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冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン

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冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007 − 2008 年度合同研究班報告)
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
Guidelines for Noninvasive Diagnosis of Coronary Artery Lesions(JCS 2009)
合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本医学放射線学会,日本核医学会,日本画像医学会,日本冠疾患学会,
日本心血管画像動態学会,日本心臓核医学会,日本心臓病学会,日本心電学会,
日本超音波医学会,日本動脈硬化学会,日本脈管学会
班 長 山
科 章 東京医科大学第二内科
班 員 上
嶋
健
治 京都大学大学院医学研究科 EBM 研
木
村
一
雄 横浜市立大学附属市民総合医療セン
栗
林
幸
夫 慶應義塾大学放射線診断科
究センター
協力員 陣
雅
弘 慶應義塾大学放射線診断科
近 森 大志郎 東京医科大学第二内科
ター心臓血管センター
佐久間 肇 三重大学医学部附属病院中央放射線部
長
崎
良 北海道大学大学院医学研究科病態情報学
寺
岡
邦
彦 東京医科大学八王子医療センター循
林
田
晃
寛 川崎医科大学循環器内科
原
田
昌
樹 原田医院
吉
岡
邦
浩 岩手医科大学付属循環器医療センタ
環器内科
玉
木
吉
田 清 川崎医科大学循環器内科
協力員 北
川
覚
也 三重大学医学部附属病院中央放射線部
小
菅
雅
美 横浜市立大学附属市民総合医療セン
渡
邉 望 川崎医科大学循環器内科
豊 産業医科大学第 2 内科学
西
村
重
敬 埼玉医科大学国際医療センター心臓内科
樹 広島大学大学院医歯薬学総合研究科循
水
野
杏
一 日本医科大学付属病院内科学第一
吉
野
秀
朗 杏林大学第二内科
講座核医学分野
ー放射線科
吉 永 恵一郎 北海道大学大学院医学研究科分子イ
メージング講座
ター心臓血管センター
外部評価委員
尾
木
辻 原
康
環器内科学
(構成員の所属は 2009 年 6 月現在)
目 次
Ⅰ.ガイドライン作成にあたり………………………………1020
Ⅲ.病態各論:虚血性心疾患における病態に基づいた冠動脈病
1.ガイドライン作成の背景 ……………………………1020
2.ガイドライン作成の基本方針と構成 ………………1020
3.ガイドラインの構成 …………………………………1021
4.本ガイドラインで使用した略語 ……………………1021
Ⅱ.検査総論:冠動脈病変の診断における各検査法の意義 …1022
1.安静時心電図 …………………………………………1022
2.運動負荷心電図 ………………………………………1022
3.心エコー図法 …………………………………………1025
4.心臓核医学検査 ………………………………………1027
5.冠動脈 CT………………………………………………1028
6.心臓 MRI ………………………………………………1032
変の非侵襲的診断法…………………………………………1034
1.狭心症 …………………………………………………1034
2.急性冠症候群 …………………………………………1044
3.陳旧性心筋梗塞 ………………………………………1052
4.PCI および CABG 術後の評価およびフォローアップ …1055
5.その他の冠動脈疾患 …………………………………1060
6.無症状の症例 …………………………………………1062
Appendix ………………………………………………………1065
1.胸痛患者における検査前有病率の推定 ……………1065
2.日本人における心血管リスク予想 …………………1065
文献……………………………………………………………… 1068
(無断転載を禁ずる)
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1019
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
ものである.したがって,本ガイドラインも冠動脈病変
Ⅰ
ガイドライン作成にあたり
の診断に限らず,冠動脈疾患管理のゴールを見据えた上
での検査と位置づけ,関連する主な非侵襲的診断法を含
めて検討した.一部の画像診断検査については,既に日
本循環器学会のガイドラインに,詳細に記載されている
1
ガイドライン作成の背景
ものもあるが,本ガイドラインでは,それらについても
検査総論として概要を記すことによって自己完結するよ
うに配慮した.特に最近,冠動脈の非侵襲的イメージン
近年の画像診断の進歩によって,循環器疾患の非侵襲
グとして急速に普及している冠動脈 CT については詳し
的診断法の重要性は著しく向上し,多くの疾患や病態に
く記述した,また,病態各論においては日常の循環器の
おいて画像診断法は大切な役割を果たしている.我が国
臨床で遭遇する頻度が高く,かつ,各検査における科学
で 2004 年から開始された日本循環器学会循環器疾患診
的報告がなされているものを中心に取り上げた.内容的
療実態調査 の 3 年間の推移をみても,侵襲的冠動脈造
には,これまで発表された虚血性心疾患における非侵襲
影検査数は頭打ちであるのに対して,非侵襲的画像診断
的診断法およびその関連項目について記載された日本循
の検査数は増加し続けている.中でも,非侵襲的に侵襲
環器学会ガイドラインとの整合性を保ちつつ,新たな知
的冠動脈造影に匹敵する画像を提供できるようになった
見も加えて虚血性心疾患の診断に関する項目を中心に取
冠動脈 CT は 3 年間に約 5 倍と急上昇しており,冠動脈
り上げた.これまで虚血性心疾患における非侵襲的診断
疾患あるいはそれが疑われる患者の管理において重要な
法およびその関連項目について記載された日本循環器学
位置を占めるようになっている.一方で,こうした非侵
会ガイドラインには,慢性虚血性心疾患の診断と病態把
襲的画像診断法の普及によって発見された病変に対し
握のための検査法の選択基準に関するガイドライン
て,臨床症状あるいは虚血(機能的狭窄)の有無に関係
4)
(2005 年改訂版)
,急性冠症候群の診療に関するガイド
なく,血行再建治療が実施されるという状況が生じてい
5)
ライン(2007 年改訂版)
,冠攣縮性狭心症の診断と治
るのも事実である.医療の進歩がさらなる医療費の押し
6)
療に関するガイドライン(2008 年)
,循環器超音波検
上げへと導いているといわれるゆえんでもある 2).
7)
査の適応と判読ガイドライン(2005 年)
,心臓核医学
新しい診断技術が日常臨床に組み込まれるためには,
8)
検査ガイドライン(2005 年)
,循環器診療における放
その新検査法が以前のものに勝り,かつ,費用対効果に
射線被ばくに関するガイドライン(2006 年)9),などあり,
も優れていることを,科学的エビデンスをもって示す必
本ガイドラインではそれらとの整合性を保ちつつ,新た
要がある 3).画像診断の役割として重視されるべきこと
な知見も加えて虚血性心疾患の診断に関する項目を中心
は,治療方針の決定および予後に対するインパクトであ
に取り上げることとした.
り,診断精度の僅かな改善や画像の与える印象ではない.
なお,我が国であまり実施されておらずエビデンスの
このことを明快にするためには数多くの大規模臨床試験
ないもの,あるいは我が国では未承認の検査法で,海外
が必要であることに論を待たないが,現時点で十分なエ
では有効性,有用性について十分なエビデンスがあるか,
ビデンスが蓄積されていないのもまた事実である.以上
専門家の見解が広く一致しているものについても,適宜
を考慮の上,循環器疾患の中で最も頻度の高い虚血性心
記載した.また我が国の保険診療で認められていない適
疾患,特に冠動脈病変の非侵襲的診断をどのように実施
応となっていない検査,薬剤についても必要に応じ言及
するのが望ましいか,を現時点での入手可能なエビデン
した.
スと我が国の医療の現状を基にしてガイドラインとして
なお,本ガイドライン作成にあたっては,各診断法の
1)
まとめた.
2
ガイドライン作成の
基本方針と構成
適応に関する推奨基準として,原則的に ACC/AHA のガ
イドラインに準拠したクラス分類およびエビデンスレベ
ルを用いた.
クラス分類
クラスⅠ:その検査法が有効,有用であるというエビ
冠動脈疾患の治療の目標は,患者の QOL と予後の改
デンスがあるか,あるいは見解が広く一致
善であり,冠動脈病変の診断も単独に行うべきものでは
している.
なく,虚血性心疾患の診断・管理の流れの中で行うべき
1020
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
クラスⅡ:その検査法が有効,有用であるというエビ
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
デンスあるいは見解が一致していない.
Ⅱ a:エビデンス,見解から有用である可能性
が高い.
Ⅱ b:エビデンス,見解から有用性,有効性が
それほど確立されていない.
クラスⅢ:その検査法が有効,有用でなく,時に有害
2.急性冠症候群
1不安定狭心症 / 非 ST 上昇型急性心筋梗塞
2ST 上昇型急性心筋梗塞
3.陳旧性心筋梗塞
1心筋バイアビリティの診断
2 心不全の原因としての冠動脈病変の検索
であるとのエビデンスがあるか,あるいは
4.PCI および CABG 術後の評価およびフォローアップ
そのような否定的見解が広く一致してい
5.その他の冠動脈疾患
る.
1MCLS(川崎病)
エビデンスレベル
レベル A:複数の無作為介入試験または,メタ解析で
実証されたもの.
レベル B:単一の無作為介入臨床試験または,大規模
2 先天性冠動脈奇形
6.無症候の症例
1無症状の高リスク症例
2 健診でのスクリーニング検査
な無作為介入でない臨床試験で実証された
について,それぞれの検査法の有用性,問題点をあげ,
もの.
診断の進め方について記載した.
レベル C :専門家および / または,小規模臨床試験(後
ろ向き試験および登録を含む)で意見が一
4
致したもの.
本ガイドラインで使用した
略語
なお,今日の日常臨床における基本的診断プロセスと
みなされており,介入試験の実施が非現実的あるいは
本文中に用いられる略語は以下の通りである.
非倫理的とみなされるものは,レベルを記載せず,取
ACS(acute coronary syndrome)急性冠症候群
り上げた.
ATP(adenosine triphosphate)アデノシン三燐酸
3
ガイドラインの構成
BMS(bare metal stent)ベアメタルステント
CABG(coronary artery bypass grafting) 冠 動 脈 バ イ パ
ス術
本ガイドラインは総論と各論の二部に分けて作成し
CFVR(coronary flow velocity reserve)冠血流速予備能
た.
DSVR(diastolic-to-systolic velocity ratio)拡張期対収縮
Ⅱ.検査総論では,「冠動脈病変の診断における各検
期冠血流速度比
査法の意義」として,虚血性心疾患診断に用いられる主
EBCT(electron beam CT)電子ビーム CT
な非侵襲的検査法,すなわち,
eGFR(estimated glomerular filtration ratio)推定糸球体
1.安静時心電図
濾過率
2.運動負荷心電図
HU(Hounsfield unit)ハンスフィールド値(CT 値)
3.心エコー図法
ICD(implantable cardiverterdefibrillator)植込み型除細
4.心臓核医学検査
動器
5.冠動脈 CT
123
6.心臓 MRI
canoic acid)123I-βメチル -p- ヨードフェニルペンタデカ
I-BMIPP(123I-beta(β)-methyl-p-iodophenyl-pentade-
について,それぞれの概要,虚血性心疾患診断における
ン酸
特徴と問題点,その有用性を活かせる病態を解説した.
J-ACCESS(Japanese Assessment of Cardiac Event and
Ⅲ.病態各論では,「虚血性心疾患における病態に基
Survival Study by Quantitative Gated SPECT)
づいた冠動脈病変の非侵襲的診断法」として,日常の循
LGE(late gadolinium enhancement)遅延造影 MRI
環器の臨床で遭遇する頻度が高い以下の病態,
LVEF(left ventricular ejection fraction)左室駆出率
1.狭心症
MDCT(multidetector-row CT)多列検出器型 CT
1狭心症ないし臨床像から虚血性心疾患が疑われる
99m
症例
2 冠攣縮性狭心症
Tc-MIBI(99mTc-methoxy-isobutyl isonitrile)99mTc- ミ ト
キシ・イソブチルイソニトリル
99m
Tc-PYP(99mTc-pyrophosphate)99mTc- ピロリン酸
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1021
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
MRI(magnetic resonance imaging)MR(磁気共鳴)画像
胸郭の相違なども影響し,さらに二次性の ST-T 変化を
MRA(magnetic resonance angiography)MR(磁気共鳴)
呈する脚ブロックや心肥大合併例,WPW 症候群,心室
血管造影
ぺーシング例,ジギタリス服用例などでは偽陽性所見を
NPV(negative predictive value)陰性適中率
呈することも多く,心電図の診断意義は低い.
NSF(nephrogenic systemic fibrosis)腎性全身性線維症
心電図を記録する方法(誘導法)としては標準 12 誘
PCI(percutaneous coronary intervention)経皮的冠イン
導法が広く用いられている.12 誘導は双極誘導と単極
ターベンション
誘導に分けられ,前者には標準肢誘導(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ誘導),
p-FAST(perfusion and function assesment by myocardial
後者には単極肢誘導(aVR,aVL,aVF 誘導)および単
SPECT)
極胸部誘導(V1-6 誘導)が用いられる.標準 12 誘導法
PPV(positive predictive value)陽性適中率
では右室側や左室後壁の情報が得られないという欠点が
QGS(quantitative gated SPCET)
あり,右側胸部誘導(V3R-6R 誘導:V3-6 誘導と左右対
STEMI(ST-elevation myocardial infarction)ST 上 昇 型
称的な誘導)や背側部誘導(V7-9 誘導:V7-9 誘導は V4
心筋梗塞
誘導と同じ高さで,V7 誘導は後腋下線との交点,V8 誘
SPECT(single-photon emission CT)シングルフォトン
導は左肩甲骨中線との交点,V9 誘導は脊椎左縁との交
断層撮影
点に付ける)を付加的に記録することにより詳細な電気
TID(transient ischemic dilation)一過性心拡大
)
的診断が可能となる 10(図
1).
DES(drug eluting stent)薬剤溶出性ステント
図 1 背側部誘導(V7-9 誘導)文献 10 より改変引用
PET(positron emission tomography)陽電子放出型断層
撮影
Ⅱ
1
検査総論 : 冠動脈病変の診断
における各検査法の意義
安静時心電図
2
運動負荷心電図
心電図は心臓の電気現象を体表面から記録した電気生
理学的検査の代表的なものである.12 誘導心電図は冠
運動負荷心電図検査の目的のうち,最も重要なものは
動脈病変の診断で最初に行われる基本となる検査法であ
冠動脈疾患の存在診断である.心電図検査は心筋(細胞)
り,日常診療で広く利用されている.虚血性心疾患の診
の電気活動を評価するものであり,心筋の虚血を反映す
断において心筋虚血や梗塞の部位や程度を評価するのに
るとされていることから,運動負荷により心電図に(虚
有用である.心筋虚血の診断には主に ST 部分の変化(上
血性)変化がみられるかどうかを評価する.心筋が虚血
昇,下降)が用いられるが,T 波の変化(増高尖鋭化,
に陥るかどうか,すなわち冠動脈に機能的狭窄があるか
平低化,陰転化),QRS 波の変化(R 波の増高・減高,
どうかを判定するものであり,冠動脈狭窄の形態的評価
QRS 幅の変化),U 波の変化(陽性・陰性 U 波),各種
である冠動脈造影とは相補的な意義を持つ.本検査は冠
不整脈の出現も診断的価値を持つ.また異常 Q 波は梗塞
動脈疾患の存在診断以外には冠血行再建後のフォローア
の診断に役立つ.心電図はほとんどの医療施設で施行可
ップ,冠動脈疾患患者における非心臓手術の術前検査,
能な安価な検査法であり,簡便かつ繰り返し記録するこ
心臓リハビリテーションや生活習慣病に対する運動処方
とが可能である.急性冠症候群の分類・診断においては
などにも用いられる.
心電図が中心的役割を果たし,リスク評価や治療効果の
判定に重要である.また経時的に心電図を記録すること
1022
1
感度と特異度
で臨床的意義は向上することが多い.しかし,心電図も
運動負荷心電図検査によって冠動脈狭窄を検索する際
万能ではなく狭心症患者では非発作時には心電図変化を
の感度,特異度はそれぞれおおよそ 70 %,75 %前後と
認めないことも多い.また,心電図波形には患者の体型・
されているが 11)−15),検査対象者による検査前確率(pre-
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
test probability)についても念頭におく必要がある 11).
2
運動負荷心電図検査の実際
は緊急薬品や点滴セット,挿管チューブなどを揃えた救
急カートおよび除細動器を常備し,緊急治療室への移動
経路についても確認しておかねばならない.
検査は十分経験を積んだ医師と検査技師あるいは看護
①適応と禁忌
師など複数の医療スタッフのもとに,症状,心電図,心
虚血性心疾患が疑われる症例での確定診断はもとよ
拍数,血圧などを監視しながら施行する.症状出現時の
り,ハイリスク患者のスクリーニングや,冠血行再建後
心電図変化を評価するのみならず,無症候性の虚血性心
あるいは薬物治療中の虚血性心疾患患者のフォローアッ
電図変化や不整脈,血圧の変化を見逃さないように細心
プ,などが運動負荷心電図の適応になるが,それぞれに
の注意を払う必要がある.
関しては各論で詳述する.
本検査の禁忌については,急性心筋梗塞や重症弁膜症
③プロトコール
など運動負荷が病態を悪化させる場合である(表 1).
運動負荷の方法には,古典的なマスター法,トレッド
不安定狭心症については,近年 American Heart Associa-
ミル法,エルゴメーター法がある.マスター二段階負荷
tion(AHA)のガイドラインにおいて同症が疑われる症
法は手技が比較的簡便であり,専用の負荷機器が必要で
例でも検査前の評価によってリスクが低いと考えられる
ないことから,従来より広く行われてきた運動負荷法で
場合は適応とする見解が示されている
16)
.WPW 症候群
あるが 18),負荷量のコントロールができないこと,予後
や左脚ブロック症例のように二次性 ST 変化を認める場
指標として重要である運動耐容能を評価できないこと,
合には心電図変化のみでは虚血性心疾患の診断は不可能
負荷中の心電図変化を捉えられないことから,トレッド
であり,運動負荷心エコーや運動負荷心筋シンチグラフ
ミル法あるいはエルゴメーター法で行う方が望ましく,
ィなどイメージング検査の併用が有用な場合がある 17).
特にハイリスク例ではマスター法は避けるべきである.
②検査の安全性と事前のチェック項目
トレッドミル法では,歩行速度と傾斜角度の増加方法
において標準的な Bruce 法が広く用いられる(表 2).検
運動負荷心電図検査は一般に安全に行われるが 18),負
査前の問診で日常の運動能が高い被検者では負荷量の少
荷検査である以上心筋虚血が誘発される可能性があり,
ないステージの時間を短縮してもよい.逆に運動能の低
場合によっては心事故につながることを前提として施行
い被検者,狭心痛閾値の低い患者,高齢者では初段階負
19)
.したがって,一定の確率で心筋梗
荷量をさらに細かく分けて段階的に増加させる場合もあ
塞,あるいは突然死も招来し得ることを検査前に被検者
る.運動中止基準(表 3)を参考に症候限界性負荷をか
に説明しなければならない.また,同意書に署名をして
けるのが原則であり,この際自覚症状の指標として
もらう必要がある.さらに,緊急事態に備えて検査室に
Borg 指数(表 4)が有用である.心電図は四肢の電極の
されねばならない
貼付位置を両肩と両側の腸骨付近で代用する Mason表 1 運動負荷試験の禁忌
絶対禁忌
急性心筋梗塞発症早期(2 日以内)
不安定狭心症(高リスク症例)
コントロール不良の不整脈
高度の狭窄性弁膜症
急性あるいは重症心不全
急性肺塞栓または肺梗塞
急性心筋炎または心膜炎
大動脈解離などの重篤な血管病変
相対禁忌
左冠動脈主幹部狭窄
中等度以上の狭窄性弁膜症
高度の電解質異常
重症高血圧
頻脈性または徐脈性不整脈
閉塞性肥大型心筋症などの流出路狭窄
運動負荷が行えない精神的・身体的障害
高度房室ブロック
Liker 12 誘導を装着し,検査中は血圧と併せて連続して
心電図が観察されるモニターで監視する 20).虚血性変化
がみられなかった場合でも目標心拍数[予測最大心拍数
(220 −年齢 / 分)の 85 〜 90 %の心拍数]に達しなかっ
た場合は負荷不十分にて判定不能とする.
表 2 Bruce 法
ステージ
(各 3 分)
1
2
3
4
5
6
7
速度
mile/h(km/h)
1.7
2.5
3.4
4.2
5.0
5.5
6.0
(2.7)
(4.0)
(5.5)
(6.9)
(8.0)
(8.8)
(9.6)
傾斜
(%)
予測
METs
10
12
14
16
18
20
22
4.8
6.8
9.6
13.2
16.6
20.0
─
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1023
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
表 3 運動中止基準
表 4 Borg 指数
自覚症状
被検者の中止要請
ST 下降を伴う軽度の胸痛
ST 下降を伴わない中等度の胸痛
呼吸困難,下肢疲労,全身疲労[旧 Borg 指数 17(かなり
きつい)相当]
他覚所見
ふらつき
ろうばい
運動失調
蒼白
チアノーゼ
嘔気
欠伸その他の末梢循環不全症状
ST 変化
ST 下降(水平型,下降型で 0.1mV 以上)
ST 上昇(0.1mV 以上)
旧
20
19
18
17
16
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
もうだめ
非常にきつい
かなりきつい
きつい
ややきつい
新(修正)
10
9
8
7
6
5
非常にきつい
かなりきつい
きつい
楽である
4
3
2
ややきつい
楽ではない
楽である
かなり楽である
1
かなり楽である
非常に楽である
安静
0.5 非常に楽である
0
安静
不整脈
表 5 運動負荷試験における虚血性心疾患評価のための指標
心室頻拍
R on T 現象
連続する心室期外収縮 2 段脈,3 段脈
30%以上の心室期外収縮
持続する上室頻拍や心房細動の出現
2 度,3 度の房室ブロック
脚ブロックの出現
狭心症状の出現
低運動耐容能
血圧増加反応の不良
心拍数上昇不良
心電図
ST 下降
ST 上昇
U 波の陰転(または陽転)
ST/HR スロープの大きな傾き
時計回りの HR-ST ループ
ST 下降の時間経過
血圧反応
過 度 の 血 圧 上 昇( 収 縮 期 250mmHg 以 上, 拡 張 期 120
mmHg 以上)
血圧の低下(運動中 10mmHg 以上の低下,あるいは上昇
しない場合)
心拍反応
水平型(horizontal)あるいは下降型(sagging)の場合
予測最大心拍数の 85 ~ 90%
異常な徐脈
に陽性と判定する 11).安静時心電図にて ST 下降が存在
その他
心電図モニターや血圧モニターが正常に作動しないとき
する場合は,安静時の ST レベルからさらに 0.2mV の下
降が判定基準として用いられる 11),22).運動中に上行型
(upsloping)の ST 下降があり運動終了後に徐々に水平
型ないし下降型に変わり T 波逆転を伴って長く持続する
エルゴメーター法は,負荷を無段階的に増加させるこ
ものは偽陽性を示唆する 23).
とが可能な点がトレッドミル法との大きな違いである
虚血性心疾患では冠動脈狭窄枝が多いほど ST 下降が
が,通常は 8 〜 12 分程度で最大負荷になるように,毎
高率に出現することが知られている 24).予後不良の指標
分の負荷増加量を 10W 〜 20W 前後の間で調整する 21).
として,0.2mV 以上の ST 下降,低運動量での ST 下降,
欠点として,不慣れな被検者では大腿四頭筋の疲労のた
血圧の上昇不良,低運動耐容能などが参考になる 25)−30).
めに目標心拍数に達する前に負荷終了になることがあげ
最近の自動解析装置では運動負荷中の心拍数の変化と
られる.
ST 下降の関係から HR-ST ループや ST/HR スロープが解
④運 動負荷試験における虚血性心疾患評価のため
の指標(表 5)
と偽陽性の確率が高くなる 31).また,HR-ST ループの
1)ST 下降
いる 32).
トレッドミル法における心筋虚血の判定基準としても
2)ST 上昇
回転が反時計方向の場合も偽陽性の確率が高いとされて
っとも一般的に用いられるのは,J 点から 0.06 〜 0.08 秒
ST 上昇は負荷前の ST レベルからの計測で評価する.
後の ST 部分の基線(PQ 接合部)からの下降度である(表
aVR および V1 誘導以外の ST 上昇は貫壁性の虚血を示唆
6) .0.1mV 以上の下降があり,かつ ST 部分の傾きが
する可能性が高い.心筋梗塞の既往があって異常 Q 波の
11)
1024
析される.ST 下降が有意でも ST/HR スロープが小さい
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
ない場合があること,壁運動異常など術者の主観的要素
表 6 運動負荷心電図の虚血判定基準
確定基準
が入り込む余地があり,熟練度・経験に依存することが
ST 下降
水平型ないし下降型で 0.1mV 以上
(J 点から 0.06 ~ 0.08 秒後で測定する)
ST 上昇
0.1mV 以上
安静時 ST 下降がある場合
水平型ないし下降型でさらに 0.2mV 以上の ST 下降
あげられる.
参考所見
診断するだけでなく,心機能,弁膜症,心膜液貯留など
前胸部誘導での陰性 U 波の出現
の治療と予後に影響を与える情報を知ることができ,虚
偽陽性を示唆する所見
HR-ST ループが反時計方向回転
運動中の上行型 ST 下降が運動終了後徐々に水平型・下降
型に変わり長く続く場合(late recovery pattern)
左室肥大に合併する ST 変化
ST 変化の回復が早期に認められる場合
虚血性心疾患を心エコー図法にて診断するには,虚血
の結果としての心筋壁運動異常を検出する方法,冠動脈
を直接描出し血流情報から冠動脈狭窄を診断する方法が
代表的である.また,心エコー図法は,虚血性心疾患を
血性心疾患と鑑別すべき大動脈解離,肺血栓塞栓症など
の疾患との鑑別にも非常に有用である.
近年普及しつつある携帯型心エコー装置を用いた検査
は,短時間にどこでも施行できることより,スクリーニ
ング検査として使用に適しているため,その適応の制限
は原則としてないと考えられる.本ガイドラインでは,
見られる誘導での ST 上昇については,梗塞部心筋の虚
標準以上の装備を備えた心エコー装置で行われる検査を
血以外に壁運動異常あるいは他部位の虚血の相反性変化
想定して,適応と判読について記載した.また speckle
などを機序とする可能性も報告されている
33)−35)
.
tracking や組織ドプラによるストレイン心エコー法,3
3)他の指標
次元心エコー法,自動計測等の特殊技術については,そ
前胸部誘導における U 波の陰転化は虚血性変化を示
の普及・確立度は未だ十分ではないと考えられ,記載し
唆する
36)
.運動負荷中は基線の揺れがあって評価が困難
ていない.
なため,特に負荷終了直後の基線の安定した状態でのチ
虚血性心疾患の診断における心エコー図法の役割には
ェックが必要である.陰性 U 波の出現は,感度は高くな
以下のものがある.
いが特異度が高く,左前下行枝の中枢側病変を示唆する
とされていて 37),予後不良の指標となることも報告され
ている.また,運動負荷で見られる右側胸部誘導の陽性
U 波は後下壁虚血を反映し,左回旋枝の病変あるいは右
冠 動 脈 の 病 変 を 示 唆 す る と の 報 告 も あ る.R 波 の 高
さ
38),39)
40),41)
1
収縮期壁運動異常の検出
①安静心エコー図
不安定狭心症の一部と急性心筋梗塞では,冠動脈病変
については虚血性心疾患の診
部位に一致した壁運動異常を認める.心筋虚血や梗塞後
断に有用であるとの報告があるが特異性は低いといわれ
の複雑な局所壁運動をより客観的,定量的に表現するた
ている.
