間はどうでしょうか。今の日本人の中にどれだけ、成長したいと思っている人
がいるでしょうか。一人一人が成長を望み、努力しない国は、活性化しません。そういう
国が辿る運命は衰退のみです。
人間だって、成長していかなくてはならないのです。
日本という国は、安全で、食料も豊富です。頑張らなくても、生きるのに困ることはほと
んどなくなりました。しかし、だからこそ、みんな努力することを放棄してしまいました。
今の日本人の大多数は、努力しません。頑張りません。頑張る、努力するという言葉を否
定する知識人さえもいます。
しかし、この風潮に負けてしまってはいけません。
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自然の掟として、生物は成長していかなくてはならないのです。それが、真実です。
一時代の、一国の中で流れている価値観(頑張らなくてよい)に染まってしまうのではな
く、もっと深い本質的なところを見てください。
成長を重ね、自分を磨き、人生のクオリティを上げることが、本当の幸せにつながるので
す。
成長に終わりはありません。一生成長です。一生挑戦なのです。
それは辛く・苦しいことなのではなく、本当に楽しいこと。幸せなことです。
頑張ること・努力することは本当に素晴らしいことです。
「頑張るのは間違いだ」という価値観を自分の中に取り入れてしまうと、極端に自分のエ
ナジーレベルが下がるのが分かります。そうではなく、
「努力するのは素晴らしい」と思っ
た方が、楽しく勉強に取り組んでいけます。
たまに、努力するだけでなく、家族や恋人、趣味の時間を持つことは素晴らしいことです。
人生のクオリティはそれらがあってこそ上がっていきます。
しかし、だからといって、頑張ることを否定してはいけません。
頑張ること・努力することは、本当に素晴らしいことなのです。
65
やる気を高める、やる気研究講座
ある日はやる気満々、ある日はぜんぜんやる気になれない…
そんな毎日を送る人が大半だと思います。一言で言えば、やる気をコントロールできない状
況です。
それはそれで無理もないのですが、しかし、受験生にとっては致命的なことですよね。
あなたに考えてみてほしいのですが、これから受験本番まで、毎日やる気満々で受験勉強
をすることができれば、本当に素晴らしいことだと思いませんか?
どこの大学でも受かると思いませんか?
本当にそんなことが可能なら、素晴らしいことです。一見難しいように思えます。しかし、
それは可能なのです。いつもやる気満々で、エネルギッシュに行動できるようになる方法
をお教えしましょう。エナジーの視点も非常に大事なので、繰り返し読んでくださいね。
ただ、間違ってほしくないのは、明日からいきなりそんな人間に変われるわけではないと
うことです。よく、多くの人は努力もせずに、欲しい結果を手に入れようとします。
やる気を常に生み出すために必要なのは、「考え方の転換」です。「考え方」を変えるとい
うのは、人間が変わることと何ら変わりません。
人間が成長するときというのは、考え方が大きく変わったときなのです。
しかし、考え方というのはそう簡単には変わりません。なぜなら、あなたはこれまでずっ
とそのような考え方で人生を生きてきたからです。そして、この E-book に出会ったのは、
人生の中で今日が初めてでしょう。
これまでのあなたの人生で培われてきた考え方というものを、急転換するには、あなたの
度量と、そしてある程度の時間が必要です。
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伸びない人には二つの特徴があります。
素直さがない。ねばりが足りない。
この二つです。まず、素直さですが、これがない人はこれから先も絶対に伸びていきませ
ん。教えを請うはずの立場の人が、持論を交えて意見を戦わそうとする場面をよく見ます
が、はっきり言いまして、あれはバカのすることです。
なぜなら、その人は、上手くいっていないから相談したのでしょう。つまり、それまでの
その人の考え方というのは間違っていたわけです。
もし、その人の考え方が正しいのであれば、その人はとっくに成功しているはずです。で
も、現実はそうではない。現実が、真実をよく表してくれています。その人は「間違って
いる」のです。
なのに、持論を交えて議論する。どういうことでしょう。最初から間違っていると分かっ
ていることを正しいと主張しているのと同じなのです。
教えを請う立場の人は、まず素直に教えられたことを受け入れ、実践することです。批判
精神を持つことが大切なときもあります。
でも、最初から批判的な視点で見ると、どうしても吸収できる量が減るのです。
「批判しよ
う」と思って読むのと、そうでないのとでは、知識の吸収量が違います。ぜひ、持論を交
えずにお読みください。
さらに、ねばりに関してですが、人というのは、変わるのにある程度の時間と努力を要し
ます。いきなり人が変わるというのはなかなかないのです。
ゆっくりと変わっていくのが普通です。
でも、多くの人は、すぐに結果を欲しがるのです。欲しい結果を手に入れるための努力と
いうのをする以前に、結果を欲しがる。このようなマインドでは、決して成功は訪れませ
ん。
いいですか、何かを得ようと思ったら、それにふさわしい対価を払わなければいけないの
です。それは時間かもしれないし、お金かもしれません。その対価を払うという考え方を
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自分の心のどこかにおいてください。何も与えずに、何かを得ようとしてはいけません。
それでは、自分は成長していかないのです。
では、具体的にやる気のお話に入っていきます。
「やる
まずは、「やる気になれない理由」について考えていきます。それを考えることで、
気になる方法」も分かってくるからです。
人がやる気になれないのは、
「それをやる目的」がきちんと頭で理解できていないとき。
「それをやる目的」が自分のやりたいことでないとき。
目的が明確になっても、エナジーが足りないとき。
エナジーが分散しているとき。
セルフイメージが低いとき。
勉強スキルが身についていないとき。
精神状態が悪いとき。
健康状態が悪いとき。
勉強環境が悪いとき。
これらが、人がやる気になれない大きな理由になります。逆に言えば、これらを全て克服
していけば、常にやる気満々で勉強に取り組んでいけることになります。
68
まず、「それをやる目的」がきちんと頭で理解できていない、に関してですが、あなたが受
験勉強を必死になってやるのはなぜですか?ということです。
ここを明確にするのです。必ず、紙に書いて真剣に考えてください。将来の夢や目標、や
りたいこと、それを明確にして、受験勉強と繋げて考えるのです。
それは、必ずしも高尚な夢である必要はありません。高尚な夢よりも、自分が心の底から
そうありたいと思う姿をイメージしてください。
そうすることで、
「それをする目的」が、本当に自分のしたいことになります。それだけで、
やる気が高まることが分かると思います。
自分のなりたい姿をイメージし、受験勉強と繋げて考える
これで、やる気になれない二つの理由、「それをやる目的」がきちんと頭で理解できていな
い、「それをやる目的」が自分のやりたいことでない、に関しては克服することが出来まし
た。
次は、目的が明確になっても、エナジーが足りない、に関してですが、これはエナジーの
お話のところでお話しましたね。自分自身でエナジーを生み出すという視点、さらに、
セルフイメージを高く持つという視点。この二つを意識することで、克服できます。
この時点で、自然に、セルフイメージが低いとき、という原因も解決することが出来ました。
次に、エナジーが分散しているとき、に関してですが、これは集中できていないときと言
い換えることができます。
例えば、数学の問題を考えているときに、好きな人のことを考えている。これはエナジー
の分散です。これではやる気も起きません。
やる気というのは、やる気があるからこそ没頭できるという面もありますが、それに没頭
することで生まれてくる、という面もあるのです。
また、エナジーが分散してしまっていると、理解力や暗記力にも相当悪影響が生じます。
勉強しているときは、勉強内容にエナジーを集中させなくてはなりません。
69
また、勉強以外のことにエナジーを消費させるのも控えるべきです。ゲームや映画、テレ
ビ、それらにもエナジーは消費します。
気晴らしというのは、気晴らしにならないことが実は多いのです。
実は、勉強する科目を変えたり、勉強の方法を変えたりすることが、良い気分転換になり
ます。その場合、エナジーの漏れはありません。勉強にエナジーを使っていることになり
ますから、意識も勉強に向かっているのです。
とはいえ、もちろん休憩は必要です。エナジーの視点からだけ見れば、ずっと勉強を続け
た方が良いように思えますが、それでは体が持たないし、精神的にもつらくなってきます。
ですので、私がオススメするのは、1 日の中に、何もしない時間を1時間程度は持つこと
です。
その時間は本当に何をしてもかまいません。全く意味のないことをしてもよいのです。何
もしなくても良いです。そういう時間を確保してください(そういう時間を取る必要性が
ないと感じるときでも、ある程度は「何もしない時間」を確保するのは大事です)。
さらに、1週間の中にも、そういう時間を取ってみましょう。例えば、土曜日の午後はリ
ラックスする、日曜日は勉強しない、などです。
そうすることで、エナジーも回復していくし、精神的な負担もなくなっていきます。
頑張る人ほど、休むことに対して抵抗があるものです。
何か生産的なことをしていないと落ち着かない、という人ですね。私にもそういうところ
はあるのですが。
ただ、休むことで結局生産性は上がるのです。また、人生のクオリティも上がります。
たまには、キレイな空を見たり、自然を散歩してみてください。そういう時間の使い方も
素晴らしいものです。そして、また勉強に向かっていくことができます。
70
次は、勉強スキルが身についていないとき、です。
勉強のスキルがないと、成績が上がるという確信が得られず、実際に上がっていかないか
らなかなかやる気になれませんし、
日々の勉強が正しいやり方で行なわれていませんから、面白くありません。
例えば、サッカーをするにしても、正しい蹴り方やルールなどを知っているからこそ、面
白いのです。何も知らなければ、面白くなんかありません。
勉強でも一緒なのですね。
だから、しっかりとこの E-book でスキルを身につけてください。
それが、やる気向上につながります。
次は、精神状態が悪いとき、です。
これはなかなか複雑な問題です。精神的な問題には、家族・恋人・友人などの人間関係や、
コンプレックスなど、様々な要因が考えられます。
特に問題になるのが、勉強以外の精神的ストレスです。
こういう問題に出くわしたときに、一番良いのは、「考えても意味がない」と理解すること。
精神状態が悪いときというのは、考えても変わらないことや、勝手にマイナスな推測を立
てている場合が非常に多いのです。
もし、そうなってしまっている自分を発見したら、
「意味がないよ」と言ってあげましょう。
割り切るのです。何があったとしても、自分の感情を簡単に動かされてはなりません。
考えても変わらない、受け入れるしかないことは、受け入れる強さを持ちましょう。
それは、強さです。強くないと、そうはできないのです。
そして、これは仕方のないことですが、多くの人は弱いのです。悩みに押しつぶされます。
そして、
「割り切ることなんかできない!」と怒ります。あなたは、今そう思ったでしょう
71
か?
そう思ったなら、それは間違ったマインドで生きていることになります。
自分とは違う考え、自分には出来ない考えを提示されたときに、
「出来ない!」と言っては
いけません。
あなたが成功者であるなら良いのです。でも、おそらく発展途上でしょう。私も発展途上
です。
ならば、できるようになるまで努力しなければならないのです。
最初からできるわけがないのです。いきなりできるようになるという前提を持ってしまっ
ているから、
「出来ない!」とすぐに言ってしまうのです。
「やれるよう、努力する」こういう風に考えなくてはいけないのです。
精神面の強さというのも、努力や考え方の転換によって身につけることが可能です。可能
なのです。
それを可能にするためには、まず自分の感情を見つめてみること。なぜ自分は今悲しいの
だろうか、なぜ自分は今苦しいのだろうか、と考えてみるのです。
そして、では、どう考えればこの苦しみから脱け出せるのか、自分の考え方というのはど
こがおかしいのだろうか、と考えてみます。
多くの人の悩みというのは、他人に依存することから生まれます。他人の愛情が得られな
い、他人に認められない、そういった他人基準の悩みというのが本当に多いのです。
しかし、他人というものは、コントロールできるものではなく、またあなたという存在は
他人の評価で成り立っているわけではありません。あなた自身が、あなた自身の価値を決
めるのです。そのことを忘れてはいけません。
あなたは、あなたであるだけで本当の素晴らしい存在なのだと信じる。他人の評価は重要
ではないと知る。他人の評価を気にしないから、他人の評価を得られるのだということに
気がつく。それだけで、精神的な問題が解決する場合も多いのです。
72
次に、健康状態が悪いとき、ですが、これは当然ですよね。食生活や睡眠不足、運動不足
というのは、勉強の効率を下げます。
特に、睡眠不足というものは、勉強に一番悪影響を与えます。睡眠時間はしっかり確保し
てください。睡眠時間は、受験期には基本的に削らないものだという認識を持ってくださ
い。
仕事などでは、どうしても間に合わせない仕事などで徹夜する必要がある場合もあるので
すが、受験というのは長期戦です。睡眠時間を削って勉強したところで、効率は下がるだ
けです。睡眠を削って成果が出るときというのは、短期戦のみです。
睡眠時間の目安は人それぞれですが、自分に必要だと判断される時間をしっかりと確保し、
それ以外の時間で必ず 1 日のタスクを終えられるようにする。それが大事です。
また、運動も定期的に行いましょう。1 日家の中で勉強していると、気分も暗くなってくる
ものです。10分でも30分でも、外をゆっくりとランニングすることをオススメします。
その時間は無駄な時間ではありません。
受験において、勉強している時間以外は全て無駄な時間であるということはないのです。
その他にも必要な時間というのはあります。運動の時間も、合格には必要な時間なのです。
最後に、勉強環境が悪いとき、です。
これは少し細かい話になりますが、例えば、部屋の気温、湿度、机や椅子の高さ、日当た
り、騒音…など、勉強に集中できない要因というのは割とたくさんあります。それはあな
たが気づいていない場合も多いです。
何か集中できないな、と思ったら、自分の勉強環境を見直してみてください。何か原因が
隠れていることが多いものです。
73
効率を上げる JUN 流勉強テクニック集
この章では、勉強の効率を上げる様々なテクニックを紹介していきます。ぜひ、実際の勉
強で実践してみてください。実践がなければテクニックは宝の持ち腐れとなります。
では、どんどん紹介していきます。
復習の方法
この E-book において、私は復習の大切さを強調しています。また、参考書を繰り返せ、と
も言っています。繰り返すというのは復習することと同じですよね。
では、具体的にどういう方法で復習していけばいいのかということを説明していきます。
復習するときによく多くの人がやってしまうのは、全てを復習しようとしてしまうことで
す。これは、あまり効率がよいとは言えません。なぜなら、復習しているものの中にはす
でに理解していたり、覚えてしまっているものも多くあるからです。
それらは、復習する必要のないものです。復習する必要のないものを復習するのは、効率
的ではありません。復習というのは、復習すべきものに絞ることが大切なのです。
では、なぜこのようなことになってしまうかというと、一周目を解くときに問題は発生し
てしまっています。
どういうことかと言うと、多くの人は一周目を解くときに、漫然と解くだけで2周目以降
のことを考えていないのです。2周目以降何度もまた解く、さらに、分かるところを解い
ても意味がないと分かれば 1 周目から、次のような作業をするはずなのです。
分かるところを、バツで消去する。
一応分かったが、理解があやふやなところはサンカク。
74
理解できていないところには、マルをつける。
復習する際には、とりあえずバツは完全に無視です。分かっているものをやる必要はあり
ません。
サンカクとバツを徹底的に復習します。特にサンカクの部分は成績向上のカギとなるとこ
ろでもありますから、絶対に復習してください。
多くの人は、サンカクの部分をサンカクであると認識していません。これは大きな過ちで
す。ここを適当にしてしまうから、成績が上がらないのです。
サンカクの部分というのは、非常に危険なゾーンです。バツよりも危険なのです。
なぜなら、バツは分かっていないと自分で判断できているので、自分からまた復習に向か
うことができるのですが、サンカクの方は自覚していない場合が多いので、みんな無視し
て先へ進んでしまうのです。分かったつもりになっている状態ですね。
この分かったつもりの状態では、問題は解けません。参考書の中にある問題を解くことす
ら実はできていないのですから、問題の数字が変わったりすると、全く手が出なくなりま
す。
これは、成績の上がらない大きな原因の一つです。
みんなバツの部分は注意します。しかし、サンカクの部分には注意を払わないのです。
これからは、バツの部分以上にサンカクの部分に注意してください。サンカクをサンカク
なのだと自覚してください。
まずは自覚することから始まります。特に、自信過剰な人、自意識が高い人、謙虚さがな
い人、すぐに自分の持論を挟んで考えようとする人は、サンカクが自覚できません。
俺(あたし)は大丈夫だよ、と間違った姿勢で問題を認識してしまうのです。これは、謙
虚さが足りない証拠です。受験勉強、果ては人生において謙虚さが足りないのは致命的で
す。
75
自分の間違いや、実力不足を素直に認められること。それが本当に強い人間です。
坂本龍馬や、私の好きな三国志の最高の武将たちは、驕り高ぶりなどしませんでした。分
からないことは分からないと言う一流の人間でした。
全てを知っているから一流なのではありません。全ては知らないと知っているから、一
流なのです。
サンカクを認識して、必死に復習すること。何度も繰り返し読み、解き、解説を理解する
こと。脳の無意識に入りこむくらい反復することです。これが、成績向上のカギです。
マルも、もちろん復習します。バツに関してはある程度時間をかけてじっくり取り組んで
ください。もし、その参考書が分かりにくければ、分かりやすく説明されている参考書な
どに解説を求めるのも手です。自分で調べてみることで記憶にも定着していきます。
復習の方法を、もう一度端的にまとめると、
1周目の段階から、復習するときのために、バツ・サンカク・マルを参考書に書き込んで
おく(言葉を書いてももちろん OK)。
復習する際には、サンカクに一番力を入れる。何度も読み、解き、反復して自分のもの
にする。
マルはじっくり時間をかけて取り組んでいく。
さらに、1周目に関しては、そこまで神経質に取り組むのではなく、大きく全体像を把握
するのだという視点を持ってください。細部にこだわりすぎて前へ進めないのも問題です。
付箋を貼っておくなどして、どうしても分からない部分はとりあえず飛ばしておくのも一
つのテクニックです。
さらに、復習のタイミングですが、前日にやった内容を、翌日に簡単に見直してみるこ
とは非常に効果があります。そのとき、完璧にやろうとする必要はありません。パラパラ
と前日にやってページを開き、大事だと思う部分だけ読む(大事だと思う部分は1周目に
線を引いておくなどするとよいでしょう)
。
76
これだけでも、復習効果はありますし、時間もあまりかかりません。これは、勉強を始め
る一番最初にまとめてやるよりも、各科目を勉強し始める前に、儀式的なものとして取り
組むようにするとよいでしょう。それが当たり前にするということです。
後は、参考書を1週するペースを出来る限り上げて、何度も繰り返し解くことです。翌日
の復習と、反復学習で、知識は定着していきます。
1 日 1 日のノルマを決めて、勉強する
これは、受験勉強期だけでなく、これから先ずっと行なっていくと良いと思うのですが、
人は無計画に生きていると、何も成し遂げることなく人生を終えてしまいます。
無計画な人生は、何も生み出しませんし、自分自身の力を最大限まで発揮することができ
ません。
1 日 1 日、成長していこうと思うからこそ、人は成長していくのです。
計画的に毎日を過ごすということが非常に大事になってきます。
受験勉強においては特に、毎日のやるべきことが明確になっていないと、なかなか進まな
いものです。今日やらなくてもいいや、などという甘えの気持ちが生まれてしまい、自分
に厳しくなれず、ダラダラと勉強がはかどらない日々が続いてしまうのです。これではい
けません。
それを割けるために、必ずやっていただきたいのが、
「1 日 1 日のノルマを決めて、勉強す
る」ということ。
これをやるかやらないかでは、大きく受験勉強の質が変わってきます。
このノルマは、2段階設定にします。
77
1段階目は、最低限こなさなければならない量。2段階目は、できればこなしておきたい
と思う量です。
2段階にしないと、人は、
「自分の願望」を計画にしてしまいます。明らかに無理な量を詰
め込んでしまうということです。
それを避けるために、2段階にします。基本的には1段階目をクリアすれば、その日のノ
ルマはこなせたことにする。
2段階目を終えようとする努力はすなわち、プラスアルファだということです。やればや
るほど、受験勉強が前に進んでいく。それが、2段階目のノルマです。
こうすることで、心理的な安定や満足感を得ることも出来ます。
心も安定してくるのです。
ただし、1段階目は、必ずこなすことです。これがこなせないということは、合格するこ
とはできないということです。
受験に失敗してしまう人の多くは、自分に甘い。自分に甘い自分でいる限り、成功をつか
むことはできません。頑張らなくてはいけないのです。
合格するためには、努力しなくてはならないのです、努力してはならないなどという声に
耳を傾けてはいけません。
「しなくてはならない」という言葉はおかしい、などという声に
耳を傾けていると、自分のエナジーが減っていくのが分かります。
結局、努力しない自分を正当化するために使われるだけだからです。
怠けている自分、努力していない自分を正当化してはいけません。
必ず、毎日のノルマを決め、絶対にやり遂げるのです。やり遂げなければ未来はありませ
ん。毎日、戦わなくてはならないのです。
78
時間を先に「決めてしまう」!
