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Title 阻害物質としてのクエン酸 : 腸管におけるクエン酸の吸 収と

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Title 阻害物質としてのクエン酸 : 腸管におけるクエン酸の吸 収と
Title
阻害物質としてのクエン酸 : 腸管におけるクエン酸の吸
収とカルシウムの吸収にあたえるクエン酸の影響につい
て
Author(s)
安川, 修; 上原, 正樹; 山内, 敏樹; 森本, 鎮義; 戎野, 庄一; 大
川, 順正
Citation
Issue Date
URL
泌尿器科紀要 (1991), 37(10): 1103-1106
1991-10
http://hdl.handle.net/2433/117343
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
泌 尿 紀 要 37:1103-llO6,1991
1103
阻 害 物 質 と して の ク エ ン酸
一 腸 管 に お け る ク エ ン酸 の 吸 収 と カ ル シ ウ ム
の 吸 収 に あ た え る ク エ ン酸 の 影 響 に つ い て 一
和歌山県立 医科大学泌尿器科学教室(主 任 :大川順正教授)
安 川 修,上
原 正 樹,山
内 敏 樹
森 本 鎮 義,戎
野 庄 一,大
川 順正
CITRATE
AS AN INHIBITOR
OF STONE
—WITH REFERENCE TO INTESTINAL
INFLUENCE OF CITRATE
Shu
Yasukawa,
Shigeyoshi
ON INTESTINAL
Masaki
Morimoto,
CITRATE
Shoichi
Uehara,
ABSORPTION
AND THE
CALCIUM ABSORPTION—
Toshiki
Ebisuno
FORMATION
and
Yamauchi,
Tadashi
Ohkawa
From the Department of Urology. Wakayama Medical College
The response of serum citrate to the oral citrate load was studied in seven healthy subjects.
Serum citrate was significantly elevated from 15 to 60 min post-load with some individual variations.
In 27 stone-formers serum citrate and the response to the oral citrate administration
was studied
and compared with the results obtained on healthy subjects.
The serum citrate concentration
of
stone-formers was 1.99±0.49 mg/d1 as compared to 1.61±0.35 mg/dl in healthy subjects. After citrate
administration
serum citrate increased significantly in both groups, but no significant difference was
shown in response to the oral citrate load between these two groups (3.44±0.94mg/di
in stoneformers, 3.16±0.38 mg/dl in healthy subjects).
In Spraque-Dawley rats each weighing about 200 g urinary citrate and calcium excretion were
studied after administration
of sodium citrate or calcium chloride or both.
The concomitant
equomolar administration
of sodium citrate and calcium chloride did not have significant influence
on urinary citrate or calcium excretion as compared when citrate or calcium was given alone.
However, the calcium excretion was significantly decreased with the administration
of citrate and
calcium ata molar ratio of 1: 2.
(Acta Urol. Jpn. 37: 1103-1106, 1991)
Key
words:
Urolithiasis,
Citrate,
Calcium,
Intestinal
absorption
シ ウ ム結 晶を 溶 解 す る こ と,お よび エ チ レソ グ リコー
緒
言
ル に よる ラ ッ ト実験 結 石 モ デ ルを 用 い,invivoに
尿 路 結 石症,な か で も カル シ ウ ム結 石 症 と クエ ン酸
の 関 係 は,近 年 簡 便 な クエ ン酸測 定 法 が 登場 す る に 至
り,比 較 的 詳 細 に 検討 され る よ うに な って きた.ク エ
お
いて も,ク エ ン酸 が蓚 酸 結 石 形成 抑 制効 果 を示 す こ と
を報 告 して きた4),
ま た,臨 床 的 検 討 で は,正 常健 康 人 の 尿 中 クエ ン酸
ン酸が 尿 中 で カ シ ウ ム と結 合 し,溶 解 度 の 高 い塩 を 形
排 泄量 の検 討 か ら,男 子200mg,女
成 す る性 質 を 利 用 し,こ れ を 補 うこ とに よ り,カ ル シ
エ ン酸 の24時 間 排 泄 量 の正 常 下 限 と定 義 して い る が
子250mgを
ク
ウム結 石 の再 発 を 予 防 した り1・2),あ る い はESWL
,
これに 従 うと尿 路結 石 症 患 者 の約4人 に1人 が低 クエ
治 療 後 に 生 じ る と考 え られ る 小 さな 破片,い
ソ酸 尿 症 を示 す 結 果 とな って い る2).
