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「外国企業による国際ルール形成事例の調査」事業

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「外国企業による国際ルール形成事例の調査」事業
「外国企業による国際ルール形成事例の調査」事業
報告資料
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
目次
ルール形成事例分析
1. 各事例の基本情報 【P.2~3】
2. 事例スライド集 【P.4~26】
1
ルール形成事例分析
1. 各事例の基本情報
2. 事例スライド集
2
© 2016. For information, contact Deloitte Tohmatsu Consulting LLC.
各事例の基本情報
番号
タイトル
主体の本拠地
実施地域
ページ番号
1
ボッシュによる税金リベート改正働きかけ事例
ドイツ
シンガポール
P.6-7
2
ボッシュによる非営利自動車団体と連携したABS装備義務化事例
ドイツ
インド
P.8-9
3
VWによる小排気量ターボエンジン搭載車等への優遇措置獲得事例
ドイツ
中国
P.10-11
4
GAPによる最低賃金制度の早期施行実現事例
米国
ミャンマー
P.12-13
5
GEによるケニア政府の医療インフラ整備計画支援事例
米国
ケニア
P.14-15
6
インテルによる医療データ活用ガイドラインの世界展開事例
米国
デンマーク、英国
P.16-17
7
シーメンスによる電気モーター関連EU規則制定働きかけ事例
ドイツ
EU
P.18-19
8
フィンランド・ネステによるバイオ燃料市場拡大を目的とした政策提言事例
フィンランド
EU
P.20
9
ダウ・ケミカルによる、REACH規則導入時の修正提案実現事例
米国
EU
P.21-22
10
アムコール等による大手食品メーカー調達基準におけるPAS採用の獲得事例
豪州等
世界
P.23-24
11
デュポンの世界食糧安全保障指数の策定による新市場開拓事例
フランス
世界
P.25-26
3
ルール形成事例分析
1. 各事例の基本情報
2. 事例スライド集
4
© 2016. For information, contact Deloitte Tohmatsu Consulting LLC.
「ルール形成事例分析」では、外国政府等に対するルール形成手法の特徴を
ルール形成プロセスに沿って分析する
外国政府等に対するルール形成プロセスの考え方
外国政府等に対するルール形成プロセスの5つのフェーズごとの目指すべき達成目標に対して、どのようなルール形成
手法がとられたかを分析したうえで、本事例分析のまとめでは「準備・設計・折衝」の3つのフェーズに整理し
提示することとした。
プ
ロ
セ
ス
ビジネスとルール
の関係分析
ルール策定に
向けたアジェンダ
提起
ルールの
設計
ステークホルダー
とのコンセンサス
形成
適切なチャネルを
通じた交渉実行
達
成
目
標
ルール動向が
自社に与える影響の
読み解き
事業ニーズと
社会ニーズとが一致する
ルール形成アジェンダ
の抽出・設定
具体的な事業
ニーズのルール案への
落とし込み
(“翻訳”)
外国政府等がルール案を
採用する上で前提となる
業界内外のコンセンサス
形成
最適なチャネルの
選択・活用による
外国政府等の意思決定
への影響力行使
次
表頁
記以
降
5
【準備】フェーズ
【設計】フェーズ
【折衝】フェーズ
ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
ルールの設計
コンセンサス形成・交渉実行
1
ボッシュによる税金リベート改正働きかけ事例(シンガポール)
ボッシュの
狙い
社会課題
クリーンディーゼルエンジン搭載車種への恩典対象拡大
自動車からのCO2排出量の増大
ボッシュによるルール形成アプローチと効果
ルール
形成手法
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
【折衝】 コンセンサス形成・交渉実行
議題設定のための準備
政策提言ペーパーの作成主導
対政府コミュニケーションの強化
在シンガポールドイツ商工会議所におけ
る有力ポジションを確保
自動車産業関係者が参画する専門
委員会を創設し、CO2排出量を還付基準
とする具体的な代替案を作成
現地政府に対して、政策提言ペーパーを
提出するとともに、朝食会などを通じて、
担当者とのコミュニケーションを強化
ステークホルダー
関係図
自国
外国
自国
外国
自国
外国
国際機関
/行政
政府
シンガポール
政府
政府
シンガポール
政府
政府
シンガポール
政府
企業/
企業連合
その他
(NGO等)
ボッシュの
成功要因
(ケイパビリティ)
ボッシュ
有力ポジション
*2
の確保
在シンガポール
ドイツ商工会議所
在シンガポール
ボッシュ
ドイツ商工会議所
ルールの設計
交渉実行
NGO
NGO
在シンガポール
ボッシュ
ドイツ商工会議所
後押し
政策提言
ペーパー
NGO
提案
政策提言
ペーパー
代替案作成
NGO
NGO
NGO
自社の劣位を解消するため、ルールの制定目的を達成しうる代替案を提示する力
現地商工会議所のプレゼンスを活用し、現地政府担当者からの理解を獲得する能力
ボッシュのクリーンディーゼルエンジンの販売増加
得られた
効果
6
当初対象外であったドイツ勢が得意とするクリーンディーゼル車が税制優遇措置の対象なる税制改正により、
ドイツ系メーカーのクリーンディーゼル車の販売が増加し、ボッシュのクリーンディーゼルエンジンの販売増加に寄与
*1 AHK:在シンガポールドイツ商工会議所の略 *2 図中の緑はその行為の主体を指し、矢印の向きは行為の対象となるもの(例:ポジション、権限等)の流れを指す
出所:BoschHP公開資料に基づきデロイト トーマツ作成
還「
元C
O
さ2
れ低
る排
新出
し量
いの
自車
動輌
車に
税リ
制ベ
ー
」
を
獲 ト
得 が
1
(参考)ボッシュは、シンガポールドイツ商工会議所を通じてシンガポール政府に働き
かけ、CO2排出量に基づく税制導入に成功した
働きかけ後に変更されたルール
これまでの政策・ルール
還付有無がCO2排出量で決まる制度*2
還付有無が車両構造で決まる制度*1
パワートレーン
優遇策
20
電気自動車
ハイブリッド車
10
Open Market Value
(OMV)*3の40%を
リベート
CNG車
クリーンディーゼル車
ガソリン車