めに,左室をいくつかの分節に分け,それぞれの壁運動
や Q 波の深さ
42)
11)
,ジギタリス
の評価を総計して評価する方法が提唱されている(図
服用例 43)における ST 下降は虚血性心疾患の判定基準に
2).アメリカ心エコー図学会(ASE)では,左室を 16
ならない.右脚ブロックでは V5, 6 などの左側前胸部誘
分割して壁運動を正常(normokinesis)= 1 点,低収縮
なお,左脚ブロック
,WPW 症候群
導の ST 下降は参考になるとされている
3
44)
.
心エコー図法
(hypokinesis)= 2 点,無収縮(akinesis)= 3 点,奇異収
縮(dyskinesis)= 4 点, 心 室 瘤(aneurysm)= 5 点 に 分
類して,各領域の半定量評価の合計値を 16 で割った値
を wall motion score index と称して,壁運動のパラメー
心臓超音波検査(心エコー図検査)は,簡便かつ非侵
タとしている 45),46).この値が高いほど壁運動異常が高
襲的画像診断法であり,何度でも反復可能である利点が
度である.
あるため,虚血性心疾患のみならず循環器疾患全般の診
壁運動の評価は,心内膜の運動によって判定する方法
断において不可欠な検査法である.また,他の画像診断
と,収縮期壁厚変化をみる方法がある.心内膜の運動を
法と比較し低コストで検査できるため,診断の初期段階
みるのが簡単な方法であるが,左脚ブロックや心臓術後
での検査法として有用である.欠点としては,体格など
などでは,心臓全体の動きに影響されることがあり,ま
の条件により撮像条件が悪く診断に十分な画像が得られ
た隣接する非虚血部分の影響を受けやすく注意が必要で
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1025
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
図 2 冠動脈の支配領域と心エコー図との関係
図 3 経胸壁心エコー図法による左前下行枝血流速評価
Lang RM, et al: JASE 2005;18:1440-1463 より引用
ある.収縮期壁厚変化の方がより正確に心筋虚血の存在
とその程度を診断できるが,心外膜と内膜の辺縁が十分
に描出されていることが条件となる.
生理的な冠血流評価が可能であるという利点もある.
②負荷心エコー図法
冠動脈を描出する方法では,左前下行枝は描出できる
心筋壁運動異常を検出する方法では,断層法による安
確率が高いが,右冠動脈や左回旋枝などは,体表のプロ
静時の評価を行うが,冠動脈狭窄や閉塞があっても,側
ーブから遠い位置にあるため,ドプラ信号を十分に捉え
副血行路が発達している場合など,収縮期の壁運動に異
られない場合がある.スクリーニング的に用いるには,
常を認めない場合がある.また,労作性狭心症では通常
主要 3 枝すべての評価が理想的であるが,実際には 3 枝
安静時壁運動は異常を認めない.そのため,虚血性心疾
すべての評価が可能な率は現時点では 70 %以下にとど
患診断の感度を上げるために,薬物負荷や運動負荷を行
まる.
って心筋虚血を誘発し,収縮期壁運動の評価を行う方法
が用いられる.冠動脈病変の診断率は 8 割以上とされ,
核医学検査に匹敵し,しかも装置がより簡便で安価であ
る利点を有する
2
46)−50)
心筋バイアビリティの診断
心筋バイアビリティの診断のためには,低用量ドブタ
ミン負荷法を行う.無収縮,または高度の低収縮の部分
.
冠動脈血流の直接描出
(ドプラ心エコー図法)
での壁運動が改善された時バイアビリティありと判定す
る.さらにドブタミンの投与量を増やして再び同部位の
壁運動が低下する現象が観察される場合,冠動脈高度狭
超音波ドプラ法の進歩により従来超音波では困難とさ
窄病変を 90%以上の確率で予測可能である 53).低用量
れていた冠動脈への直接アプローチが可能となり,冠予
ドブタミン負荷心エコー図法による心筋バイアビリティ
備能評価や狭窄血流の描出による冠動脈病変の非侵襲的
の 検 出 の 感 度, 特 異 度 は 80 〜 90 % と 報 告 さ れ て い
診断が行われるようになった.カラードプラ法で冠動脈
る 54)−58).
血流を描出し,パルスドプラ法で血流速度プロファイル
負荷心エコー図法による心筋バイアビリティ診断に関
51)
を記録する (図 3).カラードプラ法では血流の方向お
して,前向き調査・無作為割付デザインを用いた予後評
よび速度の定性評価が可能であり,パルスドプラで記録
価を行った臨床研究は存在しないが,いくつかの観察研
した血流速度より,安静時冠血流速度・血流パターンの
究で心筋バイアビリティが検出された症例が血行再建術
観察および薬物負荷による冠予備能評価を行い,冠動脈
を受けることによって予後改善がはかられることが示さ
病変の有無につき診断を行う.断層心エコー図による冠
れている 59)−63).慢性期の心筋梗塞でみられる壁菲薄化,
動脈狭窄の描出は,冠動脈起始部については経食道心エ
エコー輝度の増加や左室瘤形成は高度の心筋線維化の結
コー図により可能であり
52)
,経胸壁断層心エコー図によ
果であり,心筋バイアビリティは乏しいと考えられる.
る冠動脈壁・内腔の観察も部分的には可能であるが CT,
なお,心筋バイアビリティについては陳旧性心筋梗塞
MRI などのように冠血管を連続してスキャンすること
の項で詳述する(p1052 〜 1054).
は困難である.しかし,ドプラ法により冠血流プロファ
イルの解析が可能であるため,他のモダリティと異なり,
1026
3
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
4
虚血性心疾患と関連した情報を知る
には弱点がある.この点を考慮し,他の形態画像を病態
に応じ適宜組み合わせ,総合的に病態を判断することが
今後必要となると考えられる.近年,核医学検査と形態
①心筋梗塞の合併症
画像を重ね合わせた融合画像の有用性が示されてきてい
血行動態の変化や身体所見上の変化がある場合,心タ
るが,こちらに関しては,エビデンスの蓄積が十分では
ンポナーデ,急性僧帽弁逆流,心室中隔穿孔,自由壁破
なく,今回のガイドライン改訂では言及しない.
裂を疑うことが重要である.心エコー図法により,これ
現在臨床に広く用いられ,エビデンスの確立している
ら緊急に治療を要する疾患を診断することができる.
心臓核医学検査は心筋血流検査および心筋バイアビリテ
ィ検出である.
②心機能
安静時左室駆出率は左室機能の評価のために最もよく
1
安静・負荷心筋血流検査
用いられており,予後との関連性が強く,治療方針の決
虚血性心疾患の診断・治療指針の決定として最も汎用
定に欠かせない指標である.すなわち,壁運動スコアが
されている心臓核医学検査が負荷・安静心筋血流検査
高いほど 64),65),梗塞サイズが大きいことを示し,予後
SPECT である(図 4).放射性医薬品は 201Tl,や半減期
不良を示唆する 66).左室収縮末期容量や拡張末期容量も
が 短 く 画 質 良 好 な 99mTc-methoxy-isobutyl isonitrile
大きくなるほど死亡率が増加することから,最近では予
(MIBI),99mTc-tetrofosmin 心 筋 血 流 SPECT が 我 が 国 に
後規定因子とみなされている
67)−70)
.また,左室機能の
おいても普及しつつある.負荷方法は運動が可能な場合
低下の有無とその程度は外科的治療が可能であるか,内
は運動負荷(トレッドミルまたは自転車エルゴメータ
科的治療にとどめるべきか個々の症例における適切な治
ー),不可能あるいは禁忌の場合は血管拡張薬(アデノ
療法を判断する上で重要な情報を提供する.
シン,ATP,ジピリダモール,注記:ATP,ジピリダモ
4
心臓核医学検査
ールは心筋負荷血流 SPECT 検査用医薬品としては我が
国において保険収載されていない)が用いられる 71).我
が国ではアデノシンが負荷検査用医薬品として保険承認
虚血性心疾患診療における心臓核医学検査は非侵襲的
されている.冠動脈疾患の診断精度は 4,480 名のプール
な生理的画像診断法であり,診断・重症度評価・治療方
ドデータから感度 87 %,特異度 73 %と報告されている
針の決定や予後評価に広く用いられている.心臓核医学
72)
検査では運動負荷・薬剤負荷の心筋血流評価が容易に実
筋血流と心機能の両者の解析が可能となっている.
施できる.特に運動負荷検査と組み合わせることで心筋
中等度の冠動脈疾患リスク患者で心筋血流 SPECT は
虚血の診断が可能なことが大きな特徴である.また運動
予後予測価値が示されている.一般的に年間の心臓死 1
負荷検査が不可能あるいは禁忌である場合においても血
%未満が低リスク,3 %以上が高リスクとされている.
.また心電図同期収集も近年普及するようになり,心
管拡張薬を用いた負荷により安全に虚血性心疾患の診断
およびリスク評価が可能である.虚血性心疾患の診断に
おいてはシングルフォトン断層撮影(singlephoton emis-
図 4 運動負荷 Tc-99m 心筋血流イメージング
負荷時画像
sion CT:SPECT)による負荷・安静心筋血流 SPECT 検
査が 1970 年代から今日に至るまで広く日常臨床に利用
されている.欧米・我が国を含め,数千例の患者数を対
象とした予後の検討が行われてきており,診断,予後評
価における有用性について豊富なエビデンスの蓄積がな
されていることも大きな特徴である.
安静時画像
核医学検査の特徴は造影剤を使用することなく,微量
の放射性医薬品で非侵襲的な生理的情報を得ることがで
きる点にある.放射性医薬品による被ばく線量に関して
は,心筋血流 SPECT へ半減期の短い 99mTc 標識製剤の導
入で大幅な軽減が図られている.一方,心臓核医学検査
は他の画像診断と比較をすると形態学的情報を得ること
回旋枝領域の冠動脈疾患の症例.運動負荷時に側壁領域に血流
低下を認め,安静時に改善していることから回旋枝領域の心筋
虚血の所見である.
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1027
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
21,000 例の検討では負荷血流 SPECT 所見で正常範囲内
る診断法として注目を集めている.
であった場合の心臓死・非致死性心筋梗塞の発生率は 2
これらの画像診断法の中で CT の有する特徴は,わず
年間で 0.7 % / 年であり,かつ心事故発生率は SPECT 画
かな X 線吸収の差を識別できるコントラスト分解能に
像より半定量的に算出した負荷時の血流欠損スコアに比
優れること,空間分解能に優れること,画像以外にも
例して増加することから予後予測としての有用性が示さ
CT 値として物質の数値情報を提供できること,さらに
)
れている 72(図
5).
デジタル情報であることからデータ収集後の画像処理が
可能なことである.これらは元来 CT の有する原理的な
図 5 予後評価に用いられる左室 17 領域分画および 5 段階の半
定量評価法
特徴であるが,心臓血管疾患への応用が本格的になった
のは,高速・広範囲の撮影を可能にした MDCT(multi-
detector-row CT)の登場である.
1
心臓領域における MDCT の進歩
MDCT による心臓・冠動脈の画像化が現実のものと
なり臨床に広く応用されるようになったのには,
(1)検
出器の多列化と空間分解能の向上,
(2)ガントリ回転速
度の高速化による時間分解能の向上,
(3)画像再構成法
の進歩,の 3 つの要因が貢献している.
①検出器の多列化と空間分解能の向上
2
MDCT が開発された当初は,4 列の検出器列であった
心臓核医学検査の被ばく
が,この後短期間に検出器列の多列化が急速に進み,開
心臓核医学検査においても冠動脈疾患診断に対する有
発から 4 年後の 2002 年には 16 列,さらに 2 年後の 2004
用性と放射線被ばくによるリスクを考慮し検査手法,検
年には 64 列の検出器を有する機器が開発され,さらに
査プロトコールを最適なものにする必要がある. Tl は
現在では,256 例あるいは 320 列 CT が実用化されてい
物理的半減期が 72.9 時間と長いため被ばく線量が高い
る(図 6).
201
(111MBq を投与した場合の全身被ばく線量は 18.8 mSv
空間分解能に関しては,最近の機種では体軸方向に
Tc 標識心筋血流放射性医薬品
0.5 〜 0.6 mm の分解能が達成されており,XY 方向の分
は半減期が 6 時間と短いためにシンチグラフィにおける
解能と合わせていわゆる等方性ボクセルが得られてい
被ばく線量を低下させることが可能である.我が国で一
る.このことは,MDCT のデータから再構成されるす
73)
となる) .これに対し
99m
般的に使用されている 740MBq から 1110MBq の投与負
べての断面で 1 mm 以下の高分解能が実現されることを
荷・安静プロトコールにおける全身の被ばく線量は 6 〜
意味しており,心臓領域では特に冠動脈の診断において
9mSv である 73).被ばく線量を低減させる観点からは
威力を発揮する.現在では,さらに空間分解能を向上さ
99m
Tc 標識心筋血流放射性医薬品の使用が推奨される.
ただし,以前の 99mTc 標識心筋血流検査で腸管への集積
が高度であった場合は 201Tl 検査が推奨される.また撮
像終了後の水分摂取により尿中からの排泄を促進するこ
とも被ばく線量低減に有用である 74).
5
冠動脈 CT
心臓血管疾患の多く,特に冠動脈疾患においては,従
来,カテーテルによる血管心臓造影法が最終診断法とさ
れてきた.しかしながら,近年における非侵襲的画像診
断法の進歩は著しく,心臓血管の内腔のみでなく壁に関
する情報を含めて,今までにはない有用な情報を提供す
1028
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
図 6 MDCT の進歩
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
せた機器が開発されている(図 6)
.
冠動脈を対象とした CT では,心臓が比較的静止する
検出器の多列化と空間分解能の向上があいまって,薄
拡張期の時間を長くするために心拍数を低減し,相対的
いスライス厚で広範囲の撮影が可能となり,現在の 64
な時間分解能を向上して画質の改善を図ることがあり,
列 MDCT では,全冠動脈を 5 〜 6 秒で撮影することが可
この目的のためにβ遮断薬を前投薬として使用すること
能となっている.
がある.
②ガントリ回転速度の高速化と画像再構成法の進歩
2
冠動脈疾患への応用
心臓領域では,動いている対象臓器を動きのアーチフ
冠動脈の画像診断法としては,従来では選択的カテー
ァクトのない静止画像として描出しなければならず,時
テル挿入による冠動脈造影が形態情報に関する唯一の最
間分解能の向上が画質の向上に直結する.MDCT にお
終診断法であったが,MDCT の進歩によって非侵襲的
ける時間分解能を規定するのは,X 線管球と検出器が一
にこれに近似する形態情報が得られるようになった.ま
対となるガントリの回転速度と画像再構成の方法であ
た,従来の冠動脈造影で得られる情報は血管内腔の投影
る.心電図と同期させて情報を収集する心臓 CT におい
像のみであったが,MDCT では冠動脈内腔の情報ばか
ては,時間分解能は,ガントリ回転速度,心拍数,画像
りでなくプラークの存在や性状を含めた壁の状態を画像
再構成法が複雑に絡み合って決定される.
)
化できる利点がある 75),76(図
7).
ガントリ回転速度は,ヘリカル CT の時代には 1 秒で
冠動脈狭窄の診断精度に関する 16 列 MDCT を用いた
あ っ た も の が,MDCT が 登 場 し た 1998 年 に は 0.8 秒,
報告では,陰性適中率(negative predictive value: NPV)
さらに 2001 年には 0.5 秒,最近では 0.27 秒の回転速度が
が 97 〜 99%と高く 77)−81),非定型的な胸痛,運動負荷試
得られている.また,画像再構成法では,ガントリ 1/2
験の結果が不確定な場合などのスクリーニングとして用
回転分の情報から画像を作るハーフ再構成に加えて,連
いられることが多かった.64 列 MDCT では,前述した
続する 2 〜 4 心拍から同じ時相のデータを抽出し,これ
ように撮影中の心拍数安定や時間分解能の向上に伴っ
らを組み合わせることで画像を作成するマルチセクタ再
て,評価不能の要因の 1 つであった motion artifact が減
構成という手法が考案された.これらの工夫により,現
少して画質が改善し,診断精度が向上しており,単一施
在では最短で 60 msec 前後の時間分解能を得ることがで
設からの成績の集計では,有意狭窄の検出に関する診断
きるようになっている.また,2 個の X 線管球と検出器
精度は,感度 89%,特異度 96%,陽性適中率 78%,陰
を備えた dual-source CT も開発されており(図 6),この
)
性適中率 98 %と報告されている 82)−85(表
7).最近報告
装置ではハーフ再構成で常時 83 msec の時間分解能を達
された多施設研究でも,有病率の差による成績の違いは
成している.
あるものの,ほぼ同様の高い診断精度が報告されている
図 7 冠動脈造影と MDCT による冠動脈イメージング
MDCT
CAG
Gold standard
Invasive
Projection
Non-invasive
3D data
Lumen and Vessel wall image
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1029
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
表 7 冠動脈の有意狭窄(> 50%)の検出に関する
64 列 CT および dual-source CT の診断精度
Per-segment
N
Sensitivity Specificity
PPV
(%)
(%)
(%)
Leschka et al
67
94
97
87
Leber et al
55
76
97
75
Raff et al
70
86
95
66
Mollet et al
51
99
95
76
Ropers et al
81
93
97
56
Schuijf et al
60
85
98
82
Ong et al
134
82
96
79
Ehara et al
69
90
94
89
Nikolaou et al 72
82
95
69
Weustink et al 77
95
95
75
Leber et al
88
94
99
81
Total
824
89
96
76
NPV
(%)
99
97
98
99
100
99
96
95
97
99
99
98
石灰化の定量評価は Agatston らによって提唱された
方法 91)を用いるのが一般的である.それは,各スライス
で CT 値が 130HU 以上で,かつ 2 ピクセル以上の面積を
有する部分を有意な石灰化とし,さらにその石灰化部分
の 最 高 の CT 値 に よ っ て 重 み 付 け(130 〜 199HU = 1,
200 〜 299 = 2,300 〜 399 = 3,400 以 上 = 4) を 行 い,
石灰化の面積に重み付けを乗じた数字を算出する.これ
をすべての石灰化,すべてのスライスで行い,その総和
を石灰化スコアとする(図 8).これらの作業は CT 装置
本体,もしくは画像処理用のコンピュータ(ワークステ
ーション)にインストールされた専用のソフトを用いて
半自動的に行われる.石灰化スコアは,カルシウムスコ
ア,石灰化指数とも呼ばれる.
Schroeder et al. Eur Heart J 2008;29:531 より引用
86),87)
.このように,冠動脈 CT の診断精度は高く,特に
NPV が極めて高いことから,CT で有意狭窄が認められ
なかった場合は,冠動脈狭窄はほぼ否定される.
3
単純 CT による冠動脈石灰化重症度
の評価法
冠動脈石灰化の原因の多くは動脈硬化であり,石灰化
の有無およびその量は冠動脈硬化の重症度と相関がある
図 8 代表的な冠動脈石灰化スクリーニングのレポート
Coronary Calcium Screening Report
Scan Date: Friday, January xx, 2008 Scan Number: xxxx
Patient D.O.B: xxx-xxx
Coronary Artery
[Agatston] Calcium Score Calcium Volume Score
Left Main
0.00
0.00
LAD
546.23
418.47
LCX
64.78
42.47
RCA
628.48
464.14
(Other)
0.00
0.01
Total [plaque burden]
1239.49
925.09
ことが知られている 88).冠動脈石灰化を定量評価するこ
との目的は冠動脈の動脈硬化の存在とその程度を知るこ
とにある.
冠動脈石灰化を評価するのには CT を用いるが,それ
に最も適しているのは,スキャン時間が 0.1 秒と超高速
で の 撮 影 が 可 能 な 電 子 ビ ー ム CT(electron beam CT:
EBCT)である 89).また,最近の進歩によって MDCT で
も EBCT と同等の精度で評価が可能となったが,その場
合の必要条件として,(1)4 列以上の検出器を有する装
置であること,(2)心電図同期ができること,
(3)被ば
くを減らすために prospective gating 法を用いること,
(4)
ガントリの回転速度は少なくとも 0.5 秒であること,
(5)
心臓 CT の被ばくについて
症状の無い人を撮影する場合には被ばくを減らすため
心臓 CT 検査は X 線を使う検査であるので,被ばくを
に,再構成スライス厚は 2.5 〜 3 mm を用いること,(6)
伴う.このため,CT の被ばくのリスクや,冠動脈造影
拡張早期から中期を撮影することの 6 点が示されてい
と比べた線量の多寡の知識も必要である.以下に,被ば
る 90).
くに関する基本的知識と心臓 CT の被ばくの現状を記載
一般的な撮影方法は次のようである.すなわち,pro-
する.
spective な心電図同期撮影法を用いて,心基部から心尖
部に向かってコンベンショナル(非ヘリカル)スキャン
1030
4
①放射線管理と防護
でスライス厚 3(2.5)mm,スライス間隔 3(2.5)mm
放射線管理と防護に関する基本原則では,放射線被ば
の 20 〜 30 スライスの連続撮影を 1 回の呼吸停止下に行
くを伴う行為は便益が大きい場合にのみ正当化され(行
う.
為の正当化),設備や撮影条件が最適化されているとい
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
う前提(防護の最適化)のもとに行われるため,医療被
ばくに線量限度は定められていない
92)
.このため,CT
1)撮影条件
管電圧,管電流,ガントリの回転速度,ピッチなどの
検査にかかわるものは便益がどの程度あるのかを鑑み
要因がある.このうち,管電圧は通常 120kV を用いて
て,線量の最適化に努め,可能な限り被ばく減少を試み
いるが,80kV に低減する方法もあり,小児では推奨さ
なければいけない.
れている.管電流は最も調整しやすい因子で,患者の体
格や部位に応じて可変するべきである.特に,管電流と
②被ばく線量の単位と評価法
ガントリの回転速度の積である mAs は線量を管理する
放射線被ばくの問題は,吸収線量と実効線量の 2 つの
最も重要な因子で,撮影条件を決める際に線量の目安は
単位で論じられる.吸収線量は,体に吸収される線量で
この値を参考にしている.また,ピッチは数値が小さい
単位は Gy である.線量計を使って実測するべきもので
ほど重なりが多く吸収線量が増加することになる.
あるが現実的に困難である.このため,簡単に吸収線量
2)撮影プロトコール
を推測できるものとして CTDI vol * 1 や DLP * 2 などの指
多相撮影をするかどうかが一番大きな要因になる.動
標が考案された
93)
.これらは CT 独自の指標で,CT の
脈相の後にさらに遅延相を撮る場合には,それだけ線量
撮影法を比較するときなどに使われる.CTDI vol は管
が増えることになる.
球 1 回転あたりの積分線量を表した数値である(単位は
3)患者の体格や解剖学的部位
mGy).DLP は,CTDI vol にスキャンの距離を乗じたも
照射された臓器の平均線量は患者の体格に依存する.
ので, 検査全 体 の 被ば く 線 量 の指 標 と な る(単位 は
大きな体格の人は単位組織あたりの線量は小さくなる.
mGy・cm).いずれも CT 装置に表示されていることが多
4)画質との関連
い.
被ばく線量と画質は密接な関係にあり,線量が低下す
一方,実効線量は,吸収された線量が体に及ぼす影響
ると画質が低下し,逆に画質が低下する要因があると線
(放射線感受性)を組織ごとに求めておいて(組織荷重
量を増大させる必要がある.したがって,いかに画質低
係数),DLP に撮影部位に応じた荷重係数を掛けたもの
下が著明にならいように線量を低減化していくかが重要
である.被ばくのリスクを比較するための指標で,単位
になる.
は Sv である.CT と他の検査(冠動脈造影)を比較する
5)心臓 CT の被ばく線量と被ばく低減の工夫
ときには実効線量が用いられる.
心臓 CT は,過去の報告をまとめてみると大体 8 〜 15
mSv 程度である.これまで述べてきたように線量は撮
③ CT の被ばくに伴うリスク
影条件により変わってくるので,数値に開きがあるが,
放射線被ばくによる障害には,様々なものが知られて
心臓 CT は,冠動脈造影(3 〜 6 mSv)より多い傾向に
いるが,通常の心臓 CT の被ばく線量で最も重要なリス
あるが,線量を低減するために様々な工夫がなされてき
クは発がんと考えてよい.人で癌発生率の増加が観察さ
ている.代表的なものに,ノイズ低減フィルタ(管球側
れたのは 100 mGy 以上といわれており,これより低い
にフィルタを用いて低エネルギー X 線を除去し,被ばく
線量で発がんが起こるかどうかはわからない.ただ,被
低減を図る),管電流自動制御(患者の体格や撮影部位
ばくのリスクを過小評価しないために,どんなに少ない
に よ り 管 電 流 を 変 化 さ せ る ),ECG mA modulation,
線量でも発がんのリスクはあるとする立場がとられてお
step & shoot な ど が 試 み ら れ て い る.ECG mA
り,被ばく線量が 10 mSv で,1/2,000 の発がんのリスク
modulation は 収 縮 期 の 線 量 を 低 減 す る 方 法,step &
があると考えられている.ちなみに,最近の疫学的研究
shoot はアキシャルスキャンと prospective ECG gating に
では発がんの最低線量を急性被ばくで 10 〜 50 mSv,遷
より拡張期のみ曝射(収縮期の線量なし)する方法であ
延被ばくで 50 〜 100 mSv と推定するものもある .
る.これらの被ばく低減技術を併用した報告では 3 〜 8
94)
④被ばく線量に影響する因子
線量は,装置側の撮影条件,撮影プロトコール,患者
の体格や解剖学的部位,さらに画質との関連によって決
まる.
* 1 CTDI vol:CT dose index volume
* 2 DLP:dose length product
mSv 程度の報告になっており,冠動脈造影と変わらな
い程度になってきている.
5
造影剤の副作用
ヨード造影剤の副作用の頻度は,軽症は 3%,重症は
0.04%程度とされる.致死的副作用は 17 万人に 1 人とい
われている 95).重篤な副作用の発現頻度と関連するリス
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1031
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
ク因子としては,アレルギー歴(アトピー,食物アレル
ーフュージョン MRI は空間解像度が高く,心内膜下虚
ギーなど)が約 2 倍,気管支喘息の既往があると約 10 倍,
血も明瞭に描出され,最近の多施設研究では冠動脈多枝
過去に中等度以上の造影剤反応歴があると 4 〜 5 倍,重
病変において負荷心筋 SPECT よりも有意に高い診断能
篤な心疾患があると約 3 倍といわれている.したがって,
が示されている 103).また,冠動脈疾患患者の予後評価
これらについての問診は必ず投与前に行う必要がある.
における遅延造影 MRI104),105)や負荷心筋パーフュージョ
アレルギー歴のある患者には慎重投与,気管支喘息や中
ン MRI106)−108)の 有 用 性 も 明 ら か に な っ て い る. 心 臓
等度以上の造影剤反応歴,重篤な心疾患のある患者には
MRI の問題点として,他の部位の MRI 検査と比較して
投与は原則禁忌である.
検査時間が長いこと,検査方法や撮影方法に関する知識
また,ビグアナイド系糖尿病用薬では相互作用により,
や技術の不足から十分な画質や診断能が得られてない場
乳酸アシドーシスが現れることがあるので,造影剤使用
合があることがあげられる.
