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2006 アジア芸術科学学会 学術大会 サラウンド講演 ~冨田勲

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2006 アジア芸術科学学会 学術大会 サラウンド講演 ~冨田勲
2006 アジア芸術科学学会 学術大会
サラウンド講演 ~冨田勲 サラウンド音楽の世界~
音楽家育成の未来を見据えて
日 時
場 所
: 2006 年 6 月 22 日(木) - 23 日(金)
: 中国上海 上海工程技術大学 大講堂(学会)
上海音楽学院 Music Hall
共同主催 : (社)アジア芸術科学学会、日本 VR 学会上海科学技術協会
上海音楽家協会
主 管
: 上海工程技術大學、上海音楽学院
東方デジタルメディア研究開発センター
後 援
: 中國東方電視台、日本 NHK、 韓國 KBS
《冨田研究室 研究生活動内容》
1. 7.1chサラウンド講演の実践研究及びサブエンジニアとして助手業務の従事。
2. 上海音楽学院マスタークラス講義でのトミタメソッド及び研究生の紹介と学生交流。
レポート報告:野尻修平
サラウンド講演
~冨田勲 サラウンド音楽の世界~
中国上海の Pudong 国際空港へは 6 月 20 日 19 時に無事到着。上海音楽学院の先生、学生たちの送迎を受けて、
そこからバスで約一時間ほどのところにある宿泊先のホテルに向かいました。そこから上海音楽学院へはタクシーで
約 5 分ほどの距離。ホテルに到着した頃には遅い時間になっていましたが、金教授がホテルまで訪ねて下さり、冨田
教授と今回の芸術科学学会の主旨、アジアの未来について、遅くまで意見交換をなされました。明朝、打ち合わせと
機材の確認を兼ねて、冨田教授とサウンドエンジニアの山崎博史氏と一緒に上海音楽学院へ向かいました。
事前連絡及び打ち合わせは、コーディネーターの槇田氏、
サウンドエンジニアの山崎氏が E メールによって進められて
いましたが、上海音楽学院側で一体何がどのように準備さ
れているのか正確には確認がとれていない状態で、
冨田教授とともに急いで講演会場と再生環境が7.1ch で用
意されているのかを確認しました。今回の講演に際しての主
な進行管理を行っているのは学生たちで、慣れない処務に
一生懸命に対応してくれました。
講演会場の機材搬入設置は前日 18 時から行われ、アジア各国から招かれた講演者のリハーサル及び、上海音楽
学院のリサイタル出演者のリハーサルが乱雑に入り混じって行われました。PA は上海音楽学院の大学院生たちに
よって行われました。変動的なタイムスケジュールの中、豪快とも言える学生たちのワイアリングには冷や汗も感じ、
電源ケーブル破損というトラブルもありましたが、23 時過ぎには無事、7.1ch のサウンドチェックが終わりました。
上海音楽学院の学生たちによる会場設置。
会場は英語と中国語(通訳)が飛び交いました。
冨田教授は関係者各位様との会談が詰まっており、大変にご多忙でしたが 20 時半過ぎには会場入りして頂き、
サウンドチェックの最終確認、ご判断をして頂きました。
講演当日の冨田教授 NUENDO システム
[EPSON] Note PC
[RME] Hammerhall DSP Multiface
[Steinberg] Nuendo 3
[LACIE] HDD (Firewire400)
翌日は上海音楽学院の学生たちによるリサイタルが予定されており、学生たちのリハーサルは続いていました。
どの学生の皆さんも、自信とエネルギーに満ちていたのが印象的です。
アジア芸術科学学会・講演は翌日の午前 9 時 00 分から上海音楽学院院長による挨拶によって幕が開きました。
続いて、日本文部科学省から砂田向壱氏より祝辞が述べられました。このシンポジウムがアジアにおけるメディア
