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(小売全面自由化に係る詳細制度設計について)(PDF形式
資料3-1
第10回電力システム改革専門委員会
事務局提出資料
~小売全面自由化に係る詳細制度設計について~
平成24年12月6日(木)
「電力システム改革の基本方針」における小売全面自由化の記載
○全ての国民に「電力選択」の自由を保障。家庭をはじめとする小口部門について、一般電気事業者の地域
独占を撤廃、料金規制(総括原価方式)も撤廃。他方で、自由化に伴う需要家保護策として最終保障サービ
スの措置及び離島の電気料金の平準化措置を整備することとされた。
「電力システム改革の基本方針」(平成24年7月13日)(抄)
Ⅱ 改革の基本方針
1.需要サイド(小売分野)の改革
(1)小売全面自由化(地域独占の撤廃)
現在、一般電気事業者による地域独占が法定されている家庭等の小口小売部門について、需要家が、供給者や電源を選択できるよ
う、小売全面自由化を実施する。
同時に、供給サイド(発電分野)や送配電部門の改革を行うことで、実質的に競争が起こる環境を整備する。
ただし、「自由化」によって、供給の空白地帯が生じたり、安定供給マインドを持たない供給者により消費者の基本的な利便が損なわれ
るようなことは厳に避ければならない。「自由化の代償措置」には周到な設計を要する。
自由化しても「選べない」状態を避け、「安定的供給」を確保しつつ、競争による電気事業全体の効率化を図る。
(2)料金規制の撤廃(総括原価方式の撤廃)
一般電気事業者が、自由な競争環境下で需要家のあらゆるニーズに応え、様々な料金メニューやサービスを提供することができるよう、
競争の進展に応じて、一般電気事業者の供給義務や料金規制を撤廃する。
(3)自由化に伴う需要家保護策の整備
①最終保障サービスの措置
契約交渉がまとまらず、誰からも電気の供給を受けられない事態に至った場合や供給事業者が破綻・撤退した場合等に備え、最終的
には必ず供給する事業者を定め、需要家保護に万全を期す。
最終保障サービスの提供者については、海外の事例に鑑み、①地域の支配的事業者、②一定規模以上のシェアを有する小売事業者、
③地域の送配電事業者のいずれかが考えられ、最終保障料金をどう設定するかなど、さまざまな技術的論点を勘案し、年内を目処に詳
細設計を行う。
②離島の電気料金の全国平準化の措置
全国的な電力系統とつながっていない離島は、供給コストが高く、料金規制の撤廃により電気料金が上昇する恐れがある。このため、
コストの一部を全国の需要家へのサーチャージにより広く薄く負担し、全国的な電気料金と遜色ない価格が維持されるよう措置する。
沖縄電力の区域のあり方については、別途検討を要する。
1
専門委員会におけるこれまでの議論(小売全面自由化)①
2
○電力システム改革専門委員会におけるこれまでの議論も、参入規制・料金規制の撤廃と、一方で何らかの
需要家保護策を講じることでは概ね一致。
<小売全面自由化に関する委員からの主な意見>
・全面自由化した場合の最大の懸念は、規制なき独占。大口の市場でさえ、競争が働いていないにもかかわらず、小口の市場で競争メ
カニズムが確実に働くというのはあまりにも楽天的。そうならないような制度改革が必要。万全な制度設計をしたとしても競争が機能し
ない可能性もある。このため、仮に全面自由化したとしても暫くは、規制料金を続けるべき。全面自由化したとしても、現在と同じ方法
で規制料金として設定し、これをラストリゾートとする。競争環境が整うまでは、この料金で供給するということである。また、送配電部
門まで所有する販売会社や、ドミナント企業に対しては、コストベースで電気を供給させる仕組みを導入すべき。
・小売全面自由化時には、価格規制を残すべき。
・全面自由化時に規制料金を残すことには反対。