microfragmentの
溶 解,排
わゆ る
泄 を 目的 とす る試 み もな
され て い る3).
著者 らは,invitroに
この よ うに,ク エ ン酸 が 蓚 酸 カ ル シウ ム結 石 の 形 成
に 抑 制 的 に働 くで あ ろ うこ とは,比 較 的 容 易 に 理 解 で
お いて クエ ン酸 が 蓚 酸 ヵ ル
き るが,他 方 実 際 に 尿 路 結石 症 患 者 に おい て,い か な
1104
泌 尿 紀 要37巻10号1991年
る クエ ン酸 代 謝 の異 常 が あ る のか は,い まだ ほ とん ど
者 では1.99±0.49mg/dlと
結 石 患 者 群 に お い て有 意
検 討 され て は い な い よ うで あ る.
に高 値 を 呈 し,他 方,ク
エ ソ酸負 荷30分 後 で は,そ れ
そ こで 著 者 らは,尿 路 結 石 症 に お け る クエ ン酸 代 謝
ぞれ3・16±o.38mg/dl,3.44±o.94mg/dlと
いず れ も
の異 常 を 解 明 す る 目的 で,腸 管 に お け る クエ ン酸 の 吸
負荷 前 に 比 ぺ れ ば有 意 な上 昇 が認 め られ た が,両 群 間
収 と,カ ル シ ウ ムの 吸収 に 与 え る クエ ン酸 の影 響 に つ
に おけ る比 較 で は有 意 な差 は認 め られ な か った.
い て,二,三
の 検討 を お こな った の で,そ の結 果 を 記
載 す る とと もに,若 干 の考 察 を 加xる.
実 験3:ラ
対 象および方法
実 験1:腸
め,ク
(mg/dの
管 に おけ る クエ ソ酸 の 吸収 を 検 討す るた
エ ン 酸製 剤(ウ
ラ リ ノr-u)3gを300m1
の水 で 経 口投 与 後,血 液 中 の クエ ン酸 濃 度 を経 時 的 に
測 定検 討 した.対
象 と な った の は 腎機 能 障害 を 有 さ
ず,尿 路 結石 の既 往 の ない 健康 正常 人7名(う
1名)で
ち女 性
あ る,な お血 液 中 の クエ ン酸 濃 度 の 測定 は ク
エ ン酸 リア ーゼ を用 いた 酵 素 法 に よ りお こな った5).
実 験2=健
U
C
O
U
8雪
岩
E
LN
N
mean±S.D.
P<0.01
P<0.007
康 正 常 人 と尿 路 結石 症 患 者 の,腸 管 に お
け る クエ ソ酸 の 吸収 に つ い て 比較 検 討 す る 目的 で,尿
路 結 石 患 者27名 の空 腹 時 血 中 クエ ソ酸 濃 度 と,ク エ ン
酸製 剤3gの
経 口投 与30分 後 の 血 中 クエ ン酸 濃 度 を
測 定 した.