上記以外の車種は、
優遇対象外
5
ボッシュによる
シンガポール政府への
働きかけ
…
(2009~)
 ドイツ商工会議所内に自動車
専門委員会を設立
 委員会内を通じて税制変更に
関する草案作成
 委員会主催でシンガポール
政府の政策担当者との
ミーティングを開催
リベート
-5
-10
-15
ボッシュ製品
Band
A1 A2 A3 A4
101 121 141
~
~
~
120 140 160
~
100
在シンガポールドイツ商工会議所を
活用し、提案の具体設計力を強化
7
サーチャージ
0
CO2排出量
(g/km)
ボッシュ製品
(単位:000 S$)
15
*1 Green Vehicle Rebate Scheme *2 Carbon Emission-Based Vehicle Scheme *3 Open Market Value:市場価格を元に、政府が決定する標準販売価格
出所:Bosch公開資料及びSGC Business Magazine公開資料に基づきデロイト トーマツ作成
-20
B
C1 C2 C3 C4
161
~
210
211
~
230
231
~
250
251
~
270
271
~
2
ボッシュによる非営利自動車団体と連携したABS装備義務化事例(インド)
ボッシュの狙い コスト増への抵抗から普及が進まないABS*1の装備義務化による市場の創出
社会課題
深刻な水準の交通事故死亡者数(年間約14万人)
ボッシュによるルール形成アプローチと効果
ルール
形成手法
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
【折衝】 コンセンサス形成・交渉実行
自社アジェンダの提案準備
ABS装備義務化の有効性を訴求
反対していた業界団体を翻意
交通安全啓発活動「Make Roads Safe」
を実施するFIA基金への多額寄付により
社会貢献姿勢を明示
自国
ステークホルダー
関係図
外国
外国
幹部
ポジション
獲得
ボッシュ
寄付
その他
(NGO等)
ワブコ
ABSの
訴求
ボッシュ
FIA基金
•
•
アジェンダ提起
コンセンサス形成
インド標準化機関
政府
インド・ドイツ商
工会議所
インド自動車
部品工業会
インド自動車
工業会
現地プレゼンスを活用し、業界団体内で
ABS装備義務化のコンセンサスを形成
自国
インド政府
インド標準化機関
政府
企業/
企業連合
(ケイパビリティ)
自国
インド政府
国際機関
/政府
ボッシュの
成功要因
シンポジウム等を通じ、ABSがインドの交
通事故死削減に有効であることを訴求
シンポジウム
等の開催
政府
インド・ドイツ
商工会議所
ワブコ
インド自動車
部品工業会
インド自動車
工業会
ボッシュ
FIA基金
自動車
安全基準
外国
インド政府
インド標準化機関
ABSの
義務化を
後押し
コンセンサス
形成
FIA基金
国際的なNGO/NPOと協力し、自社アジェンダの正統性を担保する能力
現地業界団体におけるリーディングポジションを活用し、現地業界の翻意を促す能力
インド・ドイツ
商工会議所
ワブコ
インド自動車
部品工業会
インド自動車
工業会
へ
の
A
B
S
装
備
の
義
務バ
化ス
を ・
獲 ト
得 ラ
ッ
ク
自社のABS関連製品の売り上げが増加する見込み
得られた
効果
8
インド国内で年間約30万台販売されているバス・トラック向けのABS関連部品需要を創出し、自社の売上げ増加につながる見込み
*1 ABS: Anti-lock Braking System
出所:Bosch India公開資料及びEconomic Times記事に基づきデロイト トーマツ作成
「
イ
ン
ド
自
動
車
安
全
基
準
」
に
お
い
て
、
2
(参考)ボッシュは、インドにおける交通事故死亡者数の多さに着目し、現地の
業界団体やシンポジウムを通じてABS装備義務化を目指した働きかけを行った
新興国の交通事故死亡者数(2011年)
イ
ン
ド
ボッシュによるABS義務化へ向けた働きかけ
142,485
中
国
62,387
7,376
*
イ
ン
ド
ネ
シ
ア
19,873
*
0
50,000
100,000
150,000
人
装
備
義
務
化
へ
向
け
た
働
き
か
け
*ブラジルは2009年、インドネシアは2010年の統計
9
業界団体を
通じた働きかけ
出所:総務省統計、ワブコウェブサイト、Motor India紙、Riot Engine紙に基づきデロイト トーマツ作成
 ABS装備の義務化への反対意見が根強い自動車
メーカーに対し、現地でのプレゼンスを活用し、現地業界
団体を通じて翻意を促す
 現地トップがインド・ドイツ商工会議所の理事に就任し、現地
企業とのネットワークを構築
 現地幹部をインド自動車部品工業会の副代表に送り込み、
自社の意見を業界団体の意見に盛り込みやすい立場を得
ることに成功
 Safety Drive Symposiumを開催し、インドにおける車両
安全の状況と解決策に対する認識を高めた
【Safety Drive Symposium】
ABS
ブ
ラ
ジ
ル
インドの交通事故死亡者数は
世界ワースト1位
交
通
事
故
死
亡
者
数
削
減
を
目
的
と
し
、
主催者
 Bosch India
 ワブコ(現地自動車部品メーカー)
ゲスト
 英国王室 ケント公爵
 インド標準化機関(BIS)交通エンジニア
委員会会長 Bhanot 氏
シンポジウムを
通じた働きかけ
 ABSやESP等安全装置の必要性に関する
プレゼンテーション
 ABS・ESPを装備・未装備の車両を比較
したデモンストレーション
内容
インドの交通事故死亡者数は現
実的な問題であり、安全な車両
の実現のために利用可能な
技術と世界のベストプラクティス
を利用することは必須だ
Bosch Chassis Systems India
Deputy MD V.Balasubramanian 氏
3
VWによる小排気量ターボエンジン搭載車等への優遇措置獲得事例(中国)
VWの狙い
自社技術(小排気量ターボエンジン)搭載車に有利な競争条件の獲得
社会課題
自動車保有台数の増加によるCO2排出量の増加と大気汚染の悪化
VWによるルール形成アプローチと効果
ルール
形成手法
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
【折衝】 コンセンサス形成・交渉実行
自社アジェンダの提案準備
ルール策定者に自社技術を訴求
自国トップが現地トップと対話
自国の業界団体や部品メーカーと協力し、
政府の5か年計画の下で一貫した活動
