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第33回 ESRI-経済政策フォーラム
世界同時不況?! ∼日米欧同時利下げへ∼ BNPパリバ証券会社 チーフエコノミスト 河野龍太郎 00 世界経済見通し 日米欧の成長率・物価の見通し (前年比、%) 日本 2005 (実績) (年度) 実質GDP CPIコア (暦年) 実質GDP CPIコア 米国 (暦年) 2006 (実績) 2007 (実績) 2008 2.4 2.4 1.6 (1.62) 0.8 (1.56) 1.5 (2.00) 0.1 0.1 0.2 (0.27) 0.4 (0.56) 0.3 (0.54) 1.9 2.4 2.1 0.9 1.2 -0.1 0.1 0.0 0.6 0.2 2005 (実績) 2006 (実績) 2007 (実績) 2008 実質GDP 3.1 2.9 2.2 0.9 CPIコア 2.2 2.5 2.3 2.4 ユーロ圏 (暦年) 2009 2005 (実績) 2006 (実績) 2007 (実績) (1.58) 2008 2009 1.4 1.7 2009 実質GDP 1.6 2.9 2.6 1.1 1.3 HICPコア 1.4 1.4 1.9 1.8 1.9 (出所)BNPパリバ証券作成 (2.42) (注) ( )は、ESPのコンセンサス *2007年度の日本の実質GDP、CPIコアは予測値 1 ダム決壊? 急激に悪化する米国の非製造業景況感 70 ISM指数の推移 65 製造業(PMI) 非製造業(NMI) 60 55 50 45 40 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (出所)全米供給管理協会資料より、BNPパリバ証券作成 2 デカップリング・シナリオは崩壊の危機に直面!? 先進国の景気減速が新興国へ波及 図1: OECD景気先行指数 図2: 需要地別工作機械受注(季節調整値、10億円) 106 35 OECD アジア 中国 欧州 北米 105 30 104 103 25 102 20 101 100 15 99 98 10 06 07 08 06 07 08 (出所)OECD、日本工作機械工業会資料より、BNPパリバ証券作成 3 ユーロ圏も景気減速 図1: ドイツ:PMIの推移 図2: フランス:PMIの推移 70 70 製造業 サービス 65 製造業 サービス 65 60 60 55 55 50 50 45 45 40 40 00 01 02 03 04 05 06 07 08 00 01 図3: スペイン:PMIの推移 02 03 04 05 06 07 08 06 07 08 図4: アイルランド:PMIの推移 70 70 製造業 サービス 65 製造業 サービス 65 60 60 55 55 50 50 45 45 40 40 00 01 02 03 04 05 06 07 08 00 01 02 03 04 05 (出所)Reutersより、BNPパリバ証券作成 4 ユーロ圏でも住宅バブル崩壊 ECBの利下げの遅れから深刻な事態に陥るリスクも 図1:住宅価格指数 (名目、00年=100) 図2:住宅投資(GDP比、%) 250 16 アイルランド スペイン 230 14 210 190 12 170 スペイン 10 150 米国 130 8 110 米国 6 90 ドイツ 70 アイルランド ドイツ 4 50 2 30 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (出所)OECD, EcoWinより、BNPパリバ証券作成 5 スペインのバブル崩壊の検証 始まった過剰投資と過剰雇用の調整 図1:スペインの住宅投資と住宅着工 図2:就業者に占める建設業従業者の割合 (%) 180 90 住宅投資(00年=100) 160 80 住宅着工(年率、万戸、右目盛) 140 70 120 60 100 50 80 40 60 30 40 20 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 スペイン ドイツ 米国 95 図3:家計部門の負債残高 (名目GDP比、%) 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 図4:企業部門の借入残高 (名目GDP比、%) 110 90 85 80 75 70 65 60 55 50 45 40 スペイン スペイン 100 スペインを除くユーロ圏 スペインを除くユーロ圏 90 80 70 60 50 40 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (出所)EcoWinより、BNPパリバ証券作成 6 過剰投資の調整 低迷の続く米国住宅市場 図1: S&P/ケース・シラー住宅価格指数 (前年比、%) 図2: 中古住宅販売戸数 (年率、万戸) 20 750 15 700 10 650 5 600 0 550 -5 