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- 55 - 3章 気密性能測定 相当隙間面積の測定は、気密工事完了後に

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- 55 - 3章 気密性能測定 相当隙間面積の測定は、気密工事完了後に
3章 気密性能測定
3章
気密性能測定
相当隙間面積の測定は、気密工事完了後に㈶建築環境・省エネルギー機構が認定し
た気密測定技能者が試験を実施することとし、試験方法は「JIS A2201:2003 送風機に
よる住宅等の気密性能試験法」又は同財団の定める住宅の気密性能試験方法によるも
のとする。
以下に、JIS による試験方法(減圧法の場合)の要点を記す。
3.1
適用範囲
JIS A2201 は、送風機を用いて建物内外に圧力差を生じさせ、主に住宅に供する建
物及び建物の部位における気密性能を試験する方法に適用するもので、建物内外に圧
力差を生じさせる方法には、室内を加圧する場合と減圧する場合があり、それぞれ加
圧法及び減圧法と称する。
3.2
気密測定の手順
住宅の気密測定の一般的な手順を図 3.2.1 に示す。
気密測定の手順
1.測定住宅の建物外皮位置の確定
2.住宅の「実質延床面積 S[㎡]」の
計算(3.7参照)
3.測定による内外圧力差と通気量の関係を求
める
(1)測定機器の設置(3.5.4参照)
(2)測定時の建物条件に設定(3.5.1参照)
(3)測定外部環境条件の確認(3.5.2参照)
(4)測定の実施と測定後の確認(3.5.4参照)
4 . 測 定 値 か ら 計 算 に より 「 総 相 当 隙 間 面 積
(αA[㎠])」を求める(3.6参照)
5.「相当隙間面積(C[㎠/㎡])」を求める
C[㎠/㎡]=αA[㎠]÷S[㎡]
(3.6参照)
図 3.2.1
気密測定の手順
- 55 -
5)
3章 気密性能測定
3.3
用語の定義
3.3.1
気密性能
建物の内外を隔てる外周部分(建物外皮)または建物の部位で内外を隔てる部分の
密閉性の程度を意味し、総相当隙間面積または相当隙間面積で表す。
3.3.2
建物外皮
外壁、屋根、天井、基礎、床、開口部などの部位であって、建物内外を気密に隔て
る部分をいう。共同住宅では、隣戸との界壁などの境界を建物外皮とみなす。
3.3.3
通気量
Q
送風機によって建物内外に圧力差を生じさせたときに、建物外皮または部位の隙間
を通して外から内へ、もしくは内から外へ流れる空気の量。
3.3.4
通気特性式
次式で表される建物の内外圧力差(∆P)と通気量(𝑄)との関係を示す式。
Q = a(∆𝑃)1/n
Q :通気量
∆P :圧力差
a :通気率
3.3.5
通気率
(1)
[𝑚3 /ℎ]
[Pa]
1
[𝑚3 / (ℎ ∙ 𝑃𝑎𝑛 )]
a
通気特性式の係数で、建物内外の圧力差が 1Pa のときの1時間当りの通気量。
3.3.6
隙間特性値
𝑛
隙間の状態を表し、通気特性を対数で表した場合の直線の傾き。一般に、𝑛 は 1~2
の範囲の値をとり、隙間が小さい場合は 1 に近づき、単純開口のように隙間が大きい
と 2 に近づく。
3.3.7
𝛼A
総相当隙間面積
建物内外の圧力差9.8Pa時の通気量から、隙間と等価の単純開口の有効面積を算出し
たもの。一般には、単純開口面積Aに流量係数α(0 ≤ α ≤ 1)を乗じたものを有効開口面
積、有効面積または実行面積という。
3.3.8
実質延床面積
S
原則的に建物外皮内の換気にかかわる部分の延床面積で、3.7 によって算出され
る床面積。
3.3.9
相当隙間面積
C
総相当隙間面積(𝛼A)を建物外皮内の実質延床面積(𝑆)で除したもの。
- 56 -
3章 気密性能測定
3.4
試験装置
3.4.1
試験装置の構成
試験装置は、図 3.4.1 に示すように、送風機、流量調整器、流量測定装置、圧力差
