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がんの超早期診断に資するマルチスペクトルカメラの開発

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がんの超早期診断に資するマルチスペクトルカメラの開発
が ん の 超 早 期 診 断 に資 す る マル チス ペ ク トル カ メ ラの 開 発
研究責任者
静岡県立静岡がんセ ンター研究所
研究員
永
岡
隆
叙
1.は
コ ン ピ ュ ー タ な ど を 用 い メ ラ ノー マ を 自動 で 鑑
じめ に
メ ラ ノ ー マ とは 、皮 膚 な どに 存 在 す る メ ラ ノ サ
イ ト由来 の 悪 性 腫 瘍 で あ る 。 そ の厚 み な どに よ っ
別 で き る よ うな シ ス テ ム へ の 期 待 は 大 き い 。
従 来 の メ ラ ノ ー マ 自動 鑑 別 シ ス テ ム の 一 覧 を
て 病 期 は 異 な り、初 期 段 階 の メ ラ ノー マ は 患 部 を
表1に
摘 出 す る こ とに よ っ て ほ ぼ 完 治 す る が 、悪 性 度 の
ラ ー 画 像 か マ ル チ ス ペ ク トル 画 像 に 基 づ く画 像
高 い メ ラ ノー マ の 予 後 は 非 常 に 悪 い1)。 進 行 した
処 理 技 術 の 範 疇 に あ る。 メ ラ ノ ー マ を鑑 別 す る た
メ ラ ノー マ に対 す る有 効 な 治療 法 は い ま だ確 立
め の 一 連 の パ ラ メ ー タ は 、"色"す な わ ち"壊 され た
され て い な い た め 、 現 在 で も最 良 の 治 療 は 早 期 発
ス ペ ク トル"に 基 づ く画 像 か ら抽 出 され て い る。
見 ・早 期 摘 出 で あ る と され て い る2)。 メ ラ ノー マ
つ ま り、 こ れ らの パ ラ メ ー タ は 、 組 織 病 理 学 的 に
は 患 部 の 一 部 を摘 出 し、 顕 微 鏡 下 で 検 査(生
評 価 され た パ ラ メ ー タ と は 本 質 的 に 異 な る も の
検)
示 す 。 これ らの シ ス テ ム の 中枢 技 術 は 、 カ
す る だ け で 確 実 に診 断 す る こ と は 困 難 で あ り、 ま
で あ る。 した が っ て 、 最 近 で は 、 非 侵 襲 メ ラ ノ ー
た 一 部 の メ ラ ノー マ で は 生 検 に よ って 予 後 が 悪
マ 自動 鑑 別 シ ス テ ム で は 、組 織 病 理 学 的 な 診 断 の
化 す る との 報 告 も あ り1)、 診 断 は 非 侵 襲 ・非 接 触
再 現 は 困 難 で あ る と考 え られ て い る7)。そ の た め 、
で 行 う こ と が 望 ま しい 。 そ の た め 、 医 師 の 主 観 的
一 般 的 に は 、 これ らの 装 置 に よ る診 断 は 「
セカン
な 評 価 に 頼 ら ざ る を得 な い 。皮 膚 科 の診 断 に 大 き
ドオ ピニ オ ン 」 と して扱 うよ うな 制 限 が 必 要 と報
な 変 革 を も た ら した もの と して 、Nachbarら
唱 したABCDル
ー ル3)とSoyerら
が提
モ ス コ ピー4)が挙 げ られ る。ABCDル
が 開発 した ダ ー
告 して い る論 文 も あ る8)。 ま た 、 経 験 豊 富 な 医 師
の 主 観 に よ る診 断 に 敵 わ な い とす る報 告 も あ る9)。
ール とダー
非 侵 襲 メ ラ ノー マ 自動 鑑 別 シ ス テ ム は 、本 来 は
モ ス コ ピー を 正 し く利 用 す る こ と で 、 高 い 精 度 で
組 織 病 理 学 的 な視 点 で 客観 的 に原 発 巣 の悪 性 度
メ ラ ノー マ を診 断 で き る と報 告 され て い る5)。 し
を 示 す こ とが 理 想 で あ り、 す くな く と もそ れ に準
か し高 精 度 な診 断 に は 長 い 経 験 が 求 め られ 、 ダ ー
ず る 分 子 レベ ル の パ ラ メ ー タ に 基 づ く 客 観 的 鑑
モ ス コ ピー に 不 慣 れ な 医 師 の 場 合 、 メ ラ ノ ー マ の
別 が 可 能 で あ る べ き で あ る。 本 研 究 で は 、光 学 的
識 別 精 度 を悪 化 させ て しま う とい う報 告6)も あ り、
に 活 性 な 分 子 種 の 変 化 な ら び に そ れ ら分 子 の 濃
92
度 変 化 は 光 学 ス ペ ク トル に 反 映 さ れ て い る と い
ノ ー マ 鑑 別 シ ス テ ム 実 現 を 目指 した 。
う事 実 に 注 目 し、光 学 ス ペ ク トル に 基 づ い た メ ラ
表1従
製 品名
来 の メ ラ ノー マ 自動 鑑 別 シ ス テ ム
デ ー タ処 理 方 法
感度
特 異度
(抽 出 され た パ ラ メ ー タ 数)
SE(%)
SP(%)
96
83
計測 デー タ
(国名)
SIAscopelo)
デ ィ ジ タル カ ラ
一 連 の4波
MoleMate
ー 画 像+近
す る画 像 処 理
(イ
ギ
画 像(廉 価 版)
リ ス)
SolarScanll)
(オ ー ス
赤外
長 バ ン ド画 像 に 対
ト ラ リ ア)
デ ィ ジ タル カ ラ
各 単 一 波 長 バ ン ド画 像 に 対 す
ー 画 像+近
る画 像 処 理
赤外
画像
SpectroShade7)
(ス イ ス)
(少 な く と も12パ
100
83
88
80
100
85
85
83
ラ メ ー タ)
マル チスペ ク ト
各 単 一 波 長 バ ン ド画 像 に 対 す
ル 画 像a)
る画 像 処 理
(64パ ラ メ ー タ)
MelaFindl2)
(ア メ リ カ)