500 月次 四半期 450 -10 01 02 03 04 05 06 07 01 図3: 中古住宅の在庫月数 02 03 04 05 06 07 08 図4: 住宅着工戸数と建設中戸数 (年率、万戸) 11.5 240 150 10.5 220 140 9.5 200 130 180 120 160 110 140 100 8.5 7.5 6.5 5.5 住宅着工件数 建設中戸数(右目盛) 120 4.5 90 80 100 3.5 01 02 03 04 05 06 07 08 01 02 03 04 05 06 07 08 (出所)S&P、全米不動産業者協会、米商務省資料より、BNPパリバ証券作成 7 米住宅バブル崩壊の個人消費への影響 過剰債務の調整過程で、貯蓄率は上昇へ 図1:米国モーゲージ残高の個人所得に占める比率 (%) 5 100 90 図2:米国個人貯蓄率(%) モーゲージ残高/個人所得(年率換算) 4 3 80 2 70 1 60 0 50 -1 40 -2 30 -3 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (出所)米国商務省、FRB資料より、BNPパリバ証券作成 8 上昇する延滞率 サブプライムだけでなくプライムも悪化 18 3.4 ローン延滞率(%) 3.2 17 プライム 3.0 16 サブプライム (右目盛) 15 2.8 14 2.6 13 2.4 12 2.2 11 2.0 10 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (出所)MBA資料より、BNPパリバ証券作成 9 米雇用悪化の兆し: 負の乗数メカニズムが作動? 「外的ショック→生産減速→雇用減速→所得減速→支出減速」 図1: 非農業部門雇用者数 (前月差、万人) 図2: 実質小売業売上高∼FRB St.Louis(前期比年率、%) 15 40 2005年平均21.1万人 35 2006年平均17.5万人 30 10 25 2007年平均9.5万人 20 5 15 0 10 5 0 -5 -5 ※2008年1Qは1-2月データ 2008年平均マイナス4.3万人 (年初来) -10 -10 05 06 07 08 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (出所) EcoWinより、BNPパリバ証券作成 10 バンク・キャピタル・クランチ! 信用収縮の深刻化を示す米貸出動向調査 図1: 住宅ローン貸出基準を引き締めたネット割合 (%) 全体 プライム サブプライム 2007年4月より調査方法を変更 00 01 02 03 04 05 06 07 図2: 消費者信用の貸出基準を引き締めたネット割合(%) 引き締め超 80 70 60 50 40 30 20 10 0 -10 -20 08 緩和超 クレジットカード 30 20 10 0 -10 00 01 図3: 企業向け貸出基準を引き締めたネット割合(%) 大・中堅企業向け 00 01 02 03 04 05 06 07 02 03 04 05 06 07 -20 08 緩和超 図4: 商業用不動産貸付に関する回答(%) 引き締め超 80 中小企業向け 引き締め超 40 クレジットカード以外 貸出基準を引き締めたネット割合 需要が強いと回答したネット割合 100 60 80 40 60 20 40 0 20 -20 0 -40 -20 -60 -40 -80 08 緩和超 -60 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (出所)FRB、BNPパリバ証券作成 11 資産価格下落で経済主体の財務状況は悪化 資本コスト上昇と資金のアベイラビリティ低下が企業や家計の支出を抑制 図1: 3極CDSの推移 (bp) 図2: ドルLIBOR - OIS (3ヶ月物、%) 250 1.2 iTraxx Japan50-5year CDX.NA.IG-5year iTraxx Europe-5year 200 1.0 0.8 150 0.6 100 0.4 50 Mar-08 Feb-08 Jan-08 Dec-07 Nov-07 Oct-07 Sep-07 Aug-07 Jul-07 Jun-07 Mar-08 Feb-08 Jan-08 Dec-07 Nov-07 Oct-07 Sep-07 Aug-07 Jul-07 0.0 Jun-07 0 0.2 (出所)Bloombergより、BNPパリバ証券作成 12 バーナンキ議長のフィナンシャル・アクセラレーター理論 最悪の事態は負債デフレーション?! (1) フィナンシャル・アクセラレーター:資産価格下落によって 家計や企業、銀行の財務内容が悪化、家計や企業の資 金調達が困難となり、個人消費や設備投資を抑制。 (2) 本来、金融政策は予想インフレとGDPギャップに反応して 行われるが、フィナンシャル・アクセラレーターが生じる場 合は資産価格など金融面の動きにも配慮。 (3) リスク・マネジメント・アプローチ:蓋然性が高くなくても、最 悪の事態(=負債デフレ)を回避するために予防策を打つ。 (4) 日本からの教訓:テーラー・ルールで算出される政策金利 から200BP程度低い水準への引下げ。 13 米国の中立金利は名目で3%台半ば 負債デフレ回避のためにFFレートは1%へ 10 テーラー・ルールによるFFレートの分析 (%) 8 *FF=実質FF10年移動平均+予想インフレ率(CPIコア4期移動平均)+0.5×ギャップ率+0.5×(CPIコア実績−目標インフレ率) *実質化にはCPIコア使用、目標インフレ率は2% 6 4 3.77% 実績からの乖離 FFレート(実績) 理論値(Taylor rule) 2 2.25% 0 -2 -4 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (出所)EcoWinよりBNPパリバ証券作成 14 バンク・キャピタル・クランチへの対応策は? ■バンク・キャピタル・クランチへの二つの対応策 (1) 中央銀行がオーバーナイト金利を引き下げ、銀行が長短金 利差から利ザヤを稼ぐことで、時間をかけて自己資本を修復 していく方法(グローイング・アウト政策) (2) 毀損した資本を埋めるべく公的資金を直接投入する方法 ■確実な解決策は後者だが、バブル崩壊直後に銀行に公 的資金を投入するのは、どこの国でも政治的には困難 で、まずは中央銀行の利下げで対応 ■救世主は中国・中東マネーか? 15 景気ウォッチャー調査は2007年4月以降11ヶ月連続の50割れ 景気ウォッチャー調査: 現状判断DI 原系列 60 当社季節調整値 55 50 45 40 IT調整に伴う「踊り場」 35 30 イラク戦争に伴う「踊り場」 25 01 02 03 04 05 06 07 08 (出所)内閣府資料より、BNPパリバ証券作成 16 住宅投資の落ち込みは4Qも継続 図1: 新設住宅着工戸数 (年率、千戸) 図2: 建設業活動指数・民間建築住宅 (00年=100) 1,400 104 102 100 98 96 94 92 90 88 86 84 82 1,300 1,200 1,100 1,000 900 月次 四半期 800 700 02 03 04 05 06 07 08 月次 四半期 02 図3: マンション販売 (季節調整値、千戸、首都圏+近畿圏) 150 140 130 120 110 100 90 80 全売却戸数(年率換算値) 全残戸数(右目盛) 70 60 02 03 04 05 06 07 08 03 04 05 06 07 08 07 08 図4: 建設財の生産と在庫率 (00年=100) 20 130 18 120 16 110 14 100 12 90 10 80 8 70 生産 在庫率 02 03 04 05 06 (出所)国土交通省、 経済産業省、不動産経済研究所資料より、BNPパリバ証券作成 17 GDPのわずか10%の輸出がなぜ景気を左右していたのか? 100% 90% 80% 名目GDPに占める輸出入の割合 (2006年) 70% 輸出 輸入 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 日本 米国 英国 フランス ドイツ ベルギー 中国 (出所)EcoWinより、BNPパリバ証券作成 18 名目賃金の下方硬直性は消滅したか? 5 名目賃金(現金給与総額)(暦年、前年比、%) 4 3 2 1 0 -1 名目賃金の下方硬直性は消滅? -2 -3 -4 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (出所)厚生労働省資料より、BNPパリバ証券作成 19 雇用情勢の改善が続いているにもかかわらず、 なぜ、平均賃金は低迷しているのか? 図1: 常用雇用 (前年比、%) 図2: 平均賃金 (前年比、%) 2.5 2 2.0 1 1.5 0 1.0 -1 0.5 -2 0.0 現金給与総額(平均賃金) -3 -0.5 -4 -1.0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 02 03 04 05 06 07 08 (出所)厚生労働省資料より、BNPパリバ証券作成 20 なぜ平均賃金が下落し、パート比率は上昇しているのか? 