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消化器外科医のための腫瘍免疫 ∼知っておきたいリンパ球

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消化器外科医のための腫瘍免疫 ∼知っておきたいリンパ球
第 213 号
平成 20 年 8 月 25 日
050-3368-3618
http://medical.radionikkei.jp
第63回日本消化器外科学会総会
会期:2008年7月16日
(水)
・17日
(木)
・18日
(金)/会場:北海道厚生年金会館
(ウェルシティ札幌)他
ランチョンセミナー共催
ランチョンセミナー8
消化器外科医のための腫瘍免疫
∼知っておきたいリンパ球∼
川崎医科大学 臨床腫瘍学 准教授 山口 佳之
氏
第63回日本消化器外科学会総会(会長:平田公一氏・札幌医科大学大学院医学
研究科外科腫瘍学・消化器外科学教授)が、7月16日∼18日の3日間にわたっ
て、北海道厚生年金会館(ウェルシティ札幌)などの会場で開催されました。今
回は、
「個々の事物の理を究明し、道理を極め知ることが消化器外科学の真髄
に近付くことであり、それを求める心が生命を支援することのヒトとしての本
質に繋がる」
(平田会長)
という思いから、
「Science & Artの原点─格物致知
─」がメインテーマとして掲げられ、約3800題の発表が行われました。
本号では、そのScience & Artの原点にふさわしいランチョンセミナー「消化
器外科医のための腫瘍免疫∼知っておきたいリンパ球∼」
(演者:山口佳之氏・
川崎医科大学臨床腫瘍学准教授、司会:冲永功太氏・帝京大学医学部名誉教
授)の要旨を紹介します。
免疫機構とは
生体には、異物を認識してそれを排
の生体防御の要となっています。
と受動免疫、という2つの軸で表現され
ジ(Mφ)
などの原始的細胞が異物(抗
除し、かつそれを記憶しておく免疫機構
免疫機構は、自然免疫と獲得免疫、
ます。自然免疫とは、好中球、NK細
原)
を攻撃する初期対応を指し、その初
があり、この免疫機構は疫を免れるため
体液性免疫と細胞性免疫、能動免疫
胞、NKT細胞、γδT細胞、マクロファー
期対応で得られた情報を記憶した(教育
表1 免疫機構における立役者の主な役割(機能)
細胞
好中球
NK細胞
NKT細胞
γδT細胞
主な役割
絶えず体内をパトロール
抗原を直ちに処理
抗原非特異的、HLA非拘束性
Fc receptor(+)
分子・遺伝子
抗原
(ウイルス、目印)
を中和
抗血清は抗体の濃縮液
癌も攻撃:Fc receptorを介して
(好中球、NK細胞、Mφ)
ADCCによって
補体を活性化して
CDCCによって
ADCC
マクロファージ
(Mφ)
貪食能、遊走能あり
抗原や老廃物を処理して、その情報を伝達
Fc receptor(+)
抗原ペプチド
T細胞を教育する蛋白の断片、アミノ酸配列
T細胞が標的にする目印、匂い
HLA(MHC)classⅠ、
Ⅱに提示
+
内的なもの → classⅠ → CD8 T細胞
+
外的なもの → class Ⅱ → CD4 T細胞
+
→ classⅠ → CD8 T細胞
(クロスプレゼンテーション)
サイトカイン
T細胞が主に作る微量活性糖蛋白
細胞間を連絡する言葉
サイトカインレセプターを介して細胞を活性化あるいは沈静化
局所で作用
作用に多重性あり
(ネットワークを形成)
癌にも有効:IFN、IL-2、TNFなど
ADCC
樹状細胞
総司令官
情報の処理・伝達のプロフェッショナル
部隊の指揮
T細胞
B細胞
命令に従って組織される特別部隊
情報を記憶
T細胞:癌を攻撃(LAK、TIL、CTL)
ヘルパーT
(Th)、サプレッサーT
(Ts)
などあり
抗原特異的、HLA拘束性
B細胞:抗体を作る