・家庭部門を自由化しても規制料金は残すというのが自然なステップ。
・規制料金について、自由化すると基本は自由料金になる。しかしながらオプションとして規制料金を残すべき。電力会社が規制料金
以外の料金メニューを提供することを否定するものではない。
・参入規制と料金規制は撤廃、最終保障サービスの料金は自由料金とすべき。これ以外は自由化とは言わない。そもそも適正な価格
を人為的に作ることは不可能。価格規制を撤廃すると消費者にとってはリスクがあるかもしれないが、自由化とはそういうもの。ある
意味身構える事態になるが、自由化する以上仕方がないこと。
・絶対に自由化は行うべき。いろんな人に聞いているが今の制度のままで良いという人はいない。自由化されることによって消費者は
エネルギーに関心を持つようになる。
・最終保障サービスには2つのケースがある。大口需要家に対して供給している事業者が、供給できなくなった場合、他の事業者と保
険契約を結べば良い。そのような保険を選択していないのであればリアルタイム市場で供給できるような仕組みにするべき。いずれに
しても市場で解決するべきものであり、規制の余地はない。小口の自由化については何らかの最終保障が必要であると考えている。
国と契約した小売事業者が何らかの規制料金、あるいは、高めの料金で最終保障を行うのが良い。料金については、総括原価か取
引所価格が良いのではないか。
・最終保障サービスが必要な理由についてこれがないと駄目とは言わないが、あることにメリットがあるということ。最終保障サービスは
残し、その料金は厳しく規制すべき。現行の最終保障約款は相当高いためもっと低く設定すべき。自由化した場合、本当に競争メカニ
ズムが働くのかどうか心配。自由化し、参入規制を撤廃しても独占だった状況と変わらず規制だけが外れることになるおそれがある
のではないか。
・自由化した際に、ドミナントな供給者がいる状態のままで規制だけ外れることは防ぐべき。自由化には賛成だが、大口の自由化が進
んでいない中で小口にも進めることは、今までの二の舞になるのではないか。
(出所)総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会(第1~8回)議事要旨から作成
専門委員会におけるこれまでの議論(小売全面自由化)②
3
・需要家保護策は非常に難しい問題。小売全面自由化を踏まえて需要家を保護する場合、①通常の小売供給における需要家保護、
②供給者が不在の場合の需要家保護、③社会的弱者や僻地の需要家に対する保護の3つが挙げられる。
・最終保障が必要になるのは、倒産などによって売り手がなくなる場合ではないか。したがって、かなり限定的な場合である。その場合
の最終的な小売主体は入札で決めればよいのではないか。
・自由化しても選択できる需要家は一部にとどまるのではないか。全面自由化を行い、料金規制が撤廃されたとしても契約条件に応じ
た料金メニューが提示されるはず。料金の割引や割り増しが公正に行われているかについては公取委などの公的機関に判断を委ね
るべき。
・参入規制、料金規制を撤廃することが本来の改革。最終保障サービスの料金は、総括原価以外の規制料金か自由料金とすべき。
・最終保障サービスについては何らかの措置が必要。提供主体は、地域概念をなくす必要があると考えるため、需要家に選択された一
定以上の規模の小売事業者を支持。エリアの送配電事業者もあるかもしれない。地域間の競争をもっと起こすべき。料金は自由料金
を支持。情報公開が重要。また、公取委の取組が重要。系統が結ばれていない離島についてはユニバーサルサービスが必要。基金
を作って全国で広く負担するべき。
・移行措置を考えることは重要。移行措置として参入規制撤廃・一般電気事業者への料金規制継続とし、選びたい人は規制料金から
抜けることとすれば良い。最終保障サービスの供給条件については取引所が機能すれば取引価格、機能しないのであれば総括原価