マル チスペ ク ト
各 単 一 波 長 バ ン ド画 像 に 対 す
ル 画 像b)
る画 像 処 理
(少 な く と も13パ
ダ ー モ ス コー プ 皮 膚
ダ ー モ ス コー プ
診 察 支 援 サ イ ト13)
画 像(デ
(日 本)
2.方
ラ メ ー タ)
画 像処 理
ィ ジ タル
(72パ
ラ メ ー タ)
カ ラ ー 画 像)
a)485-950nm範
囲 で 、30nmご
b)430-950nm範
囲 で 、10の
と に15の
単 一 波 長 バ ン ド画 像 を 計 測
単 一 波 長 バ ン ド画 像 を 計 測
で"で た らめ さ"を 判 断 して い る こ と に な る。 メ ラ
法
専 門 医 が メ ラ ノ ー マ を診 断 す る際 に用 い る
ノ ー マ に 限 らず 、 悪 性 腫 瘍 の 本 質 は 、 そ の"で た
ABCDル
ー ル の 一 つ に 、"borderirregularity"(Bに
ら め さ"に あ る とい わ れ て い る。"でた ら め さ"を 定
相 当)が
あ る。 これ は メ ラ ノ ー マ が 浸 潤 性 に 富 む
量 化 で きれ ば 、悪 性 腫 瘍 を そ れ 以 外 と 区別 で き る
悪 性 腫 瘍 で あ る こ と と、腫 瘍 細 胞 が 活 発 に メ ラ ニ
と考 え られ て い る。 最 近 の メ ラ ノー マ 自動 鑑 別 シ
ン産 生 を して い る こ と を認 めれ ば 、 メ ラ ノ ー マ 細
ス テ ム13)で は 、腫 瘍 辺 縁 部 を画 像 処 理 の 技 術 を用
胞 は 浸 潤 しや す い と こ ろ か ら 浸 潤 して い く と 考
い て 自動 判 定 す る試 み が な され て い るが 、判 定 さ
え られ 、 そ の 結 果 腫 瘍 辺 縁 部 の メ ラ ニ ン 分 布 に
れ た 辺 縁 の 形 状 が 正 しい か 否 か の 基 準 は 、 医 師 が
"で た ら め さ"が 顕 在 化 す る で あ ろ う こ と を 捕 ら え
主観 的 に決 定 した 辺 縁 形 状 に よ っ て い る た め 、 医
て い る と 理 解 さ れ る 。 浸 潤 領 域 に は 血 管 新 生 も認
師 の考 え方 に近 い特 性 を シ ステ ム に持 たせ る こ
め られ る と考 え られ る 。 ダ ー モ ス コ ピー を 用 い る
とは可能 で あるが 、その辺 縁形 状 に物理 的 な意 味
診 断で は、医師 は病 変辺縁 部 にお ける色 の変化 で
や 定 量 性 を 持 た せ る こ と は難 しい 。
の み"で た ら め さ"を 判 断 す る 。 換 言 す れ ば 、 主 観
メ ラ ノー マ の 辺 縁 部 の"で
た らめ さ"を 定 量 す
93
る手 段 の 一 つ と して 、 フ ラ ク タル 次 元 の 利 用 が す
CCD(F、WAT-231S、Watec、JAPAN)に
で に 提 案 され て い る。 しか し、 フ ラ ク タ ル 次 元 を
され 、 計 測 部 の モ ニ タ リ ン グ に 用 い られ る。 レー
鑑 別 指 標 と した 、 メ ラ ノ ー マ 診 断 の 感 度 と特 異 度
ザ ダ イ オ ー ド(B)か らの 単 一 波 長 光 は オ ー トフ ォ
は 、そ れ ぞ れ 、高 々74%と75%に
ー カ ス機 構 に用 い られ る。 こ の 光 は 常 に 自動 焦 点
す ぎ な い15)。 し
記録
た が っ て 、 そ れ 単 独 で 悪 性 腫 瘍 を鑑 別 で き る状 況
機 構 用CCD(E)に
に は な い 。 す な わ ち 、 鑑 別 指 標 の成 分 の 一 つ と し
上 下 動 す る こ とで 調 整 され る 。 こ の機 構 を動 作 さ
て 用 い られ て い る に過 ぎ な い 。 何 故 フ ラ ク タル 次
せ る こ とで 、 対 物 レン ズ と皮 膚 の 距 離 を 常 に 一 定
元 が 悪 性 鑑 別 指 標 足 り え な い の だ ろ うか 。 問 題 の
に保 ち 、 画 像 の フ ォ ー カ ス を外 さ な い よ うに す る
本 質 は 、 フ ラ ク タル 次 元 そ の も の で は な く、 そ れ
こ とが で き る。 レー ザ ダ イ オ ー ドの 波 長 は 、 計 測
を評 価 す る ま で の 前 処 理 に あ る と考 え た 。従 来 提
す る波 長 域 と重 な ら な い よ う、850nmと
案 され て い る 技 術 で 共 通 す る前 処 理 は 、超 音 波 画
る 。図3に
像 、PET画
像 、X線 輝 度 画 像 や カ ラー 画 像 等 の 元
され る画 像 を示 す 。 横 方 向 が波 長 情 報 で あ り、縦
画 像 か ら、2次 元 面 上 の境 界 線 を確 定 す る とい う
方 向 が位 置 情 報 で あ る。 こ こ で は 照 明 光 の 強 度 に
も の で あ る。そ の 方 法 は さま ざま で あ る。例 え ば 、
よ っ て 、 輝 度 値 に 変 化 は あ る が 、 白色 板 に よ っ て
白 黒 画 像 化(2値
幅 広 い 波 長 域 で 照 明 光 が 反 射 され て い る 様 子 が
Laplacianフ
化)、 つ い でGaussianお
よび
ィル ター 処 理 を施 す 手 法 な どで あ る。
到 達 す る よ うに 、 対 物 レ ン ズ を
白色 板 を 計 測 した 際 にCCD(D)に
観 察 され る。図4に
はCCD(F)に
して い
記録
記 録 され る 画 像
フ ラ ク タ ル 次 元 は抽 出 され た 境 界 線 の"で た らめ
を 示 す 。 中央 右 よ りの 光 点 は オ ー トフ ォ ー カ ス 用
さ"を 定 量 化 す る手 法 に す ぎ ず 、腫 瘍 鑑 別 能 は境