実 験3;腸
管 にお け る カル シウ ムの 吸 収 に与 え る ク
エ ン酸 の 影 響 に つ い て 検 討 す る 目的 で ,体 重200g
前 後 のSDラ
ッ トに お け る クエ ン酸 とカ ル シ ウ ム の 吸
収 につ い て
120
pre16304560
(min)
Fig.1.Serumcitrateconcentrationbeforeand
afteroraladministrationof3gsodiumpotassiumcitratein7healthysubjects
(ms/m)
4
ッ ト(日 本 ク レア株 式 会 社)を 用 い,カ
ル シ ウ ム製 剤 と して 塩 化 カル シウ ム,ク エ ン酸 製 剤 と
薯3
0v
して クエ ン酸 ナ トリウ ムを単 独 あ るい は 同時 に強 制 投
与 をお こな い,以 後6時 間 の尿 中 カル シ ウ ムお よび ク
エ ン酸 排 泄量 を測 定 検 討 した .
結
実 験1=ク
果
爲
2
v
E
●-00㎜{n=8}
dN
f‐STONEFONMIEH(n=Z7)
0
エ ソ酸 製 剤 経 口負荷 後 の 血 中 クェ ン酸 濃
度 の経 時 的変 化v`つ い て
0
Fig.2.
クエ ソ酸製 剤 投 与 後 の血 清 中 クエ ン酸濃 度 の変 化 を
Fig.1に
30(min)
Theresponseofserumcitratetotheoral
citrateload.
示 す.ク エ ン酸 製 剤投 与 後15分 です で に 有
Effectoforalcitrateand/orcalcium
loadonurinarychemistriesinrats.
Table1.
意 な 上 昇 が観 察 され,30分 付 近 で ピ ー ク とな り,以 後
ゆ るや か に漸 減 す る傾 向 が認 め られ た 。た だ し,こ れ
Group
らの 血 清 中 クエ ソ酸 濃度 の変 化 に は症 例 に よ りば らつ
きが あ り,投 与 後 す み や かY`ピ ー クに達 す る もの や,
実験2=ク
エ ン酸製 剤経 口負 荷 後 の,結 石 患 者 と健
康 人 の血 中 クエ ン酸濃 度 の変 化 に つ い て
r;g.2に
正 常 健康 人7名
8.01
6:56
(o.2s)
(0.50)
(1.65)
(112)(2.20)
1343.53艦
(2.22)
3.34`
(1.21)
s.00
(0.79)
(0.60)(176)
(1.31)
(1.38)
(0.15)
(0.36)(0.12)
aoizs.aa・
2.354.67
〔 巳ノ6hrs)231
0.61`0.23
Citrate(mg/6nn)2.69
(1.82)
8
8SDi5in
nifl㎝ 【t■yd,騨 騨 ●Atfr㎝60ntro
Gl
°51
niliaenNytl{HerentIromgroup
【i蟹i6●
【tlydI野 解 ●【t「r㎝
荷 前 の 血 中 クエ ン酸 濃 度 は,正 常 健 康 人 で はL61±
P1;舗
P4多C8Clじ
0.35mg/dl(mean±SD)で
あ った のに 対 し,結 石 患
(3.26)(7.18)
panntheaas.
15{Pく0.00重).sPく0.01,eP〈o.os.
(Pくo.os).
即oup
■i【
●蓼woup2;伽Cl■
τmmo「 十3N8dtr■
P5iCeCI量lmmol十3Nit
5
10
5.93°8.34・
Calcium(mg/6hr5}o.is
Vel
°Si
4
io
(0.54)(0.49)
(1/Ewa)3.44
Ct層
3
(0.56)
と結石 患 者27名 の クエ ン
酸 負荷 前 後 の血 清 クエ ソ酸濃 度 を示 した。 クエ ン酸 負
2
129
pH6.59
ピー クが お くれ る もの,一 度 上 昇 した クェ ン酸 濃 度 が
持 続す る もの な どが認 め られ た.
1
n12
(Pく0,01}.
mmd,Group3;3Naeiiretsl
tmural
o.s
5.96°
O.57鵬
(027)
22.34'
(8.76)
3.12
0,2γ ・
(0.16)
4.12
(2.74)
1105
安 川,ほ か=尿 路結 石 症 ・クエ ン酸
Tablelに,ラ
ッ トに 塩 化 カル シ ウムlmmol,ク
症 を 呈す る症 例 が 多 い こ と も考 え られ る.