無視できない団塊世代の影響 図1: パート比率 (季節調整値、%) 図2: 60∼64歳男性の労働力率 (%) 77 76 75 74 73 72 71 70 69 68 67 27 26 25 24 23 22 21 20 19 00 01 02 03 04 05 06 原数 季節調整値 00 07 図3: 男性の年齢階層別所定内給与 (千円、横軸は年齢階層) 01 02 03 正社員以外 定年延長・定年廃止 350 正社員として現在の処遇のまま雇用 300 正社員として現在の処遇を見直して雇用 250 契約社員、パートタイム・アルバイトなどとして 雇用 200 子会社、グループ会社などでの雇用 150 20-24 06 07 08 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 正社員 18-19 05 図4: 団塊世代の雇用者の年金支給開始年齢までの雇用方針(複数回答) 450 400 04 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 (歳) 4.1% 2.8% 34.6% 29.1% 転職・自営の支援 6.6% その他・未定 7.7% 62.5% (出所)厚生労働省、総務省、内閣府資料より、BNPパリバ証券作成 21 物価関連データ 1 図1: CPIコア (前年比、%) 図2: 石油製品除くCPIコア (前年比、%) 0.4 1.0 全国 0.8 東京 全国 0.2 0.6 0.0 0.4 0.2 -0.2 0.0 -0.4 -0.2 -0.6 -0.4 -0.6 -0.8 04 05 06 07 08 04 図3: 10%刈込平均CPI (前年比、%) 55 CPIコア 0.6 10%刈込平均CPI 06 07 08 図4: CPIの前年比上昇品目と低下品目の割合 (%) 1.0 0.8 05 前年比マイナスの品目 前年比プラスの品目 50 0.4 45 0.2 0.0 40 -0.2 -0.4 06 07 08 35 06 07 08 (出所)総務省資料より、BNPパリバ証券作成 22 物価関連データ 2 図1: CGPI (前年比、%) 図2: CSPI (前年比、%) 4.0 2.0 3.5 1.5 CSPI CSPI (海外要因除く総合) 3.0 1.0 2.5 0.5 2.0 0.0 1.5 1.0 -0.5 0.5 -1.0 0.0 -1.5 04 05 06 07 08 04 図3: GDPデフレーターと内需デフレーター (前年比、 %) 0.5 0.0 -0.5 -1.0 -1.5 -2.0 GDPデフレーター -2.5 内需デフレーター -3.0 00 01 02 03 04 05 06 07 05 06 07 08 図4:輸入消費財(CGPI)と名目実効円レート(前年比、%) 14 12 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 -10 消費財・輸入品 -14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 (↑円安) 名目実効円レート(右、逆目盛) (↓円高) 02 03 04 05 06 07 08 (出所)内閣府、日本銀行資料より、BNPパリバ証券作成 23 インフレ率は1%まで上昇も 上昇は主に石油製品 図1: CPIコア (前年比、%) 図2: CPI・石油製品の推移 (前年比、%) 1.0 予測 22 20 0.8 除く石油製品 CPIコア 18 全国 0.6 16 東京 0.4 14 12 0.2 10 0.0 8 6 -0.2 4 -0.4 2 -0.6 0 -2 -0.8 -4 -1.0 -6 02 03 04 05 06 07 08 09 02 03 04 05 06 07 08 (出所)総務省資料よりBNPパリバ証券作成 24 CPIのトレンドを決める最大の要因は? 需給ギャップのはずだが・・・ CPI総合(前年比、%) 16 日本のフィリップス曲線 (75年∼07年4Q、四半期データ) 12 8 現在の失業率 4 0 -4 バブル崩壊以前のNAIRU (2%台前半) 現在のNAIRU (3%台前半?) ※2008年1Qは1月データ -8 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 失業率( % ) (出所)総務省資料よりBNPパリバ証券作成 25 日本経済は「ゼロインフレの罠」に陥っているか? フィリップス・カーブの水平化 ニュー・ケインジアン型フィリップス・カーブ 今期のインフレ率=来期のインフレ率見通し +β・需給ギャップ+γ・供給ショック 「需給ギャップ要因」や「供給ショック要因」に対しインフレ が非反応的に ゼロインフレ予想が強いからインフレが上昇しない? 26 コスト増が中堅・中小企業の業績を圧迫 生産増・所得増・支出増の好循環メカニズムを阻害 60 経常利益∼中堅・中小企業 (法人企業統計年報、前年比、%) 50 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 (出所)財務省資料より、BNPパリバ証券作成 27 コスト増を価格に転嫁できない中堅・中小企業 50 販売価格判断D.I.と仕入価格判断D.I. (中小企業、全産業) 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 販売価格判断D.I. 