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寒天オリゴ糖の選択的生産法の開発
2004 年度 修士論文 寒天オリゴ糖の選択的生産法の開発 SELECTIVE PRODUCTION OF AGAROOLIGOSACCHARIDE 高知工科大学大学院工学研究科 基盤工学専攻 物質・環境システム工学コース 1075054 主査 中村光輝 指導教員 副査 有賀修 助教授 大濱武 教授 2005 年 3 月 22 日 1 目次 緒言 1章 寒天分解菌の純粋単離と諸特性 1.1 目的 1.2 実験方法 1.2.1 寒天分解菌の純粋単離 1.2.2 分析法 1.3 結果と考察 1.3.1 寒天分解菌の単離 1.3.2 増殖特性 2章 寒天分解酵素の調製と諸特性 2.1 目的 2.2 実験方法 2.2.1 粗酵素の調製 2.2.2 粗酵素によるアガロース分解 2.2.3 酵素の諸特性 2.2.3.1 基質濃度の検討 2.2.3.2 pH の影響 2.2.4 分析法 2.3 結果と考察 2.3.1 寒天の分解 2.3.2 酵素の諸特性 2 3章 ネオアガロビオースの選択的生産 3.1 目的 3.2 実験方法 3.2.1 寒天分解に対する硫酸アンモニウム濃度の影響 3.3 結果と考察 3.3.1 寒天分解に対する硫酸アンモニウム濃度の影響 3.3.2 硫酸アンモニウム処理酵素によるネオアガロビオースの生産 4章 加水分解産物の分析 4.1 目的 4.2 実験方法 4.2.1 試料の調製 4.2.2 ゲルろ過クロマトグラフィ 4.2.3 構成単糖の分析 4.3 結果と考察 4.3.1 ゲルろ過クロマトグラフィによる検討 4.3.2 加水分解産物の構成単糖分析 結言 参考文献 謝辞 3 緒言 近年、酵素や微生物を利用した物質生産プロセスの検討が積極的に行われており、それ らが常温常圧下で進行するため本質的に環境調和型であることが大きな理由と考えられる。 環境負荷低減を目的としたバイオテクノロジーはグリーンバイオテクノロジーと称される ようになり、新たな研究領域としての発展が期待されている。酵素はタンパク質を主成分 とする生体触媒であり、生命活動を支える種々な生体反応を促進する役割を担っている。 発酵現象は微生物が営む代謝活動の結果であるが、当然のことながら一連の過程すべてに 酵素が関与している。発酵現象は微生物酵素が行なう連続した物質変換反応とみなすこと も可能であり、この様な観点から眺めれば、微生物酵素は物質変換に適した触媒として大 きな可能性を秘めている。実際に酵素を利用した生化学製造プロセスが次々と実用化され ており、その一方では洗剤用酵素に代表されるように日用製品にも多種多様な酵素が使用 されるようになった。 一方、特定保険用食品には糖質を主体とするものが多く、整腸作用、虫歯予防、コレス テロール低下などの機能がある。フルクトオリゴ糖は腸管での消化吸収がなく、大腸に到 達してビフィズス菌の生育を促進し有害微生物の増殖を抑制する。マルチトール等の糖ア ルコールは非う蝕性で Streptococcus mutans などの虫歯菌による酸生産や歯垢形成を抑制 するので、ショ糖に代わる甘味料として用いられている。これらの糖類は消化吸収されに くく肥満を抑制する甘味源としても使用される。 寒天は食品用素材として古くからなじみの深い食品であり、寒天の発見は日本で行われ た。加熱した水溶液が室温で固まる性質を利用し、ゼリー菓子やケーキの安定剤として利 用されている。寒天の用途は歯科材料の分野にも広がり、今日では緩下剤用の医療品とし ても利用されている。また、寒天の主成分であるアガロースは、現在、免疫学や遺伝子工 学の分野でタンパク質や DNA およびその断片などの電気泳動分別の支持体として重要な 4 役割も果たしている。 アガロースを加水分解するアガラーゼの研究は数多く存在し、アガラーゼはその加水分 解様式の違いにより二種に分類される。α-アガラーゼはアガロース中のα-1,3 結合を切断 し、非還元糖であるアガロビオース単位のアガロオリゴ糖類を生産する(14,18,20,29)。しか し、α-アガラーゼの報告例は少なく、生産されるアガロオリゴ糖の完全な諸特性は分かっ ていない。一方、β-アガラーゼはアガロース中のβ-1,4 結合を切断し還元糖であるネオア ガロビオース単位のネオアガロオリゴ糖を生産する。β-アガラーゼを生産する細菌は数多 く報告されており、Alteromonas(13,15,20)、Cytophaga(3,11)、Pseudomonas(6,10,22, 25-28,30)、Pseudoalteromonas(8)、Streptomyces(23)、Vibrio(14,16,17)などが知 られている。