エ ン酸 ナ ト リウムlmmo1,塩
化 カ ル シ ウ ム と クエ ソ
今 回,腸 管 に お け る クエ ン酸 の吸 収 を 検 討す る 目的
酸 ナ トリウ ムを各1mmol,お
よび 塩 化 カル シ ウムは
で,ク エ ン酸 製 剤 の経 口負荷 後 の血 中 クエ ン酸濃 度 の
1mmolの
ま まで クエ ン酸 ナ トリウ ム0.5mmo1を
時投 与 した 時 の尿pH,尿
同
中 クエ ン酸排 泄量,お
よび
検 討 で は,コ
ン トロール群(生 理 食 塩 水
し,両 群 間 で 比 較検 討 した が,予 想 に反 し負 荷 後30分
は 酸性 に,お よび クエ ソ酸 ナ トリウ
の血 中 クエ ン酸 濃 度 は,健 康 正 常 人 と結 石 患 者 の間 に
ム投 与 群(group3,4)で
は アル カ リ性 に有 意 な 変 化
は,塩 化 カ ル シ ウ ム溶 液 のpHと
相殺
尿 中 クエ ソ酸 排 泄 量 は カ ル シ ウ ムの投 与 の有 無 に か
お い て(group3,4)有
収 につ い て は 定 説を 見 る に 至 っ て お ら ず,Rudman
ら7)は結 石 憲者 に お い て クエ ン酸 の 吸収 障 害 を 証 明 で
す る た め,有 意 な 変 化 を示 さ なか った,
か わ らず,ク エ ソ酸lmmolの
有 意 な差 は 認 め られ な い とい う結果 で あ った.
健 常 人 と尿 路 結石 患 者 の腸 管 に お け る クエ ン酸 の 吸
が認 め られ た.ク エ ン酸 の投 与 量 を 半量 と した 群
(group5)で
27名 に おい て 早朝 空腹 時 と クエ ン酸 負荷 後30分 に 採 血
比べ,塩 化 カル シ ウム単 独 投 与
投与 群,groupDに
群(group2)で
正 常 健 康 人7名 の検 討 結 果 か ら,負 荷30分 後 付 近 に
血 中 クエ ン酸 濃 度 の ピー クが くる こ と よ り,結 石 患 者
尿 中 カル シ ウム排 泄 量 等 の検 討 結 果 を示 した,
尿pHの
検討 を お こな った.
投 与 を お こ な った 群 に
意 な排 泄 増 加 が認 め られ た.
き ない と記載 し,他 方Cowleyら8)は,結
石患者にお
いて は 明 らか に クエ ン酸 の 吸 収 障害 が あ る こ とを 指 摘
して い る.今 回 の検 討 では,結 石 患 者 に お いて クエ ン
しか しなが ら,カ ル シ ウム投 与 下 に クエ ン酸を 半 量 と
酸 の吸 収 障 害 を確 認 す る こ とは で きなか った が,あ
す る と,尿 中 クエ ン酸排 泄 量 はほ とん ど増 加 を 示 さな
いは 結 石 患者 に お い て,よ
か った.
