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『Crimson†Moon』神無月蓮

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『Crimson†Moon』神無月蓮
Crimson†Moon
奈落の夜
[ 遊具 ]
冬が眠り春の眼醒めに至り
僕は樹が桜を纏うと信じた
幾千の時も変わらずに咲く
永久の巡り逢いを疑い無く
君は今何処で誰と過ごして
涙を拭くその人と居るのか
この愚かな憂いだけを胸に
今日も明日も僕は君を胸に
冬が還り春が彷徨うに至り
僕に樹は桜を纏うと云って
幾億の時も変わらずに舞い
樹の元で廻り合うと誓って
確かな物を渇望し懇願して
今にも崩れそうな哀れさを
変わらぬその手と微笑みで
包み込んで身の棘を抜いて
昼も夜も唯君と共に居たい
叶わぬならせめてせめて今
今この時を君と共に居たい
夢か現かもう解らぬ狭間で
光か闇かもう解らぬ隙間で
声と手と香りと温もり全て
安住を導く様に抱き締めて
冬は桜も憂も愚も樹の元で
その身と共に君と闇を抱き締めて
[ 幻想月曲 ]
「どれにしようかな」
外した頭をテーブルの上に置いた
神様の言う通り
あの頭に着替えよう
遅れちゃう
遅れちゃう
タバコも消さずに飛び出した
走った
転んだ
骨だった
愛した君の
骨だった
見上げたけれど
遅かった
涙が一つ
踊り出た
空を行く猫達
月に向かい行進
懐かしい曲を奏でる列の最後尾には
振り返り
僕を見つめる
さっきまで愛した君
[ CRIMSON MOON ]
産まれてくる言葉がひとつ
死んで行くこころがひとつ
届かないと月に向かって泣いた
君の声が風に消えてなくなるまで
時間は止まらなくていい
僕の中に縫われた君がとても綺麗だから
沸き立つ血流
加速する鼓動
混濁する意識
例えるならこころは四角い箱だ
身体は留まる事をしらない水だ
深く呼んで吸う空
絡まる蜘蛛
シンクロ
くびすじ
最後まで微笑みをかみしめて
痛い と触れながら
得たいと結いながら
居たいと濡れたなら
未来 が揺れたから
ああ 君の言葉に体温がきしんで落下して行く
こころをかきむしり 欲しい欲しいと叫んでみても
乱反射する月のひかり
死んで行く想いがふたつ
うつろな目
飲み込んだ言葉
君さえ追いつけない場所まで
僕の声が風にとけてなくなるまで
[ 不完全 ]
不完全
未完成
僕の理由
君が愛しているはずのあの僕もこの僕も壊しながら
君を傷つけても手に入れたい夜
君を想えば消えようとする朝
[ 死苑 ]
溶けた氷の城
崩れ落ちた砂の樹海
生きた死人
折れた人形の指
あのひとに忘れられるのが恐い
あのひとを忘れた自分が憎い
血で染まった鍵
彦星と織り姫が逢えない必然
燦々と胸まで伝う蒼空
嗚呼 思い出した
あれはナイロンが焼けた匂いだ
愛しくて愛しくて殺めて仕舞いたい衝動
賭けは僕の勝ちだ
たかが知れた僕の価値だ
重すぎたピアスで千切れた汚い耳
午前 0 時から午前 3 時まで 1 分おきに手を刻む時計
ランダムな快楽
ランダムな苦悩
どうせ結果は知って居るんだろう?
遅すぎた悲鳴を乗せる舟はもう無い
テーブルに次々と運ばれて来る神々の生首
湧き上がるペイン
ゆらり Cry Out
最初から解って居て利用されたフリをしてたんだよ
帰る場所を無くした子供達
家に帰りたくない大人達
現つと夢の境界線でいつまで血と涙を流し続ければ良いんだろうと膝を抱え嘆く
愛の数だけだよ
愛の数だけ血と涙を流し続けるんだよ
そして僕はまた生まれる
そして僕はまた死ぬ
誰よりも綺麗だった堕ちたアルテミス
もう二度と逢える日は来ないんだね
解放されると想っていた日ももう来ないんだね
造られた哀愁を奏でる演奏家
6 度目のキスでサヨナラ
もう安心して眠っても良いんだよ
咲き誇る百合で彩られた
死苑
[ Reincarnation ]
月に包まれていたはずなのに
背き 歩き始め
忘れ 腕を削り
おうちはどこかと泣いて
許しを乞う
雪から花にカーテンを替え
閉め忘れたドアをまた
閉め忘れ
せめて夢の中ではと
弾けないでと
魚に生まれ変わる明日を想う
目覚めたらきっと
七色の世界さ
涙で溺れ死ぬ前に ほら
ナイフで作った両手には もう
来世へと游いで逝く
水掻きが出来ているから
[ 森のくまさん ]
ある日檻の中
蜘蛛さんに出逢った
或る柵 或る命
蜘蛛さんに出逢った
蜘蛛さんの言うことにゃ
「お嬢さん、お游ぎなさい。」
今ならさ朝なら
歌なら最後にさ
ところが蜘蛛さんが
痕から湧いて来る
トクトクトクントクンと
トクトクトクントクンと
「お嬢さん、お待ちなさい。
ちょっと、堕とし物。」
白い亡骸と
小さなイノセンス
あら蜘蛛さん 「お嬢さん、」
有り難う 「いえいえ、」
今晩は 「一緒に、」
歌いましょう 「嘆きましょう。」
ラララララララララ
ラララララララララ
[ 凍る ]
夜に飲まれても未だ有る意識で縋る
宵闇を吸う肺の中を片手で泳ぐ
純白と漆黒の雑音
上下左右の幻想組曲
独り掻き毟る緋色の鼓動
二人手を取る夢淵の浅瀬
散りたい花
散れない花
噛み砕き口付ける
震える指で 爪で歯で
力を込め切れずに
どうか どうか
どうか君の振動だけは
この鼓膜を焦がして抱きしめて
握って居た自分を振り落とし
見詰めながら追い越した柵の杭が抜けないよ
灼かれたあの日が張り付く瞳の裏
声を押し殺し
咽び泣く僕の顔が
取れないよ
[ 海]
傷口から広がる海や無音。
生を反復して呟く魂も無呼吸でどこまで泳げるだろうね。
(いずれ聴こえなくなる)
雨水が溜まる眼も、濁った言葉を咬む口も、色も、場所も、なくなる。
(消えてしまえない僕だけを残して)
そうさ夢の中でも目的地に辿り着けない。
あの日あの時あの場所で、誰かに計算された様に転ぶのだから。
もう、泣いてもいいと想う。
立ち止まって見上げた坂と空、白い蜘蛛。
飛沫と奈美、見下ろした膿。
[ 踊りましょう ]
「スローモーションで瓦礫の山を懸命に登ってる。
崩れるんだよね。登っても、登っても。」
声が 匂いが 感触が
何よりも網膜に張り付いた君が
君だけが僕の自由を奪う
「もうさ、浸透してるんだよね。君だよ、君、君がさ。
シャワーで洗い流そうとしてもさ、だめなんだよなぁ。
深く潜り込んでるから、切り抜いたり抉ったりするんだけど、
再生しちゃうんだよねぇ。ナニがいイと思ゥ?