の前後に投与を 48 時間中止することが一般的である.
心疾患患者では冠動脈ステントが留置されていること
腎機能障害のある患者では,ヨード造影剤による急性
が多く,様々なデバイス留置後に心臓 MRI 検査を行っ
腎不全(造影剤腎症)
が起こりやすい.造影剤腎症の定義
てよいか迷う場合がある.2007 年に ACC/AHA などの
はいくつかあるが,
ESUR(European Society of Urogenital
委員会が示した指針によると 109),冠動脈薬物溶出(DES)
Radiology)のガイドラインでは造影剤投与後 72 時間以
ステントに関しては留置術直後から 1.5 テスラや 3 テス
内に,クレアチニン値が 25%以上もしくは 0.5mg/dL 以
ラの MRI 検査を実施しても安全性に問題はなく,DES
上上昇するものとされている 96).既存の腎障害について
以外の冠動脈ステントに関しても問題があるとの事例は
は,クレアチニン値 1.5 〜 2.0mg/dL 未満が造影を行う上
報告 され ていな い.また, 人工 弁に関 し ても 術後に
限と考えられており 2.0mg/dL を超えると造影剤腎症の
MRI を行って問題はない.一方,ペースメーカや ICD
発 現 率 が 高 く な る 95). 最 近 で は, 推 定 糸 球 体 濾 過 値
に関しては原則禁忌であるので十分に注意する.
(eGFR)を用いて腎機能を評価することが推奨されてお
心臓 MRI 検査では造影剤が用いられることが多いが,
り,60mL/min/1.73m が基準値になっている.既存の腎
最近ガドリニウム造影剤による副作用として腎性全身性
障害の他にも,脱水状態,糖尿病,高齢者,うっ血性心
線維症(nephrogenic systematic fibrosis: NSF)が注目さ
不全などがあると,造影剤腎症を起こしやすい.造影剤
れている.NSF とは腎不全患者,特に透析患者において,
腎症になると,冠動脈疾患の再発を含めてその後の死亡
皮膚の腫脹や硬化,疼痛などで比較的急性に発症し,進
率が上昇することが臨床研究で証明されており,造影剤
行すると四肢関節の拘縮を生ずる疾患である.金属ガド
2
腎症を予防することは極めて重要な課題である
97),98)
.
リニウムはそのままでは毒性が強いため,MR 用造影剤
また,心臓 CT ではβ遮断薬を投与することがあるが,
ではガドリニウムを DTPA などのキレート剤と結合さ
β遮断薬投与患者群ではヨード造影剤の副作用が重篤化
せ,静脈投与後は腎臓の糸球体で濾過され,速やかに体
もしくは発生頻度の増加が報告されている
99),100)
.しか
外に排泄されるように工夫されている.しかし,腎不全
し,これらの報告でのβ遮断薬投与群は,心障害のある
患者ではガドリニウム造影剤は体内に長時間残留し,キ
患者と思われ,通常の心臓 CT の行われる患者でβ遮断
レートから遊離した金属ガドリニウムが皮膚などに沈着
薬投与がヨード造影剤のリスクを高くするかどうかは今
し,線維化を来たすと考えられている.MR 造影剤の種
後の検討が必要である.ちなみに,β遮断薬服用中の患
類によって,ガドリニウムとキレートの結合安定性には
者におけるアナフィラキシー反応は,通常用量のエピネ
差が認められ,これまでの報告によると NSF は透析患
フィリンによる治療に抵抗することがあり,グルカゴン
者にキレート安定性の低い製剤が投与された場合に発生
投与が奨められている.
する頻度が高く,2007 年の ESUR(欧州泌尿生殖器放射
6
心臓 MRI
線学会)のガイドラインによると(http://www.esur.org)
キレート安定性の低いガドリニウム製剤を使用する際に
は腎機能のスクリーニングを必ず行い,重症腎不全患者
1032
心臓 MRI では最近撮影法の進歩と,診断・治療方針
(eGFR < 30mL/min)や肝移植患者,新生児に投与して
決定における有用性を示すエビデンス集積が急速に進ん
はならない.腎機能障害がある場合は,ガドリニウムキ
でいる.遅延造影 MRI は心筋梗塞患者における心筋バ
レート安定性の高い造影剤を臨床上必要な場合に最小限
イアビリティ診断,右室梗塞の検出 101)や無症候の心内
の投与量で使用するよう勧告している 110),111).なお,腎
膜下梗塞・小梗塞の検出 102)に有効である.負荷心筋パ
機能正常患者ではいずれの MR 造影剤によっても NSF
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
を発症した例はない.
筋パーフュージョン MRI は,ガドリニウム造影剤をボ
代表的な心臓 MRI の撮影法として以下のものがあげ
ーラス静注して心筋のダイナミック MRI を撮影し,造
られる.
影剤の心筋ファーストパスの動態から心筋血流分布をみ
1
心臓の形態と機能の診断:シネ MRI
(図 9)
シネ MRI は骨や空気の影響を受けず,任意方向の撮
影断面における心臓の空間解像度の高い動画像を撮影で
る検査法である.冠動脈狭窄に伴う心筋血流低下を描出
するためには,アデノシンや ATP,ジピリダモールなど
の冠血管拡張薬による負荷を行う.負荷心筋パーフュー
図 9 シネ MRI 左室垂直長軸像
きる特長を持ち,左室変形や壁運動異常を有する心筋梗
塞症例においても正確な左室機能計測値が得られ,現在,
最も正確な心機能と局所壁運動の診断法である 112).ま
た,MRI による左室機能や心筋重量の計測は再現性が
高く結果のばらつきが少ない特徴がある 113),114).最近で
はパラレルイメージングなどの高速撮影法の進歩によ
り,時間分解能 10 ミリ秒程度のシネ MRI 撮影も可能と
なり,マルチスライス CT では困難な左室拡張機能の評
価も行える.
2
心筋梗塞の診断:遅延造影 MRI
(図 10)
遅延造影 MRI は現在最も正確な心筋梗塞の画像診断
造影剤を使用せずとも左室内腔は高信号を示し心筋との境界は
明瞭である.
図 10 遅延造影 MRI 左室短軸像
法である.ガドリニウム造影剤を静注して 10 分ほど経
過 し て か ら 遅 延 造 影(Late gadolinium enhancement:
LGE)を撮影すると,急性期から慢性期までの心筋梗塞
病変が高信号を示し,心筋梗塞の有無と広がりを診断で
きる.LGE の特長は,造影領域が急性期から慢性期に
至るまで TTC 染色による病理学的梗塞領域とよく一致
し 115),空間分解能が高いため核医学では評価できなか
った右室梗塞 101)や心内膜下梗塞 102)も明瞭に診断できる
ことである.動物実験モデルの病理組織所見を基準にし
た研究によると,遅延造影 MRI による心内膜下梗塞の
診断感度は 92%と心筋 SPECT の診断感度(28%)より
もかなり高い 116).
3
心筋虚血の診断:負荷心筋パーフ
ュージョン MRI(図 11)
下壁内膜下の梗塞病変が高信号(LGE)を呈し,無信号の非梗
塞心筋と明瞭なコントラストを示す.
図 11 負荷心筋パーフュージョン MRI 左室短軸像
狭心症患者における冠動脈狭窄に対する PCI の目的
は,狭窄によって生じる心筋虚血を解消することにある
が,冠動脈造影や冠動脈 CT による形態的な狭窄度は血
流に対する機能的な狭窄度とは必ずしも一致しない.
PCI を行って予後改善を得るためには,心筋虚血の有無
と虚血領域の範囲を診断することが重要である 117).心
2008 年 12 月現在,心臓領域におけるガドリニウム造影剤の保
険適用疾患は心筋梗塞,体幹部腫瘍(心臓も含まれる)とそれ
らの疑いである.
左冠動脈前下行枝の狭窄に伴う前壁中隔の心筋虚血が造影剤フ
ァーストパス中の低信号領域として描出されている.
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1033
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
ジョン MRI は空間解像度が高いため,心内膜下虚血も
明瞭に描出される.特に冠動脈多枝病変において負荷心
筋パーフュージョン MRI は負荷心筋 SPECT よりも有意
に高い診断能を示す
4
103),118)
.
冠動脈狭窄の診断:whole heart
coronary MRA(図 12)
冠動脈 MRA は放射線被ばくを伴わない,造影剤の投
病態各論:虚血性心疾患における病態に
基づいた冠動脈病変の非侵襲的診断法
Ⅲ
1
狭心症
1
狭心症ないし臨床像から
虚血性心疾患が疑われる症例
与が不要,冠動脈高度石灰化の影響を受けないなど,冠
動 脈 CT に は な い 特 長 を 持 つ.Whole heart coronary
MRA は心臓全体の 3D 画像を呼吸同期と心電図同期を
行いながら撮影する方法であり 119),16 列マルチスライ
ス CT とほぼ同様の冠動脈狭窄診断能を持つ 120).冠動脈
胸痛を有する患者を診る場合には,まず年齢,性別,
MRA の解像度や狭窄診断能は 64 列マルチスライス CT
症状,冠危険因子の有無から冠動脈疾患を有する可能性
には及ばないものの,冠動脈奇形,川崎病の冠動脈瘤,
およびリスクを推定して,その後の診断方針を決定する
腎不全症例,冠動脈高度石灰化症例などの診断では,冠
ことが必要である.我が国にはこういったデータはない
動脈 MRA が第一選択となる 121),122).また,放射線被ば
が,2001 年に発表された Duke database に基づく症候お
くを伴わず造影剤投与も不要であることから,冠動脈疾
よび危険因子から見た冠動脈疾患有病率(Appendix-1)
患のスクリーニングへの whole heart coronary MRA の有
は参考になる.欧米のデータをそのまま応用することは
用性が期待されている.ただし,ステント留置部位は金
できないが,参考にすることはできる.また,無症状の
属アーチファクトのため画像として描出できないので,
患者における心血管疾患発症リスクの推定に欧米では
ステント再狭窄については評価できない.
5
血流計測:位相コントラストシネ MRI
Framingham risk score などの心血管イベント発症リスク
予知データがあるが,我が国では脳卒中や冠動脈疾患(心
筋梗塞,狭心症)による 10 年死亡リスクを明らかにし
MRI による血流計測では位相コントラストシネ MRI
た疫学調査(NIPPON DATA 80)があり,これが参考に
が用いられている.位相法による MRI では通常のマグ
なる.
(Appendix-2).こういった検査前の冠動脈疾患有
ニチュード画像のほかに位相差画像が得られ,位相差画
病率あるいは心血管疾患発症予測などをもとに検査方針
像の信号は血流速度に比例する.虚血性心疾患の診断で
が立てられるべきである.
は,冠動脈やバイパスグラフトなどの血流計測に用いら
れることがある 123),124).
2008 年 12 月現在,負荷検査薬としての冠血管拡張薬の使用が
保険適用となっているのは心臓核医学検査のみである.
図 12 Whole heart coronary MRA
①安静時心電図
クラス I
・胸部症状を訴える患者で(非心臓性原因が明らかな
場合は除く)安静時標準 12 誘導心電図を記録する
こと(レベル B)
・胸痛発作時に標準 12 誘導心電図を記録すること(レ
ベル B)
クラスⅡ a
なし
クラスⅡ b
なし
クラスⅢ
なし
房室間溝を通る断面の maximum intensity projection 像により,
右冠動脈と左冠動脈起始部が描出されている.
1034
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
標準 12 誘導心電図は冠動脈疾患の診断に広く用いら
れている.安静時標準 12 誘導心電図は狭心症を疑わせ
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
る症状のあるすべての患者で記録すべきであるが,狭心
③ U 波の変化:陰性 U 波は,心筋虚血時に虚血責任冠動
症患者では非発作時には心電図変化を認めないことも多
脈の灌流域に面した誘導に出現するとされている.左前
く,心電図所見が正常でも狭心症が除外されるわけでは
下行枝近位部の虚血では V3-5 誘導を中心に,下壁虚血
ない 125).労作性狭心症では安静時に ST-T 変化を認める
ではⅡ,Ⅲ,aVF 誘導に陰性 U 波を,後壁虚血では V1-3
例で運動時心機能不良例が多いとされている
126)
.また,
誘導で T 波減高を伴う陽性 U 波の増高を認める(通常,
心電図基準上の左室肥大は狭心症の合併率が高くなる所
虚血性陰性 U 波出現時に T 波は増高するため,後壁でこ
見とされる 127).他に Q 波を認める場合にも狭心症の可
れらの心電図変化が生じると対側性変化として前胸部誘
能性が高くなるが,Ⅲ誘導においてのみ認める Q 波や
導では陽性U波増高およびT波減高として認められ
V1,V2 誘導における QS パターンは正常亜型としても
131)
る)
.実際に認識できる頻度が高く臨床的意義が大き
みられる所見であり,心筋梗塞の既往を示唆する病的 Q
いのは左前下枝近位部を責任病変とする虚血で出現する
波との鑑別が難しく心エコー図などを含め総合的に判断
V3-5 誘導の陰性 U 波である.
する.
④不整脈の出現:胸痛患者で心房細動や房室ブロック,
心筋虚血時の心電図変化は,ST 部分の変化(上昇,
心室性頻脈性不整脈などを合併する場合は基礎疾患とし
下降)をはじめ T 波の変化(増高尖鋭化,平低化,陰転
て冠動脈疾患の確率が高くなる.しかし,これらの不整
化),QRS 波の変化(R 波の増高・減高,QRS 幅の変化),
脈は他の原因によって起きることも多く,診断の特異度
U 波の変化(陽性・陰性 U 波),各種不整脈の出現など
は低い.
多彩である.
②運動負荷心電図
1)ST-T 変化
① ST 変化と虚血部位:ST 変化は心筋虚血の心電図変化
クラスⅠ
の中で最も重要な所見である.非貫壁性虚血の場合には
・冠動脈疾患が疑われる,あるいは,既知の冠動脈病
ST 下降を,貫壁性虚血の場合には ST 上昇と対側誘導で
変があるが新しい病変の進行が疑われる成人症例
ST 下降(対側性変化)を認める.貫壁性虚血に面した
(完全右脚ブロックや安静時心電図での ST 下降が
誘導で ST は上昇するので,発作時 ST 上昇を認める誘導
0.1mV 以下の症例も含む)
より責任冠動脈の推測が可能である.しかし,ST 下降
クラスⅡ a
例では ST 下降の分布は責任冠動脈によらず多くの場合
なし
V4-6 誘導が中心であり,ST 下降を認める誘導から責任
クラスⅡ b
冠動脈を推測することは難しい.しかし ST 下降の程度
・冠動脈疾患の存在する可能性が非常に高い症例
や ST 下降を認める誘導数は重症度を反映すると考えら
・冠動脈疾患の存在する可能性が非常に低い症例
れ,高度な ST 下降や広範な ST 下降を認める場合には重
・安静時心電図での ST 下降が 0.1mV 以下のジギタリ
症冠動脈疾患の可能性が高い.
ス製剤服用患者
② ST-T 変化を来たす病態:心電図の ST-T 部分は心筋
虚血だけでなく,心肥大,心室内伝導障害,心筋疾患,
電解質異常,ジギタリスなどの薬剤使用,自律神経緊張
・安静時心電図での ST 下降が 0.1 mV 以下の左室肥大
パターンを示す症例
クラスⅢ
など様々な病態で変化を認める.これらの変化と心筋虚
・検査前の心電図で以下の所見が認められる症例
血との鑑別はしばしば困難であり,虚血に由来するかど
[早期興奮(WPW)症候群,心室ペーシング,安
うかの判断は病歴や他の検査結果等とあわせて総合的に
静時心電図で 0.1 mV 以上の ST 下降,完全左脚ブロ
行う.心筋虚血を診断する場合には以前の心電図との比
ックの症例]
較や時間経過による変化が重要である.
・心筋梗塞や既知の冠動脈疾患があり,症状の原因で
2)他の指標について
あると考えられる症例
① R 波高の変化:心筋虚血時には R 波が増高するという
報告もあるが 128),その診断的価値については一定の見
安定狭心症が疑われる症例は,運動負荷心電図検査の
解は得られていない.
よい適応である.ただし,前述の禁忌項目(表 1)がな
② QRS 幅の延長:心筋虚血による伝導遅延は 12 誘導心
いこと,検査により判定が可能であること(安静時心電
電図では QRS 幅の延長として反映され,心筋虚血の 1
図や投与中の薬剤のチェック),症状を説明できる既知
つの指標として捉えることができる
129),130)
.
の冠動脈疾患がないことなどを確認することが必要であ
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1035
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
る.また,冠動脈疾患の存在する可能性について冠危険
因子も参考にして検討する
11)
,
132)
−135)
.
・薬物(ATP,ジピリダモール)の禁忌がある場合の
同薬物負荷による冠血流速予備能計測(レベル C)
・無症状かつ安定した状態で経過している症例におけ
運動負荷心電図は重症度の診断に役立ち,ひいては予
後の推定に役立つ.Duke 大学方式の予後指標として,
トレッドミルスコア=運動時間(分)− 5 ×最大 ST 下降
(mm)− 4 ×胸痛指標(胸痛なければ 0 点,胸痛あれば 1
点,胸痛が運動中止理由なら 2 点)があり,予後の推定
に有用である 136).この値が− 11 以下なら高リスク,+
る繰り返すフォローアップ検査のための負荷心エコ
ー図(レベル C)
・重度の不整脈など負荷に伴う障害が予想される場合
の負荷心エコー図(レベル C)
・高度肥満,全身衰弱など負荷を行うのに不適当な症
例に行う負荷心エコー図(レベル C)
5 以上なら低リスクである.
③心エコー図
クラスⅠ
・安静時における左室機能,左室容量,左室壁運動の
評価のための安静時心エコー図(レベル C)
・症候性の症例における心筋虚血の診断のための安静
時心エコー図(レベル C)
・心不全を合併する症例における治療方針決定や薬剤
狭心症については,気絶心筋,冬眠心筋や冠攣縮狭心
症の発作時などを除いて,安静時心エコー図法の壁運動
は正常である.むしろ,心筋虚血が他の検査で確診され
た症例で壁運動異常がないか軽微の場合,貫壁性心筋梗
塞でないことを診断する意義がある.
2)負荷心エコー図法(運動負荷・薬物負荷)による虚
血の誘発
治療の選択のための心機能や合併症の評価のための
冠動脈に有意狭窄が存在すると負荷(運動や薬物)に
安静時心エコー図(レベル C)
よる心筋酸素消費量の増大等により,その血管の支配領
・症状や心電図変化から,狭心症ないし無症候性心筋
域に心筋虚血が生じる.その結果出現する心室壁運動異
虚血が疑われる場合の負荷心エコー図(レベル C)
常を捉えるのが負荷心エコー図法である.虚血の際には
・狭心症ないし無症候性心筋虚血と診断された症例に
まず壁運動が低下し,それから胸痛,心電図異常が出現
おける虚血部位と重症度の判定のための負荷心エコ
するため,負荷心エコー図法では虚血の出現を最も早期
ー図(レベル C)
に捉えることが可能であるが,見た目の収縮能の変化を
・冠動脈インターベンション治療の標的となる冠動脈
病変の選択や内科治療指針としての負荷心エコー図
(レベル C)
クラスⅡ a
肉眼的に捉える主観的,定性的な方法であるため,正確
な判断をするには熟練を要する.負荷エコーを行う際は,
負荷前後の壁運動評価を同一画面で評価できるループ機
能を用いた多断面表示を用いる.通常は傍胸骨長軸断面,
・WPW 症候群,心室ペーシング,安静時より 1 mm
短軸断面,心尖部四腔断面,二腔断面の 4 断面を記録す
以上の ST 低下,左脚ブロックなどにより心電図評
る.ハーモニックエコー法を用い,超音波造影剤を併用
価があまり信頼できない症例における心筋虚血評価
することによって,左室内腔と心室壁の境界が判別しや
のための安静時心エコー図(レベル C)
すくなる.最近のデジタル心エコー図装置では,それぞ
・虚血評価としての経胸壁心エコー図による冠動脈血
流評価(レベル C)
れの stage の画像を心電図同期した四分割画面で断面ご
とに観察できるように設定することが可能であり,局所
・冠動脈病変が確認されている場合,その領域の心筋
壁運動観察に有用である.負荷中は患者の状態,心電図,
虚血の評価のための負荷心エコー図(レベル C)
血圧を必ずモニターし,狭心症,著明な高血圧や低血圧,
・心筋梗塞の既往がある患者で,梗塞領域あるいは他
重篤な不整脈が出現した場合,ただちに中止し,適切な
の領域における心筋虚血の評価ための負荷心エコー
処置を行わねばならない.負荷心エコー図検査の禁忌と
図(レベル C)
しては急性心筋梗塞(≦ 4 〜 10 日),不安定狭心症,左
クラスⅡ b
・他の方法で,明らかに狭心症ないし,無症候性心筋
主幹部病変のある例,明らかな心不全,重症の頻拍性不
整脈,重症弁狭窄,肥大型閉塞性心筋症,急性心膜・心
虚血の診断が確定されている場合の心筋虚血の重症
筋炎,心内膜炎,大動脈解離,急性肺塞栓症などがあり,
度評価ための負荷心エコー図
前もって安静時心エコー図法によりこれらの疾患を除外
クラスⅢ
1036
1)安静心エコー図法
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
する必要がある.
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
負荷の方法として運動負荷と薬物負荷がある.運動負
77.9%)にて冠動脈造影における 85%以上の冠動脈狭窄
荷法は心臓への負荷が最もかかりやすく,生理的である
を診断できる 143).収縮期血流は心臓の動きのため描出
利点を有するがその反面,運動を行うことが困難な患者
が困難な場合もあるが,薬物負荷なしで冠動脈狭窄が診
では施行できず,体動や呼吸の影響により良好なエコー
断できる長所がある.
画像が得にくいという欠点がある.運動負荷の場合はト
冠動脈狭窄部位を直接描出できた場合は,狭窄部の血
レッドミルやエルゴメーターが使われる 49),50).安静時
流速度が速いためカラードプラ画像上折り返しによる加
のエコーを記録した後に必要量の運動負荷を行い,終了
速血流(localizing aliasing)として描出される.血管が
後ただちに同一断面での記録を行い,安静時と同一断面
蛇行している部分でも折り返しを生じるため,aliasing
で壁運動を評価する.運動負荷心エコー図法による心筋
のみでの狭窄診断は特異度が低い.このためパルスドプ
虚血の検出感度は,多枝病変患者の方が一枝病変患者よ
ラ法で aliasing 部の血流速度と aliasing 部より中枢側(近
り高く,70 %以上の狭窄を有する患者の方が 70 %未満
位部)の血流側の比をとることで狭窄診断を行う.PCI
の病変を有する患者より高い 137),138).また,心筋梗塞の
(percutaneous coronary intervention)のフォローアップ
既往を有する患者の方が,検出感度が高くなる 138).
時に冠動脈造影と比較した結果では,狭窄部の中枢側と
薬物負荷法は運動負荷が困難な患者においても施行が
狭窄部(aliasing 部)の拡張期平均血流速度の比が 0.45
可能であり,体動や呼吸の影響が少なく運動負荷法に比
以下の例では 50%以上の再狭窄を感度 100%,特異度 44
べ心エコー図画像が安定して得られる利点を持つ反面,
%で検出できることが示された 144).
非生理的な負荷法であり,不整脈の出現(特に心室性)
経食道エコー法を使用すると左冠動脈主幹部から左前
で十分な負荷がかけられないこともある.薬剤負荷の手
下行枝近位部 52)の形態と血流を描出でき,経胸壁法と同
段としてはドブタミンまたは血管拡張薬が用いられる.
様に冠動脈病変の検出に役立つ.
血管拡張薬にはジピリダモール 139)とアデノシン 140)があ
②負荷あり
り,盗血現象を利用して心筋虚血を誘発する.このため,
冠血流予備能とは,心筋酸素消費量の増大に応じて冠
血管拡張薬は血流分布の不均衡を検出するのに優れた核
循環血流量を増大させうる能力を表し,冠動脈狭窄率
医学心筋血流イメージング法の負荷手段には適している
50 %までは正常時と同等に保たれるが,狭窄率がそれ
が,壁運動異常を検出する心エコー図検査ではドブタミ
を超えると減少し始める 145).70 %狭窄では冠血流予備
.そのため,我が国ではド
能はおおよそ 2 となり,冠血流予備能が 2 を下回る場合
ブタミンを用いた薬物負荷がよく行われている.静脈ル
は,心外膜側冠動脈に有意狭窄が存在するか,もしくは
ンより感度が低くなる
141),142)
ートを確保し,安静時の記録をした後にドブタミンを 5
心筋内微小循環障害が存在することが示唆される.パル
μg/mL/kg の速度で点滴静注を開始する.3 〜 5 分おきに
スドプラ法では血流量ではなく血流速度を記録するた
10,20,30μg/mL/kg に増量し,それぞれの負荷量で壁
め,冠血流予備能の代わりに冠血流速予備能を評価する
運動の記録を行う.ドブタミンの投与量は 40μg/mL/kg
ことになる.通常血管拡張薬として ATP(140 〜 150μg/
を最大とし,目標心拍数に満たない場合は硫酸アトロピ
kg/min)の持続静注を用いる.安静時に引き続き前述の
ン 0.25 〜 0.5 mg を 1 分おきに最高 1 mg まで追加投与す
薬物負荷よる最大冠充血時の血流速度波形を記録し,お
ることを考慮する.胸痛,壁運動異常や心電図異常の出
のおのの拡張期平均冠血流速度を計測する.冠血流速予
現,目標心拍数を end point とする.
備能(coronary flow velocity reserve:CFVR)は,負荷
3)冠動脈血流の直接描出(ドプラ心エコー図法)
による最大冠充血時と安静時の拡張期平均冠血流速度の
①負荷なし
比により算出する(CFVR =最大冠充血時の拡張期平均
安静時の冠動脈血流速波形は,収縮期,拡張期の二峰
冠血流速度 / 安静時の拡張期平均冠血流速度).経胸壁パ
性であり,拡張期優位の波形を呈する.冠動脈狭窄例で
ルスドプラ法にて算出した CFVR と冠動脈造影による狭
は,健常者にみられる流速の拡張期優位性は失われ,心
窄率を比較した報告では,左前下降枝(LAD)の CFVR
周期全体を通じて低速血流が持続する特有な波形をと
が 2.0 以下の例では,感度 92 %,特異度 86 %にて 75 %
る.そのため,安静時の拡張期対収縮期冠血流速度比
以上の有意狭窄を診断し得た 146)−149).同様に右冠動脈・
(diastolic-to-systolic coronary velocity ratio: DSVR)を用
左回旋枝の冠血流予備能から有意狭窄の診断を行うこと
いて,薬物負荷なしに冠動脈狭窄を検出することが可能
ができるが,これらの血管は胸壁から離れているため左
である.LAD では DSVR の Peak で 1.6 以下(感度 79%,
前下行枝に比べると描出率が低く,超音波造影剤の併用
特 異 度 75.7 %),Mean で 1.5 以 下( 感 度 77 %, 特 異 度
が有用である 150)−152).また,CFVR は物理的な狭窄度よ
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1037
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
りむしろ生理的狭窄度(虚血が効いているかどうか)を
反映する運動負荷タリウム心筋シンチグラフィと対比し
149)
1)心筋血流シンチグラフィの冠動脈疾患診断の感度と
特異度
201
,虚血の判断としても重要である.大
Tl の虚血の診断精度については過去に多くのデータ
動脈弁狭窄症,肥大型心筋症,拡張型心筋症などの心疾
の蓄積があるが,99mTc 標識心筋血流製剤についてもそ
患や,糖尿病,喫煙者において,CFVR は低下するため
の診断能は 201Tl と同程度であると考えられている 153).