中でも Yaphe らにより研究された Pseudomonas atlantica の生産するβ-アガ ラーゼ(3,4,8,29-31)は、細部に渡り研究が行われている。アガロースはまず細胞外β-ア ガラーゼによりエンド型分解され、エキソ型のβ-ネオアガロテトラオース加水分解酵素に より還元末端を有するネオアガロビオースになる。さらに、ネオアガロビオース加水分解 酵素により構成単糖の D-ガラクトースと 3,6-アンヒドロ-L-ガラクトースを生産する。 近年、生理活性が寒天由来のオリゴ糖にも存在することが報告されている。アガロース を加水分解することで生産される寒天オリゴ糖にはガン抑制作用や抗酸化作用、関節リウ マチ炎の予防効果ならびに治療効果など様々な生理活性が報告されている。また、寒天オ リゴ糖の一種であるネオアガロビオース(図1)は、アガロースを構成するヘテロニ糖で あり、グリセロールやヒアルロン酸と同等の保湿性を示すとともにメラノーマ細胞の黒変 を抑制し、皮膚の保湿性と美白効果を合わせ持つ新規の化粧品素材として期待されている (41)。しかしながら、寒天オリゴ糖の生産についてはこれまで報告がないのが現状である。 本研究では効率的な寒天オリゴ糖生産を目的として、寒天分解酵素を生産する微生物の 単離を試みるとともに、硫酸アンモニウムを用いて、酵素を精製することなしに、選択的 にネオアガロビオースを生産する手法を確立した。 5 アンヒドロ ガラクトース ネオアガロビオース 図1 アガロースの構造 6 ガラクトース 1章 1.1 寒天分解菌の純粋単離と諸特性 目的 寒天オリゴ糖の生産のため、寒天を分解する酵素を生産する微生物の単離を試みた。ま た、単離株の増殖に対する様々な条件の影響を調べた。 1.2 1.2.1 実験方法 寒天分解菌の単離 寒天分解菌の純粋単離には表 1 に示す寒天培地を用いて、図 2 の単離方法に従って微生 物の単離を行った。分離源として紅藻、緑藻、海水、貝類の内臓物、活性汚泥を人工海水 または蒸留水に懸濁した後、各 100μlづつを寒天培地上(各 20ml)に塗布し、数日間 25℃ で培養を行った。培養後、寒天培地上にへこみやハローを形成した集落を白金耳により取 り上げ、滅菌した 0.9%の塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)5.0mlに懸濁した。1×104 倍希釈した後、100μlを 1g/lの寒天を含む液体培地に植菌し 24 時間の集積培養を行った。 その後、培養懸濁液を生理食塩水にて 1×106倍希釈し、希釈液 100μlを寒天培地に再度 塗布することで純化した。顕微鏡にて菌の形態を目視により観察し、単一菌と判断される まで単離操作を繰り返した。 1.2.2 分析法 単離株の純化試験や培養は複合培地である表 2 の培地(N.B.)を用いた。 単離株の菌体数は、菌体懸濁液を新鮮な培養液にて希釈し血球計数盤を用いて計測した。 最適培養条件の検討は、N.B.にて培養した単離株の培地懸濁液 10ml の濁度を UV-VIS Spectrophotometer(Shimadzu 製)を用いて 600nm で測定することによって行った。希 釈は新鮮な N.B.を用いて行った。 7 表 1 寒天培地 NaNO3 Na2HPO4・12H2O 1.0 g 1.57g 表 2 N.B. ポリペプトン 10g 肉エキス(powder) 2g KH2 PO4 MgSO4・7 H2O 0.9 g 0.5 g NaCl 蒸留水 KCl 粉末寒天 (液体培養時) 0.5 g 20 g 1.0 g pH 8.0(加熱滅菌前調整) 蒸留水 1g 1.0 L 1.0 L pH 6.8(加熱滅菌前調整) 1.3 1.3.1 結果と考察 寒天分解菌の単離 対数増殖期末期の培養懸濁液を 1×106倍希釈し、寒天培地に 100μl植菌すると一枚の 培地上に十個程度の単一集落を得ることができ、さらに培養を続けると寒天培地上にへこ みを形成することを確認した(写真 1)。この株は寒天を唯一の炭素源とする選択培地中で 増殖することができ、N.B.による純化試験で同質の形態を有する集落であることを確認し た。単離株は幅約 0.7μm、長さ約 2.0μmの桿菌(写真 2)で運動能力があり、好気性条 件下で増殖した。単離株の同定を株式会社NCIMB・JAPANに依頼した結果、16S rDNA 塩基配列を用いた相同性検索によりCellvibrio fibrivorans及びC.ostraviensis に近縁であ ると示唆され、Cellvibrio sp.と推定された。 8 1.3.2 増殖特性 図 3 はN.B.及び寒天を含むN.B.、寒天培地における単離株の増殖の経時変化を示す。 N.B.