色々方法はありそうだけど。ねェ、ねぇ、ネぇ、ネェ。」
両手を波立たせ
翻し
死に上目使いしながら
肢体が千切れるまでドラッグ&トリップ
笑顔に変わるまで
涙が涸れるまで
鼓動が止まるまでドラッグ&トリップ
[ 胎動 ]
ぼくは月に叫んでいます
月の叫びに同調しています
魂を覆う皮膚は波打って粟立ち
覚醒と絶望を繰り返してしまいます
意思を持った指の一本一本 細胞の一粒一粒が
お前以外ならどこでも良いと
ぼくの身体から旅立って行く様です
ぼくをぼくのまま置いて行く様です
見下ろした空には群蜘蛛
子宮には桜の種
核の亀裂から覗かせる片手と思考を浸す硫酸の浴槽
ああ
ぼくは時間そのものに傷ついています
春が来るんだと身体は気づいています
月に向かい叫んでいる様で実は
月の叫びに半身は掻き消されているんです
[ ケガレ ]
何度も
何度も
手を洗うんだ
この罪を流したいと祈り
願う様にいつまでも
「洗い方が違う」
気づかず
「それでいいの?」
聞かれたとしても
穢れ
気が枯れるまで
[ 落園 ]
蟲が踊る 肋骨で跳ねる
月の背骨は枯れて逝く
君がきみがキミが
君か僕かも分からない 君は僕だ
「もう分からない。」
囁いてひらひら彷徨う漆黒の揚羽 彷徨う
ひび割れた顔 漂う
蟻の群れ 頭では砕こうと蜘蛛を口説く
愚を抱こう 登ろう ほら 脳が蛇行
「溺れてしまうよ。」
うねうねと暴れる視界
パラノイアユートピア
蜷局を巻いて寝たかと思うと毒を搾り出して噛み付いて来る
止んだ音 病んだ耳
まだ何か足りない
「両手を広げればいい。」
朝が明けて夜へ 眼にはピアスを開けて
傷口から愛が膿んで 運で産んで また逢ったねと接吻
左脳ならさようなら
林檎の皮膚を綺麗に反転させるように
「さあ、裸足で。」
暗がりにダイヴ
光をもぎ捕るように左右を交差させて想いにリンク
暗がりにダイヴ
足首を掴んで離さない罪と罪と罪のような重いリング
「あと 1 ミリで楽園だよ。」
月の背骨が欠けて満ちて
「笑ったよ、笑ったよ。」
汚濁を抱く恋 胸へ 無知で
地球に優しい死に方を
誰にでもわかるレシピで
[ 悠久牢 ]
堕ちて行く疾走感
一瞬の深い眠り
闇を翔けて墜落感
千年の浅い眠り
重力無視の思考
波間で揺れて憂い
月に絡む白蛇
慰めて白濁
「風が過去をつれて来たね」
僕は雨に濡れて北へ
「もう涙をふいてカレン」
君は誰よりも清楚で可憐
傷を着てここへ辿り着いた
なのに 罪を摘む事は許されなかった
縛り付けたのは何者でも無い自分の弱さ
大切さを忘れて心の強さを限定した
「もーいーかい」
「まーだだよー」
重力に潰される汚れた身体
極微に烙印される逆十字
「こっちへおいで」
戻らない時が緩やかに僕を責め立てる
堕ちて行く疾走感
一瞬の深い眠り
闇を翔けて墜落感
千年の浅い眠り
時計仕掛けの脳内は迷宮
時など存在せず
荊を抱いて
醒めない悪夢は永久
[ 剣の様な人 ]
こんなにも壊れた僕を残して
「苦しみと結果が比例しないの?」
「透明になったら教えてあげる。」
………なんて綺麗なんだろう
あなたを壊しても
いいですか
[ 棄てればいい ]
物凄い勢いで流れて行く君に必死に言葉を投げ掛ける僕は
コマ送りで早送りをして居る様な
鼠と珈琲とグラスを足して割り切れない数字を何時までも並べる鉛筆と同じで
反応の鈍い指や眼に幾ら愛してると音を叩き付けても
傷つける事と癒す事を同時に行う秋の夜に
考えても考えなくても独りだと言う事に可笑しくなって止まらなくなる
君は離れれば離れる程 僕の肉に喰い込んで来るんだね
君が錆びれば錆びる程 僕の肉は軽くなって行くんだよ
どうか どうぞ どうせ どうにでも
どうにでも何にでも組み込める回路はバラ売りして居るのだし
簡単に抜き差し出来るプラグと一緒なんだろう
脳は 脳は 脳は
明かりが灯って居てもむせ返る様に闇が臭う部屋で
物凄い勢いで流れて行く君に必死に言葉を投げ掛ける僕は
何の為に必死になって居るのかと言う問いと答えと逃げと安らぎに
可笑しくなって止まらなくなる
可笑しくなってたまらなくなる
忘れてなんかやらないよ
僕の肉を捨てたって
[ Tragic Comedy ]
生まれ変わり 死に変わり
あなたに出逢う奇跡
今一度記憶の回廊で
「二人の物語」を鑑賞しようとも
止める事など出来はしないのだから
この世界でもあなたを探し
恋に堕ちる悲劇
進む事なく
ただ
繰り返されるのならば
奇跡と悲劇を織り交ぜた物語
そう輪廻こそ
喜劇
[ 奈落想巡歌 ]
もしも地球が駄目になったら
ふたりで一緒に奈落の旅へ行こうね
朽ちて尚
永遠の誓いを果たしたい
二人 退化の路辿り
明けない夜に待ち合わせ
ニライカナイの樹の元で
はぐれぬ様に魔の幹で
もし魂に口がなかったら
どうやって想いを伝えよう
もし
言葉だけの世界だったら
言葉でしか
抱き締められない
[ 堕ちゆく故意 ]
道端に落ちてる恋
妥協する恋人達
心の中の闇
もう一人の自分
君の想いの大きさ
受け入れる僕の許容量
愛してる思い込み
傷つけ合う夜明け
口癖になるサヨナラ
抱き締めても止まらない涙
カギの合わない扉
救えない二人
もがいても沈んで逝く心
鏡に映る歪んだ顔
確立出来ない存在理由
環境のせいにする弱さ
目の前にある常世の入口
罪を償わない罪
意味ありげな無意味
考えない最善
「ありがとう」と言ったね
ねぇ
笑い方を教えて
[ 責めないで ]
夢の雫が滴る湖
あなたの声
カラを破って
緩んだネジを締めなおした
涙を流す銀色の月が
今日もまた
風のせいで別の顔を現す
僕だけが違うのか…?
草が絡む心は
この前捨てたはずなのに
あなただけは責めないで…
僕は
ナイフに怯える仔犬の様に
世界中の皆が僕を捨てても
あなただけは
責めないで
[ シナリオにない ]
もう時を刻む事を忘れてしまった時計
加速する被害妄想
過去の傷口に煙草を押し付ける
『僕はコワれてなんかない』
予想通りの結末?
思い通りにならない現実?
『あれはシナリオに無いセリフのはずだ…』
起きても覚めない悪夢
笑えない童話をひきちぎる右手
吹き出す血を想像させる左手
自分で決める幸せ
[ 夢の森 ]
走っても
走っても
抜けられない
嫌な顔をした木々
うめき声をあげる森の中
「何やってんの?」
「やっぱりあなたはだめね」
「まだそんな所にいるのかい?」
耳をふさいでも貫通して響くからたまらない
どこで
なにを
間違ったんだろう
どこで
何をすれば
出口に辿り着ける?
最前だと信じていた
あの分かれ道は
”左に進め”と書いていたじゃないか
アゲハを追いかけた時?
邪魔をしたクモを殺した時?
街を出た時点で
もうすでに手遅れだったの?
それともこれが現実なんだろうか
森が見ている夢に
自ら
迷い込んでしまったんだろうか
[ 鴉泣く夕暮れ ]
魂に刻まれた月輝く春
玉響揺れて消え去った夏
あなたを失くし色褪せていく秋
独りに凍え震えた冬
二度とは戻らない愛した人と過ごした日々
二度と埋められない常世に繋がる心のヒビ
涙に気付き
目を醒ました朝
一緒に居られないならと
玉の緒を引き裂いた夜
[ 届かない ]
傷が増えるだけだと知っていても
君から目をそらす事が出来ず
血を滴らせる指先を頼りに
目の前にあるガラスの壁を壊そうと
爪を立てる
僕は理由を思考する
花束を渡しても 手だけ遮られる
届かぬ理由を思考する
…見るだけじゃ嫌だ
君の心臓をにぎり締めたい
両目をえぐれば
わかるだろうか
爪がくい込む音が
やけに嬉しい
近づいた気がする
君以外
何もいらない
[ 君と罪と ]
夢の中でも微笑まない月
夢の中でも微笑まない君
夢の外でも手首を切る僕
夢の中でも手首を切る僕
窓の外で振り返らない君
窓の中で自分を抱える僕
夢の中でもかなわない恋
夢の中でも贖罪を抱く僕
たとえ奈落でも罪とトモに
せめて奈落では君とトワに
[ 暗黒旅日記 ]
また夜が来て襲われる
足元から引きずり込まれる
胸を打つものなどもう何もなくて
それでも何故悲しい感情だけはしがみ付いているのだろう
戻る事の出来ない一本道だと
水で出来た人間だもの
涙が枯れるはずなどないと
ああ それもそうだね
でも 泣ける自由についてあなたはどう想うのだろう
何のために生まれてきたのかなんて
もう 考えるのはやめて
かまわない
かまいはしないのさ
あなたと一緒にいられるのなら
あっちでデートを楽しめばいい
それだけさ
暗黒旅日記
タイトルはこれで決まり
暗黒旅日記
場所が変わるだけで後は同じ
白だろうが 黒だろうが
あなたがそこに行くと言うなら
純白旅日記
罪で塗りつぶし
暗黒旅日記
ぼくならもちろん
奈落でも君を一人にはさせない
[ 出口 ]
目と耳が邪魔だから
手首に描く南十字
魂は日と沈み
月と堕ちる
全てが知りたいワケじゃない
胸に当てたツルギで北斗を描く
月言葉は
「逢いたい」
見上げて思い出す言葉の意味に
それ以上も
それ以下もなく
奈落の途中で
君に逢い
そっと目を閉じて
愛を囁く
[ 入り口 ]
手と顔が邪魔だから
両目に刻む螺旋十字
魂など黒くなり果て
罪を燃やしても灰にならない
全てを知り得たワケじゃない
胸に刺さった君の涙は
想いを閉じ込めた心の蔵の
あの日の鍵
月言葉は
「抱きたい」
見上げて噛み締める言葉の意味が
それ以上もそれ以下もなく僕を染め上げ
奈落の手前で
君と出逢い
耳を塞いで
愛を求める
[ 黒十字 ]
十字に滴る赤
血で映える黒
眠れる森
泣き叫ぶ天使
天にかざす盲目の賢者の杖はか弱く
そして
届かない
廻る鉤十字
まるで血の様に広がる永遠
貴女に逢えた気がした
目を閉じてみる
「貴女」を待とうと思った
[ あの月の様に ]
君のした事が許せない様に
僕のした事を許さなくていい
記憶の旅
記録する度に
涙に巻かれる毎に
波間で溺れる事に
胸で十字を切る
ナイフで十字に斬る
繰り返すのが嫌なら
繰り返さなければいい
それだけなのに
回路は愛の文字に呪われ
迷路の行き止まりで泣き叫ぶ
本当は
あの月の様になりたい
闇にだけ裸体を晒す
あの月の様になりたい
[ 夜]
雨 雨 雨
降りしきる雨は優しい様で
当然過ちを洗い流してくれるわけもなく
雪 雪 雪
闇に舞い降りる雪は綺麗でいて
悔やみ切れない想いの様に
心の中に降り積もる
夜に映し出される君
愛してると言って
僕は死文字の呪いを掛けられたんだ
瞳の奥が痺れる
涙で前が見えません
指を噛み切り流れる血でも
過去も未来も
塗り替えられませんか?