体制を構築
自国
ステークホルダー
関係図
ドイツ政府
国際機関
/政府
企業/
企業連合
(ケイパビリティ)
共同研究
プロジェクト
立ち上げ
部品メーカー
連携
その他
(NGO等)
VWの
成功要因
外国
政府系
研究機関
VW
VDA
支援
NGO
•
•
コンセンサス形成
交渉実行
シンポジウム等を通じ、自社が中国の
CO2削減目標にコミットできる技術を持ち
合わせていることを強調
自国
政府系
研究機関
ドイツ政府
自社技術
の訴求
中国政府
現地法人
(合弁会社)
外国
部品メーカー
現地企業
VW
VDA
NGO
NGO
長年の投資実績と外資最大の市場
シェアを梃子に、政府トップ会談など
ハイレベル対話を継続
自国
ドイツ政府
外国
対話
中国政府
政府系
研究機関
中国政府
招聘
現地法人
部品メーカー
現地企業
VW
VDA
NGO
NGO
シンポジウム
(合弁会社)
等の開催
協力要請
現地法人
(合弁会社)
現地企業
NGO
自国業界団体と協力して現地でのビジネスプレゼンスをレバレッジする能力
外資としてトップの投資実績と市場シェアを梃子に、現地政府との交渉チャネルを確保する能力
自社の小排気量ターボエンジン搭載車種の販売台数が増加
得られた
効果
10
2010年以降の省エネ車に対する補助金制度において、VWは他のメーカーに比べ多くの車種を
当該優遇措置の対象とすることに成功し、小排気量ターボエンジン搭載車優遇により売上は増加
出所:VW HP公開資料に基づきデロイト トーマツ作成
を「
補
対助
象金
管
と理
し暫
定
、弁
H法
E」
に
Vお
をい
て
除自
外社
す技
る術
こ 搭
と
に 載
成
功 車
3
(参考)中・独間では、自動車業界におけるこれまでの友好関係を活用した
トップ外交が頻繁に行われている
中独間によるトップ外交:VW車売り込みの事例
温家宝によるターボ型エンジン技術支援表明(2009年)
 2009年3月に温家宝首相は、VW一汽エンジン(大連)有限会社を視察
 これまでのVWの中国での創立以来の実績を評価
 中国自動車工業の発展方針についてスピーチを行い、中国自動車産業の発展、環境対策において、
VWのダウンサイジングターボ型エンジンが中国のニーズと合致しており、有用であるとして支持・奨
励
中国政府のお墨付きをもらい、ターボ型エンジン搭載車の普及が促進
メルケル首相による訪中・VW車アピール
メルケル首相はほぼ毎年訪中を行い中国政府高官と会談、ドイツ車をはじめとする重要産業のセールスを行っている
11
中国新工場
設立の際の
調印式
VWグループは、ドイツのウォルフスブルク本社工場に温家宝首相
らを招き、中国に新工場を建設する調印式を実施 (2012年)
メルケル独
首相による
訪中・会談
メルケル独首相が訪中し温家宝首相らと会談、「未来展望の戦略
的パートナーシップ」を前進させることで合意(2012年)
• VWやSiemensの幹部等、産業界のトップ数十人が同行
• メルケル首相自らVWの中国工場を視察するなどして、VW車をアピール
出所:新華社通信、ResponseJP Website, 在独中国大使館Websiteに基づきデロイト トーマツ作成
4
GAPによる最低賃金制度の早期施行実現事例(ミャンマー)
GAPの狙い
最低賃金制度の早期施行による、競合企業へのコスト増圧力
社会課題
低い賃金水準に対する労働者の不満の増大(例:月給換算でUSD40相当/縫製業の未熟練労働者の場合)
GAPによるルール形成アプローチと効果
ルール
形成手法
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
【折衝】 コンセンサス形成・交渉実行
自社アジェンダの提案準備
自社ルールの実践
複数の企業・業界団体との連携
ILOや米国政府などと連携し、自社が
率先垂範できる一方、競合他社が望まな
い先進的なアジェンダを設定
自国
ステークホルダー
関係図
米国政府
連携
要請
他社と連携し、最低賃金額の設定をミャ
ンマー政府に提案
外国
自国
ILO
ミャンマー
政府
取引先工場
GAP
ミャンマー
政府
米国政府
AAFA等
その他
(NGO等)
•
•
AAFA等
人材育成
ETI
アジェンダ提起
コンセンサス形成
GAP
労働者
ETI
外国
ILO
ミャンマー
政府
米国政府
提案
自社ルール
の適用要請
企業/
企業連合
(ケイパビリティ)
自国
ILO
国際機関
/政府
GAPの
成功要因
外国
ミャンマー進出当初から、自社ルールに
基づき良好な労働条件で労働者を雇用
取引先工場
高水準の
賃金支払
取引先工場
GAP
AAFA等
労働者
最低賃金
額設定案
ETI
労働者
自社が率先垂範できる一方、競合他社が好まない先進的なアジェンダを設定する能力
現地でのビジネスプレゼンスをレバレッジし、複数の企業・業界団体との連携を効果的に活用する能力
競合企業にもコスト増が生じる競争環境を創出
得られた
効果
12
制度導入以前から相対的に高額の賃金(≒USD 110~120)を支給していたGAPの企業のイメージを向上させるとともに、
競合企業へも相応のコスト増を生じさせ、競争環境の変化を起こすことに成功
*1 AAFA:American Apparel & Footwear Association/米国アパレル・フットウエア協会の略 *2 ETI:Ethical Trading Initiative /倫理的貿易イニシアチブの略
出所:The Global New Light of Myanmar Website に基づきデロイト トーマツ作成
「
相最
当低
賃
と金
法
な」
を
る施
最行
さ
低せ
、
賃月
金給
額換
の算
設で
定 76
を
獲 ド
得
ル
4
(参考)GAPは、ミャンマー進出当初から、自社ルールに基づき現地労働組合が
提案する賃金水準と同等の賃金を支給してきた
各者が主張・実施する日給比較
GAPのベンダ行動規範(一部抜粋)
 While Gap Inc. recognized that there are different legal and
cultural environments in which factories operate throughout the
ミャンマーチャット
world, this Code sets forth the basic requirements that are all
7,000
7,000
7,000
factories must meet in order to do business with Gap Inc.
