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iRIC Software Changing River Science CUBE 事例集 Nays — 実河川編 — 監修: 木村一郎(北海道大学大学院工学研究院) 編集・執筆: 向井直樹(株式会社 石田義明(株式会社 ドーコン) 水工技研) Last Updated:2011.12.22 Release: 2011.12.24 Copyright 2011 iRIC Project All Right Reserved. 目次 I. 概要 .......................................................................................................................................... 1 I.1 Nays CUBE とは .................................................................................................................. 1 I.2 Nays CUBE 事例集について ................................................................................................ 2 I.3 Nays CUBE を開く .............................................................................................................. 3 II. Nays CUBE による実河川の3次元流れの計算例 .................................................................. 4 II.1 河川測量データから格子生成.............................................................................................. 5 II.1.1 河川横断線の読み込み ................................................................................................... 5 II.1.2 背景画像の取り込みと位置合わせ ................................................................................. 8 II.1.3 河川横断線の調整 ........................................................................................................ 13 II.1.4 計算格子の生成 ............................................................................................................ 16 II.2 計算条件の設定 ................................................................................................................. 24 II.2.1 計算条件の設定 ............................................................................................................ 24 II.3 計算の実行 ......................................................................................................................... 27 II.4 計算結果の可視化 .............................................................................................................. 28 II.4.1 計算結果の可視化 ........................................................................................................ 28 III. Nays CUBE による実河川の河床変動計算例 ...................................................................... 34 III.1 計算格子の変更 ................................................................................................................. 35 III.1.1 格子の再作成............................................................................................................... 