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建築協定の手引き

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建築協定の手引き
建築協定の手引き
-すみよい街づくりのために-
神戸市建築協定地区連絡協議会
は
じ
め
に
平成5年3月に,この「建築協定の手引き」初版が発刊され,その後,平成10年に一部改訂が加え
られ,今回,建築基準法や都市計画法の新たな改正をふまえ,再改訂を行い発刊することになりまし
た。
建築協定地区連絡協議会の活動も順調に推移しており,協定地区数も,平成2年の協議会設立当初
の45地区から98地区へと着実に増加しています。また,一昨年には,魅力ある街づくりに多大の功績
があったとして,
「国土交通大臣表彰」を受賞しました。このように,質量ともに活動に深みが出て
まいりましたのも,偏に先輩諸氏のご苦労と皆様のご協力の賜物と,厚くお礼申し上げます。
さて,平成5年から現在までを振り返ってみますと,バブル経済の終焉とともに訪れた未曽有の長
期不況や地価の下落,雇用不安,さらに,平成7年の阪神淡路大震災後の復興は,不況の影響もあり
道半ばの状態です。一方,社会の高齢化や少子化は,社会の構造そのものを変えるほどの勢いで進展
しています。
ここ10年間の社会や経済の変化は,私たちの建築協定にも微妙な影響を与えています。安値による
住宅の転売,2世帯住宅の増加とそれに伴う駐車場問題,家庭内学習塾の増加,また,今後は,高齢
者向けディサービスや子育て支援センターのような設置も建築協定との兼ね合いで議論されること
になるでしょう。
このように,建築協定といえども社会やコミュニティーの変化とは切り離して考えることはできず,
その時代にふさわしい衣替えをしていく必要があるように思います。今後,協定の更新を行う地区が
順次増加していきますが,このあたりの議論をしっかりと行い,10年,20年後,加齢する私たちが住
みやすく,こどもや孫が住んでいて誇れる街づくりを考えていく必要性を痛感しています。
幸い,神戸市においても,
「安心してくらせる環境福祉のまち」
「伸びやかに育つ教育のまち」など
5つの都市像を政策の中心に据え,種々の取り組みを実施中ですが,特に注目したいのが,そのうち
のひとつ「市民が主役のまち」です。現矢田神戸市長は,「市政への市民参画を一層進め,市民によ
るまちの経営へと舵を取っていきたい」と述べられています。戦後,私たちは,パブリックな課題は,
官である行政が,私的な部分は民間がというふうに,いわゆる官=公,民=私の考えを持ち続けてき
ました。しかし,現代の複雑多岐に亘る公的課題は,決して行政だけで解決できるものでなく,私た
ち市民一人一人が関わっていかなければなりません。昨今のボランティア活動の活発化はその現れで
しょう。
「建築協定」は市民,行政が一体となって,公的な課題である「好ましい住環境」や「住みやすい
街づくり」を目指すものです。そのためには,私たちも高齢化や子育て,防犯などさまざまな課題に
取り組む他の団体との連携を図り,ハード・ソフトを含めた重層的な街づくりに関わっていく必要が
あります。
今般の改訂版の発刊を機会に,是非もう一度ご熟読の上,活動に生かされるとともに,今後,協定
締結を検討中の地域の方々も多いにご利用いただき,真に「市民が主役のまち」づくりに役立つこと
を念願して止みません。
平成15年4月 神戸市建築協定地区連絡協議会
会 長 絹 川
正 明
目
次
第1章 建築協定とは ----------------------------------------------
1
第2章 建築協定の認可申請手続について ----------------------------
4
第3章 建築協定の運営について ------------------------------------
13
第4章 問答集 ----------------------------------------------------
21
参考資料
A 建築協定関係法令----------------------------------------
37
B 建築用語の説明------------------------------------------
48
C 用途地域による建築物の用途制限の概要--------------------
55
第1章 建築協定とは
1 住宅地の好ましい住環境
住宅地の環境として好ましい条件とは
○ 日照や通風が損なわれない。
○ 敷地の再分割により狭小住宅地の発生の心配がない。
○ 緑が多い。
○ 街並みの景観が良い。
等が一般的に考えられます。また,一戸建て住宅ばかりの地域においては,共同住宅や店舗等が建
築されないことを望まれる方もあります。
2 建築基準法に基づく建築に関する基準と建築協定について
私たちが建築物を建てるときには,着工前に建築主事あるいは民間の指定確認検査機関に建築確
認申請書を提出して審査を受け,建築基準法の安全衛生の見地より定められた構造上の基準や,地
域ごとの建ぺい率,容積率,高さ制限等に従わなければなりません。
次に建築物の用途については,地域の特性に応じた「用途地域」が定められ,それぞれの地域に
用途制限が設けられていますが,最も用途制限の厳しい第1種低層住居専用地域においても,共同
住宅,一定規模以下の店舗や事務所付きの住宅等は建てられることになっています。
では,建築協定とはいかなるものでしょうか。
建築協定とは,それぞれの地域で「住宅地としての良好な環境」又は「商店街としての利便」を
高度に維持増進させるなどのため,土地の所有者等(土地の所有者及び建築物の所有を目的とする
地上権,賃借権を有する者)が,一定の区域を定め,その区域内における建築物の敷地,位置,構
造,用途,形態,意匠又は建築設備に関するもののうち,その区域で特に必要な事項について建築
基準法よりさらに厳しい基準を設け,全員の合意の上で,市長に申請し,その認可を得るという手
続きにより協定を結び,守っていく制度です。
なお,この建築協定の法的な性質については,一般的に住民が自主的に規制を行うことを目的に
結んだ私法上の契約と解釈されています。
3 建築協定書の内容
建築協定を締結するためには,通常,目的,名称,協定の区域,有効期限,建築物に関する基準,
違反者に対する措置,協定運営委員会,委員長の職務,委員会の組織,運営方法等を内容とした建
築協定書を作らなければなりません。このいずれの項目も重要ですが,中心となるのは,建築物に
関する基準です。
- 1 -
4 建築物に関する基準設定例
建築物に関する基準の各項目で何を決めるかについては,それぞれの地域によって異なることに
なりますが,次のような例が考えられます。
項
目
基
準
設
定
例
① 敷地に関する基準 分割禁止,最低面積の設定,地盤面の変更禁止,1区画1戸建て等
② 位置
〃
建築物の壁面から敷地境界や道路境界までの距離の制限
③ 構造
〃
木造に限る,耐火構造等
④ 用途
〃
専用住宅に限る,共同住宅の禁止,兼用住宅の制限等
⑤ 形態
〃
高さ制限等
⑥ 意匠
〃
色彩の制限,屋根形状の制限,看板等広告物の制限等
⑦ 建築設備
〃
屋上温水設備の禁止等
5 建築協定の成立形態
建築協定は,その成立形態によって,次のような2つのタイプに分けることができます。
(1) 住民自身が住んでいる住宅地内の住環境を守り育てていくために,合意をし,締結する協定
(
「住民発意型協定」といいます。
)
(2) 住宅地等を開発する場合に,その土地の所有権を持つ1人,あるいは数人の業者が,分譲前に
締結し,分譲後に土地の所有者等となる住民の合意を踏まえていない協定(
「一人協定」
,あるい
は「一人協定的協定」といいます。
)
この二つのタイプの建築協定の建築物に関する基準を調べてみますと,
「住民発意型協定」では,
地域住民全員の合意が得られるような内容に絞られるために,必然的に制限項目は少なくなってい
ますが,一方,
「一人協定」
,あるいは「一人協定的協定」では,新しい街づくりを推進するという
意図を反映して,制限項目が多く,しかも,きめ細かな基準となっています。特に近年は街の景観
形成に力を入れた建築協定が増加する傾向があります。
ただ,大規模に開発されたニュータウンで,最近,締結されている「住民発意型協定」では,大
部分の住民が良質の住環境を求めて居住しているため,多くの制限項目を盛り込んだ詳細な基準が
定められており,
「一人協定」や「一人協定的協定」と同様な内容になっています。
6 建築協定の有効期間
建築協定の有効期間の長さについては,特に法令に規定はありません。10年と設定している地区
- 2 -
が多いですが,5年とか20年といった設定もあります。あまり短期のものはすぐに更新の時期が来
て,更新手続に煩わされることになり,一方,あまり長期になると,建築物に関する基準が時代に
そぐわないものになるといった問題があります。10年はこのような観点から適当と考えて採用され
ているようですが,最近は更新に際して,10年でも短いのではないかという意見を聞くことが多く
なりました。
住環境の維持のため,どの程度の期間が適当なのか,地域の成熟度,建築物の建て替え時期,住
民の世代交代等,それぞれの地域の状況を踏まえて十分検討することが必要です。
7 建築協定の変更・廃止
建築協定の有効期間中に,建築協定区域,建築物に関する基準,有効期間,建築協定違反があっ
た場合の措置又は建築協定区域隣接地を変更しようとする場合は,その旨を定めた建築協定書を新
たに作成し,改めて土地の所有者等の全員の合意のうえ,市長に申請して,その認可を受けなけれ
ばなりません。
また,有効期間中に建築協定を廃止しようとする場合は,土地の所有者等の過半数の合意(全員
ではありません。
)をもって,その旨を定め,市長に申請して,その認可を受けなければなりませ
ん。
8 建築協定の効力
建築協定の協定者がその土地の所有権等を他に移転した場合においても,協定上何らの手続をし
なくても,協定の有効期間中に新たに土地の所有者等となった者にも,その効力が及ぶことになり
ます。
9 建築協定区域隣接地
既に認可された建築協定に,後から新たに土地所有者等が加入し協定区域を変更する場合は,建
築協定の協定者は再度全員合意により,建築協定を締結し直し,市長の認可を受けなければならず,
協定者にとって大きな負担が伴うことになります。そのため,平成7年の建築基準法の改正で,あ
らかじめ未加入地を建築協定で「建築協定区域隣接地」に定めておくことにより,認可後において
も,当該未加入地の土地の所有者等が,参加する旨,市長に書面で意思表示をするだけで,建築協
定に参加することができる簡易な手続が制度化されています。
ただ,建築協定区域隣接地は既存の建築協定区域を拡大することになるものであるため,無制限
に認められるものではありません。建築協定区域隣接地の区域は,その境界が明確に定められ,当
該建築協定区域と一体性を有する土地の区域でなければなりません。
- 3 -
第2章 建築協定の認可申請手続について
1 はじめに
建築協定(以下「協定」という。
)を結ぶには,協定を結ぼうとする区域内の土地の所有者等の
全員の合意が必要であり,市長の認可を得て成立することになります。また,既に協定を結んでい
ても,協定の有効期間終了後も引き続いて協定を維持していこうとすれば,有効期間終了までに改
めて市長の認可を得る更新手続が必要となります。
以下,新規に協定を締結したいと考えている場合の住民合意の形成の仕方と市長への認可申請手
続について説明します。更新の場合についても,新規の場合とほぼ同様です。
なお,いわゆる自動更新条項がある協定の更新については,認可の手続は不要ですが,協定に定
めるところにより,更新した旨の届出を,関係図書添付のうえ,市長に提出する必要があります。
2 認可申請書提出までの手続等の流れ
協定を締結するためには,地域でどのような進め方や準備をしたらいいのか,多くの住民にとっ
て,初めてでわからないことばかりだと思います。また,既に協定を締結していても,成立形態が
一人協定や一人協定的協定のところでは,住民自身が認可申請を経験したことがないため,更新手
続に際しては同様に感じていると思われます。
そこで,まず,認可申請書提出に至るまでの一般的な住民合意の形成の仕方,手続等の流れを図
示すると下図のようになります。ただし,これは,あくまでも例示ですので,参考にしながら,他
の協定の協定者のアドバイスや地域の事情等を勘案しながら進めてください。
なお,下図は,既に協定がどのようなものかについて概ね住民の理解が得られ,協定締結に向け
て手続を進めていこうという意思が,ある程度固まった地域であることを前提としています。
建築協定認可申請までの流れ
住
民
準 備 委 員 会
市
①準備委員会の発足
②委員勉強会等(スケジュール等の決定)
③PR文書・趣意書・第1回アンケートの作成
受取り
④PR文書,趣意書及び総会案内状を住民に配布
⑤ 第1回総会(趣旨及び協定の骨子の説明 アンケート調査の提案)
- 4 -
相談・協議
受取り
第1回アンケート回答
⑥総会報告と併せて第1回アンケート実施
