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August 2004 No. 119

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August 2004 No. 119
No.
119
August
2004
■
常陸宮殿下 本学をご視察
第 8 回アジア‐太平洋電子顕微鏡学会議
■学事
平成17年度入学試験要項
図書館 新しい文献情報システムの導入について
第32回解剖体納棺式
名誉教授の称号授与
附属看護専門学校 第17回戴帽式
■学生のページ
大学と学生との懇談会
第1学年早期臨床体験実習
学生の自主勉強会
クラブ活動:ゴルフ部
シリーズ:私が医師になりたい・医師になった理由
■トピックス
救急救命士の救命活動における気管挿管
■学術
日本海セトロジー(鯨類学)研究会第15 回大会
金沢医科大学医学会総会・第40回学術集会
平成16年度科学研究費補助金
■病院
スタートした臨床研修医研修システム
看護部から発信:現任教育について
金沢医科大学病院 腎総合センター
■管理・運営
次期学長に山本 達名誉教授
学校法人金沢医科大学平成15年度決算
平成15年度人事評価
互助会:第14回互助会ゴルフ大会
■同窓会・後援会
平成16年度北辰同窓会総会
平成16年度後援会橘会総会
平成16年度後援協力会総会
平成16年度北斗会幹事会・代議員会
■随想・報告
実践的メタボローム研究の最前線
病院新館ロビーで「ふれあいたいむ」コンサート
勧進帳
□金沢医科大学創立30周年記念事業 募金
□金沢医科大学学術振興基金 募金
金 医 大 学 報
1
平成 16 年 6 月 7 日(月)常陸宮正仁親王殿下が第 8 回
ら、研究成果について勝田副学長からそれぞれ説明がな
アジア‐太平洋電子顕微鏡学会議(大会会長:平井圭一
された。日頃から(財)癌研究会癌研究所で腫瘍の研究
分子細胞形態科学教授、大会名誉会長:竹越 襄学長)
者として活動されている殿下はいろいろと専門的なご質
の開会式にご出席され、特別講演を済まされた後に、本
問をなさり、大変興味深くご覧いただくことができた。
学をご視察になられた。
ご小憩の後、基礎研究棟1階の細胞構成測定室におい
午後 2 時 40 分、宮様は本学病院新館の玄関に到着さ
て平井教授の説明により電子分光透過型電子顕微鏡とそ
れ、小田島粛夫理事長の案内により、岩本秀雄内灘町
れを用いた研究成果をご視察になり、午後3 時45 分本学
長、中川 達内灘町議会議長、内田健三病院長、勝田省
のご視察を滞りなく終えられて、職員、学生のお見送り
吾副学長から自己紹介を受けられ、200 人を超える患者
の中、大学を後にされた。
さんや職員の歓迎の拍手に手を挙げて応えられた。
最初に病院新館 12 階特別会議室で小田島理事長と竹
越学長から本学の概要と教育について聴取され、その
後、同フロアの大会議室でパネル展示をご覧になられ
た。
パネル展示では本学病院の概要について内田病院長か
病院新館1 階ロビーでは入院中の患者さんに励ましの
お言葉をお掛けになるなど、殿下の温かい、気さくなお
人柄がうかがわれる場面もあった。
当日、心配された天候もご視察の間は日が差すほど
で、病院新館からの日本海や白山の眺望もご覧になって
いただくことができた。
(学長室 今村吉克記)
金 医 大 学 報
2
8th Asia-Pacific Conference on Electron Microscopy 8APEM
June 7-11, 2004. Kanazawa
特別講演される常陸宮殿下
平成 16 年 6 月 7 日から11 日にかけての5
日間、4 年に一度のアジア‐太平洋電子顕
微鏡学会議(8APEM)が、日本学術会議
と文部科学省の後援、日本顕微鏡学会の主
6月7日の開会式でお祝いのお言葉を述べられる常陸宮殿下と妃殿下
催で、県立音楽堂(金沢市)を中心会場に
して開催された。開催にあたり、石川県、金沢市、本学、
授の、中国宮廷漢方薬紅豆杉の画期的な医学生物学的効
橘勝会、その他各種財団からの助成、さらに財界の支援
果に関する特別講演があった。
を得て、国内関連企業および地元企業に支えられた。平
顕微鏡学会の特徴として、構成メンバーは医学生物学
成 12 年 6 月、次期本会議の担当指名を受けて当時の解剖
系、材料工学系、鏡体系の研究者および技術者からなって
学Ⅰ教室に学会本部を設け、全国規模の94 名の組織委員、
いる。プログラムは3つの分野のそれぞれの基調講演、シ
26 名の国際アドバイザー、10 名の本部スタッフからなる
ンポジウム、ポスター展示、ワークショップと多岐にわた
組織委員会を設置した。以来4 年間にわたって準備を進め
っていた。全体で51セッション、663題の発表があり、ナ
てきた大事業であった。小田島粛夫理事長の助言と
ノのレベルの原子や量子の観察、新素材の作製、タンパク
APEM の上部機関であるアジア‐太平洋電子顕微鏡学会協
質やウイルスの構造決定など活発な討論が交わされた。
議会(本部:シンガポール)の承認を受け、竹越 襄学長
が8APEM の名誉会長に就任された。
6月7日の開会式は、常陸宮殿下の英語でのお祝のお言
葉、御手洗康文部科学省事務次官、森 喜朗前内閣総理大
学会期間中、晩餐会やオーケストラ・アンサンブル金
沢のフルメンバーによるコンサート、市内視察、カクテ
ルパーティーなどのプログラムもあって、参加者は金沢
の雰囲気を満喫し盛会裡に閉幕した。
臣、谷本正憲石川県知事らの祝辞、小泉純一郎自民党総
裁の祝電披露などがあった。
「Microscopy for Human Life」を大会テーマに、ヨーロ
ッパやアメリカ大陸をも含めて日本以外の世界35 ヵ国か
ら280 名が参加し、国内の参加者を含めると総勢 1200 名
の国際会議であった。
(財)癌研究会癌研究所の名誉総裁であり、長年にわた
常陸宮殿下と華子妃殿下の今回のお成り実現は、森 喜朗先生
と御手洗 康事務次官及び文部科学省平下文康国際交流官の親身
なお世話の賜物と御礼申し上げます。両殿下の県内ご滞在中は、
大会名誉会長と同会長が終始お側近く随従させて戴き、3 日間
のお成りを円滑に進めることができました。
その他お成りに関して今回ご協力賜った宮内庁、県庁、県警、
り同所で研究を続けておられる常陸宮殿下が、両生類の
県内各施設、金沢市役所、内灘町役場並びにプレス関係者、大
発癌に関する電子顕微鏡による新知見を流暢な英語で特
学関係者、学会関係者各位、さらに、支援をしてくださったた
別講演され、参加者は興味深く拝聴した。また、本学客
くさんの卒業生の方々に感謝いたします。
員教授で本年6 月から総合医学研究所のタキサス研究部門
(寄附部門)の教授に就任された長春中医大学信川高寛教
(8APEM会長・分子細胞形態科学 平井圭一記)
金 医 大 学 報
4
学 事
本学の平成17 年度入学試験要項(一般選抜、特別推薦 (AO)、推薦、編入)が次のように決まった。
なお、平成17年度の特別推薦(AO)入試の日程及び選考方法が前年度と異なるのでご注意いただきたい。
□ 一般選抜入学試験
一般入試は第1 次試験で学力試験が行われ、合格者
(募集人員の5 倍程度)に第2 次試験として面接試験を
抜を行っている。
1. 募集人員:約10名
2. 出願資格(次の条件を満たす者)
(1)平成16年4 月1日現在、25歳以下の者
(2)高等学校を卒業した者及び平成17年3月卒業
課して最終判定が行われる。
1. 募集人員:約65名
見込みの者またはそれと同等以上の学力がある
2. 出願期間
と認めた者
平成 16年 12月13日(月)から
平成 17 年 1 月12 日(水)まで
(3)合格した場合には必ず入学することを確約で
きる者
3. 出願要件(次のいずれかに該当する者)
3. 試験期日
第1次試験:平成 17年 1月19日(水)
第2次試験:平成 17年 1月26日(水)
、
27 日(木)のうち希望する日
4. 試験科目
(1)本学卒業後、出身地の地域医療の発展、向上
に貢献する意志の強固な者
(2)本学卒業及び本学大学院修了後、本学で教
育、研究、診療に従事し、本学の発展に貢献す
第1次試験:外国語(英語Ⅰ・Ⅱ)
数学・小論文
選択科目(物理・化学・生物から
2科目選択)
第2次試験:面接(グループ面接)
る意欲の旺盛な者
(3)本学卒業後、発展途上国への医療援助など国
際医療援助活動に貢献する意欲の旺盛な者
(4)上記以外の出願動機で、それが本学建学の精
神に合致していると本学が特に認めた者
4. 出願期間 5. 試験会場
第1次試験:本学
名古屋/名古屋ガーデンパレス
東京/TOCビル
平成16年9月 1日(水)から
平成16 年9 月10 日(金)まで
5. 試験期日及び試験科目
仙台/仙台ガーデンパレス
第1次選考:書類選考
大阪/天満研修センター
第2次選考:平成 16年 10月24日(日)
個人面接、グループ面接、
福岡/福岡ガーデンパレス
基礎学力テスト
第2次試験:本学
6. 合格者発表日
6. 合格者発表日
第1次選考:平成17年 1月22日(土)
第1次選考:平成16年 9月28日(火)
第2次選考:平成17年 2月 1日(火)
第2次選考:平成16年 10月29日(金)
□ 特別推薦(AO)入学試験
学力を中心とした入学試験では評価できなかった
□ 推薦入学試験
本学の推薦入試は、医学に対する目的意識が明確
学習意欲、使命感、人間性の評価に重点を置いて選
で、人間性豊かな人物を選抜することを目的として、
考が行われる。将来への目標が明確であり、かつそ
昭和61年度入学生から実施している。
の目標が本学の求めるものと合致する者について、
書類選考や面接に十分な時間をかけ、人物本位で選
学力試験のみの選抜ではなく、面接を重視し、例
えば高等学校で指導的役割を果たした実績(クラス
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
代表等)
、クラブ活動においてよい成績を修めた実績
など、学力以外の面でも医師としての資質を備えた
人材を見極めるよう努力がなされている。
1. 募集人員:約20名
2. 出願期間:
平成16 年11 月1 日(月)から
平成16 年11 月8 日(月)まで
3. 試験期日:平成16年11月14日(日)
4. 試験科目:基礎学力テスト、小論文、
面接(グループ面接)
5
□ 編入学試験
編入学制度は、医学部以外の分野の大学教育を既
に修学した者に医学を学ぶ道を開くために平成3年度
入学生から実施している。第2 学年に編入学し、既に
履修している教養科目の重複履修を省いて効率的に
医学の専門教育を実施し、医学研究及び医療の実践
に貢献する有為な人材を育成することが目的である。
1. 募集人員:約 5 名
2. 出願期間:
平成16 年11 月1 日(月)から
5. 合格者発表日:平成16年11月26日(金)
平成16 年11 月8 日(月)まで
3. 試験期日:平成16年11月21日(日)
4. 試験科目:英語、小論文、面接(グループ面接)
5. 合格者発表日:平成16年11月26日(金)
お問い合わせ及び入試要項請求は下記へ。
〒920­0293石川県河北郡内灘町大学1­1
金沢医科大学入学センター
電話:076­286­2211(内線2532 ~2534)
FAX:076­286­6279
Eメールアドレス:nyusi@kanazawa­med.ac.jp
平成17年度「大学案内」と「入試ガイド」
ホームページ: http://www.kanazawa­med.ac.jp/
〈実施日程〉
第1回 平成16年8月 7日 (土)10:00 ~15:00
第2回 平成16年8月 8日 (日)10:00 ~15:00
第3回 平成16年8月29日 (日)10:00 ~15:00
場 所 金沢医科大学キャンパス
*参加希望者は参加日と参加者名を電話・FAX・ハガキ・
Eメールで入学センターまでご連絡ください。
〒920­0293 石川県河北郡内灘町大学1-1
金沢医科大学入学センター
電話:(代表)076­286­2211(内線2532 ~2534)
(直通)076­218­8063
FAX :076­286­6279
Eメールアドレス:nyusi@kanazawa­med.ac.jp
【学事】
金 医 大 学 報
6
平成17年度 大学院医学研究科選抜試験要項
1.募集人員: 35名
2.出願資格:
なお、募集人員に満たない場合に、追加募集を実
施することがある。
・大学の医学部又は歯学部を卒業した者及び平
成17年3月卒業見込みの者
・外国において、学校教育における18 年の課程
(最終の課程は医学又は歯学)を修了した者
及び平成17 年3 月修了見込みの者
お問い合わせ及び募集要項の請求は下記へ。
〒920­0293 石川県河北郡内灘町大学1-1
金沢医科大学 大学院課
・文部科学大臣の指定した者
電話:076­286­2211(内線 2522 ~2523)
・本大学院が大学の医学部又は歯学部を卒業し
FAX:076­286­6054
た者と同等以上の学力があると認めた者
E­mail:d­gakuin@kanazawa­med.ac.jp
3.出願期間:平成16年 9月 1日(水)から
平成16 年 9 月13 日(月)まで
4.試験期日:平成16年 9月24日(金)
5.試験科目:筆記試験(外国語)
、面接試験
6.合格者発表: 平成16年10月18日(月)
平成17年度 附属看護専門学校入学試験要項
□ 一般入学試験
□ 社会人特別推薦入学試験
1.募集人員: 約40名
1.募集人員: 若干名
2.出願期間: 平成16年 12月 6日(月)から
2.出願期間: 平成16年 11月 1日(月)から
平成16年 12月27日(月)まで
平成16年 11月10日(水)まで
3.試験期日: 平成17年 1月12日(水)
3.試験期日: 平成16年 11月28日(日)
4.試験科目: 数学Ⅰ・数学A(平面幾何・計算と
4.試験内容: 小論文、面接
コンピュータを除く)
、英語Ⅰ、
5.合格者発表日: 平成16年12月 6日(月)
国語Ⅰ(古文・漢文を除く)
、
理科選択(生物ⅠB又は化学ⅠB)
、
面接
5.合格者発表日:平成17年 1月24日(月)
□ 推薦入学試験
1.募集人員: 約20名
2.出願期間: 平成16年 11月 1日(月)から
平成16年 11月10日(水)まで
3.試験期日: 平成16年 11月28日(日)
4.試験内容: 小論文、面接
5.合格者発表日: 平成16年12月 6日(月)
お問い合わせ及び募集要項の請求は下記へ。
〒920­0293石川県河北郡内灘町大学1-1
金沢医科大学 入学センター 看学入試係
TEL 076­286­2211(内線2532 ~2534)
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
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図書館
新CAT /ILL 対応の
新しい文献情報システム の導入について
学術文献情報の流通環境は、今やインターネットやイ
ントラネットを介して行われることが日常化しており、
ここに期待される新システムのいくつかの優れた点に
ついて説明いたします。
利用者の新しいニーズに対応するため、学術情報ネット
① 国立情報学研究所の新 CAT / ILL に接続すること
ワーク拠点として本学図書館でも様々な対応が求められ
により、全国の大学図書館と目録情報を共有し、ILL を
ています。
通じて学術情報の効率的な収集・提供ができます。ま
本学図書館の現在の文献情報システムは、全学的なダ
た、目録業務の効率化および大学図書館として質の高い
ウンサイジングの方針に従って、平成 7 年 9 月に導入さ
MARC(machine readable catalog /機械可読目録)が維
れたもので、以来9 年近くが経過しております。そのた
持できます。
めハード、ソフト共に老朽化が目立ち、業務に支障をき
たすような事例も発生していました。
この図書館新情報システムは、全国の国公私立大学と
同様に、国立情報学研究所(旧文部省学術情報センタ
② 図書館での閲覧管理、ILL管理、目録検索、図書館
統計等の基本業務の一元化により、利用者は本学蔵書の
確認、予約はもちろんのこと、本学にない資料の手配な
どを自分でも簡単に行うことが可能です。
ー)の総合目録システム(CAT : cataloging)および相
③ 新システムは、電子的な資料とのアクセスなど、今
互貸借システム(ILL :inter­library loan)と連動してい
後新しい時代への対応を容易にし、大学として利用者へ
ます。国立情報学研究所は、接続館数の増加による負荷
の十分な情報提供を支援することが可能です。
の軽減、インターネットや電子図書館構想等に対応する
以上、図書館新情報システムへの更新のお知らせと新
ために、平成 17 年 1 月から新システム(新 CAT / ILL)
システムの魅力的な機能について紹介しました。導入に
へ完全移行する予定であり、3 年前より新システムへの
要する期間を考慮して11月ごろの稼働を予定しておりま
移行を各図書館に勧めていました。そのため、本学のシ
すので今しばらくお待ち下さい。
(図書館 廣瀬源二郎記)
ステムも新システムへの変更対応が迫られていました
が、3 年越しの図書館拡充のお願いに対して、理事長、
学長のご配慮により、平成16 年度予算として新システム
導入が認められ、これが現実に可能となったわけです。
第32回
平成16 年7 月2 日(金)午前10 時よりアナトミーセン
ター実習室において、第 32 回解剖体納棺式が、分子細
胞形態科学教室員および第2 学年生の参列のもと厳粛に
執り行われた。
初めに篠原治道教授が式辞を述べ、次に平成 16 年度
解剖学実習で使われた 28 柱のご遺体に対し、学生は班
ごとに一体一体花束を捧げ、教員がバラの献花を行っ
た。引き続き学生を代表して寺田千草さんが「献体され
た方のご遺志とそのご家族の方々の協力を生涯忘れるこ
となく医者への道を歩んでいくことを誓う」とお礼のこ
とばを述べた。
最後に参加者全員で故人のご冥福を祈り、式は滞りな
く終了した。
(分子細胞形態科学 島田ひろき記)
【学事】
金 医 大 学 報
8
6月21日(月)本学会議室において、小田島粛夫理事
長から本年3月31日付けをもって教授職を定年退職され
た先生方に、金沢医科大学名誉教授の称号が授与された。
名誉教授の選考は、去る5 月 6 日開催の名誉教授選考
委員会において選考され、竹越 襄学長の推薦に基づき、
5月13日開催の第695回医学部教授会で承認されたもの。
称号授与された方々(敬称略)
。
第56号 竹越 襄(前 循環器内科学教授)
第58 号 石崎 宏(前 皮膚科学教授)
第57号 山本 達(前 放射線医学教授)
第59 号 蓮村 靖(前 総合医学研究所教授)
(庶務課 中居重光記)
平成16年度
臨床教授委嘱状授与式並びに
学外臨床実習に係る懇談会
平成16年6月15日(火)午後7時からホテル日航金沢
において、学外臨床施設の医師 29 名を招き、勝田省吾
副学長を始め15 名の教職員の出席のもと、平成 16 年度
金沢医科大学臨床教授委嘱状授与式並びに学外臨床実
習に係る懇談会が開催された。
はじめに、勝田副学長から委嘱状が渡され、引き続き
懇談会が行われた。鈴木孝治副学長・教務部長により、
スライドを使って本学の教育の概況および臨床実習につ
いて報告があり、和やかな中で活発な意見交換が行われ
た。最後に、臨床教授を代表して県立高松病院院長中村
一郎先生の挨拶があり、盛会裡に終了した。
本学では、平成7 年度から学生が医療チームの一員と
なり、スチューデントドクターとして行動することを目
的とした Clinical Clerkship(CCS)を導入してきたが、
平成 11 年度からは、大学病院では得られない臨床体験
実習を経験させるため、学外の医療機関において臨床実
習を行っている。また、平成12 年度から、受入施設の指
導医師の方々に対し臨床教授等を委嘱しており、委嘱さ
れた方々は、当初の13 名から学外臨床実習の充実とと
もに増え、今年度は46 名となった。
(庶務課 笠間孝一記)
平成16 年度臨床教授に委嘱された先生方(卒業年度順、
敬称略)
任期は平成16年4 月1 日から平成17 年3 月31 日まで。
西野 知一(千木病院院長)
山口 成良(松原愛育会松原病院院長)
宮崎 誠示(南ケ丘病院院長)
* 石川 克巳(国立病院機構医王病院院長)
* 中村 一郎(県立高松病院院長)
岡部 雅夫(医療法人積仁会理事長)
橘川 弘勝(厚生連高岡病院院長)
佐々木 誠(金沢赤十字病院院長)
野 謙介(カセノ内科医院院長)
倉知 圓(公立井波総合病院院長)
東福 要平(済生会金沢病院院長)
浜田 重雄(二ツ屋病院院長)
竹下八洲男(金沢社会保険病院病院長)
波佐谷兼綱(珠洲市総合病院院長)
* 山田 燦(サンクリニックやまだ院長)
勝木 建一(やわたメディカルセンター院長)
* 根井 仁一(公立南砺波中央病院院長)
川西 徹郎(金沢リハビリテーション病院院長)
北田 博久(らいふクリニック院長)
川崎 英(金沢西病院院長)
藤井 博之(博洋会 藤井脳神経外科病院理事長)
* 村 俊成(予防医学クリニック院長)
上田 博(辰口芳珠記念病院院長)
上野 敏男(浅ノ川総合病院院長)
* 舘 慶三(舘小児科クリニック院長)
前田 敏男(映寿会病院院長)
小森 和俊(公立宇出津総合病院病院長)
佐藤 秀次(金沢脳神経外科病院院長)
宮谷 信行(町立富来病院院長)
京井 優典(国民健康保険志雄病院病院長)
横井 克己(公立穴水総合病院病院長)
* 近藤 邦夫(近藤クリニック院長)
一二三宣秀(北陸中央病院医務局長)
田 充彦(医療法人社団宇野気医院理事長)
南部 澄(なんぶこども医院院長)
* 越野 慶隆(越野病院理事長)
伊藤 順(伊藤病院院長)
的場 宗敏(的場病院病院長)
神野 正博(董仙会 恵寿総合病院理事長)
* 中藤 秀明(中藤クリニック院長)
藤井 久丈(藤聖会 八尾総合病院理事長)
* 前田 俊彦(美里医院院長)
轟 清二(とどろき医院院長)
竹内 尚人(木島病院院長)
佐原 博之(佐原病院院長)
丸岡 達也(まるおかクリニック理事長)
* 印は、今年度新規に委嘱された先生。
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金 医 大 学 報
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附属看護専門学校
第17回
平成16 年6 月11 日(金)
、第17 回戴帽式が本部棟4 階
講堂において行われた。これから実習生活に臨む2 年生
63名(うち男子4 名)が志を新たにした。
松原純一学校長が一人ひとりにナースキャップをかぶ
せ、戴帽生はキャンドルを手にナイチンゲール誓詞を声
高く読み上げた。
松原学校長が「患者さんに接するのに戸惑ってしまっ
た時は、患者さんの痛み、苦しみ、辛いことを聞いてあ
げることで道が開ける。看護は心から始まる。また、患
者さんや周りの全ての人に挨拶ができるよう徹底してほ
しい。そして勉強してほしい」と式辞を述べた。
続いて内田健三病院長が「看護とは患者様との心と心
の対話であることを忘れず、人間性豊かな幅広い教養と
優れた技術を身につけた、患者様から信頼される看護師
となってください」との祝辞を贈った。
これに対して戴帽生代表の松澤さやかさんが「看護を
ナイチンゲールの心を胸に志も新たに
め、一層勉学に励みます」と誓いの言葉を述べた。
式後には出席された出身高校の恩師と生徒との交流が
もたれ、和やかなひとときを過ごした。
(看護専門学校事務課 木村由紀江記)
必要としている人々のために人間性を磨き、倫理観を高
附属看護専門学校
平成16年度
ある商店街で通報の遅れ、初期消火の未熟さから大火
災に至った例をもとに、自衛消防隊における連帯感の大
切さが繰り返し述べられ、参考になった。
②訓練の実施要領、役割分担および防火器具使用方法の
説明
6月30日(水)防火訓練(通報・消火・避難)の実施
学生寮A 棟4 階の調理室から出火、初期の消火活動に
もかかわらず延焼の恐れがあり、避難を要することを想
定して行われた。
4 階調理室で発煙筒が点火され、最寄りの寮生が「調
理室が火事」と大声で連呼して、火災報知器のボタンを
押した。1 階宿直室に本部が設置され、防災センターに
通報するとともに、校内放送をした。4 階では消火器お
よび消火栓のホースの放水により消火活動が始まった。
各階から消火器が運搬され消火を行うが、延焼の恐れが
寮生の防火防災意識を高めるとともに、防火知識の普
及および防火器具使用方法の訓練を目的として、平成16
年6 月29 日、30 日の両日にかけて学生寮の防火訓練が実
あり、各自が素早く非常階段から本校駐車場に避難し
た。間もなく内灘消防隊が到着し、鎮火となった。
最後に内灘消防署から「自分の寮は自分で守ることを
施された。今回も通学生が寮生に加わって参加した。
基本精神として防火活動を行ってほしい」と講評があっ
6月29日(火)実施前説明会
た。引き続き全員で消火器操作実習を行い、緊張のなか
①ビデオの視聴「防火の決め手 心の用心・火の用心」
訓練を終えた。
(看護専門学校事務課 高田結子記)
【学事】
金 医 大 学 報
国際交流
10
直な意見交換も行われた。実際にPBL が主体となってお
り、原則的に講義というものがないマーサ大学の先生方
のPBLに期待する熱い思いが学生にも伝わったように思
われた。
─PBL見学と医学教育に関するラウンドテーブル
ディスカッション─
その後、本学の教務委員会、PBL 実施委員会、国際教
育交流小委員会ならびに臨床研修管理委員会の委員が出
席して「PBL 主体のBiomedical Problem Program」およ
姉妹校である米国ジョージア州のマーサ大学医学部か
び「卒前臨床実習」をテーマにラウンドテーブルディス
ら T.J. Lin副医学部長、R. Hash教務部副部長(家庭医学
カッションが行われた。本学が採用している講義とPBL
助教授)、W. Butler レジデント教育プログラム委員長
のハイブリッド形式とマーサ大学のPBL単独形式の問題
(産婦人科主任教授)が、平成16 年5 月12 日(水)から
点、特に、評価法、グループ間格差の是正、テューター
15 日(土)にわたって本学を訪問され、両大学の医学教
養成など、カリキュラム運営の本質に迫る意見交換がな
育についての情報交換と今後の交流の進め方についての
された。
「医学部教員の役割は、知識を与えることでは
協議などを行った。
なく、その使い方を教えることである」というHash 先生
5 月13 日(木)の午後、第3 学年のPBL の見学と教員
の自信に満ちた言葉が印象に残った。今後も互いの経験
とのラウンドテーブルディスカッションが行われた。
を共有して、よりよい医学教育を構築することを約束し
PBL見学は新カリキュラム課程での教育が進んでいる第
て会議を終えた。
3 学年のグループのPBL について行われ、テーマは抗て
14 日(金)には、マーサ大学の先生方と、本学の第6
んかん剤による薬物中毒症例で、学生の活発な討論やテ
学年のマーサ大学への留学経験者および第5 学年の希望
ューターの介入について、
「今どういうことを話してい
者が参加して懇親会が開催された。学生達はマーサ大学
るのか?」などと熱心に質問され、マーサ大学のPBL と
の先生方とすっかり英語での会話にとけこんでコミュニ
全く変わらないとの賛辞が学生ならびにテューターに贈
ケーションを楽しんでいた。
られた。また短時間ながら、直接学生とマーサ大学の先
生方との間で、PBL を用いた医学教育の是非に関して率
R. Hash教務部副部長
第3学年のPBLを見学
W. Butlerレジデント教育
プログラム委員長
(PBL 実施委員会副委員長 上田善道、教育研究推進室
古本郁美記)
T.J. Lin副医学部長と鈴木孝治教務部長
本学教員とラウンドテーブルディスカッション
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
国際交流
11
黄 肇栄同学院外国語部教授(通訳)の一行4名で、1985
年の姉妹校協定締結以来8 度目の訪問となり、今後の学
術交流に関する協議を主な目的として訪問された。
5 月 18 日午前、竹越 襄学長、山下公一副理事長、役
職教員等を表敬訪問された。20 年におよぶ交流実績と、
4 名のうち 3 名までが 2 度目の訪問で、双方に面識があ
り、両大学の交流の歴史について振り返り、話がはずん
だ。引き続き病院新館を視察したが、劉先生は同済病院
の病院長の職にあり、新館には非常に興味を示された。
特にアメニティ、照明等細部にわたって、手に触れて、
写真に収めておられた。12階レストランで景色をご馳走
に昼食の後、勝田省吾副学長、山本 達総合医学研究所
所長と学術交流協議が行われ、今後の交流に関して率直
な意見交換が行われた。その後、同済医学院から留学中
の大学院生、研究員の5 名が母校からの訪問団との懇談
会に出席した。夕方には、学長主催の歓迎会が催され、
右から団長の劉 建凡院務委員会副主任、王 小平同委員会副主任、
黄 肇栄外国語部教授、張 紅梅国際交流処長
本学役員・教員の中には同済医学院を訪問された先生方
も多く、旧交を温めあった。
5 月19 日は同済医学院の希望により高山市をご案内し
去る5月17日(月)から20日(木)まで、本学姉妹校
た。途中、世界遺産の白川郷に立ち寄り、急斜面の茅葺
である中国・華中科技大学同済医学院訪問団が本学を訪
屋根の集落を展望台から熱心に写真に撮っておられた一
れた。団長の劉 建凡華中科技大学同済医学院院務委員
行はこの後、京都、東京の関連大学・関連会社を訪問
会副主任・同済病院院務委員会主任はじめ、王 小平同
し、5 月28 日に帰国の途につかれた。
学院院務委員会副主任、張 紅梅同学院国際交流処長、
(教育研究事業推進室 古本郁美記)
訪問団と母校からの留学生との懇談会
金 医 大 学 報
12
報 告
ためにもっと大学の施設を開放してほしいなどの要望事
項が出され、これに対して、前向きに検討を始めるとの
とみた
学友会執行委員長 富田
やすと
泰斗(第3 学年)
回答をいただきました。課外活動関連では、体育館およ
びクラブハウス周りの照明の充実や、かねてからお願い
していた駐輪場の整備を行っていただくようお願いをい
金沢医科大学学友会主催行事の中でも重要な行事の一
たしました。他にも、大きな要望ではないのですが、先
つである「懇談会」が、平成16年6月22日(火)午後5
に挙げた議題以外にも充実した学生生活を送るために必
時 30 分から学生食堂にて開催されました。当日は竹越
要だと思われるいくつかの問題を提出させていただきま
襄学長先生をはじめとして、役職教員、学生部、教務
した。
部、各学年主任の先生方約 40 名、学生は各学年の代議
今回の懇談会では、学生側の意見はかなり取り入れて
員やクラブ所属の学生約100名が出席し、学生側からの
いただけると思いました。しかし、学生も意見だけを主
要望、意見、質問などを各先生方に直接聞いていただ
張するだけではいけません。施設や制度を改善していた
き、学生に対して大学の現況や方向性、各制度の問題
だいた分、学生もそれに答えられるよう、努力していか
点、改善案などを分かりやすく説明していただきました。
なければいけません。
学生側としては大変有意義な会になったと思います。
学友会執行部としては、学生が改めるべき点について
昨年度までは、クラブハウス建設や学生駐車場といっ
は謙虚に受け止め、勉学に、課外活動に充実した学生生
た大きなテーマがありました。これらは年2 回開催され