とすべきではないか 急激にではなく 徐々に選びたい人は選べるという環境を整備していくべき
とすべきではないか。急激にではなく、徐々に選びたい人は選べるという環境を整備していくべき。
・経過措置が必要なことは賛成であるが、大事なのは期限を明確に設定すること。
・全面自由化を行って混乱が生じなかった国はない。混乱を招かないように詳細な制度設計について議論が必要。
・離島へのユニバーサルサービスについて、通信と電力は同じものにするべきではない。
・離島にユニバーサルサービスを継続するのであれば、補助を検討することが必要。消費者が全面自由化のデメリットについて理解し
ているか疑問。全面自由化するのであれば、どのようなデメリットが発生する可能性があるのか周知徹底することが重要。
・小売自由化については、全面自由化することで概ね認識を共有できた。参入規制・料金規制をともに撤廃する。最終保障サービスの
提供主体についてはいろいろな考え方が示された。その料金は総括原価方式ではなく別の規制料金、または自由料金とすることに支
持が多かった、ユニバーサルサービスは全国で広くサーチャージ化することへの支持が多かったと理解。
・家庭部門の自由化は多くの消費者に選択を与えることになるが、価格規制の撤廃は社会の要望だとは思わない。規制料金を維持し
つつ、競争環境が整ったら料金への自由を少しずつ与えるべき。
(出所)総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会(第1~8回)議事要旨から作成
検討すべき論点
4
○小売全面自由化に伴い必要とされる需要家保護策、経過措置についてより詳細な検討を行うことが必要。
◆家庭部門をはじめとする小口部門を含めた全面自由化を実施。
◆全ての消費者が電源・事業者を自由に選べるよう、参入規制を撤廃。
2.料金規制を撤廃(総括原価方式の廃止)
◆小売電気事業者の経営の自由度を高め、創意工夫を促す観点から、料金規制は課さない。
電気事業法を改正して
規制の撤廃を実現
1.参入規制を撤廃(地域独占の撤廃)
◆一般電気事業者の供給義務、料金規制(総括原価方式)も撤廃。
般電気事業者 供給義務、料 規制(総括原価方 )も撤廃。
◆誰からも電気の供給を受けられない事態に至った場合や事業者が破綻・撤退した場合等に
備え、最終的に電気を供給する事業者を予め定める。(最終保障サービス)
◆供給コストが高い離島への電気の供給に係るコストについて、全国的な電気料金と遜色な
い価格が維持されるよう、所要の措置を講じる。(ユニバーサルサービス)
4.経過措置
◆小口部門の需要家保護・激変緩和の観点から、小売全面自由化後当面の間、現・一般電気
事業者の小売部門に対して、小口部門の需要家に対する規制料金での供給を義務づける
べきか否か。また、義務づける場合、解除要件をどのように考えるか。
より詳細な検討が必要と
考えられる論点
(
本日ご議論いただきたい論点)
3.需要家保護策を整備
5
小売全面自由化に伴う需要家保護策の整備
最終保障サービス、ユニバーサルサービスとは
○電気事業における最終保障サービスとは、「誰からも電気の供給を受けられない需要家に対する最終的な
電気の供給」と位置づけ。また、電気事業におけるユニバーサルサービスとは、「あまねく全ての国民に対す
る、一定の料金水準での電気の供給」と位置づけ。
○両者は需要家保護の観点から重要な制度。サービス提供主体として想定される者としては、①経済産業大
臣が指定する小売電気事業者、②エリアの送配電事業者、が考えられる。
<最終保障サービス>
<ユニバーサルサービス>
◆誰からも電気の供給を受けられない需要家
に対する最終的な電気の供給
◆あまねく全ての国民に対する、一定の料金
水準での電気の供給
◆対象となる需要家としては、
①どの小売電気事業者とも供給条件が整わ
ない需要家
②それまで電気の供給を受けていた小売電
気事業者が破たん等何らかの理由で市場