恐くて
恐くて
どんなに走っても抜け出せない森の中
ただ恐くて
追い掛けてくる罪に何度も振り返り
狂い損ねた夜に
か細い悲鳴は祈りの声にもならない
きっと何度も泣く
かと思えば何ともなく
何となく生きるその繰り返しに疲れ
命を賭ける事も出来ず
最初に決めた想いを貫けもしないで
涙で後ろも見えません
[ SHINE ]
MoonShine
おはよう狂気
SunShine
心までヤケドしちゃうよ
Shine
Shine
Shine
Shine
僕には
「死ね」としか読めない
[ うつしよとこよ ]
君を泣かせた罰として
子指をちぎる事にした
誓い果たせぬ指ならば
有っても無くても同じ事
小指をちぎり
交わせぬ契り
指切り幻聴
「おいで」と響く
出来ぬ約束
招くは奈落
指切り幻万
跨いで死が来
現世 常世 彷徨いながら
僕ごと斬って
三途に流せ
「現世何処よ…」
はぐれて
泣いて
「現世此処よ」
言われて
泣いた
[ 月に抜け殻を残して ]
僕の頭の中を這いずり回る
黒いムカデ
差し延べた貴女の腕に絡み付く
宵闇に黒月瞳に映して振り払おうともしないんだね
もっと綺麗になるだろう
抱き締めたままゆっくり沈んでいくのがわかる
貴女は痛くないの?
早く楽になりたいと願うよ…
僕の体にへばり付いて離れない黒いムカデ
差し込んだ貴女の右手も喰い尽くす
三日月に黒風
何も身に纏わず
寒さに凍えるフリをする
僕を吸って
僕の全てを吸って
堕ちるでもなく
黒いムカデ
消えて無くなるまで
囁いて
貴女に生まれ変わる時が来るまで
[ 敗者の夜 ]
ボクの街に赤い月が落ちた
キミの胸に
青い夜に墜ちた
「寂しい」と言って
続いて
跳ねた月と消えた
飛んで来たのに…
涙をこぼさなかったからかい?
「ご飯も喉を通らない」と言えば
満たされた?
朽ちた夢を乗せ走る列車
百年前のこよみ
蜘蛛の形の地図
転生期を映す時計
桃色の桃
キミ色のキミ
キミ色のボク
誰にも染まらない我がまま
キミ
あるがまま
現れても
悲しい顔で薄目で伺う瞳
惚れた弱みで虫にもなれない
歯医者通いのボク
[ 愚者の柩 ]
到達出来ない喜び
仮面の下の仮面
グシャグシャにされた月を撃ち落としたなら
後は
引き続きお楽しみ下さい
この下は勘弁
触れられると
樹の下に埋められた花弁を
掘り起こしたい衝動に駆られる
風に舞う夜
夜に舞う風
神楽の笛の音に誘われ
僅かに蓋を開けてみるものの
冷た過ぎる時の間に降臨などなく
逆五芒を冠した柩の中で独り
夢と言う夢を見尽くす
儚いからこそ美しい?
「モノによるだろ」
なんて否定してみる僕は
「最初から最後までオリジナルで居たい」と言う
そんな物語の主人公に成り切る
[ 明ケナイ夜ニ抱カレテ ]
眠れない夜に連れられて
迷い込んだのは嘆きの森
剥き出しの脳の形をした鉄塊の周りには
自虐の華が狂い咲き
綺麗な程に闇色の蛾が乱れ舞う
見とれる僕の身体は徐々に
蛾の燐粉に犯されて
黒く
深く
染まっていく
両手が凄く重い
どんなに洗っても落ちない罪がこびり付いているせいだ
『僕に触らないで』
本当は助けて欲しいのか
好きでここに居るのか
よく
分からない
冷たい雨が
眠れない夜を連れて来たきり
光でまぶしい朝が
僕の元に
やって来ない
いつまでも
明けない夜に
いだかれて
あなたの元に
手を
伸ばせない
[ 眩む月 ]
夜を羽織って
闇と同化
月で出来たピアス
瞳に挿したらどうか
宇宙在住
至高の神に
この状態で
「過去、戻れるよ」と
言われたとして
やっぱり
きっと
何にも
出来ない
変わる事無く
また
暗睦月
陽の上のあなた
月の下の僕
相見える事無い
交差しない次元
風化した願い
塵になった想い
夜を羽織って
闇に同化
月が見えない位
瞳に穴を
空けたらどうか
[ Mirage ]
ジワジワと融けて行く魂の音を聴きながら
それでも溶け切れずに残る想いの断片を見つめた
本当は消したい
本当は消せない
葡萄酒で嘆きを飲み干して誤魔化して
どこかに落ちた涙と涙は例えば
血に良く似た色をして居たかも知れないね
病んだ月夜の風
堅い夢の中を揚羽が游ぐ
虚城に咲く項垂れた花達は枯れながらも唄い
その生に何を刻み何を観て居るのか
僕がどれだけ僕だったかを伝えたい
天使だって視る角度で悪魔に変わる
そんな事はもう解って居たんだ
僕がどれだけ僕だったかを伝えたい
自分で神を造り裏切り
一所懸命に言い訳を蒔いて走って来た事を
言えるだろうか
陽が堕ち顔を出す奈落の夜を前に
癒えるだろうか
君が僕を置いて眠りに就くその前に
鮮やかな幻影を遺したい
滲む君と
僕と
消えない残像と
[ 軋む春 ]
溢れる膿に冒され
包み込むつもりが犯していた
愛してる 愛してる
緩やかに絞め上げる様に
鋭利すぎて見えない傷口の様に
愛してる 愛してる
在り触れても想いを詰めた言葉
捧げるつもりが捩じり込んだ
冷静と熱動
堅くて柔らかい心の膜
さよなら 仮想の華
さよなら 幻想の君
抱き締めて砕いた華
愛してると嘘でも言わない君
軋む夜
千切れる朝
軋む春
千切れた朝
[ 狂響と ]
砕けて飛び散る昨日の足音
かき集めて乗り上げる今日の産声
「許される筈がない」とは別の場所で
頭の底では期待の指を握って
夜毎切り刻まれるそんな日々でも
闇に浮き出る只一つの火を見付けた
そうこんなにも好きで
君をこんなにも好きで
自分を否定してでも愛を吐きたくて
断ち止まるなんて出来るもんかと
心臓を手で握り締めて握り締めて血を循環させる
いい加減に出て来てよ 笑顔じゃなくていいから
君も愛を吐き捨ててよ 粉々に破けるまで
瞳を爪で掻き毟る様に 焼け爛れて飲み込まれる様に
僕を抱いてくれるなら 例え憎悪の渦の中でも
支障を来した結合のプログラム
太古から続く馬鹿げたダビングテープ
一体僕はどうなってしまった?
狂い踊る 無様な生け贄みたいに
もう制御出来ない理由を思考する力も果てた
嗚呼 溢れて来るんだよ
こうやって
滲んで来るんだよ
[ X -エックス- ]
心臓から指先まで駆け抜ける病みと
どこに続いてるのかも知れぬ暗闇が
溶けて交わり
自我が亡くなるまで同化して仕舞えばいい
さあ もっと
汚い言葉を投げかけてくれ
昨日 今日と
一つずつ想い出を脱ぎ捨て
生まれ変わって逝くから
過ぎた日の傷口が開いても
それを感じぬ程引き裂いて仕舞えばいい
流れる血は
自分で舐めるしかないんだよ
[ タナトスに口づけを ]
一緒に踊りませんか
あなたに伝えられるものなど何もなくなった
安臭い愛と夢と永遠がこびり付き
もう原型のない涙も
形を変えない欲望も
あなたに伝えられる事などひとつもなかった
生きる意味と価値を押し付けて居たね
もう原型のない手首も
形を変えない愛しさも
タナトスに口づけしてさよなら
安楽の彼方まで両手を広げて踊りましょう
地面に縫われた身を引きちぎって
内から漏れ出る衝動に抱擁を
一緒に踊りませんか
一緒に踊りましょうよ
タナトスに口づけを
タナトスに口づけを
[ 夢は月の下で ]
裸足で駆けて行く
君は夢を追う人
夢を見る
夢を観る
夢を診る
月に降る雪
海に舞う花びら揺れる
ゆレて
ゆれテ
ユレル現実
夢を見た後
夢に包まれ夢は生きてた?