の レー ザ で あ る 。 このCCDは
界 線 抽 出 方 法 に 依 存 して しま う。 本 研 究 で提 案 す
(C)の 反 射 光 を記 録 して い る。した が っ て 画 面 中央
る悪 性 腫 瘍 鑑 別 指 標 の 導 出 方 法 は 、分 子 レベ ル で
部 分 の 反 射 光 は ス リ ッ トか ら分 光 器 へ と進 む た
の"で た ら め さ"の 起 源 を 用 い た 前 処 理 と フ ラ ク
め 、CCD(F)の
タル 解 析 の 組 み 合 わ せ で あ り、 こ れ ま で に存 在 し
に 抜 け て しま っ て い る。
な い新 しい 方 法 で あ る 。
ま た 、 図2に
ス リ ッ ト付 ミ ラー
画 像 で は縦 方 向 の黒 い線 状 の よ う
は示 され て い な い が 、照 明 光 が 皮
膚 に 照 射 され る 直 前 と、 直 後 に 、 一 枚 ず つ 偏 光 板
2.1装
が 挿 入 され て い る。 両者 は 光 路 上 で 互 い に垂 直 と
置
我 々 が 開 発 し た 装 置 の 概 観 を 図1に
概 略 図 を 図2に
、光 学 系 の
示 す 。 ま た 本 装 置 の 仕 様 を 表2に
な る よ うに 設 置 され て い る。 偏 光 板 に よ っ て 、 振
動 方 向 が 一 直 線 上 に 整 え られ た 光 は 、皮 膚 に 含 ま
示 す 。 照 明(A、LuminarAceLA-150FBU、
れ る散 乱 体 に衝 突 す る度 に 、 わ ず か に振 動 方 向 を
HAYASHI、JAPAN)か
変 化 す る。 一 方 、皮 膚 表 面 の 角 質 で 反 射 され た 光
らの 光 は 皮 膚 に 投 射 され 、
そ の 反 射 光 は 専 用 に 設 計 され た 光 学 系 装 置
は ほ とん ど振 動 方 向 が 変 化 し な い 。2枚 の 偏 光 板
(MitakaKohki、JAPAN)で
を 互 い に 垂 直 に な る よ うに 設 置 し て 計 測 す る こ
受 光 され る。 光 学 系
よ って
とで 、 角 質 で の 乱 反 射 に よ る影 響 を 抑 え 、皮 膚 内
送 られ る。 ス
部 の 散 乱 体 に十 分 に 衝 突 し、皮 膚 の 分 子 レベ ル の
装 置 内 で は ま ず ス リ ッ ト付 の ミ ラ ー(C)に
反 射 光 が 分 割 さ れ 、2つ
のCCDへ
リ ッ ト を 通 過 し た 光 は 透 過 型 分 光 装 置(D、
V-10E;Specim、Oulu、Finland)を
通過す る こ
情 報 を得 た 光 の み を 計 測 す る こ とが 期 待 され る。
こ の 装 置 の ス キ ャ ン方 法 の 概 略 図 を 図5に 示 す 。
とで位 置 情 報 と波 長 情 報 に 分解 され 、超 高感 度
CCDカ
CCD(iXon、Andor、USA)に
記 録 され る。 ミ ラ
ク セ ル の 画 像 を 取 得 す る こ とが で き る。 我 々 は 横
ー に よ っ て 反 射 さ れ た 光 は そ の ま ま も う一 つ の
方 向 に ス ペ ク トル 情 報 を 、 縦 方 向 に位 置 情 報 を記
94
メ ラ は1度
に横640ピ
クセ ル 、 縦480ピ
録 す る こ と で 、1回 の ス キ ャ ン に よ り、480ピ
セ ル 分 の位 置 情 報 と 、640ピ
ク
に移 動 させ る こ とで 計 測 位 置 を変 化 させ 、全 て の
クセ ル 分 の 波 長 情 報
点 の 波 長 情 報 を 得 な が ら、皮 膚 の 位 置 情 報 を 得 る
こ とが で き る。
を 同 時 に 計 測 す る こ とが で き る 。 こ の 装 置 は3軸
の ス テ ー ジ 上 に 設 置 され る 。ス テ ー ジ をX軸
方向
lE)自
;
一
F -、
窟
D)透 過 型
分 光 装置 へ
動焦 点 機構
土
一\ 一
之
上 □F)CCD
C)ス リット付 ミラー
B)LD
A)照
明
Z
Y
皮膚
X
図1装
図2光
置の概観
学系の概略 図
ト
図3CCD(D)に
記 録 され る画 像
図4CCD(F)に
ラ
Object
\PωRl1
Ⅲiいlm.由
田1
・qlIPi\LI
『
P
図5装
l
,Slit"1d,h
30オm
Y
a
に の
sロ囎
暖 1← x
㎝嘉 緊
LensSlitSpectrograph
記 録 され る画 像
置 の ス キ ャ ン方 法
95
表2我
々 の 開 発 した 装 置 の 仕 様
Spectralrange
322.77-939.48nm
Spectralresolution
2.418nm
Maximumofspatialrange
11xllmm
Spatialresolution
12.31オm
1
2.2ス
ペ ク トル の 計 測
表2に
HyperspectralImage
示 した とお り、 我 ・
々 の 装 置 は320nmか
1
ら940nmま
で の 範 囲 の ス ペ ク トル を 計 測 す る こ
Thespectralchangeofeachpixelis
convertedintothenumericalvalue
と が 可 能 で あ る 。 し か し な が ら 、 分 光 器 やCCD
下 と750nm以
SpectralAngleMap
の 特 性 に よ り 、450nm以
上 の範 囲
1
750nmの
が 悪 い 。 そ こ で 本 研 究 で は450nmか
はSN比
ら
問 の 計 測 値 の み を 採 用 す る 。 波 長 λに お
ThecanplexityofSAMisevaluated
Themelanomadiscriminationindexisdefinedbythe
fractaldimensionofSpectralAngleMap.
