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No. 104 - 情報規格調査会

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No. 104 - 情報規格調査会
No. 104
2014 年 12 月
標準活動トピックス:
目
次
ハッシュ関数の脆弱性と技術標準における対応 ............................................................. 2
松尾 真一郎((独)情報通信研究機構)
羽田空港・成田空港における顔認証自動化ゲート実験 .................................................... 5
坂本 静生(日本電気(株))
国際規格開発賞の表彰 ................................................................................................ 8
平成 26 年度 工業標準化事業表彰、2014 年 IEC(国際電気標準会議)1906 賞 の紹介........... 9
声のページ: これまでの標準化活動を振り返って思うこと ................................................... 10
北野 敏明(新日鉄住金ソリューションズ㈱)
2014 年 12 月以降 国際会議開催スケジュール .............................................................. 10
解説: 開催報告 情報処理学会短期集中セミナー「画像・音声符号化伝送技術~最前線と標準化動向~」 11
高村 誠之(日本電信電話(株))
最近の国際会議から:
SWG on Directives 会議報告 ........................................................................................... 14
鈴木 俊宏(日本オラクル(株))
SWG on Planning 会議報告 ............................................................................................. 16
伊藤 智((独)産業技術総合研究所)
SWG on Management 会議報告 ...................................................................................... 17
伊藤 智((独)産業技術総合研究所)
SC 7(Software and Systems Engineering)総会報告 ...................................................... 18
谷津 行穗((株)シンフォーム)
SC 22(Programming languages, their environments and system software interfaces)総会報告 ..... 23
石畑 清(明治大学)
SC 24(Computer Graphics, image processing and environmental data representation)総会報告 .... 24
青野 雅樹(豊橋技術科学大学)
SC 25(Interconnection of Information Technology Equipment)総会報告 ...................... 28
宮島 義昭(住友電気工業(株))
SC 28(Office Equipment)総会報告 ............................................................................... 30
小澁 弘明(NPO エコデザイン推進機構)
SC 36(Information Technology for ELT)総会報告......................................................... 31
平田 謙次(エキスパート科学研究所)
編集後記 ............................................................................................................... 32
<標準活動トピックス>
ハッシュ関数の脆弱性と技術標準における対応
松尾 真一郎((独)情報通信研究機構)
1. はじめに
情報セキュリティは,インターネットの普及,そし
てクラウドや IoT など通信形態の高度化に従い,その
重要度は非常に高まっており,我々の生活の安全性に
も大きな影響を与えるようになっています.情報セキ
ュリティは設計,技術,運用など様々な側面の組み合
わせによって実現されますが,技術的側面では暗号技
術がその大きな基盤となっています.
暗号技術は,主に数学的な理論を情報セキュリティ
に応用して実現されているものですが,人間が設計す
るものであるため,何らかの理由で脆弱性を含むこと
があります.一方で,暗号技術は基盤的な技術で多く
の情報システムや製品に部品として組み込まれてお
り,万が一脆弱性が発見された時には,漏れのないソ
フトウエアの入れ替えや製品の交換などで,その問題
の修正に大きなコストを払う必要が出てきます.昔か
ら,このような脆弱性への対応の問題は認識されてい
ましたが,技術やネットワークがオオープンになり,
技術標準に従って広く実装されるようになると,一部
の専門家だけでなく技術標準を利用する広い範囲の
システム,製品,利用者などが,その問題を認識する
必要がでてきます.さらに,脆弱性に対応するための
効果的なプロセスを確立する必要がでてきます.
本稿では,標準的な暗号技術の 1 つであるハッシュ
関数である SHA-1 に 2004 年以降発生した脆弱性の
ケースに着目しその対応の経緯をまとめるとともに,
現在標準化機関で行われている暗号技術の脆弱性に
対する取り組みを紹介し,今後の脆弱性への対応の方
向について述べます.
2. 暗号技術と脆弱性
暗号技術は,主にはネットワーク上をやりとりされ
る情報や,パソコン,サーバ,スマートフォンなどに
蓄積される情報のアクセス制御を行う目的で利用さ
れます.つまり,暗号技術においては,鍵と呼ばれる
特定の情報を保持している利用者やデバイスのみが
暗号化された情報から元々の情報を取得することが
可能であり,それ以外の利用者やデバイスにとっては,
暗号化された情報からは元々の情報をえることがで
きません.狭い意味での暗号技術は秘匿性のための技
術ですが,この暗号技術を応用することで,情報の非
改ざんを示すための技術(ハッシュ関数,タイムスタ
ンプ),情報の作成者を証明する技術(電子署名,メ
2
ッセージ認証子),通信相手を認証する技術(エンテ
ィティ認証)などが開発され,これらを総称して広い
意味での暗号技術として扱われてます.
これらの暗号技術は,内部で利用されているアルゴ
リズムへの攻撃に必要な計算機能力が莫大となるこ
とをその安全性の根拠にしています.例えば,秘匿性
のための暗号技術として有名な RSA 暗号は,桁数の
大きい素因数の分解が難しいという数学的に困難と
される問題を根拠に設計されています.しかし,暗号
技術には困難であると思われていた暗号技術への攻
撃が,想定よりも容易になることがあります.これを
暗号技術の危殆化と呼びます.暗号技術の危殆化が発
生する要因は大きく分けて 2 種類あり,1 つが計算機
技術の発展により単純に計算機能力が向上すること
によるもの,もう 1 つが暗号技術の設計そのものに問
題があり,その問題を攻撃に応用することで想定より
も簡単に攻撃を行えるようになるものです.後者の問
題のことを,暗号技術の脆弱性と呼びます.
暗号技術のように,安全な通信と情報処理のための
根幹となる技術は,互換性の確保と同時に,広くシス
テムやインターネット全体の安全性を保ち続けるた
めに,安全性が確認された技術を技術標準とする必要
があります.一方で,暗号技術の脆弱性は,その技術
が標準となり,利用されるようになった後に明らかに
なることもあります.そのため,暗号技術に関わる技
術標準においては,脆弱性が発生したときの対応を考
慮する必要があります.特に,2004 年に発見された
標準ハッシュ関数 MD5,SHA-0(SHA-1 のプロトタ
イプ版)などの脆弱性とその対応は象徴的な事例とな
りました.次節で,その経過について紹介します.
3. ハッシュ関数の脆弱性発見と対応
2004 年 8 月に米国サンタバーバラで行われた,暗
号技術のトップカンファレンスである CRYPTO にお
いて,標準的に利用されていたハッシュ関数 MD5,
SHA-0(SHA-1 のプロトタイプ版)などの脆弱性が
発表されました.ハッシュ関数は,前述の通り情報の
非改ざんを示すために直接的に使われますが,情報の
作成者や情報の中身を証明する電子署名技術の一部
としても使われます.電子署名技術の中で利用される
ハッシュ関数が脆弱になると,電子署名の偽造や改ざ
んが可能となります.電子署名は,例えば公的個人認
証サービス,住民基本台帳カード,運転免許証,電子
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
パスポートなどで使われており,電子署名の改ざんや
偽造が容易になると,社会的なインフラストラクチャ
ーに対して大きな影響が出てきます.
ハッシュ関数の安全性については,この脆弱性の発
見を契機として研究が大きく進展しました.その中で,
米国標準である SHA-1 を含む ISO/IEC 101183:2004 に含まれていた多くの標準ハッシュ関数に
ついて,当初の設計で想定していた安全性が確保でき
ていないことがわかりました.この時点では,前述の
SHA-1 の他に,SHA-2(SHA-256, SHA-384, SHA512 の総称)というハッシュ関数が米国標準として定
められていました.SHA-1 については脆弱性が発見
された一方,SHA-2 については現時点でも大きな脆
弱性は発見されていませんが,SHA-2 の設計思想が
SHA-1 に近いこともあり,米国標準を定める NIST
(National Institute Standard and Technology)
は,SHA-2 の後継のハッシュ関数として SHA-3 の選
定を 2007 年に開始しました.SHA-3 アルゴリズム
は,近年米国標準で用いられている全世界からの公募
による技術の選定を行い,2012 年にベルギーから応
募された Keccak と呼ばれるアルゴリズムが選定され
ています.その後,NIST による標準技術文書の策定
作業が行われ,2014 年に正式に SHA-3 としての仕
様が確定し,公開されました.現在は,米国において
は,脆弱性が存在しない標準ハッシュ関数として
SHA-2 と SHA-3 が存在することになります.
前述したとおり,ハッシュ関数は単独で使われるだ
けでなく電子署名アルゴリズムを構成する技術であ
るために,電子署名アルゴリズムについても脆弱性へ
の対応が必要となりました.米国では,SHA-1 を構
成要素として用いているハッシュ関数の使用の中止
する計画を 2007 年に決めました.そのプロセスは,
2010 年には SHA-1 を含む電子署名の使用を中止す
るというものでした.このプロセスから,ハッシュ関
数の脆弱性対応のことを「暗号の 2010 年問題」と呼
ぶようになりました.その後,この移行計画は時期が
変更され,2010 年に SHA-1 を含む電子署名の付与
を中止し,2013 年に SHA-1 を含む電子署名自体の
利用を不可とすることになりました.日本においても,
電 子 政 府 推 奨 暗 号 を 選 定 を 行 う CRYPTREC
( Cryptographic Reseacch and Evaluation
Committees)が中心となり,SHA-1 を含むハッシュ
関数の安全性評価を行うとともに,電子署名アルゴリ
ズムの安全性の評価を実施しました.その評価の結果
に基づき,内閣官房セキュリティセンタ(NISC)で
は,電子政府システムにおける暗号技術の移行指針を
策定しました.現在の計画では,2014 年 9 月下旬以
降の早期に,より安全な暗号技術の移行を開始し,
2019 年度末頃には,安全な暗号アルゴリズムへの移
行を完了する予定になっています.
3
国際標準においても,ハッシュ関数の脆弱性の発見
により標準の改訂が行われました.暗号アルゴリズム
の国際標準化が主に行われているのは ISO/IEC JTC
1/SC 27 となりますが,最新動向としては,2014 年
に仕様が固まった SHA-3 が ISO/IEC 10118-3 に追
加されることが決定し,現在その改訂作業が始まって
います.また,ハッシュ関数の安全性の研究の進展を
反映するために,安全なハッシュ関数の技術基準を規
定する ISO/IEC 10118-1 についても改訂が行われ
ています.
4. 暗号技術の脆弱性に対する ISO/IEC JTC 1/SC
27/WG 2 の考え方
2004 年に出現した暗号技術の脆弱性の問題は,暗
号技術の標準化のあり方に大きな変化をもたらしま
した.それまでは,新しく開発された暗号技術をその
必要性に応じて順次標準化していくことが主要な課
題でした.しかし,暗号技術は開発されてから,時間
の経過とともに,その安全性が低下していく,いわゆ
る「経年劣化」のようなことが発生するという前提で
技術標準を考える必要が出てきました.これは,進化
する攻撃能力に対して技術の安全性に配慮するとい
う,互換性を確保する以上の課題が技術標準化に必要
になったことを示しています.
2006 年以降,ISO/IEC JTC 1/SC 27/WG 2(以下
SC 27/WG 2)では,経年劣化を含む暗号技術のライ
フサイクルを扱うための議論が重ねて行われてきま
した.その結果として,以下の 4 つの新しい考え方が
導入されました.
(1) 新しく暗号技術を標準化する際の基準の強化
ある暗号技術の標準化を開始する際に,当該技術の
安全性の評価を強化する.具体的には,あらかじめ指
定された権威ある暗号の論文誌やトップレベルの国
際会議において評価され,かつ一定期間経過すること
で攻撃への耐性の評価が固まった技術を標準化の対
象とする.このプロセスは ISO/IEC 18033-1 の
Annex と,SC 27/WG 2 Standing Document5 に
記載する.
(2) 標準化された暗号技術の最新の安全性に関わる
状況の把握
暗号技術の脆弱性は予期せずに発見されることか
ら , 定 期 的 に そ の 状 況 を 把 握 し , SC 27/WG 2
Standing Document4 としてとりまとめて共有する.
またこの Standing Document を公開し,標準化文書
を参照して情報システムや暗号技術を利用した製品
を開発する人に安全性に関するガイドを提供するこ
とで,安全な暗号技術の利用を促進する.
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
(3) 暗号技術の脆弱性が発見された際の,標準化団
体間,および関連機関との情報共有
暗号技術は,様々な情報システムや製品で利用され
るとともに,異なる標準化団体による技術標準で参照
されている.そのため,ある技術標準に関わる脆弱性
の情報を共有するための Standing Documet(SD6)
の作成が始まっている.
(4) 脆弱性が発見された暗号技術の標準からの削除
ISO/IEC の技術標準としての安全性をクリアして
いないと判断されるときの削除の考え方と手続きも
議論され,Standing Document(SD5)として文書
化された.基本的な基準としては,(1)で示した基準
が満たされなくなった際に,削除の検討を行うことに
なっている.
6. まとめ
現在,暗号技術は知らないうちに我々の身の回りで
利用されており,その脆弱性は大きく我々の生活の安
全性に影響を及ぼします.2004 年に発生したハッシ
ュ関数の脆弱性により,その暗号技術が経年劣化する
可能性と,技術標準がその経年劣化に対応する必要性
を改めて認識することになりました.ハッシュ関数の
脆弱性での経験を生かし,今後発生するであろう脆弱
性に対しても,迅速かつ効果的に対応できる体制に向
けた動きが今後より求められていきます.ISO/IEC や
IETF など,暗号技術の標準化を行っている機関から
の効果的な情報発信を含めて,引き続き活動を強化し
ていく必要があります.
5. 暗号技術の今後の標準化について
前述したように,暗号技術の標準化においては,新
しい技術の標準化を行う際の技術の安全性の評価だ
けでなく,標準化が完了した後にも,日々高度化する
新たな攻撃方法を考慮して,その安全性を監視し,安
全な技術標準を保ち続ける努力が必要です.一方で,
既存の標準化機関によるプロセスや体制においては,
暗号技術を評価しつづける手続きやリソースを確保
することは容易ではありません.そのため,暗号技術
の安全性評価を行う学術的なコミュニティと,標準化
機関との連携が重要となってきます.近年,このよう
な動きが始まりつつあります.暗号技術と通信を組み
合わせて高度なセキュリティ機能を実現する暗号プ
ロ ト コ ル の 標 準 化 を 主 に 実 施 し て い る IETF
(Internet Engineering Taks Force)では,IRTF
( Internet Reserch Task Force ) の 中 に CFRG
(Cryptographic Research Forum Group)を設置
し,研究の観点から暗号技術の評価を行っており,そ
の議論の成果が IETF における標準化に反映されてい
ます.また,2013 年には,暗号プロトコルの安全性
評価技術に関する議論と評価結果の集約を行う暗号
プロトコル評価技術コンソーシアム(CELLOS)が発
足し,ISO/IEC や IETF における技術標準の評価と,
標準化プロセスへの反映を行っています.直近におい
ても CELLOS で議論された評価報告書が ISO/IEC
SC 27/WG 2 に提出され,暗号技術の脆弱性の修正
に 利 用 さ れ ま し た . さ ら に , 2014 年 か ら SSR
(Security Standard Reserech)と呼ばれる学術と
技術標準化を連携させる国際会議が始まる予定です.
このように,技術標準として規格化される技術が安全
性を保つための標準化機関と学術コミュニティの連
携が進んでおり,今後その連携が強まることが期待さ
れます.
4
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
羽田空港・成田空港における顔認証自動化ゲート実験
SC17 国内委員会 WG4・WG11 主査
SC37 専門委員会 WG3 幹事
坂本 静生(日本電気(株))
1. はじめに
我が国は 21 世紀の国づくりの柱のひとつとして,
地域経済の活性化や雇用機会の増大に繋がる「観光立
国」を今後の経済成長分野の中心施策として推進して
おり[1],訪日外国人を 2020 年に 2,000 万人まで増
加させる目標を掲げている.このことを受け,一翼を
担う法務省は海外からの渡航者に気持ちよく日本を
訪れていただくために,速やかに出入国の審査を行え
るような具体的な方策の検討を行っている.
このとき国民の安全・安心のために,水際でのテロ
対策等の厳格な審査も同時に実現できる必要がある.
さらに審査を行う海港や空港のスペース及び審査を
担当する人員には限りがあることも鑑み,方策のひと
つとして日本人に対しては自動化ゲートを活用する
ことによりスペースと人員を確保することで,外国人
審査に手厚く対応することを検討している.
2. 顔認証による自動化ゲート
頻繁に国際会議に出席される方,社用や私事にて海
外に行かれる方は既にご存知かと思うが,成田国際空
港,中部国際空港,関西国際空港(以上会社管理空港)
及び東京国際空港(通称羽田空港,以上国管理空港)
に指紋認証による自動化ゲートが設置運用されてい
る[2].このように度々海外渡航される方は指紋を登
録しておくことで,パスポートへの出入国のスタンプ
も省略されてスムーズに通過でき便利である.しかし
あらかじめ指紋を登録しないと利用できないのがネ
ックであり,全ての日本人渡航者が利便性を享受でき
るものではない.
2006 年 3 月より外務省は IC パスポートの発給を
開始しており,パスポート内の IC チップには国際標
準に準拠して,券面に記載された氏名などの情報とと
もに顔画像が記録されている[3].従ってこの,全て
の IC パスポートに記録された顔画像を用いることで,
正しいパスポートの持ち主であるかどうかを認証す
ることができればメリットが大きい.パスポートは最
大 10 年の有効期限であるので,2016 年には国民が
所持するパスポートは全て顔画像が記録された IC パ
スポートへ切り替わっており,安全・安心かつ公平な
行政サービスが可能となるといえる.