「夢は夢なの」
君も夢なの?
僕が夢なの?
零時に鳴る鐘を割り
恐くなる
走り出す
逃げて行く夢を追う君を追う僕を襲う現実に悩まされる夢を見てうなされて流されて
どこからが夢?
追う君
どこまでが夢?
追われる僕
[ 果てまで ]
ああしていれば
こうしなければ
冬と春の間で立ち止まってみても
過ぎた夏と秋を振り返ってみても
ぼくたちは抱き合ったまま往くのだろう
このまま
ああしなければ
こうしていたら
腐れ落ちる腕もそのままに愛撫して
鎖を切って溢れるものを垂れ流して
ぼくたちは抱き合ったまま行くのだろう
このまま
ぼくたちは抱き合ったままイクのだろう
そのまま
ぼくたちは抱き合ったまま逝くのだろう
このまま
[ 壊れた時間 ]
金色の大樹踊り
桃色の雲が戯れる黄昏れの丘
君は何を想い花を織っていたの?
見つめる事しか出来なかったね
あの頃の「愛してる」が
懐かしい
この道は何処までも続くと
そう 思って居たのに
あれから幾つ星が降った?
君の残した香りと言霊が響いて居た
僕は 縛られたままだ
君の全てに
縛られたままだ
音も無く崩れて行く道の上で
何時までも
此処に来てもまだ
顔の無い君を記憶の果てで眺めて居る
ああ…
泣けたらいいのに
ねえ…
笑うしか無いだろう?
血を流し始めた
とこしえの
傷口に舌を這わせて
腐り散り逝った
久遠の墓標に朱の白百合を添えて
[ し]
駅で聖書を広げてる人がいる。
黒い服を着た人がいる。
僕は想いをうまく変換できず、何度も同じ言葉を打ち間違える。
僕はもうだめですか。
人から見てもだめですか。
まわりの会話はまるで別の世界の言葉を使っているみたいだ。
僕にもわかるように話をして下さい。
僕はだめですか。
僕はもうだめですか。
目的地行きの電車が目の前を通り過ぎて行く。
選択肢がよっつ浮かびます。
1.目的地を変更する。
2.ホームから飛び降りる。
3.次の電車を待つ。
4.一生ここにいる。
咳をするたびに脳が揺れて黒くなる。
[ 遺書 ]
或いは我のみに非ず。
願わくば永遠の安息、塵一つ残らぬ無に帰すとするを。
完全為る癒しを。
絶対成る救済を。
終始求め、渇望の獣、誠其の如き哉。
虚言・卑俗・虚無・絶望に身を浸し、
想いを沈める姿晒すは最早救い様無し。
輪廻・久遠を彷徨い、繰り返すは愚の骨頂。
哀れ也。
唯寝、唯食し、其れだけの己。
故に我其の物に意味無し。
現世、天地の理に嫌悪を抱き、
黄金律・因果律、知り得た処で其の幸もまた神の手の中也。
思考、繋がる行動。
来世は来ぬ。
魂の解放…否、望むは滅也。
儚き哉、我。
儚き哉、生。
何一つ自由利かぬ此の身成ればこそ、
せめて極の罪に達し初めて得る安堵。
想
-ぼくと彼方-
あなたと想いを抱えて
幾千の夜を翔けて
あなたと想いを抱えて
燦然と耀く虹を架けて
生きてるから感じられる切なさ
難しい言葉は似合わない
生きたいんだ
もっと
死にたいのは素直じゃないんだ
きっと
ふたりの闇も抱えて行ける
やっと
ぼくはバカになりたいんだ
もっと
幾千の想いを乗せて
ぼくとあなた
幾億の夜を飛び泳ぎ
ずっと彼方
-やめるもんか-
例え口を縫われたって
歌う事を止めるもんか
例え言葉を盗まれたって
叫ぶ事を止めるもんか
キミへの想いは
誰にも邪魔出来ない
もちろん
ボクは止める気はない
例え翼をもがれたって
飛ぶ事を止めるもんか
例え腕を折られたって
キミを抱く事を
止めるもんか
-キミとボク-
「神様は本当にいるの?会った事もないし、助けられた事もないよ。」
とボク。
「生き方を選ぶのはアナタでしょ?
会うためでも、助けるためでもない。
アナタを生んでくれた。それが神様よ。」
とキミ。
なるほど。
ボクは罪深くて難産だったのかな。
きっと、
生むのがやっとだったんだね
神様、アナタを責めてごめんね。
生んでくれてありがとう。
-巡ってもひとつ-
別れの辛さが霞むくらい
出会えた喜びを噛みしめろ
耳を澄ませば
道端に転がる石ころさえ語りかけてくる
あらゆる声を意識した時
君は初めて
独りなんかじゃないって
気付くだろう
泣く事と逃げる事の意味は
同じなんかじゃないんだ
命は
生き抜く事に賭けろ
-傘-
貴女を探し
想いを眺め
また巡る春
闇夜に浮月
貴女の声は
どうしても
淋しいから温めてと
そう
聴こえてしまうから
雨が降れば傘を
風が吹けば両手で
少しでも笑顔の裏を
言葉には僕の全てを
-好きです-
言葉なんかじゃ伝えきれない
でも言葉でしか伝えられない
好きと言っても信じない
でも嫌いと言えば信じる
そんな君に
好き以外の言葉で
どうやって「好き」を伝えられるか
今考えてる所さ
「僕はブラックコーヒーが好きだ。
何と言うか、君はブラックコーヒーに見える。
飲ませてくれないか。」
こう言えばいいだろうか
「掲示板のレスを 10 分おきに確認してるよ。
1 日たってもレスがない時なんか、
パソコンを 2 階から地面に叩きつけたい位さ。」
こんな感じだろうか
「ああ…禿げそうだよ。」
馬鹿だろうか
「マドンナって 40 過ぎに見えないよね。」
全然関係ないよね
好きと言う言葉には
好きと言う意味しかない
僕は簡単に好きなんて言葉は言わないよそんな僕が使う好きって言葉をどうか信
じてくれないか文字だけの世界なんだから文字で好きと言う他ないじゃないかっ
てそうだろうじゃなかったら簡単にスキとか愛とか使う人達なんかのために意味
が薄れてでもそれは僕のせいじゃないって言うかだか
以下省略
-おやすみなさい君は春に見た悲鳴に似ていて
目にこびりつき
心臓を撃ち震わすから
僕は 僕は
伝わるかとか伝わらないかとか考えながら
そっと抱きしめてみるよ
視界に閉じ込めて置きたいと
ほんの少し想って考え直して
恋人の再会のように
世界に指を入れるように
掬った涙で
顔を洗うんだ
泣いていますか?
笑っていますか?