ア 協定に参加するか否か
イ どのような基準(制限内容)にするか
ウ その他協定締結に対する意見
⑦第1回アンケートの回収・集計・分析
(未回答のところは訪問して回収)
⑧協定素案作成
(運営委員会規則素案含む。
)
受取り
相談・協議
⑨総会案内状を住民に配布
⑩ 第2回総会 協定素案の説明審議→協定成案の作成
合意書の依頼
登記事項要約書の交付申請の方法提案
⑪総会結果を踏まえ,協定成案の作成と
第2回アンケートの作成
受取り
第2回アンケート回答
⑫総会報告と併せて第2回アンケート実施
ア 協定に参加するか否か
イ 協定成案の可否
ウ 合意できない部分とその理由
エ 登記事項要約書のとり方の希望
オ 権利形態の確認
カ その他の希望や意見
⑬第2回アンケートの回収・集計・分析
ア 未回答のところは訪問して回収
イ 不合意者の説得
⑭協定締結の可否決定
⑮協定案と運営委員会規則案の決定
相談・協議
この間申請手続等の疑問点は市に随時相談
⑯第2回アンケート回答に基づき権利者一覧表を
作成(ブロックごとに作成するのも一つの方法)
受取り
⑰合意書の提出依頼文の配布
⑱登記事項要約書の交付申請・受領
法務局への申請は,個人が個々に又は準備
委員会が一括して行う。どちらの方法をと
るかは,あらかじめ総会で決定しておく。
⑲登記事項要約書に基づく権利者一覧表の
内容を再チェック
合意書の提出
⑳合意書の回収
(未回収のところへの督促・確認)
21 合意書の内容チェック
(記入漏れ,誤り,署名の確認など)
22 申請書類の作成
申
- 5 -
請
受 付
3 準備委員会の発足
建築協定の締結までには,住民アンケートの実施,総会(説明会)の開催,権利者関係の把握,
合意書の回収などに相当手間がかかるため,準備活動は,市長の認可を得たい時期の概ね1年が1
年半程度前から始めなければなりません。更新の場合も,建築協定の空白期間が生じないよう余裕
をもって,同様に有効期間満了日の1年が1年半くらい前から準備すべきです。
そして,最初に,活動母体として,建築協定準備委員会又は発起人会(以下,
「準備委員会」と
いう。
)を組織します。この準備委員会は,多くの場合,自治会活動の一貫として設置され,自治
会の役員が兼務されるようですが,その場合も含め,準備委員会の委員の任期は,協定締結に至る
までとし,委員の交代により協定締結に支障をきたすことがないようにすべきです。また,建築協
定区域にしようとする地域が広く,土地の所有者等が多い場合は,各ブロックごとに準備委員会委
員を選任する方が,事務が円滑に進むと思います。なお,建築協定の更新に当たっては,既に組織
されている建築協定運営委員会が中心となります。
4 勉強会の開催
準備委員会の委員は,住民の合意形成や市長への認可申請手続等,地域のまとめ役として中心に
なって活動しなければなりません。そのため,日頃から委員の勉強会を開催するなどして,建築協
定制度や認可手続等について知識を深めておかなくてはなりません。
また,自治会の総会の場などを利用して,住民全体でも勉強会を開催し,住民一人ひとりの建築
協定に関する理解を深めることも重要です。
それらの場合には,法的な面の勉強とともに,実際の手続面の勉強も不可欠ですので,既に建築
協定を締結した地区の準備委員会のメンバーから話を聞かれたりすることも有益です。
勉強会の段階で,制度や手続等の疑問点を解決したうえで,協定締結に至るまでの全体スケジュ
ールや委員の役割分担なども決めておくと,活動がスムーズに進めることができます。
5 住民意見の把握と協定案の作成
(1) 第1回総会とアンケート調査
住民全体の意見を聞くために,総会を開催します。また,個々人の考え方を把握するため,ア
ンケートを実施する必要があります。
第1回の総会の開催に当たっては,事前に,建築協定に対する理解を深め,協定への参加を促
すため,協定締結の趣意書を作成し,総会の案内状とともに全戸に配布します。
この第1回の総会において,アンケート実施についての了承をとり,次のような内容のアンケ
ート調査を実施します。
① 建築協定に参加するか否か。否の場合,どのような理由か。
② どのような建築物に関する基準(制限内容)にするか。
- 6 -
③ その他協定締結に対する意見
アンケートの回収は確実に行い,未回答であれば,訪問して回収します。
回収したアンケートは集計し,参加意思の有無,建築物に関する基準についての意見その他の
意見の分類・分析をします。
(2) 協定案の作成
アンケートの調査結果に基づき,建築協定の素案を作成します。
協定書には概ね次のような事項を盛り込みます。
① 協定の目的
② 協定の名称
③ 協定の変更及び廃止の方法
④ 協定の区域
⑤ 建築協定区域隣接地
⑥ 建築物に関する基準
⑦ 協定の有効期間
⑧ 違反是正の方法
⑨ 運営委員会の職務・組織
(3) 第2回総会とアンケート調査
協定素案ができれば,第2回の総会を招集し,協定素案の説明と審議を行います。
この総会では先のアンケート結果の報告とともに,協定素案作成の経過についても詳細に説明
しなければなりません。そして,住民全体でよく審議し,必要な手直しがあれば行い,住民みん
なが納得して,参加できる協定の成案を作成します。
また,協定の成案の見通しが立てば,市長の認可手続を踏まえ,以後のスケジュールの確認,
認可申請代表者の選出(多くの場合は準備委員会のメンバー)
,次の必要書類提出の準備等を行
います。
① 合意書
② 登記事項要約書
総会で協定の成案ができたといっても,通常,総会には住民全員が出席していることはないた
め,総会終了後,再度,次のような内容のアンケート調査を実施します。
① 建築協定に参加するか否か。否の場合,どのような理由か。
② 協定の成案の可否
③ 合意できない部分とその理由
④ 登記事項要約書のとり方の希望(各自でとるか,委員会に一任するか)
⑤ 権利形態の確認(土地の所有者か,借地人かなど)
⑥ その他の希望や意見
- 7 -
アンケートの回収は確実に行い,未回答であれば,訪問して回収します。回収したアンケート
は集計し,分類・分析をします。
アンケートの結果によっては,全体的な意見調整が必要となり,再度総会を開催したり,アン
ケート調査をしなければならないこともありますが,そうでない場合は,個別に調整し,協定成
案を決定します。また,この時期には,協定締結後の運営の主体となる運営委員会の規則案につ
いても決定し,住民に報告します。
なお,協定に参加を希望しない住民に対しては,個別に説得し,できる限り不参加を減らす努
力をしなければなりません。
6 合意書・登記事項要約書の回収
(1) 権利形態の事前調査
協定の成案ができれば,次のステップとして,権利者個々に合意書,登記事項要約書の提出を
求めることになります。
その際,あらかじめアンケートにより確認していた権利形態(土地の所有者か,借地人か等)
に基づき,それぞれの権利を証する書類の提出が必要となることを周知しておくべきです。
なお,法人の場合,法人代表者印の印鑑登録証明書を添付することになりますが,代表者の資
格証明書も必要となります。
また,この権利形態の調査に基づき,市長への認可申請に必要となる権利者一覧表の作成を始
め,登記事項要約書の入手後,内容に誤りがないかチェックし,完全なものに仕上げます。
(2) 合意書の回収
合意書には,あらかじめ必要事項を記入しておき,当該事項を確認してもらったうえ,住所・
氏名欄に記名・押印してもらう方がスムーズに回収できます。合意書の書き方については、権利
者が個人か法人かの違いにより、以下のような違いがあります。
(詳細は46ページ参照。
)
① 権利者が個人の場合
「権利者本人の署名」
、
「認印押印」又は「記名」
、
「実印押印」
、
「印鑑登録証明書」が必要。
② 権利者が法人の場合
「会社名」
、
「代表者名」
、
「代表者印押印」
、
「印鑑登録証明書」
、
「資格証明書」が必要。
合意書の回収が終われば,権利者一覧表に基づき,次の点を確認します。
① 記入漏れや記入誤りがないか
② 権利者本人の署名がされているか
③ 共有者がある場合は,共有者全員の合意書がそろっているか
(3) 登記事項要約書の交付申請
登記事項要約書は,法務局で,個人が個々に又は委員会が一括して交付申請するとこになりま
す。登記事項要約書は,本人でなくても誰でも自由に請求することができますが,プライバシー
- 8 -
の問題もあり,個人で申請するのか,委員会で一括して申請するのかについて,事前に総会等で
決定しておく方がトラブルを防止できます。
一括して請求する場合は,前述の権利者一覧表を利用して,申請する方が法務局での手間が省
けます。
なお,申請に関し,不安があるときは,法務局や司法書士等に相談してください。
★法務局の所在地等★
名
称
不動産登記管轄区域
所
(神戸市関係のみ記載)
神 戸 本 局 中央区・兵庫区・灘区
在
地
中央区波止場町1-1
電 話 番 号
392-1821
(神戸第2地方合同庁舎)
須 磨 出 張 所 須磨区・長田区・垂水区
須磨区中落合3丁目1-7
794-2045
北 出 張 所 北区
北区惣山町1丁目7-11
594-3351
東神戸出張所 東灘区
東灘区深江本町4丁目4-1
451-7955
明 石 支 局 西区
明石市大明石町2丁目4-25
912-5511
7 その他の申請書類の作成
市長への認可申請には,協定書,合意書,登記事項要約書以外にも,いくつかの関係図書が必要
となるので,できるだけ早期に準備するよう心掛けなければなりません。
★申請書類一覧★
① 認可申請書(44ページ参照。
)
② 趣意書
③ 協定書
④ 協定事項(建築物に関する基準)
⑤ 付近見取り図(位置図)
⑥ 協定区域図(12ページ参照。
)
⑦ 代表者証明書(45ページ参照。
)
⑧ 合意書(46ページ参照。
)とその総括表
⑨ 権利者一覧表(11ページ参照。
)
⑩ 登記事項要約書
- 9 -
8 認可申請後の手続の流れ
認可申請書を市長に提出した後は,次のような手続がとられます。
住
民
認可申請書の提出
市
受
長
付
関係人の縦覧の公告
関係人の縦覧
(20日以上)
聴聞会(公聴会)開催の
お知らせ
(権利者全員へ配布)
聴聞会(公聴会)開催の公告
公開による聴聞会(公聴会)
建築協定の認可
認可の公告・協定書の一般への縦覧
認 可書の受 領
認 可書の交 付
協定者へ認可書・協定書(写し)
を配布
- 10 -
登記事項要約書の面積
【参 考】 権利者一覧表
区域図
地 番
権利者
地積
不同
摘出
番 号
(家屋番号)
氏名
(m2)
意者
(○不同意)
1
1-1
和渕 太郎
236
94
2
1-2
高橋 一郎
(H○.○.○死亡)
179
34
相続人(妻)
京子 合意
3
1-3
中川 信二
中川 美里
200
86
信二 1/2
美里 1/2
4
1-4
山根 隆文
209
36
1-5
村川 肇
村川 司
村川 学
5
209
71
○
肇 3/5
○司 1/5
○学 1/5
①登記事項要約書の所有者欄の持分
②共有持分の過半数の合意で可
(合意状況を記載すること)
③本人死亡の場合、相続人による合意で可
(死亡事実、相続人続柄、氏名記載)
271
20-10
鵜飼 徹
296
08
272
20-11
鈴木 隆
197
00
58,001
28
計
※合意書及び登記事項要約書は申請者に原則返却するため、共有者の合意状況、相続人による合意の
状況が判るよう記入すること。
- 11 -
【参 考】
協定区域図(区域及び番号)
1-1
1-2
1
2
10-1 10-2
24
23
10-4 10-3
25
26
②
①
2-1
2-2
2-3
3-1
4-2
4-3
4-5
3
4
5
6
7
8
9
7-1
6-2
6-4
6-5
6-7
14
13
12
11
10
7-2
③←住居表示番号
15
7-3
8-2
8-5
8-6
8-8
16
17
18
19
20
8-10 8-11
21
22
12-2 12-4
28
27
〔凡例〕
地番 →
1-1
1
← 区域図番号
(合意書及び登記事項要約書の綴り込み順の番号と合わせる。
)
建築協定区域隣接地
- 12 -
第3章 建築協定の運営について
1 建築協定運営委員会の運営
建築協定の趣旨と目的にそって,協定の運営に関する事項を処理し,協定を円滑に施行するため
に,それぞれの建築協定には,協定区域内の住民の代表によって建築協定運営委員会(以下「委員
会」という。
)が設けられています。
(1) 委員会の規定
通常は,建築協定書の中で,委員会の設置や委員長,副委員長,委員,会計等の組織構成,そ
れらメンバーの選出方法,職務及び任期,運営方法が定められます。
(2) 委員会の組織構成
協定区域のすべての協定者によって委員会を構成するのが基本ですが,現実にはすべての建築
協定で委員会が組織されているわけではありません。一人協定ではデベロッパーが事前に協定を
締結してから分譲し,購入者がそれを継承する形になるため,入居当初は運営の組織が確立され
ていない場合が多いといえます。
しかし,建築協定の運営は,協定者自身で行うものですから,早急に委員会を組織していく必
要があります。委員会を構成する委員は,通常協定者の互選により選出されます。そして,委員