35 III.1.2 障害物セルの設定 ....................................................................................................... 40 III.2 計算条件の設定 ................................................................................................................. 42 III.3 計算の実行......................................................................................................................... 44 III.4 計算結果の可視化 .............................................................................................................. 45 IV. Nays CUBE による複雑な計算条件の設定例 ...................................................................... 47 IV.1 領域別粗度の設定方法 ...................................................................................................... 48 IV.2 植生の設定方法 ................................................................................................................. 51 I. 概要 I.1 Nays CUBE とは Nays CUBE は,河川流,河床変動の三次元ソルバーです. 河川は一般に水深スケールに比べて,川幅スケールが数オーダー大きいため,浅水流近 似の水深積分方程式の適用により,有る程度の現象を再現できることが知られています. このような水深積分モデルに基づくソルバーとして,Nays-2D, Morpho-2D などのソルバー が iRIC に用意されています.しかし,構造物周辺や湾曲部,複断面流れなどにおいては, 局所的に流れの三次元構造が卓越し,二次元ソルバーでは流動特性や河床変動特性を十分 再現できない場合があります. このような流れの三次元性を考慮した解析方法としては,①流れの三次元性(特に二次 流)を考慮した水深積分モデルを用いる方法,②静水圧近似の三次元流れの基礎式を用い る方法,③動水圧を考慮した三次元流れの基礎式を用いる方法,などの種々の方法があり ます.通常,計算機負荷は①→③に向かって大きくなり,計算精度もそれに応じて高くな ります. 本 Nays CUBE ソルバーは,③の動水圧を考慮した三次元流れの基礎式を河川流に適用す るものです. 流れの 3 次元性を考慮する上で,何ら近似を行っていないため,湾曲部の第一種二次流, 構造物周辺の馬蹄渦などを再現できるだけでなく,非線形乱流モデルを装備しているので, 第二種二次流のような乱流の非線形性に起因する現象も再現できるため,通常の河川で問 題となる流れ現象については,そのほぼ全てを考慮できるといえます. ただし,計算機負荷は Nays-2D に比べて1オーダー以上大きいため,河川の広い領域を 検討するというよりは,短いスパンの局所的スケールの現象を切り出して詳細に検討する 上で,有効なソルバーといえるでしょう. ところで,本ソルバーは複雑な河川の三次元形状を移動一般曲線座標変換により直交座 標からなる計算空間に変換して計算を進めます.この際,元の複雑な河川の計算格子は一 辺の長さが1の立方体(CUBE)の集まりに変換されます.本ソルバーの名称の語源はここ から来ています. [Nays CUBE Solver Manual より抜粋] 1 I.2 Nays CUBE 事例集について 事例集では、典型的な問題をユーザーに最初から最後まで処理する手順を具体的に示す ことを目的としています。事例集を読んでいただければ、個々の問題を順を追って処理す るために十分な解説が得られると思いますが、場合によっては事例集で使用するツールを 説明したユーザーマニュアル・ソルバーマニュアルを参照してください。 [事例集の内容] Ⅱ章 Nays CUBE による実河川の 3 次元流れの計算例 Ⅲ章 Nays CUBE による実河川の河床変動計算例 Ⅳ章 Nays CUBE による複雑な計算条件の設定例 注:本事例集は Nays CUBE を用いて数値解析を行う手順を具体的に示すことを主眼にお いています。実際の問題で流れの 3 次元構造を表現するためには、計算格子の細かさ や計算条件を十分に検討する必要があります。 2 I.3 Nays CUBE を開く 1. iRIC を立ち上げ、[iRIC スタートページ]から「新しいプロジェクト」を選択します。 ※スタートページでの操作 詳細は「iRIC ユーザマニュア ル」の P12 を参照してくださ い。 2. [ソルバーの選択]ダイアログで、[Nays CUBE]を選択し、OK します。 3 II. Nays CUBE による実河川の3次元流れの計算例 目的 本章は、数値計算をしたことが無い河川技術者又は河川系の学生が Nays CUBE を用いて、 自ら数値計算を行い、計算結果を可視化する技術を習得することを目的とします。 作業手順 本章の作業手順を図 II-1 に示します。 図 II-1 本章における作業手順 4 II.1 河川測量データから格子生成 II.1.1 河川横断線の読み込み 1. [インポート]メニューから[地理情報]-[河床高]を選択します。 ※Nays CUBE で利用でき る格子生成機能 Nays CUBE では、以下の 4 つ の格子生成方法を選択できま す。 ・DEM からの格子生成 ・河川横断線から格子生成 ・幾何学的な格子生成 ・矩形領域の格子生成 本章では、河川横断線から格 子生成について解説します。 図 II-1 河川測量データの読み込み 2. サンプルデータの[Nays CUBE_Example]フォルダ内の[test.riv]を選択して開きます。 ※河川測量ファイル 河 川 測 量 フ ァ イ ル ( *.riv ) は、横断データ(左右岸の xy 座標)と、断面データ(左岸 からの距離と河床高)からな るファイル形式です。 河川測量ファイルのフォーマ ットについては、「iRIC 関連 ファイルマニュアル」の P22 を参照してください。 図 II-2 河川測量データの読み込み riv データを読み込んだ直後 の画面です。riv データ内の 全データが表示されます。 また、オブジェクトブラウ ザの河床高に“河川測量デー タ1”が追加されているのが 分かります。 マウス操作で、回転、拡大・ 縮小、移動を行うことが出来 ます。 マウス操作のヒント(下図) 図 II-3 河川測量データの読み込み直後 5 3. 不要区間の選択と削除 riv データには計算に不要な 区間が含まれていることがあ ります。 不要な区間を削除するために は、削除したい領域を選択し ます。 ここでは、KP0.2 から KP7.6 までを選択してみます。 マウス左ボタンを押しなが らドラッグすると、領域選択 の四角形が表示されるので、 削除したい領域が含まれるよ うにして、右ボタンを離しま す。 注)riv データそのものを編集 して、必要な区間のみとす ることもできます。 図 II-4 不要区間の選択① 左ボタンを離すと、選択され た側線が左図のように強調表 示されます。 図 II-5 不要区間の選択② この状態で、右ボタンメニ ューから[削除(D)]を選択し ます。 図 II-6 不要区間の削除① 6 選択した区間が削除されま す。 図 II-7 不要区間の削除② 本事例では、KP10.0 より上 流も削除し、KP7.8 から 9.8 の区間を計算対象とします。 図 II-8 不要区間の削除③ 7 II.1.2 背景画像の取り込みと位置合わせ 1. [インポート]メニューから[背景画像]を選択します。 ※背景画像 計算格子の作成時に地図や航 空写真などの背景画像を取り 込みことによって、堤防や河 岸線、低水路と高水敷の境界 線などを考慮した計算格子の 作成が可能となります。ま た、障害物セルなどの指定 も、背景画像を参照しなが ら、設定することが可能とな ります。 図 II-9 背景画像の取り込み 2. サンプルデータの[Nays CUBE_Example]フォルダ内の[test.jpg]を選択して開きます。 図 II-10 背景画像の取り込み 3. 取り込み直後の画面。 オブジェクトブラウザに取 り込んだ画像のファイル名が 追加されていることがわかり ます。 複数の画像を取り込む時 は、同じ手順を必要なだけ繰 り返します。 図 II-11 背景画像の取り込み直後 8 4. [移動][回転][拡大縮小]を用い、河川測量横断背景画像の概略の位置合わせを行い ます。 まず、概略の位置合わせを行 います。 コントロールキーを押しな がらマウス操作を行うと、河 川測量横断と背景画像が一緒 に動きます。 背景画像だけを動かすに は、オブジェクトブラウザ で、読み込んだ画像を選択 し、コントロールキーを押さ ないでマウス操作を行いま す。 画像の大きさを変更するに は、マウス中ボタン押下しな がらマウスを移動します。 ※位置合わせのヒント 図 II-12 背景画像の位置合わせ 5. 横断の表示範囲を変更し詳細に位置合わせを行う。 詳細に位置合わせを行うに は、河川の低水路・高水敷の 境界や堤防を参考にするのが 便利です。 Riv データには、堤内地の 情報も含まれていることが多 いので、堤内側を表示しない ようにすると、位置合わせに 便利です。 オブジェクトブラウザで、 “河川測量データ”を選択す ると、河川横断が編集可能に なり、河川の測線が表示され ます。 図 II-13 河川横断測量データの選択 この状態で、編集したい河 川横断をマウス左ボタンで選 択します。 すると、選択した河川横断 が強調表示されます。 図 II-14 編集したい測線の選択 9 河川横断の中心点(図青 点)を選択し、左ボタンをダ ブルクリックするか、右クリ ックメニューから[横断面の表 示(C)]を選択します。 図 II-15 横断面の表示方法 編集対象の横断面が黒線で 表示されます。 前後断面を参照しながら編 集することができます。 表示する断面は、赤線およ び青線のドロップダウンリス トから選択することができま す。 図 II-16 横断面の表示 マウスの左ボタンを押下し ながらドラッグすると領域が 表示されます。 操作したい点が領域に含ま れるようにして、左ボタンを 離します。 図 II-17 点の選択 10 選択された点は強調表示さ れます。 図 II-18 選択された点 この状態で右ボタンメニュ ーから[無効化(I)]を選択しま す。 *)[削除(M)]も構いませんが、 試行錯誤しながら計算格子 を作成するためには、[無効 化(I)]の方が便利です。 図 II-19 座標点の無効化 無効化された座標点は、緑 のマークで表示されるように なります。 右岸側も同じように無効化 します。 図 II-20 無効化された座標点 11 河川測量横断に戻ると、有 効な測量点の範囲だけが表示 されていることがわかりま す。 図 II-21 無効化後の河川測量横断 同様に計算対象範囲全体に 渡って、堤内側が表示されな いようにしておきます。 ただし、湾曲部は背景画像 との位置合わせを行った後 に、横断の調整と合わせて有 効範囲を設定することを推奨 します。 