僕は
ありがとうが
おやすみなさいが
届くかとか届かないかとか考えながら
そっと
抱きしめているよ
また 逢いたいね
また 逢えたらいいね
伸ばした指を
にぎり返さなくていいから
僕達 逢えてよかったね
また逢えたら
素敵だね
-わからない-
涙と一緒に
君は今
何を流しているのだろう
「泣かないで…」
泣いているのは君の方なのに
どうして君には
こんなにも簡単に
心の中を覗かれてしまうのだろう
-ウィーク POINT-
月の癒しに触れ
花の綺麗さに気付いたかと想えば
衰えていく心を
黙り込む君のせいにしたり
禁じたはずの
怒りをぶつけ
陽の光に叱られたりもする
君を大事に出来ない弱さを
君が居ないと駄目な弱さを
繰り返すニ度と来ない毎日
君と過ごすどこにもない毎日
もっと感じて
心の奥で繋がる様な
強さと優しさに変えていきたい
-スクエア-
指先から命を放つ
芽吹いて往く想いの触手
翔け出す言葉達よりもずっと
何ものも寄せつけないスピードで
今 夜を射抜け
絡み付く闇はまだ恐いか
視覚に囚われるな
心の過度を削れ
脳に巣喰う
ノーリスク ハイリターン
薙ぎ倒せ
思考しろ
背中の傷に手を当てながら
泣きながら
生きながら
先に自分を掬え
それを見せて他を救え
-僕が居るから-
月が雲に覆われ
世界の腐敗が加速し
完全な者のまだ居ぬこの世で
あなたは未熟なままでいい
この手で
この眼で守るから
髪を静かに撫でさせて
頬に優しく触れさせて
あなたを傷つける
全てのものから
僕の
血と肉の
全てをかけて護るから
-たましいをはんぶん-
きみがかなしくなったときは
こぼれるなみだをぬぐえるように
ぼくのこのたましいをはんぶん
あげられたらいいとおもう
きみがかなしいと
ぼくもかなしいなんて
そんなこと
おしつけたくなんかないから
ただだまって
「はい」って
これでぬぐってって
たましいをはんぶん
あげられたらいいとおもう
-小指を繋いでいて-
想いを口にするよりも
ただ 小指を繋いでいて
切ない歌が聴こえる耳を塞いで
瞳から溢れるものを残さず両手で掬いたい
本当は優しい季節です
伝え切れなくても
ただ そっと触れてくれるだけで
綻びた夜が
静かに眠りにつくようだよ
-今日も明日も-
もし神様がいるなら
「こんにちは」と言います
もし神様がいなくても
「そうですか」と言います
もし生まれ変わりがあるなら
「また君と会いたい」と言います
もし生まれ変わりがなくても
「そうですか」と言います
余計なものを持つと
歩けなくなります
タバコを吸える
余裕があればいいです
お菓子を食べられたなら
とてもラッキーです
-みずからもしかり自身の矮小さを照らし出す雄大で圧倒的な朝日と夕日
あらゆる意味で自然には敵わない
意の儘に生きる様で流される身は水
猛る気は火
あなたは風
あの人は土
雄大な時と空 色彩 静動の海
自然を前に如何に自身が矮小でも
それでも
自らも然り
緩やかな自然の一部
-福音乃弦-
部屋に香るエタニティとレイン
僕は愛という以外言葉を知らない
僕は愛という以外言葉は要らない
色付く未来とモノクロに変わる過去
あなたがどこで誰と居ようと
僕はあなたを愛して止まぬ諸人のひとり
護ると同時に全てを殺めんとす荊
部屋の外にあると想い込んだ幸福
身を解き香るエタニティとレイン
色付く過去と色付く今とこれから
言霊にて伝えんとする全て叶わずとも
僕は愛という以外に音霊を知らぬ故に
あなたがどこで誰と居ようと
僕はあなたを愛して止まぬ諸人のひとり
しずく
-雫-
もし私が
私でなくなったとしても
それでもあの光でずっと
心ごと
照らしてくれるのでしょうね
「変わりたい…」
何も望まず
輝きを与え続ける
あの
月の様になりたい
光 一雫
その指先で
心の爪先まで
-これよりも先のあなたへ-
あなたがこの世に
生を受けたその刹那へ
あたしは裸足で駆け出して
おめでとうと
ありがとうと
そう云って抱き締めたい
あなたがこの世に生を受けた
何度目かの今日
この日
これよりも先のあなたへ
ごめんねと
云わずにすみます様に
おめでとうと
ありがとうと
それ以外云わずにすみます様に
-廃衰-
あぁ…
溢れ出るこの想い…
でも 垂れ流しただけ
汲み取っていたら
少しは
違ってたかしら
背に水を敷くほど
必死では
なかったとしても
-つぼみ-
夕日の差し込む窓辺は
果てのない天井と交差する
左右にちかちかと泳ぐ目眩
眼の前の未来
鎖の様な声
水の先
鎖の様な骨
水の線
-右手、左手。-
握る右手と
放す左手
右手に幸を
左手に覚悟を
得る喜びと
失う覚悟を
-わたしはパズル-
わたしはパズル。
丘の上にいるのは心のない少年。
……エメラルド?
-わたしを組み合わせて-
ワインレッドの猫、
空を泳ぐ魚、
ゴールへと続く曲線、
でもあなたは迷路。
-睡想-
共鳴では無い
故意に恋した
揺れて
波間に浮かぶ昨日
共鳴では無い
私は
私だけのもの
観賞用の
金魚の様に
貴方が沈めた
心も
涙も
渡さないから
もう
香りも
想いも
-傍に居てくれるなら-
あなた以外の
他の誰でも
なんて 嘘
でも 本当
ねぇ
まだ可愛いって言ってくれる?
忘れたくない
忘れてしまう
心も自然治癒力で
-瘡蓋-
夜が愛しさを切断して
「これが、これが愛と呼ぶ物か」と聞くから
断面を見せられても否定し心を搾って
「そうよこれが愛よ」と告げる
一枚剥がれては塗り
一個落ちては拾って拭き
「そうよこれが愛よ」と呟く
それしかないじゃない
愛以外なんだと言うの
「そうだこれが愛だ」とあなたも言って
夜が来る度に目の前に鏡を置かれ
瞳に映るあたしの手には
失意に満ちた少女の歌詞が握られている
幾つも浮遊する思考
ねえ
白い空を游がせて
闇に遮断される距離が恐いのよ
確かめるのが恐いのよ
痛みを知ってるから瘡蓋を捲るのは嫌なのよ
嫌なのよ
助けてよ
壊れるよ
紛れもなく愛だと
誰も何も追い付けない所へ連れて行って
そう囁く事さえ出来ないよ
消える事も
浮かぶ事も
剥がす事も
捨てる事も
もう許して
ね
-ただいま-
「おかけになった電話は
ただ今
彼の心の届かない場所に置いてあるか
関係を切ろうとしているため
かかりません」
あなたが並ぶ発信履歴
あなたの名は無い着信履歴
-スパイラルライフ-
愛する人を手に入れた代わりに
優しさを失った
優しさを手に入れた代わりに
あなたを失った
わたしも
また
躯の中で産声を
何度も
何度でも
- Blue Moon-
星の数
あまねく夜の声
確立出来ない存在理由に昨日も今日も縛られ続け
月の波
滴る闇の露
今、今この時に変化を求められ
空涙
笑顔で泣く明日
泣きながら
地を這う想いと 飛ぶ夢と
割れた硝子
欠けたクロス
-絲-
眼鏡をかけてもあなたが見えない世界を舐める
味がない
目で
耳で
指で
頭で
肌で
心で
あなたを感じる
力が足りない
-残秋-
忘れたいなら
あたしが忘れさせてあげる
そんな事は
無理だね
もう一度君のその手で
そう
夢を切り離して
あたしなら飛んで居る最中よ
追い付けなかった何かを見詰め
ひとつひとつ
指を解き
さよならを告げる様に
もう一度君のその手で
そう
あたしを切り離して
ふたりなら
なんて
共命を夢観た
あの刻の亡骸を
斬り砕いて
-最初の祈り-
通り過ぎる心音
見過ごした出入り口
どこからが罪
どこまでが罰
誰も教えてくれないよ
寒さをしのぐ術もしらない
枯れていく花に自分を重ね
太く短く生きたいと祈るよ
「あなただけは」なんて言わない
「わたしだけは」だけで充分
花も葉も散り
実がなる事がなくても
「あなただけは」なんて言わない
「わたしだけは」だけで充分
-朧刹那-
儚きものに魅せられるわたしが
長き時を
愛せるものなのでしょうか
永遠を手に入れたら
永遠を手放す
きっと
右目に映る赤と
左目で見る朱が
違う様に
-願い祈る夜に-
せめて夢の入口まで
ただの妄想だと禁じて
夢の出口で
微笑んで待っていてくれると信じさせて