解釈には注意が必要である.
診断能は報告により異なるが,感度 80 〜 90%程度,特
た報告もあり
④心臓核医学検査
クラスⅠ
異度 70 〜 95 %程度とされ,% uptake や洗い出し率の計
測,circumferential profile analysis といった定量的評価
法の導入により診断能の改善が得られるとの報告もあ
・心電図評価困難である場合(ただし,左脚ブロック,
る 153)−175).運動負荷では運動耐容能が予後指標となる
心室ペーシングを除く)の運動負荷心筋血流シンチ
ことが知られているが,運動量が不十分であると診断感
グラフィ(レベル B)
度が低下する 176)−178).またカルシウム拮抗薬,硝酸薬,
・負荷心電図異常がある場合の心筋虚血診断のための
β遮断薬などの服用も検出感度に影響を及ぼす
運動または薬物負荷心筋血流シンチグラフィ(レベ
が 179),180),薬剤投与時の虚血の程度を評価する目的の場
ル B)
合には薬剤投与下で負荷検査がなされる.負荷時の肺集
・冠動脈疾患の高有病率と考えられる場合の運動また
積の評価は血行動態上の重症度と関連し,病態や予後評
は薬物負荷心筋血流シンチグラフィ(レベル B)
価には有用であるとされるが,冠動脈疾患の診断能向上
・冠動脈造影にて冠狭窄(25 〜 75 %)を有する場合
への寄与については意見が別れる 181)−193).これまでの
の心筋虚血の評価とリスク層別化のための運動また
報告の多くは 201Tl についてのものであるが,Tc 製剤に
は薬物負荷心筋血流シンチグラフィ(レベル B)
おいても報告されている 194)−196).左室の一過性虚血性
・病態に変化があった場合の心事故のリスクの再評価
内腔拡大(transient ischemic dilation:TID)の所見は多
のための運動または薬物負荷心筋血流シンチグラフ
枝病変の診断や予後評価に有用であることが以前から報
ィ(レベル B)
告されているが 186),197)−199),近年の心電図同期 SPECT の
・冠動脈血行再建術の適応評価のための運動または薬
物負荷心筋血流シンチグラフィ(レベル B)
・運動負荷が適切に施行できない場合の薬物負荷心筋
血流シンチグラフィ(レベル B)
・左脚ブロック,心室ペーシングの症例における薬物
負荷心筋血流シンチグラフィ(レベル B)
・虚血心における安静時左心機能評価のための心電図
同期 SPECT(レベル B)
・虚血心における虚血の評価および部位診断のための
普及によりこの指標を数値として簡便に得ることができ
るようになったことから 200)−202),その重要性が再認識
されている.さらには心電図同期 SPECT による,血流
と心機能との同時評価は SPECT における横隔膜や女性
の乳房など吸収によるアーチファクトと梗塞との鑑別に
おいても有用性が高い 165),203)−207).
2)安定した狭心症,慢性冠動脈疾患例または疑い例に
おける心筋血流シンチグラフィの適応
安定した慢性冠動脈疾患の重症度,リスク評価は,治
心電図同期 SPECT(負荷心筋血流シンチグラフィ
療目的の明確化,治療法選択,侵襲的手法の選択の根拠,
との併用)(レベル B)
予後の推定上不可欠である.また,治療効果の客観的判
クラスⅡ a
・薬物治療効果評価のための運動負荷心筋血流シンチ
グラフィ(レベル C)
・虚血心におけるリスク層別化と予後評価のための心
電図同期 SPECT(レベル B)
定と,治療後の長期予後の再評価(リスク層別化)は長
期フォローアップ上重要である.特に,冠動脈疾患の可
能性や心事故リスクが中等度にある患者の場合,診断や
リスクの程度をより明確にすべきであり,心臓核医学検
査の適応は最も高い.欧米では一般に,低リスク(一般
クラスⅡ b
健康成人と同等の年間の心臓死亡率 1%未満,冠動脈血
なし
行再建術による予後改善が期待できない),中リスク(年
クラスⅢ
間心臓死亡率 1 〜 3 %,血管形成術・冠動脈バイパス術
なし
に伴う死亡リスクと同等),高リスク(年間心臓死亡率
が 3%以上,したがって冠動脈血行再建術による予後改
善が期待できる)の層別化がなされる.一般に我が国患
1038
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
者の予後は欧米より良好であるが 208),年齢や合併症,
201Tl に関しては,虚血の診断,リスク層別化,心筋バ
運動能力を加味した評価が重要である.慢性冠動脈疾患
イアビリティ評価,予後評価上の価値は広く認識されて
の重要な予後決定因子は,梗塞合併の有無,心筋梗塞量,
い る.99mTc 心 筋 血 流 製 剤 を 比 較 す る と,99mTc-MIBI,
可逆的虚血心筋量(有意な狭窄に伴うリスク領域の大き
99m
Tc-tetrofosmin ともに梗塞心筋の存在,範囲と程度,
さ)と虚血重症度,そして左室収縮機能である.これら
誘発虚血の診断,冠動脈領域の特定においてそれぞれ
はいずれも,心臓核医学的手法,ことに負荷心筋血流イ
201
メージングと心電図同期法によって評価できる.心臓核
る 153)−171),222)−226).
医学イメージングが他法に比し,
さらに優れている点は,
以上の観点からみて 201Tl で蓄積されたエビデンスは
異常所見の範囲と重症度を半定量的ないし定量的に評価
基本的に 99mTc 製剤に適応できるものと考えられ,ACC/
Tl と 同 等 の 診 断 能 が あ る こ と が 認 め ら れ て い
できることである.これにより,正確なリスク層別化と
AHA による慢性安定狭心症ガイドライン(1999年)でも,
予後評価を容易にすることができる.本法は,基本的に
201
機能イメージングとして負荷誘発時の,内皮機能を含め
を持つものとして互換性があるとの判断から心筋血流イ
た冠血流の予備能の障害と,これに伴う心筋細胞レベル
メージングとして一括して扱っている 227).
での血流分布の異常,心機能障害を評価することができ
201Tl と比較して 99mTc 標識心筋血流製剤に特有な点は
る.したがって,本法は必ずしも,冠動脈の解剖学的狭
次 の と お り で あ る. 薬 剤 の 投 与 量 は 99mTc で は 555 〜
窄程度を直接的に反映したり,近い将来生じるかもしれ
1110MBq が用いられる.201Tl(74 〜 111MBq)より多
ない特定の不安定プラークの破裂を予想したりするもの
いのは半減期が短く,被ばく線量が少ないからである
Tl,99mTc-MIBI,99mTc-tetrofosmin は 同 様 の 診 断 精 度
(99mTc 6 時間,201Tl 72.9 時間).99mTc 製剤では 201Tl のよ
ではないことに注意すべきである.
①心電図非同期心筋血流イメージング
うな再分布現象が認められないため,安静と負荷を別の
従来の手法である非同期法による,201Tl または 99mTc
日に施行する 2 日法,または安静 - 負荷,負荷 - 安静の
標識製剤を用いた心筋血流イメージングは運動や薬物に
順の 1 日 2 回投与法で診断される 228)−231).99mTc 製剤は肝
よる負荷法により,心筋血流の動態機能の評価を可能に
に集積し胆道・胆嚢から排泄されるため通常,投与後
し,冠動脈疾患の重症度,リスク,予後評価おける本法
30 分以降に撮像される.これらの点に留意すれば 99mTc
の適応を拡大するのに貢献してきた.
製剤は 201Tl と同様に評価できる.さらに,心電図同期
虚血の存在診断は禁忌例を除き,通常負荷検査によっ
心筋(Gated)SPECT による評価法は 201Tl よりも有利で
てなされる.負荷には運動負荷 209)−211),ジピリダモー
あり,心筋血流 SPECT において標準的な利用が推奨さ
ル負荷
212)
,ATP 負荷
213)
などが用いられ(注記:ATP,
れている(詳細は別項の心電図同期 SPECT を参照)232).
ジピリダモールは心筋負荷血流 SPECT 検査用医薬品と
慢性安定型冠動脈疾患の重症度は,可逆的ないし非可
しては我が国において保険収載されていない),近年,
逆的心筋血流障害の範囲,程度,心機能障害に密接に関
アデノシンが負荷薬剤として承認(2005 年 6 月薬価収載)
連することが知られている.負荷誘発性の広範な血流欠
され,アデノシン負荷が我が国でも可能となった 214).
損,負荷誘発性の多発性の中等度血流欠損,左室 TID あ
心エコー図と同様にドブタミン負荷が施行されることも
るいはトレーサの肺野集積増加を伴う広範な固定性血流
ある.運動負荷に比較し血管拡張薬による負荷時の冠血
欠損,あるいは左室拡大ないしトレーサの肺野集積増加
流の増加量は大きいものの,冠動脈狭窄の診断能は双方
を伴う負荷誘発性の中等度血流欠損はいずれもハイリス
でほぼ同等であると考えられている.運動負荷が不可能
ク群(年間心事故発生率 3%以上)であることが明らか
もしくは不向きな症例(高齢者,下肢疾患のある例,動
にされている.心筋血流イメージング上の異常の程度は
脈瘤,左脚ブロック症例,ペースメーカ植込み症例など)
心筋梗塞の心臓死リスクと相関し,可逆的血流欠損も心
において,ジピリダモール,ATP またはアデノシン負荷
事故の独立した規定因子であり,それらの大きさが予後
が選択される.ただし,喘息症例には禁忌である.心エ
と密接の関連するため,予後・リスク評価上高く評価さ
コー図と同様にドブタミン負荷が施行されることもある
れている 233).このため,負荷心筋血流イメージングは
が,診断能はジピリダモール負荷に比較して劣ると考え
リスク層別化に利用され,そのイメージング上の血流異
られている 215).ただし,近年心電図同期 SPECT との組
常所見の出現は冠動脈造影検査の施行率と密接に関連し
み合わせによりドブタミン負荷を行うことで,血流情報
ている.つまり冠動脈造影検査の適否を決定する(不必
とともに経時的な心機能情報も同時に得る試みがなさ
要な侵襲的検査を避け,根拠をもって適切に侵襲的検査
れ,その臨床的有用性について報告されている
216)−221)
.
を行う)手法として重要な役割を果たしている.さらに
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1039
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
重要なことは,負荷心筋血流イメージングから得られる
度は冠動脈疾患の重症度と関連し,安静時の駆出率と区
情報は単独で最も重要な,独立した予後規定因子である
別する必要がある.心電図同期負荷心筋血流 SPECT 法
ばかりではなく,予後を規定する他の臨床的な因子,冠
と 最 近 の 優 れ た 専 用 解 析 ソ フ ト Quantitative Gated
危険因子や運動指標,運動負荷心電図所見との併用にお
SPCET : QGS234) な い し Perfusion and Function Asses-
いても,予後判定上の価値を有している.最近,我が国
ment by Myocardial SPECT(p-FAST)235)よって,これら
において実施された大規模臨床研究(J-ACCESS)の結
の心機能と心筋血流情報の定量的な同時評価が容易にな
果に基づきリスクを推定するプログラム(Heart Risk
った.本法は Tc-99m 標識製剤の普及により可能な限り
View)が開発され
208)
,我が国の臨床でも,そういった
ルーチンの使用が推奨されており 233),我が国でも普及
考えを実践することができるようになった.
してきている.このように,慢性冠動脈疾患患者のリス
運動負荷心電図検査法も,慢性冠動脈疾患のリスク層
ク層別化においては,従来の負荷時の血流情報に,心電
別化に有用であるが,その限界も明らかであり,心電図
図同期から得られる心機能情報を組み合わせることが極
診断が不可能な場合でも負荷心筋イメージングの診断精
めて有用である.
度は高い.心事故発生率は負荷時の心筋血流異常スコア
に伴って有意に上昇し,高度集積低下例では年率 10 〜
⑤冠動脈 CT
24 %と高率になることが報告されている.反対に,負
クラスⅠ
荷心筋血流イメージングが正常な場合の長期予後は,心
なし
筋梗塞歴のない狭心症疑い例や冠動脈血行再建術施行例
クラスⅡ a
を含めても,良好(心臓死または非致死的心筋梗塞の年
・胸痛があって冠動脈疾患の中程度のリスク群で,運
間リスク 1%未満)である.
動負荷が困難な場合あるいは運動負荷心電図が判定
負荷検査をどのくらいの頻度で実施すべきかという明
困難な場合(レベル B)
確な知見は得られておらず,臨床症状,当初なされたリ
クラスⅡ b
スク層別化(低,中,高リスク)や年齢,冠危険因子の
・冠動脈疾患の中程度のリスク群で,運動負荷が可能
管理の程度などの全体的臨床状態を加味して実施するの
でありかつ運動負荷心電図が判定可能な場合(レベ
が合理的と考えられる.一般的に負荷心筋イメージング
の予後予測能についてのエビデンスは 2 ないし 3 年間が
多い.
ル C)
クラスⅢ
・胸痛があって冠動脈疾患の高リスク群(レベル C)
②心電図同期 SPECT
1040
安静時の心電図同期心筋 SPECT 法によって LVEF,左
1)冠動脈 CT による冠動脈狭窄診断能
室拡張末期容積,左室収縮末期容積,一回拍出量・心係
CT による冠動脈狭窄診断能については多数の報告が
数が定量的に評価されるのみならず,本法を負荷法に応
あ る が,64 列 MDCT の 登 場 以 降 そ の 診 断 能 は 向 上
用することによって,負荷後の一過性 LVEF 低下や左室
し 82)−84),236),237),単一施設からの成績の集計では,セグ
TID を同時に定量的に評価することができ,慢性冠動脈
メントごとの解析で感度 89 %,特異度 96 %,positive
疾患例における重症度,リスク,予後評価の精度が向上
predictive value(PPV)78 %,NPV98 % で あ る 85).16
している.心電図同期負荷心筋血流 SPECT 法によって
施設での 229 症例を含む多施設研究においても,患者ご
得られる心負荷後の LVEF 低下(< 45%)や左室収縮末
との解析で感度 95 %,特異度 83 %,PPV64 %,NPV99
期容積増大(> 70mL)が,負荷時の心筋血流障害に対
%と報告されている 238).このように冠動脈 CT の診断精
し相加的な予後の予測因子になることが示されている.
度は高く,特に NPV は極めて高く,CT で有意狭窄が認
慢性安定型冠動脈疾患では,心筋梗塞サイズ(量)は心
められなかった場合は,冠動脈狭窄はほぼ否定される.
機能(LVEF)や心臓死と密接に関連した生命予後規定
一方で,冠動脈 CT はカルシウムスコアが高く壁に高度
因子であるのに加えて,可逆的な心筋虚血(量)は心筋
の石灰化を有する場合は,診断困難となる場合が多く,
虚血発作(非致死的心筋梗塞,不安定狭心症,心不全,
カルシウムスコアが高い場合の有用性は確立していな
冠動脈血行再建術)を含めた心事故の規定因子であるこ
い 79).
とが明らかになっている.負荷誘発性の心筋虚血に伴う
2)冠動脈 CT の適応
心機能障害(LVEF の低下)の改善はしばらく遷延する
CT には被ばくやヨード造影剤による副作用という問
(気絶心筋)ため,本法でも検出可能となるが,その程
題があるために,冠動脈疾患の有する可能性によって,
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
その適応を変更する必要がある.胸痛を有する場合には,
クラスⅢ
年齢,性別,症状から,冠動脈疾患を有する可能性を
なし
Duke database を参考に推定し,低リスク群,中等度リ
)
スク群,高リスク群に分類する 239),240(
Appendix 参照).
シネ MRI では血液が高信号を示し,造影剤を用いな
前述のように心臓 CT は高い NPV を有するので,低リス
くても高い心筋 - 血液コントラストが得られ,左室壁の
ク群および中等度リスク群の場合には,心臓 CT で有意
内膜縁と外膜縁が死角なく明瞭に描出され,心筋虚血に
狭窄が認められなければ,ほぼ冠動脈疾患を否定するこ
伴う局所壁運動異常の評価に有用である.また,シネ
とが可能である
239)
.その一方で,リスクが高い群の場
MRI の拡張期と収縮期における局所心筋壁厚から収縮
合には冠動脈疾患を有する危険性が高く,すぐに冠動脈
期壁厚変化率を求めると,視覚的評価法よりも正確に局
造影を行うことが多い.また,これらの場合には心臓
所心筋収縮能を診断できる.また,負荷心筋パーフュー
CT で有意狭窄が指摘されなくても冠動脈疾患を否定す
ジョン MRI を行うことによって冠動脈の機能的狭窄の
ることは難しいために冠動脈 CT の有用性は限られてい
有無と,冠動脈病変による虚血の範囲を評価でき,冠動
る
241)
.ただし,高リスク群であっても,PCI の際に生
脈 CT などで冠動脈に形態的狭窄が認められる症例にお
じ得る no-reflow 現象の予測や CTO 症例での PCI 手技の
いて冠動脈狭窄が機能的に有意であるか否かを判断する
可否の予測に有効なことはある 242),243).
のにも有用である.負荷心筋パーフュージョン MRI の
低リスク群の場合にはもともと冠動脈疾患の有病率が
冠動脈狭窄を有する患者に対する診断能については既に
低いため,心臓 CT が最も有用なのは中等度リスク群の
多くの報告が存在するが,最近行われたメタアナリシス
場合と考えられている
240)
.今まではこの群には運動負
では,感度 91%,特異度 81%と報告されている 248).同
荷心電図を施行することが推奨されていたが,運動負荷
様の診断能(感度 89 〜 93%,特異度 75 〜 79%)は,多
心電図には判定困難な場合や運動負荷が困難な場合が存
施設共同研究でも示されている 103),249)−251).従来の検査
在するため,中等度リスク群で運動負荷心電図を施行困
法との比較では,負荷心筋パーフュージョン MRI と 13N-
難な場合には,心臓 CT が最も推奨される検査となって
NH3 負荷心筋血流 PET と比較し,両者はほぼ同等の冠
いる 239),240).一方で,中等度リスク群で運動負荷心電図
動脈有意狭窄診断能を示すという報告や,負荷心筋パー
を行うことが可能な場合には,運動負荷心電図を行うべ
フュージョン MRI と負荷心筋 SPECT の冠動脈狭窄病変
きか,負荷心筋シンチグラフィを行うべきか,心臓 CT
診 断 能 を 比 較 し,MRI は 吸 収・ 散 乱 補 正 を 行 わ な い
を行うべきかについてははっきりした結論は出ていな
SPECT よりも有意に高い診断能を示すという報告が認
い.ただし,今までの報告では運動負荷心電図よりも冠
められる 118),251).
動脈狭窄の診断能は感度,特異度ともに心臓 CT のほう
が高い 244).
3)CT による心筋灌流の評価,バイアビリティの評価
冠動脈 CT でも,薬剤(ATP やアデノシン)を負荷し
⑦胸 痛があり安定狭心症が疑われる患者における
診断樹(図 13,14)
慢性虚血性心疾患の病態把握および診断には,心筋虚
て造影早期相で心筋の染まりを観察すれば心筋灌流の評
血の有無の判断がその治療方針決定において重要であ
価は可能であり,限られた施設で行われている 245).また,
る.治療方針の決定においては,虚血を伴わない冠動脈
心筋梗塞巣は造影早期相で造影欠損として,5 〜 8 分後
狭窄に対する血行再建が予後を改善しないことからわか
の後期相で遅延造影を示すので,バイアビリティの評価
るように,冠動脈の解剖学的狭窄よりも虚血の証明が重
も可能であるが 246),247),放射線被ばくが増える欠点もあ
要である.そのためには,臨床症状を参考にしながら,
り,現時点では一般的ではなく,今後の検討を要する.
適切な検査法を選択しなければならない.
⑥心臓 MRI
クラス I
・安定狭心症における心筋虚血の検出(レベル B)
具体的には,まず臨床症状から不安定狭心症でないこ
とを確認したうえで患者背景を参考に冠動脈疾患の存在
する確率(検査前有病率)を推定する.心筋虚血診断に
は,簡便性,費用対効果にすぐれ,運動耐容能および予
クラスⅡ a
後評価もできる運動負荷心電図検査が最も広く使用され
なし
ている.ただし,その適応には制限もあり,運動負荷が
クラスⅡ b
可能であり,心電図診断により虚血診断が可能な安静時
なし
心電図であることを確認する(図 13).運動ができない,
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1041
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
図 13 安定狭心症の診断樹:運動が可能な場合(解説は本文を参照のこと)
*1
胸部症状を有する患者
CAD の検査前確率の推定
十分な運動が可能か?
心電図による虚血評価が可能か?
可能
* 1 心電図,心エコー図
所見などから冠動脈疾患
が強く疑われる無症状患
者もこれに準ずる
不可能
※下段図 14 へ
運動負荷心電図
Duke スコアによりリスク層別化
低リスク
中程度リスク
ないし判定不能
経過観察
冠動脈 CT 優先実施のための施設要
*2
*3
件 と患者要件 に適合しているか?
適合している
高リスク
適合していない
*4*5
冠動脈 CT
負荷 SPECT
*
正常
異常
判定困難
軽度灌流異常
/ 判定困難
正常
負荷 SPECT
負荷心エコー図
パーフュージョン MRI
正常
経過観察
境界的異常
不確定
CAG
中等度以上
灌流異常
*6
冠動脈 CT
異常
内科的治療
経過観察
正常
CAG
経過観察
境界的異常
不確定
異常
内科的治療
経過観察
CAG
図 14 安定狭心症の診断樹:運動が不可能な場合(解説は本文を参照のこと)
運動負荷試験が不適応
適合していない
*5
冠動脈 CT
*
正常
判定困難
薬物負荷 SPECT
異常
軽度
灌流異常
正常
負荷 SPECT
負荷心エコー図
パーフュージョン MRI
正常
経過観察
1042
境界的異常
不確定
内科的治療
経過観察
中等度以上
灌流異常
正常
CAG
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
経過観察
境界的異常
不確定
内科的治療
経過観察
*5
・薬剤の禁忌に注意
・施設によっては負荷エコ
ー な い し 負 荷 perfusion
MRI
* 6 冠動脈 CT 実施のため
の施設要件
・十分な経験を有している
・ 64 列 MDCT 以 上 の 機 種
を有している
*6
冠動脈 CT
異常
* 3 冠動脈 CT 実施のため
の患者要件
・ 50 歳未満の女性では被ば
くに配慮すること
・著しい冠動脈石灰化が予
想される患者でないこと
(透析患者,高齢者など)
・ 血清クレアチニンが
2.0mg/dL 以上でないこと
・ eGFR が 60mL/min/1.73
m2 以下でないこと
・糖尿病患者の場合微量ア
ルブミン尿を含む腎症を
認めないこと
・造影剤アレルギーがない
こと
・喘息がないこと
*4
・負荷は運動負荷が望まし
い
・ 17 な い し 20 セ グ メ ン ト
法による負荷欠損スコア
の評価がされている
冠動脈 CT 優先実施のため
*2
*3
の施設要件 と患者要件
に適合しているか?
適合している
* 2 冠動脈 CT 優先実施の
ための望ましい施設要件
・十分な経験を有している
・ 64 列 MDCT 以 上 の 機 種
を有している
・鮮明な画像のもとに,適
切なレポーティングシス
テムが稼動している
・ CAG との比較により CT
の特性が評価されている
・被ばく線量の低減プロト
コールに取り組んでいる
異常
CAG
*判定困難
・高度石灰化,motion artifact
による判定困難
・境界的狭窄,末梢の細い
枝の狭窄
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
あるいは心電図診断が不可能である場合には運動負荷心
ラフィで中等度以上の異常を認める場合はハイリスクで
電図以外の検査法を選択する(図 14)
.運動負荷心電図
あり,冠動脈血行再建術を必要とする所見であり,冠動
は虚血診断だけでなく,運動負荷時間,ST 低下度,症
脈造影を行う.
状により,低リスク群,中等度リスク群,高度リスク群
に分類できる.低リスク群であれば予後は良好であり,
経過観察でよいが,高度リスク群と判断されれば治療を
2
冠攣縮性狭心症
クラスⅠ
かねる冠動脈造影検査を優先する.中等度リスクないし
・自覚症状に基づき冠攣縮性狭心症を強く疑う場合に
判定が不能と判断されれば,さらなる診断のために次の
おいて,発作時および速効性硝酸薬投与後あるいは
非侵襲的検査法を選択する.運動負荷心電図に続く非侵
症状安定直後に記録する 2 つの心電図記録
襲的検査法の選択肢には,負荷心エコー,負荷心筋血流
クラスⅡ a
シンチグラフィ,冠動脈 CT と負荷心筋パーフュージョ
なし
ン MRI がある.ただし,我が国における普及度,エビ
クラスⅡ b
デンスを考慮すると,現状では負荷心筋血流シンチグラ
フィおよび冠動脈 CT のいずれかが選択される.負荷心
筋血流シンチグラフィおよび冠動脈 CT のいずれを選択
するかは,推定される検査前有病率と,施設要件,患者
要件を考慮して決定する.冠動脈 CT は普及過程でもあ
り,その施設で良好な画質が安定して得られているかど
うか,十分な経験を有しているかが一つの判断の基準と
なる.患者要件については副作用を十分考慮しなければ
ならない.冠動脈 CT は NPV が高く除外診断能に優れて
おり,中等度リスク群で特に有用である.冠動脈 CT が
正常であればまず冠動脈病変がある確率は低く経過観察
でよく,冠動脈 CT で軽度の異常であれば虚血を合併す
・発作が多い時間帯のみを標的とした 12 誘導心電図
記録(過換気,運動負荷が不可能な場合)
・状態が安定した冠攣縮性狭心症が疑われる症例に対
する運動負荷試験
・過換気負荷試験もしくは運動負荷試験と組み合わせ
た 201Tl 心筋シンチグラフィ
・123I-BMIPP 心筋シンチグラフィ(レベル C)
クラスⅢ
・状態が不安定で急性冠症候群を否定できない症例に
対する運動負荷試験
・急性冠症候群が疑われる例に対する負荷心筋シンチ
グラフィ
ることは少なく経過観察でよい.一方,冠動脈 CT で判
・冠動脈 CT 検査(レベル C)
定困難な場合(高度石灰化や motion artifact による判定
・心臓 MRI 検査(レベル C)
困難,境界的狭窄,末梢の細い枝の狭窄など)には他の
非侵襲的検査を行う.冠動脈 CT で有意狭窄と思える病
①安静時心電図
変を認めても,冠動脈血行再建治療の適応となるわけで
基本的に非発作時の心電図は正常所見を呈する場合が
はなく,原則として他の診断法によって虚血を証明する
多いため,症状が頻繁に発生している場合は,発作時と
ことが必要である.冠動脈血行再建の適切な適応基準の
非発作時の 12 誘導心電図を記録することで確定診断が
決定のガイドラインにも示されているように,冠血行再
つく場合がある.冠攣縮性狭心症の発作時の典型的な心
建の適応の決定は,
(1)患者の症状(狭心症状の重症度),
電図変化としては,冠攣縮の責任領域に対応した誘導に
(2)虚血に対する十分な薬物治療の有無,(3)非侵襲
ST 上昇と対側誘導の ST 下降を認め,これらの所見は速
的検査により示される虚血の重症度,
(4)冠動脈造影に
効性硝酸薬の投与にて速やかに正常化することで診断が
よる冠動脈病変の形態,の 4 要素を加味して決定すべき
可能である.冠攣縮性狭心症では中程度の冠動脈の器質
252)
.冠動脈 CT が提供するものはあくまでも冠動
的狭窄を伴う例が多いが,ST 上昇のない冠動脈支配領
脈病変の形態異常のみであり,その他の要素を加味した
域に応じた ST 下降例も存在し,冠攣縮や虚血の強度で
上で次の方針を決定すべきである.ただし,明らかに冠
異なると考えられる 253).また虚血回復時における責任
血行再建を必要とするほどの重症虚血が予想される狭窄
領域の陰性 T 波の出現や,攣縮時の陰性 U 波の新規出現
病変であれば侵襲的冠動脈造影を行う.