から撤退してしまった需要家
◆対象となる需要家としては、
○主要系統に接続していないことから構造的
に高コスト供給とならざるをえない離島の
需要家
◆あくまで緊急避難的な措置であり、需要家は
恒常的に最終保障供給を受け続けるもので
はない
※離島は需要が限定されるため電源規模に制約が生じ
電源のスケールメリットが活かせない。また、電源種
別や使用する燃料にも一定の制約が働く。さらに、そ
の地理的特殊性により、個別の電源調達や燃料運搬
が必要であり、市場原理に委ねるのみでは一定の料
金水準での電気の供給が確保されない。
◆恒常的な措置と位置付け
最終保障サービス、ユニバーサルサービスともに需要家(消費者)保護の観点から行われるものであり、
自由競争との親和性は低く、サービスを提供する事業者にとっては大きな負担
→ 一定の負担に耐え、社会的責任を果たしうる能力を有している事業者が担う必要
→ 一定規模以上の小売電気事業者 or エリアの送配電事業者 のいずれかに課すべきではないか。
6
最終保障サービス・ユニバーサルサービスに係る主な論点
最終保障サービス関係
最終保障サービスを誰に担わせるか。
最終保障サービスの供給条件(料金)はどのように設定するか。
最終保障サービスを実施するに際して何らかの費用補填措置を講ずる必要があるか。
最終保障サービスの対象範囲をどのように考えるか。
最終保障サービスを提供するに際して、供給力確保義務を課すか。
最終保障サービスの供給を受けるに至った需要家が最終保障サービスから離脱する(一般の小売電気事
業者から供給を受ける状態に早期に移行させる)ための措置が必要ではないか。
ユニバーサルサービス関係
ユニバーサルサービスを誰に担わせるか。
ユニバーサルサービスの供給条件(料金)はどのように設定するか。
ユニバーサルサービスを実施するに際しては費用補填措置が必要となるが、その原資はどこから徴収す
べきか。
ユニバーサルサービスの赤字補填について、一定の利潤を補填額に上乗せするべきか。また、経営効率
化インセンティブをどのように組み込むべきか。
補填金の徴収・交付を誰に担わせるか。
ユニバーサルサービスの対象範囲は離島のみで良いか。
7
最終保障サービスの提供主体について
経済産業大臣が指定する小売電気事業者の場合
義務を負う
主体
エリアの送配電事業者の場合
経済産業大臣が指定する地域の支配的小売電気事業者
・「地域」:例えば、現在の一般電気事業者の供給区域
・「支配的」:以下のいずれかにあてはまる事業者
①:当該地域の総電力量に占める供給電力量の割合が一定以
上の小売電気事業者
②:①が存在しない場合は、上位2社の小売電気事業者
※複数社の指定を可能とする
エリアの送配電事業者
供給条件
・最終保障約款の作成・公表、経済産業大臣への届出を義務づけ
・料金設定は事業者の裁量に委ねる一方、料金水準が著しく不適切な場合等における経済産業大臣の変更命令を可能とする
・受電電圧が特別高圧、高圧、低圧の需要家毎に料金を設定
費用回収
電気料金から回収(費用の補填措置は講じない)
最終保障約
款の変更命
令発動基準
経済産業大臣の変更命令については、現在の運用も参考にしつつ、個別具体的に判断
対象範囲
大口需要家を含めた全ての需要家
供給開始の
タイミング
供給力
確保義務
・需要家の申出があった時点から開始
・需要家が無契約状態で電気の供給を受けていた場合、その期間を遡及して、小売事業者との小売契約が確認できない場合は、最終
保障約款に基づく供給が行われたものとみなす
最終保障供給を前提とした供給力確保義務は課さない
最終保障供給を前提とした供給力確保義務は課さない
※エリアの周波数維持を行う観点から、実態的には、最終保障
供給に係る供給力も確保することとなる。
8
ユニバーサルサービス(離島への供給)の提供主体について
経済産業大臣が指定する小売電気事業者の場合
提供する
主体
対象地域・