なえ ば,健 常 人 との間 にな ん らか の差 が 認 め られ る可
尿 中 カ ル シ ウ ム排 泄量 は,塩 化 カル シ ウム と クエ ン
酸 ナ トリウ ムを 同 じモ ル比 で 投 与 して も(group4),
塩 化 カ ル シ ウ ム単独 投 与 の時(group2)と
る
り詳 細 な経 時 的 検 討 を お こ
能 性 は 否 定 で きず,今 後 の 更 な る検 討 が 必 要 と思 わ れ
る,
比 べ 有意
また,ク エ ン酸負 荷 前 の 血 中 クエ ソ酸 濃 度 の 検 討 で
な差 は認 め られ な か った が,ク エ ン酸 の投 与 量 を半 量
健 常 人 と結石 群 の間 に 差 が で きた こ とは 予 想 外 で あ っ
に した 場 合(group5),す
な わ ち カル シ ウ ム と クエ ン
た.こ れ は健 常人 の症 例 数 が 少 な い こ とや,健 常 人 の
モ ル比 で投 与 した場 合,カ ル シ ウ ム投 与
場 合,安 静 や絶 食 な どに 関 し結石 群 ほ ど も厳 密 な 制 限
酸 を2:1の
量 は 各 群 間 で 差 は な いに もか かわ らず,後 者 の方 が カ
を お こな っ て い なか った な どの条 件 の違 い が あ り,一
ル シ ウ ム排 泄 量 は有 意 に 低 値 を示 した.
概 に 結 石 群 に お いて 血 中 クエ ン酸濃 度 のbaselineが
高 い とい う結 論 とは な りえ な い が,興 味 深 い 結果 と考
考
察
え られ るの で,今 後 健 常 人 の 血 中 クエ ン酸 濃 度 の 検 討
一般 に ,尿 中 クエ ン酸排 泄 量 に最 も影 響 を 与 え る と
考 え られ る の は,酸 塩 基平 衡 で あ る と され て い る.す
を 重 ね 解 明 してゆ く予 定 で あ る.
今 回 の 検討 では,ク エ ン酸 の単 剤 投 与 で は,吸 収 に
な わ ち,ア シ ドー シス に傾 く と,尿 細 管 に お け る クエ
関 して対 照 群 と結 石 群 の 間 に 差 は認 め られ な い とい う
ン酸 の再 吸収 が 充 進 す る結 果,尿 中 クエ ン酸排 泄 量 が
結 果 で あ った が,実 際 の 生 活 に お い て クエ ソ酸 の み を
減 少 し,ア ル カ ロー シス では そ の 逆 に 尿 中 クエ ン酸 排
摂 取す る こ とは な く,他 の物 質 との関 連 も重 要 と考 え
られ る.今 回,ク エ ン酸 と関 係が 深 い と考 え られ る カ
泄 量 が増 加 す る と考 え られ て い る6).
しか しなが ら,実 際 に クエ ン酸 塩 を投 与 して,尿 中
クエ ソ酸 排 泄 量 の変 化 と尿 のpHの
してみ る と,必 ず し もpHの
変化を比較検討
変 化 と クエ ン酸 排 泄 量
ル シ ウム と の関 連 に つ い て検 討 を お こな った.
塩 化 カ ル シ ウ ム と クエ ン酸 ナ トリウ ムを投 与す る こ
とに よ り尿pHは
有意 な変 動 を 呈す る が,塩 化 カ ル
の変 化 の間 に は 良 好 な相 関 関 係 が 認 め られ な い.も ち
シ ウム溶 液 は 酸 性 で あ り,ク エ ソ酸 ナ トリウム溶 液 は
ろ ん,尿 のpHが
ア ル カ リ性 で あ るた め,こ れ らの投 与 に よ る影 響 と考
腎尿 細 管 細 胞 内で の 酸 塩 基 状 態 を
正 確 に 反 映 して い る とは限 らな い が,こ
こで,ク ェ ン
酸投 与 に よ る尿 中 クエ ン酸 排 泄 量 の 変 化 の程 度に 個 人
え られ る.