仕入価格判断D.I. -40 -50 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (出所)日本銀行資料より、BNPパリバ証券作成 28 消費低迷の背景 業績悪化→賃金抑制→消費低迷 図1: 名目雇用者報酬 (前年比、%) 図2: 実質民間最終消費支出 (前期比年率、%) 3 5 2 4 3 1 2 0 1 -1 0 -2 -1 -3 -2 -4 -3 -5 -4 00 01 02 03 04 05 06 07 00 01 02 03 04 05 06 07 (出所)内閣府資料より、BNPパリバ証券作成 29 不確実性の高まりから企業は設備投資を先送り 2008年度はマイナスへ 図1 : 実質設備投資(前年比、 %) 図2 : 民間企備設備投資(年度、 前年比、 %) 15 8 10 6 5 4 0 2 -5 0 -10 -2 -15 -4 00 01 02 03 04 05 06 ※2007-2009年度は予測値 00 07 図3 : 経常利益の推移( 前年比、 %) 01 02 03 04 05 06 07 08 09 図4 : 建築着工∼民間非居住( 2 0 0 0 年= 1 0 0 ) 130 60 50 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 全規模 大企業 120 110 100 90 80 70 ※2008年1Qは1月データ 60 50 00 01 02 03 04 05 06 07 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (出所)内閣府、財務省、国土交通省資料より、BNPパリバ証券作成 30 存続問題に発展してきた企業の一部が値上げ 需給ギャップが悪化する中での値上げは消費を抑制 図1: 消費者態度指数 (月次、原数) 図2: 消費者態度指数∼物価の見通し∼ (月次、原数) 55 100 50 90 上がる 80 下がる 70 45 60 50 40 40 30 35 20 10 30 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 04 05 06 07 08 (出所)内閣府資料より、BNPパリバ証券作成 31 購入頻度の高い食品価格の上昇は、 人々のインフレ予想の醸成につながるか? 図1: 日本 (前年比、%) 4 3 図2: 米国 (前年比、%) 総合 7 食料 6 2 5 1 4 0 3 -1 2 -2 1 -3 0 -4 -1 02 03 04 05 06 07 08 総合 食料(*) 02 03 図3: EU15 (前年比、%) 06 07 08 07 08 総合 総合 5 05 図4: 中国 (前年比、%) 20 6 04 食料(*) 食料(*) 15 4 10 3 2 5 1 0 0 -5 -1 02 03 04 05 06 07 08 02 03 04 05 06 (*)米国、EU15、中国の食料は、食品と非アルコール飲料(外食及び酒・タバコは含まない) (出所) OECD、Bloomberg、総務省資料より、BNPパリバ証券作成 32 ついに減速局面入りした日本の生産循環 欧米は2007年4Qから減速 図1: 鉱工業生産(2000年=100) 図2: 生産:輸送機械工業(除.鋼船・鉄道車両)(2000年=100) 115 150 110 140 105 130 100 120 95 110 ※2008年2-3月は生産予測より試算。 90 100 90 85 02 03 04 05 06 07 08 02 図3: 生産:電子部品・デバイス工業(2000年=100) 03 04 05 06 07 08 図4: 生産:一般機械工業(2000年=100) 180 130 160 120 140 110 120 100 100 90 80 80 70 60 02 03 04 05 06 07 08 02 03 04 05 06 07 08 (出所) 経済産業省資料より、BNPパリバ証券作成 33 輸出は2007年4Qまで堅調だったが・・・ 図1: 米国向け実質輸出(10億円) 図2: EU向け実質輸出(10億円) 1500 1100 1400 1000 図3: アジア向け実質輸出(10億円) 3500 3300 3100 2900 2700 2500 2300 2100 1900 1700 1500 900 1300 800 1200 700 1100 600 500 1000 00 01 02 03 04 05 06 00 07 図4: 中国向け実質輸出(10億円) 01 02 03 04 05 06 07 図5: 中東向け実質輸出(10億円) 1200 1100 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 00 01 02 03 04 05 06 07 図6: それ以外の地域向け実質輸出(10億円) 300 1000 250 900 800 200 700 150 600 100 500 50 00 01 02 03 04 05 06 07 400 00 01 02 03 04 05 06 07 00 01 02 03 04 05 06 07 (出所) 財務省、日本銀行資料より、BNPパリバ証券作成 34 日銀の景気回復シナリオの破綻 好循環メカニズム停止に留まらず、負の循環へ これまで日銀は潜在成長ペースを上回る経済成長が続く論 拠として、「生産・所得・支出の好循環メカニズム」が持続する ことを掲げてきた。