主な役割
B細胞が作る手裏剣、ミサイル
抗体
癌にも有効:ワクチンとして
ADCC: antibody-dependent cellular cytotoxicity; 抗体依存性細胞傷害
CDCC: complement-dependent cellular cytotoxicity; 補体依存性細胞傷害
株式会社 メディネット http://www.medinet-inc.co.jp
平成 20 年 8 月 25 日
された)T細胞やB細胞が、同じ抗原を
第 213 号
のが図1です。
免疫療法とは、これらの免疫機構を
します。体液性免疫の主役はB細胞(=
利用して行われる治療法であり、癌免
Bリンパ球)が産生する抗体であり、細
疫においては腫瘍 宿主細胞相互の生
胞性免疫における配役はCTLなどのT
体反応を生物学的に修飾・調節して治
細胞(=Tリンパ球)です。T細胞が分
療する物質あるいは行為をいいます。そ
泌するサイトカインはB細胞の抗体産生
の方法には能動免疫と受動免疫があり
を促します。この免疫機構における立
ます。能動免疫とは抗原あるいは抗原
役者の主な役割(機能)
を表1に挙げま
ペプチドなどを生体内に注入することで
した。体外から侵入する細菌などの異
生体の免疫を誘導するものであり、受動
物あるいは癌細胞に対して起こる自然
免疫とは抗体や活性化したT細胞を生
免疫の発動、その抗原情報を受けて
体内に移入することで免疫を強化するも
起動する獲得免疫の様子をまとめたも
のです。
異物抗原
NK細胞
NKT細胞
γδT細胞
好中球
骨髄
認識して二次対応する獲得免疫が成立
図1 免疫機構のまとめ
マクロファージ
樹状細胞
胸腺
情報
T細胞
(γδT細胞)
ペプチド
B細胞
(NKT細胞)
獲得免疫
自然免疫
初期対応
記憶
異物・癌排除
CTL・LAK
ヘルパーT細胞
二次対応
抗体・サイトカイン
近年の癌免疫療法の足跡
近年の癌免疫療法の足跡を大まかに
には癌ペプチドワクチンなどが供用される
しています。第一世代は細菌製剤(OK
列がわかっているものです。そして、第
振り返ると、①1970年代には細菌製剤
ようになり、さらに④2000年代にはヒト化
432)や蛋白多糖体(PSK)
などの混合
三世代は活性化自己リンパ球移入療法
や蛋白多糖体を用い、②1980年代には
抗体、NKT細胞、γδT細胞、制御性
製剤であり、
第二世代はサイトカイン
(IFN、
や癌抗原ペプチドを用いた癌ワクチン療
サイトカインや活性化Tリンパ球(LAK、
T細胞が駆使されるようになりました。
IL 2)
やヒト化抗体(ベバシズマブ、セツ
法などの開発的免疫療法です。
TIL、CTL)が応用され、③1990年代
私はこれらの癌免疫療法を3つに大別
キシマブなど)等の遺伝子やアミノ酸配
活性化自己リンパ球移入療法の歴史と現状
第三世代に位置づけた活性化自己リ
ンパ球移入療法は、それ自身が固有の
●LAK療法、TIL療法、CTL療法
LAKは末梢血から分離したリンパ球を
歴史を持っています。IL 2が1983年にク
利用するもの、TILは癌組織から分離し
ローニングされ、このIL 2で活性化した
た(癌と顔見知りの)
リンパ球を利用する
Tリンパ球を用いたLAK療法が1985年
ものであり、CTLは癌細胞でリンパ球を
に報告され、その後TIL療法やCTL療
刺激して(癌と無理やりお見合いさせて)
法が行われるようになりました。さらに樹
誘導するものです。これらの治療法を用
状細胞、制御性T細胞、γδT細胞など
いたわれわれの臨床成績では、固形腫
を用いた細胞療法やワクチン療法が開
瘍では有効率9%、癌性胸水・腹水に対
発されてきました。私自身、これらの活
しては有効率78%でした。これらを総括
性化自己リンパ球移入療法を実際に導入
すると、LAKは癌特異性が低く、TIL
しながらその臨床研究に約20年間、傾