活を送れるよう、先を見据えた要望をこれからもどんど
るこの懇談会で、学生の要望事項として提出させていた
ん提出していきたいと考えています。
だき、何度も話し合いを重ね
て実現に至りました。今年は、
新カリキュラムが実施されて3
年目にあたり、各制度や規則
の不都合となる点について話
し合われました。
教務関連では忌引や法定伝
染病等の欠席の取扱い、追試
験の評価の見直し、勉強する
海外研修
バーモント大学医学研修へ
第7回 夏期語学・医学研修へ
バーモント大学医学研修は7 月19 日から7 月31 日の日
金沢医科大学夏期語学・医学研修は 8 月 2 日から 8 月
程で、バーモント大学医学部および関連病院において実
23日の日程で、ハワイ大学キャンパスおよび関連病院に
施された。参加学生は第4学年4名、第5学年2名の合計
おいて実施された。参加学生は第1学年11名である。こ
6 名である。この医学研修は病理学を中心に関連する臨
の語学・医学研修は英語社会においてグローバルな見識
床医学、医療を体験し、米国の医師、学生との交流を通
を身につけ、医学・医療への理解を深めることを目的と
して彼らの考え方、態度を学ぶことにより、グローバル
している。
な見識を身につけることを目的としている。
〈参加学生〉
〈参加学生〉
藤本 直子 田中 朝子 田中 実香
荒井 俊夫(第4 学年) 稲尾 杏子(第4 学年)
林 顯子 久保 幸美 間嶋 絵梨
大久保裕子(第4 学年) 亀井 千裕(第4 学年)
箕浦 千恵 村田 麗衣 安威 徹也
野村 武雅(第5 学年) 松田 倫子(第5 学年)
土屋 雅信 片山 恒
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金 医 大 学 報
13
平成15年度早期臨床体験実習レポート集から
めて見る手術で、私は瞬きをするのが勿体無いくらい見
入ってしまい、その後も一連の手術の様子が目に焼きつ
はりた
まさゆき
張田 雅之(現第2 学年)
いて離れなかった。今でも鮮明に思い出せるくらい印象
深い手術見学であった。
最後に施設実習についてであるが、私は石川療育セン
早期臨床体験実習は、エスコ
ターで研修させてもらった。ここは重症心身障害の方を
ート、医局実習、施設実習の 3
介護している施設だが、ここで私は障害児、障害者の方
つからなるが、今から思えばど
に対する自分の認識の甘さ、介護の難しさを痛感した。
れも忘れがたい思い出であり、
コミュニケーションをとろうにも、ほとんどの方が会話
良い体験であった。まず、エス
できないので、ジェスチャーや表情で私の意図を解って
コート実習では、私は皮膚科に
もらうしかなかった。さらに食事介護の時も、口に食べ
配属され、2 人の患者さんをエ
物を入れるという私たちが反射的にしていることが、こ
スコートした。初めのあいさつはもちろんのこと、患者
の方たちにとっては至難の技であることを認識した。
さんとのコミュニケーション、手続きや待ち時間、また
私の早期臨床体験実習全てを通じて言えることは、本
患者さんの病状、医師、看護師の対応などエスコート者
当に貴重な体験の連続だったことである。患者さんの行
の立場からの貴重な体験ができた。と言うのも、私は至
動と症状、医師の対応、介護の仕方など、医師ではない
って健康体であるためめったに病院などに来たことはな
立場で強い印象をもって実態を観察できた。この実習の
く、こういった実体験は皆無に等しかったからである。
おかげで自分が医師になったときに役立つと思われるこ
次に医局実習であるが、私は産婦人科に配属され、エ
とをたくさん経験することができた。ずっとこの経験を
コーで胎児の様子を見たり、カルテ作成などを体験し
忘れずにいたいと思う。
た。その後、帝王切開の手術を見学させてもらった。初
解 説
実習は事前のオリエンテーションに1日、学外福祉施設
と本学病院にそれぞれ2日間というスケジュールで実施さ
第1 学年主任・生命科学教授 堀 功
今年も恒例の第 1 学年早期臨
れた。本学では昨年、病院新館が完成し、さらに講座の
大幅な改組が行われたところなので、病院実習の要領を
一部変更する必要が生じ混乱が懸念されたが、各部局担
床 体 験 実 習 ( Early Clinical
当者の柔軟な対応によって大過なく終えることができた。
Exposure)が 5 月 24 日(月)か
エスコート実習では、患者さんへの協力依頼に教学課職
ら28 日(金)に実施された。こ
員の皆さんが総出で応援してくださり、こちらも無事そ
の実習は「医療入門」という授
の目的を果たすことができた。また、学外福祉体験には
業の一環として特別に設定され
県内9施設にお世話になった。七尾や小松方面の施設に行
ているもので、その計画・実施
くグループは集合が午前6時20分、帰学が午後7時過ぎと
を第 1 学年主任・副主任の 3 名
いうかなりハードなスケジュールとなったが、学生の自覚
が担当することになっている。実習期間中は他のすべて
で遅刻もなく全グループ定刻に大学を出発することがで
の授業を中断して、1年生全員がこれに専念するという方
きた。これは担当者として最も嬉しいことであった。
式となっており、大学のこの実習に対する期待度の高さ
この1週間、学生諸君は何を感じ、何を学びとったのか
がうかがい知れる。学生は入学後2 カ月弱の時点で、臨床
は、分厚い「早期臨床体験実習レポート集(平成 16 年
の現場や福祉施設利用者の生活の場に初めてわが身を文
度)
」としてまとめられる。
「良医」を目指す本学の学生
字どおりexpose するわけで、これによって医学の道を真
がいつの日か、この時の貴重な体験を懐かしく思い出し
摯に歩まねばならないという気持ちがいやがうえにも高
てくれることを望まずにはいられない。
まるであろうというのが、我々担当者の期待であり願い
である。
最後に、ご協力をいただいた関係各位に感謝したい。
本当にありがとうございました。
金 医 大 学 報
14
学生の自主勉強会
急救命の一つの柱となっているものです。これはアメリ
カの初期研修に含まれているだけではなく、最近は日本
の初期研修にも含まれていることが多いことからわかる
すみた
こういち
住田 鋼一(第4 学年)
今 、 僕 た ち は Case Study や
ACLS をメインに勉強会をして
ように、医療に関わる一員として、単に知っているので
はなく身につけておかなければならないものと考え、約
20 名の有志とともに6 月からスタートしました。
これから出会う多くの患者さんやそのご家族のために
も、より良い医師になるためにもこれらのことがわが医
いるので紹介します。
Case Study とは症例検討のこ
科大で一つの流れになればと思っています。それと基本
とで、一つの症例にいくつもの
的にこれらの勉強会はシェアという考えを基本に“See
アプローチを考えて検討し、最
one, Do one, Teach one”を実践していこうと考えていま
終的に最良の考え方にたどり着
す。
“See one, Do one, Teach one”というのは講義などで
くといったもので、時間はかなりかかりますが、このよ
得たプロのアプローチや知識を自分で考え、人とシェア
うな訓練は今からすべきことだと考え、何人かの友達と
していこうとする考え方だと思っています。また、他に
はじめました。今、4年生だけではなく、3年生も参加し
も多くの仲間がそれぞれ独自の勉強会を開いているのも
て悪戦苦闘しています。僕自身も3 年生に間違いを指摘
事実であり僕たちだけが特別なことをしているわけでは
されたり、質問に答えることができずlearning issue(宿
ありません。そういった仲間とこれからもシェアしなが
題)として次回に持ち越したりすることが多々あります
ら頑張っていこうと思っています。それと、どういった
が、そういったことがすごく勉強になるように感じてい
ことをしているのか興味のある人は、たとえ1年生でも、
ます。
是非一度見学に来てくだされば幸いと思っています。
また、ACLS は、簡単に言うと心肺蘇生法のことで救
解 説
救急医学助教授 和藤 幸弘
さ き に American Heart Associ­
ation(アメリカ心臓病学会、以下
AHA)の主導で、心肺蘇生法、二
次救命処置の改訂が行われ、ガイ
ドライン 2000 として発表された。
このガイドラインの特徴は心停止
からの社会復帰率が高い心室細動 (関西の大学が主)が参加してACLSセミナーが行われた。
患者の救命に重点が置かれている 大学のワクを越えた医学生のネットワークがすでに確立
こと、EBM(Evidence Based Medicine)に基づいている
されている。このセミナーに参加した金沢医科大学4 年生
ことなどから広く受け入れられてきた。わが国において
より、是非本学においてもACLS その他の研修コースを
も、AHA のトレーニングコースをもとにした ACLS
本学主導で行える力をつけたいと指導要請があった。昨
(Advanced Cardiovascular Life Support)の研修コースが盛
年の夏休み企画で救急医学が希望者の 3、4 年生 3 名に
んに開催されるようになり、受講者は医師のみならず、 ACLSミニコースを開催したが、今回は本格的なフルコー
スでのACLS 訓練を4 年生16 名に開始した。また、7月14
看護師、救急隊員、医学生にも急速に広まりつつある。
本年1 月31 日に金沢大学を中心とする医学生からの要
日にも救命救急科研修室において、金沢大学6年生7名が
望で、谷口淳朗 CMD(Course Medical Director、現本学
本学 4 年生 8 名、3 年生 3 名を指導してくれた。現在、
救急医学講師)のもとに金沢大学約 40 名、他大学 30 名
我々が用意した有り合わせの除細動モデルで毎週 1 ~ 2
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金 医 大 学 報
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回、スキルアップのための練習を熱く(?)行っている。 21 大学に学生用のACLS が存在し、そのうち15 の大学が
夏休み終了時には職員と同レベルの筆記試験とOSCE を
正式に顧問をおいている。
実施する予定で、さらにインストラクションのコースを
学生たちは今、新しいものに挑戦し、医学知識や医学
加えて、学生による医師や看護師への指導を密かに企て
生にもできる技能を吸収したくてしかたないという状況
ている。先日、学生が自主的に行った調査では、関西地
にあり、彼らのモチベーションをどんどん伸ばしていき
区の大学では大学の壁がない交流が構築されているとの
たいと考えている。ご支援ご指導をよろしくお願い致し
ことである。また、アンケートに回答した37 大学のうち
ます。
上の部員に関しては、練習の成果が結果として残すこと
がなかなかできず悔しい思いをしました。やはり、竹越
しのみや
ゴルフ部主将 四宮
しょうへい
祥平(第4 学年)
学長が「ゴルフ部だったら80 台前半から70 台は出さな
いと」とおっしゃったことも踏まえ、今まで以上に頑張
って、さらによいスコアを出していかなければならない
なと思いました。
今年の始球式は小田島理事長、竹越学長と一緒という
こともあり、とても緊張しましたが今年はうまく打てた
と思います。プレーについては、ここぞというところで
細かいミスが目立ち精神的な弱さが出てしまったと思う
ので、これからは技術面だけでなくそういったメンタル
面も鍛えていかなければいけないと感じました。しかし
今年は自己ベストに近いスコアで回ることもできゴルフ
部のキャプテンとしての面目もたったと思います。また
豪華な賞品もいただけたのでとても満足しています。
最後に、近年ゴルフ部の人数も増え活動も活発になっ
理事長、学長そろっての始球式
6 月 1 日の開学記念日、今年も盛大に互助会のゴルフ
コンペと、学生主催の医科大オープンが行われました。
前日まで大雨だったので晴れるかどうかが心配でした
が、当日は雲ひとつない晴天で、とてもよいゴルフ日和
となりました。
今年はゴルフ部でたくさんの卒業生が出たので学生の
人数が少なくなるのではという心配はありましたが、そ
の人数を上回る新入生が入部してくれたことと、一般学
生の参加もたくさんあり、人数の心配はなくなりとても
感謝しています。一方ほとんどの新入部員はゴルフクラ
ブを握ったこともない、
「ゴルフってどんなスポーツ?」
というくらいの初心者だったため、ちゃんと回れるのか
なという心配もありました。しかし、医科大オープンに
向け熱心に練習を行っていたので、その結果がスコアに
表れたのではないかと思います。ただ僕を含め2 年生以
てきました。西医体等の大会に向けて更なる上達を目指
し、がんばって練習していきたいと思います。
【結果】
グロス
ネット
優 勝 四宮 祥平(第4学年)
88
74.8
準優勝 桑原 春洋(第2 学年)
89
77
第 3 位 高木 永(第6 学年)
105
81
金 医 大 学 報
16
シリーズ:
浪人時代の経験から患者の心を知る
医師になることを決意
たなか
あきひろ
田中 晶大(第3学年)
金沢医科大学の学生の多く
が小さなころから医師という
存在と関わる場所にいたのに
比べて、私は病院に行かなけ
れば医師と会うこともないよ
うな生活を送っていました。
そのような環境に置かれてい
たにも関わらず、私はなぜ医師を志したのでしょうか。
10 歳にも満たないころからすでに医者になりたいと
言ってはいましたが、ともすれば子供は憧れだけでな
りたい職業を選びがちですが、その後の交通事故によ
る頭蓋骨骨折、扁桃摘出などによる幾度かの入院や姉
の医学部入学が、私に再考を促す原因になったことは
今考えても当然のように思います。しかし真の意味で、
医師という職業の重要性を私に考えさせたのは、浪人
時代であったように思います。
私は浪人当初から胃を壊して通院していました。当
時はストレスによって様々な症状が生じるという知識
が希薄でしたが、胃カメラ検査で自分が完全な健康体
であると知ってから急速に症状が改善され、初めて、
自分は病気に罹ってはいなかったのだと知りました。
そして「胃カメラをのむ前に、医師はこれぐらいのこ
とがなぜ分からないのか」といきどおったことが強く
記憶に残っています。今となっては、余りに情緒不安
定だったと反省していますが、その当時は、
「少しは患
者の考えを知ってほしい、患者が医者から何を言って
ほしがっているかを考えてほしい・・・」といきどおりな
がら、鬱々とした日々を送っていました。これは患者
の身勝手な思いかもしれませんが、患者さんの不満や
不信感は、医師の対応一つで増えも減りもするという
ことを知る機会となったのでした。同時にこの体験か
ら、医師に必要なのは、適切な技術と、なにより「話
し合い」の技術であると知り、それを得ることが大き
な目標となりつつ、今、医師への道を歩んでいます。
「人の命」というものに医学的側面から
貢献したいと医学部に編入
あさくら
けいこ
淺倉 慶子(第2学年)
家族の病の経験等から、医
療行為によって患者さんの苦し
みを除去・軽減することのでき
る医師という職業に魅力を感
じ続けてきたが、自らが医師を
目指す決定的なきっかけとなっ
たのは、最初の大学在学中に
行ったカナダのナーシングホームでのインターンシッ
プの経験だった。期間中は、各種療法、リハビリ、患
者さんの生活全般の手伝いなどに従事した。様々な境
遇の患者さんと出会う中で、一度きりの命を「生きる」
ということへの畏敬の念が深まると同時に、命を織り
成す「ヒト」について、医学的側面から探求したいと
いう気持ちが湧き立ったのだった。患者さんの笑顔に
出会える時は素朴に嬉しく、患者さんの癒しのために
尽くす仕事にやり甲斐を見いだした。ある時、一緒に
いた患者さんが突然呼吸困難を起こした。苦しむ傍ら
で、医学知識を持たない私は実に無力であった。この
ように、医学的知識と技術を身に付けていることが、
いかに人を救うことに繋がるかを痛感する場面に幾度
も直面する中で、自らも医学を学び、医師として現場
で貢献していきたいと強く思うようになった。
本学入学前に在籍した大学では教養学部に所属し、
リベラルアーツの修得とともに社会学を専攻していた。
医学部の学士編入を受験すると決意した後は、大学卒
業まで、専ら医療分野の諸現象について社会学的に捉
えることに関心を抱き、関連するテーマで卒業研究等
に取り組んだ。
医療行為は、個々の患者さんにとってのリアリティ
に配慮がなされたうえで行われるべきだと痛切に感じ
ている。将来は、病という重大な問題を抱えながらも
患者さんが自らの価値観に基づく自己決定を最大限に
行っていけるよう支援できる医師を目指したい。また、
十分なコミュニケーションを通して、不安を抱える患
者さんの精神的側面にも対処できる医師になりたい。
人間の営みの根源をなす「命」の問題に携わる医師の
責務は大きい。本学在学中のみならず、生涯にわたり
医学・医療を追求し、患者さんのために貢献したいと
いう私の決意は固い。
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
私が 医師であり続けたい理由
−笑顔を取り戻すための職業−
ほり
脳脊髄神経治療学講師 堀
ありゆき
有行(S57年卒業)
17
活となり、やがて寝たきりになります。言葉も、呂律
が回らなくなり、話せなくなります。治らないと知っ
ているのに、
「だんだん悪なるわ」と言いながら、何か
を求めて通院されます。家でほとんど話さないお年寄
りの話に耳を傾けることで、
「ごめんね、愚痴言うて」
「ここに来るとほんとに気が楽になるわ」と、笑顔を返
開業医を親に持つ長男。原
してくれます。取るに足らない症状に不安を抱く患者
稿の依頼を受け、
「医師になっ
さんに、時間をかけて説明をするだけで不安が取り除
た理由」は「後継ぎ」だから
かれて表情が和らぎます。医療には、病を治療したり
書くことないな、と困惑しな
予防することのほかに、コミュニケーションや患者と
がら、高校生の頃を思い出し
医師の関係という重要な要素があります。正確な診断
てみました。そういえば、
「小
が下されても、ATM から流れるメッセージのように、
説が書きたい」、「絵を描きた
「あなたの病気は○○です。5 年後に寝たきりになる確
い」などと、笑われるようなことを考えていました。 率は 25 %です。治療薬を処方します。効く可能性は
模擬試験の志望校に文系の学部を書いて「あんたどう
80 %です。3 %の方に重篤な副作用が生ずる可能性が
するつもり」と母に言われた覚えもあります。しかし、 あります。詳しくは説明文書をお読みください。お大
どうもそれは、小さなときから潜在意識の中には「医
事に」
、
「あなたの病気は治療法がありません。ですか
師になる」があって、そこから異なる世界への憧れが
らお薬はありません。残念です。さようなら」といっ
そんな行動になっていたのではないかと思っています。 た機械的な医療というものはあり得ません。医療には
というわけで、
「医師になった理由」ではなくて「あ
科学に止まらない奥深いものがあり、医師は人と身体
り続けたい理由」をお話します。どんなに忙しくても
的にも精神的にも接する、とても責任のある職種です。
うれしいのは、患者さんの笑顔です。神経難病には治
患い、煩う人に、
「笑顔を取り戻すための職業」とい
療法のないものがまだ多く、病気によっては、最初歩
わずら
わずら
うのが、この先も医師であり続けたい理由です。
いて来院されていた方が、杖が必要になり、車椅子生
《本学スタッフ新刊著書》
山下敏夫 編
耳下腺腫瘍臨床の最前線 Q&A
分担執筆:友田幸一
(臨床解剖図ほか唾液腺腫瘍の
WHO 分類、良性腫瘍の種類,
特徴, 問題点、RI シンチグラ
ムの種類, 有用性, 限界、各画
像診断法の最適な選択と施行
順序、最良の治療法・その他
の腫瘍、合計17頁)
金原出版
B5 判、152 頁
定価:4,800 円
2004 年2 月25 日発行
ISBN 4­307­37075­9
本書は、唾液腺、特に耳下腺に関する専門書で、教科書
的なものを少なくし、実際に診断、治療に際して必要な知
識、技術を具体的に提示し、また臨床の現場で問題となる
テーマをQ&Aの形でまとめられている。この中の第I章、
耳下腺腫瘍の特徴で、良性腫瘍について、また第II章、耳
下腺腫瘍の診断でRIシンチグラムについて分担執筆してい
る。またQ&Aの項目では、画像診断の選択、その他の良
性腫瘍の治療についても執筆している。本書は、耳鼻咽喉
科・頭頸部外科医を対象に日常臨床に即役立つ実践書であ
る。
(感覚機能病態学 友田幸一記)
金 医 大 学 報
侵襲制御学(麻酔学)教授
本年 7 月 1 日から、医師の指示のもとに、救急救命
士の気管チューブによる気道確保が実施できるように
なった。これに伴い、この学報が皆さんのお手元に届
く頃には、当院でも救急救命士による気管挿管病院実
習が始まっていると思われる。ここに至るには、病院
前救護体制のあり方を巡る様々な議論があった。その
すべてを知るわけではないが、筆者が認識している大
まかな経過を記し、この問題に関する総括をしておき
たい。
この問題は1997 年、秋田市の救急救命率が13.6%で
あると報告されたことに端を発した。この値は当時の
全国平均である2.7%を大きく上回っていたばかりでな
く、この値そのものが実は社会復帰率であることが明
らかとなり、関係者を大いに驚かせた。当時の総務庁
が、秋田市における救急救命の実態調査に乗り出した
のは当然の成り行きである。その結果、秋田市では
bystander(近くにいる人)が救命処置をする率が高い
こと、119 番通報を受けた消防本部が電話で手当の指
導を行っていることなどが分かった。このため総務庁
では、秋田方式の救急医療体制の確立を全国で推進し
ていくこととなる。
ところが、2001 年 11 月に秋田市消防本部は再び世
間を驚かすこととなる。秋田市の救急救命士が、病院
前心肺停止患者に対し、日常的に気管挿管を実施して
いることを地元の報道機関がスクープしたのだ。この
件は、札幌市立病院救急部における歯科医による気管
挿管問題と相まって、医師法の規定で医師にしか許さ
れなかった「気管挿管」を、医師以外にも認めるべき
かどうかの大議論を招くに至った。
米国心臓協会が2000 年に出した心肺蘇生に関する
新しいガイドラインでは、病院前救護体制における気
管挿管の有用性に関して否定的な見解が記されてい
る。そこで、厚労省科学特別研究事業「救急救命士に
※「気管挿管」という医学専門用語については、現在
「気管内挿管 endotracheal intubation」と「気管挿管 tra­
cheal intubation」の 2 つの用語が同じ意味に用いられて
いる。国試ガイドラインでも「気管内挿管」が用いら
れているが、日本麻酔科学会では、同じ行為に 2 種類の
呼び方があるのは不適切であることから、2002 年の麻
酔科学用語集改訂時に、「気管挿管」と呼ぶことに決定
した。国試ガイドラインもいずれ改訂されて、「気管挿
管」という呼び名に統一されていくものと思われる。
18
土田 英昭
よる適切な気道確保に関する研究班(主任研究者:平
澤博之千葉大学教授)
」では、秋田市消防本部の実態
を調査した。その結果、秋田市のデータは本来統計に
加えられるべきでない傷病者をも組み入れた誤った数
字であること、気管挿管が傷病者の社会復帰率を高め
る証拠は見つけられなかったことなどを報告した。次
いで、救急医学会、麻酔科学会などの4学会合同調査
が行われ、秋田市の社会復帰率は総務省への報告と市
民向けの報告の数値が異なっていること、気管挿管さ
れたものの中に食道挿管、片肺挿管、気胸などを疑わ
れるものが含まれていることなどが示された。しかし
その後は、マスコミや国会での「気管挿管は気道確保
の世界的スタンダードで、それで助かるかもしれない
患者がいるのに、なぜそれを救命士に認めないのか」
という病院外と病院内の医療体制の違いを全く無視し
た議論や、いわゆるEBM に則って議論している医師
を、まるで自分たちの権利を頑なに守りたい「守旧
派」であるかのように扱う議論が横行した。そしてつ
いに、厚労省は救急救命士や歯科医の気管挿管を公に
認めることとなるのである。
新制度となっても、すべての救急救命士が、すべて
の傷病者に対して気管挿管をできるわけではない。救
急救命士となった後、さらに研修と試験を受けて、や
っと許されるのである。また、地域メディカルコント
ロール協議会の医師による指示とチェックのもと、限
られた心肺停止患者にのみ行われることだけははっき
りさせておきたい。
当院でも7 月から、成人手術患者さんを対象に、救
急救命士による気管挿管実習をお願いすることとな
る。現在の一番の懸念事項は、どれほどの患者さんが
このお願いを了承してくれるかということである。最
近、マスコミが救急救命士の病院実習問題を取り上げ
ていることから、世間の認識も少しは高まってきてい
るのではないかと期待する。しかし、なぜこれが必要
で、なぜ手術患者さんを対象に実習が行われなければ
ならないのかということを、どうして総務省がもっと
本腰を入れて国民に説明してくれないのか、と感じて
いるのは私だけではないと思う。本実習に携わる医師
として、事業が円滑に施行され、一人でも多くの心肺
停止患者が救急救命士による気管挿管で救命されるこ
とを祈ってやまない。
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
19
学 術
(鯨類学)
第15回大会
会長:人間科学 平口哲夫教授
日時:平成16年7 月3 日(土)・4 日(日)
会場:石川県立生涯学習センター
金沢医科大学、橘勝会、石川県、金沢市の補助金をい
ただき第 15 回大会を金沢で開催した。初日に公開講演
応じたあと、大石雅之(岩手県立博物館)、長澤一雄
会・シンポジウム(共通テーマ「日本海のクジラたち」
、
(霞城学園高校・山形古生物研究会)
、高橋 勲(のとじ
参加無料)
、2日目に研究発表会という企画は今回が初め
ま水族館)
、梶原夏子(愛媛大学沿岸環境科学研究セン
てである。当研究会(略称セト研)は、昭和63(1988)
ター)、以上 4 氏が「頭骨形態学からみたツノシマクジ
年12 月に発足したが、大会は平成2(1990)年5 月に金
ラ」
、
「古生物学からみた日本海クジラ」
、
「七尾湾定住ハ
沢で開催されたのが最初であり、当地開催はこれで4 回
ンドウイルカ」
、
「日本沿岸漂着鯨類の有機ハロゲン化合
目である。ご支援くださった上記機関をはじめとする皆
物汚染」について話をした。
様方に厚くお礼申し上げたい。
初日午後 6 時 30 分からKKR ホテル金沢で開催された
講演会では、セト研発足の契機となったオウギハクジ
懇親会では、副学長勝田省吾教授、石川県農林水産部次
ラを中心に山田 格博士(国立科学博物館)が「
“日本海
長兼水産課長川村始氏、金沢市環境部環境保全課長新
のクジラたち”の謎をさぐる」概説、和田志郎博士(中
村光秀氏から鄭重なご挨拶をいただいた。
央水産研究所)が「ツノシマクジラ-新たに記載された
研究発表会では、11 件の口頭発表、8 件のポスター発
ナガスクジラ属鯨類-」と題してエピソードを紹介、最
表のほか2 件のビデオ上映があった。平口らは「七尾湾
後に南部久男博士(富山市科学文化センター)が「日本
奥部の三引遺跡における縄文時代前期初頭貝塚出土の海
海のコククジラ回遊ルート」について富山湾生息記録を
生哺乳類遺体」
(口頭)と「金沢沖の海底から発見され
証拠に加えて解説した。
たイシイルカ頭蓋骨について」
(ポスター)という2題の
シンポジウム(司会:平口)では、上記講師が質問に
発表を行った。
(人間科学 平口哲夫記)
《本学スタッフ新刊著書》
(財) 日本鯨類研究所・日本捕鯨協会編
伝統捕鯨地域サミットの記録論文集。筆者論文のほか、中園
第2回 日本伝統捕鯨地域サミット
開催の記録
成生「平戸諸島域の捕鯨―捕鯨法と漁場の関係について―」
、
朴九秉「盤亀台岩刻画に見る鯨類と捕鯨」
、金田一精「九州に
おける“縄文捕鯨”について」
、立平進「九州西北部の原始古
代における捕鯨について」
、白石純悟「壱岐の鯨骨製品につい
分担執筆:平口哲夫
(先史時代の北海道・東北地方にお
て」
、高橋順一「日本捕鯨のルーツを探るために―民族学から
のコメント」
、森田勝昭「韓半島と日本列島の捕鯨(近現代)
ける鯨 類 の捕 獲 と利 用 について、
東アジア捕鯨文化圏という考え方」という、本書のために書
p111­124)
き改められた8編の論文を収録。表紙カバーには、歌川国芳の
浮世絵「宮本武蔵巨鯨を刺す図」(1848 ~ 51 年頃)を配したポ
発行所:生月町、
(財)
日本鯨類研究所
スターが利用されている。開催地の「生月勇魚捕唄歌詞」
、全
A5 判、137 頁
国各地の「鯨郷土料理披露」
、長崎県の「鯨伝統芸能喫煙」な
2004 年3 月31 日発行
ども豊富なカラー写真入りで紹介されている。非売品である
が、全国の主要図書館等に贈呈される手はずとなっている。な
お、第 3 回の同サミットは、平成 16 年 5 月 30 日高知県室戸市
平成 15 年 5 月 11 日に長崎県生月町で開催された第 2 回日本
で開催。
(人間科学 平口哲夫記)
【学術】
金 医 大 学 報
20
第30回医学会総会、第40回学術集会
金沢医科大学第30 回医学会総会ならびに第40 回学術
れた。一般講演には学内共同研究関連で4題、奨励研究
集会が、平成 16 年 7 月 17 日(土)午後 1 時 30 分から病
関連で1題、ハイテクリサーチプロジェクト研究関連で3
院4 階C41 講義室において開催された。参加者は延べ80
題、海外留学助成金交付関連1題の発表が含まれていた。
酒井先生の特別講演では「悪性腫瘍の遠隔効果」につ
名であった。
最初に会長である竹越 襄学長から開会にあたっての
いて遺伝子レベルでの緻密な解析およびpcd17 遺伝子関
挨拶があり、本学における研究および本会への取り組み
連の成果が示され、またその他の講演においても各先生
についてより積極性が求められることが述べられた。医
方の地道な実験遂行による成果が示され、質疑応答も活
学会総会においては上田善道庶務会計担当理事から平成
発に行われた。
15 年度の事業報告と決算、平成 16 年度の予算、役員等
本学術集会は、学内における異なる分野の研究者同士
について報告があり、引き続いて論文表彰が行われた。
が互いに情報交換し、切磋琢磨するうえでたいへん良い
この論文表彰は英文学術論文(45 歳以下、筆頭著者)
機会であるが、例年参加者が少ないのは本学の学術的活
を対象に厳密な審査を経て授与されるものであり、本年
性の低さを示唆するようでもあり、誠に残念である。よ
度は下記の5名に授与された。
り多くの方が参加されるように本会の内容をより魅力あ
学術集会においては、特別講演に酒井宏一郎助教授
(脳脊髄神経治療学)
、平成15年度学長賞講演に曹 永恒
大学院生(ゲノム医科学、代講演:岩淵邦芳助教授)の
発表があり、その他に一般講演として12題の発表がなさ
るものにすべきと思っている。
最後に、座長、演者および関係者の方々のご協力によ
り集会を円滑に進めることができ感謝申しあげたい。
(集会担当・総合医学研究所分子腫瘍学研究部門 竹上 勉記)
◇論文表彰
早稲田智夫〈生殖周産期医学(産科婦人科学)助手〉
対象論文:Hemodynamic response of ovarian artery after hCG injection:Molecular and Cellular Endocrinology, 202:71­
75, 2003.