の中から委員長,副委員長,会計などの役員が互選又は委嘱により選出されます。委員の任期は
一般的に1年ないし2年の場合が多いようです。
自治会の役員が運営委員を兼ねることは差し支えありませんし,また,そのような例が数多く
見受けられます。委員会と自治会とが密接に連携することは,委員会の業務推進にとって極めて
有用なことです。しかし,それぞれ独立した組織であるため,業務や会計を明確に区分して運営
するよう留意しなければなりません。また,建築協定の協定者でなければ委員の資格がありませ
んので,自治会の役員の兼務にあたっては,このことにも注意が必要です。
(3) 委員会の機能と活動
委員会は,建築協定が守られ,地域の住環境等を維持してより良い街づくりを進めていくため
に設けられているものですから,委員会の主な機能は,住宅などの建築が協定に違反していない
かどうか,常に監視し,チェックすることにあります。
以下に委員会の機能と活動を列挙します。
① 事前協議の受理・審査
住宅などの建築を行おうとする場合には,法令の規定に基づき,種々の申請書等が所管の行
政庁等に提出されます。建築協定でも,多くのものが,建築等に際しては,建築物に関する基
準に関わる事項について,事前に建築主又はその代理人が運営委員会と協議を行うことを明文
で義務づけています。協定者から事前協議の申請があったときは,委員会は協定で定めた基準
に適合しているかどうかを審査し,適合していれば協議済みの認証をすることになります。
- 13 -
(17・19ページ参照)
事前協議を明文で義務づけていない場合でも事前協議はすべきです。多くの場合,事前協議
による計画段階でのチェックにより違反建築を未然に防ぐことができます。事前協議を確実に
行うことにより,協定の目的の大半が達成されることになるといえます。
② 建築工事中及び建築完了後のチェック
事前協議をしていても,当初の申請と異なった協定違反の建築を行ったり,工事が完成し,
建築基準法による完了検査も終えた後に違反となる変更を行ったりする場合があります。した
がって,工事中はもとより,工事完了後も,近隣の住民の協力を得ながら十分チェックする必
要があります。
③ 協定違反に対する措置
建築協定に違反する事例が発見された場合に,その違反を是正するためにどのような措置を
とるのかについては,協定に定めておかなければなりません。これは,建築協定に定める建築
物に関する基準は,建築主事や民間の指定確認検査機関による確認の対象となる「建築物に関
する法令等の規定」には該当しないため,協定に違反する事例があっても,市長による是正命
令の対象にならないためです。一般的には,次のような措置を定めることが多いようです。
ア 是正の請求
(ア) 委員会の決定に基づき当該違反者に対して,違反に係わる工事の施工の停止を請求する。
(イ) 同時に,文書をもって相当の猶予期間を付けて,当該行為を是正するための必要な措置
をとることを請求する。
(ウ) (イ)の請求があった場合には,当該違反者は遅滞なく,これに従わなければならない。
(エ) 是正の措置が完了した場合には,委員会が点検して是正の適否を確認する。
イ 裁判所への提訴
(ア) 当該違反者が是正の請求に従わない場合,最終的には裁判所に提訴することによって協
定内容を実現する。
(イ) この場合の費用は,当該違反者の負担とする。
ウ 違反措置についての注意事項
(ア) 住民自身が違反者を裁判所に提訴することは,住民感情からして必ずしも好ましいこと
とはいえません。また,裁判には相当の時間が消費され,多くの労苦も伴うので,できれ
ば,委員会が辛抱強く違反者に是正を説得すべきでしょう。
(イ) 協定違反を発見した場合には,工事が進むとそれだけ是正も困難になるので,早期に違
反事実を指摘して施工の中止を請求しなければなりません。
(ウ) 万一訴訟に踏み切る場合に備えて,違反者とのやりとりや委員会の記録を整備しておく
ことが大切です。
- 14 -
④ 建築協定の更新・変更
建築協定の有効期限の1,2年ぐらい前になると,協定を更新するか否か,協定者の意向を
確認する必要があります。更新する方針を決定した場合には,委員会は協定内容の見直しや権
利者の確認を行い,更新の合意形成に向けて,手続を進めることになります。
また,有効期間の途中で,建築協定区域,建築物に関する基準,有効期間,協定違反があっ
た場合の措置又は建築協定区域隣接地のいずれかを変更しようとする場合は,協定者全員でそ
の旨を定め,市長の認可を受けなければなりません。そして,この変更に際しては,協定締結
のときと同様の手続が必要となります。
⑤ 未加入地等への対応
建築協定の未加入地や協定区域に隣接した土地において,建築協定の目的を阻害するような
建築が計画されている場合には,これらの建築主に対して協定についての理解を求め,是正を
要望することも委員会の活動の一つと考えられます。
また,紛争を未然に防止するためには,建築協定区域隣接地に指定している土地をはじめ未
加入地については,できるだけ協定への参加を求め,未加入地をなくす努力も続けていかなけ
ればなりません。
(4) 委員会の運営上の留意事項
① 協定書の条文の理解と解釈
委員会を運営するに当たって最も大切なことは,委員全員が協定の趣旨と条文の内容を十分
理解しておくことです。
委員会が発足した当初はもちろんのこと,機会あるごとに勉強会を催したり,実際の審査や
検査を通じて理解を深めることが大切です。
一人協定や一人協定的協定では,協定作成に直接関係しなかった人達によって委員会が運営
されることになるため,委員会発足当初において,協定書を作成した関係者(開発事業者など)
によく内容を確認しておかなければなりません。発足後も当分はこれらの関係者の協力を得な
がら,運営していく方がよいでしょう。
発足当初の委員会が条文の趣旨や内容をよく理解していても,時間の経過とともに,委員の
交代などによって条文の解釈に疑義が生じることがあります。その場合には過去の記録を精査
したり,前任者の意見を聞くなどして,解釈に一貫性が欠けることのないよう留意しなければ
なりません。そのためにも委員会の議事は必ず記録して保存しておくべきです。
また,協定書の条文の適用にあたって,協定締結当初は予想していなかったケースが発生す
ることがあります。建築協定は,基本的に協定者の合意を基礎にしているものですから,条文
からかけ離れた解釈は慎まなければなりません。
なお,協定書の条文には,建築の可否を委員会の判断に委ねている場合があります。この場
- 15 -
合も,判断の基準を明確にしておかないと,事案によって判断が異なり,一貫性,公平性を欠
くことになります。しかし,一方,社会情勢や環境の変化,住民のニーズにより,この判断基
準についても柔軟に解釈する必要が出てくる場合がありますが,その場合は,協定者全員の理
解を得て,対応することが大切です。
最後に,このような建築協定の条文の解釈に当たっては,最終的に,委員会が判断責任を負
うことに留意しなければなりません。
② 自治会との関係
前述のように,自治会の役員が委員会の委員を兼ねている場合が多く見受けられるため,や
やもすれば両者の活動が混同されがちですが,両者はそれぞれ独立した組織であるため,運営
面でも明確に区分することが必要です。
しかしながら,地域住民全体の協力が無ければ協定の実を挙げることができませんので,情
報の提供(協定違反の発見,建築計画の有無など)
,啓発活動などにはあらかじめ自治会の協
力を要請しておくべきです。
③ 土地の所有者等の把握
土地所有者等の変更を常に把握しておくと,問題に迅速に対応しやすく,協定の更新もスム
ーズに行うことができます。そのため,土地の所有権を移転した場合に,委員会への届出を義
務づけている建築協定もあります。更に,土地の所有権を移転した場合に,譲渡人に対して協
定内容を譲受人に伝達するよう義務づけている建築協定もあります。
このような義務づけの有無にかかわらず,土地の所有者等に変更があった場合には,委員会
から速やかに新しい所有者等に協定書の写しなどを渡し,その内容を説明するといった配慮も
必要です。
なお,建築協定区域隣接地の土地所有者等に変更があった場合は,協定に参加していただく
チャンスであるため,隣接地の動向にも注意しておくことが大切です。
④ 住民同士の私的なトラブル
建築協定とは無関係な隣接居住者同士のトラブルが自治会や委員会に持ち込まれることが
あります。例えば,車庫の屋根からの雨水・雪の跳ね返りや落下,枯れ葉の落下,犬・猫の侵
入など,主として隣同士に生じたトラブルです。
このようなトラブルは当事者同士で,あるいは適当な第三者を介して,話合いによる解決を
図ることが本来の姿です。建築協定に定めていない事柄に対して,むやみに委員会が介入する
と,却って問題を複雑にすることがあるので,委員会として立ち入ることは慎まなければなり
ません。
なお,当事者にはこの趣旨をよく説明し,理解してもらうことが必要です。
- 16 -
2 事前協議制度
建築協定区域内において行われる建築物の新築,増築,改築,用途変更等は,当然,建築協定に
適合したものでなければなりません。
建築等の工事中,工事後にかかわらず,委員会がチェックして協定に違反している場合,協定に
基づきその是正を請求することができます。しかしながら,一旦工事が始まると,違反に気がつい
て,その是正を請求しても建築主が簡単に応じないことが多いといえます。まして,工事が完了し
てしまえば,なお一層,自主的な是正は期待できなくなります。
したがって,協定違反の建築物を未然に防止するためには,建築計画の段階で,委員会と建築主
とが協議し,協定を順守した建築計画にしていただくことが,最も望ましい方式です。
多くの協定の締結地区では,このような事前協議を義務づけ,効果を挙げていますが,まだ事前
協議を制度化していない地区や,制度化していても十分に守られていない地区では,いろいろなト
ラブルが発生しているようです。
そこで,神戸市建築協定地区連絡協議会では,
「建築計画の事前協議PR文例」
(20ページ参照。
)
と「事前協議書様式例」
(19ページ参照。
)を作成しています。これを参考に,事前協議の必要性を
啓発するとともに,事前協議書の様式を定め,事前協議制度の確立に努めていただきたいと思いま
す。
事前協議制度は,単に新築の場合に適用するだけでは不十分です。増築・改築・用途変更の場合
に協定違反の発生することが多いので,規模の大小を問わず,すべての建築に係る工事等を事前協
議の対象とすることが肝要です。
なお,事前協議の際には,計画図面のチェックなどには建築の専門的な知識を必要としますので,
専門家でない委員会の委員にとっては負担が大きく,違反のチェック漏れなどが起こることも懸念
されます。そのため,地元に専門家や開発事業者がいる場合には,その指導と協力を得ることが大
切です。
3 協定者への啓発
協定違反は,協定者が協定そのものを認識していなかったり,協定の内容を十分に理解していな
い場合に起こることが多いといわれています。特に,一人協定や一人協定的協定では,協定成立時
において実際にその区域に住んでいる住民の合意形成が行われていないため,ややもすれば,協定
者の関心が薄く,理解不足によるトラブルが起こりがちです。
したがって,協定違反を未然に防ぐためには,委員会が常に協定者全員に対して,協定に関する
啓発を行うことが必要です。
啓発の方法を例示すると次のようになります。
① 建築協定書とともに,新築・増築・改築・用途変更等の際の事前協議手続きの方法を記載した
説明書を協定者全員に漏れなく配布する。新たに協定者になった方への配布も忘れないようにす
- 17 -
る。
② 建築協定区域内の適当な場所に,協定区域や協定の内容,協定の期間などを表示した看板を設
置する。
③ 委員会の活動状況や協定内容の解説,質疑応答などを盛り込んだ広報紙を定期的に発行する。
このような啓発活動は,各地区の実情に応じて,それぞれ工夫して行うことが大切です。また,
委員会においても,研修会などを開催して,委員自身の能力の向上を図るとともに,地区の協定者
とは常に意見交換を心掛け,信頼関係をつくっていく努力も必要です。
なお,これらの啓発活動,更新手続等,経費が必要となる場合が多々あります。したがって,建
築協定の運営経費として,協定者全員の了解の下,会費等の徴収も検討すべきです。
- 18 -
【 例 】
平成
年
月
日
○○○○建築協定運営委員会 様
住所
建築主
氏名
印
℡.
建築計画(変更)協議書
次のとおり建築を計画していますが,建築協定の適否について協議します。
なお,変更があった場合は,再度協議します。
記
建
築
場
所
種
別 新築・増築・改築
( ○ を つ け て く だ さ い 。)
用
途 専用住宅・兼用住宅
( ○ を つ け て く だ さ い 。)
計 画 の 概 要
敷
地
面
積
㎡
建
築
面
積
㎡
延 べ 面 積
(兼用部分面積) (
階
数 地上
㎡
㎡)
階,地下
階
最 高 の 高 さ
m
建物と隣地との
最短の離間距離
m
添
代
付
書
※増築・改築の場合は増築・改築
後のものをお書きください。
類 1 位置図 2 配置図 3 平面図 4 立面図 5 断面図
理
者
住 所
氏 名
℡.