では培養開始から 12 時間まで対数増殖期と考えられ、培養時間が 36 時間に達すると 菌体濃度 1×109 [cells/ml]でほぼ増殖が止まった。一方、寒天培地の場合、N.B.と比べ増 殖速度の低下が見られ、48 時間後の菌体濃度も 6×108 [cells/ml]とN.B.と比べて低い値と なった。N.B.に寒天を添加した場合には 48 時間後の菌体濃度はN.B.と同程度であった。 通常、N.B.では菌体の増殖は良いが、本単離株の場合は寒天の添加が菌体増殖を抑制した と考えられる。予備実験から本単離株がガラクトースに対して著しい増殖阻害を示すこと が分かっており、寒天分解により生じたガラクトースがN.B.においても増殖阻害を引き起 こしたと考えられる。 N.B.における最適培養条件を調べるため、pH、培養温度、塩化ナトリウム濃度を変え、 菌体を培養し、培地濁度の経時変化を測定した(図 4A、B、C)。 単離株の増殖に対する温度の影響を図 4A に示す。縦軸は菌体濁度の最も高かった値 (25℃)を 100%として、各温度での相対値を示す。横軸は培養温度である。25℃におけ る培地濁度が最も高く、温度の増加とともに増殖の低下が見られ、40℃以上では増殖が見 られなかった。従って以後の実験では培養温度を 25℃とした。 海産性の寒天分解菌では増殖に NaCl の添加が必要な場合が報告されている。そこで、 本単離株の NaCl の要求性の有無を確認した。図 4B では 1g/l NaCl の場合の培地濁度を 100%として、相対値で示した。図 4B から明らかなように、NaCl 濃度の増加とともに増 殖の低下が見られた。報告されている寒天分解菌では、30g/l 程度の塩濃度下でも増殖する が、単離株は 30g/l では増殖しなかった。分離源が活性汚泥であったことから、低い塩濃 度に適している菌株が分離されたものと思われる。また、本単離株は他の寒天分解菌と比 べて興味ある増殖特性をもっていると思われる。 単離株の最適増殖 pH を図 4C に示す。図 4C の横軸は加熱滅菌前の pH である。単離株 9 は酸性側では大きな増殖の低下が見られなかったが、pH9.0 では著しい低下が観察された。 分離源が活性汚泥であることから、分離源の活性汚泥施設に適応した菌株が分離されたも のと考えられる。 以上の結果から本単離株の前培養は N.B.、pH8.0、NaCl 濃度 1g/l、25℃で行った。以 後の実験で使用した粗酵素は培地中の寒天により寒天分解酵素の生産が誘導されることが 見出されたことから、寒天分解酵素の抽出のための培養では液体の寒天培地を用いた。ま た、単離株は、N.B.液体培地での培養懸濁液1ml にグリセロールを 0.1ml 添加し、−20℃ 及び−80℃で冷凍保存した。冷凍保存による菌体への影響は 3 ヶ月の間見られなかったが、 6 ヶ月の保存では N.B.による前培養において、増殖が遅れるもしくは増殖しない結果とな った。 10 分離試料の懸濁 (紅藻、貝類の内臓物、活性汚泥など) 懸濁液を寒天培地に植菌(100μl) 25℃、数日間培養 集落を取り上げ、5ml に懸濁 さらに希釈(生理食塩水 0.9ml、1×104倍希釈) 希釈液を液体の寒天培地に植菌(100μl)、液体集積培養 培地 10ml、24 時間培養 培養懸濁液を再度寒天培地に植菌(100μl)、培養 数日間 単離候補株の N.B.による純化を確認 (培地 10ml) 顕微鏡観察 (対物レンズ 100 倍×接眼レンズ 10 倍) 図2 単離方法 11 2日間培養後 写真 1 寒天平板培地 12 1μm 写真 2 電子顕微鏡(SEM)写真 (株式会社 NCIMB・JAPAN 分析依頼) 13 ×25,000 10 10 N.B. 寒天培地 N.B.+agar 菌体数[cells/ml] 10 9 10 8 10 7 10 6 0 12 24 36 培養時間[h] 図3 菌体増殖に対する培地組成の影響 14 48 100 培地濁度の相対値[%] 80 60 40 20 0 20 25 30 35 40 培養温度[℃] 図 4A 菌体増殖に対する温度の影響 (N.B.、48h 培養後) 15 45 50 100 培地濁度の相対値[%] 80 60 40 20 0 0 5 10 15 20 25 NaCl濃度[g/l] 図 4B 菌体増殖に対する NaCl 濃度の影響 (N.B.、48h 培養後) 16 30 100 培地濁度の相対値[%] 80 60 40 20 0 5 6 7 8 9 pH[-] 図 4C 菌体増殖に対する培地 pH の影響 (N.B.、48h 培養後、加熱滅菌前調整) 17 10 2章 2.1 寒天分解酵素の調製と諸特性 目的 前述のように寒天分解菌の純粋単離に成功したことから、寒天分解酵素の調製を試みた。 