この話は、ノルマの話とも関連してくるのですが、受験勉強においては、時間を有効に使
うことが非常に大切になってきます。いわゆる、タイムマネジメントです。
時間をいかに、上手に効率よく使うかということ。
これが出来れば、受験ではかなり強い。ぜひ、タイムマネジメントのスキルを身につけま
しょう。今回紹介するのは、時間を先に決めてしまう、という考え方です。
1 日、勉強時間が確保できたとします。あなたなら、どうやって勉強を進めていくでしょう
か。まぁ、1 日全てを本気で勉強することが出来ればいいですが、実際にはなかなか難しい。
時間というのはありすぎると逆に効率的に使えなくなってしまうものなのです。
しかし、それを効率的に使おうというのが今回のお話です。
時間がありすぎて効率的に使えないのなら、自分で時間を制限すればいいのです。
すなわち、その日の勉強を始める前に、その日の休憩時間を先に決めてしまいます。
例えば、16時∼18時までは絶対に休むと決める。少し多めに休み時間を取ります。こ
の休み時間には、自分が心からしたいと思うことを入れてください。
すると、残りの時間でその日のノルマをこなす必要がありますから、残りの時間は集中せ
ざるを得ません。さらに、その時間きちんと集中して取り組んで終わらせてしまえば、自
分の好きなことが出来るのです。集中力も必然的に上がります。
また、きちんと休むのですから、精神的にも良いですし、夜の勉強を頑張ることもできま
す。一石二鳥ですね。
先に休憩時間を決めてしまう。
これはなかなか使えるテクニックなのです。
79
④ 自分の勉強パターンを知る
人はそれぞれ生活習慣も違えば、集中できる時間帯、得意な科目も違います。睡眠時間だ
って、違うでしょう。
個性があるのです。あなたの特徴は、あなたの個性です。それは変える必要はありません。
夜の方が明らかに集中できるのに、朝型の方がよいらしいという理由で無理やり朝早く起
きる人がいますが、それで本当に集中力が上がるのかは疑問です。
確かに、朝の時間を上手く使えば、勉強が非常にはかどることは事実です。しかし、だか
らといって、全員が朝早く起きる必要はないのです。朝やるところを、夜にやればいいだ
けの話です。
結局、自分のパターンというのはどういうものか知る必要があるということです。ただ単
にサボって朝寝坊しているだけなら、それは朝早く起きた方がいいでしょう。しかし、夜
の方が集中できるから、夜勉強しているからといって、成果がそれで出るならそれでもか
まわないと思います。健康を損なってはいけませんが。
他人の勉強パターンにしばられる必要はないのです。あくまで自分基準で考えましょう。
ただ、自分基準で考える場合には、必要なことがあります。そう、自分の勉強パターンを
知ることです。自分の勉強パターンを知らなければ、効率の良い勉強をすることはできま
せん。
例として、私の勉強パターンを紹介しますと、
まず、私は朝方人間です。夜遅くまで勉強するというのは性に合っていません。遅くても
1時には寝ていたい。
しかし、朝は早く起きることができます。5時∼6時には起きることができます。睡眠時
間は6時間あれば大丈夫です。
さらに、朝起きたらすぐに勉強に取り掛かることができ、午前中が最も集中力があります。
80
午後になると、だんだん集中力が落ちてきて、13時∼16時というのは、なかなか集中
することが出来ません。体も疲れてきます。しかし、17時あたりからまた集中力が回復
してきます。
夜の集中力もあります。晩御飯を食べてから寝る前まではきちんと勉強に取り組むことが
できます。20時∼23時までは勉強に集中できます。
また、15分ほど仮眠を取ると、集中力が回復します(これはかなり使えるので、ぜひ使
ってみてください)。昼寝をすると、午後の集中力が上がることも分かっています。
ひとつのことをずっと続けるより、上手く科目を変えるなどして気分転換を図った方が効
率的に勉強することができます。
実際にはもっと細かいところまで自己分析することができればベストです。こういったこ
とを自分に当てはめて考えてください。
どの時間帯が最も効率的に勉強することができるのか、どうすれば自分は集中力を保つこ
とができるのか、何分程度なら集中していられるか…
などなど、徹底して自己分析するのです。効率的な勉強というのは人それぞれ違います。
あなたにとって最も効率的な勉強は、あなたにしか分かりません。
毎日毎日、自己分析をして、効率のよい勉強を追及するのです。
午前中には、何の科目を勉強するか、午後は、夜はどうするか。これは適当に決めるもの
ではなく、自己分析の結果として導き出されるものなのです。
自分の勉強パターンを知り、受験勉強のスタイルを確立してください。
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気持ちの切り替え方
勉強というのは楽しいものですが、その日の気分や体調、集中力などに影響を受けるもの
で、なかなかいつでもやる気満々で取り組むことはできないものです。
その中でも、やる気を維持して着々と勉強を進めていくことが、合格には必要なことなの
ですが、やる気を維持するために、
「気持ちの切り替え」というものが必要になってきます。
ずっと勉強するのはしんどいので、何か他のことをやって気持ちを切り替えようとするの
ですね。
たとえば、テレビを観たり、ゲームをしたり、音楽を聴いたり、友達と話したり、といっ
たことです。
つまりは「気晴らし」ですね。一つのことに集中することに疲れたから、他のものでエナ
ジーをもらおうとしている行動だといえます。
気晴らしというのは、エナジーをもらうための行動です。
しかし、実は気晴らしすることによって、エナジーを失うこともあるのです。
例えば、友達と話すにしても、エナジーを与えてくれる人と奪う人がいますね。それは、
話しているとわかると思います。何だかやる気がなくなってくると感じれば、それはエナ
ジーを奪われている証拠です。
友達と話せばエナジーが回復できるわけではないのです。エナジーを与えてくれる人だか
らこそ、気晴らしになるのです。
さらに言えば、そもそも気晴らしはエナジーの回復につながらないことも多いです。
例えば、映画を観るにしても、かなりエナジーを消費します。逆に疲れるのではないでし
ょうか。行動するために元気をもらいに行っているつもりで、実は行動できなくなってし
まっている場合もあるのです。
テレビもそうです。特にテレビの場合、番組の内容それ自体が、私たちからエナジーを奪
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う内容である場合は多々あります。
「頑張る必要ないじゃないか、楽しければそれでい」と
いう価値観が植えつけられてしまいます。
これでは、気晴らしのつもりが、逆にエナジーを奪われてしまい、どんどん勉強に取り組
めない人間になってしまうのです。
では、どうやって気持ちの切り替えをするのが良いのでしょうか。
やる気のある人(この E-book を買う人は必ずやる気があるので、ここに該当します)は、
そもそもあまり気晴らしを必要としません。
気晴らししない方がよい場合が多々あります。
気晴らしすると、先の例のように、逆にせっかくのエナジーが無駄になってしまう場合が
多いのです。
ではどうすればいいかというと、科目を切り替えるだけでいいのです。
ずっと数学をやっていたのなら、英語の音読をやってみる。
ずっと社会の暗記をやっていたのなら、英作文に取り組んでみる。
大事なのは、科目の切り替えのほかに、今まで頭を使う勉強だったなら、声を出す勉強に
する、暗記ばかりだったなら、頭を使って書く勉強にするという切り替えです。
実は、これだけでも十分に気持ちの切り替えになるのです。
・
私の場合は、考える科目(数学など)を数時間勉強すると疲れてくるので、その後は声に
出してする勉強に取り組んでいました。立って勉強するのもよいと思います。
そういう風に、
「勉強」に関する切り替えでも、十分に気持ちの切り替えになります。
勉強していることに変わりはないので、エナジーの漏れもありません。これがすごく大事
です。気持ちの切り替えをはかるときは、逆に自分のエナジーを消費していないかを意識
してください。エナジーの回復につながる切り替えをするのです。
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参考書の取り組み方
JUN 流勉強法は、参考書における学習を提唱しています。それは、自分の実力に見合った
学習を自分のペースで、復習も考慮しつつ取り組むことができるからです。
一冊の参考書を繰り返し解き、他の参考書も同じ要領でこなしていく。それが受験勉強の
王道になる日が来ると思っています。
そこで、参考書に取り組んでいくときの着眼点と言いますか、大事な点があるので、それ
を説明しましょう。
まず、参考書は繰り返すことを前提に勉強していきますから、一周目で完璧にマスターす
る必要はありません。一周目からあまり丁寧にやりすぎると、なかなか前に進まず、フラ
ストレーションが溜まってしまいます。
そうではなく、一周目は全体像を把握することを主眼に置きます。分からないところがあ
っても、サッと流す。とにかくまずは全体像を把握する。そして、分からない部分には印
をつけておき、二周目以降の準備をしておく。ここが大事です。二周三周と繰り返すわけ
ですから、そのための準備、分かるところと分からないところの区別をしておくのです。
逆に分かるところに関しては、大きくバツをつける。もう勉強しなくても大丈夫だよ、と
いう意味です。
そうやって、やるべきところと、そうでないところを区別していくと、かなり時間の短縮
になって、さらに必要なところだけをやっているので効率も上がります。
そして、二周目以降は、分からなかった部分も徹底的に考えます。調べ物もしたりします。
この段階では、じっくり腰を落ち着けて取り組みます。
参考書学習での一番の問題点は、「自分に甘くなること」です。「このくらいの理解でい
いか」と思ってしまうと伸びません。必ず理解してください。自分に甘いと、理解甘くな
り、問題が解けなくなります。「なぜ」を常に考え、理解をしっかりしたものにすること。
二周目以降はその意識が大切です。
84
時間割を決める
人は、その日の計画というものを立てていないと、なかなか建設的な行動をすることがで
きません。
仕事ができる人は、あらゆる行動に「段取り」があります。仕事の出来ない人は、突発的
で計画性がなく、要領が悪いといわれます。
これは、毎日の過ごし方にも当てはまります。人生が破壊されてしまう人というのは、計
画性がないのです。その場しのぎの行動で、将来の投資をしていません。
これは実は、企業にも当てはまります。将来への設備投資をしていない企業は、今は維持
できても、将来的には衰退の憂き目にあうことになります。
計画的に将来を考え、毎日を過ごすことが大切なのです。
毎日の行動を管理して、その行動が今現在を楽しむためのものなのか、将来のための投資
なのかはっきりさせます(今現在を楽しむためのものであってもそれ自体は問題ではない)。
そして、現在の自分の状況を考え、自分が今何をするべきなのかしっかりと見据えます。
毎日を計画的に過ごすのです。
特に受験時代というのは、毎日時間割を作ってそれに基いて行動することが大切になって
きます。
その日の気分で勉強を進めていくと、苦手科目に割く時間が少なくなってしまったり、勉
強時間それ自体が少なくなったりします。
そうではなく、前日の夜か一日の始まりにその日の時間割を決めてしまうのです。苦手科
目の勉強ももちろん組み込みます。毎日のノルマを決めるだけではなく、何時から何時ま
ではこの科目の勉強、という形で一日を進めていくのです。
そのときには必ず休憩時間も入れるようにしましょう。計画となると、どうしても「こう
なったらいいな」という希望が入ってしまいますが、そうではなく現実的に実行可能なプ
ランにしていくのです。
85
手帳かノートにその日の時間割を書き込み、それ通りに一日を過ごす。その時間割が将来
を見据えたものである限り、その通りに過ごしていれば夢に近づくことになりますよね。
結局、受験の成功も、きちんとした計画を立てて、それの通りに行動する、という単純な
ことを実行できればよいだけのこと。
ただ、それがなかなか難しいことではあるのですが。それをやりぬくことのできた人が、
受験で成功すると言ってもいいでしょう。
時間割を決める。やってみてくださいね。
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思考を集中させる
集中するというのが勉強に大切であることは多くの人が言っていることですが、なぜ人が
集中できなくなるかというと、その大きな理由の一つに、思考が分散していることがありま
す。
つまり、勉強以外のことに頭を使ってしまっている状態ですね。この状態だとなかなか勉
強が進みません。
多くの場合は、勉強面以外の何かで悩みことがあったり、抱えている問題などがあったり
すると、思考は分散してしまいやすいです。
または、自分の人生に自分が満足していないときもそうですね。自分の生き方に満足でき
ず、今自分がやっていることに自信が持てていなかったりすると、なかなか本気になって
勉強に取り組むことができません。
それくらい集中力というのはメンタルが関わってくる問題なのですね。
自分自身のことを思い返してみても、やはり受験時代というのは勉強のこと以外に頭をほ
とんど使っていませんでしたし、自分の生き方に満足もしていたので、常に集中力のある
状態で勉強していました。
思考の分散ということに話を絞って考えてみると、まず、基本的に「自分にコントロール
できないこと」で悩む必要はありません。時間の無駄です。どんな人でも自分のコントロ
ールできないことで悩むこともあるのですが、気持ちの切り替えの上手い人は、悩む時間
が圧倒的に短いのです。
「あっ、悩んでも意味がないな。無駄だな。
」
と気づくと、すぐに悩むのをやめてしまいます。これは、家庭環境などもすごく影響して
くることなので、今の時点ではなかなか気持ちの切り替えが上手くいかないという人もい
るかと思いますが、
それは、改善できることなので、ぜひ心のトレーニングを続けてください。
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よく、
「性格は直らない」と言われますが、そんなことはありません。根本的に変わらない
部分というのはありますが、「気持ちの切り替え」に関して言えば、改善可能です。
今まで、ウジウジと悩んでしまっていた人も、これからは気持ちの切り替えの出来る人間
になることができるのです。
そのためには、まず、自分自身の思考が分散してしまっていることに気づきましょう。
そして、その度に「あっ、今思考が分散してしまっていたな」と気づいてください。それ
に気づいたら、
「いけない。いけない」と言って、逐一集中することを意識します。
これを繰り返します。思考が分散してしまっていることに気づくことなく勉強をダラダラ
と続けてしまうことが一番効率の悪い勉強となってしまいます。
また、自分にコントロールできる問題を抱えている場合は、勉強に入る前に、
「この問題は
こうしよう」と決めてしまいましょう。そして、決めたのならもう悩まない。決めたのな
ら、その問題は解決したものとして扱うのです。
そうやって、ちゃんと「悩む時間」を確保し、その時間でしっかりと悩み、勉強する時間は
勉強するのです。悩みことは、時間を区切って悩むのです。
そうやって、思考を集中させていくと、驚くほど集中力が高まります。今まで自分がどれ
だけ集中していなかったかに気づくことと思います。
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じっくり勉強とスキマ勉強
勉強には、多くの種類があります。単純に暗記するもの、計算問題、理解した上で解く応
用問題、自分の頭で知識を組み合わせて解く英作文などなど。
これらを一まとめにして「勉強」と呼んでいるわけですが、少し細分化してみた方が、効
率の良い勉強が可能になります。
なぜなら、勉強する時間というのは、じっくり机に向かっている時間もあれば、電車に乗
っている時間もあるし、いろんなスキマ時間を利用して勉強する場合もあります。
このことを意識すると、効率的な勉強も可能になってきます。
つまり、机に向かってする勉強、じっくり勉強と、電車に乗っている時間などに取り組む
勉強、スキマ勉強を分けて考えるということです。
その両方の勉強を用意しておくのです。
例えば、じっくり勉強のときは数学や現代文、英作文などの思考を必要とするもの。スキ
マ勉強では、単語暗記・復習などを行なう。これが逆になってしまうと、すごく無駄の多
い勉強になってしまいます。
机に向かってじっくりと単語暗記をするのはあまり効率的な勉強だと這いえません。また、
電車に乗っているときに深い思考をすることはできないでしょう。
頭の中で、これはスキマ勉強、これはじっくり勉強という枠を作り、適材適所の勉強をす
ることです。
特にスキマ時間は無駄にしないことです。たかが10分と思ってはいけません。10分も
ある、という思考に変える必要があります。実際、10分あれば多くのことができます。
たかが3ページと思わない。3ページも進める、と思うことです。
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心理的ブロックをはずす
人は何か困難なことに取り組むとき、心理的ブロックがかかり、なかなか取り組むことが
できません。さらに、取り組んでいる最中にも、悪い思考が原因でやる気を失ったりしま
す。
悪い思考とは一体なんなのか。心理的ブロックの原因は何なのかというと、自分が直面し
ている現実に対する認識です。
こんな話があります。
刑務所での話ですが、刑務所にはいろんな囚人がいて、犯した犯罪も違います。
では、考えてほしいのですが、刑務所での仕事を一生懸命やるのは、軽犯罪者が重犯罪者
のどちらでしょうか。
一般的には、軽犯罪者だと思うのではないでしょうか。でも、実際には違うのです。重犯
罪者の方がよく働きます。
それはなぜなのかというと、「あれだけの犯罪を犯したのだから、これくらいは当然だ」と
思っているからです。
現実に対する認識が違うのです。軽犯罪者の方が、現実に不満をもって、仕事をしようと
しません。
さぁ、ここからどういったことが学べるでしょうか。それは、現実の認識の仕方です。
辛いこと、苦しいことがあったとき、
「自分にこんなことが起こるなんておかしい!自分の
人生はバラ色であるべきだ!」と思っていると、現実に激しく不満を抱きます。
でも、何かを乗り越えるために障害はつきものだ、失敗は成功するために必要なものだ、
と思っていたらどうでしょう。現実にそう不満を抱くことはないはずです。
実際に、望む結果が大きいものであればあるほど、代償も大きなものになります。より多
くの努力が必要であるのは当然のことです。
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そういった認識を持つことです。
自分が完全なものだと思ったり、自分の人生が特別なものだという認識を持ってしまうと、
つらい現実がやってきたときに頑張ることができません。
こんなのおかしい、と言ってすぐに投げ出してしまうのです。
それではいけないのです。何かに挑戦するとき、困難がつきまとうのは当然です。当然、
失敗もします。恥ずかしい思いも、悔しい思いもするのです。
それは、当然なのです。
それを、こんなのおかしい!と考えてしまうと、心理的なブロックがかかって何もできな
くなります。逆境に弱い人間になってしまうのです。
困難を受け入れること。そこから逃げないこと。心理的なブロックを作ってしまわないこ
と。
心理的ブロックを作ってしまうこと、それは、弱い者のすることなのです。
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JUN流英語勉強法
なぜ英語の成績が上がらないのか?