※ この協議書は,2部提出してください。1部は,建築協定の適否について回答します。
本建築計画は,建築協定に適合・不適合のものと認めます。
(不適合の理由:
平成
年
月
)
日
様
○○○○建築協定運営委員会
委員長
- 19 -
印
【 例 】
建物を新築・増築・改築・用途変更する場合は
“事前”に建築協定運営委員会と協議しましょう。
○○○○建築協定運営委員会
当地区は,良好な住宅環境と景観を維持,増進するために,建築基準法で定められている建
築協定が結ばれている地域です。
建築協定では,建築基準法で定められている建築物の基準以上の規制が加えられております。
当建築協定運営委員会では,建築協定に違反する建築物を未然に防止するため,建築計画の
段階で協議していただくこととしております。
協議がもれると,まちづくりに支障をきたすことがありますので,皆様におかれましては,
建築物を新築・増築・改築・用途変更する場合,建築協定に適合した建築計画としていただく
とともに,その計画について,運営委員会と協議していただくようお願いします。
記
◎ 建築計画から建築着工までの手続
1 建築主(又は設計事務所等代理者)は,建築計画をされたとき,
「建築計画(変更)協議
書」正副2通(添付書類を含む。
)を建築協定運営委員会に提出してください。
2 建築協定運営委員会では,その計画が建築協定に適合しているかどうか審査します。
3 その計画について,審査の結果を後日運営委員会から回答します。
4 不適合の場合は,適合するよう計画変更し,改めて協議してください。
5 適合の場合は,その協議書(副)の写しを「建築確認申請書」に添付して市又は確認検査
機関に提出してください。
6 市又は確認検査機関から「建築確認通知書」を受けられたら,建築工事に着工できます。
7 協議の後,計画変更や「建築確認申請書」の審査中に修正があれば,必ず「建築計画(変
更)協議書」により再度協議してください。
建 築 計 画 か ら 建 築 着 工 ま で の 流 れ
(運営委員会)
(建築主)
建 築
協 議
協 議 書
回 答
→→→
→→→
計 画
(建築主)
回 答 書
(市又は確認検査機関)
建築手続
建築確認
通 知
→→→
申 請 書
→→→
[審 査]
法 に
適 合
(建築主)
建築確認
→→→
←←←
修 正
建 築
着 工
[審 査]
※図面等添付
協定に
適 合
※協議書(写)
添付
- 20 -
通 知 書
第4章 問 答 集
1 建築協定と地区計画とはどう違うか。
(質 問)
私たちの地区は,建築協定地区であるとともに,地区計画の区域にも入っています。建築協定
の更新を考えるときの参考にしたいので,二つの制度の違いについて教えてください。
( 答 )
地区計画は,都市計画法に基づいて都市計画決定されるもので,
「地区計画の方針」と「地区
整備計画」から構成されています。都市計画の一部であるため,有効期間というものはなく,都
市計画が変更されない限り,その地区計画は拘束力を持ち続けます。
一方,建築協定は,建築基準法に基づき土地の所有者等が締結する「私法上の契約」と解釈さ
れており,同法により有効期間を定めることになっています(有効期間は10年と定めている地区
が多いようです。
)
。
地区計画が,用途地域制度の延長上で地域全体の街づくりとして道路や公園の位置を決めたり,
建築物に関する規制をしているのに対し,建築協定は,個々の建築物に関しての約束事項の積み
重ねによる街づくりを目的としたものです。
したがって,建築物の用途・形態,容積率の最高・最低限度等については,建築協定でも地区
計画でも定めることはできますが,地盤改変の禁止や敷地分割の禁止をしたり,建築物の階数・
構造や建築設備(たとえばアンテナ,屋上温水設備等)に関する基準等については,建築協定で
しか定めることはできません。
さらに,建築協定は土地所有者等の全員が自主的に合意した約束であるという点が,都市計画
として多数意見で決定できる地区計画と大きく異なるところです。
そして,これらの違いは,建築確認の際,建築主事等の審査義務と違反是正の方法の違いとな
って表れます。即ち,地区計画との適合については審査義務を負い,建築協定の内容との適合に
は審査義務を負いません。さらに,その違反については,地区計画については市が行政手続によ
り是正しますが,建築協定違反は,建築協定に定めるところに従い,協定者が民事訴訟等により
是正を図ることになります(通常は,協定者を代表して建築協定運営委員会の委員長が手続を行
うよう定めています。
)
。
このように建築協定は住民自身の自主性の上に立脚した制度です。建築物の新築や増改築の際
に運営委員を中心として協定内容を守っていくことによって,街並みを常日ごろから守りそだて
る住民意識を強め,住みよい街に取り組む土俵づくりにも役立つ制度だと思います。
- 21 -
2 建築協定案の基準に違反する建物が存在する場合の建築協定締結について
(質 問)
この度,建築協定を締結すべく協定案を作成しましたが,私たちの地区は旧市街地で,様々な
建物が建っており,現時点で私たちが案として作成した基準のどれかに,適合しない建物がいく
つかあります。しかし,どの建物にも適合する基準では,私たちの望む街づくりはできないと思
います。
協定締結時点で基準に適合しない土地所有者等には建築協定に参加してもらうことはできな
いのでしょうか。
( 答 )
既に建物が建ち並んでいる地区で,建築協定を定めようとする場合は,基準にしたい内容のど
れかに適合しない建物が存在していることがあります。既成市街地ではこのようなことが多いと
想像されますが,ニュータウンでも同様のことが起こり得ます。
このような場合,既存の建物が適合しないような基準は協定に入れず,すべての建物が適合す
る基準についてだけ協定を締結するというのも一つの方法です。
しかし,質問にもあるように,より良い住環境を創造するため,全ての建物が適合する基準だ
けでは協定を締結する意味がないことがあります。このような場合,既存の建物が適合しない基
準を協定に定めたとき,適合しない建物の土地所有者等は協定に参加できないのでしょうか。参
加できないとすると,不参加者は適合しない基準以外も守る必要がないため,街づくりは後退す
る可能性が出てきます。また,全員参加による街づくりという建築協定の趣旨にも反することに
なります。したがって,適合しない建物の土地所有者等にも参加していただけると考えなければ
なりません。
そして,このような建物に関しては,建て替えあるいは増改築の際に,当該建て替え又は増改
築の部分について基準を守っていただくようにすることが適切だと考えます。
なお,このことは,建築協定書にもその旨,規定しておいた方がよいでしょう。
3 第1種低層住居専用地域で「理髪店・美容院の兼用住宅」は建てられるか。
(質 問)
私の住んでいる地域は,第1種低層住居専用地域で建築協定がありますが,協定では「理髪店・
美容院の兼用住宅」は建ててもよいことになっています。
最近子どもに手がかからなくなり,美容師の資格もありますので,家屋を改造して美容院の兼
- 22 -
用住宅にしたいと思っていますが,何か制限はありますか。
( 答 )
建築協定で美容院の兼用住宅を建ててもよいとなっていても,どのような美容院を建ててもよ
いというものではありません。
第1種低層住居専用地域において建てることができる美容院の要件は,建築基準法で次のとお
り規定されています。
(建築基準法施行令第130条の3)
(1) 延べ面積の2分の1以上を住居のために使うこと。
(2) 美容院の床面積の合計が50㎡以下であること。
これらの要件に合っていれば,美容院との兼用住宅は建てることができます。
なお,通常,建築協定運営委員会と事前に協議することが義務づけられています。したがって,
運営委員会の役員の方と相談してください。
4 壁面後退の緩和について
(質 問)
物置,ガレージ等に対する壁面後退の緩和はないのですか。
( 答 )
都市計画で外壁後退を定めている地域がありますが,建築基準法第54条第1項と同法施行令第
135条の20の規定によって,①外壁又はこれに代わる柱の中心線の長さの合計が3m以下のもの
と,②物置その他これらに類する用途で,軒の高さが2.3m以下で,かつ,床面積が5㎡以内の
ものについては,緩和できることになっています。
建築協定においてもこのような緩和規定を定めていれば,当該規定により建築ができることに
なります。
なお,協定の解釈,適用は運営委員会の権限であり,市がそれをすることはできません。
5 敷地を分割することなく,二世帯が別々に生活できる住宅は建てられるか。
(質 問)
私は現在,妻と子ども2人で1戸建て住宅に住んでおりますが,私の両親が年老いてまいりま
したので,両親を引き取り一緒に生活したいと思っております。
しかし,今の家では手狭すぎます。両親も,私の傍には住みたいが,同一家屋に住むのは窮屈
なので,別々に生活できるゆったりした家に住みたいと言っております。
- 23 -
幸い,私の敷地にはまだゆとりがありますので,同一敷地内でこじんまりした家をもう1戸建
てたいと思い,自治会の役員さんに相談したところ,
「この地区は建築協定があり,1区画に1
戸建て住宅しか建てることはできない。また,敷地を分割することはできない。
」と言われまし
た。
何か,良い方法はないでしょうか。
( 答 )
建築物は一つの敷地に1戸しか建てることができません。そして,建築協定で敷地の分割が禁
止されていれば,敷地を分割して2戸建てることもできません。
しかし,玄関が別々で,台所や風呂場,トイレなどをそれぞれ2つ以上設け,二世帯が別々に
独立して生活できる住宅であっても,建物の内部で往き来できるもの(廊下,居間等でつながっ
ているもの)なら,建築基準法上1戸建て住宅として認められることがあります。また,離れの
ようなものについても同様です。
このような住宅の増築が建築協定上可能かどうか,建築協定運営委員会と十分協議してくださ
い。
6 建築敷地の最低面積について
(質 問)
建築敷地の最低面積を定めている地区も多いようですが,何を目安に定めたらよいのでしょう
か。
( 答 )
建築敷地の最低面積を定めている地区が多いということはありません。むしろ,現在の宅地の
分割を禁止している地区が多数です。
最低敷地面積を定める場合は,建築敷地として,十分利用でき,住環境の保全の観点から住民
の総意を得られる面積ということで判断していただくことになると思います。
なお,平成4年の建築基準法の改正を受けて,神戸市では,第1種低層住居専用地域と第2種
低層住居専用地域で,建ぺい率40%,容積率80%の指定を受けている区域については,敷地面積
の最低限度が100㎡と定められていますので,これも参考にしてください。
- 24 -
7 機械式駐車場のトラブルについて
(質 問)
昇降二段式駐車場の設置についてトラブルが発生した場合,どのように対応すればよいでしょ
うか。
( 答 )
建築協定は建築物に関する基準を定めるものであるため,トラブルになっている駐車場が建築
物に当たるかどうかが問題になりますし,当該駐車場を建築協定の問題として取り上げるために
は,建築協定の中にその基準が規定されていなければなりません。
建築基準法では,土地に定着している工作物のうち,屋根と柱か壁があるもの,また,これに
付属する門や塀,観覧のための工作物,地下や高架の工作物内に設ける事務所,店舗等を建築物
と規定しています(建築基準法第2条第1号)
。駐車場が建築物に該当するかどうかは形態によ
って異なってきます。駐車場が建築物に該当しない場合や該当しても建築協定に基準が定められ
ていない場合は,建築協定運営委員会としてトラブルに対することは不適当です。
8 住宅地としての環境を壊すような空き地の使用形態を規制することはできるか。
(質 問)
私たちの協定地区内の問題について,よい方法があれば教えてください。
この団地が造成されて十数年になり,ほとんどの区画に家が建ち並びましたが,なかには住宅
を建設しないで空き地のままにしている区画があり,子どもたちの遊び場になっていました。
それはそれでよかったのですが,最近その空き地のうちの数区画に材木や鉄骨等が運び込まれ
て野積みされ,資材置場として使用されています。
フェンスはしていますが,搬入のトラックで子どもや老人等の交通事故が心配ですし,住宅地
としての環境もこれによって壊されています。
このような土地の利用を止めてもらう方法はないでしょうか。
( 答 )
建築協定は「建築物に関する基準」について定めることができる制度です。したがって,建築
物が存在しない資材置場等の空き地の利用については,残念ながら建築協定によって規制するこ
とはできません。
このような問題については,住宅団地の環境をみんなで守っていくという意味から,空き地の
土地所有者と話し合いを行い,問題解決に向けて協力を要請していくしかないと思います。
- 25 -
9 青空駐車場は建築協定違反にならないのか。
(質 問)
私の家の隣に青空駐車場ができ,朝晩車の出入りがあり,騒音や排気ガスに悩まされます。
建築協定運営委員会の役員の方に「環境を悪くするので建築協定違反ではないか」と申し入れ
たところ,
「違反にはならない」と言われました。
青空駐車場はなぜ建築協定違反にはならないのでしょう。
( 答 )
建築協定は,
「建築物に関する基準」について定めることになっており,建築物でない青空駐
車場を建築協定で規制することはできません。
青空駐車場と同様に資材置場についても問題になることがありますが,建築物に該当しない場
合は,資材置場についても建築協定で規制できません。
したがって,これらの問題については,自治会の役員の方々に相談するとともに,迷惑を少し
でも小さくしてもらうよう,土地の所有者とよく話し合っていただきたいと思います。
10 建築協定で「1区画1戸建て専用住宅」と制限された敷地の分筆はできるか。
(質 問)
私の敷地は185㎡で,この敷地を1区画として建築協定を締結していますが,協定で「1区画
1戸建て専用住宅」と制限されています。
敷地を分筆することはできますか。
( 答 )
分筆することは可能です。
しかし,建築協定により「1区画1戸建て専用住宅」と規定されておれば,分筆したそれぞれ
の土地を敷地として,住宅を建てることはできません。分筆前の土地を一つの敷地として,専用
住宅を建てなければなりません。
11 建物の解体について,建築協定で対処することはできないか。
(質 問)
建物の解体にあたって,隣接の人から苦情が出ることがよくあります。こういった問題に対し
- 26 -
て建築協定で対処することはできませんか。
( 答 )
建築協定は,建築物についての基準を定め,それを規制するものであり,建築物の解体の仕方
については定めることはできません。個々の問題として,解決を図っていただくしかありません。
12 土地が譲渡された場合,新しい所有者には建築協定の適用はなくなるか。
(質 問)
私の住んでいる地域は,全員が建築協定に入っており,建築にあたってはいろいろな制限があ
ります。
ところで,東隣りのご主人が転勤のため土地・家屋を売却されるそうですが,家屋も古くなっ
ており,購入された方は建て替えをするかもしれません。
土地が譲渡された場合,新しい所有者には建築協定の適用はなくなってしまうのでしょうか。
( 答 )
建築基準法では,
「建築協定は,認可の公告のあった日以後において,建築協定区域内の土地