図 II-22 無効化後の河川測量横断 堤防の位置等を参考に背景 図面の河川横断の位置合わせ を行います。 図 II-23 背景画像の位置合わせ 12 II.1.3 河川横断線の調整 ■河川横断線の回転 1. [オブジェクトブラウザー]の[河川測量データ 1]を選択し、編集したい河川横断線の 青丸をクリックします。 ※回転調整の必要性 河川横断線同士が交差してい ると格子生成が行えません。 選択した横断線の左右に赤 丸・緑丸が表示されます。 図 II-24 河川横断線の回転① 2. 赤丸か緑丸をクリックし左右に回転させます。 ※回転調整のヒント 赤丸・緑丸をクリックし、下 のマークが現れたら、河川横 断線を回転させられます。 詳細は、「iRIC ユーザマニュ アル」の P65 を参照してくだ さい。 図 II-25 河川横断線の回転② 13 ■河川横断線の伸縮と移動 1. 編集したい河川横断線の青丸を左クリックで選択した後、右クリックします。 ※伸縮と移動の必要性 河川横断線を回転させること で、河川横断線が堤防を飛び 出すことがあります。このま まだと、実際の河川よりも、 計算上の川幅が広いことにな るため、河川横断を伸縮・移 動し調整を行います。 図 II-26 河川横断線の伸縮と移動 2. 右クリックから[左右への伸縮]を選択して伸縮させます。 ※伸縮のヒント 右クリックから、[左右への伸 縮]を選択すると、左図のよう なダイアログが出現します。 数値を入力すると、伸縮しま す。 詳細は、「iRIC ユーザマニュ アル」の P67 を参照してくだ さい。 図 II-27 河川横断線の伸縮ダイアログ 14 注)横断調整を「左右への伸 縮」で行うべきか、「座標 点の無効化」で行うべきか は一概には言えません。対 象河川の地形や横断形状を 十分に検討して判断してく ださい。 ■中心点のシフト 1. 編集したい河川横断線の青丸をクリックします。 ※中心点のシフトの必要性 iRIC では、中心点を中心とし て左右にお等しい数の格子分 割を行うことで格子生成を行 います。このため、中心点が 低水路中央になるように調整 します。 図 II-28 中心点のシフト 2. 河川横断線の中心点にマウスカーソルを移動させた状態で、シフトキーを押下しな がらドラッグし中心点をシフトさせます。 背景図を参考にしながら、 計算範囲の中心点を移動 し、中心線が滑らかな線形 になるように調整します。 ※中心点のシフトのヒント 詳細は、「iRIC ユーザマニュ アル」の P66 を参照してくだ さい。 図 II-29 中心点のシフト 15 II.1.4 計算格子の生成 ■格子生成アルゴリズムの選択 1. [格子(G)]メニューの[格子生成アルゴリズムの選択(S)]を選択します。 図 II-30 格子生成アルゴリズムの選択 2. [アルゴリズム]から[河川測量データから生成]を選択し、OK をクリックします。 図 II-31 格子生成アルゴリズムの選択画面 16 ■分割点の追加(流下方向の格子分割) 1 [格子]メニューの[格子生成条件]-[分割点の一括追加]を選択します。 図 II-32 分割点の追加(流下方向の分割) 2 [分割点の一括追加]のダイアログで分割数を指定し、OK します。 ※格子数と計算負荷 格子の分割数は多い方が計算 精度は向上しますが、計算に かかる時間が長くなります。 計算時間と計算精度のバラン スを考えながら設定してくだ さい。 図 II-33 分割点の一括追加ダイアログ 流下方法の分割点(黄色)が 追加されました。 図 II-34 追加された分割点(流下方向の分割) 17 ■分割点の追加(横断方向の格子分割) 1 2 横断方向の青い線をクリックすると、太く表示されます。 上記の状態で、右クリックから[分割点の追加]をクリックします。 左図では、中心点の左岸側を 選択しています。 注)オブジェクトブラウザー で「格子生成条件」を選んで アクティブにしておく必要が あります。 図 II-35 分割点の追加(横断方向の分割)① 右クリックメニューから、[分 割点の追加(A)]を選択しま す。 図 II-36 分割点の追加(横断方向の分割)② 3 4 [分割点の追加]ダイアログで分割数と分割方法を設定し、OK します。 右岸側も同様に分割します。 本事例では、4 分割(等分 割)にしています。 図 II-37 分割点の追加ダイアログ 18 注)実際に計算を行う時は、 目的に合せ、計算時間と計 算精度のバランスを考えて 分割数を設定してくださ い。 左岸側に分割点(黄色)が追 加されています。 図 II-38 追加された分割点(横断方向の分割) 右岸側も同様に分割点を追加 します。 注)本事例では、左右岸とも 同じ分割数にしています が、分割数を変えても構い ません。 図 II-39 5 追加された分割点(横断方向の分割) 分割点を削除したい場合は、削除したい分割点を左ボタンで選択します。 分割点を削除した場合は、削 除したい分割点をマウス左ボ タンで選択します。 すると、選択した分割点が強 調表示されます。 図 II-40 分割点の追加(横断方向の分割) 19 この状態で右クリックで表示 されるメニューから「分割点 の削除(D)」を選択します。 ダイアログが表示されるの で、「はい(Y)」を選択しま す。 図 II-41 分割点の削除方法 図 II-42 分割点削除の確認ダイアログ 選択した分割点が削除されま す。 分割をやり直す場合などは、 この方法を繰り返します。 図 II-43 削除された分割点 20 6 分割点間を更に分割したい場合は、分割したい部分を左ボタンで選択します。 分割点間をさらに分割したい 場合は、分割したい部分を左 ボタンで選択し、右クリック メニューで「分割点の追加」 を選択します。 図 II-44 分割点の追加(横断方向の分割) 表示される「分割点の追加」 ダイアログで分割数を指定し ます。 