願い祈る夜に長く
月も泣く垂れる闇は重く
こんなにも私を弱くし
知らない顔で
抱きしめてくる
信じさせて
いつもと変わらない朝に
迎えに来て
-揺れながら-
あなたに逢う夢を見た
白夜
黒月
波に揺られて
恋する雫
面下の波紋
霧に紛れて
溶けてく心
微笑むあなた
ここでは
彼方
-負荷-
触れるだけなら
触れる前に
触れていいか
踏み止まって
肌だけなら可
魂は不可
-無意-
抱き締めたいと想う気持ち
不意に理由を求めるあなたが
とても愛しい
-不意-
抱き締めたいと想う気持ち
故意に理由を求めるあなたに
私は勝てない
-恋-
鏡面の檻の中で凍え己を抱く様に
抜け出せもせず
鍵なら いつでも手繰り寄せられる所へ
あなたの視界ぎりぎりの透明な意図で結んで
あなたの髪一本一本まで映せるくせに
わざと作り出した不確かさ
これ以上なにを
なにで
ここで
明日も
愛される資格などないと逃げては
樹の影から覗き
想いを量る様に
愛の
名のもとに
-乞い-
願っても叶わないあなたとの未来
願わなくても不自由しない生活
あれも欲しい
これも欲しい
何が幸せか
知りもしないで
「きみに会えてよかった」
言われて立ち止まった
-ソロ-
月型の夢を見上げた
虚しさしか残らず
だからと言って
今だに宇と宙に縛られた歯痒さに
魔が挿した
月型の泉
月型の歪み
想いが重なり
重なった瞳
重なった手
理想だけ交わらず
二つは
やはり二つ
一つになった後にちぎれば
当然 痕が残り
キスが傷にかわる
次に月が残る
黒い音、私
彼に合わない音渡し
白い音は彼
彼と私の音分かれ
身体と月
離れ
心
突き放され
-空-
見上げても果てなど無く
汚れた海を吸い込み
汚れた雨を吐き出す
まるで二人
わたしが太陽になる事で
あなたに光が射すのだと
わたしはあなた
あなたはわたし
一つゆえに果てなど無く
ただ廻っているのだと
その色とその広さで
二人を見守る様な空
-石-
愛とも恋とも名付けなくていいよ
例え私に名前がなかったとしても
あなたに名前がなかったとしても
想う限り私は私
あなたはあなた
大切にしたい気持ちだけでいいよ
あなたの名を呼べなくても
想いに名を付けなくても
何ひとつ
変わらない
意志とは
自分以外には動かせないものだと
そう 思いませんか
-切なさは月の下で-
誰にも言い出せない思い
誰にも癒せない想い
あなたと居た時は優しかったオルゴールの音が
哀しく聞こえる今
切なくて
喧嘩をしても幸せだった昨日達へ
喜びを忘れ傷を負わせた昨日達へ
自分だけ幸せにはさせないと
責め立てて
もっと
両目から真っ赤な
命の水が流れ尽きるまで
ずっと
-意と移と居と糸-
記憶に入れた指先
ちょっと細工
月夜の下で咲く夢
ちょっと細工
御都合主義
そして
彩りを
この世界
あの世界
駄目になったら
違う世界
許せないから
壊せないから
笑いたいから
包みたいから
-心のパレット-
重い 心のパレット
あなたを想うたくさんの色で絵にしたつもりでいた
幻影 矛盾した嫉妬
叫んでも振り返らないあなたがいる
こぼれ落ちない涙の雫
心をハサミで
切り抜いても
あなたのカタチに
出来上がらない
-白十字-
十字に集う光
解き放たれる魂
微笑む月
祝福される悪魔
天翔ける鳥達の翼は力強く
そして美しい
巡る大天星
まるで地に舞い降りる輝く羽根
そこに貴方がいた気がした
耳をすましてみる
「貴方」を感じたいと思った
-お願い-
夜の闇が折り畳まれ
残像と降り立つ朝の光
傷付き 傷付けられ
それでも
忘れて
思い出して
それでも
「幸せになろうね。」
他の誰かでも
説得力がなくても
-此れよりも先のあたしへ-
あたしが生まれた其の瞬間に
もし裸足で駈けて往く事が出来たなら
わたしはあたしに向かい手を取って
何も言わずに体温の全てを伝えたい
ただ 頬に触れ
ただ 掌を包み
言葉になんか出来ない想いを
何も言わずに体温に乗せて伝えたい
想っていたよりも 世界は汚くて
想っていたよりも 世界は綺麗だけれど
共鳴の強弱に身を投げ出さない様に
此れよりも先のあたしは
自分らしさに囚われません様に
あたしがあたしを見捨てません様に
EDEN
[ EDEN ]
炎上の楽園
磔のマリア
命を乞う神
白馬に乗ったネクロフィリア
遅過ぎた刻を知れ
朽ち果てた祈りなど
もう届きはしない
[ Crime ]
蒼い薔薇に口紅を
赤い聖母に接吻を
黒い部屋で嘆きを孕む想いを
祈るな
願わなくていい
永遠を
伝える為だけに血で綴った手紙を
視界に掛けた手錠を
脳に嵌め込んだ指輪を
思い出せなくていい
苦痛に照らされた生の中で踊り
安住を餌にする死を踏み潰し
ソドムに狂い咲け もっと
嘲笑う紫月に吐いた唾を
靴音に怯えた剥がれぬ闇を
誰も愛せないと微笑んだ季節を
忘れなくていい
求め合う夜に罪を抱いた人形に
懺悔の刻を
涙に濡れる
一握りの赦しを
[ Existence ]
神に助けを乞うお前の
思い描く神の姿はなんだ
底に何を置き
他に何を成し
その上で誰を責めるのか
求める代償は何だ
誰に何を与えた
覚悟は目の前に置いたか
祈れば届くと誰に吹き込まれた
「神は汝が内に」
有り触れた言葉が一つ
「神など居ない」
今日も誰かが解りきった事を言う
[ Lunatic Lunacy ]
罪人は奈落の底
復讐者は魂を抹消され様とも省みず
ゲヘナの火に身を焦がす
神が創り
神が壊す
「神よ、其を造りしは誰ぞ。」
[ Gravity ]
罪の重圧をこの身に受ける
それしか術がない
動けない……
……進めない
「目に見えるものが邪魔だ」
誰かが言った
そう思う
混沌の都
さあ 誰が裁く
[ Sense ]
我、
夢、
人、
生、
意味無し
思いし時
意味亡し
[ Spiral Zero ]
紫の雨
狂い咲く荊の念
足元の嵐
セラヴィと血と胃
嫉妬は黒衣
ちぎりながら吠えろ
舐め尽くせば永遠
キスだけは許そう
銀の風が見えるか?
焔の蝶を背中に桀けたらどうだい
内と外の現実
表裏一体の幻想
加速する快感
裂ける程飲み込め
紫の雨
生温かい狂月
毒入りのワイン
ゼロから零へ
紫の雨
[ Recurrence ]
真の愚かは
嘆きではない
何もせず
与えらるるは
喚くとも生きる
赤子のみ
既に始まりし退化
想念にて拍車
想念にて昇華
有りて在る吾
無きと思うな
[ In The Heaven ]
天と地の間
空と時の間
神とヒトの間
永遠ならそこに
笑みを浮かべ死に逝く
穢れない亡骸の傍ら
永遠なら底に
肉の器に宿るコスモス
秩序を失い
カオスと化す系譜
16 次元からようこそ
罪を剥がして幽体脱皮
永遠ならそこに
[ Fate ]
未来の切れ端を
掴んだつもりでいた
手の平が
斬れた
[ Good Night ]
額の十字架を七芒星で叩き壊し
我は進化する
聖母を握り潰し
生温かい子宮を覗いて絶望しろ
遅すぎた懺悔に血を流せ
首斬りの庭で咲き誇る闇薔薇に抱かれる夢でも見て消えろ
乞い
涙し
果てろ
答えろ 我等が父よ
真の楽園築きたくば目も耳も要らない筈だろう?
何故 我
我が在るのか
軽々しく愛口走る子羊共を掬い給え
父よ
いずれ貴方にも死が訪れるのだろう?
亡者の鳴らす鐘の音 歌い轟き
我と代わる紅蓮の世の到来告げれり
GOOD NIGHT MY FATHER
戯れはもう終わりだ
天使の賛美歌など届かぬ程地裂深く沈め
GOOD NIGHT MY FATHER
貴方の墓標にはせめて
永遠という名の偽りを刻む事を誓おう
[ Lose one's illusions ]
薔薇の根で眠る毒蛇
起こさぬ様
形の無い翼に色を
色の無い魂に形を
決定的な何かが足りない
いや
歪んだ頭が邪魔だ
此処が俺もお前も拒まない様に
自分を赦すだけでいい
[ BRAND ]
体に巻き付いた罪が手首に痕を残す
罪を払い落とす為に首から垂らすロザリオは
これっぽっちも
懺悔の証なんかじゃないのさ
-頭をぶち抜いてくれ-私を殺してお前ら最後まで他人を頼るのか?