英語を毎日読んで、単語も覚えて、文法だって勉強しているのに、なかなか英語が読める
ようにならない。
英作文は、使うべき言葉が全然分からない。
一文が長くなると、とたんに文の意味が分からなくなる。
こういった悩みを抱える人はたくさんいると思います。
勉強というのは、方法が分からなければ難しいものに感じられるものです。受験勉強の各
科目には、その特性に応じた効果的な勉強法が存在し、それに従って勉強していけば、間
違いなく成績は上がります。努力に応じて、成績は上がっていくとまずは信じてください。
では、具体的に英語勉強法の話に入っていきますが、まず、英語の力とは何を指すのか。
つまり、どういう力をつければ英語の成績は上がっていくのかということを考えてみます。
受験英語には、大きく分けて、4つの力が必要になります。
文法力
読解力
語彙力
リスニング力
これは今、大きく4つに分けて考えたわけですが、このように大きく分けると問題も発生
します。
読解力の定義が曖昧になってしまい、受験生が誤った英語勉強法を行なってしまうことに
なるのです。読解力は、得点に一番大きな影響を与えます。
読解力というのは、実はさらに2つに分かれるのです。
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読解力 = 英文構造把握力 + 文章大意把握力
この二つです。一般に読解力というとき、これら二つのうちに一体どちらを指して言って
いるのかということを意識しなければなりません。
どちらも必要な力であることに変わりはないのですが、磨く方法が違うのです。
つまり、英文構造把握力をつけたいのに、文章大意把握力をつける勉強をしても意味がな
いということです。
英語が読めるようにならない、一番の原因はこれです。
多くの受験生は、英文構造把握力が未熟です。だから、正しく英文を読むことができず、
ニュアンスで読み、誤読し、文章の大意も把握できない。
こういう受験生にとって必要なのは、英文構造把握力をつけることなのに、「英語の長文を
ひたすら読んでいれば、慣れてきて、英語が読めるようになる」という幻想に踊らされて、
一向に読めるようにならないのです。
英語の長文を読むというのは、文章大意把握力をつける勉強です。しかも、それは英文構
造把握力が一定のレベルに達しているという前提が必要なのです。
英文構造把握力が身についていない段階で、無理に長文を読もうとすれば、当たり前のこ
とですが、英語が読めず、挫折し、英語が嫌いになってしまいます。
勉強は、順序が大切です。正しい順序で勉強しなければ、挫折してしまうのも当然なので
す。
つまり、英語の成績が上がらない原因というのは、正しい方法論と、勉強の順序を知らな
いからだ、ということになります。
これは、英文法や英作文に関してもそうです。
英語の正しい方法論と、勉強の順序を知ってもらうこと。それが、この章の目的です。
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英文構造把握力をつける方法
では、具体的に、どうすれば英文構造把握力をつけることができるのか、という話に入っ
ていきます。
まず、英文構造把握力というものがどういうものかということを、明確にしなければなり
ませんね。
英文構造把握力というのは、英文の各要素がどういった役割を一文の中で果たしているか
を正確につかむ力のことです。
主語、動詞、これは修飾語でこの単語を修飾している、この that は関係代名詞の that、こ
こからここまでが主節、これは前置詞句…
などなど、一つの英文の中には、役割を演じているたくさんの単語が存在しているわけで
すが、それらの役割をしっかり判断できるようにならないと、英文は読めないわけです。
役割を把握する能力、それを私は英文構造把握力と呼んでいます。
この力を伸ばすためには、ひたすら長文を読むというだけでは駄目です。むしろ、この力
をつける前に長文問題を解くことは害悪だとも言えます。
先ほども述べましたが、英文構造把握力のないままに長文を読むと、適当に「ニュアンス」
で英文を読んでしまいます。そして、勝手に読めた気になってしまいます。
しかし、本当は読めていないのです。ここが一番の問題です。
勉強において、最もやっかいなのが、この「できていないのにできていると思っている状況」で
す。
自分ではできていると思っているから、改善しようとなんて思わない。でも、実際にはそ
こを直していかないことには、成績は向上しない。
しかし、自分では自覚できていないのです。自覚できていないのだから、直しようがない。
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そして、勉強しても成績が上がらない→勉強が嫌いなる→勉強しなくなる
という悪循環が始まってしまうわけです。
その悪循環を断ち切るために、しっかりと英文構造把握力をつける勉強を行なっていきま
す。
この、英文構造把握力をつけるのに具体的にどうやっていくのかということですが、実は、
最適な参考書があるのです。
あまり、知られていない参考書なのですが、
英文読解完全制覇
泉忠志
青春出版
という参考書です。これは後に、オススメ参考書の章でも説明しますが、
この参考書の著者である泉氏は、英文構造把握力という言葉は使っていませんが(私が考
えた言葉なので当たり前です)
、私と同じことを述べ、非常に分かりやすく英文構造を把握
する大切さ、さらにその実行方法を説明してくれています。
しかも、この参考書は、説明部分をものすごく丁寧に書いてくれているので、初学者にと
っても勉強しやすくなっています。問題数は数題で、ほとんどが解説。
最初に取り組む参考書としてはベストだと思います。
しかし、そこにはもちろん欠点もあるわけで、問題数が少ないがゆえに、この参考書だけ
では練習量が不足するわけです。ですから、他の参考書で補っていくことになります。
その後は、
「ビジュアル英文解釈」や「英文解釈の技術100」、「ポレポレ英文読解プロセス50」、
「英文解釈教室」などの解釈系参考書をこなしていきます。
こういった参考書で、英文構造把握力を磨いていくと、その後の勉強が本当に楽になりま
すし、何より、受験英語のメインである読解が楽しくなってくることで、英語の勉強が楽
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しくなり、その他の分野の勉強にも良い影響を与えます。
では、英文読解完全制覇に出てくる例文をひとつ紹介しながら、さらに英語勉強法につい
て考えてみます。
The widespread prejudice, in many cases disgust, against being fat in our society today
is not mainly due to the medical risks that have become common knowledge over the
past thirty years.(東大)
さぁ、この一文を読んだときに、一読しただけで英文構造を把握できたでしょうか。
単語の意味が分からないから無理だ!という声が聞こえそうですが、英文の構造を把握す
るときに単語力はほとんど関係ありません(最低限の知識は必要です)
。
単語の意味が分かることと、英文の構造を把握することができること全く違う問題です。
今は、英文構造に注目していくことで、その意味も説明していきます。
まず、一文を読むときに意識しているのは、主語と動詞ですね。
主語は一体どれなのだろう…と思って読んでいくわけです。そして、それと同時に、自然
に動詞も探しています。なぜなら、動詞の前に主語がある場合がほとんどだからです(倒
置などの例外はあります)
。
今回の英文でも、純粋な動詞が出てくるのは、 is not due to(∼に責任がある)ですよね。
だから、その前が主語になるわけです。そして、前置詞句というのは修飾部分だから、括
弧でくくります。
英文構造上は、あまり重要な役割を果たさないのが前置詞句です。
結局、大きな枠組みでみると、The widespread prejudice ~ is not mainly due to the
medical risk ~となりますね。
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訳すと、
The widespread prejudice は、主として医学的な危険が原因ではない(医学的な危険に責
任はない)
となります。prejudice が分からなくても、ここまでは訳せますよね。
そして、prejudice の後ろに続く前置詞句 in many cases disgust, against being fat in
our society today は、主語に係ると考えて訳していきます。
in many cases disgust, against being fat in our society today
な The widespread
prejudice は、主として医学的な危険が原因ではない(医学的な危険に責任はない)
という感じです。
そして最後に、the medical risks that have become common knowledge over the past
thirty years. の部分ですが、
ここの that は、risks に係る関係代名詞ですよね。こういうところで、文法事項がきっち
りと身についているかということが問われてくるわけです。
つまり、
「過去30年で常識(共通の知識)になってきた医学的な危険」となります。
ここまでくれば、英文構造は把握できたも当然です。
今までの訳をまとめると、
in many cases disgust, against being fat in our society today
な The widespread
prejudice は、主として過去30年で常識(共通の知識)になってきた医学的な危険が原因
ではない
となり、英文構造の把握に成功しました。後は、前置詞句を正確に訳す、単語を訳し間違
えなければ、訳が完成します。
今日の私たちの社会において、肥満に対する広く行き渡った、多くの場合嫌悪とも言える
偏見は、主として、過去30年で常識になってきた医学的危険によるものではない。
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という訳ですね。
この例文で学ぶことができるのは、英文構造が分かっていなければ、絶対に英文を読める
ようにはならないこと。いくら文法を勉強しても、長文を読んでも、単語を覚えても一緒
です。それらは間接的な勉強に過ぎないのです。
まずは、英文構造を把握する力をつけることが先決。そして、その後、長文を読み込み、
単語も覚えて読解の総合的な力をつけていくことになります。
ただ、読んでいく中で分かった通り、最低限の単語力は必要だし、文法の基礎的な知識も
必要です。その力もなく、英文構造把握力をつけようとしても無駄なのです。
勉強には、順序が大事な要素になってきます。正しい順序を踏むことなく、やみくもに突
き進んでいくと、途中で道に迷い、抜け出せなくなってしまいます。
英語の勉強(読解)の正しい順序は、
文法事項の理解・最低限の単語力(速読英単語入門編程度)→英文構造把握力・単
語力の強化→文章大意把握力
です。
この順序を守って勉強してください。
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文章大意把握力のつけ方
では、続いて、文章大意把握力に関してですが、この力がないとセンター試験の問題さえ
まともに解けません。
先ほどの、英文構造把握力というのは、一文をきちんと読解していく力ですが、文章大意
把握力というのは、一文と一文の関係をつかんでいく力です。さらに言えば、文章のまと
まりとまとまりの関係をつかんでいく力です。
センター試験というのは、長文問題に関しては全てが正誤問題ですが、問われているのは
一文の丁寧な解釈というよりは文章の大意が分かっているか。話の流れはつかんでいるか、
内容を誤読していないか、ということです。
よく、一文が読めれば、長文というのは一文の積み重ねでしかないのだから長文だって読
める、などということを言う人がいますが、
では、なぜ現代文が読めないと悩む人が後を絶たないのはなぜなのでしょうか?