は入手できる患者や細胞数に限界があり、
注してきました。以下に、その方法と成
CTLはリンパ球の誘導が難しく、かつ癌
績を順次に紹介いたします。
細胞の入手も困難であり、また培養・増
活性化自己リンパ球移入療法の概略
の手順は図2に示すとおりです。ポイント
図3 樹状細胞(DC)による抗原の認識と抗原提示のプロセス
殖のテクニックが繁雑かつ容易でないこ
とが難点でした。
IL-2 の分泌
CTL 活性化
B 細胞活性化
T細胞
CD4
細胞傷害
HLA class Ⅱ
抗原蛋白
プロテアソーム
ペプチド
CD8
ペプチド
T細胞
HLA classⅠ
抗原提示細胞(DC)
TAP
核
HLA合成
HLA
β2m
小胞体
ゴルジ装置
TAP : トランスポーター
β2m : β2ミクログロブリン
樹状細胞
(DC)
は抗原蛋白をプロテアソームに取り込み、
それをペプチドに断片化する。ペプチドはTAPを経由
して粗面小胞体に入って自己のHLAと会合し、
ゴルジ装置を通って細胞膜表面に提示される。
このプロセスに
+
おいて、
内的蛋白ペプチドはclass Ⅰと会合してCD8 T細胞を刺激・活性化する。外的蛋白ペプチドはclass Ⅱ
また、
この外的蛋白ペプチドの一部にはclass Ⅰと会合してCD8+
と会合してCD4+T細胞を刺激・活性化する。
T細胞を刺激する経路もある
(クロスプレゼンテーション)
。
は、採取して分離したリンパ球を活性化
して培養する際に、使用する刺激物質
や方法を工夫することにあります。
●樹状細胞で誘導したPDAK療法
表2 PDAK療法の肺転移症例に対する臨床成績(phaseⅠ/Ⅱ)
樹状細胞(DC)
は、抗原を認識して
症例
図2 「活性化自己リンパ球移入療法」の実際
リンパ球の分離
1)
胸水・腹水
穿刺採取
あるいは採血
リンパ球移入
3)
インターロイキン2
a)癌細胞
b)抗原ペプチド/樹状細胞
c)ビスフォスフォネート
原発巣
ペプチド
転移巣
投与総数
7
(×10 個)
副作用
(grade)
効果
総合
肺
1
膵
Muc-1
肺、胸膜、LN
10.5
─
PR
PR
2
膵
Muc-1
肺、肝
16.4
─
PD
SD
3
乳腺
CEA
肺
11.3
肝障害
(1)
SD
SD
4
結腸
CEA
肺、肝
14.1
─
PD
SD
5
悪性黒色腫
Gp100
肺、肝
0.9
─
PD
PD
6
結腸
CEA
肺、胸膜、LN
23.1
─
SD
SD
7
結腸
CEA
肺、骨
5.4
─
PD
PD
8
肺
Her-2
肺
14.9
─
PD
PD
9
結腸
CEA
肺
12.2
肝障害
(1)
PD
PD
10
直腸
SART-3
肺
17.3
─
SD
SD
リンパ球の活性化・培養
2)
11
結腸
CEA
肺、LN
15.7
発熱
(1)
SD
SD
(14日前後)
12
肺
SART-3
肺
13
─
PD
PD
13
直腸
CEA
肺、骨、LN
18
─
PD
SD
CEA
肺、肝
27
─
PD
PD
14
結腸
7
7
8
1×10 個/kg、3×10 個/kgは実施可能だが、1×10 個/kgは1例のみ実施可能。
7
3×10 個/kgで有効例あり→推奨投与細胞数
第 213 号
平成 20 年 8 月 25 日
それを他の免疫細胞に提示する抗原提
化します。
7
7
7
PDAKは1回当たり1×10 個/kg→3×10
した。この臨床研究では、実際に3×10
個/kg→1×108個/kgへと順次増量しまし
個/kgのリンパ球
(PDAK)
を投与できるこ
示細胞として最も重要な役割を担いま
癌 抗 原ペプチドで刺 激した樹 状 細
す。その抗原提示のプロセスを図3に示
胞によって活性化されたエフェクター細
た。エンドポイントは副作用、feasibility、
とがわかりました。ただ、このPDAKの
します。癌免疫療法で利用されるのは、
