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地下鉄事業中期経営計画 - 大阪市交通局|交通局

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地下鉄事業中期経営計画 - 大阪市交通局|交通局
地下鉄事業中期経営計画
(平成 24 - 27 年度)
平成24年7月
大阪市交通局
はじめに
■
大阪市営地下鉄は、現在、ニュートラムを含め、9路線137.8kmの路線網を有し、
1日あたり228万人のお客さまにご利用いただいています。
■
経営面においては、これまでの長年にわたる市民・お客さまのご利用や、総人件費
や企業債残高の大幅な削減など経営健全化の取組みにより、継続的に黒字を確保し、
平成22年度決算において、累積欠損金を解消しました。
■
今後、少子高齢化など様々な外部環境の変化が予想される中で、地下鉄事業の成長
戦略を実現させるため、「民間でできることは民間に任せる」という考えのもと、
自由な経済活動によって経営の合理化や収益力の向上を図り、安全性の確保やサー
ビスの向上につなげられるように、地下鉄事業の民営化に向けて、更なる経営の健
全化の取組みを進めてまいります。
■
取組みを進めるにあたっては、お客さまや市民、大阪市、職員など地下鉄事業に関
わる各関係者(ステークホルダー)の皆さまにどのような価値を提供できるか、と
いう視点が重要であると考えており、これまで取り組んできた“輸送サービスの提
供”だけにとらわれず、お客さまにご乗車いただき降りて駅を出られるまでを含め
たトータル的なサービスの提供に取り組んでまいります。
■
最後に、この計画の策定にあたっては、大阪府市統合本部における地下鉄民営化・
成長戦略プロジェクトチームの報告を参考にさせていただきました。約半年間にわ
たり大阪市営地下鉄事業の課題分析・検討を行っていただいたメンバーにお礼申し
上げます。
平成24年7月
経営理念
お客さま第一主義
交通局では、これまでも「お客さま第一主義」をスローガンにサービスを提供してきました。
この「お客さま第一主義」は、お客さまにサービスをお届けするうえで普遍的価値を有する理念
であり、引き続き、経営理念として全職員が共有するとともに、さらに深化させてまいります。
●●●
2
●●●
計画期間・基本方針
計画期間
平成 24 ~ 27 年度 ( 4年間 )
基本方針
・ ステークホルダーへの貢献
・ 民営化を前提とした健全化の推進
・ 成長戦略の実現
事業運営にあたっては、「輸送の安全の確保」を前提に、「お客さま」「市民」「大阪市」「職員」
など地下鉄事業に関わるそれぞれのステークホルダーに、鉄道輸送サービスの提供という枠だけにと
らわれない“価値”をいかに提供できるかを追求するとともに、地下鉄事業の民営化を前提とした健
全化の推進により、地下鉄事業のさらなる成長を目指してまいります。
●●●
3
●●●
輸送の安全の確保
輸送の安全
の確保
ステークホルダーへの貢献
健全化
の推進
【お客さま】
お客さま視点によるサービスの改善
【 市民・大阪市 】
街の活性化等への寄与
民営化を前提とした健全化の推進
ステークホルダーとの関係
成長戦略の実現
●●●
4
●●●
全職員参加の安全の追求
「安全の確保は、輸送の生命である。」 交通事業者として、安全の確保は最大の責務であり、すべてに
優先します。お客さまの安全確保に向けた管理体制の充実、施設の安全性強化に取り組むことにより、事
故防止に努めるとともに、職員一丸となって安全輸送に努めてまいります。
■ 安全管理体制の充実
・情報の共有化や事故・トラブルの再発防止・未然防止に取り組みます。
・安全確保のためPDCAサイクルを機能させ、業務執行体制を不断に見直します。
【目標:当局に起因する事故・インシデント ゼロ】
■ 施設の安全性強化
・プラットホームの軌道転落・接触事故対策として有効な可動式ホーム柵を千日前線
に設置します。【目標:平成26年度 供用開始】
・乗降階段における防火シャッター整備、連結送水管の敷設など火災対策設備整備を
強化します。【目標:平成25年度 全対象駅完了(115駅)】
・駅施設の老朽化に起因する事故の未然防止(天井、壁の落下防止等)に取り組みま
す。【目標:平成24~27年度 19駅】
・地下鉄構造物(トンネル・橋りょう等)の劣化の進行を抑制する予防保全により構
造物の延命化を図ります。
【目標:平成24~27年度 地下構築物7.5km、鋼製橋りょう53橋】
●●●
5
●●●
PDCAサイクル
お客さま視点によるサービスの改善
今まではバリアフリーへの対応など主に施設の充実に力を入れてきました。これからは、お客さまの声
一つひとつを真摯に受け止め、実感できるサービスを提供し、お客さま満足度の向上に取り組みます。
■ 明るく清潔感あふれる駅・利用しやすい車両
・御堂筋線の本町駅、淀屋橋駅の美装化に取り組みます。【目標:平成24年度完了】
・清潔感のある快適なトイレへ改善します。
【目標:平成27年度 全対象駅完了(112駅)】
・新型車両(30000系)の導入や既存車両(新20系)をリフレッシュ改造し、
利用しやすい車両を目指します。
【目標:車両更新時に合わせて実施】
■ 案内の充実
・各種案内を集約し、駅構内の案内情報をわかりやすくします。
・お客さまによりわかりやすい案内標示について検討していきます。
・職員一人ひとりの意識改革により接遇の向上を目指します。
■ 地下鉄運行ダイヤ・料金の見直し
・終発後に運行している回送列車の営業化等により、終発時間を延長します。
【目標:平成25年3月の実施を目指します】
・料金値下げを実施します。
●●●
6
●●●
PICK
UP!!