尿 中 クエ ン酸 排 泄 量 は,ク エ ン酸 単独 投 与 群
(group3)と
カ ル シ ウ ム と ク エ ン 酸 の 同 時投 与 群
管 に おけ る クエ ン酸 の 吸収 に は個 人 差 が あ る こ とが 予
(group4)で
は 有 意 な 排 泄 増 加 を しめ し,尿 中排 泄
想 され,さ
量 か らは クエ ソ酸 の 吸 収 に対 して カル シ ウ ムは影 響 を
差 が あ る こ とは 興 味 深 い.こ の原 因 の 一つ と して,腸
らに 結石 患 者 に お いて は,健 康 人 に く らベ
クェ ン酸 の吸 収 障 害 が あ り,そ の た め に低 クエ ン酸 尿
Jxな
い よ うに 思 わ れ た.Group5に
お い て は クエ
lios
泌 尿紀 要37巻10号1991
ン酸 排 泄 量 は 増 加 を 示 さなか った が,尿pHの
結果
Long-termtreatmentofcalciumnephrolithiasiswithpotassiumcitrate.JUrol134:
YGみ られ る よ うに,酸 塩 基 平 衡 が 尿 中 クエ ソ酸 排 泄 量
に影 響 を 及 ぼ して い る可 能 性 が 強 く,尿 中 クエ ソ酸排
11-19,1985
2)安
泄 量 が 低 値 とな って も,カ ル シ ウ ムが クエ ン酸 の 吸 収
に影 響 を 与 え て い る とは 断 定 で きな い.事 実,今 回 の
検 討 で も尿 中 クエ ン酸排 泄 量 と尿pHの
討
変 化 は 比較
カルシ
クエ ン 酸 排 泄 量 の 検
と ク エ ン 酸 剤 投 与 に よ る 治 療 効 果 の 検 討 一.日
原 正 樹,森
本 鎮 義
た 蓚 酸Ca結
量 に与 え る影 響 につ いて の 検 討 で は,カ ル シ ウム:ク
投 与 した 場 合(group4)は
路 結 石 症 に お け る クエ ン 酸 療 法 の 臨
安 川
修,ほ
か:尿
路 結 石
症 に お け る ク エ ソ 酸 の 研 究 一ESWLで
クエ ソ酸 と カル シウ ムの 同 時投 与 が カル シ ウム排 泄
エ ン酸 を1:1で
修;尿
泌 尿 会 誌79=620-628,1988
3)上
的 よ く似 た傾 向 を示 して い る と思わ れ た.
川
床 的 検 討 一 尿 路 結 石 症 患 者 の
石 の 溶 解 効 果 の 検 討 一.第78回
泌 尿 器 科 学 会 総 会
日本
札 幌 市 互990
修:尿
路 結 石 症 に お け る ク エ ン 酸 療 法 の 基
ウム単 独 投与 群 との間 に 有 意 な 差が み とめ られず,カ
クエ ン 酸 の 蓚 酸 カ ル シ ウ ム結 晶 溶 解 作
ル シ ウム=ク エ ン酸 が2=1の
用 お よ び ラ ッ ト実 験 結 石 に 与 え る 影 響 一.日
カ
ル シウ ムの排 泄量 が 有 意 に 低値 を しめ し,投 与 され る
川
さ れ
礎 的 検 討 一
場 合(group5)に
4)安
破 砕
泌 尿
会 誌79:613-619,1988
5)安
クエ ン酸 と カル シ ウム の比 に よ り,カ ル シ ウ ムの 吸収
川
修,戎
野 庄 一,森
本 鎮 義,ほ
か;ク
エ ン 酸
リ ア ー ゼ を 用 い た 血 清 ク エ ソ 酸 測 定 法 の 検 討 一.