け る 反 射 率Rλ は 式1に
従 っ て 導 出 され る。
図6メ
co槻'(λ)一
λ=(1)肋it
e(λ)一
ラ ノ ー マ 鑑 別 指 標 の フ ロ ー チ ャ ー ト。
わ1αcん(λ)R
メ ラ ノ ー マ 特 有 の"で た ら め さ"は ピ ク セ ル と
わ1αcん(λ)
画 像 そ れ ぞ れ に 着 目 して 定 量 化 され る 。
た だ し、count(λ)は波 長 λに対 応 す るCCDの
ウ ン ト値 で あ り、black(λ)はCCDに
カ
搭 載 され た シ
(1)ピ ク セ ル フ ェー ズ:各
ピクセル にお け る基準
ス ペ ク トル と の 差 異 を 数 値 化 す る フ ェ ー ズ で あ
ャ ッ タ ー を 閉 じた 際 の 波 長 λに 対 応 す るCCDの
る 。 事 前 に基 準 と な る スペ ク トル を 用 意 す る。 基
カ ウ ン ト値 、 つ ま り熱 雑 音 で あ る。white(λ)は 計
準 ス ペ ク トル は 同 一 ハ イ パ ー ス ペ ク トル 画 像 内
測 前 に予 め計 測 して お い た 、標 準 白色 板(硫 酸 バ リ
の 非 腫 瘍 部 の 平 均 ス ペ ク トル で も、 他 の健 常 者 の
ウ ム)を 計 測 した 際 の 波 長 λに 対 応 す るCCDカ
皮 膚 の 平 均 ス ペ ク トル で も構 わ な い 。 ハ イ パ ー ス
ウ
ン ト値 で あ る 。 本 来 で あ れ ば 、 皮 膚 に入 射 す る 光
ペ ク トル 画 像 の 各 画 素 に 含 ま れ る ス ペ ク トル と、
子 の数 と、皮 膚 に 反 射 され た 光 子 の 数 の 比 で 絶 対
用 意 し た 基 準 ス ペ ク トル を 多 次 元 の ベ ク トル と
反 射 率 を 定 義 す べ き で あ る が 、装 置 の構 成 上 絶 対
み な し、 両 者 が な す 角ax ,Yを式(2)に よ り求 め 、 両
反 射 率 を 測 定 す る こ とが 困 難 で あ っ た た め 、標 準
者 の 類 似 度 の 指 標 とす る。
白色 板 に対 す る皮 膚 の 反 射 率 の 比Rλ を用 い る。
black、whiteと
も に極 力 皮 膚 を計 測 す る直 前 に 測
一欄 憶
定 し、 シ ス テ ム の 時 間 に よ る変 動 を 抑 え る。
た だ し 、x、yは
2.3ス
〕
(2)
ハ イ パ ー ス ペ ク トル 画 像 上 で の
ペ ク トル の 解 析
位 置 座 標 を 示 し 、tは 教 師 ベ ク トル 、rは 対 象 ベ ク
本 シ ス テ ム に お け る ス ペ ク トル の 解 析 の 流 れ
トル を 示 し 、nは
を 図6に
示 す 。 本 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム は2つ
ー ズ で メ ラ ノ ー マ 特 有 の"で
た ら め さ"を
ス ペ ク トル の バ ン ド数 を 示 す 。
のフェ
定量 化
教 師 ベ ク トル ・対 象 ベ ク トル と も に 、 式(1)に よ っ
て 求 め られ る 反 射 率 を 各 要 素 に 持 つ 。ax,yは
す る 。(1)ピ
あ る。
96
ク セ ル フ ェ ー ズ と(2)画 像 フ ェ ー ズ で
基準
ス ベ ク トル と 各 画 素 の ス ペ ク トル と の 質 的 な 違
い 、 例 え ば 、 構 成 成 分 比 の 違 い と い う分 子 レ ベ ル
の 差 異 を 表 し て い る 。 こ の 処 理 はKruseら
によ
大 す る 。 た だ しx方
っ て 提 唱 さ れ たSpectralAngleMapper(SAM)と
一 の 値Lと
呼 ば れ る 手 法16)で
元 のSpectralAngleMapに
あ る 。例 え ば 基 準 ス ペ ク トル
に 健 常 者 の 皮 膚 の 平 均 ス ペ ク トル を 用 い 、 ハ イ パ
ー ス ペ ク トル 画 像 の 全 画 素 に 対 し て 縣
γを 計 算 し
し
向 、y方
、 必 ず2の
の 値 は 全 て0と
向の画 像サ イ ズは 同
べ き 乗 とす る 。 た だ し 、
値 が 存 在 しな い 画 素
す る。 次 に 、 各 画 素 に含 ま れ る輝
度 値 情 報 を 三 次 元 の 高 さ情 報 に変 換 す る。
て 得 られ る 画 像 は 、 健 常 者 の 皮 膚 と の 類 似 度 を 示
SpectralAngleMapの
す マ ッ プ と な り、ヘ モ グ ロ ビ ンや メ ラ ニ ン が 健 常
る 小 数 値 α矧 で あ る が 、 こ れ を 整 数 値x
者 の 皮 膚 よ り 多 く 存 在 す る 領 域 が α矧 の 高 い 領 域
す る 。画 像 全 体 に お け るax .Yの 最 小 値 αmi。 と 最 大
と して現 れ る。 以 降 、 こ のマ ップ の こ と を
値 αmaxを 調 べ 、 式(3)に
SpectralAngleMapと
輝 度 値 は 式(2)で 求 め られ
,yに 変 換
した が っ て 変 換 す る。
呼 称 す る。
(2)画 像 フ ェ ー ズ:前
項 の 処 理 に よ っ て 得 られ た
Nx,y-INT[五
SpectralAngleMapの"で
た ら め さ"を
定 量化 す
(3)
×ax,y‐amin
Amax‐amin]
る フ ェー ズ で あ る。 本 シ ス テ ム で は 前 述 した とお
り 、"で た ら め さ"の
定 量 化 に フ ラ ク タル 次 元 を