倉田 康孝〈生理機能制御学(生理学)助教授〉
対象論文:Roles of L­type Ca2+ and delayed­rectifier K+ currents in sinoatrial node pacemaking:insights from stability and
bifurcation analyses of a mathematical model : American Journal of Physiology. Heart and Circulatory
Physiology, 285:H2804­H2819, 2003.
梶波 康二〈循環制御学(循環器内科学)助教授〉
対象論文:Effect of pretreatment vitamin D levels on in vivo effects of atorvastatin on bone metabolism in patients with het­
erozygous familial hypercholesterolemia : American Journal of Cardiology, 92:1113­1116, 2003.
斉木 臣二〈脳脊髄神経治療学(神経内科学)助手〉
対象論文:Mutation in the CHAC gene in a family of autosomal dominant chorea­acanthocytosis:Neurology, 61:1614­
1616, 2003.
田下 大海〈侵襲制御学(麻酔学)元助手〉
対象論文:Interference with Saville's method in determination of low­molecular weight S­nitrosothiols by ultrafiltration:
Nitric Oxide: Biology and Chemistry, 9 (3) : 148­152, 2003.
〈論文表彰式〉左から斉木臣二助手、倉田康孝助教授、梶波康二助教授、
稲田智夫助手、田下大海元助手
〈特別講演〉酒井宏一郎助教授
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
第40回学術集会プログラム
◇特別講演
〈座長: 森本茂人教授〉
平成16 年7 月17 日(土)13:30 ~16:40
6 RNAi による日本脳炎ウイルス複製阻害(H2003­8)
悪性腫瘍の遠隔効果
総合医学研究所分子腫瘍学研究部門助手
脳脊髄神経治療学(神経内科学)助教授
◇学長賞受賞講演
21
酒井宏一郎
村上 学
7 フィブラート系薬物による肝脂肪酸ω酸化誘導とその
臨床応用への可能性
〈座長: 長尾嘉信助教授〉
C型肝炎ウイルスコア蛋白質は、p53結合蛋白質2(53BP2)
と結合し、p53 依存性アポトーシスを抑制する
ゲノム医科学(生化学)大学院生
曹 永恒
(代)岩淵邦芳
◇一般口演
消化器機能治療学(消化器内科学)助手
8
尾崎一晶
RAB38 点突然変異マウスは白皮症および肺気腫を発
症する- RAB38 がヘルマンスキー・パドラック症候群
の原因遺伝子である可能性-
呼吸器機能治療学(呼吸器内科学)講師
長内和弘
第3群 〈座長: 東光太郎教授〉
第1群 〈座長: 上田善道教授〉
1 タイラーウイルスの神経毒力-ウイルスカプシド蛋白
VP2 におけるval­14の役割(H2003­7)
医学部6学年
遠藤文司
2 タイラーウイルス慢性感染におけるLeader Protein 内
zinc­binding motifの役割とL* 蛋白の発現(H2003­7)
感覚機能病態学(眼科学)大学院生
萩原健太
3
ヒト心室筋モデルの分岐構造解析:不整脈発生機序
の解 析 とバイオペースメーカーシステム設 計 への応 用
(C2003­1)
生理機能制御学(生理学)助教授
倉田康孝
4 肝アナフィラキシィーの実験的検討(C2003­1)
生理機能制御学(生理学)教授
生殖周産期医学(産婦人科学)講師
藤井亮太
10 New model of tumor angiogenesis medicated by vascular
endothelial growth factor (VEGF)/angiopoietin­2 and FDG
uptake in non­small cell lung cancer(C2003­2)
放射線診断治療学(放射線医学)短期研究員
郭 建飛
11 聴性初期反応の分析-脳磁図(MEG)を使って-
感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)助教授
鈴鹿有子
12 悪性神経膠腫の分化誘導と遺伝子治療に関する研究
(C2003­3)
脳脊椎神経治療学(脳神経外科学)教授
飯塚秀明
芝本利重
第2群 〈座長: 竹上 勉教授〉
5 成人男女における血清高感度 CRP 値に関連する要因
(S2003­1)
健康増進予防医学(公衆衛生学)助教授
9 Gelatinase がラット排卵機構に及ぼす作用について
(海外留学)
三浦克之
※(C○○­○○)
は金沢医科大学共同研究関連演題
(S○○­○○)は金沢医科大学奨励研究関連演題
(H○○­○○)
は金沢医科大学 HRCプロジェクト研究関連演題
(海外留学) は海外留学関連演題を示す。
〈一般口演〉
遠藤文司(第6 学年) 萩原健太大学院生
倉田康孝助教授
芝本利重教授
三浦克之助教授
村上 学助手
尾崎一晶助手
藤井亮太講師
郭 建飛短期研究員
鈴鹿有子助教授
飯塚秀明教授
長内和弘講師
【学術】
平成16年度 金沢医科大学
金 医 大 学 報
22
共同研究・奨励研究
平成16年度金沢医科大学共同研究及び奨励研究が次のとおり採択された。
本学では、昨年度から、研究推進会議を中心に研究の活性化方策を検討してきた結果、部門間の枠を越え、新大
学院3 分野、総合医学研究所、他大学等を含めた共同研究を推進し、本学の将来的なコア研究を作り上げること並び
に若手研究者の育成を図り、研究者の底辺の拡大を図ることを目的に、この助成事業を実施している。
学内公募の結果、新規申請が「共同研究」で10 件、
「奨励研究」で13 件の応募があり、研究推進評価委員会及び
研究助成選考委員会で審議の結果、特に優れた研究課題として共同研究は1 件 500 万円、奨励研究は6 件合計 650 万
円が新たに採択された。なお、研究期間は共同研究が3 年間で、奨励研究は2年間となっている。
現在、平成15年度に採択され、平成16年度の継続研究が認められた共同研究3件、奨励研究12件を含め、計3,000
万円の各共同研究・奨励研究が、本助成事業により進められている。
(総合医学研究所事務課)
〔平成16年度新規採択分〕
共同研究
○モデル動物を利用した肥満・高脂血症の発がんへの関与とその阻止に関する研究(C2004­4)
研究代表者 杉江茂幸助教授 腫瘍病理学(病理学Ⅰ)
共同研究者 吉谷新一郎助手 消化器外科治療学(消化器外科学)
、甲野裕之助教授 腫瘍病理学(病理学
Ⅰ)
、堤 幹宏助教授 医学教育・情報学、久野壽也(岐阜大学医学部)
奨励研究
○Gene33/mig­6による心肥大シグナルの制御(S2004­13)
竹田健史助手 循環制御学(循環器内科学)
○プロテインキナーゼPKU­βの姉妹染色体の正確な分配に対する関与(S2004­14)
橋本光正助手 ゲノム医科学(生化学)
○骨粗鬆症への応用を目的としたコラーゲントリペプチドの生理活性作用の解析(S2004­15)
鶴岡直樹助手 ゲノム医科学(生化学)
○ヒト型モノクローナル抗体によるEB ウイルス関連蛋白を標的とした特異的治療法の開発(S2004­16)
正木康史講師 血液免疫制御学(血液免疫内科学)
○迷走神経によるグルカゴン様ペプチド1受容機構の分子生物学的検討(S2004­17)
中川 淳助教授 内分泌代謝制御学(内分泌内科学)
○傍腫瘍性神経症候群に関連する神経抗原の in vivoにおける機能の解析(S2004­18)
斉木三鈴助手 脳脊髄神経治療学(神経内科学)
〔平成16年度継続分〕
共同研究
○循環ショックの病態生理の解明と治療法の共同開発(C2004­1)
研究代表者 芝本利重教授 生理機能制御学(生理学)
共同研究者 土田英昭教授 侵襲制御学(麻酔学)
、久保恵嗣教授(信州大学医学部)
、大久保信司助教授
循環制御学(循環器内科学)
、佐久間勉助教授 呼吸機能治療学(呼吸器外科)
、倉田康孝助教
授 生理機能制御学(生理学)
○肺癌の新しい機能的および形態的診断法の確立と分子標的治療法を指向した標的遺伝子の特定に関する研究
(C2004­2)
研究代表者 東光太郎教授 放射線診断治療学(放射線医学)
共同研究者 竹上 勉教授 総合医学研究所分子腫瘍学研究部門、上田善道教授 病理病態学(病理学Ⅱ)
、
栂博久助教授 呼吸機能治療学(呼吸器内科学)
、佐川元保助教授 呼吸機能治療学(呼吸器
外科)
、小林 健講師(金沢大学医学部)
、松成一朗主任研究員(先端医学薬学研究センター)
、
郭 健飛助手(中国医科大学)
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金 医 大 学 報
23
○悪性神経膠腫の分化誘導と遺伝子治療に関する研究(C2004­3)
研究代表者 飯塚秀明教授 脳脊髄神経治療学(脳神経外科学)
共同研究者 伊達孝保教授 ゲノム医科学(生化学)
、野島孝之教授 病態診断医学(臨床病理学)
、
栗原孝行講師 総合医学研究所共同利用部門
奨励研究
○各種脂肪酸・抗酸化ビタミン摂取量、血清高感度CRPと血圧との関連に関する大規模疫学研究(S2004­1)
研究代表者 三浦克之助教授 健康増進予防医学(公衆衛生学)
○ウイルス感染症を伴う肥満者におけるアディポサイトカインの診断及び治療への応用(S2004­2)
研究代表者 高橋 孝講師 総合内科学(総合診療科)
○RNA interferenceにおける二本鎖RNA 依存性プロテインキナーゼPKR の関与(S2004­3)
研究代表者 松井 理助手 ゲノム医科学(生化学)
○心筋梗塞の新しい治療法の開発-体性幹細胞を用いた再生治療(S2004­4)
研究代表者 赤澤純代助手 循環制御学(循環器内科学)
○レトロウイルス発現系を用いたタイラーウイルス増殖メカニズムにおけるL* 蛋白の役割の解明(S2004­5)
研究代表者 姫田敏樹助手 生体感染防御学(微生物学・医動物学)
○日本人の白内障病型別有所見率・発症率と発症・進行予測および危険因子探索(S2004­6)
研究代表者 佐々木 洋講師 感覚機能病態学(眼科学)
○敗血症血管におけるαカテコラミン受容体刺激時の平滑筋収縮および内皮機能変化の検討(S2004­7)
研究代表者 関 純彦講師 侵襲制御学(麻酔学)
○IL­2投与が肺胞上皮細胞の分子生物学的機能特性に及ぼす影響に関する研究(S2004­8)
研究代表者 杉田 真講師 呼吸機能治療学(呼吸器外科)
○異なる感覚情報の大脳新皮質における統合機序及びその生後発達に関する研究(S2004­9)
研究代表者 吉村 弘講師 顎口腔機能病態学(口腔科学)
○ヒト口唇小唾液腺由来の幹細胞の同定(S2004­10)
研究代表者 河南崇典助手 血液免疫制御学(血液免疫内科学)
○Chorea­acanthocytosisの発症機序に関する研究(S2004­11)
研究代表者 斉木臣二助手 脳脊髄神経治療学(神経内科学)
○ミトコンドリア障害に関与する活性酸素生成酵素の研究(S2004­12)
研究代表者 島田ひろき講師 分子細胞形態科学(解剖学)
平成16年度金沢医科大学北辰同窓会研究助成金
氏 名
部門職名
(単位:千円)
研究課題等
金額
中泉 俊彦
感覚機能病態学(眼科学)助手
アデノウイルススペクターを用いた遺伝子導入法による神経
栄養因子の内耳神経保護作用に関する研究
150
福村 敦
消化器機能治療学(消化器内科学) アルコール性肝障害の発生機序:エタノールによるミトコン
ドリア障害とApoptosisに関する研究
助手
150
早稲田智夫
生殖周産期医学(産科婦人科学)
助手
三次元超音波法による卵巣動脈血行動態解析に関する研究
150
野口 康久
外科学Ⅰ大学院生
動脈硬化病変の部位特異性に関する研究
150
紺谷 靖英
生体感染防御学
(微生物学・医動物学)助手
タイラーウイルスを用いた脱髄発症機序の解析に関する研究
150
鶴岡 直樹
ゲノム医科学(生化学)助手
線維芽細胞増殖因子(FGF­2)の機能解析に関する研究
150
金山 景錫
顎口腔機能病態学(口腔科学)
助手
破骨細胞を標的とした変形性顎関節症の病態機構に関する研究
150
【学術】
金 医 大 学 報
平成16年度 科学研究費補助金
24
39件が交付される
平成16 年度科学研究費補助金(文部科学省・日本学術振興会)の交付内定が次のとおりあった。
今年度は、214件の申請に対し、昨年度より7 件減 8,100 千円減の38 件 51,600 千円が採択された。
なお、転入による追加が1件あり、交付決定は、39 件52,400 千円となった。
平成16年度 科学研究費補助金のまとめ
研究種目名
科学研究費補助金
基盤研究(C)
(単位:千円)
決定件数
決定金額
31
43,100
萌芽研究
3
3,500
若手研究(B)
5
5,800
39
52,400
合 計
(H16.7.15現在)
種目名
研究代表者
研究課題等
金 額
氏 名
部門職名
倉田 康孝
生理機能制御学(生理学)
助教授
洞結節細胞システムの熱力学的モデル構築とその分岐
ダイナミクスの非線形力学的解析
1,000
ゲノム医科学(生化学)
助教授
DNA損傷依存的姉妹染色分体早期分離の、p53結合
蛋白質1による抑制機構の解析
1,100
上田 善道
病理病態学(病理学Ⅱ)教授
ヒト肉腫細胞の転移におけるがん細胞・宿主相互応答
に関わる遺伝子群の解析
900
野島 孝之
病態診断医学(臨床病理学)
教授
骨外性粘液型軟骨肉腫の変異遺伝子解析と病理診断
への応用
900
大原 義朗
生体感染防御学
(微生物学・医動物学)教授
発現系を用いたタイラーウイルスL*蛋白の機能解析
700
福永 壽晴
病態診断医学(臨床病理学)
講師
血液ガス分析値の標準化に関する研究
900
西条 旨子
健康増進予防医学
(公衆衛生学)講師
ダイオキシンが胎児中枢神経系発達に及ぼす影響に関す
る実験的研究
500
中川 秀昭
健康増進予防医学
(公衆衛生学)教授
ダイオキシン暴露と出生児の成長に関する疫学的研究
山田 裕一
社会環境保健医学(衛生学)
教授
日本人飲酒者における体内アルデヒド蓄積へのアルコール
代謝系酵素の遺伝的多形影響
石崎 昌夫
社会環境保健医学(衛生学)
助教授
職業性ストレスと医療費・労働損失からみた経済的影響
1,300
三浦 克之
健康増進予防医学
(公衆衛生学)助教授
乳幼児期の社会的要因・生活環境と成人時循環器危
険因子との関連に関する長期追跡研究
2,300
森河 裕子
健康増進予防医学
(公衆衛生学)講師
夜勤・交代勤務の耐糖能に及ぼす影響-血糖日内変
動とインスリン感受性の検討
2,900
太田 隆英
総合医学研究所
分子腫瘍学研究部門助教授
大腸癌におけるRhoGDIによる転移制御機構の解明
2,000
伊達 孝保
ゲノム医科学(生化学)教授
C型肝炎ウイルス(HCV)コアタンパク質のRNA干渉への影響
2,200
松井 忍
総合医学研究所
先進医療研究部門教授
心筋膜受容体に対する自己免疫機序による心筋症の
発症・進展:自己抗体吸着療法の開発
1,800
長内 和弘
呼吸機能治療学
(呼吸器内科学)講師
末梢気道上皮に特異的発現を示すRab38Gタンパク質の
間質性肺疾患への関与の解明
800
基盤研究(C) 岩淵 邦芳
呼吸機能治療学
栂 博久 (呼吸器内科学)助教授
酒井宏一郎
脳脊髄神経治療学
(神経内科学)助教授
1,900
700
細胞伸展に伴う肺胞上皮損傷と活性窒素酸化物の
役割
1,800
傍腫瘍性小脳変性症の動物モデルの開発
1,000
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
非定型抗酸菌を用いたモデルマウスによる川崎病の解明
に関する研究
1,600
精神神経科学(神経精神医学) fMRIによるてんかん患者の記憶機能の優位半球側
教授
方性に関する研究
2,300
東 光太郎
放射線診断治療学
(放射線医学)教授
1,600
佐久間 勉
呼吸機能治療学(呼吸器外科)
肺切除周術期における肺胞水分再吸収機序の研究
教授
1,100
佐川 元保
呼吸機能治療学(呼吸器外科) 仮想および極細径気管支鏡による肺野微小肺癌・前
癌病変の遺伝子診断と発癌過程解析
助教授
2,200
平井 圭一
分子細胞形態科学(解剖学)
教授
パラコート中毒の急性細胞毒性機構と解毒機構
700
島田ひろき
分子細胞形態科学(解剖学)
講師
パラコートの急性毒性機構に関与する新規ミトコンドリア酵素
の研究
800
芝本 利重
生理機能制御学(生理学)
教授
肝アナフィラキシィー反応の統合的研究
土田 英昭
侵襲制御学(麻酔学)教授
スナネズミ海馬錐体細胞における遅発性神経細胞死と
ストレス蛋白質の関与
900
芝 延行
泌尿生殖器治療学
(泌尿器科学)講師
膀胱癌における中心体過剰複製の発生機序の解明
900
宮澤 克人
泌尿生殖器治療学
(泌尿器科学)講師
尿路結石症におけるAnnexinsの発現の機能解析の
研究
2,700
佐々木 洋
感覚機能病態学(眼科学)
講師
日本人の白内障病型別発症率と発症・進行予測
および危険因子探索
田中 卓二
腫瘍病理学(病理学Ⅰ)教授
舌発がんにおける炎症関連酵素、PPARsの関与と
その制御による発がん防御
1,500
松本 正幸
高齢医学(老年病学)教授
虚血性心疾患発症における精神的ストレスの役割:
β­エンドルフィンを媒介にして
1,200
土屋 博
高齢医学(老年病学)講師
圧負荷心筋肥大における核骨格による情報伝達
及び遺伝子発現制御の研究
1,000
岸邊 美幸
機能再建外科学(形成外科学) 表皮樹状細胞の創傷治癒過程各期における発現と
助手
機能の検討
赤澤 純代
循環制御学(循環器内科学)
助手
中村 常之
基盤研究(C) 地引 逸亀
萌芽研究
若手研究(B)
発生発達医学(小児科学)
助手
25
生体感染防御学(微生物学・
紺谷 靖英 医動物学)助手
FDG PETによる肺癌分子標的治療の関連遺伝子発現
の評価と治療効果予測
1,400
700
1,300
心筋梗塞の新しい治療法の開発-体性幹細胞を
用いた再生治療
1,000
Two­hybrid systemを用いたタイラーウイルスの脱髄発症機構
の解析
1,800
渡邊 之夫
生殖周産期医学
(産科婦人科学)助手
G­CSFのヒト卵巣機能における局所調節機構の解明に
ついての研究
800
金山 景錫
顎口腔機能病態学(口腔科学)
破骨細胞を介した変形性顎関節症の病態機構の解明
助手
1,400
転入による追加
若手研究(B) 佐藤 勝明
病理病態学(病理学Ⅱ)助手
神経細胞におけるアミロイドβ蛋白標的因子の固定と
細胞障害機序の解明
800
平成16年度科学研究費補助金(特別研究員奨励費)
種目名
氏 名
特別研究員奨励費
鈴木里加子
職 名
受入講座名
研究課題等
腫瘍病理学
共役多価不飽和脂肪酸、特に共役リノレン酸の機能性に
特別研究員 (病理学Ⅰ) 関する研究
金額
1,100
【学術】
金 医 大 学 報
26
平成15 年度 各種助成金等受託状況 (科学研究費補助金研究代表者分を除く)
平成15年度 各種助成金等のまとめ
(単位:千円)
研究種目名
決定件数
決定金額
文部科学省
1
2,000
厚生労働省
21
49,985
その他省庁
5
23,703
14
53,110
41
128,798
その他
合 計
文部科学省
種目名
研究代表者
氏 名
部門職名
研究課題等
金 額
利波 久雄
放射線医学教授
スーパーコンピュータネットワーク上でのリアル実験環境
の実現(医療分野における分野横断的循
環器疾患診断診療支援システムの検証)
2,000
森本 茂人
老年病学教授
高齢者疾患の易発症性に対する遺伝的負
荷の解明(主任研究者 総額9,464千円)
4,664
〃
中橋 毅
老年病学講師
高齢者疾患の易発症性に対する遺伝的負
荷の解明
1,200
〃
森本 茂人
老年病学教授
老年症候群に関与する脳皮質下虚血病変
の危険因子解明に関する縦断研究
3,000
効果的医療技術の確立推進
臨床研究事業
中川 秀昭
公衆衛生学教授
青・壮年者を対象とした生活習慣病予防
のための長期介入研究
150
がん研究助成金
田中 卓二
病理学Ⅰ教授
食品中の発がん抑制要因に関する研究
(主任研究者 総額11,100千円)
3,100
1,000
1,000
ITプログラム研究開発委託事業
(再委託)
厚生労働省
長寿科学総合研究費
〃
東 光太郎
放射線医学教授
画像診断に基づく消化器がん、肺がんの
clinical stagingの確立とstaging別の治療法
の選択に関する研究(肺がんの clinical
stagingの確立とstaging別の治療法の選択
に関する研究)
〃
佐川 元保
呼吸器外科助教授
がん検診の適切な方法とその評価法の確
立に関する検討
中川 秀昭
公衆衛生学教授
先天異常モニタリング等に関する研究
700
久原とみ子
総合医学研究所
人類遺伝学研究部門
生化学教授
マススクリーニングの効率的実施及び開発に関す
る研究(マススクリーニング方法および新しい対
象疾患に関する研究 (研究協力) )
400
菅井 進
血液免疫内科学教授
自己免疫疾患に関する調査研究
1,000
〃
大原 義朗
微生物学教授
免疫性神経疾患に関する調査研究:多発
性硬化症の抗体による治療法の開発
1,000
〃
酒井宏一郎
神経内科学助教授
免疫性神経疾患に関する調査研究:傍腫
瘍性神経症候群の標的分子機能の解析
1,000
〃
中川 秀昭
公衆衛生学教授
特定疾患の疫学に関する研究
1,000
〃
松本 忠美
整形外科学教授
突発性大腿骨頭壊死症の予防を目的とし
た疫学的病態・生理学的遺伝学的総合研究
1,000
がん予防等健康科学総合研究事業 田中 卓二
(がん克服戦略研究事業)
病理学Ⅰ教授
発がんの高危険度群を対象としたがん予
防に関する基礎及び臨床研究(口腔及び
食道発がん抑制物質の検索)
3,300
食品安全確保研究事業(食品・
化学物質安全総合研究事業)
病理学Ⅰ教授
反復投与毒性や発がん性試験等の実施に
よる既存添加物の安全性評価に関する研究
20,000
難治性疾患克服研究事業
(子ども家庭総合研究事業)
〃
難治性疾患克服研究事業
(特定疾患対策研究事業)
田中 卓二
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
27
節足動物媒介性ウイルスに対する弱毒ワクチンの
開発研究
国立感染症研究所委託事業
大原 義朗
微生物学教授
国立健康・栄養研究所委託事業
中川 秀昭
公衆衛生学教授
食品摂取量季節変動調査
2,000
老年病学教授
高齢者における安全な薬物療法の確立に
関する研究(高齢者の安全な高血圧薬物
療法に関する研究)
1,000
松本 忠美
整形外科学教授
高齢者における外科(整形外科)手術リスク
の原因の解明及び手術安全性向上に関す
る研究(日本人変形性股関節症に適合す
るセメントレスステムの形状に関する研究)
久原とみ子
人類遺伝学研究部門
生化学教授
重症障害新生児医療のガイドライン及びハイ
リスク新生児の診断システムに関する総合的研
究(先天代謝異常を有する児に対する確
定診断の迅速化への方略)
2,000
環境省委託事業費
中川 秀昭
公衆衛生学教授
重金属等の健康影響に関する総合研究
(カドミウムの腎影響・イタイイタイ病の腎病変に
関する研究班)
1,000
経済産業省地域新生コンソーシアム研究
開発事業
高林 晴夫
総合医学研究所
人類遺伝学研究部門
臨床遺伝学助教授
母胎血による胎児DNA診断のための胎児
由来細胞回収装置の開発
5,616
石川県地域結集型共同研究事業
友田 幸一
鈴鹿 有子
耳鼻咽喉科学教授
耳鼻咽喉科学助教授
次世代型脳機能計測・診断支援技術の開発
(脳深部対応型MEGシステムの開発)
-
NIH(アメリカ国立衛生研究所)
研究助成
菅井 進
血液免疫内科学教授
シェーグレン症候群の国際診断基準の作成
(H15.9.30­H16.9.29の期間で13,034,312円) 13,034
小松市国保ヘルスアップモデル事業
中川 秀昭
公衆衛生学教授
小松市国保ヘルスアップモデル事業の分析・評価
4,053
(公) 日本動脈硬化予防研究基金
助成金
梶波 康二
循環器内科学助教授
高ホモシステイン血症への非薬物学的介入による
冠動脈硬化症の二次予防
2,000
〃
中川 秀昭
公衆衛生学教授
職業・生活習慣要因と長期循環器疾患発
症に関する大規模職域コホート研究
8,000
〃
森本 茂人
老年病学教授
高齢者高血圧コホート研究
500
(財) 金沢総合技術研究センター研究
助成金
友田 幸一
耳鼻咽喉科学教授
薄膜技術を用いた人工内耳電極の新規開発
555
〃
鈴鹿 有子
耳鼻咽喉科学助教授
脳磁図による前庭機能の評価
555
1,000
長寿医療研究委託事業
〃
国立成育医療センター成育医療
研究委託費
森本 茂人
971
500
その他省庁
その他
(財) 北國がん研究振興財団研究
助成金
佐川 元保
呼吸器外科助教授
Multidetector­CTで作成したVirtual
Bronchoscopyと極細径気管支鏡および得
られた検体の遺伝子解析を用いた肺野微
小肺癌の診断法の確立
〃
長内 和弘
呼吸器内科学講師
Rab低分子量Gタンパク質による細胞内
小胞輸送機構を標的にした癌細胞への新
たな分子標的治療戦略の構築
1,000
(財) 福田記念医療技術振興財団
研究助成金
多田 典弘
循環器内科学研究医
本態性高血圧症患者における自律神経機能
評価ならびに非侵襲的末梢血管抵抗の検討
2,000
(財) 聖ルカ・ライフサイエンス研究所研究
助成金
相野田紀子
医学教育学助教授
難病患者との医療コミュニケーション教育カリキュラム
開発
700
金沢医大後援会橘会賞
宮澤 徹
耳鼻咽喉科学助手
〃
佐竹 主道
循環器内科学研究医
(公) 松原三郎記念事業松原記念
奨励賞
野田 実希
神経精神医学大学院生
摂食障害の生物学的研究-治療前後の脳
の生理的機能や認知機能の変化について
500
RMCB研究会助成金
長内 和弘
呼吸器内科学講師
肺におけるRab38低分子量Gタンパク質の
発現と局在
300
(財) テレコム先端技術研究支援センター
委託事業
佐々木一之
眼科学名誉教授
電波の眼への影響評価試験(マイクロ波によ
る眼球への影響評価に関する研究)
ニオイ物質(光学異性体)に対するラット
嗅球における内因性光信号の計測
Myocardial Glucose Metabolism Assessed by
Positron Emission Tomography and the
Histopathologic Findings of Microvessels in
Syndrome X
500
500
35,000
注;所属・職名は、採択(受託)時のもの
【学術】
【学術】
金 医 大 学 報
糖尿病性血管障害の分子生物学
28
Uterine transplantation -
Studies towards clinical application
(子宮移植-臨床応用へ向けての研究)
講 師 山本 博先生(金沢大学大学院医学系
研究科血管分子生物学教授)
日 時 平成16年5月21日(金)18:00~19:30