コンテンツ制作の更なる発展を担うことを強く望んでいるといった事が語られました。
日本を代表するデザイナーの山本寛斎氏に
よる祝辞。日本企業がアジアの文化芸術、
アーティスト育成を支援している現実が伝え
られ、ワールドワイドで活躍されている自身
のイベントプロジェクトを例に紹介し、アジア
の発展を呼びかけました。
冨田教授の講演は「作曲家によるサラウンド表現の未来」と題し、作曲から演奏、ミックスダウン、サラウンドによる
音場構成をアーティスト一人が全てを手がけてしまう手法が紹介されました。主な講演内容は、「サウンドクラウド:
ニューヨーク」、「ドビュッシー:沈める寺」、「オネゲル:パシフィック 231」、「ムソルグスキー:禿山の一夜」、「ホルスト:
惑星」を例にピンクノイズによるサウンド作成の紹介などがありました。
冨田教授の講演の様子。プロジェクターには NUENDO が映し出されています。
70 年代の冨田教授のスタジオ。
名盤「SNOWFLAKES ARE DANCING」はここから生まれ
ました。講演では「オネゲル:パシフィック 231」、「ムソル
グスキー:禿山の一夜」が紹介され、「ホルスト:惑星」で
はピンクノイズによるサウンド作成、制作秘話のご紹介
がありました。
一から音を作り出す冨田教授のこだわり、そこに生まれ
る世界観は学生たちの印象に強く残ったようです。
サウンドクラウド(NEWYORK)でのスピーカーレイアウト図が紹介され、大規模な音場演出の解説がありました。
また、冷戦時のアメリカへロシアのピアニストを招いたことを例に挙げ、音楽に国境がないことが伝えられました。
朝早くから集まった学生たちは熱心に冨田教授の講演に聞き入っています。冨田教授の講演は約 90 分で終了し、
会場には大きな拍手が巻き起こりました。今回のシンポジウムでは冨田教授の講演のほか、ソウル大学の李教授、
上海音楽学院の吴教授、東京大学の河口洋一郎氏によるグラフィックアートの講演が行われました。
日本からは岡崎市立福岡中学校教諭の安立賢介先生が、
冨田教授のサラウンド講演を見学されていました。安立先生
は中学校の音楽の授業で、NUENDO を使用し、ユニークな
指導法で学生たちの個性を引き出す指導を行っています。
安立先生は今回の冨田教授の本講演、マスタークラス向け
のセミナーに出席され、上海音楽学院で行われている教育
方針を研究し、ご自身の指導内容を充実させたいとお考え
のようでした。
このような柔軟な考えを持つ指導者が、中学校におられるこ
とは大変先進的であると思います。
冨田勲教授 7.1サラウンド講演セットアップ図
サウンドエンジニア 山崎博史氏によるラフデザイン図
マスタークラス・セミナー
23 日 15 時から開催された上海音楽院のマスター
クラス向け冨田教授のセミナーは一般教室と同じ
建物内にある 300 席ほどの小ホールで行われまし
た。PA、機材設置は前日の本講演と同様に上海
音楽学院の院生たちによって行われ、
ピンクノイズによる 7.1ch サウンドチェックは 12 時
から開始されました。
冨田教授による
サウンドチェックの様子
冨田教授のマスタークラス向け特別講義は、ディズニーシーの依頼で書き下ろされた 3 面立体のオーケストラ曲
「アクアスフィア」で幕を開けました。3 面に配置されたオーケストラにはそれぞれに独自のスコアが用意され、3 つの
合奏によって音場空間が作られます。この特殊な作曲手法は、上海音楽学院の学生にとっては強烈な印象に残った
と思います。次に、ムソルグスキーの「ヒヨコ」では、「アクアスフィア」とは対照的なデフォルメされたアニメーションで
描かれた世界で、シンセサイザーとエフェクトを利用した音場演出が紹介されました。
「アクアスフィア」テーマ音楽は、3 面立体をコンセプトにロンドンフィルの名演を
冨田教授が NUENDO で7.1chにミックス、トラックダウンした作品。