た だ し、INTは 小 数 点 第1位
で 四捨五 入す る関
用 い る。 メ ラ ノ ー マ で は メ ラ ニ ン領 域 とヘ モ グ ロ
数 を示 す 。 得 られ た β剛 を 各 画 素 の 高 さ に持 つ 三
ビ ン 領 域 が 複 雑 に 入 り組 ん で い る こ と が 予 想 さ
次 元 画 像 を 作 成 し、三 次 元 の ボ ッ ク ス に よ る ボ ッ
れ る た め 、 メ ラ ノ ー マ のSpectralAngleMapの
ク ス ・カ ウ ン テ ィ ン グ 法 を適 用 す る。
フ ラ ク タ ル 次 元 は 、 メ ラ ノ ー マ 以 外 のSpectral
AngleMapの
ボ ッ ク ス ・カ ウ ンテ ィ ン グ法 に よ る三 次 元 画 像
フ ラ ク タル 次 元 に 対 し て値 が 高 く
な る こ と が 予 想 さ れ る 。SpectralAngleMapの
フ
の フ ラ ク タ ル 次 元 は 以 下 の よ うに 決 定 され る。 フ
ラ ク タ ル 次 元 の 算 出 方 法 の 流 れ を 図8に
示 す 。w
ラ ク タ ル 次 元 は ボ ッ ク ス ・カ ウ ン テ ィ ン グ 法17)
ニ1 、2、4、_、Lの
を 採 用 し た 。 通 常 、 ボ ッ ク ス ・カ ウ ン テ ィ ン グ 法
それ ぞれ の 立方 体 で対 象 の 三次 元 画 像 を埋 め尽
を 用 い た フ ラ ク タ ル 次 元 の 導 出 は2値
画像 に対 し
くす 。埋 め尽 く した 立 方 体 の 数CをX軸
て 行 わ れ る が 、SpectralAngleMapは
輝 度値 画像
時 の 立 方 体 の 長 さwをY軸
長 さ を 持 っ 立 方 体 を 用 意 し、
に 、そ の
に プ ロ ッ ト した 散 布
と な る た め 、そ の ま ま の 手 法 で は フ ラ ク タル 次 元
図 を作 成 す る。 た だ し、 両 軸 と も 常 用 対 数 を 用 い
を算 出す る こ とが で き な い 。 そ こ で 、 事 前 に
る 。 次 に 最 小 二 乗 法 を 用 い 、 得 られ た 散 布 図 を一
SpectralAngleMapに
次 近 似 す る。得 られ た 直線 の傾 き を一1倍 した 値 が
対 して い くつ か の 画 像 処
理 を 施 す 。 画 像 処 理 の フ ロ ー チ ャ ー トを 図7に
す 。 ま ず 、SpectralAngleMapの
Y
,、
示
画像 サイ ズ を拡
フ ラ ク タル 次 元 とな る。 こ の 手 法 に よ っ て 得 られ
る フ ラ ク タ ル 次 元 は2か
ら3の 間 の 値 を と る。
,,饗
マ
[〉
L-2n[〉
ズ,
雲
↑∬'
一
一 ■ ■■ ■ レx
L=2"
②画像の拡大
①SpectralAngleMap
図7フ
③ 高 さ情 報 の 付与
ラ ク タル 次 元算 出 の た め の画 像 変換 処 理
97
Ird
L
I
Rxrvi㌧:
β・1yli2
ボ ックス の 大 きさW=W1
ボ ックス の 数C=C1
壕 ・BCノ'`"ヨ'rQle.1L`サ・
ボ ック ス の 大 き さw=w.
ボ ック ス の 数C=C2
q
q
(Q三動
。Q[掻 e K 心≧艇
,
%q勧
%動
%、
態葱
1
孝フ
、
、且
、、2L
ボ ックス の 大 きさ 且09。い、)
図8ボ
2.4メ
ック ス カ ウ ン テ ィン グ に よ る フ ラ ク タル 次 元 の算 出
て い る。 母 斑 細 胞 母 斑 の 患 者 は 、 経 験 の あ る 医 師
ラ ノー マ 鑑 別 能 の 評 価
前 節 で 得 られ た フ ラ ク タ ル 次 元 の 値 を メ ラ ノ
ーマ鑑 別 指標 とし
、設 定 した 閾 値 以 上 で あれ ば メ
ラ ノ ー マ と判 定 す る。 病 理 診 断 の 結 果 を 真 値 と し、
に よ る 目視 の み で 診 断 され 、 計 測 を 行 っ て い る。
母 斑 細 胞 母 斑 の 摘 出 と病 理 診 断 は 倫 理 的 問 題 か
ら行 っ て い な い 。
メ ラ ノー マ鑑 別 指標 に よ る判 定 の感 度 と特 異 度
を 算 出 し 、 本 シ ス テ ム の 評 価 を 行 う。 ま た 異 な る
4.結
閾 値 に お け る本 鑑 別 指 標 の パ フ ォ ー マ ン ス を確
4.1ス
描 く。 従 来 の メ ラ ノ ー マ 自動 鑑 別
シ ス テ ム と の 比 較 に は 、ROCカ
ペ ク トル 計 測 結 果 の 一 例
本 シ ス テ ム の 計 測 結 果 の 一 例 を 図9に
認 す る た め に 、receiveroperatingcharacteristic
(ROC)curveを
果
ー ブ の 面 積(AUC)
症 例 は80歳
示 す 。本
女 性 、 右 頬 部 の 悪 性 黒 子 型 メ ラ ノー
マ で あ る。過 去 の 報 告18,19)に似 た ス ペ ク トル が 得
られ て い る こ とが わ か るが 、 わ れ わ れ の 装 置 は 細
を評 価 の 指 標 と して 採 用 す る。
か い 波 長 分 解 能 と画 像 分 解 能 を併 せ 持 っ て お り、
3.対
象
過 去 の報 告 に比 べ 膨 大 なデ ー タ が一 つ の画 像 に
200817131∼200913125の
問 に県 立 静 岡 が ん セ
含 まれ て い る とい う違 い が あ る。 図9(a)に は ハ イ
ン タ ー 皮 膚 科 を受 診 し、 計 測 の 同 意 が得 られ た 患