しかし、2007年の初めにはこのメカニズム は崩れ始めていた。 さらに、2008年1Qからは、好循環メカニズムの停止どころか、 「生産減少・所得減少・支出減少」の負の循環が始まったと見 られる。早晩、日銀の標準シナリオの破綻が明らかになるだ ろう。 2008年5月に0.25%、7月に0.15%(計40BP)の利下げを実施し、 オーバーナイト金利を0.1%まで引下げると予想する。 35 岐路に立つ日銀のグラジュアリズム戦略 新総裁が採用する戦略は? ビハインド・ザ・カーブ戦略: インフレ率が十分に上昇す るまで利上げ開始を待つ。米国で2004年6月の超低金利 政策解除の際にFEDが採用。 グラジュアリズム戦略: ゼロインフレ下でも徐々に利上げ を行う。景気変動の振幅が大きくなることやバブルの回 避を重視。一方で、物価を軽視? 36 米国ではビハインド・ザ・カーブ戦略でスムーズな利上げ 8 アメリカのインフレ率とFFレートの誘導水準 (%) 7 6 FFレート誘導水準 コアPCEデフレーター(前年比) 5 4 3 2 超低金利政策の解除開始 1 0 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (出所) EcoWin、FRB資料より、BNPパリバ証券作成 37 日米欧の成長率・物価・金利の見通し 日米欧の成長率・物価・金利の見通し (%) 2007 日本 1Q 2008 2Q 3Q 4Q 1Q 2009 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 実質GDP (前期比) 0.9 -0.4 0.3 0.9 -0.2 0.3 0.1 0.1 0.3 0.4 0.5 0.5 実質GDP (前期比年率) 3.8 -1.5 1.2 3.5 -0.8 1.2 0.3 0.5 1.1 1.7 1.9 1.9 CPIコア (前年比) -0.1 -0.1 -0.1 0.5 0.8 0.8 0.6 0.2 0.0 0.1 0.2 0.4 10年国債 1.66 1.88 1.69 1.51 1.40 1.35 1.50 1.60 1.70 1.80 2.00 2.05 オーバーナイト金利・誘導目標 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.25 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.25 実質GDP (前期比年率) 0.6 3.8 4.9 0.6 -0.4 -1.2 1.7 1.4 0.4 1.8 3.0 2.6 CPI コア(前年比) 2.6 2.3 2.1 2.3 2.5 2.5 2.3 2.2 1.8 1.7 1.7 1.7 10年国債 4.65 5.03 4.59 4.07 3.55 4.00 4.25 4.50 4.75 4.80 4.90 5.00 FFレート 5.25 5.25 4.75 4.25 2.25 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 実質GDP (前期比) 0.8 0.3 0.7 0.4 0.2 0.1 0.0 0.2 0.3 0.5 0.4 0.6 HICPコア (前年比) 1.8 1.9 1.9 1.9 1.7 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8 1.9 1.9 10年国債 4.07 4.58 4.33 4.32 4.05 3.90 3.95 4.00 4.10 4.20 4.35 4.50 政策金利 3.75 4.00 4.00 4.00 4.00 3.75 3.50 3.25 3.00 3.00 3.00 3.00 米国 ユーロ圏 (注)金利は末値 (出所)BNPパリバ証券作成 38 金利の見通し 日銀は08年2Qに利下げ 金利見通し 2007 (%) 1Q 2008 2Q 3Q 4Q 1Q 2009 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 30年国債 2.35 2.48 2.45 2.34 2.30 2.30 2.45 2.50 2.60 2.65 2.70 2.75 20年国債 2.11 2.24 2.18 2.10 2.05 2.00 2.25 2.30 2.35 2.40 2.50 2.55 10年国債 1.66 1.88 1.69 1.51 1.40 1.35 1.50 1.60 1.70 1.80 2.00 2.05 5年国債 1.20 1.48 1.20 1.02 0.85 0.75 0.80 0.90 1.00 1.15 1.35 1.50 2年国債 0.82 1.03 0.87 0.72 0.55 0.40 0.40 0.40 0.40 0.50 0.70 0.75 