場 所 基礎研究棟3 階大学院セミナー室D2 ・3
担 当 ゲノム医科学 伊達孝保教授
講 師 Mats Brännström 先生
(スウェーデン イエテボリ大学産婦人科教授)
日 時 平成16年5月31日(月)16:20~17:50
場 所 病院4 階C41 講義室
担 当 生殖周産期医学 牧野田 知教授
〔講師紹介〕
〔講師紹介〕
Mats Brännström 教授は生殖生理
山本 博教授は金沢大学医学部
学の分野において世界有数の研究
を卒業後、富山医科薬科大学助
者であると同時に、悪性腫瘍手術
手、東北大学助教授を経て金沢大
などを日々多数手掛ける優れた外
学の教授に就任され、現在、糖尿
科医でもあります。イエテボリ大
病が引き起こす血管変性に関する
学はスウェーデン随一の臓器移植
研究を行っています。
実績を誇りますが、その土壌のも
〔セミナーの内容〕
とで、現在先生が注力されておら
近年、糖尿病患者数は増加の一
れるのが子宮移植の臨床応用です。この話題については、
途を辿り、医学的にも社会的にも大きな問題となってい
先生の論文が公表された一昨年の夏に、英BBC放送が全
ます。糖尿病患者の生命予後とQOL を左右するのは血
世界に向け発信したほど社会的な関心を集めました。
管合併症です。セミナーでは、グルコースなどによる非
酵素的タンパク質修飾によって生成する終末糖化産物 〔セミナーの内容〕
昨年末、子宮癌のために子宮を失ったある芸能人夫妻
AGE と、その特異的受容体である RAGE との相互作用
が、米国人代理母を介して自分達の子供を得たというニ
を主眼においた糖尿病血管症の分子機構研究の最近の成
ュースが報道され話題となりました。何らかの原因で子
果について紹介されました。まず、AGE の生成と血管内
宮を持たない女性が自分自身の子供を切望した場合、現
皮細胞毒性について述べられ、続いてAGEをリガンドと
行ではいわゆる「借り腹」に頼るしか手段はありません
して特異的に結合するレセプターを同定された過程を紹
が、この方法はご承知のとおり法的・倫理的に大きな問
介されました。続いてアンチRNA を用いた実験などに
題を孕んでいます。我が国と同様に代理母制度が認めら
よりRAGE が糖尿病腎症の発症・進展に深くかかわって
れていないスウェーデンから最先端の子宮移植研究が生
いくこと、さらにAGE­RAGE系と糖尿病血管障害との
まれた背景は、我々にも容易に想像されます。
関連を固体レベルで追及するために行ったトランスジェ
講演ではまず、マウスを用いた子宮移植手技の実際を
ニックマウスの実験結果について詳しく紹介されまし
説明されたあと、そのモデルを用いて得られた詳細なデ
た。血管内皮細胞特異的プロモーターの下流にヒト
ータを披露していただきました。妊娠した移植子宮と非
RAGE 遺伝子を過剰発現するトランスジェニックマウス
移植子宮では子宮血流に差が無いこと。出生した仔の大
を作成し、これに誘導型NO 合成酵素(iNOS)を膵β細
きさや発育、さらに生殖能力はコントロール・マウスと
胞特異的に過剰発現するマウスと交配させたところ、生
同等であること。またドナーから摘出した子宮を保存し
まれてきたダブルトランスジェニックマウスは生後早期
た場合や移植後に拒絶反応を起こさせた場合の、子宮組
から糖尿病を発症し、血糖値、HbA1c、および血中AGE
織の機能的・器質的なダメージを経時的に調べられた結
値の上昇、さらにヒト糖尿病腎症の所見と一致した症状
果などを次々と示され、会場はヒトへの臨床応用が間近
を示しました。さらにAGE 形成阻害剤をこのトランスジ
であることを否が応にも実感させられ興奮に包まれまし
ェニックマウスに経口投与すると、血清中 AGE の減少
た。
とともに血清クレアチニン値の上昇が抑制され、糖尿病
講演後には、Brännström 先生が英語で話された内容
腎症・血管症に対する治療薬の開発の可能性についても
に、本学・牧野田教授が同じスライドを使い日本語で説
述べられました。
明を加えられ、多数集まった学生諸君の理解に配慮され
好評を得ていました。フロアーからも倫理面・技術面に
山本教授の講演に参加者一同大きな感銘を受け、最後
は熱心な質問・討論でこのセミナーをしめくくりました。 対する具体的な質問が飛び交い、非常に有意義なセミナ
ーとなりました。
(生殖周産期医学 藤井亮太記)
(ゲノム医科学 伊達孝保記)
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
Anesthesia and pulmonary
vascular signal transduction
29
前頭側頭型痴呆
(麻酔と肺血管情報伝達)
講 師 Paul A. Murray 先生(米国クリーブランド
クリニック財団麻酔科学研究センター所長)
日 時 平成16 年5 月31 日(月)18:00 ~19:30
場 所 病院4 階C41 講義室
担 当 侵襲制御学 土田英昭教授
〔講師紹介〕
Paul A. Murray 先生は
ミシガン大学を卒業後、
ハーバード医科大学、ジ
ョンズ・ホプキンス大学
医学部を経て、1994 年
にクリーブランド・クリ
ニック麻酔科の研究部門
の責任者に就任された。
肺血管における循環生理学の世界的な第一人者である。
〔セミナーの内容〕
Murray 先生は肺血管の圧・流量関係を観察できるイ
ヌin vivoモデルの確立や、そのモデルを用いた肺移植後
肺循環の研究で脚光を浴びた。現在はこの実験系に加
え、摘出血管の張力変化や細胞内Ca2+ 濃度測定、免疫組
織化学的手法などを取り入れ、肺血管の収縮弛緩に関わ
るメカニズムを多角的に研究している。先生は、先に名
古屋で行われた日本麻酔科学会の招請講演で、これまで
ほとんど研究されてこなかった肺静脈の細胞内情報伝達
について、最新の知見を話された。本学のセミナーで
は、その講演の内容をより基本的で順序だてた内容にア
レンジして話していただけた。まず、肺血管のトーヌス
は右心系の後負荷になることや肺水腫の発生に関与する
こと、低酸素で収縮することなど、肺血管の臨床的な重
要性を示すことで聴衆の興味を引いた。次に、肺血管の
収縮弛緩における重要なメッセンジャーは細胞内Ca2+ で
あり、そのソースは、電位依存性Ca2+ チャネルからの流
入、capacitative Ca2+ entry、IP3 ・リアノジン感受性チャ
ネルを介した筋小胞体からのCa2+ 放出であることを説明
した。さらに、これらのCa2+ 動態や筋線維のCa2+ 感受性
がPKC、TK、ROK によって調節されていること、様々
な麻酔薬がこのような情報伝達系の様々な部位に影響を
及ぼすことを自身の実験データを提示しながら順序良く
説明した。明解な内容に加え、平易な英語でゆっくりと
話していただいたため、教職員、大学院生はもちろん、
多数参加してくれた第4 学年の諸君も熱心に聴講するこ
とができ、大変有意義なセミナーとなった。
(侵襲制御学 関 純彦記)
講 師 田辺敬貴先生
(愛媛大学医学部神経精神医学教授)
日 時 平成16年6月15日(火)18:00~19:30
場 所 病院4 階C42 講義室
担 当 精神神経科学 地引逸亀教授
〔講師紹介〕
田 辺 敬 貴 先 生 は、
大阪大学医学部を卒
業されて後、精神科
を拠点に高次脳機能
障害の診療に研鑽を
積んでこられた方で
す。スイスのVoudois
大学への留学から帰朝されて以降は、痴呆や記憶障害の
研究に重点をおかれ、1996 年からは現職にあります。
2000 年には、痴呆の症状の実際を改めたCD­ROM付の
「痴呆の症候学」を医学書院より刊行されています。
〔セミナーの内容〕
今回は、同書に収められた症例を中心に豊富な実例で
前頭側頭型痴呆の症候学を解説していただきました。
前頭側頭型痴呆とは、病変が前頭葉を中心に側頭葉に
も及ぶ痴呆のことで、主に変性疾患が原因です。前頭型
の痴呆といえば、われわれは Pick 病を想起しますが、
Pick 病でも、前頭葉まで損傷される例は少なくありませ
ん。近年では画像診断の進歩により、細分化した分類が
試みられる一方、症候学上の混乱も目立つようになって
います。また、前頭葉や側頭葉を冒す変性疾患は、Pick
病のほかにもいつくか存在します。正確な診断は病理解
剖を待つしかありませんが、臨床診断には、病変が前頭
葉から側頭葉に及んだ際の症状、つまり「前頭側頭型」
の独特な失語や記憶障害をきちんと把握し評価すること
が重要になります。こうした点が、実際の症状の解説を
通じて明らかになってきました。また、精神科では前頭
型の痴呆と精神病の鑑別が問題になる場合があります
が、この点についても、前頭葉損傷の患者は、精神病の
患者よりも周囲への配慮に欠けた行動-「我が道を行
く」行動going my way behavior -をとるとの貴重な教示
がありました。
田辺先生は、当初は精神病理学を志したそうですが、
症例を多様な文脈で、しかも丁寧に診ようとする姿勢に
は、精神病理学者に通じるものがあります。今回、いち
ばん教えられたのは、むしろその姿勢だったのかもしれ
ません。
(精神神経科学 渡辺健一郎記)
【学術】
金 医 大 学 報
30
アルコール性肝障害の病態と
成立機序
中枢神経侵襲におけるグリア細胞
の反応
講 師 高瀬修二郎教授(金沢医科大学消化器
講 師 山本悌司先生
(福島県立医科大学神経内科学教授)
機能治療学教授)
日 時 平成16 年7 月2日(金)18:00 ~19:30
場 所 病院4 階C42 講義室
担 当 消化器機能治療学 高瀬修二郎
〔セミナーの内容〕
わが国における酒類消費量は
1960 年代より急速に増加し、一日
平均アルコール120g(日本酒換算
5.2 合)以上を摂取する大酒家は
240 万人にも達すると推算されて
いる。しかし、日本人の約45%は
非活性型アルデヒド脱水素酵素
(ALDH2)の保有者で、飲酒によ
りフラッシング症状を伴うので、今後酒類消費量は現在
の水準で推移するものと考えられる。
過剰の飲酒による肝病態として脂肪肝・アルコール性
肝炎・肝硬変に加えて、アルコール性肝線維症・大酒家
慢性肝炎が知られている。最近では、アルコール性肝炎
の増加傾向がみられ、なかでも予後不良な重症型の対策
が求められている。重症型アルコール性肝炎への進展は
女性により多いという性差が認められており、その要因
としてエストロゲンによるエンドトキシンに対する感受
性亢進や、脂肪細胞から産生・分泌されるレプチンの関
与などが明らかにされてきている。
アルコール性肝障害の発生機序の詳細については未解
決の課題が多く残されているが、これにはヒトでみられ
るようなアルコール性肝炎の小動物モデル作製が現在で
もなおきわめて難しいことが隘路になっている。過剰の
アルコール摂取による肝障害の発現と進展には、肝細胞
障害機序と肝線維増生機序の両面から考察する必要があ
る。現在のところアルコールの酸化により産生されるア
セトアルデヒドの細胞障害作用が最も強い影響をもたら
すと考えられ、アセトアルデヒド・アダクトやアセトア
ルデヒド由来糖終末産物の関与も明らかにされた。一
方、肝線維増生については、クッパー細胞などから放出
される各種サイトカインが肝星細胞を活性化し、細胞外
マトリックスが類洞に蓄積するが、同時にこれを分解す
る酵素も増加するなど、複雑な機構が作動している。
飲酒は古来より生活習慣化しており、臓器や精神の障
害をきたさない節度ある飲酒行動が求められている。適
正飲酒量を規定することは困難ではあるが、一日平均ア
ルコール20g(日本酒換算 1 合弱)程度が目処になると
思われ、広く社会にアピールする必要がある。
(消化器機能治療学 高瀬修二郎記)
日 時 平成16 年7 月9 日(金)18:00 ~19:30
場 所 基礎研究棟3 階大学院セミナー室D2 ・3
担 当 脳脊髄神経治療学 飯塚秀明教授
〔セミナーの内容〕
ご講演は、低酸素侵襲によって
おこる脳神経細胞のアポトーシス
(apoptosis)に始まり、脊髄損傷モ
デルにおけるアポトーシス、グリ
ア細胞の反応へと展開した。脳に
低酸素侵襲負荷を加えると、壊死
やマイクログリア、マクロファー
ジの浸潤がおこる。これを電子顕
微鏡で観察すると神経細胞にオスミウム陽性となる変化
がおきていることが分かった。この変化は、後にはphys­
iological cell death(apoptosis)であることが明らかとな
った。この研究を脊髄損傷モデルに応用し、その際にお
こる組織学変化、生化学反応を検討した。脊髄横断モデ
ルにおいて、横断部位周囲では、ミクログリアの集積が
おこり、p53 が陽性となる。また、神経細胞ではTUNEL
染色が陽性でapoptosisがおこっていた。また、侵襲時に
2 次的に拡がる軸索変性、ミエリン変性に対して神経保
護的に働くカルパイン系が活性化していることも分かっ
た。ミクログリア、マクロファージは、損傷部位に集積
し壊死産物を除去し2 次的神経損傷を阻止することが分
かっており、脊髄損傷モデルで認めたapoptosisとミクロ
グリア・マクロファージの集積は、生体防御過程の一つ
としておきている可能性が示唆された。Apoptosis はpro­
grammed cell death であり、胎生期においては器官の形成
において重要な役割を果たす。しかし、出生後の細胞分
裂能のない神経細胞においてなぜprogrammed cell death
がおこるのであろうか。これについては、確定的な結論
はないが、apoptosis が主としておこっているのではなく、
神経損傷により壊死がおきた時にそのダメージを最小限
にとどめるために、これに付随する形でprogrammed cell
death がおこっているという仮説がたてられる。
講演後、脊髄損傷でおこるapoptosisの意義を中心に、
apoptosisとワーラー変性、幹細胞との関連、実験モデル
の年齢による組織反応の差異など、活発な討論が続いた。
山本悌司先生は1978 年から4 年余り、本学神経内科学
助教授として活躍された。
(脳脊髄神経治療学 赤井卓也記)
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
頚椎疾患の診断と治療
31
Immune­mediated inner ear
disorders ( 内耳免疫疾患)
講 師 川原範夫先生(金沢大学整形外科・金
沢大学附属病院リハビリテーション部
助教授)
講 師 Sang Won Yeo先生
(韓国、カトリック大学耳鼻咽喉科教授)
日 時 平成16年7月15日(木)18:00~19:30
場 所 病院4 階C41 講義室
日 時 平成16 年4 月5 日(月)18:00 ~19:30
場 所 病院4 階C41 講義室
担 当 運動機能病態学 松本忠美教授
担 当 感覚機能病態学 友田幸一教授
〔講師紹介〕
川原範夫助教授は、昭和58年に
金沢大学医学部を卒業後、同大学
整形外科教室に入局され、平成 2
年から米国ミネソタ大学整形外科
脊椎部門に留学され、脊椎脊髄外
科の研鑽を積まれた。平成 4 年に
金沢大学整形外科講師、平成15年
からは金沢大学付属病院リハビリ
テーション部助教授に就任され現在に至っている。専門
は脊椎脊髄外科で、中でも、脊椎悪性腫瘍や脊椎変形に
対する手術で世界的に有名である。日本脊椎脊髄病学会
の評議員も務められ、日本の脊椎脊髄外科の発展を担っ
ている一人でもある。
〔セミナーの内容〕
今回は、先生の幅広い経験の中でも、頚椎疾患に対す
る診断と治療について講演された。講演の前半は、頚椎
の解剖、神経学的所見の取り方などについて、時には動
画を用いて説明された。特に異常反射出現の有無をビデ
オを用いて視覚的に訴える講義方法は、指導的立場にあ
る教員にとっても非常に参考になった。後半は、具体的
な疾患を列挙し、その病態、症状、治療について講演さ
れた。その中の一つとして、頚椎症性脊髄症や頚椎後縦
靭帯骨化症に対する後方手術として、金沢大学のオリジ
ナルであるT­sawを用いた手術の詳細を説明された。こ
の手術は、脊髄に対して安全に手術を完遂することがで
き、いまや世界に広まりつつある手術手技である。さら
に上位頚椎部の腫瘍や変形に対して、頚椎椎弓根スクリ
ューを用いた後頭骨頚椎後方固定術や下顎骨半割を用い
た経口腔上位頚椎固定術など、高度なテクニックを駆使
して、病変部を完全に根治させたいくつかの症例を提示
され、これらの症例提示を通して、真の患者の満足を得
るために、一切の妥協を許さず、まさに頚椎外科の限界
に挑戦している先生の姿勢がひしひしと伝わった。
この講演は、医学生、大学院生、研修医にとっても臨
床の場で即応用できる知識が盛りだくさんであり、また
脊椎脊髄外科を志す医師にとっても刺激的なスライドの
連続であり、非常に有意義であった。
(運動機能病態学 藤田拓也記)
〔講師紹介〕
Yeo 教授は 1953 年の生まれで、
1978 年に韓国、カトリック大学を
卒業、1989 年に大学院博士課程
を修了された。1992 年から1 年間
米国カリフォルニア大学サンディ
エゴ校にて韓国人 fellow としては
初めての内耳免疫に関する研究を
された。先生とは同じ内耳研究で
20年来の付き合いになる。今回、日本韓国合同耳鼻咽喉
科学会で来日された折に金沢へお迎えすることになっ
た。
〔特別講義の内容〕
内耳免疫疾患には、全身性免疫疾患と、臓器特異性内
耳疾患に関連したものの大きく二つに分けられる。前者
には多くの自己免疫疾患があるが、後者にはステロイド
依存性感音難聴、メニエール病の一部、遅発性内リンパ
水腫などが考えられている。しかし内耳の抗原に対する
自己抗体や細胞を介した免疫応答の証拠がまだ十分に解
明されていない。その診断は主に臨床症状、経過、血液
検査による。治療は基本的にステロイドの内服を中心と
して、他に免疫抑制療法、プラスマファレーシス(血漿
瀉血)
、DMARDS、細胞毒性薬剤(メトトレキセート、
シクロフォスファミド)
、その他の新しい免疫療法、遺
伝子療法などがある。Yeo 先生は細胞毒性薬物(メトト
レキセート)とプレドニンを併用する方法を発案し、好
成績を得ている。メトトレキセートは dihydrofolate
reductase(DHFR)を阻害する抗代謝薬で、DNA合成・
修復・複製機構に関与する。最大効果を得るために
7.5mg /週から始め、1 または2 カ月間隔で増量する(ほ
とんどの症例では12.5mg /週から15mg /週)。内耳免
疫疾患の治療は症例の70 %で聴力の改善が見られ、前
庭症状は80 %で改善が見られたと報告された。原因や抗
原のまだ明らかでない多くの内耳免疫疾患の治療におい
て大きな福音である。 (感覚機能病態学 友田幸一記)
【学術/病院】
金 医 大 学 報
自己免疫性疾患としての多発性硬
化症
講 師 山村 隆先生(国立精神神経センター神経
研究所免疫研究部部長)
日 時 平成16年5月19日(水)18:00 ~19:30
場 所 病院4 階C41 講義室
担 当 脳脊髄神経治療学 廣瀬源二郎教授
【講師紹介】
山村先生は1980 年京都大学医学部を卒業され、87 年
西独マックスプランツ研究所留学、89年米国ハーバード
大学留学、99年からは国立精神神経センター免疫研究部
部長に就任、以後同研究部において多発性硬化症等に関
連する研究を進めておられます。本セミナーでは、今ま
での山村先生の研究成果の一部を講演していただきまし
た。
【特別講義の内容】
セミナーではまず“多発性硬化症(MS)
”について、
基本的知識、概念を平易に概説していただきました。そ
の後、定説となっておりますMS の基本的概念を踏まえ
た上で、先生が取り組んでこられましたナチュラルキラ
総合医学研究所寄附研究部門
32
ーT細胞(NKT細胞)に関する研究について詳しく説明
していただきました。山村先生はNKT 細胞がTh2 サイト
カインのIl­4を大量に産生する点に着目され、NKT細胞
刺激によるMS の動物実験モデルである実験的自己免疫
性脳脊髄炎(EAE)抑制効果を検討されました。NKT
細胞の代表的糖脂質リガンドであるα­GalCer(α­galac­
tosylcermice)
、およびα­GalCerより更にスフィンゴ鎖を
短縮した糖脂質OCH 投与によるEAE 臨床像抑制効果比
較検討では、α­GalCerによる抑制効果以上の臨床像の
軽減、および加療効果のある事がOCH 投与により確認
されました。現在もOCH投与によるMS加療の実用化を
目指し、動物実験をつづけて行っておられるとのことで
した。
また並行して、MS 患者の末梢血リンパ球をcDNA マ
イクロアレイを用いて遺伝子発現の解析を行い、IFN­β
1b 加療効果関連遺伝子の同定も行っておられるとのこと
でした。解析の結果、全1236遺伝子解析の約2 %で有意
な発現変化が確認され、今後“その他の自己免疫性疾
患”との比較検討を加え、MS の病態把握、加療効果判
定に役立てたいと話されました。
和やかな雰囲気の中でご講議いただき、また終了後に
は熱心な質疑応答が行われ、非常に有意義な時間となり
ました。
(脳脊髄神経治療学 中西恵美記)
平成16 年5 月28 日、本学会議室において、株式会
社紅豆杉代表取締役社長代理・役員秘書室長田代幸
子氏と小田島粛夫理事長との間で契約調印式が執り
行われた。式には、紅豆杉側からはオブザーバーと
して、長春中医大学王之虹学長、駐日本国中華人民
金沢医科大学総合医学研究所に、新たにタキサス
共和国大使館の李東翔公使、張嘉蘭 1 等書記官、宋
研究部門(紅豆杉)が開設された。タキサスとは、 柏林1 等書記官が出席し、大学側からは竹越 襄学長、
秦の始皇帝以来中国歴代王朝の秘薬とされた紅豆杉
山本 達研究所長、平井圭一分子細胞形態科学教授、
の学名 Taxus yunnanensis からきており、イチイ科タ
同島田ひろき講師、同島村英理子講師、同信川高寛
キサス属の植物を指している。聖徳太子の時代に隋
客員教授が出席した。
王朝から日本の皇室に贈られたとの記録があり、木
タキサスには少なくともタキサン系、リグナン系な
部から笏を作るとその香によるアロマセラピーで万病
ど数百種類の化合物が含まれており、感染症、腫瘍、
が治ったともいう。今日中国政府が中国1 級保護植物
自己免疫疾患、糖尿病、花粉症、高血圧、婦人科疾
(ワシントン条約対象品種)に指定して厳しく管理し
患、不定愁訴などに有効と言い伝えられているが、
ており、世界ではじめて研究を開始するために、ご
その実体は神秘のベールに包まれている。本研究部
く数年前に日本に中国政府直轄の企業「紅豆杉」が
門では今後3 年間に新たに研究員を加えて、タキサス
設立された。本学分子細胞形態科学教室の平井圭一
の抗癌作用の研究、タキサスの抗炎症作用の研究、
教授との共同研究が開始されたのを契機に、今回の
タキサスの有効成分の研究が行われる予定である。
寄附研究部門開設の運びとなった。
(分子細胞形態科学 平井圭一記)
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金 医 大 学 報
33
病 院
臨床研修センター部長
神田享勉
本学の新しい臨床研修医教育は平成 16 年 4 月末か
られています。しかし、毎週ある当直業務や月に1 度
らスタートしました。新研修医は研修医のためのオリ
の休日出勤などハードさにおいては変わっていません
エンテーションとして基本事項についての短期講習を
が、指導体制は格段に向上しており、臨床経験豊富
受けたのち、最初の研修である内科や外科の各科に
な医師と一緒での当直であり休日勤務であります。
配属となりました。彼らは、保険医登録も済ませ、い
本学では研修施設など多くの改善を今回実施しま
よいよ患者さんの診断治療においても自らの電子カル
した。臨床研修センターは、本館4 階の院内で最も便
テでオーダーすることが可能となりました。今までの
利な場所に設置されています。研修医はこのセンター
知識を存分に実践できる場が与えられたわけです。
所属になり、カンファランスや指導医との打ち合わせ
新しい臨床研修医の到達目標として次の3つを提示
しました。
1つは臨床研修を通じて「医師としての人格」を涵
養すること。人格とは他人の立場にたてることです。
ができるようになっています。エアコンの効いた部屋
で、研修医が臨床問題を調べながら熱く語る場所と
なっています(写真1)
。
本学には、30 名の指導医と同数の副指導医がおり
患者さん、医療スタッフ、家族など様々な方々への配
ます。彼らは各診療科のエキスパートであり、研修医
慮を先輩から学びます。
の研修状況を常に把握し、適切なアドバイスと教育
2 つ目は、
「プライマリーケアへの理解」を深めて、
を行っていく役目があります。彼らは病棟や外来での
患者を全人的に診ることができる基本的な診療能力
マンツーマンの直接指導はもちろん(写真 2)
、他科
を涵養すること。プライマリーケアとは採血や点滴、
の専門医にもプランを立ててもらうなど、ミニローテ
服薬指導だけでなく、心を聞き出す医療面接、身体
ートを組んで特殊疾患や手技の研修をきめ細かく行
診察、所見など多岐にわたる技と心を磨きます。
っています。研修医はそのために、いつもとは異なる
彼らにすれば今まで経験したことのない治療側の立
場で毎日緊張の連続のようです。
専門医から特別の指導を受けています。研修医と指
導医との相互関係は今までとは大きく異なり、必要
3 つ目は、アルバイトをしないで「研修に専念」で
な研修は科の壁を越えて行っています。当初の理想が
きる環境を整備すること。この点は、待遇をはじめと
現実化しています。もちろん指導医に対しては大学か
した新しいインパクトのある規定に従ってしっかり守
ら指導手当が出ております。
写真1:臨床研修センターでの打ち合わせ
写真2:外来における直接指導
【病院】
金 医 大 学 報
臨床研修センターは、
写真3:総合医ノート
34
研修医を多く引き受けることが難しいこと。
(2)時期
研修医が体験修得して
によっては全く研修医がいない時や集中して研修医が
おくべきプライマリー
集まることが起こりうること。
(3)地域医療の研修で
ケアに関する必須項目
は、多くの施設が関係するので受け入れ機関との調整
や経験目標をまとめて
が容易ではないこと。
(4)個人の研修レベルがばらば
携帯版の「総合医ノー
らになると、自由選択研修の枠を研修内容の補充と
ト(写真3)
」を作製し、
することができるかなど。以上が差し当たってこれか
各研修医に配付しまし
ら研修委員会で解決していく課題となっています。
た。彼らの向上心を刺
開始前、病院内の全スタッフに向けて3 つのお願い
激し、その内容をさら
をしました。
(1)研修医を雑用係にせず、親切に面倒
に自分用にブラッシュ
をみる姿勢で迎えること。
(2)入局するしないにかか
アップして自分専用の
わらず、技能や態度の方法を伝授すること。
(3)専門
便利帳となっていくこ
手技より、基本手技をまず教えること。今、この3 点
とを期待しています。
まだ幾つかの問題点が解決されなければなりませ
ん。
(1)全科を対象としているため、教員不足の科は
がうまく運営されていることが分かり、皆様に感謝し
ています。本学を明るい未来に向けてくれる研修医制
度です。皆さん、期待して協力してください。
平成 16 年度採用の研修医を対象としたオリエンテー
ションが、平成 16 年 4 月 26 日(月)から28 日(水)に
わたって実施され、新研修医38 名が参加した。
本年 4 月から新しい医師臨床研修制度がスタートし、
研修医のために病院本館4 階に臨床研修センターが設置