を見ることもある 254).
である
負荷心筋血流シンチを選択した場合の診断樹は,正常
であれば予後は良好であり,経過観察でよい.軽度の灌
②運動負荷心電図
流異常か判定困難な場合には冠動脈 CT を行い冠動脈狭
冠攣縮性狭心症は,典型的には深夜から早朝にかけて
窄病変の有無を診断する.一方,負荷心筋血流シンチグ
出現する冠動脈の攣縮による狭心症であり,日中の運動
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1043
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
負荷により誘発されることは少ない 255).診断のための
誘発試験としては冠動脈内へのアセチルコリンあるいは
⑤冠動脈 CT
エルゴノビンの注入が最もよく行われている.冠攣縮の
冠攣縮性狭心症が疑われる患者においては,CT は冠
誘発試験には他に過換気負荷(特異度 100 %),寒冷負
動脈に器質的病変が存在するかどうかの判定には用いら
荷などがあり,いずれも早朝の検査で感度が高くなる.
れるが,冠攣縮性狭心症の確定診断において,冠動脈
運動負荷に関しても,特に早朝における負荷により冠攣
CT の有効性を検証した報告はこれまでには見られない.
縮性狭心症が誘発される場合がある 256),257).冠攣縮性狭
心症の典型的な心電図変化は ST 上昇であるが,ST 下降
を示す場合もあり,前者は貫壁性の,後者は心内膜下の
一過性虚血を反映するとされる
258)
⑥心臓 MRI
冠攣縮性狭心症が疑われる患者においては,心臓
.負荷試験に際して
MRI は冠動脈に器質的病変が存在するかどうかの判定
はカルシウム拮抗薬など冠拡張作用を有する薬剤の休薬
には用いられる可能性はあるが,冠攣縮性狭心症の確定
期間を十分とることが感度を上げるポイントとされる.
診断において,心臓 MRI の有効性を検証した報告はこ
れまでには見られない.
③心エコー図
心疾患の合併の有無を検査する目的で施行される.非
2
急性冠症候群
1
不安定狭心症 /
非 ST 上昇型急性心筋梗塞
発作時に冠攣縮を推定しうるものではないが,発作時や
心筋梗塞合併例では当該部位の壁運動異常がみられる.
冠攣縮性狭心症の非発作時は,収縮期の壁運動異常は認
めないが,拡張早期の左室拡張反応異常が遷延し,心エ
コー図検査にて検出可能であると報告されている 259).
急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)は冠
動脈粥腫の破綻に引き続く血栓形成を基盤として急性心
④心臓核医学検査
筋虚血を呈する臨床症候群で,急性心筋梗塞,不安定狭
1)201Tl 心筋シンチグラフィ
心症から心臓急死までを包括する広範な疾患概念であ
201
Tl を用いた心筋シンチグ
る.急性冠症候群の疑いで来院した患者の選別(トリア
ラフィ検査 32 例の検討により,心電図モニターのみよ
ージ)は必ずしも容易ではなく,急性冠症候群でないと
冠攣縮性狭心症例に対し
りも冠攣縮診断に正確性が増すことが報告された
260)
.
その後の研究により,有意な冠動脈狭窄のない冠攣縮性
一方で退院させてから急性冠症候群と判明する場合が 2
狭心症例においても,およそ 50(44 〜 54)%の症例で,
〜 4%で存在し,入院を継続していた場合より有意に死
201
亡率が高いことが知られている 267)−269).
Tl 運動負荷心筋シンチグラフィで心筋虚血陽性例がい
ることが報告された
260)−262)
.さらに,過換気負荷試験
急性冠症候群のリスク層別化は年齢・性別などの臨床
に 201Tl 心筋シンチグラフィを組み合わせることにより,
像,既往歴,新たな心電図変化,血液生化学検査(トロ
心電図変化に乏しい冠攣縮も見逃すことなく検出できる
ポニンなどの心筋障害マーカー)などによって行われる.
可能性があることが報告された 263).一方,過換気負荷
高リスクすなわち急性心筋梗塞の可能性が高いと評価さ
試験よりも運動負荷試験に
201
Tl 心筋シンチグラフィを
れれば集中治療室入院,冠動脈造影による速やかな血行
組み合わせたほうがより感度の高い結果が得られるとの
再建術が優先される.中または低リスク群,あるいは来
報告もある 264).
院時の心電図検査,血液検査ともに異常がなく急性冠症
2)123I-BMIPP 心筋シンチグラフィ
候群と結論づけられない場合などにおいては,待機的な
1995 年, 冠 攣 縮 性 狭 心 症 例 32 例 中 25 例(78 %) に
冠動脈造影や非侵襲的検査による急性冠症候群の否定が
I-BMIPP の分布異常が存在し,その中の 23 例(72%)
123
は冠攣縮動脈領域と一致していたことが報告された
265)
123
必要とされる.
不安定狭心症と非 ST 上昇型急性心筋梗塞は,その後
その後の研究において, I-BMIPP の分布異常による冠
の経過中に鑑別されることが多く,しかも初期の診断お
攣縮の検出感度は 71 %,特異度 88 %との報告があり,
よび治療方針の決定は同じであることが多く,本ガイド
123
ラインでは一括して記載した.
I-BMIPP 心筋シンチグラフィの冠攣縮例における有用
性が示されている 266).
1044
の確診に至るには入院の上,複数の検査を必要とする.
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
ごとに早期に的確なリスク評価を行い,これに基づき治
①安静時心電図
療方針を速やかに決定する必要がある 268),269).心電図は
診断および治療方針の決定に中心的役割を担い,また予
クラス I
・胸部症状を訴える患者や他の症状でも急性冠症候群
後予測に重要な情報を提供する.リスク評価は病歴,臨
が疑われる患者に到着後ただちに(10 分以内)標
床所見,生化学マーカーに加え心電図所見から総合的に
準 12 誘導心電図を記録すること(レベル B)
判断することが推奨されている(表 8).
・初回心電図で診断できない場合でも症状が持続し急
安静時胸痛発作中の一過性 ST 変化はたとえその程度
性冠症候群が強く疑われる患者には経時的に(15
が軽度(0.05mV)であっても重症冠動脈病変による急
〜 30 分ごとに)標準 12 誘導心電図を記録すること
性虚血を強く示唆する.さらに,持続性頻拍や新規また
は新規と思われる脚ブロックも高リスクと分類する.T
(レベル B)
波陰転(特に 0.2mV 以上),心筋梗塞の既往を示唆する
クラスⅡ a
・初回心電図で診断できない場合に左回旋枝閉塞によ
異常 Q 波,安静時心電図の広範な ST 下降(0.1mV 未満)
る急性心筋梗塞を除外するために背側部誘導(V7-9
は中等度リスク,正常または不変の心電図は低リスクと
誘導)を記録すること(レベル B)
分類する.心電図診断では,受診時の精神的緊張や検査
クラスⅡ b
室までの歩行移動などのごく軽度の負荷で T 波陰転など
なし
の虚血所見が一見,正常化(pseudo-normalize)するこ
クラスⅢ
ともあり注意が必要である.また,以前の心電図との比
なし
較や経時的に心電図を記録し比較することが重要であ
る.
非 ST 上昇型急性冠症候群は臨床上幅広いスペクトル
入院時 ST 下降は予後不良の強力な予測因子であるこ
を有し,高リスク例では心筋梗塞や死亡などの心事故を
とが示されている 270)−277).入院時 ST 下降を認める例で
発症早期に生じることが多い
267)
.このため個々の症例
は多枝病変が高率で 273),274),ST 下降を認める誘導数が
表 8 ACS(非 ST 上昇型急性心筋梗塞,不安定狭心症)における短期リスク評価
評価項目
高リスク
中等度リスク
低リスク
(少なくとも下記項目のうち 1 つが存在す (高リスクの所見がなく,少なくとも下 (高あるいは中等度リスクの
る場合)
記項目のうちどれか 1 つが存在する場合) 所見がなく,下記項目どれか
が存在する場合)
病歴
■先行する 48 時間中に急激に進行して ■心筋梗塞,末梢血管疾患,脳血管障害,
いる
冠動脈バイパス手術の既往
■アスピリン服用歴
胸痛の特徴
■安静時胸痛の遷延性持続(> 20 分)
■遷延性(> 20 分)安静時狭心症があ ■持続時間,頻度,強度が増
ったが現在は消退しており,冠動脈疾
悪している狭心症
患の可能性が中等度~高度である
■より低い閾値で生じる狭心
■夜間狭心症
症
■安静時狭心症(< 20 分または安静か ■過去 2 週間~ 2 か月以内の
新規発症の狭心症
ニトログリセリン舌下により寛解)
■安静時狭心症(> 20 分)はなく過去 2
週間に CCS クラスⅢまたはⅣの狭心症
の新規発症または増悪があり,冠動脈
疾患の可能性が中等度~高度である
臨床所見
■おそらく虚血と関連する肺水腫
■年齢> 70 歳
■新規または増悪する僧帽弁逆流音
■Ⅲ音または新規または増悪するラ音
■低血圧,徐脈,頻脈
■年齢> 75 歳
心電図
■一過性の ST 変化(> 0.05mV)を伴う ■ T 波の変化
■正常または変化なし
安静時狭心症
■異常 Q 波または安静時心電図で多くの
■新規または新規と思われる脚ブロック 誘導(前胸部,下壁,側壁誘導)におけ
■持続性心室頻拍
る ST 下降(< 0.1mV)
心筋マーカー ■心筋トロポニン T(TnT)
,I(TnI)の上 ■ TnT,TnI の 軽 度 上 昇(0.01 ~ 0.1ng/ ■正常
昇(> 0.1ng/mL)
,または CK-MB の上昇 mL)
,CK-MB の上昇
ACC/AHA2007 ガイドライン 269)より引用改変
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1045
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
多いほど 274),また ST 下降の程度が高度なほど死亡率は
クラスⅡ a
.さらに症状から 6 時間以
・不安定狭心症を疑わせる症状が出現した直後の心電
上経過した心電図で ST 下降を認める例では 6 時間未満
図,心筋マーカー(トロポニン T あるいは I,また
の例と比べ 6 か月後の死亡および心筋梗塞が高率である
は FABP)に異常が見られず,その後 6 〜 12 時間後
増加するとされている
ことが報告されており
273)−275)
275)
,ST 下降の遷延と予後不良と
の関係が示唆される.このように,胸痛出現から心電図
記録までの時間因子も考慮することでさらなるリスク層
別が可能になると考えられる.また ST 下降を広範に認
め aVR 誘導で ST 上昇を認める場合には左主幹部病変や
多枝病変による重症虚血が疑われる
278)−281)
.予後予測
まで症状,心電図,心筋マーカーに異常無く経過し
た症例(レベル B)
クラスⅢ
・不安定狭心症を疑わせる症状が持続あるいは繰り返
す症例
・心電図に明らかな虚血性変化を認める症例
における心電図所見の有用性を検討した報告では,aVR
・心筋マーカーの上昇がみとめられる症例
誘導の ST 偏位は考慮されていないことが多いが,aVR
・心筋梗塞や既知の冠動脈疾患があり,症状の原因で
誘導の ST 上昇を加えて検討すると aVR 誘導の ST 上昇の
あると考えられる症例
方が他の誘導の ST 下降に比べより強い予後不良の予測
因子であることが報告されている 278)−280).また,ST 下
急性心筋梗塞発症早期や不安定狭心症,すなわち急性
降を認める場合の 1 つとして左回旋枝閉塞による純後壁
冠症候群(ACS)が疑われる症例に対しては,従来から
梗塞の場合があり注意を要する.通常,ST 下降は責任
運動負荷検査は禁忌であるとされてきた.近年 AHA の
冠動脈にかかわらず V4-6 誘導を中心に認めるが,純後
ガイドラインでは不安定狭心症が疑われる症例のうち低
壁梗塞の場合は後壁の ST 上昇に対する対側性変化とし
リスク群では運動負荷検査が適応となる場合があるとし
て V2-3 誘導を中心に V1-4 誘導で ST 下降を認め 282),この
ているが 16),269),我が国では必ずしも実情にそぐわず,
ST 下降の分布の違いが鑑別に役立つ.背側部誘導(V7-9
同症を疑う症例に対する運動負荷の適応については他の
誘導)の ST 上昇および心臓超音波検査で左室後壁の壁
診断法の可否など施設の特性も含めて検討した上で慎重
運動異常を認めれば診断は確定する.背側部誘導の ST
に判断すべきである.
上昇を認めた場合には ST 上昇型急性心筋梗塞として再
灌流療法の適応となる.
一般的に,ST 下降を認める例に比べると陰性 T 波を
③心エコー図
クラスⅠ
認める例は有意狭窄を認めない例が多いことから一般的
・急性冠症候群の患者に心エコー図検査を行う
に予後は良好とされている 277).しかし,不安定狭心症
・治療により安定した急性冠症候群の患者で,心電図
患者で前胸部誘導に陰性 T 波を認める例では左前下行枝
による評価が困難な患者に運動負荷あるいは薬剤負
病変が高率で,特に陰性 T 波が持続する例では冠インタ
荷心エコー図検査を行う
ーベンション後に左室前壁の壁運動異常が改善すること
クラスⅡ a
が報告されている 283),284).
なし
大事なことは,心電図が正常という理由で急性冠症候
クラスⅡ b
群を除外することはできないことである.初回心電図で
・胸部症状が存在するとき,心電図で異常が明らかで
診断できない場合には経時的に心電図を記録することが
ない急性冠症候群の疑いのある患者に心エコー図検
重要であり,診断感度を向上させる.また,左回旋枝閉
査を行う
塞による急性心筋梗塞を除外するために背側部誘導を記
録することも重要である.
②運動負荷心電図
不安定狭心症が疑われる症例(安定狭心症に対する適
・急性冠症候群が明らかであるが,冠動脈造影と左室
造影を行う予定がない患者に対する左室機能を評価
するための心エコー図
クラスⅢ
・運動負荷心エコー図(レベル C)
応に加えて)
クラスⅠ
・不安定狭心症を疑わせる症状が最後に出現してから
数日間以上症状のない症例(レベル B)
1046
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
不安定狭心症の診断は臨床経過や胸痛時に記録された
可逆的な,あるいは持続する虚血性心電図変化からなさ
れることが多い.検査時に胸痛が持続している場合には,
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
安静時の収縮期局所壁運動異常により病変の有無が判断
しており,近年多数例で有用性について検討されている.
できる.壁運動異常が一過性で胸痛発作後に回復が認め
局所心筋血流異常は心筋酸素消費量と血流のアンバラン
られた場合,不安定狭心症を示唆する有力な証拠となる.
スが生じた際に発生する異常所見のなかでも早期から認
発作寛解後,時間が経過するほど壁運動異常はなくなる
められる異常といわれている.心電図変化あるいは心臓
ため,診断は困難となる.
超音波検査で検出される心筋局所壁運動異常より先行し
不安定狭心症で入院した患者に対する 72 時間以内の
て血流異常が生じることが知られ,さらに一過性の高度
心エコー図検査において,左室壁運動スコア,駆出率,
の心筋虚血により生じた心筋血流異常は長時間継続する
僧帽弁逆流を指標に用い,この 3 指標が一定の基準を上
ことも報告されている.このように心筋血流検査は急性
回り正常と判断されれば,入院中の心事故発症率は陰性
冠動脈症候群において早期から異常を呈し,心筋虚血が
予測値が 100%で判断できると報告されている
解除された場合にも心筋血流異常として検出される可能
285)
.
非 ST 上昇急性心筋梗塞においても,ST 上昇型急性心
性があるので有用な検査である.
筋梗塞および不安定狭心症における手順と同様に心エコ
冠攣縮性狭心症の場合には胸痛発作時にトレーサを投
ー図検査を行う.早急な再灌流療法施行が死亡率,合併
与することや負荷により胸痛を誘発して検査を行えば診
症,そしてコストの軽減にも役に立つことから,心エコ
断に有用であるとされている 263),264),288).
ー法は急性心筋梗塞が臨床的に高度に疑われるものの特
2)リスク層別化について
異的な心電図変化が認められない症例においてこそ,早
急性心筋梗塞あるいは急性冠症候群の早期に施行され
期診断のために施行すべきである.
る心筋イメージングの異常は,他の冠動脈疾患の危険因
子と併せて,リスク層別化の重要な因子である.血行再
④心臓核医学検査
建や再灌流前後のイメージングにおいても,リスク評価
と効果判定の価値が認識されている 289)−293).
クラスⅠ
・胸痛で受診した患者で,冠動脈疾患の診断がつかな
い場合の
201
Tl,
99m
Tc 安静時心筋血流シンチグラフ
ィによる ACS の診断(レベル B)
・201Tl,99mTc 安静時心筋血流シンチグラフィによる
梗塞範囲の推定(レベル B)
・123I-BMIPP シンチグラフィによる不安定狭心症の診
断(レベル B)
クラスⅡ a
201
3)ACS の評価に有用な心臓核医学検査
① 201Tl 心筋血流イメージング
201Tl SPECT の血流低下の程度と範囲から梗塞サイズ
の推定が可能である 294),295).また急性心筋梗塞の血栓溶
解療法の治療効果判定において使用される 296),297).急性
期の SPECT 所見から慢性期における左室拡張末期容量
の推定が可能であると報告されている 298),299).急性心筋
梗塞症例を長期間経過観察した際に見られる心事故の発
・ Tl,
99m
Tc 安静時心筋血流シンチグラフィによる
予後予測(レベル B)
・123I-BMIPP シンチグラフィによる予後予測(レベル
C)
生や生命予後は,急性期の安静時血流 SPECT 所見と相
関し 300),301),予後予測における有用性が示唆される.さ
らに安静時検査のみならず負荷血流 SPECT による虚血
評価も急性心筋梗塞症例の予後予測に有用であると報告
クラスⅡ b
されている 302)−305).
なし
② 99mTc 標識心筋血流イメージング
クラスⅢ
急性期あるいは救急で 99mTc 標識心筋血流製剤を投与
・運動負荷心筋シンチグラフィ(レベル C)
して施行されるリスク心筋のイメージングは院内で調整
できるため検査に適している.ただし救急外来での利用
1)心筋血流イメージングからのアプローチ
については実施できる施設の点で限界があるのが現状で
胸痛症例の診断について
ある 306)−308).諸外国のデータから安静時 99mTc 標識心筋
救急外来を受診した胸痛を呈する症例を CCU に入院
血流 SPECT は臨床所見,心電図所見に診断的付加価値
させるべきか否かを決定する際の安静時心筋血流
をもたらすことが報告されている.安静時心筋血流正常
SPECT の有用性については意見が分かれるが 286),287),
例では心筋梗塞除外について無病予測率が 99 %を上回
201
Tl における報告は planar 像を使用した論文であるため
り,その後の心臓イベントの無病予測率も 97 %である
さらなる検討を要する.このような状況下での急を要す
ためほぼ急性冠症候群を否定することが可能である.無
る検査では用時調整が可能な 99mTc 標識の血流製剤が適
作為化対照試験においても不要な入院を減らすことがで
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1047
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
を陽性描出する核種である.99mTc-pyrophosphate(PYP)
きるとの報告もなされている.
急性心筋梗塞における梗塞の存在,範囲と程度の診断
292),306)−339)
については,
多数の症例対照研究がある
.また,
の集積には梗塞領域への血流が必要(正常血流の 20 〜
40 %の範囲で最大集積となる)であり,再灌流が得ら
心筋血流 SPECT で評価された急性心筋梗塞後の最終的
れ な か っ た 場 合 こ れ は 側 副 血 行 路 に 依 存 す る た め,
な梗塞サイズは,駆出分画や壁運動とともに,患者の予
99m
後と相関する点でも重要である.
要し,48 〜 72 時間でピークとなり,1 〜 2 週後には多く
③心電図同期法の併用について
の例で陰性化する.従来,心電図所見からは診断が困難
ACS 症例に対する緊急の心筋シンチグラフィにおい
である例や,心筋逸脱酵素で診断可能な時期を過ぎて受
て,心電図同期法の併用により診断能が向上したと報告
診した例における急性心筋梗塞の診断に有用とされてい
340)
Tc-PYP が陽性となるには発症後 12 〜 16 時間程度を
,微小(軽症)心筋梗塞の診断に際して
たが,他の画像診断の進歩や優れた血清のマーカーの登
も心臓トロポニン I と同等以上の診断結果が得られたと
場により,現在,臨床における適応はほとんどないと言
報告されている 341).
ってよい.
されており
123
④ I-BMIPP イメージング
ACS の急性期では,心筋のバイアビリティや脂肪酸
⑤冠動脈 CT
代謝障害の程度により様々な BMIPP 集積異常を示す.
クラスⅠ
壊死心筋では代謝活性,バイアビリティともに消失し,
なし
非可逆的な安静時心筋血流と BMIPP 集積の欠損や高度
クラスⅡ a
な壁運動低下を生じる.一方,心筋血流の再開などによ
り生存性(心筋血流トレーサの集積)は残存するが,脂
肪酸代謝障害を示す心筋は,血流─ 123I-BMIPP 集積乖離
を呈する 342)−347).血流─ 123I-BMIPP 集積乖離の程度も,
心筋壊死を規定する心筋虚血の程度と持続時間,残存狭
窄,冠側副血行路,治療などの修飾因子により様々であ
る.
における冠動脈 CT(レベル B)
・低リスク群(心電図変化なし,血液生化学検査陰性)
における冠動脈 CT(レベル B)
クラスⅡ b
・胸痛患者における triple rule out としての冠動脈 CT
(レベル C)
123I-BMIPP イメージングによる梗塞心筋の診断精度は
心筋血流イメージングと同等であるが,不安定狭心症の
診断では優っている
・中リスク群(心電図変化なし,血液生化学検査陰性)
348)−350)
.これは,自然再開通,血
クラスⅢ
・高リスク群(心電図変化あり.あるいは血液生化学
検査陽性)(レベル C)
栓溶解療法,冠動脈形成術等により早期の再灌流が得ら
れた場合,壊死は免れるも虚血性心筋脂肪酸代謝障害を
ACS 患者を適確に診断して入院加療を行うことは循
呈している心筋が存在し,これを同定できるためであ
環器医療における重要項目である 358)−360).近年,胸痛
る 342)−347).早期の負荷検査が困難な場合,負荷では誘
患者における来院後早期の冠動脈 CT が急性冠症候群の
発困難な病態,負荷による再現性が低い場合などにおい
早期の診断あるいは除外診断に有用という報告が複数あ
ては,安静時心筋 123I-BMIPP イメージングの有用性は高
る 361)−364).64 列 MDCT の急性冠症候群における診断能
い.
を評価した臨床試験 365)−368)を表 9 に示す.
気絶心筋(stunned myocardium)は高度な急性心筋虚
Hoffmann ら 365)は救急外来に来院した初診時の心電図
血の解除(再灌流)により壊死は免れるも,一過性の壁
変化,生化学的マーカーともに陰性の急性胸痛患者に対
運動低下を呈している心筋である.したがって,心筋バ
して,急性冠症候群の除外診断能評価を目的として盲目
イアビリティは認めるが,虚血性心筋脂肪酸代謝障害を
前向き試験を行った.対象は 66 %が低リスク,25 %が
呈し,血流─代謝乖離所見を示すため,123I-BMIPP イメ
中リスク,
9%が高リスクである.連続する 103 例のうち,
ージングの診断的価値は高い.数週間から数か月の経過
14 例が心臓カテーテル検査や負荷心筋シンチグラフィ
で壁運動とともに脂肪酸集積も回復し,血流─代謝乖離
などで臨床的に急性冠症候群と診断された.MDCT で
所 見 は 改 善 す る 343),346),347),350)−357). た だ し, 心 筋 123I-
は,冠動脈に有意狭窄無し(103 例中 73 例)あるいは冠
BMIPP 集積は完全には正常化しないこともある.
動脈プラークなし(103 例中 41 例)のいずれの条件でも
⑤急性心筋梗塞イメージング
正確に急性冠症候群が除外可能であることが示された
梗塞心筋細胞内の Ca 過負荷に関連して急性心筋梗塞
1048
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
(陰性的中率 100%).陽性的中率は有意狭窄の検出にお
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
表 9 64 列 MDCT の急性冠症候群における診断能
著者
患者数
臨床的リスク
ACS 数
103 低 68,中 26,高 9
14
Hoffmann ら 365)
85 低 85
7
Gallagher ら 366)
58 中 58
20
Rubinshtein ら 367)
104 低 33,高 71 *
88
Meijboom ら 368)
感度
100 (14/14)
86 (6/7)
100 (20/20)
100 (88/88)
特異度
82 (73/89)
92 (72/78)
92 (35/38)
75 (12/16)
陽性的中率
47 (14/30)
50 (6/12)
87 (20/23)
96 (88/92)
陰性的中率
100 (73/73)
99 (72/73)
100 (35/35)
100 (12/12)
*Bertrand ら 268)の criteria に従い,中リスクのない低リスクか高リスクかの層別化を採用している.
いて 47%であり,偽陽性がやや多い.
塞栓症の 3 疾患を一度の CT 検査で同時に評価する試験
Gallagher ら 366)の報告では,低リスク群 85 例に対して
が行われている.White ら 370)は救急外来に来院した 69
MDCT と負荷心筋シンチの両方を施行して診断能を比
例の胸痛患者に対して MDCT(16 列)を行い,冠動脈
較し,CT では少なくとも負荷心筋シンチグラフィと同
石灰化,冠動脈狭窄,駆出率,心筋壁運動異常などによ
等の成績が得られたと結論づけている.
り冠動脈疾患あるいは他の疾患を検出した.最終的な診
は急性冠症候群が疑われるが心電図
断は他の臨床検査および 1,2 か月後の外来経過観察で
変化・血液生化学検査が陰性の中リスク群患者 58 例に
行った.CT 所見は正常 75 %(52/69),有所見で最終診
ついて,MDCT によるトリアージの妥当性を評価する
断と一致 19%(13/69),CT 偽陰性 3%(2/69),CT 偽陽
Rubinshtein ら
367)
前向き試験を行った.MDCT により有意狭窄ありが 23
性 3%(2/69)であった.最終診断と一致した群 13 例の
例,有意狭窄を示さないプラーク付着が 20 例,プラー
うち 10 例が冠動脈疾患,3 例が心臓外病変で肺血栓塞栓
クなしが 15 例と診断された.最終的に他の検査により
症 を 1 例 含 む. 冠 動 脈 疾 患 に 対 す る Triple Rule Out
急性冠症候群と確認された 20 例全例が MDCT で有意狭
MDCT は感度 83%,特異度 96%,陰性的中率 96%,陽
窄を指摘されており,また MDCT でプラークなしとさ
性的中率 83 %と報告されている.また Johnson ら 371)は
れた群は退院後も 15 か月間心事故なしとの成績が得ら
55 例の胸痛患者に対して 64 列 MDCT を行い,37 例で胸
れている.急性冠症候群の検出,除外ともに MDCT の
痛の原因が特定できたと報告している.その中には肺血
高い有効性を示している.