音楽空間をスコア上で描いた波のフーガは、まさにサラウンド作曲そのもので
あり、サラウンドで描ける世界が何であるかを強烈に啓示しています。
NUENDO の入ったノート PC を持って、冨田教授がたった一人で現地での
最終ミックス、音響調整をしたのは、大変有名な逸話であります。
続いて紹介されたのは、ムソルグスキーの「ヒヨコ」。
冨田教授の真骨頂とも言える 4ch サラウンド作品。
「アクアスフィア」との対比によって、サラウンドにおけ
る表現世界の深さ、シンセサイザーと生オーケストラ
の特色を、今後の作曲家がどう活かしていくのかが
明確に啓示されています。
講演では、NUENDO 内の緻密な PAN コントロールパ
ラメーターも解説されました。
次に紹介されたのは、源氏物語幻想交響絵巻。
奉納コンサートの模様が DVD ビデオで紹介されました。日本の伝統楽器と
オーケストラ、サラウンドによる音場演出、集大成とも言える本作で、
作曲家の表現世界における無限の可能性が示されました。
本講演と同様にプロジェクターへは NUENDO、DVD 映像が映し出されます。
谷村音楽事務所に所属するピンノさんが同時通訳をしています。
マスタークラス・セミナー学生交流 (トミタメソッドの紹介)
マスタークラス向けの特別講義の後半では尚美学園大学大学院・冨田研究室を代表し、野尻修平が「トミタメソッド」
を紹介しました。アーティストが一貫して仕上げる音楽制作スタイル、自己プロデュース、マネージメントは今日のメデ
ィア業界が求める音楽家像でもあり、音楽大学・大学院をプロ育成の場と掲げるのであれば、こういった指導内容、
実践主義は大変重要なことであると強調しました。
~野尻修平の講演内容より~
トミタ・メソッドとは、冨田教授が半世紀以上もメディア界の
第一線でご活躍され築かれたノウハウを指します。作曲者
が一貫して作品の全てを手がけるといった制作法をベース
に、立体音響における空間演出法やサラウンドクラウドと
いった大規模なコンサートイベントの企画立案、トータルプ
ロデュース、自己マネージメントも含め、今後のアーティスト
に必要なノウハウを全て網羅しており、こういった指導法は
世界でも類を見ません。尚美学園大学大学院に導入され
た冨田研究室は、これらを学術的に確立することを目的と
した研究室です。
冨田研究室は音楽大学大学院の次世代研究室として、
設計プラン、機材選定が行われました。柔軟なサラウンド
スピーカー配置に対応し、常設で8.1ch、テーマパークや
パビリオンなどの特殊なスピーカーレイアウトにも対応して
います。
柔軟なスピーカーレイアウトを可能にする次世代スタジオの紹介。部屋そのもののデザインや、レーザーポインター
による工夫によって、学生が自宅の制作環境でカバーし得ない、サラウンドモニタリングを可能にしています。
協力・音響設計(株)SONA
80 年代後半の冨田教授のスタジオと、2006 年版の冨田研究室を比較すると、制作環境の変貌が明らかです。
冨田研究生のサラウンド作品紹介は、すでにコロムビアミュージックエンターテインメントより発売されている私の
2 作のサラウンドアルバムより一部抜粋と、漢那拓也君によるマルチメディア作品が紹介されました。
マスタークラス向けの特別講義の様子。作曲や演奏系の学生のほか、先生方も多数参加されました。学生交流の場
では上海音楽学院の学生作品の試聴も行われ、クラリネットを多重録音し、DAW で編集した素晴らしい作品がありま
した。上海音楽学院音楽工程科の学生はシンセサイザーによる打ち込みの作品よりも生楽器を使用することが多く、
各コース間の交流も深いようです。
音楽工程科の学生が冨田教授にアドバイスを頂いています。
音楽工程科の吴教授の挨拶で幕を閉じました。
マスタークラス向けの特別講義は学生との距離も近く、大変に有意義な会となりました。講演後には学生が集まり、
冨田教授と上海音楽学院学生との交流が行われました。皆さん嬉しそうです!