範囲
9
エリアの送配電事業者の場合
・改正法施行時現に供給している小売電気事業者を経済産業大臣が指定
・エリアの送配電事業者を経済産業大臣が指定
※ただし、上記の事業者以外の小売電気事業者が、より効率的に供給することがで
きる場合は、それを排除するものではない。
※ただし、上記の事業者以外の小売電気事業者が、より効率的に供給するこ
とができる場合は、それを排除するものではない。
・以下の全ての条件を満たす地域の全ての需要家
①:北海道・本州・四国・九州・沖縄本島を除く島のうち、主要系統と連系していない島(いわゆる離島)
②:①のうち、特定供給による供給を受けていない地域
・離島供給約款の作成・公表、経済産業大臣への届出を義務づけ
供給条件
・料金設定は事業者の裁量に委ねる一方、料金水準が著しく不適切な場合(例えば、全国又はエリア平均を著しく上回る料金で供給した場合)等における経済産業大
臣の変更命令を可能とする
※全ての小売電気事業者に対して、低圧(電灯用・電力用)・高圧(業務用・産業用)・特高(業務用・産業用)の別で、それぞれ販売電力量と売上高について、経済
産業大臣への報告を義務づけ。提出されたデータをもとに、料金の全国・エリア別の平均を算出
費用回収
補填額の
算定
補填金の
徴収・交付
電気料金で回収+全国
の小売事業者から補填
電気料金で回収+全国
の託送料金で補填
電気料金で回収+エリア
の託送料金で補填
①補填を受けたい事業
者は、離島への電力
供給に要した費用と、
離島への供給により得
た収入をまとめた離島
収支を作成
①補填を受けたい事業
者は、離島への電力供
給に要した費用と、離
島への供給により得た
収入をまとめた離島収
支を作成
②離島収支を公的機関
が査定し、赤字(費用
>収入)の場合、その
全額を補填
②離島収支を公的機関
が査定し、赤字(費用>
収入)の場合、その全
額を補填
③補填原資は、全小売
電気事業者が拠出す
る負担金を充てる
③補填原資は、全国大で
託送料金に上乗せした
サーチャージを充てる
③補填原資は、エリア毎
に託送料金で回収
国又は新規に設立する
指定法人が負担金を徴
収し、事業者に交付
国又は新規に設立する
指定法人が負担金を徴
収し、事業者に交付
国又は新規に設立する
指定法人が負担金を徴
収し、事業者に交付
①補填を受けたい事業
者は、離島への電力供
給に要した費用と、離
島への供給により得た
収入をまとめた離島収
支を作成
②離島収支を公的機関
が査定し、赤字(費用>
収入)の場合、その全
額を補填
電気料金で回収+全国の託送料金
で補填
①送配電事業者は、離島への電力供
給に要した費用と、離島への供給
により得た収入をまとめた離島収支
を作成
②離島収支を公的機関が査定し、赤
字(費用>収入)の場合、その全額
を補填
③補填原資は、全国大で託送料金に
上乗せしたサーチャージを充てる
国又は新規に設立する指定法人が
負担金を徴収し、事業者に交付
電気料金で回収+エリアの託送料金
で自らが回収
①送配電事業者は、離島への電力供
給に要した費用と、離島への供給
により得た収入をまとめた離島収支
を作成
②離島収支を公的機関が査定し、赤
字(費用>収入)の場合、その全額
をエリア毎に託送料金で回収
エリアの送配電事業者が自ら回収す
るため、徴収・交付のプロセスは不要
最終保障サービス、ユニバーサルサービスの供給条件(料金)について
○最終保障サービスやユニバーサルサービスの供給条件(料金)については、例えば以下のような整理が考
えられるのではないか。
小売全面自由化後、全ての小売電気事業者に対して、低圧(電灯用・電力用)、高圧(業務用・産業用)、特別
高圧(業務用・産業用)の受電電圧毎に販売電力量と売上高について、経済産業大臣への報告を義務づけ。
提出されたデータをもとに、料金の全国・エリア別の平均額を算出。
最終保障サービス
ユニバーサルサービス