胞(αβT細 胞 )を、われわれはPDAK
用量設定、抗腫瘍効果です。その結
問題点としては、抗原ペプチドが多種多
癌細胞由来のペプチド(癌抗原ペプチ
(peptide pulsed DC activated killer)
果を表2に掲げました。原発巣は大腸癌
様であること、HLA拘束性があること
(対
細胞と呼び、このPDAKによる臨床研
が多く、抗原ペプチドはCEAが多いで
象が限られること)
、PDAKの増殖力が
経路です。そしてCD8 T細胞が、さらに
究を行いました。対象は同じHLAを有
す。副作用はほとんどなく、抗腫瘍効果
悪いことが挙げられます。
αβ型のT細胞すなわちCTLなどを活性
する癌抗原陽性の肺転移症例14例で、
は1症例のPRを除いて、SDまたはPDで
+
ド)がCD8 T細胞を刺激・活性化する
+
注目されるリンパ球と新規治療法の開発
●新しい活性化リンパ球:γδT細胞
今までに述べた活性化リンパ球は、癌
においてはどうか。転移のない時期では
善玉のDCやTh1細胞は休眠状態にあり、
抗原ペプチドがDCで処理されてHLA拘
転移のある時期には善玉も悪玉である
束性に刺激されたαβ型のT細胞(CTL、
Th2細胞やTregも増加していました。特
PDAKなどの獲得免疫系のT細胞)
でし
にTregは微小転移のある時点で動員さ
た。一方、蛋白(ペプチド)
ではなく、コ
れ、Th2細胞は転移が拡大するに伴い
レステロール代謝過程の一部を阻害す
誘導され、ともに居座ることがわかったの
るzoledronateがDCに作 用 すると、ピ
です。癌局所で抗原を捉えたDCがSN
ロリン酸モノエステルがHLA非拘束性
に移動する結果は認められず、癌局所
に作用する自然免疫系のγδT細胞を刺
ではその局所で免疫反応が起こり、SN
激することがわかってきたことから、この
では癌細胞が移動・転移することによっ
zoledronateにIL 2を加えてγδT細 胞
て免疫反応が引き起こされることが示唆
を誘導し、その癌細胞傷害活性などを
されました( 図5)。以上のことから、早
検討しました。その結果、癌細胞傷害
期癌の段階から善玉であるDCやTh1
活性は非常に高いこと、γδT細胞は簡
細胞は動員されるが、同時に悪玉であ
単に誘導・増殖することが可能であるこ
るTregも動員されることが抗腫瘍免疫
と、HLA非拘束性であるために誰にで
を考える上で問題として浮かび上がった
も実施できることがわかりました。またFc
のです。
receptor(+)
であるために、抗体と併用
すると効果が増強するADCCの可能性
*センチネルリンパ節は、腫瘍病巣
(癌局所)
から
癌細胞が最初に到達するリンパ節であり、
「見
張りリンパ節」
とも呼ばれます。
トラスツズマブやセツキシマブがγδT細胞
の抗腫瘍活性を増強することなどがすで
に報告されています。
●制御性T細胞の制御を併用した
活性化自己リンパ球移入療法
●センチネルリンパ節と免疫
抗原に対する免疫応答では、DCを
介してさまざまなリンパ球が動き出します
る活性化リンパ球を移入する治療法を検
討しました。
Tregは抗原特異的に誘導され、直
*
の
癌局所とセンチネルリンパ節 (SN)
接的に細胞間接触して、あるいはIL
CD83
抗原
CD80、CD86
遊走
iDC
HLA-DR
IL-12
Immature DC
CD4+
CD25
Foxp3
GATA3
Treg
Th1
Th2
IL-10
B
IFN-γ
IL-4
Th1
Treg
Th2
Treg、CCL22、
IL-10、TGF-β
DCIS
正常
T1、2、3
センチネルリンパ節
DC、Th1
Th2細胞、制御性T細胞(Treg)
などが
細胞膜表面に発現する抗原分子CD25
あり、それらがどのような動きをしている
に注目しました。このCD25に対する遺
のかを乳癌症例123例で検討しました。