栓塞栓症 10 例,冠動脈高度狭窄 9 例,大動脈解離 1 例な
は低リスクの急性胸痛患者 197 例を対
どを含んでおり,胸痛の鑑別診断に有用としている.た
象に,ただちに 64 列 MDCT を行う群と,いわゆる標準
だしこれら 3 疾患が同時に疑われる状況は多くないとの
的評価法を行う群との無作為試験を行った.標準的評価
意見もあり 372),このプロトコールで撮影する場合,撮
法と比較し,CT はすべての急性冠症候群症例を見逃す
影範囲・撮影時間が長くなるため造影剤の量が多くなる,
ことなく,迅速に(3.4 時間対 15 時間)確定診断に至る
均一な造影効果が得られにくい,などの問題がある.
Goldstein ら
369)
こ と が で き た う え, 経 費 も 削 減 で き た($1586 対
$1872).しかし CT 検査を行っても追加検査の必要性を
⑥心臓 MRI
すべて省略できるとは限らず,CT 施行群 99 例のうち 24
クラスⅠ
例で負荷試験が追加されている.
なし
結論として,過去に発表された複数の専門学会による
冠動脈 CT の適応に関する合意文書
85),240)
で示されてい
るのと同様に,MDCT を急性冠症候群の検出あるいは
クラスⅡ a
・ACS 診断における MRI(心電図変化なし.血液生
化学検査陰性)(レベル B)
除外診断に利用することで最も利益を得られるのは,中
クラスⅡ b
リスク群の患者である.中リスク群では臨床的に必要と
なし
される冠動脈評価を CT によって低侵襲的に施行でき,
クラスⅢ
冠動脈造影を避けることが可能となる.高リスク群では
冠動脈造影を省略することはできないので,よい適応と
・ACS 診断における MRI(心電図変化あり.あるい
は血液生化学検査陽性)(レベル C)
はいえない.低リスク群に対しては議論があるが,より
確実な急性冠症候群の除外を行うために有用とする意見
胸痛を訴えて救急外来を受診した患者を CCU に入院
が多い.
させるべきか否かの判断はしばしば容易ではないが,心
Triple rule out
筋パーフュージョン MRI と遅延造影を組合わせた造影
急性冠症候群を含む冠動脈疾患,大動脈解離,肺血栓
MRI 検査は比較的全身状態が安定した急性胸痛症状を
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1049
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
訴える患者で,心電図や血液検査結果からは ACS の診
・負荷心エコー図検査(レベル C)
断を確定できない場合の治療方針決定において価値が認
・心筋シンチグラフィ(レベル C)
められる.これまで行われた MRI の胸痛を訴える救急
・冠動脈 CT(レベル C)
外来患者における有用性の検討はいずれも海外で行われ
・心臓 MRI(レベル C)
たものであるが,MRI が非常に高い感度(84 〜 100%),
特異度(83 〜 96%)で ACS を診断できるという点では
見解の一致をみている
373)−376)
.これらの報告では,シ
再灌流療法が確立され,診断をより迅速かつ的確に行う
ネ MRI による壁運動の評価,安静時心筋パーフュージ
ことが求められている.非侵襲的画像診断に多くの時間
ョン MRI による血流状態の評価,遅延造影 MRI による
を割いてはならない.心電図および心エコー検査で診断
梗塞の有無の評価,T2 強調画像による心筋浮腫の評価
を確定し,冠動脈造影を行う必要がある.
を組み合わせて総合的な診断を行うものが多いが,アデ
ノシン負荷心筋パーフュージョン MRI を行ったものが
①安静時心電図
最も高い診断能(感度 100%,特異度 93%)を報告して
急性心筋梗塞の早期診断において,心電図は最も簡便
いる 373)−376).緊急検査として MRI を迅速かつ安全に使
な検査で診断的価値が高い 377).心筋障害マーカーが未
用できる物的・人的環境を整備することは容易ではない
だ上昇していない超急性期においても心電図では T 波の
が,この点をクリアできるならば,MRI は ACS 診断に
尖鋭・増高(hyperacute T)を認める場合があり診断の
おいて有用な検査となる可能性が高い.なお,冠動脈
鍵となる.Hyperacute T を認める時期には R 波の減高,
MRA の不安定狭心症 / 非 ST 上昇型急性心筋梗塞診断に
ST 上昇および異常 Q 波など典型的な急性心筋梗塞の所
おける有効性を示した報告はない.
見を認めないことも多いが,これは梗塞進展過程のまだ
2
ST 上昇型急性心筋梗塞
クラスⅠ
・胸部症状を訴える患者や他の症状でも急性心筋梗塞
初期であることを意味し,この時期の再灌流による心筋
救済効果は大きい 378).初回心電図で急性心筋梗塞の診
断ができない場合でも症状が持続し急性心筋梗塞が強く
疑われる場合には 5 〜 10 分ごとに繰り返し心電図を記
が疑われる患者に到着後ただちに(10 分以内)標
録し診断する.
準 12 誘導心電図を記録すること(レベル C)
また心電図により急性心筋梗塞の診断だけでなく梗塞
・初回心電図で診断できない場合でも症状が持続し急
責任血管や閉塞部位,心筋傷害の程度や範囲なども推測
性心筋梗塞が強く疑われる患者には 5 〜 10 分ごと
することができる.
に標準 12 誘導心電図を記録すること(レベル C)
① 急性前壁梗塞で,新たな完全右脚ブロックの合併あ
・急性下壁梗塞例で標準 12 誘導および右側胸部誘導
るいは aVR 誘導の ST 上昇,下壁誘導(Ⅱ,Ⅲ,aVF 誘導)
(V4R 誘導)心電図を記録すること(レベル B)
・急性冠症候群の患者の安静時心エコー図検査(レベ
ル C)
の 0.1mV 以上の ST 下降,V1 誘導の 0.25mV 以上の ST 上
昇,V5 誘導の ST 下降,V5-6 誘導の septal Q 波の梗塞発
症後の消失を認めた場合は左前下行枝の第一中隔枝より
・標準的診断法で確定できない急性の心筋虚血や心筋
も近位の閉塞が疑われる 379)−381).しかし,いずれの指
梗塞が疑われる症例の心エコー図検査(レベル C)
標も特異度は高いが感度は低い.一方,下壁誘導で ST
・治療により安定した急性冠症候群の患者で,心電図
下降を認めなければ左前下行枝の遠位部閉塞が疑われ
による評価が困難な患者に行う負荷心エコー図検査
る 379).急性前壁梗塞では,しばしば前胸部誘導を中心
(レベル B)
・機械的合併症および壁在血栓の診断のための安静時
心エコー図検査(レベル C)
クラスⅡ a
・進行性の心筋虚血における虚血部位とその重症度の
診断のための安静時心エコー図検査(レベル C)
1050
ST 上昇型急性心筋梗塞の急性期治療として侵襲的な
とした ST 上昇と同時に下壁誘導でも ST 上昇を認めるこ
とがある.このような場合,心尖部を越えて下壁にまで
回り込む灌流域の大きい左前下行枝の遠位部閉塞が疑わ
れる 382).Yamaji ら 383)は,aVR 誘導の ST 上昇度が V1 誘
導の ST 上昇度よりも高度あるいは同程度の場合には左
主幹部病変の可能性が高いことを報告している.
クラスⅡ b
② 急性下壁梗塞は,急性前壁梗塞に比べ一般的に予後
なし
が良好であるが,右室梗塞を合併した場合の予後は不良
クラスⅢ
で再灌流療法が施行されないと院内合併症や死亡率が増
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
すことが報告されている 384).右室梗塞合併の有無を早
非特異的な心電図異常を,残る 10 %は正常心電図を呈
期に診断することは重要であり,急性下壁梗塞では標準
するとされている 395)−398).一方,ST 上昇は必ずしも心
12 誘導心電図に加え右側胸部誘導(V4R など)も記録す
筋虚血を反映しているとは限らず注意が必要であ
る.特に V4R 誘導の 0.1mV 以上の ST 上昇は右室梗塞の
る 399),400).健常男性では V1-4 誘導を中心とした前胸部誘
診断に有用とされている 385),386).しかし右室梗塞に伴う
導で ST 上昇を認めることが多く,特に若年者ではその
ST 上昇は早期に消失しやすく,右室虚血合併例の約半
頻度が 90%を超えるという報告もある 400).また,左室
数で 10 時間以内に右側胸部誘導の ST 上昇が消失したと
肥大例や左脚ブロック例ではしばしば V1-3 誘導で ST 上
いう報告もある
387)
.また V4R 誘導の形状は閉塞部位の
昇,QS パターンを認め前壁梗塞に類似することがある.
推定にも有用である 385).(図 15385)より改変引用)
他に ST 上昇を高率に認める疾患として急性心膜炎があ
ST 上昇の程度がⅡ誘導に比べⅢ誘導の方が大きい場
げられる.心膜炎による ST 上昇は冠動脈の支配領域と
合には右冠動脈の閉塞であり,左回旋枝閉塞の可能性は
一致せず対側性変化を認めず,aVR 誘導を除く誘導,特
低い 388).また,急性下壁梗塞で V5-6 誘導の ST 上昇 389),
にⅡ誘導,V5-6 誘導を中心に広範囲に上に凹型の ST 上
390)
は,梗塞責任血管にかかわらず心
昇と PR 部の下降,aVR 誘導で ST 下降と PR 部の上昇を
筋傷害が下壁だけでなく側壁にまで及び虚血範囲が大き
認める.また,心筋虚血が存在してもその程度が軽度な
いことを示す.
例や虚血範囲が狭い例,他に心筋梗塞の既往がある例や
aVR 誘導の ST 下降
ST 上昇の存在は再灌流療法施行を決定する重要な所
心室ペーシング例,WPW 症候群や脚ブロック合併例な
見である.標準 12 誘導心電図で ST 上昇を認めない例で
ど 2 次性 ST-T 変化を呈する例では心電図診断が困難な
の血栓溶解療法はむしろ有害とされているが 391),392),純
ことが多い.Sgarbossa らは,左脚ブロック例で上向き
.純後壁梗塞では,後壁
QRS を 示 す 誘 導 で 0.1mV 以 上 の ST 上 昇,V1-3 誘 導 で
の ST 上昇に対する対側性変化として標準 12 誘導心電図
0.1mV 以上の ST 下降,下向き QRS を示す誘導で 0.5mV
では V1-4 誘導での ST 下降のみを認めることがあり,こ
以上の ST 上昇を認めた場合には ST 上昇型急性心筋梗塞
の場合には背側部誘導(V7-9 誘導:V7-9 誘導は V4 誘導
の可能性が高いことを報告している 401).
後壁梗塞はこの限りでない
393)
と同じ高さで,V7 誘導は後腋下線との交点,V8 誘導は
左肩甲骨中線との交点,V9 誘導は脊椎左縁との交点に
②心エコー図
付ける)の記録が診断に有用である 10).後壁に限局した
局所的な壁運動異常は心筋梗塞に特徴的である.左室
梗塞では背側部誘導のみに異常 Q 波や ST 上昇,T 波変
心筋の冠動脈支配領域は確立しており,壁運動異常の出
化を認めることがあり,急性心筋梗塞が疑われるが標準
現部位から閉塞あるいは狭窄冠動脈を推定することがで
12 誘導心電図で心電図変化が明らかでない場合には背
きる 402)−407).心筋梗塞急性期に,梗塞領域は無収縮や
側部誘導を記録すべきである.正常では背側部誘導で
奇異性収縮を示すことが多いが,壁運動異常だけで急性
0.1mV 以上の ST 上昇,陰性 T 波,Q 波を認めるのは 1%
心筋梗塞を診断できる精度はあまり高くはない.それは,
以下とされている 394).
心筋炎,拡張型心筋症などでも壁運動異常が出現するた
心筋梗塞症例の中で ST 上昇を示す例は 50%程度に過
めである.逆に,正常収縮や全体的な壁運動低下など壁
ぎず,約 40 %は ST 下降,陰性 T 波,脚ブロックなどの
運動異常が局所的でなければ心筋梗塞をほぼ否定でき
る 408)−410).急性心筋梗塞時の非梗塞領域の健常心筋は,
図 15 V4R 誘導の ST-T 変化と閉塞部位との関係
右冠動脈
近位部閉塞
ST 上昇≧ 0.1mV
陽性 T 波
代償性の機転により壁運動亢進を呈するため,健常領域
の心筋が虚血時に壁運動亢進を示さない時は多枝病変の
存在を疑う.
陳旧性心筋梗塞では壁の菲薄化,エコー輝度の増加,
心室瘤の形成など,左室リモデリングと言われる心筋組
右冠動脈
遠位部閉塞
ST 上昇< 0.1mV
陽性 T 波
織性状の変化が認められる.急性心筋梗塞の心臓カテー
テル検査において,完全閉塞病変が複数存在する場合,
どちらが急性期病変か判断するのに心エコー図法は有用
左回旋枝閉塞
ST 低下≧ 0.1mV
陰性 T 波
である.
ドプラ法による安静時冠動脈血流パターンの観察によ
り,
TIMI 分類Ⅰ - Ⅱの高度病変を診断することができる.
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1051
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
前下行枝領域の心筋梗塞の場合,冠動脈造影前に経胸壁
から,その診断が重要である.血圧低下,徐脈あるい
ドプラ法で血流速度を記録し,角度補正を行った拡張期
は心電図所見でも疑うことができるが,心エコー法で
最高速度が 25cm/s 以上であった場合,造影時の TIMI 分
右室壁運動の異常を証明すれば診断は確実なものにな
類はⅢであることが診断でき(感度 77 %,特異度 94
る 414).
%)411),緊急造影の必要性を判断するのに有用である.
・虚血性僧帽弁逆流:急性心筋梗塞の約 1/5 の症例で乳
慢性完全閉塞例では,閉塞部より末梢側で側副路によ
頭筋断裂がないにもかかわらず僧帽弁逆流が発生す
る逆行性血流が観察される.ドプラ法では速度情報とと
る.心不全・心臓死の独立した危険因子である 415).
もに血流の方向の情報も得ることができるため,この逆
左室拡大により外方へ変位した乳頭筋が弁尖を強くけ
行性血流の観察が可能である.超音波ドプラ法を用いた
ん引する(テザリング)ことが機序であり,心エコー
左前下行枝逆行性血流検出による完全閉塞診断の感度は
図検査により心尖部方向に弁尖閉鎖位置が変位するこ
93 %,特異度は 100 %であった
とで診断できる 416).
412)
.心室中隔枝を介し
た心筋内側副血行路を直接観察することも可能であ
り 413),超音波ドプラ法は虚血心での側副路を含めた非
③心臓核医学検査
侵襲的冠循環評価に貢献するものと思われる.
ST 上昇型急性心筋梗塞の急性期治療として侵襲的な
1)急性心筋梗塞に伴う合併症の検索
再灌流療法が確立されており,緊急冠動脈造影が優先さ
急性心筋梗塞は様々な合併症により血行動態が破綻す
れるため,心臓核医学検査を行うことは,原則的にない.
ることがある.多くの合併症は心エコーで診断できる.
急速に血行動態が破綻し,ショック状態に陥った症例に
④冠動脈 CT
おいて心室頻拍・心室細動などの不整脈が認められなけ
ST 上昇型急性心筋梗塞の急性期治療として侵襲的な
れば,以下のような病態を考え,迅速に心エコー法を施
再灌流療法が確立されており,緊急冠動脈造影が優先さ
行し診断を急ぐべきである.
れるため,冠動脈 CT を行うことは,原則的にない.
・乳頭筋断裂:随伴する僧帽弁逆流の検出は比較的容易
であるが,head rupture 以外は離断した乳頭筋・腱索
⑤心臓 MRI
は経胸壁法では検出困難なこともある.詳細な観察に
ST 上昇型急性心筋梗塞の急性期治療として侵襲的な
は経食道心エコー図法が有用である.
再灌流療法が確立されており,緊急冠動脈造影が優先さ
・心室中隔穿孔:急性僧帽弁逆流と同様,新規の収縮期
雑音を聴取した場合,疑うことが重要である.ドプラ
法を用いることによって診断することができるが,穿
れるため,心臓 MRI を行うことは,原則的にない.
3
陳旧性心筋梗塞
1
心筋バイアビリティの診断
孔部位が心尖部側にある場合はドプラの関心領域を広
く設定し見逃さないようにする.
・左室自由壁破裂(心タンポナーデの診断):左室自由
壁破裂は突然ショックとなり,救命は非常に困難であ
る.Woozing によって心膜液が貯留し,心破裂の予兆
であることもあり注意が必要である.少量の心膜液で
・血行再建術の適応判定のための心筋虚血 / 心筋バイ
アビリティ評価のための負荷心エコー図検査
あっても急速に貯留すると心タンポナーデを来たすの
・狭心症あるいは無症候性心筋虚血の患者で,安静時
で,心膜液の量だけでなく,血行動態の評価も行う.
から高度壁運動異常がある場合の負荷心エコー図検
その他,重要な合併症として,以下のものがある.
・壁在血栓:前壁心筋梗塞において,心尖部が無収縮で
査
・心筋梗塞後,高度壁運動異常が持続する場合の心エ
ある場合,合併することがある.血栓塞栓症を起こす
コー図検査
ことがあり,疑われる例では,心尖部を入念に調べる
201
・ Tl, 99mTc 負荷心筋血流シンチグラフィ(レベル B)
必要がある.心尖部は心エコー図による判断が困難な
・18F FDG PET(レベル B)
場合があり,その際は超音波造影剤を併用すると描出
・虚血心における心電図同期 SPECT(レベル B)
が容易になる
・心筋梗塞例における負荷心筋血流シンチグラフィと
・右室梗塞:下壁梗塞症例では約 1/3 の症例で右室梗塞
が合併し,そのような症例では予後が不良であること
1052
クラスⅠ
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
の併用(レベル B)
・血行再建前の遅延造影 MRI による心筋バイアビリ
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
ティ評価(レベル B)
クラスⅡ a
②心エコー図
なし
心筋バイアビリティの診断のためには,低用量ドブタ
クラスⅡ b
ミン負荷法を行う.ドブタミンを 2μg/kg/min より開始
・冠動脈疾患のある患者で,他の方法で心筋バイアビ
し心電図モニターを行いながら 1 分ごとに血圧を測定す
リティが疑われる場合の再評価目的の負荷心エコー
る.自覚症状の出現,心電図上の ST 変化,不整脈多発,
図検査
血 圧 上 昇(200 mmHg 以 上 ) ま た は 収 縮 期 血 圧 の 20
クラスⅢ
・心室瘤など明らかに心筋バイアビリティがない場合
の負荷心エコー図検査
mmHg 以上の低下がなければ,3 分ごとに 2μg/kg/min ず
つ増量し,10μg/kg/min まで投与する.無収縮,または
高度の低収縮の部分での壁運動が改善された時バイアビ
リティありと判定する.さらにドブタミンの投与量を増
冠動脈血行再建術により機能改善が認められるものを
やして再び同部位の壁運動が低下する現象が観察される
心筋バイアビリティありとして,以下の検査モダリティ
場合,冠動脈高度狭窄病変を 90 %以上の確率で予測可
につき解説する.
能である 53).低用量ドブタミン負荷心エコー図法による
①安静時心電図
心筋バイアビリティの検出の感度,特異度は 80 〜 90%
と報告されている 54),55),56),57),58).
非再灌流療法時代において,陳旧性心筋梗塞では異常
負荷心エコー図法による心筋バイアビリティ診断に関
Q 波,冠性 T 波が代表的な心電図所見であった.異常 Q
して,前向き調査・無作為割付デザインを用いた予後評
波を認める誘導から梗塞部位が推定でき,量的評価とし
価を行った臨床研究は存在しないが,いくつかの観察研
て異常 Q 波の深さ ・ 幅 ・ 認める誘導数等から算出する
究で心筋バイアビリティが検出された症例が血行再建術
QRS スコア 417)は梗塞サイズの指標とされていた.しか
を受けることによって予後改善がはかられることが示さ
し最近では,心筋梗塞急性期治療として再灌流療法が普
れている 59),60).慢性期の心筋梗塞でみられる壁菲薄化,
及し,心筋梗塞慢性期の心電図所見も再灌流療法非施行
エコー輝度の増加や左室瘤形成は高度の心筋線維化の結
例とは異なることが多い.
果であり,心筋バイアビリティは乏しいと考えられる.
1)異常 Q 波,R 波の再生
一方,梗塞を起こしたにもかかわらず壁厚は菲薄化して
病理学的には梗塞が心室壁厚の 50 〜 75%以上に及ぶ
いない場合,壁運動が消失していても冬眠心筋や気絶心
場合を貫壁性梗塞,50 %未満の場合は非貫壁性梗塞と
筋の可能性がある.心筋収縮能低下には心筋壊死と冬眠
定義されている.以前は,心電図で Q 波が見られるもの
心筋が関与し,冬眠心筋が多く十分な心筋バイアビリテ
を貫壁性梗塞,Q 波がないものを非貫壁性梗塞としてい
ィが確保されている症例であれば,血行再建により左室
た.しかし,心電図所見と病理学的所見の対比検討から,
機能改善が期待される 61)−63).
非貫壁性梗塞で Q 波を認めたり,貫壁性梗塞で Q 波が見
られない例があることが明らかとなり,この概念は必ず
③心臓核医学検査
しも正しくないことがわかってきた.Q 波梗塞例では,
虚血性心疾患において心筋バイアビリティを検出する
しばしば梗塞後早期に異常 Q 波の退行,R 波の再生を認
目的にも心臓核医学検査は有用である.通常は心筋血流
め,これは心筋バイアビリティを反映し左室機能の改善
SPECT で虚血の有無や血流低下の程度で判断されてお
を示唆する 418),419).
り,高い診断精度を示す.虚血の広がりや重症度を客観
2)T 波の極性
的に示すことができ,それにより血行再建術が必要かど
異常 Q 波が持続していても陰性 T 波の陽性化を認めた
うかの判断に利用されている.また心電図同期収集によ
場合には心筋バイアビリティがあるとされてい
り心機能を同時に評価することが可能でリスクの層別化
.1 年以上経過した Q 波前壁梗塞剖検例の検討
に寄与している.心筋負荷血流シンチグラフィ検査にお
る
420),421)
で,陽性 T 波を認めた例は非貫壁性梗塞が,陰性 T 波を
いて心筋虚血が認められない場合,フッ素 18 標識 Fluo-
認めた例は瘢痕化した貫壁性梗塞が高率であることが報
rodeoxyglucose(18F FDG)ポジトロン断層撮影法(PET)
告されている 422).
による心筋バイアビリティ診断が有用となる.
PET を用いると,不全心筋における心筋代謝の観点か
ら心筋バイアビリティの検出が可能である 423),424).ブド
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1053
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
ウ糖のアナログである 18F FDG が主に用いられるが,他
て梗塞領域が左室心筋の 24 %以上に及ぶ場合,将来的
に炭素 11 標識酢酸( C acetate)の応用も開始されてい
に左室形態が維持できず,リモデリングの指標となると
る.不全心筋では心筋代謝が脂肪酸からブドウ糖へ移行
報告している 105).
11
することが知られこの過程をブドウ糖のアナログである
18
F FDG を用いて心筋糖代謝を評価することができる.
18
F FDG による心筋バイアビリティ検査の適応は血行再
2
心不全の原因としての
冠動脈病変の検索
建術の検討が必要な場合,かつ通常施行される心筋負荷
クラスⅠ
血流シンチグラフィ検査において心筋虚血が認められな
なし
い場合である.バイアビリティが保持されている場合は
クラスⅡ a
血流低下部位に対し FDG が集積する,いわゆる血流 / 糖
代謝ミスマッチの所見を呈する(図 16).心筋バイアビ
リティ診断に関して 18F FDG PET は心臓核医学検査の中
で最も優れた診断感度(93 %)を示す 425).我が国でも
18
F FDG PET による心筋バイアビリティ判定は保険収載
・遅延造影 MRI による虚血性心筋症の診断(レベル
B)
・201Tl,99mTc 負荷心筋血流シンチグラフィ(レベル B)
クラスⅡ b
・冠動脈 CT(レベル C)
クラスⅢ
され臨床応用が開始されている.
なし
④心臓 MRI
遅延造影 MRI(LGE)は現在心筋梗塞の最も正確な
①心臓核医学検査
画像診断法である.心筋梗塞患者の心筋バイアビリティ
心不全症例の初期評価において,その病因が虚血性心
評価の領域でも確立されており,梗塞心筋の心内膜側か
疾患か非虚血性心疾患か鑑別することが重要である.心
ら外膜側への広がりが評価できる.慢性期心筋梗塞の場
筋症を代表とする非虚血性心疾患では心筋線維化や冠血
合では,壊死心筋が左室壁厚の 50 %を超えたり,生存
流予備能の低下が存在することがあり,これらは心筋血
心筋厚が 4mm 以下になると,血行再建術を行っても局
流シンチグラフィにおいて集積低下や欠損の原因となり
426),427)
.LGE によ
うる.その血流異常のパターンは一般的にびまん性の低
る心筋バイアビリティの診断能は 201Tl SPECT よりも高
下を示し,冠動脈支配と一致しないことが多く,虚血性
く,特に心筋バイアビリティがないと診断した場合の陰
心疾患との鑑別に利用されている 429).しかし病期が進
性適中率に優れており 428),LGE にはバイパスグラフト
行すると線維化が高度となり,鑑別は困難となる場合が
術を行っても機能改善の期待できない左室心筋セグメン
ありうる.
所心筋収縮機能の改善を期待できない
トを術前に正確に把握できる利点がある.また,Lund
らは,急性心筋梗塞患者を対象とした検討で,LGE に
②冠動脈 CT
心不全患者に対する冠動脈 CT の有効性に関するまと
図 16 心筋バイアビリティ血流イメージング:血流 / ブドウ糖
代謝ミスマッチ
心筋血流イメージ
まった報告はないが,非侵襲的に冠動脈病変を評価でき
ることの意義は大きく,臨床的有用性は高いと思われる.
しかし,心不全患者では,冠動脈造影能が低下すること
もしばしば見られ,また多量の造影剤投与も容量負荷に
なるので,検査にあたっては十分配慮する必要がある.
③心臓 MRI
FDG PET
遅延造影 MRI は虚血性心筋症とその他の拡張型心筋
症の鑑別に有用である 430).冠動脈硬化性疾患による虚
血性心筋症では,心内膜下に遅延造影が認められる.こ
れに対し,拡張型心筋症や拡張相の肥大型心筋症では,
心筋血流イメージングにて血流欠損を認める下壁領域に 18F
FDG の集積を認める.右冠動脈領域に血流 / 糖代謝ミスマッチ
を認め,同部位は心筋バイアビリティが存在する.
1054
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
心筋変性・線維化に伴う遅延造影が心筋中層に認められ
ることが多い.心不全患者における遅延造影 MRI は,
虚血性心筋症とそれ以外の病態を鑑別し,血行再建術に
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
よる心機能回復の可能性も評価できる点で有用である.