◆最終保障約款の作成・公表、経済産業大臣
への届出を義務づけ。
◆離島供給約款(仮称)の作成・公表、経済産
業大臣への届出を義務づけ。
◆料金設定は事業者の裁量に委ねる一方、料
金水準が著しく不適切な場合等における経済
産業大臣の変更命令を可能とする。
◆制度上必要があれば、事業者に対して、離島
収支(仮称)の作成・公表を求めることも検討。
◆上記変更命令の発動に際しては、例えば、料
金の全国平均、市場価格、インバランス料金
の水準等を参考にしつつ、個別具体的に検
討を行う。
◆料金水準が著しく不適切な場合(例えば、料
金が全国又はエリア平均を著しく上回った場
合)等における経済産業大臣の変更命令を可
能とする。
10
小売電気事業者、送配電事業者が担う場合のメリット・デメリット
経済産業大臣が指定する小売電気事業者
・最終保障供給、ユニバーサルサービスは双方と
もに「小売行為」であることから、小売電気事業
者が最終保障供給等に係る義務を担うとの整理
も自然。
メリット
・小売全面自由化直後は、事実上、従来と同じ事
業者が供給を行うため、需要家の安心感が高ま
る
エリアの送配電事業者
・小売全面自由化後、各種義務を負う主体は送
配電事業者であることから、送配電事業者が最
終保障供給等に係る義務を担うとの整理も自然。
・送配電分野は非競争分野であるため、送配電
事業者が最終保障供給等に係る義務を負ったと
しても、競争分野(小売・発電分野)におけるイ
コールフッティングの確保が可能
・送配電事業者は投資回収が保証されており、安
定的なセーフティーネットとして機能。
・自由競争分野である小売分野で、特定の事業
者にのみ特殊な義務を課すことは、イコールフッ
ティング確保の観点から問題
デメリット
11
・送配電事業者の業務範囲が無制限に拡大しな
いか、という懸念(そもそも送配電事業者が系統
・小売全面自由化後はエリア概念が残らないはず
運用業務ではない最終保障供給等に係る業務
の小売分野にエリア概念が存続
を行うことの是非)
・指定された小売電気事業者が倒産した場合、
セーフティーネットが一時的に機能しないおそれ
自由競争分野におけるイコールフッティングを確保し、小売電気事業者間の競争を促進する観点
から、エリアの送配電事業者に担わせることとしてはどうか。
送配電事業者の業務範囲が無制限に拡大しないよう、何らかの措置が必要ではないか。
ユニバーサルサービスに係る補填金について
全国の託送料金に上乗せ
12
エリアの託送料金に上乗せ
・ユニバーサルサービスを送配電事業者が担うこ
ととした場合、徴収/交付に係る調整コストが不
要
メリット
デメリット
・ユニバーサルサービス提供に係るコストを全国
で平準化可能
・現行の料金制度と整合的
・徴収/交付に係る調整コストが発生
・総体的に離島が多い地域の需要家に負担が偏
る(他方、託送コスト/発電コストの内訳は変わ
るが、電気料金全体での負担の絶対値は変更
無し。また、地域単位で離島コストを負担する仕
組みは現在の負担の在り方と同じ。)
・現行の料金制度との整合性が取れない
・総体的に離島が少ない地域の需要家にとって
は、負担が増加
・離島の系統と本土系統を接続しユニバーサル
サービスの対象外とする場合には、当該接続費
用はエリアの託送料金で回収することとの整合
性を確保可能
いずれの方法でも発電・小売の競争には中立的。
現在の制度、とりわけ小売料金への影響の少なさの観点から、エリアの託送料金に上乗せして回収
することとしてはどうか。
その他の需要家保護措置
13
○小売全面自由化により、需要家(消費者)は多種多様な事業者・料金メニューの中から選択することが可能
になる一方、自らの責任で選択することが必要となる。
○他方で、消費者の情報収集能力、価格交渉力等により受けられるサービスに格差が生じる可能性もあり、消
費者に対する情報提供の充実等を何らか措置することが必要ではないか。