パ ー ス ペ ク トル 画 像 の 各 画 素 が 持 つ ス ペ ク トル
者 の 患 部 を 、我 々 が 開 発 した ハ イ パ ー ・スペ ク ト
を 用 いRGBの
ル ・イ メ ー ジ ン グ装 置 を 用 い 撮 影 した 。 実 験 参 加
ー 画 像 を示 し、図9(b)に は 同 じ場 所 を ダ ー モ ス コ
者 数 は15病
ピー を 用 い て 撮 影 した 画 像 を 示 す 。擬 似 カ ラ ー 画
LMM3病
変 ・106画 像(ALM2病
変24画
性 角 化 症5病
像 ・SMM1病
変39画
変22画
変14画
像 ・
像 ・脂 漏
像 ・母 斑 細 胞 母 斑4病
変7
値 を推 定 して 再 構 成 した擬 似 カ ラ
像 で も ダ ー モ ス コ ピー 画 像 で も 、 メ ラ ノ ー マ 患 者
で は メ ラ ニ ン濃 度 が 高 い 黒 い エ リア の 内部 に 、ヘ
画 像)で あ っ た 。悪 性 黒 色 腫 と脂 漏 性 角 化 症 の 患 者
モ グ ロ ビ ン 濃 度 が 高 い 赤 い エ リ ア が 入 り組 ん で
は 、事 前 に経 験 の あ る 医 師 に よ っ て 目視 で診 断 さ
い る様 子 が観 察 で き る。 図9(c)に 患 部 ・辺 縁 部 ・
れ 、計 測 が 行 わ れ て い るが 、分 類 は 摘 出 手 術 後 の
正 常 部 の 平 均 ス ペ ク トル を示 す 。 患 部 で は メ ラ ニ
通 常 の 病 理 診 断 に よ っ て 確 定 した 病 名 を使 用 し
ン の 吸 収 ス ペ ク トル に 良 く似 た 形 状 の ス ペ ク ト
98
ル が観 察 され 、 正 常 部 で は 酸 化 ヘ モ グ ロ ビ ン の 吸
て 用 い られ た 。図2(a)に
示 した ハ イ パ ー ス ペ ク ト
収 と見 られ る 双 峰 性 の ピー ク が観 察 され た 。 辺 縁
ル 画 像 に 対 し 、 図10に
示 し た 教 師 ベ ク トル を 用
部 で は 両 者 の 中 間 的 な スペ ク トル が 確 認 され た 。
い てSAM処
図10に
9(d)に 示 す 画 像 に 対 し て 、 ボ ク セ ル ・カ ウ ン テ ィ
健 常 者 皮 膚 の スペ ク トル を 示 す 。 こ の ス
ペ ク トル は 皮 膚 疾 患 を 持 た な い ア ジ ア 人1名
の二
理 を 行 っ た 結 果 を 図9(d)に
ン グ を 施 し た 結 果 を 図9(e)に
示 す。図
示 す。 ボ ックスの大
の 腕 の 皮 膚 を 用 い 、皮 膚 着 色 領 域 の な い お よ そ10
き さ と ボ ッ ク ス の 数 は 高 い 相 関 を 示 し た 。 図9(e)
mm四
に示 した グ ラ フ の 直線 の傾 き が フ ラ ク タル 次 元
方 の領 域 を ハ イ パ ー ・スペ ク トル ・イ メ ー
ジ ン グ装 置 で 撮 影 し、全 画 素 に 含 ま れ る スペ ク ト
で あ り、 こ の 値 を メ ラ ノ ー マ 鑑 別 指 標 と し た 。 本
ル を 平 均 して 得 られ た も の で あ る。 こ の スペ ク ト
症 例 に お け る メ ラ ノ ー マ 鑑 別 指 標 は2.78で
ル が 前 述 したSAM処
あ る。
理 の 際 の 教 師 ベ ク トル と し
s 唱II
o)
、1、}知,,、
、,鴇
u」
、肉
卜VA,
吋h^IhlllI
▼
ジヨ
`
﹁・ 、
、
,
zri
嘩唱K"車
',
Discrintinatinn
nld宕x
壱
'
h
i
(e}
図9計
MelanonⅢ
r '>
1。.1嵩,⊥
2.78
ti
嗣7,鼠爵武響串1曜1`い1
測 結 果 の 一 例 。(a)ハ イ パ ー ス ペ ク トル 画 像 か ら 再 構 成 さ れ た 擬 似 カ ラ ー 画 像 。(b)同 じ場 所 を 撮 影
し た ダ ー モ ス コ ピ ー 画 像 。(c)患 部 ・辺 縁 部 ・正 常 部 の ス ペ ク トル の 変 化 。 赤 い 線 が 患 部 を 、 緑 の 線 が 辺 縁
部 を 、 青 い 線 が 正 常 部 の 平 均 ス ペ ク トル を 示 して い る 。(d)SpectralAngleMap。
暖 色 系が 大 き な角 度 を 、
寒 色 系 が 小 さ な 角 度 を 示 して い る 。 辺 縁 部 の 値 の 分 布 が 非 常 に 複 雑 な 形 状 を して い る こ と が 確 認 で き る 。
(e)ボ
ック ス カ ウ ンテ ィ ン グの 結 果 。 ボ ック ス が 大 き くな る に連 れ て ボ ック ス の 数 は減 少 す る 。 両 者 の 関
係 は 非 常 に 良 い 相 関 性 を 持 っ て い る 。こ の グ ラ フ か ら 得 ら れ る フ ラ ク タ ル 次 元 を メ ラ ノ ー マ 鑑 別 指 標 と し 、
そ の 値 は2.78と
高 い 値 を 示 した 。
0.6
0.5
3
c 2
c
g aaus一
aava出
4
0
0.1
D
454
50U55UGUUG5U7U4
Asa
Wavelengthλ(Ⅲ
図10健
皿)
常 者 皮 膚 の ス ペ ク
トル
99
4.2本
1.0
シ ス テ ム の メ ラ ノー マ 鑑 別 能 の 評 価
得 られ た15病
変 ・106個
ク トル 画 像 全 て に つ い て4.1に
の皮 膚拡 散反射 スペ
o.s
示 した結 果 と 同様
の 処 理 を 行 い 、 統 計 処 理 を 行 っ た 結 果 を 図11に