され、オリエンテーションは同センターのカンファレン
スルームを利用して行われた。
最初に、内田健三病院長からこのオリエンテーション
医療面接技法のワークショップ
の意義と目的について説明があり、引き続いて松本忠美
臨床研修管理委員会委員長から「臨床研修センター」に
クショップには2年次研修医6名も参加して、9 グループ
ついて、神田享勉臨床研修センター部長から「本学病院
に分かれて模擬患者に対する医療面接を行い、グループ
における卒後臨床研修とプログラム」
、高島茂樹診療部
討議により医療面接技法上の問題点を整理して問題解決
長から「診療にたずさわる際の注意事項と安全管理体制
の方策を考え、結果を発表するという形で進められた。
の指針」について話があった。その後、病院各部門の責
最後に全体討議を通じて医療面接技法に関する問題が
任者によって、各業務の内容と注意事項に関する説明が
なされた。
また、5 月7 日(金)から8日(土)にかけて、場所を
いこいの村・能登半島(志賀町)に移し「医療面接技法」
をテーマとしたワークショップが開催された。このワー
掘り下げられ、臨床への理解が深められた。
ワークショップの模擬患者は、SP研究会のメンバーに
演じていただいたが、事前のトレーニングにより好演し
ていただき大変好評を得た。
(職員課 北本正俊記)
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金 医 大 学 報
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平成16年度石川県民大学校
生涯学習センターからの協力要請により、毎年行われ
ている石川県民大学校能力開発コース(クリエイティブ
ライフ講座)
「健康管理講座」が、7月3日(土)に病院
本館4階C42講義室にて開講した。
15 年目を迎えた本年度の開講式は、午後 1 時 30 分か
ら、松本忠美副院長、疋田管理課長の出席のもとに行わ
れた。今年は、63 名の申し込みがあり、60 歳以上の受講
松本忠美副院長の挨拶
者が全体の8 割を占めている。講座規模は前年度より多
少縮小したものの、毎年欠かさず受講する参加者も多
教授より行われた。若々しい肌には日焼けがいかに大敵
く、県民大学校の人気講座のひとつとなっている。
であるかを興味深く話され、受講者は熱心に耳を傾けて
開講式に引き続いて、午後 2 時から第 1 回講座「若返
いた。
(管理課 島 幸枝記)
りの医療」と題した講義が、機能再建外科学の川上重彦
平成16年度健康管理講座日程表
月
日
時 間
7
3
13:30~14:00
開講式
14:00~17:00
若返りの医療
機能再建外科学教授 川上 重彦
17
13:30~16:30
いやしと健康
総合内科学教授 神田 享勉
18
13:30~16:30
日本人の命と動脈硬化
心血管外科学教授 松原 純一
25
13:30~16:30
超スーパーロボット「人間」
運動機能病態学教授 松本 忠美
16
13:30~16:30
起きて半畳寝て1畳
9
10
授 業 科 目
(手軽に体力づくり)
30
13:30~16:30
肺がんの話
16:30~17:00
閉講式
講 師
生命科学科目教授 田村 暢熙
呼吸機能治療学助教授 佐久間 勉
【病院】
金 医 大 学 報
36
第1回 院内褥瘡対策委員会研修会
院内褥瘡対策委員会が主催した今年の研修会には、
184 名(看護師177 名、医師2 名、看護学校教員1 名、看
護学生2 名、医事課職員2名)が参加した。
今回のテーマは「褥瘡 DESIGN 評価と処置方法」と
し、立川講師は挨拶も早々に模型を用いた実技演習を始
講師 立川尚子ET(ブリストル・マイヤーズスクイブ コン
めた。講義室内のモニターに手元を映し出しながらの話
バテックス事業部)
は、褥瘡ケアに関わったことのない者に実技を理解しや
日時 平成16年6月22 日(火)
すくし、褥瘡ケアを日々実践している者には実技上の注
会場 病院4階C41 講義室
意点を再確認させるものであった。
司会 環境皮膚科学 柳原 誠教授
後半は、
「褥瘡ケアのポイント」として褥瘡管理の3原
則(圧迫・栄養・局所管理)から始まり、DESIGN 評価
平成14 年10 月の「褥瘡予防対策未実施減算」制度に
から処置方法を選択して治癒に至る過程を実例から学ん
先駆け、同年4 月から看護部に褥瘡対策チームが置かれ
で、最後は「個々のスキルアップとともに、医療従事者
た。以来2 年間にわたり、看護師の褥瘡ケアに関する専
間の連携を密に図ろう!」という熱い言葉で締めくくら
門知識の向上を図る目的で、立川尚子ET(Enterostomal
れた。
Therapist:人工肛門・人工膀胱患者の失禁ケア専門職)
いろいろなジャンルの参加者が、職種や立場を越えて
による研修会が、看護部で主催されてきた。本年4 月か
積極的に取り組んでいくことの重要性を再認識し、有意
らは「褥瘡患者管理加算」が導入され、褥瘡予防管理体
義な時間を過ごすことができた。 (看護部 前野聡子記)
制の徹底と強化がさらに求められているところである。
平成13年に、ナイチンゲールの生誕を記念して5月12
日が「看護の日」と制定されました。この日の前後1 週
間は、
「看護週間」として、
「看護」への理解を深め、ま
た広く知っていただくための趣向をこらした様々な事業
が実施されます。今年度は14回目となり、県内では「訪
問看護ステーション1 日所長」をはじめ、
「ふれあい看護
体験」
、
「ふれあい看護体験・親子で参加」
、
「ふれあい看
護フェア」が開催されました。
当院では、5 月 11 日に高校 3 年生 9 名が「ふれあい看
内田病院長から1日看護師の辞令を受ける高校生
護体験」に参加し、病院での看護を体験しました。白衣
に着替えた後、病院本館4 階会議室で内田健三病院長よ
あって参加したが、将来看護師を目指したいと、全員が
り「1 日看護師」の辞令を受け、金沢医科大学病院の概
答えていました。近い将来の実現を目指し頑張っていた
況についての説明を受けました。その後、新館9、8、7、
だきたいと思います。
6 階の各師長とともにそれぞれの病棟へ移動し、患者さ
「ふれあい看護体験・親子で参加」は、当院では今回
んの清拭、手・足浴、洗髪、シーツ交換などの援助、血
は都合により中止となりました。しかし、このような機
圧測定や搬送等を体験しました。人工呼吸器装着患者、
会をとおして、広く地域の皆様に、当院での「看護・医
胃瘻管理、気道貯留物の吸引の場面など、彼女たちが今
療」の現状を理解していただくためにも是非多数の方に
までの生活の中では出会う機会のなかった体験をしたも
参加していただきたいと思います。このような行事をと
のと思われますが、元気に、笑顔を絶やさず対応してい
おして医療の現場からの情報発信の重要性を痛感してお
ました。
ります。
参加後のアンケートでは、保健、医療、福祉に興味が
(看護部 宮本孝子記)
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金 医 大 学 報
**
37
*看護部から発信* * *
看護師の卒後教育
医療技術の進歩、患者の高齢化・重症化、平均在院
予定で実施に入っている。これを運営することによっ
日数の短縮化などにより、看護師の役割は、複雑多様
て、看護師個人の目指すところと組織の目指す(経営
化し、その業務密度も高まっている。その中で、ヒュ
理念に基づく)ところの統合化を意図し、目標管理制
ーマンケアを提供する病院において、看護職のキャリ
度に合致するシステムへの発展を考えている。
ア開発支援は人的資源管理の重要な位置づけにある。 (看護部クリニカルラダー推進委員会リーダー 高田昌美記)
これまで院内教育は、経年的に新人から3 年目を中心
に行われてきた。3 年目以上の中堅看護師の能力開発
は、個人の自覚と責任に任されることが多かった。し
かし、看護師の定着率が向上する中、中堅看護師の人
材育成や能力開発が重要課題となっている。
また、経年的な院内教育で、一律に育成するのでな
く、学習ノルマや期待される役割などが明示され評価
されるシステムがなければ、個々の看護師への対応は
困難である。
そこでこれらへの対応として、今年度、当院看護部
では、看護師の臨床看護実践能力を段階的に示すシス
テムであるクリニカルラダーを導入することとした。
内容は、下表をもとに、年間プログラムを企画し、
プリセプター研修会の一幕
運営するもので、今後4 年間でその整備を図っていく
表
金沢医科大学病院看護部クリニカルラダー
(clinical ladder)
Ⅰ段階
GIO
到
達
目
標
Ⅱ段階
Ⅲ段階
Ⅳ段階
1.指導を受けながら受
持ち患者の看護が実践
できる。
1.フィジカルアセスメン
トに基づいた正確な看
護判断・援助ができる。
1.そのフロアにおける
看護の専門性が発揮で
きる。
1.専門領域の教育・研
究・コンサルテーション
ができる。
2.院内の教育プログラ
ムに参加し、学習を進
めることができる。
2.課題を研究的に取り
組むことができる。
2.看護研究を主体的に
2.教育施設としての役
取り組むことができる。 割を理解し、指導者と
してのリーダーシップ
が発揮できる。
3.看護部の理念・目標
を理解し、病棟の特徴
が理解できる。
3.プリセプターシップ
を発揮し、看護実践の
役割モデルとなれる。
3.リーダーシップを発
揮し、看護実践の役割
モデルとなれる。
3.病院・看護部の方針・
理念・機能に基づいた
管理行動がとれる。
また師長補佐として代
行業務ができる。
4.上司と協力しながら
問題解決し、チームの
推進力になれる。
4.安全で安楽な看護援
助が行えるよう教育的
に関われる。
4.専門職業人としての
態度と基本的看護技術
を身に付け、ベットサイ
ドケアが安全にできる。
それぞれの段階について詳細なSBO、学習方法、評価方法が作成されている。
一般目標:GIO(General Instructional Objective)、行動目標:SBO(Specific Behavioral Objectives)
【病院】
38
金 医 大 学 報
腎臓内科
新装なった外来透析セクション
石川 勲
感染防止重視の薬品準備室
腎総合センターは腎疾患の早期発見から末期慢性腎
導したりして進行抑制に努めますが、それでも、末期
不全まで、腎疾患のすべてを診療する部署として病院
腎不全に陥った場合には血液透析、CAPD、ないし腎
の新館 5 階東に開設されました。本学の腎臓内科はこ
移植のいずれかの方法で治療を開始します。その際、
れまでも内科ながら、腎疾患の診断・治療、透析療法
我々はそれぞれの治療法について十分説明を行い、患
から腎移植に至るまで、腎疾患を一貫して管理すると
者さんの希望を尊重し治療法の選択を行っています。
いう、わが国では珍しいユニークな存在でした。しか
血液透析室はベット数が新たに3 床増え22 床となりま
しこれまでは、病室、血液透析センター、CAPD(携
した。22 床のうち、13 床を外来患者用、9 床を入院患
行式持続腹膜透析)室が別々のフロアにあるなど、診
者用にセクションを分けて使用しています。また患者
療体制はもとより患者さんの利便性にも問題がありま
さん同士が対面して透析を受けることがないようにベ
した。そこで今回の開設にあたり、これらを同一のフ
ッドの配置にも工夫をこらしていますし、透析中には
ロアに配置し、それぞれの機能を集約することで、患
心地よい BGM が流れ、各ベッドには液晶テレビのほ
者さんやスタッフにもより快適な環境のもと、より良
か、将来的には透析記録も電子カルテ化するようにベ
い治療を総合的に提供できるよう整備されました。こ
ッドサイドモニターが順次設置されつつあります。ま
れによって入院患者さんが透析を受ける場合にも、透
た新しい血液透析室の特徴の一つとして、感染対策が
析室が病棟に隣接しているので移動が容易となり好評
あげられます。感染患者用の個室を2室準備したほか、
を得ています。また全床面積1,252m のセンター内には
スタッフの手洗い場を増やし、薬液の準備も透析患者
病棟、血液透析室、CAPD 室、腎生検室などがありま
のいない特別な部屋で行うようになりました。なお、
2
す。病棟には、腎臓内科としてベッド数 28 床を有し、 スタッフステーションは透析室全体が見渡せるよう中
個室5室(うち1室が腎移植専用)
、4人部屋5室、他科
央に置き、緊急時にも即座に対応できるようにしてい
と共同の4 人部屋1 室(3 床)を使用しています。腎生
ます。
検の部屋では蛋白尿・血尿患者に検査を行い、原疾患
を迅速に診断します。
そして我々はそれに対する治療はもとより、アンギ
オテンシン受容体拮抗薬を使用したり、低蛋白食を指
CAPD 室は、血液透析室に隣接されており、バッグ
交換室と診察室に区別され、バッグ交換室は感染を防
止するために空気の動きが極力少なくなるように工夫
されています。
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
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慢性腎不全の根治療法である腎移植については、提
なお本学には、腎総合センターとは独立して、北陸
供者がいる場合には生体腎移植を、提供者がいない場
HLA検査センターが設置されています。ここでは献腎
合には献腎移植への登録を勧めます。そして腎移植に
移植希望登録者のHLA検査を行うほか、献腎移植提供
なりますと、術前管理は腎臓内科、手術および術後2
者がでたときには 24 時間体制で HLA その他必要な検
週間は泌尿器科で管理され、その後は退院後も含め腎
査を行います。そして献腎移植が行われるとなると、
臓内科で管理することになります。最近ではABO 不適
登録者の中から受腎者を選定して移植を受けるかどう
合移植や夫婦間腎移植も良い成績を上げるようになり、 か患者さんの意思確認を行いますが、これにも腎臓内
これまでに本学の腎移植チームが行った腎移植数は
科の医者が協力しています。また、本学には石川県臓
259 例を誇っています。腎総合センターでは患者さん
器移植推進財団の事務所も置かれています。
自身が慢性腎不全の3 つの治療法を身近にみているこ
腎総合センターの開設に伴い、名実ともに北陸にお
ともあり、自分にあった治療法を自分自身で選択しや
ける腎臓病のセンターとなるよう、さらなる発展が期
すいといった利点があります。
待されています。
委員が中心となりクリニカルパスの作成・導入に取り組
み、職員用パス、患者様用パス、アセスメントツール、
パスの適応・除外基準、標準看護計画やその他関連資料
の整備を行なってきました。また、アウトカム志向のパ
スへの移行と全診療科共通のフォーマットを決定し、新
規パス及び従来のパスを改訂する作業を継続していま
す。委員会ではパスの承認を行い、さらに「EBM ・
EBNに基づいた内容の検討」
、
「バリアンス分析によるパ
スの改良」を推進しています。
今年度からは小委員会が総力を結集して、院内パス大
会開催に取り組み、5 月から現在までに3 回開催しまし
た。第 1 回のメインテーマは「チーム医療」:整形外
科/人工股関節置換術パス、第2 回は「アセスメントツ
ール」:循環器内科/心臓カテーテル検査パス、第3 回
は「連携」:一般・消化器外科/幽門側胃切除術パスで
行われました。あらゆる部署の人々の参加を促すために
各科2 名以上の参加を要請したところ、参加人数は毎回
医療におけるクリニカルパスは、1985 年ごろ、Karen
320 名を超え、関心の高さを示しています。本院も平成
Zander 氏を中心に開発された「ケアマップ」が始まり
15年6月から包括請求が導入され、今後一層、医療の質
で、当時のアメリカでのDRG /PPS(定額制規定料金支
の確保、効率的な医療の提供が求められます。チーム医
払い制度)の導入による経済的な問題もあり注目され、
療の推進のためにも、今後もパス大会等を継続し、パス
今日では病院のシステム改善のツール、経済的効率や質
の作成、運用を活発なものとしていきたいと考えていま
保証のツールとして有用であるとされています。
す。 (クリニカルパス実施委員会委員長 松本忠美記)
日本には1990年代半ばに導入され、縦軸に入院指導、
オリエンテーション、ケア処置、検査、退院指導等を、
横軸を時間軸とし入院から退院までのスケジュール表の
ようにまとめたものとして各施設で作成・使用し効率的
な医療の手段として現在では広く普及しています。
本学病院では、1999 年にクリニカルパス実施委員会が
設立され、院外からの講師を招聘しての教育講演会、パ
ネルディスカッション等を開催してきました。各科では
金 医 大 学 報
40
管理・運営
次期学長に
総合医学研究所所長
山本 達 名誉教授
平成16 年7 月30 日(金)に開催された第173 回理事会において、総合医学研究所所長山本 達名誉教授が次期学長
として承認された。任期は、平成16 年9 月1 日から平成19 年8 月31 日までの3 年間である。
昭和46年 4月
昭和50 年 7 月
昭和53 年 5 月
昭和59 年 7 月
いたる
山本 達
学 長
米国ハーバード大学医学部放射線科研究員
金沢大学医学部附属病院助教授
金沢医科大学放射線医学教授
金沢医科大学放射線医学講座主任(平成 16 年 3
月まで)
平成 6 年 4 月 金沢医科大学病院副院長(平成10 年3 月まで)
平成11 年 9 月 金沢医科大学副学長(平成16 年3 月まで)
平成16 年 4 月 金沢医科大学総合医学研究所所長
現在に至る
【主な学会活動】
【略歴】
昭和39年 3月 金沢大学医学部卒業
昭和44年 3月 金沢大学大学院医学研究科修了、医学博士
昭和44年 4月 米国ニューヨーク州立大学医学部放射線科研究員
日本医学放射線学会・評議員、日本画像医学会・評議員、日本
磁気共鳴医学会・評議員、米国レントゲン学会会員、北米放射
線学会会員、ヨーロッパ放射線学会会員、日本医学教育学会会
員など。
この度の学長選考は、国立大学法人に準じるかたちで
行われた。平成 15 年 5 月 27 日(火)に開催された第 87
回評議員会、第168 回理事会において、本学の現状と国
立大学法人化への対応について報告され、平成16年3月
30 日(火)開催の第170 回理事会において、新しい学長
の選考方法の策定、大学管理運営評価委員会の設置を含
む、本学の制度改革についての提案がなされ承認され
た。その後、制度改革に着手し、平成16 年5 月28 日(金)
開催の第172 回理事会において、新しい金沢医科大学学
長選考に関する規則を承認した(平成 16 年 6 月 1 日施
行)
。
この規則に基づき理事(理事長、副理事長、常務理事
小田島理事長に選考結果を報告する久藤学長選考会議議長
を除く)
、評議員、並びに学外有識者から理事会におい
て選出された者5 名と、大学管理運営評価委員会の中か
れ、7月26日(月)の最終選考会議において、山本 達総
ら同委員会において選出された者5名の計10名で学長選
合医学研究所所長を選考し、同日、久藤議長から次期学
考会議(久藤豊治議長)が組織され、6月28日(月)に
長候補者として理事長に推薦された(写真)
。
第 1 回選考会議が開催された。3 回の選考会議が開催さ
(総務部 荒田 満記)
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
41
準の変更に伴う人件費 35 億円の増や新館への移転関連
学校法人金沢医科大学
費用等による医療経費8億3千万円の増等で前年度を約
42 億 8 千万円上回ったため、収支差額(正味財産増加
額)は約15億7 千万円の支出超過となった。
去る5月28日(金)開催の第172回理事会及び第89回
2.消費収支計算書の状況
評議員会において、学校法人金沢医科大学の平成 15 年
【主な収入】
度決算が承認された。決算の概要及び収支等の状況につ
(1) 寄付金
いては、次のとおり。
寄付金総額は、前年比3億6千6百万円増の13億3千9
百万円となった。
1.概 要
そのうち創立 30 周年記念事業募金である特別寄付金
平成15 年度は、創立30 周年記念事業及び病院新館移
は、企業等からの受配者指定寄付金 2 億 3 千 4 百万円を
転に関する事業の円滑な実施並びに教育、研究及び診療
含め3 億 9 千 4 百万円であった。なお、平成 13 年度から
の活性化、効率化に関する事業の推進を重点項目とし、
募集を開始したこの記念事業募金の平成 16 年 3 月 31 日
経営環境の悪化に対応するため徹底した業務合理化とコ
現在の累計額は、受配者指定寄付金 5 億 4 千 9 百万円、
スト削減のもとに諸事業を実施した。
個人寄付金6 億3 千9 百万円の合計11 億8 千8 百万円とな
30 周年記念事業としては、病院新館の建設・竣工、
式典・祝賀会の開催、三十年史の発行及び学生クラブハ
った。
一般寄付金は、教育振興資金寄付金が4億円、学術振
興基金制度によるものが4 億9 千4 百万円の合計8 億9 千
ウスの建設等を実施した。
病院新館建設費については、計画どおり最終の支払い
を行い、医療機器についても移転に伴う必要な整備を実
施した。また、将来の退職金債務や老朽化施設の改修に
備えるための資金確保についても予定額の積立を行っ
4 百万円であった。
そのほか、病院新館竣工に伴う絵画等の寄贈品(現物
寄付金)5 千1百万円を受入れた。
(2) 補助金
補助金は、前年比 2 億 5 千万円減の 16 億 4 千 6 百万円
た。
その結果、収入は寄付金及び医療収入の増等により前
年度を4 億 2 千万円上回ったが、支出は退職給与引当基
となった。
そのうち、私立大学等経常費補助金は前年比 2 千 5 百
消費収支計算書
(自)平成15年4月 1日
(至)平成16年3月31日
消
費
科 目
収
入
の
部
金 額
(単位:百万円)
消 費 支 出 の 部
前年比
学生生徒等納付金
手数料
寄付金
補助金
資産運用収入
資産売却差額
事業収入
医療収入
雑収入
4,318
107
1,339
1,646
88
0
165
17,211
95
69
6
366
▼250
▼6
▼1
20
212
4
帰属収入合計
24,969
420
科 目
人件費
教育研究経費
医療経費
管理経費
借入金等利息
資産処分差額他
消費支出の部合計
(正味財産増加額)
基本金組入額
消費収入の部合計
△1,042
▼872
23,927
▼452
消費収支差額
(注)△は計算書式上のマイナス表示、▼は比較上のマイナスを表示(以下同じ)。
前年比は平成14年度決算との比較である。
消費支出のうち減価償却額の合計額は1,989百万円である。
金 額
前年比
14,386
2,151
9,362
502
0
135
3,504
▼52
830
▼21
0
18
26,536
4,279
(△1,567)
(▼3,859)
△2,609
▼4,731
【管理・運営】
金 医 大 学 報
42
万円減の11 億6 千万円となった。また、病院新館建設に
退職給与引当金の引当率を50%から100%に変更したこ
係る医療近代化施設整備補助金として 1 億 1 千 4 百万円
とにより、本年度の退職給与引当金繰入額を従来の方法
が交付された。そのほか、文部科学省からの施設・設備
に比べ35 億1百万円多く計上したためである。
補助金として、心血管アンギオ装置ほか2 件に5 千5 百万
円、厚生労働省からの特定機能病院等情報化推進設備補
助金として2 億6 百万円がそれぞれ交付された。
(3) 医療収入
なお、人件費の帰属収入に占める割合は57.6%(前年
度44.3%)となった。
(2) 医療経費
前年比8億3 千万円増の93 億6千2 百万円となった。
医療収入総額は、前年比2 億1 千2 百万円増の172 億1
これは、院外処方の実施等により薬品費で1億4千3百
千1 百万円となった。そのうち入院収入は、新館への移
万円減少したものの、医療材料費その他で9億7千3百万
転後に病床数が75 床減少し938 床となったが、入院診療
円増加したためである。増加分には、特定機能病院等情
単価の増及び在院日数の短縮等により、前年比 3 億 3 千
報化推進設備補助金に係るソフトウエア費用等で2 億 1
9百万円増の132億4 千3 百万円となった。
千 2 百万円、新館移転に伴う什器・備品整備費 9 千 2 百
一方、外来収入は、院外処方箋発行の定常化及び外来
万円、移転作業費ほかで1 億 8 百万円及び病院新館に係
患者数の減少等により、前年比 1 億 2 千 7 百万円減の39
る減価償却額の増加分3 億6千万円等が含まれている。
なお、医療経費の医療収入に占める割合は54.4%(前
億6 千8 百万円となった。
なお、医療収入全体の伸び率は前年比 1.2%(前年度
はマイナス 5.4%)、また、帰属収入に占める割合は
年度50.2%)
、また、帰属収入に占める割合は37.5%(同
34.8%)となった。
68.9%(前年度69.2%)となった。
3.資金収支計算書の状況
【主な費用】
【主な資金収入・支出】
(1) 人件費
国家公務員の給与改定に準じ、俸給月額を平均 1.1%
引下げ、期末手当を0.25 月分減額したこと等により、教
(1) その他の収入
病院新館建設費の支払いに充当するため、施設拡充引
員人件費で前年比 9 千 7 百万円減の 33 億 3 千 2 百万円、
当特定資産から15 億2 千7 百万円を支払資金に繰り入れ
職員人件費で 1 千 3 百万円増の 69 億 6 千 5 百万円となっ
た。また、病院新館移転に伴う医療機器更新整備費に充
た。人件費総額で前年比 35 億 4 百万円増額となったの
当するため、減価償却引当特定資産から13 億円を支払
は、教職員の年齢構成、退職予定者の実態等を勘案し、
資金に繰り入れた。
資金収支計算書
(自)平成15年4月 1日
(至)平成16年3月31日
収
入
科 目
学生生徒等納付金収入
手数料収入
寄付金収入
補助金収入
資産運用収入
資産売却収入
事業収入
医療収入
雑収入
借入金等収入(学債含)
前受金収入
その他の収入
資金収入調整勘定
前年度繰越支払資金
収入の部合計
の
部
金 額
(単位:百万円)
支 出 の 部
前年比
4,318
107
1,288
1,646
88
0
165
17,211
95
640
4,130
6,672
△7,400
4,162
69
6
319
▼250
▼6
▼1
20
212
4
565
▼53
▼2,619
252
▼784
33,122
▼2,266
科 目
人件費支出
教育研究経費支出
医療経費支出
管理経費支出
借入金等利息支出
学校債返済支出
施設関係支出
設備関係支出
資産運用支出
その他の支出
資金支出調整勘定
次年度繰越支払資金
支出の部合計
金 額
前年比
10,833
1,300
8,267
435
0
857
2,035
1,653
2,000
2,648
30
▼1
445
▼26
0
▼56
▼3,611
945
▼1,000
▼146
△2,138
5,232
84
1,070
33,122
▼2,266
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
(2) 施設関係支出
43
行われたため差額分のみが増加している。施設拡充引当
病院新館建設費(最終支払分)15 億2 千7 百万円、ク
特定資産は、病院新館建設費の支払いに充当したため取
ラブハウス建設費 2 億円、汚水処理場改修・整備工事 1