4
フト)として使用した場合(内胸動脈,橈骨動脈,胃大
網動脈)には,これらの 5 年開存率は in situ グラフトと
PCI および CABG 術後の
評価およびフォローアップ
使用した場合に比べ,その開存率は 5 〜 10%程度低下す
る 463)−465).CABG 自体の技術的な要素については,
近年,
1 本のグラフトで 2 か所以上の冠動脈にバイパスする方
冠動脈疾患におけるインターベンション治療には,経
法や,1 本のグラフトに別のグラフトを吻合して冠動脈
皮 的 古 典 的 バ ル ー ン 形 成 術(percutaneous old balloon
バイパスを行う方法など,より難易度の高いものが行わ
angioplasty: POBA),方向性冠動脈粥腫切除術(direc-
れるようになってきている(詳細は日本循環器学会 循
tional coronary atherectomy: DCA),ロータブレータ,ス
環器病の診断と治療に関するガイドライン:虚血性心疾
テントを用いたいくつかの治療法がある.選択される治
患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドラ
療法は,病変部の位置や形態にあわせてなされるが,い
インを参照).
ずれの方法においても再狭窄のリスクはある程度避けら
冠動脈血行再建術の効果判定では,短期的には侵襲的
れず,多くの場合 6 か月以内に起こるとされる
な手技に伴う合併症や急性冠閉塞,早期再狭窄を,また
431)−439)
.
とくに今日のインターベンション治療の主流であるステ
不完全血行再建術では残存虚血の評価が重要になる.長
ントでも,従来からのステント(bare metal stent: BMS)
期的には,再狭窄,新規病変の出現,残存病変(虚血)
と,新たに登場した薬剤溶出性ステント(drug eluting
の進行の評価が重要になる.
stent: DES)があるが,その治療成績はステントの種類,
材質,大きさ,長さ,留置時の拡張圧で異なることが知
られている 432)−435),440)−446).一般に BMS では,治療後 6
か月以内に再狭窄の生ずる頻度は,20 〜 30 %程度と言
われている
432)−435)
.他方,DES の再狭窄が生じる頻度は,
1
安静時心電図
クラスⅠ
・すべての ST 上昇型急性心筋梗塞患者は,梗塞サイ
ズ評価のために 12 誘導心電図を少なくとも,来院
5 〜 10%という報告が多く,再狭窄率は大幅に低減した
時,再灌流療法後,入院 24 時間後(あるいは推定
が 440)−445),晩期ステント血栓症の存在が問題視されて
発症時刻から 24 時間後)および退院時に記録する
いる
446)
.こうした状況の中,今日に至るまで,インタ
ーベンション治療 6 か月後までに再度観血的に CAG を
(レベル B)
・冠動脈血行再建術前後の評価(レベル C)
行い,再狭窄の有無を確認することがエビデンスの実証
クラスⅡ a
なしに我が国の多くの施設で一般的となっている.また,
なし
治療後の定期的なフォローアップする場合においても新
クラスⅡ b
たな虚血が疑われた場合,治療部位を含めた冠動脈の評
なし
価には CAG が施行されている.新たに CT を用いて非
クラスⅢ
侵襲的な手法で診断できれば,患者にとってもその意義
なし
は大きい.
冠動脈バイパス手術(CABG)で使用されるグラフト
①急性心筋梗塞
は,静脈グラフト(大伏在静脈)と動脈グラフト(左右
急性心筋梗塞に対する再灌流療法は血栓溶解療法と
内胸動脈,橈骨動脈,胃大網動脈など)に大別されるが,
PCI に分けられるが,我が国では PCI が選択されること
再狭窄のリスクは使用されるグラフトや術式により異な
が多い.再灌流療法施行例では冠動脈の再開通に伴い特
るものの,ある程度は避けられない
447)−465)
.大伏在静
有の心電図変化を示すため,再灌流療法非施行例とは分
脈グラフトは,術後早期で 8 〜 12%が,術後 1 年以内で
けて考える必要がある.再灌流療法施行後の心電図変化
12 〜 20%が閉塞し,それ以降は年に 2 〜 4%の割合で増
の重要点を以下に示す.
え て, 術 後 10 年 で は 40 % が 閉 塞 す る と さ れ て い
1)ST-segment elevation resolution
る
447)−455)
.一方,動脈グラフトでは次の通りである.
ST 上昇型急性心筋梗塞症の予後は心外膜血管の再疎
元来の血行を生かす有茎グラフト(in situ グラフト)と
通のみならず微小循環レベルでの再灌流の有無により規
して使用した場合(内胸動脈グラフト,胃大網動脈グラ
定される 466),467).再灌流療法施行後の ST 上昇度の軽減
フト),5 もしくは 10 年開存率は 85 〜 95%で,その開存
の程度を示す ST-segment elevation resolution(ST reso-
率は高いとされる
456)−463)
.また遊離グラフト(free グラ
lution)は,従来は梗塞責任冠動脈の再疎通の有無の判
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1055
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
定に用いられていたが,現在では微小循環レベルの心筋
灌流を評価する指標とされている 468)−471).良好な ST
resolution を認めるほど死亡率は低く,ST resolution は
TIMI 血流分類とは独立した予後を規定する強力な予測
2
運動負荷心電図
クラスⅠ
・冠動脈血行再建術後に心筋虚血を除外できない症状
469)
.しかし,ST resolution の評価で,ST 部
を繰り返す患者(心筋虚血を疑わせる他覚所見があ
を計測する誘導,心電図を記録するタイミング,ST
る場合を除く)における運動負荷心電図検査(レベ
resolution のカットオフ値は報告により異なり統一され
ル C)
因子である
ていないのが現状である(表 10).
クラスⅡ a
2)急性期の陰性 T 波
・冠動脈血行再建術後の心臓リハビリテーションを開
T 波の早期(24 時間以内)陰転化は,心筋バイアビリ
ティを反映し梗塞サイズが小さく左室機能が良好である
ことを示唆する 472),473).
始しようとする患者における運動負荷心電図検査
(レベル C)
クラスⅡ b
・冠動脈形成術後,無症候だがハイリスク(低左心機
②慢性期の心電図変化
能,多枝疾患,左前下行枝近位部病変,糖尿病,最
適な拡張後径が得られなかった場合,虚血発作が出
「陳旧性心筋梗塞」の項(p1053)を参照.
現した場合に危険な状況に陥る職種の場合,など)
③狭心症
の患者に対して再狭窄の有無について評価するため
1)PCI 後
の術後数か月後の運動負荷心電図検査
完全閉塞病変に対する PCI 後の QT dispersion(標準
・冠動脈血行再建後,無症候だがハイリスク(上記参
12 誘導心電図上の最大 QT 間隔と最小 QT 間隔の差)は,
照)の患者に対して再狭窄やバイパス閉塞,あるい
PCI 後に短縮し,6 か月後に成功例ではさらに短縮する
は新規病変の出現の有無を評価するための定期的な
検査としての運動負荷心電図検査
のに対し,不成功例では増大するという報告もある
が 474),QT dispersion は臨床的意義が未だ明らかではな
クラスⅢ
・心筋虚血を疑わせる他覚所見がある場合の運動負荷
い.
2)冠動脈バイパス手術
心電図検査
冠動脈バイパス術後の心電図変化として,術後数日の
・冠動脈血行再建後,無症候の患者に対する単なる定
新たな ST 上昇や電位(voltage)の減少などが報告され
期的な検査としての運動負荷心電図検査
ているが 475),476),術後には非特異的な影響もあり心電図
変化の解釈は難しい.
PCI あるいは bypass 手術により冠動脈血行再建を受け
表 10 急性心筋梗塞に対する冠インターベンション(PCI)を施行した場合の ST resolution の評価
報告
Van't Hof AW, et al. Lancet
1997;350:615 469)
心電図記録
入院時と PCI 1h 後(CCU 入室時) PCI 前(30 分 以 内 ) と PCI 後 CCU PCI 直前と PCI 終了時
入室時
ST 上昇度の計測
QRS complex 終末部から 20ms
Matetzky S, et al. J Am Coll Cardiol Claeys MJ, et al. Circulation
1999;34:1932 470)
1999;99:1972 471)
J 点から 80ms
ST 上昇度が最大の隣接する 3 誘導
Σ ST を 計 測 す る 誘 前壁梗塞:Ⅰ,aVL,V1-6 誘導
非 前 壁 梗 塞: Ⅱ, Ⅲ,aVF,V5-6
導
誘導
ST resolution の定義
1056
QRS complex 終末部から 20ms
前壁梗塞:Ⅰ,aVL,V1-6 誘導
非 前 壁 梗 塞: Ⅱ, Ⅲ,aVF,V5-6
誘導の ST 上昇に加え V1,2 誘導の
ST 低下も計測
Complete resolution:PTCA 後 の 心 PTCA 前に比べ PTCA 後に少なくと PCI 終了時Σ ST/PCI 直前Σ ST ≧ 50
電図で ST 上昇を認めないかあるい も 50%以上のΣ ST の軽減を認め % を impaired microvascular reperfusion の指標と定義
はどの誘導においても ST 上昇度が た場合に ST resolution ありと定義
0.1mV に満たない場合
Partial resolution: 再 疎 通 1h 後 Σ
ST/ 入院時Σ ST < 70%
No resolution: 再 疎 通 1h 後 Σ ST/
入院時Σ ST ≧ 70%
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
た患者では,術後 6 か月から 1 年程度の一定期間後に冠
動脈造影または MDCT で冠動脈あるいはバイパス血管
の開存性を評価する施設が多い.この期間内に心筋虚血
を疑わせる症状の変化(増悪)や安静時心電図など他覚
所見の変化がみられた場合は,PCI 施行部位の亜急性血
栓性閉塞や再狭窄などを疑い ACS あるいはそれに準じ
・内胸動脈を用いた CABG 後に心筋虚血が疑われる
場合の内胸動脈血流ドプラ評価
・冠動脈インターベンション後の虚血評価のための経
胸壁冠動脈ドプラエコー図検査
・冠動脈狭窄が疑われる場合の虚血評価のための経胸
壁冠動脈ドプラエコー図検査
た病態を考えた対応が必要となる.一方,治療から間も
クラスⅡ b
ないこの期間内は,無症候であれば新たな冠動脈病変の
なし
進行を運動負荷心電図でスクリーニングする必要性はな
クラスⅢ
いと考えられる.したがって,この時期に運動負荷心電
なし
図の適応となるのは,以下のような比較的限られた場合
である.すなわち,症状の訴えはあるものの,他覚所見
① PCI 後のフォローアップ
などから判断して心筋虚血は考えにくいが,その確認が
急性心筋梗塞に対する再灌流療法の治療効果の判定に
必要となる場合などである(冠動脈血行再建術直後の禁
心エコー法は用いられる.心エコー法を経時的に施行し,
忌期間を除く).その場合も MDCT など他の診断法と比
急性期と慢性期における壁運動異常の程度と広がり,そ
較してリスクとベネフィットのバランスを検討した上で
して左室容量や左室駆出率を比較することで,どの程度
施行すべきである.
の心筋がサルベージされ心機能が改善したか評価でき
ただし,冠動脈血行再建術後,ハイリスク症例(低左
る.再灌流療法後,心機能が改善する症例から不変,悪
心機能,多枝疾患,左前下行枝近位部病変,糖尿病,最
化する症例まで様々である.虚血の評価として,断層法
適な拡張後径が得られなかった場合,職業上虚血発作に
による安静時,負荷時の収縮期壁運動評価,および冠動
より危険な状況に陥る場合,など)では無症候であって
脈描出によるドプラ評価は狭心症患者と同様に行うこと
も定期的に心筋虚血の有無を評価することが必要であ
ができる.ステント留置後の再狭窄も冠動脈描出による
り,利便性,費用などの観点からも運動負荷心電図の果
ドプラ評価で診断可能である 478).
たす役割は大きいと考えられる.
冠動脈血行再建術後に負荷心エコー法を再度施行する
他方,近年積極的な心臓リハビリテーションが心筋梗
ことにより冠動脈血行再建術の効果を判定できる.症例
塞後の患者の心機能や QOL を改善させること,心血管
の経過観察中に新たに症状が出現あるいは増悪した場
死や全死亡を減少させることが報告されており,我が国
合,あるいは再狭窄が疑われる場合にも心エコー法,場
でも心臓リハビリテーションの適応が拡大されつつあ
合により負荷心エコー法を施行するべきである 479).
る.冠動脈血行再建術後の心臓リハビリテーション開始
にあたっては冠動脈形成術後 7 日あるいは 14 日後の早
期から運動負荷心電図検査が安全に施行できるとの報告
がある
477)
.
心エコー図
3
クラスⅠ
② CABG 後のフォローアップ
術後に壁運動異常の改善がなく,心筋虚血の所見が認
められれば,再狭窄,グラフトの閉塞,新たな虚血の進
行の可能性がある.術後は,心室中隔が奇異性運動を示
し,壁運動判定が難しいこともあるが,収縮期壁厚の増
加により壁運動を評価することが重要である.安静心エ
・冠動脈血行再建術後,再狭窄や新規病変が疑われる
コー図で壁運動異常を認めない場合は,負荷心エコー図
ものの,症状が非定型的な症例における診断として
法を術前と同様の方法で行い,残存虚血の有無を判定す
の安静心エコー図検査
る.
・冠動脈血行再建術後に心筋虚血が疑われる場合の負
荷心エコー図検査
クラスⅡ a
・症状や心電図変化から明らかに再狭窄が疑われる症
ドプラ法では,鎖骨上窩 480)や傍胸骨左縁から,高周
波探触子を用いて描出することにより,内胸動脈近位部
血流や LITA の吻合部狭窄診断 481)が可能である.鎖骨上
窩アプローチの場合,パルスドプラ法で記録した拡張期
例における心筋虚血の評価のための心エコー図検査
対収縮期血流速度の比(diastolic to systolic velocity ra-
・再灌流療法後の心機能の評価のための心エコー図検
tio: DSVR), も し く は 拡 張 期 分 画(diastolic fraction:
査
DF =拡張期時間速度積分 / 収縮期+拡張期時間速度積
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1057
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
分)を指標として用いる.左内胸動脈は普通の動脈と同
があり,注意を要する.負荷 201Tl 検査において見られ
様,通常収縮期速度成分優位であるが,グラフトとして
る逆再分布所見は成功した血行再建術後に見られ,リス
吻合されると拡張期成分が増強する.吻合部閉塞や狭窄
クの低い残存心筋を示唆する 500)−502).血行再建術後の
がおこると拡張期成分が減少することを利用して,ドプ
予後予測における有用性についても報告されている.
ラによる吻合部狭窄の診断を行う.鎖骨静脈から分岐直
後は収縮期成分が大きいものの,鎖骨上窩アプローチに
て LITA を 描 出 し,DSVR < 0.6 や DF < 0.5 の 場 合,
LITA 吻合部狭窄を疑うことができる
481)
.LITA の側枝
や native LAD との競合の有無により影響を受けるため,
術後の状態をコントロールとして比較することが大切で
ある.心エコー図法による,左鎖骨上窩アプローチや左
肋間アプローチを含めた 20 編の LITA 狭窄診断の論文を
メタ解析したものによると,造影上左内胸動脈 70 %以
上の狭窄を感度 88 %,特異度 94 %で診断可能であっ
た
482)
4
5
冠動脈 CT
クラスⅠ
なし
クラスⅡ a
・CABG 後のグラフトおよび吻合部の評価のための
冠動脈 CT(レベル B)
クラスⅡ b
・POBA,DCA,ロータブレータ治療部位評価のため
の冠動脈 CT(レベル B)
・ステント内腔評価のための冠動脈 CT(レベル C)
.
・CABG 後の新たな冠動脈病変の評価のための冠動
心臓核医学検査
脈 CT(レベル B)
クラスⅢ
クラスⅠ
・高度石灰化を有する部位へのロータブレータ治療後
なし
評価(レベル C)
クラスⅡ a
・冠動脈血行再建術の効果判定のための
201
Tl,
99m
Tc
負荷心筋血流シンチグラフィ(レベル B)
① PCI 後のフォローアップ
我が国では多くの施設で PCI 後半年から 1 年で習慣的
クラスⅡ b
なし
に冠動脈造影が行われている.その主な目的は,
(1)治
クラスⅢ
療部位の再狭窄の有無,(2)新規病変の確認,である.
なし
治療後一定期間で行うフォローアップ確認冠動脈造影の
意義について明らかなエビデンスはないが,より侵襲性
冠動脈血行再建術後の効果判定に負荷心筋シンチグラ
の低い冠動脈 CT で代用することはできる.冠動脈 CT
フィの有用性は実証されている.ただし,高リスク患者
によれば,治療に関連する部位の経過のみならず,(3)
以外での冠動脈血行再建術後のルーチンの冠動脈の確認
プラークの進行および退縮を含む冠動脈病変の変化の確
造影が推奨されていないように,臨床状態の悪化を示唆
認,(4)非石灰化不安定プラークの検出が可能となり,
する新たな症状や徴候がない場合のルーチン化した負荷
今後,冠動脈 CT で代用されることも予想される.
心筋イメージングの有用性は実証されていない.
1)冠動脈 CT より得られる結果とその診断的意義
冠動脈血行再建術後の治療効果判定に心筋血流
①治療部位における冠動脈内腔の評価(ステント治療部
SPECT は使用される
1058
483)−490)
.心電図同期心筋 SPECT の
位を除く)
施行により血流のみならず同時に心機能面からみた治療
POBA,DCA,ロータブレータにてインターベンショ
効果判定が可能となり 189),491),492),冬眠心筋の病態に関す
ン治療を行った部位に対し,CT による冠動脈内腔の診
るより詳細な情報が得られる.ただし CABG 後の治療
断成績を示した文献は,現在のところない.しかしこれ
効果判定に心電図同期心筋 SPECT を使用する場合には,
らの手技で治療後に何かデバイスを留置していなけれ
開心術後に見られる中隔の奇異性運動が存在するため,
ば,従来の冠動脈有意狭窄病変の診断能と同様に扱うこ
中隔の壁運動評価に関してはこの影響を比較的受けにく
とは問題ないと思われる.
い wall thickening の所見も考慮して判定するのがよい.
CT を用いた冠動脈有意狭窄の診断能は(詳細は安定
冠動脈血行再建術後の再狭窄の評価や予測にも使用さ
狭心症の項を参照),64-slice CT を用いた研究のメタ解
れるが 493)−499),再建後早期の検査や動脈グラフト使用
析において,感度 86 〜 93%,特異度 96%と報告されて
後の検査では再狭窄がなくても再分布所見を呈すること
いる 503),504).この結果には,限定された条件下(不整脈
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
症例や高度石灰化症例を除外)で評価している研究も含
いて,日常的に臨床で使用するのは尚早と言わざるを得
まれているが,64-slice CT が冠動脈有意狭窄の診断に
ない.一層の CT の技術進歩が期待されるところである.
使用できるモダリティであることが示されている.
ロータブレータにてインターベンション治療が行われ
② CABG 後のフォローアップ
た部位の評価については,残存する石灰化により,引き
冠動脈 CT を用いて冠動脈疾患の診断が行われるよう
続き評価が難しい可能性がある 81).
になる以前は,CABG 術後評価は,術後早期に観血的な
② CT による冠動脈ステント内開存の評価
CAG が行われるか,心筋虚血が疑われる場合に CAG が
CT でステント内腔を評価する場合,一般にステント
行われていた.また,術後の定期的なフォローアップを
径が 3mm 以上であれば内腔の評価が可能である(図
する場合においては,グラフトおよび新たな冠動脈病変
17).しかし,ステントの種類や材質によりその見え方
の直接的な評価を CAG で行っていた.こうした状況の
は異なり,また心拍動をしている金属製の細いステント
もと,グラフトおよびその吻合部の診断,そして新たな
を CT でイメージングする場合,その時間分解能や空間
冠動脈病変の検索が冠動脈 CT のような非侵襲的な手法
分解能の技術的な制約から,種々のアーチファクトが現
で診断的有用性とともに確立されれば,患者にとってメ
れやすいことが知られている 505)−510).そのためステン
リットは大きい.CABG 後の症例における冠動脈 CT の
ト内腔評価の 16-slice MDCT を用いた検討では,内腔評
診断目的は,術後早期では,
(1)グラフトおよびその吻
価が不可能なステントが約 40 〜 50%存在し,径 2.5mm
合部の評価,が主なものである.それ以降の時期では,
のステントはすべてにおいて評価できなかったとの報告
新たな冠動脈病変も考えられることから,上記に加えて
がなされている
.64-slice CT を用いた検討におい
506),507)
(2)新たな冠動脈病変の検出,も必要となる.
ても,CT の技術的進歩が図られているにもかかわらず,
1)冠動脈 CT より得られる結果とその診断的意義
内腔評価が不可能なステントは依然約 40 %あり,内腔
①グラフトおよびその吻合部の評価
評価可能群に限定した感度と特異度は,それぞれ 86 %
一般に CABG 後の評価では,グラフトも含めた心臓
と 98%と報告されている
.また,ステント径が 3mm
全体を撮影するのが望ましいため,その撮影範囲は増大
以上であれば 85 %で評価可能であるが,3mm より小さ
する.静脈グラフトの場合は,通常その一端は上行大動
511)
な径のステントでは評価可能が 26 %と,多くが評価困
脈に吻合されることから,撮影範囲はわずかに増える程
難となるとの報告がある 512).ステント内腔評価に関す
度であるが,in situ グラフトを撮影する場合には,内胸
る報告についてメタ解析した結果をみてみると,評価可
動脈では鎖骨下動脈レベルからの撮影となる.また,胃
能群における診断能は感度 82 〜 84%,特異度 91%とな
大網動脈グラフトの場合には,腎動脈レベルまでの撮影
っている 513),514).
となる.初期の MDCT では,1 回に息止めができる時間
以上のように,CT を用いたステント内開存の評価は,
の問題があり,場合によっては撮影範囲を限定しなけれ
(1)熟達した専門施設において,(2)近位部に留置さ
ばならなかったが,64-slice CT になり,鎖骨下動脈から
れた,(3)3mm 以上のステントについては,相当な成
腎動脈レベルまでを 1 回の息止めで撮影できるようにな
績が得られてきている.しかしながらすべての施設にお
った.このような背景もあり,16-slice までの MDCT を
用いたグラフトおよびその吻合部の評価では,主にグラ
図 17 PCI 後の経過観察:ステントの開存性の評価
フト吻合部に対しての評価が行われている.CT を用い
たバイパスグラフト開存を評価した主な報告によると,
閉塞病変の診断能は,感度 94 〜 100%,特異度 96 〜 100
%であり,狭窄病変(> 50% stenosis)の診断能は,感
度 75 〜 100 %,特異度 92 〜 100 %となっている 515)−526).
また,これらのメタ解析では,閉塞病変の診断成績は感
度 97%,特異度 98%,76%のグラフトで評価可能であり,
狭窄病変の診断成績は,感度 88 %,特異度 97 %,88 %
のグラフトで評価可能であったと報告している 527).さ
らに別のメタ解析では,除外症例を設けないで評価され
×
た報告のみを対象にし,グラフト開存(閉塞および狭窄)
の評価に対する診断能を,感度 97 %,特異度 96 %,陽
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1059
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
性予測率 92 %,陰性予測率 98 %,78 〜 100 %のグラフ
トで評価可能であったと報告している
528)
部が低信号,辺縁部が高信号のパターンを示し,中心部
の低信号領域が no-reflow 現象もしくは MO 領域に相当
.
以上の報告から,64-slice CT はグラフト全体を含めて
する.また,MO はガドリニウム造影剤の心筋ファース
グラフト吻合部開存の診断に使用できるモダリティであ
トパスを観察することでも評価可能である.
ることが示されていると言える.ただし CABG 後の症
冠動脈 MRA ではステント内腔を描出することはでき
例を冠動脈 CT で評価するにあたり,サージカルクリッ
ない.しかし,安定狭心症の場合と同様に,負荷心筋パ
プや胸骨ワイヤーからアーチファクトが生ずる可能性が
ーフュージョン MRI における心筋虚血の有無から,PCI
あること,動脈グラフトは径が細いため冠動脈 CT の空
後の冠動脈再狭窄の診断を行うことができると考えられ
間分解能が問題となること,そしてバイパスはグラフト
る.心筋梗塞後の症例では,梗塞心筋と虚血心筋を診断
からの血流と本来の冠動脈からの血流とが競合する現象
することが重要であるが,負荷心筋パーフュージョン
が把握できないことなどに留意する必要がある
529),530)
.
MRI と遅延造影 MRI を組み合わせた造影 MRI 検査は,
②新たな冠動脈病変の検出
梗塞心筋・虚血心筋・正常心筋の判別に役立つ.現在ま
冠動脈 CT による冠動脈病変の検出は,基本的には安
でのところ PCI 後症例に焦点を当てて MRI の虚血診断
定狭心症の項に順ずる.ただし CABG が行われた症例
能を検討した研究報告は認められないものの,MRI が
には,PCI 不成功例など複雑な症例や,糖尿病合併症例
SPECT 以上の虚血診断能を持つことから,一般に PCI
や多枝病変など高度に動脈硬化の進行した症例が多く含
後再狭窄診断にも MRI は有用であると考えられている.
まれることが予想されることを踏まえておく必要があ
冠動脈バイパスグラフトの閉塞は MRI を用いて非侵
る.
襲的に診断可能で,スピンエコー法(感度 / 特異度= 90
6
心臓 MRI
% / 72 %)533), シ ネ MRI(88 % / 100 %)534), 造 影 3D-
MRA(95% / 81%)535)の報告がある.さらに,位相コン
クラスⅠ
トラストシネ MRI を用いて冠動脈バイパスグラフト血
なし
流を計測すると,グラフトの狭窄病変の形態的評価に加
クラスⅡ a
えて機能的診断が可能になる.Hoogendoorn らは非呼吸
・PCI 後治療効果の判定のための心臓 MRI(レベル B)
停止 MRI を用いて伏在静脈グラフトの血流計測を行い,
・PCI 後再狭窄診断における心臓 MRI(レベル C)
正常グラフトの平均血流は 71 〜 17mL/min であるのに対
・冠動脈バイパス術後グラフト狭窄診断における心臓
し,狭窄や閉塞を伴うグラフトの平均血流は 9 ± 8mL/
MRI(レベル B)
min と 低 下 し て お り, 安 静 時 の グ ラ フ ト 内 血 流 量 が
クラスⅡ b
20mL/min 以下の場合,有意狭窄が示唆されると報告し
なし
ている 536).内胸動脈グラフトについても,バイパスグ
クラスⅢ
ラフトの血流量や拡張期 / 収縮期血流速度比を評価する
なし
ことで,グラフト狭窄診断の感度は 100%,特異度は 89
%との報告がある 124).