伝子組み換えモノクローナル抗体として
乳癌症例を選んだ理由は、そのほとんど
basiliximabが製品化されていたからで
はSNが1つ(平均1.4個)
であり、解析し
す(適応:腎移植後の急性拒絶反応抑
やすいからです。
制)
。そして、実際の臨床試験の結果、
ワクチン
低濃度のbasiliximabがTregを抑制して、
AIT: 活性化リンパ球
γδT
LAK、TIL、CTL、PDAK、
転移(−)
微小転移(+)
DCIS: 上皮内癌 H&E.meta
(+)
: HE染色で同定可能な転移
図6 AIT on Conditioning(AIToC)
現在、Treg を制御(conditioning)
が移動して、転移のない時期には善玉
しながら、LAK、TIL、CTL、PDAK、
が反応し、転移がある時期には悪玉が
γδT細胞などの活性化自己リンパ球移
はびこると予想しました。ところが実際は、
入療法あるいはワクチン療法(adoptive
癌局所では早期にTh1細胞が増加して
immunotherapy; AIT)
を行うAIT on
おり、進行するに従い減少していました。
Conditioning(AIToC)
という臨床試験
同時にTregも早期から増加しており、
。
を実施しています(図6)
進行しても居座り続けていたのです。SN
抑制
抑制します。われわれは、このTregの
においては、癌局所で抗原を捉えたDC
Treg
Th2
方で癌抑制を減弱させる 悪玉 として
た症例を経験しました。
CTL
癌局所
細胞(Th1細胞、CTLなど)
の活性化を
い悪玉が増加すると予想しました。SN
T-bet
図5 癌局所とセンチネルリンパ節(SN)における免疫応答の流れ
善玉 としてDCやTh1細胞があり、他
活性化自己リンパ球移入療法が奏効し
CD8+
免疫応答解析のパラメーター
善玉= 樹状細胞
(DC)
:CD83、
IL-12
ヘルパーT(Th)
1細胞:IL-2、
TNF、IFN-γ、T-bet
悪玉= Th2細胞:IL-5、
IL-13、IL-4、IL-10、GATA3
制御性T細胞
(Treg)
:CD25、
CCL22、
Foxp3
免疫抑制因子:IL-10、TGF-β
10やTGF βを産生して、エフェクター
期には何も起こらないが、進行するに従
CD40
CCL22
癌免疫応答においては、癌抑制に働く
当初の作業仮説では、癌局所では早
mDC
Mature DC
活性化
。
(図4)
とする)Tregを制御して、癌を攻撃す
センチネルリンパ節
抑制
そこで、免疫を抑制する(癌を守ろう
癌局所
活性化
が示唆されました。
このADCCについては、
図4 抗原に対する免疫応答−樹状細胞とリンパ球
Treg
Conditioning
放射線療法
化学療法
(FLD、CPM)
(AIToC/CD25)
抗CD25抗体
H&E.meta(+)
平成 20 年 8 月 25 日
第 213 号
癌免疫療法には時代の変遷とともに期
なく研究を継続されてきた山口先生の20
法を紹介されました。実際、臨床例で奏効
待にも多少の波があって、1970 年代の非
数年に及ぶ癌免疫療法研究の概略をお話
した例を示され、一定の成績が得られたこ
特異的癌免疫療法、LAK療法の注目された
1980 年代、癌抗原ペプチドが発見された
1990年代などのある時期には、その将来
いただきました。さらに新たな方向として
とにより、今後の臨床応用が大いに期待さ
紹介された中で興味を引いたことの1つ
れます。従来から実施されてきた養子免疫
は、zoledronateによって誘導されるγδT細
としての活
療法
(adoptive immunotherapy)
性に大きな期待が集まった時期がありまし
胞です。これはHLA非拘束性であること、細
性化自己リンパ球移入療法に、Tregの制御
た。そして今は、
まさにワクチン療法や細胞