また、菌体から抽出された粗酵素による寒天分解を行ない、分解産物の検討を行なった。 2.2 実験方法 2.2.1 粗酵素の調製 粗酵素の調製は図 5 に従って行った。すなわち、冷凍保存した単離株を 100ml の N.B. に植菌し、24 時間前培養した後、液体の寒天培地 2000ml に培地体積あたり 1%植菌した。 25℃で 48 時間培養後、遠心分離(9,000rpm、20 分間、4℃)により集菌し、沈殿物を 20mM リン酸緩衝液(pH6.5)で 3 回洗浄し、10ml のリン酸緩衝液に懸濁した。菌体懸濁液 10ml に対して超音波破壊機を用いて菌体を破砕した(60kHz、30 秒間を5回)。遠心分離によ り破砕残渣を取り除き、得られた上清を粗酵素液とし、以後の実験に使用した。調製され た粗酵素液はバイアル瓶に各 1ml づつ分注し、−20℃で冷凍保存した。 2.2.2 粗酵素によるアガロース分解 粗酵素液 100μl(酵素タンパク濃度 2g/l)を基質として粉末アガロース 15mg を含む 900μl の 20mM リン酸緩衝液(pH6.5)に添加した。反応は 25℃で行ない、反応後、未 反応の粉末アガロースを遠心分離(9,000rpm、5 分間、4℃)により取り除き、上清を煮 沸(100℃、5 分間)することで反応を停止した。上清の遊離還元糖量とガラクトース量を、 それぞれソモギ・ネルソン法、酵素法により測定した。アガロース加水分解産物の観察は 薄層クロマトグラフィ(TLC)を用いた。 2.2.3 2.2.3.1 酵素の諸特性 基質濃度の検討 酵素の安定性や最適反応条件を調べるため、最大反応速度の測定を行った。粉末アガロ 18 ースを 1、5、10、15、20mg/ml となるように反応液に添加した。終濃度として 0.2g/l と なるように調製した粗酵素液 100μl を 20mM Tris-HCl 緩衝液(pH7.0)900μl に添加し た。所定時間(12h)反応後、未反応の粉末アガロースを遠心分離により取り除き、煮沸 により反応を停止し、上清の遊離還元糖量をソモギ・ネルソン法により測定した。 2.2.3.2 pH の影響 粗酵素の pH 安定性および最適 pH の測定には、以下の緩衝液を用いた;50mM K-Na リン酸緩衝液(pH5.0−6.0)、20mM リン酸緩衝液(pH6.0−7.6)、20mM Tris-HCl 緩衝 液(pH7.5−9.0)、0.1M グリシン NaOH 緩衝液(pH9.0−10.0)。 酵素の pH 安定性の測定は以下のように行った。pH の異なる緩衝液に酵素タンパク濃 度 2g/l となるように添加し、30 分間、25℃で静置した。各緩衝液から 100μl を採取し、 15mg の粉末アガロースを含む 100mMTris-HCl 緩衝液(pH7.0)900μl に添加し分解反 応を開始し、1 時間後の還元糖量をソモギ・ネルソン法により測定した。 酵素の最適 pH の測定は以下のように行った。15mg のアガロースを含む pH の異なる 各緩衝液 900μl に 100μl の粗酵素液(酵素タンパク濃度 2g/l)を添加し分解反応を行な い、1 時間後の還元糖量をソモギ・ネルソン法により測定した。 2.2.4 分析法 酵素タンパク量の測定は牛血清アルブミンを標準物質として BCA protein assay kit (Pierce)を用いて行った。 還元糖量の測定にはガラクトースを標準物質としてソモギ・ネルソン法およびフェリシ アナイド法(37)を用いた。 ガラクトース量の測定にはガラクトースを標準物質としてガラクトースデヒドロゲナー ゼを用いた酵素法(36)を用いた。 アガロース分解産物の観察は薄層クロマトグラフィを用いた(38)。 (シリカゲル 60 ガラスプレート(Merck)、展開溶媒;n-ブタノール:エタノール:水=3: 1:1、検出試薬;50%硫酸) 19 前培養 N.B.100ml、25℃、24 時間培養 本培養 寒天培地 2L、25℃、48 時間培養 遠心分離により集菌 (9,000×g、4℃、20 分間) 菌体の洗浄 (20mM リン酸緩衝液 pH6.5、3回) 超音波破壊機により破砕 (60kHz、30 秒間を 5 回) 遠心分離により破砕残渣を除去 粗酵素液 図5 粗酵素液の調製 20 2.3 結果と考察 2.3.1 寒天の分解 図 6 は粗酵素液によるアガロース分解の経時変化である。縦軸は還元糖量及びガラクト ース量、横軸は反応時間を示す。単離株から調製された粗酵素液は粉末アガロースと反応 し、還元糖量及びガラクトース量は時間とともに増加した。寒天はα-1,3 とβ-1,4 結合の 繰り返し配列となっており、α-1,3 結合が切断された場合、分解産物は非還元末端であり 還元糖ではない。