○例えば、小売電気事業者に対して、①料金その他の供給条件について消費者への説明を義務づけること、
②消費者からの苦情・問合せを適切に処理することを義務づけること、また、経済産業大臣が③電気の使用
者の利益を著しく阻害している場合等に小売電気事業者に対して業務の改善を命令できること、等の措置
が考えられるのではないか。
消費者保護の観点から考えられる措置(例)
考えられる措置
措置の概要
他の法律の例
①料金その他供給条件の消費者
への説明義務
小売電気事業者・契約代理店に対して、料金
その他の供給条件について、消費者に説明す
る義務を課す。
電気通信事業法、旅行業法、宅地建物
取引業法、保険業法、銀行法、割賦販
売法、クリーニング業法、放送法
②消費者からの苦情・問合せの
処理義務
小売電気事業者に対して、消費者からの苦情・
問合せを受けた場合に、適切かつ迅速にこれ
を処理する義務を課す。
電気通信事業法、警備業法、自動車運
転代行業の業務の適正化に関する法律、
割賦販売法、放送法
③業務改善命令
例えば以下の場合に、経済産業大臣は小売電
気事業者等に対して業務の改善を命令できる。
・料金その他の供給条件が、社会的経済的事
情に照らして著しく不適切な場合
電気通信事業法
・上記①又は②の義務に違反したとき
・その他電気の使用者の利益を著しく阻害する
おそれがあるとき
14
低圧配電部門の中立性確保について
低圧配電部門の中立性確保について
15
1.現行制度下における送配電部門の中立性確保について
○現行電気事業法では、①託送供給の業務に関して知り得た情報の目的外利用の禁止、②託送供給の業務について、特定
の者を優先的に/不利に扱うことの禁止、③これらに違反した場合の経済産業大臣による停止/変更命令を規定。
○また、適正取引ガイドラインにおいて、④送電サービスセンター、給電指令所、接続検討等に関連する業務を行う部門等にお
いて託送供給の業務を行う従業員は、発電部門又は営業部門の業務は行わないこと等を規定。
○これらの措置は、自由化分野(特別高圧・高圧)における送配電部門の公平性・透明性の確保を目的として講じられたもので
あり、非自由化分野(低圧)における送配電部門の公平性・透明性の確保は対象とされていない。
新規参入事業者の参入により発電・販売部門の多数の事業者が系統利用者を構成するようになるにつれ、電力会社の送配電部門はこ
れら多数の事業者が利用する「公共インフラ」としての性格が強まり、送配電施設の整備や系統全体の電力需給の調整など、送配電部
門の調整機能の確保が必須となる。この点、小売自由化の進展下において引き続き、送配電部門の調整機能を維持し、電気の供給信
頼度を確保するためには、送配電部門の透明性・公平性について、広く市場参加者の信頼が確保されることが重要である。
【総合資源エネルギ 調査会電気事業分科会報告「今後の望ましい電気事業制度の骨格について」(H 15 2 18)】
【総合資源エネルギー調査会電気事業分科会報告「今後の望ましい電気事業制度の骨格について」(H.15.2.18)】
2.低圧配電部門の中立性確保の必要性について
○上記のとおり、現行制度における送配電部門の公平性・透明性の確保措置は自由化分野を対象として講じられたものであり、
非自由化対象分野である低圧配電部門における公平性・透明性の確保は対象とされていない。
○このため、現行制度においては、低圧需要家へのサービスを提供するに際して、小売部門と配電部門の連携により効率的な
サービスの供給を図ることも否定されておらず、低圧配電部門の中立性の確保は制度的に担保されていない。
小売全面自由化に伴い、低圧分野まで含めたすべての送配電部門が「公共インフラ」としての性格を帯びることから、低圧配
電部門の公平性・透明性を確保することが必要ではないか。
なお、顧客利便性の確保の観点から、①新電力を含むすべての事業者に平等にサービスを提供し、②本業の送配電業務に