しかし、顔認証の導入にあたっては,国民の安全・
安心にかかわることであるために事前に様々な評価
を行うべきである.特に現場での実証実験は,導入に
5
おける問題点を洗い出すために非常に重要である.法
務省は 2014 年 8 月,成田国際空港及び東京国際空港
において,ひと月をかけて実証実験を行った[4].こ
の記事を読まれておられる方の中には,この時期に国
際会議出席のため,あるいは家族や友人たちとの楽し
い海外旅行のために渡航され,実際の実験ブースをご
覧になったり実験にご協力されたりした方もおられ
るのではないだろうか.このときのあるベンダーの実
証実験用のブースが,東京国際空港の Facebook で公
開されている(図 1 参照).
図 1 羽田空港国際ターミナルに設置された実証
実験ブース
( https://www.facebook.com/TokyoInternat
ionalAirTerminal?fref=photo より引用)
図 2 実証実験のイメージ図
( http://www.moj.go.jp/content/000125320.
pdf より一部を引用)
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
図 3 IC パスポートに埋め込まれた IC チップ(外務省ホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000007937.pdf より一部を引用)
実証実験では(1)旅券読取台で IC パスポートを読み
取らせた後,(2)旅券読取台で顔画像を撮影して IC パ
スポートから読み取った顔画像と比較,さらに(3)ウ
ォークスルーの形式で顔画像を撮影して同様に比較,
そして(4)実験終了・退出するという手順で進められ
た(図 2 参照).この実証実験結果に基づいて法務省
は今後の方策の検討を進めるものと思われる.
3. 顔認証における標準化と認証精度
この空港での顔認証実証実験を遂行するにあたり,
大きく二つの種類の国際標準が関わっている.また,
顔認証技術の急速な進展も実用化検討を後押しする
要因である.それぞれ順を追って以下に説明する.
パスポートにおける標準化
日本国発行のパスポートには顔写真が券面に印刷
されるとともに,冊子中のやや厚めのプラスチックで
できたページに IC チップが埋め込まれており,国際
標準に準拠して顔画像が記録されている
(図 3 参照)
.
第二次世界大戦が終結を迎える間際である 1944
年に,航空機技術が飛躍的に発達してきたことから民
間航空分野が大きく発展を遂げるであろうと考え,各
国がシカゴで会合を開いた.ここで国際条約である国
際民間航空条約(シカゴ条約)が策定され,戦後の
1947 年に本条約をもとにして,国連の専門機関のひ
と つ で あ る ICAO ( International Civil Aviation
Organization / 国際民間航空機関)が発足した.
ICAO の設立目的は,国際民間航空が安全かつ整然と
発展するように,また国際航空運送業務が機会均等主
義に基づいて健全かつ経済的に運営されるように各
国の協力を図ることであり,2013 年 10 月現在で 191
か国が加盟している[5].ICAO では関連した多くの
国際標準や勧告を作成しており,その中のひとつに文
書 9303 という,パスポートや査証について規定する
国際標準がある.
6
パスポートの物理的な偽造防止技術が進むにつれ
て正規のパスポートを不正利用して出入国しようと
する事案が増えてきたことを受け,ICAO では 2000
年前後にどう対策を行うべきか議論が重ねられた.そ
の結果バイオメトリクスによる本人認証技術が有効
であるとの合意に至り,2003 年 6 月のベルリン会議
及び 2004 年 3 月のニューオリンズ会議にて,パスポ
ートにコンタクトレスのインタフェースを備える IC
チップを採用し,国際的に標準化されたフォーマット
の顔画像データを相互運用可能な第一の生体情報と
して記録することなどが決議された.
また 2001 年 9 月 11 日の米国多発テロはバイオメ
トリクスの標準化推進体制を大きく変えた.それまで
ID カードの標準化を担当する SC 17 配下でバイオメ
トリクスの検討を開始しようとしていたが,米国から
の強い提案で新しくバイオメトリクスの標準化を専
門に担当する SC 37 が 2002 年に発足した.その結
果として IC パスポートの国際標準である文書 9303
は,SC 17 が担当する IC カードとバイオメトリクス
の接点である国際標準 ISO/IEC 7816-11 を通じ,
SC
37 が担当するデータフォーマットの国際標準を参照
することとなった.
IC チップの中の顔画像は SC 37 担当の ISO/IEC
19794-5 に従いエンコードされている.この顔画像
データは,同じく SC 37 担当の ISO/IEC 19784-3
が規定するコンテナ型データ形式,CBEFF TLV パト
ロン形式(Common Biometric Exchange Format
Framework Tag-Length-Value)の中に格納されて
いる.
また,ISO/IEC 19794-5 では顔画像を撮影するに
あたっての照明やカラーバランスなどから,顔の表情
や向き,大きさ,背景などを規定している.これらの
条件は歴史的に使われてきた目視確認用途として適
することに加え,機械的な顔認証技術用としても適す
るように考慮されている.我が国では IC パスポート
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
に記録する顔画像は,顔写真として申請者が持ち込む
こととなっているため,外務省はパスポート申請者に
対してわかりやすいサンプルとともにガイドライン
を示している[6][7].
認証精度評価における標準化
ベンダーにより認証精度の算出方法がまちまちで
あると,それぞれの数値を互いに比較しようがなくな
ってしまう.そこで認証精度を評価するにあたっての
方法論や具体的手続きが SC 37 で ISO/IEC 19795-1
及び ISO/IEC 19795-2 として標準化されている.こ
れらの国際標準は,具体的な認証製品の認証精度をど
のようなサンプルデータセットで評価すれば統計的
に有意な数値として示せるかをまとめたものである.
従って,単に収集したサンプルデータセットから認証
精度を算出する実証実験にはそのままでは適用でき
ないものではあるが,国際標準内で記述された統計的
な考え方は活用することができる.
また,顔や指紋といった対象部位に特徴的な,認証
精 度 へ 影 響 す る 要 因 を ま と め た ISO/IEC TR
19795-3 があり,認証精度と精度に影響する要因と
の分析を行うための参考情報となる.この TR では顔
の向きや表情といった被撮影者に帰する要因,照明条
件やカメラなど撮影環境に帰する要因などが列挙さ
れており,例えば正面向きで無表情,顔に影ができな
いよう撮影することによって,認証精度を高められる
ことが示唆されており,装置の設計にあたっての重要
な参考情報となっている.
なお,バイオメトリクスの場合,認証精度評価に用
いるサンプルデータセットの違い(例えば人数が同じ
1,000 名であっても構成される人が異なるなど)によ
り精度の数値が影響を受けるために,たとえ認証精度
の算出方法が同一であっても得られた数値には,統計
的な誤差の他に系統的な誤差の混入が免れない.その
ため,異なる実験における結果を比較する際の取り扱
いには十分な注意が必要である.
顔認証精度の進展
米国同時多発テロは,バイオメトリクスの技術革新
を促すことにもなった.
米 国 は NIST ( National Institute of
Standardization and Technologies / 国立標準技術
研究所)に,国を守るためにバイオメトリクスの技術
評価及び調達等に必要な標準化を行うよう命じた.こ
れを受けて,指紋や虹彩の他に顔の認証精度を評価す
る第三者ベンチマークテストを度々実施している.IC
パスポートの持ち主の本人確認の認証精度の最新結
果は 2011 年 8 月に公開されており[8],本人である
のに誤って本人でないと拒絶してしまう確率が 2002
年から 2010 年にかけて二桁小さくなるなど,エラー
が劇的に減少していることが報告されている(図 4
参照).
また今年に入って,アメリカで顔照合によって強盗
犯が 450 万人のデータベースの中から同定されて逮
捕,有罪判決を受けるなど実世界でもその性能を発揮
している[9].
カメラに顔を向けるだけで精度高く本人と確認で
きるのであれば,指紋のように旅行手荷物を一旦おろ
してセンサーに入力するような手間がいらず,高い利
便性をもつ顔認証のメリットが活かせよう.
図 4 1993 年から 2010 年に至る本人誤拒絶率(本人であるのに誤って本人でないと拒絶
される確率)の進展(文献[8]の図 28 を引用)
7
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
4. さいごに
海外ではオーストラリアが自国民だけでなく,ニュ
ージーランドや UK,米国,シンガポールのパスポー
ト保持者に対しても顔認証による自動化ゲートサー
ビスを行っている[10].また UK でもヨーロッパ経済
圏である EU 各国とノルウェー,アイスランド,リヒ
テンシュタインに加え,スイスのパスポート保持者に
対する同様なサービスを実施している[11].
日本でも近い将来に同様のサービスが開始されて,
われわれ日本人がより簡便で合理的な出入国審査を
受けることになり,ひいては手厚い外国人審査が開始
されることで,2020 年に開催が予定されている東京
オリンピック・パラリンピックへより多くの海外の方
を気持ちよく迎え入れられるようになることを祈念
する.
参考文献
[1] 官邸: 観光立国推進閣僚会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kankorikkoku/i
ndex.html
[2] 法務省: 自動化ゲートの運用について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/n
yuukokukanri01_00111.html
[3] 外務省: IC 旅券の発行を開始しました
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/ic.
html
[4] 法務省: 日本出帰国審査における顔認証技術に
係る実証実験の実施について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/n
yuukokukanri04_00042.html
[5] 外務省: 国際民間航空機関
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/icao/
[6] 外務省: パスポート申請用写真の規格について
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/ic
_photo.html
[7] 外務省: パスポート用提出写真についてのお知
らせ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/pd
fs/ic_photo.pdf
[8] Report on the Evaluation of 2D Still-Image
Face Recognition Algorithms, NIST Interagency
Report 7709
http://www.nist.gov/customcf/get_pdf.cfm?pub
_id=905968
[9] 顔認証分析,はじめて列車強盗を逮捕する
http://wired.jp/2014/06/11/first-robber-caught
-via-facial-recognition/
[10]オーストラリア税関: SmartGate
http://www.customs.gov.au/smartgate/
[11] UK 政府: Entering the UK
https://www.gov.uk/uk-border-control/at-bord
er-control
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<国際規格開発賞の表彰>
国際規格開発賞は,当会に所属する Project Editor または Project Co-Editor の貢献に対して授与されるもの
です.受賞者は表彰委員会で審議決定し,受賞対象の規格が発行された後に授与されます.
2014 年 9 月の受賞者
込山 俊博(日本電気(株))
ISO/IEC 25000 (Second Edition)
Systems and software engineering -- Systems and software Quality
Requirements and Evaluation (SQuaRE) -- Guide to SQuaRE
(SC 7,2014 年 3 月 15 日発行)
ISO/IEC 25001 (Second Edition)
Systems and software engineering -- Systems and software Quality
Requirements and Evaluation (SQuaRE) -- Planning and management
(SC 7,2014 年 3 月 15 日発行)
8
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
平成 26 年度 工業標準化事業表彰
2014 年 IEC(国際電気標準会議)1906 賞 の紹介
2014 年 10 月 14 日、都市センターホテルにおいて、表彰式が行われました.
―――――――――――――――――――――――
■ 経済産業大臣表彰(組織)
―――――――――――――――――――――――
ソニー株式会社
オーディオ,ビデオ,マルチメディアに関する国内
外の標準化に尽力し,製品・サービスを通じて社会に
貢献.特に IEC/TC 100(AV マルチメディア)及び
ISO/IEC JTC 1/SC 29(AV 情報符号化)を中心に,
国際幹事等を多数輩出し技術審議のみならず委員会
運営にも貢献.JTC 1 では,SC 6(通信システム間の
情報交換)を中心に非接触 IC カード規格の普及推進
で国民生活の利便性向上に貢献.また,IEC 上層活動
では,SMB 委員,CB 委員等を歴任するなど日本の国
際標準化ポジション向上にも多大の貢献.
―――――――――――――――――――――――
■ 産業技術環境局長表彰(国際標準化貢献者)
―――――――――――――――――――――――
池ノ谷 由紀子(元 (一社)情報処理学会)
JTC 1/SC 29(音声,画像,マルチメディア,ハイ
パーメディア情報符号化)の国際幹事を務め SC 29
の運営に尽力した功績.デジタルカメラ,デジタル放
送,インターネット配信等,情報通信・放送・コンテ
ンツ業界への貢献度がきわめて高いマルチメディア
符号化の標準化活動に貢献し多くの規格を成立させ
た.また,国内において,JTC 1 の専門業務指針を検
討する小委員会に参画し,業務指針の改正検討に貢献.
―――――――――――――――――――――――
山田 淳((株)東芝)
社会インフラを支える情報システムなどに利用さ
れるソフトウェア製品の品質特性に関する規格制定
に長年にわたり尽力.JTC 1/SC 7(システム及びソフ
トウェア技術)におけるシステム及びソフトウェア製
品 の 品 質 要 求 及 び 評 価 に 関 す る 規 格 群 (ISO/IEC
25000 シリーズ)の規格化活動でコエディターを務
めるなど,多くの国際規格制定に貢献.ソフトウェア
及びシステムに関するライフサイクルプロセス規格
群(ISO/IEC 12207,15288)の作成にも大きく貢献.
―――――――――――――――――――――――
● 産業技術環境局長表彰(国際標準化奨励者)
―――――――――――――――――――――――
石川 孝明(早稲田大学)
JTC 1/SC 29(音声,画像,マルチメディア,ハイ
パーメディア情報符号化)の WG 1(JPEG 静止画像
符号化)での活動に尽力.JPEG2000 規格の追補策定
に関与し,デジタルアーカイブの研究開発を通じて同
規格の実用化と普及に貢献.SC 29 専門委員会のエキ
9
スパートや小委員会の幹事を務め,新プロジェクトと
して承認された JPEG AR(拡張現実感)及び JPEG
Systems の審議において,日本国内の意見を集約し
NWI 提案の一部に反映させるなど積極的に貢献.
―――――――――――――――――――――――
志水 信哉(日本電信電話(株))
JTC 1/SC 29/WG 11 及び,MPEG と ITU-T の合
同チームにおいて,立体映像など高臨場感映像の効率
的な蓄積・配信を実現するための多視点映像符号化規
格などに NWI 提案段階から参画し,多くの提案を行
うなど国際標準化推進に尽力.多視点映像符号化規格
の適合性試験規格策定に関しプロジェクトエディタ
を務め,試験用のデータと規格の整合性を積極的に確
認するなど多大な貢献.国内においても委員会エキス
パートとして審議活動に尽力.
―――――――――――――――――――――――
蝶野 慶一(日本電気(株))
4K/8K といった超高解像度映像を用いた次世代放
送などを実現するために必要となる映像符号化規格
(HEVC 規格)の開発において,アドホックグループ等
の議長として端末メーカ・サービスオペレータらの異
種意見を調整し,インターレースフォーマット対応等,
規格の完成に尽力.また,規格の普及に向け,次世代
放送/通信システムの研究開発に努め規格拡張に取
り組むとともに,3D テレビ放送に必要となるステレ
オ映像を用いた放送サービスに関する国際規格の改
正においてプロジェクトエディタを務めた.
―――――――――――――――――――――――
● 2014 年 IEC(国際電気標準会議)1906
―――――――――――――――――――――――
IEC1906 賞は、IEC が行う,電気・電子技術の標
準化活動に大きく貢献した者に対する表彰です.
2014 年の日本での受賞者は 31 名となっています.
―――――――――――――――――――――――
東 基衞(早稲田大学)
1987 年の JTC 1/SC 7 設立以来,ソフトウェア及
びシステムの品質等に関する規格群(ISO/IEC 9126
シリーズ 4 点 14598 シリーズ 6 点 25000_SQuaRE
シリーズ 11 点)作成に多大な貢献.
―――――――――――――――――――――――
稲垣 敏彦
プリンタ及び複写機の画質属性測定の一連の規格
(ISO/IEC 13660,19799,TS24790,29112)を開
発する WG メンバ及びプロジェクトエディタとして
の 15 年以上のリーダーシップという多大な貢献.
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
<声のページ>
これまでの標準化活動を振り返って思うこと
北野 敏明(新日鉄住金ソリューションズ㈱)
私が SC 7WG 10 に参加し,プロセスアセスメント
に関する国際規格の審議に携わるようになってから
約 12 年の月日が流れました.
もともと自社にプロセスアセスメントの仕組みを
導入するための情報を得ようと CMM の調査をしてい
た頃,偶然に SC 7WG 10 の前主査の方と意見交換が
できる場が持てたことが縁で SC 7WG 10 にオブザ
ーバ参加することになったのが私の標準化活動への
第一歩でした.最初の頃は「周囲の委員の方々は皆さ
ん日本を代表するこの道のスペシャリストだ」と思う
と私のような新参者が話に入ってもいいのだろうか
と躊躇していたことが思い出されます.
2001 年に「日本版 CMM」が世間で注目された頃,
アセスメントモデルを開発し,自分達で自分達の仕事
の仕方を評価する仕掛けを実現できる国際規格
(ISO/IEC TR 15504)があることに非常に興味を持
ちました.それが 2002 年から弊社のプロセス改善の
要となった ISO/IEC TR 15504 と両立性のあるアセ
ス メ ン ト モ デ ル SPEAK (Software Process
Evaluation & Assessment Kit : SPEAK は
IPA(Information-technology Promotion Agency)
の登録商標です) 誕生に結びつきました.その後
SPEAK は, ISO/IEC 15504 が TR から IS になった
こと,プロセス参照モデル(プロセスアセスメントの
対象となるプロセスを定義したモデル)を ISO/IEC
12207 amendment 1 から ISO/IEC 12207:2008
への変更,運用・保守領域の強化のために ITIL Ver.3
の取り込みといったことに対応するためにバージョ
ンアップを繰り返してきました.SPEAK Ver.3.1 は,
2008 年に IPA から SPEAK-IPA 版として広く一般に
公開されています.