図 6 のように還元糖が増加することはアガロース中のβ-1,4 グリコシド 結合が粗酵素液により加水分解されたことを示しており、本単離株は細胞内にβ-アガラー ゼを生産すると思われる。図 7 は TLC による分解産物の経時変化を示す。構成単糖のガ ラクトース及びアンヒドロ-ガラクトース、また、ネオアガロビオースと推測されるスポッ トやネオアガロテトラオース、ネオアガロヘキサオース及びそれよりも重合度の高い糖と 思われるスポットが検出された。また、時間とともにネオアガロテトラオースやネオアガ ロヘキサオースのスポットが大きくなることが確認された。 本単離株の生産する粗酵素はアガロース中のβ-1,4 結合を特異的に切断し、ネオアガロ ビオース単位の寒天オリゴ糖を生産することが分かった。以上の結果から単離株はアガロ ース分解能を有しており、寒天オリゴ糖生産に適した細胞内β-アガラーゼを生産すること が分かった。 2.3.2 酵素の諸特性 酵素の pH 安定性と最適反応条件の検討に先立って、基質濃度の影響を調べた。図 8A は寒天分解の経時変化を様々な寒天濃度で見た結果である。縦軸は寒天濃度 15mg とした 時の 12 時間の還元糖測定における吸光度値を 100%とした時の値である。吸光度の相対 値は時間とともにほぼ直線的に増加した。時間に対する傾き、すなわち、還元糖生産速度 と寒天濃度の関係をプロットすると図 8B のようになり、還元糖生産速度は 15g/l 以上で 一定となった。したがって、寒天分解における寒天濃度は 15g/l として、以後の実験を行 21 った。 寒天分解の最適 pH は所定の pH に調整された緩衝液で分解を行ない、単位時間当たり の還元糖の増加量(反応速度)を測定することによって調べた。図 9A に示したように、 反応の最適 pH は 6.0−7.0 であった。 酵素の pH 安定性は酵素を所定の pH の緩衝液で 30 分間加温し、残存活性を測定するこ とによって調べた。図 9B の縦軸は最も残存活性の高かった pH6.0 の残存活性に対する相 対値である。図 9B に示すように pH 安定性は pH6.0 辺りが最も高かったが、残存活性は 著しく低いことが分かった。これは菌体を濃縮後破砕したため、プロテアーゼも濃縮され たことによると思われるが、明らかではない。 22 4 還元糖量 ガラクトース量 糖濃度[g/l] 3 2 1 0 0 6 12 18 反応時間[h] 図6 粗酵素による粉末アガロースの加水分解 23 24 フロント・ライン 標準物質 A:アンヒドロ-ガラクトース (単糖) G:ガラクトース (単糖) T:ネオアガロテトラオース (4 糖) H:ネオアガロヘキサオース (6 糖) ネオアガロビオース(推定) 寒天オリゴ糖 G 図7 A T H 0 12 24 36 標準物質 加水分解産物 (濃度:1g/l) (数字:反応時間) 48 薄層クロマトグラムによる加水分解産物の観察 24 100 1mg 5mg 10mg 15mg 20mg 相対活性[%] 80 60 40 20 0 0 3 6 9 反応時間[h] 図 8A 寒天分解に対する基質濃度の影響 25 12 反応速度[吸光度変化量/min] 2.0×10 -3 1.5×10 -3 1.0×10 -3 5.0×10 -4 0.0 10 0 0 5 10 基質濃度[g/l] 図 8B 最適基質濃度の検討 26 15 20 100 相対活性[%] 80 60 40 50mM K-Naリン酸 buffer 20mM リン酸Na buffer 20 20mM Tris-HCl buffer 100mM Glycine-NaOH buffer 0 4 5 6 7 8 9 pH [−] 図 9A 粗酵素液の最適 pH 27 10 11 100 相対活性[%] 80 60 40 50mM K-Naリン酸 buffer 20mM リン酸Na buffer 20 20mM Tris-HCl buffer 100mM Glycine-NaOH buffer 0 4 5 6 7 8 9 pH [−] 図 9B 粗酵素の pH 安定性 28 10 11 3章 3.1 ネオアガロビオースの選択的生産 目的 前述のように寒天分解菌の純粋単離に成功し、単離株が寒天オリゴ糖生産に適した細胞 内β-アガラーゼを生産することが確認された。しかし、寒天の分解実験において還元糖量 とガラクトース量の経時変化を測定したところ、本研究の目的物質である寒天オリゴ糖が 生産されると同時に構成単糖であるガラクトースが非常に多く生産されており、目的の寒 天オリゴ糖の生産量は時間とともに低下すると思われた。