図 II-45 分割点の追加ダイアログ(横断方向の分割) 分割点間が更に分割されま す。 図 II-46 再分割された分割点(横断方向の分割) 21 ■格子の生成 1 [格子(G)]メニューの[格子生成(R)]を選択します。 図 II-47 格子生成メニュー 2 [格子生成]ダイアログの OK をクリックします。 格子生成ダイアログで開始横 断線と終了横断線を設定し、 OK ボタンを押します。 図 II-48 格子生成ダイアログ 左図のような地理情報へのマ ッピング確認ダイアログが表 示されるので、「はい」を選 択します。 図 II-49 マッピング確認ダイアログ 確認ダイアログで「いいえ」 を選択した場合などは、[格 子]タブの[格子属性のマッピ ング]をクリックすることによ り、マッピングを行うことが できます。 図 II-50 格子属性のマッピングメニュー 22 オブジェクトブラウザで、[格 子点の属性]を展開し、[格子 点の属性]、[河床高]のチェッ クボックスをチェックする と、マッピングされた河床高 を確認することができます。 図 II-51 生成された格子 23 II.2 計算条件の設定 II.2.1 計算条件の設定 1 [計算条件(C)]メニューの[設定(S)]を選択します。 図 II-52 計算条件設定メニュー 2 [基本パラメータ群]を設定します。 ・[鉛直方向格子分割数]は、 計算精度と計算時間のバラ ンスを考えて設定します。 ・流れの計算のみのときは[固 定床計算]、河床変動も計 算するときは[移動床計算] を選択します。 ・[乱流モデル]は通常は「二 次非線形 k-εモデル」、 [移流項の空間差分スキー ム]は通常は「三次精度 TVD MUSCL スキーム」を選択し ます。 基本パラメータ群の詳細につ いては、”Nays CUBE Solver Manual”P.10 を参照下さい。 図 II-53 基本パラメータ群の設定 24 3 [時間に関する条件]を設定します。 ・[計算開始時刻](秒)は、0 とします。 ・[計算終了時刻](秒)は、何 秒間計算させるかを入力し ます。 ・[ファイル出力時間間 隔](秒)は、結果を保存・表 示した時間ステップを入力 します。 ・[計算時間間隔(Δt)](秒) は、CFL 条件を満足するよ うに設定します。 ・[水面変動開始時刻](秒) は、計算上の水面変動を開 始する時刻です。 ・[河床変動開始時刻](秒) は、河床変動計算を開始す る時刻で、流れを安定させ てから河床変動させたい場 合に用います。 図 II-54 時間に関する条件の設定 4 時間に関する条件の詳細につ いては、”Nays CUBE Solver Manual”P.11 を参照下さい。 [流れに関する条件]を設定します。 [流量(m3/s)]、[下流端水位の 与え方]、[計算セル最小水 深] (m)、[初期流量すり付 け]等の条件を設定します。 図 II-55 流れに関する条件の設定 [計算に考慮するセルの最小水 深](m)は、セルの水深がここ で与えた水深の 1/2 の場合に 水がないと判定するパラメー タです。計算精度と安定性の バランスを考慮して設定しま す。 流れに関する条件の詳細につ いては、”Nays CUBE Solver Manual”P.12 を参照下さい。 25 5 粗度を設定します。 粗度の与え方は、「滑面対数 則」、「粗面対数則」、 「マニング則」から選択で きます。ここでは「マニン グ則」を選択し、領域 A~E まで同じ粗度を与えます。 (領域別の粗度の与え方は後 述します)。 流れに関する条件の詳細につ いては、”Nays CUBE Solver Manual”P.13 を参照下さい。 図 II-56 粗度の設定 6 流れの計算だけを行う場合は、ここまでの設定で問題ありません。以上の条件を設 定したら[保存して閉じる]をクリックします。 注)本章では、計算を実施するために必要な条件の設定方法を解説しています。実際に計 算を行う際には、検討目的・計算目的に合わせて計算条件を吟味する必要があります。 26 II.3 計算の実行 1 ツールバーの[実行]をクリックします。 計算を開始するには、ツール バーの実行ボタンをクリック するか、[計算(S)]メニューか ら[実行(R)]を選択します。 「プロジェクトを保存するか 否か」の確認ダイアログが表 示されます。「はい」を選択 して、計算前のプロジェクト を保存します。 図 II-57 計算の実行方法 *)計算中に何らかの原因で iRIC が異常終了することがあ ります。計算前にプロジェク トを保存しておくことを勧め ます。 図 II-58 プロジェクト保存確認ダイアログ 2 灰色画面のソルバーコンソールが起動します。 NaN が表示されたら、計算が 異常終了しています。 直前の計算結果を図化するな どして、計算格子や計算条件 を見直します。 図 II-59 ソルバーコンソール 3 [ソルバー終了」のダイアログが出たら OK します。 図 II-60 計算終了メッセージ 27 II.4 計算結果の可視化 II.4.1 計算結果の可視化 1 [計算結果(R)]メニューの[新しい可視化ウィンドウ(3D)を開く]を選択します。 注)計算結果の可視化は、可 視化メニューが選択可能に なったら計算途中でも可能 です。 図 II-61 可視化ウィンドウを開く 28 ■コンター図 1 [オブジェクトブラウザー]の[コンタ―]をチェックします。 可視化ウィンドウのオブジェ クトブラウザで、“コンタ ー・カラーフリンジ”をチェ ックし、右クリックでプロパ ティを選択します。 図 II-62 コンター・カラーフリンジを選択 表示した物理量を選択し、追 加ボタンを押します。 方向で I,J,K を選択するとそ れぞれ I 一定、J 一定、K 一定 のコンターとなります。 