の所有者等となった者に対しても,その効力があるものとする」と規定されています。
(建築基
準法第75条)
したがって,新たに購入された方が建て替えをする場合でも,建築協定で取り決められた基準
に合致した建物を建てなければなりません。
13 建築協定に参加していた借地権者が借地権を解消したとき,その土地はどうなるか。
(質 問)
私たちの協定地区は,開発事業者によって宅地開発された住宅団地ですが,そのうちの数区画
は元の地主への換地だそうです。
その数区画については,ある企業が地主から土地を借り上げて住宅を建て,そこを社宅として
社員を入居させています。
幸いにも,建築協定にはこの会社が借地権者として参加してくれましたが,このたび支店を廃
止するのに伴い,近々この社宅の借地権も解消することになったそうです。
この数区画の建築協定は,どうなるのでしょうか。
( 答 )
その数区画について,土地の所有権者(地主)も建築協定に参加していれば,当然そのまま建
- 27 -
築協定の効力は継続します。
しかし,地主が建築協定に参加していない場合は,その借地権が消滅してしまうと,その土地
は,当該建築協定の区域から除かれると建築基準法第74条の2で規定されていますので,その数
区画については,建築協定の効力は及ばなくなります。
なお,借地権が存続している間であれば,簡単な手続で地主が建築協定に加わることができま
すが,借地権が消滅した後は,建築協定区域の変更になるので,新たに建築協定を結ぶ手続と同
様の手続が必要になります。
14 「建築物は2階建て以下」という規制を逃れるために建築協定を脱退することはできるか。
(質 問)
私は建築協定に入っていますが,協定では「建築物は1区画1戸建て専用住宅で,2階建て以
下とする。
」となっています。
私の家族は三世代同居で子どもも大きくなってきており,3階を増築してあと1部屋増やした
いと考え,建築協定運営委員会に相談したところ,
「家庭の事情は分かるが,3階建ては協定で
認められていないのでだめだ。
」と言われました。
私の敷地は少しゆとりがあるので,今の家をつぶして建て替えをすれば,2階建てでも十分1
~2部屋を増やすことは可能ですが,費用がかさみます。
建築協定を脱退して3階を増築したいと思いますが,脱退はできますか。
( 答 )
有効期間についても合意のうえで建築協定に参加されたわけですから,自分の都合で自由に脱
退することはできません。脱退するには,協定を締結された方々全員の合意が必要です。
なお,建築基準法では,一の敷地(1区画)に1戸の建築物が原則ですが,離れのように母屋
と一体で生計が成り立つものについては1戸建て専用住宅と解釈されており,2つの建築物を建
てることが可能な場合もありますから,一度,建築協定運営委員会にご相談ください。
15 土地所有者等の変更の手続はいるのか。
(質 問)
最近,協定地区内の土地,建物の販売のチラシが配られていました。売買によって,土地の所
有者等が変わった場合,市への手続はいりますか。
( 答 )
- 28 -
土地の所有者等の変更があっても,建築基準法により新しい所有者等にも協定の効力は及びま
すので,市に対して手続をする必要はありません。
16 建築協定書中の運営委員会に関する事項を変更する場合,変更認可の手続がいるか。
(質 問)
私たちの地区の建築協定書は,運営委員会の組織や役割についても規定しており,これに基づ
いて委員長1名,委員2名で運営しています。
ところが,当地区は,最も新しいブロック(区画)でも入居後数年を経ていますので,ここ1
年の間に増築や改築をする住人が徐々に増えてきています。
3名の運営委員もそれぞれ職業をもっておりますので,今後もこのように増改築が増えていく
と,建築協定に係る事前協議の審査が十分に行えないのではないかと心配しています。
そのため,当地区の建築協定書の運営委員会に関する規定を協定者の賛成を得て変更し,委員
を増やして対応したいと考えていますが,これを変更するのにも協定者全員の合意書をとり,市
長に協定内容の変更認可申請をしなければならないのでしょうか。
( 答 )
建築協定の変更については,建築基準法で「建築協定に係る建築協定区域,建築物に関する基
準,有効期間,協定違反があった場合の措置又は建築協定区域隣接地を変更しようとする場合に
おいては,その旨を定め,これを特定行政庁(市長)に申請してその認可を受けなければならな
い」と規定されています。
したがって,ご質問の運営委員会に関する事項の変更については,認可事項ではありませんの
で,改めて申請して認可を受ける必要はありません。
なお,変更にあたっては協定締結の際決められたところに従って,協定者の皆さんの合意を得
ておかなければなりません。
17 全員参加の総会決議で,階数制限の条項を削除又は変更することはできるか。
(質 問)
私たちの地区は,分譲の際,既に開発業者が一人協定をしていましたが,その有効期間も満了
したので,これと同一内容で一度,協定を更新しています。
この更新した協定は,有効期間の満了まであと数年ありますが,当初と同じ内容であるため,
現在ではこの規定の一部が住民のニーズにそぐわなくなっています。
- 29 -
協定参加者にアンケートをとったところ,両親を引き取ったり,あるいは子供夫婦と同居した
いと思っているが,今の家では狭いので3階建てにしたい。ところが,建築協定で2階以下に制
限されているので,この条項を削除するか変更することはできないか,といった意見がたくさん
寄せられました。
しかし,非常に少数ですが,北側の区画の方からは「南側に3階建てができると日照が妨げら
れるので,2階以下という今の規定でよい」という意見もあります。
そこで,協定参加者全員で総会を開き,この条項の削除か変更について諮り,多数の賛成があ
れば3階建てを可能なものとして運用しようと思っていますが,このような方法は有効でしょう
か。
( 答 )
建築基準法は「認可を受けた建築協定に係る建築協定区域,建築物に関する基準,有効期間,
協定違反があった場合の措置又は建築協定区域隣接地を変更しようとする場合は,全員が変更事
項に合意したうえで,新規の認可を受けるときと同様の手続をとり,特定行政庁(市長)の認可
を受けなければならない」旨,定めています。
また,これらの協定事項を変更する場合も,全員が変更について合意したうえで,新規に認可
を受ける手続と同様の手続をとり,認可を受けなければなりません。
したがって,あなたの地区の建築協定では,建築物の階数は2階建て以下とする旨定めている
とのことですから,これを変更して3階建ての建築を認めることは,建築物に関する基準を変更
するものとして,変更の認可を受けなければならず,そのためには,全員の合意が必要です。つ
まり,多数決により建築物に関する基準を変更するような運用はできません。
18 隣接する複数の建築協定区域をまとめて一つの建築協定区域にするにはどうしたらよいか。
(質 問)
私たちの地域は,デベロッパーによって造成された大規模な住宅団地で,十数期にわたって分
譲されました。
建築協定については,デベロッパーがその分譲時期にあわせて一人協定でそれぞれ認可を受け
ているため,十数区域に分かれており,しかも区画数が多い区域や少ない区域があり,また,協
定区域が互いに入り組んでいる所もかなりあります。
建築協定の内容も若干異なっているので,全区域の運営委員長が定期的に集まって協議するこ
とにしていますが,区域数が多いため全委員長が集まることは困難であり,運営方法の統一が必
ずしも図られず,建築協定の運営に支障をきたすこともあります。
そこで,隣接の協定区域をある程度まとめて一つの協定区域にし,全体で数区域にしたいと考
- 30 -
えていますが,どのような手続が必要でしょうか。
( 答 )
隣接する複数の建築協定区域をまとめて一つの建築協定区域とするには,
① まとめようとする建築協定区域の建築協定をそれぞれ廃止すると同時に,それらの区域全体
を一つの区域とする建築協定を新たに締結する。
あるいは,
② まとめようとする建築協定区域のうちの一つを,まとめようとする区域全域へと区域変更す
る〔必要がある場合には建築協定の内容(建築物に関する基準)
,有効期間,協定違反があっ
た場合の措置の変更も行う〕と同時に,他の建築協定を廃止する。
という方法が考えられます。
①の方法はまったく新たに建築協定をつくり直す形で,②の方法は1区域の建築協定を全体に
広める形となります。
しかし,いずれの方法をとるにせよ,協定の締結と変更については協定区域内の土地の所有者
等の全員の合意が必要ですし,協定の廃止については協定区域内の土地の所有者等の過半数の合
意が必要ですので,手続的には大差はありません。
19 建築協定の更新にあたって,有効期間の延長だけの簡単な手続はないか。
(質 問)
私たちの地区の建築協定はあと2年程でその有効期間が満了しますが,今まで守ってきたこの
街並みを今後も守っていくために,建築協定を継続したいと思っています。
しかし,建築協定の申請作業を一からするとなると多くの時間と労力と費用を要します。
そこで,建築協定の有効期間だけを延長すれば,比較的簡単に協定を継続することができるの
ではないかと思います。
ついては,その手続について教えてください。
( 答 )
建築協定の申請手続が大変なのはよく分かりますが,有効期間を延長するだけであっても,協
定事項の変更になりますので,新たに建築協定を結ぶ場合と同様の手続が必要です。
つまり,有効期間の変更を行うのであれば,建築協定変更申請書,変更後の建築協定書,協定
事項を変更する趣意書,代表者証明書,全員の合意書・登記事項要約書等を特定行政庁(市長)
に提出してその認可を受けなければなりません。これは,建築協定そのものの更新手続と同様で,
変更か更新かという名称の違いだけということになります。
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20 建築協定の更新にあたって,共有の区画については,共有者全員の合意が必要か。
(質 問)
私たちの地区の建築協定は,有効期間の満了までまだ数年ありますが,協定違反が出ないよう
に啓発するためや,建築協定の更新の際にも役立つように,日ごろから土地の所有者等の把握に
努めています。
このため,協定参加者が土地を売却等したときは,必ず運営委員会に届け出るようにしてもら
っていますが,この届を一覧表に整理してみると,共有である区画が多く,その中には数名の共
有というものも少なくありません。
また,その共有者の中の一,二人が遠隔地にいるケースも目につきます。
そこでお尋ねしたいのですが,更新に際して,土地の所有者等から合意書を提出してもらわな
ければなりませんが,共有の場合,共有者全員の合意書が必要なのでしょうか。
( 答 )
土地の共有者等の取扱いについては,建築基準法では「土地の共有者又は共同借地権者は,合
わせて一の所有者又は借地権者とみなす」
(建築基準法第76条の2)と規定されていますが,ご
質問の合意については,特に規定はありません。そのため,民法の解釈から,共有持分の過半数
を有する者の合意でよいと考えられています。
21 協定に基づく自動更新の手続はどのようにすればよいか。
(質 問)
私の地区では,今年10年の有効期間満了を迎えますが,協定のなかで,協定者の過半数の合意
があれば,さらに10年間協定の有効期間を延長することができると定めてあります。
この期間の延長にあたっては,神戸市への申請,報告等の手続は必要でしょうか。必要とすれ
ば,どのような手続をすればよいのですか
( 答 )
通常,建築協定の更新というと,有効期間満了に伴い,再度,建築協定を締結し直すことにな
るため,新規の認可手続と同様,権利者全員の合意を得て,認可手続を行わなければなりません。
また,協定の有効期間の延長は,建築基準法第74条の建築協定の変更に該当し,これもまた,
新規の認可手続と同様,権利者全員の合意を得て,認可手続を行わなければなりません。
しかし,あなたの地区のように,協定者の過半数の合意があれば有効期間の延長ができるとし
ているところもあります。このような,いわゆる「自動更新」の規定は,過半数の意志で,長年
- 32 -
にわたり建築について制限することになるので,最近締結された建築協定にはうたわれていませ
ん。
さて,この自動更新の手続はどのようにすればよいかとの質問ですが,協定期間が終了する前
に,協定者の過半数の合意により期間を延長した旨,特定行政庁(市長)あて報告書を提出して
いただくことになります。
その際,権利者たる協定者の過半数の合意を得ていることを証するため,次の書類の添付が必
要となります。
①権利関係一覧表及び登記事項要約書の写し(現在の協定区域内の権利関係を確認するためのも
のです。
)
②合意書の写し
自動更新の場合は,協定の条項上は過半数の合意で更新することができますが,皆さんの総意
で運営していくという建築協定の趣旨から,できるだけ協定者全員に近い合意を得ることが望ま
しいことはいうまでもありません。そのため,自動更新といえども,更新の際には皆さんでよく
話し合いを行い,建築協定への理解を深めていただくことが大切だと思います。
22 運営委員会は,どんな活動をしたらよいのですか。
(質 問)
私たちの地区はデベロッパーによる一人協定地区ですが,デベロッパーから運営委員会を引き
継いだばかりで,運営委員は自治会役員が兼ね,毎年交替することにしています。
新しい団地のためまだ増改築もなく,問題になるようなことはありませんが,今のうちから運
営委員会の活動を定着させておく必要があると思っています。
そこで,運営委員会の活動についてアドバイスしてください。
( 答 )
運営委員会の実際の活動については,運営委員会規則や運営委員会要綱等を定めていれば,そ
れに従って運営することになりますが,定めていても,いろいろなケースがあり,規則等だけで
は対応できないこともあります。
あなたの地区は,デベロッパーから建築協定の運営が地元に移管されたばかりのようですので,
デベロッパーの協力を得て協定事項の解釈を確認し,考え方を統一しておくことが非常に重要で
す。また,確認申請図面の見方や,チェックポイント等事前協議の方法についても,十分把握し
ておく必要があります。
そのため委員会を定期的に開催して,建築協定についての勉強会をすることも一つの方法でし
ょう。そして,会報紙を発行する等,常日頃から特定参加者に対し,協定地区である旨の啓発を
- 33 -
行うとともに,協定に対する協力を求めていくことも大切です。
また,比較的活発に活動していた運営委員会でも,役員が交替する際に引継ぎがうまくいかず,
活動が休止してしまうといったケースも中には見受けられます。この引継ぎをスムーズに行うた
めに委員の任期を2年とし,1年毎に半数を改選している地区もあります。
23 事前協議の書式
(質 問)
事前協議はどんな書式で提出してもらえばよいでしょうか。
( 答 )
以前は,事前協議を行うことになっていない地区も少なくなかったのですが,当協議会では,
協定が守られていくためにも,事前協議が制度化される必要があると考え,事前協議の啓発文書,
事前協議書のひな型を作成しました。
(19・20ページ参照)
これを参考に各地区でも協議書を作成してください。
24 10㎡以下の増築と事前協議
(質 問)
10㎡以下の増築の場合でも,運営委員会への事前協議は必要ですか。
( 答 )