一文は読めますよね。日本語なのですから。
一文は読めるけれど、話の流れが分からないのでしょう。何を言っているか理解できない
のでしょう。
一文が読めたからって、長文が「読める」ことにはならないのです。
英語に関しても同じです。同じ言語なのですから。英語長文が「読める」ためには、英文
構造を把握する力だけで足りないのです。
文章の流れ、筆者が言いたいことを把握する力、すなわち文章大意把握力が必要なのです。
では、この力は一体どうすれば伸ばしていけるのかということですが、
これは一朝一夕にはいきません。
そして、例として挙げた現代文とも関わってくる話なのです。
99
英語と現代文は、こういう部分で関わりを持ってきます。
英語の長文問題が出来る人というのは、現代文の力もある場合が多い。
たとえ一文を理解できなかったとしても、文章の流れを理解しているから、分からないと
ころも推測できるのです。
この意味は、京都大学の問題を考えてみれば分かりやすいかと思うのですが、京都大学の
問題というのは、和訳と英作文です。
そして、和訳問題というと下線が引かれている部分だけを読んでいればいいように感じら
れるかもしれませんが、そうではないのです。
そう考えていては、ある程度のところで成績は伸びなくなってしまいます。
文章前後の流れを把握していないから、和訳箇所の訳がどうしてもぎこちない、不自然な
ものになってしまうのです。
結局、文章大意把握力がなければ、和訳問題すらまともに解けないということです。
そして、この文章大意把握力をつけるためには、トレーニングが必要です。
そのトレーニングとは、
文章を読んだら、要約しようとしてみる
ことです。要約というのは、文章の最も言いたいことをまとめることですが、要約するた
めには、必要な部分とそうでない部分を判断し、論理的に筆者の主張をまとめていかなく
てはなりません。
そのときにものすごく頭が働きます。文章大意把握力を司る脳の一部分が活発に働き、文
章を読み取る力が伸びていくわけです。
ここでの要約というのは、実際に紙に書いてもいいし書かなくてもいいです。
要約を書くことに必死になっていては、本来の英語の勉強の時間を割くことになり、本末
100
転倒ですから。頭の中でやるだけでも、効果は得られます。
文章を読む度に、
「結局この文章が述べていることは何なのだろう」と考えてみることです。
その積み重ねで、文章大意把握力は伸びていきます。
しかし、成果が出ないからといって、簡単にあきらめないでくださいね。
文章大意把握力は、簡単に身につく力ではありません。どうしても時間がかかるのです。
しかし、要約を意識し、毎日取り組んでいったなら、必ず身になっていますから地道に努
力を続けましょう。
文章を読むときに、その文章を要約してみようと努力する。
それが、文章大意把握力を身につけるトレーニングです。
101
英文法
英文法に関しては、凝りすぎてはいけません。英文法は配点も低い場合が多く、実際、1
∼2冊の参考書をマスターするだけでどうにかなってしまいます。
英文法に関しても、何冊も参考書を買い込んでしまい、結局やらずじまいにしてしまう人
がたくさんいますが、
英文法こそ、反復練習です。
1冊の参考書を最低7回は反復します。
オススメの参考書については「オススメ参考書」の章に譲りますが、基本的に英文法にそ
こまで細かな知識が必要ありませんし、むしろ細かな知識にとらわれすぎる方が問題です。
私の場合も、1冊の参考書を完璧にしただけでしたが、英文法に関してはそれだけで困る
ことはありませんでした。
難しく考えすぎる必要はありません。戦略として英文法は一冊の参考書を受験前半期の2
ヶ月ほどでサッと終えてしまって、残りの時間は読解は作文に回すのが一番です。
私の友達に、
「基本が大事だ」と言って、英文法の勉強に大変なエネルギーを使っている人
がいましたが、残念ながらその子の英語の力が伸びることはありませんでした。
英文法の理解というのは、読解や英作文で有効ですが、文法問題が解けることと英語全体の
力にはあまり関係がありません。難しい文法問題が解けるからといって、英語の力があるこ
とにはならないのです。
だからこそ、英文法に凝りすぎることなく、1∼2冊の参考書を徹底的に繰り返してゆく
ことが大切なのです。
102
英作文の勉強とは
では、英作文の勉強法に入っていきましょう。
英語の勉強の特徴として、英文法・長文読解・英作文
この三つはもちろん関係している
のですが、それぞれに個別の対策が必要であることが挙げられます。
英作文に関して言えば、もちろん英文法は必要なわけですし、英文構造を理解していなけ
れば正しい文は書けず、単語を覚えていなければ言葉も出てきません。
それはそうなのですが、英文法にしても単語にしても、文法問題を解ける文法力や、読解
問題を解くときに必要な単語力というものが、英作文では必要ないのです。
どういうことなのかというと、例えば、長文問題で覚えなければ読めない単語というのは
難解な単語多いですよね。
しかし、英作文で使う単語のレベルというのは、中3∼高1レベルなのです。
つまり、長文問題で使うような単語力をいくら身につけたところで、英作文では全く意味
がないということになります。
さらに、英文法に関しても、英作文で求められる文法力というのは、文法に対する深い理
解であって、問題が解ける力ではないのです。(詳しくは大矢英作文の実況中継参照)
英作文を勉強するに当たっては、
「英作文向けの英文法の勉強」と「英作文向けの単語暗記」
というものが必要になってくるのです。
そのような理解で英作文の勉強について考えていきましょう。
103
英作文の力を飛躍的に向上させる勉強法
まず、英作文を書くときに、一体どういった力が必要になるのかということを考えてみま
す。
表現を覚えているか
表現を適切に使えるか
日本語を分かりやすい日本語に置き換えて、英語にできるか
大きく考えれば、この三つが重要な要素になります。
まず、表現を覚えているか、に関してですが、これはよく「英作文は英借文だから、例文
を覚えよう」と言われることと大体一緒です。
英作文を書くためには、表現を覚えていることが大前提です。英作文は文法がきちんと理
解できていていれば書けるというものではありません。
「暗記」という部分が必ず必要になってきます。300例文程度は覚えておきたいところ
です。
「英作文のトレーニング実践編」や「英作文完全制覇」の例文を覚えればよいでしょう。
しかし、それだけでは足りません。世の勉強法本は「例文を覚えればOK」という内容の
ものがほとんどですが、それだけでは書けないのです。
まだ、足りない部分があります。それは、
「単語表現レベル」です。
例文暗記というは、
「文表現レベル」の暗記になります。つまり、同じような構造の文に対
して、覚えている文構造を当てはめてつかえばいい、というのが例文暗記の考え方なので
す。
しかし、それだけでは足りないのは明らかですよね。私たちが英作文を書くときに一番困
るのが、
「単語が分からない」
「表現が分からない」
「今回、この単語を使っていいのか分か
らない」ということなのです。
104
それも覚えておく必要があるのです。
では、どうすればいいのか、ということですよね。
実は、最適な参考書があるのです。
それは、「大矢英作文の実況中継」と「最難関大への英作文」です。
この参考書は、同じ著者によって書かれたものなのですが、私が述べているあたりのこと
がよく分かっていらっしゃる方で、どちらの参考書にも「表現」に関して扱った章があり
ます。
「大矢英作文の実況中継」では、後半部分が「類似表現の違い」について説明したもので、
私たちが英作文でよく使う表現について細かく解説してくれています。これを知っておく
と、今後英作文を勉強していくときに、どういう部分に注意して表現を覚えておかなけれ
ばならないのかということがよく分かります。
さらに、
「最難関大への英作文」には、170近い例文が載っています。しかし、これは著
者も述べていることですが、この例文を丸暗記する必要はないのです。
なぜなら、この例文は「文表現レベル」を学ぶためのものではなく、「単語表現レベル」を
学ぶためのものだからです。
巷の勉強法本が述べている「英作文は例文暗記だ!」という文句をそのまま信じてしまう
と、こういう部分で間違いが生じてしまいます。
英作文の「暗記」には、
「文表現レベル」の暗記と「単語表現レベル」の暗記があるのです。
「最難関大への英作文」で学ぶべきなのは「単語表現レベル」です。
それぞれの例文には、英作文で頻出の超重要な単語がたくさん載っていますから、その単
語に注目して覚えていってください。
それは、今後の英作文の勉強においてもそうです。
問題を解きますよね。そうすると、必ず知らない表現が出てくるはずです。全く知ってお
105
く必要のない単語というのも中にはありますが、やはり今まで知らなかった単語・表現と
いうのはひとつひとつ覚えていくべきなのです。
ですから、問題演習している中で出てきた知らない単語は、逐一ノートに転記していきま
す。
英作文表現暗記ノートを作るのです。
問題演習をして知らなかった単語が出てくる度に、ノートに転記していきます。
最終的にはものすごい量になるかと思いますが、それらを全て何度も見て覚えていきます。
そうして、
「知っていて、使える表現」をどんどん増やしていくのです。
それと同時に、例文暗記もしていく。覚えることがたくさんありますね。
でも、それは当たり前のことです。他国の言語を自分で使おうというのですから、覚える
ことはたくさんあります。そこから逃げてはいけません。
「理解」だけでは片付かないのです。特に、言語の場合は暗記が基本と言ってもいすぎで
はないぐらいです。
「単語表現レベル」と「文表現レベル」の暗記をしっかり行なってください。
106
JUN 流数学勉強法
小学校の頃から、数学は大の苦手科目でした。テストで100点を取れることなどありま
せんでしたし、文章問題など、お手上げ状態でした。
特に、食塩水の問題など、ややこしいものは大嫌い。考えることすらめんどくさく感じて
いました。
中学校になってもそれは変わりません。本当に必死になって勉強しても、MAX で80点が
関の山。90点台を取れることなど、どれだけ勉強してもありえませんでした。
高校は、公立高校に進学したのですが、高校入試のときの数学の点数は、80点満点中3
0点。よく進学することができたなぁと今でも思います。
高校に入ってからも数学に関する悩みは続きます。
私の高校は、公立の中では進学校だったので、定期テストの問題などは大変難しく作られ
ておりました。
特に数学が難しいことで有名で、平均点は毎回30点台です。
数学が得意な者は良いのですが、数学が苦手な者にとっては本当に厳しい。数学に割かれ
る時間のせいで、他の科目の勉強も疎かになる始末です。
そんなこんなで、私の数学の成績はギリギリ平均点。平均点を下回ってしまうこともしば
しばでした。
受験勉強を本格的に始めた高校三年生になっても、まだまだ悩みは続きます。全ての分野
において理解が浅く、応用問題について全く解けない状態。
受験勉強法に関心を持ちはじめ、勉強法も勉強し始めていたので、
「青チャート」というも
のが有名であることを知り、とにかく青チャートを解くことから受験勉強は始まりました。
107
毎日ノルマを決めて、青チャートと格闘する日々。さぞかし成績は伸びているのだろうと
思いきや、全く伸びませんでした。
夏の京大模試では、もちろん0完。あんなに難しい問題を解ける理由が分かりませんでし
た。
このときは、本当に長いトンネルを歩いているような状態で、京大レベルの数学の問題に
どうやって対処していけばいいのか全く分かりませんでした。
このトンネルは、現役時代には通り抜けることができませんでした。現役時代の京大受験
の結果は、150点満点中、30点でした。1完もできず、部分点をかき集めただけの状
態です。
これでは、合格できるわけがありません。浪人時代の一番の課題は、数学の克服であるこ
とは火を見るよりも明らかでした。
浪人時代、数学の勉強に関して、深く考えました。それが私にとって死活問題だったから
です。
何をどう変えれば、数学ができるようになるのか。徹底して考えました。
しかし、考えても考えても数学が伸びてこない時期は、自分の頭の悪さを恨みました。数
学の勉強法なんて勉強しなくても、世の中には数学ができる人がたくさんいるじゃないか、
自分の頭が悪いだけなんじゃないか、自分の今の努力は無駄なのではないか。
何度もそう思い、あきらめそうになっていたのですね。
しかし、あるとき、気づいたんです。数学が出来るようになるコツに!!
数学という科目は、多くの人がつまづく科目であり、数学ができるかできないかによって
理系文系を決めてしまう人がいるほど、大切な科目でもあります(数学の出来不出来で理
系文系を決めることに私は大反対です。そう指導する先生は、生徒の将来を何も考えてい
ないと言わざるをえません)。
ですから、この発見は多くの人を救うことができると真剣にそのとき思いました。その勉
強法をこれから紹介していきます。
108
数学の勉強において最も大切な力
数学の勉強において最も大切な力とは何だか分かるでしょうか。それは、
理解する力
です。簡単に言えば、数学が苦手な人は理解することが出来ていません。それだけです。
今数学が苦手な人は、理解することが出来ていないという、その事実をまずは認めてくだ
さい。自分は理解できている、と思うかもしれません。自分で問題演習すると解けるのだ
から理解できているに決まっているじゃないか、と思うかもしれません。
しかし、実は違うのです。深い理解が出来ていないからこそ、数学が苦手だし、嫌いにな
るのです。
数学とは、本来非常におもしろい科目です。考えて答えを出すというプロセスが本当にお
もしろい。しかし、私がそのことに気がついたのは、浪人時代になってからでした。もっ
たいないことをしたと思います。
数学が苦手な人は、
「理解する」ということの意味、その深さを分かっていません。
数学の得意な人というのが、どういう思考をするかというと、
「何で?何でその答えになる
の?何で?」という風に、理由を求めます。
しかし、数学の苦手な人は、極端に言えば答えがあっていればそれで OK。解説も丁寧に読
みません。何となく理解する。何となく解けている。理解はしていないけど、解答のプロ
セスを暗記して機械的に当てはめる。
そんなことをやっているから、数学が出来るようにならないのです。全てにおいて「適当」
なのです。考える力が甘いのです。そこを改善していく必要があります。
「数学は暗記だ!」などと言われることがありますが、その言葉を文字通り受け取ってし
まうと、大変なことになります。実際私は大変なことになりました。数学を単純な暗記科
目と考えると、絶対に成績は伸びません。そう考えていた人は、今この瞬間から考えを改
めてください。
109
数学的思考法
数学の勉強法を研究する中で分かってきたのは、数学の得意な人には得意な人の思考法、
苦手な人には苦手な人の思考法があるということ。
分かりやすく表現すると、数学の苦手な人の思考は穴だらけです。適当です。大雑把です。
私は数学ができるかできないかは、性格的な側面も関係してくると思っています。
極端に言えば、細かいところまで気になる人というのは、数学が得意になれる素質を持っ
ていて、大雑把な性格の人は、数学の問題を解くときにもその性格が出てしまって理解が
曖昧になる。すると、問題は解けないのです。
これはあくまでも仮説にすぎませんが、数学的思考法を考えるときひとつの分かりやすい
指標として知っていただきたかったのです。
とにかく、数学的思考法とは、俗っぽく言えば「細かいところまで気にすること」です。
曖昧にしないということです。解答を読んで分からないところがあったら、突っ込んで考
えていくということです。苦手な人はここをサボります。得意な人は逆に、我慢できませ
ん。何でこうなるんだよー!となって、絶対に分かるまでやめない。
この思考の差が、成績の差になってくるのです。
つまり、数学が苦手な人は、思考法を変えなければならないということです。
今までの思考法は、これまでの生活の中で形作られたものですが、それをぶち壊すことが
必要になります。
表面的なものをいくら改善したところで一緒です。思考そのものを変える必要があるので
す。
110
なぜ思考
では、数学的思考法とは具体的にどういうものなのか、そして、数学を得意にするために
はどう勉強していけばいいのか。その部分を説明していきますね。
数学的思考法とは、ズバリ
なぜ思考
です。なぜ思考とは何かというと、
「何で?何で?」と問うていける力のことです。
「何で?」と問うと、人間は理由を探し出します。数学においては、
「理由」こそが最も必
要なことなのです。
理由が分かっていないから、自分で解答を作ることができないのです。理由が分かってい
れば、自分で解答を作っていけます。
解答を見たときに、
「何でこうなるの?」と問うクセをつけてください。
たとえば、数学においては、場合分けをよく使いますよね。そのときも、
「何で場合分けを
使わなきゃいけないの?」と問うのです。苦手な人はこれをやらないのです。
自分で解答を作ったときに、場合分けをすることができなかった。解答を見ると場合分け
をしてあった。数学が苦手な人は、「あっ、場合分けしなくちゃいけないんだ」と思って、
終わりです。
「次からは場合分けしよう」で終わってしまうのです。
これでは、次も同じ間違いを犯します。次も、場合分けをすることは出来ません。
数学の得意な人は、「何で場合分けする必要があるの?」と問います。
そこで、深く考えるのです。
「なるほど、こういう場合は、こういう理由で場合分けをする
必要があるのか。場合分けをしないと、確かにおかしなことになってしまうよな」と理解
します。
式変形一つとってもみても、なぜその式変形が行なわれるのか分かっていなければ、自分
111
で問題を解くときに式変形することなどできないはずです。なのに、数学の苦手な人はそ
の部分(一番大切な部分)を飛ばして勉強してしまいます。
だから、力がつかないのです。
確かに、めんどうだし、時間はかかります。しかし、それは必要な手間なのです。その手
間をかけない勉強をいくら繰り返したところで意味がありません。
よく、自分の勉強量に満足するために、たくさんの問題を解き(実際には解いたつもりに
なっているだけ)、どんどん先に進んでしまう人がいますが、それでは意味がないのです。
進むペースが遅くなってもよいので、じっくりと頭を使って勉強するべきです。
それは何も数学に限った話ではありません。焦ってたくさんの問題を解いたところで、1
問1問に対する理解が不完全なものであるなら、その勉強は自分の身になっていません。
繰り返しになりますが、形式は勉強にとってどうでもいいことなのです。大事なのは実質
です。実際に自分の頭に知識が入ったかどうかということが大事なのです。
特に数学の勉強においては、形式と実質の関係をとことん意識してください。
形式にこだわる勉強から脱却し、実質を重んじる勉強をしていかなければ、数学克服はあ
りえません。
112
なぜ初見の問題が解けないのか
よく、数学の質問で、
「今まで解いたことのある問題なら解けるのだけど、初めて見る問題
は解くことができない」ということを質問されます。
これは実際に私も受験生のときに悩んだことで、気持ちはすごく分かります。
では、その理由を説明していきましょう。その理由は、なぜ思考が出来ていなかったから
です。
これまでの勉強で、なぜ思考が出来ていなかったので、初見の問題を解くことが出来なか
ったのです。
どういうことかというと、なぜ思考で培われる力というのは、