選択できる物理量のうち、 Dynamic_P(圧力)、turb_k(乱 流エネルギー)、Velocity(流 速)は、3 次元的な値を持ち、 水深方向(k 方向)に異なる値 をとります。 一方、WaterElavation(水 位)、BedHeight(河床高)、 BedDeviation(河床変動高)等 は、2 次元的な値のため、k の 選択は意味を持たないことに 注意下さい。 図 II-63 コンターグループ設定ダイアログ 2 これは、等値面の描画でも同 じです。 [アニメーションツールバー]を操作すると、計算結果を動画で確認できます。コン ター図の調整を行いたい場合は、[オブジェクトブラウザー]の[コンター]を右クリ ックし、[プロパティ]を開きます。 ※コンター図の調整 領域を選択して、低水路のみ 図示することや、カラーマッ プの設定やカラーバーの設定 などが可能です。 コンター図の調整については 「iRIC ユーザマニュアル」の p108 に詳述されています。 図 II-64 コンター・カラーフリンジ 29 ■その他の可視化機能 1 [ベクトル]、[流線]、[パーティクル]などが描画できます。 ※ベクトルの図化方法 「iRIC ユーザーマニュアル」 の p109 に詳述しています。 図 II-65 その他の可視化(ベクトル図) ※流線の図化方法 「iRIC ユーザーマニュアル」 の p110 に詳述しています。 図 II-66 その他の可視化(流線) ※パーティクルの図化方法 「iRIC ユーザーマニュアル」 の p111 に詳述しています。 図 II-67 その他の可視化(パーティクル) 30 ■3D 表示 1 3D 可視化ウィンドウでは計算結果の 3D 表示が可能です。 ここではベクトルの 3D 表示を 行います。 図 II-68 3D 表示(ベクトル図) 可視化ウィンドウ内でコント ロールキーとマウス左ボタン を同時に押下しながら、マウ スを動かすと、3 次元的に回 転します。 図 II-69 3D 表示(ベクトル図) Z 方向(水深方向)の倍率を 変更するには、[表示(V)]メニ ューから[Z 方向の倍率変更 (Z)]を選択します。 図 II-70 Z 方向の倍率の変更 31 ダイアログで任意の倍率を設 定します。 図 II-71 Z 方向の倍率変更ダイアログ Z 方向(水深方向)が拡大し て表示されます。 図 II-72 3D 表示(ベクトル図) オブジェクトブラウザで、ベ クトルを右クリックしてプロ パテイを選択し、ベクトルグ ループ設定を行います。 図 II-73 ベクトルグループ設定 I を任意の値にすると、I 一定 (縦断方向一定)となりま す。 J(横断方向)と K(水深方 向)について表示したい範囲 を設定します。 ここでは、J,K については全 範囲としました。 OK ボタンを押すと、I 一定の 平面上でのベクトルが表示さ れます。 図 II-74 3D 表示(ベクトル図) 32 コンターと同時に表示すると 分かりやすくなることもあり ます。 ベクトル図と同じ I 一定面で の流速を表示してみます。 図 II-75 コンターグループ設定 コントロールキー+マウス左 ボタンドラッグで回転、コン トロールキー+マウス右ボタ ンドラッグで移動、マウス中 ボタンで拡大・縮小します。 図 II-76 ベクトル+コンター図(3D) 33 III. Nays CUBE による実河川の河床変動計算例 目的 本章は、Ⅱ章で解説した Nays CUBE の流れの計算を理解した技術者又は学生が、格子の 再生成や障害物セルの設定を行うとともに、河床変動解析を行って、その結果を可視化す る技術の習得を目指しています。 作業手順 本章の作業手順を図 III-1 に示します。 図 III-1 本章における作業手順 34 III.1 計算格子の変更 III.1.1 格子の再作成 1. 既存のプロジェクトファイルを開きます。 既存のプロジェクトファイル を開き、別名で保存して新た なプロジェクトとします。 図 III-2 既存プロジェクトの読み込み 2. 横断面を編集します。 オブジェクトブラウザで、[河 川測量データ1]を選択し、測 線を選択して編集します。 ここでは、高水敷部分を無効 化し、低水路のみを計算対象 としました。常にこのステッ プが必要ということではあり ません。 *)どの範囲を低水路とするか は、横断面の形状だけでは なく、平面形状、平均年最 大流量程度のときの水位な どを参考に検討します。 図 III-3 横断面の編集 35 他の側線も同様に低水路だけ の断面とします。 図 III-4 横断面の編集 必要に応じて、横断面の回 転、拡大・縮小を行います。 ここでは、KP8.8、KP9.2 を回 転、拡大・縮小しています。 図 III-5 横断面の回転、拡大・縮小 36 3. 既存格子の破棄 既存格子を破棄するには、オ ブジェクトブラウザで[格子] を選択し、右クリックメニュ ーで[削除]を選択するか、[格 子(G)]メニューの[格子生成ア ルゴリズムの選択(S)]を選択 します。 図 III-6 図 III-7 既存格子の破棄 新たに「格子生成アルゴリズ ム」を選択すると、既存の格 子を破棄するかどうかのダイ アログが表示されるので、OK を選択します。 格子破棄のダイアログ アルゴリズムから[河川測量デ ータから生成]を選択します。 図 III-8 格子生成アルゴリズムの選択 37 4. 分割点の再設定。 格子を破棄しても分割点の情 報が残っているので、分割点 情報を再設定します。 図 III-9 分割点の再設定 オブジェクトブラウザで[格子 生成条件]を選択し、分割点を 全て含むようにマウスで選択 します。 図 III-10 削除したい分割点の選択 選択した分割点が強調表示さ れます。 この状態で、マウス右クリッ クメニューから[分割点の削 除]を選択します。 図 III-11 分割点の削除 38 確認ダイアログが表示される ので、「はい」を選択しま す。 