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3年後に必要とされる病院薬剤師像とは(Vol.6)

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3年後に必要とされる病院薬剤師像とは(Vol.6)
3年後に必要とされる病院薬剤師像とは
ファーマシューティカル ケアー研究所
所長 中原 保裕
将来のことについてはよくわからな
行っています。
い部分が多いのですが、逆に、よほど
のことがない限り、将来確実に現実と
なって現れてくるものもあります。この
クリニカルファーマシーの時
代が終わり、病院薬剤師たちの業
務は、薬物療法の質に対して責任を持つこ
シリーズを終わるにあたって、病院薬剤師
とまで広がってきています。DUEとは“Drug
の将来について考えてみましょう。
Use Evaluation”の略で、医薬品の効果や副作用
について、実際の患者さんの治療成績を把握しな
ポ ★ イ ★ ン ★ ト 1
医療費を抑制しても薬物療法の質を低下させない
ためには、
「何か」をやらなくてはならない。
がら薬剤師の視点で医薬品の評価を行い、それら
をまとめて報告することです。
さらに、医師の処方内容をチェックすることも、
より強化する必要がある業務だとされ、様々な処
多くの病院にとって、今までと同じような考え
方監査システムが構築されています。それに従っ
方で同じような医療を行うことが許されないとい
て薬剤師たちは医薬品の監査を行っているのです
う経済状況が訪れつつあります。超高齢化社会と
が、このような業務はDUR=
“Drug Use Review”
ともにこの状況に拍車がかかり、病院の経営を維
と呼ばれています。
持していくためには、思い切った対策が必要となっ
3
てきています。したがって、病院で仕事をする全
ポ ★ イ ★ ン ★ ト スタッフは、その中で生じる問題点が何かを検討
早期退院、定額制の中で具体的に貢献できるか
し、それを解決できるような業務内容に変えてい
どうかが生き残りのためのポイントとなる。
かなければ生き残ることは大変難しいといえます。
その中でも、薬剤師は、確実に生じるであろう
医療費抑制政策の中で、質を低下させないために
日本の医療費抑制政策の柱は、次の2本と言っ
てもよいでしょう。
活躍することが望まれてきます。つまり、より効
①早期退院を可能とする
果的な薬物療法を実施するためには「何か」をや
②定額制の中で入院患者をケアする
らなくてはいけないということなのです。
この2つに貢献することが、全ての医療スタッ
フに求められてくることなのです。薬剤師は、あ
ポ ★ イ ★ ン ★ ト 2
らゆる手段を通して、この2つを実現するような
医薬品を評価する能力を持つことが最大のポイント。
仕事をしていかなくては生き残れないでしょう。
さらに、一人ひとりの患者にとってどの薬が最適
そのためにも、DUE、DURなどの技能を身につけ、
なのかをアドバイスできる薬剤師が必要になる。
それを基礎として一人ひとりの患者さんに対する
効率のよい薬物療法の実施に貢献することが必須
9
DUE、DURという言葉を聞いたことがある方も
となります。それこそが、真の病院薬剤師のファー
少なくないと思いますが、アメリカの病院薬剤
マシューティカルケアとなると同時に、生き残り
師たちは、今、このように呼ばれる仕事を懸命に
のポイントとなります。
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