測定器(差圧計)、温度計などから構成される。
図 3.4.1
3.4.2
試験装置の構成(減圧法) 5)
機器
(1)送風機
送風機は、建物内外に所定の正圧または負圧の圧力差を設定できるものとする。
(2)流量調整器
流量調整器は、送風機の流量を可変にし、各圧力差において流量を測定する間は、
一定の流量が維持できるものとする。
(3)流量測定装置
流量測定装置は、流量の測定範囲内において±5%以下の精度で測定ができるもの
とする。
(4)圧力差測定器
圧力差測定器は、圧力差の測定範囲が 10~100Pa 程度において、±0.5Pa 以下の精
度で測定ができるものとする。
(5)温度計
温度計は、±1K の精度で測定できるものとする。
(6)その他の測定器
測定時の状況を把握するためには、風速計及び気圧計を用いる。
- 57 -
3章 気密性能測定
3.5
試験方法
3.5.1
住宅の測定時の建物条件
測定時の建物条件は、原則として、以下の通りとする。
(1)住宅の気密性能は、基本的に建物の完成状態で測定する。
(2)建物全体が単一空間として圧力が応答するように各室のドアなどは開放する。
ただし、建物外皮に接しない押入のふすまやクローゼット、カップボードの扉
は除くことができる。また、基本的に建物の完成状態で測定する。
(3)屋根断熱の小屋裏、基礎断熱の床下・地下空間などは、出入口のドアや改め口
があれば開放し、室内側とする。出入口のドアや改め口がない場合は外気側と
みなす。また、建物内にある車庫は外気側とみなすので、室内に通じるドアは
閉めた状態とする。
(4)同時給排気ファン及び台所、トイレなどの排気ファンは停止する。また、自然
排気型または強制排気型の燃焼機、暖炉、空調機(エアコン)などは停止する。
(5)開口部、同時給排気口及び換気口が建物外皮に取り付けられている場合、また
は配管やダクトが外皮を貫通している場合は、表 3.5.1 に示した処理を行う。
表 3.5.1
処理の仕方
番号
目張りしないで閉じ
1
るだけの場所
開口部、給排気口などの処理の仕方
部
位
建物外皮にあるドア・窓
5)
開閉状態など
備
考
ロック(施錠)だけ
2
(1)
天井・床下改め口
普通に閉めた状態
3
ドアなどの郵便受け
普通に閉めた状態
4
車庫に通じるドア
普通に閉めた状態
5
基礎と床の両方を断熱している地下
普通に閉めた状態
-
へ通じるドア
テープなどで目張り
6
換気レジスター
シャッター閉
をしてもよい場所
7
台所レンジファン
シャッター閉
8
換気扇・天井扇(ファン)
シャッター閉
9
FF 式以外の煙突の穴
ダンパー閉
10
屋外へ通じる排水管(2)
封水の状態
11
集中換気システムの給排気ダクトの
12
建物外皮の外側にある開口部(3)
うにする。
-
屋外側出入り口
開ける場所
空気漏れのないよ
普通に開けた状態
必ず開ける。
注(1) この場合は、実質延べ床面積に算入しない小屋裏や床下で、天井や床に設けられた改め口を指す。
(2) 建物外皮の配管やダクトの貫通部回りはそのままとし、目張りはしない。
(3) 例えば、玄関の風除室やサンルームなど
3.5.2
試験時の外部風速
試験時には、外部に風速がない状態で測定することを原則とする。ただし、微風速
による建物内外の圧力差が 3Pa 以下であれば測定できる。
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3章 気密性能測定
3.5.3
試験時の室内温度
試験時の室内温度は、5~35℃の範囲で測定する。また、建物内の温度はできるだけ
均一となるようにする。
3.5.4
測定手順
(1)試験装置の設置
試験装置は、建物の気密性に影響しないような建物外皮の開口部 に設置し、できる
だけ小さな窓などを選択する。外部に微風速がある場合は、風の影響を避け、風下側