明るく清潔感あふれる駅・利用しやすい車両
大阪・関西圏の中核を担う交通機関として、お客さまに快適・便利な空間の提供を目指します。
駅の美装化
トイレのリノベーション・リモデル
老朽化した駅における天井・壁の落下対策等に
あわせて、駅の美装化に取り組みます。
リノベーション(広さや配置変更等の改善)やリモデル(内
装の全面的な模様替え等)を行い、トイレを清潔感のある
快適な空間に刷新します。
[淀屋橋駅]
[パウダーコーナー]
[本町駅]
[洋式便室内]
新型車両の導入・既存車両のリフレッシュ
省エネルギーやバリアフリーに優れた
新型車両(30000系)を導入するととも
に、既存車両(新20系)についても、座
席のバケットシート化、つり革の増設、
縦手すりの増設など車内設備を改良
します。
総合案内板を設置
駅構内の各種案内情報をひと
つに集約し、駅の情報をわか
りやすくします
●●●
7
●●●
PICK
UP!!
料金値下げの実施
初乗り料金の値下げにより、短距離区間ご利用時の負担を軽減します。
■ 府市統合本部から示された基本的方向性(案)を参考に、交通局としての料金値下げの方針を決定し、具体的な料金改定
プランを作成します。
・改定時期については、消費税増税や敬老パスの制度変更などのタイミングを考慮します。
■ あわせて、主要ターミナル間の値下げなど、大阪・関西圏の街の活性化につながるような料金プランについても、
民営化後の経営収支への影響を考慮しながら検討していきます。
【参考】
地下鉄民営化・成長戦略PT
「地下鉄事業について(最終報告)」より
Ⅳ-2
⑶ 運賃値下げの収支への影響
値下げ時の額、区割、消費税の変更を含む数パターンを分析、影響額は▲14億~▲60億円
現行
km
1~3
4~7
8~13
14~19
20~
影響額
200
230
270
310
360
―
―
370
(370.28)
±0
―
現行運賃
+10
消費税8%
(H26.4~)
280
(277.71)
210
(209.52)
240
(240.95)
280
(282.86)
20円値下げ
330
(324.76)
380
(377.14)
±0
1~3
4~7
8~13
14~19
20~
影響額 ※
370
(370.28)
△14億円
消費税10%
(H27.10~)
+10
190
(205.71)
+10
240
(236.57)
+10
+10
280
(277.71)
+10
+10
200
(209.52)
240
(240.95)
280
(282.86)
330
(324.76)
380
(377.14)
△14億円
1~3
4~7
8~13
14~19
20~
影響額 ※
370
(370.28)
△31億円
380
(377.14)
△31億円
▲20
+10
+10
+10
180
(205.71)
240
(236.57)
280
(277.71)
190
(209.52)
240
(240.95)
280
(282.86)
+10
―
留意点
+10
320
(318.86)
+10
km
消費税8%
(H26.4~)
320
(318.86)
+10
▲10円
消費税10%
(H27.10~)
+10
240
(236.57)
km
消費税8%
(H26.4~)
+10
200
(205.71)
+10
消費税10%
(H27.10~)
10円値下げ
+10
留意点
留意点
+10
320
(318.86)
+10
+10
330
(324.76)
※影響額は1区特別回数券を廃止の前提で試算(+4億円)
【参考】
20円値下げ
+
区割り変更
km
消費税8%
+6区制運賃
(H26.4~)
消費税10%
+6区制運賃
(H27.10~)
1~3
4~7
8~13
▲20
▲30 +10
▲30 +10
180
200
240
280
(236.57)
(277.71)
(205.71) (205.71)
+10
+10
190
210
240
280
(240.95)
(282.86)
(209.52) (209.52)
14~19
+10
20~
影響額 ※
370
(370.28)
△60億円
380
(377.14)
△60億円
+10
320
(318.86)
+10
+10
330
(324.76)
留意点
区割変更には多大な
システム改修費用が
必要であり、他社へ
の影響が極めて大き
い
41
●●●
8
●●●
街の活性化等への寄与
駅ナカなどお客さまの利便性を向上し、集客に努めるとともに、国内外からのお客さまに地下鉄をご利用
いただけるよう取り組むことにより、大阪・関西圏の街の活性化に寄与します。また、民営化を見据え、
大阪市からの補助金・繰入金のあり方等を見直し、地下鉄事業の経営的な自立を目指します。
■ 利用促進の取組み
・駅構内での店舗展開(梅田駅、なんば駅、天王寺駅)や携帯電話、公衆無線LANの
ご利用範囲を拡大することにより、利便性向上とともに集客・増収を図ります。