が阻 害 され る可 能性 が あ る とい う結 果 が 得 られ た 。 臨
日 泌 尿 会 誌inpress
6)SimpsonDP:Citrateexcretion:awindow
床 の場 に おい て も クエ ン酸製 剤 の経 口投 与 を お こ な い
onrenalmetabolism.AmJPhysiol244:
尿 中 カ ル シ ウ ム排 泄 量 を 検 討 してみ る と,症 例 に よ っ
て は カ ル シ ウ ム排 泄 量 の有 意 な減 少 が 認 め られ る こ と
F223-F234,1983
7)RudmanD,KutnerMH,ReddSCII,etal.:
Hypocitraturiaincalciumnephrolithiasis.J
が あ る9・10).この 原 因 と し て,一 般 的 に は クエ ソ酸 製
剤 投 与 に よ り惹起 され た 代謝 性 ア ル カ ロ ー シスに 伴 う
CIinEndocrinolMetab55:1052-1057,1982
8)CowleyDM,McWhinneyBC,BrownJM,et
カ ル シ ウ ム代 謝 の変 化 に よ る とされ て い るが,RumenapfandSchwilleu)は
al..Chemicalfactorsimportanttocalcium
ラ ジオ ア イ ソ トー プ を 用 い
nephrolithiasis:Evidenceforimpairedhydroxycarboxylicacidabsorptioncausinghy-
た 実 験 で,ク エ ン酸 の存 在下 で は カル シ ウ ムの吸 収 は
阻 害 され る と記 載 して い る.他 方,Cowley12)ら
はカ
ル シ ウ ム と クエ ン酸 の 同 時投 与 に よ り,カ ル シウ ムの
peroxaluria.ClinChem33:243-247,1987
9)SakhaeeK,NicarM,HillK,etal.:Contrastingeffectsofpotassiumcitrateandsodium
吸 収 は む しろ充 進 す る と記 載 し,NicarandPakユ3)
citratetherapiesonurinarychemistriesand
も クエ ン酸 カル シウ ムは 炭 酸 カ ル シ ウ ム よ り吸収 が よ
crystallizationofstone-formingsalts.KidneyInt24:348-352,1983
く,む しろ クエ ン酸 カル シ ウ ムの カ ル シ ウ ム製 剤 と し
10)大
て の有 用 性 を報 告 して い る.
川 順 正,戎
症 に 対 す る
以上 の よ うに,消 化 管 に お け る クエ ン酸 とカ ル シ ウ
ムの関 係 に つ い て は い まだ 一 定 の見 解 は 得 られ るに 至
って お らず,投 与 され る カル シ ウム と クエ ン酸 の比 が
吸 収 に与 え る影 響 につ い て も不 明 な点 が 多 い.今 後 の
詳 細 な検 討 が 必要 で あ る と思 わ れ る。
結
語
尿路 結 石 症 に おけ る クエ ソ酸 代謝 異 常 を 解 明す る 目
野 庄 一,森
クエ
本 鎮 義,ほ
ン 酸 製 剤(CG-120)療
設 共 同 臨 床 試 験12.尿
か:尿
路 結 石
法 の 多 施
お よ び 血 液 化 学 検 査 成 績.
泌 尿 紀 要34:918-931,1988
11)RumenapfGandSchwillePO:Theinfluenceoforalalkalicitrateonintestinal
calciumabsorptioninhealthyman.Clin
Sci73:117-121,1987
12)CowleyDM,McWhinneyBC,BrownJM,et
al.:Effectofcitrateontheurinaryexcretion
ofcalciumandoxalate:relevancetocalcium
oxalatenephrolithiasis.ClinChem35:23-
的 で,腸 管 に お け る 吸収 の 面 に 重点 を お い て 検 討 し
た.現 在 の段 階 で は,尿 路 結 石 症 に関 連 す る と思 われ
28,1989
13)NicarMJandYakCYC:Calciumbioavai-
る,ク エ ソ酸 の 吸収 異 常 に つ い て は解 明す るに 至 っ て
labilitySromcalciumcarbonateandcalcium
い な いが,今 後 の さ らに詳 細 な 検討 と,ク エ ソ酸 と他
citrate.JCIinEndocrinolMetab61;391-
の物 質 との相 互 関 係 につ い て の 検討 が 必要 と 考 え ら
れ た.
文
献
1)FakCYC,FullerCC,SakhaeeK,etal.;
393,1985
rReceivedonFebruary18,1
`AcceptedonApril22,1991
Fly UP