の開口部に設置する。試験装置の給(排)気口と開口部の接続は適切なふさぎ部材を
用い、隙間があればテープなどでシールし気密にする。
(2)気温の測定
室温の測定位置は、日射や暖房機の放射の影響を受けない場所とし、減圧法の場合
は測定室の中央部とする。外気温の測定位置は、建物外皮の近傍で、日射の影響を受
けない、風通しのよい場所とする。また、室温及び外気温は、試験前後の両方で測定
する。
(3)圧力差の発生
圧力差は、送風機風量を流量調整器によって徐々に増加させ、室内空気を屋外に排
気して減圧することによって発生させる。
(4)圧力差の測定
圧力差の測定のためのチューブ先端は、圧力差を正しく測定するために、室内にあ
っては測定時の試験装置の送風の影響を受けにくい場所に、また、屋外にあっては、
試験装置の送風や風の影響を受けにくい場所に設置する。設置箇所は、原則として室
内外とも1カ所とする。
(5)圧力差測定器のゼロ点の確認
圧力差を測定する前に、チューブをはずして圧力差測定器の差圧のゼロ点を確認す
る。圧力差測定器などの電子機器は、電源投入後 10 分間程度は安定しないため、十分
な暖機運転を行うこと。
(6)ゼロ流量時の建物内外の圧力差の測定
測定前に試験装置の整流筒などの開口をふさぎ、ゼロ流量時の建物内外の圧力差を
測定する。その時点の圧力差が 3Pa 以下であることを確認して測定を行う。測定終了
後、再びゼロ流量時の内外圧力差を測定し、測定前後で圧力差が変化していないこと
を確認する。測定前後で 1Pa 以上の差がある場合は測定をやり直す。
(7)通気量の測定
通気量は、送風機の流量調節器によって圧力差を変えて、圧力差の測定範囲をほぼ
等間隔となるように5点以上測定する。圧力差の測定範囲は、通常 10~50Pa とする。
微風速のある場合は、風の影響を小さくするために 30~70Pa と高めの圧力差で測定す
る。
圧力差の測定は、安定した状態の平均値とし、1Pa までを読み取る。また、各圧力
段階の通気量は、圧力の安定したときの平均値を整数で読み取る。
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3章 気密性能測定
(8)測定回数
圧力差と通気量の測定回数は、1回を原則とする。ただし、測定結果にばらつきが
大きい場合は、3回以上測定した相当隙間面積の平均値を求める。
3.6
試験結果
3.6.1
通気量Qの算出
測定した通気量𝑄𝑚 [𝑚3 /ℎ]から、次式によって建物の隙間を流れる通気量 Q[𝑚3 /ℎ]を
求める。ただし、内外温度差が 10K 以内であれば、測定した通気量𝑄𝑚 を通気量Qとし
てよい。
減圧法の場合
Q = 𝑄𝑚 ∙
273+𝑡𝑜
t o :外気温度
3.6.2
(2)
273+𝑡𝑖
t 𝑖 :室内温度
[℃]
[℃]
圧力差∆Pの補正
圧力差∆Pは、測定時の圧力差∆Pm [P𝑎]からゼロ流量時の内外圧力差∆P0 [P𝑎]を差し引
いて、次式により求める。
∆P = ∆Pm − ∆P0
3.6.3
(3)
通気量の通気特性式及び回帰線図
圧力差∆Pと通気量Qから、(1)式を
用いて最小二乗法によって回帰させ、
隙間特性値𝑛 及び通気率𝑎 を求め
る。
通気量の回帰線図は、図 3.6.1 に
示すように、両対数グラフ上では直
線で表すことができる。ただし、𝑛
が 1~2 の間の値にならない場合は、
そのデータを使用せず、建物条件や
測定方法を確認し、再度測定を行う。
図 3.6.1
3.6.4
通気量グラフと回帰線図
総相当隙間面積αAの算出
通気量の回帰式と圧力差 9.8Pa 時の通気量を求め、これを𝑄9.8 とする。総相当隙間
面積αAは、次式によって算出する。ただし、有効数字は3けたとする。
αA =
1
0.36
𝜌
𝑎×( )
2
1
1
2
× (9.8)𝑛
−
- 60 -
1
2
5)
3章 気密性能測定
1
= 𝑎 × (9.8) 2 × 𝑏 = 𝑄9.8 × 𝑏