私が標準化活動でしてきたことは,自社でのアセス
メントモデルの確立とアセスメントの実践,そこから
得られた知見を国際規格へコメントとして出すとい
った微々たるものでしかありませんが,実証結果に裏
打ちされた議論ができていないと思うことがしばし
ばあります.それは,ISO/IEC 15504 に基づくプロ
セス改善が日本でも国際の場でも実証に結び付く活
動(すなわち規格を実践するという活動)が広がって
いないことが一因だと思います.
今、SC 7WG 10 で審議しているプロセスアセスメ
ントの規格は主として ISO/IEC 33000 シリーズで,
これまでの ISO/IEC 15504 の後継となる規格になり
ます.弊社の SPEAK も ISO/IEC 33000 シリーズの
発行後には,ISO/IEC 15504 から移行していくこと
になると思いますが,規格が一新されるこの機会に,
自社だけでなく規格の実践と効果の実証に目を向け
た活動にも力を注いでいきたいと思います.
最後になりましたが,2014 年度標準化貢献賞とい
う栄誉ある賞をいただきました.この場をお借りして
SC 7WG 10 委員会関係者の皆さまをはじめとしたこ
れまでの活動を支えていただきました皆さまに厚く
御礼申し上げます.
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<2014 年 12 月以降 国際会議開催スケジュール>
JTC 1
SC 2
SC 6
SC 7
SC 17
SC 22
SC 23
SC 24
SC 25
SC 27
SC 28
2015-10-26/31
2015-10
2015
2015-05-11/15
2015-10
2015-09-14/15
2016
2015-08-24/28
2015-09-11
2015-05-11/12
2015-06
北京,中国
日本
未定
Rio de Janeiro, Brazil
Austria
Kona,US
未定
London,UK
Milan,Italy
Sarawak,Malaysia
松江,日本
10
SC
SC
SC
SC
SC
SC
SC
SC
SC
SC
29
31
32
34
35
36
37
38
39
40
2015-06-27
2015-05
2015-05
2015-09-21/25
2015-01-19/23
2015-06-28
2015-01
2015-03-23/27
2015 Spring
2015-05-18/22
Warsaw,Poland
北米
Glasgow,UK
北京,中国
Copenhagen,Danmark
Australia
Norway
Vienna, Austria
France
Brazil
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
<解説: 開催報告 情報処理学会短期集中セミナー>
「画像・音声符号化伝送技術~最前線と標準化動向~」
SC 29 専門委員会 委員長 高村誠之(日本電信電話(株))
1. まえがき
情報処理学会は主に産業界向けのイベントとして,
時事性が高く社会的関心度の高いテーマを取り上げ,
最新技術動向を伝える場および参加者間の交流と情
報交換の場として,「短期集中セミナー」を随時開催
している.本稿では,2014 年度の第一弾として白羽
の矢が立てられた SC 29 専門委員会が中心となり企
画し,2014 年 9 月 30 日(火)13:00~17:20,東
京都千代田区神田駿河台 化学会館 7 階ホールで開
催された,表記短期集中セミナーについて報告する.
SC 29 専門委員会
国際標準化組織 ISO/IEC JTC 1/SC 29 は音声,画
像,マルチメディア,ハイパーメディア情報符号化技
術の国際標準化を担当しており,WG として WG
1(Joint Photographic Experts Group, JPEG)および
WG 11(Moving Picture Experts Group, MPEG)を有
している.WG 1 は静止画像の符号化技術,画像検索,
高ダイナミックレンジ拡張などの技術の標準化を進
めている.WG 11 は音声・動画像・システムの符号
化伝送技術,特に高圧縮符号化,同期・多重化,三次
元映像符号化,立体音響,動画像検索,伝送などの技
術の標準化を進めている.
わが国では,この SC 29 に対応する国内専門委員
会が情報処理学会情報規格調査会の内部に存在して
いる.
SC 29 専門委員会傘下には 5 つの小委員会(WG
1(静止画像符号化),WG 11/AUDIO(動画像符号
化/音声),WG 11/VIDEO(動画像符号化/動画),
WG 11/SYSTEMS(動画像符号化/システム),WG
11/SYSTEMS/MPEG-7 SG)が展開され,活発に国際
規格の提案・技術開発・標準化マネジメントを行って
いる.
開催経緯
2014 年 4 月に情報処理学会内で本セミナーの実施
が浮上し,それに呼応して我々は会場・日程・参加費
等の設定や,協賛学会の依頼,宣伝などの準備活動を
開始した.SC 29 内の各小委員会に講師選定を依頼し,
ISO/IEC JTC 1/SC 29 国際議長であり SC 29 専門委
員会委員である浅井光太郎氏(三菱電機)に本セミナ
ーのコーディネータを要請した.
本セミナーを開催するにあたり,ターゲットを
MPEG/JPEG 技術を学びたい,業務/研究で使いたい
11
方(社会人および学生)とした.またコンセプトは以下
の通りとした.
・ 実際に標準化に携わっている研究者が直接技術解
説を行う
・ 実装寄りでなく,根底の技術思想とその性能を紹
介する
・ まとまった時間(半日)を使い,じっくり踏み込ん
だレベルまでの解説で,比較的短時間の同種セミ
ナーと棲み分ける
・ SC 29 がカバーする技術領域(画像・映像・音声・
システム・多重・伝送・検索など)の,一部では
なく全体を横断的に知識習得できる場とする
・ 2014 年 7 月の JCT/JPEG/MPEG/SC 29 札幌会合
を承けた最新情報を提供する.
・ 情報規格調査会が行っている国際標準化活動に関
する情報を提供し,理解を深めていただく
2. セミナーの構成と参加状況
セミナーの開催までは宣伝と参加勧誘に関係者は
腐心していたが,蓋を開けると参加者は計 61 名,内
訳は企業 47 名,大学 2 名,官公庁 1 名,学生 11 名
と,関係者の予想を超える盛況ぶりとなった(図 1).
参加申し込みは開催一週間前に一旦締め切っていた
が,当日参加も 6 名あった.
大学 2
学生
官公庁
11
1
企業
47
図 1 参加者内訳(計 61 名)
セミナー本編は 6 名の講師から,次章で詳述するよ
うに,一件あたり 40 分で,各自の携わっている国際
規格に関する技術と最新動向の解説を行った.またセ
ミナーの冒頭と最後にはコーディネータより挨拶と
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
総括を行った.また,講演資料は事前に講演者から提
供を受け印刷製本し,セミナー当日参加者に配布した.
3. セミナー開催概要
冒頭挨拶(浅井コーディネータ)
セミナー開演の挨拶と,ISO/IEC JTC 1 の紹介と
前回(2013 年 11 月)総会の審議結果,JTC 1 傘下
の 20 個の SC および 8 個のグループの紹介,SC 29
の歴史と組織構造,SC 29 によるマルチメディア技術
の標 準化活動が解 説された.さ らに, ITU-T SG
16/VCEG と WG 11 合同の国際標準化組織(JCT-VC,
JCT-3V)とその標準化活動も紹介された.
第 1 講「SC 29/WG 1 標準化動向~JPEG の拡張と新
プロジェクト~」(石川孝明 早稲田大学,ISO/IEC
JTC 1/SC 29/WG 1 小委員会主査,SC 29/WG
11/Video 小委員会委員,SC 29 国内専門委員)
静止画像符号化を担当する SC 29/WG 1 の活動状
況,新しい標準化トピック(JPEG XT, JPEG AR, JPEG
Systems, JPEG Privacy, AIC Part 2)について,現
在までの流れと最新動向について講演が行われた.特
に,現在広く使われている JPEG 規格準拠のデコーダ
資産を利用してダイナミックレンジスケーラビリテ
ィを実現する JPEG XT(2014 年 10 月に IS 発行予
定)の動向を重点的に解説したほか,Augmented
Reality (AR)利用や個人情報保護を目的とした機能
拡張の標準化,プライバシー保護に関する動向などが
解説された.現在も技術提案を募集するなど活発な活
動状況がうかがえる講演であった.日本人が新しくデ
ザインした JPEG ロゴも紹介された(図 2).
図 2 JPEG の新しいロゴ
第 2 講「最新動画像符号化規格 HEVC とその拡張動
向」(峯澤 彰 三菱電機)
2013 年 4 月に IS となった最新映像符号化規格
HEVC の概要と,現在進行中の拡張規格のスケジュー
ルなどの最新動向について講演が行われた.HEVC 採
用技術の中で,過去の規格と一線を画す最大の特徴で
ある階層的符号化ブロック構造についての概要と,高
品質化拡張(Range Extensions, RExt),スケーラブ
ル符号化拡張(Scalable Extensions, SHVC),スクリ
ー ン コ ン テ ン ツ 符 号 化 拡 張 (Screen Contents
Coding Extensions, SCC)の概要,特にそれぞれの拡
張についてツールを 3 つずつ詳しく解説し,符号化性
12
能も提示した.
RExt と SHVC については FDAM 完了,
SCC については 2015 年 10 月に FDAM 完了予定で
ある.
第 3 講「HEVC 拡張による三次元映像符号化の標準化
動向」(志水信哉 NTT,ISO/IEC JTC 1/SC 29 国内
専門委員会委員,SC 29/WG 11/Video 小委員会委員)
デプス(奥行き情報)マップベースの三次元映像技
術,JCT-3V で技術検討している MV-HEVC(HEVC
Multiview High Profile) と 3D-HEVC の 動 向 ,
3D-HEVC 符号化ツールの技術よび性能比較(15 種)
について講演が行われた.裸眼立体映像や自由視点映
像の符号化を実現するために,デプスを用いた中間視
点 映 像 生 成 (Depth-Image Based Rendering,
DIBR)を前提とする多視点映像+デプスマップ符号
化の高効率化の必要があること,MV-HEVC は 2014
年 7 月に FDAM となり,特有の符号化ツールはない
こと,3D-HEVC は 2015 年 2 月 FDAM の予定で,
符号化ツールが多数採用されていることが述べられ
た.3D-HEVC は MV-HEVC と比べて,20%弱の符
号量を削減しており,中でも符号化効率改善の大きい
ツール(視点間動きベクトル予測など)を詳しく紹介
した.
第 4 講「MPEG Audio 規格の最新動向」(知念徹 ソ
ニー,ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11/Audio 小委員
会 幹事,ARIB 音声符号化方式作業班 委員)
約 10 分間の休憩をはさみ再開した第 4 講では,現
行の HD 映像を超える 4K や 8K の Ultra-HD(UHD)
に対応するオーディオコーデックとして標準化が進
められている,MPEG-H 3D Audio について講演が行
われた.多スピーカー多層配置の 3D Audio 技術によ
る高臨場音響空間の生成を想定し,デコーダからスピ
ーカー再生レンダラー,ヘッドホン再生レンダラーま
での標準化を行っている.コアコーデックとして利用
する Unified Speech and Audio Coding (USAC,
2011 年標準化)の概略と,スピーカー,ヘッドホン
それぞれの再生部に導入する新技術について解説さ
れた.2015 年 2 月に初版が IS 化予定,2016 年 2
月に第二版が IS 化予定である.
第 5 講「次世代ストリーミング規格 MPEG-DASH の
動向」
(平林光浩 ソニー,ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG
11/Systems 小委員会幹事)
HTTP プロトコルを利用したアダプティブストリ
ー ミ ン グ 技 術 の 標 準 規 格 , Dynamic Adaptive
Streaming over HTTP, MPEG-DASH)の概要解説と
サービス応用について解説された.本規格は各 IT ベ
ンダーによる独自規格と過去の標準化プロジェクト
での規格を統合する目的もあること,細分化したセグ
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
メントファイルにアクセスするためのメタ情報
(Media Presentation Description, MPD)を規定する
ことが標準化の要点であることなどが解説された.
MPEG-DASH 利用の推進団体が存在し,各種ブラウ
ザ や モバ イル OS で の対 応 が進 んで い るこ と,
YouTube の一部動画やソニーのビデオサービスでは
既に MPEG-DASH に対応しているとのことであった.
第 6 講「マルチメディア伝送規格 MMT の最新動向」
( 青 木 秀 一 NHK , ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG
11/Systems 小委員会エキスパート)
複数の伝送路でメディア信号を送信し,多様な端末
上での同期提示可能なメディアトランスポート方式,
(MPEG Media Transport, MMT)の詳細とその放送
システム応用について講演が行われた.規格第 1 部
カプセル化・配信形式,第 10 部 パケットロス回復
のための FEC 符号,第 13 部 実装ガイドラインなど
か ら 成 り , 第 1 部 と 第 10 部 に つ い て ,
MPEG2-TS(Transport Stream)規格との比較を意識
しつつ述べられた.技術的にはクロックの違い,誤り
訂正の違い,パケット長の違い等があること,応用面
では伝送路の横断性を利用したハイブリッド配信に
ついて解説された.今後 NHK は,4K/8K 衛星放送の
試験放送に向けた運用規定策定,機器開発や,実装ガ
イドラインの策定に寄与していく予定であることな
どが述べられた.
閉会挨拶(浅井コーディネータ)
セミナーの全講演の終了後に,再び浅井コーディネ
ータより,各講演の振り返りと,それぞれの規格がど
のように具体的に世の中で使われているかの説明が
なされた.いかに SC 29 諸規格が世の中にしっかり
根を張り世界を変革しつつあるかが述べられた.
交流会
セミナー終了後,より密な意見交換を行うための交
流会が全講演者出席の下,別室にて開催された.情報
規格調査会 伊藤智委員長の乾杯の発声で開始され,
研究者同士,講演者と質問者,若手と先輩が交流し,
さまざまな質疑や話題に花を咲かせる大変有意義な
交流会となった.20 余名の参加者は,高村誠之 SC 29
専門委員長による閉会の挨拶まで大いに盛り上がっ
た.
開催をよりよくする糧としたい.特に多かったご意見
は次の 2 点に関するものであった:
• 参加費
参加費は,会場費や資料の印刷製本費も含むため
非常な安価にはできず,正会員(協賛学会含む)
30,000 円,一般非会員 40,000 円,学生 6,000 円
とした.事後のアンケートでは,価格について「高
い」という回答が 19,「妥当」という回答が 24,
「安い」は 0 であった(学生回答除く).今後の価
格設定の参考としたい.なお,某国際会議
(ICIP2014)の付随チュートリアルは本セミナー
(260 分)より短時間(210 分)で早期割引価格
150 ユーロ(約 2 万円),一般価格 175 ユーロ(約
2.4 万円)とほぼ同等である.
• 内容の充実度合
セミナー内容については大変満足したという声
もあった一方,提示された情報が過多であったとい
う声も多かった.比較的長い時間でじっくりと講演
するコンセプトで開催したが,講演一件 40 分は
少々タイトであったかもしれない.今後の開催につ
いて,午前も含む一日開催や複数日開催,入門編の
開催などを検討したい.
SC 29 専門委員会は,会員の研究開発成果の標準化
を通した産業貢献と会員の情報交換の場,そして我が
国の情報技術標準化の前進のため,情報規格調査会を
通して引き続き努力していく所存である.
末筆ながら,すべてのセミナー関係者,特に,情報
処理学会および情報規格調査会の,事務的運営・対外
的交渉にご尽力頂いた理事・委員・事務局担当者の
方々,講演を快くお引き受け頂き優れた講演をいただ
いた講師の方々,熱心にお聞きいただきセミナーを盛
り上げてくださった参加者の皆様,本セミナーに協賛
くださった諸学会に心から感謝を申し上げる.
4. むすび
今回の短期集中セミナーは,SC 29 の全体像を広く
参加者に伝えるという意味で充実したセミナーであ
ったと考える.また,当日は無記名アンケートを配布
し回収させていただいたが,それによる貴重なご意見
に基づく様々な反省材料は,今後の同種のセミナーの
13
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
<最近の国際会議から>
■ SWG on Directives 会議報告
ディレクティブズ小委員会
幹事 鈴木 俊宏(日本オラクル(株))
1. 開催場所:モントリオール(カナダ)
2. 開催期間: 2014 年 9 月 18~19 日
3. 参加国数/出席者数: 10 カ国,1 団体/30 名
議 長 (Karen Higginbottom) , セ ク レ タ リ (Lisa
Rajchel),ISO/CS,IEC/CS,JTC 1 Supplement エ
ディタ,フランス(3),ドイツ(2),米国(3, SC38 委
員長含),カナダ(3, SC7 委員長含),英国(2),韓国
(1),インド(1),ECMA(1),日本(3:伊藤智[産総研],
河合和哉[パナソニックモバイルコミュニケーション
ズ(株)],鈴木)
4. 概要と主な成果
今回の SWG on Directives 会議は,9 月 18 日と
19 日午前の 1 日半モントリオール市内の INGO
Innovation Hub にある ETS で行われた.会議では
今年 5 月のロンドン会議で設置されたアドホックの
フォロー,特に来年発行される Consolidated JTC 1
Supplement 2015 と関連 Standing Documents の
コメント処理等の検討を行った.