り崩し分が減少した。
(2) 負債については、前年比30億4千3百万円増の177億
億5百万円ほか、合計20 億3 千5 百万円を支出した。
(3) 資産運用支出
3 百万円となった。
退職給与引当特定資産に5 億円、減価償却引当特定資
固定負債のうち、退職給与引当金については、引当金
産に15億円の計20 億円を積み立てた。
の計上基準を変更し過年度分を一括計上したことから、
4.貸借対照表の状況
前年比35 億5千3 百万円増の70 億3百万円となった。
(3) 正味財産については、前年比15 億6 千7 百万円減の
【主な増減】
383 億円となった。この結果、資産総額に対する正味財
(1) 資産については、前年比14億7千6百万円増の560億
産の割合(自己資金比率)は前年度より 4.7%減少し、
3百万円となった。
私立医大平均をやや下回る68.4%となった。減少した要
建物、構築物が増加しているのは、病院新館が完成し
因は、今期末における退職金債務を100%負債計上した
たためである。なお、病院新館に係る資産計上額は、建
ためであるが、今後はこれらの債務を認識しながら財務
物142 億9 千7 百万円、構築物4 億4 千7 百万円の合計147
体質の改善を進める必要がある。
なお、退職給与引当金に対する退職給与引当特定資産
億4 千4 百万円である。
退職給与引当特定資産については、積立て分が増加し
た。減価償却引当特定資産は、取崩しと積立てが同時に
(預金)の割合は51.9%であり、私立医大平均25.3%に比
べほぼ2 倍の積立率となっている。
貸 借 対 照 表
平成16年3月31日現在
(単位:百万円)
資
産
科 目
の
部
負 債 の 部
金 額
前年比
固定資産
47,411
818
土地
3,098
0
24,696
14,336
建物、構築物
教育研究用機器備品他
5,603
689
図書
1,176
▼34
0
▼13,346
退職給与引当特定資産
3,638
500
減価償却引当特定資産
9,200
200
施設拡充引当特定資産
0
▼1,527
8,592
658
5,232
3,183
177
1,070
▼392
▼20
56,003
1,476
建設仮勘定
流動資産
現金預金
未収入金
貯蔵品他
資産の部合計
科 目
固定負債
長期借入金、学校債
退職給与引当金
流動負債
学校債
未払金
前受金他
負債の部合計
金 額
前年比
10,820
3,577
3,817
7,003
24
3,553
6,883
▼534
348
2,136
4,399
▼242
▼85
▼207
17,703
3,043
正 味 財 産 の 部
科 目
金 額
前年比
58,010
△19,710
1,042
▼2,609
正味財産の部合計
38,300
▼1,567
負債の部及び
正味財産の部合計
56,003
1,476
基本金
消費収支差額
(注)減価償却額の累計額は23,083百万円である。
退職給与引当金の額は、期末要支給額7,003百万円の100%を計上している。
【管理・運営】
金 医 大 学 報
平成15年度
44
この人事評価の結果を活かして、評価結果が良好であ
った職員に対して、最高 10 万円の奨励金を夏期期末手
当に加算して支給することになり、本年は30 名(昨年度
33 名)について、6 月29 日(火)に奨励金贈呈伝達式が
平成 15 年度人事評価が、教育職を除く事務職、技術
職、看護職および技能職の1,034 名の職員を対象として
実施された。
評価の結果は、平成16 年6 月21 日(月)開催の第4 回
人事評価委員会においてまとめられたうえで理事長に報
行われた。
また、評価結果が不良であった者41 名(昨年度50 名)
については、職員人事委員会により該当者個々につき検
討し、もっとも適切と思われる指導方法によって指導が
実施されることになる。
(人事厚生課 宮本文夫記)
告がなされ、6月22日(火)に開催された第29回職員人
事委員会において評価結果を基礎として、過去の評価実
績、職種および下位からの評価など多方面において審議
され、6 月 23 日(水)
、審議結果を理事長に答申し承認
された。
大学・病院敷地内
また、学生には禁煙パッチを最大 10 枚まで無料配布
するとともに保健室での禁煙カウンセリングを行った。
職員には本院の禁煙外来を受診しやすいように互助会が
支援を行った。
その他に病院の新館と本館を結ぶ連絡通路には、全て
平成16年6月1日から大学・病院敷地内全面禁煙がス
タートした。
の人にタバコの害について正しい知識を伝えるため、B1
サイズの禁煙啓発パネルを13枚展示した。
本学では、これまで建物内で喫煙場所を指定して分煙
大学・病院の全ての出入り口には全面禁煙を知らせる
化を実施してきたが、健康維持の最先端である医療機関
ポスターを掲示し、構内の駐車場等には禁煙サインを施
としての立場から、大学経営会議において敷地内全面禁
し、患者さん、職員への周知徹底を図った。
煙を実施することに決定した。
敷地内全面禁煙がスタートして2 ヵ月が過ぎようとし
大学と病院の双方を敷地内全面禁煙にした例は全国で
ているが、まだ一部ではあるが大学周辺の歩道などにタ
も少ないことから、これまで禁煙実施を円滑・効果的に
バコの吸殻のポイ捨てが見受けられる。これに対して
推進するため、職員、学生等に対するキャンペーンおよ
も、さらにマナー、モラルの向上について注意を喚起し
び禁煙実施者へのサポート等の必要な諸活動を続けてき
ている。
た。
先ず、職員、学生を対象に学外および学内講師による
喫煙の害と禁煙についての講演会を5 回開催した。
病院新館への連絡通路に展示されている禁煙啓発パネル
大学構内に掲示された禁煙看板
(総務課 坂田慎一記)
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
第14回
45
名が参加した。
小田島粛夫理事長の挨拶に続き始球式が行われ、OUT、
INに別れ快晴の空へボ-ルを飛ばした。終始和やかな雰
囲気の中、随所にナイスショットが見られ、会員・学生
とも普段の実力を遺憾なく発揮し高いレベルでの優勝争
いが行われた。また、学生と教職員との親睦が図られた
一日となった。
(人事厚生課 大戸和雄記)
成績は次のとおり。
〈ネットの部〉
優 勝 友田 幸一(感覚機能病態学教授)
72.4
準優勝 小田島粛夫(理事長)
73.0
第3位 川上 重彦(機能再建外科学教授)
74.2
〈グロスの部〉
ネットの部優勝の友田幸一教授
優 勝 八木 崇(臨床研修センター研修医)
87
準優勝 川上 重彦(機能再建外科学教授)
91
第3位 今村 吉克(学長室副部長)
91
恒例の互助会ゴルフ大会が、学生を加えて医科大学オ
ープン(15頁)と共催の形で開催された。前日までの悪
天候がうそのような快晴となった6月1日(火)
、ゴルフ
倶楽部金沢リンクスで教職員33 名、学生25 名の合計58
病院新館
平成15年照明普及賞優秀施設賞 受賞
昨年完成した病院新館の照明が(社)
照明学会から評価され、平成15年照明普及賞の優秀施設賞を受賞した。
この賞は、
(社)
照明学会が全国の施設に良質の照明を普及するために設けられたもので、今回は推薦され
た214カ所の施設の中から、本学を含めて79カ所の施設が受賞した。
受賞理由は、当病院新館の照明は自然光と人工光の調和が図られていること。また、廊下の天井には間接
照明を取り入れ、搬送中の仰臥位の患者にグレア(glare :まぶしさ)を感じさせない配慮がなされているこ
となどであった。
表彰式は5月21日(金)東京都庭園美術館で行われた。なお、照明普及賞受賞施設は、ホームページ「http:
//www.ieij.or.jp/」に掲載されている。
(施設整備推進室 佐々木幸雄記)
【管理・運営】
金 医 大 学 報
46
謹んでご逝去をお悔やみ申し上げます。
吉田 清三 名誉教授 ご逝去
金沢医科大学初代小児科学教室教授・初代病院長吉田清三先生には、かねてか
らご病気療養中のところ、平成16 年5 月24 日逝去されました。享年85 歳でした。
先生は大正 8 年生まれで、昭和 21 年旧制金沢医科大学を卒業。昭和 47 年 4 月、
金沢大学医学部より初代小児科学教室教授として着任されました。小児科学講座
主任としての在任は昭和53 年までの6 年ですが、金沢医科大学設立準備当初から
本学の創設に大変な尽力をされ、昭和47年10月には初代病院長に就任され、昭和
61年9月までの14年間にわたって在任されて、患者中心の医療を先頭に立って推
進されました。
先生は「泉熱」として当時全国的に有名だった泉仙助金沢大学教授の高弟で、
小児感染症を専門とし、その権威であられました。そして、その広い視野と先見性から北陸初のNICU(新生
児・未熟児集中管理室)を本学病院に開設されました。現在、本学の NICU が石川県の二大NICU の一つとし
て発展しましたが、これもひとえに吉田先生のおかげと思っています。また、昭和58年には金沢医科大学総合
医学研究所人類遺伝学研究部門(生化学・臨床)の創設に努力され、初代所長を併任されました。これも今か
ら20 年以上も前に人類遺伝学の重要性を認識されたことにあり、その先見性に頭が下がる思いであります。ま
た、平成2 年に設立された現在の北辰同窓会の前身の北辰会の初代会長を務められました。平成5 年春には勲
三等瑞宝章を叙勲されています。
吉田清三先生は私共にとりまして、温かく厳しく、そして敬愛される先輩小児科医であり、
「良医」の鑑で
ありました。
葬儀はご意向によりご近親の方々のみでしめやかに執り行われました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
(発生発達医学 高橋弘昭記)
安達英太郎 前監事 ご逝去
学校法人金沢医科大学前監事安達英太郎氏は、かねてから病気療養中のところ、平
成16 年7 月6 日、金沢医科大学病院において逝去されました。享年81 歳でした。
氏は大正12 年福井県今立郡新明町で出生。福井市立福井商業学校を卒業後、福井税
務署、金沢国税局、税務大学校金沢研修所長、福井税務署長などを経て、昭和 54 年 8
月から大学事務局長代理(図書館事務担当)として本学に勤務。以後、学事局長、事
務局次長、事務局長などの要職を歴任され、昭和60 年3 月定年により退職されました。
昭和62年4月には本学の監事に就任され、平成14年3月に退任されるまで15年間にわたって本学の運営、経
営面を監査され、その厳しい中にも温かみのある仕事ぶりには定評がありました。平成6 年には勲四等に叙せ
られ瑞宝章を受章されています。
心よりご冥福をお祈りいたします。
(総務課 酒井博史記)
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
47
謹んでご逝去をお悔やみ申し上げます。
小倉敏嗣先生 ご逝去
金沢医科大学生理機能制御学(生
理Ⅱ)講師小倉敏嗣先生はかねてか
らのご病気療養中のところ、平成 16 年 4 月 8 日、順天堂
大学病院にて逝去されました。享年46歳でした。
先生は昭和32年に東京で出生され、昭和51年麻布高校
を卒業、同年日大医学部に入学、昭和57年卒業後、同大
大学院(第二内科学)に進まれました。それ以来、循環器
病の臨床と研究に専念されました。平成元年から10年間に
わたり、カナダのダルハウジー大学生理学教室でパッチク
ランプ法を駆使して心臓の電気生理学的研究に従事されま
した。さらなる研究の発展のために平成12年1月に本学に
赴任されました。しかしながら、平成13年に喉頭癌を発病
し、さらに食道癌、骨髄性白血病を併発され、ガンとの闘
いの中、心筋細胞の容積変化について Cardiovascular
Research誌をはじめ4篇の英文論文を執筆されました。
しかし、志半ばにして帰らぬ人となられ、大変惜しま
れます。ご冥福をお祈りいたします。
(生理機能制御学 芝本利重記)
性の骨祖鬆症や転倒による骨折の予防、QOL向上の研究
にも取り組んでいたところでした。教育面では栄養学の
知識を生かし、医学部1学年での健康科学、3学年での衛
釣谷伊希子先生 ご逝去 生学「国民栄養の現状と課題」の講義を担当され、特に
衛生学の実習においては、その親身な指導によって、学
生からもっとも慕われた教員でもありました。近年は英
社会環境保健医学(衛生学)釣谷 国にも2 年間の留学をしていました。
釣谷講師の急逝は、もちろん、本学の研究、教育両面
伊希子先生には、去る平成 16 年 6 月
において大きな損失でありますが、円熟期を迎えたばか
20 日、病気のため急逝されました。享年45歳でした。
釣谷講師は、富山医科薬科大学薬学部を卒業後、昭和 りの道半ばで病に斃れたことに、ご本人自身がもっとも
56 年に本学衛生学教室に助手として就任し、平成6 年4 月 残念な思いであったことでしょう。
心から、ご冥福をお祈りいたします。
に講師に昇任されました。
(社会環境保健医学 山田裕一記)
研究面では当初、カドミウム中毒におけるビタミンD、
骨代謝異常の意義の解明に取り組み、広く一般中高年女
高橋直美さん ご逝去
看護部臨床指導者高橋直美さんに
は、平成16 年6 月30 日逝去されまし
た。享年35 歳でした。
高橋さんは、平成4年3月に金沢医科大学付属看護専門
学校を卒業、同年4月当大学病院に就職され、本館6階泌
尿器病棟に配属されました。
性格的には、生真面目で我慢強い人柄と人一倍の努力
家ゆえに、原理原則を考慮した正確な仕事を達成するた
めには、納得のいくまで議論し患者ケアにあたる看護師
でした。適切な患者対応は、同僚からはもちろん、患者
さんや医師・看護学生からも信望が厚く、病棟では中心
的存在でした。また、研究心も旺盛で腎移植学会での研
究発表や、
「QOL 学会」
、
「排尿障害研究会」
、
「死の臨床研
究会」
、
「褥瘡学会」
、
「ストーマ研究会」への参加や会員
としての登録等、常に患者さんのQOLについての真剣な
取り組みや患者中心の看護の実践を心がけて行動してい
ました。特に配属フロアで実施されている腎移植看護へ
の追求には人一倍熱心で、当院における腎移植術後看護
の基盤をつくった一人でもありました。
看護師ですから自分の身体の変調には気づいていたこ
ともあったと思われますが、自身のことは先送りにして
いた結果、病魔は容赦なく進行したものと思われます。
結果、患者として入院し、手術・放射線療法・化学療法
と辛い治療にも積極的に挑みました。新館で看護師とし
て「働きたい。看護がしたい」が高橋さんの希望でした。
チームメンバーとして勤務表に自分の名前があること、次
の勤務作成表をみることを唯一の楽しみにしていました。
生きることへ挑んだ10 カ月間の闘病生活も虚しく、家
族に見守られ、とても早く黄泉の国へと旅立たれました。
雑誌「ウロナーシング」に掲載された寄稿“早い遺言
状”に、闘病中の高橋さんは看護への思いを「一人の人
間として、患者さんの側にいられるように患者さんのあ
りのままを受け入れ、聴くこと、何もできなくとも患者
さんと共に同じ時間を刻めるように日々努力したいと思
います。少しでも苦痛や苦しみを感じ取れる人間になり
たいと思います」と記しておられました。
ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
(看護部 辻口徹子記)
金 医 大 学 報
48
同窓会・後援会
去る7 月 10 日(土)
、金沢都ホテルにおいて、全国か
総会終了後、会場を移して懇親会が開催された。懇親
ら約70 名の会員が出席して、平成16 年度北辰同窓会総
会は会員同士の久しぶりの再会で、午後9 時まで懇親の
会(評議員会)および支部長会が開催された。
場が盛り上がっていた。
(教育研究事業推進室 堂前正秀記)
総会に先立ち開催された支部長会には、全国 27 支部
から14 支部の支部長、副支部長が出席し、各支部の活
動状況報告の後、本部との連携強化、会費徴収率のアッ
〈金沢医科大学北辰同窓会受賞者〉
プなどについて熱心に審議が交わされた。また、学生が
卒業生の医療施設で体験学習するメディカルホームステ
イについても、今後同窓会で積極的に支援していくこと
を確認した。
引き続き、午後5 時から評議員会・総会が坂本 滋会長
の議長のもとに開催された。冒頭にこの1 年間に亡くな
られた会員10 名の名前が読み上げられ、全員で黙祷を捧
げた。審議事項は、1. 平成15 年度事業報告、収支決算
報告、2. 平成16 年度事業計画、収支予算案、3.
役員
の改選について、4. その他であり、予定時間を約1 時間
オーバーして、熱心に討議が交わされた。
その後、北辰同窓会賞(3 名)および北辰同窓会研究
助成(7 名)の授与が、山下公一選考委員長の選考経過
報告に続いて行われた。
また、大学の現況報告では、竹越 襄学長から創立30
周年記念事業募金の協力に対して謝辞が述べられ、最近
の大学の状況について説明された。次いで土田英昭学生
部副部長から学生生活支援の近況とクラブハウスの完成
斎藤人志助教授
大久保信司助教授
長谷部孝裕先生
北辰同窓会賞は、優秀な学術的功績を顕した会員又は
社会的に功績のあった会員に対し授与されるもので、受
賞者は毎年若干名となっている。
斎藤 人志(消化器外科治療学助教授・S55 卒)
大久保信司(循環制御学助教授・S57 卒)
長谷部孝裕(国立がんセンター研究所支所臨床腫瘍病理
部遺伝子研究室室長・S59 卒)
〈金沢医科大学北辰同窓会研究助成受賞者〉
状況が、鈴木孝治副学長から教務内容と医師国家試験の
研究助成は、会員がそれぞれの学術研究の分野におい
現状について、スライドを使って説明され、参加者は熱
て学内・学外で顕著な業績を挙げたもので、卒後 10 年
心に聞き入っていた。
以内の会員等の若い研究者を対象としている。
総会
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
中泉 俊彦(感覚機能病態学助手・H8卒)
研究テーマ:アデノウイルスベクターを用いた遺伝
子導入法による神経栄養因子の内耳神経保護作用
に関する研究
福村 敦(消化器機能治療学助手・H11卒)
研究テーマ:アルコール性肝障害の発生機序:エタ
ノールによるミトコンドリア障害とApoptosis)
早稲田智夫 (生殖周産期医学助手・H11卒)
研究テーマ:三次元超音波法による卵巣動脈血行動
態解析について
野口 康久(心血管外科学大学院生・H13卒)
研究テーマ:動脈硬化病変の部位特異性についての
検討
紺谷 靖英(生体感染防御学助手、神戸学院大院修・H10)
研究テーマ:タイラーウイルスを用いた脱髄発症機
序の解明)
金山 景錫(顎口腔機能病態学助手、金医大院修・H12)
研究テーマ:破骨細胞を標的とした変形性顎関節症
平成16 年度
49
の病態機構に関する研究)
鶴岡 直樹(ゲノム医科学助手、東北大院修・H15)
研究テーマ:FGF­2 associated protein(FAP)の機能
解析
懇親会にて
吾副学長から選考経過が報告されたあと、久藤豊治会長
から2名の受賞者に賞状と記念品が贈られた。
大学からの現況報告では、勝田副学長から挨拶と先般
常陸宮殿下が本学を視察された旨の報告があり、川上重
彦学生部長からクラブハウス完成の状況と橘会から什
器・備品の贈呈を受けたことに対するお礼が述べられ、
鈴木孝治副学長から教務の現状と昨年度の医師国家試験
結果と今後の対策について、スライドを使っての報告が
あった。
引き続き12 時 20 分から懇親会が開催され、ご父兄と
大学関係者との和やかな懇談の場が設けられ、午後1 時
30 分に終了した。 (教育研究事業推進室 堂前正秀記)
〈橘会賞受賞者〉
宮澤 徹(感覚機能病態学)
金沢医大後援会橘会総会
平成 16 年 6 月 13 日(日)午前 10 時から、ホテルイン
金沢において、金沢医大後援会橘会総会が開催され、全
国から約80名の会員が出席した。
総会では、姫野洋一副会長が議長となって、議案に基
づいて審議が進められた。
第 3 号議案の「その他」においては、先に2 名の学生
が交通事故で亡くなったことに関して弔意が述べられ、
会員各位に交通事故に対する注意文書を発送したことが
報告された。
総会の後、今年度の橘会賞の授与式が行われ、勝田省
論文名:ニオイ物質(光学異性体)に対するラット嗅
球における内因性光信号の計測
発表雑誌:金沢医科大学雑誌 第28巻第3号 2003年10月
佐竹 主道(循環制御学)
論文名:Myocardial Glucose Metabolism Assessed by
Positron Emission Tomography and the
Histopathologic Findings of Microvessels in
Syndrome X
発表雑誌:Circulation Journal.68:220­226,2004
【同窓会・後援会/随想・報告】
金 医 大 学 報
50
力があったことに対して報告とお礼が述べられ、続いて
平成16 年度
金沢医科大学後援協力会
議案に基づいて審議が進められた。
今回の議案は、
(1)平成 15 年度事業報告・収支決算
報告、
(2)平成16年度事業計画(案)・収支予算(案)
、
(3)その他であり、審議の結果、原案どおり承認され
4 月 20 日(火)
午後 5 時から、金
業および式典が無事完了したこと、募金に対して多額の
沢ニューグランド
協力をいただいたことに対してお礼が述べられた。
ホテルにおいて、
毎年恒例となっている講演会では、今年は和倉温泉
平成16年度金沢医
「加賀屋」の小田禎彦会長をお招きし、「おもてなしの
科大学後援協力会
心」と題して、約1 時間の講演をしていただいた。小田
総会が開催され
会長は、第 29 回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館 100
た。
選」で連続24 年総合1 位を獲得した実績をもとに、その
総会に先立ち、
和倉温泉「加賀屋」の小田禎彦会長
た。最後に、水株正紀常務理事から創立 30 周年記念事
経営理念、従業員の教育体制、能登空港開設に伴う社
幹事会が別室で開
会環境などについて、わかりやすい言葉でお話され聴衆
催され、総会議案
を魅了した。
について打合せが
懇親会は、6時30分から会場を宴会場に移して、大学
行われ、総会では
の役員、教職員、講師の小田会長も参加されて盛大に開
104 社 140 名の会
催された。横山会長の挨拶、小田島粛夫理事長の来賓挨
員が出席した。先
拶、竹越 襄学長の乾杯に続いて歓談に入り、和やかな
ず、横山隆昭会長から昨年度事業計画の柱であった金沢
医科大学創立 30 周年記念事業募金に会員から多大の協
平成16 年度
金沢医科大学北斗会
平成16 年7 月23 日(金)午後3 時から約1 時間、本部
棟2 階第2 会議室において11 名の役員が集まり、第18 回
金沢医科大学北斗会幹事会が開催された。
幹事会は、奥名洋明会長が議長となり、第1 号議案の
平成15年度事業報告および収支決算報告、第2号議案の
平成 16 年度事業計画(案)および収支予算(案)の審
議が行われた。第 3 号議案は役員改選で、看護職部会、
技術職部会、一般職部会の人数割合等を基準に選考する
こと、看護部からも副会長候補者を選出することを含め
て、役員改選(案)と会則改正(案)を作成し、代議員
会に諮ることになった。
平成 16 年度代議員会は、7 月 29 日(木)午後 4 時か
ら、病院本館4階C42講義室において、50名の代議員が
集まり開催された。代議員会では、事業報告および収支
決算報告、議案事業計画および収支予算、および役員改
選が承認され、午後4 時35 分に閉会した。
新役員の陣容は右記のとおりとなった。
(教育研究事業推進室 堂前正秀記)
雰囲気の中に終了した。
(教育研究事業推進室 堂前正秀記)
金沢医科大学北斗会 役員(任期:H16.8.21 ~H19.8.20)
顧 問 西東 利男
会 長 奥名 洋明
副会長 水株 正紀 常務理事
〃 北川 伴次 会報編集委員長
〃 新谷喜美子 看護職(退職)新任
幹 事 岸本トキ子 看護職(退職)
〃 高山 静子 看護職(退職)
〃 杉本 末子 看護職(退職)新任
〃 佐藤能里子 技術職(退職)
〃 山田 俊昭 技術職(退職)新任
〃 高田 稔 一般職(退職)新任
〃 河崎 信夫 一般職(退職)新任
〃 飛田 明 技術職(中央放射線部副部長)
〃 百成 富男 技術職(中央臨床検査部技師長)
〃 西尾 浩次 技術職(薬剤部副部長)新任
〃 神戸 晃男 技術職(リハビリテーション部技師長)新任
〃 大森 政幸 技術職(ME 部技師長)新任
〃 中川 明彦 技術職(栄養部課長)新任
〃 辻口 徹子 看護職(看護部部長)
〃 宮本 孝子 看護職(看護部副部長)新任
〃 村下 智子 看護職(看護部師長)新任
〃 中越 滋子 看護職(看護部主任)新任
〃 中農 理博 事務職(理事長室部長)新任
〃 荒田 満 事務職(総務部部長)新任
〃 浅野進一郎 事務職(病院長室室長) 新任
〃 中山 正喜 事務職(教育研究事業推進室部長)
会計監事 大田 修 事務職(経理管財部 部長)
〃
松井 道子 看護職(退職)
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
51
随想・報告
随 想
―先天性および後天性代謝異常の診断、テイラーメイド医療―
総医研・人類遺伝学研究部門長・教授
1. メタボロームの時代を迎えて
ポストゲノムの21 世紀はプロテオームとメタボローム
久原 とみ子
きた。プライバシーの侵害やそれに伴う社会的不利益を
生む危険性も秘めているが、病因を明らかにできれば、
の科学が、生命科学の中心課題となるといわれている
早期治療、次子出産に当り遺伝相談や出生前診断、出生
が、遺伝情報の全て(網羅的)の意味のゲノムとゲノム
直後の治療開始など、家族の選択肢が増える。現在、十
科学に対応して、metabolite の総称としてのメタボロー
分な治療法のないものでも、原因を早期に明らかにして
ムと、metabolite の網羅的解析に基づくメタボローム科
こそ、治療法や予防法が開発できる。生活習慣病や癌も
学(Metabolomics)の概念が誕生した。遺伝情報の流れ
遺伝的要因が関与することが分かってきたので、遺伝病
ではゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メ
としてタブー視する傾向が減少することを期待したい。
タボロームである。ちなみに田中耕一氏のノーベル化学
賞受賞で広く知られるようになった質量分析法は、この
プロテオームやメタボロームの研究に最適の、あるいは
不可欠の道具である。
メタボローム研究は先天性、後天性の代謝疾患の予
2. テイラーメイド医療におけるメタボローム
科学
先天性代謝異常症の中には酵素活性が相当に低下して
いても、本人にも気付かれず、生涯発症することなく、
防、早期発見、創薬、テイラーメイド医療に深くかかわ
健常でいられるような酵素欠損があり、ピリミジン代謝
っている。本学報の前号でも述べたように総合医学研究
異常症などはその代表例である。しかし、欠損している
所人類遺伝学部門は、故松本勇金沢医科大学名誉教授
人が癌を発症し、その治療にピリミジンアナログ(5FU
によりアジアで最初に開始され、1983 年からは本学にて
など)を使用した場合、致死的な副作用を起こすことが
継続された、質量分析法による先天性代謝異常症の化学
診断の無形財産を有する最先端のメタボローム研究施設
である。松本先生の追悼文がいずれも国際誌である J.
