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妊娠年齢女性の年齢別風疹抗体保有状況,2008∼2013 年 ―臨床検査

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妊娠年齢女性の年齢別風疹抗体保有状況,2008∼2013 年 ―臨床検査
452
原
著
妊娠年齢女性の年齢別風疹抗体保有状況,2008∼2013 年
―臨床検査会社データの解析―
1)
株式会社ビー・エム・エル,2)大妻女子大学
伴
文彦1)
増井
幸雄1)
板橋
愛宜1)
井上
栄2)
(平成 25 年 9 月 6 日受付)
(平成 26 年 2 月 27 日受理)
Key words : rubella, hemagglutination-inhibition(HI)test, child-bearing age, woman, pregnancy
要
旨
【背景】妊娠年齢女性の年齢別風疹免疫状況を知ることは,先天性風疹症候群(congenital rubella
syn-
drome,CRS)を予防するためのワクチン(非定期)接種の対象年齢を絞り込むために必要である.【方法】
全国の産婦人科等から 1 臨床検査会社に依頼された 20∼39 歳女性の風疹赤血球凝集抑制(HI)抗体検査の
結果を集計し,年次ごとの年齢別抗体保有率(HI 抗体価≧8)のグラフを描き,そのパターンの年次推移を
調べた.集計対象とした血清検体は次の 2 種類である.①産婦人科検体(2008∼2013 年,全 810,876 件)
,
②学校・職場などの健常集団の検体を含む診療科非記載検体(2013 年,女性 76,983 件)
.【結果】20 代全般
の抗体保有率は 2008 年から 2013 年の 6 年間に低下の傾向にあったが,2008 年に開始された高校三年生相
当年齢への麻疹風疹ワクチン接種を受けた年代(すなわち 2013 年検体では 22 歳以下)で抗体保有率が高く
なっていた.2013 年,成人間で風疹が流行したが,この年の年齢別抗体陰性率(=風疹感受性者率,HI 価<
8)は 23 歳が最高であり,年齢別女性患者数のピークと一致していた.【結論】女性でとくに風疹抗体保有
率が低い年齢集団は,1987 年 10 月 2 日∼1990 年 4 月 1 日の出生コホート(2013 年で 23∼25 歳)であった.
この集団は,風疹感染リスクが高いと考えられ,今後,出産年齢の中心に移行していくので,風疹ワクチン
接種を積極的に勧めるべき対象である.
〔感染症誌
序
文
88:452∼458,2014〕
が 2003 年 9 月 30 日まで行われたが,その接種率は低
風疹は,発熱,発疹,リンパ節腫脹を主症状とする
急性ウイルス感染症で予後は良好であるが,妊娠 12
かった2)3).
2006 年 4 月からは,乾燥弱毒生麻疹風疹混合(MR)
ru-
ワクチンの定期接種が 1 歳児と小学校入学前 1 年間(6
bella syndrome,CRS)の発生リスクが高く,妊娠 20
歳になる年度)の児とを対象として 2 回(第一期およ
週未満での感染は先天性風疹症候群(congenital
1)
週頃までも CRS 発生の可能性があるとされている .
び第二期接種)行われるようになった.さらに 2007
CRS 発生防止のために 1977 年度から 1994 年度ま
年の成人麻疹の流行を契機として,2008 年度から 5
で,予防接種法に基づく女子中学生へのワクチン定期
年間の時限措置として中学一年生および高校三年生の
(集団)接種が行われた(1989∼1993 年度には幼児を
各年齢層全員を対象に MR ワクチンの接種が行われ
対象に乾燥弱毒生麻疹おたふくかぜ風疹混合(MMR)
た(第三期および第四期接種)
.
ワクチンが使われた.
)
.1995 年 4 月からは,生後 12
我々は以前,1 臨床検査会社に全国の産婦人科から
カ月以上 90 カ月未満(標準は生後 12 カ月から 36 カ
依頼される風疹赤血球凝集抑制(HI)抗体測定の結
月未満)の男女に風疹ワクチンが定期(個別)接種さ
果(1999∼2007 年)を集計解析した.産婦人科から
れることになった.経過措置として,1979 年 4 月 2
の検体の大部分は妊婦の風疹免疫の有無を調べる目的
日∼1987 年 10 月 1 日生まれの男女を対象とする接種
のものと考えられるので,風疹の血清疫学研究に役立
別刷請求先:(〒350―1101)埼玉県川越市的場 1361―1
株式会社ビー・エム・エル試薬部 伴
文彦
つと考えたのである.集計結果として,2007 年の検
体では 20 歳から 25 歳にかけて抗体保有率が低下して
感染症学雑誌 第88巻 第 4 号
20∼39 歳女性の年齢別風疹抗体保有状況
453
Figure 1 Age distribution among subjects for rubella HI antibody testing, from 2008 to
2013. Lines denote the percentage of the number of subjects in each age group to the total number of that year. Ob & Gyn, specimens from obstetrics & gynecology clinics/departments. No Dept Name, specimens without clinical department names, which were
thought to be collected mainly from healthy college students and hospital employees.