「論理力」です。論理とは、
筋道立てて物事を理解、説明していくことですが、なぜ思考はまさにその論理を磨くため
に思考なのです。
数学の問題に当てはめて言えば、解答のプロセスを理解する力なのです。
ここで大事なのは、なぜ思考を実践していない状態では解答のプロセスを理解していない
から初見の問題も解くことが出来ないのだ、という点です。
数学の問題においては、問題が違っても解答のプロセスが同じであることが大変多いの
です。
初見の問題であっても、今までの解答のプロセスを単純に使ったり、組み合わせたりする
ことで解けることがほとんどなのです。
難問といわれる問題が、なぜ難問といわれるかというと、プロセスが複雑に組み合わされ
ているからです。
分解すれば、ひとつひとつは自分の知っているプロセスを使っているのだけれど、組み合
わされているから難しく感じてしまうのです。
だから、ひとつひとつの解答のプロセスをしっかり理解していれば、練習を重ねることで
113
応用問題、いわゆる難問だって解けるようになるのです。
初見の問題が解けないのは、解答のプロセスをしっかり理解していないからです。
参考書の問題だけなら解けるというのは結局、数学の問題を暗記しているにすぎません。
極めて応用力のない勉強法であると言わざるをえません。
数学の問題とか解き方というのは、覚えようとして覚えるものではありません。
しっかりと理解して、類題を解いていくことで「覚えてしまう」ものなのです。
覚えるのは、結果的にそうなってしまうという話であって、狙って覚えるわけではないの
です。
数学の一番大事なのは、理解することです。覚えることではありません。
そのことが分かると、これから数学の成績が飛躍的に向上していくことも十分に考えられ
ます。
114
数学勉強法具体的ステップ
では、実際の勉強で、どういう方法で勉強していけばよいのか具体的に説明していきます。
ステップに分けて説明しますね。
ステップ① 自分レベルに合った参考書を選ぶ
これは非常に大切なことなのですが、自分のレベルに合わない参考書でいくら勉強しても
なかなか成績は上がってこないし、楽しくありません。
特に数学の場合は自分のレベルに見合った参考書を選ばないろ挫折してしまいます。必ず、
自分の実力を客観的に見て、適したものを選ぶこと。最初は少し簡単かなと思うくらいが
ちょうどいいです。
ステップ② 自分の頭で問題を考える
まず、当たり前ですが、自分の頭を使ってしっかりと問題に取り組みます。実はここすら
きちんとできない人がたくさんいるのですね。すぐに答えを見てしまってはいけません。
最低でも5∼10分は真剣にペンを動かして考えてください。
これは絶対に行なうこと。これをサボると成績が伸びる可能性はゼロです。必ず分からな
くても自分の頭で考えてみること。時間を計って、真剣に問題に取り組むのです。
そして、分からないのであれば、どこが分からないのか明確にしておきます。これも大事
なステップです。
ステップ③ 解答をなぜ思考で考え抜く
自分で考えても答えが出ない場合は、解答を見ることになります。このときに、先ほどか
ら説明している、なぜ思考を使うことになります。
自分の分からなかった部分を、なぜ分からなかったのか、どう考えればよかったのか徹底
115
的に考えていきます。さらに、自分が分かったつもりであった部分でも実際にはきちんと
理解できていない部分というのもあると思うので、そこもしっかりと見ておきます。
とにかく、全てのプロセスに必然性がありますから、理由を考えるのです。なぜ思考を徹
底してください。
数学の学習においてこのステップが最も重要です。苦手な人はこのステップが甘いのです。
しっかりとサボらずにこなしてください。
ステップ④ もう一度同じ問題を解く
なぜ思考で解答をしっかり理解したら、もう一度同じ問題を解きます。
なぜ思考がしっかりしたものであったなら、解けるはずです。解けない場合は、再びステ
ップ③に戻ります。解答を見ることなく解くことができるまで、何度もやります。
ステップ⑤ 類題に挑む
解答を見ずに解くことができたら、類題に挑みます。類題は、解答のプロセスが同じなの
で、なぜ思考がしっかりできていれば、解けるはずです。
類題を解くことができるようになれば、かなりなぜ思考が身についてきたと言えます。
そうやって、どんどん解ける問題のレパートリーを増やしていくのです。
以上が、JUN 流数学勉強法になります。数学が苦手だった人も、この勉強法で克服できま
す。頑張ってください。
116
JUN 流国語勉強法
国語はどうやって勉強すればいいのか分からない…
特に現代文において、こういった悩みを抱える人は多いと思います。
実際、現代文を伸ばすには時間はかかります。一瞬で出来るようにはなりません。安易な
読解のテクニックを紹介して、
「伸びる」と述べている参考書なども世の中にはたくさんあ
りますが、私は一貫して信じてきませんでした。
確かに、中には使えるテクニックもあります。しかし、それを使ったからといって現代文
の力が伸びるわけではないのです。
テクニックは使うのですが、テクニックを使うことは副次的なものであって、そもそもの
国語力というものが必要になってきます。
現代文の力は、大きく、読む力と解く力に大別されます。
きちんと文章を読めて、問題を誤りなく解けるようになることがゴールです。
きちんと文章を読めるかどうかということは、これまでの読書量というものが関係します。
最近では、読書量は関係ないという人もいますが、やはり「読む」段階では関係してくる
でしょう。
多くの文章を読むことで、活字の使いまわしや、論理構成を理解する力も養われてきてい
るのです。
しかし、だからといって、本を今まで読んでこなかった人が現代文が出来るようになるか
といえば、そうではありません。逆に、本を読んだからといって、それだけで現代文が出
来るようにはなりません。
きちんと、現代文の勉強をする必要があるのですね。では、どういう勉強が現代文の勉強
なのかということを述べていきましょう。
117
現代文の勉強法
現代文を苦手とする人は、論理的な思考が苦手な人が多いです。
筋道立てて物事を考える力ですね。その部分を強化していく必要があります。でも、その
部分だけではないのですね。
現代文の問題を見れば分かりますが、文章がとっても難しいですよね。今の私でもあんな
にお堅い文章は読みません。普段からあんなに難しい文章を読める人はいないでしょう。
では、ここで聞きますが、
「難しい」とは何でしょう。難しい文章とは、どういう文章を差
すのでしょう。
これを考えることは非常に大切です。しかし、なかなか答えられないかもしれません。
まずは、難しい単語が多いこと、ですね。
自分の知らない単語がたくさん出てくると、それだけで難しく感じてしまいます。
さらに、専門的なテーマを扱っている、です。
自分が分からない、興味のない分野に関して書かれているから、理解できないし理解した
いという気持ちもなくなります。だから、「言っていることが分からない」となるのです。
自分の好きな分野に関して書かれた文章が出たときのことを思い出してください。いつも
より理解しやすかったのではないでしょうか。それは、そもそもあなたがその内容に冠す
る知識を持っていたからなのです。
単純に、以上のふたつが問題になって、文章を読めない人も実はたくさんいます。論理的
思考力は持っているのだけど、知識が少ないから読めないという状態。
多かれ少なかれ、みんなこういう状態に陥っています。なぜなら、問題となる文章が普通
の高校生が読む内容とはかけ離れているからです。
それを補っていくためには、たくさん文章を読んだり、キーワード集で言葉を頭に入れて
118
いくことが大事になってきます。
だから、テクニックだけで読めるようになるわけがないのです。テクニックを磨いたから
といって、言葉の意味が分かるようになるわけではありません。
地道に、たくさんの文章を読み、日本語の言い回しや言葉の意味をつかんでいくこと。そ
ういう訓練も必要になってきます。
さらに、この段階を超えたとしても、まだ壁はあります。
それが、論理構成の壁です。
日本語が分かっても、話の筋道が分かっていなければ、読めません。何を言っているのか、
いや、何が言いたいのか、がつかめないのです。
筆者は何が言いたいのか。
これをつかむことが非常に大事なのですね。
文章は長いですが、結局筆者の言いたいことというのは一つなのです。その一つの言いた
いことを論理的に言うために、文章が長くなっている。私たちがすべきなのは、文章の内
容から、筆者が最も主張したい部分というものを見つけ出してくることなのです。
では、どうすればそれは見つかるのかというと、それも訓練が必要です。
特に、要約をする、という訓練が非常に大切になってきます。
要約とは、長い文章をある一定の文字数にまとめることを言いますが、要約しようとすれ
ばどういうことになるかというと、筆者の言いたい部分というのを探さざるを得ないので
すね。
短い文字数にまとめなくてはいけないわけですから、必要のない部分は徹底的に省いてい
くかなくてはならないのです。
そこで、力がつきます。大事なポイントだけを探そうという姿勢が無意識に生まれるので、
要約をしようとするだけで訓練になるのです。さらに、自分の力で書くというのも、良い
119
訓練になります。
ですから、理想は、全ての問題文について要約を書いてみて信頼できる人に見てもらうこ
とです。
それが無理でも、頭の中だけでもいいですから、要約してみることです。大体こんなこと
は書かなくてはいけないと思うだけでも違ってきます。
要約を書くことで、現代文で必要な力の多くが身についていくのですね。
また、参考書による学習も重要です。
「田村のやさしく語る現代文」と「現代文と格闘する」
は、現代文を得意にしたい人は解いてみると良いと思います。
「現代文と格闘する」は、な
かなか難しいので注意。
以上が、「読む力」のつけ方になります。でも、読めるだけでは駄目なのです。「解く力」も
必要になってきます。
解く力とは、ズバリ問題を解く力のことですが、これはどうやって身につけていけばよい
のでしょうか。
根拠を見つけることです。
問題を解くときに、勘で解くのではなく、根拠を見つけて考えていく癖をつけることです。
現代文はニュアンスであるとか、そういった曖昧なものではありません。論理的な思考を
試す科目です。ですから、根拠はきちんとあるのです。
その根拠をハッキリさせて解いていくことが大事になります。
そのためには、数学勉強法で紹介した、
「なぜ思考」が大変大事になってきます。
いつも、なぜこの答えになるのか?この選択肢になるということは、他の選択肢は間違い
ということになるが、それはなぜなのか?なぜ、この選択肢では駄目なのか?なぜ、記述
問題においてこの要素が必要なのか?
そういったことを突き詰めて考えていきます。
120
これは、解答するときだけではありません。
特に大事なのは、答え合わせをするときです。
多くの人は、現代文で「考える」と言うと、解答するときのことだけをイメージしてしま
うと思いますが、現代文で「考える」というのは解答するときだけではありません。
答え合わせするときにこそ、「考える」ことが必要なのです。
これを今まで意識していなかった人は、ぜひ意識してください。
それだけでも現代文の勉強は変わってきます。
なぜこの答えなんだ?なぜこの要素が必要なんだ?
など、考えることはたくさんあります。そういった疑問をそのままにするのではなく、自
分なりに理由を見つけて考えるということなのです。
もちろん、考えるのは大変です。特に、今まで思考停止状態だった人にとってはたくさん
時間もかかると思います。しかし、これは必要なことです。
やらなければならないことなのです。
しっかり根拠を見つけ、なぜ?と問うていくことを忘れないでください。
121
古文勉強法
古文の勉強で悩む人も多いですね。
しかし、古文の勉強法は現代文ほど複雑ではありません。
古文で大事なのは、文法・単語・読解力・古典知識です。
この四つをマスターすることで、攻略することが可能になります。
まずは文法ですが、これは基本的には助動詞・助詞・敬語の勉強になります。
助動詞の活用表はもちろん覚えますし、意味や接続も全て覚えます。品詞分解も出来るよ
うになる必要があります。また、助詞も決まった訳し方があって、その部分が問題になる
ことが多いので覚えておかなければなりません。
また、敬語は文章を読解する際に、主語を判断する上非常に大事な役割を担っていますか
らしっかり学んでおきましょう。
この三つが完璧になるまで、ひたすら参考書を繰り返します。たとえば、
「吉野の古典文法
スーパー暗記帖」で助動詞と助詞に関しては事足りますし、敬語編もやればそれで文法に
関しては大丈夫です。
単語に関してですが、これは500∼600語覚えることができれば大丈夫。目標にして
ください。
オススメの参考書としては、「頻出古文単語400 Z 会」です。これは例文がすごく豊富
ですし、また古文知識が多く載っています。もしこの参考書を極めることができれば、か
なりの知識が身につくでしょう。
読解力に関しては、勉強初期の段階では、品詞分解を意識して読解します。文法の知識と
単語の知識がしっかりしていなければ出来ませんから、それらの力を強化することにもな
ります。
品詞分解をしていくことで、正確な訳が出来るようになりますし、なぜ上手く訳せないか
122
も分かってきます。適当に流れで読むだけでは分からないことというのがたくさんあるの
ですね。助動詞や敬語に特に注意して読んでくださいね。
品詞分解を何度も何度もやっていると、文章を読んでいる中で自然に品詞分解をするよう
になってきます。また、スムーズに、考えることなく出来るようになります。
すると、後は単語や古文知識の問題になってきます。主語が誰であるかなどの古文読解に
おけるテクニックは、参考書で身につけていけば大丈夫です。
「センター古文 満点のコツ
教学社」には必要なテクニックが網羅されています。
そして、最後の古典知識ですが、これはたくさんの古文を読むことによって自然と身につ
くのが一番です。古文を読むたびに、しっかりを解説や訳を読んで古文の世界を理解して
いく。大量の古文を読めば、それだけでも必要な知識というのは身についていきますが、
それでも足りないという人は、先ほど紹介した「頻出古文単語400」や、古文常識に関
して扱った参考書を一冊完璧にこなせば十分でしょう。
また、音読は必ず実行してください。古文独特のリズムや言い回しに慣れることは非常に
重要です。
まとめると、
文法(助動詞・助詞・敬語)をマスターし、単語を覚え(500語以上)、品詞分解を自然
に行なえるまで徹底的に文章を読解し、古典に関する知識も学んでいく、ということに
なりますね。
123
成績が上がらない原因と改善法
成績が上がらないのには、必ず原因があります。ある結果が生まれるのには、必ず原因が
あるのです。
因果応報の法則というものがありますが、これは、自分の身に降りかかってきた出来事と
いうのは結局、自分が引き起こしたものであるということ。
良い結果が欲しければ、良い原因を作っていかなければなりません。そしてまずは、自分
の現実というものは自分が引き起こしたものであるということを認めなくてはなりません。
成績が伸びていないのも自分の責任だし、これから成績を伸ばしていくのも自分次第
です。
これは論理的思考とも関係してくる話ですが、いつも「なぜ」を問うようにしましょう。
「な
ぜ上手くいかないのか」
「なぜ、良い結果が得られないのか」それをいつも考え、原因を探
るのです。
これは受験勉強だけの話ではなく、人生全体で大事になってくる考え方だと思います。
常に改善できないか考えるのです。
そしてこの章では、受験生がよく陥りがちな成績の上がらない原因について考え、その改
善策を提示していきます。
現在の自分の状況を考えた上で、読んでください。そして、現実に応用して勉強法のレベ
ルを上げていってください。
124
原因①
勉強時間が足りない
一つ目の大きな原因は、単純に勉強時間が足りないこと。これは、とても単純ですが、実
は認識できている人は少ないのですね。
特に、勉強法の勉強や、自己啓発に関して深く勉強している人ほど危険です。
そういう人は、正しい勉強法を知ったり、成功哲学を勉強したりするだけで満足すること
が多く、実際の勉強に生かすことができない場合が多いのです。
実際、自分自身そういう部分がありました。成功哲学にはまり、勉強それ自体がなかなか
進まない。でも、自分では進んでいないことをそれほど気にしていない状態ですね。
これが、問題なのです。
その他、単純にやる気がなかったり、意識が低いという理由で勉強時間が足りていない人
がいます。
現在、「天才」というものに関して、様々な研究が進んでいますが、その中で、「天才」は
練習時間によって生まれるのだということが分かってきています。
世の中で天才と言われている人は、例外なく常人よりも多くの時間を練習に当てているの
です。
元々の才能があるというよりは、練習によって天才が生まれたと考えられています。
実際、受験勉強においても、単純に勉強時間が足りない人が圧倒的です。まず、単純に勉
強時間を増やしてください。勉強以外に当てる時間を減らしてください。
人間、何でもできるわけではありません。勉強する時間を確保するということは、他の時
間を削るということなのです。何でもしながら勉強でも成果を出すというのは、どんなに
才能のある人でも不可能です。イチローもタイガーウッズも、みんな練習の虫なのです。
125
原因② 理解出来ていない
これも大きな原因の一つです。特に、理解することが大変重要な科目、数学・理科などは
これが原因で成績が伸びていない人がほとんどです。
理解している状態、とはどういう状態を言うのでしょうか。
それは、その分野について理解していない人に「何で?」と聞かれたときに、「それはね、
こうだからだよ」と説明できる状態を言います。
つまりは、論理展開を理解することが出来ているということです。なぜなのか、という理
由が分かっている。
理由が分かることが、理解することなのです。
これを克服するには、常に、
「なぜ?」と聞く習慣を身につけてください。
「なぜこの答え?」
「なぜこの解き方?」という風に、常に「なぜ」を問う姿勢を見につけることです。
理解が甘い人は、数学が苦手なことが多いのですが、それは大雑把な理解で満足してしま
い、緻密に考える習慣が身についていないからなのです。大雑把な理解では、応用問題に
も対応できませんし、後々伸びない原因になります。
何となくで良しとしてしまう、適当な理解で十分と考える、その習慣を改める必要があり
ます。
確かに、何で?と考えても答えが出ない分野もあります。そこは考えなくてもよいです。
その当たりの判断は、自分でやっていくか、先生に聞くかです。でも、そのあたりの判断
もいつもそういう思考を意識してやっていると分かるようになってきます。
「ここは考える
必要はないな」と分かるようになるのです。
その段階に至るまでは、なぜを問い、理由を明確にして、きちんと理解する習慣を身につ
けてください。
126
原因③ 覚えていない
勉強法も分かった、繰り返すことの大切さも理解した、でも成績が上がらないという人は
たくさんいます。そうした人は、実際に「覚える」という作業を怠けている場合が多いで
す。
覚えているとは、どういう状況のことをいうのかというと、科目よって異なります。
また、求められる力によっても変わってきます。たとえば、英語で考えてもみても、読解
のために単語を覚えるのと、英作文のために単語を覚えるのとでは覚えておくレベルが違