4.1 Consolidated JTC 1 Supplement 2015 の
準備
• 今 年 の 5 月 以 降 , IEC Collaboration Tools
Platform 上で集約していたコメントの処理が行
われた.日本から提出したコメントは,対処と確
認に時間の掛かる Fast-Track TS/TR の新しいフ
ローチャート(Figure.1)の提案以外,全て盛り込
まれた.この新フローチャートについては日本か
ら再提案を行うとした.
• SWG on Management の Ad Hoc on Future
Collaboration Model with ITU-T で検討されてい
た ITU-T との共同作業について,JTC 1 が ITU-T
と共同作業をする際の具体的なクライテリアが盛
り込まれることになった.
• SWG on Directives での検討を受けて,今後 2 ヶ
月の JTC1 投票を行い,今年の JTC1 アブダビ総
会前に会場,総会の場でコメント処理が行われ,
JTC1 承認版を ISO と IEC で 30 日間投票に掛け
(12 月に JDMT が開催される)2015 年 1 月 1 日発
行を目指すことになった.
14
• ドイツから,ISO と IEC が参照している ISO/IEC
Directives の版(Edition番号)が異なることが報告
され,ITTF が事実を調査することになった.ちな
みに Consolidated JTC 1 Supplement 2015 は
ISO が参照している版を参照している.
4.2 JTC 1 で採用している Category C Liaison の
扱い
• ISO/IEC Directives に記載されている Liaison の
種別として,JTC 1 では Category A と C を採用
しているが,ISO では Category A, B, D を採用
している.可能な限り JTC 1 Supplement を ISO
Supplement に合わせる方針の下,JTC 1 での
Category C 廃止と Category D への変更が議論
されたが,ISO ITTF から Category C は D と等
価であるとのコメントを受け,ISO に Category C
の採用を打診する(その上で ISO/IEC Directives
から Category D を廃止する)ことにした.
4.3 JTC 1 Standing Document 3 - Guide for
ITU-T and JTC1 Cooperation
• 昨年来,懸案となっていた SD3 改訂の投票(JTC 1
N12111) 結 果 の 報告 が あ った . 本件 は 昨 年の
JTC1 総会で既に承認されたテキストに対し,
ITUT 側 で 投 票 を 行 い 修 正 要 求 (Registration
Authority に関する記述を削除)込みの承認を,
JTC1 側で再度投票を行ったものである.投票結果
は,オーストラリアなど 6 カ国が反対したが,承
認された.
4.4 JTC 1 Standing Document 6 – Technical
Report and Technical Specification
• 昨年組織され前回のシドニー会議で解散した Ad
Hoc on SD6 の 改訂 提案 に関 して ,SWG on
Directives でコメント処理が行われた.日本から
指摘した JTC 1 Supplement との不整合について
は JTC 1 Supplement を参照するとし,今後 JTC
1 投票に掛けられることになった.
4.5 JTC 1 Standing Document 8 Maintenance
• 前回設立されたアドホックの提案(メンテナンス
に 関 す る 事 項 は 各 SD に 任 せ , Defect
Corrigendum に関する事項のみを新 SD として位
置づける)を検討し,新たに Standing Document
21 (SD21) - Defect and Corrigendum of
International Standards として公開することに
なった.その上で SD8 を廃止する.今後,JTC 1
総会での承認審議に掛けられる.
• また,ISO Supplement 2014 に記載されている
メ ンテ ナンス に関す る事 項 (2.9 章 )を JTC 1
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
Supplement(Consolidated JTC 1 Supplement
2015)にも盛り込むことになった.
4.6 JTC 1 Standing Document 11 Progression of JTC 1 Projects
• 新しい Consolidated JTC 1 Supplement 2015
を作成する際に SD11 の記載内容と整合性を取る
必要があり,前回のシドニー会議からのアクショ
ンアイテムとなっていた.日本から指摘した箇所
は,ISO/IEC Directives 2.5.3 との不整合(JTC 1
Secretary と食い違うことから採用されず)以外,
全て反映され,2 ヶ月間の JTC 1 Letter Ballot に
掛けられることになった.
4.7 JTC 1 Standing Document 12 - EDPDA
• EDPDA とは Electronic Document Preparation,
Distribution and Archiving の略で,JTC 1 で扱
うべき電子媒体に関するガイドラインが示してあ
る . ISO eBalloting System の 必 須 利 用 や
Directives の統合方針により差異が生じている懸
念があるため,アドホックを設置し,EDPDA に記
載されている内容を再度確認することになった.
アドホックには,フランス,ドイツ,米国,イギリ
ス,カナダ,日本(鈴木)が参加する.また本アドホ
ックでは SWG on Accessibility からの修正提案
も併せて検討することになった.
4.8 JTC 1 Standing Document 15 - Liaisons
• 前回のシドニー会議で検討された結果が反映され
ているかチェックした.承認された米国の寄書が
反映されていないなど不備が指摘され,反映した
後,60 日間の JTC 1 Letter Ballot に掛けられる
ことになった.
• IEC から Systems Committee へのリエゾンにつ
いて言及して欲しいという要望が出たが,既に
IEC 自体について言及している,寄書化されてい
ないなどの意見があり,再度 IEC 側で検討し,次
回の SWG on Directives 会議に提案することにな
った.
• フランスを筆頭に各国からも様々なコメントが出
たが,寄書化されていないことから,各国が次回
の SWG on Directives 会議に提案することになっ
た.
4.9 JTC 1 Standing Document 19 - Meetings
• SD19 の目的は,会議の実施ガイドとして JTC1 で
は 現 在 SD1(Teleconferences and Electronic
Meetings)と SD7(Meetings)の 2 つが存在し,重
複している部分も多くメンテナンスという観点で
問題を抱えているため,SD1 と SD7 を統合し新
しく SD19 として電話会議を含めた会議全般のガ
イドラインを提供することにある.日本からは会
議関連の期限をサマリしたテーブルを提供し盛り
込まれることになっている.JTC 1 投票(JTC 1 N
12068)で,日本からの 11 件を含め,各国から多
15
数のコメントが寄せられた.エディタが予め対応
案を作成してきていたが,審議に長い時間を要し
た.日本のコメントは概ね反映されることになっ
た.
• JTC 1 Secretary か ら の 寄 書 と し て , ISO
Supplement の Annex SF には ISO 会議の録音に
関する記載があるとの紹介が行われ,JTC 1 でも
同様に「原則録音禁止」を本 SD19 に盛り込むこ
とになった.特に ISO がホストする WebEx では
注意が必要となる.
4.10 JTC 1 Standing Document 20 - IT
Vocabulary Maintenance - Best Practices
Guide, Executive Summary
• JTC1 で用語を定義する際のベストプラクティス
を紹介している.ISO Online Browsing Platform
(OBP) へ の 言 及 も あ る こ と か ら Standing
Document 20 として公開することになった.
4.11 その他
4.11.1 Strategic Business Plan 用 Template の
提供
各 SC が提供する Strategic Business Plan を同じ
フォーマットでの提供するよう ISO からの要請があ
り,現在 SWG on Planning が検討を行っている.そ
の進捗状況の報告があった.
4.11.2 Individual Expert vs. National Body
会議開催中,2014 年 1 月 1 日に施行された
Working Group の参加権限について何度となく議論
が行われた.特に,SC 審議のタイミングやリモート
参加について議論されたが,具体的な結論には至らな
かった.
4.11.3 Standing Document の版管理
これまで SD については統一の取れた版の考え方が
なく混乱を招いていたが,例えば,2014 R2 という
ように,全ての SD に同じ版形式を採用することにし
た.
4.11.4 2016 年 版 Consolidated JTC 1
Supplement 改訂スケジュールの確認
ISO/IEC Directives,ISO Supplement の改訂ス
ケジュールを勘案し,2016 年 1 月 1 日に発行される
Consolidated JTC 1 Supplement 2016 の改訂スケ
ジュールの検討が行われた.
5. 今後の予定
• 今後の SWG on Directives 会議の予定
2015 年 03 月 26 日~27 日:釜山(韓国)
2015 年 08 月 27 日~28 日:ベルリン(ドイツ)
2016 年 03 月 14 日の週:未定
2016 年 08 月 22 日の週:未定
• 次回 SWG on Directives 釜山会議までの予定
2015 年 01 月 16 日:寄書の締切
2015 年 01 月 21 日:ドラフトアジェンダ発行
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
2015 年 02 月 20 日:ドラフトアジェンダに掲載さ
れている寄書に対するコメントの締切
2015 年 02 月 26 日:最終アジェンダ発行
■ SWG on Planning 会議報告
情報技術戦略小委員会
主査 伊藤 智(産総研)
1. 開催場所: モントリオール(カナダ)
2. 開催期間: 2014 年 9 月 15 日
3. 参加国数/出席者数: 8 か国/24 名
Convenor(Mario Wendt,ドイツ),セクレタリ
(Lisa,米国),米国(5, SC38 議長含む),韓国(1),
日本(3:伊藤智[産総研],河合和哉[産総研],
鈴木俊宏[日本オラクル]),フランス(2),カナ
ダ(3,SC7 議長含む),ドイツ(2),英国(2),
インド(1),SC37 議長,ITTF-ISO, JTC1 議長
4. サマリー
5 月 の シ ド ニ ー 会 合 に 引 き 続 き , SWG on
Directives (SWG-D)および SWG on Management
(SWG-M) と 同 一 週 に 開 催 す る こ と と な っ た .
Environmental Scan の報告,新規のトピックスにつ
いての検討状況,JTC 1 における Strategic Business
Plan のフォーマット,Incubator Group の扱い,
SWG-P におけるワークショップの開催等について議
論が行われた.
5. 議事要旨
5.1 Environmental Scan 2014
標準化に関わるトレンドを調査するために,
Gartner の調査を参考にして,どのようなトピックが
今後重要になるか,どの SC と関連があるか,等を
Online Survey として実施した.その結果,以下のト
ピックについて,それぞれに関係すると思われる SC
およびグループに対して,重要と考えているか,
NWIP があるかを問い合わせることになった.10/6
までに回答を求め,JTC 1 総会の期間中に開催される
SWG-P の会議で討議する.
・ Mobile Device Diversity and Management
・ Smart Machines - advanced global
industrial systems
・ Smart Machines - Contextually aware,
intelligent personal assistants
・ Cloud Computing in its various facets
Cloud/Client Architecture
16
5.2 Incubator Matters
韓国から Mobile Application の状況についてドキ
ュメントが提出された.参加したのは韓国からだけだ
が,5 回の会合を開いた.議論の結果,モバイルアプ
リケーションについての共通要件と標準化へのギャ
ップを特定し,NWIP を見出すべきとの結論に至った.
JTC 1 に対して,ワークショップの開催と SG の設立
を提案した.他の国からは,ドキュメントの提出が遅
かったことの他,IG が仕組みとして適切ではないの
では,との指摘が出た.10 月およびそれ以降のテレ
コンにて IG の方針を議論することとなった.
5.3 Ad Hoc Group
5.3.1 3D Printing について
3 か国のみの参加で,あまり活発ではなく,Ad Hoc
コンビナー(François Coallier,カナダ)がほとんど
一人で作成している状況に近いが,リポートの途中経
過について報告が行われた.関連する団体の活動を調
査中.
5.3.2 Smart machines について
大きく以下の三つ
・ Contextually aware, intelligent personal
assistants: Virtual personal assistants
・ Smart Advisors
・ Advanced Global Industrial Systems
に分けていたが,エキスパートの参加が少なく,コン
ビナー(Mario Wendt)を出しているドイツが精力的
に押している Industrie 4.0 を含む Advanced Global
Industrial Systems 以外は十分な議論ができていな
い.
これらのアドホックグループは継続してリポート
を作成することとなった.
5.4 Strategic Business Plan について
US から,JTC 1 の特色,他 SDO との関わりに関
する部分についての変更案が提示された.また,ISO
が提示する Strategic Business plan に JTC 1 の SBP
を適用させようとしている.いくつか大きく記述が不
足する部分があり,記述に貢献するボランティアを募
集した.
5.5 Workshop について
カナダから,SWG の会議の週(まずは 2015 年の
釜山会合)に,ワークショップを開催する提案がなさ
れた.従来行っていたテクノロジーウォッチと同じで
はないか,との指摘を日本から行ったものの,目的,
対象等が明確にならないまま 2015 年秋のベルリン
会合で実施する意見が主流となった.
6. 今後の開催予定
以下の通りの予定が設定されたが,今後変更の可能
性もある.
•7 October 2014 at 21:00 UTC (teleconference)
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
• 17 November 2014 at 17:30 at JTC 1 Plenary
(Abu Dhabi)
• 9
December
2014
at
21:00
UTC
(teleconference)
• 13 January 2015 at 21:00 UTC (teleconference)
• 10
February
2015
at
13:00
UTC
(teleconference)
• 10 March 2015 at 21:00 UTC (teleconference)
• 14 April 2015 at 13:00 UTC (teleconference)
• 9 June 2015 at 13:00 UTC (teleconference)
• 14 July 2015 at 21:00 UTC (teleconference)
■ SWG on Management 会議報告
マネージメント SWG 小委員会
主査 伊藤 智(産総研)
1. 開催場所: モントリオール(カナダ)
2. 開催期間: 2014 年 9 月 16~17 日
3. 参加国数/出席者数: 9 か国/25 名
Convenor(Philip C. Wennblom,米国),セクレ
タリ(Lisa,米国),米国(3, SC38 議長含む),韓
国(1),日本(3:伊藤智[産総研],河合和哉[産
総研],鈴木俊宏[日本オラクル]),フランス(3),
カナダ(3,SC7 議長含む),ドイツ(3),英国(2),
インド(1),SC37 議長,ITTF-IEC, ITTF-ISO, JTC1
議長
4. サマリー
ITU-T との新しい連携モデルの検討,システム規格
に関する開発方法,SC 間で連携して規格開発を行う
適切な方法,JTC 1 における開発途上国への支援方法
などについて,アドホックグループを立ち上げて検討
しており,検討結果が報告されるとともに,SWG-M
としての方針決定と今後のアクションが議論された.
5. 議事要旨
5.1 Future Collaboration Model with ITU-T
ITU-T との連携方法に関して,アドホックグループ
から報告された.シドニー会合において,アドホック
グループが提案した情報共有等の方法を
Consolidated JTC 1 Supplement へどのように反映
するかを提案した.US からも,supplement への変
更案として,ITU-T 側でのコンセンサスと最低 5 名
の参加が得られることを連携の条件とすることが提
案された.方向性として SWG-M で承認され,その後
17
開催された SWG-D との合同セッションにて具体的
なテキストへの実装が行われた.
5.2 Systems Integration
JTC 1 としてシステムに関する規格開発にどのよ
うに取り組むかをアドホックが検討し,結果を報告し
た.IEC で使われる SyCs と同様な組織を WG レベル
で作ることが提案されたが,新たな組織を作ることを
避けて,既存の枠組みで実施する方法が検討された.
US は,既存の枠組みで実現する方法として,JTC 1
直下に WG をつくることを提案した.これに対して
日本から,JTC 1 直下に WG をつくることは避けた
いことから,既存の SC の下に JWG を作って対応す
る案を提示した.UK からは,そのトピックに対応す
る新しい SC をつくり,SC が規格開発や調整を行う
ことを提案した.これらの提案を三つのオプションと
して,対応方法を整理しようとしたが,結論を出すこ
とができなかった.アドホックグループを再構成して,
これらの整理を行い,次回アブダビ会合での SWG-M
会議に提出することが求められた.
5.3 Input on Experiences with JAhWG
Structure
SC 間の共同による規格作りにとって適切な組織を
検討することが JTC 1 総会の Resolution として
SWG-M に与えられていた.SC 24 と SC 29 のケー
スからのインプットを求めていたが,このケースでは
JAhWG が適していたというメンターのリポートがあ
った.US は,SC 24 と SC 29 の今後も連携が続くな
ら,JWG にすべきという意見を提示するとともに,
SC 間の連携は JWG で行うべきと述べた.UK は,
JAhWG が良いが,Directives に記述がないので,記
載すべきという意見.JWG は,両者が協力して PJ を
立ち上げるものであり,JAhWG は,既に走っている
PJ 等を調整する緊急の対応に使われるもの,という
ことが確認されるとともに,JAhWG についての記述
は不要となった.
5.4 JTC 1 Outreach
ISO で行われている DEVCO にならい,開発途上国
へのファンディングについてアドホックグループを
立ち上げて検討している.JTC 1 の活動を広く各国に
知らせることが重要と捉え,また JTC 1 での活動が
少ない国における標準化の活動団体に,JTC 1 の代表
を送ることも一つと検討された.引き続きアドホック
で検討することとなった.
6. 今後の開催予定
17:30-19:30,
15
and
14:00-16:00,
November 2014
24-25 March 2015 (Busan, Korea)
25-26 August 2015 (Berlin, Germany)
14-18 March 2016
22-26 August 2016
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
20
■ SC 7(Software and Systems Engineering
/ソフトウェア及びシステム技術)総会報告
SC 7 専門委員会
委員長 谷津 行穗(シンフォーム)
1. 開催場所: シドニー(オーストラリア)
2. 開催期間: 2014 年 6 月 16~20 日
3. 参加国数/出席者数: 27 ヵ国・地域/136 名
◆議長(François Coallier,加),セクレタリ(Witold
Suryn,加)
◆P メンバ 26 カ国/133 名:アルゼンチン(1),
豪州(12),ベルギー(1),ブラジル(2),カナダ
(7),中国(10),デンマーク(1),フィンランド
(2),フランス(2),ドイツ(4),中国香港(1),
インド(8),アイルランド(2),イタリア(3),
日本(18),韓国(13),ルクセンブルグ(1),マ
レーシア(4),メキシコ(4),オランダ(2),ニ
ュージーランド(1),南アフリカ(2),スペイン(1),
スウェーデン(1),タイ(3),英国(5),米国(23).