Chromatogr B とJ. Am. Soc. Mass Spectrom に掲載され、
本年9 月、出雲市で開催される第29 回日本医用マススペ
クトル学会年会で追悼シンポジウムが企画されることか
らもその重要性が窺われる。松本勇先生が創設された日
本医用マススペクトル学会(http://www.kanazawa­
med.ac.jp/~ jsbmso/)の第12 回大会(昭和62 年)の講演
集に田中耕一氏のレーザーイオン化質量分析の研究報告
がある。医用マス研究の分野は実に地味な領域であっ
た。分子生物学やゲノムプロジェクトと異なり、大きな
トピックスとはなり難い分野であったが、その発展は田
中氏のノーベル賞受賞に示された如く、医学生物学分野
で確実に歩み続けられている。
先天性代謝異常症などの遺伝病の本態が遺伝子異常に
よることが明らかになり、かつては原因不明の不治の病
気としてタブー視されていたのが、多くの場合、早期に
発見して発病を予防できることがわかり、注目を浴びて
Modern Drug Discovery(2001.9)
【随想・報告】
金 医 大 学 報
52
分かっている。したがって、癌患者がこれらの薬物を服
あるいは調べるべき酵素や遺伝子を絞ることはできな
用する際にはピリミジン代謝異常症の化学診断を行った
い。metabolite やメタボローム解析が不可欠で、これこ
ほうが安全である(やがて「行うべきである」となる)
。
そが、かぎとなる情報を提供し、確定診断に至らしめる
私たちは服用前の尿を用いた一回の検査で、これらの異
のである。
常の有無を確認できる分析法を確立した(T. kuhara et al,
それにもかかわらず、metabolite やメタボローム解析
J. Chromatogr B 2001, 758:61 )
。この論文はこれ以上の
への評価は概して低かった。metabolite の構造、物性の
検査を必要としない方法ゆえ、米国化学会発行の
多様さがメタボローム解析によるアプローチを遅らせて
Modern Drug Discovery, Sept 2001、News in brief, p15 で
きた。ところで、GC/MS により有機酸を一斉分析し、デ
紹介された。テイラーメイド医療時代にあってこれらの
ータを解釈して有機酸血症と呼ばれる約 30 種類の先天
検査システムは活用されるべきであるが、国内では殆ど
性代謝異常症の化学診断ができる。ごく最近日本でもこ
検査の特長に注目されておらず、安全性確認のために利
の有機酸血症の診断に保険点数1,200 点が設定され、本
用する動きもない。
学病院の患者に適用できる。利用者が増えるのは喜ばし
いが、私たちが厚生労働省の班研究で有機酸血症の診断
3. 疾患の見逃し防止におけるメタボローム
解析の意義
の精度について、我が国の主要な検査施設への調査を行
ったところ、結果は必ずしも十分ではなかった(厚生労
代謝をつかさどる酵素の本体である蛋白質の情報源は
働省・成育医療研究委託事業、重症障害新生児医療の
遺伝子にある。遺伝子が転写され、m­RNAを介して酵
ガイドラインとハイリスク新生児の診断システムに関す
素蛋白質が作られる。この酵素蛋白質の一部は別の遺伝
る研究〈主任研究者:田村正徳〉-先天代謝異常を有す
子で規定される修飾反応や、補酵素の供給により、生体
る児に対する確定診断の迅速化への方略-、平成14・15
の反応を触媒できる。酵素蛋白の構造変化がその触媒機
年度中間研究報告書、p15­49、平成 14 年度研究報告集
能を著しく低下させる場合(酵素欠損)
、基質 A から反
〈国立成育医療センター〉p253­258)
。医学におけるメタ
応産物 B への反応が障害され、A が蓄積し、B や代謝系
ボローム解析に学際性、専門性、基盤技術が不可欠との
の終産物Z は減少する。また、A が蓄積したため、通常
認識が欠けているようである。ちなみに欧米では約
は起きない副経路を介して二次産物、A’やA”が作ら
5,000 点に評価される。国内ではアミノ酸分析の保険点
れる。したがって、尿中にA、A’
、A”の増加を認めれ
数を足しても、2,900 点である。
ば、生体でどの反応が、すなわちどの酵素機能が低下し
たかを知ることができ、ひいてはその責任遺伝子の異常
4.メタボロームを国家プロジェクトに
を予測することができる(化学診断)
。この場合の基質
ドイツの科学者が1996 年の金沢医科大学の論文を引
Aは尿のウレアーゼ法によるメタボローム解析では数百
用して、メタボロームが提唱された翌年と2001 年に一流
から数千の内在性代謝中間体集団である。化学診断が広
の学術雑誌(Curr Opin Plant Biol, 1999 Apr; 2:83­85,
義の遺伝子診断に含まれるゆえんである。
“Metabolic profiling: a Rosetta Stone for genomics ?”と
メタボローム解析では酵素の機能を包括的に観ている
Plant Cell, 2001 13: 11­29, “Metabolic Profiling Allows
といえる。すなわち患者ではどのような反応が滞ってい
Comprehensive Phenotyping of Genetically or Environmen­
るか、したがって、反応に関与するどのような酵素や補
tally Modified Plant Systems”
)で、メタボローム応用の
酵素(供給系)に問題があるか予測でき、それらの責任
最先端は金沢医科大の診断のためのスクリーニングであ
遺伝子の異常を包括的に検索できる。つまり、その遺伝
ると記している。このドイツではメタボロームを世界に
子内塩基異常のうち、発現された酵素蛋白の機能が障害
先駆けて国家プロジェクトに据え、Max­Planck研究所を
されるものはすべて検出できる。機能低下を来す変異は
中心にその基礎研究を強化した。我が国では 2003 年 7
その遺伝子内の変異が既知、未知にかかわらず、また、
月、慶応義塾大にヒューマン・メタボローム・テクノロ
既知でよくみられる変異、あるいは非常に稀にみられる
ジー(株)が設立され、質量分析装置14 台、キャピラリ
変異にかかわらず検出できる。さらに、最終的に反応系
ー電気泳動装置 15 台、HPLC6 台で、当面はヒトの全代
に関与する酵素の構造に影響する諸因子の責任遺伝子も
謝物の同定に集中するとのこと。同年11月にはシュプリ
包括的にスクリーニングされる(T. kuhara, Mass Spectrom
ンガー・フェアラーク東京社から「メタボローム研究の
Rev. in press)
。
最前線」が出版された(本学報 117 号 p59、英語版は今
家族歴の明らかな患者では、どの酵素、あるいはどの
年の末に出版)
。メタボローム研究が臨床の殆どの科の
遺伝子異常、あるいはその中のどの位置の変異の有無を
研究や治療に役立つ情報を提供し、21世紀に必須となる
調べればよいかわかっている。しかし、現在、患者の多
テイラーメイド医療や、合理的な創薬研究に欠かせない
くが発端者であるので化学診断の情報なしに測るべき、
ものであることはいうまでもない。
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
53
疾患に絞り込み過ぎると、正し
い診断の機会を見逃すか、相当
に診断が遅れることになる。尿
のメタボローム解析では 130 種
を超える疾患の一斉検索ができ
るので、初期にこのような多項
目検索を行なうのが望ましい
(久原とみ子、確定診断の迅速
化への方略、平成 13­16年度厚
生労働省成育委託研究報告)
。
7. 尿の採取と保存の重要
性
尿のメタボローム解析は自然
あるいは人工栄養、その他でお
Modern Drug Discovery(2002.4)
きる後天性代謝異常の予防、早
期発見にも役立つ。葉酸、ビオチン、ビタミンB12 など
5. メタボローム時代に向けた金沢医科大の新生
児マススクリーニング試験研究の意義
の欠乏症のほか、薬と個人,薬と薬,環境と個人の相互
金沢医科大のろ紙尿の新生児スクリーニング試験研究
役立つ。尿は血液より多量の情報を高感度に提供するの
はメタボロームを先取りしており、スクリーニングとい
で、私たちのメタボローム解析では尿を用いることが殆
うより化学診断の精度で、米国化学会発行の Modern
どである。古くから尿は生体の鏡であると言われている
Drug Discovery 誌(http://pubs.acs.org/mdd)の 2002 年 4
が、突発的な症状や、薬などに起因すると思われる事故
月号の特集記事 Diagnosing Newborns(p29­33)の中で
が起きた時に尿を採取、保存する習慣は残念ながら未だ
紹 介 さ れ て い る が ( p30、 6 行 目 )、 beyond newborn
定着していない。検体として血液のみが重要とか、尿は
screening(p32、10 行目)とも位置づけられている。日
8時間あるいは24 時間蓄尿が必要とか思い込んでいる人
本マススクリーニング学会理事長の松田一郎氏は最近、
も多い。尿はわずかの量(0.5~1ml)でもよく、自宅で
興味深い米国での調査を紹介した。
「現在スクリーニン
もどこでも、発作時、あるいは入院時、治療開始時ある
グによって診断はできるが治療法が確立していない遺伝
いは死亡前に採取して冷凍保存しておくことが重要であ
病がある。新生児本人に十分な便益はないが、次子出産
る。尿が保存されていれば死亡例でもその尿を手がかり
に役立つこともある。このような疾患のスクリーニング
にやがて診断に至る場合が少なくない。それにより、そ
を望むか?」の質問に710人中67%が回答し、そのうち
の後に出生する児や残された家族を救うことができる。
70 %がyes と答えたという。これは社会的容認が予想以
上に進んでいることを示している。病気の原因を個人レ
作用の理解とそれによりもたらされる健康障害の予防に
8. おわりに
ベルでも明らかにできればそれだけ治療法の進歩は早
尿は遺伝子異常や、栄養、輸液などの環境変化に対す
い。テイラーメイド医療時代に先天代謝異常症は中心的
る生体最終応答産物である内在性代謝物を多種含んでい
な関心事となる。メタボローム解析による新生児マスス
る。尿のメタボローム解析も網羅的とはいえ現実には有
クリーニング試験研究はやがて、全世界の子供たちに一
限であり、その成果も有限である。しかし、これまでメ
生を安全に生き抜くための(たとえば、私(新生児)は
タボロームの視点に立つ医薬品安全性研究はなく、した
プリン代謝系にのみ異常があるのでプリンアナログの服
がって、従来解決されなかった、または解決に相当の時
薬は生涯、回避あるいは注意が必要だ、などの)130 種
間や費用を要した問題が短期に低コストで解決される可
以上の多くの貴重な情報を生後まもない時期に提供でき
能性が少なくない。定性、定量性に優れた尿のウレアー
ることになると思われる。
ゼ法・ GC/MS 法が先天性代謝異常症の早期診断やこれ
6. 診断の迅速化のためのシステムづくり
先天性代謝異常症の多くは初期には無症状であっても
神経学的異常が進行し、発病後も臨床所見や一般検査所
見に特異性が低い。したがって診断の初期段階で特定の
に深く係わる、テイラーメイド医療、医薬品の安全性の
確保に新たな基盤技術として確立され、人の一生を通し
ての健康管理、薬の管理、医療の進歩に役立つことを願
う。
【随想・報告】
金 医 大 学 報
54
随 想
―教職員、学生とその友人たちのアンサンブル―
廣 松 幹 子
風薫る爽やかな 5 月 22 日
(土)
、新館1F ロビーにて「ふ
れあいたいむ」コンサートが
行われました。会場となった
ロビーには、入院患者さん、
お見舞いのご家族、教職員な
ど約70名の大勢の方々にお越
しいただき、土曜の午後のひ
とときを音楽の調べとともに
心和やかに過ごすことができ
ました。
今回の目玉は「ふれあいた
いむ」初めての新館ロビーの
ステージ。
トランペットのファンファ
ーレがロビーいっぱいに広が
り、爽やかな幕開けでスター
病院新館ロビーでのはじめてのステージ
ト。教職員、その友人、学生
が、合同で演奏会を行うのは今回で2 回目のことです。
初回のコンサートは昨春、病院本館ロビーにてモーツ
アルトピアノ協奏曲21番、ディベルティメント等を演奏
させていただいたのですが、実は問題もありました。そ
の問題とは、ピアノ協奏曲は普段は大きなコンサートホ
ールで演奏する曲であり、音量が大きく、このような曲
を病院という場所で演奏した前例がないため、メンバー
からは「規模の大きい編成でピアノ協奏曲を病院ロビー
で演奏するのは難しいのでは?」
、
「病気で入院のため、
コンサートホールに足を運べない患者さんのために、オ
ーケストラの演奏を聴かせてあげたい!」などいろいろ
な意見がありました。その時は皆の声を一つにまとめる
まで何度も話し合い、
「患者さんのために」という学生
さんの熱い思いを叶えてあげたいと思いチャレンジした
のでした。
それから一年、今春「一緒に“ふれあいたいむ”で演
2004.5.22 (土) 14:30~15:30
ファンファーレ (トランペット)
花 (オーボエ・ピアノ)
ラグリマ (ギター)
トップオブザワールド (ギター)
夏は来ぬ (コーラス)
クラリネットポルカ (クラリネット・ピアノ)
G線上のアリア (弦楽四重奏)
主よ人の望みの喜びよ (弦楽四重奏)
カノン (弦楽四重奏)
エトピリカ (弦楽四重奏)
スタンドバイミー (弦楽四重奏)
美女と野獣 (全員合奏・合唱)
エーデルワイス (全員合奏・合唱)
奏しましょう!」と、先輩に続き、後輩の学生さん達に
声をかけていただいたおかげで、教職員とその友人13 名
ですが、昨年の大成功で皆様に病院コンサートのことを
の社会人メンバー、クラシック音楽サークル18名の学生
ご周知いただいたこともあって、
「参加したい」と自ら
メンバーが再び大集合することになったのです。
希望されるメンバーが相次ぎました。特にクラシック音
今回は昨年にも増しパワーアップ! 昨年は曲の編成
楽サークルの学生さんは大活躍で、試験と重なって忙し
の都合上、賛助出演をお願いしなければならなかったの
い時期でしたが、手作りのポスターを病院に貼ってお知
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
55
らせしてくれたり、大人数人で運んでも重たいピアノを
友人から「金沢医科大学病院で患者さんのためにコンサ
本館から新館へ移動したり、演奏当日は患者さん、お客
ートしよう」と誘われたことが始まりでした。当時私の
様用の椅子の設置など、その裏方の力仕事は想像以上に
勤め先でそのような企画があることを知らなかったの
大変なのですが、病院コンサートのために全員が協力し
で、
「ふれあいたいむ」と聞いてもピンとこなかったの
合って大活躍する姿に、私は胸を打たれました。また、
ですが、この時に感じたことは「たぶん自分にも出来る
アンサンブル金沢のプロのバイオリニストの方が、病院
ことに違いない」でした。そして自らが参加してみて、
コンサートの話をきいて、ご多忙の中練習にかけつけて
改めて素晴らしい企画であることを知ったのでした。
くださりボランティアで演奏指導してくださったことも
そして数カ月後、教職員とその友人たちでの弦楽合奏
ありました。そうして迎えた本番当日。仕事が忙しく
の形で初めて参加しました。病院で演奏するのは私にと
て、一度も練習に出ることがなかった金沢医科大学病院
って初めての経験であり、舞台があるわけでなく、自分
勤務のS 先生も、当日コントラバスを片手にリハーサル
と同じ目線のすぐ前にたくさん並んでいる観客はパジャ
に白衣姿で息を切らしながら駆けつけてくれました。ま
マ姿の患者さん、点滴棒片手の患者さん、また車椅子の
た演奏の合間に薬のオーダーを出しに病棟へ急ぎ足で戻
患者さん達。このような演奏スタイルは今までになかっ
るなど、多忙な勤務の合間を縫ってコンサートに参加し
たことでしたので、私は次第にジーンと胸が熱くなり、
てくださいました。
溢れ出てくる涙で音符がかすんで見えなくなりながら演
こうして迎えた5 月 22 日のコンサートです。前半は、
奏したことは今でも心に強く残っています。
学生さん達によるピアノ、オーボエ、クラリネット、ギ
「ふれあいたいむ」に参加して患者さんから教えてい
ター、コーラス。その奏でる音色は学生らしく生き生き
ただくことの方が多かったような気がします。私自身、
としていました。最初は緊張しながら始まった演奏会で
病気で闘う患者さんの苦しみを替わってあげることがで
したが、音を拾うための手作りマイクスタンドを持参で
きませんが、音楽を通して楽しい時間を提供すること
登場する学生さんや、納得のいく演奏を「もう一度!」
で、少しでも患者さんの喜びになれたらと思いました。
と冒頭部から弾き直す学生さんといった伸び伸びとした
そんな思いが通じてか、私達の演奏を聴いて「患者さん
個性溢れる演奏に、その場に通りがかった人も、足を止
が涙を流して喜んでくださっていた」などと、看護部の
めて耳を傾けてくださったり、それまでは緊張で張りつ
方から、患者さんからの嬉しいお声もいただき、幸いに
めたロビーの空気の流れは次第に穏やかになり、聴衆も
も好評を得てこうして集まった仲間達と楽しく演奏させ
奏者も一体となったように、とても良い雰囲気に包まれ
ていただきました。これは私にとって一生の財産です。
ました。
「美しい音色は、美しい心から」これは有名なバイオ
続いて後半は、教職員とその友人たち、学生メンバー
リンメソッドですが、この言葉を教えてくれたバイオリ
の弦楽合奏で私もバイオリンで参加しました。バッハ
ンと音楽、そして私に「
“ふれあいたいむ”に一緒に出
「主よ人の望みの喜びよ」
「G 線上のアリア」など、これ
ようよ」と声をかけてくださったオーケストラの友人と
らが作曲された18 世紀当時のチェンバロの独特な音色を
クラシック音楽サークルの学生の皆さんとの出会い、ま
加えることで、バロック音楽らしいイメージを大切に演
た企画の看護部当波さんを始め、教職員、学生さんのご
奏させていただきました。また雰囲気をガラリと変えて、
支援・ご協力が大きくありました。お世話になった方々
最近のテレビや映画音楽から「エトピリカ」
「スタンド
は本当に大勢で、ここに名前をお一人ずつ書ききれない
バイミー」などの演奏は、クラシックの曲とはジャンル
のですが心よりお礼申し上げます。
も違うため、曲調の全く異なる曲を同時に演奏すること
は大変エネルギーが必要でした。
今回のプログラムは、クラシックからポップスまで、
バラエティに富んだ演奏会となりましたが、最後は全員
で「美女と野獣」
「エーデルワイス」を弦楽とピアノ伴
奏で、前半でオーボエを吹いた学生さんの指揮によって
熱唱のフィナーレとなりました。
最後になりますが、先日の日経新聞に「病院ボランテ
ィア活動を取り入れる病院が増え、全国の主要病院(ベ
ッド数200床以上)の約7割に達した」といった記事が出
ておりましたが、金沢医科大学病院で、平成10年9月に
始まった「ふれあいたいむ」は今年で 6 年が経ちます。
「一日のほとんどを病室やベッドで寝たきりで過ごしてい
る患者さんのために、わずかな時間でも楽しく過ごして
1 時間のコンサートはあっという間でしたが、とても
ほしい」と、このコーナーが始まったそうです。現在ま
有意義な時間でしたし、心豊かな気持ちという「形のな
では、木管アンサンブル、大正琴、歌謡舞踊、手品、太
い贈り物」をお土産に帰ることができました。
鼓、ハンドベル、コーラス、よさこいソーラン等、バラ
私が最初に「ふれあいたいむ」へ参加したのは3 年前、
エティに富んだ企画で、患者さんの心を癒し続けていま
新緑の美しい季節のことでした。そのきっかけとなった
す。これからも患者さんの癒しのひとときとして「ふれ
のは、私が参加しているアマチュアオーケストラ楽団の
あいたいむ」が続いていくことを心より期待しています。
【随想・報告】
金 医 大 学 報
56
随 想
津 川 龍 三
安宅の関(あたかのせき)の記念像。向かって左、笠をかぶっているのが源義経、中央が弁慶、右が富樫
私は大変な幸運に恵まれた。2004 年3 月20 日、小松駅
ある検非違使(判官:ほうがん)に任ずる。しかし、鎌
こけらおと
前で、
「こまつ芸術劇場 うらら」が柿落し、しかも、20、
倉の頼朝は、法皇が自分を無視して任命したこと、義経
21 日の演目が、ご当地の安宅は勧進帳、弁慶は団十郎、
が兄に相談なしに、それを受けたこと、それに頼朝腹心
とあって、何が何でもゼヒにと思っていたからである。
の讒言もあり、頼朝はこのままでは鎌倉武士や民衆が、
団十郎については昭和60 年(1985)襲名披露公演の際、
義経に心を寄せるのをおそれ、義経追討をはかる(官位
学会で東京に居あわせ、歌舞伎座で昼の部の勧進帳は堪
綬与問題は、源氏の勢力拡大をおそれ、兄弟を離反させ
能したものの、夜の部の助六は時間の関係で途中まで観
る朝廷側の策略であったという説が多い-事実そうなっ
て、夜行寝台特急「北陸」で帰った思い出があったから
た)
。
である。
その日が来た。高架駅に整備された小松駅で降りる。
義経は京都に静御前らといたが危機を感じ、脱出を企
て、吉野山あたりを彷徨していたところを追っ手に見つ
劇場は駅を出て右手、2 階席もあり収容人員 851。何よ
かり、御前や二人の間にできた乳児も捕えられる。一
りも花道が本物でがっちりしているのが嬉しい。開演時
方、義経は幼いころ庇護を受けた奥州、藤原秀衡を頼
間が来た。幕が上がる。舞台には「能」の「安宅」の調
り、再び京を脱出する。彼は弁慶と4 人の侍と共に琵琶
べが唱される。
湖を渡り、海津の浜に上陸、
(琵琶湖北東、すなわちJR
勧進帳のあらすじはこうだ。兄頼朝が源氏再興のため
に、挙兵すると、弟、源義経もはせ参じ、勇戦約 3 年。
湖西線、マキノ駅のやや北)北陸路へ向かう。
勧進帳はこの義経流浪の物語を下敷きに、能の安宅を
一ノ谷、屋島の戦にことごとく圧勝、1185 年、壇の浦
歌舞伎化した作品で天保 11 年(1840)江戸、河原崎座
で、平氏を遂に滅亡させる。
で五世市川海老蔵(七世団十郎)の弁慶、二世市川九蔵
朝廷はそれを称え、後白河法王は義経に京都警護役で
の富樫、八世市川団十郎の義経で初演された。この頃か
第 119号/2004.8
金 医 大 学 報
武蔵坊弁慶
57
富樫左衛門
ら能は武士階級のみ観賞するもの、歌舞伎は庶民、とい
線、唄が揃い、ここで勧進帳の全役者が揃う。壮観であ
う区別も和らげられてきた。
る。
さて新築なった劇場の幕が上がると、まず富樫左衛門
恐縮だが、花道を進む時は琵琶湖から北陸道への道程
(十代目坂東三津五郎)が舞台下手から登場する。口上
であるが、一旦中央舞台に入れば、そこは加賀の国安宅
は、
「近頃、鎌倉殿と判官殿不仲となられ判官殿一行は
となる。能・歌舞伎特有の時空を超えた進行に観客もつ
山伏姿に身をやつし、京より奥州ヘ向かわれる由、鎌倉
いていかねばならない。
殿のお達しにより、全国に関所を新設、私はこの安宅の
まず弁慶は、富樫に向かい「我々は諸国をめぐる山伏
関を預かることになった。怪しき者はすべて引っ捕らえ
である。通行の御許可を願いたい」という。富樫は当然
鎌倉ヘ届けるつもりだ」とやや高い調子で自己紹介す
「怪しき山伏の一行かな、ならぬ」として、押し返す。
る。すなわち、観客にこの芝居のプロローグを告げたあ
見破られたかと強行突破を試みようとする四人衆を弁慶
と、舞台上手に位置する。続いて番卒と太刀持4 人も後
は押し止める。
に控える。
「我々は、奈良東大寺の再建の勧進として、寄付を集
次に、客席後の跳ね幕が揚り、花道から七代目中村芝
めて行脚する者である。もちろん本物の山伏だ。それを
雀扮する義経が荷持ちの強力に身をやつし、しずしずと
通さぬとはいかがなことか。東大寺は聖武天皇が、728
登場する。しばし京の空の方を見やり舞台下手に位置す
年、亡き皇太子を弔うため山寺を建立したのが起源であ
る。紫の衣に黒の笠、気高いが、平家討伐戦に見せた勇
る。その後、745 年現在の地に大仏造立 を開始、以後、
猛さはなく、少しやつれた感じを見せる。ここは女形の
鑑真、空海も加わり861年完成した大仏殿で、大仏開眼
芝雀が相応しい。続いて花道から亀井六郎、片岡八郎、
の法要が行われているが、1180 年兵火や地震で大仏の首
駿河次郎、常陸坊海尊、最後に、十二代目市川団十郎扮
が落ちるなど、修復が必要となり、その費用を広く全国
する武蔵坊弁慶が登場する。なお、彼らの登場してくる
から調達のため勧進の行脚中、この関所を通されたし、
花道は、本物で、劇場の床と一体となっていることは前
さもなくば大いなる仏罰下るべし」というが相手は聞き
述した。
入れない。
ぞうりゅう
すかさず「成田屋ア」と声がかかる。背景は能舞台に
富樫は「真実の東大寺の勧進ならば、その趣旨が記さ
よる松羽目と言われるものを用いている。弁慶は、一行
れている勧進帳を読み上げよ」と求める。そのようなも
に、これから関所に入るが、強行突破は先々にも関所が
のは持っている筈もない弁慶は機転をきかせ、持ちあわ
あろうから、すぐ知れ渡り益々不利、とりあえず、ここ
せの巻物を勧進帳と偽って「空読み」する。実は巻物の
は弁慶にまかせるよう申し渡す。
中は白紙だったといわれている。
一行はいよいよ中央舞台へ進む。舞台後方には、三味
続いて、いわゆる山伏問答に入る。富樫は山伏の由来
【随想・報告/資料】
金 医 大 学 報
についての問を弁慶にしかける。一問一問にあざやかに
58
弁慶と富樫、そして義経の三人が織りなす、ドラマ性
答えてゆく。例えば、
「金剛杖の由来は? 」
、
「山伏の祖、
と様式美、とにかく、たまらなくいい。また、現在の団
役の行者由来の持ち物、これにて邪気を振り払うものな
十郎は襲名当時に比べ、まさに円熟。石川県内で学び暮
り」など(役の行者:えんのぎょうじゃ、 奈良時代修験
らす機会を得た諸君には一生に一度はゼヒ観賞をお勧め