胞傷害活性が非常に高いこと、比較的容
という新しい戦術が加わったことになり、
今
療法が再度クローズアップされています。
易に誘導・増殖させることができるという
後の成果が待たれます。さらに今後の方向
(6月19
今年の「第29回癌免疫外科研究会」
意味で、今後の研究の展開が大いに期待
としては、免疫療法の対象が高度進行癌や
日∼20日)
における発表を見ても新たな展
されます。次に新たな研究として紹介され
再発癌のみではなく、
アジュバントとして施
開が予感されます。
たのは、癌局所とセンチネルリンパ節にお
行されるようになることが期待されます。
今回の講演では、
まず、現時点でコンセ
ける癌免疫応答の研究であり、そこから導
今回の講演では、
山口先生ご自身の研究成
ンサスの得られている免疫機構の仕組み
(Treg)
の
“悪玉”
と
き出された制御性T細胞
果をもとに比較的難しい癌免疫と癌免疫
と、主としてT細胞などのリンパ球の性質と
しての働きです。これは癌局所とその周囲
療法について、巧みなプレゼンテーション
役割を巧みなプレゼンテーションによって
の免疫応答を解明した点で興味深い研究
によって分かりやすく説明され、さらに今
氏
分かりやすく紹介していただきました。そ
です。さらに、最も新しい治療法である抗
後の研究への示唆も含まれ、
誠に意義深い
帝京大学医学部 名誉教授
れを踏まえて近年の癌免疫療法の歩んで
CD25抗体(basiliximab)を用いたTregの制
内容でした。
きた道筋と、その道筋に沿うようにたゆま
御を併用した活性化自己リンパ球移入療
司会:冲永
功太
9月
名越澄子(埼玉医大)
日薬アワー「第69回総会報告」
長谷部千登実(慶友会吉田H)
学薬アワー「食中毒について」
三井秀也(岡山大学)
全国薬局ホットラインとサプリメント
情報
∼江頭エーザイ
(福岡県)①
堀美智子(医薬情報研/SIC)
食事と健康─食事バランスガイドを
めぐって
浦出雅裕(兵庫医大)
全国薬局ホットラインとサプリメント
情報
∼江頭エーザイ
(福岡県)②
堀美智子(医薬情報研/SIC)
悪性腫瘍の骨転移─病態と診断・治療
内海美保(神戸学院大)
全国薬局ホットラインとサプリメント
情報
∼精美堂薬局池上店(東京都)①
堀美智子(医薬情報研/SIC)
抗うつ薬への満足度は何によって決
まるのか
山本信夫(日薬)
全国薬局ホットラインとサプリメント
情報
∼精美堂薬局池上店(東京都)②
堀美智子(医薬情報研/SIC)
慢性硬膜下血腫の診断と治療
横田勝司(学薬)
全国薬局ホットラインとサプリメント
情報
吉池信男(青森県立保健大)
64スライスのCTの冠動脈造影とし
ての位置づけ
内田淳正(三重大H)
最新の血管内画像診断法 ― OCT
の活用
重村 淳(防衛医大)
ACSの予知は可能か
小林士郎(日医大千葉北総H)
日本のエビデンスに基づいた降圧
薬治療
田辺健吾(三井記念H)
薬剤師のための漢方医学シリーズ
女性のための漢方 更年期
赤阪隆史(和歌山医大)
薬剤師のための漢方医学シリーズ
女性のための漢方 便秘
木原康樹(広島大)
薬剤師のための漢方医学シリーズ
高齢者のための漢方 関節痛
猿田享男(慶大)
薬剤師のための漢方医学シリーズ
高齢者のための漢方 便秘、下痢
熊谷由紀絵(横浜朱雀漢方医学C)
進行食道癌の治療戦略
熊谷由紀絵(横浜朱雀漢方医学C)
角膜移植の進歩
大野修嗣(大野クリニック)
NSAIDと消化管障害
大野修嗣(大野クリニック)
看護職の定着を目指す職能
17
西田幸二(東北大)
物理療法を科学する
24
菅野健太郎(自治医大)
小児股関節疾患における診断と治
療のピットホール
堀美智子(医薬情報研/SIC)
神経性起立性低血圧
荻野美恵子(北里大東H)
心イベント急性期におけるβ遮断約
の役割―Cardioprotectionか Cardiosuppressionか?