◆O メンバ:1 地域/1 名:中国香港(1).
◆日本からの参加者詳細(18 名)
:谷津行穗(HoD),
伏見 諭(JISA),薮田和夫(富士通),西 康晴(電
気通信大),三富 篤(日立),掛下哲郎(佐賀大),
新谷勝利(IPA),東 基衞(早稲田大),込山俊博(NEC),
塩谷和範,高橋快昇(富士通),向山 博(IPA),中
島 毅(三菱電機),江崎和博(法政大),坂本健一
(NTT データ),室中健司(富士通),高井利憲(奈
良先端科学技術大学院大),木下佳樹(神奈川大),
増田 聡(日本 IBM).
4. 議事内容
4.1 シドニー会議の概要
今回の総会では,6 月 16 日(月,9:30~11:30)
に Opening plenary,20 日(金,13:30~16:30)
に Closing plenary が開催された.これらの Plenary
を円滑に運営するため,それぞれ前日の 15 日(日,
10:00~16:30)及び 19 日(木,18:00~20:00)に
アドバイザリグループ(AG)会合が開催された.
また,Plenary を挟んだ 16 日(月)~20 日(金)
までの間,次に示す WG/SWG/AG 会議が行われた.
・ WG 2 ( System, software, and IT services
documentation/システム,ソフトウェア及び IT
サービスの文書化)
・ WG 4(Tools and environment/ツールと環境)
・ WG 6(Software product, and system quality
/ソフトウェア製品・システムの品質)
・ WG 7(Life cycle management/ライフサイク
ル管理)
18
・ WG 10(Process assessment/プロセスアセス
メント)
・ WG 19(Techniques for specifying IT systems
/IT システムの仕様化技術)
・ WG 20 ( Software and systems bodies of
knowledge and professionalization/ソフトウ
ェア及びシステム知識体系とプロフェッショナル
形成)
・ WG 21 ( Information technology asset
management/情報技術資産管理)
・ WG 24(Software life cycles for very small
entities/小規模組織のソフトウェアライフサイ
クル)
・ WG 26(Software testing/ソフトウェアテスト)
・ WG 42(Architecture/アーキテクチャ)
・ SWG 1(SC 7 business planning group/SC 7
の運営と将来計画)
・ SWG 5(SC 7 Standard management group/
SC 7 規格の管理)
・ SWG 22(Systems and software vocabulary
validation/システム及びソフトウェアエンジニ
アリングの語彙の検証)
なお,総会に先立って直前の 14 日(土)に SWG
1 による SC 7 全体の戦略計画セッションが開催され,
谷津行穗が参加した.この SWG では
・ SC 7 として今後注力していくべき分野,
・ SC 7 の国際規格および産業界における立ち位置,
・ SC 7 としての強み・弱み・活用機会・脅威
の各分野での議論・検討がなされた.
4.2 Advisory Group 会合
SC 7 の AG は,議長,セクレタリ,各 NB の HoD,
WG/SWG コンビーナ,リエゾンオフィサで構成さ
れ,日本からは谷津行穗(HoD),東 基衞(WG 6 コ
ンビーナ),伏見 諭(ISO/IEC JTC 1/SC 27 リエゾ
ンオフィサ,Special Liaison Group 2 議長),薮田和
夫(WG 4 Study Group Leader)が出席した.
15 日の会議では,Opening plenary の議事予定を
確認し,議長が作成したアクションリストと 2013 年
度設置スタディグループの報告に基づいて,今回の総
会会期中に決定すべき事項を洗い出し, WG/SWG,
セクレタリ,ドラフティング委員会などへの割当てを
行った.19 日の会議では,翌日の Closing plenary
に提出する SC 7 決議案の事前審議を行った.
4.3 SC 7 総会
16 日の Opening Plenary では,SC 7 議長及びセ
クレタリの基調報告,及び今回の総会のアクションリ
ストの確認が行われた.
20 日の Closing Plenary では各 WG/SWG のコ
ンビーナから今回の会議での審議経過報告が行われ
た後,決議案の審議を行った.例年通り前日の AG で
事前に審議が尽くされていたため,総会自体は円滑に
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
推移し,108 件の議決案のほとんどを全会一致で決議
した.
なお,決議をまとめるドラフティング委員会には,
日本意見の反映の正確性を期して増田 聡が参加し,
SC 7 決議で謝辞を贈られた.
以下に,今回の SC 7 総会での主要な決議を示す.
4.3.1 エディタの任命
今回の SC 7 総会決議では,既存の 15 件のプロジ
ェクトについて延べ 34 名のエディタが任命された.
このうち,日本からのエディタとプロジェクトを次に
示す.
・ 岸 知二(コエディタ,早稲田大)
:ISO/IEC 26550
( Software and Systems Engineering –
Reference Model for Product Line Engineering
and Management)の改訂.
4.3.2 リエゾンオフィサの任命
ISO,IEC の 25 組織へのリエゾンオフィサの任命
が行われ,日本からは次の 2 名が 3 組織へのリエゾ
ンオフィサを務めることとなった.
・ 木下佳樹:IEC TC 56(継続),IEC TC 65/SC 65A
(継続).
・ 伏見諭:ISO/IEC JTC 1/SC 27(継続,Special
Liaison Group 2 の議長を兼ねる)
なお,ISO/IEC JTC 1/SC 40 との連携を密にする
ため,Special Liaison Group 5(議長:Suzanne Van
Hove,米)を新設した.
4.3.3 カテゴリ C リエゾンの確立とオフィサの任命
次の 4 団体との間でカテゴリ C リエゾンを確立す
ることを決議し,リエゾンオフィサを任命した.
・ Trusted Computing Group(WG 21).
・ Test Maturity Model (TMMi) foundation(WG
21).
・ European
Telecommunication
Standards
Institute(WG 26).
・ Quality Management Center of the German
Association of Automotive Industry(WG 10).
4.3.4 SC 7 の体制及び役職人事
SC 7 の体制及び役職人事について,次の決議を行
った.
・ 2014 年 11 月に 任 期満 了 を迎 える François
Coallier SC 7 議長(加)の任期を 3 年間延長す
る.
・ 東 基衞が 2014 年 12 月 31 日付で WG 6 コンビ
ーナを退任し,後任として込山俊博が就任する
(2015 年 1 月 1 日付).
・ Roger Cummings(米)が WG 21 のコンビーナ
に就任する.
・ Annette Reilly(米)を SWG 22 のコンビーナに
再任する(3 年間).
4.3.5 SC 7 の運営
SC 7 の運営に関して,次の決議を行った.
19
・ SC 7 の文書配布や管理を ISO e-Committee で積
極的に行うため,SC 7 旧サイトの残留コンテンツ
の e-Committee への移行,WG 独自サイトから
e-Committee への移行を促進する.
・ コメント処理への適用も含め,WG に,電子会議
の積極的活用を促す.
・ WG が提案者となる NP は,NP 票だけでなく.最
低でも文書の目次案を添付することを義務付ける.
各国 NB が提案者となる場合にも目次案の添付を
推奨する(反対:南ア,棄権:印).
・ 投票に付す文書類は,SC 7 セクレタリに提出する
前 に , 必 要 な 文 書 が 揃 っ て い る か , ISO/IEC
Directives Part 2 に準拠して作成されているかを
WG コンビーナが確認するよう義務付ける.
・ 会議の開催通知とアジェンダは遅くとも 3 カ月前
に SC 7 セクレタリを通じて配布すること,会議
後 2 カ月以内に議事録を作成して配布すること,
SC 7 決議や SC 7 から各 NB への公式文書で通知
されている場合を除き,コメント処理を確実に実
施する義務は WG コンビーナが負うこと,その他,
コメント処理の会議の運営方法などについて,
ISO/IEC Directives の規定を遵守するよう促す.
・ SC 7 が IEEE-CS(IEEE Computer Society),
PMI(Project Management Institute)と共同で
維持管理している“システム及びソフトウェアエ
ンジニアリングの語彙”(ISO/IEC/IEEE 24765 と
し て 発 行 さ れ る と と も に ,
www.computer.org/sevocab で オ ン ラ イ ン検
索可能)で定義されている用語を参照し尊重する
よう WG 及びエディタに促す.
・ SWG 1 を継続し,メンバを再任.谷津行穗が参加
する.
・ SWG 5 を継続し,メンバを再任.谷津行穗が参加
する.
・ SC 7 で投票するすべての NP に対して,NP 投票
開始前に SWG 5 が内容のチェックを行って NP
提案者にフィードバックして提案者に対応させる.
このチェックとフィードバックは,NP 票の提出か
ら 2 週間以内に行う.
・ フ ァ シリ ティ ーズ フ ィー の徴 収や 会 計報 告は
ISO/IEC Directives の規定を遵守するよう求める.
・ 活動に参加していない P メンバに,ISO/IEC
Directives の規定に従って SC 7 セクレタリから
注意喚起させる.
・ SC 7 セクレタリに,
SC 7 の最新のWork Program
を送付して JTC 1 の承認を求めさせる.
・ SC 7 決議 690 及び 691(SC 7 レベルでの投票で
は Excel スプレッドシート形式のテンプレートに
よるコメント作成・提出を認める)を再確認する.
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
4.3.6 Work Items
今回の SC 7 総会で SC 7 決議又は WG 決議でステ
ージの進展が決議されたプロジェクトを次に示す.
・ ISO/IEC/IEEE 23026 Systems and software
engineering
—
Engineering
and
management of websites for systems,
software, and services information を FDIS 投
票に付す(WG 2).
・ ISO/IEC/IEEE 26531: Systems and software
engineering — Content management for
product
life-cycle,
user,
and
service
management documentation を FDIS 投票に付
す(WG 2).
・ ISO/IEC 30130 Software engineering Capabilities of software testing tools を DIS 投
票に付す(WG 4).
・ ISO/IEC 26550 Software and systems
engineering — Reference model for product
line engineering and management(改訂)を
FDIS 投票に付す(WG 4).
・ ISO/IEC 26555 Software and systems
engineering — Tools and methods for
product line technical management(改訂)を
FDIS 投票に付す(WG 4).
・ ISO/IEC 26551 Software and systems
engineering — Tools and methods for
product line requirements engineering(改訂)
を FDIS 投票に付す(WG 4).
・ ISO/IEC 15026-3 Systems and software
engineering —
Systems and software
assurance — Part 3: Integrity levels を DIS 投
票に付す(WG 7).
・ ISO/IEC 16350 Systems and software
engineering — Application Management を
FDIS 投票に付すか出版に回す(WG 7).
・ ISO/IEC/IEEE 15288 Systems and software
engineering — System life cycle processes を
FDIS 投票に付す(WG 7).
・ ISO/IEC/IEEE 12207-1(*1) Systems and
software engineering — Software life cycle
processes を 2nd CD 投票に付す(WG 7).
(*1) ISO/IEC 12207 は,今回のシドニー会議で第 2 部を
・
・
・
・
・
・
・
・
追加して複数部構成に変更することが SC 7 決議され,従
来の規格案は今後第 1 部として扱われることになった.
・ ISO/IEC 33050-4 Information technology —
Process assessment — A process reference
model for information security management
を PDTS 投票に付す(反対:ブラジル,棄権:印,
米.WG 10).
・ ISO/IEC 33070-4 Information technology —
Process assessment — A process assessment
20
・
model for information security management
を PDTS 投票に付す(反対:ブラジル,棄権:印,
米.WG 10).
ISO/IEC TR 19759:2005 Guide to the
software engineering body of knowledge
(SWEBOK) を 改 訂 す る た め に , IEEE-CS
SWEBOK Guide V3.0 をファストトラック手順で
DTR 投票に付す(WG 20).
ISO/IEC 19770-1:2012 を “ Information
technology — IT asset management — Part
1: IT asset management systems —
Requirements ” と 題 し て 改 訂 す る た め に ,
Consolidated JTC 1 Supplement 2014 の附属書
JC.2 に従って ISO-TMB に提出することの可否を
問 う た め , “ Management System Standard
Justification Study for a revision to ISO/IEC
19770-1:2012”を1カ月間の SC 7 CIB に付す
(WG 21).
ISO/IEC 19770-2 Information technology —
Software asset management — Part 2:
Software identification tag を DIS 投票に付す
(WG 21).
ISO/IEC 19770-5 Information technology —
Software asset management — Part 5:
Overview and Vocabulary(改訂)を FDIS 投票
に付す(WG 21).
ISO/IEC 29110-2-2 Systems and software
engineering-- Lifecycle profiles for Very Small
Entities (VSEs) — Part 2-2: Guide for the
development of domain-specific profiles を
DTR 投票に付す(WG 24).
ISO/IEC 29110-3-4 Systems and software
engineering-- Lifecycle profiles for Very Small
Entities (VSEs) — Part 3-4 Autonomy-based
improvement method for VSE を DTR 投票に付
す(WG 24).
ISO/IEC 29110-4-6 Systems and software
engineering — Lifecycle profiles for Very
Small Entities (VSEs) — Part 4-6 Systems
engineering - Profile specifications: Generic
profile group を CD 投票に付す(WG 24).
ISO/IEC 29110- 5-6-1 Systems and software
engineering — Lifecycle profiles for Very
Small Entities (VSEs) —
Part 5-6-1:
Management and engineering guide: Generic
profile group: Entry profile を DTR 投票に付す
(WG 24).
ISO/IEC 29110-3-2 Systems and software
engineering — Lifecycle profiles for Very
Small Entities (VSEs) — Part 3-2: Conformity
assessment guide を DTR 投票に付す(WG 24).
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
・ ISO/IEC 29110-4-1 Systems and software
engineering — Lifecycle profiles for Very
Small Entities (VSEs) — Part 4-1: Software
engineering profile specifications: Generic
profile group(改訂)を DIS 投票に付す(WG 24).
・ ISO/IEC 29110-2-2 Systems and software
engineering — Lifecycle profiles for Very
Small Entities (VSEs) — Part 2-2: Guide for
the development of domain-specific profiles
(改訂)を PDTR 投票に付す(WG 24).
・ ISO/IEC/IEEE 29119-4 Software and systems
engineering — Software testing — Part 4:
Test techniques を DIS 投票に付す(WG 26).
・ ISO/IEC CD 42030 Systems and Software
Engineering — Architecture Evaluation を 2nd
CD 投票に付す(WG 42).
4.3.7 New Work Items
今回の SC 7 総会では,次に示す NWI を WG 提案
で NP 投票に付すこととした.
・ ISO/IEC/IEEE 26513 Systems and software
engineering — Requirements for testers and
reviewers of user documentation(改訂.WG
2).
・ Software and Systems Engineering —
Guideline for the evaluation and selection of
software engineering tools(NP & CD 投票).
薮田和夫がプロジェクトエディタ,梶原清彦(NTT
ソフト)がコエディタに就任予定(WG 4).
・ Software and systems engineering —
Capabilities of issue management tools(NP &
CD 投票).薮田和夫がプロジェクトエディタ,朝
倉 健雄(富士通)がコエディタに就任予定(WG
4).
・ Software and systems engineering —
Capabilities of deployment management tools
(NP & CD 投票).薮田和夫がプロジェクトエデ
ィタ,梶原清彦がコエディタに就任予定(WG 4).
・ ISO/IEC 33016 Information technology —
Process assessment — Process assessor
body of knowledge(NP & PDTR).新谷勝利が
コエディタに就任予定(WG 10).
・ ISO/IEC 33010 Information technology —
Process assessment — Guide to performing
assessments(NP & CD 投票.WG 10).
・ ISO/IEC 33030 Information technology —
Process
assessment
—
Documented
assessment process(NP & CD 投票.WG 10).
・ ISO/IEC 33050-4 Information technology —
Process Assessment — A process reference
model for information security management
21
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
(NP & PDTS 投票.反対:ブラジル,棄権:印,
米.WG 10).
ISO/IEC 15909-3, Systems and software
engineering — High-level petri nets — Part
3: Extensions(NP & CD 投票. WG 19).
ISO/IEC 24773 Schemes for the certification
of software and systems engineering
professionals(改訂後は 4 部構成を予定).Part
1:
General
requirements , Part
2:
Recommendations for describing knowledge,
skills, and competences , Part 3: Systems
engineering,Part 4: Software engineering.掛
下哲郎が第 1 部,鷲崎弘宣(早稲田大)が第 3 部
のコエディタに就任予定(WG 20).
ISO/IEC 19770-1 Information technology —
IT asset management —
Part 1:
Requirements(改訂).高橋快昇がプロジェクト
エディタ,篠田仁太郎(クロスビート)がコエディ
タに就任予定(WG 21).
ISO/IEC 19770-4 Information technology —
IT asset management — Part 4: Resource
Utilization Measurement(WG 21).
ISO/IEC 29110-3-3 Systems and software
engineering — Lifecycle profiles for Very
Small Entities (VSEs) — Part 3-3: Using
process assessment for conformity(NP & CD
投票.棄権:アルゼンチン,ブラジル,カナダ.WG
24).