支障を及ぼさない範囲に留めるという前提で、配電部門が小売部門の業務を代替・受託することも可能とすべきではないか。
小売全面自由化後の需要家情報へのアクセスについて
16
○小売全面自由化後、需要家による契約変更の効率化の観点から、個人情報保護に留意した上で、各小売
電気事業者が需要家情報にアクセスできる環境整備について検討が必要ではないか。
○具体的には、以下のような点について検討が必要ではないか。
①管理すべき需要家情報の内容(契約容量、電気使用場所、受電設備 等)。
②顧客情報を一元的に管理するシステムのあり方。システムを管理する主体。
③個人情報である需要家情報へのアクセスを認める条件(あらかじめ需要家の許諾を要件とするか 等)。
④需要家情報へのアクセスを認める範囲。電気事業者にのみ認めることとすべきか。又は第三者にも認める
べきか。
⑤システムの構築や運営に係る期間や費用負担のあり方。費用対効果。
等
需要家情報へのアクセス(イメージ)
需要家情報へのアクセス(イメ
ジ)
・
適切にデータを管理
・
管理システムを運営・
保守
データ管理主体
(
エリアの送配電事業者
又は
中立的な第三者機関)
◆氏名、住所
◆契約容量
◆電気使用場所
◆受電設備
・
・
・
一定のルールの下で顧客データにアクセス
顧客データ
小売
事業者A
小売
事業者B
小売
事業者C
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小売全面自由化の実施要件・経過措置・解除要件
現行制度、経過措置、新制度のイメージ
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○小売の参入全面自由化を実施するに際しては、低圧託送制度の構築、営配分離の実施、託送供給約款の整備等が必要。
○小売の参入全面自由化後も、経過措置として、旧・一般電気事業者(の小売部門。以下同じ。)に対して、家庭部門の需要家に対する
規制料金での供給を義務づけることとしてはどうか。
○なお、経過措置を講ずる場合であっても、旧・一般電気事業者が多様な料金メニューを設定することは認めることとしてはどうか。
○発送電分離等の各種制度整備が実施され、競争環境が整備・進展されたときに、経過措置を解除することとしてはどうか。
一般電気事業者が
設定する自由料金
で供給を受ける需
要家
現行制度上の規制部門
一般電気事業者の
供給約款(総括原価
方式で算定された料
金)で供給を受ける
需要家
一般電気事
業者の最終
保障供給約
款で供給を
受ける需要
家
一般電気事
業者の供給
義務の一環
として措置
経過措置期間
新電力及び他地域の
旧・一般電気事業者
が設定する自由料金
で供給を受ける需要
家
旧・一般電気事業
者が設定する自由
料金で供給を受け
る需要家
新電力及び他地域の
旧・一般電気事業者
が設定する自由料金
で供給を受ける需要
家
旧・一般電気事業
者が設定する自由
料金で供給を受け
る需要家
旧・一般電気事業者
の小売部門が設定す
る規制料金(経過措
置)で供給を受ける需
要家
最終保障サービス
新制度にお
ける最終保
障サービス
で措置
旧・一般電
気事業者の
小売部門に
経過措置と
して課せら
れる供給義
務の一環と
して措置
最終保障サービス
卸市場の活用の拡大、電力間競争や新規参入の拡大、
発送電分離の実施等、一定の競争環境の整備・進展
現行制度上の自由化部門
新電力及び他地域の
一般電気事業者が
設定する自由料金で
供給を受ける需要家
【
低圧託送制度の構築】
【
低圧配電部門の中立性確保に係るシステム構築】
【
託送供給約款の整備】
現行制度
経過措置終了後
自由料金で供給を
受ける需要家
新制度にお
ける最終保
障サービス
で措置
最終保障サービス
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