建築基準法では,防火地域,準防火地域以外の地域で,10平方メートル以下の増築,改築など
をする場合,建築確認は要らないことになっています。
(建築基準法第6条第2項)
しかし,確認申請が不要であったとしても,事前協議も不要であるとはいえません。事前協議
は増築等が協定事項に合致しているかどうかをあらかじめ判断するためのものですから,協定で
事前協議を不要としているもの以外は,事前協議は必要です。
25 事前協議内容の適否判断の方法
(質 問)
協定の事前協議が提出された場合,内容の適否の判断に当たって,建築士に相談する必要があ
りますか。
- 34 -
( 答 )
一般的には,協定事項はそう複雑なものではなく,また,数項目しかない地区も多いと思いま
す。そのような協定事項であれば,運営委員の方が勉強していただいて,ポイントをつかめば,
建築士に頼まなくても判断できると思います。
また,開発業者によって建築協定が締結された地区は,開発業者の協力を得るようにされると
良いと考えます。
ただ,その場合もあくまでも,最終的な責任は運営委員会にあることはいうまでもありません。
26 隣接地区を協定地区に含める方法について
(質 問)
隣接した地区が当地区の協定に加わることを希望していますが,簡易な方法はないでしょうか。
( 答 )
平成7年度の建築基準法の改正で,建築協定に「建築協定区域隣接地」を定めている場合は,
その隣接地の土地の所有者等は後から合意するだけで,当該建築協定に参加できるようになりま
した。
しかし,
「建築協定区域隣接地」を定めていなければ,この制度は利用できませんので,隣接
した地区の所有者等も含めて新たに全員の合意が必要です。
なお,隣接した地区が一定の規模のある一団の土地であれば,それを一つの建築協定地区とし
て,認可を受けることができます。この場合,その隣接した地区の方の合意だけで済むので,認
可申請にかかる負担は軽くなります。
そして,協定事項を同内容のものにすれば,2地区の協定の運営を実質的に一体で行うことも
できます。また,この二つの協定の更新時期を合わせることによって,その時期に協定を一本化
するという方法もとれます。
27 事前協議に対する市の対応について
(質 問)
建築主に対して,市は事前協議を行うよう指導されていますか。
( 答 )
事務局から都市住宅都市局建築指導部建築安全課又は指定確認検査機関に対して,建築協定
地区の建築確認申請があった際には,事前協議書が添付されていることの確認を行うととも
に,協議
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が行われていない場合には建築主に運営委員会と協議するよう指導していただくよう,協力のお
願いをしています。
28 建築計画について,市から運営委員会に情報提供してもらえないか。
(質 問)
売買により,新しく所有者になった人も多くなりました。そのため,協議なしに,運営委員会
が知らない間に建物を建てるケースも出てくると思います。
市から,建築計画について運営委員会に情報提供してもらえないでしょうか。
( 答 )
市からすべての運営委員会に対して,協定地区内の建築確認申請の情報を提供してもらうこ
とは不可能ですが,申請の有無については問い合わせをすれば答えてもらえます。ただ,この
ようなことのないよう前の質問の答にもありますように,住宅都市局建築指導部建築安全課又
は確認検査機関に協力をしていただいています。
また,運営委員会の活動の一環として,日頃から建築協定についての啓発を行い,住民の皆様
の自覚を促すことが大切だと思います。
なお,確認審査が終了し確認が下りれば,着工前に建築基準法第89条の規定により確認の標識
が設置されます。
- 36 -
参考資料 A 建築協定関係法令
1 建築基準法(ぬきがき)
第4章 建 築 協 定
(建築協定の目的)
第69条 市町村は,その区域の一部について,住宅地としての環境又は商店街としての利便を高度
に維持増進する等建築物の利用を増進し,かつ,土地の環境を改善するために必要と認める場合
においては,土地の所有者及び借地権を有する者(土地区画整理法第98条第1項(大都市地域に
おける住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第83条において準用する場合を含む。次
条第3項,第74条の2第1項及び第2項並びに第75条の2第1項,第2項及び5項において同
じ。
)の規定により仮換地として指定された土地にあっては,当該土地に対応する従前の土地の
所有者及び借地権を有する者。以下「土地の所有者等」と総称する。
)が当該土地について一定
の区域を定め,その区域内における建築物の敷地,位置,構造,用途,形態,意匠又は建築設備
に関する基準についての協定(以下「建築協定」という。
)を締結することができる旨を,条例
で,定めることができる。
(建築協定の認可の申請)
第70条 前条の規定による建築協定を締結しようとする土地の所有者等は,協定の目的となってい
る土地の区域(以下「建築協定区域」という。
)
,建築物に関する基準,協定の有効期間及び協定
違反があった場合の措置を定めた建築協定書を作成し,その代表者によって,これを特定行政庁
に提出し,その認可を受けなければならない。
2 前項の建築協定書においては,同項に規定するもののほか,前条の条例で定める区域内の土地
のうち,建築協定区域に隣接した土地であって,建築協定区域の一部とすることにより建築物の
利用の増進及び土地の環境の改善に資するものとして建築協定区域の土地となることを当該建
築協定区域内の土地の所有者等が希望するもの(以下「建築協定区域隣接地」という。
)を定め
ることができる。
3 第1項の建築協定書については,土地の所有者等の全員の合意がなければならない。ただし,
当該建築協定区域内の土地(土地区画整理法第98条第1項の規定により仮換地として指定された
土地にあっては,当該土地に対応する従前の土地)に借地権の目的となっている土地がある場合
においては,当該借地権の目的となっている土地の所有者以外の土地の所有者等の全員の合意が
あれば足りる。
4 第1項の規定によって建築協定書を提出する場合において,当該建築協定区域が建築主事を置
く市町村の区域外にあるときは,その所在地の市町村の長を経由しなければならない。
- 37 -
(申請に係る建築協定の公告)
第71条 市町村の長は,前条第1項又は第4項の規定による建築協定書の提出があった場合におい
ては,遅滞なく,その旨を公告し,20日以上の相当の期間を定めて,これを関係人の縦覧に供さ
なければならない。
(公開による意見の聴取)
第72条 市町村の長は,前条の縦覧期間の満了後,関係人の出頭を求めて公開による意見の聴取を
行わなければならない。
2 建築主事を置く市町村以外の市町村の長は,前項の意見の聴取をした後,遅滞なく,当該建築
協定書を,これに対する意見及び前項の規定による意見の聴取の記録を添えて,都道府県知事に
送付しなければならない。
(建築協定の認可)
第73条 特定行政庁は,当該建築協定の認可の申請が,次に掲げる条件に該当するときは,当該建
築協定を認可しなければならない。
(1) 建築協定の目的となっている土地又は建築物の利用を不当に制限するものでないこと。
(2) 第69条の目的に合致するものであること。
(3) 建築協定において建築協定区域隣接地を定める場合には,その区域の境界が明確に定められ
ていることその他の建築協定区域隣接地について国土交通省令で定める基準に適合するもの
であること。
2 特定行政庁は,前項の認可をした場合においては,遅滞なく,その旨を公告しなければならな
い。この場合において,当該建築協定が建築主事を置く市町村の区域外の区域に係るものである
ときは,都道府県知事は,その認可した建築協定に係る建築協定書の写し1通を当該建築協定区
域及び建築協定区隣接地の所在地の市町村の長に送付しなければならない。
3 第1項の規定による認可をした市町村の長又は前項の規定によって建築協定書の写の送付を
受けた市町村の長は,その建築協定書を当該市町村の事務所に備えて,一般の縦覧に供さなけれ
ばならない。
(建築協定の変更)
第74条 建築協定区域内における土地の所有者等(当該建築協定の効力が及ばない者を除く。
)は,
前条第1項の規定による認可を受けた建築協定に係る建築協定区域,建築物に関する基準,有効
期間,協定違反があった場合の措置又は建築協定区域隣接地を変更しようとする場合においては,
その旨を定め,これを特定行政庁に申請してその認可を受けなければならない。
2 前4条の規定は,前項の認可の手続に準用する。
第74条の2 建築協定区域内の土地(土地区画整理法第98条第1項の規定により仮換地として指定
された土地にあっては,当該土地に対応する従前の土地)で当該建築協定の効力が及ばない者の
所有するものの全部又は一部について借地権が消滅した場合においては,その借地権の目的とな
- 38 -
っていた土地(同項の規定により仮換地として指定された土地に対応する従前の土地にあっては,
当該土地についての仮換地として指定された土地)は,当該建築協定区域から除かれるものとす
る。
2 建築協定区域内の土地で土地区画整理法第98条第1項の規定により仮換地として指定された
ものが,同法第86条第1項の換地計画又は大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関
する特別措置法第72条第1項の換地計画において当該土地に対応する従前の土地についての換
地として定められず,かつ,土地区画整理法第91条第3項(大都市地域における住宅及び住宅地
の供給の促進に関する特別措置法第82条において準用する場合を含む。
)の規定により当該土地
に対応する従前の土地の所有者に対してその共有持分を与えるように定められた土地としても
定められなかったときは,当該土地は,土地区画整理法第103条第4項(大都市地域における住
宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第83条において準用する場合を含む。
)の公告が
あった日が終了した時において当該建築協定区域から除かれるものとする。
3 前2項の場合においては,当該借地権を有していた者又は当該仮換地として指定されていた土
地に対応する従前の土地に係る土地の所有者等(当該建築協定の効力が及ばない者を除く。
)は,
遅滞なく,その旨を特定行政庁に届け出なければならない。
4 特定行政庁は,前項の規定による届出があった場合その他第1項又は第2項の規定により建築
協定区域内の土地が当該建築協定区域から除かれたことを知った場合においては,遅滞なく,そ
の旨を公告しなければならない。
(建築協定の効力)
第75条 第73条第2項又はこれを準用する第74条第2項の規定による認可の公告(次条において
「建築協定の認可等の公告」という。
)のあった建築協定は,その公告のあった日以後において
当該建築協定区域内の土地の所有者等となった者(当該建築協定について第70条第3項又はこれ
を準用する第74条第2項の規定による合意をしなかった者の有する土地の所有権を承継した者
を除く。
)に対しても,その効力があるものとする。
(建築協定の認可等の公告があった日以後建築協定に加わる手続等)
第75条の2 建築協定区域内の土地の所有者(土地区画整理法第98条第1項の規定により仮換地と
して指定された土地にあっては,当該土地に対応する従前の土地の所有者)で当該建築協定の効
力が及ばないものは,建築協定の認可等の公告のあった日以後いつでも,特定行政庁に対して書
面でその意思を表示することによって,当該建築協定に加わることができる。
2 建築協定区域隣接地の区域内の土地に係る土地の所有者等は,建築協定の認可等の公告のあっ
た日以後いつでも,当該土地に係る土地の所有者等の全員の合意により,特定行政庁に対して書
面でその意思を表示することによって,建築協定に加わることができる。ただし,当該土地(土
地区画整理法第98条第1項の規定により仮換地として指定された土地にあっては,当該土地に対
応する従前の土地)の区域内に借地権の目的となっている土地がある場合においては,当該借地
- 39 -
権の目的となっている土地の所有者以外の土地の所有者等の全員の合意があれば足りる。
3 建築協定区域隣接地の区域内の土地に係る土地の所有者等で前項の意志を表示したものに係
る土地の区域は,その意思の表示があった時以後,建築協定区域の一部となるものとする。
4 第73条第2項及び第3項の規定は,第1項又は第2項の規定による意志の表示があった場合に
準用する。
5 建築協定は,第1項又は第2項の規定により当該建築協定に加わった者がその時において所有
し,又は借地権を有していた当該建築協定区域内の土地(土地区画整理法第98条第1項の規定に
より仮換地として指定された土地にあっては,当該土地に対応する従前の土地)について,前項
において準用する第73条第2項の規定による公告のあった日以後において土地の所有者等とな
った者(当該建築協定について第2項の規定による合意をしなかった者の有する土地の所有権を
承継した者及び前条の規定の適用がある者を除く。
)に対しても,その効力があるものとする。
(建築協定の廃止)
第76条 建築協定区域内の土地の所有者等(当該建築協定の効力が及ばない者を除く。
)は,第73
条第1項の規定による認可を受けた建築協定を廃止しようとする場合においては,その過半数の
合意をもってその旨を定め,これを特定行政庁に申請してその認可を受けなければならない。
2 特定行政庁は,前項の認可をした場合においては,遅滞なく,その旨を公告しなければならな
い。
(土地の共有者等の取扱い)
第76条の2 土地の共有者又は共同借地権者は,第70条第3項(第74条第2項において準用する場
合を含む。
)
,第75条の2第1項及び第2項並びに前条第1項の規定の適用については,合わせて
一の所有者又は借地権者とみなす。
(建築協定の設定の特則)
第76条の3 第69条の条例で定める区域内における土地で,一の所有者以外に土地の所有者等が存
しないものの所有者は,当該土地の区域を建築協定区域とする建築協定を定めることができる。
2 前項の規定による建築協定を定めようとする者は,建築協定区域,建築物に関する基準,協定
の有効期間及び協定違反があった場合の措置を定めた建築協定書を作成し,これを特定行政庁に
提出して,その認可を受けなければならない。
3 前項の建築協定書においては,同項に規定するもののほか,建築協定区域隣接地を定めること
ができる。
4 第70条第4項及び第71条から第73条までの規定は,第2項の認可の手続に準用する。
5 第2項の規定による認可を受けた建築協定は,認可の日から起算して3年以内において当該建
築協定区域内の土地に2以上の土地の所有者等が存することとなった時から,第73条第2項の規
定による認可の公告のあった建築協定と同一の効力を有する建築協定となる。
6 第74条及び第76条の規定は,前項の規定により第73条第2項の規定による認可の公告のあった
- 40 -
建築協定と同一の効力を有する建築協定となった建築協定の変更又は廃止について準用する。
(建築物の借主の地位)
第77条 建築協定の目的となっている建築物に関する基準が建築物の借主の権限に係る場合にお