います。英作文では、スペルまできっちりと覚えていないと使える知識であるとはいえな
いからです。
世界史でもそうですね。論述のために覚えるのか、単なる記述の問題のために覚えるかに
よって覚えるレベルというのは異なります。
そういったことを踏まえた上で、自分が求められているレベル暗記をできているかという
ことが大事なのです。
暗記は嫌いだと言って、なかなか覚える作業をしない人がいますが、受験勉強においては
やはり「覚える」作業は非常に重要な役割を担っています。
そして、覚えられない人というのは、ほとんど繰り返していません。繰り返すことが大事
だと頭では分かっているのに、実際に繰り返して学習していない場合がほとんどなのです。
記憶術など、いろいろな本が世の中にはありますが、結局、何度も繰り返してやったかど
うかということが、一番問われます。
基準として、10回繰り返すことを意利してください。それでも無理なら、100回でも
繰り返します。受験だけでなく、私は好きな本は100回程度繰り返して読んでしまいま
す。そうすることで、その本の内容がしっかりと自分の中に残るのですね。
自分が、きちんと覚えるべき内容を覚えているかどうか確認してください。自分と向き合
った、原因を探すのです。
127
原因④ 慣れていない
たとえば、数学の問題。参考書にある問題は解くことができるだけれど、模試の問題がな
かなか解けない。英作文は書けるようになった気がするのだけれど、何だかまだしっくり
こない。現代文もそう。
これは、どういう状態かというと、「慣れていない」状態です。きちんと理解して、暗記も
した。でも、できない。それは、「慣れていない」からです。
人間はある程度の練習を積まないと、頭で理解していても、その通りに物事を運ぶことは
できません。
勉強においても、練習が必要です。何度も何度も、類題を解くことによって「慣れていく」
ことが必要なのです。
慣れるためには、同じ分野の問題をひたすら解いていきます。数学だったら、勉強した分
野に関する類題を、自分の力で解いていく練習をします。
よく、問題と解答の意味を理解して、その問題を覚えるだけで勉強を終えてしまう人がい
ますが、それではいけません。類題をたくさん解くことによって慣れていく必要がありま
す。
センター試験や二次試験に関してもそうですよね。何度も過去問を解くことによって慣れ
ていく。その作業をしないと、本番では自分の力を十分に発揮することはできないでしょ
う。
だから、きちんと理解して、参考書の内容を覚えたなら、それを使って類題を解いてみる
という作業が必要です。ここをサボると、実戦力がつかず点数が上がらないという状況に
なってしまいますので、気をつけてください。
慣れを作ってしまえば、その分野に関しての勉強はゴールになります。勉強のゴールとは、
全ての分野で「慣れ」の状態を作り上げていくことなのです。
128
原因⑤ 集中力が足りない
勉強しているのに成績が上がらない人の、一番の落とし穴がこれ、「集中力が足りない」で
す。勉強しているフリをしているだけの状態ですね。
これは、自分ではなかなか気づくことができない部分なので難しいのですが、たとえ2時
間勉強したとしても、集中することができていなければ、その時間は勉強したとは言えま
せん。
その厳しい姿勢を持ってください。自分を甘やかしてしまうと、集中できていない自分も
許してしまうことになります。でも、それでは成績は上がりません。集中力のない勉強は
意味がない、理解してください。
そして、そういった勉強を許してはなりません。たとえば、3時間勉強した。でも、集中
できていなかった。そこで自分をどのように評価するかです。3時間も頑張ったんだから
いいじゃないか、と思ってしまってはいけないのです。3時間勉強したつもりになってい
たけれど、実際には全然集中できていなかったじゃないか、これでは駄目だという視点を
持ってほしいのです。
そして、集中力を上げるためには、
ブロッキングという手法があります。
時間をあらかじめブロックしてしまうのです。たとえば、朝の9時∼10時までは休憩す
ると決めます。時間をブロックするのです。すると、必然的に残りの時間で勉強すること
になります。時間に制限がありますから、勉強している時間は緊張感が生まれてくるし、
休憩時間があるということで、別の意味で心にゆとりも生まれます。
もしくは、何時から何時までは必ず苦手科目を勉強すると、ブロックしてしまいます。
苦手科目の勉強というのは誰もが避けてしまいがちです。ですが、そのままにしておくと
受験において足を引っ張ってしまうことは目に見えています。だから、時間をブロックし
てしまうことによって、勉強に強制的に取り組んでいくようにするのです。最初は短い時
間でもかまいません。
129
時間をブロックしてしまうことで、集中力も上がります。
さらに、もうひとつの手法が、
デッドラインを決めるというもの。
人間は期限を決めないと、なかなか物事に取り掛かることができません。いつかやろう、
というのは、やらないと言っているのと同じです。
いつまでに、どれだけやる、ということを決めてしまうのです。そうすることで、集中力
を保って勉強に取り組んでいくことができます。
デッドラインは、何ヶ月単位でも、何週間単位でも、何日単位でもかまいませんし、1日
中でもデッドラインを設けるのは賢いやり方です。
たとえば、午前中にはこれだけは必ずこなすと決める、一時間の間にこの問題は必ず解く、
などという感じですね。
デッドラインを決めずに勉強してしまうと、ダラダラと勉強してしまうものです。期限を
設けて、集中して勉強に取り組んでいきましょう。
130
原因⑥ エナジーが足りない
人が何かに取り組むときには、エナジーを消費しています。やることが自分のやりたいこ
とでなければ、消費するエナジーも増えます。
やりたいことであれば、エナジーはほとんど消費することなく、むしろ増えることすらあ
ります。少し話は逸れますが、現在日本では、うつ病などの精神病患者が大変増えており
ますが、原因はエナジーの問題にあると考えることもできます。
自分の嫌いな仕事をして、他人に気を遣い、エナジーを消耗する。そして、エナジーが底
をついてしまうと、発病してしまうのです。
自分がやりたいことをやっているときというが、一番エナジーの消耗も少なく、充実した
気持ちになることができるのですね。
ですから、まずは勉強それ自体を好きになることが一番です。勉強したいと思うようにな
れば、かなり合格に近づくことになります。エナジーを消耗しないからです。実際に、志
望校に合格する人は、勉強が好きな人が多いですね。
勉強が好きになるためには、ある程度習熟していることが必要です。少ししか勉強してい
ないのに、好きになることはありません。ある程度勉強して、理解できるようになったあ
たりからだんだんと好きになってくるのです。
さらに、勉強することで自分の未来がどうなるかを考えていくことも必要です。勉強する
ことで、自分の人生が輝く、そう信じて勉強することです。すると、エナジーの消費を少
なく抑えることができます。
ただ、だからといって受験勉強をエナジーの消耗なしに行なえる人というのはほとんどい
ません。エナジーは消耗してしまうのです。
では、どうすればいいのかというと、エナジーを高く保つことですね。
エナジーの少ない人は、勉強には取り組めません。取り組めたとしても、短時間で終わっ
てしまいます。長時間の勉強に耐え、それを一年間継続して続けていくためには、多くの
エナジーを必要とするのです。
131
これは、
「真のモチベーション」の章でもお伝えしましたが、エナジーというものは、自分
で生み出すものです。自分で生み出していかなければなりません。
他のものに依存してエナジーを生み出しているうちは、本当のエナジーとは言いません。
結局いつかは消耗してなくなってしまうからです。
自分でやる気になって、自分でやる気を生み出していくのです。
生み出し方に関しては、
「真のモチベーション」の章をしっかり読み返してください。
エナジーがなければ、受験は乗り切れません。
高いエナジーをいつも保っていられるようにしてください。
132
原因⑦ 効率の悪い勉強をしている
効率の良い勉強と、効率の悪い勉強の決定的な違いは何でしょうか。
それは、知識が頭に入っているかいないか
です。そういう視点で見ると、たとえば、ノートをまとめるだけの人というのはどうでし
ょう。効率が悪いですね。ノートをまとめるというのは知識を頭に入れる作業ではありま
せん。知識を頭に入れるための準備をしている段階です。
準備ができたのなら、ノートを繰り返し見て、頭に知識を入れる必要があります。
ノートをまとめることそれ自体は問題ありません。問題は、それだけで満足してしまい
肝心の頭に知識を入れる作業をやらなくなってしまうことなのです。
効率がいい、とは、知識が頭に入っている、ということです。
一冊の参考書を繰り返し勉強するのは、効率のいい勉強です。それは、同じものですから、
知識が頭に入りやすいからです。逆に、多くの参考書をこなそうとするのは、知識が頭に
残らないから効率が悪いのです。
授業を受けるだけの勉強も効率が悪いですね。授業は「理解」のために行なわれるもので
あって、
「覚える」ために行なわれるわけではないからです。
これから勉強していくときには、効率を考えてください。つまり、今の自分の勉強は、知
識が頭に入ることにつながっているだろうか、と考えてみるのです。
自分の頭で、効率に関して考え出したときから、効率の良い勉強は可能になってきます。
コツをつかむと、どんどん自分で勉強法を作っていけるようになるはずです。
自分に合った勉強法を作れるようになれば、合格も近いですね。
133
原因⑧ 目的が明確でない
目的とは、受験する目的。自分が勉強する目的です。
ここが明確でないと、本当の意味で努力することはできません。
人間は、成長していかなければなりません。生物界の全ての生き物が、成長することを使
命としています。
成長しない生物は、絶滅します。サボれば、その時点でその生物の命はないのです。
人間も、そうです。成長していかなくてならないのです。
でも、人間は、弱い。成長していける人間は実は少ないのです。だからこそ、成長してい
ける人間に人は集まり、幸せになってゆきます。
成長それ自体を目的とすること。これが究極の姿だと思います。自分が、自分の成長を実
感して嬉しい。自分の成長を知ることが喜びとなって、成長のために努力する。
自己成長が心の底からも目的になれば、本当に楽しくなります。毎日のあらゆる出来事が
自分にとって糧となり、失敗という概念もなくなります。全ては自分を成長させる糧なの
です。
勉強する目的は、自己成長です。自分が成長すればこそ、欲しいものも手に入ります。欲
しいものがあるのなら、それにふさわしい人間になることです。欲しいものが手に入る人
間になれば、何でも手に入ります。
そのために、成長するのです、
努力する、究極の目的とは、自己成長なのです。
134
オススメ参考書
この章では、私が選んだオススメの参考書を紹介していきます。
JUN 流受験勉強メソッドにおいては、参考書による学習がメインになりますから、参考書
選びというものを大変重視しています。
自分のレベルに見合った、使いやすく分かりやすい参考書というものを選んで勉強してい
ってください。
そこまで多数の参考書を紹介するわけではありません。
というのも、実際には、良いと言われている参考書はやはり良いものが多く、難関大に合
格する人は、ほとんど共通の参考書を使用しているからです。
使用している参考書自体は、あまり変わりません。みんな定番の参考書を使っているので
す。
それでも差が出てくるのは、使い方や参考書の役割というものを理解しているかどうかと
いうことに差があるからでしょう。
一冊の参考書では、全ての範囲を網羅できていない場合がほとんどです。参考書は、何冊
かを組み合わせて使っていくものなのです。
ただ、自分の中で各科目にメイン本を作ってほしいと思います。各科目の核となる参考書
ですね。それは最低でも7周は繰り返すようにします。
そして、その他の足りない部分を他の参考書でカバーしていくという形になります。
使い方や役割にも着目して、見てゆきましょう。
135
英語
速読単語必修編・上級編 Z 会出版
言わずと知れた定番参考書。速読英単語のコンセプトは、文章を読んで、その中で出てく
る単語を覚えるというもの。
しかし、実際にはなかなか文章だけを見て覚えられないのが現実です。速読英単語は、実
は単語集としての役割よりも、読解用教材として役に立ちます。
毎日一定量の英文を読むことが、英語力向上に非常に重要な役割を果たしますが、実際に
はなかなか毎日読むのは大変なことです。しかし、速読英単語ならば、難しい問題がある
わけではありませんし、気軽に読むことができます。隙間時間にも読めますよね。
それが、この参考書の素晴らしい点なのです。速読英単語は、単語暗記用というよりも読
解用教材として使うべきものです。
読解用教材として使って何回も音読していれば、自然に単語も覚えていきます。それば速
読英単語のコンセプトですしね。
システム英単語 駿台文庫
こちらはミニマムフレーズを使って暗記する単語集。単語集として覚えるのなら、こちら
の方が適しているでしょう。完全に単語を暗記したいという方向けです。
ただ、早い時期からこれをせっせと覚えようとするのはあまり関心しません。時間がある
のなら、速読英単語に取り組むべきだと思います。
時間がなかったり、最後の追い込みに単語をつめこもうとする人にはオススメです。単語
もしっかり網羅されていて、単語暗記をする人には最適です。
136
英文読解完全制覇 青春出版
あまり有名な参考書ではないのですが、英文読解が苦手な人が取り組むべき参考書です。
英語をこれから勉強していこうという人にもオススメの一冊。
英文の読み方を一から丁寧に解説してくれている参考書です。
これまで、英文読解はニュアンスだとか、雰囲気だと考えてきた人はその考えを改めさせ
られる参考書です。
英文読解も論理です。論理的に読解することができます。それを理解するのがこの参考書
です。
何となく英文を読んでいるうちは、絶対に英語が読めるようにはなりません。この参考書
でしっかりと読み方を学んでください。
英文読解入門基本はここだ! 代々木ライブラリー
これは、先ほど紹介した英文読解完全制覇よりもさらに優しい、初学者が学ぶべき参考書。
初学者でなくとも十分に学ぶところのある名著。英文読解の基本を、分かりやすい例文と
共に説明してくれている。
まさに英文読解の土台を作る参考書です。土台がきちんとできていなければ、英文を読め
るようにはなりません。まず、しっかりしたロジックを学んでそこから積み上げる形で勉
強していきましょう。
基礎英文問題精講 旺文社
137
この参考書は、英文読解の基本を学んだ上で、どんどん英文を精読していこうという人の
ための参考書。英文のレベルも標準的。
この参考書のメインは、80章からなる問題で、練習問題はやる必要はあまりありません。
80章それぞれにテーマがありますから、そのテーマを読解と同時に学ぶことが重要です。
使い方としては、傍線部が引かれてある部分に関してはきっちと紙に訳を書いて確認する。
それ以外の部分は、紙に書かなくても良いが主語・動詞などをはっきりさせて読んでいく
ことが大事。
使いやすい参考書で、取り組みやすいと思います。
ポレポレ英文読解プロセス50 代々木ライブラリー
これは、英文読解入門基本はここだ!と同じ著者なのですが、同じく名著です。この参考
書に書かれてある英文をきちんと読解することができれば、ほとんどの入試英文は読める
ようになると思います。もちろん、きちんと理解した上で、ですよ。
この参考書は、英語学習におけるメイン本となることのできる参考書ですので、ぜひ取り
組んでみてください。薄い参考書ですし、それほど時間はかかりませんが、学ぶことは非
常にたくさんあって、使いやすく最高の参考書だと思います。
英文読解をしているときに、ある程度のレベルになると解けなくなるという人は、ぜひこ
の参考書で勉強してください。
英文解釈教室 研究社
この参考書は、昔からある難関大志望者のバイブル。かなり難しい内容なので、一般的な
受験生は手をつけないのが無難。難関大を目指していて、英語で高得点を上げたいという
人だけ、取り組んでください。
138
この参考書を極めれば、読解においてすることはもうありません。
あとは解答力をしっかり磨いて、得点できるようにすることですね。
大矢英作文の実況中継 語学春秋社
英作文を勉強するなら、まずはこの参考書。私たちがよく間違う英文を使って、非常に分
かりやすく英作文の考え方を説明してくれています。それが、非常に有益な情報ばかりな
のです。
また、単語の使い分けに関しても、詳しい説明をしてくれていますし、問題も豊富なので
演習にも事欠きません。
英作文を勉強するなら、この参考書は必ず勉強してくださいとオススメできるほどの参考
書です。
最難関大への英作文 桐原書店
この参考書は、前述の参考書と同じ著者です。この参考書も非常に素晴らしい。内容的に
難関大向けなので、レベルが高くなっていますが、最初の問題についている解説をしっか
り勉強し理解すると、かなり英作文のレベルが上がります。
さらに、例文もたくさんついていて、それも私たちがよく使う表現をまとめてくれている
ので覚えることで表現の幅が非常に広がります。
読んでみれば分かると思いますが、非常に深く、普通の参考書では解説してくれない部分
まできちんと解説してくれている素晴らしい参考書です。
139
仲本の英文法倶楽部 代々木ライブラリー
この参考書は、英文法を非常に分かりやすく丁寧に解説してくれています。しかも、ポイ
ントを絞っている点が素晴らしい。さらに、特筆すべきはその読みやすさです。
参考書ですが、読みやすく解説してくれているので、とっつきやすいと思います。英文法
でつまってしまっている人は、この参考書で理解し直すのがいいと思いますね。
NEXT STAGE
桐原書店
文法というのは、読むだけでは身につきません。しっかりと問題演習をこなすことによっ
て自分のものになります。
この NEXT STAGE は、文法・語法・イディオム・会話・語彙・アクセント発音と全ての
分野に関しての問題を網羅しています。この参考書を完璧にすれば、上記の問題は怖れる
必要がなくなるでしょう。
ただ、量が多いので何度も繰り返す必要はあると思います。しかし、マスターすることで
得られる見返りは大きいです。
その他にも、
「ビジュアル英文解釈 駿台文庫」英文読解を学ぶのに最適です。
「英文読解の技術100
桐原書店」昔の参考書ですが、今でも名著であることに変わり
ないです。
「英文和訳演習 駿台文庫」和訳対策はこれでバッチリです。
「超基本パターン 書ける!英作文 旺文社」英作文初心者に最適。
「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本
中継出版」英作文を分かりやすく説明してく
れています。
などの参考書があります・
140
数学
数学に関しては、
「マセマシリーズ」が断然オススメです。マセマシリーズは解説が非常に
丁寧で分かりやすく、問題の選定も素晴らしい。
今までは青チャートをコツコツ勉強するのが数学の勉強の主流でしたが、時間がかかりす
ぎるというのがネックでした。
その点、マセマシリーズは問題数を絞っているため、一冊の参考書を終えるのにそれほど
時間はかかりません。
ただ、一冊では網羅しきっていないので、何冊かの参考書をこなすことになります。しか
し、それも指標となって分かりやすいですからプラスの点だといえます。