示 す 。予 想 通 り、メ ラ ノ ー マ 患 者 のSpectralAngle
ξ α6
Mapの
viO.4
フ ラ ク タル 次 元 は 脂 漏 性 角 化 症 患 者 や 健
常 者 に 比 べ 有 意 に 高 か っ た 。 ま た 、 脂 漏1生 角 化 症
0.2
と 健 常 者 のSpectralAngleMapの
フ ラ ク タル 次
AUC=0.9583
元 に は 有 意 な 差 を認 め る こ とは で き な か っ た 。 同
様 にALM、LMM、SMMと
o.o
0.00.20.40.60.81.0
い った メ ラノーマ の
1-Specificity
病 態 に よ る フ ラ ク タル 次 元 の 変化 に有 意 な 差 を
認 め る こ と も で き な か っ た 。 得 ら れ た119個
SpectralAngleMapの
図12ROCcurveforoursystem
の
フ ラ クタル次 元値 に対 し
12
て 、ROCカ
ー ブ を 描 い た 結 果 を 図12に
示す 。メ
1.0
ラ ノー マ とそ れ 以 外 を最 も効 率 的 に分類 で き る
‐Sensitivity
着 。、
芸
閾 値 と な るSpectralAngleMapの
元 は お よ そ2.75で
そ85%、
Specificity
フ ラ ク タル 次
あ る。 そ の とき の感 度 は お よ
特 異 度 は お よ そ91%で
あ る 。 図13は
閾
喜06
Y
舅 ゜4
0.2
値 と な るSpectralAngleMapの
フ ラ ク タル 次 元
o.0
2.552.602.65
を 変 化 させ た と き の 感 度 と特 異 度 の 変 化 を 図 示
し た も の で あ る 。 図13に
Mapの
270275280285290
Tlueshold
よ る と 、Spectra1Angle
フ ラ ク タ ル 次 元 が お よ そ2.70を
ほ ぼ メ ラ ノ ー マ で は な い と 言 え 、2.77を
下回れ ば
図13閾
値 に よ る感 度 ・特 異 度 の 変化
上 回 る と、
メ ラ ノ ー マ で あ る 可 能 性 が 極 め て 高 い と言 え る。
5.考 察
本研 究 結 果 は フ ラ ク タル 次 元 を評 価 す る前 段
階 の 処 理 が 重 要 で あ る こ と を 明 ら か に して い る。
**n
医 用 画 像 処 理 に お い て 、 フ ラ ク タル 次 元 と言 う と
.s.
z.ss
き は 、2次 元 の 境 界 線 画 像 に対 して 算 出 され る こ
Z.so
とが 多 い 。 本 手 法 に お い て も 、 例 え ば メ ラ ニ ン濃
275
0
度 が 濃 い 領 域(ホ
2.70
65
60
2
2
∩=日o邸旨﹄
ク ロ:母 斑 細 胞 母 斑)と ヘ モ グ
ロ ビ ン濃 度 が 濃 い 領 域(皮 膚)の 境 界 線 を何 らか
の 手 法 で 抽 出 し、 そ の 境 界 線 の フ ラ ク タ ル 次 元 を
2.55
算 出す る こ とが 可 能 で あ る。 そ の 一 例 を 図14に
2.50
示 す 。 しか し、 メ ラ ノー マ 患 部 に お い て は 、 メ ラ
MelanomaSeborrheickeratosisNevus
**Pく001
nsnotsig皿hcant
図11病
態 に よ るメ ラノ ー マ 鑑 別 指標 の 変 化
ニ ン が"で
た ら め"に 分 布 して い る こ と が 多 く 、
通 常 の 母 斑 な ど に比 べ 、 そ の 境 界 が あ い ま い で あ
る 。"で た らめ さ"は メ ラ ノ ー マ を含 む 悪 性 腫 瘍
の 特 徴 の 一 つ で あ る。 した が っ て 、 従 来 の 手 法 で
無 理 や りに 境 界 線 を 引 く と、 そ の 手 法 の 出 来 不 出
来 に よ っ て 、 フ ラ ク タル 次 元 が 変 動 して し ま う。
そ れ ば か りか 、 そ の よ うな こ と をす る とス ペ ク ト
100
ル が も っ て い る 情 報 を 正 し く利 用 で き る と い う
angle)と
保 証 は何 もない。
利 用 され る こ と が な か っ た ボ ク セ ル カ ウ ン テ ィ
、 立 体 的 な 角 度 地 図 と、 従 来 め っ た に
ス ペ ク トル の 持 つ 、分 子 種 や そ れ らの 濃 度 の 変
ン グ法 を本 研 究 で は 用 い た 。 そ の 結 果 得 られ る フ
化 とい う情 報 、 を損 な うこ と な く、 分 子 レベ ル で
ラ ク タ ル 次 元 を鑑 別 指 標 とす る こ とで 、 単 一 指 標
の"デ
に も か か わ らず 高 い 鑑 別 性 能 を 得 る こ と が で き
タ ラ メ さ"を 表 現 す る指 標 の 探 索 が 不 可 欠
で あ る。 そ の た め 場 所 か ら場 所 へ と変 動 す る ス ペ
た と考 え て い る 。
ク トル を特 徴 付 け る ス カ ラ パ ラ メ ー タ(spectral
表3入
力 パ ラ メ ー タ 数 とAUCに
、
︾ ノ
∬L塵
SIAscope
MMoncrieffetaL(2002)
SolarScan
S.W.Menziesetal.(2005)
SpectroShade
M.CarraraetaL(2007)
S∼0.8
mas
S∼088
(少な くとも12の 入 力 パ ラ メー タ)
S.____°0.96
ユユロ (12の 入 力 パ ラメー タ)
5=0.958
本研究
ス ペ ク トル 情 報 を保 持!