猪又孝元(北里大)
日
10
加藤抱一(国立がんC)
腰下肢痛・しびれの診断と治療
30
日
23
奥村元子(日本看護協会)
第23回日整会基礎学術集会開催に
あたって
[マルホ]
15 分
21:45 ドクター・サロン
[キョーリン製薬]
15 分
20:10 薬学の時間
[第一三共]
15 分
20:25 スズケン DI アワー
[スズケン]
15 分
星野雄一(自治医大)
胎児超音波スクリーニング
小原勝敏(福島医大H)
林田康男(順天堂大)
強迫性障害(OCD)
伊藤 茂(順天堂大)
石川俊次(ソニー産業保健部)
B型慢性肝炎の治療ガイドライン
宗像一雄(日医大武蔵小杉H)
山内俊一(帝京大)
災害医療における薬剤師の参加と
その意義
五十嵐正広(癌研有明H)
林田康男(順天堂大)
厚生労働省アワー
金 吉晴(国立精神・神経C)
関節リウマチ治療薬 アダリムマブ
熊田博光(虎の門H)
遺伝子組換えアルブミン製剤
小林映子(日赤医療C)
医薬品・医療機器等安全性情報
─最近の話題(13)─
(出演者未定)
ムコ多糖症Ⅵ型治療薬
ガルスルファーゼ
山中 寿 (東女医大)
抗酸菌感染症の画像と免疫
比留間潔 (比留間医院 )
小児麻酔─最近の話題
折井孝男 (NTT東日本関東H)
味覚障害の原因と対応
奥山虎之 (国立成育医療C)
関節リウマチの新たな生物学的製剤
トシリズマブ
石谷 健(東女医大)
山内俊一(帝京大)
第5回国際研究皮膚科学会(IID2008)を
終えて
島田眞路(山梨大)/戸倉新樹(産業医大)
古江増隆(九大) [提供:マルホ]
市中獲得型 MRSAと皮膚感染症
井上聖啓(札幌山の上H)
林田康男(順天堂大)
前立腺がん 最近の話題
古谷雄三(帝京大ちば総合医療C)
小宮 顕(富山大)/布施秀樹(富山大)
[提供:扶桑薬品工業]
クオンティフェロン TBの有用性
20:10 特別番組
明日の治療指針
ラジオ NIKKEI の医学番組をお聞きもらしの方には、 お申し込み
「医学番組」収録 CD を実費にてお届けいたします。 お問い合せ
19
有賀晴之(東京H)
“循環器疾患のみかた:診療の実際と進歩”シリーズ(2)
身体所見のとり方と検査所見のみかた
磯部光章(東医歯大)
齊藤郁夫(慶大保健管理C)
西本憲弘(阪大)
第71回日本皮膚科学会東京支部学術大会⑥
教育講演知りたいシリーズ4「再発する口内炎治療
のコツと指導」より「口内炎治療のコツと指導」
勝岡憲生(北里大)
療養病床を考える その4
現場から見た療養病床再編②
米良治子(共同通信)
川渕孝一(東医歯大)
プロラクチノーマ
秋山 剛(NTT東日本関東H)
石川俊次(ソニー産業保健部)
水痘の予防と治療における新しい知見
日
日
21:45 杏林シンポジア
[キョーリン製薬]
15 分
渡辺晋一(帝京大)
“循環器疾患のみかた:診療の実際と進歩”シリーズ(1)
循環器疾患診療のポイントと最近の進歩
永井良三(東大)
中村治雄(三越厚生)
12
日
金
21:15 アボット感染症アワー 5
[アボットジャパン]
15 分
25
池田 稔(日大)
第71回日本皮膚科学会東京支部学術大会⑤
教育講演知りたいシリーズ2「多汗症治療の
コツと指導」より「多汗症治療のコツ」
田中智子(東医歯大)
療養病床を考える その3
現場から見た療養病床再編①
米良治子 (共同通信)
川渕孝一(東医歯大)
職場復帰のリハ
感染症予防のための粘膜ワクチン
26 開発
浅野喜造(藤田保衛大)
“循環器疾患のみかた:診療の実際と進歩”シリーズ(3)
画像診断と生理検査
川名正敏(東女医大青山H)
大西 真(東大)
ラジオNIKKEI「医学情報番組」は、
イ
ンターネットラジオでライブ配信して
います。ラジオ放送と同時刻にパソコ
ンから番組をお聴きになれます。
ラジオNIKKEI医学情報HP
http://medical.radionikkei.jp の