ISO/IEC 29110-5-1-2 Systems and Software
Engineering — Lifecycle profiles for Very
Small Entities (VSEs) —
Part 5-1-2:
Management and engineering guide —
Generic profile group — Basic profile(WG 24).
ISO/IEC 29110-5-6-2 Systems and Software
Engineering — Lifecycle profiles for Very
Small Entities (VSEs) —
Part 5-6-2:
Management and engineering guide —
Generic profile group — Basic profile(WG 24).
Management and engineering Agile guide —
Generic profile group — Basic profile(WG 24).
Work Product Reviews(NP & CD 投票).
ISO/IEC 29119 シリーズとは別番号とする.
IEEE-CS に対し,IEEE 1028-2008 Standard for
software reviews and audits を原始文書として
提供するよう勧める(WG 26).
ISO/IEC TR 24748 シ リ ー ズ Systems and
software
engineering
—
cycle
Life
management の第 1~3 部(改訂.WG 7).
ISO/IEC 15026-1 Systems and software
engineering —
Systems and software
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
assurance —
Part 1: Concepts and
vocabulary(改訂.WG 7).
・ Architecture engineering(棄権:カナダ,韓国.
WG 42).
4.3.8 Program of Work の変更など
稼動中のプロジェクトに対し,次の変更が決議され
た.
・ ISO/IEC 25022,25023,25024 の DIS 期限及
び FDIS 登録期限を,それぞれ 1 年間延長する
(WG
6).
・ ISO/IEC DTR 16337 Systems engineering —
Systems engineering handbook のプロジェク
トをキャンセルする(INCOSE が文書を取り下げ
たため.WG 20).
・ ISO/IEC 19770-1 Information technology —
IT asset management —
Part 1:
Requirements の改訂に関し,専門家の WG 21 へ
の参画を求める N 文書を配布する.特に,SC 27,
SC 40,PC 251(廃止されている場合には当時の
参加者)に呼び掛ける(WG 21).
・ ISO/IEC 19770-3 の規格名称を“ Information
technology — Software asset management
— Part 3: Software entitlement tag ” か ら
“ Information technology —
IT asset
management — Part 3: Entitlement schema”
に変更する(WG 21).
・ ISO/IEC 19770-2 に関し,専門家の WG 21 への
参画を求める N 文書を配布する.(WG 21).
・ ISO/IEC CD 15026-3 Systems and software
engineering —
Systems and software
assurance — Part 3: System integrity levels
に対して SC 7/WG 7 会議が行ったコメント処理
結果を受け入れるように SC 7 議長に勧告する.
・ ISO/IEC/IEEE CD 12207 Systems and
software engineering — Software life cycle
processes に対して SC 7/WG 7 会議が行ったコ
メント処理結果を受け入れるように SC 7 議長に
勧告する.
・ ISO/IEC/IEEE 12207 Systems and software
engineering — Software life cycle processes
を複数部構成に変更し,現行の ISO/IEC/IEEE
12207 を第 1 部とし,第 2 部の NP を投票に付
す.第 2 部は,現在改訂中の ISO/IEC CD 12207
から,ISO/IEC 12207:2008(第 2 版)への後方
互換性を提供するためである(WG 7).
・ ISO/IEC DTR 30103 Software and systems
engineering —
Lifecycle processes —
Framework for product quality achievement に
対して SC 7/WG 7 会議が行ったコメント処理結
果を受け入れるように SC 7 議長に勧告する.
22
・ ISO/IEC DTR 30103 Software and systems
engineering —
Lifecycle processes —
Framework for product quality achievement を
TS として出版するために必要な措置をとるよう
SC 7 セクレタリに求める(WG 7).
・ ISO/IEC 29110-4-6 Systems and software
engineering-- Lifecycle profiles for Very Small
Entities (VSEs) —
Part 4-6 Systems
engineering - Profile specifications: Generic
profile group のプロジェクト期限を 24 カ月延長
する(この部が ISO/IEC 29110-5-1-2 に依存し
ており,それが DTR を経て出版されるまで待つ必
要があるため. WG 24).
4.3.9 スタディグループによる NWI 予備検討
プロジェクトを円滑に遂行するためには,NWI 提
案前に標準化のスコープを明確化し,文書の骨子につ
いて十分な事前審議を行っておくことが望ましい.こ
のため,SC 7では,特定 WG に閉じたテーマは WG
内,複数 WG に関わる話題は SC 7 レベルで 1 年間
のスタディグループを設置して,予備検討を行うこと
を推奨している.
今回の SC 7 総会では,次の 3 件のスタディグルー
プを SC 7 レベルで新設又は継続することとした(こ
の他に WG レベルで設置されているスタディグルー
プが 20 件前後ある).
・ ISO/IEC 20000 と ISO/IEC 19770 のプロセス間
の対応付け(新設).
・ ゲーミフィケーション(gamification.課題の解決
や顧客ロイヤリティの向上に,ゲームデザインの
技術やメカニズムを利用する活動)手法による,
システム及びソフトウェアエンジニアリング分野
での標準化の可能性検討(2 年目).
・ SC 7 の対象領域と規格のオントロジー構築の実
現性(3 年目).
5. 今後の開催予定
2015-05-11/15 リオ・デ・ジャネイロ,ブラ
ジル(確定)
2016-05
中国(確認中)
2017-05
マレーシア(確認中)
2018-05
インド(確認中)
6. その他
(1) 例年 5 月に開催される総会だが,今年は開催国の
事情により 6 月開催となったため,11 月ごろに開
催される秋の中間会議までの期間の短さも含めて,
投票が半年以上ずれ込むなど投票時期の設定に悩
まされた総会審議であった.総会スケジュールの
変更が,思いのほか規格の完成に影響を与えるこ
とを実感した.
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
(2) 昨年秋の JTC 1 総会での決定を反映して.SC 7
から 2 つの WG が SC 40 へ移管されてから初め
ての総会であった.SC 40 総会も同じ都市で連続
週での開催ということもあり,関連する参加者も
参加しやすかったようで,審議などの連携に混乱
もなく総会は進行した.いろいろな分野が関連し
て発展している産業界の動向を反映して,国際規
格開発の現場ももっと交流や連携を取り易くして
いくことが必要だと痛感した.JTC 1 内でも SC
27,SC 38 や SC 40 といった密接な SC があり,
ISO や IEC ともさらに連携を深めることが必要で
ある.
(3)最近 ISO でも規格開発に参加できるエキスパート
の参画をオープンにする動きがある.
国際の SC の
世界でも呼応していく動きが出てきた.ただし,
オープンな議論と NB の投票立場とははっきりと
分離した議論の場を確保することは重要なことで
あり,コメント議論と NB としての賛否表明をし
っかり分けて記録を残すなど,今回の総会中の
WG 審議では気を使った場面が見られた.国内の
審議の場面でもオープンな場面を作っていくこと
は国際の場面での議論と同レベルの議論・提案の
質を備えるためには今後必要なことである.国際
規格が広い場面で活用され,それを作る段階でも
多くのステークホルダがオープンに参加できる環
境が必要だと感じた.
■ SC 22 ( Programming languages, their
environments
and
system
software
interfaces/プログラム言語,その環境及びシステ
ムソフトウェアインタフェース)総会報告
SC 22 専門委員会
委員長 石畑 清(明治大学)
1. 開催場所: マドリッド(スペイン)
2. 開催期間: 2014 年 9 月 8~9 日
3. 参加国数/出席者数:11 か国/21 名(リモート
参加を含む)
議長(Rex Jaeschke,米国),セクレタリ(Marisa
Peacock,米国),米(5,うち convener 3),カナ
ダ(2),英国(2,うち convener 1),デンマーク
(1),オランダ(1),オーストリア(1),イタリ
ア(1),スペイン(1),韓国(1),中国(1),
日本(3: 石畑清[HoD,明大],高木渉[日立,WG4
convener],武部達明[横河電機])
23
4. 総会の概要
WebEx によるリモート参加を含めて 11 か国の参
加があった.5~7 か国がこれまでの例なので,かな
り多かったと言える.SC 22 は WebEx による総会へ
の参加を認めた最初の SC であるが,純粋にリモート
で参加し,投票まで行った国が出たのは初めてである.
リモート参加者は,3 名(国代表が 1,convener が
2)であった.
SC 22 の会議は,特に争点もなくあっさりと終わる
のが例であったが,今年は様子が違っていた.主にカ
ナダが SC 22 の運営方法に異論を唱え,熱のこもっ
た議論が展開された.議論自体は冷静に行われ,参加
者全員にとって満足のいく結論に達したと考えるが,
議長を再任する決議にカナダとイタリアが棄権した
ことには驚かされた.
WG 23(Vulnerabilities)を廃止する提案が幹事国
のアメリカから出た.活動が一段落したこと,作業の
人手の確保が難しいことなどが理由である.これに対
して,他の国は作業すべき項目が残っているとして反
対した.日本も,反対派の一つである.提案は,反対
多数で否決され,今後も活動を継続することになる.
幹事国は,未確定だが,カナダに移る公算が大である.
Linux 規格の改訂作業案を作るように,昨年の総会
で決議したのだが,韓国からの文書提出が遅れ,今回
の総会で取り上げることができなかった.今回はより
強く,改訂作業の進め方を議論する Study Group を
作ることを決めた.いっこうに始まらない作業を今度
こそ始めさせるという関係者の意思が感じられる.
Linux は open source のソフトウェアであるため,
仕様の改訂が進んでいて,規格がそれに追いついてい
ないということが背景にある.
カナダから SC 22 運営に関する異論がかなり強く
出された.その主な論点は,年に 1 回の総会だけでは
SC 22 の運営に関する事項を決めるのに不十分だと
いうことである.カナダは運営を議論するためのグル
ープを作ることを求めたが,全員参加の原則に反する
として反対する意見が強く採用には至らなかった.代
わりに,総会と総会の間に 2 回,4 か月間隔で全員参
加の電話会議を開くことにした.論点がなければ,開
催はキャンセルする予定とする.この方式は今後 1 年
間の試行とし,決議には含めていない.ほかに,SC 22
固有のルールを定めた文書にマイナーな改訂を二つ
加えた.
個別の言語を担当する各 WG からの報告があった
が,特記すべきものは多くない.WG 17(Prolog)か
ら Module に関する規格の Amendment 作成を開始
するとの報告があった.また,WG 21(C++)は,
2017 年完成を目標に大改訂に着手する予定とのこと
だった.ほかに,WG 5(Fortran)や WG 14(C)
にも作業項目がある.各 WG とも,livelink への移行
や global directory への登録に関する懸念を持って
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
いるようである.また,WG 参加者は expert であっ
て国を代表しないという ISO の方針に反することな
く,スムーズな WG 運営を続けるにはどうしたらよ
いかという点をめぐって,具体策にまで踏み込んだ熱
心な議論があった.
Ecma International と の liaison 報 告 で は ,
ECMAScript と C#の改訂作業が進んでいて,1 年後
には JTC1 に文書が提出される見込みであることが紹
介された.また,新しい言語として DART の作業が進
んでいるとのことだった.
5. 今後の予定
2015 年 9 月 14~15 日
コナ(米国)
6. 決議一覧(背景の解説を含む)
14-01 WG 11 関係の TR の中に,定期見直しでは
confirm と結論されたにもかかわらず,
いつ
の間にか廃止されたものがある.廃止の理
由の説明を求めるとともに,再出版を要求
する.SC からの求めがあれば,再出版は可
能であるらしい.
14-02 Linux 規格の改訂計画を策定する Study
Group を結成する.メンバーや初回会合も,
仮にではあるが決めた.
14-03 SC22 固有の運営ルールの改訂の一つであ
る.これまでは,1 か国が求めれば,総会で
の投票を行わずに Letter Ballot に回すこと
になっていた.これをもう一つの国の賛成
を要するように変更した.
14-04 14-03 と同様のルール改訂の一つである.
convener の後任者を提案する国が二つ以
上ある場合のルールを一部変更した.共通
のルールがあるので,SC22 で決めることの
できる範囲は限られている.
14-05 Prolog の Module に関する規格の PDAM 投
票を開始する.
14-06 external liaison(Ecma International,
Linux Foundation)を再確認する.
14-07 Austin
Joint
Working Group の
organizational representative を再確認す
る.
14-08 internal liaison(TC 37,SC 2,SC 7,SC
27)と SC 22 からの代表(SWG-Directives)
を再確認する.
14-09 SC 22 議長(Rex Jaeschke)の再任命を認
める.この決議にカナダとイタリアが棄権
した.
14-10 WG5(Fortran)と WG14(C)の convener
を任命する(3 年間).C は今までの
convener が引退して現在のアメリカ HoD
が就任する.ほかに WG 17(Prolog)の
24
convener(アメリカ)も引退して,オース
トリアから convener を出す予定であるが,
手続きが進んでいないので,今回の決議に
は含めていない.
14-11 WG 23 ( Vulnerabilities ) の acting
convener を任命する.ほかの候補が出なけ
れば,1 年後には本当の convener とする.
上に述べたとおり,幹事国がアメリカから
カナダに移る.
14-12 規格の定期見直し.PCTE の 4 件,Modula2 の 2 件,CHILL の 1 件,計 7 件の規格を
stabilize とする.いずれも保守が行われな
く な っ て 久 し い . COBOL の object
finalization に関する TR と C の数学関数に
関する規格を confirm とする.
14-13 次回以降の SC 22 総会の予定.2015 年は
アメリカ(Kona),2016 年はオーストリ
ア(Vienna),2017 年はイギリス(London).
14-14~22
通例の感謝.総会中に C の並列実
行に関する研究を進めているグループ
(C を
担当する WG 14 に関係している)の現状報
告が行われたが,それに対する感謝も含ま
れている.
■
SC 24 ( Computer Graphics, image
processing
and
environmental
data
representation/コンピュータグラフィクス,画像
処理及び環境データ表現)総会報告
SC 24 専門委員会
委員長 青野 雅樹(豊橋技術科学大学)
1. 開催場所: シアトル(米国)
2. 開催期間: 2014 年 8 月 18~22 日
3. 参加国/参加者総数: 6 ヵ国/28 名
議長(Ha-Jine Kimn,韓国),セクレタリ(Charles
Whitlock,英国),米(6),英国(2),韓国(9),
中国(1),豪州(2),日本(2: 青野雅樹[HoD],
蔵田武志[産総研]),Web3D Consortium (1),
Khronos (1),WebEX 参加: 英国(1),米国(1)
4 特記事項
4.1 WG 6(拡張現実世界によるプレゼンテーション
と交換)
WG 6 のワーキンググループ会議は 8 月 19 日
(火)
の午前 8 時 30 分から 12 時までと 13 時 30 分から
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
16 時まで行われた.また Plenary は 20 日の午前に
行われた.日本からは 1 名(青野)だけ参加した.JTC
1 chair の Karen Higginbottom 氏も Plenary だけ参
加された.
ワーキンググループ会議では,議長(WG 6 コンビ
ーナの Dick Puk 氏)から,コンビーナレポートの説
明があり,アジェンダの確認があった.次に,X3D
(ISO/IEC 19775,19776,19777)の現状報告が
あった.また,Web3D コンソーシアム代表として参
加された Don Brutzman 氏からは,X3D バージョン
3.4 の 活 動 状 況 , 昨 年 も 紹 介 の あ っ た X3DOM
( http://www.web3d.org/x3d/x3dom/ ) と い う
DOM モデルの話題,プラグインなしで CAD モデル
をブラウザ上に表示できる事例がデモつきで紹介さ
れた.バイナリ符号化に関しては現在の規格で採用し
ている XML の Fast Infoset に代わる EXI (Efficient
XML Interchange) 方式の話が紹介され,
近いうちに,
こちらを規格に採用したいとの話が紹介された.
また,H-Anim(ISO/IEC 19774)の現状報告が,
Myeon Won Lee 氏からあった.こちらは,NP は昨
年承認されたので,目下 Working Draft 作成中との
ことであった.人間(物体)のアニメーションが中心
であり,現在は,モーションキャプチャのデータ交換
形式の仕様策定中とのことであった.技術内容的には,
LoA (Level of Articulation)を何レベルかでサポート
することで,複雑なジョイントでのアニメーションか
ら,シンプルなアニメーションまでをサポートしてい
るとの進捗状況がデモとともに紹介された.
一方,CAD データから X3D への変換に関して
Hyokwang Lee 氏から PMI (Product Manufacturing
Information)との関係で,ソリッドモデル(CSG, BREP, feature-based)から,X3D でサポートされて
いるポリゴン集合あるいは NURBS に代表される曲面
ベースへの変換方式が発表された.なお,ISO 10303
で定義されている STEP 規格を意識しながら,複雑な
アセンブリに関しては,全体をひとつのシーングラフ
で表現する A 方式,階層の一番下の幾何データを
external references として表現する B 方式,ならび
に階層のすべてのノードを別々に表現する C 方式の
3種類が報告された.なお,Web3D コンソーシアム
の Don Brutzman 氏から,CAD モデルを X3D に変
換したあと,ISO/ASTM 52915 で規格化されている
3D プリンタフォーマットで更に表現可能なため,
CAD モデルを3D プリンタで印刷することができる
ことの報告があった.