・・・中略・・・
6,000
5,000
Ⅲ. Labor
4,000
・・・中略・・・
3,600
ベンダの所在国では、さまざまな法的・文化的
環境が存在するが、この行動規範は、
GAPと取引のあるすべてのベンダに対する
基本要件である
G. Wages & Benefits
3,000
2,000
 Factories shall pay wages and overtime premiums in
2,500
2,000
compliance with all applicable laws. Workers shall be paid at
least the minimum legal wage or a wage that meets local
1,000
industry standards, whichever is greater. Factories are
encouraged to provide wages and benefits that are sufficient
0
2015年7月の 縫製業界
平均賃金水準 が主張する
最低賃金
13
政府により
決定された
最低賃金
労働組合
の提案する
賃金水準
Gapが支給
している賃金
to cover workers’ basic needs and some discretionary income.
労働者は、現地の最低賃金または、当該産業の標準賃金
額のいずれか高額な賃金が支払われなければならない
出所:GAP公開資料「Code of Vender Conduct」、「Responsible Sourcing in Myanmar」、Oxfam Briefing Paper「Made in Myanmar」等に基づきデロイト トーマツ作成
5
GEによるケニア政府の医療インフラ整備計画支援事例(ケニア)
GEの狙い
ケニアにおける医療機器市場の創出・拡大
社会課題
ケニア全土の国立病院の医療インフラ不足及び医療機器導入の遅延
GEによるルール形成アプローチと効果
ルール
形成手法
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
【折衝】 コンセンサス形成・交渉実行
政府課題へ助言する立場獲得
医療近代化プログラム案の検討
MoUを梃子にして政府へ提案
自社と現地のニーズを満たすことが可能
な、医療近代化プログラム案を検討
MoUを結んだ立場を活用し、ケニア
政府に医療近代化プログラム案を提案
ケニア政府とMoUを締結し、政府の技術
パートナーとして長期政策Vision 2030の
実現を支援する立場を獲得
ステークホルダー
関係図
国際機関
/行政
自国
外国
自国
外国
自国
外国
政府
ケニア政府
政府
ケニア政府
政府
ケニア政府
MoUを締結
企業/
企業連合
権限委譲
GE本社
(ケイパビリティ)
GE本社
ニーズ把握
医療近代化
プログラム案
提案
GE
ケニア支社
GE本社
GE
ケニア支社
NGO
NGO
NGO
医療近代化
プログラム案
その他
(NGO等)
GEの
成功要因
GE
ケニア支社
プログラム
案の検討
NGO
•
ビジネスとルールの関係分析
•
ルールの設計
NGO
NGO
現地支社が現地政府との技術パートナーとなり、政府の意向を他社に先行して把握できる能力
「 10
医年
間
療で
近 約4
代億
化ド
ル
プの
予
ロ算
グ措
置
ラが
ム付
随
」
を し
獲 た
得 、
自社事業と現地政府ニーズの両方に合致した政策を提案できる、GEケニア支社の高いルール提案能力
ケニア政府からの放射線医療機器の大量受注により、事業の拡大に成功
得られた
効果
14
GEは、2015年からの10年で、レントゲン検査機器や超音波診断機器、マンモグラフィーなどをパッケージした診断機器・設備ユニットを、
ケニア全土の98の病院に対して合計で585ユニット納入し、かつ、メンテナンスサービスを提供する契約をケニア政府から受注
出所: Business Wire紙Website. WHO Global Health Observatory data repositoryに基づきデロイト トーマツ作成
5
(参考)GEは、ケニア政府の長期政策ビジョン「Vision 2030」実現をサポートすべく、
ケニア政府と締結した覚書でヘルスケア領域のプロジェクトへの重点的な協力を表明
ケニア政府「Vision 2030」に含まれるプロジェクト
■ Vision 2030に含まれる60のプロジェクトのうち、
医療関連分野のプロジェクトが8つを占めている
GEとケニア政府間で締結された覚書の概要
■ GEはヘルスケアを含む自社の事業領域で、ケニア政府との覚書
(MoU)を締結し、ヘルスケア分野への重点的な協力を表明した
覚書(MoU)の内容
(GEプレスリリースより一部抜粋)
Healthcare
Power
Generation
Transportation
Aviation
15
出所:ケニア政府「Vison 2030」HP、GE Kenya ウェブサイトに基づきデロイト トーマツ作成
ケニア政府はGEヘルスケアを放射線医療インフ
ラ近代化のための「技術パートナー」として認定し
たことを宣言しました。このパートナーシップは、
ケニア国内の47地区の98病院に対し、包括的な
ソリューションを提供することを目指すものです。
このプロジェクトはケニア政府による4.2億米ドル
規模の医療改革プログラムの一環として行われ
るものであり、「Vision 2030」計画に則って実施
されるものです・・・(中略)・・・GEヘルスケアは
USAID及びケニア商業銀行と協力し1,000万ド
ル規模の現地医療施設向けの設備投資用融資
プログラムの提供を行います・・・(中略)・・・ GE
ヘルスケアはキジャベ病院を対象に最新式の麻
酔設備の導入に協力します・・・(中略)・・・また、
GEヘルスケアはガン対策戦略を策定し乳ガン・
喉頭ガン・前立腺ガンの診断ユニットを100ヶ所
以上に設置・導入することを約束致します・・・
(再生エネルギー発電容量の拡大への協力等)
(鉄道敷設事業への協力等)
(Kenya Airwaysへの最新式航空エンジンの
供給や、資金融資プログラム提供による協力等)
6
インテルによる医療データ活用ガイドラインの世界展開事例(デンマーク、英国)
インテルの狙い
社会課題
自社主導の団体ルールの各国政府PJからの採用獲得による、同社製品の売上増
医療費の膨張抑制と医療の質向上の両立