いては,その建築協定については,当該建築物の借主は,土地の所有者等とみなす。
2 建築基準法施行規則(ぬきがき)
(建築協定区域隣接地に関する基準)
第10条の6 法第73条第1項第三号の国土交通省令で定める基準は,次に掲げるものとする。
(1) 建築協定区域隣接地の区域は,その境界が明確に定められていなければならない。
(2) 建築協定区域隣接地の区域は,建築協定区域との一体性を有する土地の区域でなければなら
ない。
3 神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例(ぬきがき)
第4章 建 築 協 定
(趣旨)
第33条 この章の規定は,法第69条の規定に基づき,必要な事項を定めるものとする。
(協定事項等)
第34条 都市計画区域内において,土地の所有者及び建築物の所有を目的とする地上権又は賃借権
(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。以下「借地権」という。
)
を有する者(土地区画整理法(昭和29年法律第119号)第98条第1項(大都市地域における住宅
及び住宅地に供給の促進に関する特別措置法(昭和50年法律第67号)第83条において準用する場
合を含む。
)の規定により仮換地として指定された土地にあっては,当該土地に対応する従前の
土地の所有者及び借地権を有する者)は,当該権利の目的となっている土地について一定の区域
を定め住宅地としての環境又は商店街としての利便を高度に維持増進する等建築物の利用を増
進し,かつ,土地の環境を改善するため,その区域内における建築物の敷地,位置,構造,用途,
形態,意匠又は建築設備に関する基準についての協定(以下「建築協定」という。
)を締結する
ことができる。
(他の法令との関係)
第35条 前条の規定による建築協定の内容は,建築に関する法律及びこれに基づく命令並びに条例
に適合するものでなければならない。
- 41 -
第5章 助 成 等
(助成等)
第36条 市長は,建築協定を締結した者,建築協定を締結しようとしている者,第35条の3第1項
の計画を策定しようとしている者等が協力して行う住環境等の保全又は育成に関する活動に対
し,技術的援助を行い,又はこれらの活動に要する経費の一部を助成することができる。
4 神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例施行規則(ぬきがき)
第5章 建 築 協 定
(認可申請等)
第10条 法第70条第1項又は法第76条の3第2項の規定により市長の認可を受けようとする者は,
様式第8号による建築協定認可申請書に,それぞれ次に掲げる図書を添えて市長に提出しなけれ
ばならない。
(1) 付近見取図
(2) 区域図(建築協定の目的になっている土地の区域(以下「建築協定区域」という。
)並びに
建築協定区域に隣接した土地であって,建築協定区域の一部とすることにより建築物の利用の
増進及び土地の環境の改善に資するものとして建築協定区域の土地となることを当該建築協
定区域内の土地の所有者及び建築物の所有を目的とする地上権又は賃借権(臨時設備その他一
時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。以下「借地権」という。
)を有する者(土
地区画整理法(昭和29年法律第119号)第98条第1項(大都市地域における住宅及び住宅地に
供給の促進に関する特別措置法(昭和50年法律第67号)第83条において準用する場合を含む。
第6号において同じ。
)の規定により仮換地として指定された土地にあっては,当該土地に対
応する従前の土地の所有者及び借地権を有する者。以下「土地の所有者等」と総称する。
)が
希望するもの(以下「建築協定区域隣接地」という。
)を明示したものに限る。
)
(3) 建築協定書
(4) 様式第9号による代表者証明書(法第70条第1項の規定による申請の場合に限る。
)
(5) それぞれの土地の所有者等について法第70条第3項の合意があることを証する次に掲げる
事項を記載した書面(法第70条第1項の規定による申請の場合に限る。
)
ア 土地所有者等の住所及び氏名
イ 土地所有者等が,土地の所有者か,建築物の所有を目的とする地上権を有する者か,建築
物の所有を目的とする賃借権を有する者か,又は法第77条の規定により土地の所有者等とみ
なされる建築物の借主かの別
(6) 建築協定区域内にある土地についての登記事項証明書又は登記事項要約書(土地区画整理法
- 42 -
第1項の規定により仮換地として指定された土地にあっては,当該土地に対応する従前の土地
についての登記事項証明書又は登記事項要約書及び同条第5項の規定による仮換地の指定の
通知に係る書面の写し)
(7) 建築協定区域内にある土地の上に存する建物についての登記事項証明書又は登記事項要約
書(当該建物が未登記の場合にあっては,地方税法(昭和25年法律第226号)第341条第9号に
規定する固定資産課税台帳に登録されている価格について市長が交付する証明書その他の当
該建物の所有者を明らかにする書類)
(8) 前各号に掲げるもののほか,認可事項の審査の参考となる図書として市長が指示するもの
2 市長は,法第73条第1項(法第76条の3第4項において準用する場合を含む。
)の規定により
認可をしたときは,様式第11号による建築協定認可書により当該申請代表者又は申請者に通知す
るものとする。
- 43 -
様式第8号(第10条関係)
建築協定認可申請書
年
神戸市長
月
日
様
申請代表者住所
申 請 者氏名
印
第 70 条 第 1 項
建築基準法
の規定により次のとおり建築協定の認可を申請します。
第76条の3第2項
1 申請代表者(申請者)の住所,氏名 (法
人にあっては,名称及び代表者名)等
(電話番号
-
-
)
2 代理人の住所,氏名 (法人にあっては,
名称及び代表者名)等
(電話番号
-
-
)
所在及び地番
3
建築
協定
区域
の位
置等
面
4
協定
区域
隣接
地の
位置
等
5
協定
区域
の環
境
6
協定
事項
の概
要
7
有
積
(
用 途 地 域
防 火 地 域
高 度 地 区
そ
の
区画)
他
所在及び地番
面
積
(
用 途 地 域
防 火 地 域
高 度 地 区
そ
の
区画)
他
区域内の環境
区域の周囲の環境
敷地・位置・構造・用途
建築物の
に関する基準
形態・意匠・建築設備
効
期
間
8 違反があった場
合の措置
9
土地の所有者
等の人数
土地の所有者
建 築 物 の 所 有 を 目 的 と す る 建築基準法第
77 条 の 規 定 に
地上権を有する者 賃借権(臨時設備その他一 よ り 土 地 の 所
時使用のため設定された 有者等とみな
ことが明らかなものを除 される建築物
く。)を有する者
の借主
人
*
*
受
付
欄
備考
1
2
3
4
処
理
年
第
係
人
欄
月
日
号
員
印
人
*
*
認
可
欄
*の欄は,記入しないでください。
2の欄は,代理者が建築士の場合は,登録番号も記入して下さい。
4の欄は,建築協定区域隣接地を定める場合に記入して下さい。
6の欄は,できるだけ具体的に記入して下さい。
- 44 -
人
条
年
第
係
員
印
合
人
件
月
計
日
号
様式第9号(第10条関係)
代 表 者 証 明 書
年
地区建築協定の認可申請代表者である
(住
所)
(氏名(法人にあっては,名称及び代表者名))
は,
当該協定区域の土地の所有者等の代表者であることを証明します。
地区建築協定委員会
委員名
印
委員名
印
委員名
印
委員名
印
委員名
印
委員名
印
委員名
印
委員名
印
- 45 -
月
日
同じ番号にして下さい。
【参考】合意書
No.
合
意
書
上記No.は,区域図No.と
同一の数字にしてください。
私は,
添付します。
地区建築協定書に合意するとともに,正当な権利者であることを証明する資料を
※
年
月
日
区 域 図 番 号
住所,氏名(法
この項目は必ず権利者本人が自署してください。(法人を除く。)
また、重要な書類ですのでゴム印は避けてください。
住
所
人にあっては,
(住民登録地の住所)
名称及び代表者
氏
名)等
名
共有土地の場合は、共有者それぞれが
住所・氏名を自署してください。
印
(電話番号
権 利 者 の 別
該当する□に
レを記入して
ください。
□
□
□
□
敷
(登記事項証明書又は登記事項要約書の宅地面積)
地
面
積
建築物の用途,
床面積及び階数
-
)
土地の所有者
建築物の所有を目的とする地上権を有する者
建築物の所有を目的とする賃借権を有する者
建築基準法第 77 条の規定により土地の所有者等とみなされる建築物の借主
床
用
-
面
積
途
階数(地上/地下)
/
添付資料(権利者の別によりどちらか一方を添付)
1.土地についての登記事項証明書又は登記事項要約書
(仮換地として指定された土地にあっては,当該土地に対応する従前の土地の及び土地区画整理法
第98条第4項の規定による仮換地の指定の通知に係る書面の写し)
2.建物についての登記事項証明書又は登記事項要約書
(当該建物が未登記の場合にあっては,地方税法(昭和25年法律第226号)第341条第9号に
規定する固定資産課税台帳に登録されている価格について市長が交付する証明書その他の当該
建物の所有者を明らかにする書類)
権利者が法人の場合、代表者印押印のうえ、印鑑登録証明書と資格証明書が必要となります。
※ 登記内容(権利者)に変更があったが登記上変更していない場合(結婚等によ
り登記事項に記載されている姓が変わった場合、権利者が死亡したが相続人が登
記を変更していない場合等)には、現在の権利者本人がその旨を自書により記入
してください。
例:「●●から△△に姓を変更しました。」
「私は平成(昭和)○年○月○日に死亡した
相続することに相違ありません。」
神戸
三郎の妻(または夫、子)であり、自ら
- 46 -
様式第11号(第10条関係)
建 築 協 定 認 可 書
第
号
年
住所
氏名又は名称
月
日
様
神戸市長
印
第73条第1項
年
月
日付けで申請のあった建築協定については,建築基準法
において準用する同法第73
第76条の3第4項
条第1項の規定により次のとおり認可します。
条
件
1 申請代表者(申請者)の住所,氏名 (法
人にあっては,名称及び代表者名)等
(電話番号
-
-
)
2 代理人の住所,氏名 (法人にあっては,
名称及び代表者名)等
(電話番号
-
-
)
3
建築
協定
区域
の位
置等
4
建築
協定
区域
隣接
地の
位置
等
5
協定
区域
の環
境
6
協定
事項
の概
要
7
8
9
有
所在及び地番
面
積
(
区画)
用 途 地 域
防 火 地 域
高 度 地 区
そ
の
他
所在及び地番
面
積
(
区画)
用 途 地 域
防 火 地 域
高 度 地 区
そ
の
他
区域内の環境
区域の周囲の
環境
敷地・位置・構造・用途
建築物の
に関する基準
形態・意匠・建築設備
効
期
間
違反があった場
合の措置
土地の所有者 土地の所有者
等の人数
人
建 築 物 の 所 有 を 目 的 と す る
地上権を有する者
賃借権(臨時設備その他一
時使用の ため 設定され た
ことが明 らか なものを 除
く。)を有する者
人
人
- 47 -
建築基準法第
77条 の 規 定 に
より土地の所
有者等とみな
される建築物
の借主
人
合
計
人
参考資料 B 建築用語の説明
◎ 確認申請
建築主は,建築物を建築する場合,工事着手前に,その計画が,当該建築物の敷地,構造及び建
築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合するものであることについて,
建築主事又は民間の指定確認検査機関に確認の申請書を提出して,確認を受けなければならないこ
とになっています。
都市計画区域(神戸市内は全域)では,全ての建築物が申請の対象となりますが,防火地域や準
防火地域に該当しない区域で,床面積が10平方メートル以内の増改築などをするときは確認の申請
は要りません。ただし,この場合も建築基準法に違反してはならないことは言うまでもありません。
建築主事等は,建築物の規模により確認申請書を受理してから7日以内あるいは35日以内(構造
適合性判定の必要な物件については最大70日以内)に審査し,当該計画が法令に適合する場合は,
申請者に確認の通知をしなければなりません。
この審査を行う建築主事は,人口25万人以上の市では必ずおくことになっておりますが人口25
万人未満の市や町村では,建築主事をおいても,おかなくてもよいことになっています。建築主事
がおかれていない市町村では,都道府県の建築主事に建築確認の申請をすることとなります。
なお,平成10年度の建築基準法の改正により,国土交通大臣又は都道府県知事の指定を受けた確
認検査機関に建築確認を申請することができるようになりました。
◎ 建築物
土地に定着する工作物のうち,次に該当するものをいい,建築設備を含みます。
(1) 屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。
)
(2) (1)に附属する門若しくは塀
(3) 観覧のための工作物
(4) 地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所,店舗,興行場,倉庫その他これらに類する施設
(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋,プラットホームの上家,貯
蔵槽その他これらに類する施設を除く。
)
◎ 建築設備
建築物に設ける電気,ガス,給水,排水,換気,暖房,冷房,消火,排煙若しくは汚物処理の設
備又は煙突,昇降機若しくは避雷針をいいます。
いずれも建築物と一体となって,効果を全うするための設備です。
- 48 -
◎ 敷地
一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいいます。
◎ 敷地面積
敷地の水平投影面積によります。ただし,建築基準法第42条第2項の規定(幅員4メートル未満
等の道で,敷地の一部を道路とみなす場合)等によって道路の境界線とみなされる線と道との間の
部分の敷地は,算入しません。
◎ 建築面積
建物を真上から見たときの外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた水平投影面積をいいま
す。ただし,庇や軒などが1メートル以上跳ね出しているときは,その先端より1メートルの部分
を除いた部分は,建築面積に含まれます。
◎ 床面積
建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積をいいま
す。
◎ 建ぺい率
建築物の建築面積の敷地面積に対する割合のことです。
「建ぺい率」は,その上限を定めることにより,敷地内に適当な空地を確保し,採光・通風等を
満足させ,また,防災上の安全を確保しようとするものです。
◎ 容積率
建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合のことです。
「容積率」は,その上限を定めることにより,都市計画で目的とする街全体の環境や土地の高度
利用を図ることができます。
- 49 -
◎ 地階
