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模型箱試験によるサンドイッチパネルの発熱性評価に関する研究

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模型箱試験によるサンドイッチパネルの発熱性評価に関する研究
東京理科大学「火災安全科学研究拠点」
■研究成果概要報告書
研
究
課
題
模型箱試験によるサンドイッチパネルの発
熱性評価に関する研究
所属
独立行政法人建築研究所
氏名
林
実施年度
平成23年度
研究代表者
吉彦
1.研究の背景および目的
サンドイッチパネル材は断熱性に優れ、低価格で施工が容易である。内装制限のない倉
庫や工場などで多用されている。ところが、一度火が着くと急激に延焼拡大し、避難上、
消防活動上の脅威となる。これは国際的に共通の問題であり、サンドイッチパネル材の試
験方法が ISO/TC92(火災安全)/SC1(火災の発生と発達)/WG7(中型大型火災試験法)で
審議されている。ただし、サンドイッチパネル試験は幅 2.4m×奥行 3.6m×高さ 2.4m の区
画を形成するように試験体を組み立てる必要があり、実施に際してはコストや労力を要す
るものである。
サンドイッチパネル材の発熱性を評価するために日本では中規模試験に位置付けられる
模型箱試験が用いられることがある。模型箱試験もサンドイッチパネル試験同様に区画状
に試験体を設置するが、区画サイズは容量比でサンドイッチパネル試験の約 1/12 であり、
サンドイッチパネル試験に比べて試験の実施が比較的容易である。サンドイッチパネル材
の模型箱試験を行い、サンドイッチパネル試験結果との相関性を見出せれば、安全性を見
込んだうえで模型箱試験はサンドイッチパネル試験の代替試験となり得るものである。な
お、模型箱試験も ISO/TC92/SC1/WG7 で検討されている。
本研究は、サンドイッチパネル材の模型箱試験を行い、その結果をサンドイッチパネル
試験結果と比較し、両試験結果の相関性を明らかにする。供試材の選定は、ISO サンドイッ
チパネル試験のプロジェクトリーダーと協議して行う。本研究はサンドイッチパネル材の
発熱性評価法確立に資するものであり、サンドイッチパネル材の火災安全性向上に寄与す
るものである。
2.研究成果および考察(申請時の計画に対する達成度合いも含む)
※継続課題の場合は,前年度との関係性,進展度合いについても記載すること。
2.1
模型箱試験の結果
サンドイッチパネル材の模型箱試験を実施した。2 種類の材料(0.5 ㎜鋼板+グラスウー
ル+0.5 ㎜鋼板、0.5 ㎜鋼板+EPS+0.5 ㎜鋼板)を用いた。各 2 回試験を行った。発熱速度
のグラフを図 1 に示す。EPS 材については、試験開始 10 分間の総発熱量は火源 20MJ 分を
含んで 50MJ を超えなかったが(各 42.0, 31.9MJ)
、1 回目の最高発熱速度が 10 秒以上継続
して 140kW を超えており、準不燃材料の基準には達しなかった。グラスウール材について
は、10 分間の最高発熱速度は 10 秒以上継続して 140kW となることはなく、
総発熱量は 50MJ
を超えなかった。また、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂などは見られず、準不燃材料
の性能は満たす結果となった。
サンドイッチパネルの評価はコーン試験(ISO 5660-1)か模型箱試験を用いて行われる。
多くの場合はいずれも繰り返し性は良好であるが、平成 22 年度にグラスウールと EPS 混在
のサンドイッチパネル試験を行った際には、2 回の試験に大きな差異が認められた。内部で
溶融した EPS の下端での漏れ方の違いが発熱に影響を与えたと考えられる。今回の試験で
は端部をフラッシング処理したため、EPS の漏れを止め、2 回の試験結果に大きな違いは見
られなかった。
図 1 発熱速度の比較
2.2
サンドイッチパネル試験
韓国 FILK で行われた 0.5 ㎜鋼板+EPS+0.5 ㎜鋼板の結果を比較のために引用する。試験
は 3 回実施された。図 2 に発熱速度の比較を示す。
図 2 発熱速度の比較(縦軸:発熱速度(kW)、横軸:時間(秒))
EPS 材はサンドイッチパネル試験やルームコーナー試験で容易に燃焼し、発熱速度も変
化が大きい。2 回目(self02)と 3 回目(self03)の相関は比較的良好ではあるが、フラッ
シュオーバー時間には差異が見られる(各 564, 384, 450 秒)。FIGRA(最高発熱速度を出
現時間で除したもの)は 1.24, 1.82, 1.56 kW/s である。Bjorn Sundstrom によると(図 3)、
1 回目(FIGRA1.24)はクラス C、2 回目(1.82)と 3 回目(1.56)はクラス D に分類さ
れる。火災への寄与は制限されるか許容レベルにあるとみなされる。石膏ボード+壁紙、
10mm 厚以上の木製品などが相当する。
図3
FIGRA を用いた等級分け
Bjorn Sundstrom は SBI 試験とサンドイッチパネル試験による FIGRA 値を比較して図 3 の
等級分けを提案したと思われる。EPS 材の発熱速度の時系列変化を比較すると(図 1, 2)、
最初は緩慢な状態が続き、ある時期に急激な燃焼を呈している。その後は、模型箱試験で
は徐々に減衰していくが、サンドイッチパネル試験では再燃焼する。再燃焼するまでの過
程には差異があり、フラッシュオーバー時間もばらつきが見られる。FIGRA を算出する時
間の検討が必要と思われる。
3.経費の使用状況
消耗品費・会議費・印刷費等
事
項
金額(円)
試験体引取処分
65,000
サンドイッチパネル
434,405
純プロパン
計
事
交通費
旅
費
人
項
金額(円)
事
件
項
費
金額(円)
44,740
10,500
509,905
計
44,740
計
0
4.今後の展望(今後の発展性,見込み等についても記述)
模型箱試験は試験法の一つとして位置づけられており、実大試験との相関性を明らかにす
ることは重要である。ヨーロッパではサンドイッチパネル試験と SBI 試験結果をつなぐ指標
として FIGRA が用いられている。FIGRA は急激な燃焼と出現時間を用いており、簡略なが
らも合理的な指標と考えられる。今回は有機系材料の実施は限られたが、サンドイッチパネ
ル試験実施済の適当な材料を選択し、試験データを増やす必要がある。また、複数機関で実
施するなど、再現性も確認する必要がある。そのうえで、今回得られた知見に従い、模型箱
試験の結果をサンドイッチパネル試験結果に照らして合理的に説明していく予定である。
5.成果の公表状況(学会への発表,学術誌への投稿等を記述。予定も含む)
有機系材料を適当に選択して追加実験を行い、今回得られた知見に従って検討を行った
うえで、学会で発表する予定である。追加実験は韓国側関係者と今年度に実施できる見込
みであり、今年度中に検討を行い、年度末に火災学会に投稿する予定である。
※上記 5 に記載された成果公表については,別刷1部を研究事務課まで提出願います。PDF
ファイル等の電子データでも構いません。
※本成果報告概要書に記載された内容は,本拠点の成果報告として Web 等で公開されるこ
とをお含み置き下さい。
※本成果報告概要書と併せて,研究報告書を提出頂いても構いません。(フォーマットは問
いません。)
※後日開催予定の成果講評会で使用されるプレゼンテーション用の電子ファイルについて
も提出願います。(学内での報告に使用)
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