インテルによるルール形成アプローチと効果
ルール
形成手法
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
【折衝】 コンセンサス形成・交渉実行
自社アジェンダの提案準備
団体内でルール検討のリード
団体の各国支部を通じ訴求
IT分野での自社プレゼンスを背景とし、
e-ヘルスケア分野の標準策定を目的に産
業横断型の団体を立ち上げ
自国
ステークホルダー
関係図
他社策定の既存技術標準を活かし、
データの汎用性を高める「設計ガイド
ライン」の検討を団体内でリード
外国
自国
国際電気通信連合(ITU)
国際機関
/行政
国際電気通信連合(ITU)
欧州諸国
政府
欧州諸国
政府
CHA
企業/
企業連合
インテル
医療機器・電機・
IT関連企業等
その他
(NGO等)
インテルの
成功要因
(ケイパビリティ)
外国
NGO
•
ルールの設計
•
コンセンサス形成
自国
インテル
医療機器・電機・
IT関連企業等
医療機器・電機・
IT関連企業等
NGO
NGO
規格化を議論
採用を
働きかけ
欧州諸国
政府
CHA
インテル
検討をリード
ガイドライン
案
外国
国際電気通信連合(ITU)
CHA
設立
加入呼掛
自社が立ち上げた団体に加盟する現地
企業・各国支部を通じ、現地政府へ
ルール採用を働きかけ
医療機器・電機・
IT関連企業等
医療機器・電機・
IT関連企業等
NGO
NGO
策定
CHA設計
ガイドライン
政府説得支援
医療機器・電機・
IT関連企業等
NGO
既存ルールを活用し、国際的に参照されるルールを効率的に策定する能力
既存事業での自社プレゼンスを梃子に立ち上げた業界横断的な団体内で、合意形成を行う能力
デ「
ンC
マH
ーA
設
ク計
・
イガ
ギイ
リド
スラ
政イ
府ン
の
の」
採策
定
用に
成
を
獲
得
功
し
、
「CHA*1設計ガイドライン」を活用した製品・企業の増加
得られた
効果
16
イギリス・デンマーク政府によるCHA作成のガイドライン採用により市場における認知度が高まり、ガイドラインを活用した製品・企業が
増えることで、インテルをはじめとするCHA加盟各社の将来的な各社の収益に繋がる見込み
*1 CHA:Continua Health Alliance/コンティニュア・ヘルス・アライアンスの略
出所:インテル公開資料に基づきデロイト トーマツ作成
6
(参考)インテルは、自社主導で策定したCHA設計ガイドラインの国際標準化及び
各国政府からの採用に成功した
CHA設計ガイドラインを採用した機関・政府と対象となったルール
採用した
機関・政府
採用した
ルール
国際電気通信連合
(ITU)
ITU-T.「H.800-H.899:
E-health multimedia
services and
applications 」
 位置づけ
 国際標準
 内容
 ITUの電気通信標準化部門(ITU-T)によるオーディオビジュアル及びマルチメディ
アシステムに関する勧告
 位置づけ
 ヘルスケアデータを取扱うシステムを設計する際のレファレンスガイドライン
デンマーク
遠隔医療行動計画
 内容
 患者の健康状態に関する情報の安全な収集・送信・保存や医療関係文書や画像
の共有、カルテや受診予約等の情報管理を含む医療関連ITのレファレンスガイド
ラインおよび標準
 位置づけ
 政府の遠隔医療・ケアの市場育成を目的としたプログラム
英国
3 Million Lives
17
ルールの位置づけ・内容
 内容
 遠隔医療の市場拡大および長期ケアが必要な300万人に対する遠隔医療・ケア
の提供および選択支援のためのプログラム
出所:コンティニュア・ヘルス・アライアンス日本地域委員会「コンティニュア・ヘルス・アライアンスの取り組み」、日本ITU協会ウェブサイトに基づきデロイト トーマツ作成
7
シーメンスによる電気モーター関連EU規則制定働きかけ事例(EU)
シーメンスの
狙い
社会課題
自社に有利な国際規格の普及による自社製品の売上増
産業分野における電力消費量の増大(世界の電力消費量の約3割が産業用電気モーターによるもの)
シーメンスによるルール形成アプローチと効果
ルール
形成手法
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
【折衝】 コンセンサス形成・交渉実行
自社アジェンダの提案準備
自社に有利なルール化の主導
複数の業界団体と連携
IEC TC22(パワーエレクトロニクス技術
委員会)の議長ポジションを獲得し、TC
におけるアジェンダ設定をリード
自社に有利な電気モーターの環境
効率測定方法を反映した規格案の作成
をリード
自国
ステークホルダー
関係図
外国
自国
国際機関
/行政
シーメンスの
成功要因
(ケイパビリティ)
欧州機関
TC22の議長
ポジション獲得
ドイツ政府
IEC
欧州機関
規格案検討
をリード
業界団体
(CEMEP、
CAPIEL等)
シーメンス
NGO
NGO
•
ルールの設計
•
コンセンサス形成
採用の
獲得
IEC
規格
欧州機関
業界団体
(CEMEP、
CAPIEL等)
シーメンス
IEC規格
案
NGO
ドイツ政府
業界団体
(CEMEP、
CAPIEL等)
シーメンス
シーメンス
ブリュッセル
事務所
その他
(NGO等)
外国
IEC
ドイツ政府
企業/
企業連合
自国
シーメンス
ブリュッセル
事務所
NGO
連携
NGO
シーメンス
ブリュッセル
事務所
NGO
標準化機関におけるリーディングポジションを活用し、自社に有利な規格策定へ議論を導く能力
自社現地事務所の渉外部門を中心に、複数の業界団体を通じて欧州機関へ提案する能力
自社に有利な国際規格の普及によって、自社モーターに優位性のある市場が拡大
得られた
効果
18
欧州域内で2割程度であった高効率モーターの普及率が、ルール形成後には7割以上に拡大するなど、
シーメンスが強みを持つ高効率モーター市場が拡大
*1 CEMEP: European Committee of Manufacturers of Electrical machines & Power Electronics の略
*2 CAPIEL: European Coordinating Committee of Manufacturers of Electrical Switchgear and Control gearの略
出所:シーメンスHP公開資料
論点を
インプット
議長・副議長
として主導
「
「欧
I州
E委
C員