さらに、薄層クロマトグラムの 観察において、目的物質であるネオアガロビオースの生産は確認されたが、同時に数種類 の寒天オリゴ糖も検出された。 現在行われている寒天分解菌に関する研究の多くは、寒天オリゴ糖生産のために、酵素 を数段階のクロマトグラムを用いて分離精製し、二糖分解酵素を分離除去しているが、酵 素や糖の高度な精製を行なえば、生産された寒天オリゴ糖の価格は上昇すると思われる。 そこで、本研究では得られた細胞内β-アガラーゼの分離精製を行なわず、且つ、簡便な操 作により寒天オリゴ糖の生産を試みた。 寒天の分解はセルラーゼによるセルロースの分解と同様に、寒天の糖鎖を非特異的に大 きく加水分解するエンド型酵素と生成した二糖を単糖に分解するネオアガロビオース加水 分解酵素の活性により行われる。従って、ネオアガロビオース加水分解酵素の活性を抑制 できれば、オリゴ糖を生産できると考えられる。通常はクロマトなどにより、この酵素を 分離除去する方法がとられるが、本研究では前述の二種類の酵素活性に対する添加物の影 響の違いを調べ、ネオアガロビオース加水分解酵素の活性の抑制を試みた。 通常、粗酵素を大まかに分画するためにタンパク質の溶解度に対する塩濃度の影響の違 いを応用する。本研究では酵素活性の抑制として一般的に生化学の研究で用いられる硫酸 アンモニウムの添加を試みた。 29 3.2 3.2.1 実験方法 寒天分解に対する硫酸アンモニウム濃度の影響 硫酸アンモニウムによる粗酵素の処理は以下のように行った。粗酵素液 1ml(酵素タン パク濃度 10g/l)に結晶の硫酸アンモニウムを 0、0.1、0.3、0.5、0.8g/ml となるように添 加した。0℃、30 分間静置後、100μl の調製された粗酵素液(硫酸アンモニウム処理酵素) を粉末アガロース 15mg を含む 20mM リン酸緩衝液(pH6.5)900μl に添加し、25℃で 反応を行った。還元糖量の測定はフェリシアナイド法により行ない、ガラクトース量の測 定は酵素法で行った。また、アガロース分解産物は TLC により観察した。 3.3 3.3.1 結果と考察 寒天分解に対する硫酸アンモニウム濃度の影響 未処理の粗酵素液による粉末アガロースの分解活性を測定した結果、還元糖量に対する ガラクトース量の割合は反応 24 時間において約 27%占めていた。一方、硫酸アンモニウ ム処理酵素では還元糖の生産に大きな変化は見られなかったが、ガラクトース生産は硫酸 アンモニウムの増加とともに著しく低下した(図 10A、B)。粗酵素をそのまま用いる従来 の方法では目的物質である寒天オリゴ糖は少量しか得られなかったのに対し、硫酸アンモ ニウムを添加することによりその生産量を増加させることができた。硫酸アンモニウムを 添加しないこれまでの方法では、不純物として生産されていたガラクトース量が 24 時間 の反応で還元糖量 3.7g に対して 1g も夾雑していた。しかし、80%硫酸アンモニウムによ り処理することでガラクトースはほとんど生産されなかった。還元糖量からガラクトース 量を引いた糖量(オリゴ糖総量)が未処理の粗酵素では反応 24 時間で 2.7g/l 程度だった のに対し、80%硫酸アンモニウム処理によりガラクトース生産活性を低下させた結果、 3.6g/l となり、目的物質の生産性を高めた。 還元糖量に占めるガラクトース量の比を反応 24 時間について調べると硫酸アンモニウ ム 0%の時、27%を占めていたが、50%の硫酸アンモニウム濃度では 3%にまで減少し、 30 さらに 80%の硫酸アンモニウムの場合はガラクトースの割合が 0.5%にまで減少した(図 11)。硫酸アンモニウムが還元糖生産に対して影響はなく、加水分解反応の時間を長くす るにしたがって、さらにガラクトースの割合は低下した。 31 4 硫酸アンモニウム濃度 0% 10% 30% 50% 80% 還元糖量[g/l] 3 2 1 0 0 6 12 18 24 反応時間[h] 図 10A 還元糖生産に対する硫酸アンモニウム濃度の影響 32 1.2 ガラクトース濃度[g/l] 硫酸アンモニウム濃度 0% 10% 30% 50% 80% 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 0 0 6 12 18 反応時間[h] 図 10B ガラクトース生産に対する 硫酸アンモニウム濃度の影響 33 24 ガラクトース/還元糖量[%] 30 25 20 15 10 5 0 0 10 30 50 硫酸アンモニウム濃度[%] 図 11 ガラクトース/還元糖量の比に対する 硫酸アンモニウム濃度の影響 34 80 フロント・ライン アンヒドロ-ガラクトースには不純物 と思われるスポットが出現した 標準物質 A:アンヒドロ-ガラクトース (単糖) G:ガラクトース (単糖) T:ネオアガロテトラオース (4 糖類) H:ネオアガロヘキサオース (6 糖類) ネオアガロビオース (Rf 値:0.45) 0 10 20 30 A G T 加水分解産物 標準物質 (数字:反応時間) (濃度:5 g/l) H 図 12A 薄層クロマトグラフィによる加水分解物の観察 35 0.7 実験値 文献値 アンヒドロ 0.6 ガラクトース Rf値 [-] 0.5 0.4 ガラクトース 0.3 ネオアガロテトラオース 0.2 ネオアガロヘキサオース 0.1 0 180 360 540 720 900 分子量 [-] 図 12B 分子量 vs. Rf 値と参考文献との比較 36 1080 3.3.2 硫酸アンモニウム処理酵素による特異的なネオアガロビオースの生産 図 12A は TLC による 80%硫酸アンモニウム処理酵素によるアガロース分解産物の経時 変化を示す。未処理の粗酵素を用いた粉末アガロースからの加水分解産物は、β-アガラー ゼによりネオアガロビオース単位のネオアガロテトラオースやネオアガロヘキサオースと いった寒天オリゴ糖が数種類生産されており、特定の重合度を有する寒天オリゴ糖を得る ためには高度な精製が必要であった。これに対し、硫酸アンモニウム処理を行った粗酵素 液による加水分解産物は、参考文献の薄層クロマトグラムの Rf 値との比較により、ネオ アガロビオースと思われるスポットを特異的に生産していることが分かった。また、未処 理の粗酵素による反応で見られた構成単糖のガラクトースやその他の寒天オリゴ糖は検出 されず、反応時間とともにネオアガロビオースと思われるスポットが大きくなっているこ とが確認された。図 12B は文献と実験で得られた Rf 値の比較を示しており、標準物質は すべて文献値と実験値は一致した。従って、文献と同じ Rf 値を持つスポットはネオアガ ロビオースと思われる。アガロース分解により生成されたこの糖は、還元力を示し、尚且 つ、参考文献において報告されているネオアガロビオースと同じ Rf 値を示していたこと から、この様な特徴を有する寒天由来の加水分解産物はネオアガロビオースであると示唆 される。 37 4章 4.1 加水分解産物の分析 目的 高濃度の硫酸アンモニウムを用いることにより選択的にネオアガロビオースと思われる 糖を生産することが可能になったが、この糖の同定や定量に用いる標準試料のネオアガロ ビオースが市販で入手できなかった。前途のように TLC ではネオアガロビオースと同じ Rf 値であることは確認された。そこで、硫酸アンモニウム処理した粗酵素を用いて得られ た加水分解産物をゲルろ過クロマトグラフィにより分子量測定を行った。また、クロマト 分画された生成物の加水分解を行ない、寒天分解により得られたオリゴ糖について分析を 試みた。 4.2 4.2.1 実験方法 寒天分解試料の調製 80%の硫酸アンモニウム処理酵素を用いて、15g/l の粉末アガロースを 48 時間反応(25℃、 20mM リン酸緩衝液 pH6.5)させて得られた加水分解産物をゲルろ過クロマトグラフィの 試料とした。 4.2.2 ゲルろ過クロマトグラフィ ゲルろ過クロマトグラフィは以下のように行った。Sephadex G-10 を充填したカラム (2.2×175cm、KIRIYAMA)に試料 500μl を注入し分画を行った。溶離は 20mM リン 酸緩衝液(pH6.5)、流速約 1ml/min で行った。分取は 3 分間隔(約 3ml づつ)で行ない、 各画分の還元糖量及びガラクトース量をそれぞれフェリシアナイド法、酵素法を用いて測 定した。 ボイド量の測定にはブルーデキストラン(分子量:2×106)とビタミンB12(分子量: 1355)を用いた。溶離時間はブルーデキストランが 3 時間 14 分、ビタミンB12が5時間で あり、試料の注入から 3 時間後から7時間まで分取した。標準試料(分子量マーカー)と 38 してガラクトース(分子量:180.16)、セロビオース(分子量:342.32)、ネオアガロテト ラオース(分子量:630.65)をそれぞれ 2g/lの濃度で注入した。 4.2.3 構成単糖の分析 構成単糖の分析は以下のように行った。Sephadex G-10 により分画された 60ml の試料 (フラクション No.30−49)を回収し、試験管エバポレータにより乾固した後、1.8ml の 20mM リン酸緩衝液(pH6.5)に溶解した。濃縮された試料に粗酵素液(酵素タンパク濃 度 3g/l)を 200μl 添加し、25℃で二糖の酵素的加水分解を行った。還元糖量及びガラク トース量の測定は、それぞれフェリシアナイド法、酵素法を用いた。 