いることを報告した4).この集団は,前記の経過措置
ウ赤血球を用いて行った4).風疹 HI 抗体価 8(倍)以
としてのワクチン接種の対象者であった.
上を風疹抗体陽性とした.
今回は続報として,2008 年∼2013 年検体の抗体測
定結果の集計解析を行った.次の三つを明らかにする
結
果
1.抗体測定血清検体の年齢別割合
ことを目的とした.① 2008 年以降の年齢別抗体保有
Fig. 1に風疹 HI 抗体測定のための産婦人科検体お
状況の年次推移,②第四期ワクチン接種が年齢別抗体
よび診療科非記載検体(20∼39 歳女性)の年齢別割
保有率に及ぼした影響,③ 2013 年の成人間の風疹流
合を年次別に示した.両者ともに 30 歳付近にピーク
行における年齢別抗体保有状況と年齢別女性患者発生
があった.
との関係.なお本研究の一部は,速報として病原微生
5)
物検出情報 2013 年 8 月号に発表した .
方
法
2.産婦人科検体の年齢別抗体保有率,2008∼2013
年
Fig. 2に産婦人科検体の年齢別抗体保有率を年次別
2008 年∼2013 年の 6 年間に全国の産婦人科(診療
に示す.
2013 年検体のグラフを見ると,
33 歳以上(1980
所または総合病院の部門)から臨床検査会社ビー・エ
年以前生まれ)の年齢層では抗体保有率は約 95% で
ム・エルに依頼された 20∼39 歳女性の風疹 HI 抗体
あったが,それ以下の年齢では若くなるにつれて抗体
検 査 結 果 を 集 計 し た.検 査 数 は 2008 年 104,399 件,
保有率は低下し,23 歳が谷底になった.2012 年検体
2009 年 121,567 件,2010 年 132,440 件,2011 年 136,605
では抗体保有率の谷底は 22 歳,2011 年検体では 21
件,2012 年 150,037 件,2013 年 165,828 件 の 合 計
歳,2010 年検体では 20 歳であった.この谷底の構成
810,876 件であった.急性風疹罹患者からの血清を含
員の大半は第四期ワクチン接種対象から外れた 1990
む可能性のある産婦人科以外の診療科(内科,小児科,
年 4 月 1 日以前の生まれである.
皮膚科等)検体は集計から除外した.なお 2013 年に
3.年齢別抗体保有率および平均抗体価,2013 年
診療科非記載の検体(主として職場・学校などの健常
Fig. 3に 2013 年の産婦人科検体および診療科非記
集団の検体を含むと考えられる)が急増したので,そ
載検体の年齢別抗体保有率および幾何平均抗体価を示
の女性検体の検査結果 76,983 件を別に集計対象とし
した(産婦人科検体年齢別抗体保有率は再掲)
.年齢
た.
別抗体保有率は,20∼25 歳では診療科非記載検体の
風疹 HI 抗体価測定は,血清をカオリン処理して非
特異 HI 活性を除いてからマイクロプレートでガチョ
平成26年 7 月20日
方が産婦人科検体よりも高かった.
年齢別平均抗体価は,両検体ともに 26 歳以上で高
454
伴
文彦 他
Figure 2 Prevalence of rubella antibodies, grouped by age, from 2008 to 2013. Specimens
were from obstetrics & gynecology clinics/departments. Rubella HI antibody titers of
≧8 are considered as antibody-positive.
Figure 3 Prevalence of rubella antibodies and mean antibody titers, grouped by age, for the year
2013. The mean antibody titers are the geometric mean of titers of antibody-positive specimens
in each age group. Two categories of specimens were compared:“Ob & Gyn”and“No Dept
Name”specimens, as described in the legend for Fig. 1.