会
規
則
640/2009
60034-30
IEC
外国
自社が主要ポストをつとめる複数の業界
団体を活用し、IEC規格を欧州議会・
欧州委員会に訴求
に
お
い
て
、
」
の
採
用
を
獲
得
」
(参考)シーメンスは、欧州委員会規則を通じて、自社の強みとする高性能電気モータ
への強制的な切り替えを促し、自社製品の普及に成功した
ルール形成前・形成後の欧州における電気モータ性能の比較
ルール形成前
ルール形成後
欧州では、シーメンスの高性能電気モータを
評価できる指標が欠如
⇒CEMEPに基づくStandard Efficiency
(EFF2)が主流
「欧州委員会規則
EC No.640/2009」
により、IE2基準以上を強制ルール化
 IE2効率レベル以上のモータの使用
欧州にてシーメンスの高性能電気モータを
評価できるIEC基準を採用・強制化
⇒IECに基づく高効率モータ(IE2、IE3)
が主流に
を義務化(2011年6月~)
従来の電気モーター性能測定基準(イメージ)
CEMEP*1
IEC
 IE3効率レベル以上の7.5-375kW
定格出力モータ の使用を義務化
新たな電気モーター性能基準(イメージ)
CEMEP*1
(2015年1月~)
高効率
IEC
高効率
シーメンス
主力領域
シーメンス
主力領域
IE3
Super
Efficiency
IE3
強制化
Super
Efficiency
EFF1
IE2
Energy
Efficiency
Energy
Efficiency
EFF2
Standard
Efficiency
IE1
主流 Standard
電気モータ効率
主流
電気モータ効率
7
Efficiency
EFF3
低効率
19
Below
Standard
Efficiency
*1 CEMEP: European Committee of Manufacturers of Electrical machines & Power Electronicsの略
*2 IE3効率レベル以上の0.75-375kWの定格出力モータの使用については、2017年1月より義務化予定
EFF1
IE2
Energy
Efficiency
Energy
Efficiency
EFF2
IE1
Standard
Efficiency
Standard
Efficiency
EFF3
低効率
Below
Standard
Efficiency
8
フィンランド・ネステによるバイオ燃料市場拡大を目的とした政策提言事例(EU)
ネステの狙いX
社会課題
バイオ燃料の混合比率及び使用比率目標の義務づけによる需要の喚起
EU域内におけるCO2削減目標の未達
ネステによるルール形成アプローチと効果
ルール
形成手法
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
【折衝】 コンセンサス形成・交渉実行
自社アジェンダの提案準備
他社を勘案したルール案の作成
業界他社との連携
将来のバイオ燃料使用の一定比率の
義務化を見据えて、先んじた商品化と当局
とのパイロット実験を実施
国際機関
/行政
自国
外国
自国
外国
自国
フィンランド
政府
欧州機関
フィンランド
政府
欧州機関
フィンランド
政府
ネステ
バイオ燃料
企業
(ケイパビリティ)
NGO
•
ビジネスとルールの関係分析
•
コンセンサスの形成
欧州機関
状況把握
ネステ
自社製品が
EN590に適合
NGO
NGO
バイオ燃料
企業
ネステ
NGO
NGO
再生エネル
ギー指令案
再生エネル
ギー指令案
連携を
呼掛け
バイオ燃料
企業
NGO
ルール動向・政策ニーズを把握し、自社が潜在的に有している強みと合致させることができる能力
業界のリーディングカンパニーとして、業界全体が裨益しうる詳細な制度案を設計する能力
再生可能エネルギー使用の義務化とバイオ燃料の使用比率の引上げを追い風に、自社バイオ燃料事業を拡大
得られた
効果
20
ネステのバイオ燃料生産量は、2014年にフィンランドの乗用車すべてを2年間走行させることが可能な量にまで拡大し、
同社の再生エネルギー部門欧州売上高は継続して増加
出所:ネステHP公開資料に基づきデロイト トーマツ作成
の
新
設
・
改
訂
に )
成 と
功
(2009/EC/28
自社製品が
EN590に適合
その他
(NGO等)
外国
ルール案
を提案
パイロットPJ支援の獲得
企業/
企業連合
ネステ
の成功要因
バイオ燃料業界内他社と共同歩調を
とって欧州議会・欧州委員会で意見表明
( 2009/EC/30
ステークホルダー
関係図
再生可能エネルギー利用の拡大を目的
とするEU指令への要望を、バイオ業界
他社も賛同できる内容で詳細化
燃再
料生
品可
質能
指エ
令ネ
ル
ギ
ー
指
) 令
9
ダウ・ケミカルによる、REACH規則導入時の修正提案実現事例(EU)
ダウの狙い 新たな化学物質規制によって生じるコスト増の回避
社会課題
有害な化学物質の規制と経済活動への悪影響の軽減の両立
ダウによるルール形成アプローチと効果
ルール
形成手法
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
【折衝】 コンセンサスの形成・交渉実行
ルール形成の経営アジェンダ化
ルール修正草案の策定に関与
内外の交渉手段の総動員
REACH規則原案に自社意見を反映させ
ることを重要経営アジェンダとして設定
欧州委員会の内部と外部の両方からアプ
ローチを行い、REACH規則修正草案の
策定に関与
自国
ステークホルダー
関係図
米国政府
欧州機関
外国
米国政府
REACH規則
原案の分析
ダウ
企業/
企業連合
経営アジェンダ
設定
その他
(NGO等)
(ケイパビリティ)
自国
自国
外国
説得
国際機関
/行政
ダウの
成功要因
外国
EUにおける有力加盟国の方針転換を狙
い、米国大使館を介した説得や業界団体
によるロビイングも並行実施
NGO
ダウ
ヨーロッパ
ルールの設計
•
交渉実行
REACH規則
原案への
自社意見
NGO
米国政府
大使館からの
支援獲得
ダウ
ヨーロッパ
ダウ
欧州化学
工業連盟
NGO
•
欧州機関
REACH規則修正
草案の策定に関与
ダウ
欧州化学
工業連盟
NGO
欧州機関
ロビイング
ダウ
ヨーロッパ
欧州化学
工業連盟
NGO
NGO
自社のコスト増を回避するために効果的なポイントを特定し、具体的な修正案に落としこむ能力
強制性を持つ主要規則の形成過程を熟知し、現地大使館や業界団体等の交渉手段を総動員する能力