2006 アジア芸術科学学会 学術大会
サラウンド講演 ~冨田勲 サラウンド音楽の世界~
音楽家育成の未来を見据えて
上海音楽学院 音楽工程コース
レポート編
21 世紀を代表する町として都市開発が進む上海には、トップクラスの指導体制、環境を持つ国立の上海音楽学院が
あります。アジア芸術科学学会は 1927 年に建設された古い歴史を持つ、上海音楽学院で開催されました。
音楽工程コースのChen副教授に学内の様子を説明してもらえましたので、簡単にご紹介したいと思います。
上海音楽学院の音楽工程コース(音楽メディア系)では学年ごとに
約10名の学生がおり、マスタークラスには5名程度が在籍。
すでにドクタークラスも開設されています。
私が教室に伺った時も学生さんが熱心に創作に打ち込んでいました。
どの学生も向上意識が高く、自分がここで何を学び、吸収
しようとしているのかが良く分かっている印象を受けました。
学内のあちこちに冨田教授の講演告知ポスターが掲示されています。
屋外に置かれる掲示板は演奏会などが多く告知され、対外的なPRを
感じます。学生向けの情報は、学内の掲示板にありました。
5.1ch サラウンド制作が可能な研究室。サラウンドモニターは GENELEC 1030A×5、7070A×1、ステレオモニターに
は YAMAHA NS10M と GENELEC 1031A、DAW には ProTools が導入されています。このスタジオは高学年の学生
が使うことが多いとのことです。HDD で作品を持ち込み、ミックスやマスタリングに使用されているようです。
こちらも ProTools による 5.1ch サラウンド対応の研究室。サラウンドモニターは GENELEC 8040A×5、7070A×1 で、
前面には録音ブースがあります。この部屋もサラウンドミックスやマスタリングに使用されているようです。ラック周り
はレコーダーが多く、臨時で置かれているキーボードは作業中だった学生が持ち込んだようです。
撮影時に作曲コースの学生が作業をしていました。
彼はヴォーカリストでもあり、中国の伝統的な音楽と
サラウンドによる新たな表現を融合させるような作品を
作っていました。22 日にあるリサイタルではサラウンドの
トラックを NUENDO から出して、生演奏をするようで、
この日は最終調整のようです。がんばって下さい!
小さな研究室にもサラウンド環境が導入されています。
NUENDO で制作した 5.1chサラウンド作品を iMac に移し、
Final Cut などで DVD オーサリングをするといった使い方
ができそうです。音源モジュールに YAMAHA MOTIF、
キーボードに ROLAND FANTOM があります。
スタジオには大きな表札があり、味わいを出しています。
学部の学生が使用する演習室。PC ベースのシステムでは STEINBERG NUENDO と CUBASE が使用されています。
音源モジュールに YAMAHA MOTIF、キーボードに ROLAND FANTOM があります。授業が行われない時間は開放さ
れ、学生たちが自由に出入りできるようです。ちなみに上海音楽学院の施設は 23 時まで開いているとの事です。
なお、上海音楽学院の作曲・音楽工程コースには劇伴音楽に将来のビジョンを持っている学生が多く存在しており、
この部屋の撮影時にも CUBASE 内に取り込んだ映像に作曲をしている学生がたくさんいました。数年前までサラウ
ンドは音楽のみを制作していましたが、最近では映像も視野に入れるようになってきているとの事です。ただ、今のと
ころ、映像も音楽も学生が一人で作ってしまうというマルチメディアの制作スタイルは存在しないようです。
もうひとつの演習室では ProTools が使用されていました。
音 源 モ ジ ュ ー ル に YAMAHA MOTIF 、 キ ー ボ ー ド に
ROLAND FANTOM があります。上海音楽学院では学年で
指導する内容が分かれており、おおまかには1年次に音楽
理論、2年次に MIDI コントロール、3年次に生録音、4年次
にミックスダウン、マスタリング、マスターコース1年次から
プロツールスをメインとした、サラウンド制作、メディアに向