く 25 歳以下で低かった.
4.年齢別抗体陰性率と年齢別患者数との関係,
2013
年
Fig. 4に 2013 年の産婦人科検体および診療科非記
載検体の年齢別抗体陰性率(=風疹感受性者率,HI
は年齢傾向が類似しており,両者ともに 23 歳がピー
クであった.産婦人科検体よりも診療科非記載検体の
抗体陰性率の方が患者数をよく反映していた.
5.20 代前半女性の抗体保有率の地方別比較,2013
年
価<8)を示す.さらに感染症発生動向調査による年
2013 年産婦人科検体の 20∼25 歳年齢群の抗体保有
齢別女性風疹患者数を加えた.抗体陰性率と患者数と
率に地方別に差があるかどうかを調べた(Fig. 5)
.
(東
感染症学雑誌 第88巻 第 4 号
20∼39 歳女性の年齢別風疹抗体保有状況
455
Figure 4 Relationship between the prevalence of rubella susceptibility and the numbers of rubella patients, grouped by age, for the year 2013. Lines denote the prevalence of susceptibility
to rubella (HI antibody titer <8).“Ob & Gyn”and“No Dept Name”specimens are those described in the legend for Fig. 1. Bars denote the numbers of female rubella patients, according
to the National Epidemiological Surveillance of Infectious Diseases.
Figure 5 Prevalence of rubella antibodies in the age groups of 20-25 years, grouped by
region, for the year 2013. Specimens were from obstetrics & gynecology clinics/departments. The prevalence of rubella antibodies in the age groups of 20 to 25 years, by region, is compared with the mean from all regions.
海地方は,愛知,三重,岐阜,静岡県である.山梨県
考
察
は関東地方に含まれている.
)
.抗体保有率は信越・北
本邦では 2012 年より 2013 年にかけ,成人を中心に
陸地方が最も高く,関東,近畿,東海,中国地方で低
風疹が流行した.患者は,男性が 7 割以上で,年代で
かった.
は男性で 30 代,女性で 20 代前半に多く,地域では首
都圏・関西圏等の大都市に多い点が特徴であった6).こ
平成26年 7 月20日
456
伴
の流行状況は,国の感染症流行予測調査事業の男女別
7)
の風疹血清疫学調査結果 からある程度説明できる.30
文彦 他
うに思われる.
次に,2013 年検体で 23∼25 歳の抗体保有率が低く
代男性で患者が多かったことは,その年代が過去に風
なっている理由を考えてみたい.1995 年 4 月に風疹
疹ワクチンの接種を受けていないために抗体保有率が
ワクチン接種の対象は生後 12 カ月以上 90 カ月未満の
低いことに対応している.ただし上記調査では検査検
男女となったが,標準の対象は生後 12 カ月より 36 カ
体数が少なく 5 歳刻みの年齢区分なので,20 代前半
月未満であった.したがって 36 カ月以上 90 カ月未満
年齢層での第四期接種の効果は分からなかった.
児の接種率は低かった可能性がある.1995 年に 4∼7
本研究では,多数の産婦人科検体と診療科非記載検
歳であった児は 2013 年には 22∼25 歳になっている.
体(女性)の検査結果を集計し,1 歳刻みでの抗体保
22 歳は第四期接種を受けているために抗体保有率が
有率を調べた.産婦人科検体(Fig. 2)を見ると,第
高いが,23∼25 歳群は過去の低接種率のために抗体
四期接種が開始された 2008 年度に高校三年生相当年
保有率も低いままになっているのであろう.
齢であった 1990 年 4 月 2 日以降生まれ(2011 年に 20
この低抗体保有率群(1987 年 10 月 2 日∼1990 年 4
歳,2012 年に 21 歳,2013 年に 22 歳)で抗体保有率
月 1 日の間の 2.5 年間に生まれた女性)は,今後出産
が高くなっていることが確かめられた.
年齢の中心へ移行していくので,特に積極的にワクチ
ただし,2013 年検体のグラフで,20,21 歳の抗体
ン接種を勧めるべき対象であろう.各人が母子健康手
保有率は 22 歳より低くなっていた.厚生労働省研究
帳でワクチン接種歴を調べ,風疹ワクチン未接種なら
班によれば,第四期接種の全国平均接種率は 2008 年
ばすぐに接種を受けるべきである.