よ る 先 行 研 究 との 比 較
(1パ ラメー タ)
ス ペ ク トル 情報 は
損 な わ れ て い る と考 え る の が 妥 当
2.81
倉
この値 は輝 度値画像 に
対 して一意 に定まる
図14境
1.37
1.48
倉
倉
同じ輝 度値 画像を異なる手 法で境 界線抽 出した場 合 、
その手法 によって同一 画像でも値が大 きく変 動してしまう
界 線 の 抽 出 手 法 の 差 異 に よ る フ ラ ク タル 次 元 の 変 化
101
表3に
解 析 に用 い るパ ラ メ ー タ数 とAUCに
よ
Clin.50215-36
る先 行 研 究 と我 々 の シ ス テ ム の 比 較 を示 す 。 従 来
[3]Nachbar,F.,Stolz,W.,Merkle,T.,Cognetta,
の メ ラ ノ ー マ 自動 鑑 別 シ ス テ ム にお い て は 、高 い
A.B.,Vogt,T.,Landthaler,M.,Bilek,P.,
水 準 で の 診 断 性 能 を実 現 す る た め に 、 多 数 の パ ラ
Braun-Falco,0.,Plewig,G.:"TheABCD
メ ー タ を 用 い て い る。一 方 、提 案 して い る方 法 は 、
ruleofdermatoscopy"(1994)Journalofthe
未 だ 症 例 数 は 少 な い もの の 、 た っ た 一 つ の指 標 で
AmericanAcademyofDermatology,30(4),
高 水 準 の鑑 別 性 能 を実 現 で き て い る。 こ の こ とか
pp.551-559.
ら、 こ こ で 提 案 す る鑑 別 パ ラ メ ー タ は 、 スペ ク ト
[4]Soyer,H.-P,Smolle,J.,Kerl,H.,Stettner,
ル に 立 脚 して い る こ とか ら、組 織 病 理 学 的 な パ ラ
H.:"Earlydiagnosisofmalignantmelanoma
メ ー タ に 近 い 特 徴 を有 して い る と考 え られ る 。
bysurfacemicroscopy"(1987)Lancet,2
実 用 化 へ 向 け て の課 題 は 、症 例 数 を増 や し、 提 案
(8562),p.803.
して い る鑑 別 指 標 の ロ バ ス トネ ス を検 証 す る こ
[5]Argenziano,G.,Soyer,H.P.,Chimenti,S.,
と で あ る 。 そ の な か で 、 現 状 で は 単 一 と して い る
Talamini,R.,Corona,R.,Sera,F.,Binder,
基 準 ス ペ ク トル を 、 身 体 の 部 位 ご と に 分 け て い く
M.,Cerroni,L.,DeRosa,G.,Ferrara,G.,
こ と も検 討 す べ き と考 え られ る。
Hofmann-Wellenhof,R.,Landthaler,M.,
臨床 で 多 くの デ ー タ を計 測 す る 中 で 、患 部 が 小
Menzies,S.W.,Pehamberger,H.,Piccolo,D.,
さ す ぎ る と フ ラ ク タ ル 次 元 が 低 く な る傾 向 が 認
Rabinowitz,H.S.,Schiffner,R.,Staibano,S.,
め られ た 。 これ は 患 部 が 小 さい た め に メ ラ ニ ン領
Stolz,W.,Bartenjev,1.,Blum,A.,Braun,R.,
域 とヘ モ グ ロ ビ ン領 域 の 食 い 込 み が 明 確 に 観 察
Cabo,H.,Carli,P.,DeGiorgi,V.,Fleming,
で き な い こ とが 原 因 で あ る と考 え られ る 。 現 在 採
M.G.,Grichnik,J.M.,Grin,C.M.,Halpern,
用 して い る 装 置 の 画 像 分 解 能 の 限 界 で あ る と 考
A.C.,Johr,R.,Katz,B.,Kenet,R.O.,Kittler,
え られ 、 あ ま りに微 小 な 病 変 に対 して は 、本 手 法
H.,Kreusch,J.,Malvehy,J.,Mazzocchetti,
は 採 用 で き な い と考 え られ る。 ま た 、 患 部 の メ ラ
G.,01iviero,M.,0・
ニ ン濃 度 が 極 め て 高 い 場 合 、 正 確 な 拡 散 反 射 ス ペ
Perotti,R.,Perusquia,A.,Pizzichetta,M.A.,
ク トル を 得 られ な い こ とや 、 計 測 中 に 患 者 が 動 い
Puig,S.,Rao,B.,Rubegni,P.,Saida,T.,
て しま うと 、SpectralAngleMapに
Scalvenzi,M.,Seidenari,S.,Stanganelli,1.,
シャー プ なず
・zdemir,E,Peris,K.,
れ が 生 じて しま い 、 正 確 な フ ラ ク タル 次 元 を得 る
Tanaka,M.,Westerhoff,K.,Wolf,1.H.,
こ とが で き な い とい う問 題 点 が あ っ た 。 これ らは
Braun-Falco,0.,Kerl,H.,Nishikawa,T.,
計 測 後 の ス ペ ク トル の 補 正 で 対 応 で き る 可 能 性
Wolff,K.,Kopf,A.W.:"Dermoscopyof
が 高 く 、更 な る ス ペ ク トル 解 析 ア ル ゴ リズ ム の 改
pigmentedskinlesionsResultsofa
良 が 求 め られ て い る。
consensusmeetingviatheInternet."
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