〈インターネットラジオ〉のバナーか
らどうぞ。
小野昌美(東女医大)
山内俊一(帝京大)
日
婦人の血尿
(出演者未定)
21:45 ドクター・サロン
[キョーリン製薬]
15 分
18
日
11
羽鳥文麿(国立成育医療C)
第71回日本皮膚科学会東京支部学術大会④
シンポジウム7「21世紀を迎えて皮膚科研究は何が
起こっているか」より「研究は臨床に役立っているか」
塩原哲夫(杏林大)
療養病床を考える その2
第16回日本療養病床協会 全国研
究会 福岡大会を終えて
原 寛(原土井病院)
口部ディスキネジア
倉島篤行(東京H)
第71回日本皮膚科学会東京支部学術大会③
シンポジウム5「患者のための医療経済と医
療経営との違い」より「OTC医薬品の対策」
大路昌孝(大路皮膚科医院)
療養病床を考える その1
日
21:15 総合メディカルマネジメント
[総合メディカル]
20 分
高倉義典(奈良医大)
感染性腸炎
日
21:00 マルホ皮膚科セミナー
[マルホ] 7
15 分
佐藤雅人(佐藤整形外科)
心不全
日
4
清水克時(岐阜大)
胃内視鏡における色素散布
日
木
20:40 医学講座
[第一三共]
20 分
50 分
16
日
3
マルホ整形外科セミナー 6
9
日
21:00
医学講座
稲尾和彦(高崎H)
C型慢性肝炎:高齢者の治療におけ
る問題点
仲 弥(仲皮膚科クリニック)
薬剤師が担う救急医療
日 日
水
20 分
日
20:40
29
川合眞一(東邦大大森H)
C型慢性肝炎:病態、治療効果と性差
日
20:25 ツムラ・メディカル・トゥデイ
[ツムラ]
15 分
22
日
21:00 心臓財団虚血性心疾患セミナー
[トーアエイヨー]
15 分
病院薬剤部門業務における診療報
酬の留意点について
遺伝子組換えトシリズマブ
西條長宏(国立がんC東H)
高齢者の爪白癬治療のコツ
日
20:40 医学講座
[塩野義製薬]
20 分
2
5
閲覧可
ホームページでオンデマンド放送あり
廣畑俊成(北里大)
ビスフォスフォネート系薬剤に関連
する顎骨壊死
日
[ コサナ ]
15
内田信也(静岡県立大薬学教育研究C)
ループス精神病の病態・診断・治療
[提供社名] テキストで内容を
浅井貞宏(サン・レモ リハビリH)
マゴットセラピー
(ウジムシ治療)
日日
火
15 分
8
放送番組名
○分
放送番組と企画団体 医学講座/日本医師会、病薬アワー/日本病院薬剤
師会、薬学の時間/日本薬剤師会、歯科医の時間/日本歯科医師会、虚血
性心疾患セミナー/日本心臓財団、専門薬剤師講座/日本病院薬剤師会
ペメトレキセドナトリウム水和物
日
20:10 薬学の時間
[塩野義製薬]
15 分
未定(未定)
アルコール誘発喘息
日
1
21:15 医学の焦点
15 分 [ミノファーゲン製薬]
薬剤師・登録販売者のための
20:25
総合サプリメント情報
病院薬剤師のための遺伝子多型の
基礎
改正GCP省令の留意事項
放送時間
主な聴取対象
=薬剤師 =歯科医師
第一放送 3.925MHz 6.055MHz 9.595MHz
日
月
20:10 病薬アワー
[万有製薬]
15 分
番組表
放送時間の
長さ
※番組のテーマ・出演者などが都合に
より変更になる場合があります。ご
了承ください。
清野 宏(東大医科研)
“循環器疾患のみかた:診療の実際と進歩”シリーズ(4) ■最新の番組は、ラジオNIKKEI医学情
報局HPのWEB版番組表をご参照く
専門的検査
ださい。
清野精彦(日医大千葉北総H)
齊藤郁夫(慶大保健管理C)
〒107-8373 東京都港区赤坂 1-9-15 TEL.03-3583-8436(代)FAX.03-3582-1944 株式会社日経ラジオ社 医学 CD 係まで
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