図 III-12 分割点の削除の確認ダイアログ 選択した分割点が削除されま す。 図 III-13 削除された分割点 新たに分割点を設定し、格子 を作成します。 詳細は 2 章を参照下さい。 図 III-14 新たな分割点の設定と格子作成 39 III.1.2 障害物セルの設定 1. 障害物セルを設定します。 ここでは、KP8.6 と 8.8 の間 の出っ張り部分を障害物とし て設定してみます。 *)障害物として設定すべきか どうかは、縦横断平面や現地 状況などにより判断します。 障害物セルとして設定したセ ルは、底面から水面までが障 害物として扱われます(”Nays CUBE Solver Manual” P.17 を 参照) 図 III-5 障害物セルの設定 オブジェクトブラウザで[障害 物]を選択し、障害物セルとし たい範囲をマウスで領域選択 します。 この際には、セルの 4 隅が選 択されるように注意して下さ い。 図 III-6 障害物セルの選択 [ 格 子 (G)] メ ニ ュ ー の [ 編 集 (E)]-[ セル属性(C)]を選択し ます。 図 III-7 セル属性変更メニュー 40 図 III-8 障害物編集ダイアログ 障害物編集ダイアログが表示 されるので、ここでは「非越 流構造物」を選択してみま す。選択したら OK ボタンを押 します。 オブジェクトブラウザで、[障 害物]を選択すると、障害物と したセルが移動床とは別の色 で表示されます。 図 III-9 設定された障害物セル 障害物セルを設定したら、格 子タブの「格子属性のマッピ ング」を選択し、格子属性に 反映させます。 図 III-10 障害物セルの格子属性へのマッピング 図 III-11 マッピング完了メッセージ 41 成功するとメッセージが表示 されます。 III.2 計算条件の設定 1 [計算条件(C)]メニューの[設定(S)]を選択します。 図 III-12 計算条件の設定 2 [基本パラメータ群]を設定します。 河床変動計算を行う場合は、 [移動床計算]を選択します。 基本パラメータ群の詳細につ いては、”Nays CUBE Solver Manual”P.10 を参照下さい。 図 III-13 基本パラメータ群の設定 3 [時間に関する条件]を設定します。 ・[計算開始時刻](秒)は、0 とします。 ・[計算終了時刻](秒)は、何 秒間計算させるかを入力し ます。 ・[ファイル出力時間間 隔](秒)は、結果を保存・表 示した時間ステップを入力 します。 ・[計算時間間隔(Δt)](秒) は、CFL 条件を満足するよ うに設定します。 ・[水面変動開始時刻](秒) は、計算上の水面変動を開 始する時刻です。 ・[河床変動開始時刻](秒) は、河床変動計算を開始す る時刻で、流れを安定させ てから河床変動させたい場 合に用います。 図 III-14 時間に関する条件の設定 42 時間に関する条件の詳細につ いては、”Nays CUBE Solver Manual”P.11 を参照下さい。 4 [流れに関する条件]を設定します。 [流量(m3/s)]、[マニングの粗 度係数]、[下流端水位] (m) をそれぞれ設定します。 [計算に考慮するセルの最小水 深](m)は、セルの水深がここ で与えた水深の 1/2 の場合に 水がないと判定するパラメー タです。計算精度と安定性の バランスを考慮して設定しま す。 流れに関する条件の詳細につ いては、”Nays CUBE Solver Manual”P.12 を参照下さい。 5 図 III-15 流れに関する条件の設定 粗度を設定します。 粗度の与え方は、「滑面対数 則」、「粗面対数則」、 「マニング則」から選択で きます。ここでは「マニン グ則」を選択し、領域 A~E まで同じ粗度を与えます。 (領域別の粗度の与え方は後 述します)。 粗度に関する条件の詳細につ いては、”Nays CUBE Solver Manual”P.13 を参照下さい。 6 図 III-16 粗度に関する条件の設定 [河床に関する条件]を設定します。 [掃流砂モデルの選択]をドロ ップダウンリストから選択し ます。 [平均粒径](m)、[河床材料の 密度](kg/m3)、[河床空隙 率](-)、[静止摩擦係数] ()、[動摩擦係数](-)、[河床水 中安息角](deg)をそれぞれ設 定します。 河床に関する条件の詳細につ いては、”Nays CUBE Solver Manual”P.14 を参照下さい。 7 図 III-17 河床に関する条件の設定 全ての条件を設定したら「保存して閉じる」を押します。 43 III.3 計算の実行 1 2 ツールバーの[実行]をクリックします。 灰色画面のソルバーコンソールが起動します。 図 III-18 ソルバーコンソール 3 [ソルバー終了」のダイアログが出たら OK します。 図 III-19 計算終了メッセージ 44 III.4 計算結果の可視化 1 [計算結果(R)]メニュー[新しい可視化ウィンドウ(3D)を開く]を選択します。 注)計算結果の可視化は、可 視化メニューが選択可能にな ったら計算途中でも可能で す。 図 III-20 可視化ウインドウ(3D)を開く 2 3 [オブジェクトブラウザー]の[コンター・カラーフリンジ]、[等値面]、[ベクト ル]、[流線][パーティクル]等を利用し、計算結果を可視化します。 色の調整や凡例の調整は、オブジェクトブラウザー]の[コンター]、[ベクトル]、 [流線]、[パーティクル]を選択し、右クリックメニューのプロパティから行えま す。または、[描画設定]タブの各項目から調整します。 図 III-21 可視化ウインドウ(3D) 45 4 可視化の例 変動量とベクトルを重ねて可 視化した例です。 3 次元表示の方法等は、2 章を 参照下さい。 