度 が 77.3%,2009 年 度 が 77.1%,2010 年 度 が 79.0%
8)
Fig. 3には年齢別平均抗体価も示してある.平均抗
とほぼ同程度であったので ,20,21 歳の抗体保有率
体価は抗体陽性検体の抗体価の幾何平均値であり,抗
は 22 歳のそれと同程度のはずである.そこで 20,21
体保有率とは無関係のものであり,各年齢の抗体陽性
歳で抗体保有率が 22 歳より低い理由を考えてみた.晩
者群の免疫の強さを表すものである.年齢別平均抗体
産化が進んだ日本では成人で年齢が低いほど妊娠する
価が 26 歳以上で高かったことは,その年齢群では多
人は少なく9),産婦人科で風疹抗体検査を受ける人も
数の人が過去に風疹ウイルス野生株の自然感染による
少ない(Fig. 1)
.若い年齢で妊娠する人ほど,同年
強い免疫刺激を受けているためと考えられる.感染症
代の女性全体と比較して定期および第四期接種での接
発生動向調査によれば,調査開始の 1982 年から風疹
種率が低いと仮定すると,少数の若年齢妊婦の中で相
ワクチン接種対象者を変更した 1995 年までの間に 5
対的に多くなり,抗体保有率は低くなるだろう.
年おきに 3 回の全国流行(1982,1987,1992∼3 年)
第四期接種の有無に関し偏りが無いと考えられる検
があった.各流行時,罹患者の約半数は 5∼9 歳であっ
体として,2013 年の診療科非記載検体(女性のみ)の
た12).この過去の流行時に 5∼9 歳であった児が 2013
年齢別抗体保有率も調べてみた.Fig. 3に示すように,
年に何歳になっているかをみると,1992 年に感染し
この検体では 22 歳以下での抗体保有率は産婦人科検
た児は 26∼30 歳,1987 年の感染児は 31∼35 歳,1982
体よりも高く 90% を超えていた.我々は,こちらの
年感染児は 36∼40 歳になる.つまり,2013 年時点で
数字のほうが実際の抗体保有率に近い,と考えている.
26 歳以上では過去に風疹自然感染を受けた人が多く,
ただし正確な数値を出すためには,全体集団を代表す
野生株ウイルス感染による強い免疫が残っているため
る別の血清検体が必要である.
にこの年齢群の平均抗体価が高いのであろう.一方 25
Fig. 4では,2013 年の産婦人科検体および診療科非
記載検体の年齢別抗体陰性率(HI 価<8)と感染症発
10)
歳以下では弱毒生ワクチンによる免疫刺激のみの人が
多数なので,平均抗体価が低いと考えられる.
生動向調査からの同時期の年齢別風疹女性患者数 と
最後に,20∼25 歳女性の抗体保有率に地方差があ
の関係を見た.両者の年齢別傾向は類似しており,抗
るかどうかを調べた(Fig. 5)
.この年齢での風疹免
体陰性率および患者数ともに 23 歳で増加している.ま
疫は主としてワクチンによるものと考えられるので,
た,2012 年女性風疹患者の年齢ピークは 22 歳にあ
地方別抗体保有率は地方ごとの過去のワクチン接種率
り11),2012 年検体の抗体保有 率 の 谷 底 の 年 齢 22 歳
を反映すると考えられる.ちなみに 2008 年度の地方
(Fig. 2)に一致していた.これは,免疫を持たない
別第四期ワクチン接種率を都道府県別データ13)から計
風疹感受性者の割合は患者発生数と相関していること
算すると,全国平均接種率 77.3% であり,これより
を示している.また Fig. 4を見ると,診療科非記載検
高 い 地 方 は 信 越・北 陸 88.3%,東 北 84.7%,東 海
体の方が産婦人科検体よりも患者発生数をよりよく反
81.7%,四 国 80.6%,北 海 道 79.8%,中 国 79.7%,九
映している.20 代前半年齢においては,診療科非記
州・沖 縄 79.4% で あ っ た.全 国 平 均 以 下 は,関 東
載検体の方が国全体の女性集団をより代表しているよ
70.7%,近畿 74.7% の 2 地方であった.この 2 地方は
感染症学雑誌 第88巻 第 4 号
20∼39 歳女性の年齢別風疹抗体保有状況
上記抗体保有率も低かった場所である.これらの地域
は首都圏,関西圏の大都市を含み,そこでの第四期ワ
クチン接種率は低く,過去の定期接種においても接種
率が低かったことで 20∼25 歳抗体保有率が低下して
いると推測される(中国地方で 20∼25 歳抗体保有率
が低かった理由は分からないが,検体の偏りなどがあ
るのかもしれない.