3ヶ月物Tibor 0.66 0.73 0.84 0.85 0.85 0.60 0.35 0.35 0.35 0.45 0.55 0.60 オーバーナイト金利・誘導目標 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.25 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.25 基準貸付利率 0.75 0.75 0.75 0.75 0.75 0.50 0.35 0.35 0.35 0.35 0.50 0.50 CPIコア (前年比) -0.1 -0.1 -0.1 0.5 0.8 0.8 0.6 0.2 0.0 0.1 0.2 0.4 (注)金利は末値 (出所)BNPパリバ証券作成 39 大都市圏の地価回復は都心への経済資源の集積が 進んでいることの現われ 公示地価 (前年比、%) 全国平均 三大都市圏平均 30 50 25 住宅地 住宅地 40 商業地 商業地 20 30 15 10 20 5 10 0 0 -5 -10 -10 -20 -15 80 85 90 95 00 05 80 85 90 95 00 05 (出所)国土交通省資料よりBNPパリバ証券作成 40 高度成長期終了後、2度目の「労働移動活性期」 「国土の均衡ある発展」政策の放棄が背景だが・・・ 2.5% 人口移動の推移 2.0% (転入超過率=転入超過数/各圏の人口) 1.5% 1.0% 首都圏 大阪圏 東海圏 その他 (転入超過 ↑ ) 0.5% 0.0% -0.5% -1.0% (転出超過 ↓ ) -1.5% 55 60 65 70 75 80 85 90 95 00 05 (出所)総務省資料よりBNPパリバ証券作成 41 30年以上続いた米国からの円高プレッシャーは終結 政治的な人民元高圧力は始まったばかり (円) ニクソンショック(71年) ドル円レートの推移 300 ベーカーのプラザ合意(85年) 200 ブルーメンソールの ドル安政策(77年) ベンツェンのドル安政策(93年) 100 71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 (出所)日本銀行資料よりBNPパリバ証券作成 42 日本企業の供給構造の変化も 米国での人民元切上げ圧力の背景のひとつ 3500 米国の地域別輸入 (億ドル、暦年) 3000 2500 日本 カナダ 中国 メキシコ 2000 1500 1000 500 0 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (出所)EcoWinよりBNPパリバ証券作成 43 予算編成の5原則 原則1:民需主導の経済成長を目指す。景気を支えるために、官 で需要を積み増す政策は採らない。 原則2:税の自然増収は安易な歳出増に振り向けず、将来の国民 負担の軽減に向ける。 原則3:経済成長と財政健全化を両立させるため、中期的な財政 管理を重視。税収の増える好況期に健全化のペースを速 める一方、税収の落ち込む不況期にはペースを抑制し、柔 軟に健全化に取り組む。 原則4:新たに必要な歳出を行うときは、原則として他の経費の削 減で対応。 原則5:国民への説明責任の徹底。 44 2006年「骨太方針」の歳出・歳入一体改革のレビュー 新政権下で財政再建路線は大幅に後退? 1.歳出削減を優先し、増税を極力抑制(7対3の黄金 ルール、税の自然増収への対応) 2.制度改革による徹底した歳出削減(公務員人件費 抑制、 社会保障費抑制) 3.効率的な資源配分も意識した財政再建(政府資産 の売却など) 4.残された課題:道路特定財源と地方財政(三位一体 改革) 45 国民負担率の内訳の各国比較(対国民所得比、%) 「大きな政府」か「小さな政府」か 70 60 50 個人所得課税 法人所得課税 消費課税 資産課税等 社会保障 国民負担率 39.7 40 30 51.3 47.5 24.2 10.5 31.9 14.6 3.5 61.0 23.8 5.5 8.7 3.8 14.8 3.7 8.1 1.2 13.7 15.1 2.1 3.7 13.1 10.6 9.9 アメリカ イギリス ドイツ フランス (2004年) (2004年) (2004年) (2004年) 20 7.0 10 7.0 5.8 2.7 7.6 10.9 日本 (2007年度) 0 (出所)財務省資料よりBNPパリバ証券作成 (注)日本は平成19年度(2007年度)予算ベース 46 諸外国の公共投資のGDP比率は低い 多くはすでに建設された社会インフラを維持するための更新投資 8 7 一般政府ベースの社会資本投資 (Ig) の推移 (対GDP比、%) 6.4 6 5 4.2 4 3.2 3 2.5 2 1 日本 ドイツ 米国 フランス 英国 1.5 1.3 0 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 (出所)財務省資料よりBNPパリバ証券作成 (注)日本は年度ベース、諸外国は暦年ベース 47