選択できる物理量のうち、 Dynamic_P(圧力)、turb_k(乱 流エネルギー)、Velocity(流 速)は、3 次元的な値を持ち、 水深方向(k 方向)に異なる値 をとります。 一方、WaterElavation(水 位)、BedHeight(河床高)、 BedDeviation(河床変動高)等 は、2 次元的な値のため、k の 選択は意味を持たないことに 注意下さい。 図 III-22 計算結果の可視化 (河床変動量の面塗りコンターと流速ベクトル) 46 これは、等値面の描画でも同 じです。 IV. Nays CUBE による複雑な計算条件の設定例 目的 Ⅱ章、Ⅲ章で計算格子の設定や流れ・河床変動の基本について解説しました。Nays CUBE では、格子条件として、障害物、植生、領域別粗度を設定することができます。 本章では、領域別粗度の設定方法と、植生の設定方法について解説します。障害物セル の設定方法についてはⅢ章を参照下さい。 47 IV.1 領域別粗度の設定方法 マニング則で粗度を与える場合は、領域別に粗度を与えることができます。以下ではその 方法を解説します。 1. 既存のプロジェクトファイルを開きます。 既存のプロジェクトファイル を開き、必要に応じて別名で 保存して新たなプロジェクト とします。 オブジェクトブラウザで、[セ ルの属性]を開き、[粗度]をチ ェックします。これで、粗度 の領域を設定できるようにな ります。 次に、マウスで格子全体を選 択します。 図 IV-1 既存プロジェクトの読み込み 2. 粗度設定領域の選択 選択すると、選択範囲が反転 表示されるので、この状態で マウス右クリックします。 右ボタンを押下して現れる 「値の編集」を選択します。 粗度の選択ダイアログが表示 されるので、「領域 A」を選 択します。 図 IV-2 反転表示された選択範囲 図 IV-3 粗度編集ダイアログ 48 注)通常はこのステップは不 要です。領域設定をやり直 す場合等には有用です。 3. 粗度を変更したいセルを選択します。 領域の選択はマウス左ボタン を押下しながら行います。 矩形領域しか選択できないた め、格子を拡大・回転させ て、選びたいセルを選択でき るようにします。 図 IV-4 粗度を変更するセルの選択 4. 粗度の領域設定をします。 選択したセルが反転表示され るので、マウス右ボタンを押 下し、[値の編集]メニューを 選択します。 先ほどと同様の粗度編集ダイ アログが表示されます。ここ では、領域 B を選択します。 図 IV-5 反転表示された選択範囲 図 IV-6 粗度編集ダイアログ 49 5. 設定した領域の色が変更されます。 選択したセルの粗度領域が変 更されました。 図 IV-7 変更された粗度領域 6. 必要に応じて他の箇所の粗度も領域設定します。 格子を拡大・縮小・回転・移 動操作と前述の操作を繰り返 し、粗度を変更したい格子の 領域を設定していきます。 図は、計算区間全部に亘っ て、低水路を領域 A とし、両 岸の高水敷を領域 B と設定し た設定例です。 図 IV-8 設定例 7. 計算条件設定画面で粗度の値を設定します。 粗度の値の設定は、計算条件 設定画面の、[粗度の設定]グ ループを選択して行います。 図は、領域 A(低水路)に 0.03 を、領域 B(高水敷)に 0.05 を設定した例です。 必要に応じて、5 領域まで 別々の粗度を与えることがで きます。 図 IV-9 計算条件の設定例 50 IV.2 植生の設定方法 Nays CUBE では、植生を設定することができます。以下ではその方法を解説します。 1. 既存のプロジェクトファイルを開きます。 既存のプロジェクトファイル を開き、必要に応じて別名で 保存して新たなプロジェクト とします。 オブジェクトブラウザで、[セ ルの属性]を展開し、[植生]を チェックします。これで、植 生を設定できるようになりま す。 図 IV-10 既存プロジェクトの読み込み 2. 植生を設定した領域を選択します。 植生を設定したい領域を選択 します。領域の選択はマウス 左ボタンを押下しながら行い ます。 矩形領域しか選択できないた め、格子を拡大・回転させ て、選びたいセルを選択でき るようにします。 図 IV-11 植生設定領域の選択 51 3. 選択領域に植生を定義します。 選択したセルが反転表示され るので、マウス右ボタンを押 下して、[値の編集]メニュー を選択します。 表示されるダイアログで、 「非水没植生」を選択しま す。 図 IV-12 反転表示された選択領域 図 IV-13 植生編集ダイアログ 4. 植生を設定した領域の色が変更されます。 植生を設定したセルの色が変 更されます。 同様にして、植生を設定した いセルを設定してきます。 図 IV-14 植生設定領域の表示 52 5. 計算条件設定画面で植生条件を設定します。 植生条件の設定は、計算条件 設定画面の、[植生条件]グル ープを選択して行います。 植生の条件は、「植生径、本 数、面積で与える」と「植生 密度を直接与える」方法の2 種類の方法が選択できます。 詳細は、”Nays CUBE Solver Manual”P.16 を参照下さい。 図 IV-15 植生条件の設定例 53 【ご利⽤にあたって】 ● 本ソフトウェアを利⽤した成果を⽤いて論⽂、報告書、記事等の出版物を作成 する場合は、本ソフトウェアを使⽤したことを適切な位置に⽰してください。 ● iRIC サイトで提供している河川の地形データなどはサンプルデータであり、実 際のものとは異なる場合があります。あくまでもテスト⽤としてご試⽤下さい。 ● ご感想、ご意⾒、ご指摘は http://i-ric.org にて受け付けております。 iRIC Software Nays CUBE 事例集 ―実河川編― 編集・執筆者 木村一郎(北海道大学大学院工学研究科) 向井直樹(株式会社 ドーコン) 石田義明(株式会社 水工技研) 協力者 北海道河川財団 編集全体