4.2 WG 7(画像の処理と交換,登録)
Working Session には参加できなかったが,8 月
21 日(水)午前 10 時 30 分からの Plenary に日本か
らは,蔵田武志氏と青野の 2 名が参加し,以下のよう
な Recommendation が採択された.JTC 1 chair の
Karen Higginbottom 氏も参加された.まず,一昨年
25
の Brussels 会議で報告された画像処理のオープンソ
フトウェアである OpenCV の Study Group に関す
る継続的な活動状況ならびに世界的な利用状況の報
告が,コンビーナの Y. Chung 氏(Study Group のラ
ポータを兼任)からあった.特に,コンピュータビジ
ョ ン の レ フ ァ レ ン ス ・ モ デ ル Computer vision
reference model(PIKS APIs,OpenVX 1.0 kernal
(Khronos),OpenCV 2.4.9 等を参考にしているとの
こと)に関して,NWIP の候補として,コンビーナの
Chung 氏が現在執筆中であるとの報告があった.
また,以下のリエーゾンを継続,または開始予定で
あることが報告された.具体的には,(1) ISO SCIT
(Steering Committee on Imaging Technology),
(2) TC 211/WG 6 (Geographic Information /
Imaging and Gridded Data),(4) SC 29/WG 1
JPEG2000,(5) NATO Joint ISR (JCGISR)(BIIF を
データ送受信のフォーマットとして今後も継続的に
利用するとの報告),(6) NITFS Technical Board,
(7) OMG Robotics DTF (Image processing
standards for intelligent robots),(8) SC 29,
Coded Representation of MultiMedia/HyperMedia(MM/HM) である.
4.3 WG 8(環境表現)
WG 8 の会議は日本からは,蔵田武志氏と青野の 2
名が,8 月 21 日(木)午前 8:30 から行われた Plenary
に参加した.JTC1 chair の Karen Higginbottom 氏
も参加された.コンビーナの Jack Cogman(UK)氏
と Editor の Paul Berner 氏は WebEX で遠隔地から
参 加 し た . SEDRIS か ら の 代 表 で あ る Farid
Mamaghani 氏は,今回の SC 24 総会全体のホスト
役でもあった.
プ ロ ジ ェ ク ト の 進 行 状 況 に 関 し て は , EDCS
Language Binding の Revision to Edition 3 の NWIP
と CD は 2013 年に承認されてから 1 年以上経過し
ているが,DIS が来年 4 月までに出る予定とのこと
である.ただし,予算がつくかどうかでスケジュール
の 変 更 が あ り う る と の こ と だ っ た . 一 方 , SRM
(18026)に関しては,目下 FPDAM が終わり,FDIS
を用意しているとのことであった.
4.4 WG 9(拡張現実世界の概念と参照モデル)
8 月 18 日(月)の午前と午後,Working Group セ
ッションが行われた.コンビーナを除く参加者は,英
国(1),米国(4), 中国(1), 韓国(6), 豪州(2), 日
本(2)であった.ほとんどの時間は,コンビーナのキ
ム (Gerald J. Kim) 先 生 か ら の , Mixed and
Augmented Reality 参照モデル(Reference Model)
( 通 称 MAR RM ) に 関 し て , 現 在 進 行 中 の
CD(Committee Draft)に関する説明に当てられ,そ
の背景のレビューおよび新たに追加された機能のア
ップデート,SC 29 との協調作業(JAhG = Joint Ad
hoc Group)やコメントの質疑に当てられた.
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
また,コンビーナから,参照モデル(ISO/IEC
18521 Part 1)に追加された部分について説明があ
った.アーキテクチャに関しては3つのビューポイン
ト が 新 た に 紹 介 さ れ た . す な わ ち , Enterprise
viewpoint, Computational viewpoint, ならびに
Information viewpoint で あ る . Enterprise
viewpoint では,MAR 環境下でアクター,その目的,
役 目 と 必 要 条 件 を 記 述 す る . Computational
viewpoint では,MAR システムの大まかなインター
プレイを記述する.Information viewpoint では主と
して入出力のセマンティックスを記述する.
その後,Physical sensors(ISO/IEC 18521 Part
2)の話が Meyong Lee 氏からあり,続いて Real
characters (Part 3)の話が Kwan-Hee Yoo 氏から,
特に MAR RM の進捗に応じた変化が述べられた.そ
の後,日本から参加した蔵田武志氏から MAR のベン
チマーキング(ISO/IEC 18520)の内容の概要のレビ
ューと,日本から提案したベンチマークに関する NP
投票で承認された結果のサマリが述べられた.
4.5 HoD (Head of Delegation)and Liaison
Meeting
HoD/C 会議は,8 月 19 日(火)の午後と,21 日
(木)の午後に行われた.参加者は各国の HoD,各
WG のコンビーナ,ならびに各種リエーゾン担当者,
SC 議長,ならびに SC 24 セクレである.日本からは
青野が HoD として参加した.19 日の HoD/C 会議で
は,Drafting Committee の任命と,議長である Kim
氏から,この一年間の SC 24 の活動を総括する報告
の説明があった.
21 日に行われた 2 回目の HoD/C 会議の内容は以
下のようであった.Chairman からは,WG 9 からの
2つの拡張現実に関する規格に関して,JTC 1 会議の
あるアブダビ会議までに CD 文書を投票用に回覧し
たいとの意思表示があった.次に,Resolutions,特
に Programme of Work に関して,今後,投票から
出版に至るまで SC 24 の中で審議予定の案件の一覧
表に関して,案件ごとの日程の確認が行われた.
4.6 SC 24 Plenary meeting
会議全体では 28 名程度の参加者で,昨年と同じ 6
か国(Korea, US, Australia, China, Japan,
USA)の P-member からの参加があったことが議長
のキム氏から報告された.22 日の午前 9 時半から SC
24 Plenary が行われた.SC 24 Plenary では,オン
ライン WebEX での Jack Cogman 氏も WG8 のコン
ビーナとして参加した.SC 24 Plenary では,議長か
らの昨年の Perros-Guirec(仏)での JTC1 会議の報
告,特に Resolution 12 で SC 24 と SC 29 の拡張現
実・混合現実の規格化に関する Joint Ad-hoc Group
(JAhG)が継続されるとの報告があった.その後,セク
レからの報告,WG コンビーナからの報告,リエーゾ
ンからの報告,SWG からのビジネスレポートの説明,
26
ならびに National Body からの報告があった.
日本からの提案である「NWIP 18520 混合・拡張
現実のためのベンチマーク:幾何学的なレジストレー
ションとトラッキング法」は CD 投票が来年 7 月,
DIS が 2016 年 1 月,FDIS が 2016 年 7 月の予定
で,今後進捗する予定であることが確認された.決議
をまとめると以下のようである.
決議 1:EDCS(WG8), X3D 符号化(WG6),HAnim(WG6), MAR 概念(WG9)等の文書に関する
Programme of Work を承認する.
決議 2:以下の4つの文書を ITTF に送付する.
ISO/IEC 19775-2 Ed.3 Extensible 3D (X3D) –
Part 2: Scene access interface
ISO/IEC 19776-1 Ed.3 Extensible 3D (X3D)
encodings – Part 1: XML
ISO/IEC 19776-2 Ed.3 Extensible 3D (X3D)
encodings – Part 1: Classic VRML
ISO/IEC 19776-3 Ed.3 Extensible 3D (X3D)
encodings – Part 1: Compressed binary
決議 3:以下の文書に関して DAM/DIS 文書が完成
したのち,SC 24 セクレから JTC1 に文書を送付す
ることとする.
ISO/IEC 18041-4 Ed.3 EDCS Language Binding
revision
決議 4:以下のプロジェクトをキャンセルし,その
旨を SC 24 セクレから JTC1 に通知する.
ISO/IEC TR24788 Templates for the SEDRIS
DRM
決議 5:ISO/IEC 18026 Ed.3 SRM Revision に関
して SC 24 は,NWIP を承認する.
決議 6:SC 24 は,WG6 内の以下の NWIP を支援
する.
a) 医療ワーキンググループによるアノテーショ
ン・コンポーネントと多層平面再構築
b) Projective Texture Mapping
c) 拡張地理空間コンポーネント
d) MAR センサーノード
e) EXI 圧縮バイナリ符号化
f) X3D における混合現実・拡張現実のための機能
拡張
g) H-Anim の動き動作定義と関連する X3D バイ
ンディング
h) X3D のクロマキー
i) H-Anim における顔のアニメーション
j) X3D の物理センサとインタフェース
k) CAD2X3D
l) BIM2X3D
m) H-Anim の手と足のアニメーション
n) X3D3 ビッグをデータ可視化
o) ISO/IEC 19777-1 と ISO/IEC 19777-2 を
ISO/IEC 19775-2 の第 3 版にあわせた改訂
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
決議 7:SC 24 は,WG 8 内の以下の NWIP を支
援する.
ISO/IEC 18023-1 Ed.2 SEDRIS Part1 改訂
ISO/IEC 18023-3 Ed.2 SEDRIS Part3 改訂
ISO/IEC 18024-4 Ed.2 SEDRIS 言語結合改訂
ISO/IEC 18041-4 ed.3 EDCS 言語結合改訂
ISO/IEC 18042-4 Ed.2 SRM 言語結合改訂
決議 8:SC 24 は,WG8 内の以下の NWIP 候補技
術を調査する.
• センサ・シミュレーションのための材質感表現
法
• 動的な海モデルの表現法
• 手続き的に生成される幾何学の表現法
• 環境データの生成と表示のための様々で詳細
なメタデータ情報の処理法
• ホログラフの生成と表示のためのディジタル・
ホログラフィック・データコンテンツの表現と
STF コ ン テ ン ツ の レ ン ダ リ ン グ の た め の
SEDRIS 内での X3D の利用可能性
決議 9:SC 24 は,WG9 内の以下の NWIP を支援
する.
a) トラッキングのための混合現実・拡張現実のレ
ファレンス・ベンチマーク
b) モバイル AR のための混合現実・拡張現実のレ
ファレンス・モジュール
c) MAR のためのディジタル・モーション・ホログ
ラフィー
d) MAR のためのオペレーション安全性
決議 10: ISO/TC 211 との協調作業をプロモート
する.
決議 11: ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11 との協力
関係を支援する.
決議 12:ISO 19163 (地理情報 – 画像とグリッ
ドデータのためのコンテンツコンポーネントと符
号化規則)は ISO/TC211 で技術的な仕様が策定さ
れ ている が, ISO/IEC 12087-5:1998 – Basic
Image Interchange Format (BIIF) が中に組み
込まれているため,今後も ISO/TC211 との協力関
係を継続する.
決 議 13 : TAG-14 ( 旧 称 SCIT(Steering
Committee for Image Technology))の決議 82013 に従い,あと一年 SC 24/WG7 が,TAG-14
関係の作業に参加する.
決議 14:SC 24 は,2つの ISO 標準が,本来 SC
24 がカバーすべき領域にあるにもかかわらず,昨
年度の総会で気づき,その事実を委員で共有してい
る.いずれも TC184 の ISO/PAS 処理で標準化さ
れたもので,ひとつは JT (ISO 14306:2012),も
うひとつは Collada (ISO/PAS 17506:2012)であ
る.さらに,昨年,ISO/TC261 から 3D プリンタ
の フ ァ イ ル フ ォ ー マ ッ ト が ISO/ASTM
27
52915:2013 として標準化されたことに気づいた.
そこで SC 24 セクレから,なぜこういった仕様が
SC 24 にレビューを依頼することなく,他の TC で
標準化されたかの経緯を発見するように要請する.
さらに SC 24 は,これらの標準に関してコメント
を付加する機会が与えられるよう要求する.
決議 15:SC 24 は,WG6 が X3D の次期のバージ
ョンでの組込を予定する X3D 地理空間情報の拡張
を,WG8,NGA オフィス Geomatics,OGC (Open
Geospatial Consortium)等でレビューすることで,
より有益なものになると考えている.
決議 16:SC 24 は,2013 年の ACM SIGGRAPGH
Web3D 2013 シンポジウムにて,ISO/IEC JTC
1/SC 29/WG 11 が MPEG-4 における X3D に機能
をリファクタする計画があることを知った.そこで
SC 24 セクレから SC 29/WG 11 に,このような
機能拡張では X3D のアーキテクチャとの互換性も
重要となるため,互換性のある改良かどうかを要求
するよう依頼している.
決議 17:SC 24 は,各仕様の技術的な貢献が含ま
れると承認されたのち,組み込まれた技術の貢献者
の任命をオーソライズする.また,たとえば謝辞決
議などの形で,SC 24 の作業の貢献者を認識する手
段を今後準備する.
決議 18:SC 24 は,X3D 関連の規格が Web3D コ
ンソーシアムと ISO との共同同意に基づき,以下
の標準が一般に自由にアクセスできることをオー
ソライズしている.
ISO/IEC 14772-1
ISO/IEC 14772-2
ISO/IEC 19774
ISO/IEC 19775-1
ISO/IEC 19775-2
ISO/IEC 19776-1
ISO/IEC 19776-2
ISO/IEC 19776-3
ISO/IEC 19777-1
ISO/IEC 19777-2
決議 19:SC 24 は,Chris Body 氏を SC 24 から
JTC 1/WG 7 へのリエーゾンとして任命する.
決議 20:SC 24 は,ISO/IEC JTC1 に SC 24 にて
コンピュータビジョンのレファレンス・モデルに関
する標準活動を割り当てるよう要請する.
決議 21:SC 24 は,ISO MA/RA の Web サイトに
SEDRIS
DRM(ISO/IEC
18023-1)
と
SRM(ISO/IEC 18026)のエントリがあることを確
認しているが,EDCS(18025)が欠如している.ま
た,MR/RA の Web サイトの情報は ISO/IEC SC
24 のレジストリの Web サイトではなく,BSI の
Web サイトの情報に基づいており,実際と異なる
情報になっていることを確認している.そこで,SC
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
24 のセクレから MA/RA に情報の食い違いを報告
し,訂正を要求する.
決議 22:2013 年の JTC1 会議の決議 12 に従い,
SC 24 は混合現実の SC 29/WG 11 との JAhG で,
そのレファレンス・モデル (MAR RM)の標準化を
推進するアドミニストレータの役割を担っている
と考える.そこで,SC 29 と協調しながら MAR RM
の CD 投票に向けた投票プロセスを開始する.
決 議 23 : SC 24 は , JTC 1 に 対 し て ,MAR
RM(ISO/IEC 18521-1)に対して,別の標準番号を
発行するよう要求する.これは,これまで 185211, 18521-2, 18521-3 の3つのパートに分かれ
ていたが,JAhG で協調するのはレファレンス・モ
デルだけであるためである.一方,18521-2 と
18521-3 に関しても,それぞれ別の規格番号を発
行してもらうように要請する.
決議 24:SC 24 は,Web3D コンソーシアムとの
協調作業を継続する.
決議 25:SC 24 は,W3C コンソーシアムとの協
調作業を継続する.
決議 26:SC 24 は,Open Geospatial コンソーシ
アムとの協調作業を継続する.
決議 27:SC 24 は,NATO との Joint capability
Group on ISR (JCGISR) な ら び に NITFS
Technical Board (NTB)との協調作業を継続する.
決議 28:SC 24 は,SEDRIS Organization との協
調作業を継続する.
決 議 29 : SC 24 は , SISO (Simulation
Interoperability Standards Organization) との
協調作業を継続する.
決議 30:SC 24 は,Khronos グループへのリエー
ゾン委員として Hwanyong Lee 氏を任命する.
決議 31:SC 24 は,WG 7 で S. Chi 氏が 24N3222
と し て 発 表 し た Robotic Interaction Service
Framework に関して NWIP を支援する.
決議 32:SC 24 は,各種リエーゾン委員を任命す
る.
決議 33:SC 24 は,24N3613 で記述した 20142015 のビジネスプランを承認する.
決議 34:SC 24 は,以下のコンビーナを承認する.
WG6 R.Puk
拡張現実のプレゼンテーションと
データ交換
WG7 Y.Chung 画像処理と交換
WG8 J. Cogman 環境表現
WG9 G.Kim
拡張現実の概念とレファレンス
モデル
決議 35:SC 24 は,以下のラポータを承認する.
P. Berner SRM Registry
Y. Kwon (TBC)
DRM Registry
F. Mamaghani
EDCS Registry
J. Cogman SWG on Business Plan
28
決議 36:SC 24 は,30 種類の文書に関するエディ
タを承認する.
5. 今後の開催予定
2015 年は,8 月 24 日(月)の週に UK ロンドン
の BSI で行われる予定である.2016 年は SC 24 で
は初めて,中国の北京での開催が予定されている.
6. その他
昨年のシドニー会議よりも,ソーシャルイベント参
加者(関係者の家族)を加えると出席者が多く,特に
JTC 1 Chair の Karen Higginbottom さんが,ほとん
どの会議とソーシャルイベントに参加され,終始,有
益なコメントを発していた.
■ SC 25 ( 情 報 機 器 間 の 相 互 接 続 /
Interconnection of Information Technology
Equipment)総会報告
SC 25 専門委員会
委員長 宮島 義昭(住友電気工業(株))
1.開催場所:清華大学,北京(中国)
2.開催期間:2014 年 9 月 19 日
3.参加国数/出席者数:16 ヶ国/38 名
議長(Gerd Weking,ドイツ),セクレタリ(Walter
von Pattay,
ドイツ),オーストラリア(1),中国(3)
,
デンマーク(1),フィンランド(1),フランス(2),
イタリア(1),アイルランド(1),日本(3: 宮島
[住友電工],別府[アクシオ],上村[NTT IPD]),
韓国(1),独(4),メキシコ(1),オランダ(1),
シンガポール(1),スペイン(1),スウェーデン
(2),スイス(1),英国(3),米国(8),(IEC
事務局:1 名)
4.概要
前回のキスタ総会議事録を承認,Agenda 確認,
Drafting Committee メンバ確認,議長報告,セクレ
タリ報告,各 WG コンビナー報告,SC 25 関連プロ
ジェクト進捗確認,リエゾン審議,今後の課題審議,
等が行われた.