4.3 4.3.1 結果と考察 ゲルろ過クロマトグラフィによる検討 39 60 還元糖 ガラクトース 糖濃度[mg/l] 50 40 ガラクトース (分子量:180.16) セロビオース (分子量:342.32) 30 ネオアガロテトラオース 20 (分子量:630.65) 10 0 0 10 20 30 40 50 60 フラクションNo. 図 13A ゲルろ過クロマトグラム(標準試料混合液) 40 70 80 60 還元糖 ガラクトース 糖濃度[mg/l] 50 40 30 20 10 0 0 10 20 30 40 50 60 フ ラ ク シ ョ ン No. 図 13B ゲルろ過クロマトグラム (80%硫酸アンモニウム処理酵素の加水分解産物) 41 70 80 50 還元糖 ガラクトース 糖濃度[mg/l] 40 30 20 10 0 0 10 20 30 40 50 60 フラクションNo. 図 13C ゲルろ過クロマトグラム (50%硫酸アンモニウム処理酵素の加水分解産物) 42 70 80 図 13A は標準物質としてガラクトース、セロビオース、ネオアガロテトラオースを混合 した試料のゲルろ過クロマトグラムであり、それぞれフラクション No.49、37、30 に還 元糖のピークを得た。還元糖量のピークと酵素法によって測定されたガラクトース量のピ ークが同じ画分であったこと及び双方のピークが等しかったことから No.50 付近のピーク はガラクトースであることが分かった。また、No.37、30 のピークはそれぞれネオアガロ テトラオース、セロビオースであることが確認された。 図 13B は 80%硫酸アンモニウム処理酵素を用いた場合のアガロース加水分解物のゲル ろ過クロマトグラムであり、フラクション No.40 に還元糖のピークを得た。同ピークのガ ラクトース量を酵素法で測定したが、ガラクトースは検出されなかった。分画前の試料中 にガラクトース量がゼロであったことや TLC によりガラクトースのスポットが検出されな かったことから、クロマトグラムは合理的な結果である。加水分解産物の分子量は保持時 間を標準試料と比較すると、セロビオースの分子量 342.32 (No.37)より小さく、ガラク トースの分子量 180.16(No.49)より大きいことから、寒天由来のニ糖(分子量:324.26) と思われる。一方、図 13C は 50%硫酸アンモニウム処理酵素を用いた場合のアガロース加 水分解物のゲルろ過クロマトグラムであり、同様にニ糖類のピークが得られた。また、硫 酸アンモニウム濃度が 50%ではガラクトースの小さなピークが検出された。 80%硫酸アンモニウムを用いた場合、カラムに通された試料 500μl 中の還元糖量は 1.38mg であり、フラクション No.30−49 のピークエリアの還元糖量を積分したところ 1.34mg であった。このことは生成物の 97%以上がニ糖類であることを示唆する。また、酵 素加水分解反応に硫酸アンモニウムを用いることで、糖や酵素の高度な精製を行なわず、 二糖類を選択的生産することが可能であることを見出した。 43 分画された分解産物が寒天オリゴ糖であるかどうか、ニ糖類と思われるゲルろ過画分を 粗酵素により分解した。図 14 は分解の経時変化を示しており、横軸が二糖類の分解時間、 縦軸が糖濃度を示す。二糖類は粗酵素液により加水分解され、還元糖量の増加とともにガ ラクトース量が増加した。分解前、ガラクトース濃度がゼロであったのに対し、分解とと もにガラクトースが検出され、ガラクトースを構成単糖とするニ糖類と分かった。 硫酸アンモニウム処理酵素により分解された粉末アガロースの加水分解産物は、薄層ク ロマトグラムにおける Rf 値が参考文献のネオアガロビオースと等しく、ゲルろ過クロマト グラムによる分子量測定においてニ糖類と分かった。さらに、ニ糖類の加水分解を行った 結果、構成単糖がガラクトースであることが分かった。これらのことから、硫酸アンモニ ウム処理酵素による生成物はネオアガロビオースであることが分かった。 45 結言 本研究において寒天分解菌の純粋単離に成功し、単離株が寒天オリゴ糖生産に適した酵 素を生産することが見出された。また、単離株の生産する粗酵素を用いた酵素加水分解反 応に硫酸アンモニウムを添加することで、寒天のランダムな分解には影響されずに、寒天 二糖(ネオアガロビオース)の分解が特異的に阻害されることにより、選択的にネオアガ ロビオースと推定される糖が生産された。得られた二糖を TLC 及びゲルろ過クロマト、さ らに粗酵素による分解実験にて分析したところ、Rf 値や分子量、構成単糖としてガラクト ースを含むことから、得られた糖がネオアガロビオースであると推定された。 46 参考文献 1. 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