ついて来いよ
XXX に鉛をくれてやれ
後悔、自虐 何だっていいさ
-死にたくないから生きてるああ 何だっていいのさ
他人の価値をお前が決めるな
己の価値は己で決めろ
[ Ray ]
運命がどうのこうの言う前に
月光に浮き出る己を見ろ
見ぬふりをやめろ
[ Hope of the Fanatic ]
汝其の身捧げたとて叶わぬ
汝其の魂に価値無し
終焉逃れる術無し
横たわる罪のみ真実
愚者よ
未だ嘆く我者よ
絶望の淵で歌え
神の流す血にて抔を交わし踊れ
罪も罰も神も汝もドブ河に投げ捨てろ
[ BOID ]
母が我を修復出来ぬ様に
主もまた人を修復など出来はしないのだ
他より与えられしものに
どれほどの価値が在ると言うのか
我は我が手で我の先に在る我の幸の為に
天遊月華
[ 夢乃浮舟 ]
私 儚 午 例 い と
だ い 前 え れ わ
け
二 ば る に
な ふ
の
時
ら た
夢
の
夢
り
で
揺
れ
な
が
ら
貴 月
方 の
と 舟
ふ
た
り
[ 永遠に発つ ]
残月
紫雨を斬り咲いて
残風
乱れる恋に
残唇
瞳に焼き付いた
残夢
現世は唯々
残衰
幽幻を彷徨いて
残傷
心を引き千切っても
残想
此の生は短かくとも
残華
私から貴方だけに
希と絶の望み祈りて
残香
残色
残影
残歌
朽ちし時は桜と共に
残舞
朽ちし後は貴方に抱かれ
残永
逢魔
残狂
紫暮立つ
斗浪
残響
黎明の原
[ 夜葬月下 ]
月光を浴びて芽を出す
月影に重ねて想い宵立ち
空を翔けて華秘羅の如く
束ねて贈る夜想月歌
溶かしたいのは
淡い恋雪
- 消したい 幻草に巻かれて
捕われた過去の燈
ただ 逢いに行きたい
ただ 逢いに行きたい
いつまで続くかなんてわからない
朝の陽はいらない
ただ
愛に生きたい
あなたが私の名を呼んでくれる今を
離したくない
月の息使いに
呼吸を合わせてみる
どうか授けて
時を止め
流砂に逆らう術を
どうか
授けて
夜が閉じる前に
この
一度きりの生に
[ 夢幻 ]
想いの沈む湖に身を浸し
辺りを見渡せばひとり
もう一度
あの人に逢わせて下さい
例え其れが
どんな形で在ろうと
水面に映る真円の月は
塞がれた入り口
溢れ来る水色の過去は
解ける現実
記憶の滲む身体に
耳を傾ければふたり
唇に華で紅を注せば
幽世の狭間
[ 双融花 ]
桜散り土に眠り還っても
根から昇り開く来世が観得る
私なら今も
現つで私として
君の遺した想いを溶かし
花を広げる
魂の墓処でふたり
ひとつに成る迄
君も私と願いを強く抱いて待ち望んで
絡み付く瞬きの悲哀が口を開けても
終わりを告げるのは何者でも無く
想いの内側に身を潜めて居るのだから
[ 月眞弓の太刀 ]
鏡面
私を映し
心に刺さる三日月
届かない恋文
破れない想い
紫紅玉に化わる涙を餌に
極楽蝶舞い降り
月黄泉への螺旋階段が
私を手招く
千切れる…
貴方の為生き
契れない…
幽夜への溜息
漆黒を仰げば
流れて逝く魂の調べ
煌めく星を望んで
囁く
ユラユラトフルヘ
[ 天悠奏永歌 ]
夜に散る朱桜
天を翔ける華車
掌で溶ける雪蛍
現つの果ての転生輪廻
想いから零れる永遠
其の意を忘れた唇
今なら未だ間に合うと願い
祈りと搦め沈む身の棘を抜く
鏡に映るのは私だけでは無いと知れば
神羅の底 燦枝吹命
湖上に浮かび咆哮
魂に根と音を張る歌に変わる
廻る螺旋加護目
月の封を解き晴れ渡る蒼天
どうか私の手を握り
罪に泣き濡れる顔に微笑みを宿らせて
全てを想い出せずとも
此の聲に耳を傾けたなら
別離は無いと強く結び
其の魂を私に預けて
[ 儚]
幽濃く舞い降りる夕刻
鍵を掛けた裂けそうな夜
触れられない
永遠を覗いて
充たされない
永遠を除いて
貴方になら壊されても良い
貴方になら壊されても良い
貴方になら壊されても良い
貴方以外に壊される世界は要らない
私の縫い目に指を入れて
濡れる瞼に舌を這わせて
[ 鬼哭夜想花 ]
下弦の月は
緋い傷痕
胸元に飾る
徒華を晒す
夢にまで見た
あなたに菖蒲を
我執に浮気な
わたしに殺めを
今宵の月は
緋い傷口
胸元に咲いた
徒華に染まる
[ ひとひら ]
風に踊る華の百重浪
命在ると感じさせて呉れる
櫻薫りの千重浪は
彼のひとを此処まで連れて来る
独り過ごす夜に心まで覆われ
迷い蛾宛らに映ろう心躯を
愚かさを哀れさを
邪を闇を引き裂け春の鳴神
私は焔に成りたい
私は水に成りたい
私は風に成りたい
私は土に成りたい
貴方へ往き
貴方と生き
私は熾輝と咲く華に成りたい
未来でも微笑む事が出来る様に
冬が明け春が萌える様に
[ 冬幻之痕 ]
相反する希と絶が
顔を出してしまうのでしょう
幾阡の忘却 右手に氷月
幾億の崩壊 唇に幽歌
両断したとて消えぬ残想
南十字に魅せられて
穢れた指で手首をなぞる
どうか憐れみを ひと欠片でも
どうぞ抱いて 肌さえ邪魔だと
魂の狂音など佰も承知
揺れて 揺れて 揺れて
泣き濡れても遠い君
冬幻の痕
泣いて 泣いて 無い手
交じわらぬ身に胸は
焦がれ 焦がれ 焦がれ
焦がれ 焦がれ 焦がれ
融け逢う夢を仰ぎ喉は
涸れて 涸れて 涸れて
[ 月蝕 ]
私
赤
い
一
滴
に
な
る
ま
で
最
後
は
哀
し
い
ふ
り
を
し
て
せ
め
て
あ
な
た
想
い
は
抱
き
し
め
さ
せ
て
雫
に
変
わ
る
ま
で
華
月
狂
い
散
り
蝕
ま
れ
[ 金乃糸 ]
二人の身体が
場所が
時間が
全ての隔たり
距離が邪魔する
宇宙の中で星々と唄って
貴方と舞う様に
祈り踊る様に
肉の身を脱ぎ去り
貴方と一つに成る事が出来たなら
きっと出逢える
永遠の真ん中で
貴方と影を重ねて
聞こえる?色めく鼓動
金の糸を手繰り寄せ
来世でも必ず貴方を探し出すから
何度でも恋をしましょう
魂の海も越えて
[ 恋]
此の星迄包む様な幻奏
迷夢
私迄掻き消す様な眩想
右に魅薬
左に魔薬
相反する諸刃の剣
「貴方の為に死ねる」
反転する死生の意
知と血を失う様な言奏
深想を抱く雷夢
神葬の宵の来夢
捕らえて離さない
月色の不壊の音
呼吸の間も無く
空で溺れる私
[ 狂月 ]
雲間から
螺旋の月光
降り注ぐ
射し
纏い
私
浮き出す
時に癒し
時に狂気
時に諭し
時に狂喜
幻想でも
夢の中でも
貴方に抱かれるのなら
嘘でも至福
「触れたい…」
「…触れられないのなら」
混沌の苑
月のオーロラ
時として歓喜
恋に狂い
時として幽鬼
[ 月還 ]
魂の繋ぎ眼に手を伸ばす
亡骸に双眸閉じ
緋涙に裂かれる躯は
もう何処にも無い
君よ
君よ
想いの綻びはまた想いで結び
聖も邪も一つ処の廻丘の彼方へ
温かな言波が美しい
悲しげな言刃が美しい
君と私 全てを象る天獄双対極
視 触れて
言乃華にて接吻を
瞳を縫い付ける罪の溟濛
零れ堕ちる玲瓏の砂塵
祓う此の手が在る限り
掴む其の手を亡くしても
包み 包まれ
月に還る刻もまた
ふたりでひとつ
[ 亡骸 ]
常世に融けた瞳
冬幻鏡の欠片
振り返れば恋現つ
然れど霧の幽夜
瞼の裏に映る詞
宵の餞
私に
貴方について
ずっと考えを巡らせて居た
醒めても浮かぶ
無限螺旋
虚空回廊
連れ逝くか
蟲喰いの華
滲み出る貴方で
闇を潤わせて
[ 夜都 ]
ヒフミヨ
イムナヤ
ココノタリ
穢光残狂
紅華の脈の調べ
陰光浄化
蒼花の十字廻煌
色霊の焔鱗
言霊の爪先
音霊の響命
時霊の黄昏
現と霧の狭間
天霊の鏡面
向かい逢う己の掌を重ね
亡くした刻を思い撃つ
愛しさを見つめ
美しさに時を委ねて
ただ想いに身を沈め
貴方が居て
私が居て
他ではなく
私を伝えたくて
心窓の鎖も
唇奏の腐りも
断ち解き身を焦がす程の陽光に
もう弐度と瞳は閉じない
布留部
由良由良戸
布留部
我が身を重ね仰ぐ十六夜
儚きなれど
逝くをいざよう
往く為に生きる
幽夜に栄えた虚夢を脱ぎ
神威の泉に流転の種を
[ 華隠壊都 ]
雨に踏み潰され掻き消されて逝く