・沿線地域と協働して集客イベントに取り組むとともに、地域の新たな魅力を発信し、
地域の魅力向上と活性化に寄与します。
・私鉄各社等と連携し、乗客誘致を目的とした宣伝に取り組むとともに、魅力的な
企画乗車券を開発・販売します。
・フェイスブックなどソーシャルメディアを活用した情報発信を行います。
・終発延長、料金値下げ[再掲]
7
9
■ 経営的自立を目指した取組み
・経営的な自立を目指し、一般会計とのあり方を見直します。
(補助金・出資金など繰入金の見直し、契約方法の改善など)
・デューデリジェンスなど民営化に向けた検討作業を引き続き進めてまいります。
●●●
9
●●●
民営化を前提とした健全化の推進
民間事業者の取組みを参考に、人件費・経費について徹底した見直しを行い、民営化を前提とした健全化
を推進します。
■ 人件費の見直し
・事業の継続的・安定的な運営に必要な要員を確保しつつ、千日前線のワンマン運転化や保守管理体制の見直しなど
効率化に取り組みます。
【目標:平成27年度 約4,500人相当額の人件費を目指します】
・民間鉄道事業者を参考にした給与体系への見直しを行います。
■ コスト削減の取組み
・公営企業の間でも行うことができるコスト削減策について取り組み、経費の見直しを行います。
【目標:最終年度までに24年度予算額から約5%削減】
≪民営化に向けた考え方≫
民営化によって
自由な事業展開や経営の多角化が可能に
ステークホルダーの皆さまがメリットを享受
⇒ 関西屈指の鉄道事業者として円滑にスタートできるよう、更なる経営の健全化の取組みを進めます。
●●●
10
●●●
成長戦略の実現
料金値下げによる運輸収入の減収などが想定されるものの、中期経営計画の各取組みにより、安定的な利
益を確保します。また、民営化を見据え、関西屈指の鉄道事業者になるべく、さらなる経営基盤の強化に
取り組み、企業としての成長を図ります。
30.0%
25.0%
20.0%
≪ 最終年度 数値目標 ≫
経常利益率
15.0%
300
経常利益率
15%以上
11.1%
12.2%
約225億円
10.0%
250
※
経常利益
5.0%
200
15%以上の
0.0%
150
利益確保を
100
目指します
50
167億円
182億円
H23
H24
H25
H26
H23
H23
(見込)
H24
H24
(予算)
H25
H26
H27
0
H27
H27
(計画)
※経常利益率(%)=経常利益÷営業収益×100
[公営企業会計ベース]
●●●
11
●●●
000
500
000
5,528人
500
職
員
数
経費の削減
5,379人
(※動力費・除却費を除く)
220
000
178億円
4,500人規模
4,500人
500
190億円
182億円
約180億円
178億円
170
000
効率化などにより
4年間で約800人の
コスト縮減効果を目指します
500
000
最終年度までに
▲5%の削減を
目指します
120
70
500
20
000
H23
H24
H24
(期首)
H25
H27
H27
(計画)
H26
H23
H24
H24
(予算)
H25
乗車人員・運輸収入(年間)
企業債残高
乗車人員
8.35億人
7,000
約8億人
8.22億人
1,900
1,700
1,500
6,500
9.00
5,976億円
6,000
8.00
運輸収入
1,435億円
H27
H27
(計画)
H26
5,805億円
5,216億円
約5,200億円
5,500
7.00
1,423億円
約1,300億円
5,000
6.00
1,300
4,500
5.00
1,100
4,000
4.00
900
3,500
3.00
700
3,000
2.00
500
2,500
1.00
発行の抑制などにより
4年間で約800億円の
縮減を図ります
2,000
0.00
300
H23
(見込)
H24
H24
(予算)
(予算)
H25
H26
H23
H23
(見込)
H27
H27
(計画)
●●●
12
●●●
H24
H24
(予算)
H25
H26
H27
H27
H27
(計画)
コミットメント(果たすべき約束)
局長をトップとする幹部層がそれぞれの階層においてコミットメントを果たしていくことによって、安全、
組織運営、経営管理の局面において強力なマネジメントの実現を追求していきます。
■ 安全マネジメント
・安全管理体制において、局長及び経営幹部がその権限を十分に発揮できる仕組みを
構築します。
■ 組織運営マネジメント
・目標管理制度の積極的活用により、各管理者が自身の権限・責任を十分に発揮し、
客観的な成果が伴う組織運営を行っていきます。
■ 経営管理マネジメント
・管理会計の手法を導入し、収支管理を徹底します。
●●●
13
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