マセマシリーズの参考書だけでも、十分に入試に挑んでいけます。
初めから始める数学ⅠAⅡB マセマ出版
数学初学者はこの参考書から入りましょう。丁寧な解説になっているので、全く勉強した
ことのない人でも大丈夫です。ここから数学の勉強をスタートさせるのが良いと思います。
間違えた問題は何度も繰り返し、数学の基本をしっかりさせましょう。
元気が出る数学ⅠAⅡB マセマ出版
初めから∼の後に取り組むべき参考書。ただ、時間はない人はやる必要はないと思います。
次の「合格数学」にいきなり入っていきましょう。時間に余裕があって、しっかりと積み
上げて勉強していきたいという人向けの参考書です。
141
馬場・高杉の合格!数学ⅠA・ⅡB マセマ出版
この参考書は、数学のメイン本となる参考書です。この参考書を極めることができれば、
センター満点はもちろん、国公立の問題にも対応できるようになります。
夏休みの間にこの参考書を終えることができれば、かなりいいペースと言えると思います。
バランスの取れた良い参考書なので、ぜひ取り組んでください。
合格!数学ⅠA・ⅡB 実力 UP 問題集
マセマ出版
この参考書を本当にマスターすることができれば、文系であれば東大・京大の問題に挑む
こともできるレベルになります。ただし、本当にマスターしたらですよ。何回も何回も繰
り返し、解き方が頭に確実に残っているレベルまでいくと、本当に力がつきます。
前述の合格!数学と、この参考書で、かなり網羅できていることになりますから、この2
冊をこなすことができる人は強いですね。
頻出・ハイレベル文系・理系数学ⅠA・ⅡB マセマ出版
これら二冊の参考書は、時間のある方向けです。ただ、
「頻出」の方は、難関国公立大を目
指す人にはぜひやっていただきたい。難問と言われる問題の典型的なパターンが使われて
いる問題を多数記載していて、大変有益です。「頻出」は、本当に素晴らしい問題を集めて
います。
「ハイレベル」はかなりレベルが高いので、時間に余裕のある人は取り組めばよい
と思います。
もし、各単元で分からない分野が出てきたら、「面白いほどよく分かるシリーズ 中経出
版」で勉強すればいいです。私は数列は、「面白いほど∼」で攻略しました。
142
国語
田村のやさしく語る現代文 代々木ライブラリー
この参考書は、現代文を勉強し始める人が必ず取り組むべき一冊です。現代文の考え方を
非常に分かりやすく説明してくれています。
現代文を勉強しようと思うのだけれど。何から始めればいいのか分からないという人は、
この参考書から取り組みましょう。
現代文の基本はこの参考書でバッチリです。3∼5周ほどは繰り返したいところですね。
入試現代文へのアクセス 河合出版
演習用の一冊。田村で読み方について一通り学んだ後の演習書としてピッタリです。問題
のレベルも難しすぎずちょうど良いし、解説が非常に親切です。
現代文における大事な概念に関しても分かりやすい説明をしてくれています。
初めの演習書としてちょうど良いでしょう。余力のある人は、発展編にも取り組んでみれ
ばいいと思います。
現代文と格闘する 河合出版
現代文のメイン本となりうる一冊。最初の読み方編が秀逸。テクニックに頼るのではなく、
現代文の文章を読むとはこういうことなんだ、ということを丁寧に解説してくれています。
143
この参考書の凄さに気づいたのは浪人してからでしたが、現役時代から取り組んでいれば
よかったと思います。
解説も丁寧で、分かりやすいです。解き方に関してもきちんと説明してくれています。
さらに、現代文においては難解な語句がたくさん使われますが、その概念についても第一
章で解説してくれています。現代文においては基礎知識も大切ですので、足りないと思う
人はぜひ読んでみてください。
超オススメの一冊です。
得点奪取現代文 河合出版
記述用の一冊。記述対策をしたいという人の、中級者向けの一冊。
「現代文と格闘する」にももちろん記述問題は載っていますが、この参考書は記述問題に
特化したもの。
記述問題をたくさん解いていきたいという人は、この参考書に取り組めばよいと思います。
記述の勉強をするときには、「JUN 流国語勉強法」で学んだ内容を生かしてくださいね。
その他、演習書として、
「新田村の現代文講義1・2 代々木ライブラリー」
「船口の現代文・<読>と<解>のストラテジー
「現代文レベル別問題集 ナガセ」
などもオススメです。
144
代々木ライブラリー」
古文
古文は最初は講義型の参考書を用います。講義型の参考書はそれほど大差はありませんが、
富井の古典文法を初めからていねいに ナガセ
や
佐藤敏弘の古典文法が面白いほど分かるスペシャルレクチャー 中経出版
などが良いです。これらの参考書で、古典文法をまずは理解します。理解することは大事
です。その後に、問題を解いたり、暗記したりして知識を確かなものにしていきます。そ
のためには、
短期集中インテンシブ古典文法基礎 Z 会出版
などの薄い参考書を使って演習すると良いでしょう。この参考書は薄いですが、重要な文
法事項が網羅されているので良いと思います。
吉野の古典文法スーパー暗記帖 学研
これは暗記用です。問題はついていないので演習はできませんが、薄く見やすいので暗記
に適しています。また、内容的にも網羅性があるので非常に良いです。これをマスターす
れば文法はバッチリでしょう。
145
読み解き古文単語 Z 会出版
古文には、いろんな文章に接することによって言い回しに慣れたり、古文の世界を理解す
ることが必要になります。
そのときに使えるのがこの参考書です。単語帳と分類されるこの参考書ですが、むしろ読
解用として使ってよいと思います。
1日1題は音読をして、古文に慣れていくことをオススメします。
頻出古文単語400 Z 会
こちらは、単語暗記用の教材ですね。網羅性が高く、解説が非常に丁寧で例文も豊富。単
語帳の中ではかなり質が良いと思います。
この参考書に載っている解説を全て覚えれば、かなり古文の世界を理解することができる
でしょう。単語帳ならこれをオススメします。例文を暗記してしまうことです。
古文上達読解と演習45・56 Z 会出版
演習書。こういった演習書を利用して、自分の実力を高めていきます。最初の方は品詞分
解を意識して読解すると良いと思います。
その他、
「はじめの一歩 古文読解問題集 駿台文庫」
「得点奪取古文 河合出版(記述対策)
」
などがオススメです。
146
漢文
漢文は、句形などの覚えるべきことを覚え、演習を重ねるという単純な勉強法です。きち
んとした参考書を選び、徹底的に反復して勉強すれば問題なく解くことができます。
句形と語法がわかる漢文基礎トレーニング 駿台文庫
薄いですが、内容は素晴らしい。例文が特に素晴らしいので、覚えてしまうぐらい繰り返
してください。最初の一歩としてはこの参考書がオススメですね。
田中雄二の漢文早覚え速答法 試験で点がとれる 学研出版
この参考書が、漢文のメイン本となります。この参考書は、極めてしまいましょう。5周
程度は繰り返すことをオススメします。この参考書を極めることができれば、漢文で困る
ことはほとんどないと思います。センターなど、余裕で解くことができます。
この参考書をメインに考えていくのが良いと思います。
最強の漢文 Z 会出版
漢文が二次試験に必要な人はこの参考書がオススメです。問題はほとんどが国公立の記述
対策になっています。センターだけの人は、速答法をやって、その後は過去問演習で十分
です。漢文学習は、紹介した三冊の参考書を軸に考えていくのがよいでしょう。
147
日本史
超速!日本史の流れ ブックマン社
流れをつかむためには、まずこの参考書。薄くて読みやすい、初学者向けの参考書です。
これと、近現代の流れを3∼5周程度は読んで、歴史の大まかな流れをまずは把握してし
まいましょう。
石川日本史 B 講義の実況中継 語学春秋社
これが、日本史のメイン参考書です。内容的にも本当に素晴らしい。解説は分かりやすく、
さらに別冊サブノートがまた使えるのです。
サブノートは、暗記ノートとして使います。そうすることで、理解と暗記が一つの参考書
でできるという最高の一冊。日本史学習者はぜひこの参考書を使ってください。
「はじめる日本史50テーマ Z 会出版」「実力をつける日本史100題 Z 会出版」
この2冊は演習書です。これらと一問一答を合わせて使用することによって、演習は大丈
夫です。
「はじめる∼」の方がやさしいので、こちらから取り組むと良いと思います。
記述論述日本史 B 入試国公立大・難関大対策 学生社
論述対策には、この一冊です。キーワードを暗記し、歴史のつながりを理解できたら、こ
の参考書に取り組みましょう。
148
世界史
ナビゲーター世界史 山川出版社
日本史が「石川」なら、世界史は「ナビゲーター」
。
この参考書も、解説が非常に分かりやすく、分量は多いですが網羅性が高いです。
世界史は出来事の因果関係が日本史以上のややこしいので、きちんと理解するために分か
りやすい参考書が必要になります。教科書だけではきついですね。
さらに、この参考書にも別冊の暗記ノートがついています。何度も何度も繰り返して覚え
ることで、理解と暗記を同時に行なうことができます。
入試に出る世界史 B 用語&問題2000 Z 会出版
コンパクトに必要事項がまとまった参考書。解説もついており、使いやすい。暗記に不安
を残している人は、この参考書を何度も繰り返すことをオススメします。
出題パターン型世界史論述練習帳 高得点を目指す 方法と知識 旺文社
世界史の論述対策ならこれ。たくさんの参考書を見てきましたが、これが一番分かりやす
いです。別冊も使えます。論述対策はこの一冊を極めてください。
149
JUN の京大受験
私は、貧しい家庭に生まれました。小さいときには感じることができませんでしたが、中
学校や高校になると、自分だけが友達と同じことをできない状況が何度も起こり、自分の
家は貧しいのだという現実を次第に理解していきました。
中学校・高校のときには塾に行っていません。難関と言われる高校・大学に行く人のほと
んどが塾や予備校に行く中で、自分は「行けない」という現実。
しかし、それは今思えば、私の運命だったのかもしれません。
塾に行けないということで、ハングリー精神が芽生えましたし、勉強法に関しても必死で
考えるようになりました。
当時は、他人に絶対に負けない、という強い思いがあり、その思いを勉強に向けている状
態でした。
ただ、小さいときから勉強をしていたわけではありません。今、東大や京大に行く人の多
くが、小さいときから勉強させられ中学受験をし、勉強する意味も分からないまま東大や
京大という難関大に合格していきます。
親が敷いてくれたレールの上を歩いていく人が本当に多いのです。
それ自体が悪いとは思いません。しかし、そうやって人生を歩む人が幸せを感じているか
というと、実はそうではないという現実もあります。結局、自分で何も考えずに、人生を
歩んできたのですから。
私はある意味で、そういう人たちとは、歩んできた道のりが全く違います。
家は貧しく、高校も公立高校。高校でも成績は良くありませんでした。でも、ある時、一
念発起して京大受験を決意。
この章では、私がどんな人生を歩んできたのか、その軌跡を紹介します。
150
小学校時代
小学校時代は、勉強のことなど全く考えていませんでした。でも、やるべきことはきちん
とやる子で、授業中にやれと言われたことは誰よりも早くこなそうとしていました。
根本的に、負けず嫌いなのです。だから、勉強でもスポーツでも常に一番を目指して取り
組んでいました。
基礎的な学力は、学校で身につけていたと言ってもいいでしょう。
でも、周りに不良の子がいて、だんだんとその子たちと関係を持つようになってしまった
ので私は一時不良の道を歩もうとしてしまいました。
その子たちはもちろん勉強のできない子たちなので、私は浮いた存在です。
小学校のときは、何だか自分は浮いている、といった感じが強かったのを今でも覚えてい
ます。それは中学のときもそうでした。
浮いていると、イジメの対象になりやすいのが小中学生というもの。私も、案の定いじめ
られました。
当時、私の味方になってくれる男の子が誰もおらず、男社会を知らない女の子が仲良くし
てくれたのですが、男たちの告げ口によってその女の子たちも次第に相手にしてくれなく
なりました。
この時期が、人生で一番つらい時期だったかもしれません。誰からも相手にされないばか
りか、罵声を浴びたり、カバンを投げつけられたりしました。
そして、不登校になりました。1週間ほど学校を休みます。すると、母親が心配して学校
に電話してくれました。
電話をした翌日、担任の先生が友達を集めて、話し合いの場を設けてくれました。
先生が仲介して、友達といろんな話をしました、彼らの本音を聞くこともできました。
151
彼らの本音を聞き、今までの自分の生活の苦しさ、悲しさ、もうこんな日々は嫌だという
思いから、私は号泣しました。
人前であれほど号泣したのは、人生でそのときだけです。声も出ず、何もいえない状態で
したが、ただ一言
「本当に、ごめん…」
声にもならない声で、謝りました。彼らが私をいじめたのは、私の人間性に問題があった
からなのでした。
いつもは強気な私が目の前で号泣している姿を見て、友達も驚いたと思います。
そして、心の叫びというのが、彼らの心に届いたのでしょう。それからは、本当に優しく
してくれて、それまでのことがなかったかのようでした。
小学校のときは、勉強に関して、取り立てて特筆すべきことはありません。
ただ、この経験を通じて私は人の心というものに強い興味を抱くようになりました。
152
中学時代
中学校からは定期テストが始まります。もちろん、私は頭が良いわけではないので最初か
ら良い点が取れるわけではありませんでした。
英語のテストなどは、アルファベットの問題が出るにも関わらず、60点台。しかも、真
剣に勉強した結果です。From さえ書けなかったことを今でも覚えています。
私には兄がいるのですが、兄は私と違って非常に要領がいい。私は、家では出来ない子で、
頭の悪い子として認識されていました。もちろん、声に出してそれを言うわけではありま
せんが、そういう空気はいつも感じていました。
数学も、もちろん苦手でした。数学に関しては、3年間80点以上を取ることはほとんど
ありませんでした。そういうことを考えると、京大に受かったことが本当に不思議に思い
ます。
このときは、本を読んでいたわけでもありませんし、勉強に対して取り立てて強い意識を
持っていたわけではありません。テストはやらなければいけないものとしてこなし、さら
に負けず嫌いという性格のために、頑張って勉強していたという感じですね。
自分の環境というのも、強く影響していました。塾に行けないから勉強しないのではなく、
塾に行けないけれど、塾に行っている人間に勝ってやる、という気持ちで勉強していまし
た。
そうすると、だんだんと自分の勉強法も洗練されてきます。ずっと自分の頭でどうすれば
成績を上げることができるのかを考えてきて、改善を重ねてきたからこそ、勉強法が向上
していくのですね。
もちろん、大学受験という視点から見れば不完全なものですが、中学の定期テストのレベ
ルで言えば十分なものでした。
定期テストで500点満点中、400点以上をコンスタントに取れるようになりました。
よく、いつでも450点を越える子がいますが、そんな子はすごすぎて私にとっては理解
不能な存在でした。
153
ここで、伝えたいのは、中学時代、これくらいのレベルであったなら東大・京大に合格す
る可能性は十分すぎるほどあるということです。
天才である必要などないのです。努力することによって、何とか400点を越えるように
なった。それまで2年もかかった。そんな人間が合格するのが、東大・京大です。
決して高すぎる壁ではないのです。
高くもない壁を、高いと思い込んでいるだけなのです。
私も、当時はそうでした。中学の時から京大受験を考えていたわけではありません。大学
のことなど、本当に全く考えていませんでした。高三になって初めて、大学受験のことを
真剣に考えるようになったのです。
そんな人間でも、大丈夫なんです。
どうか、自分で勝手に限界を作ってしまわないでください。
大丈夫、あなたにもできます。
154
高校時代
高校受験を無事に乗り越えた私でしたが、高校に入ってからが大変でした。必死に勉強し
たこともあって、進学校に入学したのですがそのおかげで授業についていくのが精一杯と
いう状況になったのです。
数学のテストは非常に難しく、平均点が30点台。私ももちろん、平均点を取れるか取れ
ないかをウロチョロしている状態でした。
他の科目も、80点を越えることはなかなかなく、自分自身やはり頭は良くないのだなと
実感していました。
実際には、頭の良い悪いではなく勉強法がまずかったからなのですが、当時はそんなこと
には気がつきませんでした。
この頃の勉強法の誤りとして、暗記することを重視しすぎた点があります。
理解することが面倒だったので、何度も繰り返し見ることによって無理やり頭に詰め込も
うとしていたんですね。勉強におけるパワープレイです。
しかし、これが上手くいくことはありませんでした。世界史ですら、上手くいきませんで
した。いくら暗記したところで、歴史的事実のつながりや言葉の意味をきちんと理解して
いないと、高校の問題は解けないのです。もちろん、入試にも対応することはできません。
この頃の私は、とにかく大雑把な勉強法で勉強していて、立ち止まって考えることが出来
ず、それは時間の無駄なのだと思っていました。しかし、そうではないのです。
もし、そのことに気がつくことなく、勉強法の誤りを認識することが出来ずにいれば京大
を受験することはなかったと思います。
それくらい勉強法というのは大事なのですね。
ただ、高校時代の定期テストで、いい点を取った記憶はありません。定期テストでは、い
つも真ん中か、それ以下の点数でした。
155
うちの高校は意識の高い子たちがたくさんいたので、勉強という面において中だるみする
ことはありませんでしたが、学校の定期テストにエネルギーを集中してもなかなか思うよ
うな点数は取れなかったのですね。
それは、私は高校時代、いつも間違った勉強法で勉強していたからなのです。
いつも悔しい思いを感じていました。
私は元来、とっても負けず嫌いです。しかし、高校に行ってから負けることが本当に多く
なりました。
勉強でも部活でも、何かと能力の高い人に負かされ、現実というのを知ったのもこの頃で
す。
勉強面に関して言えば、周りは優秀な子たちばかりなので、自分が一番になることなんか
ありえない。いつも負けてばかり。
その悔しさを表に出すことはありませんでしたが、内心、いつも不満でした。
必死でやっているのに結果が出ないことが、本当に不満でした。心の底で、何とか勝ちた
いとずっと思っていました。
ところで、自分はこの頃には特に心理学関係の本をたくさん読むようになっていたので、
本屋に行くことが増えていました。
いつものように私は本屋をうろついていたのですが、そこで一冊の本が目に留まりました。
受験は要領
和田秀樹
今はすっかり有名人になった、和田秀樹氏の代表作です。
勉強で成果を上げることに無意識が向いていたのでしょう。その本に出会い、私は自分の
勉強法の誤りを認識しました。さらに、勉強法が勉強においては非常に大切であることを
その本から学びました。
ここから、私の受験勉強は変わります。
156
受験勉強に対する認識も変わり、だんだんと難関大を目指したいという気持ちになってき
ました。高2の冬です。今なら間に合う、という気持ちもありました。
この頃から自己啓発系の本にもはまり始めていたため、決断するのにそう時間はかかりま
せんでした。
京都大学を目指そう!!