ずぶ濡れの貴方の面影を見詰め悲命を上げる
埃の如き誇りで這う小さき現の箱庭
冥府の漣
紫電銀華の海
幻音千影
紅月を仰ぎ歔欷
移ろう身 幽愁たる心
何を以て何を成すのか
玉響の生を貪る
意味の無い痕咲き
ひとつ ふたつ
何一つ繋がらぬ朝
みっつ よっつ
双眸に写る貴方
いつつ むっつ
星降る聖の夢夏
ななつ やっつ
月墜つ蝕の幻冬
『嗚呼…儚き哉、我。儚き哉、生。
繭の中で膝を抱え覚醒を夢観る闇濁の夜の塵。
衰滅こそ我が意成れば、
愚蓮抱き哭けと口に含む死で断てと、我、我に命じる也。』
暁堕つ旋律
壊都の調べに酔い痴れ乍ら
結び解けぬ様
安住の彼の地へ誘え
此の季 希 器 鬼 樹為りて帰成ればこそ
想い枯れぬ内に
深き神の胃の底を弄る
透き通る夜の終焉
ここのつ
華葬残刻想紲の夢魅の淵
とお
潸潸と胸迄伝う蒼空
「翔月」
「また来世」
永遠の約束
仰ぎ見る朧月
亡骸は陽炎に揺れて
何故触れられないの
常世でも私の人で居て
クル クルリ
ユラ ユラリ
満月が墓処
久遠の旅路も一緒
貴方は私だけの貴方
何処にも誰にも行かせはしないの
二人だけの月世界
亡骸は陽炎に揺れて
二人以外底に沈めて
魂は月へと翔けて
[ Trigger ]
華 輝いて游闇
月 朧 霞み消ゆ
美しさ失いても
爪が喰い込む程影を抱いて
此の胸を這う愚かさよ
剥がれ逝く聖なる夢よ
降れ ユラユラと降れ
救得無い白夜に漂う緋泪
震え ユラユラと震え
刻まれた恋に蝕まれ乍ら
血の絲 想いに呼応
黒い痕 愛の数だけ
願い 祈り 垂れ滴る永遠
弾け飛ぶ躯 夢現つ
どうぞあなた 引鉄を
わたしだけに あなただけを
わたしだけを
あなただけは
[ 罪を織る ]
密かに紡がれて
密かに散り咲いて
密かに摘み取られ
密かに血に濡れて
願い叶わなくても
祈り届かなくても
夢 儚くても
あの人に適わなくても
伝え切れない愛しさを込め
朱が浮くほど君の肌を噛む
-指が濡れて綺麗ね君の中にそっと滑る
細永く堕ちて往く
もっと音を吐き出して呉れたら良いのに
唇を逢わせた儘絞めて呉れたら良いのに
変色する夜に滴る波紋
静寂と飽和
同調
侵食
瞳に刻印された月
水底から水面へ
夢から岸へ
游ぎ着いたふたりの果て
絡まる事の無い心に罪と罪
愛してると呟いても良いですか
君を想い生きる私は間違いですか
醒める事のない夢へと駆け出す様に
君を見つめ眠りに就いても良いですか
[ 恋漣幽歌 ]
咽を塞ぎ私の声に応えて
無用な言葉をまたひとつ消したら
瞼を閉じて私を感じて
瞳に灼けた勾月
廻転の中空
浪々を游ぐ冥月
照翔の恋漣
魂を搾り想いを告げます
伍感の全ては
貴方ひとつを知る為だけに
行けるなら
貴方を連れて生きたい
ふたりなら
どの夜もどの世も同じ
[ 紫苑にて廻帰 ]
願うのは
「包まれて眠りたい」
届きそうで届かない
伽羅色の瞳
出来ぬなら
「あの空へ還りたい」
恋焦がれるあの月にさえ
私は何時もふられてばかり
瞳から零れ落ちる瑠璃
「私は此処に居るのに」
まるで確認する様に
か細い枝に咲き
そして散る
朱華の液
月の下
闇舞台
そうまるで
悲劇の姫の如く
朧雛形
映す水鏡
今際の際で泣き響く
迦陵頻伽の哀の声
それでも
求める先が安らぎなのだと
焔と共に
身体を抱いて
夢
虚
儚
愚
奈落まで
陶酔を従え
想いを連れて
逝きたい
[ 想]
月に哭く
涙に浮かべた舟を漕ぐ
放った儘戻らぬ手毬
闇また闇
霞架かる
身一心ニ
止む無き哉
病み啼く今
君唯憐れと想いても
眞哀れは我が心の心
届かぬか
届こうか
逝くなと縛る言乃葉が
愛亡き詛いに
映るなら
悲の音色
月の竪琴
剥がれて墜ちる
夢一鱗
共には行けぬ
遺された愛示す故に
生こそが証し
[ 太永 ]
廻天
刻々と眼に
壊転
銀月の宵に
開華
散華
廻り逢い叶わずとも
手を伸ばし触れる髪を身に
腐るとて想うと君を宿そう
此処に立ち留まると
何れ気付いて仕舞うだろう
血の色の赤黒さに
眼を奪われ続けるから
唯 私の名を呼べば良い
永遠を
壱瞬を
口にせずとも
絡まり乍ら堕ちる空
昇る双蛇
邪煌に溺れ何処へ
ふたりなら何処迄でも
廻天
刻々と身に
壊転
黒月の夜に
君から滴る血で紅を注し
腐るとて愛す
そう
君の名を呼び続けたい
[ 愛染 ]
月が零した
プラチナの華秘羅
もっと舞昇って
私の想いの様に
心を通して
万華鏡
覗いて見れば
姿
映らなくても
ほら
はっきり貴方が見える
千の夜を越えて
万の星を翔けて
透き通る四肢
愛で染め上げたなら
もっと教えて
貴方の位置を
感じたいから
波打つ鼓動
包み込む風
煌めく色に
両手を繋ぎ
行く宵闇に
流れる雲は
輪廻の色に
私の吐息
貴方の色に
[ 塵]
溜息と誰も見得無い夕刻
涙混じりの恋歌
既視感に逢う惑いにも似て居る
弥生始めに咲いたさよなら
視界が滲んで揺れる
明日の糧が剥がれる
心が裂け哀が溢れる
耳には魔曲が流れる
何処へ行っても
何処迄行っても
「貴方が幸せを辿れるなら…」
想い込ませる事も出来無い
見上げれば月
観渡せば空蝉
視降せば蓮華
身開けば幽世
陽を内に閉じ籠め
欠けて墜ちる紅妖の燃月
穢土の綿津見
春夜の花塵
灼け散る痕も遺らぬ程に
私を象る全てを焦がして
[ Gesellschaft ]
また一枚
また一枚
貴方まで届かず
散り積もる
言の葉百舞い
また気遣い
また気違い
私の言の葉は
綺麗事で済まされ
異例無く消し去られる
まだ傷を飼いならせず
またキスを買い漁り
また一枚
また一枚
貴方と私の距離に塗り重ねる
卑属化生
厚化粧
虚ろい逝く Gestalt
届かずなど
怪しからず
私を呪い
貴方を想い
現世を詛い
来世を想う
また一枚
また一枚
また一枚
呪苻を描き
また一枚
まだ百枚
また一枚
恋文を綴る
[ 廻帰転生 ]
月煌の天上
星耀の天下
想奏
馳せる吐息の先
螺旋
舞い散る雪華を見つめ涙す
神焔映す愛しき君
時に闇威囁き
幻夢を纏う心の盈虚在れど
溟濛祓う玲瓏の想玻璃を胸に
空に
諸々の君を包む
不変の愛を誓う
昇華
天裂
燦然たる陽光に弥栄を願い
宙を越え魂に接吻を
宇を超え永遠の抱擁を
廻帰
転生の苑
君に出逢えた喜びに
涙する私に
生まれ変わる
[ 奈落祝言 ]
闇御津波の御力以て
高禍原に
神魂霊出坐す
根乃堅洲国
我が御魂還し給うと
天に届けと祈る也
天津罪
国津罪
現津罪
罪達罪
諸々の一切の穢れをば我が身に集い集い給いて
月の下造らしし
伊邪那岐伊邪那美乃大神に
畏み畏みも曰さく
月読乃命
世を染める
闇夜と成りて
百八十神達と共に現れ
滅びの御世現れ
滅ぼし給えと申す事の由を畏み畏みも曰す
奈落や浄土や
対義で同義
紐解き
緒放ち
惟神
誘い給え
幸いませ
幽世を示し
導き給え
誘い給う
幸い給う
[ 天遊月華祝言 ]
天照らす月読の衣虹
神来電鐘の光塵
降り積もりて発つ幽現弐千世界
隅々迄羽撃き描き深遠の源
根在り
樹在り
枝在り
葉在り
実結ばぬとも花の散る様に酔うに非ず
華鱗の一枚に想い馳せ
往き渡る彩光を手に取る也
咲く刹那にこそ集い集い給いて
身結ばぬとも舞う桜花此心に写す也
愉しき哉
此の聖鳴る闇に
愉しき哉
此の生咲く夜に
天照らす月読の威煌
神来電麗の光刃
焔音渦化と冥府断つ昇浄参十字
ひの緋と
ふの霊と
みの火と
よの悲と
開氣以て壊鬼 游艶乃淵
解氣以て回帰 悠遠乃苑
[ 何故の想か ]
月に哭く
涙に浮かべた舟を漕ぐ
堕天廻星
放ち 戻らぬ手毬
闇また闇
霞架かる
身一心ニ
やむ無き哉
病み啼く今
君唯憐れと想いても
眞哀れは我が心の心
嗚呼 届かぬか 届こうか
「逝くな」と縛る其の言乃葉が
愛亡き詛いに
映るなら
悲の音色
月の竪琴
剥がれて墜ちる
夢 一鱗
共には行けぬ
遺された愛示す故に
生こそが証し
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