けた演奏会が行われるようです。音楽工程コースの立ち上
げから僅か3年で細かい指導内容が一貫しており、学生た
ちも学習過程をよく理解しています。
個々が確実にステップアップしているといった印象です。
なお卒業後、優秀な学生は自宅に製作システムを整え、
個人事業として活動される方が多いようです。これはまだ
上海に音楽プロダクションといった音楽ビジネスの体制が
行き届いていない為だという事です。
この部屋にも録音ブースがあり、学生たちは打ち込みも生楽器も同列に扱うことができます。気軽にこういった設備
を使えるのは大変素晴らしく、恵まれています。機材はGENELEC 1030A、DIGI 002Rack などがあります。
ProTools と NUENDO を使い分け、どの部屋に行ってもデータ再生ができるようになっているようです。
今回、私が見学させて頂いたのは主にデジタル音楽を扱う
コースの設備で、指導環境は想像以上に進んでいるもので
した。各スタジオは近接しており、いつも誰かがそこで
作業しているため、とても活気がありました。
上海音楽学院は今、さらに大きく変わろうとしています。大型
の音楽ホールの建設が進み、広大な敷地に十分過ぎるほど
の設備が建設される予定とのことです。
アジアのトップアーティストを招いた指導体制は、いずれ
アジアを代表する音楽学院となると思われます。
上海音楽学院
HP : http://www.shcmusic.edu.cn/
郵便番号 : 200031
住所 : 上海市汾陽路 20 号
問合せ : 留学生弁公室
あとがき
私が今回のアジア芸術科学学会で一番強く感じたことは、とにかく上海音楽学院の学生たちの創作へのモチベーシ
ョンが高いことでした。どの学生もアジア最高の音楽院で学んでいるという自信に満ちています。その自信は、学生
たちに柔軟な発想を持たせています。デジタル楽器と伝統音楽における住み分けが学生たちの意識に全くないこと
は非常に先進的でありました。サラウンドのような新しい表現へのアプローチも先進国より遥かに斬新で意欲的です。
正直なところを言えば、各講演の学生たちの PA ワイアリング、タイムスケジュールといった対応には冷や汗を流す場
面が多々ありました。機材に関しても、乱雑な扱いによって同じスピーカーでも個体の消耗差が激しく、厳密な音響
調整は諦めざるを負えませんでした。「とにかく音が出れば、あとは俺たちの世界だ!」というのが学生たちの雰囲気
です。そういった技術面だけを見れば、遥かに日本や欧米の学生たちのレベルのほうが高いとも思います。
中国の音楽ビジネスはまだまだ未熟なところが多くあるようです。故に著作権といったマナーも意識外にあるように
思われます。この事は今回の主旨から外れますので、これ以上は触れませんが、いずれ中国のクリエーター自身も
直面する問題となるでしょう。やはり強烈なまでに印象として残ったのは、学生たちが持つ創作表現へのエネルギー
はアジア全体のエネルギーの流動を象徴するかのように深く、大変に素晴らしかったことです。音楽表現とは何か。
情報過多、デジタル機器の発展によって、今の音楽家志望にはたくさんの恵まれた環境があります。しかし、そこで
は自分の世界に必要なモノを選択、吸収し、自分の表現に変える能力が必要となってきます。上海音楽学院にいる
未来の作曲家たちは、理屈ではない部分で、この事を感覚として理解しているのでしょう。私は、その事を同じアジア
の音楽家として誇りに思うと同時に、日本の作曲家の一人として大変な脅威にも感じました。数年、数十年後には、
必ず上海音楽学院から新しい音楽が世界に飛び出していくことと思います。これからのアジアの発展、音楽メディア
が大変楽しみです。私は尚美学園大学大学院・冨田研究室の研究生として、彼らと同じマスタークラスの学生という
立場も持ち合わせています。彼らのエネルギーに負けないよう、今回の経験を糧に邁進していきたいと思います。
上海で出会った才能溢れる皆さん、素敵な時間を本当にありがとうございます。
2006 年 7 月 2 日
野尻修平
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