MRI 検査は急性心筋梗塞に対する再灌流療法の治療
効果の判定にも有用性が認められる.再灌流直後では心
5
その他の冠動脈疾患
1
MCLS(川崎病)
筋壁運動異常の有無からは正しい治療効果判定が困難で
あるが,遅延造影 MRI を施行することにより,どの程
度の心筋がサルベージされたかを評価できる 531).また,
急性心筋梗塞において表在冠動脈の血流が回復された後
にも組織パーフュージョンの回復が得られない現象は
“no-reflow”と呼ばれ微小血管レベルでの循環障害(mi-
crovascular obstruction: MO)が原因とされ,独立した
予後不良因子であることが示されている 532).再灌流後
・MCLS 患者における心エコー図検査
・重症度分類Ⅲ,Ⅳの患者での負荷心エコー図検査
・心臓 MRI(冠動脈 MRA)(レベル B)
クラスⅡ a
の急性心筋梗塞において遅延造影 MRI を行うと,微小
・重症度分類Ⅰ〜Ⅲの患者での負荷心エコー図検査
血管障害がある領域では造影剤の到達が少ないため,遅
・冠動脈 CT(レベル C)
延造影効果は非常に低い.この結果,しばしば梗塞中心
1060
クラスⅠ
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
クラスⅡ b
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
なし
などを有する症例については,各重症度分類に付記する.
クラスⅢ
②冠動脈 CT
なし
川崎病においては,心エコーが第一に行われる検査で
①心エコー図
あるが,動脈瘤や狭窄病変,側副路といった冠動脈病変
小児例では安静時心エコー図法にて,川崎病冠動脈病
の 全 貌 が 描 出 で き る 点 で 冠 動 脈 CT は 優 れ て い
変の特徴的所見である冠動脈拡大性病変に対し,経時的
る 544)−546).冠動脈瘤の検出は信頼度が高く,瘤最大径
に冠動脈の形態評価を行うことができ 537),特に左主幹
も正確に評価できるとされている 545).さらに,瘤近傍(入
部病変の描出に優れる
538)
.成人例においても冠動脈瘤
口,出口)に多いとされる狭窄病変や完全閉塞病変も評
を描出することによって川崎病の診断をされることがあ
価が可能となっている.また,冠動脈内腔だけではなく
539)
.冠動脈瘤内血栓の診断や狭窄性
冠動脈壁の情報も得られることにおいても冠動脈 CT の
病変の評価は困難であることが多いが,冠動脈血流速予
有用性は高い.川崎病では慢性期冠動脈狭窄の原因とし
備能を計測することで,左前下行枝の狭窄性病変の診断
て,血管炎後の内膜肥厚の関与が指摘されていることか
が成人同様に小児でも行うことができると報告されてい
ら,冠動脈壁肥厚の評価は重要である.
るが頻度は少ない
る
540)
ただし,現在の空間分解能や時間分解能では,瘤に強
.
負荷心エコー図法に関する報告は少ないが,トレッド
い石灰化を伴っていると瘤内腔評価が困難になり,冠動
ミル 541)やドブタミン 542)による負荷心エコー図の有用性
脈末梢の評価や小さな側副路評価は十分にはできない.
が小児においても報告されている.ドブタミンの投与量
また,小児では被ばくの観点から頻繁な検査の施行は行
は成人同様に行うが,目標心拍数到達のためのドブタミ
いがたく,経時的に繰り返し行う必要があれば心臓
ン投与量は成人ほど必要としないことが多い.
MRI を用いる方が好ましい.ちなみに,川崎病での狭
窄病変の診断精度については多数例での報告はなく,今
〈参考〉
後の更なる評価が必要であろう.
川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライ
ン(2008 年改訂版)543)より
③心臓 MRI
重症度分類
冠動脈 MRA は放射線被ばくがなく,造影剤投与の必
心エコー検査,並びに選択的冠動脈造影検査等で得ら
要もないため,小児や若年者など放射線被ばくによる発
れた所見に基づいて,以下の 5 群に分類する.
Ⅰ.拡大性変化がなかった群:急性期を含め,冠動脈
の拡大性変化を認めない症例
Ⅱ.急性期の一過性拡大群:第 30 病日までに正常化
する軽度の一過性拡大を認めた症例
Ⅲ.Regression 群:第 30 病日においても拡大以上の
瘤形成を残した症例で,発症後 1 年までに両側冠
動脈所見が完全に正常化し,かつⅤ群に該当しな
い症例
Ⅳ.冠動脈瘤の残存群:冠動脈造影検査で 1 年以上,
片側もしくは両側の冠動脈瘤を認めるが,かつⅤ
群に該当しない症例
Ⅴ.冠動脈狭窄性病変群:冠動脈造影検査で冠動脈に
狭窄性病変を認める症例
(a)虚血所見のない群:諸検査において虚血所見を
認めない症例
(b)虚血所見を有する群:諸検査において明らかな
がんリスクの高い症例では,MRA を第一選択の診断法
として用いることが望ましい.冠動脈 MRA は川崎病に
おける冠動脈瘤の診断に関して冠動脈造影と同等の診断
能を持つと報告されている 547),548).川崎病後の冠動脈瘤
の経過観察では繰り返し検査が行われるため,放射線被
ばくのない冠動脈 MRA の有用性は高い.
2
先天性冠動脈奇形
クラスⅠ
・冠動脈 CT
・心臓 MRI(冠動脈 MRA)
クラスⅡ a
なし
クラスⅡ b
なし
クラスⅢ
なし
虚血所見を有する症例
参考条項:中等度以上の弁膜障害,心不全,重症不整脈
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1061
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
・中等度リスク群における単純 CT による石灰化スコ
①冠動脈 CT
ア(レベル B)
先天性冠動脈奇形には,冠動脈起始異常,単冠動脈,
冠動静脈瘻などが含まれる.多くは無症状で経過し,ま
た若年者に多いことから侵襲的な血管造影よりも非侵襲
的な診断法が望まれる.冠動脈奇形の評価における冠動
脈 CT の有用性を検討した報告は多く見られ,血管造影
と対比して正確に描出できるとされている
549)−554)
.冠
動脈先天奇形では,異常血管の有無や走行,大動脈・肺
動脈との位置関係の把握が重要であり,これらの評価に
も CT は適している.
クラスⅢ
・冠危険因子のない者に対する単なるスクリーニング
のための運動負荷心電図検査(レベル C)
・無症状の高リスク症例における冠動脈造影 CT(レ
ベル C)
・無症状の低リスク群における単純 CT による石灰化
スコア(レベル B)
・高リスク群に対する冠動脈 MRA によるスクリーニ
ング(レベル C)
②心臓 MRI
心血管病の増加には高血圧症や糖尿病を代表とする生
カテーテルによる冠動脈造影では異常冠動脈と周囲の
活習慣病の急増が大きく関与しており,厚生労働省発表
大血管の位置関係を把握することが困難であるが,冠動
の「平成 18 年 国民健康・栄養調査の概要」によると,
「高
脈 MRA を行うことにより異常冠動脈と大血管の位置関
血圧症有病者」は約 3,970 万人,「正常高値血圧者」は
係が明瞭に描出される 555)−557).冠動脈奇形の診断は冠
約 1,520 万人で,合計すると約 5,490 万人にのぼり,糖
動脈 CT を用いても可能であるが,whole heart coronary
尿病が強く疑われる人は約 820 万人,糖尿病の可能性が
MRA は放射線被ばくや造影剤投与を伴わずに CT と同
否定できない人は約 1,050 万人,合わせて約 1,870 万人
等の情報を提示するため,冠動脈起始異常の診断に関し
と推定されている.生活習慣病例えば糖尿病から見た場
ては冠動脈 MRA が第一選択の診断法となる 121).
合,その死因のうち,合併する心疾患による死亡の占め
6
る割合は 30 %を超えており,さらにこのうち半数以上
無症状の症例
は虚血性心疾患が絡んでいるとされる 558).このように
現代においては生活習慣病患者を虚血性心疾患のハイリ
1
スク患者と位置づけることができる.具体的に無症状の
無症状の高リスク症例
(高有病率集団)
患者における心血管疾患発症リスクを推定する方法とし
て,欧米では Framingham Risk Score などの心血管イベ
ント発症リスク予知データがあるが,我が国では脳卒中
クラスⅠ
・活発な運動療法を開始しようとしている無症候性糖
尿病患者における運動負荷心電図検査(レベル C)
クラスⅡ a
スクを明らかにした疫学調査(NIPPON DATA 80)に基
づいて作成された健康危険度予測チャートがあり,これ
・糖尿病あるいは複数の冠危険因子を持つ症例におけ
が参考になる(Appendix-2).2007 年度動脈硬化性疾患
予防ガイドライン 559)によると冠動脈疾患の一次予防に
る運動負荷心電図検査(レベル C)
・高リスク群に対する遅延造影 MRI によるスクリー
ニング(レベル B)
あたって,そのリスクとして高 LDL 血症以外に加齢,
高血圧,糖尿病(耐糖能以上を含む),喫煙,冠動脈疾
患の家族歴,低 HDL 血症をあげている.これらの危険
クラスⅡ b
・糖尿病以外の冠危険因子を 1 つ持つ症例における運
因子数が増すにつれ冠動脈疾患の発症リスクが上昇する
とされている.この中で糖尿病には他の因子より重みを
動負荷心電図検査
・45 歳以上の男性または 55 歳以上の女性でこれから
つけ,これ単独で高リスク群に分類される.糖尿病に合
活発な運動療法を開始しようとする者における運動
併した冠動脈疾患例では多枝病変が多く,冠動脈狭窄も
負荷心電図検査
高度でびまん性であり,その予後は不良である 560),561).
・自身の疾病により公共の安全が影響を受けるような
・高リスク群に対するスクリーニングとしての
99m
Tc 負荷心筋シンチグラフィ(レベル C)
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
こういった糖尿病を中心とする生活習慣病に合併する虚
血性心疾患の特徴として,無症候性心筋虚血 561)が多い
職業の者における運動負荷心電図検査
1062
や冠動脈疾患(心筋梗塞,狭心症)による 10 年死亡リ
201
Tl,
こと,そして無症候性心筋虚血の予後は狭心症(症候性
の心筋虚血)同様であることが明らかにされている.し
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
かし,現状ではエビデンスがそろっておらず,そういっ
た無症候性心筋虚血患者を抽出し,無症候高リスク患者
をスクリーニングする冠動脈病変の非侵襲的診断の体系
化が求められている.
*冠危険因子:高血圧症,糖尿病,脂質異常症,喫煙歴,
心臓発作あるいは心臓突然死の家族歴
③心エコー図
無症状で冠動脈疾患のリスクが高いだけで心エコー図
①安静時心電図
検査を通常行うことはない.他の何らかの検査によって
冠動脈疾患の日常診療において標準 12 誘導心電図は
心臓の異常が疑われる場合に心エコー図検査を行う.心
最も簡便かつ基本となる検査法であり,診断および治療
電図で新規に Q 波が出現したり,ST-T 変化や R 波の増
方針の決定に重要な役割を担う.糖尿病患者では虚血発
減高が認められた場合は心エコー図検査を行い,壁運動
作時に症状がない無症候性心筋虚血の頻度が多いことを
の異常がないかどうか調べる.また,心拡大を胸部レン
念頭に置き対処することが重要である
560),561)
.虚血発作
時の症状の有無による病的意義に違いはないと考えられ
ており,積極的な対策が必要とされている
562)
.無症候
性心筋梗塞は心電図により初めて診断されるものであり
定期的な心電図記録が有用である.インスリン非依存性
トゲン写真で指摘された際も,心エコー図検査を行う.
無症候性の重症三枝病変では,心拡大および心機能低下
が唯一の所見であることがある.
④心臓核医学検査
糖尿病患者では症状の有無にかかわらず,冠動脈疾患を
無症状で冠動脈疾患のリスクが高いだけで心臓核医学
予測する最も強力な予測因子は安静時心電図の ST-T 異
検査を行うことはない.他の何らかの検査によって冠動
563),564)
.定期的に心電図
脈疾患が疑われる場合に心臓核医学検査を行う.心電図
を記録し,心筋虚血を示唆する心電図異常を認めた場合
で新規に Q 波が出現したり,ST-T 変化や R 波の増減高
のみならず,非特異的な ST-T 変化であっても心電図変
が認められ,心エコー図検査などで壁運動の異常が確認
化を認めた場合には後述する運動負荷試験を中心とした
され陳旧性心筋梗塞が疑われる場合に適応となる.
常であることが報告されている
精査が必要である.安静時心電図の ST-T 異常は心筋虚
血以外の原因によっても起こるが,既知の冠動脈疾患患
⑤冠動脈 CT
者では冠動脈病変枝数など冠動脈疾患の重症度を表す指
無症候性の高リスク症例で造影 CT を施行することの
標と相関し,予後不良を示唆する所見とされている 22).
有効性は基本的にはない 240),244).造影剤腎症を発症する
また,脳梗塞や閉塞性動脈硬化症を認める例や冠危険因
と予後が不良となり,特に,糖尿病患者では,造影剤腎
子を複数以上認める例でも非特異的な ST-T 変化を認め
症のリスクを考慮し,eGFR の値により造影剤の使用の
る場合には精査を行うことが望ましい.
有無や造影剤量に十分配慮する必要がある.高度石灰化
②運動負荷心電図
ハイリスク患者をスクリーニングする際には,検査前
例では冠動脈評価が困難になることを考慮すると,CT
を施行することが予後を改善するかどうか現時点では疑
問である.
確率(pretest probability)を念頭に置く必要がある.検査
一方,無症状の中等度リスクの症例に単純 CT による
前確率とは,検査対象者中の有病者の頻度である.虚血
石灰化スコア算出は,有効なことがある.石灰化スコア
性心疾患の頻度が高い集団,例えば冠危険因子*が複数
の臨床的な意義は次のように解説されている 90).
ある高齢男性では,負荷心電図が陽性なら虚血性心疾患
(1)石灰化スコアが 0 であれば,不安定プラークを含む
(真陽性 true positive)である確率は高く,たとえ陰性
動脈硬化性プラークの存在を高い確率で否定でき
であっても偽陰性(false negative)の可能性が残る.逆
に一般の若年・中年を対象としたスクリーニングテスト
では,負荷心電図が陽性であっても正常冠動脈例(偽陽
性 false positive) が 多 く 含 ま れ る(Bayes の 定
565),566)
理)
.臨床医は負荷心電図の判定のみならず総合
的な判断をなすべきであるが,冠リスクの多い生活習慣
病患者においては,負荷心電図の結果が陰性であっても
それが偽陰性である可能性を常に念頭に置くべきであ
る.
る.
(2)石灰化スコアが 0 であれば有意狭窄病変の存在を強
く否定できる(NPV:95 〜 99%).
(3)石灰化スコアが 0 であれば,今後 2 〜 5 年の心事故
の可能性は低い(0.1% / 年).
(4)石灰化スコア> 0 であれば,動脈硬化性プラークは
存在する.
(5)石灰化の量が多ければ,男女ともに年齢に関係なく
動脈硬化性プラークは多い.
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1063
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
(6)冠動脈石灰化の総量は,動脈硬化性プラークの量と
良く相関するが,それを過小評価している.
(7)石灰化スコアが高ければ(> 100),今後 2 〜 5 年の
心事故のリスクが高い(> 2.0% / 年).
近年開発された whole heart coronary MRA では冠動脈
全体を 10 〜 15 分程度で撮像でき,狭窄を直接描出可能
にすることができる 573).冠動脈 MRA は,造影剤を必要
(8)冠動脈石灰化の測定は中等度のリスクを有する患者
としないため造影剤の副作用や造影剤急速静注に伴う合
においてそのリスク予測を改善できる.したがって
併症を心配する必要がなく,心拍数のコントロールも不
中等度(1.0 〜 2.0 % / 年)のリスクを有する症例に
要であるため,無症状の集団に対するスクリーニング検
おいて,そのリスクの精密な評価のために考慮され
査としての利用も期待される.また,石灰化の影響を受
るべきである.
けずに内腔を評価できることも冠動脈 MRA の利点であ
(9)石灰化スコア> 0 の患者において,さらに精査を行
る.冠動脈 MRA の診断能についての臨床研究は未だ限
うかの決定は石灰化スコアのみを根拠にすることは
られているが,有意冠動脈狭窄を有する患者に対する感
できない.それは,石灰化スコアと狭窄の重症度と
度 82 〜 96%,特異度 68 〜 90%と報告されている 120),574).
の相関は低いからであり,病歴や通常の臨床基準に
ただし,このような診断能は冠動脈疾患疑い例から得ら
よるべきである.
れたものであり,低リスクグループへの有効性について
また,石灰化スコアは検査自体が迅速かつ簡便で,検
は十分なデータがない.また,検査に時間がかかり,呼
査の施行が困難な症例もほとんどなく,結果の評価も客
吸が安定しない症例で撮影できないことがあるなど,高
観的で診断者の技量や経験に左右されないという利点が
画質の冠動脈 MRA を安定して得ることは未だ容易では
ある
91)
.その一方で,我が国での石灰化スコアの検討は
少なく
567)−569)
,欧米人を対象に得られたデータベース
を日本人にそのまま適応可能かの検証が十分でない欠点
がある.
なく,実施できる施設が限られていることには留意すべ
きである.
2
健診でのスクリーニング検査
症状がない場合には,石灰化スコアは中等度のリスク
クラスⅠ
を有する群に対してそのリスクの精密な評価のために行
なし
うことが適切である
90),570)
(クラスⅡ b,レベル B).その
一方で,低リスク群と高リスクの群に対する施行は推奨
されていない
90),570)
(クラスⅢ,レベル B).
なし
クラスⅡ b
クラスⅢ
MRI は放射線被ばくがなく,腎機能が正常な場合に
は重篤な造影剤副作用のリスクが非常に低いため,スク
リーニングに適した検査ということができる.一般集団
に対して心臓 MRI 検査を行った報告はほとんどみられ
ないが,無作為に選ばれた 70 歳以上の男女 248 名を対
象に遅延造影 MRI 検査が行われたスウェーデンの研究
によると,49 名(19.8%)にそれまで知られていなかっ
た心筋梗塞が発見されており,遅延造影 MRI は無症候
性心筋梗塞のスクリーニングとしての有用性が認められ
る
クラスⅡ a
なし
⑥心臓 MRI
571)
・冠動脈造影 CT を用いた一般集団に対する健診での
スクリーニング(レベル C)
・冠動脈 MRA を用いた一般集団に対する健診でのス
クリーニング(レベル C)
・遅延造影 MRI を用いた一般集団に対する健診での
スクリーニング(レベル C)
①安静時心電図
安静時 12 誘導心電図は非侵襲的で簡便かつ安価な検
.また,虚血性心疾患疑い症例を対象とした研究
査法であり,冠動脈疾患のスクリーニングには適した検
では,たとえ小さい LGE であっても,それが認められ
査法といえる.心筋虚血の診断には主に ST 部分の変化
る場合にはない場合に比べて心事故リスクが高いことが
が用いられるが,T 波の変化や各種不整脈の出現なども
知られている
104)
.低リスクグループに対して造影剤を
診断的価値をもつ.また異常 Q 波は心筋梗塞の診断に役
使用する検査を行うことの有効性は示されていないが,
立つ.しかし,このような心電図変化は必ずしも心筋虚
糖尿病患者などの高リスクグループにおいては無症候性
血に特有な所見ではないため偽陽性も少なくなく,また
心筋梗塞・冠動脈疾患患者の拾い上げが予後改善に貢献
心電図所見が正常でも冠動脈疾患を除外できない.安静
する可能性がある
1064
告はない.
572)
が,効果が費用を上回るという報
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
時心電図異常は冠動脈疾患の独立した予測因子であると
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
いう報告もあるが 575),576),メタ解析の結果では冠危険因
は危険因子が全くない場合で,右の数字は糖尿病,喫煙,
子のない無症状の男性で安静時心電図による冠動脈疾患
脂質異常症のすべてがそろう場合の確率.たとえば,糖
の早期診断における有用性は示されていない
577)
.
②冠動脈 CT
尿病,高血圧,脂質異常症のある 65 歳男性が典型的な
胸痛を訴える場合の確率は 95 %と推定できる.これら
は,いずれも安静時心電図が正常の場合の確率であり,
健診で冠動脈 CT を行うことの有効性は示されていな
虚血性 ST 低下が見られる場合などは,さらに高い確率
い.放射線被ばくと造影剤使用のリスクを背負ってもた
となる.この確率は米国人における推定であり,我が国
らされる便益(benefit)と,伴う費用(cost)とのバラ
にそのまま応用はできないが,確率が低い,中間,高い,
ンスを考慮し,便益が大きいことが示された場合にのみ
の 3 群に分けることはできる.そうして推定された事前
その行為の導入・実施が許される.費用便益分析の考え
確率に基づいて次の診断ステップを考え,その結果から
方から安易な健診への導入は慎むべきである.一方,単
事後確率を推定し,診断ストラテジーを立てることが重
純 CT による石灰化スコアを算出することは,無症状の
要である.
高リスク症例の項に記載したように,一部の症例で有効
なことがある.
③心臓 MRI
2
日本人における
心血管リスク予想
遅延造影 MRI については,造影剤の副作用が生じう
欧米では米国 Framingham study に基づく Framingham
ることを考慮すると,高リスク症例以外を対象にスクリ
risk score などがあり,心筋梗塞発症リスク予知するデ
ーニング的に使用した場合,リスクが利益を上回る可能
ータがあるが,日本人に応用することはできない.我が
性があり,健診に用いることは推奨されない.一方,造
国では 1980 年から 1999 年までの 19 年間で,9,353 人(男
影剤を用いない冠動脈 MRA については,少なくともリ
4,098 人,30 歳以上平均年齢 50.3 歳,女 5,255 人,30 歳
スクが利益を上回ることはないと考えられるが,「無症
以上平均年齢 50.8 歳)を追跡調査して,脳卒中や冠動
状の高リスク症例」の項目でも述べられているように,
脈疾患(心筋梗塞,狭心症)による 10 年死亡リスクを
一般集団に対して MRI を用いたスクリーニングを行う
明らかにした疫学調査(NIPPON DATA 80)が唯一とい
ことの有用性を示すデータは現在のところ存在しない.
ってよい 579).1980 年当時の計測可能で一般的な指標と
して,危険因子は,年齢,性別,収縮期血圧,喫煙習慣,
Appendix
総 コ レ ス テ ロ ー ル 値, 糖 尿 病 の 有 無( 随 時 血 糖 値
200mg/dL 以上か未満か)の 6 項目をもとに死亡統計か
ら心血管疾患(脳卒中・冠動脈疾患など)による死亡リ
スク一覧表を作成した 579).
1
胸痛患者における
検査前有病率の推定
胸痛の特徴と冠危険因子から虚血性心疾患の有病率を
このリスクチャートの問題点には,
(1)死亡率であり,
罹患率(りかんりつ:病気の発生率)でないこと,(2)
脂質が総コレステロールのみであること,
(3)高血圧の
治療の有無が考慮されていない,(4)1980 年当時の日
本人の予後調査である,ことなどがあるが,日本人での
推定することができる.表 11 は膨大な患者数の病歴
(Duke database)に基づいて作成された冠動脈疾患有病
率を症候および危険因子から推定する表である.胸痛の
特徴を単純化して,
(1)胸骨後部に手のひらで押された
ような圧迫感,重苦しさが,
(2)労作に伴って出現し,
(3)
安静によりおさまる,の 3 項目とし,3 つそろえば典型
的労作性狭心症,1 つ欠けると非典型的狭心症,2 つ欠
けると非狭心症性胸痛と分類し,これに年齢,性,糖尿
病,喫煙,脂質異常症などの危険因子を加えて虚血性心
疾患有病率を推定する方法である 578).各欄の左の数字
表 11 症候および危険因子からみた冠動脈疾患有病確率(%)
年齢 非狭心症性胸痛
(歳) 男性
女性
35
3 ~ 35 1 ~ 19
45
9 ~ 47 2 ~ 22
55 23 ~ 59 4 ~ 25
65 49 ~ 69 9 ~ 29
非定型的狭心症
男性
女性
8 ~ 59 2 ~ 39
21 ~ 70 5 ~ 43
45 ~ 79 10 ~ 47
71 ~ 86 20 ~ 51
典型的狭心症
男性
女性
30 ~ 88 10 ~ 78
51 ~ 92 20 ~ 79
80 ~ 95 38 ~ 82
93 ~ 97 56 ~ 84
表の中の左の値は糖尿病,喫煙,高脂血症のない低リスク患者,
右の値は糖尿病,喫煙,高脂血症のある患者の冠動脈疾患のあ
る確率.
(Williams, SV et al:Ann Intern Med 135:530-547, 2001 より引用)
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1065
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
信頼できる心血管疾患リスク評価資料が全くない現状に
とすると,罹患率はその 3 倍になると予想され,本一覧
おいては,NIPPON DATA 80 の心血管リスクチャート
表の死亡リスクの 3 倍を患者の心血管リスクとして応用
が最も参考になるリスク予測の指標と思われ,本ガイド
することが勧められる.
ラインに添付する.心血管疾患発症後の死亡率を 33 %
図 18 男性における 10 年以内の冠動脈疾患死亡確率
< 0.5%
0.5 ~ 1%
1 ~ 2.5%
収縮期血圧
随時血糖値
200mg/dL 未満
非喫煙者
喫煙者
総コレステロール区分
(mmHg) 1 2 3 4 5 6
1 2 3 4 5 6
180 ~ 199
160 ~ 179
140 ~ 159
120 ~ 139
100 ~ 119
2.5 ~ 5%
5 ~ 10%
> 10%
随時血糖値
200mg/dL 以上
非喫煙者
喫煙者
総コレステロール区分
(歳) 1 2 3 4 5 6
1 2 3 4 5 6
年齢
70 ~ 79
収縮期血圧
180 ~ 199
160 ~ 179
140 ~ 159
120 ~ 139
100 ~ 119
年齢
60 ~ 69
収縮期血圧
180 ~ 199
160 ~ 179
140 ~ 159
120 ~ 139
100 ~ 119
年齢
50 ~ 59
収縮期血圧
180 ~ 199
160 ~ 179
140 ~ 159
120 ~ 139
100 ~ 119
年齢
40 ~ 49
総コレステロール区分 1 = 160 ~ 179 mg/dL 2 = 180 ~ 199 mg/dL 3 = 200 ~ 219 mg/dL
4 = 220 ~ 239 mg/dL 5 = 240 ~ 259 mg/dL 6 = 260 ~ 279 mg/dL
1066
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン
図 19 女性における 10 年以内の冠動脈疾患死亡確率
< 0.5%
0.5 ~ 1%
1 ~ 2.5%
収縮期血圧
随時血糖値
200mg/dL 未満
非喫煙者
喫煙者
総コレステロール区分
(mmHg) 1 2 3 4 5 6
1 2 3 4 5 6
180 ~ 199
160 ~ 179
140 ~ 159
120 ~ 139
100 ~ 119
2.5 ~ 5%
5 ~ 10%
> 10%
随時血糖値
200mg/dL 以上
非喫煙者
喫煙者
総コレステロール区分
(歳) 1 2 3 4 5 6
1 2 3 4 5 6
年齢
70 ~ 79
収縮期血圧
180 ~ 199
160 ~ 179
140 ~ 159
120 ~ 139
100 ~ 119
年齢
60 ~ 69
収縮期血圧
180 ~ 199
160 ~ 179
140 ~ 159
120 ~ 139
100 ~ 119
年齢
50 ~ 59
収縮期血圧
180 ~ 199
160 ~ 179
140 ~ 159
120 ~ 139
100 ~ 119
年齢
40 ~ 49
総コレステロール区分 1 = 160 ~ 179 mg/dL 2 = 180 ~ 199 mg/dL 3 = 200 ~ 219 mg/dL
4 = 220 ~ 239 mg/dL 5 = 240 ~ 259 mg/dL 6 = 260 ~ 279 mg/dL
Circulation Journal Vol. 73, Suppl. III, 2009
1067
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007−2008 年度合同研究班報告)
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