床が地盤面下にある階で,床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの3分の1以上のも
のをいいます。
天 井 高 h
天井面
地盤面
≧h/3
床面
◎ 採光・換気
○居室の採光
住宅等の居室には採光のため,窓その他の開口部を設けなければなりません。
住宅の場合は,居室の床面積の7分の1以上の採光上有効な開口部が必要です。
○居室の換気
換気については,居室の床面積の20分の1以上の換気に有効な開口部が必要です。換気に有効
な開口部とは,実際に開放できる部分の面積をいい,引き違い窓については,その面積の2分の
1が有効とされ,はめ殺し窓は有効とみなされません。
採光,換気について各居室ごとに規定が適用されますが,ふすま,障子等でしきられた2室に
ついては1室とみなして,規定を適用できることとなっています。
◎ 用途地域と用途制限(55ページ参照)
都市における建築物は,住宅,事務所,店舗,工場など多種多様な用途にわたっています。これ
らの建築物が無秩序に建築されると,都市生活は混乱し,かつ,都市機能を十分に発揮することが
できません。そこで都市計画法は,地域の特性に応じた土地利用計画として「用途地域」を定めて
います。用途地域は,第1種低層住居専用地域,第2種低層住居専用地域,第1種中高層住居専用
地域,第2種中高層住居専用地域,第1種住居地域,第2種住居地域,準住居地域,近隣商業地域,
商業地域,準工業地域,工業地域,工業専用地域の12種類に分かれています。
建築基準法では,これらの用途地域ごとに類似する建築物を集め,その地域にそぐわない用途の
建築物は排除するという「用途制限」を定め,都市の機能性を高め,円満な発展を図ろうとしてい
ます。なお,建築協定の大多数は第1種低層住居専用地域で締結されています。
- 50 -
◎ 第1種低層住居専用地域
第1種低層住居専用地域は,低層住宅による良好な住居の環境を保護するため都市計画法に定め
る手続きによって指定される地域で,①建築物の高さは10メートル以下としなければならない。②
建築物の用途は住宅,共同住宅(マンション等)
,兼用住宅(店舗・事務所等の一部が一定規模以
下のもの)等の居住施設や学校,公共施設等に限られるなど,利用が厳しく制限されている地域で
す。
また,神戸市では,第1種低層住居専用地域の容積率は80・100・150%,建ぺい率は容積率に応
じてそれぞれ40・50・60%と,地域によって上限が指定されています。そして,そのうち容積率80%,
建ぺい率40%と指定されている地域については敷地の最低面積が100㎡と定められています。
◎ 建築基準法でいう道路
建物を建てるときには,原則として,建築基準法でいう道路に敷地が2メートル以上接していな
ければなりません。これは火災が起きた際の避難路として,また,採光,通風など生活環境も道路
に負うところが多いからです。
建築基準法でいう道路は次の条件のいずれかに該当するものでなければなりません。
○道路幅員が4メートル以上のもの
1 道路法による道路(公道)
2 都市計画法や土地区画整理法などの法律に基づいてつくられた道路
3 建築基準法第3章の規定が適用されたとき(建築基準法の施行の日の昭和25年11月23日当時
既に都市計画区域の指定を受けていた区域については同日。その他の区域については都市計画
区域の決定を受けたとき)にあった道路
4 道路法や都市計画法などに基づき2年以内に事業執行がされるものとして特定行政庁(神戸
市長)が指定した道路
5 特定行政庁(神戸市長)が道路の位置を指定したもの(
「位置指定道路」といわれている。
)
○道路幅員が4メートル未満のもの
建築基準法第3章の規定が適用されたとき(建築基準法の施行の日の昭和25年11月23日当時
既に都市計画区域の指定を受けていた区域については同日。その他の区域については都市計画
区域の決定を受けたとき)において建築物が立ち並んでいた道路で,特定行政庁(神戸市長)
が指定したもの(建築基準法第42条第2項に規定のあるところから「2項道路」とか「みなし
道路」とかいわれている。
)
- 51 -
◎ 斜線制限
建築物の高さを制限するものとして,道路斜線,隣地斜線,北側斜線の3の斜線があります。
道路斜線と隣地斜線の制限は,次の表のとおりで,建築物は,原則的にこの斜線を超えることは
できません。
なお,北側斜線制限については,神戸市では,日影規制の適用があり,より厳しい高度地区の指
定も行われているため,意味のないものとなっています。
用途地域
線
(
前面道路斜線 勾配+立ち上がり
斜
隣 地斜線 立 ち 上が り 勾 配
第一種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域 第一種住居 近隣商業
準工業
工業専用 用途地域
第二種住居
の指定の
商業地域
工業地域
第二種低層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 準住居地域 地
域
地 域
地
域 ない地域
隣地斜線
隣地斜線
1
1
1.25
1
1.25
道路斜線
道路斜線
1
1.5
道路斜線
1.25
道路斜線
(
1.5a
31m
1.25b
a
道路幅員
限
+
制
20m
1.25a
1 1
2.5
1
L
1.5b
b
道路幅員
敷地境界線
a
道路幅員
敷地境界線
L
L
適用範囲:L
例 容積率200%以下の場合20m
容積率300%以下の場合25m
b
道路幅員
L
適用範囲:L
例 商業地域 容積率600%以下の場合25m
準工業地域 容積率300%以下の場合25m
))
注:敷地の位置や道路幅員、建築物の計画内容により、斜線の制限が多少変わる場合があります
◎ 高度地区
住居系の用途地域において,良好で快適な住環境を確保するため,主に日照などの配慮から各用
途地域に応じて第1種から第5種の高度地区を定め,前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線ま
での真北方向の水平距離に応じて建物の高さを制限しています。なお,神戸市では,都市計画にお
いて第1種低層住居専用地域と第2種低層住居専用地域内の建築物の高さは,10メートルを超えて
はならないと定めています。
また,神戸駅大倉山地区では,建築物の高さの最低限度を定めた第6種高度地区が指定されてい
ます。
第
1
種
高 度 地 区
絶対高さ制限
第
3
種
高 度 地 区
北
北
北側敷地境界線
10m
15m
15m
建物
7m
)
建物
5m
北側敷地境界線
第
4
種
高 度 地 区
北
8m
(
制 限 の 内 容
北
第
2
種
高 度 地 区
建物
20m
北
8m
15m
第
5
種
高 度 地 区
7m
以上
8m
建物
20m
建物
第
6
種
高 度 地 区
建物
7m
7m
10m
北側敷地境界線
北側敷地境界線
北側敷地境界線
7m
(神戸駅大倉山地区)
建
築
物
の
高
さ
の
最
- 52 -
高
限
度
建物の高さの最低限度
◎ 日影規制
中高層建築物を建てる場合は,近隣の建築物等に一定時間以上の日影を与えないように,建築す
る側の建築物による日影を規制しています。
これは,日照を受ける側の日照時間を基準として規制すると,早く建てたもの勝ちになったり,
他の建築物の状況によって制限が異なるなど不安定な規制になるためです。
規制を受ける地域は,神戸市では第1種低層住居専用地域,第2種低層住居専用地域,第1種中
高層住居専用地域,第2種中高層住居専用地域,第1種住居地域,第2種住居地域,準住居地域と
近隣商業地域・準工業地域(それぞれ200%の地域のみ)
,用途地域の指定のない区域で,住居系の
地域を中心として規制されています。
規制を受ける建築物は,第1種低層住居専用地域,第2種低層住居専用地域では,軒の高さが7
mを超えるか又は3階建て以上のもので,他の地域では,高さが10mを超えるものとなっています。
したがって,通常の2階建ての建築物や商業地域などの高層建築物は日影規制の対象となりませ
ん。
規制される日影時間は,冬至日の午前8時から午後4時までの8時間のうち,一定の測定位置に
おいて各用途地域の容積率により,それぞれ定められています。
測
用
途
地
域
容
積
定
80%の地域
第2種低層住居専用地域
100%・150%の地域
第1種中高層住居専用地域
100%・150%の地域
第2種中高層住居専用地域
200%・300%の地域
第 1 種 住 居 地 域
第 2 種 住 居 地 域
準
居
住
地
域
200%の地域
近
域
200%の地域
域
200%の地域
準
隣
工
商
業
業
地
地
置
日影規制時間
率
測定面
第1種低層住居専用地域
位
平均地盤
面から
1.5 m
敷地境界線
から水平距離
平均地盤
面から
4 m
300%の地域
測定基準線
5 m
及び
10 m
用 途 地 域 の 指 定 の な い 区 域
- 53 -
5m
10m
3時間
2時間
4時間
2.5時間
3時間
2時間
4時間
2.5時間
4時間
2.5時間
5時間
3時間
5時間
3時間
5時間
3時間
4時間
2.5時間
◎ 防火地域・準防火地域
市街地における火災の危険を防除するために定めた地域です。
これらの地域内では,一定規模以上の建築物を耐火建築物又は準耐火建築物にしたり,建築物の
屋根,開口部の戸・窓,外壁等について防火措置を講じる必要があります。
○耐火建築物
鉄筋コンクリート造,鉄骨造,鉄骨鉄筋コンクリート造で特別な防火措置を講じたもの
○準耐火建築物
鉄骨造,コンクリートブロック造など
○防火構造
鉄網モルタル壁,タイル張り,石綿スレートなどで規定の厚さ以上のもの
構 造
地 域
規 模
階
数
耐火建築物としなければな
らないもの
準耐火、又は耐火建築物とし
なければならないもの
階数3以上のもの
防火地域
左以外のもの
延べ面積
100㎡をこえるもの
階
階数4以上のもの(地階を除く)
階数3以上のもの(注)(地階を除く)
1500㎡をこえるもの
500㎡をこえ1500㎡以下のもの
数
準防火地域
防火構造としなければなら
ないもの
原則として
木造の建物は禁止されます
木造の建物
延べ面積
(注)準防火地域内でも、一定の防火上必要な技術基準に適合すれば、木造3階建ても可能です。
- 54 -
参考資料 C 用途地域による建築物の用途制限の概要
工 業 専 用 地 域
工 業 地 域
準 工 業 地 域
近 隣 商 業 地 域
商 業 地 域
第二種 住 居 地 域
準 住 居 地 域
☆欄の用途は大規模集客施設に含まれる場合は、
※大規模集客施設の欄も参照のこと
第一種 住 居 地 域
建てられない用途
①、②、③、④、▲ 面積、階数等の制限あり
第二種中高層住居専用地域
建てられる用途
第一種中高層住居専用地域
用途地域内の建築物の用途制限
第二 種 低 層住 居 専 用 地 域
第 一 種 低 層住 居 専 用 地 域
用途地域において、建築することができる建築物の用途(使いみち)については、次のような制限となります。
備
考
住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿
兼用住宅で非住宅部分の床面積が50㎡以下
かつ建築物の延べ面積の2分の1以下のもの
床面積が150㎡以下のもの
非住宅部分の用途制限あり
①
店舗等☆
床面積が150㎡を超え、500㎡以下のもの
②
③
④
②
③
④
床面積が500㎡を超え、1,500㎡以下のもの
③
④
床面積が1,500㎡を超え、3,000㎡以下のもの
④
床面積が3,000㎡を超えるもの
④
事務所等
床面積が1,500㎡以下のもの
①日用品販売店舗、喫茶店、理髪店
及び建具屋等のサービス業用店舗
のみ。2階以下。
②①に加えて、物品販売店舗、飲食
店、損保代理店、銀行の支店、宅
地建物取引業等のサービス業用店
舗のみ。2階以下。
③2階以下。
④物品販売店舗、飲食店を除く。
▲
▲2階以下
床面積が1,500㎡を超え、 3,000㎡以下のもの
床面積が3,000㎡を超えるもの
ホテル・旅館
遊 ボーリング場、スケート場、水泳場等の運動施設
戯
施 カラオケボックス等
設
・ マージャン屋、ぱちんこ屋、馬券・車券販売所等
風
俗 劇場、映画館、演芸場、観覧場
施
設 キャバレー、ダンスホール、個室付浴場等
▲
▲3,000㎡以下
▲
▲3,000㎡以下
☆
☆
☆
▲
▲客席 200㎡以下
▲
▲個室付浴場を除く
※大規模集客施設(劇場、映画館、演芸場、観覧場、店舗、飲食
店、展示場、遊技場、馬券・車券販売所等の部分の床面積の合計
が10,000㎡を超えるもの)
幼稚園、小学校、中学校、高等学校
公共施設・病院・学校等
大学、高等専門学校、専修学校等
図書館等
巡査派出所、公衆電話所等
神社、寺院、教会等
病院
公衆浴場、診療所、保育所等
老人ホーム、身体障害者福祉ホーム等
老人福祉センター、児童厚生施設等
▲
▲
▲600㎡以下
自動車教習所
▲
単独車庫(附属車庫を除く)
建築物附属車庫
①②③については、建築物の延べ面積の1/2
かつ備考欄に記載の制限
①
①
▲3,000㎡以下
▲
▲
▲
▲
▲300㎡以下 2階以下
②
②
③
③
①600㎡以下 1階以下
②3,000㎡以下 2階以下
③2階以下
※一団地の敷地内について制限あり
倉庫業倉庫
畜舎(15㎡を超えるもの)
車庫・倉庫・工場等
パン屋、米屋、洋服店、畳屋等で作業場の床面積が50㎡以下
▲
▲
▲
▲3,000㎡以下
①
原動機の制限あり
▲2階以下
原動機、作業内容の制限あり
作業場の床面積
①50㎡以下
②150㎡以下
▲
工場(危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ない)
①
①
工場(危険性や環境を悪化させるおそれが少ない)
②
②
②
②
③
③
工場(危険性や環境を悪化させるおそれがやや多い)
工場(危険性が大きいか著しく環境を悪化させる恐れがある)
自動車修理工場
①
①
②
作業場の床面積
①50㎡以下 ②150㎡以下
③300㎡以下
原動機の制限あり
量が非常に少ない施設
火薬、石油類、ガスなどの
量が少ない施設
危険物の貯蔵、処理の量
量がやや多い施設
①
②
①1,500㎡以下 2階以下
②3,000㎡以下
量が多い施設
卸売市場、火葬場、と蓄場、汚物処理場、ごみ焼却場等
都市計画区域内にいては都市計画決定が必要
注)本表は、建築基準法別表第二の概要であり、すべての制限について記載したものではありません。その他の法律や都市計画により表と異なった制限を受ける
地区があります。
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【追 記】
この手引書は,大山節郎,剣持信夫,藤元泰二,松尾治郎,
向井清之の5名の編集委員によって平成5年3月に発行した
手引書を改訂したものです。
編集にあたりましては,京都工芸繊維大学鈴木克彦助教授
著「建築協定の運営とまちづくり」
(鹿島出版会 1992年)を
参考にさせていただきました。
建築協定の手引き
- すみよい街づくりのために -
平成15年4月発行
平成22年2月改訂
発 行 神戸市建築協定地区連絡協議会
事務局 神戸市住宅都市局建築指導部建築安全課
電話 078-322-5612
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