(4)
ここで、𝑏 は、
1
𝑏 =
𝜌
×( )
0.36
2
1
2
1
αA :総相当隙間面積
ρ
1
× (9.8) 2 = 0.627𝜌2
(5)
[c𝑚2 ]
:隙間を流れる空気の密度
𝑄9.8 :圧力差 9.8Pa 時の通気量
[𝑘𝑔/𝑚3 ]
[𝑚3 /ℎ]
𝜌 は隙間を流れる空気の密度[𝑘𝑔/𝑚3 ]で、次式で表される。
𝜌
=
353
(6)
273+𝑡
ただし、空気温度t[℃]は、減圧法の場合は外気温𝑡𝑜 [℃]になる。また、係数𝑏 は、表
3.6.1 の値とすることができる。
表 3.6.1
係数𝑏 の値(減圧法) 5)
𝑏
測定時の室温(℃)
3.6.5
5~15 未満
0.700
15~25 未満
0.689
25~35
0.677
相当隙間面積Cの算出
相当隙間面積Cは次式によって算出する。Cは小数点第 2 位を四捨五入し小数点以下
1桁で表す。
C=
𝛼𝐴
(7)
𝑆
C
:相当隙間面積
[𝑐𝑚2 /𝑚2 ]
S
:実質延床面積
[𝑚2 ]
- 61 -
3章 気密性能測定
3.7
実質延床面積(S)の算出方法
3.7.1
熱損失係数を算出する際の床面積の算出方法による場合
この算出方法は、住宅の熱損失係数を算出する場合と同じで、一般の建築基準法上
の延床面積𝑆𝑔 に、階段や吹き抜け空
間がある場合に上階の床高さを延長
し、屋根下面から 2.1m 以上の部分を
仮想床面積𝑆𝑖 として加算する。また、
50cm 以上の出窓は、その部分の仮想
面積を求めて加算する。
なお、この方法による算出は、建
物外皮が、図 3.7.1 のように床や天
図 3.7.1
床断熱や天井断熱の場合の実質
床面積の算出 5)
図 3.7.2
屋根断熱、基礎断熱の場合の実質
床面積の算出 5)
井にある場合に適用する。
3.7.2
屋根断熱や基礎断熱の場合
外張工法などで屋根断熱や基礎断
熱とする場合、小屋裏や床下に通じ
る出入口や改め口があれば、図
3.7.2 に示すようにこれらの空間の
気積を求め、仮想天井高を 2.6m とし
て仮想床面積を算出する。実質延床
面積は、建築基準法上の延床面積に
この仮想床面積を加算し、次式のよ
うに求める。なお、吹き抜けや 50cm
以上の出窓は、その部分の気積を求め、
同様に 2.6m の仮想天井高として仮想
床面積を求めて加算する。
𝑆𝑖 =
𝑉1 +・・・𝑉𝑖 +・・・+𝑉𝑛
(8)
2.6
S = 𝑆𝑔 + 𝑆𝑖
(9)
𝑆𝑖 :小屋裏、床下、吹き抜けなどの仮想床面積
𝑉𝑖 :小屋裏、床下、吹き抜けなどの気積
𝑆𝑔 :外皮内の建築基準法上の延床面積
S :実質延床面積
3.7.3
[𝑚2 ]
[𝑚3 ]
[𝑚2 ]
[𝑚2 ]
不規則な吹き抜け空間がある場合
図 3.7.2 のような不規則な吹き抜け空間がある場合は、仮想天井高を 2.6m としてそ
れ以上の空間の気積V3 [𝑚3 ]を求め、次式によって仮想床面積を算出する。実質延床面
積は、外皮内の建築基準法上の延床面積𝑆𝑔 に仮想床面積𝑆𝑖 を加算する。ただし、天井
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3章 気密性能測定
ふところの気積は除く。実質延床面積は、
建築基準法上の延床面積にこの仮想床面積
を加算したものとする。
𝑆𝑖 =
𝑉3
2.6
S = 𝑆𝑔 + 𝑆𝑖
(10)
(11)
図 3.7.3
3.7.4
不規則な吹き抜け空間が
ある場合の実質床面積の
算出 5)
建物外皮内の気積から求める場合
建物外皮内の気積𝑉𝑡 [𝑚3 ]を求め、仮想天井高を 2.6m として、これで気積を除した実
質延床面積Sは次式により算出する。ただし、𝑉𝑡 [𝑚3 ]は、階間の天井ふところの気積は
除いて求める。
S=
𝑉𝑡
2.6
(12)
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