リード
「
R規
E制
A対
象
C物
H質
規絞
り
則込
み
」
へや
自登
録
社業
務
意簡
見素
化
を
反
映
な
ど
、
コスト増の回避に成功
得られた
効果
REACH規則による規制の対象から自社売上の50%前後を占めていたポリマーが除外されたほか、
生産量が10t以下の化学物質がSDS*1提出義務付けの対象外となったことで、コスト増を回避することに成功
*1 SDS: 安全データシート(Safety Data Sheet)
出所: ECHA Website、 欧州委員会 ”White Paper: Strategy for a Future Chemicals Policy”、 Arhur A. Daemmrich“International Lobbying and the Dow Chemical Company”に基づきデロイト トーマツ作成
21
9
(参考)ダウ・ケミカルは、欧州委員会のホワイトペーパーに対して多様な手法で
働きかけ、自社意見の反映を行った
ホワイトペーパー(一部抜粋)
ホワイトペーパーに対するダウ・ケミカルのアクション
 欧州委員会へ修正事項を提言
 2003年初頭より欧州委員会が意見公募を開始した
オンライン・コンサルテーションにて修正提案事項を
インプット
 米国大使館を通じ次期EU議長国ギリシャ政府へ
働きかけ
• 化学物質に関する情報を生み出す責任は
企業サイドに課されるべきである。
• 企業はまた、その用途において
安全である化学物質のみが市場に出されていることを
証明すべきである。
⇒企業サイドに化学物質の安全性を証明する
ための書類作成を義務付け(別章)
 Andrew Liveris CEOらが在アテネ米国大使館訪問。
米国大使館に対し、ギリシャ政府及び同国高官への
働きかけを要請
【ダウ・ケミカル CEO】
Andrew Liveris 氏
• 国際化学品工業協会元会長(2006年)
• 米国化学工業協会議員
 欧州委員会と共同で草案を策定
 2004年、欧州機関との政策形成討議へ参加、(a): 規制
対象からポリマーを除外、(b): 生産量が10t以下の化学
物質へはSDS提出義務付けを外す、などの意見の反映
を提言
 欧州委員会により招集される技術委員会へ参加、
REACH規則原案へと自社の意見を反映させるアプロー
チを開始
 欧州当局との最終対話の場で、自社主張を再提示
 2006年11月、政策形成過程に携わってきた主要メン
バーが集まるREACH規則最終案の取りまとめ会議に
おいて、最終の意見陳述
22
出所:欧州委員会「White Paper “Strategy for a future Chemicals Policy”」、Arthur A. Daemmrich “International Lobbying and the Dow Chemical Companyに基づきデロイト トーマツ作成
10 アムコール等による大手食品メーカー調達基準におけるPAS採用の獲得事例
アムコール等
の狙い
PAS認証取得を大手との取引条件とすることによる安定した取引の増加
社会課題
加工食品の生産・流通過程における安全性の未確立
アムコール等によるルール形成アプローチと効果
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
自社アジェンダの業界アジェンダ化 既存組織を活用しルール案を検討
ルール
形成手法
食の安全の実現のために既存NGOを
活用し、食品包装材の新規格の策定を
他社に呼び掛け
ステークホルダー
関係図
国際機関
/行政
企業/
企業連合
(ケイパビリティ)
発行したPASが取引に際しての要求事
項として採用されるよう、策定に関与して
いない大手食品メーカーにも働きかけ
外国
自国
外国
自国
外国
政府
政府
政府
政府
政府
政府
大手
食品メーカー等
大手
食品メーカー等
大手
食品メーカー等
大手
食品メーカー等
大手
食品メーカー等
議論
呼びかけ
アムコール等
活用
SSAFE*1
•
•
自社主導規格の調達基準化
自国
アムコール等
その他
(NGO等)
アムコール等
の成功要因
既存NGO「SSAFE」を会議体として活用
し、食の安全に資するような食品包装材
PAS規格案の策定をリード
【折衝】 コンセンサス形成・交渉実行
アジェンダ提起
コンセンサス形成
BSI*2(UK)
SSAFE
アムコール等
PAS
規格案
PAS
策定依頼
BSI*2(UK)
SSAFE
採用獲得
大手
食品メーカー等
PAS
規格
BSI*2(UK)
既存NGOを活用し、自社に利害が大きいアジェンダを業界全体のアジェンダへと昇華する能力
顧客を巻き込みながら作成することで、新規格の必要性の理解を早期に獲得する能力
P
A複
S数
2の
2大
3手
認食
証品
の・
義飲
務料
化企
や業
奨に
励よ
を る
獲
得
自社製品の納入量増加が見込まれる競争環境の創出に成功
得られた
効果
23
PAS223認証の取得をカーギルらメジャープレーヤーの仕入先選定基準に盛り込むことで、調達網における自社プレゼンスを強化。PAS
認証を取得していない企業と比較して、自社食品包装資材の納入量増加が見込まれる競争環境を作り出すことに成功
*1 SSAFE:Safe Supply of Affordable Food Everywhereの略 *2 BSI: British Standards Institution/英国規格協会
出所: BSI グループジャパン「PAS223:2011 食品包装材の製造と供給における食品安全のための前提条件プログラムと設計の要求事項」 に基づきデロイト トーマツ作成
10 (参考)アムコール等PAS223策定に携わった食品関連企業は、他の大手食品
メーカーにもサプライヤー要件としてPAS 223の採用を働きかけた
PAS223策定における主要関係者
カーギルの食品・飼料サプライヤー要件
■ PAS 223は、食品包装材メーカーらも加盟するSSAFEが主体となり
策定された
■ カーギルら大手はPAS 223規格取得をサプライヤーへ義務付け
役割
作成主体
ステアリング・
コミッティー
メンバー
24
Cargill Supplier and External Manufacturer
Requirements Manual
(一部抜粋)
組織・会社名
 Safe Supply of Affordable Food
Everywhere(SSAFE)