道の始祖)
。
したい。
「これにて疑いは晴れた。この関通り召され」との富
樫の声に義経、弁慶らは立ち上がろうとしたが、富樫側
の番卒が富樫に「あの強力が義経に似ている」と耳打ち
※ 明治天皇ご観覧:この作品の評判が上乗、明治20 年、
する。富樫は血相を変えて荷持ちの強力にやつした義経
九代目団十郎の時、 明治天皇が井上 馨と共に観賞さ
を呼び止める。見破られたかと刀に手をかけた一同を制
れたという。
した弁慶は、いきなり強力の義経を金剛杖で打ちすえ
※ 「歌舞伎十八番」:この作を初演した七世市川団十
「わずかな荷を重そうにして遅れるから怪しまれるのだ」
郎が自身の得意芸として制定した十八種の演目をい
と罵る。芝居の上では軽く打つのであるが、実際はメッ
い、当代の十二代目の団十郎に折り目正しく継承され
タ打ちにしたらしい。
ている。したがって市川家のお家芸。数多い歌舞伎演
それをみた富樫は命を賭けた義経弁慶主従の心情にほ
だされ、自分も命をすてる覚悟で、改めて通行を許す。
彼は既に強力が義経と知っていたのだ。
富樫から別れてしばし、弁慶は義経に敵を欺く計略と
目の中の十八ではない。
※ 柿落し(こけらおとし):こけら落しというのは工事
の最後に屋根などの木くずを払い落とすことをいい
「新築劇場の初興行」を意味する。
はいいながら、主君に手をあげた非礼を涙ながらに詫び
※ 「全国子供歌舞伎フェスティバルin 小松」: 2004 年
る。義経はかえってよくやってくれた、と感謝する。 そ
5月、小松では、伝統ある「お旅祭り」にあわせ、第
こへ、再び富樫が登場、今度は、番卒に砂金、酒を持た
6 回目を迎えた。中小学生による 勧進帳(団十郎も指
せている。彼は、先刻の非礼を詫び、道中の無事を願
導)は素晴らしい出来栄えで、毎回満員の盛況であ
い、弁慶に酒を奨める。弁慶は盃を受けて、お礼に「延
る。学生諸君はゼヒ出かけてほしい。
年の舞い」を舞う。長唄の調べは、弁慶、富樫の心情を
※ 当時の関所址は、現在、安宅沖の海底にある。
歌いあげ、観客の胸には熱いものがこみあげる。
※ 当時の山伏たちの携行薬は何だろうか? 金沢大学補
ころ合いみて義経達に合図し、一同が無事旅立つのを
完代替医療学の多留淳文客員教授によると、黄柏
見届けてから、弁慶は一行の 殿 として共に陸奥の国へ
(キハダの皮-健胃、消炎)
、黄連(オウレンの根-健
しんがり
落ち伸びることになる。
胃)
、陀羅尼助(だらにすけ、キハダの生皮、センブ
中央舞台には幕が降りる。弁慶がただ一人、下手、幕
リの根などを煮つめて作る。苦味強く腹痛に有効、吉
外に残る。これは花道に続く。安堵した様子の弁慶は観
野、高野山などで製造)が考えられるという。それと
客に軽く会釈する。そして一呼吸、
「飛び六法」が展開
日頃の鍛錬による自然治癒能力が奥州までの難行苦
され、左手に金剛杖を持ち、花道を飛ぶように踏み鳴ら
行を可能にしたのであろう。
しつつ退場する。
※ 写真は、永年「子供の成長、子供歌舞伎」をテーマ
以上のように、登場人物は、知勇に優れ、今風に言え
とした撮影に活躍され、各方面から表彰を受けられ
ば、絶妙の危機管理能力を持った弁慶の活躍と、義経と
た、小松市在住の写真家宮腰重雄氏に「小児専科か
見抜いていながら主従の情にあえて通行を許可、酒を振
ら内科」に転じて撮影をいただいた。附記して感謝す
る舞う富樫の情(後日、頼朝に知られれば、死も覚悟)
、
る。
弁慶をなだめる義経の品位という、それぞれのキャラク
ターが揃い、芝居構成も、前半は勧進帳読み上げや山伏
問答はいわゆるセリフ劇、後半は弁慶の延年の舞いなど
舞踊劇という構成にもなっていて観客を飽かせず魅了す
る。まさに日本人たち(素材、脚本、歴代市川家の役者
たち、音曲、舞台作り、明治以来各時代の多数の観客)
の作り上げてきた骨太の名作である。
「京の五条の橋の
上」の歌のような義経主従の出会いと奥州へ辿りついた
ものの、北上川を見下ろす高館の地で無念の最期を迎え
た彼らの運命を知る者にとっては、感無量の一幕であっ
た。
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金 医 大 学 報
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資 料
理事会
医学部教授会
第172 回 平成16年5月28日(金)
第 693 回 平成16 年4 月8 日(木)
1 平成15年度決算について
2 金沢医科大学学長選考規則の廃止について
3 金沢医科大学学則の一部改正について
4 金沢医科大学学長選考に関する規則の制定について
5 第4号議案の規則第 7 条第 2 項第 1 号の委員選出について
6 金沢医科大学副学長に関する規程の廃止について
7 学校法人金沢医科大学職員就業規則の一部改正について
8 学校法人金沢医科大学職員給与規則の一部改正について
〈報告事項〉
1 病院第2期整備計画について
2 常陸宮殿下の本学ご視察について
評議員会
第89 回 平成 16年 5月28日(金)
1 平成15年度決算について
〈報告事項〉
1 病院第2期整備計画について
2 敷地内全面禁煙について
規程改廃
学校法人金沢医科大学職員給与規則 (平成16年4月1 日改正)
学校法人金沢医科大学臨時職員給与規程
(平成16年4月1 日改正)
学校法人金沢医科大学職員就業規則 (平成16年4月1 日改正)
金沢医科大学学則
(平成16年4月1 日改正)
金沢医科大学駐車場管理委員会規程 (平成16年4月1 日改正)
金沢医科大学病院部科長規程
(平成16年4月1 日改正)
金沢医科大学病院臨床研修医規程
(平成16年4月1 日改正)
学校法人金沢医科大学大学経営会議
(平成16年5月1日新規制定)
学校法人金沢医科大学大学管理運営評価委員会規程
(平成16年5月1日新規制定)
金沢医科大学学長選考規則
(平成16年5月31 日廃止)
金沢医科大学副学長に関する規程 (平成16年5月31 日廃止)
金沢医科大学学長選考に関する規則
(平成16年6月1日新規制定)
金沢医科大学副学長に関する規程(平成16年6月1日新規制定)
学校法人金沢医科大学職員給与規則 (平成16年6月1 日改正)
学校法人金沢医科大学臨時職員給与規程
(平成16年6月1 日改正)
学校法人金沢医科大学職員就業規則 (平成16年6月1 日改正)
金沢医科大学学則
(平成16年6月1 日改正)
金沢医科大学医学部教授会規程
(平成16年6月1 日改正)
医学教育海外交流基金奨学金交付規程(平成16年6月1 日改正)
金沢医科大学交際交流委員会規程
(平成16年6月1 日改正)
議題(人事関連等)
1 前回(第692回)議事録確認について
2 顎口腔機能病態学(口腔科学)助教授候補者の選考につ
いて
3 生理機能制御学(生理学)助教授候補者の選考について
4 名誉教授候補者の選考について
5 「金沢医大後援会橘会賞」候補者の推薦について
6 平成16年度各委員会委員について
7 教員採用について
8 医学部学内講師委嘱について
9 辞職について
10 出向について
11 外国出張について
12 客員教授委嘱について
13 非常勤講師委嘱について
14 協力研究員委嘱について
15 非常勤講師派遣について
16 短期研究員の研究期間延長について
17 その他
議題(教学関連)
1 休学願提出学生の取り扱いについて
2 退学願提出学生の取り扱いについて
3 復学願提出学生の取り扱いについて
4 平成16年度特別聴講生の選考について
5 その他
〈報告事項〉
1 平成16年度入学者について
2 平成16年度入学試験判定委員の公表について
3 平成 15 年度成績審査委員及び卒業判定委員の公表につい
て
4 平成16年度学生数について
5 教務部からの報告について
6 平成16年度学生による授業評価の実施について
7 平成16年度「特色ある大学教育支援プログラム」について
8 医師の臨床研修に係る指導医講習会の開催について
9 常陸宮・同妃殿下本学ご視察について
10 その他
第 694 回 平成16 年4 月22 日(木)
議題(人事関連等)
1 前回(第693回)議事録確認について
2 腫瘍病理学(病理学Ⅰ)助教授候補者の選考について
3 教員採用について
4 辞職について
5 出向について
6 外国出張について
7 外国出張期間延長について
8 併任について
9 非常勤講師派遣について
10 その他
議題(教学関連)
1 公衆衛生学(実習)の履修免除について
2 その他
〈報告事項〉
1 教務部からの報告について
2 卒業生定着化委員会からの報告について
3 卒業16年度科学研究費補助金の交付内定について
4 平成15年度教授会費の決算報告について
5 その他
〈協議事項〉
1 大学の制度改革について
【資料】
第695 回 平成 16年 5月13日(木)
金 医 大 学 報
議題(人事関連等)
1 前回(第694回)議事録確認について
2 名誉教授候補者の推薦について
3 金沢医科大学学長選考規則の廃止について
4 金沢医科大学副学長に関する規程の廃止について
5 金沢医科大学学則の一部改正について
6 金沢医科大学医学部教授会規程の一部改正について
7 外国出張について
8 その他
議題(教学関連)
1 AO入試第2次選考内容及び日程の変更について
2 一般入学試験における編入学枠の新設について
3 平成17年度入学試験日程(案)について
4 平成17年度入学選抜方法等(案)について
5 平成17年度学力検査実施教科・科目(案)について
6 平成 16 年度第 1、4 学年第 1 学期定期試験時間割及び受験
資格について
7 その他
〈報告事項〉
1 教務部からの報告について
2 その他
第696 回 平成 16年 5月27日(木)
議題(人事関連等)
1 前回(第695回)議事録確認について
2 外国出張について
3 外国留学期間延長について
4 外国留学期間短縮について
5 併任について
6 非常勤講師派遣について
7 その他
議題(教学関連)
1 その他
〈報告事項〉
1 平成 16 年度金沢医科大学共同研究・奨励研究の公募につ
いて
2 常陸宮殿下本学ご視察について
3 敷地内全面禁煙の実施について
4 その他
第697 回 平成 16年 6月10日(木)
議題(人事関連等)
1 前回(第696回)議事録確認について
2 外国出張について
3 外国出張期間短縮について
4 外国出張取り下げについて
5 併任解について
6 その他
議題(教学関連)
1 一般入試における編入学枠新設の延期について
2 平成17年度金沢医科大学入学試験要項(案)について
3 学生の除籍について
4 その他
〈報告事項〉
1 入試説明会及びオープンキャンパスの開催日程について
2 教務部からの報告について
3 解剖研修の実施について
4 平成17年度臨床研修医募集要項について
5 その他
〈協議事項〉
1 第98回医師国家試験結果について
第698 回 平成 16年 6月24日(木)
議題(人事関連等)
1 前回(第697回)議事録確認について
2 辞職について
3 出向について
4 外国出張について
5 外国留学期間変更について
6 短期研究員の研究期間延長について
60
7 その他
議題(教学関連)
1 その他
〈報告事項〉
1 教授候補者選考に係る公開面接について
2 その他
大学院医学研究科教授会
第313 回 平成16年5月13日(木)
議題
1 前回(第312回)議事録確認について
〈報告事項〉
1 生命医科学専攻担当教員の申請について
2 平成16年度大学院医学研究科入学者について
3 平成16年度授業科目履修について
第314 回 平成16年6月10日(木)
議題
1 前回(第313回)議事録確認について
2 第32回論文博士外国語試験実施要項について
3 平成17年度大学院医学研究科学生募集について
〈報告事項〉
1 平成16年度課程博士の学位論文予備審査申請について
2 その他
総合医学研究所教授会
第 171 回 平成16 年4 月15 日(木)
議題
1 前々回(第169回)議事録確認について
2 外国出張について
3 非常勤講師派遣について
4 寄附研究部門〔タキサス研究部門(紅豆杉)〕の設置に
ついて
5 平成 15 年度版総医研点検・評価報告者の原稿の提出依頼
について
〈報告事項〉
1 平成16年度総合医学研究所予算について
2 平成16年度総合医学研究所関連委員会について
3 次回開催日について
4 事務組織の変更について
5 総合医学研究所移転計画のその後について
第 172 回 平成16 年5 月20 日(木)
議題
1 前回(第171回)議事録確認について
2 寄附研究部門の教授選考について
3 寄附研究部門への教授・講師の併任について
4 外国出張について
5 平成 16 年度市民公開セミナー及び研究セミナー担当者に
ついて
〈報告事項〉
1 平成16年度科学研究費補助金内定状況について
2 タキサス研究部門(紅豆杉)の開設調印式について
3 次回開催日について
4 平成11年度採択HRC成果報告書の発行について
第 173 回 平成16 年6 月17 日(木)
議題
1 前回(第172回)議事録確認について
2 休職について
〈報告事項〉
1 学会出席のための外国出張の取扱について
2 次回開催日について
第 119号/2004.8
3
金 医 大 学 報
その他
○第15回北陸質量分析合同談話会の案内など
第174 回 平成16年7月15日(木)
議題
1 前回(第173回)議事録確認について
2 外国出張について
3 平成16年度市民公開セミナーについて
〈報告事項〉
1 次回開催日について
2 総合医学研究所紀要第 15 巻(2004)の発行予定につい
61
【資料】
臨床研修指導医
消化器内科
島田 昌彦
臨床研修指導医
消化器内科
永井佳世子
臨床研修指導医
一般・消化器
吉谷新一郎
外科臨床研修指導医
一般・消化器
長谷川泰介
外科臨床研修指導医
泌尿器科
芝 延行
臨床研修指導医
腎臓内科
山谷 秀喜
臨床研修指導医
腎臓内科
羽山 智之
臨床研修指導医
内分泌・代謝科
福田 雅隆
臨床研修指導医
内分泌・代謝科
前島 勝之
臨床研修指導医
血液・リウマチ
川端 浩
膠原病科臨床研修指導医
血液・リウマチ
正木 康史
膠原病科臨床研修指導医
神経内科
酒井宏一郎
臨床研修指導医
神経内科
片岡 敏
臨床研修指導医
脳神経外科
飯田 隆昭
臨床研修指導医
脳神経外科
岡本 一也
臨床研修指導医
高齢医学科
大黒 正志
臨床研修指導医
小児科
中村 常之
臨床研修指導医
小児科
小林あずさ
臨床研修指導医
小児外科
小沼 邦男
臨床研修指導医
小児外科
増山 宏明
臨床研修指導医
神経科精神科
岩崎 真三
臨床研修指導医
神経科精神科
南野 壽利
臨床研修指導医
放射線科
釘抜 康明
臨床研修指導医
放射線科
太田 清隆
臨床研修指導医
整形外科
兼氏 歩
臨床研修指導医
整形外科
奥田 鉄人
臨床研修指導医
形成外科
岸邊 美幸
臨床研修指導医
形成外科
山下 昌信
臨床研修指導医
眼科
北川 和子
臨床研修指導医
眼科
藤澤 綾
臨床研修指導医
耳鼻咽喉・頭頚科 高島 雅之
臨床研修指導医
耳鼻咽喉・頭頚科 村田 英之
臨床研修指導医
皮膚科
田邉 洋
臨床研修指導医
皮膚科
藤井 俊樹
金 医 大 学 報
(呼吸器外科)講師
消化器機能治療学
16.4.1
(消化器内科学)助手
消化器機能治療学
16.4.1
(消化器内科学)助手
消化器外科治療学
16.4.1
(消化器外科学)助手
消化器外科治療学
16.4.1
(消化器外科学)助手
泌尿生殖器治療学
16.4.1
(泌尿器科学)講師
腎機能治療学
16.4.1
(腎臓内科学)助手
腎機能治療学
16.4.1
(腎臓内科学)助手
内分泌代謝制御学
16.4.1
(内分泌内科学)助手
内分泌代謝制御学
16.4.1
(内分泌内科学)助手
血液免疫制御学
16.4.1
(血液免疫内科学)講師
血液免疫制御学
16.4.1
(血液免疫内科学)講師
脳脊髄神経治療学
16.4.1
(神経内科学)助教授
脳脊髄神経治療学
16.4.1
(神経内科学)講師
脳脊髄神経治療学
16.4.1
(脳神経外科学)講師
脳脊髄神経治療学
16.4.1
(脳神経外科学)講師
高齢医学
16.4.1
(老年病学)助手
発生発達医学
16.4.1
(小児科学)助手
発生発達医学
16.4.1
(小児科学)助手
臓器機能再建学
16.4.1
(小児外科学)講師
臓器機能再建学
16.4.1
(小児外科学)講師
精神神経科学
16.4.1
(神経精神医学)講師
精神神経科学
16.4.1
(神経精神医学)助手
放射線診断治療学
16.4.1
(放射線医学)講師
放射線診断治療学
16.4.1
(放射線医学)助手
運動機能病態学
16.4.1
(整形外科学)講師
運動機能病態学
16.4.1
(整形外科学)助手
機能再建外科学
16.4.1
(形成外科学)講師
機能再建外科学
16.4.1
(形成外科学)助手
感覚機能病態学
16.4.1
(眼科学)助教授
感覚機能病態学
16.4.1
(眼科学)助手
感覚機能病態学
16.4.1
(耳鼻咽喉科学)講師
感覚機能病態学
16.4.1
(耳鼻咽喉科学)助手
環境皮膚科学
16.4.1
(皮膚科学)講師
環境皮膚科学
16.4.1
62
臨床研修指導医
産科婦人科
井浦 俊彦
臨床研修指導医
産科婦人科
境原三津夫
臨床研修指導医
総合診療科
橋
孝
臨床研修指導医
総合診療科
日下 一也
臨床研修指導医
麻酔科
中村 勝彦
臨床研修指導医
麻酔科
柳川 慎平
(麻酔学)助手
リハビリテーション
河崎 寛孝
医学科臨床研修指導医
リハビリテーション
坪川 操
医学科臨床研修指導医
救命救急科
真柴 智
臨床研修指導医
救命救急科
盛田 英樹
臨床研修指導医
歯科口腔科
出村 昇
臨床研修指導医
歯科口腔科
佐藤 淳
臨床研修指導医
病院病理部
黒瀬 望
臨床研修指導医
(併)病院病理部
木下英理子
助手
病院病理部臨床研修指導医
健康管理センター 上嶋 康洋
臨床研修指導医
健康管理センター 中西由美子
臨床研修指導医
(併)総合医学
平井 圭一
研究所教授
(タキサス研究部門(紅豆杉))
(併)総合医学
島田ひろき
研究所講師
(タキサス研究部門(紅豆杉))
(併)総合医学
島村英理子
研究所助手
(タキサス研究部門(紅豆杉))
(皮膚科学)講師
生殖周産期医学
(産科婦人科学)講師
生殖周産期医学
(産科婦人科学)助手
総合内科学
(総合診療科)講師
総合内科学
(総合診療科)助手
侵襲制御学
(麻酔学)助手
侵襲制御学
(麻酔学)助手
運動機能病態学
(リハビリ科)助手
運動機能病態学
(リハビリ科)助手
救急医学助手
救急医学助手
顎口腔機能病態学
(口腔科学)講師
顎口腔機能病態学
(口腔科学)講師
病態診断医学
(臨床病理学)助手
病態診断医学
(臨床病理学)助手
健康管理センター
講師
健康管理センター
講師
分子細胞形態科学
(解剖学)教授
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.4.1
16.6.1
分子細胞形態科学
(解剖学)講師
16.6.1
分子細胞形態科学
(解剖学)助手
16.6.1
〈任命換〉
リハビリテーション
センター理学療法士
リハビリテーション
センター作業療法士
診療部(眼科)
視能訓練士
診療部(眼科)
視能訓練士
調理課調理師
調理課調理師
村谷 俊幸
薮下 清美
渋谷 恵理
山口 智子
若山 祥子
生野めぐみ
リハビリテーションセンター
技術員
リハビリテーションセンター
技術員
診療部(眼科)
技術員
診療部(眼科)
技術員
調理課技能員
調理課技能員
16.6.1
16.6.1
16.6.1
16.6.1
16.6.1
16.6.1
〈退職〉
小倉 敏嗣
小西 弘晃
徳本 一郎
高道美智子
前島富美子
釣谷伊希子
尾崎 孝次
谷口 幸代
宮本有香理
高橋 直美
長尾由美子
生理機能制御学(生理学)講師
顎口腔機能病態学(口腔科学)助手
調理課調理補助員 16.4.30
調理課調理補助員 16.4.30
看護部看護補助員 16.5.31
社会環境保健医学(衛生学)講師
感覚機能病態学(眼科学)研究医
看護部看護師
看護部看護師
看護部看護師
看護部看護補助員
16.4.8
16.4.30
16.6.20
16.6.30
16.6.30
16.6.30
16.6.30
16.6.30
第 119号/2004.8
63
金 医 大 学 報
金沢医科大学創立30周年記念事業にあたって、平成13年7月1日から開始してまいりました募
金は、平成 16 年 6 月 30 日をもちまして完了いたしました。本募金には下記のとおり本学教職員
の皆様をはじめ、金沢医大後援会橘会、後援協力会、北辰同窓会、北斗会の会員の皆様、関連
の医療施設、メーカー、その他多くの方々からの絶大なご協力をいただき、応募金額は 12 億 4
千万円余りにのぼりました。
皆様のご協力により、記念事業の柱でありました病院新棟建設事業は平成 15 年 8 月末に竣工
し、9月13日には盛大な記念式典を挙行することが出来ました。また、同時に進めておりました
エネルギーセンター建設事業、クラブハウス建設事業、三十年史発行事業も全て完了すること
ができました。
ここにご報告申し上げ、謹んでお礼申し上げます。
学校法人 金沢医科大学
理事長
小田島 粛夫
学 長 竹 越 襄
創立 30 周年記念事業募金応募状況 (平成 16 年 6 月 30 日)
教職員(教育職員)
教職員(職員)
北辰同窓会(学外会員)
211 件
486 件
315 件
件
( 学外・個人 248
学外・法人 67 件 北斗会(学外会員)
橘会
後援協力会
その他
合 計
64,270,000 円
64,050,000 円
151,564,976 円
116,764,976 円
34,800,000 円
)
56 件
292 件
112 件
164 件
7,592,500 円
393,550,000 円
450,399,976 円
112,300,000 円
1,636 件
1,243,727,452 円
創立30周年記念事業募金寄付者ご芳名(敬称略) No.11(H16.5.11 ~ 6.30
〈個 人〉
大山 充徳(群馬県)
羽根 淳治(東京都)
松田 富雄(石川県)
澤田 公孝(埼玉県)
石神慶一郎(石川県)
高野 正美(富山県)
〈法 人〉
酒井医療 ㈱
清幸会(島田 一彦)
金沢西病院(菊地 勤)
味の素ファルマ ㈱
内 織恵(富山県)
斎藤 正(山形県)
木村 昭光(石川県)
杉谷 道男(石川県)
宮川 松剛(大阪府)
前沢 明美(石川県)
宮本 一雄(石川県)
櫻井 滋(岩手県)
加藤象三郎(石川県)
友杉 直久(石川県)
池田 正(富山県)
太田 淳(石川県)
受付順)
岩田 知之(愛知県)
櫻井 伴子(岩手県)
服部 靖(三重県)
青山 隆彦(福井県)
甲野 裕之(石川県)
和田 暢彦(福岡県)
個人寄付金累計 1,280 件 654,257,452円
松村医院(松村 和彦)
潤生会(宮本 克之)
塩谷医院(塩谷 眞悦)
ブリストル・マイヤーズ ㈱
小豆嶋クリニック(小豆嶋純子)㈱ メディカル エーゼット
東芝メディカルシステムズ ㈱
法人寄付金累計 ラジオメータートレーディング ㈱
日本ライフライン ㈱
杉田眼科(杉田 達)
356 件 589,470,000円
第 119号/2004.8
64
金 医 大 学 報
金沢医科大学学術振興基金募金について
募集要項
学術振興基金の募金も従来どおり受け付けています。
1. 目標額 :10億円
2. 寄付方法:寄付申込書等を本学教育研究事業推進室にご
請求ください。(TEL 076­286­2211 内線 2720 ~ 2724、
FAX 076­286­8214)折返し、寄付方法、税務に関するこ
となどをご連絡致します。
3. 本学は、平成15年9月1日付で文部科学大臣より特定公益
増進法人であることの証明を受けております。
金沢医科大学学術振興基金への寄付者ご芳名(過去1年間の分、敬称略)
鈴鹿 正剛(奈良県)
曽根 節子(石川県)
仲里 博彦(沖縄県)
南部 澄(石川県)
角田 弘一(石川県)
斎藤 茂(埼玉県)
丸文通商㈱(石川県)
三治 秀哉(石川県)
東本 幸次(兵庫県)
藪野 芳子(大阪府)
坂井 明紀(長崎県)
辻 外幸(富山県)
医療法人社団 奥医院(神奈川県)
小嶋昭次郎(岐阜県)
中山 治樹(京都府)
由木 邦夫(栃木県)
池田 正(富山県)
田邊すみ子(富山県)
医療法人社団 達洋会(東京都)
小田 政行(岐阜県)
鈴木 昌和(長野県)
鈴木 桂子(長野県)
板垣 和夫(東京都)
山田 真樹(富山県)
平林 良登(北海道)
柴原 義博(宮城県)
横井 幸男(東京都)
田邊 嶽之(富山県)
稲尾 次郎(富山県)
森瀬 雅典(愛知県)
金沢医科大学報 第119号
平成 16 年 8 月 1 日発行
内灘の花火 発行者 金沢医科大学理事長 小田島 粛 夫
夏の風物詩の花火大会は、享保 18 年(1733 年)以
来続いている両国川開きに始まる。ここ内灘でも、
大学のキャンパスに接する河北潟の湖岸で、一学期
の試験が終わり夏期休暇に入る頃に開催され、夏の
到来を告げる。
(にしむら・かずこ。昭和 23 年神奈川生まれ。慶大入学と同時
に慶大俳句に入会、清崎敏郎の指導を受ける。第1句集「夏帽
子」により第7回俳人協会新人賞受賞。句集に「夏帽子」
、
「窓」
、
「かりそめならず」
。現在「知音」主宰。
)
編 集 金沢医科大学概要・学報編集委員会
山下公一
土田英昭
原 亮
太田隆英
大石勝昭
小平俊行
寺井明夫
丸谷 良
中川美枝子
廣瀬源二郎
芝本利重
谷口 豊
辻口徹子
坂井輝夫
今村吉克
野沢幸雄
中嶋秀夫
平井圭一
木越俊和
相野田紀子
國府克己
木村晴夫
中谷 渉
森 茂樹
坂田慎一
発行所 金沢医科大学出版局
〒 920­0293 石川県河北郡内灘町大学1-1
TEL 0 7 6 ( 2 8 6 ) 2 2 1 1
印刷 能登印刷株式会社
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