5. 議事要旨
5.1 議長,セクレタリ報告等
(前回 2013 キスタ総会以降の注目すべき事項)
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
(1) SC 25 の修正後のスコープが JTC 1 総会で承認
された.(修正点:関連委員会と連携して mart Grid
アプリケーションにも貢献すると明記)
(2) WG 4 における NWIP 承認の条件として,”3Nominated Technical Experts”を JTC1 に提案.
(25N2307)
(3) IEC SMB meeting(2014 年 6 月 17 日 at
Frankfurt)の報告
(JTC 1/SC 25 の活動状況を議長が報告した.そ
の他として,SEG, SyC の状況報告.)
(4) Inside View of SC 25
・ SC 25 の Chair, Secretary の任期は 2015 年
末までとなる.
・ Intelligent Home 関連企業の WG 1 への積極
的参加が少ない(議長).
5.2 WG 1 報告(Convener: K. Wacks, 米国)
昨年キスタ総会以後,ミラノ(イタリア)および北
京(中国)にて WG 1 会合を開催.
(1) ISO/IEC 14543-4-3: Application layer light
version for network enhanced control devices
of HES Class 1 (Echonet Lite) →DIS 承認ずみ
(2) ISO/IEC 14543-5-7, -8, -9, -101, -102, -11,
-12,
“ Interconnection
of information
technology equipment – Home Electronic
System (HES) Architecture – Application
models – Intelligent Grouping and Resource
Sharing – Remote Access System →DIS 承認
ずみ.
(3) ISO/IEC 10192-3, “Information Technology
– Modular communications interface for
energy management.” →NWIP 承認,
WD 完了.
(4) ISO/IEC 29145-1, -2, -3: Home electronic
system (HES) – WiBEEM Standard for Wireless
Home Network Services (WiBEEM) →IS 出版
ずみ
(5) ISO/IEC 30100-1, -2, -3: Home Network
Resource Management →DIS 承認ずみ
次回 WG 1 は,東京にて,2015 年 3 月 16~20 日
に開催予定.
5.3 WG3 報告(Convener: A. Oehler, ドイツ)
昨年キスタ総会以後,京都(日)および北京(中)にて
WG 3 会合を開催.
主な審議事項は,下記のとおり.
(1) ISO/IEC 14763-2: Amendment1 on
Automated Infrastructure Management (AIM)
→DAM 承認ずみ,FDAM へ.
(2)ISO/IEC 14763-3 Ed2: Implementation and
operation of customer premises cabling, - Part
3: Acceptance testing for optical cabling→第2
版を出版すみ.Corrigendum と Amendment を
検討中.
29
(3) ISO/IEC 11801 Ed3: Generic Cabling for
Customer premises →WD1 版を回覧.
(4) ISO/IEC 11801-9901: Guidance for balanced
cabling in support of at least 40Gb/s data
transmission →DTR 承認→出版ずみ.
(5) ISO/IEC TR 17979-1-1: Application Specific
cable assemblies –Twinax cable assemblies Type1 Cable assembly →コネクタ関連の規格
案が進捗不十分.
(6) ISO/IEC 30129: Information TechnologyTelecommunications Bonding Networks for
buildings and Other Structures →DIS 承認ずみ.
次回 WG 3 は,2015-3-2~6,プエルトリコにて
開催.
5.4 WG 4 報告(Convener: G. Robinson, 米国)
・ WG 4 活動/審議は,通常 email ベースで実施して
いる.
・ 今回の SC 25 では,INCITS T10/SCSI,T11/FC,
T13/ATA の活動状況をレポート.
・ この 1 年で,T13 関連で 2 件出版.
5.5 PTTT 報告(Convener: P. Kaijser, Sweden)
(PTTT:Project
Team
Terminology
and
Taxonomy)
今回北京で,第 8 回目の会合を,ITU-T からの参加
者も含めて 9 人(5 カ国)にて開催.
6. 各 WG の Convener 承認について
・WG 1: Dr. K. Wacks
・WG 3: Prof. Dr. A. Oehler
・WG 4: Mr. G. Robinson
・PTTT: Dr. P. Kaijser
それぞれが Convener として承認された
(任期:2017
年まで).
7. 今後の会議開催予定
2015 年 9 月 11 日,ミラノ(伊)で開催予定.
その次は,2016 年 10 月フランクフルトの予定.
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
■ SC 28(Office Equipment/事務機器)総会報
告
SC 28 国内委員会(JBMIA)
委員長 小澁 弘明(コンサルタント・NPO エコデザ
イン推進機構代表理事)
1. 開催場所:ベルリン(ベルリン)
2. 開催期間: 2014 年 6 月 24~25 日
3. 参加国数/出席者数:6 ヵ国/23 名
議長(斎藤輝,コンサルタント),セクレタリ(杉
山元邦,富士ゼロックス),日本(9:小澁弘明[HoD,
コンサルタント],伊藤丘[KMBT・次期セクレタリ],
稲垣俊彦[JBMIA],仲谷文雄[富士ゼロックス],
小林武史[キヤノン],濱田信明[エプソン],森本悦
朗[リコー],宮本裕之[富士ゼロックス],千島英朗
[JBMIA]),中国(2),韓国(2),米国(6),ド
イツ(1),ロシア(1)
4. 議事内容
4.1 概要
ISO/IEC JTC 1/SC 28(Office Equipment)第 25
回総会が,ドイツ DIN の招待によりベルリン市の
DIN 会議室にて開催された.
[特記事項]
今回の総会でも,争点となる大きな問題も無く,お
おむね順調に議事が進行した.
本総会においても,国際幹事の富士ゼロックス杉山
氏と,斎藤国際議長との連携も良く総会はスムーズに
運営された(Appreciation 3&4/2014).
今回の総会で,これまで国際幹事を務めていた富士
ゼロックス杉山元邦氏が同社退職に伴い幹事を辞職,
後任にコニカミノルタの伊藤丘氏が就任した
(Appreciation 4&5/2014 )
4.2 AG (戦略策定)
(コンビーナ C.-H. Kim(韓))
N1805 独逸提案の画質にかかわる DIN 規格のファ
ーストトラック化は,SC 28 としては容認できず,同
規格の CIE 規格化が行われることを条件としたポジ
ションを DIN に提案することとした (Resolution
02/201).
近年話題の3D プリンター・スキャナーに関し,SC
28 製品との関連技術があるため,JTC 1 ad-hoc に
SC 28 とのかかわりを考慮することを求めることと
なった(Resolution 03/2014).
日本が行った SC 28 規格にかかわる新規案件ニー
ズ調査は,他の国や WG でも行うこととなった
(Resolution 05/2014).
30
4.3 WG 2/29142(カートリッジ)
(コンビーナ P.
Jeran,米)
進行中の案件の確認,アクションが検討,決議され
た(Resolution8~11/2014).
4.4 WG 3(生産性測定)(コンビーナ D. Lewis,
米)
ス キ ャ ナ ― 生 産 性 規 格 に か か わ っ て , ISO
TC171/SC1(スタンドアローンスキャナー)の資料と
ドラフト案を十分入手することとなった
(Resolution 13/2014)
4.5 WG 4(画質測定)(コンビーナ E. Zeise,代
行 D.Lewis,米)
ISO/IEC TS 24790(モノクロハードコピーの画質
属性測定方法)の IS 化に向けてのアクションが確認
された(Resolution 15/2014)
4.6 WG 5(オフィスカラ―)(コンビナー仲谷, 富
士ゼロックス)
ISO/IEC17823(オフィスカラ―機器用カラー用
語)は,CD 投票に向けてのタイミングとアクションが
確認された(Resolution 17/1014)
4.7 Ad-Hoc(アクセスビリティ)(コンビナー宮本,
富士ゼロックス
ISO/IEC 10779(アクセスビリティ)は日本がエデ
ィターを務めるが,更に引き続き 1 年検討を継続する
こととなった(Resolution 22/2014)
5. LIASON OFFICERS 他
伊藤丘氏幹事就任や米国メンバ退職に伴い新メン
バが提案され承認された
(Resolution 06/21014)
6. 今後の開催予定
2015 年 6 月 松江市(日本)
2015 年
米国が開催を検討する
7. その他
久し振りの DIN での開催であったが,改めてその
会議施設の充実ぶりが注目され,矢張りその幅広いビ
ジネス展開のたまものと思われた.また,週末を利用
して,これも久し振りのポツダム広場を訪れたが,そ
の豹変ぶりに驚いた.以前あったベルリンの壁は一切
なく,名残の碑だけが立っていた.
今回の総会も 3 度目の 2 日間での開催であったが,
事前の各WGでの討議や提案も順調であったことも
あり,効率よく運営された.
今回は,くしくも SC 28 設立 25 周年に当たって
いたため,JTC 1 議長の Ms.Higginbottom が視察を
兼ねてお祝いにかけつけられ,また,米国と日本がス
ポンサーとなり記念パーティを開催することができ
た.思いがけず斎藤議長が得意のハワイアンソングを
ウクレレとハワイアン衣装とともにご披露され,大い
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
に盛り上がり親密度が一段と高まったことは,大変喜
ばしいことである.
■ SC 36(Information Technology for ELT/
学習,教育,研修のための情報技術)総会報告
SC 36 専門委員会委員
委員 平田 謙次(エキスパート科学研究所)
1.開催場所:オスロ(ノルウェー)
2. 開催期間:2014 年 6 月 23 日,27 日
3. 参加国数/出席者数:11 ヶ国/59 人
議長,セクレタリ
オーストラリア,カナダ,中国,フィンランド,フラ
ンス,ドイツ,日本,韓国,ノルウェー, ロシア,ス
ウェーデン,およびリエゾン JTC 1/SC 34,ISO/TC
232 , JTC 1/ITVMT , IMS Global learning
consortium,IDPF,CEN/TC 353,CEN WS-LT,
IEEE/LTSC(report submitted, not attended) (内
WebEx にて 2 カ国/ 9 名参加:デンマーク,英国)
4. 審議内容
4.1 WG 1 関連
ISO/IEC NP 2382-36:2008/3rd Ed. ボキャブラ
リの第 3 版のスケジュールが確定した.CD を 2015
年 5 月 23 日に提出予定ですすめる.なお,当該およ
び今後の全ての版について無償配布が可能なよう
JTC 1 へ要請することとなった.
4.2 WG 2 関連
鷹岡(山口大)氏がエディタを務める ISO/IEC
19778-4 ITLET – Collaborative technology –
Collaborative workplace – Part 4: User guide for
implementing,
facilitating
and
improving
collaborative applications.はプロジェクト期間を 9
ヶ月ほど延ばすことを申請し,2015 年 8 月に PDTR
ステージ(TR は 2016 年 6 月)となるよう進める.
4.3 WG3 関連
ISO/IEC 29187 Part 2: Guidelines for
information life cycle management and EDI of
personal information については進捗なくまたエデ
ィ タ も 決 定 で き ず . 同 Part 3: Multilingual
Vocabulary は,Part 2 の進捗を待って進めていくこ
とであったが,European Directive や SC 27 でのデ
ー タ セ キ ュ リ テ ィ に 関 す る 規 格 , Moocs で の
Learning Analysis プロジェクトが進む中,これらの
中止を申請することとする.
31
日本(エディタ:平田)が主導する ISO/IEC 20006
Part 1 : Competency general framework and
information model は FDIS の投票を終え,また,
CRM を通して投票者の 100%の承認を受けた.修正
後,速やかに発行にむけて,セクレタリアトに送付す
る こ と と な っ た . 同 Part2 : Proficiency level
information model は DIS の投票を終え,また,CRM
を通して投票者の 93.75%の承認を受けた.修正後,
FDIS 投 票 に か け る こ と と な っ た . 同 Part 3:
Guidelines for the aggregation of competency
information and data (TS)に関して,WG 4 との連
携会議をおこなった.プロジェクト進捗が遅れており,
9 月までの WD の提出が必要であることが確認され
た.
ISO/IEC TS 20013 A Reference Framework for
e-Portfolio Information の DTS の 2 回目が会議前
に行われ,CRM が開催された.この結果,全会一致
で発行へと手続きを進めることとなった.
4.4 WG 4
ラーニングアナリティックス(Learning Analytics)
に関する動向の報告とともに,今後の対策について複
数の WG と合同として議論がなされた.今後 NWI を
SC 36 全体包括した提案としてあげることにむけて,
韓国が主導することとなった.
ISO/IEC 19788 Metadata for learning
resources - Part 7: Bindings と 同 Part 11:
Migration from LOM to MLR"について 9 ヶ月の審議
期間の延長が認められた.
なお,ラーニングアナリティクスに関して 8 月に
WebEx 会議,12 月には WG 7 との共同でのインタ
ーリム会議をオーストラリアにて開催することとな
った.
4.5 WG 5
ISO PC288 発足に伴う影響と対応について議論
が行われた.ISO TMB の見解として,
① ISO TMB では一切の当該領域に関する MMS を認
めない
② ISO TMB では,SC 36/WG 5 で進めてきた
ISO/IEC 36001,ISO TC 176 WG 5 および
③ ISO 18420 の各プロジェクトの中止
④ PC288 では ISO 9001 の教育・訓練および学習の
領域への適用について MMS(マネジメントシステ
ム標準)ISO AWI 21001 として発行を進めてい
く
これらに伴って,SC 36/WG 5 としての対応を以
下のように決めた.
a. ISO/IEC 36000(旧 19796-1)の発行 5 円後の
見直しと再発行
b. ISO/IEC 19796-3 の番号変更と発行 5 年後の見
直し再発行
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
c. ISO/IEC 19796-4, 5, 6 の中止
d. ISO/IEC 19796-7 の開発と番号変更
ISO/IEC 19796(新 36000)シリーズについては,
すでに議決しているように ISO/IEC 19796 シリーズ
は 36000 シリーズへと徐々に移行する.今回発行 5
年後の見直しに伴って Part 3 を 36003 へと番号変
更の申請をする.Part 4, 5, 6 のプロジェクトは中止
とする.ISO/IEC 19796-7 を 36002 としてプロジ
ェクトを進める.これにともなって,また,実働しな
いエディタを除き,エディタ体制の変更をおこなう.
36000 は平田がエディタ責任者となり,Han(韓国),
Okoth(ケニア),Yu(中国),Pozdneev(ロシア)
のメンバで.36002 は Han(韓国).36003 は平田
が単独担当.なお,Learning Analytics に関するスタ
ディピリオドを開始することとした.すでに関心のあ
るほかの WG(3,4,7)と協働で進め,WG 5 では特
に,学習履歴データの品質向上や保証へ取り組みに関
する研究をすすめていく.
4.6 WG 6 関連
仮想実験(virtual experiment)についてユースケ
ースを収集することとなった.テンプレートを作成し,
9 月 30 日までにケースを収集する.
4.7 WG 7 関連
ISO/IEC 24751-1 Access for All Terminology
for
Individualized
Accessibility
Part
1:
Framework についてのアップデートに向けた NWI
を申請し,投票にかけることとなった.永森(筑波大)
や Stuart Sutton, Gilles Gauthier および関連する標
準規格の専門家から助言を求めていく.
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<編集後記>
アベノミクスの直接的な効果かどうか分かりませ
んが,最近業界団体の会合等でお話を伺うと,景気が
上向いてきているのを感じます.案件が増えて技術者
が不足気味となり,なかなか人をアサインできなくて
困っているという声をよく聞くようになりました.確
かに株価も上昇傾向で単なる円安効果によるだけで
はないようですし,企業の業績も上振れする例が増え
ています.また,海外に事業の幅を広げていくケース
も増えてきているように思います.産業界が活性化し
ていくことは我が国の国力を強くしていく上でも良
い方向でしょう.
翻って我が国の国際標準化活動の状況については
どうなのでしょうか.残念ながら景気の回復に伴って
賛助員企業の数が増加したということにはなってい
ませんし,標準化活動に参画する要員の数が増えたと
いう話もあまり耳にしません.本来,国際標準化活動
はグローバル展開を行う企業にとっては重要な経営
戦略・事業戦略であるはずで,事業展開の拡大に伴っ
て活発化していくはずなのですが,なかなか上向きに
なってきません.業績回復による効果が標準化活動に
活力をもたらすのにはもう少し時間がかかるのかも
しれませんが,このように産業状況が上向いてきたタ
イミングをとらえ,標準化活動の重要性,意義をもっ
とアピールしていく必要があると思います.
32
今年度から標準化に関する短期集中セミナーを開
催することとなり,9 月にはその第一弾として SC 29
の活動の紹介セミナーが行われました.次回は,2 月
にセキュリティに関するセミナーの開催が計画され
ています.こうしたセミナー活動を通じて,経営者の
方々も含め多くの方々に標準化活動の内容やその意
義を知ってもらうことはとても重要なことだと考え
ます.
発 行 人
一般社団法人情報処理学会
情報規格調査会
広報委員会
〒105-0011 東京都港区芝公園 3-5-8
機械振興会館 308-3
Tel: 03-3431-2808
Fax: 03-3431-6493
https://www.itscj.ipsj.or.jp/
IPSJ/ITSCJ NL104 2014.12
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