Amcor
Tetra Pak
Alpha
Rexam
Danone
Coca-Cola
Kraft Foods
Unilever
Nestle
FSSC
Owens-illinois
Institute of Packaging
Professionals
Procert
Food Safe Alliance of
Packaging
大
手
食
品
メ
ー
カ
ー
に
採
用
を
働
き
か
け
• 食品・飼料サプライヤは、その加工設備及びシステムにおいて
PAS223:2011 Prerequisite programmes and design
requirements for food safety in the manufacture and
provision of food packaging を満たさなければならない
出所:BSI グループジャパン「PAS223:2011 食品包装材の製造と供給における食品安全のための前提条件プログラムと設計の要求事項」、
Cargill Supplier and External Manufacturer Requirements Manual に基づきデロイト トーマツ作成
11 デュポンの世界食糧安全保障指数の策定による新市場開拓事例(エチオピア)
デュポンの
食糧危機リスクの高い国における事業機会の創出
狙い
社会課題
途上国における慢性的な食糧不足・栄養不足の蔓延
デュポンによるルール形成アプローチと効果
ルール
形成手法
【準備】ビジネスとルールの関係分析・アジェンダ提起
【設計】 ルールの設計
【折衝】 コンセンサス形成・交渉実行
先進的なアジェンダの特定
ルール案策定専門機関の活用
企業トップが政府やNGOと対話
自社が解決可能な食糧危機リスクの
可視化のためのベンチマークツール開発
を決定
国際大手メディアの分析チームと連携し、
共通のベンチマークツールを開発
自社策定指標普及のため、各国政府や
NGOに対し、CEO自ら指標の活用を広く
呼びかけ
ステークホルダー
関係図
自国
外国
自国
外国
自国
国際機関
/行政
政府
各国政府
政府
各国政府
政府
外国
各国政府
採用獲得
ニーズ把握・
ツールの展開可能性検討
連携・
指数開発
企業/
企業連合
デュポン
その他
(NGO等)
NGO
Aspen
Institute等
•
アジェンダ提起
自社事業が解決可能な、新興国の社会課題(食糧危機)を可視化する政策アジェンダの提起能力
•
コンセンサス形成
デュポンの
成功要因
(ケイパビリティ)
EIU
デュポン
世界食糧
安全保障
指数
NGO
EIU
デュポン
Aspen
Institute等
NGO
世界食糧
安全保障
指数
賛同獲得
EIU
Aspen
Institute等
自社本位の主張と受け取られない形で、自社策定ルールを広く浸透させる能力
エチオピア政府など各国政府との連携を実現し自社農業製品事業を拡大
得られた
効果
25
世界食糧安全保障指数を用いた分析を基に、新興国政府との連携等から事業機会を創出
出所:The Economist誌Website に基づきデロイト トーマツ作成
*1 EIU: The Economist Intelligence Unitの略
「
世毎
年
界更
食新
・
糧公
開
安さ
全れ
る
保、
自
障社
事
指業
数の
拡
大
」
を
策
定
・
活
用
ツ
ー
ル
と
し
て
11 (参考)デュポンは、自社が主導して策定した世界食糧安全保障指数(GFSI)を
活用し、新興市場での事業を拡大している
GFSIにおけるエチオピアの評価
GFSIを活用したエチオピアへの市場参入事例
 デュポンは、自社が主導して作成したGFSIを活用し、エチオ
ピアの食糧安全保障の状況を分析
 GFSIを活用した分析結果を利用し、エチオピア政府との
連携を通じて、発展途上国における事業機会を創出
 Advanced Maize Seed Adoption Program
(AMSAP)
エチオピアは
109カ国中89位
ランキングのスコアリング指標
1. Affordability
1.1 Food consumption as a
share of household
expenditure
1.2 Proportion of population
under the global poverty line
…
3. Quality & Safety
3.1 Diet diversification
3.2 Nutritional standards
3.2.1 National dietary
guidelines
1.6「農家向け融資へのアクセ
3.2.2
National nutrition plan or
ス」2.2「農業R&Dへの公的支
strategy
出」の数値が低い市場では、
 現地企業との協働による栄養向上支援
• 現地の加工食品会社FAFFA Foodと協働し、デュ
ポンの製品を用いた栄養強化豆乳を開発。
• FAFFA Foodは、AMSAPで収穫されたトウモロコ
シも原料の一部として利用
…
26
…
1.5 Presence of food safety
net programmes
1.6 Access to financing for
farmers
2. Availability
2.1 Sufficiency of supply
2.1.1 Average food supply
2.1.2 Dependency on chronic
food aid
2.2 Public expenditure on
agricultural R&D
2.3 Agricultural infrastructure
世
界
食
糧
安
全
保
障
指
数
を
活
用
• 現地の小規模農家に改良トウモロコシや農薬使用
法や収穫高を増やすための土壌分析技術を中心と
した最新農耕法教育を提供
無償の種子・農薬支援
3.4 Protein quality
のニーズがある
と分析
2.7 Urban absorption capacity 3.5
Food safety
2.8 Food loss
2015年7月、オバマ大統領がFAFFAを視察
出所:Global Food Security Index、デュポンウェブサイト、パイオニアウェブサイト、USAIDウェブサイト、FAFFA Foodサイト等 に基づきデロイト トーマツ作成
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