理由は単純なものです。自分の限界を突破するために、最難関大を目指したいという思い
です。経済面も考えて、ギリギリ実家から家で通えることも決断の理由です。
自分は元々負けず嫌いで目立ちたがり屋。さらに、自己啓発に目覚めたことで自分の限界
を自分で決めてしまう愚かさも分かっていました。
だからこそ出来た決断だと思います。
もう、安全だけを望むのはやめにしました。この決断が、自分を変えたと思います。実際、
周りの自分を見る目も変わりました。京都大学を受験するということは、周囲に公言して
いたからです。
もちろん、無理だと言ってくる人は周りにもたくさんいましたし、言わずともそう思って
いるという人もいました。応援してくれる人の方が少ないのが現実です。
でも、周りの自分に対する評価を気にして挑戦しないなんてことはバカげています。
周りの目を気にして行動しないということは、周りに自分の行動を決められているという
ことです。自分の人生を、周りの人の判断に委ねているということなのです。
自分で自分の人生を動かしていないのです。
周囲の目を気にして自分がしたいことをしない、そういう姿勢で生きるのはやめにしまし
た。
周囲からバカにされたところで、何も困ることはない。周囲に自分の人生をコントロール
されてたまるか。周囲の称賛によって自分を維持するようなチキン野郎には絶対にならね
ぇ。
157
そう思っていました。
それも、本を読んで考え方を磨いていたおかげです。考え方を磨いていなければ、周囲の
声に負けていたかもしれません。
その後も、自分を支えていくのに本は必要でした。まだ、心がそんなに強いわけではなか
ったので、自分の弱い心を自分で維持していくことがなかなか出来なかったのですね。
不安な心に負けそうになると、いつも本からエネルギーをもらい、戦っていました。
また、京都大学受験を決意してから、参考書による勉強を始めました。取り組んだ参考書
は、
基礎英文問題精講
速読英単語
青チャート
旺文社
Z会
数研出版
この三つをメインで勉強していました。受験の前半は英数を勉強すべきであるということ
を学んでいたからですね。
参考書による勉強を始めてから、学校の勉強を軽視するようになりました。2∼3学期に
なると、学校の勉強をしなくなる人が増えてくると思うのですが、それよりもっと早く、
高2の冬の段階から学校の勉強を軽視し始めていたのです。
だから、今の私には学校の授業をきちんと聞いていた記憶がありません。ずっと自習して
いました。
しかし、今思えば、その時間が効率のいいものであったかどうかは疑問です。
実際、あまり集中して勉強できていませんでしたし、自習しているということに満足して
いただけだったのかもしれません。
もちろん、学校の成績は急降下。大学受験には学校の成績は全く関係ないので、全然気に
しませんでした。しかし、
「本当に学力がつけば、学校の定期テストのための勉強をしなく
158
ても点数を取れるんだろうなぁ」と思っていました。実際、自分の周りにはそういう子が
いましたし。
勉強のペースも早いものではなく、青チャートの方は元々数学が苦手だったということも
あって、なかなか進みませんでした。結局、受験を通じて、青チャートをやりつくすこと
はできませんでしたね。
その他にも、国語であれば、「現代文と格闘する」古文は、
「読み解き古文単語」など、有
名な参考書を中心に勉強していました。
しかし、なかなか結果は出ませんでした。その理由をその当時は分かりませんでしたが、
今なら分かります。
形式にとらわれすぎていたからです。何ページ進んだとか、そういう部分にばかりフォー
カスして、しっかり頭で理解できているとかなどの目に見えない部分を疎かにしていたた
めです。
このことに尽きると思います。目に見えない部分を重視すること。
これを意識することが非常に大切なのです。
そういうことが分かっていなかった私は、勉強するが結果はなかなか出ない状態。それは、
受験本番まで続きました。
参考書による学習をメインにすえ、学校の授業や予備校には通わずに勉強を続けました。
夏を越え、秋になり、冬になる。
寒さが増すにつれて、受験本番も近づいてきます。
私は京都大学に合格することしか考えていなかったので、他の大学の受験は全く眼中にあ
りませんでした。京都大学のことだけを考えて勉強していました。私立も受けないと決め
ていました。
自分なりに最大限の勉強をして、迎えたセンター試験。
159
結果は、自分の想像とは異なるものでした。
数学や国語で失敗して、トータルで78%。到底、京都大学には届きません。
周りの京大志望者は、85%以上は取っている。みんなに自分のセンターの結果を聞かれ
るのがとても嫌でした。
でも、受験すると決めた以上、絶対にそこから逃げない。親にも、受験する許可をもらい、
逃げずに立ち向かう決意をしました。浪人することも覚悟の上です。
二次試験までは、不安との戦い。自分には、何もない。
センター結果も悪いし、今までの模試は全て E 判定です。合格できる保証など全くない状
態です。それでも、あきらめませんでした。必死の勉強を続けました。
しかし、結果は、不合格。
予想していたとはいえ、涙が流れました。
戦いに負けることは、本当に悔しいことです。情熱を注いできたことなのですから、当然
です。
そこから立ち上がり、また前を向くのには時間がかかりましたが、私は新たな一歩を踏み
出すことにしました。
160
浪人時代
浪人時代は、代ゼミに通っていました。このときはまだ JUN 流受験勉強メソッドを考えつ
いていないときで、浪人するとすれば予備校に行くという意識がまだあったからです。
実際、これまで予備校や塾というものに全く縁がなかったので、行ってみたいという純粋
な気持ちもありました。
しかし、経済的な余裕がなかったので、アルバイトをして自分でお金を稼ぐ必要がありま
した。生まれて初めてのアルバイトで、また勉強と両立しながら、というのはなかなかハ
ードかなと思いましたが、これも修行になるだろうということで、あまり深刻には考えて
いませんでした。
代ゼミでの授業は、サテライン授業。生のライブ授業を選ばなかったのは、先生の質が悪
いからです。
サテラインで授業をする先生は、一流講師陣です。その予備校を代表する先生が授業をし
ます。しかも、同じ値段です。だから、普通に考えればサテラインを選ぶのが合理的です。
しかし、私とあと一人の女の子以外はみんなライブ授業に行ってしまいました。
サテラインは、何だか暗いイメージがあるという理由から。もう一つの理由は、みんなラ
イブだからということでしょう。
自分の人生を自分で決められないというのは、こういうことを言うのかな、と思っていま
した。
実際、私とその女の子は合格し、ライブの人たちはほとんど落ちてしまいました。
さらに言えば、ライブの人たちは一ヶ月もすれば、
「先生が駄目だ」と言っていました。
代ゼミでは、コース変更が可能です。ライブからサテラインに移ることは可能なのです。
でも、誰も移りませんでした。これまた、さっきと同じ理由からです。
勉強法というより、考え方、自分なりの哲学の問題ですね。
161
周りに合わせるという意識を持っている以上は、自分で自分の人生を切り開いていくこと
は出来ません。
代ゼミ講師陣は、素晴らしい授業をしてくれました。一流の講師というのは、人間性も一
流です。心を打つ話を何度もしてくれました。
私は、授業を全て否定しているわけではありません。
「理解」の段階においては役に立ちま
す。しかし、それだけでは絶対に成績は上がらない。
「理解」だけで、結果は出ません。
また、今の参考書は大変洗練されてきていて、参考書だけでも理解することは可能なので
す。だから、授業は受験において必要ではなくなってきているのです。
私はいらない授業はすぐに切り、お気に入りの先生の授業は受け続けました。最後まで受
けました。そこから学んだことは、勉強内容だけではありません。
英語の西先生は、よくこんなことをおっしゃっていました。
「踊られるな、自ら踊れ」
自分の人生は、自分の力で輝かせるものだ。周りの意見がどうとか、そんなことに踊らさ
れてはいけない。自分の人生を生きろ。
こんな話が、まだ自分の中では残っています。画面の中の先生しか知りませんが、素晴ら
しい出会いだったと思います。
同時進行でバイトも続けていました。夏休みまでは週4回前後働いていました。夏は、夏
期講習をひとつも取れずに、バイトをしながら自宅での勉強に励んでいました。
その生活は、楽しいものではありませんでしたが、自分が成長できていることを実感でき
ることは喜びでした。
この頃になると、これまでの勉強法が間違っていることに気づき出します。
162
自分はこれまで形式にとらわれすぎていたのではないか。実質こそが大事なのではない
か。
数学においては、なぜ思考こそが最も大事なのではないか。
などなど、この E-book で述べている内容を考え出したのも、この時期です。
そこからは、成績が急上昇し始めました。
これまでは全ての模試で E 判定だったのが、夏の京大模試で始めての B 判定。その他、セ
ンター模試でも結果が出始めました。
勉強法によって、こんなにも結果が変わってくるのだと実感しました。
京都大学と聞くと、すぐじ「頭がいいんだね」と言われたりしますが、決してそんなこと
はありません。工夫して、改善して、やっとのこと辿り着くものなのです。元々の頭の良
さだけでは受験を成功させることはできません。
参考書による学習が、実は最も効率が良いと気づいたのも、この経験からです。
実際には、私は予備校の授業は片手間でこなし(予習もあまりちゃんとやっていませんで
した)
、参考書の学習で自分の勉強を進めていたのですね。
勉強法が確立してからの勉強は順調にいきました。
秋には一度 E 判定を取ってしまいましたが、きちんと分析することができていたので、焦
りもほとんど生まれることはありませんでした。
寒さも増し、季節は冬。この頃にはバイトもやめ、勉強に専念していました。
去年のセンター試験での失敗。今年こそは、良い結果を残すとの思いで勉強をつづけまし
た。
受験においては本当にメンタル面が問われます。
163
どれだけ頭が良くても、情熱がなくては受験勉強は続きません。
特に、受験本番が近づいてくる頃というのは、緊張や不安がいつも隣にいるものです。
そのマイナスな気持ちを押さえ、前に向かっていけるかが問われる時期なのですね。
センター本番は、緊張しました。時間制限が厳しく、単純なミスは許されない状況。
その中でも力を発揮し、センターを何とかクリア。それでも87%と、不本意な結果とな
りました。
90%以上取れると思っていたからですね。現実はなにもかもが上手くいくわけではあり
ません。上手くいかなくても、合格できるプランを考えておくことが大事なのです。
二次試験までの日々は、あまり覚えていません。ずっと同じ毎日の繰り返しだったからで
す。ひたすら同じ時間割りで、勉強していました。
だから、毎日が同じで記憶に残っていないのでしょう。
ひたすら過去問や実戦問題を解いていました。
試験本番は、不安はなく、いつも通りの力を発揮することができました。なぜ不安がなか
ったかというと、そのときには自分の心が強くなっていたからです。元々私は緊張に強い
方ではありませんが、自分の力で時間をかけて強くしていきました。
そして、不安を感じないくらいの努力はしました。だから、緊張せずに試験に臨むことが
できたのです。
最善なのは、緊張を抑え込むことではありません。悪い緊張をしないほど、ひたすらに勉
強することです。これ以上できないというくらい勉強していたら、緊張は和らぎます。無
駄に緊張することはなくなります。緊張したって意味がないと悟るからです。自分の力を
出すことしか自分にはできないと知るからです。
そのときに、人は本当の力を発揮することができます。最大限の努力をして、自分に自信
が持てたときに、人は最も良いパフォーマンスを披露することができるのです。
164
私は、京都大学法学部に合格しました。
当初立てていた計画通りの点数を取ることができました。
それまでの道のりは、もちろん楽なものではありませんでした。でも、乗り越えることが
できました。やろうと思えば、やれるということ。人間は自分で勝手に限界を決めてしま
っていること。やってみなければ、結果がどうなるかは最後まで分からないということ。
そんな大事なことを学んだ受験でした。
小学校や中学校のときの自分には想像することのできなかった自分が今ここにいます。
高校時代に、一念発起して、周囲の意見に左右されなかったからこそ、今の自分がここに
います。
人生は決断の連続です。
どういう決断をその時に行なったかということが、自分の未来を変え、人生を作っていき
ます。
人生は、自分の決断によって作られていくのです。
私が歩んできた人生は、私の決断が作ったもの。これからもそうです。
あなたが、受験においてする決断。それはどういうものなのでしょうか。
その決断は、自分の人生を良くするでしょうか、悪くするでしょうか。
私の体験談が、あなたの決断を良いものへと導くことができれば幸いです。
165
エピローグ∼受験と人生∼
この E-book では、受験勉強の技術だけでなく、様々な考え方や心理学的な内容にまで踏み
込んで書きました。
おそらく、今までにない受験勉強本になったのではないかと思っています。
受験技術に終止するだけでは、受験は乗り越えられない。
受験においては、メンタルな面も非常に重要な役割を果たすからです。
今回伝えた内容というのは、受験勉強だけに役立つ知識ではありません。
受験が終わり大学生になり、社会人になっても使い続けることのできる内容になっていま
す。
受験に成功したからといって、人生で成功するかどうかは分かりません。受験勉強は、人
生の限られた範囲の活動にすぎないのですから。
受験勉強だけが、世界ではないのです。
大学に入り、社会に出るときには自分が今まで積み上げてきた受験勉強の知識は役に立た
ないことが多いです。
でも、そこで培われた勉強テクニックや考え方というのは、一生モノです。
自分の経験として、残ります。一生、あなたを守る鎧となってくれるのです。
人は、努力して成長しなければなりません。立ち止まっている暇はないのです。
受験勉強が終れば、次の世界が待っています。
この E-book に書かれてある内容を実践し、行動を起こし続ければ、合格は見えてきます。
166
そして、合格した後、また次の目標に向かって努力し始めてください。
常に前を見て、自分の人生を充実させるのです。
私の夢は、一人でも多くの熱い志を持った同志を世の中に輩出し、日本や世界を良く
することです。
受験勉強に成功したからといって、そこで立ち止まっていてはいけないのです。
世の中を良くするために、努力を続け、人を、自分を幸せにする。
そういう人のために書いた E-book です。
ぜひ、志望校に合格してください。
そして、共に日本を、世界を良くしていきましょう。
著者 京大塾講師 JUN
Copyright(c) 池田 潤 All rights reserved
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