)
.
臨床検査会社での風疹抗体検査結果の解析に関して
は,検体の個人情報は不明で,検査依頼目的が免疫の
有無を知ることなのか,感染の診断のためなのかも不
明であるという弱点がある.しかし,そこに蓄積され
る厖大な量のデータを定期的に集計解析することに
よって,全国の妊娠年齢女性の風疹免疫状況をある程
度把握することが可能であり,効果的なワクチン接種
を行うための参考にもなると考えられる.
謝辞:英文(要旨および図の説明文)の作成に協力
いただいた星野文則氏に深謝いたします.
利 益 相 反 自 己 申 告:共 著 者・井 上 栄 は 株 式 会 社
ビー・エム・エルの非常勤顧問である.
文
献
1)Gregg NM:Congenital cataract following Ger-
man measles in the mother. Trans Ophthalmol
Soc Aust 1941;3:35―46.
2)磯村思无:全国市町村における風疹ワクチン接
種 方 式 と 接 種 実 施 率.病 原 微 生 物 検 出 情 報
2000;21:3.
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21!
239!
dj2391.html)
.
3)多屋馨子,新井 智,岡部信彦:風疹ワクチン
接種率の推移.病原微生物検出情報 2003;24:
55―7.
(http:!
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24!
277!
dj2771.
html)
.
4)伴 文彦,増井幸雄,板橋愛宜,筆山和一,井
上 栄:20∼39 歳女性の年齢別風疹 免 疫 状 況,
1999∼2007 年―1 臨床検査会社のデータから―.
感染症誌 2009;83:386―91.
平成26年 7 月20日
5)井上
457
栄,伴 文彦,板橋愛宜,増井幸雄:20∼
39 歳女性の風疹抗体保有状況,2013 年 1∼6 月―
臨床検査会社のデータ.病原微生物検出情報
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6)国立感染症研究所・厚生労働省健康局結核感染
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3 月現在.病原微生物検出情報 2013;34:87―
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kenkou!
kekkak
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9)内閣府:平成 25 年度版少子化社会対策白書.
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10)国立感染症研究所感染症疫学センター:風疹発
生動向調査 年齢別累積報告数(女性)2013 年
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11)国立感染症研究所感染症疫学センター:風疹発
生動向調査 年齢別累積報告数(女性)2012 年
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12)国 立 感 染 症 研 究 所 感 染 症 情 報 セ ン タ ー:<特
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20
090812-05.pdf)
.
458
伴
文彦 他
Rubella Immunity in Japanese Women of Childbearing Age, 2008-2013 :
Commercial Diagnostic Laboratory Data Analysis
Fumihiko BAN1), Yukio MASUI1), Yoshinori ITABASHI1) & Sakae INOUYE2)
1)
BML, Inc, 2)Otsuma Women s University
[Background] For effective non-routine vaccination in women of childbearing age as a countermeasure
against congenital rubella syndrome (CRS), it is important to know the specific age group in which fewer
members have rubella immunity. [Methods] We analyzed rubella hemagglutination-inhibition (HI) antibody
data (about 890,000) accumulated from 2008 through 2013 at a commercial diagnostic laboratory, which originated from the serum specimens sent mainly from obstetrics & gynecology clinics and hospital departments
in Japan. Changes during the above period in the pattern of the annual curve for the prevalence of rubella
antibodies (HI antibody titer ≧8) by age, were observed. [Results] The antibody prevalence among women
in their twenties decreased gradually from 2008 to 2013. However, the prevalence at ≦22 years of age in
the 2013 specimens was found to have risen, which we believe is the effect of the five-year interim vaccination program for high-school students that began in 2008. The lowest antibody prevalence at 23 years of age
in 2013 corresponded to the highest numbers of female patients at the same age in the 2013 rubella epidemic among the adult population. [Conclusions] The analysis of extensive data accumulated for rubella antibodies assayed at the commercial diagnostic laboratory was useful for monitoring the susceptibility of the
women to rubella infection in Japan, and that the Oct. 1987 to Mar. 1990 birth cohort (age 23−25 in 2013) is
a high-risk group for CRS.
感染症学雑誌 第88巻 第 4 号
Fly UP